JPWO2012014602A1 - 偏光板長尺ロール及び光学表示装置の製造システム - Google Patents

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Abstract

均一なエイジングが可能な偏光板長尺ロールを提供する。また、当該偏光板長尺ロールを用いる光学表示装置の製造システムを提供する。本発明の偏光板長尺ロールは、偏光膜と、その片面側に、少なくとも、偏光膜保護フィルム、剥離可能な偏光板保護フィルム、及び粘着層とを、この順に備えていることを特徴とする。

Description

本発明は、偏光板長尺ロール及びそれを用いる光学表示装置の製造システムに関する。
液晶表示装置には偏光板が使用される。従来、偏光板は長尺状態で生産された後、最適な方法でチップカットし、パネルメーカーにて液晶パネル(液晶セル)に貼合する方法が用いられていた。
偏光板は、通常、二色性色素が吸着配向したポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光子の少なくとも片面に、偏光膜(「偏光子」ともいう。)保護フィルム、偏光板保護フィルム等を積層して構成される。また、液晶セルや他の光学部材に貼り合わせるため、偏光板の一方の面には粘着剤層が設けられ、その表面をセパレートフィルムで覆って使用時まで保護した構成で、流通している。
近年、偏光板をパネルサイズにスリットした長尺ロールを作製し、インラインで、液晶パネルに貼合する直前にパネルサイズにカットして貼合する方式(例えば特許文献1参照。)や、長尺ロールを、離形シートを残した状態で、カットして直接パネルに貼合した後、離形シートを剥がす方式(例えば特許文献2参照。)が提案されている。しかしながら、これらの方式は、偏光板のロールを輸送すること、さらにはロール状偏光板を直接繰り出して使用することから、切換えなどの効率を上げるために、ロール状偏光板の長尺化を行う必要がある。
したがって、偏光板を長尺化すると、ロールが太くなり輸送負荷が増えることが問題であったが、それだけではなく、太いロールの状態でエイジング(aging)するとロール内部のエイジングが不均一になるという問題も発生していた。
なお、偏光板長尺ロールは、ロールの状態でエイジング処理を実施するが、エイジング処理は一定温度で一定時間の処理を行うことが必要である。前述の偏光板の構成のような従来の多層構成のままで、偏光板長尺ロールを作製すると、ロール径が太くなってしまう。このシステムにおいては、偏光板の長尺化が表示装置の歩留まりの観点から非常に重要であるが、ロール径が太くなってしまうと、特に巻内側の偏光板を用いて表示装置を作製すると、ムラが発生してしまうという問題が出ている。これは巻の外側と内側で温度が変わってしまい、さらに巻の内側では温度ムラが発生してしまうことで、粘着層の熟成が不均一になり、表示装置への貼合時の貼合力が不均一になることが原因で、その後の環境変動で、偏光膜によって発生する収縮応力が不均一になってしまいムラが発生するもの、と推定している。
特開2010−113357号公報 特開2009−276755号公報
本発明は、上記問題・状況にかんがみてなされたものであり、その解決課題は、均一なエイジング(aging)が可能な偏光板長尺ロールを提供することである。また、当該偏光板長尺ロールを用いる光学表示装置の製造システムを提供することである。
本発明に係る上記課題は、下記の手段により解決される。
1.偏光膜と、その片面側に、少なくとも、偏光膜保護フィルム、剥離可能な偏光板保護フィルム、及び粘着層とを、この順に備えていることを特徴とする偏光板長尺ロール。
2.偏光板を貼り合わせる所定の光学表示ユニットの形状に合わせて、一定方向にスリットされていることを特徴とする前記第1項に記載の偏光板長尺ロール。
3.前記偏光板長尺ロールの長さが2000〜10000mの範囲内であり、かつ当該偏光板長尺ロールの原反の幅が1.9〜2.5mの範囲内であることを特徴とする前記第1項又は第2項に記載の偏光板長尺ロール。
4.前記第1項から第3項までのいずれか一項に記載の偏光板長尺ロールに含まれる偏光板を光学表示ユニットに貼り合せて成る光学表示装置の製造システムであって、下記第1切断貼合装置、第2切断貼合装置、及び旋回装置で構成されることを特徴とする光学表示装置の製造システム。
(1)第1切断貼合装置:前記第1項から第3項までのいずれか一項に記載の偏光板長尺ロールと前記光学表示ユニットの短辺に対応する幅の前記偏光板長尺ロール(「第1長尺ロール」という。)から長尺シート状製品を引き出して、前記光学表示ユニットの長辺に対応する長さに切断した後に、供給しながら、前記光学表示ユニットの一方側表面に当該第1長尺ロールの偏光板を貼り合せる操作を行う装置。
(2)第2切断貼合装置:前記第1項から第3項までのいずれか一項に記載の偏光板長尺ロールを、前記光学表示ユニットの長辺に対応する幅の前記偏光板長尺ロール(「第2長尺ロール」という。)から長尺シート状製品を引き出して、前記光学表示ユニットの短辺に対応する長さに切断した後に、供給しながら、前記光学表示ユニットの他方側表面に当該第2長尺ロールを貼り合せる操作を行う装置。
(3)旋回装置:前記第1切断貼合装置又は前記第2切断貼合装置のいずれか一方の切断貼合装置で貼り合せた後の光学表示ユニットを、他方の切断貼合装置での貼り合せ方向に旋回させる操作を行う装置。
5.前記光学表示ユニットが、液晶セルのガラス基板ユニットであることを特徴とする前記第4項に記載の光学表示装置の製造システム。
本発明の上記手段により、均一なエイジングが可能な偏光板長尺ロールを提供することができる。また、当該偏光板長尺ロールを用いる光学表示装置の製造システムを提供することができる。
本発明に用いる製造システムによる工程を示すフローチャート 本発明に用いる製造システムの一例を示す図 本発明に用いる製造システムの一例を示す図 本発明の偏光板長尺ロールの概念図 本発明に係る剥離可能な偏光板保護フィルムの作製例の概念図 従来の偏光板長尺ロールの一部分の概念図
本発明の偏光板長尺ロールは、偏光膜と、その片面側に、少なくとも、偏光膜保護フィルム、剥離可能な偏光板保護フィルム、及び粘着層とを、この順に備えていることを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項4までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、偏光板を貼り合わせる所定の光学表示ユニットの形状に合わせて、一定方向にスリットされていることが好ましい。また、前記偏光板長尺ロールの長さが2000〜10000mの範囲内であり、かつ当該偏光板長尺ロールの原反の幅が1.9〜2.5mの範囲内であることが好ましい。
本発明の偏光板長尺ロールに含まれる偏光板を光学表示ユニットに貼り合せて成る光学表示装置を製造する製造システムとしては、前記第1切断貼合装置、第2切断貼合装置、及び旋回装置で構成される態様の光学表示装置の製造システムであることが好ましい。
本発明においては、特に、前記光学表示ユニットが、液晶セルのガラス基板ユニットであることが好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
(偏光板長尺ロールの概要)
本発明の偏光板長尺ロールは、偏光膜と、その片面側に、少なくとも、偏光膜保護フィルム、剥離可能な偏光板保護フィルム、及び粘着層とを、この順に備えているものを巻取った構成であることを特徴とする(図4参照)。
本願において、「偏光板長尺ロール」とは、長尺ロール状の偏光板に剥離可能な偏光板保護フィルム及び粘着層を付加したものをいう。なお、当該偏光板長尺ロールから所定寸法の四角形に切断されたものを「枚葉状偏光板」と呼ぶこととする。
(偏光膜)
本願において、「偏光膜(「偏光子」ともいう。)」とは、特定の振動方向を有する直線偏光のみを透過する機能を有する膜(フィルム)をいう。
偏光膜としては、目的に応じて任意の適切な偏光膜が採用され得る。例えば、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらのなかでも、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素などの二色性物質を吸着させて一軸延伸した偏光膜が、偏光二色比が高く特に好ましい。これら偏光膜の厚さは、特に制限されないが、5〜80μm程度であることが好ましい。
ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を吸着させて一軸延伸した偏光膜は、例えば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を含んでいても良いし、ヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色の前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗しても良い。
ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することで、ポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるだけでなく、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸しても良いし、また延伸してからヨウ素で染色しても良い。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液中や水浴中でも延伸することができる。
(偏光膜保護フィルム)
「偏光膜保護フィルム」とは、偏光板の構成部材であり、偏光膜に貼合されて偏光膜の寸法変化や物性変化を抑制する役割を担うフィルムをいう。例えば、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム等の樹脂フィルムが一般的に使用される。本発明において用いることができる樹脂基材の詳細については後述する。
なお、偏光膜保護フィルムとして、例えば、市販の光学フィルム(例えば、コニカミノルタタック KC8UX、KC4UX、KC5UX、KC8UY、KC4UY、KC12UR、KC8UCR−3、KC8UCR−4、KC8UCR−5、KC8UE、KC4UE、KC4FR−3、KC4FR−4、KC4HR−1、KC8UY−HA、KC8UX−RHA、以上コニカミノルタオプト(株)製)等も好ましく用いられる。
(偏光板)
本願において、「偏光板」とは、偏光膜の少なくとも片面側に偏光膜保護フィルムが積層された状態のもの、又は、更に一方の面に液晶セルや他の光学部材に貼り合わせるための粘着層が設けられた状態のものをいう。なお、場合によっては、ロール状偏光板や枚葉状偏光板を含む意味で使うこともある。
本発明の偏光板は、一般的な方法で作製することができる。偏光膜保護フィルムの裏面側に粘着層を設け、沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の少なくとも一方の面に、貼り合わせることが好ましい。
