本発明は、BD−ROMなどの記録媒体に記録されたデータを再生する光ディスク再生装置に関するものである。
近年、高画質および高音質で高度なインタラクティブ機能を有する情報を記録した大容量の光ディスクを再生する光ディスク再生装置が普及している。
上記のような大容量の光ディスクの代表的なものとして、ブルーレイディスク(Blu−ray Disc(登録商標))(以下「BD」と略記する)がある。BDは、膨大なデータ容量(単層で25ギガバイト(GB)、2層で50GB)を備えており、ハイビジョン画質の映画コンテンツを蓄積することもできる。BDを用いた市販のまたはレンタル用のソフトウェア製品(パッケージソフトウェア)は、製造過程で書込まれたデータに対して追記または書き換えができない読み出し専用メディアであるBD−ROM(Bluray Disc Read−Only−Memory)により提供されている。
BD−ROMに関しては、HDMV(High Definition Movie)モードおよびBD−J(Blu−ray Disc Java)モードという二つの仕様が策定されている。
HDMVモードは、従来のDVD−ROM(Digital Versatile Disc Read−Only−Memory)に対して、映像および音声のコーデック仕様が拡張されたものであり、高詳細映像および高品質音声が利用可能である。なお、コンテンツ仕様は、DVD−ROMと同様である。なお、以下の説明では、HDMVモードのタイトル(コンテンツ)を「HDMVタイトル」という。
BD−Jモードは、HDMVモードに対して、Java(登録商標)アプリケーションによって、映像を重ね合わせるなどのビジュアル的な表現を追加することができる。なお、以下の説明では、BD−Jモードのタイトル(コンテンツ)を「BD−Jタイトル」という。
映像および音声のデジタルストリームを収録し、かつJava(登録商標)アプリケーションを記録するBD−ROMタイトルは、複数枚のディスクにより構成されている場合がある。この場合、1枚目のBD−ROMディスクの再生位置が終端に到達したときに、次のBD−ROMディスクに入れ替えることを促す映像(以下「ディスク交換要求画面」という)を表示する機能を実装することができる。なお、このようなディスク交換要求画面の表示およびキャッシュパッケージ管理に関する制御機能は、「ディスクアンバウンド」と呼ばれる。
ところで、車載型の光ディスク再生装置は一般に、光ディスク再生以外の機能、例えば、ナビゲーション、ラジオ放送および地上デジタル放送といった様々な機能を、備えている。ユーザは光ディスク再生装置の動作モードの切替操作を行うことにより、所望の機能を光ディスク再生装置に実行させることができる。
車載型の光ディスク再生装置では通常、車両走行中に運転者がタイトル再生画面を注視することがないよう、別の映像(以下「マスク画面」という)を表示することによりタイトル再生画面をマスクする。これにより運転者は、再生中のタイトルの音声のみを安全に楽しむことができる。
しかしながら、マスク画面の表示中は、BD−ROMディスクに記録されたデータに基づくディスク交換要求画面でさえもマスクされることになる。このため、運転者および同乗者(以下、総称として「ユーザ」という)は、ディスク交換要求画面を視認することができず、表示画面上では、BD−ROMディスクの交換が必要な状況にあることを認識することができない。また、無音状態が継続するため、装置に故障が発生したとユーザが誤認する可能性がある。
本発明の目的は、タイトルが複数枚の光ディスクで構成されており、そのタイトルを車載型の光ディスク再生装置により車両走行中に再生している場合において、タイトルの続きを視聴するために光ディスクの交換が必要な状況にあるときにその旨をユーザに通知することができる光ディスク再生装置を提供することである。
本発明の光ディスク再生装置は、車載型の光ディスク再生装置であって、光ディスクを収容する収容部と、収容された光ディスクに記録されたデータに基づいて再生されるタイトルの映像および音声の出力を制御する信号処理部と、を有し、前記信号処理部は、タイトルの再生画面をマスクするマスク画面に関する第1の画面情報と、前記収容部に収容する光ディスクの入替を促す交換要求画面に関する第2の画面情報と、を保持し、車両の走行中かつタイトルの再生中、タイトルの映像の代わりに、第1の画面情報に基づくマスク画面を出力させ、車両の走行中かつタイトルの再生中、タイトルの音声が所定時間以上続けて無音状態であるときに、出力させる画面を、第1の画面情報に基づくマスク画面から、第2の画面情報に基づく交換要求画面に、切り替える。
本発明によれば、タイトルが複数枚の光ディスクで構成されており、そのタイトルを車載型の光ディスク再生装置により車両走行中に再生している場合において、タイトルの続きを視聴するために光ディスクの交換が必要な状況にあるときにその旨をユーザに通知することができる。
本発明の一実施の形態に係る光ディスク再生装置のシステムとしての使用形態を説明するための図
本発明の一実施の形態に係る光ディスク再生装置の構成を示すブロック図
BD−ROMのファイル構成を説明するための図
図3に示すIndex.bdmvとタイトルとの関係を説明するための図
タイトル再生画面の一例を示す図
マスク画面の一例を示す図
本発明の一実施の形態に係るディスク交換要求画面の一例を示す図
光ディスク再生停止中の表示画面の一例を示す図
本発明の一実施の形態に係る光ディスク再生装置における画面表示制御の動作を説明するためのフロー図
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る光ディスク再生装置(以下「再生装置」と略記する)の、システムとしての使用形態を説明するための図である。図1に示す本実施の形態の再生装置100は車載型であり、つまり、車両に設置して使用されるものである。
再生装置100は、収容部としてのディスクトレイ101を有し、ディスクトレイ101にBD−ROM10などの光ディスクを収容することができる。すなわち、ディスクトレイ101は、再生装置100に挿入された光ディスクを収容し、かつ、光ディスクが再生装置100に対して挿排自在となるように構成されている。
なお、本実施の形態では、BD−ROM10には、映画作品または音楽ライブ映像などのAV(Audio−Visual)コンテンツのデータが記録されているものとする。また、本実施の形態では、再生装置100により、BD−ROM10に記録されたデータから映像および音声を再生する場合を例にとって説明する。
再生装置100は、カードスロット102を有し、カードスロット102にリムーバブルメディア11を収容することができる。
再生装置100は、モニタ13およびスピーカ14と通信可能に接続されている。なお、接続形態は有線であっても無線であってもよい。また、図1に示す使用形態では、モニタ13の数もスピーカ14の数も1つであるが、複数存在してもよい。ただし、以下の説明では、説明の便宜上、モニタ13の数が1つであることを前提とする。
モニタ13は、映像を表示する装置である。再生装置100により再生される映像はモニタ13により出力される。モニタ13は、再生装置100からの操作メニュー用データに基づいて操作メニューを表示する機能も有する。よって、ユーザはモニタ13に表示された操作メニューを見ながら、再生装置100に設けられた操作ボタン(図示せず)あるいはリモコン15を用いて再生装置100を操作することができる。また、モニタ13はタッチパネル16を備えているため、ユーザは、表示中の操作メニュー内の操作ボタンを押すことにより、再生装置100を操作することもできる。
スピーカ14は、音声を出力する装置である。再生装置100により再生される音声はスピーカ14により出力される。
再生装置100は、インターネットを介してWWW(World Wide Web)サーバ12と通信可能に接続されている。本実施の形態では、再生装置100は車載型であるため、WWWサーバ12との接続形態は通常、無線である。
再生装置100は、車両に設けられた走行状態センサ20にも接続されている。走行状態センサ20は、例えば車速またはサイドブレーキもしくはシフトレバーの状態を検知し得るセンサであって、車両が走行状態か停車状態かの判断に供する情報を取得するものである。
図2は、再生装置100の構成を示すブロック図である。図2において、再生装置100は、ピックアップ111、サーボ112、ローカルストレージ113、ネットワークインターフェース114、信号処理部115、出力部116、入力信号受信部117および走行状態情報取得部118を有する。信号処理部115は、画面情報保持部121、再生終端位置検知部122、ユーザ操作部123および無音状態監視タイマ124を有する。
サーボ112は、ピックアップ111を制御する。具体的には、サーボ112は、ピックアップ111をBD−ROM10の半径方向において移動(シーク)させたり、あるいはBD−ROM10の軸方向において移動(フォーカス)させたりすることにより、ピックアップ111の位置を調整する装置である。
ピックアップ111は、サーボ112の制御下でBD−ROM10からデータを取得し、取得されたデータを信号処理部115に送る。
出力部116は、図1に示すモニタ13およびスピーカ14といった装置を含むものである。
走行状態情報取得部118は、図1に示す走行状態センサ20とのインターフェースであり、走行状態センサ20から、走行状態の検知結果を示す走行状態情報を取得する。走行状態センサ20から取得された走行状態情報は信号処理部115に送られる。
