JPWO2010098441A1 - 造形用粉末及びこれを用いる造形物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

造形用粉末として混合粉末を用いる場合の不均一性、流動性等の問題が抑制ないしは防止された造形用粉末を提供する。本発明は、1つの粒子中に無機成分及び水溶性有機系高分子成分を含む粒子からなる造形用粉末とそれを用いた造形物の製造方法に係る。【選択図】なし

Description

本発明は、積層造形(粉末積層造形)のために用いられる造形用粉末とその粉末を用いる造形物の製造方法に関する。より具体的には、鋳型製造に用いる中子のような型をコンピューターデータに基づいて自動的に作製する、いわゆる積層造形技術を利用する造形用粉末とその製造方法に関する。
積層造形法は、三次元曲面を含む成形物を高速かつ精密に製造する方法として注目されている。具体的には、三次元構造体を高さ方向で一定の間隔でスライス(輪切り)することによって得られる個々の断面の情報を解析・収集し、各断面情報を積層することによって三次元構造体を復元するものである。積層造形法は、その成形方法によりいくつかの方法に分類され、例えば光造形法、紙積層法、粉末焼結法、粉末積層法(粉末接着法)等が知られている。この中でも、粉末積層法は、インクジェットプリンター等の簡便な装置で実施でき、なおかつ、比較的高速で成形することができるという点でその実用化が期待されている。
粉末積層法(粉末接着法)は、粉末層を平面展開して粉末層を形成する工程とその粉末層の所定の領域に散布液を噴霧する工程を繰り返すことにより得られる積層体を造形物として得る方法である。
このような粉末積層法としては、これまでいくつかの方法が提案されている。例えば、各々が活性化可能な接着剤を有する非接着の粒子の第1層の第1部分に、その第1部分内の粒子がいっしょに接着して、非接着の粒子によって取り囲まれている、本質的に固体の単一の第1断面部分を形成する程度に前記接着剤を活性化するのに十分な量だけ、前記接着剤を活性化する液体を適用すること、上記第1層上に上記粒子の第2層を形成すること、および前記粒子の前記第2層の第1部分に、前記第2層の前記第1部分内の粒子がお互いに、および前記第1層の前記第1部分の少なくとも一部に接着して、上記第1断面部分に接着しており、かつ非接着の粒子によって取り囲まれている第2断面部分を形成する程度に前記接着剤を活性化するのに十分な量だけ、前記液体を適用すること、を含む物品の形成方法であって、前記液体において、前記粒子の少なくとも一部が溶解性に乏しく、そして上記第1断面部分と上記第2断面部分とが本質的に固体の単一の物品を形成する方法が知られている(特許文献1)。
また、本発明者は、(a)テーブル上に水溶性の無機塩類と水溶性有機系高分子成分を含む混合粉末を平面展開した後、この混合粉末層に水混和性有機溶媒及び水から選ばれる少なくとも一方を含む散布液を選択的にノズル散布して、散布領域の混合粉末同士の結合強度を非散布領域の混合粉末粒のそれより高める工程、(b)前記散布後の混合粉末層に前記混合粉末をさらに展開した後、この混合粉末層に前記散布液を選択的にノズル散布する工程、(c)前記(b)工程を複数回繰り返して前記散布領域で形付けられる型を形成する工程の積層体からなる造形物を形成する工程及び(d)型抜きする工程)を含む型の製造方法を提案し、先に出願している(特許文献2)。
特許第3607300号 WO2007/077731
しかしながら、これらの方法はいずれも造形用粉末として接着性粒子と非接着性粒子とを含む混合粉末を用いていることから、たとえ十分に混合したとしても各成分の含有量の不均一性(分布ムラ)が生じる。このため、その不均一性に起因する様々な問題が生じる。例えば、接着成分の含有量が不均一になる場合は、粉末粒子どうし結合強度が弱い部分が生じ、所望の再現性が得られなくなり、これは複雑な造形物ほどより深刻な問題になる。また、乾式混合による混合粉末は、粒子が不定形であることから、かかる粒子を平面展開する場合における流動性、平面展開性等の点でなお改善の余地がある。
従って、本発明の主な目的は、造形用粉末として混合粉末を用いる場合の成分含量の不均一性、流動性等の問題が抑制ないしは防止された造形用粉末を提供することにある。
本発明者は、従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定の方法により得られる粒子からなる粉末が上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の造形用粉末及びそれを用いる造形物の製造方法に係る。
1. 1つの粒子中に無機成分及び水溶性有機系高分子成分を含む粒子からなる造形用粉末。
2. 無機成分が水溶性無機塩類である、前記項1に記載の造形用粉末。
3. 水溶性無機塩類がアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩の少なくとも1種である、前記項2に記載の造形用粉末。
4. 無機成分として塩化ナトリウム及び硫酸マグネシウムを含む、前記項1に記載の造形用粉末。
5. 無機成分及び水溶性有機系高分子成分を含む原料液を噴霧乾燥することによって得られた粉末である、前記項1に記載の造形用粉末。
6. 水溶性無機塩類及び水溶性有機系高分子が水に溶解した水溶液を噴霧乾燥することによって得られた粉末である、前記項2に記載の造形用粉末。
7. 粉末接着法のために用いる、前記項1に記載の造形用粉末。
8. (a)粉末を平面展開して粉末層を形成した後、水混和性有機溶媒及び水の少なくとも1種を含む散布液を当該粉末層の所定領域に散布することにより散布領域の粉末粒子どうしの結合強度を非散布領域の粉末粒子どうしの結合強度よりも高める工程、(b)散布後の粉末層上にさらに粉末を平面展開して上部粉末層を形成した後、前記散布液を当該上部粉末層の所定領域に散布することにより散布領域の粉末粒子どうしの結合強度を非散布領域の粉末粒子どうしの結合強度よりも高める工程、(c)前記(b)の工程を1回又は2回以上繰り返して前記散布領域の積層体からなる造形物を形成する工程を含む造形物の製造方法における当該粉末として用いられる、前記項1に記載の造形用粉末。
9. 1つの粒子中に無機成分及び水溶性有機系高分子成分が均一に分布している、前記項1に記載の造形用粉末。
10. 1)第1の無機成分として、塩化ナトリウム70〜90重量%、2)第2の無機成分として硫酸マグネシウム5〜25重量%、3)水溶性有機高分子成分としてポリビニルピロリドン1〜10重量%含む、前記項1に記載の造形用粉末。
11. 粉末から造形物を製造する方法であって、
(a)1つの粒子中に無機成分及び水溶性有機系高分子成分を含む粒子からなる造形用粉末を平面展開して粉末層を形成した後、水混和性有機溶媒及び水の少なくとも1種を含む散布液を当該粉末層の所定領域に散布することにより散布領域の粉末粒子どうしの結合強度を非散布領域の粉末粒子どうしの結合強度よりも高める工程、