本発明に係る偏光膜保護フィルムを偏光膜に貼り合わせる場合、その前に当該フィルムの表面に親水化処理を施すことが好ましい。親水化処理としては、ケン化処理、プラズマ処理、火炎処理、及び紫外線照射処理が挙げられる。また、ケン化処理には、酸ケン化処理及びアルカリケン化処理が含まれるが、本発明においては、アルカリケン化処理が好ましく用いられる。
アルカリ鹸化処理は、当該フィルムをケン化液の槽に直接浸漬する方法又はケン化液をセルロースアシレートフィルム塗布する方法で実施することが好ましい。塗布方法としては、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、バーコーティング法及びE型塗布法を挙げることができる。アルカリケン化処理塗布液の溶媒は、ケン化液の透明支持体に対して塗布するために濡れ性が良く、またケン化液溶媒によって透明支持体表面に凹凸を形成させずに、面状を良好なまま保つ溶媒を選択することが好ましい。具体的には、アルコール系溶媒が好ましく、イソプロピルアルコールが特に好ましい。また、界面活性剤の水溶液を溶媒として使用することもできる。アルカリケン化塗布液のアルカリは、上記溶媒に溶解するアルカリが好ましく、KOH、NaOHがさらに好ましい。ケン化塗布液のpHは10以上が好ましく、12以上がさらに好ましい。アルカリ鹸化時の反応条件は、室温で1秒〜5分が好ましく、5秒〜5分がさらに好ましく、20秒〜3分が特に好ましい。アルカリケン化反応後、ケン化液塗布面を水洗あるいは酸で洗浄したあと水洗することが好ましい。
なお、上記粘着層に用いられる粘着剤としては、粘着層の少なくとも一部分において25℃での貯蔵弾性率が1.0×10〜1.0×10Paの範囲である粘着剤が用いられていることが好ましく、粘着剤を塗布し、貼り合わせた後に種々の化学反応により高分子量体又は架橋構造を形成する硬化型粘着剤が好適に用いられる。
具体例としては、例えば、ウレタン系粘着剤、エポキシ系粘着剤、水性高分子−イソシアネート系粘着剤、熱硬化型アクリル粘着剤等の硬化型粘着剤、湿気硬化ウレタン粘着剤、ポリエーテルメタクリレート型、エステル系メタクリレート型、酸化型ポリエーテルメタクリレート等の嫌気性粘着剤、シアノアクリレート系の瞬間粘着剤、アクリレートとペルオキシド系の2液型瞬間粘着剤等が挙げられる。
上記粘着剤としては一液型であっても良いし、使用前に二液以上を混合して使用する型であっても良い。
また、上記粘着剤は有機溶剤を媒体とする溶剤系であってもよいし、水を主成分とする媒体であるエマルジョン型、コロイド分散液型、水溶液型などの水系であってもよいし、無溶剤型であってもよい。上記粘着剤液の濃度は、粘着後の膜厚、塗布方法、塗布条件等により適宜決定されれば良く、通常は0.1〜50質量%である。
本発明においては、偏光膜保護フィルムの個別の要求特性に応じて偏光膜と貼り合わせる前にフィルム表面を加工して性能を向上させることができる。このような表面処理としては、例えば表面反射を防ぎ液晶パネルの視認性を向上させる処理としてアンチグレア処理、ノングレア処理又は反射防止処理;表面の汚れ付着を低減させるためのアンチスタティック処理又は防汚染処理;機械特性を向上させ表面硬度を高くし且つ耐溶剤性と耐化学薬品性とを向上させるハードコート処理;所望の色相を付与するための着色処理等が挙げられる。これらの処理は目的に応じて公知の方法で実施することができる。数種の表面処理を重畳的に実施してもよい。
(剥離可能な偏光板保護フィルム)
本願でいう「剥離可能な偏光板保護フィルム」とは、上記偏光膜と偏光膜保護フィルムからなる偏光板を保護するためのフィルムであって、後述する粘着層が剥離し易くするために、少なくとも偏光膜から遠い側の表面に剥離性が付与されたフィルムをいう。
当該偏光板保護フィルムの偏光膜から遠い側の表面に剥離性を付与する方法としては、従来公知の方法を採用することができる。例えば、剥離性付与層を設ける方法が好ましい。
当該剥離性付与層は、任意の適切な剥離剤で形成され得る。具体例として、縮合型や付加型等の熱硬化型シリコーン系剥離剤、紫外線や電子線等による放射線硬化型シリコーン系剥離剤等のシリコーン系剥離剤;(メタ)アクリル酸のフッ素含有エステルと、炭素数8以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステル等とを重合して得られたアクリル系共重合体を含むフッ素系剥離剤;炭素数12〜22の長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルと、炭素数8以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステル等とを重合して得られたアクリル系共重合体を含む長鎖アルキル系剥離剤(特公昭29−3144号公報、特公昭29−7333号公報)等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、シリコーン系剥離剤である。上記剥離性付与層としては、例えば、特開2004−346093号公報に記載の離型層を採用してもよい。
なお、当該剥離性付与層と基材フィルムの間に、目的に応じて、ハードコート処理層、反射防止処理層、スティッキング防止処理層、アンチグレア処理層等の各種機能層を設けても良い。
また、剥離可能な偏光板保護フィルムの偏光膜に近い側の表面には、弱い粘着性を付与することが好ましい。
(粘着層)
本発明の長尺偏光板ロールおいては、これを構成する各種部材の間に粘着層(「接着層」ともいう。)を設けることができるが、少なくとも、上記剥離可能な偏光板保護フィルムに隣接して粘着層を設けることを要する。
当該剥離可能な偏光板保護フィルムに隣接する粘着層は、当該偏光板保護フィルムの剥離性付与層に隣接して設けられ、長尺偏光板シートがロール状に巻き取られた際に、当該ロールにおいて重なり合うシートの裏面に粘着(接着)するとともに、当該剥離性付与層からは、剥離される機能を有する。
当該粘着層は、任意の適切な粘着剤で形成され得る。具体例として、(メタ)アクリル系ポリマーを含むアクリル系粘着剤が挙げられる。(メタ)アクリル系ポリマーを構成する単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル系ポリマーは、好ましくは、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと水酸基含有の単量体とを共重合して得られる。水酸基含有の単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル系ポリマーを重合する際には、任意の適切な重合開始剤を用い得る。重合開始剤の具体例としては、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α,α′−ジメチルアセトフェノン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)−フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1等のアセトフェノン系光重合開始剤等が挙げられる。
上記重合に際し、架橋剤を添加してもよい。架橋剤としては、例えば、多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。多官能(メタ)アクリレートの具体例としては、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
当該粘着層の厚さは、好ましくは75〜1000μmであり、さらに好ましくは100〜600μmである。
なお、当該粘着層としては、例えば、特開2005−173462号公報に記載のガラス割れ防止粘着剤層を採用してもよい。
(樹脂フィルム基材)
本発明に係る偏光膜保護フィルムと偏光板保護フィルムには、各種樹脂フィルム基材を用いることができる。
本発明に係る樹脂フィルム基材としては、溶媒に可溶な材料であることが好ましく、また熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。ここで、「熱可塑性樹脂」とは、ガラス転移温度又は融点まで加熱することによって軟らかくなり、目的の形に成形できる樹脂のことをいう。
熱可塑性樹脂としては、一般的汎用樹脂としては、セルロースエステル、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、テフロン(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン、PTFE)、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)、AS樹脂、アクリル樹脂(PMMA)等があり、溶媒に可溶なものを適宜溶解して本発明に係る方法で処理することが好ましい。
また、強度や壊れにくさを特に要求される場合、ポリアミド(PA)、ナイロン、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE、変性PPE、PPO)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グラスファイバー強化ポリエチレンテレフタレート(GF−PET)、環状ポリオレフィン(COP)等を用いることができる。
さらに高い熱変形温度と長期使用できる特性を要求される場合は、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリスルホン、ポリエーテルサルフォン、非晶ポリアリレート、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)等を用いることができる。
なお、本発明の用途にそって樹脂の種類、分子量の組み合わせを行うことが可能である。
支持体の厚さは、用途に応じて、適宜、適当な厚さを選定することが好ましい。厚さの上限は、特に限定される物ではないが、溶液製膜法でフィルム化する場合は、塗布性、発泡、溶媒乾燥などの観点から、上限は250μm程度である。
樹脂基材は、その全光線透過率が90%以上であることが好ましく、より好ましくは93%以上である。また、現実的な上限としては、99%程度である。かかる全光線透過率にて表される優れた透明性を達成するには、可視光を吸収する添加剤や共重合成分を導入しないようにすることや、ポリマー中の異物を高精度濾過により除去し、フィルム内部の光の拡散や吸収を低減させることが有効である。
以下、本発明において、特に好適な樹脂について詳細な説明をする。
〈セルロースエステル樹脂〉
本発明に用いることができるセルロースエステル樹脂は、セルロース(ジ、トリ)アセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、及びセルロースフタレートから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
これらの中で特に好ましいセルロースエステルは、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートが挙げられる。
