JPWO2009104361A1 - 高分子発熱体 - Google Patents

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Abstract

薄肉成型可能な低抵抗を示す高分子抵抗体を提供して、柔軟性と器具に装着した際の面状発熱体の使用感と信頼性を向上させるとともに、低コスト化を図った高分子発熱体を提供することを目的とする。電気絶縁性基材2と、電気絶縁性基材2上に配設された複数本の金属細線で構成される少なくとも一対の電極3,3’と、これら一対の電極3,3’とは直接接触しないPTC特性を有する高分子抵抗体4と、電極3,3’と高分子抵抗体4との双方に接触する導電層5,5’とを具備し、導電層5,5’が少なくとも樹脂成分と導電体成分と添加剤成分とを含むものである。

Description

本発明は、高分子抵抗体のジュール熱を利用した高分子発熱体に関し、更に詳しくは、長期信頼性を有し、かつ低コストで作成できる高分子発熱体に関するものである。
従来から面状発熱体の発熱部として、カーボンブラックや金属粉末、グラファイトなどの導電性物質を樹脂に分散して得られたものが知られている。
なかでも導電性物質と樹脂との組合せにより、自己温度制御機能を示すPTC発熱体(正の抵抗温度特性を意味する英語Positive Temperature Coefficientの略を意味する)を用いた場合には、温度制御回路が不要となり、部品点数を少なくできるなど、メリットのあるデバイスとして知られている。
これらの構成は、図7,8に示すように、セラミックや絶縁処理された金属板など、筺体構造としての機能を有するベース材101上に、導電性インキ組成物を印刷、あるいは塗布して得られる電極102と、これにより給電される位置に抵抗体インク組成物を印刷、あるいは塗布して得られる抵抗体103とを設け、発熱体104を形成していた。図7は発熱体の平面図、図8は図7のX−Y断面図である。
従来から、印刷により高分子抵抗体を形成してこれを発熱体として用いた例としては、露・霜除去用として自動車のドアミラーや、洗面台のミラー、床暖房器具等がある(例えば特許文献1参照)。
特開2002−371699号公報
前記従来の構成では、用いられる抵抗体組成物の比抵抗は通常1000Ω・cm以上であり、そのため櫛形電極のように非常に近接して給電する構成となっていた。また通常、櫛形電極は銀ペーストを用い、印刷・乾燥により形成されるので、その使用量が多くなるため高価なものとなっていた。
高分子抵抗体をインクとして作製したものは、塗布量調整により数十ミクロンメートル程度の薄膜状に発熱部を形成できるので、高分子発熱体としての柔軟性を発揮することは容易である。しかしながら、インク状の高分子抵抗体を塗布する面としては、平滑で含浸することがなく、かつ腰のあるポリエステルフィルムなどの電気絶縁性基材を用いる必要があり、柔軟性を損ねる結果となっていた。また、高分子発熱体の給電部として、高価な導電性ペーストを櫛型電極として多量に用いる必要があるため、コストが高いという欠点を有していた。
一方、押し出し成型に用いる抵抗体では、インクに供するものに比べてミリメートル単位の厚肉となり、柔軟性に欠けるとともに、電極ケーブル間が近接した構成となり面状発熱体と言えるものでななかった。Tダイ押し出し加工やカレンダー加工などの薄肉成型法もあるが、これらの加工法に適した高分子抵抗体の提案はされていない。
上記従来の技術の問題点に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、薄肉成型可能な低抵抗を示す高分子抵抗体を提供した場合、面状発熱体の使用感と信頼性を向上させるとともに低コスト化を図った高分子発熱体を提供することにある。
前記従来の課題を解決するための本発明の高分子発熱体は、第1の態様として、電気絶縁性基材と、前記電気絶縁性基材上に配置された複数本の金属細線で構成される少なくとも一対の電極と、前記一対の電極とは直接接触しないPTC特性を有する高分子抵抗体と、前記電極と前記高分子抵抗体との双方に接触する導電層とを具備し、前記導電層が少なくとも樹脂成分と導電体成分と添加剤成分とを含むものである。
また、本発明の高分子発熱体は、第2の態様として、電気絶縁性基材と、前記電気絶縁性基材上に配置された複数本の金属細線で構成される少なくとも一対の電極と、前記一対の電極とは直接接触しないPTC特性を有する高分子抵抗体と、前記電極と前記高分子抵抗体との双方に接触する導電層とを具備し、前記導電層が少なくとも架橋性樹脂成分と導電体成分とを含むものである。
また、本発明の高分子発熱体は、第3の態様として、電気絶縁性基材と、前記電気絶縁性基材上に配設されたPTC特性を有する高分子抵抗体と、前記高分子抵抗体とは直接接触しない複数本の金属細線で構成される少なくとも一対の電極と、前記高分子抵抗体と前記電極との双方に接触する導電層から形成されてなる高分子発熱体において、前記導電層がPTC特性を示すものである。
本発明では低抵抗を示す高分子抵抗体を薄膜に形成することを基本とするものである。この構成により、高分子抵抗体に給電する電極間を櫛形構成とする必要性はなくなり、広い間隔で電極を配置することが可能となり、電極の使用量を低減するとともに高分子抵抗体をパターン化する必要がないため低コストの面状発熱体を提供できる。
本発明における導電層の役割としては主に3点ある。
すなわち、その第1点は、電極自身に被覆を設けることによる耐屈曲性の向上である。電極のみを屈曲する場合に比べると被覆している樹脂がバッファー的な効果を示し耐屈曲特性が改善されることを我々は既に突き止めている。
また、第2点は、導電層を介した電極部と高分子抵抗体部との密着性改善である。金属電極を高分子抵抗体に直接熱融着などした場合には、その圧着時の条件にも寄るが、高分子抵抗体にクラックが入る場合がある。しかし、導電層を介した場合には導電層の樹脂成分が存在するために、例えば予め電極を導電層で被覆したものを押出し成形しておき、その被覆つきの導電電極を高分子抵抗体に融着した場合には、クラックなどが入ることなく良好な密着性、接着性が得られることがわかった。
さらに、第3点は、仮に金属線からなる電極部の一部が断線あるいは断線に近い状態になり電流集中が生じたとしても、導電層の導電成分として、高分子抵抗体とは組成の異なる成分、例えば無機系の導電材料や金属系材料などといった燃えにくい材質を用いることにより、発煙発火に至らないバリア効果を示すことが可能である。
本発明においてはこれらの3つの役割に注目し、長期使用時においても、電極部と高分子抵抗体部との間での電流供給を妨げることなく、導電層としての機能を維持し続けることを可能とするものである。
本発明の第2の態様は特に上記2つ目の役割に注目したものである。つまり、導電層が容易に熱変化、構造変化しないことが重要な要件であり、種々の樹脂組成などを考慮した結果、導電層の樹脂成分として架橋性樹脂成分を含む組成が上記条件を満たすことを見出し、本発明に至った。架橋処理した樹脂の場合は架橋処理をしていない樹脂に比べると樹脂の構造安定性、熱安定性に優れ、導電層としての役割のひとつである低抵抗特性を長期にわたり維持することが可能である。
本発明の第3の態様では、導電層の材料組成を高分子抵抗体の材料組成と類似、あるいは比較的似たようなものを選ぶことによって、導電層と高分子抵抗体の熱変化、構造変化が近いものとなり、長期にわたり界面部位において亀裂などの生じない構成とすることができることを見出し、本発明に至った。すなわち導電層の材料組成においても、高分子抵抗体と同様にPTC特性を示す材料組成にすることにより、本発明の目的を達成させることが可能となる。
導電層と同様の機能を果たすものとして、導電性の被覆材があるが、本発明においては、電極と導電層、及び導電層と高分子抵抗体のそれぞれが接着、密着された状態であれば良く、電極自身の被覆の状態は問わない。結果として電極部が導電層により全面が覆われたものであっても良いし、また一部のみが覆われたような状態であっても構わない。
本発明によれば、薄膜かつ低抵抗の面状発熱体を提供できるとともに、使用感と信頼性も高めることができ、しかも低コスト化を促進できるものである。
本発明の実施の形態1〜6における高分子発熱体の構成を示す平面図 図1のX−Y断面図 本発明の実施の形態1〜8における高分子発熱体を取りつけた自動車の座席装置を示す透視側面図 図3に示す座席の透視正面図 (a)本発明の実施の形態7における高分子発熱体の平面図、(b)同高分子発熱体の断面図、(c)同高分子発熱体の拡大図 (a)本発明の実施の形態8における高分子発熱体の平面図、(b)同高分子発熱体の断面図、(c)同高分子発熱体の拡大図 従来の発熱体を示す平面図 図7のX−Y断面図
符号の説明
1、51、61 高分子発熱体
2、52、62 電気絶縁性基材
3、3’、53、53’、63、63’ 電極
4、54、64 高分子抵抗体
5、5’、55、55’、65、65’ 導電層
6 座席装置
7 座部
8 背もたれ
9 座席基材
10 座席表皮
第1の発明は、電気絶縁性基材と、前記電気絶縁性基材上に配設された複数本の金属細線で構成される少なくとも一対の電極と、前記一対の電極とは直接接触しないPTC特性を有する高分子抵抗体と、前記電極と前記高分子抵抗体との双方に接触する導電層とを具備し、前記導電層が少なくとも樹脂成分と導電体成分と添加剤成分とを含むものであり、抵抗体組成物に給電する電極間を櫛形構成とする必要性はなくなり、広い間隔で電極を配置することが可能となり、電極の使用量を低減するとともに高分子抵抗体をパターン化する必要がないため低コストの面状発熱体を提供できる。
また、複雑な工法を必要とせず、Tダイやカレンダーロール法などによって得た高分子抵抗体や導電層を電極と共に電気絶縁性基材に熱融着などによって貼り合わせることによって容易に作製できる。
さらに複数本の金属細線からなる電極と高分子抵抗体との間に設けた導電層が、電極及び高分子抵抗体との密着性を仲介する役割を果たし、金属細線を直接高分子抵抗体に貼り合せた場合に比較して、屈曲性などの耐久性能を向上させることができる。
第2の発明は、特に第1の発明の高分子発熱体において、導電層の樹脂成分が、金属親和性を示す官能基を有するものであり、導電層と電極となる金属との界面での接触状態を良好に保つことができるため、発熱特性の良好な発熱体を容易に得ることができる。
第3の発明は、電気絶縁性基材と、前記電気絶縁性基材上に配置された複数本の金属細線で構成される少なくとも一対の電極と、前記一対の電極とは直接接触しないPTC特性を有する高分子抵抗体と、前記電極と前記高分子抵抗体との双方に接触する導電層とを具備し、前記導電層が少なくとも架橋性樹脂成分と導電体成分を含むものであり、導電層の樹脂成分が架橋性樹脂成分で構成されるため、熱安定性に優れ、長期的に変化の少ない導電層を得ることができる。また、複数本の金属細線からなる電極と高分子抵抗体との間に設けた導電層が、電極及び高分子抵抗体との密着性を仲介する役割を果たし、金属細線を直接高分子抵抗体に貼り合せた場合に比較して、屈曲性などの耐久性能を向上させることができる。
第4の発明は、特に第3の発明の高分子発熱体において、前記導電層が、架橋性樹脂成分と導電体成分と溶融張力向上剤成分とを含有することによって、樹脂成分と導電体成分の混練分散加工時に導電体成分等の分散性が向上すると共に、溶融樹脂の張力を向上させることができ、反応性架橋剤とのバランスで樹脂の成形性を低下させることなく、所望の成分を有する樹脂組成物を容易に得ることが可能となる。
第5の発明は、特に第3または第4の発明の高分子発熱体において、導電層の架橋性樹脂成分が、反応性添加剤により架橋されてなるものであり、樹脂成分と導電体成分を混練、分散させながら架橋反応を進行させることができるため、工法的にも簡便な手法で導電層組成物を作成できる。
第6の発明は、特に第1または第3の発明の高分子発熱体において、導電層の導電体成分の重量比率が、導電層重量に対して50重量%以上80重量%以下含まれるものである。
導電体をこの重量比率で導電層中に含むため、金属細線からなる電極が断線した際においても、樹脂成分よりも導電体成分が多く存在することにより、断線が生じ電流が集中した場合にも、スパーク発生を抑制できる。また、80重量%以下とすることにより樹脂成分ならびに添加剤成分は、20重量%以上含まれることとなるため、導電層としての屈曲性や、ある程度の柔軟性を保持することができる。
第7の発明は、特に第1、第3、第6のいずれか1つの発明の高分子発熱体において、導電層の導電体成分が、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ、カーボン繊維、導電性セラミック繊維、導電性ウィスカ、金属繊維、導電性無機酸化物、導電性ポリマー繊維の少なくとも一種から選ばれる導電体を含むものであり、導電体の原料が比較的安価にかつ安定して入手できるため、高品質でコストを抑えた高分子発熱体を提供できる。
第8の発明は、特に第1の発明の高分子発熱体において、導電層の添加剤成分が、リン系、窒素系、シリコーン系の少なくとも1種の難燃剤を含有することによって、外部から加熱された場合においてもまた電極線が断線して局部的に温度上昇などが生じても、発煙発火を抑制することができる高分子発熱体を提供することができる。
第9の発明は、特に第1〜第8のいずれか1つの発明の高分子発熱体において、導電層の比抵抗が0.01〜500Ω・cmに設定したもので、導電層での発熱ロスなどが少なく、電気的にも安定した高分子発熱体を作成できる。
0.01Ω・cmよりも小さくするためには導電体の比率を高める必要があるが、その場合バインダとなる樹脂比率が低くなるため金属との密着性が低下してしまう。また、500Ω・cmよりも大きくなると、電圧を印加した際に高分子抵抗体よりも導電層の抵抗値が大きくなり、導電層のみが発熱し、面状発熱体を得ることができない。
第10の発明は、電気絶縁性基材と、前記電気絶縁性基材上に配置されたPTC特性を有する高分子抵抗体と、前記高分子抵抗体とは直接接触しない複数本の金属細線で構成される少なくとも一対の電極と、前記高分子抵抗体と前記電極との双方に接触する導電層から形成されてなる高分子発熱体において、前記導電層がPTC特性を示すものであり、熱安定性に優れ、長期的に変化の少ない導電層を得ることができる。また、複数本の金属細線からなる電極と高分子抵抗体との間に設けた導電層が、電極及び高分子抵抗体との密着性を仲介する役割を果たし、金属細線を直接高分子抵抗体に貼り合せた場合に比較して、屈曲性などの耐久性能を向上させることができる。
第11の発明は、特に第10の発明の高分子発熱体において、高分子抵抗体と電極との間隔が0.01mm〜3mmの範囲であるものであり、その間に存在する導電層が金属電極と高分子抵抗体との緩衝材的な役割を果たすと共に、電圧印加時に大きな抵抗となることなく、スムーズに高分子抵抗体の発熱を実現できる。0.01mmよりも間隔が狭くなると、工法のばらつきにもよるが、電極となる金属と高分子抵抗体が直接接触することになり、上記で説明した3つ目の役割の発煙発火に対するバリア効果を充分に発揮させることが難しい。また3mmよりも大きくなると、導電層の比抵抗にも依存するが導電層での発熱ロスが大きくなり、高分子抵抗体としての特性として好ましくない。
第12の発明は、特に第10の発明の高分子発熱体において、導電層がPTC特性として、80℃における抵抗値が20℃における抵抗値に対して10倍以下となるものである。導電層に関しても高分子抵抗体と同様のPTC特性を有する類似材料組成にすることにより、相互の密着性などを改善することができるが、一方、導電層自身のPTC特性として高温状態でのPTC変化倍率が大きくなると、高分子抵抗体の抵抗値特性に影響を及ぼす場合がある。従ってある一定倍率以下のPTC特性を有することが好ましく、本発明においては一般に発熱温度として比較的高温レベルであるが、80℃付近の発熱状態時においても、PTC特性としての抵抗値変化倍率が20℃に対して10倍以下となることがより好ましいとした。
第13の発明は、特に第10〜第12のいずれか1つの発明の高分子発熱体において、導電層の比抵抗に対する高分子抵抗体の比抵抗の比率が80℃以下の温度領域において100倍以下となるものである。高分子抵抗体と導電層の比抵抗値が等しい場合でも、被覆層は間隔が狭いため抵抗値としては約1/1000程度と考えられることから、本発明で定義した抵抗比率の関係であれば、導電層の抵抗が高分子抵抗体の発熱を阻害することなく、良好な発熱体を得ることができる。
第14の発明は、特に第10〜第13のいずれか1つの発明の高分子発熱体において、導電層が電極に対して平行であることを特徴とするものであり、電圧印加方向に対して、導電層が均一の厚み、幅で存在することになるので、高分子発熱体にはどの領域においてもほぼ等しい電圧が印加されることになり、均一発熱の良好な発熱体を得ることが可能となる。
第15の発明は、特に第10〜第14のいずれか1つの発明の高分子発熱体において、導電層の組成物と電極を構成する金属細線とを共押出成形してなるもので、予め、導電層と電極で押出成形しておくことにより電極と導電層の密着性を向上させることができる。このように作成した導電層を有する電極を高分子抵抗体と熱融着などにより発熱体として成形することができるため、比較的簡易な方法で発熱体を得ることができる。
第16の発明は、特に第1、第3、第10のいずれか1つの発明の高分子発熱体において、電極が錫めっき銅、銀含有銅、銀銅合金の少なくとも1種を含む金属細線よりなり、柔軟性、屈曲性に優れるため、良好な発熱特性を有する高分子発熱体を長期に渡り提供することができる。
