JPWO2011122052A1 - 汚染防止剤組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、抄紙工程のドライパート10における紙粉汚染を防止する汚染防止剤組成物であって、100℃における動粘度が80mm/s以上の高粘度オイルと、100℃における動粘度が19mm/s以下の低粘度オイルと、高粘度オイル及び低粘度オイルを乳化する乳化剤と、を有し、高粘度オイル1質量部に対する低粘度オイルの配合割合が、1.2〜70質量部である汚染防止剤組成物である。

Description

本発明は、汚染防止剤組成物に関し、更に詳しくは、ドライパートにおける紙粉の付着を十分に抑制できる汚染防止剤に関する。
紙を製造するための抄紙工程は、一般に水中にパルプが分散された液を抄紙用の網(ワイヤー)に載せ、余分な水を自然落下させることにより湿紙とするワイヤーパートと、湿紙を一対のプレスロール間に通し、フェルトを介してプレスロールで押圧することにより、湿紙中の水分をフェルトに移行させ、これにより湿紙を脱水するプレスパートと、プレスパートを通過した湿紙を、加熱されたシリンダに接触させることで乾燥させ、紙とするドライパートと、紙をスプールと呼ばれる棒に巻き取るリールパートと、を有する。
ところで、上記ドライパートにおいては、シリンダ、カンバス、カレンダーロール、ブレーカースタックロール等(以下これらを総称して「ドライパート部位」という。)の表面に紙粉が付着する問題がある。これらに紙粉が付着すると、紙が汚染され、歩留まりが大きく低下する。
これに対し、紙粉の付着を防止する汚れ付着防止剤が知られている(例えば、特許文献1参照)。かかる汚れ付着防止剤は、粘度が異なるシリコーンオイルと、フッ素系界面活性剤を含む組成となっている。
特開平7−292382号公報
しかしながら、特許文献1記載の汚れ付着防止剤においては、混合したシリコーンオイルの粘度が高すぎ、且つシリコーンオイル自体の粘着性により、ドライパート部位への紙粉の付着を十分に抑制できない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ドライパート部位への紙粉の付着を十分に抑制できる汚染防止剤を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の汚染防止剤は、高粘度オイルと、低粘度オイルとを所定の配合割合で混合したものとすることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、(1)抄紙工程のドライパートにおける紙粉汚染を防止する汚染防止剤組成物であって、100℃における動粘度が80mm/s以上の高粘度オイルと、100℃における動粘度が19mm/s以下の低粘度オイルと、高粘度オイル及び低粘度オイルを乳化する乳化剤と、を有し、高粘度オイル1質量部に対する低粘度オイルの配合割合が、1.2〜70質量部である汚染防止剤組成物に存する。
本発明は、(2)高粘度オイルと低粘度オイルとからなる混合オイルの100℃における動粘度が25mm/s以下である上記(1)記載の汚染防止剤組成物に存する。
本発明は、(3)高粘度オイルが、ポリブテン、マレイン化ポリブテン及びポリエチレンワックスからなる群より選ばれる少なくとも1種である上記(1)又は(2)に記載の汚染防止剤組成物に存する。
本発明は、(4)高粘度オイルがポリブテンである上記(1)又は(2)に記載の汚染防止剤組成物に存する。
本発明は、(5)低粘度オイルが、流動パラフィン、タービン油、マシン油及び植物油からなる群より選ばれる少なくとも1種である上記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の汚染防止剤組成物に存する。
本発明は、(6)低粘度オイルが流動パラフィンである上記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の汚染防止剤組成物に存する。
本発明は、(7)乳化剤が、脂肪酸とアミン化合物との中和物である上記(1)〜(6)のいずれか一つに記載の汚染防止剤組成物に存する。
本発明は、(8)脂肪酸の炭素数が18以上である上記(7)記載の汚染防止剤組成物に存する。
本発明は、(9)脂肪酸として、ベヘニン酸、ステアリン酸、モンタン酸及びポリカルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも2種以上が用いられる上記(7)記載の汚染防止剤組成物に存する。
本発明は、(10)アミン化合物がモルホリン、ジエタノールアミン又はトリエタノールアミンである上記(7)〜(9)のいずれか一つに記載の汚染防止剤組成物に存する。
本発明の汚染防止剤組成物は、所定の低粘度オイルを有することにより、紙粉のドライパート部位への付着を抑制でき、所定の高粘度オイルを有することにより、低粘度オイルが紙に吸収されてしまうことを抑制できる。すなわち、低粘度オイルが紙粉の付着抑制効果を発揮し、高粘度オイルが低粘度オイルをドライパート部位の表面に留める効果を発揮する。
このとき、高粘度オイルと、低粘度オイルとの配合割合を上記範囲とすることにより、上述した効果が顕著に発揮される。なお、高粘度オイル及び低粘度オイルからなる混合オイルのシリンダの温度に近い100℃における動粘度は25mm/s以下であることが好ましい。
したがって、上記汚染防止剤組成物によれば、ドライパート部位への紙粉の付着を確実且つ十分に抑制できる。
上記汚染防止剤組成物においては、高粘度オイルがポリブテンであり、低粘度オイルが流動パラフィンである場合、紙粉の付着防止効果をより一層向上させることができる。
上記汚染防止剤組成物においては、乳化剤が脂肪酸とアミン化合物との中和物である場合、高粘度オイル及び低粘度オイルに脂肪酸を溶解し、これを、アミン化合物を溶解した水に加えることにより、容易に乳化することができる。この場合、長期間放置した場合であっても、沈殿等が生じず、保存安定性が優れる。
