JPWO2010018734A1 - 透明電極、有機エレクトロルミネッセンス素子及び透明電極の製造方法 - Google Patents

透明電極、有機エレクトロルミネッセンス素子及び透明電極の製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、導電性、透明性に優れ、平滑性が高い透明電極、その製造方法及び該透明電極を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する。この透明電極は、透明支持体上に、パターン化された導電部及び非パターン部を有する透明電極であって、前記導電部は金属ナノワイヤと導電性高分子、または金属ナノワイヤと金属酸化物を含有し、前記非パターン部は樹脂を含有し、前記導電部の表面の算術平均粗さRaが5nm以下、かつ最大高さRzが50nm以下であり、前記導電部と前記非パターン部の最大高低差が50nm以下であることを特徴とする。

Description

本発明は、導電性、透明性に優れ、平滑性が高い透明電極、その製造方法及び該透明電極を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
近年、薄型TV需要の高まりに伴い、液晶、プラズマ、有機エレクトロルミネッセンス、フィールドエミッション等、各種方式のディスプレイ技術が開発されている。これら表示方式の異なるいずれのディスプレイにおいても、透明電極は必須の構成技術となっている。また、テレビ以外でもタッチパネルや携帯電話、電子ペーパー、各種太陽電池、各種エレクトロルミネッセンス調光素子においても、透明電極は欠くことのできない技術要素となっている。
従来、透明電極として、Au、Ag、Pt、Cu等の各種金属薄膜や、錫や亜鉛をドープした酸化インジウム(ITO、IZO)、アルミニウムやガリウムをドープした酸化亜鉛(AZO、GZO)、フッ素やアンチモンをドープした酸化錫(FTO、ATO)等の金属酸化物薄膜、TiN、ZrN、HfN等の導電性窒化物薄膜、LaB等の導電性ホウ素化物薄膜が知られており、またこれらを組み合わせたBi/Au/Bi、TiO/Ag/TiO等の各種電極も知られている。無機物以外にも、CNT(カーボンナノチューブ)や導電性高分子を使用した透明電極も提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
しかしながら、上述した金属薄膜、窒化物薄膜、ホウ素物薄膜及び導電性高分子薄膜は、光透過性と導電性の特性が両立し得ないため、電磁波シールド等の特殊な技術分野や、比較的高い抵抗値でも許容されるようなタッチパネル分野においてのみ使用されていた。
一方、金属酸化物薄膜は光透過性と導電性との両立が可能で耐久性にも優れるため、透明電極の主流となりつつある。特にITOは光透過性と導電性とのバランスがよく、酸溶液を用いたウェットエッチングによる電極微細パターン形成が容易であることから、各種オプトエレクトロニクス用の透明電極として多用されている。しかしながら、上記のITO等に代表される酸化物導電体は、スパッタリング法等の真空プロセスやゾル−ゲル法等の液相法により基体表面に透明導電膜を形成する。スパッタリング法等の真空プロセスで透明導電膜を形成するには、高価な設備が必要である。一方、液相法では、高い導電性を得るためには500℃以上の高温処理が必要である。
それ以外の透明電極としては、プラズマディスプレイの電磁波シールド膜に代表される金属パターンによりメッシュ構造を形成した透明電極が挙げられ、(例えば、特許文献1、2参照)また金属ナノワイヤを用いた微細メッシュからなる透明電極が開示されている(例えば、特許文献3参照)。特に銀を用いた金属メッシュでは、銀本来の高い導電率により良好な導電性と透明性を両立することができる。
しかし、金属メッシュ部には高い導電性を有しているが、メッシュ構造であるが故に光を透過する部分には導電性を有していないという欠点がある。
さらに有機エレクトロルミネッセンス素子用の電極には、表面が平滑な透明電極が必要とされている。特に、有機エレクトロルミネッセンス素子用の電極の場合、その上に有機化合物の超薄膜を形成するため、透明電極には優れた表面平滑性が要求される。有機エレクトロルミネッセンス素子では、陽極の表面高低差(表面凹凸)が大きいと、その凸部(突起)に電界が集中してEL素子が破壊されたり、該凸部が陰極と短絡したりして、非発光点(エレクトロルミネッセンス素子表面上で発光しない点)が発生することがある。またパターン化された電極においては、電極パターンエッジ部での有機化合物の膜厚が薄くなり、そこから電流リークが発生し易い。これらの現象が起こると、有機エレクトロルミネッセンス素子の耐久性が著しく低下するので、陽極である透明電極には優れた平滑性が求められている。
特許文献4には、金属細線メッシュパターンの上にITOを塗布した透明導電性シートを用いた無機エレクトロルミネッセンス素子について記載されているが、無機エレクトロルミネッセンス素子よりもさらに高い平滑性が要求される有機エレクトロルミネッセンス素子については、一切触れられていない。
特許文献5には、紫外線硬化性の樹脂層と電極層を共に仮支持板より引き剥がす工程からなる電極層付き可撓性樹脂フィルムの製造方法について記載されているが、面全体の平滑性の指標となる算術平均粗さRaには何ら触れられておらず、また電極層形成は真空蒸着法やスパッタ法に限定されており、製造コストや設備が高価になる欠点がある。
特開2003−46293号公報 特開2004−221564号公報 米国特許出願公開第2007/0074316A1号明細書 特開2006−352073号公報 特開2006−236626号公報
「透明導電膜の技術」第80頁(オーム社出版局)
