JPWO2010016473A1 - 内接歯車式ポンプ用ロータとそれを用いた内接歯車式ポンプ - Google Patents

内接歯車式ポンプ用ロータとそれを用いた内接歯車式ポンプ Download PDF

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Abstract

歯数差が1枚のインナーロータとアウターロータを組み合わせて構成されるポンプ用ロータの歯丈や歯数の設定に自由度を与え、歯丈の増加によるポンプの吐出量の増加を図る。インナーロータ中心(OI)から創成円中心までの距離を変化させながら創成円(B,C)が移動始点(Spa,Spb)から移動終点(Lpa,Lpb)へ移動し、そして、その間に創成円中心が基準円(A)の径方向に距離(R)移動し、かつ、創成円(B,C)がその円の移動方向と同方向に一定角速度で角度θ自転する移動条件を満たす創成円(B,C)上の一点(j)の軌跡によりインナーロータ(2)の歯先曲線、歯底曲線の少なくとも一方を構成した。

Description

この発明は、歯数差が1枚のインナーロータとアウターロータを組み合わせた内接歯車式ポンプ用ロータとそれを用いた内接歯車式ポンプに関する。詳しくは、歯丈や歯数の設定に自由度を与えてポンプの理論吐出量の増加を可能にする発明である。
内接歯車式ポンプは、車のエンジンの潤滑用や自動変速機(AT)用のオイルポンプなどとして利用されている。この内接歯車式ポンプに採用するポンプ用ロータの中に、歯数差が1枚のインナーロータとアウターロータを組み合わせたものがあり、さらに、その形式のロータの中に、トロコイド曲線を用いてロータの歯形を創成したものや、サイクロイド曲線でロータの歯形を創成したものがある。
このうち、トロコイド曲線を用いて創成される歯形は、図15に示すように、基礎円Eとその基礎円E上を滑らずに転がる転円Fを用いて創成される。具体的には、転円Fの中心から距離e(=インナーロータとアウターロータの中心の偏心量)離れた半径上の一点の軌跡でトロコイド曲線TCを描き、そのトロコイド曲線TC上を移動する同トロコイド曲線上に中心の置かれた一定径の軌跡円Gの円弧群の包絡線でインナーロータ2の歯形が創成される(下記特許文献1参照)。
また、サイクロイド曲線の歯形は、基礎円と、その基礎円に外接して基礎円上を滑らずに転がる外転円の円周上の一点の軌跡と、基礎円に内接して基礎円上を滑れずに転がる内転円の円周上の一点の軌跡によってインナーロータの歯形が創成される。
特開昭61−201892号公報
トロコイド曲線を用いた歯形は、基礎円E、転円F、軌跡円G、偏心量eの値が1つの歯形に対してそれぞれ1つ設定される。その歯形を有するポンプにおいて、吐出量を増加させるためには、歯丈を高くすればよいが、歯丈を高くする目的でインナーロータとアウターロータの偏心量eを大きくすると、歯幅が狭くなりすぎたり、歯形の設計自体が不可能になったりする。従って、偏心量eが規制され、そのために歯丈も制限されて吐出量を増加させる要求に応えるのが難しい。
また、同じ歯丈でも歯数を増やすと吐出量を増やすことが可能になる。しかし、歯数を増やすとロータの径寸法が大きくなってしまい、ロータの外径寸法を変えずに吐出量を増加させるという要求に応えるのが難しい。
サイクロイド曲線の歯形を採用した内接歯車式ポンプも同様である。このタイプのポンプは、基礎円の直径と基礎円上を滑らずに転がって歯形を創成する外転円と内転円の直径によってロータの歯数が決まる。また、ロータの歯丈は、外転円と内転円の直径によって決まるため、ポンプの吐出量は基礎円と転円の直径に依存するものになる。そのために、歯丈や歯数の設定に関する自由度が低く、ポンプの吐出量を増加させる要求に応えるのが難しい。
また、内接歯車式ポンプは、歯数を増加させるほどインナーロータが1回転する間のポンプ室(ポンピングチャンバ)からの吐出回数が多くなるため、吐出圧の脈動が小さくなる。しかし、上述のように従来の内接歯車式ポンプは、吐出量を満足させながら歯数を増加させるとロータサイズが大きくなるため、歯数を増加させることも制限されている。
この発明は、歯数差が1枚のインナーロータとアウターロータを組み合わせたポンプ用ロータの歯丈の設定に自由度を与え、それによって、ポンプの吐出量の増加や吐出脈動の抑制を図ることを課題としている。
上記の課題を解決するため、この発明においては、歯数がnのインナーロータと、歯数が(n+1)のアウターロータを組み合わせた内接歯車式ポンプ用のロータを以下の通りに構成した。
すなわち、下記の条件を満たして創成円B,Cが移動し、その間にインナーロータ中心Oと同心である基準円A上の基準点Jと重なる点jであって、前記創成円B,C上の1点jが描く軌跡曲線によって歯形の歯先曲線、歯底曲線の少なくとも一方を構成した。
−創成円B,Cの移動条件−
インナーロータ中心Oとそれぞれの創成円中心paとの距離を距離R変化させながら、前記点jが前記基準円A上の基準点Jに重なるように前記創成円B,Cを配置したときに中心が位置決めされる移動始点Spa,Spbから前記点jが歯先頂点T又は歯底頂点Tに位置するように前記創成円B,Cを配置したときに中心が位置決めされる移動終点Lpa,Lpbへ前記創成円B,Cの中心paが移動する。その間に創成円B,Cがその円の移動方向と同方向に一定角速度で角度θ自転する。
創成円B,Cは、それぞれの直径Bd,Cdを一定に保って創成円の中心が移動始点から移動終点へ移動する円と、それぞれの直径Bd,Cを縮めながら創成円の中心が移動始点から移動終点へ移動する円の2通りが考えられる。これ等の創成円は、ポンプの要求性能を考慮して適当な方を選ぶことができる。
この内接歯車式ポンプ用ロータにおいて、インナーロータ中心Oと創成円中心との間の距離の変化率ΔRが移動終点Lpa,Lpbにおいて0である曲線AC,AC上を前記創成円中心paが移動すると好ましい。
前記曲線AC,ACが正弦関数を利用した曲線であると好ましい。例えば、インナーロータ中心Oからの距離の変化率ΔRが、以下の式を満たす曲線である。
ΔR=R×sin(π/2×m/S)
ここにおいて、S:ステップ数、m=0→S
前記基準円A上の基準点Jとインナーロータ中心Oとを結ぶ直線をLとして、歯先頂点Tは、その直線Lから角度θ回転した位置の直線L上に設定され、そして歯底頂点Tは、直線Lから角度θ回転した位置の直線L上に設定される。また、直線Lと直線L間の角度θ及び直線Lと直線L間の角度θは、歯数や歯先部、歯底部の設置領域の比率などを考慮して設定される。
歯先創成円Bの中心の移動始点Spaと歯底創成円Cの中心の移動始点Spbは、直線L上にある。また、これ等の移動終点Lpa,Lpbは、直線L,L上にある。
この発明は、上記の歯形を有するインナーロータと、以下のアウターロータを組み合わせて構成される内接歯車式ポンプ用ロータも提供する。
このアウターロータの歯形は以下の工程により決定される。
