JPWO2009110179A1 - マトリックス型冷陰極電子源装置 - Google Patents

マトリックス型冷陰極電子源装置 Download PDF

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Abstract

このマトリックス型冷陰極電子源装置は、メッシュ構造体(8)に形成された貫通孔(9)の開口径を、電子源素子(4)の配列ピッチの1/N以下に構成し、メッシュ構造体(8)を電子源素子(4)の配列ピッチの1/N刻みで駆動する駆動部(7a,7b)を備えており、電子源のサイズを小さくすることなく解像度を高くできる。

Description

本発明は、冷陰極を用いたマトリックス型電子源装置に関するものであり、特に冷陰極電子源素子が、マトリックス状に配置された電子源アレイと、電子源アレイに対向し貫通孔が複数配列したメッシュ構造体と、電子源アレイとメッシュ構造体を介して対向し電子源アレイから放出されメッシュ構造体の貫通孔を通過した電子ビームにより所定の動作を行うターゲットとにより構成された電界放射型ディスプレイ装置、或いは高感度撮像装置に関するものである。
タングステンやモリブデンの様な高融点金属を突起状に形成し、真空中において、その先端部に外部より電界を印加することで、金属先端部に誘起された電子が外部に放出される。通常、この突起状の金属をエミッタと称し、また、このエミッタから電子が放出される現象を電界放出、或いは電界放射と称している。
この電界放出によって電子を外部に放出する素子は、電界放出型電子源素子、或いは冷陰極電子源素子と称され、近年様々な分野で利用されている。例えば、従来の熱フィラメントに代わって電子顕微鏡用の電子源としての用途や、電子源素子に対向して、蛍光体膜を形成したアノード電極に引き込むことで蛍光体を発光させた蛍光表示管等である。
エミッタは微小な構造であることが多く、単独で用いると十分な電流量が確保できないため、複数のエミッタを一つの群として電流量を確保する。本明細書では、このエミッタの集合体を「冷陰極電子源素子」と称している。
更に、冷陰極電子源素子をマトリックス状に複数配列して冷陰極電子源アレイを構成し、対抗する側にRGBに対応した蛍光体を形成したアノード電極を配置し、電界放出された電子をアノード電極に引き出すことで蛍光体を光らせる電界放出型ディスプレイ(Field Emission Display)が実用化されている。一例として、図9と図10に示したスピント型エミッタを用いたFEDについて説明する。
FEDは、カソード基板101とアノード基板111が対向して配置された構成となっている。
カソード基板101の表面には、ストライプ状のエミッタ信号配線102aが互いに平行に形成され、さらにエミッタ信号配線102aを覆うようにゲート絶縁膜103が形成されている。ゲート絶縁膜103の表面には、エミッタ信号配線102aと直行するようにストライプ状のゲート信号配線104aが形成されている。
ゲート信号配線104aおよびゲート絶縁膜103には、エミッタ信号配線102aと交差する領域に複数の開口部104bが形成されており、開口部104bの内側で前記エミッタ信号配線102a上にエミッタ105が形成されている。このゲート信号配線104aの表面の開口部104bがゲート電極となり、ゲート信号配線104aを通じてゲート電極104bに電界を印加することで、エミッタ105の先端からの電子放出を生じさせることができる。この複数のエミッタ105とゲート電極(=開口部104b)が形成された領域が冷陰極電子源素子領域となる。
カソード基板101と対向したアノード基板111には、カソード基板101と対向する面の全面に、透明導電膜(ITO)のアノード電極112が形成されており、アノード電極112の上に、赤,緑,青の蛍光体113R,113G,113Bがストライプ状に順番に形成されている。各々の蛍光体113R,113G,113Bは、カソード基板101上に形成されたゲート信号配線104aと平行になるように形成されている。
このように構成されたFEDでは、マトリックス状に配列された複数の電子源素子からの電子放出を、映像回路の出力信号に基づいて順次制御することにより、アノード基板111の表面に所望の映像を表示することができる。
また、同様の構成において、前記蛍光体113R,113G,113Bに代わってアノード基板111の表面に光電変換膜(図示せず)を形成し、外部からの光により誘起された正孔−電子対を、電子源素子からの放出電子により読み取る撮像素子を構成できる。
FEDや撮像素子では、一つの電子源素子から放出された電子のアノード電極面で面積によって、発光、或いは撮像の解像度が決まる。そこで、高解像度のFEDや撮像素子を得ようとすれば、電子源素子の電子放出面の面積を小さくすることが一つの手段となるが、電子源素子の面積を小さくし過ぎると放出電流が少なくなり、必要な電流量が確保できなくなる。
更に、冷陰極電子源から放出される電子は、アノード電極112に向かって全てが真直ぐ飛び出す訳ではなく、一定の広がりを持っている。これは、電子源を構成するエミッタ105の先端が製造工程において一定の曲率半径を有しているためであり、曲率面に対して垂直に電子が飛び出すことにより一定の広がりを持った電子ビームが放出される。
そのため、アノード面(=アノード基板111の表面)で解像度に応じた面積の電子ビームを得ようとすれば、電子源から放出された電子の広がりを抑える、或いは必要以上に広がった部分の電子がアノード面に到達しないようにする必要があり、前者を実現するための技術を電子ビームの集束技術、後者を実現するための技術をトリミング技術と称し、特許文献1,特許文献2などの技術が報告されている。
この特許文献1,特許文献2には、電子源素子とアノード電極の間にメッシュ電極を設け、メッシュ電極に所定の電圧を印加することで、電子源素子からの電子を引き出し、メッシュ電極からアノード面に向かう電子ビームをほぼ法線方向に揃えた集束技術が記載されている。
また、本発明者らが発明者である特許文献3,特許文献4では、メッシュ構造体自身に電界分布を形成することで、電子源から放出された電子ビームのうち、法線方向の電子ビームを選択的に通過させて、アノード面での電子ビームの広がりを抑える技術が提示されている。
特開2000−048743号公報 特開2005−228556号公報 特開2007−250531号公報 特開2007−250532号公報
上記構成では、メッシュ電極、或いはメッシュ構造体によりアノード面への電子ビームの直交性は改善されるが、仮に、全ての電子がアノード面に垂直に入射するとしても、電子ビームの最小サイズは電子源素子のサイズで決まることになる。従って、外径サイズが決まっている場合、解像度を高くしようとすれば、電子源素子のサイズを小さくする必要がある。
しかしながら、電子源素子のサイズを小さくすると、配置可能なエミッタの数が少なくなってしまうという課題が生じる。
また、エミッタ自身をより微細化するという対策も考えられるが、フォトリソグラフィ法工程におけるアライメントマージンに必要な面積や、プロセス上の寸法制御のマージン等を考慮すると、電子源の微細化にも一定の限度があり、高解像度化が困難となる。
本発明は、電子源素子のサイズを従来のように小さくすることなく解像度を高くできるマトリックス型冷陰極電子源装置を提供することを目的とする。
本発明の請求項1記載のマトリックス型冷陰極電子源装置は、電子を放出する複数のエミッタを有する冷陰極電子源素子が第1のピッチでマトリックス状に配置された冷陰極電子源アレイと、前記冷陰極電子源アレイに対向し貫通孔が前記第1のピッチで複数配列した貫通孔群を有するメッシュ構造体と、前記冷陰極電子源アレイとメッシュ構造体を介して対向し、前記冷陰極電子源アレイから放出され、前記メッシュ構造体の貫通孔を通過した電子ビームが衝突する位置に配置されたターゲットと、前記メッシュ構造体を前記貫通孔の第1の配列方向および第2の配列方向に駆動する駆動部とを備えたことを特徴とする。
本発明の請求項2記載のマトリックス型冷陰極電子源装置は、請求項1において、前記駆動部を、前記第1,第2の配列方向にそれぞれ前記第1のピッチの(1/N)(Nは2以上の整数)刻みで前記第1のピッチまで前記メッシュ構造体を駆動するよう構成したことを特徴とする。
本発明の請求項3記載のマトリックス型冷陰極電子源装置は、請求項1または請求項2において、前記メッシュ構造体が、少なくとも冷陰極電子源素子と対向する面とターゲットに対向する面、および貫通孔の内面が導電性材料で覆われており、且つ前記導電性材料の表面に外部より所定の電位を印加できる構造であることを特徴とする。
本発明の請求項4記載のマトリックス型冷陰極電子源装置は、請求項1〜請求項3の何れかにおいて、前記メッシュ構造体の厚さが、10μm以上500μm以下であることを特徴とする。
本発明の請求項5記載のマトリックス型冷陰極電子源装置は、請求項1〜請求項4の何れかにおいて、前記メッシュ構造体の貫通孔の断面形状が、電子ビーム方向に略垂直であることを特徴とする。
本発明の請求項6記載のマトリックス型冷陰極電子源装置は、請求項1または請求項2において、前記メッシュ構造体が、冷陰極電子源素子と対向する面、若しくはターゲットと対向する面の少なくともどちらか一方が導電性材料で覆われており、前記導電性材料で覆われた面に接して絶縁性材料が形成された構造を有し、前記導電性材料で覆われた面には、独立に外部より電位を印加できる構造であることを特徴とする。
本発明の請求項7記載のマトリックス型冷陰極電子源装置は、請求項6において、前記メッシュ構造体を構成する導電性材料の厚さが10μm以上500μm以下であり、前記メッシュ構造体を構成する絶縁性材料の厚さが10nm以上10μm以下であることを特徴とする。
本発明の請求項8記載のマトリックス型冷陰極電子源装置は、請求項1または請求項2において、前記メッシュ構造体は、前記メッシュ構造体の大部分をなす基層と、前記基層が冷陰極電子源素子と対向する面、若しくはターゲットと対向する面の少なくともどちらか一方が、前記基層よりも低抵抗の導電性材料で覆われた面を有する構造であり、前記基層を形成する材料、若しくは前記基層に形成された貫通孔の表面は二次電子放出能を有する材料であることを特徴とする。
本発明の請求項9記載のマトリックス型冷陰極電子源装置は、請求項8において、前記メッシュ構造体は、前記メッシュ構造体の大部分をなす基層の厚さが50μm以上であることを特徴とする。
本発明の請求項10記載のマトリックス型冷陰極電子源装置は、請求項8において、前記メッシュ構造体の貫通孔の断面形状が略テーパ形状であり、ターゲット面に対向する貫通孔の開口径に対して、冷陰極電子源アレイに対向する貫通孔の開口径が大きいことを特徴とする。
本発明の請求項11記載のマトリックス型冷陰極電子源装置は、請求項8において、径:D2と冷陰極電子源アレイに対向する貫通孔の開口径:D1の関係は、前記メッシュ構造体の厚みをT、スピント型エミッタから放出される電子の広がり角をθとすると、tanθ < (D2−D1)/(2*T)であることを特徴とする。
本発明の請求項12記載のマトリックス型冷陰極電子源装置は、請求項1または請求項2において、前記ターゲットは、表面に蛍光体膜が形成されていることを特徴とする。
本発明の請求項13記載のマトリックス型冷陰極電子源装置は、請求項1または請求項2において、前記ターゲットには、表面に光電変換膜が形成されていることを特徴とする。
本発明の請求項14記載のマトリックス型冷陰極電子源装置は、請求項1または請求項2において、前記駆動部は、前記冷陰極電子源素子の電子放出のタイミングと同期して動くことを特徴とする。
本発明によると、電子源素子を小さくすることなく、即ち電子源素子の電流密度を低下させることなく高解像度化を実現して、信頼性の高いマトリックス型冷陰極電子源装置を実現でき、高解像度、高輝度のFEDや、高解像度、高感度の撮像素子を実現できる。