混合脂肪酸エステルの置換度として、炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有している場合、アセチル基の置換度をXとし、プロピオニル基又はブチリル基の置換度をYとした時、下記式(I)及び(II)を同時に満たすセルロースエステルを含むセルロース樹脂であることが好ましい。
式(I) 2.0≦X+Y≦3.0
式(II) 0≦X≦2.5
さらに、本発明で用いられるセルロースエステルは、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn比が1.5〜5.5のものが好ましく用いられ、特に好ましくは2.0〜5.0であり、さらに好ましくは2.5〜5.0であり、さらに好ましくは3.0〜5.0のセルロースエステルが好ましく用いられる。
本発明で用いられるセルロースエステルの原料セルロースは、木材パルプでも綿花リンターでもよく、木材パルプは針葉樹でも広葉樹でもよいが、針葉樹の方がより好ましい。製膜の際の剥離性の点からは綿花リンターが好ましく用いられる。これらから作られたセルロースエステルは適宜混合して、或いは単独で使用することができる。
例えば、綿花リンター由来セルロースエステル:木材パルプ(針葉樹)由来セルロースエステル:木材パルプ(広葉樹)由来セルロースエステルの比率が100:0:0、90:10:0、85:15:0、50:50:0、20:80:0、10:90:0、0:100:0、0:0:100、80:10:10、85:0:15、40:30:30で用いることができる。
本発明において、セルロースエステル樹脂は、20mlの純水(電気伝導度0.1μS/cm以下、pH6.8)に1g投入し、25℃、1hr、窒素雰囲気下にて攪拌した時のpHが6〜7、電気伝導度が1〜100μS/cmであることが好ましい。
〈アクリル樹脂〉
本発明に用いることができるアクリル樹脂には、メタクリル樹脂も含まれる。樹脂としては特に制限されるものではないが、メチルメタクリレート単位50〜99質量%、及びこれと共重合可能な他の単量体単位1〜50質量%からなるものが好ましい。
共重合可能な他の単量体としては、アルキル数の炭素数が2〜18のアルキルメタクリレート、アルキル数の炭素数が1〜18のアルキルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和基含有二価カルボン酸、スチレン、α−メチルスチレン、核置換スチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のα,β−不飽和ニトリル、無水マレイン酸、マレイミド、N−置換マレイミド、グルタル酸無水物等が挙げられ、これらは単独で、あるいは2種以上を併用して用いることができる。
これらの中でも、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が好ましく、メチルアクリレートやn−ブチルアクリレートが特に好ましく用いられる。
アクリル樹脂としては、市販のものも使用することができる。例えば、デルペット60N、80N(旭化成ケミカルズ(株)製)、ダイヤナールBR52、BR80、BR83、BR85、BR88(三菱レイヨン(株)製)、KT75(電気化学工業(株)製)等が挙げられる。
〈環状オレフィン樹脂〉
本発明においては、環状オレフィン樹脂を用いることも好ましい。環状オレフィン樹脂としては、ノルボルネン系樹脂、単環の環状オレフィン系樹脂、環状共役ジエン系樹脂、ビニル脂環式炭化水素系樹脂、及び、これらの水素化物等を挙げることができる。これらの中で、ノルボルネン系樹脂は、透明性と成形性が良好なため、好適に用いることができる。
ノルボルネン系樹脂としては、例えば、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体若しくはノルボルネン構造を有する単量体と他の単量体との開環共重合体又はそれらの水素化物、ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体若しくはノルボルネン構造を有する単量体と他の単量体との付加共重合体又はそれらの水素化物等を挙げることができる。
これらの中で、ノルボルネン構造を有する単量体の開環(共)重合体水素化物は、透明性、成形性、耐熱性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性などの観点から、特に好適に用いることができる。
ノルボルネン構造を有する単量体としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、及びこれらの化合物の誘導体(例えば、環に置換基を有するもの)などを挙げることができる。ここで、置換基としては、例えばアルキル基、アルキレン基、極性基などを挙げることができる。また、これらの置換基は、同一又は相異なって複数個が環に結合していてもよい。ノルボルネン構造を有する単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
極性基の種類としては、ヘテロ原子、又はヘテロ原子を有する原子団などが挙げられる。ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、ハロゲン原子などが挙げられる。極性基の具体例としては、カルボキシ基、カルボニルオキシカルボニル基、エポキシ基、ヒドロキシ基、オキシ基、エステル基、シラノール基、シリル基、アミノ基、ニトリル基、スルホン基などが挙げられる。
ノルボルネン構造を有する単量体と開環共重合可能な他の単量体としては、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどのモノ環状オレフィン類及びその誘導体、シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエンなどの環状共役ジエン及びその誘導体などが挙げられる。
ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体及びノルボルネン構造を有する単量体と共重合可能な他の単量体との開環共重合体は、単量体を公知の開環重合触媒の存在下に(共)重合することにより得ることができる。
ノルボルネン構造を有する単量体と付加共重合可能な他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテンなどの炭素数2〜20のα−オレフィン及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセンなどのシクロオレフィン及びこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエンなどの非共役ジエンなどが挙げられる。これらの単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、α−オレフィンが好ましく、エチレンがより好ましい。
ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体及びノルボルネン構造を有する単量体と共重合可能な他の単量体との付加共重合体は、単量体を公知の付加重合触媒の存在下に重合することにより得ることができる。
ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体の水素添加物、ノルボルネン構造を有する単量体とこれと開環共重合可能なその他の単量体との開環共重合体の水素添加物、ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体の水素添加物、及びノルボルネン構造を有する単量体とこれと付加共重合可能なその他の単量体との付加共重合体の水素添加物は、これらの重合体の溶液に、ニッケル、パラジウムなどの遷移金属を含む公知の水素添加触媒を添加し、炭素−炭素不飽和結合を好ましくは90%以上水素添加することによって得ることができる。
ノルボルネン系樹脂の中でも、繰り返し単位として、X:ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジイル−エチレン構造と、Y:トリシクロ[4.3.0.12,5]デカン−7,9−ジイル−エチレン構造とを有し、これらの繰り返し単位の含有量が、ノルボルネン系樹脂の繰り返し単位全体に対して90質量%以上であり、かつ、Xの含有割合とYの含有割合との比が、X:Yの質量比で100:0〜40:60であるものが好ましい。このような樹脂を用いることにより、長期的に寸法変化がなく、光学特性の安定性に優れる光学フィルムを得ることができる。
本発明に用いる環状オレフィン樹脂の分子量は使用目的に応じて適宜選定される。溶媒としてシクロヘキサン(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン)を用いるゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリイソプレン又はポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、通常20,000〜150,000である。好ましくは25,000〜100,000、より好ましくは30,000〜80,000である。重量平均分子量がこのような範囲にあるときに、フィルムの機械的強度及び成型加工性とが高度にバランスされ好適である。
環状オレフィン樹脂のガラス転移温度は、使用目的に応じて適宜選択されればよい。耐久性及び延伸加工性の観点から、好ましくは130〜160℃、より好ましくは135〜150℃の範囲である。
環状オレフィン樹脂の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、緩和時間、生産性等の観点から、1.2〜3.5、好ましくは1.5〜3.0、さらに好ましくは1.8〜2.7である。
本発明に用いる環状オレフィン樹脂は、光弾性係数の絶対値が10×10−12Pa−1以下であることが好ましく、7×10−12Pa−1以下であることがより好ましく、4×10−12Pa−1以下であることが特に好ましい。光弾性係数Cは、複屈折をΔn、応力をσとしたとき、C=Δn/σで表される値である。
本発明において、環状オレフィン樹脂には、実質的に粒子を含まないことが好ましい。ここで、実質的に粒子を含まないとは、環状オレフィン樹脂からなるフィルムへ粒子を添加しても、未添加状態からのヘイズの上昇巾が0.05%以下の範囲である量までは許容できることを意味する。特に、脂環式ポリオレフィン樹脂は、多くの有機粒子や無機粒子との親和性に欠けるため、上記範囲を超えた粒子を添加した環状オレフィン樹脂フィルムを延伸すると、空隙が発生しやすく、その結果として、ヘイズの著しい低下が生じるおそれがある。
〈ポリカーボネート樹脂〉
本発明では、種々の公知のポリカーボネート樹脂も使用することができる。本発明においては、特に芳香族ポリカーボネートを用いることが好ましい。当該芳香族ポリカーボネートについて特に制約はなく、所望するフィルムの諸特性が得られる芳香族ポリカーボネートであれば特に制約はない。
