JPWO2010047047A1 - タンナーゼ、それをコードする遺伝子及びその製造法 - Google Patents

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Abstract

微生物由来の耐熱性タンナーゼを提供することを課題とする。アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)又はアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)由来の耐熱性タンナーゼが提供される。好ましい一態様のタンナーゼは下記の酵素化学的性質を有する。(1)作用:デプシド結合に作用して加水分解する;(2)分子量:約23万Da(ゲルろ過による);(3)温度安定性:65℃まで安定(pH5.0、30分間)。

Description

本発明は、アスペルギルス(Aspergillus)属の微生物が産生する新規タンナーゼに関する。詳しくは、アスペルギルス(Aspergillus)属が産生する耐熱性に優れたタンナーゼ、それをコードする遺伝子、その製造法、及びその用途等に関する。
タンナーゼ(タンニンアシルヒドロラーゼ、EC3.1.1.20)は、タンニン類のデプシド結合を加水分解する酵素である。食品工業においては、茶系飲料のクリームダウン防止、果汁飲料のおり防止、ビールの清澄化などに利用されている。
これまでに細菌、酵母および糸状菌によるタンナーゼの産生が数多く報告されている(非特許文献1)。糸状菌ではアスペルギルス(Aspergillus)属およびペニシリウム(Penicillium)属の報告が多い。アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)由来のタンナーゼについては酵素化学的性質、アミノ酸配列およびコードする遺伝子が明らかとなっている(特許文献1、2、非特許文献2参照)。
特許文献1に記載のタンナーゼは、至適pH範囲が5.0〜5.5付近の弱酸性、至適温度範囲が40℃付近であり、60℃を超える高温では10分以内に失活する。このため、工業的な利用においては非常に限定された条件下での反応となる。特許文献2に記載のタンナーゼは熱安定性に優れており、クエン酸緩衝液(pH5.5)中、65℃10分処理後の残存活性が80%以上、至適温度範囲は60〜80℃であり、特許文献1に記載のタンナーゼの欠点を克服しているが、組換え体での生産のみが報告されており、非組換え体での生産は未確認である。このため、食品産業で利用するには「遺伝子組換え微生物を利用して製造された添加物の安全性評価基準」(非特許文献3)に従った安全性確認が必要である。また、日本では遺伝子組換え食品に対する拒否反応も根強い。従って、食品産業において直ちに利用できるものとはいえない。
一方、至適温度が60℃以上である、熱安定性に優れたタンナーゼについての報告もある(非特許文献4、5参照)。しかし、これらのタンナーゼはその存在が確認されたにすぎず、そのアミノ酸配列やそれをコードする遺伝子、酵素科学的性質等は明らかになっておらず、実用化には至っていない。
特開平8−80196 特開2003−250588
Appl.Microbiol.Biotechnol., Vol.76, p.47-59, 2007 Gene, Vol.175, p.215-221,1996 食品安全委員会「遺伝子組換え微生物を利用して製造された添加物の安全性評価基準」平成16年3月25日決定 Microbiology, Vol.149, p.2941-2946, 2003 Process Biochemistry, Vol.40(5), April 2005, p.1553-1557, 2005
本発明は、自然界に存在する微生物に由来する、耐熱性に優れたタンナーゼを提供することを目的とする。また、当該タンナーゼの遺伝子や製造法、用途等を提供することも目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)3菌株とアスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)2菌株の合計5菌株で耐熱性の高いタンナーゼの産生を認めた。さらに検討を進め、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)NBRC-4033(IFO-4033)が産生するタンナーゼの単離に成功し、その酵素化学的性質を決定した。また、当該タンナーゼのアミノ酸配列及び当該タンナーゼをコードする遺伝子の塩基配列の同定にも成功した。酵素化学的性質及びアミノ酸配列を既報のタンナーゼと比較した結果、取得及び同定に成功したタンナーゼは新規酵素であることが確認された。
本発明は上記成果に基づき完成されたものであり、次の通りである。
[1]アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)又はアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)由来のタンナーゼであって、65℃の熱処理に対して耐性のタンナーゼ。
[2]下記の酵素化学的性質を有するタンナーゼ、
(1)作用:デプシド結合に作用して加水分解する;
(2)分子量:約23万Da(ゲルろ過による);
(3)温度安定性:65℃まで安定(pH5.0、30分間)。
[3]下記の酵素化学的性質を更に有する、[2]に記載のタンナーゼ、
(4)至適温度:約70℃;
(5)至適pH:約5.5;
(6)pH安定性:pH3〜8の範囲で安定(30℃、30分間)
(7)基質特異性:タンニン酸に良好に作用する。没食子酸エステルに作用する。
[4]アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)由来である、[2]又は[3]に記載のタンナーゼ。
[5]配列番号5に示すアミノ酸配列、又は該アミノ酸配列と等価なアミノ酸配列を有するタンナーゼ。
[6]等価なアミノ酸配列が、配列番号5に示すアミノ酸配列と90%以上同一のアミノ酸配列である、[5]に記載のタンナーゼ。
[7][1]〜[6]のいずれか一項に記載のタンナーゼを有効成分とする酵素剤。
[8]以下の(A)〜(C)からなる群より選択されるいずれかのDNAからなるタンナーゼ遺伝子:
(A)配列番号5に示すアミノ酸配列をコードするDNA;
(B)配列番号4に示す塩基配列からなるDNA;
(C)配列番号4に示す塩基配列と等価な塩基配列を有し、且つタンナーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。
[9][8]に記載のタンナーゼ遺伝子を含有する組換えベクター。
[10][8]に記載のタンナーゼ遺伝子が導入されている形質転換体。
[11]以下のステップ(1)及び(2)を含むこと、又は以下のステップ(i)及び(ii)を含むことを特徴とする、タンナーゼの製造法:
(1)アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)及びアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)からなる群より選択される微生物を培養するステップ;
(2)培養後の培養液及び/又は菌体より、タンナーゼを回収するステップ;
(i)[10]に記載の形質転換体を、前記遺伝子がコードするタンパク質が産生される条件下で培養するステップ;
(ii)産生された前記タンパク質を回収するステップ。
[12]微生物が、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori) NBRC-4033(IFO-4033)である、[11]に記載のタンナーゼの製造法。
[13][1]〜[6]のいずれか一項に記載のタンナーゼ、[7]に記載の酵素剤、又は[11]若しくは[12]に記載の製造法によって得られるタンナーゼを、タンニン又はタンニン含有組成物に対して作用させることを特徴とする加水分解法。
アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)由来のタンナーゼの至適温度を示すグラフである。 アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)由来のタンナーゼの至適pHを示すグラフである。●:クエン酸緩衝液pH3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0。□:リン酸緩衝液pH6.0、6.5、7.0、7.5、8.0。 アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)由来のタンナーゼの温度安定性を示すグラフである。 アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)由来のタンナーゼのpH安定性を示すグラフである。●:クエン酸緩衝液pH3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5。□:リン酸緩衝液pH6.0、6.5、7.0、7.5、8.0。 発現プラスミドpTALC-TANの構造。
