JPWO2009098860A1 - 水銀放出体、それを用いた低圧放電ランプの製造方法、低圧放電ランプ、照明装置および液晶表示装置 - Google Patents

水銀放出体、それを用いた低圧放電ランプの製造方法、低圧放電ランプ、照明装置および液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

水銀放出効率を向上させ、かつ低圧放電ランプの製造に用いた際、ガラス管の破損を防止する水銀放出体を提供し、また、ガラス管の破損を防止し、水銀の使用量を低減する低圧放電ランプの製造方法を提供し、さらに、水銀の使用量を低減する低圧放電ランプ、照明装置および液晶表示装置を提供する。このために、水銀放出体100は、チタン(Ti)と水銀(Hg)との金属間化合物を含む水銀放出部101を有し、前記金属間化合物は、Ti1.73Hgを含む。

Description

本発明は、水銀放出体、それを用いた低圧放電ランプの製造方法、低圧放電ランプ、照明装置および液晶表示装置に関する。
バックライト用の冷陰極蛍光ランプ等のような低圧放電ランプ用ガラス管(以下、単に、「ガラス管」ともいう。)に水銀を封入するために、水銀が含有された水銀放出体が用いられている。すなわち、この水銀放出体を、発光管となるガラス管内に配置した後、それを外部から加熱することにより、その熱によって水銀を放出させるというものである。
水銀放出前の工程で水銀放出体の温度は400[℃]程度になることがあり、この温度まで安定な水銀放出体(この温度まで水銀をほとんど放出しない水銀放出体)として、例えばチタン(Ti)の焼結体と水銀(Hg)とを反応させて形成したTi3Hgからなるものがある(例えば特許文献1等参照)。
特許第2965824号公報
しかしながら、従来の水銀放出体の場合、実用的観点からは水銀放出効率という点で、まだまだ不十分であった。
また、低圧放電ランプの製造工程において、水銀放出体から水銀を放出させる場合に、加熱温度を400[℃]〜800[℃]にすることが好ましい。これは、400[℃]より低い温度で水銀を放出させると、低圧放電ランプの排気時の加熱によって水銀が放出されてしまうことで作業環境を悪化させてしまい、一方、800[℃]より高い温度で放出させると、水銀放出体自身の熱により、ガラス管の水銀放出体に接する部分が溶融し、破損するおそれがあるからである。
Ti3Hgからなる水銀放出体の場合、400[℃]を越えた辺りから徐々に水銀が放出されるが、800[℃]付近では、水銀放出体内にまだ多量の水銀が残存している状態となる。この場合、水銀放出体内に残存している水銀を放出させるためには、さらに長時間でかつ高温(800[℃]程度)で加熱を続ける必要があり、その熱によって、ガラス管に負荷がかかり破損するおそれがある。
また、このように水銀放出効率の悪い水銀放出体を用いている場合、水銀放出体には低圧放電ランプが点灯に必要とする以上の水銀を含有させておく必要がある。しかし、水銀が有害物質であることから、必要以上の水銀を使用することは環境上好ましくない。
チタンと水銀との金属間化合物として、Ti3Hgの他にもAMERICAN SOCIETY FOR METALS発行のBinary Alloy Phase Diagram(First Printing, October 1986)第1352頁に記載されているように、TiHg、TixHg(xは常温において1.73)が存在している。
しかしながら、TiHgは400[℃]より高い温度での水銀放出効率は優れているものの、室温でTiとHgとが分解するという性質を持つため、水銀放出工程の前に水銀を放出することになり、ランプの製造には適していないことが分かった。
また、TixHgは水銀の放出特性が明らかにされておらず、その生成条件すら不明であった。
そこで、本発明に係る水銀放出体は、水銀放出効率を向上させ、かつ低圧放電ランプの製造に用いた際、ガラス管の破損を防止することを目的とする。
また、本発明に係る低圧放電ランプの製造方法は、ガラス管の破損を防止し、水銀の使用量を低減することを目的とする。
また、本発明に係る低圧放電ランプ、照明装置および液晶表示装置は、水銀の使用量を低減することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明に係る水銀放出体は、チタン(Ti)と水銀(Hg)との金属間化合物を含む水銀放出部を有し、前記金属間化合物は、Ti1.73Hgを含むことを特徴とする。
また、本発明に係る水銀放出体は、前記金属間化合物は、前記水銀放出部の全水銀量に対して40[wt%]以上100[wt%]以下の範囲内の水銀量を有する前記Ti1.73Hgを含むことが好ましい。
また、本発明に係る水銀放出体は、前記金属間化合物は、前記Ti1.73Hgを除く残部がTi3Hgであることが好ましい。
また、本発明に係る水銀放出体は、前記水銀放出部は、少なくとも一部に開口部を有する容器の内部に格納されていることが好ましい。
また、本発明に係る水銀放出体は、前記容器は、鉄およびニッケルのうち少なくとも1種以上で形成されていることが好ましい。
また、本発明に係る水銀放出体は、前記水銀放出材と、前記水銀放出材を覆う金属の焼結体から構成される焼結体部を備えることが好ましい。
また、本発明に係る水銀放出体は、前記焼結体部は、ポーラス状に形成されていることが好ましい。
さらに、本発明に係る水銀放出体は、前記焼結体部の気孔率が5[%]以上であることが好ましい。
本発明に係る低圧放電ランプの製造方法は、前記水銀放出体をガラス管の内部に挿入する工程と、前記水銀放出体を加熱する工程とを含むことを特徴とする。
本発明に係る低圧放電ランプは、ガラス管と、前記ガラス管の少なくとも一方の端部に封着されたリード線と、前記リード線におけるガラス管の内部に位置する端部に取着された電極とを備え、前記リード線の前記ガラス管内に位置する部分または前記電極に請求項1に記載の水銀放出体が固定されていることを特徴とする。
本発明に係る照明装置は、前記低圧放電ランプを備えることを特徴とする。
本発明に係る液晶表示装置は、前記照明装置を備えることを特徴とする。
本発明に係る水銀放出体は、水銀放出効率を向上させ、かつ低圧放電ランプの製造に用いた際、ガラス管の破損を防止することができる。また、本発明に係る低圧放電ランプの製造方法は、ガラス管の破損を防止し、水銀の使用量を低減することができる。さらに、本発明に係る低圧放電ランプ、照明装置および液晶表示装置は、水銀の使用量を低減することができる。
本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の斜視図 (a)同じく水銀放出体の粒子構造を示す正面写真、(b)同じく水銀放出体の粒子構造を示す平面写真、(c)同じく水銀放出体の粒子構造を示す長手方向の中心軸を含む断面写真 同じく水銀放出体の水銀放出の概念図 同じく水銀放出体の水銀放出部のX線解析による測定結果を示すグラフ (a)水銀と合金を形成しない金属の粒子形状が球形状である場合の水銀放出体の粒子構造を示す正面写真、(b)同じく水銀放出体の粒子構造を示す平面写真 反応時間と金属間化合物生成率の関係を示す図 加熱温度による水銀放出率の変化を示す図 本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の製造工程図 本発明の第2の実施形態に係る水銀放出体の斜視図 同じく水銀放出体の変形例1の斜視図 本発明の第3の実施形態に係る水銀放出体の斜視図 本発明の第4の実施形態に係る低圧放電ランプの製造方法の工程A〜Gまでの概念図 本発明の第4の実施形態に係る低圧放電ランプの製造方法の工程H〜Jまでの概念図 (a)本発明の第5の実施形態に係る低圧放電ランプの管軸を含む断面図、(b)A部の拡大断面図 (a)本発明の第6の実施形態に係る低圧放電ランプの管軸を含む断面図、(b)B部の拡大断面図 本発明の第7の実施形態に係る照明装置の斜視図 本発明の第8の実施形態に係る照明装置の斜視図 (a)本発明の第9の実施形態に係る照明装置の正面図、(b)図18(a)のA−A´線で切った断面図 本発明の第10の実施形態に係る液晶表示装置の斜視図 本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の変形例1の斜視図 (a)同じく水銀放出体の変形例1の正面図、(b)同じく水銀放出体の変形例1の平面図 本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の変形例2の斜視図 (a)同じく水銀放出体の変形例2の正面図、(b)同じく水銀放出体の変形例2の平面図 本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の変形例3の斜視図 本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の変形例3の斜視図 本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の変形例3の斜視図 本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の変形例4の斜視図 本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の変形例5の斜視図 本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の変形例6の一部切欠き斜視図
