JPWO2009119728A1 - 糸状菌由来フラビンアデニンジヌクレオチド依存性グルコースデヒドロゲナーゼ(fadgdh) - Google Patents

糸状菌由来フラビンアデニンジヌクレオチド依存性グルコースデヒドロゲナーゼ(fadgdh) Download PDF

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Abstract

【課題】公知の血糖センサ用酵素と比較して、さらに実用面において有利な血糖値測定用試薬に使用可能な酵素を提供すること。【解決手段】熱安定性が向上した及びpH安定域の増大したFADGDHであって、好ましくは真核生物由来、さらに好ましくは糸状菌由来、さらに好ましくはAspergillus属菌由来のFADGDHである。そしてさらに好ましくはそれらの改変体である。【選択図】なし

Description

本発明は、糸状菌由来グルコースデヒドロゲナーゼに関するものである。また、本発明は、フラビンアデニンジヌクレオチドを補酵素とするFAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼ、該グルコースデヒドロゲナーゼの製造方法、及び、該グルコースデヒドロゲナーゼを用いたグルコースセンサーに関するものである。
本明細書で用いている略号について以下に解説する。
本明細書では、グルコースデヒドロゲナーゼをGDHと記載する。また、フラビンアデニンジヌクレオチドをFADと記載する。また、FAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼをFADGDHと記載する。
本明細書ではピロロキノリンキノンをPQQと記載する。また、PQQ依存型グルコースデヒドロゲナーゼをPQQGDHと記載する。また、NAD(P)依存型グルコースデヒドロゲナーゼをNAD(P)GDHと記載する。
血糖自己測定は、糖尿病患者が通常の自分の血糖値を把握し治療に生かすために重要である。血糖自己測定に用いられるセンサには、グルコースを基質とする酵素が利用されている。そのような酵素の例としては例えばグルコースオキシダーゼ(EC 1.1.3.4)が挙げられる。
グルコースオキシダーゼは、血糖センサ用酵素として古くから利用されており、その最初の発表は実に40年ほど前に遡る。その理由は、グルコースに対する特異性が高く、熱安定性に優れているという利点を有しているからである。
グルコースオキシダーゼを利用した血糖センサにおいて、グルコースの測定は、グルコースを酸化してD−グルコノ−δ−ラクトンに変換する過程で生じる電子がメディエーターを介して電極に渡されることによってなされる。しかし、該測定において、溶存酸素が測定値に影響してしまうという問題があった。その理由は、グルコースオキシダーゼは反応で生じたプロトンを酸素に渡しやすいためである。
このような問題を回避するために、例えばNAD(P)GDH(EC 1.1.1.47)あるいはPQQGDH(EC1.1.5.2(旧EC1.1.99.17))が血糖センサ用酵素として用いられている。これらは、溶存酸素の影響を受けない点で優位である。
しかし、前者のNAD(P)GDHには、安定性が乏しい、あるいは、補酵素の添加が必要であり煩雑である、という欠点がある。一方、後者のPQQGDHには、基質特異性に乏しい、あるいは、マルトースやラクトースといったグルコース以外の糖類にも作用するため測定値の正確性を損ねてしまう、という欠点がある。
そこで、FADGDHが注目されてきている。その理由は、FADGDHが、溶存酸素の影響を受けず、補酵素の添加も必要なく、そして、基質特異性にも優れているからである。
非特許文献1〜4、特許文献1〜3には、アスペルギルス・オリゼ由来のFADGDHについて報告されている。
特許文献4には、アスペルギルス属由来FADGDHが開示されている。本酵素は基質特異性に優れかつ溶存酸素の影響を受けない点で優位である。該FADGDHの熱安定性については、該FADGDHの活性残存率は50℃、15分処理後で89%程度である。該FADGDHは、安定性についても優れているとされている。
特開2007−289148 WO2007/139013 WO2008/001903 WO2004/058958 Biochim Biophys Acta.1967 Jul 11;139(2):265−76 Biochim Biophys Acta.1967 Jul 11;139(2):277−93 Biochim Biophys Acta.146(2):317−27 Biochim Biophys Acta.146(2):328−35
本発明の目的は、上述のような公知の血糖センサ用酵素と比較して、さらに実用面において有利な、血糖値測定用試薬に使用可能な酵素を提供することである。
発明者らは、該酵素を遺伝子組み換えにより生産することを視野において、酵素の安定供給という観点から先行技術を再検討した。
その結果、意外にも、大腸菌で発現させて取得したFADGDH組換え体は、熱安定性が野生株から培養・精製して得られた酵素と比べて大きく劣ることが判明した。
例えば、発明者らが後述の方法によりアスペルギルス・オリゼから取得したFADGDHは、50℃・15分処理後、約77%の活性を維持していたが、大腸菌で発現させて取得したFADGDH組換え体の熱安定性は、50℃・15分処理後、約13%しか維持できない程度であった。
発明者らは、熱安定性が低下した理由を、大腸菌を宿主として遺伝子組み換えにより生産された酵素には、表面に多糖が付加されていないからであると考えた。
酵素を用いる血糖センサ用チップの作製工程においては、作製者が酵素に加熱乾燥処理を施す場合がある。加熱乾燥可能なレベルとは、50℃、15分処理後の残存活性が20%以上存在する状態であり、好ましくは40%以上の残存活性が存在する状態であり、更に好ましくは、60%以上の残存活性が存在する状態である。
そのような工程において、大腸菌を遺伝子組換え宿主として利用して製造した酵素を用いる場合には、大幅な熱失活をおこす危険性があるため、発明者らは、該酵素の熱安定性を向上させる必要があると考えた。
そこで発明者らは、例えば大腸菌を遺伝子組換え宿主として用いてFADGDHを製造した場合のように表面に多糖が付加されていなくても、十分な熱安定性を有し、より実用面において有利な、血糖値測定用試薬に使用可能な酵素を提供することを目的に、さらに検討を重ねた。
その結果、発明者らは、アスペルギルス・オリゼ株由来のFADGDHのアミノ酸配列を適宜改変することにより、熱安定性に関する欠点を克服して、より実用面において有利な血糖値測定用試薬に使用可能な酵素を提供することができた。
さらに、アスペルギルス・オリゼ株を宿主として、該遺伝子を発現させた場合には、改変前にくらべてさらに安定性の高い酵素を提供することができることを見出した。
すなわち本発明は以下の通りである。
[項1]以下の(a)〜(c)のいずれかで表される遺伝子。
(a)「配列番号45において184位および/または572位の変異を含むアミノ酸配列からなるタンパク質」をコードするDNA
(b)「配列番号45において184位および/または572位の変異を含むアミノ酸配列からなるタンパク質において、さらに、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加(挿入)されたアミノ酸配列からなり、かつグルコースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質」をコードするDNA
(c)「(a)または(b)のDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつグルコースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質」をコードするDNA
[項2]以下の(d)〜(f)のいずれかで表される遺伝子。
(d)「配列番号45において184位および/または572位の変異を含むアミノ酸配列から、シグナル配列部分の一部または全部が欠失したアミノ酸配列からなり、かつグルコースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質」をコードするDNA
(e)「配列番号45において184位および/または572位の変異を含むアミノ酸配列から、シグナル配列部分の一部または全部が欠失したアミノ酸配列からなるタンパク質において、さらに、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加(挿入)されたアミノ酸配列からなり、かつグルコースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質」をコードするDNA
(f)(d)または(e)のDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつグルコースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA
[項3]項1または2に記載の遺伝子を含む、組換えベクター。
[項4]項3に記載の組換えベクターにより形質転換された、形質転換体。
[項5]宿主がアスペルギルス・オリゼである、項4に記載の形質転換体。
[項6]宿主がアスペルギルス・オリゼNS4株である、項5に記載の形質転換体。
[項7]項4〜6のいずれかに記載の形質転換体を、栄養培地を用いて培養し、グルコースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質を採取することを特徴とする、グルコースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質を製造する方法。
[項8]項7に記載の方法により製造された、グルコースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質。
[項9]項8に記載のタンパク質を含む、グルコースアッセイキット。
[項10]項8に記載のタンパク質を含む、グルコースセンサー。
[項11]項8に記載のタンパク質を用いる、グルコース測定法。
なお、これまでPQQGDHの安定性を向上する方策に関する報告としては、WO02/072839があり、その中では遺伝子レベルでの改変手段を用いた検討が報告されているが、FADGDHについては、遺伝子レベルでの改変が行われたとの報告はなかった。
本発明によるFADGDHの安定性の向上は、グルコース測定試薬、グルコースアッセイキット及びグルコースセンサ作製時の酵素の熱失活を低減して、該酵素の使用量低減や測定精度の向上を可能にする。
本発明の遺伝子
本発明の実施形態の1つは、以下の(a)〜(c)のいずれかで表される遺伝子である。
(a)「配列番号45において184位および/または572位の変異を含むアミノ酸配列からなるタンパク質」をコードするDNA
(b)「配列番号45において184位および/または572位の変異を含むアミノ酸配列からなるタンパク質において、さらに、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加(挿入)されたアミノ酸配列からなり、かつグルコースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質」をコードするDNA
(c)「(a)または(b)のDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつグルコースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質」をコードするDNA
配列番号45は、「野生型のアスペルギルス・オリゼ由来のFADGDHのアミノ酸配列」であって、シグナル配列を含む。
シグナル配列は、アスペルギルス等の真核生物によるタンパク質分子の生合成の過程において、細胞内で生合成されたタンパク質を、適切な場所に輸送するために不可欠な構造である。
シグナル配列部分は、例えば配列番号45のような「シグナル配列を含むアミノ酸配列」をコードする遺伝子の情報に基づいて、いったんは合成されるが、最終的にはその役割を終えたのち切除される。
以下、本発明の遺伝子に関連して、次の順序で説明する。
(1)配列番号45で示される野生型のアスペルギルス・オリゼ由来のFADGDH、およびそれをコードする遺伝子の入手
(2)野生型アスペルギルス・オリゼ株由来のFADGDHのアミノ酸配列を改変した改変型のFADGDHの獲得(配列番号45で示されるFADGDHにおいて184位および/または572位の変異を含むアミノ酸配列からなるタンパク質等の獲得)、およびそれらをコードする遺伝子の入手
(1)配列番号45で示される野生型のアスペルギルス・オリゼ由来のFADGDH、および、それをコードする遺伝子の入手
配列番号45で示される野生型のアスペルギルス・オリゼ由来のFADGDH、およびそれらをコードする遺伝子は、以下の方法により入手した。