(用語)
本発明において「タンパク質をコードするDNA」とは、それを発現させた場合に当該タンパク質が得られるDNA、即ち、当該タンパク質のアミノ酸配列に対応する塩基配列を有するDNAのことをいう。従ってコドンの縮重も考慮される。
本明細書において用語「単離された」は「精製された」と交換可能に使用される。本発明の酵素(タンナーゼ)に関して使用する場合の「単離された」とは、本発明の酵素が天然材料に由来する場合、当該天然材料の中で当該酵素以外の成分を実質的に含まない(特に夾雑タンパク質を実質的に含まない)状態をいう。具体的には例えば、本発明の単離された酵素では、夾雑タンパク質の含有量は重量換算で全体の約20%未満、好ましくは約10%未満、更に好ましくは約5%未満、より一層好ましくは約1%未満である。一方、本発明の酵素が遺伝子工学的手法によって調製されたものである場合の用語「単離された」とは、使用された宿主細胞に由来する他の成分や培養液等を実質的に含まない状態をいう。具体的には例えば、本発明の単離された酵素では夾雑成分の含有量は重量換算で全体の約20%未満、好ましくは約10%未満、更に好ましくは約5%未満、より一層好ましくは約1%未満である。尚、それと異なる意味を表すことが明らかでない限り、本明細書において単に「タンナーゼ」と記載した場合は「単離された状態のタンナーゼ」を意味する。タンナーゼの代わりに使用される用語「本酵素」についても同様である。
DNAについて使用する場合の「単離された」とは、もともと天然に存在しているDNAの場合、典型的には、天然状態において共存するその他の核酸から分離された状態であることをいう。但し、天然状態において隣接する核酸配列(例えばプロモーター領域の配列やターミネーター配列など)など一部の他の核酸成分を含んでいてもよい。例えばゲノムDNAの場合の「単離された」状態では、好ましくは、天然状態において共存する他のDNA成分を実質的に含まない。一方、cDNA分子など遺伝子工学的手法によって調製されるDNAの場合の「単離された」状態では、好ましくは、細胞成分や培養液などを実質的に含まない。同様に、化学合成によって調製されるDNAの場合の「単離された」状態では、好ましくは、dNTPなどの前駆体(原材料)や合成過程で使用される化学物質等を実質的に含まない。尚、それと異なる意味を表すことが明らかでない限り、本明細書において単に「DNA」と記載した場合には「単離された状態のDNA」を意味する。
(タンナーゼ及びその生産菌)
本発明の第1の局面はタンナーゼ(以下、「本酵素」ともいう)及びその生産菌を提供する。後述の実施例に示す通り、本発明者らは鋭意検討の結果、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)とアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)が、65℃の熱処理に対して耐性の耐熱性タンナーゼを産生することを見出した。また、検討を更に進め、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)由来のタンナーゼについてその分離・精製に成功するとともに、以下に示す通り、その酵素化学的性質を決定することに成功した。
(1)作用
本酵素はタンナーゼであり、デプシド結合に作用して加水分解する。
(2)分子量
本酵素はゲルろ過により約23万Daの分子量を示す。SDS-PAGEでは9〜10万Daの分子量を示す。本酵素は糖鎖を有し、エンドグリコシダーゼH(EndoH)処理により分子量の顕著な減少を示す。
(3)温度安定性
本酵素は、50mMクエン酸緩衝液(pH5.0)中、65℃の条件で30分間処理しても90%以上の活性を維持する。
(4)至適温度
本酵素の至適温度は約70℃である。本酵素は約60℃〜約70℃において高い活性を示す。至適温度は、後述のタンナーゼ活性測定方法(50mMクエン酸緩衝液(pH5.0)中)による測定で算出された値である。
(5)至適pH
本酵素の至適pHは約5.5である。本酵素はpH約5.0〜約6.0において高い活性を示す。至適pHは、例えば、pH 3〜6のpH域についてはクエン酸緩衝液中で、pH 6〜8についてはリン酸緩衝液中で測定した結果を基に判断される。
(6)pH安定性
本酵素はpH 3〜8という広いpH域で安定した活性を示す。即ち、処理に供する酵素溶液のpHがこの範囲内にあれば、30℃、30分の処理後、最大活性の80%以上の活性を示す。pH安定性は、例えば、pH3〜6のpH域についてはクエン酸緩衝液中で、pH 6〜8についてはリン酸緩衝液中で測定した結果を基に判断される。
(7)基質特異性
本酵素はタンニン酸に良好に作用する。没食子酸エステル(没食子酸メチル、没食子酸エチル等)にも作用する。尚、本酵素の反応性及び基質特異性は、後述の実施例に示す方法(タンナーゼ活性測定方法および基質特異性測定方法の欄)で測定・評価することができる。
本酵素は好ましくはアスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)に由来するタンナーゼである。ここでの「アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)に由来するタンナーゼ」とは、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)に分類される微生物(野生株であっても変異株であってもよい)が生産するタンナーゼ、或いはアスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)(野生株であっても変異株であってもよい)のタンナーゼ遺伝子を利用して遺伝子工学的手法によって得られたタンナーゼであることを意味する。従って、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)より取得したタンナーゼ遺伝子(又は当該遺伝子を改変した遺伝子)を導入した宿主微生物によって生産された組み換え体も、「アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)に由来するタンナーゼ」に該当する。
本酵素がそれに由来することとなるアスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)のことを、説明の便宜上、本酵素の生産菌という。
以上のように、取得に成功した本酵素の性状の詳細が明らかとなった。その結果、本酵素が耐熱性に優れること、pH安定性に優れることが判明した。従って、本酵素は特に食品加工に適したものである。
本発明者らの更なる検討の結果、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)が産生するタンナーゼのアミノ酸配列(配列番号5)が決定された。そこで本発明の一態様は、配列番号5のアミノ酸配列を有するタンパク質からなるという特徴を備える。ここで、一般に、あるタンパク質のアミノ酸配列の一部に改変を施した場合において改変後のタンパク質が改変前のタンパク質と同等の機能を有することがある。即ちアミノ酸配列の改変がタンパク質の機能に対して実質的な影響を与えず、タンパク質の機能が改変前後において維持されることがある。そこで本発明は他の態様として、配列番号5に示すアミノ酸配列と等価なアミノ酸配列からなり、タンナーゼ活性を有するタンパク質(以下、「等価タンパク質」ともいう)を提供する。ここでの「等価なアミノ酸配列」とは、配列番号5に示すアミノ酸配列と一部で相違するが、当該相違がタンパク質の機能(ここではタンナーゼ活性)に実質的な影響を与えていないアミノ酸配列のことをいう。「タンナーゼ活性を有する」とは、タンニン酸を始め、没食子酸エステル、ジ没食子酸、ガロタンニン、エラジタンニン等、デプシド結合を持つ分子に作用して加水分解する活性を意味するが、その活性の程度は、タンナーゼとしての機能を発揮できる限り特に限定されない。但し、配列番号5に示すアミノ酸配列からなるタンパク質と同程度又はそれよりも高いことが好ましい。
「アミノ酸配列の一部の相違」とは、典型的には、アミノ酸配列を構成する1〜数個のアミノ酸の欠失、置換、若しくは1〜数個のアミノ酸の付加、挿入、又はこれらの組合せによりアミノ酸配列に変異(変化)が生じていることをいう。ここでのアミノ酸配列の相違はタンナーゼ活性が保持される限り許容される(活性の多少の変動があってもよい)。この条件を満たす限りアミノ酸配列が相違する位置は特に限定されず、また複数の位置で相違が生じていてもよい。ここでの「複数」とは例えば全アミノ酸の約30%未満に相当する数であり、好ましくは約20%未満に相当する数であり、さらに好ましくは約10%未満に相当する数であり、より一層好ましくは約5%未満に相当する数であり、最も好ましくは約1%未満に相当する数である。即ち等価タンパク質は、配列番号5のアミノ酸配列と例えば約70%以上、好ましくは約80%以上、さらに好ましくは約90%以上、より一層好ましくは約95%以上、最も好ましくは約99%以上の同一性を有する。