第17の発明は、特に第1、第3、第10のいずれか1つの発明の高分子発熱体において、電気絶縁性基材が樹脂フィルム、織布、不織布の少なくとも1種からなり、使用感や長期信頼性に優れた高分子発熱体を得ることができる。
第18の発明は、これら第1〜17記載の高分子発熱体を例えば座部、背もたれ部の少なくとも一方に配置し、暖房用熱源として自動車用座席装置に搭載したものである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1,2において、高分子発熱体1は、電気絶縁性基材2上に、一対の電極3,3’、高分子抵抗体4、及び導電層5,5’を含んで構成される。
例えば、電気絶縁性基材2は、ポリエステル繊維で作製されたニードルパンチタイプのもので、難燃剤が含浸処理された不織布を用いることができる。
一対の電極3,3’としては、線径0.06mmの銀銅合金線を15本撚って得たものであり、不織布上の所定位置に熱融着処理して得た。
電極3,3’とは直接接触しないように高分子抵抗体4を同様に熱融着により配置し、その後、前記高分子抵抗体4と電極3,3’とを接触させるための導電層5,5’が熱融着により形成してある。なお、電極3,3’に給電するためのリード線は省略した。
このとき、高分子抵抗体4は以下の材料、手順により混練物を作成後、カレンダー加工によりフィルム状に加工したものを使用した。
すなわち、高分子抵抗体4は、結晶性樹脂として、エチレン・メタアクリル酸メチル共重合体(商品名「アクリフトCM5021」、融点67℃、住友化学(株)製)30部と、エチレン・メタアクリル酸共重合体(商品名「ニュクレルN1560」、融点90℃、三井・デュポンポリケミカル(株)製)30部と、エチレン・メタアクリル酸共重合体金属配位物(商品名「ハイミラン1702」、融点90℃、三井・デュポンポリケミカ(株)製)40部とで構成した。
この結晶性樹脂35重量%と、反応性樹脂(商品名「ボンドファースト7B」、住友化学(株)製)2重量%と、2種類の導電体として、カーボンブラック(商品名「プリンテックスL」、1次粒子径21nm、デグサ社製)25重量%と、グラファイト(商品名「GR15」、鱗状黒鉛、日本黒鉛(株)製)18重量%と、難燃剤(商品名「レオフォスRDP」、リン酸エステル系液状難燃剤、味の素(株)製)20重量%により混練物Aを作製した。
次に、エラストマーとして、スチレン系熱可塑性エラストマー(商品名「タフテックM1943」)、旭化成エンジニアリング(株)製)40重量%と、カーボンブラック(商品名「#10B」、1次粒子径75nm、三菱化学(株)製)45重量%と、炭化タングステン(井澤金属(株)製)13重量%と、溶融張力向上剤として、メタアクリル酸アルキル・アクリル酸アルキル共重合物と4フッ化エチレン共重合物との混合物(商品名「メタブレンA3000」、三菱レイヨン(株)製)2重量%から混練物Bを作製した。
そして、混練物Aと混練物Bとを等量と、離型剤として変性シリコーンオイル2重量%と流動性付与剤として、メタアクリル酸アルキル・アクリル酸アルキル共重合物2重量%とを混練して高分子抵抗体4を作製した。
導電層5,5’は、樹脂成分として、エチレン酢酸ビニル共重合体(商品名「エバフレックスEV150」、三井・デュポンポリケミカル(株)製)21重量%と、金属親和性を示す官能基として無水マレイン酸を含む樹脂(商品名「ボンダインLX4110」、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合樹脂、住友化学(株)製)9重量%を、導電体として、導電性ウィスカ(商品名「FTL−110」、針状酸化チタン、石原産業(株)製)45重量%、カーボンブラック(商品名「プリンテックスL」、1次粒子径21nm、デグサ社製)15重量%、難燃剤(商品名「レオフォスRDP」、リン酸エステル系液状難燃剤、味の素(株)製)10重量%により混練物を得、厚み100μmのフィルムを作成して得た。比抵抗は5Ω・cmであった。
この面状発熱体を構成する高分子発熱体1は、図3,4に示したように、例えば、自動車の座席装置6である座部7及び背もたれ8に基材2側を上部として取り付けて使用されるものである。
座部7及び背もたれ8の吊り込み部(図示せず)に対応するために中央部や周縁部に吊り込むための耳部(基材2の延長部)が設けられるが、ここでは省略している。
また、このような高分子発熱体1を装着した座部7及び背もたれ8は、一般的に座席に腰掛けた人体による荷重がかかった時に変形し、荷重がかからなくなると復元するウレタンパット等の座席基材9と座席表皮10を備えている。従って、座部7及び背もたれ8の座席基材9上に高分子抵抗体4側を、座席表皮10に基材2側を配置して取り付けられる薄い面状発熱体である高分子発熱体1も、前記した座部7及び背もたれ8の変形に対応して相似の変形をしなければならない。
そのために、種々の発熱パターンの設計、そのための電極3,3’並びに導電層5,5’の配置形状を変更する必要があることは言うまでもないが、ここでは省略している。
電極3,3’は、相対向するように幅の広い一対(電気的に正側と負側)を高分子発熱体1の長手方向の外側部に沿って配置し、これに接触するように配設した導電層5,5’を介して高分子抵抗体4に電流が流れ、発熱する。
本実施の形態において、高分子抵抗体4はPTC特性を有し、温度が上昇すると抵抗値が上昇し、所定の温度になるように自己温度調節機能を有するようになり、温度コントロールが不要で安全性の高い面状発熱体としての機能を有するようになる。
また、自動車の座席装置6に組み込まれる面状発熱体のカーシートヒーターとしては着座感や難燃性を満足することができる。
着座感は、紙のような音鳴り感がなく、座席表皮材と同等の伸び特性、すなわち、5%の伸びに対して7kgf以下の荷重であることで満足できる。
また、PTC特性を有する面状発熱体として速熱性と省エネ性を、従来のチュービングヒータを発熱体とするものに比べて発揮することができる。
チュービングヒータを発熱体とするものは、温度制御器を必要として、ON−OFF制御で通電を制御して発熱温度を制御している。
ON時のヒータ線温度は約80℃まで上昇するため、座席表皮材とはある程度の距離をおいて配置する必要があるのに対して、本実施の形態の高分子発熱体では、発熱温度が40℃〜50℃の範囲に自己制御されるので、座席表皮材近傍に近接して配置することができる。発熱温度が低く、座席近傍であることより、速熱性と外部への放熱ロスを低減できることによる省エネ性を実現できる。
また、電気絶縁性基材2に難燃性不織布を用いて、また、高分子抵抗体4、導電層5,5’に難燃剤を配合することで難燃性を実現できる。
難燃性は、高分子発熱体単品での自動車用内装材難燃規格FMVSS302規格(水平着火で不燃性はもとより自己消火するものや、標線間の燃焼速度が80mm/min以下であれば適合する)を満足する必要があり、少なくとも難燃剤の充填量が10重量%以上あれば適合できることを確認した。
本実施の形態で得た高分子発熱体を、80℃炉中放置試験、150℃炉中放置試験、−20℃と50℃のヒートサイクル試験を実施した。
その結果、それぞれ、500時間、200時間、200回後も抵抗値変化率はいずれも初期の30%以内であった。この要因としては、反応性樹脂による架橋反応により結晶性樹脂そのもの、および結晶性樹脂と導電体との結合を図ったことに起因していると考えられた。
優れたPTC特性を発揮するために、複数の導電体を組み合わせることと、海島構成とすることを本実施の形態では適用している。そのメカニズムの詳細は現時点では不明であるが以下のように推察している。
まず、PTC特性を有する抵抗体組成物とするためには、用いる結晶性樹脂は、その融点が発熱飽和温度以上の近傍にあるものを選択する必要がある。
導電体としては、できるだけ少ない添加量で所定の抵抗値を達成することが求められるが、そうした導電体は一般的には導電性カーボンブラックと呼ばれるもので、1次粒子径が約20nm以下でストラクチャー(葡萄の房のように1次粒子の集合体のことをいう。吸油量で相関付けられている)の発達した構造のものであるが、そうした導電性カーボンブラックでは一方で、PTC特性を発現しにくいという欠点を有していた。
これは、導電性カーボンブラックではストラクチャーが発達して、結晶性樹脂の温度による比容積の変化(これがPTC特性発現の主因と言われている)によってもストラクチャーの導電パスが切断されにくいことによるといわれている。
一方で、1次粒子径の大きいカーボンブラックは優れたPTC特性を有することを発明者らは知見として得ていた。
また、グラファイトのような導電体は、カーボンブラックに比べるとさらに粒子径が大きく、かつ鱗片のような層状構造を有すること、さらに、金属やセラミックなどの導電体は、粒子径が大きく、無定形の優れた導電性(小さい体積固有抵抗(カーボンやグラファイト系の100分の1以下))を有することを発明者らは知見として得ていた。これらの複数の導電体を組み合わせることで、厚みが約100ミクロンメートル以下で、面積抵抗が400Ω/□以下、比抵抗が3Ω・cm以下の抵抗を有するとともに、PTC特性のひとつの指標となる、温度に対する抵抗値変化倍率において、20℃の抵抗値に対する50℃の抵抗値の比が1.5以上、20℃の抵抗値に対する80℃の抵抗値の比が5以上の抵抗体組成物とすることができた。
こうした低抵抗でありながら優れたPTC特性を発揮できたメカニズムの詳細は不明であるが、結晶性樹脂と複数の導電体を組み合わせたことによる新規な導電パスの形成と、難燃剤を液状としたことで、液体の大きな熱膨張係数を利用することができたことによると考えている。
また、モンタン酸部分けん化エステルなどのワックス、さらには他のワックス等の可塑剤や分散剤を必要に応じて用いても良いことは言うまでもない。
また、導電体の形状としてはウィスカ形状のものを用いて実施したが、球状やその他イガ形状のものでも構わない。
さらに、本実施の形態では高分子抵抗体4と電極3,3’が同一平面内では重ねあわない配置で示したが、導電層5,5’を介して接触するような形態であれば積層された配置であっても構わない。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2における高分子発熱体においては、実施の形態1と同様の構造のものを用いた。
例えば、電気絶縁性基材2は、ポリエステル繊維で作製されたファインエンボス加工したもので、難燃剤が含浸処理された不織布を用いることができる。
一対の電極3,3’としては、線径0.08mmの錫めっき銅線を19本撚って得たものであり、不織布上の所定位置に熱融着処理し得た。電極3,3’とは直接接触しないように高分子抵抗体4を同様に熱融着により配置し、その後、電極3,3’及び高分子抵抗体4を接触させるための導電層5,5’を熱融着することにより高分子発熱体1を得た。なお、電極3,3’に給電するためのリード線は省略した。
このとき、高分子抵抗体4は実施の形態1と同様の方法で加工したものを使用した。
導電層5,5’は、樹脂成分として、エチレン酢酸ビニル共重合体(商品名「エバフレックスEV150」、三井・デュポンポリケミカル(株)製)21重量%と、金属親和性を示す官能基を含む樹脂(商品名「タフテックM1943」(水添スチレン系熱可塑性エラストマーの変性タイプ、旭化成(株)製)9重量%を、導電体として、導電性ウィスカ(商品名「FTL−110」、針状酸化チタン、石原産業(株)製)30重量%、カーボンブラック(商品名「ファーネスブラック#10B」、粒子径84nm、三菱化学(株)製)30重量%、難燃剤(商品名「レオフォスRDP」、リン酸エステル系液状難燃剤、味の素(株)製)10重量%により混練物を得、厚み100μmのフィルムを作成して得た。比抵抗は6Ω・cmであった。
本実施の形態において、高分子抵抗体4はPTC特性を有し、温度が上昇すると抵抗値が上昇し、所定の温度になるように自己温度調節機能を有するようになり、温度コントロールが不要で安全性の高い面状発熱体としての機能を有するようになる。
また、自動車用座席装置に組み込まれる面状発熱体のカーシートヒーターとしては着座感や難燃性を満足することができる。
着座感は、紙のような音鳴り感がなく、座席表皮材と同等の伸び特性、すなわち、5%の伸びに対して7kgf以下の荷重であることで満足できる。
また、PTC特性を有する面状発熱体として速熱性と省エネ性を、従来のチュービングヒータを発熱体とするものに比べて発揮することができる。
チュービングヒータを発熱体とするものは、温度制御器を必要として、ON−OFF制御で通電を制御して発熱温度を制御している。
ON時のヒータ線温度は約80℃まで上昇するため、座席表皮材とはある程度の距離をおいて配置する必要があるのに対して、本実施の形態の高分子発熱体では、発熱温度が40℃〜50℃の範囲に自己制御されるので、座席表皮材近傍に近接して配置することができる。発熱温度が低く、座席近傍であることより、速熱性と外部への放熱ロスを低減できることによる省エネ性を実現できる。
また、電気絶縁性基材2に難燃性不織布を用いて、また、高分子抵抗体4、導電層5,5’に難燃剤を配合することで難燃性を実現できる。
難燃性は、高分子発熱体単品での自動車用内装材難燃規格FMVSS302規格(水平着火で不燃性はもとより自己消火するものや、標線間の燃焼速度が80mm/min以下であれば適合する)を満足する必要があり、少なくとも難燃剤の充填量が10重量%以上あれば適合できることを確認した。
本実施の形態で得た高分子発熱体を、80℃炉中放置試験、150℃炉中放置試験、−20℃と50℃のヒートサイクル試験を実施した。
その結果、それぞれ、500時間、200時間、200回後も抵抗値変化率はいずれも初期の30%以内であった。
この要因としては、反応性樹脂による架橋反応により結晶性樹脂そのもの、および結晶性樹脂と導電体との結合を図ったことに起因していると考えられた。
また本実施の形態では高分子抵抗体4と電極3,3’が同一平面内では重ねあわない配置で示したが、導電層5,5’を介して接触するような形態であれば積層された配置であっても構わない。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3における高分子発熱体においては、実施の形態1と同様の構造のものを用いた。
例えば、電気絶縁性基材2は、ポリエステル繊維で作製されたファインエンボス加工したもので、難燃剤が含浸処理された不織布を用いることができる。
一対の電極3,3’としては、線径0.06mmの3%銀を含む銀銅合金線を19本平行配置して得たものであり、不織布上の所定位置に熱融着処理し得た。電極3,3’とは直接接触しないように高分子抵抗体4を同様に熱融着により配置し、その後、電極3,3’及び高分子抵抗体4を接触させるための導電層5,5’を熱融着することにより高分子発熱体1を得た。なお電極3,3’に給電するためのリード線は省略した。
このとき、高分子抵抗体4は実施の形態1と同様の方法で加工したものを使用した。
導電層5,5’は、実施の形態1と同様のものを用いた。
本実施の形態において、高分子抵抗体4はPTC特性を有し、温度が上昇すると抵抗値が上昇し、所定の温度になるように自己温度調節機能を有するようになり、温度コントロールが不要で安全性の高い面状発熱体としての機能を有するようになる。
また、自動車用座席装置に組み込まれる面状発熱体のカーシートヒーターとしては着座感や難燃性を満足することができる。
着座感は、紙のような音鳴り感がなく、座席表皮材と同等の伸び特性、すなわち、5%の伸びに対して7kgf以下の荷重であることで満足できる。
また、PTC特性を有する面状発熱体として速熱性と省エネ性を、従来のチュービングヒータを発熱体とするものに比べて発揮することができる。
チュービングヒータを発熱体とするものは、温度制御器を必要として、ON−OFF制御で通電を制御して発熱温度を制御している。
ON時のヒータ線温度は約80℃まで上昇するため、座席表皮材とはある程度の距離をおいて配置する必要があるのに対して、本実施の形態の高分子発熱体では、発熱温度が40℃〜50℃の範囲に自己制御されるので、座席表皮材近傍に近接して配置することができる。発熱温度が低く、座席近傍であることより、速熱性と外部への放熱ロスを低減できることによる省エネ性を実現できる。
また、電気絶縁性基材2に難燃性不織布を用いて、また、高分子抵抗体4、導電層5,5’に難燃剤を配合することで難燃性を実現できる。
難燃性は、高分子発熱体単品での自動車用内装材難燃規格FMVSS302規格(水平着火で不燃性はもとより自己消火するものや、標線間の燃焼速度が80mm/min以下であれば適合する)を満足する必要があり、少なくとも難燃剤の充填量が10重量%以上あれば適合できることを確認した。
本実施の形態で得た高分子発熱体を、80℃炉中放置試験、150℃炉中放置試験、−20℃と50℃のヒートサイクル試験を実施した。
その結果、それぞれ、500時間、200時間、200回後も抵抗値変化率はいずれも初期の30%以内であった。
この要因としては、反応性樹脂による架橋反応により結晶性樹脂そのもの、および結晶性樹脂と導電体との結合を図ったことに起因していると考えられた。
また本実施の形態では高分子抵抗体4と電極3,3’が同一平面内では重ねあわない配置で示したが、導電層5,5’を介して接触するような形態であれば積層された配置であっても構わない。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4における高分子発熱体においては、図1,2に示した実施の形態1と同様の構造のものを用いた。
