JPWO2010071114A1 - 血液試料中の癌細胞の検出方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、癌細胞の存在が疑われる血液試料を、腫瘍溶解性ウイルスとインキュベートすることにより、少なくとも前記癌細胞内で腫瘍溶解性ウイルスを増殖させる工程、増殖工程で処理された血液試料と固定化剤と非イオン性界面活性剤とを混合する工程及び混合工程から得られた血液試料に含まれる、腫瘍溶解性ウイルスが増殖した癌細胞を検出する工程を含む、血液試料中の癌細胞の検出方法に関する。

Description

本発明は、血液試料中の癌細胞の検出方法に関する。また、本発明は、該方法に用いることができる試薬キットに関する。
癌の転移は、原発巣の癌細胞が血管やリンパ管を通って全身に広がり、該細胞の一部が他部位の臓器などに生着して増殖することにより起こると考えられている。このように血中を循環する癌細胞は、CTC (Circulating Tumor Cell)と呼ばれている。血液中のCTC数は、癌の転移及び予後と相関することが報告されており、CTC数の測定は、転移性癌、例えば転移性乳癌の予後及び治療効果を予測するのに有用であると考えられている。
従来のCTC検出方法として、癌細胞に対する抗体により血液中の癌細胞を捕捉し、捕捉した癌細胞を蛍光標識抗体などで標識して検出する方法が知られている(特開2007−178193号(特許文献1)及び特表2002−503814号(特許文献2)を参照されたい)。
また、癌細胞においてはテロメラーゼの活性が亢進しているが、正常細胞の大部分においては該活性がほとんど検出されないことを利用する技術も知られている。具体的には、テロメラーゼプロモーターを含む複製カセットと、標識タンパク質(例えば緑色蛍光タンパク質(GFP))遺伝子を含む標識発現カセットとを有するウイルス(腫瘍溶解性ウイルス(Oncolytic Virus))を、癌細胞内で増殖させることにより、癌細胞を特異的に標識する技術である(特開2004−33186号(特許文献3)及び国際公開第2006/36004号(特許文献4)を参照されたい)。
GFP遺伝子を有する腫瘍溶解性ウイルスは、テロメスキャン(登録商標) (OBP-401)として市販されている。テロメスキャン(登録商標)は、癌細胞内で特異的に増殖し、GFPを産生することにより、癌細胞を特異的に蛍光発光させることができる。
特開2007−178193号公報 特表2002−503814号公報 特開2004−33186号公報 国際公開第2006/36004号パンフレット
テロメスキャン(登録商標)のような腫瘍溶解性ウイルスは、正常な血球系細胞への感染・増殖率が低く、かつ「生存」癌細胞内で特異的に増殖できるので、腫瘍溶解性ウイルスを用いて、血液中の「生存」癌細胞、すなわちCTCを検出できると考えられる。
しかしながら、腫瘍溶解性ウイルスを用いて血液中の癌細胞を検出するシステムを確立するためには、次のような解決すべき課題が存在する。
− 赤血球の除去:血液中に存在する癌細胞の数は、極めて少ない。よって、血液中に多量に存在する赤血球により癌細胞が遮蔽され、癌細胞の検出を妨げる可能性がある。
− 偽陽性のシグナルの抑制:正常な血球系細胞であるにもかかわらず、腫瘍溶解性ウイルスが増殖できる細胞、例えば白血球(一部の単球及びリンパ球)が希に存在する。このような正常細胞内で腫瘍溶解性ウイルスが増殖すると、癌細胞の検出に偽陽性のシグナルを与える可能性がある。
本発明者らは、これらの課題を解決するために検討した結果、腫瘍溶解性ウイルスを増殖させた血液試料を、固定化剤及び非イオン性界面活性剤で処理することにより、赤血球を除去でき、かつ正常細胞、例えば白血球からの偽陽性のシグナルを低減できることを見出して、本発明を完成した。
よって、本発明は、
癌細胞の存在が疑われる血液試料を、腫瘍溶解性ウイルスとインキュベートすることにより、少なくとも前記癌細胞内で腫瘍溶解性ウイルスを増殖させる工程、
増殖工程で処理された血液試料と、固定化剤と、非イオン性界面活性剤とを混合する工程、及び
混合工程で得られた血液試料に含まれる、腫瘍溶解性ウイルスが増殖した癌細胞を検出する工程
を含む、血液試料中の癌細胞の検出方法を提供する。
また、本発明は、腫瘍溶解性ウイルスを含有する第1試薬、固定化剤を含有する第2試薬及び非イオン性界面活性剤を含む第3試薬を含む、血液試料中の癌細胞の検出用試薬キットも提供する。
本発明の方法及び試薬キットにより、血液試料中に存在する微量の癌細胞、すなわちCTCを、簡便に、感度よく、かつ精度よく検出することが可能になる。
