JPWO2011078224A1 - トナー用バインダー、及びこれを含むトナー - Google Patents

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Abstract

【課題】トナー定着後の印刷濃度が高く、低温定着性に優れることにより高速印刷にも適し、消費電力の低減が可能なトナーに用いられるトナー用バインダー、さらにはこれを用いたトナーを提供すること。【解決手段】(B)粒子内部に少なくとも1つの空隙が形成されている数平均粒子径が100〜1500nmである中空樹脂粒子からなるトナー用バインダー、さらにはこのトナー用バインダーと着色剤とを含むトナー。【選択図】なし

Description

本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真プロセスを利用した電子写真装置(画像形成装置)等に利用し得るトナー粒子、及び当該トナー粒子を含むトナーに関する。
従来、電子写真装置や静電記録装置等の画像形成装置において形成される静電潜像は、先ず、トナーにより現像され、次いで、形成されたトナー像は、必要に応じて紙等の転写材上に転写された後、加熱、加圧などにより定着される。
近年、電子写真方式の複写機、プリンタ等においては、消費電力の低減化とともに高速複写あるいは高速印刷が要求されている。電子写真方式の中で、特にエネルギーを消費する工程は、感光体から紙などの転写材上にトナーを転写した後、定着する際のいわゆる定着工程である。この工程は、一般に、定着のために150℃前後の熱ロールが使用され、そのエネルギー源として電力が使用される。この熱ロール温度を下げること、すなわち低温定着性が可能であれば、さらに高速印刷等に対応でき、省エネルギーの観点より求められている。
また、電子写真方式の複写機、プリンタ等においては、電子写真方式によるカラー複写やカラー印刷が鮮明にできることが要求されている。例えば、上記電子写真方式におけるトナーにおいては、従来、着色剤などを含有する樹脂を溶融し、粉砕し、分級して得る粉砕法トナーが主流であったが、粒径コントロールが容易で、分級などの煩雑な製造工程を経ない重合法トナーが注目されるようになってきている。しかしながら、このトナーの粒子径は数μm程度であるが、さらに粒子径を小さくし、印刷の鮮明性を上げようとすると、現像ロールに付着したトナーをドクターブレードで掻き落とす工程でのクリーニング性が悪くなる。
従前、上記トナーとして、難水溶性金属水酸化物のコロイドを含有する分散剤の存在下に、ガラス転移温度70℃以下の重合体を形成し得る単量体組成物を重合して得られる重合体のガラス転移温度よりも高いガラス転移温度を有する親水性マクロモノマー及び架橋性モノマーを懸濁重合してなる重合体粒子を含有する、低温定着性が良好な重合トナーが開示されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、近年の高速印刷における低温定着性や印刷の鮮明性は、不十分である。
また、支持体上に少なくとも1種の中空粒子を含有する断熱層と、該断熱層の上層に少なくとも1層の熱可塑性樹脂とバインダーとを含有するトナー受容層を設けた電子写真用受像材料において、該少なくとも1種の中空粒子の軟化点が、トナー画像定着時の定着ローラーの表面温度よりも20℃〜70℃低く、中空粒子の軟化点が、130℃以上、180℃以下である電子写真用受像材料により、光沢や濃度、写像性を高める方法が開示されている(例えば、特許文献2)。しかし、トナー受容相の中空粒子層の軟化点が高いことと、根本的にトナー用バインダー樹脂の定着性には寄与しないために、低温定着性の改善にはつながらない。
一方、高い多孔度を有するバインダー樹脂を含んでなるトナーが電子写真法(EP)において、基材に適用されるトナー量を減少させることができることが開示されている。(例えば、特許文献3)ここで開示される多孔質バインダー樹脂は、多数の細孔を有する10μm程度の粒子である。確かに多孔度が高い粒子を使用するとトナー量は軽減するが、このように大粒子径のバインダーでは粒子径の小さなトナー粒子作成には適さず、また特許文献3で開示された方法で得られる粒子は微細な孔がランダムに粒子中に存在するものであるため、トナー粒子とした際の空隙の均一性を調整することは困難であった。このような空隙の不均一性は、得られるトナーを使用した際の画像再現性に悪影響を与えるものであった。
特許第3884506号公報 特開2007−279280号公報 特表2009−521723号公報
本発明は、トナー定着後の印刷濃度が高く、低温定着性に優れることにより高速印刷にも適し、消費電力の低減が可能なトナーに用いるためのトナー用バインダー、さらにはこれを用いたトナーを提供することにある。
本発明は、(B)粒子内部に少なくとも1つの空隙が形成されている数平均粒子径が100〜1500nmである中空樹脂粒子からなるトナー用バインダーに関する。
次に、本発明は、上記トナー用バインダーと、着色料とを含むトナーに関する。
本発明によれば、トナー定着後の印刷濃度が高く、低温定着性に優れることにより高速印刷にも適し、消費電力の低減が可能なトナーに用いられるトナー用バインダー、さらにはこれを用いたトナーを提供することができる。
図1は、(B)の粒子を透過型電子顕微鏡で観察し、各粒子の粒子径を測定した例を示した図である。 図2は、フローテスターより得られる一般的なチャートにおいて、軟化温度(Ts)、流出開始温度(Tfb)、終了温度(Tend)を示した図である。 図3は、フローテスターより得られる一般的なチャートにおいて、「T1/2溶融温度」及び「T1/2から−2mmまでの傾き」を示した図である。
本発明のトナー用バインダーは、(B)粒子内部に少なくとも1つの空隙が形成されている数平均粒子径が100〜1500nmである中空樹脂粒子(以下、単に「(B)」ということがある)からなるトナー用バインダーである。
〔(B)について〕
まず、(B)粒子内部に少なくとも1つの空隙が形成されている中空樹脂粒子について、説明する。
(B)は、粒子内部に少なくとも1つの空隙が形成されているものである。
(B)は、粒子内部に少なくとも1つの形成される空隙に起因して生じる、(B)の殻ポリマー(中空樹脂粒子の空隙以外の部分)と空隙部分との屈折率差から、(B)に入射する光を散乱させることができる。これにより、(B)を含むトナーは、プリントアウトした際の下地(紙、色紙)の隠蔽性が向上し、顔料の発色が良くなる。従って、かかる(B)は、トナー用バインダーとして有用である。
ここで、隠蔽性とは、具体的には、黒い紙に印刷された場合であっても発色がよく、白い紙に印刷された場合であっても裏映りが少ないという性質などを指す。隠蔽性が優れると、上記の性質により、下地の色に左右され難いという利点がある。
また、(B)を含むトナーは、(B)が粒子内部に少なくとも1つの空隙が形成されていることに起因して、これを含まないトナーと比して、樹脂の体積量が少ないため、画像定着の際に必要とされる熱量が低減できる。従って、(B)は、この点でも、トナー用バインダーとして有用である。
<(B):ガラス転移温度(Tg)について>
(B)のガラス転移温度(Tg)は、特に規定はないが、50℃以上のものを用いることができる。50℃〜130℃が好ましく、60℃〜120℃がさらに好ましい。(B)は、トナーに用いた場合、上記作用を考慮すれば、熱により、適度に変形することが好ましい。50℃未満の場合には、熱転写時に潰れすぎる場合がある。一方、130℃を超えた場合には、熱転写時にほとんど潰れない場合がある。ガラス転移温度(Tg)の測定方法は、特に規定はないが、例えば、示差走査熱量計を用いて、ASTM法に準じて、測定できる。
<(B):平均粒子径について>
