JPWO2010001906A1 - キシロースからエタノールを生産する酵母 - Google Patents

キシロースからエタノールを生産する酵母 Download PDF

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Abstract

キシロースからのエタノール生産能に優れた酵母を提供することを目的とする。本発明の酵母は、ソルビトール脱水素酵素をコードする遺伝子が宿主酵母内に発現可能に導入され又は当該遺伝子の発現が活性化され、キシリトールからキシルロースへの変換活性が前記導入又は前記活性化前よりも増強された、形質転換酵母である。

Description

本発明は、キシロースからエタノールを生産する酵母に関する。
近年,地球温暖化防止のためCO2排出削減の方策として、再生可能な資源であるバイオマスからのエタノール生産が脚光を浴びている。
従来はエタノール生産には糖蜜やデンプン資源が主として用いられてきたが、食糧競合の問題からリグノセルロースからのエタノール生産が注目されており、多くの研究開発がなされている。
リグノセルロースの構成糖は、グルコースやマンノースなどのC6糖のほか、キシロースやアラビノースなどのC5糖であり、バイオマス資源の有効利用のためには、C6糖のみならずC5糖からエタノールを効率よく生産する微生物の開発が必要である。
現在、エタノール生産にはサッカロマイセス・セレビシア(Saccharomyces cerevisiae)に代表される酵母が主に使用されている。サッカロマイセス・セレビシアはC6糖からのエタノール生産能が高く、エタノールに対する高い耐性を有している。
しかしながら、サッカロマイセス・セレビシアはC5糖を利用することができないため、現状ではピキア・スティピティス(Pichia stipitis)に代表されるキシロース資化能を有する酵母のキシロース分解にかかわる酵素遺伝子(キシロース還元酵素(XR)遺伝子、キシリトール脱水素酵素(XDH)遺伝子)をサッカロマイセス・セレビシアに導入して、キシロース利用能をもつ組み換え体を作製する研究が主流である(例えばHo et al. Appl.Environ. Microbiol. 64, 1852 (1998)(非特許文献1))。ピキア・スティピティスではXR, XDHをコードする遺伝子はそれぞれXYL1, XYL2と命名されている。
しかし、これらの遺伝子はサッカロマイセス・セレビシアにとって外来遺伝子であるので、上記の方法で作製した酵母は組み換え体に該当し、外界への菌体の漏出を防ぐ手段が必要になるなど、その利用に様々な制約が生じるため好ましいものではない。
ところで、サッカロマイセス・セレビシアはキシロースを利用できないが、キシロースを分解するための酵素遺伝子を有している。DNAデータベース上でピキア・スティピティスのキシロース分解酵素遺伝子と相同性を有する遺伝子、すなわち、XYL1と相同性を有する遺伝子6種類(GRE3, YJR096w, YPR1, GCY1, ARA1, YDR124w)、XYL2と相同性を有する遺伝子3種類(YLR070c, SOR1, SOR2)が報告されている。しかし、サッカロマイセス・セレビシアでは、キシロース分解にかかわるこれらの遺伝子群の発現は非常に弱いか、もしくは発現していないと考えられている。なお、サッカロマイセス・セレビシアはキシルロースを炭素源として生育できるので、キシルロースリン酸化酵素遺伝子(XKS1遺伝子)は酵母細胞内で機能していると考えられている。
サッカロマイセス・セレビシア自身の有するキシロース分解遺伝子群を用いたキシロースからのエタノール生産の研究例としてはToivariらの報告(Toivari et al. Appl. Environ. Microbiol. 70, 3681(2004)(非特許文献2))がある。この研究では、キシロース分解酵素遺伝子としてGRE3及びYLR070cが使用されている。これらの遺伝子はキシロース資化能を有するピキア・スティピティスのキシロース分解酵素遺伝子との相同性から選択されたものである。しかしながら、この研究によれば、作製された酵母はキシロース分解能を有するがエタノールを生産せず、キシリトールを顕著に蓄積するという問題点がある。
Ho et al., Appl. Environ. Microbiol., vol. 64, p. 1852 (1998) Toivari et al., Appl. Environ. Microbiol., vol. 70, p. 3681 (2004)
本発明は、サッカロマイセス・セレビシアなどの酵母自身に由来するキシロース分解酵素をコードする遺伝子を利用することにより、好ましくは組み換え体ではない、キシロース利用能を有する酵母(キシロース資化性酵母)、ひいてはキシロースからのエタノール生産能に優れた酵母を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、宿主酵母に導入する遺伝子につき、キシロース分解酵素の一つであるキシリトール脱水素酵素遺伝子として、ソルビトール脱水素酵素をコードする遺伝子を利用すれば、驚くべきことに従来のYLR070c酵素遺伝子を導入した場合よりもキシリトール脱水素酵素活性が高い酵母が得られることを見出した。また、宿主酵母が本来有する(内因性の)ソルビトール脱水素酵素遺伝子の発現を活性化させることにより、上記と同様、キシリトール脱水素酵素活性が高い酵母が得られることを見出した。そして、このようにして得られた酵母は、キシロース利用能を有する酵母(キシロース資化性酵母)であり、キシロースからエタノールを生産するのに使用することができることを見出して、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下に関する。
(1)ソルビトール脱水素酵素をコードする遺伝子が発現可能に導入され又は当該遺伝子の発現が活性化され、キシリトールからキシルロースへの変換活性が前記導入又は前記活性化前よりも増強された形質転換酵母。
上記(1)の酵母としては、例えば、ソルビトール脱水素酵素をコードする遺伝子が発現可能に導入され、キシリトールからキシルロースへの変換活性が当該導入前よりも増強された酵母が好ましく挙げられる。
上記(1)の酵母としては、例えば、ソルビトール脱水素酵素をコードする遺伝子が宿主酵母の染色体上に発現可能に挿入されたものが挙げられ、具体的には、当該染色体上のLEU2の下流に挿入されたものが挙げられる。
上記(1)の酵母において、ソルビトール脱水素酵素をコードする遺伝子としては、例えば、SOR1又はSOR2が挙げられる。また、当該遺伝子としては、例えば、宿主酵母に由来するものが挙げられる。
上記(1)の酵母としては、例えば、さらに、キシロース還元酵素をコードする遺伝子及び/又はキシルロースリン酸化酵素をコードする遺伝子が発現可能に導入され又は当該遺伝子の発現が活性化されたものが挙げられる。ここで、キシロース還元酵素をコードする遺伝子及び/又は前記キシルロースリン酸化酵素をコードする遺伝子は、例えば、宿主酵母の染色体上に発現可能に挿入されていてもよく、具体的には、当該染色体上のLEU2の下流に挿入されていてもよい。また、キシロース還元酵素をコードする遺伝子及び/又は前記キシルロースリン酸化酵素をコードする遺伝子は、例えば、宿主酵母に由来するものが挙げられる。
上記(1)の酵母としては、例えば、キシロース、キシリトール及びキシルロースを、それぞれ、キシリトール、キシルロース及びキシルロース5リン酸に変換する能力を有するものが挙げられる。
上記(1)の酵母としては、例えば、キシロースからエタノールを生産する能力を有するものが挙げられる。
上記(1)の酵母において、宿主となる酵母としては、例えば、六炭糖資化能を有するが五炭糖資化能を有しないものが挙げられ、具体的には、サッカロマイセス属に属する酵母が挙げられる。
(2)ソルビトール脱水素酵素をコードする遺伝子を含むプラスミド。
上記(2)のプラスミドにおいて、ソルビトール脱水素酵素としては、例えば、以下の(a)又は(b)のタンパク質が挙げられる。
(a) 配列番号14又は16で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(b) 配列番号14又は16で示されるアミノ酸配列において、1個〜数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつソルビトール脱水素酵素活性を有するタンパク質
上記(2)のプラスミドにおいて、ソルビトール脱水素酵素をコードする遺伝子としては、例えば、以下の(c)又は(d)のDNAが挙げられる。
(c) 配列番号13又は15で示される塩基配列からなるDNA
(d) 配列番号13又は15で示される塩基配列からなるDNAに相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつソルビトール脱水素酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA
ここで、ソルビトール脱水素酵素をコードする遺伝子としては、具体的には、SOR1又はSOR2が挙げられる。
上記(2)のプラスミドとしては、例えば、キシロース還元酵素をコードする遺伝子をさらに含むものが挙げられる。ここで、当該遺伝子としては、例えば、GRE3、YJR096w、YPR1、GCY1、ARA1及びYDR124wからなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。
上記(2)のプラスミドとしては、例えば、キシルロースリン酸化酵素をコードする遺伝子をさらに含むものが挙げられる。ここで、当該遺伝子としては、例えば、XKS1が挙げられる。
上記(2)のプラスミドとしては、例えば、LEU2(ロイシン合成遺伝子)をさらに含み、かつ当該LEU2の下流にソルビトール脱水素酵素をコードする遺伝子、キシロース還元酵素をコードする遺伝子及びキシルロースリン酸化酵素をコードする遺伝子からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むものが挙げられる。
(3)上記(2)のプラスミドを含む形質転換酵母。
上記(3)の酵母としては、例えば、含有するプラスミド中に含まれるソルビトール脱水素酵素をコードする遺伝子、キシロース還元酵素をコードする遺伝子及びキシルロースリン酸化酵素をコードする遺伝子からなる群より選ばれる少なくとも1種が、宿主酵母に由来するものである酵母が挙げられる。
上記(3)の酵母としては、例えば、宿主酵母が六炭糖資化能を有するが五炭糖資化能を有しない酵母であるもの挙げられ、具体的には、宿主酵母がサッカロマイセス属に属する酵母であるものが挙げられる。
(4)上記(1)または(3)の酵母を培養し、得られる培養物からエタノールを採取することを含む、エタノールの生産方法。
本発明によれば、キシロース分解酵素の一つであるキシリトール脱水素酵素遺伝子として、ソルビトール脱水素酵素をコードする遺伝子が導入され、キシリトールからキシルロースへの変換活性が、当該遺伝子の導入前よりも増強された酵母が提供される。また、宿主酵母が本来有する(内因性の)ソルビトール脱水素酵素遺伝子の発現が活性化され、キシリトールからキシルロースへの変換活性が、当該遺伝子発現の活性化前よりも増強された酵母が提供される。SOR1などの遺伝子がコードするソルビトール脱水素酵素は、従来使用されたYLR070c酵素よりキシリトール脱水素酵素活性が高いことが明らかとなった(表2参照)。このため、ソルビトール脱水素酵素をキシリトール脱水素酵素として用いる本発明の酵母は、キシロース資化能(キシロース利用能)を有し、エタノールを生産することができる。したがって、本発明により、従来のYLR070cを使用した際に生じる問題、すなわち、キシロース分解能を有するがエタノールを生産せず、副生成物であるキシリトールを蓄積するという問題を、回避することができる。
また、本発明においては、ソルビトール脱水素酵素をコードする遺伝子を、宿主酵母の染色体上に発現可能に挿入することにより、より一層、キシロースからのエタノール生産能に優れた酵母を提供することができる。特に、酵母染色体上のLEU2遺伝子(アミノ酸合成系遺伝子の一種であるロイシン合成遺伝子)の下流に、ソルビトール脱水素酵素遺伝子を組み込むことにより、例えばURA3、HIS3及びTRP1といった各遺伝子の下流に組み込んだ場合に比べて、キシロースからのエタノール生産能を更に向上させた酵母を提供することができる。
さらに、本発明においては、高いキシリトール脱水素活性を有するソルビトール脱水素酵素を、サッカロマイセス・セレビシアなどのサッカロマイセス属に属する酵母から見出したことにより、酵母自身の遺伝子を利用するセルフ・クローニングの系の開発が可能となるのであり、より安全なエタノール生産株を得ることができる。
サッカロマイセス・セレビシアにおけるキシロースからエタノールを生産する工程の模式図である。 プラスミドpUC-GRE, pUC-SOR, pUC-XKの構築手順を示す図である。 プラスミドpUC-XYLの構築手順を示す図である。 プラスミドpGAD-XYLの構築手順を示す図である。 酵母非形質転換体(pGADT7)がキシロースを分解できず、キシロースを炭素源とする培地に生育できないが、酵母形質転換体(pGAD-XYL)がキシロースを分解し、キシロースを炭素源とする培地に生育することを示した図である。酵母を培養するため及び糖を発酵するために使用された条件は実施例6に記載されている。 培養137時間後に、酵母非形質転換体(pGADT7)がキシロースからエタノールを生産せず、酵母形質転換体(pGAD-XYL)がキシロースからエタノールを生産することを示した図である。酵母を培養するため及び糖を発酵するために使用された条件は実施例6に記載されている。 SOR1遺伝子の塩基配列を示す図である。
プラスミドpUC-ADHPT-070c, pUC-ADHPT-SOR1の構築手順を示す図である。 プラスミドYIp-GRE-070c-XK, YIp-GRE-SOR-XKの構築手順を示す図である。 プラスミドYIp-GRE-070c-XKを導入した酵母(YIp-GRE-070c-XK)がキシロースからエタノールを生産せず、プラスミドYIp-GRE-SOR-XKを導入した酵母(YIp-GRE-SOR-XK)がキシロースからエタノールを生産することを示した図である。 プラスミドYIp-URA-XYLの構築手順を示す図である。 染色体上URA3部位にキシロース分解遺伝子群が組み込まれた形質転換酵母よりも、染色体上LEU2部位にキシロース分解遺伝子群が組み込まれた形質転換酵母の方が、生育量、キシロース消費およびエタノール生産能のいずれにおいても優れていることを示した図である。 プラスミドpAUR-GRE-SOR-XKの構築手順を示す図である。 プラスミドpAUR-GRE-SOR-XKを導入した協会7号酵母(YIp-GRE-SOR-XK)のキシロースを炭素源とする液体SX培地でのキシロース消費(■)とエタノール生産(●)を示した図である。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更し実施することができる。
なお、本明細書は、本願優先権主張の基礎となる特願2008-172010号明細書の全体を包含する。また、本明細書において引用された全ての刊行物、例えば先行技術文献、及び公開公報、特許公報その他の特許文献は、参照として本明細書に組み込まれる。