請求項1または請求項2の構成によると、電子源素子の面積を解像度に併せて小さくする必要が無いため、十分な電流量を安定的に確保できると同時に、ターゲット面に照射される電子は貫通孔の開口径に併せて絞ることが可能となるため、高解像度の電子源装置を実現することができる。
請求項3の構成によると、メッシュ構造体よりターゲットに向かう電子を効果的にターゲット面に送ることが可能となり、高感度の電子源装置を実現することができる。
請求項4の構成によると、メッシュ構造体を通過する電子の収束性を制御できると同時に、メッシュ構造体に衝突して消滅する電子の量を少なくすることで、ターゲット面での電流密度を高めることができる。また、メッシュ構造体の強度を維持しつつ、加工が容易となるため、製造工程における信頼性、歩留りを確保することができる。
請求項5の構成によると、貫通孔における電子の消失が少なく、且つ直進性を持った電子をターゲット面に送ることができる。
請求項6の構成によると、メッシュ構造体を通過する電子の軌道を外部電界で制御することで、収束性と直進性を制御することが可能となり、高解像度の電子源素子を実現できる。
請求項7の構成によると、メッシュ構造体を通過する電子の収束性を制御できると同時に、メッシュ構造体に衝突して消滅する電子の量を少なくすることで、ターゲット面での電流密度を高めることができる。また、メッシュ構造体の強度を維持しつつ、加工が容易となるため、製造工程における信頼性、歩留りを確保することができる。
請求項8の構成によると、メッシュ構造体の貫通孔内面に電子が衝突しても、二次電子が放出されることで電子が消失することなく、高い電流密度を維持することができる。
請求項9の構成によると、メッシュ構造体の製造を容易にし、また、メッシュ構造体の強度を保つ役割を果たすことで、マトリックス型冷陰極電子源装置の信頼性を確保することができる。
請求項10の構成によると、貫通孔内面で生成された二次電子が発散されることなくターゲット面に向かうため、高い電流密度と収束性が実現できる。
請求項11の構成によると、電子源素子から放出された電子を無駄なくターゲット面に導くことが可能となり、高い電流密度を実現できる。
請求項12の構成によると、高解像度の表示装置を実現することができる。
請求項13の構成によると、解像度の高い高感度の撮像装置を実現することができる。
請求項14の構成によると、高解像度の表示装置或いは撮像装置を実現することができる。
本発明の実施の形態1に係るマトリックス型冷陰極電子源装置の分解斜視図 同実施の形態の断面構造の模式図 同実施の形態の機能を説明する分解斜視図 同実施の形態の構造と駆動方法を説明する要部の平面図 本発明の実施の形態2に係るマトリックス型冷陰極電子源装置のメッシュ構造体の断面図 同実施の形態のメッシュ構造体の別の例を示す貫通孔部の拡大断面図 同実施の形態のメッシュ構造体の別の例を示す貫通孔部の拡大断面図 同実施の形態のメッシュ構造体の別の例を示す貫通孔部の拡大断面図 同実施の形態のメッシュ構造体の別の例を示す貫通孔部の拡大断面図 本発明の実施の形態3に係るマトリックス型冷陰極電子源装置のメッシュ構造体の断面の模式図 同実施の形態のメッシュ構造体の電子の挙動を説明する貫通孔部の拡大断面図 同実施の形態の別の例を示す貫通孔部の拡大断面図 同実施の形態の別の例を示す貫通孔部の拡大断面図 本発明の実施の形態4に係るマトリックス型冷陰極電子源装置のメッシュ構造体における貫通孔部の拡大断面図 従来のFEDの基本構成を示す拡大斜視図 同従来例の断面図
以下、本発明の各実施の形態を図1〜図8に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1〜図4は本発明の実施の形態1のマトリックス型冷陰極電子源装置を示す。
図1は分解斜視図、図2は組立て後の断面図である。
背面基板1の上には、フリットガラスを用いて接合したリング状のガラススペーサ2が取り付けられている。ガラススペーサ2の内側の前記背面基板1上には、冷陰極電子源アレイ4が銀ペースト等を用いて貼り付けられている。
冷陰極電子源アレイ4は、複数のエミッタが一つの群として成る冷陰極電子源素子4aがXY方向に複数マトリックス状に配列された構造を有している。なお、図2においては、簡略化のため各々の冷陰極電子源素子4aを一つのエミッタとしてSi基板3の上に図示している。冷陰極電子源素子4aは第1のピッチP1でマトリックス状に配置されている。
ガラススペーサ2の上面には、中央に窓5aが形成されている保持基板5が配置されている。この保持基板5は、金属Inよりなる内周リング10とステンレス製の外周リング11によってガラススペーサ2に固定されている。
保持基板5の上には、中央に窓6aが形成されているY側ステージ基板6をY軸方向に移動させることができる駆動部としてのY側アクチュエータ7bが固定されている。Y側ステージ基板6には、メッシュ構造体8をX軸方向に移動させることができる駆動部としてのX側アクチュエータ7aが固定されている。
このようにメッシュ構造体8は、X側アクチュエータ7aとY側アクチュエータ7bを介して保持基板5に取り付けられており、X側アクチュエータ7aとY側アクチュエータ7bの運転によってメッシュ構造体8を、X方向、Y方向に所定の距離だけ移動できる構造となっている。
メッシュ構造体8は、基材となる導電性の薄板に所定の間隔でマトリクス状に貫通孔9が形成されている。なお、メッシュ構造体8は、必ずしも全て導電性である必要はなく、少なくとも表面、裏面、および貫通孔内面が導電性を有していれば良く、例えば微細加工したガラスの表面にメッキ法等を用いて導電膜を形成してもよい。
内周リング10とステンレス製の外周リング11の先端の内周部には、前面基板15が取り付けられている。前面基板15には、メッシュ構造体8の側表面に透明導電膜12が成膜されており、アノードピン16と電気的に接続されている。透明導電膜12の表面には光電変換膜13が形成されており、外部から所定の電圧をアノードピン16に印加することにより、透明導電膜12を介して光電変換膜13に電圧印加できる構成となっている。前面基板15と透明導電膜12と光電変換膜13などで構成されるユニットは、冷陰極電子源アレイ4から見てターゲット14である。前記貫通孔9は、冷陰極電子源アレイ4の法線方向と前面基板15を結ぶ線と略平衡となるように形成されている。
組み立て作業の際には、ガラススペーサ2と前面基板15の間に内周リング10を挟み、背面基板1と前面基板15の上下から圧力を加えると、内周リング10が塑性変形し、背面基板1、ガラススペーサ2、内周リング10、および前面基板15で囲まれた空間が機密封止される。高真空中で本作業を行うことで、冷陰極電子源アレイ4を高真空中に保持することができる。
このように、ターゲット14に光電変換膜13を設けた撮像装置では、外部からの光により誘起された正孔−電子対を、冷陰極電子源アレイ4からの放出電子により読み取ることができる。
ここで、メッシュ構造体8と冷陰極電子源素子4a、ターゲット14との関係について、図3を参照しながら詳しく説明する。冷陰極電子源素子4aは、マトリクス状に配置された冷陰極電子源アレイ4の中のひとつのセルとして構成されている。
メッシュ構造体8には、冷陰極電子源アレイ4における冷陰極電子源素子4aの配置間隔である第1のピッチP1と同じピッチで貫通孔9がマトリックス状に形成されている。ここでは、メッシュ構造体8に形成された貫通孔9のX方向,Y方向のピッチをそれぞれPm(X),Pm(Y)、貫通孔9が略垂直と仮定した時の貫通孔9の開口部のX方向,Y方向幅をDm(X),Dm(Y)とする。また、1セル分の冷陰極電子源素子4aのエミッタ領域4bのX方向,Y方向幅をPem(X),Pem(Y)とする。更に、表示デバイスの場合においては、ターゲット上に仮想的に描く1画素分の撮像面のX方向,Y方向幅をDt(X),Dt(Y)とする。
従来例の形態では、冷陰極電子源素子4aのエミッタ領域4bと貫通孔9の大きさ、更にはターゲット14上の1画素分の撮像領域の大きさをほぼ等しく形成されており、
Pem(X)≒Dm(X)≒Dt(X)
Pem(Y)≒Dm(Y)≒Dt(Y)
の関係式が成り立っていた。表示デバイスにおいて解像度を高くするためには、Dt(X)、Dt(Y)を小さくする必要がある。即ちPem(X),Pem(Y)を小さくする必要があるが、冷陰極電子源素子の面積を小さくすることは、前述のとおりエミッタの集積度限界やプロセスマージンの影響が大きいなどの理由により実現が困難となっていた。
これに対して本実施の形態では、冷陰極電子源素子4aの大きさを変更することなく、表示デバイスの解像度を2倍にできる方法について以下に説明する。
メッシュ構造体8の貫通孔9の大きさを、図3に示したようにターゲット14の1画素に相当する大きさとし、エミッタ領域4bの大きさを、X方向、Y方向とも略2倍となる大きさとして配置した。すなわち、
Dm(X)≒Dt(X)≒(1/2)Pem(X)
Dm(Y)≒Dt(Y)≒(1/2)Pem(Y)
の関係式が成り立つように構成されている。
メッシュ構造体8は前述のようにアクチュエータ7a,7bを介して取り付けられている。このアクチュエータ7a,7bにより、メッシュ構造体8はX方向,Y方向に各々Pm(X),Pm(Y)だけ移動させることができる。このPm(X),Pm(Y)は、冷陰極電子源アレイ4におけるX方向,Y方向の画素ピッチに相当する。即ち、アクチュエータ7a,7bを用いて図中A,B,C,Dの領域に冷陰極電子源素子4aの電子放出のタイミングと同期して移動させることにより、ターゲットのA,B,C,Dの領域に電子ビームを照射させることができる。
このように、メッシュ構造体8を構成することにより、従来の1画素を4画素として使用できるので、冷陰極電子源素子4aのサイズを小さくすることなく高解像度化ができる。
FEDなどの表示素子として用いる場合において、アクチュエータ7a,7bと電子源アレイ4の構成とタイミング動作について以下に簡単に説明する。
メッシュ構造体8は、冷陰極電子源アレイ4に対向して配置される。貫通孔9は、第1のピッチ:P1で複数配列した貫通孔群を有する。ターゲット14は、メッシュ構造体8に対向して配置され、冷陰極電子源アレイ4から放出されてメッシュ構造体8の貫通孔9を通過する電子ビームが衝突する位置に配置されている。X側アクチュエータ7aおよびY側アクチュエータ7bは、メッシュ構造体8を貫通孔9の第1の配列方向(X軸)および第2の配列方向(Y軸)に移動させる駆動部としての機能を備えている。貫通孔9の開口径は、第1のピッチの1/N以下(Nは2以上の整数)に設計される。メッシュ構造体8は、X側アクチュエータ7aとY側アクチュエータ7bを用いて、第1,第2の配列方向(X軸,Y軸)にそれぞれ第1のピッチの(1/N)刻みでステップ駆動するよう構成される。X側アクチュエータ7aとY側アクチュエータ7bを、積層上に順次保持基板5上に固定することにより、それぞれX方向、Y方向に独立した2次元的な駆動が可能になる。ここでは、FEDなどの表示素子として用いる場合について説明したが、撮像素子として用いる場合にも表示素子と同じ構成とタイミング動作で使用することができる。
NTSCの放送規格に準じて映像を動画表示する場合について説明する。
NTSCの画面表示は、1/30秒をフレーム単位とした連続する映像フレーム信号をリアルタイムに逐次表示している。表示動作は、1フレームの垂直走査信号(NTSCの場合は480本)ライン毎にそれぞれの水平信号を同時に表示する単純マトリクス表示動作が用いられる。本実施例の上記メッシュ構造体8を用いる場合には、1フレームに相当する垂直信号走査ラインの表示時間(約69.4μsec)を2分割し、1フレームを2回に分けて倍速での表示動作を行うことで実現できる。この時、表示動作とアクチュエータによる駆動を同期する必要がある。アクチュエータの開口部(貫通孔9)を用いて最初の表示動作を行った後(約34.7μsec)、メッシュ構造体8を画素ピッチ相当距離(Pm(X))移動させて、次の画素の表示動作を行う。上記の動作原理により、メッシュ構造体の開口部は、X方向、Y方向それぞれ2画素分の表示動作を行うことが可能となる。
