JPWO2010140379A1 - 高圧放電ランプ、ランプユニット、投射型画像表示装置、および高圧放電ランプの製造方法 - Google Patents

高圧放電ランプ、ランプユニット、投射型画像表示装置、および高圧放電ランプの製造方法 Download PDF

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Abstract

高い水銀蒸気圧下であっても、クラックの発生が抑制される高圧放電ランプ(100)を提供するために、内部に放電空間を有する発光部(103)と当該発光部(103)に連設された封止部(104)とを有するガラス製の発光管(102)と、一端部が前記放電空間内に対向配置され他端部が金属箔(105)と接続された状態で前記封止部(104)内に埋設された一対の電極(101)と、を備え、前記一対の電極(101)の埋設部分に少なくとも一つの凸部(101c)が形成されている構成の高圧放電ランプ(100)とする。

Description

本発明は、高圧放電ランプ、ランプユニット、投射型画像表示装置、および高圧放電ランプの製造方法に関する。
近年、液晶プロジェクタのような投射型画像表示装置の光源として、例えば、水銀蒸気圧が20[MPa]以上になるようなショートアーク型の高圧放電ランプが注目されている。なぜならば、このような高圧放電ランプは、点光源に近く、かつ点灯時の水銀蒸気圧の高さから、高輝度・高演色の実現が期待されるためである。
ショートアーク型の高圧放電ランプは、内部に放電空間を有する発光部と当該発光部に連設された封止部とを有するガラス製の発光管と、一端部が前記放電空間内に対向配置され他端部が金属箔と接続された状態で前記封止部内に埋設された一対の電極とを備えた構造を有する(例えば特許文献1等参照)。なお、高圧放電ランプのことを単に「ランプ」と称することもある。
特許第3480453号公報
ところで、最近、ランプの高輝度化・高効率化に伴って、点灯中の水銀蒸気圧が300気圧(約30MPa)を超えるような超高圧放電ランプの開発が求められており、より耐圧性能が高く、クラックが発生しにくいランプの提案が望まれている。しかし、従来の技術では、例えば、発光物質として、発光部内に0.20[mg/mm3]の水銀を封入した高圧放電ランプにおいて、クラックの発生を抑制しうる効果は得られるものの、実験的に0.25[mg/mm3]〜0.38[mg/mm3]の水銀を封入した高圧放電ランプを試作したところ、当該ランプにおいて、累積点灯時間の初期段階、例えば製造プロセスのエージング中に封止部が破損することが分かった。そのため、高圧水銀蒸気圧下であっても、クラックの発生が抑制される高圧放電ランプの開発が強く望まれている。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、高い水銀蒸気圧下であっても、クラックの発生が抑制される高圧放電ランプおよび当該ランプの製造方法の提供を第一の目的とする。また、当該高圧放電ランプを用いることにより、高画像表示性能を有するランプユニット、およびそのランプユニットを用いた投射型画像表示装置を提供することを第二の目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る高圧放電ランプは、内部に放電空間を有する発光部と当該発光部に連設された封止部とを有するガラス製の発光管と、一端部が前記放電空間内に対向配置され他端部が金属箔と接続された状態で前記封止部内に埋設された一対の電極と、を備えた高圧放電ランプであって、前記一対の電極の埋設部分に少なくとも一つの凸部が形成されていることを特徴とする。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る高圧放電ランプは、内部に放電空間を有する発光部と当該発光部に連設された封止部とを有するガラス製の発光管と、一端部が前記放電空間内に対向配置された一対の電極と、当該電極の他端部に接続された状態で前記封止部内に埋設された金属箔と、を備えた高圧放電ランプであって、前記金属箔に少なくとも一つの凸部が形成されていることを特徴とする。
本発明の一態様に係るランプユニットは、前記高圧放電ランプと、前記高圧放電ランプからの射出光が前記反射面によって反射されるように前記高圧放電ランプが内部に取り付けられた、凹状の反射面を有する反射鏡とを備えることを特徴とする。
本発明の一態様に係る投射型表示装置は、前記ランプユニットと、前記ランプユニットからの照明光が変調して光学像を形成する光学ユニットと、前記光学像を拡大投射する投射装置とを備えることを特徴とする。
本発明の一態様に係る高圧放電ランプの製造方法は、
(a)内部に放電空間を有する発光部と当該発光部に連設された細管部とを有するガラス製の容器を準備する工程と、
(b)本体部および表面に酸性溶液で処理された高融点の金属粒子が点在する棒状部を備えた電極を準備する工程と、
(c)前記本体部が前記発光部の内部に突出するように、前記封止部に対して前記棒状部を挿入する工程と、
(d)前記封止部を加熱溶解させた状態で圧接することにより、前記棒状部を封止する工程と、
を有する、ことを特徴とする。
本発明の一態様に係る高圧放電ランプは、点灯中の水銀蒸気圧が300気圧を超えるような超高圧水銀蒸気圧であっても、電極と発光管の封止部との界面において、クラックの発生を抑制することができる。そのため、高水銀蒸気圧下でランプを点灯させても、クラックによる発光管の破損が抑制されるから、結果として、信頼性が高く、長寿命である高圧放電ランプが得られる。電極を構成する金属と封止部を構成する石英ガラスとは熱膨張係数の差が大きいので、例えば、石英ガラスを加熱溶融させ電極を封止した場合、両者の熱膨張係数差に起因して封止部の石英ガラスに歪が発生し、電極と封止部との界面においてクラックが発生するおそれが高い。本発明の一態様に係る高圧放電ランプは、一対の電極の埋設部分に少なくとも一つの凸部が形成されているため、封止部の歪みの発生が抑制され、クラックの発生が抑制される。
また、本発明の一態様に係る高圧放電ランプは、凸部が、電極の埋設部分における電極軸心方向両端領域の少なくとも一方に形成されていることが好ましい。発明者らの検討によると、発光管の封止部のうち、特にクラックが発生しやすいのは、電極の埋設部分における電極軸心方向両端領域に近接した部位であった。これら部位は、加工時やランプ点灯消灯時に熱による膨張収縮が大きい部位であり、またランプ点灯中のアークの熱が伝導することにより温度が約1000[℃]付近にまで達し、熱膨張しやすい部位であるため、その部分に歪みが発生し易いためであると考えられる。このような歪の発生し易い部分に凸部を形成することで効果的にクラックの発生を抑制することができる。
また、本発明の一態様に係る高圧放電ランプは、凸部が点在していることが好ましい。これにより、応力を分散することができ、歪みの発生をさらに抑制することができる。
また、本発明の一態様に係る高圧放電ランプは、凸部の高さは、電極の埋設部分における前記凸部以外の部分の表面粗さの最大高さRmaxよりも高いことが好ましい。これにより、凸部が、電極の表面における前記凸部以外の部分に優先して封止部のガラスと接触するため、歪みの発生をより抑制することができる。
また、本発明の一態様に係る高圧放電ランプは、凸部の高さが、10μm以上100μm以下の範囲内であることが好ましい。これにより、凸部が電極の表面における凸部以外の部分にさらに優先して封止部のガラスと接触することができるため、歪みの発生をさらに抑制することができる。
また、本発明の一態様に係る高圧放電ランプは、凸部と電極の埋設部分における前記凸部以外の部分との結晶構造が異なることが好ましい。このような結晶構造の異なる凸部は、電極の表面にレーザーを照射することで形成することができる。
また、本発明の一態様に係る高圧放電ランプは、凸部が略円錐形状であることが好ましい。これにより、凸部の先端部に応力が集中しやすく、封止部の応力分散の効果を向上し、歪みの発生をより抑制することができる。
また、本発明の一態様に係る高圧放電ランプは、凸部が酸性溶液で処理された高融点の金属粒子であることが好ましい。鋭意検討を重ねた結果、発明者らは、電極と封止部との界面において、熱による膨張収縮時における両部材の挙動に着目し、本発明を見出すにいたった。電極と封止部との界面に酸性溶液で処理された高融点の金属粒子を介在させると、電極と封止部との膨張収縮量の違いによって生じる応力を大きく緩和するという緩衝材のような作用を担うため、結果として、クラックの発生を抑制することができる。
また、本発明の一態様に係る高圧放電ランプは、金属粒子が、モリブデン、タングステン、およびレニウムからなる群より選ばれる1以上の高融点の金属粒子であることが好ましい。これらの金属粒子は、純度3N(99.9[%])以上の市販品として容易に入手可能だからである。
また、本発明の一態様に係る高圧放電ランプは、酸性溶液が、過酸化水素水、フッ酸、硝酸、王水、およびフッ硝酸からなる群より選ばれる1以上の酸性溶液であることが好ましい。これらの酸性溶液は、モリブデン、タングステン、およびレニウムを溶解させる作用が強いためである。
また、本発明の一態様に係る高圧放電ランプは、電極の埋設部分に、内壁面に前記高融点の金属粒子が塗布された石英ガラス製の細管が嵌め込まれていることが好ましい。このような構成は、電極と封止部との界面領域におけるクラックの発生を抑制する上で好適である。
また、本発明の一態様に係る高圧放電ランプは、金属箔に少なくとも一つの凸部が形成されているため、点灯中の水銀蒸気圧が300気圧を超えるような超高圧水銀蒸気圧であっても、前記金属箔と発光管の封止部との界面において、クラックの発生を抑制することができる。そのため、高水銀蒸気圧下でランプを点灯させても、クラックによる発光管の破損が抑制されるから、結果として、信頼性が高く、長寿命である高圧放電ランプが得られる。金属箔を構成する金属と封止部を構成する石英ガラスとは熱膨張係数の差が大きいので、例えば、石英ガラスを加熱溶融させ金属箔を封止した場合、両者の熱膨張係数差に起因して封止部の石英ガラスに歪が発生し、金属箔と封止部との界面においてクラックが発生するおそれが高い。本発明の一態様に係る高圧放電ランプは、金属箔に少なくとも一つの凸部が形成されているため、封止部の歪みの発生が抑制され、クラックの発生が抑制される。
本発明の一態様に係るランプユニットは、封止部の歪みやクラックの発生を抑制した上記高圧放電ランプを備えるため、高画像表示性能を有し信頼性が高い。
本発明の一態様に係る投射型画像表示装置は、封止部の歪みやクラックの発生を抑制した上記高圧放電ランプを備えるため、高画像表示性能を有し信頼性が高い。
本発明に係る高圧放電ランプの製造方法は、本体部および表面に酸性溶液で処理された高融点の金属粒子が点在する棒状部を備えた電極を準備する工程を有するため、封止部の歪みやクラックの発生を抑制した高圧放電ランプを製造することができる。
本発明の第1の実施形態に係る高圧放電ランプの長手方向の中心軸を含む断面図 同じく高圧放電ランプの長手方向の中心軸を含む要部拡大断面図 同じく高圧放電ランプの棒状部の500倍の電子顕微鏡写真 同じく高圧放電ランプの変形例1の長手方向の中心軸を含む要部拡大断面図 同じく高圧放電ランプの変形例2の長手方向の中心軸を含む要部拡大断面図 同じく高圧放電ランプの変形例3の長手方向の中心軸を含む要部拡大断面図 同じく高圧放電ランプの変形例4の長手方向の中心軸を含む要部拡大断面図 同じく高圧放電ランプの変形例5の長手方向の中心軸を含む要部拡大断面図 ランプAの歪みを示す要部拡大正面図 ランプBの歪みを示す要部拡大正面図 ランプCの歪みを示す要部拡大正面図 ランプDの歪みを示す要部拡大正面図 ランプEの歪みを示す要部拡大正面図 ランプFの歪みを示す要部拡大正面図 ランプGの歪みを示す要部拡大正面図 凸部による歪低減効果を説明するための模式図 凸部周辺の結晶状態を示す概念図 (a)本発明の第1の実施形態に係る高圧放電ランプの変形例5の長手方向の中心軸を含む要部拡大断面図、(b)同じく高圧放電ランプの変形例6の長手方向の中心軸を含む要部拡大断面図 (a)本発明の第2の実施形態に係る高圧放電ランプの正面断面図、(b)同じく高圧放電ランプの左側面断面図 本発明の第3の実施形態に係る高圧放電ランプの構成を示す断面図 (a)本発明の第3の実施形態に係る高圧放電ランプのうち、電極の構成を示す断面図、(b)(a)に示す電極を形成する方法についての説明図、(c)(a)に示す電極を形成する方法についての説明図 本発明の第3の実施形態の結果を示す図 本発明の第3の実施形態の結果を示す図 本発明の第4の実施形態に係るランプユニットの一部切欠斜視図 本発明の第5の実施形態に係る投射型画像表示装置の斜視図 本発明の第6の実施形態に係る投射型画像表示装置の斜視図
以下、図面を示しながら、本発明の最良な実施形態について説明する。本発明において、数字範囲を示す「〜」という符号は、その両端の数値を含む。また、各図面において、構成部品および構成部品間の縮尺は実際のものとは異なる。
〔第1の実施形態〕
本発明の第1の実施形態に係る高圧放電ランプの構成を図1に、同じく要部拡大断面図を図2にそれぞれ示す。本発明の第1の実施形態に係る高圧放電ランプ(以下、「高圧放電ランプ100」という。)は、例えば定格電力が300[W]であって、内部に電極101が配置されたガラス製の発光管102を備え、発光管102は内部に封入物が封入され、かつ放電空間が形成されている発光部103と、発光部103に連設された封止部104とを有する。なお、図示の便宜上、図1における電極101、後述する金属箔105およびリード線106と、図2における電極101とは、断面で切らずに図示している。
発光部103は、放電空間が形成される部分であり、透光性材料である石英ガラスで形成された球状体または楕円球状体の部材である。発光部103の形状は、例えば、外径が約12[mm]、内径が約5[mm]の略球状であって、内部に内容積が約0.1[cm3]の放電空間を有する。なお、発光部103の外径、内径、および放電空間の内容積等は特に限定されず、高圧放電ランプ100の仕様によって適宜設計変更してよい。
発光部103の内部には、発光物質である水銀(Hg)、始動補助用の希ガスである例えばアルゴンガス(Ar)、およびハロゲン物質である例えば臭素(Br)がそれぞれ所定量封入されている。
容量が0.1cm3程度の発光部103の中に、発光物質として約0.3[mg/mm3]の水銀と、始動補助用として約30[kPa]の希ガスと、ハロゲン物質として約10-7[μmol/mm3]〜10-2[μmol/mm3]程度の臭素を封入すれば、ランプ点灯中の水銀蒸気圧は300気圧程度になる。
希ガスは、例えばアルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)のいずれか、またはそれらの中から少なくとも2種以上の混合ガス等を用いることができる。ハロゲン物質は、例えばヨウ素(I)、臭素(Br)、塩素(Cl)のいずれか、またはそれらの少なくとも2種以上の混合物質等を用いることができる。また、ランプ点灯中の水銀蒸気圧は300気圧程度に限定されず、発光部103に封入する水銀の量などを適宜変更することにより、任意に調整してもよい。