1.本発明の概要
本発明は、酵母自身のキシロース分解酵素の活性を高めるために、ソルビトール脱水素酵素をコードする遺伝子を発現可能に酵母に導入し、キシリトール脱水素酵素として利用することを特徴の一つとするものである。また、本発明は、酵母自身のキシロース分解酵素の活性を高めるために、当該酵母が本来有する(内因性の)ソルビトール脱水素酵素遺伝子の発現を活性化することを特徴の一つとするものである。
五炭糖資化能を有する酵母は、酵母内の種々の酵素を用いてキシロースを分解し、エタノールを生産することができる。代表的なキシロース分解酵素群として、キシロース還元酵素(XR)、キシリトール脱水素酵素(XDH)およびキシルロースリン酸化酵素(XK)があげられる(図1)。特に、ピキア・スティピティス等のピキア属に属する酵母は、キシロース分解酵素群の活性が高いため、高いキシロース資化能を有することが知られている。
一方、酵母の中には、キシロース分解酵素群が実質的に機能していない、いわゆる休眠状態にあるために、キシロースなどの五炭糖資化能を有さない酵母が存在する。例えば、サッカロマイセス属に属する酵母は、6種のキシロース還元酵素遺伝子(GRE3, YJR096w, YPR1, GCY1, ARA1, YDR124w)、3種のキシリトール脱水素酵素遺伝子(YRL070c、ソルビトール脱水素酵素遺伝子(SOR1, SOR2))などのキシロース分解酵素群をコードする遺伝子群を有しているにも拘わらず、キシロースを利用してエタノールを生産することができない。
そこで、五炭糖資化能を有さない酵母自身が有しているキシロース分解酵素遺伝子を機能させる目的で、ピキア・スティピティスのキシロース分解酵素遺伝子に対する相同性を指標に、自身由来の遺伝子を酵母に導入する試みがなされている。具体的には、サッカロマイセス属に属する酵母において、6種のキシロース還元酵素をコードする遺伝子の内、ピキアのキシロース還元酵素遺伝子と最も相同性の高いGRE3遺伝子(相同性62%、アミノ酸での相同性57%)、及び3種のキシリトール脱水素酵素遺伝子の内、ピキアのキシリトール脱水素酵素遺伝子と有意な相同性を持つYLR070c遺伝子(相同性61%、アミノ酸での相同性46%)がサッカロマイセス属に属する酵母に導入された。しかしながら、この試みによっては、サッカロマイセス属に属する酵母は、エタノールを生産することはできなかった(Toivari et al., Appl. Environ. Microbiol., Vol. 70, p. 3681 (2004))。
これに対し、本発明者らは、従来のYLR070cの代わりに、SOR1遺伝子等がコードするソルビトール脱水素酵素を利用すれば、サッカロマイセス属に属する酵母などの五炭糖資化能を有しない酵母にキシリトール脱水素酵素活性を獲得させ得ることを見出した。SOR1は、ピキア・スティピティスのキシリトール脱水素酵素に対して、酵素をコードする遺伝子配列での相同性が58%、アミノ酸配列での相同性が53%であり、YLR070cとの対比においてこれまで注目されていなかった。ところが、本発明において、SOR1酵素は、意外にも従来のYLR070c酵素よりキシリトール脱水素酵素活性が高いことが明らかとなった。これに基づき、本発明はキシリトール脱水素酵素としてYLR070c酵素の代わりにソルビトール脱水素酵素を用いることで、キシリトール脱水素酵素活性が増強され、五炭糖資化能を有するという特性をもった酵母を提供することが可能となった。具体的には、宿主酵母にソルビトール脱水素酵素をコードする遺伝子を発現可能に導入する、又は宿主酵母の内因性のソルビトール脱水素酵素遺伝子の発現を活性化することで、上記特性を有する酵母を提供することが可能となった。さらに、宿主酵母への遺伝子導入の態様として、ソルビトール脱水素酵素遺伝子を宿主酵母の染色体上に発現可能に挿入することにより、特にロイシン合成遺伝子(LEU2)の下流に組み込むことにより、上記特性がより向上した酵母を提供することが得られた。
また、本発明はこの酵母を培養し、得られる培養物からエタノールを採取することによるエタノールの生産方法を提供するものでもある。本発明では、副生成物として生産されるキシリトールの量を、従来法に比べて格段に少なくすることが可能である。
さらに、本発明では、形質転換対象の酵母由来のキシロース分解酵素遺伝子を用いて宿主酵母を形質転換することを特徴の一つとするものである。本発明では、高い活性を有するキシリトール脱水素酵素(XDH)をサッカロマイセス・セレビシアなどのサッカロマイセス属に属する酵母から見出したことにより、当該酵母自身の遺伝子を利用するセルフ・クローニングの系の開発が可能となる。したがって、本発明は、より安全な非組換えエタノール生産株を提供するものであり、この株を用いてエタノールを簡便に生産することができる。