このように、メッシュ構造体8を用いて映像表示に同期して駆動することにより、従来の1画素を4画素として使用できる。このため、冷陰極電子源素子4aのサイズを小さくすることなく高解像度化ができるメリットがある。
このようにメッシュ構造体を用いて高解像度化を図ることは、冷陰極電子源の安定動作や信頼性を確保するという観点からも利点がある。
一般的に、マトリックス型冷陰極電子源装置では、マトリックス状に並んだ冷陰極電子源素子の動作を個別に制御するためのX方向、およびY方向に駆動用の配線を備えている。更に、電子源素子の種類によって多少構成は異なるものの、エミッタ先端に電界を印加するためのゲート電極や、駆動用の配線とのコンタクト部分などを備えている。これら異なる平面状の構成要素を垂直方向に積み上げて素子を構成する際、各々の形状の異なる平面状の構成要素を相互に位置合わせする必要がある。位置合わせには、相互のずれを見込んだ設計をする必要があり、このずれ量を一般的に合わせマージンと称している。
積層する構成要素が多くなればなる程、合わせマージンのためのスペースが必要となる。電子源素子では、エミッタの数を多くすることが高い電流量の確保と安定性につながるが、合わせマージンのためのスペースが増えるほど、エミッタを形成できるスペースが少なくなることになる。従って、例えば電子源素子の面積が半分になると、エミッタの数は半減に留まらず、30〜40%にまで低下してしまい、必要な電流量の確保が難しくなる、或いは必要な電流量を確保するがために個々のエミッタに対する負荷が大きくなるといった問題が生じる。
一方、この実施の形態では、電子源素子の面積は維持したままで貫通孔9の面積を1/4とすることで高解像度化が実現できる。電子源素子の面積を半分にする従来の方法に比べて相対的に高い電流密度を維持できるため、電子源素子の安定動作や電子源の長寿命化を実現することが容易になる。
この実施の形態の場合、解像度はメッシュ構造体8の貫通孔9の大きさによって決定される。メッシュ構造体8も微細化を進める上では、半導体プロセス、或いはMEMS(Micro Electro Mechanical systems)技術を用いる必要があるが、メッシュ構造体8の場合は貫通孔9の微細加工のみで、冷陰極電子源素子4aのような合わせマージンが必要ないため微細化は容易である。
更に、従来例では貫通孔9が画素ピッチで隣接して形成するため、従来手法通りに微細化を進めようとすると貫通孔9を保持する壁の部分が非常に薄くなってしまうが、この実施の形態では駆動ピッチ分だけ離れているため、壁の部分を相対的に厚くすることができ、強度的な信頼性が向上するという特徴も有する。
なお、この実施の形態では、貫通孔に対する電子源素子の相対的な大きさをX方向、Y方向とも2倍とした例を示したが、電子源素子の大きさは2倍に限定されるものではなく、電子ビーム起動から計算される貫通孔サイズと、設計された貫通孔のサイズを実現するためのプロセス上の要請から、2以上の整数倍としても何ら本発明の用件から外れるものではない。
また、貫通孔9の断面形状は略垂直形状としたが、貫通孔の電子源アレイ側開口寸法とターゲット側開口寸法は完全に同一になるとは限らず、プロセスでの形状制御の範囲で、プラスマイナス10%〜20%程度の範囲で差が生じることは止むを得ない。
次に、メッシュ構造体8の駆動方法について図1、図2、および図4を用いて簡単に説明する。
メッシュ構造体8には、X側アクチュエータ7aが取り付けられており、X側アクチュエータ7aのみがY側ステージ基板6に固定されている。この構成によって、メッシュ構造体8をY側ステージ基板6上でX方向に任意の距離移動させることが可能となる。
更に、Y側ステージ基板6には、Y側アクチュエータ7bが取り付けられており、Y側アクチュエータ7bのみが保持基板5に固定されている。この構成によって、Y側ステージ基板6を保持基板5上でY方向に任意の距離だけ移動させることができる。
以上の構成によって、メッシュ構造体8は、保持基板5に対して相対的にX方向とY方向に任意の距離移動させることが可能となる。保持基板5は、内周リング10によりガラススペーサ2上に固定されていることから、メッシュ構造体8は、冷陰極電子源アレイ4に対して相対的にX方向,Y方向の任意の位置に移動させることが可能となる。
この実施の形態では、X側アクチュエータ7a、Y側アクチュエータ7bとして、圧電素子を用いた。圧電素子は小型化が可能であり、しかも数10Vの電圧の印加によって数10μmの移動量を得ることができることから、この実施の形態における電子源装置に必要な移動量を実現できる。
このアクチュエータを駆動するための信号配線は、図4に示したように、保持基板5、Y側ステージ基板6に形成したX側アクチュエータ駆動用引出し配線5bと、Y側アクチュエータ駆動用引出し配線5cと,メッシュ電極引出し配線5d、および各基板同士を上下に接続するボンディングワイヤー5eによって接続する。同時に、保持基板5から背面基板1の上に形成した電極配線(図示せず)にボンディングワイヤーによって接続し、外部からの信号を供給する。なお、同様の手法によって、メッシュ構造体8に対する電位の供給も行っている。
なお、この実施の形態では、アクチュエータとして圧電素子を用いているが、アクチュエータは圧電素子に限るものではない。例えば圧電素子以外のアクチュエータも利用可能であり、MEMS技術を用いた微細な直動機構等も用いることができる。更に、この実施の形態ではメッシュ構造体とX側アクチュエータを夫々別の部品として取り扱っているが、MEMS技術を用いて一体構造とすることも可能である。同様に、Y側ステージ基板とY側アクチュエータも一体構造とすることが可能である。
(実施の形態2)
図5A〜図5Eは実施の形態1におけるメッシュ構造体8の具体例を示す。
図5Aはメッシュ構造体8の断面模式図、図5Bは図5Aに示した貫通孔部Aの拡大断面模式図である。
メッシュ構造体8は、冷陰極電子源アレイ4に対向する面の導電体層である第一電極93と、中間層となる絶縁層92と、ターゲット14に対向する側の導電体層である第二電極94とから成る3層構造となっている。
第一電極93と第二電極94は、各々独立に電位を制御できる構造となっており、各々の電位を適切に制御することによって、冷陰極電子源アレイ4から放出された電子を効率的に、且つ収束性を維持したままターゲット14に照射することができるため、高い解像度を実現できる。
メッシュ構造体8による電子ビームの収束においては、第一電極93と第二電極94に印加する電位配分のみならず、第一電極93、絶縁層92、および第二電極94の厚さも影響する。更には、冷陰極電子源アレイと第一電極93との距離、および第二電極94とターゲット面との距離も影響するため、電界シミュレーション等の方法を用いて最適設計をする必要があるが、この設計項目については本発明の要件には当たらないため、ここでは説明を省略する。
このようなメッシュ構造体8は次の工程で製造できる。
まず、基材単結晶Si基板の上に中間絶縁層を介して所定の厚さの単結晶Siが形成されたSOI(Silicon on Insulator)基板を用意する。
メッシュ構造体8を構成する絶縁性材料の厚みを10nmから10μmの範囲で最適な値に選択することとした。メッシュ構造体8による電子ビームの収束機能を最適に発揮させるには、第一電極93と第二電極94に印加する電位配分のみならず、第一電極93、絶縁層92、および第二電極94の厚さも最適に設計する必要がある。第一電極93と第二電極94には、それぞれ異なる電位を与えて、電子ビームの軌道に対する静電的なレンズ作用を行わせる。シリコン半導体プロセスで用いられているシリコン酸化膜を絶縁性材料として採用する際は、印加する電位に対して高い絶縁耐性を持つメリットがある。例えば、10nmのシリコン酸化膜を用いる場合は、凡そ50Vの耐圧特性を有し、10μmの厚さの場合には、凡そ50kVの高い耐圧特性を有するため厚みに対する設計自由度が増すことになる。
ここでは基材Si基板の厚さが200μm、中間絶縁層の厚さが2μm、絶縁層上に形成された単結晶Siの厚さが100μmのSOI基板を購入して絶縁層の厚さが10μmのメッシュ構造体を作製した。このSOI基板の基材Si基板が、基材Si基板91、中間絶縁層が絶縁層92、中間絶縁層上に形成された単結晶Siが第二電極94となる。なお、第二電極94は、単結晶Siに高濃度のリン、砒素等のN型不純物を注入して低抵抗化している。
単結晶Siで形成されている第二電極94の表面全面に、保護膜となるレジスト膜、若しくはSOG(Spin on Grass)膜を塗布した後、基材Si基板91の裏面に、所定の開口部を有するレジスト膜を塗布し、基材Si基板91の裏面(図5A中の下方面)から水酸化カリウム(KOH)を用いてウエットエッチングを行う。KOHを用いたエッチングは、Si単結晶の結晶面によってエッチング速度が異なるため、面方位(100)の単結晶基板の場合、約42°の略テーパを持ったエッチング面が形成される。絶縁層92はKOHではエッチングできないため、Siのエッチングは絶縁層92に達したところでそれ以上進まない。レジストを全て剥離後、基材Si91の裏面全面に第一電極93となる金属膜を成膜する。この実施の形態では、金属膜として厚さ1μmのAlを用いた。
次に、第二電極94の表面に厚さ100nmの酸化膜を成膜後、レジスト膜を塗布し、貫通孔9に相当する開口部を形成し、まず酸化膜をエッチング後、レジストと酸化膜をマスクとしてドライエッチング法により第二電極94、絶縁層92、および第一電極93を連続的にエッチングし貫通孔9を形成し、メッシュ構造体8が完成する。
メッシュ構造体8は、第一電極93および第二電極94に各々独立に電圧を印加することで、冷陰極電子源アレイ4から放出した電子を集束してターゲット14に送る役割を果たす。電子の収束性は、冷陰極電子源アレイ4に形成された冷陰極電子源素子4aと貫通孔9の下部に位置する第一電極93の表面との距離、第一電極93の印加電圧、絶縁層92の厚さ、第二電極94の厚さと印加電圧、および第二電極94の上面とターゲット14に形成された光電変換膜13との距離によって決めることができる。なお、この実施の形態では、SOI基板の仕様を予め決めることにより、冷陰極電子源アレイ4に形成された冷陰極電子源素子4aと貫通孔9の下部に位置する第一電極93との距離は、第一電極93の厚さによって調整することが可能となる。また、貫通孔9の形成は、半導体加工プロセス技術を用いているため、微細な加工が可能となるという特徴も有している。
なお、図5Bに示した例では、貫通孔9の断面形状が入口から出口にわたって径が一定、つまり電子ビーム方向(Z軸)に略垂直であったが、次のように構成することも出来る。
図5C〜図5Eは、それぞれメッシュ構造体8における貫通孔9の断面形状の一例を示しており、貫通孔9の断面部分の形状は、第二電極94、絶縁層92、第一電極93の材料やエッチング方法によって様々に変えることができる。図5Cに示した様なターゲット面に向かって開口部が広くなる構造や、図5Dに示した様な第二電極94の中央部がくびれた形状、更には図5Eに示した様なターゲット面に向かって開口部が湾曲しながら狭くなる形状などがある。これらの形状も前述の如く設計項目であり、本発明の要件には当たらないため、ここでは説明を省略する。
(実施の形態3)
図6A,図6Bと図7A,図7Bは本発明の実施の形態3を示す。
メッシュ構造体8における貫通孔9の断面形状が先の実施の形態とは異なる。その他の構成は実施の形態1と同じである。
この実施の形態3の貫通孔9は、図6Bに示すように冷陰極電子源アレイ4に対向する側が大きく、ターゲット14に対向する側が小さい略テーパ形状になっており、且つ少なくとも貫通孔9の内面は二次電子放出能が1を超える材料で構成されている点にある。
図6Aはメッシュ構造体8が全て同一の材料でできている場合を示している。94bは第二電極引き出し用のパッドである。図6Bは図6Aにおける貫通孔部Aの拡大断面模式図である。