封止部104は、石英ガラスを溶融状態で圧着することにより形成された略円柱形状の部材であり、発光部103を気密に封止する。封止部104を形成する方法は、例えば、公知のシュリンクシール法などが挙げられるが、特に限定されない。封止部104の外径、長さ、形状等も特に限定されず、高圧放電ランプ100の仕様に応じて適宜変更してもよい。
発光部103の内部には、例えばタングステンで形成された一対の電極101が対向して配置されている。電極101は、本体部101aと本体部101aに接続される棒状部101bとを有する。電極101は、本体部101a側の一端部が放電空間の内部に位置し、かつ棒状部101b側の他端部が後述する金属箔105と例えば溶接によって接続された状態で封止部104に封止されるように配置されている。電極101における封止部104内に埋設された部分が電極101の埋設部分である(図3参照)。
棒状部101bは、その横断面の形状が例えば、略円形をした略円柱体であって、タングステン等で形成された金属部材である。高輝度化等の観点から、一対の電極101間の距離Ldは、例えば、ショートアーク型の高圧放電ランプの場合、点光源に近づけるために、0.5[mm]以上2.0[mm]以下の範囲内で適宜調整されることが好ましい(図1参照)。
本体部101aは、例えば棒状部101bの一端部にタングステン製のコイルを巻きつけることにより形成されている。
なお、本体部101aおよび棒状部101bは、タングステン製の金属棒およびコイルの構成に限らず、例えば、タングステン製の金属棒を、本体部101aの径が棒状部101bの径よりも大きくなるように切削して形成されたものであってもよい。また、本体部101aの先端部から棒状部101bの先端部が突出していてもよい。
封止部104において、棒状部101bにおける本体部101aの反対側の端部は、例えばその周面において、金属箔105の一端部と接続されている。金属箔105は、例えば、長方形状であって、モリブデン等の金属部材である。金属箔105は、発光部103側の一端部が棒状部101bの端部と重ねられた状態で封止部104に埋設されており、他端部がリード線106の一端部に接続されている。このように棒状部101bと金属箔105とが接続された状態で封止部104に埋設されていると、放電空間の気密性が向上するため好ましい。なお、棒状部101bと金属箔105とが接続される箇所は、特に限定されるものではないが、溶接部分の長さ、すなわち金属箔105の電極101側の端部から棒状部101bの金属箔105側の端部までの最短距離dは、1.0[mm]以上1.5[mm]以下の範囲内で適宜調整することが好ましい。棒状部101bおよび金属箔105の接続は、例えばレーザー溶接や抵抗溶接等を用いることができる。
図2に示すように、棒状部101bの表面における封止部104の発光部103側の端部または金属箔105側の端部に少なくとも1つの凸部101cが形成されている。
棒状部101bの500倍の電子顕微鏡写真を図3に示す。図3に示すように、凸部101cは、棒状部101bの周面から電極軸心Xに対して略垂直な方向に突出して形成されている。この凸部101cにより、封止部104の歪みを低減し、クラックの発生を抑制することができる。
本実施形態における高圧放電ランプの具体的数値は、例えば、次の通りである。
発光部の中央部における内径φai:5[mm]
外径φao:12[mm]
発光部の内容積:0.1[cm3
電極間距離Ld:1.2[mm]
水銀封入量:0.35[mg/mm3
アルゴンガス封入量:30[kPa](25[℃])
臭素封入量:0.5×10-3[μmol]
(実験)
発明者らは、高圧放電ランプ100が封止部104の歪みの発生を抑制し、クラックの発生を抑制することができることを確認するために、封止部104の歪みおよびクラックを確認する実験を行った。
まず、高圧放電ランプ100と実質的に同じ構成を有し、棒状部101bの表面における封止部104の発光部103側の端部に1つの凸部101cが形成されているものをランプAとした。また、図4に示すように、棒状部101bの表面における金属箔105側の端部に1つの凸部101cが形成されている点を除いてランプAと実質的に同じ構成を有するものをランプBとした。また、図5に示すように、棒状部101bの表面における金属箔105側の端部にも凸部101cが形成されている点を除いて、ランプAと実質的に同じ構成を有するものをランプCとした。さらに、図6に示すように、棒状部101bの表面における封止部104の発光部103側の端部と、金属箔105側の端部との間にも凸部101cが形成されている点を除いて、ランプCと実質的に同じ構成を有するものをランプDとした。また、図7に示すように、棒状部101bの表面における封止部104の発光部103側の端部と、金属箔105側の端部との間にわたって環状に凸部101cが形成されている点を除いて、ランプAと実質的に同じ構成を有するものをランプEとした。また、図8に示すように、棒状部101bの表面における封止部104の発光部103側の端部と、金属箔105側の端部との間にわたって螺旋状に凸部101cが形成されている点を除いて、ランプAと実質的に同じ構成を有するものをランプFとした。さらに、比較のために、棒状部101bの表面に凸部101cが形成されていない点を除いて、ランプAと実質的に同じ構成を有するものをランプGとした。なお、図示の便宜上、図4〜8における電極101は、断面で切らずに図示している。
実験は、ランプ点灯前、エージング後、エージング後100[h]点灯時、エージング後250h点灯時、エージング後500h点灯時、エージング後1000[h]点灯時において、封止部のクラックを目視で確認した。実験試料は、各3本ずつ作成し、そのうち1本でも封止部の性能に影響するようなクラックが発生している場合に「×」と評価し、3本とも封止部の性能に影響するようなクラックが発生していない場合に「○」と評価した。実験結果を表1に示す。
Figure 2010140379
表1に示すように、実施例に係るランプA〜Fにおいては、ランプ点灯前の初期、エージング後および100[h]〜1000[h]点灯後ともに封止部の性能に影響するようなクラックは発生していなかった。一方、比較例に係るランプGについては、ランプ点灯前の初期において、既にクラックが発生しているものがあり、エージング後には、3本とも封止部にクラックが発生していた。なお、ランプGについては、エージング後に3本とも封止部にクラックが発生していたため、100[h]点灯以降のデータは測定していない。
さらに、発明者らは、各実験試料のランプ点灯前の初期の封止部の歪みを歪計により観測した。ランプAの歪みを示す要部拡大正面図を図9に、ランプBの歪みを示す要部拡大正面図を図10に、ランプCの歪みを示す要部拡大正面図を図11に、ランプDの歪みを示す要部拡大正面図を図12に、ランプEの歪みを示す要部拡大正面図を図13に、ランプFの歪みを示す要部拡大正面図を図14に、ランプGの歪みを示す要部拡大正面図を図15にそれぞれ示す。なお、図9〜15において、大きな歪みが発生している部分を紙面上右上から左下へ向かう斜線で示し、小さな歪みが発生している部分を紙面上左上から右下へ向かう斜線で示している。なお、歪みの大小は、歪計の圧縮歪み・引っ張り歪みの色差により判別した。
図9〜14に示すように、ランプA〜Fは、大きな歪みおよび小さな歪みが封止部104の外表面まで到達しておらず、歪みの発生が抑制されていることがわかる。これに対して、図15に示すように、ランプGは、小さな歪みが封止部104の外表面にまで達し、ランプA〜Fに比べて小さな歪みが発生している部分および大きな歪みが発生している部分の領域が広範囲となっている。これは、熱膨張および収縮が大きい棒状部101bによって封止部104全域に応力が印加されているためであり、特に、棒状部101bにおける封止部104の発光部103側の端部や金属箔105側の端部は、冷却時に棒状部101bの中央に向かって収縮するため強い応力が印加され、その結果として歪みが発生しやすくなる。
ランプA〜Fの場合、最も歪みの発生しやすい封止部104の発光部103側の端部または金属箔105側の端部において、棒状部101bの表面に凸部101cが形成されていることで、棒状部101bと封止部104のガラスとの接触面積を小さくすることができ、歪みの発生を抑制することができる。
特許文献1には、電極と封止部との間に微小空隙を設けて、電極と封止部との密着性を低く抑えることにより、クラックの発生が抑制された高圧放電ランプが提案されている。しかしながら、このような微小空隙が電極の埋設部分の略全体を覆うように広範囲に亘って存在すると、ショートアーク型の高圧放電ランプを繰り返し点灯消灯させた場合、例えば、消灯時において、点灯時に蒸発した水銀の凝縮物が上記隙間に入り込み、クラックが発生するおそれが高い。
図16は、凸部による歪低減効果を説明するための模式図である。これに対し、本発明の第1の実施形態に係る高圧放電ランプの場合、図16に示すように、凸部101cが存在する箇所には微小空隙107が形成されており、この微小空隙107によって棒状部101bと封止部104との接触面積が小さくなっており、これによって歪によるクラックの発生が抑えられている。その一方で、凸部101cが存在しない箇所では棒状部101bと封止部104とが接触しており微小空隙107は形成されていないため、棒状部101bと封止部104との間に水銀の凝集物が入り込み難くなっており、さらにクラックの発生が抑えられている。
なお、後述するように金属箔に凸部を設ける場合も同様であり、凸部が存在する箇所では微小空隙が形成されるため、金属箔と封止部との接触面積小さくなっており、かつ、凸部が存在しない箇所では微小空隙が形成されないため、水銀の凝集物は入り込み難くなっており、クラックの発生が効果的に抑えられている。
一方、ランプGの場合、封止後において棒状部101bや封止部104が冷却される際、棒状部101bと封止部104のガラスとの熱膨張係数の大きさが異なることにより、棒状部101bよりも封止部104のガラスの熱収縮率が小さくなるため、これらの界面では引張応力の違いが生じるが、棒状部101bと封止部104との接触面積が大きいため、結果として、クラックが発生する。
よって、棒状部101bの表面における封止部104の発光部103側の端部または金属箔105側の端部に少なくとも1つの凸部101cが形成されていることで、封止部104の歪みを抑制し、クラックの発生を抑制することができる。
さらに、ランプC〜Fは、ランプAおよびBよりも歪みの発生が抑制されていることがわかる。これは、歪みの発生しやすい、棒状部101bにおける封止部104の発光部103側の端部および金属箔105側の端部に凸部101cが形成されているため、ランプAおよびBよりもさらに、応力を分散させることができ、歪みの発生を抑制することができるためである。
また、ランプD〜Fは、ランプCよりも歪みの発生が抑制されていることがわかる。これは、封止部104の発光部103側の端部と、棒状部101bと金属箔105との接続部との間にも凸部101cが形成されているため、さらに応力を分散することができ、歪みの発生を抑制することができるためである。
さらに、ランプEおよびFは、ランプDよりも歪みの発生を抑制することがわかる。これは、棒状部101bの表面に、さらに多くの凸部101cが分散して形成されているため、すなわち凸部が点在しているため、さらに応力を分散することができ、歪みの発生をさらに抑制することができるためである。
なお、ランプFは、電極軸心Xを回転軸として、棒状部101bを回転させながら、電極軸心方向(電極長手方向)に移動させつつ、棒状部101bの表面にレーザーを照射することで、連続的に凸部101cを形成することができるため、凸部101cを容易に形成することができる。
上記のとおり、本発明の第1の実施形態に係る高圧放電ランプ100は、封止部104の歪みの発生を低減し、クラックの発生を抑制することができる。
なお、凸部101cの高さは、電極101の棒状部101bの表面における凸部101c以外の部分の表面粗さの最大高さRmaxよりも高いことが好ましい。これにより、凸部101cが棒状部101bの表面における凸部101c以外の部分に優先して封止部104のガラスと接触することができるため、歪みの発生をより抑制することができる。
なお、凸部101cの高さとは、棒状部101bの表面から電極軸心Xに対して略垂直な方向に突出している長さであり、例えば電子顕微鏡等を用いて測定することができる。また、一般的な電極の場合、棒状部の表面の最大高さRmaxは1[μm]程度である。
さらに、凸部101cの高さは、10[μm]以上100[μm]以下の範囲内であることが好ましい。10[μm]以上の場合、凸部101cが棒状部101bの表面における凸部101c以外の部分にさらに優先して封止部104のガラスと接触することができるため、歪みの発生をさらに抑制することができる。100[μm]を超える場合、凸部101cと封止部104との接触面積が増えるため、応力を分散しきれない。なお、10[μm]以上70[μm]以下の範囲内がより好ましい。
また、凸部101cと棒状部101bの表面における凸部101c以外の部分との結晶構造が異なることが好ましい。この場合、棒状部101bの表面にレーザーを照射することで凸部101cを形成しやすくすることができる。凸部101cを形成する好適なレーザーの照射条件の一例として、棒状部表面上のレーザー照射スポット径が10[μm]〜100[μm]程度で照射時間が0.1[msec]〜1[msec]程度の単パルス照射または単パルス連続照射により棒状表面上に照射する。
凸部101c周辺の結晶構造の概略図を図17に示す。図17に示すように、棒状部101bの表面における凸部101c以外の部分の結晶構造は、多角形が配列したような亀甲状の構造であるのに対し、凸部101cの結晶構造は、電極軸心Xから略垂直方向に引き伸ばされたような構造をしている。これは、棒状部の表面にレーザーが照射されることによって、結晶粒が凸部101cの先端部に向かって引き伸ばされたためである。
さらには、凸部101cは、略円錐形状であることが好ましい。この場合、凸部101cの先端部に応力が集中しやすく、封止部104の応力分散の効果を向上し、歪みの発生をより抑制することができる。
また、図18(a)に示すように、凸部101cは、棒状部101bの表面に千鳥状に形成されていることが好ましい。この場合、凸部101c間の距離を略等間隔にしやすく、応力を分散させやすく、歪みの発生をさらに抑制することができる。
さらに、図18(b)に示すように、棒状部101bの金属箔105と接続されている部分は、切欠部が形成されていることが好ましい。この場合、棒状部101bに切欠部が形成されていない場合に比べて棒状部101bと金属箔105との接触面積を増やすことができ、レーザーまたは抵抗溶接で棒状部101bと金属箔105とを接続する際、その接続強度を向上させることができる。