符号の説明
100、104、106、110、113、114、115、116、118、200、203、300、501 水銀放出体
101、107、111、119 水銀放出部
102、105、112、117、120 焼結体部
201、206 開口部
202、204 容器
205 スリット
400 ガラス管
500、600 低圧放電ランプ
502、601 発光管
503、603 電極
504、604 リード線
700、800、900 照明装置
1000 液晶表示装置
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体について、以下に説明する。
本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の斜視図を図1に、その粒子構造を示す正面写真を図2(a)に、同じく平面写真を図2(b)に、長手方向の中心軸を含む断面写真を図2(c)にそれぞれ示す。
本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体100(以下、「水銀放出体100」という)は、チタン(Ti)と水銀(Hg)との金属間化合物Ti1.73Hgを含む。
具体的には、水銀放出体100は、水銀放出部101と、水銀放出部101を覆う金属の焼結体から構成される焼結体部102とを備える。
この水銀放出体100では、水銀放出部101を焼結体部102が覆う構造を有しているので、図3に示すように、加熱時(特に、高周波加熱時)に、水銀放出部101が露呈している両端面からだけでなく、後述のポーラスの焼結体部102を通してほぼ全面から水銀を放出することができ(矢印103参照)、その結果、水銀放出部の表面が金属板等により覆われている場合に比べて水銀の放出効率を向上させることができ、一気に加熱された場合においても、蒸気化した水銀によって急激に水銀放出部101が膨張して破裂するのを防止することができる。また、水銀放出部101と焼結体部102とが界面で反応しているため、水銀放出部101と焼結体部102との密着強度が高く、水銀放出部101が水銀放出体100からこぼれ落ちるのを防止することができる。
水銀放出部101は、チタンと水銀との合金で形成され、チタンと水銀との金属間化合物を含み、かつ金属間化合物としてTi1.73Hgを含んでいる。ここで言う「合金」とは、「金属間化合物」を少なくとも含み、「混合物」、「固溶体」等が含まれたものも包含するものである。
金属間化合物Ti1.73Hgのチタンと水銀の組成比は、Binary Alloy Phase Diagram(First Printing, October 1986)によると、室温では1.73程度であるが、温度等の諸条件により、1.09以上1.73以下の範囲内の値をとり得るものである。
水銀放出体100の水銀放出部のX線解析による測定結果を示すグラフを図4に示す。水銀放出体100には、金属間化合物として、Ti1.73HgやTi3Hgが含まれていることがわかる。
なお、水銀放出体から本発明における金属間化合物の特定方法については、後述する。水銀放出部101は例えば、長さLが3[mm]、外径Diが1[mm]の円柱体の形状を有し、水銀の含有量は約6[mg]である。
また、水銀放出部101に、酸化チタン(TiO2)、酸化アルミニウム(Al23)および酸化珪素(SiO2)のうちいずれか1種以上の金属酸化物の焼結体であるセラミックスが含まれていてもよい。
これらの金属酸化物は、水銀と反応しないため、水銀放出部101の大きさは一定のままで、水銀の含有量を少なくしたい場合に、水銀の含有量が減少した分の密度を補充し、単に水銀の含有量を減らした場合に比べて水銀放出部101の熱伝導性を高めて、水銀放出部101の加熱効率を高めることができる。
なお、セラミックスは、水銀放出部の5[wt%]以上30[wt%]以下の範囲内で含まれていることがより好ましい。この場合、水銀の含有量を少なくしたい場合に、水銀の含有量が減少した分の密度を適度に補充し、単に水銀の含有量を減らした場合に比べて水銀放出部101の熱伝導性を高めて、水銀放出部101の加熱効率を高めることができる。
焼結体部102は、水銀と合金を形成しない金属の焼結体からなり、ポーラス状になっている。「水銀と合金を形成しない金属」とは、例えば鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)およびマンガン(Mn)のうちの少なくとも1種以上のように水銀と反応しにくく合金を形成しにくい金属のことをいう。それらの中でも、化学的性質や工業的な生産性(コスト等)を考慮すると、鉄(Fe)およびニッケル(Ni)うち少なくとも1種以上であることが好ましい。
なお、焼結体部102を構成する金属は、鉄のみまたはニッケルのみの一種類の金属に限らず、例えば、鉄とニッケルの混合物を用いることも可能であるし、あるいは、ニッケルメッキされた鉄を用いることもできる。鉄にニッケルメッキを施した金属は、鉄の酸化防止(腐食防止)の効果を奏し得る。
また、焼結体部102を成形する際において鉄粉にニッケル粉を混合したものを使用すると、鉄粉だけの場合よりも耐食性を向上させることができるとともに、鉄粉とニッケル粉とのブレンドによって粒径のバリエーションを広げることができる。粒径のバリエーションを広げることができると、焼結体部102の気孔率(ひいては、熱伝導率)をコントロールすることが容易となる(気孔率の詳細については後述する)。
また、鉄粉とニッケル粉とのブレンド粉においてその流動性を改善することもでき、成形時の生産性を向上させることも可能となる。加えて、ニッケルは、鉄よりも比熱が小さく、しかも熱伝導率が大きいので、焼結体部102の加熱効率を向上させることもできる。焼結体部102は、例えば、長さLが3[mm]、外径Doが1.4[mm]である。
ポーラス状である焼結体部102の気孔率は、5[%]以上であることが好ましい。この場合、水銀が焼結体部102を通り抜けやすく、水銀の放出効率を高めることができる。
特に焼結体部102の気孔率は、25[%]以上であることがより好ましい。この場合、水銀放出部101から放出される水銀が焼結体部102をさらに通り抜けやすく、水銀放出効率をさらに高めることができる。
なお、焼結体部102の気孔率は、60[%]以下であることが好ましい。60[%]よりも大きいと焼結体部102が空孔だらけになってしまうため、例えば水銀放出体100を高周波加熱する際、水銀放出部101の加熱効率が低下する上に加熱むらが生じやすく、水銀放出量にばらつきが生じてしまうからである。
焼結体部102の気孔率は、以下の数式により算出される。
焼結体部102の密度は、水銀放出体100をフッ化水素酸と硝酸の混合溶液に溶かした後、株式会社島津製作所製のICP発光分析装置(ICPS−8000)により定量分析することで焼結体部102の重量を求め、焼結体部102の体積で割ることにより求めることができる。ここで、焼結体部102はポーラス状であり、その正確な体積を求めることは困難であるため、焼結体部102の体積は焼結体部102に空隙が全くないとした場合の体積を用いることとする。また、焼結体部102の理論密度とは、焼結体部102に空隙が全くないとして求めた架空の密度である。
なお、焼結体部102を構成する金属は、磁性体であることが好ましい。例えば、低圧放電ランプの製造時に密閉されたガラス管内に配置された水銀放出体100の位置決めを、磁石を用いて正確に、かつ容易に行うことができるからである。磁性体である金属としては、例えば鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)等を選択することができる。
また、焼結体部102には、ゲッター材が混合されていてもよい。ゲッター材が混合されていることにより、水素(H2)や酸素(O2)等の不純ガスを吸着させることができ、これによりガラス管内の封入ガスの純度等を向上させることできる。ゲッター材には、例えばタンタル(Ta)、ニオビウム(Nb)、ジルコニウム(Zr)、クロム(Cr)、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)など、あるいは、それらの合金等を適用することができる。
また、水銀放出部101の全表面積のうち焼結体部102に接触している部分の表面積の比率は30[%]以上であることが好ましい。この場合、水銀放出部101に対する熱伝導性を高めることによって加熱効率をより高めて非常に高い水銀放出効率を得ることができる。
特に、その加熱効率を一層高めるために、水銀放出部101の全表面積のうち焼結体部102に接触している部分の表面積の比率は50[%]以上であることがより好ましい。なお、「焼結体部102に接触している部分の表面積」とは、焼結体部102がポーラスであるため、そのポーラスな内部の空隙の表面積は含めず、最外表面の輪郭より算出した表面積である。
また、焼結体部102の水銀と合金を形成しない金属の粒径は、5[μm]以上40[μm]以下の範囲内であることが好ましい。この場合、水銀放出部101から放出される水銀を透過しやすく、水銀放出効率を向上させることができる。