(b)散布後の粉末層上にさらに造形用粉末を平面展開して上部粉末層を形成した後、前記散布液を当該上部粉末層の所定領域に散布することにより散布領域の粉末粒子どうしの結合強度を非散布領域の粉末粒子どうしの結合強度よりも高める工程、
(c)前記(b)の工程を1回又は2回以上繰り返して前記散布領域の積層体からなる造形物を形成する工程、及び
(d)型抜きをして造形物を取り出す工程
を含む、造形物の製造方法。
12. 無機成分が水溶性無機塩類である、前記項11に記載の製造方法。
13. 水溶性無機塩類がアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩の少なくとも1種である、前記項12に記載の製造方法。
14. 無機成分として塩化ナトリウム及び硫酸マグネシウムを含む、前記項11に記載の製造方法。
15. 無機成分及び水溶性有機系高分子成分を含む原料液を噴霧乾燥することによって得られた粉末である、前記項11に記載の製造方法。
16. 水溶性無機塩類及び水溶性有機系高分子が水に溶解した水溶液を噴霧乾燥することによって得られた粉末である、前記項12に記載の製造方法。
17. 1つの粒子中に無機成分及び水溶性有機系高分子成分が均一に分布している、前記項11に記載の製造方法。
18. 1)第1の無機成分として、塩化ナトリウム70〜90重量%、2)第2の無機成分として硫酸マグネシウム5〜25重量%、3)水溶性有機高分子成分としてポリビニルピロリドン1〜10重量%含む、前記項11に記載の製造方法。
本発明の造形用粉末によれば、次のような優れた効果を得ることができる。
(1)1つの粒子に所定の成分のすべてが含まれるので、粉末全体として均質であるため、特に接着強度の均一性を向上させることができる。その結果、従来技術の粉末で作製された造形物は局部的な強度不足が生じることにより角部又は凸部が欠落・崩壊しやすかったのに対し、本発明ではこれらの部位も丈夫な造形物を得ることができ、複雑な形状の造形物もより高精度で作製することが可能となる。
特に、無機成分として水溶性無機塩類を使用すれば、スプレードライ法によっていっそう高い均一性(成分の含量均一性)を有する粉末を作製できるので、上記の接着強度等の点においてもより有利になる。
さらに、本発明粉末が、1つの粒子中に無機成分(特に水溶性無機塩類)及び水溶性有機系高分子成分が均一に分布している粒子からなる粉末である場合は、より高い強度を発揮する造形物を提供することが可能となる。とりわけ、無機成分として水溶性無機塩類(特に塩化ナトリウム)を用いる場合は、後記の実施例で示すように、各成分が局所的に分布するコーティング品よりも高い強度を発揮することができる。
(2)従来の混合粉末で作製された造形物よりも、発色の再現性に優れている。すなわち、本発明の造形用粉末では、所定の見本の色と同じ色又はそれに近い色をもつ造形物を提供することができる。また、造形物を着色する場合の滲みも抑制ないしは防止されているので、その点においても再現性に優れている。
(3)従来の混合粉末はその粒子形状が球状でないため、流動性、平面展開性等が低く、製造工程上も不利であったばかりでなく、粉末粒子を平面展開した時の平面展開面における粉末の疎密によるスジ等の欠陥が入ることがある。これに対し、本発明の造形用粉末は、特にスプレードライ法により得られるものはその粒子がほぼ球状であるため、流動性、平面展開性等に優れており、かつ、平面展開面において最密充填されやすく、密な分布が得られることから、より円滑に造形物を製造することができる上、得られる造形物にもスジ等の欠陥が入らずに高品質の造形物を提供することができる。
(4)本発明の造形用粉末は、特にスプレードライ法により得られるものは、粒度分布が狭く(粒径が比較的均一である)、粒子径も噴霧条件に応じて任意に制御できることから、造形時における散布液の噴霧圧下でも粉立ち(粉塵)が生じにくい範囲を設定できる。このように、作業環境上・取り扱い上も従来品より優れた効果を得ることができる。
積層造形法により造形物を製造する場合の製造工程の概略図である。 実施例1及び比較例1の粉末をSEMで観察した結果を示す図である。 実施例1及び比較例1の粉末をエネルギー分散型X線分光装置(EDS)を用いてナトリウム及びマグネシウムの元素分布を測定した結果を示す図である。 実施例1及び比較例1の粉末の粒度分布を示す図である。 安息角を測定する方法を示す概略図である。 実施例1及び比較例1の粉末について赤外吸収スペクトル測定を実施した結果を示す図である。 実施例2で得られた粉末のSEM観察結果及び粒度分布を示す図である。 実施例3で得られた粉末のSEM観察結果及び粒度分布を示す図である。 実施例4で得られた粉末のSEM観察結果及び粒度分布を示す図である。 実施例5で得られた粉末のSEM観察結果及び粒度分布を示す図である。 実施例6で得られた粉末のSEM観察結果及び粒度分布を示す図である。 実施例7で得られた粉末のSEM観察結果及び粒度分布を示す図である。 実施例8で得られた粉末のSEM観察結果及び粒度分布を示す図である。 実施例9で得られた粉末断面の二次電子像(中段)と線分析による元素分布測定結果(上段及び下段)を示す。なお、下段は、上段における炭素元素の分布頻度を示す縦軸(強度)を拡大したチャートである。 試験例3で得られたコーティング品断面の二次電子像(中段)と線分析による元素分布測定結果(上段及び下段)を示す。なお、下段は、上段における炭素元素の分布頻度を示す縦軸(強度)を拡大したチャートである。 試験例3で得られた比較用粉末断面の二次電子像(中段)と線分析による元素分布測定結果(上段及び下段)を示す。なお、下段は、上段における炭素元素の分布頻度を示す縦軸(強度)を拡大したチャートである。 実施例9で得られた粉末によるタブレットとコーティング品から得られたタブレットとの強度を示すグラフである。
1 テーブル
2 粉末層
粉末層
粉末層
3 三次元プリンタ
4a 散布領域
4b 非散布領域
5a 散布領域
5b 非散布領域
6 造形物
1.造形用粉末
本発明の造形用粉末(本発明粉末)は、1つの粒子中に無機成分及び水溶性有機系高分子成分を含む粒子からなる粉末である。
本発明粉末は、従来の混合粉末とは異なり、個々の1つの粒子中に無機成分及び水溶性有機系高分子成分がともに含有されている点に特徴をもつ。すなわち、1つの粒子中に常に両成分が含まれるので、粉末全体として見た場合はどの部分も均一であり、各成分の含有量分布にムラがほとんどないため、造形用(積層造形用(特に粉末接着法による積層造形用))として用いる場合には、均一な接着強度、発色性等を発現させることができ、ひいては高精度の再現性を得ることができる。
さらに、本発明粉末を構成する粒子は、1つの粒子中に無機成分及び水溶性有機系高分子成分が均一に分布していることが好ましい。特に、無機成分として、水溶性無機塩類(好ましくは塩化ナトリウム)を用いる場合には、コーティング品(粒子の表面を接着成分でコーティングした粒子からなる粉末)に比べて、より高い強度を発揮する造形物を得ることができる。
