JP2004259662A - 画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】発光コントロールの簡易化及び電子源と制御電極のセルフアライメント化による製造コスト及び裕度を向上させる。
【解決手段】加速電極G2は、電子源Kと制御電極G1との間隔をLkg、制御電極G1と加速電極G2との間の間隔をL12、制御電極G1の開孔EHLの厚さをTg1、制御電極G1の開孔EHLの短径をFG1としたとき、(Lkg+Tg1+L12/2)/FG1≧0.25であり、加速電極G2の開孔AHLの厚さをTg2、加速電極G2の開孔AHLの短径をFG2としたとき、Tg2min≦Tg2≦Tg2maxであり、かつTg2min=2.98FG2−0.04であり、FG2<0.109のとき、Tg2max=0.02/(0.115−FG2)−0.08であり、FG2≧0.109のとき、Tg2max=0.03/(FG2−0.1)+0.045とするものである。
【選択図】 図1
【解決手段】加速電極G2は、電子源Kと制御電極G1との間隔をLkg、制御電極G1と加速電極G2との間の間隔をL12、制御電極G1の開孔EHLの厚さをTg1、制御電極G1の開孔EHLの短径をFG1としたとき、(Lkg+Tg1+L12/2)/FG1≧0.25であり、加速電極G2の開孔AHLの厚さをTg2、加速電極G2の開孔AHLの短径をFG2としたとき、Tg2min≦Tg2≦Tg2maxであり、かつTg2min=2.98FG2−0.04であり、FG2<0.109のとき、Tg2max=0.02/(0.115−FG2)−0.08であり、FG2≧0.109のとき、Tg2max=0.03/(FG2−0.1)+0.045とするものである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空中への電子放出を利用した画像表示装置に係わり、特に電子源から放出される電子の電子放出特性及び電子ビームの集束特性を向上させて高輝度で再現性に優れた画像表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、高輝度,高精細に優れた画像表示装置として従来からカラー陰極線管が広く用いられている。しかし、近年の情報処理装置やテレビ放送の高画質化に伴い、高輝度,高精細の特性を有するとともに、軽量,省スペースの平板状ディスプレイ(パネルディスプレイ)の要求が高まっている。
【0003】
その典型的な例として液晶表示装置,プラズマディスプレイ装置などが実用化されている。また、特に高輝度化が可能なものとしては、電子源から真空中への電子放出を利用した表示装置(以下、電子放出型表示装置または電界放出型表示装置と称される)や低消費電力化を特徴とする有機ELディスプレイなど種々の型式のパネル型表示装置が実用化されている。
【0004】
この種のパネル型表示装置のうち、前述した電界放出型表示装置には、C.A.Spindtらにより発案された電子放出構造を有するもの(例えば米国特許第3453478号明細書、特開2000−21305号公報参照)、また、メタル−インシュレータ−メタル(MIM)型の電子放出構造を有するもの、さらに、量子論的トンネル効果による電子放出現象を利用する電子放出構造(表面伝導型電子源とも称される、例えば特開2000−21305号公報参照)を有するもの、また、ダイアモンド膜やグラファイト膜、カーボンナノチューブによる電子放出現象を利用するもの等が知られている。
【0005】
前述した電界放出型表示装置は、内面に電界放出型の電子源を有する陰極配線と制御電極とを形成した背面基板と、この背面基板と対向する内面に陽極と蛍光体層とを形成した前面基板とを有し、両者の内周縁部に封止枠を介挿して貼り合わせ、その内部を真空状態にして構成される。また、背面基板と前面基板との間の間隔を所定値に保持するために当該背面基板と前面基板との間に間隔保持部材を設けている構造もある。なお、この種の従来技術に関しては、例えば下記特許文献1及び特許文献2などを挙げることができる。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−134701号公報
【特許文献2】
特開2000−306508号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このように構成される電界放出型表示装置は、背面基板上の陰極配線に設けた電子源と前面基板上に設けた陽極との間に電子通過孔を有する制御電極を設け、制御電極に陰極配線に対して所定の電位差を与えることにより、電子源から電子を引き出し、この電子を制御電極の電子通過孔を通過させ、陽極側の蛍光体に射突させることにより画像表示が行われる。
【0008】
しかしながら、このように構成される画像表示装置において、制御電極は、平行する多数の帯状電極素子で構成され、電子源に近接させて配置される。電子源から引き出される電子の電流密度は、制御電極を構成する帯状電極素子に形成した電子通過孔と陰極配線との間に形成される電界に依存する。すなわち、電子通過孔の数を増やしたり、あるいは電子通過孔の孔径を大きくし、高電圧を印加しても電流密度が高くなるとは限らない。また、陰極配線に流す電流を単純に増加させても、画素当りの電流密度を大きくすることができない。
【0009】
また、制御電極を構成する帯状電極素子は極めて繊細なウエブ状であり、その機械的強度の観点から電子通過孔の孔径は可能な限り小径であることが望まれる。しかし、電子通過孔の孔径を小さくし過ぎても取り出される電子の絶対量が制限されるため、径小化には限度がある。
【0010】
さらに、制御電極を構成する帯状電極素子(MRG)は、厚さが約0.05mm程度の金属材料からなる薄膜又は薄板で極めて繊細なウエブ状に形成されるので、制御電極と陽極との間に形成される電界と、制御電極と陰極配線との間に形成される電界とが相互に影響し合い、電子放出特性及び電子ビーム集束特性の最適設計が困難となるという問題があった。
【0011】
また、背面基板の陰極配線上に形成される多数個の電子源と、これらの各電子源に対応する制御電極の各開孔との同軸性を表示領域の全面にわたって高精度で確保することが極めて困難であり、電子源から放出される電子が制御電極に流入してしまい、表示効率を低下させ、さらに陽極電流に対してゆう乱を発生させ、表示効率を低下させるという問題があった。
【0012】
また、製造工程中における加熱処理により電子源を構成するCNT(カーボンナノチューブ)が変質して消失し、発光開始電圧の変動(バラツキ)が生じ、十分な電子放出量を得られないことから、駆動電圧を大幅に上昇させることが必要となり、均一な電子放出が得られる電子源を構成することが困難となるという問題があった。
【0013】
したがって、本発明は、前述した従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、加速電極と制御電極との間の寸法と、制御電極と陰極配線との間の寸法と、制御電極及び加速電極の電子通過孔の短径,厚さとの関係を規定することによって、各電極相互間の電界による影響を軽減させ、低電圧駆動で高い電流密度が得られる画像表示装置を提供することにある。
【0014】
また、本発明の他の目的は、電子放出特性及び電子ビーム集束特性の低下を軽減させて高性能及び高信頼性が得られる画像表示装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために本発明による画像表示装置は、陽極及び蛍光体を内面に有する前面基板と、一方向に延在しこの一方向に交差する他方向に並設され、かつ電子源を有する複数の陰極配線とこの陰極配線と非接触で対向し、かつ電子源とそれぞれ対向する領域に電子源から放出する電子を前面基板の内面側に通過させる複数の電子通過孔を有し、電子源から放出された電子放出量を制御する制御電極とこの制御電極と非接触で対向し、かつ制御電極の各電子通過孔とそれぞれ対向する領域に制御電極の電子通過孔を通過した電子を通過させる複数の電子通過孔を有し、当該電子通過孔を通過する電子を前面基板の内面側に加速させる加速電極とを内面に有して前面基板と所定の間隔をもって対向する背面基板と、前面基板と背面基板との間で表示領域を周回して介挿され、所定の間隔を保持する枠体とを備え、当該加速電極は、電子源と制御電極との間隔をLkg、制御電極と加速電極との間の間隔をL12、制御電極の電子通過孔の厚さをTg1、制御電極の電子通過孔の短径をFG1としたとき、
(Lkg+Tg1+L12/2)/FG1≧0.25
加速電極の電子通過孔の厚さをTg2、加速電極の電子通過孔の短径をFG2としたとき、
Tg2min≦Tg2≦Tg2max
であり、かつ
Tg2min=2.98FG2−0.04
FG2<0.109のとき、
Tg2max=0.02/(0.115−FG2)−0.08
FG2≧0.109のとき、
Tg2max=0.03/(FG2−0.1)+0.045
とするものである。
【0016】
また、本発明による他の画像表示装置は、陽極及び蛍光体を内面に有する前面基板と、一方向に延在しこの一方向に交差する他方向に並設され、かつ電子源を有する複数の陰極配線とこの陰極配線と非接触で対向し、かつ電子源とそれぞれ対向する領域に電子源から放出する電子を前面基板の内面側に通過させる複数の電子通過孔を有し、電子源から放出された電子放出量を制御する制御電極とこの制御電極と非接触で対向し、かつこの制御電極の各電子通過孔とそれぞれ対向する領域に制御電極の電子通過孔を通過した電子を通過させる複数の電子通過孔を有し、当該電子通過孔が前面基板方向に向かって開孔径が順次大きくなるN段構造を有して形成され、当該電子通過孔を通過する電子を前面基板の内面側に加速させる加速電極とを内面に有して前面基板と所定の間隔をもって対向する背面基板と、前面基板と背面基板との間で表示領域を周回して介挿され、所定の間隔を保持する枠体とを備え、当該加速電極は、電子源と制御電極との間隔をLkg、制御電極と加速電極との間の間隔をL12、制御電極の電子通過孔の厚さをTg1、制御電極の電子通過孔の短径をFG1としたとき、
(Lkg+Tg1+L12/2)/FG1≧0.25
加速電極の電子通過孔の1段目の開孔の厚さをTg2−1、N段目の開孔の厚さ(深さ)をTg2−N、加速電極の電子通過孔の1段目の開孔の短径をFG2−1、N段目の開孔の短径をFG2−Nとし、N段目の開孔の厚さ(深さ)の最小値をTg2min−N、N段目の開孔の厚さ(深さ)の最大値をTg2max−Nとしたとき、
