JPWO2009145223A1 - 水性塗料組成物 - Google Patents

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Abstract

タレが生じにくく、かつ平滑性及び耐水性に優れた塗膜を形成できる水性塗料組成物を提供すること。3級アミノ基含有重合性不飽和モノマー(a−1)1〜50質量%及びその他の重合性不飽和モノマー(a−2)50〜99質量%からなるモノマー混合物(I)を、アンモニウム塩型のアニオン性乳化剤(b)の存在下で、水性媒体中に平均粒子径が500nm以下となるように微分散させてなる乳化物を重合して得られる水分散性アクリル樹脂(A)及びカルボキシル基含有樹脂(B)を含有することを特徴とする水性塗料組成物。

Description

本発明は、タレが生じにくく、かつ平滑性及び耐水性に優れた塗膜を形成することが可能な水性塗料組成物に関する。また、本発明は、該水性塗料組成物を用いる複層塗膜形成方法に関する。
従来、塗料は有機溶剤を主溶媒とする有機溶剤型塗料が多く用いられていたが、最近では環境汚染の防止や石油資源の節約等の観点から、水を主溶媒とする水性塗料の採用が進んでいる。
しかし、上記水性塗料は、主溶媒である水の蒸発速度が塗装時の湿度によって変動しやすいため、高湿度条件下で塗装した場合には、有機溶剤型塗料に比べ、タレが生じやすく、低湿度条件下で塗装した場合には、得られる塗膜の平滑性が低下しやすい点が課題とされていた。
このような課題に対し、特許文献1には、アニオン型水性熱硬化型樹脂組成物(I)、及びカチオン性重合体微粒子(A)を含んでなる水性着色ベース熱硬化型塗料が、高湿度条件下で塗装してもタレず、低湿度条件下で塗装しても塗膜表面に平滑感のある仕上り性の良好な塗膜を形成できることが記載されている。しかしながら、特許文献1の水性塗料によって形成される塗膜は耐水性が不十分であった。
ところで、自動車車体、特にその外板部は、優れた防食性や外観を付与することを目的として、一般に、高い防食性を有する下塗り塗膜、優れた平滑性や耐チッピング性を有する中塗り塗膜、及び優れた外観を有する上塗り塗膜からなる複層塗膜により被覆されている。
このうち、上塗り塗膜の形成方法としては、一般に、上塗り塗料を塗装し、次いで該上塗り塗料を焼付け硬化させる1コート1ベーク方式;光輝性顔料、着色顔料等の顔料を含有する着色ベースコート塗料を塗装し、得られた着色ベースコート塗膜上にクリヤコート塗料を塗装した後、該着色ベースコート塗膜とクリヤコート塗膜を同時に焼付け硬化させる2コート1ベーク方式;着色顔料を含有する着色ベースコート塗料を塗装し、得られた着色ベースコート塗膜上に、光干渉性を有する光輝性顔料等を含有する光輝性ベースコート塗料を塗装し、得られた光輝性ベースコート塗膜上にクリヤコート塗料を塗装した後、該着色ベースコート塗膜、光輝性ベースコート塗膜及びクリヤコート塗膜を同時に焼付け硬化させる3コート1ベーク方式等が採用されている。通常、上記1コート1ベーク方式は、白色や黒色等のいわゆるソリッド色で多く用いられ、2コート1ベーク方式は、アルミニウム顔料等の光輝性顔料を含有するいわゆるメタリック色で多く用いられ、3コート1ベーク方式は、光干渉性模様を呈するいわゆるパール色で多く用いられる。
従来、上塗り塗料は、焼き付け硬化せしめた中塗り塗膜上に塗装されていたが、最近では、工程スペースの縮小や使用エネルギー量の低減等を目的として、中塗り塗料塗装後の焼き付け硬化工程を省略し、未硬化の中塗り塗膜上に上塗り塗料を塗装した後、中塗り塗膜及び上塗り塗膜を同時に焼付硬化させる、いわゆるウエットオンウエット塗装が検討されている。なかでも、焼付け硬化時の有機溶剤の揮散による環境汚染を抑制するため、上記中塗り塗料及び上塗り塗料として水性塗料を用いた水性ウエットオンウエット塗装が特に求められている。
しかしながら、水性ウエットオンウエット塗装は、中塗り塗料及び上塗り塗料が、共に水を溶媒として使用しているため、中塗り塗料と上塗り塗料の界面において混層が生じやすく、平滑性及び鮮映性が低下しやすい点が課題とされていた。
例えば、特許文献2には、熱硬化型水性中塗塗料(A)、熱硬化型水性ベースコート(B)および熱硬化型クリヤーコート塗料(C)を用い、かつ該水性中塗塗料(A)と該水性ベースコート(B)をウエットオンウエット方式で塗装する方法において、該水性中塗塗料(A)の基体樹脂の中和価を10〜40(KOHmg/g)とし、かつ該水性ベースコート塗料(B)の基体樹脂の中和価を該水性塗料(A)よりも10〜20大きくすることを特徴とする塗装方法が開示されている。特許文献2の塗装方法によって、ツヤや鮮映性等の仕上がり外観が低下しないことが記載されている。しかしながら、該塗装方法によって得られる複層塗膜は平滑性が不十分であるという問題があった。
また、特許文献3には、(1)電着塗膜が形成された被塗物を提供する工程;(2)電着塗膜の上に水性中塗り塗料を塗布して中塗り塗膜を形成する工程;(3)中塗り塗膜を硬化させないで中塗り塗膜の上に水性ベースコート塗料、及びクリヤコート塗料をウエットオンウエットで順次塗布してベースコート塗膜及びクリヤコート塗膜を形成する工程;(4)中塗り塗膜、ベースコート塗膜及びクリヤコート塗膜を同時に焼き付け硬化させる工程;を含む複層塗膜形成方法において、上記水性中塗り塗料が特定のアクリル樹脂エマルション及びウレタン樹脂エマルションを含有し、かつ、該水性中塗り塗料によって形成される中塗り塗膜が特定の吸水率及び水溶出率を有する複層塗膜形成方法が開示されている。特許文献3の複層塗膜形成方法によって、中塗り塗膜とベースコート塗膜との混相が有効に防止され、表面平滑性に優れる複層塗膜を形成できることが記載されている。しかしながら、該複層塗膜形成方法は、比較的高価なウレタン樹脂エマルションを使用するため高コストであり、さらに、得られる複層塗膜の鮮映性が不十分であるという問題があった。
また、特許文献4には、電着塗膜が形成された基材上に、水性中塗り塗料、水性ベースコート塗料、水性光輝材含有ベースコート塗料及びクリヤコート塗料を、順次ウエットオンウエットで塗布し、得られた4層の未硬化塗膜を同時に加熱硬化させる複層塗膜形成方法が開示されている。特許文献4の複層塗膜形成方法によって、エネルギーや製造時間を大きく軽減することができ、省資源や環境汚染への対応が可能になることが記載されている。しかしながら、該複層塗膜形成方法によって得られる複層塗膜は平滑性及び鮮映性が不十分であるという問題があった。
また、上塗り塗膜を形成する際においても、水性着色ベースコート塗料及び水性クリヤコート塗料を用いた2コート1ベーク方式;水性着色ベースコート塗料、水性光輝性ベースコート塗料及び溶剤型クリヤコート塗料を用いた3コート1ベーク方式;水性着色ベースコート塗料、水性光輝性ベースコート塗料及び水性クリヤコート塗料を用いた3コート1ベーク方式等の水性ウエットオンウエット塗装が望まれているものの、得られる複層塗膜の平滑性、鮮映性が不十分であるという問題があった。
特開2001−342438号公報 特開平8−290102号公報 特開2004−358462号公報 特開2004−298837号公報
本発明の目的は、タレが生じにくく、かつ平滑性及び耐水性に優れた塗膜を形成することが可能な水性塗料組成物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、被塗物上に、水性第1塗料(X)を塗装して第1塗膜を形成し、得られた未硬化の第1塗膜上に水性第2塗料(Y)を塗装して第2塗膜を形成する複層塗膜形成方法(いわゆる水性ウエットオンウエット塗装)において、平滑性及び鮮映性に優れた複層塗膜を形成できる水性塗料組成物を提供することである。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、3級アミノ基含有重合性不飽和モノマー及びその他の重合性不飽和モノマーを含むモノマー混合物を、アンモニウム塩型のアニオン性乳化剤の存在下で、水性媒体中に特定の平均粒子径となるように微分散させてなる乳化物を重合して得られる水分散性アクリル樹脂及びカルボキシル基含有樹脂を含有する水性塗料組成物によって、上記した課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下の水性塗料組成物、該水性塗料組成物を用いる複層塗膜形成方法及び該水性塗料組成物を塗装した物品を提供するものである。
項1.3級アミノ基含有重合性不飽和モノマー(a−1)1〜50質量%及びその他の重合性不飽和モノマー(a−2)50〜99質量%からなるモノマー混合物(I)を、アンモニウム塩型のアニオン性乳化剤(b)の存在下で、水性媒体中に平均粒子径が500nm以下となるように微分散させてなる乳化物を重合して得られる水分散性アクリル樹脂(A)、及び
カルボキシル基含有樹脂(B)
を含有することを特徴とする水性塗料組成物。
項2.3級アミノ基含有重合性不飽和モノマー(a−1)が、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート及び3級アミノ基を有するマクロモノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種の重合性不飽和モノマーである上記項1に記載の水性塗料組成物。
項3.アンモニウム塩型のアニオン性乳化剤(b)が、ポリオキシエチレン基を有する硫酸エステルアンモニウム塩である上記項1に記載の水性塗料組成物。
項4.上記項1に記載の水性塗料組成物が塗装された物品。
項5.被塗物上に、上記項1に記載の水性塗料組成物を塗装して第1塗膜を形成し、得られた未硬化の第1塗膜上に水性第2塗料(Y)を塗装して第2塗膜を形成することを特徴とする複層塗膜形成方法。
項6.水性第2塗料(Y)を塗装した後、該第1塗膜及び第2塗膜を同時に加熱硬化させる上記項5に記載の複層塗膜形成方法。
項7.水性第2塗料(Y)が、光輝性顔料(E3)を含有することを特徴とする上記項5に記載の複層塗膜形成方法。
項8.被塗物が、電着塗料によって下塗り塗膜が形成された車体である上記項5に記載の複層塗膜形成方法。
項9.上記項5に記載の複層塗膜形成方法により塗装された物品。
本発明の水性塗料組成物によれば、タレが生じにくく、平滑性及び耐水性に優れた塗膜を形成することができる。また、被塗物上に、水性第1塗料(X)を塗装して第1塗膜を形成し、得られた未硬化の第1塗膜上に水性第2塗料(Y)を塗装して第2塗膜を形成する複層塗膜形成方法において、本発明の塗料組成物を使用することにより、平滑性及び鮮映性に優れた複層塗膜を形成することができる。
以下、本発明について更に詳細に説明する。
水性塗料組成物
本発明の水性塗料組成物(以下、「本塗料」と略称する場合がある)は、3級アミノ基含有重合性不飽和モノマー(a−1)及びその他の重合性不飽和モノマー(a−2)を含むモノマー混合物(I)を、アンモニウム塩型のアニオン性乳化剤(b)の存在下で、水性媒体中に平均粒子径が500nm以下となるように微分散させてなる乳化物を重合して得られる水分散性アクリル樹脂(A)、及び
カルボキシル基含有樹脂(B)を含有する水性塗料組成物である。
1. モノマー混合物(I)
モノマー混合物(I)は、3級アミノ基含有重合性不飽和モノマー(a−1)及びその他の重合性不飽和モノマー(a−2)の混合物である。
モノマー混合物(I)における上記重合性不飽和モノマー(a−1)及び(a−2)の使用割合は、重合性不飽和モノマー(a−1)及び(a−2)の合計量を基準として下記の範囲内とすることができる。
3級アミノ基含有重合性不飽和モノマー(a−1):1〜50質量%、好ましくは3〜47質量%、さらに好ましくは7〜42質量%、
その他の重合性不飽和モノマー(a−2):50〜99質量%、好ましくは53〜97質量%、さらに好ましくは58〜93質量%。
3級アミノ基含有重合性不飽和モノマー(a−1)が、1質量%未満であるとタレが生じやすくなったり、形成される塗膜の平滑性及び鮮映性が低下したりする傾向があり、50質量%を超えると形成される塗膜の耐水性が低下する傾向がある。
1.1 3級アミノ基含有重合性不飽和モノマー(a−1)
3級アミノ基含有重合性不飽和モノマー(a−1)は、1分子中に3級アミノ基及び重合性不飽和結合をそれぞれ1個以上有する化合物であって、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジtert−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノヘキシル(メタ)アクリレート等のN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;N,N−ジメチルアミノシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のN,N−ジアルキルアミノシクロアルキル(メタ)アクリレート;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノヘキシル(メタ)アクリルアミド等のN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド;p−[2−(ジメチルアミノ)エチル]スチレン、p−[2−(ジエチルアミノ)エチル]スチレン、m−[2−(ジエチルアミノ)エチル]スチレン、p−[2−(ジプロピルアミノ)エチル]スチレン等の2−(ジアルキルアミノ)アルキルスチレン;グリシジル(メタ)アクリレートと2級アミンの付加物等を挙げることができる。これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの総称であり、(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルの総称であり、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル及びメタクリロイルの総称である。
また、上記3級アミノ基含有重合性不飽和モノマー(a−1)は、3級アミノ基を有するマクロモノマー(以下、3級アミノ基含有マクロモノマーということもある)であってもよい。本明細書において、マクロモノマーとは分子中に重合性不飽和基を有する数平均分子量が500〜500,000、より好ましくは1,000〜10,000である化合物を意味する。上記マクロモノマーは、分子中の片末端に重合性不飽和基を有することが好ましい。
上記3級アミノ基含有マクロモノマーは、1分子中に3級アミノ基を1個以上有するマクロモノマーであって、既知の製造方法により製造することができる。従って、製造方法としては特に限定されるものではないが、例えば、次のような製造方法(i)、(ii)を挙げることができる。
製造方法(i):触媒的連鎖移動剤である金属錯体又は付加開裂型連鎖移動剤、及び必要に応じてラジカル重合開始剤の存在下に、有機溶剤中での溶液重合法、あるいは水中でのエマルション重合法等の方法で、前記N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド等の3級アミノ基含有重合性不飽和モノマーを含む重合性不飽和モノマー混合物を共重合して3級アミノ基含有マクロモノマーを製造する。付加開裂型連鎖移動剤を用いる場合には、ラジカル的付加開裂型連鎖移動重合によって共重合反応が行われる。付加開裂型連鎖移動剤としては、例えば、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(「α−メチルスチレンダイマー」と略称される場合がある)等を好適に使用することができる。
製造方法(ii):メルカプト酢酸、3−メルカプトプロピオン酸等のカルボキシル基含有連鎖移動剤、及び必要に応じてラジカル重合開始剤、有機溶剤の存在下、前記N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド等の3級アミノ基含有重合性不飽和モノマーを含む重合性不飽和モノマー混合物を共重合して、末端にカルボキシル基を有する共重合体を得る。該共重合体にグリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有重合性不飽和モノマーを反応させてカルボキシル基とエポキシ基との反応によって共重合体末端に重合性不飽和基を導入して、3級アミノ基含有マクロモノマーを製造する。
上記の方法の中でも、3級アミノ基含有マクロモノマーの製造方法としては、得られる塗膜の耐水性の観点から、製造方法(i)が好ましい。また、重合性不飽和モノマー混合物としては、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート及び/又はN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドを含有する重合性不飽和モノマー混合物が好ましく、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートを含有する重合性不飽和モノマー混合物がより好ましい。
3級アミノ基含有マクロモノマーの製造の際に使用される重合性不飽和モノマー混合物は、3級アミノ基含有重合性不飽和モノマー以外に、後述のその他の重合性不飽和モノマー(a−2)を、特に制限なく含有することができる。具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、スチレン等を使用することが可能であり、これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
3級アミノ基含有重合性不飽和モノマー(a−1)としては、得られる塗膜の平滑性、鮮映性、耐水性等の観点から、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート及び3級アミノ基を有するマクロモノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種の重合性不飽和モノマーが好ましく、3級アミノ基を有するマクロモノマーがより好ましい。
1.2 その他の重合性不飽和モノマー(a−2)
本発明において使用されるその他の重合性不飽和モノマー(a−2)は、上記3級アミノ基含有重合性不飽和モノマー(a−1)と共重合可能な重合性不飽和モノマーであり、分子中に1個以上、好ましくは1個の重合性不飽和結合を含有する化合物を挙げることができる。