無機成分としては、水溶性又は水不溶性(水難溶性も含む。)のいずれの無機成分であっても良い。例えば、金属の無機酸塩(ハロゲン化物、硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩、リン酸塩等)、金属酸化物、金属水酸化物等の少なくとも1種を好適に用いることができる。水溶性無機成分としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化ナトリウム等のアルカリ金属のハロゲン化物;塩化カルシウム、塩化マグネシウム等のアルカリ土類金属のハロゲン化物等;硫酸マグネシウム等の硫酸塩等を例示することができる。
水不溶性無機成分としては、例えばヒドロキシアパタイト、リン酸カルシウム、β−リン酸三カルシウム(β−TCP)等のアルカリ土類金属のリン酸塩;シリカ、アルミナ、ジルコニア等の酸化物;水酸化カルシウム、水酸化チタン、水酸化ジルコニウム等の水酸化物等を挙げることができる。また、水不溶性無機成分を水溶性無機成分の固結防止剤として配合することもできる。例えば、塩化ナトリウム等の固結防止剤としてリン酸カルシウム等を好適に用いることができる。この場合、固結防止剤は無機成分中10重量%以下とし、好ましくは5重量%以下とし、より好ましくは1〜5重量%とする。
本発明造形用粉末(粒子)中における無機成分の含有量は、用いる無機成分の種類等によって適宜変更できるが、通常は50重量%を超える量とし、特に70重量%以上とすることが好ましい。例えば、無機成分として水溶性無機塩類(特に塩化ナトリウム)を用いる場合は、60〜95重量%、特に70〜95重量%の範囲内とすることがより好ましい。上記範囲内に設定することによって、所望の造形物をより確実に得ることができる。
本発明では、無機成分として2種類以上の無機成分を採用することが好ましい。例えば、第1の無機成分として硫酸マグネシウム以外の水溶性無機塩類を用いることが好ましい。具体的には、塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、塩化マグネシウム等のアルカリ土類金属塩を用いることができる。この場合、第1の無機成分としては塩化ナトリウムが好ましい。また、第2の無機成分としては硫酸マグネシウムを用いることが好ましい。この場合、第2の無機成分は、第1の無機成分に対して50重量%以下とすることが好ましい。特に、第1の無機成分と第2の無機成分は重量比(両者の合計を100重量%とする。)で第1の無機成分:第2の無機成分=99.5:0.5〜50:50とし、より好ましくは99.5:0.5〜75:25とする。最も好ましくは、第2の無機成分1重量部に対して第1の無機成分3〜20重量部とする。
水溶性有機系高分子成分としては、水分の存在下で粉末粒子どうしを接着させる性質を有するものであれば良く、公知の粉末積層造形法で使用されている接着成分等も使用することができる。例えば、1)ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウムとマレイン酸とのコポリマー、ポリビニルピロリドンと酢酸ビニルとのコポリマー、2)セルロース誘導体(メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等)、3)アラビアゴム、ハリエンジュゴム、ゼラチン、澱粉、スクロース、デキストロース、フルクトース、ラクトース、小麦粉、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム等、4)クエン酸、コハク酸等の少なくとも1種を用いることができる。これらの中でも、粉末どうしの固結を防ぐ分散性を有し、かつ、流動性を改善する特性を有し、粉末の平面展開性をより高めることができるという点で、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びアルギン酸ナトリウムの少なくとも1種を用いることが好ましい。
本発明の造形用粉末の組成は上記のような成分から種々の組み合わせが可能である。例えば、1つの粒子中に塩化ナトリウム、ポリビニルピロリドン及び硫酸マグネシウムを含む粒子からなる粉末を本発明の造形用粉末として用いることができる。また例えば、1つの粒子中にヒドロキシアパタイト、ポリビニルピロリドン及び硫酸マグネシウムを含む粒子からなる粉末を本発明の造形用粉末として用いることができる。
本発明造形用粉末(粒子)中における水溶性有機系高分子成分の含有量は限定的ではないが、通常は0.1〜30重量%、特に0.5〜15重量%、さらには1〜10重量%とすることが好ましい。上記範囲内に設定することによって、造形物の強度をより高めることが可能であり、型崩れしにくい造形物をより確実に得ることができる。また同時に、中子に適用して鋳造する際の耐熱性をより高めることができ、しかも収縮度を抑制し、よりいっそう高い精度で造形物を形成することができる。
本発明粉末の好ましい組成の具体例としては、塩化ナトリウム70〜90重量%(好ましくは75〜85重量%)、硫酸マグネシウム5〜25重量%(好ましくは10〜20重量%)及びポリビニルピロリドン1〜10重量%(好ましくは2〜8重量%)を含む組成が挙げられる。上記組成に設定することによって、より高い強度をもつ造形物を得ることができる。特に、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム及びポリビニルピロリドンが1つの粒子中に均一に分布している場合は、よりいっそう高い強度を発揮する造形物を得ることができる。換言すれば、前記のようなコーティング品よりも高い強度を実現できる造形物の提供が可能となる。
本発明造形用粉末の平均粒径は、所定の造形物の形状、所望の再現精度等に応じて適宜設定することができるが、通常は350μm以下、特に10〜150μmとすることが好ましい。また、成形体の密度をより高めるために、造形用粉末が平面展開面内において最密充填として成形体の密度をより高めるために、平均粒子径が異なる2種類以上の粉末を組み合わせて用いても良い。
本発明造形用粉末の粒子形状は、通常は略球状であるが、流動性等の点で支障を及ぼさない限りは他の形状の粒子が微量に含まれていても良い。
本発明の造形用粉末は、1つの粒子中に各成分が含有される粒子からなる粉末が得られる限りその製造方法は限定されない。特に、スプレードライ法によって本発明の造形用粉末を好適に得ることができる。より具体的には、無機成分及び水溶性有機系高分子成分を含む原料液を噴霧乾燥することによって本発明の造形用粉末を製造することができる。
