JP3833542B2 - 光走査装置・画像形成装置および画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、光走査装置・画像形成装置および画像形成方法 に関する。
【0002】
【従来の技術】
光源側からの光束を、回転多面鏡等の「光偏向走査手段」により偏向させ、偏向される光束をfθレンズ等の「走査結像光学系」により被走査面に向けて集光させることにより、被走査面上に光スポットを形成し、この光スポットにより被走査面を光走査する光走査装置は、光プリンタや光プロッタ、デジタル複写機等の画像形成装置に関連して広く知られている。
【0003】
光走査装置を用いる画像形成装置では一般に「光走査により画像の書込みを行う画像書込工程を含む画像形成プロセス」が実行されるが、形成される画像の良否は光走査の良否にかかっている。光走査の良否は、光走査装置の「主走査方向や副走査方向の走査特性」に依存する。
【0004】
主走査方向の走査特性としては例えば、光走査の等速性がある。例えば、光偏向走査手段として回転多面鏡を用いる場合、光束の偏向は等角速度的に行われるので、光走査の等速性を実現するために、走査結像光学系としてfθ特性を持つものを用いている。しかしながら、走査結像光学系に要請される他の性能との関係もあって、完全なfθ特性を実現することは容易でない。このため、現実の光走査においては、光走査が完全に等速的に行われることは無く、走査特性としての等速性は「理想の等速走査からのずれ」を伴っている。
【0005】
副走査方向の走査特性には「走査線の曲がり」や「走査線の傾き」がある。走査線は「被走査面上における光スポットの移動軌跡」で、直線であることが理想であり、光走査装置の設計も走査線が直線となるように行われるが、実際には、加工誤差や組立誤差等が原因して走査線に曲がりが発生するのが普通である。
【0006】
また、走査結像光学系として「結像ミラー」を用い、偏向光束の、結像ミラーへの入射方向と反射方向との間に、副走査方向で角度を持たせる場合には、原理的に走査線の曲がりが発生するし、走査結像光学系をレンズ系として構成する場合でも、被走査面を「副走査方向に分離した複数の光スポットで光走査」するマルチビーム走査方式では走査線の曲がりが不可避的である。
【0007】
「走査線の傾き」は、走査線が副走査方向に対して正しく直交しない現象である。
【0008】
光走査の等速性が完全でないと、形成された画像に主走査方向の歪みが生じ、走査線の曲がりや傾きは、形成された画像に副走査方向の歪みを生じさせる。画像が所謂モノクロで、単一の光走査装置により書込み形成される場合は、走査線の曲がりや傾き、等速性の不完全さ(理想の等速走査からのずれ)がある程度抑えられていれば、形成された画像に「目視で分かるほどの歪み」は生じない。
【0009】
マゼンタ・シアン・イエローの3色、あるいはこれに黒を加えた4色の画像を色成分画像として形成し、これらの色成分画像を重ね合せることにより合成的にカラー画像を形成することは、従来から、カラー複写機等で行われている。
【0010】
このようなカラー画像形成を行うのに、各色の成分画像を異なる光走査装置で異なる感光体に形成する所謂「タンデム型」と呼ばれる画像形成方式があるが、このような画像形成方式の場合、光走査装置相互で「走査線の曲がりや傾きが異なる」と、各光走査装置ごとの走査線の曲がりは補正されていたとしても、形成されたカラー画像に「色ずれ」と呼ばれる画像異常が現われて、カラー画像の画質を劣化させる。また、色ずれ現象の現われ方として、カラー画像における色合いが所望のものにならないという現象がある。
【0011】
近来、走査特性の向上を目して、光走査装置の結像光学系に、非球面に代表される特殊な面を採用することが一般化しており、このような特殊な面を容易に形成でき、なおかつコストも安価な「樹脂材料の結像光学系」が多用されている。
【0012】
樹脂材料の結像光学系は、温度や湿度の変化の影響を受けて光学特性が変化しやすく、このような光学特性の変化は「走査線の曲がり具合や等速性」をも変化させる。そうすると、例えば、数十枚のカラー画像の形成を連続して行う場合に、画像形成装置の連続運転により機内温度が上昇し、結像光学系の光学特性が変化して、各光走査装置の書込む走査線の曲がり具合や等速性が次第に変化し、色ずれの現象により、初期に得られたカラー画像と、終期に得られたカラー画像とで色合いが全く異なるものになるという問題もある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は上記事情に鑑みてなされたもので、主走査方向および/または副走査方向の走査特性を有効に補正できる液晶偏向素子列装置を実現し、良好な光走査、延いては良好な画像形成を可能ならしむることを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この発明の光走査装置において用いられる液晶偏向素子列装置は「被走査面上における光スポットの位置を調整する」装置であって、以下の点を特徴とする。
【0015】
即ち、独立して制御可能な液晶偏向素子を複数個、主走査方向へ配列して有し、光偏向走査手段から被走査面に至る光路中に配置される。そして、光走査に応じて、光束の主走査方向及び/または副走査方向の偏向量を、液晶偏向素子ごとに制御することにより、被走査面上における光スポットの位置を調整する。
【0016】
「光偏向走査手段」は、光源側からの光束を光走査のために偏向させる手段であり、ポリゴンミラーを回転させる回転多面鏡を始めとし、ピラミダルミラー、ホゾ型ミラー等の回転1面鏡や回転2面鏡、あるいはガルバノミラー等、従来から知られた各種のものを用いることができる。
【0017】
「走査結像光学系」は、光偏向走査手段により偏向された光束を被走査面に向けて集光させ、被走査面上に光スポットを形成するための光学系であり、fθレンズ等の「レンズ系」として構成することも、fθミラー等の「結像ミラー系」として構成することもできるし、「レンズ系とミラー系の複合系」として構成することもできる。
【0018】
走査結像光学系は、光スポットによる光走査を等速化する「等速化機能」を有する。即ち、例えば、光偏向走査手段による光束の偏向が、等角速度的である場合には、走査結像光学系として「光スポットによる走査を等速化するためにfθ機能を有するもの」が用いられる。この場合は「fθ特性」が「光走査の等速性」である。
【0019】
「液晶偏向素子」は、光束を透過させている状態において、電気的あるいは磁気的な信号で駆動することにより、透過光束の向きを変化させることができる光学素子である。液晶偏向素子の作用により透過光束の向きが変化する方向を「偏向方向」と呼ぶ。液晶偏向素子については後述する。
【0020】
上記液晶偏向素子列装置は「副走査方向を偏向方向とする副走査液晶偏向素子を複数個、主走査方向に配列してなる副走査液晶偏向素子列」として構成することができる。この場合、液晶偏向素子列装置は、個々の液晶偏向素子が「副走査液晶偏向素子」で、副走査液晶偏向素子列による液晶偏向素子列装置を用いることにより、走査線の曲がり(以下「走査線曲がり」という)及び/または走査線の傾きを補正することができる。液晶偏向素子列装置はまた、主走査方向を偏向方向とする主走査液晶偏向素子を複数個、主走査方向に配列した主走査液晶偏向素子列を、単独で有することができ、もしくは主走査液晶偏向素子列を上記副走査液晶偏向素子列と共に有することができる。
【0021】
液晶偏向素子列装置が、主走査液晶偏向素子列を単独で有する場合には、個々の液晶偏向素子が「主走査液晶偏向素子」で、主走査液晶偏向素子列を用いることにより、光走査の等速性を補正できる。また、液晶偏向素子列装置が「主走査液晶偏向素子列と副走査液晶偏向素子列」を有する場合は、走査線曲がり及び/又は走査線の傾きと、光走査の等速性を補正できる。
【0022】
上記液晶偏向素子列装置において、副走査液晶偏向素子列における各副走査液晶偏向素子の主走査方向の幅を5mm以下に小さくする(素子の配列ピッチを細かくする)ことにより、隣接する副走査液晶偏向素子間の偏向量変化が「実質的に連続的な変化」と見なせる程度になるようにすることができる。
【0023】
また、主走査液晶偏向素子列における各主走査液晶偏向素子の主走査方向の幅を5mm以下に小さくして、各素子の配列ピッチを十分に細かくすることにより、隣接する主走査液晶偏向素子間の偏向量変化が「実質的に連続的な変化」と見なせる程度になるようにすることができる。
【0024】
例えば、走査線曲がりを副走査液晶偏向素子列で補正する場合において、補正すべき「走査線曲がりの形状」が予め知られている場合には、副走査液晶偏向素子列を、補正すべき走査線曲がりに応じて、構成することもできる。この場合、副走査液晶偏向素子列を構成するべく「主走査方向に配列される複数の副走査液晶偏向素子」は、そのサイズが互いに異なっても良い。即ち、例えば、走査線曲がりの形状を、光スポットの像高:Hの関数としてf(H)とするとき、|df/dH|が大きくなる「走査線の曲がり具合の大きい領域」では、主走査方向のサイズの小さい副走査液晶偏向素子を多数配列して、走査線の曲がりを細かく補正し、|df/dH|が小さくて「走査線の曲がり具合が小さい領域」では、主走査方向のサイズの比較的大きい副走査液晶偏向素子を用いて補正を行うようにできる。
【0025】
また、走査線に「実質的に曲がりの無い領域」がある場合には、この領域に対応する部分に副走査液晶偏向素子がなくてもよい。即ち、予め知られた走査線曲がりを補正するために副走査液晶偏向素子列を構成するのであれば、副走査液晶偏向素子のサイズ・配列は同一・等間隔とは限らない。
【0026】
同様に、光走査の等速性を主走査液晶偏向素子列で補正する場合において、補正すべき「光走査の等速性」が予め知られている場合には、主走査液晶偏向素子列を、補正すべき等速性に応じて構成することができ、この場合、主走査液晶偏向素子列を構成するべく「主走査方向に配列される複数の主走査液晶偏向素子」は、そのサイズが異なっても良い。
【0027】
