JPWO2011052554A1 - 新規5−フルオロウラシル誘導体 - Google Patents

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Abstract

本発明は、抗腫瘍効果と毒性とのバランスに優れた新規代謝拮抗抗癌剤を提供することを目的とする。本発明は、一般式(I)
Figure 2011052554

[式中、式中、Rは水素原子又は水酸基の保護基を示す。Rは低級アルコキシ低級アルキル基又はテトラハイドロフラニル基を示す。Xは炭素原子又は窒素原子を示す。Yはハロゲン原子又はシアノ基を示す。]
で表される5−フルオロウラシル誘導体又はその塩、及び当該5−フルオロウラシル誘導体又はその塩を有効成分として含有する医薬を提供する。

Description

[関連出願の相互参照]
本出願は、2009年10月27日に出願された、日本国特許出願第2009−246400号明細書(その開示全体が参照により本明細書中に援用される)に基づく優先権を主張する。
本発明は、新規な5−フルオロウラシル誘導体又はその塩、及びその用途に関する。
5−フルオロウラシル(以下、5−FU)は消化器癌を中心として様々な癌の治療に単剤又は他の抗ガン剤との併用で幅広く使われている。しかしながら5−FUそのものの抗腫瘍効果は弱くまた下痢、口内炎といった消化器毒性や骨髄抑制等を含む様々な副作用が出現し、必ずしも癌患者に対して使い易い薬剤とは言い難い。これらの問題を解決すべく種々の経口5−FU誘導体が開発されているが、臨床効果は充分ではない。その原因としては、5−FUが生体内で、特に肝臓や腫瘍組織に含まれるジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ(以下、DPD)によって速やかに分解されるため投与量の割に抗腫瘍効果が悪いこと、5−FUが癌細胞のみでなく骨髄細胞や消化管粘膜細胞といった正常細胞にも取り込まれてオロテートホスホリボシルトランスフェレース(以下、OPRT)によって活性代謝物になり、細胞障害即ち毒性を示すために抗腫瘍効果と副作用のバランスが悪い事が挙げられる。
例えば、5−FUの誘導体として、DPD阻害活性と抗腫瘍活性を有する化合物が報告されており(特許文献1〜3参照)、これらのうち、特許文献2にて具体的に記載されている下記化合物(1)は一般名エミテフール(BOF−A2とも言う)として公知な化合物であり、臨床試験まで実施されたものであるが、副作用が強いため開発中止となっている。
Figure 2011052554
この様に生体内での5−FUの分解を抑制して抗腫瘍効果を増強させかつ副作用を軽減する作用を有する5−FU誘導体は現状では開発されていないため、抗腫瘍効果増強と低毒性を併せ持つ新規な5−FU誘導体の開発が癌患者の治療向上のために必要であると言える。
以上のように、これまで一つの化合物にてDPD阻害活性とOPRT阻害活性の両阻害活性に加えて抗腫瘍活性を示す誘導体の報告はなく、それ故ヒト腫瘍に対して強い抗腫瘍効果と消化管障害の軽減を両立させた効果と毒性のバランスがとれ、癌患者のQOLを高める薬剤の開発が求められている。
特開昭63−201127号公報 特開昭63−301880号公報 国際公開公報WO87/06582
本発明は、生体内でDPD阻害作用を有すると共に、OPRT阻害作用を有することで、腫瘍細胞に対して強い抗腫瘍効果と消化管障害の軽減とを両立させた、すなわち効果と毒性とのバランスに優れた新規代謝拮抗抗癌剤を提供することを目的とする。
本発明者らは前記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、下記一般式(I)で表される5−フルオロウラシル誘導体(以下、単に本発明化合物(I)と記載することもある)又はその塩が、既存の5−FU誘導体に比較して、(1)DPD阻害作用を有すること、及び(2)OPRT阻害作用を有すること、さらに(3)その結果、強い抗腫瘍効果と消化管障害の軽減とを両立させた、すなわち効果と毒性とのバランスに優れていることを見出した。
本発明は、このような知見に基づき完成されたものである。
すなわち、本発明は、以下の項を提供する:
項1.一般式(I)
Figure 2011052554
[式中、Rは水素原子又は水酸基の保護基を示す。Rは低級アルコキシ低級アルキル基又はテトラハイドロフラニル基を示す。Xは炭素原子又は窒素原子を示す。Yはハロゲン原子又はシアノ基を示す。]
で表される5−フルオロウラシル誘導体又はその塩。
項2.一般式(I)における基
Figure 2011052554
が、基
Figure 2011052554
[Rは水素原子、アリル基、又は置換基を有していてもよいベンジル基を示す。]、
Figure 2011052554
Figure 2011052554
[Rは水素原子、アリル基、又は置換基を有していてもよいベンジル基を示す。]、又は
Figure 2011052554
を示す、項1に記載の5−フルオロウラシル誘導体又はその塩。
項3.Rは水素原子、アリル基、ベンジル基、脂肪族アシル基、芳香族アシル基又は脂環式アシル基を示し、Rは低級アルコキシ部分の炭素数が1〜6である低級アルコキシメチル基又はテトラハイドロフラニル基を示し、Xは炭素原子又は窒素原子を示し、かつYはフッ素原子又は塩素原子を示す、項1又は2に記載の5−フルオロウラシル誘導体又はその塩。
項4.Rは水素原子、ベンジル基、アセチル基、プロピオニル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、p−クロロベンゾイル基又はシクロペンタンカルボニル基を示し、Rは低級アルコキシ部分の炭素数が1〜6である低級アルコキシ低級メチル基を示し、Xは炭素原子又は窒素原子を示し、かつYはフッ素原子又は塩素原子を示す、項1〜3のいずれか一項に記載の5−フルオロウラシル誘導体又はその塩。
項5.Rは水素原子又はアセチル基を示し、Rは低級アルコキシ部分の炭素数が1〜6である低級アルコキシメチル基を示し、Xは炭素原子又は窒素原子を示し、かつYは塩素原子を示す、項1〜4のいずれか一項に記載の5−フルオロウラシル誘導体又はその塩。
項6.Rは水素原子又はアセチル基を示し、Rは低級アルコキシ部分の炭素数が1〜6である低級アルコキシメチル基を示し、Xは炭素原子を示し、かつYは塩素原子を示す、項1〜5のいずれか一項に記載の5−フルオロウラシル誘導体又はその塩。
項7.Rは水素原子又はアセチル基を示し、Rはエトキシメチル基を示し、Xは炭素原子を示し、かつYは塩素原子を示す、項1〜6のいずれか一項に記載の5−フルオロウラシル誘導体又はその塩。
項8.有効成分として、項1〜7のいずれか一項に記載の5−フルオロウラシル誘導体又はその塩を含有する医薬。
項9.有効成分として、項1〜7のいずれか一項に記載の5−フルオロウラシル誘導体又はその塩を含有する抗腫瘍剤。
項10.抗腫瘍剤の対象である腫瘍が、頭頸部癌、食道癌、胃癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、胆嚢・胆管癌、胆道癌、膵臓癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、子宮体癌、腎癌、膀胱癌、前立腺癌、精巣腫瘍、骨・軟部肉腫、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、皮膚癌、脳腫瘍及び中皮腫からなる群より選択される少なくとも一種である、項9に記載の抗腫瘍剤。
項11.項1〜7のいずれか一項に記載の5−フルオロウラシル誘導体又はその塩の有効量を、癌患者に投与する工程を含む、癌の治療方法。
項12.項1〜7のいずれか一項に記載の5−フルオロウラシル誘導体又はその塩の、抗腫瘍剤を製造するための使用。
本発明化合物(I)又はその塩は、優れた抗腫瘍効果を有するとともに、消化管障害等の副作用が軽減され、抗腫瘍剤として有用である。
本発明化合物を含有する薬剤を投与することにより治療できる疾病としては、例えば悪性腫瘍の場合、頭頸部癌、食道癌、胃癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、胆嚢・胆管癌、胆道癌、膵臓癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、子宮体癌、腎癌、膀胱癌、前立腺癌、精巣腫瘍、骨・軟部肉腫、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、皮膚癌、脳腫瘍、中皮腫等が挙げられる。
本発明は、下記一般式(I)で表される5−フルオロウラシル誘導体又はその塩を対象とするものである:
Figure 2011052554
[式中、Rは水素原子又は水酸基の保護基を示す。Rは低級アルコキシ低級アルキル基又はテトラハイドロフラニル基を示す。Xは炭素原子又は窒素原子を示す。Yはハロゲン原子又はシアノ基を示す。]。
本発明において、上記一般式(I)で表される5−フルオロウラシル誘導体又はその塩には、その互変異性体も含まれる。