原料液の調製は、溶媒中に無機成分及び水溶性有機系高分子を溶解又は分散させることにより実施することができる。この場合、溶媒が水であり、無機成分が水溶性であれば、両成分が溶解した水溶液を得ることができる。無機成分が水不溶性である場合は、水溶性有機系高分子が溶解した水溶液中に無機成分が分散した混合液を得ることができる。原料液の調製に際し、溶媒としては粉末成分が溶解又は分散できるものであればいずれも使用できるが、通常は水を使用すれば良い。
原料液の濃度(固形分)は、効率的にスプレードライを行える濃度に適宜調整すれば良いが、通常は5〜30重量%程度とすれば良い。
スプレードライは、公知又は市販のスプレードライヤーを使用すれば良く、その装置における運転条件の範囲内で適宜設定することができる。一般的な装置であれば、例えば回転数10000〜40000rpm、入口温度150〜500℃、出口温度70〜300℃とすれば良い。
得られた粉末は、必要に応じて公知の方法により分級等を行うことによって粒度を調整することもできる。ただし、得られた粉末は、流動性、平面展開性等の見地より、略球状の粒子形状を変える加工処理(例えば粉砕等)を施さずに造形用として用いることが好ましい。
本発明の造形用粉末は、種々の造形用に使用することができる。特に積層造形に好適に用いることができる。例えば、粉末接着法に用いる造形用粉末として利用することができる。最も好ましい態様は、下記の造形物の製造方法の粉末として用いる態様が該当する。
2.造形物の製造方法
本発明の製造方法は、粉末から造形物を製造する方法であって、
(a)1つの粒子中に無機成分及び水溶性有機系高分子成分を含む粒子からなる造形用粉末を平面展開して粉末層を形成した後、水混和性有機溶媒及び水の少なくとも1種を含む散布液を当該粉末層の所定領域に散布することにより散布領域の粉末粒子どうしの結合強度を非散布領域の粉末粒子どうしの結合強度よりも高める工程(工程a)、
(b)散布後の粉末層上にさらに造形用粉末を平面展開して上部粉末層を形成した後、前記散布液を当該上部粉末層の所定領域に散布することにより散布領域の粉末粒子どうしの結合強度を非散布領域の粉末粒子どうしの結合強度よりも高める工程(工程b)、
(c)前記(b)の工程を1回又は2回以上繰り返して前記散布領域の積層体からなる造形物を形成する工程(工程c)
(d)型抜きをして造形物を取り出す工程(工程d)
を含むことを特徴とする。
本発明の製造方法は、粉末として本発明の造形用粉末を用いるほかは、公知の積層造形法(粉末接着法)に従って実施することができる。以下、各工程について説明する。
工程a
工程aでは、1つの粒子中に無機成分及び水溶性有機系高分子成分を含む粒子からなる造形用粉末を平面展開して粉末層を形成した後、水混和性有機溶媒及び水の少なくとも1種を含む散布液を当該粉末層の所定領域に散布することにより散布領域の粉末粒子どうしの結合強度を非散布領域の粉末粒子どうしの結合強度よりも高める。
造形用粉末を平面展開するに際しては、テーブル、平面板等の平面部を有する部材上に展開すれば良い。上記部材の材質は造形用粉末が接着しないものであれば限定されず、例えば金属製部材、セラミックス製部材等を用いることができる。
平面展開して粉末層(上部粉末層)を形成する場合、当該粉末層の厚みは所望の再現精度等に応じて適宜調整することができる。通常は1層当たり50〜200μm程度の範囲内とすれば良い。
散布液としては、水混和性有機溶媒及び水の少なくとも1種を含む散布液を用いる。特に、水混和性有機溶媒及び水の少なくとも1種を溶媒として含む散布液を用いる。本発明では、展開された粉末層(上部粉末層)に散布した際に散布領域が滲んだり、拡散することを抑制ないしは防止できる機能を有するものが好ましい。このような水混和性有機溶媒としては、例えばエタノール、メタノール、プロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、イソプロピルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のカルボン酸エステル類等の少なくとも1種を好適に用いることができる。
水混和性有機溶媒は水との混合溶液として用いることもできる。この場合の混合比率としては、重量比で水混和性有機溶媒:水=5:95〜75:25の範囲内とすることが好ましい。
また、本発明では、散布液に他の成分が含まれていても良い。例えば、色素が含まれていても良い。色素を含有させる場合は、これを粉末層(上部粉末層)に散布した場合、散布領域が着色されるため、a)散布領域と非散布領域とり識別性を向上できる、b)ノズル散布の停止状態を目視できるため、ノズルの故障を早期に発見できる、c)型抜き時の非散布領域を除去するための作業性を向上することができる、d)型抜き後の型(造形物)の寸法精度を高めることができる等の効果を得ることができる。また、色素を含有させる場合の一態様として、散布液による散布をカラープリントの形態で実施することができる結果、見本となる三次元形状の形状のみならず、色も再現することができる。
工程aにおける散布液の散布量は特に制限されないが、散布領域の粉末粒子どうしが結合するのに十分な量(但し、以下の工程においては、散布領域の粉末粒子どうしが結合し、なおかつ、上層の粉末粒子と下層の粉末粒子とが結合するのに十分な量も含む。)。とすれば良い。
工程aでは、散布液を粉末層の所定領域に散布することにより散布領域の粉末粒子どうしの結合強度を非散布領域の粉末粒子どうしの結合強度よりも高める。特に、非散布領域の粉末粒子どうしの結合強度は、散布領域から形成される積層体(造形物)の型抜きができる程度であれば制限されないが、非散布領域の粉末粒子どうしの結合強度が発現されないことが好ましい。
また、工程aでは、必要に応じて、散布液を散布した後にその散布領域を加熱乾燥しても良い。これにより得られる造形物の寸法精度をより高めることができる。
工程b
工程bでは、散布後の粉末層上にさらに造形用粉末を平面展開して上部粉末層を形成した後、前記散布液を当該上部粉末層の所定領域に散布することにより散布領域の粉末粒子どうしの結合強度を非散布領域の粉末粒子どうしの結合強度よりも高める。
前記工程aで形成された粉末層の上にさらに造形用粉末を平面展開して上部粉末層を形成する。この場合、前記の粉末層(下層)と上部粉末層(上層)との厚みは同じ(一定)にすることが好ましい。
工程bでは、必要に応じて、散布液を散布した後にその散布領域を加熱乾燥しても良い。これにより得られる造形物の寸法精度をより高めることができる。
工程c
工程cでは、前記工程bを1回又は2回以上繰り返して前記散布領域の積層体からなる造形物を形成する。
すなわち、工程cでは、上部粉末層の上に造形用粉末を平面展開して第2段の上部粉末層を形成し、散布液を当該上部粉末層の所定領域に散布することにより散布領域の粉末粒子どうしの結合強度を非散布領域の粉末粒子どうしの結合強度よりも高め、同様に第3段の上部粉末層、第4段の上部粉末層、・・・第n段の上部粉末層というように所望の造形物が得られるまで工程bを繰り返して粉末層を積層していく。
