JP5799869B2 - 光学フィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光学フィルムの製造方法、前記製造方法によって製造された光学フィルム、及びそれを用いた偏光板、液晶表示装置に関する。
近年、液晶テレビ、ノートパソコン、カーナビゲーション、携帯電話等の液晶表示装置を搭載した情報機器の薄型、軽量化に関する開発がますます進んでいる。それに伴い、液晶表示装置に用いられる偏光板用保護フィルムに対してもますます薄膜化の要求が強くなっている。
一般に偏光板は、偏光子の両面に透明保護フィルムを、ポリビニルアルコール系の材料を水に溶かしたいわゆる水系接着剤により貼り合わせたものが用いられており、透明保護フィルムとしては、透湿度が高いという点からセルロースエステル樹脂が用いられる。
セルロースエステル樹脂の製造方法として、例えば特許文献1には、含水率が0.25重量%以上0.55重量%以下であるドープを用いて溶液流延製膜法が記載されている。また、特許文献2には、セルロースエステル樹脂フィルムの製造方法として、含水率が0.01〜2質量%であるドープを用い、かつ流延後の乾燥時におけるフィルム中の残留溶媒量が0.1〜480質量%の範囲内で行う溶液流延製膜法が記載されている。
特開2010−234692号公報 特開2003−119296号公報
しかしながら、前記セルロースエステル樹脂フィルムを溶液流延製膜法によって製造する場合、製造開始時から定常運転時に至るまでの立ち上げ時において、支持体ベルトからフィルムを剥離する前に、ラインスピードの遅さが原因となって支持体ベルトからフィルムが剥がれ易くなる。
そこでドープの含水率を高くすると、前記立ち上げ時において支持体ベルトからフィルムが剥がれにくくなり安定するが、定常運転時においては定常運転時における支持体ベルトの汚れが原因となり、偏光板に用いた際にヘイズが生じてしまい、パネルのコントラストが低下するといった問題も生じていた。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、製造開始時から定常運転時に至るまでの立ち上げ時や定常運転時のいずれにおいてもフィルムの剥離が生じにくく、かつ支持体ベルト汚れの発生しない光学フィルムの製造方法を提供することにある。さらに前記製造方法によって作製された光学フィルム、それを用いた偏光板、液晶表示装置を提供することにある。
前記目的を達成するために本発明者が鋭意検討を行った結果、下記構成によって、フィルムの剥離が生じにくく、かつ支持体ベルト汚れが発生しない光学フィルムの製造方法を得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかる光学フィルムの製造方法は、下記式(1)及び(2)を満たすセルロースエステル樹脂を含有する光学フィルム、又はセルロースエステルのアセチル基の置換度が2.6〜3.0であるセルロースエステル樹脂を含有する光学フィルムの製造方法において、製造開始時から定常運転までの立ち上げ時は含水率が2.0〜5.0質量%であり、定常運転時は含水率が0.6〜2.0質量%であるドープを用いて溶液流延製膜法により製造することを特徴とする。
式(1) 2.3≦X+Y≦2.6
式(2) 1.4≦X≦2.6
(上記式中、Xはセルロースエステルのアセチル基の置換度、Yはプロピオニル基またはブチリル基の置換度を表す。)
また、前記光学フィルムの製造方法において、前記立ち上げ時のラインスピードが4〜27m/秒であり、前記定常運転時のラインスピードが60〜80m/秒であることが好適である。
このような構成によれば、本発明の効果をより高めることができる。
また、本発明にかかる光学フィルムは、前記光学フィルムの製造方法を用いて製造されることを特徴とする。
このような構成によれば、前記液晶表示装置に用いられる偏光板用保護フィルム偏光板用保護フィルム等の光学フィルムなどに利用できる帯電性防止性の高い光学フィルムを得ることができる。
また、本発明にかかる光学フィルムの膜厚は10〜30μmであることが好適である。
このような構成によれば、偏光子等との密着性に優れた光学フィルムを得ることができる。
また、本発明にかかる偏光板は、前記光学フィルムを少なくとも一方の面に用いることを特徴とする。
このような構成によれば、前記液晶表示装置に用いられる偏光板用保護フィルムとして、前記の帯電性防止性の高い光学フィルムを用いるので、大画面化に好適である。
また、本発明にかかる液晶表示装置は、前記光学フィルム、または前記偏光板を用いることを特徴とする。
このような構成によれば、前記液晶表示装置に用いられる偏光板に前記の偏光板を用いるので、大画面化に好適である。
本発明によれば、立ち上げ時において支持体ベルトからフィルムが剥がれにくく、かつ支持体ベルト汚れが発生しにくい光学フィルムの製造方法を提供することにある。さらに前記製造方法によって作製された光学フィルム、それを用いた偏光板であって、ヘイズの発生が生じにくい偏光板、液晶表示装置を提供することができる。
溶液流延製膜方法のドープ調製工程、流延工程及び乾燥工程を示す模式図である。
