JPWO2011118370A1 - 時間インターリーブ方式a/d変換装置 - Google Patents

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Abstract

時間インターリーブ方式A/D変換装置として、A/D変換回路をN個組み合わせて時間インターリーブ動作させる主信号用A/D変換回路群と、入力アナログ信号と主信号用A/D変換回路群に入力されるサンプリング信号の1/m速度である1/mサンプリング信号とを受けて、入力アナログ信号に内在する伝送路の分散を抽出し、当該分散をデジタル信号補償に用いる分散補償コントロール信号として出力する補正信号生成部と、N列のデジタル信号を分散補償コントロール信号に基づいて、1つのデジタル信号に変換すると共に、変換したデジタル信号に含まれる分散を補償する信号処理部とを設ける。

Description

本発明は、光信号を受信する光通信装置内などにおいて、受信した信号を所定のサンプリングタイミングでのアナログ−デジタル変換によってデジタル信号へと変換するA/D変換装置に関する。詳しくは、A/D変換回路を複数組み合わせて実行的に超高速動作させるタイムインターリーブ方式のA/D変換装置に関する。
近年、ネットワークの高速化、大容量化の要求に伴い、電子回路の高速化が要求されるようになり、A/D変換回路、トラック・ホールド回路(サンプルホールド回路)などのデータ変換に用いられる回路にもより高い動作速度が求められている。
このような要求に応えるためのいくつかの回路・構成が昨今提案されている。例えば、A/D変換装置の高速サンプリングを実現するための1つの技術として、複数の低速なサンプリング速度で動作をするA/D変換回路を予め決められた順番で動作させ、複数のA/D変換回路を一体的に動かして装置全体として等価的に高速サンプリングを実現させるタイムインターリーブ方式が提案されている。
図6にタイムインターリーブ方式を用いたA/D変換装置の一例を示す。この方式では、複数のA/D変換回路、或いはトラック・ホールド回路を並列に複数のチャンネル(図中のAD変換器1〜4)として構成し、チャンネル数と同一数倍(図中は4倍)のサンプリング速度のA/D変換装置を等価的に実現している。図7にはそのタイミングチャートを示す。これにより、部品として使用する各デバイスの有する高速性能の限界に制限されることなく高速サンプリング動作を行なうA/D変換装置を実現できる。
昨今の半導体プロセスの微細化及び高性能化に伴い、このような高速サンプリング動作を行なえるA/D変換装置はますます高速性能化している。加えて、これまではアナログ回路でしか実現できなかった高速信号処理システムを、A/D変換装置を用いてアナログ信号からデジタル信号に変換した後に、デジタル信号処理を行うことで、これまでよりも高性能な信号処理システムが開発されている。たとえば、データレートとして昨今40Gb/sもしくはそれ以上の高速大容量化が要求されている超高速光通信の分野においても、A/D変換装置を用いたデジタル信号処理を用いて、これまでより性能の向上・長距離伝送化を行なえるデジタルコヒーレント方式の導入が活発に進められている。
光通信分野におけるこのデジタルコヒーレント通信方式で使用されるA/D変換装置の特徴としては、データ通信速度よりも高いスルーレートが求められる。これは、位相変調などの多値化・高密度変調方式等を適用したとしても、誤り訂正技術などの導入でデータに冗長性を持たせることが必要なためである。例えば40Gb/sのデータ通信速度(20Gbpsの位相並列で40Gにする)でも、30Gb/s前後のスルーレートが求められる。さらに、A/D変換回路のサンプリング速度としては、一般的にチャンネル数の倍のx2オーバーサンプリング性能が用いられている。
光通信システム適用に当たってA/D変換装置にこれほどのサンプリング性能が必要な理由としては次のような理由がある。超高速光通信においては、光ファイバーでの分散現象(例えば波長分散、偏波分散など)による波形歪みが伝送距離を著しく制限する要因となる。波形歪みを信号処理によって精度高く補償を行ってその対策とするためには、一般的には2倍のオーバーサンプリング程度が必要になる。
上記のように、光通信などの超高速通信分野でもA/D変換装置の高速化によるデジタル信号処理方式の適用が活発であり、その高速A/D変換装置を実現するための1つの技術として、複数の並列A/D変換回路によるタイムインターリーブ方式が注目されている。その一方で、複数のA/D変換回路間の利得及びオフセット等の誤差成分(バラツキ)がノイズや歪を増加させ、A/D変換装置全体としての変換精度を劣化させるという問題がある。
