JPWO2011024699A1 - 表示素子 - Google Patents

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Abstract

本発明は、色反射率が高く、色再現性に優れ、かつ繰り返し書き換えに対する耐久性が良好な電子ペーパー用の表示素子を提供する。この表示素子は、一つの基板上に、所定のパターンで設けられた電極と、エレクトロクロミック層とを有するエレクトロクロミック方式の表示素子において、該電極は、同一平面上で対向する位置に配置された電極対から構成され、一画素を形成する画素電極であり、一対の電極間に電位差を生じさせることにより、該エレクトロクロミック層を発色または消色することを特徴とする。

Description

本発明は、多色カラー表示を可能とした電気化学的な表示素子に関するものである。
近年、液晶ディスプレイやCRTディスプレイとは異なる表示方式で、紙のように持ち運びが容易で、読みやすい反射型表示を行う電子ペーパーと言われる表示素子が、各種提案されている。このような電子ペーパーとしては、明るい白色表示とフルカラー表示が可能な広い色再現域表示と、繰り返しの書き換えに対する耐久性の高い表示素子が求められている。
カラー表示が行える方式として、エレクトロクロミック方式の表示素子が注目されている。例えば、特許文献1においては、透明薄膜トランジスタを介して複数のエレクトロクロミック層を積層し、多色表示する方法が開示されている。また、特許文献2では、薄膜トランジスタを介さない積層型の表示素子が開示されている。いずれの方法においても、層間にエレクトロクロミック層を駆動してカラー表示させるための透明電極を有する構造となっている。しかしながら、透明電極は、通常、可視光全域の透過率が80〜88%程度であり、これを複数枚重ねると、下層部に配置したエレクトロクロミック層は暗くなってしまう。このため、表示素子全体として明るい白色表示特性を得ることが難しく、結果として、色再現域が狭くなってしまうという課題を抱えている。また、上記構成からなる表示素子は、繰り返し表示の耐久性に関しても十分に満足のいくものではなかった。
特開2007−41259号公報 特表2005−535930号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、色反射率が高く、色再現性に優れ、かつ繰り返し書き換えに対する耐久性が良好な電子ペーパー用の表示素子を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.一つの基板上に、所定のパターンで設けられた電極と、エレクトロクロミック層とを少なくとも有するエレクトロクロミック方式の表示素子において、該電極は、同一平面上で対向する位置に配置された電極対から構成され、一画素を形成する画素電極であり、一対の電極間に電位差を生じさせることにより、該エレクトロクロミック層を発色または消色することを特徴とする表示素子。
2.前記一つの基板上に、所定のパターンで設けられた電極とエレクトロクロミック層とから構成されるエレクトロクロミック表示ユニットが、2つ以上積層された構造を有していることを特徴とする前記1に記載の表示素子。
3.白色散乱層を有することを特徴とする前記1または2に記載の表示素子。
4.前記一画素を形成する一対の画素電極群と、他の画素電極群との間に、電気絶縁性のバンクを有することを特徴とする前記1から3のいずれか1項に記載の表示素子。
5.前記エレクトロクロミック層が、ナノ多孔質層を有することを特徴とする前記1から4のいずれか1項に記載の表示素子。
6.前記エレクトロクロミック層が、エレクトロクロミック化合物として下記一般式(L)で表される化合物を含有することを特徴とする前記1から5のいずれか1項に記載の表示素子。
〔式中、Rlは置換または無置換のアリール基を表し、Rl、Rlは各々水素原子または置換基を表す。Xは>N−Rl、酸素原子または硫黄原子を表し、Rlは水素原子または置換基を表す。〕
7.前記一般式(L)で表される化合物が、下記一般式(L2)で表される化合物であることを特徴とする前記6に記載の表示素子。
〔式中、Rl21、Rl22は各々脂肪族基、脂肪族オキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アシル基、スルホンアミド基またはスルファモイル基を表し、R123は芳香族基または芳香族複素環基を表し、Rl24は水素原子、脂肪族基、芳香族基または芳香族複素環基を表し、Rl25は水素原子、脂肪族基、芳香族基またはアシル基を表す。〕
8.前記エレクトロクロミック層の少なくとも1層が、電気的に溶解または析出を行って、可視光に対し実質的に透明と黒色を表示し得る金属種を含有することを特徴とする前記1から7のいずれか1項に記載の表示素子。
9.閲覧側から観測した際に、前記同一平面上で対向する位置に配置された電極対から構成される着色表示を行う着色領域の総面積が、全表示領域の70%以上であることを特徴とする前記1から8のいずれか1項に記載の表示素子。
10.前記エレクトロクロミック層の厚みをT(μm)とし、対応する前記電極対間の距離をL(μm)としたとき、L/Tが2.5以上、10.0以下であることを特徴とする前記1から9のいずれか1項に記載の表示素子。
本発明により、色反射率が高く、色再現性に優れ、かつ繰り返し書き換えに対する耐久性が良好な電子ペーパー用の表示素子を提供することができた。
同一基板上に配置された対向する画像電極とエレクトロクロミック層とから構成される単一のエレクトロクロミック表示ユニットの一例を示す概略断面図である。 同一基板上に配置された対向する画像電極とエレクトロクロミック層とから構成されるエレクトロクロミック表示ユニットを2層積層した構成からなる表示素子の一例を示す概略断面図である。 白表示を行うための白色散乱層を有し、エレクトロクロミック表示ユニットを2層積層した構成からなる表示素子の一例を示す概略断面図である。 隣接する画素同士を電気的に区分するバンクを有するエレクトロクロミック表示ユニットの一例を示す概略断面図である。 ナノ多孔質層6を有するエレクトロクロミック表示ユニットの一例を示す概略断面図である。 画素電極の形状と、基板上への配置の一例を示した上面図である。 画素電極の形状と、基板上への配置の他の一例を示した上面図である。 画素電極の形状と、基板上への配置の他の一例を示した上面図である。 コンタクトホールを介して、表示素子駆動用の回路に接続させたエレクトロクロミック表示ユニット構成の一例を示す概略断面図である。 複数の画素電極で構成される表示素子において、表示領域全体に対する着色領域を示した概略上面図である。 エレクトロクロミック層の厚みTと電極間の距離Lを示したものである。 従来構成の表示素子の一例を示すものであり、透明電極が画素全体を覆っている形態からなる表示素子である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、一つの基板上に、所定のパターンで設けられた電極と、エレクトロクロミック層とを少なくとも有するエレクトロクロミック方式の表示素子において、該電極は、同一平面上で対向する位置に配置された電極対から構成され、一画素を形成する画素電極であり、一対の電極間に電位差を生じさせることにより、該エレクトロクロミック層を発色または消色することを特徴とする表示素子により、色反射率が高く、色再現性に優れ、かつ繰り返し書き換えに対する耐久性が良好な電子ペーパー用の表示素子を実現することができることを見出し、本発明に至った次第である。
以下、本発明の表示素子の詳細について説明する。
《表示素子の構成》
はじめに、本発明の表示素子の基本的な構成を、図を交えて説明する。ただし、本発明の表示素子の構成は、ここで例示する構成にのみ限定されるものではない。
本発明の表示素子は、同一基板上に、少なくとも、対向する位置に配置された一対の画像電極と、該画像電極に挟まれたエレクトロクロミック層とから構成されるエレクトロクロミック表示ユニットを有していることを特徴とするものである。
図1は、同一基板上に配置された画像電極対とエレクトロクロミック層とから構成される単一のエレクトロクロミック表示ユニットの一例を示す概略断面図である。
図1に示す表示素子は、基板1上に、電極3A、3A′、3B、3B′、3C、3C′が所定のパターンで形成され、それを覆う形でエレクトロクロミック層2が設けられている。電極3Aと3A′、3Bと3B′、3Cと3C′とが、それぞれ対をなす組み合わせの電極対であり、これら電極対に挟まれた領域Aとして表示したエレクトロクロミック層が一画素となる。図1に記載の構成では、各電極対の間には、隣接電極の影響を排除する目的で、所定の距離Bが設けられている。電極3Aと3A′間、3Bと3B′間、3Cと3C′間に、夫々電位差を与えることにより、当該画素部分(領域A)のエレクトロクロミック層2が発色および消色することにより画像表示される。
図2は、同一基板上に配置された画像電極対とエレクトロクロミック層とから構成されるエレクトロクロミック表示ユニットを2層積層した構成からなる表示素子の一例を示す概略断面図である。
図2に示す表示素子は、図1で説明した構成からなるエレクトロクロミック表示ユニットを上下に2層重ねた構成を有し、図の上側を閲覧方向として記載している。
本発明の表示素子において、図2で示すようにエレクトロクロミック表示ユニットを重ねて構成する場合には、上層のエレクトロクロミック表示ユニットの基板1−1は、下層に配置したエレクトロクロミック表示ユニットの発色を閲覧できるよう、高い光透過性を有していることが好ましい。また、図2には図示していないが、表示素子を保護する目的あるいは取り扱い性を向上する目的で、エレクトロクロミック層2−1の上部に透明基板を設けることもできる。ここでは、イエロー発色のエレクトロクロミック層、マゼンタ発色のエレクトロクロミック層、シアン発色のエレクトロクロミック層と、金属物による黒表示層とを重ねた構成や、イエロー発色のエレクトロクロミック層、マゼンタ発色のエレクトロクロミック層、シアン発色のエレクトロクロミック層を重ねて、さらにこれらの3色のエレクトロクロミック層の少なくとも1層に金属物による黒表示物を含む構成にすることが好ましい。