FG1=FG2−1<FG2−2<…<FG2−N
であり、少なくとも1つのTg2−Nに対して
Tg2−N≧Tg2min−N
また、全てのTg2−Nに対して
Tg2−N≦Tg2max−N
とするものである。
【0017】
さらに、本発明による他の画像表示装置は、陽極及び蛍光体を内面に有する前面基板と、表示領域に電子源を形成する陰極とこの陰極と非接触で対向し、かつ電子源とそれぞれ対向する領域に電子源から放出する電子を前面基板の内面側に通過させる複数の電子通過孔を有し、電子源から放出された電子放出量を制御する制御電極とこの制御電極と非接触で対向し、かつ制御電極の各電子通過孔とそれぞれ対向する領域に制御電極の電子通過孔を通過した電子を通過させる複数の電子通過孔を有し、当該電子通過孔を通過する電子を前面基板の内面側に加速させる加速電極とを内面に有して前記前面基板と所定の間隔をもって対向する背面基板と、前面基板と前記背面基板との間で表示領域を周回して介挿され、所定の間隔を保持する枠体とを備え、当該加速電極は、電子源と制御電極との間隔をLkg、制御電極と加速電極との間の間隔をL12、制御電極の電子通過孔の厚さをTg1、制御電極の電子通過孔の短径をFG1としたとき、
(Lkg+Tg1+L12/2)/FG1≧0.25
加速電極の電子通過孔の厚さをTg2、加速電極の電子通過孔の短径をFG2としたとき、
Tg2min≦Tg2≦Tg2max
であり、かつ
Tg2min=2.98FG2−0.04
FG2<0.109のとき、
Tg2max=0.02/(0.115−FG2)−0.08
FG2≧0.109のとき、
Tg2max=0.03/(FG2−0.1)+0.045
として制御電極と加速電極とでマトリクス駆動を行うようにするものである。
【0018】
また、本発明による他の画像表示装置は、上記制御電極及び加速電極として導電性金属板部材からなる電極構造であることが望ましい。さらに、上記電子源及びカソードとしてカーボンナノチューブであることが望ましい。また、制御電極及び加速電極を導電性金属膜で形成した積層膜電極構造,絶縁性基板の両面に導電性金属膜を成膜した積層電極構造または絶縁性基板の陰極配線側に帯状電極素子が形成され、その陽極側に導電性金属膜が形成された積層電極構造の何れを用いても良い。
【0019】
上述した本発明の各構成により、電子源と制御電極と加速電極との間の各間隔,制御電極及び加速電極の厚さ,電子通過孔の開孔径を規定し、トライオード電子放出を行うことにより、低電圧駆動にて高い電流密度が得られる。
【0020】
また、本発明による他の画像表示装置によれば、カソードを単一電極で形成し、トライオード電子放出を行うことにより、カソードの電子源と制御電極の電子通過孔とがセルフアライメント化され、電界のセルフアライメント化により制御電極への流入電流が零とすることが可能となる。
【0021】
なお、本発明は、上記構成及び後述する各実施例の構成に限定されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱することなく種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、実施例の図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明による画像表示装置の一実施例を模式的に説明する一画素近傍の拡大断面図である。図1において、SUB1はガラスなどを好適とする絶縁性基板からなる背面パネルPN1を構成する背面基板であり、この背面基板SUB1の内面には、一方向x(ここでは、水平方向)に延在し、他方向y(ここでは、垂直方向)に並設され、かつ電子源Kを有する複数の陰極配線CLが形成されている。
【0023】
また、この背面パネルPN1上には、陰極配線CLと非接触状態で交差し、かつy方向に延在し、x方向に並設される陰極配線CLとの交差部に画素を形成して電子源Kから放出する電子Eを前面パネルPN2側に通過させる複数の電子通過孔EHLを有する制御電極G1が非接触状態で対向配置されている。さらに、この制御電極G1上には、制御電極G1の各電子通過孔EHLと対向する領域に電子通過孔AHLを有する加速電極G2が非接触状態で対向配置されている。
【0024】
なお、この陰極配線CLは、例えば銀などを含む導電性ペーストを印刷などによりパターニングし、焼成して形成されている。また、これらの陰極配線CLの交差部分の上面(前面基板SUB2側)に配置される電子源Kは、例えばCNT(カーボンナノチューブ)が用いられており、一例としてAg−B−CNTペーストを印刷などによりパターニングさせ、焼成して形成されている。また、制御電極G1及び加速電極G2は、例えばニッケルなどの導電性金属板材などにより形成され、これらの電子通過孔EHL及び電子通過孔EHLは、エッチングまたはプレス成形加工などにより穿設されている。
【0025】
一方、背面パネルPN1に対してz方向に図示しない枠体により所定の間隔を有して前面パネルPN2が貼り合わされている。この前面パネルPN2は、ガラスなどの透光性絶縁基板からなる前面基板SUB2の内面にブラックマトリクスBMで区画された蛍光体PHSと陽極ADEとを有し、背面パネルPN1と前面パネルPN2との間は真空封止されている。
【0026】
このような構成において、制御電極G1を電子源Kに対して低電位とし、加速電極G2の電位によって電子源Kから電子Eを放出させるトライオード動作を行う。これによって電子源Kから放出された電子Eは、制御電極G1の電子通過孔EHLによりその電子量が制御されて通過し、さらに加速電極G2の電子通過孔AHLを通過するとともに、この電子通過孔AHLにより加速され、電子ビームEBとして陽極ADEに指向され、蛍光体PHSを励起して所定の波長で発光させる。この画素を二次元配置して前面パネルPN2に表示領域が形成されて画像が表示される。
【0027】
電子放出特性をトライオード動作とダイオード動作とで比較すると、図2に示すようになる。図2において、横軸は電子源Kの開口径を、縦軸は電流密度をそれぞれ示し、図中、Tはトライオード動作特性を、Dはダイオード動作特性をそれぞれ示している。ダイオード動作では、電子源Kの直上の制御電極G1が電子源Kに対して正の電位を有し、電子源Kから直接電子Eを引き出すので、電流密度は電子通過孔EHLよりも制御電極G1の近傍または直下にて高くなる。なお、制御電極G1の電子通過孔EHLに対する電子源Kの範囲を制御しない場合には陰極電流には多量の制御電極G1への流入電流が含まれる。一方で、電子源Kの開口径及びその位置を制御し、制御電極G1の制御電流を零にしようとすると、制御電極G1の近傍の高電流密度域が活用できないので、電流量が低下する。
【0028】
一方、トライオード動作では、電子源Kの直上の制御電極G1が電子源Kに対して負の電位を有し、電子源Kへの電界の浸透を抑える機能を有する。この結果、電子放出特性が制御電極G1に対してセルフアライメント化され、電子通過孔EHLの中心部で最も大きな電流密度となり、制御電極G1の近傍では電流密度が零となる。これによって、電子源Kの開口径及びその位置の高精度での制御を行わなくても、制御電流が零となり、構造的に最大電流を得ることが可能となる。
【0029】
図3は、電子源Kに電子放出材料としてCNT(カーボンナノチューブ)を用いた場合の電子源Kの電子放出特性を示す図である。図3において、ダイオード動作では、電界放出に必要とされる電界を、電子源Kの電位Ekと直上の制御電極Gの電位Ecとの電位差で与える必要がある。この結果、CNTの電子放出特性によっては、電子源Kと直上の制御電極G1との駆動電圧が増大する。
【0030】
一方、トライオード動作では、電界放出に必要とされる電界を、電子源Kの電位Ekと制御電極G1の電位Ec1と加速電極G2の電位Ec2との電位差により与える。このため、電子放出が開始されるまでのバイアス分を直流電圧として加速電極G2に供給することにより、CNT特性が劣化した場合でも駆動電圧を増大させずに所望の電流を得ることができる。
【0031】
図4は、トライオード動作時の駆動状態とその動作点を示す図であり、横軸は加速電極G2の電位Ec2と制御電極G1の電位Ec1との間の電位差を示し、縦軸は電子源Kの電位Ekcoと制御電極G1の電位Ec1との間の電位差を示している。また、図中、CUTOFFはカットオフ特性を示し、矢印Aで示す点は画素選択時の動作点を、点Bは画素非選択時の動作点をそれぞれ示し、Edは陰極信号の最大振幅を示している。さらに、Cは画素が発光しない領域を、Dは画素が発光する領域をそれぞれ示している。
【0032】
図4に示すように画素選択時の制御電極G1の電位Ec1は0Vとなる。このとき、電子源Kのカットオフ電圧Ekcoが駆動回路に対して最適となるように加速電極G2に印加される直流電圧Ec2が調整される。画像信号はカットオフ電圧Ekcoを基準点に負極性で入力される。画素非選択時は制御電極G1の電位Ec1が0Vよりも低くなる。図4に示すように電子源Kの動作点Bは、制御電極G1の電位Ec1を基準に与えられるので、画素発光しない方向にオフセットされる。また、電子源Kに印加される信号の最大振幅Edは、画素選択時の動作点Aに対して画素発光を生じない最大電圧で定義される。
【0033】
したがって、トライオード動作に図5に示すように上記条件で加速電極G2に直流電圧Ec2を印加し、さらに陰極配線CLには電位Ekcoの駆動パルスを、制御電極G1には電位Ec1の駆動パルスをそれぞれ印加させてマトリクス駆動させることにより、トライオード動作が可能となる。
【0034】
次にトライオード化時の電極ディメンジョンについて説明する。電極ディメンジョンのうち、電子源Kからの電子Eの放出に対して影響を与えるのは、図1に示すように制御電極G1の電子通過孔EHL及び加速電極G2の電子通過孔AHLの制御電極G1側の開孔形状と、電子源Kと制御電極G1との間の間隔Lkgと、制御電極G1と加速電極G2との間の間隔L12と、制御電極G1の電子通過孔EHLの厚さTg1とがある。
【0035】
一般にマトリクスディスプレイの画素配列は、平行配列である。このために画素の基本形状は正方形もしくは矩形状となる。このため、各電子通過孔EHL,AHLも矩形,長円もしくは円形状などの単純な形状が望ましい。また、加速電極G2の電子通過孔AHLの制御電極G1側の孔形状が制御電極G1の電子通過孔EHLの孔形状よりも孔径が小さいと、制御電極G1の本来の制御機能を低下させてしまい、また、加速電極G2への流入電流が生じ易くなるため、望ましくない。