本発明の目的は、前記事情に鑑みてなされたものであり、導電性、透明性に優れ、平滑性が高い透明電極、その製造方法及び該透明電極を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子を簡便に提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
1.透明支持体上に、パターン化された導電部及び非パターン部を有する透明電極であって、前記導電部は金属ナノワイヤと導電性高分子、または金属ナノワイヤと金属酸化物を含有し、前記非パターン部は樹脂を含有し、前記導電部の表面の算術平均粗さRaが5nm以下、かつ最大高さRzが50nm以下であり、前記導電部と前記非パターン部の最大高低差が50nm以下であることを特徴とする透明電極。
2.前記1に記載の透明電極を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
3.透明支持体上に、パターン化された導電部及び非パターン部を有する透明電極の製造方法であって、前記導電部は金属ナノワイヤと導電性高分子、または金属ナノワイヤと金属酸化物を含有し、前記非パターン部は樹脂を含有し、予め第一の支持体上に形成した前記導電部を、予め第二の支持体上に形成した上記樹脂を含有する層に接着した後に、第一の支持体を剥離することを特徴とする透明電極の製造方法。
4.前記導電部が、液相成膜法により形成されることを特徴とする前記3に記載の透明電極の製造方法。
本発明によれば、導電性、透明性に優れ、平滑性が高い透明電極、その製造方法及び該透明電極を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子を簡便に提供することができる。
第一の支持体上に形成した導電部を示す、転写する前の断面図である。 第一の支持体上に形成した導電部を、第二の支持体上に形成した樹脂を含有する層に接着して埋没、転写した後、第一の支持体を剥離した後の透明電極の断面図である。 導電部及び非パターン部を有する透明電極を透明電極表面側から見た図である。
以下、本発明について図により説明をする。
図1は、第一の支持体1上の、パターン化された金属ナノワイヤと導電性高分子からなる導電部2、及びパターン化された金属ナノワイヤと金属酸化物からなる導電部3を、第二の支持体10上に形成した樹脂を含有する層(非表示)に転写する前の断面図である。
図2は、第一の支持体1上の、パターン化された金属ナノワイヤと導電性高分子からなる導電部2、及びパターン化された金属ナノワイヤと金属酸化物からなる導電部3を、第二の支持体10上に形成した樹脂を含有する層に接着して埋没、転写した後、第一の支持体1を剥離して作製した透明電極20の断面図である。
図3は、パターン化された金属ナノワイヤと導電性高分子からなる導電部2、及びパターン化された金属ナノワイヤと金属酸化物からなる導電部3、及び非導電性の非パターン部4を有する透明電極20を透明電極表面側から見た図である。
以下、本発明とその構成要素等について詳細な説明をする。
〔支持体〕
本発明では、透明支持体として、プラスチックフィルム、プラスチック板、ガラス等を用いることができる。
プラスチックフィルム及びプラスチック板の原料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、EVA等のポリオレフィン類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)等を用いることができる。
本発明の透明電極の製造方法において、第一の支持体には、剥離したパターン化された導電部及び接着層の剥離面を平滑にするため、表面の平滑性に優れているものが用いられる。第一の支持体の表面の平滑性(凹凸)は算術平均粗さRaが5nm以下、かつ最大高さRzが50nm以下であることが好ましく、Raが2nm以下、かつRzが30nm以下であることがより好ましく、さらに好ましくはRaが1nm以下、かつRzが20nm以下である。
第一の支持体の表面は、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、放射線硬化性樹脂等の下塗り層を付与して平滑化してもよいし、研磨等の機械加工によって平滑にすることもできる。また剥離を容易にするために離型層を形成してもよく、離型層の形成材は、公知の離型層を形成するポリマーやワックス等を適宜選択使用でき、例えばパラフィンワックス、アクリル系、ウレタン系、シリコン系、メラミン系、尿素系、尿素−メラミン系、セルロース系、ベンゾグアナミン系等の樹脂及び界面活性剤を、単独またはこれらの混合物を主成分とした有機溶剤もしくは水に溶解させた塗料をグラビア印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法等の通常の印刷法で前記支持体上に塗布、乾燥(熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、放射線硬化性樹脂等硬化性塗膜には硬化)させて形成したものが挙げられる。離型層の厚さとしては特に制限はなく、0.1〜3μm程度の範囲から適宜採用される。
ここで、第一の支持体の表面の平滑性(凹凸)を表すRaとRzとは、Ra=算術平均粗さとRz=最大高さ(表面の山頂部と谷底部との高低差)を意味し、JIS B601(2001)に規定される表面粗さに準ずる値である。本発明においてRaとRzの測定には、市販の原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy:AFM)を用いることができ、例えば、以下の方法で測定できる。