以下、本発明に係る実施形態について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本実施形態に係る光学フィルムの製造方法は、下記式(1)及び(2)を満たすセルロースエステル樹脂を含有する光学フィルム、又はセルロースエステルのアセチル基の置換度が2.6〜3.0であるセルロースエステル樹脂を含有する光学フィルムの製造方法において、製造開始時から定常運転までの立ち上げ時は含水率が2.0〜5.0質量%であり、定常運転時は含水率が0.6〜2.0質量%であるドープを用いて溶液流延製膜法により製造することを特徴とする。
式(1) 2.3≦X+Y≦2.6
式(2) 1.4≦X≦2.6
(上記式中、Xはセルロースエステルのアセチル基の置換度、Yはプロピオニル基またはブチリル基の置換度を表す。)
以下に本発明に係る光学フィルムの製造方法について説明する。
〔光学フィルムの製造方法〕
本発明の光学フィルムの製膜方法は、ドープ組成物を調整するドープ調製工程と、前記ドープ組成物を支持体上に流延する流延工程と、加熱して溶剤の一部を除去する溶媒蒸発工程と、支持体から剥離する剥離工程と、剥離したフィルムを乾燥して延伸する乾燥・延伸工程と、乾燥・延伸後のフィルムを巻き取る巻取り工程とを含む溶液流延製膜法が用いられる。
図1は本発明の一実施形態に係る溶液流延製膜方法のドープ調製工程、流延工程及び乾燥工程を模式的に示した図である。
図1中、この他の符号は以下の部材を表す。2、5、11、14、43 送液ポンプ、6、12、15 濾過器、4、13 ストックタンク、8、16 導管、10 紫外線吸収剤仕込釜、20 合流管、21 混合機、30 ダイ、31 金属支持体、32 ウェブ、33 剥離位置、34 テンター装置、35 ロール乾燥装置、37 巻き取りロール、41 微粒子仕込釜。
以下、本発明の溶液流延製膜法の各工程について説明する。
(1)ドープ調製工程
ドープ調製工程は、セルロースエステル樹脂に対する良溶媒を主とする有機溶媒に、溶解釜中でセルロースエステル樹脂、その他の添加剤を攪拌しながら溶解する工程である。
まず、ドープの含水率の調整について説明する。
(含水率)
また、本発明のドープ調製工程では、製造開始時から定常運転までの立ち上げ時は含水率が2.0〜5.0質量%、定常運転時は含水率が0.6〜2.0質量%となるように調整する。
前記立ち上げ時の含水率をドープ全量に対して0.6〜2.0質量%の範囲内にする方法としては、樹脂中の含水率とアルコール中の含水率の合計から、ドープ中の含水率を算出し、不足分は溶媒に混合したのちドープとして調合する方法がある。
前記立ち上げ時はそのラインスピードが遅いことから、含水率がドープ全量に対して2.0質量%より小さいと、剥離する前にウェブが支持体ベルトから剥がれやすくなる。フィルムが剥がれてしまうと、再び立ち上げをおこなわなければならず、生産性が悪化してしまう。また、前記含水率が5.0質量%より大きいと、セルロースエステル樹脂の溶媒に対する溶解性が悪くなり支持体ベルト汚れが生じやすくなる。
また、定常運転時においては、含水率がドープ全量に対して0.6質量%より小さいと、立ち上げ時における場合と同様に、ウェブが支持体ベルトから剥がれやすくなり、生産性が悪化してしまう。また、前記含水率が2.0質量%より多いと、剥離後に支持体ベルトに汚れが生じてしまう。
前記立ち上げ時から定常運転時においてドープの含水率を0.6〜2.0質量%の範囲内に下げる手段としては、前記所定のセルロースエステル樹脂、その他の添加剤をインライン添加することで調整すること、樹脂中の含水率とアルコール中の含水率の合計から、ドープ中の含水率を算出し、調整した低含水率のドープを、ラインに流していくことで含水率を徐々に下げること等が挙げられる。
続いて、ドープ調整工程において添加される各成分について説明する。
(セルロースエステル樹脂)
本発明のドープ調整工程において添加されるセルロースエステル樹脂は、下記式(1)及び(2)を満たすセルロースアセテートプロピオネートが用いられる。
式(1) 2.3≦X+Y≦2.6
式(2) 1.4≦X≦2.6
(上記式中、Xはセルロースエステルのアセチル基の置換度、Yはプロピオニル基またはブチリル基の置換度を表す。)
前記セルロースエステル樹脂は好ましくは、下記式(1)’及び(2)’を同時に満たすセルロースエステルであることが好ましい。
式(1)’ 2.4≦X+Y≦2.5
式(2)’ 1.5≦X≦2.5
中でも1.5≦X≦2.5、0≦Y≦0.9のセルロースアセテートプロピオネートが好ましい。アシル基で置換されていない部分は、通常水酸基として存在しているものである。これらは公知の方法で合成することができる。
これらのアシル基置換度は、ASTM−D817−96に規定の方法に準じて測定することができる。
また、本発明のドープ調整工程において添加されるセルロースエステル樹脂は、前記セルロースアセテートプロピオネートの他に、アセチル基の置換度が2.6〜3.0であるトリアセチルセルロースが用いられる。特に、前記アセチル基の置換度が2.7〜2.9のトリアセチルセルロースが好ましく用いられる。前記アセチル基の置換度が2.6より小さくになると、セルロースエステルの溶解性が低下したり、光学フィルムにした際のヘイズが上昇するため、より好ましくない。