信号処理部115は、例えばCPU(Central Processing Unit)などの演算処理装置にて所定のソフトウェアプログラムを実行することにより実現される。信号処理部115は、ピックアップ111によりBD−ROM10から取得されたデータ(以下「BDデータ」ともいう)を処理する。ここで、BDデータの処理は主としてデコードであるが、信号処理部115は、BDデータに基づく映像に別の映像を重畳する映像処理などを行うこともできる。
信号処理部115は、ローカルストレージ113に保存されているデータ、およびネットワークインターフェース114を介して外部(例えば図1に示したWWWサーバ12)からダウンロードされたデータも処理する。
ここで、ローカルストレージ113のデータおよびネットワークインターフェース114を介して取得されるデータは主に、BDデータのアプリケーション(例えば、BD−Jタイトルの制御プログラムであるJava(登録商標)アプリケーション)である。ローカルストレージ113は、例えば図1に示すリムーバブルメディア11である。
すなわち、信号処理部115は、上記処理において、コンテンツ制御プログラムを適宜使用してBDデータに基づくAVコンテンツを再生するように、構成されたものである。
再生装置100の動作モードが光ディスク再生モード(以下「再生モード」と略記する)であるとき、信号処理部115は、BDデータに対して信号処理を施した結果として得られる映像データおよび音声データを、出力部116に送る。これにより、BD−ROM10に蓄積されているAVコンテンツを出力することができる。
再生装置100の動作モードが他モード(つまり再生モード以外のモード)であるとき、信号処理部115は、入力信号受信部117を介して受信された入力信号に含まれる映像データおよび音声データを、出力部116に送る。これにより、他のソースからのAVコンテンツ(カーナビゲーション画像、地上デジタル放送およびラジオ放送など)を出力することができる。
また、信号処理部115は、図1のリモコン15などを用いたユーザ操作の内容を受け、その操作が受付可能かどうかを判断し、受付可能な場合にはユーザ操作部123にその操作を実行させる。
また、信号処理部115は、再生装置100に最初から組み込まれているユーザインターフェースを図1のモニタ13などへ表示させる機能も有する。ここで、ユーザインターフェースとは、再生装置100の内臓メモリ(図示せず)にプログラムとして保持されており、再生装置100の機能としてモニタ13に表示される再生ボタンおよび停止ボタンなどである。
したがって、ユーザがリモコン15またはタッチパネル16を用いて操作を行うと、信号処理部115は、入力されたユーザ操作を各ボタンの機能と結びつけて、操作されたボタンの動作をユーザ操作部123に実行させる。
画面情報保持部121は、信号処理部115に含まれるものであり、必要に応じて出力部116(図1のモニタ13)から出力すべき映像(画面)のベースとなる画面情報を保持する。この画面情報は、BD−Jタイトル再生中にBD−ROM10から読み出されるものではなく、予め再生装置100の内臓メモリ(図示せず)にデータとして記録されているものである。
再生終端位置検知部122は、信号処理部115に含まれるものであり、BD−Jアプリケーション(詳しくは後述する)が記録されたBD−ROMディスク内のディスクアンバウンド情報により、再生終端位置か否かを検知する。
無音状態監視タイマ124は、信号処理部115に含まれるものであり、BD−Jタイトル再生中にデコードされた音声データが無音状態である時間を監視および計測するタイマである。
以上、本実施の形態の再生装置100の構成について説明した。
なお、再生装置100の構成は、適宜変更可能である。例えば、本実施の形態では、再生装置100が他モードであるとき、他のソースからの入力信号が再生装置100を経由して出力部116に供給されるような構成が採られている。しかし、再生装置100が他モードであるとき、他のソースからの入力信号が再生装置100を経由せずに出力部116に供給されるようにしてもよい。
ここで、BD−ROM10のファイル構成について説明する。
図3は、BD−ROM10のファイル構成を示す図である。BD−ROM10は、他種の光ディスク(DVDおよびCDなど)と同様に、その内周から外周に向けて螺旋状に記録領域を有し、内周部のリード・インと外周部のリード・アウトとの間に論理データを記録できる論理アドレス空間を有する。リード・インの内側にはBCA(Burst Cutting Area)と呼ばれる、ドライブでしか読み出せない特別な領域が設けられている。この領域は、アプリケーションから読み出すことができないため、一般に、例えば著作権保護技術などに利用されている。
論理アドレス空間には、ファイルシステム情報(ボリューム)を先頭に映像データなどのアプリケーションデータが記録されている。ファイルシステムとは、ユニバーサルディスクフォーマット(UDF)およびISO(International Organization for Standardization)9660などのことである。よって、通常のPC(Personal Computer)と同様に、論理アドレス空間に記録されている論理データは、ディレクトリ・ファイル構造を使って読み出すことができる。このファイルシステムにおけるファイルの配置位置は、ディレクトリ名およびファイル名(一般に最大255文字)の組合せであるファイル経路情報(ファイルパス)によって特定される。
本実施の形態の場合、BD−ROM10のディスク上のディレクトリ・ファイル構造では、ルートディレクトリ(ROOT)直下にBDMVディレクトリおよびbd.certファイルが配置されている。BDMVディレクトリは、BD−ROM10で扱うAVコンテンツおよび管理情報などのデータが記録されているディレクトリである。bd.cert(ファイル名固定)は、仮想パッケージのために追加されたコンテンツをBD−ROM10上のデータとマージする際に、署名検証に用いられる証明書である。
BDMVディレクトリには、index.bdmvおよびMovieObject.bdmvといった2種類のファイルが配置されている。
MovieObject.bdmvは、ムービーオブジェクト(Movie Object)を格納するファイルである。
index.bdmv(ファイル名固定)は、BD−ROM10全体に関する管理情報を格納するファイルである。index.bdmvは、organizationID(32bit)およびdiscID(128bit)など、様々な情報を有する。organizationIDは、映画作品などのプロバイダを特定する識別子である。discIDは、映画作品などのプロバイダから提供されるBD−ROM10のそれぞれに割り当てられた識別子である。
BD−ROM10を再生装置100に挿入した後に、index.bdmvを最初に読み出すことにより、再生装置100においてBD−ROM10を一意に認識することができる。
加えて、index.bdmvには、BD−ROM10に記録されている再生可能な複数のタイトルと、個々のタイトルを規定するBD−Jオブジェクトとを対応付けて示すインデックステーブル(Index Table)が含まれる。index.bdmvとタイトルとの関係については後述する。
BDMVディレクトリの配下には、PLAYLISTディレクトリ、CLIPINFディレクトリ、STREAMディレクトリ、BDJOディレクトリおよびJARディレクトリと呼ばれる5つのサブディレクトリが存在する。
STREAMディレクトリには、拡張子m2tsが付与されたファイル(****.m2ts)が存在する。このファイルには、ビデオストリーム、オーディオストリームおよびグラフィックストリームを多重化してなるAVストリームが格納される。
CLIPINFディレクトリには、拡張子clpiが付与されたファイル(****.clpi)が存在する。このファイルには、AVストリームに1対1に対応する管理情報が格納される。
PLAYLISTディレクトリには、拡張子mplsが付与されたファイル(****.mpls)が存在する。このファイルには、AVストリームにおける論理的な再生経路を定義するプレイリスト情報が格納される。プレイリスト情報は、1つ以上のプレイアイテム情報により構成される。プレイアイテム情報は、AVストリームの再生区間を示すものであり、プレイリスト情報において、再生されるべき順序で記述されている。
各プレイリスト情報は、ユーザ操作を制限する情報(ユーザ操作制限情報)を記述するフィールドを有する。あるプレイリスト情報において、早送り、停止または一時停止などのユーザ操作の禁止を指定するユーザ操作制限情報が記述されている場合、信号処理部115は通常、そのプレイリスト情報に対応する再生区間の再生途中では、禁止されたユーザ操作を受け付けないように、動作する。
コンテンツによって一時停止操作が禁止される区間としては、光ディスク挿入後に再生されるファーストプレイバック、トップメニュー、およびトップメニューではないがユーザー選択が可能なボタン画面が表示されているメニュータイトルなどが、挙げられる。
ファーストプレイバックとしては、他パッケージソフトウェアの紹介、映画の予告編、または音場再生技術のデモコンテンツなどがある。
