JPWO2010134465A1 - 含フッ素結着剤 - Google Patents

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Abstract

本発明は、電極活物質、導電助剤、結着剤を微細で均質に分散可能で、得られた電極コンポジット層が高い加工性を有し、環境負荷および人体の健康を損ねる危険性の小さい、結着剤、蓄電素子の電極を製造するために用いられる水系ペーストを提供する。蓄電素子の電極を製造するために使用される電極材料の水系ペーストに配合される結着剤であり、側鎖に親水性基を有する含フッ素オレフィン共重合体または両末端に疎水性の含フッ素有機基を有する線状の親水性重合体から選ばれる、フッ素含有量が3〜60質量%、数平均分子量が1000〜1000000の重合体からなる、結着剤。

Description

本発明は、蓄電素子の電極を製造するために使用される電極材料の結着剤、該結着剤と電極材料と水とを含むペースト状組成物、および該ペースト状組成物を用いた電極の製造方法に関する。この電極は、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、ニッケル水素電池、キャパシタなどの蓄電素子の電極に使用される。
蓄電素子はモバイル機器用エネルギ源、車載用蓄放電システム・エネルギ源、電力貯蔵システム用等としてさまざまな機構・形態の素子が広く利用されている。これらの素子には、高出力、高エネルギ密度、低温下、高温下等さまざまな環境にあっても安定して使用できる信頼性、不慮の事態にも安全である等の特性が求められる。従来、それらの特性を改善するための検討は、機能を担う主たる材料の改良にあった。しかしながら材料の持つ特性を如何なく発揮できる素子構造、特に電極コンポジット構造を実現するための素子構造の検討も極めて重要である。
蓄電素子の電極は、少なくとも主たる機能を担う電極活物質、導電助剤、結着剤等のコンポジットから成る。コンポジット形成においては、粉体粒子である電極活物質と導電助剤とを可能な限り微細に、かつ、均質に分散させたうえで、出来るだけ少量の結着剤に担持する技術が、各構成材料の持てる特性を最大限に引き出すために重要となる。コンポジット形成は、各電極構成材料を媒体中に分散させたペーストを調製し、これを集電体に塗布、乾燥させることにより、行われている。ペースト調製のための媒体は、従来有機溶媒が使用されてきた。結着剤用のポリマーを少量用いて電極構成材料を担持するためには、ポリマー溶液を用いるのが好ましいと考えられていた(特許文献1)。
一方、媒体として水を用いる水性ペーストも従来から提案されており、材料面でも、設備面でも、設備稼働面でも、大きな環境負荷の低減とコスト削減が図れるものと期待された。しかしながら、通常導電助剤として使われる導電性炭素材料は疎水性であり、水への分散は極めて困難なため、水性ペーストから電池特性良好な電極を製造することは出来なかった。しかも、非水系蓄電素子にあっては水の浸入は素子特性を大きく損ねてしまうことから、むしろ製造プロセスに水を持ち込まないよう配慮されてきた。
この問題点を解消するものとして、含フッ素ポリマー水性分散液の製造に用いられる乳化剤であるパーフルオロオクタン酸アンモニウム(以下、APFOと称する。)とカルボキシメチルセルロース(以下、CMCと称する。)共存下に、導電性炭素質材料を水中に微細化させて分散させることが提案されている(特許文献2参照)。この場合、電極形成用材料が均質に分散された水性ペーストが調製できる。かかる水性ペーストから製造された電極は良好な蓄電素子特性を発現できることから、リチウム電池、リチウムイオン電池、電気二重層キャパシタ等の蓄電素子において、水性ペーストから製造された電極が採用されるようになってきた。
しかし、APFOに代表されるPFOA類(本明細書においてPFOA類とは、APFOやパーフルオロオクタンスルホン酸アンモニウムを含め、これらに近似するパーフルオロアルカン酸とその塩およびパーフルオロアルカンスルホン酸とその塩等のフッ素系界面活性剤を総称している。)は、生体内残留・蓄積性の高いことがわかった。生体内に残ったPFOA類の人体に対する毒性・危険性はまだ不明な点が多いが、自然界に無い化合物であることから極力使用しないことが要請されている。このため含フッ素ポリマー水性分散液の製造ではPFOA類を使用して乳化重合した後、得られた含フッ素ポリマーの乳化液にラウリル硫酸ナトリウムやポリオキシエチレンアルキルエーテル等の炭化水素系界面活性剤を加え安定化した後、PFOA類を除去して、PFOA類含有量の著しく少ない含フッ素ポリマー水性分散液を得る技術が開発されている。
しかしながら、PFOA類の少ない含フッ素ポリマー水性分散液を結着剤とした水性ペーストは、ペーストが異常に増粘する結果、均質な塗膜を集電体表面に塗布することができず、曲げや巻取り等の加工性に優れ、良好な蓄電素子特性を発現できる電極コンポジット層を形成することが出来ない問題があった。
特公平08−4007号公報 特公平07−40485号公報
本発明は、前記従来技術の課題を克服し、電極活物質や導電助剤などの電極材料を微細で均質に分散可能で、得られた電極コンポジット層が高い加工性を有し、環境負荷および人体の健康を損ねる危険性の小さい結着剤、該結着剤と電極材料と水とを含むペースト状組成物、および該ペースト状組成物を用いた電極の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を達成すべく鋭意研究を進めたところ、水中にあって自己組織化と呼ばれる構造を形成して水に溶解および/またはミクロ分散する含フッ素のオリゴマーおよびポリマーが、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下の構成を有する結着剤、ペースト状組成物および電極の製造方法を提供する。
[1]側鎖に親水性基を有する含フッ素オレフィン共重合体または両末端に疎水性の含フッ素有機基を有する線状の親水性重合体から選ばれる、フッ素含有量が3〜60質量%、数平均分子量が1000〜1000000の重合体からなる、電極材料の結着剤。
[2]前記含フッ素オレフィン共重合体が、テトラフルオロエチレンおよびクロロトリフルオロエチレンから選ばれる少なくとも1種のフッ素オレフィンの単位と、水酸基および−COOX基(Xは水素原子またはカチオン)から選ばれる少なくとも1種の親水性基を有する単位と、を含む共重合体である、[1]に記載の結着剤。
[3]前記親水性重合体が、水酸基および−COOX基(Xは水素原子またはカチオン)から選ばれる少なくとも1種の親水性基を有する単位を含む線状重合体鎖と、該線状重合体鎖の両末端に存在する、重合開始剤または連鎖移動剤に由来する疎水性の含フッ素有機基と、を有する重合体である、[1]に記載の結着剤。
[4]疎水性の含フッ素有機基が、炭素原子間にエーテル性酸素原子を有していてもよい炭素数3以上のパーフルオロアルキル基を有する、[1]または[3]に記載の結着剤。
[5][1]〜[4]のいずれかに記載の結着剤と、電極材料と、水とを含むペースト状組成物。
[6]さらに、ポリテトラフルオロエチレンを含む、[5]に記載のペースト状組成物。
[7]前記電極材料が、金属化合物および炭素材料からから選ばれる少なくとも1種からなる、[5]または[6]に記載のペースト状組成物。
[8]前記電極材料が、蓄電素子の電極の材料である、[5]〜[7]のいずれかに記載のペースト状組成物。
[9][5]〜[8]のいずれかに記載のペースト状組成物を集電体に塗布して乾燥する、蓄電素子の電極の製造方法。
[10]蓄電素子がリチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池または電気二重層キャパシタである、[9]に記載の電極の製造方法。
本発明の結着剤は、水中に置かれると所謂自己組織化と呼ばれる構造形成を起こして水に溶解および/または水にミクロに分散する機能を発現する。自己組織化は、近傍に配置された疎水性材料を構造内に取り込み、水に分散させる機能も有する。特に疎水性基にフッ素を含有する化合物はこの機能に優れ、導電助剤として広く使われている極めて疎水性が強く水への分散が困難とされているアセチレンブラックをも微細にして取り込み、水の中に均質に分散させる効果を有する。こうして本発明の結着剤を用いて製造されたペースト状組成物は、集電体上に塗工された後も微細化された複数の成分が均質に分散された状態を保持したまま電極コンポジット層を形成できる。得られた電極は、集電体との密着性に優れ、耐溶剤性、耐熱性に優れ、高い加工性を有し、それぞれ微細化された電極活物質、導電助剤、結着剤が均質に分散されるので、スムースな界面電荷移動反応とイオン伝導、電子伝導を担うように機能し、良好な蓄電素子特性を発現する効果を奏する。しかも、本発明のペースト状組成物には、生体内残留および蓄積性を有するPFOA類を使用する必要がない。
