本発明は、液晶テレビなどの非自発光型表示装置に用いられる薄型で高輝度の液晶バックライトと、これを用いた液晶表示装置とに関する。
液晶表示装置は、液晶分子の配向による電気光学効果を利用して背面から照射される光の透過量を制御することにより画像を表示する方式を用いており、一般的には蛍光表示管などにより構成されるバックライトユニットと呼ばれる面状の照明装置を必要とする。近年、このような液晶表示装置では、大画面化が進み、50型サイズ以上のテレビ用のディスプレイ装置まで実用化されてきている。しかしながら、大型化に伴い消費電力も増加してきていることから、低消費電力化を実現する技術開発が望まれているとともに、設置する室内での占有空間をできるだけ少なくするために、薄型化も強く望まれている。また、同時に高輝度化及び高精細度化も望まれている。
このような要望のうち低消費電力化及び高輝度化に対応するために、発光効率の良い光源として発光ダイオード(以下、LEDとする)やレーザを使用することが検討され、LEDを光源とする液晶バックライトは、既に実用化もされている。しかしながら、さらなる低消費電力化、高輝度化、及び広色域化に対応するためにレーザ光源を用いる場合には、液晶パネルを背面照射する液晶バックライトの埃耐性を向上させることが重要である。なぜなら、レーザ光はその直進性から小さく集光して用いることで、装置の小型化等の差別化要因となるが、その反面、光学部品の面上に微小な埃などが堆積すると、レーザ光の透過率の低下や輝度ムラといった画像表示装置の画質上の課題が生じることが挙げられる。
このような課題の対策として、液晶表示装置の光学部品の組立を埃の少ないクリーンルームで行なうことや、埃が外部から入らないようにするために液晶表示装置の光学系を物理的に密閉することが考えられる。しかしながら、光学系を含めた液晶バックライトの温度上昇を抑制するための効率的な冷却の必要性や液晶表示装置の製作コストなどを考慮すると、このような対策は、現実的ではないと考えられる。
ところで、画像記録装置、プリンタ及びファクシミリなどのレーザ光を偏向して信号検出や信号記録を行なう光学系において、レーザ光の偏向によってレーザ光の入射角が変化するミラーをその面法線が水平より下向きになるように設置して埃などのミラーへの付着を防止することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このことにより、埃だけでなく、トナーなどもミラーに付着することを防止し、反射率の低下及び反射ムラの低下を抑えることができるとしている。
また、多色画像出力装置において、各露光部を感光体の上半周に配置することにより、この露光部に光を導くための反射ミラーのミラー面を下向きに配置することができ、ミラー面に埃などが自重により付着することを防止できるとしている(例えば、特許文献2参照)。このことにより、ミラー面において反射光又はレーザ光を損なわずに埃などによる画質の劣化が生じることがないとしている。
また、レーザプリンタなどのデジタルゼログラフィ方式の画像形成装置において、レーザ光の出射窓と感光体との間の距離及び光ビームの感光体上でのスポット径を調整することにより、出射窓に埃が付着したときの埃による感光体表面での光ビームの光量低下が所定の割合以内に収まるとしている(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、上記で説明した従来技術においては、レーザ光を垂直面ではなく水平面の面方向において偏向して走査する構成が示されているものの、薄型の液晶バックライト及び液晶表示装置に適用可能な垂直面の面方向においてレーザ光を走査する最適な構成については、具体的に示されていないという課題があった。
即ち、従来のレーザプリンタ等は、その装置形態として薄型且つ縦型ではないため、装置内の光学系の典型的な配置として、レーザ光学系は、筐体内の略水平に載置された光学定盤上に配置される。このため、レーザ光は、同一水平面内において導かれ、最後は感光体等に向けて斜め下に打ち下ろす構成が取られており、各光学部品のレーザ光の入射面及び出射面の法線方向は、必然的に水平方向以下になる。したがって、たとえ波長の異なる複数の光源を用いた場合でも、埃等の堆積は起こりにくい構造であった。
一方で、レーザ光を用いて液晶バックライトの光学系を構成する場合、光学定盤を垂直に配置した状態で液晶パネル背面に光学系を構成することにより、超薄型の液晶テレビを構成することが可能になる。この場合、光学系を構成する各光学部品の側面に埃が堆積することになり、レーザ光が透過する側面に埃が堆積すると、埃によるレーザ光透過率の低下に起因する液晶バックライトの輝度の低下や、埃によるレーザ光の部分的な蹴られのために生じる輝度ムラといった課題があった。
また、レーザプリンタ等では、用いられるレーザ光の強度も低く、ミリワット程度であり、さらには赤外光が用いられる場合が多いが、液晶テレビの光源には、ワット程度とハイパワーな光源を用い、しかも青色の短波長の光源も含まれるため、光学部品の表面に誘起される静電気により、埃が付き易くなるといった課題があった。
特開昭53−142247号公報
特開昭61−270772号公報
特開2002−337386号公報
本発明の目的は、薄型を維持しながら、光学部品に対する埃等の堆積に起因する輝度の低下や輝度ムラのない高信頼性の液晶バックライトを提供することである。
本発明の一局面に従う液晶バックライトは、レーザ光を出射するレーザ光源部と、前記レーザ光源部からのレーザ光を線状光に変換する変換光学系と、前記線状光を入射して水平方向に二次元光を出射する導光板とを備え、前記レーザ光源部の光出射面は、その面法線が水平方向又は水平方向より下側を向くように前記導光板の背面側に配置され、前記変換光学系は、可動部を有しない固定光学部品を含み、前記固定光学部品は、その光透過面及び光反射面の面法線が全て水平方向又は水平方向より下側を向くように前記導光板の背面側に配置される。
上記の構成により、薄型を維持しながら、光学部品に対する埃等の堆積に起因する輝度の低下や輝度ムラのない高信頼性の液晶バックライトを実現することができる。
本発明の実施の形態1に係る液晶バックライトの概略構成を示す斜視図である。
一般的な走査光学系の概略構成図である。
複数光源を合波しないで用いた場合の走査光学系の概略構成図である。
複数光源を合波して用いた場合の走査光学系の概略構成図である。
拡散粒子を内部に含んだ導光板における光の拡散の概念図である。
導光板のレーザ光入射側面におけるビーム直径を説明するための模式図である。
本発明の実施の形態1に係る液晶バックライトに用いられる半導体レーザ光源の一例の概略構成図である。
図7に示す半導体レーザ光源のレーザ光の強度分布を示す図である。
本発明の実施の形態1に係る液晶バックライトに用いられる他の半導体レーザ光源の一例の概略構成図である。
本発明の実施の形態1に係る液晶バックライトを用いた液晶表示装置の概略構成を示す断面図である。
本発明の実施の形態2に係る液晶バックライトの概略構成を示す斜視図である。
図11に示す液晶バックライトの光源周辺の概略構成図である。
本発明の実施の形態3に係る液晶バックライトの概略構成を示す斜視図である。
本発明の実施の形態4に係る液晶バックライトの概略構成を示す斜視図である。
本発明の実施の形態4に係る他の液晶バックライトの概略構成を示す斜視図である。
本発明の実施の形態4に係る他の液晶バックライトの概略構成を示す斜視図である。
本発明の実施の形態5に係る液晶バックライトの概略構成を示す側面図である。
本発明の実施の形態5に係る液晶バックライトの概略構成を示す斜視図である。
本発明の実施の形態5に係る他の液晶バックライトの概略構成図である。
本発明の実施の形態6に係る液晶バックライトの概略構成図である。
本発明の実施の形態6に係る他の液晶バックライトの概略構成図である。
本発明の実施の形態6に係る他の液晶バックライトの概略構成図である。
本発明の実施の形態7に係る液晶バックライトの概略構成図である。
本発明の実施の形態7に係る他の液晶バックライトの概略構成図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。尚、同じ要素には同じ符号を付しており、説明を省略する場合がある。また、図面は、理解しやすくするためにそれぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、形状等については正確な表示ではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る液晶バックライト10の概略構成図である。本液晶バックライト10は、複数のレーザ光11(赤色レーザ光11R、緑色レーザ光11G、青色レーザ光11B)を出射する複数の光源12(赤色光源12R、緑色光源12G、青色光源12B)と、複数のレンズ21(赤色レーザ光用レンズ21R、緑色レーザ光用レンズ21G、青色レーザ光用レンズ21B)と、複数のミラー13(赤色レーザ光反射ミラー13R、緑色レーザ光反射ミラー13G、青色レーザ光反射ミラー13B)と、回転多面鏡14と、走査レンズ15と、折り返しミラー16(前側折り返しミラー16a、後側折り返しミラー16b)と、導光板17と、各光学部品を支持する光学定盤18とからなる。
本実施の形態1の液晶バックライト10では、レンズ21、ミラー13、回転多面鏡14、走査レンズ15及び折り返しミラー16から変換光学系が構成され、例えば、光源12がレーザ光源部の一例に相当し、光源12、レンズ21、ミラー13、回転多面鏡14及び走査レンズ15が、導光板17の背面側の光学定盤18の上に設置され、レンズ21、ミラー13及び走査レンズ15が、可動部を有しない固定光学部品の一例に相当し、折り返しミラー16が導光板17の側面17b側に配置される反射素子の一例に相当し、レンズ21の入射面及び出射面、並びに、走査レンズ15の入射面及び出射面が固定光学部品の光透過面の一例に相当し、ミラー13の反射面が固定光学部品の光反射面の一例に相当し、光源12の出射端面19がレーザ光源部の光出射面の一例に相当し、折り返しミラー16の反射面が反射素子の光反射面の一例に相当する。
次に、本液晶バックライトの動作の仕組みを説明する。赤色光源12R、緑色光源12G、及び青色光源12Bは、上から下に一列に配置され、各レーザ光11は、各光源12の出射端面19(赤色レーザ光出射端面19R、緑色レーザ光出射端面19G、青色レーザ光出射端面19B)から出射している。光源12から出射した各レーザ光11は、レンズ21で集光されながらミラー13に入射し、赤、青、緑の色毎に異なる角度で回転多面鏡14に向かって反射される。回転多面鏡14が図中の矢印の向きに回転することにより、回転多面鏡14に入射したレーザ光11は、反射されつつ偏向され、走査光として走査レンズ15に入射される。走査レンズ15としては、例えばfθレンズのように、走査面上での走査速度を均一化させるためのレンズ群等を用いることができる。尚、走査レンズ15は、一枚のレンズで図示されているが、複数枚のレンズでも全く構わない。
折り返しミラー16は、一方の長辺が接続された前側折り返しミラー16a及び後側折り返しミラー16bからなり、導光板17の側面17b側に配置され、図示していない所定の支持部材を介して又は直接的に光学定盤18に固定されている。走査レンズ15を透過したレーザ光11は、図中Xの方向に走査されながら、折り返しミラー16によりその向きを180度変えて、導光板17の側面17bから導光板17に入射する。
通常、導光板17の側面17bに対する走査範囲は、各赤、青、緑とも導光板17の側面17bの上のみであることが望ましく、導光板17の側面17bから外れた領域を走査しないことで、高効率な液晶バックライトを構成することが可能になる。回転多面鏡14に対して、各赤色レーザ光11R、緑色レーザ光11G、及び青色レーザ光11Bは、異なる角度で入射しているが、入射する位置を互いに違えることで、導光板17の側面17bを走査するタイミングは違うが、同一の領域を走査することができる。また、導光板17は、通常10mm以下の厚みと薄いため、走査レンズ15に導光板17上で厚み方向に集光させるように、導光板17の厚み方向にパワーを持つ機能をつけても構わない。
導光板17は、その内部に光を拡散させる複数の拡散粒子を含み、拡散粒子としては、例えば、マイクロメータオーダの微粒子からなる拡散ビーズを用いることができる。導光板17の側面17bから導光板17に入射したレーザ光11は、導光板17内の拡散ビーズにより拡散されながら、導光板17の出射面17a(紙面裏側)から面状の照明光として出射する。尚、導光板17の背面(導光板17と光学定盤18との間の面)には、反射膜等を適宜形成するようにしてもよい。
以上のように、光源12を出射したばかりのレーザ光11の断面形状は点であったが、変換光学系を透過したレーザ光11は、断面形状が線状のレーザ光に変換されて、導光板17に入射し、導光板17に入射したレーザ光11は、断面形状が面状のレーザ光に変換されて、導光板17から二次元光が出射されていることが分かる。
ここで、液晶バックライト10は、液晶テレビ等の液晶表示装置のバックライトとして用いられるが、液晶表示装置は通常はその画面を垂直に立て視聴するため、本液晶バックライト10も、光学定盤18が垂直に立った状態で設置されることになる。本実施の形態では、導光板17の出射面17aの長手方向(図面左右方向)や導光板17の厚み方向(図面奥行方向)を水平方向、導光板17の出射面17aの短手方向(図面上下方向)を垂直方向と呼ぶことにする。よって、導光板17から出射するレーザ光11は、水平方向に二次元光として出射していることになる。
一般に、従来のレーザプリンタ等で使用される走査光学系は、例えば典型的には図2の走査光学系500に示す通り、略水平に載置された光学定盤502の上に、光源501、折り返しミラー503、レンズ504、スキャナ505、走査レンズ506、走査ミラー507が配置され、光源501から出射されたレーザ光を感光ドラム508上にラスタスキャンする方式が取られる。
この場合、光学定盤502が略水平面上に配置されているため、各光学部品でレーザ光が透過又は反射する面は、その法線方向が全て水平もしくは水平より下を向いており、このままで必然的にレーザ光の透過面及び反射面に埃が堆積しにくい構造になっているといえる。しかし、この構造のまま、光学定盤502を略垂直に立てた場合、仮に光学定盤502の長辺方向が水平になるように立てると、レンズ504の透過面の法線方向は、垂直方向を向くことになり、レンズ504のレーザ光入射面に埃が堆積する。この結果、堆積した埃によりレーザ光がロスしてレーザ光量が低下して輝度の低下や輝度ムラの原因となるために、レーザプリンタ等で使用される従来の走査光学系の構成は、液晶バックライトには使えない。
そこで、本液晶バックライト10では、レーザ光源部である光源12の出射端面19は、その面法線方向が水平方向もしくは水平方向よりも下側を向くように、固定光学部品であるレンズ21、ミラー13、走査レンズ15、及び反射素子である折り返しミラー16は、各レーザ光11の透過面もしくは反射面の面法線方向が、水平方向もしくは水平方向よりも下側を向くように、即ち、面法線方向と重力方向との成す角度が90度以下になるようにそれぞれ配置される。ここで、透過面又は反射面等が球面状の曲面の場合、その面法線とは、透過面もしくは反射面等の光軸中心点における接線に垂直な直線を意味するものとする。
例えば、本実施の形態では、光源12は、出射端面19の面法線方向が水平方向を向くように配置され、レンズ21、走査レンズ15、及び折り返しミラー16は、そのレーザ光11の透過面もしくは反射面の面法線方向が水平方向を向くように配置され、ミラー13は、そのレーザ光11の反射面の法線方向が水平方向よりも下側を向くように配置される。
こうすることで、液晶表示装置内を浮遊する埃が、光源12の出射端面19、変換光学系の内の各固定光学部品及び折り返しミラー16のレーザ光の透過面もしくは反射面に堆積することを防ぐことができる。よって、本液晶バックライト10を使用した液晶表示装置では、長期に及ぶ使用であっても、埃の堆積に起因する輝度の低下や輝度ムラの発生の無い、信頼性の高い液晶表示装置を構成することができる。
尚、変換光学系の内、可動部を有する可動光学部品である回転多面鏡14は、その反射面の内いずれかは、その法線方向が水平方向よりも上向きになる面が出てくるが、仮にその面に埃が一時的に堆積したとしても、回転多面鏡14が回転することで、その埃は飛散することになり、全く問題にならない。
さらに、本液晶バックライト10のように光源12に複数の光源を用いる場合、各レーザ光11R、11G、11Bの主光線を一度も重ねない構成とすることで、各光学部品の透過面もしくは反射面の面法線方向が、水平方向もしくは水平方向よりも下側を向くように構成することができるため、埃の堆積による輝度の低下や輝度ムラの発生のない液晶バックライト10を構成することができる。
