JPWO2011125490A1 - 複層塗膜形成方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、鋼板上に電着塗料を塗装し、加熱硬化させて硬化電着塗膜を形成せしめる工程(1);該硬化電着塗膜上に、バインダー成分(A)、ならびにバインダー成分(A)の固形分100質量部を基準として、二酸化チタン顔料(B)を50〜200質量部、赤黄系着色顔料(C)を0.1〜50質量部及び赤黄系着色顔料(C)と補色の関係にある有彩色顔料(D)を0.01〜10質量部含有する第1着色塗料(X)を塗装して、第1着色塗膜を形成せしめる工程(2);該第1着色塗膜上に、第2着色塗料(Y)を塗装して第2着色塗膜を形成せしめる工程(3);該第2着色塗膜上に、クリヤーコート塗料(Z)を塗装してクリヤーコート塗膜を形成せしめる工程(4)ならびに上記工程(2)〜(4)で形成される3層の塗膜を同時に加熱硬化させる工程(5)を順次行うことからなる、優れた耐候性を有する複層塗膜の形成方法を提供する。

Description

本発明は、3コート1ベーク方式により優れた耐候性を有する複層塗膜を形成せしめることができる方法及び該方法により形成された塗装物品に関する。
自動車車体における塗膜形成方法としては、被塗物上に電着塗膜を形成せしめた後、電着塗膜上に「中塗り塗料の塗装→焼き付け硬化→ベースコート塗料の塗装→クリヤーコート塗料の塗装→焼き付け硬化」の3コート2ベーク方式により複層塗膜を形成せしめる方法が広く採用されている。
一方、最近では、省資源及び省エネルギーの観点から、中塗り塗料の塗装後の焼き付け硬化工程を省略し、被塗物上に電着塗膜を形成せしめた後、電着塗膜上に「中塗り塗料の塗装→ベースコート塗料の塗装→クリヤーコート塗料の塗装→焼き付け硬化」を行なう3コート1ベーク方式が検討されている。
しかしながら、上記3コート1ベーク方式は、中塗り塗料、ベースコート塗料及びクリヤーコート塗料を、未硬化の状態で3層塗り重ねるため、中塗り塗料の硬化後にベースコート塗料及びクリヤーコート塗料を未硬化の状態で2層塗り重ねる前記3コート2ベーク方式に比べ、タレが発生しやすく、形成される複層塗膜の平滑性が劣る場合がある。
このような課題を解決する手段として、上記3コート1ベーク方式において、中塗り塗料、ベースコート塗料及びクリヤーコート塗料からなる複層塗膜の膜厚を薄くすることが考えられる。しかしながら、複層塗膜を薄く塗装する方法は、形成される複層塗膜の耐候性が低下する場合があり、実際に採用することは困難である。具体的には、長期間の屋外バクロ後に、複層塗膜と下層の電着塗膜間との付着力が低下する場合がある。この理由として、膜厚の薄い複層塗膜では太陽光線が充分に遮断されないため、複層塗膜を透過した太陽光線が下層の電着塗膜まで到達し、該電着塗膜表面の光劣化が生じて、電着塗膜と該電着塗膜上の中塗り塗膜との界面における付着力の低下が生じることが考えられている。
また、上記のような耐候性が低下する現象は、ホワイトパール色等の高明度の複層塗膜を形成する場合において特に生じやすい。この理由として、高明度の複層塗膜は、有彩色顔料及び黒色顔料の配合量が制限されるため、これらの顔料を比較的多く配合することができる低明度の複層塗膜に比べ、下層の電着塗膜を劣化させる太陽光線を遮断する能力が低いことが考えられる。
これらの問題に対し、例えば、特許文献1には、被塗面に、紫外線吸収剤及び/又は光安定剤を含有する中塗り塗料を塗装し、さらにその上に紫外線吸収剤及び/又は光安定剤を含有してなる上塗り塗膜を形成する塗装方法によれば、長期にわたり上塗り塗膜の耐候性を維持することができることが記載されている。しかしながら、該塗装方法においては、上記紫外線吸収剤及び/又は光安定剤は徐々に塗膜中から揮散するため、長期的には耐候性が低下するという問題がある。
特開平6−47338号公報
本発明の目的は、3コート1ベーク方式による塗装方法において、優れた耐候性を有する複層塗膜を形成せしめることができる複層塗膜形成方法及び該複層塗膜形成方法により塗装された物品を提供することである。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、今回、電着塗膜上に、第1着色塗料、第2着色塗料及びクリヤーコート塗料を順次塗装する複層塗膜形成方法において、第1着色塗料として、特定量の二酸化チタン顔料、赤黄系着色顔料及び該赤黄系着色顔料と補色の関係にある着色顔料を含有する塗料を使用する場合に、優れた耐候性を有する複層塗膜を形成せしめることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明は、下記の工程(1)〜(5):
(1) 鋼板上に電着塗料を塗装し、加熱硬化させて硬化電着塗膜を形成せしめる工程、
(2) 工程(1)で得られる硬化電着塗膜上に、(A)バインダー成分、(B)二酸化チタン顔料、(C)赤黄系着色顔料ならびに(D)赤黄系着色顔料(C)と補色の関係にある有彩色顔料を含有し、かつ上記成分(A)〜(D)の配合割合が、バインダー成分(A)の固形分100質量部を基準として、二酸化チタン顔料(B)が50〜200質量部の範囲内、赤黄系着色顔料(C)が0.1〜50質量部の範囲内、そして有彩色顔料(D)が0.01〜10質量部の範囲内である第1着色塗料(X)を塗装して、第1着色塗膜を形成せしめる工程、
(3) 工程(2)で得られる第1着色塗膜上に、第2着色塗料(Y)を塗装して、第2着色塗膜を形成せしめる工程、
(4) 工程(3)で得られる第2着色塗膜上に、クリヤーコート塗料(Z)を塗装してクリヤーコート塗膜を形成せしめる工程、ならびに
(5) 工程(2)〜(4)で形成される第1着色塗膜、第2着色塗膜及びクリヤーコート塗膜を加熱することによって、これら3つの塗膜を同時に硬化させる工程、
を順次行うことを特徴とする複層塗膜形成方法を提供するものである。
本発明は、また、上記の複層塗膜形成方法により形成された塗膜を有する物品を提供するものである。
本発明の複層塗膜形成方法によれば、優れた耐候性を有する複層塗膜を形成せしめることができる。特に、中塗り塗料を比較的薄い膜厚で塗装する3コート1ベーク方式において、優れた平滑性、鮮映性及び耐候性を有する複層塗膜を形成せしめることができる。また、本発明の複層塗膜形成方法は、3コート1ベーク方式により高明度の複層塗膜を形成する場合にも、優れた耐候性を有する複層塗膜を形成せしめることができる。特に、中塗り塗料を比較的薄い膜厚で塗装する3コート1ベーク方式により高明度の複層塗膜を形成する場合に、優れた平滑性、鮮映性及び耐候性を有する複層塗膜を形成せしめることができる。
以下、本発明の複層塗膜形成方法についてさらに詳細に説明する。

工程(1)
本発明の複層塗膜形成方法によれば、まず、被塗物である鋼板上に、電着塗料を塗装し、加熱硬化させることにより、硬化電着塗膜が形成せしめられる。
上記鋼板としては、例えば、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、冷延鋼板等を使用することができる。また、該鋼板は、表面に、予め、リン酸塩処理、クロメート処理、複合酸化物処理等の表面処理が施されたものであってもよい。
上記鋼板上には、それ自体既知の電着塗料(例えば、特開2003−306796号公報等に記載のもの)を塗装し、さらに加熱硬化することによって、硬化電着塗膜が形成せしめられる。該電着塗料としては、カチオン電着塗料を好適に使用することができる。該カチオン電着塗料としては、一般に、アミンで変性されたエポキシ樹脂(カチオン性エポキシ樹脂)及びブロック化イソシアネートを含有する電着塗料を使用することが好ましい。上記カチオン電着塗料を使用することにより、優れた防錆性を有する複層塗膜を形成することができる。
上記硬化電着塗膜の膜厚は、通常5〜40μm、特に7〜30μm、さらに特に10〜25μmの範囲内であることが好適である。

