JPWO2011001889A1 - 光学活性α−アミノ酸のラセミ化方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、特定のγ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼを産出する微生物の生菌体もしくはその処理物を用いて、光学活性α−アミノ酸をラセミ化する方法に関する。本発明によれば、ラセミα−アミノ酸を高品質かつ安価に製造することができる。

Description

関連出願の参照
本願は、先行する日本国特許出願である特願2009−154287号(出願日:2009年6月29日)に基づくものであって、その優先権の利益を主張するものであり、その開示内容全体は参照することによりここに組み込まれる。
発明の背景
発明の分野
本発明は、光学活性α−アミノ酸のラセミ化方法に関する。
関連技術
各種工業薬品、農薬、及び医薬品の製造中間体として利用されるD体又はL体の光学活性α−アミノ酸を、光学分割剤を使用して製造する際、残存する他方の光学異性体であるL体又はD体のα−アミノ酸を、再び原料であるラセミα−アミノ酸とするラセミ化は重要な方法である。
光学活性α−アミノ酸をラセミ化する方法としては、化学的なラセミ化法が知られている。例えば、酸性又はアルカリ性水溶液中、高温でα−アミノ酸をラセミ化する方法が知られている(米国特許第2586154号明細書,米国特許第4769486号明細書)。しかしながら、これらの方法は反応条件が過酷であり、副生成物が多くなる。また、触媒を用いてのラセミ化方法も知られている。例えば、酸性条件下、サリチルアルデヒドを触媒としてラセミ化する方法が知られている(特開平11−228512号公報,特開平11−322684号公報(前記2件の日本国公開公報の対応欧州公報はEP0937705A))。しかしながら、これらの方法もまた反応条件が過酷であり、α−アミノ酸の収率の低下が認められる。
光学活性α−アミノ酸のラセミ方法としては、酵素を使用したラセミ化も知られている。一般的にはアラニンラセマーゼやグルタミン酸ラセマーゼ、プロリンラセマーゼといった酵素がアミノ酸をラセミ化する。しかしながら、これらの酵素は一般的に基質特異性が高く、種々の光学活性α−アミノ酸からラセミα−アミノ酸を製造する際に用いることは不向きである。
光学活性α−アミノ酸をラセミ化する酵素としては、低基質特異性のアミノ酸ラセマーゼも知られている(国際公開第2003/074690号、文献(左右田健次、生化学実験講座11 アミノ酸代謝と生体アミン(上)、東京化学同人、P.275−296(1976)))。しかしながら、該酵素は、光学活性脂肪族α−アミノ酸に対して活性が低く、種々の光学活性α−アミノ酸のラセミ化に適用することは難しい。
その他の方法としては、例えば、微生物を利用してのα−アミノ酸のラセミ化方法も知られている(特開2004−57014号公報)。しかしながら、ここに開示されている微生物は芳香族α−アミノ酸に対するラセミ化活性しか有さないので、同様に種々の光学活性α−アミノ酸のラセミ化に適用することは難しい。
上述のとおり、光学活性α−アミノ酸をラセミ化する手段がいくつも知られているが、いずれも何らかの問題を含んでいる。このため、種々の光学活性α−アミノ酸に適用でき、かつ、効率的にラセミ化する方法が依然として求められていた。
本発明者等は今般、本来はγ−アミノ酪酸と2−オキソグルタル酸の反応に関わる酵素であるγ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼに分類される酵素が、幅広い光学活性α−アミノ酸をラセミ化する活性を持つことを予想外にも見出した。本発明はかかる知見に基づくものである。
本発明の目的は、各種工業薬品、農薬,及び医薬品の製造中間体として重要な光学活性α−アミノ酸を、ラセミα−アミノ酸を原料として光学分割剤を使用して製造する際に、残存する他方のL体又はD体のα−アミノ酸から、再び原料として使用しうるラセミα−アミノ酸を高品質かつ安価に製造するための方法を提供することにある。このようにして得られるラセミα−アミノ酸を原料として、高収率で所望の光学活性α−アミノ酸をさらに得ることが可能となる。
すなわち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1) Leuconostoc属、LactobacIllus属、WeIssella属、Oenococcus属、Staphylococcus属、AmInobacterIum属、AlkalIphIlus属、ClostrIdIum属、Pyrococcus属、Thermococcus属、ThermofIlum属、Pyrobaculum属、AnoxybacIllus属、Syntrophus属、Thermoproteus属、SymbIobacterIum属、Desulfurococcus属、BacIllus属、AcIdobacterIa属、ClostrIdIum属、DeInococcus属、Pelobacter属、GeobacIllus属、Geobacter属、Pelotomaculum属、SolIbacter属、Coprothermobacter属、Aeropyrum属、Gloeobacter属、Nostoc属、HerpetosIphon属、Metallosphaera属、Syntrophobacter属、Photorhabdus属、CaldIvIrga属、Hyperthermus属、Thermoplasma属、Gemmata属、Anabaena属、Cyanothece属、PIcrophIlus属、又はChloroflexus属に由来するγ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼを産出する微生物の生菌体もしくはその処理物を用いて、光学活性なα−アミノ酸をラセミ化することを含んでなる、光学活性α−アミノ酸のラセミ化方法。
(2) γ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼが、
Leuconostoc mesenteroIdes subsp. mesenteroIdes、
Staphylococcus saprophytIcus subsp. saprophytIcus、
LactobacIllus fermentum、
LactobacIllus reuterI、
Staphylococcus epIdermIdIs、
Leuconostoc cItreum、又は
Pyrococcus horIkoshII
に属する菌に由来するものである、(1)に記載の方法。
(3) γ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼが、
Leuconostoc mesenteroIdes subsp. mesenteroIdes ATCC 8293、
Staphylococcus saprophytIcus subsp. saprophytIcus ATCC 15305、
LactobacIllus fermentum IFO 3956、
LactobacIllus reuterI DSM 20016、
Staphylococcus epIdermIdIs ATCC 12228、
Leuconostoc cItreum NBRC 102476、又は
Pyrococcus horIkoshII OT−3
に由来するものである、(1)又は(2)に記載の方法。
(4) γ-アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼが、下記(a)〜(c)から選択されるポリペプチドである、(1)〜(3)のいずれかに記載の方法:
(a) 配列番号1、2、3、4、5、6、7及び8で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、
(b) 前記(a)のアミノ酸配列において、1個もしくは複数個のアミノ酸残基が、欠損、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、又は
(c) 前記(a)のアミノ酸配列に対して75%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。
(5) 下記(a)〜(c)から選択されるγ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼを用いて、光学活性なα−アミノ酸をラセミ化することを含んでなる、光学活性α−アミノ酸のラセミ化方法:
(a) 配列番号1、2、3、4、5、6、7及び8で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、
(b) 前記(a)のアミノ酸配列において、1個もしくは複数個のアミノ酸残基が、欠損、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、又は
(c) 前記(a)のアミノ酸配列に対して75%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。
(6) γ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼが、Leuconostoc mesenteroIdes subsp. mesenteroIdes ATCC 8293由来であって、下記(a1)〜(c1)から選択されるポリペプチドである、(1)〜(5)のいずれかに記載の方法:
(a1) 配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、
(b1) 前記(a1)のアミノ酸配列において、1個もしくは複数個のアミノ酸残基が、欠損、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、又は
(c1) 前記(a1)のアミノ酸配列に対して75%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。
(7) γ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼが、Staphylococcus saprophytIcus subsp. saprophytIcus ATCC 15305由来であって、下記(a2)〜(c2)から選択されるポリペプチドである、(1)〜(5)のいずれかに記載の方法:
(a2) 配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、