その他の重合性不飽和モノマー(a−2)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリルアクリレート(ISTA(商品名)、大阪有機化学工業(株)製)、シクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、シクロドデシル(メタ)アクリレ−ト、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート等のアルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート等のイソボルニル基を有する重合性不飽和モノマー;アダマンチル(メタ)アクリレート等のアダマンチル基を有する重合性不飽和モノマー;トリシクロデセニル(メタ)アクリレート等のトリシクロデセニル基を有する重合性不飽和モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のビニル芳香族化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシリル基を有する重合性不飽和モノマー;パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート;フルオロオレフィン等のフッ素化アルキル基を有する重合性不飽和モノマー;マレイミド基を有する重合性不飽和モノマー;N−ビニルピロリドン、エチレン、ブタジエン、クロロプレン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等のビニル化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物、該(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物のε−カプロラクトン変性体、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、アリルアルコール、分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等の水酸基含有重合性不飽和モノマー;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等のカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド等の3級アミノ基を含まない含窒素重合性不飽和モノマー;アリル(メタ)アクリレ−ト、1,6−ヘキサンジオ−ルジ(メタ)アクリレ−ト等の重合性不飽和基を1分子中に2個以上有する重合性不飽和モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有重合性不飽和モノマー;分子末端がアルコキシ基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、アリルスルホン酸、4−スチレンスルホン酸及びそのナトリウム塩やアンモニウム塩等のスルホン酸基を有する重合性不飽和モノマー;アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシポリオキシプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のリン酸基を有する重合性不飽和モノマー;2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等の紫外線吸収性官能基を有する重合性不飽和モノマー;4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の紫外線安定性重合性不飽和モノマー;アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、アセトアセトキシエチルメタクリレート、ホルミルスチロール、4〜7個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン)等のカルボニル基を有する重合性不飽和モノマー化合物;3級アミノ基を有さないマクロモノマー等を挙げることができる。これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
上記3級アミノ基を有さないマクロモノマーは、例えば、原料となる重合性不飽和モノマーとして3級アミノ基を有する重合性不飽和モノマーを使用しないこと以外は、前記3級アミノ基を有するマクロモノマーと同様にして製造することができる。
これらのなかでも、上記その他の重合性不飽和モノマー(a−2)としては、前記ビニル芳香族化合物及び/又は炭素数6〜18のアルキル基を有する重合性不飽和モノマーが好ましく、スチレンを含有することが、得られる塗膜の耐水性に優れるため、特に好適である。
上記炭素数6〜18のアルキル基を有する重合性不飽和モノマーとしては、炭素数8〜13のアルキル基を有する重合性不飽和モノマーがより好ましく、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
また、上記重合性不飽和モノマー(a−2)が、前記ビニル芳香族化合物及び/又は炭素数6〜18のアルキル基を有する重合性不飽和モノマーを含有する場合、該ビニル芳香族化合物及び/又は炭素数6〜18のアルキル基を有する重合性不飽和モノマーの使用量は、前記重合性不飽和モノマー(a−1)及び重合性不飽和モノマー(a−2)の合計量を基準として、好ましくは5〜90質量%、より好ましくは10〜80質量%、さらに好ましくは15〜70質量%である。
また、上記重合性不飽和モノマー(a−2)がスチレンを含有する場合、該スチレンの使用量は、前記重合性不飽和モノマー(a−1)及び重合性不飽和モノマー(a−2)の合計量を基準として、好ましくは1〜70質量%、より好ましくは3〜55質量%、さらに好ましくは5〜40質量%である。
2. アンモニウム塩型のアニオン性乳化剤(b)
アンモニウム塩型のアニオン性乳化剤(b)は、アニオン性乳化剤のアンモニウム塩である。ここで、アニオン性乳化剤は、1分子中に少なくとも1個のアニオン性基を含有する乳化剤である。
アンモニウム塩型のアニオン性乳化剤(b)の具体例としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム塩等のアルキルベンゼンスルホン酸アンモニウム塩;ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ジアンモニウム塩等のアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸アンモニウム塩(市販品として、例えば、日本乳化剤(株)製の「ニューコール271−NH」等が挙げられる);ラウリル硫酸エステルアンモニウム塩等のアルキル硫酸エステルアンモニウム塩(市販品として、例えば、花王(株)製の「ラテムルAD−25」等が挙げられる);ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム塩、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸アンモニウム塩等のポリオキシアルキレン基を有する硫酸エステルアンモニウム塩(市販品として、例えば、日本乳化剤(株)製の「ニューコール2308−SF」、「ニューコール707−SF」、「ニューコール714−SF」、「ニューコール723−SF」、「ニューコール740−SF」、「アントックスMS−60」等が挙げられる);等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。これらのなかでも、得られる塗膜の平滑性向上の観点から、ポリオキシアルキレン基を有する硫酸エステルアンモニウム塩、好ましくはポリオキシエチレン基を有する硫酸エステルアンモニウム塩を好適に使用することができる。
また、アンモニウム塩型のアニオン性乳化剤(b)としては、1分子中に少なくとも1個のアニオン性基及び重合性不飽和基を含有する反応性アニオン性乳化剤を使用することができる。上記重合性不飽和基としては、例えば、アリル基、(メタ)アクリロイル基、プロペニル基、ブテニル基等が挙げられる。
上記反応性アニオン性乳化剤としては、例えば、上記重合性不飽和基を有する硫酸エステルのアンモニウム塩、該重合性不飽和基を有するスルホン酸化合物のアンモニウム塩等を挙げることができる。これらのなかでも、重合性不飽和基を有する硫酸エステルのアンモニウム塩、好ましくは重合性不飽和基とポリオキシアルキレン基を有する硫酸エステルのアンモニウム塩、より好ましくは重合性不飽和基とポリオキシエチレン基を有する硫酸エステルのアンモニウム塩を好適に使用することができる。
上記重合性不飽和基とポリオキシアルキレン基を有する硫酸エステルのアンモニウム塩の市販品としては、例えば、「アクアロンKH−10」(商品名、第一工業製薬(株)製)、「アデカリアソープSR−1025」(商品名、ADEKA社製)、「ラテムルPD−104」(商品名、花王(株)製)等を挙げることができる。
アンモニウム塩型のアニオン性乳化剤(b)の使用量は、モノマー混合物(I)100質量部を基準にして、通常、0.1〜15質量部、好ましくは0.5〜10質量部、さらに好ましくは1〜5質量部の範囲内であることが好適である。
本発明においては、アンモニウム塩型のアニオン性乳化剤(b)を用いて水分散性アクリル樹脂(A)を製造することで、鮮映性に優れた塗膜が形成することができる。これは、水分散性アクリル樹脂(A)中の3級アミノ基の周囲にアニオン性乳化剤(b)が存在することで、水分散性アクリル樹脂(A)中の3級アミノ基とカルボキシル基含有樹脂(B)との相互作用を抑制し、粘度が比較的低く流動性に優れた塗料が得られる。従って、該塗料を用いることで、平滑性に優れた塗膜が形成され、さらに、該塗料の塗装後、塗料中の水が蒸発するにつれ、水分散性アクリル樹脂(A)中の3級アミノ基とカルボキシル基含有樹脂(B)の相互作用が強まり、上層に塗装された水性塗料との混層が抑制されるため、鮮映性に優れた塗膜が形成されることが推察される。
3.水分散性アクリル樹脂(A)
前記モノマー混合物(I)を、前記アンモニウム塩型のアニオン性乳化剤(b)の存在下で、水性媒体中に微分散させることにより、前記重合性不飽和モノマー(a−1)及び(a−2)を含有する粒子分散物であるモノマー乳化物(以下「モノマー乳化物」と略することがある)が形成せしめられる。
上記モノマー混合物(I)の水性媒体中における濃度は、形成されるモノマー乳化物の微粒化適性、重合段階における安定性、水性塗料に適用したときの実用性等の観点から、一般に、10〜70質量%、好ましくは20〜60質量%の範囲内が好適である。
上記水性媒体としては、水、又は水を主体としてこれに水溶性有機溶媒等の有機溶媒を混合してなる水−有機溶媒混合液等を挙げることができる。
前記有機溶媒としては、例えば、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等を挙げることができる。
また、水性媒体として、水−有機溶媒混合液を用いる場合は、その混合割合(重量)は特に限定されないが、水:有機溶媒=99:1〜55:45程度を挙げることができる。
前記モノマー乳化物の調製に際し、水性媒体中に、重合性不飽和モノマー(a−1)及び(a−2)、並びにアンモニウム塩型のアニオン性乳化剤(b)に加えて、さらに実質的に重合性不飽和基を含有しない化合物を含有させることもできる。これにより、例えば、該化合物を内包する水分散性アクリル樹脂(A)を製造することができる。
実質的に重合性不飽和基を含有しない化合物としては、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、金属ドライヤー等の塗料用添加剤;イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、メラミン等の硬化剤;アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂、ポリオルガノシロキサン等の樹脂;顔料、染料等の着色剤等を挙げることができる。なかでも、アクリル樹脂、アルキド樹脂等の樹脂は、重合段階における前記重合性不飽和モノマー(a−1)及び(a−2)の水性媒体への拡散を抑制し、水分散性アクリル樹脂(A)の安定な製造に寄与するという利点を有する。
モノマー乳化物の調製に際し、水性媒体中にノニオン性乳化剤を含んでいてもよい。
ノニオン性乳化剤としては、例えば、ポリオキシアルキレン単位含有エーテル化合物(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン−2−エチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンひまし油エーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル化合物;ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル等のポリオキシアルキレン多環フェニルエーテル化合物;等);ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエート等のポリオキシアルキレンアルキルエステル化合物;ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等のソルビタン化合物;等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。これらのなかでも、ノニオン性乳化剤の少なくとも1種として、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物を使用することが好ましい。
また、上記ノニオン性乳化剤としては、1分子中に少なくとも1個のノニオン性基及び重合性不飽和基を含有する反応性ノニオン性乳化剤を使用することができる。
また、ノニオン性乳化剤としては、HLB(親水親油バランス)が10〜19、好ましくは12〜18、さらに好ましくは14〜18の範囲内であるものが好ましく、なかでも、HLBが10〜19、好ましくは12〜18、さらに好ましくは14〜18の範囲内であるポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物がさらに好適である。
なお、本明細書において、化合物のHLBは、グリフィン法によるHLBであって、下記式によって算出される値である。
HLB=20×(MH/M)
(式中、MHは化合物中の親水基部分の分子量、Mは化合物の分子量を意味する)。
ノニオン性乳化剤を使用する場合、該ノニオン性乳化剤の使用量は、使用される全重合性不飽和モノマーの合計質量を基準にして、通常0.1〜15質量%、好ましくは0.5〜10質量%、さらに好ましくは1〜5質量%の範囲内で使用することができる。
モノマー乳化物の調製に際し、得られる水分散性アクリル樹脂(A)の分子量を調整する目的で、水性媒体中に連鎖移動剤を含んでいてもよい。該連鎖移動剤としては、メルカプト基を有する化合物が包含され、具体的には、例えば、ラウリルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、チオグリコール酸2−エチルへキシル、2−メチル−5−tert−ブチルチオフェノール、メルカプトエタノ−ル、チオグリセロ−ル、メルカプト酢酸(チオグリコ−ル酸)、3−メルカプトプロピオン酸、n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート等が挙げられる。該連鎖移動剤の使用量は、一般に、全モノマーの合計量を基準にして、0.05〜10質量%、特に0.1〜5質量%の範囲内が好適である。
また、モノマー混合物(I)が、前述の3級アミノ基を有するマクロモノマー及び/又は3級アミノ基を有さないマクロモノマーを含有する場合、通常、これらのマクロモノマーにより、重合段階における前記重合性不飽和モノマー(a−1)及び(a−2)の水性媒体への拡散が抑制されるため、水分散性アクリル樹脂(A)を安定に製造することができる。上記マクロモノマーを用いた水分散性アクリル樹脂(A)の製造方法は、重合時に該マクロモノマーがモノマー混合物(I)中の他の重合性不飽和モノマーと共重合し、水分散性アクリル樹脂(A)中に取り込まれるため、前記のアルキド樹脂、アクリル樹脂等の実質的に重合性不飽和基を含有しない樹脂を用いた水分散性アクリル樹脂(A)の製造方法に比べ、耐水性に優れた塗膜を形成することが可能であり、好ましい。
また、水性媒体中には、必要に応じてヘキサデカン等の長鎖飽和炭化水素系溶剤;ヘキサデカノール等の長鎖アルコール系溶剤;等の一般にミニエマルション重合で使用される疎水性有機溶剤を含有してもよい。
モノマー混合物(I)の水性媒体中への微分散は、通常、高エネルギーせん断能力を有する分散機を用いて行うことができる。その際に使用しうる該分散機としては、例えば、高圧乳化装置、超音波乳化機、高圧コロイドミル、高圧ホモジナイザー等が挙げられる。上記分散機の市販品としては、例えば、ナノマイザー(吉田機械興業(株)製)、アルティマイザー((株)スギノマシン製)、マイクロフルイダイザー(みずほ工業(株)製)等が挙げられる。これらの分散機は、通常、10〜1,000MPa、好ましくは50〜300MPa程度の高圧下で操作することができる。また、該機械にて分散を行う前に、該モノマー混合物(I)をあらかじめディスパー等で予備乳化してもよい。
モノマー混合物(I)を上記手法により水性媒体中に微分散させることにより得られるモノマー乳化物中の分散粒子の平均粒子径は、形成塗膜の平滑性、鮮映性、耐水性等の点から、500nm以下、好ましくは80〜400nm、さらに好ましくは100〜300nmの範囲内が適している。平均粒子径が500nmを超えると、本発明の水分散性アクリル樹脂(A)を用いて形成される塗膜の外観が劣り、実用性が低下するので好ましくない。
本明細書において、平均粒子径は、試料を脱イオン水にて希釈し、「SALD−3100」(商品名、(株)島津製作所製、レーザー回折式粒度分布測定装置)を用いて、常温(20℃程度)にして測定したときの値であり、また、平均粒子径の測定は、微粒化されたモノマー乳化物又は水分散性アクリル樹脂(A)の製造後24時間以内に行うものとする。
かくして得られるモノマー乳化物の重合は、例えば、ミニエマルション重合法に従い、微分散後のモノマー乳化物を、撹拌機を備えた反応器に全量仕込み、重合開始剤を添加し、攪拌しながら加熱することにより行うことができる。
上記重合開始剤としては、油溶性、水溶性のいずれのタイプのものであってもよく、例えば、ベンゾイルパーオキシド、オクタノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ステアロイルパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、tert−ブチルパーオキシド、tert−ブチルパーオキシラウレート、 tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、 tert−ブチルパーオキシアセテート、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキシド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビス(2−メチルプロピオンニトリル)、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、4、4'−アゾビス(4−シアノブタン酸)、ジメチルアゾビス(2−メチルプロピオネート)、アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]、アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]−プロピオンアミド}等のアゾ化合物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩等が挙げられる。これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて用いることができる。また、上記重合開始剤に、必要に応じて、糖、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、鉄錯体等の還元剤を併用し、レドックス重合系としてもよい。
上記重合開始剤の使用量は、一般に、水分散性アクリル樹脂(A)の製造に使用される全モノマーを基準にして、0.1〜5質量%、特に0.2〜3質量%の範囲内が好ましい。該重合開始剤の添加方法は、特に制限されるものではなく、その種類や量等に応じて適宜選択することができる。例えば、予めモノマー混合物(I)又は水性媒体に含ませてもよく、或いは重合時に一括して添加してもよく又は滴下してもよい。
