JP4449566B2 - 放電ランプ - Google Patents

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Description

本発明は、液晶プロジェクタ、映写機、半導体露光装置、液晶装置用ガラス基板露光装置および小型検査装置などの光源などとして好適に用いられる放電ランプに関し、更に詳しくは、放電容器を構成する封止管部の内部に導電性箔が気密に埋設されてなる構成を有する超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプおよびキセノンランプに関する。
従来、放電ランプの或る種のものとしては、発光管部と、その両端に連設されて管軸方向外方に伸びる封止管部とよりなる石英ガラス製の放電容器を備え、当該封止管部内にモリブデンよりなる導電性箔(以下、「モリブデン箔」ともいう。)が気密に埋設されて気密封止部が形成され、放電容器の内部にモリブデン箔の内端部から管軸方向内方に突出して伸びる一対の電極が互いに対向するよう配置されてなる構成を有するものが知られている。
このような放電ランプは、放電容器内に封入されている発光物質の種類や点灯動作時における放電容器内の内部圧力の大きさから分類することができる。具体的に、発光物質の種類によっては、水銀を発光物質とする水銀ランプ、金属蒸気とハロゲン化物の解離生成物との混合物を発光物質とするメタルハライドランプ、キセノンガスを発光物質とするキセノンランプなどに分類することができ、また、内部圧力の大きさによっては、低圧放電ランプ、高圧放電ランプ、超高圧放電ランプなどに分類することができる。
放電ランプのうち、発光物質として点灯動作時における蒸気圧が1気圧以上となる量の水銀が封入されており、点灯動作時における放電容器内の内部圧力の大きさが150気圧以上とされる超高圧水銀ランプは、点光源を形成することができると共に、小型であるなどの利点を有するものであることから、液晶プロジェクタの光源として好適に用いられている。
しかしながら、近年、液晶プロジェクタの光源として用いられている超高圧水銀ランプにおいては、液晶プロジェクタに対する高照度化や小型化の要求に応じるため、水銀の封入量が増大されていると共に、超高圧水銀ランプの小型化が図られているが、このことから、超高圧水銀ランプにおいては、点灯動作時における放電容器内の内部圧力が非常に大きくなり、気密封止部において、放電容器の封止管部を形成する石英ガラスから、これに埋設されたモリブデン箔が剥離する界面剥離現象が発生し、これに起因して封止管部が破損してランプが破裂してしまい、長い使用寿命が得られない、という問題がある。
ここに、「界面剥離現象」とは、放電容器の封止管部を形成する石英ガラスと、これに埋設されたモリブデン箔との間で熱膨張率が異なるために長期の使用によって石英ガラスとモリブデン箔との界面に微小な空隙が形成され、この空隙に放電容器の内部に封入されている極めて高い圧力のガスが流れ込むことにより、当該石英ガラスとモリブデン箔とを剥離させる応力が発生する現象をいう。
このような問題を解決するための手段として、モリブデン箔の表面に酸化被膜が形成されてなる導電性箔を用いる技術(例えば、特許文献1参照。)が開示されているが、このような酸化被膜が形成されてなるモリブデン箔は当該酸化被膜における酸化物の含有割合が大きいことから、このモリブデン箔を超高圧水銀ランプに用いた場合には、気密封止部の形成工程においてモリブデン箔が高温にさらされることにより、当該モリブデン箔と放電容器の封止管部を形成する石英ガラスとの界面に、このモリブデン箔に含有されている酸化物が蒸発更に飛散することによって気泡が発生するため、気密封止部における密着強度が不十分となって界面剥離現象が発生し、最終的には封止管部が破損して長い使用寿命が得られないおそれがある、という問題があることが判明した。
特開平10−27574号公報
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、放電容器を構成する封止管部の内部に導電性箔が気密に埋設されてなる構成の気密封止部における気密の耐久性が高くて長い使用寿命が得られる放電ランプを提供することにある。
本発明の放電ランプは、石英ガラスからなり、その内部に一対の電極が対向配置された発光管部と、当該発光管部の両端に連設された封止管部とを有する放電容器を備え、当該封止管部の各々の内部に導電性箔が気密に埋設されてなる構成の放電ランプにおいて、
前記放電容器の内部空間に、0.15mg/mm3 以上の水銀と、希ガスと、ハロゲンとが封入されてなり、
前記導電性箔が、モリブデンよりなる基材の表面に厚み3nm以下の酸化層を有する酸化処理箔であり、その表面における深さ3nmの表層領域に存在するモリブデンのモル数をm1 (モル)、およびモリブデン酸化物のモル数をm2 (モル)とし、当該モリブデン酸化物を構成する二酸化モリブデンのモル数をm3 (モル)、および三酸化モリブデンのモル数をm4 とすると共に、下記式(1)で示されるモリブデンのモル数m1 とモリブデン酸化物のモル数m2 との合計モル数に対するモリブデン酸化物のモル数m2 の比をa(%)とし、下記式(2)で表される二酸化モリブデンのモル数m3 に対する三酸化モリブデンのモル数m4 の比をb(%)とするとき、下記式(A)で示される条件を満たすものであることを特徴とする。
Figure 0004449566
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本発明の放電ランプは、石英ガラスからなり、その内部に一対の電極が対向配置された発光管部と、当該発光管部の両端に連設された封止管部とを有する放電容器を備え、当該封止管部の各々の内部に導電性箔が気密に埋設されてなる構成の放電ランプにおいて、
