JPWO2009153953A1 - 2枚組撮像光学系およびそれを備えた撮像装置 - Google Patents

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Abstract

本発明によれば、150°以上の超広角においても色収差が補正された小型の2枚組撮像光学系を提供することができる。本発明の2枚組撮像光学系は、凹レンズと、回折格子が設けられた凸レンズとを備え、下記条件式(1)4.5 < P1=(1 − f/fa)・νd< 9.0 (1)を満たす。ここで、fは2枚組撮像光学系の有効焦点距離であり、faは回折格子を除いたときの2枚組撮像光学系の有効焦点距離であり、νdは凸レンズの材料のd線でのアッベ数である。これにより、高画角から入射する光線に対しても色収差を良好に補正することができる。

Description

本発明は、撮像光学系およびそれを備えた撮像装置に関し、特に、小型で且つ高画角においても色収差が良好に補正された超広角レンズに関する。
車載用途や監視用途として、小型で広角の撮像光学系が要望されている。しかしながら、非球面レンズのみを有する光学系ではレンズ枚数が5枚以上と多くなるため、光学長が長くなるという問題や材料コストがかかるという問題があった。レンズ枚数を削減する方法として、回折格子を用いたレンズ構成が提案されている(特許文献1、2および3参照)。回折格子は逆分散性および異常分散性を有し、大きな色収差補正能力を備えている。
特許文献1では、回折格子がもつ色収差補正能力を利用した3枚構成のレンズが提案されている。特許文献2では、さらに枚数が削減された2枚構成の広角撮像レンズが提案されている。特許文献3では、光学系の焦点距離と回折格子の焦点距離の比を調整し、色収差を補正したレンズが提案されている。
特開平10−111449号公報 特開2005−128273号公報 特開2000−28913号公報
しかし、特許文献1では枚数を削減しているものの依然3枚以上のレンズ構成であるため、材料や組立てコストが高くなる。また、光学長が長くなるという問題がある。
特許文献2では、2枚構成ではあるが、画角が140°までのレンズしか開示されておらず、さらに広角のレンズは示唆されていない。本願発明者らの検討によれば、特許文献2に開示されたレンズを使用した場合、140°以上の高画角から入射する光線は大きな色収差を発生する。したがって、特許文献2に開示された2枚のレンズ構成では、例えば150°以上の超広角の撮像を実現することができない。
特許文献3では、光学系の焦点距離と回折格子の焦点距離の比を調整し、色収差補正を試みているが、画角70°以下の低画角のレンズ構成が対象であり、超広角の撮像には適用できない。また、3枚以上のレンズ構成であるため、材料や組立てコストが高くなるとともに、光学長が長くなるという問題がある。
本発明は、レンズの枚数が2枚の光学系でありながら色収差が良好に補正された超広角の撮像光学系およびそれを備えた撮像装置を提供する。
本発明の2枚組撮像光学系は、凹レンズと、回折格子が設けられた凸レンズとを備えた2枚組撮像光学系であって、下記の式(1)
4.5 < P1=(1 − f/fa)・νd < 9.0 (1)
を満たすことを特徴とし、ここで、fは前記2枚組撮像光学系の有効焦点距離であり、faは前記回折格子を除いたときの前記2枚組撮像光学系の有効焦点距離であり、νdは前記凸レンズの材料のd線でのアッベ数である。
ある実施形態によれば、前記2枚組撮像光学系が下記の式(2)
5.0 < P1=(1 − f/fa)・νd < 7.3 (2)
を満たす。
ある実施形態によれば、前記2枚組撮像光学系が下記の式(3)
5.2 < P1=(1 − f/fa)・νd < 6.8 (3)
を満たす。
ある実施形態によれば、前記凹レンズはメニスカス凹レンズである。
ある実施形態によれば、前記メニスカス凹レンズが下記の式(4)
2.8 < P2=(Cl1/Cl2)・nd1 < 4.5 (4)
を満たし、ここで、Cl1は前記メニスカス凹レンズの撮像対象側の面の有効半径であり、Cl2は前記メニスカス凹レンズの像側の面の有効半径であり、nd1は前記メニスカス凹レンズのd線での屈折率である。
ある実施形態によれば、前記メニスカス凹レンズが下記の式(5)
d1 > 1.5 (5)
を満たす。
ある実施形態によれば、前記2枚組撮像光学系が下記の式(6)
P3=h/[(1 − |Ds|/100)・f] > 3.4 (6)
を満たし、ここで、hは像高であり、Dsは前記2枚組撮像光学系のディストーション値である。
ある実施形態によれば、前記凹レンズはガラス材料から形成されている。
ある実施形態によれば、前記凹レンズは両面ともに球面形状を有する。
ある実施形態によれば、前記回折格子は、前記凸レンズの両面のうちの一方の面に設けられており、他方の面には設けられていない。
本発明の撮像装置は、前記2枚組撮像光学系と、前記2枚組撮像光学系の画角と入射光量を規定する絞りと、前記2枚組撮像光学系によって形成された像を受光する撮像素子とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、150°以上の超広角をレンズ枚数が2枚の光学系で実現することができる。レンズ枚数が2枚であるため、小型化が実現できるとともに、コストも低減させることができる。本発明によれば、小型化と広い視野を実現した撮像装置を提供することができる。本発明は、周辺監視などに用いられる車載用や防犯用の監視カメラなど幅広い用途に適用できる。
本発明の実施形態による撮像装置を示す断面図である。 (a)は回折格子が形成された凸レンズの平面図であり、(b)は回折格子が形成された凸レンズの断面図であり、(c)は回折格子の表面が保護膜で覆われた凸レンズの断面図である。 (a)は、回折格子を有さない凸レンズが光を屈折させる様子を示す図であり、(b)は、回折格子が光を回折させる様子を示す図であり、(c)は、回折格子が形成された凸レンズを透過した光が結像する様子を示す図である。 本発明の実施例1の撮像装置を示す断面図である。 (a)は本発明の実施例1の撮像装置の球面収差図であり、(b)は本発明の実施例1の撮像装置の非点収差図である。 本発明の実施例1の撮像装置のスポット径のRMS値とP1値との関係を示すグラフである。 本発明の実施例2の撮像装置を示す断面図である。 (a)は本発明の実施例2の撮像装置の球面収差図であり、(b)は本発明の実施例2の撮像装置の非点収差図である。 本発明の実施例3の撮像装置を示す断面図である。 (a)は本発明の実施例3の撮像装置の球面収差図であり、(b)は本発明の実施例3の撮像装置の非点収差図である。 本発明の実施例4の撮像装置を示す断面図である。 (a)は本発明の実施例4の撮像装置の球面収差図であり、(b)は本発明の実施例4の撮像装置の非点収差図である。 本発明の実施例5の撮像装置を示す断面図である。 (a)は本発明の実施例5の撮像装置の球面収差図であり、(b)は本発明の実施例5の撮像装置の非点収差図である。 本発明の実施例6の撮像装置を示す断面図である。 (a)は本発明の実施例6の撮像装置の球面収差図であり、(b)は本発明の実施例6の撮像装置の非点収差図である。 本発明の実施例7の撮像装置を示す断面図である。 (a)は本発明の実施例7の撮像装置の球面収差図であり、(b)は本発明の実施例7の撮像装置の非点収差図である。 本発明の実施例8の撮像装置を示す断面図である。 (a)は本発明の実施例8の撮像装置の球面収差図であり、(b)は本発明の実施例8の撮像装置の非点収差図である。 本発明の実施例9の撮像装置を示す断面図である。 本発明の実施例9の撮像装置の回折効率の波長依存性を示すグラフである。 本発明の実施例1から8の撮像装置のスポット径のRMS値とP1値との関係を示すグラフである。 比較例1の撮像装置を示す断面図である。 (a)は比較例1の撮像装置の球面収差図であり、(b)は比較例1の撮像装置の非点収差図である。 比較例2の撮像装置を示す断面図である。 (a)は比較例2の撮像装置の球面収差図であり、(b)は比較例2の撮像装置の非点収差図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態による撮像装置100を示す断面図である。撮像装置100は、2枚組撮像光学系10と、カバーガラス13と、撮像素子14と、絞り15とを備える。2枚組撮像光学系10は、凹レンズ11および凸レンズ12の2枚のレンズを備える。撮像対象である物体側(図1では左側)に凹レンズ11が配置され、撮像素子14側に凸レンズ12が配置されている。カバーガラス13は撮像素子14表面を保護している。絞り15は、2枚組撮像光学系10の画角と入射光量を規定する。
撮像対象から撮像装置100へ入射した光16は、凹レンズ11、凸レンズ12およびカバーガラス13を透過して、撮像素子14上で像として観測される。
レンズで発生する収差を低減するためには、レンズ面に入射する光線の入射角および屈折角を小さくすることが望ましい。絞り15を凸レンズ12の像面側に設置すれば、高画角から入射する光線に対しても、レンズ面上(特にメニスカス凹レンズ上)での光線の入射角および屈折角を小さくできる。絞り15は、凸レンズ12の物体側か像面側の近傍に設置するのが望ましい。
凸レンズ12の少なくとも一方の面には、正のパワーを有する回折格子が付加されており、これにより、屈折系で発生するレンズの色収差を補正することができる。
図2(a)は回折格子17が形成された凸レンズ12の平面図であり、図2(b)は回折格子17が形成された凸レンズ12の断面図である。図2(a)に示すように、凸レンズ12には同心円状に回折格子17が形成されている。図2(b)に示す例では、回折格子17は凸レンズ12の片方の面のみに形成されているが、両方の面に形成されていてもよい。なお、図2(c)に示すように、回折格子17の表面は保護膜18で覆われていてもよい。
図3は、回折格子17が色収差を補正するしくみを説明する図である。図3(a)は、回折格子17を有さない凸レンズ12(屈折系のみ)が光を屈折させる様子を示している。凸レンズ12の屈折作用により、凸レンズ12を透過した光のうちの短波長の光はレンズ手前側で結像し、長波長の光はレンズのより遠方で結像する。すなわち、赤色光R、緑色光Gおよび青色光Bのうちの青色光Bは凸レンズ12に近い側で結像し、赤色光Rは凸レンズ12から遠い側で結像する。このように、光の波長域によって結像する位置が異なることにより色収差が生じる。
図3(b)は、回折格子17が光を回折させる様子を示している。回折格子17の回折作用により、回折格子17を透過した光のうちの長波長の光はレンズ手前側で結像し、短波長の光はレンズのより遠方で結像する。すなわち、赤色光R、緑色光Gおよび青色光Bのうちの赤色光Rは回折格子17に近い側で結像し、青色光Bは回折格子17から遠い側で結像する。
そこで、青色光Bが近い側で結像する凸レンズ12に、青色光Bが遠い側で結像する回折格子17を付与することにより、青色光Bが結像する位置を補正することができる。また、赤色光Rが遠い側で結像する凸レンズ12に、赤色光Rが近い側で結像する回折格子17を付与することにより、赤色光Rが結像する位置を補正することができる。図3(c)は、回折格子17が形成された凸レンズ12を透過した光が結像する様子を示している。回折格子17が色収差補正を行うことにより、赤色光R、緑色光Gおよび青色光Bを同じ位置で結像させることができる。
回折格子17を含む2枚組撮像光学系20全体のレンズパワーと、回折格子17を除いた屈折系のみでのレンズパワーとの割合を調整することにより、色収差補正を制御することができる。通常、レンズのパワーは焦点距離の逆数で求められる。また、2枚組レンズでは高画角になるほど色収差が大きく発生しやすい。150°以上の超高画角から入射する光線に対してもレンズの収差を良好に補正するためには、レンズ材料の屈折率の波長分散も考慮する必要がある。屈折率の波長分散はアッベ数で定義されており、アッベ数が小さいほど屈折率の波長分散が大きい。したがって、アッベ数が小さいほど全体のレンズパワーに占める屈折系のパワーの割合を小さくし、回折格子のパワーの割合を高める必要がある。
本願発明者らは、アッベ数と焦点距離との関係を研究し、それらの関係が下記の式(1)を満たすときに、適切に収差補正を行えることを見出した。
4.5 < P1=(1 − f/fa)・νd < 9.0 (1)
ここで、fは2枚組撮像光学系20の有効焦点距離、faは回折格子17を除いた2枚組撮像光学系20の屈折系のみの有効焦点距離、νdは凸レンズ材料のd線でのアッベ数である。有効焦点距離fおよびfaは波長550nmのときのものである。2枚組撮像光学系20は式(1)を満足する。
なお、次の式(2)を満足することがより好ましい。
5.0 < P1=(1 − f/fa)・νd < 7.3 (2)
さらに、次の式(3)を満足することがより好ましい。
5.2 < P1=(1 − f/fa)・νd < 6.8 (3)
ここでは、アッベ数として、凸レンズ12のアッベ数のみを考慮している。絞り15を凸レンズ12近傍(例えば、物体側の面上または像側の面上)に設置した場合、物体側から凹レンズ11へ入射した光のうちの撮像素子14まで導かれる光の光束幅は小さくなる。したがって、凹レンズ11への入射光のうちの考慮すべき光に関しては、各画角における上限光線と下限光線との屈折角差は小さい。一方、光学系後方(像面側)に設置された凸レンズ12へ入射する光線の光束幅はレンズ有効径いっぱいに広がり、上限光線と下限光線とで屈折角に差が生じる。この屈折角差が色収差を引き起こすため、凸レンズ12の屈折率の波長分散(=アッベ数)を重視して色収差補正をする必要がある。上記条件式(1)〜(3)の数値範囲を満足することが好ましい理由は後述する。
また、凹レンズ11は、物体(撮像対象)側の面が凸形状である、いわゆるメニスカス凹レンズであることが望ましい。これにより、物体側から凹レンズ11へ高画角で入射する光線の入射角度を小さくすることができ、表面での反射ロスを低減することができる。このとき、メニスカス凹レンズ11が下記条件式(4)を満たすことが望ましい。
2.8 < P2=(Cl1/Cl2)・nd1 < 4.5 (4)
ここで、Cl1はメニスカス凹レンズ11の物体側の面の有効半径、Cl2はメニスカス凹レンズ11の像側の面の有効半径、nd1はメニスカス凹レンズ11のd線での屈折率である。式(4)の下限値を超えると145°以上の光線をレンズに通すためには光学長が長くなってしまい、複数枚レンズの光学長と変わらなくなってしまう。また、式(4)の上限値を超えるとレンズ面に入射する光線の入射角や屈折角が大きくなり各収差の低減が難しくなる。
また、メニスカス凹レンズ11が下記条件式(5)を満たすことがより望ましい。
d1 > 1.5 (5)
