光源装置、及びその光源装置を用いた液晶ディスプレイ装置 技術分野
[0001] 本発明は、光源装置であって、特にレーザ光を光源として用いた光源装置に関す る。
背景技術
[0002] 従来、液晶パネルを用いたディスプレイ装置はバックライト照明を必要とし、ノ ックラ イトの光源として、蛍光管や発光ダイオード (LED)が用いられている。また、ノ ックラ イトの光源としてレーザ光を用い、レーザ光を蛍光管に波長変換することでカラー表 示する方式が、特許文献 1と特許文献 2に示されている。
特許文献 1:特開 2004 - 51016号公報
特許文献 2:特開 2003— 302918号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0003] 液晶パネルディスプレイ装置において、光-電気変換効率の限界により消費電力の 増大が問題となっている。特に大型のディスプレイにおいては、低コスト化、低消費電 力化を解決する必要がある。蛍光管および LEDは、発光点サイズが大きぐ光の利 用効率が数%程度と非常に小さいため、消費電力が大きくなる。また、蛍光管では光 の波長が限られているため、色再現性が十分とれず、高色彩なフルカラー表現が難 しいという問題がある。特許文献 1、 2に示されるようにレーザ光を蛍光変換して用い る場合には、変換効率を高く取れないため消費電力が増大するという問題がある。
[0004] 蛍光管や LEDを光源とする液晶パネルディスプレイ装置で光の利用効率が低 ヽと いう上記問題の要因の一つとして、偏光の利用が挙げられる。まず、蛍光管や LED は単一偏光化が難しい。これに対して液晶パネルで光をスイッチングする際には、単 一偏光を利用しないとコントラストが大幅に低下する。このため、液晶パネルに入力 する光は、単一偏光成分のみ選択されて利用されており、結果として光の利用効率 が大幅に低下している。
[0005] 一方、レーザ光源は単一偏光出力が可能である。ただし、従来、レーザ光の単一 偏光を維持してバックライト光源に利用する構成は提案されていない。現状では、レ 一ザを光源として用いているものの、偏光方向はランダムであり LEDやランプ光源と 同様に偏光が揃って 、な 、光源として利用するような技術のみ開示されて 、る。そこ では、液晶パネルのように偏光を利用してスイッチングを行う場合、そもそも偏光の異 なる成分の光を利用せず、そのため利用効率が低いという問題や、偏光の異なる成 分の光を利用するための偏光変換デバイスを用いるとしても光学系が非常に複雑に なると 、う問題が生じて 、る。
[0006] 本発明は、上記の問題を解決し、レーザ光の光量均一化と偏光の均一化を可能に する光学系を構築し、利用効率の高いレーザ光源を用いた光源装置を実現すること を目的とする。また、光源装置の低消費電力化と小型化が可能になることで、携帯機 器に適用されるディスプレイへの応用も可能となる。
課題を解決するための手段
[0007] 本発明は、上記の目的を達成するために為されたものである。本発明に係る光源 装置は、
単一偏光のレーザ光源と、導波板と、前記導波板の端部に設けた反射部と、前記 導波板に設けたレンズ部と、を備え、前記レーザ光源からのレーザ光は、前記導波 板を伝搬した後、前記反射部とレンズ部によって、コリメートされ、前記レーザ光の偏 光が前記導波板の表面とほぼ平行であることを特徴とする液晶パネルの光源装置で ある。
発明の効果
[0008] 本発明によれば、レーザ光を導波板内で均一な光量にすることと同時にレーザ光 の偏光方向を揃えることが可能となり、高効率で 2次元の面状から発光する光源装置 を実現できる。これを液晶パネルなどの 2次元スィッチと組み合わせると、効率のよい 液晶パネルディスプレイ装置を実現できる。
[0009] 本発明の光源装置では、レーザを用いるので高い効率で電気を光に変換できる。
さらに、本発明の光源装置は、色純度の高い光を利用できるので、光の利用効率が 高く低消費電力で大画面も表示できる。さらに、レーザを用いることで高い色再現性
が実現できるため高色彩のカラー表示が可能となる。
[0010] また、レーザ光源を利用する場合、その高い可干渉性により生じるスペックルノイズ により画質が劣化する問題も生じるのであるが、本発明は、この問題も解決する。 図面の簡単な説明
[0011] [図 1]本発明の実施の形態 1に係るバックライト装置の一例の平面図である。
[図 2]本発明の実施の形態 1に係るバックライト装置の一例の部分斜視図である。
[図 3]本発明の実施の形態 1に係るバックライト装置の一例の平面図である。
[図 4]本発明の実施の形態 1に係るバックライト装置の一例の平面図である。
[図 5]本発明の実施の形態 1に係るバックライト装置の一例の平面図である。
[図 6]本発明の実施の形態 1に係るバックライト装置の一例の平面図である。
[図 7]本発明の実施の形態 1に係るバックライト装置の一例の平面図である。
[図 8]本発明の実施の形態 1に係るバックライト装置の一例の平面図である。
[図 9]本発明の実施の形態 1に係るバックライト装置の一例の平面図である。
[図 10]本発明の実施の形態 2に係るバックライト装置の一例の平面図(a)と側断面図
(b)である。
[図 11]本発明の実施の形態 2に係るバックライト装置の一例の平面図である。
[図 12]本発明の実施の形態 2に係るバックライト装置の一例の平面図である。
[図 13]本発明の実施の形態 3に係るバックライト装置の一例の平面図である。