図1は、本発明に係る汚染防止剤を用いるドライパートのドライパート部位を示す概略図である。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
本実施形態に係る汚染防止剤組成物は、高粘度オイルと、低粘度オイルと、乳化剤と、水とを有する。
上記汚染防止剤組成物は、これらを有することにより、抄紙工程のドライパートにおけるドライパート部位の紙粉汚染を防止することができる。
上記高粘度オイルは、低粘度オイルとの相溶性に優れるものが好ましい。そして、高粘度オイルと低粘度オイルとを混合したオイル(以下「混合オイル」という。)をドライパート部位に付与することにより、高粘度オイルは、低粘度オイルと混合した状態で、ドライパート部位の表面に付着することになる。そうすると、高粘度オイルが低粘度オイルをドライパート部位の表面に留める機能を発揮し、低粘度オイルが紙に吸収されてしまうことが抑制される。
高粘度オイルは、100℃における動粘度が80mm/s以上であり、100℃における動粘度が300mm/s以上であることが好ましい。100℃における動粘度が80mm/s未満であると、低粘度オイルをドライパート部位の表面に留める効果を発揮できない。
高粘度オイルとしては、上述した粘度の条件を満たす、ポリイソブチレン、ポリブテン、マレイン化ポリブテン、ポリエチレンワックス、マイクロワックス、変性シリコーンが挙げられる。これらは単独で用いても、複数を混合して用いてもよい。
これらの中でも、高粘度オイルは、タック性の観点から、ポリブテン、マレイン化ポリブテン及びポリエチレンワックスからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。なお、タック性とは、オイル自体のべと付きの度合いを意味する。
また、高粘度オイルは、散布ノズルの目詰まり防止の観点から、ブテン鎖を有するポリブテン又はマレイン化ポリブテンであることがより好ましく、紙粉付着防止の観点から、ポリブテンであることが特に好ましい。
また、高粘度オイルは、散布ノズルの目詰まり防止の観点から、変性シリコーンであってもよい。
かかる変性シリコーンとしては、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、カルボキシル変性シリコーン、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。
これらの中でも、高粘度オイルは、汎用性の観点からアミノ変性シリコーンであることがより好ましい。
高粘度オイルの配合割合は、0.1〜3質量%であることが好ましい。高粘度オイルの配合割合が0.1質量%未満であると、高粘度オイルの配合割合が上記範囲内にある場合と比較して、低粘度オイルをドライパート部位の表面に十分に留めることができない場合があり、高粘度オイルの配合割合が3質量%を超えると、高粘度オイルの配合割合が上記範囲内にある場合と比較して、紙粉の付着抑制効果が低下する傾向にある。
上記低粘度オイルは、紙粉との相溶性に優れるものが用いられる。これにより、低粘度オイルは、紙粉のドライパート部位への付着を抑制する。
低粘度オイルは、100℃における動粘度が19mm/s以下である。100℃における動粘度が19mm/sを超えると、紙粉の付着抑制効果が十分に発揮できない。
低粘度オイルとしては、上述した粘度の条件を満たす、ギアー油、シリンダ油、タービン油、スピンドル油等の鉱油、ヤシ油、アマニ油、ヒマシ油、ナタネ油、コーン油等の植物油、流動パラフィン、イソパラフィン等のパラフィン、変性シリコーン等が挙げられる。これらは単独で用いても、複数を混合して用いてもよい。
これらの中でも、低粘度オイルは、汎用性の観点から、流動パラフィン、タービン油、マシン油及び植物油からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、高粘度オイルとの相溶性の観点から、流動パラフィン、タービン油又はマシン油であることがより好ましく、紙粉付着防止の観点から、流動パラフィンであることが特に好ましい。
したがって、汚染防止剤組成物においては、高粘度オイルがポリブテンであり、低粘度オイルが流動パラフィンであることが最も好ましい。この場合、紙粉の付着防止効果をより一層向上させることができる。
また、低粘度オイルは、無臭であり取り扱い性の観点から変性シリコーンであってもよい。
かかる変性シリコーンとしては、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、カルボキシル変性シリコーン、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。
これらの中でも、低粘度オイルは、汎用性の観点からアミノ変性シリコーンであることがより好ましい。
低粘度オイルの配合割合は、4〜10質量%であることが好ましい。低粘度オイルの配合割合が4質量%未満であると、低粘度オイルの配合割合が上記範囲内にある場合と比較して、紙粉の付着を十分に抑制できない場合があり、低粘度オイルの配合割合が10質量%を超えると、紙粉の付着抑制効果が飽和し、結果として高コストとなる欠点がある。
高粘度オイル1質量部に対する低粘度オイルの配合割合は、1.2〜70質量部であり、2.5〜70質量部であることが好ましく、39〜67質量部であることがより好ましい。
低粘度オイルの配合割合が1.2質量部未満であると、皮膜が十分に形成されず、紙粉の付着を十分に抑制できない。また、低粘度オイルの配合割合が70質量部を超えると、タック性が高くなる(悪くなる)欠点がある。
また、上記配合割合で高粘度オイルと低粘度オイルとを混合させた混合オイルは、100℃における動粘度が25mm/s以下であることが好ましく、10〜20mm/sであることがより好ましい。
