JP2004294351A - 電位センサおよび画像形成装置 - Google Patents

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Susumu Yasuda
進 安田
Yoshikatsu Ichimura
好克 市村
Yoshitaka Zaitsu
義貴 財津
Takashi Ushijima
隆志 牛島
Takayuki Yagi
隆行 八木
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Abstract

【課題】検出電極の有効面積を大きくできて、サイズの割に感度を大きくできる電位センサである。
【解決手段】電位センサ101は、電位被測定物と対向して配される第一、第二の検出電極121a、121bと、2組の検出電極が電位被測定物と対向して配されるときに検出電極と電位被測定物の間に配置される可動シャッタ125と、2組の検出電極121a、121bからの出力を差動処理する差動処理手段160を有する。可動シャッタ125は、2つの状態を取り得、第一の検出電極121aは、可動シャッタが一方の状態を取るときに、他方の状態を取るときより、より広く露出され、第二の検出電極121bは、可動シャッタが一方の状態を取るときに、他方の状態を取るときより、より少なく露出される。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を利用して容易に作製され得る非接触型の電位センサ、及びこの電位センサを使用した画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
被測定物の表面電位を測定するセンサの1つとして、機械式の可変容量型電位センサが知られている。図9に、機械式の可変容量型電位センサの原理を示す。被測定物1099は、グラウンド電位に対して電位Vを持っている。それに対向するように、検知電極1021が配置され、検知電極1021のすぐ上には、可動シャッタ1025が配置されている。可動シャッタ1025が動くと、被測定物1099と検知電極1021の間の静電容量Cが変化する。検知電極1021には、VとCに応じて電荷Qが誘導される。また、検知電極1021とグランドの間に流れる電流は、電流計1060で検出される。ここで、検知電極1021に誘導される電荷量Qは、Q=CVであるから、電流計1060に流れる電流iは、時間をtとすると、i=dQ/dt=VdC/dtで与えられ、dC/dtが既知であれば、電位Vを知ることができる。dC/dtはこのセンサの感度であり、この式から明らかなように、Cの最大・最小の差を大きくするか、変化時間tを短くすれば感度が高くなる。
【0003】
MEMS技術を利用して作製され得る上記の如き機械式の可変容量型電位センサとしては、次のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。図10には電位センサ1001が描かれており、これは、ドライバコンポーネント1010とセンサコンポーネント1020からなっている。これらは、基板1004上にMEMS技術により作製され得る。
【0004】
ドライバコンポーネント1010は、平行ヒンジ構造を有するサスペンション1018と、櫛形静電アクチュエータ1012からなっている。櫛形静電アクチュエータ1012は、静電的に微小構造を駆動する一般的なメカニズムであって、サスペンション1018で支持された可動電極1013と、基板1004に取り付けられた固定電極1014からなっている。櫛形静電アクチュエータ1012は、静電駆動信号源1050に電気的に接続されている。可動電極1013は、サスペンション1018によって、図中左右に動けるように保持されている。可動電極1013と固定電極1014の櫛歯形状の電極は交互に噛み合っていて、電位差が与えられたときに静電引力が作用する。
【0005】
ドライバコンポーネント1010に接続しているのが、センサコンポーネント1020である。検出電極アセンブリ1021は基板1004に固定されていて、被測定表面に容量結合可能である。検出電極アセンブリ1021は、間隔を隔てた個々の検出電極(ここでは参照番号1021a,1021b,1021cなどによって示されている)のセットである。個々の検出プローブは一緒に接続されていて、個々の信号が結合(重畳)される。センサコンポーネント1020は、可動シャッタ1025を更に備えており、これは、検出電極アセンブリ1021を選択的に覆う。ここで、可動シャッタ1025はドライバコンポーネント1010に機械的に接続していて、ドライバコンポーネント1010の直線的な変位が、対応する可動シャッタ1025の変位をもたらす。
