以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態にかかる医薬組成物容器10について説明する。
図1を参照しつつ、本実施形態にかかる医薬組成物容器10の構成を説明する。本実施形態にかかる医薬組成物容器10は、容器本体20と、これに一体化したカバー22とを備えている。本実施形態にかかる容器本体20およびカバー22は、2枚の積層材50を互いに貼り合わされることで形成されている。積層材50については後述する。
容器本体20は、嚥下補助物質室30と中間室32と第1医薬組成物室34と第2医薬組成物室36と開口つき空間38とを備えている。嚥下補助物質室30と中間室32と第1医薬組成物室34と第2医薬組成物室36とは、医薬組成物容器10の周りの外部空間に対して気密性を保つように形成されている。
カバー22と嚥下補助物質室30と中間室32と第1医薬組成物室34と第2医薬組成物室36と開口つき空間38とは、1つの列を形成するように並んでいる。図1から明らかなように、開口つき空間38がその列の一端に配置されている。カバー22がその列の他端に配置されている。図2は、本実施形態にかかる医薬組成物容器10の断面図である。図2が示すような形態で、カバー22は、容器本体20のうち開口つき空間38を形成している部分の外側を覆い得る。それが可能なのは、本実施形態にかかる積層材50が折り曲げ可能なためである。
再度図1を参照しつつ、嚥下補助物質室30と第1医薬組成物室34と第2医薬組成物室36とに収容されている物について説明する。
嚥下補助物質室30内には、嚥下補助物質40が収容されている。本実施形態における嚥下補助物質40は、水分を含有する、滅菌されたゼリーである。本実施形態において、ゼリーの含水率は、次に述べる要件を満たすように設定される。その要件とは、嚥下補助物質40が後述する第1包蔵物42および第2包蔵物44の表面を覆った時から第1包蔵物42および第2包蔵物44が完全に溶けるまでの時間を少なくとも2分確保できるという要件である。
第1医薬組成物室34内には、第1包蔵物42が収容されている。第1包蔵物42内には、顆粒状の薬剤その他の第1医薬組成物80が包蔵されている。本実施形態に係る第1包蔵物42の素材は、厚さ15μmのデンプン製のオブラートである。
第2医薬組成物室36内には、第2包蔵物44が収容されている。第2包蔵物44内には、第2医薬組成物82が包蔵されている。第2医薬組成物82は、顆粒状の第1医薬組成物80とは種類が異なる物質である。本実施形態に係る第2包蔵物44の素材は、厚さ10μmのデンプン製のオブラートである。なお、第1包蔵物42および第2包蔵物44の開口は、第1医薬組成物80や第2医薬組成物82の入口にあたる部分を捻ることで、密封されている。
第1包蔵物42および第2包蔵物44の素材としてオブラートが用いられるのは、次に述べる機能が第1包蔵物42および第2包蔵物44に求められるためである。その機能とは、嚥下補助物質40が第1包蔵物42あるいは第2包蔵物44の表面を覆った時にそれらの表面が溶け始め、それらが嚥下された後にそれらが完全に溶けるという機能である。第1包蔵物42に用いられるオブラートが第2包蔵物44に用いられるオブラートよりも厚いのは、嚥下補助物質40によって覆われ始めてから完全に溶けるまでの時間を第2包蔵物44よりも長くする必要があるためである。そのようにする必要があるのは、第1包蔵物42が第2包蔵物44よりも早く嚥下補助物質40に覆われるためである。第2包蔵物44の素材として厚さ10μmのオブラートが用いられるのは、嚥下補助物質40に覆われてから完全に溶けるまでの時間を少なくとも2分確保するためである。もちろん、オブラートの厚さはその材質に応じて適宜選択されるべきものである。
なお、嚥下補助物質室30と第1医薬組成物室34と第2医薬組成物室36とには、第1医薬組成物80や第2医薬組成物82や嚥下補助物質40に影響を与えない気体(例えば窒素ガス)が、必要に応じて封入してある。
ちなみに、後述する第1弱シール140ないし第4弱シール146が剥離するまで、本実施形態における中間室32と開口つき空間38とは空室である。空室とは、何も収容されていないか、第1医薬組成物80や第2医薬組成物82や嚥下補助物質40に影響を与えない気体が収容されている空間のことである。開口つき空間38は開口60を有する。開口60は、嚥下補助物質室30、中間室32、第1医薬組成物室34、第2医薬組成物室36、および、開口つき空間38の外部と、それらの内部とを連通させる。ただし、第1弱シール140ないし第4弱シール146がすべて剥離するまで、開口60は、嚥下補助物質室30、中間室32、第1医薬組成物室34、および、第2医薬組成物室36のうち、開口つき空間38に連通しているものの内部と、それらの空間の外部とを連通させるものである。
嚥下補助物質室30と中間室32との間は、第1弱シール140によって仕切られている。中間室32と第1医薬組成物室34との間は、第2弱シール142によって仕切られている。第1医薬組成物室34と第2医薬組成物室36との間は、第3弱シール144によって仕切られている。第2医薬組成物室36と開口つき空間38との間は、第4弱シール146によって仕切られている。第1弱シール140と第2弱シール142と第3弱シール144と第4弱シール146と(これらを、「第1弱シール140ないし第4弱シール146」と総称する)は、容器本体20が備える空間のうち隣り合う2つのものの間にあたる部分に配置されている。
第1弱シール140ないし第4弱シール146の強度は、底部強シール160の強度および側部強シール162の強度よりも低くなっている。底部強シール160とは、容器本体20とカバー22との境界における、積層材50の面と面とが互いに貼り合わされた部分のことである。側部強シール162とは、積層材50の面と面とが互いに貼り合わされた部分のうち、第1弱シール140ないし第4弱シール146と底部強シール160とを除く部分のことである。本実施形態の場合、第1弱シール140ないし第4弱シール146の強度は、嚥下補助物質40の圧力(この圧力は、嚥下補助物質室30の外部から成人が力を加えたことに起因する)によって破壊され得る強度である。なお、嚥下補助物質室30と中間室32との間、中間室32と第1医薬組成物室34との間、第1医薬組成物室34と第2医薬組成物室36との間、および、第2医薬組成物室36と開口つき空間38との間を破壊するための具体的な方法は、嚥下補助物質40の圧力によって破壊するものに限定されない。たとえば、2枚の積層材50を両手でそれぞれつまんで引っ張ることで、第1弱シール140ないし第4弱シール146を引き裂いてもよい。
図3は、本実施形態にかかる医薬組成物容器10の拡大断面図である。図1と図3とを参照しつつ、積層材50の構成と第1弱シール140ないし第4弱シール146の構成とについて説明する。本実施形態にかかる積層材50は、外皮材100と、中間材102と、閉塞材104とを有する(なお、図2において、積層材50が有するこれら3層構造は図示されておらず、省略されている)。2枚の積層材50の閉塞材104,104は互いに融着している。この融着している部分は、医薬組成物容器10の外部から加えられる力によって、外皮材100および中間材102より先に破壊される。外皮材100の融点および中間材102の融点に比べ、閉塞材104の融点は低い。そのため、外皮材100の外側から積層材50に熱を加えると、外皮材100や中間材102が溶融する前に閉塞材104が溶融する。外皮材100や中間材102が溶融する前に閉塞材104が溶融するため、閉塞材104のみを融着させることができる。この融着した部分が第1弱シール140ないし第4弱シール146である。図3には、第4弱シール146のみが示されている。