(b2) 前記(a2)のアミノ酸配列において、1個もしくは複数個のアミノ酸残基が、欠損、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、又は
(c2) 前記(a2)のアミノ酸配列に対して75%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。
(8) γ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼが、LactobacIllus fermentum IFO 3956由来であって、下記(a3)〜(c3)から選択されるポリペプチドである、(1)〜(5)のいずれかに記載の方法:
(a3) 配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、
(b3) 前記(a3)のアミノ酸配列において、1個もしくは複数個のアミノ酸残基が、欠損、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、又は
(c3) 前記(a3)のアミノ酸配列に対して75%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。
(9) γ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼが、LactobacIllus reuterI DSM 20016由来であって、下記(a4)〜(c4)から選択されるポリペプチドである、(1)〜(5)のいずれかに記載の方法:
(a4) 配列番号4で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、
(b4) 前記(a4)のアミノ酸配列において、1個もしくは複数個のアミノ酸残基が、欠損、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、又は
(c4) 前記(a4)のアミノ酸配列に対して75%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。
(10) γ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼが、Staphylococcus epIdermIdIs ATCC 12228由来であって、下記(a5)〜(c5)から選択されるポリペプチドである、(1)〜(5)のいずれかに記載の方法:
(a5) 配列番号5で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、
(b5) 前記(a5)のアミノ酸配列において、1個もしくは複数個のアミノ酸残基が、欠損、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、又は
(c5) 前記(a5)のアミノ酸配列に対して75%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。
(11) γ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼが、Leuconostoc cItreum NBRC 102476由来であって、下記(a6)〜(c6)から選択されるポリペプチドである、(1)〜(5)のいずれかに記載の方法:
(a6) 配列番号6で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、
(b6) 前記(a6)のアミノ酸配列において、1個もしくは複数個のアミノ酸残基が、欠損、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、又は
(c6) 前記(a6)のアミノ酸配列に対して75%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。
(12) γ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼが、Pyrococcus horIkoshII OT−3由来であって、下記(a7)〜(c7)から選択されるポリペプチドである、(1)〜(5)のいずれかに記載の方法:
(a7) 配列番号7または8で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、
(b7) 前記(a7)のアミノ酸配列において、1個もしくは複数個のアミノ酸残基が、欠損、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、又は
(c7) 前記(a7)のアミノ酸配列に対して75%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。
(13) 光学活性α−アミノ酸が、下記式(I)で表される1種以上のものである、(1)〜(12)のいずれかに記載の方法:
Figure 2011001889
[式中、Rは、
メチル基もしくはヒドロキシ基により置換されていてもよい、ベンジル基;又は
炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基(ここでアルキル基は、ヒドロキシ基、メチルチオ基、チオール基、アミド基、もしくはイミダゾイル基により置換されていてもよい)
である]。
(14) 光学活性α−アミノ酸が、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、tert-ロイシン、ヒスチジン、フェニルアラニン、メチオニン、アスパラギン、チロシン、セリン及び2−アミノ酪酸からなる群より選択される1種以上のものである、(13)に記載の方法。
(15) 光学活性α−アミノ酸がL体である、(1)〜(14)のいずれかに記載の方法。
(16) 光学活性α−アミノ酸がD体である、(1)〜(14)のいずれかに記載の方法。
また、本発明の別の態様によれば、以下の発明が提供される。
(2’) γ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼが、Leuconostoc mesenteroIdes subsp. mesenteroIdes ATCC 8293由来であり、配列番号1で表される、あるいは配列番号1に示されるアミノ酸配列から1個又は複数個のアミノ酸が欠損、置換、もしくは付加されたアミノ酸配列である、(1)記載の光学活性α−アミノ酸のラセミ化方法。
(3’) γ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼが、Staphylococcus saprophytIcus subsp. saprophytIcus ATCC 15305由来であり、配列番号2で表される、あるいは配列番号2に示されるアミノ酸配列から1個又は複数個のアミノ酸が欠損、置換、もしくは付加されたアミノ酸配列である、(1)記載の光学活性α−アミノ酸のラセミ化方法。
(4’) γ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼが、LactobacIllus fermentum IFO 3956由来であり、配列番号3で表される、あるいは配列番号3に示されるアミノ酸配列から1個又は複数個のアミノ酸が欠損、置換、もしくは付加されたアミノ酸配列である、(1)記載の光学活性α−アミノ酸のラセミ化方法。
(5’) γ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼが、LactobacIllus reuterI DSM 20016由来であり、配列番号4で表される、あるいは配列番号4に示されるアミノ酸配列から1個又は複数個のアミノ酸が欠損、置換、もしくは付加されたアミノ酸配列である、(1)記載の光学活性α−アミノ酸のラセミ化方法。
(6’) γ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼが、Staphylococcus epIdermIdIs ATCC 12228由来であり、配列番号5で表される、あるいは配列番号5に示されるアミノ酸配列から1個又は複数個のアミノ酸が欠損、置換、もしくは付加されたアミノ酸配列である、(1)記載の光学活性α−アミノ酸のラセミ化方法。
(7’) γ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼが、Leuconostoc cItreum NBRC 102476由来であり、配列番号6で表される、あるいは配列番号6に示されるアミノ酸配列から1個又は複数個のアミノ酸が欠損、置換、もしくは付加されたアミノ酸配列である、(1)記載の光学活性α−アミノ酸のラセミ化方法。
(8’) γ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼが、Pyrococcus horIkoshII OT−3由来であり、配列番号7又は8で表される、あるいは配列番号7又は8に示されるアミノ酸配列から1個又は複数個のアミノ酸が欠損、置換、もしくは付加されたアミノ酸配列である、(1)記載の光学活性α−アミノ酸のラセミ化方法。
(9’) γ-アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼを産出する菌体又はその処理物が、配列番号1、2、3、4、5、6、7又は8で表される、あるいは配列番号1、2、3、4、5、6、7又は8に示されるアミノ酸配列から1個又は複数個のアミノ酸が欠損、置換、もしくは付加されたアミノ酸配列であるγ-アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼを産出するように改変された遺伝子組換え菌或いはその処理物である(1)記載の光学活性α−アミノ酸のラセミ化方法。
(10’) 光学活性α−アミノ酸がアラニン、バリン、ロイシン、フェニルアラニン、メチオニン、セリン及び2−アミノ酪酸から選ばれる1種以上である(1)〜(9’)のいずれかに記載の光学活性α−アミノ酸のラセミ化方法。
本発明においては光学活性α−アミノ酸に対して、α−アミノ酸のラセミ化活性を有するγ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼを産出する微生物の生菌体又はその処理物を使用することによって、α−アミノ酸の誘導体化等の工程を経ることなくラセミ化が可能となる。本発明によれば、各種工業薬品、農薬,及び医薬品の製造中間体として有用な種々の光学活性α−アミノ酸を、高品質で、効率的かつ安価にラセミ化することができる。従来は、ラセミα−アミノ酸を原料として光学分割して残存する他方のL体又はD体のα−アミノ酸を、原料として有効に利用し、所望の光学活性アミノ酸を得ることができるので、薬品や農薬等の分野において極めて有用である。