【0036】
ここで、加速電極G2の電子通過孔AHLの孔形状が長円形に対して例えばカットオフ電圧Ekco=40Vとなる加速電極G2の電位Ec2の変化を図6に示す。図6(a)は短径に対する加速電極G2の電位Ec2の変化を、図6(b)は長径に対する加速電極G2の電位Ec2の変化をそれぞれ示している。図6(a)は、電子源Kと制御電極G1との間の間隔Lkg=0.02mm,制御電極G1と加速電極G2との間の間隔L12=0.1mm,制御電極G1の電子通過孔EHLの厚さTg1=0.001mm,加速電極G2の長径を0.52mmとしたときに短径に対する加速電極G2の電位Ec2の変化を示したものであり、図6(b)は、電子源Kと制御電極G1との間の間隔Lkg=0.02mm,制御電極G1と加速電極G2との間の間隔L12=0.1mm,制御電極G1の電子通過孔EHLの厚さTg1=0.001mm,加速電極G2の長径D1を0.07mmと長径D2を0.1mmとしたときに長径D1,D2に対する加速電極G2の電位Ec2の変化を示したものである。
【0037】
図6に示すように加速電極G2の電子通過孔AHLの短径D1,D2の変化は、長径の変化と比較して加速電極G2の電位Ec2に対して強い影響力を及ぼす。このためにトライオード化時の電極デメンジョンは、図1に示す制御電極G1の電子通過孔EHLの短径FG1=加速電極G2の電子通過孔AHLの短径FG2と、電子源Kと制御電極G1との間の間隔Lkgと、制御電極G1と加速電極G2との間の間隔L12と、制御電極G1の電子通過孔EHLの厚さTg1とによって決定される。
【0038】
また、電子源Kと制御電極G1と加速電極G2との構成により、トライオード動作が行われるが、制御電極G1の電子通過孔EHLの短径FG1及び加速電極G2の電子通過孔AHLの短径FG2に比較して電子源Kと制御電極G1との間の間隔Lkg,制御電極G1と加速電極G2との間の間隔L12及び制御電極G1の電子通過孔EHLの厚さTg1が小さいと、制御電極G1の制御作用が小さくなり、電子放出がダイオード特性に近づいてしまう。
【0039】
図7は、上記(Lkg+Tg1+L12/2)/FG1に占める割合を横軸に、電子源Kにおける電流密度のピークが孔径に対してどの位置に存在するかをプロットしたものを示したものである。このとき、制御電極G1と加速電極G2との間の間隔L12のみが1/2倍されているのは、このL12は電子源Kに対する影響度が上記Lkg,Tg1に比較して小さく、1/2程度となるためである(陰極線管電子銃における経験値)。
【0040】
図7に示すように(Lkg+Tg1+L12/2)/FG1が小さくなると、電流密度のピークは制御電極G1の電子通過孔EHLの近傍となり、ダイオード特性に近くなる。電流密度のピーク値が孔径の50%よりも内側に入り、トライオードとしての特性が強くなるのは(Lkg+Tg1+L12/2)/FG1≧0.25の範囲である。また、電流密度のピーク値が制御電極G1の電子通過孔EHLの中央部となり、完全なトライオード特性となるのは(Lkg+Tg1+L12/2)/FG1≧0.50の範囲となる。
【0041】
次に加速電極G2のトライオード特性の最適化について説明する。加速電極G2の電子通過孔AHLの厚さTg2が大きくなると、電子源K,制御電極G1及び加速電極G2により構成される電子レンズと、加速電極G2及び陽極ADEにより構成される電子レンズとが完全に分離されるため、電子放出特性と電子ビーム集束特性とを独立させて設計可能となる。しかしながら、加速電極G2の電子通過孔AHLの厚さTg2が大きくなり過ぎると、制御電極G1により一旦集束した電子ビームが発散するため、加速電極G2への流入電流が生じてしまう。このために加速電極G2の電子通過孔AHLの厚さTg2には最適値が存在する。
【0042】
ここで、ダイオード動作を考慮すると、制御電極G1の電子通過孔EHLの厚さTg1を大きくすることにより、電子放出特性と電子ビーム集束特性とを独立させることができるが、放出電子を集束させる集束作用がないため、制御電極G1の電子通過孔EHLの厚さTg1を大きくするほど、制御電極G1への流入電流が増大してしまい、陽極ADEの到達する電子量が減少してしまう。ここで、制御電極G1への流入電流を減少させるために制御電極G1の電子通過孔EHLの厚さTg1を小さくすると、電子放出特性と電子ビーム集束特性とが分離できないため、設計が極めて困難となり、ダイオード動作では最適化設計が不可能となる。
【0043】
加速電極G2を1段構成とし、その電子通過孔AHLの短径をFG2としたとき、電子源Kと制御電極G1と加速電極G2とにより構成される電子レンズと、加速電極G2と陽極ADEとにより構成される電子レンズとを分離できる加速電極G2の電子通過孔AHLの最小厚さTg2minを3次元電子ビーム軌道解析により求めた。また、同様に加速電極G2に電子ビームが衝突する加速電極G2の電子通過孔AHLの最大厚さTg2maxを3次元電子ビーム軌道解析により求めた。この結果を図8に示す。
【0044】
図8より、加速電極G2の電子通過孔AHLの厚さをTg2とし、その電子通過孔AHLの短径をFG2としたとき、この電子通過孔AHLの厚さTg2は、Tg2min≦Tg2≦Tg2maxであり、かつ電子通過孔AHLの最小厚さTg2minは、Tg2min=2.98FG2−0.04とし、電子通過孔AHLの短径FG2<0.109のとき、その最大厚さTg2maxは、Tg2max=0.02/(0.115−FG2)−0.08であり、さらにこの電子通過孔AHLの短径FG2≧0.109のとき、その最大厚さTg2maxは、Tg2max=0.03/(FG2−0.1)+0.045のときが最適値となる。
【0045】
また、図8において、加速電極G2の電子通過孔AHLの最大厚さTg2maxがその短径FG2=0.109を境界として2つの異なる関数となっているのは、制御電極G1の制御作用によって形成される電子ビームの集束点であるクロスオーバが短径FG2の拡大に伴ない、電子源Kから遠くなっていき、短径FG2=0.109の近傍で加速電極G2の領域外となるためである。また、短径FG2>0.109の領域では、制御電極G1の制御作用により集束した電子ビームは、クロスオーバを形成する前に加速電極G2の電界により発散方向に転じる。
【0046】
なお、図8において、加速電極G2の電子通過孔AHLの短径FG2とその厚さTg2との関係は、図中、中央部分でほぼ三角形状に囲まれる範囲Gが最適な領域を示し、その他のB1及びB2に示す範囲は電子Eが加速電極G2に当る領域をそれぞれ示し、B3で示す範囲は陰極電界と陽極電界との分離が不可能な領域を示している。
【0047】
図9は、本発明による画像表示装置の他の実施例よる加速電極の構成を説明する要部拡大断面図である。図9において、図1と異なる点は、加速電極G2に形成する各電子通過孔AHL´はその短径FG2が制御電極G1から陽極ADEの方向に向かって順次段階的に拡大する多段(N段)構造を有して形成されている。この電子通過孔AHL´の多段構造は、短径FG2が電子源Kから陽極ADEの方向に向かって短径FG2−1,FG2−2…FG2−Nと順次大きくなる寸法を有し、かつ厚さ(深さ)Tgが各短径に対応してその厚さTg2−1,Tg2−2…Tg2−Nを有して形成されている。
【0048】
このような構成において、加速電極G2の電子通過孔AHL´の最小厚さTg2minは、電子通過孔AHL´の内部に無電界領域が確保できる最短長を意味する。無電界領域においては、電子が直進するので、短径FG2−1,FG2−2…FG2−Nを電子源K側から順次拡大することによって各段毎の孔径に対応する無電界長さが最小厚さTg2min及び最大厚さTg2maxを満たせば良いことになる。
【0049】
このため、電子源K側からN段目の開孔短径と開孔厚さとをそれぞれFG2−N,Tg2−Nとし、前述した式に短径FG2にFG2−Nを代入した値をTg2min−N,Tg2max−Nとしたとき、FG1=FG2−1<FG2−2<…<FG2−Nであり、また少なくとも一つのTg2−Nに対し、Tg2−N≧Tg2min−Nが成立し、また、全てのTg2−Nに対してTg2−N≦Tg2max−Nであれば良い。
【0050】
このような構成によれば、トライオード化により、CNTの品質による発光開始電圧のバラツキ(変動)を駆動電圧の上昇ではなく、加速電極G2の直流バイアス電圧に転化できるので、駆動電圧の低減を図ることができる。また、トライオード化により、電子源Kの電子放出部と制御電極G1の電子通過孔EHLとのセルフアライメント化が可能となる。さらに、トライオード化により、電界のセルフアライメントで制御電極G1に与える制御電流を零とすることができる。
【0051】
また、このような構成によれば、電子源Kの有効領域とその位置との位置合わせ裕度及び制御電流裕度により、電子源Kの有効領域が制限されないため、構造的に最大電流を得ることが可能となる。さらに、陽極ADEと加速電極G2との間に形成される電界と、制御電極G1と電子源Kとの間に形成される電界とを分離できるので、電子放出特性及び電子ビーム集束特性のそれぞれを独立に最適化させることができる。
【0052】
また、このような構成によれば、陽極ADEと加速電極G2との間に形成される電界と、電子源Kと制御電極G1との間に形成される電界とを分離できるので、各構成電極間を所定間隔に保持するスペーサ及び前面パネルPN2と背面パネルPN1との間を所定間隔に保持する枠体などの構造部品の寸法及び組立て精度を全面的に緩和することができる。
【0053】
図10は、本発明による画像表示装置の他の実施例による構成を模式的に説明する一画素近傍の拡大断面図であり、前述した図1と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。図10において、前述した図1と異なる点は、背面基板SUB1の内面には全面的に陰極Cが形成され、この陰極Cの上面には全面的に電子を放出する電子源Kが形成されている。
【0054】
なお、陰極C上に全面に形成される電子源Kは、例えばCNT(カーボンナノチューブ)が用いられており、一例としてAg−B−CNTペーストを印刷法などにより塗布させ、焼成して形成される。
【0055】
