JPWO2011010400A1 - 耐溶融金属部材および耐溶融金属部材の製造方法 - Google Patents

耐溶融金属部材および耐溶融金属部材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐溶融金属部材に溶射される溶射皮膜の長寿命化を目的とする。【解決手段】溶射ノズルから噴射される溶射粒子により耐溶融金属部材に溶射皮膜を生成する溶射皮膜の生成方法であって、前記溶射粒子は、粒子径が15μm以下の微粒子であることを特徴とする。また溶射中および溶射直後の溶射粒子を非酸化性ガスでシールドすることにより溶射粒子の酸化防止を行い、更に緻密な溶射皮膜を形成して溶融金属に対する耐食性、酸洗による耐食性を高めたことを特徴とする。

Description

本発明は、溶射粒子が溶射される耐溶融金属部材および耐溶融金属部材の製造方法に関する。
鋼板の表面に皮膜を形成する方法として、亜鉛、アルミニウム、亜鉛・アルミニウム合金などの溶融金属が収容されたプール内に鋼板を浸漬させる方法が知られている。このプールには、鋼板を搬送する搬送ロールが設けられており、この搬送ロールは溶融金属により浸透腐食される恐れがある。そのため、浸透腐食対策として、搬送ロールの表面を保護用皮膜で覆う方法が知られている。
この種の保護用皮膜形成方法として、高速ガス溶射法が知られている。特許文献1および2は、WC−Co系やWC−WB−Co系のサーメット材料を高速ガス溶射法で溶射する方法を開示する。特許文献3は、アルミナなどのセラミックスをプラズマ溶射することにより形成された溶射層に封孔処理を施す方法を開示する。
特開昭48−11237号公報 特許第2553937号明細書 特開平10−306362号公報
しかしながら、これまでの溶射方法では、使用期間が長くなると、搬送ロールの表面から保護用皮膜が剥離、損耗して搬送ロールを交換しなければならなかった。近年、コスト削減および生産効率の向上化などを背景として、搬送ロールの更なる長寿命化が求められるようになっている。また、搬送ロールは酸腐食環境下において使用される場合でも、同様に長寿命化が求められるようになっている。
そこで、本願発明は、耐溶融金属部材に溶射される溶射皮膜の長寿命化を目的とする。
本発明者等は、従来の溶射皮膜を分析して、溶射皮膜が剥離、損耗する原因を分析した。図1は、従来の溶射皮膜の断面を模式的に示した断面図である。図示しない溶射ガンから噴射された溶射粒子1は、半溶融した状態で大気中を移動して耐溶融金属部材(ここでは、溶融亜鉛内で鋼板を搬送する搬送ロールを耐溶融金属部材とする)に衝突する。溶射粒子1は、衝突時に超高速(約600m/s)・高温(約1750℃)に達しているため、搬送ロールに衝突することにより潰れて、扁平状に変形する。この扁平状に変形した溶射粒子1が順次積層されることにより、溶射皮膜が形成される。
図1に図示するように、従来の溶射皮膜には、多数の気孔3、貫通気孔4が形成されている。搬送ロールを溶融亜鉛の中に浸漬すると、溶融亜鉛は気孔3、貫通気孔4を通液して溶射皮膜の内部に浸透して、腐食を引き起こす。
これらの気孔3、貫通気孔4の発生原因を分析した結果、溶射粒子の径が気孔3、貫通気孔4の形成に大きく影響を与えていることを発見した。すなわち、搬送ロールに溶射されて凝固した凝固溶射粒子2に溶射粒子1が衝突した際に、溶射粒子1の温度が低くて十分に潰れないため、凝固溶射粒子2および溶射粒子1の対向する面が全て接触せずに、空隙が生じ、気孔3が形成される。また、溶射粒子1の衝突時の変形速度は非常に速いため、溶射粒子1の変形中は周囲の空気の逃げ場がなくなり、変形後にこの空気は溶射粒子1の隙間を通って、外部に放出される。このため、気孔3から溶射層の外部に繋がる貫通路が形成され、貫通気孔4が形成される。発明者等の分析によれば、溶射皮膜中に面積比で1〜3%程度の気孔が存在した。また、凝固溶射粒子2の周囲には溶融粒子1の酸化物5が生ずることにより、溶融粒子1間の結合力を弱めると共に貫通気孔4が生成されやすくしていた。