なお、図2(a)〜(c)に示す焼結体部102の粒子形状は鱗片形状であるが、必ずしも鱗片形状である必要はなく多角形状等であってもよい。ただし、鱗片形状の場合は、焼結体部102の気孔率を大きくすることができ、水銀放出効率をより向上させることができる。
また、焼結体部102の水銀と合金を形成しない金属の粒子形状は、球形状であってもよい。焼結体部102の水銀と合金を形成しない金属の粒子形状が球形状である場合の水銀放出体100の粒子構造を示す正面写真を図5(a)に、同じく平面写真を図5(b)にそれぞれ示す。この場合、流動性が向上し、後述するように水銀放出体100の成形を行う押出し工程において、成形機から歩留まりよく押し出すことができ、生産性を向上させることができる。
また、焼結体部102の形状は、図5(a)および(b)に示すように、水銀放出部101の端面を除いた外周面を覆うような筒形状であることが好ましい。この場合、高周波加熱により生じる渦電流が筒状に閉じた内面に流れ、水銀放出部101の加熱効率を高めることができる。
(実験1)
発明者らは、Ti1.73HgはTi3HgとTiHgとの中間的組成であることから、Ti3HgとTiHgとの中間的性質を持つ可能性があると考えた。しかしながら、AMERICAN SOCIETY FOR METALS発行のBinary Alloy Phase Diagram(First Printing, October 1986)第1352頁に記載のチタンと水銀との相図からは、Ti1.73Hgの安定的な生成条件を伺い知ることはできなかった。
そこで、発明者らは、加熱容器に投入する焼結体数と水銀量を変えて反応させることで、図6に示す一定温度における反応時間(チタンと水銀とが反応している時間)と、水銀放出部の全水銀量に対する各金属間化合物の水銀量との関係を明らかにすることに成功した。
図6上、実線はTi1.73Hgを、破線はTiHgを、一点鎖線はTi3Hgをそれぞれ示す。なお、組成比率は後述する手法にて求めた。なお、実験では、Ti1.73Hg、TiHgおよびTi3Hgの生成(反応)開始時及び生成(反応)終了時を特定することはできなかったが、Ti1.73Hg、TiHgおよびTi3Hgの3者が生成はされる傾向は図6のようになる。
図6に示すように、反応時間が所定の時間に達するまで、反応時間が長くなるに従って、Ti1.73Hgの生成が増加する一方で、TiHgの生成が減少する。そして、反応時間が所定の時間を越えると、反応時間が長くなるに従って、Ti1.73Hgの生成が減少し、Ti3Hgの生成が増加する。
この傾向は、反応の進行を早めても、遅らせても、同様に見られる。つまり、反応開始時間から、例えば、Ti1.73Hgの生成を示す線分と、Ti3Hgの生成を示す線分とが交差する反応時間までの時間が、長くなったり、短くなったりするだけで、Ti1.73Hgの生成を示す線分は山形状となる。 焼結体内のチタンと水銀との反応は、反応温度、加熱容器に投入するチタンの量(チタンの表面積)、加熱容器に投入する水銀量により変化し、その反応の進行を遅らせることで、Ti1.73Hgの生成が確認できるようになる。例えば、反応温度を低くすると反応の進行は遅くなり(すなわち図6のグラフは横軸方向に拡張され)、Ti1.73Hgの生成が確認しやすくなる。また、これとは反対に、反応温度を高くすると、Ti3Hgの生成が加速されることからTi1.73Hgの生成を確認することが難しくなる。
すなわち、発明者らは、実験1の結果から、チタンと水銀との反応の進行を制御することにより水銀放出体100を作製することを見出した。
(実験2)
次に発明者らは、水銀放出体100が従来の水銀放出体よりも水銀放出効率が向上していることを確認するために、水銀放出量を測定する実験を行った。
実験には、実施例として、水銀放出部の径が1[mm]、焼結体部の外径が1.4[mm]、長さが3[mm]で、6[mg]の水銀を含んだ水銀放出体100を用いた。具体的には、金属間化合物が、水銀放出部の水銀量に対して20[wt%]の水銀量を有するTi1.73Hgを含むものを実施例1とし、同じく水銀放出部の水銀量に対して40[wt%]の水銀量を有するTi1.73Hgが含まれるものを実施例2とし、同じく水銀放出部の水銀量に対して60[wt%]の水銀量を有するTi1.73Hgが含まれるものを実施例3とし、同じく水銀放出部の水銀量に対して90[wt%]の水銀量を有するTi1.73Hgが含まれるものを実施例4とした。
また、比較例として、上記実施例1〜4と同じサイズで同量の水銀を含み、金属間化合物がTi3Hgで形成され、Ti1.73Hgが含まれていないものを用いた。なお、実施例および比較例は、水銀の反応時間が一定の状態で、温度を変化させることにより作製した。
水銀放出部に含まれる金属間化合物中のTi1.73Hgの割合は、以下の方法により特定した。
(1)水銀放出体を王水に浸漬させる。これにより、水銀放出体のうち金属間化合物であるTi1.73HgおよびTi3Hgが王水に溶け出す。この際、水銀放出体に単体のチタン(Ti)が残存した場合は残渣として残る。
(2)王水に溶け出したチタンおよび水銀の量を株式会社島津製作所製のICP発光分析装置(ICPS−8000)により定量することで金属間化合物中のチタンと水銀の比率を求め、Ti1.73HgおよびTi3Hgの比率計算から金属化合物中のTi1.73Hgの割合を特定した。
なお、水銀放出体に単体Hg、TiHgが含まれる可能性がある場合には、王水に浸漬させる前に硝酸に浸漬し、単体Hg、TiHgを溶解し定量を行う。このとき、Ti1.73HgおよびTi3Hgは硝酸には溶解しない。
実験では、それぞれ試料を10[個]ずつ作製した。実験は、各試料を一つずつ同じ加熱速度で加熱し、その水銀放出量(水銀放出体の重量の減少量)をリガク株式会社製の熱天秤分析装置(TG8101D)により無酸素雰囲気で測定し、水銀含有量(6[mg])に対する水銀放出効率を算出し、各試料において10[個]の平均値を求めた。各試料の加熱温度による水銀放出率の変化を図7にそれぞれ示す。
図7に示すように、いずれの水銀放出体も加熱温度が400[℃]を越え500[℃]付近で水銀が放出され始めているが、加熱温度が800[℃]における水銀放出率については大きく異なる結果となった。
すなわち、金属間化合物にTi1.73Hgが含まれている(図中の実施例1〜4である。)ことによって、加熱温度が800[℃]において、従来のTi3Hgで形成された水銀放出体(図中の比較例である。)よりも水銀放出効率が向上することが確認できる。また、金属間化合物におけるTi1.73Hgの割合が増加するに従い、水銀放出体の水銀放出効率が向上することが確認できる。つまり、水銀放出部に存在する金属間化合物にTi1.73Hgを含む場合、従来の水銀放出体よりも水銀放出効率を向上させることができる。
さらに、金属間化合物は、水銀放出部の水銀量に対して40[wt%]以上100[wt%]以下の範囲内の水銀量を有するTi1.73Hgを含むこと(図中の実施例2〜4である。)が好ましい。この場合、加熱温度800[℃]において、従来の水銀放出体に比べて約6[倍]の量の水銀を放出させることができる。
さらに、水銀放出部の水銀量に対して60[wt%]以上100[wt%]以下の範囲内の水銀量を有するTi1.73Hgを含むこと(図中の実施例3,4である。)がより好ましい。この場合、800[℃]で含有水銀量の50%以上の水銀を放出することができる。
なお、金属間化合物の全てをTi1.73Hgとするのは、製造上難しい。これは、図6に示すとおり、金属間化合物の製造過程で時間とともに減少するTiHgと増加するTi3Hgとの関係で、これらTiHg、Ti3Hgの生成を0[%]にすることは困難であるためである。よって、金属間化合物は、水銀放出部の水銀量に対して90[wt%]以下の範囲の水銀量を有するTi1.73Hgを含むことがより好ましいが、金属間化合物の全てをTi1.73Hgとすることができれば、水銀放出部の水銀量に対して100[wt%]以下の範囲の水銀量を有するTi1.73Hgを含むことが好ましいのは言うまでもない。
また、金属間化合物は、Ti1.73Hgを除く残部がTi3Hgであることが好ましい。
この場合、金属間化合物はTi3Hgを含むこととなり、室温で分解するTiHgが生成するのを実質的(実測できない程度)に抑制することができ、100[℃]等の低い温度で水銀が放出されるのを防止することができる(これは、図7の比較例の金属間化合物がTi3Hgでできていることからも推測できる。)。
次に、本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の製造方法について説明する。その製造工程の工程図を図8に示す。
図8に示すように、まず、原料粉末を準備する。具体的には、水銀放出部101の材料となる例えばチタンの粉や焼結体部102の材料となる例えば鉄の粉である。
(混合・混練工程)
次に、チタン粉および鉄粉をそれぞれ別々にバインダや種々の添加剤、水を加えて混合し、十分に混練する。バインダは、例えばメチルセルロースである。これにより、チタン坏土および鉄坏土を作製する。
(押出し成形工程)
次に、チタン坏土と鉄坏土とをそれぞれ第1、第2の押出し成形機(図示せず)に投入する。この第2の押出し成形機には同軸2層押出し用のダイスが設置されている。そして、第1の押出し成形機から棒状のチタン成形体を導出し、そのチタン成形体を第2の押出し成形機のダイス部分に導入して外側に鉄坏土が積層された同軸構造の円柱体状の成形体を連続的に形成する。その後、この成形体を所定の硬さになるまで乾燥させる。なお、成形方法は、押出し成形に限らず、プレス成形や、チタン坏土を棒状に成形した後にスラリー化した鉄中にディップさせる等の方法を用いることができる。