本発明者らは、National Center for Biotechnology Information(以下NCBIと表記)のデータベースを利用し、アスペルギルス・オリゼ由来のグルコースデヒドロゲナーゼ遺伝子を推定、取得し、該遺伝子を用いた遺伝子組換え体よりアスペルギルス・オリゼ由来のグルコースデヒドロゲナーゼを取得できることを見出した。
アスペルギルス・オリゼ由来GDH遺伝子を取得するために、自社保有のアスペルギルス・オリゼTI株の培養上清から、各種クロマトグラフィーを用いてGDHの精製を試みたが、高純度のGDHを得るのは困難であり、遺伝子取得の常法の1つである部分アミノ酸配列を利用したクローニングは断念せざるを得なくなった。しかしながら、我々はPenicillium lilacinoechinulatum NBRC6231株がGDHを生産することを見出し、精製酵素を用いて部分アミノ酸配列の決定に成功した。ついで、決定したアミノ酸配列を元に、PCR法により、P.lilacinoechinulatum NBRC6231由来GDH遺伝子を一部取得し、塩基配列を決定した(1356bp)。最終的に、この塩基配列を元に、アスペルギルス・オリゼGDH遺伝子を推定、取得した。
その概要を以下の<実験例1><実験例2>に示す。
<実験例1>、
[アスペルギルス・オリゼ由来グルコースデヒドロゲナーゼ遺伝子の推定]
本明細書では、アスペルギルス・オリゼ由来グルコースデヒドロゲナーゼをAOGDHと記載する。

[1]アスペルギルス・オリゼ由来GDHの取得
アスペルギルス・オリゼTI株のL乾燥菌株をポテトデキストロース寒天培地(Difco製)に植菌し25℃でインキュベートすることにより復元した。復元させたプレート上の菌糸を寒天ごと回収してフィルター滅菌水に懸濁した。2基の10L容ジャーファーメンター中に生産培地(1%麦芽エキス、1.5%大豆ペプチド、0.1%MgSO4・7水和物、2%グルコース、pH6.5)6Lを調製し、120℃15分オートクレーブ滅菌して放冷した後、上記の菌糸懸濁液を接種し、30℃、通気攪拌培養を行った。培養開始から64時間後に培養を停止し、菌糸体を濾過により除去してGDH活性を含む濾過液を回収した。回収した上清を限外ろ過膜(分子量10,000カット)により低分子物質を除去した。次いで、硫酸アンモニウムを60%飽和度となるように添加、溶解し、硫安分画を行い、遠心機によりGDHを含む上清画分を回収後、Octyl−Sepharoseカラムに吸着させ、硫酸アンモニウム飽和度60%〜0%でグラジエント溶出してGDH活性のある画分を回収した。得られたGDH溶液を、G−25−Sepharoseカラムを用いて脱塩を行った後、60%飽和度の硫酸アンモニウムを添加、溶解し、これをPhenyl−Sepharoseカラムに吸着させ、硫酸アンモニウム飽和度60%〜0%でグラジエント溶出してGDH活性のある画分を回収した。更にこれを50℃で45分加温した後、遠心分離を行って上清を得た。以上の工程を経て得られた溶液を精製GDH標品(AOGDH)とした。尚、上記精製過程においては、緩衝液として20mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.5)を使用した。さらに、AOGDHの部分アミノ酸配列を決定するため、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィーなどの各種手段により精製を試みたものの、部分アミノ酸配列決定に供することのできる高純度の精製標品を得ることはできなかった。
[2]ペニシリウム属糸状菌由来GDHの取得
ペニシリウム属糸状菌由来のGDH生産菌としてPenicillium lilacinoechinulatum NBRC6231を用い、上記アスペルギルス・オリゼTI株と同用の手順に従って、培養および精製を行い、SDS電気泳動でほぼ均一な精製標品を取得した。

[cDNAの作製]
Penicillium lilacinoechinulatum NBRC6231について上記方法に従い(ただしジャーファーメンターでの培養時間は24時間)培養を実施し、濾紙濾過により菌糸体を回収した。得られた菌糸は直ちに液体窒素中に入れて凍結させ、クールミル(東洋紡社製)を用いて菌糸を粉砕した。粉砕菌体より直ちにセパゾールRNA I(ナカライテスク社製)を用いて本キットのプロトコールに従ってトータルRNAを抽出した。得られたトータルRNAからはOrigotex−dt30(第一化学薬品社製)をもちいてmRNAを精製し、これをテンプレートにReverTra−Plus−TM(東洋紡社製)を用いてRT−PCRを行った。得られた産物はアガロース電気泳動を行い、鎖長0.5〜4.0kbに相当する部分を切り出した。切り出したゲル断片からMagExtractor−PCR&Gel Clean Up−(東洋紡社製)を用いてcDNAを抽出・精製してcDNAサンプルとした。

