JPWO2009157416A1 - 含フッ素化合物の精製方法 - Google Patents

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Abstract

分解や不純物の混入の少ないエーテル性酸素原子を有する含フッ素カルボン酸及びその誘導体の精製方法を提供する。下記式(1)で表される含フッ素化合物及び下記式(2)で表される含フッ素化合物からなる群から選ばれる1種以上を含む液体を、加熱温度を150℃以下に保持して蒸留する。RFOR1COOH (1)RFOR1COOR2(2)ここで、RFは直鎖状または分岐状で、主鎖にエーテル性酸素原子を含んでいてもよい1価含フッ素有機基を表し、R1は直鎖状または分岐状の2価有機基を表し、R2は直鎖状または分岐状の1価有機基、を表す。また、該液体は、含フッ素ポリマーの水性乳化液を凝集し該含フッ素ポリマーを分離した後の廃液、分離された該含フッ素ポリマーの乾燥工程および/または熱処理工程の排ガスを洗浄した水性液体、または、前記廃液または含フッ素ポリマーの水性乳化液から得られた水性分散液と接触させた陰イオン交換樹脂をアルカリ水溶液で洗浄して得た液体、のいずれかから得られる液体である。

Description

本発明は、エーテル性酸素原子を有する含フッ素カルボン酸及びその誘導体からなる含フッ素化合物の精製方法に関する。
非溶融成形性フッ素樹脂であるポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEという。)、溶融成形性フッ素樹脂、含フッ素エラストマー等の含フッ素ポリマーの製造には、水性乳化重合が適用される。含フッ素モノマーの水性乳化重合では、連鎖移動によって重合反応を阻害することのないように、乳化剤として、含フッ素乳化剤であるペルフルオロオクタン酸アンモニウム(以下、APFOという。)が、一般的に用いられてきた。また、これら含フッ素乳化剤はPTFEの懸濁重合においても、製品の粉末性状改良のために、重合時に極少量添加される。しかし、APFOは生体蓄積性が高いことが指摘され、難分解性のAPFOの排出には環境面での懸念が表明されており、APFOを代替する含フッ素乳化剤が求められている。近年、エーテル性酸素原子を有する含フッ素カルボン酸のアンモニウム塩が、APFOに比べて生体蓄積性の低い含フッ素乳化剤として有効であることが報告されており、水性乳化重合および懸濁重合への適用が進められている(下記特許文献1、および2を参照)。また、下記特許文献3には、エーテル性酸素原子を有する含フッ素カルボン酸塩の、新規製造方法が報告されている。
該エーテル性酸素原子を有する含フッ素カルボン酸のアンモニウム塩は、APFOと同様に、含フッ素ポリマーの製造に使用された後の、含フッ素ポリマーの水性乳化液から該含フッ素ポリマーを凝集し分離した後の廃液、および、分離された該含フッ素ポリマーの乾燥工程および/または熱処理工程の排ガスに含まれるので、回収し、再使用することが望まれる。
また、該エーテル性酸素原子を有する含フッ素カルボン酸のアンモニウム塩は、前記廃液と接触させた陰イオン交換樹脂をアルカリ水溶液で洗浄して得た液体に含まれる。さらに、該エーテル性酸素原子を有する含フッ素カルボン酸のアンモニウム塩は、前記含フッ素ポリマーの水性乳化液に非イオン界面活性剤を添加して得た水性分散液と接触させた陰イオン交換樹脂をアルカリ水溶液で洗浄して得た液体に含まれる。これらの液体からも、該エーテル性酸素原子を有する含フッ素カルボン酸のアンモニウム塩を回収し、再使用することが望まれる。
従来、含フッ素ポリマーの製造に使用したAPFOの回収には、水性媒体中のAPFOに酸を加えてペルフルオロオクタン酸(以下、PFOAという。)を遊離させ、これをアルコールと反応させることで生成したエステルを、蒸留によって取り出す方法、APFOを含む水溶液を酸で酸性化した後、加熱、2層分離し、得られた有機層を水蒸気蒸留してPFOAを回収する方法、PFOAのナトリウム塩を酸性化した後、夾雑物や不純物を酸化剤で分解し、さらにこれを蒸留することでPFOAを回収する等の方法が知られていた(下記特許文献4、5、および6を参照)。
しかし、APFOに有効であった従来方法を、そのまま、エーテル性酸素原子を有する含フッ素カルボン酸の回収に適用した場合、得られるエーテル性酸素原子を有する含フッ素カルボン酸には、多量の有機不純物が含まれている。そして、該有機不純物は、含フッ素カルボン酸塩に変換した後には除去することが困難であり、含フッ素カルボン酸塩の表面張力低下特性に影響し、含フッ素モノマーの乳化剤として使用すると、重合安定性が充分でなく、含フッ素ポリマーが着色し、品質が低下するという問題があった。
WO2007/046345号公報 US2007/0015864号公報 特開2006−321797号公報 特開平7−53465号公報 特表2004−506708号公報 特開平6−25072号公報
したがって、本発明の目的は、上記問題を解決し、工業的および経済的に有利な、エーテル性酸素原子を有する含フッ素カルボン酸及びその誘導体の精製方法を提供することである。
本発明者らは、上記特許文献3に記載されているように、比較的純度の高い含フッ素カルボン酸塩を原料とする製造方法などでは、蒸留/精製する工程により、比較的純度の高い含フッ素カルボン酸が得られることを確認した。一方、一度含フッ素ポリマーの乳化重合の乳化剤等として用いられた該含フッ素カルボン酸を、含フッ素ポリマーの製造工程から回収する場合には、エーテル性酸素原子を有する含フッ素カルボン酸を蒸留/精製する工程において、含フッ素ポリマーの製造工程から混入する夾雑物や不純物が該含フッ素カルボン酸の精製を阻害したり、分解を促進していることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の構成を有する含フッ素化合物の精製方法を提供する。
[1]下記式(1)で表される含フッ素化合物及び下記式(2)で表される含フッ素化合物からなる群から選ばれる1種以上を含む液体を、加熱温度を150℃以下に保持して蒸留することを特徴とする含フッ素化合物の精製方法。
ORCOOH (1)
ORCOOR (2)
ここで、Rは直鎖状または分岐状で、主鎖にエーテル性酸素原子を含んでいてもよい1価含フッ素有機基を表し、Rは直鎖状または分岐状の2価有機基を表し、Rは直鎖状または分岐状の1価有機基、を表す。
[2]前記液体が、含フッ素ポリマーの水性乳化液から該含フッ素ポリマーを凝集し分離した後の廃液、または、分離された該含フッ素ポリマーの乾燥工程および/または熱処理工程の排ガスを洗浄した水性液体、または、前記廃液または含フッ素ポリマーの水性乳化液から得られた水性分散液と接触させた陰イオン交換樹脂をアルカリ水溶液で洗浄して得た液体、のいずれかから得られる液体である上記[1]に記載の含フッ素化合物の精製方法。
[3]前記式(1)で表される含フッ素化合物が、下記式(3)で表される含フッ素化合物に酸を加えて得られる含フッ素化合物である上記[1]または[2]に記載の含フッ素化合物の精製方法。
[RORCOO]m+ (3)
ここで、Rは直鎖状または分岐状で、主鎖にエーテル性酸素原子を含んでいてもよい1価含フッ素有機基を表し、Rは直鎖状または分岐状の2価有機基を表し、Xはm価の金属イオン、アンモニウムイオン、またはアルキル置換アンモニウムイオンを表し、mは1〜3の整数、を表す。