メッシュ構造体8は、メッシュ構造体8の大部分をなす基層の厚さが50μm以上である条件とした。メッシュ構造体をMEMS製造ラインを用いて製作する場合は、構造体の製造単価を引き下げるために、出来るだけ大きなウエハサイズ(4インチ以上)を用いることが望ましい。実施の形態2で述べたようなプロセスを用いる場合、それぞれの製造装置内のウエハ搬送時に、ウエハの破損やキズを発生させないことが要求される。貫通孔構造を有する微細電極をウエハ上に作製すると、ウエハの機械強度が大幅に低下し、場合によってはウエハに破損につながる恐れが発生する。メッシュ構造体8の基層の厚さを50μm以上に設定しておけば、上記の微細構造体を形成した後においても、ウエハの機械強度が十分に保たれ、ウエハの破損を引き起こす恐れはほとんどなくなる。
図6Bにおいて、冷陰極電子源アレイ4に対向する貫通孔9の開口部の径をD1、ターゲット14の側に対向する貫通孔9の開口部の径をD2とした時、D2は前述の通り、解像度の要請から決まる画素寸法とほぼ同等の寸法となる。冷陰極電子源素子4aから放出された電子ビームの一部は貫通孔9の内面に当たらずに直接にターゲット14面に到達するが、一部は略テーパ上に形成された貫通孔9の内面に衝突する。この時、メッシュ構造体8を形成する材料の二次電子放出能が1以下の場合は、内面に衝突した電子がそのままメッシュ構造体8に吸収されてターゲット14側に電子は出てこない。一方、この実施の形態で示したメッシュ構造体8を構成する材料は1を超える二次電子放出能を有しているため、貫通孔9の内面に衝突した電子Eによって二次電子が生成される。生成された二次電子は、ターゲット14に対向する開口部に近ければ、そのままターゲット14に向かう。ターゲット14から遠い場合は、貫通孔9の内面に再度衝突し、そこで新たな二次電子を生成するという現象を繰り返し、ターゲット14の側の開口部に到達したところで生成された二次電子がターゲット14に向かう。
なお、この実施の形態の場合、冷陰極電子源素子4aから放出された電子が冷陰極電子源素子4aの側に戻るのを抑えるために、メッシュ構造体8に所定の電圧を印加することが有効である。この場合、メッシュ構造体8自身が第二電極94として機能する。
略テーパ形状の貫通孔9の加工は、以下のようにして行う。
まず、SUS等の金属板の一方の表面にレジストを塗布し、フォトリソプロセスを用いて貫通孔9のD2に相当する開口を形成する。また、裏面側には、全面に同じくレジストを塗布しておく。前記金属板をエッチングする溶液にレジストを溶かす成分を添加した薬液中にこの金属板を所定の時間浸すと、前記金属板の厚さ方向のエッチングと同時に、レジストが少しずつ溶ける事でレジスト開口部が広がり、同時にレジストが溶け出した部分の金属板のエッチングが進む。エッチングが前記金属板の厚さ分まで進行したところで前記金属板をエッチング液から引き出し、所定の洗浄とレジストの剥離を行うと、概ね図示した断面形状を有する貫通孔9が得られる。
図6A,図6Bに示した実施の形態の場合、メッシュ構造体8に略テーパ形状の貫通孔を形成するだけのため、作製が容易という利点がある。
図7A,図7Bはこの実施の形態3の別の例を示している。
図7Aは、メッシュ構造体8の基材として微細加工性に優れたSi基板を用いた場合を示している。Si自身は二次電子放出能が低いため、例えばMgO膜の様な二次電子放出能の高い二次電子放出膜95を貫通孔9の内面に成膜する。貫通孔9の内面に二次電子放出膜95を形成する方法としては、前述の実施の形態2で示した製造方法において、エッチング完了後、エッチング液を所定の方法で除去、洗浄した後、レジストを残したまま真空蒸着法等を用いて、開口の広い面側から二次電子放出膜95を所定の厚さだけ成膜する。その後にレジスト剥離を行うと、貫通孔9の内面にのみ二次電子放出膜95が形成されたメッシュ構造体8が作製できる。また、二次電子放出膜95がメッキ法で成膜できる材料である場合は、レジストを残した状態でメッキを行うことで、同様の構成のメッシュ構造体8を作製することができる。
図7Bは、貫通孔9の内面に加えて、第二電極94の下面に二次電子放出膜95を成膜した構成となっている。この構成により、冷陰極電子源素子4aから放出された電子のうち、第一電極95の下面に当った電子から生成された二次電子も生成するため、ターゲット14に対して高い電流量を得ることができる。
なお、メッシュ構造体の厚みをTとすると、ターゲット14に対向する貫通孔の開口径:D2、冷陰極電子源アレイ4に対向する貫通孔の開口径:D1の関係は、以下の関係を満足するのが好ましい。ここで、θはスピント型エミッタから放出される電子の広がり角とする。
tanθ < (D2−D1)/(2*T)・・・・(数式A)
メッシュ構造体による電子ビームのトリミング効果について上記関係式を用いて説明する。
スピント型エミッタの場合、一般にエミッタから放出される電子の放出角はおよそ鉛直方向に片側30°の広がり角を有している。
メッシュ構造体の厚みが開口径に比べて十分厚い(T>>D1,D2)場合には、貫通孔の開口径D2,D1が同程度であれば、電子ビームのトリミング効果は十分である。
しかしながら、半導体材料やプロセスを利用してメッシュ構造体を作製することが一般的であるため、現実にはせいぜい同程度か数倍の値に制約される。この場合には、電子ビームの広がり成分をメッシュ構造体によりトリミングできないため、解像度を劣化させる要因ともなる。
上記の(数式A)を満足する条件でメッシュ構造体を作製しておけば、原理的には電子ビームの広がり成分の大半がメッシュ構造体の貫通孔の側壁に衝突して吸収・除去されるため、貫通孔を通過してターゲット方向に進行する電子ビームは略平行ビームとなるようにトリミングされ、解像度を高く維持する効果が期待できる。
(実施の形態4)
図8は本発明の実施の形態4を示す。
メッシュ構造体8における貫通孔9の断面形状が先の実施の形態とは異なる。その他の構成は実施の形態3と同じである。
この実施の形態4では、メッシュ構造体8に形成された貫通孔9が、冷陰極電子源アレイ4に対向する側が大きく、ターゲット14に対向する側が小さい略テーパ形状になっており、且つ少なくとも貫通孔9の内面は二次電子放出能が1を超える材料で構成されている点では、上述の実施の形態3で示した構成と同じであるが、この実施の形態では、メッシュ構造体8のターゲット14に近い面側に、絶縁層92bを介して第三電極96が形成されている。この構成では、冷陰極電子源素子4aの側から放出された電子は、第二電極94となる略テーパ形状の貫通孔9に衝突する。テ−パ形状の貫通孔9の内面には、二次電子放出能が1を超える膜が形成されており、電子の衝突により二次電子が放出される。
このような構成では、第二電極94と第三電極96を所定の電位に設定することで、生成された二次電子を効率的にターゲット14の側に引き出すことができると共に、貫通孔9を通過した電子の収束性も高めることができるという利点がある。
貫通孔9の加工は、以下のように行う。
まず、基材Si基板91の表面(図8中では上面側)に熱酸化法により絶縁層92bを形成する。次に、基材Si基板91の裏面側(図8中では下面側)にレジストを塗布し、所定の径の開口部を形成したのち、絶縁層92bが露出するまでKOHを用いたウエットエッチングを行う。このとき前述した様に、単結晶のSiは結晶面に対して異方的にエッチングされるため、約42°のテーパ角を有する形状が形成される。
レジストを剥離した後、Siのテーパ形状が形成された面にネガレジストを塗布し、絶縁層92bの上面側から全面に露光を施す。その後、レジストを現像すると、絶縁層92bの下部のレジストが残り、基材Si基板91の裏面のレジストが除去される。この状態で、基材Si基板91の裏面側に二次電子放出能の高いMgO膜等を真空蒸着法等により成膜した後、レジスト剥離を行うと基材Si基板91の裏面にのみ二次電子放出膜95が形成される。
その後、絶縁層92bの面側にネガレジストを塗布し、Si基材側から全面に露光を施してレジストを現像すると、Si基材のテーパ形状の開口部上にのみレジストが残る。この状態で絶縁層92bおよびパターニングされたレジスト膜表面に真空蒸着法を用いてCr等の金属膜を所定の厚さに成膜し、続けてレジスト剥離を行うと、レジストと同時にレジスト表面に成膜された金属膜が除去される。次に、Cr等の金属膜をマスクとして絶縁層92bをエッチングして開口部を形成することで、メッシュ構造体8が完成する。
この構成によれば、冷陰極電子源素子4から放出された電子ビームは、メッシュ構造体8に吸収されることなく、冷陰極電子源素子4から放出された電子ビーム量とほぼ同等の電子ビーム量をターゲット面に供給することが可能となる。更に、第二電極94と第三電極96を所定の電位に設定することにより、貫通孔9の内面で生成された二次電子を効率よく、且つ電子の軌道を制御することが可能となり、ターゲット14面での電流密度と解像度を向上させることができる。
メッシュ構造体8は、前述の通り解像度のピッチ相当分移動するため、従来の1画素と同じ大きさで電子源素子を構成した場合に比べ、整数倍の面積を有する電子源素子から放出される電子ビームの大半を1画素に供給することが可能となり、高い電子ビーム量を得ると同時に、高い解像度を実現することが可能となる。
なお、上記の各実施の形態ではマトリックス型冷陰極電子源装置の具体例として撮像装置の場合を例に挙げて説明したが、ターゲット14の表面に、光電変換膜13に代わって蛍光体膜を形成したFEDの場合も同様に実施できる。
本発明は、冷陰極を用いたマトリックス型電子源装置を要部としている電界放射型ディスプレイ装置、高感度撮像装置などの高解像度化に寄与できる。
本発明は、冷陰極を用いたマトリックス型電子源装置に関するものであり、特に冷陰極電子源素子が、マトリックス状に配置された電子源アレイと、電子源アレイに対向し貫通孔が複数配列したメッシュ構造体と、電子源アレイとメッシュ構造体を介して対向し電子源アレイから放出されメッシュ構造体の貫通孔を通過した電子ビームにより所定の動作を行うターゲットとにより構成された電界放射型ディスプレイ装置、或いは高感度撮像装置に関するものである。
タングステンやモリブデンの様な高融点金属を突起状に形成し、真空中において、その先端部に外部より電界を印加することで、金属先端部に誘起された電子が外部に放出される。通常、この突起状の金属をエミッタと称し、また、このエミッタから電子が放出される現象を電界放出、或いは電界放射と称している。
この電界放出によって電子を外部に放出する素子は、電界放出型電子源素子、或いは冷陰極電子源素子と称され、近年様々な分野で利用されている。例えば、従来の熱フィラメントに代わって電子顕微鏡用の電子源としての用途や、電子源素子に対向して、蛍光体膜を形成したアノード電極に引き込むことで蛍光体を発光させた蛍光表示管等である。
エミッタは微小な構造であることが多く、単独で用いると十分な電流量が確保できないため、複数のエミッタを一つの群として電流量を確保する。本明細書では、このエミッタの集合体を「冷陰極電子源素子」と称している。
更に、冷陰極電子源素子をマトリックス状に複数配列して冷陰極電子源アレイを構成し、対抗する側にRGBに対応した蛍光体を形成したアノード電極を配置し、電界放出された電子をアノード電極に引き出すことで蛍光体を光らせる電界放出型ディスプレイ(Field Emission Display)が実用化されている。一例として、図9と図10に示したスピント型エミッタを用いたFEDについて説明する。
FEDは、カソード基板101とアノード基板111が対向して配置された構成となっている。
カソード基板101の表面には、ストライプ状のエミッタ信号配線102aが互いに平行に形成され、さらにエミッタ信号配線102aを覆うようにゲート絶縁膜103が形成されている。ゲート絶縁膜103の表面には、エミッタ信号配線102aと直行するようにストライプ状のゲート信号配線104aが形成されている。