具体的には、一般式(I)において対応する基
Figure 2011052554
が、基
Figure 2011052554
[Rは水素原子又は水酸基の保護基を示す。]、
Figure 2011052554
Figure 2011052554
[Rは水素原子又は水酸基の保護基を示す。]、又は
Figure 2011052554
を示す、5−フルオロウラシル誘導体又はその塩が含まれる。
上記一般式(I)において示される各基は、具体的には次の通りである。
一般式(I)中、Rは水素原子又は水酸基の保護基を示す。
で示される水酸基の保護基としては、加水素分解、加水分解、電気分解及び光分解のような化学的方法又は人の生体内で加水分解等の生物学的方法により開裂し得る保護基であればよく、例えば置換基を有してもよい脂肪族アシル基、置換基を有してもよい芳香族アシル基又は脂環式アシル基等のアシル基;低級アルコキシカルボニル基;低級アルキルカルバモイル基;置換基を有してもよい低級アルキル基;低級アルケニル基;置換基を有してもよいアリールアルキル基;シリル保護基;アミノ酸残基等が挙げられる。
脂肪族アシル基としては、例えばホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ペンタノイル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基等の炭素数1〜6の直鎖状又は分枝状のアシル基が、芳香族アシル基としては、ベンゾイル基、α−ナフトイル基、β−ナフトイル基等が挙げられる。また、これらは置換基として、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、カルボキシル基等を1〜3個有してもよい。
脂環式アシル基としては、例えばシクロブタンカルボニル基、シクロペンタンカルボニル基、シクロヘキサンカルボニル基等の炭素数3〜6のシクロアルキルカルボニル基が挙げられる。
低級アルコキシカルボニル基としては、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基等の炭素数2〜7の直鎖状又は分枝状のアルコキシカルボニル基が挙げられる。
低級アルキルカルバモイル基としては、例えばメチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、プロピルカルバモイル基、ブチルカルバモイル基、ペンチルカルバモイル基、ヘキシルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基等の炭素数1〜6の低級アルキル基でモノ又はジ置換されたカルバモイル基が挙げられる。
低級アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基等の炭素数1〜6の直鎖状又は分枝状のアルキル基が挙げられる。また、これらは置換基として、ハロゲン原子、低級アルコキシ基等を1〜3個有してもよく、例えばクロロメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基等の置換アルキル基も挙げられる。
低級アルケニル基としては、例えばエテニル基、アリル基、ブテニル基、ブタジエニル基、ヘキサトリエニル基等の炭素数2〜6の直鎖状又は分枝状のアルケニル基が挙げられる。
アリールアルキル基としては、例えばベンジル基、ベンツヒドリル基、トリチル基等が挙げられる。また、これらは置換基として、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基等を1〜5個、好ましくは1〜3個有してもよい。
シリル保護基としては、例えばトリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、メチルジイソプロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、テトライソプロピルジシロキシル(TIPDS)基、ジフェニルメチルシリル基等が挙げられる。
アミノ酸残基としては、アミノ酸のカルボキシル基から水酸基を除いて形成される基を示し、天然又は合成のアミノ酸のいずれの由来のものでもよく、該アミノ酸としては、例えばグリシン、アラニン、β−アラニン、バリン、イソロイシン等が挙げられるが、特開平1−104093号記載のアミノ酸残基であれば、いずれであってもよい。
ここで、置換基として使用できる低級アルキル基としては前記と同様のものが挙げられる。
低級アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブトキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基等の炭素数1〜6の直鎖状又は分枝状のアルコキシ基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
は低級アルコキシ低級アルキル基又はテトラハイドロフラニル基を示す。
一般式(I)中、Rで示される「低級アルコキシ低級アルキル基」の「低級アルコキシ」部分は、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基等の炭素数1〜6の直鎖状又は分枝状のアルコキシ基が挙げられる。当該低級アルコキシ部分としては、好ましくは炭素数1〜3のアルコキシ基であり、より好ましくはメトキシ基、エトキシ基を挙げることができ、さらに好ましくはエトキシ基を挙げることができる。「低級アルコキシ低級アルキル基」の「低級アルキル基」は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基等の炭素数1〜6の直鎖状又は分枝状のアルキル基が挙げられる。当該低級アルキル部分としては、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基であり、さらに好ましくはメチル基である。
「低級アルコキシ低級アルキル基」としては、上記「低級アルコキシ部分」を有する上記低級アルキル基を挙げることができる。具体的には、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基、3−メトキシプロピル基、4−エトキシブチル基、6−プロポキシヘキシル基、5−イソプロポキシペンチル基、1,1−ジメチル−2−ブトキシエチル基、2−メチル−3−t−ブトキシプロピル基、2−ペンチルオキシエチル基、2−ヘキシルオキシエチル基等のアルコキシアルキル基等を挙げることができ、好ましくはメトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基であり、より好ましくはエトキシメチル基である。
テトラヒドロフラニル基としては、2−テトラヒドロフラニル基及び3−テトラヒドロフラニル基を挙げることができ、好ましくは2−テトラヒドロフラニル基である。
Xは、炭素原子又は窒素原子を示す。
Yは、ハロゲン原子又はシアノ基を示す。一般式(I)中、Yで示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
本発明の特に好ましい実施形態における各基は以下の通りである:
としては、水素原子、アリル基、ベンジル基、脂肪族アシル基、芳香族アシル基又は脂環式アシル基が好ましく、より好ましくは水素原子、ベンジル基、アセチル基、プロピオニル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、p−クロロベンゾイル基、シクロペンタンカルボニル基であり、さらに好ましくは水素原子、アセチル基である。
としては低級アルコキシ部分の炭素数が1〜6である低級アルコキシメチル基又は2−テトラハイドロフラニル基が好ましく、より好ましくは低級アルコキシ部分の炭素数が1〜6である低級アルコキシメチル基であり、さらに好ましくはエトキシメチル基である。
Xとしては炭素原子が好ましい。
Yとしてはフッ素原子又は塩素原子が好ましく、より好ましくは塩素原子である。
以上で説明したR、R、X及びYの好ましい態様は、いずれを組み合わせてもよい。
本発明の一般式(I)で表される5−フルオロウラシル誘導体は、立体異性体、光学異性体、水和物等の溶媒和物及び結晶多形を包含する。
本発明の一般式(I)で表される5−フルオロウラシル誘導体は、塩であってもよく、塩としては薬理学的に許容される塩が好ましい。これらの塩としては、無機酸との塩、有機酸との塩等が挙げられる。
具体的には、無機酸の塩としては、塩酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、リン酸等が例示できる。
有機酸の塩としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等が例示できる。
本発明の化合物は種々の方法により製造され得るが、その一例を示せば、例えば、後記のスキームに従って製造できる。本発明の化合物の合成に必要な原料は市販、又は文献等による製法で容易に製造できる。スキーム中の置換基は一般式(I)において定義されたものと同様である。