例えば、fθ特性の「変化の大きい領域」では、主走査方向のサイズの小さい主走査液晶偏向素子を多数配列して等速性を細かく補正し、等速性の変化が小さい領域では、主走査方向のサイズの比較的大きい副走査液晶偏向素子を用いて補正を行うようにできる。
【0028】
また、等速性が「実質的に達成されている領域」がある場合、この領域に対応する部分には主走査液晶偏向素子がなくてもよい。即ち、予め知られた等速性を補正するために主走査液晶偏向素子列を構成するのであれば、主走査液晶偏向素子列を構成する主走査液晶偏向素子のサイズ・配列も、同一・等間隔とは限らない。
【0029】
上に説明したのは「補正すべき対象である走査線曲がりやfθ特性が予め知られており、これらに対応して液晶偏向素子列装置を構成する場合」であるが、この場合、構成された液晶偏向素子列装置には補正対象に対する汎用性はなく、補正対象の走査線曲がり等が異なれば用を成さない。
【0030】
このような観点からすると、広い範囲の補正対象(種々の走査線曲がりやfθ特性)をも有効に補正できるようにするには、光走査装置の一般的な構成に応じた構成とすることが好ましい。即ち、一般には「個々の主走査液晶偏向素子あるいは副走査液晶偏向素子が受け持つ走査幅が互いに等しくなる」ように、個々の素子の「主走査方向のサイズ(配列ピッチ)」を定め、液晶偏向素子を互いに密接して連続的に配設するのが良い。このような液晶偏向素子列装置を用いることにより、走査線曲がりや走査線の傾き、等速性等を有効に補正することが可能であるので、光走査装置やその走査結像光学系、さらには画像形成装置に対する組立精度等が緩和される。例えば、走査線曲がりは光走査装置の組立誤差や加工誤差に起因して生じるが、液晶偏向素子列装置による走査線曲がりの補正を前提とすれば、加工誤差や組立誤差に対する精度を有効に緩和させることができ、加工コストや組立コストの低減を図ることができる。
【0031】
また、走査結像光学系に要請されるfθ特性等の等速性も、液晶偏向素子列装置による補正を前提とすれば、等速性に対する設計条件が緩和され、その分、他の光学特性、例えば像面湾曲や波面収差の良好な補正が可能となる。
【0032】
この発明の光走査装置は「複数の光源からの光束を光偏向走査手段により偏向させ、偏向された光束を走査結像光学系により、光源に応じた被走査面に向けて集光させ、被走査面上に光スポットを形成して光走査を行う光走査装置」であって以下の点を特徴とする(請求項1)。
【0033】
光源からこの光源に対応する被走査面に至る光路の1以上において、光偏向走査手段と上記被走査面との間に配置し、上記液晶偏向素子列装置により、各液晶偏向素子に対応する担当補正領域ごとに独立に光走査に応じて光束を主走査方向及び/または副走査方向に偏向させることにより、上記被走査面上における主走査方向および/または副走査方向の光スポット位置を調整し、走査線曲がりや走査線の傾きが、各光源に応じた被走査面上において実質的に同じになるようにする。
【0034】
液晶偏向素子列装置が「主走査液晶偏向素子列と副走査液晶偏向素子列とを有する」場合、これらは一体として用いることも、別体として互いに離れた位置に配置することもできる。液晶偏向素子列装置を配置する位置は、光偏向走査手段と被走査面との間の適宜の位置でよいが、有効走査領域にわたって精緻な補正を行うためには、液晶偏向素子列装置は「走査結像光学系と被走査面との間」に配置されることが好ましい(請求項2)。
【0035】
液晶偏向素子列装置を「走査結像光学系と被走査面との間」に配置すると、走査結像光学系による結像光束の波面収差に対する影響が少ないと言うメリットもある。
【0036】
請求項1または2記載の光走査装置において、液晶偏向素子列装置は「副走査方向に対し傾け」て配設することが好ましい(請求項3)。
【0037】
液晶偏向素子列装置を副走査方向に対して傾けて設けることにより、液晶偏向素子列装置の入・射出面で発生する反射光が「走査結像光学系の光学面や光偏向走査手段等で反射されて被走査面にゴースト光として到達し、画像を劣化させる」のを防ぐことが可能となる。
【0038】
請求項1または2または3記載の光走査装置は「光源から複数光束が放射され、被走査面が2以上の光スポットで光走査されるマルチビーム方式」とすることができる(請求項4)。
【0039】
請求項1記載の光走査装置は複数の光源を用いるが、複数の光源の各光源から各光源に対応する被走査面に至る光路を構成する走査光学系は「各光源からの光束の形成する光スポットによる走査線を実質的に互いに平行とする」ように構成される。この場合、液晶偏向素子列装置を光源ごとに設けることができる(請求項5)。
【0040】
請求項1記載の光走査装置はまた、光源の数を3もしくは4とし、各光源から放射される光束を「カラー画像を構成する各色成分の画像情報」で変調するように構成できる。このような構成により、カラー画像を構成するための成分画像を書込むことができる。
【0041】
この発明の画像形成装置は「感光媒体に光走査を行って、画像形成を行う画像形成装置」であって、感光媒体に光走査を行う光走査装置として請求項1〜5の任意の1に記載のものを用いる(請求項6)。
【0042】
この画像形成装置は「感光媒体として光導電性の感光体を用い、光走査により形成される静電線像を可視化して得られるトナー画像を、シート状の記録媒体に転写・定着する」ように構成される。
【0043】
「シート状の記録媒体」は、通常の転写紙やOHPシート(オーバヘッドプロジェクタ用のプラスチックシート)等である。
【0044】
請求項6記載の画像形成装置は、各光源からの光束により光走査すべき被走査面の実体を成す複数個(例えば3もしくは4個)の光導電性の感光体を、互いに並列に配置した所謂タンデム式の構成とされる。
【0045】
請求項6記載の画像形成装置はまた、1以上の光スポットの走査位置を検出する「走査位置検出手段」を有し、走査位置検出手段の検出結果に応じて、対応する液晶偏向素子列装置の各液晶偏向素子における偏向量を決定する構成とすることができる(請求項7)。
【0046】
「走査位置検出手段」は光走査装置内に配設することもできるし、画像形成装置内における光走査装置とは異なる位置に配設することもできる。
【0047】
この発明の画像形成方法は「請求項7記載の画像形成装置を用いる画像形成方法」である。請求項8記載の画像形成方法は以下の如き特徴を有する。即ち、走査位置検出手段により検出される光スポットの走査位置に基づき、画像形成装置の電源投入時に、対応する液晶偏向素子列装置の各液晶偏向素子における偏向量を設定する。
【0048】
請求項9記載の画像形成方法は、以下の如き特徴を有する。即ち、正規の画像形成プロセスに先立って、走査位置検出手段により光スポットの走査位置を検出し、検出結果に基づき、対応する液晶偏向素子列装置の各液晶偏向素子における偏向量を設定する。走査位置の検出と偏向量の決定は、画像形成装置のユーザの意思により随時行うようにしても良いが、正規の画像形成プロセスが行われるごとに行っても良く、正規の画像形成プロセスの複数回ごとに1回の割合で行うようにしても良い。この場合、請求項8記載の画像形成方法を実施するには、最後に決定された偏向量を制御装置等のメモリに記憶させておき、次回の電源投入時にこの偏向量を設定するようにすればよい。
【0049】
請求項8または9記載の画像形成方法を実施する場合、感光媒体として光導電性の感光体を用い、画像形成プロセスを連続して行うに際して、トナー画像を担持するシート状の記録媒体の連続搬送における媒体間隔時間内に走査位置検出手段による光スポットの走査位置検出を行い、液晶偏向素子列装置の各液晶偏向素子における偏向量の「再設定の必要性」を判定するようにできる(請求項10)。
【0050】
この場合、偏向量の再設定が必要と判定されたとき、光スポットの走査位置検出を行ったのと同一の媒体間隔時間内、もしくは、それ以後の媒体間隔時間内に新たな偏向量の設定を行うことができる(請求項11)。
【0051】
「媒体間隔時間」は、画像形成プロセスが連続して行われるとき、連続搬送されるシート状の記録媒体の間隔:dを搬送速度:vで除した「d/v」を言う。
【0052】
媒体間隔時間を「h」とし、光スポットの走査位置の検出に要する時間を「h1」、液晶偏向素子列装置の各液晶偏向素子に偏向量を設定するのに必要な処理時間を「h2」とするとき、これらの間に条件「h≧h1+h2」が成り立つ場合には、新たな偏向量の設定を「光スポットの走査位置検出を行ったのと同一の媒体間隔時間内」に行うことができる。
【0053】
また、「h<h1+h2」の場合、h>h1、h>h2であるならば、光スポットの走査位置の検出を適宜の媒体間隔時間(例えば、画像形成プロセスの3回に1回の割合い)に行い、偏向量の決定は、この媒体間隔時間よりもあとの媒体間隔時間において行うようにする。
【0054】
ここで「液晶偏向素子」について簡単に説明する。前述の如く、液晶偏向素子は、電気的な信号で駆動されるものと、磁気的な信号で駆動されるものとが知られているが、以下では、電気的な信号で駆動されるものを例にとって説明する。
【0055】
電気的な信号による駆動で光束を偏向させる液晶偏向素子は、大別すると、電気信号により「屈折率を変化させる」ものと、電気信号により「回折作用を起こさせる」ものとの2種に分けられる。
【0056】
まず、屈折率の変化を利用する液晶偏向素子につき説明すると、この種のものは、例えば、特開昭63−240533号公報に記載されている。1例を示すと、図1の如くである。
【0057】
図1(b)において、液晶1は「誘電異方性が正のネマチック液晶」で、スペーサ3により所定間隙に保たれた1対の透明配向膜2A、2B間に薄層状に密封されている。符号1Aで示す液晶分子は「分子軸方向に長い形状」である。配向膜2Aは、液晶分子1Aの分子軸が配向膜表面に対して直交方向となるように配向処理され、配向膜2Bは、液晶分子1Aの分子軸が配向膜表面に対して平行方向となるように配向処理されている。
【0058】