発明の具体的説明
γ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼ
本発明において用いられるγ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼは、光学活性α−アミノ酸をラセミ化する活性を有するものである。
ここで、「光学活性α−アミノ酸をラセミ化する活性を有する」とは、光学活性α−アミノ酸、すなわちL体又はD体のα−アミノ酸の一方のみからなるか、又はL体又はD体のいずれかに存在比が偏った状態にある混合物に作用して、ラセミ化することをいい、目的とする酵素(又はポリペプチド)がこのようなラセミ化する活性を有するか否かは、慣用の方法にしたがって測定することができ、例えば、後述する実施例(実施例1〜5)に記載の方法により確認することができる。ラセミ化する活性を有するか否かの確認に関してより具体的には、実施例の記載に従って所望の酵素を使い、L体又はD体のα−アミノ酸を基質として反応させ、反応後にL体とD体の比率に変動が起こった場合に活性があると判断できる。この場合の変動は、光学活性が低下するような変動である。確認されたL体とD体の比率の変動が少ない場合でも、菌体量や酵素量を変更することでその変動幅を増減できる。
本発明において、典型的には、γ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼは、Leuconostoc属、LactobacIllus属、WeIssella属、Oenococcus属、Staphylococcus属、AmInobacterIum属、AlkalIphIlus属、ClostrIdIum属、Pyrococcus属、Thermococcus属、ThermofIlum属、Pyrobaculum属、AnoxybacIllus属、Syntrophus属、Thermoproteus属、SymbIobacterIum属、Desulfurococcus属、BacIllus属、AcIdobacterIa属、ClostrIdIum属、DeInococcus属、Pelobacter属、GeobacIllus属、Geobacter属、Pelotomaculum属、SolIbacter属、Coprothermobacter属、Aeropyrum属、Gloeobacter属、Nostoc属、HerpetosIphon属、Metallosphaera属、Syntrophobacter属、Photorhabdus属、CaldIvIrga属、Hyperthermus属、Thermoplasma属、Gemmata属、Anabaena属、Cyanothece属、PIcrophIlus属又はChloroflexus属に由来するものである。
好ましくは、該γ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼは、Leuconostoc属、LactobacIllus属、WeIssella属、Oenococcus属、Staphylococcus属、AmInobacterIum属、AlkalIphIlus属、ClostrIdIum属、Pyrococcus属、Thermococcus属又はThermofIlum属に由来するものであり、より好ましくは、Leuconostoc属、LactobacIllus属、Oenococcus属、Staphylococcus属、AmInobacterIum属、AlkalIphIlus属、ClostrIdIum属又はPyrococcus属に由来するものである。
本発明のより好ましい態様によれば、γ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼは、
Leuconostoc mesenteroIdes subsp. mesenteroIdes
Staphylococcus saprophytIcus subsp. saprophytIcus
LactobacIllus fermentum、
LactobacIllus reuterI、
Staphylococcus epIdermIdIs、
Leuconostoc cItreum、又は
Pyrococcus horIkoshIIに由来するものであり、
さらに好ましくは、
Leuconostoc mesenteroIdes subsp. mesenteroIdes ATCC 8293、
Staphylococcus saprophytIcus subsp. saprophytIcus ATCC 15305、
LactobacIllus fermentum IFO 3956、
LactobacIllus reuterI DSM 20016、
Staphylococcus epIdermIdIs ATCC 12228、
Leuconostoc cItreum NBRC 102476、又は
Pyrococcus horIkoshII OT−3
に由来するものである。
本発明におけるγ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼは、下記(a)〜(c)から選択されるポリペプチドである:
(a) 配列番号1、2、3、4、5、6、7及び8で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、
(b) 前記(a)のアミノ酸配列において、1個もしくは複数個のアミノ酸残基が、欠損、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、又は
(c) 前記(a)のアミノ酸配列に対して75%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。
前記(b)のポリペプチド(以下において「改変ポリペプチド」ということがある)は、
配列番号1、2、3、4、5、6、7及び8で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるいずれかのアミノ酸配列において、1個もしくは複数個のアミノ酸残基が、欠損、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなる。このとき、前記(a)のポリペプチドと同様に、光学活性α−アミノ酸をラセミ化する活性を有する。ここで、欠損、置換もしくは付加されてもよいアミノ酸の数は、例えば1〜40個、好ましくは1〜30個、より好ましくは1〜20個、さらに好ましくは1〜10個、特に好ましくは1〜8個であり、最も好ましくは1〜4個である。
「欠損」(欠失)には、アミノ酸配列の端からアミノ酸残基を欠失したもの及びアミノ酸配列の途中のアミノ酸残基が欠失したものも含まれる。
また「付加」には、アミノ酸配列の端にアミノ酸残基を付加したもの及びアミノ酸配列の途中にアミノ酸残基を付加(挿入)したものも含まれる。
前記(b)の改変ポリペプチドは、好ましくは、配列番号1、2、3、4、5、6、7及び8で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるいずれかのアミノ酸配列において、1個もしくは複数個のアミノ酸残基が保存的置換されたアミノ酸配列からなり、かつ、光学活性α−アミノ酸をラセミ化する活性を有するポリペプチドであることができる。
ここで「保存的置換」とは、ペプチドの活性を実質的に改変しないように、1又は複数個(好ましくは数個)のアミノ酸残基を、別の化学的に類似したアミノ酸残基で置換えることを意味する。例えば、ある疎水性残基を別の疎水性残基によって置換する場合、ある極性残基を同じ電荷を有する別の極性残基によって置換する場合などが挙げられる。このような置換を行うことができる機能的に類似のアミノ酸は、アミノ酸毎に当該技術分野において公知である。具体例を挙げると、非極性(疎水性)アミノ酸としては、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、プロリン、トリプトファン、フェニルアラニン、メチオニンなどが挙げられる。極性(中性)アミノ酸としては、グリシン、セリン、スレオニン、チロシン、グルタミン、アスパラギン、システインなどが挙げられる。陽電荷をもつ(塩基性)アミノ酸としては、アルギニン、ヒスチジン、リジンなどが挙げられる。また、負電荷をもつ(酸性)アミノ酸としては、アスパラギン酸、グルタミン酸などが挙げられる。
なお、アミノ酸の欠損、置換又は付加による改変は、例えばそれをコードするDNAに、例えば、周知技術である部位特異的変異誘発(例えば、NucleIc AcId Research, Vol.10, No.20, p.6487-6500, 1982参照)を施すことにより行うことが出来る。他の方法としては、遺伝子を変異源で処理する方法、及び遺伝子を選択的に開裂し、次に選択されたヌクレオチドを除去、付加及び/又は置換し、次いで連結する方法などがある。
前記(c)のポリペプチド(以下において「相同ポリペプチド」ということがある)は、
配列番号1、2、3、4、5、6、7及び8で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列、すなわち、γ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼのアミノ酸配列に関して75%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる限り、特に限定されるものではない。該「同一性」の%は、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、さらにより好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上である。この(c)における相同ポリペプチドは、前記(a)のポリペプチドと同様に、光学活性α−アミノ酸をラセミ化する活性を有する。
本明細書において、「同一性」の数値はいずれも、当業者に公知の相同性検索プログラムを用いて算出される数値であればよく、例えば全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)の相同性アルゴリズムBLAST(BasIc local alIgnment search tool)http://www.ncbI.nlm.nIh.gov/BLAST/ においてデフォルト(初期設定)のパラメーターを用いることにより、算出することができる。