AFMとして、セイコーインスツルメンツ社製SPI3800Nプローブステーション及びSPA400多機能型ユニットを使用し、約1cm角の大きさに切り取った試料を、ピエゾスキャナー上の水平な試料台上にセットし、カンチレバーを試料表面にアプローチし、原子間力が働く領域に達したところで、XY方向にスキャンし、その際の試料の凹凸をZ方向のピエゾの変位で捉える。ピエゾスキャナーは、XY150μm、Z5μmが走査可能なものを使用する。カンチレバーは、セイコーインスツルメンツ社製シリコンカンチレバーSI−DF20で、共振周波数120〜150kHz、バネ定数12〜20N/mのものを用い、DFMモード(Dynamic Force Mode)で測定する。測定領域80×80μmを、走査周波数0.1Hzで測定する。
本発明の透明電極の製造方法において、第二の支持体は、大気中の酸素、水分を遮断する目的でガスバリア層を設けるのが好ましい。ガスバリア層の形成材料としては、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム等の金属酸化物、金属窒化物が使用できる。これらの材料は、水蒸気バリア機能のほかに酸素バリア機能も有する。特にバリア性、耐溶剤性、透明性が良好な窒化シリコン、酸化窒化シリコンが好ましい。また、バリア層は必要に応じて多層構成とすることも可能である。ガスバリア層の形成方法は、材料に応じて、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法を用いることができる。
前記ガスバリア層を構成する各無機層の厚みに関しては特に限定されないが、典型的には1層当たり5nm〜500nmの範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは1層当たり10nm〜200nmである。
ガスバリア層は第二の支持体の少なくとも一方の面に設けられ、接着層接着側に設けられるのが好ましく、両面に設けられるのがより好ましい。
〔金属ナノワイヤ〕
一般に、金属ナノワイヤとは、金属元素を主要な構成要素とする、原子スケールからnmサイズの直径を有する線状構造体のことをいう。
本発明に用いられる金属ナノワイヤとしては、1つの金属ナノワイヤで長い導電パスを形成するために、平均長さが3μm以上であることが好ましく、さらには3〜500μmが好ましく、特に3〜300μmであることが好ましい。併せて、長さの相対標準偏差は40%以下であることが好ましい。また、平均直径は、透明性の観点からは小さいことが好ましく、一方で、導電性の観点からは大きい方が好ましい。本発明においては、金属ナノワイヤの平均直径として10〜300nmが好ましく、30〜200nmであることがより好ましい。併せて、直径の相対標準偏差は20%以下であることが好ましい。
本発明に係る金属ナノワイヤの金属組成としては特に制限はなく、貴金属元素や卑金属元素の1種または複数の金属から構成することができるが、貴金属(例えば、金、白金、銀、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム等)及び鉄、コバルト、銅、錫からなる群に属する少なくとも1種の金属を含むことが好ましく、導電性の観点から少なくとも銀を含むことがより好ましい。また、導電性と安定性(金属ナノワイヤの硫化や酸化耐性、及びマイグレーション耐性)を両立するために、銀と、銀を除く貴金属に属する少なくとも1種の金属を含むことも好ましい。本発明に係る金属ナノワイヤが2種類以上の金属元素を含む場合には、例えば、金属ナノワイヤの表面と内部で金属組成が異なっていてもよいし、金属ナノワイヤ全体が同一の金属組成を有していてもよい。
本発明において金属ナノワイヤの製造手段には特に制限はなく、例えば、液相法や気相法等の公知の手段を用いることができる。また、具体的な製造方法にも特に制限はなく、公知の製造方法を用いることができる。例えば、Agナノワイヤの製造方法としては、Adv.Mater.,2002,14,833〜837;Chem.Mater.,2002,14,4736〜4745等、Auナノワイヤの製造方法としては特開2006−233252号公報等、Cuナノワイヤの製造方法としては特開2002−266007号公報等、Coナノワイヤの製造方法としては特開2004−149871号公報等を参考にすることができる。特に、上述した、Adv.Mater.及びChem.Mater.で報告されたAgナノワイヤの製造方法は、水系で簡便にAgナノワイヤを製造することができ、また銀の導電率は金属中で最大であることから、本発明に係る金属ナノワイヤの製造方法として好ましく適用することができる。
〔導電性高分子〕
本発明に用いられる導電性高分子としては、特に限定されず、ポリピロール、ポリインドール、ポリカルバゾール、ポリチオフェン(基本のポリチオフェンを含む、以下同様)系、ポリアニリン系、ポリアセチレン系、ポリフラン系、ポリパラフェニレンビニレン系、ポリアズレン系、ポリパラフェニレン系、ポリパラフェニレンサルファイド系、ポリイソチアナフテン系、ポリチアジル等の鎖状導電性ポリマーや、ポリアセン系導電性ポリマーも利用することができる。中でも、導電性、透明性等の観点からポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)やポリアニリン系が好ましい。
また、本発明においては、上記導電性高分子の導電性をより高めるために、ドーピング処理を施すことが好ましい。導電性高分子に対するドーパントとしては、例えば、炭素数が6〜30の炭化水素基を有するスルホン酸(以下「長鎖スルホン酸」ともいう。)あるいはその重合体(例えば、ポリスチレンスルホン酸)、ハロゲン、ルイス酸、プロトン酸、遷移金属ハロゲン化物、遷移金属化合物、アルカリ金属、アルカリ土類金属、MClO(M=Li、Na)、R(R=CH、C、C)、またはR(R=CH、C、C)からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。中でも、上記長鎖スルホン酸が好ましい。