(B)の平均粒子径は、数平均粒子径で100nm〜1500nmのものを用いる。好ましくは150〜1300nm、より好ましくは200〜1200nmである。100nm未満の場合には、製造が困難な場合がある。また、相対的に空隙の体積も小さくなるため、上記の効果が小さくなる場合がある。一方、1500nmを超える場合には、製造工程が増え、生産性が落ちる場合がある。また、粒子が大きすぎるため、印刷物の解像度が低下する場合がある。平均粒子径の測定方法は、特に規定はないが、例えば、後述する(B)の空隙率を求める為に、通常、電子顕微鏡により観察し、数平均粒子径として測定できる。また、光散乱回折粒径測定装置(粒度分布測定装置)を用いて、重量平均粒子径として、測定することもできる。
<(B):粒子一個当たりの空隙率について>
(B)の粒子一個当たりの空隙率は、特に規定はないが、10〜75体積%のものを用いることができる。15〜70体積%が好ましい。この範囲内であれば、上記作用を有効に発揮する。10体積%未満の場合には、低温定着性が劣ったり、定着濃度に劣る場合があり、一方、75体積%を超える場合には、空隙率を保つための製造が困難となる場合がある。
ここで、空隙率とは、体積の総量に対する空隙が占める割合をいう。空隙率は、「(空隙径/粒子最長径)×100%」として求められる。空隙径とは、観察範囲内で最も大きな空隙の径をいう。粒子最長径とは、観察範囲内で最も長い粒子径をいう。空隙径と粒子最長径は、通常、電子顕微鏡により観察される。
なお、本発明で使用する(B)の空隙は、単一の内孔であることが好ましい。
(B)の空隙の内孔径は、特に規定はないが、1.1μm以下のものが用いられる。内孔径とは、複数の粒子における、空隙(内孔)の内径の平均値である。この空隙(内孔)の内径とは、1粒子中の空隙(内孔)の内径のうち、最も長い径をいう。好ましくは0.05μm以上1.1μm以下であり、より好ましくは0.06μm以上1.0μm以下である。1.1μmを越える場合、製造工程が増え、生産性が落ちる場合がある。
<(B):単位体積あたりの熱量について>
(B)の単位体積あたりの熱量は、特に規定はないが、0.7J/cm以下のものが用いられる。0.2〜0.7J/cmが好ましい。この範囲内であれば、上記作用を有効に発揮する。なお、0.2J/cm未満の場合には、(B)の空隙率を75%以上とする必要があると思われ製造が困難であり、0.7J/cmを超える場合には、逆に中空率が10%未満にする必要がある。本発明に用いられる(B)は、熱量が少ないことで、トナー定着時の加熱付加・時間の低減もしくは高速印刷が可能となる。単位体積あたりの熱量の測定方法は、特に規定はない。例えば、示差走査熱量計を用いて、ASTM法に準じて測定した微分示差熱量曲線から求めた吸熱量の値と、(B)の空隙を差し引いた樹脂部分の体積との積(J/cm)を求め、この値の逆数(熱量)により、単位体積当たりの熱量を求めることができる。
<(B):重量平均分子量について>
(B)の重量平均分子量は、特に規定はないが、5,000〜1,000,000のものを用いることができる。10,000〜500,000がさらに好ましい。この範囲内であれば、上記作用を有効に発揮することができる。なお、重量平均分子量が5,000未満の場合には、(B)の空隙を維持することが難しく、一方、1、000,000を超える場合には、低温定着性が劣る場合がある。重量平均分子量の測定方法は、特に規定はないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定装置を用いて、標準ポリスチレンにより換算して求めることができる。
<(B)の製造方法について>
(B)の製造方法について、説明する。
(B)の製造方法は、特に規定はない。通常、以下の(1)から(3)により、製造することができる。
(1)単量体を重合して、コアとなるシード粒子を製造する。
(2)次いで、得られたシード粒子をコアとして、殻となる樹脂を構成する単量体を乳化重合することにより、殻となる樹脂を形成して、ポリマー粒子を製造する。
(3)最後に、得られたコア−シェル型の樹脂粒子(ポリマー粒子)を、塩基(アルカリ)によって、中和させてポリマー粒子を膨潤させることにより、内部に空隙を有する粒子〔(B)〕を製造する。製造された(B)は、例えば、水性媒体で乳化重合にて製造された場合には、水性分散体(乳化状態)として、トナー用バインダーに用いることができる。また、(B)は、必要に応じて乾燥処理をすることにより、粉末の状態とすることができる。また、(B)の乾燥物と水性媒体を混合して、水性分散体として用いることができる(いわゆる、再分散)。
より生産性が向上するという点から、(B)は、水などの水性媒体で乳化重合にて製造し、乾燥工程を経ない水性分散体として調整することが好ましい。また、水性分散体は、必要に応じて添加剤を入れた後、乾燥することもできる。
<(1)シード粒子について>
(シード粒子を構成する単量体について)
シード粒子を構成する単量体は、これにより形成されるシード粒子が上記(2)〜(3)に用いられるものであれば、特に規定はない。通常、不飽和カルボン酸モノマー(I)、非イオン性不飽和モノマー(II)、および必要に応じて加えられる架橋性モノマー(III)などを含むモノマー組成物を乳化重合することにより得られる。
不飽和カルボン酸モノマー(I)としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のモノまたはジカルボン酸、ジカルボン酸の酸無水物またはモノアルキルエステル、モノアミド類などが挙げられる。これらは、1種または2種以上を組み合せて用いることができる。
不飽和カルボン酸モノマー(I)の配合量は、特に規定はないが、シード粒子を構成するためのモノマー組成物全体に対して、5質量%以上で用いることができる。8〜90質量%が好ましく、10〜60質量%がより好ましい。
不飽和カルボン酸モノマー(I)の使用量が5質量%より少ないと、アルカリによる膨潤作用が低く、空隙の形成が不十分となる場合があり、トナーに用いたときに、その隠蔽性が劣ったものとなる場合がある。また、不飽和カルボン酸モノマー(I)の使用量が90質量%を超えると、トナーに用いたときに、その耐水性、耐アルカリ性が不十分となる傾向があるので好ましくない。
非イオン性不飽和モノマー(II)としては、親水性のものと疎水性のものがある。
親水性モノマーとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等のアクリル酸あるいはメタクリル酸のアルキルエステル類:アクリロニトリル、メタアクリロニトリルなどのビニルシアン化合物:酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニルなどの有機酸ビニル:ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテルなどのビニルエーテル:アクリルアミド、メタクリルアミド、n−メチロールメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エタクリルアミド、クロトンアミド、イタコンアミド、メチルイタコンアミド、マレイン酸モノアミド、エチレンジアクリルアミド等のアミド系モノマー:アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、n−ヒドロキシエチルアクリルアミド、1−ヒドロキシプロピルアクリレート、1−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート等のヒドロキシル基含有モノマー:アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等のグリシジル基含有モノマーなどが挙げられる。これらのモノマーは単独で使用することができ、また2種以上を併用することもできる。
