JP2011232429A - 光学フィルムの製造方法、当該光学フィルムが具備された偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

光学フィルムの製造方法、当該光学フィルムが具備された偏光板及び液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】表面に凹凸構造を有しているにも拘わらず透明性が高い上に、接着性に優れた長尺の光学フィルムを、マット剤等の添加剤を用いることなく、高い生産性で、製造することができる光学フィルムの製造方法を提供する。また、当該光学フィルムが具備された偏光板及び液晶表示装置を提供する。
【解決手段】表面に凹凸構造を有する光学フィルムの製造方法であって、セルロースエステルを含む樹脂フィルム基材に貧溶媒を含む混合溶媒を塗工する工程及び乾燥する工程を有することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、表面に凹凸構造を有する光学フィルムの製造方法、当該光学フィルムが具備された偏光板及び液晶表示装置に関する。
近年、偏光板の保護フィルム、位相差フィルム等の光学フィルムは、生産性向上・コストダウン等のため、フィルムロールの巻き長さを長尺化することが求められているが、特別な手当をせず、単にそのままフィルムの長尺化を進めるとフィルムを巻き取る際等に様々な故障が発生してしまうことがある。そこで、フィルムの巻き長さの長尺化を可能とするために、例えば、ブロッキング防止策としてフィルム表面上に凹凸をつける技術が知られている。
一方、液晶表示装置等の表示装置に用いられる偏光板においては、一般的に、延伸・染色したポリビニルアルコールからなる偏光膜(「偏光子」ともいう。)の片側又は両側に保護フィルムとして、セルロースエステル、ポリエチレンテレフタレート、シクロオレフィンポリマー、ポリカーボネート等の樹脂フィルムが用いられているが、これらの樹脂フィルムをポリビニルアルコール(PVA)に代表される偏光膜に貼合するためには、これらの樹脂フィルムの表面改質が必須となっている。
このため、表面改質技術の一つとして、貼合する樹脂フィルム表面の表面積を増大させるため、樹脂フィルム表面上に凹凸をつけるべく表面粗さを適切な程度に調整する技術が知られている。例えば、偏光板保護フィルム等において、適度の表面粗さを設けるために、マット剤としてシリカ粒子等の無機粒子やゴム粒子等の有機粒子が、従来、一般的に用いられている(例えば特許文献2参照。)。しかし、これらのマット剤を用いる場合、ヘイズが生じやすく、透明性の劣化という問題がある。
また、マット剤等の添加剤を利用しないで、型押し等で表面粗さをつける技術が開発されているが、金型との離型性や生産性に問題があった(例えば特許文献1参照。)。
また、セルロースエステルフィルムを、メチレンクロライドとアルコールの混合溶媒で溶解し、製膜時に多孔化する技術や(特許文献3参照。)、アクリルフィルムを水−アルコールの混合溶媒に浸漬して多孔化する技術が知られている(非特許文献1参照。)。しかしながら、これらの技術は、溶媒の回収が困難である等の問題がある。
特開2009−262513号公報 特開2004−237451号公報 特開2008−296421号公報
第18回ポリマー材料フォーラム予稿集1Pc58(2009)
本発明は、上記問題・状況にかんがみてなされたものであり、その解決課題は、表面に凹凸構造を有しているにも拘わらず透明性が高い上に、接着性に優れた長尺の光学フィルムを、マット剤等の添加剤を用いることなく、高い生産性で、製造することができる光学フィルムの製造方法を提供することである。また、当該光学フィルムが具備された偏光板及び液晶表示装置を提供することである。
本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.表面に凹凸構造を有する光学フィルムの製造方法であって、セルロースエステルを含む樹脂フィルム基材に貧溶媒を含む混合溶媒を塗工する工程及び乾燥する工程を有することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
2.前記貧溶媒が、水とアルコール類の混合溶媒であることを特徴とする前記第1項に記載の光学フィルムの製造方法。
3.前記貧溶媒が、水とケトン類の混合溶媒であることを特徴とする前記第1項に記載の光学フィルムの製造方法。
4.前記混合溶媒塗工を施したフィルムの表面粗さRaと当該前記混合溶媒塗工を施さないフィルムの表面粗さRaが、3nm以上相違することを特徴とする前記第1項から第3項までのいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
5.前記第1項から第4項までのいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法で製造された光学フィルムが具備されていることを特徴とする偏光板。
6.前記第1項から第4項までのいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法で製造された光学フィルムが具備されていることを特徴とする液晶表示装置。
本発明の上記手段により、表面に凹凸構造を有しているにも拘わらず透明性が高い上に、接着性に優れた長尺の光学フィルムを、マット剤等の添加剤を用いることなく、高い生産性で、製造することが可能である光学フィルムの製造方法を提供することができる。また、当該光学フィルムが具備された偏光板及び液晶表示装置を提供することができる。
本発明に係る混合溶媒の作用機構は、不明であるが、水を含む貧溶媒ではフィル光学フィルムの構成成分であるセルロースエステルの多数のヒドロキシル基(OH基)と、溶媒分子との相互作用が大きく、そのため、セルロースエステルを含む表面近傍微細構造の空隙部分に溶媒分子が浸透・溶解等して表面に凹凸構造が形成されたものと推定される。
一方、メチレンクロライドなどの良溶媒を用いた場合は、水との相溶性が低く、かつ、セルロースエステルに対する溶解作用が大きいため、光学フィルムの構成成分のセルロースエステルを全体的に均一に溶解するのみで凹凸構造が形成されない。
光学フィルムの製造装置の実施形態の一例を示す概略フローシート
本発明の光学フィルムの製造方法は、表面に凹凸構造を有する光学フィルムの製造方法であって、セルロースエステルを含む樹脂フィルム基材に貧溶媒を含む混合溶媒を塗工する工程及び乾燥する工程を有することを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項5までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記貧溶媒が、水とアルコール類の混合溶媒であることが好ましい。また、前記貧溶媒が、水とケトン類の混合溶媒であることも好ましい。さらに、前記混合溶媒塗工を施したフィルムの表面粗さRaと当該前記混合溶媒塗工を施さないフィルムの表面粗さRaが、3nm以上相違することが好ましい。
本発明の光学フィルムの製造方法で製造された光学フィルムは、偏光板や液晶表示装置に好適に用いることができる。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。
(本発明の光学フィルムの製造方法の概要)
本発明の光学フィルムの製造方法は、表面に凹凸構造を有する光学フィルムの製造方法であって、セルロースエステルを含む樹脂フィルム基材に貧溶媒を含む混合溶媒を塗工する工程及び乾燥する工程を有することを特徴とする。
すなわち、本発明において、表面に凹凸構造を形成・付与する手段として、貧溶媒を含む混合溶媒を塗工することを特徴とする。なお、当該貧溶媒のpHは、セルロースエステルフィルム等のアルカリ鹸化処理において用いられる処理液のpHより低く、例えば、25℃において、pH5.5〜7.5の領域内であることが好ましい。
なお、混合溶媒塗工を施したフィルムの表面粗さRaと当該前記混合溶媒塗工を施さないフィルムの表面粗さRaが、3nm以上相違するように調整することが好ましい。当該調整の方法としては、塗工する混合溶媒の溶媒化学種の選択、量、混合組成、溶媒の温度、乾燥温度等の条件の適正化等による方法が好ましい。
例えば、樹脂フィルム基材として、アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂との混合物を用いる場合、40〜60℃に温めたエタノールと純水の割合が50:50〜80:20Vol%の混合溶媒をフィルム表面にスプレー塗工し、その後、110〜150℃の乾燥ゾーンで搬送させながら乾燥することが好ましい。
光学フィルムの製造方法の詳細については、後述する。
(貧溶媒)
本発明の光学フィルムの製造方法は、セルロースエステルを含む樹脂フィルム基材に貧溶媒を含む混合溶媒を塗工する工程及び乾燥する工程を有することを特徴とする。
ここで、貧溶媒とは、下記熱可塑性樹脂の固形分3g相当に、溶解性を測定しようとする溶媒を全量が20gになるように加え、温度25℃にてかきまぜた場合に、にごりが認められたり、増粘、分離が認められたものを、当該試料に対し貧溶媒であるとする。
熱可塑性樹脂が、例えばポリエステル系樹脂又はポリエステルウレタン系樹脂である場合、貧溶媒としては、キシレン、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、イソブタノール、イソプロパノール、エタノール、メタノール、ヘキサン、精製水などを例示することができる。