[GDH遺伝子部分配列の決定]
上記で精製したNBRC6231由来GDHを0.1%SDS、10%グリセロールを含有するTris−HClバッファー(pH6.8)に溶解し、ここにGlu特異的V8エンドプロテアーゼを終濃度10μg/mlとなるよう添加し37℃16時間インキュベートすることで部分分解を行った。このサンプルをアクリルアミド濃度16%のゲルを用いて電気泳動してペプチドを分離した。このゲル中に存在するペプチド分子を、ブロット用バッファー(1.4%グリシン、0.3%トリス、20%エタノール)を用いてセミドライ法によりPVDF膜に転写した。PVDF膜上に転写したペプチドはCBB染色キット(PIERCE社製GelCode Blue Stain Reagent)を用いて染色し、可視化されたペプチド断片のバンド部分2箇所を切り取ってペプチドシーケンサーにより内部アミノ酸配列の解析を行った。得られたアミノ酸配列はIGGVVDTSLKVYGT(配列番号37)およびWGGGTKQTVRAGKALGGTST(配列番号38)であった。この配列を元にミックス塩基を含有するディジェネレートプライマーを作製し、NBRC6231由来cDNAをテンプレートにPCRを実施したところ増幅産物が得られ、アガロースゲル電気泳動により確認したところ1.4kb程度のシングルバンドであった。このバンドを切り出して東洋紡製MagExtractor−PCR&Gel Clean Up−を用いて抽出・精製した。精製DNA断片はTArget Clone −Plus−(東洋紡社製)によりTAクローニングし、得られたベクターで大腸菌JM109コンピテントセル(東洋紡社製)をヒートショックにより形質転換した。形質転換クローンのうち青白判定でインサート挿入が確認されたコロニーについてMagExtractor−Plasmid−(東洋紡社製)を用いてプラスミドをミニプレップ抽出・精製し、プラスミド配列特異的プライマーを用いてインサートの塩基配列を決定した(1356bp)。

[AOGDH遺伝子の推定]
決定した塩基配列を元に「NCBI BLAST」のホームページ(http://www.ncbi.nlm. nih.gov/BLAST/)からホモロジー検索を実施し、AOGDH遺伝子を推定した。検索により推定したAOGDHとP.lilacinoechinulatum NBRC6231由来GDH部分配列とのアミノ酸レベルでの相同性は49%であった。
<実験例2>
[アスペルギルス・オリゼ由来グルコースデヒドロゲナーゼ遺伝子の取得、大腸菌への導入]
AOGDH遺伝子を取得するために、アスペルギルス・オリゼTI株の菌体よりmRNAを調製し、cDNAを合成した。配列番号39、40に示す2種類のオリゴDNAを合成し、調製したcDNAをテンプレートとしてKOD Plus DNAポリメラーゼ(東洋紡社製)を用いてAOGDH遺伝子を増幅した。DNA断片を制限酵素NdeI、BamHIで処理し、pBluescript(LacZの翻訳開始コドンatgに合わせNdeI認識配列のatgを合わせる形でNdeIサイトを導入したもの)NdeI−BamHIサイトに挿入し、組換えプラスミド(pAOGDH)を構築した。この組換えプラスミドを用いて、エシェリヒア・コリーDH5α(東洋紡社製)を形質転換した。形質転換体より、常法に従いプラスミドを抽出し、AOGDH遺伝子の塩基配列の決定を行った(配列番号41)。この結果、cDNA配列から推定されるアミノ酸残基は593アミノ酸(配列番号45)からなることが明らかとなった。RIB40株から予想されるGDHは588アミノ酸でありTI株 GDHとアミノ酸残基数が異なることが示唆された。なお、該遺伝子については、TI株ゲノムDNAを用いて配列を確認し、遺伝子隣接領域についてもRACE法を用いて確認を行った。また、PCR法を用いて、RIB40株に基づくDNA配列をもつ組換えプラスミドを構築し、同様に形質転換体を取得した。これら形質転換体を100μg/mlのアンピシリンを含む液体培地(Terrific broth)200ml中で、30℃、16時間振とう培養を行った。菌体破砕液についてGDH活性を確認したところ、RIB40株由来GDHの配列を有する形質転換体ではGDH活性が確認できなかったが、TI株由来GDHの配列を有する形質転換体については菌体内に培養液1ml当たり8.0UのGDH活性が得られた。尚、実施例1で実施したアスペルギルス・オリゼTI株の培養上清のGDH活性は、0.2U/mlであった。
(2)野生型アスペルギルス・オリゼ株由来のFADGDHのアミノ酸配列を改変した改変型のFADGDHの獲得、およびそれらをコードする遺伝子の入手
次に、野生型のアスペルギルス・オリゼ由来のFADGDHを、以下の方法により改変した。
その概要を以下の<実験例3>に示す。
<実験例3>
[アスペルギルス・オリゼ由来グルコースデヒドロゲナーゼ遺伝子の大腸菌への導入]