各プレイアイテム情報も、ユーザ操作制限情報を記述するフィールドを有する。あるプレイアイテム情報において、早送り、停止または一時停止などのユーザ操作の禁止を指定するユーザ操作制限情報が記述されている場合、信号処理部115は通常、そのプレイアイテム情報に対応する再生区間の再生途中では、禁止されたユーザ操作を受け付けないように、動作する。
なお、あるプレイアイテム情報に対応する再生区間についてのユーザ操作の制限は、そのプレイアイテム情報に付随するユーザ操作制限情報と、そのプレイアイテム情報を含むプレイリスト情報に付随するユーザ操作制限情報との和演算により、定められる。
また、プレイリスト情報において特定された参照先に記録されたデータ(例えば、ボタン画面を含むメニュータイトルのデータ)に、同様のユーザ操作制限情報が記述される場合もある。
JARディレクトリには、拡張子jarが付与されたファイル(****.jar)が存在する。このファイルは、Java(登録商標)アーカイブファイルである。
BDJOディレクトリには、拡張子bdjoが付与されたファイル(****.bdjo)が存在する。このファイルは、BD−Jオブジェクト(BD−J Object)を格納するファイルである。
BD−Jオブジェクトは、プレイリスト情報により示されるAVストリームとアプリケーションとの対応付けにより、タイトルを定義する情報である。BD−Jオブジェクトは、「アプリケーション管理テーブル」と、定義対象のタイトルにおいて再生可能なプレイリスト情報の一覧とを示す。
アプリケーション管理テーブル(AMT)とは、「アプリケーションシグナリング」を実現するテーブルである。「アプリケーションシグナリング」とは、BD−ROM10におけるタイトルをアプリケーションの生存区間として管理し、アプリケーションの起動および終了を司る制御をいう。ここで、生存区間とは、BD−ROM10に記録されたコンテンツ全体の時間軸において、仮想マシンのヒープメモリ上でアプリケーションが生存し得る区間を示す。また、「生存」とは、そのアプリケーションが、ヒープメモリに読み出されて、仮想マシンによる実行が可能になっている状態をいう。
アプリケーション管理テーブルには、アプリケーションの識別子(アプリケーションID)、およびそのアプリケーションに属するJava(登録商標)アーカイブファイルのIDが羅列される。これにより、定義対象のタイトルを生存区間とするアプリケーションが示される。すなわち、1つのアプリケーションは、1つ以上のJava(登録商標)アーカイブファイルにより構成される。このようにBD−Jオブジェクト内のアプリケーション管理テーブルによりセクタが管理されるJava(登録商標)アプリケーションを、「BD−Jアプリケーション」と呼ぶ。
図4は、index.bdmvファイルとタイトルとの関係を示す図である。
タイトルとは、アプリケーションとAVストリームとを組にしてなる再生単位である。index.bdmvファイルには、BD−ROM10上のタイトル構成が記載されている。index.bdmvに含まれるインデックステーブル(Index Table)においては、BD−ROM10上の各タイトルと、対応するアプリケーションとの参照関係が管理されている。なお、対応するアプリケーションとは、BD−Jタイトルの場合はJava(登録商標)アプリケーションであり、HDMVタイトルの場合はシナリオプログラムである。
特殊なタイトルとして、「First Playback」(ファーストプレイバック)と「Top Menu」(トップメニュー)とが存在する。ファーストプレイバックは、BD−ROM10の起動時に最初に自動的に再生されるタイトルである。ファーストプレイバックは主に、BDの利用規約表示などに用いられる。トップメニューは、リモコンのメニューキーを押したときおよびタイトル再生が終了したときに再生され、主にタイトルの選択および字幕/音声の言語選択を行うことに用いられる。
なお、図4においては、ファーストプレイバックは、ムービーオブジェクト#1、#2、#3およびBD−Jオブジェクト#1、#2、#3のうち、ムービーオブジェクト#1により定義されるものである。ファーストプレイバックを再生するにはムービーオブジェクト#1を参照する必要がある。また、トップメニューは、BD−Jオブジェクト#1により定義されるものであり、トップメニューを再生するにはBD−Jオブジェクト#1を参照する必要がある。また、タイトル#1は、BD−Jオブジェクト#2により定義されるものであり、タイトル#1を再生するにはBD−Jオブジェクト#2を参照する必要がある。また、タイトル#nは、ムービーオブジェクト#3により定義されるものであり、タイトル#nを再生するにはムービーオブジェクト#3を参照する必要がある。
次いで、再生装置100の動作モードが再生モードであるときにモニタ13により出力される画面について、幾つかの例を挙げて説明する。
図5Aは、BD−ROM10に記録されたデータに基づくタイトル再生画面の一例を示す図である。つまり、モニタ13には、BD−ROM10に記録されたデータからデコードされた映像データに基づいて映像が表示される。
図5Bは、マスク画面の一例を示す図である。マスク画面は、前述のとおり、走行中の安全のために表示される画面である。マスク画面では通常、背景の領域全体が不透明に塗りつぶされるため、モニタ13からマスク画面が出力されるときは他の映像は出力されない。マスク画面の内容は、信号処理部115の画面情報保持部121に保持された画面情報(マスク画面情報)に基づいている。
図5Cは、ディスク交換要求画面の一例を示す図である。ディスク交換要求画面は、前述のとおり、タイトルが複数枚の光ディスクにより構成されている場合において、タイトルの続きを視聴するために次の光ディスクに入れ替えることを促すテキストメッセージを含む画面である。このディスク交換要求画面の内容は、信号処理部115の画面情報保持部121に保持された画面情報(ディスク交換要求画面情報)に基づいている。
一般に、BD−Jタイトルが複数枚のBD−ROM10により構成されている場合、最後の1枚を除く全てのBD−ROM10にディスクアンバウンドの機能が実装される。しかし、BD−ROM10に記録されたデータに基づくディスク交換要求画面は、マスク画面の出力中は出力不可能である。このことに鑑み、本実施の形態では、マスク画面の出力中でも出力可能なディスク交換要求画面のベースとなるディスク交換要求画面情報を、マスク画面情報と同様に、再生装置100内に保持させたものである。
図5Dは、再生装置100の動作モードが再生モードであるが再生が停止されている場合、あるいは、再生装置100の動作モードが再生モードであるが光ディスクが挿入されていない場合に、出力される画面(再生停止状態通知画面)の一例を示す図である。この再生停止状態通知画面の内容は、信号処理部115の画面情報保持部121に保持された画面情報(再生停止状態通知画面情報)に基づいている。
再生装置100の動作モードが再生モードであるとき、再生装置100においては、上記の画面のいずれかを選択的に出力する画面表示制御が行われる。
図6は、再生装置100の画面表示制御の動作を説明するためのフロー図である。
まず、ステップS100では、BD−Jアプリケーションが記録されたBD−ROM10が再生装置100に挿入されて、BD−Jタイトルの再生が開始される。BD−ROM10の挿入後、自動的にBD−Jタイトルの再生を開始させてもよいし、ユーザによる再生操作をトリガとしてBD−Jタイトルの再生を開始させてもよい。
再生開始後、ステップS101では、信号処理部115は、タイトル再生中であるか否かを判断する。再生中である場合は(S101:Yes)、画面表示制御の処理はステップS102に進む。再生中でない場合は(S101:No)、信号処理部115は、再生停止状態通知画面(図5D)をモニタ13に出力させる(ステップS109)。
ステップS102では、信号処理部115は、走行状態センサ20から取得された現在の走行状態情報に基づいて、車両走行中か否かを判断する。
車両走行中である場合(S102:Yes)、信号処理部115は、マスク画面(図5B)をモニタ13に出力させる(ステップS103)。よって、この場合、ユーザは、BD−Jタイトルの音声を聴くことはできるが、BD−Jタイトルの映像を見ることはできない。
車両走行中でない場合(S102:No)、信号処理部115は、タイトル再生画面(図5A)をモニタ13に出力させる(ステップS110)。よって、この場合、ユーザは、BD−Jタイトルの映像および音声を視聴することができる。そして、画面表示制御の処理はステップS101に戻る。
ステップS103に続いて、ステップS104では、信号処理部115は、無音状態監視タイマ124を初期化する。
そして、ステップS105では、信号処理部115は、BD−Jタイトル再生中にユーザにより停止操作またはイジェクト操作が行われたか否かを判断する。ここで、停止操作とは、タイトル再生を停止させる操作であり、イジェクト操作とは、再生装置100から光ディスクを排出させる操作である。
停止操作またはイジェクト操作が行われた場合(S105:Yes)、BD−Jタイトルの再生が停止されるため、信号処理部115は、再生停止状態通知画面(図5D)をモニタ13に出力させる(ステップS109)。すなわち、この場合は、モニタ13の出力画面が、マスク画面(走行中の場合)またはタイトル再生画面(停車中の場合)から再生停止状態通知画面に切り替えられる。
停止操作もイジェクト操作も行われていない場合(S105:No)、信号処理部115は、信号処理部115は、タイトル再生中であるか否かを判断する。