この複数のA/D変換回路間の利得及びオフセット誤差成分を校正する手段として、図8に示す構成が提案されている(特許文献1)。この発明の校正方法は、校正用のトレーニング信号として、正弦波信号を発生させる手段(基準信号発生器)を具備しており、この正弦波信号を使って複数のA/D変換手段(ADC1,ADC2)毎に、一連の変換データにサインカーブフィッティングを行って、利得やオフセットなどの校正値を求めて校正メモリに格納する。そして通常のA/D変換時には、この校正メモリに格納された校正値に従ってデータを校正するものである。
しかしながら、特許文献1に記載されているインターリーブ方式は、もともとデータレートが数十Mbps〜数百Mbps程度の信号を扱うことが想定されていたものである。例えば40Gbpsの超高速光通信のケースを、特許文献1のインターリーブ方式でAD変換する場合では、これよりも40倍もしくはそれ以上のデータレートが必要である。従って、信号品質を維持するための補正手段や校正メモリなどの回路規模も巨大となり、消費電力の増大も著しくなる。
また、例えば、図9に示すように、タイムインターリーブ方式A/D変換装置全体で、入力信号を補正する提案がなされている(特許文献2)。特許文献2に記載された入力信号を補正する方法は、タイムインターリーブ方式A/D変換装置を構成する並列A/D変換回路(ADC0〜ADC3)の個々の出力デジタル信号を一体的に校正する。そのために、並列A/D変換回路(ADC0〜ADC3)とは別に、タイムインターリーブ時に得られる等価的なサンプリング速度と同じ速度で動作する高速かつ粗精度な補正用A/D変換回路(ADC4)と非線形フィルタを追加する。そして、タイムインターリーブ方式A/D変換装置では、AD変換に当たり、並列A/D変換回路の出力信号(SIG0〜SIG3)を合成した後に非線形フィルタを通過させ、補正用A/D変換回路で生成された参照信号(教師信号:d[n])によって補正する。このように動作させることによって、並列A/D変換回路を構成する個々のA/D変換回路から出力されるデジタル信号が同一タイミングで補正用A/D変換回路でサンプリングされた参照信号によって校正された値となる。換言すれば、補正用A/D変換回路の出力信号によって、並列A/D変換回路を構成する全てのA/D変換回路の出力信号を、順次校正している。
しかし、そもそもインターリーブ方式を採用する大きな要因の1つとしては、A/D変換回路単体では所望の高速性が実現できないために、タイムインターリーブ方式を採用している。これに対して、特許文献2に記載されているように、タイムインターリーブ時に得られる等価的なサンプリング速度と同じ速度(fs×N)で動作する高速なA/D変換回路(補正用A/D変換回路:ADC4)を実装することは、タイムインターリーブ方式を採用して回路規模を小型にすることに対して相反する。また、高速動作を実現しているので、当該補正用A/D変換回路での消費電力が著しく大きくなる。
以上述べてきたように、昨今の高速光通信システムなどに対して、A/D変換回路を用いた高精度なデジタル信号処理の通信方式を適用した場合においては、以下の2つの点で回路規模・消費電力が増大することが問題である。
1) 超高速光通信においては、光ファイバーでの波長分散、偏波分散などによる波形歪みが伝送距離制限の要因となる。この波形歪みを信号処理により高精度に補償するためには、一般的には2倍のオーバーサンプリング程度が必要になり、回路規模及び電力の増加を招く。
2) A/D変換装置の高速サンプリング性能は一般的にインターリーブ方式で実現する多い。他方、信号品質を維持するための補正手段を同時に備えるケースが多く、この補正手段も含めるとA/D変換装置全体の回路規模の増大及び消費電力の増加が著しい。
特開2003−133954号公報 特開2007−150640号公報
回路規模を低減する方法は、A/D変換回路のサンプリングレートを低減することで実現できる。インターリーブ方式のそれぞれのA/D変換回路の処理速度が一定の場合は、サンプリングレートをx2オーバーサンプリングからBaud rateにすることで、A/D変換回路の個数換算で半減することにつながる。ところが、40Gb/sを超える超高速光通信では上述したように光ファイバーでの分散現象(波長分散や、偏波分散)による波形歪みが顕著に働くことから、サンプリングレートの低減は信号品質の劣化に直結する。これでは、そもそもデジタル信号処理方式を導入したメリットがなくなってしまう。
また、回路規模とサンプリングレートは、A/D変換装置での消費電力に直結する。
本発明は、タイムインターリーブ動作する複数のA/D変換回路を超高速光通信等の高速通信に適用した場合に、信号品質を劣化させることなく回路規模の削減および消費電力を低減できる時間インターリーブ方式A/D変換装置及びその方法を提供する。