また、熱可塑性樹脂がアクリル系樹脂である場合、貧溶媒としては、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、イソブタノール、イソプロパノール、エタノール、メタノール、ヘキサン、精製水などを例示することができる。
本発明においては、熱可塑性樹脂に対して貧溶媒は、上記溶媒二種以上を混合して用いることが好ましい。特に、水とアルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール等)の混合溶媒であることが好ましい。また、水とケトン類(アセトン、プロパノン、ブタノン等)の混合溶媒であってもよい。
(樹脂フィルム基材)
本発明に係る樹脂フィルム基材としては、従来公知の種々の樹脂を用いることができるが、熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。ただし、セルロースエステルを必ず含んでいることを要する。
ここで、「熱可塑性樹脂」とは、ガラス転移温度又は融点まで加熱することによって軟らかくなり、目的の形に成形できる樹脂のことをいう。
熱可塑性樹脂としては、一般的汎用樹脂としては、セルロースエステル、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、テフロン(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン、PTFE)、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)、AS樹脂、アクリル樹脂(PMMA)等があり、溶媒に可溶なものを適宜溶解して本発明の方法で処理することが好ましい。
また、強度や壊れにくさを特に要求される場合、ポリアミド(PA)、ナイロン、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE、変性PPE、PPO)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グラスファイバー強化ポリエチレンテレフタレート(GF−PET)、環状ポリオレフィン(COP)等を用いることができる。
さらに高い熱変形温度と長期使用できる特性を要求される場合は、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリスルホン、ポリエーテルサルフォン、非晶ポリアリレート、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)等を用いることができる。
なお、本発明の用途にそって樹脂の種類、分子量の組み合わせを行うことが可能である。
支持体の厚さは、用途に応じて、適宜、適当な厚さを選定することが好ましい。厚さの上限は、特に限定される物ではないが、溶液製膜法でフィルム化する場合は、塗布性、発泡、溶媒乾燥などの観点から、上限は250μm程度である。
樹脂基材は、その全光線透過率が90%以上であることが好ましく、より好ましくは93%以上である。また、現実的な上限としては、99%程度である。かかる全光線透過率にて表される優れた透明性を達成するには、可視光を吸収する添加剤や共重合成分を導入しないようにすることや、ポリマー中の異物を高精度濾過により除去し、フィルム内部の光の拡散や吸収を低減させることが有効である。
以下、本発明において、特に好適な樹脂について詳細な説明をする。
〈セルロースエステル樹脂〉
本発明に用いることができるセルロースエステル樹脂は、セルロース(ジ、トリ)アセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、及びセルロースフタレートから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
これらの中で特に好ましいセルロースエステルは、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートが挙げられる。
混合脂肪酸エステルの置換度として、炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有している場合、アセチル基の置換度をXとし、プロピオニル基又はブチリル基の置換度をYとした時、下記式(I)及び(II)を同時に満たすセルロースエステルを含むセルロース樹脂であることが好ましい。
式(I) 2.0≦X+Y≦3.0
式(II) 0≦X≦2.5
さらに、本発明で用いられるセルロースエステルは、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn比が1.5〜5.5のものが好ましく用いられ、特に好ましくは2.0〜5.0であり、さらに好ましくは2.5〜5.0であり、さらに好ましくは3.0〜5.0のセルロースエステルが好ましく用いられる。
本発明で用いられるセルロースエステルの原料セルロースは、木材パルプでも綿花リンターでもよく、木材パルプは針葉樹でも広葉樹でもよいが、針葉樹の方がより好ましい。製膜の際の剥離性の点からは綿花リンターが好ましく用いられる。これらから作られたセルロースエステルは適宜混合して、或いは単独で使用することができる。
例えば、綿花リンター由来セルロースエステル:木材パルプ(針葉樹)由来セルロースエステル:木材パルプ(広葉樹)由来セルロースエステルの比率が100:0:0、90:10:0、85:15:0、50:50:0、20:80:0、10:90:0、0:100:0、0:0:100、80:10:10、85:0:15、40:30:30で用いることができる。
本発明において、セルロースエステル樹脂は、20mlの純水(電気伝導度0.1μS/cm以下、pH6.8)に1g投入し、25℃、1hr、窒素雰囲気下にて攪拌した時のpHが6〜7、電気伝導度が1〜100μS/cmであることが好ましい。
〈アクリル樹脂〉
本発明に用いることができるアクリル樹脂には、メタクリル樹脂も含まれる。樹脂としては特に制限されるものではないが、メチルメタクリレート単位50〜99質量%、及びこれと共重合可能な他の単量体単位1〜50質量%からなるものが好ましい。
共重合可能な他の単量体としては、アルキル数の炭素数が2〜18のアルキルメタクリレート、アルキル数の炭素数が1〜18のアルキルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和基含有二価カルボン酸、スチレン、α−メチルスチレン、核置換スチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のα,β−不飽和ニトリル、無水マレイン酸、マレイミド、N−置換マレイミド、グルタル酸無水物等が挙げられ、これらは単独で、あるいは2種以上を併用して用いることができる。
これらの中でも、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が好ましく、メチルアクリレートやn−ブチルアクリレートが特に好ましく用いられる。
アクリル樹脂としては、市販のものも使用することができる。例えば、デルペット60N、80N(旭化成ケミカルズ(株)製)、ダイヤナールBR52、BR80、BR83、BR85、BR88(三菱レイヨン(株)製)、KT75(電気化学工業(株)製)等が挙げられる。
〈環状オレフィン樹脂〉
本発明においては、環状オレフィン樹脂を用いることも好ましい。環状オレフィン樹脂としては、ノルボルネン系樹脂、単環の環状オレフィン系樹脂、環状共役ジエン系樹脂、ビニル脂環式炭化水素系樹脂、及び、これらの水素化物等を挙げることができる。これらの中で、ノルボルネン系樹脂は、透明性と成形性が良好なため、好適に用いることができる。
ノルボルネン系樹脂としては、例えば、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体若しくはノルボルネン構造を有する単量体と他の単量体との開環共重合体又はそれらの水素化物、ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体若しくはノルボルネン構造を有する単量体と他の単量体との付加共重合体又はそれらの水素化物等を挙げることができる。
これらの中で、ノルボルネン構造を有する単量体の開環(共)重合体水素化物は、透明性、成形性、耐熱性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性などの観点から、特に好適に用いることができる。
ノルボルネン構造を有する単量体としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、及びこれらの化合物の誘導体(例えば、環に置換基を有するもの)などを挙げることができる。ここで、置換基としては、例えばアルキル基、アルキレン基、極性基などを挙げることができる。また、これらの置換基は、同一又は相異なって複数個が環に結合していてもよい。ノルボルネン構造を有する単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
極性基の種類としては、ヘテロ原子、又はヘテロ原子を有する原子団などが挙げられる。ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、ハロゲン原子などが挙げられる。極性基の具体例としては、カルボキシル基、カルボニルオキシカルボニル基、エポキシ基、ヒドロキシル基、オキシ基、エステル基、シラノール基、シリル基、アミノ基、ニトリル基、スルホン基などが挙げられる。
