JPWO2010134544A1 - シリコン製造装置及びシリコン製造方法 - Google Patents

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Abstract

亜鉛ガス供給口(18b、180b、181b、182b、183b、184b、185b、280a)が、四塩化珪素ガス供給口(16a、160a)よりも上方にあり、加熱器(22)で、反応器(10、100)の一部の温度をシリコンの析出温度範囲に設定しつつ、四塩化珪素ガス供給口から四塩化珪素ガスを反応器内に供給し、亜鉛ガス供給口から亜鉛ガスを反応容器内に供給して、反応器内で四塩化珪素を亜鉛で還元して、反応器内においてシリコンの析出温度範囲に設定された領域に対応した壁部にシリコンが析出したシリコン析出領域(S)を形成する。

Description

本発明は、シリコン製造装置及びシリコン製造方法に関し、特に、反応器又はその内管にシリコン析出領域を形成するシリコン製造装置及びシリコン製造方法に関するものである。
一般的な高純度シリコンの製造方法としては、粗製シリコンを塩化水素と反応させて得られるトリクロロシラン等のシラン化合物を原料とし、化学的気相成長法によりシリコンを製造するシーメンス法が知られている。シーメンス法によれば、極めて高純度のシリコンを得ることができるが、シリコン生成反応の速度が極めて遅いことのみならず、収率が低いため、一定の製造能力を得るために大規模な設備が必要となることに加えて、製造に必要な電力消費量も高純度シリコン1kgあたり350kWhもの大きな電力が必要とされている。つまり、シーメンス法で製造された高純度シリコンは、11−ナイン以上の純度を必要とする付加価値の高い高集積化電子デバイス用としては好適であるが、今後、急速に市場が拡大するとされている太陽電池用のシリコンとしては、高コストで過剰品質である。
一方で、四塩化珪素を原料とし、四塩化珪素を高温で金属亜鉛によって還元する亜鉛還元法は、1950年代に原理的な実証がなされたとされるが、シーメンス法に匹敵する高純度のシリコンを得ることが難しいものとされていた。しかしながら、近年、太陽電池用のシリコンとしては、6−ナイン程度の純度のシリコンで足りて高集積化電子デバイス用ほどの高純度のものが不要な状況となり、かつ、急速な市場拡大に答えるべく、設備がコンパクトであって消費エネルギーが小さく、低コストでシリコンを得る製造方法として、亜鉛還元法は、再度見直され、再びその製造方法の検討が為されるようになった。もちろん、シーメンス法で製造されたシリコンの端材やオフスペックを太陽電池用途に流用することも可能であるが、シリコンの製造量の確保やコスト削減には一定の限界があり、低コストで製造量の確保ができる亜鉛還元法の開発が急務となっている。
かかる状況下で、亜鉛還元法として、亜鉛ガス導入口から亜鉛ガスを横方向に供給する一方で、亜鉛ガス導入口よりも下方の四塩化珪素ガス導入口から四塩化珪素ガスを横方向へ供給して、亜鉛ガス導入口及び四塩化珪素ガス導入口から横方向に進むに従ってシリコンを生成せんとする構成が提案されている(特許文献1参照)。
また、亜鉛還元法として、加熱された四塩化珪素ガスと亜鉛ガスとを接触させ、固体シリコンを四塩化珪素ガス供給配管の噴出口に析出させる構成が提案されている(特許文献2参照)。
特開2004−196642号公報 特開2007−145663号公報
しかしながら、本発明者の検討によれば、特許文献1に提案される構成では、亜鉛ガス導入口及び四塩化珪素ガス導入口から横方向に進むに従ってシリコンが生成されるようであるが、具体的な構成が開示されておらず、実用化への途が不明である。
また、特許文献2に提案される構成では、固体シリコンを四塩化珪素ガス供給配管の噴出口に限定して析出させるのみであるので、シリコンの生成領域が狭くその収量には自ずと限界があり、低コストを維持してシリコンの製造量の確保をすることが実現し難い。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、低コストで収率よく多結晶のシリコンを生成することができ、連続的かつ効率的に多結晶のシリコンを回収することも可能にする、又はその構成を実現し得る拡張性のあるシリコン製造装置及びシリコン製造方法を提供することを目的とする。
以上の目的を達成すべく、本発明の第1の局面におけるシリコン製造装置は、鉛直方向に立設する反応器と、前記反応器に連絡して四塩化珪素ガス供給口を有すると共に、前記四塩化珪素ガス供給口から四塩化珪素ガスを前記反応器内に供給する四塩化珪素ガス供給管と、前記反応器に連絡して亜鉛ガス供給口を有すると共に、前記亜鉛ガス供給口から亜鉛ガスを前記反応容器内に供給する亜鉛ガス供給管と、前記反応器を加熱する加熱器と、を備え、前記亜鉛ガス供給口は、前記四塩化珪素ガス供給口よりも前記鉛直方向について上方にあり、前記加熱器で、前記反応器の一部の温度をシリコンの析出温度範囲に設定しつつ、前記四塩化珪素ガス供給口から四塩化珪素ガスを前記反応器内に供給すると共に前記亜鉛ガス供給口から亜鉛ガスを前記反応容器内に供給して、前記反応器内で四塩化珪素を亜鉛で還元して、前記反応器内において前記シリコンの析出温度範囲に設定された領域に対応した壁部にシリコンが析出するシリコン析出領域を形成する構成を有する。
また本発明は、かかる第1の局面に加えて、前記シリコン析出領域は、前記シリコンの析出温度範囲に設定された領域に対応する前記反応器の内壁面であることを第2の局面とする。
また本発明は、かかる第1の局面に加えて、前記反応器の内側に装脱自在に挿入された内管を備え、前記シリコン析出領域は、前記シリコンの析出温度範囲に設定された領域に対応する前記反応器内の前記内管の内壁面であることを第3の局面とする。
また本発明は、かかる第3の局面に加えて、前記四塩化珪素ガス供給口及び前記亜鉛ガス供給口は、前記内管の上端よりも前記鉛直方向について下方にあることを第4の局面とする。
また本発明は、かかる第1から第4のいずれかの局面に加えて、前記反応器に連絡してショックブローガス供給口を有すると共に、前記ショックブローガス供給口からショックブローガスを前記反応器内に供給するショックブローガス供給管を備え、前記ショックブローガス供給口からショックブローガスを前記反応器内に供給して、前記シリコン析出領域に析出したシリコンを剥離することを第5の局面とする。
また本発明は、かかる第5の局面に加えて、前記ショックブローガス供給口は、前記四塩化珪素ガス供給口よりも前記鉛直方向について下方にあることを第6の局面とする。
また本発明は、かかる第5又は第6の局面に加えて、前記反応器の前記鉛直方向についての下方に連絡されたシリコン回収槽を備え、前記シリコン析出領域から剥離されたシリコンは、前記シリコン回収槽に回収されることを第7の局面とする。
また本発明は、かかる第7の局面に加えて、前記反応器と前記シリコン回収槽との間に前記反応器の内部と外部とを遮断自在なバルブを備え、前記シリコン析出領域から剥離されたシリコンは、前記バルブ上に堆積した後、前記バルブを開くことにより前記シリコン回収槽に回収されることを第8の局面とする。
また本発明は、かかる第1から第8のいずれかの局面に加えて、前記加熱器は、前記反応器における前記四塩化珪素ガス供給口から前記鉛直方向について上方の領域を前記シリコンの析出温度範囲を超える温度に加熱する加熱部と、前記反応器における前記四塩化珪素ガス供給口よりも前記鉛直方向について下方の領域を前記シリコンの析出温度範囲の温度に加熱する加熱部と、を有することを第9の局面とする。
また本発明は、かかる第1から第9のいずれかの局面に加えて、前記反応器に前記四塩化珪素ガス供給管と同軸に連絡して不活性ガス供給口を有すると共に、前記不活性ガス供給口から不活性ガスを前記反応器内に供給する不活性ガス供給管を備え、前記不活性ガス供給口は、前記四塩化珪素ガス供給口よりも前記鉛直方向について上方にあることを第10の局面とする。
また本発明は、かかる第1から第10のいずれかの局面に加えて、前記亜鉛ガス供給管は、前記反応器の縦壁及び上蓋の少なくとも一方から前記反応器に連絡することを第11の局面とする。
また本発明は、かかる第1から第10のいずれかの局面に加えて、前記反応器は、円筒状であり、前記亜鉛ガス供給管は、前記反応器の上蓋を介して前記反応器の内部に連絡して、前記鉛直方向における前記反応器の中心軸と同軸に延在することを第12の局面とする。
また本発明の別の局面におけるシリコン製造方法は、鉛直方向に立設する反応器と、前記反応器に連絡して四塩化珪素ガス供給口を有すると共に、前記四塩化珪素ガス供給口から四塩化珪素ガスを前記反応器内に供給する四塩化珪素ガス供給管と、前記反応器に連絡して亜鉛ガス供給口を有すると共に、前記亜鉛ガス供給口から亜鉛ガスを前記反応容器内に供給する亜鉛ガス供給管と、前記反応器を加熱する加熱器と、を備え、前記亜鉛ガス供給口は、前記四塩化珪素ガス供給口よりも前記鉛直方向について上方にあるシリコン製造装置を用いてシリコンを製造するシリコン製造方法であって、前記加熱器で、前記反応器の一部の温度をシリコンの析出温度範囲に設定しつつ、前記四塩化珪素ガス供給口から四塩化珪素ガスを前記反応器内に供給すると共に前記亜鉛ガス供給口から亜鉛ガスを前記反応容器内に供給して、前記反応器内で四塩化珪素を亜鉛で還元して、前記反応器内において前記シリコンの析出温度範囲に設定された領域に対応した壁部にシリコンを析出するものである。
本発明の第1の局面におけるシリコン製造装置によれば、亜鉛ガス供給口が、四塩化珪素ガス供給口よりも鉛直方向について上方にあり、加熱器で、反応器の一部の温度をシリコンの析出温度範囲に設定しつつ、四塩化珪素ガス供給口から四塩化珪素ガスを反応器内に供給すると共に亜鉛ガス供給口から亜鉛ガスを反応容器内に供給して、反応器内で四塩化珪素を亜鉛で還元して、反応器内においてシリコンの析出温度範囲に設定された領域に対応した壁部にシリコンが析出したシリコン析出領域を形成するものであるため、低コストで収率よく多結晶のシリコンを生成することができ、連続的かつ効率的に多結晶のシリコンを回収するための拡張性のある構成を実現し得る。また、かかる効果は、本発明の別の局面におけるシリコン製造方法においても同様に得られる。