上記水分散性アクリル樹脂(A)の分散樹脂の平均粒子径は、500nm以下、特に100〜300nmの範囲内にすることができる。分散樹脂の平均粒子径がこの範囲内であると、水分散性アクリル樹脂(A)の貯蔵安定性が良好であると共に、水分散性アクリル樹脂(A)を用いて形成される塗膜の平滑性、耐水性が良好であり、好ましい。
また、水分散性アクリル樹脂(A)は、得られる塗膜の耐水性等の観点から、1〜300mgKOH/g、好ましくは5〜250mgKOH/g、さらに好ましくは10〜180mgKOH/gの範囲内の水酸基価を有することが好適である。
また、水分散性アクリル樹脂(A)は、得られる塗膜の平滑性、耐タレ性、耐水性等の観点から、分子中に3級アミノ基を、好ましくは0.1〜3.0モル/kg(樹脂固形分)、より好ましくは0.3〜2.5モル/kg(樹脂固形分)、さらに好ましくは0.5〜2.0モル/kg(樹脂固形分)含有する水分散性アクリル樹脂であることが好適である。なお、本発明において、「3級アミノ基の含有量」は、水分散性アクリル樹脂1kg(固形分)当たりに含まれる3級アミノ基のモル数であって、アクリル樹脂合成に用いるモノマー中に含まれる3級アミノ基の合計モル数(Wn)を、生成樹脂質量(Wr:単位kg)で除すること(すなわち、Wn/Wr)により算出することができる。
また、水分散性アクリル樹脂(A)の重量平均分子量は、1,000〜2,000,000が好ましく、2,000〜1,000,000がより好ましく、3,000〜500,000がさらに好ましい。
なお、本明細書において、数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフを用い、テトラヒドロフランを溶媒として測定した、分子量既知のポリスチレンを標準物質とする換算値である。
本発明で用いる、アンモニウム塩型のアニオン性乳化剤(b)の存在下で、水性媒体中に平均粒子径が500nm以下となるように微分散させてなる乳化物を重合して得られる水分散性アクリル樹脂(A)は、水との親和性が比較的低く、かつ水性塗料中で比較的均一で安定に存在する樹脂粒子となる。そのため、該水分散性アクリル樹脂(A)を含む本発明の水性塗料組成物から形成される塗膜内部への水の浸透を比較的均一に抑制することができ、その結果、耐水性に優れた塗膜が形成される、と推察される。
4.カルボキシル基含有樹脂(B)
カルボキシル基含有樹脂(B)は、1分子中に少なくとも1個のカルボキシル基を有する樹脂である。カルボキシル基含有樹脂(B)の酸価は、塗料の貯蔵安定性及び得られる塗膜の耐水性等の観点から、好ましくは1〜200mgKOH/g、より好ましくは2〜100mgKOH/g、さらに好ましくは3〜60mgKOH/gの範囲内である。
また、カルボキシル基含有樹脂(B)は、得られる塗膜の耐水性等の観点から、さらに、水酸基を有することが好ましい。カルボキシル基含有樹脂(B)が水酸基を有する場合、該カルボキシル基含有樹脂(B)の水酸基価は、得られる塗膜の耐水性等の観点から、好ましくは1〜300mgKOH/g、より好ましくは5〜250mgKOH/g、さらに好ましくは10〜180mgKOH/gの範囲内である。
カルボキシル基含有樹脂(B)の種類としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂等が挙げられ、これらは単独で、もしくは2種以上組み合わせて使用することができる。これらのなかでも、得られる塗膜の平滑性の観点から、カルボキシル基含有樹脂(B)としては、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(B1)及び/又はカルボキシル基含有アクリル樹脂(B2)が好ましく、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(B1)がさらに好ましい。
また、上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(B1)及びカルボキシル基含有アクリル樹脂(B2)としては、その一部として、該樹脂中の水酸基の一部にポリイソシアネート化合物をウレタン化反応により伸長させ高分子量化した、いわゆるウレタン変性ポリエステル樹脂又はウレタン変性アクリル樹脂を併用してもよい。
以下に、本発明において好適に用いることができるカルボキシル基含有ポリエステル樹脂(B1)、カルボキシル基含有アクリル樹脂(B2)、カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂について、詳述する。
4.1 カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(B1)
上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(B1)は、通常、酸成分(b1−1)とアルコ−ル成分(b1−2)とのエステル化反応又はエステル交換反応によって製造することができる。
上記酸成分(b1−1)としては、ポリエステル樹脂の製造に際して酸成分として通常使用される化合物を使用することができ、例えば、脂肪族多塩基酸(b1−1−1)、脂環族多塩基酸(b1−1−2)、芳香族多塩基酸(b1−1−3)等を使用することができる。
上記脂肪族多塩基酸(b1−1−1)は、一般に、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する脂肪族化合物、該脂肪族化合物の酸無水物及び該脂肪族化合物のエステル化物を挙げることができる。具体的には、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、オクタデカン二酸、クエン酸等の脂肪族多価カルボン酸;該脂肪族多価カルボン酸の無水物;該脂肪族多価カルボン酸の低級アルキルエステル化物等が挙げられる。上記脂肪族多塩基酸(b1−1−1)は単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
上記脂肪族多塩基酸(b1−1−1)としては、耐チッピング性の観点から、アジピン酸及び/又はアジピン酸無水物を用いることが特に好ましい。
また、前記脂環族多塩基酸(b1−1−2)は、一般に、1分子中に1個以上の脂環式構造(主として4〜6員環)と2個以上のカルボキシル基を有する化合物、該化合物の酸無水物及び該化合物のエステル化物を挙げることができる。具体的には、例えば、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、3−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸等の脂環族多価カルボン酸;該脂環族多価カルボン酸の無水物;該脂環族多価カルボン酸の低級アルキルエステル化物等が挙げられる。上記脂環族多塩基酸(b1−1−2)は単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
上記脂環族多塩基酸(b1−1−2)としては、耐チッピング性の観点から、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物を用いることが好ましい。これらのなかでも、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸及び/又は1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物を用いることが特に好ましい。
上記芳香族多塩基酸(b1−1−3)は、一般に、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する芳香族化合物、該芳香族化合物の酸無水物及び該芳香族化合物のエステル化物を挙げることができる。具体的には、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族多価カルボン酸;該芳香族多価カルボン酸の無水物;該芳香族多価カルボン酸の低級アルキルエステル化物等が挙げられる。上記芳香族多塩基酸(b1−1−3)は単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
上記芳香族多塩基酸(b1−1−3)としては、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸を好適に使用することができる。
また、前記脂肪族多塩基酸(b1−1−1)、脂環族多塩基酸(b1−1−2)及び芳香族多塩基酸(b1−1−3)以外の酸成分(b1−1)としては、特に限定されず、例えば、ヤシ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、麻実油脂肪酸、米ぬか油脂肪酸、魚油脂肪酸、トール油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、桐油脂肪酸、ナタネ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸等の脂肪酸;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、シクロヘキサン酸、10−フェニルオクタデカン酸等のモノカルボン酸;乳酸、3−ヒドロキシブタン酸、3−ヒドロキシ−4−エトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸等が挙げられる。上記酸成分(b1−1)は単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
前記アルコール成分(b1−2)としては、1分子中に2個以上の水酸基を有する多価アルコールを好適に使用することができる。該多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、3−メチル−1,2−ブタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,3−ジメチルトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、3−メチル−4,3−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF等の2価アルコール;これらの2価アルコールにε−カプロラクトン等のラクトン類を付加したポリラクトンジオール;ビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート等のエステルジオール類;ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテルジオール類;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジグリセリン、トリグリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸、ソルビトール、マンニット等の3価以上のアルコール;これらの3価以上のアルコールにε−カプロラクトン等のラクトン類を付加させたポリラクトンポリオール類等が挙げられる。
また、上記多価アルコール以外の前記アルコール成分(b1−2)としては、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ステアリルアルコール、2−フェノキシエタノール等のモノアルコール;プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、「カージュラE10」(商品名、HEXION Specialty Chemicals社製、合成高分岐飽和脂肪酸のグリシジルエステル)等のモノエポキシ化合物と酸を反応させて得られたアルコール化合物等が挙げられる。
カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(B1)の製造方法は、特に限定されるものではなく、通常の方法に従って行なうことができ、例えば、前記酸成分(b1−1)とアルコール成分(b1−2)を窒素気流中、150〜250℃で、5〜10時間加熱し、該酸成分(b1−1)とアルコール成分(b1−2)のエステル化反応又はエステル交換反応を行なう方法を用いることができる。
上記酸成分(b1−1)及びアルコール成分(b1−2)をエステル化反応又はエステル交換反応せしめる際には、これらを一度に添加してもよいし、数回に分けて添加してもよい。また、はじめに水酸基含有ポリエステル樹脂を合成した後、得られた水酸基含有ポリエステル樹脂に酸無水物を反応させてハーフエステル化させてもよい。また、はじめにカルボキシル基含有ポリエステル樹脂を合成した後、上記アルコール成分(b1−2)を付加させてもよい。
前記エステル化又はエステル交換反応の際には、反応を促進させるための触媒として、ジブチル錫オキサイド、三酸化アンチモン、酢酸亜鉛、酢酸マンガン、酢酸コバルト、酢酸カルシウム、酢酸鉛、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等のそれ自体既知の触媒を使用することができる。
また、前記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(B1)は、該樹脂の調製中、もしくはエステル化反応後又はエステル交換反応後に、脂肪酸、モノエポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物等で変性することができる。
上記脂肪酸としては、例えば、ヤシ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、麻実油脂肪酸、米ぬか油脂肪酸、魚油脂肪酸、トール油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、桐油脂肪酸、ナタネ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸等が挙げられ、上記モノエポキシ化合物としては、例えば、「カージュラE10」(商品名、HEXION Specialty Chemicals社製、合成高分岐飽和脂肪酸のグリシジルエステル)を好適に用いることができる。
また、上記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、リジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類;水素添加キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,6−ジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート類;トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類;リジントリイソシアネート等の3価以上のポリイソシアネート等の如き有機ポリイソシアネートそれ自体、またはこれらの各有機ポリイソシアネートと多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂もしくは水等との付加物、あるいは上記した如き各有機ジイソシアネート同士の環化重合体(例えば、イソシアヌレート)、ビウレット型付加物等が挙げられる。これらは、単独でもしくは2種以上混合して使用することができる。
前記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(B1)の酸価は、1〜200mgKOH/g、好ましくは15〜100mgKOH/g、さらに好ましくは25〜60mgKOH/gの範囲内であることが好適である。また、水酸基価は、10〜300mgKOH/g、好ましくは50〜250mgKOH/g、さらに好ましくは80〜180mgKOH/gの範囲内であることが好適である。
前記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(B1)の重量平均分子量は、500〜50,000、好ましくは1,000〜30,000、さらに好ましくは1,500〜20,000の範囲内であることが好適である。
前記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(B1)の配合量は、本塗料中の水分散性アクリル樹脂(A)及びカルボキシル基含有樹脂(B)の合計樹脂固形分100質量部を基準として、10〜99質量部、好ましくは30〜95質量部、さらに好ましくは50〜90質量部の範囲内であることが好適である。
また、上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(B1)は、得られる塗膜の平滑性及び耐チッピング性の観点から、前記酸成分(b1−1)中の脂肪族多塩基酸(b1−1−1)及び脂環族多塩基酸(b1−1−2)の合計含有量が、該酸成分(b1−1)の合計量を基準として30モル%以上、好ましくは40〜97モル%、さらに好ましくは50〜80モル%の範囲内であるカルボキシル基含有ポリエステル樹脂(B1’)を含有することが好適である。
なかでも、上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(B1’)が、上記脂肪族多塩基酸(b1−1−1)としてアジピン酸及び/又はアジピン酸無水物を使用し、上記脂環族多塩基酸(b1−1−2)として1,2−シクロヘキサンジカルボン酸及び/又は1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物を使用するカルボキシル基含有ポリエステル樹脂であることが、得られる塗膜の耐チッピング性の観点から、好適である。
上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(B1’)の配合量は、本塗料中の水分散性アクリル樹脂(A)及びカルボキシル基含有樹脂(B)の合計樹脂固形分100質量部を基準として、10〜99質量部、好ましくは30〜95質量部、さらに好ましくは50〜90質量部の範囲内であることが好適である。
4.2 カルボキシル基含有アクリル樹脂(B2)
前記カルボキシル基含有アクリル樹脂(B2)は、通常、カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(b2−1)、及び該カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(b2−1)と共重合可能な他の重合性不飽和モノマー(b2−2)を、それ自体既知の方法、例えば、有機溶媒中での溶液重合法、水中でのエマルション重合法等の方法により、共重合せしめることによって製造することができる。
上記カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(b2−1)は、1分子中にカルボキシル基及び重合性不飽和結合をそれぞれ1個以上有する化合物であって、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等を挙げることができ、これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。なかでも、(メタ)アクリル酸を使用することが好適である。
また、前記カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(b2−1)と共重合可能な他の重合性不飽和モノマー(b2−2)としては、例えば、前記3級アミノ基含有重合性不飽和モノマー(a−1)及び3級アミノ基を有さない重合性不飽和モノマー(a−2)の説明において例示した重合性不飽和モノマーのうち、カルボキシル基を有さない重合性不飽和モノマーを使用することができ、これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