Figure 2011052554
[式中、R’はアリル基、又は置換を有していてもよいベンジル基を示す。Rは低級アルコキシ低級アルキル基又はテトラハイドロフラニル基を示す。Yはハロゲン原子又はシアノ基を示す。]
イソニコチン酸誘導体(2)の合成
アリルアルコール、ベンジルアルコール又は置換ベンジルアルコールのナトリウム又はカリウム塩をテトラヒドロフラン、トルエン、ジメチルホルムアミド等の反応に影響を及ぼさない溶媒、好ましくはジメチルホルムアミドに溶解し、当該溶液に室温で2,6−ジクロロイソニコチン酸のナトリウム塩を加える。次に得られた混合物を60〜100℃で2時間〜24時間加熱攪拌する。好ましくは80℃で4時間反応する。その使用量は2,6−ジクロロイソニコチン酸のナトリウム塩に対してアルコラートを2〜10当量、好ましくは4当量を使用する。反応終了後、反応生成物に水を加え、酢酸エチル等の溶媒で振り分けて得た水層のpHを1N−塩酸或いは酢酸で5〜6に調整し、酢酸エチル、酢酸エチル−n−ヘキサンの混合溶媒、トルエン等で抽出する。硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム等で乾燥後、濃縮してアリルオキシ、ベンジルオキシ又は置換ベンジルオキシのイソニコチン酸誘導体(2)(本明細書中において、当該アリルオキシ、ベンジルオキシ又は置換ベンジルオキシのイソニコチン酸誘導体(2)を単にイソニコチン酸誘導体(2)と示すこともある)を得る。
工程1 イソニコチン酸酸クロライド誘導体(3)の合成
イソニコチン酸誘導体(2)をクロロホルム、1,2−ジクロルエタン、トルエン等の反応に影響を及ぼさない溶媒、好ましくはトルエンに溶解し、得られた溶液に、室温で塩化チオニルを滴下する。その使用量は1〜10当量、好ましくは5当量を使用する。滴下終了後、得られた混合物を2〜8時間、好ましくは4時間還流撹拌する。反応終了後濃縮して残渣をそのまま次の工程に使用する。
ピリジン誘導体(4)の合成
ピリジン誘導体(4)は、特公平5−80451号公報、Heterocycles.Vol36,No1,145−148、1993等に記載の方法に従い得ることができる。
なお、これらピリジン誘導体(4)はハイドロオキシピリジン構造と2(1H)−ピリドン構造の互変異性体として存在する。
工程2 エステル結合体(5)の合成
標記で得たピリジン誘導体(4)に、トリエチルアミン、ジイシプロピルエチルアミン、ジメチルアニリン等の有機アミン塩基、好ましくはトリエチルアミンと反応に影響を及ぼさない溶媒、例えばジクロロメタン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセタミド、好ましくはジメチルアセタミドとの混合液に溶解し、氷冷下に工程1で得たイソニコチン酸酸クロライド誘導体(3)のジメチルアセタミド溶液を滴下する。その使用量はピリジン誘導体(4)に対してイソニコチン酸酸クロライド誘導体(3)を1.0〜1.2当量、有機アミン塩基を1.0〜1.2当量使用する。室温で1〜4時間反応させた後、水を加えて酢酸エチル、酢酸エチル−n−ヘキサンの混合溶媒、トルエン等で抽出する。硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム等で乾燥後、濃縮し再結晶、カラムクロマトグラフィーで精製後、次の工程に使用する。
イソフタル酸5−フルオロウラシルモノアミド体(6)の合成
イソフタル酸5−フルオロウラシルモノアミド体(6)は特開平2−164871号公報に記載の方法で得られる。
工程3 イソフタル酸5−フルオロウラシルモノアミド−酸クロライド体(7)の合成
イソフタル酸5−フルオロウラシルモノアミド体(6)をジクロルメタン、クロロホルム、1,2−ジクロルエタン、トルエン等の反応に影響を及ぼさない溶媒、好ましくはジクロルメタンに溶解し、当該溶液に、室温で塩化チオニルを滴下する。その使用量は1〜4当量、好ましくは1.2当量を使用する。滴下終了後、得られた混合物を2〜8時間、好ましくは4時間還流撹拌する。反応終了後濃縮して残渣をそのまま次の工程に使用する。
工程4 本発明化合物(I−a)の合成
工程2で得たエステル結合体(5)に、トリエチルアミン、ジイシプロピルエチルアミン、ジメチルアニリン等の有機アミン塩基、好ましくはトリエチルアミンを反応に影響を及ぼさない溶媒、例えばジクロロメタン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジオキサン好ましくはジクロロメタンに溶解し、得られた溶液に、氷冷下に工程3で得たイソフタル酸5−フルオロウラシルモノアミド−酸クロライド体(7)のジクロロメタン溶液を滴下する。その使用量はエステル結合体(5)に対してイソフタル酸5−フルオロウラシルモノアミド−酸クロライド体(7)を1.0〜1.2当量、有機アミン塩基を1.0〜1.2当量使用する。室温で1〜4時間反応後、反応生成物に水を加えてジクロルメタン等で抽出し、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム等で乾燥後、濃縮し再結晶、カラムクロマトグラフィーで精製後、次の工程に使用する。
工程5 本発明化合物(I−b)の合成
グリーン著「プロテクティブ グループ イン オルガニック シンセシス」の成書に記載の方法に準じて脱保護する。
Figure 2011052554
[式中、R’、R、及びYは前記に同じ。]
工程6 イソフタル酸モノアミド−モノエステル体(8)の合成
Chem.Pharm.Bull.Vol41,No9,1498−1506、1993に記載の方法でトリメチルシリル(TMS)化したピリジン誘導体(4−TMS)を反応に影響を及ぼさない溶媒、例えばジクロロメタン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、好ましくはアセトニトリルに溶解し、得られた溶液に氷冷下にイソフタル酸5−フルオロウラシルモノアミド−酸クロライド体(7)のアセトニトリル溶液を滴下する。次に塩化第2スズ、4塩化チタン等のルイス酸を滴下する。その使用量はピリジン誘導体(4−TMS)に対してイソフタル酸5−フルオロウラシルモノアミド−酸クロライド体(7)を0.8〜1.0当量、ルイス酸を触媒量使用する。室温で1〜4時間反応後、反応液に水を加えてジクロルメタン等で抽出し、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム等で乾燥後、濃縮し、再結晶、カラムクロマトグラフィーで精製後、次の工程に使用する。
工程7 本発明化合物(I−a)の合成
イソフタル酸モノアミド−モノエステル体(8)に、トリエチルアミン、ジイシプロピルエチルアミン、ジメチルアニリン等の有機アミン塩基、好ましくはトリエチルアミンを反応に影響を及ぼさない溶媒、例えばジクロロメタン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、好ましくはジクロロメタンに溶解し、氷冷下にイソニコチン酸酸クロライド誘導体(3)のジクロロメタン溶液を滴下する。その使用量はイソフタル酸モノアミド−モノエステル体(8)に対してイソニコチン酸酸クロライド誘導体(3)を1.0〜1.2当量、有機アミン塩基を1.0〜1.2当量使用する。室温で1〜4時間反応後、反応液に水を加えてジクロルメタン等で抽出し、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム等で乾燥後、濃縮し、再結晶、カラムクロマトグラフィーで精製後、スキーム1で記載した工程5に使用する。
Figure 2011052554
[式中、R、及びYは前記に同じ。]
オロチン酸酸クロライド(9)の合成
オロチン酸に、クロロホルム、1,2−ジクロルエタン、トルエン等の反応に影響を及ぼさない溶媒とともに、或いは無溶媒で、室温にて塩化チオニルを滴下する。その使用量はオロチン酸に対して、塩化チオニルを1〜5当量、好ましくは4当量である。滴下終了後、得られた混合物を2〜8時間、好ましくは4時間還流撹拌する。反応終了後濃縮して残渣をそのまま次の工程に使用する。
工程8 本発明化合物(I−c)の合成
イソフタル酸モノアミド−モノエステル体(8)に、トリエチルアミン、ジイシプロピルエチルアミン、ジメチルアニリン等の有機アミン塩基、好ましくはトリエチルアミンと、反応に影響を及ぼさない溶媒、例えばジクロロメタン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、好ましくはジクロロメタンとの混合液に溶解し、得られた溶液に氷冷下にオロチン酸酸クロライド(9)のジクロロメタン溶液を滴下する。その使用量はイソフタル酸モノアミド−モノエステル体(8)に対してオロチン酸酸クロライド(9)を1.0〜1.2当量、有機アミン塩基を1.0〜1.2当量使用する。室温で1〜4時間反応後、得られた反応生成物に水を加えてジクロルメタン等で抽出し、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム等で乾燥後、濃縮し再結晶、カラムクロマトグラフィーで精製する。
