JPWO2011149025A1 - 経口用体温上昇剤 - Google Patents

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Abstract

ヨモギ属植物又はその処理物を有効成分として含有する経口用体温上昇剤。

Description

本発明は、経口用の体温上昇剤、新陳代謝促進剤及び免疫機能増強剤に関するものである。
身体を温める手段として、手足のマッサージ等や市販の温湿布等の使用により血行を促進する方法、アルコール飲料等を摂取する方法、温かい飲食物の摂取等により体内に熱を取り込む方法、さらに、体温を上昇させると云われているトウガラシ、ショウガ等を摂取する等が知られている。しかながら、これらの方法では、使用直後には一時的に血行が促進され、身体の温まり感が得られるが、その効果は持続しない。このため、十分な身体の温まり感をもたらす体温上昇剤が求められていた。
また、一般に、冷え性には様々な原因が考えられているが、主な原因として血流の低下、自律神経のバランスの乱れ等の体熱産生量の低下、疾患、ホルモンの影響、体質、生活習慣等が挙げられている。冷え症等により体温が低くなると、新陳代謝が低下する、腰痛、肩こりが起こる等の問題がある。また、身体が冷えると体内の温度が低下し、例えば腸内温度が低下する。腸内温度の低下は、腸のぜん動運動を低下させるため便秘の原因となり、さらに、腸内の悪玉菌が増加するため健康に悪影響を及ぼすことが知られている。さらに、体温の低下は免疫機能を低下させる。このため、体温を上昇させて冷え症を改善するための手段が切望されている。
ヨモギ(別名カズザキヨモギ、(Artemisia princeps Pampan.))等のヨモギ属(Artemisia)植物は、山野に自生するキク科の一年周期の多年草である。ヨモギ属植物は、従来から食用として広く使用されている他、漢方薬にも使用されている。民間療法でもヨモギ属植物が使用されることがあり、高血圧、咳、腎臓病、神経痛、リウマチ、腰痛、頭痛、熱、癌、白血病等に効果があるといわれている。また、特許文献1には、ヨモギ抽出物組成物が血糖上昇抑制作用を有することが開示されている。
しかしながら、ヨモギ属植物を経口摂取した場合の体温上昇効果について、科学的に検証された例はなく、実際の効果は不明である。
特開2004−67600号公報
本発明は、持続的に体温を上昇させることができ、かつ副作用が少なく安全性が高い経口用の体温上昇剤、及び、体温を上昇させることにより新陳代謝を促進したり、免疫機能を増強させたりする手段を提供することを目的とする。本発明はまた、冷え症を予防又は改善する手段も提供する。
本発明者らは、上記現状に鑑み鋭意研究した結果、ヨモギ属植物の葉の粉砕物を経口摂取すると、体温が上昇すること、特に腹部等の体幹部の温度が有意に上昇することを見出した。ヨモギ属植物を摂取した場合に体温が上昇することを実証した報告はなく、ヨモギ属植物がこのように優れた体温上昇作用を有することは、驚くべき知見であった。本発明者らはまた、ヨモギ属植物の体温上昇作用には持続性があることも見出した。体温が上昇すると、新陳代謝が促進される。また、体温が上昇すると、免疫機能が増強される(2011年3月26日の日本経済新聞朝刊に掲載された、「平熱が低い現代人」平石貴久著)。このため、本発明者らはさらに、体温上昇作用により、新陳代謝を促進できること、免疫機能を増強させることができること、低体温症、冷え症等の症状を改善できること、さらに腸内温度を上昇させることができるため便秘等の症状も改善できることに想到した。
本発明者らは、これらの知見に基づきさらに研究を重ね、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の発明を包含する。
(1)ヨモギ属植物又はその処理物を有効成分として含有することを特徴とする経口用体温上昇剤。
(2)ヨモギ属植物又はその処理物を有効成分として含有することを特徴とする経口用新陳代謝促進剤。
(3)ヨモギ属植物又はその処理物を有効成分として含有することを特徴とする経口用免疫機能増強剤。
(4)ヨモギ属植物が、ヨモギ(Artemisia princeps Pampan.)である前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の剤。
(5)ヨモギ属植物の処理物が、ヨモギ属植物の生の葉及び/又は茎の乾燥物である前記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の剤。
(6)ヨモギ属植物の処理物が、ヨモギ属植物の生の葉及び/又は茎の乾燥物の粉砕物である前記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の剤。
(7)剤形が、錠剤、カプセル剤、チュアブル剤、フィルム剤、散剤、丸薬、又は顆粒剤である前記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の剤。
新陳代謝促進のために用いられる前記(1)に記載の経口用体温上昇剤。
免疫機能増強のために用いられる前記(1)に記載の経口用体温上昇剤。
(8)ヨモギ属植物又はその処理物を哺乳動物に投与することを特徴とする哺乳動物の体温を上昇させる方法。
(9)ヨモギ属植物又はその処理物を哺乳動物に投与することを特徴とする哺乳動物の新陳代謝を促進させる方法。
(10)ヨモギ属植物又はその処理物を哺乳動物に投与することを特徴とする哺乳動物の免疫機能を増強させる方法。
(11)経口用体温上昇剤としての、ヨモギ属植物又はその処理物、又はこれを含む組成物。
(12)経口用新陳代謝促進剤としての、ヨモギ属植物又はその処理物、又はこれを含む組成物。
(13)経口用免疫機能増強剤としての、ヨモギ属植物又はその処理物、又はこれを含む組成物。
(14)経口用体温上昇剤を製造するための、ヨモギ属植物又はその処理物の使用。
(15)経口用新陳代謝促進剤を製造するための、ヨモギ属植物又はその処理物の使用。
(16)経口用免疫機能増強剤を製造するための、ヨモギ属植物又はその処理物の使用。
本発明によれば、持続的に体温を上昇させることができる。特に、本発明の経口用体温上昇剤は、腹部等の体幹部の体温を効果的に上昇させることができるものである。このため、本発明の体温上昇剤を用いれば、十分な身体の温まり感を得ることができる。また、本発明によれば、身体を温めて低体温症、冷え性等を効果的に予防又は改善することができる。また、本発明によれば、体温上昇作用により新陳代謝を促進できる。体温上昇作用により、免疫機能を増強させることができる。このため本発明の体温上昇剤は、健常者の健康維持、増進等にも有用である。さらに、本発明における有効成分であるヨモギ属植物は、副作用等が少なく安全性が高いため、継続して使用することができるものである。