再生中でない場合は(S106:No)、信号処理部115は、再生停止状態通知画面(図5D)をモニタ13に出力させる(ステップS109)。すなわち、この場合は、モニタ13の出力画面が、マスク画面(走行中の場合)またはタイトル再生画面(停車中の場合)から再生停止状態通知画面に切り替えられる。
再生中である場合は(S106:Yes)、信号処理部115は、走行状態センサ20から取得された現在の走行状態情報に基づいて、車両走行中か否かを判断する(ステップS107)。
車両走行中でない場合(S107:No)、信号処理部115は、タイトル再生画面(図5A)をモニタ13に出力させる(ステップS110)。すなわち、車両が走行状態から停車状態に移行した場合は、モニタ13の出力画面はマスク画面からタイトル再生画面に切り替えられる。また、車両が元々停車状態であった場合は、モニタ13の出力画面は引き続きタイトル再生画面である。
車両走行中である場合(S107:Yes)、信号処理部115は、再生中のBD−Jタイトルのデコードされた音声データが無音状態であるか否かを判断する(ステップS108)。
無音状態でない場合(S108:No)、画面表示制御の処理はステップS101に戻る。
無音状態である場合(S108:Yes)、信号処理部115は、無音状態の持続時間が、予め定められた閾値(例えば30秒)を超えたか否かを判断する(ステップS111)。
無音状態の持続時間が閾値を超えていない場合(S111:No)、画面表示制御の処理はステップS105に戻る。
無音状態の持続時間が閾値を超えていた場合(S111:Yes)、信号処理部115は、BD−ROM10において、BD−Jアプリケーションを参照し、ディスクアンバウンド情報が格納されているか否かを判断する(ステップS112)。
ここで、ディスクアンバウンド情報とは、BD−ROM10にディスクアンバウンドの機能が実装されていることを示す情報を意味する。すなわち、この情報は、ディスクアンバウンドの機能が実行されるように設計されたプログラムの論理構造であってもよいし、ディスクアンバウンドの機能の存在を明示する記述子であってもよい。
ディスクアンバウンド情報が格納されていない場合(S112:No)、画面表示制御の処理はステップS104に戻る。
ディスクアンバウンド情報が格納されている場合(S112:Yes)、信号処理部115は、BD−Jタイトルの再生終端位置を検知したと判断して、ディスク交換要求画面(図5C)をモニタ13に出力させる(ステップS113)。すなわち、モニタ13の出力画面は、マスク画面からディスク交換要求画面に切り替えられる。
このように、図6に示すシーケンスに従って画面表示制御を行うことにより、状況に応じた適切な画面をモニタ13に表示することができる。
特に、本実施の形態では、車両走行中かつタイトル再生中、タイトルの音声が閾値よりも長時間にわたり続けて無音状態であるとき、予め信号処理部115内に用意されているディスク交換要求画面情報に基づいてディスク交換要求画面がモニタ13に表示される。これにより、適切なタイミングでBD−ROM10の入替をユーザに促すことができる。また、本実施の形態では、モニタ13の出力画面をマスク画面からディスク交換要求画面に切り替えることにより、ディスク交換要求画面がモニタ13に表示される。よって、BD−ROM10の入替が必要な状況になったことを、ユーザに認識させやすくすることができる。なお、マスク画面から直接的にディスク交換要求画面に切り替えてもよいし、マスク画面から間接的にディスク交換要求画面に切り替えてもよい。
また、本実施の形態では、再生装置100に挿入されているBD−ROM10においてBD−Jアプリケーションにディスクアンバウンド情報が格納されていることを条件として、ディスク交換要求画面を出力させる制御が行われる。よって、ディスクアンバウンド情報が格納されていない場合、言い換えれば、挿入されているBD−ROM10に収録されているBD−Jタイトルの続きを収録する別のBD−ROMが存在しない場合は、ディスク交換要求画面の出力を確実に回避することができる。
また、本実施の形態では、車両走行中かつタイトル再生中、無音状態が閾値よりも長時間にわたり続いたことを条件として、再生装置100に挿入されているBD−ROM10のBD−Jアプリケーションが参照される。言い換えれば、無音状態が閾値よりも長時間にわたり続かなければ、BD−Jアプリケーションの参照は行われない。これにより、BD−ROM10の再生位置が終端に到達したことをより良好な精度で検知することができる。
また、本実施の形態では、車両走行中かつタイトル再生中であることを条件として、無音状態が所定時間以上続いたか否かの判断が行われる。停車中またはタイトル再生停止中であれば、無音状態が所定時間以上続いてもディスク交換要求画面が表示されることはないので、無音状態についての判断を行う必要もない。よって、車両走行中かつタイトル再生中という条件を満たしていないときに、無音状態についての判断が無駄に行われることを回避することができる。
ところで、ディスク交換要求画面が一旦表示されると、ディスク交換要求画面の表示状態は、予め定められたイベント(ユーザ操作または状態変化)が発生するまで持続する。所定のイベントが発生したときに、信号処理部115は、ディスク交換要求画面の出力状態を解除する。以下、その解除条件について説明する。
なお、以下の説明では、便宜上、信号処理部115の画面情報保持部121に保持されたディスク交換要求画面情報に基づくディスク交換要求画面を「新型のディスク交換要求画面」という。一方、ディスクアンバウンド情報が格納されているBD−ROMに記録されたデータに基づくディスク交換要求画面を「従来型のディスク交換要求画面」という。
新型のディスク交換要求画面の出力状態は、下記3つのイベントのうちいずれか1つが発生したことを条件として解除される。3つのイベントは、ユーザによる停止操作、ユーザによるイジェクト操作、および車両の停車である。
ユーザが停止操作を行ったときには、出力画面は、新型のディスク交換要求画面から、別の画面に切り替えられる。切替後の出力画面は、再生停止状態通知画面である。停止操作によって、タイトルの再生が停止されるからである。
また、ユーザがイジェクト操作を行ったときにも、出力画面は、新型のディスク交換要求画面から、別の画面に切り替えられる。この状況下では通常、バックグラウンドで従来型のディスク交換要求画面が再生されている。よって、切替後の出力画面は、従来型のディスク交換要求画面である。したがって、新型のディスク交換要求画面の出力状態を解除しても、引き続きディスク交換をユーザに要求することができる。
イジェクト操作をトリガとして出力画面が従来型のディスク交換要求画面に切り替えられた後は、従来型のディスク交換要求画面の出力がキャッシュトパッケージ(Cached Package)により継続されることになるが、この点は従来技術と同様である。すなわち、従来型のディスク交換要求画面の出力中にユーザがBD−ROMの入替を行うと、ディスク判別、ファイルシステム解析およびBD−Jアプリケーション解析を経て、BD−Jタイトルの続きが再生されることとなる。
また、車両が停車したときにも、出力画面は、新型のディスク交換要求画面から、別の画面に切り替えられる。この状況下では通常、バックグラウンドで従来型のディスク交換要求画面が再生されている。よって、切替後の出力画面は、従来型のディスク交換要求画面である。したがって、新型のディスク交換要求画面の出力状態を解除しても、引き続きディスク交換をユーザに要求することができる。
なお、停車をトリガとして出力画面が従来型のディスク交換要求画面に切り替えられた後、ユーザが停止操作を行った場合は、出力画面は再生停止状態通知画面にさらに切り替えられる。
また、停車をトリガとして出力画面が従来型のディスク交換要求画面に切り替えられた後、ユーザがイジェクト操作を行った場合は、従来型のディスク交換要求画面の出力がキャッシュトパッケージにより継続されることになるが、この点は従来技術と同様である。すなわち、従来型のディスク交換要求画面の出力中にユーザがBD−ROMの入替を行うと、ディスク判別、ファイルシステム解析およびBD−Jアプリケーション解析を経て、BD−Jタイトルの続きが再生されることとなる。
また、停車をトリガとして出力画面が従来型のディスク交換要求画面に切り替えられた後、ユーザ操作が何ら行われない間に車両が発車した場合は、あらためて図6に示すシーケンスが実行されることとなる。すなわち、車両走行中かつタイトル再生中の状態に戻るため、出力画面がマスク画面となり、さらに所定時間が経過すると出力画面が再び新型のディスク交換要求画面となる。
このように、本実施の形態では、新型のディスク交換要求画面の出力状態を、予め定められたイベントの発生を条件として、適切なタイミングで解除することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明した。なお、各実施の形態は、種々変更して実施することができる。
本発明の光ディスク再生装置は、BD−ROMディスクなどの記録媒体に記録されたデータを再生する光ディスク再生装置として有用である。
100 再生装置
101 ディスクトレイ
111 ピックアップ
112 サーボ
115 信号処理部
116 出力部
117 入力信号受信部
118 走行状態情報取得部
121 画面情報保持部
122 再生終端位置検知部
123 ユーザ操作部
124 無音状態監視タイマ