[図 14]本発明の実施の形態 3に係るバックライト装置の一例の平面図である。
[図 15]本発明の実施の形態 3に係るバックライト装置の一例の平面図である。
[図 16]本発明の実施の形態 3に係るバックライト装置の一例の平面図(a)と側断面図
(b)である。
[図 17]本発明の実施の形態 4に係る液晶ディスプレイ装置のブロック図である。 符号の説明
[0012] 1 レーザ光
2 反射部
3 発散光
4 コリメート光
5 偏光方向
6 導波板
21 マイクロレンズ
31 ミラー
51 反射部
61 第 1の導波板
62 第 2の導波板
71 λ /4板
81 偏向器
91 回転プリズム
発明を実施するための最良の形態
[0013] 本発明に係る光源装置は、単一偏光のレーザ光源と、導波板を備え、レーザ光源 から出射される発散光を導波板の端部に設けた反射部で反射し、レンズ部でコリメ一 トすることで、導波板を伝搬するレーザ光の光量を均一化することとレーザ光の偏光 をそろえることを可能にする。このような光源装置をバックライトとして、偏光を利用す る液晶パネルを組み合わせることで、効率のよい 2次元表示装置を実現できる。以下 、図面を参照して本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。
[0014] 《実施の形態 1》
図 1は、本発明の実施の形態 1であるバックライト装置の一つの平面図である。図 1 に示されるバックライト装置は、単一偏光のレーザ光を出射するレーザ光源 7と、上方 端部に反射部 2を設けた導波板 6と、レーザ光源 7から出射されるレーザ光を発散し て導波板 6に入射させる(レンズ)光学系 32とを備える。実施の形態 1に係るノ ックラ イト装置は、レーザ光 1を導波板 6で光量均一化させ、このことにより液晶などの偏光 スィッチのためのバックライトとして利用できる。通常、液晶パネルのバックライトが光 量を均一化する際には、光を多重反射させる。し力しながら、多重反射させる構成で は、光源に単一偏光のレーザ光源を用いても、結局拡散板内部で偏光方向がランダ ムな方向になるため、液晶パネルのような偏光を利用したスィッチで利用するには、 偏光板により特定の偏光成分のみ抽出するような構成が必要となる。このような構成
では、光の利用効率が極端に低下するため、消費電力が増大し、また、偏光板を必 要とするため光学系が複雑になり、部品点数増大によるコストアップに繋がる。そこで
、本発明の実施の形態 1では、単一偏光であるレーザ光源の特性を利用して、効率 のよ!/、バックライト装置を実現する。
[0015] 図 1に示されるバックライト装置において、レーザ光源 7から適切なレンズ光学系 32 を介して導波板 6に入射したレーザ光 1は、発散光 3となって導波板 6を伝搬する。発 散光 3においては、レーザ光の偏光方向は導波光の進行方向に垂直になるため、導 波板 6の内部で扇状に分布している。発散光 3は、導波板 6の端面に設けられた反射 部 2で反射される。反射部 2は、凹面形状をなす反射部材が導波板 6の上方凸状端 部に接着されて形成される。反射部 2は導波板 6内部を進んでくる発散光 3に対して レンズ効果を持っており、反射光をコリメート光 4に変換する。反射されたコリメート光 4は、導波板 6をコリメート状態で進むため偏光方向 5は互いに平行となる。このことに よって、光量が均一化された単一偏光の 2次元導波光を実現できる。この 2次元のバ ックライト装置と液晶パネル及び拡散板とを組み合わせた装置は、表示装置、 2次元 ディスプレイ、若しくは 2次元照明装置などに利用できる。該装置は、偏光のそろった 単一偏光の 2次元光を利用できるため、光の利用効率が大幅に増大する。
[0016] 導波板 6を伝搬する光としては、導波板 6の表面と平行な単一偏光のものが用いら れる。偏光方向を表面と平行にすることで、偏光を利用した液晶パネルでのスィッチ ングが容易になる。
[0017] 導波板 6が複屈折率を有するように、導波板 6は複数枚の薄膜で形成されるのが好 ましい。複屈折率導波板を用いると導波板 6の内部で偏光が回転するのを防止でき るため、単一偏光が維持でき、不要光への変換が押さえられて、光の損失を低減で きる。
[0018] なお、レーザ光源 7としては、半導体レーザのものを用いるのが好ましい。特に、赤 色レーザ及び青色レーザとしては、高出力半導体レーザが利用しやすいため有効で ある。半導体レーザを本発明で用いる場合、数 Wの高出力特性が必要となるから、 半導体レーザの構造としてワイドストライプのレーザ、又は、ワイドストライプのレーザ を複数並列に備えたマルチストライプのレーザのものを含むのが好ましい。
[0019] (ワイドストライプの並び)
ワイドストライプのレーザを光源として用いる場合、ストライプの並び方向と導波板 6 の表面とが平行になるように設置することで、導波板 6への入射効率を上げることが 可能となる。このため、半導体レーザのストライプの並びを、導波板 6表面と平行に設 置するのが好ましい。ところが、このように設置した場合、半導体レーザの偏光方向が 導波板 6の表面に対して垂直になる。このことを回避するためには、半導体レーザの 出射面に λ /2板を設置して、偏光方向を回転させればよい。また、マルチストライプ のレーザの場合、発光部の幅が数 mmと広くなる。これに対してヒートシンクを設置す るとしても、ヒートシンクを導波板 6と平行に設ければ装置全体の薄型化が可能である 。また、ヒートシンクの冷却手段としてヒートパイプを用いる場合には、冷却液を循環さ せる構造となるが、マルチストライプのレーザの背面冷却構造を薄型化できるので装 置全体の薄型化に有効である。