本発明の第2の局面における構成によれば、シリコン析出領域が、反応器の内壁面であるので、シリコンの収量を確実に増加できる。
本発明の第3の局面における構成によれば、シリコン析出領域が、反応器に装脱自在に挿入した内管の内壁面であるので、シリコンの収量を増加できるとともに、内壁面が劣化した内管を簡便に交換できるので、反応器自体を交換することなくシリコンの製造を継続できる。
本発明の第4の局面における構成によれば、四塩化珪素ガス供給口及び亜鉛ガス供給口が、内管の上端よりも鉛直方向について下方にあることにより、四塩化珪素ガス及び亜鉛ガスが混合しながら拡散して、反応器の縦内壁と内管の縦外壁との間に不要に侵入することを効果的に抑制でき、四塩化珪素を亜鉛で還元する還元反応をより効率的に実行してより収率よく多結晶のシリコンを生成することができる。
本発明の第5の局面における構成によれば、ショックブローガス供給口からショックブローガスを反応器内に供給することにより、反応器や内管の内壁面に直接触れることなく、シリコン析出領域に析出したシリコンを剥離することができる。
本発明の第6の局面における構成によれば、ショックブローガス供給口が、四塩化珪素ガス供給口よりも鉛直方向について下方にあるため、ショックブローガスをシリコン析出領域に確実に当てることができ、シリコン析出領域に析出したシリコンを確実に剥離することができる。
本発明の第7の局面における構成によれば、シリコン析出領域から剥離されたシリコンは、自重によりシリコン回収槽に落下するため、シリコンを確実にシリコン回収槽に回収することができる。
本発明の第8の局面における構成によれば、シリコン析出領域から剥離されたシリコンは、自重で落下してバルブ上に堆積するので、かかるバルブを開くことにより、シリコンは、自重によりシリコン回収槽に落下して回収され得る。この際、反応時には、バルブにより反応器の内部と外部とが遮断されているため、高温の反応環境を維持したまま安定的に反応を継続することができる。ついで、ショックブローによりバルブ上に所定量のシリコンが堆積したならば、バルブを開けて常温のシリコン回収槽内にシリコンを落下させた後バルブを閉じ、シリコン回収槽内のシリコンを回収するので、反応器内が不要に汚染されることなくシリコンを回収して次回の反応へと移行することができ、安定した連続稼働が簡便かつ確実に可能となる。
本発明の第9の局面における構成によれば、加熱器は、反応器における四塩化珪素ガス供給口から鉛直方向について上方の領域をシリコンの析出温度範囲を超える温度に加熱する一方で、反応器における四塩化珪素ガス供給口よりも鉛直方向について下方の領域をシリコンの析出温度範囲の温度に加熱することにより、反応器の内壁面又は内管の内壁面を選択的かつ確実にシリコン析出領域とすることができる。
本発明の第10の局面における構成によれば、反応器に四塩化珪素ガス供給管と同軸に連絡して、四塩化珪素ガス供給口よりも鉛直方向について上方にある不活性ガス供給口を有すると共に、不活性ガス供給口から不活性ガスを反応器内に供給する不活性ガス供給管を備えることにより、コンパクトな構成で、反応器内に必要に応じた不活性ガスを確実に供給することができる。
本発明の第11の局面における構成によれば、亜鉛ガス供給管が、反応器の縦壁及び上蓋の少なくとも一方から反応器に連絡するものであるため、他の構成要素の配置とバランスをとりながら、所望の亜鉛ガスの拡散状態を実現することができる。
本発明の第12の局面における構成によれば、反応器が、円筒状であり、亜鉛ガス供給管が、反応器の上蓋を介して反応器の内部に連絡して、鉛直方向における反応器の中心軸と同軸に延在することにより、装置全体の構成をよりコンパクトにしながら、相対的に沸点が高い亜鉛から成るために高温に維持する必要があり、かつ通常は多くのガス量を必要とする亜鉛ガスを確実に反応器内の径方向の中央部に集中的に導入すると共に、四塩化珪素ガスをその周囲に分散的に導入し得て、四塩化珪素を亜鉛で還元する還元反応をより効率的に実行してより収率よく多結晶のシリコンを生成することができる。
本発明の第1の実施形態におけるシリコン製造装置の模式的縦断面図である。 本実施形態におけるシリコン製造装置の模式的横断面図であり、図1のA−A断面図に相当する。 本実施形態におけるシリコン製造装置の変形例を示す模式的縦断面図である。 本実施形態におけるシリコン製造装置の別の変形例を示す模式的縦断面図である。 本実施形態におけるシリコン製造装置の別の変形例を示す模式的縦断面図である。 本実施形態におけるシリコン製造装置の別の変形例を示す模式的縦断面図である。 本実施形態におけるシリコン製造装置の別の変形例を示す模式的縦断面図である。 本実施形態におけるシリコン製造装置の別の変形例を示す模式的縦断面図である。 本発明の第2の実施形態におけるシリコン製造装置の模式的縦断面図である。 本実施形態におけるシリコン製造装置の模式的横断面図であり、図5のB−B断面図に相当する。 本発明の第3の実施形態におけるシリコン製造装置の模式的縦断面図である。 本実施形態におけるシリコン製造装置の模式的横断面図であり、図7のC−C断面図に相当する。 本発明の第4の実施形態におけるシリコン製造装置の模式的縦断面図である。 本実施形態におけるシリコン製造装置の模式的横断面図であり、図9のD−D断面図に相当する。 本実施形態におけるシリコン製造装置の亜鉛ガス供給管の模式的拡大横断面図であり、図9のE−E断面図に相当する。 本実施形態におけるシリコン製造装置の四塩化珪素ガス供給管の模式的拡大横断面図であり、図9のF−F断面図に相当する。
以下、図面を適宜参照して、本発明の各実施形態におけるシリコン製造装置及び方法につき詳細に説明する。なお、図中、x軸、y軸、z軸は、3軸直交座標系を成し、z軸は、縦方向である鉛直方向を示し、z軸の負方向を下方であって下流側とする。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態におけるシリコン製造装置及び方法につき、図1及び図2を参照して、詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態におけるシリコン製造装置の模式的縦断面図である。図2は、本実施形態におけるシリコン製造装置の模式的横断面図であり、図1のA−A断面図に相当する。
図1及び図2に示すように、シリコン製造装置1は、z軸に平行な中心軸Cと同軸で鉛直方向に延在する典型的には円筒状で、その内部で四塩化珪素が亜鉛で還元される還元反応が生じる反応器10を備える。かかる反応器10は、石英製であり、その縦壁に挿通孔10a及び挿通孔10aよりも下方に位置する挿通孔10bが形成される。また、反応器10の上方開放端は、それに固設された石英製で典型的には円板状の上蓋12で閉じられ、反応器10の下方開放端は、それに対して装脱自在な石英製で典型的には円板状の底板13で閉じられる。
ここで、シリコン製造装置1においては、反応器10が、その径Dよりも、上蓋12への合わせ面と底板13への合わせ面との長さLが長い寸法を有する縦型の反応器であり、反応器の10の内部において、亜鉛ガスを四塩化珪素ガスよりも上方(上流側)で供給し、適宜反応器10の温度を設定しながら、還元反応を生じて、シリコンを析出する析出領域を四塩化珪素ガスが供給される部位よりも下方(下流側)に画成し、反応器10のより下方(より下流側)から、シリコンを回収し得るものである。
具体的には、反応器10の上方開放端を閉じる上蓋12に、中心軸Cと同軸の挿通孔12aが形成される。かかる挿通孔12aには、図示を省略する不活性ガス供給源に連絡して石英製である不活性ガス供給管14が挿通されて固定され、不活性ガス供給管14は、反応器10の内部に侵入して、中心軸Cと同軸で鉛直下方に延在する。また、不活性ガス供給管14の内部には、図示を省略する四塩化珪素ガス供給源に連絡して石英製である四塩化珪素ガス供給管16が配設されて、四塩化珪素ガス供給管16は、反応器10の内部に侵入して、中心軸Cと同軸で鉛直下方に延在する。
また、不活性ガス供給管14は、反応器10の内部に位置する端部において、不活性ガスを吐出自在な不活性ガス供給口14aを有し、四塩化珪素ガス供給管16は、反応器10の内部における端部において、四塩化珪素ガスを吐出自在な四塩化珪素ガス供給口16aを有する。なお、四塩化珪素ガス供給管16は、必要に応じて図示を省略する不活性ガス供給源に連絡可能である。
ここで、不活性ガス供給口14aは、反応器10の上蓋12への合わせ面からの長さL1の位置で、反応器10の内部に開口する。また、四塩化珪素ガス供給口16aは、反応器10の上蓋12への合わせ面からの長さL2(L2>L1)の位置で、反応器10の内部に開口する。つまり、不活性ガス供給口14aの開口位置は、四塩化珪素ガス供給口16aの開口位置よりも、上方にある。
一方で、反応器10の縦壁に設けられた挿通孔10aには、図示を省略する亜鉛ガス供給源に連絡して石英製である亜鉛ガス供給管18が挿通される。具体的には、亜鉛ガス供給管18は、反応器10に沿って鉛直方向に延在する部分に加え、中心軸Cに直交する方向に延在する連絡部18aを有し、かかる連絡部18aが、反応器10の挿通孔10aに挿通されて固定される。なお、反応器10の径Dが大きく、上蓋12の径が大きく設定できるような場合には、亜鉛ガス供給管18は、上蓋12を介して反応器10の内部に連絡してもよい。