インナーロータの中心Oがアウターロータの中心を中心とする直径(2e+t)の円S上を1周公転する。
その間にインナーロータが1/n回自転する。
このインナーロータの公転と自転により形成された歯形曲線群の包絡線を描く。
このようにして決定した前記包絡線を歯形とする。
ここに、
e:インナーロータとアウターロータの中心の偏心量
t:チップクリアランス
n:インナーロータの歯数
なお、ここで言うチップクリアランスは、以下のように規定する。
まず、インナーロータをインナーロータ中心が原点に位置し、さらに、インナーロータの歯先頂点が前記原点を通るY軸上の負の領域に位置する状態にインナーロータを設置する。
次に、アウターロータ中心が原点から偏心量e離れたY軸上の1点にあり、アウターロータの歯先頂点がY軸上の負の領域で前記インナーロータの歯先頂点に突き合わせる状態にアウターロータを設置する。
そして、その状態からインナーロータの歯形とアウターロータの歯形が接するところまでアウターロータ中心をインナーロータ中心から離れる方向にY軸上を移動させる。このようにして作り出されたチップクリアランスの測定位置で、Y軸上の前記インナーロータの歯先頂点とY軸上の前記アウターロータの歯先頂点間に生じた隙間をチップクリアランスtとする。
また、この発明においては、上述したこの発明の内接歯車式ポンプ用ロータを、ポンプハウジングに設けられたロータ収納室に収納して構成される内接歯車式ポンプも併せて提供する。
歯先創成円Bや歯底創成円Cが、移動中に径が変化する円である場合、それらの創成円の移動始点における直径Bdmax,Cdmaxは、目標歯丈を考慮して設定される。両創成円の移動始点から移動終点に至る間の直径変化量をそれぞれΔBd、ΔCdとすると、歯丈を決定する歯先高さと歯底深さは下式で求まる。
歯先高さ=R+(Bd/2)+{(Bd−ΔBd)/2}
歯底深さ=R+(Cd/2)+{(Cd−ΔCd)/2}
この2つの式において、R、Bd、ΔBd、Cd、ΔCdはいずれも任意に設定できる数値である。そして、移動距離Rの変化率ΔRを考慮してこれらの値を種々変化させたいくつかの歯形モデルを作製し、その中から最適なモデルを選ぶなどの方法により、R、Bd、ΔBd、Cd、ΔCdの適正値を見出すことができる。
創成円B,Cの直径は、移動終点Lpa,Lpbでの直径が移動始点Spa,Spbでの直径に対して0.2倍以上かつ1倍以下が適当である。
例えば、サイクロイド曲線の歯形は、一定径の基礎円上を一定径の内転円と外転円が転がり、その転円上の一点の軌跡によってその歯形が描かれる。歯形が成立するためには、内転円と外転円が歯数の数だけ回転したときに内転円と外転円が基礎円上を1周しなければならない。そのため、基礎円の直径と転円の直径および歯数によってロータの形状が決定される。その歯丈は転円の直径により自ずと定まるため、歯丈変更に関して自由度が全くない。トロコイド曲線を用いて創成される歯形も同様である。
これに対し、この発明の内接歯車式ポンプ用ロータは、インナーロータの歯先部と歯底部の少なくともどちらか一方の歯形において、創成円が一定径の基礎円上を転がらない。創成円は、一定角速度で角度θ回転するが、基礎円上を転がるわけではない。
図2或は図4における、インナーロータ中心Oから歯先創成円Bの移動始点(=円の中心の移動開始点Spa)までの距離R、インナーロータ中心Oから歯底創成円Cの移動始点(=円の中心の移動開始点Spb)までの距離r、直線Lの位置でのインナーロータ中心Oから歯先創成円Bの中心(=移動終点Lpa)までの距離R、直線Lの位置でのインナーロータ中心Oから歯底創成円Cの中心(=移動終点Lpb)までの距離rが任意に設定される。そして、RとRの距離差や、rとrの距離差、すなわち、歯先、歯底の創成円の径方向移動距離Rを変更することで歯丈を任意に変化させることができる。
特に、径方向移動距離Rを0以上に設定することで歯丈を自由に高くすることが可能になり、歯丈の増大でインナーロータとアウターロータの歯間に形成されるポンプ室の容積が大きくなってポンプの吐出量が増大する。
また、この発明の内接歯車式ポンプ用ロータは、創成円の直径や創成円の径方向移動距離、その距離の変化率などの諸条件の設定に自由度があるため、歯形設計の自由度も高まる。
特に、インナーロータの歯先や歯底の歯形が、径変化を伴って移動する創成円を用いて創成されたものは、創成円の移動始点から移動終点に至る間の直径変化量を変えることにより、歯形を変化させることができるため、歯形設計の自由度がより高まる。
なお、図2、図4における直線L〜L、歯先創成円Bの中心の移動始点Spa、移動終点Lpa、歯底創成円Cの中心の移動始点Spb、移動終点Lpb、距離R,R、r,rなどの詳細は後の説明において明らかにする。
サイクロイド曲線の歯形を用いて創成した歯形において、内転円と外転円の直径の和である歯丈はインナーロータとアウターロータの偏心量(以下では単に偏心量という)の2倍である。また、上述したように、歯形が成立するためには、内転円と外転円が歯数の数だけ回転したときに内転円と外転円が基礎円上を1周しなければならない。これらにより、基礎円の直径と偏心量が決まると、歯数も決まってしまう。そのため、同一のロータサイズにおける歯数の設定についての自由度が無い。これは、トロコイド曲線を用いて創成した歯形にも当てはまる。これに対し、この発明のポンプ用ロータは基礎円という概念がなく、基礎円と偏心量によらず歯数を決めることができる。そのために、歯数の設定にも自由度がある。従って、歯数を増加させてポンプの吐出脈動を小さくすることも可能である。
(a)この発明のポンプ用ロータの一例を示す端面図、(b)同上のロータのポンプ室が閉じ込められた状態の端面図 一定径の創成円を用いてインナーロータの歯形を創成する方法の解説図 一定径の歯先創成円の中心の移動状態を示すイメージ図 径変化を伴う創成円を用いてインナーロータの歯形を創成する方法の解説図 径変化を伴う歯先創成円の中心の移動状態を示すイメージ図 (a)この発明のポンプ用ロータの他の例(一定径の歯先創成円を用いてインナーロータの歯先を創成したもの)を示す端面図、(b)同上のロータのポンプ室が閉じ込められた状態の端面図 (a)この発明のポンプ用ロータのさらに他の例(一定径の歯先創成円を用いてインナーロータの歯先を創成したもの)を示す端面図、(b)同上のロータのポンプ室が閉じ込められた状態の端面図 径変化を伴う創成円を用いてインナーロータの歯先を創成したポンプ用ロータの一例を示す端面図 アウターロータの歯形の形成方法を示す図 図1のポンプ用ロータを採用した内接歯車式ポンプをハウジングのカバーを外した状態にして示す端面図 実施例で用いた発明品1のポンプ用ロータの歯形を示す図 実施例で用いた発明品2のポンプ用ロータの歯形を示す図 実施例で用いた発明品3のポンプ用ロータの歯形を示す図 実施例で用いた発明品4のポンプ用ロータの歯形を示す図 トロコイド曲線を用いた歯形の創成方法の解説図 インナーロータの歯形にトロコイド曲線を用いた従来のロータの端面図 実施例で用いた比較例1のポンプ用ロータのサイクロイド曲線の歯形を示す図