[0020] 一方、ワイドストライプのレーザの表面を導波板の表面に対して垂直に設置する構 成にも利点がある。図 2は、本発明の実施の形態 1に係るバックライト装置の部分斜 視図であり、ワイドストライプのレーザの表面を導波板 6の表面に対して垂直にしてい る。ワイドストライプのレーザの拡がり角は、半導体レーザの厚み方向が 30° 程度と 大きぐ幅方向が数 ° 程度と小さい。導波板 6に入射された光が内部で拡がることで 導波板面内の光量均一化が図られるが、拡がり角が小さければ拡大レンズ系などが 必要となる。従って、半導体レーザの拡がり角が大きい厚さ方向を導波板 6表面と平 行に設置する(即ち、レーザの表面を導波板 6の表面に対して垂直に設置する)こと で、拡大レンズ系を用いずにレーザ光を導波板 6面内に十分に拡げることが可能とな る。さらに、レーザの表面を導波板の表面に対して垂直に設置する構成は、 λ /2板 を用 ヽな 、でレーザの偏光方向を導波板に平行に設定できると 、う利点を有する。 但し、ワイドストライプのレーザのストライプ幅は、 100— 200 m程度であるため、レ 一ザの表面を導波板 6の表面に対して垂直に設置する構成の場合、マルチストライ プ構造にすると導波板 6との結合効率が低下することがある。その場合、ワイドストライ プレーザを複数用いるか、スタック状にすることで、半導体レーザと導波板との結合 効率を上げることが可能となる。
[0021] 複数のワイドストライプ構造をスタック状で使用するには、図 2に示すようにヒートシ ンク 401〖こより、活性層 404を備えるレーザ光源(青色レーザ 402,赤色レーザ 403) を挟むサンドイッチ構造が好ましい。ヒートシンク 401で挟むことで、レーザの冷却効 率が向上し、装置全体の高出力化や長寿命化が可能となる。さらに、ヒートシンク 40 1内部にヒートパイプを通して冷却効率を上げることにより、光源の信頼性を大幅に向 上させることができる。半導体レーザの発光点の間隔を数 mm以上としても導波板 6 全体にレーザ光を拡げることができるので、レーザ光源の間にヒートシンク 401を設け れば、ヒートシンク 401の冷却効率を十分に上げてレーザに対する熱分離を適切に 行うことができる。
[0022] 後述のように、半導体レーザとして赤色若しくは青色の LD (レーザ ·ダイオード)を 用いる場合、複数のレーザ光源を用いることになる。この場合、色の異なるレーザ光 源を交互に配置することで、導波板内の色の均一性を向上させることができる。また、 赤色 LDに対して青色 LDの方が発行強度が大き 、ので、赤色 LDを多く使用するこ とが好ましい。例えば、赤色 LDと青色 LDを 2対 1の個数比で交互に配置すれば、導 波板内の色の均一性が図れる。
[0023] (マイクロレンズアレイの利用)
図 3は、本発明の実施の形態 1に係るバックライト装置の別例の平面図である。図 3 に示すバックライト装置では、マイクロレンズアレイ 21によって、導波光をコリメートす る。グレーティング構造やグレーティングレンズ構造を用いると、レンズ部分を小さくで きるため、バックライト装置全体の構造を小さくできる。
[0024] さらに、マイクロレンズアレイ 21を液晶により構成すれば、マイクロレンズアレイ 21の 焦点を時間的に変化させることができる。焦点が変化することで、導波板 6を導波す る光の伝搬状態が時間的に変化するため、スペックルノイズの低減が可能となる。導 波する光はマイクロレンズアレイ 21を往復することでビーム行路の変化が 2倍になる ため、マイクロレンズアレイ 21を駆動する電力を低く抑えることもできる。さらに、マイク 口レンズアレイ 21又は反射部 2を微小振動させる構成も有効である。マイクロレンズァ レイ 21又は反射部 2を微小振動させることで、ビーム行路が変わりレーザの散乱バタ ーンが変化するためスペックルノイズを低減することが可能である。微小振動では偏
光の変化が小さいため、本発明の効果である偏光を揃えて利用効率を高めることへ の影響は小さぐ高効率ィ匕が可能である。
[0025] (反射部に対向する端部へのミラーの設置)
図 4は、本発明の実施の形態 1に係るバックライト装置の更なる別例の平面図であ る。図 4に示すように、レーザの入射部がある導波板 6端部にミラー 31を設置する。こ のようにすることで、反射部 2で反射されたコリメート光 4をミラー 31で更に反射するこ とができ、結果として導波板 6内での光量の均一化が強化される。また、ノ ックライト 装置の 2次元面状照明の利用効率が上がるので、効率の高いバックライト装置になる 。レーザ光源 7の発光面積は非常に小さぐミラー 31の開口部での損失は小さくて済 む。複数のレーザ光源を用いる場合は、ミラー 31に微小穴を複数空けて、複数の微 小穴からレーザ光を入射する構成とする。このようにしてもミラーの面積を複数の微小 穴よりずっと大きくすることができ、微小穴からのレーザ光の損失はごく僅かである。
[0026] (光量分布の更なる均一化)