一般に、ポリカーボネートと総称される高分子材料は、その合成手法において重縮合反応が用いられて、主鎖が炭酸結合で結ばれているものを総称するが、これらの内でも、一般に、フェノール誘導体と、ホスゲン、ジフェニルカーボネートらから重縮合で得られるものを意味する。通常、ビスフェノール−Aと呼称されている2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンをビスフェノール成分とする繰り返し単位で表される芳香族ポリカーボネートが好ましく選ばれるが、適宜各種ビスフェノール誘導体を選択することで、芳香族ポリカーボネート共重合体を構成することができる。
かかる共重合成分としてこのビスフェノール−A以外に、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等を挙げることができる。
また、一部にテレフタル酸及び/又はイソフタル酸成分を含む芳香族ポリエステルカーボネートを使用することも可能である。このような構成単位をビスフェノール−Aからなる芳香族ポリカーボネートの構成成分の一部に使用することにより芳香族ポリカーボネートの性質、例えば耐熱性、溶解性を改良することができるが、このような共重合体についても本発明は有効である。
ここで用いられる芳香族ポリカーボネートの粘度平均分子量は、10000以上、200000以下であれば好適に用いられる。粘度平均分子量20000〜120000が特に好ましい。粘度平均分子量が10000より低い樹脂を使用すると得られるフィルムの機械的強度が不足する場合があり、また400000以上の高分子量になるとドープの粘度が大きくなり過ぎ取扱い上問題を生じるので好ましくない。粘度平均分子量は市販の高速液体クロマトグラフィ等で測定することができる。
本発明に係る芳香族ポリカーボネートのガラス転移温度は200℃以上であることが高耐熱性のフィルムを得る上で好ましく、より好ましくは230℃以上である。これらは、上記共重合成分を適宜選択して得ることができる。ガラス転移温度は、DSC装置(示差走査熱量分析装置)にて測定することができ、例えばセイコーインスツル株式会社製:RDC220にて、10℃/分の昇温条件によって求められる、ベースラインが偏奇し始める温度である。
本発明において、上記芳香族ポリカーボネートを含むドープ組成物に用いる溶媒は、メチレンクロライド、及び炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールを4〜14質量部含有する混合溶媒であることが好ましい。
上記炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールの混合量は、好ましくは4〜12質量部である。このような混合溶媒を用い、従来よりも高い残留溶媒濃度でウェブを剥離することにより、ウェブ剥離時の強い静電気の発生を抑制し、これによりベルトが損傷したり、フィルムのスジやムラ、微小傷の発生を防止することができる。
加えるアルコールの種類は用いる溶媒により制限される。アルコールと当該溶媒とが相溶性があることが必要条件である。これらは単独で加えても良いし、2種類以上組み合わせても問題ない。本発明におけるアルコールとしては、炭素数1〜6、好ましくは1〜4、より好ましくは2〜4の鎖状、或いは分岐した脂肪族アルコールが好ましい。具体的にはメタノール、エタノール、イソプロパノール、ターシャリブタノールなどが挙げられる。これらのうちエタノール、イソプロパノール、ターシャリブタノールはほぼ同等の効果が得られるが、メタノールはやや効果が低い。理由は明らかでないが溶媒の沸点、即ち乾燥時の飛び易さが関係しているものと推測している。それ以上の高級アルコールは、高沸点であるためフィルム製膜後も残留しやすくなるので好ましくない。
アルコールの添加量は慎重に選択されなければならない。これらのアルコールは芳香族ポリカーボネートに対する溶解性には全く乏しく、完全な貧溶媒である。従ってあまり多く加えることはできず、満足すべき剥離性が得られる最少量とすべきである。前述したようにメチレンクロライドに対して4〜14質量部、好ましくは4〜12質量部である。メチレンクロライド量に対しては、添加量が4〜14質量部の範囲であると、当該溶媒のポリマーに対する溶解性、ドープ安定性が向上し、剥離性改善の効果が大きくなる。
本発明はドープ組成物中、上記メチレンクロライドと脂肪族アルコールで構成されるが、他の溶媒を使用することもできる。その他残りの溶媒としては芳香族ポリカーボネートを高濃度に溶解し、かつアルコールと相溶性があること、さらに低沸点溶媒であれば特に限定はない。例えば、芳香族ポリカーボネートに対して溶解力のある溶媒として、塩化メチレン以外にクロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン系溶媒、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等の環状エーテル系の溶媒、シクロヘキサノン等のケトン系の溶媒が挙げられる。
他の溶媒を使用する場合は特に限定はなく、効果を勘案して用いればよい。ここでいう効果とは、溶解性や安定性を犠牲にしない範囲で溶媒を混合することによる、たとえば溶液流延法により製膜したフィルムの表面性の改善(レベリング効果)、蒸発速度や系の粘度調節、結晶化抑制効果などである。これらの効果の度合により混合する溶媒の種類や添加量を決定すればよく、また混合する溶媒として1種又は2種以上用いてもかまわない。
好適に用いられる他の溶媒としてはクロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン系溶媒、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、エチレングリコールジメチルエーテル、メトキシエチルアセテートなどのエーテル系溶媒が挙げられる。
本発明に係るドープ組成物は、結果としてヘイズの低い透明な溶液が得られればいかなる方法で調製してもよい。あらかじめある溶媒に溶解させた芳香族ポリカーボネート溶液に、アルコールを所定量添加してもよいし、アルコールを含む混合溶媒に芳香族ポリカーボネートを溶解させてもよい。ただ先にも述べた様にアルコールは貧溶媒であるため、前者の後から添加する方法ではポリマーの析出によるドープ白濁の可能性があるため、後者の混合溶媒に溶解させる方法が好ましい。
〈ポリエステル樹脂〉
本発明において用いることができるポリエステル樹脂は、ジカルボン酸とジオールを重合することにより得られ、ジカルボン酸構成単位(ジカルボン酸に由来する構成単位)の70%以上が芳香族ジカルボン酸に由来し、かつジオール構成単位(ジオールに由来する構成単位)の70%以上が脂肪族ジオールに由来する。
芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位の割合は70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。
脂肪族ジオールに由来する構成単位の割合は70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。ポリエステル樹脂は、2種以上を併用してもよい。
前記芳香族ジカルボン酸として、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸、4,4′−ビフェニルジカルボン酸、3,4′−ビフェニルジカルボン酸等及びこれらのエステル形成性誘導体が例示できる。
ポリエステル樹脂には本発明の目的を損なわない範囲でアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸や安息香酸、プロピオン酸、酪酸等のモノカルボン酸を用いることができる。
前記脂肪族ジオールとして、エチレングリコール、1,3−プロピレンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール等及びこれらのエステル形成性誘導体が例示できる。
ポリエステル樹脂には本発明の目的を損なわない範囲でブチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール等のモノアルコール類や、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類を用いることもできる。
ポリエステル樹脂の製造には、公知の方法である直接エステル化法やエステル交換法を適用することができる。ポリエステル樹脂の製造時に使用する重縮合触媒としては、公知の三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等のアンチモン化合物、酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム化合物、酢酸チタン等のチタン化合物、塩化アルミニウム等のアルミニウム化合物等が例示できるが、これらに限定されない。
好ましいポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−1,4−シクロヘキサンジメチレン−テレフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキレート樹脂、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート−テレフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−テレフタレート−4,4′−ビフェニルジカルボキシレート樹脂、ポリ−1,3−プロピレン−テレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート樹脂等がある。
より好ましいポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−1,4−シクロヘキサンジメチレン−テレフタレート共重合樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂及びポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート樹脂が挙げられる。
ポリエステル樹脂の固有粘度(フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン=60/40質量比混合溶媒中、25℃で測定した値)は、0.7〜2.0dl/gが好ましく、より好ましくは0.8〜1.5dl/gである。固有粘度が0.7以上であるとポリエステル樹脂の分子量が充分に高いために、これを使用して得られるポリエステル樹脂組成物からなる成形物が成形物として必要な機械的性質を有すると共に、透明性が良好となる。固有粘度が2.0以下の場合、成形性が良好となる。
(その他添加剤)
本発明に係る熱可塑性樹脂基材には、目的に応じて種々の化合物等を添加剤として含有させることができる。例えば、可塑剤、酸化防止剤、酸捕捉剤、光安定剤、紫外線吸収剤、光学異方性制御剤、マット剤、帯電防止剤、剥離剤、等を含有させることができる。