実施例1、実施例2、実施例3及び比較例1で測定された蛍光強度を示すグラフである。 実施例4において、界面活性剤としてエマルゲン2025Gを用いた場合の顕微鏡写真である。なお、図中の「WBC」は、白血球の略語である。 実施例4において、界面活性剤としてニッコールBL−9EXを用いた場合の顕微鏡写真である。 実施例4において、界面活性剤としてニッコールBO−20Vを用いた場合の顕微鏡写真である。 実施例4において、界面活性剤としてニッコールBT−12を用いた場合の顕微鏡写真である。 実施例4において、界面活性剤としてエマルゲン2020Gを用いた場合の顕微鏡写真である。 実施例4において、界面活性剤としてニッサンカチオンAB600を用いた場合の顕微鏡写真である。 実施例4において、界面活性剤としてニッサンカチオンBBを用いた場合の顕微鏡写真である。なお、図中の「RBC」は、赤血球の略語である。 比較例2で得られた顕微鏡写真である。
本発明において、血液試料中の癌細胞(CTC)は、固形癌から脱落して末梢血中に入った癌細胞だけでなく、血液癌も含み、テロメラーゼ活性を有する癌細胞であれば特に制限されない。本実施形態の方法及び試薬キットにより検出されるCTCは、特に限定されないが、固形癌由来のCTCが好ましく、乳癌由来のCTCがより好ましい。
<腫瘍溶解性ウイルス>
本明細書において、「腫瘍溶解性ウイルス」とは、正常細胞内では通常増殖できず、生存している癌細胞内で特異的に増殖可能な制限増殖型ウイルスのことをいう。
しかし、制限増殖型とするための機構によっては、腫瘍溶解性ウイルスが正常細胞内でも増殖する可能性が否定されないことは、当業者に明確に認識される。
すなわち、腫瘍溶解性ウイルスは、癌細胞内で特異的に増殖可能とする機構、例えば癌細胞で特異的にプロモーター活性を示すプロモーターを有することにより、癌細胞内で特異的に増殖できるが、正常細胞の中にもこのプロモーターを機能させ得る細胞が存在し得る(例えば白血球)。このような正常細胞は、腫瘍溶解性ウイルスが増殖した細胞を癌細胞として検出する癌細胞の検出方法においては、癌細胞として検出され得るので、偽陽性の結果を導く可能性がある。
しかしながら、本発明の方法では、血液試料を、固定化剤及び非イオン性界面活性剤と混合する処理を行うことにより、腫瘍溶解性ウイルスが増殖した癌細胞に影響を与えずに、正常細胞に選択的に損傷を与えるので、該正常細胞から生じ得る偽陽性のシグナルを低減できる。
さらに、本発明の方法では、上記の処理により、血液試料中の赤血球も溶血できるので、血液試料中に微量しか存在しない可能性がある癌細胞を、より高い感度で検出できる。
本明細書において、細胞に「損傷を与える」とは、対象の細胞の細胞膜の少なくとも一部分を破壊して細胞内成分を溶出させることをいう。
また、本明細書において、「赤血球が溶血する」とは、赤血球の細胞膜が可溶化されることをいう。
腫瘍溶解性ウイルスとしては、限定されないが、癌細胞で特異的にプロモーター活性を示すプロモーターが組み込まれたウイルスが挙げられる。癌細胞で特異的にプロモーター活性を示すプロモーター(以下、「癌細胞特異的プロモーター」ともいう)としては、ヒトテロメラーゼプロモーター、ヒト前立腺癌特異抗原(PSA)プロモーター、ヒトアルファプロテイン(AFP)プロモーター、胎児性癌抗原(CEA)プロモーターなどが挙げられる。多種類の癌細胞でプロモーター活性を示すことができる点で、ヒトテロメラーゼプロモーターが好ましい。なかでも、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素をコードする遺伝子であるhTERTのプロモーターがより好ましい。
hTERTプロモーターの核酸配列を、配列番号1に示す。hTERTプロモーターとしては、配列番号1に示す455 bpの核酸配列の全体であってもよいが、そのうちの5’上流の181bpの領域が、下流の遺伝子発現に重要なコア領域であると考えられるので、このコア領域を少なくとも含む核酸配列を用いればよい。
上記の腫瘍溶解性ウイルスは、標識タンパク質を発現するものが好ましい。すなわち、上記の腫瘍溶解性ウイルスは、標識タンパク質をコードする遺伝子を有するものが好ましい。本明細書において、「標識タンパク質」とは、細胞内で発現されることにより、該タンパク質が発現されていない他の細胞との区別を可能にする、検出可能なタンパク質のことをいう。標識タンパク質としては、生化学分野で通常用いられる標識タンパク質を用いることができ、緑色蛍光タンパク質(GFP)及びその変異体(例えばEnhanced-humanized GFP (EGFP)、red-shift GFP (rsGFP))、黄色蛍光タンパク質(YFP)、青色蛍光タンパク質(BFP)などの蛍光タンパク質などを用いることができる。