また、この陰極Cより前面パネルPN2側には、電子源Kからの電子Eを前面パネルPN2側に通過させる複数の電子通過孔EHLを有する互いに独立した複数の制御電極G1及び複数の電子通過孔AHLを有する互いに独立した複数の加速電極G2がそれぞれ同軸上に電子通過孔EHL及び電子通過孔AHLを一致させて各電極間が所定の間隔を有して平行配列される構成となっている。
【0056】
このような構成においては、制御電極G1を陰極Cに対して低電位とし、加速電極G2の電位によって電子源Kから電子Eを放出させるトライオード動作を行う。これによって陰極Cに形成された電子源Kから放出された電子Eは、制御電極G1の電子通過孔EHLによりその電子量が制御されて通過し、さらに加速電極G2の電子通過孔AHLを通過するとともに、この電子通過孔AHLにより加速され、電子ビームEBとして陽極ADEに指向され、蛍光体PHSを励起させ、所定の波長で発光させる。この画素を二次元配置して前面パネルPN2に表示領域が形成されて画像が表示される。
【0057】
このようなトライオード動作では、図11に示すように陰極Cを画面内全域で単一電位の電極として直流電圧Ek=0Vを印加する。制御電極G1には制御電位Ec1(オフ時)<Ec1´(オン時)<Ekとなるパルス電圧を、加速電極G2にはオフ時に0V,オン時に加速電位Ec2のパルス電圧をそれぞれ印加させて行う。
【0058】
図12は、図11に示す駆動回路によるマトリクス駆動時の陰極Cの電位と、制御電極G1の電位と、加速電極G2の電位と、発光との関係を示す図であり、L1は発光する領域を、L2は非発光領域を、CUTOFFはカットオフ特性をそれぞれ示している。また、そのマトリクス駆動は下記表1に示すタイミングで行われる。
【0059】
【表1】
【0060】
なお、前述した図11において、加速電極G2側をゲート線とし、制御電極G1側を信号線として用いたが、制御電極G1側をゲート線とし、加速電極G2側を信号線として用いても良いことは言うまでもない。
【0061】
このような構成によれば、トライオード化により、陰極Cの電子源Kと制御電極G1の電子通過孔EHLとのセルフアライメントが可能となるとともに、電界のセルフアライメントで制御電極G1への流入電流を零とすることができる。また、位置合わせ裕度及び制御電流裕度により、陰極Cの電子源Kの有効径が制限されないので、構造的な最大電流を得ることができる。
【0062】
また、このような構成によれば、単一の陰極Cでマトリクス駆動が可能となる。また、トライオード電子放出構造となるので、陰極Cの電子源Kの位置は制御電極G1と加速電極G2との位置によるセルフアライメントとなり、電子源Kのパターン化を一切不要とすることができる。
【0063】
なお、前述した実施例においては、制御電極G1及び加速電極を導電性金属板材で形成した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、制御電極G1及び加速電極G2を導電性金属膜により形成される積層膜電極構造で構成しても良く、また、制御電極G1は絶縁性基板の陰極配線CL側に導電性金属膜により形成され、加速電極G2はこの絶縁性基板の陽極ADE側に導電性金属膜により形成される積層電極構造で構成しても良く、さらには制御電極は絶縁性基板の陰極配線CL側に帯状電極素子(MRG)により形成され、この絶縁性基板の陽極側に導電性金属膜により形成される積層電極構造で構成しても前述した効果と全く同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0064】
また、前述した各実施例においては、制御電極G1及び加速電極G2の各電子通過孔の開孔形状を円形状とした場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、長円形状または矩形状または各種の形状に形成しても、前述と全く同様の効果が得られる。
【0065】
なお、前述した実施例においては、画像表示装置としてフィールドエミッションパネルに適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、フィールドエミッションパネルを用いたディスプレイ,受像機などに適用しても前述と全く同様に効果が得られることは勿論である。
【0066】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明による画像表示装置によれば、電子源と、制御電極と、加速電極との間の間隔及び各電極厚さ並びに各電子通過孔の孔径を規定し、加速電極に直流電位を付与し、陰極配線と制御電極とによるマトリクス駆動を行い、トライオード電子放出を行うことにより、低電圧駆動にて高い電流密度が得られるので、電子源のCNT特性が劣化した場合でも駆動電圧を増大させずに所望の電流が得られ、より高輝度で再現性に優れたディスプレイを実現可能とすることができる。また、駆動電圧に低減により、駆動回路のコストを大幅に削減することができるとともに、信頼性も大幅に向上させることができる。さらに、ダイオード動作と比較して全ての裕度が拡大できるので、歩留りを大幅に向上させることができるとともに、構成部品の精度を緩和できるので、構成部品単価を大幅に低減させることができるなどの極めて優れた効果が得られる。
【0067】
また、本発明による画像表示装置によれば、電子源と、制御電極と、加速電極との間の間隔及び各電極厚さ並びに各電子通過孔の孔径を規定することにより、陽極と加速電極との間に形成される電界と、制御電極と電子源との間に形成される電界とが完全に分離され、電界相互間の影響が全くなくなるので、電子放出特性及び電子ビーム集束特性をそれぞれ独立させて最適化設計が可能となるという極めて優れた効果が得られる。
【0068】
また、本発明による他の画像表示装置によれば、陰極を単一電極で形成して直流電位を付与し、制御電極と加速電極とによるマトリクス駆動を行い、トライオード電子放出を行うことにより、電子源と制御電極の電子通過孔との位置合わせ裕度及び制御電極の電流裕度が向上し、構造的に最大電流が得られるので、電子源の有効径が制限されなくなり、電子源のパターン作製が一切不要となるとともに、配線パターンも不要となるので、構造が単純化され、パネルコストを大幅に低減することができるとともに、部品及び組立て精度を必要としないので、歩留まりを大幅に向上させることができるなどの極めて優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による画像表示装置の一実施例を模式的に説明する一画素近傍の拡大断面図である。
【図2】図1に示す画像表示装置のトライオード動作とダイオード動作とで比較したときの電子放出特性を示す図である。
【図3】図1に示す画像表示装置の電子源にカーボンナノチューブ(CNT)を用いたときの電子放出特性を示す図である。
【図4】図1に示す画像表示装置のトライオード動作時の駆動状態と動作点との関係を示す図である。
【図5】図1に示す画像表示装置をトライオード動作させる時の各電極に印加する駆動パルスのタイミング図である。
【図6】加速電極の電子通過孔の孔径に対する加速電極の電位の変化の関係を示す図である。
【図7】制御電極の電子通過孔の孔径に対する電子源における電流密度のピークの関係を示す図である。
【図8】加速電極の電子通過孔の最短径に対する加速電極の厚さの関係を示す図である。
【図9】本発明による画像表示装置の他の実施例を説明する加速電極の電子通過孔の構成を示す拡大断面図である。
【図10】本発明による画像表示装置の他の実施例による構成を模式的に説明する一画素近傍の拡大断面図である。
【図11】図10に示す画像表示装置をトライオード動作させる時の各電極に印加する駆動パルスのタイミング図である。
【図12】カソード電位,制御電極電位,加速電極電位と発光との関係を示す図である。
【符号の説明】
SUB1 背面基板
PN1 背面パネル
CL 陰極配線
C 陰極
K 電子源
E 電子
G1 制御電極
EHL 電子通過孔
G2 加速電極
AHL 電子通過孔
AHL´ 電子通過孔
EB 電子ビーム
ADE 陽極
BM ブラックマトリクス
PHS 蛍光体
SUB 前面基板
PN2 前面パネル
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空中への電子放出を利用した画像表示装置に係わり、特に電子源から放出される電子の電子放出特性及び電子ビームの集束特性を向上させて高輝度で再現性に優れた画像表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、高輝度,高精細に優れた画像表示装置として従来からカラー陰極線管が広く用いられている。しかし、近年の情報処理装置やテレビ放送の高画質化に伴い、高輝度,高精細の特性を有するとともに、軽量,省スペースの平板状ディスプレイ(パネルディスプレイ)の要求が高まっている。
【0003】
その典型的な例として液晶表示装置,プラズマディスプレイ装置などが実用化されている。また、特に高輝度化が可能なものとしては、電子源から真空中への電子放出を利用した表示装置(以下、電子放出型表示装置または電界放出型表示装置と称される)や低消費電力化を特徴とする有機ELディスプレイなど種々の型式のパネル型表示装置が実用化されている。
【0004】
この種のパネル型表示装置のうち、前述した電界放出型表示装置には、C.A.Spindtらにより発案された電子放出構造を有するもの(例えば米国特許第3453478号明細書、特開2000−21305号公報参照)、また、メタル−インシュレータ−メタル(MIM)型の電子放出構造を有するもの、さらに、量子論的トンネル効果による電子放出現象を利用する電子放出構造(表面伝導型電子源とも称される、例えば特開2000−21305号公報参照)を有するもの、また、ダイアモンド膜やグラファイト膜、カーボンナノチューブによる電子放出現象を利用するもの等が知られている。
【0005】
前述した電界放出型表示装置は、内面に電界放出型の電子源を有する陰極配線と制御電極とを形成した背面基板と、この背面基板と対向する内面に陽極と蛍光体層とを形成した前面基板とを有し、両者の内周縁部に封止枠を介挿して貼り合わせ、その内部を真空状態にして構成される。また、背面基板と前面基板との間の間隔を所定値に保持するために当該背面基板と前面基板との間に間隔保持部材を設けている構造もある。なお、この種の従来技術に関しては、例えば下記特許文献1及び特許文献2などを挙げることができる。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−134701号公報