【0006】
可動シャッタ1025は、複数の開口部1024を有しており、これらは、可動シャッタ1025が第1の位置にあるときに開口部1024を通じて検出電極アセンブリ1021を選択的に露出させるように構成されている。個々の開口部1024は、個々の検出電極の間隔に相当する寸法だけ、互いに間隔を隔てている。可動シャッタ1025が第2の位置にあるときには、検出電極アセンブリ1021は、開口部1024の間に存在する遮蔽部1026によってカバーされる。言い換えれば、可動シャッタ1025が第1の位置にあるときには、検出電極アセンブリ1021による容量結合が可能になる。一方、可動シャッタ1025が第2の位置にあるときには、検出電極アセンブリ1021による容量結合はマスクされて妨げられる。検出電極アセンブリ1021によって生成される電流は、取り出し電極1028に出力されて、増幅器1060で増幅される。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−147035号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、以上説明したMEMS静電センサには、以下のような問題点があった。
1.検出電極の有効面積を大きくとることができなかった。静電センサの検出感度dC/dtは、検出電極の有効面積に比例するので、検出感度を十分に大きくできない。このことを、図11を用いて説明する。図11は、図10の線1080における断面図である。図11より明らかなように、検出電極アセンブリ1021を構成する個々の検出電極の幅w1は、個々のシャッタ開口部1024の間隔に相当する寸法w2だけ、互いに間隔を隔てて配置しなければならない。従って、w1とw2は略等しいので、検出電極の有効面積が基板上の占有面積の略半分になってしまっていた。
【0009】
2.また、従来のMEMS静電センサにおいては、ドライバコンポーネント1010とセンサコンポーネント1020を基板1004上の別の場所に作製するため、その配置の仕方にかかわらず、チップサイズが大きくなってしまう。そのため、MEMS静電センサの小型化に限界があり、また、高コストになっていた。
【0010】
3.また、ドライバコンポーネント1010とセンサコンポーネント1020が一体になって動くため、可動部の質量が大きくなり、駆動周波数を大きくするのが困難であった。静電センサの検出感度dC/dtは、駆動周波数にも比例するので、検出感度を大きくすることができなかった。
【0011】
4.また、静電アクチュエータ1012を駆動に使用するタイプのMEMS静電センサにおいては、駆動に高電圧が必要であり、ドライバが高コストになっていた。
【0012】
本発明の目的は、上記の課題に鑑み、これらの問題点のうちの少なくとも1.の問題点を容易に解決し得る構成を持った非接触型の電位センサ、及びこの電位センサを使用した画像形成装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の電位センサは、電位被測定物と対向して配される第一、第二の検出電極と、該2組の検出電極が電位被測定物と対向して配されるときに該検出電極と電位被測定物との間に空隙を介して配される様に配置された可動シャッタと、該第一、第二の検出電極からの出力を差動処理する差動処理手段を有し、前記可動シャッタは、第一の状態と第二の状態を取り得、前記第一の検出電極は、前記可動シャッタが第一の状態を取るときに、第二の状態を取るときより、電位被測定物に対してより広く露出され(典型的には、ほぼ全面的に露出)、前記第二の検出電極は、前記可動シャッタが第一の状態を取るときに、第二の状態を取るときより、電位被測定物に対してより少なく露出される(典型的には、ほぼ全面的に遮蔽)ことを特徴とする。この構成によれば、第一、第二の検出電極を近づけて配置できるので検出電極の有効面積を大きくすることができ、両者からの出力を差動処理して信号を得るので、サイズの割に感度を大きくできる。また、同等の感度であれば必要サイズが小さくて済むので、小型化が可能でコストを下げることができる。
【0014】
上記の如き基本的な構成に基づいて、以下の様な形態が可能である。