好ましくは、タンナーゼ活性に必須でないアミノ酸残基において保存的アミノ酸置換を生じさせることによって等価タンパク質を得る。ここでの「保存的アミノ酸置換」とは、あるアミノ酸残基を、同様の性質の側鎖を有するアミノ酸残基に置換することをいう。アミノ酸残基はその側鎖によって塩基性側鎖(例えばリシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えばアスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えばグリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分岐側鎖(例えばスレオニン、バリン、イソロイシン)、芳香族側鎖(例えばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)のように、いくつかのファミリーに分類されている。保存的アミノ酸置換は好ましくは、同一のファミリー内のアミノ酸残基間の置換である。
「等価タンパク質」が付加的な性質を有していてもよい。かかる性質として、例えば、配列番号5に示すアミノ酸配列からなるタンパク質に比べて安定性に優れているという性質、低温及び/又は高温においてのみ異なる機能を発揮するという性質、至適pHが異なるという性質等が挙げられる。
ところで、二つのアミノ酸配列又は二つの核酸(以下、これらを含む用語として「二つの配列」を使用する)の同一性(%)は例えば以下の手順で決定することができる。まず、最適な比較ができるよう二つの配列を並べる(例えば、第一の配列にギャップを導入して第二の配列とのアライメントを最適化してもよい)。第一の配列の特定位置の分子(アミノ酸残基又はヌクレオチド)が、第二の配列における対応する位置の分子と同じであるとき、その位置の分子が同一であるといえる。二つの配列の同一性は、その二つの配列に共通する同一位置の数の関数であり(すなわち、同一性(%)=同一位置の数/位置の総数 × 100)、好ましくは、アライメントの最適化に要したギャップの数およびサイズも考慮に入れる。
二つの配列の比較及び同一性の決定は数学的アルゴリズムを用いて実現可能である。配列の比較に利用可能な数学的アルゴリズムの具体例としては、KarlinおよびAltschul (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264-68に記載され、KarlinおよびAltschul (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-77において改変されたアルゴリズムがあるが、これに限定されることはない。このようなアルゴリズムは、Altschulら (1990) J. Mol. Biol. 215:403-10に記載のNBLASTプログラムおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)に組み込まれている。本発明の核酸分子に等価なヌクレオチド配列を得るには例えば、NBLASTプログラムでscore = 100、wordlength = 12としてBLASTヌクレオチド検索を行えばよい。本発明のポリペプチド分子に等価なアミノ酸配列を得るには例えば、XBLASTプログラムでscore = 50、wordlength = 3としてBLASTポリペプチド検索を行えばよい。比較のためのギャップアライメントを得るためには、Altschulら (1997) Amino Acids Research 25(17):3389-3402に記載のGapped BLASTが利用可能である。BLASTおよびGapped BLASTを利用する場合は、対応するプログラム(例えばXBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメータを使用することができる。詳しくはhttp://www.ncbi.nlm.nih.govを参照されたい。配列の比較に利用可能な他の数学的アルゴリズムの例としては、MyersおよびMiller (1988) Comput Appl Biosci. 4:11-17に記載のアルゴリズムがある。このようなアルゴリズムは、例えばGENESTREAMネットワークサーバー(IGH Montpellier、フランス)またはISRECサーバーで利用可能なALIGNプログラムに組み込まれている。アミノ酸配列の比較にALIGNプログラムを利用する場合は例えば、PAM120残基質量表を使用し、ギャップ長ペナルティ=12、ギャップペナルティ=4とすることができる。
二つのアミノ酸配列の同一性を、GCGソフトウェアパッケージのGAPプログラムを用いて、Blossom 62マトリックスまたはPAM250マトリックスを使用し、ギャップ加重=12、10、8、6、又は4、ギャップ長加重=2、3、又は4として決定することができる。また、二つの核酸配列の相同度を、GCGソフトウェアパッケージ(http://www.gcg.comで利用可能)のGAPプログラムを用いて、ギャップ加重=50、ギャップ長加重=3として決定することができる。
本酵素が、より大きいタンパク質(例えば融合タンパク質)の一部であってもよい。融合タンパク質において付加される配列としては、例えば、多重ヒスチジン残基のような精製に役立つ配列、組み換え生産の際の安定性を確保する付加配列等が挙げられる。
上記アミノ酸配列を有する本酵素は、遺伝子工学的手法によって容易に調製することができる。例えば、本酵素をコードするDNAで適当な宿主細胞(例えば大腸菌)を形質転換し、形質転換体内で発現されたタンパク質を回収することにより調製することができる。回収されたタンパク質は目的に応じて適宜精製される。このように組換えタンパク質として本酵素を得ることにすれば種々の修飾が可能である。例えば、本酵素をコードするDNAと他の適当なDNAとを同じベクターに挿入し、当該ベクターを用いて組換えタンパク質の生産を行えば、任意のペプチドないしタンパク質が連結された組換えタンパク質からなる本酵素を得ることができる。また、糖鎖及び/又は脂質の付加や、あるいはN末端若しくはC末端のプロセッシングが生ずるような修飾を施してもよい。以上のような修飾により、組換えタンパク質の抽出、精製の簡便化、又は生物学的機能の付加等が可能である。
(タンナーゼをコードするDNA)
本発明の第2の局面は本酵素をコードする遺伝子、即ち新規なタンナーゼ遺伝子を提供する。一態様において本発明の遺伝子は、配列番号5のアミノ酸配列をコードするDNAからなる。当該態様の具体例は、配列番号4に示す塩基配列からなるDNAである。
ところで、一般に、あるタンパク質をコードするDNAの一部に改変を施した場合において、改変後のDNAがコードするタンパク質が、改変前のDNAがコードするタンパク質と同等の機能を有することがある。即ちDNA配列の改変が、コードするタンパク質の機能に実質的に影響を与えず、コードするタンパク質の機能が改変前後において維持されることがある。そこで本発明は他の態様として、配列番号4に示す塩基配列と等価な塩基配列を有し、タンナーゼ活性をもつタンパク質をコードするDNA(以下、「等価DNA」ともいう)を提供する。ここでの「等価な塩基配列」とは、配列番号4に示す核酸と一部で相違するが、当該相違によってそれがコードするタンパク質の機能(ここではタンナーゼ活性)が実質的な影響を受けていない塩基配列のことをいう。
等価DNAの具体例は、配列番号4に示す塩基配列に相補的な塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAである。ここでの「ストリンジェントな条件」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。このようなストリンジェントな条件は当業者に公知であって例えばMolecular Cloning(Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York)やCurrent protocols in molecular biology(edited by Frederick M. Ausubel et al., 1987)を参照して設定することができる。ストリンジェントな条件として例えば、ハイブリダイゼーション液(50%ホルムアミド、10×SSC(0.15M NaCl, 15mM sodium citrate, pH 7.0)、5×Denhardt溶液、1% SDS、10% デキストラン硫酸、10μg/mlの変性サケ精子DNA、50mMリン酸バッファー(pH7.5))を用いて約42℃〜約50℃でインキュベーションし、その後0.1×SSC、0.1% SDSを用いて約65℃〜約70℃で洗浄する条件を挙げることができる。更に好ましいストリンジェントな条件として例えば、ハイブリダイゼーション液として50%ホルムアミド、5×SSC(0.15M NaCl, 15mM sodium citrate, pH 7.0)、1×Denhardt溶液、1%SDS、10%デキストラン硫酸、10μg/mlの変性サケ精子DNA、50mMリン酸バッファー(pH7.5)を用いる条件を挙げることができる。