前記セルロースエステル樹脂の重量平均分子量は、75000以上であれば、1000000程度のものであっても本発明の目的を達成することができるが、生産性を考慮すると75000〜280000のものが好ましく、100000〜240000のものが更に好ましい。
本発明のセルロースエステル樹脂の総質量は、ドープ全量に対して55質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましい。
前記イオン性界面活性剤の含有量は、ドープ全量に対して0.1〜1.0質量%であり、0.25〜0.75質量%であることが好ましい。前記イオン性界面活性剤の含有量が0.1質量%より少ないと、ウェブの支持体ベルトからの剥離性が低くなるとともに製造後のフィルムの帯電防止性が低下する。また、前記イオン性界面活性剤の含有量が1.0質量%より多いと、剥離後に支持体ベルトに汚れが生じてしまう。
本発明の製造方法に用いられるイオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸アルキルエステル、ジオールの脂肪酸ジエステル、α−スルホ脂肪酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩、脂肪酸アミド(ポリ)アルキレンオキサイド付加体、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド、アルキルピリジニウムクロリド、アルキルカルボキシベタイン等を挙げることができる。
好ましい具体的なイオン性界面活性剤としては、1,4−ブタンジオールジラウレート、ペンタエリスリトールモノオレエート、グリセロールモノステアレート、ヘキサグリセリントリステアレート、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールジオクチルエーテル、ポリプロピレングリコールラウリルエーテル、セチルピリジニウムクロリド等が挙げられる。
本発明の光学フィルムには、本発明の効果を損なわない範囲でセルロースエステル樹脂以外の樹脂や添加剤を含有してもよい。
(アクリル粒子)
本発明のアクリル樹脂含有フィルムの製造方法におけるドープ組成物は、本発明の目的効果が良好に発揮されるほか、鉛筆硬度にも優れることから、さらにアクリル粒子を含有することが好ましい。
本発明に係るアクリル粒子とは、前記セルロースエステル樹脂を含有する光学フィルム中に粒子の状態(非相溶状態ともいう)で存在するアクリル成分を表す。
本発明に用いられるアクリル粒子は特に限定されるものではないが、2層以上の多層構造を有するアクリル粒子であることが好ましく、特に下記多層構造アクリル系粒状複合体であることが好ましい。
多層構造アクリル系粒状複合体とは、中心部から外周部に向かって最内硬質層重合体、ゴム弾性を示す架橋軟質層重合体、および最外硬質層重合体が、層状に重ね合わされてなる構造を有する粒子状のアクリル系重合体をいう。
本発明のアクリル粒子としては、市販のものも使用することができる。例えば、スタフィロイドAC−3355(ガンツ化成社製)、デルペットSRB215(旭化成ケミカルズ社製)等を挙げることができる。
本発明の光学フィルムの製造方法において、アクリル粒子の含有量が当該フィルムを構成する樹脂の総質量に対して、0.05〜45質量%となるような量でドープを調整することが好ましい。
(その他の添加剤)
本発明のドープ組成物には、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐電防止剤、粒子等、通常の光学フィルムに添加することができる化合物を使用することができる。
(有機溶媒)
本発明の光学フィルムの製造方法におけるドープ組成物を形成する有機溶媒は、セルロースエステル樹脂に対する良溶媒を主とする有機溶媒であることが好ましい。特に塩化メチレン、炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖状の脂肪族アルコールが好適に用いられる。これらはセルロースエステル樹脂、その他の添加剤を同時に溶解する。
なお、前記溶媒は、塩化メチレンと脂肪族アルコールとの比(下記式(i)で表されるMA)は、15〜30であり、20〜25である混合溶媒を用いことが好ましい。前記MAが15より小さいと、剥離力が上昇することと、乾燥性が悪くなることにより生産性が悪くなる、また、前記MAが30より大きくなるとヘイズが上昇する場合がある。
式(i):MA=脂肪族アルコールの質量/(脂肪族アルコールの質量+塩化メチレンの質量)×100
上記範囲の脂肪族アルコールをドープ組成物に含有させておくと、後述する蒸発工程において、乾燥効率がよい。また、蒸発する脂肪族アルコールがフィルム内に存在していた箇所に多数の空隙ができ、フィルムを疎膜化させることができる。その結果、偏光子との密着性により優れたフィルムとすることができる。