さらに、図 5は、本発明の実施の形態 1に係るバックライト装置の拡散板における拡 散パターン 301の構成例である。図 5に示すように、導波板のレーザ光の拡散強度 分布が中心部に対して周辺部の方で強くなるように、拡散パターンを設計する。即ち 、導波板において光量分布均一化とコリメ一トイ匕を行う場合、導波板の裏面に備えら れる拡散板によって前面に拡散される光量分布を均一化するために、拡散板の拡散 ノターン分布を導波板内の光量分布の逆関数となるように設定する。このようにする ことにより導波板力 拡散するレーザ光の光量均一性が強化される。
[0027] また、レーザ光、特に、(後述するように)緑色レーザ光を拡げるレンズ光学系 32と して、マイクロレンズアレイを用いれば、導波板 6内でのレーザ光の強度分布の均一 化を図れる。そもそもレンズ光学系 32に単レンズを用いると、導波板 6の中央近傍の 強度分布が周辺部より強くなつてしまう。これに対してレンズ光学系 32にマイクロレン ズアレイを用いることで、強度分布の強弱の発生を緩和して強度分布の均一化を図 ることがでさる。
[0028] (レーザ光の様々な入射)
また、図 6は、本発明の実施の形態 1に係るバックライト装置の更なる別例の平面図
である。図 6に示されるノ ックライト装置は、レーザ光 1が導波板 6下方端部の角部か ら入射される構成となっている。レーザ光 1が導波板下方端部の角部から入射するの であっても、更に、複数のレーザ光が導波板下方端部の様々な位置力 入射するの であっても、反射部 2の設計によりコリメート状態を実現できるので、均一な単一偏光 のバックライト光を実現できる。
[0029] (フレネルレンズの利用)
図 7は、本発明の実施の形態 1に係るバックライト装置の更なる別例の平面図であ る。図 7に示されるように、反射部 51をフレネルレンズの形状にすることで、反射部 51 の面積 (及び体積)を最小にしてコリメート光 4を実現できる。反射型のフレネルレンズ を用いることで、装置全体の小型化が図れるのであり、コヒーレンスの高いレーザ光を 用いることで、そのフレネルレンズの設計も容易になる。
[0030] また、フレネルレンズを適宜設計すれば、反射光 4の方向を部分的に制御すること が可能となる。例えば、中心部分の反射光 4の反射方向を両側面部分に分散させる ようにすることで、分布強度が強い中心部の光を側部に分散させて全体の強度分布 の均一化が図れる。
[0031] さらに、 RGBレーザ等の波長の違いに着目して、屈折分散による反射の分布の制 御を行うことができる。つまり、 RPGレーザの発光点の位置の自由度を高めるには、 色によって反射分布を異ならせる必要がある。特に、(後述するように)緑色レーザ光 が波長変換を用いるレーザ光であるならば、変換効率を上げるために光源の輝度が 高く設定され、且つ出射スポットの数も少なく設定される。これに対して、(やはり後述 するように)赤色レーザ及び青色レーザとして半導体レーザを用いるならば、出射ス ポットの数を多く設定され、且つ光源の輝度も低く設定される。このように、波長によつ て出射スポットの数や光源の輝度が異なることが想定される。そのような場合に反射 によって導波板内に均一に RBG光を分布させるには、フレネルレンズのようなグレー ティングレンズを用いて、色毎に屈折分散による反射の分布の違いを設計することが 必要になる。
[0032] (反射部の反射部材の分割)
さらに、図 8は、本発明の実施の形態 1に係るノ ックライト装置の更なる別例の平面
図である。図 8に示されるように、反射部 2の凹面状の反射部材を複数に分割しこれ に対応して導波板 6上方端部の形状を変更する(縮小する)。このようにすることで、 導波板 6上部の面積力 S小さくなり、バックライト装置全体の小型化が図れる。分割され た反射部材をさらに小さく分割して 10mm以下の多数のマイクロ凹面ミラーとし、それ らにより反射部 2を構成すれば、図 1等に示される導波板 6上部の膨らみ部分が不要 になって装置全体が小型化され得る。それと共に、勿論光量の均一化は可能である 。つまり、マイクロ凹面ミラーの各反射光を合波した光量分布が均一な分布になるよう にマイクロ凹面ミラーの反射分布を設計すれば、バックライトの形成する光量の分布 の均一化を図れる。
[0033] また、マイクロ凹面ミラーを用いれば、レーザ光ビームを走査した場合に僅かな振れ 角で反射する光の位相が大きく変化するため、スペックルノイズ低減効果が大きくな るという効果も得られる。
[0034] (コリメート光を多重反射させる例)
さらに、図 9は、本発明の実施の形態 1に係るノ ックライト装置の更なる別例の平面 図である。図 9に示される導波板 6では、反射部 2のコリメートした光を、導波板 6の上 下の端部で多重反射させる。このようにすることにより、導波板 6内の光量の均一化が 図れる。反射の角度を端面に対して垂直に近づけることで、コリメート光の偏光をほ ぼ平行に保つことができ、光の利用効率を向上できる。
[0035] 以上、様々な例により本発明の実施の形態 1を説明してきた力 本発明の構成は携 帯機器などへの応用に適している。つまり、消費電力を大幅に低減できるためバッテ リの消費電力を抑制でき、従って所定の充電量によりバッテリの長時間での利用が可 能になる。上述したように、レーザ光として、赤、青、緑の可視光レーザを用いれば力 ラー表示が可能となる。レーザ光を順次に点灯することでフルカラー表示も可能とな る。
[0036] 《実施の形態 2》
(2層構造の導波板)
図 10は、本発明の実施の形態 2に係るバックライト装置の一つの例の平面図(a)と 側断面図 (b)である。側断面図 (b)は、平面図 (a)の中心縦軸(図示せず)を通過す