図1において、赤色レーザ光11R、緑色レーザ光11G、青色レーザ光11Bの主光線を、それぞれ実線、点線、一点鎖線で示している。ここで、本明細書において、主光線が「重なる」とは、実線、点線、一点鎖線のどれか二つの線分が、所定長さの領域で同じ位置にあることを意味するものとし、一点で「交わる」こととは区別している。例えば、図1で、赤色レーザ光反射ミラー13Rを反射した赤色レーザ光11Rと、緑色レーザ光反射ミラー13Gで反射する前の緑色レーザ光11Gは、「交わって」いるが、「重なって」はいない。
ここで、レーザプリンタ等においては、通常、光センサ等を用いて記録開始タイミングを検出する必要があるが、図3の走査光学系510のように、互いに異なる波長のレーザ光源501R、501G、501Bを用いて走査する場合、合波せずに個別に各レーザ光を走査すると、波長毎の記録タイミングを区別するために、各レーザ光源に対応するセンサが必要になる。図3の走査光学系510では、レーザ光源501Rに対してはセンサ509R、レーザ光源501Gに対してはセンサ509G、レーザ光源501Bに対してはセンサ509Bが必要になるため、高コストで複雑な構成になる。
このため、図4に示す走査光学系520のように、走査する前にクロスプリズム511(又はダイクロイックミラー等)でレーザ光源501R、501G、501Bからのレーザ光を合波して(重ねて)、合波後のレーザ光を単一のセンサ509で検出することが安価で簡便な好ましい構成と言える。しかしながら、走査光学系520のように、クロスプリズム511を導光板17の背面側に配置し、3個のレーザ光源からの3本のレーザ光を合波した場合、クロスプリズム511の少なくとも一面は、水平方向を向くこととなり、この面に埃が堆積することとなる。
一方、本液晶バックライト10の走査光学系は、照明光学系であるために、記録開始タイミングを検出する必要はないため、通常必要とされる合波は不要になり、合波しないこと、即ち、各レーザ光の主光線を重ねないことで、埃の堆積による輝度の低下等を防止することができるとともに、合波用の光学部品が不要となり、コスト的にも有利な構成となる。このように、各レーザ光の主光線を重ねない構成とすることで、埃の堆積による輝度の低下のない高信頼性の液晶バックライトを、ダイクロイックミラーやクロスプリズム等の合波素子を使用せずに、安価に構成することが可能になる。
尚、導光板17の厚み方向に光源12を積層することで、埃が積層されない状態で合波することも可能であるが、その場合、液晶バックライトの厚みが光源部分だけは厚くなってしまい、薄型の液晶バックライトを構築することができなくなる。よって、薄型を維持しながら、埃の堆積による輝度の低下のない高信頼性の液晶バックライトを構成するには、上述の通り、光源12を、導光板17の厚み方向に積層することなく、導光板17の背面側に配置し(例えば、光学定盤18の固定面上に上下方向に沿って一列に配置し)、各レーザ光の主光線を重ねない構成とすることが好ましい。
また、液晶バックライト10では、上で述べたように、導光板17は、内部に散乱粒子を含んでいる。図5は、拡散粒子を内部に含んだ導光板における光の拡散の概念図である。図5に示すように、複数の散乱粒子17cにより、導光板17の側面から入射したレーザ光11は、導光板17内で反射を繰り返し、導光板17の広範囲(例えば、図5の点線で囲む領域)から出射することになる。例えば、導光板17上のP点では、導光板17の側面から入射する二本のレーザ光11に挟まれた領域RAに入射するレーザ光全てが少しずつ寄与することになる。よって、導光板17の側面に細かな埃が付着したとしても、輝度ムラは、ほとんど視認されないことになり、液晶バックライト10は、輝度ムラの観点で埃の影響をほとんど受けない、高信頼性の液晶バックライトとなる。
また、上記のP点に関して、導光板17の側面から入射する二本のレーザ光11に挟まれた領域RAに入射するレーザ光全てが寄与することになり、スペックルパターンがレーザ光11の入射位置により変動するため、スペックルパターンが視認されにくい液晶バックライトを構成することができる。
さらに、本液晶バックライト10では、図6に示すように、導光板17に入射するレーザ光11の厚さ方向のビーム直径Φを、走査領域Wの中の少なくとも一箇所で、導光板17の厚さDの90%以上になるように(より好ましくは、95%以上になるように、さらに好ましくは、98%以上になるように)設定している。このように導光板17の厚さDに対して厚さ方向のビーム直径Φを大きくとることで、仮に導光板17のレーザ光11が入射する側面に埃が付着した場合であっても、導光板17の側面を照明するレーザ光11の内、付着したホコリで蹴られる光量の割合を低減することができるため、導光板17から出射される二次元分布上の輝度ムラをさらに抑えることができる。
尚、本液晶バックライト10において、導光板17は内部に拡散粒子を含む構造としたが、ここで説明した、厚さ方向のビーム直径Φを導光板17の厚さDの90%以上にすることによる効果は、導光板17の内部に拡散粒子を含む、含まないに関係なく、効果を有するものであり、導光板の構成によって制限されるものではない。
また、液晶バックライト10の光源12として、カバーガラスにマイクロレンズアレイを形成した半導体レーザ光源を用いるようにしてもよく、この場合、さらに埃の付着を防止できる液晶バックライトを構成することができる。例えば、図7のように、半導体レーザ光源22は、CANパッケージ24の中に半導体レーザが封入されたレーザ光源であり、カバーガラスとしてマイクロレンズアレイ23を用いていることを特徴としている。
上で述べたとおり、液晶表示装置の光源には、ワット程度とハイパワーな光源を用い、しかも青色の短波長の光源も含まれるため、硝材によるレーザ光吸収による焦電効果等により硝材表面の光路周辺に静電気が発生し、このように光学部品の表面に誘起される静電気により、埃が付き易くなる。一方で、レーザ光源のパワー分布は、図8に示す通りガウシアン分布GDを示すものが多く、中央部のパワー密度が周辺部より高くなっている。これに対して、半導体レーザ光源22から出射されるレーザ光のパワー分布は、マイクロレンズアレイ23を通過することにより、図8に示すように、強度が均一化された分布ADを示す。
この場合、トータルのパワーを維持したまま中央部のパワー密度が低下しているため、本半導体レーザ光源22から出射したレーザ光が透過又は反射する、半導体レーザ光源22より下流に存在する全ての光学部品において、静電気による埃の付着を防止することができ、輝度の低下が抑えられた高信頼性の液晶バックライト10を構成することができる。
尚、マイクロレンズアレイの形成方法は、上記の例に特に限定されず、例えば、図9のように、CANパッケージ24の内側にマイクロレンズアレイ23aを形成することで、埃を含む外気と接するカバーガラス23bの外側でのレーザ光強度分布を、ガウシアン分布よりも平坦にすることができる。この場合、さらに静電気による埃の付着を抑えることができ、さらに輝度の低下が抑えられた高信頼性の液晶バックライト10を構成することができる。また、ここで述べた半導体レーザ光源22等の効果は、本実施の形態1に係る液晶バックライトに限定するものではなく、他の液晶バックライトに使用した場合においても、同様な効果を有する。また、マイクロレンズアレイは、上記のようにカバーガラスと別体で構成してもよいし、カバーガラスと一体に構成してもよい。
次に、本実施の形態の液晶バックライト10を用いた、液晶表示装置を説明する。図10は、本発明の実施の形態1に係る液晶バックライトを用いた液晶表示装置の概略構成を示す断面図である。液晶表示装置30は、液晶バックライト10と、液晶表示パネル31とを備え、図10は、導光板17の出射面17aから出射したレーザ光で液晶表示パネル31を露光した状態を示し、図1の液晶バックライト10を上から見たときの断面図である。
液晶表示パネル31は、入射側偏光フィルム37、ガラス基板32、34、液晶層33、カラーフィルタ35、出射側偏光フィルム36、及び拡散板38から構成され、カラーフィルタ35は、赤光用カラーフィルタ35R、緑光用カラーフィルタ35G、及び青光用カラーフィルタ35Bからなる。液晶バックライト10から出射したレーザ光は、入射側偏光フィルム37を経て単一偏光に変換された後、ガラス基板32を経由して液晶層33を透過し、画像データに応じて偏光方向が回転される。その後、カラーフィルタ35にて不要な色が削除された光は、ガラス基板34及び出射側偏光フィルム36を経て、最後に拡散板38にて視野角を広げて出射され、視聴に至る。
一般に、テレビ等の画像表示装置は、家屋内に設置された場合、部屋内の埃を被るため、何の埃対策も施さないまま数年経過すると、テレビ内には埃が積層する。例えば、液晶バックライトの光学系もルーバ等で通気良くした状態でカバーすることで、液晶バックライトに積層する埃の量を低減することは可能である。しかし、さらなる埃対策を盛り込むことで、さらに高信頼性の液晶バックライトを構成することができる。本液晶表示装置30は、液晶バックライト10で示したとおり、埃の積層を免れる構成であるため、長期の使用であっても、埃の積層による光量の低下等の問題がなく、埃による輝度ムラの発生を抑えた高信頼性の液晶表示装置を安価に構成することができる。
また、本液晶表示装置30は、光源にレーザを用いているため、通常用いられる冷陰極管やLED等を用いたバックライトを備える液晶表示装置と比較しても、色再現範囲が広く、高画質な液晶表示装置を構成することができる。尚、レーザ光の走査には、回転多面鏡以外にガルバノミラーやMEMSミラー等の反射偏向素子を用いても構わない。
(実施の形態2)
図11は、本発明の実施の形態2に係る液晶バックライト40の概略構成を示す斜視図であり、図12は、図11に示す液晶バックライトの光源周辺の概略構成図である。液晶バックライト40は、実施の形態1に係る液晶バックライト10に類似の構成を取っているが、構成要素として、導光板17の背面部からは別体に置かれた光源部42、ファイバ(光ファイバ)49、ファイバ49の出射端部41、及びファイバコリメータ43を備える点が実施の形態1と異なる。また、光源部42は、複数の光源12(赤色光源12R、緑色光源12G、青色光源12B)に加えて、青色レーザ光反射ミラー45、赤色レーザ光反射ミラー48、及びダイクロイックミラー46、47を備え、ファイバ49の出射端部41の出射端面50から出射するレーザ光が白色光44である点が実施の形態1と異なる。
次に、本液晶バックライト40の動作について、主に実施の形態1の液晶バックライト10との違いを説明する。まず、本液晶バックライト40は、上述の通り、光源としては導光板17の背面部からは別体に置かれた光源部42を有している。光源部42は、図12に示す通り、その内部に光源12(赤色光源12R、緑色光源12G、青色光源12B)を持っており、光源12から出射されたレーザ光11の内、赤色レーザ光11Rは、赤色レーザ光反射ミラー48で反射され、さらにダイクロイックミラー47でも反射され、緑色光源12Gから出射した緑色レーザ光11Gと合波される。さらに、青色光源12Bから出射した青色レーザ光11Bは、青色レーザ光反射ミラー45で反射され、ダイクロイックミラー46でさらに反射されて、赤色レーザ光11R及び緑色レーザ光11Gと合波され、ファイバ49に結合される。
ファイバ49内を伝播した各レーザ光11は、出射端部41から3色が混合された白色光44として出射し、さらにファイバコリメータ43で略平行光に変換される。ファイバコリメータ43で略平行光に変換された白色光44は、ミラー13で反射され、回転多面鏡14で偏向走査される。以降の動作は、三色のレーザ光が白色光44一本になった以外は液晶バックライト10と同じである。
尚、本実施の形態2の液晶バックライト40において、光源部42、ファイバ49及び出射端部41からレーザ光源部が構成され、変換光学系には、ファイバコリメータ43、ミラー13、回転多面鏡14、走査レンズ15、折り返しミラー16が含まれる。また、出射端部41、ファイバコリメータ43、ミラー13及び走査レンズ15が、導光板17の背面側の光学定盤18の上に設置され、ファイバコリメータ43、ミラー13及び走査レンズ15が、可動部を有しない固定光学部品の一例に相当し、折り返しミラー16が導光板の側面側に配置される反射素子の一例に相当し、ファイバコリメータ43の入射面及び出射面、並びに、走査レンズ15の入射面及び出射面が固定光学部品の光透過面の一例に相当し、ミラー13の反射面が固定光学部品の光反射面の一例に相当し、出射端部41の出射端面50がレーザ光源部の光出射面の一例に相当し、折り返しミラー16の反射面が反射素子の光反射面の一例に相当する。尚、ここで、ファイバコリメータ43と走査レンズ15とは、アクロマートレンズであることが望ましい。
上述の通り、導光板17の背面部から離間した位置に光源部42を別に置く構成を取ることで、光源部42内部において水平面上に複数の光源12を配列した状態で、三色のレーザ光を合波することができる。この結果、各ダイクロイックミラー46、47の反射面及び透過面の面法線方向や、青色レーザ光反射ミラー45及び赤色レーザ光反射ミラー48の反射面の面法線方向を、常に水平方向に向かせることができるので、レーザ光の透過面や反射面への埃の堆積を防止することができる。また、ファイバ49への結合に図示していないレンズ等を用いたとしても、そのレンズのレーザ光の透過面の面法線方向を、同じく水平方向に向かせることができるため、レーザ光の透過面に埃が堆積することはなく、透過率の低減による輝度の低下のない、高信頼性の液晶バックライトを構成することができる。
また、導光板17の背面以外の場所ですでに合波された状態で白色光44が変換光学系に入射されることにより、導光板17の背面でのレーザ光の合波が不要になるため、出射端面50の面法線方向が水平方向を向くように、ファイバ49の出射端部41を導光板17の背面側に配置することができる。さらに、変換光学系等を構成する他の素子に関しても、ファイバコリメータ43、走査レンズ15、折り返しミラー16は、そのレーザ光の反射面もしくは透過面の面法線方向を水平方向に向かせることができ、ミラー13も、その反射面の面法線方向を水平方向より下側に向かせることができる。
こうすることで、レーザ光の透過面もしくは反射面に埃の堆積を防止することができるため、長期の使用においても、埃の堆積による導光板17の出射面17aからの光量低下を防止することができるため、高信頼性の液晶バックライトを構成することが可能である。
尚、変換光学系の内、回転多面鏡14は、実施の形態1でも述べたとおり、その反射面の内いずれかは、その法線方向が水平方向よりも上向きになる面が出てくるが、仮にその面に埃が一時的に堆積したとしても、回転多面鏡14が回転することで、その埃は飛散することになり、全く問題にならない。
(実施の形態3)
図13は、本発明の実施の形態3に係る液晶バックライト70の概略構成図である。本液晶バックライト70は、実施の形態2の液晶バックライト40と類似の構成であるが、光源として複数のレーザを一つの筐体内に納めたマルチ光源71を用いていることが異なる点であり、その他の構成は実施の形態2の液晶バックライト40と同様の構成である。
マルチ光源71から出射されたマルチレーザ光73は、コリメータ72で略平行光に変換された後、ミラー13で折り返され、回転多面鏡14で偏向走査される。回転多面鏡14で反射されたマルチレーザ光73は、走査レンズ15、折り返しミラー16を経由して導光板17にX方向に走査されながら入射する。本マルチ光源71を、例えば、赤、青、緑の各半導体レーザを納めた光源であるとすると、マルチレーザ光73は一本の白色レーザ光としてマルチ光源71の出射端面74から出射することになる。以降の動作は、実施の形態2の液晶バックライト40の場合に、ファイバ49を用いて伝搬させた白色光44を走査した場合と全く同様であるため、詳しい説明は省略する。尚、本液晶バックライト70において、コリメータ72や走査レンズ15は、アクロマートレンズであることが望ましい。
本実施の形態3の液晶バックライト70において、レーザ光源部は、マルチ光源71から構成され、変換光学系は、コリメータ72と、ミラー13と、回転多面鏡14と、走査レンズ15と、折り返しミラー16とで構成されており、すべて導光板17の背面の光学定盤18上に配置されている。このように、液晶バックライト70の光源にマルチ光源71を用いると、光源から出射される段階ですでに赤、青、緑色の各レーザ光が合波されていることになり、導光板17の背面でのレーザ光の合波が不要になる。
この結果、マルチ光源71の出射端面74の面法線方向を水平方向に向かせることができるとともに、変換光学系の固定光学部品である、コリメータ72、走査レンズ15及び、反射素子である折り返しミラー16は、そのマルチレーザ光73の透過面もしくは反射面の面法線方向を水平方向に向かせることができ、固定光学部品であるミラー13も、その反射面の面法線方向を水平方向よりも下側に向かせることができる。こうすることで、各固定光学部品のレーザ光の透過面もしくは反射面等に埃の堆積を防止することができるため、長期の使用においても、導光板17の出射面17aからの出射光量が変動したりすることがなく、高信頼性の液晶バックライトを構成することが可能である。