図1は、ヨモギ乾燥物摂取による腹部の体表面温度(皮膚温)の変化を示す図である。 図2は、ヨモギ乾燥物摂取による手中指腹の表面温度の変化を示す図である。 図3は、ヨモギ乾燥物摂取による手中指背の表面温度の変化を示す図である。 図4は、ヨモギ含有カプセル又は対照カプセル摂取による身体の各部位の体表面温度の変化、及び血流の変化を示す図である。 図5は、ヨモギ含有カプセル又は対照カプセル摂取による腹部の体表面温度の経時変化を示す図である。 図6は、ヨモギ含有カプセル又は対照カプセル摂取による足首の体表面温度の経時変化を示す図である。 図7は、ヨモギ含有カプセル又は対照カプセル摂取による鼓膜温の経時変化を示す図である。 図8のA〜Cは、ヨモギ含有カプセル又は対照カプセル摂取による体感レベルの経時変化を示す図である(図8のA:全身の体感、図8のB:手の体感、図8のC:足の体感)。 図9は、ヨモギ含有カプセル又は対照カプセル摂取による身体の各部位の体表面温度の変化、及び血流の変化を示す図である。 図10は、ヨモギ含有カプセル又は対照カプセル摂取による腹部の体表面温度の経時変化を示す図である。 図11は、ヨモギ含有カプセル又は対照カプセル摂取による額の体表面温度の経時変化を示す図である。
本発明の経口用体温上昇剤(本明細書中、単に体温上昇剤ともいう)は、有効成分としてヨモギ属植物又はその処理物を含有する。
本発明においては、体温を上昇させるためにヨモギ属植物又はその処理物を使用する。ヨモギ属植物又はその処理物は体温上昇作用を有するため、例えば冬季等の低温下の環境において身体を温めることができる。また、体温を上昇させることにより、例えば、低体温症、冷え症等を予防又は改善することができることになる。また、本発明により体温が上昇することにより、新陳代謝が促進される。さらに、体温が上昇すると免疫機能が活性化されるため、ヨモギ属植物又はその処理物は、免疫機能増強のためにも有用である。このため本発明の体温上昇剤は、例えば、新陳代謝促進のため、免疫機能増強のため等にも好適に使用されるものである。
本発明において、体温が上昇するとは、本発明における有効成分であるヨモギ属植物又はその処理物を経口摂取しなかった場合と比較して、ヨモギ属植物又はその処理物を経口摂取した場合に体温が上昇すること、又はヨモギ属植物又はその処理物を経口摂取した場合に体の温まり感を得ることができることを意味する。本発明の体温上昇剤を用いれば、体温が上昇するため、通常、十分な身体の温まり感を得ることができる。本発明の体温上昇剤は、特に、腹部等の体幹部の温度の上昇に好適に用いられる。体温の上昇は、例えば、体表面(好ましくは、腹部等の体幹部の体表面)の温度(皮膚温)、鼓膜温等を測定することにより測定される。
ヨモギ属植物としては特に限定されず、例えば、以下の植物等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
ヨモギ(別名カズザキヨモギ)(Artemisia princeps Pampan.)、オトコヨモギ(Artemisia japonica Thunb.)、カワラヨモギ(Artemisia capillaris Thunb.)、オオヨモギ(Artemisia montana (Nakai) Pamp.)、ミブヨモギ(Artemisia maritima L.)、チシマヨモギ(Artemisia unalaskensis Rydberg)、フクド(Artemisia fukudo Makino)、ハハコヨモギ(Artemisia glomerata Ledeb.)、ナガエハハコヨモギ(Artemisia trifurcata Steph. ex Spreng.)、ヒロハヤマヨモギ(Artemisia stolonifera (Maxim.) Komar.)、ヒロハウラジロヨモギ(Artemisia koidzumii Nakai)、イワヨモギ(Artemisia iwayomogi Kitam.)、ワタヨモギ(Artemisia gilvescens Miq.)、ユキヨモギ(Artemisia momiyamae Kitam.)、ヤブヨモギ(Artemisia rubripes Nakai)、ニシヨモギ(Artemisia indica Willd.)、キタダケヨモギ(Artemisia kitadakensis Hara et Kitam.)、シコタンヨモギ(Artemisia laciniata Willd.)、ケショウヨモギ(Artemisia dubia Wall. ex DC.)、クラムヨモギ(Artemisia kurramensis Quazilbash)、マシュウヨモギ(Artemisia koidzumii var. tsuneoi)、ヒメヨモギ(Artemisia feddei Leveil. et Vaniot)、ハマオトコヨモギ(Artemisia japonica Thunb. var. littoricola (Kitam.) Kitam.)、オニオトコヨモギ(Artemisia congesta Kitam.)、アサギリソウ(Artemisia schmidtiana Maxim.)、イヌヨモギ(Artemisia keiskeana Miq.)、タラゴン(Artemisia dracunculus L.)、エゾハハコヨモギ(Artemisia trifurcata Steph. var. pedunculosa (Koidz.) Kitam.)、エトロフヨモギ(Artemisia insularis Kitam.)、カワラニンジン(Artemisia apiacea Hance)、クソニンジン(Artemisia annua L.)、サマニヨモギ(Artemisia arctica Less. subsp. sachalinensis Hulten)、シナ(シナヨモギ(Artemisia cina Berg.))、シロサマニヨモギ(Artemisia arctica Less. subsp. sachalinensis Hulten f. villosa (Koidz.) Kitam.)、シロヨモギ(Artemisia stelleriana Besser)、タカネヨモギ(Artemisia sinanensis Yabe)、タカヨモギ(Artemisia selengensis Turcz.)、チョウセンヨモギ(Artemisia argyi Lev. et Vant.)、ニイタカヨモギ(Artemisia campestris L.)、ニガヨモギ(Artemisia absinthium L.)、ハイイロヨモギ(Artemisia sieversiana Willd.)、ハタヨモギ(Artemisia vulgaris L.)、ヒトツバヨモギ(Artemisia monophylla Kitam.)、ホクチヨモギ(Artemisia igniaria Maxim.)、ミヤマオトコヨモギ(Artemisia pedunculosa Miq.)