[4]前記式(2)で表される含フッ素化合物が、前記式(1)で表される含フッ素化合物とROH(ここで、Rは直鎖状または分岐状の1価有機基を表す。)で表されるアルコールとのエステル化反応により得られる含フッ素化合物である上記[1]〜[3]のいずれかに記載の含フッ素化合物の精製方法。
[5]前記含フッ素ポリマーが、テトラフルオロエチレンの、単独重合体または共重合体である上記[1]〜[4]のいずれかに記載の含フッ素化合物の精製方法。
[6]前記加熱温度が、130℃以下である上記[1]〜[5]のいずれかに記載の含フッ素化合物の精製方法。
[7]前記式(1)で表される含フッ素化合物が、下記式(4)で表される含フッ素化合物である上記[1]〜[6]のいずれかに記載の含フッ素化合物の精製方法。
F2(O(CFOCFCOOH (4)
ここで、RF2は直鎖状または分岐状の炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表し、pは1〜5の整数であり、nは0〜5の整数、である。
[8]上記[1]〜[7]のいずれかに記載の含フッ素化合物の精製方法で精製された前記式(1)で表される含フッ素化合物及び/または前記式(2)で表される含フッ素化合物と、Yで表されるイオンを生じる化合物とを反応させて得た下記式(5)で表される含フッ素化合物を、乳化剤として用いることを特徴とする含フッ素モノマーの乳化重合方法。
ORCOO (5)
ここで、Rは直鎖状または分岐状で、主鎖にエーテル性酸素原子を含んでいてもよい1価含フッ素有機基を表し、Rは直鎖状または分岐状の2価有機基を表し、Yは、Li、Na、K、またはNH を表す。
本発明の含フッ素化合物の精製方法によれば、含フッ素ポリマーの水性乳化液から該含フッ素ポリマーを凝集し分離した後の廃液、または、分離された該含フッ素ポリマーの乾燥工程および/または熱処理工程の排ガスを洗浄した水性液体、または、前記廃液または含フッ素ポリマーの水性乳化液から得られた水性分散液と接触させた陰イオン交換樹脂をアルカリ水溶液で洗浄して得た液体、のいずれかから得られる液体から、前記式(1)又は式(2)で示される含フッ素化合物を精製することができる。その際に、該液体を、加熱温度を150℃以下に保持して蒸留することにより、含フッ素ポリマーの製造工程から混入した夾雑物や不純物による含フッ素カルボン酸の分解を抑制しつつ、含フッ素化合物を効率よく生成することができる。その結果、有機不純物の含有量が少なく、高純度のエーテル性酸素原子を有する含フッ素カルボン酸及びその誘導体を、高い蒸留収率で得ることができる。また、該エーテル性酸素原子を有する含フッ素カルボン酸及びその誘導体を塩化して得た含フッ素化合物を、乳化剤として含フッ素モノマーを乳化重合すると、重合安定性に優れ、高品質の含フッ素ポリマーを得ることができる。
本明細書において、「式(n)で表される含フッ素化合物(nは任意の符号。)」を単に「含フッ素化合物(n)」と記載する場合がある。また、「有機基」とは、炭素原子と、炭素原子以外の少なくとも1種の原子とを含有する基を意味する。「含フッ素有機基」とは、フッ素原子で置換され得る部位の一部または全部がフッ素原子で置換された有機基をいう。「フッ素原子で置換され得る部位」とは、炭素原子に結合した水素原子である。
「ポリフルオロ」とは、前記炭素原子に結合した水素原子の2個以上がフッ素原子で置換されていることを、また、「ペルフルオロ」とは、前記炭素原子に結合した全ての水素原子がフッ素原子で置換されていることを、意味する。
「エーテル性酸素原子」とは、エーテル結合(C−O−C)を形成する酸素原子を意味し、「エーテル性酸素原子含有飽和炭化水素基」とは、炭素数2以上の飽和炭化水素基において、その炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入された基を意味する。
「部分ハロゲン化飽和炭化水素基」とは、飽和炭化水素基中の水素原子の一部が、フッ素原子以外のハロゲン原子で置換された基を意味する。
「エーテル性酸素原子含有部分ハロゲン化飽和炭化水素基」とは、エーテル性酸素原子含有飽和炭化水素基中の水素原子の一部が、フッ素原子以外のハロゲン原子で置換された基を意味する。
本発明において、式(1)で表される含フッ素化合物は、エーテル性酸素原子を有する含フッ素カルボン酸である。また、式(2)で表される含フッ素化合物は、エーテル性酸素原子を有する含フッ素カルボン酸エステルである。
ORCOOH (1)
ORCOOR (2)
ここで、Rは直鎖状または分岐状で、主鎖にエーテル性酸素原子を含んでいてもよい1価の含フッ素有機基であり、Rは直鎖状または分岐状の2価有機基であり、Rは直鎖状または分岐状の1価有機基である。
1価の含フッ素有機基としては、含フッ素飽和有機基が好ましく、ポリフルオロ飽和有機基がより好ましく、ペルフルオロ飽和有機基が最も好ましい。
1価の含フッ素飽和有機基としては、含フッ素飽和炭化水素基、エーテル性酸素原子含有含フッ素飽和炭化水素基、部分ハロゲン化含フッ素飽和炭化水素基、またはエーテル性酸素原子含有部分ハロゲン化含フッ素飽和炭化水素基が挙げられる。
1価の含フッ素飽和炭化水素基としては、含フッ素アルキル基、含フッ素シクロアルキル基、または環構造を有する含フッ素飽和炭化水素基(たとえば、置換基としてアルキル基を有するシクロアルキル基、置換基としてシクロアルキル基を有するアルキル基、またはこれらの基を部分構造とする基)等が挙げられ、含フッ素アルキル基が好ましい。
1価のエーテル性酸素原子含有含フッ素飽和炭化水素基としては、炭素数2以上の含フッ素アルキル基の炭素−炭素結合間にエーテル性酸素原子が挿入された基、シクロアルキル基の炭素−炭素結合間にエーテル性酸素原子が挿入された基等が挙げられる。
の具体例としては、CHF−、CHF−、CHFCH−、CHCHF−、CHFCHF−、CHFCH−、CHCF−、CFCH−、CHFCHF−、CHFCF−、CFCHF−、CHFCF−等のポリフルオロアルキル基;CF−、CFCF−、CFCFCF−、CFCFCFCF−、(CFCF−、(CFCFCF−、CFCFCF(CF)−、(CFC−等のペルフルオロアルキル基;CFOCF−、CFOCFOCF−、CFOCFOCFOCF−、CFOCFOCFOCFOCF−、CFOCFOCFOCFOCFOCF−、CFCFOCF−、CFCFOCFOCF−、CFCFOCFOCFOCF−、CFCFOCFOCFOCFOCF−、CFCFOCFOCFOCFOCFOCF−、CFCFCFOCF−、CFCFCFOCFOCF−、CFCFCFOCFOCFOCF−、CFCFCFOCFOCFOCFOCF−、CFCFCFOCFOCFOCFOCFOCF−、CFCFCFCFOCF−、CFCFCFOCFOCF−、CFCFCFCFOCFOCFOCF−、CFCFCFCFOCFOCFOCFOCF−、CFCFCFCFOCFOCFOCFOCFOCF−、CFOCFCF−、CFOCFCFOCFCF−、CFOCFCFOCFCFOCFCF−、CFOCFCFOCFCFOCFCFOCFCF−、CFOCFCFOCFCFOCFCFOCFCFOCFCF−、CFCFOCFCF−、CFCFOCFCFOCFCF−、CFCFOCFCFOCFCFOCFCF−、CFCFOCFCFOCFCFOCFCFOCFCF−、CFCFOCFCFOCFCFOCFCFOCFCFOCFCF−、CFCFCFOCFCF−、CFCFCFOCFCFOCFCF−、CFCFCFOCFCFOCFCFOCFCF−、CFCFCFOCFCFOCFCFOCFCFOCFCF−、CFCFCFOCFCFOCFCFOCFCFOCFCFOCFCF−、CFCFCFOCFCFCF−、CFOCFCFCF−、CFO[CF(CF)CFO]CF(CF)CF−(bは0以上の整数であり、0〜5の整数が好ましい。)、CFCFO[CF(CF)CFO]CF(CF)CF−(bは0以上の整数であり、0〜5の整数が好ましい。)、CFCFCFO[CF(CF)CFO]CF(CF)CF−(bは0以上の整数であり、0〜5の整数が好ましい。)等のエーテル性酸素原子含有ペルフルオロアルキル基が挙げられる。
