JPH1069886A - 水銀蒸気放電灯 - Google Patents

水銀蒸気放電灯

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JPH1069886A
JPH1069886A JP24403096A JP24403096A JPH1069886A JP H1069886 A JPH1069886 A JP H1069886A JP 24403096 A JP24403096 A JP 24403096A JP 24403096 A JP24403096 A JP 24403096A JP H1069886 A JPH1069886 A JP H1069886A
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JP
Japan
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arc tube
mercury vapor
quartz glass
discharge lamp
vapor discharge
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JP24403096A
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Shinichi Endo
真一 遠藤
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Iwasaki Denki KK
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Iwasaki Denki KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高出力で安定した寿命特性をもつ水銀蒸気放
電灯を提供する。 【解決手段】 微量の酸化チタンや酸化セリウムをドー
プした石英ガラス製発光管1の中に水銀と希ガスを封入
し、発光管内の水銀蒸気に励起エネルギーを与えて放電
させることにより、水銀蒸気の発光スペクトルのうち主
に 254nmの紫外線を放射し、 185nmの短波長紫外線を放
射しないようにした水銀蒸気放電灯において、石英ガラ
ス製発光管1の内表面に0.01〜 1.0μmの膜厚の酸化ジ
ルコニウム被膜31を形成し、石英ガラス発光管1への短
波長紫外線の照射を低減し、発光管1の内側と外側の収
縮率の差に基づく破損を防止し、長寿命化を計る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、主に 254nmの紫
外線(殺菌線ともいう)を利用した、水の殺菌や包装材
料や医療器具の表面殺菌、空気の殺菌等に使用される水
銀蒸気放電灯に関し、特に、その寿命特性を改善した水
銀蒸気放電灯に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から紫外線の化学反応(光化学反
応)を利用した技術が各産業に利用されているが、 300
nm以下の波長の紫外線には殺菌作用があることが知られ
ており、食品や医療の分野では、この紫外線が殺菌手段
として利用されている。
【0003】水銀蒸気放電灯は、 254nmの紫外線を放射
する特性があり、この波長の紫外線は殺菌効率が高いこ
とから、包装材料や水の殺菌には水銀蒸気放電灯(殺菌
ランプとも呼ばれる)が使用される。水銀蒸気放電灯の
主な構造と動作は、次のようなものである。すなわち、
発光管は、ガラス管の両端にリード線を介して電極を封
着し、且つそのガラス管内には水銀と希ガスを封入して
構成されており、該発光管の両電極に電圧を印加するこ
とによって放電させ、水銀に励起エネルギーを与えて発
光させるようになっている。そして、発光スペクトルは
励起エネルギーに相当する波長の紫外線(主に 254nmと
185nm)が得られる。
【0004】この種の水銀蒸気放電灯の発光管の材料に
は、紫外線を透過するガラスが使用されるが、放射効率
をよくするために 254nmの透過率が高い石英ガラスが使
用されているものがある。通常、石英ガラスは可視光線
から 180nmの短波長紫外線域まで高い透過特性を有する