以下、添付図面の図1〜図14に基づいてこの発明のポンプ用ロータの実施の形態を説明する。図1に示すポンプ用ロータ1は、歯数がn(図のそれはn=6)のインナーロータ2と、歯数が(n+1)のアウターロータ3を組み合わせて構成されている。2aはインナーロータ2の歯先、2bはインナーロータ2の歯底である。インナーロータ2は中心に軸穴2cを有する。
インナーロータ2は、その歯形が、インナーロータと同心の基準円Aと、円周上の点jが基準円AとY軸の交点である基準点Jを通過する創成円B及び/もしくは歯底創成円Cを用いて創成される。その歯形は、下記条件に基づいて創成した歯先と歯底を組み合わせたものが具体例として考えられる。基準円Aは、インナーロータ中心から歯先と歯底の境界点までを半径とする円であり、この円上から前記点jが移動を開始する。
図2において、歯先創成円Bの直径をBd、
インナーロータ中心Oと前記基準点Jを結ぶ直線をL
インナーロータの中心Oと歯先頂点Tを結ぶ直線をL
前記歯先創成円Bの中心の移動始点Spaと、インナーロータ中心Oおよび前記歯先頂点Tの3点で作られる角度∠SpaO(直線LからLまでの回転角)をθとする。
前記歯先創成円Bの中心paが、移動始点Spa(前記点jが前記基準点Jに重なる位置での歯先創成円Bの中心位置であり、図2ではその移動始点Spaが直線L上にある)から、前記直線L側に向って移動終点Lpa(これは直線L上にある)まで角度θの範囲で移動する。このとき、前記歯先創成円Bの中心paの周方向の角速度は一定である。
この間に前記歯先創成円Bの中心paは、基準円Aの径方向に距離R移動する。
この歯先創成円Bの中心paが、移動始点Spaから移動終点Lpaに至る間に、歯先創成円Bは角度θ自転し、創成円上の点jが基準点Jから歯先頂点Tに到達する。この間に前記点jが移動した軌跡によってインナーロータの歯先2aの歯形の半分が描かれる(図3も同時参照)。
この際の、歯先創成円Bの自転の方向と、角度θの移動方向は同一である。つまり、自転の方向が右回りであれば、歯先創成円Bの移動の方向も右回りである。
このようにして描いた歯形曲線を、直線Lに対して反転する(直線Lを中心にして対称形状にする)ことにより、インナーロータの歯先曲線が出来上がる。
歯底曲線も同様にして描くことができる。直径Cdの歯底創成円Cを歯先創成円Bが回転する方向とは逆方向に一定角速度で自転させながら歯底創成円Cの中心paを移動始点Spbから移動終点Lpbに向けて角度θの範囲で移動させる。このときの、歯底創成円Cの円周の一点jが前記基準点Jから直線L上に設定された歯底頂点Tに到達するまでに移動した軌跡によってインナーロータの歯底の歯形の半分が描かれる。
上記の方法での歯形創成では、歯先創成円Bや歯底創成円Cが自己の直径Bd、Cdを一定に保ちながら移動始点から移動終点に移動し、その間の前記点jの軌跡によってインナーロータの歯先2aの歯形の半分を描いた。しかし、歯形創成方法は、これらに限定されるものではない。歯先創成円Bや歯底創成円Cがその直径を変化させながら移動始点から移動終点に移動し、その間に前記点jが移動した軌跡によりインナーロータの歯先や歯底の歯形の半分を描く方法でもこの発明の目的が達成される。
その径変化を伴う創成円を使用する場合の歯形創成の原理を図4、図5に示す。
図4において、
歯先創成円Bの移動始点における直径をBdmax
インナーロータ中心Oと前記基準点Jを結ぶ直線をL
インナーロータ中心Oと歯先頂点Tを結ぶ直線をL
前記歯先創成円Bの中心の移動始点Spaと、インナーロータ中心Oおよび前記歯先頂点Tの3点で作られる角度∠SpaO(直線LからLまでの回転角)をθとする。
前記歯先創成円Bの中心paが、移動始点Spaから前記直線L側に向って移動終点Lpa(これは直線L上にある)まで回転角θ移動する。このとき、前記歯先創成円Bの中心paの周方向の角速度は一定である。
この間に前記歯先創成円Bの中心paは、基準円Aの径方向に距離R移動する。
前記歯先創成円Bは、その歯先創成円Bの中心paが移動始点Spaから移動終点Lpaに至る間に直径を縮めながら角度θ自転する。そして、同創成円B上の点jは角度θ変位することで直線L上に設定された歯先頂点T(これは、予め設定した直径Dの歯先円と直線Lが交差した位置にある)に到達する。この間に前記点jが移動した軌跡によりインナーロータの歯先2aの歯形の半分が描かれる。歯先創成円Bは歯先頂点Tに到達した位置においてその直径がBdminに変化している。この方法によれば、一定径の創成円を用いて描かれる歯形に比べて歯先の曲率半径を大きくすることが可能となる。そして、チップクリアランス付近の隙間とチップクリアランスとの差を小さくした歯形を得ることができる。
なお、歯先創成円Bの自転の方向と角度θの範囲での移動方向を同一にすることおよび上記の方法で描いた半歯の歯形を直線Lに対して反転させて直線Lを中心にした対称形状の歯形を創成することは、一定径の創成円を用いて歯形を創成する場合と同様とする。
歯底曲線も同様にして描くことができる。移動始点Spbでの直径がCdの歯底創成円Cを歯先創成円Bが回転する方向とは逆方向に一定角速度で自転させ、なおかつ、直径を縮めながら移動始点Spbから移動終点Lpbに向けて角度θ移動させる。そして、歯底創成円Cの円周の一点jが基準点Jから直線L上に設定された歯底頂点T(これは、予め設定した直径Dの歯底円と直線Lが交差した位置にある)に到達するまでに前記点jが移動した軌跡によりインナーロータの歯底の歯形の半分を描く。その半分の歯形を直線Lに対して対称形状に描けば1歯分の歯底形状ができる。
歯数n、歯先円の直径D、歯底円の直径D、直線LからLまでの角度θ(∠SpaO)、直線LからLまでの角度θ(∠SpbO)、歯先創成円Bと歯底創成円Cの移動始点における直径Bdmax,Cdmax、移動終点における直径(Bdmin=Bd−ΔB),(Cdmin=Cd−ΔCd)および歯先創成円Bと歯底創成円Cの中心paが移動する曲線を予め設定することで上記の方法での歯形創成が行える。
前記歯先創成円Bと歯底創成円Cの中心paは、移動距離Rの変化率ΔRが創成円中心の移動終点Lpa,Lpbにおいて0である曲線AC、AC上を移動させると好ましい。この場合、歯先が鋭利にならず、チップクリアランス付近のクリアランスが安定することによる吐出性能の向上(吐出量の増加)や、ポンプ運転時の騒音の防止、ロータの耐久性向上の効果がある。
前記曲線AC、ACが、例えば、正弦関数を利用した曲線(移動距離Rの変化率ΔRが下記の式で表される)であるのも好ましい。
ΔR=R×sin(π/2×m/S)
ここにおいて、S:ステップ数、m=0→S