もちろん、亜鉛ガス供給源は、亜鉛ガス供給管18における反応器10に沿って鉛直方向に延在する部分に対して、独立した亜鉛ガス供給装置として設けることもできるし、かかる亜鉛ガス供給管18の鉛直方向に延在する部分に亜鉛線を導入して、詳細は後述する加熱器で亜鉛線を沸点以上に加熱して気化する構成を採用してもよい。また、必要に応じて、亜鉛ガス供給管18には、図示を省略する不活性ガス源から不活性ガスを混入可能である。
かかる亜鉛ガス供給管18は、反応器10の挿通孔10aで溶着され、反応器10と一体構成されることが耐久上好ましい。また、亜鉛ガス供給管18の反応器10側の端部、つまり連絡部18aの端部は、反応器10の縦壁の内壁面と面一に開口して亜鉛ガスを吐出自在な亜鉛ガス供給口18bを有して、亜鉛ガス供給管18は反応器10の内部に連絡する。
ここで、亜鉛ガス供給口18bの開口位置、つまり亜鉛ガス供給口18bの鉛直方向における中心位置は、反応器10の上蓋12への合わせ面からの長さL3(L3<L2)の位置にある。
つまり、亜鉛ガス供給口18bの開口位置は、四塩化珪素ガス供給口16aの開口位置よりも上方にある。なお、亜鉛ガス供給口18bの開口位置が、四塩化珪素ガス供給口16aの開口位置よりも上方にある限りにおいて、四塩化珪素ガス供給管16や亜鉛ガス供給管18の反応器10への連絡は、反応器10の縦壁や上蓋12等に対して適宜設定可能である。
また、反応器10の縦壁に設けられた挿通孔10bには、図示を省略する排気ガス処理装置に連絡して石英製である排気管20が挿通される。かかる排気管20は、反応器10の挿通孔10bで溶着され、反応器10と一体構成されることが耐久上好ましい。また、排気管20の反応器10側の端部は、反応器10の縦壁の内壁面と面一に開口する排気導入口20aを有する。
更に、反応器10の縦壁は、その外部から加熱器22で囲われる。かかる加熱器22は、中心軸Cと同軸な典型的には円筒状の電気炉であり、鉛直下方に向かって、第1加熱部22a、第2加熱部22b及び第3加熱部22cを順次有し、第3加熱部22cには、排気管20が貫通する貫通孔22dが設けられる。
より詳しくは、第1加熱部22aは、シリコンが析出する析出温度を超える温度(例えば、1200℃)を呈するように加熱して維持可能な加熱部であり、不活性ガス供給口14aを有する不活性ガス供給管14、四塩化珪素ガス供給口16aを有する四塩化珪素ガス供給管16及び亜鉛ガス供給口18bを有する亜鉛ガス供給管18の連絡部18aが配された反応器10の縦壁及びその内部、並びに亜鉛ガス供給管18の鉛直方向に延在する部分の一部を囲って、かかる領域をシリコンが析出する析出温度を超える温度に加熱して維持する。
ここで、シリコンが析出する析出温度の範囲としては、950℃以上1100℃以下の範囲が好適な温度範囲として評価できる。というのは、反応器10の縦壁及びその内部の温度が950℃未満であると、四塩化珪素が亜鉛で還元される還元反応の反応速度が遅くなってしまう一方で、反応器10の縦壁及びその内部の温度が1100℃を超えると、シリコンが固体で存在するよりも四塩化珪素という化合物の気体として存在することが安定なためかかる還元反応自体が起こらないと考えられるからである。また、亜鉛の沸点は910℃であるので、かかるシリコンが析出する析出温度の範囲自体は、亜鉛の沸点を超えた温度範囲である。
また、第2加熱部22b及びその鉛直下方に連続的に設けられた第3加熱部22cは、シリコンの析出温度範囲にある温度を呈するように加熱して維持可能な加熱部であり、不活性ガス供給管14、四塩化珪素ガス供給管16及び亜鉛ガス供給管18が配されない反応器10の縦壁及びその内部の下部を上下に連続して覆って、かかる領域をシリコンが析出する析出温度に加熱して維持する。
ここで、第2加熱部22bは、シリコンが析出する析出温度の範囲内である温度(例えば、1100℃)で反応器10の下部の縦壁及びその内部を加熱可能な加熱部であって、第3加熱部22cは、シリコンが析出する析出温度の範囲内であるが第2加熱部22bの加熱温度よりは低い温度(例えば1000℃)で反応器10の第2加熱部22bが加熱する部分よりも下方の縦壁及びその内部を加熱可能な加熱部である。
かかる第2加熱部22bは、第1加熱部22aの加熱温度と第3加熱部22cの加熱温度とをつなぐ中間の加熱温度を呈するものであるが、必要に応じて省略可能であり、いずれにせよ、四塩化珪素ガス供給口16aを有する四塩化珪素ガス供給管16及び亜鉛ガス供給口18bを有する亜鉛ガス供給管18の連絡部18aが配される部分の反応器10の縦壁及びその内部等をシリコンが析出する析出温度を超える温度で加熱する第1加熱部22aの鉛直下方において、かかる四塩化珪素ガス供給管16及び亜鉛ガス供給管18の連絡部18aが配されない部分の反応器10の縦壁及びその内部をシリコンが析出する析出温度範囲で加熱するような加熱部を設ければよい。なお、第2加熱部22bは、第1加熱部22aの加熱温度と第3加熱部22cの加熱温度との差が過大にならないように調整する機能もあり、反応器10の壁面等の温度変化が過大になることを抑制できる。
なお、加熱器22における第1加熱部22a、第2加熱部22b及び第3加熱部22cの加熱温度の全ては、いずれも亜鉛の沸点である910℃を超えていることになる。
ついで、以上の構成のシリコン製造装置1を用いて、多結晶のシリコンを製造するシリコンの製造方法につき、詳細に説明する。なお、かかるシリコンの製造方法の一連の工程は、各種センサからの検出データを参照しながら各種データベース等を有するコントローラで自動制御してもよいし、一部又は全部を手動で行ってもよい。
まず、反応器10の下端に底板13を装着して、反応器10の内部と外部とを遮断した状態で、反応器10の内部に、不活性ガス供給口14aから不活性ガスを所定時間供給して、反応器10の内部の反応雰囲気を整える。この際、必要に応じて、四塩化珪素ガス供給口16a及び亜鉛ガス供給口18bからも、不活性ガスを所定時間供給してもかまわない。
次に、加熱器22における第1加熱部22aにより、不活性ガス供給口14aを有する不活性ガス供給管14、四塩化珪素ガス供給口16aを有する四塩化珪素ガス供給管16及び亜鉛ガス供給口18bを有する亜鉛ガス供給管18の連絡部18aが配された反応器10の縦壁の上部、並びに亜鉛ガス供給管18の鉛直方向に延在する部分の一部を加熱し、かかる反応器10の縦壁の上部及びその内部や亜鉛ガス供給管18の鉛直方向に延在する部分をシリコンの析出温度を超える温度に加熱して維持する。同時に、加熱器22における第2加熱部22b及び第3加熱部22cにより、かかる不活性ガス供給管14、四塩化珪素ガス供給管16及び亜鉛ガス供給管18が配されない反応器10の縦壁の下部を加熱し、かかる反応器10の縦壁の下部及びその内部をシリコンの析出温度範囲に加熱して維持する。
次に、かかる温度条件を維持して、還元反応工程を実施する。具体的には、反応器10の内部に、四塩化珪素ガス供給口16aから四塩化珪素ガスを供給し、かつ亜鉛ガス供給口18bから亜鉛ガスを供給する。この際、必要に応じて、不活性ガス供給口14aから不活性ガスを供給していてもかまわない。
すると、反応器10の内部で、四塩化珪素が亜鉛で還元される還元反応が生じ得ることになる。しかし、ここで、四塩化珪素ガスは、その比重が亜鉛ガスの比重の2.6倍程度である相対的に重いガスなので、四塩化珪素ガス供給口16aの開口位置よりも上方にある亜鉛ガス供給口18bまでは実質拡散できず、反応器10の内部における四塩化珪素ガス供給口16aの近傍かそれよりも下方領域で、還元反応が生じて、固体のシリコンと塩化亜鉛ガスとが生成することになる。
更に、ここで、不活性ガス供給管14、四塩化珪素ガス供給管16及び亜鉛ガス供給管18が配されない反応器10の縦壁の下部は、第2加熱部22b及び第3加熱部22cにより、シリコンの析出温度範囲の温度を呈するように加熱され維持されているため、還元反応により生成されたシリコンは、かかる反応器10の下部の縦壁、つまり反応器10の内壁面における四塩化珪素ガス供給口16aよりも下方であって排気導入口20aよりも上方である領域である析出領域Sに針状結晶として析出していく。この際、四塩化珪素ガス供給口16aや亜鉛ガス供給口18bには、シリコンが析出することはなく、かかる供給口がシリコンで閉塞されることもない。
更にこのように、反応器10の内壁面の下部における析出領域Sでは、針状結晶のシリコンが順次析出されていくと共に、その析出されたシリコンを種結晶としてシリコンが結晶成長していくため、十分な厚みの多結晶シリコンが堆積されることになる。ここでは、このような析出のプロセス及びそれに関連する結晶成長のプロセスを含めて、析出と呼ぶことにする。
次に、かかる還元反応を所定時間継続した後、反応の原料である四塩化珪素ガスと亜鉛ガスとの供給を停止すると共に、加熱器22の通電を停止して、不活性ガスのみを供給した状態で、残存する四塩化珪素ガスや亜鉛ガスや副生した塩化亜鉛ガスを排気管20から排気しつつ、常温まで冷却する。
そして、反応器10の底板13を外し、反応器10の下方開放端から剥離部材を侵入させて、反応器10の内壁面の下部における析出領域Sに堆積した多結晶シリコンを機械的に剥離して回収し、今回のシリコンの製造方法の一連の工程は終了する。なお、かかる多結晶シリコンは、振動を印加することにより剥離して回収することも可能である。
さて、以上の構成のシリコン製造装置1における亜鉛ガス供給管の構成には、反応器10の縦壁からその内部に侵入させたり、上蓋12を介して反応器10に連絡する等の種々の変形例が考えられる。そこで、次に、かかる亜鉛ガス供給管の変形例につき、図3及び図4をも参照して、詳細に説明する。なお、各変形例では、シリコン製造装置1に対して、亜鉛ガス供給管の構成が異なることが主たる相違点であり、残余の構成は同一である。よって、各変形例では、かかる相違点に着目して説明することとし、同一な構成については同一の符号を付して適宜説明を簡略化又は省略する。