炭素原子数1〜4の直鎖または分岐鎖状の脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールを挙げることができる。これらの中でもドープの安定性、沸点も比較的低く、乾燥性もよい点などからエタノールが最も好ましい。
セルロースエステル樹脂の溶解には、常圧で行う方法、主溶媒の沸点以下で行う方法、主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、特開平9−95544号公報、特開平9−95557号公報、または特開平9−95538号公報に記載の如き冷却溶解法で行う方法、特開平11−21379号公報に記載の如き高圧で行う方法等種々の溶解方法を用いることが出来るが、特に主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法が好ましい。
ドープ中のセルロースエステル樹脂とアクリル粒子は、計15〜45質量%の範囲であることが好ましい。溶解中または後のドープに添加剤を加えて溶解及び分散した後、濾材で濾過し、脱泡して送液ポンプで次工程に送る。
濾過は捕集粒子径0.5〜5μmでかつ濾水時間10〜25sec/100mlの濾材を用いることが好ましい。この方法では、微粒子分散時に残存する凝集物や主ドープ添加時発生する凝集物を、捕集粒子径0.5〜5μmでかつ濾水時間10〜25sec/100mlの濾材を用いることで凝集物だけ除去することができる。主ドープでは粒子の濃度も添加液に比べ十分に薄いため、濾過時に凝集物同士がくっついて急激な濾圧上昇することもない。
(辺材)
多くの場合、ドープには返材が10〜50質量%程度含まれることがある。返材にはアクリル粒子が含まれているため、返材の添加量に合わせてアクリル粒子添加液の添加量をコントロールすることが好ましい。返材とは、光学フィルムを細かく粉砕した物で、光学フィルムを製膜するときに発生する、フィルムの両サイド部分を切り落とした物や、擦り傷などでスペックアウトした光学フィルム原反が使用される。
アクリル粒子仕込釜41より濾過器44で大きな凝集物を除去し、ストック釜42へ送液する。その後、ストック釜42より主ドープ溶解釜1へアクリル粒子添加液を添加する。その後主ドープ液は主濾過器3にて濾過され、これに紫外線吸収剤添加液が16よりインライン添加される。
(2)流延工程
上述のドープを送液ポンプ(例えば、加圧型定量ギヤポンプ)を通して加圧ダイ30に送液し、無限に移送する無端の金属支持体ベルト31、例えばステンレス支持体ベルト、あるいは回転する金属ドラム等の金属支持体上の流延位置に、加圧ダイスリットからドープを流延する工程である。
ダイの口金部分のスリット形状を調整出来、膜厚を均一にし易い加圧ダイが好ましい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等があり、何れも好ましく用いられる。金属支持体の表面は鏡面となっている。製膜速度を上げるために加圧ダイを金属支持体上に2基以上設け、ドープ量を分割して重層してもよい。あるいは複数のドープを同時に流延する共流延法によって積層構造のフィルムを得ることも好ましい。
また、生産性、面品質、剥離性などの観点から、前記立ち上げ時のラインスピードが4〜27m/秒であり、前記定常運転時のラインスピードが60〜80m/秒であることが好ましい。このような範囲であると、本発明の効果をより高めることができる。
(3)溶媒蒸発工程
ウェブを流延用支持体ベルト上で加熱し、溶媒を蒸発させる工程である。
溶媒を蒸発させるには、ウェブ側から風を吹かせる方法及び/又は支持体の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があるが、裏面液体伝熱方法が、乾燥効率が良いため好ましい。又、それらを組み合わせる方法も好ましく用いられる。流延後の支持体ベルト上のウェブを40〜100℃の雰囲気下、支持体上で乾燥させることが好ましい。40〜100℃の雰囲気下に維持するには、この温度の温風をウェブ上面に当てるか赤外線等の手段により加熱することが好ましい。
(4)剥離工程
金属支持体ベルト上で溶媒が蒸発したウェブを、剥離位置で剥離する工程である。剥離されたウェブは次工程に送られる。
金属支持体上の剥離位置における温度は好ましくは10〜40℃であり、更に好ましくは11〜30℃である。
尚、剥離する時点での金属支持体ベルト上でのウェブの剥離時残留溶媒量は、乾燥の条件の強弱、金属支持体の長さ等により20〜50質量%の状態で剥離され、30〜40質量%であることが好ましい。残留溶媒量が50質量%より多い時点で剥離する場合、ウェブが柔らか過ぎると剥離時平面性を損なったり、剥離張力によるツレや縦スジが発生し易い。また、20質量%より少ない時点で剥離する場合、乾燥過多で端部からの裂けが発生する。
ウェブの残留溶媒濃度(%)は下記式(i)で定義される。
式(i):残留溶媒濃度(%)=(流延フィルムの質量−乾燥フィルムの質量)/乾燥フィルムの質量×100(%)
