JPWO2010082266A1 - 弾性波センサー - Google Patents

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Abstract

高感度、かつ再現性の良好な弾性波センサーを提供する。(a)その一方主面側に液体が配置される圧電基板と、(b)圧電基板の一方主面上に形成され、それぞれIDT電極11,21を有する、第1及び第2の弾性波素子10,20と、(c)第1の弾性波素子10の弾性波が伝搬する第1の領域上に配置され、液体中に含まれる被測定物質によって第1の弾性波素子10への質量負荷を変化させる感応物質とを備える。圧電基板の一方主面側に配置された液体が第2の弾性波素子20によって攪拌され、感応物質による第1の弾性波素子10への質量負荷の変化に伴って第1の弾性波素子10によって測定される周波数が変化する。第2の弾性波素子20は、第2の弾性波素子20の弾性波が伝搬する第2の領域が、第1の弾性波素子の弾性波10が伝搬する第1の領域から離れて形成されている。

Description

本発明は弾性波センサーに関し、詳しくは、弾性波が伝搬する領域の質量負荷の変化に伴う周波数の変化に基づいて被測定物質を測定する弾性波センサーに関する。
従来、弾性波素子を用いた弾性波センサーが、バイオセンサーやガスセンサーなどに用いられている。
弾性波センサーの動作原理について、図4を参照しながら説明する。図4(a)及び(c)の断面図に示すように、弾性波センサー101は、圧電基板102上に、弾性波素子を形成するためのすだれ状電極であるIDT(inter-digital transducer)電極103と反応膜104とが形成され、IDT電極103は反応膜104で覆われている。
図4(a)に示すように反応膜104上に液体105が接すると、IDT電極103を含む弾性波素子により測定される周波数特性が変化する。例えば、図4(b)の波形図において符号Aで示す周波数特性から符号Bで示す周波数特性に変化する。
図4(c)に示すように反応膜104上に接する液体105中に、反応膜104と結合する物質106が存在すると、反応膜104に物質106が結合することによりIDT電極103への質量負荷が、液体105中に物質106がない場合よりも、増加する。そのため、IDT電極103を含む弾性波素子により測定される周波数特性は、図4(d)の波形図において符号Aで示す周波数特性から符号Cで示す周波数特性に変化する。
このように反応膜104と結合する物質106の有無によって周波数特性B,Cが異なることに基づいて、物質106を測定することができる(例えば、特許文献1参照)。
このような質量付加効果は、SH波を用いた弾性波センサーでは、
Δf/f=−k・Δm・f ・・・(1)
となる。ここで、Δf:周波数変化、f:周波数、k:圧電基板に依存した係数、Δm:面密度、すなわち単位面積あたりの質量変化である(例えば、非特許文献1参照)。
また、図5に示すように、攪拌用弾性波を励振する励振電極220,222の間に、測定用の弾性波素子212の感応膜216と基準用の弾性波素子214の非感応膜218とを形成し、検体を攪拌しながら測定する弾性波センサーが提案されている(例えば、特許文献2)。
国際公開第2005/003752号パンフレット 特開2007−255988号公報
塩川 祥子、近藤 淳、"弾性波センサーの基礎と応用"、第32回EMシンポジウム 予稿集、電気学会、平成15年5月15−16日、p.77−84
しかしながら、図5の弾性波センサーのように攪拌用の弾性波素子を用いる場合、攪拌用の弾性波素子によって励振された弾性波がセンシング領域上に伝搬している状態であるため、その振動によってセンシング領域上の被測定物質の付着が減ったり、また、その付着量が安定しないという問題点がある。
本発明は、かかる実情に鑑み、高感度、かつ再現性の良好な弾性波センサーを提供しようとするものである。
本発明は、上記課題を解決するために、以下のように構成した弾性波センサーを提供する。
弾性波センサーは、(a)その一方主面側に液体が配置される圧電基板と、(b)前記圧電基板の前記一方主面上に形成され、それぞれIDT電極を有する、第1及び第2の弾性波素子と、(c)前記第1の弾性波素子の弾性波が伝搬する第1の領域上に配置され、前記液体中に含まれる被測定物質によって前記第1の弾性波素子への質量負荷を変化させる感応物質とを備える。前記圧電基板の前記一方主面側に配置された前記液体が前記第2の弾性波素子によって攪拌され、前記感応物質による前記第1の弾性波素子への前記質量負荷の変化に伴って前記第1の弾性波素子によって測定される周波数が変化する。前記第2の弾性波素子は、前記第2の弾性波素子の弾性波が伝搬する第2の領域が、前記第1の弾性波素子の弾性波が伝搬する前記第1の領域から離れて形成されている。