なお、図示の便宜上、図18(a)および(b)における電極101は、断面で切らずに図示している。
さらに、棒状部101bの表面における金属箔105との接続部(すなわち接触部)に、凸部101cが形成されていることが好ましい。この場合、抵抗溶接により棒状部101bと金属箔105とを接続する際、その接続部の抵抗値を高めて溶接強度を向上させることができる。
(高圧放電ランプの製造方法)
高圧放電ランプ100の製造方法を以下に説明する。高圧放電ランプ100の製造方法は、以下の工程を有することを特徴とする。
(a)放電空間を形成するための発光部、および前記発光部の両端に延設された円筒状の細管部を有する石英ガラス製の容器を準備する工程
(b)本体部と、前記本体部に接続される棒状部とを有する電極の前記棒状部の表面に凸部を形成する工程
(c)前記棒状部における前記本体部の反対側の端部を、その周面の少なくとも一部において金属箔の一端部と接続する工程
(d)前記本体部が前記発光部の内部に突出するように、前記細管部に対して前記棒状部を挿入する工程
(e)前記細管部を加熱溶解させた状態で圧接することにより、前記棒状部および前記金属箔を封止する工程
先ず、(a)の工程では、放電空間を形成するための発光部103および、この発光部103に延設された細管部を含む石英ガラス製の容器(図示せず)を準備する。
次に、(b)の工程において、本体部101aと、本体部101aに接続される棒状部101bとを有する電極101の棒状部101bの表面に凸部101cを形成する。凸部101cは、例えば、棒状部101bの表面にレーザーを照射することにより形成することができる。具体的には、棒状部101bの表面であって、封止後の封止部104の発光部103側の端部または金属箔105側の端部にレーザーを照射することにより凸部101cを形成することができる。
続いて、(c)の工程において、棒状部101bにおける本体部101aの反対側の端部を、その周面の少なくとも一部において金属箔105の一端部と接続する。棒状部101bと金属箔105との接続は、例えば抵抗溶接やレーザー溶接等により行うことができる。なお、(b)の工程と(c)の工程とはどちらを先に行ってもよい。
さらに、(d)の工程では、電極101が発光部103の内部に突出するように、細管部に対して電極101を挿入する。
そして、(e)の工程では、前記管状部を加熱溶解させて前記棒状部101bを封止する。封止は、バーナーによって加熱してもよいし、レーザー(例えば、CO2可変レーザー)によって加熱してもよい。なお、バーナーとレーザーとを併用してもよい。
以上の工程を経ることにより、高圧放電ランプ100が完成される。
〔第2の実施形態〕
本発明に係る第2の実施形態に係る高圧放電ランプの管軸を含む正面断面図を図19(a)に、その左側面断面図を図19(b)にそれぞれ示す。本発明の第2の実施形態に係る高圧放電ランプ(以下、「高圧放電ランプ200」という。)は、少なくとも一方の封止部104にキャビティ201が形成され、その外部にアンテナ202が設けられている点を除いては、高圧放電ランプ100と実質的に同じ構成を有する。よって、キャビティ201およびアンテナ202について詳細に説明し、その他の点については説明を省略する。なお、図示の便宜上、図19における電極101、金属箔105およびリード線106は、断面で切らずに図示している。
少なくとも一方の封止部104には、キャビティ201が形成されている。キャビティ201の内部には、少なくとも希ガスが封入されている。なお、発光部103の内部と同様のガス(例えば、希ガスおよび水銀)が封入されていてもよい。また、キャビティ201の内部に酸化バリウムやトリウムタングステンを配置してもよい。この場合、酸化バリウムやトリウムタングステンが電子を放出しやすいため、金属箔105とアンテナ202との間の放電を容易に起こすことができる。
キャビティ201が位置する封止部104の外周には、アンテナ202が設けられている。アンテナ202は、例えば鉄とクロムとの合金製で、一端部側が封止部の外周に3ターン巻きつけられ、他端部側が外部リード線106に接続されている。なお、アンテナ202は、鉄とクロムとの合金製に限らず、例えばモリブデンやタングステン等の金属線も用いることができる。
なお、いわゆるトリガー線の役割を果たす第2のアンテナ(図示せず。)が、封止部104と発光部103側の端部(おおよそ、電極101が埋め込まれている封止部104の外周)に設けられていてもよい。
上記のとおり、本発明の第2の実施形態に係る高圧放電ランプ200は、封止部104の歪みの発生を低減し、クラックの発生を抑制することができる。
〔第3の実施形態〕
図20に示すように、高圧放電ランプ320において、棒状部324bと金属箔325との接合部分を含む棒状部324bの表面領域には、凸部としての高融点の金属粒子340が点在する。この金属粒子340は、予め、酸性溶液と混合された状態で棒状部の表面に塗布した後、乾燥させたものである。なお、高圧放電ランプ320では、残る半分も同じ構成を有しているが、図20では図示を省略する。
本発明の第3の実施形態において高融点の金属粒子は、融点が2000[℃]以上の金属粒子をいう。中でも、高融点の金属粒子としては、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、およびレニウム(Re)からなる群より選ばれた1以上の金属粒子が好ましい。なお、これらの金属粒子は、純度3N(99.9[%])以上の市販品として容易に入手可能である。
高融点の金属粒子は、予め酸性溶液で処理されたものを用いる。ここで、酸性溶液で高融点の金属粒子を処理するとは、酸性溶液によって金属粒子の界面改質を行う作業をいう。本作業には、酸性溶液と金属粒子とを混合物とすることや、金属粒子の表面に対して酸性溶液を塗布、噴射などすることなどが含まれるが、特に限定されない。
酸性溶液は、高融点の金属粒子に対して、その表面を溶解させたり、凝集させたりする役割を担う。酸性溶液としては、プロトン供与性は強いものの、その受容性の弱い溶液であれば特に問題はないが、中でも、過酸化水素水、フッ酸、硝酸、王水、フッ硝酸からなる群より選ばれる1以上の酸性溶液が好ましい。これらの酸性溶液は、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、およびレニウム(Re)を溶解させる作用が強いためである。なお、酸性溶液は、上記した溶液を単独で用いてもよいし、混合物であってもよい。
従来、封止後において金属部材と封止部が冷却される際には、両部材の熱膨張係数の大きさが異なることにより、金属部材よりも封止部の熱収縮率が大きくなるため、これらの部材の界面では引張応力の違いが生じるから、結果として、クラックが発生していた。その点、本発明の第3の実施形態のように、金属部材と封止部との界面に上記のような酸性溶液で処理された高融点の金属粒子を介在させると、第一に、金属部材と封止部のガラスとの接触面積を小さくすることができ、歪みの発生を抑制することができる。第二に、金属粒子が金属部材と封止部との熱膨張係数の差を埋める緩衝材として作用し、両者の熱収縮の違いによって生じる応力を大きく緩和する役割を担うため、結果として、クラックの発生を抑制することができる。また、金属粒子は、金属部材の表面に対して化学結合のような強固な力で結びついているものではないので、金属部材と封止部との界面において自由に遊動する潤滑剤としても作用する。そのため、封止後の冷却時における界面での引張応力が軽減されることから、結果としてクラックの発生を抑制することができる。
クラックの発生を抑制するという観点からは、酸性溶液で処理する前の金属粒子の平均粒径が1[μm]〜100[μm]であることが好ましい。このような金属粒子を酸性溶液で処理すれば、緩衝材や潤滑剤として相応しい大きさ、具体的には2〜50μm程度の凝集物が形成されやすく、金属部材と封止部との界面における引張応力の緩和に有用だからである。
また、高融点の金属粒子を処理するための溶液として、フッ酸や王水のような強酸性の溶液を用いると、棒状部などへ塗布する前に中和処理を施す必要があるため、工程数が増えるなどの新たな問題が生じる。よって、中和処理の必要性がないという観点からは、棒状部などを腐食するおそれがなく、かつ揮発して残留しないという観点から、過酸化水素水を溶液として用いることが好ましい。
第3の実施形態における高圧放電ランプの具体的数値は、例えば、次の通りである。
発光部の中央部における内径φai:5[mm]
外径φao:12[mm]
発光部の内容積:0.1[cm3
電極間距離Ld:1.2[mm]
水銀封入量:0.35[mg/mm3
アルゴンガス封入量:30[kPa](25[℃])
臭素封入量:0.5×10-3[μmol]
また、図21(a)に示すように、高圧放電ランプにおけるクラックの発生を抑制するという観点からは、棒状部324bに対して、内壁面に高融点の金属粒子350を塗布した石英ガラス製の細管(スリーブ)351を組み入れてもよい。なお、スリーブ351は、封止加工の際に溶融して発光管の一部となる。
上述したとおり、本実施形態で使用されるスリーブ351の内壁面には、予め、酸性溶液で処理されたタングステン、モリブデンおよびレニウムのような高融点の金属粒子350が塗布されている。このようなスリーブを棒状部324bと嵌め合わせると、棒状部324bの表面に対して高融点の金属粒子340を塗布した場合と同様に、スリーブ351と棒状部324bとの間に大小さまざまなサイズの金属粒子が点在することとなる。そうすると、スリーブと棒状部との間において緩衝材や潤滑剤として作用する金属粒子が数多く存在するようになるから、棒状部と封止部との界面における引張応力などが緩和されるため、結果として、高圧放電ランプにおけるクラックの発生がより効果的に抑制される。また、スリーブを採用する本構成では、スリーブ351によって金属粒子の棒状部表面からの剥離・脱落が抑制されており、棒状部の表面に対して直接的に金属粒子を塗布する形態と比べて、高融点の金属粒子が棒状部から剥離する可能性が低減するので、結果として、クラックの発生をよりいっそう抑制することができる。
当該スリーブを有する高圧放電ランプを準備する方法を説明する。図21(b)に示すように、先ず、純水を用いて高融点の金属粒子350を塗布する前のスリーブ351を洗浄する。
次に、洗浄したスリーブ351を十分に乾燥させた後、管状体であるスリーブ351の内部に、所定の金属粒子350(例えば、タングステン、モリブデン、レニウム)と過酸化水素水のような酸性溶液とを混合した混濁液を注入する。このとき、混濁液をスリーブ351内に注入する方法は特に限定されず、例えば、ディスペンサーなどの吐出機を用いればよい。そして、混濁液を注入した後のスリーブ351を十分に乾燥させる。こうして、スリーブ351の内壁面に高融点の金属粒子350が塗布されたスリーブ351が得られる。なお、塗布した後の混濁液を乾燥させる方法は、特に限定されず、恒温恒湿槽などを用いてもよいし、室温に静置させた状態で自然乾燥させてもよい。そして、乾燥したスリーブ351を棒状部324bに挿入した後、溶接などによって棒状部324bの端部を金属箔325に溶接させる。
(高圧放電ランプの製造方法)
高圧放電ランプ300の製造方法は、下記の工程を有することを特徴とする。
(a)放電空間を形成するための発光部、および前記発光部の両端に延設された円筒状の細管部を有する石英ガラス製の容器を準備する工程
(b)本体部および表面に酸性溶液で処理された高融点の金属粒子が点在する棒状部を備えた電極を準備する工程
(c)前記本体部が前記発光部の内部に突出するように、前記細管部に対して前記棒状部を挿入する工程
(d)前記細管部を加熱溶解させた状態で圧接することにより、前記棒状部を封止する工程
先ず、(a)の工程では、放電空間を形成するための発光部および、この発光部に延設された細管部を含む石英ガラス製の容器を準備する。容器とは、封止部が形成されて発光部が気密封止される前の発光管の前駆体をいう。
次に、(b)の工程において、本体部と、酸性溶液で処理された高融点の金属粒子を点在させた棒状部とを備えた電極を準備する。棒状部の表面に金属粒子を点在させる方法は特に限定されず、例えば、所定の金属粒子と酸性溶液とを混合した混濁液を棒状部の表面に塗布したり、前記混濁液に棒状部を浸漬させたりする方法、あるいは金属粒子を吹き付け、蒸着する方法が挙げられる。過酸化水素水のような酸性溶液で処理された金属粒子を棒状部のような金属部材の表面に塗布すれば、金属粒子は棒状部の表面を溶かしながら、その表面に金属粒子を点在させることができる。なお、クラックの発生を抑制する効果は、棒状部の表面だけでなく、所定の酸性溶液で処理された金属粒子を石英ガラスと接触しうる金属箔などの金属部材の表面に点在させることによって得られる。
ところで、前述したように、酸性溶液によって金属粒子を処理する方法は特に限定されないが、金属粒子の界面改質の具合は、酸性溶液の種類(酸性度)、酸性溶液と金属粒子とを接触させる時間、程度によって、金属粒子の界面改質の具合が変化するため、注意が必要である。ところが、例えば、金属粒子を過酸化水素水で処理する場合、この過酸化水素水は王水などの強酸と比べて非常に酸性が弱いため、金属粒子を過酸化水素水と混合した状態で一日、一週間静置していても、塗布具合に関係するほどの表面改質の差は生じるおそれが低い。
棒状部は、酸性溶液で処理された高融点の金属粒子が塗布された後、乾燥される。このとき、十分に金属粒子の溶液成分を蒸発させることが好ましい。溶液成分が残っている場合、高圧放電ランプの特性に影響を与えるおそれがあるためである。なお、棒状部を乾燥させる方法の例には、自然乾燥、公知の乾燥機による乾燥が含まれる。
さらに、(c)の工程では、前記電極が前記発光部の内部に突出するように前記高融点の金属粒子が点在した棒状部を前記管状部に挿入する。そして、(d)の工程では、前記管状部を加熱溶解させて前記棒状部を封止する。
(実験)
次に、本発明の第3の実施形態にかかる高圧放電ランプの作用効果を確認するための実験について説明する。
本実験では、高融点の金属粒子として、タングステン(W)、レニウム(Re)、およびモリブデン(Mo)を使用するとともに、これらの金属粒子をそれぞれ溶解作用のある過酸化水素水(3[wt%]H22)を使用した。ここで、金属粒子は、いずれも平均粒径1[μm]〜2[μm]、純度4[N]〜5[N]のものを使用した。
次に、棒状部に対して金属粒子がどのような状態で点在しているのかを確認するために、酸性溶液による処理の有無が異なる金属粒子をそれぞれ棒状部の表面に塗布した後、乾燥させてからその表面状態を目視およびSEMによって観察した。本実験で作成したサンプルは、下記の2つである。
サンプルA:未処理の金属粒子を塗布した棒状部
サンプルB:過酸化水素水で処理した金属粒子を塗布した棒状部