こうすると、m=Sでの変化率ΔRは0となり、滑らかな曲線を描くことができる。この際、創成円中心paの周方向移動量Δθは、
Δθ=θ/S
である。
前記曲線AC、ACは、好ましいとした正弦曲線のほかに、余弦曲線、高次曲線、円弧曲線、楕円曲線、もしくはこれらの曲線と一定の傾きをもつ直線とを合成した曲線なども利用することができる。
前記歯先創成円Bが直径を縮めながら創成円中心が移動始点Spaから移動終点Lpaに移動した場合における前記歯先創成円Bの直径の変化率Δrは、創成円中心の移動終点Lpa,Lpbにおいて0であると好ましい。それにより、歯先の曲率半径を大きくすることが容易になる。変化率Δrは、例えば正弦関数を利用した下記式を満たす。
Δr=r×sin(π/2×m/S)
ここにおいて、S:ステップ数、m=0→S
r:移動終点と移動始点での創成円の半径の差
アウターロータ3は、インナーロータ2よりも歯数を1枚多くしたもの(図1のそれは歯数:7枚)が用いられている。このアウターロータ3の歯形は、図9に示すように、以下の工程により創成される。まず、インナーロータ2の中心Oがアウターロータ3の中心Ooを中心とする直径(2e+t)の円S上を1周公転する。その間にインナーロータ2が1/n回自転する。このインナーロータの公転と自転により形成された歯形曲線群の包絡線を描く。この様にして決定した前記包絡線を歯形とする。
ここに、
e:インナーロータの中心とアウターロータの中心の偏心量
t:チップクリアランス
n:インナーロータの歯数
図2、図3、或は図4、図5で解説したこの発明を特徴づける曲線(以下ではこの発明の歯形曲線と言う)を歯先に適用したインナーロータ2において、その歯底形状は、歯先創成円Cを用いて歯先と同様の方法で創成してもよいし、既知のトロコイド曲線を用いて創成される歯形やサイクロイド曲線の歯形を採用してもよい。同様に、この発明の歯形曲線を歯底に適用したインナーロータ2において、その歯先形状は、トロコイド曲線を用いて創成される歯形やサイクロイド曲線の歯形を採用してもよい。
この発明の歯形曲線とサイクロイド曲線を組み合わせた歯形は、サイクロイド曲線の特徴であるアウターロータとの滑らかな噛み合わせ有し、かつ歯丈を高くすることができる。これにより、吐出量を増加させる要求が満たされる。
この発明の歯形曲線を適用した歯形において、インナーロータの歯先高さや歯底深さが歯先創成円B,歯底創成円Cの径方向移動距離Rの値によって決定される。この発明の歯形曲線を適用した歯形は、移動距離Rの大きさを自由に設定できるため、歯先、歯底のどちらか一方がトロコイド曲線やサイクロイド曲線の歯形である場合にも、歯丈の設定の自由度が確保される。
上述したインナーロータ2とアウターロータ3を偏心配置にして組み合わせて内接歯車式ポンプ用ロータ1を構成する。そして、その内接歯車式ポンプ用ロータ1を、図10に示すように、吸入ポート7と吐出ポート8を有するポンプハウジング5のロータ室6に収納して内接歯車式ポンプ9を構成する。その内接歯車式ポンプ9において、インナーロータ2の軸穴2cに駆動軸(図示せず)を挿入してインナーロータと駆動軸を係合させ、その駆動軸から駆動力を伝えてインナーロータ2を回転させる。このとき、アウターロータ3は従動回転し、この回転により両ロータ間に形成されるポンプ室4の容積が増減してオイルなどの流体の吸入、吐出がなされる。
上述したように、インナーロータ中心からの創成円の中心までの距離が歯形の歯先を創成する場合は移動始端から移動終端に向って増加する曲線上を、また、歯形の歯底を創成する場合はその距離が減少する曲線上を創成円の中心が移動する。その間、創成円は自転する。そして、その創成円の円周上の一点の軌跡によりインナーロータ2の歯先または歯底の少なくとも一方の歯形を創成する。そうすることで、インナーロータの歯の歯丈を、トロコイド曲線の歯形やサイクロイド曲線の歯形を採用した従来の内接歯車式ポンプの歯丈よりも大きくすることができる。そのために、インナーロータ2とアウターロータ3の歯間に形成されるポンプ室4の容積が従来品よりも大きくなり、ポンプの吐出量が増加する。
または、そうすることでインナーロータの歯数を、トロコイド曲線の歯形やサイクロイド曲線の歯形を採用した従来の内接歯車式ポンプの歯数よりも多くすることができる。そのために、インナーロータ2とアウターロータ3の歯間に形成されるポンプ室4の数が従来品よりも多くなり、ポンプの吐出量が増加する。
また、歯形創成の条件設定を自由に行なえるため、歯形設計の自由度も高まる。歯先創成円や歯底創成円の直径が一定回転角当たりに一定量縮小する円を用いてインナーロータの歯先曲線や歯底曲線を創成するものは、歯先の形状を変化させることによりチップクリアランス付近のクリアランスを調整できるので特に、歯形設計の自由度が高い。
図8は、インナーロータ2の歯先径(歯先円の直径)が等しい条件において、歯先創成円Bの直径を縮小させながら、インナーロータ中心Oから歯先創成円Bの中心までの距離の変化量を歯先創成円Bの直径の縮小量に対応する分だけ大きくして図4の方法で描いた歯形である。その歯形は、一定径の歯先創成円Bを用いて創成した図1のインナーロータの歯形と比較すると、歯先の曲率半径が大きくなり、アウターロータ歯先付近との隙間を小さくすることが出来る。そのために、ポンプの容積効率が良くなる。
図6及び図7に、この発明のポンプ用ロータ1の他の実施の形態を示す。図6の内接歯車式ポンプ用ロータは、インナーロータ2の歯先2a、歯底2bの双方にこの発明の歯形曲線を適用した設計である。また、図7の内接歯車式ポンプ用ロータは、インナーロータ2の歯先2aにこの発明の歯形曲線を適用し、歯底2bはサイクロイド曲線で構成したものである。図6、図7の内接歯車式ポンプ用ロータは、発明の歯形曲線の創成に一定径の創成円を用いている。これらの実施例からわかるように、この発明の内接歯車式ポンプ用ロータは、一定径の創成円を用いる場合にも歯形設計に自由度がある。
この発明のポンプ用ロータの性能評価の試験結果を以下に記す。各々が鉄系焼結合金で形成された歯数6枚のインナーロータと歯数7枚のアウターロータを製造し、その両者を組み合わせて内接歯車式オイルポンプ用ロータを作製した。
試験に用いたインナーロータの歯先と歯底の曲線の組み合わせは以下の通りである。
比較例1(図17参照)
歯先曲線:サイクロイド曲線
歯底曲線:サイクロイド曲線
発明品1(図11参照)
歯先曲線:サイクロイド曲線
歯底曲線:発明歯形曲線(歯底頂点でのΔR=0)
発明品2(図12参照)
歯先曲線:発明歯形曲線(歯先頂点でのΔR≠0)
歯底曲線:発明歯形曲線(歯底頂点でのΔR=0)
発明品3(図13参照)
歯先曲線:発明歯形曲線(歯先頂点でのΔR=0)
歯底曲線:発明歯形曲線(歯底頂点でのΔR=0)
発明品4(図14参照)
歯先曲線:発明歯形曲線(歯先頂点でのΔR=0、創成円直径が変化)