等価DNAの他の具体例として、配列番号4に示す塩基配列を基準として1若しくは複数の塩基の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含む塩基配列からなり、タンナーゼ活性をもつタンパク質をコードするDNAを挙げることができる。塩基の置換や欠失などは複数の部位に生じていてもよい。ここでの「複数」とは、当該DNAがコードするタンパク質の立体構造におけるアミノ酸残基の位置や種類によっても異なるが例えば2〜40塩基、好ましくは2〜20塩基、より好ましくは2〜10塩基である。以上のような等価DNAは例えば、制限酵素処理、エキソヌクレアーゼやDNAリガーゼ等による処理、位置指定突然変異導入法(Molecular Cloning, Third Edition, Chapter 13 ,Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York)やランダム突然変異導入法(Molecular Cloning, Third Edition, Chapter 13 ,Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York)による変異の導入などを利用して、塩基の置換、欠失、挿入、付加、及び/又は逆位を含むように配列番号4に示す塩基配列を有するDNAを改変することによって得ることができる。また、紫外線照射など他の方法によっても等価DNAを得ることができる。等価DNAの更に他の例として、SNP(一塩基多型)に代表される多型に起因して上記のごとき塩基の相違が認められるDNAを挙げることができる。
本発明の遺伝子は、本明細書又は添付の配列表が開示する配列情報を参考にし、標準的な遺伝子工学的手法、分子生物学的手法、生化学的手法などを用いることによって単離された状態に調製することができる。具体的には、適当なアスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)のゲノムDNAライブラリー又はcDNAライブラリー、或はアスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)の菌体内抽出液から、本発明の遺伝子に対して特異的にハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドプローブ・プライマーを適宜利用して調製することができる。オリゴヌクレオチドプローブ・プライマーは、市販の自動化DNA合成装置などを用いて容易に合成することができる。尚、本発明の遺伝子を調製するために用いるライブラリーの作製方法については、例えばMolecular Cloning, Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New Yorkを参照できる。
例えば、配列番号4に示す塩基配列を有する遺伝子であれば、当該塩基配列又はその相補配列の全体又は一部をプローブとしたハイブリダイゼーション法を利用して単離することができる。また、当該塩基配列の一部に特異的にハイブリダイズするようにデザインされた合成オリゴヌクレオチドプライマーを用いた核酸増幅反応(例えばPCR)を利用して増幅及び単離することができる。また、配列番号5に示されるアミノ酸配列や配列番号4に示される塩基配列の情報を元にして、化学合成によって目的とする遺伝子を得ることもできる(参考文献:Gene,60(1), 115-127 (1987))。
以下、本発明の遺伝子の取得法の具体例を示す。まず、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)から本酵素(タンナーゼ)を単離・精製し、その部分アミノ酸配列に関する情報を得る。部分アミノ酸配列決定方法としては、例えば、精製したタンナーゼを直接常法に従ってエドマン分解法〔ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー、第 256巻、第7990〜7997頁(1981)〕によりアミノ酸配列分析〔プロテイン−シーケンサ476A、アプライド バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製等〕に供する。タンパク質加水分解酵素を作用させて限定加水分解を行い、得られたペプチド断片を分離精製し、得られた精製ペプチド断片についてアミノ酸配列分析を行うのが有効である。
このようにして得られる部分アミノ酸配列の情報を基にタンナーゼ遺伝子をクローニングする。例えば、ハイブリダイゼーション法又はPCRを利用してクローニングを行うことができる。ハイブリダイゼーション法を利用する場合、例えば、Molecular Cloning(Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York)に記載の方法を用いることができる。
PCR法を利用する場合、以下の方法を用いることができる。まず、タンナーゼを産生する微生物のゲノムDNAを鋳型とし、部分アミノ酸配列の情報を基にデザインした合成オリゴヌクレオチドプライマーを用いてPCR反応を行い、目的の遺伝子断片を得る。PCR法は、PCRテクノロジー〔PCR Technology、エルリッヒ(Erlich)HA編集、ストックトンプレス社(Stocktonpress)、1989年発行〕に記載の方法に準じて行う。更に、この増幅DNA断片について通常用いられる方法、例えば、ジデオキシチェーンターミネーター法で塩基配列を決定すると、決定された配列中に合成オリゴヌクレオチドプライマーの配列以外にタンナーゼの部分アミノ酸配列に対応する配列が見出され、目的のタンナーゼ遺伝子の一部を取得することができる。得られた遺伝子断片をプローブとして更にハイブリダイゼーション法等を行うことによってタンナーゼ全長をコードする遺伝子をクローニングすることができる。
後述の実施例では、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)が産生するタンナーゼをコードする遺伝子の配列をPCR法を利用して決定した。アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)由来のタンナーゼをコードする遺伝子の全塩基配列を配列番号4に示した。また、当該塩基配列がコードするアミノ酸配列を決定した(配列番号5)。なお、配列番号5に示すアミノ酸配列に対応する塩基配列は配列番号4に記載したもの以外に複数存在する。
全塩基配列が明らかにされたタンナーゼ遺伝子(配列番号4)の全体あるいは一部分をハイブリダイゼーション用のプローブとして用いることによって、他のタンナーゼを産生する微生物のゲノムDNAライブラリーあるいはcDNAライブラリーから、配列番号4のタンナーゼ遺伝子と相同性の高いDNAを選別することができる。
同様に、PCR用のプライマーをデザインすることができる。このプライマーを用いてPCR反応を行うことによって、上記タンナーゼ遺伝子と相同性の高い遺伝子断片を検出し、さらにはその遺伝子全体を得ることもできる。
得られた遺伝子のタンパク質を製造し、そのタンナーゼ活性を測定することにより、タンナーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子であるか否かを確認することができる。また、得られた遺伝子の塩基配列(又はそれがコードするアミノ酸配列)を上記タンナーゼ遺伝子の塩基配列(又はそれがコードするアミノ酸配列)と比較することで遺伝子構造や相同性を調べ、タンナーゼ活性を有するタンパク質をコードするか否かを判定することにしてもよい。
一次構造及び遺伝子構造が明らかとなったことから、ランダム変異あるいは部位特異的変異の導入によって改変型タンナーゼ(1個又は複数個のアミノ酸残基の欠失、付加、挿入若しくは置換の少なくとも1つが施された遺伝子)を得ることが可能である。これにより、タンナーゼ活性を有するが、至適温度、安定温度、至適pH、安定pH、基質特異性等の性質が異なるタンナーゼをコードする遺伝子を得ることが可能となる。また、遺伝子工学的に改変型タンナーゼを製造することが可能となる。
ここで、変異を導入する際の計画は、例えば、遺伝子配列上の特徴的な配列を参酌して行われる。特徴的な配列の参酌は、例えば、そのタンパク質の立体構造予測、既知のタンパク質との相同性を考慮することにより行うことができる。
ランダム変異を導入する方法を例示すると、DNAを化学的に処理する方法として、亜硫酸水素ナトリウムを作用させシトシン塩基をウラシル塩基に変換するトランジション変異を起こさせる方法〔プロシーディングズ オブ ザ ナショナル アカデミー オブサイエンシーズ オブ ザ USA、第79巻、第1408〜1412頁(1982)〕、生化学的方法として、〔α-S〕dNTP存在下、二本鎖を合成する過程で塩基置換を生じさせる方法〔ジーン(Gene)、第64巻、第313〜319頁(1988)〕、PCRを用いる方法として、反応系にマンガンを加えて PCRを行い、ヌクレオチドの取込みの正確さを低くする方法〔アナリティカル バイオケミストリー(Analytical Biochemistry)、第224巻、第347〜353頁(1995)〕等である。