ノルボルネン構造を有する単量体と開環共重合可能な他の単量体としては、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどのモノ環状オレフィン類及びその誘導体、シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエンなどの環状共役ジエン及びその誘導体などが挙げられる。
ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体及びノルボルネン構造を有する単量体と共重合可能な他の単量体との開環共重合体は、単量体を公知の開環重合触媒の存在下に(共)重合することにより得ることができる。
ノルボルネン構造を有する単量体と付加共重合可能な他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテンなどの炭素数2〜20のα−オレフィン及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセンなどのシクロオレフィン及びこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエンなどの非共役ジエンなどが挙げられる。これらの単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、α−オレフィンが好ましく、エチレンがより好ましい。
ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体及びノルボルネン構造を有する単量体と共重合可能な他の単量体との付加共重合体は、単量体を公知の付加重合触媒の存在下に重合することにより得ることができる。
ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体の水素添加物、ノルボルネン構造を有する単量体とこれと開環共重合可能なその他の単量体との開環共重合体の水素添加物、ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体の水素添加物、及びノルボルネン構造を有する単量体とこれと付加共重合可能なその他の単量体との付加共重合体の水素添加物は、これらの重合体の溶液に、ニッケル、パラジウムなどの遷移金属を含む公知の水素添加触媒を添加し、炭素−炭素不飽和結合を好ましくは90%以上水素添加することによって得ることができる。
ノルボルネン系樹脂の中でも、繰り返し単位として、X:ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジイル−エチレン構造と、Y:トリシクロ[4.3.0.12,5]デカン−7,9−ジイル−エチレン構造とを有し、これらの繰り返し単位の含有量が、ノルボルネン系樹脂の繰り返し単位全体に対して90質量%以上であり、かつ、Xの含有割合とYの含有割合との比が、X:Yの質量比で100:0〜40:60であるものが好ましい。このような樹脂を用いることにより、長期的に寸法変化がなく、光学特性の安定性に優れる光学フィルムを得ることができる。
本発明に用いる環状オレフィン樹脂の分子量は使用目的に応じて適宜選定される。溶媒としてシクロヘキサン(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン)を用いるゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリイソプレン又はポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、通常20,000〜150,000である。好ましくは25,000〜100,000、より好ましくは30,000〜80,000である。重量平均分子量がこのような範囲にあるときに、フィルムの機械的強度及び成型加工性とが高度にバランスされ好適である。
環状オレフィン樹脂のガラス転移温度は、使用目的に応じて適宜選択されればよい。耐久性及び延伸加工性の観点から、好ましくは130〜160℃、より好ましくは135〜150℃の範囲である。
環状オレフィン樹脂の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、緩和時間、生産性等の観点から、1.2〜3.5、好ましくは1.5〜3.0、さらに好ましくは1.8〜2.7である。
本発明に用いる環状オレフィン樹脂は、光弾性係数の絶対値が10×10−12Pa−1以下であることが好ましく、7×10−12Pa−1以下であることがより好ましく、4×10−12Pa−1以下であることが特に好ましい。光弾性係数Cは、複屈折をΔn、応力をσとしたとき、C=Δn/σで表される値である。
本発明において、環状オレフィン樹脂には、実質的に粒子を含まないことが好ましい。ここで、実質的に粒子を含まないとは、環状オレフィン樹脂からなるフィルムへ粒子を添加しても、未添加状態からのヘイズの上昇巾が0.05%以下の範囲である量までは許容できることを意味する。特に、脂環式ポリオレフィン樹脂は、多くの有機粒子や無機粒子との親和性に欠けるため、上記範囲を超えた粒子を添加した環状オレフィン樹脂フィルムを延伸すると、空隙が発生しやすく、その結果として、ヘイズの著しい低下が生じるおそれがある。
〈ポリカーボネート樹脂〉
本発明では、種々の公知のポリカーボネート樹脂も使用することができる。本発明においては、特に芳香族ポリカーボネートを用いることが好ましい。当該芳香族ポリカーボネートについて特に制約はなく、所望するフィルムの諸特性が得られる芳香族ポリカーボネートであれば特に制約はない。
一般に、ポリカーボネートと総称される高分子材料は、その合成手法において重縮合反応が用いられて、主鎖が炭酸結合で結ばれているものを総称するが、これらの内でも、一般に、フェノール誘導体と、ホスゲン、ジフェニルカーボネートらから重縮合で得られるものを意味する。通常、ビスフェノール−Aと呼称されている2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンをビスフェノール成分とする繰り返し単位で表される芳香族ポリカーボネートが好ましく選ばれるが、適宜各種ビスフェノール誘導体を選択することで、芳香族ポリカーボネート共重合体を構成することができる。
かかる共重合成分としてこのビスフェノール−A以外に、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等を挙げることができる。
また、一部にテレフタル酸及び/又はイソフタル酸成分を含む芳香族ポリエステルカーボネートを使用することも可能である。このような構成単位をビスフェノール−Aからなる芳香族ポリカーボネートの構成成分の一部に使用することにより芳香族ポリカーボネートの性質、例えば耐熱性、溶解性を改良することができるが、このような共重合体についても本発明は有効である。
ここで用いられる芳香族ポリカーボネートの粘度平均分子量は、10000以上、200000以下であれば好適に用いられる。粘度平均分子量20000〜120000が特に好ましい。粘度平均分子量が10000より低い樹脂を使用すると得られるフィルムの機械的強度が不足する場合があり、また400000以上の高分子量になるとドープの粘度が大きくなり過ぎ取扱い上問題を生じるので好ましくない。粘度平均分子量は市販の高速液体クロマトグラフィ等で測定することができる。
本発明に係る芳香族ポリカーボネートのガラス転移温度は200℃以上であることが高耐熱性のフィルムを得る上で好ましく、より好ましくは230℃以上である。これらは、上記共重合成分を適宜選択して得ることができる。ガラス転移温度は、DSC装置(示差走査熱量分析装置)にて測定することができ、例えばセイコー電子工業株式会社製:RDC220にて、10℃/分の昇温条件によって求められる、ベースラインが偏奇し始める温度である。
本発明において、上記芳香族ポリカーボネートを含むドープ組成物に用いる溶媒は、メチレンクロライド、及び炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールを4〜14質量部含有する混合溶媒であることが好ましい。
上記炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールの混合量は、好ましくは4〜12質量部である。このような混合溶媒を用い、従来よりも高い残留溶媒濃度でウェブを剥離することにより、ウェブ剥離時の強い静電気の発生を抑制し、これによりベルトが損傷したり、フィルムのスジやムラ、微小傷の発生を防止することができる。
加えるアルコールの種類は用いる溶媒により制限される。アルコールと当該溶媒とが相溶性があることが必要条件である。これらは単独で加えても良いし、2種類以上組み合わせても問題ない。本発明におけるアルコールとしては、炭素数1〜6、好ましくは1〜4、より好ましくは2〜4の鎖状、或いは分岐した脂肪族アルコールが好ましい。具体的にはメタノール、エタノール、イソプロパノール、ターシャリ−ブタノールなどが挙げられる。これらのうちエタノール、イソプロパノール、ターシャリ−ブタノールはほぼ同等の効果が得られるが、メタノールはやや効果が低い。理由は明らかでないが溶媒の沸点、即ち乾燥時の飛び易さが関係しているものと推測している。それ以上の高級アルコールは、高沸点であるためフィルム製膜後も残留しやすくなるので好ましくない。