また本発明の結着剤は、従来から蓄電素子電極用結着剤として使用されてきた極めて疎水性の強いポリテトラフルオロエチレンやその他ポリフッ化ビニリデン、スチレンブタジエンゴム等の結着剤をも自己組織化した構造中に取り込み、水の中に微細化して均質に分散する機能も発現する。したがって本発明の結着剤は、結着剤であると同時に、水性ペーストの分散剤や安定剤として機能する効果も発現する。
本発明の結着剤はまた、親水性基が集電体との強力な密着を担うことから、少ない添加量で優れた密着性を発現する効果も有する。この効果は密着力が弱いとされてきた従来のフッ素系結着剤にも適用可能で、本発明の結着剤と併用することにより強力な密着性を付与できる効果がある。
さらに本発明の結着剤は電解質液との親和性が高いことから電解質液が電極コンポジットの奥深くまで行き渡り、急速充放電における界面電荷移動反応を滞らせたり、活性域を偏在させることがなく、高負荷特性およびパワーの発現、長い電池寿命を達成する効果も有している。
本明細書においては、アクリレートおよびメタクリレートを総称して(メタ)アクリレートと記す。(メタ)アクリル酸等についても同様に記す。
本発明の結着剤は、側鎖に親水性基を有する含フッ素オレフィン共重合体または両末端に疎水性の含フッ素有機基を有する線状の親水性重合体から選ばれる、フッ素含有量が3〜60質量%、数平均分子量が1000〜1000000の重合体からなることを特徴としている。
本発明における側鎖に親水性基を有する含フッ素オレフィン共重合体とは、含フッ素オレフィンの単位と側鎖に親水性基を有する単位を有する共重合体であり、さらに必要であれば共重合可能な他のモノマーの単位をさらに有する共重合体であってもよい。
本発明における含フッ素オレフィンは、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオリエチレン、ブロモトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ペンタフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレン等のα−オレフィン類、下記一般式(1)で表されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)類およびパーフルオロ(アルキルオキシアルキルビニルエーテル)類、1−ブロモ−1,1,2,2−テトラフルオロエチルトリフルオロビニルエーテル、その他を例示することができる。
CF=C(ORf12−n (1)
式中、Rf1は炭素数1〜18のパーフルオロアルキル基または分子内に1個以上のエーテル結合を含むパーフルオロアルキルオキシアルキル基であり、nは1または2であり、いずれの炭素鎖も直鎖状、分岐状または環状構造を有してもよい。
また、CH=CH(CFBr、CH=CHOCH(CFH、CH=CHOCH(CFH、CH=CHO(CH(CFF等の含フッ素モノマーも本発明に好適に使用できる。特に熱的にも電気化学的にも安定で耐久性に優れることから、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンが好ましい。
含フッ素オレフィン共重合体における側鎖に親水性基を有する単位は、水酸基、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基等の親水性官能基を有するモノマーやオキシエチレン連鎖等の親水性連鎖を有するモノマーの単位、これらの親水性官能基に変換しうる基を有するモノマーの単位を加水分解等の処理でこれらの基を親水性官能基に変換して得られる親水性官能基を有する単位、または親水性連鎖を導入しうる基(水酸基など)を有するモノマーの単位にエチレンオキシド等を反応させて親水性連鎖を導入して得られる単位、などである。親水性官能基に変換しうる基を有するモノマーを含フッ素オレフィンと共重合して得られる共重合体は、親水性官能基に変換しうる基を親水性官能基に変換して本発明における側鎖に親水性基を有する含フッ素オレフィン共重合体に変換する。例えば、(メタ)アクリル酸エステルなどの不飽和カルボン酸エステルの単位を有する共重合体を加水分解して、親水性である(メタ)アクリル酸単位などの不飽和カルボン酸の単位を有する共重合体を得ることができる。また、水酸基含有モノマーの単位を有する共重合体にエチレンオキシドを反応させて、側鎖にポリオキシエチレン鎖を有する共重合体を得ることができる。
具体的なモノマーとしては、以下の化合物を例示できる。
2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル等の水酸基含有アルキルビニルエーテル類。
2-ヒドロキシエチル(メタ)アリルエーテル、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アリルエーテル、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アリルエーテル、4−ヒドロキシブチル(メタ)アリルエーテル、3−ヒドロキシブチル(メタ)アリルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル(メタ)アリルエーテル、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アリルエーテル、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アリルエーテル等の水酸基含アルキルアリルエーテル類。
ビニル−2,2−ジメチルプロパノエート、ビニル−2,2−ジメチルブタノエート、ビニル−2,2−ジメチルペンタノエート、ビニル−2,2−ジメチルヘキサノエート、ビニル−2−エチル−2−メチルブタノエート、ビニル−2−エチル−2−メチルペンタノエート、ビニル−3−クロロ−2,2−ジメチルプロパノエート、その他の分岐脂肪族カルボン酸ビニル類。酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、クロトン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、アジピン酸モノビニル、コハク酸モノビニル、その他の分岐脂肪族カルボン酸ビニル類以外の各種脂肪族カルボン酸ビニル類およびその誘導体類。
シクロヘキサンカルボン酸ビニル、メチルシクロヘキサンカルボン酸ビニル、安息香酸ビニル、p−tert−ブチル安息香酸ビニル等の環状カルボン酸のビニルエステル類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類。
4−ビニルオキシカルボニルメチル−2−オキソ−1,3−ジオキソラン、4−メチル4−ビニルオキシカルボニルメチル−2−オキソ−1,3−ジオキソラン、4−(1−プロペニル)オキシカルボニルメチル−2−オキソ−1,3−ジオキソラン、4−メチル−4−(1−プロペニル)オキシカルボニルメチル−2−オキソ−1,3−ジオキソラン、4−ビニルオキシメチル−2−オキソ−1,3−ジオキソラン、4−メチル−4−ビニルオキシメチル−2−オキソ−1,3−ジオキソラン、4−(1−プロペニル)オキシメチル−2−オキソ−1,3−ジオキソラン、4−メチル−4−(1−プロペニル)オキシメチル−2−オキソ−1,3−ジオキソラン等の2−オキソ−1,3−ジオキソラン基含有ビニルモノマー類。
ポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、ペンテン酸、ヘキセン酸、ヘプテン酸、オクテン酸、ノネン酸、デセン酸、ウンデセン酸、3−アリルオキシプロピオン酸、アリルオキシ吉草酸、(メタ)アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アクリル酸ブチル−4−スルホン酸、(メタ)アクリロオキシベンゼンスルホン酸、ブチルアクリルアミドスルホン酸、2−アクリル−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ホスホオキシエチル(メタ)アクリレート、ホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ホスホオキシポリポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、リン酸ビニル、リン酸アリル、リン酸プロペニル、アクリルアミドおよびそれらの誘導体類等。
特に、側鎖に親水性基を有する単位としては水酸基および−COOX基(Xは水素原子またはカチオン)から選ばれる少なくとも1種の親水性基を側鎖に有する単位が好ましい。この単位は、水酸基を有するモノマー、−COOH基を有するモノマー、加水分解により水酸基になりうる基を有するモノマー、加水分解により−COOH基になりうる基を有するモノマーを使用して得られる。また、共重合体中の−COOH基の水素原子をカチオンに変換することによりXがカチオンである−COOX基を有する単位とすることができる。なお、共重合体製造後に親水性官能基に変換しうる基を親水性官能基に変換する場合、親水性官能基に変換しうる基のすべてを親水性官能基に変換する必要はない。