ので、石英ガラス製発光管を用いた水銀蒸気放電灯は水
銀の発光スペクトルのうち 220nm以下の波長の紫外線を
も放射する。空気中の酸素は、この 220nm以下の短波長
紫外線を吸収し、反応してオゾンを生成する。オゾンは
酸化作用がきわめて強く、殺菌線の被照射物の表面を変
質させたりする。更に、高濃度のオゾンは人体の健康を
害するため、単に石英ガラス製発光管を使用した水銀蒸
気放電灯を搭載した殺菌装置を使用する場合には、環境
を悪化させる可能性がある。
【0005】一方、紫外線吸収材として酸化チタン,酸
化セリウム,酸化亜鉛,酸化ジルコニウムなどの金属酸
化物を、被膜として石英ガラス表面に形成してオゾンを
発生しない発光管を得る研究が重ねられた結果、各種金
属酸化物のうち 185nmと 254nmの紫外線の吸収・透過特
性に関して、酸化ジルコニウムに短波長紫外線を吸収
し、 254nmの紫外線を透過する特性が見いだされた。し
かしながら、酸化ジルコニウムの場合、 185nmの吸収係
数が小さく 254nmを透過して 185nmを吸収する殺菌ラン
プ用として酸化ジルコニウムの被膜を単体で使用する
と、被膜層が薄いと185nmの紫外線を透過してオゾンを
発生し、厚いと 185nmの紫外線は、十分吸収するが、 2
54nmの紫外線の透過率も低下する。このように、酸化ジ
ルコニウムの被膜単体では、 185nmを完全に吸収して 2
54nmを透過する特性を得るのは困難である。
【0006】上記のような理由のため、一般には、石英
ガラス製殺菌ランプの発光管には酸化チタンや酸化セリ
ウムという金属酸化物を数十ppm から数百ppm ドープさ
せた石英ガラスが用いられている。このような石英ガラ
スはオゾンレス(又はオゾンフリーとも言う)石英ガラ
スと呼ばれ、上記金属酸化物を石英ガラス中に分散させ
ることによって、金属酸化物を被膜として一般的な石英
ガラスに用いて発光管を形成したものよりも、短波長域
でシャープな吸収特性を示す。したがって、発光管をオ
ゾンレス石英ガラスで構成した放電灯は、 220nm以下の
紫外線を吸収するため、 254nmの放射を損なうことなく
オゾンを発生しない安全な水銀蒸気放電灯を得ることが
できる。
【0007】次に、従来から水の殺菌や包装材料の表面
の殺菌に使用されている上記構成の水銀蒸気放電灯を、
図4に基づいて説明する。図4において、1はオゾンレ
ス石英ガラスからなる発光管で、該発光管1の両端に
は、電子放出性物質が塗布されたタングステンフィラメ
ント2とニッケルなどの耐熱製金属からなる陽極3,及
びそれらを支えモリブデンの箔4を介して外接リード線
5に接続されて封止されている支柱6からなる電極7を
備えている。発光管1を形成する石英ガラスには、石英
ガラスの製造溶融時に数十ppm から数百ppm の酸化チタ
ンを混入し、ガラス内部に分散させてある。そして、発
光管1の中には数十mgの水銀と数百Paのアルゴンガスが
封入されており、両電極7,7間に電圧を印加すること
により、フィラメント2から熱電子を放出させ、水銀原
子に電子を衝突させることによって、水銀を励起させ放
電させるようになっている。水銀原子は励起エネルギー
に相当する主に 185nmと 254nmの紫外線を発生するが、
この波長のうち 185nmの短波長紫外線は、石英ガラス中
に分散されている酸化チタンによって吸収され、発光管
1の外部に放射されない。一方、 254nmの紫外線は、発
光管1を形成する石英ガラスに殆ど吸収されることな
く、発光管1の外部へ放射され、殺菌に利用される。
【0008】この種の一般的な殺菌灯の場合、発光長が
900mm,発光管管径が15mmで、両端のリード線5,5を
通じて電力が供給され、管入力65W,管電流 0.8A,壁
面負荷0.15W/cm2 で点灯される。放電によって発生す
る紫外線量は、 254nmが23W, 185nmが7Wである。発
光管1にはオゾンレス石英管が使用されているので、18
5nmの紫外線は発光管1に吸収されるが、発光管1の内
壁面への単位照射量は16.5mW/cm2 である。この種の
殺菌ランプの寿命は約12000 時間であり、12000 時間に
おける残存率(不点灯とならない率)は約80%である。
主な不点灯の原因は、フィラメントの断線やフィラメン