部位特異的変異を導入する方法を例示すると、アンバー変異を利用する方法〔ギャップド デュプレックス(gapped duplex)法、ヌクレイック アシッズ リサーチ(Nucleic Acids Research)、第12巻、第24号、第9441〜9456頁(1984)〕、制限酵素の認識部位を利用する方法〔アナリティカル バイオケミストリー、第200巻、第81〜88頁(1992)、ジーン、第102巻、第67〜70頁(1991)〕、dut(dUTPase)とung(ウラシルDNA グリコシラーゼ)変異を利用する方法〔クンケル(Kunkel)法、プロシーディングズ オブ ザ ナショナル オブ サイエンシーズ オブ ザ USA、第82巻、第488 〜492 頁(1985)〕、DNAポリメラーゼ及びDNAリガーゼを用いたアンバー変異を利用する方法〔オリゴヌクレオチド−ダイレクティッド デュアル アンバー(Oligonucleotide-directed Dual Amber:ODA)法、ジーン、第152巻、第271〜275頁(1995)、特開平7-289262号公報〕、DNAの修復系を誘導させた宿主を利用する方法(特開平8-70874号公報)、DNA鎖交換反応を触媒するタンパク質を利用する方法(特開平8-140685号公報)、制限酵素の認識部位を付加した2種類の変異導入用プライマーを用いたPCRによる方法(USP5,512,463)、不活化薬剤耐性遺伝子を有する二本鎖DNAベクターと2種類のプライマーを用いたPCRによる方法〔ジーン、第103巻、第73〜77頁(1991)〕、アンバー変異を利用したPCRによる方法〔国際公開WO98/02535号公報〕等である。
市販されているキットを使用することにより、部位特異的変異を容易に導入することもできる。市販のキットとしては、例えば、ギャップド デュプレックス法を用いた Mutan(登録商標)-G(タカラバイオ株式会社)、クンケル法を用いた Mutan(登録商標)-K(タカラバイオ株式会社)、ODA 法を用いたMutan(登録商標)-ExpressKm(タカラバイオ株式会社)、変異導入用プライマーとピロコッカス フリオサス(Pyrococcus furiosus)由来 DNAポリメラーゼを用いたQuikChangeTM Site-Directed Mutagenesis Kit〔ストラタジーン(STRATAGENE)社〕等を用いることができ、また、PCR法を利用するキットとして、TaKaRa LA PCR in vitro Mutagenesis Kit(タカラバイオ株式会社)、Mutan(登録商標)-Super Express Km(タカラバイオ株式会社)等を用いることができる。
このように、本発明によりタンナーゼの一次構造及び遺伝子構造が提供されたことにより、タンナーゼ活性を有するタンパク質の安価で高純度な遺伝子工学的製造が可能となる。
(組換えベクター)
本発明のさらなる局面は本発明の遺伝子を含有する組換えベクターに関する。本明細書において用語「ベクター」は、それに挿入された核酸分子を細胞等のターゲット内へと輸送することができる核酸性分子をいい、その種類、形態は特に限定されるものではない。従って、本発明のベクターはプラスミドベクター、コスミドベクター、ファージベクター、ウイルスベクター(アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター等)の形態をとり得る。
使用目的(クローニング、タンパク質の発現)に応じて、また宿主細胞の種類を考慮して適当なベクターが選択される。ベクターの具体例を挙げれば、大腸菌を宿主とするベクター(M13ファージ又はその改変体、λファージ又はその改変体、pBR322又はその改変体(pB325、pAT153、pUC8など)など)、酵母を宿主とするベクター(pYepSec1、pMFa、pYES2等、昆虫細胞を宿主とするベクター(pAc、pVLなど)、哺乳類細胞を宿主とするベクター(pCDM8、pMT2PCなど)等である。
本発明の組換えベクターは好ましくは発現ベクターである。「発現ベクター」とは、それに挿入された核酸を目的の細胞(宿主細胞)内に導入することができ、且つ当該細胞内において発現させることが可能なベクターをいう。発現ベクターは通常、挿入された核酸の発現に必要なプロモーター配列や発現を促進させるエンハンサー配列等を含む。選択マーカーを含む発現ベクターを使用することもできる。かかる発現ベクターを用いた場合には選択マーカーを利用して発現ベクターの導入の有無(及びその程度)を確認することができる。
本発明の遺伝子のベクターへの挿入、選択マーカー遺伝子の挿入(必要な場合)、プロモーターの挿入(必要な場合)等は標準的な組換えDNA技術(例えば、Molecular Cloning, Third Edition, 1.84, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New Yorkを参照することができる、制限酵素及びDNAリガーゼを用いた周知の方法)を用いて行うことができる。
(形質転換体)
本発明は更に、本発明の遺伝子が導入された形質転換体に関する。本発明の形質転換体では、本発明の遺伝子が外来性の分子として存在することになる。本発明の形質転換体は、好ましくは、上記本発明のベクターを用いたトランスフェクション乃至はトランスフォーメーションによって調製される。トランスフェクション、トランスフォーメーションはリン酸カルシウム共沈降法、エレクトロポーレーション(Potter, H. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 81, 7161-7165(1984))、リポフェクション(Felgner, P.L. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 84,7413-7417(1984))、マイクロインジェクション(Graessmann, M. & Graessmann,A., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 73,366-370(1976))、Hanahanの方法(Hanahan, D., J. Mol. Biol. 166, 557-580(1983))、酢酸リチウム法(Schiestl, R.H. et al., Curr. Genet. 16, 339-346(1989))、プロトプラスト−ポリエチレングリコール法(Yelton, M.M. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 81, 1470-1474(1984))等によって実施することができる。
宿主細胞としては微生物、動物細胞、植物細胞等を用いることができる。微生物としては、大腸菌、Bacillus属、Streptomyces属、Lactococcus属等の細菌、Saccharomyces属、Pichia属、Kluyveromyces属等の酵母、Aspergillus属、Penicillium属、Trichoderma属等の糸状菌が挙げられる。動物細胞としては、バキュロウイルスの系統が挙げられる。
(タンナーゼの製造法)
本発明の更なる局面はタンナーゼの製造法を提供する。本発明の製造法の一態様では、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)及びアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)からなる群より選択される微生物を培養するステップ(ステップ(1))及び培養後の培養液及び/又は菌体より、タンナーゼを回収するステップ(ステップ(2))が行われる。後述の実施例に示す通り、本発明者らの検討によって耐熱性に優れたタンナーゼを産生する菌株として、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)(表3のNo. 1725、NBRC-4033)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)(表3のNo. 1332、No. 1349、No. 1363)が見出された。本発明の製造法では、好ましくはこれらの微生物のいずれかを用いてステップ(1)を実施する。より好ましくは、耐熱性に優れたタンナーゼを高生産するアスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)NBRC-4033(IFO-4033)を用いてステップ(1)を実施する。培養法及び培養条件は、目的の酵素が生産されるものである限り特に限定されない。即ち、本酵素が生産されることを条件として、使用する微生物の培養に適合した方法や培養条件を適宜設定できる。培養法としては液体培養、固体培養のいずれでも良いが、好ましくは液体培養が利用される。液体培養を例にとり、その培養条件を説明する。