以上のモノマーの親水性基は重合体中にあっては通常はノニオンまたはアニオンであるが、重合後に親水性基をカチオンに変換して用いることも可能である。また、通常カチオン性或いは簡便な処理でカチオンとなる共重合性モノマーも使用できる。例えばN−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート類、アルキルアミノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、アルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド類、アジリジニエチル(メタ)アクリレート、ピロリジニエチル(メタ)アクリレート、ピペリジニエチル(メタ)アクリレート、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、アリルアミン、ビニルアミンおよびそれらの誘導体類等を例示できる。
含フッ素オレフィン共重合体は、上記2種のモノマーの単位以外に他のモノマーの単位を有していてもよい。他のモノマーとしては、一般式(2):CH=CHOR(式中、Rは炭素数1〜18のアルキル基またはエーテル結合を1個以上含むアルキルオキシアルキル基であり、いずれの炭素鎖も直鎖状、分岐状または環状構造を有しても良く、部分的にフッ素以外のハロゲンで置換されたアルキルオキシアルキル基であっても良い。)で表されるアルキルビニルエーテル類およびアルキルオキシアルキルビニルエーテル類、エチレン、プロピレン、ブテン−1、塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、シアノスチレンなどを用いることができる。他のモノマーとしては、特に上記一般式(2)で表わされるモノマーが好ましい。
また、下記一般式(3)で表されるモノマーなどのエポキシ基含有モノマーも用いることができる。
Figure 2010134465
ただし、式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、Rは炭素数1〜18のアルキル基、Rは炭素数1〜18アルキル基、またはエポキシシクロヘキサンメチレン基である。aは0〜10の整数、bは0〜5の整数、cは0または1であり、aが1〜10のときbは0、bが1〜4のときaは0である。
本発明における側鎖に親水性基を有する含フッ素オレフィン共重合体は、フッ素含有量が3〜60質量%である。より好ましくは、10〜55質量%である。親水性基を有する単位は、分散性を発揮するために少なくとも10モル%以上が必要であり、全単位に対して10〜50モル%が好ましい。
数平均分子量Mは、ポリスチレンを標準物質としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCという。)で測定される値である。本発明の側鎖に親水性基を有する含フッ素オレフィン共重合体のMは、1000〜1000000が好ましく、1500〜600000がより好ましい。Mが1000以上であると良好な密着性を発現でき、しかも人体への蓄積性が小さくなることから好ましい。またMが1000000を超えても本発明に有用な特性が顕著に高まることはなく、むしろ取扱に困難さが増す場合が多い。したがってMは1000000以下であるのがより好ましい。
本発明における共重合体の製造には、特に限定されず、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊状重合等、従来知られている種々の製法を用いることができる。好ましくは、上記溶液重合、および乳化重合である。
重合開始剤には、ベンゾイルパーオキサイドやアセチルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、メチルエチルケトンパーオキサイドやシクロヘキサノンパーオキサイド等の各種ケトンパーオキサイド類、過酸化水素やクメンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、ジブチルパーオキサイドやジクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類、ブチルパーオキシアセテートやブチルパーオキシピバレート等のアルキルパーオキシエステル類、アゾビスイソブチロニトリルやアゾビスイソバレロニトリル等のアゾ系化合物類、或いは過硫酸カリウムや過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩類を用いることができる。
重合開始剤の使用量は、使用する重合開始剤の種類や重合条件等に依存して決定されるが、通常はモノマーの総量に対して0.1〜0.5質量%ほどであるのが一般的であり、本発明にも好ましく用いられる。
重合温度は用いる開始剤の種類により決定されることが多いが、通常は10℃〜90℃であるのが取り扱い容易であり、好ましい。重合圧力は通常0〜100kg/cm・Gであるが、好ましくは1〜50kg/cm・Gであるのが操作容易であることから一般的である。
重合に用いる溶媒には、各種モノマーや重合開始剤、または乳化剤が溶ければ特に限定されず、例えば、下記の溶媒を例示できる。また、これらの溶媒を単独で、或いは2種以上を併用した混合媒体として好ましく使用することができる。
ベンゼン、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素類。ヘプタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素類。シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素類。
メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類。
ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、イソプロピルエーテル等のエーテル類。アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類。酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルアセテート等のエステル類。
クロロホルム、メチレンクロライド、四塩化炭素、クロロジフルオロメタン、トリクロルエタン、テトラクロルエタン、テトラフルオロエタン、クロロペンタフルオロエタン、ジクロロペンタフルオロプロパン、トリフルオロメトキシジフルオロエチルエーテル、ジフルオロエチルエーテル、メチルクロロヘキサフルオロプロピルエーテル等のハロゲン化炭化水素類。
ミネラルスピリット、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、エチレンカーボネート、水等。
本発明における両末端に疎水性の含フッ素有機基を有する線状の親水性重合体は、親水性基を有する単位を含む線状重合体鎖と、該線状重合体鎖の両末端に存在する、重合開始剤または連鎖移動剤に由来する疎水性の含フッ素有機基を有する重合体である。
前記線状重合体鎖の両末端に存在する、重合開始剤に由来する疎水性の含フッ素有機基には、入手し易く比較的取り扱い容易であることから下記一般式(4)で表される過酸化フルオロアルカノイルが好ましい。
f6C(=O)OOC(=O)Rf7 (4)
(式中、Rf6およびRf7は、炭素原子間にエーテル性酸素原子を有していてもよい炭素数3以上のパーフルオロアルキル基、または炭素原子間にエーテル性酸素原子を有していてもよい炭素数3以上かつフッ素原子の一部が水素原子か塩素原子に置き換えられた含フッ素アルキル基であり、いずれの炭素鎖も直鎖状、分岐状または環状構造を有しても良い。)特に好ましくは、炭素原子間にエーテル性酸素原子を有していてもよい炭素数3以上のパーフルオロアルキル基である。
過酸化フルオロアルカノイルの製造は、水酸化ナトリウム等のアルカリを加えた含フッ素溶媒中でフルオロアルキル基を持つハロゲン化アシルと過酸化水素水を反応させる公知の方法により容易に得ることができる。具体的には、過酸化ジパーフルオロブチリル、過酸化ジパーフルオロヘプタノイル、過酸化ジパーフルオロ−2−メチル−3−オキサヘキサノイル、過酸化ジパーフルオロ−2−メチル−3−オキサノナノイル、過酸化ジパーフルオロ−2,5−ジメチル−3,6−ジオキサノナノイル、過酸化ジパーフルオロ−2,5,8−トリメチル−3,6,9−トリオキサドデカノイル、その他を例示でき、いずれも本発明の重合開始剤として好適に用いることができる。
親水性基を有する単位を含む線状重合体鎖における親水性基を有する単位は、前記含フッ素オレフィン共重合体における側鎖に親水性基を有する単位と同様の単位である。この単位は前記のようにラジカル重合性モノマーの単位またはラジカル重合性モノマーの単位を変性して得られた単位である。さらに、線状重合体鎖は、オキシエチレン基などの親水性単位を有する線状重合体鎖(例えば、ポリオキシエチレン鎖)であってもよい。親水性基を有する単位を含む線状重合体鎖は、ラジカル重合性モノマーの単位やそれを変性して得られた単位を有することが好ましい。また、親水性基を有する単位を含む線状重合体鎖は、親水性基を有する単位以外の単位を有していてもよい。