長鎖スルホン酸としては、ジノニルナフタレンジスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等が挙げられる。ハロゲンとしては、Cl、Br、I、ICl、IBr、IF等が挙げられる。ルイス酸としては、PF、AsF、SbF、BF、BCl、BBr、SO、GaCl等が挙げられる。プロトン酸としては、HF、HCl、HNO、HSO、HBF、HClO、FSOH、ClSOH、CFSOH等が挙げられる。遷移金属ハロゲン化物としては、NbF、TaF、MoF、WF、RuF、BiF、TiCl、ZrCl、MoCl、MoCl、WCl、FeCl、TeCl、SnCl、SeCl、FeBr、SnI等が挙げられる。遷移金属化合物としては、AgClO、AgBF、La(NO、Sm(NO等が挙げられる。アルカリ金属としては、Li、Na、K、Rb、Cs等が挙げられる。アルカリ土類金属としては、Be、Mg、Ca、Sc、Ba等が挙げられる。
また、導電性高分子に対するドーパントは、水素化フラーレン、水酸化フラーレン、スルホン酸化フラーレン等のフラーレン類に導入されていてもよい。上記ドーパントは、導電性高分子100質量部に対して、0.001質量部以上含まれていることが好ましい。さらには、0.5質量部以上含まれていることがより好ましい。なお、本実施形態の透明導電性組成物は、長鎖スルホン酸、長鎖スルホン酸の重合体(例えば、ポリスチレンスルホン酸)、ハロゲン、ルイス酸、プロトン酸、遷移金属ハロゲン化物、遷移金属化合物、アルカリ金属、アルカリ土類金属、MClO、R、及びRからなる群から選ばれる少なくとも1種のドーパントと、フラーレン類との双方を含んでいてもよい。
本発明に用いられる導電性高分子は、2nd.ドーパントとして水溶性有機化合物を含有してもよい。本発明で用いることができる水溶性有機化合物には特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、酸素含有化合物が好適に挙げられる。
前記酸素含有化合物としては、酸素を含有する限り特に制限はなく、例えば、水酸基含有化合物、カルボニル基含有化合物、エーテル基含有化合物、スルホキシド基含有化合物等が挙げられる。前記水酸基含有化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン等が挙げられ、これらの中でも、エチレングリコール、ジエチレングリコールが好ましい。前記カルボニル基含有化合物としては、例えば、イソホロン、プロピレンカーボネート、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。前記エーテル基含有化合物としては、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。前記スルホキシド基含有化合物としては、例えば、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよいが、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、ジエチレングリコールから選ばれる少なくとも1種を用いることが特に好ましい。
本発明に用いられる導電性高分子において、導電性高分子100質量部に対する上記2nd.ドーパントの含有量は0.001質量部以上が好ましく、0.01〜50質量がより好ましく、0.01〜10質量部が特に好ましい。
〔金属酸化物〕
本発明に用いられる金属酸化物としては、特に限定されないが、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化カドミウム、酸化ガリウム、酸化アンチモン、酸化アルミニウム等の微粒子、あるいは、これら酸化物に他の金属元素を添加したスズ添加酸化インジウム(ITO)、アンチモン添加酸化スズ(ATO)、亜鉛添加酸化インジウム(IZO)、アルミニウム添加酸化亜鉛(AZO)、ガリウム添加酸化亜鉛(GZO)等の微粒子が好適に用いられる。
これらの金属酸化物のうち、特に透明導電膜を構成するものとしては、スズ添加酸化インジウム(ITO)、アンチモン添加酸化スズ(ATO)、亜鉛添加酸化インジウム(IZO)、アルミニウム添加酸化亜鉛(AZO)、ガリウム添加酸化亜鉛(GZO)、酸化インジウム(In)、酸化亜鉛(ZnO)等が好適である。
金属酸化物の平均粒径として1〜100nmであることが好ましく、3〜50nmであることが特に好ましい。金属酸化物の平均粒径は、下記式により計算したBET粒径を用いた。
BET粒径(nm)=6/(ρ×比表面積)×10
但し、ρは透明導電性微粒子の真比重であり、例えば、金属酸化物がITO(錫含有酸化インジウム)である場合には、ρ=7.13×10(g/m)となる。また、比表面積は、BET法(一点法)により求めることができる。
〔導電部〕
本発明におけるパターン化された導電部は、金属ナノワイヤと導電性高分子、または金属ナノワイヤと金属酸化物を含有することを特徴とする。本発明における導電部に含有される導電性高分子または金属酸化物は、どちらか一方だけでもよいし、両方であってもよい。導電部の金属ナノワイヤは相互に接触していることが好ましく、さらにメッシュ状に接触していることが好ましい。金属ナノワイヤを相互に接触、またはメッシュ状に接触させた導電部は、下記の液相成膜法を用いれば容易に得ることができる。