前記放電容器の内部空間に、0.1mg/cm3 以上であって10mg/cm3 以下の水銀が封入されてなり、
前記導電性箔が、モリブデンよりなる基材の表面に厚み3nm以下の酸化層を有する酸化処理箔であり、その表面における深さ3nmの表層領域に存在するモリブデンのモル数をm1 (モル)、およびモリブデン酸化物のモル数をm2 (モル)とし、当該モリブデン酸化物を構成する二酸化モリブデンのモル数をm3 (モル)、および三酸化モリブデンのモル数をm4 とすると共に、下記式(1)で示されるモリブデンのモル数m1 とモリブデン酸化物のモル数m2 との合計モル数に対するモリブデン酸化物のモル数m2 の比をa(%)とし、下記式(2)で表される二酸化モリブデンのモル数m3 に対する三酸化モリブデンのモル数m4 の比をb(%)とするとき、下記式(B)で示される条件を満たすものであることを特徴とする。
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本発明の放電ランプは、石英ガラスからなり、その内部に一対の電極が対向配置された発光管部と、当該発光管部の両端に連設された封止管部とを有する放電容器を備え、当該封止管部の各々の内部に導電性箔が気密に埋設されてなる構成の放電ランプにおいて、
前記放電容器の内部空間に、キセノンガスが封入されてなり、
前記導電性箔が、モリブデンよりなる基材の表面に厚み3nm以下の酸化層を有する酸化処理箔であり、その表面における深さ3nmの表層領域に存在するモリブデンのモル数をm1 (モル)、およびモリブデン酸化物のモル数をm2 (モル)とし、当該モリブデン酸化物を構成する二酸化モリブデンのモル数をm3 (モル)、および三酸化モリブデンのモル数をm4 とすると共に、下記式(1)で示されるモリブデンのモル数m1 とモリブデン酸化物のモル数m2 との合計モル数に対するモリブデン酸化物のモル数m2 の比をa(%)とし、下記式(2)で表される二酸化モリブデンのモル数m3 に対する三酸化モリブデンのモル数m4 の比をb(%)とするとき、下記式(C)で示される条件を満たすものであることを特徴とする。
Figure 0004449566
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本発明の放電ランプによれば、放電容器における封止管部の内部に気密に埋設されている導電性箔がモリブデンよりなる基材の表面に酸化層を有する構成の酸化処理箔であって、その特定の表層領域における酸化状態が制御されてなるものであることから、当該導電性箔が表面に大きな濡れ性を有するために封止管部を形成する石英ガラスとの高い密着性が得られると共に、気密封止部の形成工程中に、封止管部を形成する石英ガラスと導電性箔との界面において、当該導電性箔を構成するモリブデン酸化物が状態変化することに伴う気泡の発生が抑制されるため、導電性箔と封止管部を形成する石英ガラスとの間に高い密着強度が得られ、これにより、長期の使用により界面剥離現象が生じることが抑制されることから、この界面剥離現象に起因して生じる封止管部の破損によって放電ランプ自体が破裂することを防止することができる。
従って、本発明の放電ランプによれば、気密封止部における気密の耐久性が高くなり、長い使用寿命が得られる。
以下、本発明の放電ランプについて説明する。
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の請求項1に係る放電ランプである超高圧放電ランプの構成の一例を示す説明用断面図であり、図2は、図1の超高圧水銀ランプを構成する導電性箔の断面を示す説明図である。
この超高圧水銀ランプ10は、例えば液晶プロジェクタの光源などとして好適に用いられるものであり、楕円球状の発光管部12と、その両端に連設されて管軸方向外方に伸びる直管状の封止管部13とよりなる、石英ガラス製の放電容器11を有してなり、当該封止管部13の各々の内部には、導電性箔20が気密に埋設されて気密封止部18が形成されている。この放電容器11の内部空間11Aには、導電性箔20の内端部から管軸方向内方に突出して伸びる、タングステンよりなる内部リード棒14の先端部に金属コイル15Aが巻回されることにより形成された電極15の一対が、互いに対向するよう配置されている。
この図において、19は、導電性箔20の外端部に電気的に接続された外部リード棒である。
放電容器11の内部空間11Aには、0.15mg/mm3 以上となる量の水銀、ハロゲンおよび、例えばアルゴンなどの希ガスよりなる封入ガスが封入されている。
この超高圧水銀ランプ10においては、点灯動作時における内部圧力が15MPa以上となる。
ハロゲンとしては、臭素、塩素、沃素などを挙げることができ、放電容器11の内部空間11Aに封入されるハロゲンの量は、2×10-4μmol/mm3 以上であることが好ましい。
放電容器11における封止管部13に埋設されている導電性箔20は、その厚みt1 が、例えば20〜30μmの薄い短冊状のものであって、その表面(図2における上面および下面)に酸化層Pが形成されてなる構成のモリブデンを基材とした酸化処理箔である。 図3に、導電性箔20の一表面(図2における上面)における酸化状態を示す。ここに、導電性箔20の他表面(図2における下面)も、図3に示されている一表面と同様の酸化状態とされている。
導電性箔20において、酸化層Pの厚みt2 は、3nm以下であることが好ましい。 酸化層の厚みt2 が3nmを超える場合には、気密封止部18の形成工程において、導電性箔20と放電容器11の封止管部13を形成する石英ガラスとの界面に気泡が発生して密着強度が不十分となり、長期の使用によって界面剥離現象が生じるおそれがある。