なかでも、重合性不飽和モノマー(b2−2)の少なくとも1種として、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物、該(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物のε−カプロラクトン変性体、アリルアルコ−ル、分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等の水酸基含有重合性不飽和モノマーを使用することが好ましい。
上記カルボキシル基含有アクリル樹脂(B2)の酸価は、得られる塗膜の耐水性等の観点から、1〜200mgKOH/g、好ましくは2〜150mgKOH/g、さらに好ましくは5〜100mgKOH/gの範囲内であることが好適である。
また、上記カルボキシル基含有アクリル樹脂(B2)の水酸基価は、貯蔵安定性や得られる塗膜の耐水性等の観点から、1〜200mgKOH/g、好ましくは2〜100mgKOH/g、さらに好ましくは3〜60mgKOH/gの範囲内であることが好適である。
また、上記カルボキシル基含有アクリル樹脂(B2)の重量平均分子量は、1,000〜2,000,000、好ましくは2,000〜500,000、さらに好ましくは3,000〜100,000の範囲内であることが好適である。
上記カルボキシル基含有アクリル樹脂(B2)の配合量は、本塗料中の水分散性アクリル樹脂(A)及びカルボキシル基含有樹脂(B)の合計樹脂固形分100質量部を基準として、10〜99質量部、好ましくは15〜95質量部、さらに好ましくは20〜90質量部の範囲内であることが好適である。
4.3 カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂
前記カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂は、分子鎖中又は分子末端にカルボキシル基を有するポリウレタン樹脂である。該カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂は、例えば、ポリイソシアネート化合物と、カルボキシル基含有アルコール及びこれ以外のポリオールとを、公知のウレタン化反応に付すことにより、調製することができる。
上記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,6−ジイソシアネート、1,3−ジ(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,2−シクロヘキサンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート化合物;キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネ−ト、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトフェニル)スルホン、イソプロピリデンビス(4−フェニルイソシアネート)等の芳香族ジイソシアネート化合物等のジイソシアネート化合物、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエン、4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネート等の3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物等を挙げることができる。これらは、単独でもしくは2種以上組み合わせて使用できる。
カルボキシル基含有アルコールとしては、例えば、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸、ジメチロール吉草酸、酒石酸、1,2−ジヒドロキシステアリン酸等のカルボキシル基含有ポリオール;パラヒドロキシ安息香酸、サリチル酸、リンゴ酸、乳酸、ヒドロキシ酢酸、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピオン酸等のカルボキシル基含有モノオールが挙げられる。これらは、単独でもしくは2種以上組み合わせて使用できる。
カルボキシル基含有ポリオール以外のポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、3−メチル−1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,3−ジメチルトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、3−メチル−4,3−ペンタンジオール、3−メチル−4,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ポリカプロラクトン、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、水添ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加物等のグリコール類;ビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート等のポリエステルジオール類等のジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ジグリセリン、トリグリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール等の3価以上のアルコール等が挙げられる。これらは、単独でもしくは2種以上組み合わせて使用できる。
また、本発明において用いるカルボキシル基含有樹脂(B)は、分子中のカルボキシル基を塩基性化合物で中和することにより、水溶性化又は水分散化することができる。
上記塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物;アンモニア;エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ベンジルアミン、モノエタノールアミン、ネオペンタノールアミン、2−アミノプロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、3−アミノプロパノール等の第1級モノアミン;ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジ−n−プロパノールアミン、ジ−iso−プロパノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン等の第2級モノアミン;ジメチルエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、メチルジエタノールアミン、2−(ジメチルアミノ)エタノール等の第3級モノアミン;ジエチレントリアミン、ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、エチルアミノエチルアミン、メチルアミノプロピルアミン等のポリアミンを挙げることができる。塩基性化合物の使用量としては、カルボキシル基含有樹脂(B)の酸基に対して、好ましくは0.1〜1.5当量、より好ましくは0.2〜1.2当量の範囲である。
5.水性塗料組成物の調製
本発明の水性塗料組成物は、前記水分散性アクリル樹脂(A)及びカルボキシル基含有樹脂(B)を配合して得られる。
水分散性アクリル樹脂(A)及びカルボキシル基含有樹脂(B)の配合量は、水分散性アクリル樹脂(A)及びカルボキシル基含有樹脂(B)の合計樹脂固形分100質量部を基準として、以下の範囲内であることが好適である。
水分散性アクリル樹脂(A):好ましくは1〜99質量部、より好ましくは2〜60質量部、さらに好ましくは3〜50質量部、
カルボキシル基含有樹脂(B):好ましくは1〜99質量部、より好ましくは40〜98質量部、さらに好ましくは50〜97質量部。
水分散性アクリル樹脂(A)及びカルボキシル基含有樹脂(B)の配合量が前記範囲内であることにより、タレが生じにくく、かつ平滑性及び耐水性に優れた塗膜を形成し得ることができるため好ましい。本発明においては、水分散性アクリル樹脂(A)中の3級アミノ基とカルボキシル基含有樹脂(B)中のカルボキシル基が相互作用して網目構造を形成することにより、耐タレ性が向上し、その一方で、水分散性アクリル樹脂(A)が、水性塗料中で分散した樹脂粒子として存在するため、該水分散性アクリル樹脂(A)同士の絡み合いが比較的少なく、塗料の流動性が確保されて、平滑性に優れた塗膜が形成される、と推察される。
また、被塗物上に、水性第1塗料(X)を塗装して第1塗膜を形成し、得られた未硬化の第1塗膜上に水性第2塗料(Y)を塗装して第2塗膜を形成する複層塗膜形成方法(いわゆる水性ウエットオンウエット塗装)において、水性第1塗料(X)として本塗料を使用することにより、平滑性及び鮮映性に優れた複層塗膜を形成することができる。
また、本塗料には、上記水分散性アクリル樹脂(A)及びカルボキシル基含有樹脂(B)以外にも、さらに水酸基含有樹脂(C)、硬化剤(D)、顔料(E)、疎水性溶媒(F)、増粘剤等を含有することができる。
5.1 水酸基含有樹脂(C)
水酸基含有樹脂(C)は、1分子中に少なくとも1個の水酸基を有する樹脂であり、得られる塗膜の耐水性等の観点から、水酸基価が好ましくは1〜300mgKOH/g、より好ましくは5〜250mgKOH/g、さらに好ましくは10〜180mgKOH/gの範囲内である。
また、上記水酸基含有樹脂(C)は、酸基を分子内に有することができる。該酸基としては、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられ、これらを塩基性化合物で中和することにより、水酸基含有樹脂(C)を水溶性化又は水分散化することができる。
塩基性化合物としては、カルボキシル基含有樹脂(B)のカルボキシル基の中和に用いられる塩基性化合物と同様のものを挙げることができる。
なお、本発明において、上記水酸基含有樹脂(C)は、カルボキシル基を含有しない樹脂であって、水酸基及びカルボキシル基を含有する樹脂は前記カルボキシル基含有樹脂(B)に含むものとする。
水酸基含有樹脂(C)は、例えば、水酸基含有重合性不飽和モノマー(c−1)及び該水酸基含有重合性不飽和モノマー(c−1)と共重合可能な他の重合性不飽和モノマー(c−2)を、それ自体既知の方法、例えば、有機溶媒中での溶液重合法、水中でのエマルション重合法等の方法により、共重合せしめることによって製造することができる。
上記水酸基含有重合性不飽和モノマー(c−1)は、1分子中に水酸基及び重合性不飽和結合をそれぞれ1個以上有する化合物であって、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物;該(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物のε−カプロラクトン変性体;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド;アリルアルコール、さらに、分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等を挙げることができる、これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
前記重合性不飽和モノマー(c−2)としては、例えば、前記3級アミノ基含有重合性不飽和モノマー(a−1)及びその他の重合性不飽和モノマー(a−2)の説明において例示した重合性不飽和モノマーのうち、水酸基を有さない重合性不飽和モノマーを使用することができ、これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
本塗料が、上記水酸基含有樹脂(C)を含有する場合、水酸基含有樹脂(C)の配合量は、水分散性アクリル樹脂(A)及びカルボキシル基含有樹脂(B)の合計樹脂固形分100質量部を基準として、好ましくは98質量部以下、より好ましくは1〜98質量部、さらに好ましくは3〜80質量部、特に好ましくは5〜60質量部の範囲内である。
5.2 硬化剤(D)
また、本塗料は、形成される塗膜の性能を向上させる点から、さらに、硬化剤(D)を含有することが好ましい。
硬化剤(D)としては、例えば、カルボキシル基含有樹脂(B)中のカルボキシル基と反応し得るカルボジイミド基含有化合物、オキサゾリン基含有化合物等を使用することができる。これらのなかでもカルボジイミド基含有化合物を使用することが好ましい。硬化剤(D)は、単独で、もしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
上記カルボジイミド基含有化合物としては、例えば、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基同士を脱二酸化炭素反応せしめたものを使用することができる。該カルボジイミド基含有化合物としては、1分子中に少なくとも2個のカルボジイミド基を有するポリカルボジイミド化合物を使用することが好ましい。
上記ポリカルボジイミド化合物としては、得られる塗膜の平滑性等の観点から、水溶性又は水分散性のポリカルボジイミド化合物を使用することが好ましい。該水溶性又は水分散性のポリカルボジイミド化合物としては、水性媒体中に安定に溶解又は分散し得るポリカルボジイミド化合物であれば、特に制限なく使用することができる。
上記水溶性ポリカルボジイミド化合物としては、具体的には、例えば、「カルボジライトSV−02」、「カルボジライトV−02」、「カルボジライトV−02−L2」「カルボジライトV−04」(いずれも日清紡社製、商品名)等を使用することができる。また、上記水分散性ポリカルボジイミド化合物としては、例えば、「カルボジライトE−01」、「カルボジライトE−02」(いずれも日清紡社製、商品名)等を使用することができる。
上記ポリカルボジイミド化合物は、それぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
また、前記カルボキシル基含有樹脂(B)が、水酸基及びカルボキシル基を含有する樹脂である場合、又は、本塗料が前記水酸基含有樹脂(C)を含有する場合は、上記硬化剤(D)として、水酸基と反応し得る化合物を使用することができる。具体的には、例えば、アミノ樹脂(D1)、ポリイソシアネート化合物(D2)、ブロック化ポリイソシアネート化合物(D3)等を好適に用いることができる。
以下に、これらの硬化剤について詳述する。
5.2.1 アミノ樹脂(D1)
上記アミノ樹脂(D1)としては、例えば、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、ステログアナミン、スピログアナミン、ジシアンジアミド等のアミノ成分と、アルデヒドとの反応によって得られる、部分もしくは完全メチロール化アミノ樹脂が挙げられる。
アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンツアルデヒド等が挙げられる。また、このメチロール化アミノ樹脂を適当なアルコールによってメチロール基を部分的にもしくは完全にエーテル化したものも使用することができる。エーテル化に用いられるアルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノール等が挙げられる。
アミノ樹脂(D1)としては、メラミン樹脂が好ましく、なかでも、部分もしくは完全メチロール化メラミン樹脂のメチロール基をメチルアルコールで部分的にもしくは完全にエーテル化したメチルエーテル化メラミン樹脂(D1−1)、部分もしくは完全メチロール化メラミン樹脂のメチロール基をブチルアルコールで部分的にもしくは完全にエーテル化したブチルエーテル化メラミン樹脂(D1−2)、部分もしくは完全メチロール化メラミン樹脂のメチロール基をメチルアルコール及びブチルアルコールで部分的にもしくは完全にエーテル化したメチル−ブチル混合エーテル化メラミン樹脂(D1−3)が特に好ましい。
また、上記メラミン樹脂の重量平均分子量は、400〜5,000、好ましくは600〜4,000、さらに好ましくは1,000〜3,000の範囲内であることが好適である。
上記メラミン樹脂の市販品としては、例えば、「サイメル202」、「サイメル203」、「サイメル238」、「サイメル251」、「サイメル303」、「サイメル323」、「サイメル324」、「サイメル325」、「サイメル327」、「サイメル350」、「サイメル385」、「サイメル1156」、「サイメル1158」、「サイメル1116」、「サイメル1130」(以上、日本サイテックインダストリーズ社製)、「ユーバン120」、「ユーバン20HS」、「ユーバン20SE60」、「ユーバン2021」、「ユーバン2028」、「ユーバン28−60」(以上、三井化学(株)製)等が挙げられる。
上記メラミン樹脂は単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
5.2.2 ポリイソシアネート化合物(D2)
前記ポリイソシアネート化合物(D2)は、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物であって、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、該ポリイソシアネートの誘導体等を挙げることができる。
上記脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−又は2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート等の脂肪族ジイソシアネート;リジンエステルトリイソシアネート、1,4,8−トリイソシアナトオクタン、1,6,11−トリイソシアナトウンデカン、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン、1,3,6−トリイソシアナトヘキサン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアナト−5−イソシアナトメチルオクタン等の脂肪族トリイソシアネート等を挙げることができる。
前記脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(慣用名:イソホロンジイソシアネート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−もしくは1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(慣用名:水添キシリレンジイソシアネート)もしくはその混合物、メチレンビス(1,4−シクロヘキサンジイル)ジイソシアネート(慣用名:水添MDI)、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート;1,3,5−トリイソシアナトシクロヘキサン、1,3,5−トリメチルイソシアナトシクロヘキサン、2−(3−イソシアナトプロピル)−2,5−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2−(3−イソシアナトプロピル)−2,6−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、3−(3−イソシアナトプロピル)−2,5−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、5−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、6−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、5−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、6−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン等の脂環族トリイソシアネート等を挙げることができる。