図2は従来の溶射皮膜内に亜鉛が浸入した状態の光学顕微鏡写真である。同図に示すように、溶射皮膜に亜鉛が浸入すると、腐食が進行して、溶射皮膜が剥離、損耗する。
図3Aは、従来の溶射粒子が積層された状態を図示した断面図であり、図3Bは従来の溶射粒子よりも粒径が小さい微粉溶射粒子が積層された状態を図示した断面図である。溶射粒子を完全な球と仮定した場合に、隣接する溶射粒子の間に形成される隙間の大きさは、粒子径の三乗に比例する。そのため、溶射粒子の径を小さくすることにより、微粉粒子の充填率が向上して、溶融亜鉛が浸入しにくい緻密な溶射皮膜を生成することができる。
そこで、本願発明は、(1)Znおよび/またはAlを含む溶融金属に接触する接触部位を溶射皮膜で覆った耐溶融金属部材であって、前記溶射皮膜を、粒子径が15μm以下の溶射粒子を溶射することにより形成したことを特徴とする。
(2)(1)の構成において、前記溶射粒子には、Niおよび/またはCoを含ませることができる。
(3)(1)または(2)の構成において、溶射ノズルから噴射された溶射粒子を、筒状のガス流で形成されたガスドーム内を移動させながら前記耐溶融金属部材に衝突させることを特徴とする。
(4)(3)の構成において、前記ガスドームは、非酸化性ガスにより形成されていることが好ましい。
(5)(1)から(4)の構成において、溶射直後の溶射皮膜表面に非酸化性ガスを吹き付けることが好ましい。
本発明によれば、緻密な溶射皮膜を備えた耐溶融金属部材を提供することができる。
従来の溶射皮膜の断面を模式的に示した断面図である。 従来の溶射皮膜内に亜鉛が浸入した状態を図示した光学顕微鏡写真である。 従来の溶射粒子が積層された状態を図示した断面図である。 従来の溶射粒子よりも粒径が小さい溶射粒子が積層された状態を図示した断面図である。 実施形態1の高速ガス溶射装置の断面図である。 溶射粒子の粒径を変化させた時の気孔率との関係を示した図である。 実施形態2の非酸化性ガスを吹き付けた図である。 比較例の溶射皮膜の反射電子像を示している。 比較例の溶射皮膜のEDSマッピング像を示している。 実施例1の溶射皮膜の反射電子像を示している。 実施例1の溶射皮膜のEDSマッピング像を示している。 実施例2の溶射皮膜の反射電子像を示している。 実施例2の溶射皮膜のEDSマッピング像を示している。 実施例3のブラスト摩耗試験方法を示した図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。本発明は、Alおよび/またはZnを含む溶融金属による腐食を防止することを目的とする。従って、本発明の耐溶融金属部材には、溶融金属に接触する様々な部材が含まれる。例えば、鋼板メッキ用の溶融金属が貯留された貯留容器内で鋼板を搬送する搬送ロール、溶融金属が付着した鋼板を貯留容器の外部で搬送する搬送ロール、溶融金属が流し込まれる鋳型、鋳型で使用される柄杓、溶融金属を搬送するポンプなどが含まれる。
(実施形態1)
図4は、本発明の耐溶融金属部材の製造方法を有効に実施するための高速ガス溶射装置の断面図である。なお、X軸、Y軸およびZ軸は互いに直交する異なる三軸を示しており、X軸方向は溶射粒子の噴射方向である。また、本実施形態では、鋼板メッキ用の溶融金属が貯留された貯留容器内で鋼板を搬送する搬送ロール(耐溶融金属部材)を例にして説明する。