アルコールの添加量は慎重に選択されなければならない。これらのアルコールは芳香族ポリカーボネートに対する溶解性には全く乏しく、完全な貧溶媒である。従ってあまり多く加えることはできず、満足すべき剥離性が得られる最少量とすべきである。前述したようにメチレンクロライドに対して4〜14質量部、好ましくは4〜12質量部である。メチレンクロライド量に対しては、添加量が4〜14質量部の範囲であると、当該溶媒のポリマーに対する溶解性、ドープ安定性が向上し、剥離性改善の効果が大きくなる。
本発明はドープ組成物中、上記メチレンクロライドと脂肪族アルコールで構成されるが、他の溶媒を使用することもできる。その他残りの溶媒としては芳香族ポリカーボネートを高濃度に溶解し、かつアルコールと相溶性があること、さらに低沸点溶媒であれば特に限定はない。例えば、芳香族ポリカーボネートに対して溶解力のある溶媒として、塩化メチレン以外にクロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン系溶媒、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等の環状エーテル系の溶媒、シクロヘキサノン等のケトン系の溶媒が挙げられる。
他の溶媒を使用する場合は特に限定はなく、効果を勘案して用いればよい。ここでいう効果とは、溶解性や安定性を犠牲にしない範囲で溶媒を混合することによる、たとえば溶液流延法により製膜したフィルムの表面性の改善(レベリング効果)、蒸発速度や系の粘度調節、結晶化抑制効果などである。これらの効果の度合により混合する溶媒の種類や添加量を決定すればよく、また混合する溶媒として1種又は2種以上用いてもかまわない。
好適に用いられる他の溶媒としてはクロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン系溶媒、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、エチレングリコールジメチルエーテル、メトキシエチルアセテートなどのエーテル系溶媒が挙げられる。
本発明に係るドープ組成物は、結果としてヘイズの低い透明な溶液が得られればいかなる方法で調製してもよい。あらかじめある溶媒に溶解させた芳香族ポリカーボネート溶液に、アルコールを所定量添加してもよいし、アルコールを含む混合溶媒に芳香族ポリカーボネートを溶解させてもよい。ただ先にも述べた様にアルコールは貧溶媒であるため、前者の後から添加する方法ではポリマーの析出によるドープ白濁の可能性があるため、後者の混合溶媒に溶解させる方法が好ましい。
〈ポリエステル樹脂〉
本発明において用いることができるポリエステル樹脂は、ジカルボン酸とジオールを重合することにより得られ、ジカルボン酸構成単位(ジカルボン酸に由来する構成単位)の70%以上が芳香族ジカルボン酸に由来し、かつジオール構成単位(ジオールに由来する構成単位)の70%以上が脂肪族ジオールに由来する。
芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位の割合は70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。
脂肪族ジオールに由来する構成単位の割合は70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。ポリエステル樹脂は、2種以上を併用してもよい。
前記芳香族ジカルボン酸として、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸、4,4′−ビフェニルジカルボン酸、3,4′−ビフェニルジカルボン酸等及びこれらのエステル形成性誘導体が例示できる。
ポリエステル樹脂には本発明の目的を損なわない範囲でアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸や安息香酸、プロピオン酸、酪酸等のモノカルボン酸を用いることができる。
前記脂肪族ジオールとして、エチレングリコール、1,3−プロピレンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール等及びこれらのエステル形成性誘導体が例示できる。
ポリエステル樹脂には本発明の目的を損なわない範囲でブチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール等のモノアルコール類や、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類を用いることもできる。
ポリエステル樹脂の製造には、公知の方法である直接エステル化法やエステル交換法を適用することができる。ポリエステル樹脂の製造時に使用する重縮合触媒としては、公知の三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等のアンチモン化合物、酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム化合物、酢酸チタン等のチタン化合物、塩化アルミニウム等のアルミニウム化合物等が例示できるが、これらに限定されない。
好ましいポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−1,4−シクロヘキサンジメチレン−テレフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキレート樹脂、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート−テレフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−テレフタレート−4,4′−ビフェニルジカルボキシレート樹脂、ポリ−1,3−プロピレン−テレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート樹脂等がある。
より好ましいポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−1,4−シクロヘキサンジメチレン−テレフタレート共重合樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂及びポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート樹脂が挙げられる。
ポリエステル樹脂の固有粘度(フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン=60/40質量比混合溶媒中、25℃で測定した値)は、0.7〜2.0dl/gが好ましく、より好ましくは0.8〜1.5dl/gである。固有粘度が0.7以上であるとポリエステル樹脂の分子量が充分に高いために、これを使用して得られるポリエステル樹脂組成物からなる成形物が成形物として必要な機械的性質を有すると共に、透明性が良好となる。固有粘度が2.0以下の場合、成形性が良好となる。
(その他添加剤)
本発明に係る熱可塑性樹脂基材には、目的に応じて種々の化合物等を添加剤として含有させることができる。例えば、可塑剤、酸化防止剤、酸捕捉剤、光安定剤、紫外線吸収剤、光学異方性制御剤、マット剤、帯電防止剤、剥離剤、等を含有させることができる。
前記添加剤の中で、本発明に有効に寄与するのは光学異方性制御剤であり、特にリターデーション上昇剤が光学的に複屈折性を本願目的の平面から斜め方向に発現し易くするため好ましい。リターデーション上昇剤は、少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物が好ましい。芳香族化合物は、樹脂の100質量部に対して、0.01乃至20質量部の範囲で使用することが好ましい。そして、0.05乃至15質量部の範囲で使用することが好ましく、0.1乃至10質量部の範囲で使用することがさらに好ましい。二種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であることが特に好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環及び1,3,5−トリアジン環が含まれる。これらについては、特開2004−109410号、特開2003−344655号、特開2000−275434号、特開2000−111914号、特開平12−275434号公報などに詳細が記載されている。
〈その他添加剤〉
本発明に係る熱可塑性樹脂基材及び当該基材上に設けられた各種機能層には、目的に応じて種々の化合物等を添加剤として含有させることができる。例えば、可塑剤、酸化防止剤、酸捕捉剤、光安定剤、紫外線吸収剤、光学異方性制御剤、マット剤、帯電防止剤、剥離剤、等を含有させることができる。
前記添加剤の中で、本発明に有効に寄与するのは光学異方性制御剤であり、特にリターデーション上昇剤が光学的に複屈折性を本願目的の平面から斜め方向に発現し易くするため好ましい。リターデーション上昇剤は、少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物が好ましい。芳香族化合物は、樹脂の100質量部に対して、0.01乃至20質量部の範囲で使用することが好ましい。そして、0.05乃至15質量部の範囲で使用することが好ましく、0.1乃至10質量部の範囲で使用することがさらに好ましい。二種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であることが特に好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環又は7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることがさらに好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環及び1,3,5−トリアジン環が含まれる。これらについては、特開2004−109410号、特開2003−344655号、特開2000−275434号、特開2000−111914号、特開平12−275434号公報などに詳細が記載されている。