配向膜2Aの外側にはZnO等による透明な電気抵抗膜4が形成されている。透明な電気抵抗膜4、配向膜2A、2Bおよび液晶1は、図1(b)に示す如く1対の透明なガラス基板5A、5Bにより挟持されている。ガラス基板5Bの配向膜2B側の面にはITO等による透明な電極膜6が一面に形成されている。
【0059】
一方、ガラス基板5Aの配向膜2A側の面には、図1(a)に示すようなパターンの電極7A、7Bが形成され、これら電極7A、7Bは(b)に示す如く、電気抵抗膜4に接している。
【0060】
電極7A、7Bは、これらが「光束の透過領域にかかる場合」にはITO等により透明電極として形成されるが、電極7A、7Bが光束の透過領域にかからなければ(電極7A、7Bが光束を遮らなければ)金属薄膜等により不透明な電極として形成することもできる。図1の例では、電極7A、7Bは透明電極として形成されている。
【0061】
図1(b)の状態において、電極膜6と電極7Bを接地し、図1(a)に示す電極7A、7Bの端子A、B間に電圧:Vを印加すると、電気抵抗膜4の電位は、電極7Aの側から電極7Bの側へ直線的に低下する。このため、電気抵抗膜4と透明な電極膜6との間には「図1(b)の上方から下方へ向って直線的に減少する電界(向きは図の左右方向を向いている)」が作用する。
【0062】
この電界は液晶1に作用し、液晶分子1Aを「その分子軸が電界に平行になるよう」に回転させる。液晶分子1Aの回転角は「電界の強さに直線的に比例」するので、上記電界が作用すると、電極7Aの側では液晶分子1Aの分子軸は電界の方向(図の左右方向)により近くなるが、電極7Bの側では電界が実質的に0であるので、液晶分子1Aの分子軸は殆ど電極膜6に平行のままである。
【0063】
液晶分子1Aの誘電率は、分子軸に平行な方向において大きく、分子軸に直交する方向において小さい。このため、屈折率は分子軸に平行な方向においてより大きくなる。上記電界の作用により、上述の如き「液晶分子1Aの分子軸の向きの分布」が生じると、液晶1における「屈折率」は、分子軸が電界に略平行となる電極7Aの側で高く、電極7Bの側では低くなり、図1(c)に示すように電極7Aの側から電極7Bの側へ直線的に減少する。
【0064】
従って、このような屈折率分布が生じている液晶偏向素子に、図1(b)の右側から光束を入射させて液晶偏向素子を透過させると、透過光束は屈折率分布の作用により、屈折率の高い側(図1(b)で上方)へ偏向される。
【0065】
以上が、屈折率変化を利用した液晶偏向素子による光束偏向の原理である。偏向の程度である偏向量、即ち「偏向角」は、液晶偏向素子に固有の値で飽和し、飽和するとそれより大きな偏向角は生じない。液晶偏向素子を駆動する電気信号としては「直流電圧」を用いても良いが、液晶偏向素子の寿命の面から考えると、電気信号は「パルス状または正弦波状に変調された信号で、平均電圧が0V近傍であるもの」が好ましい。
【0066】
偏向角を変化させるには、端子A、B間の電位差:Vの増減によって行うこともできるが、上記パルス信号を駆動信号とする場合は「パルスのデュ−ティ比」を変えることによっても行うことができる。
【0067】
図2は「電気信号により屈折率を変化させる方式の液晶偏向素子」の別例である。繁雑を避けるため、混同の虞がないと思われるものについては図1におけると同一の符号を用いた。この素子は図1の素子の変形例であり、図1の素子との差異は、ガラス基板5Aの側において、透明な電気抵抗膜を3つの部分4A、4B、4Cに分割し、透明電極を図2(a)の如くにパターニングし、電気抵抗膜4Aに電極7A1と7B1が対応し、電気抵抗膜4Bに電極7A2と7B2が対応し、電気抵抗膜4Cに電極7A3と7B3が対応するようにした。
【0068】
端子A、B間に駆動信号を印加すると、図2(c)の如き屈折率分布が得られる。この場合、端子A、Bに印加する電圧:Vに対する電界の変化率が大きくなるので、図1の素子に比してより「大きな屈折率勾配」が得られ、より大きな偏向角(偏向量)を得ることができる。
【0069】
図3は液晶偏向素子の別の例を示している。この液晶偏向素子は「電気信号により回折作用を起こさせるもの」である。この型の液晶偏向素子は、例えば特開平8−313941号公報に詳しく記載されている。図3においても繁雑を避けるため、混同の虞がないと思われるものについては、図1におけると同一の符号を用いた。
【0070】
図3(a)において、液晶1は例えば「液晶分子1Aの分子軸方向の誘電率が、分子軸に直交する方向の誘電率よりも小さい、誘電異方性が負のネマチック液晶」で、スペーサ3により所定間隙に保たれた1対の透明配向膜2A、2Bの間に、薄層状に密封されている。
【0071】
配向膜2A、2Bは、透明電極6Aを有するガラス基板5Aと、透明電極6Bを有するガラス基板5Bとにより挟持されている。透明電極6A、6BはITO等で薄膜状に形成され、それぞれガラス基板5A、5Bの面に所定の形状(例えば矩形形状)で一様に形成されている。
【0072】
配向膜2A、2Bは、液晶分子1Aの分子軸方向が図面に直交する方向となるように、液晶1に対する配向を行う。このような状況で、透明電極6A、6B間に、直流もしくは300Hz程度以下の低周波の電圧を印加させると、液晶1内に図の上下方向(前記「配向方向」と直交する方向)を格子配列方向とする回折格子パターンが形成される(特開平8−313941号公報「0054」)。図3(b)は、このように形成された回折格子パターンにおける屈折率分布である。
【0073】
この状態で光束を液晶偏向素子に入射させると、透過光は上記回折格子パターンにより(図3(a)の上下方向に)回折光を生じる。上記低周波の電圧の電圧値を変化させると、形成される回折格子パターンの格子ピッチが変化し、回折角が変化する(特開平8−313941号公報「0057」)。
【0074】
従って、例えば回折の1次光に着目すれば、1次光の偏向角を調整することにより、光束を所定方向(上に説明した場合では、図1(a)の上下方向)に所望の偏向角で偏向させることができる。
【0075】
また、図3の液晶偏向素子の透明電極6A、6B間に印加する電圧を高周波電圧にすると、液晶1に配向方向に直交する方向の回折格子パターンが現れ、図3(a)の図面に直交する方向の回折光を得ることができる。この場合は、液晶に印加する高周波電圧の「包絡電圧」を増減させることにより、回折角を変化させることができる(特開平8−313941号公報「0060」)。
【0076】
以上、従来から知られた「電気信号により光束を偏向させるタイプの液晶偏向素子」につき簡単に説明した。
【0077】
この発明では、これら公知の液晶偏向素子(電気信号により駆動するものに限らず、上には説明しなかったが、磁気信号により駆動するものでもよい)を用い、光束の偏向により光スポットの位置調整を行うのである。
【0078】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施を説明する。図4は、光走査装置において、1つの光源から、この光源に対応する被走査面に至る光学構成を説明図的に示している。図4(a)に示すように、光源装置(光源とカップリングレンズとを含む)10から射出した光束は、平行光束(弱い収束もしくは発散光束でも良い)で、被走査面上で所望形状の光スポット径を得るための開口絞り(図示されず)を通過し、線像結像光学系をなす(副走査方向にのみ正のパワーを持つ)シリンドリカルレンズ12に入射し、副走査方向にのみ集束され、光偏向走査手段のポリゴンミラー14の偏向反射面近傍に「主走査方向に長い線像」として結像する。
【0079】
ポリゴンミラー14の等速回転に伴ない、偏向反射面に反射された光束は等角速度的に偏向する偏向光束となり、走査結像光学系としてのfθレンズ16を構成する2枚のレンズ161、162を順次透過し、液晶偏向素子列装置18を透過して被走査面20に到達し、fθレンズ16の作用により被走査面20上に光スポットとして集光し、被走査面20を光走査する。
【0080】
液晶偏向素子列装置18は「主走査方向に長い長尺形状」で、被走査面20上において光スポットの位置調整を行わせるためのものである。即ち、液晶偏向素子列装置18は「光源側からの光束を光偏向走査手段14により偏向させ、偏向された光束を走査結像光学系16により被走査面20に向かって集光させて被走査面上に光スポットを形成し、この光スポットにより被走査面の光走査を行う光走査装置において、被走査面上における光スポットの位置を調整する装置」であって、後述するように、独立して制御可能な液晶偏向素子を複数個、主走査方向へ配列して有し、光偏向走査手段であるポリゴンミラー14から被走査面20に至る光路中に配置され、光走査に応じて光束の、主走査方向及び/または副走査方向の偏向量を液晶偏向素子ごとに制御することにより、被走査面20上における光スポットの位置を調整する。光スポットの位置調整は、主走査方向および/または副走査方向に関して行われる。
【0081】
符号22で示す「コントローラ」はマイクロコンピュータ等で構成され、液晶偏向素子列装置18の各液晶偏向素子における偏向量を設定し、このように設定された偏向量を実現するように液晶偏向素子列装置18を制御駆動する。コントローラ22はまた、画像形成装置全体を制御する「システムコントローラ」における機能の1つとして設定することもできる。
【0082】
即ち、図4(a)に示す光走査装置は「光源からの光束を光偏向走査手段14により偏向させ、偏向された光束を走査結像光学系16により、光源に応じた被走査面20に向けて集光させて被走査面上に光スポットを形成して光走査を行う光走査装置であって、液晶偏向素子列装置18を、光源からこの光源に対応する被走査面に至る光路の1以上において、光偏向走査手段14と被走査面20との間に配置し、液晶偏向素子列装置18により、光走査に応じて光束を主走査方向及び/または副走査方向に偏向させることにより、被走査面上における主走査方向および/または副走査方向の光スポット位置を調整する」ものである。
【0083】
また、液晶偏向素子列装置18は、走査結像光学系(fθレンズ)16と被走査面20との間に配置されている。
【0084】