【特許文献2】
特開2000−306508号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このように構成される電界放出型表示装置は、背面基板上の陰極配線に設けた電子源と前面基板上に設けた陽極との間に電子通過孔を有する制御電極を設け、制御電極に陰極配線に対して所定の電位差を与えることにより、電子源から電子を引き出し、この電子を制御電極の電子通過孔を通過させ、陽極側の蛍光体に射突させることにより画像表示が行われる。
【0008】
しかしながら、このように構成される画像表示装置において、制御電極は、平行する多数の帯状電極素子で構成され、電子源に近接させて配置される。電子源から引き出される電子の電流密度は、制御電極を構成する帯状電極素子に形成した電子通過孔と陰極配線との間に形成される電界に依存する。すなわち、電子通過孔の数を増やしたり、あるいは電子通過孔の孔径を大きくし、高電圧を印加しても電流密度が高くなるとは限らない。また、陰極配線に流す電流を単純に増加させても、画素当りの電流密度を大きくすることができない。
【0009】
また、制御電極を構成する帯状電極素子は極めて繊細なウエブ状であり、その機械的強度の観点から電子通過孔の孔径は可能な限り小径であることが望まれる。しかし、電子通過孔の孔径を小さくし過ぎても取り出される電子の絶対量が制限されるため、径小化には限度がある。
【0010】
さらに、制御電極を構成する帯状電極素子(MRG)は、厚さが約0.05mm程度の金属材料からなる薄膜又は薄板で極めて繊細なウエブ状に形成されるので、制御電極と陽極との間に形成される電界と、制御電極と陰極配線との間に形成される電界とが相互に影響し合い、電子放出特性及び電子ビーム集束特性の最適設計が困難となるという問題があった。
【0011】
また、背面基板の陰極配線上に形成される多数個の電子源と、これらの各電子源に対応する制御電極の各開孔との同軸性を表示領域の全面にわたって高精度で確保することが極めて困難であり、電子源から放出される電子が制御電極に流入してしまい、表示効率を低下させ、さらに陽極電流に対してゆう乱を発生させ、表示効率を低下させるという問題があった。
【0012】
また、製造工程中における加熱処理により電子源を構成するCNT(カーボンナノチューブ)が変質して消失し、発光開始電圧の変動(バラツキ)が生じ、十分な電子放出量を得られないことから、駆動電圧を大幅に上昇させることが必要となり、均一な電子放出が得られる電子源を構成することが困難となるという問題があった。
【0013】
したがって、本発明は、前述した従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、加速電極と制御電極との間の寸法と、制御電極と陰極配線との間の寸法と、制御電極及び加速電極の電子通過孔の短径,厚さとの関係を規定することによって、各電極相互間の電界による影響を軽減させ、低電圧駆動で高い電流密度が得られる画像表示装置を提供することにある。
【0014】
また、本発明の他の目的は、電子放出特性及び電子ビーム集束特性の低下を軽減させて高性能及び高信頼性が得られる画像表示装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために本発明による画像表示装置は、陽極及び蛍光体を内面に有する前面基板と、一方向に延在しこの一方向に交差する他方向に並設され、かつ電子源を有する複数の陰極配線とこの陰極配線と非接触で対向し、かつ電子源とそれぞれ対向する領域に電子源から放出する電子を前面基板の内面側に通過させる複数の電子通過孔を有し、電子源から放出された電子放出量を制御する制御電極とこの制御電極と非接触で対向し、かつ制御電極の各電子通過孔とそれぞれ対向する領域に制御電極の電子通過孔を通過した電子を通過させる複数の電子通過孔を有し、当該電子通過孔を通過する電子を前面基板の内面側に加速させる加速電極とを内面に有して前面基板と所定の間隔をもって対向する背面基板と、前面基板と背面基板との間で表示領域を周回して介挿され、所定の間隔を保持する枠体とを備え、当該加速電極は、電子源と制御電極との間隔をLkg、制御電極と加速電極との間の間隔をL12、制御電極の電子通過孔の厚さをTg1、制御電極の電子通過孔の短径をFG1としたとき、
(Lkg+Tg1+L12/2)/FG1≧0.25
加速電極の電子通過孔の厚さをTg2、加速電極の電子通過孔の短径をFG2としたとき、
Tg2min≦Tg2≦Tg2max
であり、かつ
Tg2min=2.98FG2−0.04
FG2<0.109のとき、
Tg2max=0.02/(0.115−FG2)−0.08
FG2≧0.109のとき、
Tg2max=0.03/(FG2−0.1)+0.045
とするものである。
【0016】
また、本発明による他の画像表示装置は、陽極及び蛍光体を内面に有する前面基板と、一方向に延在しこの一方向に交差する他方向に並設され、かつ電子源を有する複数の陰極配線とこの陰極配線と非接触で対向し、かつ電子源とそれぞれ対向する領域に電子源から放出する電子を前面基板の内面側に通過させる複数の電子通過孔を有し、電子源から放出された電子放出量を制御する制御電極とこの制御電極と非接触で対向し、かつこの制御電極の各電子通過孔とそれぞれ対向する領域に制御電極の電子通過孔を通過した電子を通過させる複数の電子通過孔を有し、当該電子通過孔が前面基板方向に向かって開孔径が順次大きくなるN段構造を有して形成され、当該電子通過孔を通過する電子を前面基板の内面側に加速させる加速電極とを内面に有して前面基板と所定の間隔をもって対向する背面基板と、前面基板と背面基板との間で表示領域を周回して介挿され、所定の間隔を保持する枠体とを備え、当該加速電極は、電子源と制御電極との間隔をLkg、制御電極と加速電極との間の間隔をL12、制御電極の電子通過孔の厚さをTg1、制御電極の電子通過孔の短径をFG1としたとき、
(Lkg+Tg1+L12/2)/FG1≧0.25
加速電極の電子通過孔の1段目の開孔の厚さをTg2−1、N段目の開孔の厚さ(深さ)をTg2−N、加速電極の電子通過孔の1段目の開孔の短径をFG2−1、N段目の開孔の短径をFG2−Nとし、N段目の開孔の厚さ(深さ)の最小値をTg2min−N、N段目の開孔の厚さ(深さ)の最大値をTg2max−Nとしたとき、
FG1=FG2−1<FG2−2<…<FG2−N
であり、少なくとも1つのTg2−Nに対して
Tg2−N≧Tg2min−N
また、全てのTg2−Nに対して
Tg2−N≦Tg2max−N
とするものである。
【0017】
さらに、本発明による他の画像表示装置は、陽極及び蛍光体を内面に有する前面基板と、表示領域に電子源を形成する陰極とこの陰極と非接触で対向し、かつ電子源とそれぞれ対向する領域に電子源から放出する電子を前面基板の内面側に通過させる複数の電子通過孔を有し、電子源から放出された電子放出量を制御する制御電極とこの制御電極と非接触で対向し、かつ制御電極の各電子通過孔とそれぞれ対向する領域に制御電極の電子通過孔を通過した電子を通過させる複数の電子通過孔を有し、当該電子通過孔を通過する電子を前面基板の内面側に加速させる加速電極とを内面に有して前記前面基板と所定の間隔をもって対向する背面基板と、前面基板と前記背面基板との間で表示領域を周回して介挿され、所定の間隔を保持する枠体とを備え、当該加速電極は、電子源と制御電極との間隔をLkg、制御電極と加速電極との間の間隔をL12、制御電極の電子通過孔の厚さをTg1、制御電極の電子通過孔の短径をFG1としたとき、
(Lkg+Tg1+L12/2)/FG1≧0.25
加速電極の電子通過孔の厚さをTg2、加速電極の電子通過孔の短径をFG2としたとき、
Tg2min≦Tg2≦Tg2max
であり、かつ
Tg2min=2.98FG2−0.04
FG2<0.109のとき、
Tg2max=0.02/(0.115−FG2)−0.08
FG2≧0.109のとき、
Tg2max=0.03/(FG2−0.1)+0.045
として制御電極と加速電極とでマトリクス駆動を行うようにするものである。
【0018】
また、本発明による他の画像表示装置は、上記制御電極及び加速電極として導電性金属板部材からなる電極構造であることが望ましい。さらに、上記電子源及びカソードとしてカーボンナノチューブであることが望ましい。また、制御電極及び加速電極を導電性金属膜で形成した積層膜電極構造,絶縁性基板の両面に導電性金属膜を成膜した積層電極構造または絶縁性基板の陰極配線側に帯状電極素子が形成され、その陽極側に導電性金属膜が形成された積層電極構造の何れを用いても良い。
【0019】
上述した本発明の各構成により、電子源と制御電極と加速電極との間の各間隔,制御電極及び加速電極の厚さ,電子通過孔の開孔径を規定し、トライオード電子放出を行うことにより、低電圧駆動にて高い電流密度が得られる。
【0020】
また、本発明による他の画像表示装置によれば、カソードを単一電極で形成し、トライオード電子放出を行うことにより、カソードの電子源と制御電極の電子通過孔とがセルフアライメント化され、電界のセルフアライメント化により制御電極への流入電流が零とすることが可能となる。
【0021】
なお、本発明は、上記構成及び後述する各実施例の構成に限定されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱することなく種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、実施例の図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明による画像表示装置の一実施例を模式的に説明する一画素近傍の拡大断面図である。図1において、SUB1はガラスなどを好適とする絶縁性基板からなる背面パネルPN1を構成する背面基板であり、この背面基板SUB1の内面には、一方向x(ここでは、水平方向)に延在し、他方向y(ここでは、垂直方向)に並設され、かつ電子源Kを有する複数の陰極配線CLが形成されている。
【0023】
また、この背面パネルPN1上には、陰極配線CLと非接触状態で交差し、かつy方向に延在し、x方向に並設される陰極配線CLとの交差部に画素を形成して電子源Kから放出する電子Eを前面パネルPN2側に通過させる複数の電子通過孔EHLを有する制御電極G1が非接触状態で対向配置されている。さらに、この制御電極G1上には、制御電極G1の各電子通過孔EHLと対向する領域に電子通過孔AHLを有する加速電極G2が非接触状態で対向配置されている。