本発明におけるγ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼは、下記の(I)〜(vII)のいずれかであることが好ましい:
(I) Leuconostoc mesenteroIdes subsp. mesenteroIdes ATCC 8293由来であって、下記(a1)〜(c1)から選択されるポリペプチド:
(a1) 配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、
(b1) 前記(a1)のアミノ酸配列において、1個もしくは複数個のアミノ酸残基が、欠損、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、又は
(c1) 前記(a1)のアミノ酸配列に対して75%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる、ポリペプチド;
(II) Staphylococcus saprophytIcus subsp. saprophytIcus ATCC 15305由来であって、下記(a2)〜(c2)から選択されるポリペプチド:
(a2) 配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、
(b2) 前記(a2)のアミノ酸配列において、1個もしくは複数個のアミノ酸残基が、欠損、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、又は
(c2) 前記(a2)のアミノ酸配列に対して75%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる、ポリペプチド;
(III) LactobacIllus fermentum IFO 3956由来であって、下記(a3)〜(c3)から選択されるポリペプチドである:
(a3) 配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、
(b3) 前記(a3)のアミノ酸配列において、1個もしくは複数個のアミノ酸残基が、欠損、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、又は
(c3) 前記(a3)のアミノ酸配列に対して75%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる、ポリペプチド;
(Iv) LactobacIllus reuterI DSM 20016由来であって、下記(a4)〜(c4)から選択されるポリペプチド:
(a4) 配列番号4で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、
(b4) 前記(a4)のアミノ酸配列において、1個もしくは複数個のアミノ酸残基が、欠損、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、又は
(c4) 前記(a4)のアミノ酸配列に対して75%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる、ポリペプチド; 又は
(v) Staphylococcus epIdermIdIs ATCC 12228由来であって、下記(a5)〜(c5)から選択されるポリペプチド:
(a5) 配列番号5で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、
(b5) 前記(a5)のアミノ酸配列において、1個もしくは複数個のアミノ酸残基が、欠損、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、又は
(c5) 前記(a5)のアミノ酸配列に対して75%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。
(vI) γ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼが、Leuconostoc cItreum NBRC 102476由来であって、下記(a6)〜(c6)から選択されるポリペプチド:
(a6) 配列番号6で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、
(b6) 前記(a6)のアミノ酸配列において、1個もしくは複数個のアミノ酸残基が、欠損、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、又は
(c6) 前記(a6)のアミノ酸配列に対して75%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。
(vII) γ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼが、Pyrococcus horIkoshII OT−3由来であって、下記(a7)〜(c7)から選択されるポリペプチド:
(a7) 配列番号7または8で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、
(b7) 前記(a7)のアミノ酸配列において、1個もしくは複数個のアミノ酸残基が、欠損、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、又は
(c7) 前記(a7)のアミノ酸配列に対して75%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。
なお、ここで(b1)〜(b7)及び(c1)〜(c7)のポリペプチドは光学活性α−アミノ酸をラセミ化する活性を有するものであり、これらにおける欠損、置換もしくは付加されるアミノ酸の数及び同一性の%は、前記(b)と(c)に従って確認できる。
光学活性α−アミノ酸のラセミ化方法
本発明の光学活性α−アミノ酸のラセミ化方法は、前記したγ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼを産出する微生物の生菌体もしくはその処理物を用いて、光学活性なα−アミノ酸をラセミ化することを含んでなる。
本発明の光学活性α−アミノ酸の生化学的ラセミ化に使用される微生物は、α−アミノ酸のラセミ化活性を有するγ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼを産出する微生物であれば良い。また、これら微生物から人工的変異手段によって誘導される変異株、あるいは細胞融合もしくは遺伝子組換え法等の遺伝学的手法により誘導される組換え株等の何れの株であっても上記能力を有するものであれば本発明に使用できる。本発明では、前記γ-アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼを産出するように改変された遺伝子組換え菌が好適に利用できる。
より詳しくは、本発明において、γ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼを産出する微生物は、例えば、モレキュラー・クローニング第3版(Molecular ClonIng:A Laboratory Manual、3rd Ed.(ed. Sambrook J.and Russell D.W.)、Cold SprIng Harbor Laboratory Press、Cold SprIng Harbor、New York、2001)等に記載された方法等にしたがって、γ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼをコードするDNAを、宿主細胞において発現できるよう遺伝子組み換えすることによって得ることができる。
すなわち、所望の構造遺伝子を適当な発現ベクターのプロモーターの下流に挿入することにより、組換えDNAを作製する。該組換えDNAを、該発現ベクターに適合した宿主細胞に導入することにより、本発明におけるγ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼを生産する形質転換体を得ることができる。
宿主細胞としては、細菌、放線菌、酵母、動物細胞、昆虫細胞、植物細胞等、目的とする遺伝子を発現できるものであればいずれも用いることができる。好ましくは、大腸菌EscherIchIa colI、放線菌Streptomyces等の細菌が挙げられる。
組換えDNAとしては、上記宿主細胞において自立複製ないしは染色体中への組み込みが可能で、本発明のDNAを転写できる位置にプロモーターを含有しているものが用いられる。
細菌等の原核生物を宿主細胞として用いる場合は、本発明の蛋白質をコードするDNAを含有してなる組換えDNAは、原核生物中で自立複製可能であると同時に、プロモーター、リボゾーム結合配列、本発明のDNA、転写終結配列より構成された組換えDNAであることが好ましい。また、該組換えDNAには、プロモーターを制御する遺伝子が含まれていても良い。
使用可能な発現ベクターとしては、例えば、pTA2(東洋紡績株式会社製)、HelIx1(ロシュ・ダイアグノティクス社製)、pKK233−2(アマシャム・ファルマシア・バイオテク社製)、pSE280(インビトロジェン社製)、pGEMEX−1(プロメガ社製)、pQE−8(キアゲン社製)、pET24(ノバジェン社製)、pBluescrIpt II SK(+)、pBluescrIpt II SK(-)(ストラタジーン社製)、pUC19[Gene,33,103(1985)]、pSTV28(宝酒造株式会社製)、pUC118(宝酒造株式会社製)、pIJ6902[Mol.MIcrobIol.,58,1276(2005)]、pSET152[J.Mol.MIcrobIol.BIotechnol.,4、417(2002)]等を例示することができる。
プロモーターとしては、宿主細胞中で機能し得るものであれば特に制限はなく、いずれのものでも使用可能である。例えば、trpプロモーター(Ptrp)、lacプロモーター(Plac)、T7プロモーター、PLプロモーター、PRプロモーター、PSEプロモーター等の大腸菌やファージ等に由来するプロモーター等を挙げることができる。
宿主細胞としての原核生物としては、エシェリシア属、セラチア属、バチルス属、ブレビバクテリウム属、コリネバクテリウム属、ミクロバクテリウム属、ストレプトミセス属等に属する微生物が挙げられる。
具体例として、本発明者らが新たに作製した、配列番号1又は2で表されるγ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼを発現する能力を有するエシェリシア コリ(E.colI)DH5α株の作製方法を、以下に示す。