尚、変換光学系の内、回転多面鏡14は、実施の形態1でも述べたとおり、その反射面の内いずれかは、その法線方向が水平方向よりも上向きになる面が出てくるが、仮にその面に埃が一時的に堆積したとしても、回転多面鏡14が回転することで、その埃は飛散することになり、全く問題にならない。
(実施の形態4)
図14は、本発明の実施の形態4に係る液晶バックライト80の概略構成図である。液晶バックライト80は、実施の形態3で示した液晶バックライト70と類似の構成であるが、マルチ光源71から折り返しミラー16までのレーザ光源部及び変換光学系を二つ用い、光学定盤18上に左右両側に配列したことが異なる点である。マルチ光源71を出射してから導光板17に入射するまでの動作の仕組みは、実施の形態3と全く同じであるため、改めての説明は割愛する。
図14のように、マルチレーザ光73が左右から入射することで、さらに導光板17の左右方向の輝度均一性に優れた、高画質な液晶バックライトを提供することができる。もちろん、本実施の形態でも、液晶バックライト70と同様に、マルチ光源71を用いることで、変換光学系を構成する光学部品のマルチレーザ光73の透過面もしくは反射面等の面法線方向は、水平方向もしくは水平方向より下側に向いているので、埃の堆積による輝度の低下等のない、高信頼性の液晶バックライトを構築することができる。
図15は、本発明の実施の形態4に係る他の液晶バックライト85の概略構成図である。本液晶バックライト85は、液晶バックライト80と類似の光学系であるが、単一の回転多面鏡14を2つの変換光学系で共用している点が異なる。回転多面鏡14は、複数面を有しているため、液晶バックライト85のように、単一の回転多面鏡14を用いて、複数方向にマルチレーザ光73を走査することが可能である。よって、本液晶バックライト85においても、液晶バックライト80と同様の効果である、埃堆積による輝度低下防止と、さらなる輝度の均一化と、という二つの効果に加え、さらに低コスト且つ簡便な構成で達成することが可能になる。
図16は、本発明の実施の形態4に係る他の液晶バックライト90の概略構成図である。本液晶バックライト90は、マルチ光源71から折り返しミラー16までのレーザ光源部及び変換光学系を二つ用い、光学定盤18上に左右両側に配列しており、液晶バックライト80と類似の構成であるが、回転多面鏡14を用いずに、二つのラインディフューザ91を用いている点が異なる。
本液晶バックライト90の動作のしくみを説明する。マルチ光源71から出射したマルチレーザ光73は、コリメータ72により略平行光に変換され、ラインディフューザ91に入射する。一般に、ラインディフューザは、断面形状が点状のレーザ光を所定角度で拡散させる機能を持っており、ここで用いるラインディフューザ91は、断面形状が点状のマルチレーザ光73を断面形状が線状のレーザ光に変換する機能を有しており、液晶バックライト80の回転多面鏡14の代わりに、線状光を作成する。ラインディフューザ91を透過したマルチレーザ光73は、レンズ92により導光板17の側面を照射するように調整され、折り返しミラー16で折り返されて導光板17に入射する。以降の動作は、液晶バックライト80等と全く同じである。なお、ラインディフューザとしては、ホログラムレンズシートや、非球面レンズ等で構成することでも可能である。
本液晶バックライト90では、マルチレーザ光73の出射端面74がレーザ光源部の光出射面の一例に相当し、変換光学系は、コリメータ72、ラインディフューザ91、レンズ92、折り返しミラー16から構成されている。本液晶バックライト90の変換光学系に可動光学部品はなく、すべて固定光学部品である。
また、本実施の形態でも、液晶バックライト80、85と同様に、マルチ光源71を用いており、導光板17の背面側で合波する必要がないため、本液晶バックライト90で追加したラインディフューザ91及びレンズ92ともに、マルチレーザ光73の透過面もしくは反射面の面法線方向を、水平方向に向かせることができる。この結果、埃の堆積が防止されるため、画面の左右輝度ムラがなく、さらに埃の堆積による光量の低下等のない、高信頼性の液晶バックライトを構成することが可能である。
尚、本実施の形態の液晶バックライト80、85、90は、レーザ光源部として、マルチ光源71を用いて説明したが、実施の形態1の液晶バックライト10の光源12や、実施の形態2の液晶バックライト40のように、ファイバを用いて外部からのレーザ光11を導光するレーザ光源部でも、同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態の液晶バックライト80、85の変換光学系の内、回転多面鏡14は、実施の形態1でも述べたとおり、その反射面の内いずれかは、その法線方向が水平方向よりも上向きになる面が出てくるが、仮にその面に埃が一時的に堆積したとしても、回転多面鏡14が回転することで、その埃は飛散することになり、全く問題にならない。
(実施の形態5)
図17及び図18は、本発明の実施の形態5に係る液晶バックライト100の概略構成を示す側面図及び斜視図である。本液晶バックライト100は、導光板17に対し、導光板17の側面からではなく上面からマルチレーザ光73を入射している点が他の実施の形態とは異なる点である。また、導光板17に入射する前のレーザ光を折り返す折り返しミラー101は、シリンダーミラー101aと、平面ミラー101bとから構成されており、他の液晶バックライトで存在した走査レンズは無い。
本液晶バックライト100の動作のしくみを説明する。マルチ光源71から出射されたマルチレーザ光73は、コリメータ72で平行光に変換され、回転多面鏡14に入射して上向きに偏向され、図18の左側から右側へ走査される。その後、マルチレーザ光73は、シリンダーミラー101aで反射し、導光板17の厚さ方向に集光しながら、平面ミラー101bで反射し、導光板17の上面から導光板17に入射する。導光板17に入射してから出射する部分は、他の液晶バックライトと同じである。
本液晶バックライト100では、マルチ光源71の出射端面74がレーザ光源部の光出射面の一例に相当し、コリメータ72、回転多面鏡14、折り返しミラー101が変換光学系に該当する。本液晶バックライト100では、導光板17の厚さ方向への集光を、シリンダーミラー101aで行っており、シリンダーミラー101aの反射面の法線方向は、水平方向よりも下側を向いており、埃の堆積等の心配はない。また、導光板17の上面は、その法線方向が垂直上向きであるが、直上に折り返しミラー101を配置できるため、折り返しミラー101が埃に対する傘となり、埃の堆積を防ぐことができる。
また、他の変換光学系の固定光学部品に関しても、光源としてマルチ光源71を用いているため、導光板17の背面側で合波する必要がない。この結果、全てマルチレーザ光73の透過面もしくは反射面の面法線方向を、水平方向よりも下側に向かせることができるので、埃の堆積等の心配はなく、埃の堆積による光量の低下等のない、高信頼性の液晶バックライトを構成することが可能である。また、厚さ方向への集光機能を折り返しミラー101に含めているため、部品点数も削減できており、安価に構成することが可能というメリットも有する。
尚、本液晶バックライト100では、折り返しミラー101の内、前段にシリンダーミラー101aを配置したが、後段の平面ミラー101bの位置にシリンダーミラーを配置しても構わないし、両方をシリンダーミラーにして構成しても構わない。また、液晶バックライト10、40、70、80、85、90においても、折り返しミラー16として、前段の折り返しミラー16a及び後段の折り返しミラー16bの内どちらか、もしくは両方をシリンダーミラーにして走査レンズ15やレンズ92を削除しても構わない。
図19は、本発明の実施の形態5に係る他の液晶バックライト110の概略構成を示す側面図である。本液晶バックライト110は、液晶バックライト100と同じく導光板17の上面側からマルチレーザ光73を入射する構成を取っており、且つ折り返しミラー101を折り返しプリズム111とした以外は、液晶バックライト100と同じ構成を取っている。ここで、折り返しプリズム111は、前段の反射面111aと、後段の反射面111bと、シリンダー部111cとを備え、これらが一体に構成されている。
回転多面鏡14で偏向反射されたマルチレーザ光73は、シリンダー部111cに入射し、導光板17の厚さ方向に集光されながら、折り返しプリズム111内部の前段の反射面111a及び後段の反射面111bで全反射されて、折り返しプリズム111から出射し、導光板17の上面に入射する。
本液晶バックライト110において、変換光学系は、図示していないコリメータ72と、回転多面鏡14と、折り返しプリズム111とから構成される。本液晶バックライト110においても、光源にマルチ光源71を用いており、導光板17の背面側で合波する必要がないため、マルチレーザ光73の透過面もしくは反射面の面法線方向を、すべて水平方向もしくは水平方向より下側に向かせることができる。また、シリンダー部111cの透過面の法線方向も、水平方向より下側を向いており、前段の反射面111a及び後段の反射面111bの法線方向も、水平方向より下側を向いている。また、折り返しプリズム111の上側には、埃が堆積するが、折り返しプリズム111内部の全反射には寄与しないため、透過率低下等の問題は発生せず、また、導光板17の上面の法線方向は、垂直上向きであるが、直上に折り返しプリズム111を配置できるため、折り返しプリズム111が埃に対する傘となり、埃の堆積を防ぐことができる。よって、埃の堆積による透過率の低下の無い高信頼性の液晶バックライトを構成することが可能である。
また、本液晶バックライト110では、導光板17の厚さ方向への集光を、シリンダー部111cで行っており、厚さ方向への集光機能を折り返しプリズム111に含めているため、部品点数も削減できており、安価に構成することが可能というメリットも有する。
尚、本実施例の液晶バックライト100、110は、レーザ光源部として、マルチ光源71を用いて説明したが、実施の形態1の液晶バックライト10の光源12や、実施の形態2の液晶バックライト40のように、ファイバを用いて外部からのレーザ光11を導光するレーザ光源部でも、同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態の液晶バックライト100、110の変換光学系の内、回転多面鏡14は、実施の形態1でも述べたとおり、その反射面の内いずれかは、その法線方向が水平方向よりも上向きになる面が出てくるが、仮にその面に埃が一時的に堆積したとしても、回転多面鏡14が回転することで、その埃は飛散することになり、全く問題にならない。
(実施の形態6)
図20は、本実施の形態6に係る液晶バックライト200の概略構成図である。本液晶バックライト200は、実施の形態1の液晶バックライト10と類似の構成であるが、光路上に3枚のガラス板202(赤色レーザ光用ガラス板202R、緑色レーザ光用ガラス板202G、青色レーザ光用ガラス板202B)が配置されて各レーザ光11(赤色レーザ光11R、緑色レーザ光11G、青色レーザ光11B)の一部を各光センサ201(赤色レーザ光用光センサ201R、緑色レーザ光用光センサ201G、青色レーザ光用光センサ201B)に導光することで、光センサ201が、各光源12から出射直後の各レーザ光11の出力をモニタしており、さらに下流に配置した光センサ203が、同様に各レーザ光の出力をモニタしている点で異なる。ここで、光センサ201、203が測定部の一例に相当する。
具体的には、制御部199は、制御回路及び駆動回路等から構成され、図示を省略した配線を介して光源12及び光センサ201、203に電気的に接続され、光センサ201、203は、各レーザ光11の光量を測定し、制御部199は、測定された光量を基に各レーザ光11の強度が一定になるように各光源12を制御する。なお、光源12(赤色光源12R、緑色光源12G、青色光源12B)から出射された各レーザ光11の大部分は、各ガラス板202を透過し、複数のレンズ204(赤色レーザ光用レンズ204R、緑色レーザ光用レンズ204G、青色レーザ光用レンズ204B)で集光されながらミラー13に入射し、以降の動作は、実施の形態1と同様であるため、詳しい説明は省略する。
ここでは、光センサ201、203を図20のように配置したが、変換光学系の上流側と下流側とに配置されていればよく、特に図20の例に限定するものではない。このような構成を取ることで、光センサ201と光センサ203とで挟まれた光路における透過率の変動をリアルタイムに測定することができる。
また、実施の形態1等で述べたように、液晶バックライト200では、導光板17の背面側でレーザ光を合波しない構成をとることにより、変換光学系を構成する固定光学部品の光透過面及び光反射面等の面法線方向を水平方向又は水平方向より下向きにすることができるため、埃の堆積を防止することができる。
一方で、レーザ光の強度がワット程度と高い場合や青色等の短波長のレーザ光を用いる場合、硝材によるレーザ光吸収による焦電効果等により硝材表面の光路周辺に発生する静電気が顕著になり、それにより埃等の浮遊物が吸い寄せられて硝材表面に付着する場合がある。例えば、アクリルに対して450nmのレーザ光を1kW/cm2の光量で入射すると、一般の室内環境下では、10時間程度で埃の付着により透過率に数%程度の低下が見られる場合がある。
それに対し、図20に示す本実施の形態6の液晶バックライト200の構成を取ることで、リアルタイムに透過率の変動を確認することができる。具体的には、導光板17に入る直前の光センサ203の光量をフィードバックすることで、制御部199は、導光板17には常に同じ光量が入射するように各光源12を制御する。また、制御部199は、光センサ201の光量の変動量をモニタすることで、両センサ間の光学部品の光路上に埃が付着していないかを推定することができる。
尚、光センサ201は、ガラス板202により上向きに折り返しているが、上向きの面を設けないために、光センサ201を水平方向に配置し、ガラス板202でレーザ光11を水平方向に折り返すことにより、水平方向に折り曲げられたレーザ光11を光センサ201で受光する構成としてよい。この場合、ガラス板202の透過面及び反射面の面法線方向が水平方向もしくは水平方向よりも下側を向くように、ガラス板202を配置することができるので、装置内を浮遊する埃がガラス板202の透過面もしくは反射面に堆積することを防ぐことができる。
図21は、本実施の形態6に係る他の液晶バックライト210の概略構成図である。液晶バックライト210は、液晶バックライト200と類似の構成であるが、複数のファン211が追加されている点が異なる。具体的には、制御部209は、制御回路及び駆動回路等から構成され、図示を省略した配線を介して光源12、光センサ201、203及びファン211に電気的に接続され、光センサ201、203は、各レーザ光11の光量を測定し、制御部209は、測定された光量を基にファン211の風量を制御する。ここで、光センサ201、203が測定部の一例に相当し、ファン211が送風部の一例に相当する。
ファン211から出射されたエアは、複数のダクト212によりガイドされ、効率よく各光学部品(例えば、赤色レーザ光反射ミラー13R、緑色レーザ光反射ミラー13G、青色レーザ光反射ミラー13B、赤色レーザ光用光センサ201R、緑色レーザ光用光センサ201G、青色レーザ光用光センサ201B、赤色レーザ光用ガラス板202R、緑色レーザ光用ガラス板202G、青色レーザ光用ガラス板202B、赤色レーザ光用レンズ204R、緑色レーザ光用レンズ204G、青色レーザ光用レンズ204B)の表面に導かれる。これにより、各光学部品の表面で発生した静電気により吸い寄せられる埃を吹き飛ばすことで、埃の付着を防止でき、埃の付着による透過率の低下を防止することができる。
また、ファン211の風量は、光センサ201、203で測定される光量により決定され、制御部209は、光センサ201、203で測定される光量が所定値未満に減少した場合、ファン211の風量を増加させ、光センサ201、203で測定される光量が所定値以上に増加した場合、ファン211の風量を減少させ、又は、ファン211を停止させる。
こうすることで、埃のすくない場所に設置される等で、装置内の光学部品の透過率の低下がみられない場合は、ファン211の回転数を落とすことができるため、低消費電力に構成することができる。また、ファン211からのエアを下向きに出射することで、エアに含まれる埃が再度降り積もることを防止できる。