(カット工程)
次に、成形体を所定の長さでカットする。このカットする長さによって、水銀放出体100中の水銀含有量を所望の量に調節することができる。なお、水銀放出体100の水銀含有量は、これ以外にもチタン坏土のバインダ量、水銀放出部101の外径、焼成工程における焼成温度等を変化させることで調節することができる。
(焼結工程)
次に、成形体をアルゴン雰囲気中で、例えば500[℃]で加熱し、成形体内のバインダを取り除く。そして、真空雰囲気中で、例えば900[℃]で焼結し、焼結体を作製する。
(水銀反応工程)
その後、焼結体と水銀を加熱容器に投入し、加熱容器を真空ポンプを用いて真空状態として、500[℃]〜600[℃]程度の温度で長時間、例えば4[h]〜16[h]程度加熱して、焼結体を構成しているチタンと加熱容器内の水銀とを合金化させて水銀放出部101を形成する。この際、水銀放出部101には、Ti1.73Hgが生成される。
そして、鉄は水銀と合金を形成しないため、鉄の焼結体内には水銀は残らず、チタンの焼結体内でチタンと水銀との合金(本発明の「金属間化合物」である)が形成され、水銀放出体100が完成される。
上記のとおり、本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体100の構成によれば、水銀放出効率を向上させ、かつ水銀を十分に放出させるのに長時間でかつ高温で加熱し続ける必要がないので低圧放電ランプの製造に用いた際、ガラス管の破損を防止することができる。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る水銀放出体について、以下に説明する。本発明の第2の実施形態に係る水銀放出体の斜視図を図9に示す。
第1の実施形態に係る水銀放出体100では、その水銀放出部101が金属の焼結体部102により覆われていたが、本発明の第2の実施形態に係る水銀放出体200(以下、「水銀放出体200」という)は、水銀放出部が、少なくとも一部に開口部201を有する容器202の内部に格納されている点を除いて本発明の第1の実施形態と実質的に同じ構成を有する。
容器202は、例えば鉄製の円筒形状で、外径が1.4[mm]、内径が1[mm]、高さが3[mm]である。容器202は、円筒形状であるため、その両端部に開口部201を有する。水銀放出体200は、加熱されることにより、水銀放出部101から開口部201を介して水銀を放出することができる。
容器202の材料は、鉄に限らず、磁性体であることが好ましい。この場合、水銀放出体200を放電ランプの製造に使用する際、ガラス管内に水銀放出体を挿入した後に、水銀放出体200の配置位置を磁力により調節することができるという効果がある。
磁性体である金属としては、例えば鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)等を選択することができる。それらの中でも、化学的性質や工業的な生産性(コスト等)を考慮すると、鉄(Fe)およびニッケル(Ni)のうち少なくとも1種以上であることが好ましい。
なお、容器202を構成する金属は、鉄のみまたはニッケルのみの一種類の金属に限らず、例えば、鉄とニッケルの混合物を用いることも可能であるし、あるいは、ニッケルメッキされた鉄を用いることもできる。鉄にニッケルメッキを施した金属は、鉄の酸化防止(腐食防止)の効果を奏し得る。
容器202の形状は、円筒形状に限らず、例えば図10に示すような台形筒状のように多面体形状であってもよい。この場合、水銀放出体203を低圧放電ランプの製造に使用する場合、ガラス管に挿入された際、ガラス管との接触面積を小さくすることができるため、水銀放出体203の熱によって、ガラス管が破損することを防止することができる。
また、図10に示すように、容器204の側面にスリット205が設けられていてもよい。この場合、スリット205を介して容器内部の水銀放出部101から水銀を放出することができるため、水銀の放出効率を向上させることができる。この場合の容器の開口部とは、容器の両端部の開口部206だけでなくスリット205も含むものである。
次に、本発明の第2の実施形態に係る水銀放出体200の製造方法について説明する。
(水銀合金粉作製工程)
まず、原料粉末を準備する。具体的には、水銀放出部101の材料となる水銀合金粉(例えば、チタンと水銀との合金粉)を用意する。
(成形工程)
次に、その合金粉から水銀放出部101を圧縮成型などによって成形し、本実施形態では円柱形状の水銀放出部101を作製する。
(容器挿入工程)
その後、その水銀放出部101を容器202,204に配する。具体的には、鉄(Fe)またはニッケル(Ni)からなる板材を、円柱形状の水銀放出部101に巻き付けることによって容器202,204を形成すると共に、同時に水銀放出部101が容器内に配されたこととなり、水銀放出体200,203を作製することができる。
また、筒形状(例えば、円筒形状)に成形された容器202に、水銀放出部101を挿入して、水銀放出体200を作製することも可能である。
上記のとおり、本発明の第2の実施形態に係る水銀放出体200、203の構成によれば、アマルガム成分を変えることで,従来のものに対して水銀放出効率を向上させ、かつ水銀を十分に放出させるのに長時間でかつ高温で加熱し続ける必要がないので低圧放電ランプの製造に用いた際、ガラス管の破損を防止することができる。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る水銀放出体について、以下に説明する。本発明の第3の実施形態に係る水銀放出体の斜視図を図11に示す。
本発明の第3の実施形態に係る水銀放出体300(以下、「水銀放出体300」という)は、焼結体部102や容器202,204がなく、水銀放出部101のみから構成されている点を除いて、本発明の第1および第2の実施形態に係る水銀放出体と実質的に同じ構成を有する。
水銀放出体300は、円柱形状の水銀放出部で構成されている。水銀放出体300の大きさは、例えば径が1.4[mm]で、長さが3[mm]である。
なお、水銀放出体300の形状は、円柱形状に限られない。例えば、球形状、多面体形状等であってもよい。
また、水銀放出部101は、磁性体を含んでいてもよい。この場合、水銀放出体300を低圧放電ランプの製造に使用する際、ガラス管内に水銀放出体300を挿入した後に、水銀放出体300の配置位置を磁力により調節することができるという効果がある。磁性体である金属としては、例えば鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)等を選択することができる。それらの中でも、化学的性質や工業的な生産性(コスト等)を考慮すると、鉄(Fe)およびニッケル(Ni)のうち少なくとも1種以上であることが好ましい。
次に、本発明の第3の実施形態に係る水銀放出体300の製造方法について説明する。まず、原料粉末を準備する。具体的には、水銀放出部101の材料となる例えばチタンの粉である。
(混合・混練工程)
次に、チタン粉にバインダや種々の添加剤、水を加えて混合し、十分に混練する。バインダは、例えばメチルセルロースである。これにより、チタン坏土を作製する。
(成形工程)
次に、チタン坏土を押出し成形機(図示せず)に投入する。そして、押出し成形機から棒状のチタン成形体を導出し、その後、この成形体を所定の硬さになるまで乾燥させる。なお、成形方法は、押出し成形に限らず、プレス成形等の方法を用いることができる。
(カット工程)
次に、成形体を所定の長さでカットする。このカットする長さによって、水銀放出体300中の水銀含有量を所望の量に調節することができる。なお、水銀放出体300の水銀含有量は、これ以外にもチタン坏土のバインダ量、水銀放出部101の外径、焼成工程における焼成温度等を変化させることで調節することができる。
また、成形工程において、プレス成形等により、完成品1個分の大きさに成形されている場合は、カット工程を省略してもよい。
(焼結工程)
次に、成形体をアルゴン雰囲気中で、例えば500[℃]で加熱し、成形体内のバインダを取り除く。そして、真空雰囲気中で、例えば900[℃]で焼結し、焼結体を作製する。
(水銀反応工程)
その後、焼結体と水銀を加熱容器に投入し、加熱容器を真空ポンプを用いて真空状態として、500[℃]〜600[℃]程度の温度で長時間、例えば4[h]〜16[h]程度加熱して、チタンと水銀とを合金化させる。
この際、チタンの焼結体内でチタンと水銀との合金が形成され、水銀放出体300が完成される。
上記のとおり、本発明の第3の実施形態に係る水銀放出体300によれば、当該水銀放出体300にTi1.73Hgが含まれるので、水銀放出効率を向上させ、かつ水銀を十分に放出させるのに長時間でかつ高温で加熱し続ける必要がないので低圧放電ランプの製造に用いた際、ガラス管の破損を防止することができる。
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態に係る低圧放電ランプの製造方法は、製造工程の途中で水銀放出体が取り出され、完成ランプには水銀放出体が無い低圧放電ランプについての製造方法である。