高分子抵抗体4は下記の材料、手順により混練物を作成後、カレンダー加工によりフィルム状に加工したものを使用した。
すなわち、高分子抵抗体4は、結晶性樹脂として、エチレン・メタアクリル酸メチル共重合体(商品名「アクリフトCM5021」、融点67℃、住友化学株式会社製)30部と、エチレン・メタアクリル酸共重合体(商品名「ニュクレルN1560」、融点90℃、三井・デュポンポリケミカル株式会社製)30部と、エチレン・メタアクリル酸共重合体金属配位物(商品名「ハイミラン1702」、融点90℃、三井・デュポンポリケミカ株式会社製)40部とで構成した。
この結晶性樹脂35重量%と、反応性樹脂(商品名「ボンドファースト7B」、住友化学株式会社製)2重量%と、2種類の導電体として、カーボンブラック(商品名「プリンテックスL」、1次粒子径21nm、デグサ株式会社製)25重量%と、グラファイト(商品名「GR15」、鱗状黒鉛、日本黒鉛株式会社製)18重量%と、難燃剤(商品名「レオフォスRDP」、リン酸エステル系液状難燃剤、味の素株式会社製)20重量%により混練物Aを作製した。
次に、エラストマーとして、スチレン系熱可塑性エラストマー(商品名「タフテックM1943」)、旭化成エンジニアリング株式会社製)40重量%と、カーボンブラック(商品名「#10B」、1次粒子径75nm、三菱化学株式会社製)45重量%と、炭化タングステン(井澤金属(株)製)13重量%と、溶融張力向上剤として、メタアクリル酸アルキル・アクリル酸アルキル共重合物と4フッ化エチレン共重合物との混合物(商品名「メタブレンA3000」、三菱レイヨン株式会社製)2重量%から混練物Bを作製した。
そして、混練物Aと混練物Bとを等量と、離型剤として変性シリコーンオイル2重量%と流動性付与剤として、メタアクリル酸アルキル・アクリル酸アルキル共重合物2重量%とを混練して高分子抵抗体4を作製した。
導電層5,5’は、樹脂成分として、エチレン酢酸ビニル共重合体(商品名「エバフレックスEV150」、三井・デュポンポリケミカル株式会社製)21重量%と、金属親和性を示す官能基として無水マレイン酸を含む樹脂(商品名「ボンダインLX4110」、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合樹脂、住友化学株式会社製)10重量%を、導電体として、導電性ウィスカ(商品名「FTL−110」、針状酸化チタン、石原産業株式会社製)40重量%、カーボンブラック(商品名「プリンテックスL」、1次粒子径21nm、デグサ株式会社製)15重量%、難燃剤(商品名「レオフォスRDP」、リン酸エステル系液状難燃剤、味の素株式会社製)10重量%、反応性添加剤(商品名「パーヘキサ25B−40」、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、日本油脂株式会社製)4重量%により混練物を得、厚み100μmのフィルムを作成して得た。比抵抗は5Ω・cmであった。
この面状発熱体を構成する高分子発熱体1は、図3,4に示したように、暖房用熱源として自動車の座席装置6の座部7及び背もたれ8に基材2側を上部として取り付けて使用されるものである。
座部7及び背もたれ8の吊り込み部(図示せず)に対応するために中央部や周縁部に吊り込むための耳部(基材2の延長部)が設けられるが、ここでは省略している。
また、このような高分子発熱体1を装着した座部7及び背もたれ8は、一般的に座席に腰掛けた人体による荷重がかかった時に変形し、荷重がかからなくなると復元するウレタンパット等の座席基材9と座席表皮10とを備えている。従って、座部7及び背もたれ8の座席基材9上に高分子抵抗体4側を、座席表皮10に基材2側を配置して取り付けられる薄い面状発熱体である高分子発熱体1も、それらの変形に対応して相似の変形をしなければならない。
そのために、種々の発熱パターンの設計、そのための電極3,3’並びに導電層5,5’の配置形状を変更する必要があることは言うまでもないが、ここでは省略している。
電極3,3’は、相対向するように幅の広い一対(電気的に正側と負側)を高分子発熱体1の長手方向の外側部に沿って配置し、これに接触するように配設した導電層5,5’を介し、高分子抵抗体4に電流が流れ、発熱する。
本実施の形態において、高分子抵抗体4はPTC特性を有し、温度が上昇すると抵抗値が上昇し、所定の温度になるように自己温度調節機能を有するようになり、温度コントロールが不要で安全性の高い面状発熱体としての機能を有するようになる。
また、自動車の座席装置6に組み込まれる面状発熱体のカーシートヒーターとしては着座感や難燃性を満足することができる。
着座感は、紙のような音鳴り感がなく、座席表皮材と同等の伸び特性、すなわち、5%の伸びに対して7kgf以下の荷重であることで満足できる。
また、PTC特性を有する面状発熱体として速熱性と省エネ性を、従来のチュービングヒータを発熱体とするものに比べて発揮することができる。
チュービングヒータを発熱体とするものは、温度制御器を必要として、ON−OFF制御で通電を制御して発熱温度を制御している。
ON時のヒータ線温度は約80℃まで上昇するため、座席表皮10とはある程度の距離をおいて配置する必要があるのに対して、本実施の形態の高分子発熱体1では、発熱温度が40℃〜50℃の範囲に自己制御されるので、座席表皮10近傍に近接して配置することができる。発熱温度が低く、座席近傍であることより、速熱性と外部への放熱ロスを低減できることによる省エネ性を実現できる。
また、電気絶縁性基材2に難燃性不織布を用いて、また、高分子抵抗体4、導電層5,5’に難燃剤を配合することで難燃性を実現できる。
難燃性は、高分子発熱体1単品での自動車用内装材難燃規格FMVSS302規格(水平着火で不燃性はもとより自己消火するものや、標線間の燃焼速度が80mm/min以下であれば適合する)を満足する必要があり、少なくとも難燃剤の充填量が10重量%以上あれば適合できることを確認した。
本実施の形態で得た高分子発熱体1を、80℃炉中放置試験、150℃炉中放置試験、−20℃と50℃のヒートサイクル試験を実施した。
その結果、それぞれ、500時間、200時間、200回後も抵抗値変化率はいずれも初期の30%以内であった。
この要因としては、反応性樹脂による架橋反応により結晶性樹脂そのもの、および結晶性樹脂と導電体との結合を図ったことに起因していると考えられた。
優れたPTC特性を発揮するために、複数の導電体を組み合わせることと、海島構成とすることを本実施の形態では適用している。
そのメカニズムの詳細は現時点では不明であるが以下のように推察している。
まず、PTC特性を有する抵抗体組成物とするためには、用いる結晶性樹脂は、その融点が発熱飽和温度以上の近傍にあるものを選択する必要がある。
導電体としては、できるだけ少ない添加量で所定の抵抗値を達成することが求められるが、そうした導電体は一般的には導電性カーボンブラックと呼ばれるもので、1次粒子径が約20nm以下でストラクチャー(葡萄の房のように1次粒子の集合体のことをいう。吸油量で相関付けられている)の発達した構造のものであるが、そうした導電性カーボンブラックでは一方で、PTC特性を発現しにくいという欠点を有していた。
これは、導電性カーボンブラックではストラクチャーが発達して、結晶性樹脂の温度による比容積の変化(これがPTC特性発現の主因と言われている)によってもストラクチャーの導電パスが切断されにくいことによるといわれている。
一方で、1次粒子径の大きいカーボンブラックは優れたPTC特性を有することを発明者らは知見として得ていた。
また、グラファイトのような導電体は、カーボンブラックに比べるとさらに粒子径が大きく、かつ鱗片のような層状構造を有すること、さらに、金属やセラミックなどの導電体は、粒子径が大きく、無定形の優れた導電性(小さい体積固有抵抗(カーボンやグラファイト系の100分の1以下))を有することを発明者らは知見として得ていた。これらの複数の導電体を組み合わせることで、厚みが約100ミクロンメートル以下で、面積抵抗が400Ω/□以下、比抵抗が3Ω・cm以下の抵抗を有するとともに、PTC特性のひとつの指標となる、温度に対する抵抗値変化倍率において、20℃の抵抗値に対する50℃の抵抗値の比が1.5以上、20℃の抵抗値に対する80℃の抵抗値の比が5以上の抵抗体組成物とすることができた。
こうした低抵抗でありながら優れたPTC特性を発揮できたメカニズムの詳細は不明であるが、結晶性樹脂と複数の導電体を組み合わせたことによる新規な導電パスの形成と、難燃剤を液状としたことで、液体の大きな熱膨張係数を利用することができたことによると考えている。
また、導電体の形状としてはウィスカ形状のものを用いて実施したが、球状やその他イガ形状のものでも構わない。
さらに本実施の形態では高分子抵抗体4と電極3,3’が同一平面内では重ねあわない配置で示したが、導電層5,5’を介して接触するような形態であれば積層された配置であっても構わない。
(実施の形態5)
実施の形態5における高分子発熱体においては、実施の形態4と同様の構造のものを用いた。
例えば、電気絶縁性基材2は、ポリエステル繊維で作製されたファインエンボス加工したもので、難燃剤が含浸処理された不織布を用いることができる。
一対の電極3,3’としては、線径0.08mmの錫めっき銅線を19本撚って得たものであり、不織布上の所定位置に熱融着処理し得た。
電極3,3’とは直接接触しないように高分子抵抗体4を同様に熱融着により配置し、その後、電極3,3’及び高分子抵抗体4を接触させるための導電層5,5’を熱融着することにより高分子発熱体1を得た。なお、電極3,3’に給電するためのリード線は省略した。
このとき、高分子抵抗体4は実施の形態4と同様の方法で加工したものを使用した。
導電層5,5’は、樹脂成分として、エチレン酢酸ビニル共重合体(商品名「エバフレックスEV150」、三井・デュポンポリケミカル株式会社製)21重量%と、金属親和性を示す官能基を含む樹脂(商品名「タフテックM1943」(水添スチレン系熱可塑性エラストマーの変性タイプ、旭化成株式会社製)9重量%を、導電体として、導電性ウィスカ(商品名「FTL−110」、針状酸化チタン、石原産業株式会社製)30重量%、カーボンブラック(商品名「ファーネスブラック#10B」、粒子径84nm、三菱化学株式会社製)25重量%、難燃剤(商品名「レオフォスRDP」、リン酸エステル系液状難燃剤、味の素株式会社製)10重量%、反応性添加剤(商品名「プレンアクトKR44」、チタネート系カップリング剤、味の素ファインテクノ株式会社製)5重量%により混練物を得、厚み100μmのフィルムを作成して得た。比抵抗は6Ω・cmであった。
本実施の形態において、高分子抵抗体4はPTC特性を有し、温度が上昇すると抵抗値が上昇し、所定の温度になるように自己温度調節機能を有するようになり、温度コントロールが不要で安全性の高い面状発熱体としての機能を有するようになる。
また、自動車用座席装置に組み込まれる面状発熱体のカーシートヒーターとしては着座感や難燃性を満足することができる。
着座感は紙のような音鳴り感がなく、座席表皮材と同等の伸び特性、すなわち、5%の伸びに対して7kgf以下の荷重であることで満足できる。
また、PTC特性を有する面状発熱体として速熱性と省エネ性を、従来のチュービングヒータを発熱体とするものに比べて発揮することができる。
チュービングヒータを発熱体とするものは、温度制御器を必要として、ON−OFF制御で通電を制御して発熱温度を制御している。
ON時のヒータ線温度は約80℃まで上昇するため、座席表皮材とはある程度の距離をおいて配置する必要があるのに対して、本実施の形態の高分子発熱体1では、発熱温度が40℃〜50℃の範囲に自己制御されるので、座席表皮材近傍に近接して配置することができる。発熱温度が低く、座席近傍であることより、速熱性と外部への放熱ロスを低減できることによる省エネ性を実現できる。
また、電気絶縁性基材2に難燃性不織布を用いて、また、高分子抵抗体4、導電層5,5’に難燃剤を配合することで難燃性を実現できる。
難燃性は、高分子発熱体1単品での自動車用内装材難燃規格FMVSS302規格(水平着火で不燃性はもとより自己消火するものや、標線間の燃焼速度が80mm/min以下であれば適合する)を満足する必要があり、少なくとも難燃剤の充填量が10重量%以上あれば適合できることを確認した。
本実施の形態で得た高分子発熱体1を、80℃炉中放置試験、150℃炉中放置試験、−20℃と50℃のヒートサイクル試験を実施した。
その結果、それぞれ、500時間、200時間、200回後も抵抗値変化率はいずれも初期の30%以内であった。
この要因としては、反応性樹脂による架橋反応により結晶性樹脂そのもの、および結晶性樹脂と導電体との結合を図ったことに起因していると考えられた。
また、本実施の形態では高分子抵抗体4と電極3,3’が同一平面内では重ねあわない配置で示したが、導電層5,5’を介して接触するような形態であれば積層された配置であっても構わない。
(実施の形態6)
実施の形態6における高分子発熱体においては、実施の形態4と同様の構造のものを用いた。
例えば、電気絶縁性基材2は、ポリエステル繊維で作製されたファインエンボス加工したもので、難燃剤が含浸処理された不織布を用いることができる。
一対の電極3,3’としては、線径0.06mmの3%銀を含む銀銅合金線を19本平行配置して得たものであり、不織布上の所定位置に熱融着処理し得た。
電極3,3’とは直接接触しないように高分子抵抗体4を同様に熱融着により配置し、その後、電極3,3’及び高分子抵抗体4を接触させるための導電層5,5’を熱融着することにより高分子発熱体1を得た。なお、電極3,3’に給電するためのリード線は省略した。
このとき、高分子抵抗体4は実施の形態4と同様の方法で加工したものを使用した。
導電層5,5’は、樹脂成分として、エチレン−メタクリレート共重合体(商品名「CG4002」、住友化学株式会社製)17重量%と、エチレン系コポリマー(商品名「アクリフトWH206」(エチレン−メチルメタクリレート共重合体、三井住友化学株式会社製)7重両%を、導電体として、導電性ウィスカ(商品名「FTL−110」、針状酸化チタン、石原産業株式会社製)40重量%、カーボンブラック(商品名「ファーネスブラック#10B」、粒子径84nm、三菱化学株式会社製)12重量%、カーボンブラック(商品名「プリンテックスL」、1次粒子径21nm、デグサ株式会社製)12重量%、難燃剤(商品名「レオフォスRDP」、リン酸エステル系液状難燃剤、味の素株式会社製)10重量%、反応性添加剤(商品名「プレンアクトKR44」、チタネート系カップリング剤、味の素ファインテクノ株式会社製)2重量%、溶融張力向上剤(商品名「メタブレンA−3000」、三菱レイヨン株式会社製)により混練物を得、厚み100μmのフィルムを作成して得た。比抵抗は6Ω・cmであった。
本実施の形態において、高分子抵抗体4はPTC特性を有し、温度が上昇すると抵抗値が上昇し、所定の温度になるように自己温度調節機能を有するようになり、温度コントロールが不要で安全性の高い面状発熱体としての機能を有するようになる。
また、自動車用座席装置に組み込まれる面状発熱体のカーシートヒーターとしては着座感や難燃性を満足することができる。
着座感は紙のような音鳴り感がなく、座席表皮材と同等の伸び特性、すなわち、5%の伸びに対して7kgf以下の荷重であることで満足できる。
また、PTC特性を有する面状発熱体として速熱性と省エネ性を、従来のチュービングヒータを発熱体とするものに比べて発揮することができる。
チュービングヒータを発熱体とするものは、温度制御器を必要として、ON−OFF制御で通電を制御して発熱温度を制御している。
ON時のヒータ線温度は約80℃まで上昇するため、座席表皮材とはある程度の距離をおいて配置する必要があるのに対して、本実施の形態の高分子発熱体1では、発熱温度が40℃〜50℃の範囲に自己制御されるので、座席表皮材近傍に近接して配置することができる。発熱温度が低く、座席近傍であることより、速熱性と外部への放熱ロスを低減できることによる省エネ性を実現できる。
また、電気絶縁性基材2に難燃性不織布を用いて、また、高分子抵抗体4、導電層5,5’に難燃剤を配合することで難燃性を実現できる。
難燃性は、高分子発熱体1単品での自動車用内装材難燃規格FMVSS302規格(水平着火で不性はもとより自己消火するものや、標線間の燃焼速度が80mm/min以下であれば適合する)を満足する必要があり、少なくとも難燃剤の充填量が10重量%以上あれば適合できることを確認した。
本実施の形態で得た高分子発熱体1を、80℃炉中放置試験、150℃炉中放置試験、−20℃と50℃のヒートサイクル試験を実施した。その結果、それぞれ、500時間、200時間、200回後も抵抗値変化率はいずれも初期の30%以内であった。
この要因としては、反応性樹脂による架橋反応により結晶性樹脂そのもの、および結晶性樹脂と導電体との結合を図ったことに起因していると考えられた。
また、本実施の形態では高分子抵抗体4と電極3,3’が同一平面内では重ねあわない配置で示したが、導電層5,5’を介して接触するような形態であれば積層された配置であっても構わない。
(実施の形態7)