DNA供与体微生物であるLeuconostoc mesenteroIdes subsp. mesenteroIdes ATCC 8293、又はStaphylococcus saprophytIcus subsp. saprophytIcus ATCC 15305の培養は、通常資化し得る炭素源、窒素源、各微生物に必須な無機塩、栄養素等を含有させた培地を用いて行われる。培養時のpHは4〜10の範囲が好ましく、温度は20〜50℃が好ましい。培養は1日〜1週間程度好気的に行われる。
なお、本発明において、培養する微生物の培養条件(培地組成、培地pH、培養温度、培地への菌体播種量、培養時間等)は、微生物種に応じた文献や、寄託や保存機関において示された情報に基づいて、適宜決定することができる。
Leuconostoc mesenteroIdes subsp. mesenteroIdes ATCC 8293、又はStaphylococcus saprophytIcus subsp. saprophytIcus ATCC 15305のゲノムDNA塩基配列情報を元に、プライマーを設計する。Leuconostoc mesenteroIdes subsp. mesenteroIdes ATCC 8293、又はStaphylococcus saprophytIcus subsp. saprophytIcus ATCC 15305より抽出した染色体DNAを鋳型としてPCRでγ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼをコードするDNAを増幅し、プラスミドベクター(pUC19)と結合する。これを前者に対してpAT8、後者に対してpAT15と命名する。pAT8、又はpAT15をE.colI(DH5α)に形質転換し、γ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼを発現する組換え菌をDH5α/pAT8、DH5α/pAT15と命名する。
上記の工程中でDNA、組換え体宿主としてのE.colIの取扱いに必要な一般的な操作は、当業者間で通常行われているものであり、例えば、モレキュラー・クローニング第3版に従えば容易に実施できる。使用する酵素、試薬類も全て市販の製品を用いることができ、特に断らない限り製品で指定されている使用条件に従えば完全にそれらの目的を達成することができる。該菌からの全DNA抽出は、例えばSaItoら(BIochIm.BIophys.Acta.,72,619−629,1963)の方法に準じて行うことができる。
γ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼを産出する微生物の培養は、用いる菌により至適な生育条件が異なるため、培養条件は特に限定されず用いる菌に合わせて適宜設定されればよい。例えば大腸菌DH5αを宿主とした遺伝子組換え菌であれば、一般的にpH7、温度37℃が好適な培養条件となる。このようにして培養した微生物は、生菌体又は該生菌体の処理物、さらには精製した酵素として反応に使用される。
ここで、該処理物としては、例えば、培養液(培養物)、培養物の濃縮物、培養物の乾燥物、培養物を遠心分離して得られる菌体(分離菌体)、該菌体の乾燥物、該菌体の凍結乾燥物、該菌体の界面活性剤処理物、菌体破砕物(例えば、該菌体の超音波処理物、該菌体の機械的摩砕処理物)、該菌体の溶媒処理物、該菌体の酵素処理物、該菌体の蛋白質分画物、又は該菌体より抽出して得られる酵素標品などを挙げることができる。また、常法に従って菌体又は酵素を固定化して使用することもできる。
培養物(発現細胞や培養上清)から所望のポリペプチドを精製する方法としては、例えば、硫安塩析、イオン交換セルロースを用いるイオン交換カラムクロマトグラフィー、分子篩ゲルを用いる分子篩カラムクロマトグラフィー、プロテインA結合多糖類を用いる親和性カラムクロマトグラフィー、透析、又は凍結乾燥などを挙げることができる。また、合成法の場合は、液相法、固相法など常法に従い合成することが可能であり、通常、自動合成機を利用することができる。化学修飾物の合成は常法により行なうことができる。
ラセミ化反応に供する原料の光学活性α−アミノ酸はD体でもL体でも、どちらかに偏ったものでも良く、具体的にはアラニン、グルタミン、グルタミン酸、バリン、ロイシン、イソロイシン、tert-ロイシン、ノルバリン、ノルロイシン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン、セリン、スレオニン、システイン、アスパラギン、チロシン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、2−アミノ酪酸、オルニチン等が挙げられる。これらは2以上を組み合わせてもよい。
ラセミ化反応に供する原料の光学活性α−アミノ酸は下記式(I)で表すこともできる。
Figure 2011001889
[式中、Rは、
メチル基もしくはヒドロキシ基により置換されていてもよい、ベンジル基(好ましくはヒドロキシ基により置換されていてもよい、ベンジル基);又は
炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基(ここでアルキル基は、ヒドロキシ基(−OH)、メチルチオ基(−S−CH)、チオール基(−SH)、アミド基(−C(=O)−NH)、もしくはイミダゾイル基により置換されていてもよい)
である]。
ラセミ化反応に供する原料の光学活性α−アミノ酸は、好ましくはアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ノルバリン、ノルロイシン、tert-ロイシン、フェニルアラニン、チロシン、メチオニン、セリン、スレオニン、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、プロリン、2−アミノ酪酸及びオルニチンからなる群より選択されるものであり、より好ましくはアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ノルバリン、ノルロイシン、tert-ロイシン、フェニルアラニン、チロシン、メチオニン、セリン、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、2−アミノ酪酸及びオルニチンからなる群より選択されるものであり、さらに好ましくは、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、tert-ロイシン、アスパラギン、ヒスチジン、フェニルアラニン、メチオニン、アスパラギン、チロシン、セリン及び2−アミノ酪酸からなる群より選択されるものであり、さらにより好ましくはアラニン、バリン、ロイシン、フェニルアラニン、メチオニン、セリン及び2−アミノ酪酸からなる群より選択されるものである。その由来が化学的に得られたものでも、生物的に得られたものでもよく、挟雑物があっても良いが、酵素が阻害を受けて活性を損なう事があるので、精製されたものを使用することが好ましい。
よって本発明の別の態様によれば、下記(a)〜(c)から選択されるγ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼを用いて、光学活性なα−アミノ酸をラセミ化することを含んでなる、光学活性α−アミノ酸のラセミ化方法が提供される:
(a) 配列番号1、2、3、4、5、6、7及び8で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、
(b) 前記(a)のアミノ酸配列において、1個もしくは複数個のアミノ酸残基が、欠損、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、又は
(c) 前記(a)のアミノ酸配列に対して75%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。
本発明において、ラセミ化反応は、水溶液中で行われ、α−アミノ酸の濃度は0.1wt%〜飽和濃度、酵素量は、該酵素を含む微生物の乾燥菌体基準で、原料α−アミノ酸重量の0.00001〜3倍が好ましく、0.002〜0.5倍がより好ましい。反応温度は10〜70℃が好ましく、より好ましくは30〜60℃であり、pHは4〜13が好ましく、より好ましくは5〜10、さらに好ましくは6〜9である。
光学活性α−アミノ酸の製造方法
本発明の別の態様によれば、光学分割されてD体もしくはL体のいずれかが富化されたα−アミノ酸に、本発明によるラセミ化方法を適用して、ラセミ化したα−アミノ酸から、所望する(目的の)D体もしくはL体を光学分割して得ることを含んでなる、光学活性α−アミノ酸の製造方法が提供される。
ここで光学分割する方法として、例えば、後述するような分割剤を使用する方法が挙げられる。
本発明の別の好ましい態様によれば、
下記式(1)で示されるL−α−アミノ酸と、下記式(2)で示されるD−α−アミノ酸との混合物に、D体又はL体のいずれか一方の光学異性体と立体選択的に溶解度の低い塩を形成する分割剤を作用させ、D体又はL体のα−アミノ酸の一方をジアステレオマー塩の固体として分離し(光学分割工程)、
残留するL体又はD体の富化したα−アミノ酸混合物に、本発明にによるγ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼ、又はそれを産出する微生物の生菌体もしくはその処理物を作用させて、ラセミ化し(ラセミ化工程)、
これを、再度分割剤を用いたジアステレオマー塩形成による立体選択的分割に付す(光学分割工程)
ことによって、所望のD体又はL体のα−アミノ酸を得ることを特徴とする、光学活性α−アミノ酸の製造法が提供される。これにより、所望の光学活性α−アミノ酸を好収率で取得することが可能となる。
Figure 2011001889
Figure 2011001889
したがって、例えば、D体とL体の混合物に、L体と立体選択的に溶解度の低い塩を形成する分割剤を作用させ、L体をジアステレオマー塩の固体として分離し、残りのD体若しくはD体とL体の混合物にアミノ酸ラセミ化活性を有する微生物の生菌体等を作用させることにより得られたL体の富化した混合物を再度光学分割することにより新たなL体が得られる。これを繰り返すことにより、D体とL体の混合物からL体のα−アミノ酸を得ることができる(同様にD体のα−アミノ酸を得ることもできる)。