培地としては、使用する微生物が生育可能な培地であれば、如何なるものでも良い。例えば、グルコース、シュクロース、ゲンチオビオース、可溶性デンプン、グリセリン、デキストリン、糖蜜、有機酸等の炭素源、更に硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、あるいは、ペプトン、酵母エキス、コーンスティープリカー、カゼイン加水分解物、ふすま、肉エキス等の窒素源、更にカリウム塩、マグネシウム塩、ナトリウム塩、リン酸塩、マンガン塩、鉄塩、亜鉛塩等の無機塩を添加したものを用いることができる。使用する微生物の生育を促進するためにビタミン、アミノ酸などを培地に添加してもよい。また、タンナーゼの生産を誘導するためにタンニン酸を培地に添加してもよい。培地のpHは例えば約3〜10、好ましくは約5〜6程度に調整し、培養温度は通常約10〜50℃、好ましくは約27〜33℃程度で、1〜7日間、好ましくは3〜4日間程度好気的条件下で培養する。培養法としては例えば振盪培養法、ジャー・ファーメンターによる好気的深部培養法が利用できる。
以上の条件で培養した後、培養液又は菌体よりタンナーゼを回収する(ステップ(2))。培養液から回収する場合には、例えば培養上清をろ過、遠心処理等することによって不溶物を除去した後、限外ろ過膜による濃縮、硫安沈殿等の塩析、透析、イオン交換樹脂等の各種クロマトグラフィーなどを適宜組み合わせて分離、精製を行うことにより本酵素を得ることができる。
他方、菌体内から回収する場合には、例えば菌体を加圧処理、超音波処理などによって破砕した後、上記と同様に分離、精製を行うことにより本酵素を得ることができる。尚、ろ過、遠心処理などによって予め培養液から菌体を回収した後、上記一連の工程(菌体の破砕、分離、精製)を行ってもよい。本酵素の精製度は特に限定されない。また、最終的な形態は液体状であっても固体状(粉体状を含む)であってもよい。尚、発現の確認や発現産物の確認は、タンナーゼに対する抗体を用いて行うことが簡便であるが、タンナーゼ活性を測定することにより発現の確認を行うこともできる。
本発明の他の態様では、上記の形質転換体を用いてタンナーゼを製造する。この態様の製造法ではまず、それに導入された遺伝子によってコードされるタンパク質が産生される条件下で上記の形質転換体を培養する(ステップ(i))。様々なベクター宿主系に関して形質転換体の培養条件が公知であり、当業者であれば適切な培養条件を容易に設定することができる。培養ステップに続き、産生されたタンパク質(即ち、タンナーゼ)を回収する(ステップ(ii))。回収及びその後の精製については、上記態様の場合と同様に行えばよい。
(酵素剤)
本酵素は例えば酵素剤の形態で提供される。酵素剤は、有効成分(本発明の酵素)の他、賦形剤、緩衝剤、懸濁剤、安定剤、保存剤、防腐剤、生理食塩水などを含有していてもよい。賦形剤としては乳糖、ソルビトール、D-マンニトール、白糖等を用いることができる。緩衝剤としてはリン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩等を用いることができる。安定剤としてはプロピレングリコール、アスコルビン酸等を用いることができる。保存剤としてはフェノール、塩化ベンザルコニウム、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチルパラベン等を用いることができる。防腐剤としては塩化ベンザルコニウム、パラオキシ安息香酸、クロロブタノール等と用いることができる。
(タンナーゼの用途)
本発明の更なる局面は、本酵素の用途として、本酵素(又は本酵素を含有する酵素剤)を用いた加水分解法を提供する。本発明の加水分解法では、本酵素(又は本酵素を含有する酵素剤)を、タンニン又はタンニンを含む組成物に対して作用させる。本発明の加水分解法は、タンニンを含む食品の品質改善に有効である。例えば、茶系飲料のクリームダウン防止、果汁飲料又は野菜飲料或いはビール系飲料等の沈殿(澱)ないし混濁防止に利用される。ここでの「茶系飲料」とは、茶葉又は茶葉以外の植物の抽出成分を含む飲料である。茶系飲料の例は、緑茶、紅茶、ウーロン茶、杜仲茶、ハーブ茶等である。「果汁飲料」とは、果実の搾汁などによって得られる果汁を用いて製造される飲料である。同様に「野菜飲料」とは、野菜汁を用いて製造される飲料である。「ビール系飲料」には、ビール、発泡酒、及びビールに類似した風味・のどごしを持ったアルコール飲料(酒税上、その他の雑種・リキュール類に分類される、いわゆる第3のビール等)が含まれる。尚、本発明の加水分解法の適用対象となる飲料は上記の例に限定されるものではない。例えば、果汁入り茶系飲料、果汁及び野菜汁を用いた野菜果実飲料などの品質改善にも本発明の加水分解法を適用することができる。
上記の通り本酵素は、安定に作用するpH域が広い。即ち、本酵素はpH3.0〜8.0で安定であり、弱酸性及び中性域の食品等への使用が可能である。茶系飲料のpHは中性域にあり、果汁飲料pHは弱酸性域にあるが、本酵素は両者に対して良好に作用する。一方、本酵素は至適温度が60〜70℃であるため、例えば茶葉からの加熱抽出と同時に反応を行なうことも可能である。また、本酵素によれば、「腐敗防止の観点から高温での反応が望ましい」という要望に応えることができる。尚、本酵素は、飲料の製造工程において通常の加熱殺菌条件(例えば95℃以上)で速やかに失活するため、本酵素の失活のための特別な加熱工程を必要としない。もっとも、本酵素の失活のための加熱工程を設けることを妨げるものではない。
<タンナーゼ活性測定方法>
以下の通り、Deschampsの方法(J.Ferment.Technol.61 [1] 55-59, 1983)を改変し、タンナーゼの活性を測定した。
1%タンニン酸(Tannic acid, ACS Reagent 〔SIGMA〕)を含む50mMクエン酸緩衝液(pH5.0)0.5mLに酵素溶液0.5mlを添加して、37℃、30分間インキュベートした後、2% BSAを含む0.2M酢酸緩衝液(pH5.0)を添加して反応を停止する。反応停止後、氷中にて20分間静置した後、3,000rpm、20分間遠心する。得られた上清を50倍希釈して波長260nmにおける吸光度を測定する。没食子酸を用いて検量線を作成し、1分間に1μモルの没食子酸を遊離する酵素量を1単位とする。
<基質特異性測定方法>
以下の通り、Sharmaの方法(Anal.Biochem. 279, 85-89, 2000)を改変した方法によって基質特異性を検討した。
0.17%タンニン酸または10mM 没食子酸エステル(没食子酸メチル、没食子酸エチル、没食子酸プロピルおよび没食子酸イソアミル)を含む50mMクエン酸緩衝液(pH5.0)125μLに酵素溶液125μLを添加して、37℃、30分間インキュベートした後、0.667% Rhodanineを含むメタノール 300μLを添加・混合し10分間静置する。次に、0.5N NaOH 200μLを添加・混合し10分間静置する。続いて、9mLの蒸留水で希釈し、5分間放置した後、波長520nmにおける吸光度を測定する。没食子酸を用いて検量線を作成し、1分間に1μモルの没食子酸を生成する活性を1単位とする。
1.耐熱性タンナーゼ産生菌のスクリーニング
固体培養の浸液又は液体培養の培養上清中にタンナーゼ活性が認められた各種菌株のうち、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)に属する5菌株(1332株、1349株、1363株、9331株、9340株)とアスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)に属する3菌株(1725株、1736株、NBRC-4033株)について耐熱性タンナーゼの産生の有無を調べた。それぞれの菌株をポテトデキストロース寒天培地(栄研化学)上で30℃、良好な胞子形成が達成されるまで10〜14日間培養した。得られたコロニー上に形成された胞子を、滅菌胞子懸濁用バッファー(0.85% NaCl、0.05% TWEEN(登録商標)80)で掻き取り、胞子懸濁液を調製した。この胞子懸濁液を表1の培地に接種して、30℃、3日間振とう培養した。この培養液を表2の培地に接種し、30℃、4日間振とう培養した。
Figure 2010047047
Figure 2010047047
得られた各培養上清を65℃で所定時間(30分、60分、90分)処理した後、上記タンナーゼ活性測定方法でタンナーゼ活性を測定した。測定結果を表3に示す。表3では、65℃で30分処理した後の各培養上清のタンナーゼ活性(実測値)と、処理時間と残存タンナーゼ活性の変化が示される。処理時間が60分又は90分の残存タンナーゼ活性については処理時間が30分のときを基準(100%)とした相対値で示した。
Figure 2010047047
表3に示した通り、供試菌株はいずれも耐熱性タンナーゼを産生することが示された。
2.アスペルギルス・アワモリNBRC-4033(Aspergillus awamori)(IFO-4033)由来タンナーゼの生産および精製
1.に示したアスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)NBRC-4033(IFO-4033)の胞子懸濁液を表1の培地に接種して、30℃、3日間振とう培養した。この培養液を表4の培地に接種し、30℃、4日間振とう培養した。この培養上清のタンナーゼ活性は0.35単位/mlであった。次いで、得られた培養液を、珪藻土(ファインフローA)をろ過助剤として用いてろ別し、ろ液を得た。このろ液をUFモジュール(ACP-2010、旭化成)を用いて脱塩し、濃縮した。この濃縮液のタンナーゼ活性は、6.9単位/mlであった。