標識タンパク質は、緑色蛍光タンパク質が好ましい。
上記の標識タンパク質の遺伝子は、上記の癌細胞特異的プロモーターの制御下におくことができる。また、上記の標識タンパク質の遺伝子は、腫瘍溶解性ウイルス内でプロモーター活性を示し得るプロモーターの制御下におくこともできる。
標識タンパク質遺伝子の発現を制御し得るプロモーターとしては、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、SV40後期プロモーター、MMTV LTRプロモーター、RSV LTRプロモーター、SRαプロモーターなどが挙げられる。なかでも、標識タンパク質の遺伝子は、CMVプロモーター又はhTERTプロモーターの制御下におくことが好ましい。これらのプロモーターの核酸配列は、公知である。
上記の標識タンパク質をコードする遺伝子と、それを発現するためのプロモーター(癌細胞特異的プロモーター又は腫瘍溶解性ウイルス内でプロモーター活性を示し得るプロモーター)とを少なくとも含む発現カセットは、通常の遺伝子工学的手法により得ることができる。例えば、標識タンパク質をコードする遺伝子及びプロモーターを、公知の配列に基づいて、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などにより増幅させ、得られた各遺伝子の増幅産物を適切なプラスミドに連結し、必要な部分を切り出すことにより、発現カセットを得ることができる(例えば、国際公開2006/36004号を参照されたい)。
上記の腫瘍溶解性ウイルスは、上記の癌細胞特異的プロモーターの下流に、ウイルスの増殖に必要な遺伝子を連結した複製カセットを有するものであってもよい。ウイルスの増殖に必要な遺伝子としては、初期遺伝子(E1A、E1Bなど)、ピコルナウイルス科に特異的なタンパク質合成開始シグナルであるIRESなどが挙げられる。これらの遺伝子の核酸配列は、公知である。
上記の複製カセットは、通常の遺伝子工学的手法により作製できる。例えば、上記の癌細胞特異的プロモーター及び所望によりウイルスの増殖に必要な遺伝子を、公知の配列に基づいて、PCRなどにより増幅させ、得られた各遺伝子の増幅産物を適切なプラスミドに連結し、必要な部分を切り出すことにより、複製カセットを得ることができる(例えば、国際公開2006/36004号を参照されたい)。
上記のウイルスとしては、アデノウイルス、単純ヘルペスウイルス、センダイウイルス、レオウイルスに由来するものが挙げられる。なかでも、ヒトアデノウイルスが好ましい。
上記の腫瘍溶解性ウイルスは、市販のものを用いることもできる。腫瘍溶解性ウイルスとしては、hTERTプロモーター、E1A遺伝子、IRES遺伝子及びE1B遺伝子を含む複製カセットと、CMVプロモーター及びGFP遺伝子を含む発現カセットとを有するアデノウイルスであるテロメスキャン(登録商標) (OBP-401) (オンコリスバイオファーマ株式会社)が好ましい。
<増殖工程>
本発明の方法は、癌細胞の存在が疑われる血液試料を、上記の腫瘍溶解性ウイルスとインキュベートして、血液試料中の少なくとも癌細胞内で腫瘍溶解性ウイルスを増殖させる工程(以下、「増殖工程」ともいう)を含む。
上記の血液試料は、通常、癌の罹患が疑われる患者、癌患者などの癌細胞の存在を検出しようとする被験者から採取され得る。血液試料は、全血、及び全血を前処理して得られた処理血液のいずれであってもよいが、検出効率がより向上される点で、全血、特に末梢血から血清を除去したものが好ましい。
全血から血清を除去する方法は、公知であり、例えば抗凝固剤(例えばエチレンジアミン四酢酸、クエン酸ナトリウム、ヘパリンなど)を加えた全血を、遠心分離する方法が挙げられる。遠心分離は、500〜3500rpm、3〜30分間行うことが好ましい。
上記の血液試料と、腫瘍溶解性ウイルスとのインキュベートは、動物細胞培養に通常使用される培地の存在下で行うことが好ましい。該培地としては、RPMI-1640、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、最少必須培地(MEM)などが挙げられる。
上記の腫瘍溶解性ウイルスは、血液試料1 mlあたり6×104〜6×108PFU (Plaque Forming Unit)の量で、血液試料とインキュベートすることが好ましい。
上記の血液試料を、腫瘍溶解性ウイルスとインキュベートする時間及び温度は、腫瘍溶解性ウイルスが血液試料中の少なくとも癌細胞内で増殖できる条件であればよく、腫瘍溶解性ウイルスの種類により適宜調節できる。そのようなインキュベートの条件は、好ましくは25〜40℃の温度で、1〜36時間、より好ましくは30〜37℃にて12〜24時間行われる。