ここで、サンプルBは、各金属粒子と過酸化水素水を混合して調製した混濁液を、棒状部の表面に塗布し、自然乾燥させた。
サンプルA、Bの表面を目視により確認したところ、サンプルAでは棒状部の表面に対して、金属粒子がわずかに存在しているのみであった。一方、サンプルBでは、棒状部の表面に対して、金属粒子が均一に塗布されていることが確認された。
次に、各棒状部の表面をSEMで観察したところ、サンプルAの棒状部の表面では、略球体状の金属粒子を確認することができた。
一方、サンプルBの棒状部の表面では凹凸が形成されていること、および金属粒子の一部が凝集物となっていたり、肥大していたりするなど金属粒子の形状が様々に変形していること、をそれぞれ確認することができた。また、サンプルBの場合には、無変形の金属粒子や凝集物のような大小さまざまな金属粒子が石垣を組むように棒状部の表面に付設されていることも観察された。また、サンプルBにおいて、酸性溶液で処理した金属粒子は、棒状部の表面に対して、1[μm]〜100[μm]程度の大きさで積層されていること、さらに、この積層物は、棒状部を多少揺動させても剥離しない程度に強固に付着していることが確認された。
また、同時に、金属箔における棒状部との溶接部分に対して、各々酸性溶液で処理された金属粒子を塗布した場合でも、棒状部を多少揺動させても剥離しない程度の強度で金属箔の表面に対して金属粒子が付設されることが確認された。
また、酸性溶液として、フッ酸、硝酸、フッ硝酸、王水を使用した場合でも、タングステン、レニウム、モリブデンを溶解する作用があること、加えて、上記と同様にこれらの酸性溶液で処理した高融点の金属粒子を棒状部の表面に塗布した結果、過酸化水素水と同様に、高融点の金属粒子が凝集したり、棒状部の表面などに均一に点在させたりすることができることを確認した。
次に、第3の実施形態について、クラックの発生を抑制する効果を確認するために下記の実験を行った。すなわち、先ず、棒状部に、適宜酸性溶液で処理した金属粒子を棒状部の所定の位置に塗布後、乾燥させた高圧放電ランプをそれぞれ100本準備し、封止後における高圧放電ランプでのクラック(初期クラック)の発生有無を目視により観察した。本実験結果を図22,23に示す。図22,23から明らかなように、酸性溶液で処理した金属粒子を金属部材と封止部との界面に介在させた高圧放電ランプでは、クラックの発生が著しく低減できた。
金属粒子は、棒状部や金属箔のどの部位に形成しても効果があるが、特に、図22,23に示すように、棒状部の表面、棒状部と金属箔との溶接部、または、金属箔裏に形成した場合にクラックの発生を著しく低減できた。ここで、クラックの発生を抑制する効果は、棒状部に少なくとも1つの金属粒子を付設した場合に限らず、金属箔に少なくとも1つの金属粒子を付設した場合にも得られる。さらに、その効果は、金属粒子を付設した場合に限らず、レーザー照射等によって金属箔に凸部を形成した場合にも得られる。
なお、棒状部表面については、棒状部端面よりも棒状部周面に金属粒子を付設することがより効果的である。また、棒状部と金属箔との溶接部については、金属箔における棒状部溶接側の主面のうち図20において符号dで示す領域(金属箔の電極側の端縁から棒状部の金属箔側の端縁までの領域)に金属粒子を付設することがより効果的である。また、金属箔裏については、金属箔における棒状部溶接側の主面とは反対の主面のうち図20において符号dで示す領域に金属粒子を付設することがより効果的である。
次に、第3の実施形態における高圧水銀ランプを組み入れたランプユニットを使用して、高圧放電ランプの寿命試験を行うことにより、発光管の封止部における破損の状況を観察した。ここで、高圧放電ランプの寿命試験は、高圧放電ランプを30本使用し、各高圧放電ランプを定格電力300[W]で周波数100[Hz]の矩形波電流によって定常点灯させた状態で、点灯1時間、消灯0.5時間を1サイクルとして、これを所定時間繰り返す点滅サイクル試験を行った。
その結果、図22,23から明らかなように、点灯開始から計測時までの累積点灯時間が、100時間、250時間、500時間、750時間、1000時間、1500時間、2000時間において、いずれも封止部における破損は確認されなかった。これにより、本実施形態に係る高圧放電ランプは、累積点灯時間が2000時間という長時間を越えても、棒状部のような金属部材と封止部との界面において、クラックの発生を抑制できる効果が高いことが分かった。
次に、発明者らは、酸性溶液で処理された金属粒子が内壁面に塗布されたスリーブを有する高圧放電ランプにおけるクラックの発生有無を観察する実験を行った。本実験で準備した発光管の概略図は、図21(a)に示すとおりである。
本実験で準備した高圧放電ランプにおいては、棒状部に対して、内壁面に高融点の金属粒子が塗布された石英ガラス製のスリーブ51が嵌め込まれている。この棒状部は、タングステンから形成された横断面が略円形の略円柱体であり、直径が0.5[mm]、長さ8.0[mm]である。なお、棒状部にスリーブを嵌め合わせた以外は、前述した高圧放電ランプの発光管仕様と同じであるため説明を省略する。
スリーブは、外径が1.8[mm]、内径が0.6[mm]、長さが2.5[mm]の石英ガラス製の管状体である。スリーブの内壁面には、酸性溶液で処理した高融点の金属粒子が塗布されている。本実験では、酸性溶液として、3[wt%]過酸化水素水を使用し、高融点の金属粒子として、タングステン、モリブデン、レニウムを組み合わせて使用した。ここで、過酸化水素水を使用した訳は、過酸化水素水は、強酸性でないにも関わらず、タングステンなどの高融点の金属粒子を溶解する作用を有しており、また乾燥時に蒸発することから塗布面に残留することがないためである。
本実験で作成した発光管の諸条件は下記の通りである。
発光部中央内径:5[mm]
発光部中央外径:12[mm]
発光部容積:0.1[cc]
水銀封入量:0.35[mg/mm3
アルゴンガス封入量:30[kPa](25[℃])
臭素封入量:0.5×10-3[μmol]
電極間距離:1.2[mm]
封止部:公知のシュリンクシール法によって封止
スリーブが嵌め込まれた棒状部が封着された封止部を目視により観察したところ、棒状部と封止部との界面領域において、従来と比べて、棒状部と封止部との界面付近であって、特に棒状部の表面付近における初期クラックの発生が抑制されていることが確認できた。これは、高融点の金属粒子の存在によって、棒状部と封止部との接触面積が小さくなったため、封止加工時における棒状部の熱伸縮による前記界面付近の石英ガラスへの応力が減少したためと考えられる。
また、当該高圧放電ランプを反射鏡と組み込んだランプユニットを使用して、高圧放電ランプの寿命試験を行うことにより、発光管の封止部における破損の状況を観察した。そうすると、点灯開始から計測時までの累積点灯時間が、100時間、250時間、500時間、750時間、1000時間、1500時間、2000時間において、いずれも封止部における破損は確認されなかった。これにより、本実施形態に係る高圧放電ランプは、累積点灯時間が2000時間という長時間を越えても、クラックの発生を抑制できる効果が高いことが分かった。本結果から明らかなように、棒状部に対して、内壁面に所定の酸性溶液で処理された金属粒子が塗布されたスリーブを嵌め合わせると、特に、棒状部と封止部との界面領域におけるクラックの発生を抑制する上で好適であることが確認された。
〔第4の実施形態〕
本発明の第4の実施形態に係るランプユニットの一部切欠斜視図を図24に示す。本発明の第4の実施形態に係るランプユニット(以下、「ランプユニット400」という。)は、本発明の第1の実施形態に係る高圧放電ランプ100を備える。
図24に示すように、ランプユニット400は、高圧放電ランプ100と、高圧放電ランプからの射出光が反射面401によって反射されるように高圧放電ランプ100が内部に取り付けられた、凹状の反射面401を有する反射鏡402とを備える。
反射鏡402の内面には、凹面の反射面401が形成されており、反射面401によって高圧放電ランプ100からの射出光を反射させる。また、反射鏡402は、反射鏡402による高圧放電ランプ100の集光効率を高めるために、高圧放電ランプ100の長手方向の中心軸(電極軸心Xと一致)と反射鏡402の光軸Yとが略一致するように高圧放電ランプ100と組み合わされている。なお、反射面401は、例えば回転楕円体面や回転放物体面からなり、多層干渉膜等が蒸着されたものが一般的に使用されるが、本発明では特に限定されない。反射鏡402のネック部403側に位置する封止部104は、口金404に挿入され、反射鏡402に対して固定されている。口金404は、例えば、円筒形であって、反射鏡402に対して接着剤405等を介して固着されている。また、この口金404には、電源接続用端子406が付設されている。
また、高圧放電ランプ100のうち、口金404とは反対側のリード線106は、電力供給線407に接続されており、電力供給線407は、反射鏡402に設けられた貫通孔408に挿通されている。
なお、図24では、高圧放電ランプ100を用いたが、高圧放電ランプ200,320を用いることもできる。
上記のとおり、本願の第4の実施形態に係るランプユニット400の構成によれば、封止部のクラックや歪みの発生を抑制した高圧放電ランプ100,200,320を備えることで、信頼性を向上させることができる。
〔第5の実施形態〕
本発明の第5の実施形態に係る投射型画像表示装置の斜視図を図25に示す。本発明の第5の実施形態に係る投射型画像表示装置(以下、「画像表示装置500」という。)は、その前方に設置したスクリーン(図示しない)に向けて画像を投影するタイプのプロジェクタである。
投射型画像表示装置500は、ランプユニット400と、ランプユニットからの照明光が変調して光学像を形成する光学ユニット502と、光学像を拡大投射する投射装置504とを備える。
具体的には、筐体501と、筐体501に収納されたランプユニット400と、光学ユニット502と、制御ユニット503と、投射装置504と、冷却ファンユニット505と、電源ユニット506とを備える。
電源ユニット506は、DC電源回路と高圧放電ランプ点灯装置(いずれも図示しない)を含み、商用電源から供給される電力を、制御ユニット503、ランプユニット400、および冷却ファンユニット505に適した電力に変換してそれぞれ供給する。なお、図25は、投射型画像表示装置500の構成を見易くするため、筐体501の天板が取り除かれた状態で示されている。
上記のとおり、本願の第5の実施形態に係る投射型画像表示装置500の構成によれば、封止部のクラックや歪みの発生を抑制した高圧放電ランプ100,200,300を備えることで、信頼性を向上させることができる。
〔第6の実施形態〕
本発明の第6の実施形態に係る投射型画像表示装置の斜視図を図26に示す。本発明の第6の実施形態に係る投射型画像表示装置(以下、「画像表示装置600」という。)は、リアプロジェクタであって、高圧放電ランプが組み込まれたランプユニット400と、光学ユニット、投射装置およびミラー(いずれも図示せず。)等が収納された筐体601とを有する。
画像表示装置600は、投射レンズ(図示せず。)から投射され、ミラー(図示せず。)で反射された画像が、筐体601の開口部に設けられた透過式スクリーン602の裏側から投影されて画像表示される。
上記のとおり、本願の第6の実施形態に係る投射型画像表示装置600の構成によれば、封止部のクラックや歪みの発生を抑制した高圧放電ランプ100,200,300を備えることで、信頼性を向上させることができる。
〔変形例〕
以上、本発明を上記した各実施形態に示した具体例に基づいて説明したが、本発明の内容が各実施形態に示した具体例に限定されないことは勿論であり、発明の効果を損なわない範囲で適宜変更してよい。
また、上記実施形態では、両端が封止されているダブルエンド型の高圧放電ランプを示したが、封止の形態は特に限定されず、例えば、シングルエンド型であってもよい。
本発明は、高圧放電ランプ、ランプユニットおよび投射型画像表示装置に広く適用することができる。本発明の高圧放電ランプは、金属部材と封止部とが接触する領域において、クラックの発生を抑制することができるので、投射型画像表示装置の光源である高圧水銀ランプとして有用である。また、高圧水銀ランプ以外の、例えばメタルハライドランプなどの高圧放電ランプにもそのまま適用でき、例えば自動車ヘッドライト用メタルハライドランプとして有用である。
100,200,320 高圧放電ランプ
101,324 電極
101a,324a 本体部
101b,324b 棒状部
101c,340 凸部
102 発光管
103,321 発光部
104,322 封止部
105,325 金属箔
106 リード線
340 金属粒子
400 ランプユニット
401 反射面
402 反射鏡
500,600 投射型画像表示装置
502 光学ユニット
504 投射装置
本発明は、高圧放電ランプ、ランプユニット、投射型画像表示装置、および高圧放電ランプの製造方法に関する。
近年、液晶プロジェクタのような投射型画像表示装置の光源として、例えば、水銀蒸気圧が20[MPa]以上になるようなショートアーク型の高圧放電ランプが注目されている。なぜならば、このような高圧放電ランプは、点光源に近く、かつ点灯時の水銀蒸気圧の高さから、高輝度・高演色の実現が期待されるためである。
ショートアーク型の高圧放電ランプは、内部に放電空間を有する発光部と当該発光部に連設された封止部とを有するガラス製の発光管と、一端部が前記放電空間内に対向配置され他端部が金属箔と接続された状態で前記封止部内に埋設された一対の電極とを備えた構造を有する(例えば特許文献1等参照)。なお、高圧放電ランプのことを単に「ランプ」と称することもある。
特許第3480453号公報
ところで、最近、ランプの高輝度化・高効率化に伴って、点灯中の水銀蒸気圧が300気圧(約30MPa)を超えるような超高圧放電ランプの開発が求められており、より耐圧性能が高く、クラックが発生しにくいランプの提案が望まれている。しかし、従来の技術では、例えば、発光物質として、発光部内に0.20[mg/mm3]の水銀を封入した高圧放電ランプにおいて、クラックの発生を抑制しうる効果は得られるものの、実験的に0.25[mg/mm3]〜0.38[mg/mm3]の水銀を封入した高圧放電ランプを試作したところ、当該ランプにおいて、累積点灯時間の初期段階、例えば製造プロセスのエージング中に封止部が破損することが分かった。そのため、高圧水銀蒸気圧下であっても、クラックの発生が抑制される高圧放電ランプの開発が強く望まれている。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、高い水銀蒸気圧下であっても、クラックの発生が抑制される高圧放電ランプおよび当該ランプの製造方法の提供を第一の目的とする。また、当該高圧放電ランプを用いることにより、高画像表示性能を有するランプユニット、およびそのランプユニットを用いた投射型画像表示装置を提供することを第二の目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る高圧放電ランプは、内部に放電空間を有する発光部と当該発光部に連設された封止部とを有するガラス製の発光管と、一端部が前記放電空間内に対向配置され他端部が金属箔と接続された状態で前記封止部内に埋設された一対の電極と、を備えた高圧放電ランプであって、前記一対の電極の埋設部分に少なくとも一つの凸部が形成されていることを特徴とする。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る高圧放電ランプは、内部に放電空間を有する発光部と当該発光部に連設された封止部とを有するガラス製の発光管と、一端部が前記放電空間内に対向配置された一対の電極と、当該電極の他端部に接続された状態で前記封止部内に埋設された金属箔と、を備えた高圧放電ランプであって、前記金属箔に少なくとも一つの凸部が形成されていることを特徴とする。