本発明の第4の実施形態に係る低圧放電ランプの製造方法は、本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体をガラス管の内部に挿入する工程と、前記水銀放出体を加熱する工程とを含むものである。
以下、その製造工程の工程A〜工程Gまでの概略図を図12に、工程H〜工程Jまでの概略図を図13にそれぞれ示す。
(工程A)
まず、準備した直管状のガラス管400を垂下させてその下端部をタンク401内の蛍光体懸濁液402に浸す。この蛍光体懸濁液402には、例えば青色、赤色、緑色の蛍光体粒子が含まれている。ガラス管400内を負圧にすることで、タンク401内の蛍光体懸濁液402を吸い上げ、ガラス管400内面に蛍光体懸濁液を塗布する。
この吸い上げは光学的センサ403により液面を検出することで、液面がガラス管400の所定高さになるように設定される。このときの液面高さの誤差は、蛍光体懸濁液402の粘度や液面の表面張力等の影響を受けるため比較的大きく、±0.5[mm]程度の誤差が生じる。
(工程B)
次に、負圧状態から大気圧状態に開放し、その後ガラス管400の下端部を蛍光体懸濁液402から引き上げ、ガラス管400内部の余分な蛍光体懸濁液402を外部に排出する。これにより、ガラス管400の内周の所定領域に蛍光体懸濁液が膜状に塗布される。
続いて、ガラス管400内に塗布された蛍光体懸濁液402を乾燥させた後に、ガラス管400内面にブラシ等404を挿入して、ガラス管400端部の不要な蛍光体部分を除去する。
続いて、ガラス管400を不図示の加熱炉内に移送し、ガラス管400内面に付着する蛍光体粒子の焼成を行い、蛍光体層405を得る。
(工程C)
その後、蛍光体層405が形成されたガラス管400の一端部に、電極406、ビードガラス407およびリード線408を含む電極ユニット409を挿入した後、仮止めを行う。仮止めとは、ビードガラス407が位置するガラス管400の外周部分をバーナー410で加熱して、ビードガラス407の外周の一部をガラス管400内周面に固着することをいう。ビードガラス407の外周の一部しか固着しないので、ガラス管400の管軸方向の通気性は維持される。なお、電極40は所謂冷陰極型のものである。
(工程D)
次に、ガラス管400の上下を逆さにして先ほどの電極ユニット409を挿入した側とは反対側からガラス管400に、電極ユニット409と実質的に同じ構成の電極411、ビードガラス412およびリード線413を含む電極ユニット414を挿入した後、ビードガラス412が位置するガラス管400の外周部分をバーナー415で加熱し、ガラス管400を封着して気密封止(第1封止)する。また、第1封止における封止位置の設定値から誤差は約0.5[mm]程度である。
なお、工程Cにおける電極ユニット409の挿入位置および工程Dにおける電極ユニット414の挿入は、ガラス管の両端部封止後のガラス管の両端部からそれぞれ延びる蛍光体層405の不存在領域の長さが異なるような位置になるようにその挿入量を調整されることが好ましい。
この場合、他端部側の電極ユニット414は、一端部側の電極ユニット409と比べて、蛍光体層405に重なる位置より奥にまで挿入されることとなる。このような構成を好適とする理由は次のとおりである。
すなわち、ランプの一端部と他端部とでは、蛍光体層405の厚みに差異が生じていることが多く、複数本のランプを同じ方向にしてバックライトユニット等の照明装置に組み込むと、照明装置全体として輝度むらが生じることとなる。これを防止するために、例えばランプの一端部と他端部とを交互になるように照明装置に組み込むことが考えられる。その際、ランプの一端部と他端部とをセンサ等を用いて自動的に容易に識別することができるからである。センサとして200万[画素]の画像センサを用いれば、1[画素]を0.1[mm]に設定することが可能であるため、0.1[mm]単位での測定精度を実現できる。
これらの事情を考慮すれば、ガラス管の一端部側と他端部側とで、蛍光体層405の不存在領域の長さの差が少なくとも2[mm]以上あれば、確実にセンサを用いて長手方向の向きを識別することができる。
なお、ガラス管の一端部側と他端部側とで、蛍光体層405の不存在領域の長さの差が少なくとも3[mm]以上であれば、より確実にセンサを用いて長手方向の向きを識別することができる。この場合、画像センサは、0.5[mm]単位での測定精度のもので構わない。また、長さの差の上限値は例えば8[mm]程度である。8[mm]より大きくすると、発光に寄与しない蛍光体層405の不存在領域が長くなり、有効発光長が確保しにくくなるからである。
(工程E)
続いて、ガラス管400のうち、電極ユニット409とこの電極ユニット409に近い方のガラス管400の端部との間の一部をバーナー416で加熱して縮径させ、くびれ部分400aを形成する。その後、本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体100をガラス管400内に当該端部から投入し、くびれ部分400aに引っかけておく(水銀放出体100をガラス管400の内部に挿入する工程)。
(工程F)
続いて、ガラス管400内の排気とガラス管400内への封入ガスの充填を順次行う。具体的には、給排気装置(図示せず)のヘッドをガラス管400の水銀放出体100側端部に装着し、先ず、ガラス管400内を排気して真空にすると共に、加熱装置(図示せず)によってガラス管400全体を外周から加熱する。これによって、ガラス管の温度が400[℃]程度となり、蛍光体膜405に潜入している不純ガスを含めガラス管400内の不純ガスが排出される。加熱を止めた後、所定量の封入ガス(例えばアルゴン:95[%]、ネオン:5[%]の分圧比の混合ガスのような混合希ガス等)が充填される。
(工程G)
封入ガスが充填されると、ガラス管400の水銀放出体100側端部をバーナー417で加熱して封止する。
(工程H)
続いて、図13に示す工程Hでは、水銀放出体100をガラス管400周囲に配された高周波発振コイル(図示せず)によって誘導加熱して水銀放出体100から水銀を放出させる(水銀放出体100を加熱する工程)。なお、水銀放出体100の加熱方法は、例えばガスバーナーでの加熱や光加熱のような種々の公知の方法を用いることができる。その後、ガラス管400を加熱炉418内で加熱して、放出させた水銀を電極ユニット414の電極411の方へ移動させる。
(工程I)
次に、ビードガラス407が位置するガラス管400外周部分をバーナー419で加熱して、ガラス管400を封着して気密封止する。この一端部の封止位置の設定値からの誤差は、他端部と同様に±0.5[mm]程度である。
(工程J)
続いて、ガラス管400のうち、前記一端部の封止部分よりも水銀放出体100側の端部部分を切り離す。
これで低圧放電ランプが完成する。
上記のとおり、本発明の第4の実施形態に係る低圧放電ランプの製造方法の構成によれば、第1の実施形態で説明した水銀放出体100を用いているため、水銀を十分に放出させるのに長時間でかつ高温で加熱し続ける必要がなく、低圧放電ランプの製造に用いた際、ガラス管の破損を防止することができる。
また、水銀の放出効率のよい水銀放出体100を用いているので、水銀放出体100に含有させる水銀量を削減することができ、言い換えればランプに対する水銀の使用量を削減することができ、環境への負荷を低減することができる。
なお、本実施形態においては、本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体100を用いる場合について説明したが、この他にも本発明の第2の実施形態に係る水銀放出体200、203、本発明の第3の実施形態に係る水銀放出体300および後述する変形例に係る他の水銀放出体も用いることができる。
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態に係る低圧放電ランプ500(以下、単に「ランプ500」という)の管軸を含む断面図を図14(a)に、A部の拡大断面図を図14(b)にそれぞれ示す。図14(a)に示すように、ランプ500は、冷陰極蛍光ランプであり、本発明の第4の実施形態に係る低圧放電ランプの製造方法により製造される低圧放電ランプとは異なり、ランプ500内部に水銀放出体501が残っているものである。
ランプ500は、ガラス管502、電極503およびリード線504で構成されている。ガラス管502は、直管状であり、その管軸に対して垂直に切った断面が略円形状である。このガラス管502は、例えば外径が3.0[mm]、内径が2.0[mm]、全長が750[mm]であって、その材料はホウ珪酸ガラスである。以下に示すランプ500の寸法は、外径が3.0[mm]、内径が2.0[mm]のガラス管502の寸法に対応する値である。
なお、冷陰極蛍光ランプである場合には、内径が1.4[mm]〜7.0[mm]、肉厚が0.2[mm]〜0.6[mm]の範囲であって、全長が1500[mm]以下であることが好ましい。これらの値は一例でありこれらに限定されるものではない。
ガラス管502の内部には、水銀がガラス管502の容積(端部を密閉した状態での容積である。)に対して所定の比率、例えば、0.6[mg/cc]で封入され、またアルゴンやネオン等の希ガスが所定の封入圧、例えば60[Torr]で封入されている。