、ヨモギナ(Artemisia lactiflora Wall. ex DC.)、オキナヨモギ(Artemisia abrotanum)、アダムスヨモギ(Artemisia adamsii)、リトウザンヨモギ(Artemisia anomala)、キンヨモギ(Artemisia aurata)、マリヨモギ(Artemisia brachyloba)、アオヨモギ(Artemisia dubia var. subdigitata)、イヌフクド(Artemisia fauriei)、ヒメイワヨモギ(Artemisia freyniana)、ウラジロヒメイワヨモギ(Artemisia freyniana f. discolor)、チシマハハコヨモギ(Artemisia glomerata var. leontopodioides)、イナムラヨモギ(Artemisia indica var. maximowiczii x A. momiyamae)、マンシュウヒトツバヨモギ(Artemisia integrifolia)、イトヨモギ(Artemisia japonica var. angustissima)、オオバヨモギ(Artemisia koidzumii var. megaphylla)、イワキヌヨモギ(Artemisia lagocephala)、ヒロハキクヨモギ(Artemisia latifolia)、ホソバヨモギ(Artemisia mongolica)、エゾノユキヨモギ(Artemisia montana var. shiretokoensis)、ニトベヨモギ(Artemisia oligocarpa)、エゾオオヨモギ(Artemisia opulenta)、ノジヨモギ(Artemisia palustris)、タチスナジヨモギ(Artemisia pubescens)、オオヤブヨモギ(Artemisia rubripes f. luxurians)、ハマヨモギ(Artemisia scoparia)、キバナイトヨモギ(Artemisia sibirica)、ヒロハヤマヨモギ(Artemisia stolonifera)、マキノハヨモギ(Artemisia subulata)、モリヨモギ(Artemisia sylvatica)、コバノヨモギ(Artemisia verbenacea)、ペキンヨモギ(Artemisia viridisquama)、コウライヒトツバヨモギ(Artemisia viridissima)。
本発明におけるヨモギ属植物は、通常食用に使用されているものが好適であり、例えば、ヨモギ(Artemisia princeps Pampan.)、オオヨモギ(Artemisia montana (Nakai) Pamp.)、カワラヨモギ(Artemisia capillaris Thunb.)、ニシヨモギ(Artemisia indica Willd.)等が好適であり、ヨモギ(Artemisia princeps Pampan.)がより好適である。ヨモギ(Artemisia princeps Pampan.)は、山野に自生するキク科の一年周期の多年草であり、春の成長期、春から夏至までの成熟期、夏至から冬期間を種の保存のための越年期とする植物である。
本発明におけるヨモギ属植物は、植物体全体でも、植物体の一部でもよい。植物の一部としては、葉、葉茎、茎、花、根等が挙げられる。好ましくは葉、葉茎、茎等であり、より好ましくは葉及び/又は茎であり、さらに好ましくは葉である。
ヨモギ属植物の処理物としては、ヨモギ属植物に何らかの処理を加えたものであればよく、特に限定されない。処理としては、例えば、乾燥、粉砕、破砕、細断、加熱(蒸す、ボイルする等)等が挙げられ、これらの2種以上の処理を組合わせて行なってもよい。ヨモギ属植物の処理物は、好ましくはヨモギ属植物の乾燥物であり、より好ましくは乾燥物の粉砕物又は破砕物である。
乾燥物は、例えば生のヨモギ属植物を乾燥させたものでもよく、ヨモギ属植物をボイル等により熱処理した後乾燥させたものであってもよい。好ましくは、生のヨモギ属植物を乾燥させたものである。
本発明の好ましい実施態様においては、ヨモギ属植物の葉及び/又は茎の乾燥物を用いる。ヨモギ属植物の葉及び/又は茎の乾燥物は、生の葉及び/又は茎の乾燥物であることが好ましい。また、本発明におけるヨモギ属植物の処理物は、ヨモギ属植物の生の葉及び/又は茎の乾燥物の粉砕物であることが好ましい。粉砕物の大きさは特に限定されない。
ヨモギ属植物の処理物の製造において、例えば、ボイル等によりヨモギ属植物を熱処理する場合には、通常、約80〜100℃で加熱することが好ましい。熱処理の時間は、通常、1〜30分程度とすることが好ましい。乾燥方法も特に限定されず、天日乾燥、自然乾燥、通風乾燥機を使用する乾燥、凍結乾燥(フリーズドライ乾燥)、熱風乾燥等どのような条件で乾燥させてもよい。好ましくは、加熱を行なわない乾燥であり、例えば、天日乾燥、自然乾燥、中・低温通風乾燥、凍結乾燥がより好適である。乾燥時間は、乾燥方法により適宜設定すればよいが、代表例として天日乾燥であれば、通常12〜72時間程度であり、通風乾燥であれば、通常12〜72時間程度であり、熱風乾燥であれば、通常3〜12時間程度である。
ヨモギ属植物は、山野に自生しているものを採取して使用することができる。また、ヨモギ属植物及びその処理物は、市販されており、市販品を用いることもできる。例えば株式会社上野忠(日本、大阪府大阪市)から冷凍ヨモギ、乾燥ヨモギ等が市販されている。
本発明におけるヨモギ属植物は、年間通じて安定的にヨモギ属植物を各種利用する場合には、通常、成長期又は成熟期のヨモギ属植物を刈り取り、前処理後に冷凍する、又は前処理後に乾燥させた形で保管し、必要時に使用する。ヨモギ属植物の粉砕物等を使用する場合は、通常、保管前又は使用時に粉砕等を行なう。
本発明で用いられるヨモギ属植物は、例えば、次のようにして前処理することができる。例えば、成長期のヨモギ属植物の上部25cm前後の位置で刈り取り収穫し、乾燥工程終了までは茎付で処理する。通常、ヨモギ属植物に付着する泥及び虫等を落とすために一次水洗する。水洗終了後、水切りConveyorを利用し、ヨモギ属植物を二次水洗タンクへ移動させる。二次水洗は通常2種類の洗浄機を使用し、泥、砂、異物等を確実に洗浄する。二次水洗終了品を、通常遠心脱水機にて脱水する。脱水終了分を異物、異草、枯草等の目視検査後、乾燥させる。
また、乾燥終了後、必要に応じて葉及び葉茎、茎の分別撰別を行い、例えば、葉を使用する場合には葉及び葉茎部分を集めることが好ましい。
本発明のヨモギ属植物又はその処理物を含有する体温上昇剤は、経口摂取又は経口投与されるものである。
本発明の経口用体温上昇剤は、有効成分であるヨモギ属植物又はその処理物からなるものであってもよく、所望により有効成分以外の成分を含有する組成物であってもよい。
