JPWO2010119970A1 - チオカルボニル化合物並びにこれを用いた重合体の製造方法およびその重合体 - Google Patents

チオカルボニル化合物並びにこれを用いた重合体の製造方法およびその重合体 Download PDF

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Abstract

下記式(a)で表される、チオカルボニル化合物は、RAFT剤として有用であり、これを用いることにより、反応性または単量体の転化率に優れた重合体の製造方法およびその重合体が提供される。下記式(a)中、nは1〜6であり、Zは置換または非置換のアリール、置換または非置換のヘテロアリールから選択される有機基である。

Description

本発明は、チオカルボニル化合物並びにこれを用いた重合体の製造方法およびその重合体に関し、更に詳細には、下記式(a)で表されるチオカルボニル化合物並びにこれを用いた重合体の製造方法およびその重合体に関する。
Figure 2010119970
上記式(a)中、nは1〜6であり、Zは置換または非置換のアリール、置換または非置換のヘテロアリールから選択される有機基である。
チオカルボニル化合物は、可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)剤として利用できることが知られている。RAFT剤を使用した重合方法は、リビング性のラジカル重合であり、数平均分子量および重量平均分子量の制御が容易で分子量分布の狭い重合体が得られるという特徴を示す。また、単量体の種類や添加方法を制御することにより、単独重合体、ランダム共重合体、ブロック共重合体を生成することができることが報告されている(特許文献1参照)。しかし、特許文献1に記載された重合方法は、反応速度が遅く、単量体の転化率が低いという問題がある。
日本特許第639859号公報
本発明は、RAFT剤として有用なチオカルボニル化合物を提供するものである。また、本発明は、前記チオカルボニル化合物を用いることにより、反応性または単量体の転化率に優れた重合体の製造方法およびその重合体を提供するものである。さらに本発明は、前記重合体を含有する粘着剤用または接着剤用の組成物を提供するものである。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、下記式(a)で表されるチオカルボニル化合物がRAFT剤として有用であることを見出した。
Figure 2010119970
上記式(a)中、nは1〜6であり、Zは置換または非置換のアリール、置換または非置換のヘテロアリールから選択される有機基である。
また、本発明者らは、反応系内に下記(1)〜(3)を含むことを特徴とする重合体の製造方法が、反応性または単量体の転化率に優れていることを見出した。
(1)ラジカル重合性単量体
(2)ラジカル発生剤
(3)下記式(a)で表されるチオカルボニル化合物
Figure 2010119970
上記式(a)中、nは1〜6であり、Zは置換または非置換のアリール、置換または非置換のヘテロアリールから選択される有機基である。
本発明者らは、更に、上述の重合体の製造方法を用いることにより、下記式(b)で表される重合体が得られることを見出した。
Figure 2010119970
上記式(b)中、iは2またはそれ以上であり、nは1〜6であり、Miは同一または異なるラジカル重合性単量体由来の反復単位を示し、piは互いに独立して1またはそれ以上であり反復単位Miの重合度を示す。Zは、置換または非置換のアリール、置換または非置換のヘテロアリールから選択される有機基である。
さらに本発明者らは、上記式(b)で表される重合体を含む粘着剤用または接着剤用の組成物が、優れた特性を示すことを見出した。すなわち、上記式(b)で表される重合体を含む組成物は、これと同一分子量の直鎖状重合体を含む組成物と比較して、高い凝集力を示し、高い粘着力または高い接着力を示すことを見出した。
合成例1で得られたRAFT剤1のHNMR測定結果である。 合成例1で得られたRAFT剤1の13CNMR測定結果である。 重合例4で得られた重合体の、示差走査熱量計(DSC)によるガラス転移点の測定結果である。
本発明のチオカルボニル化合物は、下記式(a)で表されるものである。
Figure 2010119970
上記式(a)中、nは1〜6であり、Zは置換または非置換のアリール、置換または非置換のヘテロアリールから選択される有機基である。
上記式(a)で表されるチオカルボニル化合物が有する置換基Zは、置換または非置換のアリール、置換または非置換のヘテロアリールから選択される有機基である。本発明におけるチオカルボニル化合物をRAFT剤として用いる場合、反応性または単量体の転化率を考慮すると、前記置換基Zは置換または非置換のアリールが好ましく、置換または非置換のベンジルがより好ましい。
本発明のチオカルボニル化合物を用いて重合体を製造する場合、チオカルボニル基の数を制御することにより、鎖状または分岐状の重合体を製造することができる。すなわち、上記式(a)においてnの数を制御することにより、鎖状または分岐状の重合体を製造することができる。