親水性基を有する単位を含む線状重合体鎖における親水性基を有する単位としては、特に、水酸基および−COOX基(Xは水素原子またはカチオン)から選ばれる少なくとも1種の親水性基を有する単位が好ましい。この単位は、水酸基を有するモノマー、−COOH基を有するモノマー、加水分解により水酸基になりうる基を有するモノマー、加水分解により−COOH基になりうる基を有するモノマーを使用して得られる。また、線状重合体中の−COOH基の水素原子をカチオンに変換することによりXがカチオンである−COOX基を有する単位とすることができる。なお、重合体製造後に親水性官能基に変換しうる基を親水性官能基に変換する場合、変換後の重合体が充分な親水性となる限り、親水性官能基に変換しうる基のすべてを親水性官能基に変換する必要はない。
前記線状重合体鎖の両末端に存在する、連鎖移動剤に由来する疎水性の含フッ素有機基には、ポリフルオロアルキル基を有するチオール類等が用いることができる。例えば、炭素数1〜14のポリフルオロメルカプタン等が挙げられる。
本発明における両末端に疎水性の含フッ素有機基を有する線状の親水性重合体のMは、1000〜1000000が好ましく、1500〜100000がより好ましい。Mが1000以上であると良好な密着性を発現でき、しかも人体への蓄積性が小さくなることから好ましい。またMが1000000を超えても本発明に有用な特性が顕著に高まることはなく、むしろ取扱に困難さが増す場合が多い。したがってMは1000000以下であるのがより好ましい。
本発明における両末端に疎水性の含フッ素有機基を有する線状の親水性重合体は、フッ素含有量が3〜60質量%である。より好ましくは、10〜55質量%である。また、親水性基を有する単位は、分散性を発揮するために全重合単位に対して少なくとも35モル%以上が必要であり、35〜99モル%が好ましい。
本発明における両末端に疎水性の含フッ素有機基を有する線状の親水性重合体において、過酸化フルオロアルカノイルのモル比が高ければ分子量の小さい親水性重合体が得られ、逆に過酸化フルオロアルカノイルのモル比が低ければ分子量の大きい親水性重合体をえることができる。ラジカル重合性モノマーは2種以上のモノマーを組み合わせて用いることができる。2種以上の過酸化フルオロアルカノイルを混合して使用することも可能であるが、過酸化フルオロアルカノイルは種類によって分解開始温度が違うため実用的ではない。反応温度は使用する過酸化フルオロアルカノイルにも依存するが、通常は−20℃〜150℃、好ましくは0℃〜100℃の範囲の常圧であるのが比較的簡便な設備で行えることから望ましい。反応時間は通常30分〜50時間であるが、1〜10時間とするのが実用的である。
過酸化フルオロアルカノイルとラジカル重合性モノマーを無溶媒下で反応させることによって本発明における親水性重合体を得ることができる。しかしながら反応を反応開始から終了まで安定して制御しやすいことから、有機溶媒等を反応溶媒に用いることが好ましい。反応溶媒としては、前記重合溶媒に提示した一連の溶媒、その他が挙げられ、それらの単独或いは2種以上の任意の混合溶媒として使用することができる。
過酸化フルオロアルカノイルとラジカル重合性モノマーとを反応させて得られた重合体はそのまま本発明の結着剤として使用することもできる。しかし選択したラジカル重合性モノマーによっては、酸処理やアルカリ処理を施すことにより水への分散性がさらに高められる。使用可能な酸としては無機酸や有機酸のいずれも使用可能である。例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、クエン酸、ホウ酸、フッ酸、酢酸、酪酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等を例示できる。アルカリとしても無機アルカリや有機塩基が使用可能である。例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ピリジン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ルチジン、トリエタノールアミン等を例示できる。酸処理およびアルカリ処理は、通常酸やアルカリの溶液を用いて行われるのが反応を制御し易いことから好ましい。これら溶液に用いる溶媒としては、水、メタノール、エタノール、キシレン、トルエン、ベンゼン、アセトニトリル等の汎用有機溶剤が挙げられる。酸またはアルカリの使用量は、前記重合体の1重量部に対して0.01〜1000重量部であるのが好ましい。反応温度は−20℃〜250℃、反応時間は1分〜48時間の範囲であるのが制御し易いことから好ましい。
前記含フッ素オレフィン共重合体および前記親水性重合体は、前記のモノマー類、重合開始剤類、重合媒体類、その他の全量を反応容器に仕込み、共重合させることにより製造できる。さらにモノマー類の一部或いは他のモノマー類や重合開始剤類等を分割して、或いは逐次に、或いは連続して反応容器に供給しながら共重合させることによっても製造できる。生成した共重合体が重合溶媒に溶解しないこともしばしば観察されるが、本発明の結着剤として使用するに全く支障ない。
本発明の結着剤は、前記重合体の水溶液或いは水性分散液として供される。重合溶媒或いは重合分散媒が水であると、重合後の重合体水溶液や重合体水性分散液をそのまま本発明の結着剤として使用することができる。一方、有機溶媒を重合溶媒或いは重合分散媒とする重合方法も広く用いられている。かかる有機溶媒を媒体とする溶液或いは分散液の場合は、水を媒体とする溶液或いは分散液に変換することにより本発明の結着剤として使用することができる。有機溶媒を媒体とする溶液或いは分散液を水媒体の溶液或いは分散液に変換する手法も公知であり、本発明に適用可能である。例えばはじめに有機媒体の溶液或いは分散液に水を加えて混合せしめた溶液或いは分散液を調製し、続いて有機媒体を減圧留去等の手法で除去することにより水媒体の溶液或いは分散液に変換でき、本発明にも好適に用いられる。
水への溶解性や水への分散性を高めるには、例えばカルボキシル基含有重合体の場合、カルボン酸型であるよりその塩等に中和された型である方が有効である。しかしカルボキシル基を有するモノマーの場合、一般的に中和型モノマーは重合反応性が低い。そこで共重合しやすいカルボン酸型モノマーや水酸基含有モノマーを用いることで広範な組成の共重合体を得ることが可能となる。こうして得られた重合体を有機溶媒中で変性して本発明の結着剤とすることも可能である。
水酸基を含有する共重合体はそれ自体親水性であったり集電体との密着性を高めたり等の好ましい特性を発現するといった特徴がある。しかし水酸基の少なくとも一部を酸変性させることによりさらに親水性が高まり、水への溶解性や分散性を高めることができる。酸変性とは水酸基に二塩基性酸の無水物を反応させてエステル化すること等により成される。二塩基性酸無水物としては無水コハク酸、無水グルタル酸、無水イタコン酸、無水アジピン酸、無水シクロヘキサンジカルボン酸、無水シクリヘキセンジカルボン酸、無水フタル酸、無水ナフタル酸、無水マレイン酸、その他等を例示でき、本発明に好ましく用いられる。
エステル化のための溶媒としては重合反応に用いた有機溶媒そのものでも、また水酸基含有の結着剤や二塩基性酸無水物の溶解性を考慮して選択されるその他の溶媒を追加することも可能である。エステル化の工程では触媒を併用することも可能である。触媒としては一般にカルボン酸の金属塩類、アルカリ金属水酸化物類、アルカリ金属炭酸塩類、4級アンモニウム塩類、3級アミン類等が用いられる。エステル化温度は室温〜150℃の範囲で行われるが、通常は反応制御しやすい50〜100℃で行われるのが一般的である。反応時間も温度と触媒に依存するが、同様の理由から通常は数分〜数時間であるのが一般的である。
カルボン酸の中和はカルボキシル基含有の重合体に塩基性化合物を反応させて行うことができる。本発明においても広範な塩基性化合物の中から自由に選択して使用することができるが、形成された電極コンポジット中へ残留し難いことから、アミン類やイミン類等から選択して用いるのが特に好ましい。かかる塩基性化合物としては、下記の化合物を例示できる。モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミン等の1級、2級若しくは3級アルキルアミン類。モノイソプロパノールアミン、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、メチルジエタノールアミン等のアルカノールアミン類。エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のジアミン類。エチレンイミン、プロピレンイミン等のアルキレンイミン類。アンモニア、ピペラジン、モルホリン、ピラジン、ピリジン。
