JPWO2010150804A1 - 破水および羊水塞栓症の検査方法 - Google Patents

破水および羊水塞栓症の検査方法 Download PDF

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Abstract

簡易な操作で迅速に検査可能な、高精度の破水および羊水塞栓症の検査方法を提供する。本発明の検査方法は、母体由来の生体試料中の扁平上皮癌関連抗原(SCCA)の濃度を測定する工程を含む。SCCAを指標として用いることにより、簡易な操作で迅速に検査が可能でありかつ高精度な破水および羊水塞栓症の検査方法を提供することができる。

Description

本発明は、扁平上皮癌関連抗原(SCCA)を指標とする、破水および羊水塞栓症の検査方法に関する。
前期破水(premature rupture of the membranes:PROM)は全妊娠の5〜10%に併発するといわれ、特に妊娠37週未満のpreterm PROMは、早産の主要な原因のひとつとなっている。欧米などの先進国と同様に、日本においても新生児死亡およびハンディキャップ発生の最も大きな原因は早産である。早産のうち前期破水(PROM)および切迫早産によるものは約三分の一を占める。特に妊娠28週未満での早産は、胎児の肺が未発育・未成熟であり、感染防御能が未発達であるため、感染の早期進行と羊水量の減少とが予後不良の原因となっている。
早産低出生体重児の予後は改善されてきたが、超低出生体重児では未だ問題が多い。日本産婦人科学会周産期委員会の報告(平成12年集計)では、出産体重500g以上1000g未満の周産期死亡率は262.5であり、出産体重1000g以上の周産期死亡率6.5の約40倍と高値である。また、新生児合併症については、重症の呼吸障害、脳室内出血、脳室周囲白質軟化症(PVL)、未熟網膜症、症候性PDA、壊死性腸炎の頻度が高い。したがって、早産、特に妊娠28週未満の場合は、妊娠期間を延長し未熟性による要因を減少させることの意義は大きく、切迫早産や前期破水の治療が必要である。
破水の発症には、子宮収縮に伴う物理的な力や局所炎症に伴う卵膜脆弱化などの複数の要因が関与している。前期破水は、大部分が子宮口付近の卵膜破綻による破水であり、高位の卵膜破綻による高位破水もある。子宮口付近の卵膜破綻は、子宮頚管炎や絨毛膜羊膜炎により増加した好中球より放出されるエラスターゼが卵膜のコラーゲンを分解することにより発生する。一方、高位の卵膜破綻は、胎便中のトリプシンが羊膜上皮細胞を破壊し卵膜のコラーゲンを分解することにより発生する。高位破水の場合、妊娠を持続させることは比較的容易であるが、子宮口付近の卵膜破綻は、上行性感染の波及が早産を加速させるため妊娠期間を延長することが難しく、特に妊娠中期の前期破水管理は重要である。
破水診断は、膣鏡診により、子宮口から明らかな羊水流出が認められたり、後膣円蓋に羊水貯留が認められれば容易である。しかし、高位破水や子宮口からの流出量が極めて少ない場合などは、破水確認が難しい。羊水の確認方法としては、従来よりpH測定法、シダ状結晶証明法、胎児脂肪球証明法、羊膜腔内色素注入法などが知られている。pH測定法は簡便なため繁用されているが、pH測定法の早産期の正診率は71〜85%と限界がある。そのため、近年は、頚管膣分泌液中の顆粒球エラスターゼ判定法、癌胎児性フィブロネクチン判定法、膣分泌液中のヒトインスリン様成長因子結合蛋白1型(IGFBP−1)判定法、膣分泌液中のα−フェトプロテイン(AFP)など、正診率の高い判定法が使用されている。中でもIGFBP−1は胎児の成長に重要な役割を果たすヒトインスリン様成長因子に結合するタンパク質のひとつで、子宮基底脱落膜より産生され、羊水中に高濃度で存在している。その濃度は、母体血清中と比較して非常に高いため、血液混入による影響をほとんど受けない。また、尿や精液中に含まれるIGFBP−1は検出感度以下であり、正常な膣分泌液中のIGFBP−1濃度は0〜90ng/mLと低い。これに対して、羊水中には10〜800μg/mLの濃度で存在するため、破水した場合には羊水由来のIGFBP−1が膣中に漏出し、膣分泌液中のIGFBP−1が上昇するので、これを検出することは、破水診断の指標となる。