本発明の重合体を粘着用または接着用の組成物に利用する場合、凝集力または接着力の点から、前記nが4〜6の上記(a)で表されるチオカルボニル化合物を用いて重合体を製造することが好ましい。より好ましくは、前記nが5または6の上記(a)で表されるチオカルボニル化合物を用いて、特に好ましくは前記nが6の上記(a)で表されるチオカルボニル化合物を用いて重合体を製造することが好ましい。これにより、本発明の重合体を用いた組成物は、同一分子量の直鎖状重合体を用いた組成物に比べて、高い凝集力を示し、高い粘着力または高い接着力が得られる。
本発明の重合体の製造方法は、反応系内に下記(1)〜(3)を含むことを特徴とする。
(1)ラジカル重合性単量体
(2)ラジカル発生剤
(3)下記式(a)で表されるチオカルボニル化合物
Figure 2010119970
上記式(a)中、nは1〜6であり、Zは置換または非置換のアリール、置換または非置換のヘテロアリールから選択される有機基である。
本発明の重合体の製造方法において利用可能な単量体としては、ラジカル重合性単量体を用いることができる。前記ラジカル重合性単量体としては、置換または非置換のスチレン、置換または非置換のアルキルアクリレート、置換または非置換のアルキルメタクリレート、アクリロニトリル、N−アルキルアルキルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルメタクリルアミド、イソプレン、ブタジエン、エチレン、ビニルアセテートおよびこれらの組み合わせから選択することが可能である。ラジカル重合性単量体の詳細な例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート(全ての異性体を含む)、ブチルメタクリレート(全ての異性体を含む)、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、メタクリル酸、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、メタクリロニトリル、α−メチルスチレン、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート(全ての異性体を含む)、ブチルアクリレート(全ての異性体を含む)、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)、イソボルニルアクリレート、アクリル酸、ベンジルアクリレート、フェニルアクリレート、アクリロニトリル、スチレン、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート(全ての異性体を含む)、ヒドロキシブチルメタクリレート(全ての異性体を含む)、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、トリエチレングリコールメタクリレート、イタコン酸無水物、イタコン酸、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)、ヒドロキシプロピルアクリレート(全ての異性体を含む)、ヒドロキシブチルアクリレート(全ての異性体を含む)、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、トリエチレングリコールアクリレート、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−t−ブチルメタクリルアミド、N−n−ブチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチロールアクリルアミド、4−アクリルモルフォリン、ビニル安息香酸(全ての異性体を含む)、ジエチルアミノスチレン(全ての異性体を含む)、α−メチルビニル安息香酸(全ての異性体を含む)、ジエチルアミノα−メチルスチレン(全ての異性体を含む)、p−ビニルベンゼンスルホン酸、p−ビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、トリエトキシシリルプロピルメタクリレート、トリブトキシシリルプロピルメタクリレート、ジメトキシメチルシリルプロピルメタクリレート、ジエトキシメチルシリルプロピルメタクリレート、ジブトキシメチルシリルプロピルメタクリレート、ジイソプロポキシメチルシリルプロピルメタクリレート、ジメトキシシリルプロピルメタクリレート、ジエトキシシリルプロピルメタクリレート、ジブトキシシリルプロピルメタクリレート、ジイソプロポキシシリルプロピルメタクリレート、トリメトキシシリルプロピルアクリレート、トリエトキシシリルプロピルアクリレート、トリブトキシシリルプロピルアクリレート、ジイソプロポキシシリルプロピルアクリレート、マレイン無水物、N−フェニルマレイミド、N−ブチルマレイミド、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、エチレン、ビニルアセテート、およびこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明の重合体の製造方法において好ましい単量体としては、置換または非置換のスチレン、置換または非置換のアルキルアクリレート、置換または非置換のアルキルメタクリレート、アクリロニトリル、N−アルキルアルキルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルメタクリルアミド、イソプレン、ブタジエン、エチレン、ビニルアセテートおよびこれらの組み合わせから選択されるものが挙げられる。