2.本発明の酵母及びその用途
前述の通り、本発明は、キシロース資化能を有する酵母を提供するために、遺伝子導入対象となる宿主酵母にソルビトール脱水素酵素をコードする遺伝子を導入すること、すなわち宿主酵母をソルビトール脱水素酵素をコードする遺伝子で形質転換することを特徴の一つとする。また、本発明は、キシロース資化能を有する酵母を提供するために、宿主酵母の内因性のソルビトール脱水素酵素遺伝子の発現を活性化することを特徴の一つとする。このようにソルビトール脱水素酵素遺伝子が導入された酵母、又は内因性の当該遺伝子の発現が活性化された酵母においては、ソルビトール脱水素酵素がキシリトール脱水素酵素として機能し、上記導入又は上記活性化前よりもキシリトールからキシルロースへの変換活性が増強されている。
本発明においては、遺伝子導入/形質転換等の対象となる宿主酵母は、キシロースなどの五炭糖の資化能を有していない酵母であることが好ましい。前記酵母は遺伝子導入/形質転換の前に五炭糖資化能を有していないものであればよく、グルコースなどの六炭糖の資化能を有していてもよい。「五炭糖資化能」は、キシロースなどの五炭糖を炭素源として生育する能力をいう。五炭糖資化能を有する酵母は、炭素源として五炭糖のみを添加した培地中で生育可能であるため、五炭糖資化能は、炭素源として五炭糖のみを添加した培地中における酵母の生育程度を600 nmまたは660 nmなどの波長での濁度を測定することで確認することができる。
ここで、五炭糖資化能を有していない酵母は、特に限定されるわけではないが、例えば、サッカロマイセス属に属する酵母などを挙げることができる。さらに、サッカロマイセス属に属する酵母としては、CEN.PK2-1C株などのサッカロマイセス・セレビシアを挙げることができる。
本発明において、ソルビトール脱水素酵素は、例えば、SOR1酵素およびSOR2酵素を挙げることができる。例えば、サッカロマイセス・セレビシア由来のSOR1酵素は、配列番号14で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質であり、サッカロマイセス・セレビシア由来のSOR2酵素は、配列番号16で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質である。本発明では、サッカロマイセス・セレビシア由来のSOR1酵素もしくはSOR2酵素又はそれらの変異体も、ソルビトール脱水素酵素に含まれる。
SOR1酵素の変異体は、(i) 配列番号14で示されるアミノ酸配列中の1〜数個(例えば1〜10個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個)のアミノ酸が欠失したタンパク質、(ii) 配列番号14で示されるアミノ酸配列中の1〜数個(例えば1〜10個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個)のアミノ酸が他のアミノ酸に置換したタンパク質、(iii) 配列番号14で示されるアミノ酸配列中に1〜数個(例えば1〜10個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個)のアミノ酸が付加したタンパク質および(iv) それらの変異が組み合わされたタンパク質であって、かつソルビトール脱水素酵素活性を有するタンパク質などが挙げられる。
SOR2酵素の変異体は、(i) 配列番号16で示されるアミノ酸配列中の1〜数個(例えば1〜10個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個)のアミノ酸が欠失したタンパク質、(ii) 配列番号16で示されるアミノ酸配列中の1〜数個(例えば1〜10個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個)のアミノ酸が他のアミノ酸に置換したタンパク質、(iii) 配列番号16で示されるアミノ酸配列中に1〜数個(例えば1〜10個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個)のアミノ酸が付加したタンパク質および(iv) それらの変異が組み合わされたタンパク質であって、かつソルビトール脱水素酵素活性を有するタンパク質などが挙げられる。
本発明において、サッカロマイセス・セレビシア由来のSOR1酵素の変異体は、好ましくはSOR2酵素であり、サッカロマイセス・セレビシア由来のSOR2酵素の変異体は、好ましくはSOR1酵素である。SOR1酵素およびSOR2酵素は互いに99.7%の相同性(アミノ酸配列)を有する。
ここで、「ソルビトール脱水素酵素活性」とは、NAD+の存在下でソルビトールをフルクトースに変換する活性を意味する。本発明において、SOR1酵素又はSOR2酵素の変異体はソルビトール脱水素酵素活性を有する限り、その活性の程度に特に限定されないが、変異体は、例えば配列番号14又は16で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質の約10%以上のソルビトール脱水素酵素活性を有していればよい。
タンパク質の有するソルビトール脱水素酵素活性は、公知の方法で測定することができる。また、本発明において、ソルビトール脱水素酵素をコードする遺伝子は酵母内でキシリトール脱水素酵素をコードする遺伝子として機能すると考えられるため、ソルビトール脱水素酵素活性は、キシリトール脱水素酵素活性を解析することによっても測定できる。
キシリトール脱水素酵素活性は、補酵素としてNAD+及び/又はNADP+を用いて、キシリトールをキシルロースに変換する活性を示す。タンパク質の有するキシリトール脱水素酵素活性は、例えば、酵母から調製した細胞抽出液を用いて測定することができ、キシリトールを基質として、NADHの減少量を340 nmの吸光度を測定することによって確認することができる。
配列番号14又は16で示されるアミノ酸配列において1〜数個のアミノ酸に欠失、置換又は付加などの変異の生じたアミノ酸配列は、これをコードするDNAによって作製することができる。このようなDNAは、「Molecular Cloning, A Laboratory Manual 2nd ed.」(Cold Spring Harbor Press(1989))、「Current Protocols in Molecular Biology」(John Wiley & Sons(1987-1997))、Kunkel(1985)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82: 488-92、Kramer and Fritz(1987)Method. Enzymol. 154: 350-67、Kunkel(1988)Method. Enzymol. 85: 2763-6等に記載の部位特異的変異誘発法等の方法に従って調製することができる。また、上記のような変異を有するタンパク質を調製するためにDNAに変異を導入するには、Kunkel法やGapped duplex法等の部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット、例えばQuikChangeTM Site-Directed Mutagenesis Kit(ストラタジーン社製)、GeneTailorTM Site-Directed Mutagenesis System(インビトロジェン社製)、TaKaRa Site-Directed Mutagenesis System(Mutan-K、Mutan-Super Express Km等:タカラバイオ社製)等を用いて行うことができる。
本発明において、ソルビトール脱水素酵素をコードする遺伝子は、ソルビトール脱水素酵素をコードする塩基配列を含む遺伝子であり、例えばSOR1およびSOR2を挙げることができる。SOR1は配列番号13で示される塩基配列からなるDNAであり、配列番号14で示されるSOR1酵素のアミノ酸配列をコードする。SOR2は配列番号15で示される塩基配列からなるDNAであり、配列番号16で示されるSOR2酵素のアミノ酸配列をコードする。
本発明において、ソルビトール脱水素酵素をコードするDNAは、例えば、配列番号13又は15で示される塩基配列を基にプライマーを設計し、酵母ライブラリー又はゲノムライブラリーから遺伝子増幅技術により得ることができる。
本発明で使用されるソルビトール脱水素酵素をコードする遺伝子は、ソルビトール脱水素酵素の変異体をコードする遺伝子を含む。ソルビトール脱水素酵素の変異体をコードする遺伝子は、例えば、配列番号13又は15で示される塩基配列からなるDNAに相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつソルビトール脱水素酵素活性を有するタンパク質をコードするDNAを含む。
本発明において、サッカロマイセス・セレビシア由来のSOR1の変異体は、好ましくはSOR2であり、サッカロマイセス・セレビシア由来のSOR2の変異体は、好ましくはSOR1である。SOR1およびSOR2は互いに99.9%の相同性(遺伝子配列)を有する。
このようなDNAは、配列番号13又は15で示される塩基配列からなるDNA又はその断片をプローブとして、コロニーハイブリダイゼーション、プラークハイブリダイゼーション、サザンブロット等の公知のハイブリダイゼーション法により、cDNAライブラリー及びゲノムライブラリーから得ることができる。ライブラリーの作製方法については、「Molecular Cloning, A Laboratory Manual 2nd ed.」(Cold Spring Harbor Press(1989))等を参照することができる。また、市販のcDNAライブラリー及びゲノムライブラリーを用いてもよい。
ここで、ストリンジェントな条件は、ハイブリダイゼーション後の洗浄条件として、例えば、「2×SSC、0.1%SDS、42℃」、「1×SSC、0.1%SDS、37℃」、よりストリンジェントな条件としては、例えば、「1×SSC、0.1%SDS、65℃」、「0.5×SSC、0.1%SDS、50℃」等の条件を挙げることができる。
ハイブリダイゼーションは、公知の方法によって行うことができる。ハイブリダイゼーションの方法は、例えば、「Molecular Cloning, A Laboratory Manual 2nd ed.」(Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989))、「Current Protocols in Molecular Biology」(John Wiley & Sons(1987-1997))等を参照することができる。
また、本明細書において、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAには、例えば、配列番号13又は15で示される塩基配列と少なくとも50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは99%以上、さらに一層好ましくは99.7%以上、特に好ましくは99.9%の同一性(相同性)を有する塩基配列を含むDNAが含まれる。同一性を示す値は、BLASTなどの公知のプログラムを利用することにより算出することができる。
また、配列番号13又は15で示される塩基配列に相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAは、例えば、配列番号13又は15で示される塩基配列において1個又は数個の核酸に欠失、置換又は付加などの変異の生じた塩基配列を含むDNAが挙げられる。このようなDNAとしては、例えば、(i) 配列番号13又は15で示される塩基配列中の1〜数個(例えば1〜10個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個)の塩基が欠失したDNA、(ii) 配列番号13又は15で示される塩基配列中の1〜数個(例えば1〜10個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個)の塩基が他の塩基に置換したDNA、(iii) 配列番号13又は15で示される塩基配列中に1〜数個(例えば1〜10個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個)の塩基が付加したDNAおよび(iv) それらの変異が組み合わされたDNAであって、かつソルビトール脱水素酵素活性を有するタンパク質をコードするDNAなどが挙げられる。