上記のインキュベーションにより、腫瘍溶解性ウイルスは、血液試料中に含まれ得る癌細胞に感染し、該細胞内で増殖できる。
しかし、血液試料中に存在する白血球(単球、リンパ球など)も、テロメラーゼのような癌細胞が特異的に発現する酵素を希に発現する。したがって、上記のインキュベーションにより、このような正常な(癌細胞でない)白血球においても、腫瘍溶解性ウイルスが増殖する可能性がある。
<混合工程>
本発明の方法は、上記の増殖工程で処理された血液試料を、固定化剤及び非イオン性界面活性剤と混合する工程(以下、「混合工程」ともいう)を含む。
混合工程においては、血液試料と非イオン性界面活性剤とを混合した後に、固定化剤を混合してもよいし、血液試料と固定化剤とを混合した後に、非イオン性界面活性剤を混合してもよいし、血液試料、固定化剤及び非イオン性界面活性剤を同時に混合してもよい。より好ましい混合の順序としては、血液試料と固定化剤とを混合した後に、非イオン性界面活性剤を混合する順序である。
上記の血液試料は、固定化剤及び非イオン性界面活性剤との混合前に、遠心分離などにより、細胞画分以外の画分を除去したものであってもよい。
上記の混合工程において、血液試料と混合したときの非イオン性界面活性剤の濃度は、癌細胞に損傷を与えずに、白血球に損傷を与える濃度であることが好ましい。このような濃度は、非イオン性界面活性剤の種類により適宜決定できるが、好ましくは0.003〜0.4重量%、より好ましくは0.030〜0.037重量%である。
なお、本明細書において、「血液試料と混合したときの非イオン性界面活性剤の濃度」とは、「血液試料と非イオン性界面活性剤とを直接混合した場合の濃度」に加えて、「非イオン性界面活性剤を、血液試料及び固定化剤の混合物に混合した場合の濃度」も含むことを意図する。すなわち、混合工程において、血液試料と固定化剤とを混合した後に、非イオン性界面活性剤を混合する場合、上記の濃度は、血液試料、固定化剤及び非イオン性界面活性剤の混合液における非イオン性界面活性剤の濃度を示す。
上記の非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン系界面活性剤及びポリオキシ化合物の脂肪酸エステル系界面活性剤のいずれであってもよいが、ポリオキシエチレン系界面活性剤が好ましい。ポリオキシエチレン系界面活性剤としては、高級アルコール・エチレンオキシド付加物、アルキルフェノール・エチレンオキシド付加物、高級脂肪酸・エチレンオキシド付加物、高級脂肪族アミン・エチレンオキシド付加物、高級脂肪酸アミド・エチレンオキシド付加物などが挙げられる。なかでも、高級アルコール・エチレンオキシド付加物が好ましい。
高級アルコール・エチレンオキシド付加物の高級アルコールのアルキル基は、直鎖状及び分枝鎖状のいずれであってもよく、好ましくは炭素数が12〜30、より好ましくは15〜25である。高級アルコール・エチレンオキシド付加物は、好ましくはエチレンオキシドの重合数が15〜40、より好ましくは20〜30である。
より具体的な高級アルコールのアルキル基が分岐鎖である高級アルコール・エチレンオキシド付加物を、以下の式(I)に示す。
式(I)
(式中、lは6〜24の整数、mは1〜19の整数及びnは15〜40の整数である。)
非イオン性界面活性剤としては、高級アルコールのアルキル基が分岐鎖であり、炭素数が20であり、エチレンオキシドの重合数が25であるポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテルが好ましい。
上記の混合工程において、血液試料と混合したときの固定化剤の濃度は、赤血球を溶血する濃度であることが好ましい。このような濃度は、好ましくは1〜7重量%、より好ましくは2〜4重量%である。
なお、本明細書において、「血液試料と混合したときの固定化剤の濃度」とは、「血液試料と固定化剤とを直接混合した場合の濃度」に加えて、「固定化剤を、血液試料及び非イオン性界面活性剤の混合物に混合した場合の濃度」も含むことを意図する。すなわち、混合工程において、血液試料と非イオン性界面活性剤とを混合した後に、固定化剤を混合する場合、上記の濃度は、血液試料、固定化剤及び非イオン性界面活性剤の混合液における固定化剤の濃度を示す。
上記の固定化剤としては、組織の固定のために通常用いられるタンパク質を架橋させる物質を用いることができ、パラホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒドなどのアルデヒド化合物が好ましい。なかでも、パラホルムアルデヒドがより好ましい。