第1弱シール140ないし第4弱シール146にあたる部分の閉塞材104の素材と底部強シール160や側部強シール162にあたる部分の閉塞材104の素材とは異なる(ただし、外皮材100の素材や中間材102の素材は、第1弱シール140ないし第4弱シール146にあたる部分と底部強シール160や側部強シール162にあたる部分との間で同一である)。それらが異なっているため、第1弱シール140ないし第4弱シール146の強度を、底部強シール160の強度および側部強シール162の強度よりも低くすることが可能となっている。ちなみに、本実施形態において、外皮材100の素材はポリエチレンテレフタレートである。中間材102の素材はナイロンである。閉塞材104のうち、第1弱シール140ないし第4弱シール146にあたる部分の素材はポリエチレンである。
図4は、本実施形態にかかる医薬組成物容器10の製造手順を示す図である。図4を参照しつつ、医薬組成物容器10の製造手順を説明する。第1のステップは、2枚の積層材50,50を重ね、医薬組成物容器10の側部にあたる部分を加熱するステップである。これにより、図4(A)に示されるように、側部強シール162が形成される。第2のステップは、積層材50のうち、中間室32の辺りを加熱するステップである。これにより、図4(B)に示されるように、第1弱シール140と第2弱シール142とが形成される。第3のステップは、図4(C)に示されるように、2枚の積層材50,50の間に、第1包蔵物42を挿入するステップである。第4のステップは、積層材50のうち、第1医薬組成物室34と第2医薬組成物室36との間の辺りを加熱するステップである。これにより、図4(D)に示されるように、第3弱シール144が形成される。第5のステップは、図4(E)に示されるように、2枚の積層材50,50の間に、第2包蔵物44を挿入するステップである。第6のステップは、積層材50のうち、第2医薬組成物室36と開口つき空間38との間の辺りを加熱するステップである。これにより、図4(F)に示されるように、第4弱シール146が形成される。第7のステップは、2枚の積層材50の間に、嚥下補助物質40を充填するステップである。このとき、まず、容器本体20のうち第1弱シール140の部分を折り曲げ、嚥下補助物質室30を上に向ける。嚥下補助物質室30が上を向くと、嚥下補助物質室30内に図示しないノズルを挿入し、嚥下補助物質40を充填する。第8のステップは、容器本体20とカバー22との境界部分を加熱するステップである。これにより、図4(G)に示されるように、底部強シール160が形成される。第9のステップは、図4(H)に示されるように、容器本体20とカバー22との境界部分を折り曲げた後、容器本体20のうち開口つき空間38を形成する部分をカバー22の間に挿入するステップである。これらのステップを経て完成した医薬組成物容器10は、図示しない紙箱に納められて流通する。
図5は、本実施形態にかかる医薬組成物容器10の使用方法を示す図である。図5を参照しつつ、第1医薬組成物80および第2医薬組成物82を医薬組成物容器10から取出して服用するための手順を説明する。
最初に、介護者などが、カバー22から容器本体20の先端部分を引き抜くことで、図4(H)に示されている形態であった医薬組成物容器10を図1あるいは図4(G)に示されている形態にする。次に、介護者などが嚥下補助物質室30を医薬組成物容器10の外から押して、嚥下補助物質室30の内部からの圧力により第1弱シール140を剥離させる。第1弱シール140が剥離されると、嚥下補助物質40が中間室32に押し出される。押し出された嚥下補助物質40は、中間室32の中に充満する。
この状態で、介護者などが嚥下補助物質室30を医薬組成物容器10の外から引き続き押すと、中間室32の内部における嚥下補助物質40の圧力により第2弱シール142が剥離する。このとき、カバー22を容器本体20の方へ折る。第2弱シール142が剥離すると、嚥下補助物質40が第1医薬組成物室34に押し出される。押し出された嚥下補助物質40は、第1医薬組成物室34の中に充満する。この時から、第1包蔵物42の表面は、嚥下補助物質40によって溶け始める。
嚥下補助物質40が第1医薬組成物室34に押し出された後、介護者などが、医薬組成物容器10を患者200に咥えさせる。医薬組成物容器10が咥えられると、患者200が、容器本体20の方へ折り畳まれたカバー22を容器本体20の方へさらに折り、かつ、容器本体20とカバー22とをしごく。これにより、嚥下補助物質40に圧力が加えられる。嚥下補助物質40に圧力が加えられた結果、第3弱シール144が剥離する。第3弱シール144が剥離すると、第1包蔵物42ごと嚥下補助物質40が第2医薬組成物室36に押し出される。押し出された嚥下補助物質40は、第2医薬組成物室36の中に充満する。この時から、第2包蔵物44の表面も、嚥下補助物質40によって溶け始める。
嚥下補助物質40が第2医薬組成物室36に押し出された後、患者200が、嚥下補助物質室30から第2医薬組成物室36へ向かう方向へ容器本体20とカバー22とをさらに折り、かつ、それらをさらにしごく。これにより、嚥下補助物質40に圧力が加えられる。嚥下補助物質40に圧力が加えられた結果、第4弱シール146が剥離する。第4弱シール146が剥離すると、嚥下補助物質40と第1包蔵物42および第2包蔵物44とが開口つき空間38に押し出される。それらは、開口つき空間38と患者200の口とを経て嚥下される。このとき、第1包蔵物42および第2包蔵物44の表面が嚥下補助物質40の成分に溶けているため、第1包蔵物42および第2包蔵物44の表面はすべりやすくなっている。第1包蔵物42および第2包蔵物44の表面がすべりやすくなっているため、第1包蔵物42および第2包蔵物44はスムーズに嚥下される。
以上のようにして、本実施形態にかかる医薬組成物容器10は、次に述べる8つの効果を奏する。第1の効果は、第1医薬組成物80や第2医薬組成物82を容易に嚥下することができるという効果である。第2の効果は、第1医薬組成物80や第2医薬組成物82が苦味を有する場合、その苦味が抑制されるという効果である。第3の効果は、第1医薬組成物80や第2医薬組成物82が口内で散乱することを抑制できるという効果である。第4の効果は、第1医薬組成物80や第2医薬組成物82の安定性を懸念する必要がなくなるという効果である。第5の効果は、嚥下が困難な者に対してさまざまな種類の固体を服用させることができるという効果である。第6の効果は、第1医薬組成物80や第2医薬組成物82を服用する際の清潔性を高めることができるという効果である。第7の効果は、第1包蔵物42や第2包蔵物44をスムーズに押し出すことができるという効果である。第8の効果は、医薬組成物容器10の内部における医薬組成物80,82の残留量を低下させる(本実施形態の場合ならば、残留量をゼロに近い量にする)ことができるという効果である。