疎水性モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、パラメチルスチレン等の芳香族ビニル化合物:ブタジエン、イソプレン、2−クロル−1,3−ブタジエン、1−クロル−1,3−ブタジエン等の脂肪族共役ジエン化合物:エチレン、プロピレン、ブチレン、4−メチルペンテン−1等のα−オレフィン:フッ化ビニル、臭化ビニルなどのハロゲン化ビニルなどが挙げられる。これらのモノマーは単独で使用することができ、また2種以上を併用することもできる。
非イオン性不飽和モノマー(II)の使用量は、特に規定はないが、シード粒子に要求されるアルカリ膨潤性と親水性のバランスにより決定される。非イオン性親水性不飽和モノマー(II)は、通常、シード粒子を形成するための全モノマーに対して、10〜95重量%、20〜90重量%が好ましく、40〜90重量%がさらに好ましい。
なお、シード粒子には、必要に応じて、架橋性モノマー(III)を用いることができる。架橋性モノマー(III)としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレートなどのジビニル系モノマーあるいはトリビニル系モノマーを例示できる。特に、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレートおよびトリメチロールプロパントリメタクリレートが好ましい。
この架橋性モノマー(III)の使用量は、シード粒子を形成するためのモノマー組成物100質量部に対して、好ましくは0.1〜40質量部、さらに好ましくは0.1〜20質量部である。
(シード粒子の平均粒子径について)
シード粒子の平均粒子径は、特に規定はないが、通常、10nm〜1000nmが用いられる。50〜700nmが好ましい。平均粒子径の測定方法は、特に規定はないが、例えば、光散乱回折粒径測定装置(粒度分布測定装置)を用いて、重量平均粒子径として、測定できる。
(シード粒子の製造方法について)
シード粒子の製造方法は、特に規定はないが、通常、乳化重合または懸濁重合で製造することができる。シード粒子は、1段の重合で得られる粒子を用いてもよい。また、1段だけの重合で得られるシード粒子をそのままコアに用いるのではなく、1段目の重合で得られたシード粒子をコアとして2段目の重合を行って1段目のものより、さらに大きい粒子径となったものをシード粒子として用いることができる。また、シード粒子は、必要に応じて1段または2段、またはさらに3段以上の重合を繰返して製造したものを使用することができる。
(ポリマー粒子に対するシード粒子の占める割合について)
また、ポリマー粒子(シード粒子と殻ポリマーを含む)に対するシード粒子が占める割合は、特に規定はないが、通常、0.5〜90質量%で用いられる。0.7〜60質量%が好ましく、1〜40質量%がより好ましい。割合が0.5質量%未満では、(B)の空隙の形成が不十分となり、トナーに用いた場合にその隠蔽性が劣ったものとなる場合がある。一方、シード粒子の割合が90質量%を超えると、系の重合安定性が低下する可能性がある。また、トナーに用いた場合に、その配合安定性、隠蔽性、塗膜の耐水性および耐アルカリ性などが劣ったものとなる場合がある。
〔乳化剤について〕
シード粒子、及びこれを用いたポリマー粒子(シード粒子と殻ポリマーを含む)を乳化重合で製造する際に用いる乳化剤としては、特に規定はなく、通常、樹脂を乳化重合で製造する際に用いられるものであれば良い。
乳化剤としては、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、有機懸濁保護剤などの界面活性能を有する物質を挙げることができ、特にアニオン性界面活性剤や非イオン性界面活性剤を好ましく用いることができる。これらの乳化剤は1種を単独でもしくは2種以上組み合せて用いることができる。
ここで、アニオン性界面活性剤としては、ロジン酸カリウム、ロジン酸ナトリウム等のロジン酸塩、オレイン酸カリウム、ラウリン酸カリウム、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等の脂肪酸のナトリウム塩、もしくはカリウム塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪族アルコールの硫酸エステル塩およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルアリルスルホン酸などを挙げることができる。
また、非イオン性界面活性剤としては、ポリエチレングリコールのアルキルエステル、アルキルエーテル、アルキルフェニルエーテルなどを挙げることができる。
〔重合開始剤について〕
シード粒子、及びこれを用いたポリマー粒子(シード粒子と殻ポリマーを含む)を乳化重合で製造する際に用いる重合開始剤としては、特に規定はなく、通常、樹脂を乳化重合で製造する際に用いられるものであれば良い。
重合開始剤としては、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド等で代表される有機ハイドロパーオキサイド類と含糖ピロリン酸処方、スルホキシレート処方、含糖ピロリン酸処方/スルホキシレート処方の混合系処方等で代表される還元剤との組合せによるレドックス系の開始剤、さらに過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等を任意に使用することができ、特に好ましくは、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、亜硫酸アンモニウム等の亜硫酸塩、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイドに必要に応じて還元剤を組み合せたものである。
重合温度としては、通常、5〜95℃が良好であり、特に40〜90℃が好ましい。
また、前述した各種のモノマーは、これを一括してもしくは分割して、あるいは連続的に滴下して系に加えることができる。
<(2)ポリマー粒子について>
ポリマー粒子は、シード粒子をコアとして、単量体を重合したものである。通常、乳化重合で製造することできる。
(ポリマー粒子を構成する単量体について)
ポリマー粒子を製造する際、殻(シェル)に用いられる単量体は、アルカリ膨潤により、空隙を作れるものであれば、特に規定されない。例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、ジビニルベンゼン等の不飽和芳香族類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の不飽和エステル類;アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;メチルアクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート等の不飽和カルボン酸アルキルエステル;その他に、ブタジエン、イソプレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリルアクリレート、アリルメタクリレート等が挙げられる。これらは、単独で、または二種以上を混合して使用してもよい。
なお、本発明の(B)の殻部を構成するポリマーの具体例としては、スチレン系重合体、アクリル系重合体、スチレン−アクリルニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等のスチレン−アクリル系共重合体、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ビニル系共重合体、尿素ホルマリン樹脂等が挙げられる。これらのうち、スチレン−アクリル系共重合体が好ましく用いられるが、特にこれらに限定されるものではない。 また、本発明においては、(B)として、架橋型中空粒子も好ましく用いられる。ここで、架橋型とは、(B)のシェルを構成している樹脂が何らかの方法により架橋されていることを意味している。例えば、スチレン−アクリル共重合体を主成分とする中空粒子であれば、粒子合成時にジビニルベンゼン等で架橋されているようなものや、一般に粒子合成時にジビニルベンゼン等で架橋されているようなものを指す。