混合工程は、癌細胞に損傷を与えない条件下で行うことが好ましい。このような条件としては、pH6〜9、浸透圧200〜400 mOsmが好ましい。
<検出工程>
本発明の方法は、混合工程から得られた血液試料に含まれる、腫瘍溶解性ウイルスが増殖した癌細胞を検出する工程(以下、「検出工程」ともいう)を含む。
検出工程は、腫瘍溶解性ウイルスが増殖することにより発現される上記の標識タンパク質を検出する工程であることが好ましい。
標識タンパク質を検出する方法は、標識タンパク質の種類により適宜選択できる。標識タンパク質が蛍光タンパク質である場合、蛍光顕微鏡下での観察、フローサイトメータによる検出などにより、標識タンパク質を検出できる。
蛍光顕微鏡下での観察は、例えば、混合工程から得られた血液試料を用いて、通常の方法によりスライドグラスへの塗抹標本を作製し、CCDカメラを備えた蛍光顕微鏡の下で塗抹標本を観察し、蛍光を発する細胞を検出し、所望により計数することにより行うことができる。
フローサイトメータを用いる検出は、例えば、混合工程から得られた血液試料を、蛍光を検出できるフローサイトメータに供し、蛍光を発する細胞を検出し、所望により計数することにより行うことができる。
<追加の工程>
本発明の方法は、さらに、死細胞の染色工程を含むことができる。このような工程を含むことにより、「生存している」癌細胞と「死んでいる」癌細胞とを検出することができ、血液試料中の癌細胞の生存率を算出することができる。この工程は、血液試料を、固定化剤及び非イオン性界面活性剤と混合する工程の前に行うことが好ましい。
死細胞を染色する工程は、死細胞を特異的に染色する試薬と血液試料とを接触させることにより行うことができる。「死細胞を特異的に染色する試薬」とは、生存細胞とは区別可能に死細胞を染色する試薬のことである。死細胞を特異的に染色する試薬としては、市販のキットを用いることができ、例えばLive/Dead Fixable Red Dead Cell Stain Kit (Invitrogen社)が好ましい。
<試薬キット>
本発明は、血液試料中の癌細胞を検出するための試薬キットも提供する。本発明の試薬キットは、上記の腫瘍溶解性ウイルスを含有する第1試薬と、上記の固定化剤を含有する第2試薬と、上記の非イオン性界面活性剤を含む第3試薬とを含む。
上記の第1試薬、第2試薬及び第3試薬は、液体の形態であってもよいし、用時に適切な溶媒を添加することにより液体とすることができる固体の形態であってもよい。
上記の第1試薬は、液体の形態で血液試料とインキュベートするときに、血液試料1 mlあたり6×104〜6×108PFUの量の腫瘍溶解性ウイルスを提供することとなる濃度で腫瘍溶解性ウイルスを含むことが好ましい。
上記の第2試薬は、血液試料と混合したときに、赤血球を溶血するような濃度となる量で固定化剤を含むことが好ましい。具体的には、第2試薬は、血液試料と混合したときに、好ましくは1〜7重量%、より好ましくは2〜4重量%の固定化剤の濃度となる量で固定化剤を含む。なお、血液試料と第3試薬とを先に混合した場合、血液試料、第2試薬及び第3試薬の混合液における固定化剤の濃度が上記の濃度となるように、第2試薬は固定化剤を含む。
上記の第3試薬は、血液試料と混合したときに、癌細胞に損傷を与えずに、白血球に損傷を与えるような濃度となる量で非イオン性界面活性剤を含むことが好ましい。具体的には、第3試薬は、血液試料と混合したときに、好ましくは0.003〜0.4重量%、より好ましくは0.030〜0.037重量%の非イオン性界面活性剤の濃度となる量で非イオン性界面活性剤を含む。なお、血液試料と第2試薬とを先に混合した場合、血液試料、第2試薬及び第3試薬の混合液における非イオン性界面活性剤の濃度が上記の濃度となるように、第3試薬は非イオン性界面活性剤を含む。
上記の第2試薬及び第3試薬は、血液試料と混合したときに癌細胞に損傷を与えない条件とするための適切な緩衝剤及び浸透圧調整剤を含むことができる。癌細胞に損傷を与えない条件は、pH6〜9、浸透圧200〜400 mOsmが好ましい。よって、上記の緩衝剤としては、リン酸生理緩衝液(PBS)、クエン酸緩衝液、HEPESなどを用いることができる。また、浸透圧調整剤としては、エチレングリコール、塩化ナトリウムなどを用いることができる。
以下に、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例により限定されるものではない。
1. 単核球画分への腫瘍溶解性ウイルスの増殖による影響
腫瘍溶解性ウイルスを用いる血液試料中の癌細胞の検出においては、試料中の単核球内で腫瘍溶解性ウイルスが増殖すると、単核球が癌細胞として検出されてしまう。