本発明における導電部の形成方法は、金属ナノワイヤを含む分散液と、導電性高分子または金属酸化物を含む分散液を塗布、乾燥して膜形成する液相成膜法であれば特に制限はなく、ロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、バーコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法等の塗布法や、凸版(活版)印刷法、孔版(スクリーン)印刷法、平版(オフセット)印刷法、凹版(グラビア)印刷法、スプレー印刷法、インクジェット印刷法等の印刷法を用いることが好ましい。
本発明においては、第一の支持体上に金属ナノワイヤを含む分散液を塗布、乾燥した後に、導電性高分子または金属酸化物を含む分散液を塗布、乾燥して、金属ナノワイヤと導電性高分子、または金属ナノワイヤと金属酸化物を、該導電部中の電極表面及び電極表面近傍に存在させるのが好ましい。これにより、金属ナノワイヤ同士の接触点数が増大して導電性が向上し、さらにメッシュ状に形成された金属ナノワイヤの隙間に導電性高分子または金属酸化物が入り込むことで、金属ナノワイヤ及び金属ナノワイヤ間隙部の導電性を均一化することができる。
本発明に用いられる金属ナノワイヤを含む分散液と、導電性高分子または金属酸化物を含む分散液には、透明なバインダー材料や添加剤を含んでいてもよい。透明なバインダー材料としては、天然高分子樹脂または合成高分子樹脂から広く選択して使用することができる。例えば、透明な熱可塑性樹脂(例えば、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリメチルメタクリレート、ニトロセルロース、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、フッ化ビニリデン)や、熱・光・電子線・放射線で硬化する透明硬化性樹脂(例えば、メラミンアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル変性シリケート等のシリコン樹脂)を使用することができる。添加剤としては、可塑剤、酸化防止剤や硫化防止剤等の安定剤、界面活性剤、溶解促進剤、重合禁止剤、染料や顔料等の着色剤等が挙げられる。さらに、塗布性等の作業性を高める観点から、溶媒(例えば、水や、アルコール類、グリコール類、セロソルブ類、ケトン類、エステル類、エーテル類、アミド類、炭化水素類等の有機溶媒)を含んでいてもよい。
〔パターン化〕
本発明における導電部をパターン化する方法としては、支持体上に導電部を形成した後、フォトレジストを用いて、ケミカルエッチングによりパターニングを施すフォトリソグラフィー方式を用いることができる。他に導電部をパターン化する方法としては、リフトオフ用レジストを用いて非パターン部となる部分を剥離して導電部パターンを形成してもよいし、前記印刷法を用いて支持体上に所望の導電部パターンを形成してもよく、支持体上に導電部を形成した後に、導電部パターン部となる部分にマスキングを施し非パターン部となる部分を拭き取る等して物理的に除去してもよい。
〔非パターン部〕
本発明における非パターン部は、樹脂を含有することを特徴とする。用いられる樹脂としては、可視領域で透明であれば(すなわち、十分な透過率を有すれば)特に限定されないが、表面比抵抗が1010Ω/□以上の非導電性であることが好ましい。表面比抵抗は、例えば、JIS K6911、ASTM D257、等に準拠して測定することができ、また市販の表面抵抗率計を用いて簡便に測定することができる。樹脂としては、硬化型樹脂でもよいし、熱可塑性樹脂でもよい。硬化型樹脂としては、熱硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂等が挙げられるが、これらの硬化型樹脂のうちでは、樹脂硬化のための設備が簡易で作業性に優れることから、紫外線硬化型樹脂が好ましい。非パターン部は、透明性の観点からは、アクリル系重合体またはエポキシ系重合体が好ましい。本発明の非パターン部は、第一の支持体に形成されたパターン化された導電部上に設けてもよいし、第二の支持体上に設けて、パターン化された導電部を非パターン部側に接着して埋没させた後、硬化処理を行ってもよい。
非パターン部は、前記導電部に含有される金属ナノワイヤ、導電性高分子、金属酸化物は含有せず、樹脂のみからなることが好ましい。
接着方法は特に限定されることなく、シートプレス、ロールプレス等により行うことができるが、ロールプレス機を用いて行うことが好ましい。ロールプレスは、ロールとロールの間に接着すべきフィルムを挟んで圧着し、ロールを回転させる方法である。ロールプレスは均一に圧力がかけられ、シートプレスよりも生産性がよく好適である。
上記方法で接着、硬化処理を行った後、第一の支持体を剥離することにより、本発明の透明電極が得られる。
〔透明電極〕
本発明の透明電極における導電部の算術平均粗さRaは5nm以下、かつ最大高さRzが50nm以下であり、Raが2nm以下、かつRzが30nm以下であることが好ましく、より好ましくはRaが1nm以下、かつRzが20nm以下である。なお、導電部の算術平均粗さRaと最大高さRzは、先述の支持体の表面の算術平均粗さRaと最大高さRzと同様にして測定することができる。
本発明の透明電極における導電部の全光線透過率は、60%以上、好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上であることが望ましい。全光透過率は、分光光度計等を用いた公知の方法に従って測定することができる。
本発明の透明電極におけるパターン部の電気抵抗値としては、表面比抵抗として10Ω/□以下であることが好ましく、10Ω/□以下であることがより好ましく、10Ω/□以下であることが特に好ましい。表面比抵抗は、例えば、JIS K6911、ASTM D257、等に準拠して測定することができ、また市販の表面抵抗率計を用いて簡便に測定することができる。表面比抵抗は、金属ナノワイヤ単独の状態で前記表面比抵抗を満たしていればよく、金属ナノワイヤがバス電極として機能するため、導電性高分子または金属酸化物の表面比抵抗が高くても導電部の導電性を均一化することができる。導電性高分子または金属酸化物の表面比抵抗としては、10Ω/□以下であることが好ましい。