前記工程a〜工程cの積層造形において、散布液のノズル散布は、例えば三次元CADを利用して作製されたデータから所望の厚さにスライスして断面データに変換し、この底部(最下部)の断面データに基づいてノズルを有する三次元プリンタにより散布液を平面展開された粉末層に散布し、さらに前記底部の上層の断面データに基づいて上部粉末層に散布液を散布するという工程を順次行うことにより、粉末層の積層体からなる造形物を形成することができる。
工程d
続いて、型抜きをして造形物を取り出す。例えば、非散布領域の造形用粉末と造形物とを分離することによって造形物を回収することができる。
得られた造形物は、必要に応じて、さらに強度を高めるために熱処理することもできる。この熱処理による乾燥、造膜等により強度をより高めることが可能となる。熱処理温度は通常は150℃以下とし、この範囲内で適宜設定することができる。
また、本発明では、得られた造形物の表面に接着成分を塗布することにより強度をより高めることもできる。このような接着成分としては、前記の水溶性有機系高分子のほか、シアノアクリレート系接着剤(瞬間接着剤も包含する。)、ポリエチレン系樹脂、ウレタン系樹脂等を用いることができる。塗布する場合は、例えば接着成分を含む溶液又は分散液を造形物の表面に塗布し、乾燥すれば良い。塗布の方法は、スプレー、刷毛、含浸、浸漬等による方法のほか、印刷による方法等を用いることができる。
<実施の形態>
以下、本発明における造形物の製造方法の実施態様を図面を用いて説明する。
まず、図1の(A)に示すようにテーブル1上に本発明の造形用粉末を平面展開して粉末層2を形成する。続いて、図1の(B)に示すように、前記粉末層2に前述した断面データの底部に基づいてノズルを有する三次元プリンタ3により水混和性有機溶媒及び水の少なくとも1種を含む散布液をプリント(散布)する。このとき、前記粉末層2の散布領域4aに存在する粉末粒子どうしの結合強度は、非散布領域4bに存在する粉末粒子どうしの結合強度よりも高くなる。
この場合、造形用粉末としては、例えば前記の好ましい組成をもつ粉末を好適に用いることができる。すなわち、塩化ナトリウム70〜90重量%(好ましくは75〜85重量%)、硫酸マグネシウム5〜25重量%(好ましくは10〜20重量%)及びポリビニルピロリドン1〜10重量%(好ましくは2〜8重量%)を含む造形用粉末を用いることができる。より具体的には、後記の実施例にも示されている通り、例えば塩化ナトリウム80重量%、硫酸マグネシウム15重量%及びポリビニルピロリドン5重量%を含む造形用粉末を好適に用いることができる。
次いで、図1の(C)に示すように、前記散布後の粉末層2上に本発明造形用粉末をさらに平面展開して上部粉末層2を形成する。続いて、図1の(D)に示すように、展開された上部粉末層2に前述した断面データ(底部よりひとつ(一層)上の断面データ)に基づいてノズルを有する三次元プリンタ3により前記散布液をプリント(散布)する。このとき、このとき、前記上部粉末層2の散布領域5aに存在する粉末粒子どうしの結合強度は、非散布領域5bに存在する粉末粒子どうしの結合強度よりも高くなる。同時に、散布領域5aはその下の散布領域4aと結合される。
次に、前述した図1の(C)及び(D)の工程を繰り返す。この工程において、前述した断面データの3層以降に基づいてノズルを有する三次元プリンタにより前記散布液を展開された粉末層(上部粉末層)ごとに順次にプリント(散布)する。このような積層造形により図1の(E)に示すように複数回の散布による散布領域で形付けられたピラミッド形状の造形物6が得られる。この造形物6は、非散布領域の粉末を除去して(型抜きをして)取り出すことができる。
造形物は、必要に応じて、前記の型抜きの前又は後に200℃以下の温度で乾燥しても良い。また、得られた造形物は、必要に応じて水溶性有機系高分子成分が焼失する温度以上であり、かつ、無機成分が溶融しない温度範囲内で熱処理することもできる。この場合の熱処理雰囲気は大気中、酸化性雰囲気中、不活性ガス雰囲気中、真空中等のいずれであっても良く、無機成分の種類等に応じて適宜決定すれば良い。
本発明の造形用粉末により得られる造形物は、均質性に優れる。例えば、強度(接着強度)、密度(多孔度)、発色性等がどの部位もほぼ均一であり、再現性に優れている。このため、既存の形状、色彩等を有する三次元形状、所望の設計により作製された三次元形状等から実際の造形物(三次元形状モデル)をより高精度で復元することができる。このような造形物は、例えばマスターモデルの作製、鋳型の製造のほか、精密機器分野、医療分野等の様々な分野で利用することができる。例えば、CTスキャン等により得られた画像データに基づいて三次元模型(例えば、生体の臓器、器官等)をつくることもでき、また中子(すなわち、消失成形体)として任意形状を有する成形体を作製し、これを生体吸水性高分子等の樹脂に埋没させ、樹脂が硬化した後に成形体を消失させることにより当該成形体の形状イメージ通りの印象(空隙)を樹脂内に形成することができる。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。
実施例1
リン酸カルシウムを2%添加した食塩3600g(配合比90重量%)、ポリビニルピロリドン(アイエスピー・ジャパン株式会社製「PVP−K90」)200g(配合比5重量%)及び無水硫酸マグネシウム200g(配合比5重量%)を水16000gに溶解して得られた水溶液を噴霧液とした。この噴霧液を市販のスプレードライヤー(大川原化工機製「L−8」)を用いて噴霧した。この時の噴霧条件は、入口温度:240℃、出口温度:140℃、アトマイザ回転数:30000rpm、排風量:1.0kpa、送液量:ポンプ(EYELA製「ROLLER PUMPRP−1000」)回転数25rpm(約50ml/min)とした。このようにして粉末を得た。
比較例1
ポリビニルピロリドンとして(アイエスピー・ジャパン株式会社製「PVP−K30」)を用いたほかは、実施例1と同じ原料を用い、実施例1と同じ組成を有する混合粉末を乾式混合により調製した。
試験例1
実施例1及び比較例1で得られた粉末(試料)について、下記のような各特性を調べた。
(1)二次電子像(SEM像)測定
試料をカーボンテープに固定し、金蒸着を施して測定試料とした。測定は、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製「JSM−5500LV」)を用い、加速電圧15kVにて二次電子像(SEM像)を撮影した。その結果を図2(図2(a)は比較例1、図2(b)は実施例1)に示す。
(2)元素分布測定
試料をカーボンテープに固定し、金蒸着を施して測定試料とした。測定は、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製「JSM−5500LV」)を用い、加速電圧15kVにて二次電子像(SEM像)を撮影した後、エネルギー分散型X線分光装置(EDS;日本電子株式会社製「JED−2200」)を用いて加速電圧15kVにてナトリウム及びマグネシウムの元素分布を測定した。その結果を図に示す。図3(図3(a)は比較例1、図3(b)は実施例1)によれば、比較例1では、ナトリウム及びマグネシウムの分布にムラであることが確認できた。これに対し、実施例1では、どの粒子も1つの粒子中にナトリウム及びマグネシウムが存在しており、全体として両者が均一に分布していることがわかる。