トに塗布されている電子放出性物質の消耗によるもので
ある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
なオゾンレス石英ガラスを用いた水銀蒸気放電灯は、殺
菌コンベアや殺菌槽などの点灯装置内に設置されて使用
されているが、最近では処理スピードの高速化や処理量
の大容量化の要望が増えてきている。放電灯の点灯時の
消費電力を増大させて行くと、紫外線の発生量は増えて
行くので、このような要望に答えることができるが、更
に、高い紫外線量が要求される場合には、放電灯の高負
荷化に伴う水銀蒸気の抑制手段として、特開昭63−1
33443号に見られるような工夫がなされ、紫外線出
力の高出力化が計られてきている。
【0010】上記のように、水銀蒸気放電灯は管電力を
増加させると、紫外線の放射量が多くなるが、発光管の
壁面負荷を 0.2W/cm2 以上にすると、発光管の温度が
上昇して、水銀蒸気放電灯が 254nmの紫外線を放射する
のに最適な水銀蒸気圧である1.3 〜0.13Paよりも水銀蒸
気圧が上がってしまい、 254nmの紫外線の放射効率が低
下してしまう。そこで、管入力を増加させても管内の水
銀蒸気圧を適正に保つために、発光管の全部又は一部を
冷却する手段(例えば冷却水によって発光管を冷却す
る)を施すことによって、高出力での点灯維持が可能に
なる。
【0011】次に、従来の高出力型の水銀蒸気放電灯
(殺菌灯)の構成を図5に基づき説明する。図5におい
て、1は発光管、7は電極、11は外管、12aは給水口、
12bは排水口、13は冷却水である。発光管1の外周には
約2mmの間隙を設けて外管11が被せられ、発光管1の両
端で密封されている。外管11の両端には、発光管1と外
管11の間に冷却水13を流すための給水口12aと排水口12
bが設けられている。冷却水13は給水口12aより注入さ
れ、発光管外面を冷却したのち排水口12bから排水さ
れ、管壁温度の上昇を抑制している。冷却水は予め発光
管1の最適温度に設定されていれば、更に効率よく殺菌
を取り出すことができる。
【0012】また、発光管に外管を設けなくとも、図6
の(A)に示すように発光管1の外面に冷却ブロック15
を接触させたり、図6の(B)に示すように発光管1の
一部に冷却フィン16を設けて自然空冷したり、更には図
6の(C)に示すように冷却ファン17により発光管1を
強制空冷する形態でもよく、発光管1の壁面負荷に応じ
た冷却手段を選択することにより、 0.2W/cm2 以上の
負荷でも高出力で安定した紫外線を放射する放電灯が得
られる。
【0013】ところが、このような殺菌線出力の高い水
銀蒸気放電灯(殺菌ランプ)には、点灯中に突然発光管
全体にひび(クラック)が入る現象がみられ、クラック
が生じた発光管は、管内に酸素や水や水素といった不純
ガスがリークして不点になったり、発光管が破損したり
してランプの寿命に大きく影響する。クラックの発生は
概ね発光管の壁面負荷に応じており、例えば壁面負荷
1.0W/cm2 のランプの場合には、点灯時間が約500 時
間以降にクラックによる不点が発生し始め、4000時間に
おける残存率は約40%である。放電灯の不点灯原因の大
部分は発光管クラックによるものである。
【0014】水銀蒸気放電灯の上記の発光管破損現象を
解析したところ、発光管クラックの発生プロセスは、次
のような過程で起こるものと推定される。すなわち、石
英ガラスは短波長紫外線の照射・吸収により収縮するこ
とが知られている。特に、石英ガラスはSiO2 の網目構
造に空孔を多くもち、収縮しやすい性質を有する。発光
管内面は水銀の発光スペクトルである 185nmの短波長紫
外線の放射を受け、内壁のガラスは収縮する。オゾンレ
ス石英は酸化チタンや酸化セリウムを含み、 220nm以下
の波長の光を吸収する性質を有するため、水銀の発光ス
ペクトルのうち185nmの波長成分は内壁面側の石英ガラ
スにより吸収されてしまい、外壁面側の部位には 185nm
の紫外線が届かず、ガラスの外壁面は収縮しない。その
ため石英ガラス発光管の内側と外側で収縮率に差が生じ
て、石英ガラス発光管の表面に応力が発生する。石英ガ
ラス発光管の表面には製管時に生じる小さな傷があり、
石英ガラスの収縮により応力が大きくなってくると、こ