第1の効果について詳細に説明する。嚥下補助物質40に包まれた状態で患者200の口の中に第1包蔵物42および第2包蔵物44が入る。このとき、第1包蔵物42および第2包蔵物44の表面は溶けている。嚥下補助物質40に包まれた上、表面が溶けているので、嚥下が困難な患者200であってもそれらの第1包蔵物42および第2包蔵物44を容易に嚥下することができる。第1包蔵物42および第2包蔵物44には医薬組成物80が入っているので、第1包蔵物42および第2包蔵物44を嚥下することで第1医薬組成物80や第2医薬組成物82も嚥下されることとなる。これにより、第1医薬組成物80や第2医薬組成物82を容易に嚥下することができる。
第2の効果について詳細に説明する。上述したように、嚥下補助物質40に包まれた状態で患者200の口の中に第1包蔵物42および第2包蔵物44が入る。これにより、第1包蔵物42および第2包蔵物44の中身である第1医薬組成物80や第2医薬組成物82は、嚥下補助物質40と第1包蔵物42および第2包蔵物44とにより二重に包まれていることとなる。第1医薬組成物80や第2医薬組成物82が二重に包まれているため、第1医薬組成物80や第2医薬組成物82が薬剤であっても、患者200の舌がその苦味を感じ取る可能性は低くなる。その結果、薬剤の苦味が抑制される。
第3の効果について詳細に説明する。上述したように、第1医薬組成物80や第2医薬組成物82は、嚥下補助物質40と第1包蔵物42および第2包蔵物44とにより二重に包まれている。これにより、患者200の口内で第1医薬組成物80や第2医薬組成物82が散乱する可能性は低くなる。その結果、第1医薬組成物80や第2医薬組成物82が口内で散乱することを抑制できる。
第4の効果について詳細に説明する。第1医薬組成物80や第2医薬組成物82は化学物質である。化学物質同士が接触すると、多くの場合に化学反応が生じる。化学反応が生じることにより、医薬組成物は薬としての作用を失う。このため、多くの場合、複数の医薬組成物を混合状態で保存することはできない。混合状態でそれらを保存する場合、それらの作用が失われないか予め調べる必要がある。本実施形態にかかる医薬組成物容器10には複数の空間が設けられている。それらの空間に1種類ずつ医薬組成物を収容することと、複数の医薬組成物を別々に保存することとは実質上同一である。これが、本実施形態にかかる医薬組成物容器10を用いれば医薬組成物の安定性を懸念しなくてよい理由である。医薬組成物の安定性を懸念しなくて良いので、複数の医薬組成物の薬効が失われていないか予め調べる必要もなくなる。
第5の効果について説明する。嚥下補助物質40を第1医薬組成物室34と第2医薬組成物室36とに順次誘導した後、嚥下補助物質40と第1包蔵物42および第2包蔵物44とを嚥下することで、第1医薬組成物80や第2医薬組成物82自体の活性は嚥下の難易度に関してあまり大きな影響を持たなくなる。これにより、嚥下が困難な者に対してさまざまな種類の固体を服用させることができる。
第6の効果について説明する。医薬組成物容器10の使用前、容器本体20のうち開口つき空間38を形成している部分は、カバー22によって覆われている。これにより、容器本体20のうち開口つき空間38を形成している部分に細菌などが付着する頻度は低くなる。特に、容器本体20のうち口に触れる部分を破壊して開口を形成する場合に比べ、細菌などが付着する頻度は低くなる。容器本体20のうち口に触れる部分を破壊して開口を形成する場合、その部分を破壊する際、器具や手によってその部分に触れる必要がある。このとき、それらの器具や手に付着していた細菌やウィルスがその部分に付着する可能性があるためである。本実施形態にかかる医薬組成物容器10の場合、第1弱シール140ないし第4弱シール146を破壊することで嚥下補助物質40と第1包蔵物42および第2包蔵物44とを嚥下できるので、容器本体20のうち口に触れる部分に器具や手によって触れる必要がない分、そこに細菌やウィルスが付着する可能性を低くできる。その結果、第1医薬組成物80や第2医薬組成物82を服用する際の清潔性を高めることができる。
第7の効果について説明する。第2医薬組成物室36側の第1医薬組成物室34の端部が、第2医薬組成物室36に近付くにつれ狭くなっており、かつ、第1医薬組成物室34内に第1包蔵物42が収容されているので、嚥下補助物質40によって第1包蔵物42を押し出す際、それがスムーズに実施できる。開口つき空間38側の第2医薬組成物室36の端部が、開口つき空間38に近付くにつれ狭くなっており、かつ、第2医薬組成物室36内に第2包蔵物44が収容されているので、この第2包蔵物44も、同様のスムーズさで押し出される。
第8の効果について説明する。開口60から嚥下補助物質40と第1包蔵物42および第2包蔵物44とが押し出されると、それらの中の第1医薬組成物80および第2医薬組成物82も同時に押し出されることとなる。これにより、第1医薬組成物室34および第2医薬組成物室36の中における第1医薬組成物80および第2医薬組成物82の残留量は、第1包蔵物42および第2包蔵物44の中に第1医薬組成物80および第2医薬組成物82が入っていない場合に比べ、大幅に少なくなる。しかも、本実施形態にかかる第1包蔵物42および第2包蔵物44は密封されている。密封されているので、第1包蔵物42および第2包蔵物44の中から第1医薬組成物80および第2医薬組成物82が漏れ出す可能性は極めて低い。その可能性が極めて低いので、医薬組成物容器10の内部における第1医薬組成物80および第2医薬組成物82の残留量を低下させる(実際には、残留量をゼロに近い量にする)ことができる。
<第2実施形態>
以下、本発明の第2実施形態にかかる医薬組成物容器210について説明する。なお、第1実施形態において説明したものと同一物に対しては、同一の符号を付してある。本実施形態では、その詳細な説明は繰り返さない。
図6は、本実施形態にかかる医薬組成物容器210の一部破断図である。図6を参照しつつ、本実施形態にかかる医薬組成物容器210の構成を説明する。本実施形態にかかる医薬組成物容器210は、容器本体220と、カバー222とを備えている。容器本体220は、折り畳まれ、かつ、外周部分が貼り合わされた1枚の積層材50によって形成されている。カバー222は、容器本体220と同じく積層材50によって形成されている。カバー222は、容器本体220と一体化している。図6において、医薬組成物容器210の左端のハッチングは、積層材50の断面を示す。
容器本体220は、嚥下補助物質室230と医薬組成物室232と開口つき空間234とを有している。嚥下補助物質室230と医薬組成物室232とは、医薬組成物容器210の周りの外部空間に対して気密性を保つように形成されている。
嚥下補助物質室230内には、嚥下補助物質40が収容されている。医薬組成物室232内には、第1包蔵物42が収容されている。第1包蔵物42内には、第1医薬組成物80が包蔵されている。後述する第1弱シール240および第2弱シール242が剥離するまで、開口つき空間234は空室である。