しかしながら、上述のような破水診断キットでの有病正診率/無病正診率は、pH測定法で73.7%/72.4%、ヒト癌胎児性フィブロネクチンで84.2%/82.8%、IGFBP−1で94.7%/93.1%にすぎず、さらなる高感度診断キットの開発が望まれている。
また、発生頻度は低いが、羊水成分が母体血中に流入することにより、致死的な羊水塞栓症が発症する。羊水塞栓症では、母体の肺循環系が閉塞し、凝固系を活性化して播種性血管内凝固症候群(DIC)を引き起こし、母体死亡率は80%に及ぶ(非特許文献1)。羊水塞栓症の確定診断は、一般には死後の肺剖検によることがほとんどである。肺血管腔内に存在する胎児成分やムチンを染色し、母体肺中の胎児成分の存在が証明される。剖検による確定診断には、組織染色としてヘマトキシリン・エオジン染色、ムチン染色、コトイドイオン染色等が行われる(非特許文献2)。
羊水塞栓症の治癒率改善には生前診断が不可欠である。このような母体死危険因子のスクリーニングおよび高リスク妊娠の母体把握管理に有効であると考えられる上記母体血中の羊水成分の確認および測定法として、光学的手法を用いた光ファイバーセンサーによる羊水中胎便成分羊水混濁装置が開発された。しかし、これは大学病院レベルでの臨床応用に止まるにすぎない(非特許文献3〜6)。また、母体血中の亜鉛コプロポルフィリンを高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定する方法が報告されている(非特許文献7〜8)。しかし、この方法はその操作が煩雑で時間のかかるものである。羊水塞栓症は、発症後、ショックから心停止へと急速に進行する症例が多く、1時間以内に半数が死亡するといわれるため、より簡易な操作で迅速に診断が可能でありかつ精度の高い羊水塞栓症の検査方法が求められる。
ところで、扁平上皮癌関連抗原(SCCA)は、肺癌、食道癌、皮膚癌、子宮体頸部癌など扁平上皮癌の腫瘍マーカーとして広く臨床現場で使用され認知されているタンパク質である。SCCAは、染色体18q21.3上にタンデムに並んでいる二つの遺伝子(scca1遺伝子およびscca2遺伝子)にコードされているセリンプロテアーゼインヒビター(セルピン)ファミリーに属するプロテアーゼインヒビターである。以下、SCCA1あるいはSCCA2というときは、それぞれscca1遺伝子およびscca2遺伝子の発現産物をいう。
羊水中にSCCAが存在することは既に報告されている。非特許文献9には腫瘍マーカーとしてのSCCA測定を目的に、SCCA1およびSCCA2に対するモノクローナル抗体を作製し、SCCA1とSCCA2とを鑑別測定するELISAが報告されている。生体試料として、唾液、羊水、血清、血漿および脳脊髄液を使用し、SCCA1およびSCCA2を鑑別測定した結果、血清および脳脊髄液中にはSCCA1およびSCCA2が共に存在しないこと、唾液中にSCCA1が存在すること、ならびに羊水中にはSCCA2はほとんど存在せずSCCA1が約10ng/mL〜83ng/mL存在することが報告されている。
また、気管支喘息の発作に伴ってSCCAの血中濃度が有意に高まるため、SCCAを気管支喘息発作の検査の指標として応用することも試みられている(特許文献1)。
特許第4185862号公報