Figure 2011052554
[式中、Xは炭素原子又は窒素原子を示す。R3は水酸基の保護基を示す。R、及びYは前記に同じ。]
工程9 R 1 が水酸基の保護基である本発明化合物(I−e)の合成
スキーム2及び3にて得たピリジン誘導体(I−d)と一般式R3−Clで示される酸クロライドとを反応に影響を及ぼさない溶媒、例えばジメトキシエタン、ジクロロメタン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセタミド、好ましくはジメトキシエタンに溶解し、氷冷下にピリジン、トリエチルアミン、ジイシプロピルエチルアミン、ジメチルアニリン等の有機アミン塩基、好ましくはピリジンを滴下する。その使用量はピリジン誘導体(I−d)に対して酸クロライドを2.2〜4.0当量、有機アミン塩基を2.2〜4.0当量使用する。氷冷下で0.5〜4時間反応後、反応液に水を加えて酢酸エチル、酢酸エチル−n−ヘキサンの混合溶媒、トルエン等で抽出し、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム等で乾燥後、濃縮し、再結晶、カラムクロマトグラフィー等で精製する。
前述のように、本発明化合物(I)又はその塩は、優れた抗腫瘍効果を有するとともに、消化管障害等の副作用が軽減され、抗腫瘍剤として有用である。従って、本発明化合物(I)及びその塩は、癌の治療に有用である。本発明において、癌の治療には、放射線、外科手術等により癌の処置を行った後の、癌の再発防止のための本発明化合物(I)又はその塩の投与等も含まれる。
本発明化合物(I)及びその塩を、ヒトを含む哺乳動物の前述した疾患の治療に適用する際の投与量、回数等は、当然のことながら、治療対象となる疾患の状態及び重症度、ならびに本発明化合物(I)及びそれの投与経路に応じて変動する。また、当該投与量、回数等は、個々の患者の年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与時刻、排泄速度、薬剤併用、応答等に応じて変動する。本発明化合物(I)及びその塩は、一般に、経口又は非経口で投与される。投与量は、一般的に、上記疾病の治療に有効な量であり、ヒトを含む哺乳動物の体重1kg当たり約0.001〜約100mg、好ましくは0.01〜50mg/kgの1日用量とする。他方、場合によっては、これらの範囲外の用量を用いる場合がある。
本発明化合物は、その有効量を、生理学的に許容される担体と配合し、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤等の固形製剤;シロップ剤、注射剤等の液状製剤;軟膏、ローション剤、ゲル剤、クリーム剤等の外用製剤等として経口又は非経口的(外用、吸入、皮下注射、動・静脈注射、筋肉内注射、膀胱内注入、脳内注入、点鼻、点眼)に投与することができる。
薬学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用の各種有機或いは無機担体物質が用いられ、固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤等として配合される。また、必要に応じて防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤等の製剤添加物を用いることもできる。賦形剤の好適な例としては、例えば乳糖、D-マンニト-ル、デンプン、結晶セルロ-ス、軽質無水ケイ酸等が挙げられる。滑沢剤の好適な例としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカ等が挙げられる。結合剤の好適な例としては、例えば、結晶セルロース、白糖、D-マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。崩壊剤の好適な例としては、例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロールナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム等が挙げられる。溶剤の好適な例としては、例えば、注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油等が挙げられる。溶解補助剤の好適な例としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D-マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。懸濁化剤の好適な例としては、例えば、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリンサングリセリン等の界面活性剤、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の親水性高分子等が挙げられる。緩衝剤の好適な例としては、例えば、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩等の緩衝液が挙げられる。無痛化剤の好適な例としては、例えば、ベンジルアルコール等が挙げられる。防腐剤の好適な例としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢類、ソルビン酸等が挙げられる。抗酸化剤の好適な例としては、例えば、亜硫酸塩、アスコルビン酸塩等が挙げられる。
以下に参考例、実施例、及び試験例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら特定の実施形態に限定されるものではない。
参考例1
2,6−ジベンジルオキシイソニコチン酸(化合物2a)の合成
アルゴン気流下、55%水素化ナトリウム52.5g、ジメチルホルムアミド1Lに氷冷攪拌下2,6−ジクロロイソニコチン酸57.6gを少量ずつ加えた。次に当該反応物に、同温でベンジルアルコール93mLを徐々に滴下した。水素の発生が止んで後、当該反応物に、80℃で4時間撹拌後、水1Lを加えた。酢酸エチル:n−ヘキサン=1:1の混合溶媒1Lで振り分け、水層を酢酸75.5mLで弱酸性として更に水1.7Lを加え、析出した化合物2aを濾取し、乾燥した。収率:77.17g(77%)
H−NMR(DMSOd,δPPM):
13.60(1H、brs)、7.43−7.29(10H、m)6.81(2H、s)、5.36(4H、s)
融点 : 145−147℃。
参考例2
2,6−ジ−p−メトキシベンジルオキシイソニコチン酸(化合物2b)の合成
ベンジルアルコールに代えてp−メトキシベンジルアルコールを用い参考例1の方法に従って化合物2bを合成した。
H−NMR(DMSOd,δPPM):
13.56(1H、brs)、7.39(4H、d、J=8.4Hz)、6.95(4H、d、J=8.6Hz)、5.33(4H、s)、3.77(6H、s)。
参考例3
2,6−ジアリルオキシイソニコチン酸(化合物2c)の合成
ベンジルアルコールに代えてアリルアルコールを用い参考例1の方法に従って化合物2cを合成した。
H−NMR(DMSOd,δPPM):
13.60(1H、brs)、6.77(2H、s)、6.15−5.99(2H、m)、5.38(2H、dd、J=17.2Hz、J=1.5Hz)、5.23(2H、d、J=10.4Hz)、4.82(4H、d、J=5.4Hz)。
参考例4
4−{2,6−ジベンジルオキシイソニコチノイルオキシ}−5−クロロ−2−ヒドロキシピリジン(化合物5a)、2−{2,6−ジベンジルオキシイソニコチノイルオキシ}−5−クロロ−4−ヒドロキシピリジン(化合物5b)、及び2,4−ジ{2,6−ジベンジルオキシイソニコチノイルオキシ}−5−クロロピリジン(化合物5c)の合成
参考例1で得た2,6−ジベンジルオキシイソニコチン酸(化合物2a)75.45g、及びトルエン800mL溶液に塩化チオニル98.5mL、及びジメチルホルムアミド1.7mLを滴下し、80℃で4.5時間撹拌した。冷却後溶媒を留去し、残渣の酸クロライドを精製する事なく、ジメチルアセタミド100mLに溶解し次の反応に使用した。2,4−ジヒドロキシ−5−クロロピリジン31.9g、トリエチルアミン31.19mL、及びジメチルアセタミド1.6Lの溶液に氷冷下酸クロライドジメチルアセタミド溶液を滴下した。得られた混合物を室温で1時間撹拌後、水1.7Lを加えて酢酸エチル:n−ヘキサン=3:1の混合溶媒1Lで振り分けた。硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し、析出した化合物5aを濾取し、乾燥した。
収率:44.8g(45%)
一方、濾液濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:n−ヘキサン=1:1で溶出)で精製し化合物5b、化合物5cをそれぞれ18.94g、4.74g得た。