本発明の一態様に係るランプユニットは、前記高圧放電ランプと、前記高圧放電ランプからの射出光が前記反射面によって反射されるように前記高圧放電ランプが内部に取り付けられた、凹状の反射面を有する反射鏡とを備えることを特徴とする。
本発明の一態様に係る投射型表示装置は、前記ランプユニットと、前記ランプユニットからの照明光が変調して光学像を形成する光学ユニットと、前記光学像を拡大投射する投射装置とを備えることを特徴とする。
本発明の一態様に係る高圧放電ランプの製造方法は、
(a)内部に放電空間を有する発光部と当該発光部に連設された細管部とを有するガラス製の容器を準備する工程と、
(b)本体部および表面に酸性溶液で処理された高融点の金属粒子が点在する棒状部を備えた電極を準備する工程と、
(c)前記本体部が前記発光部の内部に突出するように、前記封止部に対して前記棒状部を挿入する工程と、
(d)前記封止部を加熱溶解させた状態で圧接することにより、前記棒状部を封止する工程と、
を有する、ことを特徴とする。
本発明の一態様に係る高圧放電ランプは、点灯中の水銀蒸気圧が300気圧を超えるような超高圧水銀蒸気圧であっても、電極と発光管の封止部との界面において、クラックの発生を抑制することができる。そのため、高水銀蒸気圧下でランプを点灯させても、クラックによる発光管の破損が抑制されるから、結果として、信頼性が高く、長寿命である高圧放電ランプが得られる。電極を構成する金属と封止部を構成する石英ガラスとは熱膨張係数の差が大きいので、例えば、石英ガラスを加熱溶融させ電極を封止した場合、両者の熱膨張係数差に起因して封止部の石英ガラスに歪が発生し、電極と封止部との界面においてクラックが発生するおそれが高い。本発明の一態様に係る高圧放電ランプは、一対の電極の埋設部分に少なくとも一つの凸部が形成されているため、封止部の歪みの発生が抑制され、クラックの発生が抑制される。
また、本発明の一態様に係る高圧放電ランプは、凸部が、電極の埋設部分における電極軸心方向両端領域の少なくとも一方に形成されていることが好ましい。発明者らの検討によると、発光管の封止部のうち、特にクラックが発生しやすいのは、電極の埋設部分における電極軸心方向両端領域に近接した部位であった。これら部位は、加工時やランプ点灯消灯時に熱による膨張収縮が大きい部位であり、またランプ点灯中のアークの熱が伝導することにより温度が約1000[℃]付近にまで達し、熱膨張しやすい部位であるため、その部分に歪みが発生し易いためであると考えられる。このような歪の発生し易い部分に凸部を形成することで効果的にクラックの発生を抑制することができる。
また、本発明の一態様に係る高圧放電ランプは、凸部が点在していることが好ましい。これにより、応力を分散することができ、歪みの発生をさらに抑制することができる。
また、本発明の一態様に係る高圧放電ランプは、凸部の高さは、電極の埋設部分における前記凸部以外の部分の表面粗さの最大高さRmaxよりも高いことが好ましい。これにより、凸部が、電極の表面における前記凸部以外の部分に優先して封止部のガラスと接触するため、歪みの発生をより抑制することができる。
また、本発明の一態様に係る高圧放電ランプは、凸部の高さが、10μm以上100μm以下の範囲内であることが好ましい。これにより、凸部が電極の表面における凸部以外の部分にさらに優先して封止部のガラスと接触することができるため、歪みの発生をさらに抑制することができる。
また、本発明の一態様に係る高圧放電ランプは、凸部と電極の埋設部分における前記凸部以外の部分との結晶構造が異なることが好ましい。このような結晶構造の異なる凸部は、電極の表面にレーザーを照射することで形成することができる。
また、本発明の一態様に係る高圧放電ランプは、凸部が略円錐形状であることが好ましい。これにより、凸部の先端部に応力が集中しやすく、封止部の応力分散の効果を向上し、歪みの発生をより抑制することができる。
また、本発明の一態様に係る高圧放電ランプは、凸部が酸性溶液で処理された高融点の金属粒子であることが好ましい。鋭意検討を重ねた結果、発明者らは、電極と封止部との界面において、熱による膨張収縮時における両部材の挙動に着目し、本発明を見出すにいたった。電極と封止部との界面に酸性溶液で処理された高融点の金属粒子を介在させると、電極と封止部との膨張収縮量の違いによって生じる応力を大きく緩和するという緩衝材のような作用を担うため、結果として、クラックの発生を抑制することができる。
また、本発明の一態様に係る高圧放電ランプは、金属粒子が、モリブデン、タングステン、およびレニウムからなる群より選ばれる1以上の高融点の金属粒子であることが好ましい。これらの金属粒子は、純度3N(99.9[%])以上の市販品として容易に入手可能だからである。
また、本発明の一態様に係る高圧放電ランプは、酸性溶液が、過酸化水素水、フッ酸、硝酸、王水、およびフッ硝酸からなる群より選ばれる1以上の酸性溶液であることが好ましい。これらの酸性溶液は、モリブデン、タングステン、およびレニウムを溶解させる作用が強いためである。
また、本発明の一態様に係る高圧放電ランプは、電極の埋設部分に、内壁面に前記高融点の金属粒子が塗布された石英ガラス製の細管が嵌め込まれていることが好ましい。このような構成は、電極と封止部との界面領域におけるクラックの発生を抑制する上で好適である。
また、本発明の一態様に係る高圧放電ランプは、金属箔に少なくとも一つの凸部が形成されているため、点灯中の水銀蒸気圧が300気圧を超えるような超高圧水銀蒸気圧であっても、前記金属箔と発光管の封止部との界面において、クラックの発生を抑制することができる。そのため、高水銀蒸気圧下でランプを点灯させても、クラックによる発光管の破損が抑制されるから、結果として、信頼性が高く、長寿命である高圧放電ランプが得られる。金属箔を構成する金属と封止部を構成する石英ガラスとは熱膨張係数の差が大きいので、例えば、石英ガラスを加熱溶融させ金属箔を封止した場合、両者の熱膨張係数差に起因して封止部の石英ガラスに歪が発生し、金属箔と封止部との界面においてクラックが発生するおそれが高い。本発明の一態様に係る高圧放電ランプは、金属箔に少なくとも一つの凸部が形成されているため、封止部の歪みの発生が抑制され、クラックの発生が抑制される。
本発明の一態様に係るランプユニットは、封止部の歪みやクラックの発生を抑制した上記高圧放電ランプを備えるため、高画像表示性能を有し信頼性が高い。
本発明の一態様に係る投射型画像表示装置は、封止部の歪みやクラックの発生を抑制した上記高圧放電ランプを備えるため、高画像表示性能を有し信頼性が高い。
本発明に係る高圧放電ランプの製造方法は、本体部および表面に酸性溶液で処理された高融点の金属粒子が点在する棒状部を備えた電極を準備する工程を有するため、封止部の歪みやクラックの発生を抑制した高圧放電ランプを製造することができる。
本発明の第1の実施形態に係る高圧放電ランプの長手方向の中心軸を含む断面図 同じく高圧放電ランプの長手方向の中心軸を含む要部拡大断面図 同じく高圧放電ランプの棒状部の500倍の電子顕微鏡写真 同じく高圧放電ランプの変形例1の長手方向の中心軸を含む要部拡大断面図 同じく高圧放電ランプの変形例2の長手方向の中心軸を含む要部拡大断面図 同じく高圧放電ランプの変形例3の長手方向の中心軸を含む要部拡大断面図 同じく高圧放電ランプの変形例4の長手方向の中心軸を含む要部拡大断面図 同じく高圧放電ランプの変形例5の長手方向の中心軸を含む要部拡大断面図 ランプAの歪みを示す要部拡大正面図 ランプBの歪みを示す要部拡大正面図 ランプCの歪みを示す要部拡大正面図 ランプDの歪みを示す要部拡大正面図 ランプEの歪みを示す要部拡大正面図 ランプFの歪みを示す要部拡大正面図 ランプGの歪みを示す要部拡大正面図 凸部による歪低減効果を説明するための模式図 凸部周辺の結晶状態を示す概念図 (a)本発明の第1の実施形態に係る高圧放電ランプの変形例5の長手方向の中心軸を含む要部拡大断面図、(b)同じく高圧放電ランプの変形例6の長手方向の中心軸を含む要部拡大断面図 (a)本発明の第2の実施形態に係る高圧放電ランプの正面断面図、(b)同じく高圧放電ランプの左側面断面図 本発明の第3の実施形態に係る高圧放電ランプの構成を示す断面図 (a)本発明の第3の実施形態に係る高圧放電ランプのうち、電極の構成を示す断面図、(b)(a)に示す電極を形成する方法についての説明図、(c)(a)に示す電極を形成する方法についての説明図 本発明の第3の実施形態の結果を示す図 本発明の第3の実施形態の結果を示す図 本発明の第4の実施形態に係るランプユニットの一部切欠斜視図 本発明の第5の実施形態に係る投射型画像表示装置の斜視図 本発明の第6の実施形態に係る投射型画像表示装置の斜視図
以下、図面を示しながら、本発明の最良な実施形態について説明する。本発明において、数字範囲を示す「〜」という符号は、その両端の数値を含む。また、各図面において、構成部品および構成部品間の縮尺は実際のものとは異なる。
〔第1の実施形態〕
本発明の第1の実施形態に係る高圧放電ランプの構成を図1に、同じく要部拡大断面図を図2にそれぞれ示す。本発明の第1の実施形態に係る高圧放電ランプ(以下、「高圧放電ランプ100」という。)は、例えば定格電力が300[W]であって、内部に電極101が配置されたガラス製の発光管102を備え、発光管102は内部に封入物が封入され、かつ放電空間が形成されている発光部103と、発光部103に連設された封止部104とを有する。なお、図示の便宜上、図1における電極101、後述する金属箔105およびリード線106と、図2における電極101とは、断面で切らずに図示している。
発光部103は、放電空間が形成される部分であり、透光性材料である石英ガラスで形成された球状体または楕円球状体の部材である。発光部103の形状は、例えば、外径が約12[mm]、内径が約5[mm]の略球状であって、内部に内容積が約0.1[cm3]の放電空間を有する。なお、発光部103の外径、内径、および放電空間の内容積等は特に限定されず、高圧放電ランプ100の仕様によって適宜設計変更してよい。
発光部103の内部には、発光物質である水銀(Hg)、始動補助用の希ガスである例えばアルゴンガス(Ar)、およびハロゲン物質である例えば臭素(Br)がそれぞれ所定量封入されている。
容量が0.1cm3程度の発光部103の中に、発光物質として約0.3[mg/mm3]の水銀と、始動補助用として約30[kPa]の希ガスと、ハロゲン物質として約10-7[μmol/mm3]〜10-2[μmol/mm3]程度の臭素を封入すれば、ランプ点灯中の水銀蒸気圧は300気圧程度になる。
希ガスは、例えばアルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)のいずれか、またはそれらの中から少なくとも2種以上の混合ガス等を用いることができる。ハロゲン物質は、例えばヨウ素(I)、臭素(Br)、塩素(Cl)のいずれか、またはそれらの少なくとも2種以上の混合物質等を用いることができる。また、ランプ点灯中の水銀蒸気圧は300気圧程度に限定されず、発光部103に封入する水銀の量などを適宜変更することにより、任意に調整してもよい。
封止部104は、石英ガラスを溶融状態で圧着することにより形成された略円柱形状の部材であり、発光部103を気密に封止する。封止部104を形成する方法は、例えば、公知のシュリンクシール法などが挙げられるが、特に限定されない。封止部104の外径、長さ、形状等も特に限定されず、高圧放電ランプ100の仕様に応じて適宜変更してもよい。
発光部103の内部には、例えばタングステンで形成された一対の電極101が対向して配置されている。電極101は、本体部101aと本体部101aに接続される棒状部101bとを有する。電極101は、本体部101a側の一端部が放電空間の内部に位置し、かつ棒状部101b側の他端部が後述する金属箔105と例えば溶接によって接続された状態で封止部104に封止されるように配置されている。電極101における封止部104内に埋設された部分が電極101の埋設部分である(図3参照)。
棒状部101bは、その横断面の形状が例えば、略円形をした略円柱体であって、タングステン等で形成された金属部材である。高輝度化等の観点から、一対の電極101間の距離Ldは、例えば、ショートアーク型の高圧放電ランプの場合、点光源に近づけるために、0.5[mm]以上2.0[mm]以下の範囲内で適宜調整されることが好ましい(図1参照)。
本体部101aは、例えば棒状部101bの一端部にタングステン製のコイルを巻きつけることにより形成されている。
なお、本体部101aおよび棒状部101bは、タングステン製の金属棒およびコイルの構成に限らず、例えば、タングステン製の金属棒を、本体部101aの径が棒状部101bの径よりも大きくなるように切削して形成されたものであってもよい。また、本体部101aの先端部から棒状部101bの先端部が突出していてもよい。
封止部104において、棒状部101bにおける本体部101aの反対側の端部は、例えばその周面において、金属箔105の一端部と接続されている。金属箔105は、例えば、長方形状であって、モリブデン等の金属部材である。金属箔105は、発光部103側の一端部が棒状部101bの端部と重ねられた状態で封止部104に埋設されており、他端部がリード線106の一端部に接続されている。このように棒状部101bと金属箔105とが接続された状態で封止部104に埋設されていると、放電空間の気密性が向上するため好ましい。なお、棒状部101bと金属箔105とが接続される箇所は、特に限定されるものではないが、溶接部分の長さ、すなわち金属箔105の電極101側の端部から棒状部101bの金属箔105側の端部までの最短距離dは、1.0[mm]以上1.5[mm]以下の範囲内で適宜調整することが好ましい。棒状部101bおよび金属箔105の接続は、例えばレーザー溶接や抵抗溶接等を用いることができる。
図2に示すように、棒状部101bの表面における封止部104の発光部103側の端部または金属箔105側の端部に少なくとも1つの凸部101cが形成されている。