なお、残留溶媒量を測定する際の加熱処理とは、115℃で1時間の加熱処理を行うことを表す。
金属支持体とフィルムを剥離する際の剥離張力は、通常、196〜245N/mが好ましいが、剥離の際に皺が入り易い場合、190N/m以下の張力で剥離することが好ましく、更には、剥離できる最低張力〜166.6N/m、次いで、最低張力〜137.2N/mで剥離することが好ましいが、特に好ましくは最低張力〜100N/mで剥離することである。
本発明においては、当該金属支持体上の剥離位置における温度を−50〜40℃とするのが好ましく、10〜40℃がより好ましく、15〜30℃とするのが最も好ましい。
(5)乾燥及び延伸工程
剥離後、ウェブを乾燥装置内に複数配置したロールに交互に通して搬送する乾燥装置35、及び/またはクリップでウェブの両端をクリップして搬送するテンター延伸装置34を用いて、ウェブを乾燥する。
乾燥手段はウェブの両面に熱風を吹かせるのが一般的であるが、風の代わりにマイクロウェーブを当てて加熱する手段もある。余り急激な乾燥は出来上がりのフィルムの平面性を損ね易い。高温による乾燥は残留溶媒が8質量%以下くらいから行うのがよい。全体を通し、乾燥は概ね40〜250℃で行われる。特に40〜160℃で乾燥させることが好ましい。
テンター延伸装置を用いる場合は、テンターの左右把持手段によってフィルムの把持長(把持開始から把持終了までの距離)を左右で独立に制御出来る装置を用いることが好ましい。また、テンター工程において、平面性を改善するため意図的に異なる温度を持つ区画を作ることも好ましい。また、異なる温度区画の間にそれぞれの区画が干渉を起こさないように、ニュートラルゾーンを設けることも好ましい。
なお、延伸操作は多段階に分割して実施してもよく、流延方向、幅手方向に二軸延伸を実施することも好ましい。また、二軸延伸を行う場合には同時二軸延伸を行ってもよいし、段階的に実施してもよい。この場合、段階的とは、例えば、延伸方向の異なる延伸を順次行うことも可能であるし、同一方向の延伸を多段階に分割し、かつ異なる方向の延伸をそのいずれかの段階に加えることも可能である。すなわち、例えば、次のような延伸ステップも可能である。
・流延方向に延伸−幅手方向に延伸−流延方向に延伸−流延方向に延伸
・幅手方向に延伸−幅手方向に延伸−流延方向に延伸−流延方向に延伸
また、同時2軸延伸には、一方向に延伸し、もう一方を張力を緩和して収縮させる場合も含まれる。同時2軸延伸の好ましい延伸倍率は幅手方向、長手方向ともに×1.01倍〜×1.5倍の範囲でとることができる。
テンターを行う場合のウェブの残留溶媒量は、テンター開始時に20〜100質量%であるのが好ましく、かつウェブの残留溶媒量が10質量%以下になる迄テンターを掛けながら乾燥を行うことが好ましく、更に好ましくは5質量%以下である。
テンターを行う場合の乾燥温度は、30〜150℃が好ましく、50〜120℃が更に好ましく、70〜100℃が最も好ましい。
テンター工程において、雰囲気の幅手方向の温度分布が少ないことが、フィルムの均一性を高める観点から好ましく、テンター工程での幅手方向の温度分布は、±5℃以内が好ましく、±2℃以内がより好ましく、±1℃以内が最も好ましい。
(6)巻き取り工程
ウェブ中の残留溶媒量が2質量%以下となってから光学フィルムとして巻き取り機37により巻き取る工程であり、残留溶媒量を0.4質量%以下にすることにより寸法安定性の良好なフィルムを得ることができる。
巻き取り方法は、一般に使用されているものを用いればよく、定トルク法、定テンション法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等があり、それらを使い分ければよい。
〔光学フィルム〕
本発明の光学フィルムは、前記製造方法によって製造されたものであり、下記式(1)及び(2)を満たすセルロースエステル樹脂、又はセルロースエステルのアセチル基の置換度が2.6〜3.0であるセルロースエステル樹脂を含有する。
また、本発明の光学フィルムは、フィルムを2つに折り曲げるような大きな応力を作用させても破断等の破壊がみられないこと、すなわち延性破壊が起こらないことが好ましい。なお、本願における延性破壊とは、ある材料が有する強度よりも、大きな応力が作用することで生じるものであり、最終破断までに材料の著しい伸びや絞りを伴う破壊と定義される。その破面には、ディンプルと呼ばれる窪みが無数に形成される特徴がある。
本実施形態に係る光学フィルムの厚さは10〜30μmが好ましく、20〜30μmが好ましい。上記領域よりも光学フィルムが厚いと偏光板加工後の偏光板が厚くなり過ぎ、ノート型パソコンやモバイル型電子機器に用いる液晶表示においては、特に薄型軽量の目的には適さない。一方、上記領域よりも薄いと、フィルムの透湿性が高くなり偏光子に対して湿度から保護する能力が低下してしまうために好ましくない。
本発明の光学フィルムは、ヘイズを低くし、プロジェクターのような高温になる機器や、車載用表示機器のような、高温の環境下での使用を考慮すると、その張力軟化点を、105〜145℃とすることが好ましく、110〜140℃に制御することがより好ましい。