の傷や振動が起点となって、図7の断面図に示すように
発光管1の表面にクラック21が発生し、発光管1の破損
に至る。なお、図7において、22は発光管1を構成する
石英ガラス管の内側部、23は外側部を示している。殺菌
ランプが高出力で点灯されると、 254nmの紫外線放射が
増えることと共に、 185nmの短波長紫外線も増える。短
波長紫外線は石英ガラスに吸収され、該石英ガラスを収
縮させるので、放電灯の高出力化は発光管の破損を早
め、放電灯の短寿命化を導くという欠点がある。
【0015】更には、このような現象が殺菌装置の稼働
中に発生した場合に、殺菌対象物が未殺菌のまま処理装
置を通過することを防ぐため、高出力形の殺菌ランプの
寿命は一般型の殺菌ランプよりも短く規定されている。
そのため高出力型殺菌ランプを搭載した殺菌装置には、
頻繁なメンテナンスが必要であったり、消耗品であるラ
ンプの交換に伴うランニングコストが上昇するという問
題点があった。
【0016】本発明は、従来の高出力形の水銀蒸気放電
灯の上記問題点を解消するためなされたもので、寿命中
の発光管の破損を防止し、長寿命化を計ることの可能な
水銀蒸気放電灯を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
め、本発明は、微量の酸化チタン又は酸化セリウムをド
ープした石英ガラス製の容器中に水銀と希ガスとを封入
し、容器内の水銀蒸気に励起エネルギーを与えて放電さ
せることにより、水銀蒸気の発光スペクトルのうち主に
254nmの紫外線を放射し、 185nmの短波長紫外線を放射
しないようにした水銀蒸気放電灯において、前記石英ガ
ラス製容器の内面に酸化ジルコニウムの被膜を形成する
ものである。
【0018】このように石英ガラス製容器の内面に酸化
ジルコニウムの被膜を形成することにより、この被膜は
185nmの短波長紫外線を吸収するため、石英ガラス製容
器への短波長紫外線の照射量を低減することができ、そ
れにより石英ガラス製容器の収縮速度を抑制することが
でき、水銀蒸気放電灯の寿命中の発光管の破損を防止
し、長寿命化を計ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】次に実施の形態について説明す
る。図1は、本発明に係る水銀蒸気放電灯の第1の実施
の形態を示す平面図で、図2はそのA−A′に沿った断
面図である。図において、1は発光管で、数十ppm から
数百ppm (具体的には20〜200ppm)の酸化チタンや酸化
セリウムを含む石英ガラスを用い、発光管1に照射され
る水銀のスペクトルのうち、 185nmの短波長紫外線が放
射されない構成となっている。そして、該発光管の管内
径は15mmであり、発光長 800mmとなるようにその両端に
従来と同様の構成の電極7,7が設けられており、また
発光管内には数十〜数百mg(具体的には20〜 400mg)の
水銀と、数百Pa(具体的には 260Pa〜 800Pa)のアルゴ
ンガスが封入されており、更に、発光管内壁面には酸化
ジルコニウム被膜31が形成されている。
【0020】酸化ジルコニウム被膜31は、様々な方法で
発光管内壁面に形成することができる。ジルコニウムの
アルコキシドの溶液を石英ガラス表面に塗布し、乾燥、
焼成する方法(ゾルゲル法)や、酸化ジルコニウムの微
粉末を水に溶かして懸濁液をつくり、発光管に塗布して
乾燥させる方法や、CVD法(chemical vapor deposit
ion )などがある。
【0021】ゾルゲル法による酸化ジルコニウム被膜の
形成について具体的に説明すると、原材料としてはジル
コニウムアルコキシドをエタノールや酢酸エチルなどの
有機溶剤に溶解したものを用いるが、一例としてジルコ
ニウムイソプロポキシド〔Zr (OC3 7 3 〕のエ
タノール溶液(濃度 0.3mol /1)を使用する。また、
溶液には、安定剤として微量の脂肪酸が添加されること
もある。その溶液を電極を配置する前の石英ガラス管の
中に満たし、次いで液面が一定の速度で降下するように
して溶液を取り除く。そして、濡れた状態の石英ガラス
管を80〜 100℃の温度で乾燥させ、余分な水分を蒸発さ
せてゲル状の膜にする。通常、ゲル膜は酸化雰囲気中で
