本発明は、筐体の内部から外部への紙葉類の投出を行う紙葉類処理装置に関し、とりわけ、操作者にとって使い勝手の良いものとすることができる紙葉類処理装置に関する。
従来から、貨幣の入出金を行う入出金システムとして、特公平3−50315号公報(JP3−50315B2)等に開示されるものが知られている。特公平3−50315号公報に開示されるような従来の入出金システムにおいては、同一の出金口に、帯封紙幣およびバラ紙幣の両方を集積して投出するようになっている。
しかしながら、特公平3−50315号公報に開示されるような入出金システムにおいては、出金口に帯封紙幣およびバラ紙幣の両方が一括して投出されるため、これらの紙幣の集積高さが大きい場合には操作者が出金口から紙幣を取り出す際に片手により一掴みで紙幣の束を取ることができない場合があった。このように、1つの出金口に帯封紙幣およびバラ紙幣の両方が一括して投出される場合、操作者は両手で紙幣の束を取り出したり、何回かにわけて紙幣の束を取り出したりしなければならず、操作者にとって使い勝手が悪いという問題があった。
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、筐体内にあるバラ紙葉類をバラ紙葉類投出口および帯封紙葉類投出口のうちどちらの紙葉類投出口により筐体の外部に投出するかを選択することができ、このため操作者の希望に応じて、バラ紙葉類および帯封紙葉類を帯封紙葉類投出口からまとめて投出するか、あるいはバラ紙葉類および帯封紙葉類を2つの紙葉類投出口からそれぞれ別々に投出するかを選ぶことができるようになり、操作者にとって使い勝手の良いものとすることができる紙葉類処理装置を提供することを目的とする。
本発明の紙葉類処理装置は、筐体と、バラ紙葉類を前記筐体の内部から外部に投出するためのバラ紙葉類投出口と、帯封紙葉類を前記筐体の内部から外部に投出するための帯封紙葉類投出口と、を備え、前記筐体内にあるバラ紙葉類を前記バラ紙葉類投出口および前記帯封紙葉類投出口のうちどちらの紙葉類投出口により前記筐体の外部に投出するかを選択することができるようになっていることを特徴とする。
このような紙葉類処理装置によれば、筐体内にあるバラ紙葉類をバラ紙葉類投出口および帯封紙葉類投出口のうちどちらの紙葉類投出口により筐体の外部に投出するかを選択することができる。このため、操作者の希望に応じて、バラ紙葉類および帯封紙葉類を帯封紙葉類投出口からまとめて投出するか、あるいはバラ紙葉類をバラ紙葉類投出口から投出させることによりバラ紙葉類および帯封紙葉類を2つの紙葉類投出口からそれぞれ別々に投出するかを選ぶことができるようになる。ここで、バラ紙葉類をバラ紙葉類投出口から投出させることによりバラ紙葉類および帯封紙葉類を2つの紙葉類投出口からそれぞれ別々に投出する場合は、バラ紙葉類の処理および帯封紙葉類の処理を並行して行うことができるようになるので紙葉類を迅速に処理することができ、このため紙葉類の効率的な投出動作を行うことができる。一方、バラ紙葉類を帯封紙葉類投出口から投出させることによりバラ紙葉類および帯封紙葉類を帯封紙葉類投出口からまとめて投出する場合は、操作者は一つの紙葉類投出口からバラ紙葉類および帯封紙葉類の両方を取り出すこととなるので、操作者がバラ紙葉類または帯封紙葉類のうち一方の取り出しを忘れることを防止することできるようになり、操作者にとっての操作性を向上させることができる。
以上のように、筐体内にあるバラ紙葉類をバラ紙葉類投出口および帯封紙葉類投出口のうちどちらの紙葉類投出口により筐体の外部に投出するかを選択することができるようにすることによって、紙葉類処理装置を、操作者にとって使い勝手の良いものとすることができる。
本発明の紙葉類処理装置においては、前記筐体の内部に設けられ、積層状態に集積された複数のバラ紙葉類を帯封するための帯封部を更に備え、前記帯封紙葉類投出口は、前記帯封部により帯封が行われた帯封紙葉類を前記筐体の内部から外部に投出するようになっていることが好ましい。
この際に、前記帯封部は、複数のバラ紙葉類が積層状態に集積される一時保留部と、積層状態に集積された複数のバラ紙葉類の帯封を行う帯封機構と、前記一時保留部にあるバラ紙葉類の束を前記帯封機構に搬送するとともに、前記帯封機構により帯封が行われた帯封紙葉類を前記帯封機構から前記帯封紙葉類投出口に搬送する搬送アームとを有し、前記筐体内にあるバラ紙葉類を前記帯封紙葉類投出口により前記筐体の外部に投出する際には、前記一時保留部にバラ紙葉類を送り、前記搬送アームにより前記一時保留部から前記帯封紙葉類投出口にバラ紙葉類が直接搬送されるようになっていることがより好ましい。
本発明の紙葉類処理装置においては、前記帯封紙葉類投出口には、帯封紙葉類やバラ紙葉類を載置するための載置機構と、前記載置機構の下方において昇降自在に設けられた昇降台とが設けられており、前記帯封紙葉類投出口に送られた帯封紙葉類やバラ紙葉類はまず昇降台に載せられ、この昇降台が上昇して前記載置機構に到達することにより前記昇降台上の帯封紙葉類やバラ紙葉類が前記載置機構に引き渡されるようになっていることが好ましい。
この際に、前記帯封紙葉類投出口により帯封紙葉類およびバラ紙葉類の両方の紙葉類を筐体の内部から外部に投出する際に、まず帯封紙葉類が前記載置機構に載置され、次にバラ紙葉類が載せられた昇降台が上昇して前記載置機構に到達することにより帯封紙葉類の下方において前記昇降台上のバラ紙葉類が前記載置機構に引き渡されるようになっていることがより好ましい。
本発明の紙葉類処理装置においては、前記筐体内にあるバラ紙葉類を前記筐体の外部に投出する際に、まず、前記バラ紙葉類投出口および前記帯封紙葉類投出口のうち一方の紙葉類投出口にバラ紙葉類を送り、この一方の紙葉類投出口に所定の枚数のバラ紙葉類が送られたら他方の紙葉類投出口に残りのバラ紙葉類を送ることが好ましい。
本発明の一の実施の形態における紙幣処理装置の外観を示す斜視図である。
図1に示す紙幣処理装置の正面図である。
図1に示す紙幣処理装置の内部の構成を示す構成図である。
図3に示す紙幣処理装置に設けられた分岐部材の構成を示す拡大説明図であり、より詳細には、分岐箇所に対して右側の搬送路から紙幣が搬送されたときの分岐部材の向きを示す図である。
図3に示す紙幣処理装置に設けられた分岐部材の構成を示す拡大説明図であり、より詳細には、分岐箇所に対して左側の搬送路から紙幣が搬送されたときの分岐部材の向きを示す図である。
図3に示す紙幣処理装置に設けられた分岐部材の構成を示す拡大説明図であり、より詳細には、分岐箇所に対して分岐搬送路から紙幣が搬送されたときの分岐部材の向きを示す図である。
図3に示す紙幣処理装置に設けられた帯封紙幣出金口およびシャッター機構の構成を示す側面図である。
図7に示す帯封紙幣出金口に設けられた出金口ステージおよびこの出金口ステージの上方の空間に進入した搬送アームのA−Aライン矢視による上面図である。
図7に示す帯封紙幣出金口に設けられた出金口ステージおよび爪部材のB−Bライン矢視による上面図である。
(a)〜(g)は、図3に示す紙幣処理装置に設けられた帯封部から帯封紙幣出金口に帯封紙幣が引き渡されるときの動作を順に示す図である。
(a)〜(g)は、帯封紙幣出金口の各爪部材上に既に帯封紙幣が載置されているような状態において、搬送アームにより帯封紙幣出金口にバラ紙幣の束が送られたときの動作を順に示す図である。