なお、タンパク質の有するソルビトール脱水素酵素活性およびその測定方法については、前述の説明が同様に適用できる。
本発明において、塩基配列の確認は、慣用の方法により配列決定することにより行うことができる。例えば、ジデオキシヌクレオチドチェーンターミネーション法(Sanger et al.(1977)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74: 5463)等により行うことができる。また、適当なDNAシークエンサーを利用して配列を解析することも可能である。
本発明において、ソルビトール脱水素酵素をコードする遺伝子を当該遺伝子の由来と同種の宿主酵母に導入することにより、酵母自身のソルビトール脱水素酵素(キシリトール脱水素酵素)の活性が遺伝子導入前よりも向上する。本発明において、キシリトール脱水素酵素だけでなく、その他のキシロース分解酵素(キシロース還元酵素、キシルロースリン酸化酵素など)をコードする遺伝子も宿主酵母に導入し、これらの酵素活性を向上させることが好ましい。
非組換え酵母を作製する場合は、宿主酵母に導入されるソルビトール脱水素酵素をコードする遺伝子、キシロース還元酵素をコードする遺伝子又はキシルロースリン酸化酵素をコードする遺伝子は、宿主酵母と同種由来の遺伝子であることが必要である。
キシロース還元酵素は、補酵素としてNADPH及び/又はNADHを用いてキシロースをキシリトールに転化する酵素である。本発明では、いずれの酵母由来のキシロース還元酵素をコードする遺伝子も用いることができるが、五炭糖資化能を有さない酵母の有する遺伝子であることが好ましい。キシロース還元酵素をコードする遺伝子は、特に限定されるわけではないが、例えばサッカロマイセス属に属する酵母由来の遺伝子、GRE3, YJR096w, YPR1, GCY1, ARA1, YDR124wなどを挙げることができ、好ましくはGRE3である。キシロース還元酵素をコードする遺伝子は、形質転換対象の宿主酵母に由来するものを用いることが好ましい。
本発明において、キシロース還元酵素をコードする遺伝子は、キシロース還元酵素の遺伝子の変異体をコードする遺伝子を含む。
本発明においてキシロース還元酵素をコードする遺伝子は、前述のソルビトール脱水素酵素の遺伝子の調製方法と同様の方法で調製することができる。
キシルロースリン酸化酵素は、キシルロースをリン酸化して、キシルロース-5-リン酸に変換する酵素である。本発明では、いずれの酵母由来のキシロースリン酸化酵素をコードする遺伝子も用いることができるが、五炭糖資化能を有さない酵母の有する遺伝子であることが好ましい。例えば、サッカロマイセス属に属する酵母由来のXKS1を用いることができる。キシルロースリン酸化酵素をコードする遺伝子は、形質転換対象の宿主酵母に由来するものを用いることが好ましい。
本発明において、キシルロースリン酸化酵素をコードする遺伝子は、キシルロースリン酸化酵素の遺伝子の変異体をコードする遺伝子を含む。
本発明においてキシルロースリン酸化酵素をコードする遺伝子は、前述のソルビトール脱水素酵素の遺伝子の調製方法と同様の方法で調製することができる。
本発明において、ソルビトール脱水素酵素をコードする遺伝子を含むプラスミドを用いて、同遺伝子を同種の酵母に導入する。好ましくは、ソルビトール脱水素酵素だけでなく、キシロース還元酵素をコードする遺伝子及び/又はキシルロースリン酸化酵素をコードする遺伝子も同様に酵母に導入する。ソルビトール脱水素酵素をコードする遺伝子、キシロース還元酵素をコードする遺伝子及びキシルロースリン酸化酵素をコードする遺伝子は、一つのプラスミドに含まれてもよいし、それぞれ別のプラスミドに含まれてもよい。本発明はこれら遺伝子を含有するプラスミドを含む。
本発明のプラスミドは、酵母発現用のベクターに上記遺伝子を発現可能に挿入することで作製することができる。ベクターへの遺伝子の挿入は、リガーゼ反応、トポイソメラーゼ反応などを利用することができる。例えば、精製されたDNAを適当な制限酵素で切断し、得られたDNA断片を、ベクター中の適当な制限酵素部位またはマルチクローニングサイトなどに挿入することでベクターに連結する方法などを採用することができる。
本発明で使用されるプラスミドは、その基本となるベクターの由来には特に限定されず、例えば、大腸菌由来のプラスミド、枯草菌由来のプラスミド、酵母由来のプラスミドなどを使用することができる。例えば、pGADT7、pAUR135などの市販のベクターを使用することもできる。
本発明のプラスミドは、目的遺伝子を発現させ得る限り、マルチクローニングサイト、プロモーター、エンハンサー、ターミネーター、選択マーカーカセットなどを含んでもよい。また、DNAを挿入する際に必要であれば、適宜リンカーや制限酵素部位を付加してもよい。これらの操作は、当分野でよく知られている慣用の遺伝子操作技術を用いて行うことができる。
プロモーターは、目的遺伝子の上流に組み込むことができる。プロモーターは、形質転換体において目的タンパク質を適切に発現できるものであれば、特に限定されないが、PGKプロモーター、ADHプロモーター、TDHプロモーター、ENOプロモーターなどを使用することができる。本発明で使用されるプロモーターは、セルフ・クローニング系の開発上、酵母由来のプロモーターであることが好ましい。
ターミネーターは、目的遺伝子の下流に組み込むことができる。本発明で使用されるターミネーターは、セルフ・クローニング系の開発上、酵母由来のターミネーターであることが好ましい。
本発明において、酵母で目的遺伝子を効率よく発現させるために、本発明のプラスミドは、PGKプロモーター及び/又はPGKターミネーターを含むことが好ましい。
選択マーカーとしては、アンピシリン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子などの薬剤耐性遺伝子、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子、ロイシン合成酵素遺伝子、ウラシル合成酵素遺伝子などを挙げることができる。
ベクターにロイシン、ヒスチジン、トリプトファンなどのアミノ酸合成遺伝子カセット又はウラシル合成遺伝子カセットが含まれる場合は、当該アミノ酸又はウラシルを含まない培地で酵母を培養することにより、形質転換酵母を選択することができる。
本発明のプラスミドを遺伝子導入対象の宿主酵母に導入することで、形質転換酵母を作製することができる。このように作製される形質転換酵母は本発明の範囲に含まれる。
本発明において使用される形質転換前の宿主酵母としては、前述のように、例えばサッカロマイセス・セレビシアなどのサッカロマイセス属に属する酵母が挙げられる。しかし必ずしもこれに限定されるものではなく、五炭糖資化能を有する酵母、例えばピキア属に属する酵母、クルイベロマイセス属に属する酵母およびカンジダ属に属する酵母を使用することができる。また、本発明のプラスミドに含まれるキシロース分解酵素をコードする遺伝子は、遺伝子を導入する宿主酵母に由来する遺伝子のほか、外来種のものも用いることができる。
宿主酵母に本発明のプラスミドを導入する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、酢酸リチウム法、エレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法、リポフェクション法、DEAEデキストラン法などの公知の方法が挙げられる。これらの方法により、本発明の形質転換酵母が提供される。
また、本発明は、相同組換えによりキシロース分解酵素をコードする遺伝子がゲノムに組み込まれた形質転換酵母もその範囲に含む。すなわち、本発明は、ソルビトール脱水素酵素をコードする遺伝子、さらにはキシロース還元酵素をコードする遺伝子及び/又はキシルロースリン酸化酵素をコードする遺伝子が、宿主酵母の染色体上に発現可能に挿入された形質転換酵母も含むものである。
このように宿主酵母の染色体上に遺伝子が挿入される場合、挿入部位は、限定はされないが、当該染色体上のLEU2の下流であることが、挿入遺伝子の発現をより一層亢進させることができるため、特に好ましい。なお、ソルビトール脱水素酵素をコードする遺伝子等を、宿主酵母の染色体上に発現可能に挿入する方法としては、限定はされず、公知の遺伝子組換え技術を利用した方法等を用いることができる。
さらに、本発明の形質転換酵母としては、内因性のキシロース分解酵素をコードする遺伝子の発現が活性化されたものも含まれる。すなわち、本発明は、宿主酵母の染色体上にもともと存在するソルビトール脱水素酵素をコードする遺伝子の発現、さらにはキシロース還元酵素をコードする遺伝子及び/又はキシルロースリン酸化酵素をコードする遺伝子の発現が活性化された形質転換酵母も含むものである。ここで、「キシロース分解酵素をコードする遺伝子の発現が活性化された」とは、宿主酵母内に存在する当該遺伝子が、外部からプロモーターを導入すること、又は当該遺伝子自身の持つプロモーターをより強力なプロモーターに置換することにより、発現可能な形で活性化され、目的タンパク質を適切に発現できる状態となっていることを意味する。
このように内因性遺伝子の発現を活性化させる方法としては、限定はされないが、目的タンパク質を適切に発現できるプロモーターを、公知の遺伝子組換え技術を用いて、染色体上に遺伝子置換により組み込む方法等が挙げられる。遺伝子置換の方法としては、Akada et al. Yeast 23: 399-405 (2006)(非特許文献)の方法を用いることができる。置換するプロモーターとしては、PGKプロモーター、ADHプロモーター、TDHプロモーター、ENOプロモーター等の公知のプロモーターを使用することができる。
本発明の形質転換酵母は、ソルビトール脱水素酵素をコードする遺伝子をキシリトール脱水素酵素遺伝子として含むため、キシリトールからキシルロースへの変換活性が増強されている。また、本発明の形質転換酵母がキシロース還元酵素及び/又はキシルロースリン酸化酵素をコードする遺伝子をさらに含む場合は、キシロースからキシリトール及び/又はキシルロースからキシルロース-5-リン酸への変換能をさらに有する。そして、このような酵素活性の増強により、本発明はキシロース利用能を有する酵母を提供することができる。本発明の形質転換酵母はキシロース資化能を有し、好ましくはキシロースからエタノールを生産することが可能となる。
本発明の形質転換酵母は、酵母の培養に用いられる通常の方法に従って培養することができる。当業者であれば、SD培地、SCX培地、YPD培地、YPX培地などの公知の培地から適切な培地を選択し、好ましい培養条件の下で酵母を培養することができる。液体培地で酵母を培養する場合は、振盪培養が好ましい。
また、本発明の形質転換酵母を培養し、得られる培養物からエタノールを採取することで、キシロースからエタノールを生産させることができる。
エタノールを生産させる場合、キシロースを10〜150 g/L、好ましくは70 g/Lの存在下に本発明の形質転換酵母を培養する。本培養の前に、形質転換酵母を前培養しても良い。前培養は、例えば、本発明の形質転換酵母を少量の培地に接種し、12〜24時間培養すればよい。本培養の培養量の0.1〜10%、好ましくは1%の前培養液を本培養の培地に加え、本培養を開始する。本培養は、0.5〜200時間、好ましくは10〜150時間、より好ましくは24〜137時間、20〜40℃、好ましくは30℃で振盪培養する。
生産されたエタノールは、上記のように本発明の酵母を培養して得られる培養物から採取することができる。培養物とは、培養液(培養上清)、培養酵母または培養酵母の破砕物等を意味する。エタノールは公知の精製方法により培養物から精製し、採取することができる。本発明において、エタノールは形質転換酵母から主に培養上清中に分泌されるため、培養上清から採取することが好ましい。
エタノールの生産量は、培地に含まれるエタノールを液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、市販のエタノール測定キットで分析することで測定できる。
また、エタノールの生産量を測定することにより、本発明の形質転換酵母のエタノール生産能を確認することができる。