前記芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−もしくは1,4−キシリレンジイソシアネート又はその混合物、ω,ω’−ジイソシアナト−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−又は1,4−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン(慣用名:テトラメチルキシリレンジイソシアネート)もしくはその混合物等の芳香脂肪族ジイソシアネート;1,3,5−トリイソシアナトメチルベンゼン等の芳香脂肪族トリイソシアネート等を挙げることができる。
前記芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、2,4’−もしくは4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートもしくはその混合物、2,4−もしくは2,6−トリレンジイソシアネートもしくはその混合物、4,4’−トルイジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエン等の芳香族トリイソシアネート;4,4’−ジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネート等の芳香族テトライソシアネート等を挙げることができる。
また、前記ポリイソシアネートの誘導体としては、例えば、上記したポリイソシアネート化合物のダイマー、トリマー、ビウレット、アロファネート、ウレトジオン、ウレトイミン、イソシアヌレート、オキサジアジントリオン、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDI、ポリメリックMDI)、クルードTDI等を挙げることができる。
上記ポリイソシアネート及びその誘導体は、それぞれ単独で用いてもよく又は2種以上併用してもよい。また、これらポリイソシアネートのうち、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート及びこれらの誘導体をそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することが好適である。
また、ポリイソシアネート化合物(D2)としては、得られる塗膜の平滑性等の観点から、水分散性ポリイソシアネート化合物を使用することが好ましい。該水分散性ポリイソシアネート化合物としては、水性媒体中に安定に分散可能なポリイソシアネート化合物であれば制限なく使用することができるが、なかでも、親水性に変性した親水化ポリイソシアネート化合物、ポリイソシアネート化合物(D2)と界面活性剤とを予め混合することにより水分散性を付与したポリイソシアネート化合物等を好適に使用することができる。
上記親水化ポリイソシアネート化合物としては、例えば、アニオン性基を有する活性水素基含有化合物の活性水素基を、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応させて得られるアニオン性親水化ポリイソシアネート化合物、ポリオキシエチレンのモノアルコール等の親水性ポリエーテルアルコールとポリイソシアネート化合物とを反応させて得られるノニオン性親水化ポリイソシアネート化合物等を好適に使用することができ、これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
5.2.3 ブロック化ポリイソシアネート化合物(D3)
前記ブロック化ポリイソシアネート化合物(D3)は、通常、上記ポリイソシアネート化合物(D2)のイソシアネート基にブロック剤を付加することによって得られ、加熱により該ブロック剤が解離してイソシアネート基が再生することにより、水酸基と反応することができる。該ブロック剤の解離温度としては60〜160℃、好ましくは70〜140℃の範囲内であることが好適である。
上記ブロック剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、ニトロフェノール、エチルフェノール、ヒドロキシジフェニル、ブチルフェノール、イソプロピルフェノール、ノニルフェノール、オクチルフェノール、ヒドロキシ安息香酸メチル等のフェノール系;ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プロピオラクタム等のラクタム系;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、アミルアルコール、ラウリルアルコール等の脂肪族アルコール系;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メトキシメタノール等のエーテル系;ベンジルアルコール、グリコール酸、グリコール酸メチル、グリコール酸エチル、グリコール酸ブチル、乳酸、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチロール尿素、メチロールメラミン、ジアセトンアルコール、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等のアルコール系;ホルムアミドオキシム、アセトアミドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシム、シクロヘキサンオキシム等のオキシム系;マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセチルアセトン等の活性メチレン系;ブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、2−メルカプトベンゾチアゾール、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノール等のメルカプタン系;アセトアニリド、アセトアニシジド、アセトトルイド、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸アミド、ステアリン酸アミド、ベンズアミド等の酸アミド系;コハク酸イミド、フタル酸イミド、マレイン酸イミド等のイミド系;ジフェニルアミン、フェニルナフチルアミン、キシリジン、N−フェニルキシリジン、カルバゾール、アニリン、ナフチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、ブチルフェニルアミン等アミン系;イミダゾール、2−エチルイミダゾール等のイミダゾール系;尿素、チオ尿素、エチレン尿素、エチレンチオ尿素、ジフェニル尿素等の尿素系;N−フェニルカルバミン酸フェニル等のカルバミン酸エステル系;エチレンイミン、プロピレンイミン等のイミン系;重亜硫酸ソーダ、重亜硫酸カリ等の亜硫酸塩系;アゾール系の化合物等が挙げられる。
上記アゾール系の化合物としては、ピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、3−メチルピラゾール、4−ベンジル−3,5−ジメチルピラゾール、4−ニトロ−3,5−ジメチルピラゾール、4−ブロモ−3,5−ジメチルピラゾール、3−メチル−5−フェニルピラゾール等のピラゾール又はピラゾール誘導体;イミダゾール、ベンズイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾールまたはイミダゾール誘導体;2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン等のイミダゾリン誘導体等が挙げられる。
なかでも、好ましいブロック剤としては、オキシム系のブロック剤、活性メチレン系のブロック剤、ピラゾール又はピラゾール誘導体が挙げられる。
また、上記ブロック剤として、1個以上のヒドロキシル基と1個以上のカルボキシル基を有するヒドロキシカルボン酸、例えば、ヒドロキシピバリン酸、ジメチロールプロピオン酸等も使用でき、なかでも、上記ヒドロキシカルボン酸を用いてイソシアネート基をブロックした後、該ヒドロキシカルボン酸のカルボキシル基を中和して水分散性を付与したブロック化ポリイソシアネート化合物を好適に用いることができる。
本塗料が、硬化剤(D)を含有する場合、硬化剤(D)の配合量は、本塗料中の水分散性アクリル樹脂(A)、カルボキシル基含有樹脂(B)、水酸基含有樹脂(C)及び硬化剤(D)の合計樹脂固形分100質量部を基準として、5〜70質量部、好ましくは10〜50質量部、さらに好ましくは20〜40質量部の範囲内であることが好適である。
5.3 顔料(E)
顔料(E)としては、例えば、着色顔料(E1)、体質顔料(E2)、光輝性顔料(E3)等を挙げることができる。該顔料(E)は単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
本塗料が、上記顔料(E)を含有する場合、該顔料(E)の配合量は、本塗料中の水分散性アクリル樹脂(A)、カルボキシル基含有樹脂(B)、水酸基含有樹脂(C)及び硬化剤(D)の合計樹脂固形分100質量部を基準として、0.1〜200質量部、好ましくは20〜150質量部、さらに好ましくは50〜120質量部の範囲内であることが好適である。
以下、それぞれの顔料について詳述する。
5.3.1 着色顔料(E1)
上記着色顔料(E1)としては、例えば、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、モリブデンレッド、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサジン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料等が挙げられ、なかでも、酸化チタン、カーボンブラックを好適に使用することができる。
本塗料が、上記着色顔料(E1)を含有する場合、該着色顔料(E1)の配合量は、本塗料中の水分散性アクリル樹脂(A)、カルボキシル基含有樹脂(B)、水酸基含有樹脂(C)及び硬化剤(D)の合計樹脂固形分100質量部を基準として、0.1〜120質量部、好ましくは3〜100質量部、さらに好ましくは5〜90質量部の範囲内であることが好適である。
5.3.2 体質顔料(E2)
前記体質顔料(E2)としては、例えば、クレー、カオリン、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、アルミナホワイト等が挙げられ、なかでも硫酸バリウム及び/又はタルクを使用することが好ましい。
なかでも、本塗料が、上記体質顔料(E2)として、平均一次粒子径が1μm以下の硫酸バリウム、好ましくは平均一次粒子径が0.01〜0.8μmの範囲内である硫酸バリウムを含有することが、平滑性に優れた外観を有する塗膜を得られるため、好適である。
なお、本発明における硫酸バリウムの平均一次粒子径は、硫酸バリウムを走査型電子顕微鏡で観察し、電子顕微鏡写真上に無作為に引いた直線上にある硫酸バリウム20個の最大径を平均した値である。
本塗料が、上記体質顔料(E2)を含有する場合、該体質顔料(E2)の配合量は、本塗料中の水分散性アクリル樹脂(A)、カルボキシル基含有樹脂(B)、水酸基含有樹脂(C)及び硬化剤(D)の合計樹脂固形分100質量部を基準として、0.1〜100質量部、好ましくは3〜60質量部、さらに好ましくは5〜40質量部の範囲内であることが好適である。また、上記平均一次粒子径が1μm以下の硫酸バリウムの配合量は、本塗料中の水分散性アクリル樹脂(A)、カルボキシル基含有樹脂(B)、水酸基含有樹脂(C)及び硬化剤(D)の合計樹脂固形分100質量部を基準として、0.1〜100質量部、好ましくは3〜60質量部、さらに好ましくは5〜40質量部の範囲内であることが好適である。
5.3.3 光輝性顔料(E3)
また、前記光輝性顔料(E3)は、塗膜にキラキラとした光輝感やパール調の光干渉性模様を付与する顔料であり、具体的には、ノンリーフィング型もしくはリーフィング型アルミニウム(蒸着アルミニウムも含む)、銅、亜鉛、真ちゅう、ニッケル、酸化アルミニウム、雲母、酸化チタンや酸化鉄で被覆された酸化アルミニウム、酸化チタンや酸化鉄で被覆された雲母等を使用することができる。これらのなかでも、パール調の光干渉性模様を付与することのできる光輝性顔料(E3)としては、酸化チタンや酸化鉄で被覆された酸化アルミニウム、酸化チタンや酸化鉄で被覆された雲母等を挙げることができる。
上記光輝性顔料(E3)は、りん片状であることが好ましい。また、該光輝性顔料(E3)としては、長手方向寸法が1〜100μm、特に5〜40μm、厚さが0.001〜5μm、特に0.001〜2μmの範囲内にあるものが適している。
本塗料が、上記光輝性顔料(E3)を含有する場合、該光輝性顔料(E3)の配合量は、本塗料中の水分散性アクリル樹脂(A)、カルボキシル基含有樹脂(B)、水酸基含有樹脂(C)及び硬化剤(D)の合計樹脂固形分100質量部を基準として、0.1〜60質量部、好ましくは2〜40質量部、さらに好ましくは5〜20質量部の範囲内であることが好適である。
5.4 疎水性溶媒(F)
また、本塗料は、得られる塗膜の平滑性及び耐タレ性の観点から、さらに、疎水性溶媒(F)を含有することが好ましい。本発明における疎水性溶媒(F)としては、20℃において、100gの水に溶解する質量が10g以下、好ましくは4g以下、さらに好ましくは1g以下の有機溶媒を好適に用いることができる。
具体的には、例えば、ゴム揮発油、ミネラルスピリット、トルオール、キシロール、ソルベントナフサ等の炭化水素系溶媒;1−ヘキサノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチルヘキサノール、1−デカノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等のアルコール系溶媒;酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、酢酸メチルアミル、酢酸エチレングリコールモノブチルエーテル等のエステル系溶媒;メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルn−アミルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶媒を挙げることができる。これらを単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
上記疎水性溶媒(F)としては、得られる塗膜の平滑性の観点から、アルコール系溶媒を用いることが好ましい。なかでも、炭素数7〜14のアルコール系溶媒、例えば、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルが好適である。特に、2−エチル−1−ヘキサノール及びエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテルが好適である。
本塗料が、上記疎水性溶媒(F)を含有する場合、該疎水性溶媒(F)の配合量は、本塗料中の水分散性アクリル樹脂(A)、カルボキシル基含有樹脂(B)、水酸基含有樹脂(C)及び硬化剤(D)の合計樹脂固形分100質量部を基準として、1〜60質量部、好ましくは5〜50質量部、さらに好ましくは10〜30質量部の範囲内であることが好適である。
また、本塗料の塗料固形分は、5〜70質量%、好ましくは15〜60質量%、さらに好ましくは20〜50質量%の範囲内であることが好適である。
5.5 増粘剤
また、本塗料は、さらに、増粘剤を含有することが好ましい。該増粘剤としては、次のものを挙げることができる。
例えば、ケイ酸塩、金属ケイ酸塩、モンモリロナイト、コロイド状アルミナ等の無機系増粘剤;ポリアクリル酸と(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリアクリル酸ソーダ等のポリアクリル酸系増粘剤;1分子中に親水性部分と疎水性部分を有し、該疎水性部分が塗料中の顔料やエマルション粒子の表面に吸着したり、該疎水性部分同士が会合したりすることにより効果的に増粘作用を示す会合型増粘剤;カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等の繊維素誘導体系増粘剤;カゼイン、カゼイン酸ソーダ、カゼイン酸アンモニウム等のタンパク質系増粘剤;アルギン酸ソーダ等のアルギン酸系増粘剤;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルベンジルエーテル共重合体等のポリビニル系増粘剤;ポリエーテルジアルキルエステル、ポリエーテルジアルキルエーテル、ポリエーテルエポキシ変性物等のポリエーテル系増粘剤;ビニルメチルエーテル−無水マレイン酸共重合体の部分エステル等の無水マレイン酸共重合体系増粘剤;ポリアマイドアミン塩等のポリアマイド系増粘剤等が挙げられる。これらの増粘剤は、それぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
前記ポリアクリル酸系増粘剤としては、例えば、ロームアンドハース社製の「プライマルASE−60」、「プライマルTT−615」、「プライマルRM−5」、サンノプコ社製の「SNシックナー613」、「SNシックナー618」、「SNシックナー630」、「SNシックナー634」、「SNシックナー636」等が市販されており、これらを好適に用いることができる。
前記会合型増粘剤としては、例えば、ADEKA社製の「アデカノールUH−420」、「アデカノールUH−450」、「アデカノールUH−462」、「アデカノールUH−472」、「アデカノールUH−540」、「アデカノールUH−752」、「アデカノールUH−756VF」、「アデカノールUH−814N」、ロームアンドハース社製の「プライマルRM−8W」、「プライマルRM−825」、「プライマルRM−2020NPR」、「プライマルRM−12W」、「プライマルSCT−275」、サンノプコ社製の「SNシックナー612」、「SNシックナー621N」、「SNシックナー625N」、「SNシックナー627N」、「SNシックナー660T」等が市販されており、これらを好適に用いることができる。
なかでも、上記増粘剤としては、前記ポリアクリル酸系増粘剤及び/又は会合型増粘剤、好ましくは会合型増粘剤、さらに好ましくは、末端に疎水基を有し、分子鎖中にウレタン結合を含有するウレタン会合型増粘剤であることが好適である。
上記市販品のうちウレタン会合型増粘剤としては、ADEKA社製の「アデカノールUH−420」、「アデカノールUH−462」、「アデカノールUH−472」、「アデカノールUH−540」、「アデカノールUH−756VF」、「アデカノールUH−814N」、サンノプコ社製の「SNシックナー612」、「SNシックナー621N」、「SNシックナー625N」、「SNシックナー627N」、「SNシックナー660T」等が挙げられる。