本発明の重合体の製造方法では、単量体の種類や添加方法を制御することにより、単独重合体、ランダム共重合体、ブロック共重合体を生成することができる。
また、本発明の重合体の製造方法において、1種またはそれ以上の単量体を用いることにより下記式(b)で表される重合体を製造することが可能である。
Figure 2010119970
上記式(b)中、iは2またはそれ以上であり、nは1〜6であり、Miは同一または異なるラジカル重合性単量体由来の反復単位を示し、piは互いに独立して1またはそれ以上であり反復単位Miの重合度を示す。Zは、置換または非置換のアリール、置換または非置換のヘテロアリールから選択される有機基である。
上記式(b)で表される重合体を粘着用または接着用の組成物に利用する場合、凝集力または接着力の点から、前記nが4〜6の上記(b)で表される重合体を用いることが好ましい。より好ましくは、前記nが5または6の上記(b)で表される重合体を用いて、特に好ましくは前記nが6の上記(b)で表される重合体を用いることが好ましい。これにより、本発明の重合体を用いた組成物は、同一分子量の直鎖状重合体を用いた組成物に比べて、高い凝集力を示し、高い粘着力または高い接着力が得られる。
上記式(b)中の反復単位Miを生成するラジカル重合性単量体の例としては、前述した本発明の重合体の製造方法において利用可能な単量体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明における重合体の製造方法で用いるラジカル発生剤の例としては、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2−(t−ブチルアゾ)−2−シアノプロパン、2,2’−アゾビス(イソブチルアミド)二水和物、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二硫酸塩脱水物、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]四水和物、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトニル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、1−[(シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、ペルオキシ酢酸t−ブチル、ペルオキシ安息香酸t−ブチル、ペルオキシオクタン酸t−ブチル、ペルオキシネオデカン酸t−ブチル、ペルオキシイソ酪酸t−ブチル、ペルオキシピバル酸t−アミル、ペルオキシピバル酸t−ブチル、ペルオキシ二炭酸ジイソプロピル、ペルオキシ二炭酸ジシクロヘキシル、過酸化ジクミル、過酸化ジベンゾイル、過酸化ジラウロイル、ペルオキシ二硫酸カリウム、ペルオキシ二硫酸アンモニウム、次亜硝酸ジ−t−ブチル及び次亜硝酸ジクミル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明における重合体の製造方法では、所望により有機溶媒を用いることができる。本発明における重合体の製造方法で用いることができる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトン、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。中でも酢酸エチル、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン等通常の溶液ラジカル重合で用いられる有機溶媒が好ましい。
合成例1
RAFT剤1の合成
滴下ロートを接続した100mLの三口丸底フラスコを窒素置換した後、ベンジルマグネシウムクロライドの1.0Mジエチルエーテル溶液(22mL)を加えて氷浴で0℃に冷却した。ここに二硫化炭素(1.32mL)を滴下ロートから10分間かけて滴下した後、0℃で4.5時間攪拌した。その後、水30mLを加え室温に戻した後、ジエチルエーテル(計100mL)で2回洗浄した。ジエチルエーテル(50mL)と30%HCL(5mL)を加え、有機層より生成物を抽出した。その後、水(計150mL)で3回洗浄した。ジエチルエーテル層を濃縮することによりフェニルエチルジチオカルボン酸(1.86g)を得た。