図5は、本発明の実施の形態7における高分子発熱体の概略構成図を示すものであり、図5(a)は平面図、図5(b)は図5(a)におけるX−Y断面図、図5(c)は図5(b)における破線部で囲んだ電極および導電部の拡大図である。図5において、発熱体51の構成は以下の通りである。高分子発熱体51は、電気絶縁性基材52上に、一対の電極53、53’及び、高分子抵抗体54、及び導電層55、55’を含む。
例えば、電気絶縁性基材52は、ポリエステル繊維で作製されたニードルパンチタイプのもので、難燃剤が含浸処理された不織布を用いることができる。高分子抵抗体54を熱融着により配置し、その後、導電層55、55’で予め被覆処理した電極53、53’を、電極53、53’と高分子抵抗体54が直接接触することがないように導電層55、55’を熱融着させ高分子発熱体51を得た。このとき電極53、53’としては、直径0.06mmの錫メッキ銅線を19本撚って得たものである。なお電極53、53’に給電するためのリード線は省略した。
このとき、高分子抵抗体54は下記の材料、手順により混練物を作成後、カレンダー加工によりフィルム状に加工したものを使用した。
高分子抵抗体54は、結晶性樹脂として、エチレン・メタアクリル酸メチル共重合体(商品名「アクリフトCM5021」、融点67℃、住友化学(株)製)30部と、エチレン・メタアクリル酸共重合体(商品名「ニュクレルN1560」、融点90℃、三井・デュポンポリケミカル(株)製)30部と、エチレン・メタアクリル酸共重合体金属配位物(商品名「ハイミラン1702」、融点90℃、三井・デュポンポリケミカ(株)製)40部とで構成した。
この結晶性樹脂35重量%と、反応性樹脂(商品名「ボンドファースト7B」、住友化学(株)製)2重量%と、2種類の導電体として、カーボンブラック(商品名「プリンテックスL」、1次粒子径21nm、デグサ社製)25重量%と、グラファイト(商品名「GR15」、鱗状黒鉛、日本黒鉛(株)製)18重量%と、難燃剤(商品名「レオフォスRDP」、リン酸エステル系液状難燃剤、味の素(株)製)20重量%により混練物Aを作製した。
次に、エラストマーとして、スチレン系熱可塑性エラストマー(商品名「タフテックM1943」)、旭化成エンジニアリング(株)製)40重量%と、カーボンブラック(商品名「#10B」、1次粒子径75nm、三菱化学株製)45重量%と炭化タングステン(井澤金属(株)製)13重量%と、溶融張力向上剤として、メタアクリル酸アルキル・アクリル酸アルキル共重合物と4フッ化エチレン共重合物との混合物(商品名「メタブレンA3000」、三菱レイヨン(株)製)2重量%から混練物Bを作製した。
そして、混練物Aと混練物Bとを等量と、離型剤として変性シリコーンオイル2重量%と流動性付与剤として、メタアクリル酸アルキル・アクリル酸アルキル共重合物2重量%とを混練して高分子抵抗体54を作製した。
導電層55、55’は、樹脂成分として、エチレン−メタクリレート共重合体(商品名「CG4002」、住友化学(株)製)17重量%と、エチレン系コポリマー(商品名「アクリフトWH206」(エチレン−メチルメタクリレート共重合体、三井住友化学(株)性)7重両%を、導電体として、導電性ウィスカ(商品名「FTL−110」、針状酸化チタン、石原産業(株)製)38重量%、カーボンブラック(商品名「ファーネスブラック#10B」、粒子径84nm、三菱化学(株)製)12重量%、カーボンブラック(商品名「プリンテックスL」、1次粒子径21nm、デグサ社製)12重量%、難燃剤として(商品名「レオフォスRDP」、リン酸エステル系液状難燃剤、味の素(株)製)10重量%、反応性添加剤として(商品名「プレンアクトKR44」、チタネート系カップリング剤、味の素ファインテクノ(株)性)2重量%、溶融張力向上剤として(商品名「メタブレンA−3000」、三菱レイヨン(株))2重量%により混練物を得た。これを錫メッキ銅からなる金属細線(直径0.05mm)を19本撚って得たものを電極53、53’としたものと共押出成形し、電極部と導電層部が一体となった導電性被覆電極を得た。
このとき導電層の比抵抗は1Ω・cm、PTC特性としては20℃の抵抗値に対する80℃の抵抗値比率は、1.8、80℃における導電層抵抗値に対する高分子抵抗体の抵抗値比率は2.0であった。
この面状発熱体を構成する高分子発熱体51は、図3および図4に示したように、座席暖房用ヒータとして自動車の座席装置6である座部7及び背もたれ8に基材52側を上部として取り付けて使用されるものである。
座部7及び背もたれ8の吊り込み部(図示せず)に対応するために中央部や周縁部に吊り込むための耳部(基材52の延長部)が設けられるが、ここでは省略している。
また、このような高分子発熱体51を装着した座部7及び背もたれ8は、一般的に座席に腰掛けた人体による荷重がかかった時に変形し、荷重がかからなくなると復元するウレタンパット等の座席基材9と座席表皮10を備えている。従って、座部7及び背もたれ8の座席基材9上に高分子抵抗体54側を、座席表皮10に基材52側を配置して取り付けられる薄い面状発熱体である高分子発熱体51も、前記した座部7及び背もたれ8の変形に対応して相似の変形をしなければならない。
そのために、種々の発熱パターンの設計、そのための電極53、53’並びに導電層55、55’の配置形状を変更する必要があることは言うまでもないが、ここでは省略している。
電極53、53’は、相対向するように幅の広い一対(電気的に正側と負側)を高分子発熱体51の長手方向の外側部に沿って配置し、これに接触するように配設した導電層55、55’を介し、高分子抵抗体54に電流が流れ、発熱する。
本実施の形態において、高分子抵抗体54はPTC特性を有し、温度が上昇すると抵抗値が上昇し、所定の温度になるように自己温度調節機能を有するようになり、温度コントロールが不要で安全性の高い面状発熱体としての機能を有するようになる。
また、自動車の座席装置6に組み込まれる面状発熱体のカーシートヒーターとしては着座感や難燃性を満足することができる。
着座感は、紙のような音鳴り感がなく、座席表皮材と同等の伸び特性、すなわち、5%の伸びに対して7kgf以下の荷重であることで満足できる。
また、PTC特性を有する面状発熱体として速熱性と省エネ性を、従来のチュービングヒータを発熱体とするものに比べて発揮することができる。チュービングヒータを発熱体とするものは、温度制御器を必要として、ON−OFF制御で通電を制御して発熱温度を制御している。
ON時のヒータ線温度は約80℃まで上昇するため、座席表皮材とはある程度の距離をおいて配置する必要があるのに対して、本実施の形態の高分子発熱体では、発熱温度が40℃〜50℃の範囲に自己制御されるので、座席表皮材近傍に近接して配置することができる。発熱温度が低く、座席近傍であることより、速熱性と外部への放熱ロスを低減できることによる省エネ性を実現できる。
また、電気絶縁性基材52に難燃性不織布を用いて、また、高分子抵抗体54、導電層55、55’に難燃剤を配合することで難燃性を実現できる。
難燃性は、高分子発熱体単品での自動車用内装材難燃規格FMVSS302規格(水平着火で不燃性はもとより自己消火するものや、標線間の燃焼速度が80mm/min以下であれば適合する)を満足する必要があり、少なくとも難燃剤の充填量が10重量%以上あれば適合できることを確認した。
本実施の形態で得た高分子発熱体を、80℃炉中放置試験、150℃炉中放置試験、−20℃と50℃のヒートサイクル試験を実施した。その結果、それぞれ、500時間、200時間、200回後も抵抗値変化率はいずれも初期の30%以内であった。この要因としては、反応性樹脂による架橋反応により結晶性樹脂そのもの、および結晶性樹脂と導電体との結合を図ったことに起因していると考えられた。そのメカニズムの詳細は現時点では不明であるが以下のように推察している。
まず、PTC特性を有する抵抗体組成物とするためには、用いる結晶性樹脂は、その融点が発熱飽和温度以上の近傍にあるものを選択する必要がある。
導電体としては、できるだけ少ない添加量で所定の抵抗値を達成することが求められるが、そうした導電体は一般的には導電性カーボンブラックと呼ばれるもので、1次粒子径が約20nm以下でストラクチャー(葡萄の房のように1次粒子の集合体のことをいう。吸油量で相関付けられている)の発達した構造のものであるが、そうした導電性カーボンブラックでは一方で、PTC特性を発現しにくいという欠点を有していた。
これは、導電性カーボンブラックではストラクチャーが発達して、結晶性樹脂の温度による比容積の変化(これがPTC特性発現の主因と言われている)によってもストラクチャーの導電パスが切断されにくいことによるといわれている。
一方で、1次粒子径の大きいカーボンブラックは優れたPTC特性を有することを発明者らは知見として得ていた。
また、グラファイトのような導電体は、カーボンブラックに比べるとさらに粒子径が大きく、かつ鱗片のような層状構造を有すること、さらに、金属やセラミックなどの導電体は、粒子径が大きく、無定形の優れた導電性(小さい体積固有抵抗(カーボンやグラファイト系の100分の1以下))を有することを発明者らは知見として得ていた。これらの複数の導電体を組み合わせることで、厚みが約100ミクロンメートル以下で、面積抵抗が400Ω/□以下、比抵抗が3Ω・cm以下の抵抗を有するとともに、PTC特性のひとつの指標となる、温度に対する抵抗値変化倍率において、20℃の抵抗値に対する50℃の抵抗値の比が1.5以上、20℃の抵抗値に対する80℃の抵抗値の比が5以上の抵抗体組成物とすることができた。
こうした低抵抗でありながら優れたPTC特性を発揮できたメカニズムの詳細は不明であるが、結晶性樹脂と複数の導電体を組み合わせたことによる新規な導電パスの形成と、難燃剤を液状としたことで、液体の大きな熱膨張係数を利用することができたことによると考えている。
また、導電体の形状としてはウィスカ形状のものを用いて実施したが、球状やその他イガ形状のものでも構わない。
さらに本実施の形態では高分子抵抗体54上に導電層55、55’を介して電極53、53’を配置したが、導電層を介して接触するような形態であればどのような配置であっても構わない。
(実施の形態8)
図6は、本発明の実施の形態8における高分子発熱体の概略構成図を示すものであり、図6(a)は平面図、図6(b)は図6(a)におけるX−Y断面図、図6(c)は図6(b)における破線部で囲んだ電極および導電部の拡大図である。図6において、発熱体61の構成は以下の通りである。高分子発熱体61は、電気絶縁性基材62上に、一対の電極63、63’及び、高分子抵抗体64、及び導電層65、65’を含む。
例えば、電気絶縁性基材62は、ポリエステル繊維で作製されたニードルパンチタイプのもので、難燃剤が含浸処理された不織布を用いることができる。導電層65、65’で予め被覆処理した電極63、63’を、電極63、63’と高分子抵抗体64が直接接触することがないように導電層65、65’を電気絶縁性基材62に所定の間隔を保持しながら熱融着させ、その上に高分子抵抗体64を熱融着により配置し、高分子発熱体61を得た。このとき電極63、63’としては、直径0.06mmの銀銅合金線を19本撚って得たものである。なお電極63、63’に給電するためのリード線は省略した。また図6では、高分子抵抗体64は、電気絶縁性基材62と離れたように図示されているが、実際は電極63、63’同士の間隔が充分に広いこと(少なくとも50mm以上、好ましくは100mm〜200mm程度)と、導電層65、65’の厚みが薄いため(少なくとも0.01mm以上、好ましくは0.1〜0.5mm程度)、充分電気絶縁性基材上に熱融着されることとなる。
このとき、高分子抵抗体64は実施の形態7と同様の方法で加工したものを使用した。
導電層65、65’は、樹脂成分として、エチレン酢酸ビニル共重合体(商品名「エバフレックスEV150」、三井・デュポンポリケミカル(株)製)21重量%と、金属親和性を示す官能基を含む樹脂(商品名「タフテックM1943」(水添スチレン系熱可塑性エラストマーの変性タイプ、旭化成(株)製)9重量%を、導電体として、導電性ウィスカ(商品名「FTL−110」、針状酸化チタン、石原産業(株)製)40重量%、カーボンブラック(商品名「ファーネスブラック#10B」、粒子径84nm、三菱化学(株)製)15重量%、難燃剤として(商品名「レオフォスRDP」、リン酸エステル系液状難燃剤、味の素(株)製)10重量%、反応性添加剤として(商品名「プレンアクトKR44」、チタネート系カップリング剤、味の素ファインテクノ(株)性)5重量%により混練物を得た。これを銀銅合金からなる金属細線(直径0.06mm)を19本撚って得たものを電極63、63’としたものと共押出成形し、電極部と導電層部が一体となった導電性被覆電極を得た。
このとき導電層の比抵抗は2Ω・cm、PTC特性としては20℃の抵抗値に対する80℃の抵抗値比率は、2.5、80℃における導電層抵抗値に対する高分子抵抗体の抵抗値比率は1.5であった。
本実施の形態において、高分子抵抗体64はPTC特性を有し、温度が上昇すると抵抗値が上昇し、所定の温度になるように自己温度調節機能を有するようになり、温度コントロールが不要で安全性の高い面状発熱体としての機能を有するようになる。
また、自動車用座席装置に組み込まれる面状発熱体のカーシートヒーターとしては着座感や難燃性を満足することができる。
着座感は、紙のような音鳴り感がなく、座席表皮材と同等の伸び特性、すなわち5%の伸びに対して7kgf以下の荷重であることで満足できる。
また、PTC特性を有する面状発熱体として速熱性と省エネ性を、従来のチュービングヒータを発熱体とするものに比べて発揮することができる。チュービングヒータを発熱体とするものは、温度制御器を必要として、ON−OFF制御で通電を制御して発熱温度を制御している。
ON時のヒータ線温度は約80℃まで上昇するため、座席表皮材とはある程度の距離をおいて配置する必要があるのに対して、本実施の形態の高分子発熱体では、発熱温度が40℃〜50℃の範囲に自己制御されるので、座席表皮材近傍に近接して配置することができる。発熱温度が低く、座席近傍であることより、速熱性と外部への放熱ロスを低減できることによる省エネ性を実現できる。
また、電気絶縁性基材62に難燃性不織布を用いて、また、高分子抵抗体64、導電層65、65’に難燃剤を配合することで難燃性を実現できる。
難燃性は、高分子発熱体単品での自動車用内装材難燃規格FMVSS302規格(水平着火で不燃性はもとより自己消火するものや、標線間の燃焼速度が80mm/min以下であれば適合する)を満足する必要があり、少なくとも難燃剤の充填量が10重量%以上あれば適合できることを確認した。
本実施の形態で得た高分子発熱体を、80℃炉中放置試験、150℃炉中放置試験、−20℃と50℃のヒートサイクル試験を実施した。その結果、それぞれ、500時間、200時間、200回後も抵抗値変化率はいずれも初期の30%以内であった。この要因としては、反応性樹脂による架橋反応により結晶性樹脂そのもの、および結晶性樹脂と導電体との結合を図ったことに起因していると考えられた。
さらに本実施の形態8では高分子抵抗体64の下に導電層65、65’を介して電極63、63’を配置したが、導電層を介して接触するような形態であればどのような配置であっても構わない。
また、本実施の形態7及び8においては、抵抗体の上側の保護層を省略した形で図示したが、耐水性や耐摩耗性を考慮した上でそれら上側の保護層を設けていても構わない。
なお、本発明は、本発明の趣旨ならびに範囲を逸脱することなく、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が様々な変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
本出願は、2008年2月18日出願の日本特許出願(特願2008−035583)、2008年10月16日出願の日本特許出願(特願2008−267014)、2008年12月12日出願の日本特許出願(特願2008−316382)、に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
以上のように、本発明にかかる高分子発熱体は、柔軟性に富み、信頼性が高く、暖房用発熱体として自動車の座席装置、ハンドル装置、その他の部位の暖房に供することができるものである。
本発明は、高分子抵抗体のジュール熱を利用した高分子発熱体に関し、更に詳しくは、長期信頼性を有し、かつ低コストで作成できる高分子発熱体に関するものである。
従来から面状発熱体の発熱部として、カーボンブラックや金属粉末、グラファイトなどの導電性物質を樹脂に分散して得られたものが知られている。
なかでも導電性物質と樹脂との組合せにより、自己温度制御機能を示すPTC発熱体(正の抵抗温度特性を意味する英語Positive Temperature Coefficientの略を意味する)を用いた場合には、温度制御回路が不要となり、部品点数を少なくできるなど、メリットのあるデバイスとして知られている。
これらの構成は、図7,8に示すように、セラミックや絶縁処理された金属板など、筺体構造としての機能を有するベース材101上に、導電性インキ組成物を印刷、あるいは塗布して得られる電極102と、これにより給電される位置に抵抗体インク組成物を印刷、あるいは塗布して得られる抵抗体103とを設け、発熱体104を形成していた。図7は発熱体の平面図、図8は図7のX−Y断面図である。
従来から、印刷により高分子抵抗体を形成してこれを発熱体として用いた例としては、露・霜除去用として自動車のドアミラーや、洗面台のミラー、床暖房器具等がある(例えば特許文献1参照)。
特開2002−371699号公報