工程(2)
以上に述べた工程(1)で形成される硬化電着塗膜上には、次いで、第1着色塗料(X)が塗装される。
第1着色塗料(X)
第1着色塗料(X)としては、バインダー成分(A)、二酸化チタン顔料(B)、赤黄系着色顔料(C)及び該赤黄系着色顔料(C)と補色の関係にある有彩色顔料(D)を含有する塗料組成物が使用される。
バインダー成分(A)
バインダー成分(A)は、それ自体成膜性を有するものであり、非架橋型及び架橋型のいずれであってもよい。バインダー成分(A)としては、従来から塗料のバインダー成分として使用されているそれ自体既知の被膜形成性樹脂を使用することができる。
上記被膜形成性樹脂の種類としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられ、例えば、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基等の架橋性官能基を有していることが好ましい。
上記被膜形成性樹脂は、水酸基を有する場合、一般に1〜200mgKOH/g、特に2〜180mgKOH/g、さらに特に5〜170mgKOH/gの範囲内の水酸基価を有することが好ましい。上記被膜形成性樹脂は、カルボキシル基等の酸基を有する場合、一般に5〜150mgKOH/g、特に10〜100mgKOH/g、さらに特に15〜80mgKOH/gの範囲内の酸価を有することが好ましい。
バインダー成分(A)は、上記被膜形成性樹脂に加え、架橋剤を含有することができる。バインダー成分(A)の一部として架橋剤を使用する場合、上記被膜形成性樹脂としては、通常、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基などの架橋性官能基を有し、該架橋剤と反応することにより、架橋した被膜を形成することができる樹脂(基体樹脂)を使用することができる。該架橋剤としては、例えば、アミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロック化ポリイソシアネート化合物、エポキシ基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、カルボジイミド基含有化合物、ヒドラジド基含有化合物、セミカルバジド基含有化合物等が挙げられる。
第1着色塗料(X)としては、形成される塗膜の耐水性、耐チッピング性等の観点から、上記基体樹脂及び架橋剤を含有する架橋型塗料を好適に使用することができる。
上記基体樹脂の種類としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。なかでも、該基体樹脂が水酸基含有樹脂であることが好ましく、水酸基含有アクリル樹脂(A−1)及び/又は水酸基含有ポリエステル樹脂(A−2)であることがさらに好ましい。また、塗膜の平滑性及び鮮映性の向上の観点から、水酸基含有アクリル樹脂(A−1)と水酸基含有ポリエステル樹脂(A−2)とを併用することがより好ましい。併用する場合の両者の割合としては、水酸基含有アクリル樹脂(A−1)と水酸基含有ポリエステル樹脂(A−2)との合計量に基づいて、前者が一般に10〜90質量%、特に20〜80質量%の範囲内、そして後者が一般に90〜10質量%、特に80〜20質量%の範囲内であることが好ましい。
水酸基含有アクリル樹脂(A−1)
水酸基含有アクリル樹脂(A−1)は、例えば、水酸基含有重合性不飽和モノマー及び該水酸基含有重合性不飽和モノマーと共重合可能な他の重合性不飽和モノマーを、それ自体既知の方法、例えば、有機溶媒中での溶液重合法、水中でのエマルション重合法などの方法により共重合せしめることによって製造することができる。
上記水酸基含有重合性不飽和モノマーは、1分子中に水酸基及び重合性不飽和結合をそれぞれ少なくとも1個有する化合物である。該水酸基含有重合性不飽和モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物;該(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物のε−カプロラクトン変性体;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド;アリルアルコール;さらに、分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記水酸基含有重合性不飽和モノマーと共重合可能な他の重合性不飽和モノマーとしては、例えば、下記モノマー(i)〜(xix)等を使用することができ、これらの重合性不飽和モノマーはそれぞれ単独でもしくは2種以上で組み合わせて使用することができる。
(i)アルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレート: 例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート等。
(ii)イソボルニル基を有する重合性不飽和モノマー: 例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート等。
(iii)アダマンチル基を有する重合性不飽和モノマー: 例えば、アダマンチル(メタ)アクリレート等。
(iv)トリシクロデセニル基を有する重合性不飽和モノマー: 例えば、トリシクロデセニル(メタ)アクリレート等。
(v)芳香環含有重合性不飽和モノマー: 例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等。
(vi)アルコキシシリル基を有する重合性不飽和モノマー: 例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等。
(vii)フッ素化アルキル基を有する重合性不飽和モノマー: 例えば、パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート;フルオロオレフィン等。
(viii)マレイミド基等の光重合性官能基を有する重合性不飽和モノマー。
(ix)ビニル化合物: 例えば、N−ビニルピロリドン、エチレン、ブタジエン、クロロプレン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等。
(x)カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー: 例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等。
(xi)含窒素重合性不飽和モノマー: 例えば、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートとアミン類との付加物等。
(xii)重合性不飽和基を1分子中に2個以上有する重合性不飽和モノマー: 例えば、アリル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等。
(xiii)エポキシ基含有重合性不飽和モノマー: 例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等。
(xiv)分子末端がアルコキシ基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート。
(xv)スルホン酸基を有する重合性不飽和モノマー: 例えば、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、アリルスルホン酸、4−スチレンスルホン酸等;これらスルホン酸のナトリウム塩及びアンモニウム塩等。
(xvi)リン酸基を有する重合性不飽和モノマー: 例えば、アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシプロピル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシポリ(オキシエチレン)グリコール(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシポリ(オキシプロピレン)グリコール(メタ)アクリレート等。
(xvii)紫外線吸収性官能基を有する重合性不飽和モノマー: 例えば、2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2' −ジヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2' −ジヒドロキシ−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−(2' −ヒドロキシ−5' −メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等。
(xviii)紫外線安定性重合性不飽和モノマー: 例えば、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等。
(xix)カルボニル基を有する重合性不飽和モノマー: 例えば、アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、アセトアセトキシエチルメタクリレート、ホルミルスチロール、4〜7個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン)等。
本明細書において、重合性不飽和基とは、ラジカル重合しうる不飽和基を意味する。かかる重合性不飽和基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。
また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」はアクリレート又はメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリル酸」はアクリル酸又はメタクリル酸を意味する。また、「(メタ)アクリロイル」はアクリロイル又はメタクリロイルを意味し、「(メタ)アクリルアミド」はアクリルアミド又はメタクリルアミドを意味する。
水酸基含有アクリル樹脂(A−1)は、また、アミド基を有することが好ましい。アミド基を有する水酸基含有アクリル樹脂は、例えば、上記水酸基含有重合性不飽和モノマーと共重合可能な他の重合性不飽和モノマーの1種として、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有重合性不飽和モノマーを用いることにより製造することができる。
水酸基含有アクリル樹脂(A−1)を製造する際の前記水酸基含有重合性不飽和モノマーの使用割合は、モノマー成分の合計量を基準として、一般に1〜50質量%、特に2〜40質量%、さらに特に3〜30質量%の範囲内が好ましい。
水酸基含有アクリル樹脂(A−1)は、塗料の貯蔵安定性、得られる塗膜の耐水性等の観点から、一般に0.1〜200mgKOH/g、特に2〜150mgKOH/g、さらに特に5〜100mgKOH/gの範囲内の酸価を有することが好ましい。
また、水酸基含有アクリル樹脂(A−1)は、得られる塗膜の耐水性等の観点から、0.1〜200mgKOH/g、特に2〜150mgKOH/g、さらに特に5〜100mgKOH/gの範囲内の水酸基価を有することが好ましい。
第1着色塗料(X)が水酸基含有アクリル樹脂(A−1)を含有する場合、該水酸基含有アクリル樹脂(A−1)の配合量は、バインダー成分(A)の固形分量を基準として、一般に2〜70質量%、特に10〜65質量%、さらに特に20〜60質量%の範囲内が好ましい。
水酸基含有ポリエステル樹脂(A−2)
第1着色塗料(X)において、バインダー成分(A)として、水酸基含有ポリエステル樹脂(A−2)を使用することによって、得られる塗膜の平滑性等の塗膜性能を向上させることができる。
水酸基含有ポリエステル樹脂(A−2)は、通常、酸成分とアルコール成分とのエステル化反応又はエステル交換反応によって製造することができる。
上記酸成分としては、ポリエステル樹脂の製造に際して、酸成分として通常使用される化合物を使用することができる。かかる酸成分としては、例えば、脂肪族多塩基酸、脂環族多塩基酸、芳香族多塩基酸等を挙げることができる。
上記脂肪族多塩基酸には、一般に、1分子中に少なくとも2個のカルボキシル基を有する脂肪族化合物、該脂肪族化合物の酸無水物、該脂肪族化合物のエステル化物等が包含される。該脂肪族多塩基酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、オクタデカン二酸、クエン酸等の脂肪族多価カルボン酸;該脂肪族多価カルボン酸の無水物;該脂肪族多価カルボン酸の炭素数1〜4程度の低級アルキルのエステル化物等が挙げられる。上記脂肪族多塩基酸はそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
上記脂肪族多塩基酸としては、得られる塗膜の平滑性の観点から、アジピン酸及び/又はアジピン酸無水物を用いることが特に好ましい。
前記脂環族多塩基酸には、一般に、1分子中に少なくとも1個の脂環式構造と少なくとも2個のカルボキシル基を有する化合物、該化合物の酸無水物、該化合物のエステル化物等が包含され、該脂環式構造は主として4〜6員環構造であることができる。該脂環族多塩基酸としては、例えば、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、3−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸等の脂環族多価カルボン酸;該脂環族多価カルボン酸の無水物;該脂環族多価カルボン酸の炭素数1〜4程度の低級アルキルのエステル化物等が挙げられる。上記脂環族多塩基酸はそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
上記脂環族多塩基酸としては、得られる塗膜の平滑性の観点から、なかでも、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物を用いることが好ましく、殊に1,2−シクロヘキサンジカルボン酸及び/又は1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物を用いることがより好ましい。
前記芳香族多塩基酸には、一般に、1分子中に少なくとも2個のカルボキシル基を有する芳香族化合物、該芳香族化合物の酸無水物、該芳香族化合物のエステル化物等が包含され、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族多価カルボン酸;該芳香族多価カルボン酸の無水物;該芳香族多価カルボン酸の炭素数1〜4程度の低級アルキルのエステル化物等が挙げられる。上記芳香族多塩基酸はそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
上記芳香族多塩基酸としては、なかでも、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸を使用することが好ましい。
また、上記脂肪族多塩基酸、脂環族多塩基酸及び芳香族多塩基酸以外の酸成分を使用することもできる。かかる酸成分としては、特に限定されず、例えば、ヤシ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、麻実油脂肪酸、米ぬか油脂肪酸、魚油脂肪酸、トール油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、桐油脂肪酸、ナタネ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸等の脂肪酸;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、シクロヘキサン酸、10−フェニルオクタデカン酸等のモノカルボン酸;乳酸、3−ヒドロキシブタン酸、3−ヒドロキシ−4−エトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸等が挙げられる。これらの酸成分はそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
前記アルコール成分としては、1分子中に少なくとも2個の水酸基を有する多価アルコールを好適に使用することができる。該多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、3−メチル−1,2−ブタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,3−ジメチルトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、3−メチル−4,3−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF等の2価アルコール;これらの2価アルコールにε−カプロラクトン等のラクトン類を付加したポリラクトンジオール;ビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート等のエステルジオール類;ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテルジオール類;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジグリセリン、トリグリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸、ソルビトール、マンニット等の3価以上のアルコール;これらの3価以上のアルコールにε−カプロラクトン等のラクトン類を付加させたポリラクトンポリオール類等が挙げられる。
また、上記多価アルコール以外のアルコール成分を使用することもできる。かかるアルコール成分としては、特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ステアリルアルコール、2−フェノキシエタノール等のモノアルコール;プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、「カージュラE10」(商品名、HEXION Specialty Chemicals社製、合成高分岐飽和脂肪酸のグリシジルエステル)等のモノエポキシ化合物と酸を反応させて得られたアルコール化合物等が挙げられる。
水酸基含有ポリエステル樹脂(A−2)の製造方法は、特に限定されるものではなく、通常の方法に従って行なうことができる。例えば、前記酸成分とアルコール成分とを、窒素気流中、150〜250℃の温度で、5〜10時間加熱し、該酸成分とアルコール成分のエステル化反応又はエステル交換反応を行なう方法により水酸基含有ポリエステル樹脂を製造することができる。
上記酸成分及びアルコール成分をエステル化反応又はエステル交換反応せしめる際には、反応容器中に、これらを一度に添加してもよく、或いは一方又は両者を数回に分けて添加してもよい。また、まず、水酸基含有ポリエステル樹脂を合成した後、得られる水酸基含有ポリエステル樹脂に酸無水物を反応させてハーフエステル化させてカルボキシル基及び水酸基含有ポリエステル樹脂としてもよく、また、まず、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂を合成した後、上記アルコール成分を付加させて水酸基含有ポリエステル樹脂としてもよい。
前記エステル化又はエステル交換反応の際には、反応を促進させるための触媒として、ジブチル錫オキサイド、三酸化アンチモン、酢酸亜鉛、酢酸マンガン、酢酸コバルト、酢酸カルシウム、酢酸鉛、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等のそれ自体既知の触媒を使用することができる。
水酸基含有ポリエステル樹脂(A−2)は、該樹脂の調製中又は調製後に、脂肪酸、モノエポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物等で変性することができる。
上記脂肪酸としては、例えば、ヤシ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、麻実油脂肪酸、米ぬか油脂肪酸、魚油脂肪酸、トール油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、桐油脂肪酸、ナタネ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸などが挙げられ、上記モノエポキシ化合物としては、例えば、「カージュラE10」(商品名、HEXION Specialty Chemicals社製、合成高分岐飽和脂肪酸のグリシジルエステル)を好適に用いることができる。
また、上記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、リジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート類;水素添加キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,6−ジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−(イソシアナトメチル)シクロヘキサンなどの脂環族ジイソシアネート類;トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート類;リジントリイソシアネートなどの3価以上のポリイソシアネートなどの有機ポリイソシアネートそれ自体;これらの各有機ポリイソシアネートと多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂、水等との付加物;これらの各有機ポリイソシアネート同士の環化重合体(例えば、イソシアヌレート)、ビウレット型付加物などが挙げられる。これらのポリイソシアネート化合物は、単独でもしくは2種以上混合して使用することができる。
水酸基含有ポリエステル樹脂(A−2)としては、得られる塗膜の平滑性及び耐水性に優れる観点から、原料の酸成分中の脂環族多塩基酸の含有量が、該酸成分の合計量を基準として、一般に20〜100モル%、特に25〜95モル%、さらに特に30〜90モル%の範囲内であるものが好ましい。特に、得られる塗膜の平滑性に優れる観点から、上記脂環族多塩基酸が1,2−シクロヘキサンジカルボン酸及び/又は1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物であることが好ましい。
水酸基含有ポリエステル樹脂(A−2)は、一般に1〜200mgKOH/g、特に2〜180mgKOH/g、さらに特に5〜170mgKOH/gの範囲内の水酸基価を有することが好ましい。また、水酸基含有ポリエステル樹脂(A−2)が、さらにカルボキシル基を有する場合は、一般に5〜150mgKOH/g、特に10〜100mgKOH/g、さらに特に15〜80mgKOH/gの範囲内の酸価を有することが好ましい。さらに、水酸基含有ポリエステル樹脂(A−2)は、一般に500〜50,000、特に1,000〜30,000、さらに特に1,200〜10,000の範囲内の数平均分子量を有することが好ましい。
第1着色塗料(X)が水酸基含有ポリエステル樹脂(A−2)を含有する場合、水酸基含有ポリエステル樹脂(A−2)の配合量は、バインダー成分(A)の固形分量を基準として、一般に2〜70質量%、特に10〜55質量%、さらに特に15〜45質量%の範囲内であることが好ましい。
架橋剤
前記架橋剤は、上記基体樹脂中の水酸基、カルボキシル基、エポキシ基等の架橋性官能基と反応して、第1着色塗料(X)を硬化させ得る化合物である。該架橋剤としては、例えば、アミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロック化ポリイソシアネート化合物、エポキシ基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、カルボジイミド基含有化合物、ヒドラジド基含有化合物、セミカルバジド基含有化合物等が挙げられる。これらのうち、水酸基と反応し得るアミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物及びブロック化ポリイソシアネート化合物;カルボキシル基と反応し得るカルボジイミド基含有化合物が好ましく、アミノ樹脂が特に好ましい。これらの架橋剤はそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
上記アミノ樹脂としては、例えば、アミノ成分とアルデヒド成分との反応によって得られる部分メチロール化アミノ樹脂又は完全メチロール化アミノ樹脂を使用することができる。アミノ成分としては、例えば、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、ステログアナミン、スピログアナミン、ジシアンジアミドなどが挙げられ、そしてアルデヒド成分としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒドなどが挙げられる。
また、上記メチロール化アミノ樹脂のメチロール基を、適当なアルコールによって、部分的に又は完全にエーテル化したものも使用することができる。エーテル化に使用しうるアルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノールなどが挙げられる。
アミノ樹脂としては、メラミン樹脂が好ましく、特に、部分又は完全メチロール化メラミン樹脂のメチロール基をメチルアルコールで部分的に又は完全にエーテル化したメチルエーテル化メラミン樹脂、部分又は完全メチロール化メラミン樹脂のメチロール基をブチルアルコールで部分的に又は完全にエーテル化したブチルエーテル化メラミン樹脂、部分又は完全メチロール化メラミン樹脂のメチロール基をメチルアルコール及びブチルアルコールで部分的に又は完全にエーテル化したメチル−ブチル混合エーテル化メラミン樹脂が好ましい。
上記メラミン樹脂は、得られる塗膜の耐水性に優れる観点から、一般に400〜6,000、特に500〜4,000、さらに特に600〜3,000の範囲内の重量平均分子量を有するものであるのが好ましい。
メラミン樹脂としては市販品を使用することができ、例えば、「サイメル202」、「サイメル203」、「サイメル238」、「サイメル251」、「サイメル303」、「サイメル323」、「サイメル324」、「サイメル325」、「サイメル327」、「サイメル350」、「サイメル385」、「サイメル1156」、「サイメル1158」、「サイメル1116」、「サイメル1130」(以上、商品名、日本サイテックインダストリーズ社製)、「ユーバン120」、「ユーバン20HS」、「ユーバン20SE60」、「ユーバン2021」、「ユーバン2028」、「ユーバン28−60」(以上、商品名、三井化学社製)などが挙げられる。
また、架橋剤として、メラミン樹脂を使用する場合は、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸などのスルホン酸;モノブチルリン酸、ジブチルリン酸、モノ2−エチルヘキシルリン酸、ジ2−エチルヘキシルリン酸等のアルキルリン酸エステル;これらの酸とアミン化合物との塩などを触媒として使用することができる。
前記ポリイソシアネート化合物は、1分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を有する化合物であり、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート類;水素添加キシリレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネート類;トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート類;2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトカプロエート、3−イソシアナトメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、4−イソシアナトメチル−1,8−オクタメチレンジイソシアネート(通称、トリアミノノナントリイソシアネート)などの3価以上の有機ポリイソシアネート化合物;これらのポリイソシアネート化合物の2量体又は3量体;これらのポリイソシアネート化合物と多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂又は水とをイソシアネート基過剰の条件でウレタン化反応させてなるプレポリマーなどが挙げられる。
また、架橋剤として、ポリイソシアネート化合物を使用する場合は、オクチル酸錫、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド、ジブチル錫脂肪酸塩、2−エチルヘキサン酸鉛、オクチル酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、脂肪酸亜鉛類、ナフテン酸コバルト、オクチル酸カルシウム、ナフテン酸銅、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネートなどの有機金属化合物;第三級アミン;りん酸化合物等を触媒として使用することができる。
前記ブロック化ポリイソシアネート化合物は、上記ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基を、ブロック剤でブロックした化合物であり、ブロック剤としては、例えば、フェノール系、ラクタム系、アルコール系、エーテル系、グリコール酸エステル、乳酸エステル、オキシム系、活性メチレン系、メルカプタン系、酸アミド系、イミド系、アミン系、イミダゾール系、尿素系、カルバミン酸エステル系、イミン系などを挙げることができる。
前記カルボジイミド基含有化合物としては、例えば、上記ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基同士を脱二酸化炭素反応せしめたものを使用することができる。該カルボジイミド基含有化合物としては市販品を使用することができ、例えば、「カルボジライトSV−02」、「カルボジライトV−02」、「カルボジライトV−02−L2」、「カルボジライトV−04」、「カルボジライトE−01」、「カルボジライトE−02」(以上、商品名、日清紡社製)等を挙げることができる。
第1着色塗料(X)が、架橋剤を含有する場合、前記基体樹脂と上記架橋剤との配合割合は、形成される複層塗膜の平滑性及び耐水性の向上の観点から、両者の合計量に基づいて、前者は一般に30〜95質量%、特に50〜90質量%、さらに特に60〜80質量%の範囲内、後者は一般に5〜70質量%、特に10〜50質量%、さらに特に20〜40質量%の範囲内であることが好適である。
二酸化チタン顔料(B)
第1着色塗料(X)に用いられる二酸化チタン顔料(B)は白色顔料であって、形成塗膜に白色を付与することができる。
二酸化チタン顔料(B)は、ルチル型、アナターゼ型のいずれの結晶型を有するものであってもよいが、形成される塗膜の耐候性及び下地色の隠蔽性に優れるという点から、ルチル型が好ましい。
また、二酸化チタン顔料(B)は、二酸化チタンの表面を、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、二酸化珪素などの無機酸化物;アミン、アルコールなどの有機化合物などで被覆処理をしたものであってもよい。
赤黄系着色顔料(C)
第1着色塗料(X)に用いられる赤黄系着色顔料(C)としては、例えば、黄色顔料、赤色顔料、橙色顔料などを使用することができ、具体的には、例えば、チタンイエロー(C.I.Pigment Yellow 53、C.I.番号77788)、チタンバリウムニッケルイエロー(C.I.Pigment Yellow 157、C.I.番号77900)、タンイエロー(C.I.Pigment Yellow 119、C.I.番号77496)、黄色酸化鉄(C.I.Pigment Yellow 42、C.I.番号77492)、バナジン酸ビスマス(C.I.Pigment Yellow 184)などの黄色無機顔料;キノリンイエローレーキ(C.I.Pigment Yellow 115、C.I.番号47005:1)、溶性アリライドイエロー(C.I.Pigment Yellow 61、C.I.番号13880)、アリライドイエローG(C.I.Pigment Yellow 1、C.I.番号11680)、ベンズイミダゾロンイエロー(C.I.Pigment Yellow 154、C.I.番号11781)、ジアリライドイエローAAA(C.I.Pigment Yellow 12、C.I.番号21090)、ファーストイエローR(C.I.Pigment Yellow 10、C.I.番号12710)、縮合アゾイエロー3G(C.I.Pigment Yellow 93、C.I.番号20710)、アゾニッケルイエロー(C.I.Pigment Yellow 150、C.I.番号12764)、フラバンスロンイエロー(C.I.Pigment Yellow 24、C.I.番号70600)、キノフタロンイエロー(C.I.Pigment Yellow 138、C.I.番号56300)、イソインドリノンイエローG(C.I.Pigment Yellow 109、C.I.番号56284)、イソインドリンイエロー(C.I.Pigment Yellow 139、C.I.番号56289)、ニッケルジオキシムイエロー(C.I.Pigment Yellow 153)などの黄色有機顔料;べんがら(C.I.Pigment Red 101、C.I.番号77491)、モリブレートオレンジ(C.I.Pigment Red 104、C.I.番号77605)などの赤色無機顔料;ローダミン6Gレーキ(C.I.Pigment Red 81、C.I.番号45160:1)、レーキレッドC(C.I.Pigment Red 53:1、C.I.番号15585:1)、パーマネントレッド2B(C.I.Pigment Red 48:1、C.I.番号15865:1)、ブリリアントカーミン6B(C.I.Pigment Red 57:1、C.I.番号15850:1)、ナフトールASレッド(C.I.Pigment Red 243)、パラレッド(C.I.Pigment Red 1、C.I.番号12070)、トルイジンレッド(C.I.Pigment Red 3、C.I.番号12120)、ナフトールレッドF5RK(C.I.Pigment Red 170、C.I.番号12475)、ベンズイミダゾロンカーミンHF4C(C.I.Pigment Red 185、C.I.番号12516)、ピラゾロンレッド(C.I.Pigment Red 38、C.I.番号21120)、ジアニシジンレッド(C.I.Pigment Red 41、C.I.番号21200)、縮合アゾレッドBRN(C.I.Pigment Red 144、C.I.番号20735)、縮合アゾスカーレットRN(C.I.Pigment Red 166、C.I.番号20730)、縮合アゾレッドBN(C.I.Pigment Red 214)、縮合アゾスカーレット4RF(C.I.Pigment Red 242、C.I.番号20067)、ジアンスラキノニルレッド(C.I.Pigment Red 177、C.I.番号65300)、チオインジゴボルドー(C.I.Pigment Red 88、C.I.番号73312)、ペリノンレッド(C.I.Pigment Red 194、C.I.番号71100)、ペリレンレッドBL(C.I.Pigment Red 149、C.I.番号71137)、ペリレンレッド(C.I.Pigment Red 178、C.I.番号71155)、ペリレンマルーン(C.I.Pigment Red 179、C.I.番号71130)、キナクリドンマゼンダ(C.I.Pigment Red 122、C.I.番号73915)、キナクリドンレッド(C.I.Pigment Red 207、C.I.番号73900)、ジケトピロロピロールレッド(C.I.Pigment Red 254、C.I.番号56110)などの赤色有機顔料;パーマネントオレンジ2G(C.I.Pigment Orange 5、C.I.番号12075)、ベンズイミダゾロンオレンジHL(C.I.Pigment Orange 36、C.I.番号11780)、ジアニシジンオレンジ(C.I.Pigment Orange 16、C.I.番号21160)、ピラゾロンオレンジ(C.I.Pigment Orange 13、C.I.番号21110)、ペリノンオレンジ(C.I.Pigment Orange 43、C.I.番号71105)、イソインドリノンオレンジ(C.I.Pigment Orange 61、C.I.番号11265)、ジケトピロロピロールオレンジ(C.I.Pigment Orange 71、C.I.番号561200)などの橙色有機顔料などが挙げられ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
なかでも、優れた耐候性を有し、かつ明度の高い塗膜を形成することができることから、赤黄系着色顔料(C)は無機顔料であることが好ましく、チタンイエロー(C.I.Pigment Yellow 53)、黄色酸化鉄(C.I.Pigment Yellow 42)、バナジン酸ビスマス(C.I.Pigment Yellow 184)及びべんがら(C.I.Pigment Red 101)からなる群より選ばれる少なくとも1種の顔料であることがさらに好ましい。なかでも、黄色酸化鉄(C.I.Pigment Yellow 42)及び/又はべんがら(C.I.Pigment Red 101)が好ましく、黄色酸化鉄(C.I.Pigment Yellow 42)がさらに好ましい。
赤黄系着色顔料(C)は、色相角hab(C)が0〜100°又は350〜360°の範囲内であることが好ましい。なかでも、優れた耐候性を有し、かつ明度の高い塗膜を形成することができることから、色相角hab(C)は一般に45〜95°、特に50〜95°、さらに特に60〜90°の範囲内であることが好適である。
なお、上記色相角habは、JIS Z 8729(2004)7.3に規定されているab色相角であって、明度、色相及び彩度からなる色知覚の属性を表すL表色系の、色座標a、bを用いて、下記式
ab=tan−1(b/a
によって算出される値である。上記色相角habは、色座標aとbがともに正であれば0°〜90°、aが負でbが正であれば90°〜180°、aとbがともに負であれば180°〜270°、aが正でbが負であれば270°〜360°の範囲内の値となる。
本発明において、着色顔料の色相角habは、該着色顔料のみを着色材として含む塗料を塗装して得られた塗膜について、多角度分光測色計を用いて、測定対象面に垂直な軸に対し45°の角度から標準の光D65を照射し、反射した光のうち測定対象面に垂直な方向の光(正反射光から45°の角度で受光した光)について、測定した値である。該多角度分光測色計としては、例えば、「CM−512m3」(商品名、コニカミノルタ社製)、「MA−68II」(商品名、X−Rite社製)などを使用することができる。
上記着色顔料の色相角habは、具体的には、以下のようにして測定することができる:まず、水酸基含有アクリル樹脂(水酸基価100、数平均分子量20,000)70部及びメラミン樹脂30部からなる樹脂成分100質量部(固形分)に、着色顔料を15質量部配合して攪拌混合し、塗装に適正な粘度に有機溶剤で希釈して、固形分約25%の有機溶剤型塗料を得る。次いで、得られた塗料を、予めグレー(マンセルチャートでN−6)の硬化塗膜を形成した塗板上に、硬化塗膜の膜厚が30μmとなるように、エアスプレー塗装し、室温で15分間放置した後、熱風乾燥機を用いて140℃で30分加熱して硬化塗膜を得る。次いで、得られた硬化塗膜について、「MA−68II」(商品名、X−Rite社製、多角度分光測色計)を使用し、硬化塗膜面に垂直な軸に対し45°の角度から標準の光D65を照射し、反射した光のうち硬化塗膜面に垂直な方向の光(正反射光から45°の角度で受光した光)について、分光反射率に基づいて得られる色相角habを測定する。
赤黄系着色顔料(C)と補色の関係にある有彩色顔料(D)
第1着色塗料(X)に用いられる有彩色顔料(D)は、赤黄系着色顔料(C)と補色の関係にある顔料である。補色とは、一般に、混色して無彩色にすることのできる2つの色をいう。補色関係にある2つの色の組み合わせとしては、例えば、赤と緑、橙と青、黄と紫などが挙げられる。
なお、実際には、前記赤黄系着色顔料(C)及び有彩色顔料として市販されている顔料が限られることから、本発明において、赤黄系着色顔料(C)と補色の関係にある有彩色顔料(D)は、赤黄系着色顔料(C)との色相角の差Δhab(CD)が95〜180°の範囲内にある顔料であることができる。なかでも、赤黄系着色顔料(C)との色相角の差Δhab(CD)が一般に120〜180°、特に140〜180°、さらに特に160〜180°の範囲内であることが好ましい。
本発明において、色相角の差Δhab(CD)は、赤黄系着色顔料(C)の色相角hab(C)と、有彩色顔料(D)の色相角hab(D)との差である。なお、色相角の差Δhab(CD)が180°を超える場合は360°からその値を減じて算出する。そのため、色相角の差Δhab(CD)は0°以上180°以下の範囲の値をとる。
なお、本発明において、第1着色塗料(X)が、赤黄系着色顔料(C)として2種以上の赤黄系着色顔料を含有する場合、有彩色顔料(D)は、第1着色塗料(X)中に最も多く配合されている赤黄系着色顔料と補色の関係にある顔料である。
有彩色顔料(D)としては、例えば、コバルトブルー(C.I.Pigment Blue 28、C.I.番号77346)、群青(C.I.Pigment Blue 29、C.I.番号77007)、紺青(C.I.Pigment Blue 27、C.I.番号77510)などの青色無機顔料;無金属フタロシアニンブルー(αβγ型)(C.I.Pigment Blue 16、C.I.番号74100)、フタロシアニンブルー(α型)(C.I.Pigment Blue 15、C.I.番号74160)、フタロシアニンブルー(α型、NC)(C.I.Pigment Blue 15:1、C.I.番号74160)、フタロシアニンブルー(α型、NCNF)(C.I.Pigment Blue 15:2、C.I.番号74160)、フタロシアニンブルー(β型、NC)(C.I.Pigment Blue 15:3、C.I.番号74160)、フタロシアニンブルー(β型、NCNF)(C.I.Pigment Blue 15:4、C.I.番号74160)、フタロシアニンブルー(ε型)(C.I.Pigment Blue 15:6、C.I.番号74160)、モノクロロフタロシアニンブルー(NC)(C.I.Pigment Blue 15:1、C.I.番号74160)、モノクロロフタロシアニンブルー(NCNF)(C.I.Pigment Blue 15:2、C.I.番号74160)、インダンスロンブルー(C.I.Pigment Blue 60、C.I.番号69800)などの青色有機顔料;コバルトグリーン(C.I.Pigment Green 19、C.I.番号77335)などの緑色無機顔料;高塩素化フタロシアニングリーン(C.I.Pigment Green 7、C.I.番号74260)、高塩素化高臭素化フタロシアニングリーン(C.I.Pigment Green 36、C.I.番号74265)、ピグメントグリーンB(C.I.Pigment Green 8、C.I.番号10006)などの緑色有機顔料;マンガンバイオレット(C.I.Pigment Violet 6、C.I.番号77742)、コバルトバイオレット(C.I.Pigment Violet 14、C.I.番号77360)などの紫色無機顔料;ジオキサジンバイオレット(C.I.Pigment Violet 23、C.I.番号51319)、ジオキサジンバイオレット(C.I.Pigment Violet 37、C.I.番号51345)、無置換キナクリドン(C.I.Pigment Violet 19、C.I.番号73900)などの紫色有機顔料などが挙げられ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
なかでも、得られる塗膜が高い明度を有し、かつ優れた耐候性を有するという観点から、有彩色顔料(D)は、フタロシアニン系顔料、スレン(アンスラキノン)系顔料、ジオキサジン系顔料及びキナクリドン系顔料からなる群より選ばれる少なくとも1種の顔料であることが好ましく、フタロシアニン系顔料、スレン(アンスラキノン)系顔料及びジオキサジン系顔料からなる群より選ばれる少なくとも1種の顔料であることがより好ましく、フタロシアニン系顔料及び/又はジオキサジン系顔料であることがさらに好ましい。
上記フタロシアニン系顔料としては、例えば、無金属フタロシアニンブルー(αβγ型)(C.I.Pigment Blue 16、C.I.番号74100)、フタロシアニンブルー(α型)(C.I.Pigment Blue 15、C.I.番号74160)、フタロシアニンブルー(α型、NC)(C.I.Pigment Blue 15:1、C.I.番号74160)、フタロシアニンブルー(α型、NCNF)(C.I.Pigment Blue 15:2、C.I.番号74160)、フタロシアニンブルー(β型、NC)(C.I.Pigment Blue 15:3、C.I.番号74160)、フタロシアニンブルー(β型、NCNF)(C.I.Pigment Blue 15:4、C.I.番号74160)、フタロシアニンブルー(ε型)(C.I.Pigment Blue 15:6、C.I.番号74160)、モノクロロフタロシアニンブルー(NC)(C.I.Pigment Blue 15:1、C.I.番号74160)、モノクロロフタロシアニンブルー(NCNF)(C.I.Pigment Blue 15:2、C.I.番号74160)、高塩素化フタロシアニングリーン(C.I.Pigment Green 7、C.I.番号74260)、高塩素化高臭素化フタロシアニングリーン(C.I.Pigment Green 36、C.I.番号74265)などが挙げられ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記スレン(アンスラキノン)系顔料としては、例えば、インダンスロンブルー(C.I.Pigment Blue 60、C.I.番号69800)などが挙げられる。
前記ジオキサジン系顔料としては、例えば、ジオキサジンバイオレット(C.I.Pigment Violet 23、C.I.番号51319)、ジオキサジンバイオレット(C.I.Pigment Violet 37、C.I.番号51345)などが挙げられ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記キナクリドン系顔料としては、例えば、無置換キナクリドン(C.I.Pigment Violet 19、C.I.番号73900)などが挙げられる。
第1着色塗料(X)の調製
本発明の塗料組成物は、以上に述べたバインダー成分(A)、二酸化チタン顔料(B)、赤黄系着色顔料(C)及び有彩色顔料(D)を含有する。上記バインダー成分(A)、二酸化チタン顔料(B)、赤黄系着色顔料(C)及び有彩色顔料(D)の配合割合は、形成される塗膜の耐候性、下層の塗膜の色を隠蔽する能力の観点から、バインダー成分(A)の固形分100質量部を基準として、下記の範囲内であることが好ましい。
二酸化チタン顔料(B):50〜200質量部、特に60〜150質量部、さらに特に80〜130質量部、
赤黄系着色顔料(C):0.1〜50質量部、特に0.3〜35質量部、さらに特に0.5〜15質量部、
有彩色顔料(D):0.01〜10質量部、特に0.05〜2質量部、さらに特に0.1〜1質量部。
本発明に従う第1着色塗料(X)を使用することにより、比較的薄い膜厚でも、優れた耐候性を有する複層塗膜を形成せしめることができるが、その理由としては、比較的多量の二酸化チタン顔料(B)を含有し、さらに、赤黄系着色顔料(C)及び有彩色顔料(D)を含有する第1着色塗料(X)が、二酸化チタン顔料などの白色顔料とカーボンブラックなどの黒色顔料とを含有する従来の中塗り塗料に比べ、下層の電着塗膜を劣化させる光線を遮断する能力が高いことが推察される。
また、従来、着色顔料の配合量が制限される高明度の塗膜は、着色顔料を比較的多く配合することができる低明度の塗膜に比べ、下層の電着塗膜を劣化させる光線を遮断する能力が低く、薄膜化が困難であったが、本発明に従う第1着色塗料(X)は、光線を遮断する能力が高いため、高明度の塗膜を形成する場合、特に高明度の塗膜を比較的薄い膜厚で形成する場合に好適に使用することができる。このため、第1着色塗料(X)を塗装して形成される第1着色塗膜のL値は40以上、好ましくは80〜95、さらに好ましくは85〜93の範囲内とすることができる。
なお、本発明において、L値は、多角度分光測色計を用いて、測定対象面に垂直な軸に対し45°の角度から標準の光D65を照射し、反射した光のうち測定対象面に垂直な方向の光(正反射光から45°の偏角を有する光)についてL、a、b(JIS Z 8729(2004))を測定したときの値である。上記多角度分光測色計としては、例えば、「CM−512m3」(商品名、コニカミノルタ社製)、「MA−68II」(商品名、X−Rite社製)などを使用することができる。
ここで、上記L値は以下の方法により測定することができる:まず、硬化電着塗膜上に第1着色塗料(X)を塗装する際に、ポリテトラフルオロエチレン板上にも、同様に、第1着色塗料(X)を塗装する。次いで、該ポリテトラフルオロエチレン板を、第2着色塗料(Y)が塗装される前に回収し、該ポリテトラフルオロエチレン板上の第1着色塗膜を硬化せしめる。次いで、硬化した第1着色塗膜を剥離して回収し、予めグレー(マンセルチャートでN−6)の硬化塗膜を形成した塗板上に乗せる。次いで、「CM−512m3」(商品名、コニカミノルタ社製、多角度分光測色計)を使用し、塗膜について、測定対象面に垂直な軸に対し45°の角度から標準の光D65を照射し、反射した光のうち測定対象面に垂直な方向の光(正反射光に対して45°の角度で受光した光)についてL値を測定する。
また、形成される塗膜の耐候性の観点から、第1着色塗料(X)を塗装し、硬化せしめて得られる厚さが5μmの硬化塗膜の波長360〜420nmにおける平均光線透過率は、一般に2%未満、特に1.5%未満、さらに特に1.0%未満、さらに一層特に0.5%未満であることが好適である。
ここで、上記厚さが5μmの硬化塗膜の波長360〜420nmにおける平均光線透過率は以下の方法により測定することができる:
まず、ポリテトラフルオロエチレン板上に、硬化したときの塗膜の厚さが5μmとなるように、第1着色塗料(X)を塗装する。次に、該ポリテトラフルオロエチレン板上の第1着色塗膜を硬化せしめる。次に、硬化した第1着色塗膜を剥離して回収し、分光光度計を用いて、波長360〜420nmの範囲における平均光線透過率を測定する。上記分光光度計としては、例えば、「MPS−2450」(商品名、島津製作所製)などを使用することができる。
また、第1着色塗料(X)は、比較的少ない色の数で多くの第2着色塗料の色に対応できるという観点から、白、グレーなどの無彩色の第1着色塗膜を形成しうる塗料であることが好適である。
第1着色塗料(X)は、さらに必要に応じて、二酸化チタン顔料(B)、赤黄系着色顔料(C)及び有彩色顔料(D)以外の着色顔料、体質顔料、光輝性顔料、有機溶剤、増粘剤、硬化触媒、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、可塑剤、表面調整剤、沈降防止剤などの塗料用添加剤を含有することができる。
上記体質顔料としては、例えば、クレー、カオリン、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、アルミナホワイトなどが挙げられ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。なかでも、形成される複層塗膜の耐チッピング性の観点からタルクを使用することが好ましい。
第1着色塗料(X)が、上記体質顔料を含有する場合、該体質顔料の配合量は、固形分として、バインダー成分(A)の固形分100質量部に対して、通常1〜150質量部、特に5〜130質量部、さらに特に10〜110質量部の範囲内であることが好ましい。
前記光輝性顔料は、塗膜にキラキラとした光輝性や光干渉性模様を付与する顔料であり、具体的には、例えば、アルミニウム(蒸着アルミニウムも含む)、銅、亜鉛、真ちゅう、ニッケル、酸化アルミニウム、雲母、酸化チタンや酸化鉄で被覆された雲母、酸化チタンや酸化鉄で被覆された酸化アルミニウムなどを挙げることができる。なかでも、アルミニウム、雲母、酸化チタンや酸化鉄で被覆された雲母、酸化チタンや酸化鉄で被覆された酸化アルミニウムが好ましく、アルミニウムがさらに好ましい。これらの顔料はそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。これらの光輝性顔料はりん片状であることが好ましい。
りん片状の光輝性顔料としては、長手方向寸法が通常1〜100μm、特に5〜40μmであり、厚さが通常0.001〜5μm、特に0.01〜2μmのものを好適に用いることができる。
第1着色塗料(X)が、上記光輝性顔料を含有する場合、該光輝性顔料の配合量は、固形分として、バインダー成分(A)の固形分100質量部に対して、通常0.1〜50質量部、特に0.3〜30質量部、さらに特に0.5〜15質量部の範囲内であることが好ましい。
また、第1着色塗料(X)が水性塗料である場合、第1着色塗料(X)は、疎水性溶媒を含有することが好ましく、疎水性溶媒としては、得られる塗膜の光輝感に優れる観点から、アルコール系疎水性溶媒を用いることが好ましい。なかでも、炭素数7〜14のアルコール系疎水性溶媒、例えば、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテルなどからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルコール系疎水性溶媒がさらに好ましい。
第1着色塗料(X)が、疎水性溶媒を含有する場合、その配合量は、第1着色塗料(X)中のバインダー成分(A)の固形分100質量部を基準として、通常2〜100質量部、特に11〜70質量部、さらに特に16〜50質量部の範囲内であることが好適である。
また、増粘剤としては、例えば、ケイ酸塩、金属ケイ酸塩、モンモリロナイト、コロイド状アルミナなどの無機系増粘剤;(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、ポリアクリル酸ソーダなどのポリアクリル酸系増粘剤;1分子中に親水性部分と疎水性部分を有し、水性媒体中において、該疎水性部分が塗料中の顔料やエマルション粒子の表面に吸着したり、該疎水性部分同士が会合したりすることにより効果的に増粘作用を示す会合型増粘剤;カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどの繊維素誘導体系増粘剤;カゼイン、カゼイン酸ソーダ、カゼイン酸アンモニウムなどのタンパク質系増粘剤;アルギン酸ソーダなどのアルギン酸系増粘剤;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルベンジルエーテル共重合体などのポリビニル系増粘剤;ポリエーテルジアルキルエステル、ポリエーテルジアルキルエーテル、ポリエーテルエポキシ変性物などのポリエーテル系増粘剤;ビニルメチルエーテル−無水マレイン酸共重合体の部分エステルなどの無水マレイン酸共重合体系増粘剤;ポリアマイドアミン塩などのポリアマイド系増粘剤などが挙げられる。これらの増粘剤はそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。なかでも、ポリアクリル酸系増粘剤及び/又は会合型増粘剤を用いることが好ましい。
上記ポリアクリル酸系増粘剤としては、市販品を使用することができ、例えば、「ACRYSOL ASE−60」、「ACRYSOL TT−615」、「ACRYSOL RM−5」(以上、商品名、ロームアンドハース社製);「SNシックナー613」、「SNシックナー618」、「SNシックナー630」、「SNシックナー634」、「SNシックナー636」(以上、商品名、サンノプコ社製)などが挙げられる。
また、上記会合型増粘剤としては、市販品を使用することができ、例えば、「UH−420」、「UH−450」、「UH−462」、「UH−472」、「UH−540」、「UH−752」、「UH−756VF」、「UH−814N」(以上、商品名、ADEKA社製);「ACRYSOL RM−8W」、「プライマルRM−12W」、「ACRYSOL RM−825」、「ACRYSOL SCT−275」(以上、商品名、ロームアンドハース社製);「SNシックナー612」、「SNシックナー621N」、「SNシックナー625N」、「SNシックナー627N」、「SNシックナー660T」(以上、商品名、サンノプコ社製)などが挙げられる。
第1着色塗料(X)が、上記増粘剤を含有する場合、該増粘剤の配合量は、バインダー成分(A)の固形分100質量部に対して、通常0.01〜10質量部、特に0.05〜3質量部、さらに特に、0.1〜2質量部の範囲内であることが好ましい。
第1着色塗料(X)は、上述のバインダー成分(A)、二酸化チタン顔料(B)、赤黄系着色顔料(C)及び有彩色顔料(D)、ならびに、必要に応じて、光輝性顔料、有機溶剤、増粘剤、硬化触媒、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、可塑剤、表面調整剤、沈降防止剤などの塗料用添加剤を、それ自体既知の方法により、溶媒中で、混合、分散することによって調製することができる。
溶媒としては水及び/又は有機溶剤を使用することができ、有機溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテルなどの親水性有機溶剤や、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル及びジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテルなどの疎水性有機溶剤が挙げられ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
第1着色塗料(X)は、水性塗料及び有機溶剤型塗料のいずれの形態であってもよいが、有機溶剤の揮散による環境汚染を抑制する観点から、水性塗料であることが好ましい。なお、水性塗料とは、有機溶剤型塗料と対比される用語であって、一般に、水または水を主成分とする媒体(水性媒体)に、塗膜形成性樹脂、顔料などを分散及び/又は溶解させた塗料である。第1着色塗料(X)が水性塗料である場合、第1着色塗料(X)中における水の含有量は、通常10〜95質量%、特に20〜80質量%、さらに特に30〜70質量%の範囲内であることが好ましい。
第1着色塗料(X)の固形分含有量は、通常5〜70質量%、特に15〜65質量%、さらに特に30〜60質量%の範囲内であることが好ましい。
第1着色塗料(X)の塗装
第1着色塗料(X)は、それ自体既知の方法、例えば、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、回転霧化塗装、カーテンコート塗装などにより、硬化電着塗膜上に塗装することができ、塗装の際、静電印加を行ってもよい。これらのうち、エアスプレー塗装、回転霧化塗装などの方法が好ましい。
第1着色塗料(X)の塗布量は、形成される複層塗膜の平滑性の観点から、硬化した時の膜厚が2〜35μm、特に3〜24μm、さらに特に4〜19μm、さらに一層特に5〜16μmの範囲内となるような量であるのが好適である。
本発明の複層塗膜形成方法によれば、下層の電着塗膜を劣化させる光線を遮断する能力が高い第1着色塗膜を形成せしめることができるため、従来の3コート1ベーク方式に比べ、第1着色塗料(X)の塗装膜厚を薄くすることが可能であり、平滑性、鮮映性及び耐候性に優れた複層塗膜を形成せしめることができる。特に、第1着色塗料(X)及び第2着色塗料(Y)が水性塗料である場合に、平滑性、鮮映性及び耐候性に優れた複層塗膜を形成せしめることができる。
本発明の複層塗膜形成方法において、第1着色塗料(X)の塗装膜厚を薄くする場合に、平滑性及び鮮映性に優れた複層塗膜を形成せしめることができる理由としては、第1着色塗膜、第2着色塗膜及びクリヤーコート塗膜からなる3層の未硬化塗膜全体の膜厚が薄くなるため、タレが生じにくくなり、平滑性に優れた複層塗膜が形成されることが推察される。また、第1着色塗料(X)の塗装膜厚が薄く、未硬化の第1着色塗膜中の溶媒量が、従来の膜厚の第1着色塗膜中の溶媒量より少なくなるため、該未硬化の第1着色塗膜から、第1着色塗膜上に塗り重ねられる第2着色塗膜へ移行する溶媒の量が少なくなり、混層が抑制されて、鮮映性に優れた複層塗膜が形成されることが推察される。特に、第1着色塗料(X)及び第2着色塗料(Y)が水性塗料である場合は、溶媒の主成分である水が、有機溶剤に比べて、塗装時に揮散しにくいため、未硬化の第1着色塗膜及び未硬化の第2着色塗膜の中に溶媒が多く残存し、タレや混層が発生しやすい。しかしながら、本発明の複層塗膜形成方法において、水性第1着色塗料(X)の塗装膜厚を薄くする場合には、上述のようにタレや混層が抑制されるため、平滑性、鮮映性及び耐候性に優れた複層塗膜が形成されることが推察される。