本発明に係る時間インターリーブ方式A/D変換装置は、装置全体として提供する分解能と同一の分解能を有して、入力アナログ信号のボーレートの1/N(Nは2以上の整数)のサンプリング速度で動作するN個のA/D変換回路を組み合わせると共に、前記N個のA/D変換回路を、それぞれ1/Nずつずらしたサンプリング信号を用いて時間インターリーブ動作させて、前記入力アナログ信号をN列のデジタル信号に変換する主信号用A/D変換回路群と、前記入力アナログ信号と前記主信号用A/D変換回路群に入力されるサンプリング信号の1/m(mは2以上の整数)速度である1/mサンプリング信号とを受けて、前記入力アナログ信号と前記1/mサンプリング信号とから前記入力アナログ信号に内在する伝送路の分散を抽出すると共に、抽出した分散をデジタル信号補償に用いる分散補償コントロール信号として出力する補正信号生成部と、前記N列のデジタル信号と前記分散補償コントロール信号とを受け、前記N列のデジタル信号を前記分散補償コントロール信号に基づいて、1つのデジタル信号に変換すると共に、変換したデジタル信号に含まれる分散を補償する信号処理部とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、タイムインターリーブ動作する複数のA/D変換回路を高速通信に用いて、既存の方式に比べて、信号品質を劣化させることなく回路規模の削減および消費電力を低減した時間インターリーブ方式A/D変換装置を提供できる。
図1は、実施形態に係る時間インターリーブ方式A/D変換装置を示すブロック図である。
図2は、実施例1に係る時間インターリーブ方式A/D変換装置を示すブロック図である。
図3は、実施例1における分散コントロール回路22の構成を例示するブロック図である。
図4は、実施例2に係る時間インターリーブ方式A/D変換装置を示すブロック図である。
図5は、実施例2における波長分散・編波分散コントロール回路28の構成を例示するブロック図である。
図6は、A/D変換回路群による時間インターリーブ方式A/D変換装置の一例を示すブロック図である。
図7は、図6に示す時間インターリーブ方式A/D変換装置の動作を示すタイミングチャートである。
図8は、個々のA/D変換回路を補償する時間インターリーブ方式A/D変換装置の一例を示すブロック図である。
図9は、個々のA/D変換回路からの出力を合成後に、個々のA/D変換回路からの出力成分を補償する時間インターリーブ方式A/D変換装置の一例を示すブロック図である。
本発明の実施形態を図1ないし図5に基づいて説明する。
図1は、実施形態に係る時間インターリーブ方式A/D変換装置を示すブロック図である。
主信号用A/D変換回路群10は、N個のA/D変換回路が時間インターリーブ方式で構成され、個々のA/D変換回路がBaud rateのサンプリングレートの1/N速度のクロック(サンプリング信号)で動作する。
補正信号生成部20は、主信号用A/D変換回路群10のクロックより低速のクロックと入力アナログ信号とを受けて、入力アナログ信号に内在する伝送路の分散を抽出し、抽出した分散を分散補償コントロール信号として出力するように構成されている。補正信号生成部20で用いるクロックは、主信号用A/D変換回路群10に入力するサンプリング信号fsと同期している。図中では、サンプリング信号fsをm分周したクロックfs/mを入力している。尚、補正信号生成部20で用いるクロックは、補正信号生成部20の外部又は内部の何れで分周してもよい。
デジタル信号処理部30は、主信号用A/D変換回路群10及び補正信号生成部20の出力信号を受けて、N列のデジタル信号から分散補償コントロール信号で示された伝送路の分散による波形の歪みを補償処理すると共に、N列のデジタル信号から1つのデジタル信号に変換する処理を行い、その後シリアル又はパラレルでデジタル信号を出力するように構成されている。
このように構成することによって、タイムインターリーブ動作する複数のA/D変換回路を超高速光通信等の高速通信に適用した場合に、信号品質を劣化させることなく既存の方式に対して回路規模、消費電力を低減した時間インターリーブ方式A/D変換装置を提供できる。
次に、本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。以下、同一のものには同一の符号を付して、詳しい説明は省略する。ただし、本発明の実施形態は、以下に示す個々の実施例に限定されるものではない。