尚、ここでは、光センサ201、203の検出された値に基づき、ファン211の動作を決定しているが、それ以外でも一定時間置きにファン211を動作させても構わないし、液晶バックライトの点灯終了時等の所定の条件化で動作させても構わない。その場合は、光センサ201、203も常時動作させなくとも、その条件の時のみ動作させればよい。
図22は、本実施の形態6に係る他の液晶バックライト220の概略構成図である。液晶バックライト220は、実施の形態4の液晶バックライト90と類似の構成であり、また、複数の光センサ221、224で光源出射直後と下流との二箇所でレーザ光量を測定している点は液晶バックライト200と類似の構成であるが、ラインディフューザ91がアクチュエータ223の上に移動可能な状態で配置されている点が異なる。
具体的には、マルチ光源71から折り返しミラー16までのレーザ光源部及び変換光学系を二つ用い、この二つのレーザ光源部及び変換光学系を光学定盤18上に左右両側に配列しており、各光路上にガラス板222が配置され、マルチレーザ光73の一部が光センサ221に導光され、マルチレーザ光73の大部分は、各ガラス板222を透過してコリメータ72へ導光される。制御部219は、制御回路及び駆動回路等から構成され、図示を省略した配線を介してマルチ光源71、光センサ221、224及びアクチュエータ223に電気的に接続され、光センサ221、224は、各レーザ光11の光量を測定し、制御部219は、測定された光量を基にマルチ光源71及びアクチュエータ223の動作を制御する。ここで、光センサ221、224が測定部の一例に相当し、アクチュエータ223が駆動部の一例に相当する。
上記の構成により、液晶バックライト220では、液晶バックライト200、210と同様に、例えば、光センサ224で測定された光量をマルチ光源71にフィードバックして、導光板17に入射するレーザ光の光量を一定にすることができる。このとき、制御部219は、光センサ221の光量を測定することで、光センサ224と光センサ221とに挟まれた光学部品の透過率の変動量をモニタできる。
したがって、もしラインディフューザ91に埃が付着して光センサ221の光量が上昇した場合、制御部219は、アクチュエータ223を駆動することにより、ラインディフューザ91の位置を、例えば紙面に対して垂直な向き(水平方向)にシフトさせる。この結果、今まで光路になっていなかった、埃の付着のない部分を使うことにより、ラインディフューザ91の透過率を回復させることが可能になる。ここで、ラインディフューザ91は、導光板17の幅方向にレーザ光を拡大する役割を有しているが、厚さ方向にはパワーを有しないため、紙面に対して垂直な向き(水平方向)にシフトさせても、光学系としての特性は不変である。
尚、位置をシフトされる光学部品は、ラインディフューザに特に限定されず、他の光学部品であってもよい。仮に他のレンズ(例えば、コリメータ72)が軸対称の非球面レンズであった場合も、シリンドリカルレンズ二枚で構成することで、同様の光学特性を示しながらも、ラインディフューザ91のように、シフトさせて埃の付着による透過率の低下を回避することができる。
また、光センサ221、224の出力から埃の付着が検出されていない段階においても、アクチュエータ223を動作させても構わない。常に高速に動作させることで、単位面積あたりに照射されるレーザ光の密度を低減させることができ、埃の付着が低減できる他、動作により発生する風により、埃の付着を低減させることにも繋がる。
また、ここでは光センサ221、224の検出された値に基づき、アクチュエータ223の動作を決定しているが、それ以外でも、一定時間置きに動作させても構わないし、液晶バックライト220の点灯終了時等のある条件化で動作させても構わない。その場合は、光センサ221、224も常時動作させなくとも、その条件の時のみ動作させればよい。
(実施の形態7)
図23は、本実施の形態7に係る液晶バックライト230の概略構成図である。本液晶バックライト230は、実施の形態1の液晶バックライト10と類似であるが、コロナ放電素子231を有している点が異なる。具体的には、制御部229は、制御回路及び駆動回路等から構成され、図示を省略した配線を介して光源12、ファン211及びコロナ放電素子231に電気的に接続され、ファン211及びコロナ放電素子231の動作を制御する。
コロナ放電素子に電圧を印加すると、放電された場所にある空気がイオン化され、さらに発生したイオンをファンで送風することで、その先に存在する帯電物質を電気的に中和することができる。本液晶バックライト230においても、コロナ放電素子231にて発生したイオンをファン211でダクト212に倣って光学部品(例えば、赤色レーザ光反射ミラー13R、緑色レーザ光反射ミラー13G、青色レーザ光反射ミラー13B、赤色レーザ光用レンズ204R、緑色レーザ光用レンズ204G、青色レーザ光用レンズ204B)に当てることで、各光学部品の表面に発生する静電気を除去することが可能になる。尚、ファン211からのエアを下向きに出射することで、エアに含まれる埃が再度降り積もることを防止できる。
図24は、本実施の形態7に係る他の液晶バックライト230の概略構成図である。図24に示す液晶バックライト240においては、液晶バックライト230と同様にコロナ放電素子231を有するが、液晶バックライト210のように光センサ201、203を備えている点が異なる。具体的には、制御部239は、制御回路及び駆動回路等から構成され、図示を省略した配線を介して光源12、光センサ201、203、ファン211及びコロナ放電素子231に電気的に接続され、光センサ201、203は、各レーザ光11の光量を測定し、制御部239は、測定された光量を基に光源12、ファン211及びコロナ放電素子231の動作を制御する。ここで、光センサ201、203が測定部の一例に相当する。
このように構成することで、コロナ放電素子231にて発生させるイオンの量を、光センサ201、203で測定された光量により決定することができ、例えば、光学部品の透過率の低下が見られていない状態においては、わずかにイオンを発生させることで埃等の付着を防止し、光学系の透過率の低下が検出された場合には、発生させるイオンの量を増加させることにより、付着した埃を確実に除電し、ファン211によるエアにより確実に飛ばすことができる。
尚、上記の各実施の形態に示す構成は一例であって、発明の趣旨を逸脱しない範囲でさまざまな変形を加えることができることは言うまでもない。また、液晶バックライト全体を覆うことで、埃の侵入を抑えて、より埃の影響を受けにくくする構成としてもよい。
上記の各実施の形態から本発明について要約すると、以下のようになる。即ち、本発明に係る液晶バックライトは、レーザ光を出射するレーザ光源部と、前記レーザ光源部からのレーザ光を線状光に変換する変換光学系と、前記線状光を入射して水平方向に二次元光を出射する導光板とを備え、前記レーザ光源部の光出射面は、その面法線が水平方向又は水平方向より下側を向くように前記導光板の背面側に配置され、前記変換光学系は、可動部を有しない固定光学部品を含み、前記固定光学部品は、その光透過面及び光反射面の面法線が全て水平方向又は水平方向より下側を向くように前記導光板の背面側に配置される。
本液晶バックライトにおいては、レーザ光源部の光出射面は、その面法線が水平方向又は水平方向より下側を向くように導光板の背面側に配置され、可動部を有しない固定光学部品は、その光透過面及び光反射面の面法線が全て水平方向又は水平方向より下側を向くように導光板の背面側に配置されるので、装置の薄型を維持しながら、レーザ光源部の光出射面及び固定光学部品に対する埃等の堆積に起因する輝度の低下や輝度ムラのない高信頼性の液晶バックライトを実現することができ、それを用いた色再現範囲の広い液晶ディスプレイを安価に実現することができる。
即ち、所定の垂直面を照明するために水平方向にレーザ光を出射する導光板を備えた液晶バックライト及び液晶表示装置において、レーザ光源の光出射面を、その面法線が水平方向又は水平方向より下側を向くように導光板の背面側に配置し、レーザ光源からのレーザ光を線状に変換する変換光学系を構成する固定光学部品を、その光透過面及び光反射面の面法線が全て水平方向又は水平方向より下側を向くように導光板の背面側に配置しているので、埃の堆積による輝度の低下や輝度ムラを簡便且つ安価に防止し、さらには静電気等による埃に対しても有効な埃対策を提供することができる。
前記レーザ光源部は、複数のレーザ光源を含み、前記複数のレーザ光源は、前記導光板の背面側に配置され、前記複数のレーザ光源から出射した複数のレーザ光の主光線は、前記変換光学系内の全領域で互いに重ならないことが好ましい。
この場合、固定光学部品の光透過面及び光反射面の面法線が、全て水平方向もしくは水平方向より下側を向くように容易に配置することができる。
前記レーザ光源部は、複数のレーザ光源と、一本の光ファイバとを含み、前記複数のレーザ光源から出射した複数のレーザ光は、前記導光板の背面以外の場所で合波されて前記光ファイバに入射し、前記光ファイバを介して前記変換光学系に入射するようにしてもよい。
この場合、固定光学部品の光透過面及び光反射面の面法線が、全て水平方向もしくは水平方向より下側を向くように容易に配置することができ、また、複数のレーザ光源を導光板から離間した位置に配置することができるので、複数のレーザ光源から発生する熱が導光板等の装置本体側に伝達されることを防止することができるとともに、装置本体をより薄型化することができる。
前記レーザ光源部は、複数のレーザ光源を一つの筐体内に納めた単一の光源であり、前記単一の光源は、前記導光板の背面側に配置されるようにしてもよい。
この場合、固定光学部品の光透過面及び光反射面の面法線が、全て水平方向もしくは水平方向より下側を向くように容易に配置することができる。
前記変換光学系は、前記導光板への入射前に前記固定光学部品からのレーザ光を折り曲げて前記導光板の側面から前記レーザ光を入射する反射素子をさらに含み、前記反射素子は、その光反射面の面法線が全て水平方向又は水平方向より下側を向くように前記導光板の側面側に配置されることが好ましい。
この場合、反射素子も、その光反射面の面法線が全て水平方向又は水平方向より下側を向くように導光板の側面側に配置されているので、変換光学系全体に埃等が堆積することを抑制することができ、輝度の低下や輝度ムラのないより高信頼性の液晶バックライトを実現することができる。
前記導光板は、その両側面からレーザ光を入射することが好ましい。この場合、導光板の左右方向の輝度均一性に優れた、高画質な液晶バックライトを提供することができる。
前記変換光学系は、前記導光板への入射前に前記固定光学部品からのレーザ光を折り曲げて前記導光板の上面から前記レーザ光を入射する反射素子をさらに含み、前記反射素子は、前記導光板の厚さ方向に前記レーザ光を集光させるようにしてもよい。
この場合、反射素子が埃に対する傘となり、導光板の上面に埃が堆積することを抑制することができるので、輝度の低下や輝度ムラのないより高信頼性の液晶バックライトを実現することができるとともに、厚さ方向への集光機能を反射素子が有しているので、部品点数を削減して装置を安価に作成することができる。
上記液晶バックライトは、前記変換光学系において、前記レーザ光源部を構成するレーザ光源一つに対して二箇所以上でレーザ光の光量を測定する測定部をさらに備えることが好ましい。
この場合、測定された光量から変換光学系の各光学部品の透過率の変動を測定することができる。
上記液晶バックライトは、前記変換光学系を構成する複数の光学部品の内、少なくとも一つの光学部品に対して直接的にエアを吹き当てる送風部と、前記測定部により測定された光量に応じて前記送風部の風量を制御する制御部とをさらに備えることが好ましい。
この場合、測定された光量に応じて、変換光学系の各光学部品の表面で発生した静電気により吸い寄せられる埃を吹き飛ばすことができるので、埃の付着を防止でき、埃の付着による変換光学系の各光学部品の透過率の低下を防止することができる。
上記液晶バックライトは、前記変換光学系は、前記固定光学部品の内少なくとも一つの位置を移動させる駆動部を含み、前記測定部により測定された光量に応じて前記駆動部の動作量を制御する制御部をさらに備えることが好ましい。
この場合、測定された光量に応じて駆動部の動作量を制御することにより、固定光学部品の位置をシフトさせることができるので、今まで光路になっていなかった、埃の付着のない部分を使うことができ、固定光学部品の透過率を回復させることが可能になる。
上記液晶バックライトは、前記変換光学系の近傍に配置されるコロナ放電素子と、前記測定部により測定された光量に応じて前記コロナ放電素子の動作を制御する制御部をさらに備えることが好ましい。
この場合、測定された光量に応じて変換光学系の各光学部品の表面に発生する静電気を除去することができるので、静電気による埃の付着を防止することができ、輝度の低下が抑えられた高信頼性の液晶バックライトを実現す
ることができる。
前記導光板は、内部に光を拡散させる拡散粒子を含むことが好ましい。
この場合、導光板に入射したレーザ光は、導光板内で拡散粒子により広範囲に拡散されながら、導光板から出射することになるので、輝度均一性に優れた、高画質な液晶バックライトを実現することができる。
前記線状光が入射する前記導光板の入射面の少なくとも一箇所において、前記導光板の厚み方向における前記線状光のビーム直径は、前記導光板の厚さの90%以上であることが好ましい。
この場合、導光板の厚みに対して厚み方向のビーム直径を大きくすることができるので、導光板のレーザ光の入射面に埃が付着した場合であっても、導光板の入射面を照明するレーザ光の内、付着したホコリで蹴られる光量の割合を低減することができるため、導光板から出射される二次元光の輝度ムラをさらに抑えることができる。
前記レーザ光源部は、赤色レーザ光源、緑色レーザ光源及び青色レーザ光源を含むことが好ましい。
この場合、色再現範囲の広い液晶ディスプレイを安価に実現することができる。
前記レーザ光源部は、半導体レーザ光源を含み、前記半導体レーザ光源は、カバーガラスを有するパッケージを含み、前記カバーガラスにマイクロレンズアレイが形成されていることが好ましい。
この場合、レーザ光がマイクロレンズアレイを通過することにより、出射するレーザ光の強度分布を均一化することができる。
前記マイクロレンズアレイは、前記カバーガラスの内側に形成されていることが好ましい。
この場合、埃を含む外気と接するカバーガラスの外側でのレーザ光の強度分布をガウシアン分布よりも平坦にすることができるので、静電気による埃の付着を抑えることができ、輝度の低下が抑えられた高信頼性の液晶バックライトを実現することができる。
本発明に係る他の液晶バックライトは、レーザ光を出射するレーザ光源部と、前記レーザ光源部からのレーザ光を線状光に変換する変換光学系と、前記線状光を入射して水平方向に二次元光を出射する導光板とを備え、前記変換光学系は、可動部を有しない固定光学部品を含み、前記固定光学部品は、前記導光板の背面側に配置され、前記固定光学部品の近傍に配置されるコロナ放電素子をさらに備える。
本液晶バックライトにおいては、コロナ放電素子から発生されるイオンにより帯電物質を電気的に中和し、固定光学部品の表面に発生する静電気を除去することができるので、静電気による埃の付着を防止することができ、輝度の低下が抑えられた高信頼性の液晶バックライトを実現することができる。
本発明に係る他の液晶バックライトは、レーザ光を出射するレーザ光源部と、前記レーザ光源部からのレーザ光を線状光に変換する変換光学系と、前記線状光を入射して水平方向に二次元光を出射する導光板とを備え、前記線状光が入射する前記導光板の入射面の少なくとも一箇所において、前記導光板の厚み方向における前記線状光のビーム直径は、前記導光板の厚さの90%以上である。
本液晶バックライトにおいては、導光板の厚みに対して厚み方向のビーム直径を大きくすることができるので、導光板のレーザ光の入射面に埃が付着した場合であっても、導光板の入射面を照明するレーザ光の内、付着したホコリで蹴られる光量の割合を低減することができるため、導光板から出射される二次元光の輝度ムラを抑えることができる。
本発明に係る液晶表示装置は、液晶表示パネルと、前記液晶表示パネルを背面側から照明するバックライト照明装置とを備え、前記バックライト照明装置は、上記いずれかの液晶バックライトである。
本液晶表示装置においては、装置の薄型を維持しながら、固定光学部品に対する埃等の堆積に起因する輝度の低下や輝度ムラのない高信頼性の液晶バックライトを用いているので、色再現範囲の広い薄型且つ高信頼性の液晶ディスプレイを安価に実現することができる。
本発明の液晶バックライトは、光学部品に埃などが堆積することによる輝度の低下や、輝度ムラ発生のない良好な特性を有するので、埃耐性が向上した高信頼性且つ薄型の液晶バックライトを安価な光学構成で実現することができ、有用である。また、本発明の液晶バックライトを用いると、薄型で色再現性に優れ、且つ、埃耐性の向上した高信頼性の液晶表示装置を安価に実現することができ、有用である。