以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔GRE3、SOR1、YLR070c、XKS1、PGKプロモーターおよびPGKターミネーターのPCRによる合成〕
下記のオリゴヌクレオチド1〜12を合成し、PCR反応のためのプライマーとして使用し、GRE3, SOR1, XKS1, PGKプロモーターおよびPGKターミネーターの各DNA断片を得た。テンプレートはサッカロマイセス・セレビシアCEN.PK2-1C株から抽出された染色体DNA、また、DNAポリメラーゼはPrimeSTAR HS DNA polymerase (タカラバイオ株式会社)を使用してPCRを行った。
PCR反応にはサーマルサイクラーPxE 0.5(サーモエレクトロン社)を使用した。
GRE3, SOR1, YLR070c, XKS1, PGKプロモーターおよびPGKターミネーターは、サッカロマイセス・セレビシア由来である。GRE3は、ピキア・スティピティスのXYL1(キシロース還元酵素(XR))と相同性を有し、YLR070cおよびSOR1ピキア・スティピティスのXYL2(キシロース脱水素酵素(XDH))と相同性を有するタンパク質である。XKS1はキシルロースリン酸化酵素である。PGKプロモーターおよびPGKターミネーターは、サッカロマイセス・セレビシアにおいて機能することが知られている。
(GRE3)
オリゴヌクレオチド1:GGAATTCCATATGACTGACTTAACTACACAAG (配列番号1)
オリゴヌクレオチド2:CCGGAATTCTCATTCCGGGCCCTCAATG (配列番号2)