図2は、実施例1に係る時間インターリーブ方式A/D変換装置を示すブロック図である。本実施例では、主信号用A/D変換回路群10として、4つのインターリーブ動作するA/D変換回路11〜14を使用する。また、補正信号生成部20として、1つのA/D変換回路21と分散コントロール回路22を使用する。尚、このA/D変換装置は、4つのA/D変換回路を用いるのでN=4である。Nについては特に限定されるものではなく、設計仕様に応じて適切な値を選べばよい。
A/D変換回路11〜14はそれぞれ、A/D変換装置への入力アナログ信号A1と、それぞれA/D変換装置のボーレートの1/4(1/N)ずつずれた動作クロックとを受け、それぞれデジタル出力D1〜D4の一つを出力する。なお、本実施例では、クロックジェネレータ15を用いて動作クロックをずらしている。
A/D変換回路21は、A/D変換回路11〜14よりも高精度の分解能を有する反面、A/D変換回路11〜14よりも低速に動作させてもよい。A/D変換回路21は、入力アナログ信号の波形をモニタもしくは波形のエッジ部を検出し、デジタル信号D5として出力する(以後、A/D変換回路21は、モニタ用と呼ぶことにする)。図中では、分周器23を用いて、サンプリング信号fsを1/m分周したサンプリング信号fs/mを動作クロックとしている。当該動作クロックは、入力アナログ信号A1のボーレートに対して、1/(N・m)の速度となる。このように、A/D変換回路21は、低速動作するので、回路規模及び消費電力を極めて小さいレベルの回路構成としても、十分なレベルの分散の抽出に使用できるデジタル信号D5を取得できる。尚、上述のA/D変換回路11〜14よりも、高精度のモニタ用A/D変換回路21においては、出力信号D5に分散による波形歪みの情報がより高精度に含まれることとなる。
分散コントロール回路22は、A/D変換回路21の出力信号(D5)を受けて、分散補償コントロール信号を生成する。分散コントロール回路22を例示すれば、図3に示すように、波形歪み検出部24、歪み量推定部25、分散コントロール信号生成部26で構成できる。分散コントロール回路22は、モニタ用A/D変換回路21の出力信号D5を受けて、波形歪みを検出し、検出した値から歪み量を推定し、当該歪み量をデータ化して、分散補償コントロール信号としてデジタル信号処理部30に出力する。
デジタル信号処理部30は、分散コントロール回路22から受けた分散補償コントロール信号に基づいて分散を識別し、A/D変換回路11〜14から受けたD1からD4を合成後、その信号に対する分散補償を行う。
このように、補正信号生成部20においてA/D変換装置に入力される入力アナログ信号A1に含まれる分散による波形歪の度合いを高精度に抽出してデジタル信号処理部30に対しての分散歪みを通知し、デジタル信号処理部30において入力アナログ信号A1の波形の歪みを補正する構成とする。上記の様に構成することによって、主信号用A/D変換回路群10がBaud Rateでサンプリング動作させる構成としても、補正信号生成部20の回路規模並びに消費電力を小さく抑えつつ精度よく分散による波形の歪みを推定できる。換言すれば、A/D変換装置としての信号品質を劣化することなく、回路の小規模化並びに低消費電力を実現できる。
次に、別の実施例を示す。図4は、実施例2に係る時間インターリーブ方式A/D変換装置を示すブロック図である。
本実施例では、主信号用A/D変換回路群10として、実施例1と同様に、4つのインターリーブ動作するA/D変換回路11〜14を使用する。また、実施例1と異なり、補正信号生成部20として、1つの波形モニタ回路27と波長分散・偏波分散コントロール回路28を使用する。尚、本A/D変換装置は、実施例1と同様に、4つのA/D変換回路を用いるのでN=4である。
波形モニタ回路27は、入力アナログ信号A1とサンプリング信号fs/mを受けて、入力アナログ信号A1を時間軸方向並びに電圧振幅方向にスキャンすることで、波形の形状を再現するように構成されている。これにより、補正信号生成部20として、分散による波形歪の影響が波形の形状にどのように現れるかの情報が得られる。このように、波形モニタ回路27は低速動作させるので、回路規模及び消費電力を小さいレベルの回路構成であっても、十分なレベルの分散の抽出に使用するアナログ信号A2を取得できる。
また、波長分散・偏波分散コントロール回路28は、波形モニタ回路27からの出力アナログ信号A2を元に、波長分散および偏波分散による波形歪みの度合いをそれぞれ検出し、デジタル信号処理部30に通知するそれぞれの分散補償コントロール信号を生成する。図5では、光ファイバーでの主要な分散要因である波長分散ならびに偏波分散による歪みをそれぞれ検出・推定するように構成した波長分散・偏波分散コントロール回路28を例示する。このように構成することによって、入力アナログ信号A1に、波長分散に起因する波形歪み、並びに偏波分散に起因する波形歪み、又は両方の歪みが混在した場合でも、有効に補償できる分散コントロール信号を生成できる。