本発明の透明電極には、アンカーコートやハードコート等を付与することもできる。また必要に応じて、さらに導電性高分子または金属酸化物を含有する導電部を設置してもよい。
本発明の透明電極は、LCD、エレクトロルミネッセンス素子、プラズマディスプレイ、エレクトロクロミックディスプレイ、太陽電池、タッチパネル等の透明電極、電子ペーパーならびに電磁波遮蔽材等に用いることができるが、導電性、透明性に優れ、また平滑性も高いため、有機エレクトロルミネッセンス素子に用いるのが好ましい。
〔有機エレクトロルミネッセンス素子〕
本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子は、本発明の透明電極を有することを特徴とする。本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子は、本発明の透明電極を陽極として用い、有機発光層、陰極については有機エレクトロルミネッセンス素子に一般的に使われている材料、構成等の任意のものを用いることができる。
有機エレクトロルミネッセンス素子の素子構成としては、陽極/有機発光層/陰極、陽極/ホール輸送層/有機発光層/電子輸送層/陰極、陽極/ホール注入層/ホール輸送層/有機発光層/電子輸送層/陰極、陽極/ホール注入層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極、陽極/ホール注入層/有機発光層/電子注入層/陰極、等の各種の構成のものを挙げることができる。
また、本発明において有機発光層に使用できる発光材料またはドーピング材料としては、アントラセン、ナフタレン、ピレン、テトラセン、コロネン、ペリレン、フタロペリレン、ナフタロペリレン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、クマリン、オキサジアゾール、ビスベンゾキサゾリン、ビススチリル、シクロペンタジエン、キノリン金属錯体、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、トリス(5−フェニル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、アミノキノリン金属錯体、ベンゾキノリン金属錯体、トリ−(p−ターフェニル−4−イル)アミン、1−アリール−2,5−ジ(2−チエニル)ピロール誘導体、ピラン、キナクリドン、ルブレン、ジスチルベンゼン誘導体、ジスチルアリーレン誘導体、及び各種蛍光色素及び希土類金属錯体、燐光発光材料等があるが、これらに限定されるものではない。またこれらの化合物のうちから選択される発光材料を90〜99.5質量部、ドーピング材料を0.5〜10質量部含むようにすることも好ましい。有機発光層は上記の材料等を用いて公知の方法によって作製されるものであり、蒸着、塗布、転写等の方法が挙げられる。この有機発光層の厚みは0.5〜500nmが好ましく、特に、0.5〜200nmが好ましい。
本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子は、自発光型ディスプレイ、液晶用バックライト、照明等に用いることが出来る。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、均一にムラなく発光させることが出来るため、照明用途で用いることが好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量%」を表す。
実施例1
《透明電極の作製》
〔透明電極TCF−1の作製;比較例〕
厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム支持体上に、ITOを平均膜厚150nmで蒸着した後、50mm×50mm角に裁断し、フォトリソグラフィー法により導電部パターン幅10mmのストライプ状透明パターン電極TCF−1を作製した。
〔透明電極TCF−2の作製;比較例〕
非特許文献4(Adv.Mater.,2002,14,833〜837)に記載の方法を参考に、下記の方法で銀ナノワイヤを作製した。
(核形成工程)
反応容器内で170℃に保持したEG液1000mlを攪拌しながら、硝酸銀のエチレングリコール溶液(硝酸銀濃度:1.5×10−4モル/L)100mlを一定の流量で、10秒間で添加した。その後、170℃で10分間熟成を施し、銀の核粒子を形成した。熟成終了後の反応液は、銀ナノ粒子の表面プラズモン吸収に由来した黄色を呈しており、銀イオンが還元されて、銀ナノ粒子が形成されたことが確認された。
(粒子成長工程)
上記の熟成を終了した核粒子を含む反応液を攪拌しながら170℃に保持し、硝酸銀のエチレングリコール溶液(硝酸銀濃度:1.0×10−1モル/L)1000mlと、ポリビニルピロリドンのエチレングリコール溶液(ビニルピロリドン濃度換算:5.0×10−1モル/L)1000mlを、ダブルジェット法を用いて一定の流量で100分間で添加した。粒子成長工程において20分毎に反応液を採取して電子顕微鏡で確認したところ、核形成工程で形成された銀ナノ粒子が時間経過に伴って、主にナノワイヤの長軸方向に成長しており、粒子成長工程における新たな核粒子の生成は認められなかった。
(水洗工程)
粒子成長工程終了後、反応液を室温まで冷却した後、フィルターを用いて濾過し、濾別された銀ナノワイヤをエタノール中に再分散した。フィルターによる銀ナノワイヤの濾過とエタノール中への再分散を5回繰り返し、最終的に銀ナノワイヤのエタノール分散液を調製して、銀ナノワイヤを作製した。