基板と、少なくとも一方が複数部分から成る該基板上の第一、第二の検出電極アセンブリと、該2組の検出電極アセンブリ上に空隙を介して配置される1つ以上の可動シャッタを有し、前記第一の検出電極アセンブリは、前記可動シャッタが第一の状態を取るときに、第二の状態を取るときより、電位被測定物に対してより広く露出され、前記第二の検出電極アセンブリは、前記可動シャッタが第一の状態を取るときに、第二の状態を取るときより、電位被測定物に対してより少なく露出される構成とし得る。第一、第二の検出電極はそれぞれ1つの部分で構成することもできるが、この形態の様な構成にすることで、各検出電極の有効面積を更に大きくできる。
【0015】
また、前記可動シャッタが、第一の状態と第二の状態の間で可動に弾性支持された可動シャッタとすることで、摩擦で妨げられることの無い可動シャッタの動きを実現できる。また、その駆動周波数が可動シャッタの機械的な共振周波数に略等しい構成とすることで、同一の振幅を得るための消費電力を大幅に少なくすることができる。
【0016】
また、前記可動シャッタが、該可動シャッタに対してその可動方向に略垂直に磁界を発生する磁界発生手段と該可動シャッタに対してその可動方向と前記磁界方向に略垂直に電流を流す電流印加手段により制御されて、前記第一の状態と第二の状態を取り得る構成とし得る。ここで、前記磁界発生手段は永久磁石または電磁コイルであったりする。この構成によれば、可動シャッタ自体がアクチュエータの一部になっているため、全く別体のアクチュエータユニットを作製する必要がなく、小型化することができる。また、可動シャッタを複数設ける場合、個々の可動シャッタを個別に動作させられるので、可動部の質量を軽減でき、動作速度を速くしてセンサ感度を上げることができる。さらに、駆動に高電圧が必要ないので、ドライバをより低コスト化できる。
【0017】
また、2つ以上の可動シャッタと該可動シャッタに対して可動方向に略垂直に電流を流す少なくとも2つ電流印加手段を有し、前記可動シャッタに流される電流間の相互作用により、前記第一の状態と第二の状態を取り得る構成とし得る。この構成でも、可動シャッタ自体がアクチュエータの一部になっているため、全く別体のアクチュエータユニットを作製する必要がなく、小型化することができる。また、個々の可動シャッタを個別に動作させられるので、可動部の質量を軽減でき、動作速度を速くしてセンサ感度を上げることができる。さらに、駆動に高電圧が必要ないので、ドライバをより低コスト化できる。
【0018】
更に、上記目的を達成する本発明の画像形成装置は、上記の電位センサと、該電位センサの出力に基づき画像形成の制御を行う画像形成手段とを備えたことを特徴とする。この構成により、上記の電位センサの特徴を生かした画像形成装置とできる。画像形成手段は、例えば、複写機能、印刷機能、或いはファクシミリ機能を有するものである。また、画像形成手段は、感光ドラムを有し、該感光ドラム上の帯電電位を感光ドラムに対向配置された前記電位センサを用いて測定する形態にできる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を明らかにすべく、図面に沿って具体的な実施例を説明する。
【0020】
(実施例1)
図1は実施例1の電位センサの上面図、図2はその断面図である。電位センサ101は、ドライバコンポーネント110とセンサコンポーネント120からなっている。これらは、基板104上にMEMS技術により作製される。
【0021】
ドライバコンポーネント110は、平行ヒンジ構造を有するサスペンション118と、櫛形静電アクチュエータ112からなっている。櫛形静電アクチュエータ112は、静電的に微小構造を駆動する一般的なメカニズムであって、サスペンション118で支持された可動電極113と、基板104に取り付けられた固定電極114からなっている。櫛形静電アクチュエータ112は、静電駆動信号源150に電気的に接続されている。可動電極113は、サスペンション118によって、図中左右に動けるように保持されている。可動電極113と固定電極114の櫛歯形状の電極は交互に噛み合っていて、電位差が与えられたときに静電引力が作用する。この構造は上記の従来の電位センサのものと同じである。
【0022】
ドライバコンポーネント110に接続しているのが、センサコンポーネント120である。本実施例の特徴である検出電極アセンブリ121a、121bは、基板104に固定されていて、それぞれ被測定表面に容量結合可能である。検出電極アセンブリ121a、121bは、間隔を隔てた個々の検出電極のセットであり、各セットの検出電極は電気的に接続されている。また、検出電極アセンブリ121a、121bの個々の検出電極は、電気的に短絡しない程度の空隙を保って配置されている。