としては、表面張力低下能に優れることから、直鎖状のペルフルオロアルキル基であることが好ましい。Rとしては、RF2(O(CFで表される1価含フッ素有機基であることがより好ましい。ここで、RF2は直鎖状または分岐状の炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基であり、pは1〜5の整数であり、nは0〜5の整数、である。
としては、2価の有機基であり、2価の含フッ素有機基が好ましく、表面張力低下能に優れることから、直鎖状のペルフルオロアルキレン基がより好ましく、CFが最も好ましい。Rの具体例としては、−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−等のアルキレン基;−CHF−、−CHCHF−、−CHFCH−、−CHFCHF−、−CHFCF−、−CFCHF−等のポリフルオロアルキレン基;−CFCF−、−CF(CF)−、−CF(CF)CF−、−CFCF(CF)−、−CF(CF)CFCF−、−CFCF(CF)CF−、−CFCFCF(CF)−、−(CF−(dは1以上の整数であり、1〜8の整数が好ましい。)等のペルフルオロアルキレン基が挙げられる。
本発明において、含フッ素化合物(1)は、総炭素数が、5〜10であることが好ましく、5〜8であることがより好ましく、5〜6であることが最も好ましい。
化合物(1)の具体例としては、下記含フッ素カルボン酸が好ましい。
CFCFCFOCHFCFCOOH、CFCFOCFCFCOOH、CFCFCFOCFCFCOOH、CFCFCFCFOCFCFCOOH、(CFCFOCFCOOH、(CFCFCFOCFCOOH、CFCFCF(CF)OCFCOOH、(CFCOCFCOOH、CFOCFOCFCOOH、CFOCFOCFOCFCOOH、CFOCFOCFOCFOCFCOOH、CFOCFOCFOCFOCFOCFCOOH、CFOCFOCFOCFOCFOCFOCFCOOH、CFCFOCFOCFCOOH、CFCFOCFOCFOCFCOOH、CFCFOCFOCFOCFOCFCOOH、CFCFOCFOCFOCFOCFOCFCOOH、CFCFCFOCFOCFCOOH、CFCFCFOCFOCFOCFCOOH、CFCFCFOCFOCFOCFOCFCOOH、CFCFCFCFOCFOCFCOOH、CFCFCFCFOCFCOOH、CFCFCFCFOCF(CF)COOH、CFCFCFCFOCFCFCOOH、CFCFCFCFOCFOCFOCFCOOH、CFOCFCFOCFCFOCFCOOH、CFCFOCFCFOCFCOOH、CFCFOCF(CF)COOH、CFCFOCFCFOCFCFOCFCOOH、CFCFCFCFOCFCFOCFCOOH、CFOCFCFOCFCOOH、CFCFCFOCFCFOCFCOOH、CFCFCFOCFCFCFOCFCOOH、CFOCFCFCFOCF(CF)COOH、CFOCFCFCFOCFCFCOOH、CFOCFCFCFOCFCOOH、CFOCFCFCFOCHFCOOH、CFOCFCFCFOCHFCFCOOH、CFOCF(CF)CFOCF(CF)COOH、CFOCF(CF)CFOCFCFCOOH、CFOCF(CF)CFOCHFCFCOOH、CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COOH、CFCFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COOH。
含フッ素化合物(1)が、下記式(4)で示される含フッ素化合物であることがより好ましい。
F2(O(CFOCFCOOH (4)
ここで、RF2は直鎖状または分岐状の炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基であり、pは1〜5の整数であり、nは0〜5の整数、である。
含フッ素化合物(4)の具体例としては、CFCFOCFCFOCFCOOH、CFCFCFOCFCFOCFCOOH、CFOCFCFOCFCOOH、CFCFCFCFOCFCFCOOH、CFCFCFCFOCF(CF)COOH、CFOCFCFCFOCF(CF)COOH、CFOCFCFCFOCFCOOH、CFCFCFCFOCFCOOH、CFCFCFOCFCFCOOH、CFCFOCFCFCOOH、CFOCFCFCOOH、CFOCFOCFOCFCOOH、CFOCFOCFOCFOCFCOOHなどが挙げられるが、CFCFOCFCFOCFCOOHが最も好ましい。
本発明の含フッ素化合物の精製方法において、前記含フッ素化合物(1)が、下記含フッ素化合物(3)に酸を加えて、得られる含フッ素化合物であることが好ましい。
[RORCOO]m+ (3)
ここで、Rは直鎖状または分岐状で、主鎖にエーテル性酸素原子を含んでいてもよい1価含フッ素有機基を表し、Rは直鎖状または分岐状の2価有機基を表し、Xはm価の金属イオン、アンモニウムイオン、またはアルキル置換アンモニウムイオンを表し、mは1〜3の整数、を表す。
及びRは、含フッ素化合物(1)で示したものと同じである。また、Xm+の具体例としては、たとえば、Li、Na、K、Ca2+、Mg2+、Al3+、NH 、NH(CH、NH(CH 、NH(CH 、N(CH 等が挙げられる。
含フッ素化合物(3)の具体例としては、上記含フッ素化合物(1)のNH塩、Na塩、K塩、Al塩などを好ましく例示できる。
本発明の含フッ素化合物の精製方法において、含フッ素化合物(2)は、含フッ素化合物(1)とROH(ここで、Rは直鎖状または分岐状の1価有機基を表す。)で表されるアルコールとのエステル化反応により得られる含フッ素化合物であることが好ましい。
としては、鎖長の短い有機基が好ましい。Rの具体例としては、−CH、−CHCH、−CH(CH等の炭素原子数1〜3のアルキル基が挙げられる。Rが炭素原子数1〜3のアルキル基であると、含フッ素化合物(2)の沸点が低いので、蒸留精製が容易である。
含フッ素化合物(2)の総炭素数は、6〜11が好ましく、6〜9がより好ましく、6〜7が最も好ましい。含フッ素化合物(2)の具体例としては、上記含フッ素化合物(1)のメチルエステルおよびエチルエステルなどを好ましく例示できる。
本発明の含フッ素化合物の精製方法において、含フッ素化合物(1)及び含フッ素化合物(2)からなる群から選ばれる1種以上を含む液体としては、含フッ素ポリマーの水性乳化液から該含フッ素ポリマーを凝集し、分離した後の廃液、または、分離した該含フッ素ポリマーの乾燥工程および/または熱処理工程の排ガスを洗浄した水性液体、または、前記廃液または含フッ素ポリマーの水性乳化液から得られた水性分散液と接触させた陰イオン交換樹脂をアルカリ水溶液で洗浄して得た液体、のいずれかから得られる液体が用いられる。