前記従来の構成では、用いられる抵抗体組成物の比抵抗は通常1000Ω・cm以上であり、そのため櫛形電極のように非常に近接して給電する構成となっていた。また通常、櫛形電極は銀ペーストを用い、印刷・乾燥により形成されるので、その使用量が多くなるため高価なものとなっていた。
高分子抵抗体をインクとして作製したものは、塗布量調整により数十ミクロンメートル程度の薄膜状に発熱部を形成できるので、高分子発熱体としての柔軟性を発揮することは容易である。しかしながら、インク状の高分子抵抗体を塗布する面としては、平滑で含浸することがなく、かつ腰のあるポリエステルフィルムなどの電気絶縁性基材を用いる必要があり、柔軟性を損ねる結果となっていた。また、高分子発熱体の給電部として、高価な導電性ペーストを櫛型電極として多量に用いる必要があるため、コストが高いという欠点を有していた。
一方、押し出し成型に用いる抵抗体では、インクに供するものに比べてミリメートル単位の厚肉となり、柔軟性に欠けるとともに、電極ケーブル間が近接した構成となり面状発熱体と言えるものでななかった。Tダイ押し出し加工やカレンダー加工などの薄肉成型法もあるが、これらの加工法に適した高分子抵抗体の提案はされていない。
上記従来の技術の問題点に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、薄肉成型可能な低抵抗を示す高分子抵抗体を提供した場合、面状発熱体の使用感と信頼性を向上させるとともに低コスト化を図った高分子発熱体を提供することにある。
前記従来の課題を解決するための本発明の高分子発熱体は、第1の態様として、電気絶縁性基材と、前記電気絶縁性基材上に配置された複数本の金属細線で構成される少なくとも一対の電極と、前記一対の電極とは直接接触しないPTC特性を有する高分子抵抗体と、前記電極と前記高分子抵抗体との双方に接触する導電層とを具備し、前記導電層が少なくとも樹脂成分と導電体成分と添加剤成分とを含むものである。
また、本発明の高分子発熱体は、第2の態様として、電気絶縁性基材と、前記電気絶縁性基材上に配置された複数本の金属細線で構成される少なくとも一対の電極と、前記一対の電極とは直接接触しないPTC特性を有する高分子抵抗体と、前記電極と前記高分子抵抗体との双方に接触する導電層とを具備し、前記導電層が少なくとも架橋性樹脂成分と導電体成分とを含むものである。
また、本発明の高分子発熱体は、第3の態様として、電気絶縁性基材と、前記電気絶縁性基材上に配設されたPTC特性を有する高分子抵抗体と、前記高分子抵抗体とは直接接触しない複数本の金属細線で構成される少なくとも一対の電極と、前記高分子抵抗体と前記電極との双方に接触する導電層から形成されてなる高分子発熱体において、前記導電層がPTC特性を示すものである。
本発明では低抵抗を示す高分子抵抗体を薄膜に形成することを基本とするものである。この構成により、高分子抵抗体に給電する電極間を櫛形構成とする必要性はなくなり、広い間隔で電極を配置することが可能となり、電極の使用量を低減するとともに高分子抵抗体をパターン化する必要がないため低コストの面状発熱体を提供できる。
本発明における導電層の役割としては主に3点ある。
すなわち、その第1点は、電極自身に被覆を設けることによる耐屈曲性の向上である。電極のみを屈曲する場合に比べると被覆している樹脂がバッファー的な効果を示し耐屈曲特性が改善されることを我々は既に突き止めている。
また、第2点は、導電層を介した電極部と高分子抵抗体部との密着性改善である。金属電極を高分子抵抗体に直接熱融着などした場合には、その圧着時の条件にも寄るが、高分子抵抗体にクラックが入る場合がある。しかし、導電層を介した場合には導電層の樹脂成分が存在するために、例えば予め電極を導電層で被覆したものを押出し成形しておき、その被覆つきの導電電極を高分子抵抗体に融着した場合には、クラックなどが入ることなく良好な密着性、接着性が得られることがわかった。
さらに、第3点は、仮に金属線からなる電極部の一部が断線あるいは断線に近い状態になり電流集中が生じたとしても、導電層の導電成分として、高分子抵抗体とは組成の異なる成分、例えば無機系の導電材料や金属系材料などといった燃えにくい材質を用いることにより、発煙発火に至らないバリア効果を示すことが可能である。
本発明においてはこれらの3つの役割に注目し、長期使用時においても、電極部と高分子抵抗体部との間での電流供給を妨げることなく、導電層としての機能を維持し続けることを可能とするものである。
本発明の第2の態様は特に上記2つ目の役割に注目したものである。つまり、導電層が容易に熱変化、構造変化しないことが重要な要件であり、種々の樹脂組成などを考慮した結果、導電層の樹脂成分として架橋性樹脂成分を含む組成が上記条件を満たすことを見出し、本発明に至った。架橋処理した樹脂の場合は架橋処理をしていない樹脂に比べると樹脂の構造安定性、熱安定性に優れ、導電層としての役割のひとつである低抵抗特性を長期にわたり維持することが可能である。
本発明の第3の態様では、導電層の材料組成を高分子抵抗体の材料組成と類似、あるいは比較的似たようなものを選ぶことによって、導電層と高分子抵抗体の熱変化、構造変化が近いものとなり、長期にわたり界面部位において亀裂などの生じない構成とすることができることを見出し、本発明に至った。すなわち導電層の材料組成においても、高分子抵抗体と同様にPTC特性を示す材料組成にすることにより、本発明の目的を達成させることが可能となる。
導電層と同様の機能を果たすものとして、導電性の被覆材があるが、本発明においては、電極と導電層、及び導電層と高分子抵抗体のそれぞれが接着、密着された状態であれば良く、電極自身の被覆の状態は問わない。結果として電極部が導電層により全面が覆われたものであっても良いし、また一部のみが覆われたような状態であっても構わない。
本発明によれば、薄膜かつ低抵抗の面状発熱体を提供できるとともに、使用感と信頼性も高めることができ、しかも低コスト化を促進できるものである。
本発明の実施の形態1〜6における高分子発熱体の構成を示す平面図 図1のX−Y断面図 本発明の実施の形態1〜8における高分子発熱体を取りつけた自動車の座席装置を示す透視側面図 図3に示す座席の透視正面図 (a)本発明の実施の形態7における高分子発熱体の平面図、(b)同高分子発熱体の断面図、(c)同高分子発熱体の拡大図 (a)本発明の実施の形態8における高分子発熱体の平面図、(b)同高分子発熱体の断面図、(c)同高分子発熱体の拡大図 従来の発熱体を示す平面図 図7のX−Y断面図
第1の発明は、電気絶縁性基材と、前記電気絶縁性基材上に配設された複数本の金属細線で構成される少なくとも一対の電極と、前記一対の電極とは直接接触しないPTC特性を有する高分子抵抗体と、前記電極と前記高分子抵抗体との双方に接触する導電層とを具備し、前記導電層が少なくとも樹脂成分と導電体成分と添加剤成分とを含むものであり、抵抗体組成物に給電する電極間を櫛形構成とする必要性はなくなり、広い間隔で電極を配置することが可能となり、電極の使用量を低減するとともに高分子抵抗体をパターン化する必要がないため低コストの面状発熱体を提供できる。
また、複雑な工法を必要とせず、Tダイやカレンダーロール法などによって得た高分子抵抗体や導電層を電極と共に電気絶縁性基材に熱融着などによって貼り合わせることによって容易に作製できる。
さらに複数本の金属細線からなる電極と高分子抵抗体との間に設けた導電層が、電極及び高分子抵抗体との密着性を仲介する役割を果たし、金属細線を直接高分子抵抗体に貼り合せた場合に比較して、屈曲性などの耐久性能を向上させることができる。
第2の発明は、特に第1の発明の高分子発熱体において、導電層の樹脂成分が、金属親和性を示す官能基を有するものであり、導電層と電極となる金属との界面での接触状態を良好に保つことができるため、発熱特性の良好な発熱体を容易に得ることができる。
第3の発明は、電気絶縁性基材と、前記電気絶縁性基材上に配置された複数本の金属細線で構成される少なくとも一対の電極と、前記一対の電極とは直接接触しないPTC特性を有する高分子抵抗体と、前記電極と前記高分子抵抗体との双方に接触する導電層とを具備し、前記導電層が少なくとも架橋性樹脂成分と導電体成分を含むものであり、導電層の樹脂成分が架橋性樹脂成分で構成されるため、熱安定性に優れ、長期的に変化の少ない導電層を得ることができる。また、複数本の金属細線からなる電極と高分子抵抗体との間に設けた導電層が、電極及び高分子抵抗体との密着性を仲介する役割を果たし、金属細線を直接高分子抵抗体に貼り合せた場合に比較して、屈曲性などの耐久性能を向上させることができる。
第4の発明は、特に第3の発明の高分子発熱体において、前記導電層が、架橋性樹脂成分と導電体成分と溶融張力向上剤成分とを含有することによって、樹脂成分と導電体成分の混練分散加工時に導電体成分等の分散性が向上すると共に、溶融樹脂の張力を向上させることができ、反応性架橋剤とのバランスで樹脂の成形性を低下させることなく、所望の成分を有する樹脂組成物を容易に得ることが可能となる。
第5の発明は、特に第3または第4の発明の高分子発熱体において、導電層の架橋性樹脂成分が、反応性添加剤により架橋されてなるものであり、樹脂成分と導電体成分を混練、分散させながら架橋反応を進行させることができるため、工法的にも簡便な手法で導電層組成物を作成できる。
第6の発明は、特に第1または第3の発明の高分子発熱体において、導電層の導電体成分の重量比率が、導電層重量に対して50重量%以上80重量%以下含まれるものである。
導電体をこの重量比率で導電層中に含むため、金属細線からなる電極が断線した際においても、樹脂成分よりも導電体成分が多く存在することにより、断線が生じ電流が集中した場合にも、スパーク発生を抑制できる。また、80重量%以下とすることにより樹脂成分ならびに添加剤成分は、20重量%以上含まれることとなるため、導電層としての屈曲性や、ある程度の柔軟性を保持することができる。
第7の発明は、特に第1、第3、第6のいずれか1つの発明の高分子発熱体において、導電層の導電体成分が、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ、カーボン繊維、導電性セラミック繊維、導電性ウィスカ、金属繊維、導電性無機酸化物、導電性ポリマー繊維の少なくとも一種から選ばれる導電体を含むものであり、導電体の原料が比較的安価にかつ安定して入手できるため、高品質でコストを抑えた高分子発熱体を提供できる。
第8の発明は、特に第1の発明の高分子発熱体において、導電層の添加剤成分が、リン系、窒素系、シリコーン系の少なくとも1種の難燃剤を含有することによって、外部から加熱された場合においてもまた電極線が断線して局部的に温度上昇などが生じても、発煙発火を抑制することができる高分子発熱体を提供することができる。
第9の発明は、特に第1〜第8のいずれか1つの発明の高分子発熱体において、導電層の比抵抗が0.01〜500Ω・cmに設定したもので、導電層での発熱ロスなどが少なく、電気的にも安定した高分子発熱体を作成できる。
0.01Ω・cmよりも小さくするためには導電体の比率を高める必要があるが、その場合バインダとなる樹脂比率が低くなるため金属との密着性が低下してしまう。また、500Ω・cmよりも大きくなると、電圧を印加した際に高分子抵抗体よりも導電層の抵抗値が大きくなり、導電層のみが発熱し、面状発熱体を得ることができない。
第10の発明は、電気絶縁性基材と、前記電気絶縁性基材上に配置されたPTC特性を有する高分子抵抗体と、前記高分子抵抗体とは直接接触しない複数本の金属細線で構成される少なくとも一対の電極と、前記高分子抵抗体と前記電極との双方に接触する導電層から形成されてなる高分子発熱体において、前記導電層がPTC特性を示すものであり、熱安定性に優れ、長期的に変化の少ない導電層を得ることができる。また、複数本の金属細線からなる電極と高分子抵抗体との間に設けた導電層が、電極及び高分子抵抗体との密着性を仲介する役割を果たし、金属細線を直接高分子抵抗体に貼り合せた場合に比較して、屈曲性などの耐久性能を向上させることができる。
第11の発明は、特に第10の発明の高分子発熱体において、高分子抵抗体と電極との間隔が0.01mm〜3mmの範囲であるものであり、その間に存在する導電層が金属電極と高分子抵抗体との緩衝材的な役割を果たすと共に、電圧印加時に大きな抵抗となることなく、スムーズに高分子抵抗体の発熱を実現できる。0.01mmよりも間隔が狭くなると、工法のばらつきにもよるが、電極となる金属と高分子抵抗体が直接接触することになり、上記で説明した3つ目の役割の発煙発火に対するバリア効果を充分に発揮させることが難しい。また3mmよりも大きくなると、導電層の比抵抗にも依存するが導電層での発熱ロスが大きくなり、高分子抵抗体としての特性として好ましくない。
第12の発明は、特に第10の発明の高分子発熱体において、導電層がPTC特性として、80℃における抵抗値が20℃における抵抗値に対して10倍以下となるものである。導電層に関しても高分子抵抗体と同様のPTC特性を有する類似材料組成にすることにより、相互の密着性などを改善することができるが、一方、導電層自身のPTC特性として高温状態でのPTC変化倍率が大きくなると、高分子抵抗体の抵抗値特性に影響を及ぼす場合がある。従ってある一定倍率以下のPTC特性を有することが好ましく、本発明においては一般に発熱温度として比較的高温レベルであるが、80℃付近の発熱状態時においても、PTC特性としての抵抗値変化倍率が20℃に対して10倍以下となることがより好ましいとした。
第13の発明は、特に第10〜第12のいずれか1つの発明の高分子発熱体において、導電層の比抵抗に対する高分子抵抗体の比抵抗の比率が80℃以下の温度領域において100倍以下となるものである。高分子抵抗体と導電層の比抵抗値が等しい場合でも、被覆層は間隔が狭いため抵抗値としては約1/1000程度と考えられることから、本発明で定義した抵抗比率の関係であれば、導電層の抵抗が高分子抵抗体の発熱を阻害することなく、良好な発熱体を得ることができる。
第14の発明は、特に第10〜第13のいずれか1つの発明の高分子発熱体において、導電層が電極に対して平行であることを特徴とするものであり、電圧印加方向に対して、導電層が均一の厚み、幅で存在することになるので、高分子発熱体にはどの領域においてもほぼ等しい電圧が印加されることになり、均一発熱の良好な発熱体を得ることが可能となる。
第15の発明は、特に第10〜第14のいずれか1つの発明の高分子発熱体において、導電層の組成物と電極を構成する金属細線とを共押出成形してなるもので、予め、導電層と電極で押出成形しておくことにより電極と導電層の密着性を向上させることができる。このように作成した導電層を有する電極を高分子抵抗体と熱融着などにより発熱体として成形することができるため、比較的簡易な方法で発熱体を得ることができる。
第16の発明は、特に第1、第3、第10のいずれか1つの発明の高分子発熱体において、電極が錫めっき銅、銀含有銅、銀銅合金の少なくとも1種を含む金属細線よりなり、柔軟性、屈曲性に優れるため、良好な発熱特性を有する高分子発熱体を長期に渡り提供することができる。
第17の発明は、特に第1、第3、第10のいずれか1つの発明の高分子発熱体において、電気絶縁性基材が樹脂フィルム、織布、不織布の少なくとも1種からなり、使用感や長期信頼性に優れた高分子発熱体を得ることができる。
第18の発明は、これら第1〜17記載の高分子発熱体を例えば座部、背もたれ部の少なくとも一方に配置し、暖房用熱源として自動車用座席装置に搭載したものである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1,2において、高分子発熱体1は、電気絶縁性基材2上に、一対の電極3,3’、高分子抵抗体4、及び導電層5,5’を含んで構成される。
例えば、電気絶縁性基材2は、ポリエステル繊維で作製されたニードルパンチタイプのもので、難燃剤が含浸処理された不織布を用いることができる。
一対の電極3,3’としては、線径0.06mmの銀銅合金線を15本撚って得たものであり、不織布上の所定位置に熱融着処理して得た。
電極3,3’とは直接接触しないように高分子抵抗体4を同様に熱融着により配置し、その後、前記高分子抵抗体4と電極3,3’とを接触させるための導電層5,5’が熱融着により形成してある。なお、電極3,3’に給電するためのリード線は省略した。
このとき、高分子抵抗体4は以下の材料、手順により混練物を作成後、カレンダー加工によりフィルム状に加工したものを使用した。
すなわち、高分子抵抗体4は、結晶性樹脂として、エチレン・メタアクリル酸メチル共重合体(商品名「アクリフトCM5021」、融点67℃、住友化学(株)製)30部と、エチレン・メタアクリル酸共重合体(商品名「ニュクレルN1560」、融点90℃、三井・デュポンポリケミカル(株)製)30部と、エチレン・メタアクリル酸共重合体金属配位物(商品名「ハイミラン1702」、融点90℃、三井・デュポンポリケミカ(株)製)40部とで構成した。
この結晶性樹脂35重量%と、反応性樹脂(商品名「ボンドファースト7B」、住友化学(株)製)2重量%と、2種類の導電体として、カーボンブラック(商品名「プリンテックスL」、1次粒子径21nm、デグサ社製)25重量%と、グラファイト(商品名「GR15」、鱗状黒鉛、日本黒鉛(株)製)18重量%と、難燃剤(商品名「レオフォスRDP」、リン酸エステル系液状難燃剤、味の素(株)製)20重量%により混練物Aを作製した。