高橋昌俊、日産婦関東連合地方部会会報、1991年、54巻、68-69頁 W.D.Rocheら、Obstet. Gynecol.、1974年、43巻、729-731頁 住本和博ら、周産期学シンポジウム、1988年、No.6、138頁 住本和博ら、産婦治療、1988年、56巻、345頁 寺尾俊彦ら、産婦人科の実際、1989年、38頁、347-352頁 K.Horiuchiら、Clin. Chem.、1991年、37巻、1173-1177頁 成瀬寛夫ら、日産婦誌、1990年、42巻、719-726頁 H.Naruseら、J. Perinat. Med.、1989年、17巻(Suppl.1)、104頁 S.Cataltepeら、Clinica Chimica Acta、2000年、295巻、107-127頁
本発明は、簡易な操作で迅速に検査可能でありかつ高精度な破水および羊水塞栓症の検査方法を提供することを目的とする。
本発明は、破水および羊水塞栓症の検査方法を提供し、該方法は、母体由来の生体試料中の扁平上皮癌関連抗原(SCCA)の濃度を測定する工程を含む。
1つの実施態様では、上記生体試料は、膣分泌液または血液である。
1つの実施態様では、上記SCCAの濃度は、免疫学的に測定される。
さらなる実施態様では、上記SCCAの濃度は、ラジオイムノアッセイ、ラテックス凝集法、EIA、ELISAおよびイムノクロマト法からなる群から選択される方法により測定される。
本発明はまた、扁平上皮癌関連抗原(SCCA)を認識する抗体からなる、破水および/または羊水塞栓症の検査用試薬を提供する。
本発明はさらに、扁平上皮癌関連抗原(SCCA)を認識する抗体を含む、破水および/または羊水塞栓症の検査用キットを提供する。
本発明によれば、羊水中に高濃度に存在し、かつ正常な母体体液中にはほとんど存在しないタンパク質であるSCCAを指標として用いることにより、簡易な操作で迅速に検査可能でありかつ高精度な破水および羊水塞栓症の検査方法を提供することができる。母体由来の生体試料として膣分泌液を用いた場合には、羊水が膣中に漏出しているか否かを簡易な操作で迅速に精度良く確認することができ、血液混入の影響をほとんど受けないため、破水検査方法として優れる。また、生体試料として血液あるいは血液由来の生体試料を用いた場合には、母体の血液中に羊水が流入しているか否かを簡易な操作で迅速に精度良く確認することができるため、従来は死後剖検でしか診断できなかった羊水塞栓症の検査方法として非常に有用である。
本発明の実施例における羊水および血清中のSCCA濃度の測定結果を示すグラフである。 本発明の実施例における羊水および血清中のIGFBP−1濃度の測定結果を示すグラフである。
本発明は、羊水中に高濃度存在し、かつ正常な母体体液中にはほとんど存在しないタンパク質である扁平上皮癌関連抗原(SCCA)を指標として用いることにより、簡易な操作で迅速に破水および羊水塞栓症検査を行うことができることを見出したことに基づく。
SCCAをコードする遺伝子は2種類(scca1遺伝子およびscca2遺伝子)存在するが、本発明では、それらの発現産物であるSCCA1とSCCA2とを鑑別測定しなくてもよい。好ましくは、SCCA1およびSCCA2の両方を総合的に測定する。
(生体試料)
本発明における生体試料としては、母体から採取された体液などである。本発明においては、生体試料として、採取された臨床サンプルをそのまま、あるいは簡易な調製処理のみで検査に用いることが可能であり、煩雑な前処理の必要がない。
破水の検査の場合には、生体試料として母体由来の膣分泌液を用いる。膣分泌液としては、母体から採取された未処理の臨床サンプルをそのまま用いてもよく、あるいは母体の膣頚管などから綿棒などにて採取した膣分泌液を検体抽出用の任意のバッファーなどを用いて抽出して調製したサンプルを用いてもよい。
羊水塞栓症の検査の場合には、生体試料として母体由来の血液を用いる。血液としては、母体から採血された血液をそのまま用いてもよく、あるいは採血後遠心分離などによって調製された血清または血漿を用いてもよい。