(3)嵩密度
試料10gを50mLメスシリンダーに入れ、そのメスシリンダーを粉体減少度測定器(筒井理化学器械製「TMP−7−P」)にセットし、測定条件としてタッピング回数100回、タッピング高さ4cm、タッピング速度36回/分で試験した後、容量F(mL)を目視で測定した。その後、10/Fにて嵩密度(g/mL)を算出した。その結果を表1に示す。
Figure 2010098441
(4)粒度分布・平均粒子径
試料をアセトン中に分散させてレーザー回折法によりアセトン溶媒中にて測定を行った。測定装置として「MICROTRAC HRA Model No.9320-X100」Honeywell社製を用いた。その結果を図4(図4(a)は比較例1、図4(b)は実施例1)に示す。図4からも明らかなように、比較例1では約30μmに分布極大を有する分布と約10μmに分布極大を有する分布が重なり、幅の広い粒度分布を有するのに対し、実施例1では約30μmに分布極大を有する正規分布に近い単一の粒度分布を有することがわかる。
(5)乾燥減量(水分含有量)
はかり瓶をあらかじめ30分間乾燥し、その質量を精密に量った。この瓶に試料1.0gを精密に量り、これを乾燥器に入れ、105℃で3時間乾燥した。乾燥後、乾燥器から取り出し、デシケーター(シリカゲル)で放冷し、質量を精密に量った。下記式より乾燥減量を求めた。その結果を表1に示す。
乾燥減量(%)=(乾燥前重量−乾燥後重量)/乾燥前重量
(6)マグネシウム含量
試料を約1.0gを精密に量り、希塩酸4.0mLを加えて溶かし、水を加えて正確に
100mLとした。この液にpH10.7のアンモニア・塩化アンモニウム緩衝液5mLを加え、0.05mol/Lエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム液で、滴定した(指示薬:エリオクロムブラックT・塩化ナトリウム指示薬 0.04g)。滴定量より、下記式によりマグネシウム含量を求め、硫酸マグネシウム含量に換算した。その結果を表2に示す。表2に示すように、実施例1は、比較例1に比べてマグネシウム含有量のバラツキが少なく(標準偏差が小さく)、含量の均一性が保たれていることがわかる。

0.05mol/L エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム液 1mL = 2.015mg MgO
マグネシウム含量(%)=(滴定量ml×2.015×f(滴定液ファクター)/試料重量mg)×100
Figure 2010098441
(7)摩損度
まず、実施例1及び比較例1の粉末をそれぞれ用いて造形試験片(42mm×15mm×15mmの直方体)を市販の造形装置で作製した。なお、噴霧液としてエタノール/水(50重量部/50重量部)の混合溶液を用いた。次いで、日本薬局方に記載された摩損度試験方法に準じた試験器(萱垣医理科工業株式会社性:摩損度試験器)にあらかじめ重量を測定した造形試験片(42mm×15mm×15mmの直方体)と直径1cmのアルミナボール20個を入れ、25回転/分で20分間稼働させ、試験後の造形試験片の重量を測定した。その結果を表1に示す。表1の結果からも明らかなように、実施例1は比較例1と比べて摩損度が低く、成形体としての強度が高いことがわかる。

摩損度(%)=100−(試験後重量/試験前重量)×100
(8)安息角
図5に示すように直径50mmの皿の上に高さ100mmの位置より粉体を少量ずつ落下させ、高さ(h)が安定した時のhを読みとり、安息角α=tan−1(h/25)を算出した。その結果を表1に示す。表1に示すように、実施例1は、比較例1と比べて安息角が小さく、流動性が高く、その平面展開性が従来品と比べて優れていることがわかる。
(9)赤外吸収スペクトル測定(PVPの測定)
顕微赤外分光装置(Smiths社製:ILLUMINAT IR)を用い、ダイヤモンドATR(Attenuated Total Reflection)プリズム面に試料を密着させ、その反射スペクトルをスキャン回数64回にて測定した(ATR法)。その結果を図6(図6(a)上段・下段は比較例1、図6(b)は実施例1)に示す。図6の結果からも明らかなように、実施例1ではいずれの場合もPVPに起因する赤外吸収ピークが確認され、これにより1つの粒子中にPVPが存在していることがわかる。これに対し、比較例1では、測定点によりピーク形状が変わっており、PVPに起因する赤外吸収ピークが確認されない場合もあることから、1つの粒子中にPVPが含有されていないことがわかる。
(10)発色性の確認
インクジェットプリンター専用紙(エプソン製:スーパーファイン紙)に両面テープを貼り、その片面に試料を敷き詰め、余剰な試料を除去した。これにインクジェットプリンター(キヤノン製「iP4200」)を用いてノズルチェックパターンを印刷した。目視にてインクの発色性、滲み等についてインクジェットプリンター専用紙上に印刷されたパターンと比較した。無作為に選出した成人男性5名、成人女性5名に目視にて下記の評価項目について評価させた。その結果を表3に示す。表3に示すように、男女を問わず実施例1の方が比較例1よりも優れているとの評価が得られていることから、実施例1は比較例1に比べて発色性及びにじみの点で改善されていることがわかる。
<評価項目>
A.普通紙上に印刷された色と試料上に印刷された色についてどちらの試料がよりインクジェットプリンター専用紙の発色性を再現しているか。
B.格子状に印刷されている部分についてインクの滲みが少ない試料はどちらか。
<評価>
実施例1は比較例1よりも明らかに良い:「5」
実施例1は比較例1よりも若干良い: 「4」
実施例1は比較例1と同等である: 「3」
実施例1は比較例1よりも若干悪い: 「2」
実施例1は比較例1よりも明らかに悪い:「1」
Figure 2010098441
実施例2〜6
ポリビニルピロリドンに代えて、ポリエチレングリコール(PEG)(実施例2)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)(実施例3)、カルボキシメチルセルロース(CMC)(実施例4)、ポリビニルアルコール(PVA)(実施例5)、アルギン酸ナトリウム(実施例6)を用いたほかは実施例1と同様にしてスプレードライ法により粉末を調製した。得られた粉末について、前記試験例1の(2)(4)の測定を行った。その結果を図7〜図11に示す。これらの結果からも明らかなように、本発明の造形用粉末は、その粒子形状が球状であり、なおかつ、比較的微細な粒子から構成されているので、特に粉末接着法による積層造形に好適である。