図3は、白表示を行うための白色散乱層を有し、エレクトロクロミック表示ユニットを2層積層した構成からなる表示素子の一例を示す概略断面図である。
図3においては、上層のエレクトロクロミック表示ユニットのエレクトロクロミック層2−1の上部に透明基板1′を設けた形状で示している。図3においては、白色散乱層4は、下層に位置するエレクトロクロミック表示ユニットの基板1−2と電極群3−2(3A、3A′、3B、3B′、3C、3C′)およびエレクトロクロミック層2−2との間に設けられているが、電極群3−2とエレクトロクロミック層2−2との間に設けることも可能である。また、基板1−2の外側に設けることもできる。その場合、最下層の基板1−2は、高い光透過性を備えていることが好ましい。
図4は、隣接する画素同士を電気的に区分するバンク5を有するエレクトロクロミック表示ユニットの一例を示す概略断面図である。
本発明に適用可能なバンク5の高さは、電極より高いことが好ましく、画素間を完全に分離する隔壁の形状とすることもできる。また、バンク5の形成方法としては、絶縁性の熱可塑性樹脂あるいは紫外線硬化性樹脂を基板上に塗布し、これにバンクパターンのマスキングを行い、熱あるいは光により樹脂を硬化させた後に未硬化部を除去する方法や、エンボスによりバンクパターンを形成し、硬化させる方法などがある。また、本発明に係るバンクの形状としては、図4で例示した台形の他、目的・効果に応じて様々な形態のバンクを適用することができる。
図5は、ナノ多孔質層6を有するエレクトロクロミック表示ユニットの一例を示す概略断面図である。
図5で示した表示素子の構成は、図3と同様にエレクトロクロミック表示ユニットを2層積層した構成からなる表示素子の例を示しており、それぞれのエレクトロクロミック層2−1、2−2に包含される形態で、層内にナノサイズの孔を多数有するナノ多孔質層6−1、6−2を形成した例である。
ナノ多孔質層の詳細については後述するが、本発明に係るナノ多孔質層は、エレクトロクロミック層内で実質的に透明となることが望ましい。このようなナノ多孔質層を形成する素材としては、ガラス、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、酸化スズ、酸化亜鉛、ジルコニウム、シリカなどが挙げられるが、上記目的を達成する物であれば、制限なく用いることができる。
図6〜図8は、画素電極の形状と、基板上への配置の一例を示した上面図である。
図6に示す構成は、一対の対向する画像電極3Aと3A′、3Bと3B′、3Cと3C′、3Dと3D′が全て同一方向に配置された例であり、図7は、画像電極3Aと3A′、3Dと3D′が同一方向で、画像電極3Bと3B′、3Cと3C′がそれらに直交する位置に配置された例を示してある。図8に示す画素電極の形状と配置は、図7に示す配置に対し、電極の形状をL字型に変更した例を示してある。
また、本発明の表示素子においては、図9に示すように、コンタクトホール7等を介して、表示素子駆動用の回路に接続させることができる。
図9は、コンタクトホール7を介して、表示素子駆動用の回路に接続させたエレクトロクロミック表示ユニット構成の一例を示す概略断面図である。
積層されたエレクトロクロミック表示ユニットの電極パターンは同一である必要はなく、コンタクトホール7を設けることができる程度に、垂直方向で重ならないように配置することがより好ましい。図9では、図6あるいは図7に示したような配置の電極を有する表示素子において、電極の方向が全て一致しないように重ねた場合の例で示してある。
本発明でいうコンタクトホールとは、表示ユニットと駆動回路配線の層とを繋ぐための開口部であり、一般的な半導体素子と同様に、リソグラフィーとエッチング技術により形成することができる。
図10は、複数の画素電極で構成される表示素子において、表示領域全体に対する着色領域を示した概略上面図である。
図10においては、4画素で構成されている全体が全表示領域となり、着色領域8は画素電極間の領域となる。本発明の表示素子においては、同一平面上で対向する位置に配置された電極対から構成される着色表示を行う着色領域の総面積が、全表示領域の70%以上であることが好ましい。
図11は、エレクトロクロミック層の厚みTと電極間の距離Lを示したものである。
本発明の表示素子においては、エレクトロクロミック層の厚みをT(μm)とし、対応する前記電極対間の距離をL(μm)としたとき、L/Tが2.5以上、10.0以下であることが好ましい。
図12は、従来構成の表示素子の一例を示すものであり、透明電極9が画素全体を覆っている形態からなる表示素子である。
次いで、本発明の表示素子の各構成要素の詳細について説明する。
〔基板〕
本発明の表示素子に用いられる一対の基板のうち、閲覧側に位置する基板は、実質的に透明な基板であることが好ましい。本発明でいう実質的に透明な基板とは、可視光に対する透過率が少なくとも85%以上、より好ましくは90%以上である基板である。
本発明に適用可能な透明基板としては、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート等)、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、シリコン樹脂、ポリアセタール樹脂、フッ素樹脂、セルロース誘導体、ポリオレフィンなどの高分子のフィルムや板状基板、ガラス基板などが挙げられる。
透過型の表示素子である場合では、閲覧側に位置する基板の他に、対向する基板も実質的に透明な基材とすることが望まれる。
逆に、反射型の表示素子である場合には、対向基板自体は白色とする構成を適用することができる。白色基板としては、エポキシ樹脂基板等の他、昨今、LED用白色反射基板として市販されている各種基板、ボイドPET(ポリエチレンテレフタレート)などを用いることができる。また別の形態では、透明対向基板の外側に、白色顔料を塗布したり、上記白色基板を貼り合せたりすることも可能である。さらに、対向基板より表示素子側に白色散乱層を形成する場合には、対向基板は、金属基板、セラミック基板等の無機基板など不透明な基板を用いることもできる。
〔白色散乱層〕
本発明の表示素子においては、図3に一例を示したような白色散乱層を有することが好ましい。
本発明の表示素子においては、図3に示したような対向基板の内側に白色散乱層を形成させる場合には、該白色散乱層は、エレクトロクロミック層を形成する素材に実質的に溶解しないことが好ましい。具体的には、水系高分子と白色顔料との水混和物を塗布乾燥して形成することができる。
本発明に適用可能な白色顔料としては、例えば、二酸化チタン(アナターゼ型あるいはルチル型)、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム及び水酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、アルカリ土類金属塩、タルク、カオリン、ゼオライト、酸性白土、ガラス、有機化合物としてポリエチレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン−ホルマリン樹脂、ポリアミド樹脂等を挙げることができ、単体または複合混合で、または粒子中に屈折率を変化させるボイドを有する状態で使用されてもよい。
本発明では、上記白色粒子の中でも、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛が好ましく用いられる。また、無機酸化物(Al、AlO(OH)、SiO等)で表面処理した二酸化チタン、これらの表面処理に加えて、トリメチロールエタン、トリエタノールアミン酢酸塩、トリメチルシクロシラン等の有機物処理を施した二酸化チタンを用いることができる。
これらの白色粒子のうち、高温時の着色防止、屈折率に起因する素子の反射率の観点から、酸化チタンまたは酸化亜鉛を用いることがより好ましい。
本発明において、エレクトロクロミック媒体の溶媒に実質的に溶解しない水系高分子としては、水溶性高分子、水系溶媒に分散した高分子を挙げることができる。
水溶性高分子としては、ゼラチン、ゼラチン誘導体等の蛋白質またはセルロース誘導体、澱粉、アラビアゴム、デキストラン、プルラン、カラギーナン等の多糖類のような天然化合物や、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド重合体やそれらの誘導体等の合成高分子化合物が挙げられる。ゼラチン誘導体としては、アセチル化ゼラチン、フタル化ゼラチン、ポリビニルアルコール誘導体としては、末端アルキル基変性ポリビニルアルコール、末端メルカプト基変性ポリビニルアルコール、セルロース誘導体としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。さらに、リサーチ・ディスクロージャー及び特開昭64−13546号の(71)頁〜(75)頁に記載されたもの、また、米国特許第4,960,681号、特開昭62−245260号等に記載の高吸水性ポリマー、すなわち−COOMまたは−SOM(Mは水素原子またはアルカリ金属)を有するビニルモノマーの単独重合体またはこのビニルモノマー同士もしくは他のビニルモノマー(例えば、メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸アンモニウム、アクリル酸カリウム等)との共重合体も使用される。これらのバインダーは2種以上組み合わせて用いることもできる。
本発明においては、ゼラチン及びゼラチン誘導体、または、ポリビニルアルコールもしくはその誘導体を好ましく用いることができる。
水系溶媒に分散した高分子としては、天然ゴムラテックス、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム等のラテックス類、ポリイソシアネート系、エポキシ系、アクリル系、シリコン系、ポリウレタン系、尿素系、フェノール系、ホルムアルデヒド系、エポキシ−ポリアミド系、メラミン系、アルキド系樹脂、ビニル系樹脂等を水系溶媒に分散した熱硬化性樹脂を挙げることができる。これらの高分子のうち、特開平10−76621号に記載の水系ポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。