(ポリマー粒子の製造方法について)
ポリマー粒子は、コアとしてシード粒子を用いること以外は、一般に、単量体からポリマーを作る方法により、製造することができる。通常、乳化重合または懸濁重合で製造することができる。重合反応は、一段でもよく、多段でも良い。
〔分子量調整剤について〕
シード粒子、及びこれを用いたポリマー粒子(シード粒子と殻ポリマーを含む)には、必要に応じて、分子量調整剤(連鎖移動剤)を添加することができる。
連鎖移動剤としては、特に制限はなく、通常の重合反応の分子量調節に慣用されているものの中から適宜選択して用いることができる。このような連鎖移動剤には、例えばプロピルメルカプタン、ブチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンのような炭素数1〜30のアルキル基をもつメルカプタン類や、オクチルチオグリコレート、チオグリコール酸、ジフエニルスルフイドのような炭素数1〜30の有機硫黄化合物や、四塩化炭素、四臭化炭素、ブロムトリクロルメタンのような炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素や、α−メチルスチレンダイマーのような不飽和基を有する炭化水素類などが含まれる。これらの連鎖移動剤は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。かかる連鎖移動剤は、単量体と混合して使用する方法、初期に一括して仕込む方法、逐次追添する方法、導入速度やその組成を連続的ないしは段階的に変化させる方法などを採用することができる。
〔可塑剤について〕
可塑剤は任意の成分であり、本発明のバインダーには、必要に応じて、可塑剤を添加することができる。
可塑剤としては、例えばジブチルフタレート(フタル酸ジブチル)、ジイソオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、トリクレジルホスフェート、トリエチルシトレート、オクチルアルコール、脂肪酸アミド、ワックス等が挙げられる。
可塑剤は、例えば、ポリマー粒子の形成後であり、後述するアルカリ膨潤の前後で加えることができる。可塑剤を添加する場合、添加量としては、特に規定はないが、通常、(B)100質量部(トナーに(A)を含む場合には、(B)と(A)の合計量100質量部)あたり、30質量部以下である。1〜30質量部が好ましく、2〜20質量部がより好ましい。30質量部を超える場合、粒子が増粘しやすく不安定となるため好ましくない場合がある。
本発明において、ワックスを添加することにより、トナー定着性およびトナーブロッキング性により優れるトナー用バインダーを得ることができる。
ここで、ワックスとしては、一般的に融点が50〜140℃のものが用いられるが、融点が70〜140℃にあるものが好ましい。用いられるワックスは特に限定はないが、例えば、(1)フィッシャー・トロプシュワックス(融点 〜120℃)、ポリエチレンワックス(融点 90℃〜130℃)などの炭化水素系合成ワックス、(2)脂肪酸エステル系ワックス(融点 〜80℃)、(3)ステアリン酸アミド(融点 70〜140℃)で例示する脂肪酸アミド(融点 70〜140℃)、(3)ジヘプタデシルケトン(融点 80℃)で例示するケトン・アミン類、(4)硬化ひまし油(融点 90℃)で例示する水素硬化油、(5)カルナバワックス(融点 80〜86℃)、キャンデリラワックス融点 66〜71℃)などの植物由来ワックス、(6)パラフィンワックス(融点 40〜70℃)、マイクロクリスタリンワックス(融点 60〜90℃)などの石油由来ワックス、(7)モンタンワックスなどの鉱物由来ワックスが挙げることができる。
脂肪酸アミドとしては、例えば、ハイドリンK808(商品名ハイドリンK808、中京油脂株式会社製、メチロール脂肪酸アマイド系、融点110℃)がある。脂肪酸エステル系ワックスとしては、例えば、ノプコート5400(商品名ノプコート5400、サンノプコ社製、脂肪酸エステル系、融点55℃)がある。パラフィンワックスとしては、例えば、セロゾール686(商品名セロゾール686、中京油脂株式会社製、パラフィン系、融点54℃)がある。
これらのワックスの中でも、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル系ワックス、ポリエチレンワックス、カルナバワックスなどが好ましい。
ワックスの含有量は特に規定はないが、(B)100質量部(トナーに(A)を含む場合には、(B)と(A)の合計量100質量部)あたり、20質量部以下である。1〜20質量部が好ましく、5〜15質量部がより好ましい。ワックスの含有量が20質量部を超えるとトナー定着後の表面の光沢が低下したり、トナーが脆くなって傷ついたり破壊されたりする場合がある。
上記のように、ワックスを含む本発明のトナー用バインダーは、フローテスター測定において、非常にシャープな熱溶融特性と溶融温度の低下を示す。これは、ワックスの添加により、結晶性が増してシャープメルト性に優れたものとなり、定着時の加熱により速やかに融解して結着樹脂をよりすばやく軟化させることができるため、トナーの低温定着性を向上させることができる。これは、例えば、高速印刷時におけるトナー定着性を非常に向上させる。
<(3)アルカリ膨潤について>
このようにして得られたアルカリ膨潤性のポリマー粒子は、コア−シェル状の樹脂粒子であって、塩基によって中和する前は空隙(内孔)をほとんど有さないが、このポリマー粒子を塩基による中和によって膨潤させることによって空隙(内孔)を有する(B)となる。
空隙(内孔)を有する(B)は、分散体(エマルジョン)の状態で得られ、必要に応じて(B)を分離して乾燥させることにより、粉末状の(B)を得ることができる。
乾燥前においては、上記内孔を有する(B)は、通常、内孔に水が存在した状態をなしており、乾燥によって空隙(内孔)の水が除去される。
ポリマー粒子を乾燥させて粉末状のポリマー粒子を得る方法としては、一般に行われているエマルジョンの粉末化法を用いることができ、例えば噴霧乾燥法(135〜155℃)、熱風乾燥機を用いたトレイ乾燥法(50〜70℃)および流動床乾燥法(常温〜70℃)などを用いることができる。
コアおよびシェルを含む多段ポリマー(ポリマー粒子)は、コアを膨潤させることができる塩基にそれらの粒子が処された場合に膨潤し、(B)が形成される。コアの膨潤、すなわち、膨張は、シェル内周の細孔へのコア外周の部分的統合並びに/またはシェルおよび粒子全体の部分的拡大もしくは膨張を含み得る。適切な膨潤剤は、多段エマルジョンポリマー(ポリマー粒子)の存在下で、シェルに浸透してコアを膨潤させる塩基である。塩基には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムのアルカリ性化合物を挙げることができる。また、水酸化アンモニウムなどの揮発性塩基も用いることができる。
これらの塩基(アルカリ性化合物)の使用量は、通常、水性媒体である水のpHが7.0〜11.5、好ましくは8.0〜11.0となる量である。
また、アルカリ処理時の温度は、通常、20℃〜100℃、好ましくは30〜90℃、アルカリ処理時間は、通常、0.5〜24時間、好ましくは1.0〜12時間である。
本発明に係る適用可能な(B)は、以上のほか、酸性基含有単量体及びこれと共重合可能な単量体を用いて、例えば、特公平7−21011号公報、特許第3601215号公報、特公平7−35448号公報、特開第3465826号公報等に記載されている方法を参考に製造することができる。