そこで、ヒト対象から採取した血液から単核球画分を回収し、この画分に本発明の方法による処理(固定化剤及び非イオン性界面活性剤による処理)を行うことにより、単核球による検出への影響を低減できるか否かを検討した。なお、単核球とは、単球及びリンパ球の総称である。
(実施例1)
<単核球画分の調製>
真空採血管(ベノジェクト(登録商標)II真空採血管(4.5 ml)、3.8%クエン酸ナトリウム含有、テルモ株式会社)を用いて、2人の健常女性から血液を採取した。採取から2時間以内の血液5.0 mlを、単核球を分離するための試薬であるPolymorphprep (商標)(第一化学薬品株式会社)5.0 mlを予め入れた15 mlの遠心チューブに注意深く重層した。次いで、遠心チューブを、スウィングローターを用いて、室温で500×g、30分間遠心分離した。そして、パスツールピペットを用いて単核球浮遊液を別の遠心チューブに移し、これに等量のPBS(-)を加えて混和した。この液を室温で400×g、10分間遠心分離した後、上清を除去して、沈殿した単核球を得た。そして、得られた単核球をPBS(-)で懸濁し、これを400×g、10分間遠心分離した後、上清を除去して、単核球画分を得た。
<ウイルス増殖>
得られた単核球画分にRPMI-1640を加えて、10 mlにメスアップした。これに腫瘍溶解性ウイルス(テロメスキャン(登録商標) (OBP-401)、オンコリスバイオファーマ株式会社)を、最終濃度6×106 PFU/mlとなるように加え、37℃にてローテーションしながら24時間培養した。得られた培養液を、1500 rpmで5分間、弱ブレーキで遠心分離した後、上清を除去して、腫瘍溶解性ウイルスが増殖した細胞(以下、増殖細胞ともいう)を得た。
<固定化剤及び非イオン性界面活性剤での処理>
得られた増殖細胞に、これと同体積の4%パラホルムアルデヒド(PFA)を加え、室温にて20分間静置した。ここに、増殖細胞及びPFAの合計体積の2倍の体積の非イオン性界面活性剤(エマルゲン2025G、花王株式会社)のPBS(-)溶液(濃度0.05重量%)を加えて懸濁し、撹拌しながら40℃にて5分間インキュベートして、処理試料を得た。なお、エマルゲン2025Gの構造式を、以下の式(II)に示す。
式(II)
(式中、nは25である。)
<スライド作製及び顕微鏡観察>
得られた処理試料を1500 rpmで5分間、弱ブレーキで遠心分離した後、上清を除去し、沈殿物を得た。次いで、得られた沈殿物を1 mlのPBSに懸濁した。そして、得られた懸濁液を1500 rpmで5分間、弱ブレーキで遠心分離した後、上清を除去し、サイトスピンを用いて(1000 rpm、4分)、スライドを作製した。該スライドにマウンティングメディウム(Fluorescent Mounting Medium、S3032、Dako社)を載せ、次いでカバーガラスを載せた後、倒立型リサーチ顕微鏡(Power IX 71、オリンパス株式会社製)を用いて、露光時間20 ms、50 ms、100 ms、200 ms及び400 msの条件下で、蛍光強度を測定した。
なお、上記と同様の条件下で、それぞれが異なる既知の蛍光強度を有する7種のビーズ(7 Peaks Beads(Cyto-Cal Multifluor Fluorescence Intensity Calibrator、FC3M、Thermo Scientific社))を撮像して、それぞれの露光時間における検量線を作成した。得られた検量線に基づいて、上記の処理試料からの蛍光シグナルを数値化した。得られた結果を、図1(No.4及び5)に示す。
(実施例2)
実施例1において、非イオン性界面活性剤として、エマルゲン2025Gに代えて、ニッコールBO−20V(日本ケミカルズ販売株式会社)を用いた以外、上記と同様にして、処理試料を調製した。そして、実施例1と同様にして該処理試料からスライドを作製し、該スライドについて実施例1と同じ条件で蛍光強度を測定して、蛍光シグナルを数値化した。得られた結果を、図1(No.6)に示す。
(実施例3)
実施例1において、非イオン性界面活性剤として、エマルゲン2025Gに代えて、エマルゲン2020G(花王株式会社)を用いた以外、上記と同様にして、処理試料を調製した。そして、実施例1と同様にして該処理試料からスライドを作製し、該スライドについて実施例1と同じ条件で蛍光強度を測定して、蛍光シグナルを数値化した。得られた結果を、図1(No.7)に示す。なお、エマルゲン2020Gの構造式を、以下の式(III)に示す。
式(III)
(式中、nは20である。)
(比較例1)
実施例1において、固定化剤及び非イオン性界面活性剤での処理に代えて、溶血のために従来用いられる塩化アンモニウム及び固定化剤での処理を行って、単核球による検出への影響を調べた。