図3Aから図4Cは、本実施形態におけるシリコン製造装置の各種変形例を示す模式的縦断面図であり、位置的には図1に対応する。
具体的には、図3Aに示すシリコン製造装置1aの構成では、亜鉛ガス供給管180の連絡部180aが、反応器10の内部へ突出しており、反応器10の内部へ侵入した位置で亜鉛ガス供給口180bが開口する。また、図3Bに示すシリコン製造装置1bの構成では、亜鉛ガス供給管181の連絡部181aが、反応器10の内部へ突出するのみならず鉛直下方に向いて屈曲しており、反応器10の内部の鉛直下方に向いて亜鉛ガス供給口181bが開口する。一方で、図3Cに示すシリコン製造装置1cの構成では、亜鉛ガス供給管182の連絡部182aが、反応器10の内部へ突出するのみならず鉛直上方に向いて屈曲しており、反応器10の内部の鉛直上方に向いて亜鉛ガス供給口182bが開口する。
以上の変形例では、亜鉛ガスの吐出位置や吐出方向を適宜設定でき、反応器10の内部における亜鉛ガスの所望の拡散状態を得ながら、設計自由度の高い亜鉛ガス供給管の構成を実現できる。
次に、図4Aに示すシリコン製造装置1dの構成では、反応器100の縦壁には挿通孔10aが形成されておらず、更に、反応器100の上方開放端を塞ぐ石英製の上蓋120には不活性ガス供給管14が挿通される挿通孔12aに加えて、それに隣接する挿通孔12bが形成されている。つまり、亜鉛ガス供給管183が、反応器100の縦壁に挿通されるのではなく、上蓋120において不活性ガス供給管14が挿通される挿通孔12aに隣接する挿通孔12bに挿通されて固定され、反応器100の内部に突出した端部において亜鉛ガス供給口183bが開口する。また、図4Bに示すシリコン製造装置1eの構成では、亜鉛ガス供給管184が、反応器100の内部に突出するのみならず、径方向の内側に向いて屈曲しており、反応器100の内部における径方向の内側に向いて亜鉛ガス供給口184bが開口する。一方で、図4Cに示すシリコン製造装置1fの構成では、亜鉛ガス供給管185が、反応器100の内部に突出して径方向の内側に向いて屈曲するのみならず鉛直上方に向いて屈曲し、反応器100の内部の鉛直上方に向いて亜鉛ガス供給口185bが開口する。なお、図4Aに示す構成では、亜鉛ガス供給管183が、反応器100の内部に突出しているが、このように突出させずに、亜鉛ガス供給口183bが上蓋120の下面と面一になるように設定することも可能である。
以上の変形例では、反応器と加熱炉との間隔が狭い場合の亜鉛ガス供給管の取り回し性や、亜鉛ガス供給管を反応器に一体化する際の煩雑さも考慮して、設計自由度の高い亜鉛ガス供給管の構成を実現できる。なお、以上の各変形例の構成は、適宜組み合わせて採用し得ることももちろんである。
以上の変形例を含む本実施形態の構成によれば、亜鉛ガス供給口が、四塩化珪素ガス供給口よりも鉛直方向について上方にあり、加熱器で、反応器の一部の温度をシリコンの析出温度範囲に設定しつつ、四塩化珪素ガス供給口から四塩化珪素ガスを反応器内に供給し、亜鉛ガス供給口から亜鉛ガスを反応容器内に供給して、反応器内で四塩化珪素を亜鉛で還元して、反応器内においてシリコンの析出温度範囲に設定された領域に対応した壁部にシリコンが析出したシリコン析出領域を形成するものであるため、低コストで収率よく多結晶のシリコンを生成することができ、連続的かつ効率的に多結晶のシリコンを回収するための拡張性のある構成を実現し得るものである。
また、シリコン析出領域が、反応器の内壁面であるので、シリコンの収量を増加できるものである。
また、加熱器は、反応器における四塩化珪素ガス供給口から鉛直方向について上方の領域をシリコンの析出温度範囲を超える温度に加熱する一方で、反応器における四塩化珪素ガス供給口よりも鉛直方向について下方の領域をシリコンの析出温度範囲の温度に加熱することにより、反応器の内壁面又は内管の内壁面を選択的かつ確実にシリコン析出領域とすることができるものである。
また、反応器に四塩化珪素ガス供給管と同軸に連絡して、四塩化珪素ガス供給口よりも鉛直方向について上方にある不活性ガス供給口を有すると共に、不活性ガス供給口から不活性ガスを反応器内に供給する不活性ガス供給管を備えることにより、コンパクトな構成で、反応器内に必要に応じた不活性ガスを供給することができるものである。
また、亜鉛ガス供給管が、反応器の縦壁及び上蓋の少なくとも一方から反応器に連絡するものであるため、他の構成要素の配置とバランスをとりながら、所望の亜鉛ガスの拡散状態を実現することができるものである。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態におけるシリコン製造装置及び方法につき、図5及び図6をも参照して、詳細に説明する。
図5は、本実施形態におけるシリコン製造装置の模式的縦断面図である。また、図6は、本実施形態におけるシリコン製造装置の模式的横断面図であり、図5のB−B断面図に相当する。
本実施形態のシリコン製造装置2においては、第1の実施形態のシリコン製造装置1に対して、ショックブローガス供給管が付加され、対応してシリコン回収槽が設けられることが主たる相違点であり、残余の構成は同一である。よって、本実施形態においては、かかる相違点に着目して説明することとし、同一な構成については同一の符号を付して適宜説明を簡略化又は省略する。
図5及び図6に示すように、シリコン製造装置2においては、第1の実施形態におけるシリコン製造装置1の構成に対して、更に、反応器10の上方開放端を塞ぐ石英製で円板状の上蓋130において不活性ガス供給管14が挿通される挿通孔12aに加えて、それに隣接した挿通孔12cが形成される。かかる挿通孔12cには、図示を省略する高圧の不活性ガス供給源に連絡して石英製であるショックブローガス供給管200が挿通されて固定される。かかるショックブローガス供給管200は、反応器10の内部に侵入して、反応器10の内壁面に沿って鉛直下方に延在する。また、ショックブローガス供給管200は、反応器10の内部における端部において、ショックブローガス供給口200aを有する。
ここで、ショックブローガス供給管200は、ショックブローガス供給口200aから高圧の不活性ガスを反応器10の内壁面の下部における析出領域Sに堆積した多結晶シリコンに当てて、かかる多結晶シリコンを剥離するためのものである。
よって、ショックブローガス供給管200は、反応器10の内部においてその内壁面に沿うように、中心軸Cについて軸対称となるように複数個(図6中では4個)配設されることが好ましい。かかる場合、上蓋130においては、複数個(図6中では4個)の挿通孔12cが対応して形成されることになる。また、ショックブローガス供給口200aは、反応器10の上蓋130への合わせ面からの長さL4の位置で、反応器10の内部に開口するものであるが、かかるショックブローガス供給口200aの開口位置は、ショックブローガス供給口200aから反応器10の内壁面の下部における析出領域Sに対して高圧の不活性ガスを吐出する必要があるため、析出領域Sに近接しつつそれよりも上方に位置することが好ましく、そうすると典型的には、四塩化珪素ガス供給口16aの開口位置よりも下方にあり(L4>L2)、かつ析出領域Sよりも上方に位置することが好ましい。なお、ショックブローガス供給管200の取り回しは複雑になるが、ショックブローガス供給口200aの開口位置を析出領域Sよりも下方に位置させて、高圧の不活性ガスを上方に吐出することもできる。
また、ショックブローの条件としては、ショックブローガス供給口200aから吐出される不活性ガスの圧力及びブロー時間が挙げられる。かかる圧力は、低すぎると析出領域Sに析出したシリコンを十分に剥離することができず、一方で、高すぎると反応器10の縦壁やショックブローガス供給管200が破損する傾向があるため、0.1MPa以上1.0MPa以下の範囲が好ましく、実用上は0.3MPa以上0.6MPa以下の範囲がより好ましい。ブロー時間としては、短すぎると析出領域Sに析出したシリコンを十分に剥離できず、一方で、長すぎるとショックブロー用の不活性ガスの導入量が多くなり、反応器10の温度が低下したり、剥離されたシリコンが排気ガスとともに排出され回収できなくなる傾向があるので、0.1秒以上3.0秒以下の範囲が好ましく、更に、かかるブロー時間のショックブローを複数回所定の間隔で周期的に繰り返してもよい。なお、ショックブローガス供給管200やショックブローガス供給口200aの径は、反応器10の径やショックブローの圧力等を考慮して適宜設定可能である。
更に、シリコン製造装置2においては、ショックブローガス供給口200aから高圧の不活性ガスを反応器10の内壁面の下部における析出領域Sに当てると、そこに堆積した多結晶シリコンが剥離されて自重で下方に落下することになるので、反応器10の下方には、順次、連結部材210、連絡管220、バルブ装置230及びシリコン回収槽240が設けられる。
具体的には、シリコン製造装置2においては、第1の実施形態におけるシリコン製造装置1の底板13の替わりに、反応器10の下部と連絡管220とを連結する連結部材210が設けられ、連絡管220とシリコン回収槽240との間には、バルブ装置230が設けられる。
かかるバルブ装置230は、反応器10の内部の環境と外部の環境とを遮断自在なバルブ230aを備える。反応器10の内部とシリコン回収槽240との連通を遮断するためにバルブ230aを閉じた状態では、ショックブローガス供給口200aからの高圧の不活性ガスが析出領域Sに当てられることにより剥離されて自重により落下してくる多結晶シリコンを、バルブ230a上に堆積自在である。一方で、バルブ230aを開いた状態では、反応器10の内部とシリコン回収槽240とが連通し、バルブ230a上に堆積した多結晶シリコンをシリコン回収槽240に自重で落下させて回収自在である。
また、かかるシリコン回収槽240は、加熱器22の加熱領域外の常温雰囲気中に設置されており、シリコン製造装置2に対して装脱自在である。