(SCCAの測定)
本発明における指標タンパク質であるSCCAの濃度の測定には、生体試料中のSCCA濃度を測定することができる任意の方法を用いることができる。具体的には、SCCAに特異的な抗体を利用する免疫学的測定方法、例えば、ラジオイムノアッセイ、ラテックス凝集法、EIA、ELISA、イムノクロマト法などの種々の方法が用いられる。本発明においては、より簡易な操作で迅速に測定結果が得られる方法が好ましい。特に、羊水塞栓症は、発症後、1時間以内に半数が死亡するといわれるため、より迅速に測定可能な方法を用いる必要がある。煩雑なサンプル調製が不要であること、簡易な操作で迅速に測定結果が得られることなどから、イムノクロマト法が好ましく用いられる。
上記免疫学的測定方法において用いられる、指標タンパク質であるSSCAに特異的に結合する抗体は、ポリクローナル抗体でもモノクローナル抗体でもよく、当業者に周知の方法を用いて作成することができる。例えば、指標タンパク質に対するポリクローナル抗体を得るには、抗原(すなわち、SCCA)を感作した哺乳動物の血液を取り出し、この血液から公知の方法により血清を分離する。ポリクローナル抗体としては、ポリクローナル抗体を含む血清を使用することができ、あるいは必要に応じてこの血清からポリクローナル抗体を含む画分をさらに単離することもできる。また、モノクローナル抗体を得るには、上記抗原を感作した哺乳動物から免疫細胞を取り出して骨髄腫細胞などと細胞融合させる。こうして得られたハイブリドーマをクローニングして、その培養物から抗体を回収しモノクローナル抗体とすることができる。
指標タンパク質であるSCCAの検出には、通常、これらの抗体を標識して用いる。標識方法としては、酵素標識、放射線標識、蛍光標識などが挙げられる。また、これらの抗体を標識せずに、該抗体に特異的に結合する物質を標識して間接的に検出することもできる。
(破水検査)
本発明の検査方法によって破水検査を行う場合には、破水の発症が疑われる母体から採取された膣分泌液中のSCCA濃度を、上記の測定方法で測定する。正常な母体の膣分泌液中にはSCCAはほとんど存在しないため、破水していない場合には膣分泌液中にSCCAは検出されない。また、正常な母体の血液中のSCCA濃度は羊水中のSCCA濃度と比較して非常に低いため、膣分泌液中に血液が混入した場合であっても、その影響をほとんど受けない。破水した場合には、羊水が膣中に漏出し膣分泌液に混入するため、膣分泌液中に含まれる羊水中のSCCAが検出される。したがって、本発明の検査方法では、母体の膣分泌液中のSCCA濃度を測定することにより、膣分泌液中に羊水が含まれているかどうかを精度良く確認することができる。
(羊水塞栓症検査)
本発明の検査方法によって羊水塞栓症の検査を行う場合には、羊水塞栓症が疑われる母体から採取された血液中のSCCA濃度を、上記の測定方法で測定する。血液中にはSCCAはほとんど存在しないため、正常な母体の血液中にSCCAは検出されないが、血液中に羊水成分が流入した場合には、羊水中のSCCAが検出される。したがって、本発明の検査方法では、母体から採取された血液中のSCCA濃度を測定することにより、血液中に羊水成分が含まれているかどうかを精度良く確認することができる。
上記測定には、分光光度計、マイクロプレートリーダー、生化学自動分析装置などを利用できる。特に、本発明の方法を生化学自動分析装置での測定に適用することにより、多数の検体を短時間に測定することが可能である。
(検査用試薬および検査用キット)
本発明の検査用試薬は、SCCAを認識する抗体からなる、破水および羊水塞栓症の検査のための試薬である。本発明の試薬を構成する抗体は、測定方法に応じて適切な標識を結合することができ、あるいは、測定方法に応じて適切な支持体に固定化され得る。上記の試薬は、どのような形態で提供されてもよく、密封包装されて提供されることが好ましい。