前記添加剤の中で、本発明に有効に寄与するのは光学異方性制御剤であり、特にリターデーション上昇剤が光学的に複屈折性を本願目的の平面から斜め方向に発現し易くするため好ましい。リターデーション上昇剤は、少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物が好ましい。芳香族化合物は、樹脂の100質量部に対して、0.01乃至20質量部の範囲で使用することが好ましい。そして、0.05乃至15質量部の範囲で使用することが好ましく、0.1乃至10質量部の範囲で使用することがさらに好ましい。二種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であることが特に好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環又は7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることがさらに好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環及び1,3,5−トリアジン環が含まれる。これらについては、特開2004−109410号、特開2003−344655号、特開2000−275434号、特開2000−111914号、特開平12−275434号公報などに詳細が記載されている。
(マット剤)
本発明に係る熱可塑性樹脂基材には、作製されたフィルムがハンドリングされる際に、傷が付いたり、搬送性が悪化することを防止するために、マット剤として、微粒子を添加することも好ましい。
微粒子としては、無機化合物の例として、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等を挙げることができる。微粒子は珪素を含むものが、濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。
微粒子の一次粒子の平均粒径は5〜400nmが好ましく、更に好ましいのは10〜300nmである。これらは主に粒径0.05〜0.3μmの2次凝集体として含有されていてもよく、平均粒径100〜400nmの粒子であれば凝集せずに一次粒子として含まれていることも好ましい。フィルム中のこれらの微粒子の含有量は0.01〜1質量%であることが好ましく、特に0.05〜0.5質量%が好ましい。共流延法による多層構成の光学フィルムの場合は、表面にこの添加量の微粒子を含有することが好ましい。
二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
樹脂の例として、シリコーン樹脂、フッ素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることができる。シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上東芝シリコーン(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でもアエロジル200V、アエロジルR972Vが光学フィルムのヘイズを低く保ちながら、摩擦係数を下げる効果が大きいため特に好ましく用いられる。本発明に係る光学フィルムにおいては、少なくとも一方の面の動摩擦係数が0.2〜1.0であることが好ましい。
(基材フィルムの製造方法)
本発明に係る偏光膜保護フィルム及び偏光板保護フィルムの基材フィルムの製造方法としては、通常のインフレーション法、T−ダイ法、カレンダー法、切削法、流延法、エマルジョン法、ホットプレス法等の製造法が使用できるが、着色抑制、異物欠点の抑制、ダイラインなどの光学欠点の抑制などの観点から流延法による溶液流延法、溶融流延法が好ましい。以下に、一例として、偏光膜保護フィルムに用いるセルロースエステルフィルムの製造について説明する。
〈セルロースエステルフィルムの製造例〉
本発明に係るセルロースエステルフィルムの製造は、溶液流延法において、セルロースエステル及び添加剤を溶剤に溶解させてドープを調製する工程、ドープをベルトあるいはドラムなどの金属支持体上に流延する工程、流延したドープをウェブとして乾燥する工程、金属支持体から剥離する工程、延伸又は幅保持する工程、更に乾燥する工程、仕上がったフィルムを巻取る工程により行われる。
《ドープを調製する工程について》
ドープ中のセルロースエステルの濃度は、濃い方が金属支持体に流延した後の乾燥負荷が低減できて好ましいが、セルロースエステルの濃度が濃過ぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。これらを両立する濃度としては、10〜35質量%が好ましく、更に好ましくは、15〜25質量%である。
有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステル及び炭素原子数が1〜6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。エーテル、ケトン及びエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトン及びエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−及びCOO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコール性ヒドロキシ基(水酸基)のような他の官能基を有していてもよい。
二種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソール及びフェネトールが含まれる。
炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びメチルシクロヘキサノンが含まれる。
炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート及びペンチルアセテートが含まれる。
二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノール及び2−ブトキシエタノールが含まれる。
ハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1又は2であることが好ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25〜75モル%であることが好ましく、30〜70モル%であることがより好ましく、35〜65モル%であることがさらに好ましく、40〜60モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリドが、代表的なハロゲン化炭化水素である。これらを良溶媒という。
ドープには、上記有機溶媒の他に、1〜40質量%の炭素原子数1〜4のアルコールを含有させることが好ましい。これらは、ドープを金属支持体に流延した後、溶媒が蒸発し始めてアルコールの比率が多くなることでウェブ(支持体上にセルロース誘導体のドープを流延した以降のドープ膜の呼び方をウェブとする)をゲル化させ、金属支持体から剥離することを容易にするゲル化溶媒として用いられたり、これらの割合が少ない時は非塩素系有機溶媒のセルロース誘導体の溶解を促進したりする役割もあり、反応性金属化合物のゲル化、析出、粘度上昇を抑える役割もある。
炭素原子数1〜4のアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルを挙げることができる。これらのうち、ドープの安定性に優れ、沸点も比較的低く、乾燥性も良いこと等からエタノールが好ましい。これらを貧溶媒という。
また、セルロースエステルの溶解に用いられる溶媒は、フィルム製膜工程で乾燥によりフィルムから除去された溶媒を回収し、これを再利用して用いられる。
回収溶剤中に、セルロースエステルに添加されている添加剤が微量含有されていることもあるが、これらが含まれていても好ましく再利用することができるし、必要であれば精製して再利用することもできる。
上記のドープを調製する時の、セルロースエステルの溶解方法としては、一般的な方法を用いることができる。加熱と加圧を組み合わせると常圧における沸点以上に加熱できる。
溶剤の常圧での沸点以上でかつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら攪拌溶解すると、ゲルやママコと呼ばれる塊状未溶解物の発生を防止するため好ましい。
また、セルロースエステルを貧溶剤と混合して湿潤あるいは膨潤させた後、更に良溶剤を添加して溶解する方法も好ましく用いられる。
加圧は窒素ガス等の不活性気体を圧入する方法や、加熱によって溶剤の蒸気圧を上昇させる方法によって行ってもよい。加熱は外部から行うことが好ましく、例えばジャケットタイプのものは温度コントロールが容易で好ましい。
溶剤を添加しての加熱温度は、高い方がセルロースエステルの溶解性の観点から好ましいが、加熱温度が高過ぎると必要とされる圧力が大きくなり生産性が悪くなる。
好ましい加熱温度は45〜120℃であり、60〜110℃がより好ましく、70℃〜105℃が更に好ましい。また、圧力は設定温度で溶剤が沸騰しないように調整される。
本発明においては、冷却溶解法も好ましく用いられ、これによって酢酸メチルなどの溶媒にセルロースエステルを溶解させることができる。
次に、このセルロースエステル溶液を濾紙等の適当な濾過材を用いて濾過する。濾過材としては、不溶物等を除去するために絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さ過ぎると濾過材の目詰まりが発生し易いという問題がある。
このため絶対濾過精度0.008mm以下の濾材が好ましく、0.001〜0.008mmの濾材がより好ましく、0.003〜0.006mmの濾材が更に好ましい。
濾材の材質は特に制限はなく、通常の濾材を使用することができるが、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等のプラスチック製の濾材や、ステンレススティール等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。
濾過により、原料のセルロースエステルに含まれていた不純物、特に輝点異物を除去、低減することが好ましい。
輝点異物とは、二枚の偏光板をクロスニコル状態にして配置し、その間に光学フィルム等を置き、一方の偏光板の側から光を当てて、他方の偏光板の側から観察した時に反対側からの光が漏れて見える点(異物)のことであり、径が0.01mm以上である輝点数が200個/cm以下であることが好ましい。
より好ましくは100個/cm以下であり、更に好ましくは50個/m以下であり、更に好ましくは0〜10個/cm以下である。また、0.01mm以下の輝点も少ない方が好ましい。
ドープの濾過は通常の方法で行うことができるが、溶剤の常圧での沸点以上で、かつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら濾過する方法が、濾過前後の濾圧の差(差圧という)の上昇が小さく、好ましい。
好ましい温度は45〜120℃であり、45〜70℃がより好ましく、45〜55℃であることが更に好ましい。
濾圧は小さい方が好ましい。濾圧は1.6MPa以下であることが好ましく、1.2MPa以下であることがより好ましく、1.0MPa以下であることが更に好ましい。
《ドープの流延工程について》