本発明に係る光学フィルムは、作製されたフィルムがハンドリングされる際に、傷が付いたり、搬送性が悪化することを防止するために、マット剤として、微粒子を添加しても良い。
微粒子としては、無機化合物の例として、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等を挙げることができる。微粒子は珪素を含むものが、濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。
微粒子の一次粒子の平均粒径は5〜400nmが好ましく、さらに好ましいのは10〜300nmである。これらは主に粒径0.05〜0.3μmの2次凝集体として含有されていてもよく、平均粒径100〜400nmの粒子であれば凝集せずに一次粒子として含まれていることも好ましい。光学フィルム中のこれらの微粒子の含有量は0.01〜1質量%であることが好ましく、特に0.05〜0.5質量%が好ましい。共流延法による多層構成の光学フィルムの場合は、表面にこの添加量の微粒子を含有することが好ましい。
二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
ポリマーの例として、シリコーン樹脂、フッ素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることができる。シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上東芝シリコーン(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でもアエロジル200V、アエロジルR972Vが光学フィルムのヘイズを低く保ちながら、摩擦係数を下げる効果が大きいため特に好ましく用いられる。本発明の光学フィルムにおいては、少なくとも一方の面の動摩擦係数が0.2〜1.0であることが好ましい。
(光学フィルムの製造方法)
本発明に係る樹脂フィルム基材をフィルムとして製造する方法としては、通常のインフレーション法、T−ダイ法、カレンダー法、切削法、流延法、エマルジョン法、ホットプレス法等の製造法が使用できるが、着色抑制、異物欠点の抑制、ダイラインなどの光学欠点の抑制などの観点から流延法による溶液流延法、溶融流延法が好ましい。
以下、本発明に係る光学フィルムを作製する場合の製造方法について詳述する。
<溶液流延法による光学フィルムの製造方法>
《有機溶媒》
本発明に係る光学フィルムを溶液流延法で製造する場合、ドープを形成するのに有用な有機溶媒は、セルロースエステル樹脂等の熱可塑性樹脂を溶解するものであれば制限なく用いることができる。
例えば、塩素系有機溶媒としては、塩化メチレン、非塩素系有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン、乳酸エチル、乳酸、ジアセトンアルコール等を挙げることができ、塩化メチレン、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン、乳酸エチル等を好ましく使用し得る。
ドープには、上記有機溶媒の他に、1〜40質量%の炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールを含有させてもよい。ドープ中のアルコールの比率が高くなるとウェブがゲル化し、金属支持体からの剥離が容易になり、また、アルコールの割合が少ない時は非塩素系有機溶媒系での熱可塑性樹脂の溶解を促進する役割もある。
特に、メチレンクロライド、及び炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールを含有する溶媒に、熱可塑性樹脂は、少なくとも計10〜45質量%溶解させたドープ組成物であることが好ましい。
炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールを挙げることができる。これらの内ドープの安定性、沸点も比較的低く、乾燥性もよいこと等からエタノールが好ましい。
以下、本発明に係る光学フィルム(以下、単に「フィルム」ともいう。)の好ましい製膜方法について説明する。
1)溶解工程
熱可塑性樹脂に対する良溶媒を主とする有機溶媒に、溶解釜中で熱可塑性樹脂、その他の添加剤を攪拌しながら溶解しドープを形成する工程である。
熱可塑性樹脂の溶解には、常圧で行う方法、主溶媒の沸点以下で行う方法、主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、特開平9−95544号公報、特開平9−95557号公報、又は特開平9−95538号公報に記載の如き冷却溶解法で行う方法、特開平11−21379号公報に記載の如き高圧で行う方法等種々の溶解方法を用いることができるが、特に主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法が好ましい。
返材とは、フィルムを細かく粉砕した物で、フィルムを製膜するときに発生する、フィルムの両サイド部分を切り落とした物や、擦り傷などでスペックアウトしたフィルム原反のことをいい、これも再使用される。
2)流延工程
ドープを、送液ポンプ(例えば、加圧型定量ギヤポンプ)を通して加圧ダイに送液し、無限に移送する無端の金属ベルト、例えばステンレスベルト、あるいは回転する金属ドラム等の金属支持体上の流延位置に、加圧ダイスリットからドープを流延する工程である。
ダイの口金部分のスリット形状を調整でき、膜厚を均一にし易い加圧ダイが好ましい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等があり、いずれも好ましく用いられる。金属支持体の表面は鏡面となっている。製膜速度を上げるために加圧ダイを金属支持体上に2基以上設け、ドープ量を分割して重層してもよい。あるいは複数のドープを同時に流延する共流延法によって積層構造のフィルムを得ることも好ましい。
3)溶媒蒸発工程
ウェブ(流延用支持体上にドープを流延し、形成されたドープ膜をウェブと呼ぶ)を流延用支持体上で加熱し、溶媒を蒸発させる工程である。
溶媒を蒸発させるには、ウェブ側から風を吹かせる方法及び/又は支持体の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があるが、裏面液体伝熱方法の乾燥効率が良く好ましい。又、それらを組み合わせる方法も好ましく用いられる。流延後の支持体上のウェブを40〜100℃の雰囲気下、支持体上で乾燥させることが好ましい。40〜100℃の雰囲気下に維持するには、この温度の温風をウェブ上面に当てるか赤外線等の手段により加熱することが好ましい。
面品質、透湿性、剥離性の観点から、30〜120秒以内で該ウェブを支持体から剥離することが好ましい。
4)剥離工程
金属支持体上で溶媒が蒸発したウェブを、剥離位置で剥離する工程である。剥離されたウェブは次工程に送られる。
金属支持体上の剥離位置における温度は好ましくは10〜40℃であり、さらに好ましくは11〜30℃である。
なお、剥離する時点での金属支持体上でのウェブの剥離時残留溶媒量は、乾燥の条件の強弱、金属支持体の長さ等により50〜120質量%の範囲で剥離することが好ましいが、残留溶媒量がより多い時点で剥離する場合、ウェブが柔らか過ぎると剥離時平面性を損ね、剥離張力によるツレや縦スジが発生し易いため、経済速度と品質との兼ね合いで剥離時の残留溶媒量が決められる。
ウェブの残留溶媒量は下記式で定義される。
残留溶媒量(%)=(ウェブの加熱処理前質量−ウェブの加熱処理後質量)/(ウェブの加熱処理後質量)×100
なお、残留溶媒量を測定する際の加熱処理とは、115℃で1時間の加熱処理を行うことを表す。
金属支持体とフィルムを剥離する際の剥離張力は、通常、196〜245N/mであるが、剥離の際に皺が入り易い場合、190N/m以下の張力で剥離することが好ましく、さらには、剥離できる最低張力〜166.6N/m、次いで、最低張力〜137.2N/mで剥離することが好ましいが、特に好ましくは最低張力〜100N/mで剥離することである。
本発明においては、当該金属支持体上の剥離位置における温度を−50〜40℃とするのが好ましく、10〜40℃がより好ましく、15〜30℃とするのが最も好ましい。
5)乾燥及び延伸工程
剥離後、ウェブを乾燥装置内に複数配置したロールに交互に通して搬送する乾燥装置35、及び/又はクリップでウェブの両端をクリップして搬送するテンター延伸装置34を用いて、ウェブを乾燥する。
乾燥手段はウェブの両面に熱風を吹かせるのが一般的であるが、風の代わりにマイクロウェーブを当てて加熱する手段もある。余り急激な乾燥はでき上がりのフィルムの平面性を損ね易い。高温による乾燥は残留溶媒が8質量%以下くらいから行うのがよい。全体を通し、乾燥は概ね40〜250℃で行われる。特に40〜160℃で乾燥させることが好ましい。