混合オイルの100℃における動粘度が25mm/sを超えると、紙粉汚染の防止効果が不十分となる。
上記乳化剤は、高粘度オイル及び低粘度オイルを乳化させる。
乳化剤は、高粘度オイル及び低粘度オイルを乳化させるものであれば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等、適宜用いられる。これらは単独で用いても、複数を混合して用いてもよい。
これらの中でも、高粘度オイルが、ポリイソブチレン、ポリブテン、マレイン化ポリブテン、ポリエチレンワックス又はマイクロワックスであり、低粘度オイルが、鉱油、植物油又はパラフィンである場合、乳化剤は、アニオン界面活性剤であることが好ましく、特に脂肪酸とアミン化合物との中和物であることがより好ましい。この場合、有機物の塩を用いることで、オイルの乳化安定性が向上する。また、脂肪酸を混合オイル(高粘度オイルと低粘度オイルとを混合したもの)に溶解し、アミン化合物を水に溶解し、これらを混合して両者の中和反応を利用することにより、比較的容易に、乳化させることが可能となる。
上記脂肪酸としては、紙の色抜け抑制の観点から、炭素数が18以上であることが好ましい。具体的には、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、モンタン酸、ベヘニン酸、ポリカルボン酸等の飽和脂肪酸や、これらを不飽和にした不飽和脂肪酸等が挙げられる。これらは単独で用いても、複数を混合して用いてもよい。
これらの中でも、脂肪酸は、乳化安定性及び汎用性の観点から、ベヘニン酸、ステアリン酸、モンタン酸又はポリカルボン酸であることが好ましく、色抜け抑制の観点から、ベヘニン酸、ステアリン酸、モンタン酸及びポリカルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも2種以上が用いられることがより好ましい。
上記アミン化合物としては、モルホリン、アンモニア、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等が挙げられる。これらは単独で用いても、複数を混合して用いてもよい。
これらの中でも、アミン化合物としては、乳化安定性の観点から、モルホリン、ジエタノールアミン又はトリエタノールアミンであることが好ましい。
また、高粘度オイル及び低粘度オイルが共に変性シリコーンである場合、乳化剤は、ノニオン界面活性であることが好ましい。
かかるノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルチオエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステル、グリセリンモノ脂肪酸エステル等が挙げられる。
これらの中でも、ノニオン界面活性剤は、変性シリコーンの乳化安定性の観点から、ポリオキシエチレンアルキルエーテルであることが好ましい。
混合オイル1質量部に対する乳化剤の配合割合は、0.1〜4質量部であることが好ましい。乳化剤の配合割合が0.1質量部未満であると、乳化剤の配合割合が上記範囲内にある場合と比較して、乳化安定性が不十分となる場合があり、乳化剤の配合割合が4質量部を超えると、乳化剤の配合割合が上記範囲内にある場合と比較して、紙の色抜けの度合いが大きくなる欠点がある。
本実施形態に係る汚染防止剤組成物には、キレート剤、pH調整剤、防腐剤、分散剤、粘度調整剤、固体潤滑剤等の添加剤が含まれていてもよい。
次に、高粘度オイルが、ポリイソブチレン、ポリブテン、マレイン化ポリブテン、ポリエチレンワックス又はマイクロワックスであり、低粘度オイルが、鉱油、植物油又はパラフィンである場合の汚染防止剤組成物の製造方法について説明する。
本実施形態に係る汚染防止剤組成物の製造方法は、高粘度オイルと、低粘度オイルと、を配合し、混合オイルとする混合工程と、該混合オイルに脂肪酸を溶解し、これを、アミン化合物を溶解した水に加えて乳化する乳化工程と、を備える。
混合工程においては、上述した100℃における動粘度が80mm/s以上(好ましくは300mm/s以上)の高粘度オイルと、100℃における動粘度が19mm/s以下の低粘度オイルと、が用いられる。
そして、高粘度オイル1質量部に対する低粘度オイルの配合割合が、1.2〜70質量部となるように配合して混合オイルとする。
乳化工程においては、混合工程で得られた混合オイルに脂肪酸を溶解する。一方で、水にアミン化合物を溶解する。
そして、脂肪酸を溶解した混合オイルを、アミン化合物を溶解した水に加えて乳化させる(直接乳化法)。これにより、オイル層と水層との境界において、脂肪酸とアミン化合物との中和反応が生じると共に、オイル層と水層とが乳化する。
本実施形態に係る汚染防止剤組成物の製造方法においては、上述したように、直接乳化法を改良した方法で乳化させることにより、長期間放置した場合であっても、沈殿等が生じず、保存安定性が優れる汚染防止剤組成物が得られる。
高粘度オイル及び低粘度オイルが共に変性シリコーンである場合の汚染防止剤組成物の製造方法は、高粘度オイルと、低粘度オイルと、を配合し、混合オイルとする混合工程と、該混合オイルに乳化剤(例えば、ノニオン界面活性剤)を加えて乳化する乳化分散工程と、を備える。なお、混合工程は上述した混合工程と同様に行われる。
乳化分散工程においては、混合オイルにノニオン界面活性剤を加え、攪拌機で攪拌することにより汚染防止剤組成物が得られる。なお、ホモジナイザーやサンドミル、ビーズミル、ボールミル等の分散機で分散させてもよい。
次に、ドライパートにおける汚染防止剤組成物の使用方法について説明する。
図1は、本発明に係る汚染防止剤を用いるドライパートのドライパート部位を示す概略図である。
図1に示すように、汚染防止剤組成物は、ドライパートDで用いられる。