図1等に示す紙幣処理装置の制御ブロック図である。
図1等に示す紙幣処理装置による一連の動作を示すフローチャートである。
発明を実施するための形態
以下、図面を参照して本発明の一の実施の形態について説明する。図1乃至図13は、本実施の形態に係る紙幣処理装置を示す図である。このうち、図1は、本実施の形態における紙幣処理装置の外観を示す斜視図であり、図2は、図1に示す紙幣処理装置の正面図である。また、図3は、図1に示す紙幣処理装置の内部の構成を示す構成図であり、図4乃至図6は、図3に示す紙幣処理装置に設けられた分岐部材の構成を示す拡大説明図である。また、図7乃至図9は、図3に示す紙幣処理装置に設けられた帯封紙幣出金口およびシャッター機構の構成を示す側面図である。また、図10(a)〜(g)は、図3に示す紙幣処理装置に設けられた帯封部から帯封紙幣出金口に帯封紙幣が受け渡されるときの動作を順に示す図であり、図11(a)〜(g)は、帯封紙幣出金口の各爪部材上に既に帯封紙幣が載置されているような状態において、搬送アームにより帯封紙幣出金口にバラ紙幣の束が送られたときの動作を順に示す図である。また、図12は、図1等に示す紙幣処理装置の制御ブロック図であり、図13は、図1等に示す紙幣処理装置による一連の動作を示すフローチャートである。
まず、図1乃至図3を用いて、本実施の形態の紙幣処理装置10の全体的な構成について概略的に説明する。なお、図3において、参照符号Sはバラ紙幣を示し、参照符号S´は積層状態に集積されたバラ紙幣の束を示し、参照符号Tは帯封紙幣を示す。図1に示すように、紙幣処理装置10は略直方体形状の筐体12を備えており、この筐体12の前面には、当該筐体12の外部から内部にバラ紙幣を投入するとともに筐体12の内部から外部にバラ紙幣を投出するための入出金口20が筐体12の外部に露出するよう設けられている。入出金口20には開口部が設けられており、この開口部にはシャッター機構22が設けられている。そして、シャッター機構22により入出金口20の開口部の開閉が行われるようになっている。また、図3等に示すように、筐体12の下部には4つの収納カセット40および1つの一時保留用収納カセット42が略水平方向に沿って並列に設けられている。ここで、各収納カセット40は、紙幣を金種別に収納するようになっている。また、一時保留用収納カセット42は、入出金口20により筐体12の外部から内部に投入された紙幣を一時的に保留するようになっている。
また、図3等に示すように、筐体12の内部において各収納カセット40および一時保留用収納カセット42の上方には搬送部30が設けられており、この搬送部30は、入出金口20、各収納カセット40および一時保留用収納カセット42の間で紙幣の搬送を行うようになっている。また、筐体12の内部において搬送部30の上方には、この搬送部30から搬送された紙幣を帯封するための帯封部50が設けられている。また、筐体12の前面には、帯封部50により帯封が行われた帯封紙幣を筐体12の外部に投出するための帯封紙幣出金口60が筐体12の外部に露出するよう設けられている。図1や図2に示すように、帯封紙幣出金口60は入出金口20の近傍に設けられている。また、帯封紙幣出金口60には開口部が設けられており、この開口部にはシャッター機構62が設けられている。そして、シャッター機構62により帯封紙幣出金口60の開口部の開閉が行われるようになっている。
また、図12に示すように、紙幣処理装置10には、当該紙幣処理装置10の各構成要素を制御するための制御部70が設けられている。
以下、このような紙幣処理装置10の各構成要素について詳述する。
入出金口20は、図1乃至図3に示すように、筐体12の前面に設けられており、操作者がこの入出金口20にバラ紙幣Sの束を投入したりこの入出金口20からバラ紙幣Sの束を取り出したりすることができるよう構成されている。より具体的には、図3に示すように入出金口20は鉛直方向に対して斜めに傾斜しており、この入出金口20にはバラ紙幣Sが斜めに傾斜して投入されるようになっている。入出金口20には紙幣繰出機構21が設けられており、この紙幣繰出機構21により入出金口20に集積されたバラ紙幣Sが1枚ずつ搬送部30に繰り出されるようになっている。このような紙幣繰出機構21の動作は、後述する制御部70により制御されるようになっている。また、バラ紙幣の出金処理を行う際には、搬送部30からバラ紙幣Sが1枚ずつ入出金口20に送られるようになっている。このように、入出金口20は、バラ紙幣Sを筐体12の内部から外部に投出するためのバラ紙幣投出口としての機能を有している。
図1等に示すように、入出金口20の開口部にはシャッター機構22が設けられており、このシャッター機構22により入出金口20の開口部が開閉されるようになっている。より具体的には、操作者が入出金口20にバラ紙幣Sの束を投入したり入出金口20から バラ紙幣Sの束を取り出したりする際には、シャッター機構22が開いて入出金口20が筐体12の外部に露出されるようになっている。一方、入出金口20に集積されたバラ紙幣Sが1枚ずつ紙幣繰出機構21により搬送部30に繰り出されたり搬送部30から入出金口20にバラ紙幣Sが1枚ずつ送られたりする際には、シャッター機構22が入出金口20を閉じるようになっている。このようなシャッター機構22の動作は、後述する制御部70により制御されるようになっている。
図3に示すように、搬送部30には識別部31が設置されている。識別部31は、入出金口20から搬送部30に繰り出された紙幣の金種や正損、真偽等を識別するようになっている。識別部31による紙幣の識別結果は後述する制御部70に送られるようになっている。また、筐体12の内部には入金リジェクト部24が設けられており、この入金リジェクト部24は搬送部30に接続されている。そして、入金された紙幣のうち識別部31により正常な紙幣ではないリジェクト紙幣であると識別された紙幣や、識別部31により識別することができなかった紙幣は搬送部30から入金リジェクト部24に送られるようになっている。また、筐体12の内部には出金リジェクト部26が設けられており、この出金リジェクト部26は搬送部30に接続されている。そして、出金の際に一時保留用収納カセット42から繰り出された紙幣のうち、識別部31により識別することができなかった紙幣や、重なって搬送されたり斜行して搬送されたりした紙幣は、搬送部30から出金リジェクト部26に送られるようになっている。
図3に示すように、各収納カセット40および一時保留用収納カセット42は、筐体12の奥行き方向(図3の左右方向)に沿って並列に配置されている。各収納カセット40および一時保留用収納カセット42にはそれぞれ搬送部30から1枚ずつ紙幣が送られるようになっている。ここで、各収納カセット40および一時保留用収納カセット42はそれぞれ扁平状の略直方体形状のものからなり、搬送部30から送られた紙幣が積層状態に収納されるようになっている。また、各収納カセット40および一時保留用収納カセット42にはそれぞれ紙幣繰出機構41、43が設けられており、これらの収納カセット40や一時保留用収納カセット42に収納された紙幣は紙幣繰出機構41、43により1枚ずつ搬送部30に繰り出すことができるようになっている。これらの紙幣繰出機構41、43の動作は、後述する制御部70により制御されるようになっている。