高速ガス溶射装置300は、燃焼室101とその噴射方向前方に配置される溶射ノズル103を含む。燃焼室101は、筒状に形成され噴射方向に延びている。燃焼室101の後端は、燃焼室尾栓105により閉塞されている。燃焼室尾栓105は、燃料供給部106と酸素ガス供給部107とを含む。燃料供給部106は、燃焼室101に連通しており、燃料供給部106に投入された燃料は燃焼室101に向けて高速で移動する。酸素ガス供給部107は、燃焼室101に連通しており、酸素ガス供給部107内の酸素は燃焼室101に向けて高速で移動する。燃料供給部106に投入される燃料には、灯油を用いることができる。灯油の流量は、好ましくは15.5リットル/h〜26.5リットル/hである。酸素の流量は、好ましくは40m/h〜53m/hである。
燃焼室101の溶射ノズル103との連結部分には、ラバル型ノズル102が形成されている。ラバル型ノズル102に供給される流体の温度、圧力を制御することによって、流体の速度を超音速にまで高めることができる。
溶射ノズル103は、内径寸法が一定の筒形状に形成されており溶射方向に延びている。溶射ノズル103の長さは、好ましくは10〜20cmである。この溶射ノズル103は燃焼室101から供給される高速の燃焼ガスを整流し、集束性を高める。そのため、溶射ノズル103の長さが上記の範囲よりも短くなると、整流効果や集束効果が少なくなり、また、上記の範囲よりも長くなると、燃焼ガスの速度が低下する。溶射ノズル103の先端部には、噴射口103aが形成されている。この噴射口103aから燃焼ガスとともに溶射材料が噴射される。
溶射ノズル103の噴射口103a近傍には、溶射材料供給ノズル104が形成されている。溶射ノズル103の内周面には、溶射材料供給ノズル104の溶射粒子供給口104aが形成されている。図示しない溶射材料供給装置は、溶射材料を溶射材料供給ノズル104に向けて搬送する。搬送手段には、窒素ガスなどのキャリアガスを用いることができる。従って、溶射材料は、キャリアガスとともに溶射ノズル103内部の燃焼ガス内に流入する。
図5はWC12Co溶射粒子の粒径を変化させて溶射した時の気孔率を示した図である。従来溶射は粒径40μm程度の溶射材料を溶射厚150μm程度行ってきたが3%程度の気孔が避けられなかった。粒径40μmで溶射厚150μm溶射した試験片を40℃、10%希硫酸へ浸漬したところ希硫酸が溶射皮膜内に浸透し、5日間で基材から溶射皮膜が剥離した。図4に示す溶射装置を使用して、溶射粒子の粒径を変化させて試験を行った結果、15μm溶射粒子では気孔率は0.15%となり試験片を40℃、10%希硫酸へ20日間浸漬しても溶射皮膜内に希硫酸が浸透せず、溶射材料の粒径を15μm以下にすれば貫通気孔を防止できることが判明した。
粒径が15μm以下の微細な溶射粒子を用いることにより、貫通気孔をなくし緻密な溶射皮膜を形成することができる。これにより、Znおよび/またはAlを含む溶融金属が溶射皮膜の内部に浸入するのを効果的に抑制して、搬送ロールの腐食を防止できる。また、溶融金属内で使用されることにより搬送ロールの表面に付着したZnおよび/またはAlなどを酸性溶液を用いて除去する際に、この酸性溶液により腐食されるのを防止できる。ここで、溶射材料の粒径とは、溶射材料の平均粒子径のことであり、レーザー回折散乱式測定法により算出されるメジアン径のことである。