棒状部101bの500倍の電子顕微鏡写真を図3に示す。図3に示すように、凸部101cは、棒状部101bの周面から電極軸心Xに対して略垂直な方向に突出して形成されている。この凸部101cにより、封止部104の歪みを低減し、クラックの発生を抑制することができる。
本実施形態における高圧放電ランプの具体的数値は、例えば、次の通りである。
発光部の中央部における内径φai:5[mm]
外径φao:12[mm]
発光部の内容積:0.1[cm3
電極間距離Ld:1.2[mm]
水銀封入量:0.35[mg/mm3
アルゴンガス封入量:30[kPa](25[℃])
臭素封入量:0.5×10-3[μmol]
(実験)
発明者らは、高圧放電ランプ100が封止部104の歪みの発生を抑制し、クラックの発生を抑制することができることを確認するために、封止部104の歪みおよびクラックを確認する実験を行った。
まず、高圧放電ランプ100と実質的に同じ構成を有し、棒状部101bの表面における封止部104の発光部103側の端部に1つの凸部101cが形成されているものをランプAとした。また、図4に示すように、棒状部101bの表面における金属箔105側の端部に1つの凸部101cが形成されている点を除いてランプAと実質的に同じ構成を有するものをランプBとした。また、図5に示すように、棒状部101bの表面における金属箔105側の端部にも凸部101cが形成されている点を除いて、ランプAと実質的に同じ構成を有するものをランプCとした。さらに、図6に示すように、棒状部101bの表面における封止部104の発光部103側の端部と、金属箔105側の端部との間にも凸部101cが形成されている点を除いて、ランプCと実質的に同じ構成を有するものをランプDとした。また、図7に示すように、棒状部101bの表面における封止部104の発光部103側の端部と、金属箔105側の端部との間にわたって環状に凸部101cが形成されている点を除いて、ランプAと実質的に同じ構成を有するものをランプEとした。また、図8に示すように、棒状部101bの表面における封止部104の発光部103側の端部と、金属箔105側の端部との間にわたって螺旋状に凸部101cが形成されている点を除いて、ランプAと実質的に同じ構成を有するものをランプFとした。さらに、比較のために、棒状部101bの表面に凸部101cが形成されていない点を除いて、ランプAと実質的に同じ構成を有するものをランプGとした。なお、図示の便宜上、図4〜8における電極101は、断面で切らずに図示している。
実験は、ランプ点灯前、エージング後、エージング後100[h]点灯時、エージング後250h点灯時、エージング後500h点灯時、エージング後1000[h]点灯時において、封止部のクラックを目視で確認した。実験試料は、各3本ずつ作成し、そのうち1本でも封止部の性能に影響するようなクラックが発生している場合に「×」と評価し、3本とも封止部の性能に影響するようなクラックが発生していない場合に「○」と評価した。実験結果を表1に示す。
Figure 2010140379
表1に示すように、実施例に係るランプA〜Fにおいては、ランプ点灯前の初期、エージング後および100[h]〜1000[h]点灯後ともに封止部の性能に影響するようなクラックは発生していなかった。一方、比較例に係るランプGについては、ランプ点灯前の初期において、既にクラックが発生しているものがあり、エージング後には、3本とも封止部にクラックが発生していた。なお、ランプGについては、エージング後に3本とも封止部にクラックが発生していたため、100[h]点灯以降のデータは測定していない。
さらに、発明者らは、各実験試料のランプ点灯前の初期の封止部の歪みを歪計により観測した。ランプAの歪みを示す要部拡大正面図を図9に、ランプBの歪みを示す要部拡大正面図を図10に、ランプCの歪みを示す要部拡大正面図を図11に、ランプDの歪みを示す要部拡大正面図を図12に、ランプEの歪みを示す要部拡大正面図を図13に、ランプFの歪みを示す要部拡大正面図を図14に、ランプGの歪みを示す要部拡大正面図を図15にそれぞれ示す。なお、図9〜15において、大きな歪みが発生している部分を紙面上右上から左下へ向かう斜線で示し、小さな歪みが発生している部分を紙面上左上から右下へ向かう斜線で示している。なお、歪みの大小は、歪計の圧縮歪み・引っ張り歪みの色差により判別した。
図9〜14に示すように、ランプA〜Fは、大きな歪みおよび小さな歪みが封止部104の外表面まで到達しておらず、歪みの発生が抑制されていることがわかる。これに対して、図15に示すように、ランプGは、小さな歪みが封止部104の外表面にまで達し、ランプA〜Fに比べて小さな歪みが発生している部分および大きな歪みが発生している部分の領域が広範囲となっている。これは、熱膨張および収縮が大きい棒状部101bによって封止部104全域に応力が印加されているためであり、特に、棒状部101bにおける封止部104の発光部103側の端部や金属箔105側の端部は、冷却時に棒状部101bの中央に向かって収縮するため強い応力が印加され、その結果として歪みが発生しやすくなる。
ランプA〜Fの場合、最も歪みの発生しやすい封止部104の発光部103側の端部または金属箔105側の端部において、棒状部101bの表面に凸部101cが形成されていることで、棒状部101bと封止部104のガラスとの接触面積を小さくすることができ、歪みの発生を抑制することができる。
特許文献1には、電極と封止部との間に微小空隙を設けて、電極と封止部との密着性を低く抑えることにより、クラックの発生が抑制された高圧放電ランプが提案されている。しかしながら、このような微小空隙が電極の埋設部分の略全体を覆うように広範囲に亘って存在すると、ショートアーク型の高圧放電ランプを繰り返し点灯消灯させた場合、例えば、消灯時において、点灯時に蒸発した水銀の凝縮物が上記隙間に入り込み、クラックが発生するおそれが高い。
図16は、凸部による歪低減効果を説明するための模式図である。これに対し、本発明の第1の実施形態に係る高圧放電ランプの場合、図16に示すように、凸部101cが存在する箇所には微小空隙107が形成されており、この微小空隙107によって棒状部101bと封止部104との接触面積が小さくなっており、これによって歪によるクラックの発生が抑えられている。その一方で、凸部101cが存在しない箇所では棒状部101bと封止部104とが接触しており微小空隙107は形成されていないため、棒状部101bと封止部104との間に水銀の凝集物が入り込み難くなっており、さらにクラックの発生が抑えられている。
なお、後述するように金属箔に凸部を設ける場合も同様であり、凸部が存在する箇所では微小空隙が形成されるため、金属箔と封止部との接触面積小さくなっており、かつ、凸部が存在しない箇所では微小空隙が形成されないため、水銀の凝集物は入り込み難くなっており、クラックの発生が効果的に抑えられている。
一方、ランプGの場合、封止後において棒状部101bや封止部104が冷却される際、棒状部101bと封止部104のガラスとの熱膨張係数の大きさが異なることにより、棒状部101bよりも封止部104のガラスの熱収縮率が小さくなるため、これらの界面では引張応力の違いが生じるが、棒状部101bと封止部104との接触面積が大きいため、結果として、クラックが発生する。
よって、棒状部101bの表面における封止部104の発光部103側の端部または金属箔105側の端部に少なくとも1つの凸部101cが形成されていることで、封止部104の歪みを抑制し、クラックの発生を抑制することができる。
さらに、ランプC〜Fは、ランプAおよびBよりも歪みの発生が抑制されていることがわかる。これは、歪みの発生しやすい、棒状部101bにおける封止部104の発光部103側の端部および金属箔105側の端部に凸部101cが形成されているため、ランプAおよびBよりもさらに、応力を分散させることができ、歪みの発生を抑制することができるためである。
また、ランプD〜Fは、ランプCよりも歪みの発生が抑制されていることがわかる。これは、封止部104の発光部103側の端部と、棒状部101bと金属箔105との接続部との間にも凸部101cが形成されているため、さらに応力を分散することができ、歪みの発生を抑制することができるためである。
さらに、ランプEおよびFは、ランプDよりも歪みの発生を抑制することがわかる。これは、棒状部101bの表面に、さらに多くの凸部101cが分散して形成されているため、すなわち凸部が点在しているため、さらに応力を分散することができ、歪みの発生をさらに抑制することができるためである。
なお、ランプFは、電極軸心Xを回転軸として、棒状部101bを回転させながら、電極軸心方向(電極長手方向)に移動させつつ、棒状部101bの表面にレーザーを照射することで、連続的に凸部101cを形成することができるため、凸部101cを容易に形成することができる。
上記のとおり、本発明の第1の実施形態に係る高圧放電ランプ100は、封止部104の歪みの発生を低減し、クラックの発生を抑制することができる。
なお、凸部101cの高さは、電極101の棒状部101bの表面における凸部101c以外の部分の表面粗さの最大高さRmaxよりも高いことが好ましい。これにより、凸部101cが棒状部101bの表面における凸部101c以外の部分に優先して封止部104のガラスと接触することができるため、歪みの発生をより抑制することができる。
なお、凸部101cの高さとは、棒状部101bの表面から電極軸心Xに対して略垂直な方向に突出している長さであり、例えば電子顕微鏡等を用いて測定することができる。また、一般的な電極の場合、棒状部の表面の最大高さRmaxは1[μm]程度である。
さらに、凸部101cの高さは、10[μm]以上100[μm]以下の範囲内であることが好ましい。10[μm]以上の場合、凸部101cが棒状部101bの表面における凸部101c以外の部分にさらに優先して封止部104のガラスと接触することができるため、歪みの発生をさらに抑制することができる。100[μm]を超える場合、凸部101cと封止部104との接触面積が増えるため、応力を分散しきれない。なお、10[μm]以上70[μm]以下の範囲内がより好ましい。
また、凸部101cと棒状部101bの表面における凸部101c以外の部分との結晶構造が異なることが好ましい。この場合、棒状部101bの表面にレーザーを照射することで凸部101cを形成しやすくすることができる。凸部101cを形成する好適なレーザーの照射条件の一例として、棒状部表面上のレーザー照射スポット径が10[μm]〜100[μm]程度で照射時間が0.1[msec]〜1[msec]程度の単パルス照射または単パルス連続照射により棒状表面上に照射する。
凸部101c周辺の結晶構造の概略図を図17に示す。図17に示すように、棒状部101bの表面における凸部101c以外の部分の結晶構造は、多角形が配列したような亀甲状の構造であるのに対し、凸部101cの結晶構造は、電極軸心Xから略垂直方向に引き伸ばされたような構造をしている。これは、棒状部の表面にレーザーが照射されることによって、結晶粒が凸部101cの先端部に向かって引き伸ばされたためである。
さらには、凸部101cは、略円錐形状であることが好ましい。この場合、凸部101cの先端部に応力が集中しやすく、封止部104の応力分散の効果を向上し、歪みの発生をより抑制することができる。
また、図18(a)に示すように、凸部101cは、棒状部101bの表面に千鳥状に形成されていることが好ましい。この場合、凸部101c間の距離を略等間隔にしやすく、応力を分散させやすく、歪みの発生をさらに抑制することができる。
さらに、図18(b)に示すように、棒状部101bの金属箔105と接続されている部分は、切欠部が形成されていることが好ましい。この場合、棒状部101bに切欠部が形成されていない場合に比べて棒状部101bと金属箔105との接触面積を増やすことができ、レーザーまたは抵抗溶接で棒状部101bと金属箔105とを接続する際、その接続強度を向上させることができる。
なお、図示の便宜上、図18(a)および(b)における電極101は、断面で切らずに図示している。
さらに、棒状部101bの表面における金属箔105との接続部(すなわち接触部)に、凸部101cが形成されていることが好ましい。この場合、抵抗溶接により棒状部101bと金属箔105とを接続する際、その接続部の抵抗値を高めて溶接強度を向上させることができる。
(高圧放電ランプの製造方法)
高圧放電ランプ100の製造方法を以下に説明する。高圧放電ランプ100の製造方法は、以下の工程を有することを特徴とする。
(a)放電空間を形成するための発光部、および前記発光部の両端に延設された円筒状の細管部を有する石英ガラス製の容器を準備する工程
(b)本体部と、前記本体部に接続される棒状部とを有する電極の前記棒状部の表面に凸部を形成する工程
(c)前記棒状部における前記本体部の反対側の端部を、その周面の少なくとも一部において金属箔の一端部と接続する工程
(d)前記本体部が前記発光部の内部に突出するように、前記細管部に対して前記棒状部を挿入する工程
(e)前記細管部を加熱溶解させた状態で圧接することにより、前記棒状部および前記金属箔を封止する工程
先ず、(a)の工程では、放電空間を形成するための発光部103および、この発光部103に延設された細管部を含む石英ガラス製の容器(図示せず)を準備する。
次に、(b)の工程において、本体部101aと、本体部101aに接続される棒状部101bとを有する電極101の棒状部101bの表面に凸部101cを形成する。凸部101cは、例えば、棒状部101bの表面にレーザーを照射することにより形成することができる。具体的には、棒状部101bの表面であって、封止後の封止部104の発光部103側の端部または金属箔105側の端部にレーザーを照射することにより凸部101cを形成することができる。
続いて、(c)の工程において、棒状部101bにおける本体部101aの反対側の端部を、その周面の少なくとも一部において金属箔105の一端部と接続する。棒状部101bと金属箔105との接続は、例えば抵抗溶接やレーザー溶接等により行うことができる。なお、(b)の工程と(c)の工程とはどちらを先に行ってもよい。
さらに、(d)の工程では、電極101が発光部103の内部に突出するように、細管部に対して電極101を挿入する。
そして、(e)の工程では、前記管状部を加熱溶解させて前記棒状部101bを封止する。封止は、バーナーによって加熱してもよいし、レーザー(例えば、CO2可変レーザー)によって加熱してもよい。なお、バーナーとレーザーとを併用してもよい。
以上の工程を経ることにより、高圧放電ランプ100が完成される。
〔第2の実施形態〕