ついで、以上の構成のシリコン製造装置2を用いて多結晶のシリコンを製造するシリコンの製造方法につき、詳細に説明する。ここで、本実施形態におけるシリコンの製造方法は、反応器10の底板13を外して反応器10の下方開放端から剥離部材を侵入させ、反応器10の内壁面の下部における析出領域Sに堆積したシリコンを機械的に剥離して多結晶シリコンを回収する工程の替わりに、ショックブローガス供給口200aからショックブローガスを供給することにより、かかる析出領域Sに堆積したシリコンを剥離して回収する工程を採用したことが、第1の実施形態における製造方法に対する主たる相違点であり、析出領域Sに析出した多結晶シリコンを剥離する工程以降の工程が実質的に異なるものであるので、かかる相違点に着目して説明する。
具体的には、反応器10の内部を外部から遮断するためにバルブ装置230のバルブ230aを閉じた状態で、反応器10の内部に不活性ガスを供給した後、加熱器22で加熱しながら反応器10の内部で四塩化珪素が亜鉛で還元される還元反応が所定時間継続されて、反応器10の内壁面の下部における析出領域Sに十分な厚みの多結晶シリコンが堆積されたならば、四塩化珪素ガス及び亜鉛ガスの供給を停止する。そして、不活性ガス供給管14の不活性ガス供給口14a等から不活性ガスを反応器10の内部に供給して、反応器10の内部の雰囲気を不活性ガスで置換する。
次に、ショックブローガス供給口200aから高圧の不活性ガスを反応器10内の析出領域Sに当てるショックブロー工程を、所定の圧力、時間及び周期で実施すると、析出領域Sに堆積した多結晶シリコンが剥離されて自重で下方に落下する。この際、バルブ230aは、反応器10の内部と外部とを遮断すべく閉じられているから、落下してきたシリコンはバルブ230a上に堆積していく。
そして、かかるショックブロー工程が終了したならば、バルブ230aを開いてバルブ230a上に堆積した多結晶シリコンを自重でシリコン回収槽240に落下させた後、反応器10の内部を外部から遮断すべくバルブ230aを再び閉じる一方で、シリコン回収槽240内の多結晶シリコンを取り出して回収して、今回のシリコンの製造方法の一連の工程は終了し、必要に応じて連続的に、次回のシリコンの製造方法の一連の工程に入る。ここで、シリコン回収槽240は、シリコン製造装置2に対して装脱自在であるので、シリコンが落下し終わったならば、バルブ230aを閉じた後に、シリコン回収槽240をシリコン製造装置2から取り外して所定の保管場所に移動して、シリコン回収槽240の内部の多結晶シリコンを取り出すことも可能となる。
以上の本実施形態の構成によれば、ショックブローガス供給口からショックブローガスを反応器内に供給することにより、反応器や内管の内壁面に直接触れることなく、シリコン析出領域に析出したシリコンを剥離することができるものである。
また、ショックブローガス供給口が、四塩化珪素ガス供給口よりも鉛直方向について下方にあるため、ショックブローガスをシリコン析出領域に確実に当てることができ、シリコン析出領域に析出したシリコンを確実に剥離することができるものである。
また、シリコン析出領域から剥離されたシリコンは、自重によりシリコン回収槽に落下するため、シリコンを確実にシリコン回収槽に回収することができるものである。
また、シリコン析出領域から剥離されたシリコンは、自重で落下してバルブ上に堆積するので、かかるバルブを開くことにより、シリコンは、自重によりシリコン回収槽に落下して回収され得る。この際、反応時には、バルブにより反応器の内部と外部とが遮断されているため、高温の反応雰囲気を維持したまま安定的に反応を継続することができる。ついで、ショックブローによりバルブ上に所定量のシリコンが堆積したならば、バルブを開けて常温のシリコン回収槽内にシリコンを落下させた後バルブを閉じ、シリコン回収槽内のシリコンを回収するので、反応器内が不要に汚染されることなくシリコンを回収して次回の反応へと移行することができ、安定した連続稼働が簡便に可能となるものである。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態におけるシリコン製造装置及び方法につき、図7及び図8をも参照して、詳細に説明する。
図7は、本実施形態におけるシリコン製造装置の模式的縦断面図である。また、図8は、本実施形態におけるシリコン製造装置の模式的横断面図であり、図7のC−C断面図に相当する。
本実施形態のシリコン製造装置3においては、第2の実施形態のシリコン製造装置2に対して、反応器10の内部に内管250が付加されて、内管250の内壁面が、多結晶シリコンが析出する析出領域Sとなることが主たる相違点であり、残余の構成は同一である。よって、本実施形態においては、かかる相違点に着目して説明することとし、同一な構成については同一の符号を付して適宜説明を簡略化又は省略する。
図7及び図8に示すように、シリコン製造装置3においては、第2の実施形態におけるシリコン製造装置2の構成に対して、更に、反応器10の内壁に沿って、中心軸Cと同軸で延在する典型的には円筒状の内管250が挿入される。かかる内管250は、石英製であって、反応器10に対して装脱自在である。
具体的には、内管250の上端250aは、開放端であって反応器10の上蓋130への合わせ面からの長さL5の位置にあり、その位置は、亜鉛ガス供給管18の亜鉛ガス供給口18bよりは下方で、四塩化珪素ガス供給管16の四塩化珪素ガス供給口16aやショックブローガス供給管200のショックブローガス供給口200aよりも上方にある(L3<L5<L2<L4)。かかる上端250aの位置は、四塩化珪素ガス供給口16aの下方領域でシリコンが析出する可能性があるため、内管250の内壁面に析出領域Sが確実に画成され、かつ、内管250aと反応器10との隙間にシリコンが析出するのを防ぐために、四塩化珪素ガス供給口16aよりも上方にあることが好ましく、かつ不要に亜鉛ガス供給口18bを塞がないように、亜鉛ガス供給口18bよりも下方にあることが好ましいことを考慮して設定したものである。
また、内管250は、その下端が連結部材210で支持されていた方が安定であるので排気管20を超えて下方に延在するから、不要に排気管20の排気導入口20aを塞がないように、反応器10の挿通孔10bに対応する位置に挿通孔250bを有している。つまり、排気管20は、反応器10の縦壁に設けられた挿通孔10b及び内管250の縦壁に設けられ挿通孔250bに挿通されて固定される。
また、内管250は、加熱器22における第2加熱部22b及び第3加熱部22cにより、1000℃以上1100℃以下の温度のような高温に加熱されて維持されるため、その外壁面が反応器10の内壁面と接していると、互いに固着して取り外せなくなる可能性があることを考慮して、所定の間隙を介して反応器10に対して並置されている。なお、かかる間隙を安定的に維持するには、石英製のスペーサを設置することも好ましい。
以上の構成のシリコン製造装置3を用いて多結晶のシリコンを製造するシリコンの製造方法においては、還元反応工程で、内管250の内壁面に画成される析出領域Sに多結晶シリコンを堆積させた後、ショックブロー工程で、析出領域Sの多結晶シリコンを剥離してバルブ装置230のバルブ230a上に堆積させ、このように堆積したシリコンをバルブ230aを開いてシリコン回収槽240に落下させて回収することになる。
ここで、かかるシリコンの製造方法を一連の工程を何回か繰り返すと、内管250の内壁面が劣化してくるため、繰り返し回数が規準回数を超えた内管250については、反応器10から取り外して、新たな内管250に交換することになる。
以上の本実施形態の構成によれば、シリコン析出領域が、反応器に装脱自在に挿入した内管の内壁面であるので、シリコンの収量を増加できるとともに、内壁面が劣化した内管を簡便に交換できるので、反応器自体を交換することなくシリコンの製造を継続できるものである。
なお、第3の実施形態における内管250は、底板13を設けた第1の実施形態の構成に適用可能であり、かかる場合には、内管250の下端を底板13の上に載置して固定することになり、底板13を反応器10から取り外すことにより、内管250も反応器10から取り外すことが可能である。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態におけるシリコン製造装置につき、図9から図11Bをも参照して、詳細に説明する。
図9は、本実施形態におけるシリコン製造装置の模式的縦断面図である。図10は、本実施形態におけるシリコン製造装置の模式的横断面図であり、図9のD−D断面図に相当する。図11Aは、本実施形態におけるシリコン製造装置の亜鉛ガス供給管の模式的拡大横断面図であり、図9のE−E断面図に相当する。また、図11Bは、本実施形態におけるシリコン製造装置の四塩化珪素ガス供給管の模式的拡大横断面図であり、図9のF−F断面図に相当する。
本実施形態のシリコン製造装置4においては、第3の実施形態のシリコン製造装置3に対して、反応器100の縦壁には挿通孔10aが形成されておらず、更に、反応器100の上方開放端を塞ぐ石英製で円板状の上蓋140に対して、その中央に亜鉛ガス供給管280が挿通され、亜鉛ガス供給管280に隣接して、四塩化珪素ガス供給管160を内包する不活性ガス供給管14及びショックブローガス供給管200が配設されていることが主たる相違点であり、残余の構成は同一である。よって、本実施形態においては、かかる相違点に着目して説明することとし、同一な構成については同一の符号を付して適宜説明を簡略化又は省略する。
図9及び図10に示すように、石英製の反応器100は、図4Aから図4Cに示す第1の実施形態の変形例におけるものと同一であり、図1及び図2に示す反応器10の縦壁から亜鉛供給管18を挿通する挿通孔18aを削除した構成、つまり挿通孔18aが形成されていない構成を有する。