また、粒径が1μm以上の溶射粒子を使用するのが好ましい。これにより、溶射材料供給ノズル104の溶射粒子供給口104aの近傍に溶射粒子が付着するのを防止できる。すなわち、溶射粒子の粒径が小さくなると、溶射粒子供給口104aから射出する際の運動エネルギが小さくなり、溶射粒子供給口104aの近傍に溶射粒子が堆積するおそれがある。そのため、溶射粒子の粒径を1μm以上に設定することにより、溶射粒子の堆積を効果的に抑制することができる。
溶射材料には、溶射粒子同士を結合させるバインダーとして様々な材料を用いることができる。例えば、Ni、Co単体だけでなくNi基、Ni―Cr基、Co基などの合金(例えば、Coを主成分とし、約30質量%のCr、4〜15質量%のWなどからなるステライト合金)を用いることができる。
従来は貫通気孔によるZnおよび/またはAlを含む溶融金属および酸性溶液による浸透腐食を防止するために溶射皮膜の気孔を封孔剤で封孔する方法が行われてきたが、搬送ロールに鋼板が接触して表面が摩耗および内部応力が発生する。その結果、封孔剤に亀裂が生じて封孔処理の効果が低下し、搬送ロールの寿命が短くなる。本実施形態の搬送ロールは、貫通気孔および気孔がほとんど無いため封孔処理を必須とせず、封孔処理を施した従来の搬送ロールよりも寿命を長くすることができる。なお本実施形態の搬送ロールに封孔処理を施すこともできる。この場合、封孔剤により溶融金属および酸性溶液による浸透腐食を更に効果的に抑制することができる。
(実施形態2)
図4の高速ガス溶射装置300には、筒状ガス供給部310が設けられている。X軸方向視において、筒状ガス供給部310のガス排出口である筒状ガス供給孔310aは、噴射口103aを包囲している。そのため、筒状ガス供給孔310aから噴出したガスにより筒状のガスドームが形成される。噴射ノズル103から噴射された燃焼ガスは、このガスドームの内部をX軸方向に移動する。ガスとしては空気だけではなく窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等の非酸化性ガスおよびプロパンガス、アセチレンガス等の可燃性ガスを使用することも可能である。
溶射材料供給ノズル104より燃焼ガス内に供給された溶射材料は燃焼ガス内の残存酸素および燃焼ガスの周囲より引き込まれた空気中の酸素により溶射材料の表面を酸化させ溶射皮膜内の溶射粒子間の結合力を低下させ溶射皮膜の強度を低下させる。特に溶射材料の粒径が小さくなった場合には比表面積が大きくなるので酸化の影響が大きくなる。ガスとして非酸化性ガスを使用した場合、この非酸化性ガスが障壁となって、大気中の酸素が燃焼ガス内に引き込まれるのを阻止できると共に非酸化性ガスが燃焼ガス内に引き込まれるので燃焼ガス内の酸素分圧が下がる。これにより燃焼ガス内の溶射材料が酸化するのを抑制できる。筒状ガス供給孔310aは、溶射ノズル103から噴射される燃焼ガスを包囲できる形状であれば他の形状(たとえば、矩形)に変更することもできる。
(実施形態3)
図6は図4の高速ガス溶射装置を使用して被溶射材204としてのロールに溶射する方法を模式的に示した模式図である。溶射材料は、溶射材料供給ノズル104より超音速で流れる燃焼ガス203の中に吹き込まれ加熱、加速される。この加熱、加速された溶射材料は、被溶射材204に吹き付けられることにより、成膜して溶射皮膜205となる。被溶射材料が酸化しないように筒状ガス供給部310aより筒状のガス流で形成されたガスドームが供給される。筒状ガス供給部310aから噴射されるガス流として非酸化性ガスを使用する場合には、酸化防止効果を高めることができる。一方、非溶射材204が矢印方向に回転することにより、溶射皮膜がガスドームの内部から退避して、大気に晒される。ここで、溶射直後の溶射皮膜の温度は800℃程度あり、溶射材料の酸化開始温度である250℃〜350℃より高い。