る縦断面によるものである。なお、本発明の実施の形態 2に係るバックライト装置は、 図 1に示す実施の形態 1に係るノ ックライト装置と略同様のものである。従って、同一 部位には同一符号を付して説明を省略する。
[0037] 図 10に示されるバックライト装置では、導波板が 2層構造 (第 1の導波板 61、第 2の 導波板 62)になっている。レーザ光 1は、第 1の導波板 61に入射され発散光となって 伝搬し、反射部 2を構成する直角プリズム 63で第 2の導波板 62に導かれる。第 2の導 波板 62ではレーザ光はコリメート光 4となり、且つ偏光 5が平行となる。実施の形態 2 に係るバックライト装置でも、導波板 (特に、第 2の導波板 62)内の光量均一化とレー ザ光のコリメ一トイ匕が実現される。
[0038] 上述のように、 2層構造にぉ 、て第 2の導波板 62はコリメート光のみ伝搬する。この ため、この 2次元のバックライト装置と液晶パネル及び拡散板とを組み合わせた装置 によって 2次元画像を表示する場合、液晶パネルに入射する光の偏光を分離するた めの偏光板が必要なくなる。このように、光の利用効率に優れた低消費電力のバック ライト装置が実現できる。なお、図 10に示される 2層構造の導波板は、前述した図 3 乃至図 7に示される様々な構成と組み合わせることもできる。
[0039] ( λ Ζ4板の利用)
図 11は、本発明の実施の形態 2に係るバックライト装置の別例の平面図である。図 11に示されるバックライト装置は偏光及び反射の特性を利用する。つまり、図 11に示 されるバックライト装置では、反射部 2の内側に λ Ζ4板 71が薄く堆積されている。
[0040] 導波板 6に入射したレーザ光 1は、発散光 3となって反射部 2で反射される。ところで 、レーザ光 1は予め導波板 6の表面に対して垂直な偏光を有するように設定されてい る。ここで、反射部 2の内側には λ Ζ4板 71が設けられているので、反射するレーザ 光 1は、 λ Ζ4板 71を 2回通過して偏光を 90° 回転され、結果として偏光は導波板 6 表面となるように変換される。反射部 6で反射し、コリメートされたレーザ光は、コリメ一 ト光 4となり偏光が導波板表面と平行な光量均一光となる。このように、入射光と反射 光とで偏光が異なることにより、偏光分離を用いて反射光のみを外部に取り出すこと が可能となる。つまり、 1層構造の導波板であっても偏光の揃った 2次元の面状バック ライト光源を実現できることになる。また、図 11に示される導波板は、前述した図 3乃
至図 7に示される様々な構成と組み合わせることもできる。
[0041] (バックライト装置の他の例)
本発明の実施の形態 1、又は実施の形態 2に係るバックライト装置において、レー ザ光源として RGB3色のレーザ光源以外に更に他の色のレーザ光源を追加する構 成も、色再現性がより向上するため望ましい。更なる色のレーザ光源を追加すること で、表現できる色度範囲を大幅に拡大することが可能となる。
[0042] さらに、レーザ光はコヒーレンスが高いためグレーティング等も利用できる。反射部 2 の表面に反射型のグレーティング構造を形成し、光の回折パターンによりレーザ光が 液晶パネル上で均一に照射されるような構成を採用すれば、簡素な光学系で液晶パ ネルでの光量の均一化が図れる。 RGB光源としては、半導体レーザ、固体レーザ、 及びファイバーレーザ等が利用できる力 いずれのレーザも電気一光変換効率は 20 %〜40%と非常に高い。さらに、コヒーレンスが高ぐカラー表示に必要となる光のス ベクトルのみを発振することができるため、 RGB (赤緑青)表示のために無駄なく光を 利用できる。
[0043] 本発明の実施の形態 1若しくは 2に係るバックライト装置では、レーザを用いることで 導波板の薄板ィ匕が可能となる。従来の蛍光管や LEDを用いたバックライト装置では
、導波板の厚みが少なくとも数 mm必要である。けだし、蛍光管や LEDの発光面は m m2オーダであり相当に大きぐ導波板が十分厚くなければ導波板との結合効率が大 幅に低下する力もである。これに対して、レーザの発光面は数/ z m X数 100 mであ り非常に小さい。ノ ックライト装置の軽量化、小型化、及び低コスト化に有利である。 レーザ活性層の厚み方向を導波板の厚み方向に揃えると、レーザの発光面の厚み 方向のサイズは数 μ mとなり、導波板は 10 μ m以上の厚みがあれば 90%以上の高 効率でレーザ光との結合が可能となる。
[0044] また、導波板を複数枚の薄膜で構成すれば、複屈折率を備える導波板を容易に実 現できる。薄膜に夫々の屈折率を持たせるには薄膜に応力を加えることで実現でき るが、このようにすれば、夫々の薄膜に強い応力を保持できるため信頼性の高い複 屈折率薄膜が実現できると 、う利点も生じる。
[0045] また、表示装置を動作させる状況で必要とされる輝度に合わせて、レーザ光源の強
度を変調することで、消費電力を低減することが可能となる。レーザ光の場合、強度 変調が容易であり、表示する画面の最大の輝度に合わせて、レーザ光強度を変調す ることで、レーザ光の発光に必要な電力を大幅に抑制できる。一方、従来技術の蛍 光管では、高速の強度変調は困難である。従来技術の LEDでは、複数の LEDの強 度を別々に制御することが難しぐまた、強度による色の変化も大きいため、出力強 度の階調性に乏しい。