(SOR1)
オリゴヌクレオチド3:GGCCCCCGGGATGTCTCAAAATAGTAACCCTG (配列番号3)
オリゴヌクレオチド4:GGCCCCCGGGTCATTCAGGACCAAAGATAATAG (配列番号4)

(YLR070c)
オリゴヌクレオチド5:GGAATTCCAGATGACTGACTTAACTA (配列番号5)
オリゴヌクレオチド6:CCGGAATTCCTTGGATGCCAAAAGTTA (配列番号6)

(XKS1)
オリゴヌクレオチド7:GGAATTCCATATGGTTTGTTCAGTAATTCAG (配列番号7)
オリゴヌクレオチド8:CCGGAATTCTTAGATGAGAGTCTTTTCCAG (配列番号8)

(PGKプロモーター)
オリゴヌクレオチド9:GGCGGGATCCGCTTCACCCTCATACTATTA (配列番号9)
オリゴヌクレオチド10:GGCGCGTCGACTGTTTTTATATTTGTTGTAAA (配列番号10)

(PGKターミネーター)
オリゴヌクレオチド11:GGCGCGTCGACATTGAATTGAATTGAAATCG (配列番号11)
オリゴヌクレオチド12:GGCGCCTGCAGGAATTTTCGAGTTATTAAAC (配列番号12)
PCRによる増幅条件は以下のとおりである。
得られたSOR1断片の塩基配列をABI PRISM 3730xl DNA Analyzer用いて解析した。SOR1の塩基配列(1074 bp)を配列番号13および図7に示す。なお、当該塩基配列によりコードされるSOR1酵素のアミノ酸配列を配列番号14に示した。
〔プラスミドの作製〕
実施例1で増幅されたPGKプロモーターをpUC18プラスミドのBamHI, SalI切断部位に、PGKターミネーターをSalI, PstI切断部位に組み込み、pUC-PGKPTプラスミドを得た。得られたpUC-PGKPTのSalI切断部位に平滑末端化した増幅XKS1断片, GRE3断片,SOR1断片(実施例1)を挿入し、それぞれpUC-XK, pUC-GRE, pUC-SORプラスミドを得た(図2)。
次に、pUC-GREをBamHI, SphIで切断し、得られた2.0 kb断片を平滑末端化し、pUC-XKのSmaI切断部位に挿入した(図3)。挿入により得られたプラスミド(pUC-GRE-XK)をBamHIで切断し平滑末端化した。この断片にBamHI, SphIで切断したpUC-SORを平滑末端化して得られた2.0kb断片を挿入し、pUC-XYLプラスミドを得た(図3)。
次に、pUC-XYLをEcoRI, SphIで切断し、GRE3,SOR1およびXKS1を含む7.0kb断片を得た。この断片をpGADT7プラスミド(Clontech, Mountain View, CA)をEcoRI, SphIで切断して得られた7.0kb断片に挿入し、pGAD-XYLプラスミドを得た(図4)。
〔pGAD-070cおよびpGAD-SORの作製と形質転換〕
実施例1に示したプライマーで増幅したYLR070c遺伝子断片とSOR1遺伝子断片とを末端平滑化した。これらの断片を、それぞれ、pGADT7プラスミドをHindIIIで切断して末端平滑化して得られた断片に挿入して、pGAD-070cプラスミドおよびpGAD-SORプラスミドを得た。
CEN.PK2-1C株への形質転換はItoらの方法(J.Bacteriol. 153, 163-168,1983)に従って行った。簡潔に述べると、初期対数期(OD660=0.4〜0.8)の酵母細胞10 mlを遠心分離にかけ、培地を除去し、2 mlのTE緩衝液で1回洗浄した。菌体を2 mlの酢酸リチウム溶液(TE緩衝液、0.1M 酢酸リチウム)に懸濁し、30℃で1時間振盪培養した。遠心分離により集菌し、上清を除き、菌体を0.6 ml酢酸リチウム-グリセロール溶液(TE緩衝液、0.1 M 酢酸リチウム、15 % w/v グリセロール)に懸濁した。0.3 mlの細胞懸濁液を滅菌した1.5 ml容エッペンドルフチューブに移し、これに1μgのプラスミドDNAを添加した。これに0.7 ml PEG溶液(50 % w/v ポリエチレングリコール4000)を添加し、よく懸濁した後、30℃で1時間静置培養を行った。この溶液100μlをロイシンを含まないSC-Leu培地(グルコース 20 g/L, イーストナイトロジェンベース(アミノ酸なし)6.7 g/L, アミノ酸溶液)を含有する寒天プレート上に平板化した。各々のプレートから生育してきたコロニーを1株選び、形質転換体とした。
〔YLR070c活性およびSOR1活性の測定〕
SC-Leu培地10 mlにpGAD-070cまたはpGAD-SOR形質転換体を植菌し、30℃で一夜培養した。酵母細胞を遠心分離にかけ、培地を除去しY-PER Yeast Protein Extraction Reagent(Pierce, Rockford, IL)を500μl加え懸濁した後、室温で20分間振盪した。14,000 rpmで10分間遠心分離をして、細胞抽出液を得た。形質転換酵母pGAD-070cおよびpGAD-SORのキシリトール脱水素酵素活性は、キシリトールを基質として、NADHの減少量を340 nmの吸光度を測定することによって測定した。1分当たり1μmolのNAD+を還元する活性を1Uとし、形質転換体の細胞抽出液中のタンパク質1 mg当たりの活性(U/mg)を求めた。酵母CEN.PK2-1C株にpGADT7、pGAD-070cおよびpGAD-SORを形質転換して得られた形質転換酵母(pGADT7、pGAD-070cおよびpGAD-SOR)のキシリトール脱水素酵素活性を表2に示す。
この結果、SOR1酵素はYLR070c酵素よりもキシリトール脱水素酵素活性が10倍高いことが明らかとなった。YLR070cは、ピキア・スティピティスのキシロース分解酵素(XYL2)に対する相同性がSOR1よりも高いため、YLR070c酵素の方がSOR1酵素よりも高いキシロース分解活性を示すと推測されていた。しかしながら、この結果により、驚くべきことに従来の推測とは反対に、SOR1酵素の方がYLR070c酵素よりも酵素活性が高いことが示された。
〔酵母CEN.PK.2-1CのpGAD-XYLによる形質転換〕
酵母CEN.PK.2-1CのpGAD-XYLによる形質転換は、実施例3に記載された方法によって行った。
〔形質転換体のキシロース発酵〕
500 ml容バッフル付き三角フラスコに、ロイシンを含まない液体SCX-Leu培地(キシロース20 g/L, イーストナイトロジェンベース(アミノ酸なし)6.7 g/L, アミノ酸溶液)100 mlを入れ、一夜同培地で前培養した形質転換体(pGAD-XYL)の種培養液を1%加えた。その後、30℃で120 rpmで振盪培養した。経時的に培養液1 mlをサンプリングし、キシロース、エタノールの含有量を下記実施例7に記載する高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)およびガスクロマトグラフィー(GC)により測定するためのサンプルとした。
〔発酵サンプルのHPLCおよびGC分析〕
実施例6でサンプリングした培養液について、酵母の生育程度を確認するために、660 nmでの濁度(660 nmでの吸光度(OD660))を測定した。また、サンプリングした培養液を遠心分離して菌体を除き、上清をポリプロピレン製フィルター(0.2μm, ホワットマン)でろ過を行いサンプルとした。サンプル中のキシロースの含有量をHPLCにより、エタノールの含有量をHPLCまたはGCにより下記の条件で分析した。
<高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)>
装置:Shimadzu RID-10A
カラム:Shodex sugar SP0810
移動相:H2O
流速:0.8 ml/min
検出:RID
カラム温度:80℃
<ガスクロマトグラフィー(GC)>
装置:Shimadzu GC-2014
カラム:StabibiliWAX, I.D. 0.53mm, length 30m, Film Thickness 2.0mm
検出:FID
分析条件:75℃(2min)- 10℃/min- 210℃(10min)
インジェクション温度:250℃
検出温度:250℃
キャリアガス:ヘリウム
図5は、酵母の生育量(○および●)とサンプル中のキシロース含有量(□および■)を培養時間に対してプロットしたグラフである。コントロールである非形質転換酵母(pGADT7)はキシロースを分解できず(□)、キシロースを炭素源とする培地に生育できない(○)。これに対し、形質転換酵母(pGAD-XYL)は、キシロースを分解し(■)、キシロースを炭素源とする培地に生育する(●)ことが示された。
図6は、培養137時間後のエタノール生産量を示している。非形質転換酵母(pGADT7)はキシロースからエタノールを生産しないのに対し、形質転換酵母(pGAD-XYL)はキシロースからエタノールを生産することが示された。
これらの結果から、SOR1酵素の方が、YLR070c酵素よりもキシロース脱水素酵素活性が高いことが示された。また、キシロース分解酵素をコードする遺伝子としてSOR1を用いることにより、酵母がキシロースなどの五炭糖を利用可能となり、エタノールを生産可能となることが示された。
〔ADHプロモーターおよびADHターミネーターのPCRによる合成〕