ここで、一時保留用収納カセット42は各収納カセット40と略同一の容量(紙幣収納量)を有していてもよい。この場合には、一時保留用収納カセット42を収納カセット40と同一部品で構成させることができるようになる。
図3に示すように、搬送部30は、各収納カセット40および一時保留用収納カセット42の上方に配置される横長のループ形状の搬送路32を有している。また、搬送部30は、ループ形状の搬送路32からそれぞれ下方に分岐して各収納カセット40および一時保留用収納カセット42に接続される複数の分岐搬送路34を有している。このため、図3に示すように、搬送部30には、ループ形状の搬送路32と各々の分岐搬送路34とが接続される箇所である分岐箇所35(T字路)が、搬送路32に沿って複数形成されることとなる。
搬送部30の搬送路32における各収納カセット40または一時保留用収納カセット42への分岐箇所35には、分岐爪からなる分岐部材36がそれぞれ設けられている。各分岐部材36は、搬送部30の搬送路32により搬送される紙幣を特定の収納カセット40または一時保留用収納カセット42に振り分けるようになっている。
分岐箇所35に設置される分岐部材36の具体的な構成について図4乃至図6を用いて説明する。ここで、図4は、分岐箇所35に対して右側の搬送路32から紙幣が搬送されたときの分岐部材36の向きを示す図であり、図5は、分岐箇所35に対して左側の搬送路32から紙幣が搬送されたときの分岐部材36の向きを示す図であり、図6は、分岐箇所35に対して分岐搬送路34から紙幣が搬送されたときの分岐部材36の向きを示す図である。
図4乃至図6に示すように、分岐部材36は細長い二等辺三角形形状(いわゆる洗濯バサミに似た形状)の分岐爪からなり、この分岐部材36は、その中心の位置に設けられた軸36aを中心として回転自在となっている。ここで、分岐箇所35に対してどの方向から紙幣が送られるか、および分岐箇所35に送られた紙幣をどの搬送路に搬送するかに基づいて、分岐部材36の向き、より具体的には分岐部材36の先端部分36bの位置が決められるようになっている。
より詳細には、図4に示すように、分岐箇所35に対して右側の搬送路32から紙幣が搬送されたときには、分岐部材36の先端部分36bは右側の搬送路32に向くようになっている。そして、分岐箇所35の右側の搬送路32から左側の搬送路32に紙幣を送る際には、分岐部材36が図4の実線に示すような向きとなるようこの分岐部材36が軸36aを中心として回転させられ、分岐部材36の先端部分36bの位置が調整される。一方、分岐箇所35の右側の搬送路32から分岐搬送路34に紙幣を送る際には、分岐部材36が図4の二点鎖線に示すような向きとなるようこの分岐部材36が軸36aを中心として回転させられ、分岐部材36の先端部分36bの位置が調整される。
また、図5に示すように、分岐箇所35に対して左側の搬送路32から紙幣が搬送されたときには、分岐部材36の先端部分36bは左側の搬送路32に向くようになっている。そして、分岐箇所35の左側の搬送路32から分岐搬送路34に紙幣を送る際には、分岐部材36が図5の実線に示すような向きとなるようこの分岐部材36が軸36aを中心として回転させられ、分岐部材36の先端部分36bの位置が調整される。一方、分岐箇所35の左側の搬送路32から右側の搬送路32に紙幣を送る際には、分岐部材36が図5の二点鎖線に示すような向きとなるようこの分岐部材36が軸36aを中心として回転させられ、分岐部材36の先端部分36bの位置が調整される。
また、図6に示すように、分岐箇所35に対して分岐搬送路34から紙幣が搬送されたときには、分岐部材36の先端部分36bは分岐搬送路34に向くようになっている。そして、分岐搬送路34から分岐箇所35の右側の搬送路32に紙幣を送る際には、分岐部材36が図6の実線に示すような向きとなるようこの分岐部材36が軸36aを中心として回転させられ、分岐部材36の先端部分36bの位置が調整される。一方、分岐搬送路34から分岐箇所35の左側の搬送路32に紙幣を送る際には、分岐部材36が図6の二点鎖線に示すような向きとなるようこの分岐部材36が軸36aを中心として回転させられ、分岐部材36の先端部分36bの位置が調整される。
このように、搬送部30におけるループ形状の搬送路32から分岐搬送路34が分岐する分岐箇所35に、それぞれ分岐爪からなる分岐部材36が設けられており、この分岐部材36は軸36aを中心として回転自在となっており、ループ形状の搬送路32で搬送される紙幣を各収納カセット40または一時保留用収納カセット42に送る際に、紙幣が送られるべき収納カセット40または一時保留用収納カセット42に対応する分岐部材36が回転することにより、搬送部30により搬送される紙幣が特定の収納カセット40または一時保留用収納カセット42に振り分けられるようになる。また、分岐部材36の向きを調整することにより、各収納カセット40や一時保留用収納カセット42から紙幣繰出機構41、43により分岐搬送路34に繰り出された紙幣をループ形状の搬送路32に送ることができるようになる。このような各分岐部材36の動作は、後述する制御部70により制御されるようになっている。
搬送部30の上部に設けられた帯封部50は、この搬送部30から搬送された紙幣の帯封を行うようになっている。この帯封部50の具体的な構成について図3を用いて説明する。前述のように、図3において、参照符号S´は積層状態に集積されたバラ紙幣の束を示し、参照符号Tは帯封紙幣を示す。
図3に示すように、帯封部50には、搬送部30から1枚ずつ送られた紙幣が積層状態で集積される一時保留ステージ51が設けられており、この一時保留ステージ51の近傍には束ガイド部材58が設けられている。また、帯封部50には搬送アーム52が設けられており、この搬送アーム52は、一時保留ステージ51に積層状態で集積されたバラ紙幣の束S´を一括して搬送するようになっている。より具体的には、一時保留ステージ51に集積されたバラ紙幣の束S´は、搬送アーム52によって一時保留ステージ51から引き抜かれるが、束ガイド部材58が上下に設けられているので、引き抜かれた時にバラ紙幣の束S´の端部の広がりを防止することができる。また、搬送アーム52は上アーム部分52aおよび下アーム部分52bから構成されており、上アーム部分52aおよび下アーム部分52bにより紙幣を上下から掴むようになっている。そして、上アーム部分52aが上下動することで紙幣を掴んだり離したりするようになっている。このような搬送アーム52の動作は、後述する制御部70により制御されるようになっている。
また、帯封部50は、上部札締め部材53と、下部札締め部材54と、ヒータ56と、帯封紙供給部57と、印字部67とを有している。これらの上部札締め部材53、下部札締め部材54、ヒータ56、帯封紙供給部57および印字部67により帯封機構59が構成されている。前述のように搬送アーム52にバラ紙幣の束S´が引き渡された後、この搬送アーム52は上部札締め部材53と下部札締め部材54との間の位置に移動する。そして、搬送アーム52上にあるバラ紙幣の束S´に対して帯封紙供給部57から帯封紙が供給され、バラ紙幣の束S´が帯封紙で巻かれる。その後、帯封紙で巻かれたバラ紙幣の束S´は、上部札締め部材53および下部札締め部材54により上下方向から挟圧されるとともに、ヒータ56により加熱させられる。このことにより、帯封紙によってバラ紙幣の束S´の帯封処理(結束処理)が行われ、帯封紙幣Tが形成されることとなる。このような帯封機構59の動作は、後述する制御部70により制御されるようになっている。