工程(3)
以上に述べた工程(2)で形成される第1着色塗料(X)の塗膜(以下、「第1着色塗膜」という場合がある)上には、次いで、第2着色塗料(Y)が塗装される。
上記第1着色塗膜は、第2着色塗料(Y)を塗装する前に、塗膜が実質的に硬化しない加熱条件でプレヒート(予備加熱)、エアブローなどを行うことができる。なお、本発明において、硬化塗膜とは、JIS K 5600−1−1に規定された硬化乾燥状態、すなわち、塗面の中央を親指と人差指とで強く挟んで、塗面に指紋によるへこみが付かず、塗膜の動きが感じられず、また、塗面の中央を指先で急速に繰り返しこすって、塗面にすり跡が付かない状態の塗膜である。一方、未硬化塗膜とは、塗膜が上記硬化乾燥状態に至っていない状態であって、JIS K 5600−1−1に規定された指触乾燥状態及び半硬化乾燥状態をも含むものである。
上記プレヒートは通常40〜100℃、好ましくは50〜90℃、さらに好ましく60〜80℃の温度で行うことができる。プレヒートの時間は通常30秒間〜15分間、好ましく1〜10分間、より好ましく2〜5分間とすることができる。また、上記エアブローは、通常、被塗物の塗装面に、常温又は25〜80℃の温度に加熱された空気を30秒間〜15分間吹き付けることにより行うことができる。
本発明の複層塗膜形成方法は、下層の電着塗膜を劣化させる光線を遮断する能力が高い第1着色塗膜を形成せしめることができるため、従来の3コート1ベーク方式に比べ、第1着色塗料(X)の塗装膜厚を薄くすることが可能であり、上記プレヒート(予備加熱)、エアブローなどを行なわなくても、第2着色塗料(Y)を塗装した後のタレや混層が生じにくく、平滑性及び鮮映性に優れた複層塗膜を形成せしめることができる。このため、省エネルギーの観点から、本発明の複層塗膜形成方法は、第1着色塗料(X)の塗装と、第2着色塗料(Y)の塗装との間に加熱工程を含まないことが好ましい。
一般に、第1着色塗料(X)が水性塗料である場合、溶媒の主成分である水が、有機溶剤に比べて、塗装時に揮散しにくいため、タレや混層が生じやすく、平滑性及び鮮映性が低下しやすい。しかし、本発明の複層塗膜形成方法では、上記のとおり、下層の電着塗膜を劣化させる光線を遮断する能力が高い第1着色塗膜を形成せしめることできるため、第1着色塗料(X)の塗装膜厚を薄くすることができ、タレや混層が生じにくく、平滑性及び鮮映性に優れた複層塗膜を形成せしめることが可能である。このため、本発明の複層塗膜形成方法は、第1着色塗料(X)が水性塗料である場合に、特に好適に適用することができる。
第2着色塗料(Y)
第1着色塗膜上に塗装される第2着色塗料(Y)は、一般に、被塗物に優れた外観を付与することを目的とするものであって、例えば、基体樹脂及び架橋剤からなるバインダー成分を、顔料、その他の添加剤と共に溶媒に溶解ないし分散させて塗料化したものを使用することができる。
上記基体樹脂としては、例えば、カルボキシル基、水酸基などの架橋性官能基を有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などを挙げることができ、架橋剤としては、例えば、ブロックされていてもよいポリイソシアネート化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂などを挙げることができる。これらの中でも、得られる複層塗膜の外観、耐水性などの観点から、基体樹脂として水酸基含有樹脂を使用し、架橋剤としてメラミン樹脂を使用する熱硬化型水性塗料を好適に用いることができる。
また、上記顔料としては、例えば、着色顔料、体質顔料、光輝性顔料などを使用することができる。なかでも、第2着色塗料(Y)が、上記顔料の少なくとも1種として着色顔料及び/又は光輝性顔料を含有することが好ましい。
上記着色顔料としては、例えば、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、モリブデンレッド、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリン系顔料、スレン(アンスラキノン)系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサジン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料などが挙げられる。これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
第2着色塗料(Y)が上記着色顔料を含有する場合、該着色顔料の配合量は、第2着色塗料(Y)中のバインダー成分の固形分100質量部を基準として、通常1〜150質量部、特に3〜130質量部、さらに特に5〜110質量部の範囲内であることが好適である。
上記光輝性顔料としては、例えば、アルミニウム(蒸着アルミニウムを含む)、銅、亜鉛、真ちゅう、ニッケル、酸化アルミニウム、雲母、酸化チタンや酸化鉄で被覆された酸化アルミニウム、酸化チタンや酸化鉄で被覆された雲母、ガラスフレーク、ホログラム顔料などを挙げることができる。なかでも、アルミニウム、酸化アルミニウム、雲母、酸化チタンや酸化鉄で被覆された酸化アルミニウム、酸化チタンや酸化鉄で被覆された雲母を用いることが好ましい。上記光輝性顔料はそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
また、上記光輝性顔料はりん片状であることが好ましく、長手方向寸法が通常1〜100μm、特に5〜40μmの範囲内、厚さが通常0.001〜5μm、特に0.01〜2μmの範囲内にあるものが適している。
第2着色塗料(Y)が上記光輝性顔料を含有する場合、該光輝性顔料の配合量は、第2着色塗料(Y)中のバインダー成分の固形分100質量部を基準として、通常1〜50質量部、特に2〜30質量部、さらに特に3〜20質量部の範囲内であることが好適である。
本発明の複層塗膜形成方法に従えば、前記第1着色塗料(X)を塗装して白色塗膜を形成し、該白色塗膜上に,上記第2着色塗料(Y)として光干渉性顔料を含有する塗料を塗装して、下層の白色塗膜が透けて見える光干渉性の塗膜を形成することにより、下層の白色塗膜と上層の光干渉性の塗膜が合わさったホワイトパールと呼ばれる意匠性に優れた複層塗膜を形成せしめることができる。
前述したように、本発明に係る第1着色塗料(X)は、光線を遮断する能力が高いため、高明度の白色塗膜を形成する場合、特に高明度の白色塗膜を比較的薄い膜厚で形成する場合に好適に使用することができる。このため、本発明の複層塗膜形成方法を用いて上記ホワイトパール塗膜を形成する場合、第1着色塗料(X)を塗装することによって形成される白色塗膜のL値は一般に80以上、好ましくは80〜95、さらに好ましくは85〜93の範囲内とすることができる。
前記光干渉性顔料は、光輝性顔料の一種である。該光干渉性顔料としては、具体的には、例えば、酸化チタンで被覆された酸化アルミニウム、酸化鉄で被覆された酸化アルミニウム、酸化チタンで被覆された雲母、酸化鉄で被覆された雲母、酸化チタンで被覆されたガラスフレーク、酸化鉄で被覆されたガラスフレークなどが挙げられ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。なかでも、酸化チタンで被覆された酸化アルミニウム、酸化鉄で被覆された酸化アルミニウム、酸化チタンで被覆された雲母及び酸化鉄で被覆された雲母からなる群より選ばれる少なくとも1種の光干渉性顔料が好ましい。
本発明の複層塗膜形成方法を用いて上記ホワイトパール塗膜を形成する場合、第2着色塗料(Y)における光干渉性顔料の含有量は、第2着色塗料(Y)中のバインダー成分の固形分100質量部を基準として、通常1〜50質量部、好ましくは2〜30質量部、さらに好ましくは3〜20質量部の範囲内であることができる。
また、本発明の複層塗膜形成方法を用いてホワイトパール塗膜を形成する場合、第2着色塗料(Y)を塗装することによって形成される光干渉性の塗膜の白黒隠蔽膜厚は通常40μm以上であることが好ましい。このような第2着色塗料(Y)を、硬化塗膜の膜厚が白黒隠蔽膜厚以下、例えば20μm以下となるように塗装することにより、下層の白色塗膜が透けて見える光干渉性の塗膜が形成され、下層の白色塗膜と上層の光干渉性の塗膜が合わさったホワイトパールと呼ばれる意匠性に優れた複層塗膜を形成することができる。
なお、本明細書において、「白黒隠蔽膜厚」は、JIS K 5600−4−1(2004)に定められた、100mm×200mm以上の大きさであって隣接して白部と黒部が印刷され且つワニスが塗布されていて、溶剤又は水で希釈された塗料で容易にぬれるが浸透しない隠ぺい率試験紙の上に、塗料組成物を塗装し、乾燥硬化させた際に、隠ぺい率試験紙の白部と黒部の境界が目視によって判別できなくなる最小の膜厚を意味する。
また、第2着色塗料(Y)が水性塗料である場合、該第2着色塗料(Y)は、疎水性溶媒を含有することが好ましい。疎水性溶媒としては、得られる塗膜の光輝感に優れる観点から、アルコール系疎水性溶媒を用いることが好ましい。なかでも、炭素数7〜14のアルコール系疎水性溶媒、例えば、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルコール系疎水性溶媒が好ましい。
第2着色塗料(Y)が、疎水性溶媒を含有する場合、その配合量は、第2着色塗料(Y)中のバインダー成分の固形分100質量部を基準として、通常2〜70質量部、特に11〜60質量部、さらに特に16〜50質量部の範囲内であることが好適である。
また、第2着色塗料(Y)は、さらに必要に応じて、硬化触媒、増粘剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、可塑剤、有機溶剤、表面調整剤、沈降防止剤などの通常の塗料用添加剤を含有することができる。これらの塗料用添加剤は、それぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
第2着色塗料(Y)は、有機溶剤の揮散による環境汚染を抑制する観点から、水性塗料であることが好ましい。第2着色塗料(Y)が水性塗料である場合、該第2着色塗料(Y)中における水の含有量は、一般に10〜95質量%、特に20〜80質量%、さらに特に30〜70質量%の範囲内であることが好ましい。
第2着色塗料(Y)は、それ自体既知の方法、例えば、エアスプレー、エアレススプレー、回転霧化塗装機などにより塗装することができ、塗装の際、静電印加を行ってもよい。塗装膜厚は、硬化膜厚で通常2〜20μm、好ましくは3〜18μm、さらに好ましくは5〜16μmの範囲内とすることができる。