得られた分散液を微量採取し、電子顕微鏡で確認したところ、平均直径85nm、平均長さ7.4μmの銀ナノワイヤが形成されたことが確認できた。
作製した銀ナノワイヤの分散液を、平滑加工を施した厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム支持体上に、銀ナノワイヤの目付け量が0.05g/mとなるように、銀ナノワイヤの分散液をスピンコーターを用いて塗布し乾燥した。続いて、銀ナノワイヤの塗布層にカレンダー処理を施した後、50mm×50mm角に裁断し、フォトリソグラフィー法により電極パターン幅10mmのストライプ状透明パターン電極TCF−2を作製した。
〔透明電極TCF−3の作製;比較例〕
透明電極TCF−2において、銀ナノワイヤの塗布層にカレンダー処理を施した後、PEDOT:PSS(ポリスチレンスルホン酸)=1:2.5の分散液であるBaytron PH510(H.C.Starck社製)にジメチルスルホキシドを5%添加した液を、乾燥膜厚が100nmとなるように塗布する以外はTCF−2と同様にして、透明電極TCF−3を作製した。
〔透明電極TCF−4の作製;比較例〕
(接着フィルムの作製)
厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム支持体の片面側に易接着加工を施し、易接着面上に樹脂層として紫外線硬化性樹脂(UVPOTミディアム0、帝国インキ(株)製)を3μmの厚みに塗布して、接着フィルムを作製した。
作製した接着フィルムの樹脂層と、透明電極TCF−2の電極パターン側とが対面するように圧着した。次いで接着フィルムの側から紫外線を照射して紫外線硬化性樹脂を硬化させ、接着フィルムと透明電極TCF−2とを接合した。
接合した接着フィルムと透明電極TCF−2を、透明電極TCF−2側のポリエチレンテレフタレートフィルム支持体を剥離して、透明電極TCF−4を作製した。
〔透明電極TCF−5の作製;本発明〕
接着フィルムの樹脂層に圧着する透明電極を、TCF−3に変更する以外はTCF−4と同様にして、透明電極TCF−5を作製した。
〔透明電極TCF−6の作製;本発明〕
透明電極TCF−5において、銀ナノワイヤの塗布層にカレンダー処理を施した後、Baytron PH510ジメチルスルホキシド5%添加液の代わりに、株式会社ジェムコ製ITO分散液(商品名;EI)を乾燥膜厚が100nmとなるように塗布する以外はTCF−4と同様にして、透明電極TCF−6を作製した。
〔透明電極TCF−7の作製;本発明〕
透明電極TCF−2の銀ナノワイヤの作製において、水洗工程でエタノールへの再分散を水に代えた以外は同様の操作を行った。さらに、カルボキシメチルセルロースを添加し、粘度が30cP(30mPa・s)となるように調整し、銀ナノワイヤ分散液を作製した。同様に、透明電極TCF−3で用いたBaytron PH510ジメチルスルホキシド5%添加液の粘度を30cP(30mPa・s)に調整した。
次いで、粘度調整した銀ナノワイヤ分散液を、コロナ放電処理を施した厚さ100μmの平滑加工済みポリエチレンテレフタレートフィルム支持体上に、10mm幅のストライプ状パターンを形成した版を用い、グラビア印刷(Kプリンティングプルーファー:松尾産業株式会社製)を行った。なお、銀ナノワイヤの目付け量が0.05g/mとなるように印刷回数を調整した。さらに、銀ナノワイヤ層にカレンダー処理を施した。
次いで、Baytron PH510ジメチルスルホキシド5%添加液を用い、先に形成した銀ナノワイヤのパターンと重なるように、同様にグラビア印刷を行った。なお、乾燥膜厚が100nmとなるように、印刷回数を調整した。
これを用いて、透明電極TCF−4と同様の操作を行い、透明電極TCF−7を作製した。
〔透明電極TCF−8の作製;本発明〕
透明電極TCF−7で用いた銀ナノワイヤ分散液及びBaytron PH510ジメチルスルホキシド5%添加液において、カルボキシメチルセルロースをグリセリンに代え、粘度を15cP(15mPa・s)に調整した。
次いで、粘度調整した銀ナノワイヤ分散液をインクジェットプリンターMJ−800C(セイコーエプソン社製)に装着し、コロナ放電処理を施した厚さ100μmの平滑加工済みポリエチレンテレフタレートフィルム支持体上に10mm幅のストライプ状パターンを形成した。なお、銀ナノワイヤの目付け量が0.05g/mとなるように印刷濃度、印刷回数を調整した。さらに、銀ナノワイヤ層にカレンダー処理を施した。次いで、Baytron PH510ジメチルスルホキシド5%添加液を用い、先に形成した銀ナノワイヤのパターン上に、乾燥膜厚が100nmとなるようにインクジェット印刷を行った。
これを用いて、透明電極TCF−4と同様の操作を行い、透明電極TCF−8を作製した。
《透明電極の測定及び評価》
下記方法で、透明電極TCF−1〜8の透過率、表面比抵抗測定及び表面形状について評価した。
(透過率)
透過率は、東京電色社製AUTOMATICHAZEMETER(MODEL TC−HIIIDP)を用いて、導電部パターン部の全光線透過率を測定した。
(表面比抵抗)
表面比抵抗は、ダイアインスツルメンツ製抵抗率計ロレスタGPを用いて導電部パターン部の表面比抵抗を四端子法で測定した。
(表面形状)
表面形状は、電極表面を原子間力顕微鏡(AFM)で測定し、導電部パターン部表面の算術平均粗さRa及び最大高さRz、透明電極の導電部パターン部と非パターン部の最大高低差を求めた。
導電部パターン部表面の算術平均粗さRa及び最大高さRzは、JIS B601(2001)に規定される表面粗さに準ずる値であり、本発明においてRaとRzの測定には、市販の原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy:AFM)を用い、以下の方法で測定した。