本発明でいうエレクトロクロミック層に含まれる素材に実質的に溶解しないとは、−20℃から120℃の温度において、エレクトロクロミック層の素材1kgあたりへの溶解量が0g以上、10g以下である状態と定義し、質量測定法、液体クロマトグラムやガスクロマトグラムによる成分定量法等の公知の方法により溶解量を求めることができる。
本発明において、水系高分子と白色顔料との水混和物は、公知の分散方法に従って白色顔料が水中分散された形態が好ましい。水系高分子/白色顔料の混合比は、容積比で1〜0.01が好ましく、より好ましくは、0.3〜0.05の範囲である。
本発明において、水系高分子と白色顔料との水混和物を塗布する媒体は、表示素子の対向電極間の構成要素上であればいずれの位置でもよいが、対向電極の少なくとも1方の電極面上に付与することが好ましい。媒体への付与の方法としては、例えば、塗布方式、液噴霧方式、気相を介する噴霧方式として、圧電素子の振動を利用して液滴を飛翔させる方式、例えば、ピエゾ方式のインクジェットヘッドや、突沸を利用したサーマルヘッドを用いて液滴を飛翔させるバブルジェット(登録商標)方式のインクジェットヘッド、また空気圧や液圧により液を噴霧するスプレー方式等が挙げられる。
塗布方式としては、公知の塗布方式より適宜選択することができ、例えば、エアードクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、リバースローラーコーター、トランスファーローラーコーター、カーテンコーター、ダブルローラーコーター、スライドホッパーコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、ビードコーター、キャストコーター、スプレイコーター、カレンダーコーター、押し出しコーター等が挙げられる。
媒体上に付与した水系高分子と白色顔料との水混和物の乾燥は、水を蒸発できる方法であればいかなる方法であってもよい。例えば、熱源からの加熱、赤外光を用いた加熱法、電磁誘導による加熱法等が挙げられる。また、水蒸発は減圧下で行ってもよい。
本発明の表示素子では、上記説明した水混和物を塗布乾燥中または乾燥後に、硬化剤により水系化合物の硬化反応を行うことが望ましい。
本発明で用いられる硬膜剤の例としては、例えば、米国特許第4,678,739号の第41欄、同第4,791,042号、特開昭59−116655号、同62−245261号、同61−18942号、同61−249054号、同61−245153号、特開平4−218044号等に記載の硬膜剤が挙げられる。より具体的には、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒド等)、アジリジン系硬膜剤、エポキシ系硬膜剤、ビニルスルホン系硬膜剤(N,N′−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセタミド)エタン等)、N−メチロール系硬膜剤(ジメチロール尿素等)、ほう酸、メタほう酸あるいは高分子硬膜剤(特開昭62−234157号等に記載の化合物)が挙げられる。水系化合物としてゼラチンを用いる場合は、硬膜剤の中で、ビニルスルホン型硬膜剤やクロロトリアジン型硬膜剤を単独または併用して使用することが好ましい。また、ポリビニルアルコールを用いる場合はホウ酸やメタホウ酸等の含ホウ素化合物の使用が好ましい。
これらの硬膜剤は、水系化合物1g当たり0.001〜1g、好ましくは0.005〜0.5gが用いられる。また、膜強度を上げるため熱処理や、硬化反応時の湿度調整を行うことも可能である。
〔電極〕
本発明の表示素子においては、電極としては、高い導電性を示すものであれば、制限なく用いることができる。特に金属電極が高い導電性を示すため、好ましい。金属電極としては、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、チタン、ビスマス、及びそれらの合金等の公知の金属種を用いることができる。電極の作製方法は、蒸着法、印刷法、インクジェット法、スピンコート法、CVD法等の既存の方法を用いることができる。
透明電極としては、透明で電気を通じるものであれば特に制限はない。例えば、Indium Tin Oxide(ITO:インジウム錫酸化物)、Indium Zinc Oxide(IZO:インジウム亜鉛酸化物)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、酸化亜鉛、白金、金、銀、ロジウム、銅、クロム、炭素、アルミニウム、シリコン、アモルファスシリコン、BSO(Bismuth Silicon Oxide)等が挙げられる。電極をこのように形成するには、例えば、基板上にITO膜をスパッタリング法等でマスク蒸着するか、ITO膜を全面形成した後、フォトリソグラフィ法でパターニングすればよい。表面抵抗値としては、100Ω/□以下が好ましく、10Ω/□以下がより好ましい。透明電極の厚みは特に制限はないが、0.1〜20μmであるのが一般的である。
本発明の表示素子においては、駆動にかかる電極が同一平面上に形成されているため、複数画素を有し、高精細な表示が必要な時には、隣接する画素間での短絡を防ぐために、所定の手段で画素間を分離する必要がある。最も簡単な分離手段は、画素間に所定の距離を設けることである。より効果的な分離手段は、図4に例示したような画素間に電気絶縁性のバンクを設けることである。図4に例示したバンクは、台形形状であるが、形状はこれに限らない。バンクの高さは、電極より高いことが好ましく、画素間を完全に分離する隔壁の形状とすることもできる。バンクの形成方法としては、絶縁性の熱可塑性あるいは紫外線硬化性樹脂を基板上に塗布し、これにバンクパターンのマスキングを行い、熱あるいは光により硬化させ、未硬化部を除去する方法や、エンボスによりバンクパターンを形成し、硬化させる方法などがある。
〔エレクトロクロミック層〕
本発明の表示素子を構成するエレクトロクロミック層には、少なくともエレクトロクロミック化合物が含まれる。エレクトロクロミック化合物は、それ自体が固体の層であることもでき、また、溶液に溶解した液相として層を形成することも可能である。更には、ゲル状の層であることもできる。
〔エレクトロクロミック化合物〕
本発明に適用可能なエレクトロクロミック化合物としては、電気化学的な酸化反応及び還元反応の少なくとも一方により発色又は消色する作用を示す限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することが出来る。
このようなエレクトロクロミック化合物としては、酸化タングステン、酸化イリジウム、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化チタン、酸化インジウム、酸化クロム、酸化マンガン、プルシアンブルー、窒化インジウム、窒化錫、窒化塩化ジルコニウム等の無機化合物に加え、有機金属錯体、導電性高分子化合物及び有機色素が知られている。
エレクトロクロミック化合物として用いられる有機色素としては、ビオロゲン等ピリジニウム系化合物、フェノチアジン等アジン系色素、スチリル系色素、アントラキノン系色素、ピラゾリン系色素、フルオラン系色素、ドナー/アクセプター型化合物類(例えば、テトラシアノキノジメタン、テトラチアフルバレン)等が挙げられる。その他、酸化還元指示薬、pH指示薬として知られている化合物を用いることもできる。これらエレクトロクロミック化合物については、「機能性色素の応用 入江正浩監修 シーエムシー出版発行」などに記載されている。
本発明においては、特に、下記一般式(L)で表されるエレクトロクロミック化合物を用いることが、発色波長の選択性とメモリー性の観点から好ましい。
上記一般式(L)において、Rlは置換もしくは無置換のアリール基を表し、Rl、Rlは各々水素原子または置換基を表す。Xは>N−Rl、酸素原子または硫黄原子を表し、Rlは水素原子、または置換基を表す。
Rlが置換基を有するアリール基を表す場合、置換基としては特に制限は無く、例えば以下のような置換基が挙げられる。
アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等)、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基(例えば、プロパルギル基等)、グリシジル基、アクリレート基、メタクリレート基、芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等)、複素環基(例えば、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、ピロリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スリホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基等)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド基、エタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基、ヘキサンスルホンアミド基、シクロヘキサンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、ウレタン基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、フェニルウレイド基、2−ピリジルウレイド基等)、アシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ヘキサノイル基、シクロヘキサノイル基、ベンゾイル基、ピリジノイル基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、メチルウレイド基等)、スルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、フェニルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、アニリノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、沃素原子等)、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ホスホノ基(例えば、ホスホノエチル基、ホスホノプロピル基、ホスホノオキシエチル基)等を挙げることができる。また、これらの基はさらにこれらの基で置換されていてもよい。