また、本発明の検査用試薬は、上記抗体の他に、検査や保存に必要な付加的要素と組み合わせて検査用キットとすることもできる。上記キットは、検量線作成用の被測定物質の標準品、使用時に各物質を溶解して適切な濃度の溶液を調製するための緩衝液、使用説明書などを含んでいてもよい。これらの要素は、必要に応じて予め混合しておいてもよい。
本発明の検査用キットとしては、例えば、イムノクロマト法に用いる試験片が挙げられる。試験片は、例えば、メンブレン、コンジュゲートパッド、サンプルパッドおよび吸収パッドをバッキングシート(基材)に立体的に張り合わせることにより作製できる。コンジュゲートパッドは、コンジュゲート(標識抗体など)を含ませた部材である。メンブレンは、例えば、テストラインとして抗ヒトSCCAマウスモノクローナル抗体を、コントロールラインとして抗マウスIgG抗体を固定化することにより作製できる。サンプルパッドは、サンプル添加部として用いられる部材である。吸収パッドは、クロマト展開したサンプルを吸収させるための部材である。
イムノクロマト法用SCCA測定試験片では、サンプル中にSCCAが存在する場合には、SCCAがコンジュゲートパッド中の抗ヒトSCCAマウスモノクローナル抗体標識金コロイドと免疫学的抗原抗体反応により結合し、さらにこの複合体が毛細管現象によりメンブレン上を移動し、テストライン部位に固定化した抗ヒトSCCAマウスモノクローナル抗体に捕捉される。この結果、テストライン部位に金コロイドの赤紫色の呈色が確認される。サンプル中にSCCAが存在しない場合には、SCCAと抗ヒトSCCAマウスモノクローナル抗体標識金コロイドとの結合が生じないため、テストライン部位は呈色しない。
一方、サンプル中のSCCAの存在の有無に関わらず、コンジュゲートパッド中の抗ヒトSCCAマウスモノクローナル抗体標識金コロイドはメンブレン上を移動し、コントロールライン部位に固定化した抗マウスIgG抗体に捕捉される。この結果、コントロールライン部位に金コロイドの赤紫色の呈色が確認される。
実施例1:妊産婦羊水および血清中のSCCAおよびIGFBP−1濃度の測定
妊産婦より採取し調製した羊水19検体、および血清7検体をサンプルとして、それぞれの検体中のSCCA濃度およびIGFBP−1濃度を測定した。羊水および血液は、インフォームドコンセントにより同意を得た妊産婦から採取した。羊水は、妊産婦から採取したものを希釈せずに用いた。血清は、妊産婦から採血した血液を遠心分離することによって調製した。
SCCAの測定は、化学発光免疫測定法(CLIA)による「ARCHITECT SCC」試薬キットおよび「ARCHITECT アナライザー」装置(いずれもアボットジャパン株式会社製)を用いて、添付文書に従って行った。測定結果を表1および図1に示す。
Figure 2010150804
表1および図1に示すように、羊水中のSCCA濃度は28.4ng/mL〜1639ng/mL、血清中のSSCA濃度は0.6ng/mL〜2.9ng/mLであった。すなわち、血清中のSSCA濃度は非常に低いのに対し、羊水中のSCCA濃度は非常に高く、平均で血清中の262倍の濃度で存在していることが確認された。
対照として、破水診断マーカーとして臨床現場で広く使用されているIGFBP−1の測定を行った。測定には「IGFBP−1 EIA Kit」(Mediagnost社製)を用い、添付文書に従って実施した。測定結果を表2および図2に示す。
Figure 2010150804
表2および図2に示すように、羊水中のIGFBP−1濃度は0.84μg/mL〜365.68μg/mL、血清中のIGFBP−1濃度は2.48μg/mL〜4μg/mLであった。すなわち、羊水中のIGFBP−1濃度は、血清中のIGFBP−1濃度の平均29倍であることが確認された。
