JPWO2010125755A1 - 組立封口体およびそれを用いた電池 - Google Patents

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Abstract

本発明は、電池に用いられる組立封口体の改良に関する。本発明は、特に高容量および高出力特性を有する電池において、電池に不具合が生じたときに、充放電を確実に停止させることを目的とする。本発明の一実施形態に係る電池用組立封口体は、(i)外部端子を有する導電性のキャップ、(ii)発電要素と対向する側に配され、かつ発電要素に含まれる一方の電極と接続される金属板、(iii)キャップと導電性の膜状材料との間に配されている導電性の弁体、および(iv)弁体と導電性の膜状材料との間に配されている熱膨張性材料を含む。前記導電性の膜状材料と前記弁体とは、少なくとも1箇所の所定の位置において、導通した状態で接合されており、前記熱膨張性材料が所定倍率に膨張したときに、前記導電性の膜状材料と前記弁体との接合が破断して、前記導電性の膜状材料と前記弁体との導通が絶たれる。

Description

本発明は、電池に関し、具体的には、電池に用いられる組立封口体の改良に関する。
電池には、多くの種類が知られている。例えば、小型民生用の代表的な電池としては、リチウム二次電池が挙げられる。リチウム二次電池は、常温での使用が可能であり、高い作動電圧と高エネルギー密度を有し、優れたサイクル特性を有する。このため、リチウム二次電池は、例えば、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、ノート型パーソナルコンピュータ、ビデオカメラなどの携帯用小型電子機器の電源として広く利用されている。近年では、携帯型電子機器の高性能化に伴い、電源として用いられる電池のさらなる高性能化も要望されている。
一方で、大型の電池は、電力貯蔵用に用いられたり、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車などの電気自動車のモーター駆動用に用いられたりしている。特に、前記電気自動車の電源に用いられる電池には、高容量であること、さらには高出力特性に優れること等が求められている。
このように、電池に対しては、高性能化の要望が高い。しかしながら、電池自体の性能が高まると、短絡等の不具合が生じたときに、電池の構成等にもよるが、電解質の分解により発生したガスにより電池内圧が上昇しやすくなる。さらには、前記不具合により、電池温度が急激に上昇することもある。よって、電池の安全性をさらに向上させるために、さらなる対策が求められている。
従来、電池の安全性をさらに向上させるために、種々の検討が行われている。例えば、特許文献1には、封口板の電解液、電解液蒸気または電解液分解ガスと接触しない部分に、電池内の圧力に感応して作動する電流遮断装置を設けることが開示されている。特許文献1は、過充放電時に、電池内圧が上昇した場合でも、電池が発火したり、破裂したりすることを防止することを目的としている。
特許文献2には、電流遮断リードを備える封口板が開示されている。電解液の分解により可燃性のガスが発生しても、前記封口板に設けられた弁膜により、電流遮断リードは、前記可燃性のガスを含む雰囲気から隔離される。特許文献2は、過充電時や短絡時において、電池が破裂したり、電池内で発生した可燃性ガスの電流遮断時における引火が生じたりすることを防止することを目的としている。
特許文献3には、電池ケースの内圧の上昇に応じて電池ケースの外側方向に移動する隔壁と、電池反応部と端子とを導通させる導電体と、前記隔壁に支持され、前記導電体を切断する刃部とを備える安全装置が開示されている。特許文献3は、電池内圧が上昇したときに、電流路を確実に遮断でき、スパークが発生しても、電解液の蒸気や分解ガスに引火することを防止することを目的としている。
特許文献4には、中空円状の2つの接続板を各内周側端部が接続するように配置し、前記2つの接続板の間でかつ内周側に熱膨張樹脂を配置し、熱膨張樹脂の外周側に非膨張樹脂が配置されている電流遮断機構が開示されている。特許文献4は、電池が異常に発熱した際に電流を瞬時に遮断することを目的としている。
特開平7−254401号公報 特開平6−215760号公報 特開平10−321213号公報 特開2007−194069号公報
特許文献1〜3に開示される技術は、電池内圧が上昇したときに、放電を停止することを意図している。しかし、例えば電気自動車等の電源として用いられる高容量の電池は、短絡の不具合が生じた場合、電池内圧が上昇しないうちに、電池温度が上昇することがある。さらに、電池温度が短時間のうちに上昇した場合、電池を密封するために用いられているガスケットが劣化し、電池内で発生したガスが外部に逃げてしまう。よって、電池内圧が上昇する前に電池温度が上昇することが想定される電池に、特許文献1〜3に開示される技術を適用したとしても、不具合が生じたときに、放電を十分に停止できるとは限らない。
特許文献4に開示される技術では、熱膨張樹脂の厚さ方向の両側に配置されている2つの接続板は単に線接触しているだけである。このため、特許文献4の表1に記載されるように、2つの接続板間の抵抗値が0.04Ωと非常に高い値を示している。
例えば電気自動車等の電源に用いられる電池には、高出力特性が求められる。高い出力特性を達成するためには、電池の内部抵抗をできる限り小さくする必要がある。
しかしながら、特許文献4に開示される電池は、上記のように、2つの接続板間の抵抗値は非常に高いために、電池の内部抵抗が非常に高いと考えられる。つまり、特許文献4に開示される電池は、電気自動車等の電源としてだけでなく、民生用用途の電池としても、十分に機能するとは考えにくい。
そこで、本発明は、特に高容量および高出力特性を有する電池において、電池に不具合が生じたときに、充放電を確実に停止させることを目的とする。
本発明の一局面において、発電要素を収容した電池ケースを封口するための電池用組立封口体は、
(i)外部端子を有する導電性のキャップ、
(ii)前記発電要素と対向する側に配され、かつ前記発電要素に含まれる一方の電極と接続される導電性の膜状材料、
(iii)前記キャップと前記導電性の膜状材料との間に配されている導電性の弁体、および
(iv)前記弁体と前記導電性の膜状材料との間に配されている熱膨張性材料
を含む。前記導電性の膜状材料と前記弁体とは、少なくとも1箇所の所定の位置において、導通した状態で接合されており、前記熱膨張性材料が所定倍率に膨張したときに、前記導電性の膜状材料と前記弁体との接合が破断して、前記導電性の膜状材料と前記弁体との導通が絶たれる。
本発明の別の局面において、電池は、発電要素と、前記発電要素を収容する電池ケースと、前記電池ケースの開口部を封口するための上記組立封口体とを備える。
本発明においては、導電性の膜状材料と弁体とが、少なくとも1箇所の所定の位置において、金属接合されているため、導電性の膜状材料と弁体とを低抵抗で接続することができる。よって、例えば、高い出力特性を維持することができる。さらに、導電性の膜状材料と弁体との間に、熱膨張性材料を配置することにより、不具合が生じて電池温度が上昇したときに、接合された導電性の膜状材料と弁体とを確実に離すことができる。よって、本発明により、特に高容量および高出力特性を有する電池において、電池内部の異常を検知し、充放電を確実に停止させることができる。例えば、本発明により、電池内圧が上昇する前に電池温度が上昇したときに、充放電を確実に停止させることができる。
本発明の新規な特徴を添付の請求の範囲に記述するが、本発明は、構成および内容の両方に関し、本願の他の目的および特徴と併せ、図面を照合した以下の詳細な説明によりさらによく理解されるであろう。
本発明の一実施形態に係る電池を概略的に示す縦断面図である。 熱膨張性材料が膨張した後の、弁体と導電性の膜状材料との位置関係を概略的に示す縦断面図である。 図2の円III内の拡大図である。 本発明の別の実施形態に係る電池に含まれる組立封口体を概略的に示す縦断面図である。 比較例で作製した電池を概略的に示す縦断面図である。
本発明の一実施形態に係る電池は、発電要素と、発電要素を収容する電池ケースと、電池ケースの開口部を封口する組立封口体とを備える。組立封口体は、(i)外部端子を有する導電性のキャップ、(ii)前記発電要素と対向する側に配され、かつ前記発電要素に含まれる一方の電極と接続される導電性の膜状材料、(iii)前記キャップと前記導電性の膜状材料との間に配されている導電性の弁体、および(iv)前記弁体と前記導電性の膜状材料との間に配されている熱膨張性材料を含む。前記導電性の膜状材料と前記弁体とは、少なくとも1箇所の所定の位置において、導通した状態で接合されており、前記熱膨張性材料が所定倍率に膨張したときに、前記導電性の膜状材料と前記弁体との接合が破断して、前記導電性の膜状材料と前記弁体との導通が絶たれる。
以下、本実施形態に係る電池を、図1〜3を参照しながら説明する。図1に、本発明の一実施形態に係る電池の縦断面図を示す。図2に、熱膨張性材料が膨張した後の、弁体と導電性の膜状材料との位置関係を概略的に示す。図3に、図2の円III内の拡大図を示す。なお、図1〜3において、同じ構成要素には、同じ番号を付している。さらに、図2には、組立封口体のみを示している。
図1の密閉型の円筒形電池10は、電池ケース11、円筒形電池ケース11内に収容された発電要素12、および組立封口体30を備える。発電要素12は、第1電極13、第2電極14、第1電極13と第2電極14との間に配置されたセパレータ15、および電解質(図示せず)を含む。なお、本実施形態において、第1電極13が正極であり、第2電極14が負極であってもよいし、第1電極13が負極であり、第2電極14が正極であってもよい。
発電要素12は、電池ケース11内に配置される。発電要素12と電池ケース11の内底部との間には、下部絶縁板17が配置されており、発電要素12の上部には、上部絶縁板16が配置されている。