本発明の光学フィルムは、ガラス転移温度(Tg)が110℃以上であることが好ましい。より好ましくは120℃以上である。特に好ましくは150℃以上である。
なお、ここでいうガラス転移温度とは、示差走査熱量測定器(Perkin Elmer社製DSC−7型)を用いて、昇温速度20℃/分で測定し、JIS K7121(1987)に従い求めた中間点ガラス転移温度(Tmg)である。
また、本発明の光学フィルムは、JIS−K7127−1999に準拠した測定において、少なくとも一方向の破断伸度が、10%以上であることが好ましく、より好ましくは20%以上である。
破断伸度の上限は特に限定されるものではないが、現実的には250%程度である。破断伸度を大きくするには異物や発泡に起因するフィルム中の欠点を抑制することが有効である。
本発明の光学フィルムは、その全光線透過率が90%以上であることが好ましく、より好ましくは93%以上である。また、現実的な上限としては、99%程度である。かかる全光線透過率にて表される優れた透明性を達成するには、可視光を吸収する添加剤や共重合成分を導入しないようにすることや、ポリマー中の異物を高精度濾過により除去し、フィルム内部の光の拡散や吸収を低減させることが有効である。
本発明の光学フィルムは、透明性を表す指標の1つであるヘイズ値(濁度)が1.0%以下であることが好ましく、液晶表示装置に組み込んだ際の輝度、コントラストの点から0.5%以下であることがさらに好ましい。
かかるヘイズ値を達成するには、ポリマー中の異物を高精度濾過により除去し、フィルム内部の光の拡散を低減させることが有効である。
また、表面の粗さも表面ヘイズとしてヘイズ値に影響するため、アクリル粒子の粒子径や添加量を前記範囲内に抑えたり、製膜時のフィルム接触部の表面粗さを小さくしたりすることも有効である。
なお、上記光学フィルムの全光線透過率およびヘイズ値は、JIS−K7361−1−1997およびJIS−K7136−2000に従い、測定した値である。
本発明の光学フィルムは、上記のような物性を満たしていれば、光学用の光学フィルムとして好ましく用いることができるが、以下の組成とすることにより、加工性、耐熱性に優れたフィルムを得ることができる。
〔偏光板〕
本実施形態に係る光学フィルムを用いた偏光板について述べる。偏光板は一般的な方法で作製することができる。
本実施形態に係る光学フィルムの裏面側をアルカリ鹸化処理し、処理した光学フィルムを、ヨウ素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の少なくとも一方の面に、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせることが好ましい。もう一方の面に該光学フィルムを用いても、別の偏光板保護フィルムを用いてもよい。本実施形態に係る光学フィルムに対して、もう一方の面に用いられる偏光板保護フィルムは面内リターデーションRoが590nmで、20〜70nm、Rtが70〜400nmの位相差を有する光学補償フィルム(位相差フィルム)を用いることが好ましい。
これらは例えば、特開2002−71957号公報、特開2003−170492号公報に記載の方法で作製することができる。または、更にディスコチック液晶等の液晶化合物を配向させて形成した光学異方層を有している光学補償フィルムを兼ねる偏光板保護フィルムを用いることが好ましい。例えば、特開2003−98348号公報に記載の方法で光学異方性層を形成することができる。あるいは、特開2003−12859号公報に記載のリターデーションRoが590nmで0〜5nm、Rtが−20〜+20nmの無配向フィルムも好ましく用いられる。
本実施形態に係る光学フィルムと組み合わせて使用することによって、平面性に優れ、安定した視野角拡大効果を有する偏光板を得ることができる。
裏面側に用いられる偏光板保護フィルムとしては、市販のセルロースエステルフィルムとして、KC8UX2MW、KC4UX、KC5UX、KC4UY、KC8UY、KC12UR、KC4UEW、KC8UCR−3、KC8UCR−4、KC8UCR−5、KC4FR−1、KC4FR−2、KC8UE、KC4UE(コニカミノルタオプト(株)製)等が好ましく用いられる。
偏光板の主たる構成要素である偏光膜とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光膜は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムで、これはポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがあるがこれのみに限定されるものではない。偏光膜は、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが用いられている。偏光膜の膜厚は5〜30μm、好ましくは8〜15μmの偏光膜が好ましく用いられる。該偏光膜の面上に、本実施形態に係る光学フィルムの片面を貼り合わせて偏光板を形成する。好ましくは完全鹸化ポリビニルアルコール等を主成分とする水系の接着剤によって貼り合わせる。