【0024】
なお、この陰極配線CLは、例えば銀などを含む導電性ペーストを印刷などによりパターニングし、焼成して形成されている。また、これらの陰極配線CLの交差部分の上面(前面基板SUB2側)に配置される電子源Kは、例えばCNT(カーボンナノチューブ)が用いられており、一例としてAg−B−CNTペーストを印刷などによりパターニングさせ、焼成して形成されている。また、制御電極G1及び加速電極G2は、例えばニッケルなどの導電性金属板材などにより形成され、これらの電子通過孔EHL及び電子通過孔EHLは、エッチングまたはプレス成形加工などにより穿設されている。
【0025】
一方、背面パネルPN1に対してz方向に図示しない枠体により所定の間隔を有して前面パネルPN2が貼り合わされている。この前面パネルPN2は、ガラスなどの透光性絶縁基板からなる前面基板SUB2の内面にブラックマトリクスBMで区画された蛍光体PHSと陽極ADEとを有し、背面パネルPN1と前面パネルPN2との間は真空封止されている。
【0026】
このような構成において、制御電極G1を電子源Kに対して低電位とし、加速電極G2の電位によって電子源Kから電子Eを放出させるトライオード動作を行う。これによって電子源Kから放出された電子Eは、制御電極G1の電子通過孔EHLによりその電子量が制御されて通過し、さらに加速電極G2の電子通過孔AHLを通過するとともに、この電子通過孔AHLにより加速され、電子ビームEBとして陽極ADEに指向され、蛍光体PHSを励起して所定の波長で発光させる。この画素を二次元配置して前面パネルPN2に表示領域が形成されて画像が表示される。
【0027】
電子放出特性をトライオード動作とダイオード動作とで比較すると、図2に示すようになる。図2において、横軸は電子源Kの開口径を、縦軸は電流密度をそれぞれ示し、図中、Tはトライオード動作特性を、Dはダイオード動作特性をそれぞれ示している。ダイオード動作では、電子源Kの直上の制御電極G1が電子源Kに対して正の電位を有し、電子源Kから直接電子Eを引き出すので、電流密度は電子通過孔EHLよりも制御電極G1の近傍または直下にて高くなる。なお、制御電極G1の電子通過孔EHLに対する電子源Kの範囲を制御しない場合には陰極電流には多量の制御電極G1への流入電流が含まれる。一方で、電子源Kの開口径及びその位置を制御し、制御電極G1の制御電流を零にしようとすると、制御電極G1の近傍の高電流密度域が活用できないので、電流量が低下する。
【0028】
一方、トライオード動作では、電子源Kの直上の制御電極G1が電子源Kに対して負の電位を有し、電子源Kへの電界の浸透を抑える機能を有する。この結果、電子放出特性が制御電極G1に対してセルフアライメント化され、電子通過孔EHLの中心部で最も大きな電流密度となり、制御電極G1の近傍では電流密度が零となる。これによって、電子源Kの開口径及びその位置の高精度での制御を行わなくても、制御電流が零となり、構造的に最大電流を得ることが可能となる。
【0029】
図3は、電子源Kに電子放出材料としてCNT(カーボンナノチューブ)を用いた場合の電子源Kの電子放出特性を示す図である。図3において、ダイオード動作では、電界放出に必要とされる電界を、電子源Kの電位Ekと直上の制御電極Gの電位Ecとの電位差で与える必要がある。この結果、CNTの電子放出特性によっては、電子源Kと直上の制御電極G1との駆動電圧が増大する。
【0030】
一方、トライオード動作では、電界放出に必要とされる電界を、電子源Kの電位Ekと制御電極G1の電位Ec1と加速電極G2の電位Ec2との電位差により与える。このため、電子放出が開始されるまでのバイアス分を直流電圧として加速電極G2に供給することにより、CNT特性が劣化した場合でも駆動電圧を増大させずに所望の電流を得ることができる。
【0031】
図4は、トライオード動作時の駆動状態とその動作点を示す図であり、横軸は加速電極G2の電位Ec2と制御電極G1の電位Ec1との間の電位差を示し、縦軸は電子源Kの電位Ekcoと制御電極G1の電位Ec1との間の電位差を示している。また、図中、CUTOFFはカットオフ特性を示し、矢印Aで示す点は画素選択時の動作点を、点Bは画素非選択時の動作点をそれぞれ示し、Edは陰極信号の最大振幅を示している。さらに、Cは画素が発光しない領域を、Dは画素が発光する領域をそれぞれ示している。
【0032】
図4に示すように画素選択時の制御電極G1の電位Ec1は0Vとなる。このとき、電子源Kのカットオフ電圧Ekcoが駆動回路に対して最適となるように加速電極G2に印加される直流電圧Ec2が調整される。画像信号はカットオフ電圧Ekcoを基準点に負極性で入力される。画素非選択時は制御電極G1の電位Ec1が0Vよりも低くなる。図4に示すように電子源Kの動作点Bは、制御電極G1の電位Ec1を基準に与えられるので、画素発光しない方向にオフセットされる。また、電子源Kに印加される信号の最大振幅Edは、画素選択時の動作点Aに対して画素発光を生じない最大電圧で定義される。
【0033】
したがって、トライオード動作に図5に示すように上記条件で加速電極G2に直流電圧Ec2を印加し、さらに陰極配線CLには電位Ekcoの駆動パルスを、制御電極G1には電位Ec1の駆動パルスをそれぞれ印加させてマトリクス駆動させることにより、トライオード動作が可能となる。
【0034】
次にトライオード化時の電極ディメンジョンについて説明する。電極ディメンジョンのうち、電子源Kからの電子Eの放出に対して影響を与えるのは、図1に示すように制御電極G1の電子通過孔EHL及び加速電極G2の電子通過孔AHLの制御電極G1側の開孔形状と、電子源Kと制御電極G1との間の間隔Lkgと、制御電極G1と加速電極G2との間の間隔L12と、制御電極G1の電子通過孔EHLの厚さTg1とがある。
【0035】
一般にマトリクスディスプレイの画素配列は、平行配列である。このために画素の基本形状は正方形もしくは矩形状となる。このため、各電子通過孔EHL,AHLも矩形,長円もしくは円形状などの単純な形状が望ましい。また、加速電極G2の電子通過孔AHLの制御電極G1側の孔形状が制御電極G1の電子通過孔EHLの孔形状よりも孔径が小さいと、制御電極G1の本来の制御機能を低下させてしまい、また、加速電極G2への流入電流が生じ易くなるため、望ましくない。
【0036】
ここで、加速電極G2の電子通過孔AHLの孔形状が長円形に対して例えばカットオフ電圧Ekco=40Vとなる加速電極G2の電位Ec2の変化を図6に示す。図6(a)は短径に対する加速電極G2の電位Ec2の変化を、図6(b)は長径に対する加速電極G2の電位Ec2の変化をそれぞれ示している。図6(a)は、電子源Kと制御電極G1との間の間隔Lkg=0.02mm,制御電極G1と加速電極G2との間の間隔L12=0.1mm,制御電極G1の電子通過孔EHLの厚さTg1=0.001mm,加速電極G2の長径を0.52mmとしたときに短径に対する加速電極G2の電位Ec2の変化を示したものであり、図6(b)は、電子源Kと制御電極G1との間の間隔Lkg=0.02mm,制御電極G1と加速電極G2との間の間隔L12=0.1mm,制御電極G1の電子通過孔EHLの厚さTg1=0.001mm,加速電極G2の長径D1を0.07mmと長径D2を0.1mmとしたときに長径D1,D2に対する加速電極G2の電位Ec2の変化を示したものである。
【0037】
図6に示すように加速電極G2の電子通過孔AHLの短径D1,D2の変化は、長径の変化と比較して加速電極G2の電位Ec2に対して強い影響力を及ぼす。このためにトライオード化時の電極デメンジョンは、図1に示す制御電極G1の電子通過孔EHLの短径FG1=加速電極G2の電子通過孔AHLの短径FG2と、電子源Kと制御電極G1との間の間隔Lkgと、制御電極G1と加速電極G2との間の間隔L12と、制御電極G1の電子通過孔EHLの厚さTg1とによって決定される。
【0038】
また、電子源Kと制御電極G1と加速電極G2との構成により、トライオード動作が行われるが、制御電極G1の電子通過孔EHLの短径FG1及び加速電極G2の電子通過孔AHLの短径FG2に比較して電子源Kと制御電極G1との間の間隔Lkg,制御電極G1と加速電極G2との間の間隔L12及び制御電極G1の電子通過孔EHLの厚さTg1が小さいと、制御電極G1の制御作用が小さくなり、電子放出がダイオード特性に近づいてしまう。
【0039】
図7は、上記(Lkg+Tg1+L12/2)/FG1に占める割合を横軸に、電子源Kにおける電流密度のピークが孔径に対してどの位置に存在するかをプロットしたものを示したものである。このとき、制御電極G1と加速電極G2との間の間隔L12のみが1/2倍されているのは、このL12は電子源Kに対する影響度が上記Lkg,Tg1に比較して小さく、1/2程度となるためである(陰極線管電子銃における経験値)。
【0040】
図7に示すように(Lkg+Tg1+L12/2)/FG1が小さくなると、電流密度のピークは制御電極G1の電子通過孔EHLの近傍となり、ダイオード特性に近くなる。電流密度のピーク値が孔径の50%よりも内側に入り、トライオードとしての特性が強くなるのは(Lkg+Tg1+L12/2)/FG1≧0.25の範囲である。また、電流密度のピーク値が制御電極G1の電子通過孔EHLの中央部となり、完全なトライオード特性となるのは(Lkg+Tg1+L12/2)/FG1≧0.50の範囲となる。
【0041】
次に加速電極G2のトライオード特性の最適化について説明する。加速電極G2の電子通過孔AHLの厚さTg2が大きくなると、電子源K,制御電極G1及び加速電極G2により構成される電子レンズと、加速電極G2及び陽極ADEにより構成される電子レンズとが完全に分離されるため、電子放出特性と電子ビーム集束特性とを独立させて設計可能となる。しかしながら、加速電極G2の電子通過孔AHLの厚さTg2が大きくなり過ぎると、制御電極G1により一旦集束した電子ビームが発散するため、加速電極G2への流入電流が生じてしまう。このために加速電極G2の電子通過孔AHLの厚さTg2には最適値が存在する。
【0042】