本発明は、液晶テレビなどの非自発光型表示装置に用いられる薄型で高輝度の液晶バックライトと、これを用いた液晶表示装置とに関する。
液晶表示装置は、液晶分子の配向による電気光学効果を利用して背面から照射される光の透過量を制御することにより画像を表示する方式を用いており、一般的には蛍光表示管などにより構成されるバックライトユニットと呼ばれる面状の照明装置を必要とする。近年、このような液晶表示装置では、大画面化が進み、50型サイズ以上のテレビ用のディスプレイ装置まで実用化されてきている。しかしながら、大型化に伴い消費電力も増加してきていることから、低消費電力化を実現する技術開発が望まれているとともに、設置する室内での占有空間をできるだけ少なくするために、薄型化も強く望まれている。また、同時に高輝度化及び高精細度化も望まれている。
このような要望のうち低消費電力化及び高輝度化に対応するために、発光効率の良い光源として発光ダイオード(以下、LEDとする)やレーザを使用することが検討され、LEDを光源とする液晶バックライトは、既に実用化もされている。しかしながら、さらなる低消費電力化、高輝度化、及び広色域化に対応するためにレーザ光源を用いる場合には、液晶パネルを背面照射する液晶バックライトの埃耐性を向上させることが重要である。なぜなら、レーザ光はその直進性から小さく集光して用いることで、装置の小型化等の差別化要因となるが、その反面、光学部品の面上に微小な埃などが堆積すると、レーザ光の透過率の低下や輝度ムラといった画像表示装置の画質上の課題が生じることが挙げられる。
このような課題の対策として、液晶表示装置の光学部品の組立を埃の少ないクリーンルームで行なうことや、埃が外部から入らないようにするために液晶表示装置の光学系を物理的に密閉することが考えられる。しかしながら、光学系を含めた液晶バックライトの温度上昇を抑制するための効率的な冷却の必要性や液晶表示装置の製作コストなどを考慮すると、このような対策は、現実的ではないと考えられる。
ところで、画像記録装置、プリンタ及びファクシミリなどのレーザ光を偏向して信号検出や信号記録を行なう光学系において、レーザ光の偏向によってレーザ光の入射角が変化するミラーをその面法線が水平より下向きになるように設置して埃などのミラーへの付着を防止することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このことにより、埃だけでなく、トナーなどもミラーに付着することを防止し、反射率の低下及び反射ムラの低下を抑えることができるとしている。
また、多色画像出力装置において、各露光部を感光体の上半周に配置することにより、この露光部に光を導くための反射ミラーのミラー面を下向きに配置することができ、ミラー面に埃などが自重により付着することを防止できるとしている(例えば、特許文献2参照)。このことにより、ミラー面において反射光又はレーザ光を損なわずに埃などによる画質の劣化が生じることがないとしている。
また、レーザプリンタなどのデジタルゼログラフィ方式の画像形成装置において、レーザ光の出射窓と感光体との間の距離及び光ビームの感光体上でのスポット径を調整することにより、出射窓に埃が付着したときの埃による感光体表面での光ビームの光量低下が所定の割合以内に収まるとしている(例えば、特許文献3参照)。
特開昭53−142247号公報
特開昭61−270772号公報
特開2002−337386号公報
しかしながら、上記で説明した従来技術においては、レーザ光を垂直面ではなく水平面の面方向において偏向して走査する構成が示されているものの、薄型の液晶バックライト及び液晶表示装置に適用可能な垂直面の面方向においてレーザ光を走査する最適な構成については、具体的に示されていないという課題があった。
即ち、従来のレーザプリンタ等は、その装置形態として薄型且つ縦型ではないため、装置内の光学系の典型的な配置として、レーザ光学系は、筐体内の略水平に載置された光学定盤上に配置される。このため、レーザ光は、同一水平面内において導かれ、最後は感光体等に向けて斜め下に打ち下ろす構成が取られており、各光学部品のレーザ光の入射面及び出射面の法線方向は、必然的に水平方向以下になる。したがって、たとえ波長の異なる複数の光源を用いた場合でも、埃等の堆積は起こりにくい構造であった。
一方で、レーザ光を用いて液晶バックライトの光学系を構成する場合、光学定盤を垂直に配置した状態で液晶パネル背面に光学系を構成することにより、超薄型の液晶テレビを構成することが可能になる。この場合、光学系を構成する各光学部品の側面に埃が堆積することになり、レーザ光が透過する側面に埃が堆積すると、埃によるレーザ光透過率の低下に起因する液晶バックライトの輝度の低下や、埃によるレーザ光の部分的な蹴られのために生じる輝度ムラといった課題があった。
また、レーザプリンタ等では、用いられるレーザ光の強度も低く、ミリワット程度であり、さらには赤外光が用いられる場合が多いが、液晶テレビの光源には、ワット程度とハイパワーな光源を用い、しかも青色の短波長の光源も含まれるため、光学部品の表面に誘起される静電気により、埃が付き易くなるといった課題があった。
本発明の目的は、薄型を維持しながら、光学部品に対する埃等の堆積に起因する輝度の低下や輝度ムラのない高信頼性の液晶バックライトを提供することである。
本発明の一局面に従う液晶バックライトは、レーザ光を出射するレーザ光源部と、前記レーザ光源部からのレーザ光を線状光に変換する変換光学系と、前記線状光を入射して水平方向に二次元光を出射する導光板とを備え、前記レーザ光源部の光出射面は、その面法線が水平方向又は水平方向より下側を向くように前記導光板の背面側に配置され、前記変換光学系は、可動部を有しない固定光学部品を含み、前記固定光学部品は、その光透過面及び光反射面の面法線が全て水平方向又は水平方向より下側を向くように前記導光板の背面側に配置される。
上記の構成により、薄型を維持しながら、光学部品に対する埃等の堆積に起因する輝度の低下や輝度ムラのない高信頼性の液晶バックライトを実現することができる。
本発明の実施の形態1に係る液晶バックライトの概略構成を示す斜視図である。
一般的な走査光学系の概略構成図である。
複数光源を合波しないで用いた場合の走査光学系の概略構成図である。
複数光源を合波して用いた場合の走査光学系の概略構成図である。
拡散粒子を内部に含んだ導光板における光の拡散の概念図である。
導光板のレーザ光入射側面におけるビーム直径を説明するための模式図である。
本発明の実施の形態1に係る液晶バックライトに用いられる半導体レーザ光源の一例の概略構成図である。
図7に示す半導体レーザ光源のレーザ光の強度分布を示す図である。
本発明の実施の形態1に係る液晶バックライトに用いられる他の半導体レーザ光源の一例の概略構成図である。
本発明の実施の形態1に係る液晶バックライトを用いた液晶表示装置の概略構成を示す断面図である。
本発明の実施の形態2に係る液晶バックライトの概略構成を示す斜視図である。
図11に示す液晶バックライトの光源周辺の概略構成図である。
本発明の実施の形態3に係る液晶バックライトの概略構成を示す斜視図である。
本発明の実施の形態4に係る液晶バックライトの概略構成を示す斜視図である。
本発明の実施の形態4に係る他の液晶バックライトの概略構成を示す斜視図である。
本発明の実施の形態4に係る他の液晶バックライトの概略構成を示す斜視図である。
本発明の実施の形態5に係る液晶バックライトの概略構成を示す側面図である。
本発明の実施の形態5に係る液晶バックライトの概略構成を示す斜視図である。
本発明の実施の形態5に係る他の液晶バックライトの概略構成図である。
本発明の実施の形態6に係る液晶バックライトの概略構成図である。
本発明の実施の形態6に係る他の液晶バックライトの概略構成図である。
本発明の実施の形態6に係る他の液晶バックライトの概略構成図である。
本発明の実施の形態7に係る液晶バックライトの概略構成図である。
本発明の実施の形態7に係る他の液晶バックライトの概略構成図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。尚、同じ要素には同じ符号を付しており、説明を省略する場合がある。また、図面は、理解しやすくするためにそれぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、形状等については正確な表示ではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る液晶バックライト10の概略構成図である。本液晶バックライト10は、複数のレーザ光11(赤色レーザ光11R、緑色レーザ光11G、青色レーザ光11B)を出射する複数の光源12(赤色光源12R、緑色光源12G、青色光源12B)と、複数のレンズ21(赤色レーザ光用レンズ21R、緑色レーザ光用レンズ21G、青色レーザ光用レンズ21B)と、複数のミラー13(赤色レーザ光反射ミラー13R、緑色レーザ光反射ミラー13G、青色レーザ光反射ミラー13B)と、回転多面鏡14と、走査レンズ15と、折り返しミラー16(前側折り返しミラー16a、後側折り返しミラー16b)と、導光板17と、各光学部品を支持する光学定盤18とからなる。
本実施の形態1の液晶バックライト10では、レンズ21、ミラー13、回転多面鏡14、走査レンズ15及び折り返しミラー16から変換光学系が構成され、例えば、光源12がレーザ光源部の一例に相当し、光源12、レンズ21、ミラー13、回転多面鏡14及び走査レンズ15が、導光板17の背面側の光学定盤18の上に設置され、レンズ21、ミラー13及び走査レンズ15が、可動部を有しない固定光学部品の一例に相当し、折り返しミラー16が導光板17の側面17b側に配置される反射素子の一例に相当し、レンズ21の入射面及び出射面、並びに、走査レンズ15の入射面及び出射面が固定光学部品の光透過面の一例に相当し、ミラー13の反射面が固定光学部品の光反射面の一例に相当し、光源12の出射端面19がレーザ光源部の光出射面の一例に相当し、折り返しミラー16の反射面が反射素子の光反射面の一例に相当する。
次に、本液晶バックライトの動作の仕組みを説明する。赤色光源12R、緑色光源12G、及び青色光源12Bは、上から下に一列に配置され、各レーザ光11は、各光源12の出射端面19(赤色レーザ光出射端面19R、緑色レーザ光出射端面19G、青色レーザ光出射端面19B)から出射している。光源12から出射した各レーザ光11は、レンズ21で集光されながらミラー13に入射し、赤、青、緑の色毎に異なる角度で回転多面鏡14に向かって反射される。回転多面鏡14が図中の矢印の向きに回転することにより、回転多面鏡14に入射したレーザ光11は、反射されつつ偏向され、走査光として走査レンズ15に入射される。走査レンズ15としては、例えばfθレンズのように、走査面上での走査速度を均一化させるためのレンズ群等を用いることができる。尚、走査レンズ15は、一枚のレンズで図示されているが、複数枚のレンズでも全く構わない。
折り返しミラー16は、一方の長辺が接続された前側折り返しミラー16a及び後側折り返しミラー16bからなり、導光板17の側面17b側に配置され、図示していない所定の支持部材を介して又は直接的に光学定盤18に固定されている。走査レンズ15を透過したレーザ光11は、図中Xの方向に走査されながら、折り返しミラー16によりその向きを180度変えて、導光板17の側面17bから導光板17に入射する。
通常、導光板17の側面17bに対する走査範囲は、各赤、青、緑とも導光板17の側面17bの上のみであることが望ましく、導光板17の側面17bから外れた領域を走査しないことで、高効率な液晶バックライトを構成することが可能になる。回転多面鏡14に対して、各赤色レーザ光11R、緑色レーザ光11G、及び青色レーザ光11Bは、異なる角度で入射しているが、入射する位置を互いに違えることで、導光板17の側面17bを走査するタイミングは違うが、同一の領域を走査することができる。また、導光板17は、通常10mm以下の厚みと薄いため、走査レンズ15に導光板17上で厚み方向に集光させるように、導光板17の厚み方向にパワーを持つ機能をつけても構わない。
導光板17は、その内部に光を拡散させる複数の拡散粒子を含み、拡散粒子としては、例えば、マイクロメータオーダの微粒子からなる拡散ビーズを用いることができる。導光板17の側面17bから導光板17に入射したレーザ光11は、導光板17内の拡散ビーズにより拡散されながら、導光板17の出射面17a(紙面裏側)から面状の照明光として出射する。尚、導光板17の背面(導光板17と光学定盤18との間の面)には、反射膜等を適宜形成するようにしてもよい。
以上のように、光源12を出射したばかりのレーザ光11の断面形状は点であったが、変換光学系を透過したレーザ光11は、断面形状が線状のレーザ光に変換されて、導光板17に入射し、導光板17に入射したレーザ光11は、断面形状が面状のレーザ光に変換されて、導光板17から二次元光が出射されていることが分かる。
ここで、液晶バックライト10は、液晶テレビ等の液晶表示装置のバックライトとして用いられるが、液晶表示装置は通常はその画面を垂直に立て視聴するため、本液晶バックライト10も、光学定盤18が垂直に立った状態で設置されることになる。本実施の形態では、導光板17の出射面17aの長手方向(図面左右方向)や導光板17の厚み方向(図面奥行方向)を水平方向、導光板17の出射面17aの短手方向(図面上下方向)を垂直方向と呼ぶことにする。よって、導光板17から出射するレーザ光11は、水平方向に二次元光として出射していることになる。
一般に、従来のレーザプリンタ等で使用される走査光学系は、例えば典型的には図2の走査光学系500に示す通り、略水平に載置された光学定盤502の上に、光源501、折り返しミラー503、レンズ504、スキャナ505、走査レンズ506、走査ミラー507が配置され、光源501から出射されたレーザ光を感光ドラム508上にラスタスキャンする方式が取られる。
この場合、光学定盤502が略水平面上に配置されているため、各光学部品でレーザ光が透過又は反射する面は、その法線方向が全て水平もしくは水平より下を向いており、このままで必然的にレーザ光の透過面及び反射面に埃が堆積しにくい構造になっているといえる。しかし、この構造のまま、光学定盤502を略垂直に立てた場合、仮に光学定盤502の長辺方向が水平になるように立てると、レンズ504の透過面の法線方向は、垂直方向を向くことになり、レンズ504のレーザ光入射面に埃が堆積する。この結果、堆積した埃によりレーザ光がロスしてレーザ光量が低下して輝度の低下や輝度ムラの原因となるために、レーザプリンタ等で使用される従来の走査光学系の構成は、液晶バックライトには使えない。
そこで、本液晶バックライト10では、レーザ光源部である光源12の出射端面19は、その面法線方向が水平方向もしくは水平方向よりも下側を向くように、固定光学部品であるレンズ21、ミラー13、走査レンズ15、及び反射素子である折り返しミラー16は、各レーザ光11の透過面もしくは反射面の面法線方向が、水平方向もしくは水平方向よりも下側を向くように、即ち、面法線方向と重力方向との成す角度が90度以下になるようにそれぞれ配置される。ここで、透過面又は反射面等が球面状の曲面の場合、その面法線とは、透過面もしくは反射面等の光軸中心点における接線に垂直な直線を意味するものとする。
例えば、本実施の形態では、光源12は、出射端面19の面法線方向が水平方向を向くように配置され、レンズ21、走査レンズ15、及び折り返しミラー16は、そのレーザ光11の透過面もしくは反射面の面法線方向が水平方向を向くように配置され、ミラー13は、そのレーザ光11の反射面の法線方向が水平方向よりも下側を向くように配置される。
こうすることで、液晶表示装置内を浮遊する埃が、光源12の出射端面19、変換光学系の内の各固定光学部品及び折り返しミラー16のレーザ光の透過面もしくは反射面に堆積することを防ぐことができる。よって、本液晶バックライト10を使用した液晶表示装置では、長期に及ぶ使用であっても、埃の堆積に起因する輝度の低下や輝度ムラの発生の無い、信頼性の高い液晶表示装置を構成することができる。
尚、変換光学系の内、可動部を有する可動光学部品である回転多面鏡14は、その反射面の内いずれかは、その法線方向が水平方向よりも上向きになる面が出てくるが、仮にその面に埃が一時的に堆積したとしても、回転多面鏡14が回転することで、その埃は飛散することになり、全く問題にならない。
さらに、本液晶バックライト10のように光源12に複数の光源を用いる場合、各レーザ光11R、11G、11Bの主光線を一度も重ねない構成とすることで、各光学部品の透過面もしくは反射面の面法線方向が、水平方向もしくは水平方向よりも下側を向くように構成することができるため、埃の堆積による輝度の低下や輝度ムラの発生のない液晶バックライト10を構成することができる。