そして、導電性箔20は、その表面における深さ3nmの表層領域(以下、「特定表層領域」ともいう。)において、上記式(1)で示されるモリブデンのモル数m1 とモリブデン酸化物のモル数m2 との合計モル数に対するモリブデン酸化物のモル数m2 の比(以下、「モリブデン酸化物比」ともいう。)をa(%)とし、上記式(2)で表される二酸化モリブデンのモル数m3 に対する三酸化モリブデンのモル数m4 の比(以下、「三酸化モリブデン比」ともいう。)をb(%)とするとき、上記式(A)で示される条件を満たすものである。
この条件(A)は、導電性箔20の特定表層領域における酸化状態を規定するための条件であり、図4におけるモリブデン酸化物比aと三酸化モリブデン比bとの関係を表すグラフにおいて、直線(イ)と曲線(ロ)とで囲まれる領域内を示す。
ここに、上記式(1)において、「モリブデンのモル数m1 」は、特定表層領域に存在するモリブデン(Mo)の割合をモル数によって示した値であり、「モリブデン酸化物のモル数m2 」は、特定表層領域に存在する二酸化モリブデン(MoO2 )および三酸化モリブデン(MoO3 )と、それ以外のモリブデンの酸化物を含むすべてのモリブデン酸化物(MoOx )の割合をモル数によって示した値である。
また、上記式(2)において、「二酸化モリブデンのモル数m3 」は、特定表層領域に存在するモリブデン酸化物のモル数m2 中における二酸化モリブデンのモル数を示す値であり、「三酸化モリブデンのモル数m4 」は、モリブデン酸化物のモル数m2 中における二酸化モリブデンのモル数を示す値である。
導電性箔20の特定表層領域におけるモリブデン酸化物比a、二酸化モリブデンのモル数m3 および三酸化モリブデンのモル数m4 は、各々、超高圧放電ランプ10の気密封止部18の一部分を切り出したランプ断片を真空中で破断処理することによって導電性箔20と封止管部13を形成している石英ガラスとの界面を露出させたものを測定サンプルとし、ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)装置(光電子分光装置)を用い、導電性箔20における特定表層領域を測定対象として測定されたESCAスペクトルのエリアレシオから算出される値である。
三酸化モリブデン比bがモリブデン酸化物比aとの関係において過小である場合、具体的には、図4における直線(ロ)の左側領域においては、導電性箔が表面の濡れ性の小さいものとなり、放電容器における封止管部を形成する石英ガラスに対して高い密着性が得られないことから、長期の使用によって界面剥離現象が生じることとなるため、超高圧水銀ランプに長い使用寿命が得られなくなる。この理由は、特定表層領域において、モリブデン酸化物の存在割合が小さく、しかも二酸化モリブデンよりも高い濡れ性を有するとされる三酸化モリブデンの存在割合が小さいため、導電性箔の表面に十分な濡れ性が得られないためと考えられる。
一方、三酸化モリブデン比bがモリブデン酸化物比aとの関係において過大である場合、具体的には、図4における直線(イ)の右側領域においては、気密封止部の形成工程において、導電性箔と放電容器の封止管部を形成する石英ガラスとの界面に、モリブデン酸化物が状態変化することに起因して多量の気泡が発生し、形成される気密封止部に十分な密着強度が得られずに界面剥離現象が生じることとなるため、超高圧水銀ランプに長い使用寿命が得られなくなる。この理由は、特定表層領域において、融点が低くて昇華しやすい特性を有する三酸化モリブデンの存在割合が大きいため、気密封止部の形成工程において、導電性箔が、例えば2000℃以上の高温にさらされることにより、この三酸化モリブデンの蒸発に起因する気泡の発生率が実用上問題となるためと考えられる。
このような導電性箔20は、例えば図5に示すように、モリブデンよりなる清浄な短冊状の材料金属箔23を用意し、この材料金属箔23を、酸素ガスとアルゴンガスとが混合されなる特定混合ガス(以下、「特定混合ガス」ともいう。)が充填されたアンプル管内に投入して当該アンプル管を封止することによって封止体25を形成し、この封止体25内の材料金属箔23に対して、キセノンエキシマ光放射装置26によって、例えば照度8.5mW/cm 2 の条件で30分間キセノンエキシマ光を照射する工程を経ることにより、モリブデン製の材料金属箔23の表面を酸化処理する手法によって作製することができる。
このような手法においては、封入体25における特定混合ガス中の酸素ガス濃度および内部圧力を制御することにより、得られる導電性箔20の特定表層領域におけるモリブデン酸化物比aおよび三酸化モリブデン比bを調整することにより、特定表層領域における酸化状態を制御することができる。
具体的には、特定混合ガス中の酸素ガス濃度を大きくするに従って得られる導電性箔20の特定表層領域におけるモリブデン酸化物比aを大きくすることができ、また、内部圧力を大きくするに従って三酸化モリブデン比bを大きくすることができる。
例えば、封止体25に酸素ガス濃度が5%の特定混合ガスを26.6kPa(200Torr)封入した場合には、特定表層領域におけるモリブデン酸化物比aが33.40%であり、三酸化モリブデン比bが30.50%である導電性箔20が得られる。また、封止体25に酸素ガス濃度が10%の特定混合ガスを66.5kPa(500Torr)封入した場合には、表層領域におけるモリブデン酸化物比aが85.30%であり、三酸化モリブデン比bが60.30%である導電性箔20が得られる。
このような導電性箔20は、気密封止部18の形成工程において、当該導電性箔20の酸化層Pを構成するモリブデン酸化物が蒸発更に飛散することを抑制して所望の表面状態を維持するために、内部リード棒14および外部リード棒19との接続部を除き、その表面の全部がシリカ(SiO2 )膜により被覆されている。
このシリカ膜は、内端部に内部リード棒14が接続され、外端部に外部リード棒19が接続された状態の導電性箔20の全表面に、シリカを、例えばスパッタリング法などによって被着することによって形成することができる。