なお、嚥下補助物質室230と医薬組成物室232とには、第1医薬組成物80や嚥下補助物質40に影響を与えない気体が、必要に応じて封入してある。
嚥下補助物質室230と医薬組成物室232との間は、第1弱シール240によって仕切られている。医薬組成物室232と開口つき空間234との間は、第2弱シール242によって仕切られている。第1弱シール240および第2弱シール242は、容器本体220によって形成された空間のうち隣り合う2つのものの間にあたる部分に配置されていることとなる。
第1弱シール240および第2弱シール242の強度は、底部強シール260の強度および側部強シール262の強度よりも低くなっている。底部強シール260とは、容器本体220とカバー222との境界における、積層材50の面と面とが互いに貼り合わされた部分のことである。側部強シール262とは、積層材50の面と面とが互いに貼り合わされた部分のうち、第1弱シール240および第2弱シール242と底部強シール260とを除く部分のことである。本実施形態の場合、第1弱シール240および第2弱シール242の強度は、第1実施形態と同様、嚥下補助物質40の圧力によって破壊され得る強度である。なお、これも第1実施形態と同様、第1弱シール240および第2弱シール242を破壊するための具体的な方法は、嚥下補助物質40の圧力によって破壊するものに限定されない。
第1弱シール240および第2弱シール242の構成は、第1実施形態にかかる第1弱シール140ないし第4弱シール146の構成と同様である。また、底部強シール260および側部強シール262の構成は、第1実施形態にかかる底部強シール160および側部強シール162と同様である。したがって、ここではそれらの詳細な説明を繰り返さない。
本実施形態において、容器本体220のうち開口つき空間234の先端にあたる部分の2つの隅は、折り曲げられている。ただし、図6では、医薬組成物容器210の構成を把握しやすくするため、それらの隅のうち1つだけが折り曲げられている状況を示す。それら2つの隅を折り曲げるのは、開口つき空間234の先端にあたる部分を、第1実施形態と同様にして、カバー222の中に挿入しやすくするためである。したがって、特に問題がないのであれば、それら2つの隅のうち片方だけが折り曲げられていてもよい。
本実施形態にかかる医薬組成物容器210の製造手順や使用方法は、第1実施形態にかかる医薬組成物容器10の製造手順や使用方法と同様である。したがって、ここではその詳細な説明を繰り返さない。
以上のようにして、本実施形態にかかる医薬組成物容器210は、次に述べる6つの効果を奏する。第1の効果は、第1医薬組成物80を容易に嚥下することができるという効果である。第2の効果は、第1医薬組成物80が苦味を有する場合、その苦味が抑制されるという効果である。第3の効果は、第1医薬組成物80が口内で散乱することを抑制できるという効果である。第4の効果は、嚥下が困難な者に対してさまざまな種類の固体を服用させることができるという効果である。第5の効果は、第1医薬組成物80を服用する際の清潔性を高めることができるという効果である。これらの効果を奏する理由は第1実施形態の場合と同様なので、ここではその詳細な説明を繰り返さない。第6の効果は、医薬組成物容器210の内部における医薬組成物80の残留量を低下させる(本実施形態の場合ならば、残留量をゼロに近い量にする)ことができるという効果である。
<第3実施形態>
以下、本発明の第3実施形態にかかる医薬組成物容器310について説明する。なお、第1実施形態および第2実施形態において説明したものと同一物に対しては、同一の符号を付してある。本実施形態では、その詳細な説明は繰り返さない。
図7は、本実施形態にかかる医薬組成物容器310の一部破断図である。図7を参照しつつ、本実施形態にかかる医薬組成物容器310の構成を説明する。本実施形態にかかる医薬組成物容器310は、容器本体320と、カバー322とを備えている。容器本体220は、2枚の積層材50の外縁を溶着することで形成されている。カバー222は、容器本体220から分離している。本実施形態においてカバー222を形成しているシートは、周知の樹脂によって形成されている。
容器本体320は、袋収容室330と第1医薬組成物室334と第2医薬組成物室336と開口つき空間338とを有している。袋収容室330と第1医薬組成物室334と第2医薬組成物室336とは、容器本体320の周りの外部空間に対して気密性を保つように形成されている。
袋収容室330内には、補助物質収容袋340が収容されている。補助物質収容袋340は、後述する外周強シール462によって、袋収容室330内に固定されている。
補助物質収容袋340は、嚥下補助物質40を収容している。補助物質収容袋340のうち、後述する第1弱シール440に対向する側の一端の強度は、第1実施形態にかかる第1弱シール140ないし第4弱シール146と同様の構造となっている。したがって、この部分は、嚥下補助物質40の圧力によって破壊され得る。嚥下補助物質40は、補助物質収容袋340ごと滅菌された後、容器本体320の間に挟まれる。その後、外周強シール462が形成されることで、補助物質収容袋340は、外周強シール462内に接着される。
第1医薬組成物室334内には、第1包蔵物42が収容されている。第1包蔵物42内には、第1医薬組成物80が包蔵されている。第2医薬組成物室336内には、散薬344が収容されている。第1弱シール440ないし第3弱シール444が剥離するまで、本実施形態における開口つき空間338は空室である。
袋収容室330と第1医薬組成物室334との間は、第1弱シール440によって仕切られている。第1医薬組成物室334と第2医薬組成物室336との間は、第2弱シール442によって仕切られている。第2医薬組成物室336と開口つき空間338との間は、第3弱シール444によって仕切られている。第1弱シール440と第2弱シール442と第3弱シール444と(これらを、「第1弱シール440ないし第3弱シール444」と総称する)は、容器本体320によって形成された空間のうち隣り合う2つのものの間にあたる部分に配置されている。
第1弱シール440ないし第3弱シール444の強度は、外周強シール462の強度よりも低くなっている。外周強シール462とは、容器本体320の縁の貼り合わされた部分のことである。本実施形態の場合、第1弱シール440ないし第3弱シール444の強度は、第1実施形態や第2実施形態と同様、嚥下補助物質40の圧力によって破壊され得る強度である。なお、これも第1実施形態や第2実施形態と同様、第1弱シール440ないし第3弱シール444を破壊するための具体的な方法は、嚥下補助物質40の圧力によって破壊するものに限定されない。
第1弱シール440ないし第3弱シール444の構成は、第1実施形態にかかる第1弱シール140ないし第4弱シール146の構成と同様である。また、外周強シール462の構成は、第1実施形態にかかる側部強シール162と同様である。したがって、ここではそれらの詳細な説明を繰り返さない。