図1において、赤色レーザ光11R、緑色レーザ光11G、青色レーザ光11Bの主光線を、それぞれ実線、点線、一点鎖線で示している。ここで、本明細書において、主光線が「重なる」とは、実線、点線、一点鎖線のどれか二つの線分が、所定長さの領域で同じ位置にあることを意味するものとし、一点で「交わる」こととは区別している。例えば、図1で、赤色レーザ光反射ミラー13Rを反射した赤色レーザ光11Rと、緑色レーザ光反射ミラー13Gで反射する前の緑色レーザ光11Gは、「交わって」いるが、「重なって」はいない。
ここで、レーザプリンタ等においては、通常、光センサ等を用いて記録開始タイミングを検出する必要があるが、図3の走査光学系510のように、互いに異なる波長のレーザ光源501R、501G、501Bを用いて走査する場合、合波せずに個別に各レーザ光を走査すると、波長毎の記録タイミングを区別するために、各レーザ光源に対応するセンサが必要になる。図3の走査光学系510では、レーザ光源501Rに対してはセンサ509R、レーザ光源501Gに対してはセンサ509G、レーザ光源501Bに対してはセンサ509Bが必要になるため、高コストで複雑な構成になる。
このため、図4に示す走査光学系520のように、走査する前にクロスプリズム511(又はダイクロイックミラー等)でレーザ光源501R、501G、501Bからのレーザ光を合波して(重ねて)、合波後のレーザ光を単一のセンサ509で検出することが安価で簡便な好ましい構成と言える。しかしながら、走査光学系520のように、クロスプリズム511を導光板17の背面側に配置し、3個のレーザ光源からの3本のレーザ光を合波した場合、クロスプリズム511の少なくとも一面は、水平方向を向くこととなり、この面に埃が堆積することとなる。
一方、本液晶バックライト10の走査光学系は、照明光学系であるために、記録開始タイミングを検出する必要はないため、通常必要とされる合波は不要になり、合波しないこと、即ち、各レーザ光の主光線を重ねないことで、埃の堆積による輝度の低下等を防止することができるとともに、合波用の光学部品が不要となり、コスト的にも有利な構成となる。このように、各レーザ光の主光線を重ねない構成とすることで、埃の堆積による輝度の低下のない高信頼性の液晶バックライトを、ダイクロイックミラーやクロスプリズム等の合波素子を使用せずに、安価に構成することが可能になる。
尚、導光板17の厚み方向に光源12を積層することで、埃が積層されない状態で合波することも可能であるが、その場合、液晶バックライトの厚みが光源部分だけは厚くなってしまい、薄型の液晶バックライトを構築することができなくなる。よって、薄型を維持しながら、埃の堆積による輝度の低下のない高信頼性の液晶バックライトを構成するには、上述の通り、光源12を、導光板17の厚み方向に積層することなく、導光板17の背面側に配置し(例えば、光学定盤18の固定面上に上下方向に沿って一列に配置し)、各レーザ光の主光線を重ねない構成とすることが好ましい。
また、液晶バックライト10では、上で述べたように、導光板17は、内部に散乱粒子を含んでいる。図5は、拡散粒子を内部に含んだ導光板における光の拡散の概念図である。図5に示すように、複数の散乱粒子17cにより、導光板17の側面から入射したレーザ光11は、導光板17内で反射を繰り返し、導光板17の広範囲(例えば、図5の点線で囲む領域)から出射することになる。例えば、導光板17上のP点では、導光板17の側面から入射する二本のレーザ光11に挟まれた領域RAに入射するレーザ光全てが少しずつ寄与することになる。よって、導光板17の側面に細かな埃が付着したとしても、輝度ムラは、ほとんど視認されないことになり、液晶バックライト10は、輝度ムラの観点で埃の影響をほとんど受けない、高信頼性の液晶バックライトとなる。
また、上記のP点に関して、導光板17の側面から入射する二本のレーザ光11に挟まれた領域RAに入射するレーザ光全てが寄与することになり、スペックルパターンがレーザ光11の入射位置により変動するため、スペックルパターンが視認されにくい液晶バックライトを構成することができる。
さらに、本液晶バックライト10では、図6に示すように、導光板17に入射するレーザ光11の厚さ方向のビーム直径Φを、走査領域Wの中の少なくとも一箇所で、導光板17の厚さDの90%以上になるように(より好ましくは、95%以上になるように、さらに好ましくは、98%以上になるように)設定している。このように導光板17の厚さDに対して厚さ方向のビーム直径Φを大きくとることで、仮に導光板17のレーザ光11が入射する側面に埃が付着した場合であっても、導光板17の側面を照明するレーザ光11の内、付着したホコリで蹴られる光量の割合を低減することができるため、導光板17から出射される二次元分布上の輝度ムラをさらに抑えることができる。
尚、本液晶バックライト10において、導光板17は内部に拡散粒子を含む構造としたが、ここで説明した、厚さ方向のビーム直径Φを導光板17の厚さDの90%以上にすることによる効果は、導光板17の内部に拡散粒子を含む、含まないに関係なく、効果を有するものであり、導光板の構成によって制限されるものではない。
また、液晶バックライト10の光源12として、カバーガラスにマイクロレンズアレイを形成した半導体レーザ光源を用いるようにしてもよく、この場合、さらに埃の付着を防止できる液晶バックライトを構成することができる。例えば、図7のように、半導体レーザ光源22は、CANパッケージ24の中に半導体レーザが封入されたレーザ光源であり、カバーガラスとしてマイクロレンズアレイ23を用いていることを特徴としている。
上で述べたとおり、液晶表示装置の光源には、ワット程度とハイパワーな光源を用い、しかも青色の短波長の光源も含まれるため、硝材によるレーザ光吸収による焦電効果等により硝材表面の光路周辺に静電気が発生し、このように光学部品の表面に誘起される静電気により、埃が付き易くなる。一方で、レーザ光源のパワー分布は、図8に示す通りガウシアン分布GDを示すものが多く、中央部のパワー密度が周辺部より高くなっている。これに対して、半導体レーザ光源22から出射されるレーザ光のパワー分布は、マイクロレンズアレイ23を通過することにより、図8に示すように、強度が均一化された分布ADを示す。
この場合、トータルのパワーを維持したまま中央部のパワー密度が低下しているため、本半導体レーザ光源22から出射したレーザ光が透過又は反射する、半導体レーザ光源22より下流に存在する全ての光学部品において、静電気による埃の付着を防止することができ、輝度の低下が抑えられた高信頼性の液晶バックライト10を構成することができる。
尚、マイクロレンズアレイの形成方法は、上記の例に特に限定されず、例えば、図9のように、CANパッケージ24の内側にマイクロレンズアレイ23aを形成することで、埃を含む外気と接するカバーガラス23bの外側でのレーザ光強度分布を、ガウシアン分布よりも平坦にすることができる。この場合、さらに静電気による埃の付着を抑えることができ、さらに輝度の低下が抑えられた高信頼性の液晶バックライト10を構成することができる。また、ここで述べた半導体レーザ光源22等の効果は、本実施の形態1に係る液晶バックライトに限定するものではなく、他の液晶バックライトに使用した場合においても、同様な効果を有する。また、マイクロレンズアレイは、上記のようにカバーガラスと別体で構成してもよいし、カバーガラスと一体に構成してもよい。
次に、本実施の形態の液晶バックライト10を用いた、液晶表示装置を説明する。図10は、本発明の実施の形態1に係る液晶バックライトを用いた液晶表示装置の概略構成を示す断面図である。液晶表示装置30は、液晶バックライト10と、液晶表示パネル31とを備え、図10は、導光板17の出射面17aから出射したレーザ光で液晶表示パネル31を露光した状態を示し、図1の液晶バックライト10を上から見たときの断面図である。
液晶表示パネル31は、入射側偏光フィルム37、ガラス基板32、34、液晶層33、カラーフィルタ35、出射側偏光フィルム36、及び拡散板38から構成され、カラーフィルタ35は、赤光用カラーフィルタ35R、緑光用カラーフィルタ35G、及び青光用カラーフィルタ35Bからなる。液晶バックライト10から出射したレーザ光は、入射側偏光フィルム37を経て単一偏光に変換された後、ガラス基板32を経由して液晶層33を透過し、画像データに応じて偏光方向が回転される。その後、カラーフィルタ35にて不要な色が削除された光は、ガラス基板34及び出射側偏光フィルム36を経て、最後に拡散板38にて視野角を広げて出射され、視聴に至る。
一般に、テレビ等の画像表示装置は、家屋内に設置された場合、部屋内の埃を被るため、何の埃対策も施さないまま数年経過すると、テレビ内には埃が積層する。例えば、液晶バックライトの光学系もルーバ等で通気良くした状態でカバーすることで、液晶バックライトに積層する埃の量を低減することは可能である。しかし、さらなる埃対策を盛り込むことで、さらに高信頼性の液晶バックライトを構成することができる。本液晶表示装置30は、液晶バックライト10で示したとおり、埃の積層を免れる構成であるため、長期の使用であっても、埃の積層による光量の低下等の問題がなく、埃による輝度ムラの発生を抑えた高信頼性の液晶表示装置を安価に構成することができる。
また、本液晶表示装置30は、光源にレーザを用いているため、通常用いられる冷陰極管やLED等を用いたバックライトを備える液晶表示装置と比較しても、色再現範囲が広く、高画質な液晶表示装置を構成することができる。尚、レーザ光の走査には、回転多面鏡以外にガルバノミラーやMEMSミラー等の反射偏向素子を用いても構わない。
(実施の形態2)
図11は、本発明の実施の形態2に係る液晶バックライト40の概略構成を示す斜視図であり、図12は、図11に示す液晶バックライトの光源周辺の概略構成図である。液晶バックライト40は、実施の形態1に係る液晶バックライト10に類似の構成を取っているが、構成要素として、導光板17の背面部からは別体に置かれた光源部42、ファイバ(光ファイバ)49、ファイバ49の出射端部41、及びファイバコリメータ43を備える点が実施の形態1と異なる。また、光源部42は、複数の光源12(赤色光源12R、緑色光源12G、青色光源12B)に加えて、青色レーザ光反射ミラー45、赤色レーザ光反射ミラー48、及びダイクロイックミラー46、47を備え、ファイバ49の出射端部41の出射端面50から出射するレーザ光が白色光44である点が実施の形態1と異なる。
次に、本液晶バックライト40の動作について、主に実施の形態1の液晶バックライト10との違いを説明する。まず、本液晶バックライト40は、上述の通り、光源としては導光板17の背面部からは別体に置かれた光源部42を有している。光源部42は、図12に示す通り、その内部に光源12(赤色光源12R、緑色光源12G、青色光源12B)を持っており、光源12から出射されたレーザ光11の内、赤色レーザ光11Rは、赤色レーザ光反射ミラー48で反射され、さらにダイクロイックミラー47でも反射され、緑色光源12Gから出射した緑色レーザ光11Gと合波される。さらに、青色光源12Bから出射した青色レーザ光11Bは、青色レーザ光反射ミラー45で反射され、ダイクロイックミラー46でさらに反射されて、赤色レーザ光11R及び緑色レーザ光11Gと合波され、ファイバ49に結合される。
ファイバ49内を伝播した各レーザ光11は、出射端部41から3色が混合された白色光44として出射し、さらにファイバコリメータ43で略平行光に変換される。ファイバコリメータ43で略平行光に変換された白色光44は、ミラー13で反射され、回転多面鏡14で偏向走査される。以降の動作は、三色のレーザ光が白色光44一本になった以外は液晶バックライト10と同じである。
尚、本実施の形態2の液晶バックライト40において、光源部42、ファイバ49及び出射端部41からレーザ光源部が構成され、変換光学系には、ファイバコリメータ43、ミラー13、回転多面鏡14、走査レンズ15、折り返しミラー16が含まれる。また、出射端部41、ファイバコリメータ43、ミラー13及び走査レンズ15が、導光板17の背面側の光学定盤18の上に設置され、ファイバコリメータ43、ミラー13及び走査レンズ15が、可動部を有しない固定光学部品の一例に相当し、折り返しミラー16が導光板の側面側に配置される反射素子の一例に相当し、ファイバコリメータ43の入射面及び出射面、並びに、走査レンズ15の入射面及び出射面が固定光学部品の光透過面の一例に相当し、ミラー13の反射面が固定光学部品の光反射面の一例に相当し、出射端部41の出射端面50がレーザ光源部の光出射面の一例に相当し、折り返しミラー16の反射面が反射素子の光反射面の一例に相当する。尚、ここで、ファイバコリメータ43と走査レンズ15とは、アクロマートレンズであることが望ましい。
上述の通り、導光板17の背面部から離間した位置に光源部42を別に置く構成を取ることで、光源部42内部において水平面上に複数の光源12を配列した状態で、三色のレーザ光を合波することができる。この結果、各ダイクロイックミラー46、47の反射面及び透過面の面法線方向や、青色レーザ光反射ミラー45及び赤色レーザ光反射ミラー48の反射面の面法線方向を、常に水平方向に向かせることができるので、レーザ光の透過面や反射面への埃の堆積を防止することができる。また、ファイバ49への結合に図示していないレンズ等を用いたとしても、そのレンズのレーザ光の透過面の面法線方向を、同じく水平方向に向かせることができるため、レーザ光の透過面に埃が堆積することはなく、透過率の低減による輝度の低下のない、高信頼性の液晶バックライトを構成することができる。
また、導光板17の背面以外の場所ですでに合波された状態で白色光44が変換光学系に入射されることにより、導光板17の背面でのレーザ光の合波が不要になるため、出射端面50の面法線方向が水平方向を向くように、ファイバ49の出射端部41を導光板17の背面側に配置することができる。さらに、変換光学系等を構成する他の素子に関しても、ファイバコリメータ43、走査レンズ15、折り返しミラー16は、そのレーザ光の反射面もしくは透過面の面法線方向を水平方向に向かせることができ、ミラー13も、その反射面の面法線方向を水平方向より下側に向かせることができる。
こうすることで、レーザ光の透過面もしくは反射面に埃の堆積を防止することができるため、長期の使用においても、埃の堆積による導光板17の出射面17aからの光量低下を防止することができるため、高信頼性の液晶バックライトを構成することが可能である。
尚、変換光学系の内、回転多面鏡14は、実施の形態1でも述べたとおり、その反射面の内いずれかは、その法線方向が水平方向よりも上向きになる面が出てくるが、仮にその面に埃が一時的に堆積したとしても、回転多面鏡14が回転することで、その埃は飛散することになり、全く問題にならない。
(実施の形態3)
図13は、本発明の実施の形態3に係る液晶バックライト70の概略構成図である。本液晶バックライト70は、実施の形態2の液晶バックライト40と類似の構成であるが、光源として複数のレーザを一つの筐体内に納めたマルチ光源71を用いていることが異なる点であり、その他の構成は実施の形態2の液晶バックライト40と同様の構成である。
マルチ光源71から出射されたマルチレーザ光73は、コリメータ72で略平行光に変換された後、ミラー13で折り返され、回転多面鏡14で偏向走査される。回転多面鏡14で反射されたマルチレーザ光73は、走査レンズ15、折り返しミラー16を経由して導光板17にX方向に走査されながら入射する。本マルチ光源71を、例えば、赤、青、緑の各半導体レーザを納めた光源であるとすると、マルチレーザ光73は一本の白色レーザ光としてマルチ光源71の出射端面74から出射することになる。以降の動作は、実施の形態2の液晶バックライト40の場合に、ファイバ49を用いて伝搬させた白色光44を走査した場合と全く同様であるため、詳しい説明は省略する。尚、本液晶バックライト70において、コリメータ72や走査レンズ15は、アクロマートレンズであることが望ましい。
本実施の形態3の液晶バックライト70において、レーザ光源部は、マルチ光源71から構成され、変換光学系は、コリメータ72と、ミラー13と、回転多面鏡14と、走査レンズ15と、折り返しミラー16とで構成されており、すべて導光板17の背面の光学定盤18上に配置されている。このように、液晶バックライト70の光源にマルチ光源71を用いると、光源から出射される段階ですでに赤、青、緑色の各レーザ光が合波されていることになり、導光板17の背面でのレーザ光の合波が不要になる。
この結果、マルチ光源71の出射端面74の面法線方向を水平方向に向かせることができるとともに、変換光学系の固定光学部品である、コリメータ72、走査レンズ15及び、反射素子である折り返しミラー16は、そのマルチレーザ光73の透過面もしくは反射面の面法線方向を水平方向に向かせることができ、固定光学部品であるミラー13も、その反射面の面法線方向を水平方向よりも下側に向かせることができる。こうすることで、各固定光学部品のレーザ光の透過面もしくは反射面等に埃の堆積を防止することができるため、長期の使用においても、導光板17の出射面17aからの出射光量が変動したりすることがなく、高信頼性の液晶バックライトを構成することが可能である。