また、本塗料が、上記増粘剤を含有する場合、該増粘剤の配合量は、本塗料中の水分散性アクリル樹脂(A)、カルボキシル基含有樹脂(B)、水酸基含有樹脂(C)及び硬化剤(D)の合計樹脂固形分100質量部を基準として、0.01〜10質量部、好ましくは0.05〜3質量部、さらに好ましくは0.1〜2質量部の範囲内であることが好適であり、本塗料が、上記会合型増粘剤を含有する場合、該会合型増粘剤の配合量は、本塗料中の水分散性アクリル樹脂(A)、カルボキシル基含有樹脂(B)、水酸基含有樹脂(C)及び硬化剤(D)の合計樹脂固形分100質量部を基準として、0.01〜10質量部、好ましくは0.05〜2質量部、さらに好ましくは0.1〜1質量部の範囲内であることが好適である。
また、本塗料は、さらに必要に応じて、硬化触媒、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、可塑剤、有機溶剤、表面調整剤、沈降防止剤等の通常の塗料用添加剤を単独でもしくは2種以上組み合わせて含有することができる。
塗装物品
本発明は、本発明の水性塗料組成物が塗装された物品を提供するものでもある。
本発明の水性塗料組成物が適用される被塗物としては、特に制限されず、例えば、乗用車、トラック、オートバイ、バス等の自動車車体の外板部;自動車部品;携帯電話、オーディオ機器等の家庭電気製品の外板部等を挙げることができる。これらのなかでも、自動車車体の外板部及び自動車部品が好ましい。
また、上記被塗物の素材としては、特に限定されるものではなく、例えば、鉄、アルミニウム、真鍮、銅、ステンレス鋼、ブリキ、亜鉛メッキ鋼、合金化亜鉛(Zn−Al、Zn−Ni、Zn−Fe等)メッキ鋼等の金属材料;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂や各種のFRP等のプラスチック材料;ガラス、セメント、コンクリート等の無機材料;木材;繊維材料(紙、布等)等を挙げることができる。これらのなかでも、金属材料及びプラスチック材料が好適である。
上記被塗物は、上記金属材料やそれから成形された車体等の金属表面に、リン酸塩処理、クロメート処理、複合酸化物処理等の表面処理が施されたものであってもよい。さらに、該被塗物は、上記金属材料や車体等に、下塗り塗膜及び/又は中塗り塗膜が形成されたものであってもよい。上記下塗り塗膜は、電着塗料、好ましくはカチオン電着塗料によって形成された塗膜であることが好適である。
本塗料は、上記被塗物上に、それ自体既知の方法、例えば、エアスプレー、エアレススプレー、回転霧化塗装機、カーテンコート塗装機、ローラー、刷毛等により塗装することができ、塗装の際、静電印加を行ってもよい。これらのなかでも、エアスプレーによる静電塗装及び回転霧化塗装機による静電塗装が好ましく、回転霧化塗装機による静電塗装が特に好ましい。
本塗料の塗装膜厚は、通常、硬化膜厚で5〜100μm、好ましくは10〜50μmの範囲内とすることが好適である。
また、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装及び回転霧化塗装する場合には、本塗料の粘度を、該塗装に適した粘度範囲、通常、フォードカップNo.4粘度計において、20℃で15〜60秒程度の粘度範囲となるように、適宜、有機溶剤及び/又は水を用いて調整しておくことが好ましい。
本塗料の硬化は、加熱硬化と常温硬化のいずれの方法で行なっても良いが、得られる塗膜の耐水性等の観点から、加熱硬化によって行なうことが好ましい。
加熱硬化における加熱は、公知の加熱手段により行なうことができる。具体的には、例えば、熱風加熱、赤外線加熱、高周波加熱等によって行なうことができる。加熱温度は、通常80〜180℃、好ましくは100〜160℃の範囲内が適している。加熱時間は、特に制限されるものではないが、通常10〜40分間、好ましくは15〜30分間程度とすることができる。
また、ワキ等の塗膜欠陥の発生を防止する観点から、本発明に係る水性塗料組成物を塗装後、上記加熱硬化を行なう前に、塗膜が実質的に硬化しない加熱条件でプレヒート(予備加熱)、エアブロー等を行うことが好ましい。プレヒートの温度は、40〜100℃、好ましくは50〜90℃、さらに好ましくは60〜80℃とすることができ、プレヒートの時間は、30秒間〜15分間、好ましくは1〜10分間、さらに好ましくは2〜5分間とすることができる。また、上記エアブローは、通常、被塗物の塗装面に常温又は約25〜約80℃の温度に加熱された空気を吹き付けることにより行うことができる。
本発明の水性塗料組成物は、自動車用塗料として好適に用いることができ、特に、中塗り塗料及び/又は上塗り用のベースコート塗料としてより好適に用いることができる。
中塗り塗料として使用するにあたっては、例えば、電着塗装が施された被塗物に、本発明の水性塗料組成物を塗装し、該塗膜を加熱して硬化させた後、その硬化塗膜上に上塗り塗料を塗装して硬化させることにより、複層塗膜を形成せしめることができる。
上塗り用のベースコート塗料として使用するにあたっては、例えば、電着塗装及び/又は中塗り塗装が施された被塗物に、本発明の水性塗料組成物を塗装し、該塗膜を硬化させることなく、その未硬化のベースコート塗膜上にクリヤコート塗料を塗装してベースコートとクリヤコートを同時に加熱硬化させることにより、2コート1ベーク方式によって複層塗膜を形成せしめることができる。
また、本発明の水性塗料組成物は、被塗物上に、中塗り塗料を塗装し、該塗膜を硬化させることなく、その未硬化の中塗り塗膜上にベースコート塗料を塗装し、さらに該塗膜を硬化させることなく、その未硬化のベースコート塗膜上にクリヤコート塗料を塗装して、3層の塗膜を同時に加熱して硬化させる3コート1ベーク方式の複層塗膜形成方法における中塗り塗料及び/又はベースコート塗料として、使用することもできる。
上記で用いられるクリヤコート塗料としては、従来から公知の熱硬化性クリヤコート塗料を使用することができ、具体的には、例えば、架橋性官能基を有する基体樹脂及び架橋剤を含有する有機溶剤型熱硬化性塗料組成物、水性熱硬化性塗料組成物、粉体熱硬化性塗料組成物等を挙げることができる。
上記基体樹脂が有する架橋性官能基としては、例えば、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基、シラノール基等を挙げることができる。基体樹脂の種類としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂等を挙げることができる。架橋剤としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、ブロック化ポリイソシアネート化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、カルボキシル基含有樹脂、カルボキシル基含有化合物、エポキシ基含有樹脂、エポキシ基含有化合物等を挙げることができる。
クリヤコート塗料の基体樹脂/架橋剤の組み合わせとしては、カルボキシル基含有樹脂/エポキシ基含有樹脂、水酸基含有樹脂/ポリイソシアネート化合物、水酸基含有樹脂/ブロック化ポリイソシアネート化合物、水酸基含有樹脂/メラミン樹脂等が好ましい。
また、上記クリヤコート塗料は、一液型塗料であってもよいし、二液型ウレタン樹脂塗料等の多液型塗料であってもよい。
また、上記クリヤコート塗料には、必要に応じて、透明性を阻害しない程度に着色顔料、光輝性顔料、染料等を含有させることができ、さらに体質顔料、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、増粘剤、防錆剤、表面調整剤等を適宜含有せしめることができる。
複層塗膜形成方法
また、本発明の水性塗料組成物は、被塗物上に、水性第1塗料(X)を塗装して第1塗膜を形成し、得られた未硬化の第1塗膜上に水性第2塗料(Y)を塗装して第2塗膜を形成する複層塗膜形成方法において、水性第1塗料(X)として、好適に使用することができる。
水性第2塗料(Y)
上記水性第2塗料(Y)は、一般に、被塗物に優れた外観を付与することを目的とするものであって、自動車車体の塗装において通常使用されるそれ自体既知のものを使用することができる。具体的には、基体樹脂と硬化剤からなる樹脂成分を、その他の添加剤と共に水に溶解ないし分散させて塗料化したものを使用することができる。
前記樹脂成分中の基体樹脂としては、カルボキシル基、水酸基等の架橋性官能基を有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができ、硬化剤としては、ブロックされていてもよいポリイソシアネート化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂等を挙げることができる。
これらのなかでも、水酸基を有するカルボキシル基含有樹脂及びメラミン樹脂を含有する熱硬化型水性塗料、水酸基を有するカルボキシル基含有樹脂及びポリイソシアネート化合物(D2)を含有する熱硬化型水性塗料、及び水酸基を有するカルボキシル基含有樹脂及びブロック化ポリイソシアネート化合物(D3)を含有する熱硬化型水性塗料を好適に使用することができる。
また、水性第2塗料(Y)は、さらに、前記顔料(E)を含有することができる。顔料(E)としては、前記着色顔料(E1)、体質顔料(E2)、光輝性顔料(E3)等を使用することができる。これらのなかでも、水性第2塗料(Y)が、上記顔料の少なくとも1種として光輝性顔料(E3)を含有することが、平滑性に優れ、かつフリップフロップ性が高く、メタリックムラの少ない優れた外観を有する複層塗膜を形成できるため、特に好適である。
上記光輝性顔料(E3)としては、例えば、前記水性第1塗料(X)の説明において例示した、ノンリーフィング型もしくはリーフィング型アルミニウム(蒸着アルミニウムも含む)、銅、亜鉛、真ちゅう、ニッケル、酸化アルミニウム、雲母、酸化チタンや酸化鉄で被覆された酸化アルミニウム、酸化チタンや酸化鉄で被覆された雲母等を挙げることができる。これらなかでも、アルミニウム、酸化アルミニウム、雲母、酸化チタンや酸化鉄で被覆された酸化アルミニウム、酸化チタンや酸化鉄で被覆された雲母を用いることが好ましく、アルミニウムを用いることが特に好ましい。上記光輝性顔料(E3)は単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
また、上記光輝性顔料(E3)は、りん片状であることが好ましい。また、該光輝性顔料(E3)としては、長手方向寸法が1〜100μm、特に5〜40μm、厚さが0.001〜5μm、特に0.01〜2μmの範囲内にあるものが適している。
水性第2塗料(Y)が、上記光輝性顔料(E3)を含有する場合、該光輝性顔料(E3)の配合量は、水性第2塗料(Y)中の樹脂固形分100質量部を基準として、0.1〜60質量部、好ましくは2〜40質量部、さらに好ましくは5〜20質量部の範囲内であることが好適である。
本発明の水性第1塗料(X)によって得られる第1塗膜上に、光輝性顔料(E3)を含有する水性第2塗料(Y)を塗装することにより、平滑性に優れ、かつフリップフロップ性が高く、メタリックムラの少ない優れた外観を有する複層塗膜を形成し得ることができる。これは、本発明の水溶性塗料組成物を用いて塗膜を形成することにより、平滑性に優れ、かつ、上層に塗装された水性塗料との混層が抑制されるため、該界面付近の光輝性顔料(E3)の配向の乱れが生じにくくなり、フリップフロップ性が高く、メタリックムラが少ない優れた外観を有する塗膜が形成される、と推察される。
また、水性第2塗料(Y)は、前記疎水性溶媒(F)を含有することが好ましい。
上記疎水性溶媒(F)としては、得られる複層塗膜の平滑性の観点から、アルコール系溶媒を用いることが好ましい。なかでも、炭素数7〜14のアルコール系溶媒、例えば、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルが好適である。特に、2−エチル−1−ヘキサノール及びエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテルが好適である。
また、水性第2塗料(Y)が、上記疎水性溶媒(F)を含有する場合、該疎水性溶媒(F)の配合量は、水性第2塗料(Y)中の樹脂固形分100質量部を基準として、2〜70質量部、好ましくは11〜60質量部、さらに好ましくは16〜50質量部の範囲内であることが好適である。
また、水性第2塗料(Y)は、さらに必要に応じて、硬化触媒、増粘剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、可塑剤、有機溶剤、表面調整剤、沈降防止剤等の通常の塗料用添加剤を単独でもしくは2種以上組み合わせて含有することができる。
また、被塗物上に、水性第1塗料(X)を塗装して第1塗膜を形成し、得られた未硬化の第1塗膜上に水性第2塗料(Y)を塗装して第2塗膜を形成する複層塗膜形成方法において、水性第1塗料(X)として、本発明の水性塗料組成物を使用する場合の塗装方法について、以下、さらに説明する。
上記被塗物としては、特に制限されず、例えば、前記「塗装物品」で説明した被塗物を挙げることができる。これらのなかでも、自動車車体の外板部及び自動車部品が好ましい。
また、上記被塗物の素材としては、特に制限されず、例えば、前記「塗装物品」で説明した素材を挙げることができる。これらのなかでも、金属材料及びプラスチック材料が好適である。
上記被塗物は、上記金属材料やそれから成形された車体等の金属表面に、リン酸塩処理、クロメート処理、複合酸化物処理等の表面処理が施されたものであってもよい。さらに、該被塗物は、上記金属材料や車体等に、下塗り塗膜及び/又は中塗り塗膜が形成されたものであってもよい。これらのなかでも、電着塗料によって下塗り塗膜が形成された車体が好ましく、カチオン電着塗料によって下塗り塗膜が形成された車体が特に好ましい。
本塗料を上記被塗物上に塗布する方法としては、特に制限されず、例えば、前記「塗装物品」で説明した方法を挙げることができる。これらのなかでも、エアスプレーによる静電塗装及び回転霧化塗装機による静電塗装が好ましく、回転霧化塗装機による静電塗装が特に好ましい。
本塗料の塗装膜厚は、通常、硬化膜厚で10〜100μm、好ましくは10〜50μm、さらに好ましくは15〜35μmの範囲内とすることが好適である。
ここで、必要に応じて各種電着塗料の下塗り塗膜を形成した金属部材と、必要に応じて各種プライマー塗料等の下塗り塗膜を形成したプラスチック部材とを一体化した被塗物上に、本塗料を塗装してもよい。この場合には、金属部材とプラスチック部材の塗色が一致し、かつ両部材上に平滑性に優れる複層塗膜が得られるという利点が得られる。
上記の如くして形成される第1塗膜上には、次いで、水性第2塗料(Y)が塗装される。
水性第2塗料(Y)の塗装は、タレの抑制や形成塗膜の平滑性等の観点から、上記第1塗膜の固形分含有率が、一般に51〜98質量%、好ましくは71〜97質量%、さらに好ましくは80〜96質量%、特に好ましくは90〜96質量%の範囲内にある間に行なうのが好適であり、また、形成塗膜の平滑性等の観点から、上記第1塗膜のゲル分率が、一般に1〜85質量%、好ましくは2〜80質量%、さらに好ましくは3〜70質量%の範囲内にある間に行なうことが望ましい。
上記第1塗膜の固形分含有率及びゲル分率は、水性第2塗料(Y)を塗装する前に、第1塗膜に、例えば、予備加熱(プレヒート)、エアブロー等を行なったり、水性第1塗料(X)中の硬化触媒量を調節したりすることにより調整することができる。
上記予備加熱は、通常、水性第1塗料(X)が塗装された被塗物を、乾燥炉内で、40〜100℃、好ましくは50〜90℃、さらに好ましくは60〜80℃の温度で、30秒間〜15分間、好ましくは1〜10分間、さらに好ましくは2〜5分間直接的又は間接的に加熱することにより行うことができ、また、上記エアブローは、通常、被塗物の塗装面に常温又は25〜80℃程度の温度に加熱された空気を吹き付けることにより行うことができる。
水性第2塗料(Y)を塗装する直前の第1塗膜の固形分含有率は、以下の方法により測定することができる。
まず、被塗物上に水性第1塗料(X)を塗装すると同時に、予め質量(W)を測定しておいたアルミホイル上にも水性第1塗料(X)を塗装する。必要に応じて、塗装された被塗物及び塗装されたアルミホイルは、同条件下で予備加熱等が行われる。塗装された被塗物に水性第2塗料(Y)を塗装する直前に、塗装されたアルミホイルを回収し、その質量(W)を測定する。
次に、回収したアルミホイルを110℃で60分間乾燥し、デシケーター内で室温まで放冷した後、該アルミホイルの質量(W)を測定し、これらの測定結果から以下の式に従って固形分含有率を算出する。
Figure 2009145223
また、水性第2塗料(Y)を塗装する直前の第1塗膜のゲル分率は、以下の方法により測定することができる。
まず、被塗物上に水性第1塗料(X)を塗装すると同時に、ポリプロピレン板上にも水性第1塗料(X)を塗装する。必要に応じて、塗装された被塗物およびポリプロピレン板は、同条件下で予備加熱等が行われる。塗布された被塗物に水性第2塗料(Y)を塗装する直前に、塗装されたポリプロピレン板を回収する。
次に、該ポリプロピレン板上の第1塗膜を回収し、質量(W)を測定する。その後、該塗膜を300メッシュのステンレススチール製の網状容器に入れ、64℃に加温したアセトンとメタノールの等質量混合溶剤中で5時間抽出し、110℃で60分間乾燥してから、溶剤抽出後の塗膜質量(W)を測定し、これらの測定結果から以下の式に従って算出される不溶塗膜残存率(質量%)をゲル分率とする。
Figure 2009145223
水性第2塗料(Y)の塗装は、それ自体既知の方法、例えば、エアスプレー、エアレススプレー、回転霧化塗装機等により行なうことができ、塗装の際、静電印加を行ってもよい。上記水性第2塗料(Y)は、通常、硬化膜厚が5〜60μm、好ましくは10〜50μm、さらに好ましくは12〜30μmの範囲内となるように塗装することが好適である。
次いで、上記未硬化の第1塗膜及び第2塗膜を、通常の塗膜の焼付け手段により、例えば、熱風加熱、赤外線加熱、高周波加熱等により、80〜180℃、好ましくは100〜160℃の温度で10〜40分間、好ましくは15〜30分間程度加熱し、両塗膜を同時に硬化させることによって複層塗膜を形成することができる。
また、ワキ等の塗膜欠陥の発生を防止する観点から、上記水性第2塗料(Y)を塗装後、上記加熱硬化を行なう前に、塗膜が実質的に硬化しない加熱条件でプレヒート(予備加熱)、エアブロー等を行うことが好ましい。プレヒートの温度は、40〜100℃、好ましくは50〜90℃、さらに好ましくは60〜80℃とすることができ、プレヒートの時間は、30秒間〜15分間、好ましくは1〜10分間、さらに好ましくは2〜5分間とすることができる。また、上記エアブローは、通常、被塗物の塗装面に常温又は約25〜約80℃の温度に加熱された空気を吹き付けることにより行うことができる。
上記塗装方法において、第2塗膜上には、必要に応じて、前記したような、それ自体既知のクリヤコート塗料を塗装することができる。また、該クリヤコート塗料は、硬化した又は未硬化の第2塗膜上に塗装し硬化させることができる。
本発明の水性塗料組成物を用いる好ましい複層塗膜形成方法としては、具体的には、例えば、以下の塗膜形成方法を挙げることができる。
1)下塗り塗膜上に、本発明の水性塗料組成物(水性第1塗料(X))を塗装して中塗り塗膜を形成し、得られた未硬化の中塗り塗膜上に水性上塗り塗料(水性第2塗料(Y))を塗装して上塗り塗膜を形成し、得られた未硬化の中塗り塗膜及び上塗り塗膜を同時に加熱硬化する複層塗膜形成方法、
2)下塗り塗膜上に、本発明の水性塗料組成物(水性第1塗料(X))を塗装して中塗り塗膜を形成し、得られた未硬化の中塗り塗膜上に水性ベースコート塗料(水性第2塗料(Y))を塗装してベースコート塗膜を形成し、得られた未硬化のベースコート塗膜上にクリヤコート塗料を塗装してクリヤコート塗膜を形成し、得られた未硬化の中塗り塗膜、ベースコート塗膜及びクリヤコート塗膜を同時に加熱硬化する複層塗膜形成方法、