実施例7
リン酸カルシウムを2%添加した食塩3600g(配合比60.1重量%)、ヒドロキシアパタイト2000g(配合比33.3重量%)、ポリビニルピロリドン(アイエスピー・ジャパン株式会社製「PVP−K90」)200g(配合比3.3重量%)及び無水硫酸マグネシウム200g(配合比3.3重量%)を水14000gに溶解して得られた水溶液を噴霧液とした。この噴霧液を市販のスプレードライヤー(大川原化工機製「L−8」)を用いて噴霧した。この時の噴霧条件は、入口温度:240℃、出口温度:140℃、アトマイザ回転数:30000rpm、排風量:1.0kpa、送液量:ポンプ(EYELA製「ROLLER PUMPRP−1000」)回転数25rpm(約50ml/min)とした。このようにして粉末を得た。得られた粉末について、前記試験例1の(2)(4)の測定を行った。その結果を図12に示す。この結果からも明らかなように、本発明の造形用粉末は、その粒子形状が球状であり、なおかつ、比較的微細な粒子から構成されているので、特に粉末接着法による積層造形に好適である。
実施例8
噴霧液として、ヒドロキシアパタイト3600g(配合比80重量%)、ポリビニルピロリドン(アイエスピー・ジャパン株式会社製「PVP−K90」)200g(配合比5重量%)及び無水硫酸マグネシウム200g(配合比5重量%)を水16000gに溶解して得られた水溶液を用いたほかは、実施例7と同様にして粉末を調製した。得られた粉末について、前記試験例1の(2)(4)の測定を行った。その結果を図13に示す。この結果からも明らかなように、本発明の造形用粉末は、その粒子形状が球状であり、なおかつ、比較的微細な粒子から構成されているので、特に粉末接着法による積層造形に好適である。
実施例9
リン酸カルシウムを2%添加した食塩3200g(配合比80重量%)、ポリビニルピロリドン(アイエスピー・ジャパン株式会社製「PVP−K90」)200g(配合比5重量%)及び無水硫酸マグネシウム600g(配合比15重量%)を水16000gに溶解して得られた水溶液を噴霧液とした。この噴霧液を市販のスプレードライヤー(大川原化工機製「L−8」)を用いて噴霧することにより、粉末を得た。この時の噴霧条件は、入口温度:240℃、出口温度:140℃、アトマイザ回転数:30000rpm、排風量:1.0kpa、送液量:ポンプ(EYELA製「ROLLER PUMPRP−1000」)回転数25rpm(約50ml/min)とした。
実施例10
噴霧液として、リン酸カルシウムを2%添加した食塩3000g(配合比75重量%)、ポリビニルピロリドン(アイエスピー・ジャパン株式会社製「PVP−K90」)200g(配合比5重量%)及び無水硫酸マグネシウム800g(配合比20重量%)を水16000gに溶解して得られた水溶液を用いたほかは、実施例9と同様にして粉末を調製した。
試験例2
実施例1、実施例9及び実施例10の粉末を用いて造形物を製造する際の粉離れ特性について調べた。測定方法としては、各粉末を造形用粉末として用い、市販の造形装置(Zコーポレーション「Z402型」)を用いて粉末積層造形法により造形試験片(42mm×15mm×15mmの直方体)を作製した。なお、噴霧液として、エタノール/水(50重量部/50重量部)の混合液を用いた。形成された造形物を造形槽より取り出し、柔らかい刷毛で1面につき5回払った後の造形物の重量(A)を測定する。その後、造形物を箱型乾燥機にて120℃で45分間乾燥した後、余剰な原料を全て払い落した後の造形物の重量(B)を測定する。粉離れの算出法は以下の式を用い、この数値が低いほど粉離れの性能が高い。その結果を表4に示す。なお、表4には、各粉末の嵩密度等について試験例1と同様にして測定した結果も併せて示す。

粉離れ(%)=〔(A−B)/B〕×100
Figure 2010098441
表4の結果より、硫酸マグネシウムの含有量が15〜20重量%の粉末が粉離れの値が低く、造形用粉末としてより優れた効果を発揮できることがわかる。
試験例3
実施例9の粉末を構成する粒子の成分分布状態、その造形物の強度について、コーティング品と対比した。
<コーティング品の調製>
コーティング品は、次のようにして調製した。リン酸カルシウムを2%添加した食塩3600g及び無水硫酸マグネシウム200gを水16000gに溶解し、噴霧液とした。この噴霧液をスプレードライヤー(大川原化工機製「L−8」)を用いて噴霧した。噴霧条件は、入口温度:240℃、出口温度:140℃、アトマイザ回転数:30000rpm、排風量:1.0kpa、送液量:ポンプ(EYELA製「ROLLER PUMPRP−1000」)回転数25rpm(約50ml/min)とした。このようにして得られた粉末400gをワースター型転動流動層造粒機(株式会社パウレック製「FD−MP−01S」S)に入れ、ポリビニルピロリドン(アイエスピー・ジャパン株式会社製「PVP−K90」)21gをエタノールに溶解して700gとしたコーティング溶液を噴霧した。噴霧時は給気を59〜61℃、排気を36〜45℃に保ち、ボトムスプレーで噴霧液流量3.29g/min、スプレーエア流量30〜55L/min、スプレーエア圧力0.4MPa、給気風量0.5〜0.75m/minで試作を行った。
別途に、比較用としてポリビニルピロリドンを含まない粉末も調製した。具体的には、リン酸カルシウムを2%添加した食塩3600g及び無水硫酸マグネシウム200gを水16000gに溶解し、噴霧液とした。この噴霧液を前記コーティング品の場合と同じ条件で噴霧することにより粉末を得た。
<元素分布状態の分析及び強度の測定>
各粉末を用いて、元素分布状態の分析及び強度の測定を実施した。それぞれの測定方法は下記(1)及び(2)に示す通りである。
(1)元素分布状態の分析
まず、分析用の試料を作製した。具体的には、エポキシ系樹脂(ガタン社製:G−2)を用い試料(粉末粒子)を包埋、固定した後、断面を鏡面に研磨し、研磨面に白金蒸着を施して断面分析試料とした。この断面分析試料を用いて二次電子像及び元素分布測定を行った。これらの結果を図14〜図16に示す。
(1−1)二次電子像(SEM像)測定
断面分析試料をカーボンテープに固定し、測定試料とした。測定方法は、超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製「SU−800」を用い、加速電圧30kVにて二次電子像(SEM像)を撮影した。
(1−2)元素分布測定
断面分析試料をカーボンテープに固定し、測定試料とした。測定方法は、超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製「SU−800」)を用い、加速電圧30kVにて二次電子像(SEM像)を撮影した後、エネルギー分散型X線分光装置(EDS;ブルカー・エイエックエス社製:QUANTAX)を用いて加速電圧30kVにて炭素及びナトリウムの元素分布を測定した。
(2)強度測定