500℃以上の高温下で焼成(酸化分解)される。ジルコ
ニウムイソプロポキシドは、分子中の炭素(C),酸素
(O),水素(H)が二酸化炭素(CO2 ),一酸化炭
素(CO),水(H2 O)になって揮発分解され、最終
的に酸化ジルコニウムZr O2 の被膜として発光管の表
面に残る。
【0022】また、被膜の膜厚は液面の降下速度と濃度
を変えることによって自由に変化させることができる
が、次にゾルゲル法によって作成した各種膜厚の酸化ジ
ルコニウム被膜自体の透過特性を、 185nmと 254nmにつ
いて測定したところ、表1のような結果が得られた。
【0023】
【表1】 オゾンレス特性 ×印: 185nmの透過率が1%を超えオゾンを発生 オゾンレス特性 △印: 185nmの透過率が1%以下の条件を満たすが、 254nm の透過率が若干低下
【0024】被膜の透過特性は、概ね膜厚に依存する。
本実施の形態においては、ゾルゲル法による被膜の場
合、発光管の内面に形成される酸化ジルコニウム被膜
は、0.01〜 1.0μmの膜厚になるように形成される。膜
厚が上記範囲内であれば、 185nmにおける透過率が約75
%〜0%(吸収率は25%〜 100%)である被膜が得られ
る。
【0025】次に、オゾンレス石英ガラスからなる発光
管の内壁面に、0.01〜 1.0μmの膜厚の上記酸化ジルコ
ニウム( ZrO2)の被膜を形成した場合の発光管全体のオ
ゾンレス特性を、従来の普通型石英ガラスよりなる発光
管の内壁面に同様に0.01〜 1.0μmの膜厚の酸化ジルコ
ニウム被膜を形成した場合のオゾンレス特性と共に、表
2に対比して示す。
【0026】
【表2】 オゾンレス特性 ○印: 185nmの透過率1%以下の条件を満たし、 254nmの透 過率が十分高い オゾンレス特性 △印: 185nmの透過率1%以下の条件を満たすが、 254nmの 透過率が若干低下 オゾンレス特性 ×印: 185nmの透過率が1%を超えオゾンを発生
【0027】上記表2からわかるように、純粋な石英ガ
ラスを用いた発光管の内面又は外面に、 185nmの紫外線
を吸収する酸化ジルコニウム被膜を形成しオゾンレス型
の殺菌灯を得るには、 185nmの吸収特性が不十分であっ
たり、殺菌ランプの 254nmの放射効率を低下させる問題
がある。すなわち、オゾンの発生を抑えるための 185nm
をカットする性能としては、 220nm以下の透過率を1%
以下とすることが要求される。酸化ジルコニウム被膜の
みで 220nm以下の透過率を1%以下とするには、 0.2μ
m以上の膜厚が必要となり、膜厚が 0.2μm以上となる
と 254nmの透過率に影響が出始め、 1.0μmでは 254nm
の透過率は90%となり、放射効率がかなり低下する。
【0028】これに対し、本発明においては、酸化チタ
ンや酸化セリウムをドープした石英ガラスを用いたオゾ
ンレス発光管と、該発光管の内壁面に形成した酸化ジル
コニウム被膜とを併用しているので、酸化ジルコニウム
被膜を透過した 185nmの紫外線はオゾンレス石英ガラス
により殆ど吸収され、0.01μmの膜厚の酸化ジルコニウ
ム被膜を用いた場合でも、 185nmの透過率は1%以下に
保持することができる。
【0029】上記のように構成した実施の形態の水銀蒸
気放電灯は、管入力が 400W,管電流が5A,壁面負荷
は1.06W/cm2 であり、放電によって発生する紫外線量
は、254nmが70W, 185nmが21Wである。発光管の内壁
面への 185nm紫外線の単位面積あたりの照射量は55.7m
W/cm2 である。発光管にはオゾンレス石英管が使用さ
れているが、内壁面に形成されている酸化ジルコニウム
被膜の膜厚が0.01〜 1.0μmの場合、 185nmの紫外線は
25〜 100%を酸化ジルコニウム被膜が吸収するので、オ
ゾンレス石英ガラスへの 185nmの単位照射量は41.8〜0
mW/cm2 となる。そして、酸化ジルコニウム被膜を透
過した 185nmの紫外線は、オゾンレス石英ガラスに 100
%吸収されるので、殺菌ランプから 185nmの紫外線が放
射されることはない。
【0030】次に、各種膜厚の酸化ジルコニウム被膜を
発光管内壁面に形成した上記実施の形態の水銀蒸気放電
灯の寿命試験を行ったところ、表3に示すような結果が