尚、変換光学系の内、回転多面鏡14は、実施の形態1でも述べたとおり、その反射面の内いずれかは、その法線方向が水平方向よりも上向きになる面が出てくるが、仮にその面に埃が一時的に堆積したとしても、回転多面鏡14が回転することで、その埃は飛散することになり、全く問題にならない。
(実施の形態4)
図14は、本発明の実施の形態4に係る液晶バックライト80の概略構成図である。液晶バックライト80は、実施の形態3で示した液晶バックライト70と類似の構成であるが、マルチ光源71から折り返しミラー16までのレーザ光源部及び変換光学系を二つ用い、光学定盤18上に左右両側に配列したことが異なる点である。マルチ光源71を出射してから導光板17に入射するまでの動作の仕組みは、実施の形態3と全く同じであるため、改めての説明は割愛する。
図14のように、マルチレーザ光73が左右から入射することで、さらに導光板17の左右方向の輝度均一性に優れた、高画質な液晶バックライトを提供することができる。もちろん、本実施の形態でも、液晶バックライト70と同様に、マルチ光源71を用いることで、変換光学系を構成する光学部品のマルチレーザ光73の透過面もしくは反射面等の面法線方向は、水平方向もしくは水平方向より下側に向いているので、埃の堆積による輝度の低下等のない、高信頼性の液晶バックライトを構築することができる。
図15は、本発明の実施の形態4に係る他の液晶バックライト85の概略構成図である。本液晶バックライト85は、液晶バックライト80と類似の光学系であるが、単一の回転多面鏡14を2つの変換光学系で共用している点が異なる。回転多面鏡14は、複数面を有しているため、液晶バックライト85のように、単一の回転多面鏡14を用いて、複数方向にマルチレーザ光73を走査することが可能である。よって、本液晶バックライト85においても、液晶バックライト80と同様の効果である、埃堆積による輝度低下防止と、さらなる輝度の均一化と、という二つの効果に加え、さらに低コスト且つ簡便な構成で達成することが可能になる。
図16は、本発明の実施の形態4に係る他の液晶バックライト90の概略構成図である。本液晶バックライト90は、マルチ光源71から折り返しミラー16までのレーザ光源部及び変換光学系を二つ用い、光学定盤18上に左右両側に配列しており、液晶バックライト80と類似の構成であるが、回転多面鏡14を用いずに、二つのラインディフューザ91を用いている点が異なる。
本液晶バックライト90の動作のしくみを説明する。マルチ光源71から出射したマルチレーザ光73は、コリメータ72により略平行光に変換され、ラインディフューザ91に入射する。一般に、ラインディフューザは、断面形状が点状のレーザ光を所定角度で拡散させる機能を持っており、ここで用いるラインディフューザ91は、断面形状が点状のマルチレーザ光73を断面形状が線状のレーザ光に変換する機能を有しており、液晶バックライト80の回転多面鏡14の代わりに、線状光を作成する。ラインディフューザ91を透過したマルチレーザ光73は、レンズ92により導光板17の側面を照射するように調整され、折り返しミラー16で折り返されて導光板17に入射する。以降の動作は、液晶バックライト80等と全く同じである。なお、ラインディフューザとしては、ホログラムレンズシートや、非球面レンズ等で構成することでも可能である。
本液晶バックライト90では、マルチレーザ光73の出射端面74がレーザ光源部の光出射面の一例に相当し、変換光学系は、コリメータ72、ラインディフューザ91、レンズ92、折り返しミラー16から構成されている。本液晶バックライト90の変換光学系に可動光学部品はなく、すべて固定光学部品である。
また、本実施の形態でも、液晶バックライト80、85と同様に、マルチ光源71を用いており、導光板17の背面側で合波する必要がないため、本液晶バックライト90で追加したラインディフューザ91及びレンズ92ともに、マルチレーザ光73の透過面もしくは反射面の面法線方向を、水平方向に向かせることができる。この結果、埃の堆積が防止されるため、画面の左右輝度ムラがなく、さらに埃の堆積による光量の低下等のない、高信頼性の液晶バックライトを構成することが可能である。
尚、本実施の形態の液晶バックライト80、85、90は、レーザ光源部として、マルチ光源71を用いて説明したが、実施の形態1の液晶バックライト10の光源12や、実施の形態2の液晶バックライト40のように、ファイバを用いて外部からのレーザ光11を導光するレーザ光源部でも、同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態の液晶バックライト80、85の変換光学系の内、回転多面鏡14は、実施の形態1でも述べたとおり、その反射面の内いずれかは、その法線方向が水平方向よりも上向きになる面が出てくるが、仮にその面に埃が一時的に堆積したとしても、回転多面鏡14が回転することで、その埃は飛散することになり、全く問題にならない。
(実施の形態5)
図17及び図18は、本発明の実施の形態5に係る液晶バックライト100の概略構成を示す側面図及び斜視図である。本液晶バックライト100は、導光板17に対し、導光板17の側面からではなく上面からマルチレーザ光73を入射している点が他の実施の形態とは異なる点である。また、導光板17に入射する前のレーザ光を折り返す折り返しミラー101は、シリンダーミラー101aと、平面ミラー101bとから構成されており、他の液晶バックライトで存在した走査レンズは無い。
本液晶バックライト100の動作のしくみを説明する。マルチ光源71から出射されたマルチレーザ光73は、コリメータ72で平行光に変換され、回転多面鏡14に入射して上向きに偏向され、図18の左側から右側へ走査される。その後、マルチレーザ光73は、シリンダーミラー101aで反射し、導光板17の厚さ方向に集光しながら、平面ミラー101bで反射し、導光板17の上面から導光板17に入射する。導光板17に入射してから出射する部分は、他の液晶バックライトと同じである。
本液晶バックライト100では、マルチ光源71の出射端面74がレーザ光源部の光出射面の一例に相当し、コリメータ72、回転多面鏡14、折り返しミラー101が変換光学系に該当する。本液晶バックライト100では、導光板17の厚さ方向への集光を、シリンダーミラー101aで行っており、シリンダーミラー101aの反射面の法線方向は、水平方向よりも下側を向いており、埃の堆積等の心配はない。また、導光板17の上面は、その法線方向が垂直上向きであるが、直上に折り返しミラー101を配置できるため、折り返しミラー101が埃に対する傘となり、埃の堆積を防ぐことができる。
また、他の変換光学系の固定光学部品に関しても、光源としてマルチ光源71を用いているため、導光板17の背面側で合波する必要がない。この結果、全てマルチレーザ光73の透過面もしくは反射面の面法線方向を、水平方向よりも下側に向かせることができるので、埃の堆積等の心配はなく、埃の堆積による光量の低下等のない、高信頼性の液晶バックライトを構成することが可能である。また、厚さ方向への集光機能を折り返しミラー101に含めているため、部品点数も削減できており、安価に構成することが可能というメリットも有する。
尚、本液晶バックライト100では、折り返しミラー101の内、前段にシリンダーミラー101aを配置したが、後段の平面ミラー101bの位置にシリンダーミラーを配置しても構わないし、両方をシリンダーミラーにして構成しても構わない。また、液晶バックライト10、40、70、80、85、90においても、折り返しミラー16として、前段の折り返しミラー16a及び後段の折り返しミラー16bの内どちらか、もしくは両方をシリンダーミラーにして走査レンズ15やレンズ92を削除しても構わない。
図19は、本発明の実施の形態5に係る他の液晶バックライト110の概略構成を示す側面図である。本液晶バックライト110は、液晶バックライト100と同じく導光板17の上面側からマルチレーザ光73を入射する構成を取っており、且つ折り返しミラー101を折り返しプリズム111とした以外は、液晶バックライト100と同じ構成を取っている。ここで、折り返しプリズム111は、前段の反射面111aと、後段の反射面111bと、シリンダー部111cとを備え、これらが一体に構成されている。
回転多面鏡14で偏向反射されたマルチレーザ光73は、シリンダー部111cに入射し、導光板17の厚さ方向に集光されながら、折り返しプリズム111内部の前段の反射面111a及び後段の反射面111bで全反射されて、折り返しプリズム111から出射し、導光板17の上面に入射する。
本液晶バックライト110において、変換光学系は、図示していないコリメータ72と、回転多面鏡14と、折り返しプリズム111とから構成される。本液晶バックライト110においても、光源にマルチ光源71を用いており、導光板17の背面側で合波する必要がないため、マルチレーザ光73の透過面もしくは反射面の面法線方向を、すべて水平方向もしくは水平方向より下側に向かせることができる。また、シリンダー部111cの透過面の法線方向も、水平方向より下側を向いており、前段の反射面111a及び後段の反射面111bの法線方向も、水平方向より下側を向いている。また、折り返しプリズム111の上側には、埃が堆積するが、折り返しプリズム111内部の全反射には寄与しないため、透過率低下等の問題は発生せず、また、導光板17の上面の法線方向は、垂直上向きであるが、直上に折り返しプリズム111を配置できるため、折り返しプリズム111が埃に対する傘となり、埃の堆積を防ぐことができる。よって、埃の堆積による透過率の低下の無い高信頼性の液晶バックライトを構成することが可能である。
また、本液晶バックライト110では、導光板17の厚さ方向への集光を、シリンダー部111cで行っており、厚さ方向への集光機能を折り返しプリズム111に含めているため、部品点数も削減できており、安価に構成することが可能というメリットも有する。
尚、本実施例の液晶バックライト100、110は、レーザ光源部として、マルチ光源71を用いて説明したが、実施の形態1の液晶バックライト10の光源12や、実施の形態2の液晶バックライト40のように、ファイバを用いて外部からのレーザ光11を導光するレーザ光源部でも、同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態の液晶バックライト100、110の変換光学系の内、回転多面鏡14は、実施の形態1でも述べたとおり、その反射面の内いずれかは、その法線方向が水平方向よりも上向きになる面が出てくるが、仮にその面に埃が一時的に堆積したとしても、回転多面鏡14が回転することで、その埃は飛散することになり、全く問題にならない。
(実施の形態6)
図20は、本実施の形態6に係る液晶バックライト200の概略構成図である。本液晶バックライト200は、実施の形態1の液晶バックライト10と類似の構成であるが、光路上に3枚のガラス板202(赤色レーザ光用ガラス板202R、緑色レーザ光用ガラス板202G、青色レーザ光用ガラス板202B)が配置されて各レーザ光11(赤色レーザ光11R、緑色レーザ光11G、青色レーザ光11B)の一部を各光センサ201(赤色レーザ光用光センサ201R、緑色レーザ光用光センサ201G、青色レーザ光用光センサ201B)に導光することで、光センサ201が、各光源12から出射直後の各レーザ光11の出力をモニタしており、さらに下流に配置した光センサ203が、同様に各レーザ光の出力をモニタしている点で異なる。ここで、光センサ201、203が測定部の一例に相当する。
具体的には、制御部199は、制御回路及び駆動回路等から構成され、図示を省略した配線を介して光源12及び光センサ201、203に電気的に接続され、光センサ201、203は、各レーザ光11の光量を測定し、制御部199は、測定された光量を基に各レーザ光11の強度が一定になるように各光源12を制御する。なお、光源12(赤色光源12R、緑色光源12G、青色光源12B)から出射された各レーザ光11の大部分は、各ガラス板202を透過し、複数のレンズ204(赤色レーザ光用レンズ204R、緑色レーザ光用レンズ204G、青色レーザ光用レンズ204B)で集光されながらミラー13に入射し、以降の動作は、実施の形態1と同様であるため、詳しい説明は省略する。
ここでは、光センサ201、203を図20のように配置したが、変換光学系の上流側と下流側とに配置されていればよく、特に図20の例に限定するものではない。このような構成を取ることで、光センサ201と光センサ203とで挟まれた光路における透過率の変動をリアルタイムに測定することができる。
また、実施の形態1等で述べたように、液晶バックライト200では、導光板17の背面側でレーザ光を合波しない構成をとることにより、変換光学系を構成する固定光学部品の光透過面及び光反射面等の面法線方向を水平方向又は水平方向より下向きにすることができるため、埃の堆積を防止することができる。
一方で、レーザ光の強度がワット程度と高い場合や青色等の短波長のレーザ光を用いる場合、硝材によるレーザ光吸収による焦電効果等により硝材表面の光路周辺に発生する静電気が顕著になり、それにより埃等の浮遊物が吸い寄せられて硝材表面に付着する場合がある。例えば、アクリルに対して450nmのレーザ光を1kW/cm2の光量で入射すると、一般の室内環境下では、10時間程度で埃の付着により透過率に数%程度の低下が見られる場合がある。
それに対し、図20に示す本実施の形態6の液晶バックライト200の構成を取ることで、リアルタイムに透過率の変動を確認することができる。具体的には、導光板17に入る直前の光センサ203の光量をフィードバックすることで、制御部199は、導光板17には常に同じ光量が入射するように各光源12を制御する。また、制御部199は、光センサ201の光量の変動量をモニタすることで、両センサ間の光学部品の光路上に埃が付着していないかを推定することができる。
尚、光センサ201は、ガラス板202により上向きに折り返しているが、上向きの面を設けないために、光センサ201を水平方向に配置し、ガラス板202でレーザ光11を水平方向に折り返すことにより、水平方向に折り曲げられたレーザ光11を光センサ201で受光する構成としてよい。この場合、ガラス板202の透過面及び反射面の面法線方向が水平方向もしくは水平方向よりも下側を向くように、ガラス板202を配置することができるので、装置内を浮遊する埃がガラス板202の透過面もしくは反射面に堆積することを防ぐことができる。
図21は、本実施の形態6に係る他の液晶バックライト210の概略構成図である。液晶バックライト210は、液晶バックライト200と類似の構成であるが、複数のファン211が追加されている点が異なる。具体的には、制御部209は、制御回路及び駆動回路等から構成され、図示を省略した配線を介して光源12、光センサ201、203及びファン211に電気的に接続され、光センサ201、203は、各レーザ光11の光量を測定し、制御部209は、測定された光量を基にファン211の風量を制御する。ここで、光センサ201、203が測定部の一例に相当し、ファン211が送風部の一例に相当する。
ファン211から出射されたエアは、複数のダクト212によりガイドされ、効率よく各光学部品(例えば、赤色レーザ光反射ミラー13R、緑色レーザ光反射ミラー13G、青色レーザ光反射ミラー13B、赤色レーザ光用光センサ201R、緑色レーザ光用光センサ201G、青色レーザ光用光センサ201B、赤色レーザ光用ガラス板202R、緑色レーザ光用ガラス板202G、青色レーザ光用ガラス板202B、赤色レーザ光用レンズ204R、緑色レーザ光用レンズ204G、青色レーザ光用レンズ204B)の表面に導かれる。これにより、各光学部品の表面で発生した静電気により吸い寄せられる埃を吹き飛ばすことで、埃の付着を防止でき、埃の付着による透過率の低下を防止することができる。
また、ファン211の風量は、光センサ201、203で測定される光量により決定され、制御部209は、光センサ201、203で測定される光量が所定値未満に減少した場合、ファン211の風量を増加させ、光センサ201、203で測定される光量が所定値以上に増加した場合、ファン211の風量を減少させ、又は、ファン211を停止させる。
こうすることで、埃のすくない場所に設置される等で、装置内の光学部品の透過率の低下がみられない場合は、ファン211の回転数を落とすことができるため、低消費電力に構成することができる。また、ファン211からのエアを下向きに出射することで、エアに含まれる埃が再度降り積もることを防止できる。