[1]シグナルペプチドの削除
シグナルペプチド切断後のFADGDHをmFADGDHとした場合、mFADGDHのN末端にMのみ付加してmFADGDHのN末端が1アミノ酸分のびた形態となっているものをS2と表現した。ここで、S2は配列番号2のアミノ酸配列を有する。
S2では、配列番号43のオリゴヌクレオチドをN末端側プライマーとして、配列番号44のプライマーとの組合せでPCRを行い、同様手順にて、S2をコードするDNA配
列をもつ組換えプラスミドを構築し、同様に形質転換体を取得した。
なお、この改変型FADGDHをコードするDNA配列は、DNAシーケンシングにて配列上誤りがないことを確かめた。
この形質転換体をTB培地にて10L−ジャーファーメンターを用いて1〜2日間液体培養した。各培養フェーズの菌体を集菌した後、超音波破砕してGDH活性を確認した。シグナルペプチドと思われるアミノ酸配列を削除することにより、そのGDH生産性が増大した。
[2]FADGDHのアミノ酸配列の改変
本発明の改変型FADGDHを取得する方法は、特に限定されるものではないが、上記[1]で得た、配列番号2(「配列番号45においてシグナル配列部分の一部または全部が欠失したアミノ酸配列からなり、かつグルコースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質」の一例)のアミノ酸配列をコードするDNA配列をもつ組換えプラスミドを用いて、後述のいずれかの位置においてアミノ酸置換を行う方法が例示される。
FADGDHを構成するアミノ酸配列を改変する方法としては、通常行われる遺伝情報を改変する手法が用いられる。すなわち、タンパク質の遺伝情報を有するDNAの特定の塩基を変換することにより、或いは特定の塩基を挿入または欠失させることにより、改変タンパク質の遺伝情報を有するDNAが作成される。DNA中の塩基配列を変換する具体的な方法としては、例えば市販のキット(Transformer Mutagenesis Kit;Clonetech社, EXOIII/Mung Bean Deletion Kit;Stratagene製, Quick Change Site Directed Mutagenesis Kit;Stratagene製など)の使用、或いはポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)の利用が挙げられる。
発明者らは、このようにして、「配列番号45において184位および/または572位の変異を含むアミノ酸配列からなるタンパク質」を含む種々の改変型FADGDHを獲得した。
[3]改変型FADGDHを製造する方法
本願発明の別の実施形態は、上記で得られた改変型FADGDHをコードする遺伝子を含む組換えベクター、該組換えベクターにより形質転換された形質転換体、該形質転換体を栄養培地を用いて培養し、グルコースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質を採取することを特徴とする、グルコースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質を製造する方法である。
アスペルギルス・オリゼ由来のFADGDHを改変した改変型FADGDHの製造法は、特に限定されないが、以下に示すような手順で製造することが可能である。
作製された改変型FADGDHの遺伝情報を有するDNAは、プラスミドベクターと連結された状態にて宿主微生物に移入される。
宿主細胞には、大腸菌、酵母、糸状菌、動物細胞、昆虫細胞など目的に応じて様々な細胞が用いられる。本発明の遺伝子はアスペルギルス・オリゼ由来のFADGDHを改変した改変型FADGDHをコードするものであるから、それを発現させるための宿主としては、アスペルギルス・オリゼが好ましく、中でもアスペルギルス・オリゼNS4株が好ましい。あるいは、製造が容易であるとの観点から、大腸菌(エシェリヒア・コリー)の宿主−ベクター系を用いることも好ましい選択である。
宿主微生物に組み換えベクターを移入する方法としては、例えば宿主微生物がエシェリヒア・コリーに属する場合には、カルシウムイオンの存在下で組み換えDNAの移入を行う方法などを採用することができる、更にエレクトロポレーション法を用いても良い。糸状菌の場合にはプロトプラスト化された細胞等が用いられる。
こうして得られた形質転換体である微生物は、栄養培地で培養されることにより、多量のFADGDHを安定して生産し得る。形質転換体である宿主微生物の培養形態は宿主の栄養生理的性質を考慮して培養条件を選択すればよく、通常多くの場合は液体培養で行うが、工業的には通気攪拌培養を行うのが有利である。培地の栄養源としては微生物の培養に通常用いられるものが広く使用される。炭素源としては資化可能な炭素化合物であればよく、例えば、グルコース、シュークロース、ラクトース、マルトース、糖蜜、ピルビン酸などが使用される。窒素源としては利用可能な窒素化合物であればよく、例えばペプトン、肉エキス、酵母エキス、カゼイン加水分解物、大豆粕アルカリ分解物などが使用される。その他、リン酸塩、炭酸塩、硫酸塩、マグネシウム、カルシウム、カリウム、鉄、マンガン、亜鉛などの塩類、特定のアミノ酸、特定のビタミンなどが必要に応じて使用される。培地温度は菌が発育し、FADGDHを生産する範囲で適宜変更し得るが、エシェリヒア・コリーの場合、好ましくは20〜42℃程度である。アスペルギルス・オリゼ株の場合は、好ましくは20〜40℃程度である。培養温度は条件によって多少異なるが、FADGDHが最高収量に達する時期を見計らって適当時期に培養を終了すればよく、通常は6〜72時間程度である。培地pHは菌が発育し改変体タンパク質を生産する範囲で適宜変更しうるが、特に好ましくはpH5.0〜9.0程度である。
培養物中のFADGDHを生産する菌体を含む培養液をそのまま採取し利用することもできるが、一般には常法に従ってFADGDHが培養液中に存在する場合は、濾過、遠心分離などにより、タンパク質の含有溶液と微生物菌体とを分離した後に利用される。タンパク質が菌体内に存在する場合には得られた培養物から濾過または遠心分離などの手法により菌体を採取し、次いでこの菌体を機械的方法またはリゾチームなどの酵素的方法で破壊し、また必要に応じてEDTA等のキレート剤及びまたは界面活性剤を添加してFADGDHを可溶化し、水溶液として分離採取する。
このようにして得られたFADGDH含有溶液を、例えば、減圧濃縮、膜濃縮、さらに、硫酸アンモニム、硫酸ナトリウムなどの塩析処理、或いは親水性有機溶媒、例えばメタノール、エタノール、アセトンなどによる分別沈殿法により沈殿せしめればよい。また、加温処理や等電点処理も有効な精製手段である。吸着剤或いはゲル濾過剤などによるゲル濾過、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーにより、精製されたFADGDHを得ることができる。
本発明の遺伝子の、別の形態
なお、本発明は、請求項1および/または請求項2における「配列番号45において変異を含むアミノ酸配列」に関し、請求項に記載されたアミノ酸配列以外に、次の(1)〜(3)のいずれかの形態をとりうる。
また、本発明は、請求項1および/または請求項2における「配列番号45において変異を含むアミノ酸配列」に関し、請求項に記載されたアミノ酸配列にさらに次の(1)〜(3)のいずれかの変異を加えた形態をとりうる。
(1)配列番号45に記載されたアミノ酸配列を有するFAGDHにおいて少なくとも1つのアミノ酸が置換、欠失、挿入もしくは付加された一次構造を有する。
(2)配列番号45において、以下に示す群のうち少なくとも1つの位置においてアミノ酸置換を有する。
141位、181位、183位、184位、185位、186位、187位、188位、190位、191位、192位、193位、201位、350位、352位、390位、492位及び572位
(3)配列番号45において、アミノ酸置換が以下に示す群のうちいずれかである。
K141E、G181E、G181I、G181P、G181S、G181Q、S183A、S183C、S183D、S183E、S183F、S183H、S183L、S183P、G184D、G184K、G184L、G184R、S185F、S185T、S185Y、L186A、L186I、L186N、L186P、L186V、A187C、A187I、A187K、A187L、A187M、A187P、A187S、S188A、S188P、S188R、S188V、N190K、N190P、N190Y、N190W、L191C、L191F、S192I、S192K、S192M、S192Q、S192V、V193A、V193C、V193E、V193I、V193M、V193S、V193W、V193Y、A201G、V350Q、A352C、A352D、A352I、A352K、A352L、A352M、Q352V、K390R、K492R、V572A、V572C、V572T、V572Q、V572S、V572Y、(G181E+S188P)、(G181I+S188P)、(G181S+S188P)、(G181Q+S188P)、(S183A+S188P)、(S183C+S188P)、(S183D+S188P)、(S183D+S188P)、(S183E+S188P)、(S183F+S188P)、(S183H+S188P)、(S183L+S188P)、(G184D+S188P)、(S185F+S188P)、(S185T+S188P)、(S185Y+S188P)、(L186A+S188P)、(L186I+S188P)、(L186P+S192K)、(L186P+V572C)、(L186V+V572C)、(A187C+S188P)、( A187I+S188P)、(A187K+S188P)、(A187K+S188P)、(A187M+S188P)、(A187P+S188P)、(A187S+S188P)、(S188P+N190K)、(S188P+N190P)、(S188P+N190Y)、(S188P+N190W)、(S188P+L191C)、(S188P+L191F)、(S188P+S192I)、(S188P+S192K)、(S188P+S192M)、(S188P+S192Q)、(S188P+S192V)、(S188P+V193A)、(S188P+V193C)、(S188P+V193E)、(S188P+V193I)、(S188P+V193M)、(S188P+V193S)、(S188P+V193T)、(S188P+V193W)、(S188P+V193Y)、(S188P+V350Q)、(S188P+A352C)、(S188P+A352D)、(S188P+A352I)、(S188P+A352K)、(S188P+A352L)、(S188P+A352M)、(S188P+A352V)、(G184K+V572C)および(G184R+V572C)
なお、上記のアミノ酸置換の表現方法に関して、「K141E」は、141位のK(Lys)をE(Glu)に置換した改変型であることを意味する。また、置換箇所が複数ある場合は「+」でつないで併記する。たとえば「K141E+S188P」は、141位のK(Lys)をE(Glu)に、188位のS(Ser)をP(Pro)にそれぞれ置換した改変型であることを意味する。
本発明の遺伝子の、さらに別の形態
また、本発明の別の実施形態は、以下の(d)〜(f)のいずれかで表される遺伝子である。
(d)「配列番号45において184位および/または572位の変異を含むアミノ酸配列から、シグナル配列部分の一部または全部が欠失したアミノ酸配列からなり、かつグルコースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質」をコードするDNA
(e)「配列番号45において184位および/または572位の変異を含むアミノ酸配列から、シグナル配列部分の一部または全部が欠失したアミノ酸配列からなるタンパク質において、さらに、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加(挿入)されたアミノ酸配列からなり、かつグルコースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質」をコードするDNA
(f)(d)または(e)のDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつグルコースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA
「配列番号45においてシグナル配列部分の一部または全部が欠失したアミノ酸配列からなり、かつグルコースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質」の一例を、配列番号2に示す。
配列番号45と配列番号2の違いは、配列番号45がN末端側にシグナル配列を含むが、配列番号2ではシグナル配列部分の一部または全部が欠失している点であり、配列番号45のほうが21アミノ酸分長くなっているが、それ以外は同じである。
配列番号2においても、グルコースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードする部分の変異箇所は、上記に配列番号45で示したものと同様の形態をとりうる。配列番号2において、これらの変異は、変異箇所の位置をそれぞれ21ずつ減じた表記により示される。
特に、配列番号2における、G163L、G163R、S167P、V551A、V551C、V551Q、V551S、V551Y、(G160I+S167P)、(S162F+S167P)、(S167P+N169Y)、(S167P+L171I)、(S167P+L171K)、(S167P+L171V)、(S167P+V172I)、(S167P+V172W)、(G163K+V551C)、(G163R+V551C)のアミノ酸置換は、改変型FADGDHの熱安定性の向上に寄与する。
なお、本願発明は、他の種における上記と同等の位置においてアミノ酸置換を有するものを含む。
例えば、具体的に「配列番号2のアミノ酸配列と同等の位置」とは、配列番号2のアミノ酸配列と、配列番号2と高い相同性(好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上)のアミノ酸配列を有する他の種由来のFADGDHとを、相同性分析においてアラインさせた場合に、そのアラインメントにおける同一の位置を意味する。より好ましくはアスペルギルス・オリゼ由来のFADGDHとを、相同性分析においてアラインさせた場合に、そのアラインメントにおける同一の位置を意味する。
相同性分析は、遺伝情報処理ソフトウェアGENETYX(登録商標)(ゼネティクス社)を用いて行うことができる。
グルコースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質、グルコースアッセイキット、グルコースセンサーおよびグルコース測定法
本発明の別の実施形態は、上記の方法により製造されたグルコースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質、該タンパク質を含むグルコースアッセイキット、該タンパク質を含むグルコースセンサー、および/または、該タンパク質を用いるグルコース測定法である。
本発明のグルコースアッセイキットは、上記の方法により製造されたFADGDHを少なくとも1回のアッセイに十分な量で含む。典型的には、本発明のキットは、該FADGDHに加えて、アッセイに必要な緩衝液、メディエーター、キャリブレーションカーブ作製のためのグルコース標準溶液を含む。本発明のキットにおいて、該FADGDHは種々の形態で、例えば、凍結乾燥された試薬として、または適切な保存溶液中の溶液として提供することができる。
本発明のグルコースセンサーは、電極としては、カーボン電極、金電極、白金電極などを用い、この電極上に本発明の酵素を固定化する。固定化方法としては、架橋試薬を用いる方法、高分子マトリックス中に封入する方法、透析膜で被覆する方法、光架橋性ポリマー、導電性ポリマー、酸化還元ポリマーなどがあり、あるいはフェロセンあるいはその誘導体に代表される電子メディエーターとともにポリマー中に固定あるいは電極上に吸着固定してもよく、またこれらを組み合わせて用いてもよい。典型的には、グルタルアルデヒドを用いて、本発明のFADGDHをカーボン電極上に固定化した後、アミン基を有する試薬で処理してグルタルアルデヒドをブロッキングする。
グルコース濃度の測定は、以下のようにして行うことができる。恒温セルに緩衝液を入れ、一定温度に維持する。メディエーターとしては、フェリシアン化カリウム、フェナジンメトサルフェートなどを用いることができる。作用電極として本発明の改変型FADGDHを固定化した電極を用い、対極(例えば白金電極)および参照電極(例えばAg/AgCl電極)を用いる。カーボン電極に一定の電圧を印加して、電流が定常になった後、グルコースを含む試料を加えて電流の増加を測定する。標準濃度のグルコース溶液により作製したキャリブレーションカーブに従い、試料中のグルコース濃度を計算することができる。
FADGDHの活性測定法
本発明において、FAD依存型GDHの活性測定は以下の条件で行う。
[試験例]
<試薬>
50mM PIPES緩衝液pH6.5(0.1%TritonX−100を含む)
163mM PMS溶液
6.8mM 2,6−ジクロロフェノールインドフェノール(DCPIP)溶液
1M D−グルコース溶液
上記PIPES緩衝液15.6ml、DCPIP溶液0.2ml、D―グルコース溶液4mlを混合して反応試薬とする。
<測定条件>
反応試薬3mlを37℃で5分間予備加温する。GDH溶液0.1mlを添加しゆるやかに混和後、水を対照に37℃に制御された分光光度計で、600nmの吸光度変化を5分記録し、直線部分から1分間あたりの吸光度変化(ΔODTEST)を測定する。盲検はGDH溶液の代わりにGDHを溶解する溶媒を試薬混液に加えて同様に1分間あたりの吸光度変化(ΔODBLANK)を測定する。これらの値から次の式に従ってGDH活性を求める。ここでGDH活性における1単位(U)とは、濃度200mMのD−グルコース存在下で1分間に1マイクロモルのDCPIPを還元する酵素量として定義している。