上記構成において、感応物質は、被測定物質を吸着したり、被測定物質と化学反応を起こしたりして、第1の弾性波素子への質量負荷を変化(増減)させる。この質量負荷の変化に伴って第1の弾性波素子により測定される周波数が変化することに基づいて、被測定物質を測定することができる。第2の弾性波素子は液体を攪拌し、液体中の被測定物質が感応物質に接近する確率を高め、第1の弾性波素子への質量負荷変化を促進する。これによって、被測定物質の測定感度を向上させることができる。
上記構成によれば、液体中の被測定物質を測定するための感応物質は、第1の弾性波素子の弾性波が伝搬する第1の領域上に配置され、感応物質には、液体を攪拌するための第2の弾性波素子の弾性波が伝搬しない。そのため、液体を攪拌するための第2の弾性波素子の弾性波が液体中の被測定物質を測定するための感応物質に伝搬する場合と比べ、感応物質が被測定物質に接近又は接触する時間が長くなり、被測定物質の付着等による質量負荷変化が促進され、測定感度が向上する。また、被測定物質の付着量等が安定する。
したがって、被測定物質を高精度に、かつ、再現性よく測定することができる。
好ましくは、前記第2の弾性波素子は、前記IDT電極の振動伝搬方向両側に配置された反射器を有する共振子型の弾性波素子である。
この場合、第1及び第2の弾性波素子を互いに近づけ、隣接するように配置して、被測定物質の測定感度を向上させることができる。すなわち、攪拌用の第2の弾性波素子の弾性波は反射器の間に閉じ込められるため、第2の弾性波素子を第1の弾性波素子を近づけて配置しても、第1の弾性波素子の弾性波が伝搬する第1の領域上に配置された感応物質には、第2の弾性波素子の弾性波が伝搬しないようにして、被測定物質の測定感度を高めることができる。また、第1及び第2の弾性波素子を近づけることによって、液体の攪拌による測定感度向上効果を高めることができる。
好ましくは、前記第1の弾性波素子の弾性波の振動伝搬方向と、前記第2の弾性波素子の弾性波の振動伝搬方向とが、間隔を設けて平行である。
この場合、第1及び第2の弾性波素子を互いに近づけ、隣接するように配置して、被測定物質の測定感度を向上させることができる。すなわち、第1の弾性波素子の弾性波の振動伝搬方向と第2の弾性波素子の弾性波の振動伝搬方向とが同一直線上に重ならないため、第1及び第2の弾性波素子を互いに隣接して配置しても、第1の弾性波素子の弾性波が伝搬する第1の領域上に配置された感応物質に第2の弾性波素子の弾性波が伝搬しないようにして、被測定物質の測定感度を高めることができる。また、第1及び第2の弾性波素子を近づけることによって、液体の攪拌による測定感度向上効果を高めることができる。
また、本発明は、弾性波センサーを用いた測定方法を提供する。
弾性波センサーを用いた測定方法は、上記各構成の弾性波センサーを用いて液体中の被測定物質を測定する。前記圧電基板の前記一方主面側に液体を配置し、前記液体を前記第2の弾性波素子によって攪拌しながら、前記第1の弾性波素子により所定時間経過前後の周波数を測定する。前記所定時間経過中に前記第2の弾性波素子の駆動を停止する。
上記方法において、第1の弾性波素子は、周波数を測定する所定時間経過前後において駆動され、所定時間経過中には駆動が停止されている。第1の弾性波素子の弾性波が伝搬する第1の領域上に配置された感応物質は、所定時間経過中に第1の弾性波素子からの弾性波による振動が発生しなくなり、被測定物質と接近又は接触しやすくなり、質量負荷の変化が促進される。したがって、高感度に、かつ再現性よく、被測定物質を測定することができる。
本発明によれば、高感度、かつ再現性の良好な弾性波センサーを提供することができる。
弾性波センサーの構成を示す概略図である。(実施例1、2) 弾性波センサーの動作を説明する模式図である。(実施例1) 弾性波センサーの周波数変化のグラフである。(実施例1) 弾性波センサー測定原理を示す断面図及びグラフである。(従来例1) 弾性波センサーの模式図である。(従来例2)。
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図3を参照しながら説明する。
<実施例1> 本発明の実施例1の弾性波センサーについて、図1(a)、図2及び図3を参照しながら説明する。
図1(a)は、実施例1の弾性波センサーの構成を模式的に示す断面図である。図1(a)に示すように、実施例1の弾性波センサーは、圧電基板の同一面上に、2つの弾性波素子10,20が互いに隣接するように形成されている。