工程(4)
本発明の複層塗膜形成方法においては、上記工程(3)で形成される第2着色塗料(Y)の塗膜(以下、「第2着色塗膜」という場合がある)上に、クリヤーコート塗料(Z)が塗装される。
上記第2着色塗膜は、クリヤーコート塗料(Z)を塗装する前に、塗膜が実質的に硬化しない加熱条件でプレヒート、エアブローなどを行うことが好ましい。プレヒートは、通常40〜100℃、好ましく50〜90℃、さらに好ましく60〜80℃の温度で行うことができる。プレヒートの時間は通常30秒間〜15分間、好ましくは1〜10分間、さらに好ましくは2〜5分間とすることができる。また、上記エアブローは、被塗物の塗装面に、通常常温又は25〜80℃の温度に加熱された空気を、30秒間〜15分間吹き付けることにより行うことができる。
第2着色塗膜は、クリヤーコート塗料(Z)を塗装する前に、必要に応じて、プレヒート、エアブローなどを行うことにより、塗膜の固形分含有率が通常70〜100質量%、特に80〜100質量%、さらに特に90〜100質量%の範囲内となるように調整することが好適である。
クリヤーコート塗料(Z)
クリヤーコート塗料(Z)としては、自動車車体などの塗装用として既知の熱硬化性クリヤーコート塗料組成物をいずれも使用することができる。該熱硬化性クリヤーコート塗料組成物としては、例えば、架橋性官能基を有する基体樹脂及び架橋剤を含有する有機溶剤型熱硬化性塗料組成物、水性熱硬化性塗料組成物、粉体熱硬化性塗料組成物などを挙げることができる。
上記基体樹脂が有し得る架橋性官能基としては、例えば、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基、シラノール基などを挙げることができる。基体樹脂の種類としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂などを挙げることができる。架橋剤としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、ブロック化ポリイソシアネート化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、カルボキシル基含有化合物、カルボキシル基含有樹脂、エポキシ基含有樹脂、エポキシ基含有化合物などを挙げることができる。
クリヤーコート塗料(Z)の基体樹脂/架橋剤の組み合わせとしては、例えば、カルボキシル基含有樹脂/エポキシ基含有樹脂、水酸基含有樹脂/ポリイソシアネート化合物、水酸基含有樹脂/ブロック化ポリイソシアネート化合物、水酸基含有樹脂/メラミン樹脂などが好ましい。
また、上記クリヤーコート塗料(Z)は、一液型塗料であってもよいし、二液型ウレタン樹脂塗料などの多液型塗料であってもよい。
上記クリヤーコート塗料(Z)には、必要に応じて、透明性を阻害しない程度に着色顔料、光輝性顔料、染料などを含有させることができ、さらに体質顔料、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、増粘剤、防錆剤、表面調整剤などを適宜含有せしめることができる。
クリヤーコート塗料(Z)は、第2着色塗料(Y)の塗膜面に、それ自体既知の方法、例えば、エアレススプレー、エアスプレー、回転霧化塗装機などにより塗装することができ、塗装の際、静電印加を行ってもよい。
クリヤーコート塗料(Z)は、硬化膜厚で通常10〜80μm、好ましくは15〜60μm、より好ましくは20〜50μmの範囲内になるように塗装することができる。
また、クリヤーコート塗料(Z)の塗装後は、必要に応じて、室温で1〜60分間のインターバルをおいたり、40〜80℃の温度で1〜60分間プレヒートすることができる。