歯底曲線:発明歯形曲線(歯底頂点でのΔR=0、創成円直径が変化)
共通諸元は、
アウターロータ外径:φ60mm
インナーロータ内径:φ15mm
ロータ厚み:15mm
であり、各歯形は以下の方法で創成した。この際、アウターロータはいずれも、組み合わせ相手のインナーロータを用いて図9の方法で求めた歯形曲線群の包絡線により歯形を創成した。
[比較例1]
比較例1の歯先のサイクロイド曲線は、直径φ39mmの基礎円上を、直径φ3.25mmの外転円を滑らずに転がして創成した。歯底のサイクロイド曲線は、直径φ39mmの基礎円上を、直径φ3.25mmの内転円を滑らずに転がして創成した。
創成したインナーロータ、アウターロータの歯先径(歯先円の直径)と歯底径(歯底円の直径)、及び偏心量eは以下の通りである。
インナーロータ歯先径:φ45.5mm
インナーロータ歯底径:φ32.5mm
アウターロータ歯先径:φ39.1mm
アウターロータ歯底径:φ52.1mm
偏心量e:3.25mm
[発明品1]
発明品1の歯先のサイクロイド曲線は、直径φ41mmの基礎円上を直径φ2.4mmの外転円を滑らずに転がして創成した。
歯底の発明歯形曲線は、基準円Aと直径が一定である創成円Cを用いて図2の方法で創成した。この際の諸元は以下の通りである。
基準円Aの直径Ad:φ41.0mm
創成円Cの直径Cd:φ4.5mm
創成円Cの径方向移動量R:2.3mm
移動距離Rの変化率ΔR:2.3×sin(π/2×m/S)
ステップ数S:30
θ:19.5°
創成したインナーロータ、アウターロータの歯先径と歯底径、偏心量eは以下の通りである。これらの数値は、以下に挙げる発明品2、3、4も同一である。
インナーロータ歯先径:φ45.1mm
インナーロータ歯底径:φ31.5mm
アウターロータ歯先径:φ38.3mm
アウターロータ歯底径:φ51.9mm
偏心量e:3.4mm
[発明品2]
発明品2の歯先の発明歯形曲線は、基準円Aと直径が一定である創成円Bを用いて図2の方法で創成した。この際の諸元は以下の通りである。
基準円Aの直径Ad:φ40.0mm
創成円Bの直径Bd:φ2.3mm
創成円Bの径方向移動量R:1.1mm
移動距離Rの変化率ΔR:1.1×(m/S)
ステップ数S:30
θ:10.5°
歯底の発明歯形曲線は、図2で説明した基準円Aと直径が一定である創成円Cを用いて図2の方法で創成した。この際の諸元は以下の通りである。
基準円Aの直径Ad:φ40.0mm
創成円Cの直径Cd:φ4.3mm
創成円Cの径方向移動量R:2.0mm
移動距離Rの変化率ΔR:2.0×sin(π/2×m/S)
ステップ数S:30
θ:19.5°
[発明品3]
発明品3の歯先の発明歯形曲線は、基準円Aと直径が一定である創成円Bを用いて図2の方法で創成した。この際の諸元は以下の通りである。
基準円Aの直径Ad:φ40.0mm
創成円Bの直径Bd:φ2.3mm
創成円Bの径方向移動距離R:1.1mm
移動距離Rの変化率ΔR:1.1×sin(π/2×m/S)
ステップ数S:30
θ:10.5°
歯底の発明歯形曲線は、基準円Aと直径が一定である創成円Cを用いて図2の方法で創成した。この際の諸元は以下の通りである。
基準円Aの直径Ad:φ40.0mm
創成円Cの直径Cd:φ4.3mm
創成円Cの径方向移動量R:2.0mm
移動距離Rの変化率ΔR:2.0×sin(π/2×m/S)
ステップ数S:30
θ:19.5°
発明品4の歯先の発明歯形曲線は、基準円Aと移動中に径変を生じる創成円Bを用いて図4の方法で創成した。この際の諸元は以下の通りである。
基準円Aの直径Ad:φ41.4mm
歯先創成円Bの移動始点における直径Bdmax:φ2.4mm
移動終点における直径Bdmin:φ0.6mm
歯先創成円の直径の変化率:Δr=1.8×sin(π/2×m/S)
歯先創成円Bの中心の径方向移動距離R:0.7mm
移動距離Rの変化率:ΔR=0.7×sin(π/2×m/S)
ステップ数S:30
θ:10.5°
発明品4の歯底の発明歯形曲線は、基準円Aと移動中に径変を生じる歯底創成円Cを用いて図4の方法で創成した。この際の諸元は以下の通りである。
基準円Aの直径:41.4mm
歯底創成円Cの移動始点における直径Cdmax:φ4.5mm、
移動終点における直径Cdmin:φ4.0mm
歯先創成円の直径の変化率:Δr=0.5×sin(π/2×m/S)
歯底創成円Cの中心の径方向移動距離R:2.9mm
移動距離Rの変化率ΔR:2.9×sin(π/2×m/S)
ステップ数S:30
θ:19.5°
上記の仕様のインナーロータとアウターロータを組み合わせた内接歯車式ポンプ用ロータをポンプハウジングに組み込んで内接歯車式ポンプを構成した。そして、下記試験条件での各ポンプの吐出量を比較した。その結果を以下の表1に示す。
試験条件
油種:ATF
油温:80度
吐出圧:2.5MPa
回転数:3000rpm
Figure 2010016473
この試験結果からわかるように、前記距離Rを変化させることで、インナーロータの歯形がトロコイド曲線を用いて創成された従来品(図16参照)、或いはサイクロイド曲線で構成された従来品(図17参照)よりもロータの歯丈を大きくしてポンプの吐出量を増加させることができる。また、基準円の直径や歯先創成円、歯底創成円の直径の設定に自由度があるため、歯数の設定も自由に行え、歯数を増加させてポンプの吐出脈動を小さくすることも可能になる。
創成円の直径を移動中に徐々に変化させた発明品4も、比較例に比べると吐出量が増加しており、この結果から、創成円の直径が移動中に変化しても発明の目的が達成されることがわかる。
この発明のポンプ用ロータと内接歯車式ポンプは、車のエンジンの潤滑用や自動変速機(AT)用のオイルポンプなどとして好適に利用することができる。
1 ポンプ用ロータ
2 インナーロータ
2a 歯先
2b 歯底
2c 軸穴
3 アウターロータ
4 ポンプ室
5 ポンプハウジング
6 ロータ室
7 吸入ポート
8 吐出ポート
9 内接歯車式ポンプ
A 基準円
Ad 基準円Aの直径
B 歯先創成円
Bd 歯先創成円Bの直径
Spa 歯先創成円Bの移動始点
Lpa 歯先創成円Bの移動終点
Bdmax 歯先創成円Bの移動始点における直径
Bdmin 歯先創成円Bの移動終点における直径
ΔBd 歯先創成円Bの直径の変化量
C 歯底創成円
Cd 歯底創成円Cの直径
Spb 歯底創成円Cの移動始点
Lpb 歯底創成円Cの移動終点
Cdmax 歯底創成円Cの移動始点における直径
Cdmin 歯底創成円Cの移動終点端における直径
ΔCd 歯底創成円Cの直径の変化量
AC 歯先創成円Bの中心が移動する曲線
AC 歯底創成円Cの中心が移動する曲線
J 基準円A上の基準点
j 創成円上の1点
インナーロータの歯先頂点
インナーロータの歯底頂点
インナーロータ中心Oと基準点Jとを結ぶ直線
インナーロータ中心Oと歯先頂点Tを結ぶ直線