(B)の製造の際に用いられる媒体は、特に規定はないが、製造後、乾燥前に水性分散体として得られるという観点から、水性媒体が好ましい。水性媒体としては、例えば、水やアルコールなどがあるが、水が好ましい。重合反応の回数は、特に規定はなく、一段の重合でも、多段の重合でも良い。反応温度や反応時間も、特に規定はなく、適宜調整して行うことができる。例えば、40〜90℃で1〜4時間の反応を、2〜3回行うことができる。また、アルカリ膨潤の反応温度や反応時間も、特に規定はなく、適宜調整して行うことができる。例えば、20〜100℃で1〜24時間で行うことができる。
〔(A)樹脂粒子について〕
(A)樹脂粒子は任意の成分であり、(B)を含むトナーを製造する際に添加することができる。もちろん、トナーを作る際、予め(B)と可塑剤を混合することもできる。
(A)上記(B)中空樹脂粒子以外の樹脂粒子について、説明する。
(A)は、上記(B)以外の樹脂粒子であることから、実質的に空隙を有さない樹脂粒子である。これは、密実粒子と呼ばれる場合がある。(A)は、バインダーとして使用できるものであれば、特に規定はなく、例えば、単量体から乳化重合して製造した樹脂粒子でも、樹脂を粉砕して粒子状にした樹脂粒子でも良い。また、(A)は、コア/シェル型でもよい。
<(A):ガラス転移温度(Tg)>
(A)のガラス転移温度(Tg)は、特に規定はないが、−60℃以上90℃未満のものを用いることができる。−50℃〜80℃が好ましく。−60℃未満の場合には、トナーとして使用した際に、印刷物に粘着性が生じたり、トナー同士がブロッキングを起こし保存性が劣る場合がある。一方、90℃を超えた場合には、トナーとして使用した際に、熱定着性が小さくなる場合がある。ガラス転移温度(Tg)の測定方法は、特に規定はないが、例えば、示差走査熱量計を用いて、ASTM法に準じて、測定できる。
<(A):平均粒子径>
(A)の平均粒子径は、特に規定はないが、20nm〜1μmのものを用いることができる。30nm〜500nmが好ましく、50nm〜400nmがさらに好ましい。20nm未満の場合には、製造が困難な場合がある。また、一方、1μmを超える場合には、製造工程が増え、生産性が落ちる場合がある。また、粒子が大きすぎるため、印刷物の解像度が低下する場合がある。平均粒子径の測定方法は、特に規定はないが、例えば、光散乱回折粒径測定装置(粒度分布測定装置)を用いて、重量平均粒子径として、測定できる。
<(A)の重量平均分子量>
(A)の重量平均分子量は、特に規定はないが、5,000〜300,000のものを用いることができる。7000〜200000が好ましく、10000〜100000がさらに好ましい。この範囲内であれば、上記作用を有効に発揮する。ここで、(A)は、重量平均分子量が5,000未満の場合には、高温オフセット性が劣る場合があり、一方、300,000を超える場合には、低温定着性が劣る場合がある。重量平均分子量が高い場合には、相対的に溶融温度が高くなるため、本発明には不適の傾向にはある。しかしながら、接着性が良好であればトナーとして使用可能であり、その点では、上限を限定するのは難しい。重量平均分子量の測定方法は、特に規定はないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定装置を用いて、標準ポリスチレンにより換算して求めることができる。
次に、(A)の製造方法について、説明する。
(A)は、単量体から乳化重合して製造することができる。これらは、水性媒体を用いて製造した場合、その後、水性分散体のままで用いても良いし、乾燥して用いても良い。
(A)を形成する単量体としては、以下のものが使用できる。
本発明に用いる重合性単量体の主成分としてモノビニル系単量体を挙げることができる。この重合性単量体が重合され、着色重合体粒子を構成する結着樹脂となる。モノビニル系単量体の具体例としては、スチレン、4−メチルスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル(ブチルアクリレート)、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸メチル(メチルメタクリレート)、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルなどの不飽和カルボン酸エステル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド等の不飽和カルボン酸の誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン等のエチレン性不飽和モノオレフィン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル;ビニルメチルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン系単量体;2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン等の含窒素ビニル単量体;等のモノビニル系単量体のほか、1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロル−1,3−ブタジエン、1−クロル−1,3−ブタジエン等の脂肪族共役ジエン化合物などが挙げられる。これらの単量体は、単独で用いてもよいし、複数の単量体を組み合わせて用いてもよい。これらの単量体のうち、スチレン系単量体、不飽和カルボン酸単量体、不飽和カルボン酸エステル、不飽和カルボン酸の誘導体などが好ましく、特にスチレン系単量体と(エチレン性)不飽和カルボン酸エステルが好適に用いられる。
また、上記の内容によれば、(A)は、例えば、スチレン/(メタ)アクリル酸エステル、スチレン/ブタジエンバインダー樹脂及び、これらの混合物でもよい。
これらのモノビニル系単量体とともに任意の架橋性モノマーを重合性単量体として用いると、定着性、特にオフセット性が向上する。架橋性モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの誘導体等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等の多官能エチレン性不飽和カルボン酸エステル;N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル;3個以上のビニル基を有する化合物;等を挙げることができる。これらの架橋性モノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。本発明では、架橋性モノマーを、モノビニル系単量体100質量部に対して、通常、0.05〜15質量部、好ましくは0.1〜10質量部の割合で用いることが望ましい。
乳化重合に用いられる乳化剤、分子量調整剤、重合開始剤及び、可塑剤は、上記(B)と同じものを使用できる。
(A)の製造の際に用いられる媒体は、特に規定はないが、製造後、乾燥前に水性分散体として得られるという観点から、水性媒体が好ましい。水性媒体としては、例えば、水やアルコールなどがあるが、水が好ましい。重合反応の回数は、特に規定はなく、一段の重合でも、多段の重合でも良い。反応温度や反応時間も、特に規定はなく、適宜調整して行うことができる。例えば、40〜85℃で1〜24時間の反応を、2〜3回行うことができる。
また、(A)は、樹脂を粉砕して粒子状にした樹脂粒子を用いることができる。
例えば、本発明において、(A)を粉砕法で得るには、その製法は特に限定されない。例えば、(A)の原料となる樹脂ペレットを均一混合した後に溶融混練して得られた混練物を冷却後、ジェットミル等にて粉砕し、流動性改質剤等を外添する、という粉砕法を用いることができる。
〔(A)を含むトナーについて〕
(A)樹脂粒子は任意の成分であり、(B)を含むトナーを製造する際に添加することができる。