ドライパートDは、紙体Wと、該紙体Wを加熱乾燥するための複数の円筒状のシリンダD1,D2,D3,D4,D5,D6,D7及びD8(以下「D1〜D8」という。)と、紙体をシリンダD1〜D8に押し付けるカンバスK1,K2と、カンバスK1,K2を案内するカンバスロールKRと、乾燥した紙体Wの平滑性と紙厚を緩やかに調整するブレーカースタックロールBと、乾燥した紙体Wの平滑性と紙厚を調整するカレンダーロールCと、を備える。
ドライパートDにおいては、回転するシリンダD1〜D8の表面に紙体WがカンバスK1,K2により圧接される。これにより、紙体WがシリンダD1〜D8に付着し、同時に加熱乾燥されるようになっている。
その後、紙体Wは、ブレーカースタックロールBに挟持され、次いで、紙体Wは、カレンダーロールCにより高密度化される。
上記汚染防止剤組成物の使用方法においては、図1に示すように、ドライパートDのシリンダD1〜D8、カンバスK1,K2、ブレーカースタックロールB、カレンダーロールCに対して、それぞれ矢印Aの位置で汚染防止剤組成物が付与される。
このとき、汚染防止剤組成物の付与方法は特に限定されず、例えば、散布ノズル等を用いて液状のシャワー方式や霧状の噴霧方式等が用いられる。すなわち、ドライパートに吹き付けることにより、紙粉汚染が防止される。
このとき、汚染防止剤組成物の散布量は、固形分量として、0.1μg〜100μg/mであることが好ましい。
散布量が0.1μg/m未満であると、散布量が上記範囲内にある場合と比較して、汚染防止剤組成物が十分にドライパート部位の表面に付着せず、紙粉が多くなる傾向にある。また、散布量が100μg/mを超えると、散布量が上記範囲内にある場合と比較して、余剰分が紙体に吸収されてしまう虞がある。
なお、汚染防止剤組成物が、ドライパート部位の表面に散布されると、高粘度オイルと低粘度オイルとによる皮膜が形成される。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施形態に係る汚染防止剤組成物においては、高粘度オイルと、低粘度オイルとを混合して混合オイルとしているが、これに、高粘度オイル又は低粘度オイルに属さない粘度のオイルを更に添加してもよい。
上記実施形態に汚染防止剤組成物においては、汚染防止剤組成物をドライパートにおけるドライパート部位に付与しているが、ドライパートのみならず、プレスパートやリールパートに応用することも可能である。
上記実施形態に係る汚染防止剤組成物の製造方法の乳化工程においては、脂肪酸を溶解した混合オイルを、アミン化合物を溶解した水に加えて乳化させる方法(直接乳化法)が用いられているが、脂肪酸を溶解した混合オイルに、アミン化合物を溶解した水を投入して乳化させる方法(反転乳化法)を用いてもよい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
ポリブテン(高粘度オイル、100℃における動粘度300mm/s、40℃における動粘度9000mm/s)0.25質量%及び流動パラフィン(低粘度オイル、100℃における動粘度2mm/s、40℃における動粘度13.5mm/s)9.75質量%からなる混合オイルと、モンタン酸(炭素28)0.3質量%及びポリカルボン酸1.1質量%からなる脂肪酸と、モルホリン1質量%からなるアミン化合物と、水と、を準備して全量を100質量%となるようにした。なお、高粘度オイル1質量部に対する低粘度オイルの配合割合が39質量部であり、混合オイルの100℃における動粘度は、2.3mm/sであった。
次に、脂肪酸を混合オイルに溶解した第1液と、アミン化合物を水に溶解した第2液とを作製し、第1液を第2液に加え、直接乳化法により乳化させることにより、サンプル(汚染防止剤組成物)を得た。
(実施例2)
実施例1の混合オイルの代わりに、ポリブテン(高粘度オイル、100℃における動粘度300mm/s)0.25質量%及び流動パラフィン(低粘度オイル、100℃における動粘度4mm/s、40℃における動粘度23.4mm/s)9.75質量%からなる混合オイルを用いたこと以外は実施例1と同様にしてサンプル(汚染防止剤組成物)を得た。なお、高粘度オイル1質量部に対する低粘度オイルの配合割合が39質量部であり、混合オイルの100℃における動粘度は、4.5mm/sであった。
(実施例3)
実施例1の混合オイルの代わりに、ポリブテン(高粘度オイル、100℃における動粘度300mm/s)0.25質量%及び流動パラフィン(低粘度オイル、100℃における動粘度10mm/s、40℃における動粘度70mm/s)9.75質量%からなる混合オイルを用いたこと以外は実施例1と同様にしてサンプル(汚染防止剤組成物)を得た。なお、高粘度オイル1質量部に対する低粘度オイルの配合割合が39質量部であり、混合オイルの100℃における動粘度は、11mm/sであった。
(実施例4)
実施例1の混合オイルの代わりに、ポリブテン(高粘度オイル、100℃における動粘度300mm/s)0.25質量%及び流動パラフィン(低粘度オイル、100℃における動粘度14mm/s、40℃における動粘度105mm/s)9.75質量%からなる混合オイルを用いたこと以外は実施例1と同様にしてサンプル(汚染防止剤組成物)を得た。なお、高粘度オイル1質量部に対する低粘度オイルの配合割合が39質量部であり、混合オイルの100℃における動粘度は、15mm/sであった。
(実施例5)
実施例1の混合オイルの代わりに、ポリブテン(高粘度オイル、100℃における動粘度300mm/s)3.81質量%及び流動パラフィン(低粘度オイル、100℃における動粘度13mm/s)6.19質量%からなる混合オイルを用いたこと以外は実施例1と同様にしてサンプル(汚染防止剤組成物)を得た。なお、高粘度オイル1質量部に対する低粘度オイルの配合割合が1.6質量部であり、混合オイルの100℃における動粘度は、45mm/sであった。
(実施例6)