本実施形態にかかる医薬組成物容器310の製造手順を説明する。第1のステップは、2枚の積層材50を重ねあわせ、それらの外縁を加熱するステップである。ただし、補助物質収容袋340が挟まれる部分は加熱されない。第2のステップは、積層材50のうち、第1弱シール440の辺りを加熱するステップである。これにより、第1弱シール440が形成される。第3のステップは、積層材50の間に、第1包蔵物42を挿入するステップである。第4のステップは、積層材50のうち、第1医薬組成物室334と第2医薬組成物室336との間の辺りを加熱するステップである。これにより、第2弱シール442が形成される。第5のステップは、積層材50の間に、散薬344を充填するステップである。第6のステップは、積層材50のうち、第2医薬組成物室336と開口つき空間338との間の辺りを加熱するステップである。これにより、第3弱シール444が形成される。第7のステップは、積層材50の間に、補助物質収容袋340を挿入するステップである。このとき、まず、容器本体320のうち第1弱シール440の部分を折り曲げ、袋収容室330を上に向ける。袋収容室330が上を向くと、袋収容室330の開口を大きく開け、その中に補助物質収容袋340を挿入する。第8のステップは、容器本体320の外縁のうち補助物質収容袋340が挟まれる部分を加熱するステップである。第9のステップは、容器本体320のうち開口つき空間338を形成する部分の外側にカバー322を被せるステップである。これらのステップを経て完成した医薬組成物容器310は、図示しない紙箱に納められて流通する。
本実施形態にかかる医薬組成物容器310の使用方法は、容器本体320のうち開口つき空間338を形成する部分からカバー322をまず取り去る点を除けば、第1実施形態にかかる医薬組成物容器10の使用方法と同様である。したがって、ここではその詳細な説明は繰り返さない。
以上のようにして、本実施形態にかかる医薬組成物容器310は、次に述べる5つの効果を奏する。第1の効果は、顆粒状の薬剤その他の医薬組成物80を容易に嚥下することができるという効果である。第2の効果は、第1医薬組成物80が苦味を有する場合、その苦味が抑制されるという効果である。第3の効果は、薬剤の安定性を懸念する必要がなくなるという効果である。第4の効果は、第1医薬組成物80および散薬344を服用する際の清潔性を高めることができるという効果である。第5の効果は、医薬組成物容器310の内部における医薬組成物80,82の残留量を低下させる(本実施形態の場合ならば、残留量をゼロに近い量にする)ことができるという効果である。これらの効果を奏する理由は第1実施形態の場合と同様なので、ここではその詳細な説明を繰り返さない。
<第4実施形態>
以下、本発明の第4実施形態にかかる医薬組成物容器510について説明する。なお、第1実施形態および第2実施形態において説明したものと同一物に対しては、同一の符号を付してある。本実施形態では、その詳細な説明は繰り返さない。
図8は、本実施形態にかかる医薬組成物容器510の一部破断図である。図8を参照しつつ、本実施形態にかかる医薬組成物容器510の構成を説明する。本実施形態にかかる医薬組成物容器510は、容器本体520と、これに一体化したカバー522とを備えている。第2実施形態と同様に、本実施形態にかかる容器本体520およびカバー522は、1枚の積層材50を2つ折にして外周同士を貼り合わされることで形成されている。図8において、医薬組成物容器510の右端のハッチングは、積層材50の断面を示す。
容器本体520は、嚥下補助物質室530と中間室532と第1医薬組成物室534と第2医薬組成物室536と開口つき空間538とを備えている。嚥下補助物質室530と中間室532と第1医薬組成物室534と第2医薬組成物室536とは、医薬組成物容器510の周りの外部空間に対して気密性を保つように形成されている。カバー522は、容器本体520のうち開口つき空間538を形成している部分の外側を覆い得る。
第1医薬組成物室534内には、第3医薬組成物84が収容されている。第3医薬組成物84は粉薬である。第2医薬組成物室536内には、第4医薬組成物86が収容されている。第4医薬組成物86は、第3医薬組成物84とは異なる種類の粉薬である。もちろん、第1医薬組成物室534や第2医薬組成物室536に顆粒状の薬剤その他の物質が収容されていてもよいことは言うまでもない。
嚥下補助物質室530と第1医薬組成物室534と第2医薬組成物室536とには、第3医薬組成物84や第4医薬組成物86や嚥下補助物質40に影響を与えない気体が、必要に応じて封入してある。
第1弱シール640ないし第4弱シール646が剥離するまで、中間室532と開口つき空間538とは空室である。開口つき空間538は開口を有する。
嚥下補助物質室530と中間室532との間は、第1弱シール640によって仕切られている。中間室532と第1医薬組成物室534との間は、第2弱シール642によって仕切られている。第1医薬組成物室534と第2医薬組成物室536との間は、第3弱シール644によって仕切られている。第2医薬組成物室536と開口つき空間538との間は、第4弱シール646によって仕切られている。
第1弱シール640ないし第4弱シール646の強度は、底部強シール660の強度および側部強シール662の強度よりも低くなっている。本実施形態の場合、第1弱シール640ないし第4弱シール646の強度は、嚥下補助物質40の圧力(この圧力は、嚥下補助物質室30の外部から成人が力を加えたことに起因する)によって破壊され得る強度である。なお、嚥下補助物質室530と中間室532との間、中間室532と第1医薬組成物室534との間、第1医薬組成物室534と第2医薬組成物室536との間、および、第2医薬組成物室536と開口つき空間538との間を破壊するための具体的な方法は、嚥下補助物質40の圧力によって破壊するものに限定されない。
本実施形態にかかる医薬組成物容器510の使用方法は、第1実施形態にかかる医薬組成物容器10の使用方法と同様である。したがって、ここではその詳細な説明は繰り返さない。
以上のようにして、本実施形態にかかる医薬組成物容器510は、次に述べる4つの効果を奏する。第1の効果は、粉薬その他の医薬組成物を容易に嚥下することができるという効果である。第2の効果は、薬剤の安定性を懸念する必要がなくなるという効果である。第3の効果は、側部強シール662のうち第3弱シール644に隣接する部分に段差が設けられていることにより、本実施形態にかかる医薬組成物容器510を用いて医薬組成物を嚥下する際、医薬組成物容器510の先端が患者200の口に入りすぎるのを防ぐという効果である。第4の効果は、第3医薬組成物84や第4医薬組成物86を服用する際の清潔性を高めることができるという効果である。
<第5実施形態>
以下、本発明の第5実施形態にかかる医薬組成物容器710について説明する。なお、第1実施形態ないし第4実施形態において説明したものと同一物に対しては、同一の符号を付してある。本実施形態では、その詳細な説明は繰り返さない。
図9は、本実施形態にかかる医薬組成物容器710の一部破断図である。本実施形態にかかる医薬組成物容器710は、容器本体820と、これに一体化したカバー822とを備えている。医薬組成物容器710は、第1実施形態および第3形態と同様、2枚の積層材50を貼り合わせることで形成されている。
容器本体820は、嚥下補助物質室830と第1医薬組成物室834と開口つき空間838とを備えている。嚥下補助物質室830と第1医薬組成物室834とは、医薬組成物容器710の周りの外部空間に対して気密性を保つように形成されている。