弾性波素子10,20は、それぞれ、IDT電極11,21と、IDT電極11,21の振動伝搬方向両側に配置された反射器16,18;26,28とを有する。IDT電極11,21は、それぞれ互いに間挿し合う複数本の電極指を有する一対のくし形電極12,14;22,24により構成されている。くし形電極12,14;22,24は、不図示の測定回路又は駆動回路に接続される。
弾性波素子10,20は、それぞれの弾性波(弾性表面波など)の振動伝搬方向が同一直線上に重なるように形成されている。弾性波素子10,20は、共振子型の弾性波素子であり、反射器16,18;26,28の間に振動が閉じ込められようになっている。すなわち、第1の弾性波素子10の弾性波が伝搬する第1の領域と、第2の弾性波素子20の弾性波が伝搬する第2の領域が離れるように形成されている。
図示していないが、第1の弾性波素子10の弾性波が伝搬する第1の領域上には、被測定物質を吸着したり、被測定物質と化学反応を起こしたりして、第1の弾性波素子への質量負荷を変化(増減)させる感応物質が配置されている。
弾性波センサーは、例えば不図示の液溜め部や流路の底面に配置され、弾性波センサー上には液体が配置され、第1の弾性波素子10の弾性波が伝搬する第1の領域上に配置された感応物質は液体に接する。この液体中に被測定物質が含まれていると、第1の弾性波素子10への質量負荷が変化(増減)し、弾性波の伝搬特性が変化するため、第1の弾性波素子10により測定される周波数特性が変化する。この変化に基づいて、被測定物質を測定することができる。
第2の弾性波素子20は液体を攪拌し、液体中の被測定物質が感応物質に接近する確率を高め、第1の弾性波素子10に対する質量負荷変化を促進する。
第2の弾性波素子20により励振された弾性波は、第1の弾性波素子10の振動領域に伝搬しないため、第1の弾性波素子10上に形成された感応物質は、液体を攪拌するための弾性波素子の弾性波が感応物質に伝搬する場合と比べ、被測定物質に接近又は接触する時間が長くなる。そのため、被測定物質による質量負荷変化が促進され、測定感度が向上する。
次に、弾性波センサーの作製例について、図2の模式図を参照しながら説明する。
図2(a)に示すように、圧電基板2の同一面上にセンシング用の弾性波素子10と攪拌用の弾性波素子20とが形成され、センシング用の弾性波素子20上に抗体30が配置された弾性波センサーを準備する。図示していないが、圧電基板2上に、弾性波素子10,20を覆うようにSiO膜を形成し、シランカップリング剤をSiO膜上に形成し、その後抗体30を付与する。
次いで、図2(b)に示すように、圧電基板2上に、被測定物質である抗原40が含まれている検体を、滴下、もしくはフローする。
そして、図2(c)に示すように抗原40が抗体30に捕らわれると、センシング用の弾性波素子10の周波数が変化する。
攪拌用の弾性波素子20は、検体を攪拌するため、常時発振させることにより、抗体30による抗原40の捕捉を促進する。
センシング用の弾性波素子10の周波数は、連続的に測定しても、間欠的に測定してもよい。連続的に測定する場合には、センシング用の弾性波素子10を常時発振させる必要がある。間欠的に測定する場合には、測定時以外は発振を停止してもよい。
図3のグラフは、弾性波素子10,20間の距離と、所定時間経過前後の周波数変化との関係を示すグラフである。◆は、所定時間経過中もセンシング用の弾性波素子10を常時発振させた場合の測定結果である。■は、所定時間経過中、すなわち所定時間経過前後において測定を行うとき以外は、センシング用の弾性波素子10の駆動(発振)を停止した場合の測定結果である。
図3のグラフの横軸は、センシング用の弾性波素子10と攪拌用の弾性波素子20との中心間距離である。縦軸は、周波数変化Δfであり、センシング用の弾性波素子10により所定時間経過前に測定した周波数f1、所定時間経過後に測定した周波数f2とすると、Δf=(f1−f2)/f1である。
図3によると、攪拌用の弾性波素子20をセンシング用の弾性波素子10に近づけるほど、測定感度が向上することが分かる。これは、攪拌用の弾性波素子20をセンシング用の弾性波素子10に近づけるほど、検体が攪拌された効果が大きくなり、検体中の抗原40が抗体30に付着する確率が増えるためと考えられる。
攪拌用の弾性波素子20とセンシング用の弾性波素子10とが相対的に大きく離れているときには、所定時間経過中にもセンシング用の弾性波素子10を常時発振させた場合の方が、所定時間経過前後において測定を行うとき以外はセンシング用の弾性波素子10の駆動(発振)を停止した場合よりも、測定感度がよくなる。これは、センシング用の弾性波素子10の発振によっても検体が攪拌され、攪拌不足が補われ、検体中の抗原40が抗体30に付着する確率が相対的に大きくなるためと考えられる。