実施例1の混合オイルの代わりに、ポリブテン(高粘度オイル、100℃における動粘度300mm/s)0.25質量%及びタービン油(低粘度オイル、100℃における動粘度14mm/s)9.75質量%からなる混合オイルを用いたこと以外は実施例1と同様にしてサンプル(汚染防止剤組成物)を得た。なお、高粘度オイル1質量部に対する低粘度オイルの配合割合が39質量部であり、混合オイルの100℃における動粘度は、15mm/sであった。なお、タービン油の代わりにマシン油を用いた場合も同じ挙動を示した。
(実施例7)
実施例1の混合オイルの代わりに、ポリブテン(高粘度オイル、100℃における動粘度80mm/s)0.25質量%及び流動パラフィン(低粘度オイル、100℃における動粘度2mm/s)9.75質量%からなる混合オイルを用いたこと以外は実施例1と同様にしてサンプル(汚染防止剤組成物)を得た。なお、高粘度オイル1質量部に対する低粘度オイルの配合割合が39質量部であり、混合オイルの100℃における動粘度は、2.2mm/sであった。
(実施例8)
実施例1の混合オイルの代わりに、ポリブテン(高粘度オイル、100℃における動粘度80mm/s)0.25質量%及び流動パラフィン(低粘度オイル、100℃における動粘度4mm/s)9.75質量%からなる混合オイルを用いたこと以外は実施例1と同様にしてサンプル(汚染防止剤組成物)を得た。なお、高粘度オイル1質量部に対する低粘度オイルの配合割合が39質量部であり、混合オイルの100℃における動粘度は、4.3mm/sであった。
(実施例9)
実施例1の混合オイルの代わりに、ポリブテン(高粘度オイル、100℃における動粘度80mm/s)0.25質量%及び流動パラフィン(低粘度オイル、100℃における動粘度10mm/s)9.75質量%からなる混合オイルを用いたこと以外は実施例1と同様にしてサンプル(汚染防止剤組成物)を得た。なお、高粘度オイル1質量部に対する低粘度オイルの配合割合が39質量部であり、混合オイルの100℃における動粘度は、10.5mm/sであった。
(実施例10)
実施例1の混合オイルの代わりに、ポリブテン(高粘度オイル、100℃における動粘度80mm/s)0.25質量%及び流動パラフィン(低粘度オイル、100℃における動粘度14mm/s)9.75質量%からなる混合オイルを用いたこと以外は実施例1と同様にしてサンプル(汚染防止剤組成物)を得た。なお、高粘度オイル1質量部に対する低粘度オイルの配合割合が39質量部であり、混合オイルの100℃における動粘度は、14.6mm/sであった。
(実施例11)
実施例1の混合オイルの代わりに、マレイン化ポリブテン(高粘度オイル、100℃における動粘度650mm/s、37.8℃における動粘度59000mm/s)0.23質量%及び流動パラフィン(低粘度オイル、100℃における動粘度14mm/s)9.77質量%からなる混合オイルを用い、実施例1の脂肪酸の代わりに、ベヘニン酸(炭素22)1.0質量%及びステアリン酸(炭素18)0.5質量%からなる脂肪酸を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてサンプル(汚染防止剤組成物)を得た。なお、高粘度オイル1質量部に対する低粘度オイルの配合割合が41質量部であり、混合オイルの100℃における動粘度は、14mm/sであった。
(実施例12)
実施例1の混合オイルの代わりに、マレイン化ポリブテン(高粘度オイル、100℃における動粘度650mm/s)3.42質量%、ポリブテン(高粘度オイル、100℃における動粘度300mm/s)1.09質量%及び流動パラフィン(低粘度オイル、100℃における動粘度2mm/s)5.49質量%からなる混合オイルを用い、実施例1の脂肪酸の代わりに、ベヘニン酸(炭素22)1.0質量%及びステアリン酸(炭素18)0.5質量%からなる脂肪酸を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてサンプル(汚染防止剤組成物)を得た。なお、高粘度オイル1質量部に対する低粘度オイルの配合割合が1.2質量部であり、混合オイルの100℃における動粘度は、25mm/sであった。
(実施例13)
実施例1の混合オイルの代わりに、マレイン化ポリブテン(高粘度オイル、100℃における動粘度650mm/s)2.05質量%、ポリブテン(高粘度オイル、100℃における動粘度300mm/s)0.65質量%及び流動パラフィン(低粘度オイル、100℃における動粘度4mm/s)7.3質量%からなる混合オイルを用い、実施例1の脂肪酸の代わりに、ベヘニン酸(炭素22)1.0質量%及びステアリン酸(炭素18)0.5質量%からなる脂肪酸を用いたこと以外は実施例1と同様にしてサンプル(汚染防止剤組成物)を得た。なお、高粘度オイル1質量部に対する低粘度オイルの配合割合が2.7質量部であり、混合オイルの100℃における動粘度は、15mm/sであった。
(実施例14)
実施例1の混合オイルの代わりに、マレイン化ポリブテン(高粘度オイル、100℃における動粘度650mm/s)2.83質量%、ポリブテン(高粘度オイル、100℃における動粘度300mm/s)0.91質量%及び流動パラフィン(低粘度オイル、100℃における動粘度4mm/s)6.26質量%からなる混合オイルを用い、実施例1の脂肪酸の代わりに、ベヘニン酸(炭素22)1.0質量%及びステアリン酸(炭素18)0.5質量%からなる脂肪酸を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてサンプル(汚染防止剤組成物)を得た。なお、高粘度オイル1質量部に対する低粘度オイルの配合割合が1.7質量部であり、混合オイルの100℃における動粘度は、25mm/sであった。
(実施例15)