上記の<単核球の調製>及び<ウイルス増殖>と同様にして得られた増殖細胞に、これの30倍の体積の1%塩化アンモニウム溶液を加えて懸濁し、室温にて20分間静置した。次いで、ここに2% PFAを加え、室温にて20分間静置して、処理試料を得た。
得られた処理試料を、1500 rpmで5分間、弱ブレーキで遠心分離した後、上清を除去し、沈殿物を得た。次いで、得られた沈殿物を1 mlのPBS(-)に懸濁した。そして、得られた懸濁液を1500 rpmで5分間、弱ブレーキで遠心分離した後、上清を除去し、サイトスピンを用いて(1000 rpm、4分)、スライドを作製した。該スライドにマウンティングメディウム(Fluorescent Mounting Medium、S3032、Dako社)を載せ、次いでカバーガラスを載せた後、実施例1の条件で蛍光強度を測定し、蛍光シグナルを数値化した。
なお、陽性対照として、乳癌細胞株(MB468)を用いた。実施例1と同様にして腫瘍溶解性ウイルスをMB468内で増殖させ、そして、このMB468を固定化剤及び非イオン性界面活性剤で処理せずに、実施例1と同じ条件で蛍光顕微鏡を用いて蛍光強度を測定した。
結果を、図1に示す。図1では、陽性対照(No.1)、比較例1(No.2及び3)、実施例1(No.4及び5)、実施例2(No.6)並びに実施例3(No.7)の結果を示す。
図1から、比較例1の方法(No.2及び3)では、癌細胞と同程度の強い蛍光シグナルを示す単核球細胞が除去できなかった。一方、本発明の方法(No.4、5、6及び7)では、単核球細胞由来の強い蛍光シグナルを低減できたことがわかる。
また、非イオン性界面活性剤として、高級アルコールのアルキル基が分岐鎖の高級アルコール・エチレンオキシド付加物であるエマルゲン2025Gおよびエマルゲン2020Gを用いた場合(No.4、5及び7)は、高級アルコールのアルキル基が直鎖の高級アルコール・エチレンオキシド付加物であるニッコールBO−20V(No.6)を用いた場合よりも、単核球細胞由来のシグナルをより効果的に低減できたことがわかる。
2. 血液試料中の癌細胞の検出
種々の界面活性剤を用いて、実際の血液試料中での癌細胞の検出について検討した。
(実施例4)
健常なヒトから採取した末梢血液7.5 mlに、血液抗凝固保存液(CPD液;100 mlの滅菌水中にクエン酸3Na・2H2O 2.63 g、クエン酸・2H2O 0.327 g、D(+)-グルコース2.32 g、リン酸2水素ナトリウム・2H2O 0.251 gを含有)1120 μlを加え、充分に転倒混和した。次いで、この混合液を1500 rpmで5分間、弱ブレーキで遠心分離した後、ピペットを用いて上清(血清)をできるだけ取り除いた。ここにPBS(-)を加えて14 mlにメスアップし、懸濁した。そして、上記と同様の遠心分離及び血清の除去を4回繰り返した。その後、ここに乳癌細胞株(MB468)を、3×105個/mlとなるように添加して、癌細胞含有血液試料を得た。
得られた試料を、実施例1の<ウイルス増殖>、<固定化剤及び非イオン性界面活性剤での処理>ならびに<スライド作製及び顕微鏡観察>と同様にして処理して、顕微鏡写真を撮影した。得られた写真を、図2(A)に示す。
上記の癌細胞含有血液試料を、界面活性剤として、エマルゲン2025Gに代えて、ニッコールBL−9EX(非イオン性界面活性剤、日本ケミカルズ販売株式会社)、ニッコールBO−20V(日本ケミカルズ販売株式会社)、ニッコールBT−12(非イオン性界面活性剤、日本ケミカルズ販売株式会社)、エマルゲン2020G(花王株式会社)、ニッサンカチオンAB600(陽イオン界面活性剤、日油株式会社)及びニッサンカチオンBB(陽イオン界面活性剤、日油株式会社)を用いた以外、実施例1の<ウイルス増殖>、<固定化剤及び非イオン性界面活性剤での処理>ならびに<スライド作製及び顕微鏡観察>と同様にして処理して、顕微鏡写真を撮影した。
界面活性剤としてニッコールBL−9EX、ニッコールBO−20V、ニッコールBT−12、エマルゲン2020G、ニッサンカチオンAB600及びニッサンカチオンBBを用いた場合の写真を、それぞれ図2(B)〜(G)に示す。
(比較例2)
実施例4と同様にして得られた癌細胞含有血液試料に、実施例1の<ウイルス増殖>と同様にしてウイルスを増殖させ、増殖細胞を得た。これと同体積の4% PFAを加えて懸濁し、室温にて20分間静置した。次いで、増殖細胞及びPFAの合計体積の2倍の体積の1%塩化アンモニウム溶液を加えて懸濁し、撹拌しながら40℃にて5分間インキュベートして、処理試料を得た。