テンター延伸装置を用いる場合は、テンターの左右把持手段によってフィルムの把持長(把持開始から把持終了までの距離)を左右で独立に制御できる装置を用いることが好ましい。また、テンター工程において、平面性を改善するため意図的に異なる温度を持つ区画を作ることも好ましい。
また、異なる温度区画の間にそれぞれの区画が干渉を起こさないように、ニュートラルゾーンを設けることも好ましい。
なお、延伸操作は多段階に分割して実施してもよく、流延方向、幅手方向に二軸延伸を実施することも好ましい。また、二軸延伸を行う場合には同時二軸延伸を行ってもよいし、段階的に実施してもよい。
この場合、段階的とは、例えば、延伸方向の異なる延伸を順次行うことも可能であるし、同一方向の延伸を多段階に分割し、かつ異なる方向の延伸をそのいずれかの段階に加えることも可能である。即ち、例えば、次のような延伸ステップも可能である。
・流延方向に延伸−幅手方向に延伸−流延方向に延伸−流延方向に延伸
・幅手方向に延伸−幅手方向に延伸−流延方向に延伸−流延方向に延伸
また、同時2軸延伸には、一方向に延伸し、もう一方を、張力を緩和して収縮させる場合も含まれる。同時2軸延伸の好ましい延伸倍率は幅手方向、長手方向ともに×1.01倍〜×1.5倍の範囲でとることができる。
テンターを行う場合のウェブの残留溶媒量は、テンター開始時に20〜100質量%であるのが好ましく、かつウェブの残留溶媒量が10質量%以下になる迄テンターを掛けながら乾燥を行うことが好ましく、さらに好ましくは5質量%以下である。
テンターを行う場合の乾燥温度は、30〜160℃が好ましく、50〜150℃がさらに好ましく、70〜140℃が最も好ましい。
テンター工程において、雰囲気の幅手方向の温度分布が少ないことが、フィルムの均一性を高める観点から好ましく、テンター工程での幅手方向の温度分布は、±5℃以内が好ましく、±2℃以内がより好ましく、±1℃以内が最も好ましい。
6)巻き取り工程
ウェブ中の残留溶媒量が2質量%以下となってからフィルムとして巻き取り機37により巻き取る工程であり、残留溶媒量を0.4質量%以下にすることにより寸法安定性の良好なフィルムを得ることができる。特に0.00〜0.10質量%で巻き取ることが好ましい。
巻き取り方法は、一般に使用されているものを用いればよく、定トルク法、定テンション法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等があり、それらを使いわければよい。
本発明に係るフィルムは、長尺フィルムであることが好ましく、具体的には、100m〜5000m程度のものを示し、通常、ロール状で提供される形態のものである。また、フィルムの幅は1.3〜4mであることが好ましく、1.4〜2mであることがより好ましい。
本発明に係るフィルムの膜厚に特に制限はないが、20〜200μmであることが好ましく、25〜150μmであることがより好ましく、30〜120μmであることが特に好ましい。
<溶融流延製膜法による光学フィルムの製造方法>
本発明に係る樹脂フィルム基材を、光学フィルムとして、溶融流延製膜法により製造する場合の方法について説明する。
〈溶融ペレット製造工程〉
溶融押出に用いる熱可塑性樹脂フィルムを構成する組成物は、通常あらかじめ混錬してペレット化しておくことが好ましい。
ペレット化は、公知の方法でよく、例えば、乾燥した熱可塑性樹脂と目的に応じて添加剤をフィーダーで押出機に供給し1軸や2軸の押出機を用いて混錬し、ダイからストランド状に押出し、水冷又は空冷し、カッティングすることでできる。
原材料は、押出する前に乾燥しておくことが原材料の分解を防止する上で重要である。特にセルロースエステルは吸湿しやすいので、除湿熱風乾燥機や真空乾燥機で70〜140℃で3時間以上乾燥し、水分率を200ppm以下、さらに100ppm以下にしておくことが好ましい。
添加剤は、押出機に供給押出機合しておいてもよいし、それぞれ個別のフィーダーで供給してもよい。酸化防止剤等少量の添加剤は、均一に混合するため、こと前に混合しておくことが好ましい。
酸化防止剤の混合は、固体同士で混合してもよいし、必要により、酸化防止剤を溶剤に溶解しておき、熱可塑性樹脂に含浸させて混合してもよく、あるいは噴霧して混合してもよい。
真空ナウターミキサーなどが乾燥と混合を同時にできるので好ましい。また、フィーダー部やダイからの出口など空気と触れる場合は、除湿空気や除湿したNガスなどの雰囲気下にすることが好ましい。
押出機は、せん断力を抑え、樹脂が劣化(分子量低下、着色、ゲル生成等)しないようにペレット化可能でなるべく低温で加工することが好ましい。例えば、2軸押出機の場合、深溝タイプのスクリューを用いて、同方向に回転させることが好ましい。混錬の均一性から、噛み合いタイプが好ましい。
以上のようにして得られたペレットを用いてフィルム製膜を行う。ペレット化せず、原材料の粉末をそのままフィーダーで押出機に供給し、そのままフィルム製膜することも可能である。
〈溶融混合物をダイから冷却ロールへ押し出す工程〉
まず、作製したペレットを1軸や2軸タイプの押出機を用いて、押し出す際の溶融温度Tmを200〜300℃程度とし、リーフディスクタイプのフィルターなどでろ過し異物を除去した後、Tダイからフィルム状に共押出し、冷却ロール上で固化し、弾性タッチロールと押圧しながら流延する。
供給ホッパーから押出機へ導入する際は真空下又は減圧下や不活性ガス雰囲気下にして酸化分解等を防止することが好ましい。なお、Tmは、押出機のダイ出口部分の温度である。
ダイに傷や可塑剤の凝結物等の異物が付着するとスジ状の欠陥が発生する場合がある。このような欠陥のことをダイラインとも呼ぶが、ダイライン等の表面の欠陥を小さくするためには、押出機からダイまでの配管には樹脂の滞留部が極力少なくなるような構造にすることが好ましい。ダイの内部やリップにキズ等が極力無いものを用いることが好ましい。
押出機やダイなどの溶融樹脂と接触する内面は、表面粗さを小さくしたり、表面エネルギーの低い材質を用いるなどして、溶融樹脂が付着し難い表面加工が施されていることが好ましい。具体的には、ハードクロムメッキやセラミック溶射したものを表面粗さ0.2S以下となるように研磨したものが挙げられる。
本発明において冷却ロールには特に制限はないが、高剛性の金属ロールで内部に温度制御可能な熱媒体又は冷媒体が流れるような構造を備えるロールであり、大きさは限定されないが、溶融押し出されたフィルムを冷却するのに十分な大きさであればよく、通常冷却ロールの直径は100mmから1m程度である。
冷却ロールの表面材質は、炭素鋼、ステンレス、アルミニウム、チタンなどが挙げられる。さらに表面の硬度を上げたり、樹脂との剥離性を改良するため、ハードクロムメッキや、ニッケルメッキ、非晶質クロムメッキなどや、セラミック溶射等の表面処理を施すことが好ましい。
冷却ロール表面の表面粗さは、Raで0.1μm以下とすることが好ましく、さらに0.05μm以下とすることが好ましい。ロール表面が平滑であるほど、得られるフィルムの表面も平滑にできるのである。もちろん表面加工した表面はさらに研磨し上述した表面粗さとすることが好ましい。
本発明において、弾性タッチロールとしては、特開平03−124425号、特開平08−224772号、特開平07−100960号、特開平10−272676号、WO97/028950号、特開平11−235747号、特開2002−36332号、特開2005−172940号や特開2005−280217号公報に記載されているような表面が薄膜金属スリーブ被覆シリコンゴムロールを使用することができる。
冷却ロールからフィルムを剥離する際は、張力を制御してフィルムの変形を防止することが好ましい。
〈延伸工程〉
本発明では、上記のようにして得られたフィルムは冷却ロールに接する工程を通過後、さらに少なくとも1方向に1.01〜3.0倍延伸することもできる。
好ましくは縦(フィルム搬送方向)、横(巾方向)両方向にそれぞれ1.1〜2.0倍延伸することが好ましい。
延伸する方法は、公知のロール延伸機やテンターなどを好ましく用いることができる。特に光学フィルムが、偏光板保護フィルムを兼ねる場合は、延伸方向を巾方向とすることで偏光フィルムとの積層がロール形態でできるので好ましい。
巾方向に延伸することで光学フィルムの遅相軸は巾方向になる。
通常、延伸倍率は1.1〜3.0倍、好ましくは1.2〜1.5倍であり、延伸温度は、通常、フィルムを構成する樹脂のTg〜Tg+50℃、好ましくはTg〜Tg+50℃の温度範囲で行われる。
延伸は、長手方向もしくは幅手方向で制御された均一な温度分布下で行うことが好ましい。好ましくは±2℃以内、さらに好ましくは±1℃以内、特に好ましくは±0.5℃以内である。
上記の方法で作製したフィルム状樹脂フィルムを光学フィルムとして用いる場合、当該光学フィルムのリターデーション調整や寸法変化率を小さくする目的で、フィルムを長手方向や幅手方向に収縮させてもよい。
長手方向に収縮するには、例えば、巾延伸を一時クリップアウトさせて長手方向に弛緩させる、又は横延伸機の隣り合うクリップの間隔を徐々に狭くすることによりフィルムを収縮させるという方法がある。
遅相軸方向の均一性も重要であり、フィルム巾方向に対して、角度が−5〜+5°であることが好ましく、さらに−1〜+1°の範囲にあることが好ましく、特に−0.5〜+0.5°の範囲にあることが好ましく、特に−0.1〜+0.1°の範囲にあることが好ましい。これらのばらつきは延伸条件を最適化することで達成できる。
本発明の光学フィルムは、長尺フィルムであることが好ましく、具体的には、100m〜5000m程度のものを示し、通常、ロール状で提供される形態のものである。また、フィルムの幅は1.3〜4mであることが好ましく、1.4〜2mであることがより好ましい。