実施例1の混合オイルの代わりに、ポリエチレンワックス(高粘度オイル、100℃における動粘度360mm/s)0.15質量%及び流動パラフィン(低粘度オイル、100℃における動粘度13mm/s)9.85質量%からなる混合オイルを用いたこと以外は実施例1と同様にしてサンプル(汚染防止剤組成物)を得た。なお、高粘度オイル1質量部に対する低粘度オイルの配合割合が66質量部であり、混合オイルの100℃における動粘度は、15mm/sであった。
(実施例16)
実施例1の混合オイルの代わりに、ポリエチレンワックス(高粘度オイル、100℃における動粘度360mm/s)2.3質量%及び流動パラフィン(低粘度オイル、100℃における動粘度13mm/s)7.7質量%からなる混合オイルを用いたこと以外は実施例1と同様にしてサンプル(汚染防止剤組成物)を得た。なお、高粘度オイル1質量部に対する低粘度オイルの配合割合が3.4質量部であり、混合オイルの100℃における動粘度は、45mm/sであった。
(実施例17)
高粘度のアミノ変性シリコーン(高粘度オイル、100℃における動粘度394mm/s)4.0質量%及び低粘度のアミノ変性シリコーン(低粘度オイル、100℃における動粘度13mm/s)16.0質量%からなる混合オイルと、ポリオキシエチレンデシルエーテル(乳化剤)1.75質量%及びポリオキシエチレンセチルエーテル(乳化剤)1.75質量%からなるノニオン界面活性剤と、水とを準備して全量を100質量%となるようにした。なお、高粘度オイル1質量部に対する低粘度オイルの配合割合が4.0質量部であり、混合オイルの100℃における動粘度は、23mm/sであった。
次に、混合オイル、ノニオン界面活性剤及び水を混合し、攪拌することにより、サンプル(汚染防止剤組成物)を得た。
(実施例18)
実施例17の混合オイルの代わりに、高粘度のアミノ変性シリコーン(高粘度オイル、100℃における動粘度4810mm/s)6.7質量%及び低粘度のアミノ変性シリコーン(低粘度オイル、100℃における動粘度13mm/s)13.3質量%からなる混合オイルを用い、実施例17のノニオン界面活性剤の代わりに、ポリオキシエチレンデシルエーテル(乳化剤)1.0質量%及びポリオキシエチレンセチルエーテル(乳化剤)1.0質量%からなるノニオン界面活性剤を用いたこと以外は実施例17と同様にしてサンプル(汚染防止剤組成物)を得た。なお、高粘度オイル1質量部に対する低粘度オイルの配合割合が2.0質量部であり、混合オイルの100℃における動粘度は、182mm/sであった。
(比較例1)
実施例1の混合オイルの代わりに、ポリブテン(100℃における動粘度85mm/s、40℃における動粘度2100mm/s)8質量%及びポリブテン(100℃における動粘度28mm/s)2質量%からなる混合オイルを用いたこと以外は実施例1と同様にしてサンプルを得た。なお、混合オイルの100℃における動粘度は、43mm/sであった。
(比較例2)
実施例1の混合オイルの代わりに、流動パラフィン(低粘度オイル、100℃における動粘度2mm/s)10質量%を用いたこと以外は実施例1と同様にしてサンプルを得た。
(比較例3)
実施例1の混合オイルの代わりに、流動パラフィン(低粘度オイル、100℃における動粘度4mm/s)10質量%を用いたこと以外は実施例1と同様にしてサンプルを得た。
(比較例4)
実施例1の混合オイルの代わりに、流動パラフィン(低粘度オイル、100℃における動粘度10mm/s)10質量%を用いたこと以外は実施例1と同様にしてサンプルを得た。
(比較例5)
実施例1の混合オイルの代わりに、ポリブテン(100℃における動粘度28mm/s)8.3質量%及び流動パラフィン(低粘度オイル、100℃における動粘度2mm/s)1.7質量%からなる混合オイルを用いたこと以外は実施例1と同様にしてサンプルを得た。なお、高粘度オイル1質量部に対する低粘度オイルの配合割合が0.2質量部であり、混合オイルの100℃における動粘度は、15mm/sであった。
(比較例6)
実施例1の混合オイルの代わりに、ポリブテン(100℃における動粘度28mm/s)5.7質量%及び流動パラフィン(低粘度オイル、100℃における動粘度4mm/s)4.3質量%からなる混合オイルを用いたこと以外は実施例1と同様にしてサンプルを得た。なお、高粘度オイル1質量部に対する低粘度オイルの配合割合が0.75質量部であり、混合オイルの100℃における動粘度は、15mm/sであった。
(比較例7)
実施例1の混合オイルの代わりに、ポリブテン(100℃における動粘度28mm/s)3.6質量%及び流動パラフィン(低粘度オイル、100℃における動粘度14mm/s)6.4質量%からなる混合オイルを用いたこと以外は実施例1と同様にしてサンプルを得た。なお、高粘度オイル1質量部に対する低粘度オイルの配合割合が1.8質量部であり、混合オイルの100℃における動粘度は、15mm/sであった。
(比較例8)
実施例17の混合オイルの代わりに、低粘度のアミノ変性シリコーン(低粘度オイル、100℃における動粘度13mm/s)20質量%を用い、実施例17のノニオン界面活性剤の代わりに、ポリオキシエチレンデシルエーテル(乳化剤)1.0質量%及びポリオキシエチレンセチルエーテル(乳化剤)1.0質量%からなるノニオン界面活性剤を用いたこと以外は実施例17と同様にしてサンプルを得た。
(比較例9)
実施例17の混合オイルの代わりに、高粘度のアミノ変性シリコーン(高粘度オイル、100℃における動粘度394mm/s)20質量%を用い、実施例17のノニオン界面活性剤の代わりに、ポリオキシエチレンデシルエーテル(乳化剤)3.3質量%及びポリオキシエチレンセチルエーテル(乳化剤)3.3質量%からなるノニオン界面活性剤を用いたこと以外は実施例17と同様にしてサンプルを得た。
(評価方法)
1.紙粉付着性試験 5×25cm角のステンレス板に実施例1〜18及び比較例1〜9で得られたサンプルを0.2g散布した。これを80℃で加熱乾燥した後、LBKP(パルプ)を用いて作製した手漉き湿紙(4×4cm角)を載置し、その上から4kgの錘を載せ、1分間放置した。