物体側に設置する凹レンズ11の役目は、高画角から急な角度で入射する光線の傾斜角度を、高い屈折力で光軸に対しゆるやかにすることであり、これによりレンズ系全体として収差を低減することができる。このため、凹レンズ11の屈折率は高いことが望ましい。nd1が式(5)の下限値1.5以下になると、高画角での屈折力を補うために、凹レンズ11の物体側の面を凹面にする必要が生じる。
また、2枚組撮像光学系10が下記条件式(6)を満たすことが望ましい。
P3=h/[(1 − |Ds|/100)・f] > 3.4 (6)
ここで、hは像高、Dsは2枚組撮像光学系10のディストーション値である。この条件を満足するように設計することで150°以上の超広角化レンズを実現することができる。
また、凹レンズ11は、物体側に設置することから、ガラス材料で形成することが望ましい。ガラスは樹脂材料などに比べ硬度が高いため、外界からの接触等の衝撃に強いからである。
また、凹レンズ11をガラス材料で形成する場合、両面とも球面形状とすることが望ましい。球面形状であれば研磨加工で作製することができ、プレス成形や切削加工に比べてコストが安くなるからである。
また、凹レンズ11がメニスカス凹レンズであるとき、メニスカス凹レンズ11の凹面の有効半径は、凹面の深さよりも大きくすることが望ましい。メニスカス凹レンズ11を薄型化することにより、材料コストを低減すると共にレンズ加工を容易にすることができる。また、メニスカス凹レンズ11のそりを低減するとともに、強度を高めることができる。また、メニスカス凹レンズ11の厚さを薄くすることで、2枚組撮像光学系10をより薄型化することができる。
また、凸レンズ12の両面に回折格子17を付加してもよいが、どちらか一方の面のみに設置するのが望ましい。回折格子17はある特定波長の光に対しては回折効率を100%にすることができるが、それ以外の波長域の光に対しては効率が低下する。したがって、撮像用途で用いる場合、回折効率の低下を抑制するために、片面のみに回折格子17を付加することが望ましい。片面のみの回折格子付加は、両面付加に比べて製造のし易さも向上するためコスト的なメリットも高い。
また、白色領域における回折効率を向上させる目的として、ある特定条件の屈折率を持つ膜材料を回折格子17上に付加してもよい。
また、レンズの非球面形状は下記の非球面式(7)で表される。
Figure 2009153953
式(7)はx−y平面に垂直なz軸の周りの回転で形成される非球面を表す式である。cは中心曲率である。A、B、C、D、Eは2次曲面からのずれを表す係数である。係数はEまでとれば十分であるが、それ以上の次数で構成してもよいし、逆に、それ以下でもよく、任意である。また、Kの値によって、以下のような非球面となる。
K>0の場合、短径を光軸とする楕円面
K=0の場合、球面
−1<K<0の場合、長径を光軸とする楕円面
K=−1の場合、放物面
K<−1の場合、双曲面
また、レンズの回折面は、位相関数法を用いて設計する。位相関数法はレンズ面に回折格子があると仮定し、その面で次式(8)で表される波面の位相変換を行う。
Figure 2009153953
ここで、φは位相関数、Ψは光路差関数、hは径方向の距離である。a2、a4、a6、a8、a10は係数である。係数はa10までとれば十分であるが、それ以上の次数で構成してもよいし、逆に、それ以下でもよく、任意である。回折次数は1次である。
また、実際の製造においては、位相関数をもとに材料の屈折率差と設計波長から回折格子のサグ量を計算して、基材表面上に回折格子を形成する。
以下、本発明の具体的な実施例を説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されない。
(実施例1)
図4は、実施例1の撮像装置101を示す断面図である。撮像装置101は、2枚組撮像光学系20と、カバーガラス23と、撮像素子24と、絞り25とを備える。2枚組撮像光学系20は、凹レンズ21および凸レンズ22の2枚のレンズを備える。
凸レンズ22の像面側に絞り25を配置し、凸レンズ22の像側の非球面の包絡面上に回折格子17(図2)が形成されている。凹レンズ21はガラス材料から形成されており、耐衝撃性を高めている。
以下に、実施例1の撮像装置101の数値データを示す。なお、以下のデータにおいて、ωは全画角、Fnoは口径比、Lは光学長(凹レンズの物体側の面頂から像面までの距離)、Rは面の曲率半径[mm]、tは面間隔(光軸上の面中心間距離)[mm]、ndは基材のd線での屈折率、νdは基材のd線でのアッベ数を表す。面番号1、2、3、4、5、6、7はそれぞれ、凹レンズの物体側の面、凹レンズの像側の面、凸レンズの物体側の面、凸レンズの像側の面、絞り、カバーガラスの物体側の面、カバーガラスの像側の面である。また、mは回折次数を示す。
ω=150°
Fno=2.8
L=8.6mm
f=1.8456mm
a=2.3555mm
Cl1=3.090mm
Cl2=1.389mm
h=2.25mm
Ds=−67.3%
面番号 R t nd νd
1 16.09058 1.052185 1.689175 49.9
2 1.439873 1.841324
3 2.559651 2.230632 1.585000 27.9
4 -2.36292 0.000000
5(絞り) 無限 1.262623
6 無限 0.550930 BK7
7 無限 1.638462
(第3面の非球面係数)
K=0
A=−0.0189257
B=0.00394453
C=−0.00835334
D=0.00196203
(第4面の非球面係数)
K=0
A=0.0382578
B=−0.167936
C=0.251343
D=−0.0818271
(第4面の位相係数)
m=1
設計波長λ=538nm
2=−0.0321500
4=−0.00920476
6=0.0948648
8=−0.127040
10=0.00954808
このような数値データから、
P1=6.04
P2=3.76
P3=3.73
となり、条件式(1)を満たしていることがわかる。
図5(a)は、実施例1の色収差を示す球面収差図であり、図5(b)は、実施例1の像面湾曲量を示す非点収差図である。球面収差図において、横軸は光軸方向の距離、縦軸は光線が入射瞳に入る高さであり、光線が光軸と交わる位置をプロットした図になっている。ここで、CはC線(656.27nm)、dはd線(587.56nm)、gはg線(435.83nm)であり、これらの結像位置の差が軸上色収差量である。非点収差図において、横軸は光軸方向の距離、縦軸は像の高さである。したがって、縦軸からの距離が各像高における像面湾曲収差量である。ここで、Tはタンジェンシャル、Sはサジタルを表し、それぞれ、点線、実線で示す。
図5(b)の非点収差図から、高画角においても色収差が補正されていることが確認できる。
図6は、実施例1におけるアッベ数とスポット径との関係を示す図である。図6は、2枚組撮像光学系20全体のパワーと回折格子17を除いた2枚組撮像光学系20のパワーとを一定に保ったまま、凸レンズ22のアッベ数を変化させた際のスポット径(直径)のRMS値(平均自乗平方根)の変化を表す。スポット径の評価画角として7割像高を代表値とするのがよい。7割像高までの性能がよければ画像全体としても性能が概ね満足されるためである。入射瞳を通過する光線本数を80本、波長を640:550:440=1:2:1として評価した。また、縦軸はスポット径のRMS値を最小値で規格化したものである。横軸は、条件式(1)のP1値である。RMS値は、入射瞳を通過する光線の1σの値であり、小さいほどレンズ性能がよいことを示し、スポット径のRMS値が撮像素子の画素サイズ(1画素)と一致するように設計するのが理想である。本実施例でも1画素のサイズがスポット径のRMS値の最小値と一致するように撮像素子を選択した。撮像装置の使用目的に応じて選択される画素サイズは異なるが、本発明は画素サイズに関係なく適用することができる。
図6より、P1の値を4.5<P1<9.0とすることにより、RMS値の規格値を2以下とすることができる。RMS値の規格値が2というのは、スポット径が基準値より2倍大きいということである。通常はスポットが1画素以内におさまるように設計するが、これが2画素分以上となると両隣の画素それぞれの中央位置を越えた大きさとなるため、隣の画素への影響が大きくなり好ましくない。したがって、RMS値の規格値は2以下とする必要がある。すなわち、P1が9.0以上となるとRMS値の規格値が大きくなりすぎ、撮像レンズとしての性能が悪化する。これは、凸レンズ22の材料の屈折率の波長分散が小さく、色収差補正が過剰すぎることが原因である。また、P1が4.5以下となってもRMS値の規格値が大きくなりすぎ、撮像レンズとしての性能が悪化する。これは、色収差補正が不足していることが原因である。
なお、P1の値を5.0<P1<7.3とすることにより、RMS値の規格値を約1.5未満とすることができ、色収差をより良好に低減できる。このとき、隣の画素へ影響する色収差は目立たなくなる。さらに、P1の値を5.2<P1<6.8とすることにより、RMS値の規格値を約1.2未満とすることができ、さらに良好に色収差補正ができる。このとき、ベストな状態(RMS値1)に比べ、解像度の低下を5〜15%以内に抑えることができるため、ベストな状態と遜色ない良好なレンズ性能が得られる。
(実施例2)
図7は、実施例2の撮像装置102を示す断面図である。撮像装置102は、2枚組撮像光学系50と、カバーガラス53と、撮像素子54と、絞り55とを備える。2枚組撮像光学系50は、凹レンズ51および凸レンズ52の2枚のレンズを備える。
凸レンズ52の物体側に絞り55を配置し、凸レンズ52の像側の非球面の包絡面上に回折格子17(図2)が形成されている。凹レンズ51と凸レンズ52との間に絞り55を配置することで、撮像素子54に入射する光の入射角を小さくすることができる。凹レンズ51はガラス材料から形成されており、耐衝撃性を高めている。
以下に、実施例2の撮像装置102の数値データを示す。なお、以下のデータにおいて、ωは全画角、Fnoは口径比、Lは光学長(凹レンズの物体側の面頂から像面までの距離)、Rは面の曲率半径[mm]、tは面間隔(光軸上の面中心間距離)[mm]、ndは基材のd線での屈折率、νdは基材のd線でのアッベ数を表す。面番号1、2、3、4、5、6、7はそれぞれ、凹レンズの物体側の面、凹レンズの像側の面、凸レンズの物体側の面、凸レンズの像側の面、絞り、カバーガラスの物体側の面、カバーガラスの像側の面である。また、mは回折次数を示す。
ω=150°
Fno=2.8
L=10.4mm
f=1.9004mm
a=2.4288mm
Cl1=2.692mm
Cl2=1.550mm
h=2.25mm
Ds=−68.3%
面番号 R t nd νd
1 12.35704 0.519999 1.77250 49.62
2 1.686732 3.29229
3(絞り) 無限 0.241345
4 2.655821 2.047438 1.585000 27.9
5 -4.63202 1.010682
6 無限 0.440999 BK7
7 無限 2.845853
(第4面の非球面係数)
K=−0.796834
A=−0.00670146
B=0.0380988
C=−0.0364111
D=0.0132840
E=5.82320e−016
(第5面の非球面係数)
K=3.749992
A=0.0670042
B=−0.0758092
C=0.0621387
D=−0.0152972
E=5.824155e−016
(第5面の位相係数)
m=1
設計波長λ=538nm
2=−0.0256517
4=−0.0252208
6=0.0497239
8=−0.0376587
10=0.00965820
このような数値データから、
P1=6.07
P2=3.08
P3=3.73
となり、条件式(1)を満たしていることがわかる。
図8(a)は、実施例2の色収差を示す球面収差図であり、図8(b)は、実施例2の像面湾曲量を示す非点収差図である。球面収差図において、横軸は光軸方向の距離、縦軸は光線が入射瞳に入る高さであり、光線が光軸と交わる位置をプロットした図になっている。ここで、CはC線(656.27nm)、dはd線(587.56nm)、gはg線(435.83nm)であり、これらの結像位置の差が軸上色収差量である。非点収差図において、横軸は光軸方向の距離、縦軸は像の高さである。したがって、縦軸からの距離が各像高における像面湾曲収差量である。ここで、Tはタンジェンシャル、Sはサジタルを表し、それぞれ、点線、実線で示す。
図8(b)の非点収差図から、高画角においても色収差が補正されていることが確認できる。
また、実施例2においても、凸レンズ52のアッベ数を変化させた際の、即ち定数P1の値を変化させた際のスポット径のRMS値の変化に関しては、実施例1と近似した結果が得られた。
(実施例3)
図9は、実施例3の撮像装置103を示す断面図である。撮像装置103は、2枚組撮像光学系70と、カバーガラス73と、撮像素子74と、絞り75とを備える。2枚組撮像光学系70は、凹レンズ71および凸レンズ72の2枚のレンズを備える。
凸レンズ72の物体側に絞り75を配置している。凹レンズ71と凸レンズ72との間に絞り75を配置することで、撮像素子74に入射する光の入射角を小さくすることができる。凸レンズ72の物体側および像側の両方の非球面の包絡面上に回折格子17(図2)が形成されている。凸レンズ72の両面に回折格子17を形成することで、色収差をより効率よく補正することができる。凹レンズ71はガラス材料から形成されており、耐衝撃性を高めている。
以下に、実施例3の撮像装置103の数値データを示す。なお、以下のデータにおいて、ωは全画角、Fnoは口径比、Lは光学長(凹レンズの物体側の面頂から像面までの距離)、Rは面の曲率半径[mm]、tは面間隔(光軸上の面中心間距離)[mm]、ndは基材のd線での屈折率、νdは基材のd線でのアッベ数を表す。面番号1、2、3、4、5、6、7はそれぞれ、凹レンズの物体側の面、凹レンズの像側の面、凸レンズの物体側の面、凸レンズの像側の面、絞り、カバーガラスの物体側の面、カバーガラスの像側の面である。また、mは回折次数を示す。
ω=150°
Fno=2.8
L=10.4mm
f=1.8136mm
a=2.2451mm
Cl1=3.559mm
Cl2=1.840mm
h=2.25mm
Ds=−66.8%
面番号 R t nd νd
1 4.888790 0.519999 1.77250 49.62
2 1.841767 4.104826
3(絞り) 無限 0.447600
4 4.624231 1.395179 1.585000 27.9
5 -2.826984 1.010682
6 無限 0.440999 BK7
7 無限 2.546085
(第4面の非球面係数)