また、帯封部50には、帯封紙幣Tの帯封紙に対して印字を行うスタンプ55が設けられている。帯封機構59により帯封処理が行われた帯封紙幣Tはスタンプ55に送られ、このスタンプ55によって帯封紙幣Tの帯封紙に対して、銀行名や、正券か損券かを示す印等の押印が行われる。また、帯封部50には、帯封紙に日付やシリアルナンバー等の印字を行うための印字部67が設けられており、帯封紙供給部57から帯封紙が供給される際にこの印字部67により帯封紙に対して印字が行われるようになっている。
その後、帯封紙幣Tは搬送アーム52により帯封紙幣出金口60に送られる。ここで、シャッター機構62が帯封紙幣出金口60の開口部を閉じた状態で、帯封紙幣出金口60には複数の束の帯封紙幣Tを集積させることができるようになっている。そして、帯封紙幣出金口60に複数の束の帯封紙幣Tが集積された後、シャッター機構62が帯封紙幣出金口60の開口部を開くことにより、操作者は複数の束の帯封紙幣Tを一括して取り出すことができるようになっている。このように、帯封紙幣出金口60は、帯封紙幣Tを筐体12の内部から外部に投出するための帯封紙幣投出口としての機能を有している。なお、シャッター機構62は、帯封紙幣出金口60に所定の数の帯封紙幣Tが集積されるまで帯封紙幣出金口60の開口部を開かないよう構成されている。また、上述のようなシャッター機構62の動作は、後述する制御部70により制御されるようになっている。
また、搬送アーム52は側面視で帯封部50の略中央位置に配置され、一時保留ステージ51、帯封機構59、スタンプ55、印字部67および帯封紙幣出金口60は搬送アーム52の周囲に配置されている。そして、搬送アーム52は、これらの一時保留ステージ51、帯封機構59、スタンプ55および帯封紙幣出金口60の間で移動自在となっている。
次に、帯封紙幣出金口60およびシャッター機構62の具体的な構成について図7乃至図9を用いて説明する。ここで、図7は、帯封紙幣出金口およびシャッター機構の構成を示す側面図であり、図8は、図7に示す帯封紙幣出金口に設けられた出金口ステージおよびこの出金口ステージの上方の空間に進入した搬送アームのA−Aライン矢視による上面図である。また、図9は、図7に示す帯封紙幣出金口に設けられた出金口ステージおよび爪部材のB−Bライン矢視による上面図である。なお、図7および図8において参照符号Tは帯封紙幣を示し、参照符号Taは帯封紙幣に巻かれた帯封紙を示す。
図7に示すように、帯封紙幣出金口60の下部には、帯封紙幣Tが載置される昇降自在の出金口ステージ61が設けられている。この出金口ステージ61の動作は、後述する制御部70により制御されるようになっている。ここで、出金口ステージ61には1つの帯封紙幣Tが集積されるようになっている。また、図7および図8に示すように、出金口ステージ61の縁部からは側壁部61aが上方に延びるよう設けられている。より具体的には、図8に示すように、左右一対の2つの側壁部61aが出金口ステージ61から上方に延びるよう設けられており、これらの2つの側壁部61aの間には、搬送アーム52が進入可能な空間が形成されている。
図7に示すように、帯封紙幣Tが載置された搬送アーム52が出金口ステージ61の上方の空間に進入することができるようになっている。より具体的には、帯封紙幣Tが載置された搬送アーム52は出金口ステージ61の側壁部61aよりも上方の高さレベルにおいて出金口ステージ61の上方の空間に進入し、その後、搬送アーム52は下降するようになっている。そして、出金口ステージ61の底部の近傍の位置まで搬送アーム52が下降すると、搬送アーム52の上アーム部分52aが上昇し、この搬送アーム52は図8に示すような左右一対の側壁部61aの間の空間を通って出金口ステージ61の上方の空間から退避するようになっている。搬送アーム52が出金口ステージ61の上方の空間から退避する際に、この搬送アーム52に載置された帯封紙幣Tは側壁部61aに引っ掛かり、搬送アーム52が退避した後にこの帯封紙幣Tは出金口ステージ61上に引き渡されることとなる。
帯封紙幣出金口60には、鉛直方向に沿って延びるガイド部材63、64、65が設けられている。これらのガイド部材63、64、65の間に、帯封紙幣Tが集積されるスペースが形成されている。ここで、ガイド部材63とガイド部材64とは互いに対向するよう設けられており、ガイド部材65はガイド部材64の上方に設けられている。また、ガイド部材63の上部には、帯封紙幣Tの上方への動きを規制する規制部材68が取り付けられている。この規制部材68は、帯封紙幣出金口60の上部において出金口ステージ61と対向する位置に設けられている。
また、図7および図9に示すように、爪部材66がガイド部材63およびガイド部材64に設けられている。図7に示すように、各爪部材66はそれぞれ軸66aによりガイド部材63やガイド部材64に枢支されており、各爪部材66は図7に示すような略水平方向に延びる状態から上方にのみ回動することができるようになっている。より具体的には、各爪部材66は図示しない捩りバネが設けられており、軸66aを中心として爪部材66を略水平方向に延びる状態から上方に回動させる場合にはこの捩りバネの捩り力に逆らって爪部材66を回動させることとなる。
帯封紙幣出金口60において、複数の束の帯封紙幣Tは各爪部材66上に載置されるよう集積されるようになっている。すなわち、各爪部材66は、当該爪部材66に下方から力が作用していないときには略水平方向に延び、この略水平方向に延びる各爪部材66上に複数の帯封紙幣Tが載置されるようになっている。そして、シャッター機構62が開いたときには、操作者は各爪部材66上にある複数の束の帯封紙幣Tを一括して取り出すことができるようになっている。
また、図9に示すように、帯封紙幣出金口60において爪部材66は合計5つ設けられており、帯封紙幣出金口60の上方から見て、出金口ステージ61には各爪部材66に対応して5つの切欠部が形成されている。すなわち、出金口ステージ61が各爪部材66を通過するよう昇降した際に、出金口ステージ61を上方から見て各爪部材66はこの出金口ステージ61に形成された各切欠部の位置に設けられているため、出金口ステージ61が各爪部材66に衝突することはない。
図7等に示すように、シャッター機構62は外側シャッター部材62aおよび内側シャッター部材62bの2枚のシャッター部材から構成されており、これらの2枚のシャッター部材62a、62bが二重構造となっている。そして、内側シャッター部材62bが外側シャッター部材62aと重なった時点で、両方のシャッター部材62a、62bが重なって開くようになっている。なお、シャッター機構62の内側には前述のようにガイド部材65が設けられているため、シャッター機構62が閉まっているときには各爪部材66上にある複数の束の帯封紙幣Tがガイド部材65によりガイドされ、帯封紙幣Tが散乱しないようになっている。
帯封部50により帯封が行われた帯封紙幣Tを、帯封紙幣出金口60の各爪部材66上に集積させる方法については後述する。