ここで、ダイオード動作を考慮すると、制御電極G1の電子通過孔EHLの厚さTg1を大きくすることにより、電子放出特性と電子ビーム集束特性とを独立させることができるが、放出電子を集束させる集束作用がないため、制御電極G1の電子通過孔EHLの厚さTg1を大きくするほど、制御電極G1への流入電流が増大してしまい、陽極ADEの到達する電子量が減少してしまう。ここで、制御電極G1への流入電流を減少させるために制御電極G1の電子通過孔EHLの厚さTg1を小さくすると、電子放出特性と電子ビーム集束特性とが分離できないため、設計が極めて困難となり、ダイオード動作では最適化設計が不可能となる。
【0043】
加速電極G2を1段構成とし、その電子通過孔AHLの短径をFG2としたとき、電子源Kと制御電極G1と加速電極G2とにより構成される電子レンズと、加速電極G2と陽極ADEとにより構成される電子レンズとを分離できる加速電極G2の電子通過孔AHLの最小厚さTg2minを3次元電子ビーム軌道解析により求めた。また、同様に加速電極G2に電子ビームが衝突する加速電極G2の電子通過孔AHLの最大厚さTg2maxを3次元電子ビーム軌道解析により求めた。この結果を図8に示す。
【0044】
図8より、加速電極G2の電子通過孔AHLの厚さをTg2とし、その電子通過孔AHLの短径をFG2としたとき、この電子通過孔AHLの厚さTg2は、Tg2min≦Tg2≦Tg2maxであり、かつ電子通過孔AHLの最小厚さTg2minは、Tg2min=2.98FG2−0.04とし、電子通過孔AHLの短径FG2<0.109のとき、その最大厚さTg2maxは、Tg2max=0.02/(0.115−FG2)−0.08であり、さらにこの電子通過孔AHLの短径FG2≧0.109のとき、その最大厚さTg2maxは、Tg2max=0.03/(FG2−0.1)+0.045のときが最適値となる。
【0045】
また、図8において、加速電極G2の電子通過孔AHLの最大厚さTg2maxがその短径FG2=0.109を境界として2つの異なる関数となっているのは、制御電極G1の制御作用によって形成される電子ビームの集束点であるクロスオーバが短径FG2の拡大に伴ない、電子源Kから遠くなっていき、短径FG2=0.109の近傍で加速電極G2の領域外となるためである。また、短径FG2>0.109の領域では、制御電極G1の制御作用により集束した電子ビームは、クロスオーバを形成する前に加速電極G2の電界により発散方向に転じる。
【0046】
なお、図8において、加速電極G2の電子通過孔AHLの短径FG2とその厚さTg2との関係は、図中、中央部分でほぼ三角形状に囲まれる範囲Gが最適な領域を示し、その他のB1及びB2に示す範囲は電子Eが加速電極G2に当る領域をそれぞれ示し、B3で示す範囲は陰極電界と陽極電界との分離が不可能な領域を示している。
【0047】
図9は、本発明による画像表示装置の他の実施例よる加速電極の構成を説明する要部拡大断面図である。図9において、図1と異なる点は、加速電極G2に形成する各電子通過孔AHL´はその短径FG2が制御電極G1から陽極ADEの方向に向かって順次段階的に拡大する多段(N段)構造を有して形成されている。この電子通過孔AHL´の多段構造は、短径FG2が電子源Kから陽極ADEの方向に向かって短径FG2−1,FG2−2…FG2−Nと順次大きくなる寸法を有し、かつ厚さ(深さ)Tgが各短径に対応してその厚さTg2−1,Tg2−2…Tg2−Nを有して形成されている。
【0048】
このような構成において、加速電極G2の電子通過孔AHL´の最小厚さTg2minは、電子通過孔AHL´の内部に無電界領域が確保できる最短長を意味する。無電界領域においては、電子が直進するので、短径FG2−1,FG2−2…FG2−Nを電子源K側から順次拡大することによって各段毎の孔径に対応する無電界長さが最小厚さTg2min及び最大厚さTg2maxを満たせば良いことになる。
【0049】
このため、電子源K側からN段目の開孔短径と開孔厚さとをそれぞれFG2−N,Tg2−Nとし、前述した式に短径FG2にFG2−Nを代入した値をTg2min−N,Tg2max−Nとしたとき、FG1=FG2−1<FG2−2<…<FG2−Nであり、また少なくとも一つのTg2−Nに対し、Tg2−N≧Tg2min−Nが成立し、また、全てのTg2−Nに対してTg2−N≦Tg2max−Nであれば良い。
【0050】
このような構成によれば、トライオード化により、CNTの品質による発光開始電圧のバラツキ(変動)を駆動電圧の上昇ではなく、加速電極G2の直流バイアス電圧に転化できるので、駆動電圧の低減を図ることができる。また、トライオード化により、電子源Kの電子放出部と制御電極G1の電子通過孔EHLとのセルフアライメント化が可能となる。さらに、トライオード化により、電界のセルフアライメントで制御電極G1に与える制御電流を零とすることができる。
【0051】
また、このような構成によれば、電子源Kの有効領域とその位置との位置合わせ裕度及び制御電流裕度により、電子源Kの有効領域が制限されないため、構造的に最大電流を得ることが可能となる。さらに、陽極ADEと加速電極G2との間に形成される電界と、制御電極G1と電子源Kとの間に形成される電界とを分離できるので、電子放出特性及び電子ビーム集束特性のそれぞれを独立に最適化させることができる。
【0052】
また、このような構成によれば、陽極ADEと加速電極G2との間に形成される電界と、電子源Kと制御電極G1との間に形成される電界とを分離できるので、各構成電極間を所定間隔に保持するスペーサ及び前面パネルPN2と背面パネルPN1との間を所定間隔に保持する枠体などの構造部品の寸法及び組立て精度を全面的に緩和することができる。
【0053】
図10は、本発明による画像表示装置の他の実施例による構成を模式的に説明する一画素近傍の拡大断面図であり、前述した図1と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。図10において、前述した図1と異なる点は、背面基板SUB1の内面には全面的に陰極Cが形成され、この陰極Cの上面には全面的に電子を放出する電子源Kが形成されている。
【0054】
なお、陰極C上に全面に形成される電子源Kは、例えばCNT(カーボンナノチューブ)が用いられており、一例としてAg−B−CNTペーストを印刷法などにより塗布させ、焼成して形成される。
【0055】
また、この陰極Cより前面パネルPN2側には、電子源Kからの電子Eを前面パネルPN2側に通過させる複数の電子通過孔EHLを有する互いに独立した複数の制御電極G1及び複数の電子通過孔AHLを有する互いに独立した複数の加速電極G2がそれぞれ同軸上に電子通過孔EHL及び電子通過孔AHLを一致させて各電極間が所定の間隔を有して平行配列される構成となっている。
【0056】
このような構成においては、制御電極G1を陰極Cに対して低電位とし、加速電極G2の電位によって電子源Kから電子Eを放出させるトライオード動作を行う。これによって陰極Cに形成された電子源Kから放出された電子Eは、制御電極G1の電子通過孔EHLによりその電子量が制御されて通過し、さらに加速電極G2の電子通過孔AHLを通過するとともに、この電子通過孔AHLにより加速され、電子ビームEBとして陽極ADEに指向され、蛍光体PHSを励起させ、所定の波長で発光させる。この画素を二次元配置して前面パネルPN2に表示領域が形成されて画像が表示される。
【0057】
このようなトライオード動作では、図11に示すように陰極Cを画面内全域で単一電位の電極として直流電圧Ek=0Vを印加する。制御電極G1には制御電位Ec1(オフ時)<Ec1´(オン時)<Ekとなるパルス電圧を、加速電極G2にはオフ時に0V,オン時に加速電位Ec2のパルス電圧をそれぞれ印加させて行う。
【0058】
図12は、図11に示す駆動回路によるマトリクス駆動時の陰極Cの電位と、制御電極G1の電位と、加速電極G2の電位と、発光との関係を示す図であり、L1は発光する領域を、L2は非発光領域を、CUTOFFはカットオフ特性をそれぞれ示している。また、そのマトリクス駆動は下記表1に示すタイミングで行われる。
【0059】
【表1】
【0060】
なお、前述した図11において、加速電極G2側をゲート線とし、制御電極G1側を信号線として用いたが、制御電極G1側をゲート線とし、加速電極G2側を信号線として用いても良いことは言うまでもない。
【0061】
このような構成によれば、トライオード化により、陰極Cの電子源Kと制御電極G1の電子通過孔EHLとのセルフアライメントが可能となるとともに、電界のセルフアライメントで制御電極G1への流入電流を零とすることができる。また、位置合わせ裕度及び制御電流裕度により、陰極Cの電子源Kの有効径が制限されないので、構造的な最大電流を得ることができる。
【0062】
また、このような構成によれば、単一の陰極Cでマトリクス駆動が可能となる。また、トライオード電子放出構造となるので、陰極Cの電子源Kの位置は制御電極G1と加速電極G2との位置によるセルフアライメントとなり、電子源Kのパターン化を一切不要とすることができる。
【0063】
なお、前述した実施例においては、制御電極G1及び加速電極を導電性金属板材で形成した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、制御電極G1及び加速電極G2を導電性金属膜により形成される積層膜電極構造で構成しても良く、また、制御電極G1は絶縁性基板の陰極配線CL側に導電性金属膜により形成され、加速電極G2はこの絶縁性基板の陽極ADE側に導電性金属膜により形成される積層電極構造で構成しても良く、さらには制御電極は絶縁性基板の陰極配線CL側に帯状電極素子(MRG)により形成され、この絶縁性基板の陽極側に導電性金属膜により形成される積層電極構造で構成しても前述した効果と全く同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0064】
また、前述した各実施例においては、制御電極G1及び加速電極G2の各電子通過孔の開孔形状を円形状とした場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、長円形状または矩形状または各種の形状に形成しても、前述と全く同様の効果が得られる。
【0065】
なお、前述した実施例においては、画像表示装置としてフィールドエミッションパネルに適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、フィールドエミッションパネルを用いたディスプレイ,受像機などに適用しても前述と全く同様に効果が得られることは勿論である。