そのため、溶射直後の溶射皮膜は、大気に晒されることにより、表面が酸化してその上に形成される新たな溶射皮膜との結合力が低下する。そこで、本実施形態では、冷却ガス吹き付けノズル206により溶射皮膜205の表面に冷却ガスを吹き付けている。これにより、溶射直後の溶射皮膜205の表面が急速に酸化開始温度以下に冷却されるため、溶射皮膜205の酸化を防止できる。冷却ガスとして窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等の非酸化性ガスを使用するとより効果が大きい。
なお、実施形態1から3では図4に示した高速ガス溶射装置を用いたが、本発明はこれに限られるものではなく、他の微粉溶射が可能な高速ガス溶射装置およびプラズマ溶射装置にも適用することができる。
以下、実施例を示した本発明について具体的に説明する。
実施例1の試験条件は下記の通りで実施形態1の方法で実施した。溶射材料には、Mo、B、Co、Crを用いた。溶射粒子の平均粒子径は、3μmとした。溶射装置には、図4に図示する実施形態1の高速ガス溶射装置を用い、溶射厚は200μmとした。搬送ロールの試験材として、SUS410からなる丸棒を用いた。丸棒の径寸法は30mm、長手方向寸法は200mmとした。
比較例1の試験条件は下記の通りである。溶射粒子の平均粒子径は、40μmとした。溶射装置には、TAFA社製のJP−5000高速ガス溶射ガンを用いた。搬送ロールには、実施例1と同様の丸棒を用いた。なお、溶射粒子の平均粒子径は、レーザー回折散乱式測定法で測定したメジアン径である。
これら実施例1および比較例1の丸棒を溶融亜鉛中に封孔材なしで10日間浸漬させた後、丸棒表面の溶射皮膜の断面をEDSマッピング像で解析した。図7Aに比較例の溶射皮膜断面の反射電子像、図7BにEDSマッピング像を示し、図8Aに実施例の溶射皮膜断面の反射電子像、図8BにEDSマッピング像を示した。また、試験結果を表1に示した。実施例1では溶射皮膜内に亜鉛の浸透がみられなかったが、比較例1では溶射皮膜内に亜鉛が浸透して丸棒の基材にまで達した。実施例1では、更に10日間、溶融亜鉛に浸漬させたが、溶射皮膜内への亜鉛の浸透が全くみられなかった。
実施例2の試験条件は下記の通りで実施形態2の方法で実施した。溶射材料には、Mo、B、Co、Crを用いた。溶射粒子の平均粒子径は3μmとした。鋼板メッキ用の溶融亜鉛内で鋼板を搬送するサポートロールに本発明を適用して、耐食性を評価した。サポートロールの使用期間は30日とした。溶射装置には、図4に図示する高速ガス溶射装置を用い、筒状ガス供給部より非酸化性ガスとして窒素ガスを供給した。溶射厚は100μmとした。搬送ロールの材質はSUS410、径350mm、長さ2690mmとした。
比較のため鋼板に接しないロール端部に従来の平均粒径40μmの溶射を溶射装置としてTAFA社製のJP−5000高速ガス溶射ガンを用いて行った。封孔処理は比較のため両方に行った。
比較部の従来法では封孔処理余剰層および溶射皮膜内に亜鉛が浸透してサポートロール基材にまで達し剥離した。本発明の実施例2では、封孔処理余剰層へのZnの浸透はみられたが溶射皮膜内への亜鉛の浸透が全くみられなかった。図9Aに実施例2の溶射皮膜断面の反射電子像、図9BにEDSマッピング像を示した。
非酸化性筒状ガスドームおよび溶射直後の溶射皮膜表面への非酸化性ガス吹き付けの効果を確認するため表3の試験を行った。溶射材料には、Mo、B、Co、Crを用いた。溶射粒子の平均粒子径は3μmとした。溶射装置には、図4に図示する実施形態1の高速ガス溶射装置を用い、溶射厚は200μmとした。試験材として、SUS410からなる