その後、湿紙を剥離させ、ステンレス板に付着した紙粉量を目視にて観察した。
紙粉付着性試験においては、汚染防止剤を用いなかった場合(ブランク)の紙粉の付着具合を10とし、全く付着していない状態を0として、2人に点数をつけてもらい、それらの平均値を紙粉付着性試験の結果とした。得られた結果を表1に示す。なお、値が小さいほうが紙粉が付着しにくい。
2.浸透性試験
実施例2〜18及び比較例1〜9で得られたサンプルを100℃で加熱し、水分を除いた不揮発成分を作製した。
そして、100℃に加熱した秤量40〜50g/mの紙、又は、ろ紙に、100℃に加熱した各サンプルの不揮発成分を10μL滴下し、不揮発成分が完全に紙に染み込むまでの時間を測定した。得られた結果を表1に示す。なお、値が大きいほうが浸透しにくい。
3.実機評価1
ドライヤー(シリンダ)に実施例1,3〜7,9,10,12,15,16及び比較例1,2,4,5,7のサンプルを3ml/min散布し、実機で50分間稼動させた場合のドライヤー下に落下し蓄積した紙粉の重量を測定した。得られた結果を表1に示す。
4.実機評価2
ドライヤー(シリンダ)に実施例3〜5,17,18及び比較例1,7〜9のサンプルを2.5ml/min散布し、実機で3日間稼動させた後のドライヤーの粕巻及びドクター刃先に蓄積する汚れ量の変化を目視で評価した。評価は、ドライヤーへの紙紛の付着が少ないものを「○」、ドライヤーへの紙粉の付着がやや少ないものを「△」、ドライヤーへの紙粉の付着が多いものを「×」とした。得られた結果を表1に示す。
〔表1〕
Figure 2011122052
表1の結果より、実施例1〜18におけるサンプルは、比較例1,9のサンプルと比較して、紙粉付着性が優れることがわかった。このことから、低粘度オイルが含まれていることにより、紙粉付着性が向上するといえる。
一方、比較例2〜8のサンプルは、低粘度オイルを含んでいるため、紙粉付着性は優れているが、高粘度オイルを含まないため、浸透性が早すぎることがわかった。このことから、高粘度オイルを含まない場合、実機のドライヤーに汚染防止剤組成物を付与したとしても、紙に吸収されてしまい十分な紙粉付着抑制効果は発揮できないと考えられる。なお、実機評価1及び2がそれを表している。
これらのことから、本発明の汚染防止剤組成物によれば、シリンダへの紙粉の付着を十分に抑制できることが確認された。
本発明の汚染防止剤組成物は、紙の抄造の際に、ドライパートのドライパート部位に付与して用いられる。本発明の汚染防止剤組成物によれば、ドライパート部位への紙粉の付着を十分に抑制できるので、紙の製造における歩留まりを極めて向上させることができる。
B・・・ブレーカースタックロール
C・・・カレンダーロール
D・・・ドライパート
D1,D2,D3,D4,D5,D6,D7,D8・・・シリンダ
K1,K2・・・カンバス
KR・・・カンバスロール
W・・・紙体
すなわち、本発明は、(1)抄紙工程のドライパートにおける紙粉汚染を防止する汚染防止剤組成物であって、100℃における動粘度が80mm/s以上の高粘度オイルと、100℃における動粘度が19mm/s以下の低粘度オイルと、高粘度オイル及び低粘度オイルを乳化する乳化剤と、を有し、高粘度オイルが、ポリブテン、マレイン化ポリ ブテン及びポリエチレンワックスからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、低粘度 オイルが、流動パラフィン、タービン油、マシン油及び植物油からなる群より選ばれる少 なくとも1種であり、高粘度オイル1質量部に対する低粘度オイルの配合割合が、1.2〜70質量部である汚染防止剤組成物に存する。
本発明は、(3)高粘度オイルの配合割合が、0.1〜3質量%であり、低粘度オイル の配合割合が、4〜10質量%であり、高粘度オイルと低粘度オイルとを混合した混合オ イル1質量部に対する乳化剤の配合割合が、0.1〜4質量部である上記(1)又は(2)に記載の汚染防止剤組成物に存する。
本発明は、(4)ドライパートに、散布ノズルを用いて吹き付けられる上記(1)〜( 3)のいずれか一つに記載の汚染防止剤組成物に存する。
本発明は、()乳化剤が、脂肪酸とアミン化合物との中和物である上記(1)〜()のいずれか一つに記載の汚染防止剤組成物に存する。
本発明は、()脂肪酸の炭素数が18以上である上記()記載の汚染防止剤組成物に存する。
本発明は、()脂肪酸として、ベヘニン酸、ステアリン酸、モンタン酸及びポリカルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも2種以上が用いられる上記()記載の汚染防止剤組成物に存する。
本発明は、()アミン化合物がモルホリン、ジエタノールアミン又はトリエタノールアミンである上記()〜()のいずれか一つに記載の汚染防止剤組成物に存する。
参考例1
高粘度のアミノ変性シリコーン(高粘度オイル、100℃における動粘度394mm/s)4.0質量%及び低粘度のアミノ変性シリコーン(低粘度オイル、100℃における動粘度13mm/s)16.0質量%からなる混合オイルと、ポリオキシエチレンデシルエーテル(乳化剤)1.75質量%及びポリオキシエチレンセチルエーテル(乳化剤)1.75質量%からなるノニオン界面活性剤と、水とを準備して全量を100質量%となるようにした。なお、高粘度オイル1質量部に対する低粘度オイルの配合割合が4.0質量部であり、混合オイルの100℃における動粘度は、23mm/sであった。
参考例2