K=−5.314412
A=−0.00182345
B=−0.0292375
C=0.0218586
D=−0.00746996
E=1.503109e−015
(第5面の非球面係数)
K=1.820401
A=0.0328674
B=−0.0292150
C=0.0188427
D=−0.00369989
E=1.513207e−015
(第4面の位相係数)
m=1
設計波長λ=538nm
2=0.0122460
4=0.0130927
6=−0.0325525
8=0.0188769
10=−0.00433589
(第5面の位相係数)
m=1
設計波長λ=538nm
2=−0.0346966
4=−0.0110588
6=0.0170859
8=−0.00954619
10=0.00205933
このような数値データから、
P1=5.36
P2=3.43
P3=3.73
となり、条件式(1)を満たしていることがわかる。
図10(a)は、実施例3の色収差を示す球面収差図であり、図10(b)は、実施例3の像面湾曲量を示す非点収差図である。球面収差図において、横軸は光軸方向の距離、縦軸は光線が入射瞳に入る高さであり、光線が光軸と交わる位置をプロットした図になっている。ここで、CはC線(656.27nm)、dはd線(587.56nm)、gはg線(435.83nm)であり、これらの結像位置の差が軸上色収差量である。非点収差図において、横軸は光軸方向の距離、縦軸は像の高さである。したがって、縦軸からの距離が各像高における像面湾曲収差量である。ここで、Tはタンジェンシャル、Sはサジタルを表し、それぞれ、点線、実線で示す。
図10(b)の非点収差図から、高画角においても色収差が補正されていることが確認できる。
また、実施例3においても、凸レンズ72のアッベ数を変化させた際の、即ち定数P1の値を変化させた際のスポット径のRMS値の変化に関しては、実施例1と近似した結果が得られた。
(実施例4)
図11は、実施例4の撮像装置104を示す断面図である。撮像装置104は、2枚組撮像光学系90と、カバーガラス93と、撮像素子94と、絞り95とを備える。2枚組撮像光学系90は、凹レンズ91および凸レンズ92の2枚のレンズを備える。
凸レンズ92の物体側に絞り95を配置し、凸レンズ92の像側の非球面の包絡面上に回折格子17(図2)が形成されている。凹レンズ91と凸レンズ92との間に絞り95を配置することで、撮像素子94に入射する光の入射角を小さくすることができる。また、凹レンズ91は非球面レンズであり、これにより収差の発生を低減させることができる。凹レンズ91はガラス材料から形成されており、耐衝撃性を高めている。
以下に、実施例4の撮像装置104の数値データを示す。なお、以下のデータにおいて、ωは全画角、Fnoは口径比、Lは光学長(凹レンズの物体側の面頂から像面までの距離)、Rは面の曲率半径[mm]、tは面間隔(光軸上の面中心間距離)[mm]、ndは基材のd線での屈折率、νdは基材のd線でのアッベ数を表す。面番号1、2、3、4、5、6、7はそれぞれ、凹レンズの物体側の面、凹レンズの像側の面、凸レンズの物体側の面、凸レンズの像側の面、絞り、カバーガラスの物体側の面、カバーガラスの像側の面である。また、mは回折次数を示す。
ω=150°
Fno=2.8
L=10.4mm
f=1.8681mm
a=2.3696mm
Cl1=3.012mm
Cl2=1.702mm
h=2.25mm
Ds=−67.7%
面番号 R t nd νd
1 8.832398 0.519999 1.77250 49.62
2 1.901274 3.656274
3(絞り) 無限 0.370350
4 3.442368 1.689756 1.585000 27.9
5 -3.600489 1.010682
6 無限 0.440999 BK7
7 無限 2.720011
(第1面の非球面係数)
K=1.376692
A=0.0104366
B=−0.00142524
C=7.050269e−005
D=−1.492443e−006
(第2面の非球面係数)
K=0.0945047
A=0.0136754
B=0.00741570
C=−0.00234636
D=0.000634700
(第4面の非球面係数)
K=−0.796834
A=−0.0130940
B=0.0297942
C=−0.0195985
D=0.00501894
(第5面の非球面係数)
K=3.749992
A=0.0648057
B=−0.0739190
C=0.0527920
D=−0.0108746
(第5面の位相係数)
m=1
設計波長λ=538nm
2=−0.0258178
4=−0.0248857
6=0.0466234
8=−0.0308815
10=0.00682324
このような数値データから、
P1=5.90
P2=3.14
P3=3.73
となり、条件式(1)を満たしていることがわかる。
図12(a)は、実施例4の色収差を示す球面収差図であり、図12(b)は、実施例4の像面湾曲量を示す非点収差図である。球面収差図において、横軸は光軸方向の距離、縦軸は光線が入射瞳に入る高さで、光線が光軸と交わる位置をプロットした図になっている。ここで、CはC線(656.27nm)、dはd線(587.56nm)、gはg線(435.83nm)であり、これらの結像位置の差が軸上色収差量である。非点収差図において、横軸は光軸方向の距離、縦軸は像の高さである。したがって、縦軸からの距離が各像高における像面湾曲収差量である。ここで、Tはタンジェンシャル、Sはサジタルを表し、それぞれ、点線、実線で示す。
図12(b)の非点収差図から、高画角においても色収差が補正されていることが確認できる。
また、実施例4においても、凸レンズ92のアッベ数を変化させた際の、即ち定数P1の値を変化させた際のスポット径のRMS値の変化に関しては、実施例1と近似した結果が得られた。
(実施例5)
図13は、実施例5の撮像装置105を示す断面図である。撮像装置105は、2枚組撮像光学系110と、カバーガラス113と、撮像素子114と、絞り115とを備える。2枚組撮像光学系110は、凹レンズ111および凸レンズ112の2枚のレンズを備える。
凸レンズ112の像面側に絞り115を配置し、凸レンズ112の像側の非球面の包絡面上に回折格子17(図2)が形成されている。また、凹レンズ111はガラス材料から形成されており、耐衝撃性を高めている。
以下に、実施例5の撮像装置105の数値データを示す。なお、以下のデータにおいて、ωは全画角、Fnoは口径比、Lは光学長(凹レンズの物体側の面頂から像面までの距離)、Rは面の曲率半径[mm]、tは面間隔(光軸上の面中心間距離)[mm]、ndは基材のd線での屈折率、νdは基材のd線でのアッベ数を表す。面番号1、2、3、4、5、6、7はそれぞれ、凹レンズの物体側の面、凹レンズの像側の面、凸レンズの物体側の面、凸レンズの像側の面、絞り、カバーガラスの物体側の面、カバーガラスの像側の面である。また、mは回折次数を示す。
ω=151°
Fno=2.8
L=8.1mm
f=1.8507mm
a=2.2096mm
Cl1=3.055mm
Cl2=1.435mm
h=2.24mm
Ds=−68.2%
面番号 R t nd νd
1 24.24031 1.052185 1.689175 49.9
2 1.511129 1.841324
3 1.778637 2.230632 1.585000 40.0
4 -3.081994 0.000000
5(絞り) 無限 1.262623
6 無限 0.550930 BK7
7 無限 1.181923
(第3面の非球面係数)
K=0
A=−0.0182365
B=0.00908549
C=−0.0139380
D=0.00389725
(第4面の非球面係数)
K=0
A=0.0693357
B=−0.213917
C=0.0126108
D=0.604399
(第4面の位相係数)
m=1
設計波長λ=538nm
2=−0.0279932
4=−0.0130694
6=0.0691815
8=0.261774
10=−0.768409
このような数値データから、
P1=6.50
P2=3.60
P3=3.81
となり、条件式(1)を満たしていることがわかる。また、凸レンズ112の材料としてアッベ数40の材料を用いたため、アッベ数27.9の材料を用いた実施例1〜4に比べて回折格子17による色補正が少なくて済み、faの値が小さくなっている。回折格子17による色補正が少なくて済むことで、回折格子17の輪帯数を減らすことができ、レンズ加工を容易にすることができる。
図14(a)は、実施例5の色収差を示す球面収差図であり、図14(b)は、実施例5の像面湾曲量を示す非点収差図である。球面収差図において、横軸は光軸方向の距離、縦軸は光線が入射瞳に入る高さであり、光線が光軸と交わる位置をプロットした図になっている。ここで、CはC線(656.27nm)、dはd線(587.56nm)、gはg線(435.83nm)であり、これらの結像位置の差が軸上色収差量である。非点収差図において、横軸は光軸方向の距離、縦軸は像の高さである。したがって、縦軸からの距離が各像高における像面湾曲収差量である。ここで、Tはタンジェンシャル、Sはサジタルを表し、それぞれ、点線、実線で示す。
図14(b)の非点収差図から、高画角においても色収差が補正されていることが確認できる。
また、実施例5においても、凸レンズ112のアッベ数を変化させた際の、即ち定数P1の値を変化させた際のスポット径のRMS値の変化に関しては、実施例1と近似した結果が得られ、凸レンズ112の材料のアッベ数を変更しても、条件式(1)が最適な範囲となる。
(実施例6)
図15は、実施例6の撮像装置106を示す断面図である。撮像装置106は、2枚組撮像光学系130と、カバーガラス133と、撮像素子134と、絞り135とを備える。2枚組撮像光学系130は、凹レンズ131および凸レンズ132の2枚のレンズを備える。
凸レンズ132の像面側に絞り135を配置し、凸レンズ132の像側の非球面の包絡面上に回折格子17(図2)が形成されている。また、凹レンズ131はガラス材料から形成されており、耐衝撃性を高めている。
以下に、実施例6の撮像装置106の数値データを示す。なお、以下のデータにおいて、ωは全画角、Fnoは口径比、Lは光学長(凹レンズの物体側の面頂から像面までの距離)、Rは面の曲率半径[mm]、tは面間隔(光軸上の面中心間距離)[mm]、ndは基材のd線での屈折率、νdは基材のd線でのアッベ数を表す。面番号1、2、3、4、5、6、7はそれぞれ、凹レンズの物体側の面、凹レンズの像側の面、凸レンズの物体側の面、凸レンズの像側の面、絞り、カバーガラスの物体側の面、カバーガラスの像側の面である。また、mは回折次数を示す。
ω=152°
Fno=2.8
L=7.9mm
f=1.8507mm
a=2.1077mm
Cl1=3.076mm
Cl2=1.476mm
h=2.25mm
Ds=−69.1%
面番号 R t nd νd
1 28.92876 1.052185 1.689175 49.9
2 1.569439 1.841324
3 1.602864 2.230632 1.585000 50.0
4 -3.382609 0.000000
5(絞り) 無限 1.262623
6 無限 0.550930 BK7
7 無限 0.959707
(第3面の非球面係数)
K=0
A=−0.0207991
B=0.00797051
C=−0.0143581
D=0.00277102
(第4面の非球面係数)
K=0
A=0.101217
B=−0.379935
C=0.497135
D=0.0302491
(第4面の位相係数)
m=1
設計波長λ=538nm
2=−0.0226794
4=−0.0341538
6=0.246544
8=−0.335056
10=−0.0309166
このような数値データから、
P1=6.10
P2=3.52
P3=3.93
となり、条件式(1)を満たしていることがわかる。また、凸レンズ132の材料としてアッベ数50の材料を用いたため、アッベ数27.9を用いた実施例1〜4に比べて回折格子による色補正が少なくて済み、faの値が小さくなっている。回折格子17による色補正が少なくて済むことで、回折格子17の輪帯数を減らすことができ、レンズ加工を容易にすることができる。
図16(a)は、実施例6の色収差を示す球面収差図であり、図16(b)は、実施例6の像面湾曲量を示す非点収差図である。球面収差図において、横軸は光軸方向の距離、縦軸は光線が入射瞳に入る高さであり、光線が光軸と交わる位置をプロットした図になっている。ここで、CはC線(656.27nm)、dはd線(587.56nm)、gはg線(435.83nm)であり、これらの結像位置の差が軸上色収差量である。非点収差図において、横軸は光軸方向の距離、縦軸は像の高さである。したがって、縦軸からの距離が各像高における像面湾曲収差量である。ここで、Tはタンジェンシャル、Sはサジタルを表し、それぞれ、点線、実線で示す。
図16(b)の非点収差図から、高画角においても色収差が補正されていることが確認できる。
また、実施例6においても、凸レンズ132のアッベ数を変化させた際の、即ち定数P1の値を変化させた際のスポット径のRMS値の変化に関しては、実施例1と近似した結果が得られ、凸レンズ132の材料のアッベ数を変更しても、条件式(1)が最適な範囲となる。
(実施例7)
図17は、実施例7の撮像装置107を示す断面図である。撮像装置107は、2枚組撮像光学系150と、カバーガラス153と、撮像素子154と、絞り155とを備える。2枚組撮像光学系150は、凹レンズ151および凸レンズ152の2枚のレンズを備える。
凸レンズ152の像面側に絞り155を配置し、凸レンズ152の像側の非球面の包絡面上に回折格子17(図2)が形成されている。
以下に、実施例7の撮像装置107の数値データを示す。なお、以下のデータにおいて、ωは全画角、Fnoは口径比、Lは光学長(凹レンズの物体側の面頂から像面までの距離)、Rは面の曲率半径[mm]、tは面間隔(光軸上の面中心間距離)[mm]、ndは基材のd線での屈折率、νdは基材のd線でのアッベ数を表す。面番号1、2、3、4、5、6、7はそれぞれ、凹レンズの物体側の面、凹レンズの像側の面、凸レンズの物体側の面、凸レンズの像側の面、絞り、カバーガラスの物体側の面、カバーガラスの像側の面である。また、mは回折次数を示す。
ω=160°
Fno=2.8
L=8.2mm
f=1.7551mm
a=2.2676mm
Cl1=3.095mm
Cl2=1.330mm
h=2.25mm
Ds=−77.4%
面番号 R t nd νd
1 14.43949 1.000572 1.692884 49.5
2 1.360261 1.751001
3 2.416304 2.121213 1.585000 27.9