図1の電池10において、電池ケース11の開口部は、組立封口体30により封口されている。具体的には、電池ケース11の開口端部を、絶縁ガスケット18を介して組立封口体30の周縁部にかしめつけることにより、電池ケース11の開口部が封口されている。
組立封口体30は、(i)外部端子31aを有する導電性のキャップ31、(ii)導電性の膜状材料32、(iii)キャップ31と導電性の膜状材料32との間に配されている導電性の弁体33、および(iv)弁体33と導電性の膜状材料32との間に配されている熱膨張性材料34を含む。導電性の膜状材料32は、キャップ31とは反対側、つまり発電要素12と対向する側に配されている。キャップ31、および弁体33は、例えば、導電性の膜状材料から構成されている。熱膨張性材料34は、電池の通常使用温度域を超えて加熱されると膨張する。電池の通常使用温度域とは、例えば、−30℃〜60℃の範囲のことをいう。
組立封口体30において、キャップ31の周縁部には、平坦部31cが設けられ、弁体33の周縁部には、平坦部33cが設けられている。キャップ31の平坦部31cと、弁体33の平坦部33cとが積層されることにより、キャップ31と弁体33とが電気的に接続されている。さらに、キャップ31と弁体33の積層された周縁部を覆うように、絶縁層35が設けられている。
導電性の膜状材料32(以下、下部導電膜32と称す)と弁体33とは、例えば、少なくとも1箇所で部分的に、金属接合されている。具体的には、例えば、弁体33は、弁体33の中央部33bを取り囲むように配置され、かつ下部導電膜32側に突出した凸部33aを有している。凸部33aの頂部が例えば部分的に下部導電膜32に金属接合される。こうして、下部導電膜32と弁体33とが電気的に接合され、ひいては、下部導電膜32とキャップ31とが電気的に接続される。
下部導電膜32の周縁部は、絶縁層35を介して、キャップ31と弁体33の積層された周縁部にかしめつけられている。よって、弁体33に設けられた凸部33aと、下部導電膜32との接合が絶たれると、下部導電膜32と弁体33との導通が絶たれることとなる。弁体33に設けられる凸部33aの数および下部導電膜32と弁体33との接合面積は、電池の用途、下部導電膜32および弁体33の厚さおよび材質等に応じて適宜選択される。
弁体33は互いに別個の複数の凸部33aを有していてもよいし、図1に示されるように、弁体33に、所定の円周に沿って連続的に繋がった凸部33aを設けてもよい。具体的には、弁体33は、熱膨張性材料34を取り囲むように、所定の円周に沿って連続的に繋がり、かつ下部導電膜32側に突出する凸部を有してもよい。この場合、前記凸部が、下部導電膜32に接合される。前記凸部は、部分的に下部導電膜32に接合されてもよいし、凸部全体が下部導電膜32に接合されてもよい。同様に、弁体33は、熱膨張性材料34を取り囲むように、所定の円周に沿って設けられ、かつ下部導電膜32側に突出する少なくとも1つの別個の凸部を有してもよい。この場合、前記少なくとも1つの別個の凸部の一部または全てが、下部導電膜32に接合される。
なお、第1電極13には、第1リード19の一端が接続され、組立封口体30の下部導電膜32の発電要素12側の表面には、第1リード19の他端が接続されている。第2電極14には、第2リード20の一端が接続され、電池ケース11の内底面には、第2リード20の他端が接続されている。
熱膨張性材料34は、下部導電膜32と弁体33との間に配置される。図1に示される組立封口体30においては、弁体33の凸部33aよりも、電池10の半径方向内側に、熱膨張性材料34が配されている。つまり、熱膨張性材料34は、弁体33の中央部33bと対向し、かつ連続的に繋がった凸部33aに取り囲まれている。膨張性材料34が所定倍率に膨張すると、弁体33がキャップ31側に押し上げられるか、または下部導電膜32が下方に押し下げられ、その結果、図2に示されるように、弁体33の凸部33aが下部導電膜32から離れる。このため、下部導電膜32から弁体33に、電流が流れるのを防止することができる。つまり、電池温度の上昇に反応して、電流を遮断することができる。
以上のように、下部導電膜32と弁体33とが、少なくとも1箇所の所定の位置において金属接合されるため、下部導電膜32と弁体33とを低抵抗で接続することができる。よって、例えば、高い出力特性を維持することができる。さらに、下部導電膜32と弁体33との間に、熱膨張性材料34を配置することにより、不具合等が生じて電池温度が上昇したときに、金属接合された下部導電膜32と弁体33とを確実に離すことをできる。よって、上記構成により、特に高容量および高出力特性を有する電池において、電池内部の異常を検知し、充放電を確実に停止させることができる。例えば、上記構成により、電池温度が上昇したときに、充放電を確実に停止させることができる。
熱膨張性材料34の膨張率は、120℃以上で最大となることが好ましい。このとき、熱膨張性材料34の120℃での膨張率は、200〜400%であることがさらに好ましい。これにより、電池の充放電を確実に停止することができる。さらには、電池が高電圧であるときでも、下部導電膜32と弁体33とが離れたのちに、下部導電膜32と弁体33との接合部に位置していた部分間にスパークが生じることを確実に防止することができる。
電気自動車等の電源に用いられる高容量の電池の温度は、通常使用時には、80℃以下である。一方で、このような電池に不具合が生じた場合、電池温度は、80℃を超えて上昇する。よって、膨張率は、80℃より十分に高い温度、つまり120℃以上で最大となる熱膨張性材料34を用いることにより、電池に不具合が生じたときのみに、放電をより確実に停止させることができる。なお、熱膨張性材料34は、120℃以上で膨張し始めることが好ましい。
上記のような特性を満たす熱膨張性材料34としては、膨張性黒鉛、バーミキュライト等の膨張性無機材料が挙げられる。なかでも、膨張性黒鉛が好ましい。膨張性黒鉛は、120℃程度で膨張し始めるため、上記用途に最も適しているからである。
なお、膨張性黒鉛は、例えば、グラファイト(天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト)を、無機酸(硫酸、硝酸等)と、強酸化剤(過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩等)とで処理することにより得られるグラファイト層間化合物のことをいう。
さらに、熱膨張性材料34は、膨張性無機材料のほかに、必要に応じて、絶縁性の樹脂材料等を含んでいてもよい。
前記樹脂材料としては、ゴム材料、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フェノール樹脂等を用いることができる。ゴム材料としては、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリルゴム、天然ゴム等が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等が挙げられる。
なお、熱膨張性材料が、膨張性無機材料と樹脂材料等とを含む場合、膨張性無機材料の量は、下部導電膜32と弁体33とを確実に離すことができれば、特に限定されない。膨張性無機材料の量は、例えば、熱膨張性材料の1〜90重量%とすることが好ましく、5〜50重量%とすることがさらに好ましい。
また、熱膨張性材料が、膨張性無機材料と樹脂材料等とを含む場合、熱膨張性材料の膨張率は、膨張性無機材料の量を調節することにより、制御することができる。
なお、熱膨張性材料の120℃での膨張率は、
[(120℃での厚さ)/(膨張していない状態での厚さ)]×100
により求めることができる。ここで、膨張していない状態での厚さとは、膨張開始温度よりも十分に低い温度での厚さ(例えば、25℃での厚さ)であり、かつ弁体と下部導電膜との間に配置されるときの厚さのことをいう。
電池温度が120℃以上に上昇したときに、つまり熱膨張性材料34が120℃以上に加熱されたときに、熱膨張性材料34が膨張し、金属接合部で接合されていた下部導電膜32と弁体33とが離れる。このとき、図3に示されるように、前記金属接合部が設けられた位置において、つまり下部導電膜32と弁体33とが最も接近している箇所において、下部導電膜32と弁体33との間の距離Hは、0.4mm以上であることが好ましく、1mm以上であることがさらに好ましい。ここで、下部導電膜32と弁体33との間の距離Hとは、下部導電膜32と弁体33とが金属接合されている箇所における、下部導電膜32の弁体33に最も近い位置と、弁体33の凸部33aの下部導電膜32に最も近い位置との間の垂直距離のことをいう。
特に電圧が高い電池の場合、下部導電膜32と弁体33とが最も接近した箇所おいて、下部導電膜32と弁体33との間の距離が短いと、下部導電膜32と弁体33との間にスパークが生じることがある。しかしながら、下部導電膜32と弁体33とが最も接近した箇所において、下部導電膜32と弁体33との間の距離Hを0.4mm以上とすることにより、下部導電膜32と弁体33との間にスパークが生じることを防止することができる。なお、電池電圧が50Vと高い場合でも、距離Hが0.4mm以上であれば、スパークの発生を防止することができる。
熱膨張性材料34が膨張したのちの、下部導電膜32と弁体33との間の距離Hは、例えば、熱膨張する前の熱膨張性材料の厚さ、熱膨張性材料の120℃での膨張率を調節することにより、制御することができる。
なお、下部導電膜32と弁体33との間に配置された熱膨張性材料34の厚さは、下部導電膜32および弁体33の形状等に応じて適宜選択される。
キャップ31、および弁体33は、導電性の膜状材料、例えば金属箔から構成される。キャップ31の構成材料としては、Niメッキされた冷間圧延鋼板(SPCC、SPCD)、またはステンレス鋼を用いることが好ましい。