一方、攪拌用の弾性波素子20とセンシング用の弾性波素子10とが相対的に接近しているときには、所定時間経過前後において測定を行うとき以外はセンシング用の弾性波素子10の駆動(発振)を停止した場合の方が、測定感度がよくなる。これは、攪拌用の弾性波素子20により十分に検体が攪拌されている状態では、センシング用の弾性波素子10の発振を停止して抗体30が振動しないようにすることで、検体中の抗原40が抗体30に接近又は接触する時間が長くなり、抗原40の捕捉が促進されるためと考えられ。
<実施例2> 実施例2の弾性波素子について、図1(b)を参照しながら説明する。
実施例2の弾性波素子は、実施例1の弾性波素子と略同様に構成されている。以下、実施例1と同じ部分には同じ符号を用い、実施例1との相違点を中心に説明する。
図1(b)に示すように、実施例2の弾性波センサーは、センシング用の弾性波素子10と攪拌用の弾性波素子20の配置態様が、実施例1の弾性波センサーと異なる。すなわち、弾性波素子10,20は、それぞれの弾性波の振動伝搬方向が間隔を設けて平行になるように形成されている。
実施例2の弾性波センサーは、弾性波素子10,20を互いに近づけ、隣接するように配置して、被測定物質の測定感度を向上させることができる。すなわち、弾性波素子10,20を近づけることによって、液体の攪拌による測定感度向上効果を高めることができる。弾性波素子10,20を互いに隣接して配置しても、センシング用の弾性波素子10の弾性波が伝搬する第1の領域上に配置された不図示の感応物質には、攪拌用の弾性波素子20の弾性波が伝搬しないため、被測定物質の測定感度を高めることができる。
<まとめ> 以上に説明したように、センシング用の弾性波素子と攪拌用の弾性波素子とを、それぞれの弾性波が干渉しないように隣接して配置することで、高感度、かつ再現性の良好な弾性波センサーを提供することができる。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変更を加えて実施することが可能である。
例えば、圧電基板の同一面上に形成する2つの弾性波素子は、それぞれの弾性波が伝搬する振動領域が離れていれば、それぞれの弾性波の振動伝搬方向の延長線が同一直線上や平行に限らず、交差するように形成してもよい。
10 弾性波素子
11 IDT電極
12,14 くし形電極
16,18 反射器
20 弾性波素子
21 IDT電極
22,24 くし形電極
26,28 反射器
30 抗体
40 抗原

Claims (4)

  1. その一方主面側に液体が配置される圧電基板と、
    前記圧電基板の前記一方主面上に形成され、それぞれIDT電極を有する、第1及び第2の弾性波素子と、
    前記第1の弾性波素子の弾性波が伝搬する第1の領域上に配置され、前記液体中に含まれる被測定物質によって前記第1の弾性波素子への質量負荷を変化させる感応物質と、
    を備え、
    前記圧電基板の前記一方主面側に配置された前記液体が前記第2の弾性波素子によって攪拌され、前記感応物質による前記第1の弾性波素子への前記質量負荷の変化に伴って前記第1の弾性波素子によって測定される周波数が変化する、弾性波センサーであって、
    前記第2の弾性波素子は、前記第2の弾性波素子の弾性波が伝搬する第2の領域が、前記第1の弾性波素子の弾性波が伝搬する前記第1の領域から離れて形成されたことを特徴とする、弾性波センサー。
  2. 前記第2の弾性波素子は、前記IDT電極の振動伝搬方向両側に配置された反射器を有する共振子型の弾性波素子であることを特徴とする、請求項1に記載の弾性波センサー。
  3. 前記第1の弾性波素子の弾性波の振動伝搬方向と、前記第2の弾性波素子の弾性波の振動伝搬方向とが、間隔を設けて平行であることを特徴とする、請求項1に記載の弾性波センサー。
  4. 請求項1、2又は3に記載の弾性波センサーを用いて液体中の被測定物質を測定する方法であって、
    前記圧電基板の前記一方主面側に液体を配置し、前記液体を前記第2の弾性波素子によって攪拌しながら、前記第1の弾性波素子により所定時間経過前後の周波数を測定し、
    前記所定時間経過中に前記第2の弾性波素子の駆動を停止することを特徴とする、弾性波センサーを用いた測定方法。
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