血清中のSCCAの濃度とIGFBP−1の濃度とを比較すると、SCCAは1.34ng/mL(7検体平均値)であるのに対し、IGFBP−1は2.86μg/mL(7検体平均値)であり、SCCAの方が低濃度であった。SCCAとIGFBP−1との羊水中濃度/血清中濃度比を比較すると、SCCAの羊水中濃度は血清中濃度の平均262倍、IGFBP−1の羊水中濃度は血清中濃度の平均29倍であり、SCCAの羊水中濃度/血清中濃度比は、IGFBP−1の約10倍であることが確認された。
したがって、破水検査の指標としてSCCAを用いることにより、従来法であるIGFBP−1を用いる方法よりも血液混入による影響を受けず、高精度に破水を検出できることがわかった。さらに、SCCAは羊水塞栓症の指標として有用であることがわかった。
実施例2:イムノクロマト法用SCCA測定試験片の作製
A.抗体固定化メンブレンの作製
横15cm×縦25mmに裁断したイムノクロマト法用メンブレン(Millipore社製、HiFlow Plus HFB12002、製品番号:HF12002XSS)に、ヒトSCCAに対する抗ヒトSCCAマウスモノクローナル抗体(Santa Cruz Biotechnology社製、SCCA1/2(B-9)、製品番号:sc28384)0.2mg/mLを、メンブレンの下端より11mmの位置に1mmの幅で15cmにわたってライン状に均一に塗布し、テストラインとした。テストラインからメンブレンの上端に向かって8mm離して平行に、抗マウスIgGヤギポリクローナル抗体(Fitzerald社製、Goat anti Mouse IgG、製品番号:41-GM25)0.2mg/mLを同様に塗布し、コントロールラインとした。抗体を塗布したメンブレンを乾燥後、室温にて30分間ブロッキングバッファー(50mMホウ酸、0.5%BSA、pH8.5)に浸漬し(ブロッキング)、ブロッキングしたメンブレンを洗浄安定化バッファー(50mM Tris−HCl、0.05%コール酸ナトリウム、pH7.5)に浸漬し、次いで乾燥させた。このようにして、抗体固定化メンブレンを作製した。
B.コンジュゲートパッドの作製
95℃の蒸留水1Lに、10%塩化金酸溶液2mLを撹拌しながら添加し、さらに2%クエン酸ナトリウム溶液10mLを添加して撹拌した。室温に冷却した後、0.1M炭酸カリウム溶液を加えてpH7.1に調整し、金コロイド溶液を得た。
上記メンブレンに固定化した抗ヒトSCCAマウスモノクローナル抗体とはエピトープが異なる2種類の抗ヒトSCCAマウスモノクローナル抗体SCCA1(Santa Cruz Biotechnology社製、SCCA1(8H11)、製品番号:sc-21767)およびSCCA2(Santa Cruz Biotechnology社製、SCCA2(10C12)、製品番号:sc-21793)を、それぞれ抗体濃度が50μg/mLとなるように0.05%アジ化ナトリウムを含む10mM HEPES(pH7.1)で希釈した。
2種類の抗ヒトSCCAマウスモノクローナル抗体SCCA1およびSCCA2の希釈液0.1mLを、それぞれ上記で得た金コロイド溶液1mLに混合し、これを冷蔵下で2時間攪拌した。次いで、ブロッキングバッファー(10mM HEPES、0.5%BSA、5.46%マンニトール、pH7.1)0.1mLを添加し、これを37℃にて90分間攪拌した後、遠心分離により上清を除去した。次いで、得られた抗SCCAモノクローナル抗体結合金コロイドの沈殿を金コロイド塗布バッファー(20mM Tris−HCl、5%スクロース、0.05%PEG、pH8.0)1.0mLの添加により分散させ、抗ヒトSCCAマウスモノクローナル抗体が金コロイド粒子に結合した金コロイド標識抗体の溶液を2種類得た。得られた2種類の抗ヒトSCCAマウスモノクローナル抗体結合金コロイド標識抗体溶液を、SCCA1:SCCA2=5:1の割合で混合した。次いで、横15cm×縦8mmに裁断したグラスファイバ−パッド(Millipore社製、Glass Fiber Conjugate Pad、製品番号:GFCP203000)に、上記混合した金コロイド標識抗体溶液0.8mLを均一に塗布し、このパッドを真空乾燥機にて乾燥させた。このようにして、コンジュゲートパッドを作製した。