ゲート信号配線104aおよびゲート絶縁膜103には、エミッタ信号配線102aと交差する領域に複数の開口部104bが形成されており、開口部104bの内側で前記エミッタ信号配線102a上にエミッタ105が形成されている。このゲート信号配線104aの表面の開口部104bがゲート電極となり、ゲート信号配線104aを通じてゲート電極104bに電界を印加することで、エミッタ105の先端からの電子放出を生じさせることができる。この複数のエミッタ105とゲート電極(=開口部104b)が形成された領域が冷陰極電子源素子領域となる。
カソード基板101と対向したアノード基板111には、カソード基板101と対向する面の全面に、透明導電膜(ITO)のアノード電極112が形成されており、アノード電極112の上に、赤,緑,青の蛍光体113R,113G,113Bがストライプ状に順番に形成されている。各々の蛍光体113R,113G,113Bは、カソード基板101上に形成されたゲート信号配線104aと平行になるように形成されている。
このように構成されたFEDでは、マトリックス状に配列された複数の電子源素子からの電子放出を、映像回路の出力信号に基づいて順次制御することにより、アノード基板111の表面に所望の映像を表示することができる。
また、同様の構成において、前記蛍光体113R,113G,113Bに代わってアノード基板111の表面に光電変換膜(図示せず)を形成し、外部からの光により誘起された正孔−電子対を、電子源素子からの放出電子により読み取る撮像素子を構成できる。
FEDや撮像素子では、一つの電子源素子から放出された電子のアノード電極面で面積によって、発光、或いは撮像の解像度が決まる。そこで、高解像度のFEDや撮像素子を得ようとすれば、電子源素子の電子放出面の面積を小さくすることが一つの手段となるが、電子源素子の面積を小さくし過ぎると放出電流が少なくなり、必要な電流量が確保できなくなる。
更に、冷陰極電子源から放出される電子は、アノード電極112に向かって全てが真直ぐ飛び出す訳ではなく、一定の広がりを持っている。これは、電子源を構成するエミッタ105の先端が製造工程において一定の曲率半径を有しているためであり、曲率面に対して垂直に電子が飛び出すことにより一定の広がりを持った電子ビームが放出される。
そのため、アノード面(=アノード基板111の表面)で解像度に応じた面積の電子ビームを得ようとすれば、電子源から放出された電子の広がりを抑える、或いは必要以上に広がった部分の電子がアノード面に到達しないようにする必要があり、前者を実現するための技術を電子ビームの集束技術、後者を実現するための技術をトリミング技術と称し、特許文献1,特許文献2などの技術が報告されている。
この特許文献1,特許文献2には、電子源素子とアノード電極の間にメッシュ電極を設け、メッシュ電極に所定の電圧を印加することで、電子源素子からの電子を引き出し、メッシュ電極からアノード面に向かう電子ビームをほぼ法線方向に揃えた集束技術が記載されている。
また、本発明者らが発明者である特許文献3,特許文献4では、メッシュ構造体自身に電界分布を形成することで、電子源から放出された電子ビームのうち、法線方向の電子ビームを選択的に通過させて、アノード面での電子ビームの広がりを抑える技術が提示されている。
特開2000−048743号公報 特開2005−228556号公報 特開2007−250531号公報 特開2007−250532号公報
上記構成では、メッシュ電極、或いはメッシュ構造体によりアノード面への電子ビームの直交性は改善されるが、仮に、全ての電子がアノード面に垂直に入射するとしても、電子ビームの最小サイズは電子源素子のサイズで決まることになる。従って、外径サイズが決まっている場合、解像度を高くしようとすれば、電子源素子のサイズを小さくする必要がある。
しかしながら、電子源素子のサイズを小さくすると、配置可能なエミッタの数が少なくなってしまうという課題が生じる。
また、エミッタ自身をより微細化するという対策も考えられるが、フォトリソグラフィ法工程におけるアライメントマージンに必要な面積や、プロセス上の寸法制御のマージン等を考慮すると、電子源の微細化にも一定の限度があり、高解像度化が困難となる。
本発明は、電子源素子のサイズを従来のように小さくすることなく解像度を高くできるマトリックス型冷陰極電子源装置を提供することを目的とする。
本発明の請求項1記載のマトリックス型冷陰極電子源装置は、電子を放出する複数のエミッタを有する冷陰極電子源素子が第1のピッチでマトリックス状に配置された冷陰極電子源アレイと、前記冷陰極電子源アレイに対向し貫通孔が前記第1のピッチで複数配列した貫通孔群を有するメッシュ構造体と、前記冷陰極電子源アレイとメッシュ構造体を介して対向し、前記冷陰極電子源アレイから放出され、前記メッシュ構造体の貫通孔を通過した電子ビームが衝突する位置に配置されたターゲットと、前記メッシュ構造体を前記貫通孔の第1の配列方向および第2の配列方向に駆動する駆動部とを備えたことを特徴とする。
本発明の請求項2記載のマトリックス型冷陰極電子源装置は、請求項1において、前記駆動部を、前記第1,第2の配列方向にそれぞれ前記第1のピッチの(1/N)(Nは2以上の整数)刻みで前記第1のピッチまで前記メッシュ構造体を駆動するよう構成したことを特徴とする。
本発明の請求項3記載のマトリックス型冷陰極電子源装置は、請求項1または請求項2において、前記メッシュ構造体が、少なくとも冷陰極電子源素子と対向する面とターゲットに対向する面、および貫通孔の内面が導電性材料で覆われており、且つ前記導電性材料の表面に外部より所定の電位を印加できる構造であることを特徴とする。
本発明の請求項4記載のマトリックス型冷陰極電子源装置は、請求項1〜請求項3の何れかにおいて、前記メッシュ構造体の厚さが、10μm以上500μm以下であることを特徴とする。
本発明の請求項5記載のマトリックス型冷陰極電子源装置は、請求項1〜請求項4の何れかにおいて、前記メッシュ構造体の貫通孔の断面形状が、電子ビーム方向に略垂直であることを特徴とする。
本発明の請求項6記載のマトリックス型冷陰極電子源装置は、請求項1または請求項2において、前記メッシュ構造体が、冷陰極電子源素子と対向する面、若しくはターゲットと対向する面の少なくともどちらか一方が導電性材料で覆われており、前記導電性材料で覆われた面に接して絶縁性材料が形成された構造を有し、前記導電性材料で覆われた面には、独立に外部より電位を印加できる構造であることを特徴とする。
本発明の請求項7記載のマトリックス型冷陰極電子源装置は、請求項6において、前記メッシュ構造体を構成する導電性材料の厚さが10μm以上500μm以下であり、前記メッシュ構造体を構成する絶縁性材料の厚さが10μm以上10μm以下であることを特徴とする。
本発明の請求項8記載のマトリックス型冷陰極電子源装置は、請求項1または請求項2において、前記メッシュ構造体は、前記メッシュ構造体の大部分をなす基層と、前記基層が冷陰極電子源素子と対向する面、若しくはターゲットと対向する面の少なくともどちらか一方が、前記基層よりも低抵抗の導電性材料で覆われた面を有する構造であり、前記基層を形成する材料、若しくは前記基層に形成された貫通孔の表面は二次電子放出能を有する材料であることを特徴とする。
本発明の請求項9記載のマトリックス型冷陰極電子源装置は、請求項8において、前記メッシュ構造体は、前記メッシュ構造体の大部分をなす基層の厚さが50μm以上であることを特徴とする。
本発明の請求項10記載のマトリックス型冷陰極電子源装置は、請求項8において、前記メッシュ構造体の貫通孔の断面形状が略テーパ形状であり、ターゲット面に対向する貫通孔の開口径に対して、冷陰極電子源アレイに対向する貫通孔の開口径が大きいことを特徴とする。
本発明の請求項11記載のマトリックス型冷陰極電子源装置は、請求項8において、径:D2と冷陰極電子源アレイに対向する貫通孔の開口径:D1の関係は、前記メッシュ構造体の厚みをT、スピント型エミッタから放出される電子の広がり角をθとすると、tanθ < (D2−D1)/(2・T)であることを特徴とする。
本発明の請求項12記載のマトリックス型冷陰極電子源装置は、請求項1または請求項2において、前記ターゲットは、表面に蛍光体膜が形成されていることを特徴とする。
本発明の請求項13記載のマトリックス型冷陰極電子源装置は、請求項1または請求項2において、前記ターゲットには、表面に光電変換膜が形成されていることを特徴とする。
本発明の請求項14記載のマトリックス型冷陰極電子源装置は、請求項1または請求項2において、前記駆動部は、前記冷陰極電子源素子の電子放出のタイミングと同期して動くことを特徴とする。
本発明によると、電子源素子を小さくすることなく、即ち電子源素子の電流密度を低下させることなく高解像度化を実現して、信頼性の高いマトリックス型冷陰極電子源装置を実現でき、高解像度、高輝度のFEDや、高解像度、高感度の撮像素子を実現できる。
請求項1または請求項2の構成によると、電子源素子の面積を解像度に併せて小さくする必要が無いため、十分な電流量を安定的に確保できると同時に、ターゲット面に照射される電子は貫通孔の開口径に併せて絞ることが可能となるため、高解像度の電子源装置を実現することができる。
請求項3の構成によると、メッシュ構造体よりターゲットに向かう電子を効果的にターゲット面に送ることが可能となり、高感度の電子源装置を実現することができる。
請求項4の構成によると、メッシュ構造体を通過する電子の収束性を制御できると同時に、メッシュ構造体に衝突して消滅する電子の量を少なくすることで、ターゲット面での電流密度を高めることができる。また、メッシュ構造体の強度を維持しつつ、加工が容易となるため、製造工程における信頼性、歩留りを確保することができる。
請求項5の構成によると、貫通孔における電子の消失が少なく、且つ直進性を持った電子をターゲット面に送ることができる。
請求項6の構成によると、メッシュ構造体を通過する電子の軌道を外部電界で制御することで、収束性と直進性を制御することが可能となり、高解像度の電子源素子を実現できる。
請求項7の構成によると、メッシュ構造体を通過する電子の収束性を制御できると同時に、メッシュ構造体に衝突して消滅する電子の量を少なくすることで、ターゲット面での電流密度を高めることができる。また、メッシュ構造体の強度を維持しつつ、加工が容易となるため、製造工程における信頼性、歩留りを確保することができる。
請求項8の構成によると、メッシュ構造体の貫通孔内面に電子が衝突しても、二次電子が放出されることで電子が消失することなく、高い電流密度を維持することができる。
請求項9の構成によると、メッシュ構造体の製造を容易にし、また、メッシュ構造体の強度を保つ役割を果たすことで、マトリックス型冷陰極電子源装置の信頼性を確保することができる。
請求項10の構成によると、貫通孔内面で生成された二次電子が発散されることなくターゲット面に向かうため、高い電流密度と収束性が実現できる。
請求項11の構成によると、電子源素子から放出された電子を無駄なくターゲット面に導くことが可能となり、高い電流密度を実現できる。
請求項12の構成によると、高解像度の表示装置を実現することができる。
請求項13の構成によると、解像度の高い高感度の撮像装置を実現することができる。
請求項14の構成によると、高解像度の表示装置或いは撮像装置を実現することができる。
本発明の実施の形態1に係るマトリックス型冷陰極電子源装置の分解斜視図 同実施の形態の断面構造の模式図 同実施の形態の機能を説明する分解斜視図 同実施の形態の構造と駆動方法を説明する要部の平面図 本発明の実施の形態2に係るマトリックス型冷陰極電子源装置のメッシュ構造体の断面図 同実施の形態のメッシュ構造体の別の例を示す貫通孔部の拡大断面図 同実施の形態のメッシュ構造体の別の例を示す貫通孔部の拡大断面図 同実施の形態のメッシュ構造体の別の例を示す貫通孔部の拡大断面図 同実施の形態のメッシュ構造体の別の例を示す貫通孔部の拡大断面図 本発明の実施の形態3に係るマトリックス型冷陰極電子源装置のメッシュ構造体の断面の模式図 同実施の形態のメッシュ構造体の電子の挙動を説明する貫通孔部の拡大断面図 同実施の形態の別の例を示す貫通孔部の拡大断面図 同実施の形態の別の例を示す貫通孔部の拡大断面図 本発明の実施の形態4に係るマトリックス型冷陰極電子源装置のメッシュ構造体における貫通孔部の拡大断面図 従来のFEDの基本構成を示す拡大斜視図 同従来例の断面図