流延(キャスト)工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、金属支持体としては、ステンレススティールベルトもしくは鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。
キャストの幅は1〜4mとすることができる。流延工程の金属支持体の表面温度は−50℃〜溶剤の沸点未満の温度で、温度が高い方がウェブの乾燥速度が速くできるので好ましいが、余り高過ぎるとウェブが発泡したり、平面性が劣化する場合がある。
好ましい支持体温度は0〜55℃であり、25〜50℃が更に好ましい。あるいは、冷却することによってウェブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ましい方法である。
金属支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風又は冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法がある。温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。温風を用いる場合は目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。
セルロースエステルフィルムが良好な平面性を示すためには、金属支持体からウェブを剥離する際の残留溶媒量は10〜150質量%が好ましく、更に好ましくは20〜40質量%又は60〜130質量%であり、特に好ましくは、20〜30質量%又は70〜120質量%である。
本発明においては、残留溶媒量は下記式で定義される。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
尚、Mはウェブ又はフィルムを製造中又は製造後の任意の時点で採取した試料の質量で、NはMを115℃で1時間の加熱後の質量である。
《乾燥工程について》
セルロースエステルフィルムの乾燥工程においては、ウェブを金属支持体より剥離し、更に乾燥し、残留溶媒量を1質量%以下にすることが好ましく、更に好ましくは0.1質量%以下であり、特に好ましくは0〜0.01質量%以下である。
フィルム乾燥工程では一般にロール乾燥方式(上下に配置した多数のロールにウェブを交互に通し乾燥させる方式)やテンター方式でウェブを搬送させながら乾燥する方式が採られる。
本発明に係るセルロースエステルフィルムを作製するためには、ウェブの両端をクリップ等で把持するテンター方式で幅方向(横方向)に延伸を行うことが特に好ましい。剥離張力は300N/m以下で剥離することが好ましい。
ウェブを乾燥させる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行うことができるが、簡便さの点で熱風で行うことが好ましい。
ウェブの乾燥工程における乾燥温度は40〜200℃で段階的に高くしていくことが好ましい。
セルロースエステルフィルムの厚さ(膜厚)は、20〜50μmで好ましい。
本発明に係るセルロースエステルフィルムは、幅1〜4mのものが用いられる。特に幅1.4〜4mのものが好ましく用いられ、特に好ましくは1.9〜2.5mである。この範囲にすることにより、効率的な偏光板裁断とハンドリング適性を両立させることができる。
また、本発明に係るセルロースエステルフィルムは、1ロールあたり100m〜10000mの長さが好ましく、1000m〜10000mであることがより好ましく、5000m〜10000mであることが特に好ましい。この範囲とすることで、ロール形態での扱いが容易であり、更に偏光板の連続プロセスに適合し歩留まりを向上させる効果がある。
セルロースエステルフィルムに下記所望の位相差(リターデーション)値Ro、Rtを付与するには、セルロースエステルフィルムが本発明の構成をとり、更に搬送張力の制御、延伸操作により屈折率制御を行うことが好ましい。
例えば、長手方向の張力を低く又は高くすることで位相差(リターデーション)値を変動させることが可能となる。
また、フィルムの長手方向(製膜方向)及びそれとフィルム面内で直交する方向、即ち幅手方向に対して、逐次又は同時に二軸延伸もしくは一軸延伸することが好ましい。
互いに直交する二軸方向の延伸倍率は、それぞれ最終的には流延方向に0.8〜1.5倍、幅方向に1.1〜2.5倍の範囲とすることが好ましく、流延方向に0.8〜1.0倍、幅方向に1.2〜2.0倍に範囲で行うことが好ましい。
延伸温度は120℃〜200℃が好ましく、さらに好ましくは120℃〜180℃であり、さらに好ましくは120℃〜160℃で延伸するのが好ましい。
フィルム中の残留溶媒は20〜0%が好ましく、さらに好ましくは15〜0%で延伸するのが好ましい。
ウェブを延伸する方法には特に限定はない。例えば、複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用して縦方向に延伸する方法、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げて縦方向に延伸する方法、同様に横方向に広げて横方向に延伸する方法、あるいは縦横同時に広げて縦横両方向に延伸する方法などが挙げられる。もちろんこれ等の方法は、組み合わせて用いてもよい。
また、所謂テンター法の場合、リニアドライブ方式でクリップ部分を駆動すると滑らかな延伸を行うことができ、破断等の危険性が減少できるので好ましい。
製膜工程のこれらの幅保持あるいは横方向の延伸はテンターによって行うことが好ましく、ピンテンターでもクリップテンターでもよい。
本発明に係るセルロースエステルフィルムの遅相軸又は進相軸がフィルム面内に存在し、製膜方向とのなす角をθ1とするとθ1は−1°以上+1°以下であることが好ましく、−0.5°以上+0.5°以下であることがより好ましく、−0.1°以上+0.1°以下であることがさらに好ましい。
このθ1は配向角として定義でき、θ1の測定は、自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器)を用いて行うことができる。θ1が各々上記関係を満たすことは、表示画像において高い輝度を得ること、光漏れを抑制又は防止することに寄与でき、カラー液晶表示装置においては忠実な色再現を得ることに寄与できる。
(光学表示装置の製造システム)
本発明の偏光板長尺ロールに含まれる偏光板を光学表示ユニットに貼り合せて成る光学表示装置を製造する製造システムとしては、種々の態様を採り得るが、下記第1切断貼合装置、第2切断貼合装置、及び旋回装置で構成される態様の製造システムであることが好ましい。
なお、本願において、スリットする、あるいはスリット加工、等と記載している内容は、搬送フィルムの長手方向にフィルムを切ることを表している。切断とは、搬送方向と直交方向にフィルムを切ることを表している。
(1)第1切断貼合装置:前記偏光板長尺ロールと前記光学表示ユニットの短辺に対応する幅の前記偏光板長尺ロール(「第1長尺ロール」という。)から長尺シート状製品を引き出して、前記光学表示ユニットの長辺に対応する長さに切断した後に、供給しながら、前記光学表示ユニットの一方側表面に当該第1長尺ロールの偏光板を貼り合せる操作を行う装置。
(2)第2切断貼合装置:前記偏光板長尺ロールを、前記光学表示ユニットの長辺に対応する幅の前記偏光板長尺ロール(「第2長尺ロール」という。)から長尺シート状製品を引き出して、前記光学表示ユニットの短辺に対応する長さに切断した後に、供給しながら、前記光学表示ユニットの他方側表面に当該第2長尺ロールを貼り合せる操作を行う装置。
(3)旋回装置:前記第1切断貼合装置又は前記第2切断貼合装置のいずれか一方の切断貼合装置で貼り合せた後の光学表示ユニットを、他方の切断貼合装置での貼り合せ方向に旋回させる操作を行う装置。
以下、当該製造システムの構成要素について説明をする。なお、図1に、光学表示装置の製造方法のフローチャートの一例を示す。図2に、光学表示装置の製造システムの一例の構成図を示す。図3に、光学表示装置の製造システムの一例の平面配置図を示す。
(製造フローチャート)
本発明の光学表示装置の製造方法は、偏光板を含む長尺ロールを光学表示ユニットに貼り合せた光学表示装置の製造方法である。
本発明に係る製造方法は、第1切断貼合工程と第2切断貼合工程とを含むものであるが、何れの工程を先に行ってもよく、両工程を同時又はほぼ同時に行ってもよい。
第1切断貼合工程は、前述した第1長尺ロールを用いて、前記光学表示ユニットの長辺に対応する長さに切断した後、前記光学表示ユニットの一方表面に第1長尺ロールを貼り合せるものである。
第2切断貼合工程は、前述した第2長尺ロールを用いて、前記光学表示ユニットの短辺に対応する長さに切断した後、前記光学表示ユニットの他方表面に第2長尺ロールを貼り合せるものである。
本発明の光学表示装置の製造方法は、より具体的には、例えば第1長尺ロールを有する帯状シート状製品が巻き取られたロールから帯状シート状製品を引き出して、所定の長さに切断した後に供給しながら、前記光学表示ユニットの一方表面に第1長尺ロールを貼り合せる第1切断貼合工程と、第2長尺ロールを有する帯状シート状製品が巻き取られたロールから帯状シート状製品を引き出して、所定の長さに切断した後に供給しながら、前記光学表示ユニットの他方表面に第2長尺ロールを貼り合せる第2切断貼合工程とを含む。第1切断貼合工程は、例えば、以下で述べる(2)搬送工程〜(5)第1長尺ロール貼合工程によって実施され、第2切断貼合工程は、例えば、以下で述べる(8)搬送工程〜(11)第2長尺ロール貼合工程によって実施される。
(1)第1偏光板長尺ロール準備工程(図1、S1)
前述のようにして長尺の第1シート製品を第1偏光板長尺ロールとして準備する。
以下の各工程は、工場内において隔離された隔離構造内において行われ、清浄度が維持されているのが好ましい。特に長尺ロールを光学表示ユニットに貼り合わせる貼合工程において清浄度が維持されていることが好ましい。
(2)搬送工程(図1、S2)
準備され設置された第1偏光板長尺ロールから第1シート製品F1を繰り出し、下流側に搬送する。第1シート製品F1を搬送する第1搬送装置12は、例えば、ニップローラ対、テンションローラ、回転駆動装置、アキュムレート装置A、センサー装置、制御装置等で構成されているが、粘着層が表に出た状態で搬送を行うため、粘着層がロールに接触しないようにするか、接触する場合はシリコンやフッ素系樹脂等で加工されているロールを用いることが好ましい。最初の一巻分は粘着層を転写するため使用しないが、リーダーの一部として使用しても良い。
(3)第1検査工程(図1、S3)
第1シート製品F1の欠点を第1欠点検査装置14を用いて検査する。ここでの欠点検査方法としては、第1シート製品F1の両面に対し、透過光、反射光による画像撮影・画像処理する方法、検査用偏光フィルムをCCDカメラと検査対象物との間に、検査対象である偏光板の偏光軸とクロスニコルとなるように配置(0度クロスと称することがある)して画像撮影・画像処理する方法、検査用偏光フィルムをCCDカメラと検査対象物との間に、検査対象である偏光板の偏光軸と所定角度(例えば、0度より大きく10度以内の範囲)になるように配置(x度クロスと称することがある)して画像撮影・画像処理する方法が挙げられる。なお、画像処理のアルゴリズムは公知の方法を適用でき、例えば二値化処理による濃淡判定によって欠点を検出することができる。