反応器100の上方開放端を閉じる石英製の上蓋140には、中心軸Cと同軸の1個の挿通孔12d、並びにそれにそれぞれ隣接して複数個の挿通孔12e及び複数個の12fが形成される。
1個の挿通孔12dには、図示を省略する亜鉛ガス供給源に連絡して石英製である1本の亜鉛ガス供給管280が挿通されて固定される。かかる亜鉛ガス供給管280は、反応器100の内部に侵入して、中心軸Cと同軸で鉛直下方に延在すると共に、その縦壁の下端に開口する亜鉛ガス供給口280aを有する一方で、その鉛直方向の先端は閉じられている。
複数の挿通孔12eは、典型的には中心軸Cから等距離であって上蓋140の周方向に120°の等間隔で3個設けられている。かかる各挿通孔12eには、図示を省略する不活性ガス供給源に連絡して石英製である1本の不活性ガス供給管14が挿通されて固定される。また、不活性ガス供給管14の内部には、図示を省略する四塩化珪素ガス供給源に連絡して石英製である1本の四塩化珪素ガス供給管160が配設されて、四塩化珪素ガス供給管160は、反応器100の内部に侵入して、中心軸Cと同軸で鉛直下方に延在する。かかる四塩化珪素ガス供給管160は、その縦壁の下端に開口する四塩化珪素ガス供給口160aを有する一方で、その鉛直方向の先端は閉じられている。
複数の挿通孔12fは、典型的には中心軸Cから等距離であって上蓋140の周方向に120°の等間隔で、かつ対応する挿通孔12eを挟むように3個設けられている。かかる各挿通孔12fには、図示を省略する高圧の不活性ガス供給源に連絡して石英製である1本のショックブローガス供給管200が挿通されて固定される。
このように上蓋140の中央に1本の亜鉛ガス供給管280を挿通して反応器100内を延在させると共に、その周囲に複数の不活性ガス供給管14に内包される四塩化珪素ガス供給管160を配設する構成を採用した理由は、沸点が910℃の亜鉛ガスは、沸点が59℃の四塩化珪素ガスよりも高温に加熱された状態で反応器100に導入される必要があるため、反応器100や上蓋140の径が若干大きくなる傾向にはあるものの、装置全体の構成をよりコンパクトにしながら、相対的に高温に維持した亜鉛ガスを確実に反応器100内の径方向の中央部に集中的に導入すると共に、四塩化珪素ガスをその周囲に分散的に導入し得る利便性を考慮したためである。なお、反応器100や上蓋140の径を更に大型化できる場合には、亜鉛ガス供給管280を複数個設けてもかまわない。
ここで、不活性ガス供給管14の不活性ガス供給口14a、四塩化珪素ガス供給管160の四塩化珪素ガス供給口160a、亜鉛ガス供給管280の亜鉛ガス供給口280a及びショックブローガス供給管200のショックブローガス供給口200aは、それぞれ反応器100の上蓋140への合わせ面から長さL1、L2、L3及びL4の位置で開口する一方で、内管250の上端250aは、反応器100の上蓋140への合わせ面から長さL5の位置にあり、これらの長さ間の関係は、L1<L5<L3<L2<L4の関係にある。
つまり、不活性ガス供給管14の不活性ガス供給口14aの開口位置は、内管250の上端250aよりも上方にある一方で、四塩化珪素ガス供給管160の四塩化珪素ガス供給口160a、亜鉛ガス供給管280の亜鉛ガス供給口280a及びショックブローガス供給管200のショックブローガス供給口200aの各開口位置は、内管250の上端250aよりも下方にある。また同時に、亜鉛ガス供給口280aの開口位置は、四塩化珪素ガス供給口160aの開口位置よりも上方にある。
このように、四塩化珪素ガス供給管160の四塩化珪素ガス供給口160aの開口位置に加えて、亜鉛ガス供給管280の亜鉛ガス供給口280aの開口位置が、内管250の上端250aよりも下方になるように設定したのは、上蓋140の中央に亜鉛ガス供給管280を挿通して反応器100内を延在させる構成を採用したことで、内管250の縦壁に挿通孔を設けることなく簡便な構成で亜鉛ガス供給口280aを下方に配置することが可能となったことのみならず、四塩化珪素ガスに加えて亜鉛ガスもが内管250の内部で吐出されることにより、反応器100の縦内壁と内管250の縦外壁との隙間でかかるガスが不要に拡散して侵入してしまう現象を確実に抑制できることを考慮したためである。
また、図11Aに示すように、亜鉛ガス供給管280の亜鉛ガス供給口280aは、複数個備えられることが好ましく、典型的には中心軸Cに軸対称に120°の等間隔で、その縦壁の下端に3個開口することが好ましい。これは、亜鉛ガスが反応器100の内部に水平方向で吐出されてより確実に均等に拡散し、亜鉛ガスと四塩化珪素ガスとの混合性がより良好に行われ得るためである。なお、もちろん、亜鉛ガスと四塩化珪素ガスとが良好に混合する場合には、亜鉛ガス供給管280の亜鉛ガス供給口280aは、1個のみ設けてもよいし、亜鉛ガス供給管280の鉛直方向の先端を開放して設けてもよい。
また、図11Bに示すように、四塩化珪素ガス供給管160の四塩化珪素ガス供給口160aは、その縦壁の下端において任意の位置及び任意の個数で開口すれば足りる(図中では、一例として、内管250の内壁に対向して1個のみ開口するものを示す)。これは、亜鉛ガスと四塩化珪素ガスとの混合性の観点からは、四塩化珪素ガスが水平方向に吐出されるものであれば足りるからである。
以上の構成のシリコン製造装置4を用いて多結晶のシリコンを製造するシリコンの製造方法においては、還元反応工程で、内管250の内壁面に画成される析出領域Sに多結晶シリコンを堆積させた後、ショックブロー工程で、析出領域Sの多結晶シリコンを剥離してバルブ装置230のバルブ230a上に堆積させ、このように堆積したシリコンをバルブ230aを開いてシリコン回収槽240に落下させて回収することになる。そして、かかるシリコンの製造方法を一連の工程を何回か繰り返し、その繰り返し回数が規準回数を超えた内管250については、反応器100から取り外して、新たな内管250に交換することになる。
以上の本実施形態の構成によれば、反応器が、円筒状であり、亜鉛ガス供給管が、反応器の上蓋を介して反応器の内部に連絡して、鉛直方向における反応器の中心軸と同軸に延在することにより、装置全体の構成をよりコンパクトにしながら、相対的に沸点が高い亜鉛から成るために高温に維持する必要があり、かつ通常は多くのガス量を必要とする亜鉛ガスを確実に反応器内の径方向の中央部に集中的に導入すると共に、四塩化珪素ガスをその周囲に分散的に導入し得て、四塩化珪素を亜鉛で還元する還元反応をより効率的に実行してより収率よく多結晶のシリコンを生成することができる。
また、四塩化珪素ガス供給口及び亜鉛ガス供給口が、内管の上端よりも鉛直方向について下方にあることにより、四塩化珪素ガス及び亜鉛ガスが混合しながら拡散して、反応器の縦内壁と内管の縦外壁との間に不要に侵入することを効果的に抑制でき、四塩化珪素を亜鉛で還元する還元反応をより効率的に実行してより収率よく多結晶のシリコンを生成することができる。
なお、第4の実施形態における亜鉛ガス供給管280及び四塩化珪素ガス供給管160を内包する不活性ガス供給管14の配設構成は、第1の実施形態の構成や第2の実施形態の構成に適用可能であることはもちろんである。
また、以上の各実施形態において、反応器、上蓋、底板、不活性ガス供給管、四塩化珪素ガス供給管、亜鉛ガス供給管、排気管、ショックブローガス供給管及び内管等の各構成要素の材質としては、950℃以上もの高温において、原料の四塩化珪素ガスや亜鉛ガス、副生する塩化亜鉛ガス等に耐える材質でなければならないので、石英、炭化珪素、窒化珪素等が挙げられるが、析出したシリコン中への炭素や窒素の混入を避ける見地からは、石英、具体的には石英ガラスが最も好ましい。
また、以上の各実施形態において、不活性ガスとしては、Heガス、Neガス、Arガス、Krガス、Xeガス、Rnガス等の希ガスや窒素ガス等が挙げられるが、析出したシリコン中への窒素の混入を避ける見地からは希ガスが好ましく、中でも低価格であるArガスが最も好ましい。
さて、以下、各実施形態に対応する実験例について、詳細に説明する。
(実験例1)
本実験例では、第1の実施形態のシリコン製造装置1を用いて、多結晶シリコンを製造した。
具体的には、シリコン製造装置1において、石英製の反応器10は、外径Dを56mm(肉厚は2mmで、内径は52mm)及び長さLを2050mmに設定し、石英製の不活性ガス供給管14は、外径を16mm(肉厚は1mmで、内径は14mm)に設定し、不活性ガス供給口14aの開口位置(不活性ガス供給管14の反応器10内における端部位置)は、反応器10の上蓋12への合わせ面からの長さL1が10mmになるように設定し、石英製の四塩化珪素ガス供給管16は、外径を9mm(肉厚は1mmで、内径は7mm)に設定し、四塩化珪素ガス供給口16aの開口位置(四塩化珪素ガス供給管16の反応器10内における端部位置)は、反応器10の上蓋12への合わせ面からの長さL2が750mmになるように設定し、石英製の亜鉛ガス供給管18は、外径を20mm(肉厚は2mmで、内径は16mm)に設定し、亜鉛ガス供給口18bの開口位置(亜鉛ガス供給管18の反応器10内における端部位置)は、反応器10の上蓋12への合わせ面からの長さL3が550mmになるように設定し、反応器10の下部に連絡する排気導入口20aを有する石英製の排気管20は、外径を56mm(肉厚は2mmで、内径は52mm)に設定した。
以上の具体的構成において、まず、不活性ガス供給管14の不活性ガス供給口14aより1.56SLMの流量のArガス、四塩化珪素ガス供給管16の四塩化珪素ガス供給口16aより0.50SLMの流量のArガス、及び亜鉛ガス供給管18の亜鉛ガス供給口18bより2.04SLMの流量のArガス(計4.10SLMの流量のArガス)を反応器10の内部に吐出した。