本発明の体温上昇剤は、医薬のみならず、例えば、健康食品、機能性食品、飲食品として使用してもよい。本発明において、ヨモギ属植物又はその処理物は、体温を上昇させるための組成物、例えば飲食品、健康食品、機能性食品、医薬組成物等の有効成分として用いられることが好ましい。
ヨモギ属植物又はその処理物を有効成分として含有する体温上昇剤は、例えば、錠剤、カプセル剤、チュアブル剤、フィルム剤、散剤、丸薬、顆粒等の固形製剤とすることが好ましい。これらの製剤は、ヨモギ属植物又はその処理物をそのまま用いて、又は所望により薬学上許容される種々の添加剤を混合し、従来充分に確立された公知の製剤製法を用いることにより容易に製造される。添加剤は特に限定されず、薬学上許容される公知のものを使用することができ、例えば、賦形剤(例えば、乳糖、デンプン、結晶セルロース、デキストリン、グルコマンナン等)、結合剤(例えば、デンプン、ゼラチン、カルメロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン等)、崩壊剤(例えば、デンプン、カルメロースナトリウム等)、滑沢剤(例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等)、抗酸化剤(例えば、亜硝酸塩、アスコルビン酸、システイン等)、着色剤(例えば、タール色素、カンゾウエキス等)、保存剤(例えば、パラオキシ安息香酸エステル類、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール等)、コーティング剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、エチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース等)、可塑剤(例えば、グリセリン等)等が挙げられる。中でも、グルコマンナン等を含むことが好ましい。また、本発明の効果を奏することになる限り、ヨモギ属植物又はその処理物以外の体温上昇作用を有する成分等を含んでもよい。
上記固形製剤は、腸溶製剤であってもよい。例えば、胃酸過多症の患者等がヨモギ属植物又はその処理物を経口摂取すると、胃への刺激が強い場合があるが、腸溶製剤とすることにより、胃への刺激を低減しつつ本発明の体温上昇効果を十分に得ることができる。腸溶性剤としては、上記固形製剤に腸溶性コーティングを施した製剤(例えば、腸溶性コーティングを施した錠剤、散剤、丸薬等)、腸溶性カプセル等が挙げられる。腸溶製剤の製造方法は特に限定されず、ヨモギ属植物又はその処理物を含有する組成物に、公知の腸溶性カプセル、腸溶性コーティング剤の製造に使用される方法を適宜使用して製造すればよい。また、本発明の製剤として、徐放製剤も好ましく、例えば、グルコマンナン等を含むことにより、ヨモギ属植物又はその処理物を徐々に放出できるため、胃等への刺激をより低減することができる。
ヨモギ属植物又はその処理物の製剤中の含有量は、通常、最終製剤中に約0.000001〜99質量%である。好ましくは、ヨモギ属植物又はその処理物として、1ドーズユニットあたり約10〜300mg、より好ましくは1ドーズユニットあたり約50〜200mg、さらに好ましくは1ドーズユニットあたり約100〜200mg含有する製剤である。
飲食品の場合は、例えば、飲食品製造時に上記ヨモギ属植物又はその処理物を含有する体温上昇剤を配合することにより製造される。飲食品としては特に限定されないが、固形食品が好適である。
ヨモギ属植物又はその処理物を含有する体温上昇剤の摂取又は投与量は、本発明の効果を奏することになる限り特に限定されないが、例えば、有効成分であるヨモギ属植物又はその処理物として、1回あたり約10〜300mgを経口摂取又は経口投与することが好ましい。より好ましくは、有効成分であるヨモギ属植物又はその処理物として、1回あたり約50〜200mg、さらに好ましくは1回あたり約100〜200mgを経口摂取又は経口投与する。また、より好ましくはヨモギ属植物の生の葉及び/又は茎の乾燥物として、1回あたり約10〜300mg、さらに好ましくは1回あたり約50〜200mg、特に好ましくは1回あたり約100〜200mg経口摂取又は経口投与する。また上記量を、通常約1日1〜3回、食後に服用することが好ましい。ヨモギ属植物又はその処理物を上記量摂取すると、通常、摂取から約2時間後〜24時間後まで体温上昇作用が持続する。より好ましくは、食後約2時間以内、さらに好ましくは、食後約1時間以内、特に好ましくは食後約30分以内に上記量のヨモギ属植物又はその処理物を経口摂取する。
ヨモギ属植物又はその処理物を摂取させる、又は投与する対象としては特に限定されないが、ヒトを含む哺乳動物、鳥類等が好ましく、ヒトを含む哺乳動物がより好ましく、中でもヒトがさらに好ましい。例えば、冷え症又は低体温改善処置が必要とされるヒト等が特に好適である。また、本発明は、冷え症又は低体温改善処置が必要とされるヒトに限られず、健常者の健康維持、増進等にも有用である。
本発明のヨモギ属植物又はその処理物を含有する体温上昇剤は、ヒト以外の動物の体温上昇、新陳代謝促進、又は免疫機能増強等のために用いることもできる。例えば、ヨモギ属植物又はその処理物を含有する組成物を、動物用の飼料、動物用医薬とすることができる。動物は、有用動物であればよく、特に限定されないが、例えば、イヌ、ネコ、サル、ラット、マウス、ウシ、ブタ、ウマ、ハムスター、ウサギ、リス、モルモット、フェレット、イタチ、チンチラ、モモンガ、プレーリードッグ等の哺乳動物;ニワトリ等の鳥類等が挙げられる。中でも好ましくは、哺乳動物であり、より好ましくはイヌ、ネコ、ウマ等である。
ヨモギ属植物又はその処理物は、経口摂取することにより、体温上昇作用があることから、冷え症又は低体温による症状、疾患等を改善することができる。本発明の体温上昇剤をヒトを含む哺乳類に経口投与することにより、冷え症、低体温症等を効果的に予防又は治療することができる。例えば、低体温の動物は腸内温度が低く、このため冷え症の女性等には便秘が多い。本発明によれば、体温を上昇させることができることから、腸内温度を上昇させることができ、便秘を予防又は改善することができる。また、体温上昇作用により新陳代謝が促進されるため、基礎代謝を改善又は向上することもできる。さらに、体温が上昇すると免疫機能が活発となるため、免疫機能増強のためにも用いることもできる。本発明の体温上昇剤は、寒冷地、冬等の低温下の環境等において冷めた身体を温める手段としても有用である。
ヨモギ属植物又はその処理物を有効成分として含有する経口用新陳代謝促進剤(本明細書中、単に新陳代謝促進剤ともいう)、及びヨモギ属植物又はその処理物を有効成分として含有する経口用免疫機能増強剤(本明細書中、単に免疫機能増強剤ともいう)も、本発明に包含される。