透過光による画像撮影・画像処理方法では、第1シート製品F1内部の異物が検出できる。反射光による画像撮影・画像処理方法では、第1シート製品F1表面の付着異物が検出できる。0度クロスによる画像撮影・画像処理方法では、主に、表面異物、汚れ、内部の異物等が輝点として検出できる。x度クロスによる画像撮影・画像処理方法では、主に、クニックを検出することができる。
第1欠点検査装置14で得られた欠点の情報は、その位置情報(例えば、位置座標)とともに紐付けされて、制御装置1に送信され、後述する第1切断装置16による切断方法に寄与させることができる。
(4)第1切断工程(図1、S4)
第1切断装置16は、第1長尺ロールF11を所定サイズに切断する。この時、剥離可能な偏光板保護フィルムを除いた層を切断する。切断長さに関しては、第1偏光板長尺ロールの幅が短辺に対応するため、長尺ロールを長辺に対応する長さで切断する。本実施形態では、図3に示すように、第1偏光板長尺ロール(第1シート製品F1)の幅が、光学表示ユニットWの短辺に対応する場合の例を示す。
切断手段としては、例えば、レーザ装置、カッター、その他の公知の切断手段等が挙げられる。第1欠点検査装置14で得られた欠点の情報に基づいて、光学表示ユニットWに貼り合わせられる領域内に欠点を含まないように、欠点を避けて切断するように構成される。これにより、第1シート製品F1の歩留まりが大幅に向上する。このように、光学表示ユニットWに貼り合わせられる領域内に欠点を含まないように、欠点を避けて切断する方式をスキップカットと称するが、切断の際の欠点情報は、インラインの欠点検査装置で得られたものでも、予め偏光板長尺ロールに付されたものでもよい。欠点を含む第1シート製品F1は、後述する第1排除装置19によって排除され、光学表示ユニットWには貼り付けされないように構成される。つまり、本発明では、第1長尺ロールF11及び第2長尺ロールF21を供給する際に、長尺ロールの欠点を有する部分を切断排除する欠点部分の排除工程を含むことが好ましい。
(5)第1長尺ロール貼合工程(図1、S5)
第1長尺ロールF11を粘着剤層を介して光学表示ユニットWに貼り合せる。貼り合せに際し、後述するように、第1長尺ロールF11と光学表示ユニットWをロール対(181、182)で挟んで圧着する。その後、剥離可能な偏光板保護フィルムを切断する。
(6−1)洗浄工程(図1、S6−1)
光学表示ユニットWは、例えば、研磨洗浄装置及び水洗浄装置によって、その表面が洗浄される。洗浄された光学表示ユニットWは、搬送機構によって、検査装置まで搬送される。搬送機構は、例えば、搬送用ローラ、搬送方向切り替え機構、回転駆動装置、センサー装置、制御装置等で構成される。
(6−2)検査工程(図1、S6−2)
洗浄後の光学表示ユニットWは、例えば検査装置によって、その表面が検査される。検査後の光学表示ユニットWは、搬送機構によって、第1貼合装置18まで搬送される。
これら、第1偏光板長尺ロール準備工程、第1検査工程、第1切断工程、第1長尺ロール貼合工程、洗浄工程、検査工程のそれぞれの工程は連続した製造ラインで実行されることが好ましい。以上の一連の製造工程において、光学表示ユニットWの一方面に第1長尺ロールF11が貼り合わされた。以下では、その他面に第2長尺ロールF21を貼り合わる製造工程について説明する。
(7)第2偏光板長尺ロール準備工程(図1、S11)
前述のようにして長尺の第2シート製品F2を第2偏光板長尺ロールとして準備する。
(8)搬送工程(図1、S12)
準備され設置された第2偏光板長尺ロールから第2シート製品F2を繰り出し、下流側に搬送する。第2シート製品を搬送する第2搬送装置22は、例えば、ニップローラ対、テンションローラ、回転駆動装置、アキュムレート装置A、センサー装置、制御装置等で構成されているが、粘着層が表に出た状態で搬送を行うため、粘着層がロールに接触しないようにするか、接触する場合はシリコンやフッ素系樹脂等で加工されているロールを用いることが好ましい。最初の一巻分は粘着層を転写するため使用しないが、リーダーの一部として使用しても良い。
(9)第2検査工程(図1、S13)
第2シート製品F2の欠点を、第2欠点検査装置24を用いて検査する。ここでの欠点検査方法は、上述した第1欠点検査装置による方法と同様である。
(10)第2切断工程(図1、S14)
第2偏光板長尺ロールの幅が光学表示ユニットの長辺に対応するため、長尺ロールを短辺に対応する長さで切断する。この時、剥離可能な偏光板保護フィルムを除いた層を切断する。本実施形態では、図3に示すように、第2偏光板長尺ロール(第2シート製品F2)の幅が、光学表示ユニットWの長辺に対応する場合の例を示す。
切断手段としては、例えば、レーザ装置、カッター、その他の公知の切断手段等が挙げられる。第2欠点検査装置24で得られた欠点の情報に基づいて、光学表示ユニットWに貼り合わせられる領域内に欠点を含まないように、欠点を避けて切断するように構成される。これにより、第2シート製品F2の歩留まりが大幅に向上する。欠点を含む第2シート製品F2は、後述する第2排除装置29によって排除され、光学表示ユニットWには貼り付けされないように構成される。
(11)第2長尺ロール貼合工程(図1、S15)
次いで、第2切断工程後に、第2長尺ロールF21を、粘着剤層を介して、光学表示ユニットWの第1長尺ロールF11が貼り合わされている面と異なる面に貼り合せる。その後剥離可能な偏光板保護フィルムを切断する。なお、第2長尺ロールF21を光学表示ユニットWに貼り合せる前に、搬送機構Rの搬送方向切り替え機構によって光学表示ユニットWを90度回転させ、第1長尺ロールF11と第2長尺ロールF21をクロスニコルの関係にする場合がある。
つまり、本発明では、第1切断貼合工程で貼り合せた後の光学表示ユニットWを、第2切断貼合工程での貼り合せ方向に旋回させる旋回工程、又は前記第2切断貼合工程で貼り合せた後の光学表示ユニットWを、前記第1切断貼合工程での貼り合せ方向に旋回させる旋回工程を含むことが好ましい。
本発明では、旋回後の光学表示ユニットWに貼り合わされた第1長尺ロールF11の長辺の方向と、切断後に貼り合わされる第2長尺ロールF21の長辺の方向とが、0±5°、好ましくは0±1°になるような角度で旋回工程を行うことが好ましい。例えば、供給される第1長尺ロールF11のライン方向と、供給される第2長尺ロールF21のライン方向とが平行(直線上も含む)である場合、旋回工程における旋回角度は、85〜95°が好ましい。貼り合せに際しては、後述するように、第2長尺ロールF21と光学表示ユニットWをロールで挟んで圧着する。
(12)光学表示装置の検査工程(図1、S16)
検査装置は、長尺ロールを両面に貼着された光学表示装置を検査する。検査方法としては、光学表示装置の両面に対し、反射光による画像撮影・画像処理する方法が例示される。また他の方法として、検査用偏光フィルムをCCDカメラと検査対象物との間に設置する方法も例示される。なお、画像処理のアルゴリズムは公知の方法を適用でき、例えば二値化処理による濃淡判定によって欠点を検出することができる。
(13)光学表示装置の良品判定
検査装置で得られた欠点の情報に基づいて、光学表示装置の良品判定がなされる。良品判定された光学表示装置は、次の実装工程に搬送される。不良品判定された場合、リワーク処理が施され、新たに長尺ロールが貼られ、次いで検査され、良品判定の場合、実装工程に移行し、不良品判定の場合、再度リワーク処理に移行するかあるいは廃棄処分される。
以上の一連の製造工程において、第1長尺ロールF11の貼合工程と第2長尺ロールF21貼合工程とを連続した製造ラインで実行することによって、光学表示装置を好適に製造することができる。特に、上記各工程を工場内から隔離した隔離構造内部で行うことで、清浄度が確保された環境で長尺ロールを光学表示ユニットに貼り合わせることができ、高品質の光学表示装置を製造することができる。
(第1長尺ロールと第2長尺ロール)
本実施形態では、図3に示すように、光学表示ユニットWの供給装置M1と、第1長尺ロールF11の供給装置M2と、第1長尺ロールF11を貼り合せる第1貼合装置M3と、貼り合せ後の光学表示ユニットWを搬送して供給する搬送供給装置M4と、第2長尺ロールF21の供給装置M5と、第2長尺ロールF21を貼り合せる第2貼合装置M6とを備えている例を示す。この例では、第1切断貼合装置は、第1長尺ロールF11の供給装置M2と、第1長尺ロールF11を貼り合せる第1貼合装置M3とを含み、第2切断貼合装置は、第2長尺ロールF21の供給装置M5と、第2長尺ロールF21を貼り合せる第2貼合装置M6とを含んでいる。
本実施形態では、図3に示すように、第1長尺ロールF11の供給装置M2と、第1貼合装置M3と、搬送供給装置M4と、第2長尺ロールF21の供給装置M5と、第2貼合装置M6とが、直線状に配置されると共に、第1貼合装置M3のパネル流れ方向に対して、垂直な方向から光学表示ユニットWが供給されるように、供給装置M1が配置されている例を示す。
本発明に係る第1長尺ロールと第2長尺ロールは、図3に示すように、各々を所定の長さに切断して光学表示ユニットの両面に各々貼り合せるための偏光板長尺ロールである。
第1長尺ロールR1は、偏光板長尺ロール(長尺シート状製品)F11が、偏光板の吸収軸に平行に光学表示ユニットの短辺に対応する幅でスリット加工された状態で、巻回されている。当該長尺シート状製品は、単体で巻回されていてもよいが、芯管等の芯材に巻回されていることが好ましい。
第2長尺ロールR2は、偏光板長尺ロール(長尺シート状製品)F21が、前記偏光板の吸収軸に平行に前記光学表示ユニットの長辺に対応する幅でスリット加工された状態で、巻回されている。長尺シート状製品は、単体で巻回されていてもよいが、芯管等の芯材に巻回されていることが好ましい。
本発明において、「光学表示ユニットの長辺又は短辺に対応させる」とは、光学表示ユニットの長辺又は短辺の長さに対応する偏光板長尺ロール(長尺シート状製品)の貼り合わせの長さ(露出部分を除いた長さ)を指し、光学表示ユニットの長辺又は短辺の長さと偏光板長尺ロール(長尺シート状製品)の幅とが同じである必要はない。なお、本願においては、長辺と短辺の長さが同一の場合も本発明に含めることとする。
本発明では、第1長尺ロールR1と第2長尺ロールR2とのいずれもが、それを構成する偏光板の吸収軸に平行にスリット加工されており、ロールの長手方向に吸収軸を有することが好ましい。このため、貼り合わせによる軸精度が良くなり、貼り合わせ後の光学表示装置の光学特性が良好になる。殊に近年大型TV等で用いられるVAモード又はIPSモードの液晶パネルで光学表示ユニットが形成される場合には、第1長尺ロールと第2長尺ロールの偏光板の吸収軸を直交させればよいので、吸収軸に平行にスリット加工した第1及び第2のロールを繰り出し、幅方向に切断するだけでよく、生産速度を高くすることができる。
(偏光板長尺ロールの製造方法)
第1長尺ロールR1と第2長尺ロールR2の幅は、光学表示ユニットの貼り合わせサイズに依存している。具体的には、光学表示ユニットの短辺に対応させて、第1長尺ロールR1の幅が決定され、長辺に対応させて、第2長尺ロールR2の幅が決定される。このため、一般に第1長尺ロールR1と第2長尺ロールR2とは、異なる幅を有しており、スリット前偏光板長尺ロール(長尺原反)からスリット加工により、予め所定の幅にスリットされたものが使用される。