化合物5a
H−NMR(DMSOd,δPPM):
12.09(1H、brs)、7.91(1H、s)、7.50−7.30(10H、m)、6.99(2H、s)、6.58(1H、s)、5.42(4H、s)
融点 : 149−150℃
化合物5b
H−NMR(DMSOd,δPPM):
12.26(1H、brs)、8.27(1H、s)、7.50−7.30(10H、m)、6.98(2H、s)、6.86(1H、s)、5.42(4H、s)
融点 : 136−138℃(分解)
化合物5c
H−NMR(DMSOd,δPPM):
8.75(1H、s)、7.79(1H、s)、7.50−7.30(20H、m)、7.05(2H、s)、7.02(2H、s)、5.42(8H、s)。
参考例5
2,6−ジヒドロキシ−3−フルオロピリジン(化合物4a)の合成
原料化合物として2,6−ジクロロ−5−フルオロニコチン酸15.15gを用いて参考例1と同様の方法で2,6−ジベンジルオキシ−5−フルオロニコチン酸を13.30g得た。
H−NMR(DMSOd,δPPM):
8.02(1H、d、J=10.2Hz)、7.49−7.28(10H、m)、5.48(2H、s)、5.45(2H、s)
次に2,6−ジベンジルオキシ−5−フルオロニコチン酸5.00gをジオキサン50mLに溶解し、20%水酸化パラジウム(50%wet)500mgを加えて、水素雰囲気下に1時間反応した。得られた反応物から水酸化パラジウムをセライト濾過で除き、溶媒を留去して化合物2,6−ジヒドロキシ−5−フルオロニコチン酸を2.58g得た。収率:88%
H−NMR(DMSOd,δPPM):
7.44(1H、d、J=11.4Hz)、
2,6−ジヒドロキシ−5−フルオロニコチン酸2.25gを25mLのジオキサンに溶解し15分還流した。冷後溶媒を留去して化合物4aを1.65g得た。収率:99%H−NMR(DMSOd,δPPM):
7.26(1H、dd、J=7.7Hz、J=11.0Hz)、5.45(1H、d、J=6.6Hz)。
参考例6
6−{2,6−ジベンジルオキシイソニコチノイルオキシ}−3−フルオロ−2−ヒドロキシピリジン(化合物5d)
2,4−ジヒドロキシ−5−クロロピリジンに代えて参考例5で得た化合物4aを用い参考例4の方法に従って化合物5dを合成した。
H−NMR(DMSOd,δPPM):
7.79(1H、t、J=9.0Hz)、7.47−7.30(11H、m)、6.98(2H、s)、5.42(4H、s)。
参考例7
3−{3−[4−ヒドロキシ−5−クロロ−2−ピリジルオキシカルボニル]ベンゾイル}−1−エトキシメチル−5−フルオロウラシル(化合物8a)及び3−{3−[2−ヒドロキシ−5−クロロ−4−ピリジルオキシカルボニル]ベンゾイル}−1−エトキシメチル−5−フルオロウラシル(化合物8b)の合成
1−エトキシメチル−3−m−ヒドロキシカルボニルベンゾイル−5−フルオロウラシル3.46gを塩化メチレン50mLに溶解し、これに塩化チオニル0.9mL、及びジメチルホルムアミド0.04mLを加えた。得られた反応物を2時間還流後、溶媒を留去し、残渣を塩化メチレン12mLに溶解し、酸クロライドの塩化メチレン溶液とした。2,4−ジヒドロキシ−5−クロロピリジン1.5gをヘキサメチルジシラザン15mL中6時間還流後、溶媒を留去し得られた残渣を塩化メチレン30mLに溶解し、氷冷下に上記の酸クロライド塩化メチレン溶液を滴下し、次に無水塩化第二スズ0.15mLを加えて室温で15時間攪拌した。トリエチルアミンで中和後、溶媒留去の残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:n−ヘキサン=1:2で溶出)で精製して、化合物8aを2.15g(収率:45%)、及び化合物8bを496mg(収率:10%)得た。
化合物8a
H−NMR(DMSOd,δPPM):
8.63(1H、t、J=1.6Hz)、8.49(2H、d、J=8.2Hz)、8.45(1H、d、J=6.7Hz)、8.28(1H、s)、7.86(1H、t、J=7.8Hz)、6.91(1H、s)、5.11(2H、s)、3.58(2H、q、J=6.9Hz)、1.11(3H、t、J=7.0Hz)
化合物8b
H−NMR(DMSOd,δPPM):
8.65(1H、t、J=3.3Hz)、8.51(2H、dt、J=1.7、7.7Hz)、8.46(1H、d、J=6.6Hz)、7.93(1H、s)、7.89(1H、t、J=7.8Hz)、6.63(1H、s)、5.11(2H、s)、3.58(2H、q、J=7.0Hz)、
1.12(3H、t、J=7.1Hz)。
参考例8
3−{3−[4−ヒドロキシ−5−クロロ−2−ピリジルオキシカルボニル]ベンゾイル}−1−エトキシメチル−5−フルオロウラシル(化合物8a)の別法合成
1−エトキシメチル−3−m−ヒドロキシカルボニルベンゾイル−5−フルオロウラシル3.46gを塩化メチレン50mLに溶解し、これに塩化チオニル0.9mL及びジメチルホルムアミド0.04mLを加えた。得られた反応物を2.5時間還流後、溶媒を留去し残渣をジメチルアセタミド12mLに溶解し酸クロライドのジメチルアセタミド溶液とした。2,4−ジヒドロキシ−5−クロロピリジン1.5g、トリエチルアミン1.57mL、及びジメチルアセタミド15mLの溶液に氷冷下酸クロライドジメチルアセタミド溶液を滴下した。得られた反応物を室温で8時間攪拌した。水を加えて酢酸エチル:n−ヘキサン=1:1の混合溶媒で振り分けた。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:n−ヘキサン=1:1で溶出)で精製して、化合物8aを668mg得た。収率:14%
参考例9
2−{2,6−ジベンジルオキシイソニコチノイルオキシ}−5−クロロ−4−ヒドロキシピリジン(化合物5b)、4−{2,6−ジベンジルオキシイソニコチノイルオキシ}−5−クロロ−2−ヒドロキシピリジン(化合物5a)、及び2,4−ジ{2,6−ジベンジルオキシイソニコチノイルオキシ}−5−クロロピリジン(化合物5c)の別法合成
原料化合物として参考例1で得た化合物2a(1g)を用い、参考例8と同様の方法で酸クロライドを得た。また、参考例7と同様に2,4−ジヒドロキシ−5−クロロピリジン1.0gをTMS化後、酸クロライドと反応させた。トリエチルアミンで中和後溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:n−ヘキサン=1:1で溶出)で精製して、化合物5bを1.38g(収率:44%)、化合物5aを675mg(収率:21%)、及び化合物5cを647mg(収率:12%)得た。
実施例1
3−{3−[4−(2,6−ジベンジルオキシイソニコチノイルオキシ)−5−クロロ−2−ピリジルオキシカルボニル]ベンゾイル}−1−エトキシメチル−5−フルオロウラシル(化合物I−1)の合成
1−エトキシメチル−3−m−ヒドロキシカルボニルベンゾイル−5−フルオロウラシル17gを塩化メチレン200mLに溶解し、これに塩化チオニル5.5mL、及びジメチルホルムアミド0.4mLを加えた。得られた反応物を2.5時間還流後、溶媒を留去し、残渣を塩化メチレン60mLに溶解し、酸クロライドの塩化メチレン溶液とし、参考例4で得た化合物5aを21.27g、トリエチルアミン7.3mL、及び塩化メチレン180mLに氷冷下に滴下した。得られた反応物を室温で1時間攪拌後、溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:n−ヘキサン=1:1で溶出)で精製し、化合物I−1を25.5g得た。収率:71%
H−NMR(DMSOd,δPPM):
8.77(1H、s)、8.67(1H、t、J=1.6Hz)、8.54−8.50(2H、m)、8.45(1H、d、J=6.6Hz)、7.88(1H、t、J=7.9Hz)、7.83(1H、s)、7.50−7.30(10H、m)、7.06(2H、s)、5.43(4H、s)、5.11(2H、s)、3.58(2H、q、J=7.0Hz)、1.11(3H、t、J=7.0Hz)
融点 : 66−69℃。
実施例2
3−{3−[4−(2,6−ジヒドロキシイソニコチノイルオキシ)−5−クロロ−2−ピリジルオキシカルボニル]ベンゾイル}−1−エトキシメチル−5−フルオロウラシル(化合物I−2)の合成
実施例1で得た化合物I−1(25.3g)をジオキサン800mLに溶解し20%水酸化パラジウム(50%wet)2.53gを加えて、水素雰囲気下に1時間反応した。得られた反応物から水酸化パラジウムをセライト濾過で除き、アセトン200mLで洗浄した。濾液のジオキサン、アセトン溶液を濃縮し、得られた残渣をアセトン−n−ヘキサン(1:1)で結晶化して、化合物I−2を13.14g得た。収率:68%
H−NMR(DMSOd,δPPM):