インナーロータ中心Oと歯底頂点Tを結ぶ直線
θ 直線Lから直線Lまでの回転角(∠SpaO
θ 直線Lから直線Lまでの回転角(∠SpbO
R 創成円の径方向移動距離
ΔR 距離Rの変化率
pa 創成円中心
,R インナーロータ中心Oから歯先創成円Bの中心までの距離
,r インナーロータ中心Oから歯底創成円Cの中心までの距離
インナーロータの歯先円の直径
インナーロータの歯底円の直径
e インナーロータとアウターロータの偏心量
t チップクリアランス
n インナーロータの歯数
インナーロータ中心
アウターロータ中心
S 2e+tの直径を持つ円
E 基礎円
F 転円
TC トロコイド曲線
G 軌跡円
上記の課題を解決するため、この発明においては、歯数がnのインナーロータと、歯数が(n+1)のアウターロータを組み合わせた内接歯車式ポンプ用のロータを以下の通りに構成した。
すなわち、下記の条件を満たして創成円B,Cが移動し、その間にインナーロータ中心Oと同心である基準円A上の基準点Jと重なる創成円上の点jであって、その創成円B、C上の1点jが描く軌跡曲線を基準円中心O から歯先頂点又は歯底頂点に至る直線に対して対称形状に描いて歯形の歯先曲線、歯底曲線の少なくとも一方を構成した。
−創成円B,Cの移動条件−
−創成円(B、C)の移動条件(1)〜(2)
(1)前記創成円上の点jが基準円A上の基準点Jに重なるように前記創成円B、Cを配置したときに中心が位置決めされる移動始点から、創成円上の点jが歯先頂点又は歯底頂点に位置するように創成円B、Cを配置したときに中心が位置決めされる移動終点までの創成円中心移動曲線上を前記創成円B、Cの中心paが移動し、かつ、創成円B、Cがその円の移動方向と同方向に一定角速度で角度自転する。
(2)創成円中心移動曲線AC ,AC は、その移動始点が基準円A上の点Jとインナーロータ中心O とを結ぶ直線上にあり、移動終点が前記歯先頂点又は歯底頂点とインナーロータ中心O とを結ぶ直線上にあって、インナーロータ中心O から創成円中心までの基準円径方向の距離を、前記移動始点から移動終点まで、前記歯先曲線にあってはその距離を増加変化させ、又は前記歯底曲線にあってはその距離を減少変化させる。
この内接歯車式ポンプ用ロータにおいて、インナーロータ中心Oと創成円中心との間の距離の変化率ΔR’が移動終点Lpa,Lpbにおいて0である曲線AC、AC上を前記創成円中心paが移動すると好ましい。
前記曲線AC,ACが正弦関数を利用した曲線であると好ましい。例えば、創成円中心移動曲線AC 、AC 上を創成円の中心paが移動始点Spa、Spbから基準円Aの径方向において移動した距離である移動距離の変化率(ΔR)が、以下の式を満たす曲線である。
ΔR=R×sin((π/2)×(m/S))
ここにおいて、R:(インナーロータ中心O から創成円中心の移動終点までの距離)−インナーロータ中心O から創成円中心の移動始点までの距離)、又は(インナーロータ中心O から創成円中心の移動始点までの距離)−(インナーロータ中心O から創成円中心の移動終点までの距離)、S:ステップ数、m=0→Sであり、そのステップ数Sは、前記移動始点、インナーロータ中心O および移動終点で作られる角度θ 又はθ を等間隔に分割した数を言う
前記歯先創成円Bが直径を縮めながら創成円中心が移動始点Spaから移動終点Lpaに移動した場合における前記歯先創成円Bの直径の変化率Δr’は、創成円中心の移動終点Lpa,Lpbにおいて0である好ましい。それにより、歯先の曲率半径を大きくすることが容易になる。このため、ΔRと同様に、創成円の移動に伴って変化したその創成円径である変化率Δrは、例えば正弦関数を利用した下記式を満たす。
Δr=r×sin((π/2)×(m/S))
ここにおいて、S:ステップ数、m=0→Sであり、そのステップ数Sは、前記移動始点Spa、Spb、インナーロータ中心O および移動終点Lpa、Lpbの3点で作られる角度θ 又はθ を等間隔に分割した数、r:移動終点と移動始点での創成円の半径の差を言う。
上記の課題を解決するため、この発明においては、歯数がnのインナーロータと、歯数が(n+1)のアウターロータを組み合わせた内接歯車式ポンプ用のロータを以下の通りに構成した。
すなわち、下記の条件を満たして創成円B、Cが移動し、その間にインナーロータ中心Oと同心である基準円A上の基準点Jと重なる創成円上の点jであって、その創成円B、C上の1点jが描く軌跡曲線を基準円中心Oから歯先頂点又は歯底頂点に至る直線に対して対称形状に描いて歯形の歯先曲線、歯底曲線の少なくとも一方を構成した。
−創成円B、Cの移動条件(1)〜(2)−
(1)前記創成円上の点jが基準円A上の基準点Jに重なるように前記創成円B、Cを配置したときにその創成円中心pa、pbが位置決めされる移動始点から、創成円上の点jが歯先頂点又は歯底頂点に位置するように創成円B、Cを配置したときにその創成円中心pa、pbが位置決めされる移動終点までの創成円中心移動曲線上を前記創成円B、Cの中心pa、pbが移動し、かつ、創成円B、Cがその円の移動方向と同方向に一定角速度で角度自転する。
(2)創成円中心移動曲線AC,ACは、その移動始点が基準円A上の点Jとインナーロータ中心Oとを結ぶ直線上にあり、移動終点が前記歯先頂点又は歯底頂点とインナーロータ中心Oとを結ぶ直線上にあって、インナーロータ中心Oから創成円中心までの基準円径方向の距離を、前記移動始点から移動終点まで、前記歯先曲線にあってはその距離を増加変化させ、又は前記歯底曲線にあってはその距離を減少変化させる。
創成円B,Cは、それぞれの直径Bd、Cdを一定に保って創成円の中心が移動始点から移動終点へ移動する円と、それぞれの直径Bd、Cdを縮めながら創成円の中心が移動始点から移動終点へ移動する円の2通りが考えられる。これ等の創成円は、ポンプの要求性能を考慮して適当な方を選ぶことができる。
この内接歯車式ポンプ用ロータにおいて、インナーロータ中心Oと創成円中心pa、pbとの間の距離の変化率ΔR’が移動終点Lpa、Lpbにおいて0である曲線AC、AC上を前記創成円中心pa、pbが移動すると好ましい。
前記曲線AC、ACが正弦関数を利用した曲線であると好ましい。例えば、創成円中心移動曲線AC、AC上を創成円中心pa、pbが移動始点Spa、Spbから基準円Aの径方向において移動した移動量ΔRが、以下の式を満たす曲線である。
ΔR=R×sin((π/2)×(m/S))
ここにおいて、R:(インナーロータ中心Oから創成円中心paの移動終点までの距離)−インナーロータ中心Oから創成円中心paの移動始点までの距離)、又は(インナーロータ中心Oから創成円中心pbの移動始点までの距離)−(インナーロータ中心Oから創成円中心pbの移動終点までの距離)であって、以下、「創成円の径方向移動距離」又は単に「移動距離」と言う。S:ステップ数、m=0→Sであり、そのステップ数Sは、前記移動始点、インナーロータ中心Oおよび移動終点で作られる角度θ又はθを等間隔に分割した数を言う。