以下、本発明の各実施の形態を図1〜図8に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1〜図4は本発明の実施の形態1のマトリックス型冷陰極電子源装置を示す。
図1は分解斜視図、図2は組立て後の断面図である。
背面基板1の上には、フリットガラスを用いて接合したリング状のガラススペーサ2が取り付けられている。ガラススペーサ2の内側の前記背面基板1上には、冷陰極電子源アレイ4が銀ペースト等を用いて貼り付けられている。
冷陰極電子源アレイ4は、複数のエミッタが一つの群として成る冷陰極電子源素子4aがXY方向に複数マトリックス状に配列された構造を有している。なお、図2においては、簡略化のため各々の冷陰極電子源素子4aを一つのエミッタとしてSi基板3の上に図示している。冷陰極電子源素子4aは第1のピッチP1でマトリックス状に配置されている。
ガラススペーサ2の上面には、中央に窓5aが形成されている保持基板5が配置されている。この保持基板5は、金属Inよりなる内周リング10とステンレス製の外周リング11によってガラススペーサ2に固定されている。
保持基板5の上には、中央に窓6aが形成されているY側ステージ基板6をY軸方向に移動させることができる駆動部としてのY側アクチュエータ7bが固定されている。Y側ステージ基板6には、メッシュ構造体8をX軸方向に移動させることができる駆動部としてのX側アクチュエータ7aが固定されている。
このようにメッシュ構造体8は、X側アクチュエータ7aとY側アクチュエータ7bを介して保持基板5に取り付けられており、X側アクチュエータ7aとY側アクチュエータ7bの運転によってメッシュ構造体8を、X方向、Y方向に所定の距離だけ移動できる構造となっている。
メッシュ構造体8は、基材となる導電性の薄板に所定の間隔でマトリクス状に貫通孔9が形成されている。なお、メッシュ構造体8は、必ずしも全て導電性である必要はなく、少なくとも表面、裏面、および貫通孔内面が導電性を有していれば良く、例えば微細加工したガラスの表面にメッキ法等を用いて導電膜を形成してもよい。
内周リング10とステンレス製の外周リング11の先端の内周部には、前面基板15が取り付けられている。前面基板15には、メッシュ構造体8の側表面に透明導電膜12が成膜されており、アノードピン16と電気的に接続されている。透明導電膜12の表面には光電変換膜13が形成されており、外部から所定の電圧をアノードピン16に印加することにより、透明導電膜12を介して光電変換膜13に電圧印加できる構成となっている。前面基板15と透明導電膜12と光電変換膜13などで構成されるユニットは、冷陰極電子源アレイ4から見てターゲット14である。前記貫通孔9は、冷陰極電子源アレイ4の法線方向と前面基板15を結ぶ線と略平衡となるように形成されている。
組み立て作業の際には、ガラススペーサ2と前面基板15の間に内周リング10を挟み、背面基板1と前面基板15の上下から圧力を加えると、内周リング10が塑性変形し、背面基板1、ガラススペーサ2、内周リング10、および前面基板15で囲まれた空間が気密封止される。高真空中で本作業を行うことで、冷陰極電子源アレイ4を高真空中に保持することができる。
このように、ターゲット14に光電変換膜13を設けた撮像装置では、外部からの光により誘起された正孔−電子対を、冷陰極電子源アレイ4からの放出電子により読み取ることができる。
ここで、メッシュ構造体8と冷陰極電子源素子4a、ターゲット14との関係について、図3を参照しながら詳しく説明する。冷陰極電子源素子4aは、マトリクス状に配置された冷陰極電子源アレイ4の中のひとつのセルとして構成されている。
メッシュ構造体8には、冷陰極電子源アレイ4における冷陰極電子源素子4aの配置間隔である第1のピッチP1と同じピッチで貫通孔9がマトリックス状に形成されている。ここでは、メッシュ構造体8に形成された貫通孔9のX方向,Y方向のピッチをそれぞれPm(X),Pm(Y)、貫通孔9が略垂直と仮定した時の貫通孔9の開口部のX方向,Y方向幅をDm(X),Dm(Y)とする。また、1セル分の冷陰極電子源素子4aのエミッタ領域4bのX方向,Y方向幅をPem(X),Pem(Y)とする。更に、表示デバイスの場合においては、ターゲット上に仮想的に描く1画素分の撮像面のX方向,Y方向幅をDt(X),Dt(Y)とする。
従来例の形態では、冷陰極電子源素子4aのエミッタ領域4bと貫通孔9の大きさ、更にはターゲット14上の1画素分の撮像領域の大きさをほぼ等しく形成されており、
Pem(X)≒Dm(X)≒Dt(X)
Pem(Y)≒Dm(Y)≒Dt(Y)
の関係式が成り立っていた。表示デバイスにおいて解像度を高くするためには、Dt(X)、Dt(Y)を小さくする必要がある。即ちPem(X),Pem(Y)を小さくする必要があるが、冷陰極電子源素子の面積を小さくすることは、前述のとおりエミッタの集積度限界やプロセスマージンの影響が大きいなどの理由により実現が困難となっていた。
これに対して本実施の形態では、冷陰極電子源素子4aの大きさを変更することなく、表示デバイスの解像度を2倍にできる方法について以下に説明する。
メッシュ構造体8の貫通孔9の大きさを、図3に示したようにターゲット14の1画素に相当する大きさとし、エミッタ領域4bの大きさを、X方向、Y方向とも略2倍となる大きさとして配置した。すなわち、
Dm(X)≒Dt(X)≒(1/2)Pem(X)
Dm(Y)≒Dt(Y)≒(1/2)Pem(Y)
の関係式が成り立つように構成されている。
メッシュ構造体8は前述のようにアクチュエータ7a,7bを介して取り付けられている。このアクチュエータ7a,7bにより、メッシュ構造体8はX方向,Y方向に各々Pm(X),Pm(Y)だけ移動させることができる。このPm(X),Pm(Y)は、冷陰極電子源アレイ4におけるX方向,Y方向の画素ピッチに相当する。即ち、アクチュエータ7a,7bを用いて図中A,B,C,Dの領域に冷陰極電子源素子4aの電子放出のタイミングと同期して移動させることにより、ターゲットのA,B,C,Dの領域に電子ビームを照射させることができる。
このように、メッシュ構造体8を構成することにより、従来の1画素を4画素として使用できるので、冷陰極電子源素子4aのサイズを小さくすることなく高解像度化ができる。
FEDなどの表示素子として用いる場合において、アクチュエータ7a,7bと電子源アレイ4の構成とタイミング動作について以下に簡単に説明する。
メッシュ構造体8は、冷陰極電子源アレイ4に対向して配置される。貫通孔9は、第1のピッチ:P1で複数配列した貫通孔群を有する。ターゲット14は、メッシュ構造体8に対向して配置され、冷陰極電子源アレイ4から放出されてメッシュ構造体8の貫通孔9を通過する電子ビームが衝突する位置に配置されている。X側アクチュエータ7aおよびY側アクチュエータ7bは、メッシュ構造体8を貫通孔9の第1の配列方向(X軸)および第2の配列方向(Y軸)に移動させる駆動部としての機能を備えている。貫通孔9の開口径は、第1のピッチの1/N以下(Nは2以上の整数)に設計される。メッシュ構造体8は、X側アクチュエータ7aとY側アクチュエータ7bを用いて、第1,第2の配列方向(X軸,Y軸)にそれぞれ第1のピッチの(1/N)刻みでステップ駆動するよう構成される。X側アクチュエータ7aとY側アクチュエータ7bを、積層状に順次保持基板5上に固定することにより、それぞれX方向、Y方向に独立した2次元的な駆動が可能になる。ここでは、FEDなどの表示素子として用いる場合について説明したが、撮像素子として用いる場合にも表示素子と同じ構成とタイミング動作で使用することができる。
NTSCの放送規格に準じて映像を動画表示する場合について説明する。
NTSCの画面表示は、1/30秒をフレーム単位とした連続する映像フレーム信号をリアルタイムに逐次表示している。表示動作は、1フレームの垂直走査信号(NTSCの場合は480本)ライン毎にそれぞれの水平信号を同時に表示する単純マトリクス表示動作が用いられる。本実施例の上記メッシュ構造体8を用いる場合には、1フレームに相当する垂直信号走査ラインの表示時間(約69.4μsec)を2分割し、1フレームを2回に分けて倍速での表示動作を行うことで実現できる。この時、表示動作とアクチュエータによる駆動を同期する必要がある。アクチュエータの開口部(貫通孔9)を用いて最初の表示動作を行った後(約34.7μsec)、メッシュ構造体8を画素ピッチ相当距離(Pm(X))移動させて、次の画素の表示動作を行う。上記の動作原理により、メッシュ構造体の開口部は、X方向、Y方向それぞれ2画素分の表示動作を行うことが可能となる。
このように、メッシュ構造体8を用いて映像表示に同期して駆動することにより、従来の1画素を4画素として使用できる。このため、冷陰極電子源素子4aのサイズを小さくすることなく高解像度化ができるメリットがある。
このようにメッシュ構造体を用いて高解像度化を図ることは、冷陰極電子源の安定動作や信頼性を確保するという観点からも利点がある。
一般的に、マトリックス型冷陰極電子源装置では、マトリックス状に並んだ冷陰極電子源素子の動作を個別に制御するためのX方向、およびY方向に駆動用の配線を備えている。更に、電子源素子の種類によって多少構成は異なるものの、エミッタ先端に電界を印加するためのゲート電極や、駆動用の配線とのコンタクト部分などを備えている。これら異なる平面状の構成要素を垂直方向に積み上げて素子を構成する際、各々の形状の異なる平面状の構成要素を相互に位置合わせする必要がある。位置合わせには、相互のずれを見込んだ設計をする必要があり、このずれ量を一般的に合わせマージンと称している。
積層する構成要素が多くなればなる程、合わせマージンのためのスペースが必要となる。電子源素子では、エミッタの数を多くすることが高い電流量の確保と安定性につながるが、合わせマージンのためのスペースが増えるほど、エミッタを形成できるスペースが少なくなることになる。従って、例えば電子源素子の面積が半分になると、エミッタの数は半減に留まらず、30〜40%にまで低下してしまい、必要な電流量の確保が難しくなる、或いは必要な電流量を確保するがために個々のエミッタに対する負荷が大きくなるといった問題が生じる。
一方、この実施の形態では、電子源素子の面積は維持したままで貫通孔9の面積を1/4とすることで高解像度化が実現できる。電子源素子の面積を半分にする従来の方法に比べて相対的に高い電流密度を維持できるため、電子源素子の安定動作や電子源の長寿命化を実現することが容易になる。
この実施の形態の場合、解像度はメッシュ構造体8の貫通孔9の大きさによって決定される。メッシュ構造体8も微細化を進める上では、半導体プロセス、或いはMEMS(Micro Electro Mechanical systems)技術を用いる必要があるが、メッシュ構造体8の場合は貫通孔9の微細加工のみで、冷陰極電子源素子4aのような合わせマージンが必要ないため微細化は容易である。
更に、従来例では貫通孔9が画素ピッチで隣接して形成するため、従来手法通りに微細化を進めようとすると貫通孔9を保持する壁の部分が非常に薄くなってしまうが、この実施の形態では駆動ピッチ分だけ離れているため、壁の部分を相対的に厚くすることができ、強度的な信頼性が向上するという特徴も有する。
なお、この実施の形態では、貫通孔に対する電子源素子の相対的な大きさをX方向、Y方向とも2倍とした例を示したが、電子源素子の大きさは2倍に限定されるものではなく、電子ビーム起動から計算される貫通孔サイズと、設計された貫通孔のサイズを実現するためのプロセス上の要請から、2以上の整数倍としても何ら本発明の用件から外れるものではない。
また、貫通孔9の断面形状は略垂直形状としたが、貫通孔の電子源アレイ側開口寸法とターゲット側開口寸法は完全に同一になるとは限らず、プロセスでの形状制御の範囲で、プラスマイナス10%〜20%程度の範囲で差が生じることは止むを得ない。