陰イオン交換樹脂を洗浄するアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化リチウムなどが好ましく、なかでも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。
上記含フッ素ポリマーとしては、テトラフルオロエチレンを単独で重合させた、PTFE、テトラフルオロエチレンと共重合可能なモノマー(ただし、テトラフルオロエチレンを除く)との共重合体が挙げられる。該共重合可能なモノマーとしては、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、CF=CFOR(式中、Rは、エーテル性の酸素原子を含んでもよい炭素数1〜16のペルフルオロアルキル基)で表されるペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)などの含フッ素モノマー、エチレン、プロピレン、イソブテン等の炭化水素オレフィン、アルキルビニルエーテル等のエーテル性の酸素原子を含んでもよい炭化水素モノマーが挙げられる。テトラフルオロエチレンと共重合可能なモノマーとの共重合体としては、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)などのフッ素樹脂が挙げられる。また、含フッ素モノマーを重合することにより得られる、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)などのフッ素樹脂、さらに、エチレン/クロロトリフルオロエチレン(ECTFE)などのフッ素樹脂が挙げられる。また、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/プロピレン共重合体等のフッ素ゴムも挙げられる。
該含フッ素ポリマーは、テトラフルオロエチレンの単独重合体または共重合体であることが好ましい。
常法によれば、上記含フッ素ポリマーの水性乳化液は、水性媒体、重合開始剤、乳化剤としての含フッ素化合物(3)の存在下に含フッ素モノマーを重合させることにより、含フッ素ポリマーが微粒子として分散した水性乳化液として製造される。この水性乳化液から、該含フッ素ポリマーを凝集し分離した後の廃液には、含フッ素化合物(3)が通常10ppm〜10000ppm程度の含有量で残留する。また、凝集し分離した含フッ素ポリマーを、オーブン等の装置を用いて乾燥および/または熱処理する際、該熱処理装置から微量の含フッ素化合物(3)の飛沫を含む排ガスが排出される。この排ガスを洗浄した洗浄液にも、含フッ素化合物(3)が含まれている。一方、前述の水性乳化液または該水性乳化液から、該含フッ素ポリマーを凝集し分離した後の廃液を、特開2007−283224号やWO2007/043278号に記載の方法等により、陰イオン交換樹脂に接触させて、含フッ素化合物(3)を陰イオン交換樹脂に吸着させ、その後にアルカリ性水溶液を用いて、含フッ素化合物(3)を脱着させることでも、含フッ素ポリマーを分離した廃液が得られる。該廃液には、含フッ素化合物(3)が通常1質量ppm〜20質量%含まれる。
さらに、含フッ素ポリマーがPTFEの場合、上記含フッ素ポリマーの水性乳化液に、非イオン界面活性剤を添加して得た含フッ素ポリマー低濃度分散液を、陰イオン交換樹脂と接触させて、含有される含フッ素化合物(3)を吸着させ、含フッ素化合物(3)の含有量の著しく少ない、含フッ素ポリマー低濃度分散液を得る。ついで、該含フッ素ポリマー低濃度分散液を濃縮することにより、含フッ素ポリマーを60質量%程度含有する、含フッ素ポリマー分散液が、工業的に製造されている。この製造工程で得られる、含フッ素化合物(3)を吸着した陰イオン交換樹脂からも、上記のように、アルカリ性水溶液を用いて、含フッ素化合物(3)を脱着させて、含フッ素化合物(3)を含有する液体が得られる。
含フッ素化合物(3)を含有する該廃液や該洗浄液は、必要に応じて、WO2004/000734号公報に記載の方法等により、水を減圧留去することで、濃縮できる。その際、未凝集の含フッ素ポリマーの微粒子を予め凝集して、除去することが好ましい。これによれば、濃縮にともなって未凝集の含フッ素ポリマーの微粒子が精製目的物たる含フッ素化合物を取り込みながら凝集してしまうのを防ぐことができる。
また、含フッ素化合物(3)がNH塩などであり昇華性を有する場合や、Al塩などであり溶解性が低い場合には、塩の種類をNa塩などに変換してもよい。これによれば、水性溶媒への溶解性を高めることができ、水を減圧留去する際にも昇華による損失を防ぐことができる。そして、含フッ素化合物(3)を含む該廃液、該洗浄液または該濃縮液に酸を加えることにより、含フッ素化合物(3)を含フッ素化合物(1)に変換し、含フッ素化合物(1)を含む液体を得ることができる。酸としては、それ自身が有機不純物となり得ない無機酸が好ましく、HCl、HSO、HNOなどが好適に用いられる。含フッ素化合物(1)を含む液体の蒸留によって、含フッ素化合物(1)と容易に蒸留分離できる点から、低沸点のHClが特に好ましい。また、酸を加えた後の、含フッ素化合物(3)を含む該廃液、該洗浄液および濃縮液のpHは、含フッ素化合物(3)の含フッ素化合物(1)への変換率を高くできることから、pH2以下が好ましく、pH1以下がより好ましく、pH0以下が最も好ましい。pHが0以下であると、含フッ素化合物(3)の含フッ素化合物(1)への変換率が通常、90モル%以上となる。
含フッ素化合物(1)は、必要に応じて、含フッ素化合物(1)を含む液体から、有機溶媒で抽出することも好ましい。有機溶媒としては、非水溶性有機溶媒が好ましく、クロロホルム、ジクロロエチレン、塩化メチレン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、CFC−113、HCFC−225ca、HCFC−225cb、HCFC−123、HCFC−141b、C13H、C18、CF(CFCH、CF(CFCHCH、CF(CFCHCH、CFCFCHCFH、CF(CFOCH、CF(CFOCHCH、CFCHOCFCFH、ペルフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)、ペルフルオロ(2−プロピルテトラヒドロフラン)などが好適に用いられる。
上記有機溶媒としては、含フッ素化合物(1)の溶解性に優れる点から、含フッ素化炭化水素が好ましく、エーテル性酸素原子を有する含フッ素化炭化水素がより好ましい。具体例としては、CF(CFOCH、CF(CFOCHCH、CFCHOCFCFH等が挙げられる。
本発明の含フッ素化合物の精製方法において、含フッ素化合物(2)を含む液体は、含フッ素化合物(1)を含む液体とROHとのエステル化反応により得ることが好ましい。含フッ素化合物(2)は、含フッ素化合物(1)のエステル化体であるので、腐食性が低く粘度も低いので、蒸留操作が容易となる。含フッ素化合物(1)を含む液体は、前述の、含フッ素化合物(3)を含む液体に酸を加えて、含フッ素化合物(1)に変換した液体を用いることができる。エステル化反応の温度は、反応性に優れることから、0℃以上が好ましく、30℃以上がより好ましく、50℃以上が最も好ましく、さらには、100℃以下が好ましい。