尚、ここでは、光センサ201、203の検出された値に基づき、ファン211の動作を決定しているが、それ以外でも一定時間置きにファン211を動作させても構わないし、液晶バックライトの点灯終了時等の所定の条件化で動作させても構わない。その場合は、光センサ201、203も常時動作させなくとも、その条件の時のみ動作させればよい。
図22は、本実施の形態6に係る他の液晶バックライト220の概略構成図である。液晶バックライト220は、実施の形態4の液晶バックライト90と類似の構成であり、また、複数の光センサ221、224で光源出射直後と下流との二箇所でレーザ光量を測定している点は液晶バックライト200と類似の構成であるが、ラインディフューザ91がアクチュエータ223の上に移動可能な状態で配置されている点が異なる。
具体的には、マルチ光源71から折り返しミラー16までのレーザ光源部及び変換光学系を二つ用い、この二つのレーザ光源部及び変換光学系を光学定盤18上に左右両側に配列しており、各光路上にガラス板222が配置され、マルチレーザ光73の一部が光センサ221に導光され、マルチレーザ光73の大部分は、各ガラス板222を透過してコリメータ72へ導光される。制御部219は、制御回路及び駆動回路等から構成され、図示を省略した配線を介してマルチ光源71、光センサ221、224及びアクチュエータ223に電気的に接続され、光センサ221、224は、各レーザ光11の光量を測定し、制御部219は、測定された光量を基にマルチ光源71及びアクチュエータ223の動作を制御する。ここで、光センサ221、224が測定部の一例に相当し、アクチュエータ223が駆動部の一例に相当する。
上記の構成により、液晶バックライト220では、液晶バックライト200、210と同様に、例えば、光センサ224で測定された光量をマルチ光源71にフィードバックして、導光板17に入射するレーザ光の光量を一定にすることができる。このとき、制御部219は、光センサ221の光量を測定することで、光センサ224と光センサ221とに挟まれた光学部品の透過率の変動量をモニタできる。
したがって、もしラインディフューザ91に埃が付着して光センサ221の光量が上昇した場合、制御部219は、アクチュエータ223を駆動することにより、ラインディフューザ91の位置を、例えば紙面に対して垂直な向き(水平方向)にシフトさせる。この結果、今まで光路になっていなかった、埃の付着のない部分を使うことにより、ラインディフューザ91の透過率を回復させることが可能になる。ここで、ラインディフューザ91は、導光板17の幅方向にレーザ光を拡大する役割を有しているが、厚さ方向にはパワーを有しないため、紙面に対して垂直な向き(水平方向)にシフトさせても、光学系としての特性は不変である。
尚、位置をシフトされる光学部品は、ラインディフューザに特に限定されず、他の光学部品であってもよい。仮に他のレンズ(例えば、コリメータ72)が軸対称の非球面レンズであった場合も、シリンドリカルレンズ二枚で構成することで、同様の光学特性を示しながらも、ラインディフューザ91のように、シフトさせて埃の付着による透過率の低下を回避することができる。
また、光センサ221、224の出力から埃の付着が検出されていない段階においても、アクチュエータ223を動作させても構わない。常に高速に動作させることで、単位面積あたりに照射されるレーザ光の密度を低減させることができ、埃の付着が低減できる他、動作により発生する風により、埃の付着を低減させることにも繋がる。
また、ここでは光センサ221、224の検出された値に基づき、アクチュエータ223の動作を決定しているが、それ以外でも、一定時間置きに動作させても構わないし、液晶バックライト220の点灯終了時等のある条件化で動作させても構わない。その場合は、光センサ221、224も常時動作させなくとも、その条件の時のみ動作させればよい。
(実施の形態7)
図23は、本実施の形態7に係る液晶バックライト230の概略構成図である。本液晶バックライト230は、実施の形態1の液晶バックライト10と類似であるが、コロナ放電素子231を有している点が異なる。具体的には、制御部229は、制御回路及び駆動回路等から構成され、図示を省略した配線を介して光源12、ファン211及びコロナ放電素子231に電気的に接続され、ファン211及びコロナ放電素子231の動作を制御する。
コロナ放電素子に電圧を印加すると、放電された場所にある空気がイオン化され、さらに発生したイオンをファンで送風することで、その先に存在する帯電物質を電気的に中和することができる。本液晶バックライト230においても、コロナ放電素子231にて発生したイオンをファン211でダクト212に倣って光学部品(例えば、赤色レーザ光反射ミラー13R、緑色レーザ光反射ミラー13G、青色レーザ光反射ミラー13B、赤色レーザ光用レンズ204R、緑色レーザ光用レンズ204G、青色レーザ光用レンズ204B)に当てることで、各光学部品の表面に発生する静電気を除去することが可能になる。尚、ファン211からのエアを下向きに出射することで、エアに含まれる埃が再度降り積もることを防止できる。
図24は、本実施の形態7に係る他の液晶バックライト230の概略構成図である。図24に示す液晶バックライト240においては、液晶バックライト230と同様にコロナ放電素子231を有するが、液晶バックライト210のように光センサ201、203を備えている点が異なる。具体的には、制御部239は、制御回路及び駆動回路等から構成され、図示を省略した配線を介して光源12、光センサ201、203、ファン211及びコロナ放電素子231に電気的に接続され、光センサ201、203は、各レーザ光11の光量を測定し、制御部239は、測定された光量を基に光源12、ファン211及びコロナ放電素子231の動作を制御する。ここで、光センサ201、203が測定部の一例に相当する。
このように構成することで、コロナ放電素子231にて発生させるイオンの量を、光センサ201、203で測定された光量により決定することができ、例えば、光学部品の透過率の低下が見られていない状態においては、わずかにイオンを発生させることで埃等の付着を防止し、光学系の透過率の低下が検出された場合には、発生させるイオンの量を増加させることにより、付着した埃を確実に除電し、ファン211によるエアにより確実に飛ばすことができる。
尚、上記の各実施の形態に示す構成は一例であって、発明の趣旨を逸脱しない範囲でさまざまな変形を加えることができることは言うまでもない。また、液晶バックライト全体を覆うことで、埃の侵入を抑えて、より埃の影響を受けにくくする構成としてもよい。
上記の各実施の形態から本発明について要約すると、以下のようになる。即ち、本発明に係る液晶バックライトは、レーザ光を出射するレーザ光源部と、前記レーザ光源部からのレーザ光を線状光に変換する変換光学系と、前記線状光を入射して水平方向に二次元光を出射する導光板とを備え、前記レーザ光源部の光出射面は、その面法線が水平方向又は水平方向より下側を向くように前記導光板の背面側に配置され、前記変換光学系は、可動部を有しない固定光学部品を含み、前記固定光学部品は、その光透過面及び光反射面の面法線が全て水平方向又は水平方向より下側を向くように前記導光板の背面側に配置される。
本液晶バックライトにおいては、レーザ光源部の光出射面は、その面法線が水平方向又は水平方向より下側を向くように導光板の背面側に配置され、可動部を有しない固定光学部品は、その光透過面及び光反射面の面法線が全て水平方向又は水平方向より下側を向くように導光板の背面側に配置されるので、装置の薄型を維持しながら、レーザ光源部の光出射面及び固定光学部品に対する埃等の堆積に起因する輝度の低下や輝度ムラのない高信頼性の液晶バックライトを実現することができ、それを用いた色再現範囲の広い液晶ディスプレイを安価に実現することができる。
即ち、所定の垂直面を照明するために水平方向にレーザ光を出射する導光板を備えた液晶バックライト及び液晶表示装置において、レーザ光源の光出射面を、その面法線が水平方向又は水平方向より下側を向くように導光板の背面側に配置し、レーザ光源からのレーザ光を線状に変換する変換光学系を構成する固定光学部品を、その光透過面及び光反射面の面法線が全て水平方向又は水平方向より下側を向くように導光板の背面側に配置しているので、埃の堆積による輝度の低下や輝度ムラを簡便且つ安価に防止し、さらには静電気等による埃に対しても有効な埃対策を提供することができる。
前記レーザ光源部は、複数のレーザ光源を含み、前記複数のレーザ光源は、前記導光板の背面側に配置され、前記複数のレーザ光源から出射した複数のレーザ光の主光線は、前記変換光学系内の全領域で互いに重ならないことが好ましい。
この場合、固定光学部品の光透過面及び光反射面の面法線が、全て水平方向もしくは水平方向より下側を向くように容易に配置することができる。
前記レーザ光源部は、複数のレーザ光源と、一本の光ファイバとを含み、前記複数のレーザ光源から出射した複数のレーザ光は、前記導光板の背面以外の場所で合波されて前記光ファイバに入射し、前記光ファイバを介して前記変換光学系に入射するようにしてもよい。
この場合、固定光学部品の光透過面及び光反射面の面法線が、全て水平方向もしくは水平方向より下側を向くように容易に配置することができ、また、複数のレーザ光源を導光板から離間した位置に配置することができるので、複数のレーザ光源から発生する熱が導光板等の装置本体側に伝達されることを防止することができるとともに、装置本体をより薄型化することができる。
前記レーザ光源部は、複数のレーザ光源を一つの筐体内に納めた単一の光源であり、前記単一の光源は、前記導光板の背面側に配置されるようにしてもよい。
この場合、固定光学部品の光透過面及び光反射面の面法線が、全て水平方向もしくは水平方向より下側を向くように容易に配置することができる。
前記変換光学系は、前記導光板への入射前に前記固定光学部品からのレーザ光を折り曲げて前記導光板の側面から前記レーザ光を入射する反射素子をさらに含み、前記反射素子は、その光反射面の面法線が全て水平方向又は水平方向より下側を向くように前記導光板の側面側に配置されることが好ましい。
この場合、反射素子も、その光反射面の面法線が全て水平方向又は水平方向より下側を向くように導光板の側面側に配置されているので、変換光学系全体に埃等が堆積することを抑制することができ、輝度の低下や輝度ムラのないより高信頼性の液晶バックライトを実現することができる。
前記導光板は、その両側面からレーザ光を入射することが好ましい。この場合、導光板の左右方向の輝度均一性に優れた、高画質な液晶バックライトを提供することができる。
前記変換光学系は、前記導光板への入射前に前記固定光学部品からのレーザ光を折り曲げて前記導光板の上面から前記レーザ光を入射する反射素子をさらに含み、前記反射素子は、前記導光板の厚さ方向に前記レーザ光を集光させるようにしてもよい。
この場合、反射素子が埃に対する傘となり、導光板の上面に埃が堆積することを抑制することができるので、輝度の低下や輝度ムラのないより高信頼性の液晶バックライトを実現することができるとともに、厚さ方向への集光機能を反射素子が有しているので、部品点数を削減して装置を安価に作成することができる。
上記液晶バックライトは、前記変換光学系において、前記レーザ光源部を構成するレーザ光源一つに対して二箇所以上でレーザ光の光量を測定する測定部をさらに備えることが好ましい。
この場合、測定された光量から変換光学系の各光学部品の透過率の変動を測定することができる。
上記液晶バックライトは、前記変換光学系を構成する複数の光学部品の内、少なくとも一つの光学部品に対して直接的にエアを吹き当てる送風部と、前記測定部により測定された光量に応じて前記送風部の風量を制御する制御部とをさらに備えることが好ましい。
この場合、測定された光量に応じて、変換光学系の各光学部品の表面で発生した静電気により吸い寄せられる埃を吹き飛ばすことができるので、埃の付着を防止でき、埃の付着による変換光学系の各光学部品の透過率の低下を防止することができる。
上記液晶バックライトは、前記変換光学系は、前記固定光学部品の内少なくとも一つの位置を移動させる駆動部を含み、前記測定部により測定された光量に応じて前記駆動部の動作量を制御する制御部をさらに備えることが好ましい。
この場合、測定された光量に応じて駆動部の動作量を制御することにより、固定光学部品の位置をシフトさせることができるので、今まで光路になっていなかった、埃の付着のない部分を使うことができ、固定光学部品の透過率を回復させることが可能になる。
上記液晶バックライトは、前記変換光学系の近傍に配置されるコロナ放電素子と、前記測定部により測定された光量に応じて前記コロナ放電素子の動作を制御する制御部をさらに備えることが好ましい。
この場合、測定された光量に応じて変換光学系の各光学部品の表面に発生する静電気を除去することができるので、静電気による埃の付着を防止することができ、輝度の低下が抑えられた高信頼性の液晶バックライトを実現す
ることができる。
前記導光板は、内部に光を拡散させる拡散粒子を含むことが好ましい。
この場合、導光板に入射したレーザ光は、導光板内で拡散粒子により広範囲に拡散されながら、導光板から出射することになるので、輝度均一性に優れた、高画質な液晶バックライトを実現することができる。
前記線状光が入射する前記導光板の入射面の少なくとも一箇所において、前記導光板の厚み方向における前記線状光のビーム直径は、前記導光板の厚さの90%以上であることが好ましい。
この場合、導光板の厚みに対して厚み方向のビーム直径を大きくすることができるので、導光板のレーザ光の入射面に埃が付着した場合であっても、導光板の入射面を照明するレーザ光の内、付着したホコリで蹴られる光量の割合を低減することができるため、導光板から出射される二次元光の輝度ムラをさらに抑えることができる。
前記レーザ光源部は、赤色レーザ光源、緑色レーザ光源及び青色レーザ光源を含むことが好ましい。
この場合、色再現範囲の広い液晶ディスプレイを安価に実現することができる。
前記レーザ光源部は、半導体レーザ光源を含み、前記半導体レーザ光源は、カバーガラスを有するパッケージを含み、前記カバーガラスにマイクロレンズアレイが形成されていることが好ましい。
この場合、レーザ光がマイクロレンズアレイを通過することにより、出射するレーザ光の強度分布を均一化することができる。
前記マイクロレンズアレイは、前記カバーガラスの内側に形成されていることが好ましい。
この場合、埃を含む外気と接するカバーガラスの外側でのレーザ光の強度分布をガウシアン分布よりも平坦にすることができるので、静電気による埃の付着を抑えることができ、輝度の低下が抑えられた高信頼性の液晶バックライトを実現することができる。
本発明に係る他の液晶バックライトは、レーザ光を出射するレーザ光源部と、前記レーザ光源部からのレーザ光を線状光に変換する変換光学系と、前記線状光を入射して水平方向に二次元光を出射する導光板とを備え、前記変換光学系は、可動部を有しない固定光学部品を含み、前記固定光学部品は、前記導光板の背面側に配置され、前記固定光学部品の近傍に配置されるコロナ放電素子をさらに備える。
本液晶バックライトにおいては、コロナ放電素子から発生されるイオンにより帯電物質を電気的に中和し、固定光学部品の表面に発生する静電気を除去することができるので、静電気による埃の付着を防止することができ、輝度の低下が抑えられた高信頼性の液晶バックライトを実現することができる。
本発明に係る他の液晶バックライトは、レーザ光を出射するレーザ光源部と、前記レーザ光源部からのレーザ光を線状光に変換する変換光学系と、前記線状光を入射して水平方向に二次元光を出射する導光板とを備え、前記線状光が入射する前記導光板の入射面の少なくとも一箇所において、前記導光板の厚み方向における前記線状光のビーム直径は、前記導光板の厚さの90%以上である。
本液晶バックライトにおいては、導光板の厚みに対して厚み方向のビーム直径を大きくすることができるので、導光板のレーザ光の入射面に埃が付着した場合であっても、導光板の入射面を照明するレーザ光の内、付着したホコリで蹴られる光量の割合を低減することができるため、導光板から出射される二次元光の輝度ムラを抑えることができる。
本発明に係る液晶表示装置は、液晶表示パネルと、前記液晶表示パネルを背面側から照明するバックライト照明装置とを備え、前記バックライト照明装置は、上記いずれかの液晶バックライトである。
本液晶表示装置においては、装置の薄型を維持しながら、固定光学部品に対する埃等の堆積に起因する輝度の低下や輝度ムラのない高信頼性の液晶バックライトを用いているので、色再現範囲の広い薄型且つ高信頼性の液晶ディスプレイを安価に実現することができる。
本発明の液晶バックライトは、光学部品に埃などが堆積することによる輝度の低下や、輝度ムラ発生のない良好な特性を有するので、埃耐性が向上した高信頼性且つ薄型の液晶バックライトを安価な光学構成で実現することができ、有用である。また、本発明の液晶バックライトを用いると、薄型で色再現性に優れ、且つ、埃耐性の向上した高信頼性の液晶表示装置を安価に実現することができ、有用である。