なお、上記希ガスとしては、アルゴンとネオン(Ar=5[%]、Ne=95[%])の分圧比の混合ガスが用いられているが、本発明は、これらの混合ガスの種類および分圧比に限定されない。
また、ガラス管502の内面には蛍光体層505が形成されている。蛍光体層505に用いる蛍光体粒子は、例えば、赤色蛍光体粒子(Y23:Eu3+)、緑色蛍光体粒子(LaPO4:Ce3+,Tb3+)および青色蛍光体粒子(BaMg2Al1627:Eu2+)からなる蛍光体で形成されている。
また、ガラス管502の内面と蛍光体層505との間には例えば酸化イットリウム(Y23)等の金属酸化物の保護膜(図示せず)を設けてもよい。
さらに、ガラス管502の両端部からはリード線504が外部へ向けて導出されている。リード線504は、ビードガラス506を介してガラス管502の両端部に封着されたものである。
このリード線504は、例えば、タングステンからなる内部リード線504aと、ニッケルからなる外部リード線504bとからなる継線である。内部リード線504aの線径は1[mm]、全長は3[mm]で、外部リード線504bの線径は0.8[mm]、全長は5[mm]である。
内部リード線504aの先端部にはホロー型、例えば有底筒状の電極503が固着されている。この固着は、例えばレーザ溶接を利用して行う。
電極503の各部の寸法は、例えば電極長が5[mm]、外径が1.70[mm]、内径が1.50[mm]、肉厚が0.10[mm]である。
図14(b)に示すように、少なくとも一方の内部リード線504aの電極503とビードガラス506との間には、水銀放出体501が固定されている。水銀放出体501は、本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体100に内部リード線を通すための貫通孔501aが形成されたものである。なお、水銀放出体501は、リード線504ではなく、電極503に固定されていてもよい。
上記のとおり、本発明の第5の実施形態に係る低圧放電ランプの構成によれば、水銀の放出効率がよい水銀放出体501を用いているので、水銀放出体501に含有させる水銀量を削減することができ、言い換えればランプ1本に対する水銀の使用量を削減することができ、環境への負荷を低減することができる。
(第6の実施形態)
本発明の第6の実施形態に係る低圧放電ランプ(以下、単に「ランプ600」という)の管軸を含む断面図を図15(a)に、B部の拡大断面図を図15(b)にそれぞれ示す。図14(a)に示すように、ランプ600は、熱陰極蛍光ランプであり、本発明の第4の実施形態に係る低圧放電ランプの製造方法により製造される低圧放電ランプとは異なり、ランプ600内部に水銀放出体501が残っているものである。
ランプ600は、熱陰極蛍光ランプであり、ガラス管601と電極マウント602とで構成されている。
ガラス管601は、例えば全長は1010[mm]、外径が18[mm]、肉厚が0.8[mm]であり、その両端には電極マウント602が封着されている。
ガラス管601の内面には、蛍光体層505が形成されおり、ガラス管601の内部には、水銀(例えば4[mg]〜10[mg])が封入されている他、緩衝ガスとしてアルゴン(Ar)およびクリプトン(Kr)の混合ガス(例えば、Arが50[%]、Krが50[%]の分圧比の混合ガス)が例えば600[Pa]の封入ガス圧で封入されている。
図15(a)に示すように、電極マウント602は所謂ビーズガラスマウントであり、タングステン製のフィラメント電極603と、このフィラメント電極603を架持する一対のリード線604と、この一対のリード線604を固定支持するビードガラス605とからなる。なお、フィラメント電極603は、所謂熱陰極型のものである。
図15(b)に示すように、少なくとも一方の電極マウント602のリード線604には、水銀放出体501が固定されている。ただし、ここで用いる水銀放出体501の貫通孔501aは、リード線604の線径に合わせたものである。
電極マウント602のうちのガラス管601の端部に封着されるのは、リード線604の一部分であり、具体的には、ビードガラス605からフィラメント電極603と反対側に延出している部分である。なお、電極マウント602のガラス管601への封着は、例えばピンチシール法により行われている。
なお、ガラス管601の少なくとも一方の端部には、排気管残部606が電極マウント602と共に取着されている。この排気管残部606は、電極マウント602を封着した後に、ガラス管601内を排気したり、上記封入ガス等を封入したりするときに使用され、ガラス管601の内部への封入ガス等の封入が完了すると、排気管残部606のうちガラス管601の外部に位置する部分で、例えばチップオフ封止される。
上記のとおり、本発明の第6の実施形態に係る低圧放電ランプ600の構成によれば、水銀の放出効率がよい水銀放出体501を用いているので、水銀放出体501に含有させる水銀量を削減することができ、言い換えればランプ1本に対する水銀の使用量を削減することができ、環境への負荷を低減することができる。
(第7の実施形態)
本発明の第7の実施形態に係る照明装置700の分解斜視図を図16に示す。本発明の第7の実施形態に係る照明装置700は直下方式のバックライトユニットであり、一つの面が開口した直方体状の筐体701と、この筐体701の内部に収納された複数のランプ500と、ランプ500を点灯回路(図示せず)に電気的に接続するための一対のソケット702と、筐体701の開口部を覆う光学シート類703とを備えている。なお、ランプ500は、本発明の第5の実施形態に係る低圧放電ランプ500である。
筐体701は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂製であって、その内面に銀などの金属が蒸着されて反射面704が形成されている。なお、筐体701の材料としては、樹脂以外の材料、例えば、アルミニウムや冷間圧延材(例えばSPCC)等の金属材料により構成してもよい。
また、内面の反射面704として、金属蒸着膜以外、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂に炭酸カルシウム、二酸化チタン等を添加することにより反射率を高めた反射シートを筐体701に貼付けてもよい。
筐体701の内部には、ソケット702以外に、例えば、絶縁体705およびカバー706が配置されている。具体的に、ソケット702は、ランプ500の配置に対応して筐体701の短手方向(縦方向)に各々所定間隔を空けて設けられている。ソケット702は、例えばステンレスやりん青銅からなる板材を加工したものであって、外部リード線504bが嵌め込まれる嵌込部702aを有している。そして、外部リード線504bを嵌込部702aを押し拡げるように弾性変形させて嵌め込む。その結果、嵌込部702aに嵌め込まれた外部リード線504bは、嵌込部702aの復元力によって押圧され、外れにくくなる。これにより、外部リード線504bを嵌込部702aへ容易に嵌め込むことができつつ、外れにくくすることができる。
ソケット702は、互いに隣り合うソケット702同士で短絡しないように絶縁体705で覆われている。絶縁体705は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂で構成されている。なお、絶縁体705は、上記の構成に限定されない。ソケット702はランプ500の動作中に比較的高温となる内部の電極503の近傍にあることから絶縁体705は耐熱性のある材料で構成することが好ましい。耐熱性のある絶縁体705の材料としては、例えば、ポリカーボネート(PC)樹脂やシリコンゴム等を適用することができる。
筐体701の内部には、必要に応じた場所にランプホルダ707を設けてもよい。筐体701内側でのランプ500の位置を固定するランプホルダ707は、例えば、ポリカーボネート(PC)樹脂であり、ランプ500の外面形状に沿うような形状を有している。「必要に応じた場所」とは、ランプ500の長手方向の中央部付近のように、ランプ500が例えば全長600[mm]を越えるような長尺のものである場合に、ランプ500のたわみを解消するために必要な場所である。
カバー706は、ソケット702と筐体701の内側の空間とを仕切るものであり、例えばポリカーボネート(PC)樹脂で構成し、ソケット702の周辺を保温するとともに、少なくとも筐体701側の表面を高反射性とすることにより、ランプ500の端部の輝度低下を軽減することができる。
筐体701の開口部は、透光性の光学シート類703で覆われており、内部にちりや埃などの異物が入り込まないように密閉されている。光学シート類703は、拡散板708、拡散シート709およびレンズシート710を積層してなる。
拡散板708は、例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂製の板状体であって、筐体701の開口部を塞ぐように配置されている。拡散シート709は、例えばポリエステル樹脂製である。レンズシート710は、例えばアクリル系樹脂とポリエステル樹脂の貼り合せである。これらの光学シート類703は、それぞれ拡散板708に順次重ね合わせるようにして配置されている。