下記のオリゴヌクレオチド13及び14を合成し、PCR反応のためのプライマーとして使用し、pGADT7を鋳型としてADHプロモーターおよびADHターミネーターを含むDNA断片を得た。ADHプロモーターおよびADHターミネーターは、サッカロマイセス・セレビシアにおいて機能することが知られている。PCR反応の使用装置および使用酵素は、実施例1と同様にして行った。
オリゴヌクレオチド13:GACCCCCGGGCCTGCAGGTCGAGATCCG (配列番号17)
オリゴヌクレオチド14:GACCCCCGGGGGCCGGTAGAGGTGTGGT (配列番号18)
〔YIp-GRE-070c-XKおよびYIp-GRE-SOR-XKの作製と形質転換〕
実施例8において増幅されたDNA断片をpUC18プラスミドのSmaI切断部位に組み込み、HindIIIで切断し平滑化した。この平滑化断片に実施例1において平滑化された増幅YLR070c、増幅SOR1断片を挿入し、pUC-ADHPT-070cプラスミドおよびpUC-ADHPT-SOR1プラスミドを得た(図8)。次に、これらのプラスミドをSmaIで切断し、実施例1において平滑化されたpUC-GRE-XK断片に挿入して、pUC-GRE-070c-XKプラスミドおよびpUC-SOR-XKプラスミドを得た。これらのプラスミドをPvuIIで切断し、YIp5プラスミドのPvuII切断部位に挿入して、YIp-GRE-070c-XKプラスミドおよびYIp-GRE-SOR-XKプラスミドを得た(図9)。
CEN.PK2-1C株への形質転換はGietzらの方法(Methods Mol. Cell. Biol. 5, 255-269, 1995)に従って行った。簡潔に述べると、対数増殖期(OD600=0.5〜1)の酵母細胞50mlを遠心分離にかけ、培地を除去し、25mlの滅菌水で1回洗浄した。菌体を1mlの酢酸リチウム溶液(0.1M酢酸リチウム)に懸濁した。この液を滅菌した1.5ml容エッペンドルフチューブに移し、5000rpmで5分遠心し上清を除いた。菌体に0.5〜1mlの酢酸リチウム溶液(0.1M酢酸リチウム)を加え懸濁した。この液を滅菌した1.5ml容エッペンドルフチューブに50μl移し、5000rpmで5分遠心し上清を除いた。これに0.24ml PEG溶液(50% w/v ポリエチレングリコール4000)、36μl 1M 酢酸リチウム、25μl 2mg/ml サケ精子DNA(粉末状、95℃で5分間熱変性をしたもの)、50μl プラスミドDNAを加えボルテックスでよく攪拌し、30℃で30分静置した。この液に40μl ジメチルスルホキシドを加えゆっくり攪拌した。その後42℃で15〜25分静置した。5000rpmで5分遠心し上清を除いた後、YPD培地1mlを加え懸濁し、5000rpmで5分遠心し上清を除いた。菌体にYPD培地1mlを加え、30℃で1時間振盪した。5000rpmで5分遠心し上清を除いた後、菌体を滅菌蒸留水0.1mlに懸濁し、SC-Ura培地(グルコース 20 g/L, イーストナイトロジェンベース(アミノ酸なし)6.7 g/L, アミノ酸溶液)を含有する寒天プレート上に平板化した。各々のプレートから生育してきたコロニーを1株選び、形質転換体とした。
〔形質転換体のキシロース発酵〕
200 ml容三角フラスコに、液体SCX培地(キシロース40 g/L, イーストナイトロジェンベース(アミノ酸なし)6.7 g/L, アミノ酸溶液)50 ml を入れ、一夜同培地で前培養した形質転換体(YIp-GRE-070c-XK, YIp-GRE-SOR-XK)の種培養液を1%加え、30℃、120 rpmで振盪培養した。経時的に培養液1 mlをサンプリングし、キシロース、エタノールの含有量を実施例7に記載したHPLCおよびGCにより測定するためのサンプルとした。
サンプリングした培養液を遠心分離して菌体を除き、上清をポリプロピレン製フィルター(0.2μm, ホワットマン)でろ過を行いサンプルとした。サンプル中のキシロースの含有量をHPLCにより、エタノールの含有量をHPLCまたはGCにより、実施例7に記載の条件と同条件で分析した。
図10は培養42時間後のエタノール生産量を示している。形質転換酵母(YIp-GRE-070c-XK)はキシロースからエタノールを生産しないのに対し、形質転換酵母(YIp-GRE-SOR-XK)はキシロースからエタノールを生産することが示された。
この結果から、SOR1酵素遺伝子を使用することにより、酵母がキシロースなどの五炭糖を利用可能となり、エタノールを生産可能となることが示された。
〔LEU2部位組み込み株の選抜〕
実施例5に記載の形質転換により得られた形質転換体を用いて、染色体上LEU2部位にキシロース分解遺伝子群が組み込まれた形質転換酵母株の選抜を行った。具体的には、50 ml容三角フラスコに、ロイシンを含まない液体SCX-Leu培地(キシロース20 g/L, イーストナイトロジェンベース(アミノ酸なし)6.7 g/L, アミノ酸溶液)20 mlを入れ、一夜同培地で前培養した上記形質転換体(pGAD-XYL)の種培養液を1%加えた。その後、30℃で120 rpmで3日間振盪培養した。この培養液1%を同組成の培地に加え、30℃で120 rpmで3日間振盪培養した。
この操作を1日目の培養液のOD600値が1以上に達するまで繰り返した。この培養液を適宜希釈し、同組成の寒天プレート培地に塗布し、単一コロニーを取得し、形質転換体(pGAD-LEU-XYL)とした。
〔YIp-URA-XYLの作製と形質転換〕
実施例2において作製したpUC-GRE-SOR-XKプラスミドをEcoRI, SphIで切断し、得られたキシロース分解遺伝子を含む断片を、YIp5プラスミドをEcoRI, SphIで切断して得られた断片と連結してYIp-URA-XYLプラスミドを得た(図11)。このプラスミドをCEN.PK2-1C株に形質転換した。形質転換は実施例9と同様にして行った。静置培養した菌液をSC-Ura培地を含有する寒天プレート上に塗布し、生育してきたコロニーを1株選び、形質転換体(YIp-URA-XYL)とした。
〔形質転換体のキシロース発酵〕
200 ml容三角フラスコに、ロイシンを含まない液体SCX-Leu培地(キシロース20 g/L, イーストナイトロジェンベース(アミノ酸なし)6.7 g/L, アミノ酸溶液)50 mlを入れ、一夜同培地で前培養した形質転換体の種培養液を1%加えた。その後、30℃で120 rpmで振盪培養した。経時的に培養液1 mlをサンプリングし、キシロース、エタノールの含有量を実施例7に記載したHPLCおよびGCにより測定するためのサンプルとした。
〔発酵サンプルのHPLCおよびGC分析〕
実施例13でサンプリングした培養液について、酵母の生育程度を確認するために、600 nmでの吸光度(OD600)を測定した。また、サンプリングした培養液を遠心分離して菌体を除き、上清をポリプロピレン製フィルター(0.2μm, ホワットマン)でろ過を行いサンプルとした。サンプル中のキシロースの含有量をHPLCにより、エタノールの含有量をHPLCまたはGCにより、実施例7に記載の条件と同様の条件で分析した。
図12は、酵母の生育量(○及び●)と、サンプル中のキシロース含有量(□及び■)及びエタノール含有量(△及び▲)とを、培養時間に対してプロットしたグラフである。実施例12で得た、コントロールである染色体上URA3部位にキシロース分解酵素遺伝子群が組み込まれた形質転換酵母(YIp-URA-XYL)(○、□、△)よりも、染色体上LEU2部位にキシロース分解遺伝子群が組み込まれた形質転換酵母(YIp-URA-XYL)(●、■、▲)の方が、生育量、キシロース消費及びエタノール生産能のいずれにおいても優れていることが示された。
この結果から、染色体上LEU2部位にキシロース分解遺伝子群が組み込まれた形質転換酵母を用いることにより、キシロースからエタノールを効率よく生産させることが可能であることが示された。
〔AUR-GRE-SOR-XKの作製と実用酵母への形質転換〕
実施例2において作製したpUC-GRE-SOR-XKプラスミドをPvuIIで切断し、得られたキシロース分解遺伝子を含む断片をpAUR135プラスミドのSmaI切断部位に組込み、pAUR-GRE-SOR-XKプラスミドを得た(図13)。清酒醸造に用いられる実用酵母であるサッカロマイセス・セレビシア協会7号を宿主酵母とし、形質転換は実施例9と同様にして行った。静置培養した菌液をオーレオバシジンA(0.5mg/L)を含有するYPD寒天プレート上に塗布し、生育してきたコロニーを1株選び、形質転換体とした。
〔形質転換実用酵母のキシロース発酵〕
500ml容三角フラスコにYPD培地200mlを入れ、一夜同培地で前培養した形質転換体(pAUR-GRE-SOR-XK)の種培養液を1%加え、30℃、120 rpmで振盪培養した。3000rpmで5分間遠心し、沈降した酵母菌体を蒸留水に懸濁し、3000rpmで5分間遠心することにより洗浄した。沈降した酵母菌体を蒸留水5〜10mlに懸濁し、濃縮菌液とした。
200 ml容三角フラスコに液体SX培地(キシロース40 g/L, イーストナイトロジェンベース(アミノ酸なし)6.7 g/L, アミノ酸溶液)50 ml を入れ、上記濃縮菌液を加え、600nmでの濁度がおよそ20となるように調整したのち、30℃、120 rpmで振盪培養した。経時的に培養液1 mlをサンプリングし、キシロース、エタノールの含有量を実施例7と同様にHPLC及びGCにより測定した。結果を図14に示す。
実用酵母への形質転換により得られた酵母においても、キシロースからエタノールが生産されることが確認された。
配列番号1〜12、17、18:プライマー