以上のような超高圧水銀ランプ10によれば、放電容器11における封止管部13の内部に気密に埋設されている導電性箔20がモリブデンよりなる基材の表面に酸化層Pを有する構成の酸化処理箔であって、特定表層領域における酸化状態が条件(A)によって規定されて制御されてなるものであることから、この導電性箔20が表面に大きな濡れ性を有するため、当該導電性箔20自体に、封止管部13を形成する石英ガラスとの高い密着性が得られると共に、気密封止部18の形成工程中に、導電性箔20が高温にさらされることによって封止管部13を形成する石英ガラスとの界面において、当該導電性箔20を構成するモリブデン酸化物が状態変化することに伴う気泡の発生が抑制される。その結果、気密封止部18において、導電性箔20と封止管部13を形成する石英ガラスとの間に高い密着強度が得られるため、点灯動作時における内部圧力が極めて大きくなっても、長期の使用により界面剥離現象が生じることが抑制されることから、この界面剥離現象に起因して生じる封止管部13の破損によって超高圧水銀ランプ10自体が破裂することを防止ことができる。
従って、超高圧水銀ランプ10によれば、気密封止部18における気密の耐久性が高いことから、長い使用寿命が得られる。
以上、本発明の請求項1に係る実施の形態について具体的に説明したが、請求項1に係る発明は上記の例に限定されるものではなく、種々の変更を加えることが可能である。
例えば超高圧水銀ランプは、石英ガラスからなり、その内部に一対の電極が対向配置された発光管部と、当該発光管部の両端に連設された封止管部とを有する放電容器を備え、当該放電容器の内部空間に所期の封入ガスが封入され、当該封止管部の各々の内部に導電性箔が気密に埋設されてなる構成を有すると共に、モリブデンよりなる基材の表面に酸化層を有し、特定表層領域において条件(A)を満たす導電性箔を備えてなるものであれば、その他の構成は特に限定されるものではない。
<第2の実施の形態>
図6は、本発明の請求項2に係る放電ランプである高圧放電ランプの構成の一例を示す説明用断面図である。
この高圧水銀ランプ30は、例えば半導体露光装置や液晶装置用ガラス基板露光装置の光源などとして好適に用いられるものであり、楕円球状の発光管部32と、その両端に連設されて管軸方向外方に伸びる直管状の封止管部33とよりなる、石英ガラス製の放電容器31を有してなり、当該封止管部33の大径部33Aの内部には、複数(図の例においては5枚)の導電性箔40の各々が、その両端の各々が金属ワッシャー41、42に電気的に接続された状態で気密に埋設されて気密封止部38が形成されている。この放電容器31の内部空間31Aには、複数の導電性箔40の内端部に接続された一方(図6において右方)の金属ワッシャー41から封止管部33の小径部33Bを介して管軸方向内方に突出して伸びる、タングステンよりなる内部リード棒34の先端部に形成された陰極35と、他方(図6において左方)の金属ワッシャー41から管軸方向内方に突出して伸びる、タングステンよりなる内部リード棒34の先端部に形成された陽極36とが、互いに対向するよう配置されている。
この図において、39は、導電性箔40の外端部に接続された金属ワッシャー42に電気的に接続された外部リード棒であり、48は、接続部材49を介して外部リード棒39と電気的に接続されたリード線であり、47は、放電容器31における封止管部33の端部に、例えば接着剤によって固定されて設けられた口金である。
放電容器31の内部空間31Aには、0.1mg/cm3 以上であって10mg/cm3 以下となる量の水銀よりなる封入ガスが封入されている。
この高圧水銀ランプ30においては、点灯動作時における内部圧力が1〜5MPaとなる。
そして、放電容器31の封止管部33に埋設されている導電性箔40は、その表面に酸化層を有するモリブデンを基材とした酸化処理箔であって、超高圧水銀ランプ10に係る導電性箔20において、条件(A)に代えて上記式(B)で表される条件(以下、「条件(B)」ともいう。)を満たすこと以外は導電性箔20と同様の構成を有するものである。
この条件(B)は、導電性箔40の特定表層領域における酸化状態を規定するための条件であり、図7におけるモリブデン酸化物比aと三酸化モリブデン比bとの関係を表すグラフにおいて、直線(イ)と曲線(ハ)とで囲まれる領域内を示す。
三酸化モリブデン比bがモリブデン酸化物比aとの関係において過小である場合、具体的には、図7における直線(ハ)の左側領域においては、導電性箔が表面の濡れ性の小さいものとなり、放電容器における封止管部を形成する石英ガラスに対して高い密着性が得られないことから、長期の使用によって界面剥離現象が生じることとなるため、高圧水銀ランプに長い使用寿命が得られなくなる。この理由は、特定表層領域において、モリブデン酸化物の存在割合が小さく、しかも二酸化モリブデンよりも高い濡れ性を有するとされる三酸化モリブデンの存在割合が小さいため、導電性箔の表面に十分な濡れ性が得られないためと考えられる。
一方、三酸化モリブデン比bがモリブデン酸化物比aとの関係において過大である場合、具体的には、図7における直線(イ)の右側領域においては、気密封止部の形成工程において、導電性箔と放電容器の封止管部を形成する石英ガラスとの界面に、三酸化モリブデンが状態変化することに起因して気泡が発生し、形成される気密封止部に十分な密着強度が得られずに界面剥離現象が生じることとなるため、高圧水銀ランプに長い使用寿命が得られなくなる。この理由は、特定表層領域において、融点が低くて昇華しやすい特性を有する三酸化モリブデンの存在割合が大きいため、気密封止部の形成工程において、導電性箔が、例えば2000℃以上の高温にさらされることにより、この三酸化モリブデンの蒸発に起因する気泡の発生率が実用上問題となるためと考えられる。