【0023】
可動シャッタ125は、検出電極アセンブリ121a、121bを選択的に覆う。ここで、可動シャッタ125はドライバコンポーネント110に機械的に接続していて、ドライバコンポーネント110の直線的な変位が可動シャッタ125の変位をもたらす。
【0024】
可動シャッタ125は、複数の開口部124を有している。可動シャッタ125が第1の位置(図1の右方に動いた位置)にあるときには、検出電極アセンブリ121aは開口部124を通じて露出され、検出電極アセンブリ121bは遮蔽される(図2(a)参照)。また、可動シャッタ125が第2の位置(図1の左方に動いた位置)にあるときには、検出電極アセンブリ121aは遮蔽され、検出電極アセンブリ121bは開口部124を通じて露出される(図2(b)参照)。
【0025】
言い換えれば、可動シャッタ125が第1の位置にあるときには、検出電極アセンブリ121aが測定対象と容量結合し、可動シャッタ125が第2の位置にあるときには、検出電極アセンブリ121bが測定対象と容量結合する。検出電極アセンブリ121a、121bによって生成される電流は、それぞれ取り出し電極122a、122bに出力され、差動増幅器160にて差動増幅され、センサ出力となる。
【0026】
上記の構成において、可動シャッタ125の駆動周波数を、機械的な共振周波数とおおよそ等しくすることで、駆動に必要な電力を少なくできて、ドライバコンポーネント110の負担を軽減できる。
【0027】
本実施例によれば、基板上104に検出電極アセンブリ121a、121bが、ごく僅かの空隙を保って密に配置されているため、従来のMEMS技術を利用した電位センサに比べて検出電極の有効面積を略2倍にすることが可能である。そのため、従来と同等の大きさであれば感度を良くでき、また、従来と同等な感度であれば、全体を小型化できる。また、シリコンウエハあたりのセンサ数を増やせるので、製造コストを下げられる。
【0028】
(実施例2)
図3は実施例2の電位センサの分解斜視図である。基板204の上には、検出電極アセンブリ221a、221b、検出電極取り出し電極222a、222b、駆動用取り出し電極223a、223bがパターニングされている。検出電極アセンブリ221a、221bは、間隔を隔てた個々の検出電極のセットであり、各セットの検出電極は、各検出電極取り出し電極222a、222bによって電気的に接続されている。また、検出電極アセンブリ221a、221bの個々の検出電極は、電気的に短絡しない程度の空隙を保って配置されている。可動シャッタユニット210a〜dは、遮蔽部材211a〜dと、平行ヒンジサスペンション212a〜dと、固定部材213a〜dからなっており、これらは導電性材料で一体に形成されている。本実施例では、駆動用取り出し電極223a、223bは固定部材213a〜dと固定的に結合されている。そして、遮蔽部材211a〜dは、検出電極アセンブリ221a、221bの上に空隙を介して平行ヒンジサスペンション212a〜dで支持されている。基板204の下部には、永久磁石230が配置され、基板204に垂直な向きに磁束を発生している。駆動用取り出し電極223a、223bはドライバ250に電気的に接続されており、検出電極取り出し電極222a、222bは差動増幅器290に電気的に結合されている。
【0029】
上記構成の本実施例の電位センサの動作について説明する。図4は、本実施例の上面図である。被測定物は、基板204に対向して略垂直な方向に配置される。こうした配置状態で、図4(a)に示すようにドライバ250から電流を発生し、駆動用取り出し電極223aから223bの向きに可動シャッタユニット210a〜dを通って電流を流すと、紙面上方向に垂直に磁界が発生しているので、平行ヒンジサスペンション212a〜dが撓んで遮蔽部材211a〜dは図中の右側に変位する。すると、検出電極アセンブリ221aは露出されるので、測定対象物との間の静電容量が増加するのに対して、検出電極アセンブリ221bは遮蔽されるので、測定対象物との間の静電容量が減少する。
【0030】
逆に、図4(b)に示すように、駆動用取り出し電極223bから223aの向きに電流を流すと、遮蔽部材211a〜dは図中の左側に変位する。そして、検出電極アセンブリ221bは露出されるので測定対象物との間の静電容量が増加し、検出電極アセンブリ221aは遮蔽されるので測定対象物との間の静電容量が減少する。この動作を繰り返すと、検出電極アセンブリ221a、222bには、逆位相の電荷が誘導され、これらを差動増幅器290で差動増幅することで、対象物の電位が測定できる。