図4(b)は、図4(a)における「ポリゴンミラー14の偏向反射面と被走査面20との間の光学配置」を副走査方向(図面に直交する方向)からみた状態を示している。液晶偏向素子列装置18は、図4(a)に示すように「走査結像光学系としてのfθレンズ16のレンズ162と被走査面20との間」に配設されているが、液晶偏向素子列装置の配設位置はこれに限らない。
【0085】
例えば、液晶偏向素子列装置18に代えて、液晶偏向素子列装置18Aを、図4(b)に示す如く、ポリゴンミラー14の偏向反射面とfθレンズ16におけるレンズ161との間に配設することもできる。このように液晶偏向素子列装置を光偏向走査手段の側に近接して配設するほど、液晶偏向素子列装置の主走査方向の長さを短縮でき、コスト的には有利である。
【0086】
しかしながら反面、以下の如き問題がある。図4(b)に示す液晶偏向素子列装置18Aに入射する偏向光束は等角速度的に偏向している。ポリゴンミラー14の偏向反射面による偏向の起点から、液晶偏向素子列装置18Aに至る距離をDとし、偏向光束の偏向角をθとすると、偏向角:θのときに偏向光束(の主光線)が液晶偏向素子列装置18Aに入射する位置は、D・tanθである。
【0087】
すると、偏向光束の微小偏向角:Δθに対応する液晶偏向素子列装置18Aの主走査方向の幅:ΔSは「ΔS=D・Δθ/cos2θ」となるから、偏向角:θが大きくなるほど、偏向光束が液晶偏向素子列装置18A上を移動する距離は大きくなる。
【0088】
従って仮に、液晶偏向素子列装置18Aにおける各液晶偏向素子の主走査方向のサイズを同一とし、複数の液晶偏向素子を等ピッチで主走査方向に配列したとすると、個々の液晶偏向素子に対応する「被走査面上における主走査方向の領域(以下、各液晶偏向素子の担当補正領域と呼ぶ)」は、偏向角の大きい位置にある液晶偏向素子ほど大きくなる。このため、光スポットの位置の調整は、偏向光束の偏向角が大きくなるほど粗雑化する。
【0089】
これを避けるためには、液晶偏向素子の主走査方向のサイズを、偏向角:0から最大偏向角の側に向って次第に小さく、液晶偏向素子の配列ピッチを、偏向角:0から最大偏向角に向って次第に細かくすれば良いが、偏向反射面の近傍では、偏向光束は主走査方向に絞られていず、かなりの光束径(数mm程度)を有するので、上記サイズを然程小さくできない。
【0090】
このような理由で、液晶偏向素子列装置は、走査結像光学系よりも被走査面側にあることが好ましいのである。
【0091】
図4(a)、(b)に示す液晶偏向素子列装置18のように、fθレンズ16と被走査面20との間に配設する場合は、偏向光束自体が細く絞り込まれており、なお且つ、偏向光束の偏向が、fθレンズ16の作用により等速化されているので、主走査方向に同じサイズの液晶偏向素子を等ピッチで連続的に配列しても、光スポット位置の良好な調整が可能で、液晶偏向素子の配列ピッチを然程細かくする必要もない。液晶偏向素子列装置18を被走査面に近づけるほど、この効果は顕著になる。
【0092】
図5を参照して、液晶偏向素子列装置による「光スポットの位置調整」を説明する。先に説明したように、液晶偏向素子は電気的もしくは磁気的な駆動信号に応じて透過光束を偏向させる機能を持ち、その偏向方向は任意に設定できる。
【0093】
図5(a)において左右方向は主走査方向である。符号Li(i=1〜10)は「電気信号で駆動される液晶偏向素子」を示している。即ち、この例では10個の液晶偏向素子L1〜L10が主走査方向に、互いに密接して連続的に配列されている。また、この例において液晶偏向素子Liは互いに同サイズで等ピッチ配列されている。
【0094】
符号Di(i=1〜10)は液晶偏向素子Liを駆動するドライバ回路を示している。これらドライバ回路Diはコントローラ22により制御される。
【0095】
液晶偏向素子Liの偏向方向を主走査方向に設定すれば、液晶偏向素子列180は、主走査方向を偏向方向とする主走査液晶偏向素子を複数個、主走査方向に配列した「主走査液晶偏向素子列」となる。
【0096】
また、液晶偏向素子Liの偏向方向を副走査方向に設定すれば、液晶偏向素子列180は、副走査方向を偏向方向とする副走査液晶偏向素子を複数個、主走査方向に配列してなる「副走査液晶偏向素子列」となる。
【0097】
若干補足すると、個々の液晶偏向素子Liは対応するドライバ回路Diにより個別独立に駆動されるが、この例において、液晶とこれを挟持する配向膜、さらに透明電極は互いに共通している。そして、図1に示す駆動電圧を印加される電極7A、7Bとこれらを連結する透明抵抗膜4の部分が液晶偏向素子Li(i=1〜10)ごとに独立している。
【0098】
図5(b)は「走査位置検出手段」の1形態を示している。走査位置検出手段による走査位置検出に関しては後に述べる。図5(b)に示す走査位置検出手段23は、液晶偏向素子Liと同数のエリアセンサP1〜P10の受光面が主走査方向に配列している。
【0099】
走査位置検出手段23は、各エリアセンサPiの受光面が「被走査面と光学的に等価な位置」を占めるように配設され、偏向光束もしくは偏向光束の一部を分離した検出光束で走査されるようになっている。
【0100】
エリアセンサPiの受光面は、液晶偏向素子列180における液晶偏向素子Liと対応し、設計上の光スポットがエリアセンサPiの中心に結像するとき、この光スポットを形成する偏向光束が「対応する液晶偏向素子Liの中心」を通るように、液晶偏向素子列180との位置関係を定められている。
【0101】
エリアセンサPiは固定板23Sに固定的に設けられている。固定板23Sは熱膨張率:1.0×10−5/℃以下の材質、具体的には、ガラス(熱膨張率0.5×10−5/℃)や、アルミナ等のセラミック材質(熱膨張率:0.7×10−5/℃、炭化珪素(熱膨張率:0.4×10−5/℃)等からなり、「温度変動による影響(エリアセンサPiの受光面位置の移動、相対位置関係の変動により正確な検出が妨げられる)」を実質的になくしている。
【0102】
また、エリアセンサPi相互間に発生する電気ノイズの影響をなくすため、固定板23Sの材質は上記の如き「非導電性材料」が好適である。例えば、固定板23Sを熱膨張率:2.4×10−5/℃のアルミ合金で形成した場合は「温度変動により検出精度が劣化」する。
【0103】
なお、図5(b)における領域RYは被走査面における「有効書込幅に対応する領域」である。
【0104】
ここで、液晶偏向素子列180が「副走査液晶偏向素子列」である場合を例に取り、図4の光走査装置における「走査線曲がり」を補正する場合を説明する。即ち、液晶偏向素子列180を、図4における液晶偏向素子列装置18の「副走査液晶偏向素子列」として用いて走査線曲がりを補正する場合である。
【0105】
例えば、光走査による画像形成プロセスを行うに先立ち、ポリゴンミラー14を回転させ、光源装置1の光源を発光させる。
【0106】
光源の発光は時間的に間欠的に行い、各発光ごとに上記偏向光束もしくは検出光束が、走査位置検出手段23の各エリアセンサP1〜P10に順次に入射するようにする。走査位置検出手段23はエリアセンサPi(i=1〜10)が検出する光スポットの「副走査方向の位置」をコントローラ22に向けて出力する。
【0107】
図5(c)において「10個の黒丸」が、このように検出された副走査方向の位置を示している。この図における破線は「理想上の走査線」で、主走査方向に直線的である。
【0108】
コントローラ22は、検出された10個の「副走査方向の光スポット位置(走査位置)」に基づき、最小2乗法等により、走査線の形態を「多項式」として近似する。この多項式が「検出された走査線曲がり」であり、これを図5(c)に実線で示す。
【0109】
コントローラ22は次いで、このような走査線曲がりを補正するため、副走査液晶偏向素子列の、液晶偏向素子Liにおける「副走査方向の光束偏向の向きと偏向量(偏向角)」とを算出する。図5(c)に示す領域Si(i=1〜10)は、副走査液晶偏向素子列における液晶偏向素子Liが「偏向光束を偏向させるべき領域(前記「担当補正領域」)」を示し、各領域Siにおける上向き若しくは下向きの矢印は「偏向の向き」を表している。
【0110】
コントローラ22は、液晶偏向素子Liに上記「偏向の向きと偏向量」を実現すべき信号を決定し、ドライバ回路Di(i=1〜10)に印加する。この例では、液晶偏向素子Li(図1の端子A、B間)に印加する電圧の正負により「偏向の向き」を制御し、この電圧をパルス電圧として印加し、そのデュ−ティ比を調整することにより「偏向量」を制御する。
【0111】
このようにして、画像形成プロセスの開始される以前に「副走査液晶偏向素子列の液晶偏向素子Li(i=1〜10)における偏向の向きと偏向量とを実現」する。勿論、検出された走査線曲がりが「補正を必要としない程度に微小」である場合には、副走査液晶偏向素子列による走査線曲がりの補正を行う必要は無く、この場合は「副走査液晶偏向素子列が偏向光束を偏向させることなく透過させる(駆動信号を0とする)」ようにすれば良い。
【0112】
図5(d)は、副走査液晶偏向素子列により補正された走査線の状態を示している。Yi(i=1〜10)は、被走査面20の走査領域における「各液晶偏向素子Liが補正を担当する部分(補正担当領域)」を示している。
【0113】
実線で示す走査線は若干「ギクシャク」しているように見えるが、これは図5(c)において走査線曲がりを「極端に強調」して描いたことに起因する。現実の走査線曲がりは最大の場合でも0.1〜0.2mm程度であるので、例えば、1個の液晶偏向素子Liが「30mmの走査領域」の補正を担当するものとしても、実質的に直線状態の走査線を実現できる。
【0114】
副走査液晶偏向素子列における液晶偏向素子の数を更に増やし、液晶偏向素子Liの担当補正領域を小さくすることにより走査線曲がりを「より精緻」に補正できることは当然である。
【0115】
特に、副走査液晶偏向素子列における副走査液晶偏向素子Liの主走査方向の幅を5mm以下に小さく(例えば2〜5mm程度)することにより、隣接する副走査液晶偏向素子間の偏向量変化を「実質的に連続的な変化」と見なし得るようにでき、このようにすれば、走査線を「実質的に連続した直線」に補正することもできる。