弁体33の構成材料としては、例えば、アルミニウム(例えば1N50、A1050)またはアルミニウム合金(例えば3003等の3000系)を用いることが好ましい。
導電性の膜状材料(下部導電膜)32の構成材料としては、例えば、アルミニウム合金(5052、3003)を用いることが好ましい。
絶縁層35の構成材料としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロビニルエーテル共重合体(PFA)等を用いることができる。
キャップ31を構成する膜状材料の厚さは、0.4〜1mmであることが好ましい。導電性の膜状材料(下部導電膜)32の厚さは、0.4〜1mmであることが好ましい。弁体33を構成する膜状材料の厚さは、0.2〜0.5mmであることが好ましい。
絶縁層35の厚さは、特に限定されないが、0.5〜1mmであればよい。
さらに、図1に示されるように、金属製の第1リード19は、下部導電膜32の熱膨張性材料34が配置されている面とは反対の面の、熱膨張性材料34と対向する部分に、接続されていることが好ましい。つまり、第1リード19と下部導電膜32との接続部が、下部導電膜32を介して熱膨張性材料34と対向していることが好ましい。
短絡等の不具合が発電要素12に生じた場合、発電要素12の温度が上昇する。発生した熱の伝達速度は、通常、電池内の気体雰囲気中よりも、金属において速い。つまり、発電要素12で発生した熱は、金属製の第1リード19を伝導しやすい。よって、第1リード19を、下部導電膜32の熱膨張性材料34が配置されている面とは反対の面の、熱膨張性材料34と対向する部分に接続することにより、発電要素12で発生した熱を、熱膨張性材料34に迅速に伝えることができる。その結果、電池温度が急激に上昇した場合でも、迅速かつ確実に充放電を停止することができる。
なお、第1電極が正極である場合、電池の種類にもよるが、第1リード19の構成材料としては、例えば、アルミニウム、チタンなどが挙げられる。第2電極が負極である場合、第2リード20の構成材料としては、例えば、銅、ニッケルなどが挙げられる。
さらに、組立封口体に設けられた安全機構は、電池内圧の増加によっても作動するようにしてもよい。つまり、電池内圧が増加したときにも、電流が遮断されるようにしてもよい。このことを、図4を参照しながら説明する。図4において、図1と同じ構成要素には、同じ番号を付している。
図4に示される組立封口体40において、キャップ31は、その厚さ方向にキャップ31を貫通する貫通孔31bを有し、下部導電膜32は、その厚さ方向に下部導電膜32を貫通する貫通孔32aを有するとともに、弁体41の凸部33aに、肉薄部42を設けることが好ましい。このとき、肉薄部42は、凸部33aが電池内圧の上昇により肉薄部42において破断して、下部導電膜32と弁体41とが完全に離れるように、凸部33aに設けることが好ましい。
これにより、電池温度が上昇するとともに、電池内圧が上昇したときに、熱膨張性材料34が膨張するとともに、電池内圧に応じて、肉薄部42が破断する。よって、下部導電膜32と弁体41とをさらに確実に離すことができるとともに、電池内に発生したガスを外部に逃がすこともできる。
肉薄部42の厚さは、弁体41の厚さの20%〜50%の範囲にあることが好ましい。例えば、肉薄部42の厚さは0.03〜0.05mmとすることができる。肉薄部42の厚さが弁体41の厚さの20%より小さいと、肉薄部42の形成が困難となる。肉薄部42の厚さが弁体41の厚さの50%より大きくなると、電池内圧が上昇したときに、肉薄部42が破断しにくくなる。ここで、弁体の厚さとは、弁体を構成する金属箔の厚さのことをいう。
または、従来から用いられている電池内圧が上昇したときに電流を遮断する機構と、図1に示されるような電流遮断機構を組み合わせて用いてもよい。
なお、熱膨張性材料が膨張性黒鉛を含む場合、弁体の熱膨張性材料と接する部分に、耐熱性の絶縁シートを配置してもよい。
膨張後の膨張性黒鉛の抵抗は、数十Ωに達すると考えられるため、弁体と膨張性黒鉛を含む熱膨張性材料と下部導電膜とが直接接していても、弁体と下部導電膜との接合が破断すれば、電流を十分に遮断することができると考えられる。
上記のように、弁体の熱膨張性材料と接する部分に、耐熱性の絶縁シートをさらに配置することにより、熱膨張性材料と弁体との間の絶縁性を高めることができる。その結果、熱膨張性材料が膨張性黒鉛を含む場合の電流遮断機能をより高めることができる。
前記耐熱性の絶縁シートの構成材料としては、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトンなどが挙げられる。
耐熱性の絶縁シートの厚さは、弁体と熱膨張性材料とを絶縁できれば、特に限定されない。
以下、再度、図1を参照しながら、組立封口体30以外の構成要素について説明する。以下においては、第1電極13を正極とし、第2電極14を負極として、説明を行う。
正極は、例えば、正極集電体、および正極集電体に形成された正極活物質層を含むことができる。正極活物質層は、正極活物質、および必要に応じて、結着剤、導電剤等を含むことができる。
用いられる正極活物質は、電池の種類に応じて、適宜選択される。作製される電池が、リチウム電池である場合、正極活物質としては、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMn)等のリチウム含有遷移金属複合酸化物、二酸化マンガン等を用いることができる。
作製される電池がアルカリ蓄電池である場合、正極活物質としては、水酸化ニッケル等を用いることができる。あるいは、当該分野で公知の焼結式ニッケル正極を用いることもできる。
正極に添加される結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレンおよびポリフッ化ビニリデンが挙げられる。
正極に添加される導電剤としては、例えば、天然黒鉛(鱗片状黒鉛など)、人造黒鉛、膨張黒鉛などのグラファイト類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック類、炭素繊維、金属繊維などの導電性繊維類、銅、ニッケル等の金属粉末類、ならびにポリフェニレン誘導体などの有機導電性材料を用いることができる。
正極集電体を構成する材料としては、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、チタン等が挙げられる。
負極は、例えば、負極集電体、および負極集電体に形成された負極活物質層を含むことができる。負極活物質層は、負極活物質、および必要に応じて、結着剤、導電剤等を含むことができる。
用いられる負極活物質は、電池の種類に応じて、適宜選択される。作製される電池がリチウム電池である場合、負極活物質としては、金属リチウム、リチウム合金、黒鉛等の炭素材料、ケイ素単体、ケイ素合金、ケイ素酸化物、スズ、スズ合金、スズ酸化物等が挙げられる。
作製される電池がアルカリ蓄電池である場合、負極活物質としては、当該分野で公知の水素吸蔵合金を用いることができる。
負極に添加される結着剤および導電剤としては、正極の場合と同じ材料を用いることができる。
負極集電体の構成材料としては、例えば、ステンレス鋼、ニッケル、銅等が挙げられる。
電解質も、電池の種類に応じて適宜選択される。作製される電池がリチウム電池である場合、電解質としては、非水電解質が用いられる。非水電解質は、非水溶媒と、それに溶解した溶質とを含む。
非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどを用いることができる。これらの非水溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
溶質としては、例えば、LiPF、LiBF、LiCl、LiAlCl、LiSbF、LiSCN、LiCl、LiCFSO、LiCFCO、LiAsF、LiN(CFSO、LiB10Cl10、およびイミド類を用いることができる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてよい。
作製される電池がアルカリ蓄電池である場合、電解質としては、アルカリ電解質を用いることができる。アルカリ電解質は、例えば、比重1.30の水酸化カリウム水溶液と、それに40g/Lの濃度で溶解した水酸化リチウムとを含むことができる。
セパレータ15を構成する材料としては、第1電極(正極)13と第2電極(負極)14とを絶縁でき、かつ電池内で化学的に安定である、当該分野で公知の材料を用いることができる。このような材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、あるいはポリエチレンとポリプロピレンの混合物、またはエチレンとプロピレンとの共重合体が挙げられる。
電池ケース11を構成する材料としては、例えば、Niメッキされた鋼板、ステンレス鋼を用いることができる。
本発明は、公称容量が4Ah以上の電池において、特に有効である。上記のように、高容量の電池は、短絡の不具合が生じた場合、電池内圧が上昇しないうちに、電池温度が上昇することがある。電池温度が急激に上昇すると、電池を密封するために用いられている絶縁ガスケットが劣化し、電池内で発生したガスが外部に逃げてしまうことがある。よって、電池内圧の上昇により、電流を遮断する従来の電池では、不具合が生じたときに、放電を十分に停止することができない。一方、本発明では、熱膨張性材料の膨張により、電流を遮断することができる。よって、本発明により、特に高容量および高出力特性を有する電池において、電池内部で異常が生じたとしても、充放電を確実に停止させることができる。
さらに、上記組立封口体30を備える電池が電気自動車等の電源として用いられる場合、高い出力特性を得るために、組立封口体30の抵抗値は、1mΩ以下であることが好ましい。