次に、エラストマーとして、スチレン系熱可塑性エラストマー(商品名「タフテックM1943」)、旭化成エンジニアリング(株)製)40重量%と、カーボンブラック(商品名「#10B」、1次粒子径75nm、三菱化学(株)製)45重量%と、炭化タングステン(井澤金属(株)製)13重量%と、溶融張力向上剤として、メタアクリル酸アルキル・アクリル酸アルキル共重合物と4フッ化エチレン共重合物との混合物(商品名「メタブレンA3000」、三菱レイヨン(株)製)2重量%から混練物Bを作製した。
そして、混練物Aと混練物Bとを等量と、離型剤として変性シリコーンオイル2重量%と流動性付与剤として、メタアクリル酸アルキル・アクリル酸アルキル共重合物2重量%とを混練して高分子抵抗体4を作製した。
導電層5,5’は、樹脂成分として、エチレン酢酸ビニル共重合体(商品名「エバフレックスEV150」、三井・デュポンポリケミカル(株)製)21重量%と、金属親和性を示す官能基として無水マレイン酸を含む樹脂(商品名「ボンダインLX4110」、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合樹脂、住友化学(株)製)9重量%を、導電体として、導電性ウィスカ(商品名「FTL−110」、針状酸化チタン、石原産業(株)製)45重量%、カーボンブラック(商品名「プリンテックスL」、1次粒子径21nm、デグサ社製)15重量%、難燃剤(商品名「レオフォスRDP」、リン酸エステル系液状難燃剤、味の素(株)製)10重量%により混練物を得、厚み100μmのフィルムを作成して得た。比抵抗は5Ω・cmであった。
この面状発熱体を構成する高分子発熱体1は、図3,4に示したように、例えば、自動車の座席装置6である座部7及び背もたれ8に基材2側を上部として取り付けて使用されるものである。
座部7及び背もたれ8の吊り込み部(図示せず)に対応するために中央部や周縁部に吊り込むための耳部(基材2の延長部)が設けられるが、ここでは省略している。
また、このような高分子発熱体1を装着した座部7及び背もたれ8は、一般的に座席に腰掛けた人体による荷重がかかった時に変形し、荷重がかからなくなると復元するウレタンパット等の座席基材9と座席表皮10を備えている。従って、座部7及び背もたれ8の座席基材9上に高分子抵抗体4側を、座席表皮10に基材2側を配置して取り付けられる薄い面状発熱体である高分子発熱体1も、前記した座部7及び背もたれ8の変形に対応して相似の変形をしなければならない。
そのために、種々の発熱パターンの設計、そのための電極3,3’並びに導電層5,5’の配置形状を変更する必要があることは言うまでもないが、ここでは省略している。
電極3,3’は、相対向するように幅の広い一対(電気的に正側と負側)を高分子発熱体1の長手方向の外側部に沿って配置し、これに接触するように配設した導電層5,5’を介して高分子抵抗体4に電流が流れ、発熱する。
本実施の形態において、高分子抵抗体4はPTC特性を有し、温度が上昇すると抵抗値が上昇し、所定の温度になるように自己温度調節機能を有するようになり、温度コントロールが不要で安全性の高い面状発熱体としての機能を有するようになる。
また、自動車の座席装置6に組み込まれる面状発熱体のカーシートヒーターとしては着座感や難燃性を満足することができる。
着座感は、紙のような音鳴り感がなく、座席表皮材と同等の伸び特性、すなわち、5%の伸びに対して7kgf以下の荷重であることで満足できる。
また、PTC特性を有する面状発熱体として速熱性と省エネ性を、従来のチュービングヒータを発熱体とするものに比べて発揮することができる。
チュービングヒータを発熱体とするものは、温度制御器を必要として、ON−OFF制御で通電を制御して発熱温度を制御している。
ON時のヒータ線温度は約80℃まで上昇するため、座席表皮材とはある程度の距離をおいて配置する必要があるのに対して、本実施の形態の高分子発熱体では、発熱温度が40℃〜50℃の範囲に自己制御されるので、座席表皮材近傍に近接して配置することができる。発熱温度が低く、座席近傍であることより、速熱性と外部への放熱ロスを低減できることによる省エネ性を実現できる。
また、電気絶縁性基材2に難燃性不織布を用いて、また、高分子抵抗体4、導電層5,5’に難燃剤を配合することで難燃性を実現できる。
難燃性は、高分子発熱体単品での自動車用内装材難燃規格FMVSS302規格(水平着火で不燃性はもとより自己消火するものや、標線間の燃焼速度が80mm/min以下であれば適合する)を満足する必要があり、少なくとも難燃剤の充填量が10重量%以上あれば適合できることを確認した。
本実施の形態で得た高分子発熱体を、80℃炉中放置試験、150℃炉中放置試験、−20℃と50℃のヒートサイクル試験を実施した。
その結果、それぞれ、500時間、200時間、200回後も抵抗値変化率はいずれも初期の30%以内であった。この要因としては、反応性樹脂による架橋反応により結晶性樹脂そのもの、および結晶性樹脂と導電体との結合を図ったことに起因していると考えられた。
優れたPTC特性を発揮するために、複数の導電体を組み合わせることと、海島構成とすることを本実施の形態では適用している。そのメカニズムの詳細は現時点では不明であるが以下のように推察している。
まず、PTC特性を有する抵抗体組成物とするためには、用いる結晶性樹脂は、その融点が発熱飽和温度以上の近傍にあるものを選択する必要がある。
導電体としては、できるだけ少ない添加量で所定の抵抗値を達成することが求められるが、そうした導電体は一般的には導電性カーボンブラックと呼ばれるもので、1次粒子径が約20nm以下でストラクチャー(葡萄の房のように1次粒子の集合体のことをいう。吸油量で相関付けられている)の発達した構造のものであるが、そうした導電性カーボンブラックでは一方で、PTC特性を発現しにくいという欠点を有していた。
これは、導電性カーボンブラックではストラクチャーが発達して、結晶性樹脂の温度による比容積の変化(これがPTC特性発現の主因と言われている)によってもストラクチャーの導電パスが切断されにくいことによるといわれている。
一方で、1次粒子径の大きいカーボンブラックは優れたPTC特性を有することを発明者らは知見として得ていた。
また、グラファイトのような導電体は、カーボンブラックに比べるとさらに粒子径が大きく、かつ鱗片のような層状構造を有すること、さらに、金属やセラミックなどの導電体は、粒子径が大きく、無定形の優れた導電性(小さい体積固有抵抗(カーボンやグラファイト系の100分の1以下))を有することを発明者らは知見として得ていた。これらの複数の導電体を組み合わせることで、厚みが約100ミクロンメートル以下で、面積抵抗が400Ω/□以下、比抵抗が3Ω・cm以下の抵抗を有するとともに、PTC特性のひとつの指標となる、温度に対する抵抗値変化倍率において、20℃の抵抗値に対する50℃の抵抗値の比が1.5以上、20℃の抵抗値に対する80℃の抵抗値の比が5以上の抵抗体組成物とすることができた。
こうした低抵抗でありながら優れたPTC特性を発揮できたメカニズムの詳細は不明であるが、結晶性樹脂と複数の導電体を組み合わせたことによる新規な導電パスの形成と、難燃剤を液状としたことで、液体の大きな熱膨張係数を利用することができたことによると考えている。
また、モンタン酸部分けん化エステルなどのワックス、さらには他のワックス等の可塑剤や分散剤を必要に応じて用いても良いことは言うまでもない。
また、導電体の形状としてはウィスカ形状のものを用いて実施したが、球状やその他イガ形状のものでも構わない。
さらに、本実施の形態では高分子抵抗体4と電極3,3’が同一平面内では重ねあわない配置で示したが、導電層5,5’を介して接触するような形態であれば積層された配置であっても構わない。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2における高分子発熱体においては、実施の形態1と同様の構造のものを用いた。
例えば、電気絶縁性基材2は、ポリエステル繊維で作製されたファインエンボス加工したもので、難燃剤が含浸処理された不織布を用いることができる。
一対の電極3,3’としては、線径0.08mmの錫めっき銅線を19本撚って得たものであり、不織布上の所定位置に熱融着処理し得た。電極3,3’とは直接接触しないように高分子抵抗体4を同様に熱融着により配置し、その後、電極3,3’及び高分子抵抗体4を接触させるための導電層5,5’を熱融着することにより高分子発熱体1を得た。なお、電極3,3’に給電するためのリード線は省略した。
このとき、高分子抵抗体4は実施の形態1と同様の方法で加工したものを使用した。
導電層5,5’は、樹脂成分として、エチレン酢酸ビニル共重合体(商品名「エバフレックスEV150」、三井・デュポンポリケミカル(株)製)21重量%と、金属親和性を示す官能基を含む樹脂(商品名「タフテックM1943」(水添スチレン系熱可塑性エラストマーの変性タイプ、旭化成(株)製)9重量%を、導電体として、導電性ウィスカ(商品名「FTL−110」、針状酸化チタン、石原産業(株)製)30重量%、カーボンブラック(商品名「ファーネスブラック#10B」、粒子径84nm、三菱化学(株)製)30重量%、難燃剤(商品名「レオフォスRDP」、リン酸エステル系液状難燃剤、味の素(株)製)10重量%により混練物を得、厚み100μmのフィルムを作成して得た。比抵抗は6Ω・cmであった。
本実施の形態において、高分子抵抗体4はPTC特性を有し、温度が上昇すると抵抗値が上昇し、所定の温度になるように自己温度調節機能を有するようになり、温度コントロールが不要で安全性の高い面状発熱体としての機能を有するようになる。
また、自動車用座席装置に組み込まれる面状発熱体のカーシートヒーターとしては着座感や難燃性を満足することができる。
着座感は、紙のような音鳴り感がなく、座席表皮材と同等の伸び特性、すなわち、5%の伸びに対して7kgf以下の荷重であることで満足できる。
また、PTC特性を有する面状発熱体として速熱性と省エネ性を、従来のチュービングヒータを発熱体とするものに比べて発揮することができる。
チュービングヒータを発熱体とするものは、温度制御器を必要として、ON−OFF制御で通電を制御して発熱温度を制御している。
ON時のヒータ線温度は約80℃まで上昇するため、座席表皮材とはある程度の距離をおいて配置する必要があるのに対して、本実施の形態の高分子発熱体では、発熱温度が40℃〜50℃の範囲に自己制御されるので、座席表皮材近傍に近接して配置することができる。発熱温度が低く、座席近傍であることより、速熱性と外部への放熱ロスを低減できることによる省エネ性を実現できる。
また、電気絶縁性基材2に難燃性不織布を用いて、また、高分子抵抗体4、導電層5,5’に難燃剤を配合することで難燃性を実現できる。
難燃性は、高分子発熱体単品での自動車用内装材難燃規格FMVSS302規格(水平着火で不燃性はもとより自己消火するものや、標線間の燃焼速度が80mm/min以下であれば適合する)を満足する必要があり、少なくとも難燃剤の充填量が10重量%以上あれば適合できることを確認した。
本実施の形態で得た高分子発熱体を、80℃炉中放置試験、150℃炉中放置試験、−20℃と50℃のヒートサイクル試験を実施した。
その結果、それぞれ、500時間、200時間、200回後も抵抗値変化率はいずれも初期の30%以内であった。
この要因としては、反応性樹脂による架橋反応により結晶性樹脂そのもの、および結晶性樹脂と導電体との結合を図ったことに起因していると考えられた。
また本実施の形態では高分子抵抗体4と電極3,3’が同一平面内では重ねあわない配置で示したが、導電層5,5’を介して接触するような形態であれば積層された配置であっても構わない。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3における高分子発熱体においては、実施の形態1と同様の構造のものを用いた。
例えば、電気絶縁性基材2は、ポリエステル繊維で作製されたファインエンボス加工したもので、難燃剤が含浸処理された不織布を用いることができる。
一対の電極3,3’としては、線径0.06mmの3%銀を含む銀銅合金線を19本平行配置して得たものであり、不織布上の所定位置に熱融着処理し得た。電極3,3’とは直接接触しないように高分子抵抗体4を同様に熱融着により配置し、その後、電極3,3’及び高分子抵抗体4を接触させるための導電層5,5’を熱融着することにより高分子発熱体1を得た。なお電極3,3’に給電するためのリード線は省略した。
このとき、高分子抵抗体4は実施の形態1と同様の方法で加工したものを使用した。
導電層5,5’は、実施の形態1と同様のものを用いた。
本実施の形態において、高分子抵抗体4はPTC特性を有し、温度が上昇すると抵抗値が上昇し、所定の温度になるように自己温度調節機能を有するようになり、温度コントロールが不要で安全性の高い面状発熱体としての機能を有するようになる。
また、自動車用座席装置に組み込まれる面状発熱体のカーシートヒーターとしては着座感や難燃性を満足することができる。
着座感は、紙のような音鳴り感がなく、座席表皮材と同等の伸び特性、すなわち、5%の伸びに対して7kgf以下の荷重であることで満足できる。
また、PTC特性を有する面状発熱体として速熱性と省エネ性を、従来のチュービングヒータを発熱体とするものに比べて発揮することができる。
チュービングヒータを発熱体とするものは、温度制御器を必要として、ON−OFF制御で通電を制御して発熱温度を制御している。
ON時のヒータ線温度は約80℃まで上昇するため、座席表皮材とはある程度の距離をおいて配置する必要があるのに対して、本実施の形態の高分子発熱体では、発熱温度が40℃〜50℃の範囲に自己制御されるので、座席表皮材近傍に近接して配置することができる。発熱温度が低く、座席近傍であることより、速熱性と外部への放熱ロスを低減できることによる省エネ性を実現できる。
また、電気絶縁性基材2に難燃性不織布を用いて、また、高分子抵抗体4、導電層5,5’に難燃剤を配合することで難燃性を実現できる。
難燃性は、高分子発熱体単品での自動車用内装材難燃規格FMVSS302規格(水平着火で不燃性はもとより自己消火するものや、標線間の燃焼速度が80mm/min以下であれば適合する)を満足する必要があり、少なくとも難燃剤の充填量が10重量%以上あれば適合できることを確認した。
本実施の形態で得た高分子発熱体を、80℃炉中放置試験、150℃炉中放置試験、−20℃と50℃のヒートサイクル試験を実施した。
その結果、それぞれ、500時間、200時間、200回後も抵抗値変化率はいずれも初期の30%以内であった。
この要因としては、反応性樹脂による架橋反応により結晶性樹脂そのもの、および結晶性樹脂と導電体との結合を図ったことに起因していると考えられた。
また本実施の形態では高分子抵抗体4と電極3,3’が同一平面内では重ねあわない配置で示したが、導電層5,5’を介して接触するような形態であれば積層された配置であっても構わない。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4における高分子発熱体においては、図1,2に示した実施の形態1と同様の構造のものを用いた。
高分子抵抗体4は下記の材料、手順により混練物を作成後、カレンダー加工によりフィルム状に加工したものを使用した。
すなわち、高分子抵抗体4は、結晶性樹脂として、エチレン・メタアクリル酸メチル共重合体(商品名「アクリフトCM5021」、融点67℃、住友化学株式会社製)30部と、エチレン・メタアクリル酸共重合体(商品名「ニュクレルN1560」、融点90℃、三井・デュポンポリケミカル株式会社製)30部と、エチレン・メタアクリル酸共重合体金属配位物(商品名「ハイミラン1702」、融点90℃、三井・デュポンポリケミカ株式会社製)40部とで構成した。
この結晶性樹脂35重量%と、反応性樹脂(商品名「ボンドファースト7B」、住友化学株式会社製)2重量%と、2種類の導電体として、カーボンブラック(商品名「プリンテックスL」、1次粒子径21nm、デグサ株式会社製)25重量%と、グラファイト(商品名「GR15」、鱗状黒鉛、日本黒鉛株式会社製)18重量%と、難燃剤(商品名「レオフォスRDP」、リン酸エステル系液状難燃剤、味の素株式会社製)20重量%により混練物Aを作製した。
次に、エラストマーとして、スチレン系熱可塑性エラストマー(商品名「タフテックM1943」)、旭化成エンジニアリング株式会社製)40重量%と、カーボンブラック(商品名「#10B」、1次粒子径75nm、三菱化学株式会社製)45重量%と、炭化タングステン(井澤金属(株)製)13重量%と、溶融張力向上剤として、メタアクリル酸アルキル・アクリル酸アルキル共重合物と4フッ化エチレン共重合物との混合物(商品名「メタブレンA3000」、三菱レイヨン株式会社製)2重量%から混練物Bを作製した。
そして、混練物Aと混練物Bとを等量と、離型剤として変性シリコーンオイル2重量%と流動性付与剤として、メタアクリル酸アルキル・アクリル酸アルキル共重合物2重量%とを混練して高分子抵抗体4を作製した。