得られたフェニルエチルジチオカルボン酸(1.86g)を200mLのナスフラスコに加え、水2mLに溶かした水酸化カリウム(0.62g)を加えて攪拌した。その後、水を留去してフェニルエチルジチオカルボン酸のカリウム塩を得た。このナスフラスコを窒素置換した後、THFを15mL加えた。さらにTHF55mLと混合したヘキサキス(ブロモメチル)ベンゼン(1.17g)を25分間かけて滴下した。その後室温で1時間攪拌した。反応が進行するにつれて、溶液が赤色から黄色へと変化した。反応終了後THFを留去し、水30mLを加え、トルエン(合計90mL)で3回生成物を抽出した。続いて、トルエン層を水(計150mL)で3回洗浄した。トルエン層を濃縮することによりRAFT剤1(1.20g)を得た。
RAFT剤1の構造確認(図1、図2参照)
H−NMR(CDCl)(ppm):4.1(s、12H)、4.2(s、12H)、7.2−7.4(m、30H)
13C−NMR(CDCl)(ppm):36.9、57.5、127.4、128.6、129.1、135.5、136.3
重合例1
500mLナスフラスコに、ラジカル重合開始剤として2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(以下「AIBN」)(70mg)、RAFT試薬1(230mg)を加え窒素置換した。これに、蒸留精製して重合禁止剤を除去したブチルアクリレート(以下「BA」)(46mL:320mmol)、トルエン(26mL)を加え、窒素を10分間吹き込んだ。その後、ナスフラスコを60℃の油浴に入れ20時間反応させた。
反応が進行するにつれて、反応溶液の粘度上昇が確認された。ガスクロマトグラフィーにより求めたBAの転化率は90%、Mwは100,000、Mw/Mnは2.0であった。
その後、2−ヒドロキシエチルアクリレート(以下「2HEA」)(6.3mL:55mmol)を加え、均一になるまで攪拌した後、窒素を10分間吹き込んだ。次に、ナスフラスコを60℃の油浴に入れて20時間反応させた。室温に戻した後、分析を行った。ガスクロマトグラフィーにより求めた2HEAの転化率は99%、GPCにより求めたMwは110,000、Mw/Mnは2.0であった。
重合例2
100mLナスフラスコに、ラジカル重合開始剤としてAIBN(1.4mg)、RAFT剤1(4.6mg)を加え窒素置換した。これに、蒸留精製し重合禁止剤を除去したBA(4.6mL:32mmol)、トルエン(2.6mL)を加え、窒素を10分間吹き込んだ。その後、ナスフラスコを60℃の油浴に入れ20時間反応させた。
反応が進行するにつれて、反応溶液の粘度上昇が確認された。ガスクロマトグラフィーにより求めたBAの転化率は90%、GPCにより求めたMwは66万、Mw/Mnは3.5であった。
その後、2HEA(0.63mL:5.5mmol)を加え均一になるまで攪拌した後、窒素を10分間吹き込んだ。次に、ナスフラスコを60℃の油浴に入れて20時間反応させた。室温に戻した後、分析を行った。ガスクロマトグラフィーにより求めた2HEAの転化率は99%、GPCにより求めたMwは790,000、Mw/Mnは4.0であった。
重合例3
100mLナスフラスコに、ラジカル重合開始剤としてAIBN(140mg)、RAFT剤1(460mg)を加え窒素置換した。これに、蒸留精製し重合禁止剤を除去したBA(4.6mL:32mmol)、トルエン(2.6mL)を加え、窒素を10分間吹き込んだ。その後、ナスフラスコを60℃の油浴に入れ20時間反応させた。反応が進行するにつれて、反応溶液の粘度上昇が確認された。ガスクロマトグラフィーにより求めたBAの転化率は90%、GPCにより求めたMwは8,000、Mw/Mnは1.5であった。
その後、2HEA(0.63mL:5.5mmol)を加え、均一になるまで攪拌した。続いて、窒素を10分間吹き込んだ後、ナスフラスコを60℃の油浴に入れ20時間反応させた。室温に戻した後、分析を行った。ガスクロマトグラフィーにより求めた2HEAの転化率は99%、GPCにより求めたMwは10,000、Mw/Mnは1.5であった。
重合例4
100mLナスフラスコに、ラジカル重合開始剤としてAIBN(45mg)、RAFT剤1(160mg)を加え窒素置換した。これに、蒸留精製し重合禁止剤を除去したブチルメタクリレート(以下「BMA」)(4.6mL:29mmol)、トルエン(2.6mL)を加え、窒素を10分間吹き込んだ。その後ナスフラスコを60℃の油浴に入れ20時間反応させた。反応が進行するにつれて、反応溶液の粘度上昇が確認された。ガスクロマトグラフィーにより求めたBMAの転化率は90%、GPCにより求めたMwは116,000、Mw/Mnは1.9であった。
その後、メチルメタクリレート(以下「MMA」)(3.1mL:29mmol)を加え、均一になるまで攪拌した。続いて、窒素を10分間吹き込んだ後、ナスフラスコを60℃の油浴に入れ、20時間反応させた。室温に戻した後、分析を行った。ガスクロマトグラフィーにより求めたMMAの転化率は93%、GPCにより求めたMwは135,000、Mw/Mnは1.8であった。
重合体の熱分析