上記のとおり、本発明の第7の実施形態に係る照明装置700の構成によれば、水銀使用量の少ないランプを用いているので、環境負荷の小さい照明装置を実現することができる。
(第8の実施形態)
本発明の第8の実施形態に係る照明装置の一部切欠斜視図を図17に示す。本発明の第8の実施形態に係る照明装置800(以下、「照明装置800」という)は、エッジライト方式のバックライトユニットで、反射板801、ランプ500、ソケット(図示せず)、導光板802、拡散シート803およびプリズムシート804から構成されている。
反射板801は、液晶パネル側(矢印Q)を除く導光板802の周囲の面を囲むように配置されており、導光板802の底面を覆う底面部801bと、ランプ500の配置されている側を除く側面を覆う側面部801aと、ランプ500の周囲を覆う曲面状のランプ側面部801cとで構成されており、ランプから照射される光を導光板802から液晶パネル(図示せず)側(矢印Q)に反射させる。また、反射板801は、例えばフィルム状のPETに銀を蒸着したものやアルミ等の金属箔を積層したもの等からなる。
ソケットは、本発明の第7の実施形態に係る照明装置700に用いられるソケット702と実質的に同じ構成を有している。なお、図17において、図示の便宜上により、ランプ500の端部については省略している。
導光板802は、反射板801により反射された光を液晶パネル側に導くためのものであって、例えば透光性プラスチックからなり、照明装置800の底面に設けられた反射板801の底面部801bの上に積層されている。なお、材料としては、ポリカーボネート(PC)樹脂やシクロオレフィン系樹脂(COP)を適用することができる。
拡散シート803は、視野拡大のためのものであって、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂やポリエステル樹脂製の拡散透過機能を有するフィルムからなり、導光板802の上に積層されている。
プリズムシート804は、輝度を向上させるためのものであって、例えばアクリル系樹脂とポリエステル樹脂とを貼り合せたシートからなり、拡散シート803の上に積層されている。なお、プリズムシート804の上にさらに拡散板が積層されていてもよい。
なお、本実施形態の場合には、ランプ500の周方向における一部分(照明装置800に挿入した場合における導光板802側)を除き、ガラス管502の外面に反射シート(図示せず)を設けたアパーチャ型のランプであってもよい。
上記のとおり、本発明の第8の実施形態に係る照明装置800の構成によれば、水銀使用量の少ないランプを用いているので、環境負荷の小さい照明装置を実現することができる。
(第9の実施形態)
本発明の第9の実施形態に係る照明装置の正面図を図18(a)に、図18(a)のA−A´線で切った断面図を図18(b)にそれぞれ示す。本発明の第9の実施形態に係る照明装置900(以下、「照明装置900」という)は、一般照明用の環状蛍光ランプを使用した照明器具である。
照明装置900は、本体部901、盤状部902、ランプホルダ903、ソケット904、ランプ905で構成されている。
本体部901は、その内部に点灯回路(図示せず)等を収納し、例えばその上部から電気接続部(図示せず)が導出しており、例えばその側面部からランプ905の口金906と電気的に接続するためのソケット904が導出している。
盤状部902は、本体部901、ランプホルダ903を支持する部材であり、例えば円盤状の形状を有している。
ランプホルダ903は、盤状部902の下面に取付けられており、その下端に設けられた例えばC字状の挟持片によりランプ905を保持し、ランプ905の落下を防止することができる。
ランプ905は、環状の熱陰極蛍光ランプであり、形状が環状であることと口金906がランプ905の中間部に位置していることを除いては第6の実施形態に係る低圧放電ランプ600と実質的に同じ構成を有している。
上記のとおり、本発明の第9の実施形態に係る照明装置900の構成によれば、水銀使用量の少ないランプを用いているので、環境負荷の小さい照明装置を実現することができる。
(第10の実施形態)
本発明の第10の実施形態に係る液晶表示装置の概要を図19に示す。図19に示すように液晶表示装置1000は、例えば32[inch]テレビであり、液晶パネル等を含む液晶画面ユニット1001と本発明の第7の実施形態に係る照明装置700と点灯回路1002とを備える。
液晶画面ユニット1001は、公知のものであって、液晶パネル(カラーフィルター基板、液晶、TFT基板等)(図示せず)、駆動モジュール等(図示せず)を備え、外部からの画像信号に基づいてカラー画像を形成する。
点灯回路1002は、照明装置700内部のランプ500を点灯させる。そして、ランプ500は、点灯周波数40[kHz]〜100[kHz]、ランプ電流3.0[mA]〜25[mA]で動作される。
なお、図19では、液晶表示装置1000の光源装置として本発明の第7の実施形態に係る照明装置700に第5の実施形態に係る低圧放電ランプ500を挿入した場合について説明したが、これに限らず、本発明の第6の実施形態に係る低圧放電ランプ600を適用することもできる。また、照明装置についても、本発明の第8の実施形態に係る照明装置800も用いることができる。
上記のとおり、本発明の第10の実施形態に係る液晶表示装置の構成によれば、水銀使用量の少ないランプを用いているので、環境負荷の小さい液晶表示装置を実現することができる。
(変形例)
以上、本発明を上記した各実施形態に示した具体例に基づいて説明したが、本発明の内容が各実施形態に示した具体例に限定されないことは勿論であり、例えば、以下のような変形例を用いることができる。
1.水銀放出体の変形例
(1)変形例1
本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の変形例1の斜視図を図20、その正面図を図21(a)に、その平面図を図21(b)にそれぞれ示す。本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の変形例1(以下、単に「水銀放出体104」という)は、本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体100とは、その外形形状が異なる。よって、その形状について詳細に説明し、その他の点については省略する。
水銀放出体104は、端部がテーパー形状となっている。具体的には、水銀放出体104の焼結体部105の端部がテーパー形状105aとなっている。
水銀放出体104は、その端部がテーパー形状となっていることで、移送する際、他の水銀放出体と衝突して毀損するのを防止することができる。また、水銀放出体104の端部がテーパー形状となっていることで、細管の低圧放電ランプを作製する際、ガラス管への水銀放出体104の投入を容易に行うことができる。なお、水銀放出体104の一端部のみがテーパー形状となっていてもよい。
(2)変形例2
本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の変形例2の斜視図を図22に、その正面図を図23(a)に、その平面図を図23(b)にそれぞれ示す。本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の変形例2(以下、単に「水銀放出体106」という)は、本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体100とは、その水銀放出部107の形状が異なる。よって、その形状について詳細に説明し、その他の点については省略する。
水銀放出体106は、水銀放出部107の例えば中心軸を含むその軸方向に貫通孔107aが形成された筒状となっている。
水銀放出体106は、筒状となっていることで、水銀がその内面と焼結体部102側の両側から放出され、水銀の放出効率をより向上させることができる。なお、水銀放出体106の内面にさらに焼結体部が形成されていてもよい。この場合、高周波加熱する際、高周波加熱の渦電流が水銀放出体106の内面にも達し、水銀放出部107の加熱効率を高めて水銀の放出効率をより向上させることができる。
また、図22および図23に示す、水銀放出体は、円筒形状となっているが、これに限らず、多角形の筒形状等であってもよい。
ところで、貫通孔107aの直径Dhの、水銀放出部107の外径Diに対する比率は、5[%]以上60[%]以下の範囲内であることが好ましい。この場合、Dhが小さすぎると放出効率がさほど上がらず、また大きすぎると所定の水銀含有量が得られず、かつ加熱効率も低下するためである。
(3)変形例3
本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の変形例3の斜視図を図24に示す。本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の変形例3(以下、「水銀放出体110」という)は、本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体100とは、その形状が異なる。よって、その形状について詳細に説明し、その他の点については省略する。