AFMとして、セイコーインスツルメンツ社製SPI3800Nプローブステーション及びSPA400多機能型ユニットを使用し、約1cm角の大きさに切り取った試料を、ピエゾスキャナー上の水平な試料台上にセットし、カンチレバーを試料表面にアプローチし、原子間力が働く領域に達したところで、XY方向にスキャンし、その際の試料の凹凸をZ方向のピエゾの変位で捉えた。ピエゾスキャナーは、XY150μm、Z5μmが走査可能なものを使用した。カンチレバーは、セイコーインスツルメンツ社製シリコンカンチレバーSI−DF20で、共振周波数132kHz、バネ定数15N/mのものを用い、DFMモード(Dynamic Force Mode)で測定した。測定領域80×80μmを、走査周波数0.1Hzで測定した。
なお、透明電極TCF−4〜6で導電部塗布に用いたフィルム支持体において、導電部を塗布する前の支持体の塗布面側の算術平均粗さRa及び最大高さRzはそれぞれ0.6nm、18nmであった。
測定及び評価の結果を表1に示す。
表1より、本発明の透明電極は、導電性(表面比抵抗)、透明性(透過率)に優れ、平滑性(表面形状)が高いことが分かる。
実施例2
《有機エレクトロルミネッセンス素子の作製》
実施例1で作製した透明電極TCF−1〜8を第1電極(陽極)に用いて、以下の手順でそれぞれ有機EL素子OLED−1〜8を作製した。
〈正孔輸送層の形成〉
第1電極上に、1,2−ジクロロエタン中に1質量%となるように正孔輸送材料の4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)を溶解させた正孔輸送層形成用塗布液をスピンコート装置で塗布した後、80℃、60分間乾燥して、厚さ40nmの正孔輸送層を形成した。
〈発光層の形成〉
正孔輸送層が形成された各フィルム上に、ホスト材のポリビニルカルバゾール(PVK)に対して、赤ドーパント材BtpIr(acac)が1%、緑ドーパント材Ir(ppy)が2%、青ドーパント材FIr(pic)が3%になるように混合し、PVKと3種ドーパントの全固形分濃度が1%となるように1,2−ジクロロエタン中に溶解させた発光層形成用塗布液をスピンコート装置で塗布した後、100℃、10分間乾燥して、厚さ60nmの発光層を形成した。
〈電子輸送層の形成〉
形成した発光層上に、電子輸送層形成用材料としてLiFを5×10−4Paの真空下にて蒸着し、厚さ0.5nmの電子輸送層を形成した。
〈第2電極の形成〉
形成した電子輸送層の上に、第2電極(陰極)形成用材料としてAlを5×10−4Paの真空下にて、幅10mmのストライプ状に第1電極の導電部と直交するようにマスク蒸着し、厚さ100nmの第2電極を形成した。
〈封止膜の形成〉
形成した電子輸送層の上に、ポリエチレンテレフタレートを基材とし、Alを厚さ300nmで蒸着した可撓性封止部材を使用した。第1電極及び第2電極の外部取り出し端子が形成できるように端部を除き、第2電極の周囲に接着剤を塗り、可撓性封止部材を貼合した後、熱処理で接着剤を硬化させた。
《有機エレクトロルミネッセンス素子の評価》
下記方法で、有機エレクトロルミネッセンス素子OLED−1〜8の発光輝度ムラ及び整流比について評価した。
(発光輝度ムラ)
KEITHLEY製ソースメジャーユニット2400型を用いて、作製した有機エレクトロルミネッセンス素子OLED−1〜6に直流電圧を印加し発光させた。200cd/mで発光させた各有機エレクトロルミネッセンス素子について、点灯時の発光面全体の発光ムラを、目視観察により下記基準で評価した。
◎:90%以上が均一に発光している
○:80%以上が均一に発光している
△:70%以上が均一に発光している
×:70%未満しか発光していない
××:全く発光せず
(整流比)
作製した有機エレクトロルミネッセンス素子OLED−1〜8に、+3V/−3Vの電圧を印加した時の電流値を測定し、下記の計算式により整流比を求めた。
整流比=+3V印加時の電流値/−3V印加時の電流値
上記評価結果を表2に示す。
表2より明らかなように、導電性、透明性に優れ、平滑性が高い本発明の透明電極を有機エレクトロルミネッセンス素子の電極として使用した場合、有機エレクトロルミネッセンス素子は発光輝度ムラや電流リークが少ないことが分かる。
1 第一の支持体
2 金属ナノワイヤと導電性高分子からなる導電部
3 金属ナノワイヤと金属酸化物からなる導電部
4 非パターン部
10 第二の支持体
20 透明電極

Claims (4)

  1. 透明支持体上に、パターン化された導電部及び非パターン部を有する透明電極であって、前記導電部は金属ナノワイヤと導電性高分子、または金属ナノワイヤと金属酸化物を含有し、前記非パターン部は樹脂を含有し、前記導電部の表面の算術平均粗さRaが5nm以下、かつ最大高さRzが50nm以下であり、前記導電部と前記非パターン部の最大高低差が50nm以下であることを特徴とする透明電極。
  2. 請求項1に記載の透明電極を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 透明支持体上に、パターン化された導電部及び非パターン部を有する透明電極の製造方法であって、前記導電部は金属ナノワイヤと導電性高分子、または金属ナノワイヤと金属酸化物を含有し、前記非パターン部は樹脂を含有し、予め第一の支持体上に形成した前記導電部を、予め第二の支持体上に形成した上記樹脂を含有する層に接着した後に、第一の支持体を剥離することを特徴とする透明電極の製造方法。
  4. 前記導電部が、液相成膜法により形成されることを特徴とする請求項3に記載の透明電極の製造方法。
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