得られた。なお、残存率は4000時間点灯後の結果を示し
ており、寿命特性で○印は良好、△印は効果ありを表し
ており、また膜厚が0のランプは酸化ジルコニウム被膜
を設けない従来品で、比較のため示している。
【0031】
【表3】
【0032】寿命試験の結果によると、表3からわかる
ように、酸化ジルコニウム被膜を形成したランプの残存
率は、酸化ジルコニウム被膜を設けないもの(従来品)
に比べて良い寿命特性を示したが、特に0.05μm以上の
膜厚のランプでは、寿命期間における発光管クラックに
よる不点現象は殆どなくなり、主な寿命要因はフィラメ
ント断線や電子放出性物質の消耗による不点現象のみに
なり、従来の高出力型でない一般型の水銀蒸気放電灯と
同等の寿命特性が得られた。
【0033】これは、酸化ジルコニウム被膜によりオゾ
ンレス石英ガラスへの単位面積あたりの 185nmの照射量
が少なくなったためであり、特に酸化ジルコニウム被膜
の膜厚が0.05μm以上の場合には、単位面積あたりの 1
85nmの照射量は17.8mW/cm2 以下になり、高出力型で
あっても従来の一般型の殺菌ランプの照射量に近くなっ
ている。そのため、発光管を構成する石英ガラスの収縮
速度が抑制され、発光管のクラックが起こりにくくな
り、寿命特性が改善されている。
【0034】次に、第2の実施の形態を図3に基づいて
説明する。この実施の形態は、図6の(A)に示した発
光管の一部に冷却ブロックを接触させて設けた従来の高
出力型の水銀蒸気放電灯に、本発明を適用したもので、
図3において、1は内径17mmの酸化チタンや酸化セリウ
ムを数十ppm 〜数百ppm (具体的には20〜200ppm)含む
石英ガラスからなるオゾンレス発光管で、発光長が 950
mmになるように両端に従来と同様な構成の電極7,7が
設けられており、また発光管内には数十〜数百mg(具体
的には20〜 400mg)の水銀と、数百Pa(具体的には 260
Pa〜 800Pa)のアルゴンガスが封入されており、該発光
管1の内壁面には0.01〜 1.0μmの酸化ジルコニウム被
膜31が、ゾルゲル法で形成されている。そして、一方の
電極近傍の発光管表面には、冷却ブロック15が接触させ
て設けられている。
【0035】このように構成された水銀蒸気放電灯は、
管入力が 120W,管電流が2A,壁面負荷は0.24W/cm
2 であり、放電によって発生する紫外線量は、 254nmが
36W, 185nmが10.8Wである。発光管の内壁面への 185
nmの紫外線の単位面積当たりの照射量は、21.3mW/cm
2 である。発光管にはオゾンレス石英管が使用されてい
るが、酸化ジルコニウム被膜の膜厚が0.01〜 1.0μmの
場合、 185nmの紫外線は25〜 100%が酸化ジルコニウム
被膜により吸収されるので、オゾンレス石英ガラス発光
管への 185nmの単位照射量は、16.0〜0mW/cm2 であ
る。また、酸化ジルコニウム被膜を透過した 185nmの紫
外線は、オゾンレス石英ガラス発光管に100%吸収され
るので、水銀蒸気放電灯(殺菌ランプ)から 185nmの紫
外線が放射されることはない。
【0036】次に、第2の実施の形態の水銀蒸気放電灯
の寿命試験を行ったところ、表4に示すような結果が得
られた。なお、残存率は12000 時間点灯後の結果を示し
ており、膜厚0は酸化ジルコニウム被膜を設けない従来
品で、比較のため示している。
【0037】
【表4】
【0038】寿命試験の結果によると、0.01μm以上の
膜厚の酸化ジルコニウム被膜を形成したランプの残存率
は、酸化ジルコニウム被膜を設けないもの(従来品)に
比べてよい特性を示し、寿命期間における発光管クラッ
クよる不点現象は殆どなくなり、主な寿命要因はフィラ
メント断線や電子放出性物質の消耗による不点現象のみ
になり、従来の一般型水銀蒸気放電灯と同等の寿命特性
が得られた。
【0039】これは、オゾンレス石英ガラスへの単位面
積当たりの 185nmの照射量が少なくなったためであり、
特に酸化ジルコニウム被膜の膜厚が0.01μm以上の場合
には、単位面積当たりの 185nmの照射量は16.0mW/cm
2 以下になり、従来の一般型の殺菌ランプの照射量に近
くなっている。そのため、発光管を構成する石英ガラス
の収縮速度が抑制され、発光管のクラックが起こりにく