実施例1の<スライド作製及び顕微鏡観察>と同様にして、該処理試料の顕微鏡写真を撮影した。得られた写真を、図2(H)に示す。
図2(H)から、比較例2の方法により処理された血液試料では、癌細胞の周囲に未溶血の赤血球(未溶血RBC)及び赤血球の破片(RBCゴースト)が密集していることがわかる。また、図2(F)及び(G)から、界面活性剤として陽イオン界面活性剤を用いた方法で処理された血液試料では、比較例2と同じく、癌細胞の周囲に未溶血RBC及びRBCゴーストに由来するデブリスが密集していることがわかる。
一方、図2(A)〜(E)から、本発明の非イオン性界面活性剤を用いた方法により処理された血液試料では、赤血球がほとんど除去され、癌細胞がより鮮明に確認できることがわかる。
本出願は、2008年12月18日に出願された日本国特許出願特願2008−322439号に関し、この特許請求の範囲、明細書、図面及び要約書の全ては本明細書中に参照として組み込まれる。

Claims (20)

  1. 癌細胞の存在が疑われる血液試料を、腫瘍溶解性ウイルスとインキュベートすることにより、少なくとも前記癌細胞内で腫瘍溶解性ウイルスを増殖させる工程、
    増殖工程で処理された血液試料と、固定化剤と、非イオン性界面活性剤とを混合する工程、及び
    混合工程で得られた血液試料に含まれる、腫瘍溶解性ウイルスが増殖した癌細胞を検出する工程
    を含む、血液試料中の癌細胞の検出方法。
  2. 混合工程が、血液試料と固定化剤とを混合した後に、非イオン性界面活性剤を混合する工程である、請求項1に記載の方法。
  3. 混合工程において、血液試料と混合したときの非イオン性界面活性剤の濃度が、癌細胞に損傷を与えずに、赤血球および白血球に損傷を与える濃度である、請求項1に記載の方法。
  4. 非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン系の非イオン性界面活性剤である、請求項1に記載の方法。
  5. ポリオキシエチレン系の非イオン性界面活性剤が、高級アルコール・エチレンオキシド付加物である、請求項4に記載の方法。
  6. 高級アルコール・エチレンオキシド付加物の高級アルコールのアルキル基が分岐鎖である、請求項5に記載の方法。
  7. 混合工程において、血液試料と混合したときの固定化剤の濃度が、赤血球を溶血する濃度である、請求項1に記載の方法。
  8. 固定化剤が、パラホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド又はホルムアルデヒドである、請求項1に記載の方法。
  9. 腫瘍溶解性ウイルスが、標識タンパク質を発現する腫瘍溶解性ウイルスである、請求項1に記載の方法。
  10. 腫瘍溶解性ウイルスが、テロメラーゼプロモーターが組み込まれた腫瘍溶解性ウイルスである、請求項1に記載の方法。
  11. 検出工程が、標識タンパク質からのシグナルを検出する工程である、請求項9に記載の方法。
  12. 腫瘍溶解性ウイルスを含有する第1試薬、
    固定化剤を含有する第2試薬、及び
    非イオン性界面活性剤を含有する第3試薬
    を含む、血液試料中の癌細胞の検出用試薬キット。
  13. 第3試薬が、血液試料と混合したときに、癌細胞に損傷を与えずに、赤血球および白血球に損傷を与える濃度となる量で非イオン性界面活性剤を含有する、請求項12に記載のキット。
  14. 非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン系の非イオン性界面活性剤である、請求項12に記載のキット。
  15. ポリオキシエチレン系の非イオン性界面活性剤が、高級アルコール・エチレンオキシド付加物である、請求項14に記載のキット。
  16. 高級アルコール・エチレンオキシド付加物の高級アルコールのアルキル基が分岐鎖である、請求項15に記載のキット。
  17. 第2試薬が、血液試料と混合したときに、赤血球を溶血する濃度となる量で固定化剤を含有する、請求項12に記載のキット。
  18. 固定化剤が、パラホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド又はホルムアルデヒドである、請求項12に記載のキット。
  19. 腫瘍溶解性ウイルスが、標識タンパク質を発現する腫瘍溶解性ウイルスである、請求項12に記載のキット。
  20. 腫瘍溶解性ウイルスが、テロメラーゼプロモーターが組み込まれた腫瘍溶解性ウイルスである、請求項12に記載のキット。
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