なお、本実施の形態の紙幣処理装置10においては、搬送アーム52は、一時保留ステージ51に積層状態で集積されたバラ紙幣の束S´を一括して帯封紙幣出金口60に直接搬送することができるようになっている。この場合、搬送アーム52から出金口ステージ61にバラ紙幣の束S´が受け渡され、その後、出金口ステージ61が上昇することによりこの出金口ステージ61から各爪部材66上にバラ紙幣の束S´が受け渡され、バラ紙幣の束S´は出金口ステージ61の各爪部材66上に集積されることとなる。
一時保留ステージ51に積層状態で集積されたバラ紙幣の束S´を、搬送アーム52により一括して帯封紙幣出金口60の各爪部材66上に集積させる方法については後述する。
図12に示すように、紙幣処理装置10には、当該紙幣処理装置10の各構成要素を制御するための制御部70が設けられている。より具体的には、制御部70には、紙幣繰出機構21、シャッター機構22、搬送部30、識別部31、分岐部材36、紙幣繰出機構41、紙幣繰出機構43、搬送アーム52、帯封機構59、出金口ステージ61およびシャッター機構62等がそれぞれ接続されている。そして、識別部31による紙幣の識別結果が制御部70に送られるとともに、制御部70は、紙幣繰出機構21、シャッター機構22、搬送部30、分岐部材36、紙幣繰出機構41、紙幣繰出機構43、搬送アーム52、帯封機構59、出金口ステージ61およびシャッター機構62等に指令信号を送りこれらの構成要素の制御を行うようになっている。
また、制御部70には、表示部72、操作部74および記憶部76がそれぞれ接続されている。図1に示すように、表示部72および操作部74はそれぞれ筐体12の上面に設けられており、表示部72には紙幣処理装置10による紙幣の処理状況、より具体的には例えば各収納カセットに収納された紙幣の金種毎の枚数が表示されるようになっている。また、操作者は操作部74により制御部70に対して様々な指令を送ることができるようになっている。また、記憶部76には、紙幣処理装置10による紙幣の処理状況が記憶されるようになっている。
また、制御部70にはインターフェース78が設けられており、このインターフェース78を介して制御部70はホストコンピュータ等の上位装置と信号の送受信を行うことができるようになっている。
次に、上述のような構成からなる紙幣処理装置10の動作について説明する。なお、以下に示す紙幣処理装置10の動作は、制御部70が各構成要素を制御することにより行われる。
最初に、紙幣処理装置10への紙幣の入金処理について説明する。紙幣の入金処理を行う際には、まず、紙幣処理装置10における入出金口20のシャッター機構22を開き、操作者がバラ紙幣Sの束を入出金口20に投入する。そして、シャッター機構22を閉じると、入出金口20に投入されたバラ紙幣Sは紙幣繰出機構21により1枚ずつ搬送部30に繰り出される。紙幣繰出機構21により搬送部30に繰り出された紙幣はループ形状の搬送路32に搬送され、識別部31によりその金種や正損、真偽等の識別が行われる。識別部31により正常な紙幣ではないリジェクト紙幣であると識別された紙幣や、識別部31により識別することができなかった紙幣は、搬送部30から入金リジェクト部24に送られ、この入金リジェクト部24で集積される。一方、識別部31により正常な紙幣であると識別された紙幣は、一時保留用収納カセット42に対応する分岐箇所35(図3における一番右側の分岐箇所35)においてループ形状の搬送路32から分岐部材36により分岐搬送路34に送られ、一時保留用収納カセット42に搬送されることとなる。この一時保留用収納カセット42において、ループ形状の搬送路32から分岐搬送路34を介して送られた紙幣が積層状態で一時的に保留される。
その後、紙幣の入金処理の確定が行われると、一時保留用収納カセット42に一時的に保留された紙幣は識別部31を通り、金種別に各収納カセット40に送られる。この際に、一時保留用収納カセット42からループ形状の搬送路32に紙幣が一旦戻され、このループ形状の搬送路32で搬送される紙幣が各分岐部材36により各収納カセット40に金種別に振り分けられることにより、ループ形状の搬送路32から各分岐搬送路34を介して各収納カセット40に紙幣が送られ、紙幣が積層状態で金種別に各収納カセット40に収納されることとなる。
次に、紙幣処理装置10からのバラ紙幣の出金処理について説明する。なお、本実施の形態の紙幣処理装置10においては、バラ紙幣の出金処理を行うにあたり、筐体12内にあるバラ紙幣を入出金口20および帯封紙幣出金口60のうちどちらの出金口により筐体12の外部に投出するかを選択することができるようになっている。紙幣処理装置10からのバラ紙幣の出金処理について、図13に示すフローチャートを用いてより詳細に説明する。
バラ紙幣の出金処理を行うにあたり、操作者は、操作部74により、バラ紙幣を、バラ紙幣の入出金口20および帯封紙幣出金口60のうちどちらの出金口により筐体12の外部に投出するかを選択する(図13のSTEP1)。このことにより、制御部70において、バラ紙幣を入出金口20および帯封紙幣出金口60のうちどちらの出金口により筐体12の外部に投出するかが設定される。なお、操作者が操作部74により選択を行う代わりに、上位装置からインターフェース78を介して、バラ紙幣を入出金口20および帯封紙幣出金口60のうちどちらの出金口により筐体12の外部に投出するかの指令が制御部70に送られるようになっていてもよい。
ここで、制御部70において、バラ紙幣を、バラ紙幣の入出金口20により筐体12の外部に投出することが設定された場合には(図13のSTEP2の「YES」)、各収納カセット40に収納された紙幣が紙幣繰出機構41により搬送部30に1枚ずつ繰り出され、搬送部30に繰り出された紙幣は識別部31により識別が行われる(図13のSTEP3)。そして、正常な紙幣であると識別された紙幣は搬送部30から入出金口20に1枚ずつ送られ、この入出金口20でバラ紙幣Sが積層状態に集積される(図13のSTEP4)。一方、識別部31により識別することができなかった紙幣や、重なって搬送されたり斜行して搬送されたりした紙幣は、搬送部30から出金リジェクト部26に送られ、この出金リジェクト部26で集積される。
その後、入出金口20のシャッター機構22が開くことにより、操作者は入出金口20に集積されたバラ紙幣Sの束を取り出すことができるようになる(図13のSTEP5)。
ここで、上述のような、バラ紙幣Sを入出金口20により筐体12の外部に投出する動作を行う際に、帯封紙幣Tを帯封紙幣出金口60により筐体12の外部に投出する動作を並行して行うことができる。帯封紙幣Tを帯封紙幣出金口60により筐体12の外部に投出する動作の詳細については後述する。
一方、制御部70において、バラ紙幣を帯封紙幣出金口60により筐体12の外部に投出することが設定された場合には(図13のSTEP2の「NO」)、各収納カセット40に収納された紙幣が紙幣繰出機構41により収納カセット40から搬送部30に1枚ずつ繰り出され、搬送部30に繰り出された紙幣は識別部31により識別が行われる。そして、正常な紙幣であると識別された紙幣は搬送部30の上部にある帯封部50に搬送される(図13のSTEP6)。より具体的には、搬送部30から一時保留ステージ51上に紙幣が1枚ずつ送られ、この一時保留ステージ51上で複数の紙幣が積層状態で集積される。なお、識別部31により識別することができなかった紙幣や、重なって搬送されたり斜行して搬送されたりした紙幣は、搬送部30から出金リジェクト部26に送られ、この出金リジェクト部26で集積される。