【0031】
この際、可動シャッタユニット210a〜dの駆動周波数を、機械的な共振周波数とおおよそ等しくすることで、駆動に必要な電力を少なくできる。
【0032】
本実施例によっても、検出電極の面積を広くできる。そのため、従来と同等の大きさであれば感度を良くでき、従来と同等な感度であれば、全体を小型化できる。また、シリコンウエハあたりのセンサ数を増やすことで製造コストを下げられる。
【0033】
更に、本実施例によれば、可動シャッタ自体がアクチュエータになっているため、別体のアクチュエータユニットを作製する必要がなく、小型化することができる。そのため、従来と同等の大きさであれば感度を良くでき、また、従来と同等な感度であれば、全体を小型化できる。勿論、シリコンウエハあたりのセンサ数を増やすことで製造コストを下げられる。
【0034】
また、個々の可動シャッタが個別に動作するので、可動部の質量を軽減でき、動作速度を速くしてセンサ感度を上げることができる。さらに、実施例1と比べて、駆動に高電圧が必要ないので、ドライバをより低コスト化できる。
【0035】
(実施例3)
図5は実施例3の電位センサの分解斜視図である。基板304の上には、検出電極アセンブリ321a、321b、検出電極取り出し電極322a、322b、連結電極323a〜c、駆動用取り出し電極324a、324bがパターニングされている。検出電極アセンブリ321a、321bは、間隔を隔てた個々の検出電極のセットであり、各セットの検出電極は、検出電極取り出し電極322a、322bによって電気的に接続されている。また、検出電極アセンブリ321aと321bの個々の検出電極は、電気的に短絡しない程度の空隙を保って配置されている。可動シャッタユニット310a〜dは、遮蔽部材311a〜dと、平行ヒンジサスペンション312a〜dと、固定部材313a〜dからなっており、これらは導電性材料で一体に形成される。連結電極323a〜cと駆動用取り出し電極324a、324bは固定部材313a〜dと固定的に結合されている。そして、遮蔽部材311a〜dは、検出電極アセンブリ321a、321bの上に空隙を介して平行ヒンジサスペンション312a〜dで支持されている。可動シャッタユニット310a〜dは、連結電極323a〜cと駆動用取り出し電極324a、324bを介して電気的に直列接続されている。
【0036】
基板304の下部には、コイル基板361が配置されている。コイル基板361上には、平面コイル362がパターニングされ、コイルドライバ363が平面コイル362に電流を流すことで、基板304に垂直な向きに磁束が発生する。駆動用取り出し電極324a、324bはドライバ350に電気的に接続されており、検出電極取り出し電極322a、322bは差動増幅器390に電気的に結合されている。
【0037】
本実施例の電位センサの動作について説明する。図6は本実施例の上面図である。被測定物は基板304に略垂直な方向に配置される。図6(a)に示すように、ドライバ350から電流を発生し、駆動用取り出し電極324aから324bの向きに電流を流すと、平面コイル362により紙面に垂直上方向に磁界が発生しているので、遮蔽部材311aと311cは図中の左側に変位し、遮蔽部材311bと311dは図中の右側に変位する。すると、検出電極アセンブリ321bは露出されるので測定対象物との間の静電容量が増加し、反対に検出電極アセンブリ321aは遮蔽されるので対象物との間の静電容量が減少する。
【0038】
逆に、図6(b)に示すように、駆動用取り出し電極324bから324aの向きに電流を流すと、遮蔽部材311aと311cは図中の右側に変位し、遮蔽部材311bと311dは図中の左側に変位する。そして、検出電極アセンブリ321aは露出されるので対象物との間の静電容量が増加し、検出電極アセンブリ321bは遮蔽されるので対象物との間の静電容量が減少する。この動作を繰り返すと、検出電極アセンブリ321a、321bには逆位相の電荷が誘導され、これらを差動増幅することで対象物の電位が測定できる。
【0039】
この際、可動シャッタユニット310a〜dの駆動周波数を、機械的な共振周波数とおおよそ等しくすることで、駆動に必要な電力を少なくできる。
【0040】