ここで、式(1)または(2)におけるRは、メチル基もしくはヒドロキシ基により置換されていてもよい、ベンジル基;又は炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基である。R基のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、セカンダリーブチル基などが挙げられる。中でもエチル基が好ましい。アルキル基は、ヒドロキシ基、メチルチオ基、チオール基、アミド基、もしくはイミダゾイル基により置換されていてもよい。
光学活性α−アミノ酸の具体例として、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、tert-ロイシン、ヒスチジン、フェニルアラニン、メチオニン、アスパラギン、チロシン、セリン及び2−アミノ酪酸等が挙げられる。
また、式(1)で示されるL−α−アミノ酸と式(2)で示されるD−α−アミノ酸の混合物としては、ラセミ体が好適に利用される。該混合物はL体又はD体のどちらか一方に偏った混合物であってもよい。また該混合物はL体又はD体のどちらか一方の光学活性α−アミノ酸をラセミ化して得られたものであってもよい。また、式(1)及び式(2)で示されるα−アミノ酸のラセミ混合物は、その製法および品質等に特に制限はなく、例えば、シュトレッカー法によって容易に得られるα−アミノニトリルを加水分解する方法によって得ることができる。
α−アミノ酸を光学分割する方法としては、種々の方法が知られており、本発明においては、D体又はL体のいずれか一方の光学異性体と、溶解度の低い塩を立体選択的に形成しうる分割剤を使用する方法が好ましく使用できる。この方法によれば、分割剤によって、立体選択的に、溶解度の低いジアステレオマー塩形成させ、これを溶解度の違いを利用して固体化して、これを濾別等によって分離することによって、光学分割を行うことができる。例えば、ラセミの2−アミノ酪酸と半当量の(R)−2−フェノキシプロピオン酸を水に加熱溶解した後、冷却、晶析することでL−2−アミノ酪酸/(R)−2−フェノキシプロピオン酸を取得することができる。
本発明において使用可能な分割剤としては、目的とするアミノ酸や光学異性体の状態などに応じて適宜選択することができ、具体例としては、酒石酸、マンデル酸、2−フェノキシプロピオン酸類などが挙げられる。本発明においては、後処理の容易さから、2−フェノキシプロピオン酸類が特に好適である。分割剤は、所望のα−アミノ酸を得た後、分離して回収し、それを、さらに次の光学分割工程で再利用してもよい。
以下に本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例によって制限されるものではない。
反応液の分析におけるHPLC分析条件は以下の通りであった。
HPLC分析条件(1)
溶離液 1mM CuSO 水溶液
流量 1mL/mIn
カラム SUMICHIRAL OA−5000
(株式会社住化分析センター社製)
カラム恒温槽 30℃
検出器 UV254nm
HPLC分析条件(2)
溶離液 50mM HClO 水溶液
流量 0.2mL/mIn
カラム CROWNPAK CR(+) 5μm
4.0×150mm (ダイセル化学工業株式会社社製)
カラム恒温槽 30℃
検出器 UV205nm
製造例1
Leuconostoc mesenteroIdes subsp. mesenteroIdes ATCC 8293、又はStaphylococcus saprophytIcus subsp. saprophytIcus ATCC 15305のゲノムDNA情報(http://gIb.genes.nIg.ac.jp/)から得られたγ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼ遺伝子とされる塩基配列に基づき、プライマーを設計した。
ここでの「γ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼ遺伝子とされる塩基配列」とはアルゴリズムBLAST[Pro.Natl. Acad.ScI.USA,90,5873(1993)]により相同性検索を行った結果、4−amInobutyrate amInotransferaseに分類される塩基配列である。BLASTの具体的な手法は公知である(http://www.ncbI.nlm.nIh.gov.)。
ATCCにより指定された培地及び培養温度でLeuconostoc mesenteroIdes subsp. mesenteroIdes ATCC 8293、及びStaphylococcus saprophytIcus subsp. saprophytIcus ATCC 15305を培養し、それらより抽出した染色体DNAを鋳型として、プライマーAT8−FとAT8−R(配列番号9及び配列番号10)又はAT15−FとAT15−R(配列番号11及び配列番号12)を用いてPCRを行った。
Figure 2011001889
得られたPCR反応生成物を精製し、制限酵素HIndIII及びXbaIで消化し、同様の酵素で消化したpUC19(宝酒造株式会社社製)に連結してpAT8及びpAT15を作製後、E.colI(DH5α)(東洋紡績株式会社より入手)に塩化カルシウム法で形質転換した。50μg/mLアンピシリンを含むLB寒天培地に形質転換株を塗布し、生育したクローンを取得して形質転換株DH5α/pAT8及びDH5α/pAT15を得た。
製造例2
LactobacIllus fermentum IFO 3956、LactobacIllus reuterI DSM 20016、Staphylococcus epIdermIdIs ATCC 12228、Leuconostoc cItreum NBRC 102476、又はPyrococcus horIkoshII OT−3のゲノムDNA情報(http://gIb.genes.nIg.ac.jpp://gIb.genes.nIg.ac.jp/)から得られたγ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼ遺伝子とされる塩基配列に基づき、製造例1と同様にして、プライマーを設計した。
指定された培地及び温度でLactobacIllus fermentum IFO 3956、LactobacIllus reuterI DSM 20016、Staphylococcus epIdermIdIs ATCC 12228、Leuconostoc cItreum NBRC 102476、又はPyrococcus horIkoshII OT−3を培養しそれらより抽出した染色体DNAを鋳型として、プライマーAT9−FとAT9−R(配列番号13及び配列番号14)、AT10−FとAT10−R(配列番号15及び配列番号116)、AT11−FとAT11−R(配列番号17及び配列番号18)、AT12−FとAT12−R(配列番号19及び配列番号20)、AT13−FとAT13−R(配列番号21及び配列番号22)又はAT14−FとAT14−R(配列番号23及び24)を用いてPCRを行った。
Figure 2011001889
得られたPCR反応生成物を精製し、LactobacIllus fermentum IFO 3956、Staphylococcus epIdermIdIs ATCC 12228、又はLeuconostoc cItreum NBRC 102476の染色体DNAを鋳型としたPCR反応生成物に対しては制限酵素NdeI及びEcoRIで消化し、LactobacIllus reuterI DSM 20016の染色体DNAを鋳型としたPCR反応生成物に対しては制限酵素NdeI及びSal1で消化した。Pyrococcus horIkoshII OT−3に関してはAT13−F及びAT13−Rをプライマーとして、染色体DNAを鋳型としたPCR反応生成物に対しては制限酵素PstI及びEcoRIで消化し、AT14−F及びAT14−Rをプライマーとして、染色体DNAを鋳型としたPCR反応生成物に対しては制限酵素NdeI及びEcoRIで消化した。
プライマーNdeF、NdeR(配列番号25及び配列番号26)とQuIkChange SIte−DIrected MutagenesIs KIt(Stratagene社製)を使用してpTV118N(宝酒造株式会社製)のlaqZαの開始コドン(ATG)の位置に制限酵素NdeI切断配列(CATATG)を導入したpTV118N−NdeIを作製した。
Figure 2011001889
AT9−FとAT9−R、AT10−FとAT10−R、AT11−FとAT11−R、AT12−FとAT12−R及びAT14−FとAT14−Rを用いたPCR反応の生成物を消化した制限酵素であるNdeI及びEcoRIで消化したpTV118N−NdeIに各PCR産物を連結してpAT9、pAT10、pAT11、pAT12及びpAT14を作製した。さらにAT13−FとAT13−Rを用いたPCR反応の生成物を消化した制限酵素であるPstI及びEcoRIで消化したpUC19に該PCR産物を連結してpAT13を作製した。その後、pAT9、pAT10、pAT11、pAT12、pAT13及びpAT14をE.colI(DH5α)に塩化カルシウム法で形質転換した。50μg/mLアンピシリンを含むLB寒天培地に形質転換株を塗布し、生育したクローンを取得して形質転換株DH5α/pAT9、DH5α/pAT10、DH5α/pAT11、DH5α/pAT12、DH5α/pAT13及びDH5α/pAT14を得た。
実施例1
製造例で作製したDH5α/pAT8を500mLのLB培地で37℃、17時間培養した。遠心分離にて集菌後、D−2−アミノ酪酸のラセミ化反応に供した。
D−2−アミノ酪酸50gを蒸留水450gに溶解して、DH5α/pAT8を0.75g(乾燥重量相当)添加した。50℃で24時間撹拌し、遠心分離にて除菌した。この反応液をHPLC(分析条件(1))にて分析したところ、L−2−アミノ酪酸とD−2−アミノ酪酸の比は0.99:1であった。
実施例2
製造例で作製したDH5α/pAT15を500mLのLB培地で37℃、17時間培養した。遠心分離にて集菌後、D−2−アミノ酪酸のラセミ化反応に供した。
D−2−アミノ酪酸50gを蒸留水450gに溶解して、水酸化ナトリウム水溶液にてpH8に調整後、DH5α/pAT15を0.75g(乾燥重量相当)添加した。50℃で24時間撹拌し、遠心分離にて除菌した。この反応液をHPLC(分析条件(1))にて分析したところ、L−2−アミノ酪酸とD−2−アミノ酪酸の比は0.096:1であった。
実施例3
製造例で作製したDH5α/pAT8、DH5α/pAT15を200mLのLB培地で37℃、17時間培養した。遠心分離にて集菌、純水に懸濁後、超音波により細胞を破砕した。再び遠心分離にて残渣を除き、上清200mlをラセミ化反応に供した。