Rlとしては、置換もしくは無置換のフェニル基が好ましく、更に好ましくは置換もしくは無置換の2−ヒドロキシフェニル基または4−ヒドロキシフェニル基である。
R1、Rlで表される置換基としては特に制限は無く、前記Rlのアリール基上への置換基として例示した置換基等が挙げられる。好ましくはRl、Rlは置換基を有しても良い、アルキル基、シクロアルキル基、芳香族基、複素環基である。Rl、Rlは互いに連結して、環構造を形成しても良いRl、Rlの組み合わせとしては、双方共に置換基を有しても良いフェニル基、複素環基である場合、若しくは何れか一方が置換基を有しても良いフェニル基、複素環基であり、他方が置換基を有しても良いアルキル基の組み合わせである。
Xとして好ましくは>N−Rlである。Rlとして好ましくは、水素原子、アルキル基、芳香族基、複素環基、アシル基であり、より好ましくは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数5〜10のアリール基、アシル基である。
前記一般式(L)で表されるエレクトロクロミック化合物であるアゾール系色素の中でも、特に、下記一般式(L2)で表されるイミダゾール系色素が好ましい。
上記一般式(L2)において、Rl21、Rl22は各々脂肪族基、脂肪族オキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アシル基、スルホンアミド基またはスルファモイル基を表し、R123は芳香族基または芳香族複素環基を表し、Rl24は水素原子、脂肪族基、芳香族基または芳香族複素環基を表し、Rl25は水素原子、脂肪族基、芳香族基またはアシル基を表す。
これらRl21からRl25で表される基は、更に任意の置換基で置換されていても良い。ただし、Rl21からRl25で表される基の少なくとも1つは、その部分構造として−COOH、−P=O(OH)、−OP=O(OH)または−Si(OR)(Rは、アルキル基を表す)を有する。
一般式(L2)において、Rl21、Rl22で表される基としては、アルキル基(特に分岐アルキル基)、シクロアルキル基、アルキルオキシ基、シクロアルキルオキシ基が好ましい。Rl23としては置換若しくは無置換のフェニル基、5員もしくは6員環複素環基(例えば、チエニル基、フリル基、ピロリル基、ピリジル基等)が好ましい。Rl24としては置換若しくは無置換のフェニル基、5員もしくは6員環複素環基、アルキル基が好ましい。Rl25としては、特に、水素原子またはアリール基が好ましい。
本発明の表示素子においては、上記一般式(L)または(L2)で表される化合物が、電極表面と化学吸着または物理吸着する吸着性基を有していることが好ましい。本発明でいう化学吸着とは、電極表面との化学結合による比較的強い吸着状態であり、本発明でいう物理吸着とは、電極表面と吸着物質との間に働くファンデルワールス力による比較的弱い吸着状態である。
本発明において、吸着性基としては化学吸着性の基である方が好ましく、化学吸着する吸着性基としては、−COOH、−P=O(OH)、−OP=O(OH)または−Si(OR)(Rは、アルキル基を表す)が好ましい。
また、一般式(L2)で表される化合物を電極上に固定する際、これらRl21〜Rl25で示される基の少なくともひとつに、部分構造として、−P=O(OH)または−Si(OR)(Rは、アルキル基を表す)を有することが好ましく、特に、Rl23若しくはRl24で示される基の部分構造として−Si(OR)(Rは、アルキル基を表す)を有することが好ましい。
以下、一般式(L2)で表されるEC色素の具体的化合物例、及び一般式(L2)には該当しないが、一般式(L)に含まれるエレクトロクロミック色素の具体例を示すが、本発明はこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
これらエレクトロクロミック化合物は、電極、特に閲覧側(表示側)の電極に固定化させることが好ましい。閲覧側電極に固定化されることにより、閲覧濃度の向上を得ることができる。
〔電気的に溶解、析出を行う金属種〕
本発明の表示素子においては、エレクトロクロミック層に、電気化学的に溶解析出する金属種を含むことができる。このような金属種としては、銀、ビスマス、銅、ニッケル、鉄、クロム、亜鉛等であり、更には黒色表示が良好に行える点で好ましいのは銀、ビスマスであり、特に、その黒色表示性から銀が好ましい。これら金属種は、金属塩化合物の形態、好ましくは銀塩化合物で添加されることが好ましい。
本発明に好ましく適用できる銀塩化合物としては、銀または、銀を化学構造中に含む化合物、例えば、酸化銀、硫化銀、金属銀、銀コロイド粒子、ハロゲン化銀、銀錯体化合物、銀イオン等の化合物の総称であり、固体状態や液体への可溶化状態や気体状態等の相の状態種、中性、アニオン性、カチオン性等の荷電状態種は、特に問わない。
本発明の表示素子においては、ヨウ化銀、塩化銀、臭化銀、酸化銀、硫化銀、クエン酸銀、酢酸銀、ベヘン酸銀、p−トルエンスルホン酸銀、トリフルオロメタンスルホン酸銀、メルカプト類との銀塩、イミノジ酢酸類との銀錯体、等の公知の銀塩化合物を用いることができる。これらの中でハロゲンやカルボン酸や銀との配位性を有する窒素原子を有しない化合物を銀塩として用いるのが好ましく、例えば、p−トルエンスルホン酸銀が好ましい。
本発明に係る電解質に含まれる金属イオン濃度は、0.2モル/kg≦[Metal]≦2.0モル/kgが好ましい。金属イオン濃度が0.2モル/kg以上であれば、十分な濃度の銀溶液となり所望の駆動速度を得ることができ、2モル/kg以下であれば析出を防止し、低温保存時での電解質液の安定性が向上する。
〔銀塩溶剤〕
本発明の表示素子においては、金属種を含有するエレクトロクロミック層が、下記一般式(G−1)または(G−2)で表される化合物を含有することが好ましい。
一般式(G−1)
Rg11−S−Rg12
上記一般式(G−1)において、Rg11、Rg12は各々置換または無置換の炭化水素基を表す。また、これらの炭化水素基は、1個以上の窒素原子、酸素原子、リン原子、硫黄原子またはハロゲン原子を含んでも良く、Rg11とRg12が互いに連結し、環状構造を取っても良い。
上記一般式(G−2)において、Mは水素原子、金属原子または4級アンモニウムを表す。Zは含窒素複素環を構成するのに必要な原子群表す。nは0〜5の整数を表し、Rg21は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルカルボンアミド基、アリールカルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、カルバモイル基、アルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、スルホニル基、アミノ基、ヒドロキシ基または複素環基を表し、nが2以上の場合、それぞれのRg21は同じであってもよく、異なってもよく、お互いに連結して縮合環を形成してもよい。
本発明に好ましく適用することができる上記一般式(G−1)で表されるチオエーテル化合物及び一般式(G−2)で表されるメルカプト化合物は、金属種(特に銀)の溶解析出を促進するための銀塩溶剤として機能する化合物である。
銀塩溶剤とは、エレクトロクロミック層中で銀を可溶化できる化合物であり、例えば、銀と配位結合を生じさせ、銀と弱い供給結合を生じさせるような、銀と相互作用を示す化学構造種を含む化合物等と共存させて、銀または銀を含む化合物を可溶化物に変換する手段を用いるものが一般的である。化学構造種として、ハロゲン原子、メルカプト基、カルボキシル基、イミノ基等が知られているが、本発明においては、一般式(G−1)で表されるチオエーテル基を含有する化合物及び一般式(G−2)で表されるメルカプトアゾール類は、銀溶剤として有用に作用し、かつ共存化合物への影響が少なく溶媒への溶解度が高い特徴がある。
上記一般式(G−1)において、Rg11、Rg12は各々置換または無置換の炭化水素基を表すが、これらの炭化水素基では、1個以上の窒素原子、酸素原子、リン原子、硫黄原子を含んでも良く、Rg11とRg12が互いに連結し、環状構造を取っても良い。
炭化水素基に置換可能な基としては、例えば、アミノ基、グアニジノ基、4級アンモニウム基、ヒドロキシル基、ハロゲン化合物、カルボン酸基、カルボキシレート基、アミド基、スルフィン酸基、スルホン酸基、スルフェート基、ホスホン酸基、ホスフェート基、ニトロ基、シアノ基等を挙げることができる。
以下、本発明において適用可能な一般式(G−1)で表される化合物の具体例を示すが、本発明ではこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
G1−1:CHSCHCHOH
G1−2:HOCHCHSCHCHOH
G1−3:HOCHCHSCHCHSCHCHOH
G1−4:HOCHCHSCHCHSCHCHSCHCHOH
G1−5:HOCHCHSCHCHOCHCHOCHCHSCHCHOH
G1−6:HOCHCHOCHCHSCHCHSCHCHOCHCHOH
G1−7:HCSCHCHCOOH
G1−8:HOOCCHSCHCOOH
G1−9:HOOCCHCHSCHCHCOOH
G1−10:HOOCCHSCHCHSCHCOOH
G1−11:HOOCCHSCHCHSCHCHSCHCHSCHCOOH
G1−12:HOOCCHCHSCHCHSCHCH(OH)CHSCHCHSCHCHCOOH
G1−13:HOOCCHCHSCHCHSCHCH(OH)CH(OH)CHSCHCHSCHCHCOOH
G1−14:HCSCHCHCHNH
G1−15:HNCHCHSCHCHNH
G1−16:HNCHCHSCHCHSCHCHNH
G1−17:HCSCHCHCH(NH)COOH
G1−18:HNCHCHOCHCHSCHCHSCHCHOCHCHNH
G1−19:HNCHCHSCHCHOCHCHOCHCHSCHCHNH