なお、組立封口体30の抵抗値は、例えば、4点端子法を用いて測定することができる。キャップ31と下部導電膜32との間に所定の値の電流を流し、そのときにキャップ31と下部導電膜32との間にかかる電圧を測定する。前記電流値と測定された電圧値とから、組立封口体30の抵抗値を求めることができる。
なお、組立封口体30の抵抗値は、下部導電膜32と弁体33との接合面積、キャップ31、下部導電膜32、および弁体33の構成材料等により調節することができる。
特に、リチウム二次電池は、高電圧かつ高容量である。このため、リチウム二次電池に不具合が生じた場合、電池温度が急激に上昇することがある。よって、リチウム二次電池に本発明を適用することにより、リチウム二次電池の安全性をさらに向上させることができる。
《実施例1》
図1に示されるような密閉型の円筒形電池を作製した。
(1)正極板の作製
正極活物質として、コバルト酸リチウム(LiCoO)を用いた。正極活物質を85重量部と、導電剤である炭素粉末を10重量部と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFと略す)のN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略す)溶液とを混合して、正極合剤ペーストを得た。PVDFの添加量は、5重量部とした。
得られた正極合剤ペーストを、厚さ15μmのアルミニウム箔からなる集電体の両面に塗布し、乾燥し、圧延して、厚さ100μmの正極板を作製した。
(2)負極板の作製
負極活物質である人造黒鉛粉末を95重量部と、結着剤であるPVDFのNMP溶液とを混合して、負極合剤ペーストを得た。PVDFの添加量は、5重量部とした。
得られた負極合剤ペーストを、厚み10μmの銅箔からなる集電体の両面に塗布し、乾燥し、圧延して、厚み100μmの負極板を作製した。
(3)非水電解質の調製
非水電解質は、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジメチルカーボネートとを1:1:8の体積比で含む混合溶媒に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1.5mol/Lの濃度で溶解することにより調製した。
(4)組立封口体の作製
図1に示されるような組立封口体を作製した。熱膨張性材料としては、膨張性黒鉛(120℃での膨張率:200%)を用いた。
まず、所定の金属箔をプレス加工して、キャップ、下部導電膜および弁体を得た。弁体には、所定の円周に沿って連続的に繋がる凸部を設けた。なお、本実施例1においてのみ、弁体の膨張後の膨張性黒鉛と接触すると予測される部分に、耐熱性の樹脂シートを配しておいた。ただし、膨張後の膨張性黒鉛の抵抗は高いため、この耐熱性の樹脂シートを設けなくても、弁体と下部導電膜との接合が破断されれば、電流を遮断することができる。
次に、下部導電膜の弁体と対向する面に、熱膨張性材料を配した。熱膨張性材料は、下部導電膜と弁体とを接合したとき、弁体に設けられた凸部よりも内周側に位置するように配した。
弁体の凸部と下部導電膜とを抵抗溶接して、弁体と下部導電膜とを接合した。弁体と下部導電膜との溶接面積は1.5mm以上とした。
次いで、弁体の下部導電膜と接している側とは反対側に、キャップを積層した。下部導電膜の周縁部を、キャップと弁体との積層体の周縁部を覆うように、絶縁層を介して、前記積層体の周縁部にかしめて、組立封口体を得た。
キャップの厚さは0.5mmあり、弁体の厚さは0.4mmであり、下部導電膜の厚さは0.5mmであった。ここで、各部材の厚さは、前記部材を構成する金属箔の厚さのことである。
(5)密閉型電池の作製
得られた正極板と負極板との間に、厚み25μmのセパレータを配置して、積層体を得た。得られた積層体を渦巻状に捲回して、円柱状の極板群を作製した。
得られた極板群を、上記のようにして調製した非水電解質28mlと共に、内径29mmφのニッケルメッキされた鉄製の有底ケース内に収容した。ニッケルメッキされた鉄箔の厚さは、0.4mmであった。
アルミニウム製正極リードの一端を正極板に接続し、正極リードの他端を、組立封口体の下部導電膜の熱膨張性材料が配置されている面とは反対の面の、熱膨張性材料と対向する部分に接続した。銅製負極リードの一端を負極板に接続し、負極リードの他端を、電池ケースの内底面に接続した。極板群の上部には上部絶縁板を、下部には下部絶縁板をそれぞれ設けた。
電池ケースの開口端部を、絶縁ガスケットを介して、組立封口体の周縁部にかしめつけて、電池ケースの開口部を封口して、密閉型電池を作製した。得られた電池の公称容量は、6800mAhとした。こうして得られた電池を電池1とした。
《実施例2》
熱膨張性材料として、3M社のファイアバリア(商品名、クロロプレンゴムとバーミキュウライトを含有する樹脂組成物からなるシート材料、120℃での膨張率:300%)を用いたこと以外、実施例1と同様にして、電池2を作製した。
《実施例3》
熱膨張性材料として、三井金属塗料化学(株)製のメジヒカット(商品名、ポリウレタン樹脂と膨張性黒鉛を含有する樹脂組成物からなるシート材料、120℃での膨張率:400%)を用いたこと以外、実施例1と同様にして、電池3を作製した。
《比較例1》
図5に示されるような従来の組立封口体51を用いたこと以外、実施例1と同様にして、密閉型の円筒形電池50を作製した。得られた電池を、比較電池1とした。なお、図5において、図1と同じ構成要素には、同じ番号を付し、説明は省略する。
組立封口体51は、外部端子52aを備えるキャップ52、上弁体53、下弁体54、および下部導電膜55を含む。上弁体53には、円状またはC状の肉薄部53aが設けられている。下弁体54には、円状の肉薄部54aが設けられている。円状の肉薄部54aの内側には、上弁体53の方向に突出した凸部54bが設けられており、凸部54bが、上弁体53に電気的に接続さされている。なお、上弁体53と下弁体54との間には、絶縁層56が設けられており、上弁体53は、下弁体54の凸部54bのみが接している。
上弁体53には、キャップ52が接続され、下弁体54には、下部導電膜55が接続されている。キャップ52には、その厚さ方向に貫通する貫通孔52bが設けられ、下部導電膜55には、その厚さ方向に貫通する貫通孔55bが設けられている。
電池50においては、電池内部でガスが発生すると、電池内圧が上昇する。発生したガスは、下部導電膜55の貫通孔55bを通して、組立封口体51の内部に入り、下弁体54を押し上げる。このとき、下弁体54の肉薄部54aが破断され、上弁体53と下弁体54とが離れる。このため、電池内部で、電流が遮断される。
電流が遮断されたとしても、電池内圧がさらに上昇することがある。この場合、上弁体53の肉薄部53aが破断され、電池内部で発生したガスが、キャップ52の貫通孔52bを通して、外部に放出される。
[評価]
電池1〜3および比較電池1を以下のような加熱試験に供した。
各電池を、6.8A(1C)の電流で充電しながら、組立封口体付近を、120℃で加熱した。
その結果、電池1〜3では、充電の途中で、充電を停止することができた。一方で、比較電池1では、充電を停止させることはできなかった。
以上のように、弁体と下部導電膜との間に熱膨張性材料が配された組立封口体を用いることにより、不具合が生じて電池温度が上昇した場合等において、充放電を確実に停止できることがわかる。
本発明を現時点での好ましい実施態様に関して説明したが、そのような開示を限定的に解釈してはならない。種々の変形および改変は、上記開示を読むことによって本発明に属する技術分野における当業者には間違いなく明らかになるであろう。したがって、添付の請求の範囲は、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、すべての変形および改変を包含する、と解釈されるべきものである。
上記組立封口体を備える電池は、安全性がさらに向上されているため、例えば、携帯電話、ノート型パソコン、ビデオカムコーダーなどのポータブル電子機器の駆動用電源として好適に用いることができる。さらに、前記電池は、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、電動自転車等の電源としても好適に用いることができる。
10 電池
11 電池ケース
12 発電要素
13 第1電極
14 第2電極
15 セパレータ
16 上部絶縁板
17 下部絶縁板
18 絶縁ガスケット
19 第1リード
20 第2リード
30、40 組立封口体
31 キャップ
31a 外部端子
32 導電性の膜状材料
31b、32a 貫通孔
33、41 弁体
33a 凸部
33b 弁体の中央部
31c、33c 弁体の周縁部に設けられた平坦部
34 熱膨張性材料
35 絶縁層
42 弁体の肉薄部
本発明は、電池に関し、具体的には、電池に用いられる組立封口体の改良に関する。
電池には、多くの種類が知られている。例えば、小型民生用の代表的な電池としては、リチウム二次電池が挙げられる。リチウム二次電池は、常温での使用が可能であり、高い作動電圧と高エネルギー密度を有し、優れたサイクル特性を有する。このため、リチウム二次電池は、例えば、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、ノート型パーソナルコンピュータ、ビデオカメラなどの携帯用小型電子機器の電源として広く利用されている。近年では、携帯型電子機器の高性能化に伴い、電源として用いられる電池のさらなる高性能化も要望されている。
一方で、大型の電池は、電力貯蔵用に用いられたり、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車などの電気自動車のモーター駆動用に用いられたりしている。特に、前記電気自動車の電源に用いられる電池には、高容量であること、さらには高出力特性に優れること等が求められている。