その後、一時保留ステージ51上にある積層状態の複数のバラ紙幣の束S´は、搬送アーム52によって、束ガイド部材58でバラ紙幣の端部の広がりを防止するために押さえられながら一括して搬送され、帯封紙幣出金口60に直接送られる(図13のSTEP7)。より具体的には、搬送アーム52から出金口ステージ61にバラ紙幣の束S´が受け渡され、その後出金口ステージ61が上昇することによりこの出金口ステージ61から各爪部材66上にバラ紙幣の束S´が受け渡され、バラ紙幣の束S´は出金口ステージ61の各爪部材66上に集積されることとなる。
その後、シャッター機構62が開くことにより、操作者は帯封紙幣出金口60の各爪部材66上にあるバラ紙幣の束S´を一括して取り出すことができるようになる(図13のSTEP8)。
なお、紙幣処理装置10においてバラ紙幣の出金処理を行うにあたり、入出金口20および帯封紙幣出金口60の両方の出金口を用いて、バッチ方式の紙幣の出金処理を行うこともできる。バッチ方式の紙幣の出金処理とは、筐体12内にあるバラ紙幣を筐体12の外部に投出する際に、まず、入出金口20および帯封紙幣出金口60のうち一方の出金口にバラ紙幣を送り、この一方の出金口に所定の枚数のバラ紙幣が送られたら他方の出金口に残りのバラ紙幣を送るような処理のことをいう。そして、他方の出金口にバラ紙幣を送っている間に、操作者は一方の出金口からバラ紙幣の束を取り出す。その後、他方の出金口に所定の枚数のバラ紙幣が送られたら一方の出金口に残りのバラ紙幣が送られるようになる。バッチ方式の紙幣の出金処理においては、所定の枚数ずつバラ紙幣が入出金口20および帯封紙幣出金口60に交互に送られることとなる。
次に、紙幣処理装置10からの帯封紙幣の出金処理について説明する。帯封紙幣の出金処理を行う際に、各収納カセット40に収納された紙幣が紙幣繰出機構41により収納カセット40から搬送部30に1枚ずつ繰り出され、搬送部30に繰り出された紙幣は識別部31により識別が行われる。そして、正常な紙幣であると識別された紙幣は搬送部30の上部にある帯封部50に搬送される。より具体的には、搬送部30から一時保留ステージ51上に紙幣が1枚ずつ送られ、この一時保留ステージ51上で複数の紙幣が積層状態で集積される。なお、識別部31により識別することができなかった紙幣や、重なって搬送されたり斜行して搬送されたりした紙幣は、搬送部30から出金リジェクト部26に送られ、この出金リジェクト部26で集積される。その後、一時保留ステージ51上にある積層状態の複数のバラ紙幣の束S´は、搬送アーム52によって、束ガイド部材58でバラ紙幣の端部の広がりを防止するために押さえられながら一括して搬送される。
その後、搬送アーム52は上部札締め部材53と下部札締め部材54との間の位置に移動する。そして、搬送アーム52上にあるバラ紙幣の束S´に対して帯封紙供給部57から帯封紙が供給され、バラ紙幣の束S´が帯封紙で巻かれる。なお、帯封紙供給部57から帯封紙が供給される際に、この帯封紙に対して印字部67により日付やシリアルナンバー等の印字が行われる。その後、帯封紙で巻かれたバラ紙幣の束S´は、上部札締め部材53および下部札締め部材54により上下方向から挟圧されるとともに、ヒータ56により加熱させられる。このことにより、帯封紙によってバラ紙幣の束S´の帯封処理(結束処理)が行われ、帯封紙幣Tが形成される。
その後、搬送アーム52により帯封紙幣がスタンプ55に送られ、このスタンプ55によって帯封紙幣Tの帯封紙に対して銀行名等の印字が行われる。
その後、帯封紙幣Tは帯封部50から帯封紙幣出金口60に送られ、この帯封紙幣出金口60の各爪部材66上に集積させられる。ここで、シャッター機構62が帯封紙幣出金口60を閉じた状態で、帯封紙幣出金口60の各爪部材66上には複数の束の帯封紙幣Tを集積させることができるようになっている。
帯封部50により帯封が行われた帯封紙幣Tを、帯封紙幣出金口60の各爪部材66上に集積させる方法について図10を用いてより詳細に説明する。
一例として、図10(a)に示すように帯封紙幣出金口60の各爪部材66上に既に1つの帯封紙幣Tが載置されているような状態において、搬送アーム52により帯封部50から更に1つの帯封紙幣Tが帯封紙幣出金口60に搬送される場合について説明する。この際に、出金口ステージ61は帯封紙幣出金口60の下部に位置している。図10(a)に示すように、帯封紙幣Tが載置された搬送アーム52は、出金口ステージ61の側壁部61aよりも上方かつガイド部材63よりも下方の高さレベルにおいて出金口ステージ61の上方の空間に進入する。
その後、図10(b)に示すように、搬送アーム52が出金口ステージ61の底部の近傍の位置まで下降し、搬送アーム52の上アーム部分52aが上方へ移動する。この際に、図8に示すように、搬送アーム52は出金口ステージ61の左右一対の側壁部61aの間の空間を通過する。そして、図10(c)に示すように、搬送アーム52が図10(b)の右方に移動して出金口ステージ61の上方の空間から退避する。ここで、搬送アーム52が出金口ステージ61の上方の空間から退避する際に、この搬送アーム52に載置された帯封紙幣Tは側壁部61aに引っ掛かり、搬送アーム52が退避した後にこの帯封紙幣Tは出金口ステージ61上に引き渡されることとなる(図10(c)参照)。
そして、帯封紙幣Tが搬送アーム52から出金口ステージ61に引き渡された後、図10(d)に示すように、出金口ステージ61が上昇する。出金口ステージ61が上昇すると、この出金口ステージ61に載置された帯封紙幣Tは図10(d)に示すように各爪部材66に接触するが、出金口ステージ61が図10(d)に示すような状態から更に上昇すると、図10(e)に示すように、出金口ステージ61上の帯封紙幣Tが各爪部材66を上方に押し上げ、軸66aを中心として各爪部材66を上方に回動させる。そして、出金口ステージ61が更に上昇すると、図10(f)に示すように、各爪部材66はほぼ鉛直方向上方を向くよう帯封紙幣Tにより回動させられ、最終的には、各爪部材66上に元々あった帯封紙幣Tと、出金口ステージ61上の帯封紙幣Tとが重ね合わせられることとなる。
図10(f)に示すように、各爪部材66上に元々あった帯封紙幣Tと、搬送アーム52により新たに帯封紙幣出金口60に送られた帯封紙幣Tとが出金口ステージ61上で重ね合わせられ、更に出金口ステージ61が各爪部材66よりも上昇し、出金口ステージ61が各爪部材66から離間すると、各爪部材66はそれぞれ軸66aを中心として下方に回動し、これらの爪部材66は略水平方向に延びる状態に戻る。その後、出金口ステージ61は下降する。このことにより、図10(g)に示すように、複数の束の帯封紙幣Tが、各爪部材66上に集積されることとなる。なお、帯封紙幣出金口60の上部において出金口ステージ61と対向する位置に規制部材68が設けられているので、この規制部材68により、帯封紙幣Tの上方への動きが規制される。このことにより、各爪部材66上に帯封紙幣Tを下方から集積させる際に、規制部材68によって帯封紙幣の上方への膨らみが規制されるので、新券の帯封紙幣よりも厚さが大きくなりがちな流通紙幣の帯封紙幣は厚さ方向に圧縮されることとなる。このことにより、所定の束数の帯封紙幣を確実に各爪部材66上に集積させることができる。
その後、シャッター機構62が開くことにより、操作者は帯封紙幣出金口60の各爪部材66上にある複数の束の帯封紙幣Tを一括して取り出すことができるようになる。