中和反応はカルボキシル基含有の結着剤の有機分散液に塩基性化合物或いは塩基性化合物の溶液を添加することで成される。中和する含フッ素オレフィン共重合体中のカルボキシル基の割合は、一般的には30〜100モル%であるが、水への溶解性或いは分散性をより高められることから50〜100モル%であるのが好ましい。
重合体の媒体が有機溶液或いは有機分散液の場合、次に水性の溶液或いは分散液に変換されて本発明の結着剤に適用される。水性溶液或いは水性分散液への変換は、前述の通り重合体の有機溶液或いは有機分散液に水を加えて溶解或いは分散させた後、有機溶媒を減圧留去することにより、重合体の水性溶液或いは水性分散液に変換することができる。有機溶媒の除去は50〜100質量%であるのが一般的であるが、好ましくは90〜100質量%であるがより好ましい。
本発明の結着剤は、単独または他の結着剤と併用して用いることができる。単独で用いる場合は、結着剤の親水性基が電解質と親和し、電極コンポジット内への電解質供給がスムースに進行することから好ましい。他の結着剤としては、フッ素の含有にかかわらず、結晶性樹脂や非晶性樹脂、ゴム、エラストマー等のポリマーを用いることができる。例えば、フッ素を含有しないポリマーとしては天然ゴム類、スチレンブタジエン共重合体、アクリル変性スチレンブタジエン共重合体、酢酸ビニル共重合体、ニトリルブチルゴム、水素化ニトリルブチルゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリン、ポリウレタン等の合成ゴム・エラストマー類、(メタ)アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ナイロン、ポリイミド等の合成樹脂類等を用いることができる。
本発明における他の結着剤としては、含フッ素ポリマーがより好ましい。含フッ素ポリマーとしては、含フッ素モノマーなどを重合して得られる含フッ素ポリマーであれば、特に制限はない。含フッ素モノマーとしては、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、前記一般式(1)で表されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)類およびパーフルオロ(アルキルオキシアルキルビニルエーテル)類、クロロトリフルオロエチレンから選ばれる少なくとも1種か2種以上の組み合わせの含フッ素モノマーが挙げられる。
好ましくは、粉体の結着性に優れ、イオンの移動を妨げることのない、テトラフルオロエチレンの重合より得られるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)がよい。
また、含フッ素モノマー以外に、前記一般式(2)で表されるアルキルビニルエーテル類およびアルキルオキシアルキルビニルエーテル類、エチレン、プロピレン等の共重合性モノマーの1種または2種以上を共重合させてもよい。
その他に、共重合性モノマーとしては1−ブロモ−1,1,2,2−テトラフルオロエチルトリフルオロビニルエーテル、クロトン酸ビニル、(メタ)アクリル酸ビニル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、マレイン酸、イタコン酸等が例示できる。本発明にはこれらモノマーから得られた含フッ素結晶性ポリマー、含フッ素非晶性ポリマーをそれぞれ単独或いは2種以上を併用して使用することができる。
本発明の電極材料の結着剤は、前記含フッ素オレフィン共重合体および前記親水性重合体からなる。この電極材料は、蓄電素子の正極又は負極を製造するために使用される材料である。本発明の電極材料の結着剤は、電極材料と液状媒体とを含むペースト状組成物を製造するための結着剤として適している。特に、電極材料と水性媒体とを含むペースト状組成物を製造するための結着剤として適している。本発明は、また、上記電極材料の結着剤と電極材料と水とを含むペースト状組成物である。以下、特に水性媒体を含むことを特徴とする、結着剤と電極材料と水性媒体とを含むペースト状組成物を水系ペーストともいう。
電極材料には、金属化合物および炭素材料から選ばれる電極活物質または導電助剤を適宜用いることができる。
本発明における電極活物質としては、例えば、リチウム電池類の正極電極活物質としては、一般的には金属酸化物類、金属硫化物類、導電性有機化合物類等が用いられる。特にリチウム金属複合酸化物やリチウム金属フォスフォオリビン類等の金属酸化物類は、安定した電池特性を長期に亘って発現できることから好ましい。これらの金属酸化物類は、Liと他の1種の金属の複合酸化物として使用されることもあるが、Liと他の複数の金属からなる複合酸化物としても用いられる。例えばリチウムニッケル複合酸化物類であると、LiNiOをそのままリチウムイオン電池の正極とすることはほとんど無く、リチウムやニッケルの一部をCo、Mn、Al、B、Cr、Cu、F、Fe、Ga、Mg、Mo、Nb、O、Sn、Ti、V、Zn、Zr、その他等の中から選ばれる1種或いは複数の元素で置き換えられた材料が好ましい。
リチウム電池類の負極電極活物質としては、黒鉛系炭素、非黒鉛系炭素或いは金属系等の材料が好ましく適用できる。例えば炭素材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛、石炭系コークス、石油系コークス、石炭系ピッチ炭化物、石油系ピッチ炭化物、ニードルコークス、ピッチコークス、ファーネスブラック、アセチレンブラック、炭素繊維等が好適に用いられる。また、フェノール樹脂やセルロース等の炭化物およびこれら炭化物の部分黒鉛化物も好適に用いられる。スズ系、シリコン系、チタン系、金属窒化物、リチウム、リチウム合金等の金属系も好適に用いられる。さらにリチウムチタン複合酸化物、その他の酸化物系も好適に用いられる。
電気二重層キャパシタ用電極活物質としては活性炭が好適に用いられる。負荷特性や静電容量を高める目的からホウ酸処理を施した活性炭等の改質された活性炭も好適に用いられる。
ニッケル水素電池用電極活物質としては、正極にニッケル水酸化物やコバルト酸化物を複合化させたニッケル水酸化物が、負極にニッケル系やチタン系水素吸蔵合金が好適に用いられる。
電極活物質の平均粒径は、通常0.05〜500μmが好ましく、0.1〜100μmがより好ましい。ペースト状組成物において、ペースト状組成物中の、電極活物質の含有量に制限はないが、一般的にはペースト状組成物全体量に対して5〜65質量%が好ましく、20〜55質量%がより好ましい。5質量%より少なくても形成された電極自体に特性上の不具合は無いが、生産性が低く非効率であることから好ましくない。
本発明における有効な導電助剤としては、天然黒鉛、人造黒鉛等のグラファイト類、サーマルブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック類およびケッチェンブラック、ニードルコークス、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、カーボンナノコイル等が好適に用いられる。導電助剤の平均粒径は、通常3〜1000nmが好ましく、5〜200nmがより好ましい。繊維状カーボン材料の場合は、長さ100μm以下であるのが取扱容易であることから好ましい。ペースト状組成物における導電助剤の含有量は、電極活物質の種類やその特性に応じて決定されるものであるが、導電助剤の含有量は、通常は電極活物質量に対して0.01〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜12質量%である。
蓄電素子の特性を担う主たる材料は電極活物質である。したがって蓄電容量に寄与しない電極活物質以外の材料は求められる機能を発現できる最小量の添加が好ましい。
本発明のペースト状組成物には、その他にメチルセルロース類、カルボキシメチルセルロース類、クラウンエーテル類、デキストリン類、水溶性食物繊維類等の、ペースト状組成物の分散安定剤および/または増粘剤を混合してもよい。分散安定剤および/または増粘剤の混合量は、ペースト状組成物の全体量に対して0.01〜10質量%が好ましい。
水系ペースト(すなわち、水性媒体を含むペースト状組成物)に用いられる水性媒体としては、イオン交換水などの水のみでもよいが、電極コンポジットと集電体間の密着性を高める目的から、水性媒体として、水に、水より沸点の高い水溶性化合物を添加した水性媒体を用いることができる。水より沸点の高い水溶性化合物としては、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホン、N−メチルピロリドン、エチレングリコール類、プロピレングリコール類、グリセリン等の有機溶媒を例示できる。有機溶媒の含有割合は、通常、水と有機溶媒の合計量に対して0〜50質量%が好ましく、0〜20質量%がより好ましい。また、水系媒体の含有割合は、水系ペーストの全体量に対して30〜90質量%が好ましく、40〜75質量%がより好ましい。