【0116】
上には、走査線曲がり補正を説明したが「走査線の傾き」も、上記と同様にして補正できることは容易に理解されるであろう。
【0117】
上の説明では、光スポットの走査位置を検出して「補正すべき走査線曲がり」を特定し、これに合わせて液晶偏向素子Liの偏向量を設定している。このようにすると、走査位置検出を随時行うことにより、走査線曲がりが経時的に変化したり、fθレンズ16を樹脂レンズとして構成した場合に、環境変化で走査線曲がりが変化しても、常に適正な補正を行うことが可能である。
【0118】
走査線曲がりの「経時変化や環境変化に基づく変動」が生じない場合、例えば、fθレンズ16をガラスレンズで構成した場合などには、予め走査線曲がりや走査線の傾きを測定し、得られた走査線曲がり・傾きを補正するに必要な「液晶偏向素子Li(i=1〜10)における副走査方向の偏向量」をコントローラ22におけるメモリに記憶させておき、常時「この偏向量」を用いて補正を行えば良い。
【0119】
上には液晶偏向素子列180を「副走査液晶偏向素子列」として、走査線曲がり・走査線の傾きの補正を行う場合を説明したが、液晶偏向素子列180を「主走査液晶偏向素子列」とし、個々の液晶偏向素子Liにおける偏向方向を主走査方向とすれば、fθ特性等の等速性を補正することが可能である。
【0120】
この場合は、走査位置検出手段22のエリアセンサPiが検出する光スポットの「主走査方向の位置」を求め、これを用いてコントローラ22により光走査の「等速性(理想の等速走査からのずれ)」を上記走査線曲がりの場合と同様にして求め、求められた等速性を補正するために液晶偏向素子Liにおける主走査方向の偏向量を設定し、偏向光束の主走査方向への偏向量を補正することにより、等速性の補正を実行できる。
【0121】
主走査液晶偏向素子列における液晶偏向素子の数を増やし、液晶偏向素子Liの担当補正領域を小さくする程、等速性の「より精緻な補正」が可能で、主走査液晶偏向素子列における主走査液晶偏向素子Liの主走査方向の幅を5mm以下に小さく(例えば2〜5mm程度)することにより、隣接する主走査液晶偏向素子間の偏向量変化を「実質的に連続的な変化」と見なし得るようにでき、このようにすれば、光走査を実質的に等速で行うことができる。
【0122】
上の説明では、光スポットの走査位置を検出して「補正すべき等速性」を特定し、これに合わせて液晶偏向素子Liの偏向量を設定している。このようにすると、走査位置検出を随時行うことにより、等速性が経時的に変化したり、fθレンズ16を樹脂レンズとして構成した場合に、環境変化で等速性が変化しても常に、適正な補正を行うことが可能である。
【0123】
fθレンズ16をガラスレンズで構成した場合などのように、等速性の経時変化や環境変化に基づく変動が生じない場合は、予め等速性を測定し、得られた等速性を補正するに必要な「液晶偏向素子Liにおける主走査方向の偏向量」をコントローラ22におけるメモリに記憶させておき、常時「この偏向量」を用いて補正を行えば良い。
【0124】
上に説明した等速性の補正は、液晶偏向素子列装置として「主走査液晶偏向素子列を単独で用いた」場合である。走査線曲がり・走査線の傾きとともに等速性をも補正できるようにするには、「主走査液晶偏向素子列を副走査液晶偏向素子列とともに有する液晶偏向素子列装置」を用いれば良い。
【0125】
例えば、図6(b)に示すように、主走査液晶偏向素子列181と副走査液晶偏向素子列182とを、結像光束の透過方向へ重ねて一体化したものを「液晶偏向素子列装置」として用い、主走査液晶偏向素子列181により等速性の補正を行い、副走査液晶偏向素子列182により走査線曲がり・走査線の傾きを補正することができる。なお、図6(b)において、図面に直交する方向が主走査方向である。
【0126】
図6(b)のように、主走査液晶偏向素子列181と副走査液晶偏向素子列182とを重ねて一体化する代わりに、これらを互いに分離して配設しても良い。
【0127】
次ぎに、走査位置検出手段による走査位置の検出を説明する。上に説明した例では、走査位置検出手段23はエリアセンサPiの受光面が被走査面と光学的に等価な位置を占めるように配設され、偏向光束もしくは偏向光束の一部を分離した検出光束で走査されるが、この場合の具体例を図7(a)、(b)に示す。
【0128】
図7(a)で、図面に直交する方向が主走査方向、上下方向が副走査方向である。因みに、図4に示す光走査装置における走査位置検出は図7(a)に示す如き方式で行われ、液晶偏向素子列装置18は、主走査方向に偏向される結像光束の光路上において「副走査方向に対して傾け」て配設されている。
【0129】
このため、結像光束はその一部が液晶偏向素子列装置18の入射側面で反射されて検出光束LSとなり、上記入射側の面を反射面として被走査面20と等価な面に配置された走査位置検出手段23の受光面位置に光スポットを形成し、走査位置を検出される。
【0130】
図7(b)でも、図面に直交する方向が主走査方向、上下方向が副走査方向である。主走査方向に偏向され、液晶偏向素子列装置18を透過した結像光束は、結像光束光路上において「副走査方向に対して傾け」て配設された反射面部材19により反射され、反射面部材19の反射面に関して被走査面20と等価な面に配置された走査位置検出手段23の受光面位置に光スポットを形成し、走査位置を検出される。
【0131】
反射面部材19は、これを透明ガラスで構成してこれを常時図示の位置に設置し、結像光束の一部を反射により走査位置検出手段23側へ分離するようにしても良いし、結像光束の光路に出入可能とし、走査位置検出を行うときにのみ図示の位置に設置するようにしてもよい。
【0132】
図7(a)、(b)に示したのは、偏向光束による光スポットを直接検出して、走査位置の検出を行う場合であるが、走査位置検出は、必ずしも光スポットの検出により行う必要はない。走査位置検出の別例を、図7(c)、(d)に示す。
【0133】
図7(c)において、符号25は「被走査面の実体」をなす光導電性の感光体を示している。走査位置は感光体25の感光面に対する光スポット位置であるから、画像形成プロセスにより走査線1ライン分を感光体25に書込み、得られる静電潜像を可視化して線状のトナー画像LTIを得ると、このトナー画像LTIは走査線を可視化したものとなっている。
【0134】
トナー画像LTIをランプ26で照射し、結像系27によりイメージセンサ28上に結像させて読取り、その結果に基づき走査線曲がりを検出できる。この場合、ランプ26、結像系27、イメージセンサ28が「走査位置検出手段」を構成する。
【0135】
図7(d)において、符号29は、中間転写媒体としての中間転写ベルトを示している。図7(c)の場合と同様にして感光体25上に形成した線状のトナー画像LTIを、転写手段30により中間転写ベルト29上に転写し、転写されたトナー画像LTIをランプ26で照射し、結像系27によりイメージセンサ28上に結像させて読取り、その結果に基づき走査線曲がりを検出する。この場合も、ランプ26、結像系27、イメージセンサ28が「走査位置検出手段」を構成する。
【0136】
図7(c)、(d)の場合とも、線状のトナー画像LTIは、検出後、図示されないクリーニング手段により感光体25、中間転写ベルト29から除去される。
【0137】
等速性の検出のために、主走査方向の走査位置検出を行うには、「副走査方向に適宜の長さとなる直線状の画像」を互いに平行となるようにして主走査方向に必要な本数だけ書込み、これを可視化する。各「副走査方向の直線」の間隔は、等間隔を理想とするように形成する。これら直線を可視化したものを、感光体上もしくは中間転写ベルト上で検出し、各直線間の間隔を調べることにより等速性を知ることができる。
【0138】
以上は、走査位置検出手段により走査位置を検出する場合であるが、走査位置検出手段を持たない場合には、以下の如くにすれば良い。即ち、この場合には、上記の如くして形成したトナー画像を転写紙上に転写・定着し、転写紙上に得られた画像に基づき走査線曲がりや走査線の傾き、等速性を測定し、その結果に基づき、液晶偏向素子列装置の各液晶偏向素子における偏向量を決定する。
【0139】
図7(a)の例では、液晶偏向素子列装置18を副走査方向に対して傾けることにより、結像光束の一部を走査位置検出手段23の方向へ向けて反射させているが、これに代え、図6(a)に示すように、例えば、主走査液晶素子列において、液晶を封入するためのスペーサ3A、3Bの大きさを異ならせることにより、ガラス基板5a(透明電極や透明抵抗膜、配向膜が形成されている)とガラス基板5b(透明電極や配向膜が形成されている)とに角度を持たせ、ガラス基板5aの傾きにより「走査位置検出手段側へ反射される反射光束」を得ることができる。
【0140】
図8(a)は、光走査装置において、1つの光源から複数光束が放射され、この光源に対応する被走査面が2以上の光スポットで光走査されるマルチビーム方式の場合を説明する図である。
【0141】
光源装置40は、半導体レーザによる光源401、402と、カップリングレンズ403、404とを有している。光源401、402から放射された各光束は、それぞれカップリングレンズ403、404によりカップリングされ、平行光束(あるいは弱い発散性もしくは弱い収束性の光束)となり、シリンドリカルレンズ42により副走査方向に集束され、ポリゴンミラー44の偏向反射面近傍に、互いに副走査方向に分離した「主走査方向に長い線像」として結像する。
【0142】
ポリゴンミラー44が等速回転すると、各光束は等角速度的に偏向する偏向光束となって液晶偏向素子列装置48を透過し、fθレンズ46を構成するレンズ461、462を順次透過し、光路折曲げミラー47により光路を折曲げられ、被走査面の実体を成す光導電性の感光体50(矢印方向に等速回転する)の感光面上に、副走査方向に互いに分離した光スポットを形成し、感光体50を2走査線同時に光走査する。
【0143】