pH7.5に調整した5%のD−2−アミノ酪酸水溶液200mLに上清を添加し、37℃で24時間撹拌した。この反応液をHPLC(分析条件(1))にて分析したところ、L−2−アミノ酪酸とD−2−アミノ酪酸の比はDH5α/pAT8を使用した場合0.75:1、DH5α/pAT15を使用した場合0.08:1であった。
実施例4
製造例で作製したDH5α/pAT8、DH5α/pAT15を200mLのLB培地で37℃、17時間培養した。遠心分離にて集菌後、表4記載の各アミノ酸のラセミ化反応に供した。
pH7.5に調整した各アミノ酸水溶液100gに対して集菌した菌体を基質濃度2.5%のものは0.25g(乾燥重量相当)、1%のものは0.1g(乾燥重量相当)、さらに基質濃度0.015%のものは0.0015g(乾燥重量相当)懸濁して、37℃で24時間撹拌した。この反応液をHPLC(分析条件(2))で分析した。
分析結果は表4に示されるとおりであった。
Figure 2011001889
実施例5
製造例で作製したDH5α/pAT9、DH5α/pAT10、DH5α/pAT11を200mLのLB培地で37℃、17時間培養した。遠心分離にて集菌後、D−2−アミノ酪酸のラセミ化反応に供した。
pH7に調整した10%D−2−アミノ酪酸水溶液200mLに対して、集菌した菌体0.2g(乾燥重量相当)を懸濁し、ピリドキサール5‘リン酸(PLP)を終濃度40μM添加して、40℃で24時間撹拌した。この反応液をHPLC(分析条件(1))で分析したところ、L−2−アミノ酪酸とD−2−アミノ酪酸の比はそれぞれ下記の通りであった。
DH5α/pAT9を使用した場合、 0.053:1。
DH5α/pAT10を使用した場合、 0.965:1。
DH5α/pAT11を使用した場合、 0.067:1。
実施例6
製造例で作製したDH5α/pAT12を200mLのLB培地で30℃、17時間培養した。遠心分離にて集菌後、D−2−アミノ酪酸のラセミ化反応に供した。
pH7に調整した10%D−2−アミノ酪酸水溶液200mLに対して、集菌した菌体0.2g(乾燥重量相当)を懸濁し、PLPを終濃度100μM添加して、40℃で24時間撹拌した。この反応液をHPLC(分析条件(1))で分析したところ、L−2−アミノ酪酸とD−2−アミノ酪酸の比は1:1であった。
実施例7
製造例で作製したDH5α/pAT13、DH5α/pAT14を200mLのLB培地で37℃、17時間培養した。遠心分離にて集菌後、D−2−アミノ酪酸のラセミ化反応に供した。
pH7に調整した1%D−2−アミノ酪酸水溶液100mLに対して、集菌した菌体を0.1g(乾燥重量相当)懸濁し、70℃で24時間撹拌した。この反応液をHPLC(分析条件(1))で分析したところ、L−2−アミノ酪酸とD−2−アミノ酪酸の比はそれぞれ下記の通りであった。
DH5α/pAT13を使用した場合、 0.360:1。
DH5α/pAT14を使用した場合、 0.078:1。
実施例8: α−アミノ酸の製造法
<工程1>
特開2006−169158号公報に記載の方法に従って行った。具体的には、ラセミの2−アミノ酪酸100g、(R)−2−フェノキシプロピオン酸をL−2−アミノ酪酸と等モル量の80g、蒸留水900gを混合して終夜還流撹拌した。溶液の温度を20〜30℃まで冷却し、生じた結晶をろ過、蒸留水でリンス後乾燥し、ジアステレオマー結晶110.5gを得た。結晶中のL−2−アミノ酪酸の光学純度はHPLC分析より99%ee以上であった。
<工程2>
工程1で得られたジアステレオマー結晶50gに対して酢酸エチル200ml、水200mlを加え、室温下で2時間撹拌した。その後分液し、水層に酢酸エチル200mlを加え、室温下で2時間撹拌した。水相を濃縮してL−2−アミノ酪酸を17.2g(収率95%)得た。得られたL−2−アミノ酪酸の光学純度はHPLC分析より99%ee以上であった。
また、酢酸エチル層を濃縮して定量的に(R)−2−フェノキシプロピオン酸を回収した。
<工程3>
製造例1で作製したDH5α/pAT8を500mLのLB培地で37℃、17時間培養した。遠心分離にて集菌後、以降のラセミ化反応に供した。
工程1で得られた、ろ液を濃縮し、50%アセトン水溶液に懸濁し、室温で2h撹拌した。ろ過乾燥後、得られた結晶50gを蒸留水450gに溶解して、集菌したDH5α/pAT8を添加した。40℃で24時間撹拌し、遠心分離にて除菌した。この反応液をHPLCにて分析したところ、L−2−アミノ酪酸とD−2−アミノ酪酸の比は0.99:1であった。
<工程4>
工程3で得られた2−アミノ酪酸水溶液に、工程2で回収した(R)−2−フェノキシプロピオン酸をL−2−アミノ酪酸と等モル量の40g加え、終夜還流撹拌した。溶液の温度を20〜30℃まで冷却し、生じた結晶をろ過リンス後乾燥し、ジアステレオマー結晶55.3gを得た。結晶中のL−2−アミノ酪酸の光学純度はHPLC分析より99%ee以上であった。
実施例9〜12
工程3において、DH5α/pAT8の代わりに製造例2で作製したDH5α/pAT9、DH5α/pAT10、DH5α/pAT11、又は製造例1で作製したDH5α/pAT15を使用した以外は、実施例8と同様にして実施した。
工程1で得られた、ろ液を濃縮し、50%アセトン水溶液に懸濁し、室温で2h撹拌した。ろ過乾燥後、得られた結晶50gを蒸留水450gに溶解して、集菌したDH5α/pAT9、DH5α/pAT10、DH5α/pAT11又はDH5α/pAT15を添加した。40℃で24時間撹拌し、遠心分離にて除菌した。
この反応液をHPLCにて分析した結果を表5に示す。
この反応液(2−アミノ酪酸水溶液)に対し、実施例8の工程4と同様にして光学分割を行った。得られたジアステレオマー結晶中のL−2−アミノ酪酸の光学純度はHPLC分析より、いずれも99%ee以上であった。
Figure 2011001889
実施例13
工程3において、DH5α/pAT8の代わりに製造例2で作製したDH5α/pAT12を使用し、かつ培養温度を30℃とした以外は、実施例8と同様にして実施した。
工程1で得られた、ろ液を濃縮し、50%アセトン水溶液に懸濁し、室温で2h撹拌した。ろ過乾燥後、得られた結晶50gを蒸留水450gに溶解し、ピリドキサール5‘リン酸(PLP)を終濃度100μM添加して、集菌したDH5α/pAT12を添加した。40℃で24時間撹拌し、遠心分離にて除菌した。この反応液をHPLCにて分析したところ、L−2−アミノ酪酸とD−2−アミノ酪酸の比は1:1であった。
この反応液(2−アミノ酪酸水溶液)に対し、実施例1の工程4と同様にして光学分割を行った。得られたジアステレオマー結晶中のL−2−アミノ酪酸の光学純度はHPLC分析より、いずれも99%ee以上であった。
実施例14及び15
工程3において、DH5α/pAT8の代わりに製造例2で作製したDH5α/pAT13又はDH5α/pAT14を使用した以外は、実施例8と同様にして実施した。
工程1で得られた、ろ液を濃縮し、50%アセトン水溶液に懸濁し、室温で2h撹拌した。ろ過乾燥後、得られた結晶50gを蒸留水450gに溶解し、集菌したDH5α/pAT13又はDH5α/pAT14を添加した。40℃で96時間撹拌し、遠心分離にて除菌した。この反応液をHPLCにて分析したところ、DH5α/pAT13を使用した場合L−2−アミノ酪酸とD−2−アミノ酪酸の比は0.445:1、DH5α/pAT14を使用した場合のL−2−アミノ酪酸とD−2−アミノ酪酸の比は0.248:1であった。
この反応液(2−アミノ酪酸水溶液)に対し、実施例1の工程4と同様にして光学分割を行った。得られたジアステレオマー結晶中のL−2−アミノ酪酸の光学純度はHPLC分析より、いずれも99%ee以上であった。

Claims (16)

  1. Leuconostoc属、LactobacIllus属、WeIssella属、Oenococcus属、Staphylococcus属、AmInobacterIum属、AlkalIphIlus属、ClostrIdIum属、Pyrococcus属、Thermococcus属、ThermofIlum属、Pyrobaculum属、AnoxybacIllus属、Syntrophus属、Thermoproteus属、SymbIobacterIum属、Desulfurococcus属、BacIllus属、AcIdobacterIa属、ClostrIdIum属、DeInococcus属、Pelobacter属、GeobacIllus属、Geobacter属、Pelotomaculum属、SolIbacter属、Coprothermobacter属、Aeropyrum属、Gloeobacter属、Nostoc属、HerpetosIphon属、Metallosphaera属、Syntrophobacter属、Photorhabdus属、CaldIvIrga属、Hyperthermus属、Thermoplasma属、Gemmata属、Anabaena属、Cyanothece属、PIcrophIlus属、又はChloroflexus属に由来するγ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼを産出する微生物の生菌体もしくはその処理物を用いて、光学活性なα−アミノ酸をラセミ化することを含んでなる、光学活性α−アミノ酸のラセミ化方法。
  2. γ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼが、
    Leuconostoc mesenteroIdes subsp. mesenteroIdes、
    Staphylococcus saprophytIcus subsp. saprophytIcus、
    LactobacIllus fermentum、
    LactobacIllus reuterI、
    Staphylococcus epIdermIdIs、
    Leuconostoc cItreum、又は
    Pyrococcus horIkoshII
    に属する菌に由来するものである、請求項1に記載の方法。
  3. γ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼが、
    Leuconostoc mesenteroIdes subsp. mesenteroIdes ATCC 8293、
    Staphylococcus saprophytIcus subsp. saprophytIcus ATCC 15305、
    LactobacIllus fermentum IFO 3956、
    LactobacIllus reuterI DSM 20016、
    Staphylococcus epIdermIdIs ATCC 12228、