本発明は、BD−ROMなどの記録媒体に記録されたデータを再生する光ディスク再生装置に関するものである。
近年、高画質および高音質で高度なインタラクティブ機能を有する情報を記録した大容量の光ディスクを再生する光ディスク再生装置が普及している。
上記のような大容量の光ディスクの代表的なものとして、ブルーレイディスク(Blu−ray Disc(登録商標))(以下「BD」と略記する)がある。BDは、膨大なデータ容量(単層で25ギガバイト(GB)、2層で50GB)を備えており、ハイビジョン画質の映画コンテンツを蓄積することもできる。BDを用いた市販のまたはレンタル用のソフトウェア製品(パッケージソフトウェア)は、製造過程で書込まれたデータに対して追記または書き換えができない読み出し専用メディアであるBD−ROM(Bluray Disc Read−Only−Memory)により提供されている。
BD−ROMに関しては、HDMV(High Definition Movie)モードおよびBD−J(Blu−ray Disc Java)モードという二つの仕様が策定されている。
HDMVモードは、従来のDVD−ROM(Digital Versatile Disc Read−Only−Memory)に対して、映像および音声のコーデック仕様が拡張されたものであり、高詳細映像および高品質音声が利用可能である。なお、コンテンツ仕様は、DVD−ROMと同様である。なお、以下の説明では、HDMVモードのタイトル(コンテンツ)を「HDMVタイトル」という。
BD−Jモードは、HDMVモードに対して、Java(登録商標)アプリケーションによって、映像を重ね合わせるなどのビジュアル的な表現を追加することができる。なお、以下の説明では、BD−Jモードのタイトル(コンテンツ)を「BD−Jタイトル」という。
映像および音声のデジタルストリームを収録し、かつJava(登録商標)アプリケーションを記録するBD−ROMタイトルは、複数枚のディスクにより構成されている場合がある。この場合、1枚目のBD−ROMディスクの再生位置が終端に到達したときに、次のBD−ROMディスクに入れ替えることを促す映像(以下「ディスク交換要求画面」という)を表示する機能を実装することができる。なお、このようなディスク交換要求画面の表示およびキャッシュパッケージ管理に関する制御機能は、「ディスクアンバウンド」と呼ばれる。
ところで、車載型の光ディスク再生装置は一般に、光ディスク再生以外の機能、例えば、ナビゲーション、ラジオ放送および地上デジタル放送といった様々な機能を、備えている。ユーザは光ディスク再生装置の動作モードの切替操作を行うことにより、所望の機能を光ディスク再生装置に実行させることができる。
車載型の光ディスク再生装置では通常、車両走行中に運転者がタイトル再生画面を注視することがないよう、別の映像(以下「マスク画面」という)を表示することによりタイトル再生画面をマスクする。これにより運転者は、再生中のタイトルの音声のみを安全に楽しむことができる。
しかしながら、マスク画面の表示中は、BD−ROMディスクに記録されたデータに基づくディスク交換要求画面でさえもマスクされることになる。このため、運転者および同乗者(以下、総称として「ユーザ」という)は、ディスク交換要求画面を視認することができず、表示画面上では、BD−ROMディスクの交換が必要な状況にあることを認識することができない。また、無音状態が継続するため、装置に故障が発生したとユーザが誤認する可能性がある。
本発明の目的は、タイトルが複数枚の光ディスクで構成されており、そのタイトルを車載型の光ディスク再生装置により車両走行中に再生している場合において、タイトルの続きを視聴するために光ディスクの交換が必要な状況にあるときにその旨をユーザに通知することができる光ディスク再生装置を提供することである。
本発明の光ディスク再生装置は、車載型の光ディスク再生装置であって、光ディスクを収容する収容部と、収容された光ディスクに記録されたデータに基づいて再生されるタイトルの映像および音声の出力を制御する信号処理部と、を有し、前記信号処理部は、タイトルの再生画面をマスクするマスク画面に関する第1の画面情報と、前記収容部に収容する光ディスクの入替を促す交換要求画面に関する第2の画面情報と、を保持し、車両の走行中かつタイトルの再生中、タイトルの映像の代わりに、第1の画面情報に基づくマスク画面を出力させ、車両の走行中かつタイトルの再生中、タイトルの音声が所定時間以上続けて無音状態であるときに、出力させる画面を、第1の画面情報に基づくマスク画面から、第2の画面情報に基づく交換要求画面に、切り替える。
本発明によれば、タイトルが複数枚の光ディスクで構成されており、そのタイトルを車載型の光ディスク再生装置により車両走行中に再生している場合において、タイトルの続きを視聴するために光ディスクの交換が必要な状況にあるときにその旨をユーザに通知することができる。
本発明の一実施の形態に係る光ディスク再生装置のシステムとしての使用形態を説明するための図
本発明の一実施の形態に係る光ディスク再生装置の構成を示すブロック図
BD−ROMのファイル構成を説明するための図
図3に示すIndex.bdmvとタイトルとの関係を説明するための図
タイトル再生画面の一例を示す図
マスク画面の一例を示す図
本発明の一実施の形態に係るディスク交換要求画面の一例を示す図
光ディスク再生停止中の表示画面の一例を示す図
本発明の一実施の形態に係る光ディスク再生装置における画面表示制御の動作を説明するためのフロー図
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る光ディスク再生装置(以下「再生装置」と略記する)の、システムとしての使用形態を説明するための図である。図1に示す本実施の形態の再生装置100は車載型であり、つまり、車両に設置して使用されるものである。
再生装置100は、収容部としてのディスクトレイ101を有し、ディスクトレイ101にBD−ROM10などの光ディスクを収容することができる。すなわち、ディスクトレイ101は、再生装置100に挿入された光ディスクを収容し、かつ、光ディスクが再生装置100に対して挿排自在となるように構成されている。
なお、本実施の形態では、BD−ROM10には、映画作品または音楽ライブ映像などのAV(Audio−Visual)コンテンツのデータが記録されているものとする。また、本実施の形態では、再生装置100により、BD−ROM10に記録されたデータから映像および音声を再生する場合を例にとって説明する。
再生装置100は、カードスロット102を有し、カードスロット102にリムーバブルメディア11を収容することができる。
再生装置100は、モニタ13およびスピーカ14と通信可能に接続されている。なお、接続形態は有線であっても無線であってもよい。また、図1に示す使用形態では、モニタ13の数もスピーカ14の数も1つであるが、複数存在してもよい。ただし、以下の説明では、説明の便宜上、モニタ13の数が1つであることを前提とする。
モニタ13は、映像を表示する装置である。再生装置100により再生される映像はモニタ13により出力される。モニタ13は、再生装置100からの操作メニュー用データに基づいて操作メニューを表示する機能も有する。よって、ユーザはモニタ13に表示された操作メニューを見ながら、再生装置100に設けられた操作ボタン(図示せず)あるいはリモコン15を用いて再生装置100を操作することができる。また、モニタ13はタッチパネル16を備えているため、ユーザは、表示中の操作メニュー内の操作ボタンを押すことにより、再生装置100を操作することもできる。
スピーカ14は、音声を出力する装置である。再生装置100により再生される音声はスピーカ14により出力される。
再生装置100は、インターネットを介してWWW(World Wide Web)サーバ12と通信可能に接続されている。本実施の形態では、再生装置100は車載型であるため、WWWサーバ12との接続形態は通常、無線である。
再生装置100は、車両に設けられた走行状態センサ20にも接続されている。走行状態センサ20は、例えば車速またはサイドブレーキもしくはシフトレバーの状態を検知し得るセンサであって、車両が走行状態か停車状態かの判断に供する情報を取得するものである。
図2は、再生装置100の構成を示すブロック図である。図2において、再生装置100は、ピックアップ111、サーボ112、ローカルストレージ113、ネットワークインターフェース114、信号処理部115、出力部116、入力信号受信部117および走行状態情報取得部118を有する。信号処理部115は、画面情報保持部121、再生終端位置検知部122、ユーザ操作部123および無音状態監視タイマ124を有する。
サーボ112は、ピックアップ111を制御する。具体的には、サーボ112は、ピックアップ111をBD−ROM10の半径方向において移動(シーク)させたり、あるいはBD−ROM10の軸方向において移動(フォーカス)させたりすることにより、ピックアップ111の位置を調整する装置である。
ピックアップ111は、サーボ112の制御下でBD−ROM10からデータを取得し、取得されたデータを信号処理部115に送る。
出力部116は、図1に示すモニタ13およびスピーカ14といった装置を含むものである。
走行状態情報取得部118は、図1に示す走行状態センサ20とのインターフェースであり、走行状態センサ20から、走行状態の検知結果を示す走行状態情報を取得する。走行状態センサ20から取得された走行状態情報は信号処理部115に送られる。