本発明に係る第2の実施形態に係る高圧放電ランプの管軸を含む正面断面図を図19(a)に、その左側面断面図を図19(b)にそれぞれ示す。本発明の第2の実施形態に係る高圧放電ランプ(以下、「高圧放電ランプ200」という。)は、少なくとも一方の封止部104にキャビティ201が形成され、その外部にアンテナ202が設けられている点を除いては、高圧放電ランプ100と実質的に同じ構成を有する。よって、キャビティ201およびアンテナ202について詳細に説明し、その他の点については説明を省略する。なお、図示の便宜上、図19における電極101、金属箔105およびリード線106は、断面で切らずに図示している。
少なくとも一方の封止部104には、キャビティ201が形成されている。キャビティ201の内部には、少なくとも希ガスが封入されている。なお、発光部103の内部と同様のガス(例えば、希ガスおよび水銀)が封入されていてもよい。また、キャビティ201の内部に酸化バリウムやトリウムタングステンを配置してもよい。この場合、酸化バリウムやトリウムタングステンが電子を放出しやすいため、金属箔105とアンテナ202との間の放電を容易に起こすことができる。
キャビティ201が位置する封止部104の外周には、アンテナ202が設けられている。アンテナ202は、例えば鉄とクロムとの合金製で、一端部側が封止部の外周に3ターン巻きつけられ、他端部側が外部リード線106に接続されている。なお、アンテナ202は、鉄とクロムとの合金製に限らず、例えばモリブデンやタングステン等の金属線も用いることができる。
なお、いわゆるトリガー線の役割を果たす第2のアンテナ(図示せず。)が、封止部104と発光部103側の端部(おおよそ、電極101が埋め込まれている封止部104の外周)に設けられていてもよい。
上記のとおり、本発明の第2の実施形態に係る高圧放電ランプ200は、封止部104の歪みの発生を低減し、クラックの発生を抑制することができる。
〔第3の実施形態〕
図20に示すように、高圧放電ランプ320において、棒状部324bと金属箔325との接合部分を含む棒状部324bの表面領域には、凸部としての高融点の金属粒子340が点在する。この金属粒子340は、予め、酸性溶液と混合された状態で棒状部の表面に塗布した後、乾燥させたものである。なお、高圧放電ランプ320では、残る半分も同じ構成を有しているが、図20では図示を省略する。
本発明の第3の実施形態において高融点の金属粒子は、融点が2000[℃]以上の金属粒子をいう。中でも、高融点の金属粒子としては、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、およびレニウム(Re)からなる群より選ばれた1以上の金属粒子が好ましい。なお、これらの金属粒子は、純度3N(99.9[%])以上の市販品として容易に入手可能である。
高融点の金属粒子は、予め酸性溶液で処理されたものを用いる。ここで、酸性溶液で高融点の金属粒子を処理するとは、酸性溶液によって金属粒子の界面改質を行う作業をいう。本作業には、酸性溶液と金属粒子とを混合物とすることや、金属粒子の表面に対して酸性溶液を塗布、噴射などすることなどが含まれるが、特に限定されない。
酸性溶液は、高融点の金属粒子に対して、その表面を溶解させたり、凝集させたりする役割を担う。酸性溶液としては、プロトン供与性は強いものの、その受容性の弱い溶液であれば特に問題はないが、中でも、過酸化水素水、フッ酸、硝酸、王水、フッ硝酸からなる群より選ばれる1以上の酸性溶液が好ましい。これらの酸性溶液は、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、およびレニウム(Re)を溶解させる作用が強いためである。なお、酸性溶液は、上記した溶液を単独で用いてもよいし、混合物であってもよい。
従来、封止後において金属部材と封止部が冷却される際には、両部材の熱膨張係数の大きさが異なることにより、金属部材よりも封止部の熱収縮率が大きくなるため、これらの部材の界面では引張応力の違いが生じるから、結果として、クラックが発生していた。その点、本発明の第3の実施形態のように、金属部材と封止部との界面に上記のような酸性溶液で処理された高融点の金属粒子を介在させると、第一に、金属部材と封止部のガラスとの接触面積を小さくすることができ、歪みの発生を抑制することができる。第二に、金属粒子が金属部材と封止部との熱膨張係数の差を埋める緩衝材として作用し、両者の熱収縮の違いによって生じる応力を大きく緩和する役割を担うため、結果として、クラックの発生を抑制することができる。また、金属粒子は、金属部材の表面に対して化学結合のような強固な力で結びついているものではないので、金属部材と封止部との界面において自由に遊動する潤滑剤としても作用する。そのため、封止後の冷却時における界面での引張応力が軽減されることから、結果としてクラックの発生を抑制することができる。
クラックの発生を抑制するという観点からは、酸性溶液で処理する前の金属粒子の平均粒径が1[μm]〜100[μm]であることが好ましい。このような金属粒子を酸性溶液で処理すれば、緩衝材や潤滑剤として相応しい大きさ、具体的には2〜50μm程度の凝集物が形成されやすく、金属部材と封止部との界面における引張応力の緩和に有用だからである。
また、高融点の金属粒子を処理するための溶液として、フッ酸や王水のような強酸性の溶液を用いると、棒状部などへ塗布する前に中和処理を施す必要があるため、工程数が増えるなどの新たな問題が生じる。よって、中和処理の必要性がないという観点からは、棒状部などを腐食するおそれがなく、かつ揮発して残留しないという観点から、過酸化水素水を溶液として用いることが好ましい。
第3の実施形態における高圧放電ランプの具体的数値は、例えば、次の通りである。
発光部の中央部における内径φai:5[mm]
外径φao:12[mm]
発光部の内容積:0.1[cm3
電極間距離Ld:1.2[mm]
水銀封入量:0.35[mg/mm3
アルゴンガス封入量:30[kPa](25[℃])
臭素封入量:0.5×10-3[μmol]
また、図21(a)に示すように、高圧放電ランプにおけるクラックの発生を抑制するという観点からは、棒状部324bに対して、内壁面に高融点の金属粒子350を塗布した石英ガラス製の細管(スリーブ)351を組み入れてもよい。なお、スリーブ351は、封止加工の際に溶融して発光管の一部となる。
上述したとおり、本実施形態で使用されるスリーブ351の内壁面には、予め、酸性溶液で処理されたタングステン、モリブデンおよびレニウムのような高融点の金属粒子350が塗布されている。このようなスリーブを棒状部324bと嵌め合わせると、棒状部324bの表面に対して高融点の金属粒子340を塗布した場合と同様に、スリーブ351と棒状部324bとの間に大小さまざまなサイズの金属粒子が点在することとなる。そうすると、スリーブと棒状部との間において緩衝材や潤滑剤として作用する金属粒子が数多く存在するようになるから、棒状部と封止部との界面における引張応力などが緩和されるため、結果として、高圧放電ランプにおけるクラックの発生がより効果的に抑制される。また、スリーブを採用する本構成では、スリーブ351によって金属粒子の棒状部表面からの剥離・脱落が抑制されており、棒状部の表面に対して直接的に金属粒子を塗布する形態と比べて、高融点の金属粒子が棒状部から剥離する可能性が低減するので、結果として、クラックの発生をよりいっそう抑制することができる。
当該スリーブを有する高圧放電ランプを準備する方法を説明する。図21(b)に示すように、先ず、純水を用いて高融点の金属粒子350を塗布する前のスリーブ351を洗浄する。
次に、洗浄したスリーブ351を十分に乾燥させた後、管状体であるスリーブ351の内部に、所定の金属粒子350(例えば、タングステン、モリブデン、レニウム)と過酸化水素水のような酸性溶液とを混合した混濁液を注入する。このとき、混濁液をスリーブ351内に注入する方法は特に限定されず、例えば、ディスペンサーなどの吐出機を用いればよい。そして、混濁液を注入した後のスリーブ351を十分に乾燥させる。こうして、スリーブ351の内壁面に高融点の金属粒子350が塗布されたスリーブ351が得られる。なお、塗布した後の混濁液を乾燥させる方法は、特に限定されず、恒温恒湿槽などを用いてもよいし、室温に静置させた状態で自然乾燥させてもよい。そして、乾燥したスリーブ351を棒状部324bに挿入した後、溶接などによって棒状部324bの端部を金属箔325に溶接させる。
(高圧放電ランプの製造方法)
高圧放電ランプ300の製造方法は、下記の工程を有することを特徴とする。
(a)放電空間を形成するための発光部、および前記発光部の両端に延設された円筒状の細管部を有する石英ガラス製の容器を準備する工程
(b)本体部および表面に酸性溶液で処理された高融点の金属粒子が点在する棒状部を備えた電極を準備する工程
(c)前記本体部が前記発光部の内部に突出するように、前記細管部に対して前記棒状部を挿入する工程
(d)前記細管部を加熱溶解させた状態で圧接することにより、前記棒状部を封止する工程
先ず、(a)の工程では、放電空間を形成するための発光部および、この発光部に延設された細管部を含む石英ガラス製の容器を準備する。容器とは、封止部が形成されて発光部が気密封止される前の発光管の前駆体をいう。
次に、(b)の工程において、本体部と、酸性溶液で処理された高融点の金属粒子を点在させた棒状部とを備えた電極を準備する。棒状部の表面に金属粒子を点在させる方法は特に限定されず、例えば、所定の金属粒子と酸性溶液とを混合した混濁液を棒状部の表面に塗布したり、前記混濁液に棒状部を浸漬させたりする方法、あるいは金属粒子を吹き付け、蒸着する方法が挙げられる。過酸化水素水のような酸性溶液で処理された金属粒子を棒状部のような金属部材の表面に塗布すれば、金属粒子は棒状部の表面を溶かしながら、その表面に金属粒子を点在させることができる。なお、クラックの発生を抑制する効果は、棒状部の表面だけでなく、所定の酸性溶液で処理された金属粒子を石英ガラスと接触しうる金属箔などの金属部材の表面に点在させることによって得られる。
ところで、前述したように、酸性溶液によって金属粒子を処理する方法は特に限定されないが、金属粒子の界面改質の具合は、酸性溶液の種類(酸性度)、酸性溶液と金属粒子とを接触させる時間、程度によって、金属粒子の界面改質の具合が変化するため、注意が必要である。ところが、例えば、金属粒子を過酸化水素水で処理する場合、この過酸化水素水は王水などの強酸と比べて非常に酸性が弱いため、金属粒子を過酸化水素水と混合した状態で一日、一週間静置していても、塗布具合に関係するほどの表面改質の差は生じるおそれが低い。
棒状部は、酸性溶液で処理された高融点の金属粒子が塗布された後、乾燥される。このとき、十分に金属粒子の溶液成分を蒸発させることが好ましい。溶液成分が残っている場合、高圧放電ランプの特性に影響を与えるおそれがあるためである。なお、棒状部を乾燥させる方法の例には、自然乾燥、公知の乾燥機による乾燥が含まれる。
さらに、(c)の工程では、前記電極が前記発光部の内部に突出するように前記高融点の金属粒子が点在した棒状部を前記管状部に挿入する。そして、(d)の工程では、前記管状部を加熱溶解させて前記棒状部を封止する。
(実験)
次に、本発明の第3の実施形態にかかる高圧放電ランプの作用効果を確認するための実験について説明する。
本実験では、高融点の金属粒子として、タングステン(W)、レニウム(Re)、およびモリブデン(Mo)を使用するとともに、これらの金属粒子をそれぞれ溶解作用のある過酸化水素水(3[wt%]H22)を使用した。ここで、金属粒子は、いずれも平均粒径1[μm]〜2[μm]、純度4[N]〜5[N]のものを使用した。
次に、棒状部に対して金属粒子がどのような状態で点在しているのかを確認するために、酸性溶液による処理の有無が異なる金属粒子をそれぞれ棒状部の表面に塗布した後、乾燥させてからその表面状態を目視およびSEMによって観察した。本実験で作成したサンプルは、下記の2つである。
サンプルA:未処理の金属粒子を塗布した棒状部
サンプルB:過酸化水素水で処理した金属粒子を塗布した棒状部
ここで、サンプルBは、各金属粒子と過酸化水素水を混合して調製した混濁液を、棒状部の表面に塗布し、自然乾燥させた。
サンプルA、Bの表面を目視により確認したところ、サンプルAでは棒状部の表面に対して、金属粒子がわずかに存在しているのみであった。一方、サンプルBでは、棒状部の表面に対して、金属粒子が均一に塗布されていることが確認された。
次に、各棒状部の表面をSEMで観察したところ、サンプルAの棒状部の表面では、略球体状の金属粒子を確認することができた。
一方、サンプルBの棒状部の表面では凹凸が形成されていること、および金属粒子の一部が凝集物となっていたり、肥大していたりするなど金属粒子の形状が様々に変形していること、をそれぞれ確認することができた。また、サンプルBの場合には、無変形の金属粒子や凝集物のような大小さまざまな金属粒子が石垣を組むように棒状部の表面に付設されていることも観察された。また、サンプルBにおいて、酸性溶液で処理した金属粒子は、棒状部の表面に対して、1[μm]〜100[μm]程度の大きさで積層されていること、さらに、この積層物は、棒状部を多少揺動させても剥離しない程度に強固に付着していることが確認された。
また、同時に、金属箔における棒状部との溶接部分に対して、各々酸性溶液で処理された金属粒子を塗布した場合でも、棒状部を多少揺動させても剥離しない程度の強度で金属箔の表面に対して金属粒子が付設されることが確認された。
また、酸性溶液として、フッ酸、硝酸、フッ硝酸、王水を使用した場合でも、タングステン、レニウム、モリブデンを溶解する作用があること、加えて、上記と同様にこれらの酸性溶液で処理した高融点の金属粒子を棒状部の表面に塗布した結果、過酸化水素水と同様に、高融点の金属粒子が凝集したり、棒状部の表面などに均一に点在させたりすることができることを確認した。
次に、第3の実施形態について、クラックの発生を抑制する効果を確認するために下記の実験を行った。すなわち、先ず、棒状部に、適宜酸性溶液で処理した金属粒子を棒状部の所定の位置に塗布後、乾燥させた高圧放電ランプをそれぞれ100本準備し、封止後における高圧放電ランプでのクラック(初期クラック)の発生有無を目視により観察した。本実験結果を図22,23に示す。図22,23から明らかなように、酸性溶液で処理した金属粒子を金属部材と封止部との界面に介在させた高圧放電ランプでは、クラックの発生が著しく低減できた。
金属粒子は、棒状部や金属箔のどの部位に形成しても効果があるが、特に、図22,23に示すように、棒状部の表面、棒状部と金属箔との溶接部、または、金属箔裏に形成した場合にクラックの発生を著しく低減できた。ここで、クラックの発生を抑制する効果は、棒状部に少なくとも1つの金属粒子を付設した場合に限らず、金属箔に少なくとも1つの金属粒子を付設した場合にも得られる。さらに、その効果は、金属粒子を付設した場合に限らず、レーザー照射等によって金属箔に凸部を形成した場合にも得られる。