以上のような高圧水銀ランプ30によれば、放電容器31における封止管部33の内部に気密に埋設されている導電性箔40がモリブデンよりなる基材の表面に酸化層を有する構成の酸化処理箔であって、特定表層領域における酸化状態が条件(B)によって規定されて制御されてなるものであることから、この導電性箔40が表面に大きな濡れ性を有するため、当該導電性箔40自体に、封止管部33を形成する石英ガラスとの高い密着性が得られると共に、気密封止部38の形成工程中に、導電性箔40が高温にさらされることによって封止管部33を形成する石英ガラスとの界面において、当該導電性箔40を構成するモリブデン酸化物が状態変化することに伴う気泡の発生が抑制される。その結果、気密封止部38において、導電性箔40と封止管部33を形成する石英ガラスとの間に高い密着強度が得られるため、長期の使用により界面剥離現象が生じることが抑制されることから、この界面剥離現象に起因して生じる封止管部33の破損によって高圧水銀ランプ30自体が破裂することを防止ことができる。
従って、高圧水銀ランプ30によれば、気密封止部38における気密の耐久性が高いことから、長い使用寿命が得られる。
以上、本発明の請求項2に係る実施の形態について具体的に説明したが、請求項2に係る発明は上記の例に限定されるものではなく、種々の変更を加えることが可能である。
例えば高圧水銀ランプは、石英ガラスからなり、その内部に一対の電極が対向配置された発光管部と、当該発光管部の両端に連設された封止管部とを有する放電容器を備え、当該放電容器の内部空間に所期の封入ガスが封入され、当該封止管部の各々の内部に導電性箔が気密に埋設されてなる構成を有すると共に、モリブデンよりなる基材の表面に酸化層を有し、特定の表層領域において条件(B)を満たす導電性箔を備えてなるものであれば、その他の構成は特に限定されるものではない。
<第3の実施の形態>
図8は、本発明の請求項3に係る放電ランプであるキセノンランプの構成の一例を示す説明用断面図である。
このキセノンランプ50は、例えば小型の検査装置の光源などとして好適に用いられるものであり、楕円球状の発光管部52と、その両端に連設されて管軸方向外方に伸びる直管状の封止管部53とよりなる、石英ガラス製の放電容器51を有してなり、当該封止管部53の各々の内部には、導電性箔60が気密に埋設されて気密封止部58が形成されている。この放電容器51の内部空間51Aにおいては、一方(図において左方)の導電性箔60の内端部から管軸方向内方に突出して伸びる内部リード棒54の先端に形成された、例えばタングステンよりなる陰極55Aと、他方(図において右方)の導電性箔60の内端部から管軸方向内方に突出して伸びる内部リード棒54の先端に形成された、例えばタングステンよりなる陽極55Bとが、互いに対向するよう配置されている。
この図において、導電性箔60の外端部には、外部リード棒(図示せず)が電気的に接続されており、また、放電容器51における封止管部53の端部の各々には、口金67が、例えば接着剤によって固定されて設けられている。
放電容器51の内部空間51Aには、キセノンガスが1.0MPa以上の封入圧(点灯動作時におけるキセノンガスの内部圧力が6〜10.1MPa)で封入されており、実際上、キセノンガスの封入圧は1.2〜3.0MPaであることが好ましい。
そして、放電容器51の封止管部53に埋設されている導電性箔60は、その表面に酸化層を有するモリブデンを基材とした酸化処理箔であって、超高圧水銀ランプ10に係る導電性箔20において、条件(A)に代えて下記式(C)で表される条件(以下、「条件(C)」ともいう。)を満たすこと以外は導電性箔20と同様の構成を有するものである。
この条件(C)は、導電性箔60の特定表層領域における酸化状態を規定するための条件であり、図9におけるモリブデン酸化物比aと三酸化モリブデン比bとの関係を表すグラフにおいて、直線(イ)と曲線(ニ)とで囲まれる領域内を示す。
三酸化モリブデン比bがモリブデン酸化物比aとの関係において過小である場合、具体的には、図9における直線(ニ)の左側領域においては、導電性箔が表面の濡れ性の小さいものとなり、放電容器における封止管部を形成する石英ガラスに対して高い密着性が得られないことから、長期の使用によって界面剥離現象が生じることとなるため、キセノンランプに長い使用寿命が得られなくなる。この理由は、特定表層領域において、モリブデン酸化物の存在割合が小さく、しかも二酸化モリブデンよりも高い濡れ性を有するとされる三酸化モリブデンの存在割合が小さいため、導電性箔の表面に十分な濡れ性が得られないためと考えられる。
一方、三酸化モリブデン比bがモリブデン酸化物比aとの関係において過大である場合、具体的には、図9における直線(イ)の右側領域においては、気密封止部の形成工程において、導電性箔と放電容器の封止管部を形成する石英ガラスとの界面に、三酸化モリブデンが状態変化することに起因して気泡が発生し、形成される気密封止部に十分な密着強度が得られずに界面剥離現象が生じることとなるため、キセノンランプに長い使用寿命が得られなくなる。この理由は、特定表層領域において、融点が低くて昇華しやすい特性を有する三酸化モリブデンの存在割合が大きいため、気密封止部の形成工程において、導電性箔が、例えば2000℃以上の高温にさらされることにより、この三酸化モリブデンの蒸発に起因する気泡の発生率が実用上問題となるためと考えられる。
以上のようなキセノンランプ50によれば、放電容器51における封止管部53の内部に気密に埋設されている導電性箔60がモリブデンよりなる基材の表面に酸化層を有する構成の酸化処理箔であって、特定表層領域における酸化状態が条件(C)によって規定されて制御されてなるものであることから、この導電性箔60が表面に大きな濡れ性を有するため、当該導電性箔60自体に、封止管部53を形成する石英ガラスとの高い密着性が得られると共に、気密封止部58の形成工程中に、導電性箔60が高温にさらされることによって封止管部53を形成する石英ガラスとの界面において、当該導電性箔60を構成するモリブデン酸化物が状態変化することに伴う気泡の発生が抑制される。その結果、気密封止部58において、導電性箔60と封止管部53を形成する石英ガラスとの間に高い密着強度が得られるため、長期の使用により界面剥離現象が生じることが抑制されることから、この界面剥離現象に起因して生じる封止管部53の破損によってキセノンランプ50自体が破裂することを防止ことができる。