信号処理部115は、例えばCPU(Central Processing Unit)などの演算処理装置にて所定のソフトウェアプログラムを実行することにより実現される。信号処理部115は、ピックアップ111によりBD−ROM10から取得されたデータ(以下「BDデータ」ともいう)を処理する。ここで、BDデータの処理は主としてデコードであるが、信号処理部115は、BDデータに基づく映像に別の映像を重畳する映像処理などを行うこともできる。
信号処理部115は、ローカルストレージ113に保存されているデータ、およびネットワークインターフェース114を介して外部(例えば図1に示したWWWサーバ12)からダウンロードされたデータも処理する。
ここで、ローカルストレージ113のデータおよびネットワークインターフェース114を介して取得されるデータは主に、BDデータのアプリケーション(例えば、BD−Jタイトルの制御プログラムであるJava(登録商標)アプリケーション)である。ローカルストレージ113は、例えば図1に示すリムーバブルメディア11である。
すなわち、信号処理部115は、上記処理において、コンテンツ制御プログラムを適宜使用してBDデータに基づくAVコンテンツを再生するように、構成されたものである。
再生装置100の動作モードが光ディスク再生モード(以下「再生モード」と略記する)であるとき、信号処理部115は、BDデータに対して信号処理を施した結果として得られる映像データおよび音声データを、出力部116に送る。これにより、BD−ROM10に蓄積されているAVコンテンツを出力することができる。
再生装置100の動作モードが他モード(つまり再生モード以外のモード)であるとき、信号処理部115は、入力信号受信部117を介して受信された入力信号に含まれる映像データおよび音声データを、出力部116に送る。これにより、他のソースからのAVコンテンツ(カーナビゲーション画像、地上デジタル放送およびラジオ放送など)を出力することができる。
また、信号処理部115は、図1のリモコン15などを用いたユーザ操作の内容を受け、その操作が受付可能かどうかを判断し、受付可能な場合にはユーザ操作部123にその操作を実行させる。
また、信号処理部115は、再生装置100に最初から組み込まれているユーザインターフェースを図1のモニタ13などへ表示させる機能も有する。ここで、ユーザインターフェースとは、再生装置100の内臓メモリ(図示せず)にプログラムとして保持されており、再生装置100の機能としてモニタ13に表示される再生ボタンおよび停止ボタンなどである。
したがって、ユーザがリモコン15またはタッチパネル16を用いて操作を行うと、信号処理部115は、入力されたユーザ操作を各ボタンの機能と結びつけて、操作されたボタンの動作をユーザ操作部123に実行させる。
画面情報保持部121は、信号処理部115に含まれるものであり、必要に応じて出力部116(図1のモニタ13)から出力すべき映像(画面)のベースとなる画面情報を保持する。この画面情報は、BD−Jタイトル再生中にBD−ROM10から読み出されるものではなく、予め再生装置100の内臓メモリ(図示せず)にデータとして記録されているものである。
再生終端位置検知部122は、信号処理部115に含まれるものであり、BD−Jアプリケーション(詳しくは後述する)が記録されたBD−ROMディスク内のディスクアンバウンド情報により、再生終端位置か否かを検知する。
無音状態監視タイマ124は、信号処理部115に含まれるものであり、BD−Jタイトル再生中にデコードされた音声データが無音状態である時間を監視および計測するタイマである。
以上、本実施の形態の再生装置100の構成について説明した。
なお、再生装置100の構成は、適宜変更可能である。例えば、本実施の形態では、再生装置100が他モードであるとき、他のソースからの入力信号が再生装置100を経由して出力部116に供給されるような構成が採られている。しかし、再生装置100が他モードであるとき、他のソースからの入力信号が再生装置100を経由せずに出力部116に供給されるようにしてもよい。
ここで、BD−ROM10のファイル構成について説明する。
図3は、BD−ROM10のファイル構成を示す図である。BD−ROM10は、他種の光ディスク(DVDおよびCDなど)と同様に、その内周から外周に向けて螺旋状に記録領域を有し、内周部のリード・インと外周部のリード・アウトとの間に論理データを記録できる論理アドレス空間を有する。リード・インの内側にはBCA(Burst Cutting Area)と呼ばれる、ドライブでしか読み出せない特別な領域が設けられている。この領域は、アプリケーションから読み出すことができないため、一般に、例えば著作権保護技術などに利用されている。
論理アドレス空間には、ファイルシステム情報(ボリューム)を先頭に映像データなどのアプリケーションデータが記録されている。ファイルシステムとは、ユニバーサルディスクフォーマット(UDF)およびISO(International Organization for Standardization)9660などのことである。よって、通常のPC(Personal Computer)と同様に、論理アドレス空間に記録されている論理データは、ディレクトリ・ファイル構造を使って読み出すことができる。このファイルシステムにおけるファイルの配置位置は、ディレクトリ名およびファイル名(一般に最大255文字)の組合せであるファイル経路情報(ファイルパス)によって特定される。
本実施の形態の場合、BD−ROM10のディスク上のディレクトリ・ファイル構造では、ルートディレクトリ(ROOT)直下にBDMVディレクトリおよびbd.certファイルが配置されている。BDMVディレクトリは、BD−ROM10で扱うAVコンテンツおよび管理情報などのデータが記録されているディレクトリである。bd.cert(ファイル名固定)は、仮想パッケージのために追加されたコンテンツをBD−ROM10上のデータとマージする際に、署名検証に用いられる証明書である。
BDMVディレクトリには、index.bdmvおよびMovieObject.bdmvといった2種類のファイルが配置されている。
MovieObject.bdmvは、ムービーオブジェクト(Movie Object)を格納するファイルである。
index.bdmv(ファイル名固定)は、BD−ROM10全体に関する管理情報を格納するファイルである。index.bdmvは、organizationID(32bit)およびdiscID(128bit)など、様々な情報を有する。organizationIDは、映画作品などのプロバイダを特定する識別子である。discIDは、映画作品などのプロバイダから提供されるBD−ROM10のそれぞれに割り当てられた識別子である。
BD−ROM10を再生装置100に挿入した後に、index.bdmvを最初に読み出すことにより、再生装置100においてBD−ROM10を一意に認識することができる。
加えて、index.bdmvには、BD−ROM10に記録されている再生可能な複数のタイトルと、個々のタイトルを規定するBD−Jオブジェクトとを対応付けて示すインデックステーブル(Index Table)が含まれる。index.bdmvとタイトルとの関係については後述する。
BDMVディレクトリの配下には、PLAYLISTディレクトリ、CLIPINFディレクトリ、STREAMディレクトリ、BDJOディレクトリおよびJARディレクトリと呼ばれる5つのサブディレクトリが存在する。
STREAMディレクトリには、拡張子m2tsが付与されたファイル(****.m2ts)が存在する。このファイルには、ビデオストリーム、オーディオストリームおよびグラフィックストリームを多重化してなるAVストリームが格納される。
CLIPINFディレクトリには、拡張子clpiが付与されたファイル(****.clpi)が存在する。このファイルには、AVストリームに1対1に対応する管理情報が格納される。
PLAYLISTディレクトリには、拡張子mplsが付与されたファイル(****.mpls)が存在する。このファイルには、AVストリームにおける論理的な再生経路を定義するプレイリスト情報が格納される。プレイリスト情報は、1つ以上のプレイアイテム情報により構成される。プレイアイテム情報は、AVストリームの再生区間を示すものであり、プレイリスト情報において、再生されるべき順序で記述されている。
各プレイリスト情報は、ユーザ操作を制限する情報(ユーザ操作制限情報)を記述するフィールドを有する。あるプレイリスト情報において、早送り、停止または一時停止などのユーザ操作の禁止を指定するユーザ操作制限情報が記述されている場合、信号処理部115は通常、そのプレイリスト情報に対応する再生区間の再生途中では、禁止されたユーザ操作を受け付けないように、動作する。
コンテンツによって一時停止操作が禁止される区間としては、光ディスク挿入後に再生されるファーストプレイバック、トップメニュー、およびトップメニューではないがユーザー選択が可能なボタン画面が表示されているメニュータイトルなどが、挙げられる。
ファーストプレイバックとしては、他パッケージソフトウェアの紹介、映画の予告編、または音場再生技術のデモコンテンツなどがある。