工程(5)
本発明の複層塗膜形成方法においては、上記工程(2)〜(4)で形成される未硬化の第1着色塗膜、未硬化の第2着色塗膜及び未硬化のクリヤーコート塗膜が、同時に加熱硬化せしめられる。
上記第1着色塗膜、第2着色塗膜及びクリヤーコート塗膜の硬化は、通常の塗膜の焼付け手段、例えば、熱風加熱、赤外線加熱、高周波加熱などにより行うことができる。
加熱温度は通常80〜180℃、特に100〜170℃、さらに特に120〜160℃の範囲内が好ましい。
また、加熱時間は通常10〜60分間、特に15〜40分間が好ましい。この加熱により、第1着色塗膜、第2着色塗膜及びクリヤーコート塗膜の3層からなる複層塗膜を同時に硬化させることができる。
本発明の複層塗膜形成方法は、例えば、中塗り塗装ブースにおいて第1着色塗料を塗装し、ベースコート塗装ブースにおいて第2着色塗料を塗装し、クリヤーコート塗装ブースにおいてクリヤーコートを塗装する3コート1ベーク方式において好適に用いることができる。この場合の塗膜形成方法は、例えば、下記方法Iに従って行うことができる。
方法I
下記の工程(1)〜(5):
(1) 鋼板上に電着塗料を塗装し、加熱硬化させて硬化電着塗膜を形成せしめる工程、
(2) 中塗り塗装ブースにおいて、工程(1)で得られる硬化電着塗膜上に、(A)バインダー成分、(B)二酸化チタン顔料、(C)赤黄系着色顔料ならびに(D)赤黄系着色顔料(C)と補色の関係にある有彩色顔料を含有し、かつ上記成分(A)〜(D)の配合割合が、バインダー成分(A)の固形分100質量部を基準として、二酸化チタン顔料(B)が50〜200質量部、赤黄系着色顔料(C)が0.1〜50質量部、有彩色顔料(D)が0.01〜10質量部の範囲内である第1着色塗料(X)を塗装して、中塗り塗膜を形成せしめる工程、
(3) ベースコート塗装ブースにおいて、工程(2)で得られる中塗り塗膜上に、第2着色塗料(Y)を塗装して、ベースコート塗膜を形成せしめる工程、
(4) クリヤーコート塗装ブースにおいて、工程(3)で得られるベースコート塗膜上に、クリヤーコート塗料(Z)を塗装してクリヤーコート塗膜を形成せしめる工程、ならびに
(5) 工程(2)〜(4)で形成される中塗り塗膜、ベースコート塗膜及びクリヤーコート塗膜を加熱することによって、これら3つの塗膜を同時に硬化させる工程、
を順次行うことからなることを特徴とする複層塗膜形成方法。
なお、上記ブースは、均一な塗装品質を確保するため、温度、湿度などの塗装環境を一定の範囲内に維持する設備であって、通常、塗装される塗料の種類ごとに分けられている。また、同一のブース内において、被塗物に塗着した塗料のタレ、ムラなどを防止するために、同一塗料が、2回に分けて塗装される場合がある。この場合、1回目の塗装が第1ステージ塗装、2回目の塗装が第2ステージ塗装と呼ばれる。
上記方法Iの3コート1ベーク方式で塗装する場合、有機溶剤の揮散による環境汚染を抑制する観点から、第1着色塗料(X)及び第2着色塗料(Y)は水性塗料であることが好ましい。
また、上記方法Iの工程(3)においては、工程(2)で得られる中塗り塗膜に、前記プレヒート、エアブローなどを行うことができる。また、上記方法Iの工程(4)においては、工程(3)で得られるベースコート塗膜に、上記プレヒート、エアブローなどを行うことができる。
上記方法Iにおいて、第1着色塗料(X)の塗装膜厚は、硬化膜厚として、通常2〜35μm、好ましくは3〜24μm、さらに好ましくは4〜19μm、さらに特に好ましくは5〜16μmの範囲内とすることができる。また、第2着色塗料(Y)の塗装膜厚は、硬化膜厚として、通常2〜20μm、好ましくは3〜18μm、さらに好ましくは5〜16μmの範囲内とすることができる。上記クリヤー塗料組成物の塗装膜厚は、硬化膜厚として、通常10〜80μm、好ましくは15〜60μm、さらに好ましくは20〜50μmの範囲内とすることができる。
また、本発明の複層塗膜形成方法は、ベースコート塗装ブースの第1ステージにおいて第1着色塗料を塗装し、ベースコート塗装ブースの第2ステージにおいて第2着色塗料を塗装し、クリヤーコート塗装ブースにおいてクリヤーコートを塗装する3コート1ベーク方式において好適に用いることができる。この場合の塗膜形成方法は、例えば、下記方法IIに従って行うことができる。
方法II
下記の工程(1)〜(5):
(1) 鋼板上に電着塗料を塗装し、加熱硬化させて硬化電着塗膜を形成せしめる工程、
(2) ベースコート塗装ブースの第1ステージにおいて、工程(1)で得られる硬化電着塗膜上に、(A)バインダー成分、(B)二酸化チタン顔料、(C)赤黄系着色顔料ならびに(D)赤黄系着色顔料(C)と補色の関係にある有彩色顔料を含有し、かつ上記成分(A)〜(D)の配合割合が、バインダー成分(A)の固形分100質量部を基準として、二酸化チタン顔料(B)が50〜200質量部、赤黄系着色顔料(C)が0.1〜50質量部、有彩色顔料(D)が0.01〜10質量部の範囲内である第1着色塗料(X)を塗装して、第1ベースコート塗膜を形成する工程、
(3) ベースコート塗装ブースの第2ステージにおいて、工程(2)で得られる第1ベースコート塗膜上に、第2着色塗料(Y)を塗装して、第2ベースコート塗膜を形成せしめる工程、
(4) クリヤーコート塗装ブースにおいて、工程(3)で得られる第2ベースコート塗膜上に、クリヤーコート塗料(Z)を塗装してクリヤーコート塗膜を形成せしめる工程、ならびに
(5) 工程(2)〜(4)で形成される第1ベースコート塗膜、第2ベースコート塗膜及びクリヤーコート塗膜を加熱することによって、これら3つの塗膜を同時に硬化させる工程、
を順次行うことからなる複層塗膜形成方法。
上記方法IIの塗装方法においては、ベースコート塗装ブースの第1ステージ及び第2ステージで同一の塗料を使用する一般的な2ステージ塗装と異なり、第1ステージと第2ステージとで異なる塗料を使用する。
前記方法I及び方法IIの塗装方法のうち、中塗り塗装ブースが不要であり、該中塗り塗装ブースの温度及び湿度を調整するためのエネルギーを削減できる観点から、方法IIの塗装方法がより好ましい。
また、上記方法IIの塗装方法で塗装する場合、有機溶剤の揮散による環境汚染を抑制する観点から、第1着色塗料(X)及び第2着色塗料(Y)は水性塗料であることが好ましい。
該方法IIの塗装方法においては、第1着色塗料(X)及び第2着色塗料(Y)をベースコート塗装ブースで塗装するため、通常、第1着色塗料(X)の塗装と第2着色塗料(Y)の塗装との間に加熱用機器が設置されず、第1着色塗料(X)を塗装して形成される第1ベースコート塗膜に対してプレヒートは行われない。この場合、該方法IIは、プレヒートのためのエネルギーを削減できるという利点を有する。このため、省エネルギーの観点から、該方法IIの塗装方法においては、第1着色塗料(X)の塗装と第2着色塗料(Y)の塗装との間に加熱工程を含まないことが好ましい。
前述したように、本発明に係る第1着色塗料(X)は、下層の電着塗膜を劣化させる光線を遮断する能力が高い第1着色塗膜を形成することができるため、従来の3コート1ベーク方式に比べ、第1着色塗料(X)の塗装膜厚を薄くすることが可能であり、上記プレヒートを行なわなくても、第2着色塗料(Y)を塗装した後のタレや混層が生じにくく、平滑性及び鮮映性に優れた複層塗膜を形成せしめることができる。このため、本発明の複層塗膜形成方法は、上記方法IIにおいて、特に好適に用いることができる。
また、上記方法IIの工程(4)においては、工程(2)及び(3)で得られるベースコート塗膜に、前記プレヒート、エアブローなどを行うことができる。
上記方法IIにおいて、第1着色塗料(X)の塗装膜厚は、硬化膜厚として、一般に2〜35μm、好ましくは3〜24μm、さらに好ましくは4〜19μm、さらに特に好ましくは5〜16μmの範囲内とすることができる。また、第2着色塗料(Y)の塗装膜厚は、硬化膜厚として、一般に2〜20μm、好ましくは3〜18μm、さらに好ましくは5〜16μmの範囲内とすることができる。さらに、上記クリヤー塗料組成物の塗装膜厚は、硬化膜厚として、一般に10〜80μm、好ましくは15〜60μm、さらに好ましくは20〜50μmの範囲内とすることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例及び比較例において「部」及び「%」はいずれも質量基準によるものである。