この2つの式において、R、Bd、ΔBd、Cd、ΔCdはいずれも任意に設定できる数値である。そして、移動量ΔRの変化率ΔR’を考慮してこれらの値を種々変化させたいくつかの歯形モデルを作製し、その中から最適なモデルを選ぶなどの方法により、R、Bd、ΔBd、Cd、ΔCdの適正値を見出すことができる。
創成円B,Cの直径は、移動終点Lpa,Lpbでの直径が移動始点Spa,Spbでの直径に対して0.2倍以上かつ1倍以下が適当である。
また、この発明の内接歯車式ポンプ用ロータは、創成円の直径や創成円の径方向移動距離、その創成円中心pa、pbの移動量ΔRの変化率ΔR’などの諸条件の設定に自由度があるため、歯形設計の自由度も高まる。
特に、インナーロータの歯先や歯底の歯形が、径変化を伴って移動する創成円を用いて創成されたものは、創成円の移動始点から移動終点に至る間の直径変化量を変えることにより、歯形を変化させることができるため、歯形設計の自由度がより高まる。
歯底曲線も同様にして描くことができる。直径Cdの歯底創成円Cを歯先創成円Bが回転する方向とは逆方向に一定角速度で自転させながら歯底創成円Cの中心pbを移動始点Spbから移動終点Lpbに向けて角度θの範囲で移動させる。このときの、歯底創成円Cの円周の一点jが前記基準点Jから直線L上に設定された歯底頂点Tに到達するまでに移動した軌跡によってインナーロータの歯底の歯形の半分が描かれる。
歯数n、歯先円の直径D、歯底円の直径D、直線LからLまでの角度θ(∠SpaO)、直線LからLまでの角度θ(∠SpbO)、歯先創成円Bと歯底創成円Cの移動始点における直径Bdmax、Cdmax、移動終点における直径(Bdmin=Bd−ΔB)、(Cdmin=Cd−ΔCd)および歯先創成円Bと歯底創成円Cの中心pa、pbが移動する曲線を予め設定することで上記の方法での歯形創成が行える。
前記歯先創成円Bと歯底創成円Cの中心pa、pbは、移動量ΔRの変化率ΔR’が創成円中心の移動終点Lpa、Lpbにおいて0である曲線AC、AC上を移動させると好ましい。この場合、歯先が鋭利にならず、チップクリアランス付近のクリアランスが安定することによる吐出性能の向上(吐出量の増加)や、ポンプ運転時の騒音の防止、ロータの耐久性向上の効果がある。
前記曲線AC、ACが、例えば、正弦関数を利用した曲線(移動量ΔRが下記の式で表される)であるのも好ましい。
ΔR=R×sin(π/2×m/S)
ここにおいて、S:ステップ数、m=0→S
こうすると、m=Sでの移動量ΔR変化率ΔR’は0となり、滑らかな曲線を描くことができる。この際、創成円中心pa、pbの周方向移動量Δθは、
Δθ=θ/S
である。
前記歯先創成円B、Cが直径を縮めながら創成円中心pa、pbが移動始点Spa、Spbから移動終点Lpa、Lpbに移動した場合における前記歯先創成円B、Cの直径の変化率Δr’は、創成円中心の移動終点Lpa,Lpbにおいて0であること好ましい。それにより、歯先の曲率半径を大きくすることが容易になる。このため、ΔRと同様に、創成円の移動に伴って変化したその創成円径変化Δrは、例えば正弦関数を利用した下記式を満たす。
Δr=r×sin((π/2)×(m/S))
ここにおいて、S:ステップ数、m=0→Sであり、そのステップ数Sは、前記移動始点Spa、Spb、インナーロータ中心Oおよび移動終点Lpa、Lpbの3点で作られる角度θ又はθを等間隔に分割した数、r:移動終点と移動始点での創成円の半径の差を言う。
試験に用いたインナーロータの歯先と歯底の曲線の組み合わせは以下の通りである。
比較例1(図17参照)
歯先曲線:サイクロイド曲線
歯底曲線:サイクロイド曲線
発明品1(図11参照)
歯先曲線:サイクロイド曲線
歯底曲線:発明歯形曲線(歯底頂点でのΔR’=0)
発明品2(図12参照)
歯先曲線:発明歯形曲線(歯先頂点でのΔR’≠0)
歯底曲線:発明歯形曲線(歯底頂点でのΔR’=0)
発明品3(図13参照)
歯先曲線:発明歯形曲線(歯先頂点でのΔR’=0)
歯底曲線:発明歯形曲線(歯底頂点でのΔR’=0)
発明品4(図14参照)
歯先曲線:発明歯形曲線(歯先頂点でのΔR’=0、創成円直径が変化)
歯底曲線:発明歯形曲線(歯底頂点でのΔR’=0、創成円直径が変化)
[発明品1]
発明品1の歯先のサイクロイド曲線は、直径φ41mmの基礎円上を直径φ2.4mmの外転円を滑らずに転がして創成した。
歯底の発明歯形曲線は、基準円Aと直径が一定である創成円Cを用いて図2の方法で創成した。この際の諸元は以下の通りである。
基準円Aの直径Ad:φ41.0mm
創成円Cの直径Cd:φ4.5mm
創成円Cの径方向移動距離R:2.3mm
移動量ΔR:2.3×sin(π/2×m/S)
ステップ数S:30
θ:19.5°
創成したインナーロータ、アウターロータの歯先径と歯底径、偏心量eは以下の通りである。これらの数値は、以下に挙げる発明品2、3、4も同一である。
インナーロータ歯先径:φ45.1mm
インナーロータ歯底径:φ31.5mm
アウターロータ歯先径:φ38.3mm
アウターロータ歯底径:φ51.9mm
偏心量e:3.4mm
[発明品2]
発明品2の歯先の発明歯形曲線は、基準円Aと直径が一定である創成円Bを用いて図2の方法で創成した。この際の諸元は以下の通りである。
基準円Aの直径Ad:φ40.0mm
創成円Bの直径Bd:φ2.3mm
創成円Bの径方向移動距離R:1.1mm
移動量ΔR:1.1×(m/S)
ステップ数S:30
θ :10.5°
歯底の発明歯形曲線は、図2で説明した基準円Aと直径が一定である創成円Cを用いて図2の方法で創成した。この際の諸元は以下の通りである。
基準円Aの直径Ad:φ40.0mm
創成円Cの直径Cd:φ4.3mm
創成円Cの径方向移動距離R:2.0mm
移動量ΔR:2.0×sin(π/2×m/S)
ステップ数S:30
θ :19.5°
[発明品3]
発明品3の歯先の発明歯形曲線は、基準円Aと直径が一定である創成円Bを用いて図2の方法で創成した。この際の諸元は以下の通りである。
基準円Aの直径Ad:φ40.0mm
創成円Bの直径Bd:φ2.3mm
創成円Bの径方向移動距離R:1.1mm
移動量ΔR:1.1×sin(π/2×m/S)
ステップ数S:30
θ:10.5°
歯底の発明歯形曲線は、基準円Aと直径が一定である創成円Cを用いて図2の方法で創成した。この際の諸元は以下の通りである。
基準円Aの直径Ad:φ40.0mm
創成円Cの直径Cd:φ4.3mm
創成円Cの径方向移動距離R:2.0mm
移動量ΔR:2.0×sin(π/2×m/S)
ステップ数S:30
θ :19.5°
発明品4の歯先の発明歯形曲線は、基準円Aと移動中に径変を生じる創成円Bを用いて図4の方法で創成した。この際の諸元は以下の通りである。
基準円Aの直径Ad:φ41.4mm