次に、メッシュ構造体8の駆動方法について図1、図2、および図4を用いて簡単に説明する。
メッシュ構造体8には、X側アクチュエータ7aが取り付けられており、X側アクチュエータ7aのみがY側ステージ基板6に固定されている。この構成によって、メッシュ構造体8をY側ステージ基板6上でX方向に任意の距離移動させることが可能となる。
更に、Y側ステージ基板6には、Y側アクチュエータ7bが取り付けられており、Y側アクチュエータ7bのみが保持基板5に固定されている。この構成によって、Y側ステージ基板6を保持基板5上でY方向に任意の距離だけ移動させることができる。
以上の構成によって、メッシュ構造体8は、保持基板5に対して相対的にX方向とY方向に任意の距離移動させることが可能となる。保持基板5は、内周リング10によりガラススペーサ2上に固定されていることから、メッシュ構造体8は、冷陰極電子源アレイ4に対して相対的にX方向,Y方向の任意の位置に移動させることが可能となる。
この実施の形態では、X側アクチュエータ7a、Y側アクチュエータ7bとして、圧電素子を用いた。圧電素子は小型化が可能であり、しかも数10Vの電圧の印加によって数10μmの移動量を得ることができることから、この実施の形態における電子源装置に必要な移動量を実現できる。
このアクチュエータを駆動するための信号配線は、図4に示したように、保持基板5、Y側ステージ基板6に形成したX側アクチュエータ駆動用引出し配線5bと、Y側アクチュエータ駆動用引出し配線5cと,メッシュ電極引出し配線5d、および各基板同士を上下に接続するボンディングワイヤー5eによって接続する。同時に、保持基板5から背面基板1の上に形成した電極配線(図示せず)にボンディングワイヤーによって接続し、外部からの信号を供給する。なお、同様の手法によって、メッシュ構造体8に対する電位の供給も行っている。
なお、この実施の形態では、アクチュエータとして圧電素子を用いているが、アクチュエータは圧電素子に限るものではない。例えば圧電素子以外のアクチュエータも利用可能であり、MEMS技術を用いた微細な直動機構等も用いることができる。更に、この実施の形態ではメッシュ構造体とX側アクチュエータを夫々別の部品として取り扱っているが、MEMS技術を用いて一体構造とすることも可能である。同様に、Y側ステージ基板とY側アクチュエータも一体構造とすることが可能である。
(実施の形態2)
図5A〜図5Eは実施の形態1におけるメッシュ構造体8の具体例を示す。
図5Aはメッシュ構造体8の断面模式図、図5Bは図5Aに示した貫通孔部Aの拡大断面模式図である。
メッシュ構造体8は、冷陰極電子源アレイ4に対向する面の導電体層である第一電極93と、中間層となる絶縁層92と、ターゲット14に対向する側の導電体層である第二電極94とから成る3層構造となっている。
第一電極93と第二電極94は、各々独立に電位を制御できる構造となっており、各々の電位を適切に制御することによって、冷陰極電子源アレイ4から放出された電子を効率的に、且つ収束性を維持したままターゲット14に照射することができるため、高い解像度を実現できる。
メッシュ構造体8による電子ビームの収束においては、第一電極93と第二電極94に印加する電位配分のみならず、第一電極93、絶縁層92、および第二電極94の厚さも影響する。更には、冷陰極電子源アレイと第一電極93との距離、および第二電極94とターゲット面との距離も影響するため、電界シミュレーション等の方法を用いて最適設計をする必要があるが、この設計項目については本発明の要件には当たらないため、ここでは説明を省略する。
このようなメッシュ構造体8は次の工程で製造できる。
まず、基材単結晶Si基板の上に中間絶縁層を介して所定の厚さの単結晶Siが形成されたSOI(Silicon on Insulator)基板を用意する。
メッシュ構造体8を構成する絶縁性材料の厚みを10nmから10μmの範囲で最適な値に選択することとした。メッシュ構造体8による電子ビームの収束機能を最適に発揮させるには、第一電極93と第二電極94に印加する電位配分のみならず、第一電極93、絶縁層92、および第二電極94の厚さも最適に設計する必要がある。第一電極93と第二電極94には、それぞれ異なる電位を与えて、電子ビームの軌道に対する静電的なレンズ作用を行わせる。シリコン半導体プロセスで用いられているシリコン酸化膜を絶縁性材料として採用する際は、印加する電位に対して高い絶縁耐性を持つメリットがある。例えば、10nmのシリコン酸化膜を用いる場合は、凡そ50Vの耐圧特性を有し、10μmの厚さの場合には、凡そ50kVの高い耐圧特性を有するため厚みに対する設計自由度が増すことになる。
ここでは基材Si基板の厚さが200μm、中間絶縁層の厚さが2μm、絶縁層上に形成された単結晶Siの厚さが100μmのSOI基板を購入して絶縁層の厚さが10μmのメッシュ構造体を作製した。このSOI基板の基材Si基板が、基材Si基板91、中間絶縁層が絶縁層92、中間絶縁層上に形成された単結晶Siが第二電極94となる。なお、第二電極94は、単結晶Siに高濃度のリン、砒素等のN型不純物を注入して低抵抗化している。
単結晶Siで形成されている第二電極94の表面全面に、保護膜となるレジスト膜、若しくはSOG(Spin on Grass)膜を塗布した後、基材Si基板91の裏面に、所定の開口部を有するレジスト膜を塗布し、基材Si基板91の裏面(図5A中の下方面)から水酸化カリウム(KOH)を用いてウエットエッチングを行う。KOHを用いたエッチングは、Si単結晶の結晶面によってエッチング速度が異なるため、面方位(100)の単結晶基板の場合、約42°の略テーパを持ったエッチング面が形成される。絶縁層92はKOHではエッチングできないため、Siのエッチングは絶縁層92に達したところでそれ以上進まない。レジストを全て剥離後、基材Si91の裏面全面に第一電極93となる金属膜を成膜する。この実施の形態では、金属膜として厚さ1μmのAlを用いた。
次に、第二電極94の表面に厚さ100nmの酸化膜を成膜後、レジスト膜を塗布し、貫通孔9に相当する開口部を形成し、まず酸化膜をエッチング後、レジストと酸化膜をマスクとしてドライエッチング法により第二電極94、絶縁層92、および第一電極93を連続的にエッチングし貫通孔9を形成し、メッシュ構造体8が完成する。
メッシュ構造体8は、第一電極93および第二電極94に各々独立に電圧を印加することで、冷陰極電子源アレイ4から放出した電子を集束してターゲット14に送る役割を果たす。電子の収束性は、冷陰極電子源アレイ4に形成された冷陰極電子源素子4aと貫通孔9の下部に位置する第一電極93の表面との距離、第一電極93の印加電圧、絶縁層92の厚さ、第二電極94の厚さと印加電圧、および第二電極94の上面とターゲット14に形成された光電変換膜13との距離によって決めることができる。なお、この実施の形態では、SOI基板の仕様を予め決めることにより、冷陰極電子源アレイ4に形成された冷陰極電子源素子4aと貫通孔9の下部に位置する第一電極93との距離は、第一電極93の厚さによって調整することが可能となる。また、貫通孔9の形成は、半導体加工プロセス技術を用いているため、微細な加工が可能となるという特徴も有している。
なお、図5Bに示した例では、貫通孔9の断面形状が入口から出口にわたって径が一定、つまり電子ビーム方向(Z軸)に略垂直であったが、次のように構成することも出来る。
図5C〜図5Eは、それぞれメッシュ構造体8における貫通孔9の断面形状の一例を示しており、貫通孔9の断面部分の形状は、第二電極94、絶縁層92、第一電極93の材料やエッチング方法によって様々に変えることができる。図5Cに示した様なターゲット面に向かって開口部が広くなる構造や、図5Dに示した様な第二電極94の中央部がくびれた形状、更には図5Eに示した様なターゲット面に向かって開口部が湾曲しながら狭くなる形状などがある。これらの形状も前述の如く設計項目であり、本発明の要件には当たらないため、ここでは説明を省略する。
(実施の形態3)
図6A,図6Bと図7A,図7Bは本発明の実施の形態3を示す。
メッシュ構造体8における貫通孔9の断面形状が先の実施の形態とは異なる。その他の構成は実施の形態1と同じである。
この実施の形態3の貫通孔9は、図6Bに示すように冷陰極電子源アレイ4に対向する側が大きく、ターゲット14に対向する側が小さい略テーパ形状になっており、且つ少なくとも貫通孔9の内面は二次電子放出能が1を超える材料で構成されている点にある。
図6Aはメッシュ構造体8が全て同一の材料でできている場合を示している。94bは第二電極引き出し用のパッドである。図6Bは図6Aにおける貫通孔部Aの拡大断面模式図である。
メッシュ構造体8は、メッシュ構造体8の大部分をなす基層の厚さが50μm以上である条件とした。メッシュ構造体をMEMS製造ラインを用いて製作する場合は、構造体の製造単価を引き下げるために、出来るだけ大きなウエハサイズ(4インチ以上)を用いることが望ましい。実施の形態2で述べたようなプロセスを用いる場合、それぞれの製造装置内のウエハ搬送時に、ウエハの破損やキズを発生させないことが要求される。貫通孔構造を有する微細電極をウエハ上に作製すると、ウエハの機械強度が大幅に低下し、場合によってはウエハに破損につながる恐れが発生する。メッシュ構造体8の基層の厚さを50μm以上に設定しておけば、上記の微細構造体を形成した後においても、ウエハの機械強度が十分に保たれ、ウエハの破損を引き起こす恐れはほとんどなくなる。
図6Bにおいて、冷陰極電子源アレイ4に対向する貫通孔9の開口部の径をD1、ターゲット14の側に対向する貫通孔9の開口部の径をD2とした時、D2は前述の通り、解像度の要請から決まる画素寸法とほぼ同等の寸法となる。冷陰極電子源素子4aから放出された電子ビームの一部は貫通孔9の内面に当たらずに直接にターゲット14面に到達するが、一部は略テーパ上に形成された貫通孔9の内面に衝突する。この時、メッシュ構造体8を形成する材料の二次電子放出能が1以下の場合は、内面に衝突した電子がそのままメッシュ構造体8に吸収されてターゲット14側に電子は出てこない。一方、この実施の形態で示したメッシュ構造体8を構成する材料は1を超える二次電子放出能を有しているため、貫通孔9の内面に衝突した電子Eによって二次電子が生成される。生成された二次電子は、ターゲット14に対向する開口部に近ければ、そのままターゲット14に向かう。ターゲット14から遠い場合は、貫通孔9の内面に再度衝突し、そこで新たな二次電子を生成するという現象を繰り返し、ターゲット14の側の開口部に到達したところで生成された二次電子がターゲット14に向かう。
なお、この実施の形態の場合、冷陰極電子源素子4aから放出された電子が冷陰極電子源素子4aの側に戻るのを抑えるために、メッシュ構造体8に所定の電圧を印加することが有効である。この場合、メッシュ構造体8自身が第二電極94として機能する。
略テーパ形状の貫通孔9の加工は、以下のようにして行う。
まず、SUS等の金属板の一方の表面にレジストを塗布し、フォトリソプロセスを用いて貫通孔9のD2に相当する開口を形成する。また、裏面側には、全面に同じくレジストを塗布しておく。前記金属板をエッチングする溶液にレジストを溶かす成分を添加した薬液中にこの金属板を所定の時間浸すと、前記金属板の厚さ方向のエッチングと同時に、レジストが少しずつ溶ける事でレジスト開口部が広がり、同時にレジストが溶け出した部分の金属板のエッチングが進む。エッチングが前記金属板の厚さ分まで進行したところで前記金属板をエッチング液から引き出し、所定の洗浄とレジストの剥離を行うと、概ね図示した断面形状を有する貫通孔9が得られる。
図6A,図6Bに示した実施の形態の場合、メッシュ構造体8に略テーパ形状の貫通孔を形成するだけのため、作製が容易という利点がある。
図7A,図7Bはこの実施の形態3の別の例を示している。