G1−20:HNCHCHSCHCHSCHCHSCHCHSCHCHNH
G1−21:HOOC(NH)CHCHCHSCHCHSCHCHCH(NH)COOH
G1−22:HOOC(NH)CHCHSCHCHOCHCHOCHCHSCHCH(NH)COOH
G1−23:HOOC(NH)CHCHOCHCHSCHCHSCHCHOCHCH(NH)COOH
G1−24:HN(O=)CCHSCHCHOCHCHOCHCHSCHC(=O)NH
G1−25:HN(O=)CCHSCHCHSCHC(=O)NH
G1−26:HNHN(O=)CCHSCHCHSCHC(=O)NHNH
G1−27:HC(O=)CNHCHCHSCHCHSCHCHNHC(=O)CH
G1−28:HNOSCHCHSCHCHSCHCHSONH
G1−29:NaOSCHCHCHSCHCHSCHCHCHSONa
G1−30:HCSONHCHCHSCHCHSCHCHNHOSCH
G1−31:HN(NH=)CSCHCHSC(=NH)NH・2HBr
G1−32:HN(NH=)CSCHCHOCHCHOCHCHSC(=NH)NH・2HCl
G1−33:HN(NH=)CNHCHCHSCHCHSCHCHNHC(=NH)NH・2HBr
G1−34:〔(CHNCHCHSCHCHSCHCHN(CH2+・2Cl
上記例示した各化合物の中でも、本発明の目的効果をいかんなく発揮できる観点から、特に、例示化合物G1−2、G1−3が好ましい。
次いで、本発明に係る一般式(G−2)で表される化合物について説明する。
前記一般式(G−2)において、Mで表される金属原子としては、例えば、Li、Na、K、Mg、Ca、Zn、Ag等が挙げられ、4級アンモニウムとしては、例えば、NH、N(CH、N(C、N(CH1225、N(CH1633、N(CHCH等が挙げられる。
Zを構成成分とする含窒素複素環としては、例えば、テトラゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、インドール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾセレナゾール環、ナフトオキサゾール環等が挙げられる。
Rg21で表される具体的な基としては、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等、アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ドデシル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、トリフルオロメチル、ベンジル等、アリール基としては、例えば、フェニル、ナフチル等、アルキルカルボンアミド基としては、例えば、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ、ブチロイルアミノ等、アリールカルボンアミド基としては、例えば、ベンゾイルアミノ等、アルキルスルホンアミド基としては、例えば、メタンスルホニルアミノ基、エタンスルホニルアミノ基等、アリールスルホンアミド基としては、例えば、ベンゼンスルホニルアミノ基、トルエンスルホニルアミノ基等、アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ等、アルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ、エチルチオ、ブチルチオ等、アリールチオ基としては、例えば、フェニルチオ基、トリルチオ基等、アルキルカルバモイル基としては、例えば、メチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、エチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、ジブチルカルバモイル、ピペリジルカルバモイル、モルホリルカルバモイル等、アリールカルバモイル基としては、例えば、フェニルカルバモイル、メチルフェニルカルバモイル、エチルフェニルカルバモイル、ベンジルフェニルカルバモイル等、アルキルスルファモイル基としては、例えば、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、エチルスルファモイル、ジエチルスルファモイル、ジブチルスルファモイル、ピペリジルスルファモイル、モルホリルスルファモイル等、アリールスルファモイル基としては、例えば、フェニルスルファモイル、メチルフェニルスルファモイル、エチルフェニルスルファモイル、ベンジルフェニルスルファモイル等、アルキルスルホニル基としては、例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基等、アリールスルホニル基としては、例えば、フェニルスルホニル、4−クロロフェニルスルホニル、p−トルエンスルホニル等、アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ブトキシカルボニル等、アリールオキシカルボニル基としては、例えば、フェノキシカルボニル等、アルキルカルボニル基としては、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチロイル等、アリールカルボニル基としては、例えば、ベンゾイル基、アルキルベンゾイル基等、アシルオキシ基としては、例えば、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチロイルオキシ等、複素環基としては、例えば、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、セレナゾール環、テトラゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、チアジン環、トリアジン環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、インドレニン環、ベンズセレナゾール環、ナフトチアゾール環、トリアザインドリジン環、ジアザインドリジン環、テトラアザインドリジン環基等が挙げられる。これらの置換基はさらに置換基を有するものを含む。
次に、一般式(G−2)で表される化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
上記例示した各化合物の中でも、本発明の目的効果を好適に発揮できる観点から、特に、例示化合物G2−12、G2−13、G2−18、G2−20が好ましい。
〔溶媒〕
本発明に係るエレクトロクロミック層が液相である場合には、エレクトロクロミック化合物を溶解する溶媒が用いられる。このような溶媒としては、一般に電気化学セルや電池に用いられ、電気化学的な酸化還元反応により可逆的に溶解析出する金属塩化合物、プロモーター等各種添加剤を溶解できる溶媒を使用することができる。
具体的には、無水酢酸、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ブチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ニトロメタン、アセトニトリル、アセチルアセトン、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホアミド、ジメトキシエタン、ジエトキシフラン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、スルホラン、プロピオニトリル、ブチロニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、メチルピロリジノン、2−(N−メチル)−2−ピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、エチルジメチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリヘプチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリノニルホスフェート、トリデシルホスフェート、トリス(トリフフロロメチル)ホスフェート、トリス(ペンタフロロエチル)ホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、2−エチルヘキシルホスフェート、テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホルトリアミド、4−メチル−2−ペンタノン、ジオクチルフタレート、ジオクチルセバケート、及びエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等のポリエチレングリコール類などが使用可能である。
さらに、常温溶融塩も溶媒として使用可能である。前記常温溶融塩とは、溶媒成分が含まれないイオン対のみからなる常温において溶融している(即ち液状の)イオン対からなる塩であり、通常、融点が20℃以下であり、20℃を越える温度で液状であるイオン対からなる塩を示す。常温溶融塩はその1種を単独で使用することができ、また2種以上を混合しても使用することもできる。
本発明に用いる溶媒としては、非プロトン性極性溶媒が好ましく、特にプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタン、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ジオキソラン、ジメチルホルムアミド、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、スルホラン、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェートが好ましい。溶媒はその1種を単独で使用しても良いし、また2種以上を混合して使用しても良い。
〔電解質〕
本発明に係るエレクトロクロミック層には、電解質を含有することができる。
本発明でいう「電解質」とは、一般に、水などの溶媒に溶けて溶液がイオン伝導性を示す物質(以下、「狭義の電解質」という。)をいうが、本発明の説明においては、狭義の電解質に電解質、非電解質を問わず他の金属、化合物等を含有させた混合物を電解質(「広義の電解質」)という。