4 -2.280809 0.000000
5(絞り) 無限 1.200687
6 無限 0.523905 BK7
7 無限 1.562170
(第3面の非球面係数)
K=0
A=−0.0246606
B=0.0110786
C=−0.0152781
D=0.00395633
(第4面の非球面係数)
K=0
A=0.0209182
B=−0.0972182
C=0.131207
D=0.00969362
(第4面の位相係数)
m=1
設計波長λ=538nm
2=−0.0352955
4=0.00404823
6=0.0426849
8=−0.0273222
10=−0.0774619
このような数値データから、
P1=6.31
P2=3.93
P3=5.67
となり、条件式(1)を満たしていることがわかる。また、画角ωが160°と広い撮像装置が実現できている。
図18(a)は、実施例7の色収差を示す球面収差図であり、図18(b)は、実施例7の像面湾曲量を示す非点収差図である。球面収差図において、横軸は光軸方向の距離、縦軸は光線が入射瞳に入る高さであり、光線が光軸と交わる位置をプロットした図になっている。ここで、CはC線(656.27nm)、dはd線(587.56nm)、gはg線(435.83nm)であり、これらの結像位置の差が軸上色収差量である。非点収差図において、横軸は光軸方向の距離、縦軸は像の高さである。したがって、縦軸からの距離が各像高における像面湾曲収差量である。ここで、Tはタンジェンシャル、Sはサジタルを表し、それぞれ、点線、実線で示す。
図18(b)の非点収差図から、高画角においても色収差が補正されていることが確認できる。
また、実施例7においても、凸レンズ152のアッベ数を変化させた際の、即ち定数P1の値を変化させた際のスポット径のRMS値の変化に関しては、実施例1と近似した結果が得られた。
(実施例8)
図19は、実施例8の撮像装置108を示す断面図である。撮像装置108は、2枚組撮像光学系170と、カバーガラス173と、撮像素子174と、絞り175とを備える。2枚組撮像光学系170は、凹レンズ171および凸レンズ172の2枚のレンズを備える。
凸レンズ172の像面側に絞り175を配置し、凸レンズ172の像側の非球面の包絡面上に回折格子17(図2)が形成されている。また、凹レンズ171は非球面レンズであり、これにより収差の発生を低減させることができる。
以下に、実施例8の撮像装置108の数値データを示す。なお、以下のデータにおいて、ωは全画角、Fnoは口径比、Lは光学長(凹レンズの物体側の面頂から像面までの距離)、Rは面の曲率半径[mm]、tは面間隔(光軸上の面中心間距離)[mm]、ndは基材のd線での屈折率、νdは基材のd線でのアッベ数を表す。面番号1、2、3、4、5、6、7はそれぞれ、凹レンズの物体側の面、凹レンズの像側の面、凸レンズの物体側の面、凸レンズの像側の面、絞り、カバーガラスの物体側の面、カバーガラスの像側の面である。また、mは回折次数を示す。
ω=170°
Fno=2.8
L=7.4mm
f=1.6378mm
a=2.0342mm
Cl1=3.602mm
Cl2=1.268mm
h=2.25mm
Ds=−88.0%
面番号 R t nd νd
1 55.04482 0.927249 1.524700 56.2
2 1.343455 1.622685
3 3.021424 1.965768 1.585000 27.9
4 -1.789619 -0.0231812
5(絞り) 無限 1.112699
6 無限 0.485513 BK7
7 無限 1.339597
(第1面の非球面係数)
K=−81
A=0.00317541422078672
B=−0.000185006549754633
C=3.5799478951393e−006
(第2面の非球面係数)
K=0.121
A=0.0193631187128404
B=0.0137489674549004
C=−0.0262033221814269
D=0.014241538433391
(第3面の非球面係数)
K=−3.31
A=−0.0145830909159257
B=−0.0262302077166413
C=0.0164083018337394
D=−0.0183030159253571
(第4面の非球面係数)
K=−1.5
A=0.0101082085491435
B=−0.284209744973213
C=0.68688385250565
D=−0.174221245283431
(第4面の位相係数)
m=1
設計波長λ=538nm
2=−0.0343806431149507
4=−0.0224131119745009
6=0.262818041720287
8=−0.572421611379851
このような数値データから、
P1=5.44
P2=4.33
P3=11.43
となり、条件式(1)を満たしていることがわかる。また、画角ωが170°と広い撮像装置が実現できている。また、光学長Lが7.4mmと短く、その分だけ撮像装置を薄型化することができる。
図20(a)は、実施例8の色収差を示す球面収差図であり、図20(b)は、実施例8の像面湾曲量を示す非点収差図である。球面収差図において、横軸は光軸方向の距離、縦軸は光線が入射瞳に入る高さであり、光線が光軸と交わる位置をプロットした図になっている。ここで、CはC線(656.27nm)、dはd線(587.56nm)、gはg線(435.83nm)であり、これらの結像位置の差が軸上色収差量である。非点収差図において、横軸は光軸方向の距離、縦軸は像の高さである。したがって、縦軸からの距離が各像高における像面湾曲収差量である。ここで、Tはタンジェンシャル、Sはサジタルを表し、それぞれ、点線、実線で示す。
図20(b)の非点収差図から、高画角においても色収差が補正されていることが確認できる。
また、実施例8においても、凸レンズ172のアッベ数を変化させた際の、即ち定数P1の値を変化させた際のスポット径のRMS値の変化に関しては、実施例1と近似した結果が得られた。
(実施例9)
図21は、実施例9の撮像装置109を示す断面図である。撮像装置109は、2枚組撮像光学系190と、カバーガラス193と、撮像素子194と、絞り195とを備える。2枚組撮像光学系190は、凹レンズ191および凸レンズ192の2枚のレンズを備える。
凸レンズ192は、実施例1の凸レンズ22(図4)に回折格子17を覆う保護膜196を追加したレンズである。この保護膜196は、図2(c)に示す保護膜18に対応している。
以下に、実施例9の撮像装置109の数値データを示す。なお、以下のデータにおいて、ωは全画角、Fnoは口径比、Lは光学長(凹レンズの物体側の面頂から像面までの距離)、Rは面の曲率半径[mm]、tは面間隔(光軸上の面中心間距離)[mm]、ndは基材のd線での屈折率、νdは基材のd線でのアッベ数を表す。面番号1、2、3、4、5、6、7はそれぞれ、凹レンズの物体側の面、凹レンズの像側の面、凸レンズの物体側の面、凸レンズの像側の面、絞り、カバーガラスの物体側の面、カバーガラスの像側の面である。また、mは回折次数を示す。
ω=151°
Fno=2.8
L=8.6mm
f=1.8468mm
a=2.3542mm
Cl1=3.2247mm
Cl2=1.3931mm
h=2.25mm
Ds=−69.2%
面番号 R t nd νd
1 16.09058 1.052185 1.689175 49.9
2 1.439873 1.841324
3 2.559651 2.230632 1.585000 27.9
4 -2.36292 0.030000 1.623000 40.0
5 -2.36292 0.000000
6(絞り) 無限 1.262623
7 無限 0.550930 BK7
8 無限 1.638462
(第3面の非球面係数)
K=0
A=−0.0189257
B=0.00394453
C=−0.00835334
D=0.00196203
(第4面の非球面係数)
K=0
A=0.0382578
B=−0.167936
C=0.251343
D=−0.0818271
(第5面の非球面係数)
K=0
A=0.0382578
B=−0.167936
C=0.251343
D=−0.0818271
(第4面の位相係数)
m=1
設計波長λ=538nm
2=−0.0321500
4=−0.00920476
6=0.0948648
8=−0.127040
10=0.00954808
このような数値データから、
P1=6.01
P2=3.91
P3=3.96
となり、条件式(1)を満たしていることがわかる。
実施例9の撮像装置109の色収差および像面湾曲量は、図5(a)および図5(b)に示した結果と同じ結果が得られた。
凸レンズ192の材料として、ポリカーボネート(d線屈折率1.585、d線アッベ数27.9)を用いた。保護膜196の材料としてアクリル系の紫外線硬化樹脂に粒径が10nm以下の酸化ジルコニウムを分散させた樹脂(d線屈折率1.623、d線アッベ数40.0)を用いた。ここで、回折格子17の深さは15μmである。
図22は、実施例9の撮像装置109における1次回折効率の波長依存性を示すグラフである。図22より、波長400nm以上700nm以下の可視光の全領域において回折効率は95%以上(ほぼ100%といえる)であり、保護膜196により回折効率の波長依存性が低減できていることがわかる。
なお、回折格子17上の保護膜196は、広波長域において回折効率をかなり高く維持することができるため付加することが望ましいが、必ずしも必要となるものではない。無い場合であっても回折効率を約80%以上に保つことができ、ブレーズ深さが浅く構成も簡易であるといった利点がある。
図23は、実施例1から9までのRMS値の規格値を示すグラフである。実施例それぞれにおける最小値で規格化している。
RMS値は、入射瞳を通過する光線の1σの値であり、小さいほどレンズ性能がよいことを示し、スポット径(直径)のRMS値が撮像素子の画素サイズ(1画素)と一致するように設計するのが理想である。RMS値の規格値が2であるということは、スポットが左右両隣の画素の中央位置まで占めることを意味する。規格値が2を超えるとスポットが両隣の画素の中央位置を越え、性能に影響を与える。したがって、RMS値は、実施例1から9の各スペックのレンズデータにおいて最小値となる値の2倍以内にする必要がある。このときのP1の範囲は、図23より4.5<P1<9.0となる。より好ましくは、RMS値を最小値の1.5倍未満にするのがよく、両隣の画素への影響がより少なく色収差の影響が目立たなくなる。このときのP1の範囲は5.0<P1<7.3である。さらに好ましくは、RMS値を最小値の1.2倍未満にするのがよく、このときのP1の範囲は5.2<P1<6.8である。この状態でも、ベストな状態(RMS値1)に比べ、解像度の低下を5〜15%以内に抑えることができるため、ベストな状態と遜色ない良好なレンズが得られる。
次に、上述の実施例1〜9に対する比較例を説明する。
(比較例1)
図24は、比較例1の撮像装置201を示す断面図である。撮像装置201は、2枚組撮像光学系220と、カバーガラス223と、撮像素子224と、絞り225とを備える。2枚組撮像光学系220は、凹レンズ221および凸レンズ222の2枚のレンズを備える。撮像装置201は、実施例1の撮像装置101の凸レンズ22(図4)のアッベ数を27.9から20に変更した撮像装置である。
比較例1の条件下ではP1=4.33となり、P1の値は条件式(1)の下限値4.5より下になっている。比較例1のスポット径のRMS値の規格値は2.30であり、スポット径が大きすぎ性能がよくない。
図25(a)は、比較例1の色収差を示す球面収差図であり、図25(b)は、比較例1の像面湾曲量を示す非点収差図である。図25(a)および図25(b)からわかるように、色補正不足の状態であり、フォーカスが合っていない波長のスポット幅が大きくなってしまっている。
(比較例2)
図26は、比較例2の撮像装置202を示す断面図である。撮像装置202は、2枚組撮像光学系240と、カバーガラス243と、撮像素子244と、絞り245とを備える。2枚組撮像光学系240は、凹レンズ241および凸レンズ242の2枚のレンズを備える。撮像装置202は、実施例1の撮像装置101の凸レンズ22(図4)のアッベ数を27.9から45に変更した撮像装置である。
比較例2の条件下ではP1=9.74となり、P1の値は条件式(1)の上限値9.0を超えている。比較例2のスポット径のRMS値の規格値は2.20であり、スポット径が大きすぎ性能がよくない。
図27(a)は、比較例2の色収差を示す球面収差図であり、図27(b)は、比較例2の像面湾曲量を示す非点収差図である。図27(a)および図27(b)からわかるように、色補正過剰の状態であり、フォーカスが合っていない波長のスポット幅が大きくなってしまっている。
本発明は、超広角での撮影が求められる技術分野において特に有用である。例えば、車載カメラや監視カメラの分野において特に有用である。
11、21、51、71、91、111、131、151、171、191、221、241 凹レンズ
12、22、52、72、92、112、132、152、172、192、222、242 凸レンズ
13、23、53、73、93、113、133、153、173、193、223、243 カバーガラス
14、24、54、74、94、114、134、154、174、194、224、244 撮像素子
15、25、55、75、95、115、135、155、175、195、225、245 絞り
16 光
17 回折格子
18、196 保護膜
10、20、50、70、90、110、130、150、170、190、220、240 2枚組撮像光学系
100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、201、202 撮像装置
本発明は、撮像光学系およびそれを備えた撮像装置に関し、特に、小型で且つ高画角においても色収差が良好に補正された超広角レンズに関する。
車載用途や監視用途として、小型で広角の撮像光学系が要望されている。しかしながら、非球面レンズのみを有する光学系ではレンズ枚数が5枚以上と多くなるため、光学長が長くなるという問題や材料コストがかかるという問題があった。レンズ枚数を削減する方法として、回折格子を用いたレンズ構成が提案されている(特許文献1、2および3参照)。回折格子は逆分散性および異常分散性を有し、大きな色収差補正能力を備えている。
特許文献1では、回折格子がもつ色収差補正能力を利用した3枚構成のレンズが提案されている。特許文献2では、さらに枚数が削減された2枚構成の広角撮像レンズが提案されている。特許文献3では、光学系の焦点距離と回折格子の焦点距離の比を調整し、色収差を補正したレンズが提案されている。