本発明の新陳代謝促進剤、及び免疫機能増強剤におけるヨモギ属植物又はその処理物、並びにその好ましい態様等は、上述した体温上昇剤と同様である。本発明の新陳代謝促進剤及び免疫機能増強剤の好ましい形態、使用方法等も、上述した体温上昇剤と同様である。
本発明は、ヨモギ属植物又はその処理物を哺乳動物に経口投与する哺乳動物の体温を上昇させる方法も包含する。本発明の方法の好ましい態様においては、上述したヨモギ属植物又はその処理物を有効成分として含有する体温上昇剤を哺乳動物に経口投与する。体温上昇剤及びその好ましい態様等は上述した通りである。
本発明は、ヨモギ属植物又はその処理物を哺乳動物に経口投与する哺乳動物の新陳代謝を促進させる方法も包含する。本発明の方法の好ましい態様においては、上述したヨモギ属植物又はその処理物を有効成分として含有する新陳代謝促進剤を哺乳動物に経口投与する。新陳代謝促進剤及びその好ましい態様等は上述した通りである。
本発明は、ヨモギ属植物又はその処理物を哺乳動物に経口投与する哺乳動物の免疫機能を増強させる方法も包含する。また、本発明の方法の好ましい態様においては、上述したヨモギ属植物又はその処理物を有効成分として含有する免疫機能増強剤を哺乳動物に経口投与する。免疫機能増強剤及びその好ましい態様等は上述した通りである。
本発明は、経口用体温上昇剤としての、ヨモギ属植物又はその処理物、又はこれを含む組成物も包含する。経口用体温上昇剤は、上述したものと同様である。
本発明は、経口用新陳代謝促進剤としての、ヨモギ属植物又はその処理物、又はこれを含む組成物も包含する。経口用新陳代謝促進剤は、上述したものと同様である。
本発明は、経口用免疫機能増強剤としての、ヨモギ属植物又はその処理物、又はこれを含む組成物も包含する。経口用免疫機能増強剤は、上述したものと同様である。
ヨモギ属植物、その処理物、及びその好ましい態様、並びにこれらの投与方法等は、上述した体温上昇剤におけるものと同様である。
本発明は、経口用体温上昇剤を製造するための、ヨモギ属植物又はその処理物の使用も包含する。経口用体温上昇剤は、上述したものと同様である。
本発明は、経口用新陳代謝促進剤を製造するための、ヨモギ属植物又はその処理物の使用も包含する。経口用新陳代謝促進剤は、上述したものと同様である。
本発明は、経口用免疫機能増強剤を製造するための、ヨモギ属植物又はその処理物の使用も包含する。経口用免疫機能増強剤は、上述したものと同様である。
ヨモギ属植物、その処理物、及びその好ましい態様等は、上述した体温上昇剤におけるものと同様である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
実施例1
(ヨモギ乾燥物の調製方法)
採取したヨモギ(Artemisia princeps Pampan.)の葉を自然乾燥させた後、微粉砕し、ヨモギ乾燥物を得た。
(錠剤の製造)
上記ヨモギ乾燥物とゼラチンとを常法により混合したのち、打錠して、1錠(200mg)中に140mgのヨモギ乾燥物を含有する錠剤1000錠を得た。
この錠剤を、以下の試験に用いた。
実施例2
試験は、プレハブ恒温室(大きさ(内側):縦3.43m、横3.03m、高さ2.16m)(東洋紡エンジニアリング株式会社製)の中で行なった。試験中は、プレハブ恒温室内を、温度24±0.5℃、湿度50%に保った。
皮膚温測定は、左手首、左手中指腹、左手中指背、左足首、左足中指背、首、右肩、背中、及び腹部にそれぞれ温度センサー(BDT100用温度センサー、バイオリサーチセンター社製)を装着して、各部位の皮膚温変化を測定した。血流は、左手薬指に半導体レーザー血流装置(ALF21D、ADVANCE社製)のセンサーを装着して測定した。体の各部位の皮膚温及び血流データは、Maclab(登録商標)/16S(ADInstruments社製)を介して、パソコンに取り込み、1秒間に1回各部位の皮膚温及び血流を測定した。データの記録や測定条件の設定は、アプリケーションプログラムChart V4.2(ADInstruments社製)を用いて行なった。
鼓膜温は、耳式体温計(商品名けんおんくん、オムロン株式会社製)を用いて測定した。自律神経緊張度の指標として、心拍変動解析(使用ソフト フラクレット 大日本住友製薬株式会社製)を行った。
(試験手順)
被験者A:21歳の冷え性の女性
被験者B:22歳の冷え性でない女性
被験者A及びBには、3時間以上絶食(指定の水のみは摂取可)させた。被験者A及びBは、恒温室に入室前に待機室(24℃)で試験用の衣服(上半身は、トレーナー及び白衣。下半身は、ジャージ素材の足首まで覆う長ズホン。)に着替え、アンケートを記入した。この作業が終わり次第、恒温室に入室した。
入室後、左手首、左手中指腹、左手中指背、左足首、左足中指背、首、右肩、背中、及び腹部にそれぞれ温度センサーを装着した。血流測定のために、左手薬指にセンサーを装着した。心電図測定のために、胸部に電極を装着した。
装置装着完了後、心電図の記録(自律記録)と体表面温度(皮膚温)の測定を開始した。試験期間中、被験者A及びBは、足を下ろした状態で椅子に座ったまま安静状態とした。約30分間後、両者に試験製剤を摂取させた。
測定開始後約30分の時点で、被験者A及びBに、体温に影響を与えないよう37℃に調整した浄水50mLとともに、試験製剤1錠を2分以内に摂取させた。試験製剤の摂取開始後2分を、摂取後時間0分(摂取後0分)、ならびに摂取前を含めた実験の時系列での0分とした。皮膚温及び血流は、摂取の3分前〜1分前(時系列で−5〜−3分)の平均を、摂取前平均とした。摂取後1時間12分(時系列72分)後に皮膚温記録ならびに心電図記録を終了した。試験中は、被験者が眠くならないように音なしのDVDを見せた。
結果
各部位の皮膚温の変化について、実施例1で製造した試験製剤を摂取した被験者A及びBのいずれも、試験製剤を摂取後、室温24℃の環境下において体の各部位の皮膚温が上昇した。以下に説明する体の各部位の皮膚温の上昇は、各部位の摂取前平均温度に対する上昇温度である。
例えば左手首皮膚温について、被験者Aでは試験製剤摂取後に左手首皮膚温が上昇し、摂取後72分の時点では手首皮膚温が2.4℃上昇した。被験者Bでは、試験期間左手首の皮膚温が約0.6℃上昇した。
左手中指腹の皮膚温について、被験者Aでは、試験製剤摂取後30分では皮膚温度が約8℃上昇し、摂取後72分の時点では摂取前と比較して5.6℃上昇していた。被験者Bでは、摂取後30分の時点で左手中指腹の皮膚温が約2℃上昇した。
左手中指背の皮膚温について、被験者Aでは、試験製剤摂取後に皮膚温が上昇し、摂取後72分の時点では手首皮膚温が4.2℃上昇した。被験者Bでは、摂取後30分の時点で左手中指背の皮膚温が約1℃上昇した。
腹部の皮膚温について、被験者Aでは、試験製剤摂取後に徐々に皮膚温が上昇し、摂取後72分の時点では皮膚温が約1℃上昇した。被験者Bでは、摂取後72分の時点では、摂取前平均と比較して約0.4℃腹部の皮膚温が上がった。