デジタル信号処理部30は、波長分散・偏波分散コントロール回路28から受けた両分散補償コントロール信号に基づいて分散を識別し、A/D変換回路11〜14から受けたD1からD4を合成し、分散補償を行う。
このように、補正信号生成部20において、実施例1と同様に、A/D変換装置に入力される入力アナログ信号A1に含まれる分散による波形歪の度合いを高精度に抽出してデジタル信号処理部30に対して分散歪みを通知し、デジタル信号処理部30において入力アナログ信号A1の波形の歪みを補正する構成とする。上記の様に構成することによって、主信号用A/D変換回路群10がBaud Rateでサンプリング動作させる構成としても、補正信号生成部20の回路規模並びに消費電力を小さく抑えつつ精度よく分散による波形の歪みを検出・推定して補償できる。換言すれば、A/D変換装置としての信号品質を劣化することなく、回路の小規模化並びに低消費電力を実現できる。
以上説明したとおり、本発明によれば、タイムインターリーブ方式のA/D変換装置において、入力アナログ信号のBaud rateで動作するタイムインターリーブA/D変換回路構成で課題と成る分散の補償を、x2オーバーサンプリングで一般的に構成される系に比較して主信号用A/D変換回路群の回路規模を半減し、回路全体として信号品質を維持しつつ消費電力及び回路規模の低減を実現できる。
即ち、本発明によれば、タイムインターリーブ動作する複数のA/D変換回路を高速通信に用いて、既存の方式に比べて、信号品質を劣化させることなく回路規模の削減および消費電力を低減した時間インターリーブ方式A/D変換装置を提供できる。
また、本発明に係る実施例1のA/D変換装置の構成は、特許文献2に記載されているタイムインターリーブA/D変換装置(図9参照)に比べ、補償に用いるA/D変換回路の規模及び消費電力が著しく低減できる。これは、特許文献2では、補償に用いるA/D変換回路を、タイムインターリーブ時に得られる等価的なサンプリング速度と同じ速度(fs×N)で動作させる為、上記説明した補正信号生成部に対して回路規模及び消費電力が著しく増加する。他方、上記説明したA/D変換装置では、サンプリングクロック速度はfs×1/(N・m)であり、特許文献2に記載されたA/D変換回路に比べ、補償に用いる回路部分はおおよそ1/(N×m)の規模で動作する。具体的に例示すれば、N=4段、m=4程度でも、1/64の規模となる。
尚、特許文献2の補償に用いるA/D変換回路は、各インターリーブしている並列のA/D変換回路の回路間の利得及びオフセット誤差成分を校正(キャリブレーション)するのに対し、上記説明したA/D変換装置は、光通信で課題となる光信号自体の分散歪みを補正できるので、補正する対象も異なっている。
本発明では、デジタル信号処理部でのデジタル信号補正処理と組み合わせることによって、入力アナログ信号を処理する主信号用A/D変換回路群を構成する個々のA/D変換回路自体の分解能を軽くする効果も発揮できる。当該効果は、特許文献2のように個々のA/D変換回路の出力信号を補償するようにした場合には得られない。
また、本発明の具体的な構成は前述の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の変更があってもこの発明に含まれる。
また、上記の実施形態の一部又は全部は、以下のようにも記載されうる。尚、以下の付記は本発明をなんら限定するものではない。
[付記1]
入力アナログ信号のボーレートの1/N(Nは2以上の整数)のサンプリング速度と装置全体として提供する分解能と同一の分解能を有するA/D変換回路をN個組み合わせて、それぞれ1/Nずつずらしたサンプリング信号を用いて時間インターリーブ動作させて、前記入力アナログ信号をN列のデジタル信号に変換する主信号用A/D変換回路群と、
前記入力アナログ信号と前記主信号用A/D変換回路群に入力されるサンプリング信号の1/m(mは2以上の整数)速度である1/mサンプリング信号とを受けて、前記入力アナログ信号と前記1/mサンプリング信号とから前記入力アナログ信号に内在する伝送路の分散を抽出し、当該分散をデジタル信号補償するための分散補償コントロール信号を出力する補正信号生成手段と、
前記N列のデジタル信号と前記分散補償コントロール信号を受け、前記N列のデジタル信号を前記分散補償コントロール信号に基づいて、1つのデジタル信号に変換すると共に、変換したデジタル信号に含まれる分散を補償する信号処理手段と
を備えることを特徴とする時間インターリーブ方式A/D変換装置。