本実施例によっても、実施例2と同様な効果を奏することができる。さらに、永久磁石を不要として、全体を薄型化することもできる。
【0041】
(実施例4)
図7は実施例4を説明する図である。検出電極アセンブリ421a、421bと可動シャッタユニット410a〜dは、実施例3と同様の構造になっている。
【0042】
図7に示すように、可動シャッタユニット410aと410cは、電気的に直列接続されて駆動ドライバ450aに接続されており、可動シャッタユニット410bと410dは、電気的に直列接続されて駆動ドライバ450bに接続されている。
【0043】
図7(a)に示す向きに電流が流れるように駆動ドライバ450a、450bから電流を発生すると、可動シャッタユニット410aと410dには図中上向き、可動シャッタユニット410bと410cには図中下向きにそれぞれ電流が流れる。すると、同じ向きに流れる電流は反発し合い、逆方向に流れる電流は引き合うので、遮蔽部材411aと411cは図中の左側に変位し、遮蔽部材411bと411dは図中の右側に変位する。これにより検出電極アセンブリ421aは遮蔽され、検出電極アセンブリ421bは露出する。
【0044】
また、図7(b)に示すように、駆動ドライバ450bが発生する電流の向きを逆にすると、可動シャッタユニット410aと410bには図中上向き、可動シャッタユニット410cと410dには図中下向きに電流が流れる。すると、同じ向きに流れる電流は反発し合い、逆方向に流れる電流は引き合うので、遮蔽部材411aと411cは図中の右側に変位し、遮蔽部材411bと411dは図中の左側に変位する。こうして、検出電極アセンブリ421aは露出され、検出電極アセンブリ421bは遮蔽される。検出電極アセンブリ421a、421bに流れる電流を測定することで、実施例3と同様に測定物の電位を測定できる。
【0045】
ここでも、可動シャッタユニット410a〜dの駆動周波数を、機械的な共振周波数とおおよそ等しくすることで、駆動に必要な電力を少なくできる。
【0046】
本実施例によっても、実施例2、3と同様な効果を奏することができる。さらに、2つ以上の電流発生手段を用いることで、別体の磁界発生手段が不要となり、実施例2、3と比較して更に小型化、低コスト化を図ることができる。
【0047】
ところで、実施例2乃至4において、可動シャッタユニットの固定部材の脚部は駆動用取り出し電極或いは連結電極に固定的に接続されていたが、これら電極に案内部やスライド終端規定部となる溝部などを形成し、ここに上記固定部材の脚部をスライド可能に嵌め込んで、可動シャッタユニットを検出電極遮蔽位置と露出位置との間で全体的にスライドさせる様な構成にすることも可能である。この場合には、可動シャッタユニットに平行ヒンジサスペンション部を設ける必要はなくなる。こうした構成にしても、同様な効果を奏することができる。
【0048】
(実施例5)
図8は実施例5の画像形成装置の一部を説明する図である。501a〜cは、本発明の電位センサであり、591は、電子写真プロセスに一般的に用いられている感光ドラムであり、592は帯電器である。感光ドラム591の回転に同期して電位センサ501a〜cの出力をモニタすることで、感光ドラム591上の電位分布を計測できる。この計測された電位分布に基づき、感光ドラム591に露光する光の量を制御するか、帯電器592を制御することで、画像のムラを少なくできる。
【0049】
本発明の電位センサは、小型にできるため、多くの電位センサを組み込むことができ、精度の高い制御を行うことが可能になる。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、従来のMEMS技術を利用した電位センサと比較して検出電極の面積を広くできる。そのため、従来と同等の大きさであれば感度を良くすることができる。また、従来と同等な感度であれば、全体を小型化できる。シリコンウエハあたりのセンサ数を増やすことで製造コストを下げることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の電位センサの上面図である。
【図2】実施例1の電位センサの動作を説明する図である。
【図3】本発明の実施例2の電位センサの分解斜視図である。
【図4】実施例2の電位センサの動作を説明する図である。
【図5】本発明の実施例3の電位センサの分解斜視図である。
【図6】実施例3の電位センサの動作を説明する図である。
【図7】本発明の実施例4の電位センサの動作を説明する図である。
【図8】本発明の実施例5の画像形成装置の概略図である。