偏向光束の一方は、光走査領域へ向う途上で光センサ49により検出され、光センサ49の出力に基づき各光スポットの光走査開始の同期が取られる。
【0144】
図8(c)に示すように、光源401、402からの各光束FL1、FL2は、副走査方向(図面に直交する方向)から見て、ポリゴンミラーの偏向反射面441の部分で「主走査方向に交叉する」ように設定されている。
【0145】
このようにすると、被走査面50上で(主走査方向に)同一位置に結像する光束はレンズ461、462の同一部分を通るため、各光束FL1、FL2に関する等速性が同一のものとなる。また、各光束FL1、FL2がレンズ461、462において「光軸に関して副走査方向において同じ側」を通るようにすることにより、被走査面50上における各走査線の走査線曲がりは「実質的に同じ」になる。
【0146】
従って、液晶偏向素子列装置48により、主・副走査方向の偏向量を調整することにより、走査線曲がり・走査線の傾き・等速性を2光束同時に補正し、光束FL1、FL2によるマルチビーム走査を良好に行うことができる。
【0147】
光源401、402からの光束FL1、FL2が、図8(b)のように「偏向反射面441の部分で主走査方向に交叉しない」と、被走査面50上で同一位置に結像する光束がレンズ461、462の同一部分を通らないため、等速性や走査線曲がりが、光束FL1とFL2で同一にならず、従って、単一の液晶偏向素子列装置48によっては、各光束について等速性や走査線曲がりを補正することはできない。
【0148】
なお、この例において、液晶偏向素子列装置48はポリゴンミラー44とレンズ461との間に配備されるので、前述したところに従い、ある程度、偏向反射面から離れた位置に配置することにより、偏向角の大きい部分における液晶偏向素子の配列ピッチが余り小さくならないようにする。
【0149】
図8に示した光走査装置は、1以上の光源401、402からの光束を光偏向走査手段44により偏向させ、偏向された光束を走査結像光学系46により、光源に応じた被走査面50に向けて集光させて被走査面上に光スポットを形成して光走査を行う光走査装置において、液晶偏向素子列装置48を、光源からこの光源に対応する被走査面に至る光路の1以上において、光偏向走査手段と被走査面との間に配置し、液晶偏向素子列装置48により、光走査に応じて光束を主走査方向及び/または副走査方向に偏向させることにより、被走査面上における主走査方向および/または副走査方向の光スポット位置を調整するものである。
【0150】
図9は、上に説明したような光走査装置を用いるモノクロームのレーザプリンタを説明する図である。感光媒体が光導電性の感光体で、光走査により形成される静電線像を可視化して得られるトナー画像を、シート状の記録媒体に転写・定着する。
【0151】
レーザプリンタ100は、感光媒体111として「円筒状に形成された光導電性の感光体」を有している。感光体111の周囲には、帯電手段としての帯電ローラ112、現像装置113、転写ローラ114、クリーニング装置115が配備されている。帯電手段としては帯電ローラ112に代えて「コロナチャージャや帯電ブラシ」を用いることもでき、転写ローラ114に代えて「コロナ放電式の転写手段」を用いることもできる。
【0152】
レーザビームLBにより光走査を行う光走査装置117が設けられ、帯電ローラ112と現像装置113との間で「光書込による露光」を行うようになっている。さらに、符号116は定着装置、符号118はカセット、符号119はレジストローラ対、符号120は給紙コロ、符号121は搬送路、符号122は排紙ローラ対、符号123はトレイ、符号Pは「シート状の記録媒体」としての転写紙を示している。
【0153】
画像形成プロセスが実行されるとき、光導電性の感光体111が時計回りに等速回転され、その表面が帯電ローラ112により均一帯電され、光走査装置117のレーザビームLBの光書込による露光を受けて静電潜像が形成される。形成された静電潜像は所謂「ネガ潜像」であって画像部が露光されている。この静電潜像は現像装置113により反転現像され、感光体111上にトナー画像が形成される。
【0154】
転写紙Pを収納したカセット118は、画像形成装置100本体に脱着可能で図のごとく装着された状態において、収納された転写紙Pの最上位の1枚が給紙コロ120により給紙され、給紙された転写紙Pは、その先端部をレジストローラ対119に捉えられる。
【0155】
レジストローラ対119は、感光体111上のトナー画像が転写位置へ移動するのにタイミングを合わせて、転写紙Pを転写部へ送り込む。送り込まれた転写紙Pは、転写部においてトナー画像と重ね合わせられ転写ローラ114の作用によりトナー画像を静電転写される。トナー画像を転写された転写紙Pは定着装置116へ送られ、定着装置116においてトナー画像を定着され、搬送路121を通り、排紙ローラ対122によりトレイ123上に排出される。トナー画像が転写された後の像担持体111の表面は、クリーニング装置115によりクリーニングされ、残留トナーや紙粉等が除去される。
【0156】
光走査装置117は、図4あるいは図8に即して説明したものであり、液晶偏向素子列装置を有し、被走査面(感光体111)上における光スポットの位置を主走査方向および/または副走査方向に調整しつつ、光走査による画像書込みを行う。このようにして走査線曲がりや走査線の傾き、さらには等速性が有効に補正され、極めて良好な画像書込みが実現し、歪みのない良好なモノクローム画像を形成することができる。
【0157】
したがって、図9の画像形成装置はまた、1以上の光スポットの走査位置を検出する走査位置検出手段を有し、走査位置検出手段による検出結果に応じて、対応する液晶偏向素子列装置の各液晶偏向素子における偏向量を決定する。
【0158】
図10に、この発明の画像形成装置の実施の1形態を示す。この画像形成装置は「タンデム式のカラー画像形成装置」である。
【0159】
符号151、152はポリゴンミラーを示す。これらポリゴンミラー151、152は同一形状のもので共通の軸に固定的に設けられ、一体として回転するようになっており、図示されない駆動手段と共に「光偏向走査手段」を構成する。図示されていないが「4つの光源装置」が設けられている。4つの光源装置のうち2つからの光束はポリゴンミラー151に入射し、他の2つからの光束はポリゴンミラー152に入射する。各光源装置からポリゴンミラー151、152に至る光路上の光学配置は、図4の光走査装置ものと同様である。
【0160】
ポリゴンミラー152により偏向される偏向光束LSY、LSKはそれぞれ、イエロー成分画像、黒成分画像を書込むための光束である。偏向光束LSYはイエロー色成分の画像情報で強度変調され、走査結像光学系としてのfθレンズを構成するレンズLNY1、LNY2を透過し、光路折曲げミラーMY1、MY2、MY3により順次反射され、光導電性の感光体150Yの感光面(被走査面の実体を成す)に導光され、上記感光面を光走査する。
【0161】
感光体150Yは円筒状で、矢印方向へ回転しつつ帯電器CYにより均一帯電された状態で、偏向光束LSYの光スポットで光走査され、イエロー成分画像を書込まれてイエロー潜像を形成される。
【0162】
偏向光束LSKは黒色成分の画像情報で強度変調され、fθレンズを構成するレンズLNK1、LNK2を透過し、光路折曲げミラーMK1、MK2、MK3により順次反射され、光導電性の感光体150Kの感光面に導光され、上記感光面を光走査する。
【0163】
感光体150Kは円筒状で、矢印方向へ回転しつつ帯電器CKにより均一帯電された状態で、偏向光束LSKの光スポットで光走査され、黒成分画像を書き込まれて黒潜像を形成される。
【0164】
ポリゴンミラー151により偏向される偏向光束LSM、LSCはそれぞれ、マゼンタ成分画像、シアン成分画像を書込むための光束である。偏向光束LSMはマゼンタ色成分の画像情報で強度変調され、fθレンズを構成するレンズLNM1、LNM2を透過し、光路折曲げミラーMM1、MM2、MM3により順次反射され、光導電性の感光体150Mの感光面に導光され、上記感光面を光走査する。
【0165】
感光体150Mは円筒状で、矢印方向へ回転しつつ帯電器CMにより均一帯電された状態で、偏向光束LSMの光スポットで光走査され、マゼンタ成分画像を書き込まれてマゼンタ潜像を形成される。
【0166】
偏向光束LSCはシアン色成分の画像情報で強度変調され、fθレンズを構成するレンズLNC1、LNC2を透過し、光路折曲げミラーMC1、MC2、MC3により順次反射され光導電性の感光体150Cの感光面に導光され、上記感光面を光走査する。
【0167】
感光体150Cは円筒状で、矢印方向へ回転しつつ帯電器CCにより均一帯電された状態で、偏向光束LSCの光スポットで光走査され、シアン成分画像を書込まれてシアン潜像を形成される。
【0168】
各感光体の光走査は、説明中の例ではシングルビーム走査方式で行うが、各光源装置として図8に示す如きのも用いてマルチビーム走査方式で行ってもよい。また、各感光体を帯電する帯電器としてコロナ放電式のものを例示したが、帯電ローラや帯電ブラシ等の接触式のものを用いても良い。
【0169】
感光体150Y、150M、150C、150Kに形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、黒の各潜像は、それぞれ対応する現像装置153Y、153M、153C、153Kにより、対応する色のトナー(イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、黒トナー)により現像されて可視化される。
【0170】
このようにして、感光体150Yにはイエロートナー画像、感光体150Mにはマゼンタトナー画像、感光体150Cにはシアントナー画像、感光体150Kには黒トナー画像がそれぞれ形成される。これら各色トナー画像は、以下のようにしてシート状の記録媒体である転写紙P上に転写される。
【0171】