11.57(2H、brs)、8.77(1H、s)、8.67(1H、t、J=1.6Hz)8.55−8.49(2H、m)、8.45(1H、d、J=6.6Hz)、7.89(1H、t、J=7.9Hz)、7.83(1H、s)、6.47(2H、brs)、5.12(2H、s)、3.59(2H、q、J=7.0Hz)、1.12(3H、t、J=7.0Hz)
融点 : 125−129℃。
実施例3
3−{3−[2−(2,6−ジベンジルオキシイソニコチノイルオキシ)−5−クロロ−4−ピリジルオキシカルボニル]ベンゾイル}−1−エトキシメチル−5−フルオロウラシル(化合物I−3)の合成
化合物5aに代えて参考例4で得た化合物5bを用いて実施例1の方法に従って化合物I−3を合成した。
H−NMR(DMSOd,δPPM):
8.77(1H、s)、8.71(1H、t、J=1.6Hz)8.58−8.53(2H、m)、8.46(1H、d、J=6.6Hz)、7.91(1H、t、J=7.9Hz)、7.83(1H、s)、7.50−7.30(10H、m)、7.03(2H、s)、5.43(4H、s)、5.11(2H、s)、3.58(2H、q、J=7.0Hz)、1.12(3H、t、J=7.0Hz)。
実施例4
3−{3−[2−(2,6−ジヒドロキシイソニコチノイルオキシ)−5−クロロ−4−ピリジルオキシカルボニル]ベンゾイル}−1−エトキシメチル−5−フルオロウラシル(化合物I−4)の合成
実施例3で得た化合物I−3を用いて実施例2の方法に従って化合物I−4を合成した。
H−NMR(DMSOd,δPPM):
8.77(1H、s)、8.71(1H、brs)、8.57−8.53(2H、m)、8.47(1H、d、J=6.4Hz)、7.92(1H、t、J=7.9Hz)、7.83(1H、s)、6.41(2H、brs)、5.12(2H、s)、3.59(2H、q、J=6.3Hz)、1.12(3H、t、J=7.1Hz)。
実施例5
3−{3−[6−(2,6−ジベンジルオキシイソニコチノイルオキシ)−3−フルオロ−2−ピリジルオキシカルボニル]ベンゾイル}−1−エトキシメチル−5−フルオロウラシル(化合物I−5)の合成
化合物5aに代えて参考例6で得た化合物5dを用いて実施例1の方法に従って化合物I−5を合成した。
H−NMR(DMSOd,δPPM):
8.71(1H、t、J=1.5Hz)、8.57−8.53(m、2H)、8.44(1H、d、J=6.6Hz)、8.33(1H、t、J=8.6Hz)、7.90(1H、t、J=7.9Hz)、7.62(1H、dd、J=2.7Hz、J=8.7Hz)、7.46−7.32(10H、m)、5.42(4H、s)、5.12(2H、s)、3.58(2H、q、J=7.0Hz)、1.12(3H、t、J=7.0Hz)。
実施例6
3−{3−[6−(2,6−ヒドロキシイソニコチノイルオキシ)−3−フルオロ−2−ピリジルオキシカルボニル]ベンゾイル}−1−エトキシメチル−5−フルオロウラシル(化合物I−6)の合成
実施例5で得た化合物I−5を用いて実施例2の方法に従って化合物I−6を合成した。
H−NMR(DMSOd,δPPM):
8.71(1H、t、J=1.6Hz)、8.58−8.53(2H、m)、8.44(1H、d、J=6.8Hz)、8.32(1H、t、J=8.6Hz)、7.91(1H、t、J=7.8Hz)、7.60(1H、dd、J=2.8Hz、J=8.6Hz)、6.41(2H、brs)、5.11(2H、s)、3.58(2H、q、J=7.0Hz)、1.11(3H、t、J=7.0Hz)。
実施例7
3−{3−[4−(2,6−ジベンジルオキシイソニコチノイルオキシ)−5−クロロ−2−ピリジルオキシカルボニル]ベンゾイル}−1−エトキシメチル−5−フルオロウラシル(化合物I−1)の合成
参考例1で得た化合物2a(217mg)、及びトルエン4mL溶液に塩化チオニル0.23mL及びジメチルホルムアミド0.01mLを滴下し、80℃で4.5時間撹拌した。得られた混合物を冷した後、溶媒を留去し、残渣の酸クロライドを精製する事なく、ジオキサン2mLに溶解し、次の反応に使用した。参考例7又は参考例8で得た化合物8a(100mg)、トリエチルアミン0.01mL及びジオキサン10mLの溶液に氷冷下酸クロライドジオキサン溶液を滴下した。得られた混合物を室温で8時間攪拌後、溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:n−ヘキサン=1:1で溶出)で精製して、化合物I−1を119mg得た。収率:92%。
実施例8
3−{3−[2−(オロチノイルオキシ)−5−クロロ−4−ピリジルオキシカルボニル]ベンゾイル}−1−エトキシメチル−5−フルオロウラシル(化合物I−7)の合成
オロチン酸6gに塩化チオニル35mL及びピリジン0.17mLを加え、20時間還流後、得られた反応物から塩化チオニルを留去し精製せずにこれをオロチン酸酸クロライドとした。得られた酸クロライド0.59gと参考例7で得た化合物8b(0.78g)とをジオキサン10mLに溶かした。この溶液にトリエチルアミン0.46mLのジオキサン5mLの溶液を滴下し、室温下30分間撹拌した。得られた反応物から不要物を濾除後、溶媒を留去し、酢酸エチルと精製水で分液処理をした。得られた残渣を硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留去した。得られた粗結晶をn−ヘキサン:酢酸エチル=3:1の混合溶媒10mLで洗浄し化合物I−7を859mg(収率:85%)得た。
H−NMR(DMSOd,δPPM):
11.53(1H、s)、11.49(1H、s)、8.78(1H、s)、8.71(1H、s)、8.55(2H、d、J=7.9Hz)、8.47(1H、d、J=6.6Hz)、7.92(1H、t、J=7.9Hz)、7.82(1H、s)、6.35(1H、s)、5.11(2H、s)、3.58(2H、q、J=7.0Hz)、1.12(3H、t、J=7.0Hz)。
実施例9
3−{3−[4−(2,6−ジイソブチリルオキシイソニコチノイルオキシ)−5−クロロ−2−ピリジルオキシカルボニル]ベンゾイル}−1−エトキシメチル−5−フルオロウラシル(化合物I−8)の合成
実施例2で得た化合物I−2(5.0g)を1,2−ジメトキシエタン75mlに溶解し、氷冷下イソブチリルクロライド3.07mL及びピリジン1.99mLを加えて、同温で30分反応した。得られた反応物から溶媒留去後、水を加えて酢酸エチルで振り分けた。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルムで溶出)で精製し化合物I−8を5.37g(収率87%)得た。
H−NMR(CDCl,δPPM):
8.64(1H、t、J=1.5Hz)、8.56(1H、s)、8.52(1H、td、J=7.9Hz、J=1.5Hz)、8.29(1H、td、J=8.0Hz、J=1.5Hz)、7.74(2H、s)、7.73(1H、t、J=7.7Hz)、7.52(1H、d、J=5.3Hz)、7.34(1H、s)、5.18(2H、s)、3.64(2H、q、J=7.1Hz)、2.89(2H、hept、J=6.9Hz)、1.36(12H、d、J=7.1Hz)、1.21(3H、t、J=6.3Hz)。
実施例10
3−{3−[4−(2,6−ジシクロペンタンカルボニルオキシイソニコチノイルオキシ)−5−クロロ−2−ピリジルオキシカルボニル]ベンゾイル}−1−エトキシメチル−5−フルオロウラシル(化合物I−9)の合成
イソブチリルクロライドに代えてシクロペンタンカルボニルクロライドを用いて実施例9と同様の方法にて化合物I−9を得た。
H−NMR(CDCl,δPPM):
8.64(1H、t、J=1.5Hz)、8.55(1H、s)、8.52(1H、td、J=1.5Hz、J=7.8Hz)、8.29(1H、td、J=1.6Hz、J=8.4Hz)、7.74(2H、s)、7.73(1H、t、J=7.8Hz)、7.51(1H、d、J=5.1Hz)、7.33(1H、s)、5.18(2H、s)、3.65(2H、q、J=7.1Hz)、3.06(2H、qu、J=8.1Hz)、2.20−1.40(16H、m)、1.24(3H、t、J=7.1Hz)。
実施例11
3−{3−[4−(2,6−ジアセチルオキシイソニコチノイルオキシ)−5−クロロ−2−ピリジルオキシカルボニル]ベンゾイル}−1−エトキシメチル−5−フルオロウラシル(化合物I−10)の合成
イソブチリルクロライドに代えてアセチルクロライドを用いて実施例9と同様の方法にて化合物I−10を得た。
H−NMR(CDCl,δPPM):
8.64(1H、t、J=1.5Hz)、8.56(1H、s)、8.52(1H、td、J=8.0Hz、J=1.4Hz)、8.29(1H、td、J=8.0Hz、J=1.6Hz)、7.78(2H、s)、7.73(1H、t、J=7.7Hz)、7.51(1H、d、J=5.3Hz)、7.35(1H、s)、5.18(2H、s)、3.64(2H、q、J=7.0Hz)、2.38(6H、s)、1.24(3H、t、J=7.0Hz)。
実施例12
3−{3−[4−(2,6−ジプロピオニルオキシイソニコチノイルオキシ)−5−クロロ−2−ピリジルオキシカルボニル]ベンゾイル}−1−エトキシメチル−5−フルオロウラシル(化合物I−11)の合成