重合例4で得られた重合体のガラス転移点を示差走査熱量計(DSC)により測定した。その結果、20℃と90℃の2箇所にガラス転移点のピークが確認された(図3参照)。このことより、ポリマーがブロック共重合体であることが確認された。
比較例1
500mLナスフラスコに、ラジカル重合開始剤としてAIBN(500mg)を入れ窒素置換した。これに、蒸留精製して重合禁止剤を除去したBA(46mL:320mmol)、2HEA(6.3mL:55mmol)、酢酸エチル(44mL)、およびトルエン(11mL)を加え、窒素を10分間吹き込んだ。ナスフラスコを油浴に入れ、還流下で6時間反応させた。反応が進行するにつれて反応溶液の粘度上昇が確認された。室温に戻した後、分析を行った。GPCにより求めたMwは110,000、Mw/Mnは2.5であった。
上記重合例1〜4と比較例1の結果を以下の表Iにまとめた。
Figure 2010119970
粘着剤の調製
重合例1で得られた重合体を10g、希釈剤として酢酸エチルを10g、架橋剤として旭化成ケミカルズ社製デュラネートD−201を0.1g混合し、粘着剤溶液を得た。これを厚さ38μmのPET製セパレーター上にアプリケーターを用いて、乾燥後の膜厚が25μmとなるように塗布した。100℃で1分間の乾燥後、50μmの未処理PETを貼り合わせ、23℃、湿度65%で7日間養生を行い、粘着シート1を得た。
同様に、比較例1で得られた重合体を10g、希釈剤として酢酸エチルを10g、架橋剤として旭化成ケミカルズ社製デュラネートD−201を0.1g混合し、粘着剤溶液を得た。これを厚さ38μmのPET製セパレーター上にアプリケーターを用いて、乾燥後の膜厚が25μmとなるように塗布した。100℃で1分間の乾燥後、50μmの未処理PETを貼り合わせ、23℃、湿度65%で7日間養生を行い、粘着シート2を得た。
作製した粘着シート1及び2について、JISZ0237に準じて粘着物性(粘着力、保持力及びボールタック)の測定を行った。結果は表IIに示す。その結果、本発明の重合体を用いた粘着シート1は、直鎖状重合体を用いた粘着シート2に比べて粘着力に優れていた。また、本発明の重合体を用いた粘着シート1は、80℃、10分間の保持力試験において「ずれ」を生じなかった。一方、直鎖状重合体を用いた粘着シート2は、80℃、10分間の保持力試験を行ったところ、シートが落下してしまった。
Figure 2010119970
測定方法
粘着力:粘着シート1を25mm幅に切り出し、セパレータを剥いでSUS#304板に23℃、湿度65%の雰囲気下で2kgのローラーを用いて貼付した。貼付30分後に、テンシロンを用いて剥離角180°、剥離速度300mm/minの条件でSUS#400板から剥離し、このときの剥離強度を粘着力として求めた。
保持力:粘着シート1を25mm幅×75mm長に切り出し、セパレータを剥いで、SUS#304板に23℃、湿度65%の雰囲気下で2kgのローラーを用いて、25mm×25mmの面積だけ貼付した。貼付1時間後に80℃の恒温槽に1時間放置し、その後SUS板に貼付されていない側の試料端部に1kgの錘を取り付けて、24時間後の試料のSUS板からのずれを測定した。
ボールタック(30°):J.Dow法に従って測定した。

Claims (5)

  1. 下記式(a)で表されるチオカルボニル化合物。
    Figure 2010119970
    上記式(a)中、nは1〜6であり、Zは置換または非置換のアリール、置換または非置換のヘテロアリールから選択される有機基である。
  2. 反応系内に下記(1)〜(3)を含むことを特徴とする重合体の製造方法。
    (1)ラジカル重合性単量体
    (2)ラジカル発生剤
    (3)下記式(a)で表されるチオカルボニル化合物
    Figure 2010119970
    上記式(a)中、nは1〜6であり、Zは置換または非置換のアリール、置換または非置換のヘテロアリールから選択される有機基である。
  3. 下記式(b)で表される重合体。
    Figure 2010119970
    上記式(b)中、iは2またはそれ以上であり、nは1〜6であり、Miは同一または異なるラジカル重合性単量体由来の反復単位を示し、piは互いに独立して1またはそれ以上であり反復単位Miの重合度を示す。Zは、置換または非置換のアリール、置換または非置換のヘテロアリールから選択される有機基である。
  4. ラジカル重合性単量体が、置換または非置換のスチレン、置換または非置換のアルキルアクリレート、置換または非置換のアルキルメタクリレート、アクリロニトリル、N−アルキルアルキルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルメタクリルアミド、イソプレン、ブタジエン、エチレン、ビニルアセテートおよびこれらの組み合わせから選択されることを特徴とする、請求項3に記載された重合体。
  5. 請求項3または4に記載された重合体を含むことを特徴とする、粘着剤用または接着剤用組成物。
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