図7Aは、メッシュ構造体8の基材として微細加工性に優れたSi基板を用いた場合を示している。Si自身は二次電子放出能が低いため、例えばMgO膜の様な二次電子放出能の高い二次電子放出膜95を貫通孔9の内面に成膜する。貫通孔9の内面に二次電子放出膜95を形成する方法としては、前述の実施の形態2で示した製造方法において、エッチング完了後、エッチング液を所定の方法で除去、洗浄した後、レジストを残したまま真空蒸着法等を用いて、開口の広い面側から二次電子放出膜95を所定の厚さだけ成膜する。その後にレジスト剥離を行うと、貫通孔9の内面にのみ二次電子放出膜95が形成されたメッシュ構造体8が作製できる。また、二次電子放出膜95がメッキ法で成膜できる材料である場合は、レジストを残した状態でメッキを行うことで、同様の構成のメッシュ構造体8を作製することができる。
図7Bは、貫通孔9の内面に加えて、第二電極94の下面に二次電子放出膜95を成膜した構成となっている。この構成により、冷陰極電子源素子4aから放出された電子のうち、二次電子放出膜95の下面に当った電子から生成された二次電子も生成するため、ターゲット14に対して高い電流量を得ることができる。
なお、メッシュ構造体の厚みをTとすると、ターゲット14に対向する貫通孔の開口径:D2、冷陰極電子源アレイ4に対向する貫通孔の開口径:D1の関係は、以下の関係を満足するのが好ましい。ここで、θはスピント型エミッタから放出される電子の広がり角とする。
tanθ < (D2−D1)/(2・T)・・・・(数式A)
メッシュ構造体による電子ビームのトリミング効果について上記関係式を用いて説明する。
スピント型エミッタの場合、一般にエミッタから放出される電子の放出角はおよそ鉛直方向に片側30°の広がり角を有している。
メッシュ構造体の厚みが開口径に比べて十分厚い(T>>D1,D2)場合には、貫通孔の開口径D2,D1が同程度であれば、電子ビームのトリミング効果は十分である。
しかしながら、半導体材料やプロセスを利用してメッシュ構造体を作製することが一般的であるため、現実にはせいぜい同程度か数倍の値に制約される。この場合には、電子ビームの広がり成分をメッシュ構造体によりトリミングできないため、解像度を劣化させる要因ともなる。
上記の(数式A)を満足する条件でメッシュ構造体を作製しておけば、原理的には電子ビームの広がり成分の大半がメッシュ構造体の貫通孔の側壁に衝突して吸収・除去されるため、貫通孔を通過してターゲット方向に進行する電子ビームは略平行ビームとなるようにトリミングされ、解像度を高く維持する効果が期待できる。
(実施の形態4)
図8は本発明の実施の形態4を示す。
メッシュ構造体8における貫通孔9の断面形状が先の実施の形態とは異なる。その他の構成は実施の形態3と同じである。
この実施の形態4では、メッシュ構造体8に形成された貫通孔9が、冷陰極電子源アレイ4に対向する側が大きく、ターゲット14に対向する側が小さい略テーパ形状になっており、且つ少なくとも貫通孔9の内面は二次電子放出能が1を超える材料で構成されている点では、上述の実施の形態3で示した構成と同じであるが、この実施の形態では、メッシュ構造体8のターゲット14に近い面側に、絶縁層92bを介して第三電極96が形成されている。この構成では、冷陰極電子源素子4aの側から放出された電子は、第二電極94となる略テーパ形状の貫通孔9に衝突する。テ−パ形状の貫通孔9の内面には、二次電子放出能が1を超える膜が形成されており、電子の衝突により二次電子が放出される。
このような構成では、第二電極94と第三電極96を所定の電位に設定することで、生成された二次電子を効率的にターゲット14の側に引き出すことができると共に、貫通孔9を通過した電子の収束性も高めることができるという利点がある。
貫通孔9の加工は、以下のように行う。
まず、基材Si基板91の表面(図8中では上面側)に熱酸化法により絶縁層92bを形成する。次に、基材Si基板91の裏面側(図8中では下面側)にレジストを塗布し、所定の径の開口部を形成したのち、絶縁層92bが露出するまでKOHを用いたウエットエッチングを行う。このとき前述した様に、単結晶のSiは結晶面に対して異方的にエッチングされるため、約42°のテーパ角を有する形状が形成される。
レジストを剥離した後、Siのテーパ形状が形成された面にネガレジストを塗布し、絶縁層92bの上面側から全面に露光を施す。その後、レジストを現像すると、絶縁層92bの下部のレジストが残り、基材Si基板91の裏面のレジストが除去される。この状態で、基材Si基板91の裏面側に二次電子放出能の高いMgO膜等を真空蒸着法等により成膜した後、レジスト剥離を行うと基材Si基板91の裏面にのみ二次電子放出膜95が形成される。
その後、絶縁層92bの面側にネガレジストを塗布し、Si基材側から全面に露光を施してレジストを現像すると、Si基材のテーパ形状の開口部上にのみレジストが残る。この状態で絶縁層92bおよびパターニングされたレジスト膜表面に真空蒸着法を用いてCr等の金属膜を所定の厚さに成膜し、続けてレジスト剥離を行うと、レジストと同時にレジスト表面に成膜された金属膜が除去される。次に、Cr等の金属膜をマスクとして絶縁層92bをエッチングして開口部を形成することで、メッシュ構造体8が完成する。 この構成によれば、冷陰極電子源素子4から放出された電子ビームは、メッシュ構造体8に吸収されることなく、冷陰極電子源素子4から放出された電子ビーム量とほぼ同等の電子ビーム量をターゲット面に供給することが可能となる。更に、第二電極94と第三電極96を所定の電位に設定することにより、貫通孔9の内面で生成された二次電子を効率よく、且つ電子の軌道を制御することが可能となり、ターゲット14面での電流密度と解像度を向上させることができる。
メッシュ構造体8は、前述の通り解像度のピッチ相当分移動するため、従来の1画素と同じ大きさで電子源素子を構成した場合に比べ、整数倍の面積を有する電子源素子から放出される電子ビームの大半を1画素に供給することが可能となり、高い電子ビーム量を得ると同時に、高い解像度を実現することが可能となる。
なお、上記の各実施の形態ではマトリックス型冷陰極電子源装置の具体例として撮像装置の場合を例に挙げて説明したが、ターゲット14の表面に、光電変換膜13に代わって蛍光体膜を形成したFEDの場合も同様に実施できる。
本発明は、冷陰極を用いたマトリックス型電子源装置を要部としている電界放射型ディスプレイ装置、高感度撮像装置などの高解像度化に寄与できる。
1 背面基板
2 ガラススペーサ
3 Si基板
4 冷陰極電子源アレイ
4a 冷陰極電子源素子
4b エミッタ領域
5 保持基板
5a 窓
5b X側アクチュエータ駆動用引出し配線
5c Y側アクチュエータ駆動用引出し配線
5d メッシュ電極引出し配線
5e ボンディングワイヤー
6 Y側ステージ基板
6a 窓
7a X側アクチュエータ(駆動部)
7b Y側アクチュエータ(駆動部)
8 メッシュ構造体
9 貫通孔
10 内周リング
11 外周リング
12 透明導電膜
13 光電変換膜
14 ターゲット
15 前面基板
16 アノードピン
91 基材Si基板
92,92b 絶縁層
93 第一電極
94 第二電極
94b 第二電極引き出し用のパッド
95 二次電子放出膜
96 第三電極
P1 第一のピッチ
D1 冷陰極電子源アレイ4に対向する貫通孔9の開口部の径
D2 ターゲット14の側に対向する貫通孔9の開口部の径
Dt(X),Dt(Y) 1画素分の撮像面のX方向,Y方向幅
Dm(X),Dm(Y) 貫通孔9の開口部のX方向,Y方向幅
E 電子
Pem(X),Pem(Y) エミッタ領域4bのX方向,Y方向幅
Pm(X),Pm(Y) 貫通孔9のX方向,Y方向のピッチ

Claims (14)

  1. 電子を放出する複数のエミッタを有する冷陰極電子源素子が第1のピッチでマトリックス状に配置された冷陰極電子源アレイと、
    前記冷陰極電子源アレイに対向し貫通孔が前記第1のピッチで複数配列した貫通孔群を有するメッシュ構造体と、
    前記冷陰極電子源アレイとメッシュ構造体を介して対向し、前記冷陰極電子源アレイから放出され、前記メッシュ構造体の貫通孔を通過した電子ビームが衝突する位置に配置されたターゲットと、
    前記メッシュ構造体を前記貫通孔の第1の配列方向および第2の配列方向に駆動する駆動部とを備えた
    マトリックス型冷陰極電子源装置。
  2. 前記駆動部を、前記第1,第2の配列方向にそれぞれ前記第1のピッチの(1/N)(Nは2以上の整数)刻みで前記第1のピッチまで前記メッシュ構造体を駆動するよう構成した
    請求項1記載のマトリックス型冷陰極電子源装置。
  3. 前記メッシュ構造体が、
    少なくとも冷陰極電子源素子と対向する面とターゲットに対向する面、および貫通孔の内面が導電性材料で覆われており、且つ前記導電性材料の表面に外部より所定の電位を印加できる構造であることを特徴とする
    請求項1または請求項2記載のマトリックス型冷陰極電子源装置。
  4. 前記メッシュ構造体の厚さが、10μm以上500μm以下であることを特徴とする
    請求項1〜請求項3の何れかに記載のマトリックス型冷陰極電子源装置。
  5. 前記メッシュ構造体の貫通孔の断面形状が、電子ビーム方向に略垂直であることを特徴とする
    請求項1〜請求項4の何れかに記載のマトリックス型冷陰極電子源装置。
  6. 前記メッシュ構造体が、冷陰極電子源素子と対向する面、若しくはターゲットと対向する面の少なくともどちらか一方が導電性材料で覆われており、前記導電性材料で覆われた面に接して絶縁性材料が形成された構造を有し、前記導電性材料で覆われた面には、独立に外部より電位を印加できる構造であることを特徴とする
    請求項1または請求項2記載のマトリックス型冷陰極電子源装置。
  7. 前記メッシュ構造体を構成する導電性材料の厚さが10μm以上500μm以下であり、前記メッシュ構造体を構成する絶縁性材料の厚さが10nm以上10μm以下であることを特徴とする
    請求項6記載のマトリックス型冷陰極電子源装置。
  8. 前記メッシュ構造体は、前記メッシュ構造体の大部分をなす基層と、前記基層が冷陰極電子源素子と対向する面、若しくはターゲットと対向する面の少なくともどちらか一方が、前記基層よりも低抵抗の導電性材料で覆われた面を有する構造であり、前記基層を形成する材料、若しくは前記基層に形成された貫通孔の表面は二次電子放出能を有する材料であることを特徴とする
    請求項1または請求項2記載のマトリックス型冷陰極電子源装置。
  9. 前記メッシュ構造体は、前記メッシュ構造体の大部分をなす基層の厚さが50μm以上であることを特徴とする
    請求項8記載のマトリックス型冷陰極電子源装置。
  10. 前記メッシュ構造体の貫通孔の断面形状が略テーパ形状であり、ターゲット面に対向する貫通孔の開口径に対して、冷陰極電子源アレイに対向する貫通孔の開口径が大きいことを特徴とする
    請求項8記載のマトリックス型冷陰極電子源装置。
  11. 前記略テーパ形状の断面形状を有する貫通孔は、ターゲット面に対向する貫通孔の開口径:D2と冷陰極電子源アレイに対向する貫通孔の開口径:D1の関係は、前記メッシュ構造体の厚みをT、スピント型エミッタから放出される電子の広がり角をθとすると、
    tanθ < (D2−D1)/(2*T)
    であることを特徴とする
    請求項8記載のマトリックス型冷陰極電子源装置。
  12. 前記ターゲットは、表面に蛍光体膜が形成されていることを特徴とする
    請求項1または請求項2記載のマトリックス型冷陰極電子源装置。
  13. 前記ターゲットには、表面に光電変換膜が形成されていることを特徴とする
    請求項1または請求項2記載のマトリックス型冷陰極電子源装置。
  14. 前記駆動部は、前記冷陰極電子源素子の電子放出のタイミングと同期して動くことを特徴とする
    請求項1または請求項2記載のマトリックス型冷陰極電子源装置。
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