参考例1の混合オイルの代わりに、高粘度のアミノ変性シリコーン(高粘度オイル、100℃における動粘度4810mm/s)6.7質量%及び低粘度のアミノ変性シリコーン(低粘度オイル、100℃における動粘度13mm/s)13.3質量%からなる混合オイルを用い、参考例1のノニオン界面活性剤の代わりに、ポリオキシエチレンデシルエーテル(乳化剤)1.0質量%及びポリオキシエチレンセチルエーテル(乳化剤)1.0質量%からなるノニオン界面活性剤を用いたこと以外は参考例1と同様にしてサンプル(汚染防止剤組成物)を得た。なお、高粘度オイル1質量部に対する低粘度オイルの配合割合が2.0質量部であり、混合オイルの100℃における動粘度は、182mm/sであった。
参考例3
参考例1の混合オイルの代わりに、低粘度のアミノ変性シリコーン(低粘度オイル、100℃における動粘度13mm/s)20質量%を用い、参考例1のノニオン界面活性剤の代わりに、ポリオキシエチレンデシルエーテル(乳化剤)1.0質量%及びポリオキシエチレンセチルエーテル(乳化剤)1.0質量%からなるノニオン界面活性剤を用いたこと以外は参考例1と同様にしてサンプルを得た。
参考例4
参考例1の混合オイルの代わりに、高粘度のアミノ変性シリコーン(高粘度オイル、100℃における動粘度394mm/s)20質量%を用い、参考例1のノニオン界面活性剤の代わりに、ポリオキシエチレンデシルエーテル(乳化剤)3.3質量%及びポリオキシエチレンセチルエーテル(乳化剤)3.3質量%からなるノニオン界面活性剤を用いたこと以外は参考例1と同様にしてサンプルを得た。
(評価方法)
1.紙粉付着性試験 5×25cm角のステンレス板に実施例1〜16、比較例1〜7及 び参考例1〜4で得られたサンプルを0.2g散布した。これを80℃で加熱乾燥した後、LBKP(パルプ)を用いて作製した手漉き湿紙(4×4cm角)を載置し、その上から4kgの錘を載せ、1分間放置した。
その後、湿紙を剥離させ、ステンレス板に付着した紙粉量を目視にて観察した。
紙粉付着性試験においては、汚染防止剤を用いなかった場合(ブランク)の紙粉の付着具合を10とし、全く付着していない状態を0として、2人に点数をつけてもらい、それらの平均値を紙粉付着性試験の結果とした。得られた結果を表1に示す。なお、値が小さいほうが紙粉が付着しにくい。
2.浸透性試験
実施例2〜16、比較例1〜7及び参考例1〜4で得られたサンプルを100℃で加熱し、水分を除いた不揮発成分を作製した。
そして、100℃に加熱した秤量40〜50g/mの紙、又は、ろ紙に、100℃に加熱した各サンプルの不揮発成分を10μL滴下し、不揮発成分が完全に紙に染み込むまでの時間を測定した。得られた結果を表1に示す。なお、値が大きいほうが浸透しにくい。
4.実機評価2
ドライヤー(シリンダ)に実施例3〜5比較例1,7及び参考例1〜4のサンプルを2.5ml/min散布し、実機で3日間稼動させた後のドライヤーの粕巻及びドクター刃先に蓄積する汚れ量の変化を目視で評価した。評価は、ドライヤーへの紙紛の付着が少ないものを「○」、ドライヤーへの紙粉の付着がやや少ないものを「△」、ドライヤーへの紙粉の付着が多いものを「×」とした。得られた結果を表1に示す。
〔表1〕
Figure 2011122052
表1の結果より、実施例1〜16におけるサンプルは、比較例1のサンプルと比較して、紙粉付着性が優れることがわかった。このことから、低粘度オイルが含まれていることにより、紙粉付着性が向上するといえる。
一方、比較例2〜のサンプルは、低粘度オイルを含んでいるため、紙粉付着性は優れているが、高粘度オイルを含まないため、浸透性が早すぎることがわかった。このことから、高粘度オイルを含まない場合、実機のドライヤーに汚染防止剤組成物を付与したとしても、紙に吸収されてしまい十分な紙粉付着抑制効果は発揮できないと考えられる。なお、実機評価1及び2がそれを表している。
これらのことから、本発明の汚染防止剤組成物によれば、シリンダへの紙粉の付着を十分に抑制できることが確認された。

Claims (10)

  1. 抄紙工程のドライパートにおける紙粉汚染を防止する汚染防止剤組成物であって、
    100℃における動粘度が80mm/s以上の高粘度オイルと、
    100℃における動粘度が19mm/s以下の低粘度オイルと、
    前記高粘度オイル及び前記低粘度オイルを乳化する乳化剤と、
    を有し、
    前記高粘度オイル1質量部に対する前記低粘度オイルの配合割合が、1.2〜70質量部である汚染防止剤組成物。
  2. 前記高粘度オイルと前記低粘度オイルとからなる混合オイルの100℃における動粘度が25mm/s以下である請求項1記載の汚染防止剤組成物。
  3. 前記高粘度オイルが、ポリブテン、マレイン化ポリブテン及びポリエチレンワックスからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の汚染防止剤組成物。
  4. 前記高粘度オイルがポリブテンである請求項1又は2に記載の汚染防止剤組成物。
  5. 前記低粘度オイルが、流動パラフィン、タービン油、マシン油及び植物油からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか一項に記載の汚染防止剤組成物。
  6. 前記低粘度オイルが流動パラフィンである請求項1〜4のいずれか一項に記載の汚染防止剤組成物。
  7. 前記乳化剤が、脂肪酸とアミン化合物との中和物である請求項1〜6のいずれか一項に記載の汚染防止剤組成物。
  8. 前記脂肪酸の炭素数が18以上である請求項7記載の汚染防止剤組成物。
  9. 前記脂肪酸として、ベヘニン酸、ステアリン酸、モンタン酸及びポリカルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも2種以上が用いられる請求項7記載の汚染防止剤組成物。
  10. 前記アミン化合物がモルホリン、ジエタノールアミン又はトリエタノールアミンである請求項7〜9のいずれか一項に記載の汚染防止剤組成物。
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