活性(U/ml)=
{−(ΔODTEST−ΔODBLANK)×3.0×希釈倍率}/{16.3×0.1×1.0}

なお、式中の3.0は反応試薬+酵素溶液の液量(ml)、16.3は本活性測定条件におけるミリモル分子吸光係数(cm/マイクロモル)、0.1は酵素溶液の液量(ml)、1.0はセルの光路長(cm)を示す。
実施例1〜6に、大腸菌を宿主に用いて種々の改変型FADGDHを作製し、その熱安定性を評価した結果を示す。また、実施例7〜10、にアスペルギルス・オリゼを宿主に用いて改変型FADGDHを作製し、その熱安定性を評価した結果を示す。
実施例1:グルコース測定系を用いた改変型FADGDH熱安定性の検討
検討は、先述の試験例のFADGDH活性の測定方法に準じて行った。
まず、改変型FADGDHを約2U/mlになるように酵素希釈液(50mM リン酸カリウム緩衝液(pH5.5)、0.1% TritonX−100)にて溶解したものを50ml用意した。この酵素溶液を1.0mlとしたものを2本用意した。コントロールには、夫々の改変型FADGDH(各種化合物の代わりに蒸留水0.1mlを添加したものを2本用意した。
2本のうち、1本は4℃で保存し、もう1本は、50℃、15分間処理を施した。処理後、夫々のサンプルのFADGDH活性を測定した。各々、4℃で保存したものの酵素活性を100として、50℃、15分間処理後の活性値を比較して活性残存率(%)として算出した。
実施例2:FADGDH遺伝子への変異導入
シグナルペプチド切断型FADGDHをコードする遺伝子(配列番号1)を含む組み換えプラスミドpAOGDH−S2で市販の大腸菌コンピテントセル(E.coli DH5・;TOYOBO社製)を形質転換した後、形質転換体をアンピシリン(50μg/ml;ナカライテスク社製)を含んだ液体培地(1%ポリペプトン、0.5%酵母エキス、0.5%NaCl;pH7.3)を接種し、30℃で一晩振とう培養して得られた菌体から、常法によりプラスミドを調製した。該プラスミドを鋳型として用いDiversifyTM PCR Ramdom Mutagenesis Kit(Clontech社製)を用いた変異処理をそのプロトコールに従って実施し、グルコースデヒドロゲナーゼの生産能を有する、改変型FADGDH変異プラスミドを作製し、上記方法により同様にプラスミドを調製した。
実施例3:改変型FADGDHを含む粗酵素液の調製
実施例2で調製したプラスミドpAOGDH−S2で市販の大腸菌コンピテントセル(E.coli DH5・;TOYOBO社製)を形質転換した後、形質転換体をアンピシリンを含んだ寒天培地(1%ポリペプトン、0.5%酵母エキス、0.5%NaCl、1.5%寒天;pH7.3)に塗布した後、30℃で一晩振とう培養して得られたコロニーをさらにアンピシリン(100μg/ml)を含んだLB液体培地に接種し、30℃で一晩振とう培養した。その培養液の一部から遠心分離によって得られた菌体を回収し、50mMのリン酸緩衝液(pH7.0)中でガラスビーズで該菌体を破砕することにより粗酵素液を調製した。
実施例4:熱安定性が向上した変異体のスクリーニング
実施例3の粗酵素液を用いて、上述した活性測定法によりグルコースデヒドロゲナーゼ活性を測定した。また、同粗酵素液を50℃で15分間加熱処理した後、グルコースデヒドロゲナーゼ活性を測定し、3種の熱安定性の向上した変異体を取得した。これら3種の改変体をコードするプラスミドをpAOGDH−M1、pAOGDH−M2、pAOGDH−M3、pAOGDH−M4と命名した。
pAOGDH−M1、pAOGDH−M2、pAOGDH−M3、pAOGDH−M4の変異箇所を同定するためにDNAシークエンサー(ABI PRISMTM 3700DNA Analyzer;Perkin−Elmer製)でグルコースデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子の塩基配列を決定した結果、pAOGDH−M1で配列番号2記載の162番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M2では167番目のセリンがプロリンに471番目のリジンがアルギニン、pAOGDH−M3では180番目のアラニンがグリシンに551番目のバリンがアラニン、pAOGDH−M4では120番目のリジンがグルタミン酸に167番目のセリンがプロリンに369番目のリジンがアルギニンに置換されていることが確認された。結果を表1に示す。
Figure 2009119728
pAOGDH−S2のプラスミドを鋳型として、160番目のグリシンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号3の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、161番目のトリプトファンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号4の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、162番目のセリンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号5の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、163番目のグリシンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号6の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、164番目のセリンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号7の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、165番目のロイシンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号8の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、166番目のアラニンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号9の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、167番目のセリンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号10の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、168番目のグリシンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号11の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、169番目のアスパラギンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号12の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、170番目のロイシンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号13の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、171番目のセリンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号14の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、172番目のバリンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号15の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、329番目のバリンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号16の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、330番目のロイシンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号17の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、331番目のアラニンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号18の合成オリゴヌクレオチド、551番目のバリンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号19の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチドを基に、QuickChangeTM Site−Directed Mutagenesis Kit(STRATAGENE製)を用いて、そのプロトコールに従って、変異操作を行い、 グルコースデヒドロゲナーゼの生産能を有する、改変型FADGDH変異プラスミドを作製し、上記方法により同様にプラスミドを調製した。
上記プラスミドで市販の大腸菌コンピテントセル(E.coli DH5・;TOYOBO社製)を形質転換した後、実施例3と同様に粗酵素液を調製した。
上記の粗酵素液を用いて、上述した活性測定法によりグルコースデヒドロゲナーゼ活性を測定した。また、同粗酵素液を50℃で15分間加熱処理した後、グルコースデヒドロゲナーゼ活性を測定し、16種の熱安定性の向上した変異体を取得した。これら16種の改変体をコードするプラスミドを、pAOGDH−M4、pAOGDH−M5、pAOGDH−M6、pAOGDH−M7、pAOGDH−M8、pAOGDH−M9、pAOGDH−M10、pAOGDH−M11、pAOGDH−M12、pAOGDH−M13、pAOGDH−M14、pAOGDH−M15、pAOGDH−M16、pAOGDH−M17、pAOGDH−M18、pAOGDH−M19と命名した。
pAOGDH−M4、pAOGDH−M5、pAOGDH−M6、pAOGDH−M7、pAOGDH−M8、pAOGDH−M9、pAOGDH−M10、pAOGDH−M11、pAOGDH−M12、pAOGDH−M13、pAOGDH−M14、pAOGDH−M15、pAOGDH−M16 、pAOGDH−M17、pAOGDH−M18、pAOGDH−M19の変異箇所を同定するためにDNAシークエンサー(ABI PRISMTM 3700DNA Analyzer;Perkin−Elmer製)でグルコースデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子の塩基配列を決定した結果、pAOGDH−M5で配列番号2記載の160番目のグリシンがプロリン、pAOGDH−M6では163番目のグリシンがリジン、pAOGDH−M7では163番目のグリシンがロイシン、pAOGDH−M8では163番目のグリシンがアルギニン、pAOGDH−M9では167番目のセリンがアラニン、pAOGDH−M10では167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M11では167番目のセリンがアルギニン、pAOGDH−M12では167番目のセリンがバリン、pAOGDH−M13では171番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M14では551番目のバリンがアラニン、pAOGDH−M15では551番目のバリンがシステイン、pAOGDH−M16では551番目のバリンがスレオニン、pAOGDH−M17では551番目のバリンがグルタミン、pAOGDH−M18では551番目のバリンがセリン、pAOGDH−M19では551番目のバリンがチロシンに置換されていることが確認された。結果を表2に示す。
Figure 2009119728
実施例5;多重変異体の作製と熱安定性