イソブチリルクロライドに代えてプロピオニルクロライドを用いて実施例9と同様の方法にて化合物I−11を得た。
H−NMR(CDCl,δPPM):
8.63(1H、t、J=1.8Hz)、8.55(1H、s)、8.52(1H、d、J=7.9Hz)、8.29(1H、d、J=7.9Hz)、7.77(2H、s)、7.73(1H、t、J=7.8Hz)7.51(1H、d、J=5.3Hz)、7.35(1H、s)、5.18(2H、s)、3.64(2H、q、J=7.0Hz)、2.69(4H、q、J=7.5Hz)、1.32−1.21(9H、m)。
実施例13
3−{3−[4−(2,6−ジピバロイルオキシイソニコチノイルオキシ)−5−クロロ−2−ピリジルオキシカルボニル]ベンゾイル}−1−エトキシメチル−5−フルオロウラシル(化合物I−12)の合成
イソブチリルクロライドに代えてピバロイルクロライドを用いて実施例9と同様の方法にて化合物I−12を得た。
H−NMR(CDCl,δPPM):
8.64(1H、t、J=1.5Hz)、8.56(1H、s)、8.52(1H、dt、J=1.5Hz、7.7Hz)、8.29(1H、dt、J=1.6Hz、J=7.9Hz)、7.73(1H、t、J=7.9Hz)、7.69(2H、s)、7.51(1H、d、J=5.3Hz)、7.33(1H、s)、5.19(2H、s)、3.65(2H、q、J=7.0Hz)、1.41(18H、s)、1.24(3H、t、J=7.0Hz)。
実施例14
3−{3−[4−(2,6−ジベンゾイルオキシイソニコチノイルオキシ)−5−クロロ−2−ピリジルオキシカルボニル]ベンゾイル}−1−エトキシメチル−5−フルオロウラシル(化合物I−13)の合成
イソブチリルクロライドに代えてベンゾイルクロライドを用いて実施例9と同様の方法にて化合物I−13を得た。
H−NMR(CDCl,δPPM):
8.64(1H、s)、8.56(1H、s)、8.53(1H、d、J=7.9Hz)、8.30(1H、d、J=8.2Hz)、8.24(5H、d、J=6.6Hz)、7.91(2H、s)、7.77―7.65(3H、m)、7.56―7.39(6H、m)、5.18(2H、s)、3.64(2H、q、J=7.0Hz)、1.24(3H、t、J=7.0Hz)。
実施例15
3−{3−[4−(2,6−ジ p−クロロベンゾイルオキシイソニコチノイルオキシ)−5−クロロ−2−ピリジルオキシカルボニル]ベンゾイル}−1−エトキシメチル−5−フルオロウラシル(化合物I−14)の合成
イソブチリルクロライドに代えてp−クロロベンゾイルクロライドを用いて実施例9と同様の方法にて化合物I−14を得た。
H−NMR(CDCl,δPPM):
8.64(1H、s)、8.57(1H、s)、8.52(1H、d、J=7.9Hz)、8.29(1H、d、J=7.9Hz)、8.18(4H、d、J=8.6Hz)、8.03(1H、d、J=8.4Hz)、7.96(2H、s)、7.74(1H、t、J=7.8Hz)、7.65―7.50(4H、m)、7.38(1H、s)、5.18(2H、s)、3.64(2H、q、J=7.0Hz)、1.24(3H、t、J=7.0Hz)。
試験例1 in vitroにおけるDPD及びOPRT阻害作用
(a)被験液の調製(1):本発明化合物I−2を10mMになるようにアセトニトリルに溶解し、これを10mMリン酸カリウム緩衝液(pH 6.0)で1mM、100μM、10μM及び1μMになるように希釈して被験液1とした。これを以下に述べる酵素反応液に加えた時の最終濃度は各々200,20, 2及び0.2μMである。
(b)被験液の調製(2):DPD阻害剤として5-クロロ-2,4-ジヒドロキシピリジン(CDHP;ギメラシル)を10mMになるように10mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.0)に溶解し、これを1mM, 100μM, 10μM及び1μMになるように希釈して被験液2とした。これらを酵素反応液に加えた時の最終濃度は各々200, 20, 2及び0.2μMである。
(c)被験液の調製(3):OPRT阻害剤としてシトラジン酸(Citra.A.)を10mMになるように20mMトリスヒドロキシアミノメタン-塩酸緩衝液(pH 8.0)に溶解したのち、これを10mMリン酸カリウム緩衝液で1mM, 100μM及び10μMになるように希釈して被験液(3)とした。これを酵素反応液に加えた時の最終濃度は200, 20及び2μMである。
(d)酵素溶液の調製:DPD酵素源として8週齢のSD系ラットの肝臓を、OPRT酵素源としてヌードマウスに移植・増殖させたヒト腫瘍株を用いた。即ちラット肝及び継代移植したヒト腫瘍株を摘出したのち直ちに25% (w/v)になるように0.25Mサッカロース、5mM塩化マグネシウム、1mMジスレイトールを含む50mMトリスー塩酸緩衝液(pH 8.0)を加えてホモゲナイスした後、105,000gで60分間超遠心分離し、得られた上清を各々DPD及びOPRT酵素液とした。
(e)酵素反応:DPD酵素反応は基質としてトリチウムでラベル化した5-FUを用いてTatsumiらの方法[ Gann, 78: 748-755 (1987)]に従って反応を行った。またOPRT酵素反応は基質としてトリチウムでラベル化した5-FUを用いてShirasakaらの方法[Cancer Res., 53: 4004-4009 (1993)]に従って反応を行い、対照群(被験化合物なし)と被験化合物群の活性を求めた。被験化合物のDPD及びOPRTに対する阻害率は [ 1−(被験化合物添加時の酵素活性/対照群の酵素活性)] X 100 (%)の式で求め、結果を表1及び表2に示す。
Figure 2011052554
Figure 2011052554
(f)試験の結果:本発明化合物I−2、I−9及びI−10はin vitroの酵素反応系で5-FUを基質としたDPD活性及びOPRT活性を阻害し、その阻害活性は対照としたギメラシル及びシトラジン酸とほぼ同じであった。ギメラシル及びシトラジン酸は、制ガン活性を有しないが、DPD阻害活性及びOPRT阻害活性を有する。従って、本発明の抗ガン剤は高いDPD阻害活性及びOPRT阻害活性を有する事が判った。
試験例2 5-FUの癌細胞での活性化(リン酸化)に対する化合物I−2の阻害効果
(a)被験液の調製1:本発明化合物I−2及びI−10を1mMになるように冷却した生理食塩液に溶解し、これを生理食塩液で更に10倍希釈して100μM溶液を調製した。
(b)被験液の調製2:5-FUのリン酸化を阻害するOPRT阻害剤をしてシトラジン酸(Citra.A.)を1mMになるように冷生理食塩液に溶解し、これを更に生理食塩液で10倍希釈して100μM溶液を調製した。
(c)癌細胞懸濁液の調製:試験に用いる生(インタクト)細胞としてICRマウスの腹腔内に移植して増殖させていた腹水型ザルコーマ−180細胞を分離したのち生理食塩水で洗浄し、集めた細胞ペレットを1.25 x 107個/ mlになるようにハンクス培養液に懸濁し直ちに試験に供した。
(d)細胞内5-FUリン酸化阻害実験:氷中でザルコーマ−180細胞0.8mlに被験液0.1ml及び10μM 5-FU溶液0.1mlを加えて37℃で30分間インキュベートした。反応後直ちに反応液に冷却したハンクス溶液4mlを加えて細胞を洗浄・遠心分離した。この操作を2回繰り返したのち細胞ペレットに冷5%トリクロル酢酸(TCA)溶液2mlを加えて細胞を破壊して5-FU及びそのヌクレオシド代謝物質を抽出した。次にこの核酸抽出液の一部をシリカゲル60F254プレートにアプライしてクロロホルム−メタノール−酢酸(17:3:1)混液にて展開し、ヌクレオチド部分を剥離し、その放射活性を測定して5-FUのリン酸化濃度を測定した。この条件で対照群(被験液なし)に対する被験液1及び2の5-FUリン酸化阻害率を求めた。結果を表3に示す。
Figure 2011052554
(e)試験の結果:本発明化合物I−2及びI−10は30分の反応で濃度依存的に5-FUの細胞内リン酸化を阻害し、10μMでは約20〜30%、100μMでは50〜60%の阻害率であった。これに対し、対照としたシトラジン酸は30分の反応を通して余り5-FUの細胞内リン酸化を阻害せず、100μMでもわずか5〜15%の阻害のみであった。以上の結果から本発明の化合物は細胞に取り込まれたのち用量依存的にOPRTによる5-FUのリン酸化を阻害することがわかった。
試験例3 ヒト腫瘍株移植マウスにおける抗腫瘍効果と副作用
(a)被験液の調製1:本発明化合物I−2を 1.5, 2.25 及び3.0mg/mlになるように0.5% (W/V)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(以下HPMCと略す)溶液に懸濁させ、室温にてスターラーで約10分攪拌した後、氷冷下で約5分間超音波処理し、15mg/kg/day, 22.5mg/kg/day及び30mg/kg/dayの化合物I−2薬液を得た。