第1医薬組成物室834内には、第3医薬組成物84が収容されている。第1医薬組成物室834に顆粒状の薬剤その他の物質が収容されていてもよいことは言うまでもない。
嚥下補助物質室830と第1医薬組成物室834とには、第3医薬組成物84や嚥下補助物質40に影響を与えない気体が、必要に応じて封入してある。
第1弱シール840および第2弱シール842が剥離するまで、開口つき空間838は空室である。開口つき空間838は開口を有する。
嚥下補助物質室830と第1医薬組成物室834との間は、第1弱シール840によって仕切られている。第1医薬組成物室834と開口つき空間838との間は、第2弱シール842によって仕切られている。
第1弱シール840および第2弱シール842の強度は、底部強シール860の強度および側部強シール862の強度よりも低くなっている。
本実施形態にかかる医薬組成物容器710の使用方法は、第1実施形態にかかる医薬組成物容器10の使用方法と同様である。したがって、ここではその詳細な説明は繰り返さない。
以上のようにして、本実施形態にかかる医薬組成物容器710は、次に述べる3つの効果を奏する。第1の効果は、粉薬その他の医薬組成物を容易に嚥下することができるという効果である。第2の効果は、薬剤の安定性を懸念する必要がなくなるという効果である。第3の効果は、第3医薬組成物84を服用する際の清潔性を高めることができるという効果である。
<第6実施形態>
以下、本発明の第6実施形態について説明する。なお、第1実施形態において説明したものと同一物に対しては、同一の符号を付してある。本実施形態では、その詳細な説明は繰り返さない。
<構造の説明>
図10は本実施形態にかかる医薬組成物容器260の一部破断図である。本実施形態にかかる医薬組成物容器260は、1枚の合成樹脂(低密度ポリエチレン、PET(ポリエチレンテレフタレート)、その複合樹脂などのように折り曲げ可能な柔らかいものであってヒートシールが可能なもの)製のシートを2つ折りとし、2つ折りとされたシートの端と端とを貼り合わせ、貼り合わされた部分を切り取って外形を整えることで形成される。
シートの端と端とが貼り合わされた部分が側部強シール270である。医薬組成物容器260の内部には、複数の空間が設けられている。それら複数の空間の間は、第1弱シール300と、第2弱シール302と、第3弱シール304とで閉塞されている。第1弱シール300は、第1区域311と、中間室312と、第2区域314とを有する。
医薬組成物容器260の内部の空間のうちの1つが嚥下補助物質室280である。嚥下補助物質室280内には、嚥下補助物質40が収容されている。医薬組成物容器260の外部から嚥下補助物質40に力を加えると、嚥下補助物質40から受ける圧力によって、第1弱シール300のうち第1区域311が容易に開く。第1区域311が開くと中間室312に嚥下補助物質40が押し出される。以下、同様にして、第2区域314、第2弱シール302、および、第3弱シール304が順次開く。これは、第1弱シール300と、第2弱シール302と、第3弱シール304との強度が、側部強シール270に比べて低いことで実現可能になっている。
医薬組成物容器260の内部の空間のうちの1種には、第1医薬組成物室282および第2医薬組成物室284がある。これらには第1包蔵物212または第2包蔵物213が収容されている。第1医薬組成物室282に収容されている第1包蔵物212が包蔵する医薬組成物と第2医薬組成物室284に収容されている第2包蔵物213が包蔵する医薬組成物とは種類が異なる。
医薬組成物容器260の内部の空間のうちの1つには開口つき空間286もある。開口つき空間286は、医薬組成物容器260の一端に設けられ、第1包蔵物212や第2包蔵物213を服用するためのシュート(つまり第1包蔵物212や第2包蔵物213を患者の口内に滑り落とすための装置)となる。
医薬組成物容器260の両端のうち、開口つき空間286が設けられている方とは反対側の一端は、カバー288となっている。嚥下補助物質室280とカバー288との境界は底部強シール272となっている。底部強シール272の強度は側部強シール270と同様なので、医薬組成物容器260の外部から嚥下補助物質40に力を加えても剥離しない。なお、本実施形態にかかる医薬組成物容器260の説明において、カバー288よりも第2医薬組成物室284側の部分を「容器本体」と称する。
図11は、本実施形態にかかる医薬組成物容器260の、図10に示した面から見て背面にあたる箇所の概観図である。図11から明らかなように、本実施形態にかかる医薬組成物容器260にはラベル262が貼付されている。
<本実施形態に固有の特徴>
他の実施形態にかかる医薬組成物容器と比較したときの本実施形態にかかる医薬組成物容器260固有の特徴は、一端にカバー288が設けられており、他端にそのカバー288内に挿入されるカバー挿入部分321が設けられており、医薬組成物容器260の幅はそのカバー238に挿入される部分の付け根331で広くなっており、底部強シール272と第2弱シール302の部分か第3弱シール304の部分とを折り曲げてそのカバー挿入部分321の先端をカバー288に挿入しており、かつ、付け根331がカバー288の外に出ていることである。図12に、カバー238にカバー挿入部分321が挿入されており、かつ、付け根331がカバー238の外に出ている状況を示す。図12から明らかなように、付け根331のところが凹みとなっているので、そこに指を入れることでカバー挿入部分321を容易に引き抜くことができる。なお、図13は、図12に示す状況における、図12に示した面から見て背面にあたる箇所の図である。医薬組成物容器260の背面の大部分をラベル262が占めている。
<使用方法>
本実施形態にかかる医薬組成物容器260を使用する際には、上述した付け根331に指をかけ、そのままカバー238から上述したカバー挿入部分321を引き抜く。カバー挿入部分321が引き抜かれると、カバー挿入部分321を患者の口に入れる。その後の使用方法は他の実施形態やその変形例と同様である。
<効果の説明>
本実施形態にかかる医薬組成物容器260は、カバー挿入部分321の付け根331に指をかけられるので、カバー挿入部分321を容易に引き抜くことができる。
また、本実施形態にかかる医薬組成物容器260は、第1実施形態と同様の効果を奏する。
<第7実施形態>
以下、本発明の第7実施形態について説明する。なお、第1実施形態において説明したものと同一物に対しては、同一の符号を付してある。本実施形態では、その詳細な説明は繰り返さない。
<構造の説明>
図14は本実施形態にかかる医薬組成物容器400の一部破断図である。第6実施形態と同様、本実施形態にかかる医薬組成物容器400は、1枚の合成樹脂製のシートを2つ折りとし、2つ折りとされたシートの端と端とを貼り合わせ、貼り合わされた部分を切り取って外形を整えることで形成される。
シートの端と端とが貼り合わされた部分が側部強シール410である。医薬組成物容器400の内部には、複数の空間が設けられている。それら複数の空間の間は、第1弱シール441と、第2弱シール443と、第3弱シール445とで閉塞されている。第1弱シール441は、第1区域450と、中間室452と、第2区域454とを有する。