含フッ素化合物(2)は、必要に応じて、含フッ素化合物(2)を含む液体から、有機溶媒で抽出することも好ましい。有機溶媒しては、非水溶性有機溶媒が好ましく、その具体例としては、含フッ素化合物(1)を含む液体から含フッ素化合物(1)を抽出するときに用いた上記有機溶媒と同様のものを用いることができる。特に、含フッ素化合物(2)の溶解性に優れる点から、含フッ素化炭化水素が好ましく、エーテル性酸素原子を有する含フッ素化炭化水素がより好ましい。具体例としては、CF(CFOCH、CF(CFOCHCH、CFCHOCFCFH等が挙げられる。
本発明の含フッ素化合物の精製方法においては、含フッ素化合物(1)及び含フッ素化合物(2)からなる群から選ばれる1種以上を含む液体を、加熱温度を150℃以下に保持して蒸留する。加熱温度は130℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましい。加熱温度は蒸留の効率を考慮し適宜決定すればよく、特に制限はないが、10℃以上であることが好ましく、20℃以上であることがより好ましく、30℃以上であることが最も好ましい。
蒸留圧力は減圧、大気圧、加圧等のいずれも採用できる。また、含フッ素化合物(1)は、酸性で、腐食性を有することから、蒸留塔の材質は、ガラス、ステンレス、ハステロイ、フッ素樹脂ライニングなどが好適に用いられる。
ここで、加熱温度とは、蒸留塔の釜の内温を意味する。蒸留塔の加熱温度が150℃より高い場合、蒸留中に含フッ素化合物(1)及び/または含フッ素化合物(2)が分解し、エーテル結合の切断による短鎖化合物の生成や、脱炭酸反応によるカルボニル基を有さない不純物の生成などが起こり、含フッ素化合物(1)及び/または含フッ素化合物(2)を高純度に精製することが困難となる。また、その蒸留収率も低下する。なお、比較的純粋な含フッ素化合物(1)または含フッ素化合物(2)を蒸留により精製する際には、このような問題は顕在化しない(上記特許文献3を参照)。したがって、上記分解や不純物の混入は、含フッ素ポリマーの乳化重合の過程を経たことにより持ち込まれた金属イオンや有機酸などの夾雑物や不純物の作用による現象であると考えられる。
なお、前記液体は、上記のように、含フッ素ポリマーの水性乳化液から該含フッ素ポリマーを凝集し分離した後の廃液、分離された該含フッ素ポリマーの乾燥工程および/または熱処理工程の排ガスを洗浄した水性液体、または、前記廃液または含フッ素ポリマーの水性乳化液から得られた水性分散液と接触させた陰イオン交換樹脂をアルカリ水溶液で洗浄して得た液体、のいずれかから得られる液体であることが好ましい。
本発明の含フッ素モノマーの乳化重合方法において、上記含フッ素化合物の精製方法で精製された含フッ素化合物(1)及び/または含フッ素化合物(2)と、Yで表されるイオンを生じる化合物とを反応させて得た下記含フッ素化合物(5)を、乳化剤として用いる。
ORCOO (5)
ここで、Rは直鎖状または分岐状で、主鎖にエーテル性酸素原子を含んでいてもよい1価含フッ素有機基を表し、Rは直鎖状または分岐状の2価有機基を表し、Yは、Li、Na、K、またはNH を表す。
ここで、Yで表されるイオンを生じる化合物としては、LiOH、KOH、NaOH、NHOH等が挙げられるが、KOH、NaOH、NHOH等が好ましい。なかでも、NH イオンを生じるNHOHが好ましい。
含フッ素化合物(5)は、総炭素数が、5〜10であることが好ましく、5〜8であることがより好ましく、5〜6であることが最も好ましい。化合物(5)の具体例として、Yが、NH である含フッ素化合物が好ましい。より好ましくは、下記の含フッ素化合物である。
CFCFOCFCFCOONH
CFCFCFCFOCFCFCOONH
CFCFCF(CF)OCFCOONH
CFOCFOCFCOONH
CFOCFOCFOCFCOONH
CFOCFOCFOCFOCFCOONH
CFOCFOCFOCFOCFOCFCOONH
CFOCFOCFOCFOCFOCFOCFCOONH
CFCFOCFOCFCOONH
CFCFOCFOCFOCFCOONH
CFCFOCFOCFOCFOCFCOONH
CFCFOCFOCFOCFOCFOCFCOONH
CFCFCFOCFOCFCOONH
CFCFCFOCFOCFOCFCOONH
CFCFCFOCFOCFOCFOCFCOONH
CFCFCFCFOCFOCFCOONH
CFCFCFCFOCFCOONH
CFCFCFCFOCF(CF)COONH
CFCFCFCFOCFCFCOONH
CFCFCFCFOCFOCFOCFCOONH
CFOCFCFOCFCFOCFCOONH
CFCFOCFCFOCFCOONH
CFCFOCF(CF)COONH
CFCFOCFCFOCFCFOCFCOONH
CFCFCFCFOCFCFOCFCOONH
CFOCFCFOCFCOONH
CFCFCFOCFCFOCFCOONH
CFCFCFOCFCFCFOCFCOONH
CFOCFCFCFOCF(CF)COONH
CFOCFCFCFOCFCFCOONH
CFOCFCFCFOCFCOONH
CFOCF(CF)CFOCF(CF)COONH
CFOCF(CF)CFOCFCFCOONH
CFOCF(CF)CFOCHFCFCOONH
CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COONH
CFCFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COONH
精製された含フッ素化合物(1)及び/または含フッ素化合物(2)に、有機不純物が含まれ、純度が低い場合、精製された含フッ素化合物(1)及び/または含フッ素化合物(2)と、Yで表されるイオンを生じる化合物(ここで、Yは、Li、Na、K、またはNH を表す。)とを反応させて得られる、含フッ素化合物(5)の純度も低い。
低純度の含フッ素化合物(5)を、乳化剤として用いた場合、表面張力低下能が充分でなく、ロットによって表面張力低下能がばらつく。また、そのような含フッ素化合物(5)を含フッ素モノマーの水性乳化重合に使用した場合には、重合安定性が低下したり、得られる含フッ素ポリマーの着色、品質低下などの問題が生じる。そのため、本発明の含フッ素モノマーの乳化重合方法においては、含フッ素化合物(5)の純度は、97%以上が好ましく、98%以上がより好ましく、99%以上が最も好ましい。そのために、含フッ素化合物(1)及び/または含フッ素化合物(2)の純度は、97%以上が好ましく、98%以上がより好ましく、99%以上が最も好ましい。
本発明の含フッ素化合物の精製方法を用いれば、高純度の、含フッ素化合物(1)及び含フッ素化合物(2)を得ることができる。また、本発明の含フッ素モノマーの乳化重合方法によれば、その含フッ素化合物の精製方法により得られた含フッ素化合物(1)及び/または含フッ素化合物(2)を用いて、高純度の化合物(5)を得、これを含フッ素モノマーの重合乳化剤として用いる方法であるので、重合安定性が向上して、高品質の含フッ素ポリマーを得ることができる。このような高品質の含フッ素ポリマーは、例えば、極めて高い清浄度が要求される半導体の製造プロセス用部材などとして好適である。
以下、本発明について実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
[実施例1](CFCFOCFCFOCFCOOHの精製例)
(工程1−1):CFCFOCFCFOCFCOO(NHからの未凝集PTFE粒子の除去工程