C.イムノクロマト法用SCCA測定試験片の作製
上記A.で作製した抗体固定化メンブレン上に上記B.で作製したコンジュゲートパッド、サンプルパッド(Millipore社製、Glass Fiber Conjugate Pad、製品番号:GFCP203000)および吸収パッド(Millipore社製、Cellrose Fiber Sample Pad、製品番号:CFSP223000)をバッキングシート(Adhesives Research社製、ARcare9020 プレカットプラスチックバッキングシート、製品番号:301902000010)に立体的に張り合わせて、0.5cm幅に裁断し、イムノクロマト法用SCCA測定試験片を作製した。
実施例3:イムノクロマト法用SCCA測定試験片による妊産婦羊水中のSCCAの測定
妊産婦より採取し調製した羊水10検体をサンプルとして、実施例2で作製したイムノクロマト法用SCCA測定試験片を用いて、検体中のSCCAの測定を試みた。妊産婦より採取した羊水は、PBSでそれぞれ10倍に希釈して用いた。ブランクとして、PBSのみを用いた。
サンプル120μLを、イムノクロマト法用SCCA測定試験片のサンプル添加部に滴下し、クロマト展開させた。サンプル滴下5分後および10分後のテストライン部位およびコントロールライン部位における赤紫色の呈色の有無および呈色度合いを、肉眼で観察した。結果を表3に示す。なお、評価基準は、以下の通りである。
− :ライン呈色無し
:微弱ライン呈色有り
+ :明確ライン呈色有り
Figure 2010150804
上記の羊水10検体をサンプルとして、実施例1と同様にして、検体中のSCCA濃度を測定した。測定結果を表3に示す。
表3に示すように、検体No.1を除くすべての検体においてテストライン部位において赤紫色の呈色が認められ、SCCAが測定されたことが確認できた。検体No.1はテストライン部位の呈色が認められなかったが、これは羊水中のSCCAが低濃度であったためと考えられる。
したがって、羊水中のSCCAの測定方法としてイムノクロマト法が有用であることがわかった。
本発明によれば、母体体液中のSCCAを指標として用いることにより、破水および羊水塞栓症を、簡易な操作で迅速にかつ高精度に検査することができる。したがって、本発明は、妊産婦に対して早期により適切な処置を施すために非常に有用である。

Claims (6)

  1. 母体由来の生体試料中の扁平上皮癌関連抗原(SCCA)の濃度を測定する工程を含む、破水および羊水塞栓症の検査方法。
  2. 前記生体試料が、膣分泌液または血液である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記SCCAの濃度が、免疫学的に測定される、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記SCCAの濃度が、ラジオイムノアッセイ、ラテックス凝集法、EIA、ELISA、およびイムノクロマト法からなる群から選択される方法により測定される、請求項3に記載の方法。
  5. 扁平上皮癌関連抗原(SCCA)を認識する抗体からなる、破水および/または羊水塞栓症の検査用試薬。
  6. 扁平上皮癌関連抗原(SCCA)を認識する抗体を含む、破水および/または羊水塞栓症の検査用キット。
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