本発明の水系ペーストの製造は、結着剤、電極活物質、導電助剤および水性媒体を、さらに、必要に応じて上記他の成分を混合することにより、行う。なお、結着剤として水性分散液や水溶液を用いる場合、既に水性媒体が含まれているので、別の水性媒体を加えなくてもよいし、別の水性媒体を追加してもよい。
本発明の水系ペーストを用いた蓄電素子電極の製造方法は、何ら制限されることはなく、通常の汎用手法やその他の手法を用いて製造することが可能である。しかしながら水に容易に溶解或いは分散できる特性を活かせることから水性プロセスを用いた電極の製造方法であるのが好ましい。水性プロセスにおいては電極を構成する全ての材料を水媒体に分散させた水系ペーストを形成して均質に混合し、集電体上に塗布乾燥させた電極コンポジットを形成して蓄電素子用電極が製造される。電極コンポジットを形成するための結着剤の含有量は電極活物質の種類やその特性に応じて決定されるものであるが、電極活物質量に対して0.01〜15質量%であるのが一般的であり、本発明の結着剤も同様である。結着剤が0.01質量%より少ないと、カーボン等導電助剤や活物質を均質に配置された電極コンポジット形成が困難となったり、電極を形成できても均質な配置を維持できず好ましい蓄電素子特性を発現できない。一方結着剤が15質量%を超えても電極形成に顕著な不具合は見られないが、含有量に見合う効果はなく、むしろ蓄電機能を有さない材料の高い含有量は蓄電素子特性を低下させる。蓄電素子の特性を担う主たる材料は電極活物質である。したがって蓄電容量に寄与しない電極活物質以外の材料は求められる機能を発現できる最小量の添加が好ましい。より好ましくは0.1〜12質量%である。
ペースト状組成物から蓄電素子電極を形成する方法としては、例えば集電体に本発明のペースト状組成物を塗布し、乾燥し、熱処理する方法が挙げられる。集電体への塗布に好ましい水系ペーストの粘度は、塗布方法にも依存するが、一般には100〜10000mPa・Sが好ましいとされている。粘度が100mPa・Sより小さいと塗膜の形態保持が困難となることがあり、膜厚を制御し難くなることから好ましくない。一方、粘度が10000mPa・Sよりも大きいと塗膜に凹凸を生じて均一成形し難くなることから好ましくない。水系ペーストの粘度は、より好ましくは300〜8000mPa・Sであり、さらに好ましくは500〜6000mPa・Sである。これらの範囲であれば、膜厚制御が容易であり均質な塗膜を形成できる。
集電体としては、リチウムイオン電池の正極にアルミニウム箔、負極に銅箔やアルミニウム箔、キャパシタ電極にはアルミニウム箔、ニッケル水素電池電極にはニッケル箔やニッケルメッシュ等が用いられる。本発明の水系ペーストからは、これらいずれの集電体にも良好な電極コンポジット層を形成できる。その他の集電体上にも良好な塗膜を形成できる。
本発明の水系ペーストは、蓄電素子の電極コンポジット層形成に好適である。蓄電素子としては、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、リチウム一次電池といったリチウム電池類やニッケル水素電池等の一次、二次電池類、電気二重層キャパシター等のキャパシタ類が好適である。
本発明の結着剤を用いて製造されたコンポジット電極は、上述のとおり電極活物質、導電助剤、結着剤、その他のコンポジット構成成分を微細に均質に配置した構造を実現できることから、スムースな電荷移動反応を発現できる。こうした特長を持つ蓄電素子は、大きな充放電容量と高いエネルギ密度を持ち、優れたサイクル特性、高負荷特性、低温特性、高温特性、安全性を実現できる。特にパワーの取れるエネルギ密度および高負荷特性と、信頼性の高い安全性を両立できることから、中・大型素子においても高出力、高エネルギ密度、高い信頼性と安全性を実現できる。
以下に実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
(1)側鎖に親水性基を有する含フッ素オレフィン共重合体の水性分散液(A)の合成
250mLの耐圧重合槽にエチルビニルエーテル(以下EVEと称する。)3.1g、シクロヘキシルビニルエーテル(以下CHVEと称する。)26.9g、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル(以下HBVEと称する。)19.8g、メチルエチルケトン(以下MEKと称する。)67g、t−ブチルパーオキシピバレート0.6gを仕込み、冷却して脱気後窒素ガス加圧する操作を繰り返して溶存空気を除去した後、テトラフルオロエチレン(以下TFEと称する。)50.3gを仕込んで、50℃にて重合反応を行い、24時間後残圧パージして重合反応を終了した。次にマグネシウムとアルミニウムの複塩からなるキョーワード500SH(マグネシウムとアルミニウムの複塩からなるハイドロタルサイト、協和化学工業株式会社製)2gを加えて室温で30分間撹拌した後固形分を除去したら、ポリマー濃度60.3質量%の溶液が得られた。このポリマーのフッ素含有量は29.5質量%、数平均分子量は10000であった。
このポリマー溶液166gに無水コハク酸1.8gとトリエチルアミン0.05gを加え、70℃にて6時間エステル化させた後、トリエチルアミン1.3gを加え、30℃にて20分間撹拌してカルボン酸を部分中和した。続いてイオン交換水145gを撹拌しながらゆっくり加えた後、MEKを減圧留去してポリマー濃度40.5質量%の含フッ素共重合体水溶液(A)を得た。なお水溶液(A)に残存するMEKは、ガスクロマトグラフ分析から水溶液の総量に対して0.3質量%未満であった。
(2)側鎖に親水性基を有する含フッ素オレフィン共重合体の水性分散液(B)の合成
250mLの耐圧重合槽にEVE10.3g、CHVE16.7g、HBVE15.4g、10−ウンデセン酸(以下UDAと称する。)4.9g、MEK67g、t−ブチルパーオキシピバレート0.6g、キョーワード500SH2gを仕込み、冷却して脱気後窒素ガス加圧する操作を繰り返して溶存空気を除去した後、クロロトリフルオロエチレン(以下CTFEと称する。)52.2gを仕込んで、50℃にて重合反応を行い、24時間後残圧パージして重合反応を終了し、固形分を除去したら、ポリマー濃度60.3質量%の溶液が得られた。このポリマーのフッ素含有量は20.2質量%、GPCによるポリスチレン換算数平均分子量は11000であった。
このポリマー溶液167gにトリエチルアミン1.85gを加えて中和し、イオン交換水145gを撹拌しながらゆっくり加えた。続いてMEKを減圧留去し、ポリマー濃度40質量%の含フッ素共重合体水溶液(B)を得た。この水溶液(B)に残存するMEKは水溶液の総量に対して0.4質量%未満であった。
(3)両末端に疎水性の含フッ素有機基を有する線状の親水性重合体水溶液(C)の合成
酢酸ビニル1.7gとアクリル酸4.3gの混合液に、一般式(4)におけるRf6およびRf7が−CF(CF)OCFCF(CF)O(CFFである過酸化フルオロアルカノイル9.9gを溶解させた300gのジクロロペンタフルオロプロパン(商品名:アサヒクリンAK225(旭硝子社製))溶液を加えて、窒素気流下の30℃にて反応させた。7時間後、生成物をメタノールに溶解させた後ヘキサン中に析出させて精製し、乾燥後、得られた精製物のメタノール溶液に40質量%の水酸化ナトリウム水溶液9.5mlをゆっくり滴下させたら白色の沈殿物が得られた。この白色沈殿物をメタノール洗浄し、乾燥させたら、分子鎖両末端に−CF(CF)OCFCF(CF)O(CFFを持つビニルアルコールとアクリル酸(モル比1対2)の共重合体であってフッ素含有量5.9質量%、数平均分子量11000の含フッ素共重合体5.3gが得られた。これを純水に溶解させたら、ポリマー濃度2.6質量%の含フッ素共重合体水溶液(C)の202gが得られた。
(4)両末端に疎水性の含フッ素有機基を有する線状の親水性重合体水溶液(D)の合成
アクリル酸4.5gに、一般式(4)におけるRf6およびRf7が−CF(CF)O(CFFである過酸化フルオロアルカノイル14.9gを溶解させた300gのジクロロペンタフルオロプロパン(商品名:アサヒクリンAK225)溶液を加えて、窒素気流下の30℃にて反応させた。7時間後、生成物をメタノールに溶解させた後ヘキサン中に析出させて精製し、乾燥させたら分子鎖両末端に−CF(CF)O(CFFを持つポリアクリル酸であってフッ素含有量29.2質量%、数平均分子量1950の含フッ素共重合体5.2gが得られた。これを純水に溶解させたら、ポリマー濃度5.1質量%の含フッ素共重合体水溶液(D)の101gが得られた。
(5)両末端に疎水性の含フッ素有機基を有する線状の親水性重合体水溶液(E)の合成
酢酸ビニル3.0gとアクリル酸9.9g、一般式(4)におけるRf6およびRf7が−CF(CF)O(CFFである過酸化フルオロアルカノイル6.5g、40質量%の水酸化ナトリウム水溶液を18ml用いたことを除き、例(3)と同様に処理したら分子鎖両末端に−CF(CF)O(CFFを持つビニルアルコールとアクリル酸(モル比1対3)の共重合体であってフッ素含有量2.5質量%、数平均分子量17000の含フッ素共重合体4.5gが得られた。これを純水に溶解させたら、ポリマー濃度2.1質量%の含フッ素共重合体水溶液(E)の210gが得られた。