感光体150Y、150M、150C、150Kに、図の下方から接するように無端状の搬送ベルト154がプーリ155、156に掛け回されて設けられており、搬送ベルト154の内周面側において、転写器157Y、157M、157C、157K(コロナ放電式のものを例示したが、転写ローラ等の接触式のものを用いることもできる)が、ベルト面を介して対応する感光体150Y〜150Kに対向するように設けられている。
【0172】
転写紙Pは積載収納されているカセット158内から給紙され、送り込みローラ159により搬送ベルト154上に乗せ掛けられ、帯電器160による帯電を受けて搬送ベルト154の外周面に静電吸着されて保持される。搬送ベルト154は反時計回りに回転し、転写紙Pを周面に保持して搬送する。
【0173】
転写紙Pは上記の如く搬送されつつ、先ず、感光体150Y上のイエロートナー画像を転写器157Yにより転写され、続いて、感光体150M、150C、150K上の、マゼンタ、シアン、黒の各色トナー画像を順次、転写器157M、157C、157Kにより転写される。各色トナー画像の転写は、これらトナー画像が互いに位置合わせされて重なり合うように行われる。
【0174】
このようにして転写紙P上にカラー画像が形成される。カラー画像を形成された転写紙Pは、除電器161により除電され、自身の腰の強さにより搬送ベルト154から剥離し、定着装置162によりカラー画像を定着され、排出ローラ163により、画像形成装置の天板を兼ねたトレイ164上に排出される。
【0175】
トナー画像を転写された後の各感光体は、対応するクリーナ165Y、165M、165C、165Kにより残留トナーや紙粉等を除去される。また、搬送ベルト154は除電器166により除電され、クリーナ167によりクリーニングされる。
【0176】
以上が画像形成プロセスのあらましである。なお、図10に示した実施の形態における各色トナー画像の転写紙への転写方式に代えて周知の「中間転写ベルトに各色トナー画像を転写してカラー画像とし、このカラー画像を転写紙に転写する転写方式」を行うようにしてもよい。
【0177】
前述の如く、このカラー画像形成装置において、走査結像光学系はfθレンズであり各偏向光束ごとに1組ずつ、全部で4組が設けられ、各組は2枚のレンズで構成されている。これら4組のfθレンズは「互いに光学的に等価」で、各光源装置から対応する感光体に至る光路長も互いに等しく設定されている。これらは光学ハウジング175内に設けられている。
【0178】
レンズLNY1、LNM1、LNC1、LNK1は同一の樹脂材料で構成され、レンズLNY2、LNM2、LNC2、LNK2も同一の樹脂材料で構成されている。これらレンズの材料樹脂としては、低吸水性や高透明性、成形性に優れたポリカーボネートやポリカーボネートを主成分とする合成樹脂が好適である。樹脂材料で構成すると非球面の形成も容易であるし、材料費も安いため、カラー画像形成装置の低コスト化上有利である。
【0179】
反面、樹脂レンズは温・湿度変化の影響で光学特性が変化するので、走査線曲がり・走査線の傾きや等速性も環境変化に応じて変動する。そこで、液晶偏向素子列装置(主走査液晶偏向素子列および/または副走査偏向素子列)170Y、170M、170C、170Kを、各感光体150Y、150M、150C、150Kを光走査する偏向光束の光路上に図の如く設け、先に説明した如くして、各感光体上における光スポットの位置を主走査方向および/または副走査方向に調整することにより走査線曲がり等を補正する。
【0180】
特に、図10に示す如きタンデム式のカラー画像形成装置では、各感光体上に形成される画像における走査線曲がりや走査線の傾きが、感光体相互で互いに異なると「色ずれ」の問題が顕著に現われるので、上記のようにして走査線曲がりや走査線の傾きを各光束ごとに補正して、これらが実質的に同じになるようにすることにより「色ずれ」の問題を有効に軽減若しくは防止することができる。
【0181】
なお、図10に図示していないが、各偏向光束LSY〜LSKが対応感光体上に形成する光スポットの走査位置はそれぞれ、図5(b)に即して説明した走査位置検出手段23(各被走査面と光学的に等価な位置に配置される)と同様のものにより検出され、偏向光束の一部を走査位置検出手段に導くため、液晶偏向素子列装置170Y〜170Kは(図では明らかでないが)各偏向光束の光路上で副走査方向に対して若干傾けて配置され、検出光束を各走査位置検出手段に向けて反射する。
【0182】
上記のように、全ての走査結像光学系を樹脂レンズで構成するのではなく、そのうちの1組、例えばレンズLNK1、LNK2の組を「走査位置基準となる光学系」として、温度変動による影響をなくすため熱膨張率の小さいガラス(熱膨張率:0.5×10−5/℃)で構成し、偏向光束LSY、LSM、LSCの光路内に設けた液晶偏向素子手段170Y、170M、170Cにより、偏向光束LSY、LSM、LSCによる光走査における走査線曲がりや走査線の傾き、等速性を、レンズLNK1、LNK2により結像される偏向光束LSKの走査線曲がりや走査線の傾き、等速性に合わせるように補正を行っても良い。
【0183】
この場合、レンズLNK1、LNK2によるfθレンズは、他のfθレンズと光学特性を等価にし、他のfθレンズの光路内に液晶偏向素子列装置を用いることによる光路長の差を補正するために、液晶偏向素子列装置170Kに代えて、これと光学的厚さ(物理的な厚さに屈折率を掛けたもの)が等価な透明平行平板を用いる。
【0184】
このようにすると、液晶偏向素子列装置を全ての偏向光束の光路上に搭載する必要が無く、また高価なガラスレンズは基準となる走査結像光学系のみに使用され、他の走査結像光学系は安価なプラスチックレンズを使用できるので、全体として安価なカラー画像形成装置を実現でき、色ずれの少ない高品質のカラー画像を得ることが可能になる。
【0185】
図10に示した画像形成装置における光走査装置の部分は、複数の光源からの光束を光偏向走査手段151、152により偏向させ、偏向された光束を走査結像光学系LNY1、LNY2〜LNK1、LNK2により、光源に応じた被走査面150Y〜150Kに向けて集光させて、被走査面上に光スポットを形成して光走査を行う光走査装置において、液晶偏向素子列装置107Y〜107Kを、光源からこの光源に対応する被走査面に至る光路の1以上において光偏向走査手段と被走査面との間に配置し、液晶偏向素子列装置107Y〜107Kにより、光走査に応じて光束を主走査方向及び/または副走査方向に偏向させることにより、被走査面150Y〜150K上における主走査方向および/または副走査方向の光スポット位置を調整するものである。
【0186】
また、各液晶偏向素子列装置170Y〜170Kは、走査結像光学系と被走査面との間に配置され、上述の如く、副走査方向に対し傾けて配設されている。
【0187】
さらに、図10に示された光走査装置は、光源が複数で、各光源から各光源に対応する被走査面に至る光路を構成する走査光学系が、各光源からの光束の形成する光スポットによる走査線を実質的に互いに平行(図面に直交する方向)としている。また、液晶偏向素子列装置170Y〜170Kは、光源ごとに設けられる。光走査はまた、マルチビーム方式で行うようにすることも可能である。
【0188】
そして、光源の数は4で、各光源から放射される光束がカラー画像を構成する各色成分の画像情報で変調される。
【0189】
従って、図10記載の画像形成装置は、感光媒体に光走査を行って、画像形成を行う画像形成装置において、感光媒体に光走査を行う光走査装置として、請求項1〜5の任意の1に記載のものを用いうるものであり、感光媒体150Y〜150Kが光導電性の感光体で、光走査により形成される静電線像を可視化して得られるトナー画像は、シート状の記録媒体Pに転写・定着される。
【0190】
また、各光源からの光束により光走査すべき被走査面の実体を成す4個の光導電性の感光体150Y〜150Kは、互いに並列に配置され、1以上の光スポットの走査位置を検出する走査位置検出手段(図10に図示されていない)を有し、走査位置検出手段による検出結果に応じて、対応する液晶偏向素子列装置の各液晶偏向素子における偏向量を決定する。
【0191】
図10に示す画像形成装置は上述の如く、走査位置検出手段を有しており、走査位置検出手段により検出された光スポットの走査位置に基づき、液晶偏向素子列装置の各液晶偏向素子における偏向量が決定される。
【0192】
走査位置検出は定期的(例えば1ヶ月に1回)あるいは必要に応じて行い、その結果に基づいて決定される偏向量をシステムコントローラのメモリに記憶させておき、画像形成装置の電源投入時に各液晶偏向素子における偏向量を設定する。
【0193】
あるいは、正規の画像形成プロセスに先立って、走査位置検出手段により光スポットの走査位置を検出し、検出結果に基づき、対応する液晶偏向素子列装置の各液晶偏向素子における偏向量を設定するようにしても良い。
【0194】
走査線曲がり・走査線の傾きや等速性が環境変化によって変動する場合、例えば、新たに正規の画像形成プロセスが行われるとき、そのプロセス(連続プロセスの場合には最初の1回)に先だって、走査位置検出とそれの基づく偏向量設定を行うことにより、「画像形成プロセスが行われるときの環境状態に応じた偏向量」を適切に設定することが可能となる。
【0195】
走査線曲がり・走査線の傾きや等速性が環境変化によって変動する場合、画像形成プロセスが連続して多数回行われる場合には、プロセス回数の増加とともに装置内温度が上昇して環境が変化する。このような場合には、走査位置検出と偏向量の設定を、連続プロセス中に適宜(例えば、プロセス5回当たりに1回)行うようにするのがよい。
【0196】
この場合、感光媒体が光導電性の感光体で、感光体上に形成されるトナー画像をシート状の記録媒体に転写・定着する画像形成装置の場合には、トナー画像を担持するシート状の記録媒体Pの連続搬送における媒体間隔時間内に走査位置検出手段による光スポットの走査位置の検出を行い、液晶偏向素子列装置の各液晶偏向素子における偏向量の再設定の必要性を判定するようにすればよい。
【0197】