被験者A及びB共に、左足首の皮膚温は緩やかに低下した。左足中指背、首、肩及び背中の皮膚温は、両被験者とも試験期間中ほとんど変化がなかった。
腹部、左手中指腹、及び左手中指背の皮膚温(体表面温度)測定結果を、図1〜3に示す。図1〜3中、実線が被験者A(冷え性の女性)であり、波線が被験者B(冷え性でない女性)である。
血流について、被験者A及びBにおいて試験製剤摂取後に血流が増加した。心拍変動の解析結果は、試験期間中被験者A及びB共変化がなかった。
試験製剤摂取〜測定終了時までの体の各部位の皮膚温平均変化量を、以下の式により計算した。
(皮膚温平均変化量)=(当該時間帯での温度値の総計/温度データ数)−(摂取前平均温度)
また、水(及び錠剤)摂取後2〜24分を前期、25〜47分を中期、48〜71分を後期とし、それぞれの期間における皮膚温及び血流の平均変化量を求めた。平均変化量の計算においては、摂取前平均を基準として用いた。
表1に、試験期間中(摂取から摂取後72分)の皮膚温の部位別平均変化量(℃)及び血流の平均変化量(無単位)を示す。表2に、試験の前期、中期及び後期それぞれにおける。皮膚温の部位別平均変化量(℃)及び血流の平均変化量(無単位)を示す。
このように、実施例1で製造した試験製剤を摂取すると、被験者A及びB共に体温が上昇し、それにより末端の手指の温度も上昇したが、特に被験者A(冷え性の女性)において著しい体温上昇が観察された。体温より低い環境(室温24℃)下で記載の服装で本実験のように安静にしていると、通常抹消部、例えば手首、手指先、足首、足指先などの体温及び体表面温度は緩やかに低下する。試験製剤の摂取のみによって室温24℃の環境下で体表面温度(特に腹部の皮膚温)が上昇すること、特に、冷え症の被験者Aにおいて顕著な体温上昇が観察されたことは、驚くべき知見であった。
実施例3
1.実験環境及び設備
実施例3の試験(第一回試験及び第二回試験)において使用した機器等は、以下のとおりである。
<恒温室>
・プレハブ恒温室(実施例1で使用したものと同じ)東洋紡エンジニアリング株式会社
・除湿清浄機DW-S101(商品名、シャープ株式会社製)
・加熱気化式加湿器HV-T50CX(商品名、シャープ株式会社製)
<測定機器>
皮膚温(体表面温度)の測定
・ポータブル温度記録装置(製品名COMPACT THERMOLOGGER AM8000K、安立計器株式会社)
・マイクロプローブ温度計 6ch THERMOMETER(製品名、バイオリサーチ株式会社)
血流量の測定
半導体レーザー血流装置(製品名レーザードップラーALF21/21D、株式会社ADVANCE)を用いて行った。
心拍変動の測定
・心電図測定用の電極(ビトロードM-150(日本光電関西株式会社)
・心電図計(製品名AMPLIFIER CASE、三栄メディカルサポート株式会社)
・解析ソフト(製品名フラクレット3.0Jr.、大日本製薬株式会社)
心拍数の測定
BIOVIEW 1000A NEC(製品名、栃木日本電気株式会社)を用いて行った。
鼓膜温の測定
・鼓膜温オムロン耳式体温計けんおんくんMC-510(商品名、オムロンヘルスケア株式会社)
<設定温度>
第一回及び第二回の各試験における実験室の温度設定等は、以下の通りである。なお、前室(待機室)は恒温室ではない。
第一回試験において基準となる22℃とは、試験を行った時期においてその温度条件下では身体の末梢部位の体表面温度が徐々に低下し、冷え性の人にとって「寒い」と感じる温度である。第二回試験において、実験室(恒温室及び前室)の設定温度を22℃から25℃へ変更した理由として、夏場のため外気温が上昇し、身体の末梢部位の体表面温度が低下し、「寒い」と感じる温度が第一回の試験のときとは異なることを考慮したためである。
2.測定方法
試験は、各被験者につき2回を行い、クロスオーバー試験とした。測定は、被験者ごとにそれぞれの試験の間を3日以上あけた。試験当日、被験者には、前室に入室後、試験用の衣服(上半身は、半袖Tシャツ及び白衣。下半身は、ジャージ素材の足首まで覆う長ズボン。)に着替えさせ、被験者の当日の体調、前日の睡眠時間などを把握するため、アンケートに回答させた。次いで、被験者を実験室(恒温室)に入室させ、身体の各部位(後掲の表4)にセンサー(体表面温度測定のための温度センサー、及び血流測定のためのセンサー)を取り付けた。センサーの取り付け終了後、体表面温度(皮膚温)、血流量及び心拍変動の測定を開始した。一定時間、環境に慣れさせた後、被験者に後述のヨモギ含有カプセル又は対照カプセルを摂取させた。その後、体表面温度、血流量、及び心拍変動の経過を見た。体感、及び鼓膜温の変化も定期的に観察した。
被験者には試験中は座位の姿勢で安静状態を保たせ、出来る限りの会話、動作、及び睡眠を禁止した。特に左手には血流計をつけるため、極力動かさないように指示した。測定中は眠気防止のため、音声の無いDVDの映像を鑑賞させた。試験終了後には、試験中の被験者の変化について知るため、アンケートに回答させた。
第一回試験及び第二回試験におけるセンサー又は電極装着部位を表4に示す。
鼓膜温については、10〜15分程度の間隔で、被験者自身に鼓膜温オムロン耳式体温計けんおんくんMC-510(商品名、オムロンヘルスケア株式会社)により測定させ、記録した。
鼓膜温は、第一回試験では2回測定した平均値を用いた。第二回試験では、耳式体温計は、耳の中で最も高い鼓膜の温度を測定していることから、最高値を測定値とするのが適当であると考え、毎回3回ずつ測定させ、3回の最高値をその時間の鼓膜温の測定値とした。3回の測定値の差が0.3℃以上であった場合には、再度測定を行った。
体感の評価では、鼓膜温測定後すぐに、全身、手、及び足の3項目についてビジュアルアナログスケール(1(寒い)〜5(あたたかい)までの5段階評価)を用いて体感レベルを被験者に記入させた。
3.試験期間
第一回試験:5月〜7月
第二回試験:7月〜8月
第一回試験及び第二回試験はいずれも、日本国滋賀県彦根市内の実験室で実施した。
また、女性の月経周期における体温の変動を考慮して、体温の安定する月経開始日から数えて6日目から2週間を試験期間として設定した。同一被験者はできるだけ同じ時間から試験を開始した。
4.摂取物(試料)
ボイルしていない、生のヨモギ(Artemisia princeps Pampan.)の葉を自然乾燥(30℃で72時間)させた。このヨモギの葉の乾燥物1000gを、ジェットミル(商品名コンジェットシステムα−mkIV、セイシン企業社製)により粉砕した(粉砕条件:圧力0.6〜0.7MPa、速度100g/hr)。得られたヨモギの葉の乾燥粉末のうち、100mgをカプセル(株式会社松屋社製の商品名セルロースホワイトカプセル2号)に、ヨモギの葉の乾燥物のみを充填して、1カプセル中にヨモギの葉の乾燥粉末100mgを含むカプセル(ヨモギ含有カプセル)を製造した。対照として、ヨモギの葉の乾燥粉末の代わりに小麦粉を緑色に着色したものを100mg入れたカプセル(対照カプセル)を用意した。