[0046] なお、本発明の実施の形態 1若しくは実施の形態 2に係るバックライト装置を利用し て、入射するレーザ光 1に 2次元画像データを載せるような構成も実現できる。即ち、 予め 2次元のスイッチング装置で画像変換した光を導波板に伝搬して導波板で拡大 表示するような構成である。この構成においても、レーザ光を用いることで、導波板と の結合が大幅に向上する。更に、偏光を維持することができるため、表示画像のコン トラストが大幅に増大する。
[0047] これまでに述べたバックライト装置では、導波板を平行平板として 、るが、導波板は 、上部では表面と裏面の間がやや狭く下部では表面と裏面の間がやや広!、テーパ 構造を有していてもよい。このようなテーパ構造を利用すれば、光量分布が低くなり 力 Sちな周辺部での拡散を増やすことができ、結果として全体の拡散の均一化が図ら れる。
[0048] 《実施の形態 3》
本発明の実施の形態 3では、導波板 6におけるスペックルノイズの低減に関する構 成を説明する。レーザ光はコヒーレンスが高ぐ光の干渉によるスペックルノイズが発 生する。このため、レーザ光によりそのまま画像を構成すると、画像の画質はあまり良 くない。これを回避するにはスペックルノイズの低減が重要である。
[0049] (偏向器の利用)
図 12は、本発明の実施の形態 3に係るバックライト装置の一つの例の平面図である 。なお、本発明の実施の形態 3に係るバックライト装置も、実施の形態 1に係るバック ライト装置及び実施の形態 2に係るノ ックライト装置と略同様のものである。従って、 同一部位には同一符号を付して説明を省略する。
[0050] 図 12に示すバックライト装置では、レーザ光源 7の入射部近傍に、偏向器 81が設
けられている。この偏向器 81によってレーザ光の方向が時間的に変化することで導 波して ヽる光の位相が時間的に変化し、その結果スペックルノイズが低減される。
[0051] 偏向器でなくても、位相や偏光を時間的にわずかに変化させる装置を用いればス ペックルノイズの低減が可能である。
[0052] (回転プリズムの利用)
図 13は、本発明の実施の形態 3に係るバックライト装置の別例の平面図である。図 13に示されるノ ックライト装置では、レーザ光源 7の入射部近傍に回転プリズム 91が 設けられている。この回転プリズム 91によってレーザ光の方向を時間的に走査するこ とで、レーザ光の光量均一化が図られる。光量均一化されたレーザ光を反射部 2でコ リメートすることで、光量が均一化されたコリメート光を作成できる。また、レーザ光を 走査することで、レーザ光の位相が時間的に僅か〖こ変化するため、スペックルノイズ の発生を低減できる。
[0053] (複数のレーザ光源の利用)
また、図 14は、本発明の実施の形態 3に係るバックライト装置の別例の平面図であ る。図 14に示されるバックライト装置では、一つの導波板 6に対して複数 (n個)のレー ザ光源(7—(1)、 7—(2)、 7—(3)、 · · · 7—(η) )が設けられる。このように複数のレ 一ザ光源を用いる構成は、以下の点で有効である。まず、 RGBレーザ光源を複数設 置して導波板に入射することで、一つのレーザ光の強度が小さくても高輝度のデイス プレイ装置を実現できる。この場合、一つのレーザ光の発光強度は低輝度化するの だから、レーザ光源そのものの寿命が大幅に増大する。また複数のレーザ光源を用 V、るのだから、例えば一つのレーザ光源が故障しても他のレーザ光源で補完され得 るため、より信頼性の高いディスプレイ装置が実現される。レーザ光源としては、マル チアレイの半導体レーザや、マルチアレイの半導体レーザをスタックしたもの、若しく はレーザチップを複数ならベた構造等が使用できる。
[0054] 更に、このような構成はスペックルノイズの低減に有効である。つまり、複数の発光 点よりレーザ光が発生することで複雑な波面が形成されてスペックルノイズの発生が 抑えられる。また複数のレーザ光源の出力を適宜切り替えることで、干渉パターンが 多重化しスペックルノイズが抑制できる。
[0055] (複数の波長の利用)
複数のレーザ光源の波長を僅か〖こ異ならせる構成にすることで、スペックルノイズを より小さくすることができる。スペクトルの差は 0. 2nm以上であるのが好ましぐさらに 望ましくは lnm以上離れて 、るのがよ 、。
[0056] また、半導体レーザをレーザ光源として用いる場合、駆動電流に高周波を重畳する ことでレーザの発振スペクトルが拡がることが知られて 、る。スペクトルを拡大すること でコヒーレンスを低減することができるので、スペックルノイズの低減が可能となる。
[0057] (波長変換レーザと半導体レーザ)
図 15は、本発明の実施の形態 3に係るバックライト装置の更なる別例の平面図であ る。図 15に示されるバックライト装置は、導波板 6下方端部中央に配置される緑色レ 一ザ (光源) 7'と、緑色レーザ光 1 'の導波板入射部近傍に配置される回転プリズム 9 1と、回転プリズム 91近傍以外の導波板 6下方端部にそれぞれ複数個配置される赤 色レーザ (光源) 101及び青色レーザ (光源) 102と、上方端部に反射部 2を設けた導 波板 6とを備える。
[0058] 図 15に示されるバックライト装置では、緑色レーザ光と、青色レーザ光及び赤色レー ザ光とで、導波板への入射するための仕組みが異なる。