特開2006−321797号公報に記載の方法に従い、CFCFOCFCFOCFCOO(NHを、乳化剤として用いてテトラフルオロエチレンの乳化重合を実施した。得られたPTFEの水性乳化液からPTFEを凝集し分離後、廃液を分析した。該廃液は、未凝集PTFE粒子(以下、SSという。)の2100ppm、およびCFCFOCFCFOCFCOO(NHの1055ppmを含有していた。該廃液(1776kg)に、塩化アルミニウム六水和物の204gを水に溶解させ8質量%水溶液に調製したものを添加し、10分間撹拌して、SSを凝集させた。次いで、廃液に30質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加して、該廃液のpHを8.55に調整し、30分間の撹拌を行い、含まれるCFCFOCFCFOCFCOO(NHをCFCFOCFCFOCFCOONaに変換した。さらに、該廃液を、420メッシュのフィルターで濾過し、凝集したSSを除去した。得られた廃液は、SSが10ppmの無色透明の液体(1792kg)であった。
(工程1−2):CFCFOCFCFOCFCOONaの濃縮工程
(工程1−1)で得られた廃液の1792kgを、ヒートポンプを備えた加熱管面蒸発型濃縮装置(ササクラ社製、商品名:EVCC濃縮装置)を用いて、EVCC濃縮装置内部の圧力を20kPa(ゲージ圧、以下も同じである。)、EVCC濃縮装置内部の循環液の温度を55±2℃に保持して、減圧濃縮し、37.3kgの濃縮液(CFCFOCFCFOCFCOONaの濃度5.03質量%)を得た。
(工程1−3):CFCFOCFCFOCFCOOHへの変換工程
(工程1−2)で得られた濃縮液の20.2kgを、攪拌機および還流コンデンサーを備えたガラス製反応器に仕込んで攪拌し、常圧下、25℃で、濃塩酸を滴下してpH=0に調整し、CFCFOCFCFOCFCOONaをCFCFOCFCFOCFCOOHに変換した。次いで、常圧下、25℃で、抽出溶媒としてCFCHOCFCFHの21.1kgを加えて、30分間攪拌し、さらに、30分間静置した後、2層分離を行った。下層であるCFCHOCFCFH層(22.1kg)をGC(ガスクロマトグラフ)分析により分析したところ、CFCFOCFCFOCFCOOHの含有量は956gであった。また、(工程1−2)で得られた濃縮液からの抽出率は、94.1%であった。
(工程1−4):CFCFOCFCFOCFCOOHの蒸留精製工程
(工程1−3)で得られた下層の内20.0kg(CFCFOCFCFOCFCOOHの含有量は865g)を、10℃の還流器を備えたガラス製蒸留塔の釜(2L)に、常圧下、釜の内温を70℃以下に保持しながら、連続供給し、CFCHOCFCFHを留去し、CFCFOCFCFOCFCOOHを濃縮した。CFCHOCFCFHが留出しなくなったところで、釜の圧力を、常圧から5Torr(1Torrはおよそ133.322Pa。以下同じ。)へと徐々に下げ、釜の内温を92℃以下に保持しながらCFCFOCFCFOCFCOOHを留出させた。沸点は74℃(30Torr)であった。得られたCFCFOCFCFOCFCOOH精製品は、純度99.7%の無色透明の液体であり、その収量は786gであった。
また、蒸留収率は91%であった。
[比較例1](CFCFOCFCFOCFCOOHの精製例)
実施例1の(工程1−3)で得られた下層の内2.0kg(CFCFOCFCFOCFCOOHの含有量は87g)を、10℃の還流器を備えたガラス製蒸留塔の釜(2L)に仕込み、常圧下、蒸留精製を行ったところ、CFCHOCFCFHの留出が進むにつれて釜の内温が上昇し、155℃に到達した。その後、釜の圧力を、常圧から50Torrへと徐々に下げ、釜の内温が155℃を維持するように、CFCFOCFCFOCFCOOHを留出させて、蒸留を継続した。その結果、CFCFOCFCFOCFCOOHが分解し、脱炭酸反応によるCOの生成や、エーテル結合の切断によるCFCFOCFCOOH、CFCFHの生成が見られた。得られたCFCFOCFCFOCFCOOH留分は、純度=90.9%で、その収量は66gであった。また、蒸留収率は76%であった。
[実施例2](CFCFOCFCFOCFCOOCHの精製例)
(工程2−1):エステル化工程
実施例1の(工程1−4)において、その前工程である(工程1−3)で得られた下層のCFCHOCFCFHを留去して得られたCFCFOCFCFOCFCOOH(純度=95.0%、500g)を、撹拌機および還流コンデンサーを備えたガラス製反応器(2L)に仕込み、撹拌下、内温が30℃以下に保たれるようにゆっくりとCHOHの140gを導入した。全量を導入後、さらに70℃で8時間の撹拌を行うことで生成物を得た。該生成物のガスクロマトグラフィー分析を行った結果、CFCFOCFCFOCFCOOCHの含有量は432gであり、過剰分のCHOHと、未反応分のCFCFOCFCFOCFCOOHも検出された。
(工程2−2):CFCFOCFCFOCFCOOCHの蒸留精製工程
(工程2−1)で得られた生成物を、10℃の還流器を備えたガラス製蒸留塔の釜(1L)に仕込み、釜の圧力を、常圧から5Torrへと徐々に下げ、釜の内温を120℃以下に保持しながら蒸留精製を行った。得られたCFCFOCFCFOCFCOOCH精製品は、純度=99.5%の無色透明の液体であり、その収量は400gであった。また、蒸留収率は92%であった。
[実施例3](テトラフルオロエチレンの乳化重合)
実施例1で得られた精製CFCFOCFCFOCFCOOHを用いて、以下のようにして、テトラフルオロエチレンの乳化重合を行った。
(工程3−1):CFCFOCFCFOCFCOO(NHの合成
撹拌機および還流コンデンサーを備えたガラス製反応器(2L)に、市販のアンモニア水(28質量%)を稀釈することで調製した2.5質量%アンモニア水の1180gを仕込んだ。次に、これを撹拌しながら、氷冷下、実施例1で得られた精製CFCFOCFCFOCFCOOHの601gを、2時間かけて滴下した。滴下終了後、徐々に昇温し、40℃で5時間保持した。その後、CFCFOCFCFOCFCOO(NHの濃度(蒸発乾固により測定)とpH(pHメーターにより測定)を測定しながら、2.5質量%アンモニア水と、水とを少量ずつ加えて撹拌し、濃度30.0質量%、pH5.7の、CFCFOCFCFOCFCOO(NH水溶液の2100gを得た。
(工程3−2):テトラフルオロエチレンの重合
邪魔板、撹拌機を備えた、100Lのステンレス鋼製オートクレーブに、(工程3−1)で得たCFCFOCFCFOCFCOO(NH水溶液(固形物濃度=30.0質量%、pH=5.7)の234g、パラフィンワックス(融点52℃)の862g、および脱イオン水の59Lを仕込んだ。オートクレーブを窒素置換した後減圧にして、テトラフルオロエチレン(TFE)で加圧し、撹拌しながら70℃に昇温した。次いでTFEで1.70MPaまで昇圧し、ジコハク酸ペルオキシド(濃度80質量%、残りは水分)の5.0gを約70℃の温水1Lに溶解して注入した。オートクレーブ内圧を1.70MPaに保つようにTFEを添加しながら重合を進行させた。重合途中で、前述のCFCFOCFCFOCFCOO(NH水溶液を合計415g添加した。また亜硫酸アンモニウムを水に溶解して重合途中で亜硫酸アンモニウムとして合計3.85g添加した。温度は途中65℃まで下げ、重合後半は90℃まで昇温した。TFEの添加量が22.9kgになったところで反応を終了させ、オートクレーブ中のTFEを大気放出した。重合時間は196分であった。得られたPTFEの水性乳化液を冷却し、上澄みのパラフィンワックスを除去した。水性乳化液の固形分濃度は26.2質量%であった。また、PTFE微粒子の平均一次粒径は0.280μmであった。反応器中の凝固物は痕跡程度であった。