(B)に対する(A)の割合は特に規定はない。例えば、(B)と(A)の割合は、(B)が3〜100質量%、(A)が97〜0質量%、であり、好ましくは、(B)が5〜100質量%、(A)が95〜0質量%である。(B)が3質量%未満の場合、樹脂粒子の熱量が増加し、低温定着性が悪くなり、好ましくない場合がある。
トナーを作る際に(A)を添加することが予定されていれば、予め(B)と(A)を混合することもできる。(B)に対して(A)を加える方法は特に規定はない。
本発明のトナーは、上記の(B)と(A)とを、それぞれ、乳化重合にて製造し、その水性分散体を乾燥して用いることができる。
また、(B)と(A)は、それぞれ水性媒体で乳化重合にて製造し、乾燥工程を経ない水性分散体として用いることができる。すなわち、(B)を水性媒体で乳化重合にて製造してなるし、乾燥工程を経ない水性分散体と、(A)を水性媒体で乳化重合にて製造してなる、乾燥工程を経ない水性分散体、とを混合し、トナーを作る際の中間体を調整することができる。
また、(B)に対して(A)を添加する場合、(B)と(A)の乾燥物を混ぜても使用でき、さらに(B)または(A)の乾燥物を、(A)または(B)の水性分散体に混合してもよい(いわゆる、再分散)。
上記の調製方法より、(B)及び(A)を含有する水性分散体を調製することができる。これは、トナーを作る際の中間体中に、(B)及び(A)が水性分散体として存在するものである。
より生産性が向上するという点から、(B)と(A)は、それぞれ水などの水性媒体で乳化重合にて製造し、乾燥工程を経ない水性分散体同士を混合することが好ましい。また、混合した水性分散体は、必要に応じて添加剤を入れた後、乾燥することもできる。
なお、水性媒体としては、例えば、水、アルコール等の親水性媒体などを挙げることができる。水の含有量が多い媒体が好ましく、水のみがより好ましい。
〔本発明に係るトナー用バインダーを含むトナーについて〕
本発明のトナーは、バインダーとして、(B)を含有する。トナーには、一般にトナーに用いる添加剤を使用できるが、少なくとも、着色剤を含む。また、必要に応じて、(A)を添加することができる。
〔着色剤について〕
着色剤は、一般にトナー用の着色剤として周知の染料や顔料を使用することができる。黒色着色剤として、カーボンブラック、ニグロシンベースの染顔料類;コバルト、ニッケル、四三酸化鉄、酸化鉄マンガン、酸化鉄亜鉛、酸化鉄ニッケル等の磁性粒子;などを挙げることができる。カーボンブラックを用いる場合、一次粒径が20〜40nmであるものを用いると良好な画質が得られ、またトナーの環境への安全性も高まるので好ましい。カラートナー用の着色剤は、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、シアン着色剤などがある。イエロー着色剤としては、アゾ系顔料、縮合多環系顔料等の化合物が用いられる。具体的にはC.I.ピグメントイエロー3、12、13、14、15、17、62、65、73、83、90、93、97、120、138、155、180及び181等が挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、アゾ系顔料、縮合多環系顔料等の化合物が用いられる。具体的にはC.I.ピグメントレッド48、57、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、149、163、170、184、185、187、202、206、207、209、251、C.I.ピグメントバイオレット19、等が挙げられる。シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物等が利用できる。具体的にはC.I.ピグメントブルー2、3、6、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、17、及び60等が挙げられる。これら着色剤は、(B)100質量部(トナーに(A)を含む場合には、(B)と(A)の合計量100質量部)に対して、通常、0.1〜50質量部、好ましくは1〜20質量部の割合で用いられる。
〔その他の添加剤について〕
帯電制御剤として、各種の正帯電性又は負帯電性の帯電制御剤を用いることが可能である。例えば、カルボキシル基または含窒素基を有する有機化合物の金属錯体、含金属染料、ニグロシン等が挙げられる。より具体的には、スピロンブラックTRH(保土ヶ谷化学社製)、T−77(保土ヶ谷化学社製)、ボントロンS−34(オリエント化学社製)ボントロンE−84(オリエント化学社製)、ボントロンN−01(オリエント化学社製
)、コピーブルー−PR(クラリアント社製)等の帯電制御剤及び/または4級アンモニウム(塩)基含有共重合体、スルホン酸(塩)基含有共重合体等の帯電制御樹脂を用いることができる。上記帯電制御剤は、(B)100質量部(トナーに(A)を含む場合には、(B)と(A)の合計量100質量部)に対して、通常0.01〜10質量部、特に0.03〜8質量部用いることが好ましい。
〔本発明のトナーの一般的な製造方法〕
本発明のトナーの製造方法は、特に規定はなく、一般的な方法により製造できる。
例えば、本発明のトナー用バインダー、着色剤、及び必要に応じて帯電制御剤や(A)を含有するトナー材料混合物をオープンロール型の混練機を用いて混練し、次に、混練で得られた樹脂混練物を溶融させて繊維状に加工する繊維し、さらに、繊維化工程で繊維状に加工した樹脂混練物を粉砕して製造することができる。
次に、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下において、「%」とは、特別な記載がない場合、「質量%」を示し、また、表中の数値は、特別な記載がない場合、「質量部」を示す。
本実施例では、以下の方法により、樹脂粒子の性状を測定した。
(1)A及び、Bのシード粒子(B11を除く)の重量平均粒子径
重量平均粒子径は、光散乱回折粒径測定装置(粒度分布測定装置「コールターカウンター・マルチサイザーII」、ベックマン−コールター社製)により測定した。単位は、nmである。
(2)B11のシード粒子の重量平均粒子径
大塚電子社製の粒子径測定装置「LPA−3100(商品名)」を用いて測定した。単位は、nmである。
(3)A及びBの数平均粒子径
図1に例示したように、透過型電子顕微鏡(「H−7650」、日立ハイテクノロジーズ社製)によって観察された粒子の径のうち、最も長い値を粒子径として測定した。観察視野中に存在する測定可能な粒子のうち、視野全面の中心点から各粒子の中心点までの距離が近いものから10個の粒子を選択し、各粒子の粒子径の平均値を算出した。単位は、nmである。
(4)Bの空隙の内孔径
内孔径とは図1で観察された粒子の黒く映し出された中空粒子の殻の内側の径のうち、最も長い値を内孔径として測定した。
(5)Bの空隙率
空隙率とは、体積の総量に対する空隙が占める割合をいう。
透過型電子顕微鏡(「H−7650」、日立ハイテクノロジーズ社製)によって観察された粒子を任意に10個選択し、これらの粒子について、下記の式によって「体積の総量に対する空隙が占める割合」を算出した。単位は、%である。
式:(空隙径/粒子最長径)×100%
空隙径とは、上記電子顕微鏡で観察した際に確認される最も大きい空隙の径のことである。
粒子最長径とは、上記電子顕微鏡で観察した粒子の径のうち、最も長い粒子径のことである。
(6)ガラス転移温度(Tg)
AまたはBを40℃で3日間乾燥し、フィルムを作製した。この乾燥させたフィルムを示差走査熱量計(DSC6100:セイコーインスツルメンツ社製)を用いて、ASTM法に準じて、ガラス転移温度(Tg)を測定した。単位は、℃である。
(7)単位体積あたりの熱量