前述したように、媒体間隔時間:h、光スポットの走査位置の検出に要する時間:h1、液晶偏向素子列装置の各液晶偏向素子に偏向量を設定するのに必要な処理時間:h2が「h≧h1+h2」を満足する場合であれば、新たな偏向量の設定を「光スポットの走査位置検出を行ったのと同一の媒体間隔時間内」に行うことができるし、「h<h1+h2」の場合、h>h1、h>h2であるならば、光スポットの走査位置の検出を適宜の媒体間隔時間(例えば、画像形成プロセスの3回に1回の割合い)に行い、偏向量の決定は、この媒体間隔時間よりもあとの媒体間隔時間において行うようにすればよい。
【0198】
また、h2>hとなる場合には、媒体間隔時間内に偏向量の設定しなおしを行うことができないが、このような場合には、例えば、画像形成プロセス10回ごとに、画像形成プロセスを微小時間停止し、媒体間隔時間:h>h2となるようにし、この間に偏向量の設定を行うようにすれば良い。
【0199】
1例として、画像形成プロセスの速さを高品質モード、高速モード、最速モードの3モードで切り換えできる場合を説明する。走査位置検出手段による位置検出を行って偏向量を算出するのにかかる時間:h1を0.05秒、決定された偏向量を液晶偏向素子列装置に設定するのに必要な時間を0.05秒とし、媒体間隔時間:hが、高品質モードでは0.25秒、高速モードでは0.055秒、最速モードでは0.03秒とする。
【0200】
このときの制御の手順を示すフロー図を図11に示す。
ステップ:S1「初期設定」は、液晶偏向素子列装置に基準となる偏向量の設定を行うステップである。このときの偏向量は、基準的な状態において最後に設定された値である。ステップ:S2「連続?」では、画像形成プロセスが連続プロセスであるか否かが判断される。
【0201】
連続プロセスであることが判断された場合は、ステップ:S3「N≧20」でプロセス回数:Nが20以上であるか否かが判断される。20回以下の画像形成プロセスの場合には、連続して画像形成を行っても、装置内の温度は然程上昇せず、液晶偏向素子列装置における偏向量設定を新たに行う必要はない。
【0202】
従って、これらの場合には、通常の画像形成プロセスが行われ、その間、液晶偏向素子列装置の各液晶偏向素子における偏向量は、初期設定された値が用いられる。続いて、ステップ:S5「高品質?」では、画像形成プロセスのモードが高品質であるか否かが判断される。高品質モードでは、画像形成プロセスは比較的低速で媒体間隔時間:hが0.25秒と大きいため、ステップ:S6「所定回数ごとに検出・設定」では、所定の画像形成プロセス回数ごと(例えば、5回ごと)に走査位置検出と偏向量の設定とを同一の媒体間隔時間内に行う。
【0203】
画像形成モードが高品質モードで無いときは、ステップ:S7「高速?」において高速モードであるか否かが判断され、高速モードであるときはステップ:S9「所定回数ごとに検出」で、所定の画像形成プロセス回数(例えば5回ごと)に媒体間隔時間内で走査位置検出を実行し、その結果定められる偏向量をステップ:S10「次回のプロセスで設定」で、次回プロセスの媒体間隔時間内に偏向量の設定を実行する。
【0204】
高速モードでないときは、ステップ:S8「最速」で最速モードを設定する。そしてこの場合は、ステップ:S11「所定回数ごとに検出」で、所定の画像形成プロセス回数(例えば5回ごと)に、媒体間隔時間内に走査位置検出を実行し、ステップ:S12「所定回数ごとに遅延調整」で、例えば、位置検出が行われた媒体間隔時間後の画像形成プロセスが終了した時点で、プロセスを所定時間:Δt(0.1秒程度)遅延させ、この間に偏向量の設定を行う。
【0205】
上の説明における「偏向量の設定」は勿論、「偏向量の再設定が必要と判定された場合」に行われるのであり、再設定不要(走査線曲がり等の変化が十分に小さい)の判定が成された場合には、それ以前の偏向量が用いられる。
【0206】
【発明の効果】
以上に説明したように、この発明によれば、新規な光走査装置・画像形成装置および画像形成方法を実現できる。この発明で用いる液晶偏向素子列装置によれば、被走査面上における光スポットの位置を調整できるので、走査線曲がり・走査線の傾きや等速性を良好に補正することができ、従って、この液晶偏向素子列装置を用いる光走査装置では走査線曲がり・走査線の傾きや等速性を良好に補正された光走査を実現でき、かかる光走査装置を用いる画像形成装置では、良好な画像形成を行うことができる。
【0207】
特に、タンデム式のカラー画像形成装置では、形成されるカラー画像における「色ずれ」を良好に補正できる。また、この発明の画像形成方法では、適正な補正が可能となるため液晶偏向素子列装置への偏向量の設定を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】液晶偏向素子列装置に用いられる液晶偏向素子の1例を説明するための図である。
【図2】液晶偏向素子列装置に用いられる液晶偏向素子の別例を説明するための図である。
【図3】液晶偏向素子列装置に用いられる液晶偏向素子の他の例を説明するための図である。
【図4】光走査装置の光学的構成を説明するための図である。
【図5】液晶偏向素子列装置による走査線曲がりの補正を説明するための図である。
【図6】液晶偏向素子列装置の2例を説明するための図である。
【図7】走査位置検出を説明するための図である。
【図8】マルチビーム走査を説明するための図である。
【図9】モノクロームの画像形成装置を説明図である。
【図10】画像形成装置の実施の1形態を説明するための図である。
【図11】液晶偏向素子列装置への偏向量の設定の手順を示すフロー図である。
【符号の説明】
Li(i=1〜10) 液晶偏向素子
Di(i=1〜10) ドライバ回路
Claims (11)
- 複数の光源からの光束を光偏向走査手段により偏向させ、偏向された光束を少なくとも1枚の樹脂レンズを含む走査結像光学系により、各光源に応じた被走査面に向けて集光させ、上記被走査面上に光スポットを形成して光走査を行う光走査装置において、
複数の光源における各光源から、各光源に対応する被走査面に至る光路を構成する走査光学系が、各光源からの光束の形成する光スポットによる走査線を、実質的に互いに平行とするように構成され、
各光源から放射される光束が、カラー画像を構成する各色成分の画像情報で変調され、
独立して制御可能な液晶偏向素子を複数個、主走査方向へ配列して有し、光偏向走査手段から被走査面に至る光路中に配置され、光走査に応じて光束の、主走査方向及び/または副走査方向の偏向量を液晶偏向素子ごとに制御することにより、被走査面上における光スポットの位置を調整する液晶偏向素子列装置を、
光源からこの光源に対応する被走査面に至る光路の1以上において、光偏向走査手段と上記被走査面との間に配置し、上記液晶偏向素子列装置により、各液晶偏向素子に対応する担当補正領域ごとに独立に光走査に応じて光束を主走査方向及び/または副走査方向に偏向させることにより、上記被走査面上における主走査方向および/または副走査方向の光スポット位置を調整し、
走査線曲がりや走査線の傾きが、上記各光源に応じた被走査面上において実質的に同じになるようにすることを特徴とする光走査装置。 - 請求項1記載の光走査装置において、
液晶偏向素子列装置が、走査結像光学系と被走査面との間に配置されたことを特徴とする光走査装置。 - 請求項1または2記載の光走査装置において、
液晶偏向素子列装置が、副走査方向に対し傾けて配設されたことを特徴とする光走査装置。 - 請求項1または2または3記載の光走査装置において、
光源から複数光束が放射され、被走査面が2以上の光スポットで光走査されることを特徴とするマルチビーム方式の光走査装置。 - 請求項1〜4の任意の1に記載の光走査装置において、
液晶偏向素子列装置が、光源ごとに設けられていることを特徴とする光走査装置。 - 感光媒体に光走査を行って、画像形成を行う画像形成装置において、
各光源からの光束により光走査すべき被走査面の実体を成す複数個の光導電性の感光体を、互いに並列に配置し、
上記感光媒体に光走査を行う光走査装置として、請求項1〜5の任意の1に記載のものを用い、
光走査により形成される静電線像を可視化して得られるトナー画像をシート状の記録媒体に転写・定着することによりカラー画像を形成することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項6記載の画像形成装置において、
複数の光スポットの走査位置を検出する走査位置検出手段を有し、上記走査位置検出手段による検出結果に応じて、対応する液晶偏向素子列装置の各液晶偏向素子における偏向量を決定することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項7記載の画像形成装置を用いる画像形成方法であって、
走査位置検出手段により検出される光スポットの走査位置に基づき、画像形成装置の電源投入時に、対応する液晶偏向素子列装置の各液晶偏向素子における偏向量を設定することを特徴とする画像形成方法。 - 請求項7記載の画像形成装置を用いる画像形成方法であって、
正規の画像形成プロセスに先立って、走査位置検出手段により光スポットの走査位置を検出し、検出結果に基づき、対応する液晶偏向素子列装置の各液晶偏向素子における偏向量を設定することを特徴とする画像形成方法。 - 請求項8または9記載の画像形成方法において、
感光媒体として光導電性の感光体を用い、画像形成プロセスを連続して行う場合に、トナー画像を担持するシート状の記録媒体の連続搬送における媒体間隔時間内に走査位置検出手段による光スポットの走査位置の検出を行い、液晶偏向素子列装置の各液晶偏向素子における偏向量の再設定の必要性を判定することを特徴とする画像形成方法。 - 請求項10記載の画像形成方法において、
画像形成プロセスを連続して行う場合に、偏向量の再設定が必要と判定されたとき、光スポットの走査位置の検出を行ったのと同一の媒体間隔時間内、もしくは、それ以後の媒体間隔時間内に新たな偏向量の設定を行うことを特徴とする画像形成方法。
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