歯先創成円Bの移動始点における直径Bdmax:φ2.4mm
移動終点における直径Bdmin:φ0.6mm
歯先創成円の直径の変化量:Δr=1.8×sin(π/2×m/S)
歯先創成円Bの中心の径方向移動距離R:0.7mm
移動量:ΔR=0.7×sin(π/2×m/S)
ステップ数S:30
θ:10.5°
発明品4の歯底の発明歯形曲線は、基準円Aと移動中に径変を生じる歯底創成円Cを用いて図4の方法で創成した。この際の諸元は以下の通りである。
基準円Aの直径:41.4mm
歯底創成円Cの移動始点における直径Cdmax:φ4.5mm、
移動終点における直径Cdmin:φ4.0mm
歯先創成円の直径の変化量:Δr=0.5×sin(π/2×m/S)
歯底創成円Cの中心の径方向移動距離R:2.9mm
移動量ΔR:2.9×sin(π/2×m/S)
ステップ数S:30
θ:19.5°
1 ポンプ用ロータ
2 インナーロータ
2a 歯先
2b 歯底
2c 軸穴
3 アウターロータ
4 ポンプ室
5 ポンプハウジング
6 ロータ室
7 吸入ポート
8 吐出ポート
9 内接歯車式ポンプ
A 基準円
Ad 基準円Aの直径
B 歯先創成円
Bd 歯先創成円Bの直径
Spa 歯先創成円Bの移動始点
Lpa 歯先創成円Bの移動終点
Bdmax 歯先創成円Bの移動始点における直径
Bdmin 歯先創成円Bの移動終点における直径
ΔBd 歯先創成円Bの直径の変化量
C 歯底創成円
Cd 歯底創成円Cの直径
Spb 歯底創成円Cの移動始点
Lpb 歯底創成円Cの移動終点
Cdmax 歯底創成円Cの移動始点における直径
Cdmin 歯底創成円Cの移動終点端における直径
ΔCd 歯底創成円Cの直径の変化量
AC 歯先創成円Bの中心が移動する曲線
AC 歯底創成円Cの中心が移動する曲線
J 基準円A上の基準点
j 創成円上の1点
インナーロータの歯先頂点
インナーロータの歯底頂点
インナーロータ中心Oと基準点Jとを結ぶ直線
インナーロータ中心Oと歯先頂点TTを結ぶ直線
インナーロータ中心Oと歯底頂点TBを結ぶ直線
θ 直線Lから直線Lまでの回転角(∠SpaO
θ 直線Lから直線Lまでの回転角(∠SpbO
R 創成円の移動始点から移動終点までの径方向移動距離
ΔR 創成円の移動始点からの径方向移動量
pa、pb 創成円中心
,R インナーロータ中心Oから歯先創成円Bの中心までの距離
,r インナーロータ中心Oから歯底創成円Cの中心までの距離
インナーロータの歯先円の直径
インナーロータの歯底円の直径
e インナーロータとアウターロータの偏心量
t チップクリアランス
n インナーロータの歯数
インナーロータ中心
アウターロータ中心
S 2e+tの直径を持つ円
E 基礎円
F 転円
TC トロコイド曲線
G 軌跡円

Claims (9)

  1. 歯数がnのインナーロータ(2)と、歯数が(n+1)のアウターロータ(3)を組み合わせ、両ロータの歯間に形成されるポンプ室(4)のロータ回転に伴う容積変化によって流体を吸入、吐出する内接歯車式ポンプ用のロータであって、
    下記の条件を満たして創成円(B,C)が移動し、その間にインナーロータ中心(O)と同心である基準円A上の基準点(J)と重なる点(j)であって、前記創成円(B,C)上の1点(j)が描く軌跡曲線によって歯形の歯先曲線、歯底曲線の少なくとも一方が構成された前記インナーロータ(2)を含む内接歯車式ポンプ用ロータ。
    −創成円(B,C)の移動条件−
    インナーロータ中心(O)から創成円中心までの径方向の距離を距離(R)変化させながら、前記点(j)が前記基準円(A)上の基準点(J)に重なるように前記創成円(B,C)を配置したときに中心が位置決めされる移動始点(Spa,Spb)から、前記点(j)が歯先頂点(T)又は歯底頂点(T)に位置するように前記創成円(B,C)を配置したときに中心が位置決めされる移動終点(Lpa,Lpb)まで前記創成円(B,C)の中心(pa)が移動し、かつ、前記創成円(B,C)がその円の移動方向と同方向に一定角速度で角度(θ)自転する。
  2. 一定の径である前記創成円(B,C)の中心(pa)が、移動始点Spa,Spbから移動終点Lpa,Lpbへ移動し、その一定径である創成円(B,C)の外周の点(j)が描く軌跡曲線によって歯形の歯先曲線と歯底曲線の少なくとも一方が構成された前記インナーロータ(2)を含む請求項1に記載の内接歯車式ポンプ用ロータ。
  3. 前記創成円(B,C)が直径を縮めながら、前記創成円(B,C)の中心(pa)が移動始点(Spa,Spb)から移動終点(Lpa,Lpb)へ移動し、その径変化を伴う創成円(B,C)の外周の点(j)が描く軌跡曲線によって歯形の歯先曲線と歯底曲線の少なくとも一方が構成された前記インナーロータ(2)を含む請求項1に記載の内接歯車式ポンプ用ロータ。
  4. 前記創成円の中心(pa)が、インナーロータ中心(O)から創成円中心(pa)までの距離の変化率(ΔR)が移動終点において0である曲線(AC,AC)上を移動する請求項1乃至3のいずれかに記載の内接歯車式ポンプ用ロータ。
  5. 前記曲線(AC,AC)が正弦曲線である請求項4に記載の内接歯車式ポンプ用ロータ。
  6. 前記曲線(AC,AC)とインナーロータ中心(O)との距離の変化率(ΔR)が、下記式
    ΔR=R×sin(π/2×m/S)
    ここにおいて、S:ステップ数、m=0→S
    を満たす請求項4又は5に記載の内接歯車式ポンプ用ロータ。
  7. 前記創成円(B,C)の直径(Bd,Cd)が、移動終点(Lpa,Lpb)の位置において移動始点(Spa,Spb)での直径の0.2倍以上、かつ、1倍以下の大きさである請求項3乃至6のいずれかに記載の内接歯車式ポンプ用ロータ。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載のインナーロータ(2)と、アウターロータを組み合わせて構成される内接歯車式ポンプ用ロータであって、
    インナーロータ(2)の中心(O)がアウターロータ(3)の中心(O)を中心とする直径(2e+t)の円(S)上を1周公転し、
    その間にインナーロータ(2)が1/n回自転し、
    このインナーロータの公転と自転により形成された歯形曲線群の包絡線を描き、
    この様にして決定した前記包絡線を歯形として有する前記アウターロータを含む内接歯車式ポンプ用ロータ。
    ここに、
    e:インナーロータの中心とアウターロータの中心の偏心量
    t:チップクリアランス
    n:インナーロータの歯数
  9. 請求項1乃至8のいずれかに記載のポンプ用ロータ(1)を、ポンプハウジング(5)に設けられたロータ室(6)に収納して構成される内接歯車式ポンプ。
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