このように、電池に対しては、高性能化の要望が高い。しかしながら、電池自体の性能が高まると、短絡等の不具合が生じたときに、電池の構成等にもよるが、電解質の分解により発生したガスにより電池内圧が上昇しやすくなる。さらには、前記不具合により、電池温度が急激に上昇することもある。よって、電池の安全性をさらに向上させるために、さらなる対策が求められている。
従来、電池の安全性をさらに向上させるために、種々の検討が行われている。例えば、特許文献1には、封口板の電解液、電解液蒸気または電解液分解ガスと接触しない部分に、電池内の圧力に感応して作動する電流遮断装置を設けることが開示されている。特許文献1は、過充放電時に、電池内圧が上昇した場合でも、電池が発火したり、破裂したりすることを防止することを目的としている。
特許文献2には、電流遮断リードを備える封口板が開示されている。電解液の分解により可燃性のガスが発生しても、前記封口板に設けられた弁膜により、電流遮断リードは、前記可燃性のガスを含む雰囲気から隔離される。特許文献2は、過充電時や短絡時において、電池が破裂したり、電池内で発生した可燃性ガスの電流遮断時における引火が生じたりすることを防止することを目的としている。
特許文献3には、電池ケースの内圧の上昇に応じて電池ケースの外側方向に移動する隔壁と、電池反応部と端子とを導通させる導電体と、前記隔壁に支持され、前記導電体を切断する刃部とを備える安全装置が開示されている。特許文献3は、電池内圧が上昇したときに、電流路を確実に遮断でき、スパークが発生しても、電解液の蒸気や分解ガスに引火することを防止することを目的としている。
特許文献4には、中空円状の2つの接続板を各内周側端部が接続するように配置し、前記2つの接続板の間でかつ内周側に熱膨張樹脂を配置し、熱膨張樹脂の外周側に非膨張樹脂が配置されている電流遮断機構が開示されている。特許文献4は、電池が異常に発熱した際に電流を瞬時に遮断することを目的としている。
特開平7−254401号公報 特開平6−215760号公報 特開平10−321213号公報 特開2007−194069号公報
特許文献1〜3に開示される技術は、電池内圧が上昇したときに、放電を停止することを意図している。しかし、例えば電気自動車等の電源として用いられる高容量の電池は、短絡の不具合が生じた場合、電池内圧が上昇しないうちに、電池温度が上昇することがある。さらに、電池温度が短時間のうちに上昇した場合、電池を密封するために用いられているガスケットが劣化し、電池内で発生したガスが外部に逃げてしまう。よって、電池内圧が上昇する前に電池温度が上昇することが想定される電池に、特許文献1〜3に開示される技術を適用したとしても、不具合が生じたときに、放電を十分に停止できるとは限らない。
特許文献4に開示される技術では、熱膨張樹脂の厚さ方向の両側に配置されている2つの接続板は単に線接触しているだけである。このため、特許文献4の表1に記載されるように、2つの接続板間の抵抗値が0.04Ωと非常に高い値を示している。
例えば電気自動車等の電源に用いられる電池には、高出力特性が求められる。高い出力特性を達成するためには、電池の内部抵抗をできる限り小さくする必要がある。
しかしながら、特許文献4に開示される電池は、上記のように、2つの接続板間の抵抗値は非常に高いために、電池の内部抵抗が非常に高いと考えられる。つまり、特許文献4に開示される電池は、電気自動車等の電源としてだけでなく、民生用用途の電池としても、十分に機能するとは考えにくい。
そこで、本発明は、特に高容量および高出力特性を有する電池において、電池に不具合が生じたときに、充放電を確実に停止させることを目的とする。
本発明の一局面において、発電要素を収容した電池ケースを封口するための電池用組立封口体は、
(i)外部端子を有する導電性のキャップ、
(ii)前記発電要素と対向する側に配され、かつ前記発電要素に含まれる一方の電極と接続される導電性の膜状材料、
(iii)前記キャップと前記導電性の膜状材料との間に配されている導電性の弁体、および
(iv)前記弁体と前記導電性の膜状材料との間に配されている熱膨張性材料
を含む。前記導電性の膜状材料と前記弁体とは、少なくとも1箇所の所定の位置において、導通した状態で接合されており、前記熱膨張性材料が所定倍率に膨張したときに、前記導電性の膜状材料と前記弁体との接合が破断して、前記導電性の膜状材料と前記弁体との導通が絶たれる。
本発明の別の局面において、電池は、発電要素と、前記発電要素を収容する電池ケースと、前記電池ケースの開口部を封口するための上記組立封口体とを備える。
本発明においては、導電性の膜状材料と弁体とが、少なくとも1箇所の所定の位置において、金属接合されているため、導電性の膜状材料と弁体とを低抵抗で接続することができる。よって、例えば、高い出力特性を維持することができる。さらに、導電性の膜状材料と弁体との間に、熱膨張性材料を配置することにより、不具合が生じて電池温度が上昇したときに、接合された導電性の膜状材料と弁体とを確実に離すことができる。よって、本発明により、特に高容量および高出力特性を有する電池において、電池内部の異常を検知し、充放電を確実に停止させることができる。例えば、本発明により、電池内圧が上昇する前に電池温度が上昇したときに、充放電を確実に停止させることができる。
本発明の新規な特徴を添付の請求の範囲に記述するが、本発明は、構成および内容の両方に関し、本願の他の目的および特徴と併せ、図面を照合した以下の詳細な説明によりさらによく理解されるであろう。
本発明の一実施形態に係る電池を概略的に示す縦断面図である。 熱膨張性材料が膨張した後の、弁体と導電性の膜状材料との位置関係を概略的に示す縦断面図である。 図2の円III内の拡大図である。 本発明の別の実施形態に係る電池に含まれる組立封口体を概略的に示す縦断面図である。 比較例で作製した電池を概略的に示す縦断面図である。
本発明の一実施形態に係る電池は、発電要素と、発電要素を収容する電池ケースと、電池ケースの開口部を封口する組立封口体とを備える。組立封口体は、(i)外部端子を有する導電性のキャップ、(ii)前記発電要素と対向する側に配され、かつ前記発電要素に含まれる一方の電極と接続される導電性の膜状材料、(iii)前記キャップと前記導電性の膜状材料との間に配されている導電性の弁体、および(iv)前記弁体と前記導電性の膜状材料との間に配されている熱膨張性材料を含む。前記導電性の膜状材料と前記弁体とは、少なくとも1箇所の所定の位置において、導通した状態で接合されており、前記熱膨張性材料が所定倍率に膨張したときに、前記導電性の膜状材料と前記弁体との接合が破断して、前記導電性の膜状材料と前記弁体との導通が絶たれる。
以下、本実施形態に係る電池を、図1〜3を参照しながら説明する。図1に、本発明の一実施形態に係る電池の縦断面図を示す。図2に、熱膨張性材料が膨張した後の、弁体と導電性の膜状材料との位置関係を概略的に示す。図3に、図2の円III内の拡大図を示す。なお、図1〜3において、同じ構成要素には、同じ番号を付している。さらに、図2には、組立封口体のみを示している。
図1の密閉型の円筒形電池10は、電池ケース11、円筒形電池ケース11内に収容された発電要素12、および組立封口体30を備える。発電要素12は、第1電極13、第2電極14、第1電極13と第2電極14との間に配置されたセパレータ15、および電解質(図示せず)を含む。なお、本実施形態において、第1電極13が正極であり、第2電極14が負極であってもよいし、第1電極13が負極であり、第2電極14が正極であってもよい。
発電要素12は、電池ケース11内に配置される。発電要素12と電池ケース11の内底部との間には、下部絶縁板17が配置されており、発電要素12の上部には、上部絶縁板16が配置されている。
図1の電池10において、電池ケース11の開口部は、組立封口体30により封口されている。具体的には、電池ケース11の開口端部を、絶縁ガスケット18を介して組立封口体30の周縁部にかしめつけることにより、電池ケース11の開口部が封口されている。
組立封口体30は、(i)外部端子31aを有する導電性のキャップ31、(ii)導電性の膜状材料32、(iii)キャップ31と導電性の膜状材料32との間に配されている導電性の弁体33、および(iv)弁体33と導電性の膜状材料32との間に配されている熱膨張性材料34を含む。導電性の膜状材料32は、キャップ31とは反対側、つまり発電要素12と対向する側に配されている。キャップ31、および弁体33は、例えば、導電性の膜状材料から構成されている。熱膨張性材料34は、電池の通常使用温度域を超えて加熱されると膨張する。電池の通常使用温度域とは、例えば、−30℃〜60℃の範囲のことをいう。
組立封口体30において、キャップ31の周縁部には、平坦部31cが設けられ、弁体33の周縁部には、平坦部33cが設けられている。キャップ31の平坦部31cと、弁体33の平坦部33cとが積層されることにより、キャップ31と弁体33とが電気的に接続されている。さらに、キャップ31と弁体33の積層された周縁部を覆うように、絶縁層35が設けられている。
導電性の膜状材料32(以下、下部導電膜32と称す)と弁体33とは、例えば、少なくとも1箇所で部分的に、金属接合されている。具体的には、例えば、弁体33は、弁体33の中央部33bを取り囲むように配置され、かつ下部導電膜32側に突出した凸部33aを有している。凸部33aの頂部が例えば部分的に下部導電膜32に金属接合される。こうして、下部導電膜32と弁体33とが電気的に接合され、ひいては、下部導電膜32とキャップ31とが電気的に接続される。
下部導電膜32の周縁部は、絶縁層35を介して、キャップ31と弁体33の積層された周縁部にかしめつけられている。よって、弁体33に設けられた凸部33aと、下部導電膜32との接合が絶たれると、下部導電膜32と弁体33との導通が絶たれることとなる。弁体33に設けられる凸部33aの数および下部導電膜32と弁体33との接合面積は、電池の用途、下部導電膜32および弁体33の厚さおよび材質等に応じて適宜選択される。