試験では試料としてヨモギ含有カプセル及び対照カプセルのいずれかのカプセル2つ(摂取量:200mg)を指定の水(37℃、100mL)と共に被験者に経口摂取させた。この際、被験者には内容物がわからないようにした。
5.被験者について
健康な18〜23歳の女子大学生又は上野忠社員(20台、女性)を被験者とした。
被験者には、事前に下記1〜8の冷え性判断アンケートを行い、冷え性・非冷え性に分類した。
1.他の人に比べ「寒がり」の性分だと思う。
2.腰や手足、あるいは体の一部に冷えがあってつらい。
3.冬になると冷えるので、電気毛布やカイロなどをいつも用いるようにしている。
4.体全体が冷えてつらいことがある。
5.足が冷えるので夏でも厚い靴下を履くようにしている。
6.冷房のきいている所は体が冷えてつらい。
7.他の多くの人に比べてかなり厚着をする方だと思う。
8.手足が多くの人より冷たい方だと思う。
被験者には、上記アンケートの質問に対して、◎(症状がかなりある)、○(時々(少し)ある、×(全く当てはまらない)のどれかで回答させた。
上記1〜3の重要項目の質問に関しては、◎→3点、○→2点、×→0点
上4〜8の項目の質問に関しては、◎→2点、○→1点、×→0点
で計算し、合計点7点以上を冷え性群とし、それ以外を非冷え性群とした。
なお、上記のアンケート及び冷え症の基準は、寺澤捷年 「漢方医学における「冷え症」の認識とその治療」生薬学雑誌Vol41,2,85-96,1987の中の「冷え症診断基準」を参考にしたものである。寺澤の論文では○×のみで回答させ、重要項目2点、参考項目1点で計算し4点以上が冷え性となっている。しかしこの方法で被験者を募集した場合、軽度な冷え性も被験者として含まれるため、少しアンケートを改良して判断を行なった。
6.被験者への注意事項
被験者には、試験の前日より下記の内容に注意させ、試験直前には必要な条件を満たしているかに加え、ストレスの有無、試験前後の気分、体調について確認するため、アンケートを行った。
(1)前日の注意事項
・生姜、唐辛子などの刺激の強い食べ物は避ける。
・過度の飲食の暴飲暴食は控え、睡眠時間を十分にとる。
(2)当日の注意事項
・水は飲んでも良いが、コーヒー、お茶、ジュースの摂取は不可。
・試験開始前の最低一時間前には起きる。試験を行う日の起床時間を揃える。
・試験を行う日の自宅から実験室までの移動方法を揃える。
・普段自転車で雨の日はバスで自宅から実験室まで移動する人は、2日間ともバスで移動とした。
・試験を行う日は、ズボンと靴下を履き自宅から実験室まで移動する。ストッキング、タイツは不可。
7.被験者数
第一回試験では、冷え性群11人
第二回試験では、非冷え性群11人
8.食事制限
第一回試験:試験開始前3時間以上絶食(指定の水のみの摂取可)させた。
第二回試験:試験開始前2時間以上絶食とし、試料摂取1時間前に指定の水とサンドイッチを摂取させた。
9.効果の判断方法
個人ごとの基礎体温、その日の天候などの環境条件によって体温が多少変動するため、ヨモギ含有カプセル又は対照カプセルを摂取した時点での値を基準とした変化量で解析を行った。また、解析には以下の二つの統計学的手法を用いた。
(1)Paired t test(使用ソフト:Microsoft Excel)
(2)反復計測二元配置分散分析(使用ソフト:prism)
効果の判断基準を、以下の表5に示す。今回の場合、実験対象がヒトであるので10%水準までを有意差として判断した。
10.試験及びその結果
<第一回試験及びその結果>
ヨモギの葉の乾燥物摂取量:200mg
室温:22℃
測定項目:体表面温度(額、首、手首、手指先(左手中指腹)、腹、足首、足指先(左足中指背))、鼓膜温、体感、自律神経、及び血流量
食事:なし(被験者は、試料(ヨモギ含有カプセル又は対照カプセル)摂取の3時間前より絶食とした。)
被験者:上記基準による冷え性11人(機械の不具合などにより測定できなかった被験者データは除外したため、手首、手指先、腹、血流量及び自律神経のデータは11名、首及び足首のデータは10名、額、足指先及び鼓膜温のデータは9名の結果である。体感のデータは11名の結果である。)
<測定方法>
被験者が前室に入室後、着替えとアンケートへの回答を行った。その後、被験者を恒温室に入室させ、センサーを体の各部に装着した。試料(ヨモギ含有カプセル又は対照カプセル)摂取の20分前から体表面温度、血流量及び心拍変動の測定を開始した。20分間、環境に慣れさせた後、試料を37℃の水100mLで2分以内に摂取させた。試料摂取後60分間、体表面温度、血流量、及び心拍変動の経過を観察した。体感、及び鼓膜温の変化も定期的に観察した。
<結果>
図4に、ヨモギ含有カプセル又は対照カプセル摂取による身体の各部位の体表面温度の変化を示す。図4の縦軸の温度変化は、カプセル摂取前3分間の平均値を基準値とした、摂取から2〜60分後まで体表面温度変化量の平均値である。図4中、白いバーは対照カプセル摂取群であり、黒(灰色)のバーは、ヨモギ含有カプセル摂取群である。なお、図4中、「血流」は無単位である。
図5に、ヨモギ含有カプセル又は対照カプセル摂取による腹部の体表面温度の経時変化を示す。図6に、ヨモギ含有カプセル又は対照カプセル摂取による足首の経時変化を示す。図7に、ヨモギ含有カプセル又は対照カプセル摂取による鼓膜温の経時変化を示す。
図8のA〜Cに、ヨモギ含有カプセル又は対照カプセル摂取による体感レベルの経時変化を示す。図8のAは、全身の体感であり、図8のBは、手の体感であり、図8のCは、足の体感である。
図5〜図8のA〜C中、白丸(○)は対照カプセル摂取群であり、黒丸(●)は、ヨモギ含有カプセル摂取群である。また、図5〜図8のA〜Cに示される結果は、測定データの平均値である。
これらの結果より、体表面温度については、腹部の体表面温度がヨモギ含有カプセル摂取後、経時変化及び摂取後平均において対照群に比して有意に温度が上昇した(図4、及び図5)。また、足首の体表面温度の経時変化において、ヨモギ含有カプセル摂取後、1%水準で対照群に比して有意に温度低下が抑制されていた(図6)。
鼓膜温は、ヨモギ含有カプセル摂取により、対照群(対照カプセル摂取群)に比して体温維持の傾向が見られた(図7)。
体感の評価では、足と全身において、ヨモギ含有カプセル摂取群では、対照群に比して体感レベルの低下が抑制されている結果が得られた(図8のA〜C)。二元配置分散分析より足では10%水準で、全身では1%水準でヨモギ含有カプセル摂取群において有意に体感レベルが高かった。
第一回試験では、ヨモギ摂取により、体感(全身、及び足)レベルの低下が抑制され、腹部、足首、及び鼓膜温において体温の低下が抑制された。このことより、ヨモギ摂取は末梢部よりも体幹部の体表面温度を上昇させる効果が高いことが分かった。体幹部の熱産生に影響するということは、ヨモギ摂取により蠕動運動などの内蔵の働きが活発になっている事が考えられた。第一回試験はヨモギ摂取による冷え性改善の効果を検証することを目的としていたため、被験者が全て冷え性であった。ヨモギが体幹部の体温上昇へ影響を及ぼすのであれば、冷え性よりも非冷え性の方が熱産生が活発である可能性が考えられるので、第二回試験は非冷え性の被験者を用いて行うこととした。