水酸基含有アクリル樹脂(A−1)の製造
製造例1
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器、窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器に、脱イオン水128部及び「アデカリアソープSR−1025」(商品名、ADEKA社製、乳化剤、有効成分25%)2部を仕込み、窒素気流中で撹拌混合し、80℃に昇温させた。
次いで下記モノマー乳化物(1)の全量のうちの1%量及び6%過硫酸アンモニウム水溶液5.3部を反応容器内に導入し80℃で15分間保持した。その後、モノマー乳化物(1)の残部を3時間かけて、同温度に保持した反応容器内に滴下し、滴下終了後1時間熟成を行なった。次に、下記モノマー乳化物(2)を1時間かけて滴下し、1時間熟成した後、5%2−(ジメチルアミノ)エタノール水溶液40部を反応容器に徐々に加えながら30℃まで冷却し、100メッシュのナイロンクロスで濾過しながら排出し、平均粒子径100nm、固形分30%の水分散性水酸基含有アクリル樹脂水分散液(A−1−1)を得た。得られた水分散性水酸基含有アクリル樹脂は、酸価33mgKOH/g、水酸基価25mgKOH/gであった。
モノマー乳化物(1): 脱イオン水40部、「アデカリアソープSR−1025」2.8部、メチレンビスアクリルアミド2.1部、スチレン2.8部、メチルメタクリレート16.1部、エチルアクリレート28部及びn−ブチルアクリレート21部を混合攪拌することにより、モノマー乳化物(1)を得た。
モノマー乳化物(2): 脱イオン水17部、「アデカリアソープSR−1025」1.2部、過硫酸アンモニウム0.03部、スチレン3部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5.1部、メタクリル酸5.1部、メチルメタクリレート6部、エチルアクリレート1.8部及びn−ブチルアクリレート9部を混合攪拌することにより、モノマー乳化物(2)を得た。