幅30mm×長さ50mm×厚さ5mmの平板を用いた。溶射条件は灯油量19.7リットル/h、酸素量700Nリットル/minとした。
条件1:非酸化性筒状ガスドーム無し、非酸化性ガス吹き付け無し (ベース)
条件2:非酸化性筒状ガスドーム有り、非酸化性ガス吹き付け無し
条件3:非酸化性筒状ガスドーム有り、非酸化性ガス吹き付け有り
非酸化性筒状ガスドームを使用することにより燃焼ガス中を流れる溶射粒子表面の酸化が抑制されるため溶射皮膜中の各粒子間の結合力が向上しブラスト摩耗量が減少すると共に、溶射1パス当たりの成膜量が向上した。また溶射直後の溶射皮膜に非酸化性ガスを吹き付けて急速に高温酸化開始温度以下に冷却することにより同様の効果があった。粒子間結合力を評価するための斜角ブラスト摩耗試験は図10に示す方法で行った。
【0003】
溶射粒子2の周囲には溶融粒子1の酸化物5が生ずることにより、溶融粒子1間の結合力を弱めると共に貫通気孔4が生成されやすくしていた。
[0010]
図2は従来の溶射皮膜内に亜鉛が浸入した状態の光学顕微鏡写真である。同図に示すように、溶射皮膜に亜鉛が浸入すると、腐食が進行して、溶射皮膜が剥離、損耗する。
[0011]
図3Aは、従来の溶射粒子が積層された状態を図示した断面図であり、図3Bは従来の溶射粒子よりも粒径が小さい微粉溶射粒子が積層された状態を図示した断面図である。溶射粒子を完全な球と仮定した場合に、隣接する溶射粒子の間に形成される隙間の大きさは、粒子径の三乗に比例する。そのため、溶射粒子の径を小さくすることにより、微粉粒子の充填率が向上して、溶融亜鉛が浸入しにくい緻密な溶射皮膜を生成することができる。
[0012]
そこで、本願発明は、(1)Znおよび/またはAlを含む溶融金属に接触する接触部位を溶射皮膜で覆った耐溶融金属部材であって、前記溶射皮膜を、平均粒子径が15μm以下の溶射粒子を高速ガス溶射機で溶射することにより形成したことを特徴とする。
[0013]
(2)(1)の構成において、前記溶射粒子には、Niおよび/またはCoを含ませることができる。
[0014]
(3)(1)または(2)の構成において、溶射ノズルから噴射された溶射粒子を、筒状のガス流で形成されたガスドーム内を移動させながら前記耐溶融金属部材に衝突させることを特徴とする。
[0015]
(4)(3)の構成において、前記ガスドームは、非酸化性ガスにより形成されていることが好ましい。
[0016]
(5)(1)から(4)の構成において、溶射直後の溶射皮膜表面に非酸化性ガスを吹き付けることが好ましい。
発明の効果
[0017]
本発明によれば、緻密な溶射皮膜を備えた耐溶融金属部材を提供することができる。
図面の簡単な説明

Claims (5)

  1. Znおよび/またはAlを含む溶融金属に接触する接触部位を溶射皮膜で覆った耐溶融金属部材であって、前記溶射皮膜を、粒子径が15μm以下の溶射粒子を溶射することにより形成したことを特徴とする耐溶融金属部材
  2. 前記溶射粒子は、Niおよび/またはCoを含むことを特徴とする請求項1に記載の耐溶融金属部材
  3. 溶射ノズルから噴射された溶射粒子を、筒状のガス流で形成されたガスドーム内を移動させながら前記耐溶融金属部材に衝突させることを特徴とする請求項1または2に記載の耐溶融金属部材の製造方法
  4. 前記ガスドームは、非酸化性ガスにより形成されていることを特徴とする請求項3に記載の耐溶融金属部材の製造方法
  5. 溶射直後の溶射皮膜表面に非酸化性の冷却ガスを吹き付けることを特徴とする請求項3または4に記載の耐溶融金属部材の製造方法
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