[0059] まず、緑色レーザ光 1 'は、回転プリズム 91を介して導波板 6に入射している。緑色 レーザビームは導波板 6内部で走査され、反射部 2で反射されてコリメート化されてい る。レーザ光 1 'の偏光は導波板表面と平行であり、コリメート光 4の偏光は入射端面 とほぼ平行に変換されている。一方、青色レーザ 102及び赤色レーザ 101は半導体 レーザであり、複数の赤色レーザ光及び青色レーザ光は、導波板 6の端面の他部位 より入射している。複数の赤色レーザ 101及び青色レーザ 102は交互に並べられ色 の均一性が確保されるように配置されて 、る。
[0060] RGBレーザを用いてフルカラー表示可能なバックライト装置を構成する場合、緑色 レーザ光源は波長変換を用いるレーザ光源である。具体的には、緑色レーザは、固 体レーザ、ファイバーレーザなどの基本波光源を、周期分極反転構造を形成した Mg ドープ LiNbOで波長変換するという構成を用いる波長変換レーザである。波長変換
3
レーザの変換効率は、基本波パワーに依存するため、高効率変換には高出力の基
本波レーザが必要であり、そのため出力光は 1ビーム又は 2ビームと 、う少な 、個数 になってしまう。けだし、ビーム数を多くするとビームあたりの出力が低くなり変換効率 が低下するからである。また波長変換レーザは、高効率変換であるためビーム品質 が高ぐスペクトル幅が狭いため発生するスペックルノイズが大きい。さらに緑色レー ザ光は、人間の視感度が高いため、スペックルノイズを感じやすい。
[0061] 一方、赤色レーザ光源及び青色レーザ光源は、複数の半導体レーザを用いる。半 導体レーザの場合、ワイドストライプの LDを用いることで、単体でのスペクトル幅を広 げることが可能となる。さらに複数の半導体レーザの波長を数 nm程度ばらつ力せる ことで、スペックルノイズを大幅に抑制することが可能となる。さらに駆動電流に高周 波重畳をカ卩えることで、スペクトルを拡大してスペックルノイズをより低減することも可 能である。従って、 RGBレーザの中で、スペックルノイズ低減が特に重要となるのは、 波長変換レーザである緑色レーザであると ヽえる。
[0062] 図 15に示されるノ ックライト装置では、緑色レーザ光ビームを導波板 6内部で走査 してスペックルノイズの低減を図って 、る。上述のように緑色レーザ光はビーム本数 が少なぐ回転プリズムやポリゴンミラーなどでビームを走査するとしても、装置全体の 構成を小型に保持できる。
[0063] また赤色レーザ及び青色レーザは、上述のような別途の仕組みによりスペックルノィ ズを低減できるが、多数のレーザ光源を利用する必要がある。(前述のように)緑色レ 一ザに関しては、スペックルノイズ低減にはビームを走査する構成が有効である。さら に RGBレーザのうち電力効率は緑色レーザが最も低い。このため、ノ ックライト装置 の電力効率を向上させるには、緑色レーザの利用効率向上が有効である。つまり、 緑色レーザを単一偏光にして、ビーム走査させ且つ反射コリメートで使用し、偏光を 導波板 6内部で平行にして利用効率向上を図ることで、ノ ックライト装置の効率向上 が図れるといえる。
[0064] 上述のように赤色レーザ及び青色レーザのための半導体レーザに関しては、複数 のレーザ光源を用いることでスペックルノイズ低減が可能となる。このため導波板の端 面の他部位より複数入射する構成が好ましい。このとき、入射した光が反射部に到達 する前に導波板前面より多く出射するのが好ましい。つまり、導波板が、波長によって
散乱効率が変わるように (即ち、導波板の散乱につき、赤、青が多ぐ緑が少ないよう に)設計されることが好まし 、。
[0065] (波長変換レーザ、半導体レーザ、及び、 2層構造の導波板)
図 16は、本発明の実施の形態 3に係るバックライト装置の更なる別例の平面図(a) と側断面図 (b)である。側断面図 (b)は平面図 (a)の中心縦軸(図示せず)を通過す る縦断面によるものである。
[0066] 図 16に示されるバックライト装置では、導波板が第 1の導波板 61と第 2の導波板 62 の 2層構造になっている(図 10参照)。緑色レーザ光 1 'は、第 1の導波板 61の下方 端面から入射し、反射部 2を構成する直角プリズム 63で反射された後、第 2の導波板 62を伝搬しつつ第 2の導波板 62の表面より放射されて面状の光源を構成する。一方 、赤色レーザ光 101及び青色レーザ 102は、第 2の導波板 62の下方端面力 入射し て、第 2の導波板 62の表面より放射される。
[0067] 緑色レーザ光 1 'は、反射部 2により反射され且つコリメート化され、第 2の導波板 62 では入射端面にほぼ平行な偏光を有するコリメート光で伝搬する。これによつてバッ クライト装置の表面に設置された液晶パネルの透過偏光と偏光を一致でき、緑色レ 一ザ光の利用効率を向上できる。
[0068] 第 2の導波板 62の上下端面近傍には、第 1の波長フィルタ 2001及び第 2の波長フ ィルタ 2002を設置する。第 1の波長フィルタ 2001は、緑色レーザ光を透過し、赤'青 色レーザ光を反射する。第 1の導波板 61を通過した緑色レーザ光は反射部 2で反射 して第 1のフィルタ 2001を通過する。一方、青'赤色レーザ光は、第 1のフィルタ 200 1で反射する。さらに、第 2のフィルタ 2002は、緑色レーザ光を反射し、青'赤色レー ザ光を反射する。さらに加えて、第 2のフィルタ 2002は、所定の (複数)位置に設けら れた微小穴から、赤 ·青色レーザ光を透過する構成になっている。このように、上下端 面でレーザ光を反射することにより、レーザ光の利用効率を大幅に増大させることが 可能になっている。