3)下塗り塗膜又は中塗り塗膜上に、本発明の水性塗料組成物(水性第1塗料(X))を塗装してベースコート塗膜を形成し、得られた未硬化のベースコート塗膜上に水性クリヤコート塗料(水性第2塗料(Y))を塗装してクリヤコート塗膜を形成し、得られた未硬化のベースコート塗膜及びクリヤコート塗膜を同時に加熱硬化する複層塗膜形成方法。
本塗料を使用することにより、平滑性及び鮮映性に優れた複層塗膜を形成することができ、なかでも、前記水性第2塗料(Y)として、光輝性顔料を含む塗料を使用する場合に、フリップフロップ性が高く、メタリックムラが少ない優れた外観を有する複層塗膜を形成することができるため、本塗料は自動車用塗料として好適に用いることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、「部」及び「%」はいずれも質量基準によるものである。
3級アミノ基を有するマクロモノマーの製造
製造例1
温度調節器、窒素導入管、撹拌装置を備えた四ツ口フラスコに、プロピレングリコールモノプロピルエーテル12部及び2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(以下、「MSD」と略称することがある)6.41部を仕込み、140℃で窒素を吹き込みながら撹拌した。次いで、この中に、2−エチルヘキシルメタクリレート70部、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート30部、プロピレングリコールモノプロピルエーテル5部及び「VR110」(商品名、和光純薬工業(株)製、アゾ系ラジカル重合開始剤)4部からなる混合液を6時間かけて滴下し、そのまま、2時間撹拌した。次いで、30分間かけてフラスコ内の温度を120℃に冷却し、同温度に保持しながら、この中に「V59」(商品名、和光純薬工業(株)製、アゾ系ラジカル重合開始剤)2.4部、2−エチルヘキシルメタクリレート140部、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート60部及びプロピレングリコールモノプロピルエーテル13部からなる混合液を2時間かけて滴下し、そのまま、1時間撹拌した。次いで、「V59」1部及びプロピレングリコールモノプロピルエーテル10部からなる混合液を1時間かけて滴下し、そのまま、同温度で1時間撹拌した。次いで、30℃まで冷却し、プロピレングリコールモノプロピルエーテル6.5部で希釈して固形分86%のマクロモノマー溶液(a−1−1)を得た。得られたマクロモノマーは、数平均分子量6,000であり、プロトンNMRでの解析によるとMSD由来のエチレン性不飽和基のうちの97%以上がポリマー鎖末端に存在し、2%は消失していた。
なお、上記プロトンNMRでの解析は、溶媒として重クロロホルムを使用し、重合反応前後の、MSDの不飽和基のプロトンに基づくピーク(4.8ppm、5.1ppm)、ポリマー鎖末端のエチレン性不飽和基のプロトンに基づくピーク(5.0ppm、5.2ppm)及びMSDに由来する芳香族プロトン(7.2ppm)のピークを測定した後、上記MSDに由来する芳香族プロトン(7.2ppm)は重合反応前後で変化しないと仮定し、これを基準として、各不飽和基(未反応、ポリマー鎖末端、消失)を定量化することによって行なった。
製造例2
温度調節器、窒素導入管、撹拌装置を備えた四ツ口フラスコに、プロピレングリコールモノプロピルエーテル100部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら80〜85℃で攪拌し、2−エチルヘキシルメタクリレート70部、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート30部、メルカプト酢酸1.6部及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル2部からなる混合液を、4時間かけて均一速度で滴下し、重合反応を行なった。その後、同温度で2時間熟成させた後、95℃で1時間加熱して固形分50%のプレポリマー溶液を得た。得られたプレポリマーの固形分あたりの酸価は9.6mgKOH/gであった。次いで、この中に、グリシジルメタクリレート2.7部、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.04部を加え、95℃で8時間反応させた。さらに同温度で減圧し、プロピレングリコールモノプロピルエーテル84部を留去して、固形分86%のマクロモノマー溶液(a−1−2)を得た。この反応におけるグリシジルメタクリレートの反応率は91%以上であった。得られたマクロモノマーは、重合性二重結合を1分子当り平均して約1.0個有しており、末端メタクリレート型マクロモノマーを主体とし、数平均分子量が6,000であった。
3級アミノ基含有重合性不飽和モノマーの製造
製造例3
温度調節器、空気導入管、撹拌装置を備えた四ツ口フラスコに、グリシジルメタクリレート142部、ジブチルアミン130部、メトキノン0.1部をそれぞれ仕込んだ。その後、空気導入管から空気通気下、加温し混合物を攪拌しながら70〜90℃に保ち、8時間反応させ、3級アミノ基含有重合性不飽和モノマー(a−1−3)を得た。
製造例4
温度調節器、空気導入管、撹拌装置を備えた四ツ口フラスコに、ジブチルアミノエタノール174部、ジブチル錫ジラウレート0.2部、メトキノン0.2部をそれぞれ仕込んだ。その後、空気導入管から空気通気下、混合物を攪拌しながら10〜30℃に保ち、2−アクリロイルオロキシエチルイソシアネート(カレンズAOI(登録商標、商品名)、昭和電工(株)製)141部を1時間かけて滴下した。その後8時間反応させ、3級アミノ基含有重合性不飽和モノマー(a−1−4)を得た。
3級アミノ基を有さないマクロモノマーの製造
製造例5
温度調節器、窒素導入管、撹拌装置を備えた四ツ口フラスコに、プロピレングリコールモノプロピルエーテル12部及び「MSD」6.41部を仕込み、140℃で窒素を吹き込みながら撹拌した。次いで、この中に2−エチルヘキシルメタクリレート70部、2−エチルヘキシルアクリレート30部、プロピレングリコールモノプロピルエーテル5部及び「VR110」4部からなる混合液を6時間かけて滴下し、そのまま、2時間撹拌した。次いで、30分間かけてフラスコ内の温度を120℃に冷却し、同温度に保持しながら、この中に「V59」2.4部、2−エチルヘキシルメタクリレート140部、2−エチルヘキシルアクリレート60部及びプロピレングリコールモノプロピルエーテル13部からなる混合液を2時間かけて滴下し、そのまま、1時間撹拌した。次いで、「V59」1部及びプロピレングリコールモノプロピルエーテル10部からなる混合液を1時間かけて滴下し、そのまま同温度で1時間撹拌した。次いで、30℃まで冷却し、プロピレングリコールモノプロピルエーテル6.5部で希釈して固形分86%のマクロモノマー溶液(a−2−1)を得た。得られたマクロモノマーは、数平均分子量6,000であり、プロトンNMRでの解析によるとMSD由来のエチレン性不飽和基のうちの97%以上がポリマー鎖末端に存在し、2%は消失していた。
製造例6
温度調節器、窒素導入管、撹拌装置を備えた四ツ口フラスコに、プロピレングリコールモノプロピルエーテル100部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら80〜85℃で攪拌し、2−エチルヘキシルメタクリレート70部、2−エチルヘキシルアクリレート30部、メルカプト酢酸1.6部及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル2部からなる混合溶液を、4時間かけて均一速度で滴下し、重合反応を行なった。その後、同温度で2時間熟成させた後、95℃で1時間加熱して固形分50%のプレポリマー溶液を得た。得られたプレポリマーの固形分あたりの酸価は9.6mgKOH/gであった。次いで、この中に、グリシジルメタクリレート2.7部、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.04部を加え、95℃で8時間反応させた。さらに同温度で減圧し、プロピレングリコールモノプロピルエーテル84部を留去して、固形分86%のマクロモノマー溶液(a−2−2)を得た。この反応におけるグリシジルメタクリレートの反応率は91%以上であった。得られたマクロモノマーは、重合性二重結合を1分子当り平均して約1.0個有しており、末端メタクリレート型マクロモノマーを主体とし、数平均分子量が6,000であった。
製造例7
温度調節器、窒素導入管、撹拌装置を備えた四ツ口フラスコにアマニ油脂肪酸280部、グリシジルメタクリレート142部を仕込み、攪拌しながら140℃で5時間反応させて固形分100%のマクロモノマー(a−2−3)を得た。
水分散性アクリル樹脂(A)の製造
製造例8
ガラスビーカーに下記成分を入れ、ディスパーにて2,000rpmで15分間攪拌し、予備乳化液を製造した後、この予備乳化液を、高圧乳化装置(吉田機械興業(株)製、ナノマイザー)にて100MPaで高圧処理することにより、分散粒子の平均粒子径が215nmのモノマー乳化物を得た。
Figure 2009145223
次いで、上記モノマー乳化物をフラスコへ移し、脱イオン水にて固形分濃度が45%となるように希釈した。その後85℃まで昇温させ、「VA−086」(商品名、和光純薬工業(株)製、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド])2部を脱イオン水10部に溶解させた開始剤水溶液をフラスコに投入し、該温度を保持しながら3時間攪拌した。その後、「VA−086」0.5部を脱イオン水10部に溶解させた開始剤水溶液をフラスコに添加し、該温度を保持しながら1時間攪拌した後40℃まで冷却し、ジメチルアミノエタノールでpHを8.0に調整し、固形分濃度40%、分散樹脂の平均粒子径が195nmの水分散性アクリル樹脂分散液(A−1)を得た。
(注1)「ニューコール707−SF」:商品名、日本乳化剤(株)製、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩、有効成分30%。
製造例9〜27
モノマー乳化物の配合組成とモノマー乳化物の平均粒子径を、下記表1、2に記載のとおりに変更する以外は上記製造例8と同様にして、水分散性アクリル樹脂分散液(A−2)〜(A−20)を得た。
表1、2のモノマー乳化物の欄の数値については、それぞれの添加量を質量部で示したものである。
Figure 2009145223
Figure 2009145223
(注2)「ラテムルAD−25」:商品名、花王(株)製、ラウリル硫酸アンモニウム塩、有効成分24%。
(注3)「アデカリアソープSR−1025」:商品名、ADEKA社製、重合性不飽和基とポリオキシエチレン基を有する硫酸エステルのアンモニウム塩、有効成分25%。
(注4)「ニューコール707−SN」:商品名、日本乳化剤(株)製、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステルナトリウム塩、有効成分30%。
(注5)「アセタミン86」:商品名、花王(株)製、ステアリルアミンアセテート、有効成分99%以上。
(注6)「ニューコール2320」:商品名、日本乳化剤(株)製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、HLB16.4。
カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(B1)の製造
製造例28
温度計、サーモスタット、攪拌装置、還流冷却器及び水分離器を備えた反応容器に、トリメチロールプロパン174部、ネオペンチルグリコール327部、アジピン酸352部、イソフタル酸109部及び1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物101部を仕込み、160℃から230℃まで3時間かけて昇温させた後、生成した縮合水を水分離器により留去させながら230℃で保持し、酸価が3mgKOH/g以下となるまで反応させた。この反応生成物に、無水トリメリット酸59部を添加し、170℃で30分間付加反応を行った後、50℃以下に冷却し、2−(ジメチルアミノ)エタノールを酸基に対して当量添加し中和してから、脱イオン水を徐々に添加することにより、固形分濃度45%、pH7.2のカルボキシル基含有ポリエステル樹脂溶液(B1−1)を得た。
得られたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂の酸成分(b1−1)の合計量を基準とした脂肪族多塩基酸(b1−1−1)及び脂環族多塩基酸(b1−1−2)の合計含有量は76モル%、芳香族多塩基酸(b1−1−3)の含有量は24モル%であり、酸価が35mgKOH/g、水酸基価が128mgKOH/g、重量平均分子量が13,000であった。
製造例29
温度計、サーモスタット、攪拌装置、還流冷却器及び水分離器を備えた反応容器に、トリメチロールプロパン168部、ネオペンチルグリコール316部、アジピン酸93部、イソフタル酸211部、無水フタル酸188部及び1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物65部を仕込み、160℃から230℃まで3時間かけて昇温させた後、生成した縮合水を水分離器により留去させながら230℃で保持し、酸価が3mgKOH/g以下となるまで反応させた。この反応生成物に、無水トリメリット酸59部を添加し、170℃で30分間付加反応を行った後、50℃以下に冷却し、2−(ジメチルアミノ)エタノールを酸基に対して当量添加し中和してから、脱イオン水を徐々に添加することにより、固形分濃度45%、pH7.2のカルボキシル基含有ポリエステル樹脂溶液(B1−2)を得た。
得られたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂の酸成分(b1−1)の合計量を基準とした脂肪族多塩基酸(b1−1−1)及び脂環族多塩基酸(b1−1−2)の合計含有量は27モル%、芳香族多塩基酸(b1−1−3)の含有量は73モル%であり、酸価が35mgKOH/g、水酸基価が124mgKOH/g、重量平均分子量が13,500であった。
カルボキシル基含有アクリル樹脂(B2)の製造
製造例30
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器及び滴下装置を備えた反応容器に、プロピレングリコールモノプロピルエーテル30部を仕込み85℃に昇温後、スチレン10部、メチルメタクリレート30部、2−エチルヘキシルアクリレート15部、n−ブチルアクリレート11.5部、ヒドロキシエチルアクリレート30部、アクリル酸3.5部、プロピレングリコールモノプロピルエーテル10部及びt−ブチル−2−エチルヘキサノエート4部の混合物を4時間かけてフラスコに滴下し、滴下終了後1時間熟成した。その後さらにプロピレングリコールモノプロピルエーテル5部及びt−ブチル−2−エチルヘキサノエート0.5部の混合物を1時間かけてフラスコに滴下し、滴下終了後1時間熟成した。さらに2−(ジメチルアミノ)エタノール3.03部を加え、脱イオン水を徐々に添加することにより、固形分濃度40%のカルボキシル基含有アクリル樹脂分散液(B2−1)を得た。
得られたカルボキシル基含有アクリル樹脂の酸価は27mgKOH/g、水酸基価は145mgKOH/gであった。
製造例31
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器及び滴下装置を備えた反応容器に脱イオン水70.7部、「アクアロンKH−10」(商品名、第一工業製薬(株)製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩エステルアンモニウム塩、有効成分97%)0.52部を仕込み、窒素気流中で撹拌混合し、80℃に昇温した。次いで下記のモノマー乳化物のうちの全量の1%量及び6%過硫酸アンモニウム水溶液5部を反応容器内に導入し80℃で15分間保持した。その後、残りのモノマー乳化物を3時間かけて、同温度に保持した反応容器内に滴下し、滴下終了後1時間熟成した後、5%の2−(ジメチルアミノ)エタノール水溶液40部を反応容器に徐々に加えながら30℃まで冷却し、100メッシュのナイロンクロスで濾過しながら排出し、固形分濃度45%のカルボキシル基含有アクリル樹脂分散液(B2−2)を得た。
得られたカルボキシル基含有アクリル樹脂の酸価は12mgKOH/g、水酸基価は43mgKOH/gであった。
モノマー乳化物:脱イオン水50部、スチレン10部、メチルメタクリレート40部、エチルアクリレート35部、n−ブチルメタクリレート3.5部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10部、アクリル酸1.5部、「アクアロンKH−10」1.0部及び過硫酸アンモニウム0.03部を混合攪拌して、モノマー乳化物を得た。
水性塗料組成物の製造
実施例1
製造例28で得たカルボキシル基含有ポリエステル樹脂溶液(B1−1)56部(樹脂固形分25部)、「JR−806」(商品名、テイカ(株)製、ルチル型二酸化チタン)60部、「カーボンMA−100」(商品名、三菱化学(株)製、カーボンブラック)1部、「バリエースB−35」(商品名、堺化学工業(株)製、硫酸バリウム粉末、平均一次粒子径0.5μm)15部、「MICRO ACE S−3」(商品名、日本タルク(株)製、タルク粉末、平均一次粒子径4.8μm)3部及び脱イオン水5部を混合し、2−(ジメチルアミノ)エタノールでpH8.0に調整した後、ペイントシェーカーで30分間分散して顔料分散ペーストを得た。
次に、得られた顔料分散ペースト140部、製造例8で得た水分散性アクリル樹脂(A−1)26部、製造例28で得たカルボキシル基含有ポリエステル樹脂溶液(B1−1)33部、製造例30で得たカルボキシル基含有アクリル樹脂分散液(B2−1)17部、製造例31で得たカルボキシル基含有アクリル樹脂分散液(B2−2)33部、メラミン樹脂(D1−3−1)(メチル−ブチル混合エーテル化メラミン樹脂、固形分60%、重量平均分子量1,800)33部、「バイヒジュールVPLS2310」(商品名、住化バイエルウレタン(株)製、ブロック化ポリイソシアネート化合物、固形分38%)26部及び2−エチル−1−ヘキサノール(20℃において100gの水に溶解する質量:0.1g)10部を均一に混合した。
次いで、得られた混合物に、「アデカノールUH−752」(商品名、ADEKA社製、ウレタン会合型増粘剤)、2−(ジメチルアミノ)エタノール及び脱イオン水を添加し、pH8.0、塗料固形分48%、20℃におけるフォードカップNo.4による粘度30秒の水性塗料組成物(X−1)を得た。
実施例2〜21、比較例1〜8
実施例1において、配合組成を下記表3〜5に示す通りとする以外は、実施例1と同様にして、pH8.0、塗料固形分48%、20℃におけるフォードカップNo.4による粘度30秒である水性塗料組成物(X−2)〜(X−21)及び(X−23)〜(X−30)を得た。
なお、表3〜5の数値は、添加量(質量部)を示すものである。
実施例22
実施例1と同様の方法により、顔料分散ペーストを得た。
次に、得られた顔料分散ペースト140部、製造例12で得た水分散性アクリル樹脂(A−5)26部、製造例28で得たカルボキシル基含有ポリエステル樹脂溶液(B1−1)33部、製造例30で得たカルボキシル基含有アクリル樹脂分散液(B2−1)17部、製造例31で得たカルボキシル基含有アクリル樹脂分散液(B2−2)33部、メラミン樹脂(D1−3−1)(メチル−ブチル混合エーテル化メラミン樹脂、固形分60%、重量平均分子量1,800)33部、「バイヒジュールVPLS2310」(商品名、住化バイエルウレタン(株)製、ブロック化ポリイソシアネート化合物、固形分38%)26部及び2−エチル−1−ヘキサノール10部を均一に混合した。