(6)両末端に疎水性の含フッ素有機基を有する線状の親水性重合体水溶液(F)の合成
アクリル酸1.5g、一般式(4)におけるRf6およびRf7が−CF(CF)O(CFFである過酸化フルオロアルカノイルを21.5g用いたことを除き、例(4)と同様に処理したら分子鎖両末端に−CF(CF)O(CFFを持つポリアクリル酸であってフッ素含有量63.3質量%、数平均分子量900の含フッ素共重合体7.7gが得られた。これを純水に溶解させたら、オリゴマー濃度30.2質量%の含フッ素共重合体水溶液(G)の25gが得られた。
(7)ポリテトラフルオロエチレン水性分散液(G)の調製
100Lの耐圧重合槽にパラフィンワックス736g、超純水59L、APFO15gを仕込んだ。70℃に昇温後、窒素パージしてから脱気し、撹拌しながらTFEを内圧1.9MPaまで導入した。これに0.5質量%ジコハク酸パーオキシド水溶液の1Lを圧入して重合開始した。重合はTFEを供給しながら重合圧力1.9MPaに保持して45分間行った後、90℃まで昇温して2.5質量%のAPFO水溶液1Lを加え、95分間継続した。得られた乳濁液から凝集物やパラフィン等を除去し、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと称する。)含有量26.0質量%、APFO含有量0.05質量%の水性分散液25.1kgを得た。
この水性分散液に0.2kgのポリオキシエチレン(平均重合度9)ラウリルエーテルを主成分としたノニオン界面活性剤を加えて溶解させ、0.3kgのアニオン交換樹脂(三菱化学製ダイアイオンWA−30)を分散させて24時間撹拌後、ろ過してアニオン交換樹脂を取り除いた。ろ液に28質量%アンモニア水0.04kgを加え、相分離法により80℃にて10時間濃縮し、上澄み液を除去した後15gのパーフルオロへキサン酸アンモニウム(以下APFHと称する。)を新たに加えて、PTFE含有量59.7質量%、APFH含有量0.15質量%、APFO含有量0.01質量%のPTFE水性分散液(G)10.5kgを得た。
(8)TFE−プロピレ共重合体水性分散液(H)の調製
3Lの耐圧重合槽にイオン交換水1.5L、リン酸水素二ナトリウム12水和物40g、水酸化ナトリウム0.5g、第3級ブタノール198g、ラウリル硫酸ナトリウム(以下SLSと称する。)8g、過硫酸アンモニウム2.5gを仕込んで溶解させた。続いて0.4gのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩・2水和物と0.3gの硫酸第一鉄7水和物を溶解させた水溶液200gを投入後、撹拌しながらモル比85/15のTFE/プロピレン(以下Prと称する。)混合ガスを投入して内圧2.5MPaとし、2.5質量%のロンガリット水溶液を添加して重合開始した。重合はモル比56/44のTFE/Pr混合ガス800gを追加供給しながら重合圧2.5MPaに保持して5.5時間行った。得られた乳濁液から凝集物等を除去し、TFEとPrのコポリマー含有量30.8質量%であるTFE−Pr共重合体水性分散液(H)の2520gを得た。
(9)リチウムイオン電池用正極活物質(I)[リチウム(ニッケル・マンガン・コバルト)複合酸化物]の調製
炭酸ニッケルを大気中700℃にて15時間焼成して調製した酸化ニッケル3.3モル、炭酸マンガンを大気中700℃にて15時間焼成して調製した二酸化マンガン3.3モル、結晶性の低いオキシ水酸化コバルト3.3モル、炭酸リチウム5.1モルを純水に分散させ、直径0.1mmのジルコニアビーズで2時間ビーズミル処理した後、噴霧乾燥して乾燥粉を得た。これを大気中850℃にて15時間焼成し、平均粒径3.6μmであるリチウム(ニッケル・マンガン・コバルト)複合酸化物を得た。
(10)リチウムイオン電池正極活物質(J)[リチウム鉄フォスフェート]の調製
313.1gの85%リン酸を純水1000gで希釈した。このリン酸水溶液を撹拌しながら100.3gの炭酸リチウムを加えて溶解させ、リン酸リチウムの水溶液を得た。この水溶液に鉄1当量あたりの分子量が92.4であるオキシ水酸化鉄を加え、さらに純水400gを追加してリチウム鉄フォスフェート用原料の水系ペーストを得た。このペーストを直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて1時間ビーズミル処理した後、平均分子量8500のデキストリン51.4gを115gの純水に溶かした水溶液を加えて溶解させてから噴霧乾燥し、乾燥粉を得た。この乾燥粉を、水素5%含有窒素ガス0.8リットル/分の流速で供給しながら5℃/分の昇温速度で600℃まで加熱し、600℃にて5時間保持した後、−5℃/分の降温速度設定で冷却して、平均粒径が4.2μmであるリチウム鉄フォスフェートを得た。
(11)リチウムイオン電池負極活物質(K)[不均化シリコン]の調製
平均粒径0.38μmの一酸化ケイ素240gを630gの純水加えて撹拌し、得られたペーストから噴霧乾燥して乾燥粉を調製した。この乾燥粉をアルゴンガス1リットル/分の流速で供給しながら5℃/分の昇温速度で1200℃まで加熱し、1200℃にて5時間保持した後、−5℃/分の降温速度設定で冷却して、平均粒径が4.2μmである不均化シリコンを得た。
(12)ホウ素変性アセチレンブラック(L)
入手したホウ素変性アセチレンブラック(L)はホウ素含有量1.07質量%、炭素含有量95.3質量%であり、汎用のアセチレンブラックより水になじみ易い特性を有していた。このホウ素変性アセチレンブラック(L)は、750〜800℃に制御したチューブ炉に、アセチレンガスを200リットル/時間、ホウ酸トリメチルを30ミリリットル/時間の供給速度で噴霧し、ホウ素含有のアセチレンブラックを得、このホウ素含有のアセチレンブラックをアルゴン雰囲気下2800℃にて処理することで得られる。
その他、リチウムイオン二次電池用正極活物質であるリチウムコバルト複合酸化物、スピネル型リチウムマンガン複合酸化物は既存の方法により合成し、リチウムイオン二次電池用負極活物質である天然黒鉛、ニッケル水素二次電池用正極活物質である水酸化ニッケル、電気二重層キャパシタ用電極活物質である活性炭は市販品を用いた。
(例1) (実施例)
含フッ素共重合体の水性分散液(A)の0.91gを添加したイオン交換水75gにアセチレンブラック2.3gを加えて、ディスクタービン翼を取り付けたスリーワンモーターを450rpmの速度で回転させながら1分間撹拌して分散させた。これにポリテトラフルオロエチレン水性分散液(G)2.49g[(A)と(G)のポリマー成分の和は1.85gに相当]と25gのイオン交換水に分散させた市販のリチウムコバルト複合酸化物60gを加えて上記と同様にして1分間撹拌し、水系ペースト(1)を得た。得られた水系ペースト(1)は、電極活物質、導電助剤、結着剤が微細で均質に分散されていた。
<密着性評価>
続いてアルミシート上に水系ペースト(1)を塗工して120℃にて2時間乾燥後、200℃にて10分間熱処理してロールプレス圧延し、電極コンポジット層膜厚を120μmに調製した。得られた電極板から幅2cm、長さ10cmの大きさに切り抜いた試験片を直径2mmの丸棒に沿って100回折り曲げ、電極コンポジット層の強度と電極活物質保持力を調べた。集電体(アルミシート)との密着性は、100マスの碁盤目状に浅く切り込みを入れ、粘着テープ(「セロテープ(登録商標)」)を軽く接着させてから引き剥がして残存する目数を計測して評価した。その結果を表1に示した。表1より水系ペースト(1)から形成されたリチウムイオン電池用正極板は良好な電極活物質担持力と集電体との密着力を有していた。
<電池特製評価>
次に上記電極板を所定の大きさに打抜いた正極板とリチウム箔を所定の大きさに切り出した負極板それぞれにリード線を取り付け、ポリオレフィン系セパレータを介してステンレス製セルケースに収納し、エチレンカーボネートとジエチレンカーボネートの混合液に六フッ化リン酸リチウムを1モル/リットル溶かした電解質溶液を注入してリチウム二次電池のモデルセルを得た。このモデルセルを充放電試験機に取り付け、25℃において充電電量0.6mA/cmで電池電圧4.3Vになるまで充電した後、放電電量2.0mA/cm(1.25Cレートに相当)で2.0Vになるまで放電する充放電の繰り返しを100サイクル行った結果も併せて表1に示した。表1からこのモデルセルは蓄電素子特性良好なリチウム二次電池であることがわかった。
(例2) (実施例)
含フッ素共重合体の水性分散液(A)の0.91gに替えて含フッ素共重合体の水溶液(B)の0.93gを用いたことを除き、例1と同様にして蓄電素子電極形成用水系ペースト(2)を得、電極板を作製して、電極コンポジット層の強度と電極活物質保持力および集電体との密着性を調べた。その結果、水系ペースト(2)から形成されたリチウムイオン電池用正極板は良好な電極活物質担持力と集電体との密着力を有していることがわかった。
例1と同様にして組んだモデルセルの電池評価の結果も併せて示した。表からこのモデルセルは蓄電素子特性良好なリチウム二次電池であることがわかった。