各プレイアイテム情報も、ユーザ操作制限情報を記述するフィールドを有する。あるプレイアイテム情報において、早送り、停止または一時停止などのユーザ操作の禁止を指定するユーザ操作制限情報が記述されている場合、信号処理部115は通常、そのプレイアイテム情報に対応する再生区間の再生途中では、禁止されたユーザ操作を受け付けないように、動作する。
なお、あるプレイアイテム情報に対応する再生区間についてのユーザ操作の制限は、そのプレイアイテム情報に付随するユーザ操作制限情報と、そのプレイアイテム情報を含むプレイリスト情報に付随するユーザ操作制限情報との和演算により、定められる。
また、プレイリスト情報において特定された参照先に記録されたデータ(例えば、ボタン画面を含むメニュータイトルのデータ)に、同様のユーザ操作制限情報が記述される場合もある。
JARディレクトリには、拡張子jarが付与されたファイル(****.jar)が存在する。このファイルは、Java(登録商標)アーカイブファイルである。
BDJOディレクトリには、拡張子bdjoが付与されたファイル(****.bdjo)が存在する。このファイルは、BD−Jオブジェクト(BD−J Object)を格納するファイルである。
BD−Jオブジェクトは、プレイリスト情報により示されるAVストリームとアプリケーションとの対応付けにより、タイトルを定義する情報である。BD−Jオブジェクトは、「アプリケーション管理テーブル」と、定義対象のタイトルにおいて再生可能なプレイリスト情報の一覧とを示す。
アプリケーション管理テーブル(AMT)とは、「アプリケーションシグナリング」を実現するテーブルである。「アプリケーションシグナリング」とは、BD−ROM10におけるタイトルをアプリケーションの生存区間として管理し、アプリケーションの起動および終了を司る制御をいう。ここで、生存区間とは、BD−ROM10に記録されたコンテンツ全体の時間軸において、仮想マシンのヒープメモリ上でアプリケーションが生存し得る区間を示す。また、「生存」とは、そのアプリケーションが、ヒープメモリに読み出されて、仮想マシンによる実行が可能になっている状態をいう。
アプリケーション管理テーブルには、アプリケーションの識別子(アプリケーションID)、およびそのアプリケーションに属するJava(登録商標)アーカイブファイルのIDが羅列される。これにより、定義対象のタイトルを生存区間とするアプリケーションが示される。すなわち、1つのアプリケーションは、1つ以上のJava(登録商標)アーカイブファイルにより構成される。このようにBD−Jオブジェクト内のアプリケーション管理テーブルによりセクタが管理されるJava(登録商標)アプリケーションを、「BD−Jアプリケーション」と呼ぶ。
図4は、index.bdmvファイルとタイトルとの関係を示す図である。
タイトルとは、アプリケーションとAVストリームとを組にしてなる再生単位である。index.bdmvファイルには、BD−ROM10上のタイトル構成が記載されている。index.bdmvに含まれるインデックステーブル(Index Table)においては、BD−ROM10上の各タイトルと、対応するアプリケーションとの参照関係が管理されている。なお、対応するアプリケーションとは、BD−Jタイトルの場合はJava(登録商標)アプリケーションであり、HDMVタイトルの場合はシナリオプログラムである。
特殊なタイトルとして、「First Playback」(ファーストプレイバック)と「Top Menu」(トップメニュー)とが存在する。ファーストプレイバックは、BD−ROM10の起動時に最初に自動的に再生されるタイトルである。ファーストプレイバックは主に、BDの利用規約表示などに用いられる。トップメニューは、リモコンのメニューキーを押したときおよびタイトル再生が終了したときに再生され、主にタイトルの選択および字幕/音声の言語選択を行うことに用いられる。
なお、図4においては、ファーストプレイバックは、ムービーオブジェクト#1、#2、#3およびBD−Jオブジェクト#1、#2、#3のうち、ムービーオブジェクト#1により定義されるものである。ファーストプレイバックを再生するにはムービーオブジェクト#1を参照する必要がある。また、トップメニューは、BD−Jオブジェクト#1により定義されるものであり、トップメニューを再生するにはBD−Jオブジェクト#1を参照する必要がある。また、タイトル#1は、BD−Jオブジェクト#2により定義されるものであり、タイトル#1を再生するにはBD−Jオブジェクト#2を参照する必要がある。また、タイトル#nは、ムービーオブジェクト#3により定義されるものであり、タイトル#nを再生するにはムービーオブジェクト#3を参照する必要がある。
次いで、再生装置100の動作モードが再生モードであるときにモニタ13により出力される画面について、幾つかの例を挙げて説明する。
図5Aは、BD−ROM10に記録されたデータに基づくタイトル再生画面の一例を示す図である。つまり、モニタ13には、BD−ROM10に記録されたデータからデコードされた映像データに基づいて映像が表示される。
図5Bは、マスク画面の一例を示す図である。マスク画面は、前述のとおり、走行中の安全のために表示される画面である。マスク画面では通常、背景の領域全体が不透明に塗りつぶされるため、モニタ13からマスク画面が出力されるときは他の映像は出力されない。マスク画面の内容は、信号処理部115の画面情報保持部121に保持された画面情報(マスク画面情報)に基づいている。
図5Cは、ディスク交換要求画面の一例を示す図である。ディスク交換要求画面は、前述のとおり、タイトルが複数枚の光ディスクにより構成されている場合において、タイトルの続きを視聴するために次の光ディスクに入れ替えることを促すテキストメッセージを含む画面である。このディスク交換要求画面の内容は、信号処理部115の画面情報保持部121に保持された画面情報(ディスク交換要求画面情報)に基づいている。
一般に、BD−Jタイトルが複数枚のBD−ROM10により構成されている場合、最後の1枚を除く全てのBD−ROM10にディスクアンバウンドの機能が実装される。しかし、BD−ROM10に記録されたデータに基づくディスク交換要求画面は、マスク画面の出力中は出力不可能である。このことに鑑み、本実施の形態では、マスク画面の出力中でも出力可能なディスク交換要求画面のベースとなるディスク交換要求画面情報を、マスク画面情報と同様に、再生装置100内に保持させたものである。
図5Dは、再生装置100の動作モードが再生モードであるが再生が停止されている場合、あるいは、再生装置100の動作モードが再生モードであるが光ディスクが挿入されていない場合に、出力される画面(再生停止状態通知画面)の一例を示す図である。この再生停止状態通知画面の内容は、信号処理部115の画面情報保持部121に保持された画面情報(再生停止状態通知画面情報)に基づいている。
再生装置100の動作モードが再生モードであるとき、再生装置100においては、上記の画面のいずれかを選択的に出力する画面表示制御が行われる。
図6は、再生装置100の画面表示制御の動作を説明するためのフロー図である。
まず、ステップS100では、BD−Jアプリケーションが記録されたBD−ROM10が再生装置100に挿入されて、BD−Jタイトルの再生が開始される。BD−ROM10の挿入後、自動的にBD−Jタイトルの再生を開始させてもよいし、ユーザによる再生操作をトリガとしてBD−Jタイトルの再生を開始させてもよい。
再生開始後、ステップS101では、信号処理部115は、タイトル再生中であるか否かを判断する。再生中である場合は(S101:Yes)、画面表示制御の処理はステップS102に進む。再生中でない場合は(S101:No)、信号処理部115は、再生停止状態通知画面(図5D)をモニタ13に出力させる(ステップS109)。
ステップS102では、信号処理部115は、走行状態センサ20から取得された現在の走行状態情報に基づいて、車両走行中か否かを判断する。
車両走行中である場合(S102:Yes)、信号処理部115は、マスク画面(図5B)をモニタ13に出力させる(ステップS103)。よって、この場合、ユーザは、BD−Jタイトルの音声を聴くことはできるが、BD−Jタイトルの映像を見ることはできない。
車両走行中でない場合(S102:No)、信号処理部115は、タイトル再生画面(図5A)をモニタ13に出力させる(ステップS110)。よって、この場合、ユーザは、BD−Jタイトルの映像および音声を視聴することができる。そして、画面表示制御の処理はステップS101に戻る。
ステップS103に続いて、ステップS104では、信号処理部115は、無音状態監視タイマ124を初期化する。
そして、ステップS105では、信号処理部115は、BD−Jタイトル再生中にユーザにより停止操作またはイジェクト操作が行われたか否かを判断する。ここで、停止操作とは、タイトル再生を停止させる操作であり、イジェクト操作とは、再生装置100から光ディスクを排出させる操作である。
停止操作またはイジェクト操作が行われた場合(S105:Yes)、BD−Jタイトルの再生が停止されるため、信号処理部115は、再生停止状態通知画面(図5D)をモニタ13に出力させる(ステップS109)。すなわち、この場合は、モニタ13の出力画面が、マスク画面(走行中の場合)またはタイトル再生画面(停車中の場合)から再生停止状態通知画面に切り替えられる。
停止操作もイジェクト操作も行われていない場合(S105:No)、信号処理部115は、信号処理部115は、タイトル再生中であるか否かを判断する。