[0069] 緑色レーザ光源である波長変換レーザによるレーザ光は、拡がり角が小さいため、 光量均一化のためには相当の伝搬距離を必要とする。このため、ビームの拡がりを 1 層目の導波板 (第 1の導波板 61)で実現し、 2層目の導波板 (第 2の導波板 62)をバ
ックライト光源として面状に緑色レーザ光を放射する構成が好ましい。
[0070] 半導体レーザを複数用いる場合、発光点が複数あるから、光量均一化のための導 波距離は短くてよい。従って、入射される第 2の導波板 62から放射するような構成に より、赤 ·青色レーザ光の均一化が可能となる。
[0071] 上記のように、緑色レーザ光と赤 ·青色レーザ光とを異なる導波板力 入射すること で、光源を設置する場所の自由度が増し、システムの小型化が可能となる。また、導 波板が 1層構造である場合(図 15参照)に比べて、緑色レーザ光の均一性が向上す る。さらに、導波板が 1層構造である場合、導波板の下方端面の中心部に緑色レー ザが配置されその周辺部に赤 ·青色レーザが配置されるため、表示画面に色むらが 出る可能性もあるといえる力 導波板が 2層に分離する場合、赤'青色レーザの入射 部を導波板の下方端面の中央近傍にも設置できるため、色の均一性が大幅に向上 する。また、入射部を分離することで緑色レーザ光を走査する構成の構築も容易とな りスペックルノイズの更なる低減が可能となる。
[0072] 導波板としてポリ力、フォトポリマーなどの有機材料を用いることが想定される力 こ れら材料による緑色レーザ光の吸収損失は、青色レーザ光に比べて約半分程度と 小さい。このため緑色レーザ光は、反射部で反射させて光路を長くとるようにしても、 吸収による損失が比較的少ない。これに対して、波長 450nm程度の青色レーザ光 は、非吸収量が比較的大きいため、反射部で反射させる前に導波板 6から放射させ るようにすることが、利用効率の高効率ィ匕のために重要である。
[0073] 導波板につ!、て説明する。導波板は、レーザ光を伝搬させる役割と、レーザ光を前 面に散乱させて面状の放射光源を形成する役割とを有する。レーザ光をよりよく散乱 させるのには、主として、
(ァ)導波板内部に拡散粒子となるビーズを混ぜる方式、
(ィ)導波板の裏面に拡散のための凹凸を設ける方式、又は、
(ゥ)上記 (ァ)(ィ)の両方を用いる方式
がある。
従来、拡散粒子の入った導波板 (上記 (ァ)の方式の導波板)の中をレーザ光が進む と、レーザ光が散乱されレーザ光の偏光がランダム状態になると考えられていた。実
際に実験を行うと、緑色レーザ光の場合、 50インチ程度の導波板にレーザビームを 入射しても 80%程度の光の偏光は維持されることが判明した。即ち、簡単な構成で レーザ光の利用効率を 1. 6倍に向上できることが実証された。さらに、拡散粒子を含 んだ導波板 (上記 (ァ)の方式の導波板)内で緑色レーザ光を僅かに走査することで スペックルノイズが大幅に低減され、目視では殆ど観測され得な ヽレベルにまでなる ことが分力つた。即ち、図 16に示されるバックライト装置の構成では、まず、スペックル ノイズの大幅な低減が可能であり、さらに、従来偏光維持が難しいと考えられていた 拡散粒子を導波板に含ませる構成であっても、偏光維持効果によるレーザ光の利用 効率の大幅な向上が可能になる。さらにカ卩えて、レーザ光源のビーム品質、レーザ光 源のマルチモード化、若しくは導波板の不均一性によって生成されてしまうバックライ ト照明の輝度むらを大幅に低減できるという効果が得られる。
[0074] なお、以上の実施の形態 1乃至実施の形態 3に関する説明で示したバックライト装 置は、液晶パネルによる画像表示システムのバックライト以外にも、他のディスプレイ 装置、更には 2次元面状照明装置などの光源として利用できる。 2次元面状照明装 置は、平面状でも曲面状でもよい。
[0075] 《実施の形態 4》
図 17は、本発明の液晶ディスプレイ装置 200の概略のブロック図である。図 17に 示される液晶ディスプレイ装置 200は、液晶パネル部 201と、液晶パネル部 201を照 明するバックライト装置 202と、液晶パネル部 201を駆動する LCD (Liquid Crystal Display;液晶ディスプレイ)制御部 203とを備える。ここでのバックライト装置 202は 、実施の形態 1乃至実施の形態 3の説明で示したものである。
[0076] 液晶パネル部 201は、ノ ックライト装置 202の前面(図 17における左方向)に設けら れる。更に、液晶パネル部 201は、 LCD制御部 203と各種電気的信号を送受信でき るように LCD制御部 203と接続する。 LCD制御部 203は、外部から入力される画像 信号に従って液晶パネル部 201の動作を制御する。
[0077] 本発明の表示装置を利用することにより、光量が均一であり出力効率の高い画像 表示を実現できる。更に、本発明の表示装置は、低消費電力、及び高い色再現性と いう利点を備える。
産業上の利用可能性
本発明の光源装置は、単一偏光のレーザ光源を用いて、 2次元平面における光量 の均一化と偏光の均一化を同時に実現できる 2次元の光源である。本発明によって、 光の利用効率が大幅に向上し、低消費電力の光源装置が実現でき、その実用効果 は大きい。また、小型構成が可能なためモパイル用途への応用も可能であり、低消 費電力により高輝度画像形成や長時間のバッテリ駆動が可能となる。