(支持電解質)
本発明の表示素子において用いることができる支持電解質としては、電気化学の分野又は電池の分野で通常使用される塩類、酸類、アルカリ類が使用できる。
塩類としては、特に制限はなく、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩;4級アンモニウム塩;環状4級アンモニウム塩;4級ホスホニウム塩などが使用できる。
支持電解質の使用量は任意であるが、一般的には、溶媒中に上限としては20モル/L以下、好ましくは10モル/L以下、さらに好ましくは5モル/L以下存在していることが望ましく、下限としては通常0.01モル/L以上、好ましくは0.05モル/L以上、さらに好ましくは0.1モル/L以上存在していることである。
(ゲル状エレクトロクロミック層)
本発明の表示素子においては、エレクトロクロミック層を形成する媒体に増粘剤を使用することにより増粘させ、ゲル状とすることができる。
このような増粘剤としては、例えば、ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(アルキレングリコール)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類、疎水性透明バインダーとして、ポリビニルブチラール、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリル酸、ポリウレタン等が挙げられる。
これらの増粘剤は2種以上を併用して用いてもよい。また、特開昭64−13546号公報の71〜75頁に記載の化合物を挙げることができる。これらの中で好ましく用いられる化合物は、各種添加剤との相溶性と白色粒子の分散安定性向上の観点から、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ヒドロキシプロピルセルロース類、ポリアルキレングリコール類である。
また、例えば、特開2002−341387号公報に記載の固体電解質、特開2002−341387号公報に記載のポリマー固体電解質、特開2004−20928号公報に記載の高分子固体電解質、特開2004−191945号公報に記載の高分子固体電解質、特開2005−338204号公報に記載の固体高分子電解質、特開2006−323022号公報に記載の高分子固体電解質、特開2007−141658号公報に記載の固体電解質、特開2007−163865号公報に記載の固体電解質、ゲル電解質等を挙げることができる。
〔ナノ多孔質層〕
本発明の表示素子においては、ナノ多孔質層を有することが好ましい。ナノ多孔質層とは、層内にナノサイズの孔を多数有する層である。本発明に係るナノ多孔質層は、エレクトロクロミック表示ユニットを構成するエレクトロクロミック層内に含有される。本発明の目的から、ナノ多孔質層は、エレクトロクロミック層内で実質的に透明となることが望ましい。このようなナノ多孔質層を形成する素材としては、ガラス、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、酸化スズ、酸化亜鉛、ジルコニウム、シリカなどが挙げられるが、上記目的を達成する物であれば、制限なく用いることができる。
ナノ多孔質層は、上記素材の微粒子を積み重ねて結着させることで形成できる。前記白色散乱層の形成方法と同様に、バインダー樹脂内に当該微粒子を分散させ、これを所定の厚みに塗布、乾燥し、層とすることができる。また、バインダー樹脂を焼却して微粒子を結着させることも可能である。別の方法としては、液相析出法と呼ばれる方法を用いることもできる。酸化亜鉛などの場合、陽極酸化法で多孔質とすることも可能である。
本発明に係るナノ多孔質層は、エレクトロクロミック層に含有されるため、エレクトロクロミック化合物がナノ多孔質に固定化されることができる。また、エレクトロクロミック化合物を予め固定化した後に、エレクトロクロミック層を形成する他の成分と接触させることでも、本発明の構成は達成できる。
エレクトロクロミック化合物をナノ多孔質層に固定化することで、エレクトロクロミック層に含有できるエレクトロクロミック化合物の量を増やすことが可能となる。また、エレクトロクロミック化合物の反応性が劣化しにくくなる。さらに、着色したエレクトロクロミック化合物の拡散がないため、安定した高濃度の画像を得ることができる。
〔エレクトロクロミック化合物の固定〕
エレクトロクロミック化合物をナノ多孔質層に固定化する方法は、エレクトロクロミック化合物にナノ多孔質層表面と化学吸着または物理吸着する基を導入する方法が好ましい。
本発明に係る化学吸着とは、電極表面との化学結合による比較的強い吸着状態であり、本発明に係る物理吸着とは、電極表面と吸着物質との間に働くファンデルワールス力による比較的弱い吸着状態である。
本発明に係る固定化は、化学吸着が好ましく、化学吸着する吸着性基としては、−COOH、−P=O(OH)、−OP=O(OH)及び−Si(OR)(Rは、アルキル基を表す)が好ましい。
〔その他の添加剤〕
本発明に係るエレクトロクロミック層には、錯化剤、酸化還元反応促進剤、酸化還元緩衝剤等を含有させることができる。酸化還元反応促進剤は、エレクトロクロミック化合物より少ない電気量で反応し、この電荷をエレクトロクロミック化合物に渡すことで反応性を高める効果を有する化合物である。酸化還元緩衝剤とは、例えば特表2007−508587号公報に記載されているような、エレクトロクロミック層の透明状態を保つような効果を有する化合物である。
〔シール剤〕
本発明の表示素子の周辺部は、シール剤により封止することが求められる。シール剤は、エレクトロクロミック層が外に漏れないように封入する効果と、外部から水分やガスが系内に入ることを防止する効果を有する。封止剤とも呼ばれ、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エン−チオール系樹脂、シリコン系樹脂、変性ポリマー樹脂等の、熱硬化型、光硬化型、湿気硬化型、嫌気硬化型等の硬化タイプを用いることができる。
〔その他の構成層〕
本発明の表示素子の構成層には、保護層、フィルター層、ハレーション防止層、クロスオーバー光カット層、バッキング層等の補助層を挙げることができ、これらの補助層中には、各種の化学増感剤、貴金属増感剤、感光色素、強色増感剤、カプラー、高沸点溶剤、カブリ防止剤、安定剤、現像抑制剤、漂白促進剤、定着促進剤、混色防止剤、ホルマリンスカベンジャー、色調剤、硬膜剤、界面活性剤、増粘剤、可塑剤、スベリ剤、紫外線吸収剤、イラジエーション防止染料、フィルター光吸収染料、防ばい剤、ポリマーラテックス、重金属、帯電防止剤、マット剤等を、必要に応じて含有させることができる。
上述したこれらの添加剤は、より詳しくは、リサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略す)第176巻Item/17643(1978年12月)、同184巻Item/18431(1979年8月)、同187巻Item/18716(1979年11月)及び同308巻Item/308119(1989年12月)に記載されている。
これら三つのリサーチ・ディスクロージャーに示されている化合物種類と記載箇所を、下記表1に示す。
〔表示領域〕
本発明の表示素子は、同一平面上の画素電極に挟まれた領域が発色するため、複数の画素を組み合わせた場合、図10に示したように、発色に関わらない非着色領域が少なからず存在してしまう。この非着色領域が広すぎると結果として全体の表示濃度が低下してしまう。このため、着色領域の面積は、全表示領域面積に対しの70%以上であることが好ましい。
〔画素の厚みと幅〕
エレクトロクロミック層の厚みTと電極画素間隔Lの関係は図11に示してある。Tを厚くすれば、表示素子に含有できるエレクトロクロミック化合物を増加させることができる。また、Lを広げれば、十分な着色領域を設計上得ることができる。しかしながら、Tが厚すぎたり、Lが長すぎたりすると、発色濃度が十分高く得られなかったり、場合によっては駆動が難しくなることが判明した。
本発明の表示素子においては、エレクトロクロミック層の厚みT(μm)と、対応する前記一対の電極間の距離L(μm)の関係L/Tが、2.5≦L/T≦10であることが好ましい。
〔商品適用〕
本発明の表示素子は、電子書籍分野、オフィス関連分野、IDカード関連分野、公共関連分野、交通関連分野、放送関連分野、決済関連分野、流通物流関連分野等に用いることができる。具体的には、ドア用のキー、学生証、社員証、各種会員カード、ポイントカード、地下鉄や鉄道用のICカード、バスカード、キャッシュカード、クレジットカード、ハイウェイカード、運転免許証、病院の診察カード、電子カルテ、健康保険証、住民基本台帳、パスポート、ドキュメントリーダー、電子ブック、各種告知板、広告表示等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
《電極付き基板の作製》
〔電極付き基板1の作製〕
ITO膜付きガラス基板(厚み0.7mm)上のITO膜を公知の方法でエッチングし、130μm幅、間隔20μmのストライブの画素電極を形成し、電極付き基板1を作製した。
〔電極付き基板2の作製〕
厚み0.7mmのガラス基板上に、図6に示す画素電極の配置パターンからなる銀−パラジウム電極をスパッタリングにより形成し、電極付き基板2を作製した。画素電極対の間隔は120μm、隣接する画素電極との間隔は20μm、各電極のサイズは幅5μm、長さ130μm、厚み2μmとした。着色領域の面積は、全画素面積の約69%である。
〔電極付き基板3の作製〕
厚み0.7mmのガラス基板上に、図7に示す画素電極の配置パターンからなる銀−パラジウム電極をスパッタリングにより形成し、電極付き基板3を作製した。画素電極対の間隔は130μm、隣接する画素電極都の間隔は10μm、各電極のサイズは幅5μm、長さ140μm、厚み2μmとした。着色領域の面積は、全画素面積の約81%である。
〔電極付き基板4の作製〕