次に、このようにArガスを反応器10の内部に供給している状態で、加熱器22を通電して、第1加熱部22aにより反応器10の対応する縦壁及びその内部の領域が1200℃になるように昇温して維持し、第2加熱部22bにより反応器10の対応する縦壁及びその内部の領域が1100℃になるように昇温して維持し、第3加熱部22cにより反応器10の対応する縦壁及びその内部の領域が1000℃になるように昇温して維持した。
次に、このように加熱器22を通電して、第1加熱部22a、第2加熱部22b及び第3加熱部22cが、反応器10の各々対応する縦壁及びその内部の領域を加熱して維持した状態で、亜鉛ガス供給管18にArガスに加えて亜鉛ガスをも供給すべく、1.93g/minの速度で亜鉛線を導入してガス化し、亜鉛ガス供給口18bより2.04SLMの流量のArガスに加えて亜鉛ガスを混合した混合ガスを反応器10の内部に吐出した。同時に、不活性ガス供給管14の不活性ガス供給口14aより1.56SLMの流量のArガスを反応器10の内部に吐出しながら、四塩化珪素ガス供給管16のガスをArガスから四塩化珪素ガスに切り替えて、四塩化珪素ガス供給口16aより0.33SLMの流量の四塩化珪素ガスを反応器10の内部に吐出して、15分の間、反応させた。
次に、このように15分間反応させた後、反応の原料である四塩化珪素ガス及び亜鉛ガスの供給を停止すると共に、加熱器22の通電を停止して、不活性ガス供給管14の不活性ガス供給口14a等から不活性ガスのみを供給する状態で、残存する四塩化珪素ガスや亜鉛ガスや副生した塩化亜鉛ガスを排気管20から排気しつつ、常温まで冷却した。
そして、反応器10に装着した底板13を取り外し、反応器10の内壁面を観察したところ、四塩化珪素ガス供給口16aの開口位置(四塩化珪素ガス供給管16の反応器10内における端部位置)の下方400mmあたりから排気導入口20a直上あたりに至る反応器10の内壁面の領域において生成された析出層が確認でき、これは剥離部材で剥離することができて、剥離物を確認したところ針状の多結晶シリコンであった。
(実験例2)
本実験例では、第2の実施形態のシリコン製造装置2を用いて、多結晶シリコンを製造した。
具体的には、シリコン製造装置2において、反応器10、不活性ガス供給管14、四塩化珪素ガス供給管16、亜鉛ガス供給管18、排気管20及び加熱器22の構成は、実験例1におけるシリコン製造装置1のものと同じであり、反応器10の内部にArガスを供給して、反応器10の縦壁及びその内部を加熱器22で加熱して維持した後、四塩化珪素を亜鉛で還元する還元反応を実施する各工程も、実施例1のものと同じである。但し、本実験例で用いるシリコン製造装置2は、ショックブローガスを供給するものであるので、これに関連する構成や工程が異なっている。
つまり、中心軸Cについて軸対称に4個設けられる石英製のショックブローガス供給管200は、外径を6mm(肉厚は1mmで、内径は4mm)に設定し、ショックブローガス供給口200aの開口位置(ショックブローガス供給管200の反応器10内における端部位置)は、反応器10の上蓋130への合わせ面からの長さL4が1050mmになるように設定した。
以上の具体的構成において、反応器10の内部を外部から遮断するために、バルブ装置230のバルブ230aを閉じた状態で、反応器10の内部にArガスを供給して、反応器10の縦壁及びその内部を加熱器22で加熱して維持した後、四塩化珪素を亜鉛で還元する還元反応を実施したならば、加熱状態を維持した状態で、亜鉛ガス供給管18に対する亜鉛線の導入及び四塩化珪素ガス供給管16に対する四塩化珪素ガスの供給を共に停止した。その後、再び、不活性ガス供給管14の不活性ガス供給口14aより1.56SLMの流量のArガスを反応器10の内部に吐出すると共に、四塩化珪素ガス供給管16の四塩化珪素ガス供給口16aより0.50SLMの流量のArガス及び亜鉛ガス供給管18の亜鉛ガス供給口18bより2.04SLMの流量のArガスを反応器10の内部に吐出して、反応器10の内部をArガスで5分間置換した。
次に、このようにArガスで置換した後、ショックブローガス供給管200のショックブローガス供給口200aよりArガスを高圧で吐出して、ショックブローを行った。この際のショックブローの条件は、Arガスの圧力を0.4MPaとして1回のショックブロー時間を0.5秒に設定し、次のショックブローまでの間隔を3.0秒間空けて、合計20回のショックブローを実行したものである。
そして、以上の15分間の反応、5分間のArガスによる置換及びArガスによる20回のショックブローの一連の工程を合計4回繰り返した後で、反応器10の下方で連絡するバルブ装置230のバルブ230aを開けて、シリコン回収槽240にバルブ230a上の堆積物を落下させ、シリコン回収槽240の中の回収物を確認したところ、針状の多結晶シリコンであった。これは、反応器10の内壁面にシリコンが析出した後、ショックブローによって剥離されてバルブ装置230のバルブ230a上に堆積したものが回収されたものと考えられる。また、かかる針状の多結晶シリコンの重量を計測したところ8.7gであり、反応に供した四塩化珪素ガスの反応率は35%であった。
(実験例3)
本実験例では、第2の実施形態のシリコン製造装置2を用いて、多結晶シリコンを製造したことは実施例2と同様であるが、実験例2に対して、ショックブローガス供給管200を短くしてショックブローガス供給口200aの開口位置(ショックブローガス供給管200の反応器10内における端部位置)は、反応器10の上蓋130への合わせ面からの長さL4が800mmになるように設定し、不活性ガス供給管14の不活性ガス供給口14aより供給されるArガスの流量を0.12SLMに設定し、かつ、反応時間を30分に設定して、30分間の反応、5分間のArガスによる置換及びArガスによる20回のショックブローの一連の工程を合計2回繰り返したことが相違する。
以上の具体的構成において、一連の工程を行って、シリコン回収槽240にバルブ230a上の堆積物を落下させ、シリコン回収槽240の中の回収物を確認したところ、針状の多結晶シリコンであった。また、かかる針状の多結晶シリコンの重量を計測したところ11.1gであり、反応に供した四塩化珪素ガスの反応率は45%であった。
(実験例4)
本実験例では、第2の実施形態のシリコン製造装置2を用いて、多結晶シリコンを製造したことは実施例3と同様であるが、実験例3に対して、不活性ガス供給管14の不活性ガス供給口14aからはArガスを供給せず、反応時に四塩化珪素ガス供給管16の四塩化珪素ガス供給口16aより供給される四塩化珪素ガスの流量を0.66SLMに設定し、亜鉛ガス供給管18の亜鉛ガス供給口18bより供給されるArガスの流量を0.22SLMに設定し、亜鉛ガス供給管18にArガスに加えて亜鉛ガスをも供給すべく亜鉛線の導入速度を3.85g/minに設定してガス化し、かつ、反応時間を15分に設定して、15分間の反応、5分間のArガスによる置換及びArガスによる20回のショックブローの一連の工程を合計4回繰り返したことが相違する。
以上の具体的構成において、一連の工程を行って、シリコン回収槽240にバルブ230a上の堆積物を落下させ、シリコン回収槽240の中の回収物を確認したところ、針状の多結晶シリコンであった。また、かかる針状の多結晶シリコンの重量を計測したところ29.7gであり、反応に供した四塩化珪素ガスの反応率は60%であった。
(実験例5から実験例7)
実験例2から実験例4の条件で、第3の実施形態のシリコン製造装置3を用いて、多結晶シリコンを製造するための一連の工程を行い、シリコン回収槽240にバルブ230a上の堆積物を落下させ、シリコン回収槽240の中の回収物を確認したところ、針状の多結晶シリコンであり、それらの回収率も実験例2から実験例4に対応して同等であった。これは、反応器10に装着された内管250の内壁面に多結晶シリコンが析出した後、ショックブローによって剥離されてバルブ装置230のバルブ230a上に堆積したものが、回収されたものと考えられる。
(実験例8)
本実験例では、第4の実施形態のシリコン製造装置4を用いて、多結晶シリコンを製造した。
具体的には、シリコン製造装置4において、石英製の反応器100は、外径Dを226mm(肉厚は3mmで、内径は220mm)及び長さLを2330mmに設定し、石英製の内管250は、外径を206mm(肉厚は3mmで、内径は200mm)及び反応器100の上蓋140への合わせ面からの端部250aの長さL5を50mmに設定し、石英製の亜鉛ガス供給管280は、外径を42mm(肉厚は3mmで、内径は36mm)に設定し、亜鉛ガス供給管280の下端を塞いで縦壁のみに中心軸Cについて120°の等間隔になるように径16mmで3個設けた亜鉛ガス供給口280aの開口位置(開口の中心位置)は、反応器100の上蓋140への合わせ面からの長さL3が300mmになるように設定し、かつ、反応器100の下部に連絡する排気導入口20aを有する石英製の排気管20は、外径を56mm(肉厚は2mmで、内径は52mm)に設定した。
また、石英製の不活性ガス供給管14及びその内部に配設される石英製の四塩化珪素ガス供給管160は、中心軸Cから85mmの距離で120度の均等な間隔で3個配設し、石英製のショックブローガス供給管200は、3個の不活性ガス供給管14を対応して挟んで中心軸Cから85mmの距離で120°の均等な間隔で3個配設した。
ここで、各不活性ガス供給管14は、外径を16mm(肉厚は1mmで、内径は14mm)に設定し、不活性ガス供給口14aの開口位置(不活性ガス供給管14の反応器100内における端部位置)は、反応器100の上蓋140への合わせ面からの長さL1が10mmになるように設定し、各四塩化珪素ガス供給管160は、外径を9mm(肉厚は1mmで、内径は7mm)に設定し、四塩化珪素ガス供給管160の下端を塞いで縦壁のみに径4mmで内管250の内壁に対向するように1個設けた四塩化珪素ガス供給口160aの開口位置(開口の中心位置)は、反応器100の上蓋140への合わせ面からの長さL2が500mmになるように設定し、かつ、各ショックブローガス供給管200は、外径を9mm(肉厚は1mmで、内径は7mm)に設定し、ショックブローガス供給口200aの開口位置(ショックブローガス供給管200の反応器100内における端部位置)は、反応器100の上蓋140への合わせ面からの長さL4が600mmになるように設定した。