特開平10−111449号公報 特開2005−128273号公報 特開2000−28913号公報
しかし、特許文献1では枚数を削減しているものの依然3枚以上のレンズ構成であるため、材料や組立てコストが高くなる。また、光学長が長くなるという問題がある。
特許文献2では、2枚構成ではあるが、画角が140°までのレンズしか開示されておらず、さらに広角のレンズは示唆されていない。本願発明者らの検討によれば、特許文献2に開示されたレンズを使用した場合、140°以上の高画角から入射する光線は大きな色収差を発生する。したがって、特許文献2に開示された2枚のレンズ構成では、例えば150°以上の超広角の撮像を実現することができない。
特許文献3では、光学系の焦点距離と回折格子の焦点距離の比を調整し、色収差補正を試みているが、画角70°以下の低画角のレンズ構成が対象であり、超広角の撮像には適用できない。また、3枚以上のレンズ構成であるため、材料や組立てコストが高くなるとともに、光学長が長くなるという問題がある。
本発明は、レンズの枚数が2枚の光学系でありながら色収差が良好に補正された超広角の撮像光学系およびそれを備えた撮像装置を提供する。
本発明の2枚組撮像光学系は、凹レンズと、回折格子が設けられた凸レンズとを備えた2枚組撮像光学系であって、下記の式(1)
4.5 < P1=(1 − f/fa)・νd < 9.0 (1)
を満たすことを特徴とし、ここで、fは前記2枚組撮像光学系の有効焦点距離であり、faは前記回折格子を除いたときの前記2枚組撮像光学系の有効焦点距離であり、νdは前記凸レンズの材料のd線でのアッベ数である。
ある実施形態によれば、前記2枚組撮像光学系が下記の式(2)
5.0 < P1=(1 − f/fa)・νd < 7.3 (2)
を満たす。
ある実施形態によれば、前記2枚組撮像光学系が下記の式(3)
5.2 < P1=(1 − f/fa)・νd < 6.8 (3)
を満たす。
ある実施形態によれば、前記凹レンズはメニスカス凹レンズである。
ある実施形態によれば、前記メニスカス凹レンズが下記の式(4)
2.8 < P2=(Cl1/Cl2)・nd1 < 4.5 (4)
を満たし、ここで、Cl1は前記メニスカス凹レンズの撮像対象側の面の有効半径であり、Cl2は前記メニスカス凹レンズの像側の面の有効半径であり、nd1は前記メニスカス凹レンズのd線での屈折率である。
ある実施形態によれば、前記メニスカス凹レンズが下記の式(5)
d1 > 1.5 (5)
を満たす。
ある実施形態によれば、前記2枚組撮像光学系が下記の式(6)
P3=h/[(1 − |Ds|/100)・f] > 3.4 (6)
を満たし、ここで、hは像高であり、Dsは前記2枚組撮像光学系のディストーション値である。
ある実施形態によれば、前記凹レンズはガラス材料から形成されている。
ある実施形態によれば、前記凹レンズは両面ともに球面形状を有する。
ある実施形態によれば、前記回折格子は、前記凸レンズの両面のうちの一方の面に設けられており、他方の面には設けられていない。
本発明の撮像装置は、前記2枚組撮像光学系と、前記2枚組撮像光学系の画角と入射光量を規定する絞りと、前記2枚組撮像光学系によって形成された像を受光する撮像素子とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、150°以上の超広角をレンズ枚数が2枚の光学系で実現することができる。レンズ枚数が2枚であるため、小型化が実現できるとともに、コストも低減させることができる。本発明によれば、小型化と広い視野を実現した撮像装置を提供することができる。本発明は、周辺監視などに用いられる車載用や防犯用の監視カメラなど幅広い用途に適用できる。
本発明の実施形態による撮像装置を示す断面図である。 (a)は回折格子が形成された凸レンズの平面図であり、(b)は回折格子が形成された凸レンズの断面図であり、(c)は回折格子の表面が保護膜で覆われた凸レンズの断面図である。 (a)は、回折格子を有さない凸レンズが光を屈折させる様子を示す図であり、(b)は、回折格子が光を回折させる様子を示す図であり、(c)は、回折格子が形成された凸レンズを透過した光が結像する様子を示す図である。 本発明の実施例1の撮像装置を示す断面図である。 (a)は本発明の実施例1の撮像装置の球面収差図であり、(b)は本発明の実施例1の撮像装置の非点収差図である。 本発明の実施例1の撮像装置のスポット径のRMS値とP1値との関係を示すグラフである。 本発明の実施例2の撮像装置を示す断面図である。 (a)は本発明の実施例2の撮像装置の球面収差図であり、(b)は本発明の実施例2の撮像装置の非点収差図である。 本発明の実施例3の撮像装置を示す断面図である。 (a)は本発明の実施例3の撮像装置の球面収差図であり、(b)は本発明の実施例3の撮像装置の非点収差図である。 本発明の実施例4の撮像装置を示す断面図である。 (a)は本発明の実施例4の撮像装置の球面収差図であり、(b)は本発明の実施例4の撮像装置の非点収差図である。 本発明の実施例5の撮像装置を示す断面図である。 (a)は本発明の実施例5の撮像装置の球面収差図であり、(b)は本発明の実施例5の撮像装置の非点収差図である。 本発明の実施例6の撮像装置を示す断面図である。 (a)は本発明の実施例6の撮像装置の球面収差図であり、(b)は本発明の実施例6の撮像装置の非点収差図である。 本発明の実施例7の撮像装置を示す断面図である。 (a)は本発明の実施例7の撮像装置の球面収差図であり、(b)は本発明の実施例7の撮像装置の非点収差図である。 本発明の実施例8の撮像装置を示す断面図である。 (a)は本発明の実施例8の撮像装置の球面収差図であり、(b)は本発明の実施例8の撮像装置の非点収差図である。 本発明の実施例9の撮像装置を示す断面図である。 本発明の実施例9の撮像装置の回折効率の波長依存性を示すグラフである。 本発明の実施例1から8の撮像装置のスポット径のRMS値とP1値との関係を示すグラフである。 比較例1の撮像装置を示す断面図である。 (a)は比較例1の撮像装置の球面収差図であり、(b)は比較例1の撮像装置の非点収差図である。 比較例2の撮像装置を示す断面図である。 (a)は比較例2の撮像装置の球面収差図であり、(b)は比較例2の撮像装置の非点収差図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態による撮像装置100を示す断面図である。撮像装置100は、2枚組撮像光学系10と、カバーガラス13と、撮像素子14と、絞り15とを備える。2枚組撮像光学系10は、凹レンズ11および凸レンズ12の2枚のレンズを備える。撮像対象である物体側(図1では左側)に凹レンズ11が配置され、撮像素子14側に凸レンズ12が配置されている。カバーガラス13は撮像素子14表面を保護している。絞り15は、2枚組撮像光学系10の画角と入射光量を規定する。
撮像対象から撮像装置100へ入射した光16は、凹レンズ11、凸レンズ12およびカバーガラス13を透過して、撮像素子14上で像として観測される。
レンズで発生する収差を低減するためには、レンズ面に入射する光線の入射角および屈折角を小さくすることが望ましい。絞り15を凸レンズ12の像面側に設置すれば、高画角から入射する光線に対しても、レンズ面上(特にメニスカス凹レンズ上)での光線の入射角および屈折角を小さくできる。絞り15は、凸レンズ12の物体側か像面側の近傍に設置するのが望ましい。
凸レンズ12の少なくとも一方の面には、正のパワーを有する回折格子が付加されており、これにより、屈折系で発生するレンズの色収差を補正することができる。
図2(a)は回折格子17が形成された凸レンズ12の平面図であり、図2(b)は回折格子17が形成された凸レンズ12の断面図である。図2(a)に示すように、凸レンズ12には同心円状に回折格子17が形成されている。図2(b)に示す例では、回折格子17は凸レンズ12の片方の面のみに形成されているが、両方の面に形成されていてもよい。なお、図2(c)に示すように、回折格子17の表面は保護膜18で覆われていてもよい。
図3は、回折格子17が色収差を補正するしくみを説明する図である。図3(a)は、回折格子17を有さない凸レンズ12(屈折系のみ)が光を屈折させる様子を示している。凸レンズ12の屈折作用により、凸レンズ12を透過した光のうちの短波長の光はレンズ手前側で結像し、長波長の光はレンズのより遠方で結像する。すなわち、赤色光R、緑色光Gおよび青色光Bのうちの青色光Bは凸レンズ12に近い側で結像し、赤色光Rは凸レンズ12から遠い側で結像する。このように、光の波長域によって結像する位置が異なることにより色収差が生じる。
図3(b)は、回折格子17が光を回折させる様子を示している。回折格子17の回折作用により、回折格子17を透過した光のうちの長波長の光はレンズ手前側で結像し、短波長の光はレンズのより遠方で結像する。すなわち、赤色光R、緑色光Gおよび青色光Bのうちの赤色光Rは回折格子17に近い側で結像し、青色光Bは回折格子17から遠い側で結像する。
そこで、青色光Bが近い側で結像する凸レンズ12に、青色光Bが遠い側で結像する回折格子17を付与することにより、青色光Bが結像する位置を補正することができる。また、赤色光Rが遠い側で結像する凸レンズ12に、赤色光Rが近い側で結像する回折格子17を付与することにより、赤色光Rが結像する位置を補正することができる。図3(c)は、回折格子17が形成された凸レンズ12を透過した光が結像する様子を示している。回折格子17が色収差補正を行うことにより、赤色光R、緑色光Gおよび青色光Bを同じ位置で結像させることができる。
回折格子17を含む2枚組撮像光学系20全体のレンズパワーと、回折格子17を除いた屈折系のみでのレンズパワーとの割合を調整することにより、色収差補正を制御することができる。通常、レンズのパワーは焦点距離の逆数で求められる。また、2枚組レンズでは高画角になるほど色収差が大きく発生しやすい。150°以上の超高画角から入射する光線に対してもレンズの収差を良好に補正するためには、レンズ材料の屈折率の波長分散も考慮する必要がある。屈折率の波長分散はアッベ数で定義されており、アッベ数が小さいほど屈折率の波長分散が大きい。したがって、アッベ数が小さいほど全体のレンズパワーに占める屈折系のパワーの割合を小さくし、回折格子のパワーの割合を高める必要がある。
本願発明者らは、アッベ数と焦点距離との関係を研究し、それらの関係が下記の式(1)を満たすときに、適切に収差補正を行えることを見出した。
4.5 < P1=(1 − f/fa)・νd < 9.0 (1)
ここで、fは2枚組撮像光学系20の有効焦点距離、faは回折格子17を除いた2枚組撮像光学系20の屈折系のみの有効焦点距離、νdは凸レンズ材料のd線でのアッベ数である。有効焦点距離fおよびfaは波長550nmのときのものである。2枚組撮像光学系20は式(1)を満足する。
なお、次の式(2)を満足することがより好ましい。
5.0 < P1=(1 − f/fa)・νd < 7.3 (2)
さらに、次の式(3)を満足することがより好ましい。
5.2 < P1=(1 − f/fa)・νd < 6.8 (3)
ここでは、アッベ数として、凸レンズ12のアッベ数のみを考慮している。絞り15を凸レンズ12近傍(例えば、物体側の面上または像側の面上)に設置した場合、物体側から凹レンズ11へ入射した光のうちの撮像素子14まで導かれる光の光束幅は小さくなる。したがって、凹レンズ11への入射光のうちの考慮すべき光に関しては、各画角における上限光線と下限光線との屈折角差は小さい。一方、光学系後方(像面側)に設置された凸レンズ12へ入射する光線の光束幅はレンズ有効径いっぱいに広がり、上限光線と下限光線とで屈折角に差が生じる。この屈折角差が色収差を引き起こすため、凸レンズ12の屈折率の波長分散(=アッベ数)を重視して色収差補正をする必要がある。上記条件式(1)〜(3)の数値範囲を満足することが好ましい理由は後述する。
また、凹レンズ11は、物体(撮像対象)側の面が凸形状である、いわゆるメニスカス凹レンズであることが望ましい。これにより、物体側から凹レンズ11へ高画角で入射する光線の入射角度を小さくすることができ、表面での反射ロスを低減することができる。このとき、メニスカス凹レンズ11が下記条件式(4)を満たすことが望ましい。
2.8 < P2=(Cl1/Cl2)・nd1 < 4.5 (4)
ここで、Cl1はメニスカス凹レンズ11の物体側の面の有効半径、Cl2はメニスカス凹レンズ11の像側の面の有効半径、nd1はメニスカス凹レンズ11のd線での屈折率である。式(4)の下限値を超えると145°以上の光線をレンズに通すためには光学長が長くなってしまい、複数枚レンズの光学長と変わらなくなってしまう。また、式(4)の上限値を超えるとレンズ面に入射する光線の入射角や屈折角が大きくなり各収差の低減が難しくなる。
また、メニスカス凹レンズ11が下記条件式(5)を満たすことがより望ましい。
d1 > 1.5 (5)
物体側に設置する凹レンズ11の役目は、高画角から急な角度で入射する光線の傾斜角度を、高い屈折力で光軸に対しゆるやかにすることであり、これによりレンズ系全体として収差を低減することができる。このため、凹レンズ11の屈折率は高いことが望ましい。nd1が式(5)の下限値1.5以下になると、高画角での屈折力を補うために、凹レンズ11の物体側の面を凹面にする必要が生じる。
また、2枚組撮像光学系10が下記条件式(6)を満たすことが望ましい。
P3=h/[(1 − |Ds|/100)・f] > 3.4 (6)
ここで、hは像高、Dsは2枚組撮像光学系10のディストーション値である。この条件を満足するように設計することで150°以上の超広角化レンズを実現することができる。
また、凹レンズ11は、物体側に設置することから、ガラス材料で形成することが望ましい。ガラスは樹脂材料などに比べ硬度が高いため、外界からの接触等の衝撃に強いからである。
また、凹レンズ11をガラス材料で形成する場合、両面とも球面形状とすることが望ましい。球面形状であれば研磨加工で作製することができ、プレス成形や切削加工に比べてコストが安くなるからである。
また、凹レンズ11がメニスカス凹レンズであるとき、メニスカス凹レンズ11の凹面の有効半径は、凹面の深さよりも大きくすることが望ましい。メニスカス凹レンズ11を薄型化することにより、材料コストを低減すると共にレンズ加工を容易にすることができる。また、メニスカス凹レンズ11のそりを低減するとともに、強度を高めることができる。また、メニスカス凹レンズ11の厚さを薄くすることで、2枚組撮像光学系10をより薄型化することができる。