再生中でない場合は(S106:No)、信号処理部115は、再生停止状態通知画面(図5D)をモニタ13に出力させる(ステップS109)。すなわち、この場合は、モニタ13の出力画面が、マスク画面(走行中の場合)またはタイトル再生画面(停車中の場合)から再生停止状態通知画面に切り替えられる。
再生中である場合は(S106:Yes)、信号処理部115は、走行状態センサ20から取得された現在の走行状態情報に基づいて、車両走行中か否かを判断する(ステップS107)。
車両走行中でない場合(S107:No)、信号処理部115は、タイトル再生画面(図5A)をモニタ13に出力させる(ステップS110)。すなわち、車両が走行状態から停車状態に移行した場合は、モニタ13の出力画面はマスク画面からタイトル再生画面に切り替えられる。また、車両が元々停車状態であった場合は、モニタ13の出力画面は引き続きタイトル再生画面である。
車両走行中である場合(S107:Yes)、信号処理部115は、再生中のBD−Jタイトルのデコードされた音声データが無音状態であるか否かを判断する(ステップS108)。
無音状態でない場合(S108:No)、画面表示制御の処理はステップS101に戻る。
無音状態である場合(S108:Yes)、信号処理部115は、無音状態の持続時間が、予め定められた閾値(例えば30秒)を超えたか否かを判断する(ステップS111)。
無音状態の持続時間が閾値を超えていない場合(S111:No)、画面表示制御の処理はステップS105に戻る。
無音状態の持続時間が閾値を超えていた場合(S111:Yes)、信号処理部115は、BD−ROM10において、BD−Jアプリケーションを参照し、ディスクアンバウンド情報が格納されているか否かを判断する(ステップS112)。
ここで、ディスクアンバウンド情報とは、BD−ROM10にディスクアンバウンドの機能が実装されていることを示す情報を意味する。すなわち、この情報は、ディスクアンバウンドの機能が実行されるように設計されたプログラムの論理構造であってもよいし、ディスクアンバウンドの機能の存在を明示する記述子であってもよい。
ディスクアンバウンド情報が格納されていない場合(S112:No)、画面表示制御の処理はステップS104に戻る。
ディスクアンバウンド情報が格納されている場合(S112:Yes)、信号処理部115は、BD−Jタイトルの再生終端位置を検知したと判断して、ディスク交換要求画面(図5C)をモニタ13に出力させる(ステップS113)。すなわち、モニタ13の出力画面は、マスク画面からディスク交換要求画面に切り替えられる。
このように、図6に示すシーケンスに従って画面表示制御を行うことにより、状況に応じた適切な画面をモニタ13に表示することができる。
特に、本実施の形態では、車両走行中かつタイトル再生中、タイトルの音声が閾値よりも長時間にわたり続けて無音状態であるとき、予め信号処理部115内に用意されているディスク交換要求画面情報に基づいてディスク交換要求画面がモニタ13に表示される。これにより、適切なタイミングでBD−ROM10の入替をユーザに促すことができる。また、本実施の形態では、モニタ13の出力画面をマスク画面からディスク交換要求画面に切り替えることにより、ディスク交換要求画面がモニタ13に表示される。よって、BD−ROM10の入替が必要な状況になったことを、ユーザに認識させやすくすることができる。なお、マスク画面から直接的にディスク交換要求画面に切り替えてもよいし、マスク画面から間接的にディスク交換要求画面に切り替えてもよい。
また、本実施の形態では、再生装置100に挿入されているBD−ROM10においてBD−Jアプリケーションにディスクアンバウンド情報が格納されていることを条件として、ディスク交換要求画面を出力させる制御が行われる。よって、ディスクアンバウンド情報が格納されていない場合、言い換えれば、挿入されているBD−ROM10に収録されているBD−Jタイトルの続きを収録する別のBD−ROMが存在しない場合は、ディスク交換要求画面の出力を確実に回避することができる。
また、本実施の形態では、車両走行中かつタイトル再生中、無音状態が閾値よりも長時間にわたり続いたことを条件として、再生装置100に挿入されているBD−ROM10のBD−Jアプリケーションが参照される。言い換えれば、無音状態が閾値よりも長時間にわたり続かなければ、BD−Jアプリケーションの参照は行われない。これにより、BD−ROM10の再生位置が終端に到達したことをより良好な精度で検知することができる。
また、本実施の形態では、車両走行中かつタイトル再生中であることを条件として、無音状態が所定時間以上続いたか否かの判断が行われる。停車中またはタイトル再生停止中であれば、無音状態が所定時間以上続いてもディスク交換要求画面が表示されることはないので、無音状態についての判断を行う必要もない。よって、車両走行中かつタイトル再生中という条件を満たしていないときに、無音状態についての判断が無駄に行われることを回避することができる。
ところで、ディスク交換要求画面が一旦表示されると、ディスク交換要求画面の表示状態は、予め定められたイベント(ユーザ操作または状態変化)が発生するまで持続する。所定のイベントが発生したときに、信号処理部115は、ディスク交換要求画面の出力状態を解除する。以下、その解除条件について説明する。
なお、以下の説明では、便宜上、信号処理部115の画面情報保持部121に保持されたディスク交換要求画面情報に基づくディスク交換要求画面を「新型のディスク交換要求画面」という。一方、ディスクアンバウンド情報が格納されているBD−ROMに記録されたデータに基づくディスク交換要求画面を「従来型のディスク交換要求画面」という。
新型のディスク交換要求画面の出力状態は、下記3つのイベントのうちいずれか1つが発生したことを条件として解除される。3つのイベントは、ユーザによる停止操作、ユーザによるイジェクト操作、および車両の停車である。
ユーザが停止操作を行ったときには、出力画面は、新型のディスク交換要求画面から、別の画面に切り替えられる。切替後の出力画面は、再生停止状態通知画面である。停止操作によって、タイトルの再生が停止されるからである。
また、ユーザがイジェクト操作を行ったときにも、出力画面は、新型のディスク交換要求画面から、別の画面に切り替えられる。この状況下では通常、バックグラウンドで従来型のディスク交換要求画面が再生されている。よって、切替後の出力画面は、従来型のディスク交換要求画面である。したがって、新型のディスク交換要求画面の出力状態を解除しても、引き続きディスク交換をユーザに要求することができる。
イジェクト操作をトリガとして出力画面が従来型のディスク交換要求画面に切り替えられた後は、従来型のディスク交換要求画面の出力がキャッシュトパッケージ(Cached Package)により継続されることになるが、この点は従来技術と同様である。すなわち、従来型のディスク交換要求画面の出力中にユーザがBD−ROMの入替を行うと、ディスク判別、ファイルシステム解析およびBD−Jアプリケーション解析を経て、BD−Jタイトルの続きが再生されることとなる。
また、車両が停車したときにも、出力画面は、新型のディスク交換要求画面から、別の画面に切り替えられる。この状況下では通常、バックグラウンドで従来型のディスク交換要求画面が再生されている。よって、切替後の出力画面は、従来型のディスク交換要求画面である。したがって、新型のディスク交換要求画面の出力状態を解除しても、引き続きディスク交換をユーザに要求することができる。
なお、停車をトリガとして出力画面が従来型のディスク交換要求画面に切り替えられた後、ユーザが停止操作を行った場合は、出力画面は再生停止状態通知画面にさらに切り替えられる。
また、停車をトリガとして出力画面が従来型のディスク交換要求画面に切り替えられた後、ユーザがイジェクト操作を行った場合は、従来型のディスク交換要求画面の出力がキャッシュトパッケージにより継続されることになるが、この点は従来技術と同様である。すなわち、従来型のディスク交換要求画面の出力中にユーザがBD−ROMの入替を行うと、ディスク判別、ファイルシステム解析およびBD−Jアプリケーション解析を経て、BD−Jタイトルの続きが再生されることとなる。
また、停車をトリガとして出力画面が従来型のディスク交換要求画面に切り替えられた後、ユーザ操作が何ら行われない間に車両が発車した場合は、あらためて図6に示すシーケンスが実行されることとなる。すなわち、車両走行中かつタイトル再生中の状態に戻るため、出力画面がマスク画面となり、さらに所定時間が経過すると出力画面が再び新型のディスク交換要求画面となる。
このように、本実施の形態では、新型のディスク交換要求画面の出力状態を、予め定められたイベントの発生を条件として、適切なタイミングで解除することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明した。なお、各実施の形態は、種々変更して実施することができる。
本発明の光ディスク再生装置は、BD−ROMディスクなどの記録媒体に記録されたデータを再生する光ディスク再生装置として有用である。
100 再生装置
101 ディスクトレイ
111 ピックアップ
112 サーボ
115 信号処理部
116 出力部
117 入力信号受信部
118 走行状態情報取得部
121 画面情報保持部
122 再生終端位置検知部
123 ユーザ操作部
124 無音状態監視タイマ