なお、棒状部表面については、棒状部端面よりも棒状部周面に金属粒子を付設することがより効果的である。また、棒状部と金属箔との溶接部については、金属箔における棒状部溶接側の主面のうち図20において符号dで示す領域(金属箔の電極側の端縁から棒状部の金属箔側の端縁までの領域)に金属粒子を付設することがより効果的である。また、金属箔裏については、金属箔における棒状部溶接側の主面とは反対の主面のうち図20において符号dで示す領域に金属粒子を付設することがより効果的である。
次に、第3の実施形態における高圧水銀ランプを組み入れたランプユニットを使用して、高圧放電ランプの寿命試験を行うことにより、発光管の封止部における破損の状況を観察した。ここで、高圧放電ランプの寿命試験は、高圧放電ランプを30本使用し、各高圧放電ランプを定格電力300[W]で周波数100[Hz]の矩形波電流によって定常点灯させた状態で、点灯1時間、消灯0.5時間を1サイクルとして、これを所定時間繰り返す点滅サイクル試験を行った。
その結果、図22,23から明らかなように、点灯開始から計測時までの累積点灯時間が、100時間、250時間、500時間、750時間、1000時間、1500時間、2000時間において、いずれも封止部における破損は確認されなかった。これにより、本実施形態に係る高圧放電ランプは、累積点灯時間が2000時間という長時間を越えても、棒状部のような金属部材と封止部との界面において、クラックの発生を抑制できる効果が高いことが分かった。
次に、発明者らは、酸性溶液で処理された金属粒子が内壁面に塗布されたスリーブを有する高圧放電ランプにおけるクラックの発生有無を観察する実験を行った。本実験で準備した発光管の概略図は、図21(a)に示すとおりである。
本実験で準備した高圧放電ランプにおいては、棒状部に対して、内壁面に高融点の金属粒子が塗布された石英ガラス製のスリーブ51が嵌め込まれている。この棒状部は、タングステンから形成された横断面が略円形の略円柱体であり、直径が0.5[mm]、長さ8.0[mm]である。なお、棒状部にスリーブを嵌め合わせた以外は、前述した高圧放電ランプの発光管仕様と同じであるため説明を省略する。
スリーブは、外径が1.8[mm]、内径が0.6[mm]、長さが2.5[mm]の石英ガラス製の管状体である。スリーブの内壁面には、酸性溶液で処理した高融点の金属粒子が塗布されている。本実験では、酸性溶液として、3[wt%]過酸化水素水を使用し、高融点の金属粒子として、タングステン、モリブデン、レニウムを組み合わせて使用した。ここで、過酸化水素水を使用した訳は、過酸化水素水は、強酸性でないにも関わらず、タングステンなどの高融点の金属粒子を溶解する作用を有しており、また乾燥時に蒸発することから塗布面に残留することがないためである。
本実験で作成した発光管の諸条件は下記の通りである。
発光部中央内径:5[mm]
発光部中央外径:12[mm]
発光部容積:0.1[cc]
水銀封入量:0.35[mg/mm3
アルゴンガス封入量:30[kPa](25[℃])
臭素封入量:0.5×10-3[μmol]
電極間距離:1.2[mm]
封止部:公知のシュリンクシール法によって封止
スリーブが嵌め込まれた棒状部が封着された封止部を目視により観察したところ、棒状部と封止部との界面領域において、従来と比べて、棒状部と封止部との界面付近であって、特に棒状部の表面付近における初期クラックの発生が抑制されていることが確認できた。これは、高融点の金属粒子の存在によって、棒状部と封止部との接触面積が小さくなったため、封止加工時における棒状部の熱伸縮による前記界面付近の石英ガラスへの応力が減少したためと考えられる。
また、当該高圧放電ランプを反射鏡と組み込んだランプユニットを使用して、高圧放電ランプの寿命試験を行うことにより、発光管の封止部における破損の状況を観察した。そうすると、点灯開始から計測時までの累積点灯時間が、100時間、250時間、500時間、750時間、1000時間、1500時間、2000時間において、いずれも封止部における破損は確認されなかった。これにより、本実施形態に係る高圧放電ランプは、累積点灯時間が2000時間という長時間を越えても、クラックの発生を抑制できる効果が高いことが分かった。本結果から明らかなように、棒状部に対して、内壁面に所定の酸性溶液で処理された金属粒子が塗布されたスリーブを嵌め合わせると、特に、棒状部と封止部との界面領域におけるクラックの発生を抑制する上で好適であることが確認された。
〔第4の実施形態〕
本発明の第4の実施形態に係るランプユニットの一部切欠斜視図を図24に示す。本発明の第4の実施形態に係るランプユニット(以下、「ランプユニット400」という。)は、本発明の第1の実施形態に係る高圧放電ランプ100を備える。
図24に示すように、ランプユニット400は、高圧放電ランプ100と、高圧放電ランプからの射出光が反射面401によって反射されるように高圧放電ランプ100が内部に取り付けられた、凹状の反射面401を有する反射鏡402とを備える。
反射鏡402の内面には、凹面の反射面401が形成されており、反射面401によって高圧放電ランプ100からの射出光を反射させる。また、反射鏡402は、反射鏡402による高圧放電ランプ100の集光効率を高めるために、高圧放電ランプ100の長手方向の中心軸(電極軸心Xと一致)と反射鏡402の光軸Yとが略一致するように高圧放電ランプ100と組み合わされている。なお、反射面401は、例えば回転楕円体面や回転放物体面からなり、多層干渉膜等が蒸着されたものが一般的に使用されるが、本発明では特に限定されない。反射鏡402のネック部403側に位置する封止部104は、口金404に挿入され、反射鏡402に対して固定されている。口金404は、例えば、円筒形であって、反射鏡402に対して接着剤405等を介して固着されている。また、この口金404には、電源接続用端子406が付設されている。
また、高圧放電ランプ100のうち、口金404とは反対側のリード線106は、電力供給線407に接続されており、電力供給線407は、反射鏡402に設けられた貫通孔408に挿通されている。
なお、図24では、高圧放電ランプ100を用いたが、高圧放電ランプ200,320を用いることもできる。
上記のとおり、本願の第4の実施形態に係るランプユニット400の構成によれば、封止部のクラックや歪みの発生を抑制した高圧放電ランプ100,200,320を備えることで、信頼性を向上させることができる。
〔第5の実施形態〕
本発明の第5の実施形態に係る投射型画像表示装置の斜視図を図25に示す。本発明の第5の実施形態に係る投射型画像表示装置(以下、「画像表示装置500」という。)は、その前方に設置したスクリーン(図示しない)に向けて画像を投影するタイプのプロジェクタである。
投射型画像表示装置500は、ランプユニット400と、ランプユニットからの照明光が変調して光学像を形成する光学ユニット502と、光学像を拡大投射する投射装置504とを備える。
具体的には、筐体501と、筐体501に収納されたランプユニット400と、光学ユニット502と、制御ユニット503と、投射装置504と、冷却ファンユニット505と、電源ユニット506とを備える。
電源ユニット506は、DC電源回路と高圧放電ランプ点灯装置(いずれも図示しない)を含み、商用電源から供給される電力を、制御ユニット503、ランプユニット400、および冷却ファンユニット505に適した電力に変換してそれぞれ供給する。なお、図25は、投射型画像表示装置500の構成を見易くするため、筐体501の天板が取り除かれた状態で示されている。
上記のとおり、本願の第5の実施形態に係る投射型画像表示装置500の構成によれば、封止部のクラックや歪みの発生を抑制した高圧放電ランプ100,200,300を備えることで、信頼性を向上させることができる。
〔第6の実施形態〕
本発明の第6の実施形態に係る投射型画像表示装置の斜視図を図26に示す。本発明の第6の実施形態に係る投射型画像表示装置(以下、「画像表示装置600」という。)は、リアプロジェクタであって、高圧放電ランプが組み込まれたランプユニット400と、光学ユニット、投射装置およびミラー(いずれも図示せず。)等が収納された筐体601とを有する。
画像表示装置600は、投射レンズ(図示せず。)から投射され、ミラー(図示せず。)で反射された画像が、筐体601の開口部に設けられた透過式スクリーン602の裏側から投影されて画像表示される。
上記のとおり、本願の第6の実施形態に係る投射型画像表示装置600の構成によれば、封止部のクラックや歪みの発生を抑制した高圧放電ランプ100,200,300を備えることで、信頼性を向上させることができる。
〔変形例〕
以上、本発明を上記した各実施形態に示した具体例に基づいて説明したが、本発明の内容が各実施形態に示した具体例に限定されないことは勿論であり、発明の効果を損なわない範囲で適宜変更してよい。
また、上記実施形態では、両端が封止されているダブルエンド型の高圧放電ランプを示したが、封止の形態は特に限定されず、例えば、シングルエンド型であってもよい。
本発明は、高圧放電ランプ、ランプユニットおよび投射型画像表示装置に広く適用することができる。本発明の高圧放電ランプは、金属部材と封止部とが接触する領域において、クラックの発生を抑制することができるので、投射型画像表示装置の光源である高圧水銀ランプとして有用である。また、高圧水銀ランプ以外の、例えばメタルハライドランプなどの高圧放電ランプにもそのまま適用でき、例えば自動車ヘッドライト用メタルハライドランプとして有用である。
100,200,320 高圧放電ランプ
101,324 電極
101a,324a 本体部
101b,324b 棒状部
101c,340 凸部
102 発光管
103,321 発光部
104,322 封止部
105,325 金属箔
106 リード線
340 金属粒子
400 ランプユニット
401 反射面
402 反射鏡
500,600 投射型画像表示装置
502 光学ユニット
504 投射装置
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る高圧放電ランプは、内部に放電空間を有する発光部と当該発光部に連設された封止部とを有するガラス製の発光管と、一端部が前記放電空間内に対向配置され他端部が金属箔と接続された状態で前記封止部内に埋設された一対の電極と、を備えた高圧放電ランプであって、前記一対の電極の埋設部分に少なくとも一つの凸部が形成されており、前記凸部は、酸性溶液で処理された高融点の金属粒子であり、かつ、前記電極の埋設部分における電極軸心方向両端領域の少なくとも一方に形成されていることを特徴とする。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る高圧放電ランプは、内部に放電空間を有する発光部と当該発光部に連設された封止部とを有するガラス製の発光管と、一端部が前記放電空間内に対向配置された一対の電極と、当該電極の他端部に接続された状態で前記封止部内に埋設された金属箔と、を備えた高圧放電ランプであって、前記金属箔に少なくとも一つの凸部が形成されており、前記凸部は、酸性溶液で処理された高融点の金属粒子であることを特徴とする。

Claims (15)

  1. 内部に放電空間を有する発光部と当該発光部に連設された封止部とを有するガラス製の発光管と、一端部が前記放電空間内に対向配置され他端部が金属箔と接続された状態で前記封止部内に埋設された一対の電極と、を備えた高圧放電ランプであって、
    前記一対の電極の埋設部分に少なくとも一つの凸部が形成されていることを特徴とする高圧放電ランプ。
  2. 前記凸部は、前記電極の埋設部分における電極軸心方向両端領域の少なくとも一方に形成されていることを特徴とする請求項1記載の高圧放電ランプ。
  3. 前記凸部は、点在していることを特徴とする請求項1または2に記載の高圧放電ランプ。
  4. 前記凸部の高さは、前記電極の埋設部分における前記凸部以外の部分の表面粗さの最大高さRmaxよりも高いことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の高圧放電ランプ。
  5. 前記凸部の高さは、10μm以上100μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の高圧放電ランプ。
  6. 前記凸部と前記電極の埋設部分における前記凸部以外の部分との結晶構造が異なることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の高圧放電ランプ。
  7. 前記凸部は、略円錐形状であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の高圧放電ランプ。
  8. 前記凸部は、酸性溶液で処理された高融点の金属粒子であることを特徴とする請求項1記載の高圧放電ランプ。
  9. 前記金属粒子が、モリブデン、タングステン、およびレニウムからなる群より選ばれる1以上の高融点の金属粒子であることを特徴とする請求項8に記載の高圧放電ランプ。
  10. 前記酸性溶液が、過酸化水素水、フッ酸、硝酸、王水、およびフッ硝酸からなる群より選ばれる1以上の酸性溶液であることを特徴とする請求項8または9に記載の高圧放電ランプ。
  11. 前記電極の埋設部分には、内壁面に前記高融点の金属粒子が塗布されたガラス製の細管が嵌め込まれていることを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の高圧放電ランプ。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の高圧放電ランプと、
    前記高圧放電ランプからの射出光が前記反射面によって反射されるように前記高圧放電ランプが内部に取り付けられた、凹状の反射面を有する反射鏡とを備えることを特徴とするランプユニット。
  13. 請求項12に記載のランプユニットと、
    前記ランプユニットからの照明光が変調して光学像を形成する光学ユニットと、
    前記光学像を拡大投射する投射装置とを備えることを特徴とする投射型画像表示装置。
  14. 内部に放電空間を有する発光部と当該発光部に連設された封止部とを有するガラス製の発光管と、一端部が前記放電空間内に対向配置された一対の電極と、当該電極の他端部に接続された状態で前記封止部内に埋設された金属箔と、を備えた高圧放電ランプであって、
    前記金属箔に少なくとも一つの凸部が形成されていることを特徴とする高圧放電ランプ。
  15. (a)内部に放電空間を有する発光部と当該発光部に連設された封止部とを有するガラス製のを準備する工程と、
    (b)本体部および表面に酸性溶液で処理された高融点の金属粒子が点在する棒状部を備えた電極を準備する工程と、
    (c)前記本体部が前記発光部の内部に突出するように、前記封止部に対して前記棒状部を挿入する工程と、
    (d)前記封止部を加熱溶解させた状態で圧接することにより、前記棒状部を封止する工程と、
    を有する、ことを特徴とする高圧放電ランプの製造方法。
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