【0066】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明による画像表示装置によれば、電子源と、制御電極と、加速電極との間の間隔及び各電極厚さ並びに各電子通過孔の孔径を規定し、加速電極に直流電位を付与し、陰極配線と制御電極とによるマトリクス駆動を行い、トライオード電子放出を行うことにより、低電圧駆動にて高い電流密度が得られるので、電子源のCNT特性が劣化した場合でも駆動電圧を増大させずに所望の電流が得られ、より高輝度で再現性に優れたディスプレイを実現可能とすることができる。また、駆動電圧に低減により、駆動回路のコストを大幅に削減することができるとともに、信頼性も大幅に向上させることができる。さらに、ダイオード動作と比較して全ての裕度が拡大できるので、歩留りを大幅に向上させることができるとともに、構成部品の精度を緩和できるので、構成部品単価を大幅に低減させることができるなどの極めて優れた効果が得られる。
【0067】
また、本発明による画像表示装置によれば、電子源と、制御電極と、加速電極との間の間隔及び各電極厚さ並びに各電子通過孔の孔径を規定することにより、陽極と加速電極との間に形成される電界と、制御電極と電子源との間に形成される電界とが完全に分離され、電界相互間の影響が全くなくなるので、電子放出特性及び電子ビーム集束特性をそれぞれ独立させて最適化設計が可能となるという極めて優れた効果が得られる。
【0068】
また、本発明による他の画像表示装置によれば、陰極を単一電極で形成して直流電位を付与し、制御電極と加速電極とによるマトリクス駆動を行い、トライオード電子放出を行うことにより、電子源と制御電極の電子通過孔との位置合わせ裕度及び制御電極の電流裕度が向上し、構造的に最大電流が得られるので、電子源の有効径が制限されなくなり、電子源のパターン作製が一切不要となるとともに、配線パターンも不要となるので、構造が単純化され、パネルコストを大幅に低減することができるとともに、部品及び組立て精度を必要としないので、歩留まりを大幅に向上させることができるなどの極めて優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による画像表示装置の一実施例を模式的に説明する一画素近傍の拡大断面図である。
【図2】図1に示す画像表示装置のトライオード動作とダイオード動作とで比較したときの電子放出特性を示す図である。
【図3】図1に示す画像表示装置の電子源にカーボンナノチューブ(CNT)を用いたときの電子放出特性を示す図である。
【図4】図1に示す画像表示装置のトライオード動作時の駆動状態と動作点との関係を示す図である。
【図5】図1に示す画像表示装置をトライオード動作させる時の各電極に印加する駆動パルスのタイミング図である。
【図6】加速電極の電子通過孔の孔径に対する加速電極の電位の変化の関係を示す図である。
【図7】制御電極の電子通過孔の孔径に対する電子源における電流密度のピークの関係を示す図である。
【図8】加速電極の電子通過孔の最短径に対する加速電極の厚さの関係を示す図である。
【図9】本発明による画像表示装置の他の実施例を説明する加速電極の電子通過孔の構成を示す拡大断面図である。
【図10】本発明による画像表示装置の他の実施例による構成を模式的に説明する一画素近傍の拡大断面図である。
【図11】図10に示す画像表示装置をトライオード動作させる時の各電極に印加する駆動パルスのタイミング図である。
【図12】カソード電位,制御電極電位,加速電極電位と発光との関係を示す図である。
【符号の説明】
SUB1 背面基板
PN1 背面パネル
CL 陰極配線
C 陰極
K 電子源
E 電子
G1 制御電極
EHL 電子通過孔
G2 加速電極
AHL 電子通過孔
AHL´ 電子通過孔
EB 電子ビーム
ADE 陽極
BM ブラックマトリクス
PHS 蛍光体
SUB 前面基板
PN2 前面パネル
Claims (8)
- 陽極及び蛍光体を内面に有する前面基板と、
一方向に延在し前記一方向に交差する他方向に並設され、かつ電子源を有する複数の陰極配線と、前記陰極配線と非接触で対向し、かつ前記電子源とそれぞれ対向する領域に前記電子源から放出する電子を前記前面基板の内面側に通過させる複数の電子通過孔を有し、前記電子源から放出された電子放出量を制御する制御電極と、前記制御電極と非接触で対向し、かつ前記制御電極の各電子通過孔とそれぞれ対向する領域に前記制御電極の電子通過孔を通過した電子を通過させる複数の電子通過孔を有し、当該電子通過孔を通過する電子を前記前面基板の内面側に加速させる加速電極とを内面に有して前記前面基板と所定の間隔をもって対向する背面基板と、
前記前面基板と前記背面基板との間で表示領域を周回して介挿され、前記所定の間隔を保持する枠体と、
を備え、
前記加速電極は、前記電子源と前記制御電極との間隔をLkg、前記制御電極と前記加速電極との間の間隔をL12、前記制御電極の電子通過孔の厚さをTg1、前記制御電極の電子通過孔の短径をFG1としたとき、
(Lkg+Tg1+L12/2)/FG1≧0.25
前記加速電極の電子通過孔の厚さをTg2、前記加速電極の電子通過孔の短径をFG2としたとき、
Tg2min≦Tg2≦Tg2max
であり、かつ
Tg2min=2.98FG2−0.04
FG2<0.109のとき、
Tg2max=0.02/(0.115−FG2)−0.08
FG2≧0.109のとき、
Tg2max=0.03/(FG2−0.1)+0.045
であることを特徴とする画像表示装置。 - 陽極及び蛍光体を内面に有する前面基板と、
一方向に延在し前記一方向に交差する他方向に並設され、かつ電子源を有する複数の陰極配線と、前記陰極配線と非接触で対向し、かつ前記電子源とそれぞれ対向する領域に前記電子源から放出する電子を前記前面基板の内面側に通過させる複数の電子通過孔を有し、前記電子源から放出された電子放出量を制御する制御電極と、前記制御電極と非接触で対向し、かつ前記制御電極の各電子通過孔とそれぞれ対向する領域に前記制御電極の電子通過孔を通過した電子を通過させる複数の電子通過孔を有し、当該電子通過孔が前記前面基板方向に向かって開孔径を順次大きくなるN段構造を有して形成され、当該電子通過孔を通過する電子を前記前面基板の内面側に加速させる加速電極とを内面に有して前記前面基板と所定の間隔をもって対向する背面基板と、
前記前面基板と前記背面基板との間で表示領域を周回して介挿され、前記所定の間隔を保持する枠体と、
を備え、
前記加速電極は、前記電子源と前記制御電極との間隔をLkg、前記制御電極と前記加速電極との間の間隔をL12、前記制御電極の電子通過孔の厚さをTg1、前記制御電極の電子通過孔の短径をFG1としたとき、
(Lkg+Tg1+L12/2)/FG1≧0.25
前記加速電極の電子通過孔の1段目の開孔の厚さをTg2−1、前記N段目の開孔の厚さをTg−Nとし、前記加速電極の電子通過孔の1段目の開孔の短径をFG2−1、前記N段目の開孔の短径をFG2−Nとし、前記N段目の開孔の厚さの最小値をTg2min−N、前記N段目の開孔の厚さの最大値をTg2max−Nとしたとき、
FG1=FG2−1<FG2−2<…<FG2−N
であり、少なくとも1つのTg2−Nに対して
Tg2−N≧Tg2min−N
また、全てのTg2−Nに対して
Tg2−N≦Tg2max−N
であることを特徴とする画像表示装置。 - 前記電子源はカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像表示装置。
- 陽極及び蛍光体を内面に有する前面基板と、
表示領域に電子源を形成する陰極と、前記陰極と非接触で対向し、かつ前記電子源とそれぞれ対向する領域に前記電子源から放出する電子を前記前面基板の内面側に通過させる複数の電子通過孔を有し、前記電子源から放出された電子放出量を制御する制御電極と、前記制御電極と非接触で対向し、かつ前記制御電極の各電子通過孔とそれぞれ対向する領域に前記制御電極の電子通過孔を通過した電子を通過させる複数の電子通過孔を有し、当該電子通過孔を通過する電子を前記前面基板の内面側に加速させる加速電極とを内面に有して前記前面基板と所定の間隔をもって対向する背面基板と、
前記前面基板と前記背面基板との間で前記表示領域を周回して介挿され、前記所定の間隔を保持する枠体と、
を備え、
前記加速電極は、前記電子源と前記制御電極との間隔をLkg、前記制御電極と前記加速電極との間の間隔をL12、前記制御電極の電子通過孔の厚さをTg1、前記制御電極の電子通過孔の短径をFG1としたとき、
(Lkg+Tg1+L12/2)/FG1≧0.25
前記加速電極の電子通過孔の厚さをTg2、前記加速電極の電子通過孔の短径をFG2としたとき、
Tg2min≦Tg2≦Tg2max
であり、かつ
Tg2min=2.98FG2−0.04
FG2<0.109のとき、
Tg2max=0.02/(0.115−FG2)−0.08
FG2≧0.109のとき、
Tg2max=0.03/(FG2−0.1)+0.045
であり、前記制御電極と前記加速電極とによりマトリクス駆動が行われることを特徴とする画像表示装置。 - 前記カソードはカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項4に記載の画像表示装置。
- 前記制御電極は第1の導電性金属膜で形成され、前記加速電極は第2の導電性金属膜で形成される積層膜電極構造であることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れかに記載の画像表示装置。
- 前記制御電極は絶縁性基板の前記陰極配線側に第1の導電性金属膜で形成され、前記加速電極は当該絶縁性基板の前記陽極側に第2の導電性金属膜で形成される積層電極構造であることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れかに記載の画像表示装置。
- 前記制御電極は絶縁性基板の前記陰極配線側に帯状電極素子で形成され、前記加速電極は当該絶縁性基板の前記陽極側に導電性金属膜で形成される積層電極構造であることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れかに記載の画像表示装置。
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