次いで、得られた混合物に、「プライマルASE−60」(商品名、ロームアンドハース社製、ポリアクリル酸系増粘剤)、2−(ジメチルアミノ)エタノール及び脱イオン水を添加し、pH8.0、塗料固形分48%、20℃におけるフォードカップNo.4による粘度30秒の水性塗料組成物(X−22)を得た。
Figure 2009145223
Figure 2009145223
Figure 2009145223
(注7)メラミン樹脂(D1−1−1):メチルエーテル化メラミン樹脂、固形分80%、重量平均分子量800。
(注8)「バイヒジュールVPLS2319」:商品名、住化バイエルウレタン(株)製、ノニオン性親水化水分散性ポリシソシアネート化合物、固形分100%。
(注9)「カルボジライトE−02」:商品名、日清紡社製、カルボジイミド基含有化合物、固形分40%。
(注10)ジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル:20℃において100gの水に溶解する質量が5g。
(注11)エチレングリコールモノn−ブチルエーテル:20℃において100gの水に溶解する質量が無限大。
水性第2塗料(Y)用アクリル樹脂エマルションの製造例
製造例32
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器及び滴下装置を備えた反応容器に脱イオン水130部、「アクアロンKH−10」0.52部を仕込み、窒素気流中で撹拌混合し、80℃に昇温した。次いで下記のモノマー乳化物(1)のうちの全量の1%量及び6%過硫酸アンモニウム水溶液5.3部とを反応容器内に導入し80℃で15分間保持した。その後、残りのモノマー乳化物(1)を3時間かけて、同温度に保持した反応容器内に滴下し、滴下終了後1時間熟成を行なった。その後、下記のモノマー乳化物(2)を1時間かけて滴下し、1時間熟成した後、5%ジメチルエタノールアミン水溶液40部を反応容器に徐々に加えながら30℃まで冷却し、100メッシュのナイロンクロスで濾過しながら排出し、平均粒子径100nm(サブミクロン粒度分布測定装置「COULTER N4型」(ベックマン・コールター社製)を用いて、脱イオン水で希釈し20℃で測定した。)、固形分濃度30%のアクリル樹脂エマルション(AC)を得た。得られたアクリル樹脂は、酸価が33mgKOH/g、水酸基価が25mgKOH/gであった。
モノマー乳化物(1):脱イオン水42部、アクアロンKH−10 0.72部、メチレンビスアクリルアミド2.1部、スチレン2.8部、メチルメタクリレート16.1部、エチルアクリレート28部及びn−ブチルアクリレート21部を混合攪拌して、モノマー乳化物(1)を得た。
モノマー乳化物(2):脱イオン水18部、アクアロンKH−10 0.31部、過硫酸アンモニウム0.03部、メタクリル酸5.1部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5.1部、スチレン3部、メチルメタクリレート6部、エチルアクリレート1.8部及びn−ブチルアクリレート9部を混合攪拌して、モノマー乳化物(2)を得た。
水性第2塗料(Y)用ポリエステル樹脂の製造
製造例33
温度計、サーモスタット、攪拌装置、還流冷却器及び水分離器を備えた反応容器に、トリメチロールプロパン109部、1,6−ヘキサンジオール141部、ヘキサヒドロ無水フタル酸126部及びアジピン酸120部を仕込み、160〜230℃の間を3時間かけて昇温させた後、230℃で4時間縮合反応させた。次いで、得られた縮合反応生成物にカルボキシル基を付加するために、さらに無水トリメリット酸38.3部を加え、170℃で30分間反応させた後、2−エチル−1−ヘキサノール(20℃において100gの水に溶解する質量:0.1g)で希釈し、固形分濃度70%であるポリエステル樹脂溶液(PE1)を得た。得られたポリエステル樹脂は、酸価が46mgKOH/g、水酸基価が150mgKOH/g、重量平均分子量が6,400であった。
製造例34
希釈溶剤の2−エチル−1−ヘキサノールを、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル(20℃において100gの水に溶解する質量:無限)に変更する以外は、製造例33と同様にして、ポリエステル樹脂溶液(PE2)を得た。
光輝性顔料濃厚液の製造例
製造例35
攪拌混合容器内において、アルミニウム顔料ペースト「GX−180A」(旭化成メタルズ(株)製、金属含有量74%)19部、2−エチル−1−ヘキサノール35部、リン酸基含有樹脂溶液(注12)8部及び2−(ジメチルアミノ)エタノール0.2部を均一に混合して、光輝性顔料濃厚液(P1)を得た。
(注12)リン酸基含有樹脂溶液:温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器及び滴下装置を備えた反応容器にメトキシプロパノール27.5部、イソブタノール27.5部の混合溶剤を入れ、110℃に加熱し、スチレン25部、n−ブチルメタクリレート27.5部、「イソステアリルアクリレート」(商品名、大阪有機化学工業(株)製、分岐高級アルキルアクリレート)20部、4−ヒドロキシブチルアクリレート7.5部、リン酸基含有重合性モノマー(注13)15部、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート12.5部、イソブタノール10部、t−ブチルパーオキシオクタノエート4部からなる混合物121.5部を4時間かけて上記混合溶剤に加え、さらにt−ブチルパーオキシオクタノエート0.5部とイソプロパノール20部からなる混合物を1時間滴下した。その後、1時間攪拌熟成して固形分濃度50%のリン酸基含有樹脂溶液を得た。本樹脂のリン酸基による酸価は83mgKOH/g、水酸基価は29mgKOH/g、重量平均分子量は10,000であった。
(注13)リン酸基含有重合性モノマー:温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器及び滴下装置を備えた反応容器にモノブチルリン酸57.5部、イソブタノール41部を入れ、90℃に昇温後、グリシジルメタクリレート42.5部を2時間かけて滴下した後、さらに1時間攪拌熟成した。その後、イソプロパノ−ル59部を加えて、固形分濃度50%のリン酸基含有重合性モノマー溶液を得た。得られたモノマーのリン酸基による酸価は285mgKOH/gであった。
製造例36
2−エチル−1−ヘキサノール35部を、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル35部に変更する以外は、製造例35と同様にして、光輝性顔料濃厚液(P2)を得た。
水性第2塗料(Y)用顔料分散ペーストの製造例
製造例37
製造例28で得たカルボキシル基含有ポリエステル樹脂溶液(B1−1)56部(樹脂固形分25部)、「JR−806」(商品名、テイカ(株)製、ルチル型二酸化チタン)60部及び脱イオン水5部を混合し、2−(ジメチルアミノ)エタノールでpH8.0に調整した後、ペイントシェーカーで30分間分散して顔料分散ペーストを得た。
水性第2塗料(Y)の製造
製造例38
製造例32で得たアクリル樹脂エマルション(AC)100部、製造例33で得たポリエステル樹脂溶液(PE1)57部、製造例35で得た光輝性顔料濃厚液(P1)62部及び「サイメル325」(商品名、日本サイテックインダストリーズ社製、メラミン樹脂、固形分80%)37.5部を均一に混合し、更に、「プライマルASE−60」(商品名、ロームアンドハース社製、ポリアクリル酸系増粘剤)、2−(ジメチルアミノ)エタノール及び脱イオン水を加えてpH8.0、塗料固形分25%、20℃におけるフォードカップNo.4による粘度40秒の水性第2塗料(Y−1)を得た。
製造例39
製造例32で得たアクリル樹脂エマルション(AC)100部、製造例34で得たポリエステル樹脂溶液(PE2)57部、製造例36で得た光輝性顔料濃厚液(P2)62部及び「サイメル325」(商品名、日本サイテックインダストリーズ社製、メラミン樹脂、固形分80%)37.5部を均一に混合し、更に、「プライマルASE−60」(商品名、ロームアンドハース社製、ポリアクリル酸系増粘剤)、2−(ジメチルアミノ)エタノール及び脱イオン水を加えてpH8.0、塗料固形分25%、20℃におけるフォードカップNo.4による粘度40秒の水性第2塗料(Y−2)を得た。
製造例40
製造例32で得たアクリル樹脂エマルション(AC)100部、製造例33で得たポリエステル樹脂溶液(PE1)21部、製造例37で得た顔料分散ペースト121部、2−エチル−1−ヘキサノール35部及び「サイメル325」(商品名、日本サイテックインダストリーズ社製、メラミン樹脂、固形分80%)37.5部を均一に混合し、更に、「プライマルASE−60」(商品名、ロームアンドハース社製、ポリアクリル酸系増粘剤)、2−(ジメチルアミノ)エタノール及び脱イオン水を加えてpH8.0、塗料固形分48%、20℃におけるフォードカップNo.4による粘度60秒の水性第2塗料(Y−3)を得た。
塗膜形成方法1
実施例1〜22及び比較例1〜8で得た水性塗料組成物(X−1)〜(X−30)、及び上記製造例38〜40で得た水性第2塗料(Y−1)〜(Y−3)を用いて、以下のようにしてそれぞれ試験板を作製し、評価試験を行なった。
(試験用被塗物の作製)
リン酸亜鉛化成処理を施した冷延鋼板に、「エレクロンGT−10」(商品名、関西ペイント(株)製、カチオン電着塗料)を硬化膜厚20μmとなるように電着塗装し、170℃で30分間加熱して硬化させて試験用被塗物とした。
実施例23
上記試験用被塗物に、前記実施例1で得た水性塗料組成物(X−1)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、硬化膜厚25μmとなるように静電塗装し、2分間放置後、80℃で3分間プレヒートを行なった。次いで、該未硬化の第1塗膜上に製造例38で得た水性第2塗料(Y−1)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、硬化膜厚15μmとなるように静電塗装し、2分間放置後、80℃で3分間プレヒートを行なった後、140℃で30分間加熱して、上記第1塗膜及び第2塗膜を同時に硬化させた。次いで、該第2塗膜上に「マジクロンKINO−1210」(商品名、関西ペイント(株)製、アクリル樹脂系溶剤型上塗りクリヤー塗料、以下「クリヤー塗料(Z−1)」ということがある)を硬化膜厚35μmとなるように静電塗装し、7分間放置した後、140℃で30分間加熱して、該クリヤー塗膜を硬化させることにより試験板を作製した。
実施例24〜45、比較例9〜16
実施例23において、実施例1で得た水性塗料組成物(X−1)を、下記表6に示した水性塗料組成物(X−2)〜(X−30)のいずれかとし、製造例38で得た水性第2塗料(Y−1)を下記表3に示した水性第2塗料(Y−1)又は(Y−2)とする以外は、実施例23と同様にして試験板を作製した。
実施例46
前記試験用被塗物に、前記実施例1で得た水性塗料組成物(X−1)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、硬化膜厚25μmとなるように静電塗装し、2分間放置後、80℃で3分間プレヒートを行なった。次いで、該未硬化の第1塗膜上に製造例40で得た水性第2塗料(Y−3)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、硬化膜厚35μmとなるように静電塗装し、2分間放置後、80℃で3分間プレヒートを行なった後、140℃で30分間加熱して、上記第1塗膜及び第2塗膜を同時に硬化させることにより試験板を作製した。
実施例47〜67、比較例17〜24
実施例46において、実施例1で得た水性塗料組成物(X−1)を、下記表7に示した水性塗料組成物(X−2)〜(X−30)のいずれかとする以外は、実施例46と同様にして試験板を作製した。
評価試験
上記実施例23〜67及び比較例9〜24で得られた各試験板について、下記の試験方法により評価を行なった。評価結果を下記表6及び表7に示す。
(試験方法)
平滑性:Wave Scan(商品名、BYK Gardner社製)によって測定されるLong Wave(LW)値を用いて評価した。Long Wave(LW)値が小さいほど塗面の平滑性が高いことを示す。
鮮映性:上記Wave Scanによって測定されるShort Wave(SW)値を用いて評価した。Short Wave(SW)値が小さいほど塗面の鮮映性が高いことを示す。
フリップフロップ性:角度を変えて各試験板を目視し、下記基準でフリップフロップ性を評価した。
A:目視の角度によるメタリック感の変化が顕著であり、極めて優れたフリップフロップ性を有する。
B:目視の角度によるメタリック感の変化が大きく、フリップフロップ性に優れる。
C:目視の角度によるメタリック感の変化がやや小さく、フリップフロップ性がやや劣る。
D:目視の角度によるメタリック感の変化が小さく、フリップフロップ性が劣る。
メタリックムラ:各試験板を目視にて観察し、メタリックムラの発生程度を下記基準で評価した。
A:メタリックムラがほとんど認められず、極めて優れた塗膜外観を有する。
B:メタリックムラがわずかに認められるが、優れた塗膜外観を有する。
C:メタリックムラが認められ、塗膜外観がやや劣る。
D:メタリックムラが多く認められ、塗膜外観が劣る。
耐水性:試験板を40℃の温水に240時間浸漬し、引き上げ、20℃で12時間乾燥した後、試験板の複層塗膜を素地に達するようにカッターで格子状に切り込み、大きさ2mm×2mmのゴバン目を100個作る。続いて、その表面に粘着セロハンテープを貼着し、20℃においてそのテープを急激に剥離した後のゴバン目塗膜の残存状態を調べた。
A:ゴバン目塗膜が100個残存し、カッターの切り込みの縁において塗膜の小さなフチカケが生じていない。
B:ゴバン目塗膜が100個残存するが、カッターの切り込みの縁において塗膜の小さなフチカケが生じている。
C:ゴバン目塗膜が90〜99個残存する。
D:ゴバン目塗膜の残存数が89個以下である。
高温耐水性:試験板を80℃の温水に12時間浸漬し、引き上げ、20℃で12時間乾燥した後、試験板の複層塗膜を素地に達するようにカッターで格子状に切り込み、大きさ2mm×2mmのゴバン目を100個作る。続いて、その表面に粘着セロハンテープを貼着し、20℃においてそのテープを急激に剥離した後のゴバン目塗膜の残存状態を調べた。
A:ゴバン目塗膜が100個残存し、カッターの切り込みの縁において塗膜の小さなフチカケが生じていない。
B:ゴバン目塗膜が100個残存するが、カッターの切り込みの縁において塗膜の小さなフチカケが生じている。
C:ゴバン目塗膜が90〜99個残存する。
D:ゴバン目塗膜の残存数が89個以下である。
Figure 2009145223
Figure 2009145223
塗膜形成方法2
前記実施例1〜22及び比較例1〜8で得た水性塗料組成物(X−1)〜(X−30)を用いて、以下のようにしてそれぞれ試験板を作製し、評価試験を行なった。
実施例68
上記試験用被塗物に、前記実施例1で得た水性塗料組成物(X−1)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、硬化膜厚25μmとなるように静電塗装し、2分間放置後、80℃で3分間プレヒートを行なった。次いで、140℃で30分間加熱して、塗膜を硬化させることにより試験板を作製した。
実施例69〜89、比較例25〜32
実施例68において、実施例1で得た水性塗料組成物(X−1)を、下記表8に示した水性塗料組成物(X−2)〜(X−30)のいずれかとする以外は、実施例68と同様にして試験板を作製した。
塗膜評価試験
上記実施例68〜89及び比較例25〜32で得られた各試験板について、下記の試験方法により評価を行なった。評価結果を下記表8に示す。
(試験方法)
平滑性:Wave Scan(商品名、BYK Gardner社製)によって測定されるLong Wave(LW)値を用いて評価した。Long Wave(LW)値が小さいほど塗面の平滑性が高いことを示す。
耐水性:試験板を80℃の温水に12時間浸漬し、引き上げ、20℃で12時間乾燥した後、試験板の塗膜を素地に達するようにカッターで格子状に切り込み、大きさ2mm×2mmのゴバン目を100個作る。続いて、その表面に粘着セロハンテープを貼着し、20℃においてそのテープを急激に剥離した後のゴバン目塗膜の残存状態を調べた。
A:ゴバン目塗膜が100個残存し、カッターの切り込みの縁において塗膜の小さなフチカケが生じていない
B:ゴバン目塗膜が100個残存するが、カッターの切り込みの縁において塗膜の小さなフチカケが生じている
C:ゴバン目塗膜が90〜99個残存する
D:ゴバン目塗膜の残存数が89個以下である。
耐タレ性評価試験
タレ限界膜厚:前記試験用被塗物について、下端から5cmのところに横一列に2cm間隔で直径5mmの穴をあけた後、この試験用被塗物に上記水性塗料組成物を、それぞれ、硬化膜厚20μmから70μmの範囲内の硬化膜厚が得られるよう左右方向に傾斜をつけて塗装した。塗装終了後、塗板を垂直に立てた状態で、2分間放置し、次いで、80℃で3分間プレヒートを行なった後、140℃で30分間加熱することにより試験板を作製した。得られた試験板について、穴の下端からの塗膜のタレ跡を目視で観察し、穴の下端からのタレ跡の長さが5mm以上となったところの硬化膜厚(μm)をタレ限界膜厚とした。タレ限界膜厚が厚いほど、たれにくい塗料であることを示す。
Figure 2009145223

Claims (9)

  1. 3級アミノ基含有重合性不飽和モノマー(a−1)1〜50質量%及びその他の重合性不飽和モノマー(a−2)50〜99質量%からなるモノマー混合物(I)を、アンモニウム塩型のアニオン性乳化剤(b)の存在下で、水性媒体中に平均粒子径が500nm以下となるように微分散させてなる乳化物を重合して得られる水分散性アクリル樹脂(A)、及び
    カルボキシル基含有樹脂(B)
    を含有することを特徴とする水性塗料組成物。
  2. 3級アミノ基含有重合性不飽和モノマー(a−1)が、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート及び3級アミノ基を有するマクロモノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種の重合性不飽和モノマーである請求項1に記載の水性塗料組成物。
  3. アンモニウム塩型のアニオン性乳化剤(b)が、ポリオキシエチレン基を有する硫酸エステルアンモニウム塩である請求項1に記載の水性塗料組成物。
  4. 請求項1に記載の水性塗料組成物が塗装された物品。
  5. 被塗物上に、請求項1に記載の水性塗料組成物を塗装して第1塗膜を形成し、得られた未硬化の第1塗膜上に水性第2塗料(Y)を塗装して第2塗膜を形成することを特徴とする複層塗膜形成方法。
  6. 水性第2塗料(Y)を塗装した後、該第1塗膜及び第2塗膜を同時に加熱硬化させる請求項5に記載の複層塗膜形成方法。
  7. 水性第2塗料(Y)が、光輝性顔料(E3)を含有することを特徴とする請求項5に記載の複層塗膜形成方法。
  8. 被塗物が、電着塗料によって下塗り塗膜が形成された車体である請求項5に記載の複層塗膜形成方法。
  9. 請求項5に記載の複層塗膜形成方法により塗装された物品。
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