Claims (28)

  1. ソルビトール脱水素酵素をコードする遺伝子が発現可能に導入され又は当該遺伝子の発現が活性化され、キシリトールからキシルロースへの変換活性が前記導入又は前記活性化前よりも増強された形質転換酵母。
  2. 前記遺伝子が発現可能に導入され、キシリトールからキシルロースへの変換活性が当該導入前よりも増強された、請求項1記載の酵母。
  3. 前記遺伝子が宿主酵母の染色体上に発現可能に挿入されたものである、請求項1又は2記載の酵母。
  4. 前記遺伝子が前記染色体上のLEU2の下流に挿入されたものである、請求項3記載の酵母。
  5. 前記遺伝子がSOR1又はSOR2である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の酵母。
  6. 前記遺伝子が宿主酵母に由来するものである、1〜5のいずれか1項に記載の酵母。
  7. さらに、キシロース還元酵素をコードする遺伝子及び/又はキシルロースリン酸化酵素をコードする遺伝子が発現可能に導入され又は当該遺伝子の発現が活性化された、請求項1〜6のいずれか1項記載の酵母。
  8. 前記キシロース還元酵素をコードする遺伝子及び/又は前記キシルロースリン酸化酵素をコードする遺伝子が、宿主酵母の染色体上に発現可能に挿入されたものである、請求項7記載の酵母。
  9. 前記キシロース還元酵素をコードする遺伝子及び/又は前記キシルロースリン酸化酵素をコードする遺伝子が、前記染色体上のLEU2の下流に挿入されたものである、請求項8記載の酵母。
  10. 前記キシロース還元酵素をコードする遺伝子及び/又は前記キシルロースリン酸化酵素をコードする遺伝子が、宿主酵母に由来するものである、請求項7〜9のいずれか1項記載の酵母。
  11. キシロース、キシリトール及びキシルロースを、それぞれ、キシリトール、キシルロース及びキシルロース5リン酸に変換する能力を有するものである、請求項1〜10のいずれか1項記載の酵母。
  12. キシロースからエタノールを生産する能力を有するものである、請求項1〜11のいずれか1項記載の酵母。
  13. 宿主となる酵母が六炭糖資化能を有するが五炭糖資化能を有しないものである、請求項1〜12のいずれか1項記載の酵母。
  14. 宿主酵母がサッカロマイセス属に属する酵母である、請求項1〜13のいずれか1項記載の酵母。
  15. ソルビトール脱水素酵素をコードする遺伝子を含むプラスミド。
  16. ソルビトール脱水素酵素が以下の(a)又は(b)のタンパク質である、請求項15記載のプラスミド。
    (a) 配列番号14又は16で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質
    (b) 配列番号14又は16で示されるアミノ酸配列において、1個〜数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつソルビトール脱水素酵素活性を有するタンパク質
  17. ソルビトール脱水素酵素をコードする遺伝子が以下の(c)又は(d)のDNAである、請求項15記載のプラスミド。
    (c) 配列番号13又は15で示される塩基配列からなるDNA
    (d) 配列番号13又は15で示される塩基配列からなるDNAに相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつソルビトール脱水素酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA
  18. ソルビトール脱水素酵素をコードする遺伝子がSOR1又はSOR2である、請求項15記載のプラスミド。
  19. キシロース還元酵素をコードする遺伝子をさらに含むものである、請求項15〜18のいずれか1項に記載のプラスミド。
  20. キシロース還元酵素をコードする遺伝子が、GRE3、YJR096w、YPR1、GCY1、ARA1及びYDR124wからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項19記載のプラスミド。
  21. キシルロースリン酸化酵素をコードする遺伝子をさらに含むものである、請求項15〜20のいずれか1項に記載のプラスミド。
  22. キシルロースリン酸化酵素をコードする遺伝子がXKS1である、請求項21記載のプラスミド。
  23. LEU2をさらに含み、かつ当該LEU2の下流にソルビトール脱水素酵素をコードする遺伝子、キシロース還元酵素をコードする遺伝子及びキシルロースリン酸化酵素をコードする遺伝子からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むものである、請求項15〜19のいずれか1項に記載のプラスミド。
  24. 請求項15〜23のいずれか1項に記載のプラスミドを含む形質転換酵母。
  25. 前記プラスミドに含まれるソルビトール脱水素酵素をコードする遺伝子、キシロース還元酵素をコードする遺伝子及びキシルロースリン酸化酵素をコードする遺伝子からなる群より選ばれる少なくとも1種が、宿主酵母に由来するものである、請求項24記載の酵母。
  26. 宿主酵母が六炭糖資化能を有するが五炭糖資化能を有しないものである、請求項24又は25項記載の酵母。
  27. 宿主酵母がサッカロマイセス属に属する酵母である、請求項24〜26のいずれか1項記載の酵母。
  28. 請求項1〜14及び請求項24〜27のいずれか1項に記載の酵母を培養し、得られる培養物からエタノールを採取することを含む、エタノールの生産方法。
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