[付記2]
入力アナログ信号のボーレートの1/N(Nは2以上の整数)のサンプリング速度と装置全体として提供する分解能と同一の分解能を有するA/D変換回路をN個組み合わせて、それぞれ1/Nずつずらしたサンプリング信号を用いて時間インターリーブ動作させて、前記入力アナログ信号をN列のデジタル信号に変換する主信号用A/D変換回路群と、
前記入力アナログ信号のボーレートの1/Nのサンプリング速度をm(mは2以上の整数)分周した1/mサンプリング速度に対応し、前記入力アナログ信号と1/mサンプリング信号とを受けて、前記入力アナログ信号をデジタル信号に変換して出力するモニタ用A/D変換回路と、
前記モニタ用A/D変換回路の出力したデジタル信号を受けて、分散補償コントロール信号を生成する分散コントロール回路と、
前記N列のデジタル信号と前記分散補償コントロール信号を受け、前記分散補償コントロール信号に基づいて、前記N列のデジタル信号を1つのデジタル信号に変換すると共に、変換したデジタル信号に含まれる分散を補償する信号処理回路と
を備えることを特徴とする時間インターリーブ方式A/D変換装置。
[付記3]
入力アナログ信号のボーレートの1/N(Nは2以上の整数)のサンプリング速度と装置全体として提供する分解能と同一の分解能を有するA/D変換回路をN個組み合わせて、それぞれ1/Nずつずらしたサンプリング信号を用いて時間インターリーブ動作させて、前記入力アナログ信号をN列のデジタル信号に変換する主信号用A/D変換回路群と、
前記入力アナログ信号と1/m(mは2以上の整数)サンプリング信号とを受けて、前記入力アナログ信号を1/mサンプリング速度で波形値を検出してアナログ信号として出力する波形モニタ回路と、
前記波形モニタ回路の出力したアナログ信号を受けて、分散補償コントロール信号を生成する分散コントロール回路と、
前記N列のデジタル信号と前記分散補償コントロール信号を受け、前記分散補償コントロール信号に基づいて、前記N列のデジタル信号を1つのデジタル信号に変換すると共に、変換したデジタル信号に含まれる分散を補償する信号処理回路と
を備えることを特徴とする時間インターリーブ方式A/D変換装置。
[付記4]
前記モニタ用A/D変換回路は、サンプリング速度が前記主信号用A/D変換回路群より低速であり、且つ、分解能が前記主信号用A/D変換回路群より高精度であることを特徴とする付記2記載の時間インターリーブ方式A/D変換装置。
[付記5]
前記分散コントロール回路は、前記モニタ用A/D変換回路の出力信号を元に分散による波形歪を検出して、歪の度合いを元に、前記信号処理回路で波形の歪みを補正する際の分散補償コントロール信号を生成することを特徴とする付記4記載の時間インターリーブ方式A/D変換装置。
[付記6]
前記分散コントロール回路は、波長分散(Chromatic Dispersion)に起因する波形歪み、偏波分散(Polarization Mode Dispersion)に起因する波形歪み、及びその両方の歪みを、入力された信号から検出し、前記信号処理回路に対応するデータ信号形式で、前記信号処理回路に通知する
ことを特徴とする付記1記載の時間インターリーブ方式A/D変換装置。
[付記7]
前記補正信号生成手段は、前記主信号用A/D変換回路群に入力されるサンプリング信号が分岐された信号を受けて、分周した信号を歪みの抽出に使用することを特徴とする付記1に記載の時間インターリーブ方式A/D変換装置。
[付記8]
上記付記の何れかに記載の時間インターリーブ方式A/D変換装置を内在することを特徴とする光通信装置。
[付記9]
入力アナログ信号のボーレートの1/N(Nは2以上の整数)のサンプリング速度と装置全体として提供する分解能と同一の分解能を有するA/D変換回路をN個組み合わせて、それぞれ1/Nずつずらしたサンプリング信号を用いて時間インターリーブ動作させて、前記入力アナログ信号をN列のデジタル信号に変換し、
前記入力アナログ信号と個々のA/D変換回路に入力されるサンプリング信号のN/m(mは2以上の整数)速度である1/mサンプリング信号とを受けて、前記入力アナログ信号と前記1/mサンプリング信号とから前記入力アナログ信号に内在する伝送路の分散を抽出し、当該分散をデジタル信号補償するための分散補償コントロール信号を出力し、
信号処理部において、前記N列のデジタル信号と前記分散補償コントロール信号を受け、前記N列のデジタル信号を前記分散補償コントロール信号に基づいて、1つのデジタル信号に変換すると共に、変換したデジタル信号に含まれる分散を補償する
ことを特徴とする時間インターリーブ方式A/D変換装置の歪み補償方法。
[付記10]