上記電極付き基板2の作製において、図4に記載のように、隣接する画素電極対間に、メチルメタクリレートと硬化剤を混合した液を塗布し、マスキングを介して紫外線露光して硬化した後、未硬化部を除去して、幅幅10μm、長さ130μm、高さ5μmのバンクを形成した以外は同様にして、電極付き基板4を作製した。着色領域の面積は、全画素面積の約69%である。
〔電極付き基板5の作製〕
厚み0.7mmのガラス基板上に、図6に示す画素電極の配置パターンからなる銀−パラジウム電極をスパッタリングにより形成した。画素電極対の間隔は130μm、隣接する画素電極との間隔は10μm、各電極のサイズは幅5μm、長さ140μm、厚み2μmとした。この上に、メチルメタクリレートと硬化剤を混合した液を塗布し、マスキングを介して紫外線露光して硬化した後、未硬化部を除去し、隣接する画素電極間に幅5μm、長さ140μm、高さ5μmのバンクを形成し、電極付き基板5とした。着色領域の面積は、全画素面積の約83%である。
《白色散乱層形成用液の調製》
ポリビニルアルコール(平均重合度3500、ケン化度87%)を2質量%含むイソプロパノール溶液中に、酸化チタン20質量%を超音波分散機で分散させ、白色散乱層形成用液を調製した。
《エレクトロクロミック層形成液の調製》
〔エレクトロクロミック層形成液Aの調製〕
プロピレンカーボネートに、テトラブチルアンモニウムパークロレートを0.2モル、2−{2−〔4−(ジメチルアミノ)フェニル〕エテニル}−3,3−ジメチル−5−ホスホノインドリノ〔2,1−b〕オキサゾリン(イエロー発色のエレクトロクロミック化合物)を0.4モル溶解し、これにポリビニルブチラール(積水化学工業株式会社製エスレックBH3)を20質量部添加して、イエロー発色性のエレクトロクロミック層形成液Aを調製した。
〔エレクトロクロミック層形成液Bの調製〕
上記エレクトロクロミック層形成液Aの調製において、2−{2−〔4−(ジメチルアミノ)フェニル〕エテニル}−3,3−ジメチル−5−ホスホノインドリノ〔2,1−b〕オキサゾリンに代えて、2−{2−〔4−(ジメチルアミノ)フェニル〕−1,3−ブタジエニル}−3,3−ジメチル−5−カルボキシルインドリノ〔2,1−b〕オキサゾリン(マゼンタ発色のエレクトロクロミック化合物)を用いた以外は同様にして、マゼンタ発色性のエレクトロクロミック層形成液Bを調製した。
〔エレクトロクロミック層形成液Cの調製〕
上記エレクトロクロミック層形成液Aの調製において、2−{2−〔4−(ジメチルアミノ)フェニル〕エテニル}−3,3−ジメチル−5−ホスホノインドリノ〔2,1−b〕オキサゾリンに代えて、2−{2−〔4−(メトキシ)フェニル〕−1,3,5−ヘキサトリエニル}−3,3−ジメチル−5−ホスホノインドリノ〔2,1−b〕(シアン発色のエレクトロクロミック化合物)を用いた以外は同様にして、シアン発色性のエレクトロクロミック層形成液Cを調製した。
〔エレクトロクロミック層形成液Dの調製〕
上記エレクトロクロミック層形成液Cの調製において、更に平均粒径が23nmの酸化チタンを20質量部添加し、超音波分散機にて分散した以外は同様にして、エレクトロクロミック層形成液Dを調製した。
〔エレクトロクロミック層形成液Eの調製〕
γ−ブチロラクトンに、0.05モル/Lの過塩素酸リチウム、0.05モル/Lのフェロセンを溶解し、エレクトロクロミック化合物として例示化合物(L69)を0.2モル/L、ポリビニルブチラール(積水化学工業株式会社製エスレックBH3)を20質量部添加して、イエロー発色性のエレクトロクロミック層形成液Eを調製した。
〔エレクトロクロミック層形成液Fの調製〕
γ−ブチロラクトンに、0.05モル/Lの過塩素酸リチウム、0.05モル/Lのフェロセンを溶解し、エレクトロクロミック化合物として例示化合物(L69)を0.2モル/L、p−トルエンスルホン酸銀0.3質量部、下記化合物A−1を0.04質量部、ポリビニルブチラール(積水化学工業株式会社製エスレックBH3)を20質量部添加して、イエローおよび黒発色性のエレクトロクロミック層形成液Fを調製した。
〔エレクトロクロミック層形成液Gの調製〕
γ−ブチロラクトンに、0.05モル/Lの過塩素酸リチウム、0.05モル/Lのフェロセンを溶解し、エレクトロクロミック化合物として例示化合物(L70)を0.2モル/L、ポリビニルブチラール(積水化学工業株式会社製エスレックBH3)を20質量部添加して、マゼンタ発色性のエレクトロクロミック層形成液Gを調製した。
〔エレクトロクロミック層形成液Hの調製〕
γ−ブチロラクトンに、0.05モル/Lの過塩素酸リチウム、0.05モル/Lのフェロセンを溶解し、エレクトロクロミック化合物として例示化合物(L71)を0.2モル/L、ポリビニルブチラール(積水化学工業株式会社製エスレックBH3)を20質量部添加して、シアン発色性のエレクトロクロミック層形成液Hを調製した。
〔エレクトロクロミック層形成液Iの調製〕
γ−ブチロラクトンに、0.05モル/Lの過塩素酸リチウム、0.05モル/Lのフェロセンを溶解し、エレクトロクロミック化合物として例示化合物(L71)を0.2モル/L、ポリビニルブチラール(積水化学工業株式会社製エスレックBH3)を20質量部添加して、酸化チタン(一次平均粒子径:0.34μm)を30質量部添加し、超音波分散機で分散し、シアン発色性のエレクトロクロミック層形成液Iを調製した。
〔エレクトロクロミック層形成液Jの調製〕
上記エレクトロクロミック層形成液Fの調製において、更に、一般式(G−2)で表される化合物である例示化合物G2−20を0.4質量部添加した以外は同様にして、エレクトロクロミック層形成液Jを調製した。
《電解液の調製》
〔電解液1の調製〕
プロピレンカーボネートに、テトラブチルアンモニウムパークロレートを0.2モル溶解し、これにポリビニルブチラール(積水化学工業株式会社製エスレックBH3)を20質量部添加、溶解して、電解液1を得た。
〔電解液2の調製〕
N−メチルピロリドン5質量部に、トリフェニルホスフィンを0.26質量部、(n−CNClOを0.08質量部、p−トルエンスルホン酸銀0.3質量部、化合物A−1(前出)を0.04質量部、一般式(G−2)で表される例示化合物G2−13を0.4質量部、ポリビニルブチラール(積水化学工業株式会社製エスレックBH3)を20質量部添加して溶解し、電解液2を得た。
《ナノ多孔質層の形成》
〔ナノ多孔質層(1)の形成〕
15質量%SnOコロイド水溶液(SnO:平均粒径:15nm)の1.5mlに、酢酸0.3mlを滴下し、乳鉢でよく混合したゲル状分散物に、ZnO粉末(平均粒径:0.2μm)を0.3gと、メタノールを20ml少しずつ加えてよく混合した。ホットプレート(100〜120℃)に設置したガラス上に、この混合物を乾燥させながら複数回塗布し、最後に550℃で焼成してZnO/SnO混合のナノ多孔質層(1)を形成した。ナノ多孔質層(1)の厚みは、5μmであった。
〔ナノ多孔質層(2)の形成〕
酸化亜鉛を厚み約5μmとなるように形成し、公知の陽極酸化方法で、酸化亜鉛のナノ多孔質層(2)を得た。
《表示素子の作製》
〔表示素子1の作製〕
3枚の電極層付き基板1の電極層を有する表面に、それぞれエレクトロクロミック層形成液A、エレクトロクロミック層形成液B、エレクトロクロミック層形成液Dを、厚み50μmとなるように塗布し、エレクトロクロミック表示ユニットA1、エレクトロクロミック表示ユニットB1、エレクトロクロミック表示ユニットD1を作製した。
次いで、エレクトロクロミック表示ユニットD1のエレクトロクロミック層Dの上にエレクトロクロミック表示ユニットB1の基板1を接着し、さらにエレクトロクロミック層B上にエレクトロクロミック表示ユニットA1の基板1を接着した。
次いで、エレクトロクロミック表示ユニットA1のエレクトロクロミック層A上に、ITO付きガラス(厚み0.7mm)をITO面がエレクトロクロミック層Aと接触するように重ね、周囲をエポキシ系封止剤で封止し、表示素子1を作製した。
〔表示素子2の作製〕
3枚の電極層付き基板2の電極を有する表面上に、エレクトロクロミック層形成液A、エレクトロクロミック層形成液B、エレクトロクロミック層形成液Dをそれぞれ厚み50μmとなるように塗布し、エレクトロクロミック表示ユニットA2、エレクトロクロミック表示ユニットB2、エレクトロクロミック表示ユニットD2を作製した。
次いで、エレクトロクロミック表示ユニットD2のエレクトロクロミック層D上にエレクトロクロミック表示ユニットB2の基板2を接着し、さらにエレクトロクロミック層B上にエレクトロクロミック表示ユニットA2の基板2を接着した。
次いで、エレクトロクロミック層A上に、厚み0.7mmのガラスを重ね、周囲をエポキシ系封止剤で封止し、エレクトロクロミック表示ユニットD2の基板外面に白色アクリル板を重ね、表示素子2を作製した。
〔表示素子3の作製〕
電極層付き基板2の電極を有する表面上に、白色散乱層形成用液を塗布し、その後15℃で30分間乾燥させた後、120℃で1時間焼成し、白色散乱層を得た。白色散乱層の乾燥膜厚は約20μmであった。
上記作製した電極および白色散乱を有する基板上2上に、エレクトロクロミック層Cを塗布し、全体の厚みが約50μmとなるようにし、エレクトロクロミック表示ユニットC3を得た。
次いで、上記作製したエレクトロクロミック表示ユニットC3、表示素子2の作製で用いたエレクトロクロミック表示ユニットB2、エレクトロクロミック表示ユニットA2を、表示素子2と同様に重ねて接着し、厚み0.7mmのガラスを重ね、周囲をエポキシ系封止剤で封止し、表示素子3を作製した。
〔表示素子4の作製〕
3枚の電極層付き基板4の電極を有する表面上に、それぞれエレクトロクロミック層形成液A、エレクトロクロミック層形成液B、エレクトロクロミック層形成液Dを厚み50μmとなるように塗布し、エレクトロクロミック表示ユニットA4、エレクトロクロミック表示ユニットB4、エレクトロクロミック表示ユニットD4を得た。
次いで、エレクトロクロミック表示ユニットD4のエレクトロクロミック層Dの上にエレクトロクロミック表示ユニットB4の基板4を接着し、さらにエレクトロクロミック層B上にエレクトロクロミック表示ユニットA4の基板4を接着した。
次いで、エレクトロクロミック層A上に、厚み0.7mmのガラスを重ね、周囲をエポキシ系封止剤で封止し、表示素子4を作製した。
〔表示素子5の作製〕