また、凸レンズ12の両面に回折格子17を付加してもよいが、どちらか一方の面のみに設置するのが望ましい。回折格子17はある特定波長の光に対しては回折効率を100%にすることができるが、それ以外の波長域の光に対しては効率が低下する。したがって、撮像用途で用いる場合、回折効率の低下を抑制するために、片面のみに回折格子17を付加することが望ましい。片面のみの回折格子付加は、両面付加に比べて製造のし易さも向上するためコスト的なメリットも高い。
また、白色領域における回折効率を向上させる目的として、ある特定条件の屈折率を持つ膜材料を回折格子17上に付加してもよい。
また、レンズの非球面形状は下記の非球面式(7)で表される。
Figure 2009153953
式(7)はx−y平面に垂直なz軸の周りの回転で形成される非球面を表す式である。cは中心曲率である。A、B、C、D、Eは2次曲面からのずれを表す係数である。係数はEまでとれば十分であるが、それ以上の次数で構成してもよいし、逆に、それ以下でもよく、任意である。また、Kの値によって、以下のような非球面となる。
K>0の場合、短径を光軸とする楕円面
K=0の場合、球面
−1<K<0の場合、長径を光軸とする楕円面
K=−1の場合、放物面
K<−1の場合、双曲面
また、レンズの回折面は、位相関数法を用いて設計する。位相関数法はレンズ面に回折格子があると仮定し、その面で次式(8)で表される波面の位相変換を行う。
Figure 2009153953
ここで、φは位相関数、Ψは光路差関数、hは径方向の距離である。a2、a4、a6、a8、a10は係数である。係数はa10までとれば十分であるが、それ以上の次数で構成してもよいし、逆に、それ以下でもよく、任意である。回折次数は1次である。
また、実際の製造においては、位相関数をもとに材料の屈折率差と設計波長から回折格子のサグ量を計算して、基材表面上に回折格子を形成する。
以下、本発明の具体的な実施例を説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されない。
(実施例1)
図4は、実施例1の撮像装置101を示す断面図である。撮像装置101は、2枚組撮像光学系20と、カバーガラス23と、撮像素子24と、絞り25とを備える。2枚組撮像光学系20は、凹レンズ21および凸レンズ22の2枚のレンズを備える。
凸レンズ22の像面側に絞り25を配置し、凸レンズ22の像側の非球面の包絡面上に回折格子17(図2)が形成されている。凹レンズ21はガラス材料から形成されており、耐衝撃性を高めている。
以下に、実施例1の撮像装置101の数値データを示す。なお、以下のデータにおいて、ωは全画角、Fnoは口径比、Lは光学長(凹レンズの物体側の面頂から像面までの距離)、Rは面の曲率半径[mm]、tは面間隔(光軸上の面中心間距離)[mm]、ndは基材のd線での屈折率、νdは基材のd線でのアッベ数を表す。面番号1、2、3、4、5、6、7はそれぞれ、凹レンズの物体側の面、凹レンズの像側の面、凸レンズの物体側の面、凸レンズの像側の面、絞り、カバーガラスの物体側の面、カバーガラスの像側の面である。また、mは回折次数を示す。
ω=150°
Fno=2.8
L=8.6mm
f=1.8456mm
a=2.3555mm
Cl1=3.090mm
Cl2=1.389mm
h=2.25mm
Ds=−67.3%
面番号 R t nd νd
1 16.09058 1.052185 1.689175 49.9
2 1.439873 1.841324
3 2.559651 2.230632 1.585000 27.9
4 -2.36292 0.000000
5(絞り) 無限 1.262623
6 無限 0.550930 BK7
7 無限 1.638462
(第3面の非球面係数)
K=0
A=−0.0189257
B=0.00394453
C=−0.00835334
D=0.00196203
(第4面の非球面係数)
K=0
A=0.0382578
B=−0.167936
C=0.251343
D=−0.0818271
(第4面の位相係数)
m=1
設計波長λ=538nm
2=−0.0321500
4=−0.00920476
6=0.0948648
8=−0.127040
10=0.00954808
このような数値データから、
P1=6.04
P2=3.76
P3=3.73
となり、条件式(1)を満たしていることがわかる。
図5(a)は、実施例1の色収差を示す球面収差図であり、図5(b)は、実施例1の像面湾曲量を示す非点収差図である。球面収差図において、横軸は光軸方向の距離、縦軸は光線が入射瞳に入る高さであり、光線が光軸と交わる位置をプロットした図になっている。ここで、CはC線(656.27nm)、dはd線(587.56nm)、gはg線(435.83nm)であり、これらの結像位置の差が軸上色収差量である。非点収差図において、横軸は光軸方向の距離、縦軸は像の高さである。したがって、縦軸からの距離が各像高における像面湾曲収差量である。ここで、Tはタンジェンシャル、Sはサジタルを表し、それぞれ、点線、実線で示す。
図5(b)の非点収差図から、高画角においても色収差が補正されていることが確認できる。
図6は、実施例1におけるアッベ数とスポット径との関係を示す図である。図6は、2枚組撮像光学系20全体のパワーと回折格子17を除いた2枚組撮像光学系20のパワーとを一定に保ったまま、凸レンズ22のアッベ数を変化させた際のスポット径(直径)のRMS値(平均自乗平方根)の変化を表す。スポット径の評価画角として7割像高を代表値とするのがよい。7割像高までの性能がよければ画像全体としても性能が概ね満足されるためである。入射瞳を通過する光線本数を80本、波長を640:550:440=1:2:1として評価した。また、縦軸はスポット径のRMS値を最小値で規格化したものである。横軸は、条件式(1)のP1値である。RMS値は、入射瞳を通過する光線の1σの値であり、小さいほどレンズ性能がよいことを示し、スポット径のRMS値が撮像素子の画素サイズ(1画素)と一致するように設計するのが理想である。本実施例でも1画素のサイズがスポット径のRMS値の最小値と一致するように撮像素子を選択した。撮像装置の使用目的に応じて選択される画素サイズは異なるが、本発明は画素サイズに関係なく適用することができる。
図6より、P1の値を4.5<P1<9.0とすることにより、RMS値の規格値を2以下とすることができる。RMS値の規格値が2というのは、スポット径が基準値より2倍大きいということである。通常はスポットが1画素以内におさまるように設計するが、これが2画素分以上となると両隣の画素それぞれの中央位置を越えた大きさとなるため、隣の画素への影響が大きくなり好ましくない。したがって、RMS値の規格値は2以下とする必要がある。すなわち、P1が9.0以上となるとRMS値の規格値が大きくなりすぎ、撮像レンズとしての性能が悪化する。これは、凸レンズ22の材料の屈折率の波長分散が小さく、色収差補正が過剰すぎることが原因である。また、P1が4.5以下となってもRMS値の規格値が大きくなりすぎ、撮像レンズとしての性能が悪化する。これは、色収差補正が不足していることが原因である。
なお、P1の値を5.0<P1<7.3とすることにより、RMS値の規格値を約1.5未満とすることができ、色収差をより良好に低減できる。このとき、隣の画素へ影響する色収差は目立たなくなる。さらに、P1の値を5.2<P1<6.8とすることにより、RMS値の規格値を約1.2未満とすることができ、さらに良好に色収差補正ができる。このとき、ベストな状態(RMS値1)に比べ、解像度の低下を5〜15%以内に抑えることができるため、ベストな状態と遜色ない良好なレンズ性能が得られる。
(実施例2)
図7は、実施例2の撮像装置102を示す断面図である。撮像装置102は、2枚組撮像光学系50と、カバーガラス53と、撮像素子54と、絞り55とを備える。2枚組撮像光学系50は、凹レンズ51および凸レンズ52の2枚のレンズを備える。
凸レンズ52の物体側に絞り55を配置し、凸レンズ52の像側の非球面の包絡面上に回折格子17(図2)が形成されている。凹レンズ51と凸レンズ52との間に絞り55を配置することで、撮像素子54に入射する光の入射角を小さくすることができる。凹レンズ51はガラス材料から形成されており、耐衝撃性を高めている。
以下に、実施例2の撮像装置102の数値データを示す。なお、以下のデータにおいて、ωは全画角、Fnoは口径比、Lは光学長(凹レンズの物体側の面頂から像面までの距離)、Rは面の曲率半径[mm]、tは面間隔(光軸上の面中心間距離)[mm]、ndは基材のd線での屈折率、νdは基材のd線でのアッベ数を表す。面番号1、2、3、4、5、6、7はそれぞれ、凹レンズの物体側の面、凹レンズの像側の面、凸レンズの物体側の面、凸レンズの像側の面、絞り、カバーガラスの物体側の面、カバーガラスの像側の面である。また、mは回折次数を示す。
ω=150°
Fno=2.8
L=10.4mm
f=1.9004mm
a=2.4288mm
Cl1=2.692mm
Cl2=1.550mm
h=2.25mm
Ds=−68.3%
面番号 R t nd νd
1 12.35704 0.519999 1.77250 49.62
2 1.686732 3.29229
3(絞り) 無限 0.241345
4 2.655821 2.047438 1.585000 27.9
5 -4.63202 1.010682
6 無限 0.440999 BK7
7 無限 2.845853
(第4面の非球面係数)
K=−0.796834
A=−0.00670146
B=0.0380988
C=−0.0364111
D=0.0132840
E=5.82320e−016
(第5面の非球面係数)
K=3.749992
A=0.0670042
B=−0.0758092
C=0.0621387
D=−0.0152972
E=5.824155e−016
(第5面の位相係数)
m=1
設計波長λ=538nm
2=−0.0256517
4=−0.0252208
6=0.0497239
8=−0.0376587
10=0.00965820
このような数値データから、
P1=6.07
P2=3.08
P3=3.73
となり、条件式(1)を満たしていることがわかる。
図8(a)は、実施例2の色収差を示す球面収差図であり、図8(b)は、実施例2の像面湾曲量を示す非点収差図である。球面収差図において、横軸は光軸方向の距離、縦軸は光線が入射瞳に入る高さであり、光線が光軸と交わる位置をプロットした図になっている。ここで、CはC線(656.27nm)、dはd線(587.56nm)、gはg線(435.83nm)であり、これらの結像位置の差が軸上色収差量である。非点収差図において、横軸は光軸方向の距離、縦軸は像の高さである。したがって、縦軸からの距離が各像高における像面湾曲収差量である。ここで、Tはタンジェンシャル、Sはサジタルを表し、それぞれ、点線、実線で示す。
図8(b)の非点収差図から、高画角においても色収差が補正されていることが確認できる。
また、実施例2においても、凸レンズ52のアッベ数を変化させた際の、即ち定数P1の値を変化させた際のスポット径のRMS値の変化に関しては、実施例1と近似した結果が得られた。
(実施例3)
図9は、実施例3の撮像装置103を示す断面図である。撮像装置103は、2枚組撮像光学系70と、カバーガラス73と、撮像素子74と、絞り75とを備える。2枚組撮像光学系70は、凹レンズ71および凸レンズ72の2枚のレンズを備える。
凸レンズ72の物体側に絞り75を配置している。凹レンズ71と凸レンズ72との間に絞り75を配置することで、撮像素子74に入射する光の入射角を小さくすることができる。凸レンズ72の物体側および像側の両方の非球面の包絡面上に回折格子17(図2)が形成されている。凸レンズ72の両面に回折格子17を形成することで、色収差をより効率よく補正することができる。凹レンズ71はガラス材料から形成されており、耐衝撃性を高めている。
以下に、実施例3の撮像装置103の数値データを示す。なお、以下のデータにおいて、ωは全画角、Fnoは口径比、Lは光学長(凹レンズの物体側の面頂から像面までの距離)、Rは面の曲率半径[mm]、tは面間隔(光軸上の面中心間距離)[mm]、ndは基材のd線での屈折率、νdは基材のd線でのアッベ数を表す。面番号1、2、3、4、5、6、7はそれぞれ、凹レンズの物体側の面、凹レンズの像側の面、凸レンズの物体側の面、凸レンズの像側の面、絞り、カバーガラスの物体側の面、カバーガラスの像側の面である。また、mは回折次数を示す。
ω=150°
Fno=2.8
L=10.4mm
f=1.8136mm
a=2.2451mm
Cl1=3.559mm
Cl2=1.840mm
h=2.25mm
Ds=−66.8%
面番号 R t nd νd
1 4.888790 0.519999 1.77250 49.62
2 1.841767 4.104826
3(絞り) 無限 0.447600
4 4.624231 1.395179 1.585000 27.9
5 -2.826984 1.010682
6 無限 0.440999 BK7
7 無限 2.546085
(第4面の非球面係数)
K=−5.314412
A=−0.00182345
B=−0.0292375
C=0.0218586
D=−0.00746996
E=1.503109e−015
(第5面の非球面係数)
K=1.820401
A=0.0328674
B=−0.0292150
C=0.0188427
D=−0.00369989
E=1.513207e−015
(第4面の位相係数)
m=1
設計波長λ=538nm
2=0.0122460
4=0.0130927
6=−0.0325525
8=0.0188769
10=−0.00433589
(第5面の位相係数)
m=1
設計波長λ=538nm
2=−0.0346966
4=−0.0110588
6=0.0170859
8=−0.00954619
10=0.00205933
このような数値データから、
P1=5.36
P2=3.43
P3=3.73
となり、条件式(1)を満たしていることがわかる。
図10(a)は、実施例3の色収差を示す球面収差図であり、図10(b)は、実施例3の像面湾曲量を示す非点収差図である。球面収差図において、横軸は光軸方向の距離、縦軸は光線が入射瞳に入る高さであり、光線が光軸と交わる位置をプロットした図になっている。ここで、CはC線(656.27nm)、dはd線(587.56nm)、gはg線(435.83nm)であり、これらの結像位置の差が軸上色収差量である。非点収差図において、横軸は光軸方向の距離、縦軸は像の高さである。したがって、縦軸からの距離が各像高における像面湾曲収差量である。ここで、Tはタンジェンシャル、Sはサジタルを表し、それぞれ、点線、実線で示す。
図10(b)の非点収差図から、高画角においても色収差が補正されていることが確認できる。