弁体33は互いに別個の複数の凸部33aを有していてもよいし、図1に示されるように、弁体33に、所定の円周に沿って連続的に繋がった凸部33aを設けてもよい。具体的には、弁体33は、熱膨張性材料34を取り囲むように、所定の円周に沿って連続的に繋がり、かつ下部導電膜32側に突出する凸部を有してもよい。この場合、前記凸部が、下部導電膜32に接合される。前記凸部は、部分的に下部導電膜32に接合されてもよいし、凸部全体が下部導電膜32に接合されてもよい。同様に、弁体33は、熱膨張性材料34を取り囲むように、所定の円周に沿って設けられ、かつ下部導電膜32側に突出する少なくとも1つの別個の凸部を有してもよい。この場合、前記少なくとも1つの別個の凸部の一部または全てが、下部導電膜32に接合される。
なお、第1電極13には、第1リード19の一端が接続され、組立封口体30の下部導電膜32の発電要素12側の表面には、第1リード19の他端が接続されている。第2電極14には、第2リード20の一端が接続され、電池ケース11の内底面には、第2リード20の他端が接続されている。
熱膨張性材料34は、下部導電膜32と弁体33との間に配置される。図1に示される組立封口体30においては、弁体33の凸部33aよりも、電池10の半径方向内側に、熱膨張性材料34が配されている。つまり、熱膨張性材料34は、弁体33の中央部33bと対向し、かつ連続的に繋がった凸部33aに取り囲まれている。膨張性材料34が所定倍率に膨張すると、弁体33がキャップ31側に押し上げられるか、または下部導電膜32が下方に押し下げられ、その結果、図2に示されるように、弁体33の凸部33aが下部導電膜32から離れる。このため、下部導電膜32から弁体33に、電流が流れるのを防止することができる。つまり、電池温度の上昇に反応して、電流を遮断することができる。
以上のように、下部導電膜32と弁体33とが、少なくとも1箇所の所定の位置において金属接合されるため、下部導電膜32と弁体33とを低抵抗で接続することができる。よって、例えば、高い出力特性を維持することができる。さらに、下部導電膜32と弁体33との間に、熱膨張性材料34を配置することにより、不具合等が生じて電池温度が上昇したときに、金属接合された下部導電膜32と弁体33とを確実に離すことをできる。よって、上記構成により、特に高容量および高出力特性を有する電池において、電池内部の異常を検知し、充放電を確実に停止させることができる。例えば、上記構成により、電池温度が上昇したときに、充放電を確実に停止させることができる。
熱膨張性材料34の膨張率は、120℃以上で最大となることが好ましい。このとき、熱膨張性材料34の120℃での膨張率は、200〜400%であることがさらに好ましい。これにより、電池の充放電を確実に停止することができる。さらには、電池が高電圧であるときでも、下部導電膜32と弁体33とが離れたのちに、下部導電膜32と弁体33との接合部に位置していた部分間にスパークが生じることを確実に防止することができる。
電気自動車等の電源に用いられる高容量の電池の温度は、通常使用時には、80℃以下である。一方で、このような電池に不具合が生じた場合、電池温度は、80℃を超えて上昇する。よって、膨張率は、80℃より十分に高い温度、つまり120℃以上で最大となる熱膨張性材料34を用いることにより、電池に不具合が生じたときのみに、放電をより確実に停止させることができる。なお、熱膨張性材料34は、120℃以上で膨張し始めることが好ましい。
上記のような特性を満たす熱膨張性材料34としては、膨張性黒鉛、バーミキュライト等の膨張性無機材料が挙げられる。なかでも、膨張性黒鉛が好ましい。膨張性黒鉛は、120℃程度で膨張し始めるため、上記用途に最も適しているからである。
なお、膨張性黒鉛は、例えば、グラファイト(天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト)を、無機酸(硫酸、硝酸等)と、強酸化剤(過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩等)とで処理することにより得られるグラファイト層間化合物のことをいう。
さらに、熱膨張性材料34は、膨張性無機材料のほかに、必要に応じて、絶縁性の樹脂材料等を含んでいてもよい。
前記樹脂材料としては、ゴム材料、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フェノール樹脂等を用いることができる。ゴム材料としては、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリルゴム、天然ゴム等が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等が挙げられる。
なお、熱膨張性材料が、膨張性無機材料と樹脂材料等とを含む場合、膨張性無機材料の量は、下部導電膜32と弁体33とを確実に離すことができれば、特に限定されない。膨張性無機材料の量は、例えば、熱膨張性材料の1〜90重量%とすることが好ましく、5〜50重量%とすることがさらに好ましい。
また、熱膨張性材料が、膨張性無機材料と樹脂材料等とを含む場合、熱膨張性材料の膨張率は、膨張性無機材料の量を調節することにより、制御することができる。
なお、熱膨張性材料の120℃での膨張率は、
[(120℃での厚さ)/(膨張していない状態での厚さ)]×100
により求めることができる。ここで、膨張していない状態での厚さとは、膨張開始温度よりも十分に低い温度での厚さ(例えば、25℃での厚さ)であり、かつ弁体と下部導電膜との間に配置されるときの厚さのことをいう。
電池温度が120℃以上に上昇したときに、つまり熱膨張性材料34が120℃以上に加熱されたときに、熱膨張性材料34が膨張し、金属接合部で接合されていた下部導電膜32と弁体33とが離れる。このとき、図3に示されるように、前記金属接合部が設けられた位置において、つまり下部導電膜32と弁体33とが最も接近している箇所において、下部導電膜32と弁体33との間の距離Hは、0.4mm以上であることが好ましく、1mm以上であることがさらに好ましい。ここで、下部導電膜32と弁体33との間の距離Hとは、下部導電膜32と弁体33とが金属接合されている箇所における、下部導電膜32の弁体33に最も近い位置と、弁体33の凸部33aの下部導電膜32に最も近い位置との間の垂直距離のことをいう。
特に電圧が高い電池の場合、下部導電膜32と弁体33とが最も接近した箇所おいて、下部導電膜32と弁体33との間の距離が短いと、下部導電膜32と弁体33との間にスパークが生じることがある。しかしながら、下部導電膜32と弁体33とが最も接近した箇所において、下部導電膜32と弁体33との間の距離Hを0.4mm以上とすることにより、下部導電膜32と弁体33との間にスパークが生じることを防止することができる。なお、電池電圧が50Vと高い場合でも、距離Hが0.4mm以上であれば、スパークの発生を防止することができる。
熱膨張性材料34が膨張したのちの、下部導電膜32と弁体33との間の距離Hは、例えば、熱膨張する前の熱膨張性材料の厚さ、熱膨張性材料の120℃での膨張率を調節することにより、制御することができる。
なお、下部導電膜32と弁体33との間に配置された熱膨張性材料34の厚さは、下部導電膜32および弁体33の形状等に応じて適宜選択される。
キャップ31、および弁体33は、導電性の膜状材料、例えば金属箔から構成される。キャップ31の構成材料としては、Niメッキされた冷間圧延鋼板(SPCC、SPCD)、またはステンレス鋼を用いることが好ましい。
弁体33の構成材料としては、例えば、アルミニウム(例えば1N50、A1050)またはアルミニウム合金(例えば3003等の3000系)を用いることが好ましい。
導電性の膜状材料(下部導電膜)32の構成材料としては、例えば、アルミニウム合金(5052、3003)を用いることが好ましい。
絶縁層35の構成材料としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロビニルエーテル共重合体(PFA)等を用いることができる。
キャップ31を構成する膜状材料の厚さは、0.4〜1mmであることが好ましい。導電性の膜状材料(下部導電膜)32の厚さは、0.4〜1mmであることが好ましい。弁体33を構成する膜状材料の厚さは、0.2〜0.5mmであることが好ましい。
絶縁層35の厚さは、特に限定されないが、0.5〜1mmであればよい。
さらに、図1に示されるように、金属製の第1リード19は、下部導電膜32の熱膨張性材料34が配置されている面とは反対の面の、熱膨張性材料34と対向する部分に、接続されていることが好ましい。つまり、第1リード19と下部導電膜32との接続部が、下部導電膜32を介して熱膨張性材料34と対向していることが好ましい。
短絡等の不具合が発電要素12に生じた場合、発電要素12の温度が上昇する。発生した熱の伝達速度は、通常、電池内の気体雰囲気中よりも、金属において速い。つまり、発電要素12で発生した熱は、金属製の第1リード19を伝導しやすい。よって、第1リード19を、下部導電膜32の熱膨張性材料34が配置されている面とは反対の面の、熱膨張性材料34と対向する部分に接続することにより、発電要素12で発生した熱を、熱膨張性材料34に迅速に伝えることができる。その結果、電池温度が急激に上昇した場合でも、迅速かつ確実に充放電を停止することができる。
なお、第1電極が正極である場合、電池の種類にもよるが、第1リード19の構成材料としては、例えば、アルミニウム、チタンなどが挙げられる。第2電極が負極である場合、第2リード20の構成材料としては、例えば、銅、ニッケルなどが挙げられる。
さらに、組立封口体に設けられた安全機構は、電池内圧の増加によっても作動するようにしてもよい。つまり、電池内圧が増加したときにも、電流が遮断されるようにしてもよい。このことを、図4を参照しながら説明する。図4において、図1と同じ構成要素には、同じ番号を付している。