pAOGDH−M10のプラスミドを鋳型として、160番目のグリシンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号20の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、161番目のトリプトファンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号21の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、162番目のセリンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号22の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、163番目のグリシンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号23の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、164番目のセリンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号24の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、165番目のロイシンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号25の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、166番目のアラニンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号26の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、168番目のグリシンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号27の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、169番目のアスパラギンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号28の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、170番目のロイシンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号29の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、171番目のセリンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号30の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、172番目のバリンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号31の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、329番目のバリンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号32の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、330番目のロイシンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号33の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、331番目のアラニンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号34の合成オリゴヌクレオチド、551番目のバリンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号35の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチドを基に、QuickChangeTM Site−Directed Mutagenesis Kit(STRATAGENE製)を用いて、そのプロトコールに従って、変異操作を行い、グルコースデヒドロゲナーゼの生産能を有する、改変型FADGDH変異プラスミドを作製し、上記方法により同様にプラスミドを調製した。
pAOGDH−M15のプラスミドを鋳型として、163番目のグリシンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号36の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチドを基に、QuickChangeTM Site−Directed Mutagenesis Kit(STRATAGENE製)を用いて、そのプロトコールに従って、変異操作を行い、グルコースデヒドロゲナーゼの生産能を有する、改変型FADGDH変異プラスミドを作製し、上記方法により同様にプラスミドを調製した。
上記プラスミドで市販の大腸菌コンピテントセル(E.coli DH5・;TOYOBO社製)を形質転換した後、実施例3と同様に粗酵素液を調製した。
上記の粗酵素液を用いて、上述した活性測定法によりグルコースデヒドロゲナーゼ活性を測定した。また、同粗酵素液を50℃で15分間加熱処理した後、グルコースデヒドロゲナーゼ活性を測定し、57種の熱安定性の向上した変異体を取得した。
これら57種の改変体をコードするプラスミドを、pAOGDH−M20、pAOGDH−M21、pAOGDH−M22、pAOGDH−M23、pAOGDH−M24、pAOGDH−M25、pAOGDH−M26、pAOGDH−M27、pAOGDH−M28、pAOGDH−M29、pAOGDH−M30、pAOGDH−M31、pAOGDH−M32、pAOGDH−M33、pAOGDH−M34、pAOGDH−M35、pAOGDH−M36、pAOGDH−M37、pAOGDH−M38、pAOGDH−M39 pAOGDH−M40、pAOGDH−M41、pAOGDH−M42、pAOGDH−M43、pAOGDH−M44、pAOGDH−M45、pAOGDH−M46、pAOGDH−M47、pAOGDH−M48、pAOGDH−M49、pAOGDH−M50、pAOGDH−M51、pAOGDH−M52、pAOGDH−M53、pAOGDH−M54、pAOGDH−M55、pAOGDH−M56、pAOGDH−M57、pAOGDH−M58、pAOGDH−M59、pAOGDH−M60、pAOGDH−M61、pAOGDH−M62、pAOGDH−M63、pAOGDH−M64、pAOGDH−M65、pAOGDH−M66、pAOGDH−M67、pAOGDH−M68、pAOGDH−M69、pAOGDH−M70、pAOGDH−M71、pAOGDH−M72、pAOGDH−M73、pAOGDH−M74、pAOGDH−M75、pAOGDH−M76と命名した。
pAOGDH−M20、pAOGDH−M21、pAOGDH−M22、pAOGDH−M23、pAOGDH−M24、pAOGDH−M25、pAOGDH−M26、pAOGDH−M27、pAOGDH−M28、pAOGDH−M29、pAOGDH−M30、pAOGDH−M31、pAOGDH−M32、pAOGDH−M33、pAOGDH−M34、pAOGDH−M35、pAOGDH−M36、pAOGDH−M37、pAOGDH−M38、pAOGDH−M39 pAOGDH−M40、pAOGDH−M41、pAOGDH−M42、pAOGDH−M43、pAOGDH−M44、pAOGDH−M45、pAOGDH−M46、pAOGDH−M47、pAOGDH−M48、pAOGDH−M49、pAOGDH−M50、pAOGDH−M51、pAOGDH−M52、pAOGDH−M53、pAOGDH−M54、pAOGDH−M55、pAOGDH−M56、pAOGDH−M57、pAOGDH−M58、pAOGDH−M59、pAOGDH−M60、pAOGDH−M61、pAOGDH−M62、pAOGDH−M63、pAOGDH−M64、pAOGDH−M65、pAOGDH−M66、pAOGDH−M67、pAOGDH−M68、pAOGDH−M69、pAOGDH−M70、pAOGDH−M71、pAOGDH−M72、pAOGDH−M73、pAOGDH−M74、pAOGDH−M75、pAOGDH−M76の変異箇所を同定するためにDNAシークエンサー(ABI PRISMTM 3700DNA Analyzer ;
Perkin−Elmer製)でグルコースデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子の塩基配列を決定した結果、pAOGDH−M20で配列番号2記載の160番目のグリシンがグルタミン酸に167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M21では160番目のグリシンがイソロイシンに167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M22では160番目のグリシンがセリングルタミンに167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M23では160番目のグリシンがグルタミンに167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M24では162番目のセリンがアラニンに167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M25では162番目のセリンがシステインに167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M26では162番目のセリンがアスパラギン酸に167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M27では162番目のセリンがグルタミン酸に167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M28では162番目のセリンがフェニルアラニンに167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M29では162番目のセリンがヒスチジンに167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M30では162番目のセリンがロイシンに167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M31では163番目のグリシンがアスパラギン酸に167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M32では164番目のセリンがフェニルアラニンに167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M33では164番目のセリンがスレオニンに167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M34では164番目のセリンがチロシンに167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M35では165番目のロイシンがアラニンに167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M36では165番目のロイシンがイソロイシンに167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M37では165番目のロイシンがアスパラギンに167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M38では165番目のロイシンがプロリンに167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M39では165番目のロイシンがバリンに167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M40では166番目のアラニンがシステインに167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M41では166番目のアラニンがイソロイシンに167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M42では166番目のアラニンがリジンに167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M43