それらの空間のうちの1つが嚥下補助物質室420である。嚥下補助物質室420内には、嚥下補助物質40が収容されている。医薬組成物容器400の外部から嚥下補助物質40に力を加えると、第1区域450と、第2区域454とは、第6実施形態の第1弱シール300、第2弱シール302、および、第3弱シール304と同様にして順次開く。そのように開く理由は第6実施形態と同様である。
医薬組成物容器400の内部の空間のうちの1種には、第1医薬組成物室422および第2医薬組成物室424がある。これらには第1包蔵物212または第2包蔵物213が収容されている。第1医薬組成物室422に収容されている第1包蔵物212が包蔵する医薬組成物と第2医薬組成物室424に収容されている第2包蔵物213が包蔵する医薬組成物とは種類が異なる。
それらの空間のうちの1つには開口つき空間426もある。開口つき空間426は、第6実施形態の開口つき空間286と同様、第1包蔵物212や第2包蔵物213を服用するためのシュートとなる。
医薬組成物容器400の両端のうち、開口つき空間426が設けられている方とは反対側の一端は、カバー428となっている。嚥下補助物質室420とカバー478との境界は底部強シール412となっている。底部強シール412の強度は側部強シール410と同様なので、医薬組成物容器400の外部から嚥下補助物質40に力を加えても剥離しない。
<本実施形態に固有の特徴>
他の実施形態にかかる医薬組成物容器と比較したときの本実施形態にかかる医薬組成物容器400固有の特徴は、一端にカバー478が設けられており、底部強シール412と開口つき空間426が設けられている部分の付け根とが折り曲げられ、開口つき空間426が設けられている部分がカバー478内に挿入され、開口つき空間426が設けられている部分の先端480が丸くなっており、かつ、カバー478の縁482の一部が切欠かれていることである。なお、本実施形態にかかる医薬組成物容器400の説明において、カバー478よりも第2医薬組成物室424側の部分を「容器本体」と称する。
<使用方法>
本実施形態にかかる医薬組成物容器351を使用する際には、医薬組成物容器400の両端のうち開口つき空間426が設けられている方をカバー478から引き抜く。その後の使用方法は他の実施形態と同様である。
<効果の説明>
本実施形態にかかる医薬組成物容器400は、製造中に、開口つき空間426が設けられている部分とカバー478の切欠かれた縁482とが対向するよう折り曲げられる。図15は、製造中に医薬組成物容器400が折り曲げられている状況を示す。医薬組成物容器400が折り曲げられた後に、開口つき空間426が設けられている部分がカバー478に挿入される。このとき、開口つき空間426が設けられている部分の先端480がカバー478の切欠かれた縁482のいずれかの箇所に引っ掛かりカバー478の口を開く。カバー478の口が開かれるので、先端480はスムーズにカバー478の中に入る。図16は、開口つき空間426が設けられている部分がカバー478内に挿入された後の医薬組成物容器400を示す。
また、本実施形態にかかる医薬組成物容器400は、第1実施形態と同様の効果を奏する。
<第8実施形態>
以下、本発明の第8実施形態について説明する。なお、第1実施形態において説明したものと同一物に対しては、同一の符号を付してある。本実施形態では、その詳細な説明は繰り返さない。
<構造の説明>
図17は本実施形態にかかる医薬組成物容器500の一部破断図である。第6実施形態と同様、本実施形態にかかる医薬組成物容器500は、1枚の合成樹脂製のシートを2つ折りとし、2つ折りとされたシートの端と端とを貼り合わせ、貼り合わされた部分を切り取って外形を整えることで形成される。
シートの端と端とが貼り合わされた部分が側部強シール511である。医薬組成物容器500の内部には、複数の空間が設けられている。それら複数の空間の間は、第1弱シール540と、第2弱シール542と、第3弱シール544とで閉塞されている。第1弱シール540は、第1区域550と、中間室552と、第2区域554とを有する。
医薬組成物容器500の内部の空間のうちの1つが嚥下補助物質室521である。嚥下補助物質室521内には、嚥下補助物質40が収容されている。医薬組成物容器500の外部から嚥下補助物質40に力を加えると、第1区域550と、第2区域554とは、第6実施形態の第1弱シール300、第2弱シール302、および、第3弱シール304と同様にして順次開く。そのように開く理由は第6実施形態と同様である。
医薬組成物容器500の内部の空間のうちの1種には、第1医薬組成物室523および第2医薬組成物室524がある。これらには第1包蔵物212または第2包蔵物213が収容されている。第1医薬組成物室523に収容されている第1包蔵物212が包蔵する医薬組成物と第2医薬組成物室524に収容されている第2包蔵物213が包蔵する医薬組成物とは種類が異なる。
それらの空間のうちの1つには開口つき空間526もある。開口つき空間526は、第6実施形態の開口つき空間286と同様、第1包蔵物212や第2包蔵物213を服用するためのシュートとなる。
医薬組成物容器500の両端のうち、開口つき空間526が設けられている方とは反対側の一端は、カバー528となっている。嚥下補助物質室521とカバー528との境界は底部強シール512となっている。底部強シール512の強度は側部強シール511と同様なので、医薬組成物容器500の外部から嚥下補助物質40に力を加えても剥離しない。なお、本実施形態にかかる医薬組成物容器500の説明において、カバー528よりも第2医薬組成物室524側の部分を「容器本体」と称する。
<本実施形態に固有の特徴>
図18は、製造中の医薬組成物容器500の一端を示す一部破断図である。図19は、製造中の医薬組成物容器500の一端を示す斜視図である。図18と図19とを参照しつつ、他の実施形態にかかる医薬組成物容器と比較したときの本実施形態にかかる医薬組成物容器500固有の特徴を説明する。その特徴は、底部強シール512と開口つき空間526が設けられている部分の付け根とが折り曲げられ、開口つき空間526が設けられている部分がカバー528内に挿入され、側部強シール511のうちカバー528に挿入される先端部分516に溶着しろ514が設けられていることである。この溶着しろ514は、図19に示すように折り返され、先端部分516に溶着される。
<使用方法>
本実施形態にかかる医薬組成物容器500の使用方法は、第7実施形態と同様である。
<効果の説明>
本実施形態にかかる医薬組成物容器500は、上述したような構造となっているため、側部強シール511の端にバリが生じていても、そのバリが患者の口内に接触しにくい。バリが接触しにくいので、患者の口を傷つけにくい。
また、本実施形態にかかる医薬組成物容器500は、第1実施形態と同様の効果を奏する。
<第9実施形態>
以下、本発明の第9実施形態について説明する。なお、第1実施形態において説明したものと同一物に対しては、同一の符号を付してある。本実施形態では、その詳細な説明は繰り返さない。
<構造の説明>