以上の具体的構成において、反応器100の内部を外部から遮断するために、バルブ装置230のバルブ230aを閉じた状態で、まず、不活性ガス供給管14の不活性ガス供給口14aより0.83SLMの流量のArガス、四塩化珪素ガス供給管160の四塩化珪素ガス供給口160aより1.00SLMの流量のArガス、及び亜鉛ガス供給管280の亜鉛ガス供給口280aより0.84SLMの流量のArガス(計2.67SLMの流量のArガス)を反応器100の内部に吐出した。
次に、このようにArガスを反応器100の内部に供給している状態で、加熱器22を通電して、第1加熱部22aにより反応器100の対応する縦壁及びその内部の領域が1200℃になるように昇温して維持し、第2加熱部22bにより反応器100の対応する縦壁及びその内部の領域が1100℃になるように昇温して維持し、第3加熱部22cにより反応器100の対応する縦壁及びその内部の領域が1000℃になるように昇温して維持した。
次に、このように加熱器22を通電して、第1加熱部22a、第2加熱部22b及び第3加熱部22cが、反応器100の各々対応する縦壁及びその内部の領域を加熱して維持した状態で、Arガスに加えて流量が10.00SLMの亜鉛ガスを混合した混合ガスを10.84SLMの流量で亜鉛ガス供給管280の亜鉛ガス供給口280aより反応器100の内部に吐出した。同時に、不活性ガス供給管14の不活性ガス供給口14aより0.83SLMの流量のArガスを反応器100の内部に吐出しながら、四塩化珪素ガス供給管160のガスをArガスから四塩化珪素ガスに切り替えて、四塩化珪素ガス供給口160aより5.00SLMの流量の四塩化珪素ガスを反応器100の内部に吐出して、100分の間、反応させた。
次に、このように100分間反応させた後、加熱器22の通電を維持した状態で、反応の原料である四塩化珪素ガス及び亜鉛ガスの供給を停止した。その後、再び、不活性ガス供給管14の不活性ガス供給口14aより200SLMの流量のArガス、四塩化珪素ガス供給管160の四塩化珪素ガス供給口160aより200SLMの流量のArガス、亜鉛ガス供給管280の亜鉛ガス供給口280aより200SLMの流量のArガスを、反応器100の内部にそれぞれ吐出して、反応器100の内部をArガスで5分間置換した。
次に、このようにArガスで置換した後、ショックブローガス供給管200のショックブローガス供給口200aよりArガスを高圧で吐出して、ショックブローを行った。この際のショックブローの条件は、Arガスの圧力を0.4MPaとして1回のショックブロー時間を0.5秒に設定し、次のショックブローまでの間隔を3.0秒間空けて、合計15回のショックブローを実行したものである。
そして、以上の100分間の反応、5分間のArガスによる置換及びArガスによる15回のショックブローの一連の工程を合計2回繰り返した後で、反応器100の下方で連結するバルブ装置230のバルブ230aを開けて、シリコン回収槽240にバルブ230a上の堆積物を落下させ、シリコン回収槽240の中の回収物を確認したところ、針状の多結晶シリコンであった。これは、反応器100内の内管250の内壁面にシリコンが析出した後、ショックブローによって剥離されてバルブ装置230のバルブ230a上に堆積したものが回収されたものと考えられる。かかる針状の多結晶シリコンの重量を計測したところ、619.8gであり、反応に供した四塩化珪素ガスの反応率は50%であった。
以上の各実験例からは、反応器10、100の内壁面や反応器10、100の内部に装着された内管250の内壁面にシリコンが多結晶の状態で析出することが確認でき、更に実験例2から実験例8では、反応器10、100の内壁面や反応器10、100の内部に装着された内管250の内壁面に析出したシリコンをショックブローで剥離して、バルブ装置230のバルブ230aを介しシリコン回収槽240に、十分な収量で回収できることが確認できた。
なお、本発明においては、部材の種類、配置、個数等は前述の実施形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。
以上のように、本発明においては、低コストで収率よく多結晶のシリコンを生成することができ、連続的かつ効率的に多結晶のシリコンを生成して回収することも可能にする、又はその構成を実現し得る拡張性があるシリコン製造装置及びシリコン製造方法を提供することができるものであり、その汎用普遍的な性格から、太陽電池用シリコン等の製造装置に広範に適用され得るものと期待される。

Claims (13)

  1. 鉛直方向に立設する反応器と、
    前記反応器に連絡して四塩化珪素ガス供給口を有すると共に、前記四塩化珪素ガス供給口から四塩化珪素ガスを前記反応器内に供給する四塩化珪素ガス供給管と、
    前記反応器に連絡して亜鉛ガス供給口を有すると共に、前記亜鉛ガス供給口から亜鉛ガスを前記反応容器内に供給する亜鉛ガス供給管と、
    前記反応器を加熱する加熱器と、
    を備え、
    前記亜鉛ガス供給口は、前記四塩化珪素ガス供給口よりも前記鉛直方向について上方にあり、前記加熱器で、前記反応器の一部の温度をシリコンの析出温度範囲に設定しつつ、前記四塩化珪素ガス供給口から四塩化珪素ガスを前記反応器内に供給すると共に、前記亜鉛ガス供給口から亜鉛ガスを前記反応容器内に供給して、前記反応器内で四塩化珪素を亜鉛で還元して、前記反応器内において前記シリコンの析出温度範囲に設定された領域に対応した壁部にシリコンが析出するシリコン析出領域を形成するシリコン製造装置。
  2. 前記シリコン析出領域は、前記シリコンの析出温度範囲に設定された領域に対応する前記反応器の内壁面である請求項1に記載のシリコン製造装置。
  3. 前記反応器の内側に装脱自在に挿入された内管を備え、前記シリコン析出領域は、前記シリコンの析出温度範囲に設定された領域に対応する前記反応器内の前記内管の内壁面である請求項1に記載のシリコン製造装置。
  4. 前記四塩化珪素ガス供給口及び前記亜鉛ガス供給口は、前記内管の上端よりも前記鉛直方向について下方にある請求項3に記載のシリコン製造装置。
  5. 前記反応器に連絡してショックブローガス供給口を有すると共に、前記ショックブローガス供給口からショックブローガスを前記反応器内に供給するショックブローガス供給管を備え、前記ショックブローガス供給口からショックブローガスを前記反応器内に供給して、前記シリコン析出領域に析出したシリコンを剥離する請求項1に記載のシリコン製造装置。
  6. 前記ショックブローガス供給口は、前記四塩化珪素ガス供給口よりも前記鉛直方向について下方にある請求項5に記載のシリコン製造装置。
  7. 前記反応器の前記鉛直方向についての下方に連絡されたシリコン回収槽を備え、前記シリコン析出領域から剥離されたシリコンは、前記シリコン回収槽に回収される請求項5に記載のシリコン製造装置。
  8. 前記反応器と前記シリコン回収槽との間に前記反応器の内部と外部とを遮断自在なバルブを備え、前記シリコン析出領域から剥離されたシリコンは、前記バルブ上に堆積した後、前記バルブを開くことにより前記シリコン回収槽に回収される請求項7に記載のシリコン製造装置。
  9. 前記加熱器は、前記反応器における前記四塩化珪素ガス供給口から前記鉛直方向について上方の領域を前記シリコンの析出温度範囲を超える温度に加熱する加熱部と、前記反応器における前記四塩化珪素ガス供給口よりも前記鉛直方向について下方の領域を前記シリコンの析出温度範囲の温度に加熱する加熱部と、を有する請求項1に記載のシリコン製造装置。
  10. 前記反応器に前記四塩化珪素ガス供給管と同軸に連絡して不活性ガス供給口を有すると共に、前記不活性ガス供給口から不活性ガスを前記反応器内に供給する不活性ガス供給管を備え、前記不活性ガス供給口は、前記四塩化珪素ガス供給口よりも前記鉛直方向について上方にある請求項1に記載のシリコン製造装置。
  11. 前記亜鉛ガス供給管は、前記反応器の縦壁及び上蓋の少なくとも一方から前記反応器に連絡する請求項1に記載のシリコン製造装置。
  12. 前記反応器は、円筒状であり、前記亜鉛ガス供給管は、前記反応器の上蓋を介して前記反応器の内部に連絡して、前記鉛直方向における前記反応器の中心軸と同軸に延在する請求項1に記載のシリコン製造装置。
  13. 鉛直方向に立設する反応器と、
    前記反応器に連絡して四塩化珪素ガス供給口を有すると共に、前記四塩化珪素ガス供給口から四塩化珪素ガスを前記反応器内に供給する四塩化珪素ガス供給管と、
    前記反応器に連絡して亜鉛ガス供給口を有すると共に、前記亜鉛ガス供給口から亜鉛ガスを前記反応容器内に供給する亜鉛ガス供給管と、
    前記反応器を加熱する加熱器と、
    を備え、前記亜鉛ガス供給口は、前記四塩化珪素ガス供給口よりも前記鉛直方向について上方にあるシリコン製造装置を用いてシリコンを製造するシリコン製造方法であって、
    前記加熱器で、前記反応器の一部の温度をシリコンの析出温度範囲に設定しつつ、前記四塩化珪素ガス供給口から四塩化珪素ガスを前記反応器内に供給すると共に前記亜鉛ガス
    供給口から亜鉛ガスを前記反応容器内に供給して、前記反応器内で四塩化珪素を亜鉛で還元して、前記反応器内において前記シリコンの析出温度範囲に設定された領域に対応した壁部にシリコンを析出するシリコン製造方法。
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