示差走査熱量計(DSC6100:セイコーインスツルメンツ社製)を用いて、ASTM法に準じて、微分示差熱量曲線を測定した。この微分示差熱量曲線(mW/mg/min)から求めた吸熱量の値と、の空隙を差し引いた樹脂部分の体積との積(J/cm)を求め、この値の逆数(熱量)により、単位体積当たりの熱量を求めた。単位は、J/cmである。
(8)重量平均分子量
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定装置「LC Module 1 plus」(Waters社製)を用いて、標準ポリスチレンにより換算されたものである。
製造例1〔「A」(A1〜A8)の製造方法〕
「A」の組成と性状は、表1に示した。下記の製造例では、「A」は、全て、水性分散体として得た。
(A1の製造方法)
攪拌機を備え、温度調節の可能なオートクレーブ中に、水120部、ドデシルベンゼンスルホン酸0.2部、過硫酸ナトリウム0.8部を仕込み、65℃まで昇温させた。
次に、予め作製した乳化液(水50部、ドデシルベンゼンスルホン酸1.1部、スチレン83.5部、ブチルアクリレート14.5部、アクリル酸2.0部、t−ドデシルメルカプタン4.0部)を、75℃で4時間連続添加して反応させた。4時間後の重合転化率が、90%以上であることを確認した。
その後、2時間にわたって80℃で重合反応を継続し、ラテックス(A1)を得た。最終的な重合転化率は、99%であった。
(A2〜A5、A8の製造方法)
モノマー組成を表1としたこと及び、ドデシルベンゼンスルホン酸のオートクレーブ仕込み量を0.2部とし、その他を乳化液に入れたこと、以外はラテックスA1と同様に重合した。
(A7の製造方法)
A1と同様に重合し、重合終了後、フタル酸ジブチル10部を常温で添加した。
(A6の製造方法)
攪拌機を備え、温度調節の可能なオートクレーブ中に、水200部、ドデシルベンゼンスルホン酸0.4部、過硫酸ナトリウム1.5部、1,3−ブタジエン5.5部、スチレン1.5部、アクリロニトリル2.0、メチルメタクリレート0.7部、イタコン酸0.5部、アクリル酸0.5部及びt−ドデシルメルカプタン0.4部、αメチルスチレンダイマー1部を一括して仕込み、60℃で2時間反応させた。2時間後の重合転化率が、70%以上であることを確認した(1段目の重合反応)。
その後、2段目の重合反応として、単量体成分として、1,3−ブタジエン49.5部、スチレン13.5部、アクリロニトリル18部、メチルメタクリレート6.3部、イタコン酸1.5部及びアクリル酸0.5部を、7時間にわたって連続的に添加しながら70℃で重合反応を継続した。連続添加終了後、更に70℃で2時間反応させ、ラテックス(A6)を得た。最終的な重合転化率は、99%であった。
製造例2〔「B」の製造方法〕
「B」の組成と性状は、表2に示した。表2中、(*)は、B1と比して、水酸化アンモニウム処理条件が異なることを意味する(後述、参照)。下記の製造例では、「B」は、全て、水性分散体として得た。
(B1の製造方法)
<シード粒子(i)の調製>
セパラブルフラスコ(反応容器)に、予め、媒体として水172部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(商品名「F65」:花王社製)0.05部、重合開始剤として過硫酸ナトリウム0.5部を投入した。別の容器で、メタクリル酸メチル80部、メタクリル酸20部、分子量調整剤としてオクチルチオグリコレート4部、乳化剤(商品名「F65」:花王社製)0.1部及び水40部を混合攪拌して、モノマー混合物の水性分散体を調製した。
このモノマー混合物の水性分散体の全質量の20%を上記反応容器に投入し、反応容器内の液を攪拌しながら温度75℃まで昇温して1時間重合反応を行いた。その後、温度を75℃に保ちながら残りのモノマー混合物の水性分散体(全質量の80%)を連続的に3時間かけて反応容器に添加した。連続添加終了後、更に85℃で2時間反応させ、重量平均粒子径240nmのシード粒子(i)の水性分散体を得た。最終的な重合転化率は、99%であった。
<シード粒子(ii)の調製>
次に、攪拌機を備え、温度調節の可能なオートクレーブ(反応容器)中に、水225部、上記シード粒子(i)を8部、重合開始剤として過硫酸ナトリウム0.5部を投入した。別の容器で、メタクリル酸メチル80部、メタクリル酸20部を混合攪拌してモノマー混合物の水性分散体を調製した。
このモノマー混合物を反応容器内の液を攪拌しながら温度75℃まで昇温した後、温度を75℃に保ちながら3時間かけて反応容器に添加した。連続添加終了後、更に85℃で2時間反応させ、重量平均粒子径505nmのシード粒子(ii)の水性分散体を得た。最終的な重合転嫁率は99%であった。
<ポリマー粒子(iv)及び、(B)の調製>
次に、容量2リットルの反応容器に、予め、媒体として水240部を投入し、上記ポリマー粒子(ii)の水性分散体を固形分換算で20部、重合開始剤として過硫酸ナトリウム0.5部を投入した。別の容器で、スチレン99.5部、アクリル酸0.5部、乳化剤(商品名「F65」:花王社製)0.3部及び水40部を混合攪拌して、モノマーの水性分散体を調製した。
次に、反応容器内の液を攪拌しながら温度75℃まで昇温した後、反応容器内の液を攪拌しながら75℃に保持して上記モノマーの水性分散体を反応容器に連続的に3時間かけて投入し反応容器に添加し、連続添加終了後、更に85℃で2時間反応させ、ポリマー粒子(iv)を得た。最終的な重合転嫁率は99%であった。
次に、反応容器内の液を攪拌し、温度を85℃に保ちながら6%水酸化アンモニウムを1.3部一括投入した。そして、温度を90℃に上げ、2時間攪拌して熟成し、数平均粒子径1050nmのB1を得た。
(B3の製造方法)
6%水酸化アンモニウムを0.6部とした以外は、B1と同様に調製し、B3を得た。
(B4の製造方法)
シード粒子(ii)の調製を行わないこと及び、ポリマー粒子(iv)の調製にシード粒子(i)を用いたこと以外は、B1と同様に調製し、B4を得た。
(B5の製造方法)
シード粒子(i)の乳化剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)の添加量を0.2部とした以外は、B4と同様に調製し、B5を得た。
(B6、B7、B8の製造方法)
ポリマー粒子(iv)で用いるモノマー組成を表2に示したとおりにした以外は、B4と同様に調製し、B6、B7、B8を得た。
(B9の製造方法)
ポリマー粒子(iv)を調製後、水酸化アンモニウム処理をする前に、常温で、フタル酸ジブチルを10部添加し、10分攪拌した以外は、B4と同様に調製し、B9を得た。
(B10の製造方法)
常温で、水酸化アンモニウムを添加した以外は、B1と同様に調製し、B10を得た。
試験例〔トナーによる評価について〕
「B」及び「A」を用いて、トナーを製造し、そのトナーの評価を行った。トナー中の「B」及び「A」の種類と割合及び、評価結果を、表3及び表4に示す。
(トナー用バインダーの調製について)
上記で製造した「B」の水性分散体と「A」の水性分散体を、表3及び表4の割合に従い、混合し、十分に攪拌して、トナー用バインダーを調製した。それぞれのトナー用バインダーを後述の方法により添加したトナーを、実施例1〜9,11〜17、及び比較例1〜3とした。
(トナーの製造方法)
<顔料分散液の作製>
予め、300mlのガラスビーカーに水100部、青色顔料(大日精化製、ブルーNo.26)20部、乳化剤(30%ドデシルベンゼンスルホン酸)1.5部、分散剤(ジョンソンポリマー製、ジョンンクリル6030)5.0部を仕込んだ。この反応溶液を、超音波分散機社(SMT社製)を用いて、機器の出力4で5分間分散し、顔料分散液を得た。
<トナー液の作製>
次に、予めセパラブルフラスコに、上記顔料分散液6.5部、バインダー樹脂68.2部、ワックス(東邦化学社製、ハイテックE9015)8.2部、水150部を仕込んだ。この反応溶液を、50℃で10分攪拌し、その後、攪拌しながら1%硫酸アルミニウム1.2部を10分間かけて添加し、さらに50℃に温度を保ちながら30分攪拌した。次に、上記で調製したバインダーを17.1部添加して、50℃に温度を保ちながら30分攪拌した。さらに95℃で3時間熟成を行った後、トナー液のPHが7.0となるように1%水酸化ナトリウムを添加して、トナー液を得た。