では166番目のアラニンがロイシンに167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M44では166番目のアラニンがメチオニンに167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M45では166番目のアラニンがプロリンに167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M46では166番目のアラニンがセリンに167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M47では167番目のセリンがプロリンに169番目のアスパラギンがリジン、pAOGDH−M48では167番目のセリンがプロリンに169番目のアスパラギンがプロリン、pAOGDH−M49では167番目のセリンがプロリンに169番目のアスパラギンがチロシン、pAOGDH−M50では167番目のセリンがプロリンに169番目のアスパラギンがトリプトファン、pAOGDH−M51では167番目のセリンがプロリンに170番目のロイシンがシステイン、pAOGDH−M52では167番目のセリンがプロリンに170番目のロイシンがフェニルアラニン、pAOGDH−M53では167番目のセリンがプロリンに171番目のロイシンがイソロイシンに、pAOGDH−M54では167番目のセリンがプロリンに171番目のロイシンがリジン、pAOGDH−M55では167番目のセリンがプロリンに171番目のロイシンがメチオニン、pAOGDH−M56では167番目のセリンがプロリンに171番目のロイシンがグルタミン、pAOGDH−M57では167番目のセリンがプロリンに171番目のロイシンがバリン、pAOGDH−M58では167番目のセリンがプロリンに172番目のバリンがアラニン、pAOGDH−M59では167番目のセリンがプロリンに172番目のバリンがシステインに、pAOGDH−M60では167番目のセリンがプロリンに172番目のバリンがグルタミン酸、pAOGDH−M61では167番目のセリンがプロリンに172番目のバリンがイソロイシン、pAOGDH−M62では167番目のセリンがプロリンに172番目のバリンがメチオニン、pAOGDH−M63では167番目のセリンがプロリンに172番目のバリンがシステイン、pAOGDH−M64では167番目のセリンがプロリンに172番目のバリンがグルタミン酸、pAOGDH−M65では167番目のセリンがプロリンに172番目のバリンがトリプトファン、pAOGDH−M66では167番目のセリンがプロリンに172番目のバリンがにチロシン、pAOGDH−M67では167番目のセリンがプロリンに329番目のバリンがグルタミン、pAOGDH−M68では167番目のセリンがプロリンに331番目のアラニンがシステイン、pAOGDH−M69では167番目のセリンがプロリンに331番目のアラニンがアスパラギン酸、pAOGDH−M70では167番目のセリンがプロリンに331番目のアラニンがイソロイシン、pAOGDH−M71では167番目のセリンがプロリンに331番目のアラニンがリジンpAOGDH−M72では167番目のセリンがプロリンに331番目のアラニンがロイシン、AOGDH−M73では167番目のセリンがプロリンに331番目のアラニンがメチオニン、pAOGDH−M74では167番目のセリンがプロリンに331番目のアラニンがバリンに置換されていることが確認された。結果を表3に示す。
Figure 2009119728
実施例6:改変型FADGDHの取得
改変型FADGDH生産菌として、pAOGDH−M10、pAOGDH−M15、pAOGDH−M75、pAOGDH−M76で市販の大腸菌コンピテントセル(E.coli DH5・;TOYOBO社製)を形質転換した。得られた形質転換体を10L容ジャーファーメンターを用いて、TB培地に培養温度25℃で24時間培養した。培養菌体を遠心分離で集めた後、50mMのリン酸バッファー(pH6.5)に懸濁し、除核酸処理後、遠心分離して上清を得た。これに硫酸アンモニウムを飽和量溶解させて目的タンパク質を沈殿させ、遠心分離で集めた沈殿を50mMのリン酸バッファー(pH6.5)に再溶解させた。そしてG−25セファロースカラムによるゲルろ過、Octyl−セファロースカラムおよびPhenyl−セファロースカラムによる疎水クロマト(溶出条件は共に25%飽和〜0%の硫酸アンモニウム濃度勾配をかけてピークフラクションを抽出)を実施し、さらにG−25セファロースカラムによるゲルろ過で硫酸アンモニウムを除去し改変型FADGDHサンプルとした。表4に示すように精製標品においても熱安定性が向上していることが確認された。
Figure 2009119728
実施例7:アスペルギルス・オリゼ由来グルコースデヒドロゲナーゼ遺伝子のアスペルギルス・オリゼ株への導入
前出のAOGDH組換えプラスミド(pAOGDH)をNdeI、BamHI処理し、AOGDH遺伝子断片を切り出した後、Blunting high(東洋紡社製)を用いて、該DNA断片の末端平滑化を行った。
一方、AmyBプロモーター、AmyBターミネーター、アスペルギルスニドランス由来sC遺伝子を含むpUSAプラスミド(7.25kbp)をSmaI処理し、AmyBプロモーター直下流を一箇所切断したのち、脱リン酸化処理を実施した。該プラスミドに平滑化した上記AOGDH遺伝子断片を連結し、組換えプラスミドを構築した(pUSAR)。
組換えホストにはアスペルギルス・オリゼNS4株を使用した。本菌株は、非特許文献5に記載されているもので、pUSAプラスミドとともに(独)酒類総合研究所より分譲いただいたものである。
形質転換も、非特許文献5に記載の方法を参考に実施した。形質転換で得られた形質転換体については、純化を繰り返し、最終株を選抜した。取得した形質転換体を試験管スケールで、5ml液体培地(1.5% 大豆ペプトン、1% マルトエキス、0.1% MgSO4 ・7H20、2% グルコース、2% マルトース)で30℃、24時間培養したところ培養液1ml当たり5.0UのGDH活性を確認した。
Biosci.Biotech.Biochem.,61(8),1367−1369,1997
実施例8:アスペルギルス・オリゼ由来改変型グルコースデヒドロゲナーゼ遺伝子のアスペルギルスオリゼへの導入
上記組換えプラスミドpUSARを鋳型として、Quick Change Site Directed Mutagenesis Kit(Stratagene製)を用い、G184R+V572Cの変異導入を実施し、改変型グルコースデヒドロゲナーゼを含む組換えプラスミドpUSARMを作製した。該組換えプラスミドを用いて同様にアスペルギルスNS4株の組換え体を取得し、GDH活性を確認したところ培養液1ml当たり8.0UのGDH活性を確認した。
実施例9:raAOGDH、rarmAOGDHの取得
実施例7で作製した組換えプラスミドpUSARで形質転換された形質転換体、および、実施例8で作製した組換えプラスミドpUSARMで形質転換された形質転換体を、それぞれ、10L容ジャーファーメンターを用いて、(1.5% 大豆ペプトン、1% マルトエキス、0.1% MgSO ・7H0、2% グルコース、2% マルトース(pH6.5))培地にて、培養温度30℃で50時間培養した。培養菌体をろ過した後、硫酸アンモニウムを飽和量溶解させて狭雑タンパク質を沈殿させ、遠心分離で上清を回収した。
上清を濃縮・バッファー置換(50mM リン酸バッファー(pH6.0)を行い、疎水クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーを実施し酵素精製標品(順にraAOGDH、rarmAOGDH)を取得した。
また、配列番号2においてG163R+V551Cの変異を含む変異酵素をコードする遺伝子を含む組換えプラスミドにより形質転換した大腸菌についても、10L−Jar容ジャーファーメンターを用いてterrific brothを用いて 30℃で24時間培養した。培養菌体を遠心分離で集めた後、50mMのリン酸バッファー(pH6.0)に懸濁し、除核酸処理後、遠心分離して上清を得た。
これに硫酸アンモニウムを飽和量溶解させて目的タンパク質を沈殿させ、遠心分離で集めた沈殿を50mMのリン酸バッファー(pH6.0)に再溶解させた。そしてG−25セファロースカラムによるゲルろ過、イオン交換クロマト、疎水クロマト、脱塩を実施し、酵素精製標品(rmAOGLD)を取得した。
ここで、raAOGDHは、配列番号45のアミノ酸配列を有する酵素をアスペルギルス・オリゼで発現させたものである。
また、rarmAOGDHは、配列番号46のアミノ酸配列を有する酵素をアスペルギルス・オリゼで発現させたもの(配列番号45においてG184R+V572Cの変異を含む変異酵素をセルフクローニングによりアスペルギルス・オリゼで発現させたもの)である。
また、rmAOGDHは、配列番号2においてG163R+V551Cの変異を含む変異酵素を大腸菌で発現させたものである。
実施例10:熱安定性、pH安定性
実施例9で得た精製標品を用いて50℃で0、15、30、60および180分間加熱処理したものについても残存しているグルコースデヒドロゲナーゼ活性を測定した。
また、20、40、45、50、55、60および65℃の各温度で15min保存したものについても同様に活性を測定した。
さらに、種々のpHにおける酵素の安定性を調べるために、各精製酵素を含む種々のpH溶液(pH3.5〜9.0)を調製し、25℃で16hr保存した後、残存しているグルコースデヒドロゲナーゼ活性を測定した。
図1〜3にその結果を示す。いずれも、処理前の活性に対する残存活性の比率をグラフ化して示した。
図1は、本発明の酵素標品の50℃処理における安定性を示したものである。
図1には図示されていないが、配列番号2のアミノ酸配列を有するに酵素を大腸菌で発現させたものについても同様の評価を行ったところ、15分処理時における活性残存率は15%であり、30分処理時には活性がほぼ消失した。
図2は、本発明の酵素標品の各温度で15分処理した後の残存酵素活性を示したものである。
図3は、本発明の酵素標品のpH安定性を示したものである。
これらの結果より、アスペルス・オリゼを宿主として生産した変異体酵素は、大腸菌をホストに用いて生産した変異体酵素、及びアスペルギルス・オリゼをホストとして生産した非変異体酵素よりも大幅に安定性、pH安定性が向上していることが確認された。
つまり、変異導入により酵素タンパク質自体を安定化させ、さらに該酵素を大腸菌ではなく、アスペルギルス・オリゼを宿主として生産させることでさらに安定性の高い酵素が取得できることを示したことになる。
上記で得られた精製酵素標品について、さらに理化学的特性(至適温度、至適pH、基質特異性)を検討した結果を、それぞれ図4、図5および表5に示す。
表および図中、rm、ra、ra−rmはそれぞれrmAOGDH、raAOGDH、rarmAOGDHを示す。
至適温度は、温度の設定以外は[試験例]の活性測定条件に合わせて行い、相対活性を比較した。
至適pHは、pH7.5以上を50mMのTris、pH7.5以下を50mMのPIPESを用いた以外は[試験例]の活性測定条件に合わせて行い、相対活性を比較した。
基質特異性は、各基質の濃度が終濃度4mMになるよう[試験例]の活性測定条件をモディファイして測定した反応性をグルコースと比較した。
Figure 2009119728
本発明によるFADGDHの安定性の向上及びpH安定域の増大は、グルコース測定試薬、グルコースアッセイキット及びグルコースセンサ作製時の酵素の失活低減に直接結びつくものであり、該酵素の使用量低減や測定精度の向上を可能にし、医療関連分野などの産業に貢献するところ大である。
本発明の酵素標品の50℃処理における安定性を示したものである。 本発明の酵素標品の各温度処理における安定性を示したものである。 本発明の酵素標品のpH安定性を示したものである。 本発明の酵素標品の至適温度を示したものである。 本発明の酵素標品の至適pHを示したものである。