Figure 2010047047
次に、濃縮液を20mMクエン酸緩衝液(pH3.5)で2倍希釈し、0.45μmフィルターでろ過した後、同緩衝液で平衡化したHiTrapTM Sepharose FF 5mlに供し、1M NaCl含有20mMクエン酸緩衝液(pH3.5)で直線濃度勾配法にて溶出し、タンナーゼ画分を得た。このタンナーゼ画分に3Mとなるよう硫安を添加・溶解し、3M 硫安含有20mMクエン酸緩衝液(pH5.0)で平衡化したHiTrapTM Phenyl HP 5mlで分画した。得られたタンナーゼ画分をPD-10カラムを用いて脱塩し、Amicon(登録商標) Ultra-15(MWCO 10,000)にて濃縮し、精製酵素標品を得た。得られた本精製酵素は下記の諸性質の検討に供し、またN末端アミノ酸配列分析に供した。
精製酵素の一部を、0.15M NaCl含有20mMクエン酸緩衝液(pH6.0)にて平衡化したHiLoad 16/60 SuperdexTM 200pg(アマシャム社)を用いたゲルろ過HPLCに供し、分子量を測定した。分子量マーカーの溶出位置から推定された本酵素の分子量は、約23万Daであった。
精製酵素の一部を、SDS-PAGEに供したところ、9〜10万Daにブロードなバンドが出現した。本精製酵素の一部を、エンドグリコシダーゼH(Roche社)を用いて処理した後、同様にSDS-PAGEに供したところ、約67KDaのシャープなバンドが出現した。
3.耐熱性タンナーゼの諸性質
(1)至適反応温度
上記タンナーゼ活性測定法に準じ、反応温度を30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃及び80℃で反応させた。最高活性を示した温度での値を100%とした相対活性で各測定結果を示した(図1)。至適反応温度は70℃付近であった。
(2)至適反応pH
基質には1%タンニン酸を用い、各緩衝液(クエン酸緩衝液pH3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、リン酸緩衝液pH6.0、6.5、7.0、7.5、8.0)中、37℃、30分間の反応条件下で測定した。最大活性値を示したpHの値を100%とした相対活性で各測定結果を示した(図2)。至適反応pHは約5.5であった。
(3)温度安定性
50mMクエン酸緩衝液(pH5.0)中、30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃及び80℃の各温度下、30分間熱処理した後、残存活性を上記タンナーゼ活性測定法にて測定した。熱に対して未処理の活性を100%とした残存活性で各測定結果を示した(図3)。65℃、30分間の熱処理では、90%以上の残存活性を有しており、65℃までは安定であった。
(4)pH安定性
各緩衝液(クエン酸緩衝液pH3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、リン酸緩衝液pH6.0、6.5、7.0、7.5、8.0)中、30℃で30分処理後、0.2M酢酸緩衝液(pH5.0)で5倍希釈して、上記タンナーゼ活性測定法にて活性を測定した。最大活性値を示したpHの値を100%とした相対活性で各測定結果を示した(図4)。安定pH域は3〜8であった。
(5)SDS-PAGEによる分子量測定
SDS-PAGEはLaemmliらの方法に従い行った。なお、用いた分子量マーカーは、タンパク質分子量マーカーII(TEFCO)であり、標準タンパク質としてMyosin, rabbit muscle (205KDa)、galactosidase, E.coli (116KDa)、Phosphorylase b, rabbitmuscle (97.4KDa) 、Bovine serum albumin (69KDa)、Glutamic dehydrogenase (55KDa)、Lactic dehydrogenase, porcine muscle (36.5KDa)、Carbonic anhydrase, bovine liver (29KDa),Trypsin inhibitor, soybean (20.1KDa)、Lysozyme, chicken egg white (14.3KDa)、Aprotinin, bovine lung (6.5KDa)、Insulin B chain, bovine pancreas (3.5KDa)を含んでいた。ゲル濃度10〜20%のグラジエントゲル(第一化学)を用いて、20mA/ゲルで約60分間電気泳動を行い、分子量を求めた結果、9〜10万Daにブロードなバンドが出現した。エンドグリコシダーゼH(Roche社)を用いて処理した後、同様にSDS-PAGEに供したところ、分子量は約67KDaであった。よって、本酵素は糖鎖を持つことが確認された。また、この分子量は、本発明中に開示した遺伝子配列から算出される大きさと一致した。
(6)等電点
PhastSystem(GEヘルスケア バイオサイエンス株式会社)を使用した等電点電気泳動により測定したところ、本酵素の等電点は6.4であった。
(7)金属イオンおよび阻害剤の影響
50mMクエン酸緩衝液(pH5.0)中のタンナーゼに20mMの各種金属イオンおよびEDTA、または0.4M、0.8M、2Mおよび4M尿素をそれぞれ添加し、30℃、30分間処理した後、上記タンナーゼ活性測定法にて活性を測定した。その結果を表5に示した。無添加の場合を100%とした相対活性で各測定結果を示した。金属イオンおよびEDTAでは阻害を受けなかった。また、尿素添加により活性が上昇した。
Figure 2010047047
(8)基質特異性
タンニン酸および没食子酸エステル(没食子酸メチル、没食子酸エチル、没食子酸プロピルおよび没食子酸イソアミル)に対する基質特異性を、上記基質特異性測定法にて測定した。タンニン酸に対する分解活性を100%としたときの、各没食子酸エステルに対する分解活性は各没食子酸メチル41%、各没食子酸エチル30%、各没食子酸プロピル29%、各没食子酸イソアミル27%であった。
4.アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)由来のタンナーゼをコードする遺伝子断片の取得
(a)染色体DNAの単離
2.で得られたアスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)の菌体から斉藤・三浦の方法(Biochim. Biophys. Acta, 72, 619-629, 1963) によりゲノムDNAを調製した。
(b)部分アミノ酸配列の決定
2.で得られたタンナーゼの精製標品をアミノ酸配列解析に供し、7残基のN末端アミノ酸配列(配列番号1)を決定した。判明した配列を参考に、BLASTで一致する配列を持つタンナーゼを検索した。その結果、7残基すべてが一致するタンナーゼは、Aspergillus niger CBS 513.88 hypothetical protein (An04g04430)1種類のみであった。また、このタンナーゼ以外に、7残基が一致するAspergillus属由来タンパク質はBLASTに登録されていなかった。
(c)PCRによるDNAプローブの作製
N末端アミノ酸配列およびAspergillus niger CBS 513.88 hypothetical protein (An04g04430)の配列をもとに、2種の混合オリゴヌクレオチドを合成し、PCRプライマーとした(配列番号2、3)。これらのプライマーとアスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)の染色体DNAを鋳型として、以下の条件下、PCR反応を行なった。
<PCR反応液>
10×PCR反応緩衝液(タカラバイオ株式会社) 5.0μl
dNTP混合液(それぞれ2.5 mM、タカラバイオ株式会社) 4.0μl
25mM MgCl2 5μl
100μM センス・プライマー 3.0μl
100μM アンチセンス・プライマー 3.0μl
蒸留水 28.5μl
染色体DNA溶液(140μg/ml) 1μl
LA Taq DNAポリメラーゼ(タカラバイオ株式会社) 0.5μl
<PCR反応条件>
ステージ1: 変性(94℃、5分) 1サイクル
ステージ2: 変性(94℃、30秒) 30サイクル
アニール(55℃、30秒)
伸長(72℃、1分)
得られた約0.72kbのDNA断片をpGEM-Teasy(Promega社)にクローニング後、塩基配列を確認したところ、センス・プライマーの直後に、上記の部分アミノ酸配列をコードする塩基配列が見出された。本DNA断片を全長遺伝子クローニングのためのDNAプローブとした。
(d)遺伝子ライブラリーの作製
アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)の染色体DNAのサザン・ハイブリダイゼーション解析の結果、BamHI+XhoI分解物中にプローブDNAとハイブリダイズする約3.6 kbのシングルバンドが確認された。この約3.6 kbのBamHI+XhoI DNA断片をクローニングするため、以下の様に遺伝子ライブラリーを作製した。上記(a)で調製した染色体DNAのBamHI+XhoI処理を行った。アスペルギルス・アワモリのゲノムDNA 10μg、10×K緩衝液5μl、蒸留水42μl、及びBamHIを3μl混合し、30℃で15時間処理した。得られた分解物をエタノール沈殿で精製した後、10×H緩衝液5μl、蒸留水42μl、及びXhoIを3μl混合し、37℃で15時間処理した。得られた分解物を同様にBamHI+XhoI処理したpBluescriptII KS(+)(Stratagene社)ベクターにライゲーションし、遺伝子ライブラリーを得た。
(e)遺伝子ライブラリーのスクリーニング
上記(c)で得た0.72kbのDNA断片をDIG-High Prime(Roche社)を用いてラベルした。これをDNAプローブとして、(d)で得た遺伝子ライブラリーをコロニー・ハイブリダイゼーションによりスクリーニングした。得られたポジティブコロニーからプラスミドpBluescriptII-TANを得た。
(f)塩基配列の決定
プラスミドpBluescriptII-TANの塩基配列を定法に従って決定した。タンナーゼをコードする塩基配列(1725bp)を配列番号4に示す。また配列番号4によりコードされるアミノ酸配列(574アミノ酸残基)を配列番号5に示す。このアミノ酸配列中には、(b)で決定したN末端領域アミノ酸配列(配列番号1)が見出された。
5.アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)由来タンナーゼのアスペルギルス・ニドランス(Aspergillus nidulans)での発現
(a)タンナーゼのアスペルギルス・ニドランス(Aspergillus nidulans)での発現プラスミドの構築
N末端領域アミノ酸配列およびC末端領域アミノ酸配列をコードするDNA配列をもとに、2種のオリゴヌクレオチド(配列番号6、7)を合成し、PCRプライマーとした。センス・プライマーにはEco22T制限酵素認識部位が、アンチセンス・プライマーにはKpnI制限酵素認識部位が付加されている。これらのプライマーとタンナーゼ遺伝子を有するプラスミドpBluescriptII-TANを鋳型として、以下の条件下、PCR反応を行なった。
<PCR反応液>
10×PCR反応緩衝液(TOYOBO社) 5.0μl
dNTP混合液(それぞれ2.5 mM、TOYOBO社) 5.0μl
10μM センス・プライマー 1.5μl
10μM アンチセンス・プライマー 1.5μl
25mM MgSO4 2μl
蒸留水 33μl
プラスミドpBluescriptII-TAN溶液 1.0μl
KOD -Plus- DNAポリメラーゼ(TOYOBO社) 1.0μl
<PCR反応条件>
ステージ1: 変性(94℃、2分) 1サイクル
ステージ2: 変性(94℃、15秒) 30サイクル
アニール(50℃、30秒)
伸長(68℃、2分30秒)
得られたPCR産物を電気泳動にて確認後、GENE CLEANE IIIで精製(15μl)、5μlの10×L緩衝液及びKpnI 3μlおよび蒸留水41μLを加え、37℃で6時間酵素処理した。得られた分解物をエタノール沈殿にて精製し、5μlの10×H緩衝液及びEcoT22I 3μlおよび蒸留水42μLを加え、37℃で15時間酵素処理した。得られた分解物を電気泳動にて確認、精製後、予めKpnI及びEcoT22Iで処理した発現用ベクターpTALCPPb(特開2003-319786号記載)にライゲーション、発現プラスミドpTALC-TANを得た(図5)。pTALCPPb はpyrG遺伝子およびアスペルギルス・オリゼ由来高発現プロモーターを持つ。また、pTALC -TAN中のタンナーゼをコードする塩基配列が正しいことを確認した。
(b)タンナーゼのアスペルギルス・ニドランス(Aspergillus nidulans)での発現
アスペルギルス・ニドランス(Aspergillus nidulans)のオルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ遺伝子欠損株であるABPU1株(biA1; pyrG89;wA3; argB2; pyroA4: Mol. Gen. Genet., 253:520-528 〔1997〕)を発現プラスミドpTALC -TANで形質転換した。形質転換法は、プロトプラスト化した後ポリエチレングリコール及び塩化カルシウムを用いる方法(Mol.Gen.Genet. 218:99-104, 1989)によって行なった。ウリジン非要求株として得られた形質転換体7株を、上掲の表4の培地で培養した。また対照としてpTALCPPbで形質転換したアスペルギルス・ニドランスABPU1も同様に培養を行なった。
得られたサンプルについて、上記タンナーゼ活性測定法に準じ活性測定を行った結果を以下の表6に示す。7株中6株にタンナーゼ活性が認められた。
Figure 2010047047
本発明のタンナーゼは65℃30分処理後の残存活性が90%以上と高い耐熱性を示し、高温下での反応が望まれる用途に好適である。本発明のタンナーゼを用いれば、雑菌汚染のおそれの少ない高温下で酵素反応を実施することができる。従って、本発明のタンナーゼは食品加工の用途に特に有用である。
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、及び特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。

Claims (13)

  1. アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)又はアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)由来のタンナーゼであって、65℃の熱処理(pH5.0、30分間)に対して耐性のタンナーゼ。
  2. 下記の酵素化学的性質を有するタンナーゼ、
    (1)作用:デプシド結合に作用して加水分解する;
    (2)分子量:約23万Da(ゲルろ過による);
    (3)温度安定性:65℃まで安定(pH5.0、30分間)。
  3. 下記の酵素化学的性質を更に有する、請求項2に記載のタンナーゼ、
    (4)至適温度:約70℃;
    (5)至適pH:約5.5;
    (6)pH安定性:pH3〜8の範囲で安定(30℃、30分間)
    (7)基質特異性:タンニン酸に良好に作用する。没食子酸エステルに作用する。
  4. アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)由来である、請求項2又は3に記載のタンナーゼ。
  5. 配列番号5に示すアミノ酸配列、又は該アミノ酸配列と等価なアミノ酸配列を有するタンナーゼ。
  6. 等価なアミノ酸配列が、配列番号5に示すアミノ酸配列と90%以上同一のアミノ酸配列である、請求項5に記載のタンナーゼ。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のタンナーゼを有効成分とする酵素剤。
  8. 以下の(A)〜(C)からなる群より選択されるいずれかのDNAからなるタンナーゼ遺伝子:
    (A)配列番号5に示すアミノ酸配列をコードするDNA;
    (B)配列番号4に示す塩基配列からなるDNA;
    (C)配列番号4に示す塩基配列と等価な塩基配列を有し、且つタンナーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。
  9. 請求項8に記載のタンナーゼ遺伝子を含有する組換えベクター。
  10. 請求項8に記載のタンナーゼ遺伝子が導入されている形質転換体。
  11. 以下のステップ(1)及び(2)を含むこと、又は以下のステップ(i)及び(ii)を含むことを特徴とする、タンナーゼの製造法:
    (1)アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)及びアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)からなる群より選択される微生物を培養するステップ;
    (2)培養後の培養液及び/又は菌体より、タンナーゼを回収するステップ;
    (i)請求項10に記載の形質転換体を、前記遺伝子がコードするタンパク質が産生される条件下で培養するステップ;
    (ii)産生された前記タンパク質を回収するステップ。
  12. 微生物が、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori) NBRC-4033(IFO-4033)である、請求項11に記載のタンナーゼの製造法。
  13. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のタンナーゼ、請求項7に記載の酵素剤、又は請求項11若しくは12に記載の製造法によって得られるタンナーゼを、タンニン又はタンニン含有組成物に対して作用させることを特徴とする加水分解法。
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