また、実施例3においても、凸レンズ72のアッベ数を変化させた際の、即ち定数P1の値を変化させた際のスポット径のRMS値の変化に関しては、実施例1と近似した結果が得られた。
(実施例4)
図11は、実施例4の撮像装置104を示す断面図である。撮像装置104は、2枚組撮像光学系90と、カバーガラス93と、撮像素子94と、絞り95とを備える。2枚組撮像光学系90は、凹レンズ91および凸レンズ92の2枚のレンズを備える。
凸レンズ92の物体側に絞り95を配置し、凸レンズ92の像側の非球面の包絡面上に回折格子17(図2)が形成されている。凹レンズ91と凸レンズ92との間に絞り95を配置することで、撮像素子94に入射する光の入射角を小さくすることができる。また、凹レンズ91は非球面レンズであり、これにより収差の発生を低減させることができる。凹レンズ91はガラス材料から形成されており、耐衝撃性を高めている。
以下に、実施例4の撮像装置104の数値データを示す。なお、以下のデータにおいて、ωは全画角、Fnoは口径比、Lは光学長(凹レンズの物体側の面頂から像面までの距離)、Rは面の曲率半径[mm]、tは面間隔(光軸上の面中心間距離)[mm]、ndは基材のd線での屈折率、νdは基材のd線でのアッベ数を表す。面番号1、2、3、4、5、6、7はそれぞれ、凹レンズの物体側の面、凹レンズの像側の面、凸レンズの物体側の面、凸レンズの像側の面、絞り、カバーガラスの物体側の面、カバーガラスの像側の面である。また、mは回折次数を示す。
ω=150°
Fno=2.8
L=10.4mm
f=1.8681mm
a=2.3696mm
Cl1=3.012mm
Cl2=1.702mm
h=2.25mm
Ds=−67.7%
面番号 R t nd νd
1 8.832398 0.519999 1.77250 49.62
2 1.901274 3.656274
3(絞り) 無限 0.370350
4 3.442368 1.689756 1.585000 27.9
5 -3.600489 1.010682
6 無限 0.440999 BK7
7 無限 2.720011
(第1面の非球面係数)
K=1.376692
A=0.0104366
B=−0.00142524
C=7.050269e−005
D=−1.492443e−006
(第2面の非球面係数)
K=0.0945047
A=0.0136754
B=0.00741570
C=−0.00234636
D=0.000634700
(第4面の非球面係数)
K=−0.796834
A=−0.0130940
B=0.0297942
C=−0.0195985
D=0.00501894
(第5面の非球面係数)
K=3.749992
A=0.0648057
B=−0.0739190
C=0.0527920
D=−0.0108746
(第5面の位相係数)
m=1
設計波長λ=538nm
2=−0.0258178
4=−0.0248857
6=0.0466234
8=−0.0308815
10=0.00682324
このような数値データから、
P1=5.90
P2=3.14
P3=3.73
となり、条件式(1)を満たしていることがわかる。
図12(a)は、実施例4の色収差を示す球面収差図であり、図12(b)は、実施例4の像面湾曲量を示す非点収差図である。球面収差図において、横軸は光軸方向の距離、縦軸は光線が入射瞳に入る高さで、光線が光軸と交わる位置をプロットした図になっている。ここで、CはC線(656.27nm)、dはd線(587.56nm)、gはg線(435.83nm)であり、これらの結像位置の差が軸上色収差量である。非点収差図において、横軸は光軸方向の距離、縦軸は像の高さである。したがって、縦軸からの距離が各像高における像面湾曲収差量である。ここで、Tはタンジェンシャル、Sはサジタルを表し、それぞれ、点線、実線で示す。
図12(b)の非点収差図から、高画角においても色収差が補正されていることが確認できる。
また、実施例4においても、凸レンズ92のアッベ数を変化させた際の、即ち定数P1の値を変化させた際のスポット径のRMS値の変化に関しては、実施例1と近似した結果が得られた。
(実施例5)
図13は、実施例5の撮像装置105を示す断面図である。撮像装置105は、2枚組撮像光学系110と、カバーガラス113と、撮像素子114と、絞り115とを備える。2枚組撮像光学系110は、凹レンズ111および凸レンズ112の2枚のレンズを備える。
凸レンズ112の像面側に絞り115を配置し、凸レンズ112の像側の非球面の包絡面上に回折格子17(図2)が形成されている。また、凹レンズ111はガラス材料から形成されており、耐衝撃性を高めている。
以下に、実施例5の撮像装置105の数値データを示す。なお、以下のデータにおいて、ωは全画角、Fnoは口径比、Lは光学長(凹レンズの物体側の面頂から像面までの距離)、Rは面の曲率半径[mm]、tは面間隔(光軸上の面中心間距離)[mm]、ndは基材のd線での屈折率、νdは基材のd線でのアッベ数を表す。面番号1、2、3、4、5、6、7はそれぞれ、凹レンズの物体側の面、凹レンズの像側の面、凸レンズの物体側の面、凸レンズの像側の面、絞り、カバーガラスの物体側の面、カバーガラスの像側の面である。また、mは回折次数を示す。
ω=151°
Fno=2.8
L=8.1mm
f=1.8507mm
a=2.2096mm
Cl1=3.055mm
Cl2=1.435mm
h=2.24mm
Ds=−68.2%
面番号 R t nd νd
1 24.24031 1.052185 1.689175 49.9
2 1.511129 1.841324
3 1.778637 2.230632 1.585000 40.0
4 -3.081994 0.000000
5(絞り) 無限 1.262623
6 無限 0.550930 BK7
7 無限 1.181923
(第3面の非球面係数)
K=0
A=−0.0182365
B=0.00908549
C=−0.0139380
D=0.00389725
(第4面の非球面係数)
K=0
A=0.0693357
B=−0.213917
C=0.0126108
D=0.604399
(第4面の位相係数)
m=1
設計波長λ=538nm
2=−0.0279932
4=−0.0130694
6=0.0691815
8=0.261774
10=−0.768409
このような数値データから、
P1=6.50
P2=3.60
P3=3.81
となり、条件式(1)を満たしていることがわかる。また、凸レンズ112の材料としてアッベ数40の材料を用いたため、アッベ数27.9の材料を用いた実施例1〜4に比べて回折格子17による色補正が少なくて済み、faの値が小さくなっている。回折格子17による色補正が少なくて済むことで、回折格子17の輪帯数を減らすことができ、レンズ加工を容易にすることができる。
図14(a)は、実施例5の色収差を示す球面収差図であり、図14(b)は、実施例5の像面湾曲量を示す非点収差図である。球面収差図において、横軸は光軸方向の距離、縦軸は光線が入射瞳に入る高さであり、光線が光軸と交わる位置をプロットした図になっている。ここで、CはC線(656.27nm)、dはd線(587.56nm)、gはg線(435.83nm)であり、これらの結像位置の差が軸上色収差量である。非点収差図において、横軸は光軸方向の距離、縦軸は像の高さである。したがって、縦軸からの距離が各像高における像面湾曲収差量である。ここで、Tはタンジェンシャル、Sはサジタルを表し、それぞれ、点線、実線で示す。
図14(b)の非点収差図から、高画角においても色収差が補正されていることが確認できる。
また、実施例5においても、凸レンズ112のアッベ数を変化させた際の、即ち定数P1の値を変化させた際のスポット径のRMS値の変化に関しては、実施例1と近似した結果が得られ、凸レンズ112の材料のアッベ数を変更しても、条件式(1)が最適な範囲となる。
(実施例6)
図15は、実施例6の撮像装置106を示す断面図である。撮像装置106は、2枚組撮像光学系130と、カバーガラス133と、撮像素子134と、絞り135とを備える。2枚組撮像光学系130は、凹レンズ131および凸レンズ132の2枚のレンズを備える。
凸レンズ132の像面側に絞り135を配置し、凸レンズ132の像側の非球面の包絡面上に回折格子17(図2)が形成されている。また、凹レンズ131はガラス材料から形成されており、耐衝撃性を高めている。
以下に、実施例6の撮像装置106の数値データを示す。なお、以下のデータにおいて、ωは全画角、Fnoは口径比、Lは光学長(凹レンズの物体側の面頂から像面までの距離)、Rは面の曲率半径[mm]、tは面間隔(光軸上の面中心間距離)[mm]、ndは基材のd線での屈折率、νdは基材のd線でのアッベ数を表す。面番号1、2、3、4、5、6、7はそれぞれ、凹レンズの物体側の面、凹レンズの像側の面、凸レンズの物体側の面、凸レンズの像側の面、絞り、カバーガラスの物体側の面、カバーガラスの像側の面である。また、mは回折次数を示す。
ω=152°
Fno=2.8
L=7.9mm
f=1.8507mm
a=2.1077mm
Cl1=3.076mm
Cl2=1.476mm
h=2.25mm
Ds=−69.1%
面番号 R t nd νd
1 28.92876 1.052185 1.689175 49.9
2 1.569439 1.841324
3 1.602864 2.230632 1.585000 50.0
4 -3.382609 0.000000
5(絞り) 無限 1.262623
6 無限 0.550930 BK7
7 無限 0.959707
(第3面の非球面係数)
K=0
A=−0.0207991
B=0.00797051
C=−0.0143581
D=0.00277102
(第4面の非球面係数)
K=0
A=0.101217
B=−0.379935
C=0.497135
D=0.0302491
(第4面の位相係数)
m=1
設計波長λ=538nm
2=−0.0226794
4=−0.0341538
6=0.246544
8=−0.335056
10=−0.0309166
このような数値データから、
P1=6.10
P2=3.52
P3=3.93
となり、条件式(1)を満たしていることがわかる。また、凸レンズ132の材料としてアッベ数50の材料を用いたため、アッベ数27.9を用いた実施例1〜4に比べて回折格子による色補正が少なくて済み、faの値が小さくなっている。回折格子17による色補正が少なくて済むことで、回折格子17の輪帯数を減らすことができ、レンズ加工を容易にすることができる。
図16(a)は、実施例6の色収差を示す球面収差図であり、図16(b)は、実施例6の像面湾曲量を示す非点収差図である。球面収差図において、横軸は光軸方向の距離、縦軸は光線が入射瞳に入る高さであり、光線が光軸と交わる位置をプロットした図になっている。ここで、CはC線(656.27nm)、dはd線(587.56nm)、gはg線(435.83nm)であり、これらの結像位置の差が軸上色収差量である。非点収差図において、横軸は光軸方向の距離、縦軸は像の高さである。したがって、縦軸からの距離が各像高における像面湾曲収差量である。ここで、Tはタンジェンシャル、Sはサジタルを表し、それぞれ、点線、実線で示す。
図16(b)の非点収差図から、高画角においても色収差が補正されていることが確認できる。
また、実施例6においても、凸レンズ132のアッベ数を変化させた際の、即ち定数P1の値を変化させた際のスポット径のRMS値の変化に関しては、実施例1と近似した結果が得られ、凸レンズ132の材料のアッベ数を変更しても、条件式(1)が最適な範囲となる。
(実施例7)
図17は、実施例7の撮像装置107を示す断面図である。撮像装置107は、2枚組撮像光学系150と、カバーガラス153と、撮像素子154と、絞り155とを備える。2枚組撮像光学系150は、凹レンズ151および凸レンズ152の2枚のレンズを備える。
凸レンズ152の像面側に絞り155を配置し、凸レンズ152の像側の非球面の包絡面上に回折格子17(図2)が形成されている。
以下に、実施例7の撮像装置107の数値データを示す。なお、以下のデータにおいて、ωは全画角、Fnoは口径比、Lは光学長(凹レンズの物体側の面頂から像面までの距離)、Rは面の曲率半径[mm]、tは面間隔(光軸上の面中心間距離)[mm]、ndは基材のd線での屈折率、νdは基材のd線でのアッベ数を表す。面番号1、2、3、4、5、6、7はそれぞれ、凹レンズの物体側の面、凹レンズの像側の面、凸レンズの物体側の面、凸レンズの像側の面、絞り、カバーガラスの物体側の面、カバーガラスの像側の面である。また、mは回折次数を示す。
ω=160°
Fno=2.8
L=8.2mm
f=1.7551mm
a=2.2676mm
Cl1=3.095mm
Cl2=1.330mm
h=2.25mm
Ds=−77.4%
面番号 R t nd νd
1 14.43949 1.000572 1.692884 49.5
2 1.360261 1.751001
3 2.416304 2.121213 1.585000 27.9
4 -2.280809 0.000000
5(絞り) 無限 1.200687
6 無限 0.523905 BK7
7 無限 1.562170
(第3面の非球面係数)
K=0
A=−0.0246606
B=0.0110786
C=−0.0152781
D=0.00395633
(第4面の非球面係数)
K=0
A=0.0209182
B=−0.0972182
C=0.131207
D=0.00969362
(第4面の位相係数)
m=1
設計波長λ=538nm
2=−0.0352955
4=0.00404823
6=0.0426849
8=−0.0273222
10=−0.0774619
このような数値データから、
P1=6.31
P2=3.93
P3=5.67
となり、条件式(1)を満たしていることがわかる。また、画角ωが160°と広い撮像装置が実現できている。
図18(a)は、実施例7の色収差を示す球面収差図であり、図18(b)は、実施例7の像面湾曲量を示す非点収差図である。球面収差図において、横軸は光軸方向の距離、縦軸は光線が入射瞳に入る高さであり、光線が光軸と交わる位置をプロットした図になっている。ここで、CはC線(656.27nm)、dはd線(587.56nm)、gはg線(435.83nm)であり、これらの結像位置の差が軸上色収差量である。非点収差図において、横軸は光軸方向の距離、縦軸は像の高さである。したがって、縦軸からの距離が各像高における像面湾曲収差量である。ここで、Tはタンジェンシャル、Sはサジタルを表し、それぞれ、点線、実線で示す。
図18(b)の非点収差図から、高画角においても色収差が補正されていることが確認できる。
また、実施例7においても、凸レンズ152のアッベ数を変化させた際の、即ち定数P1の値を変化させた際のスポット径のRMS値の変化に関しては、実施例1と近似した結果が得られた。