Claims (11)

  1. 以下の(a)〜(c)のいずれかで表される遺伝子。
    (a)「配列番号45において184位および/または572位の変異を含むアミノ酸配列からなるタンパク質」をコードするDNA
    (b)「配列番号45において184位および/または572位の変異を含むアミノ酸配列からなるタンパク質において、さらに、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加(挿入)されたアミノ酸配列からなり、かつグルコースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質」をコードするDNA
    (c)「(a)または(b)のDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつグルコースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質」をコードするDNA
  2. 以下の(d)〜(f)のいずれかで表される遺伝子。
    (d)「配列番号45において184位および/または572位の変異を含むアミノ酸配列から、シグナル配列部分の一部または全部が欠失したアミノ酸配列からなり、かつグルコースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質」をコードするDNA
    (e)「配列番号45において184位および/または572位の変異を含むアミノ酸配列から、シグナル配列部分の一部または全部が欠失したアミノ酸配列からなるタンパク質において、さらに、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加(挿入)されたアミノ酸配列からなり、かつグルコースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質」をコードするDNA
    (f)(d)または(e)のDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつグルコースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA
  3. 請求項1または2に記載の遺伝子を含む、組換えベクター。
  4. 請求項3に記載の組換えベクターにより形質転換された、形質転換体。
  5. 宿主がアスペルギルス・オリゼである、請求項4に記載の形質転換体。
  6. 宿主がアスペルギルス・オリゼNS4株である、請求項5に記載の形質転換体。
  7. 請求項4〜6のいずれかに記載の形質転換体を、栄養培地を用いて培養し、グルコースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質を採取することを特徴とする、グルコースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質を製造する方法。
  8. 請求項7に記載の方法により製造された、グルコースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質。
  9. 請求項8に記載のタンパク質を含む、グルコースアッセイキット。
  10. 請求項8に記載のタンパク質を含む、グルコースセンサー。
  11. 請求項8に記載のタンパク質を用いる、グルコース測定法。
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