なお、紙幣処理装置10において帯封紙幣の出金処理を行うにあたり、帯封部50により紙幣の帯封を行う際に、帯封部50は所定枚数(例えば、100枚)ごとに紙幣の帯封を行うようになっている。このため、搬送部30により一時保留ステージ51に複数のバラ紙幣が送られた後、帯封部50により紙幣の帯封を行ったときに、所定枚数に満たないような端数の枚数(例えば、1〜99枚)の紙幣が一時保留ステージ51上に残る場合がある。具体的には、紙幣処理装置10において帯封紙幣の出金処理を行うにあたり、例えば250枚の紙幣が搬送部30により一時保留ステージ51に送られた場合、帯封部50により2つの帯封紙幣Tが形成されるが、50枚のバラ紙幣が一時保留ステージ51上に残ることとなる。
一時保留ステージ51上に残った端数の枚数のバラ紙幣の束S´は、搬送アーム52によって、束ガイド部材58でバラ紙幣の端部の広がりを防止するために押さえられながら一括して搬送され、帯封紙幣出金口60に直接送られる。帯封紙幣出金口60の各爪部材66上に既に帯封紙幣Tが載置されているような状態において、搬送アーム52により帯封紙幣出金口60にバラ紙幣の束S´が送られたときの動作について図11を用いてより詳細に説明する。
一例として、図11(a)に示すように帯封紙幣出金口60の各爪部材66上に既に2つの帯封紙幣Tが載置されているような状態において、搬送アーム52によりバラ紙幣の束S´が帯封紙幣出金口60に搬送される場合について説明する。この際に、出金口ステージ61は帯封紙幣出金口60の下部に位置している。図11(a)に示すように、バラ紙幣の束S´が載置された搬送アーム52は、出金口ステージ61の側壁部61aよりも上方かつガイド部材63よりも下方の高さレベルにおいて出金口ステージ61の上方の空間に進入する。
その後、図11(b)に示すように、搬送アーム52が出金口ステージ61の底部の近傍の位置まで下降し、搬送アーム52の上アーム部分52aが上方へ移動する。この際に、搬送アーム52は出金口ステージ61の左右一対の側壁部61aの間の空間を通過する。そして、図11(c)に示すように、搬送アーム52が図11(b)の右方に移動して出金口ステージ61の上方の空間から退避する。ここで、搬送アーム52が出金口ステージ61の上方の空間から退避する際に、この搬送アーム52に載置されたバラ紙幣の束S´は側壁部61aに引っ掛かり、搬送アーム52が退避した後にこのバラ紙幣の束S´は出金口ステージ61上に引き渡されることとなる(図11(c)参照)。
そして、バラ紙幣の束S´が搬送アーム52から出金口ステージ61に引き渡された後、図11(d)に示すように、出金口ステージ61が上昇する。出金口ステージ61が上昇すると、この出金口ステージ61に載置されたバラ紙幣の束S´は図11(d)に示すように各爪部材66に接触するが、出金口ステージ61が図11(d)に示すような状態から更に上昇すると、図11(e)に示すように、出金口ステージ61上のバラ紙幣の束S´が各爪部材66を上方に押し上げ、軸66aを中心として各爪部材66を上方に回動させる。そして、出金口ステージ61が更に上昇すると、図11(f)に示すように、各爪部材66はほぼ鉛直方向上方を向くようバラ紙幣の束S´により回動させられ、最終的には、各爪部材66上に元々あった帯封紙幣Tと、出金口ステージ61上のバラ紙幣の束S´とが重ね合わせられることとなる。
図11(f)に示すように、各爪部材66上に元々あった帯封紙幣Tと、搬送アーム52により帯封紙幣出金口60に送られたバラ紙幣の束S´とが出金口ステージ61上で重ね合わせられ、更に出金口ステージ61が各爪部材66よりも上昇し、出金口ステージ61が各爪部材66から離間すると、各爪部材66はそれぞれ軸66aを中心として下方に回動し、これらの爪部材66は略水平方向に延びる状態に戻る。その後、出金口ステージ61は下降する。このことにより、図11(g)に示すように、帯封紙幣Tの下方にバラ紙幣の束S´が位置するよう、帯封紙幣Tおよびバラ紙幣の束S´が各爪部材66上に集積されることとなる。
その後、シャッター機構62が開くことにより、操作者は帯封紙幣出金口60の各爪部材66上にある帯封紙幣Tおよびバラ紙幣の束S´を一括して取り出すことができるようになる。
以上のように本実施の形態の紙幣処理装置10によれば、筐体12内にあるバラ紙幣を、バラ紙幣の入出金口20(バラ紙幣投出口)および帯封紙幣出金口60(帯封紙幣投出口)のうちどちらの投出口により筐体12の外部に投出するかを選択することができる。このため、操作者の希望に応じて、バラ紙幣Sおよび帯封紙幣Tを帯封紙幣出金口60からまとめて投出するか、あるいはバラ紙幣Sを入出金口20から投出させることによりバラ紙幣Sおよび帯封紙幣Tを2つの投出口からそれぞれ別々に投出するかを選ぶことができるようになる。
ここで、バラ紙幣Sを入出金口20から投出させることによりバラ紙幣および帯封紙幣Tを2つの投出口からそれぞれ別々に投出する場合は、バラ紙幣Sの処理および帯封紙幣Tの処理を並行して行うことができるようになるので紙幣を迅速に処理することができ、このため紙幣の効率的な投出動作を行うことができる。
一方、バラ紙幣Sを帯封紙幣出金口60から投出させることによりバラ紙幣Sおよび帯封紙幣Tを帯封紙幣出金口60からまとめて投出する場合は、操作者は一つの投出口(帯封紙幣出金口60)からバラ紙幣Sおよび帯封紙幣Tの両方を取り出すこととなるので、操作者がバラ紙幣Sまたは帯封紙幣Tのうち一方の取り出しを忘れることを防止することできるようになり、操作者にとっての操作性を向上させることができる。すなわち、バラ紙幣Sを入出金口20から投出させることによりバラ紙幣Sおよび帯封紙幣Tを2つの投出口からそれぞれ別々に投出する場合は、操作者がバラ紙幣Sまたは帯封紙幣Tの一方を取り出したときに他方の紙幣を取り出し忘れてしまうおそれがあるが、バラ紙幣Sおよび帯封紙幣Tを帯封紙幣出金口60からまとめて投出する場合には、このようなトラブルを防止することができる。
以上のように、筐体12内にあるバラ紙幣を、バラ紙幣の入出金口20および帯封紙幣出金口60のうちどちらの投出口により筐体12の外部に投出するかを選択することができるようにすることによって、紙幣処理装置10を、操作者にとって使い勝手の良いものとすることができる。
また、本実施の形態の紙幣処理装置10においては、筐体12の内部に設けられ、積層状態に集積された複数のバラ紙幣を帯封するための帯封部50を更に備えており、帯封紙幣出金口60は、帯封部50により帯封が行われた帯封紙幣Tを筐体12の内部から外部に投出するようになっている。
また、帯封部50は、複数のバラ紙幣が積層状態に集積される一時保留ステージ51(一時保留部)と、積層状態に集積された複数のバラ紙幣の帯封を行う帯封機構59と、一時保留ステージ51にあるバラ紙幣の束S´を帯封機構59に搬送するとともに、帯封機構59により帯封が行われた帯封紙幣Tを帯封機構59から帯封紙幣出金口60に搬送する搬送アーム52とを有している。そして、筐体12内にあるバラ紙幣を帯封紙幣出金口60により筐体12の外部に投出する際には、一時保留ステージ51にバラ紙幣を送り、搬送アーム52により一時保留ステージ51から帯封紙幣出金口60にバラ紙幣の束S´が直接搬送されるようになっている。