このトナー液を遠心分離機を用い4000rpmで15分の条件で3回にわたり水洗いした。洗浄後のトナー液を、最終的に、トナー液の固形分が30%になるよう調製し、トナー液を得た。
(トナーの評価方法)
<トナー塗工体の作製>
上記で得たトナー液を、コピー用紙にワイヤーバーで10g/mとなるよう塗工し、常温で1日乾燥させ、トナー塗工体を得た。
<トナー定着温度、定着濃度>
上記で得たトナー塗工体を、グロスカレンダー(由利ロール社製)の圧力0.5MPa、圧着速度3m/mimの条件で80℃〜130℃の温度範囲で圧着した後、メンディングテープ(コクヨ製)をトナー面に貼り付け、ゆっくり剥がした。このメンディングテープで剥がした部分(a)と、そうでないベタ部分(b)の濃度をマクベス濃度計で測定し、a/b×100=90%でトナーが定着したと判断した。80℃〜130℃の温度範囲で、定着したときの温度を、定着温度(℃)とした。また、定着した温度でのマクベス濃度を、定着濃度とした。
表3及び表4に示すとおり、比較例1〜3と比較して、実施例1〜9,11〜17では、定着温度が低く、定着濃度が良好であった。
比較例1は、「B」を用いない例である。比較例2は、比較的、ガラス転移温度が高いA8を用いた例である。比較例3は、空隙率が0%であるB10を用いた例である。
(B11(中空樹脂粒子)の製造方法)
B11の組成と性状は、表5に示した。下記の製造例では、B11は水性分散体として得た。
<シード粒子(i)の調製>
上記B1と同様に調整し、体積平均粒子径220nmのシード粒子(i)の水性分散体を得た。最終的な重合転嫁率は99%であった。
<ポリマー粒子(iv)及び、(B)の調整>
次に、容量2リットルの反応容器に、予め、媒体として水240部を投入し、上記ポリマー粒子(i)の水性分散体を固形分換算で10部、重合開始剤として過硫酸ナトリウム0.5部を投入した。別の容器で、スチレン83.5部、2−エチルヘキシルアクリレート14.5部、メタクリル酸2部、水40部を混合攪拌して、モノマーの水性分散体を調製した。
次に、反応容器内の液を攪拌しながら温度75℃まで昇温した後、反応容器内の液を攪拌しながら75℃に保持して上記モノマーの水性分散体を反応容器に連続的に3時間かけて投入し反応容器に添加し、連続添加終了後、更に85℃で2時間反応させ、ポリマー粒子(iv)を得た。最終的な重合転嫁率は99%であった。
次に、反応容器内の液を攪拌し、温度を85℃に保ちながら6%水酸化アンモニウムを0.7部一括投入した。そして、温度を90℃に上げ、2時間攪拌して熟成し、平均粒子径460nmのB11を得た。
(A9((B)中空樹脂粒子以外の樹脂粒子)の製造方法)
A9の組成と性状は、表5に示した。下記の製造例では、A9は水性分散体として得た。
攪拌機を備え、温度調節の可能なオートクレーブ中に、水120部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2部、過硫酸ナトリウム0.5部を仕込み、65℃まで昇温させた。
次に、予め作製した乳化液(水50部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.3部、スチレン80部、ブチルアクリレート18部、メタクリル酸2部、t−ドデシルメルカプタン1.5部)を、75℃で4時間連続添加して反応させた。4時間後の重合転化率が、90%以上であることを確認した。
その後、2時間にわたって80℃で重合反応を継続し、重合終了後、常温に冷却した後、6%水酸化アンモニウムを添加して、ラテックス(A9)を得た。最終的な重合転化率は、99%であった。
〔ワックス(可塑剤)添加について〕
(実施例18〜22、比較例4〜6)
B11とA9を表6に示した割合(質量部)で混合した後、次いで、B11とA9との合計量100質量部に対して、表6に示したワックス10質量部で添加・混合し、実施例18〜22、比較例4〜6(トナー用バインダー)を得た。
ワックスの種類は以下のとおりである。
1・・・商品名:ハイドリンK808(中京油脂株式会社製)、メチロール脂肪酸アマイド系、融点110℃
2・・・商品名:ノプコート5400(サンノプコ社製)、脂肪酸エステル系、融点55℃
3・・・商品名:セロゾール686(中京油脂株式会社製)、パラフィン系、融点54℃
(フローテスター測定について)
フローテスターにより求められるT1/2溶融温度やT1/2から−2mmまでの傾きは、トナーの定着温度や特性を推測する上での代用特性(指標)として慣用的に用いる。
それぞれの実施例及び比較例について、フローテスター(商品名CFT−500D、島津製作所社製)で測定した。これにより、試験温度(℃)[X軸]−ストローク(nm)[Y軸]のチャートを得た。
図2について説明する。B地点Tsは、樹脂の軟化温度を示し、まだ溶融していない状態である。C地点(Smin)Tfbは、樹脂の流出開始温度である。また、E地点Tendは、フローテスターに挿入するピストン中に仕込だ樹脂が全て流れ出た終了温度である。
図3について説明する。得られたチャートの流動曲線から、流出終了点Smaxと最低点Sminの差の1/2を求め((X=(Smax−Smin)/2)、XとSminを加えた点Aの位置における温度を求めることにより、「T1/2溶融温度(℃)」及び「T1/2から−2mmまでの傾き」を得た。得られた結果を表6に示した。
表6に示したとおり、実施例18〜22は、比較例4〜6と比して、溶融温度(T1/2溶融温度(℃))が低く、流れ出しから終了までの傾斜(T1/2から−2mmまでの傾き)がシャープであった。これは、実施例18〜22は、比較例4〜6と比して、トナー定着性が良好であることを示している。
本発明のトナー用バインダーは、トナー定着後の印刷濃度が高く、低温定着性に優れることにより高速印刷にも適し、消費電力の低減が可能なトナーの材料として利用可能である。

Claims (11)

  1. (B)粒子内部に少なくとも1つの空隙が形成されている数平均粒子径が100〜1500nmである中空樹脂粒子からなるトナー用バインダー。
  2. 上記(B)中空樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)が、50℃以上である請求項1記載のトナー用バインダー。
  3. 上記(B)中空樹脂粒子の粒子一個当たりの空隙率が、10%〜75%である請求項1又は2記載のトナー用バインダー。
  4. (B)中空樹脂粒子の空隙の内孔径が1.1μm以下であることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載のトナー用バインダー。
  5. 上記(B)中空樹脂粒子の示差走査熱量(DSC)測定における単位体積当たりの熱量が、0.7J/cm以下である請求項1から4いずれか1項記載のトナー用バインダー。
  6. さらに、可塑剤を含む請求項1から5いずれか1項記載のトナー用バインダー。
  7. さらに、ワックスを含む、請求項1から6いずれか1項記載のトナー用バインダー。
  8. ワックスが、炭化水素系合成ワックス、脂肪酸アミドおよび脂肪酸エステルから選ばれることを特徴とする請求項7記載のトナー用バインダー。
  9. ワックスの融点が50〜140℃である請求項7または8いずれか1項記載のトナー用バインダー。
  10. 請求項1〜9いずれか1項記載のトナー用バインダーと、着色剤とを含むトナー。
  11. さらに、(A)上記(B)中空樹脂粒子以外の樹脂粒子を含む請求項10記載のトナー。
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