導電層5,5’は、樹脂成分として、エチレン酢酸ビニル共重合体(商品名「エバフレックスEV150」、三井・デュポンポリケミカル株式会社製)21重量%と、金属親和性を示す官能基として無水マレイン酸を含む樹脂(商品名「ボンダインLX4110」、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合樹脂、住友化学株式会社製)10重量%を、導電体として、導電性ウィスカ(商品名「FTL−110」、針状酸化チタン、石原産業株式会社製)40重量%、カーボンブラック(商品名「プリンテックスL」、1次粒子径21nm、デグサ株式会社製)15重量%、難燃剤(商品名「レオフォスRDP」、リン酸エステル系液状難燃剤、味の素株式会社製)10重量%、反応性添加剤(商品名「パーヘキサ25B−40」、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、日本油脂株式会社製)4重量%により混練物を得、厚み100μmのフィルムを作成して得た。比抵抗は5Ω・cmであった。
この面状発熱体を構成する高分子発熱体1は、図3,4に示したように、暖房用熱源として自動車の座席装置6の座部7及び背もたれ8に基材2側を上部として取り付けて使用されるものである。
座部7及び背もたれ8の吊り込み部(図示せず)に対応するために中央部や周縁部に吊り込むための耳部(基材2の延長部)が設けられるが、ここでは省略している。
また、このような高分子発熱体1を装着した座部7及び背もたれ8は、一般的に座席に腰掛けた人体による荷重がかかった時に変形し、荷重がかからなくなると復元するウレタンパット等の座席基材9と座席表皮10とを備えている。従って、座部7及び背もたれ8の座席基材9上に高分子抵抗体4側を、座席表皮10に基材2側を配置して取り付けられる薄い面状発熱体である高分子発熱体1も、それらの変形に対応して相似の変形をしなければならない。
そのために、種々の発熱パターンの設計、そのための電極3,3’並びに導電層5,5’の配置形状を変更する必要があることは言うまでもないが、ここでは省略している。
電極3,3’は、相対向するように幅の広い一対(電気的に正側と負側)を高分子発熱体1の長手方向の外側部に沿って配置し、これに接触するように配設した導電層5,5’を介し、高分子抵抗体4に電流が流れ、発熱する。
本実施の形態において、高分子抵抗体4はPTC特性を有し、温度が上昇すると抵抗値が上昇し、所定の温度になるように自己温度調節機能を有するようになり、温度コントロールが不要で安全性の高い面状発熱体としての機能を有するようになる。
また、自動車の座席装置6に組み込まれる面状発熱体のカーシートヒーターとしては着座感や難燃性を満足することができる。
着座感は、紙のような音鳴り感がなく、座席表皮材と同等の伸び特性、すなわち、5%の伸びに対して7kgf以下の荷重であることで満足できる。
また、PTC特性を有する面状発熱体として速熱性と省エネ性を、従来のチュービングヒータを発熱体とするものに比べて発揮することができる。
チュービングヒータを発熱体とするものは、温度制御器を必要として、ON−OFF制御で通電を制御して発熱温度を制御している。
ON時のヒータ線温度は約80℃まで上昇するため、座席表皮10とはある程度の距離をおいて配置する必要があるのに対して、本実施の形態の高分子発熱体1では、発熱温度が40℃〜50℃の範囲に自己制御されるので、座席表皮10近傍に近接して配置することができる。発熱温度が低く、座席近傍であることより、速熱性と外部への放熱ロスを低減できることによる省エネ性を実現できる。
また、電気絶縁性基材2に難燃性不織布を用いて、また、高分子抵抗体4、導電層5,5’に難燃剤を配合することで難燃性を実現できる。
難燃性は、高分子発熱体1単品での自動車用内装材難燃規格FMVSS302規格(水平着火で不燃性はもとより自己消火するものや、標線間の燃焼速度が80mm/min以下であれば適合する)を満足する必要があり、少なくとも難燃剤の充填量が10重量%以上あれば適合できることを確認した。
本実施の形態で得た高分子発熱体1を、80℃炉中放置試験、150℃炉中放置試験、−20℃と50℃のヒートサイクル試験を実施した。
その結果、それぞれ、500時間、200時間、200回後も抵抗値変化率はいずれも初期の30%以内であった。
この要因としては、反応性樹脂による架橋反応により結晶性樹脂そのもの、および結晶性樹脂と導電体との結合を図ったことに起因していると考えられた。
優れたPTC特性を発揮するために、複数の導電体を組み合わせることと、海島構成とすることを本実施の形態では適用している。
そのメカニズムの詳細は現時点では不明であるが以下のように推察している。
まず、PTC特性を有する抵抗体組成物とするためには、用いる結晶性樹脂は、その融点が発熱飽和温度以上の近傍にあるものを選択する必要がある。
導電体としては、できるだけ少ない添加量で所定の抵抗値を達成することが求められるが、そうした導電体は一般的には導電性カーボンブラックと呼ばれるもので、1次粒子径が約20nm以下でストラクチャー(葡萄の房のように1次粒子の集合体のことをいう。吸油量で相関付けられている)の発達した構造のものであるが、そうした導電性カーボンブラックでは一方で、PTC特性を発現しにくいという欠点を有していた。
これは、導電性カーボンブラックではストラクチャーが発達して、結晶性樹脂の温度による比容積の変化(これがPTC特性発現の主因と言われている)によってもストラクチャーの導電パスが切断されにくいことによるといわれている。
一方で、1次粒子径の大きいカーボンブラックは優れたPTC特性を有することを発明者らは知見として得ていた。
また、グラファイトのような導電体は、カーボンブラックに比べるとさらに粒子径が大きく、かつ鱗片のような層状構造を有すること、さらに、金属やセラミックなどの導電体は、粒子径が大きく、無定形の優れた導電性(小さい体積固有抵抗(カーボンやグラファイト系の100分の1以下))を有することを発明者らは知見として得ていた。これらの複数の導電体を組み合わせることで、厚みが約100ミクロンメートル以下で、面積抵抗が400Ω/□以下、比抵抗が3Ω・cm以下の抵抗を有するとともに、PTC特性のひとつの指標となる、温度に対する抵抗値変化倍率において、20℃の抵抗値に対する50℃の抵抗値の比が1.5以上、20℃の抵抗値に対する80℃の抵抗値の比が5以上の抵抗体組成物とすることができた。
こうした低抵抗でありながら優れたPTC特性を発揮できたメカニズムの詳細は不明であるが、結晶性樹脂と複数の導電体を組み合わせたことによる新規な導電パスの形成と、難燃剤を液状としたことで、液体の大きな熱膨張係数を利用することができたことによると考えている。
また、導電体の形状としてはウィスカ形状のものを用いて実施したが、球状やその他イガ形状のものでも構わない。
さらに本実施の形態では高分子抵抗体4と電極3,3’が同一平面内では重ねあわない配置で示したが、導電層5,5’を介して接触するような形態であれば積層された配置であっても構わない。
(実施の形態5)
実施の形態5における高分子発熱体においては、実施の形態4と同様の構造のものを用いた。
例えば、電気絶縁性基材2は、ポリエステル繊維で作製されたファインエンボス加工したもので、難燃剤が含浸処理された不織布を用いることができる。
一対の電極3,3’としては、線径0.08mmの錫めっき銅線を19本撚って得たものであり、不織布上の所定位置に熱融着処理し得た。
電極3,3’とは直接接触しないように高分子抵抗体4を同様に熱融着により配置し、その後、電極3,3’及び高分子抵抗体4を接触させるための導電層5,5’を熱融着することにより高分子発熱体1を得た。なお、電極3,3’に給電するためのリード線は省略した。
このとき、高分子抵抗体4は実施の形態4と同様の方法で加工したものを使用した。
導電層5,5’は、樹脂成分として、エチレン酢酸ビニル共重合体(商品名「エバフレックスEV150」、三井・デュポンポリケミカル株式会社製)21重量%と、金属親和性を示す官能基を含む樹脂(商品名「タフテックM1943」(水添スチレン系熱可塑性エラストマーの変性タイプ、旭化成株式会社製)9重量%を、導電体として、導電性ウィスカ(商品名「FTL−110」、針状酸化チタン、石原産業株式会社製)30重量%、カーボンブラック(商品名「ファーネスブラック#10B」、粒子径84nm、三菱化学株式会社製)25重量%、難燃剤(商品名「レオフォスRDP」、リン酸エステル系液状難燃剤、味の素株式会社製)10重量%、反応性添加剤(商品名「プレンアクトKR44」、チタネート系カップリング剤、味の素ファインテクノ株式会社製)5重量%により混練物を得、厚み100μmのフィルムを作成して得た。比抵抗は6Ω・cmであった。
本実施の形態において、高分子抵抗体4はPTC特性を有し、温度が上昇すると抵抗値が上昇し、所定の温度になるように自己温度調節機能を有するようになり、温度コントロールが不要で安全性の高い面状発熱体としての機能を有するようになる。
また、自動車用座席装置に組み込まれる面状発熱体のカーシートヒーターとしては着座感や難燃性を満足することができる。
着座感は紙のような音鳴り感がなく、座席表皮材と同等の伸び特性、すなわち、5%の伸びに対して7kgf以下の荷重であることで満足できる。
また、PTC特性を有する面状発熱体として速熱性と省エネ性を、従来のチュービングヒータを発熱体とするものに比べて発揮することができる。
チュービングヒータを発熱体とするものは、温度制御器を必要として、ON−OFF制御で通電を制御して発熱温度を制御している。
ON時のヒータ線温度は約80℃まで上昇するため、座席表皮材とはある程度の距離をおいて配置する必要があるのに対して、本実施の形態の高分子発熱体1では、発熱温度が40℃〜50℃の範囲に自己制御されるので、座席表皮材近傍に近接して配置することができる。発熱温度が低く、座席近傍であることより、速熱性と外部への放熱ロスを低減できることによる省エネ性を実現できる。
また、電気絶縁性基材2に難燃性不織布を用いて、また、高分子抵抗体4、導電層5,5’に難燃剤を配合することで難燃性を実現できる。
難燃性は、高分子発熱体1単品での自動車用内装材難燃規格FMVSS302規格(水平着火で不燃性はもとより自己消火するものや、標線間の燃焼速度が80mm/min以下であれば適合する)を満足する必要があり、少なくとも難燃剤の充填量が10重量%以上あれば適合できることを確認した。
本実施の形態で得た高分子発熱体1を、80℃炉中放置試験、150℃炉中放置試験、−20℃と50℃のヒートサイクル試験を実施した。
その結果、それぞれ、500時間、200時間、200回後も抵抗値変化率はいずれも初期の30%以内であった。
この要因としては、反応性樹脂による架橋反応により結晶性樹脂そのもの、および結晶性樹脂と導電体との結合を図ったことに起因していると考えられた。
また、本実施の形態では高分子抵抗体4と電極3,3’が同一平面内では重ねあわない配置で示したが、導電層5,5’を介して接触するような形態であれば積層された配置であっても構わない。
(実施の形態6)
実施の形態6における高分子発熱体においては、実施の形態4と同様の構造のものを用いた。
例えば、電気絶縁性基材2は、ポリエステル繊維で作製されたファインエンボス加工したもので、難燃剤が含浸処理された不織布を用いることができる。
一対の電極3,3’としては、線径0.06mmの3%銀を含む銀銅合金線を19本平行配置して得たものであり、不織布上の所定位置に熱融着処理し得た。
電極3,3’とは直接接触しないように高分子抵抗体4を同様に熱融着により配置し、その後、電極3,3’及び高分子抵抗体4を接触させるための導電層5,5’を熱融着することにより高分子発熱体1を得た。なお、電極3,3’に給電するためのリード線は省略した。
このとき、高分子抵抗体4は実施の形態4と同様の方法で加工したものを使用した。
導電層5,5’は、樹脂成分として、エチレン−メタクリレート共重合体(商品名「CG4002」、住友化学株式会社製)17重量%と、エチレン系コポリマー(商品名「アクリフトWH206」(エチレン−メチルメタクリレート共重合体、三井住友化学株式会社製)7重両%を、導電体として、導電性ウィスカ(商品名「FTL−110」、針状酸化チタン、石原産業株式会社製)40重量%、カーボンブラック(商品名「ファーネスブラック#10B」、粒子径84nm、三菱化学株式会社製)12重量%、カーボンブラック(商品名「プリンテックスL」、1次粒子径21nm、デグサ株式会社製)12重量%、難燃剤(商品名「レオフォスRDP」、リン酸エステル系液状難燃剤、味の素株式会社製)10重量%、反応性添加剤(商品名「プレンアクトKR44」、チタネート系カップリング剤、味の素ファインテクノ株式会社製)2重量%、溶融張力向上剤(商品名「メタブレンA−3000」、三菱レイヨン株式会社製)により混練物を得、厚み100μmのフィルムを作成して得た。比抵抗は6Ω・cmであった。
本実施の形態において、高分子抵抗体4はPTC特性を有し、温度が上昇すると抵抗値が上昇し、所定の温度になるように自己温度調節機能を有するようになり、温度コントロールが不要で安全性の高い面状発熱体としての機能を有するようになる。
また、自動車用座席装置に組み込まれる面状発熱体のカーシートヒーターとしては着座感や難燃性を満足することができる。
着座感は紙のような音鳴り感がなく、座席表皮材と同等の伸び特性、すなわち、5%の伸びに対して7kgf以下の荷重であることで満足できる。
また、PTC特性を有する面状発熱体として速熱性と省エネ性を、従来のチュービングヒータを発熱体とするものに比べて発揮することができる。
チュービングヒータを発熱体とするものは、温度制御器を必要として、ON−OFF制御で通電を制御して発熱温度を制御している。
ON時のヒータ線温度は約80℃まで上昇するため、座席表皮材とはある程度の距離をおいて配置する必要があるのに対して、本実施の形態の高分子発熱体1では、発熱温度が40℃〜50℃の範囲に自己制御されるので、座席表皮材近傍に近接して配置することができる。発熱温度が低く、座席近傍であることより、速熱性と外部への放熱ロスを低減できることによる省エネ性を実現できる。
また、電気絶縁性基材2に難燃性不織布を用いて、また、高分子抵抗体4、導電層5,5’に難燃剤を配合することで難燃性を実現できる。
難燃性は、高分子発熱体1単品での自動車用内装材難燃規格FMVSS302規格(水平着火で不性はもとより自己消火するものや、標線間の燃焼速度が80mm/min以下であれば適合する)を満足する必要があり、少なくとも難燃剤の充填量が10重量%以上あれば適合できることを確認した。
本実施の形態で得た高分子発熱体1を、80℃炉中放置試験、150℃炉中放置試験、−20℃と50℃のヒートサイクル試験を実施した。その結果、それぞれ、500時間、200時間、200回後も抵抗値変化率はいずれも初期の30%以内であった。
この要因としては、反応性樹脂による架橋反応により結晶性樹脂そのもの、および結晶性樹脂と導電体との結合を図ったことに起因していると考えられた。
また、本実施の形態では高分子抵抗体4と電極3,3’が同一平面内では重ねあわない配置で示したが、導電層5,5’を介して接触するような形態であれば積層された配置であっても構わない。
(実施の形態7)
図5は、本発明の実施の形態7における高分子発熱体の概略構成図を示すものであり、図5(a)は平面図、図5(b)は図5(a)におけるX−Y断面図、図5(c)は図5(b)における破線部で囲んだ電極および導電部の拡大図である。図5において、発熱体51の構成は以下の通りである。高分子発熱体51は、電気絶縁性基材52上に、一対の電極53、53’及び、高分子抵抗体54、及び導電層55、55’を含む。
例えば、電気絶縁性基材52は、ポリエステル繊維で作製されたニードルパンチタイプのもので、難燃剤が含浸処理された不織布を用いることができる。高分子抵抗体54を熱融着により配置し、その後、導電層55、55’で予め被覆処理した電極53、53’を、電極53、53’と高分子抵抗体54が直接接触することがないように導電層55、55’を熱融着させ高分子発熱体51を得た。このとき電極53、53’としては、直径0.06mmの錫メッキ銅線を19本撚って得たものである。なお電極53、53’に給電するためのリード線は省略した。
このとき、高分子抵抗体54は下記の材料、手順により混練物を作成後、カレンダー加工によりフィルム状に加工したものを使用した。
高分子抵抗体54は、結晶性樹脂として、エチレン・メタアクリル酸メチル共重合体(商品名「アクリフトCM5021」、融点67℃、住友化学(株)製)30部と、エチレン・メタアクリル酸共重合体(商品名「ニュクレルN1560」、融点90℃、三井・デュポンポリケミカル(株)製)30部と、エチレン・メタアクリル酸共重合体金属配位物(商品名「ハイミラン1702」、融点90℃、三井・デュポンポリケミカ(株)製)40部とで構成した。
この結晶性樹脂35重量%と、反応性樹脂(商品名「ボンドファースト7B」、住友化学(株)製)2重量%と、2種類の導電体として、カーボンブラック(商品名「プリンテックスL」、1次粒子径21nm、デグサ社製)25重量%と、グラファイト(商品名「GR15」、鱗状黒鉛、日本黒鉛(株)製)18重量%と、難燃剤(商品名「レオフォスRDP」、リン酸エステル系液状難燃剤、味の素(株)製)20重量%により混練物Aを作製した。
次に、エラストマーとして、スチレン系熱可塑性エラストマー(商品名「タフテックM1943」)、旭化成エンジニアリング(株)製)40重量%と、カーボンブラック(商品名「#10B」、1次粒子径75nm、三菱化学株製)45重量%と炭化タングステン(井澤金属(株)製)13重量%と、溶融張力向上剤として、メタアクリル酸アルキル・アクリル酸アルキル共重合物と4フッ化エチレン共重合物との混合物(商品名「メタブレンA3000」、三菱レイヨン(株)製)2重量%から混練物Bを作製した。