まず、強度測定用タブレットを作製した。試料2.5gをガラス容器(マルエム社製:スナップカップNo30 φ30mm×高さ45mm)に量り込み、表面を整えた後、25℃、R.H.60%の恒温恒湿槽にて15時間静置する。これを120℃に調整された乾燥機にて3時間静置した後、冷水パットにて3分間冷却し、ガラス容器から取り出したタブレットを強度測定用タブレットとした。
得られた強度測定用タブレットを粒子強度測定装置(岡田精工株式会社製「GRANO」)を用い、定格容量20Nのロードセル(株式会社共和電業製「LUR−A−200NSA1」)を用い、各8個のタブレットの強度を測定した。その結果を表5及び図17に示す。図17は、各タブレットの強度の平均値を示す。

Figure 2010098441
図14〜図16は、各試料断面を二次電子像の矢印に示した方向で電子線照射し、照射線上で検出された炭素及びナトリウム元素の分布状態を示したものである。
図15に示すように、PVPを表面層に持つコーティング品は、断面中心部から表面に向かって電子線照射するに従い、炭素分布が3段階(図15下段図中の横軸0〜約15(1段階)、横軸約16〜約20(2段階)及び横軸約21〜約33(3段階))に変化することがわかる(図15中の符号A参照)。一方、図16に示すPVP無添加の比較用粉末断面においては、炭素分布が2段階(図16下段図中の横軸0〜約20(1段階)、横軸約21〜約33(2段階))に変化することがわかる(図16中の符号B参照)。
すなわち、両者の比較により、コーティング品は、実質的に炭素が検出されないレベル(バックグランドレベル(強度縦軸:図15下段図中の横軸0〜約15)から、コーティング層に存在するPVP由来の炭素分布(図15下段図中の横軸約16〜約20)を経て、包埋用樹脂エポキシ樹脂由来の炭素分布(図15下段図中の横軸約21〜約33)に至る炭素分布を有することがわかる。
これに対し、図14に示すように、実施例9で得られた粉末は、粉末断面において高い炭素分布頻度を維持し、炭素元素が一定の含有量で粒子内部まで分布していることがわかる(図14中の符号C参照)。すなわち、本発明による粉末粒子は、無機成分及び有機系高分子成分が粒子内部に均一に分布していることがわかる。
また、強度測定結果からも明らかなように、実施例9で得られた粉末は、コーティング品よりも高い強度を発揮できることがわかる。表5に示す通り、通常65g/mm以上、特に70g/mm以上、さらには80g/mm以上の高強度を実現できることがわかる。すなわち、特に無機成分として水溶性無機塩類(特に塩化ナトリウム及び硫酸マグネシウム)を用い、これらが1つの粒子中に均一に分布してなる粒子からなる粉末を用いることにより、コーティング品による造形物よりも高い強度を発揮できることがわかる。

Claims (18)

  1. 1つの粒子中に無機成分及び水溶性有機系高分子成分を含む粒子からなる造形用粉末。
  2. 無機成分が水溶性無機塩類である、請求項1に記載の造形用粉末。
  3. 水溶性無機塩類がアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩の少なくとも1種である、請求項2に記載の造形用粉末。
  4. 無機成分として塩化ナトリウム及び硫酸マグネシウムを含む、請求項1に記載の造形用粉末。
  5. 無機成分及び水溶性有機系高分子成分を含む原料液を噴霧乾燥することによって得られた粉末である、請求項1に記載の造形用粉末。
  6. 水溶性無機塩類及び水溶性有機系高分子が水に溶解した水溶液を噴霧乾燥することによって得られた粉末である、請求項2に記載の造形用粉末。
  7. 粉末接着法のために用いる、請求項1に記載の造形用粉末。
  8. (a)粉末を平面展開して粉末層を形成した後、水混和性有機溶媒及び水の少なくとも1種を含む散布液を当該粉末層の所定領域に散布することにより散布領域の粉末粒子どうしの結合強度を非散布領域の粉末粒子どうしの結合強度よりも高める工程、(b)散布後の粉末層上にさらに粉末を平面展開して上部粉末層を形成した後、前記散布液を当該上部粉末層の所定領域に散布することにより散布領域の粉末粒子どうしの結合強度を非散布領域の粉末粒子どうしの結合強度よりも高める工程、(c)前記(b)の工程を1回又は2回以上繰り返して前記散布領域の積層体からなる造形物を形成する工程を含む造形物の製造方法における当該粉末として用いられる、請求項1に記載の造形用粉末。
  9. 1つの粒子中に無機成分及び水溶性有機系高分子成分が均一に分布している、請求項1に記載の造形用粉末。
  10. 1)第1の無機成分として、塩化ナトリウム70〜90重量%、2)第2の無機成分として硫酸マグネシウム5〜25重量%、3)水溶性有機高分子成分としてポリビニルピロリドン1〜10重量%含む、請求項1に記載の造形用粉末。
  11. 粉末から造形物を製造する方法であって、
    (a)1つの粒子中に無機成分及び水溶性有機系高分子成分を含む粒子からなる造形用粉末を平面展開して粉末層を形成した後、水混和性有機溶媒及び水の少なくとも1種を含む散布液を当該粉末層の所定領域に散布することにより散布領域の粉末粒子どうしの結合強度を非散布領域の粉末粒子どうしの結合強度よりも高める工程、
    (b)散布後の粉末層上にさらに造形用粉末を平面展開して上部粉末層を形成した後、前記散布液を当該上部粉末層の所定領域に散布することにより散布領域の粉末粒子どうしの結合強度を非散布領域の粉末粒子どうしの結合強度よりも高める工程、
    (c)前記(b)の工程を1回又は2回以上繰り返して前記散布領域の積層体からなる造形物を形成する工程、及び
    (d)型抜きをして造形物を取り出す工程
    を含む、造形物の製造方法。
  12. 無機成分が水溶性無機塩類である、請求項11に記載の製造方法。
  13. 水溶性無機塩類がアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩の少なくとも1種である、請求項12に記載の製造方法。
  14. 無機成分として塩化ナトリウム及び硫酸マグネシウムを含む、請求項11に記載の製造方法。
  15. 無機成分及び水溶性有機系高分子成分を含む原料液を噴霧乾燥することによって得られた粉末である、請求項11に記載の製造方法。
  16. 水溶性無機塩類及び水溶性有機系高分子が水に溶解した水溶液を噴霧乾燥することによって得られた粉末である、請求項12に記載の製造方法。
  17. 1つの粒子中に無機成分及び水溶性有機系高分子成分が均一に分布している、請求項11に記載の製造方法。
  18. 1)第1の無機成分として、塩化ナトリウム70〜90重量%、2)第2の無機成分として硫酸マグネシウム5〜25重量%、3)水溶性有機高分子成分としてポリビニルピロリドン1〜10重量%含む、請求項11に記載の製造方法。
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