(b)被験液の調整2:本発明化合物I−10を 2.57, 3.42 及び42.8mg/mlになるように0.5% (W/V)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(以下HPMCと略す)溶液に懸濁させ、室温にてスターラーで約10分攪拌した後、氷冷下で約5分間超音波処理し、25.7 mg/kg/day, 34.2 mg/kg/day及び42.8 mg/kg/dayの化合物I−10薬液を得た。
(c)被験液の調製3:本発明の化合物のうちシトラジン酸部分を含まない被験物質(化合物8a)を1.15, 1.73 及び2.3mg/mlになるように0.5% (W/V)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(以下HPMCと略す)溶液に懸濁させ、室温にてスターラーで約10分攪拌した後、氷冷下で約5分間超音波処理し、11.5mg/kg/day, 17.3mg/kg/day及び23mg/kg/dayの化合物8a薬液を得た。
(d)被験液の調製4:テガフール−ギメラシル−オテラシルカリウムのモル比1:0:4:1の配合剤であるS−1(特許第2614164号公報)を テガフール量として0.5, 0.75 及び1.0mg/mlになるように0.5% (W/V)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(以下HPMCと略す)溶液に懸濁させ、室温にてスターラーで約10分攪拌した後、氷冷下で約5分間超音波処理し、5.0mg/kg/day, 7.5mg/kg/day及び10mg/kg/dayのS-1薬液を得た。
(e)被験液の調製5:被験物質BOF−A2を 1.4, 2.1 及び2.8mg/mlになるように0.5% (W/V)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(以下HPMCと略す)溶液に懸濁させ、室温にてスターラーで約10分攪拌した後、氷冷下で約5分間超音波処理し、14mg/kg/day, 21mg/kg/day及び28mg/kg/dayのBOF−A2薬液を得た。
(f)試験:生後5〜6週齢のBALB/cA-nuマウスの右腋窩部に、前もって同系統のマウス背部皮下に移植して増殖させていたヒト胃癌株(SC-2)を摘出して生理食塩液中で約2mm角にハサミで細片化したものを、移植針を使って皮下移植し、少なくとも1〜2週間前飼育したのち、各群(1群5〜6匹)の腫瘍体積、標準偏差(S.D.)とも出来る限り均等になるように対照群及び3用量の各被験薬群(化合物I−2;3群、化合物8a;3群、S-1;3群、BOF-A2;3群)を設定した後(day 0)、翌日より薬剤投与を開始した。薬剤投与群は1日1回の割合で体重10gに対し上記(a)〜(d)で示した投与薬液をそれぞれ0.1 mlの割合で14日間連日経口投与用ゾンデを用いて経口投与した。対照群の担癌マウスには0.5%HPMC液のみを同じ方法に従って14日間経口投与した。
各群の各マウスの腫瘍体積は下記の数式1で求め、治療実験開始前、3日目、5日目、8日目(1週後)、11日目、投与終了後の15日目(2週後)にそれぞれ腫瘍体積を算出し、開始時の腫瘍体積に対する腫瘍体積比(Relative Tumor Volume; RTV)を求めた。抗腫瘍効果は治療期間終了後のday15における対照群に対する各治療群の平均腫瘍増殖阻害率(IR; %)を数式2で求めた。また15日間の治療期間を通して下痢症状、死亡例の有無を観察し発生数をして示すと共に、被験薬投与終了時の開始時に対する体重変化率を数式3に示す方法で求めた。結果を表4及び表5に示す。
[数式1]
Figure 2011052554
[数式2]
Figure 2011052554
[数式3 ]
Figure 2011052554
Figure 2011052554
試験の結果:本発明化合物I−2及びI−10はそれぞれ用量依存的に強い抗腫瘍効果を示すと共に著明な体重減少も見られず、又下痢や毒性死を示すマウスも見られなかったことから、高い抗腫瘍効果と低毒性を合わせ持つ化合物であることが示された。これに対し、当該化合物のシトラジン酸を含まない化合物8aにおいては用いた用量の範囲で抗腫瘍効果は用量依存的に増強するものの、強い体重減少と下痢が発現しまた死亡例も見られた。また、BOF−A2は当該発明化合物のシトラジン酸を含まない化合物8aと同様の抗腫瘍効果と毒性を示した。即ちBOF−A2は強い抗腫瘍効果を示す用量では著しい体重減少と下痢の発現、毒性死を示した。5-FU誘導体テガフールにDPD阻害剤ギメラシルと消化器毒性軽減剤オテラシルカリウムは配合したS-1は当該発明化合物と同様に用量依存的な抗腫瘍効果を示すと共にオーバードーズである12.5mg/kg/dayを除いて著明な体重減少や下痢の発現は観察されなかった。
これらのことから明らかなように、本発明化合物は、優れた抗腫瘍効果及び副作用の軽減効果を有し、かかる効果は、抗腫瘍剤の分野においてその有用性が広く認められているS−1と同程度であった。
尚、S−1が3剤の配合剤であるのに対し、本発明化合物は1化合物であるため、患者間でのその代謝物の体内動態にバラツキが小さいことが期待できる。具体的には、一般的に、5−FUの抗腫瘍効果を高めるとともに副作用、特に消化器毒性を軽減する方策としての3剤の配合はそれぞれの成分が独立して吸収され分布するため、患者間での体内動態にバラツキが生じ、それが5−FU濃度のバラツキに反映し、必ずしも抗腫瘍効果と毒性のバランスが達成出来ない場合が生じ得る。これに対し、前述の目的を達成するためにデザインされた1化合物であれば、消化管組織で吸収されたのちに体内で速やかに活性化されて機能(マスク体からの5−FUの放出、DPD阻害、消化管障害抑制)を発揮するため、生体内での活性代謝物の代謝動態の患者間のバラツキの違いは配合剤よりも少ないことが考えられる。

Claims (11)

  1. 一般式(I)
    Figure 2011052554
    [式中、Rは水素原子又は水酸基の保護基を示す。Rは低級アルコキシ低級アルキル基又はテトラハイドロフラニル基を示す。Xは炭素原子又は窒素原子を示す。Yはハロゲン原子又はシアノ基を示す。]
    で表される5−フルオロウラシル誘導体又はその塩。
  2. 一般式(I)における基
    Figure 2011052554
    が、基
    Figure 2011052554
    [Rは水素原子、アリル基、又は置換基を有していてもよいベンジル基を示す。]、

    Figure 2011052554

    Figure 2011052554
    [Rは水素原子、アリル基、又は置換基を有していてもよいベンジル基を示す。]、又は

    Figure 2011052554
    を示す、請求項1に記載の5−フルオロウラシル誘導体又はその塩。
  3. は水素原子、アリル基、ベンジル基、脂肪族アシル基、芳香族アシル基又は脂環式アシル基を示し、Rは低級アルコキシ部分の炭素数が1〜6である低級アルコキシメチル基又はテトラハイドロフラニル基を示し、Xは炭素原子又は窒素原子を示し、かつYはフッ素原子又は塩素原子を示す、請求項1に記載の5−フルオロウラシル誘導体又はその塩。
  4. は水素原子、ベンジル基、アセチル基、プロピオニル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、p−クロロベンゾイル基又はシクロペンタンカルボニル基を示し、Rは低級アルコキシ部分の炭素数が1〜6である低級アルコキシ低級メチル基を示し、Xは炭素原子又は窒素原子を示し、かつYはフッ素原子又は塩素原子を示す、請求項1に記載の5−フルオロウラシル誘導体又はその塩。
  5. は水素原子又はアセチル基を示し、Rは低級アルコキシ部分の炭素数が1〜6である低級アルコキシメチル基を示し、Xは炭素原子又は窒素原子を示し、かつYは塩素原子を示す、請求項1に記載の5−フルオロウラシル誘導体又はその塩。
  6. は水素原子又はアセチル基を示し、Rは低級アルコキシ部分の炭素数が1〜6である低級アルコキシメチル基を示し、Xは炭素原子を示し、かつYは塩素原子を示す、請求項1に記載の5−フルオロウラシル誘導体又はその塩。
  7. は水素原子又はアセチル基を示し、Rはエトキシメチル基を示し、Xは炭素原子を示し、かつYは塩素原子を示す、請求項1に記載の5−フルオロウラシル誘導体又はその塩。
  8. 有効成分として、請求項1に記載の5−フルオロウラシル誘導体又はその塩を含有する医薬。
  9. 有効成分として、請求項1に記載の5−フルオロウラシル誘導体又はその塩を含有する抗腫瘍剤。
  10. 請求項1に記載の5−フルオロウラシル誘導体又はその塩の有効量を、癌患者に投与する工程を含む、癌の治療方法。
  11. 請求項1に記載の5−フルオロウラシル誘導体又はその塩の、抗腫瘍剤を製造するための使用。
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