製造例2
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器、窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器にプロピレングリコールモノプロピルエーテル35部を仕込み85℃に昇温後、メチルメタクリレート30部、2−エチルヘキシルアクリレート20部、n−ブチルアクリレート29部、2−ヒドロキシエチルアクリレート15部、アクリル酸6部、プロピレングリコールモノプロピルエーテル15部及び2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)2.3部の混合物を4時間かけて滴下し、滴下終了後1時間熟成した。その後さらにプロピレングリコールモノプロピルエーテル10部及び2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1部の混合物を1時間かけて滴下し、滴下終了後1時間熟成した。さらにジエタノールアミン7.4部を加え、固形分55%の水酸基含有アクリル樹脂溶液(A−1−2)を得た。得られた水酸基含有アクリル樹脂は酸価が47mgKOH/g、水酸基価が72mgKOH/gであった。

水酸基含有ポリエステル樹脂(A−2)の製造
製造例3
温度計、サーモスタット、攪拌装置、還流冷却器及び水分離器を備えた反応容器に、トリメチロールプロパン109部、1,6−ヘキサンジオール141部、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物126部及びアジピン酸120部を仕込み、160℃から230℃まで3時間かけて昇温させた後、生成した縮合水を水分離器により留去させながら230℃で4時間縮合反応させた。次いで、得られた縮合反応生成物にカルボキシル基を付加するために、さらに無水トリメリット酸38.3部を加え、170℃で30分間反応させた後、2−エチル−1−ヘキサノールで希釈し、固形分濃度70%である水酸基含有ポリエステル樹脂溶液(A−2−1)を得た。得られたポリエステル樹脂は、酸価が46mgKOH/g、水酸基価が150mgKOH/g、固形分濃度70%、数平均分子量が1,400であった。

二酸化チタン顔料(B)の顔料分散液の製造
製造例4
撹拌混合容器に、製造例2で得た水酸基含有アクリル樹脂溶液(A−1−2)18部(固形分10部)、「JR−806」(商品名、テイカ社製、ルチル型二酸化チタン)50部及び脱イオン水30部を入れ、均一に混合し、更に、2−(ジメチルアミノ)エタノールを添加して、pH8.0に調整した。次いで、得られた混合液を容量225ccの広口ガラスビン中に入れ、分散メジアとして直径約1.3mmφのガラスビーズを加えて密封し、ペイントシェイカーにて4時間分散して、二酸化チタン顔料(B)の顔料分散液(B−1)を得た。

赤黄系着色顔料(C)の顔料分散液の製造
製造例5
撹拌混合容器に、製造例2で得た水酸基含有アクリル樹脂溶液(A−1−2)18部(固形分10部)、「TAROX LL−50」(商品名、チタン工業社製、黄色酸化鉄、C.I.Pigment Yellow 42、色相角hab:71°)10部及び脱イオン水50部を入れ、均一に混合し、更に、2−(ジメチルアミノ)エタノールを添加して、pH8.0に調整した。次いで、得られた混合液を容量225ccの広口ガラスビン中に入れ、分散メジアとして直径約1.3mmφのガラスビーズを加えて密封し、ペイントシェイカーにて4時間分散して、赤黄系着色顔料(C)の顔料分散液(C−1)を得た。

製造例6〜11
製造例5において、配合組成を下記第1表に示すとおりとする以外は、製造例5と同様にして、赤黄系着色顔料(C)の顔料分散液(C−2)〜(C−7)を得た。
Figure 2011125490
(注1)「TRANS OXIDE YELLOW AC2544TOY」: 商品名、ROCKWOOD PIGMENT社製、黄色酸化鉄、C.I.Pigment Yellow 42、色相角hab:78°。
(注2)「BAYFAST YELLOW Y−5688」: 商品名、LANXESS社製、アゾ系顔料、C.I.Pigment Yellow 150、色相角hab:80°。
(注3)「IRGACOLOR YELLOW 2GLMA」: 商品名、CIBA SPECIALTY CHEMICALS社製、バナジン酸ビスマス系顔料、C.I.Pigment Yellow 184、色相角hab:97°。
(注4)「TRANS OXIDE RED AA2005K」: 商品名、ROCKWOOD PIGMENT社製、べんがら、C.I.Pigment Red 101、色相角hab:54°。
(注5)「トダカラー 180ED」: 商品名、戸田工業社製、べんがら、C.I.Pigment Red 101、色相角hab:27°。
(注6)「FASTOGEN SUPER RED 500RS」: 商品名、DIC社製、キナクリドン系顔料、C.I.Pigment Red 207、色相角hab:13°。
なお、実施例及び比較例に使用する着色顔料の色相角habは、以下のようにして測定した。
水酸基含有アクリル樹脂(水酸基価100、数平均分子量20,000)70部及びメラミン樹脂30部からなる樹脂成分100質量部(固形分)に、着色顔料を15質量部配合して攪拌混合し、塗装に適正な粘度に有機溶剤で希釈して、固形分約25%の有機溶剤型塗料を得る。次いで、得られた塗料を、予めグレー(マンセルチャートでN−6)の硬化塗膜を形成した塗板上に、硬化塗膜の膜厚が30μmとなるように、エアスプレー塗装し、室温で15分間放置した後、熱風乾燥機を用いて140℃で30分加熱して硬化塗膜を得る。次いで、得られた硬化塗膜について、「MA−68II」(商品名、X−Rite社製、多角度分光光度計)を使用し、塗膜について、測定対象面に垂直な軸に対し45°の角度から標準の光D65を照射し、正反射光に対して45°の角度で受光した分光反射率に基づいて得られる色相角habを測定する。

赤黄系着色顔料(C)と補色の関係にある有彩色顔料(D)の顔料分散液の製造
製造例12
撹拌混合容器に、製造例2で得た水酸基含有アクリル樹脂溶液(A−1−2)18部(固形分10部)、「CHROMOFINE BLUE 5206」(商品名、大日精化工業社製、フタロシアニン系顔料、C.I.Pigment Blue 15:2、色相角hab:269°)10部及び脱イオン水50部を入れ、均一に混合し、更に、2−(ジメチルアミノ)エタノールを添加して、pH8.0に調整した。次いで、得られた混合液を容量225ccの広口ガラスビン中に入れ、分散メジアとして直径約1.3mmφのガラスビーズを加えて密封し、ペイントシェイカーにて4時間分散して、有彩色顔料(D)の顔料分散液(D−1)を得た。

製造例13
撹拌混合容器に、製造例2で得た水酸基含有アクリル樹脂溶液(A−1−2)18部(固形分10部)、「HELIOGEN GREEN L9361」(商品名、BASF社製、フタロシアニン系顔料、C.I.Pigment Green 36、色相角hab:154°)10部及び脱イオン水50部を入れ、均一に混合し、更に、2−(ジメチルアミノ)エタノールを添加して、pH8.0に調整した。次いで、得られた混合液を容量225ccの広口ガラスビン中に入れ、分散メジアとして直径約1.3mmφのガラスビーズを加えて密封し、ペイントシェイカーにて4時間分散して、有彩色顔料(D)の顔料分散液(D−2)を得た。

製造例14
撹拌混合容器に、製造例2で得た水酸基含有アクリル樹脂溶液(A−1−2)18部(固形分10部)、「HOSTAPERM VIOLET RL SPECIAL」(商品名、CLARIANT社製、ジオキサジン系顔料、C.I.Pigment Violet 23、色相角hab:306°)10部及び脱イオン水50部を入れ、均一に混合し、更に、2−(ジメチルアミノ)エタノールを添加して、pH8.0に調整した。次いで、得られた混合液を容量225ccの広口ガラスビン中に入れ、分散メジアとして直径約1.3mmφのガラスビーズを加えて密封し、ペイントシェイカーにて4時間分散して、有彩色顔料(D)の顔料分散液(D−3)を得た。

顔料分散液の製造
製造例15
撹拌混合容器に、製造例2で得た水酸基含有アクリル樹脂溶液(A−1−2)18部(固形分10部)、「三菱カーボンブラックMA−100」(商品名、三菱化学社製、カーボンブラック)10部及び脱イオン水50部を入れ、均一に混合し、更に、2−(ジメチルアミノ)エタノールを添加して、pH8.0に調整した。次いで、得られた混合液を容量225ccの広口ガラスビン中に入れ、分散メジアとして直径約1.3mmφのガラスビーズを加えて密封し、ペイントシェイカーにて4時間分散して、顔料分散液(P−1)を得た。