<第二回試験及びその結果>
ヨモギの葉の乾燥物摂取量:200mg
室温:25℃
測定項目:体表面温度(額、首、手首、手指先(左手中指腹)、腹、背中、足首、足指先(左足中指背))、鼓膜温、体感、自律神経及び血流量
食事:あり(被験者には、試料(ヨモギ含有カプセル又は対照カプセル)摂取の1時間前に指定のサンドイッチと水を摂取させた。)
被験者:上記基準による非冷え性11人(機械の不具合などにより測定できなかった被験者データは除外したため、額、首、手首、腹、背中、足首、足指先、鼓膜温、自律神経及び血流量のデータは11名、手指先のデータは10名の結果である。体感のデータは11名の結果である。)
<第一回試験からの変更点>
冷えの抑制効果よりも、体表面温度の上昇に注目していることから、実験室(恒温室)の気温を徐々に冷えを感じる22℃ではなく、25℃に設定した。
第一回試験より、ヨモギは、特に体幹部の体表面温度に影響を及ぼすことが分かった。このことから、被験者を冷え性からより体幹部の熱産生が活発であると考えられる非冷え性に変更した。
ヨモギが体幹部の熱産生、すなわち内臓の蠕動運動と関係していると考えられたことから、より蠕動運動が活発になると考えられる食事後での変化について検証した。
測定部位に熱産生に関わる褐色脂肪細胞が存在するとされている背中を追加した。
今回アンケートでは、飲料摂取、運動、服装についての項目を追加し、より条件を揃えた。
<測定方法>
被験者には、試料(ヨモギ含有カプセル又は対照カプセル)摂取の1時間前に食事(指定のサンドイッチと水)を摂取させた。食事終了後、被験者を前室に入室させ、前室で着替えとアンケートへの回答を行った。試料(ヨモギ含有カプセル又は対照カプセル)摂取の約30分前に恒温室(25℃)に入室し、センサーを体の各部位に装着し、ヨモギ含有カプセル(又は対照カプセル)摂取の20分前から体表面温度、血流量、及び心拍変動の測定を開始した。20分間、環境に慣れさせた後、試料(ヨモギ含有カプセル又は対照カプセル)を37℃の水100mLで2分以内に摂取させた。試料摂取後60分間、体表面温度、血流量、及び心拍変動の経過を観察した。体感、及び鼓膜温の変化も定期的に観察した。
<結果>
図9に、ヨモギ含有カプセル又は対照カプセル摂取による身体の各部位の体表面温度の変化を示す。図9の縦軸の温度変化は、カプセル摂取前3分間の平均値を基準値とした、摂取から2〜60分後までの体表面温度変化量の平均値である。図9中、白いバーは対照カプセル摂取群であり、黒(灰色)のバーは、ヨモギ含有カプセル摂取群である。なお、図9中、「血流」は無単位である。
図10に、ヨモギ含有カプセル又は対照カプセル摂取による腹部の体表面温度の経時変化を示す。図11に、ヨモギ含有カプセル又は対照カプセル摂取による額の体表面温度の経時変化を示す。図10〜11中、白丸(○)は対照カプセル摂取群であり、黒丸(●)は、ヨモギ含有カプセル摂取群である。また、図10及び図11に示される結果は、測定データの平均値である。
上記結果より、体表面温度については、額の摂取後期間別平均温度変化の前期(摂取から2分〜20分後までを前期、摂取から21分〜40分後を中期、摂取から41分〜60分後を後期とした)においてヨモギ含有カプセル摂取後対照群に比して1%水準で有意に高かった(図9)。さらに額と腹部の体表面温度の経時変化においても、対照カプセル摂取の場合と比較して、ヨモギ含有カプセル摂取後が有意に高かった(図10及び図11)。
第二回試験は、被験者に非冷え性を対象とした試験を行ったが、環境温度は違うが、第一回試験と同様に第二回試験でも、ヨモギ含有カプセル摂取により、腹部において対照群よりも体表面温度が有意に上昇した。このことから、ヨモギは、特に体幹部での熱産生に効果があることが分かった。
実施例3のまとめ
第一回試験、及び第二回試験の結果から、ヨモギ摂取により、特に腹部で温度が上昇することが分かった。よって、ヨモギ摂取は冷え性・非冷え性といった体質に関係なく熱を生み出すことで腹部など体の中心部(体幹部)の温度を上昇させる効果があることが分かった。
第二回試験では腹部において、第一回試験ほどのヨモギ摂取による体温上昇は見られなかったが、これはヨモギ摂取前の食事摂取の影響により、変化が確認しにくくなったためと考えられた。
製剤例1
実施例1で製造したヨモギ乾燥物をゼラチンカプセル(三省製薬株式会社製)に1カプセル中に100mg充填し、次いでカプセルにトウモロコシ由来のタンパク質(ツェイン)により腸溶性コーティングを施して腸溶性製剤を製造した。
なお、上記処方例と同様にして、ヨモギ葉の乾燥物を1カプセル中に、例えば10mg〜300mg含有するカプセル剤を調製することができる。

Claims (14)

  1. ヨモギ属植物又はその処理物を有効成分として含有することを特徴とする経口用体温上昇剤。
  2. ヨモギ属植物又はその処理物を有効成分として含有することを特徴とする経口用新陳代謝促進剤。
  3. ヨモギ属植物又はその処理物を有効成分として含有することを特徴とする経口用免疫機能増強剤。
  4. ヨモギ属植物が、ヨモギ(Artemisia princeps Pampan.)である請求項1〜3のいずれか一項に記載の剤。
  5. ヨモギ属植物の処理物が、ヨモギ属植物の生の葉及び/又は茎の乾燥物である請求項1〜4のいずれか一項に記載の剤。
  6. ヨモギ属植物の処理物が、ヨモギ属植物の生の葉及び/又は茎の乾燥物の粉砕物である請求項1〜5のいずれか一項に記載の剤。
  7. 剤形が、錠剤、カプセル剤、チュアブル剤、フィルム剤、散剤、丸薬、又は顆粒剤である請求項1〜6のいずれか一項に記載の剤。
  8. ヨモギ属植物又はその処理物を哺乳動物に経口投与することを特徴とする哺乳動物の体温を上昇させる方法。
  9. ヨモギ属植物又はその処理物を哺乳動物に経口投与することを特徴とする哺乳動物の新陳代謝を促進させる方法。
  10. ヨモギ属植物又はその処理物を哺乳動物に経口投与することを特徴とする哺乳動物の免疫機能を増強させる方法。
  11. 経口用体温上昇剤としての、ヨモギ属植物又はその処理物、又はこれを含む組成物。
  12. 経口用新陳代謝促進剤としての、ヨモギ属植物又はその処理物、又はこれを含む組成物。
  13. 経口用免疫機能増強剤としての、ヨモギ属植物又はその処理物、又はこれを含む組成物。
  14. 経口用体温上昇剤を製造するための、ヨモギ属植物又はその処理物の使用。
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