電極層付き基板4の電極を有する表面上に、表示素子3と同様にして、白色散乱層を、乾燥膜厚約20μmとなるように形成し、エレクトロクロミック層形成液Cを塗布して全体の厚みが50μmとなるようにして、エレクトロクロミック表示ユニットC5を作製した。このエレクトロクロミック表示ユニットC5と、表示素子4の作製で用いたエレクトロクロミック表示ユニットA4、エレクトロクロミック表示ユニットB4とを用いて、表示素子4の作製と同様にして、表示素子5を作製した。
〔表示素子6の作製〕
表示素子5の作製において、各エレクトロクロミック層の上部に、ナノ多孔質層(1)を形成した以外は同様にして、表示素子6を作製した。
〔表示素子7の作製〕
上記表示素子6の作製において、ナノ多孔質層(1)に代えて、ナノ多孔質層(2)を用いた以外は同様にして、表示素子7を作製した。
〔表示素子8の作製〕
上記表示素子6の作製において、エレクトロクロミック層形成液Aに代えて、エレクトロクロミック層形成液Eを、エレクトロクロミック層形成液Bに代えて、エレクトロクロミック層形成液Gを、エレクトロクロミック層形成液Cに代えて、エレクトロクロミック層形成液Hをそれぞれ用いた以外は同様にして、表示素子8を作製した。
〔表示素子9の作製〕
上記表示素子6の作製において、エレクトロクロミック層形成液Eに代えて、エレクトロクロミック層形成液Fを用いた以外は同様にして、表示素子9を作製した。
〔表示素子10の作製〕
上記表示素子9の作製において、電極層付き基板4を、電極層付き基板3に代えた以外は同様にして、表示素子10を作製した。
〔表示素子11の作製〕
上記表示素子10の作製において、各エレクトロクロミック層の厚みを35μmに変更した以外は同様にして、表示素子11を作製した。
〔表示素子12の作製〕
上記表示素子11の作製において、電極層付き基板3を電極付き基板2に変更した以外は同様にして、表示素子12を作製した。
〔表示素子13の作製〕
基板5の電極側表面に、エレクトロクロミック層形成液Jを厚み35μmとなるように塗布し、ナノ多孔質層(1)を浸漬させ、エレクトロクロミック表示ユニットJ13を得た。同様にして、エレクトロクロミック層形成液G、エレクトロクロミック形成液Hにより、エレクトロクロミック表示ユニットG13、H13を得た。これらを表示素子11と同様の構成で積層し、表示素子13を作製した。
〔表示素子14の作製〕
基板5の電極側表面に、表示素子3と同様にして、白色散乱層を厚み15μmとなるように形成した。この上に、エレクトロクロミック層形成液Jを全体の厚みが35μmとなるように塗布し、ナノ多孔質層(1)を浸漬させ、エレクトロクロミック表示ユニットJ14を得た。また、基板5の電極側表面に、エレクトロクロミック層形成液G、エレクトロクロミック層形成液Hを、それぞれ厚み35μmとなるように塗布し、ナノ多孔質層(1)を浸漬させ、エレクトロクロミック表示ユニットG14、H14を得た。次いで、エレクトロクロミック表示ユニットJ14、G14、H14を用いて、表示素子11と同様の構成で積層して表示素子14を得た。
〔表示素子15の作製〕
エレクトロクロミック化合物として例示化合物(L17)のエタノール溶液を調製し、ナノ多孔質層(1)をこの溶液に12時間浸した後に取り出し、エタノールを乾燥させてエレクトロクロミック化合物(L17)が吸着したナノ多孔質層(1)Aを得た。
次いで、エレクトロクロミック化合物として例示化合物(L18)、例示化合物(L19)についても同様にしてナノ多孔質層(1)を浸漬し、ナノ多孔質層(1)B、ナノ多孔質層(1)Cを得た。
次いで、電極層付き基板5上に、白色散乱層を厚み15μmとなるように形成し、更に電解液1を厚み約20μmとなるように塗布したものに、ナノ多孔質層(1)Cを重ねて浸漬させ、エレクトロクロミック表示ユニットC15を得た。
次いで、電極層付き基板5上に、電解液1を厚み約20μmとなるように塗布したものにナノ多孔質層(1)Bを重ね、浸漬させ、エレクトロクロミック表示ユニットB15を得た。
次いで、電極層付き基板5上に、電解液2を厚み約20μmとなるように塗布してナノ多孔質層(1)Aを重ね、浸漬させ、エレクトロクロミック表示ユニットA15を得た。
次いで、上記作製したエレクトロクロミック表示ユニットC15、B15、A15を重ね、最上部に厚み0.7mmのガラスを重ねて周囲をエポキシ樹脂で封止し、表示素子15を作製した。
《表示素子の評価》
上記作製した各表示素子について、下記の各評価を行った。
〔白反射率特性の評価〕
各表示素子の未発色状態、すなわち白色表示状態の全波長平均反射率をコニカミノルタセンシング社製の分光測色計CM−3700dを用い測定し、下記の基準に従って白反射率特性の評価を行った。
×:平均反射率が50%未満である
△:平均反射率が50%以上、55%未満である
○:平均反射率が55%以上、60%未満である
◎:平均反射率が60%以上である
〔繰り返し耐久性の評価〕
各表示素子の電極からの取り出し電極を、コンタクトホールを介して駆動回路に接続した。次いで、各表示素子に対し、構成する各エレクトロクロミック層を単独で、駆動電圧1.5Vで駆動し、各エレクトロクロミック層の吸収ピーク波長における白色反射率とのコントラストが5.0となる駆動時間を求めた。すなわち、各色表示の場合は、初期コントラストを5.0とした。金属の析出による黒表示は、波長550nmでの反射率により初期コントラストを求めた。
この駆動時間で、各エレクトロクロミック層をそれぞれ独立に1000回駆動し、1000回駆動後のコントラストを測定し、コントラスト変動率(1000回駆動後のコントラスト/初期コントラスト)を求め、これを繰り返し耐久性の指標とした。
以上により得られた結果を、表2に示す。
表2に記載の結果より明らかな様に、本発明で規定する構成からなるエレクトロクロミック表示ユニットを有する表示素子に対し、更に白色散乱層の形成、バンクの導入、ナノ多孔質層の導入、あるいは全表示面積を拡げることにより、それぞれ耐久性の向上が確認できた。また、エレクトロクロミック化合物として、一般式(L2)で表される化合物を使用することで耐久性は格段に向上した。金属の析出による黒表示は、イエロー、マゼンタ、シアンの混色による黒より明瞭であり、高い濃度が得られた。
着色領域の比率が80%を超える表示素子10、11、13、14、15は、より高い濃度が得られ、2.5≦L/T≦10である表示素子11〜15の駆動時間は、他の表示素子より短くすることができた。さらに、L/Tが10を超える構成で作製したところ、コントラスト5を得ることが難しかった。
1、1−1、1−2 基板
1′ 透明基板
2、2−1、2−2 エレクトロクロミック層
3、3′、3″、3A、3A′、3B、3B′、3C、3C′、3D、3D′ 電極
3−1、3−2 電極群
4 白色散乱層
5 バンク
6−1、6−2 ナノ多孔質層
7 コンタクトホール
8 着色領域
9 透明電極
10 隔壁
11 透明基材
L 電極対間の距離
T エレクトロクロミック層の厚み

Claims (10)

  1. 一つの基板上に、所定のパターンで設けられた電極と、エレクトロクロミック層とを少なくとも有するエレクトロクロミック方式の表示素子において、該電極は、同一平面上で対向する位置に配置された電極対から構成され、一画素を形成する画素電極であり、一対の電極間に電位差を生じさせることにより、該エレクトロクロミック層を発色または消色することを特徴とする表示素子。
  2. 前記一つの基板上に、所定のパターンで設けられた電極とエレクトロクロミック層とから構成されるエレクトロクロミック表示ユニットが、2つ以上積層された構造を有していることを特徴とする請求項1に記載の表示素子。
  3. 白色散乱層を有することを特徴とする請求項1または2に記載の表示素子。
  4. 前記一画素を形成する一対の画素電極群と、他の画素電極群との間に、電気絶縁性のバンクを有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の表示素子。
  5. 前記エレクトロクロミック層が、ナノ多孔質層を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の表示素子。
  6. 前記エレクトロクロミック層が、エレクトロクロミック化合物として下記一般式(L)で表される化合物を含有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の表示素子。

    〔式中、Rlは置換または無置換のアリール基を表し、Rl、Rlは各々水素原子または置換基を表す。Xは>N−Rl、酸素原子または硫黄原子を表し、Rlは水素原子または置換基を表す。〕
  7. 前記一般式(L)で表される化合物が、下記一般式(L2)で表される化合物であることを特徴とする請求項6に記載の表示素子。

    〔式中、Rl21、Rl22は各々脂肪族基、脂肪族オキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アシル基、スルホンアミド基またはスルファモイル基を表し、R123は芳香族基または芳香族複素環基を表し、Rl24は水素原子、脂肪族基、芳香族基または芳香族複素環基を表し、Rl25は水素原子、脂肪族基、芳香族基またはアシル基を表す。〕
  8. 前記エレクトロクロミック層の少なくとも1層が、電気的に溶解または析出を行って、可視光に対し実質的に透明と黒色を表示し得る金属種を含有することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の表示素子。
  9. 閲覧側から観測した際に、前記同一平面上で対向する位置に配置された電極対から構成される着色表示を行う着色領域の総面積が、全表示領域の70%以上であることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の表示素子。
  10. 前記エレクトロクロミック層の厚みをT(μm)とし、対応する前記電極対間の距離をL(μm)としたとき、L/Tが2.5以上、10.0以下であることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の表示素子。
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