また、本実施の形態の紙幣処理装置10においては、帯封紙幣出金口60には、帯封紙幣Tやバラ紙幣Sを載置するための爪部材66(載置機構)と、爪部材66の下方において昇降自在に設けられた出金口ステージ61(昇降台)とが設けられており、帯封紙幣出金口60に送られた帯封紙幣Tやバラ紙幣の束S´はまず出金口ステージ61に載せられ、この出金口ステージ61が上昇して爪部材66に到達することにより出金口ステージ61上の帯封紙幣Tやバラ紙幣の束S´が爪部材66に引き渡されるようになっている。このような紙幣処理装置10によれば、帯封紙幣Tやバラ紙幣の束S´は下方から爪部材66に載置されることとなるので、帯封紙幣やバラ紙幣が自由落下により帯封紙幣出金口に集積されるタイプのものと比較して、帯封紙幣やバラ紙幣の束が厚さ方向に圧縮されるので、帯封紙幣やバラ紙幣の束の集積高さ(厚さ)を小さくすることができる。また、帯封紙幣やバラ紙幣が自由落下により帯封紙幣出金口に集積されるタイプのものと比較して、帯封紙幣出金口60における帯封紙幣やバラ紙幣の束の集積不良等のトラブルが発生しにくくなる。
また、図11に示すように、帯封紙幣出金口60により帯封紙幣Tおよびバラ紙幣の束S´の両方の紙幣を筐体12の内部から外部に投出する際に、まず帯封紙幣Tが爪部材66に載置され、次にバラ紙幣の束S´が載せられた出金口ステージ61が上昇して爪部材66に到達することにより帯封紙幣Tの下方において出金口ステージ61上のバラ紙幣の束S´が爪部材66に引き渡されるようになっている。このため、バラ紙幣の束S´が出金口ステージ61から爪部材66に引き渡される際に、このバラ紙幣の束S´は帯封紙幣Tの自重により下方に押圧されながら上方に押し上げるように爪部材66に引き渡されることとなるので、帯封紙幣やバラ紙幣が自由落下により帯封紙幣出金口に集積されるタイプのものと比較して、バラ紙幣の束S´を整った状態で爪部材66に載置することができる。
また、本実施の形態の紙幣処理装置10においては、筐体12内にあるバラ紙幣を筐体12の外部に投出する際に、まず、入出金口20および帯封紙幣出金口60のうち一方の出金口にバラ紙幣を送り、この一方の出金口に所定の枚数のバラ紙幣が送られたら他方の出金口に残りのバラ紙幣を送るような、2つの出金口20、60を用いてのバッチ方式の紙幣の投出処理を行うことができるようになっている。
また、本実施の形態の紙幣処理装置10は、筐体12と、筐体12の外部から内部に紙幣を投入するための入出金口20(入金口)と、筐体12の下部に配置され、略水平方向に沿って並列に複数設けられた、紙幣の収納を行うための収納カセット40(収納庫)と、筐体12の内部において各収納カセット40と並列に配置され、入出金口20により筐体12の外部から内部に投入された紙幣を一時的に保留するための一時保留用収納カセット42(一時保留用収納庫)と、筐体12の内部において各収納カセット40および一時保留用収納カセット42の上方に設けられ、入出金口20、各収納カセット40および一時保留用収納カセット42の間で紙幣の搬送を行う搬送部30と、搬送部30における各収納カセット40または一時保留用収納カセット42への分岐箇所35にそれぞれ設けられ、搬送部30により搬送される紙幣を特定の収納カセット40または一時保留用収納カセット42に振り分けるための複数の分岐部材36と、を備えている。
このような紙幣処理装置10によれば、筐体12の内部において、紙幣の収納を行うための複数の収納カセット40と、紙幣を一時的に保留するための一時保留用収納カセット42とが並列に配置されている。そして、搬送部30における各収納カセット40または一時保留用収納カセット42への分岐箇所35にそれぞれ分岐部材36が設けられており、これらの分岐部材36により、搬送部30により搬送される紙幣は特定の収納カセット40または一時保留用収納カセット42に振り分けられるようになっている。このように、各収納カセット40と一時保留用収納カセット42とが略水平方向に沿って並列に配置されているので、筐体12の高さが大きくなってしまうことを抑止することができるとともに収納カセット40および一時保留用収納カセット42の容量を大きくすることができる。そして、収納カセット40の容量を大きくすることができるので紙幣処理装置10は紙幣を大量に収納することができ、また、一時保留用収納カセット42の容量を大きくすることができるので一回の取引で大量の紙幣の入金処理を行うことができる。
また、本実施の形態の紙幣処理装置10では、一時保留用収納カセット42が各収納カセット40と略同一の容量(紙幣収納量)を有するようにすることができる。この場合には、一時保留用収納カセット42を収納カセット40と同一部品で構成させることができるようになる。
また、搬送部30は、各収納カセット40および一時保留用収納カセット42の上方に配置される横長のループ形状の搬送路32を有している。このため、筐体12の高さが大きくなってしまうことをより一層抑止することができる。また、筐体12の奥行き方向に収納カセット40を増設する場合にも、紙幣処理装置10の内部の構成を大幅に変更する必要がなくなる。
また、搬送部30は、ループ形状の搬送路32からそれぞれ下方に分岐して各収納カセット40および一時保留用収納カセット42に接続される複数の分岐搬送路34を有している。また、各分岐部材36は、ループ形状の搬送路32から分岐搬送路34が分岐する分岐箇所35に設けられる分岐爪からなり、各分岐部材36は軸36aを中心として回転自在となっている。そして、ループ形状の搬送路32で搬送される紙幣を各収納カセット40または一時保留用収納カセット42に送る際に、紙幣が送られるべき収納カセット40または一時保留用収納カセット42に対応する分岐部材36が回転することにより搬送部30により搬送される紙幣が特定の収納カセット40または一時保留用収納カセット42に振り分けられるようになっている。このような分岐爪からなる分岐部材36が各分岐箇所35に設けられていることにより、搬送部30により搬送される紙幣を確実に特定の収納カセット40または一時保留用収納カセット42に振り分けることができる。
また、筐体12の内部において搬送部30の上方に帯封部50が設けられているので、入出金口20と帯封部50の位置が近くなり、紙幣の出金処理のための紙幣処理装置10の構成が簡単になる。また、入出金口20の近傍に帯封紙幣出金口60を設けているので、バラ紙幣と帯封紙幣の出金口を別々に配置しても操作者による各出金口からの紙幣の取り忘れをできるだけ防ぐようにすることができる。
なお、本実施の形態の紙幣処理装置10は、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。例えば、紙幣処理装置10には必ずしも帯封部50が設けられていなくともよい。この場合、紙幣処理装置10において筐体12の内部には帯封紙幣Tを収納するための帯封紙幣収納カセットが設けられており、帯封紙幣収納カセットから帯封紙幣Tが帯封紙幣出金口60に送られることにより、帯封紙幣出金口60から帯封紙幣Tが筐体12の外部に投出されるようになっている。
また、本発明による紙葉類処理装置は、上記の態様に限定されるものではない。例えば、本発明による紙葉類処理装置は、紙幣の処理を行うような紙幣処理装置に限定されることはない。本発明による紙葉類処理装置は、小切手等の紙幣以外の他の紙葉類の処理を行うようになっていてもよい。