図20は本実施形態にかかる医薬組成物容器351の一部破断図である。第6実施形態と同様、本実施形態にかかる医薬組成物容器351は、1枚の合成樹脂製のシートを2つ折りとし、2つ折りとされたシートの端と端とを貼り合わせ、貼り合わされた部分を切り取って外形を整えることで形成される。
シートの端と端とが貼り合わされた部分が側部強シール361である。医薬組成物容器351の内部には、複数の空間が設けられている。それら複数の空間の間は、第1弱シール390と、第2弱シール392と、開口形成予定部394とで閉塞されている。第1弱シール390は、第1区域401と、中間室403と、第2区域405とを有する。
医薬組成物容器351の内部の空間のうちの1つが嚥下補助物質室370である。嚥下補助物質室370内には、嚥下補助物質40が収容されている。医薬組成物容器351の外部から嚥下補助物質40に力を加えると、第1区域401と、第2区域405とは、第6実施形態の第1弱シール300、第2弱シール302、および、第3弱シール304と同様にして順次開く。そのように開く理由は第6実施形態と同様である。
医薬組成物容器351の内部の空間のうちの1種には、第1医薬組成物室372および第2医薬組成物室374がある。第1医薬組成物室372に第1包蔵物212が収容されている。第2医薬組成物室374に周知の錠剤352が収容されている。
医薬組成物容器351の両端のうち、開口形成予定部394が設けられている方とは反対側の一端は、カバー378となっている。嚥下補助物質室370とカバー378との境界は底部強シール362となっている。底部強シール362の強度は側部強シール361と同様なので、医薬組成物容器351の外部から嚥下補助物質40に力を加えても剥離しない。なお、本実施形態にかかる医薬組成物容器351の説明において、カバー378よりも第2医薬組成物室374側の部分を「容器本体」と称する。
本実施形態にかかる医薬組成物容器351は、完成時、開口形成予定部394が設けられている部分がカバー378に抜き差し可能に挿入されている。図21は、このときの医薬組成物容器351の外観図である。
<本実施形態に固有の特徴>
他の実施形態にかかる医薬組成物容器と比較したときの本実施形態にかかる医薬組成物容器351固有の特徴は、カバー378に挿入される部分354に開口形成予定部394が設けられており、かつ、その開口形成予定部394のシール強度が側部強シール361のシール強度よりも弱くなっていることである。
<使用方法>
本実施形態にかかる医薬組成物容器351の使用方法は、第7実施形態と同様である。
<効果の説明>
本実施形態にかかる医薬組成物容器351は、開口形成予定部394のシール強度が側部強シール361のシール強度よりも弱くなっている。そのため、開口形成予定部394が設けられている部分354を患者の口に入れて医薬組成物容器351をしごくと口の中で開口形成予定部394が開く。これにより、開口が形成される。開口は、医薬組成物容器351の外部と空間とを連通させる。その結果、当初カバー378内に挿入されていた部分に手を触れることなく第1包蔵物212や錠剤352を患者の口に入れることができる。
また、本実施形態にかかる医薬組成物容器351は、第1実施形態と同様の効果を奏する。
<変形例の説明>
上述した医薬組成物容器10,210,260,310,351,400,500,510,710は、本発明の技術的思想を具体化するために例示したものである。これは、容器本体20,220,320の材質を上述した実施形態に限定するものではない。これは、容器本体20,220,320,520,720の形状、各空間の形状、開口の形状、それらの寸法、それらの構造、およびそれらの配置などを上述した実施形態に限定するものでもない。本実施形態で説明した医薬組成物容器10,210,260,310,351,400,500,510,710は、本発明の技術的思想の範囲内において種々の変更を加え得るものである。
たとえば、第1包蔵物42や第2包蔵物44の形態は上述したものに限定されない。たとえば、その外形は矩形であってもよい。また、第1包蔵物42や第2包蔵物44に代え、公知のカプセルが収容されていてもよい。
また、容器本体20,220,320,520,720が有する空間の形状は特に限定されない。たとえば、図1に示した第1医薬組成物室34や第2医薬組成物室36は六角形をしているが、これらは、三角形でも、四角形でも、五角形でも、七角形以上の多角形でも、円形でも、楕円形でもよい。また、容器本体20,220,320が有する空間の数は、4つ以上あってもよい。
また、第2実施形態にかかる医薬組成物容器210や第3実施形態にかかる医薬組成物容器310や第5実施形態にかかる医薬組成物容器710に第1実施形態にかかる中間室32と同様の空室が設けられていても良い。さらに、第1実施形態において、中間室32は必須の空間ではない。
また、第1実施形態にかかる容器本体20および第3実施形態にかかる容器本体320は、2枚のシートを互いに貼り合わせたものに限定されない。第2実施形態にかかる容器本体220は、1枚のシートの外縁を貼り合わせたものに限定されない。第2実施形態にかかる容器本体220が2枚のシートを貼り合わせたものであってもよい。第1実施形態にかかる容器本体20および第3実施形態にかかる容器本体320が1枚のシートを2つ折りにして外縁を貼り合わせたものであってもよい。
また上記の実施形態では、医薬組成物が散剤や顆粒剤であり、嚥下補助物質がゼリーである場合について説明したが、本発明に適用される医薬組成物や嚥下補助物質がこれらに限定されないことはいうまでもない。たとえば、医薬組成物は、散剤や顆粒剤のほか、錠剤やカプセルや単なる塊であってもよい。医薬組成物は、包蔵物という形態で第1医薬組成物室34や第2医薬組成物室36に収容されていなくともよい。すなわち、医薬組成物は、オブラートその他の包装材によって包まれていなくともよい。さらに、医薬組成物として成形される物は、通常において医薬として扱われる物に限定されない。たとえば、医薬組成物として成形される物は、健康状態を改善する作用が認められている食品であってもよい。嚥下補助物質は、水溶液の他、ハチミツ、カスタードクリーム、ピーナツ・スプレッド、チーズ・スプレッドなどであってもよい。ただし、嚥下補助物質は、医薬組成物容器が使用される環境の下で、容器本体が備える空間の中を行き来できる程度の流動性を有することが好ましい。
ちなみに、薬剤を流通させている間やその薬剤を保存している間に変質しないことが確認されていれば、1つの医薬組成物室内に配合剤が収容されていてもよい。ここで述べる配合剤とは、混合物を意味する。
医薬組成物容器の中に包蔵物が収容される場合、その包蔵物の素材としては、上述した厚さ15μmのデンプン製のオブラートの他、従来から可食性フィルムの素材とされている様々な素材を用いることができる。それらの素材の種類には、多糖類(たとえば、プルラン、アラビノキシラン、グアーガム分解物、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、寒天、ペクチン、セルロースなど)、および、ペプチド系物質(たとえば、ゼラチン、絹蛋白分解物、カゼイン分解物など)がある。これらの素材は、1種または2種以上を併せて使用することができる。