〔画像表示装置〕
本実施形態に係る光学フィルムを用いて作製した偏光板を表示装置に組み込むことによって、種々の視認性に優れた画像表示装置を作製することができる。
本実施形態に係る光学フィルムは前記偏光板に組み込まれ、反射型、透過型、半透過型液晶表示装置またはTN型、STN型、OCB型、HAN型、VA型(PVA型、MVA型)、IPS型、OCB型等の各種駆動方式の液晶表示装置で好ましく用いられる。また、本実施形態に係る光学フィルムは、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、電子ペーパー等の各種画像表示装置にも好ましく用いられる。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
[実施例1]
〈光学フィルムK1の作製〉
(立ち上げ時のドープ液の調製)
セルロースエステル
(セルロースアセテートプロピオネート アシル基総置換度2.75、アセチル基置換度0.19、プロピオニル基置換度2.56、Mw=200000) 100 質量部
塩化メチレン 333.1 質量部
エタノール 63.4 質量部
水 7.5 質量部
なお、立ち上げ時の含水率はドープ全量に対して1.5質量%となるように樹脂中の含水率とアルコール中の含水率の合計から、ドープ中の含水率を算出し、不足分は溶媒に混合したのちドープとして調合することで調整した。
(定常運転時のドープ液の調製)
セルロースエステル
(セルロースアセテートプロピオネート アシル基総置換度2.75、アセチル基置換度0.19、プロピオニル基置換度2.56、Mw=200000) 100 質量部
塩化メチレン 333.1 質量部
エタノール 63.4 質量部
水 4.0 質量部
K1用ドープの組成を樹脂中の含水率とアルコール中の含水率の合計から、ドープ中の含水率を算出し、不足分は溶媒に混合したのちドープとして調合することにより、上記のようなドープの組成量に変更することにより、定常運転時の含水率をドープ全量に対して0.8質量%に調整した。
(光学フィルムの製膜)
上記作製したドープ液を、支持体ベルト流延装置を用い、温度22℃、2m幅でステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体で、残留溶媒濃度(残留溶剤量)が35質量%になるまで溶媒を蒸発させ、剥離張力162N/mでステンレスバンド支持体上から剥離した。流延から剥離までに要した時間は、立ち上げ時において1200秒であり、定常運転時においては80秒であった。また、ラインスピードは、立ち上げ時は4m/秒、定常運転時は60m/秒とした。
剥離したセルロース樹脂のウェブを35℃で溶媒を蒸発させ、1.6m幅にスリットし、その後、テンターで幅方向に1.1倍に延伸しながら、135℃の乾燥温度で乾燥させた。このときテンターで延伸を始めたときの残留溶媒濃度は10質量%であった。
テンターで延伸後130℃で5分間緩和を行った後、120℃、130℃の乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させ、1.5m幅にスリットし、フィルム両端に幅10mm高さ5μmのナーリング加工を施し、初期張力220N/m、終張力110N/mで内径6インチコアに巻き取り、光学フィルムK1を得た。ステンレスバンド支持体の回転速度とテンターの運転速度から算出されるMD方向(流延方向)の延伸倍率は1.1倍であった。
〈偏光板H1の作製〉
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを、一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gからなる68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥し偏光子を得た。
次いで、下記工程1〜5に従って偏光子と前記光学フィルムK1と、裏面側にはコニカミノルタタックKC4UY(コニカミノルタオプト(株)製セルロースエステルフィルム)を貼り合わせて偏光板H1を作製した。
工程1:60℃の2モル/Lの水酸化ナトリウム溶液に90秒間浸漬し、次いで水洗し乾燥して、偏光子と貼合する側を鹸化した光学フィルムを得た。
工程2:前記偏光子を固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒浸漬した。
工程3:工程2で偏光子に付着した過剰の接着剤を軽く拭き除き、これを工程1で処理した光学フィルムの上にのせて配置した。
工程4:工程3で積層した光学フィルムと偏光子と裏面側光学フィルムを圧力20〜30N/cm、搬送スピードは約2m/分で貼合した。
工程5:80℃の乾燥機中に工程4で作製した偏光子と光学フィルムとコニカミノルタタックKC4UYとを貼り合わせた試料を2分間乾燥し、それぞれ、光学フィルムに対応する偏光板H1を作製した。
[実施例2〜9]