本発明に係るフィルム状樹脂フィルムの膜厚に特に制限はなく、目的に応じて変化させることが好ましい。例えば、偏光板保護フィルムに使用する場合は、20〜200μmであることが好ましく、25〜150μmであることがより好ましく、30〜120μmであることが特に好ましい。
〈熱可塑性樹脂支持体フィルムの製造装置〉
図1は、本発明に係る光学フィルムの製造装置の一例の全体構成を示す概略フローシートである。図1において、光学フィルムの製造方法は、熱可塑性樹脂等のフィルム材料を混合した後、押出し機1を用いて、流延ダイ4から第1冷却ロール5上に溶融押し出し、第1冷却ロール5に外接させるとともに、さらに、第2冷却ロール7、第3冷却ロール8の合計3本の冷却ロールに順に外接させて、冷却固化してフィルム10とする。次いで、剥離ロール9によって剥離したフィルム10を、次いで延伸装置12によりフィルムの両端部を把持して幅方向に延伸した後、巻取り装置16により巻き取る。また、平面性を矯正するために溶融フィルムを第1冷却ロール5表面に挟圧するタッチロール6が設けられている。このタッチロール6は表面が弾性を有し、第1冷却ロール5との間でニップを形成している。
本発明において、製造装置には、ベルト及びロールを自動的に清掃する装置を付加させることが好ましい。清掃装置については特に限定はないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール、粘着ロール、ふき取りロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、レーザーによる焼却装置、あるいはこれらの組み合わせなどがある。
清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラ線速度を変えると清掃効果が大きい。
(機能性層)
光学フィルム製造に際し、延伸の前及び/又は後で帯電防止層、反射防止層、易滑性層、易接着層、防眩層、バリアー層、光学補償層等の機能性層を塗設してもよい。この際、コロナ放電処理、プラズマ処理、薬液処理等の各種表面処理を必要に応じて施すことができる。
(偏光板)
本発明に係る光学フィルムを偏光板用保護フィルムとして用いる場合、偏光板は一般的な方法で作製することができる。本発明に係る光学フィルムの裏面側に粘着層を設け、沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の少なくとも一方の面に、貼り合わせることが好ましい。
もう一方の面には本発明の光学フィルムを用いても、別の偏光板保護フィルムを用いてもよい。例えば、市販のセルロースエステルフィルム(例えば、コニカミノルタタック KC8UX、KC4UX、KC5UX、KC8UY、KC4UY、KC12UR、KC8UCR−3、KC8UCR−4、KC8UCR−5、KC8UE、KC4UE、KC4FR−3、KC4FR−4、KC4HR−1、KC8UY−HA、KC8UX−RHA、以上コニカミノルタオプト(株)製)等が好ましく用いられる。
偏光板の主たる構成要素である偏光子とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光子は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムで、これはポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがある。
偏光子は、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが用いられている。
上記粘着層に用いられる粘着剤としては、粘着層の少なくとも一部分において25℃での貯蔵弾性率が1.0×10〜1.0×10Paの範囲である粘着剤が用いられていることが好ましく、粘着剤を塗布し、貼り合わせた後に種々の化学反応により高分子量体または架橋構造を形成する硬化型粘着剤が好適に用いられる。
具体例としては、例えば、ウレタン系粘着剤、エポキシ系粘着剤、水性高分子−イソシアネート系粘着剤、熱硬化型アクリル粘着剤等の硬化型粘着剤、湿気硬化ウレタン粘着剤、ポリエーテルメタクリレート型、エステル系メタクリレート型、酸化型ポリエーテルメタクリレート等の嫌気性粘着剤、シアノアクリレート系の瞬間粘着剤、アクリレートとペルオキシド系の2液型瞬間粘着剤等が挙げられる。
上記粘着剤としては一液型であっても良いし、使用前に二液以上を混合して使用する型であっても良い。
また、上記粘着剤は有機溶剤を媒体とする溶剤系であってもよいし、水を主成分とする媒体であるエマルジョン型、コロイド分散液型、水溶液型などの水系であってもよいし、無溶剤型であってもよい。上記粘着剤液の濃度は、粘着後の膜厚、塗布方法、塗布条件等により適宜決定されれば良く、通常は0.1〜50質量%である。
(液晶表示装置)
本発明に係る光学フィルムを貼合した偏光板を液晶表示装置に組み込むことによって、種々の視認性に優れた液晶表示装置を作製することができるが、特に大型の液晶表示装置やデジタルサイネージ等の屋外用途の液晶表示装置に好ましく用いられる。本発明に係る偏光板は、前記粘着層等を介して液晶セルに貼合する。
本発明に係る偏光板は反射型、透過型、半透過型LCDまたはTN型、STN型、OCB型、HAN型、VA型(PVA型、MVA型)、IPS型(FFS方式も含む)等の各種駆動方式のLCDで好ましく用いられる。特にVA型の画面が30型以上、特に30型〜54型の大画面の表示装置では、画面周辺部での白抜け等もなく、その効果が長期間維持される。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔光学フィルムの作製〕
〈実施例1:光学フィルム1の作製〉
(ドープ液組成1)
ダイヤナールBR85(三菱レイヨン(株)製) 70質量部
セルロースエステル(セルロースアセテートプロピオネート アシル基総置換度2.75、アセチル基置換度0.19、プロピオニル基置換度2.56、Mw=200000) 30質量部
メチレンクロライド 300質量部
エタノール 40質量部
上記組成物を、加熱しながら十分に溶解し、ドープ液を作製した。
(製膜)
上記作製したドープ液を、ベルト流延装置を用い、温度22℃、2m幅でステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体で、残留溶剤量が100%になるまで溶媒を蒸発させ、剥離張力162N/mでステンレスバンド支持体上から剥離した。
剥離したアクリル樹脂とセルロースエステル樹脂の混合物が相溶したウェブを35℃で溶媒を蒸発させ、1.6m幅にスリットし、その後、テンターで幅方向に1.1倍に延伸しながら、135℃の乾燥温度で乾燥させた。このときテンターで延伸を始めたときの残留溶剤量は10%であった。
テンターで延伸後、130℃で5分間緩和を行った後に、50℃に温めたエタノールと純水の割合が60:40Vol%の混合溶媒をフィルム表面にスプレー塗工した。120℃及び140℃の乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させ、1.5m幅にスリットし、フィルム両端に幅10mm高さ5μmのナーリング加工を施し、初期張力220N/m、終張力110N/mで内径15.24cmコアに巻き取り、アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂の混合物が相溶した樹脂フィルムである光学フィルム1を得た。
ステンレスバンド支持体の回転速度とテンターの運転速度から算出されるMD方向の延伸倍率は1.1倍であった。
表1に記載の光学フィルム1の残留溶剤量は0.1%であり、膜厚は60μm、巻長は5000mであった。
(実施例2:光学フィルム2の作製)
〈主ドープ液の組成〉
メチレンクロライド 340質量部
エタノール 64質量部
セルロースエステル(セルロースアセテートプロピオネート アシル基総置換度2.46、アセチル基置換度1.58、プロピオニル基置換度0.88、Mw=200000) 100質量部
モノペットSB (第一工業製薬製) 10質量部
以上を密閉容器に投入し、攪拌しながら溶解してドープ液を調製した。次いで、無端ベルト流延装置を用い、ドープ液を温度33℃、1500mm幅でステンレスベルト支持体上に均一に流延した。ステンレスベルトの温度は50℃に制御した。
ステンレスベルト支持体上で、流延(キャスト)したフィルム中の残留溶媒量が75%になるまで溶媒を蒸発させ、次いで剥離張力70N/mで、ステンレスベルト支持体上から剥離した。
剥離直後に50℃に温めたエタノールと純水の割合が80:20Vol%の混合溶媒をフィルム表面にスプレー塗工した。
貧溶媒の混合溶媒を表面に塗られたセルロースエステルフィルムを、155℃の熱をかけながらテンターを用いて、幅方向に37%延伸した。延伸開始時の残留溶媒は15%であった。
次いで、乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させた。乾燥温度は120℃で、搬送張力は90N/mとした。
以上のようにして、乾燥膜厚50μmのセルロースエステルフィルムを得た。
(実施例3:光学フィルム3作製)
セルロースエステルA(リンター綿から合成されたセルローストリアセテート、アセチル基置換度2.92、Mw=290000) 100質量部
添加剤AC1((メタ)アクリル系共重合体 10質量部
メチレンクロライド 430質量部