図4に示される組立封口体40において、キャップ31は、その厚さ方向にキャップ31を貫通する貫通孔31bを有し、下部導電膜32は、その厚さ方向に下部導電膜32を貫通する貫通孔32aを有するとともに、弁体41の凸部33aに、肉薄部42を設けることが好ましい。このとき、肉薄部42は、凸部33aが電池内圧の上昇により肉薄部42において破断して、下部導電膜32と弁体41とが完全に離れるように、凸部33aに設けることが好ましい。
これにより、電池温度が上昇するとともに、電池内圧が上昇したときに、熱膨張性材料34が膨張するとともに、電池内圧に応じて、肉薄部42が破断する。よって、下部導電膜32と弁体41とをさらに確実に離すことができるとともに、電池内に発生したガスを外部に逃がすこともできる。
肉薄部42の厚さは、弁体41の厚さの20%〜50%の範囲にあることが好ましい。例えば、肉薄部42の厚さは0.03〜0.05mmとすることができる。肉薄部42の厚さが弁体41の厚さの20%より小さいと、肉薄部42の形成が困難となる。肉薄部42の厚さが弁体41の厚さの50%より大きくなると、電池内圧が上昇したときに、肉薄部42が破断しにくくなる。ここで、弁体の厚さとは、弁体を構成する金属箔の厚さのことをいう。
または、従来から用いられている電池内圧が上昇したときに電流を遮断する機構と、図1に示されるような電流遮断機構を組み合わせて用いてもよい。
なお、熱膨張性材料が膨張性黒鉛を含む場合、弁体の熱膨張性材料と接する部分に、耐熱性の絶縁シートを配置してもよい。
膨張後の膨張性黒鉛の抵抗は、数十Ωに達すると考えられるため、弁体と膨張性黒鉛を含む熱膨張性材料と下部導電膜とが直接接していても、弁体と下部導電膜との接合が破断すれば、電流を十分に遮断することができると考えられる。
上記のように、弁体の熱膨張性材料と接する部分に、耐熱性の絶縁シートをさらに配置することにより、熱膨張性材料と弁体との間の絶縁性を高めることができる。その結果、熱膨張性材料が膨張性黒鉛を含む場合の電流遮断機能をより高めることができる。
前記耐熱性の絶縁シートの構成材料としては、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトンなどが挙げられる。
耐熱性の絶縁シートの厚さは、弁体と熱膨張性材料とを絶縁できれば、特に限定されない。
以下、再度、図1を参照しながら、組立封口体30以外の構成要素について説明する。以下においては、第1電極13を正極とし、第2電極14を負極として、説明を行う。
正極は、例えば、正極集電体、および正極集電体に形成された正極活物質層を含むことができる。正極活物質層は、正極活物質、および必要に応じて、結着剤、導電剤等を含むことができる。
用いられる正極活物質は、電池の種類に応じて、適宜選択される。作製される電池が、リチウム電池である場合、正極活物質としては、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMn)等のリチウム含有遷移金属複合酸化物、二酸化マンガン等を用いることができる。
作製される電池がアルカリ蓄電池である場合、正極活物質としては、水酸化ニッケル等を用いることができる。あるいは、当該分野で公知の焼結式ニッケル正極を用いることもできる。
正極に添加される結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレンおよびポリフッ化ビニリデンが挙げられる。
正極に添加される導電剤としては、例えば、天然黒鉛(鱗片状黒鉛など)、人造黒鉛、膨張黒鉛などのグラファイト類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック類、炭素繊維、金属繊維などの導電性繊維類、銅、ニッケル等の金属粉末類、ならびにポリフェニレン誘導体などの有機導電性材料を用いることができる。
正極集電体を構成する材料としては、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、チタン等が挙げられる。
負極は、例えば、負極集電体、および負極集電体に形成された負極活物質層を含むことができる。負極活物質層は、負極活物質、および必要に応じて、結着剤、導電剤等を含むことができる。
用いられる負極活物質は、電池の種類に応じて、適宜選択される。作製される電池がリチウム電池である場合、負極活物質としては、金属リチウム、リチウム合金、黒鉛等の炭素材料、ケイ素単体、ケイ素合金、ケイ素酸化物、スズ、スズ合金、スズ酸化物等が挙げられる。
作製される電池がアルカリ蓄電池である場合、負極活物質としては、当該分野で公知の水素吸蔵合金を用いることができる。
負極に添加される結着剤および導電剤としては、正極の場合と同じ材料を用いることができる。
負極集電体の構成材料としては、例えば、ステンレス鋼、ニッケル、銅等が挙げられる。
電解質も、電池の種類に応じて適宜選択される。作製される電池がリチウム電池である場合、電解質としては、非水電解質が用いられる。非水電解質は、非水溶媒と、それに溶解した溶質とを含む。
非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどを用いることができる。これらの非水溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
溶質としては、例えば、LiPF、LiBF、LiCl、LiAlCl、LiSbF、LiSCN、LiCl、LiCFSO、LiCFCO、LiAsF、LiN(CFSO、LiB10Cl10、およびイミド類を用いることができる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてよい。
作製される電池がアルカリ蓄電池である場合、電解質としては、アルカリ電解質を用いることができる。アルカリ電解質は、例えば、比重1.30の水酸化カリウム水溶液と、それに40g/Lの濃度で溶解した水酸化リチウムとを含むことができる。
セパレータ15を構成する材料としては、第1電極(正極)13と第2電極(負極)14とを絶縁でき、かつ電池内で化学的に安定である、当該分野で公知の材料を用いることができる。このような材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、あるいはポリエチレンとポリプロピレンの混合物、またはエチレンとプロピレンとの共重合体が挙げられる。
電池ケース11を構成する材料としては、例えば、Niメッキされた鋼板、ステンレス鋼を用いることができる。
本発明は、公称容量が4Ah以上の電池において、特に有効である。上記のように、高容量の電池は、短絡の不具合が生じた場合、電池内圧が上昇しないうちに、電池温度が上昇することがある。電池温度が急激に上昇すると、電池を密封するために用いられている絶縁ガスケットが劣化し、電池内で発生したガスが外部に逃げてしまうことがある。よって、電池内圧の上昇により、電流を遮断する従来の電池では、不具合が生じたときに、放電を十分に停止することができない。一方、本発明では、熱膨張性材料の膨張により、電流を遮断することができる。よって、本発明により、特に高容量および高出力特性を有する電池において、電池内部で異常が生じたとしても、充放電を確実に停止させることができる。
さらに、上記組立封口体30を備える電池が電気自動車等の電源として用いられる場合、高い出力特性を得るために、組立封口体30の抵抗値は、1mΩ以下であることが好ましい。
なお、組立封口体30の抵抗値は、例えば、4点端子法を用いて測定することができる。キャップ31と下部導電膜32との間に所定の値の電流を流し、そのときにキャップ31と下部導電膜32との間にかかる電圧を測定する。前記電流値と測定された電圧値とから、組立封口体30の抵抗値を求めることができる。
なお、組立封口体30の抵抗値は、下部導電膜32と弁体33との接合面積、キャップ31、下部導電膜32、および弁体33の構成材料等により調節することができる。
特に、リチウム二次電池は、高電圧かつ高容量である。このため、リチウム二次電池に不具合が生じた場合、電池温度が急激に上昇することがある。よって、リチウム二次電池に本発明を適用することにより、リチウム二次電池の安全性をさらに向上させることができる。
《実施例1》
図1に示されるような密閉型の円筒形電池を作製した。
(1)正極板の作製
正極活物質として、コバルト酸リチウム(LiCoO)を用いた。正極活物質を85重量部と、導電剤である炭素粉末を10重量部と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFと略す)のN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略す)溶液とを混合して、正極合剤ペーストを得た。PVDFの添加量は、5重量部とした。
得られた正極合剤ペーストを、厚さ15μmのアルミニウム箔からなる集電体の両面に塗布し、乾燥し、圧延して、厚さ100μmの正極板を作製した。
(2)負極板の作製
負極活物質である人造黒鉛粉末を95重量部と、結着剤であるPVDFのNMP溶液とを混合して、負極合剤ペーストを得た。PVDFの添加量は、5重量部とした。
得られた負極合剤ペーストを、厚み10μmの銅箔からなる集電体の両面に塗布し、乾燥し、圧延して、厚み100μmの負極板を作製した。
(3)非水電解質の調製
非水電解質は、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジメチルカーボネートとを1:1:8の体積比で含む混合溶媒に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1.5mol/Lの濃度で溶解することにより調製した。
(4)組立封口体の作製
図1に示されるような組立封口体を作製した。熱膨張性材料としては、膨張性黒鉛(120℃での膨張率:200%)を用いた。