従って、キセノンランプ50によれば、気密封止部58における気密の耐久性が高いことから、長い使用寿命が得られる。
以上、本発明の請求項3に係る実施の形態について具体的に説明したが、請求項3に係る発明は上記の例に限定されるものではなく、種々の変更を加えることが可能である。
例えばキセノンランプは、石英ガラスからなり、その内部に一対の電極が対向配置された発光管部と、当該発光管部の両端に連設された封止管部とを有する放電容器を備え、放電容器の内部空間に所期の封入ガスが封入され、当該封止管部の各々の内部に導電性箔が気密に埋設されてなる構成を有すると共に、モリブデンよりなる基材の表面に酸化層を有し、特定の表層領域において条件(C)を満たす導電性箔を備えてなるものであれば、その他の構成は特に限定されるものではない。
以下、本発明の作用効果を確認するために行った実験例を説明する。
(実験例1)
図5に示すように、モリブデンよりなる清浄な短冊状の材料金属箔を用意し、この材料金属箔を、酸素ガスとアルゴンガスとが混合されなる特定混合ガスが充填されたアンプル管内に投入して当該アンプル管を封止することによって封止体を形成し、この封止体内の材料金属箔に対して、キセノンエキシマ光放射装置によって、照度8.5mW/cm 2 の条件で30分間キセノンエキシマ光を照射する工程を経ることにより、モリブデン製の材料金属箔の表面を酸化処理する手法を用い、封止体中における特定混合ガス中の酸素ガス濃度および内部圧力を調整することにより、酸化処理箔(A1)〜酸化処理箔(A29)を作製した。
作製した酸化処理箔(A1)〜酸化処理箔(A29)の各々を導電性箔として用い、図1に示す構成に従い、当該酸化処理箔(A1)〜酸化処理箔(A29)の各々を備えてなる超高圧水銀ランプを作製した。
すなわち、石英ガラスよりなり、内部空間の全長が12mm、発光管部の外径が12mm、発光管部の内径が7.4mm内部空間の容積が120mm3 である放電容器と、酸化処理箔(A1)〜酸化処理箔(A29)の各々と、タングステンよりなる内部リード棒の先端部に金属コイルが巻回されることにより形成された電極と、タングステンよりなる外部リード棒とを用い、放電容器の内部空間に、封入物として水銀を0.15mg/mm3 、ハロゲンである臭素(封入量3.0×10-4μmol/mm3 )、希ガスであるアルゴンガス(封入時圧力13.3kPa)を充填すると共に、シュリンクシール方式によって気密封止部を形成することにより、定格点灯電流が2.5Aであり、定格点灯電圧が80Vであり、消費電力が200Wであり、点灯動作時における内部圧力が20.3MPaである超高圧水銀ランプ(A1)〜超高圧水銀ランプ(A29)を作製した。
作製した超高圧水銀ランプ(A1)〜超高圧水銀ランプ(A29)の各々について、気密封止部における気泡の発生の有無を目視により観察した。結果を表1に示す。
表1において、気泡の発生が確認されなかった場合を「○」と記し、気泡の発生が確認された場合には「×」と記した。
また、作製した超高圧水銀ランプ(A1)〜超高圧水銀ランプ(A29)の各々において、これらを構成する各酸化処理箔(A1)〜酸化処理箔(A29)について、式(1)で示される特定表層領域におけるモリブデン酸化物比a、および式(2)で表される三酸化モリブデン比bを確認した。結果を表1に示す。
ここに、モリブデン酸化物比aは、超高圧放電ランプの気密封止部の一部分を切り出したランプ断片を真空中で破断処理することによって酸化処理箔と封止管部を形成している石英ガラスとの界面を露出させたものを測定サンプルとし、ESCA装置を用い、酸化処理箔における特定表層領域を測定対象として測定されたESCAスペクトルのエリアレシオから算出し、また、三酸化モリブデン比bは、二酸化モリブデンのモル数m3 および三酸化モリブデンのモル数m4 を上述の手法によって算出し、これらの値を式(2)に代入することによって算出した。
更に、超高圧水銀ランプ(A1)〜超高圧水銀ランプ(A29)のうち、気密封止部の形成工程において気泡の発生が確認されなかったランプの各々を1000時間連続点灯し、点灯時間が1000時間を経過した後に、気密封止部における界面剥離現象の発生の有無を目視により観察した。結果を表1に示す。
表1において、界面剥離現象の発生が確認されなかった場合を「○」と記し、界面剥離現象の発生が確認された場合には「×」と記した。
Figure 0004449566
酸化処理箔(A1)〜酸化処理箔(A29)に係る酸化状態を、モリブデン酸化物比aおよび三酸化モリブデン比bの測定値に基づいて、図4のグラフ上にプロットして示したところ、直線(ロ)の左側領域においては、界面剥離現象が発生し、一方、直線(イ)の右側領域においては、気密封止部の形成工程において気泡が発生することが確認された。 図4において、「■(黒四角)」は、界面剥離現象および気泡の発生が確認されなかった場合を示し、「□(白四角)」は、界面剥離現象または気泡の発生が確認された場合を示す。
(実験例2)
実験例1と同様の手法を用い、封止体中における特定混合ガス中の酸素ガス濃度および内部圧力を調整することにより、酸化処理箔(B1)〜酸化処理箔(B13)を作製した。
作製した酸化処理箔(B1)〜酸化処理箔(B13)の各々を導電性箔として用い、図6に示す構成に従い、当該酸化処理箔(B1)〜酸化処理箔(B13)備えてなる高圧水銀ランプを作製した。