くなり、寿命特性が改善されている。
【0040】以上のように、本発明による水銀蒸気放電
灯においては、オゾンレス石英ガラス製発光管への短波
長紫外線の照射を減らすことができ、そのため石英ガラ
スの収縮速度を抑制することができる。したがって放電
灯の寿命中の発光管破損が起こらなくすることができ、
高出力型であっても従来の一般型殺菌ランプと同等の寿
命特性(残存率特性)を得ることができる。
【0041】なお、酸化ジルコニウム被膜の発光管クラ
ックの防止作用は、発光管内に設置される電極の有無に
関係なく、高周波電界放電(E放電)や磁界放電(H放
電)、マイクロ波による放電など、水銀に励起エネルギ
ーを与える手段があれば、水銀の発光スペクトルには変
わりがなく、したがって無電極の水銀蒸気放電灯に対し
ても本発明を適用することができる。
【0042】
【発明の効果】以上実施の形態に基づいて説明したよう
に、本発明によれば酸化チタン又は酸化セリウムをドー
プした石英ガラス製発光管の内表面に酸化ジルコニウム
被膜を形成しているので、この酸化ジルコニウム被膜に
より 185nmの短波長紫外線を吸収し、石英ガラス製発光
管への短波長紫外線の照射量を減らすことができ、石英
ガラスの収縮速度を抑制し、水銀蒸気放電灯の寿命中の
発光管破損の発生をなくすことができる。この効果は点
灯時の発光管の壁面負荷が 0.2W/cm2 以上のランプで
顕著であり、また特に酸化ジルコニウム被膜の膜厚は0.
01μmから 1.0μmの範囲では、 254nmの殺菌線出力の
放射効率を低下させることが少なく、高出力で安定した
寿命特性の水銀蒸気放電灯を得ることができる。それに
より、殺菌装置の殺菌処理の高速化や大容量化の要求に
応ずることができ、殺菌処理ラインのメンテナンス性の
向上やランニングコストの低減に寄与することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る水銀蒸気放電灯の第1の実施の形
態を示す平面図である。
【図2】図1のA−A′線に沿った拡大断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態を示す平面図であ
る。
【図4】従来の水銀蒸気放電灯の構成を示す平面図であ
る。
【図5】従来の高出力型水銀蒸気放電灯の構成を示す平
面図である。
【図6】従来の高出力型水銀蒸気放電灯の他の構成を示
す平面図である。
【図7】図4に示した従来例におけるクラックの発生態
様を示す断面図である。
【符号の説明】
1 発光管 2 タングステンフィラメント 3 陽極 4 モリブデン箔 5 外接リード線 6 支柱 7 電極 11 外管 12a 給水口 12b 排水口 13 冷却水 15 冷却ブロック 16 冷却フィン 17 冷却ファン 21 クラック 22 石英ガラス発光管の内側部 23 石英ガラス発光管の外側部 31 酸化ジルコニウム被膜

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微量の酸化チタン又は酸化セリウムをド
    ープした石英ガラス製の容器中に水銀と希ガスとを封入
    し、容器内の水銀蒸気に励起エネルギーを与えて放電さ
    せることにより、水銀蒸気の発光スペクトルのうち主に
    254nmの紫外線を放射し、 185nmの短波長紫外線を放射
    しないようにした水銀蒸気放電灯において、前記石英ガ
    ラス製容器の内面に酸化ジルコニウムの被膜を形成した
    ことを特徴とする水銀蒸気放電灯。
  2. 【請求項2】 前記石英ガラス製容器の放電中の壁面負
    荷が 0.2W/cm2 以上で点灯されることを特徴とする請
    求項1記載の水銀蒸気放電灯。
  3. 【請求項3】 前記石英ガラス製の容器内面に形成され
    る酸化ジルコニウムの被膜は、0.01〜 1.0μmの膜厚に
    設定されていることを特徴とする請求項1又は2記載の
    水銀蒸気放電灯。
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Cited By (6)

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