この水性乳化液を純水で固形分濃度が10質量%になるよう希釈し、水性乳化液を20℃に調整した後、撹拌してPTFE微粒子を凝集させた。得られたPTFEパウダーをオーブン中、180℃で6時間乾燥した。得られたパウダーの黄変度(Yellow Index)を、色差計を用いて測定したところ、YI値=−6であり、着色の無い白色であることを確認した。また、標準比重(SSG)は2.150であり、平均粒子径は550μmであった。
なお、このPTFEパウダーの数平均分子量は、Journal of Applied Polymer Science,17,3253(1973)に記載された諏訪らの方法により結晶化熱を用いて求めたところ、約2000万であった。得られたPTFEパウダーはそのままで従来のPTFEと同様にPTFE加工品の製造に使用することが出来る。また、得られたPTFEパウダー1kgに、50キログレイのγ線を照射して、数平均分子量2.5万の低分子量PTFE粉末を得た。得られた低分子量PTFE粉末は、プラスチックやオイルや塗料への添加剤に適する。
[実施例4](CFCFOCFCFOCFCOOHの精製例)
(工程4−1):CFCFOCFCFOCFCOO(NH水溶液に含まれる未凝集テトラフルオロエチレン/プロピレン共重合体粒子の除去工程
乳化剤としてCFCFOCFCFOCFCOO(NHを用いてテトラフルオロエチレン/プロピレン共重合体を製造して得たテトラフルオロエチレン/プロピレン共重合体の水性乳化液からテトラフルオロエチレン/プロピレン共重合体を凝集し分離した後の廃液には、未凝集テトラフルオロエチレン/プロピレン共重合体粒子(以下、共重合体SSという。)が60ppm含有されていた。また、該廃液中のCFCFOCFCFOCFCOO(NH濃度は868ppmであり、pHは8.6であった。フルゾーン翼をセットした2Lのガラス製ビーカーに該廃液の1Lを入れ、撹拌しながら10質量%の塩酸水溶液を添加し、pHを2に調整した。pH調整後、フルゾーン翼で撹拌下に塩化アルミニウム六水和物の0.1gを添加した。塩化アルミニウム六水和物の添加量は、全廃液量に対して100ppmに相当した。塩化アルミニウム六水和物の添加直後から共重合体SSの凝集が始まり、白色のゲル状沈殿物が生成した。そのまま10分間撹拌した後、0.1N水酸化ナトリウム水溶液を添加して、該水溶液のpHを10.0に調整して、含まれるCFCFOCFCFOCFCOO(NHをCFCFOCFCFOCFCOONaに変換した。凝集物はビーカー底部に沈降し、上澄み液は無色透明となった。
上澄み液を、平均口径10μmのろ紙を使用してろ過した後、ろ液中の共重合体SSを測定したところ、5ppmであった。また、該ろ液中のCFCFOCFCFOCFCOONa濃度は850ppmであった。
(工程4−2):イオン交換樹脂への乳化剤CFCFOCFCFOCFCOONaの吸脱着工程
(工程4−1)で得られたろ液の1Lを弱塩基性イオン交換樹脂(三菱化学社製WA30、以下、IERWA30という。)の10mLを充填した容積100mLの充填塔にSV(space velocity)=5/hrの空間速度で通液させ吸着操作を実施した。該ろ液の温度は、25℃であった。該ろ液の1Lを通液させるために20時間を要した。この間、充填塔は閉塞しなかった。通液後の水溶液中のCFCFOCFCFOCFCOONa濃度は5ppmであった。ついで、該充填塔に0.1Mの水酸化ナトリウム水溶液を、23℃で、20mL/時の流速で1時間通液させ、吸着された乳化剤の脱着操作を実施した。乳化剤は、吸着時には、CFCFOCFCFOCFCOOのイオンとして、イオン交換樹脂中の塩基に結合するものと推定される。得られた脱着液のpHは10で、20mL中のCFCFOCFCFOCFCOONaの濃度は4.1質量%であった。CFCFOCFCFOCFCOONaの回収率は、94.5%であった。
(工程4−3):CFCFOCFCFOCFCOOHへの変換工程
(工程1−3)に記載の方法に従い、(工程4−2)で得られた脱着液から、99%の収率で、CFCFOCFCFOCFCOOH濃縮液が得られた。
(工程4−4):CFCFOCFCFOCFCOOHの蒸留精製工程
(工程1−4)に記載の方法に従い、(工程4−3)で得られた濃縮液から、95%の収率で、無色透明のCFCFOCFCFOCFCOOH精製品(純度99.7%)が得られた。
[実施例5](CFCFOCFCFOCFCOOHの精製例)
(工程5−1):PTFE水性分散液の作製
邪魔板、撹拌機を備えた、100Lのステンレス製オートクレーブに、CFCFOCFCFOCFCOO(NH36g、パラフィンワックス(融点55℃)555g、および脱イオン水61.3リットルを仕込んだ。オートクレーブ内部を窒素置換後、減圧にした後TFEモノマーを導入し、撹拌しながら62℃まで昇温した。さらに内圧が1.765MPaになるまでTFEモノマーを圧入し、ジコハク酸パーオキシド(濃度80質量%、残りは水分)26.3gを約70℃の温水1リットルに溶解して注入した。約3分後にオートクレーブ内圧が1.716MPaまで降下したため、内圧を1.765MPaに保つようにTFEモノマーを圧入し重合を進行させた。重合途中にCFCFOCFCFOCFCOO(NHを温水に溶解してCFCFOCFCFOCFCOO(NHとして合計53gを2回に分けて注入した。オートクレーブ温度を徐々に72℃まで上げ、TFEモノマーの圧入量が22kgになったところで反応を終了させ、オートクレーブ中のTFEを大気放出した。重合時間は105分間であった。冷却後、上部に固化したパラフィンワックスを除去し、PTFE水性乳化液が得られた。PTFE水性乳化液中のPTFE濃度は約25.0質量%であり、CFCFOCFCFOCFCOO(NH濃度はPTFE質量に対して0.40質量%であり、PTFE微粒子の平均粒子径は0.26μmであり、PTFEの平均分子量は76万であり、PTFEの標準比重は2.21であった。
このPTFE水性乳化液10kgを用い、PTFE質量に対して3.0質量%の非イオン系界面活性剤(日本乳化剤社製、商品名「Newcol(登録商標)1308FA」、分子式はC1327-(OC-OCH(CH)CH-OH、分子量は610)およびイオン交換水(255g)を添加し、PTFE濃度が24.2質量%であるPTFE低濃度水性分散液を製造した。
(工程5−2):イオン交換樹脂への乳化剤CFCFOCFCFOCFCOONH の吸脱着工程
弱塩基型陰イオン交換樹脂(ランクセス社製Lewatit(登録商標)、商品名:MP62WS)を充填した長さ80cm、内径0.9cmのカラム(内容積51cc)を2本直列に接続した連結カラムを準備し、チューブ式ポンプにより非イオン系界面活性剤(Newcol(登録商標)1308FA)の1.5質量%水溶液を毎時50ccで100mL通液した後、(工程5−1)で得られたPTFE低濃度水性分散液を毎時120ccで約85時間かけて通液した。PTFE低濃度水性分散液中のCFCFOCFCFOCFCOO(NH濃度は、PTFE質量に対して0.004質量%に低減されていた。
通液前のPTFE低濃度水性分散液には計算により10gのCFCFOCFCFOCFCOO(NHが含有され、通液後のPTFE低濃度水性分散液には計算により約0.1gのCFCFOCFCFOCFCOO(NHが含有されているため、陰イオン交換樹脂には、9.9gの乳化剤が吸着されたことになる。乳化剤は、吸着時には、CFCFOCFCFOCFCOOのイオンとして、イオン交換樹脂中の塩基に結合するものと推定される。