まず、所定の金属箔をプレス加工して、キャップ、下部導電膜および弁体を得た。弁体には、所定の円周に沿って連続的に繋がる凸部を設けた。なお、本実施例1においてのみ、弁体の膨張後の膨張性黒鉛と接触すると予測される部分に、耐熱性の樹脂シートを配しておいた。ただし、膨張後の膨張性黒鉛の抵抗は高いため、この耐熱性の樹脂シートを設けなくても、弁体と下部導電膜との接合が破断されれば、電流を遮断することができる。
次に、下部導電膜の弁体と対向する面に、熱膨張性材料を配した。熱膨張性材料は、下部導電膜と弁体とを接合したとき、弁体に設けられた凸部よりも内周側に位置するように配した。
弁体の凸部と下部導電膜とを抵抗溶接して、弁体と下部導電膜とを接合した。弁体と下部導電膜との溶接面積は1.5mm以上とした。
次いで、弁体の下部導電膜と接している側とは反対側に、キャップを積層した。下部導電膜の周縁部を、キャップと弁体との積層体の周縁部を覆うように、絶縁層を介して、前記積層体の周縁部にかしめて、組立封口体を得た。
キャップの厚さは0.5mmあり、弁体の厚さは0.4mmであり、下部導電膜の厚さは0.5mmであった。ここで、各部材の厚さは、前記部材を構成する金属箔の厚さのことである。
(5)密閉型電池の作製
得られた正極板と負極板との間に、厚み25μmのセパレータを配置して、積層体を得た。得られた積層体を渦巻状に捲回して、円柱状の極板群を作製した。
得られた極板群を、上記のようにして調製した非水電解質28mlと共に、内径29mmφのニッケルメッキされた鉄製の有底ケース内に収容した。ニッケルメッキされた鉄箔の厚さは、0.4mmであった。
アルミニウム製正極リードの一端を正極板に接続し、正極リードの他端を、組立封口体の下部導電膜の熱膨張性材料が配置されている面とは反対の面の、熱膨張性材料と対向する部分に接続した。銅製負極リードの一端を負極板に接続し、負極リードの他端を、電池ケースの内底面に接続した。極板群の上部には上部絶縁板を、下部には下部絶縁板をそれぞれ設けた。
電池ケースの開口端部を、絶縁ガスケットを介して、組立封口体の周縁部にかしめつけて、電池ケースの開口部を封口して、密閉型電池を作製した。得られた電池の公称容量は、6800mAhとした。こうして得られた電池を電池1とした。
《実施例2》
熱膨張性材料として、3M社のファイアバリア(商品名、クロロプレンゴムとバーミキュウライトを含有する樹脂組成物からなるシート材料、120℃での膨張率:300%)を用いたこと以外、実施例1と同様にして、電池2を作製した。
《実施例3》
熱膨張性材料として、三井金属塗料化学(株)製のメジヒカット(商品名、ポリウレタン樹脂と膨張性黒鉛を含有する樹脂組成物からなるシート材料、120℃での膨張率:400%)を用いたこと以外、実施例1と同様にして、電池3を作製した。
《比較例1》
図5に示されるような従来の組立封口体51を用いたこと以外、実施例1と同様にして、密閉型の円筒形電池50を作製した。得られた電池を、比較電池1とした。なお、図5において、図1と同じ構成要素には、同じ番号を付し、説明は省略する。
組立封口体51は、外部端子52aを備えるキャップ52、上弁体53、下弁体54、および下部導電膜55を含む。上弁体53には、円状またはC状の肉薄部53aが設けられている。下弁体54には、円状の肉薄部54aが設けられている。円状の肉薄部54aの内側には、上弁体53の方向に突出した凸部54bが設けられており、凸部54bが、上弁体53に電気的に接続さされている。なお、上弁体53と下弁体54との間には、絶縁層56が設けられており、上弁体53は、下弁体54の凸部54bのみが接している。
上弁体53には、キャップ52が接続され、下弁体54には、下部導電膜55が接続されている。キャップ52には、その厚さ方向に貫通する貫通孔52bが設けられ、下部導電膜55には、その厚さ方向に貫通する貫通孔55bが設けられている。
電池50においては、電池内部でガスが発生すると、電池内圧が上昇する。発生したガスは、下部導電膜55の貫通孔55bを通して、組立封口体51の内部に入り、下弁体54を押し上げる。このとき、下弁体54の肉薄部54aが破断され、上弁体53と下弁体54とが離れる。このため、電池内部で、電流が遮断される。
電流が遮断されたとしても、電池内圧がさらに上昇することがある。この場合、上弁体53の肉薄部53aが破断され、電池内部で発生したガスが、キャップ52の貫通孔52bを通して、外部に放出される。
[評価]
電池1〜3および比較電池1を以下のような加熱試験に供した。
各電池を、6.8A(1C)の電流で充電しながら、組立封口体付近を、120℃で加熱した。
その結果、電池1〜3では、充電の途中で、充電を停止することができた。一方で、比較電池1では、充電を停止させることはできなかった。
以上のように、弁体と下部導電膜との間に熱膨張性材料が配された組立封口体を用いることにより、不具合が生じて電池温度が上昇した場合等において、充放電を確実に停止できることがわかる。
本発明を現時点での好ましい実施態様に関して説明したが、そのような開示を限定的に解釈してはならない。種々の変形および改変は、上記開示を読むことによって本発明に属する技術分野における当業者には間違いなく明らかになるであろう。したがって、添付の請求の範囲は、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、すべての変形および改変を包含する、と解釈されるべきものである。
上記組立封口体を備える電池は、安全性がさらに向上されているため、例えば、携帯電話、ノート型パソコン、ビデオカムコーダーなどのポータブル電子機器の駆動用電源として好適に用いることができる。さらに、前記電池は、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、電動自転車等の電源としても好適に用いることができる。
10 電池
11 電池ケース
12 発電要素
13 第1電極
14 第2電極
15 セパレータ
16 上部絶縁板
17 下部絶縁板
18 絶縁ガスケット
19 第1リード
20 第2リード
30、40 組立封口体
31 キャップ
31a 外部端子
32 導電性の膜状材料
31b、32a 貫通孔
33、41 弁体
33a 凸部
33b 弁体の中央部
31c、33c 弁体の周縁部に設けられた平坦部
34 熱膨張性材料
35 絶縁層
42 弁体の肉薄部

Claims (15)

  1. 発電要素を収容した電池ケースを封口するための電池用組立封口体であって、
    (i)外部端子を有する導電性のキャップ、
    (ii)前記発電要素と対向する側に配され、かつ前記発電要素に含まれる一方の電極と接続される導電性の膜状材料、
    (iii)前記キャップと前記金属板との間に配されている弁体、および
    (iv)前記弁体と前記導電性の膜状材料との間に配されている熱膨張性材料
    を含み、
    前記導電性の膜状材料と前記弁体とが、少なくとも1箇所の所定の位置において、導通した状態で接合されており、前記熱膨張性材料が所定倍率に膨張したときに、前記導電性の膜状材料と前記弁体との接合が破断して、前記導電性の膜状材料と前記弁体との導通が絶たれる、電池用組立封口体。
  2. 前記弁体は、前記熱膨張性材料を取り囲むように、所定の円周に沿って連続的に繋がる凸部を有し、前記凸部は、前記導電性の膜状材料側に突出し、前記導電性の膜状材料と前記凸部とが接合されている、請求項1記載の電池用組立封口体。
  3. 前記弁体は、前記熱膨張性材料を取り囲むように、所定の円周に沿って設けられた少なくとも1つの別個の凸部を有し、前記少なくとも1つの凸部は、前記導電性の膜状材料側に突出し、前記導電性の膜状材料と前記凸部とが接合されている、請求項1記載の電池用組立封口体。
  4. 前記熱膨張性材料の膨張率が、120℃以上で最大となる、請求項1記載の電池用組立封口体。
  5. 前記熱膨張性材料の120℃での膨張率が、200〜400%である、請求項4記載の電池用組立封口体。
  6. 前記熱膨張性材料が、膨張性無機材料を含む、請求項1記載の電池用組立封口体。
  7. 前記膨張性無機材料が、膨張性黒鉛を含む、請求項6記載の電池用組立封口体。
  8. 前記弁体の前記熱膨張性材料と接触する部分に、耐熱性の絶縁シートが配置されている、請求項7記載の電池用組立封口体。
  9. 前記熱膨張性材料が、樹脂材料をさらに含む、請求項1記載の電池用組立封口体。
  10. 前記熱膨張性材料が120℃以上に加熱されたときに、前記熱膨張性材料の膨張により、前記接合されていた位置において、前記導電性の膜状材料と前記弁体とが、0.4mm以上離れる、請求項1記載の電池用組立封口体。
  11. 前記キャップは、その厚さ方向に前記キャップを貫通する貫通孔を有し、
    前記導電性の膜状材料は、その厚さ方向に前記導電性の膜状材料を貫通する貫通孔を有し、
    前記弁体は、前記導電性の膜状材料側に突出した凸部を有し、前記導電性の膜状材料と前記弁体の凸部とが接合されており、前記弁体の凸部に、肉薄部が設けられている、請求項1記載の電池用組立封口体。
  12. 抵抗値が、1mΩ以下である、請求項1記載の電池用組立封口体。
  13. 発電要素と、前記発電要素を収容する電池ケースと、前記電池ケースの開口部を封口するための請求項1記載の組立封口体とを備える、電池。
  14. 前記発電要素は、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に配置されたセパレータとを有し、
    前記第1電極と前記導電性の膜状材料とが、第1リードにより電気的に接続されており、
    前記第1リードと前記導電性の膜状材料との接続部が、前記導電性の膜状材料を介して前記熱膨張性材料と対向している、請求項13記載の電池。
  15. 公称容量が、4Ah以上である、請求項13記載の電池。
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