    Leuconostoc cItreum NBRC 102476、又は
    Pyrococcus horIkoshII OT−3
    に由来するものである、請求項1又は2に記載の方法。
  4. γ-アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼが、下記(a)〜(c)から選択されるポリペプチドである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法:
    (a) 配列番号1、2、3、4、5、6、7及び8で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、
    (b) 前記(a)のアミノ酸配列において、1個もしくは複数個のアミノ酸残基が、欠損、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、又は
    (c) 前記(a)のアミノ酸配列に対して75%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。
  5. 下記(a)〜(c)から選択されるγ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼを用いて、光学活性なα−アミノ酸をラセミ化することを含んでなる、光学活性α−アミノ酸のラセミ化方法:
    (a) 配列番号1、2、3、4、5、6、7及び8で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、
    (b) 前記(a)のアミノ酸配列において、1個もしくは複数個のアミノ酸残基が、欠損、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、又は
    (c) 前記(a)のアミノ酸配列に対して75%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。
  6. γ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼが、Leuconostoc mesenteroIdes subsp. mesenteroIdes ATCC 8293由来であって、下記(a1)〜(c1)から選択されるポリペプチドである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法:
    (a1) 配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、
    (b1) 前記(a1)のアミノ酸配列において、1個もしくは複数個のアミノ酸残基が、欠損、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、又は
    (c1) 前記(a1)のアミノ酸配列に対して75%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。
  7. γ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼが、Staphylococcus saprophytIcus subsp. saprophytIcus ATCC 15305由来であって、下記(a2)〜(c2)から選択されるポリペプチドである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法:
    (a2) 配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、
    (b2) 前記(a2)のアミノ酸配列において、1個もしくは複数個のアミノ酸残基が、欠損、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、又は
    (c2) 前記(a2)のアミノ酸配列に対して75%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。
  8. γ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼが、LactobacIllus fermentum IFO 3956由来であって、下記(a3)〜(c3)から選択されるポリペプチドである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法:
    (a3) 配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、
    (b3) 前記(a3)のアミノ酸配列において、1個もしくは複数個のアミノ酸残基が、欠損、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、又は
    (c3) 前記(a3)のアミノ酸配列に対して75%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。
  9. γ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼが、LactobacIllus reuterI DSM 20016由来であって、下記(a4)〜(c4)から選択されるポリペプチドである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法:
    (a4) 配列番号4で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、
    (b4) 前記(a4)のアミノ酸配列において、1個もしくは複数個のアミノ酸残基が、欠損、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、又は
    (c4) 前記(a4)のアミノ酸配列に対して75%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。
  10. γ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼが、Staphylococcus epIdermIdIs ATCC 12228由来であって、下記(a5)〜(c5)から選択されるポリペプチドである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法:
    (a5) 配列番号5で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、
    (b5) 前記(a5)のアミノ酸配列において、1個もしくは複数個のアミノ酸残基が、欠損、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、又は
    (c5) 前記(a5)のアミノ酸配列に対して75%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。
  11. γ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼが、Leuconostoc cItreum NBRC 102476由来であって、下記(a6)〜(c6)から選択されるポリペプチドである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法:
    (a6) 配列番号6で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、
    (b6) 前記(a6)のアミノ酸配列において、1個もしくは複数個のアミノ酸残基が、欠損、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、又は
    (c6) 前記(a6)のアミノ酸配列に対して75%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。
  12. γ−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼが、 Pyrococcus horIkoshII OT−3由来であって、下記(a7)〜(c7)から選択されるポリペプチドである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法:
    (a7) 配列番号7または8で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、
    (b7) 前記(a7)のアミノ酸配列において、1個もしくは複数個のアミノ酸残基が、欠損、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、又は
    (c7) 前記(a7)のアミノ酸配列に対して75%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。
  13. 光学活性α−アミノ酸が、下記式(I)で表される1種以上のものである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法:
    Figure 2011001889
    [式中、Rは、
    メチル基もしくはヒドロキシ基により置換されていてもよい、ベンジル基;又は
    炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基(ここでアルキル基は、ヒドロキシ基、メチルチオ基、チオール基、アミド基、もしくはイミダゾイル基により置換されていてもよい)
    である]。
  14. 光学活性α−アミノ酸が、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、tert-ロイシン、ヒスチジン、フェニルアラニン、メチオニン、アスパラギン、チロシン、セリン及び2−アミノ酪酸からなる群より選択される1種以上のものである、請求項13に記載の方法。
  15. 光学活性α−アミノ酸がL体である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 光学活性α−アミノ酸がD体である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
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