そして、混練物Aと混練物Bとを等量と、離型剤として変性シリコーンオイル2重量%と流動性付与剤として、メタアクリル酸アルキル・アクリル酸アルキル共重合物2重量%とを混練して高分子抵抗体54を作製した。
導電層55、55’は、樹脂成分として、エチレン−メタクリレート共重合体(商品名「CG4002」、住友化学(株)製)17重量%と、エチレン系コポリマー(商品名「アクリフトWH206」(エチレン−メチルメタクリレート共重合体、三井住友化学(株)性)7重両%を、導電体として、導電性ウィスカ(商品名「FTL−110」、針状酸化チタン、石原産業(株)製)38重量%、カーボンブラック(商品名「ファーネスブラック#10B」、粒子径84nm、三菱化学(株)製)12重量%、カーボンブラック(商品名「プリンテックスL」、1次粒子径21nm、デグサ社製)12重量%、難燃剤として(商品名「レオフォスRDP」、リン酸エステル系液状難燃剤、味の素(株)製)10重量%、反応性添加剤として(商品名「プレンアクトKR44」、チタネート系カップリング剤、味の素ファインテクノ(株)製)2重量%、溶融張力向上剤として(商品名「メタブレンA−3000」、三菱レイヨン(株)製)2重量%により混練物を得た。これを錫メッキ銅からなる金属細線(直径0.05mm)を19本撚って得たものを電極53、53’としたものと共押出成形し、電極部と導電層部が一体となった導電性被覆電極を得た。
このとき導電層の比抵抗は1Ω・cm、PTC特性としては20℃の抵抗値に対する80℃の抵抗値比率は、1.8、80℃における導電層抵抗値に対する高分子抵抗体の抵抗値比率は2.0であった。
この面状発熱体を構成する高分子発熱体51は、図3および図4に示したように、座席暖房用ヒータとして自動車の座席装置6である座部7及び背もたれ8に基材52側を上部として取り付けて使用されるものである。
座部7及び背もたれ8の吊り込み部(図示せず)に対応するために中央部や周縁部に吊り込むための耳部(基材52の延長部)が設けられるが、ここでは省略している。
また、このような高分子発熱体51を装着した座部7及び背もたれ8は、一般的に座席に腰掛けた人体による荷重がかかった時に変形し、荷重がかからなくなると復元するウレタンパット等の座席基材9と座席表皮10を備えている。従って、座部7及び背もたれ8の座席基材9上に高分子抵抗体54側を、座席表皮10に基材52側を配置して取り付けられる薄い面状発熱体である高分子発熱体51も、前記した座部7及び背もたれ8の変形に対応して相似の変形をしなければならない。
そのために、種々の発熱パターンの設計、そのための電極53、53’並びに導電層55、55’の配置形状を変更する必要があることは言うまでもないが、ここでは省略している。
電極53、53’は、相対向するように幅の広い一対(電気的に正側と負側)を高分子発熱体51の長手方向の外側部に沿って配置し、これに接触するように配設した導電層55、55’を介し、高分子抵抗体54に電流が流れ、発熱する。
本実施の形態において、高分子抵抗体54はPTC特性を有し、温度が上昇すると抵抗値が上昇し、所定の温度になるように自己温度調節機能を有するようになり、温度コントロールが不要で安全性の高い面状発熱体としての機能を有するようになる。
また、自動車の座席装置6に組み込まれる面状発熱体のカーシートヒーターとしては着座感や難燃性を満足することができる。
着座感は、紙のような音鳴り感がなく、座席表皮材と同等の伸び特性、すなわち、5%の伸びに対して7kgf以下の荷重であることで満足できる。
また、PTC特性を有する面状発熱体として速熱性と省エネ性を、従来のチュービングヒータを発熱体とするものに比べて発揮することができる。チュービングヒータを発熱体とするものは、温度制御器を必要として、ON−OFF制御で通電を制御して発熱温度を制御している。
ON時のヒータ線温度は約80℃まで上昇するため、座席表皮材とはある程度の距離をおいて配置する必要があるのに対して、本実施の形態の高分子発熱体では、発熱温度が40℃〜50℃の範囲に自己制御されるので、座席表皮材近傍に近接して配置することができる。発熱温度が低く、座席近傍であることより、速熱性と外部への放熱ロスを低減できることによる省エネ性を実現できる。
また、電気絶縁性基材52に難燃性不織布を用いて、また、高分子抵抗体54、導電層55、55’に難燃剤を配合することで難燃性を実現できる。
難燃性は、高分子発熱体単品での自動車用内装材難燃規格FMVSS302規格(水平着火で不燃性はもとより自己消火するものや、標線間の燃焼速度が80mm/min以下であれば適合する)を満足する必要があり、少なくとも難燃剤の充填量が10重量%以上あれば適合できることを確認した。
本実施の形態で得た高分子発熱体を、80℃炉中放置試験、150℃炉中放置試験、−20℃と50℃のヒートサイクル試験を実施した。その結果、それぞれ、500時間、200時間、200回後も抵抗値変化率はいずれも初期の30%以内であった。この要因としては、反応性樹脂による架橋反応により結晶性樹脂そのもの、および結晶性樹脂と導電体との結合を図ったことに起因していると考えられた。そのメカニズムの詳細は現時点では不明であるが以下のように推察している。
まず、PTC特性を有する抵抗体組成物とするためには、用いる結晶性樹脂は、その融点が発熱飽和温度以上の近傍にあるものを選択する必要がある。
導電体としては、できるだけ少ない添加量で所定の抵抗値を達成することが求められるが、そうした導電体は一般的には導電性カーボンブラックと呼ばれるもので、1次粒子径が約20nm以下でストラクチャー(葡萄の房のように1次粒子の集合体のことをいう。吸油量で相関付けられている)の発達した構造のものであるが、そうした導電性カーボンブラックでは一方で、PTC特性を発現しにくいという欠点を有していた。
これは、導電性カーボンブラックではストラクチャーが発達して、結晶性樹脂の温度による比容積の変化(これがPTC特性発現の主因と言われている)によってもストラクチャーの導電パスが切断されにくいことによるといわれている。
一方で、1次粒子径の大きいカーボンブラックは優れたPTC特性を有することを発明者らは知見として得ていた。
また、グラファイトのような導電体は、カーボンブラックに比べるとさらに粒子径が大きく、かつ鱗片のような層状構造を有すること、さらに、金属やセラミックなどの導電体は、粒子径が大きく、無定形の優れた導電性(小さい体積固有抵抗(カーボンやグラファイト系の100分の1以下))を有することを発明者らは知見として得ていた。これらの複数の導電体を組み合わせることで、厚みが約100ミクロンメートル以下で、面積抵抗が400Ω/□以下、比抵抗が3Ω・cm以下の抵抗を有するとともに、PTC特性のひとつの指標となる、温度に対する抵抗値変化倍率において、20℃の抵抗値に対する50℃の抵抗値の比が1.5以上、20℃の抵抗値に対する80℃の抵抗値の比が5以上の抵抗体組成物とすることができた。
こうした低抵抗でありながら優れたPTC特性を発揮できたメカニズムの詳細は不明であるが、結晶性樹脂と複数の導電体を組み合わせたことによる新規な導電パスの形成と、難燃剤を液状としたことで、液体の大きな熱膨張係数を利用することができたことによると考えている。
また、導電体の形状としてはウィスカ形状のものを用いて実施したが、球状やその他イガ形状のものでも構わない。
さらに本実施の形態では高分子抵抗体54上に導電層55、55’を介して電極53、53’を配置したが、導電層を介して接触するような形態であればどのような配置であっても構わない。
(実施の形態8)
図6は、本発明の実施の形態8における高分子発熱体の概略構成図を示すものであり、図6(a)は平面図、図6(b)は図6(a)におけるX−Y断面図、図6(c)は図6(b)における破線部で囲んだ電極および導電部の拡大図である。図6において、発熱体61の構成は以下の通りである。高分子発熱体61は、電気絶縁性基材62上に、一対の電極63、63’及び、高分子抵抗体64、及び導電層65、65’を含む。
例えば、電気絶縁性基材62は、ポリエステル繊維で作製されたニードルパンチタイプのもので、難燃剤が含浸処理された不織布を用いることができる。導電層65、65’で予め被覆処理した電極63、63’を、電極63、63’と高分子抵抗体64が直接接触することがないように導電層65、65’を電気絶縁性基材62に所定の間隔を保持しながら熱融着させ、その上に高分子抵抗体64を熱融着により配置し、高分子発熱体61を得た。このとき電極63、63’としては、直径0.06mmの銀銅合金線を19本撚って得たものである。なお電極63、63’に給電するためのリード線は省略した。また図6では、高分子抵抗体64は、電気絶縁性基材62と離れたように図示されているが、実際は電極63、63’同士の間隔が充分に広いこと(少なくとも50mm以上、好ましくは100mm〜200mm程度)と、導電層65、65’の厚みが薄いため(少なくとも0.01mm以上、好ましくは0.1〜0.5mm程度)、充分電気絶縁性基材上に熱融着されることとなる。
このとき、高分子抵抗体64は実施の形態7と同様の方法で加工したものを使用した。
導電層65、65’は、樹脂成分として、エチレン酢酸ビニル共重合体(商品名「エバフレックスEV150」、三井・デュポンポリケミカル(株)製)21重量%と、金属親和性を示す官能基を含む樹脂(商品名「タフテックM1943」(水添スチレン系熱可塑性エラストマーの変性タイプ、旭化成(株)製)9重量%を、導電体として、導電性ウィスカ(商品名「FTL−110」、針状酸化チタン、石原産業(株)製)40重量%、カーボンブラック(商品名「ファーネスブラック#10B」、粒子径84nm、三菱化学(株)製)15重量%、難燃剤として(商品名「レオフォスRDP」、リン酸エステル系液状難燃剤、味の素(株)製)10重量%、反応性添加剤として(商品名「プレンアクトKR44」、チタネート系カップリング剤、味の素ファインテクノ(株)製)5重量%により混練物を得た。これを銀銅合金からなる金属細線(直径0.06mm)を19本撚って得たものを電極63、63’としたものと共押出成形し、電極部と導電層部が一体となった導電性被覆電極を得た。
このとき導電層の比抵抗は2Ω・cm、PTC特性としては20℃の抵抗値に対する80℃の抵抗値比率は、2.5、80℃における導電層抵抗値に対する高分子抵抗体の抵抗値比率は1.5であった。
本実施の形態において、高分子抵抗体64はPTC特性を有し、温度が上昇すると抵抗値が上昇し、所定の温度になるように自己温度調節機能を有するようになり、温度コントロールが不要で安全性の高い面状発熱体としての機能を有するようになる。
また、自動車用座席装置に組み込まれる面状発熱体のカーシートヒーターとしては着座感や難燃性を満足することができる。
着座感は、紙のような音鳴り感がなく、座席表皮材と同等の伸び特性、すなわち5%の伸びに対して7kgf以下の荷重であることで満足できる。
また、PTC特性を有する面状発熱体として速熱性と省エネ性を、従来のチュービングヒータを発熱体とするものに比べて発揮することができる。チュービングヒータを発熱体とするものは、温度制御器を必要として、ON−OFF制御で通電を制御して発熱温度を制御している。
ON時のヒータ線温度は約80℃まで上昇するため、座席表皮材とはある程度の距離をおいて配置する必要があるのに対して、本実施の形態の高分子発熱体では、発熱温度が40℃〜50℃の範囲に自己制御されるので、座席表皮材近傍に近接して配置することができる。発熱温度が低く、座席近傍であることより、速熱性と外部への放熱ロスを低減できることによる省エネ性を実現できる。
また、電気絶縁性基材62に難燃性不織布を用いて、また、高分子抵抗体64、導電層65、65’に難燃剤を配合することで難燃性を実現できる。
難燃性は、高分子発熱体単品での自動車用内装材難燃規格FMVSS302規格(水平着火で不燃性はもとより自己消火するものや、標線間の燃焼速度が80mm/min以下であれば適合する)を満足する必要があり、少なくとも難燃剤の充填量が10重量%以上あれば適合できることを確認した。
本実施の形態で得た高分子発熱体を、80℃炉中放置試験、150℃炉中放置試験、−20℃と50℃のヒートサイクル試験を実施した。その結果、それぞれ、500時間、200時間、200回後も抵抗値変化率はいずれも初期の30%以内であった。この要因としては、反応性樹脂による架橋反応により結晶性樹脂そのもの、および結晶性樹脂と導電体との結合を図ったことに起因していると考えられた。
さらに本実施の形態8では高分子抵抗体64の下に導電層65、65’を介して電極63、63’を配置したが、導電層を介して接触するような形態であればどのような配置であっても構わない。
また、本実施の形態7及び8においては、抵抗体の上側の保護層を省略した形で図示したが、耐水性や耐摩耗性を考慮した上でそれら上側の保護層を設けていても構わない。
なお、本発明は、本発明の趣旨ならびに範囲を逸脱することなく、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が様々な変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
本出願は、2008年2月18日出願の日本特許出願(特願2008−035583)、2008年10月16日出願の日本特許出願(特願2008−267014)、2008年12月12日出願の日本特許出願(特願2008−316382)、に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
以上のように、本発明にかかる高分子発熱体は、柔軟性に富み、信頼性が高く、暖房用発熱体として自動車の座席装置、ハンドル装置、その他の部位の暖房に供することができるものである。
1、51、61 高分子発熱体
2、52、62 電気絶縁性基材
3、3’、53、53’、63、63’ 電極
4、54、64 高分子抵抗体
5、5’、55、55’、65、65’ 導電層
6 座席装置
7 座部
8 背もたれ
9 座席基材
10 座席表皮

Claims (18)

  1. 電気絶縁性基材と、前記電気絶縁性基材上に配設された複数本の金属細線で構成される少なくとも一対の電極と、前記一対の電極とは直接接触しないPTC特性を有する高分子抵抗体と、前記電極と前記高分子抵抗体との双方に接触する導電層とを具備し、前記導電層が少なくとも樹脂成分と導電体成分と添加剤成分とを含む高分子発熱体。
  2. 前記導電層の樹脂成分が、金属親和性を示す官能基を有する請求項1記載の高分子発熱体。
  3. 電気絶縁性基材と、前記電気絶縁性基材上に配設された複数本の金属細線で構成される少なくとも一対の電極と、前記一対の電極とは直接接触しないPTC特性を有する高分子抵抗体と、前記電極と前記高分子抵抗体との双方に接触する導電層とを具備し、前記導電層が少なくとも架橋性樹脂成分と導電体成分とを含む高分子発熱体。
  4. 前記導電層が、架橋性樹脂成分と導電体成分と溶融張力向上剤成分とを含有する請求項3記載の高分子発熱体。
  5. 前記導電層の架橋性樹脂成分が、反応性添加剤により架橋されている請求項3または4記載の高分子発熱体。
  6. 前記導電層の導電体成分の重量比率が、導電層重量に対して50重量%以上80重量%以下含まれる請求項1または3記載の高分子発熱体。
  7. 前記導電層の導電体成分が、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ、カーボン繊維、導電性セラミック繊維、導電性ウィスカ、金属繊維、導電性無機酸化物、導電性ポリマー繊維の少なくとも一種から選ばれる導電体からなる請求項1、3、6のいずれか1項に記載の高分子発熱体。
  8. 前記導電層の添加剤成分が、リン系、窒素系、シリコーン系の少なくとも1種の難燃剤を含有する請求項1記載の高分子発熱体。
  9. 前記導電層の比抵抗が0.01〜500Ω・cmである請求項1〜8のいずれか1項に記載の高分子発熱体。
  10. 電気絶縁性基材と、前記電気絶縁性基材上に配設されたPTC特性を有する高分子抵抗体と、前記高分子抵抗体とは直接接触しない複数本の金属細線で構成される少なくとも一対の電極と、前記高分子抵抗体と前記電極との双方に接触する導電層から形成されてなる高分子発熱体において、前記導電層がPTC特性を示す高分子発熱体。
  11. 前記高分子抵抗体と前記電極との間隔が0.01mm〜3mmの範囲である請求項10記載の高分子発熱体。
  12. 前記導電層がPTC特性として、80℃における抵抗値が20℃における抵抗値に対して10倍以下となる請求項10記載の高分子発熱体。
  13. 前記導電層の比抵抗に対する前記高分子抵抗体の比抵抗の比率が80℃以下の温度領域において100倍以下となる請求項10〜12のいずれか1項に記載の高分子発熱体。
  14. 前記導電層が前記電極に対して平行である請求項10〜13のいずれか1項に記載の高分子発熱体。
  15. 前記導電層の組成物と前記電極を構成する金属細線とを共押出成形してなる請求項10〜14のいずれか1項に記載の高分子発熱体。
  16. 前記電極が、錫めっき銅、銀含有銅、銀銅合金の少なくとも1種を含む金属細線である請求項1、3、10のいずれか1項に記載の高分子発熱体。
  17. 前記電気絶縁性基材が樹脂フィルム、織布、不織布の少なくとも1種からなる請求項1、3、10のいずれか1項に記載の高分子発熱体。
  18. 請求項1〜17のいずれか1項記載の高分子発熱体を搭載した自動車用座席装置。
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