エタノール 40質量部
以上を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら、完全に溶解した。
次いで、ベルト流延装置を用い、温度35℃、2.0m幅でステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体で、残留溶剤量が100%になるまで溶剤を蒸発させ、ステンレスバンド支持体101上から剥離した。剥離したセルロースエステルフィルムのウェブを35℃で溶剤を蒸発させ、1.80m幅にスリットし、その後、テンターでTD方向(フィルムの搬送方向と直交する方向)に1.4倍に延伸しながら、135℃の乾燥温度で乾燥させた。このときテンターで延伸を始めたときの残留溶剤量は20%であった。また、TD延伸時の最大応力は10MPaであった。
その後、50℃に温めたアセトンと純水の割合が70:30Vol%の混合溶媒をフィルム表面にスプレー塗工したした後に、120℃の乾燥装置内を多数のロールで搬送させながら15分間乾燥させた後、1.7m幅にスリットし、フィルム両端に幅15mm、高さ10μmのナーリング加工を施し、巻芯に巻き取り、光学フィルム3を得た。光学フィルムの残留溶剤量は0.2%であり、膜厚は60μm、巻数は6000mであった。
(実施例4:光学フィルム4)
セルロースエステルの置換度を2.4に変更して、アセトン/水混合溶媒をテンターに延伸する前に塗工したこと以外は光学フィルム3と同様の方法でフィルムを作製した。
光学フィルムの残留溶剤量は0.2%であり、膜厚は40μm、巻数は7000mであった。
(比較例1)
実施例3で調製したドープ液に下記二酸化珪素分散液(マット剤分散液)を添加した。
(二酸化珪素分散液の調製)
アエロジル972V(日本アエロジル(株)製) 10質量部
(一次粒子の平均径16nm、見掛け比重90g/リットル)
エタノール 90質量部
以上をディゾルバーで30分間撹拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。二酸化珪素分散液に88質量部のメチレンクロライドを撹拌しながら投入し、ディゾルバーで30分間撹拌混合し、二酸化珪素分散希釈液を作製した。微粒子分散希釈液濾過器(アドバンテック東洋(株):ポリプロピレンワインドカートリッジフィルターTCW−PPS−1N)で濾過した。
上記作製した二酸化珪素分散液をドープに添加し、混合溶媒の塗工なしで実施例3と同じように製膜した。巻膜厚は60μm、巻数は3000mであった。
(比較例2)
実施例1で作製したドープ液にフィルムにSBR(スチレン−ブタジエンゴム)粒子を1%添加して、混合溶媒の塗工なしで、実施例1と同じように光学フィルムを作製した。膜厚は60μm、巻長は4000mであった。
(比較例3)
実施例3のドープ液と同様の材料を用いて作製したウェブをステンレスベルトから剥離直後に凹凸のついたロールに押しあてて剥離することで光学フィルムを作製した。
膜厚は60μm、巻長は4000mであった。しかし、凹凸ロールに剥離残りが大量に発生し、均一なフィルム及び生産性の低下に結びついた。
(比較例4)
実施例3でドープ組成物の溶媒量を下記のように変更して製膜することで多孔質フィルムを作製した。
メチレンクロライド 330質量部
エタノール 140質量部
膜厚は80μm、巻長は1000mであった。
(比較例5)
貧溶媒(混合溶媒)の塗工をしない点以外は、実施例2と同様の方法で作製した光学フィルムに良溶媒であるメチレンクロライドを塗工した。フィルムは溶解して凹凸構造は発現しなかった。
《評価》
(表面粗さRaの測定)
測定はZYGO社製 New View5010を用いて、20μm×20μmの面積のフィルムを5枚の各々について、下記測定条件にて10カ所測定し、これらのデータの平均値をRa定義した。
測定条件
対物レンズ:50倍
中間レンズズーム:1倍
カメラ解像度:320×240 30Hz
Scan length:5μm(5sec)
最小変調許容値(min mod):7%
(透明性)
(全ヘイズ:透明性評価)
上記作製した各々のフィルム試料について、23℃、55%RHの空調室で24時間調湿した試料1枚をJIS K−7136に従って、ヘイズメーター(NDH2000型、日本電色工業(株)製)を使用してヘイズを測定し、透明性を評価した。
(表面ヘイズ%:表面性評価)
本発明の光学フィルムの表面ヘイズは、以下の手順で測定し、下記基準に基づき評価した。
(1)前述の通り全ヘイズ(H)を測定する。
(2)本発明の光学フィルムの表面に、片面にアクリル系粘着剤が塗布された粘着剤付ポリエチレンテレフタレートフィルムを貼り付け、貼付けたもの全体について、全ヘイズ値H0(%)を測定する。
(3)別途、アクリル系粘着剤が塗布された粘着剤付ポリエチレンテレフタレートフィルムのみの全ヘイズ値Htを測定し、先に測定したH0からHtを引いた値を内部ヘイズ値Hiとした。(Hi=H0−Ht(%))
(4)上記(1)で測定した全ヘイズ(H)から上記(3)で算出した内部ヘイズ(Hi)を引いた値をフィルムの表面ヘイズ(Hs)として算出する。(Hs=H−Hi(%))
○:90%以上
△:80%以上90%未満
×:80%未満
<偏光板および液晶表示装置の作製>
〈偏光板の作製〉
上記で得た各光学フィルムを偏光板保護フィルムとした偏光板を、以下のようにして作製した。
厚さ120μmの長尺ロールポリビニルアルコールフィルムを、沃素1質量部、ホウ酸4質量部を含む水溶液100質量部に浸漬し、50℃で5倍に搬送方向に延伸して偏光子を作製した。
次に、この偏光子の片面にポリビニルアルコール系接着剤を用いて、上記光学フィルムを貼合した。
さらに、偏光子のもう一方の面に1NのKOH溶液で45℃30秒のけん化条件でアルカリけん化処理した位相差フィルムであるコニカミノルタタックKC8UCR−5(コニカミノルタオプト(株)製)を貼り合わせ、乾燥して各種偏光板を作製した。
(偏光子密着性)
作製した各種偏光板を5cm×5cmの大きさの正方形に断裁し、23℃、55%RHの雰囲気下に24時間放置し、その後、角の部分から偏光子とフィルムの界面で剥がす。この作業を一種類のサンプルについて10枚の偏光板で行い、偏光子とフィルムの間で剥がれが見られた偏光板の枚数を数え、下記基準に基づき評価した。なお、偏光子密着性は○レベルであることが好ましい。
○:剥がれが見られない
△:1〜2枚
×:3枚以上
〈液晶表示装置の作製〉
上記作製した各偏光板を使用して、光学フィルムの表示特性評価を行った。
シャープ(株)製32型テレビAQ−32AD5の予め貼合されていた両面の偏光板を剥がして、上記作製した偏光板をそれぞれ本発明の光学フィルムが液晶セルのガラス面側になるように、かつ、予め貼合されていた偏光板と同一の方向に吸収軸が向くように貼合し、液晶表示装置を各々作製した。
その後、23℃、55%RHの環境下において、バックライトを12時間連続点灯し、全面黒表示状態を暗室にて目視で観察して、光漏れを評価した。
(光漏れ防止性)
黒表示時の光漏れを目視で下記基準により評価した。△以上であれば、実用上問題はない。
○:光漏れがまったくない
△:弱い光漏れが1〜2箇所ある
×:強い光漏れが1〜2箇所ある
以上の評価結果を表1にまとめて示す。
Figure 2011232429
表1に示す結果から明らかなように、本発明に係る光学フィルムの透明性、偏光子密着性、光漏れ防止性は、比較例に比べ優れていることが分かる。
すなわち、表面に凹凸構造を有しているにも拘わらず透明性が高い上に、接着性に優れた長尺の光学フィルムを、マット剤等の添加剤を用いることなく、高い生産性で、製造することができる光学フィルムの製造方法を提供することができることが分かる。また、当該光学フィルムが具備された偏光板及び液晶表示装置を提供することができることが分かる。
1 押出し機
2 フィルター
3 スタチックミキサー
4 流延ダイ
5 回転支持体(第1冷却ロール)
6 挟圧回転体(タッチロール)
7 回転支持体(第2冷却ロール)
8 回転支持体(第3冷却ロール)
9 剥離ロール
10 フィルム
11、13、14 搬送ロール
12 延伸機
15 スリッター
16 巻き取り機
F 樹脂フィルム

Claims (6)

  1. 表面に凹凸構造を有する光学フィルムの製造方法であって、セルロースエステルを含む樹脂フィルム基材に貧溶媒を含む混合溶媒を塗工する工程及び乾燥する工程を有することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  2. 前記貧溶媒が、水とアルコール類の混合溶媒であることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
  3. 前記貧溶媒が、水とケトン類の混合溶媒であることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
  4. 前記混合溶媒塗工を施したフィルムの表面粗さRaと当該前記混合溶媒塗工を施さないフィルムの表面粗さRaが、3nm以上相違することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法で製造された光学フィルムが具備されていることを特徴とする偏光板。
  6. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法で製造された光学フィルムが具備されていることを特徴とする液晶表示装置。
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