すなわち、石英ガラスよりなり、内部空間の全長が142mm、発光管部の外径が100mm、発光管部の内径が95mm内部空間の容積が400cm3 である放電容器と、酸化処理箔(B1)〜酸化処理箔(B13)の各々と、タングステンよりなる内部リード棒の先端部に形成された陰極および陽極と、タングステンよりなる外部リード棒とを用い、放電容器の内部空間に、封入物として水銀を8mg/cm3 、希ガスであるキセノン(封入時圧力100kPa)を充填すると共に、シュリンクシール方式によって気密封止部を形成することにより、定格点灯電流が100Aであり、定格点灯電圧が80Vであり、消費電力が8kWであり、点灯動作時における内部圧力が4.0MPaである高圧水銀ランプ(B1)〜高圧水銀ランプ(B13)を作製した。
作製した高圧水銀ランプ(B1)〜高圧水銀ランプ(B13)の各々について、気密封止部における気泡の発生の有無を目視により観察した。結果を表2に示す。
表2において、気泡の発生が確認されなかった場合を「○」と記し、気泡の発生が確認された場合には「×」と記した。
また、作製した高圧水銀ランプ(B1)〜高圧水銀ランプ(B13)の各々において、これらを構成する各酸化処理箔(B1)〜酸化処理箔(B13)について、実施例1と同様の手法により、式(1)で示される特定表層領域におけるモリブデン酸化物比a、および式(2)で表される三酸化モリブデン比bを確認した。結果を表2に示す。
更に、高圧水銀ランプ(B1)〜高圧水銀ランプ(B13)のうち、気密封止部の形成工程において気泡の発生が確認されなかったランプの各々を1000時間連続点灯し、点灯時間が1000時間を経過後に、気密封止部における界面剥離現象の発生の有無を目視により観察した。結果を表2に示す。
表2において、界面剥離現象の発生が確認されなかった場合を「○」と記し、界面剥離現象の発生が確認された場合には「×」と記した。
Figure 0004449566
酸化処理箔(B1)〜酸化処理箔(B13)に係る酸化状態を、モリブデン酸化物比aおよび三酸化モリブデン比bの測定値に基づいて、図7のグラフ上にプロットして示したところ、直線(ハ)の左側領域においては、界面剥離現象が発生し、一方、直線(イ)の右側領域においては、気密封止部の形成工程において気泡が発生することが確認された。 図7において、「●(黒丸)」は、界面剥離現象および気泡の発生が確認されなかった場合を示し、「○(白丸)」は、界面剥離現象または気泡の発生が確認された場合を示す。
(実験例3)
実験例1と同様の手法を用い、封止体中における特定混合ガス中の酸素ガス濃度および内部圧力を調整することにより、酸化処理箔(C1)〜酸化処理箔(C13)を作製した。
作製した酸化処理箔(C1)〜酸化処理箔(C13)の各々を導電性箔として用い、図8に示す構成に従い、当該酸化処理箔(C1)〜酸化処理箔(C13)の各々を備えてなるキセノンランプを作製した。
すなわち、石英ガラスよりなり、内部空間の全長が12mm、発光管部の外径が12.5mm、発光管部の内径が8mm内部空間の容積が130mm3 である放電容器と、酸化処理箔(C1)〜酸化処理箔(C13)の各々と、各々、タングステンよりなる内部リード棒の先端部に形成されたタングステンよりなる陰極および陽極と、タングステンよりなる外部リード棒とを用い、放電容器の内部空間に、封入物としてキセノン(封入時圧力1.2MPa)を充填すると共に、シュリンクシール方式によって気密封止部を形成することにより、定格点灯電流が5.4Aであり、定格点灯電圧が14Vであり、消費電力が75Wであり、点灯動作時における内部圧力が10.1MPaであるキセノンランプ(C1)〜キセノンランプ(C13)を作製した。
作製したキセノンランプ(C1)〜キセノンランプ(C13)の各々について、気密封止部における気泡の発生の有無を目視により観察した。結果を表3に示す。
表3において、気泡の発生が確認されなかった場合を「○」と記し、気泡の発生が確認された場合には「×」と記した。
また、作製したキセノンランプ(C1)〜キセノンランプ(C13)の各々において、これらを構成する各酸化処理箔(C1)〜酸化処理箔(C13)について、実施例1と同様の手法により、式(1)で示される特定表層領域におけるモリブデン酸化物比a、および式(2)で表される三酸化モリブデン比bを確認した。結果を表3に示す。
更に、キセノンランプ(C1)〜キセノンランプ(C13)のうち、気密封止部の形成工程において気泡の発生が確認されなかったランプの各々を1000時間連続点灯し、点灯時間が1000時間を経過後に、気密封止部における界面剥離現象の発生の有無を目視により観察した。結果を表3に示す。
表3において、界面剥離現象の発生が確認されなかった場合を「○」と記し、界面剥離現象の発生が確認された場合には「×」と記した。
Figure 0004449566
酸化処理箔(C1)〜酸化処理箔(C13)に係る酸化状態を、モリブデン酸化物比aおよび三酸化モリブデン比bの測定値に基づいて、図9のグラフ上にプロットして示したところ、直線(ニ)の左側領域においては、界面剥離現象が発生し、一方、直線(イ)の右側領域においては、気密封止部の形成工程において気泡が発生することが確認された。 図9において、「▲(黒三角)」は、界面剥離現象および気泡の発生が確認されなかった場合を示し、「△(白三角)」は、界面剥離現象または気泡の発生が確認された場合を示す。
以上の結果から、実験例1〜実験例3の各々において、導電性箔として、特定表層領域における酸化状態が特定の条件を満たす酸化処理箔を用いることにより、気密封止部の形成工程における気泡の発生、および界面剥離現象の発生が抑制され、その結果、気密封止部における気密の耐久性が高くなり、長い使用寿命が得られることが確認された。