【図9】従来の機械式電位センサの一般的な動作原理を説明する図である。
【図10】従来のMEMS電位センサを説明する図である。
【図11】従来のMEMS電位センサの問題点を説明する図である。
【符号の説明】
101、1001 電位センサ
104、204、304、1004 基板
110、1010 ドライバコンポーネント
112、1012 櫛形静電アクチュエータ
113、1013 可動電極
114、1014 固定電極
118、1018 サスペンション
120、1020 センサコンポーネント
121a〜b、221a〜b、321a〜b、421a〜b、1021a〜c
検出電極アセンブリ
122a〜b、222a〜b、322a〜b、1028 検出電極取り出し電極
124、1024 開口部
125、1025 可動シャッタ
150、1050 静電駆動信号源
160、290、390 差動増幅器
210a〜d、310a〜d、410a〜d 可動シャッタユニット
211a〜d、311a〜d、411a〜d 遮蔽部材
212a〜d、312a〜d 平行ヒンジサスペンション
213a〜d、313a〜d 固定部材
223a〜b、324a〜b 駆動用取り出し電極
230 永久磁石
250、350、450a〜b 駆動ドライバ
323a〜c 連結電極
361 コイル基板
362 平面コイル
363 コイルドライバ
501a〜c 電位センサ
591 感光ドラム
592 帯電器
1026 遮蔽部
1080 切断線
1060 電流計
1099 被測定物

Claims (8)

  1. 電位被測定物と対向して配される第一、第二の検出電極と、該2組の検出電極が電位被測定物と対向して配されるときに該検出電極と電位被測定物との間に空隙を介して配される様に配置された可動シャッタと、該第一、第二の検出電極からの出力を差動処理する差動処理手段を有し、
    前記可動シャッタは、第一の状態と第二の状態を取り得、前記第一の検出電極は、前記可動シャッタが第一の状態を取るときに、第二の状態を取るときより、電位被測定物に対してより広く露出され、前記第二の検出電極は、前記可動シャッタが第一の状態を取るときに、第二の状態を取るときより、電位被測定物に対してより少なく露出されることを特徴とする電位センサ。
  2. 請求項1に記載の電位センサにおいて、基板と、少なくとも一方が複数部分から成る該基板上の第一、第二の検出電極アセンブリと、該2組の検出電極アセンブリ上に空隙を介して配置される1つ以上の可動シャッタを有し、前記第一の検出電極アセンブリは、前記可動シャッタが第一の状態を取るときに、第二の状態を取るときより、電位被測定物に対してより広く露出され、前記第二の検出電極アセンブリは、前記可動シャッタが第一の状態を取るときに、第二の状態を取るときより、電位被測定物に対してより少なく露出されることを特徴とする電位センサ。
  3. 請求項1または2に記載の電位センサにおいて、前記可動シャッタは、第一の状態と第二の状態の間で可動に弾性支持された可動シャッタであることを特徴とする電位センサ。
  4. 請求項3に記載の電位センサにおいて、その駆動周波数が前記可動シャッタの機械的な共振周波数に略等しいことを特徴とする電位センサ。
  5. 請求項1乃至4に記載の電位センサにおいて、前記可動シャッタは、該可動シャッタに対してその可動方向に略垂直に磁界を発生する磁界発生手段と該可動シャッタに対してその可動方向と前記磁界方向に略垂直に電流を流す電流印加手段により制御されて、前記第一の状態と第二の状態を取り得る様に構成されたことを特徴とする電位センサ。
  6. 請求項5に記載の電位センサにおいて、前記磁界発生手段は永久磁石または電磁コイルであることを特徴とする電位センサ。
  7. 請求項1乃至4に記載の電位センサにおいて、2つ以上の可動シャッタと該可動シャッタに対して可動方向に略垂直に電流を流す少なくとも2つ電流印加手段を有し、前記可動シャッタに流される電流間の相互作用によって、前記第一の状態と第二の状態を取り得る様に構成されたことを特徴とする電位センサ。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載の電位センサと、該電位センサの出力に基づき画像形成の制御を行う画像形成手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
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