(実施例8)
図19は、実施例8の撮像装置108を示す断面図である。撮像装置108は、2枚組撮像光学系170と、カバーガラス173と、撮像素子174と、絞り175とを備える。2枚組撮像光学系170は、凹レンズ171および凸レンズ172の2枚のレンズを備える。
凸レンズ172の像面側に絞り175を配置し、凸レンズ172の像側の非球面の包絡面上に回折格子17(図2)が形成されている。また、凹レンズ171は非球面レンズであり、これにより収差の発生を低減させることができる。
以下に、実施例8の撮像装置108の数値データを示す。なお、以下のデータにおいて、ωは全画角、Fnoは口径比、Lは光学長(凹レンズの物体側の面頂から像面までの距離)、Rは面の曲率半径[mm]、tは面間隔(光軸上の面中心間距離)[mm]、ndは基材のd線での屈折率、νdは基材のd線でのアッベ数を表す。面番号1、2、3、4、5、6、7はそれぞれ、凹レンズの物体側の面、凹レンズの像側の面、凸レンズの物体側の面、凸レンズの像側の面、絞り、カバーガラスの物体側の面、カバーガラスの像側の面である。また、mは回折次数を示す。
ω=170°
Fno=2.8
L=7.4mm
f=1.6378mm
a=2.0342mm
Cl1=3.602mm
Cl2=1.268mm
h=2.25mm
Ds=−88.0%
面番号 R t nd νd
1 55.04482 0.927249 1.524700 56.2
2 1.343455 1.622685
3 3.021424 1.965768 1.585000 27.9
4 -1.789619 -0.0231812
5(絞り) 無限 1.112699
6 無限 0.485513 BK7
7 無限 1.339597
(第1面の非球面係数)
K=−81
A=0.00317541422078672
B=−0.000185006549754633
C=3.5799478951393e−006
(第2面の非球面係数)
K=0.121
A=0.0193631187128404
B=0.0137489674549004
C=−0.0262033221814269
D=0.014241538433391
(第3面の非球面係数)
K=−3.31
A=−0.0145830909159257
B=−0.0262302077166413
C=0.0164083018337394
D=−0.0183030159253571
(第4面の非球面係数)
K=−1.5
A=0.0101082085491435
B=−0.284209744973213
C=0.68688385250565
D=−0.174221245283431
(第4面の位相係数)
m=1
設計波長λ=538nm
2=−0.0343806431149507
4=−0.0224131119745009
6=0.262818041720287
8=−0.572421611379851
このような数値データから、
P1=5.44
P2=4.33
P3=11.43
となり、条件式(1)を満たしていることがわかる。また、画角ωが170°と広い撮像装置が実現できている。また、光学長Lが7.4mmと短く、その分だけ撮像装置を薄型化することができる。
図20(a)は、実施例8の色収差を示す球面収差図であり、図20(b)は、実施例8の像面湾曲量を示す非点収差図である。球面収差図において、横軸は光軸方向の距離、縦軸は光線が入射瞳に入る高さであり、光線が光軸と交わる位置をプロットした図になっている。ここで、CはC線(656.27nm)、dはd線(587.56nm)、gはg線(435.83nm)であり、これらの結像位置の差が軸上色収差量である。非点収差図において、横軸は光軸方向の距離、縦軸は像の高さである。したがって、縦軸からの距離が各像高における像面湾曲収差量である。ここで、Tはタンジェンシャル、Sはサジタルを表し、それぞれ、点線、実線で示す。
図20(b)の非点収差図から、高画角においても色収差が補正されていることが確認できる。
また、実施例8においても、凸レンズ172のアッベ数を変化させた際の、即ち定数P1の値を変化させた際のスポット径のRMS値の変化に関しては、実施例1と近似した結果が得られた。
(実施例9)
図21は、実施例9の撮像装置109を示す断面図である。撮像装置109は、2枚組撮像光学系190と、カバーガラス193と、撮像素子194と、絞り195とを備える。2枚組撮像光学系190は、凹レンズ191および凸レンズ192の2枚のレンズを備える。
凸レンズ192は、実施例1の凸レンズ22(図4)に回折格子17を覆う保護膜196を追加したレンズである。この保護膜196は、図2(c)に示す保護膜18に対応している。
以下に、実施例9の撮像装置109の数値データを示す。なお、以下のデータにおいて、ωは全画角、Fnoは口径比、Lは光学長(凹レンズの物体側の面頂から像面までの距離)、Rは面の曲率半径[mm]、tは面間隔(光軸上の面中心間距離)[mm]、ndは基材のd線での屈折率、νdは基材のd線でのアッベ数を表す。面番号1、2、3、4、5、6、7はそれぞれ、凹レンズの物体側の面、凹レンズの像側の面、凸レンズの物体側の面、凸レンズの像側の面、絞り、カバーガラスの物体側の面、カバーガラスの像側の面である。また、mは回折次数を示す。
ω=151°
Fno=2.8
L=8.6mm
f=1.8468mm
a=2.3542mm
Cl1=3.2247mm
Cl2=1.3931mm
h=2.25mm
Ds=−69.2%
面番号 R t nd νd
1 16.09058 1.052185 1.689175 49.9
2 1.439873 1.841324
3 2.559651 2.230632 1.585000 27.9
4 -2.36292 0.030000 1.623000 40.0
5 -2.36292 0.000000
6(絞り) 無限 1.262623
7 無限 0.550930 BK7
8 無限 1.638462
(第3面の非球面係数)
K=0
A=−0.0189257
B=0.00394453
C=−0.00835334
D=0.00196203
(第4面の非球面係数)
K=0
A=0.0382578
B=−0.167936
C=0.251343
D=−0.0818271
(第5面の非球面係数)
K=0
A=0.0382578
B=−0.167936
C=0.251343
D=−0.0818271
(第4面の位相係数)
m=1
設計波長λ=538nm
2=−0.0321500
4=−0.00920476
6=0.0948648
8=−0.127040
10=0.00954808
このような数値データから、
P1=6.01
P2=3.91
P3=3.96
となり、条件式(1)を満たしていることがわかる。
実施例9の撮像装置109の色収差および像面湾曲量は、図5(a)および図5(b)に示した結果と同じ結果が得られた。
凸レンズ192の材料として、ポリカーボネート(d線屈折率1.585、d線アッベ数27.9)を用いた。保護膜196の材料としてアクリル系の紫外線硬化樹脂に粒径が10nm以下の酸化ジルコニウムを分散させた樹脂(d線屈折率1.623、d線アッベ数40.0)を用いた。ここで、回折格子17の深さは15μmである。
図22は、実施例9の撮像装置109における1次回折効率の波長依存性を示すグラフである。図22より、波長400nm以上700nm以下の可視光の全領域において回折効率は95%以上(ほぼ100%といえる)であり、保護膜196により回折効率の波長依存性が低減できていることがわかる。
なお、回折格子17上の保護膜196は、広波長域において回折効率をかなり高く維持することができるため付加することが望ましいが、必ずしも必要となるものではない。無い場合であっても回折効率を約80%以上に保つことができ、ブレーズ深さが浅く構成も簡易であるといった利点がある。
図23は、実施例1から9までのRMS値の規格値を示すグラフである。実施例それぞれにおける最小値で規格化している。
RMS値は、入射瞳を通過する光線の1σの値であり、小さいほどレンズ性能がよいことを示し、スポット径(直径)のRMS値が撮像素子の画素サイズ(1画素)と一致するように設計するのが理想である。RMS値の規格値が2であるということは、スポットが左右両隣の画素の中央位置まで占めることを意味する。規格値が2を超えるとスポットが両隣の画素の中央位置を越え、性能に影響を与える。したがって、RMS値は、実施例1から9の各スペックのレンズデータにおいて最小値となる値の2倍以内にする必要がある。このときのP1の範囲は、図23より4.5<P1<9.0となる。より好ましくは、RMS値を最小値の1.5倍未満にするのがよく、両隣の画素への影響がより少なく色収差の影響が目立たなくなる。このときのP1の範囲は5.0<P1<7.3である。さらに好ましくは、RMS値を最小値の1.2倍未満にするのがよく、このときのP1の範囲は5.2<P1<6.8である。この状態でも、ベストな状態(RMS値1)に比べ、解像度の低下を5〜15%以内に抑えることができるため、ベストな状態と遜色ない良好なレンズが得られる。
次に、上述の実施例1〜9に対する比較例を説明する。
(比較例1)
図24は、比較例1の撮像装置201を示す断面図である。撮像装置201は、2枚組撮像光学系220と、カバーガラス223と、撮像素子224と、絞り225とを備える。2枚組撮像光学系220は、凹レンズ221および凸レンズ222の2枚のレンズを備える。撮像装置201は、実施例1の撮像装置101の凸レンズ22(図4)のアッベ数を27.9から20に変更した撮像装置である。
比較例1の条件下ではP1=4.33となり、P1の値は条件式(1)の下限値4.5より下になっている。比較例1のスポット径のRMS値の規格値は2.30であり、スポット径が大きすぎ性能がよくない。
図25(a)は、比較例1の色収差を示す球面収差図であり、図25(b)は、比較例1の像面湾曲量を示す非点収差図である。図25(a)および図25(b)からわかるように、色補正不足の状態であり、フォーカスが合っていない波長のスポット幅が大きくなってしまっている。
(比較例2)
図26は、比較例2の撮像装置202を示す断面図である。撮像装置202は、2枚組撮像光学系240と、カバーガラス243と、撮像素子244と、絞り245とを備える。2枚組撮像光学系240は、凹レンズ241および凸レンズ242の2枚のレンズを備える。撮像装置202は、実施例1の撮像装置101の凸レンズ22(図4)のアッベ数を27.9から45に変更した撮像装置である。
比較例2の条件下ではP1=9.74となり、P1の値は条件式(1)の上限値9.0を超えている。比較例2のスポット径のRMS値の規格値は2.20であり、スポット径が大きすぎ性能がよくない。
図27(a)は、比較例2の色収差を示す球面収差図であり、図27(b)は、比較例2の像面湾曲量を示す非点収差図である。図27(a)および図27(b)からわかるように、色補正過剰の状態であり、フォーカスが合っていない波長のスポット幅が大きくなってしまっている。
本発明は、超広角での撮影が求められる技術分野において特に有用である。例えば、車載カメラや監視カメラの分野において特に有用である。
11、21、51、71、91、111、131、151、171、191、221、241 凹レンズ
12、22、52、72、92、112、132、152、172、192、222、242 凸レンズ
13、23、53、73、93、113、133、153、173、193、223、243 カバーガラス
14、24、54、74、94、114、134、154、174、194、224、244 撮像素子
15、25、55、75、95、115、135、155、175、195、225、245 絞り
16 光
17 回折格子
18、196 保護膜
10、20、50、70、90、110、130、150、170、190、220、240 2枚組撮像光学系
100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、201、202 撮像装置

Claims (11)

  1. 凹レンズと、
    回折格子が設けられた凸レンズと
    を備えた2枚組撮像光学系であって、
    下記の式(1)
    4.5 < P1=(1 − f/fa)・νd < 9.0 (1)
    を満たし、ここで、fは前記2枚組撮像光学系の有効焦点距離であり、faは前記回折格子を除いたときの前記2枚組撮像光学系の有効焦点距離であり、νdは前記凸レンズの材料のd線でのアッベ数である、2枚組撮像光学系。
  2. 前記2枚組撮像光学系が下記の式(2)
    5.0 < P1=(1 − f/fa)・νd < 7.3 (2)
    を満たす、請求項1に記載の2枚組撮像光学系。
  3. 前記2枚組撮像光学系が下記の式(3)
    5.2 < P1=(1 − f/fa)・νd < 6.8 (3)
    を満たす、請求項1に記載の2枚組撮像光学系。
  4. 前記凹レンズはメニスカス凹レンズである、請求項1から3のいずれかに記載の2枚組撮像光学系。
  5. 前記メニスカス凹レンズが下記の式(4)
    2.8 < P2=(Cl1/Cl2)・nd1 < 4.5 (4)
    を満たし、ここで、Cl1は前記メニスカス凹レンズの撮像対象側の面の有効半径であり、Cl2は前記メニスカス凹レンズの像側の面の有効半径であり、nd1は前記メニスカス凹レンズのd線での屈折率である、請求項4に記載の2枚組撮像光学系。
  6. 前記メニスカス凹レンズが下記の式(5)
    d1 > 1.5 (5)
    を満たす、請求項4または5に記載の2枚組撮像光学系。
  7. 前記2枚組撮像光学系が下記の式(6)
    P3=h/[(1 − |Ds|/100)・f] > 3.4 (6)
    を満たし、ここで、hは像高であり、Dsは前記2枚組撮像光学系のディストーション値である、請求項1から6のいずれかに記載の2枚組撮像光学系。
  8. 前記凹レンズはガラス材料から形成されている、請求項1から7のいずれかに記載の2枚組撮像光学系。
  9. 前記凹レンズは両面ともに球面形状を有する、請求項8に記載の2枚組撮像光学系。
  10. 前記回折格子は、前記凸レンズの両面のうちの一方の面に設けられており、他方の面には設けられていない、請求項1から9のいずれかに記載の2枚組撮像光学系。
  11. 請求項1から10のいずれかに記載の2枚組撮像光学系と、
    前記2枚組撮像光学系の画角と入射光量を規定する絞りと、
    前記2枚組撮像光学系によって形成された像を受光する撮像素子と
    を備える、撮像装置。
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