スリット加工は、スリット前偏光板長尺ロールを巻き戻しながら行う方法と、巻き戻さずに行う方法とがあり、いずれも採用できる。また、本発明では、長尺シート状製品の製造ラインにおいて、その巻回前にスリット加工を行ってもよい。
本発明の偏光板長尺ロールの製造方法は、所定の長さに切断して光学表示ユニットの表面に貼り合せるための偏光板長尺ロールの製造方法であって、前記偏光板の吸収軸に平行な長手方向を有する長尺原反を、その長手方向に平行に前記光学表示ユニットの短辺又は長辺に対応する幅で切断するスリット工程と、スリット工程で得られた長尺シート状製品をロール状に巻回する巻回工程とを含むものである。
(光学表示ユニット)
本発明に用いられる光学表示ユニットとしては、例えば、液晶セルのガラス基板ユニット、有機EL発光体ユニット等が挙げられる。本発明は、長方形の外形を有する光学表示ユニットに有効であり、例えば、長辺/短辺が16/9であるものや、4/3であるものなどが用いられる。なお、光学表示ユニットとしては、予め、長尺ロール等の部材が積層一体化されたものであってもよい。なお、液晶セルのガラス基板ユニットとは、二枚の透明基板の間に液晶を配置して電圧駆動が可能になっている液晶セルであり、さらに、二枚の透明基板の内、少なくとも片方がガラス基板であるものをいう。
(液晶表示装置)
本発明の偏光板を液晶表示装置に用いることによって、種々の視認性に優れた本発明に係る液晶表示装置を作製することができる。
本発明の偏光板は、STN、TN、OCB、HAN、VA(MVA、PVA)、IPS、OCBなどの各種駆動方式の液晶表示装置に用いることができる。好ましくはVA(MVA,PVA)型及びIPS(FFS)型液晶表示装置である。
特に画面が30型以上の大画面の液晶表示装置であっても、環境変動によるムラの発生が少なく、光漏れが低減された、色味むら、正面コントラストなど視認性に優れ液晶表示装置を得ることができる。
以下、実施例により本実施の形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<偏光板長尺ロールの作製と評価>
(1):偏光膜の作製
厚さ75μm、フィルム幅4000mm、重合度2400、ケン化度99.9%以上のポリビニルアルコール(PVA)フィルムを用い、以下の順序で各工程を行い、本実施例に係るヨウ素系偏光フィルムを作製した。
<膨潤工程>
純水で満たした膨潤浴にPVAフィルムを搬送し、30℃の純水中に30秒間浸漬して膨潤させた。
<染色工程>
ヨウ素0.035質量%を含む、ヨウ素染色溶液で満たした染色浴にPVAフィルムを搬送し、30℃のヨウ素染色溶液に27秒間浸漬しながら、延伸倍率が初期のPVAフィルムに対し1.1倍になるまで搬送方向に一軸延伸して染色した。
<架橋工程>
ヨウ化カリウム3.0質量%とホウ酸3.0質量%を含有するホウ酸水溶液で満たした架橋浴に、前記PVAフィルムを搬送し、30℃のホウ酸水溶液中に28秒間浸漬しながら、延伸倍率が初期のPVAフィルムに対し3.6倍になるまで搬送方向に一軸延伸して架橋した。
<延伸工程>
5.0質量%のヨウ化カリウムと4.0質量%のホウ酸を含有するホウ酸水溶液で満たした延伸浴に、上記処理を行ったPVAフィルムを搬送し、60℃のホウ酸水溶液中に約58秒間浸漬しながら、延伸倍率が初期のPVAフィルムに対し5.9倍になるまで搬送方向に一軸延伸した。
<2族元素導入工程>
0.093mol/lのMgIを含む水溶液で満たした浴にPVAフィルムを搬送し、30℃の前記水溶液中に10秒間浸漬させた。
その後、オーブンを用いてPVAフィルムの乾燥を行った。乾燥条件としては、乾燥温度60℃、オーブン内の通過時間を4分間とした。
(2):偏光板の作製
次いで、下記工程1〜6に従って、上記偏光膜に市販のトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(コニカミノルタタック KC4UA、コニカミノルタオプト(株)製;1.98m幅、5200m)を貼り合わせて偏光板を作製した。
工程1:トリアセチルセルロースフィルムを40℃の2モル/lの水酸化カリウム溶液に60秒間浸漬し、次いで水洗し乾燥して表面を鹸化したセルロースエステルフィルムを得た。
工程2:前記偏光膜の片面に固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤を滴下して
工程3:これを工程1で処理したトリアセチルセルロースフィルムと貼り合せ部分にビード作り貼合と同時に両端から余分なポリビニルアルコール接着剤を吸引除去した。
工程4:工程3で積層したトリアセチルセルロースフィルムと偏光膜を圧力20〜30N/cm、搬送スピードは約2m/分で貼合した。
工程5:55℃の乾燥器中を搬送しながら工程4で作製した偏光膜とトリアセチルセルロースフィルムとを貼り合わせた試料を5分間乾燥し、以下の方法で作製した剥離可能な偏光板保護フィルムと積層貼合して巻取った。
上記で得た偏光板を32インチ液晶テレビの縦と横の長さに合わせて、それぞれ39.8cm幅と69.7cm幅にスリットした。
(3):剥離可能な偏光板保護フィルムの作製(図5参照)
PETフィルムの片面に帯電防止加工及びシリコン剥離加工を行った。もう片面に弱粘着加工を行い、シリコン剥離加工を行った側に粘着加工を行い剥離可能な偏光板保護フィルムを作製した。
上記偏光板の剥離可能な偏光板保護フィルムをTACフィルム側に貼りつけてから、タッチロールを用いて6インチコアに巻取った。2600m偏光板のロール径は70cmであった。
(4):比較例(図6参照)
PETフィルムの片面にシリコン剥離加工及び帯電防止加工を実施し、もう片面に弱粘着加工したフィルムを作製し、実施例と同じ幅にスリットした。これを弱粘着加工層が偏光板のTAC側になるように貼りつけた。
シリコン剥離加工したPETに粘着層を転写し、粘着層が偏光板のPVA面と接するように貼りつけてから、タッチロールを用いて巻取った。2600mのロール径は80cmであった。
これらの偏光板長尺ロールを40℃48時間エイジングし、有効に使用できる量を評価した。評価結果は、表1に示す。
実施例は貼合工程,組立工程で中間廃材が発生しなかった。
<液晶表示装置の作製と評価>
視野角測定を行う液晶パネルを以下のようにして得た後、上記で作製した各種偏光板長尺ロールについて、図3に示すような製造システムを用いて液晶表示装置を作製し、その特性を評価した。
VAモード型液晶表示装置(SONY製BRAVIA、32インチ型)の予め貼合されていた両面の偏光板を剥がして、上記作製したロール状偏光板の表面側から1mの位置から切り出した枚葉状偏光板(H1)とロールの中心から1mの位置から切り出した枚葉状偏光板(H2)を液晶セルのガラス面の両面に貼合した。
その際、予め貼合されていた偏光板と同一の方向に吸収軸が向くように行い、液晶表示装置を作製した。
この液晶表示装置について表示均一性について下記の方法により評価した。
《液晶表示装置の評価》
23℃、55%RHの環境下において、バックライトを12時間連続点灯し、全面黒表示状態を暗室にて目視で観察して、枚葉状偏光板の表示均一性を評価した。
〔表示均一性〕
黒表示時の表示均一性を目視で下記基準により評価した。
○:H1とH2の黒輝度がほぼ同じ
△:H1とH2の黒輝度にややムラがみられる
×:H1とH2の黒輝度に大きな差がみられる
なお、△以上であれば、使用上問題はない。
以上の評価結果を表1に示す。
表1に示した結果から明らかなように、本発明に係る偏光板長尺ロールは、エイジング後において有効に使用できる量が多く、かつ、貼合工程及び組立工程で中間廃材が発生しなかった。また、本発明に係る偏光板長尺ロールを用いた液晶表示装置は優れた表示均一性を有することが分かる。
F1 第1シート製品
F2 第2シート製品
F11 第1長尺ロール
F21 第2長尺ロール
M1 光学表示ユニットの供給装置
M2 第1長尺ロールの供給装置
M3 第1貼合装置
M4 搬送供給装置
M5 第2長尺ロールの供給装置
M6 第2貼合装置
1 制御装置
12 第1搬送装置
14 第1欠点検査装置
16 第1切断装置
18 第1貼合装置
19 第1排除装置
20 旋回機構
22 第2搬送装置
24 第2欠点検査装置
26 第2切断装置
28 第2貼合装置
29 第2排除装置
R0 長尺原反のロール
R1 第1長尺ロール
R2 第2長尺ロール
R 搬送機構
W 光学表示ユニット
a 粘着層
b 剥離可能な偏光板保護フィルム
c 偏光膜保護フィルム
d 偏光膜
e シリコン離形加工層
f 帯電防止層
g PETフィルム
h 弱粘着加工層

Claims (5)

  1. 偏光膜と、その片面側に、少なくとも、偏光膜保護フィルム、剥離可能な偏光板保護フィルム、及び粘着層とを、この順に備えていることを特徴とする偏光板長尺ロール。
  2. 偏光板を貼り合わせる所定の光学表示ユニットの形状に合わせて、一定方向にスリットされていることを特徴とする請求項1に記載の偏光板長尺ロール。
  3. 前記偏光板長尺ロールの長さが2000〜10000mの範囲内であり、かつ当該偏光板長尺ロールの原反の幅が1.9〜2.5mの範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の偏光板長尺ロール。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の偏光板長尺ロールに含まれる偏光板を光学表示ユニットに貼り合せて成る光学表示装置の製造システムであって、下記第1切断貼合装置、第2切断貼合装置、及び旋回装置で構成されることを特徴とする光学表示装置の製造システム。
    (1)第1切断貼合装置:請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の偏光板長尺ロールと前記光学表示ユニットの短辺に対応する幅の前記偏光板長尺ロール(「第1長尺ロール」という。)から長尺シート状製品を引き出して、前記光学表示ユニットの長辺に対応する長さに切断した後に、供給しながら、前記光学表示ユニットの一方側表面に当該第1長尺ロールの偏光板を貼り合せる操作を行う装置。
    (2)第2切断貼合装置:請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の偏光板長尺ロールを、前記光学表示ユニットの長辺に対応する幅の前記偏光板長尺ロール(「第2長尺ロール」という。)から長尺シート状製品を引き出して、前記光学表示ユニットの短辺に対応する長さに切断した後に、供給しながら、前記光学表示ユニットの他方側表面に当該第2長尺ロールを貼り合せる操作を行う装置。
    (3)旋回装置:前記第1切断貼合装置又は前記第2切断貼合装置のいずれか一方の切断貼合装置で貼り合せた後の光学表示ユニットを、他方の切断貼合装置での貼り合せ方向に旋回させる操作を行う装置。
  5. 前記光学表示ユニットが、液晶セルのガラス基板ユニットであることを特徴とする請求項4に記載の光学表示装置の製造システム。
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