(例3) (実施例)
含フッ素共重合体の水性分散液(A)の0.91gに替えて含フッ素共重合体の水溶液(C)の14.2gを用いたことを除き、例1と同様にして蓄電素子電極形成用水系ペースト(3)を得、電極板を作製して、電極コンポジット層の強度と電極活物質保持力および集電体との密着性を調べた。その結果、水系ペースト(3)から形成されたリチウムイオン電池用正極板は良好な電極活物質担持力と集電体との密着力を有していることがわかった。
例1と同様にして組んだモデルセルの電池評価の結果も併せて示した。表からこのモデルセルは蓄電素子特性良好なリチウム二次電池であることがわかった。
(例4) (比較例)
含フッ素共重合体の水性分散液(A)の0.91gに替えて含フッ素共重合体の水溶液(E)の17.6gを用いたことを除き、例1と同様にして水系ペースト(4)を調製したが、ペーストがゲル状に増粘してしまったため均質な電極コンポジット層を塗工することができなかった。これは、フッ素含有量の小さい(E)の共重合体の分散力不足のためと判断された。
(例5) (比較例)
含フッ素共重合体の水性分散液(A)の0.91gに替えて含フッ素共重合体の水溶液(F)の1.23gを用いたことを除き、例1と同様にして水系ペースト(5)を得、電極板を作製して、電極コンポジット層の強度と電極活物質保持力および集電体との密着性を調べた。その結果集電体との密着性が不足していることがわかった。これは(F)のオリゴマの分子量が小さいため、密着性を発現できなかったためと判断された。
例1と同様にして組んだモデルセルの電池評価の結果も併せて示した。表からこのモデルセルは蓄電素子として実用的な寿命を有していないことがわかった。
(例6) (実施例)
リチウムコバルト複合酸化物60gに替えて市販のスピネル型リチウムマンガン複合酸化物60gを用いたことを除き、例1と同様にして蓄電素子電極形成用水系ペースト(6)を得、電極板を作製して、電極コンポジット層の強度と電極活物質保持力および集電体との密着性を調べた。その結果、水系ペースト(6)から形成されたリチウムイオン電池用正極板は良好な電極活物質担持力と集電体との密着力を有していることがわかった。
(例7) (実施例)
含フッ素共重合体の水性分散液(A)の0.91gに替えて(A)の0.46gを、ポリテトラフルオロエチレン水性分散液(G)の2.49gに替えて(G)の2.8gを、アセチレンブラックの2.3gに替えてホウ素変性アセチレンブラック(L)の2.3gを、市販のリチウムコバルト複合酸化物60gに替えてリチウム(ニッケル・マンガン・コバルト)複合酸化(I)の60gを用いたことを除き、例1と同様にして蓄電素子電極形成用水系ペースト(7)を得、電極板を作製して、電極コンポジット層の強度と電極活物質保持力および集電体との密着性を調べた。その結果、水系ペースト(7)から形成されたリチウムイオン電池用正極板は良好な電極活物質担持力と集電体との密着力を有していることがわかった。
(例8) (実施例)
含フッ素共重合体の水性分散液(A)の0.46gとポリテトラフルオロエチレン水性分散液(G)の2.8gに替えて(A)の4.57gを用いたことを除き、例6と同様にして水系ペースト(8)を得、電極板を作製して、電極コンポジット層の強度と電極活物質保持力および集電体との密着性を調べた。その結果、水系ペースト(8)から形成されたリチウムイオン電池用正極板は良好な電極活物質担持力と集電体との密着力を有していることがわかった。
(例9) (実施例)
含フッ素共重合体の水溶液(A)の0.91gに替えて含フッ素共重合体の水溶液(D)の3.63gを、ポリテトラフルオロエチレン水性分散液(G)の2.49gに替えて(G)の1.87gとTFE−プロピレ共重合体水性分散液(H)の1.84gを、市販のリチウムコバルト複合酸化物60gに替えてリチウム(ニッケル・マンガン・コバルト)複合酸化(I)の60gを用いたことを除き例1と同様にして水系ペースト(9)を調製し、リチウムイオン電池用正極板を得た。この電極板は良好な電極活物質担持力と集電体との密着性を有していた。
(例10) (実施例)
リチウム(ニッケル・マンガン・コバルト)複合酸化(I)の60gに替えてリチウム鉄フォスフェート(J)の60gを用いたことを除き例7と同様にして蓄電素子電極形成用水系ペースト(10)を調製し、リチウムイオン電池用正極板を得た。この電極板は良好な電極活物質担持力と集電体との密着性を有していた。
表には例1と同様にして組んだモデルセルの電池評価の結果も併せて示した。表からこのモデルセルは蓄電素子特性良好なリチウム二次電池であることがわかった。
(例11) (実施例)
リチウムコバルト複合酸化物60gに替えて不均化シリコン(K)の30gと電極活物質として市販の天然黒鉛(平均粒径3.3μm)の30gを用いたことを除き例1と同様にして水系ペースト(11)を調製し、リチウムイオン電池用負極板を得た。この電極板は良好な電極活物質担持力と集電体との密着性を有していた。
(例12) (実施例)
リチウムコバルト複合酸化物60gに替えて市販の活性炭(BET比表面積が2900m/g)60gを用いたことを除き例1と同様にして水系ペースト(12)を調製し、電気二重層キャパシタ用電極板を得た。この電極板は良好な電極活物質担持力と集電体との密着性を有していた。
(例13) (実施例)
アセチレンブラック2.3gに代えてオキシ水酸化コバルト5.0gを、リチウムコバルト複合酸化物60g替えて市販の水酸化ニッケル(平均粒径8.0μm)60gを用いたことを除き例1と同様にして水系ペースト(13)を調製し、ニッケル水素電池用電極板を得た。この電極板は良好な電極活物質担持力と集電体との密着性を有していた。
Figure 2010134465
EVE:エチルビニルエーテル
CHVE:シクロヘキシルビニルエーテル
HBVE:4−ヒドロキシブチルビニルエーテル
MEK:メチルエチルケトン
TFE:テトラフルオロエチレン
CTFE:クロロトリフルオロエチレン
Figure 2010134465
Figure 2010134465
本発明は、従来有機溶剤を用いて製造されることが多かった蓄電素子用電極の製造を、水性プロセスを用いて製造することを可能とした。本発明の方法はまた加工性に優れることから、均質に分散された水系ペーストの製造と、集電体との密着性に優れた電極板の製造が可能となり、高耐久で長寿命、およびハイパワーを求められる蓄電素子の製造にも好適に用いられる。さらに本発明の方法は環境負荷および人体の健康を損ねる危険性が小さい安全性高い製造プロセスとしても好適に用いられる。

なお、2009年5月18日に出願された日本特許出願2009−119962号の明細書、特許請求の範囲及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

Claims (10)

  1. 側鎖に親水性基を有する含フッ素オレフィン共重合体または両末端に疎水性の含フッ素有機基を有する線状の親水性重合体から選ばれる、フッ素含有量が3〜60質量%、数平均分子量が1000〜1000000の重合体からなる、電極材料の結着剤。
  2. 前記含フッ素オレフィン共重合体が、テトラフルオロエチレンおよびクロロトリフルオロエチレンから選ばれる少なくとも1種のフッ素オレフィンの単位と、水酸基および−COOX基(Xは水素原子またはカチオン)から選ばれる少なくとも1種の親水性基を有する単位と、を含む共重合体である、請求項1に記載の結着剤。
  3. 前記親水性重合体が、水酸基および−COOX基(Xは水素原子またはカチオン)から選ばれる少なくとも1種の親水性基を有する単位を含む線状重合体鎖と、該線状重合体鎖の両末端に存在する、重合開始剤または連鎖移動剤に由来する疎水性の含フッ素有機基と、を有する重合体である、請求項1に記載の結着剤。
  4. 疎水性の含フッ素有機基が、炭素原子間にエーテル性酸素原子を有していてもよい炭素数3以上のパーフルオロアルキル基を有する、請求項1または3に記載の結着剤。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の結着剤と、電極材料と、水とを含むペースト状組成物。
  6. さらに、ポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項5に記載のペースト状組成物。
  7. 前記電極材料が、金属化合物および炭素材料からから選ばれる少なくとも1種からなる、請求項5または6に記載のペースト状組成物。
  8. 前記電極材料が、蓄電素子の電極の材料である、請求項5〜7のいずれか1項に記載のペースト状組成物。
  9. 請求項5〜8のいずれか1項に記載のペースト状組成物を集電体に塗布して乾燥する、蓄電素子の電極の製造方法。
  10. 蓄電素子がリチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池または電気二重層キャパシタである、請求項9に記載の電極の製造方法。
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