入力アナログ信号のボーレートの1/N(Nは2以上の整数)のサンプリング速度と装置全体として提供する分解能と同一の分解能を有するA/D変換回路をN個組み合わせて、それぞれ1/Nずつずらしたサンプリング信号を用いて時間インターリーブ動作させて、前記入力アナログ信号をN列のデジタル信号に変換し、
前記入力アナログ信号のボーレートの1/Nのサンプリング速度をm(mは2以上の整数)分周した1/mサンプリング速度に対応して前記入力アナログ信号と1/mサンプリング信号とを受けて動作するモニタ用A/D変換回路において、前記入力アナログ信号をデジタル信号に変換して出力し、
分散コントロール回路において、前記モニタ用A/D変換回路の出力したデジタル信号を受けて、分散補償コントロール信号を生成し、
信号処理回路において、前記N列のデジタル信号と前記分散補償コントロール信号を受け、前記分散補償コントロール信号に基づいて、前記N列のデジタル信号を1つのデジタル信号に変換すると共に、変換したデジタル信号に含まれる分散を補償する
ことを特徴とする時間インターリーブ方式A/D変換装置の歪み補償方法。
[付記11]
入力アナログ信号のボーレートの1/N(Nは2以上の整数)のサンプリング速度と装置全体として提供する分解能と同一の分解能を有するA/D変換回路をN個組み合わせて、それぞれ1/Nずつずらしたサンプリング信号を用いて時間インターリーブ動作させて、前記入力アナログ信号をN列のデジタル信号に変換し、
波形モニタ回路において、前記入力アナログ信号と1/m(mは2以上の整数)サンプリング信号とを受けて、前記入力アナログ信号を1/mサンプリング速度で波形値を検出してアナログ信号として出力し、
分散コントロール回路において、前記波形モニタ回路の出力したアナログ信号を受けて、分散補償コントロール信号を生成し、
信号処理回路において、前記N列のデジタル信号と前記分散補償コントロール信号を受け、前記分散補償コントロール信号に基づいて、前記N列のデジタル信号を1つのデジタル信号に変換すると共に、変換したデジタル信号に含まれる分散を補償する
ことを特徴とする時間インターリーブ方式A/D変換装置の歪み補償方法。
[付記12]
前記モニタ用A/D変換回路は、サンプリング速度が前記主信号用A/D変換回路群より低速であり、且つ、分解能が前記主信号用A/D変換回路群より高精度であることを特徴とする付記10記載の時間インターリーブ方式A/D変換装置の歪み補償方法。
[付記13]
前記分散コントロール回路は、前記モニタ用A/D変換回路の出力信号を元に分散による波形歪を検出して、歪の度合いを元に、前記信号処理回路で波形の歪みを補正する際の分散補償コントロール信号を生成することを特徴とする付記12記載の時間インターリーブ方式A/D変換装置の歪み補償方法。
[付記14]
前記分散コントロール回路は、波長分散(Chromatic Dispersion)に起因する波形歪み、偏波分散(Polarization Mode Dispersion)に起因する波形歪み、及びその両方の歪みを、入力された信号から検出し、前記信号処理回路に対応するデータ信号形式で、前記信号処理回路に通知することを特徴とする付記9記載の時間インターリーブ方式A/D変換装置の歪み補償方法。
[付記15]
前記補正信号生成手段は、前記主信号用A/D変換回路群に入力されるサンプリング信号が分岐された信号を受けて、分周した信号を歪みの抽出に使用することを特徴とする付記9記載の時間インターリーブ方式A/D変換装置の歪み補償方法。
この出願は、2010年3月26日に出願された日本出願特願2010−071481号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
10 主信号用A/D変換回路群
11〜14 A/D変換回路
15 クロックジェネレータ
20 補正信号生成部
21 モニタ用A/D変換回路
22 分散コントロール回路
23 分周器
24 波形歪み検出部
25 歪み量推定部
26 分散コントロール信号生成部
27 波形モニタ回路
28 波長分散・偏波分散コントロール回路
30 デジタル信号処理部(信号処理回路)
A1 入力アナログ信号(主信号)
A2 波形モニタ回路 出力アナログ信号
D1〜DN A/D変換回路 出力デジタル信号
D5 モニタ用A/D変換回路 出力デジタル信号

Claims (9)

  1. 装置全体として提供する分解能と同一の分解能を有して、入力アナログ信号のボーレートの1/N(Nは2以上の整数)のサンプリング速度で動作するN個のA/D変換回路を組み合わせると共に、前記N個のA/D変換回路を、それぞれ1/Nずつずらしたサンプリング信号を用いて時間インターリーブ動作させて、前記入力アナログ信号をN列のデジタル信号に変換する主信号用A/D変換回路群と、