得られたPTFE低濃度水性分散液に、非フッ素系陰イオン界面活性剤(ラウリル硫酸アンモ二ウム、商品名「花王製エマールAD25R」、有効成分25質量%)をPTFE質量に対して0.2質量%添加し、電気泳動法により、200V/mの電圧を印加して濃縮を行ない、PTFE濃度が約66.2質量%であり、界面活性剤濃度がPTFE質量に対して2.3質量%であるPTFE高濃度水性分散液を得た。
このPTFE高濃度水性分散液に、Newcol(登録商標)1308FAをPTFE質量に対して2.5質量%、PTFE質量に対して0.1質量%のポリエチレンオキシド(f)(分子量50万、和光純薬社製)、PTFE質量に対して0.05質量%の割合の28質量%アンモニア水(2.5g)、およびイオン交換水(272g)を加え、PTFE濃度が約60.8質量%、界面活性剤濃度がPTFE質量に対して4.9質量%であり、CFCFOCFCFOCFCOO(NH濃度がPTFE質量に対して0.004質量%であり、pHが9.7であり、粘度が22mPa・sであるPTFE水性分散液を得た。乳化剤は、吸着時には、CFCFOCFCFOCFCOOのイオンとして、イオン交換樹脂中の塩基に結合したものと推定される。
次に、カラムから陰イオン交換樹脂を取り出し、乳化剤の脱着操作を行なった。
陰イオン交換樹脂に、濃度2.0質量%の水酸化ナトリウム水溶液100gを加え、温度60℃に加熱し、4時間ゆるやかに攪拌した後陰イオン交換樹脂を濾別し、CFCFOCFCFOCFCOONaを含有する水酸化ナトリウム水溶液108gを得た。この水溶液中のCFCFOCFCFOCFCOONa濃度は7.8質量%であり、乳化剤の85%が脱着したことになる。
(工程5−3):CFCFOCFCFOCFCOOHへの変換工程
(工程1−3)に記載の方法に従い、(工程5−2)で得られた脱着液から、99%の収率で、CFCFOCFCFOCFCOOH濃縮液が得られた。
(工程5−4):CFCFOCFCFOCFCOOHの蒸留精製工程
(工程1−4)に記載の方法に従い、(工程5−3)で得られた濃縮液から、98%の収率で、無色透明のCFCFOCFCFOCFCOOH精製品(純度99.9%)が得られた。
各評価項目の測定方法を以下に示す。
(A)PTFEの平均粒子径:レーザー散乱法粒子径分布分析計(堀場製作所社製、商品名「LA−920」を用いて測定した。
(B)PTFEの標準比重(SSG):ASTM D1457−91a、およびASTMD4895−91aに準拠して測定した。
(C)PTFEの平均分子量:諏訪(J.Appl.Polym.Sci,17,3253(1973)記載)の方法に従い、乾燥させたPTFEを示差熱分析し、潜熱量から求めた。
(D)PTFE濃度および界面活性剤濃度:各分散液サンプル約10gを質量既知のアルミ皿に入れ、120℃1時間乾燥後の質量、および380℃35分間加熱後の界面活性剤分解後の質量を求め、PTFE濃度、およびPTFE質量に対する界面活性剤濃度を算出した。なお本発明でいう界面活性剤濃度は、非イオン系界面活性剤、含フッ素乳化剤およびその他の熱分解成分を含む数値である。
(E)pH:ガラス電極法によった。
(F)粘度:ブルックフィールド型粘度計でNo.1スピンドルを用い、60回転で測定した。
本発明においては、含フッ素モノマーの乳化重合用の乳化剤として添加されたエーテル性酸素原子を有する含フッ素カルボン酸を、含フッ素ポリマーを含む水性乳化液から、有機不純物の含有量の少ないものとして回収することができ、かつ重合安定性に優れた乳化剤として再使用することができる。

なお、2008年6月24日に出願された日本特許出願2008−164312号の明細書、特許請求の範囲、及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

Claims (8)

  1. 下記式(1)で表される含フッ素化合物及び下記式(2)で表される含フッ素化合物からなる群から選ばれる1種以上を含む液体を、加熱温度を150℃以下に保持して蒸留することを特徴とする含フッ素化合物の精製方法。
    ORCOOH (1)
    ORCOOR (2)
    ここで、Rは直鎖状または分岐状で、主鎖にエーテル性酸素原子を含んでいてもよい1価含フッ素有機基を表し、Rは直鎖状または分岐状の2価有機基を表し、Rは直鎖状または分岐状の1価有機基、を表す。
  2. 前記液体が、含フッ素ポリマーの水性乳化液から該含フッ素ポリマーを凝集し分離した後の廃液、分離された該含フッ素ポリマーの乾燥工程および/または熱処理工程の排ガスを洗浄した水性液体、または、前記廃液または含フッ素ポリマーの水性乳化液から得られた水性分散液と接触させた陰イオン交換樹脂をアルカリ水溶液で洗浄して得た液体、のいずれかから得られる液体である請求項1に記載の含フッ素化合物の精製方法。
  3. 前記式(1)で表される含フッ素化合物が、下記式(3)で表される含フッ素化合物に酸を加えて得られる含フッ素化合物である請求項1または2に記載の含フッ素化合物の精製方法。
    [RORCOO]m+ (3)
    ここで、Rは直鎖状または分岐状で、主鎖にエーテル性酸素原子を含んでいてもよい1価含フッ素有機基を表し、Rは直鎖状または分岐状の2価有機基を表し、Xはm価の金属イオン、アンモニウムイオン、またはアルキル置換アンモニウムイオンを表し、mは1〜3の整数、を表す。
  4. 前記式(2)で表される含フッ素化合物が、前記式(1)で表される含フッ素化合物とROH(ここで、Rは直鎖状または分岐状の1価有機基を表す。)で表されるアルコールとのエステル化反応により得られる含フッ素化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の含フッ素化合物の精製方法。
  5. 前記含フッ素ポリマーが、テトラフルオロエチレンの、単独重合体または共重合体である請求項1〜4のいずれかに記載の含フッ素化合物の精製方法。
  6. 前記加熱温度が、130℃以下である請求項1〜5のいずれかに記載の含フッ素化合物の精製方法。
  7. 前記式(1)で表される含フッ素化合物が、下記式(4)で表される含フッ素化合物である請求項1〜6のいずれかに記載の含フッ素化合物の精製方法。
    F2(O(CFOCFCOOH (4)
    ここで、RF2は直鎖状または分岐状の炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表し、pは1〜5の整数であり、nは0〜5の整数、である。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の含フッ素化合物の精製方法で精製された前記式(1)で表される含フッ素化合物及び/または前記式(2)で表される含フッ素化合物と、Yで表されるイオンを生じる化合物とを反応させて得た下記式(5)で表される含フッ素化合物を、乳化剤として用いることを特徴とする含フッ素モノマーの乳化重合方法。
    ORCOO (5)
    ここで、Rは直鎖状または分岐状で、主鎖にエーテル性酸素原子を含んでいてもよい1価含フッ素有機基を表し、Rは直鎖状または分岐状の2価有機基を表し、Yは、Li、Na、K、またはNH を表す。
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