以下、立ち上げ時及び定常運転時の含水率を表1記載の値のように、樹脂中の含水率とアルコール中の含水率の合計から、ドープ中の含水率を算出し、不足分は溶媒に混合したのちドープとして調合することで調整し、立ち上げ時及び定常運転時のラインスピードを表1記載の値のように調整した以外は、光学フィルムK1と同様にして、光学フィルムK2〜9を作製した。
また、前記偏光板H1と同様にして、光学フィルムK2〜9に対応する偏光板H2〜9を作製した。以上の光学フィルムK2〜9、偏光板H2〜9をそれぞれ実施例2〜6、及び比較例1〜3とした。
ここで、下記評価基準を用いて光学フィルムK1〜K9の剥離性評価及びベルト汚れ評価を行った。
(易剥離性)
立ち上げ時における光学フィルムK1〜K9の易剥離性を下記のように5段階評価をした。
5:剥離確率が10%未満である。
4:剥離確率が10%以上30%未満である。
3:剥離確率が30%以上50%未満である。
2:剥離確率が50%以上70%未満である。
1:剥離確率が70%以上である。
(溶解性)
立ち上げ時における光学フィルムK1〜K9の溶解性を下記のように5段階評価をした。
5:完全に溶解している。
4:液ヘイズが若干上昇しているように見える。
3:液粘度が高い。
2:液粘度が高く、ヘイズが高い。
1:未溶解物が残っている。
(ベルト汚れ評価)
ステンレスバンド支持体上に流延したドープ組成物を前記ステンレスバンド支持体から剥離した際のベルト汚れを下記のように5段階評価をした。
5:どの評価者もムラ全く見られず。
4:評価者によってかすかにムラが見られる場合もあるが、全く問題なく製品として使えるレベル。
3:評価者によってかすかにムラが見られる場合があるが、製品として使えるレベル。
2:評価者によってかすかにムラが見られ、製品としては使えないレベル。
1:多くの評価者でかすかではあるが、ムラが見られた。
ここで、下記評価基準を用いて偏光板H1〜H9の帯電防止性及びヘイズの評価を行った。
(ヘイズ)
偏光板H1〜H9のヘイズを下記のように5段階評価をした。
測定はJIS K−7136に従って、ヘーズメーター(NDH2000型、日本電色工業(株)製)を使用して測定した。
5:0.1%以下
4:0.2%以下
3:0.2〜0.3%
2:0.3〜0.5%
1:0.5%以上
Figure 0005799869
表1の結果から明らかなように、立ち上げ時の含水率をドープ全量に対して2.0〜5.0質量%、定常運転時の含水率をドープ全量に対して0.6〜2.0質量%となるように調整した実施例1〜6の製造方法によって得られた光学フィルムK1〜6は、立ち上げ時においても定常運転時においても剥離しにくいものとなり、支持体ベルトの汚れも付着しにくいものとなった。また、光学フィルムK1〜6を用いた偏光板H1〜6はヘイズの発生が生じないものとなった。
一方で、立ち上げ時の含水率が2.0質量%より少ないドープにて製造した比較例1における光学フィルムK7は、ウェブが支持体ベルトから剥がれやすい結果となった。また、立ち上げ時の含水率が5.0質量%より多いドープにて製造した比較例2における光学フィルムK8は、セルロースエステル樹脂の溶解性が低下したと考えられるため、支持体ベルト汚れに劣る結果となり、K8を用いた偏光板H8はヘイズの発生が生じてしまった。
また、立ち上げ時の含水率と定常運転時の含水率をともに3.0質量%に調整したドープを用いて比較例3における光学フィルムK9は、支持体ベルト汚れに劣る結果となった。さらにアクリル樹脂K9を用いた偏光板H9は、偏光板とした場合にヘイズの発生が生じてしまった。
1 溶解釜
3、6、12、15 濾過器
4、13 ストックタンク
5、14 送液ポンプ
8、16 導管
10 紫外線吸収剤仕込釜
20 合流管
21 混合機
30 ダイ
31 金属支持体
32 ウェブ
33 剥離位置
34 テンター装置
35 ロール乾燥装置
41 粒子仕込釜
42 ストックタンク
43 ポンプ
44 濾過器

Claims (2)

  1. 下記式(1)及び(2)を満たすセルロースエステル樹脂を含有する光学フィルム、又はセルロースエステルのアセチル基の置換度が2.6〜3.0であるセルロースエステル樹脂を含有する光学フィルムの製造方法において、
    製造開始時から定常運転までの立ち上げ時は含水率が2.0〜5.0質量%であり、定常運転時は含水率が0.6〜2.0質量%であるドープを用いて溶液流延製膜法により製造することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
    式(1) 2.3≦X+Y≦2.6
    式(2) 1.4≦X≦2.6
    (上記式中、Xはセルロースエステルのアセチル基の置換度、Yはプロピオニル基またはブチリル基の置換度を表す。)
  2. 前記立ち上げ時のラインスピードが4〜27m/秒であり、前記定常運転時のラインスピードが60〜80m/秒であることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
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