    前記入力アナログ信号と前記主信号用A/D変換回路群に入力されるサンプリング信号の1/m(mは2以上の整数)速度である1/mサンプリング信号とを受けて、前記入力アナログ信号と前記1/mサンプリング信号とから前記入力アナログ信号に内在する伝送路の分散を抽出すると共に、抽出した分散をデジタル信号補償に用いる分散補償コントロール信号として出力する補正信号生成部と、
    前記N列のデジタル信号と前記分散補償コントロール信号とを受け、前記N列のデジタル信号を前記分散補償コントロール信号に基づいて、1つのデジタル信号に変換すると共に、変換したデジタル信号に含まれる分散を補償する信号処理部と
    を備えることを特徴とする時間インターリーブ方式A/D変換装置。
  2. 前記補正信号生成部は、
    前記入力アナログ信号のボーレートの1/Nのサンプリング速度をm(mは2以上の整数)分周した1/mサンプリング速度に対応し、前記入力アナログ信号と1/mサンプリング信号とを受けて、前記入力アナログ信号をデジタル信号に変換して出力するモニタ用A/D変換回路と、
    前記モニタ用A/D変換回路の出力したデジタル信号を受けて、分散補償コントロール信号を生成する分散コントロール回路と、
    とを含み構成される
    ことを特徴とする請求項1記載の時間インターリーブ方式A/D変換装置。
  3. 前記補正信号生成部は、
    前記入力アナログ信号と1/m(mは2以上の整数)サンプリング信号とを受けて、前記入力アナログ信号を1/mサンプリング速度で波形値を検出してアナログ信号として出力する波形モニタ回路と、
    前記波形モニタ回路の出力したアナログ信号を受けて、分散補償コントロール信号を生成する分散コントロール回路と、
    とを含み構成される
    ことを特徴とする請求項1記載の時間インターリーブ方式A/D変換装置。
  4. 前記モニタ用A/D変換回路は、サンプリング速度が前記主信号用A/D変換回路群より低速であり、且つ、分解能が前記主信号用A/D変換回路群より高精度であることを特徴とする請求項2記載の時間インターリーブ方式A/D変換装置。
  5. 前記分散コントロール回路は、前記モニタ用A/D変換回路の出力信号を元に分散による波形歪を検出して、歪の度合いを元に、前記信号処理部で波形の歪みを補正する際の分散補償コントロール信号を生成することを特徴とする請求項4記載の時間インターリーブ方式A/D変換装置。
  6. 前記分散コントロール回路は、波長分散(Chromatic Dispersion)に起因する波形歪み、偏波分散(Polarization Mode Dispersion)に起因する波形歪み、またはその両方の歪みを、入力された信号から検出し、前記信号処理回路に対応するデータ信号形式で、前記信号処理部に通知する
    ことを特徴とする請求項2又は3記載の時間インターリーブ方式A/D変換装置。
  7. 前記補正信号生成部は、前記主信号用A/D変換回路群に入力されるサンプリング信号が分岐された信号を受けて、分周した信号を歪みの抽出に使用する分周部を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の時間インターリーブ方式A/D変換装置。
  8. 請求項1ないし7の何れかに記載の時間インターリーブ方式A/D変換装置を内在することを特徴とする光通信装置。
  9. 入力アナログ信号のボーレートの1/N(Nは2以上の整数)のサンプリング速度で動作して装置全体として提供する分解能と同一の分解能を有するN個のA/D変換回路を組み合わせて、それぞれ1/Nずつずらしたサンプリング信号を用いて時間インターリーブ動作させて、入力された入力アナログ信号をN列のデジタル信号に変換し、
    前記入力アナログ信号と前記N個のA/D変換回路の個々に入力されるサンプリング信号のN/m(mは2以上の整数)速度である1/mサンプリング信号とを受けて、前記入力アナログ信号と前記1/mサンプリング信号とから前記入力アナログ信号に内在する伝送路の分散を抽出し、抽出した分散をデジタル信号補償に用いる分散補償コントロール信号として出力し、
    信号処理部において、前記N列のデジタル信号と前記分散補償コントロール信号とを受け、前記N列のデジタル信号を前記分散補償コントロール信号に基づいて、1つのデジタル信号に変換すると共に、変換したデジタル信号に含まれる分散を補償する
    ことを特徴とする時間インターリーブ方式A/D変換装置の歪み補償方法。
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