本発明の請求項1に係る放電ランプである超高圧放電ランプの構成の一例を示す説明用断面図である。 図1の超高圧水銀ランプを構成する導電性箔の断面を示す説明図である。 図1の超高圧水銀ランプを構成する導電性箔の厚み方向におけるモリブデン酸化物濃度の分布を示す説明図である。 図1の超高圧水銀ランプを構成する導電性箔の特定表層領域におけるモリブデン酸化物比aと三酸化モリブデン比bとの関係を表すグラフである。 本発明の放電ランプを構成する導電性箔の作製工程を示す説明図である。 本発明の請求項2に係る放電ランプである高圧水銀ランプの構成の一例を示す説明用断面図である。 図6の高圧水銀ランプを構成する導電性箔の特定表層領域におけるモリブデン酸化物比aと三酸化モリブデン比bとの関係を表すグラフである。 本発明の請求項3に係る放電ランプであるキセノンランプの構成の一例を示す説明用断面図である。 図8のキセノンランプを構成する導電性箔の特定表層領域におけるモリブデン酸化物比aと三酸化モリブデン比bとの関係を表すグラフである。
符号の説明
10 超高圧水銀ランプ
11 放電容器
11A 内部空間
12 発光管部
13 封止管部
14 内部リード棒
15 電極
15A 金属コイル
18 気密封止部
19 外部リード棒
20 導電性箔
23 材料金属箔
25 封止体
26 キセノンエキシマ光放射装置
30 高圧水銀ランプ
31 放電容器
31A 内部空間
32 発光管部
33 封止管部
33A 大径部
33B 小径部
34 内部リード棒
35 陰極
36 陽極
38 気密封止部
39 外部リード棒
40 導電性箔
41、42 金属ワッシャー
47 口金
48 リード線
49 接続部材
50 キセノンランプ
51 放電容器
51A 内部空間
52 発光管部
53 封止管部
54 内部リード棒
55A 陰極
55B 陽極
58 気密封止部
60 導電性箔
67 口金

Claims (3)

  1. 石英ガラスからなり、その内部に一対の電極が対向配置された発光管部と、当該発光管部の両端に連設された封止管部とを有する放電容器を備え、当該封止管部の各々の内部に導電性箔が気密に埋設されてなる構成の放電ランプにおいて、
    前記放電容器の内部空間に、0.15mg/mm3 以上の水銀と、希ガスと、ハロゲンとが封入されてなり、
    前記導電性箔が、モリブデンよりなる基材の表面に厚み3nm以下の酸化層を有する酸化処理箔であり、その表面における深さ3nmの表層領域に存在するモリブデンのモル数をm1 (モル)、およびモリブデン酸化物のモル数をm2 (モル)とし、当該モリブデン酸化物を構成する二酸化モリブデンのモル数をm3 (モル)、および三酸化モリブデンのモル数をm4 とすると共に、下記式(1)で示されるモリブデンのモル数m1 とモリブデン酸化物のモル数m2 との合計モル数に対するモリブデン酸化物のモル数m2 の比をa(%)とし、下記式(2)で表される二酸化モリブデンのモル数m3 に対する三酸化モリブデンのモル数m4 の比をb(%)とするとき、下記式(A)で示される条件を満たすものであることを特徴とする放電ランプ。
    Figure 0004449566
    Figure 0004449566
    Figure 0004449566
  2. 石英ガラスからなり、その内部に一対の電極が対向配置された発光管部と、当該発光管部の両端に連設された封止管部とを有する放電容器を備え、当該封止管部の各々の内部に導電性箔が気密に埋設されてなる構成の放電ランプにおいて、
    前記放電容器の内部空間に、0.1mg/cm3 以上であって10mg/cm3 以下の水銀が封入されてなり、
    前記導電性箔が、モリブデンよりなる基材の表面に厚み3nm以下の酸化層を有する酸化処理箔であり、その表面における深さ3nmの表層領域に存在するモリブデンのモル数をm1 (モル)、およびモリブデン酸化物のモル数をm2 (モル)とし、当該モリブデン酸化物を構成する二酸化モリブデンのモル数をm3 (モル)、および三酸化モリブデンのモル数をm4 とすると共に、下記式(1)で示されるモリブデンのモル数m1 とモリブデン酸化物のモル数m2 との合計モル数に対するモリブデン酸化物のモル数m2 の比をa(%)とし、下記式(2)で表される二酸化モリブデンのモル数m3 に対する三酸化モリブデンのモル数m4 の比をb(%)とするとき、下記式(B)で示される条件を満たすものであることを特徴とする放電ランプ。
    Figure 0004449566
    Figure 0004449566
    Figure 0004449566
  3. 石英ガラスからなり、その内部に一対の電極が対向配置された発光管部と、当該発光管部の両端に連設された封止管部とを有する放電容器を備え、当該封止管部の各々の内部に導電性箔が気密に埋設されてなる構成の放電ランプにおいて、
    前記放電容器の内部空間に、キセノンガスが封入されてなり、
    前記導電性箔が、モリブデンよりなる基材の表面に厚み3nm以下の酸化層を有する酸化処理箔であり、その表面における深さ3nmの表層領域に存在するモリブデンのモル数をm1 (モル)、およびモリブデン酸化物のモル数をm2 (モル)とし、当該モリブデン酸化物を構成する二酸化モリブデンのモル数をm3 (モル)、および三酸化モリブデンのモル数をm4 とすると共に、下記式(1)で示されるモリブデンのモル数m1 とモリブデン酸化物のモル数m2 との合計モル数に対するモリブデン酸化物のモル数m2 の比をa(%)とし、下記式(2)で表される二酸化モリブデンのモル数m3 に対する三酸化モリブデンのモル数m4 の比をb(%)とするとき、下記式(C)で示される条件を満たすものであることを特徴とする放電ランプ。
    Figure 0004449566
    Figure 0004449566
    Figure 0004449566
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