製造例16
撹拌混合容器に、製造例2で得た水酸基含有アクリル樹脂溶液(A−1−2)18部(固形分10部)、「MICRO ACE S−3」(商品名、日本タルク社製、タルク)10部及び脱イオン水50部を入れ、均一に混合し、更に、2−(ジメチルアミノ)エタノールを添加して、pH8.0に調整した。次いで、得られた混合液を容量225ccの広口ガラスビン中に入れ、分散メジアとして直径約1.3mmφのガラスビーズを加えて密封し、ペイントシェイカーにて4時間分散して、顔料分散液(P−2)を得た。

第1着色塗料(X)の製造
製造例17
製造例1で得た水分散性水酸基含有アクリル樹脂水分散液(A−1−1)63部、「サイメル325」(商品名、日本サイテックインダストリーズ社製、メラミン樹脂、固形分80%)37.5部、製造例4で得た二酸化チタン(B)の顔料分散液(B−1)176部、製造例5で得た赤黄系着色顔料(C)の顔料分散液(C−1)234部、製造例11で得た赤黄系着色顔料(C)の顔料分散液(C−7)12.5部及び製造例12で得た有彩色顔料(D)の顔料分散液(D−1)12.5部を均一に混合し、更に、「ACRYSOL ASE−60」(商品名、ロームアンドハース社製、ポリアクリル酸系増粘剤)、2−(ジメチルアミノ)エタノール及び脱イオン水を加えてpH8.0、塗料固形分45%、20℃におけるフォードカップNo.4による粘度40秒の第1着色塗料(X−1)を得た。

製造例18〜29
製造例17において、配合組成を下記第2表に示すとおりとする以外は、製造例17と同様にして、第1着色塗料(X−2)〜(X−13)を得た。
Figure 2011125490
Figure 2011125490
また、上記製造例17〜29で得られる第1着色塗料(X−1)〜(X−13)について、バインダー成分(A)の固形分100質量部を基準とする各顔料の配合量を下記第3表に示す。
Figure 2011125490
Figure 2011125490

光輝性顔料分散液の製造
製造例30
攪拌混合容器内において、「GX−180A」(商品名、旭化成メタルズ社製、アルミニウム顔料ペースト、金属含有量74%)17部、2−エチル−1−ヘキサノール35部、リン酸基含有樹脂溶液(注7)8部及び2−(ジメチルアミノ)エタノール0.2部を均一に混合して、光輝性顔料分散液(EP−1)を得た。
(注7)リン酸基含有樹脂溶液: 温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器、窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器に、メトキシプロパノール27.5部及びイソブタノール27.5部の混合溶剤を入れ、110℃に加熱した。次いで、スチレン25部、n−ブチルメタクリレート27.5部、分岐高級アルキルアクリレート(商品名「イソステアリルアクリレート」、大阪有機化学工業株式会社製)20部、4−ヒドロキシブチルアクリレート7.5部、リン酸基含有重合性モノマー(注8)15部、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート12.5部、イソブタノール10部及びt−ブチルパーオキシオクタノエート4部からなる混合物121.5部を4時間かけて上記混合溶剤に加え、さらにt−ブチルパーオキシオクタノエート0.5部とイソプロパノール20部からなる混合物を1時間かけて滴下した。その後、1時間攪拌しながら熟成して固形分濃度50%のリン酸基含有樹脂溶液を得た。リン酸基含有樹脂のリン酸基による酸価は83mgKOH/g、水酸基価は29mgKOH/g、重量平均分子量は10,000であった。
(注8)リン酸基含有重合性モノマー: 温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器、窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器にモノブチルリン酸57.5部及びイソブタノール41部を入れ、90℃に昇温した後、グリシジルメタクリレート42.5部を2時間かけて滴下した。その後、さらに1時間攪拌しながら熟成した後、イソプロパノ−ル59部を加えて、固形分濃度50%のリン酸基含有重合性モノマー溶液を得た。得られたモノマーのリン酸基による酸価は285mgKOH/gであった。

製造例31
攪拌混合容器内において、「Xirallic T60−10 WNT」(商品名、メルクジャパン社製、光干渉性顔料)12部、2−エチル−1−ヘキサノール35部、リン酸基含有樹脂溶液(注7)8部及び2−(ジメチルアミノ)エタノール0.2部を均一に混合して、光輝性顔料分散液(EP−2)を得た。

第2着色塗料(Y)の製造
製造例32
製造例1で得た水分散性水酸基含有アクリル樹脂水分散液(A−1−1)100部、製造例3で得たポリエステル樹脂溶液(A−2−1)57部、製造例30で得た光輝性顔料分散液(EP−1)69部及び「サイメル325」(商品名、日本サイテックインダストリーズ社製、メラミン樹脂、固形分80%)37.5部を均一に混合し、更に、「ACRYSOL ASE−60」(商品名、ロームアンドハース社製、ポリアクリル酸系増粘剤)、2−(ジメチルアミノ)エタノール及び脱イオン水を加えてpH8.0、塗料固形分25%、20℃におけるフォードカップNo.4による粘度40秒の第2着色塗料(Y−1)を得た。

製造例33
製造例1で得た水分散性水酸基含有アクリル樹脂水分散液(A−1−1)100部、製造例3で得たポリエステル樹脂溶液(A−2−1)57部、製造例31で得た光輝性顔料分散液(EP−2)55部及び「サイメル325」(商品名、日本サイテックインダストリーズ社製、メラミン樹脂、固形分80%)37.5部を均一に混合し、更に、「ACRYSOL ASE−60」(商品名、ロームアンドハース社製、ポリアクリル酸系増粘剤)、2−(ジメチルアミノ)エタノール及び脱イオン水を加えてpH8.0、塗料固形分25%、20℃におけるフォードカップNo.4による粘度40秒の第2着色塗料(Y−2)を得た。

試験板の作製
製造例17〜29で得た第1着色塗料(X−1)〜(X−13)、ならびに製造例32及び33で得た第2着色塗料(Y−1)及び(Y−2)を用いて、以下のようにしてそれぞれ試験板を作製し、評価試験を行なった。
(試験用被塗物の作製)
リン酸亜鉛化成処理を施した冷延鋼板に、カチオン電着塗料(商品名「エレクロンGT−10」関西ペイント株式会社製)を硬化膜厚20μmとなるように電着塗装し、170℃で30分間加熱して硬化させて試験用被塗物とした。

実施例1
上記試験用被塗物に、前記製造例17で得た第1着色塗料(X−1)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、硬化膜厚15μmとなるように静電塗装し、3分間放置した。次いで、該未硬化の第1着色塗膜上に製造例32で得た第2着色塗料(Y−1)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、硬化膜厚15μmとなるように静電塗装し、2分間放置後、80℃で3分間プレヒートを行なった。次いで、該未硬化の第2着色塗膜上にアクリル樹脂系溶剤型上塗りクリヤーコート塗料(商品名「マジクロンKINO−1210」、関西ペイント株式会社製、以下「クリヤーコート塗料(Z−1)」ということがある)を硬化膜厚35μmとなるように静電塗装し、7分間放置した後、140℃で30分間加熱して、該第1着色塗膜、第2着色塗膜及びクリヤーコート塗膜を同時に硬化させることにより試験板を作製した。

実施例2〜12、比較例1〜3
実施例1において、製造例17で得た第1着色塗料(X−1)を下記第4表に示す第1着色塗料(X−2)〜(X−13)のいずれかに変更し、製造例32で得た第2着色塗料(Y−1)を下記第4表に示す第2着色塗料(Y−1)又は(Y−2)に変更し、塗装膜厚が下記第4表に示す硬化膜厚となるように塗装する以外は、実施例1と同様にして試験板を作製した。

評価試験
上記実施例1〜12及び比較例1〜3で得られた各試験板について、下記の試験方法により評価を行なった。評価結果を下記第4表に示す。
(試験方法)
耐候性:各試験板について、JIS K 5600−7−7に準じ、「スーパーキセノンウエザーメーター」(スガ試験機社製、耐候性試験機)を用いて、試験片ぬれサイクル:18分/2時間、ブラックパネル温度:61〜65℃の条件で、促進耐候性試験を行った。次に、ランプの照射時間が1,000時間、2,000時間及び3,000時間に達した時点で、試験板の複層塗膜を素地に達するようにカッターで格子状に切り込み、大きさ2mm×2mmのゴバン目を100個作った。次いで、その表面に粘着セロハンテープを貼着し、そのテープを急激に剥離した後のゴバン目塗膜の残存状態を調べた。
◎:ゴバン目塗膜が100個残存し、カッターの切り込みの縁において塗膜の小さなフチカケが生じていない。
○:ゴバン目塗膜が100個残存するが、カッターの切り込みの縁において塗膜の小さなフチカケが生じている。
△:ゴバン目塗膜が90〜99個残存する。
×:ゴバン目塗膜の残存数が89個以下である。
平滑性:「Wave Scan DOI」(商品名、BYK Gardner社製)によって測定されるWb値を用いて評価した。Wb値が小さいほど塗面の平滑性が高いことを示す。
鮮映性:「Wave Scan DOI」(商品名、BYK Gardner社製)によって測定されるWa値を用いて評価した。Wa値が小さいほど塗面の鮮映性が高いことを示す。
耐チッピング性:飛石試験機「JA−400型」(商品名、スガ試験機社製、耐チッピング性試験装置)の試片保持台に試験板を設置し、−20℃において、30cmの距離から0.392MPa(4kgf/cm)の圧縮空気により、粒度7号の花崗岩砕石50gを試験板に45度の角度で衝突させた。その後、得られた試験板を水洗して、乾燥し、塗面に布粘着テープ(ニチバン社製)を貼着して、それを剥離した後、塗膜のキズの発生程度などを目視で観察し、下記基準により評価した。
◎:キズの大きさが極めて小さく、電着面や素地の鋼板が露出していない。
○:キズの大きさが小さく、電着面や素地の鋼板が露出していない。
△:キズの大きさは小さいが、電着面や素地の鋼板が露出している。
×:キズの大きさはかなり大きく、素地の鋼板も大きく露出している。
Figure 2011125490



Claims (11)

  1. 下記の工程(1)〜(5):
    (1) 鋼板上に電着塗料を塗装し、加熱硬化させて硬化電着塗膜を形成せしめる工程、
    (2) 工程(1)で得られる硬化電着塗膜上に、(A)バインダー成分、(B)二酸化チタン顔料、(C)赤黄系着色顔料ならびに(D)赤黄系着色顔料(C)と補色の関係にある有彩色顔料を含有し、かつ上記成分(A)〜(D)の配合割合が、バインダー成分(A)の固形分100質量部を基準として、二酸化チタン顔料(B)が50〜200質量部の範囲内、赤黄系着色顔料(C)が0.1〜50質量部の範囲内、そして有彩色顔料(D)が0.01〜10質量部の範囲内である第1着色塗料(X)を塗装して、第1着色塗膜を形成せしめる工程、
    (3) 工程(2)で得られる第1着色塗膜上に、第2着色塗料(Y)を塗装して、第2着色塗膜を形成せしめる工程、
    (4) 工程(3)で得られる第2着色塗膜上に、クリヤーコート塗料(Z)を塗装してクリヤーコート塗膜を形成せしめる工程、ならびに
    (5) 工程(2)〜(4)で形成される第1着色塗膜、第2着色塗膜及びクリヤーコート塗膜を加熱することによって、これら3つの塗膜を同時に硬化させる工程、
    を順次行うことを特徴とする複層塗膜形成方法。
  2. 赤黄系着色顔料(C)の色相角hab(C)が0〜100°又は350〜360°の範囲内である請求項1に記載の複層塗膜形成方法。
  3. 赤黄系着色顔料(C)が黄色酸化鉄(C.I.Pigment Yellow 42)である請求項1に記載の複層塗膜形成方法。
  4. 有彩色顔料(D)が赤黄系着色顔料(C)との色相角の差Δhab(CD)が95〜180°の範囲内にある顔料である請求項1に記載の複層塗膜形成方法。
  5. 有彩色顔料(D)がフタロシアニン系顔料及び/又はジオキサジン系顔料である請求項1に記載の複層塗膜形成方法。
  6. 成分(A)〜(D)の配合割合が、バインダー成分(A)の固形分100質量部を基準として、二酸化チタン顔料(B)が60〜150質量部の範囲内、赤黄系着色顔料(C)が0.3〜35質量部の範囲内、そして有彩色顔料(D)が0.05〜2質量部の範囲内である請求項1に記載の複層塗膜形成方法。
  7. 第1着色塗膜の膜厚が硬化膜厚で4〜19μmの範囲内である請求項1に記載の複層塗膜形成方法。
  8. 第1着色塗料(X)が無彩色の塗料である請求項1に記載の複層塗膜形成方法。
  9. 第1着色塗料(X)を塗装して形成される第1着色塗膜のL値が80〜95の範囲内である請求項1に記載の複層塗膜形成方法。
  10. 第1着色塗料(X)を塗装し、硬化せしめて得られる厚さ5μmの硬化塗膜の波長360〜420nmにおける平均光線透過率が2%未満である請求項1に記載の複層塗膜形成方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法により形成された塗膜を有する物品。
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