水銀放出体110は、平板状である。具体的には、水銀放出体110は、平板状の水銀放出部111が平板状の焼結体部112に挟み込まれている。この場合、水銀放出部111が二つの焼結体部112で両挟みされたものであるため、水銀放出部111の加熱効率が高まり、水銀放出効率をより向上させることができる。また、シート工法により、プレス成形加工で作製することができるため、製造工程をより簡易化することができる。ただし、図24に示した構成(平板状の構成)以外の他の構成を採用することも可能である。例えば、図25に示す水銀放出体113は、図24に示した平板状の構成を屈曲させて略円筒形状にしたものである。あるいは、図26に示した水銀放出体114のように、水銀放出部111の端面が焼結体部112で覆われた構成にすることも可能である。図26に示した構成の場合、水銀放出部111の端面が焼結体部112で覆われており、表面と裏面が連続していることから、渦電流の効率を向上させることができるという効果を奏し得る。
なお、水銀放出部111が焼結体部112によって覆われているのであれば、水銀放出体の一部(上記焼結体部の一部)にスリットを設けることも可能である。図25および図26に示した構成も、水銀放出体の一部にスリットが形成されている形態といえるが、例えば、図1に示した水銀放出体100の長手方向の中心軸X100に対してスリットを平行に設けたり、垂直に設けたり、斜めに設けたりすることも可能である。
水銀放出体は、焼結体部の一部にスリットを設けると、スリットの部分から水銀を放出させやすくして、水銀の放出効率をより高められる可能性がある一方で、スリットの存在による渦電流の効率の低下の問題も生じるので、スリットを形成する場合の設計には配慮が必要である。
(4)変形例4
本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の変形例4の斜視図を図27に示す。本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の変形例4(以下、「水銀放出体115」という)は、本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の変形例3の平板板状の水銀放出部111に片面のみ焼結体部112が積層されたものをスパイラル状に巻きつけたものである。具体的には、最終的に焼結体部112が外側となるように、焼結体部112と水銀放出部111が積層されたものをスパイラル状に巻きつけたものである。この場合、水銀放出部111の片面を焼結体部112で覆ったものでも、水銀放出部111の両面を焼結体部112で覆ったものであってもよい。
このような水銀放出体115は、その内部を含めて全体的に高周波加熱により加熱されるので、水銀の放出効率を一層向上させることができる。
(5)変形例5
本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の変形例5の斜視図を図28に示す。本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の変形例5(以下、単に「水銀放出体116」という)は、本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体100とは、その形状が異なる。よって、その形状について詳細に説明し、その他の点については省略する。
水銀放出体116は、棒状の水銀放出部101に帯状の焼結体部117が巻き付けられている。この構成により、水銀放出体116は、水銀放出部101と焼結体部117を同時に押出ししなくても、水銀放出部101となる棒状体の坏土を成形した後に焼結体部117となる坏土を巻き付けることで成形することができる。
(6)変形例6
本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の変形例6の一部切欠き斜視図を図29に示す。本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の変形例6(以下、単に「水銀放出体118」という)は、本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体100とは、その形状が異なる。よって、その形状について詳細に説明し、その他の点については省略する。
水銀放出体118は球状で、球形状の水銀放出部119の外側全体に焼結体部120が積層されている。
水銀放出体118は、その外側が全て焼結体部120で覆われていることで、水銀放出体118を移送する際、水銀が含有されている水銀放出部119に直接触れることなく作業できるため、作業の安全性を向上させることができる。なお、水銀放出部119が全て焼結体部120に覆われていれば、球形状に限らず、多面体形状等(例えば、断面矩形、断面六角形など)でもよい。球形状の場合、角がないため、移送の際に水銀放出体118同士が衝突することによって損傷するのを防止することができる。また、球形状の場合、輸送の際、他の形状よりも輸送容器に密に詰め込むことができるため、輸送の効率を高めることができる。
本発明は、水銀放出体、それを用いた低圧放電ランプの製造方法、低圧放電ランプ、照明装置および液晶表示装置に広く適用することができる。
本発明は、水銀放出体、それを用いた低圧放電ランプの製造方法、低圧放電ランプ、照明装置および液晶表示装置に関する。
バックライト用の冷陰極蛍光ランプ等のような低圧放電ランプ用ガラス管(以下、単に、「ガラス管」ともいう。)に水銀を封入するために、水銀が含有された水銀放出体が用いられている。すなわち、この水銀放出体を、発光管となるガラス管内に配置した後、それを外部から加熱することにより、その熱によって水銀を放出させるというものである。
水銀放出前の工程で水銀放出体の温度は400[℃]程度になることがあり、この温度まで安定な水銀放出体(この温度まで水銀をほとんど放出しない水銀放出体)として、例えばチタン(Ti)の焼結体と水銀(Hg)とを反応させて形成したTi3Hgからなるものがある(例えば特許文献1等参照)。
特許第2965824号公報
しかしながら、従来の水銀放出体の場合、実用的観点からは水銀放出効率という点で、まだまだ不十分であった。
また、低圧放電ランプの製造工程において、水銀放出体から水銀を放出させる場合に、加熱温度を400[℃]〜800[℃]にすることが好ましい。これは、400[℃]より低い温度で水銀を放出させると、低圧放電ランプの排気時の加熱によって水銀が放出されてしまうことで作業環境を悪化させてしまい、一方、800[℃]より高い温度で放出させると、水銀放出体自身の熱により、ガラス管の水銀放出体に接する部分が溶融し、破損するおそれがあるからである。
Ti3Hgからなる水銀放出体の場合、400[℃]を越えた辺りから徐々に水銀が放出されるが、800[℃]付近では、水銀放出体内にまだ多量の水銀が残存している状態となる。この場合、水銀放出体内に残存している水銀を放出させるためには、さらに長時間でかつ高温(800[℃]程度)で加熱を続ける必要があり、その熱によって、ガラス管に負荷がかかり破損するおそれがある。
また、このように水銀放出効率の悪い水銀放出体を用いている場合、水銀放出体には低圧放電ランプが点灯に必要とする以上の水銀を含有させておく必要がある。しかし、水銀が有害物質であることから、必要以上の水銀を使用することは環境上好ましくない。
チタンと水銀との金属間化合物として、Ti3Hgの他にもAMERICAN SOCIETY FOR METALS発行のBinary Alloy Phase Diagram(First Printing, October 1986)第1352頁に記載されているように、TiHg、TixHg(xは常温において1.73)が存在している。
しかしながら、TiHgは400[℃]より高い温度での水銀放出効率は優れているものの、室温でTiとHgとが分解するという性質を持つため、水銀放出工程の前に水銀を放出することになり、ランプの製造には適していないことが分かった。
また、TixHgは水銀の放出特性が明らかにされておらず、その生成条件すら不明であった。
そこで、本発明に係る水銀放出体は、水銀放出効率を向上させ、かつ低圧放電ランプの製造に用いた際、ガラス管の破損を防止することを目的とする。
また、本発明に係る低圧放電ランプの製造方法は、ガラス管の破損を防止し、水銀の使用量を低減することを目的とする。
また、本発明に係る低圧放電ランプ、照明装置および液晶表示装置は、水銀の使用量を低減することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明に係る水銀放出体は、チタン(Ti)と水銀(Hg)との金属間化合物を含む水銀放出部を有し、前記金属間化合物は、Ti1.73Hgを含むことを特徴とする。
また、本発明に係る水銀放出体は、前記金属間化合物は、前記水銀放出部の全水銀量に対して40[wt%]以上100[wt%]以下の範囲内の水銀量を有する前記Ti1.73Hgを含むことが好ましい。
また、本発明に係る水銀放出体は、前記金属間化合物は、前記Ti1.73Hgを除く残部がTi3Hgであることが好ましい。
また、本発明に係る水銀放出体は、前記水銀放出部は、少なくとも一部に開口部を有する容器の内部に格納されていることが好ましい。
また、本発明に係る水銀放出体は、前記容器は、鉄およびニッケルのうち少なくとも1種以上で形成されていることが好ましい。
また、本発明に係る水銀放出体は、前記水銀放出材と、前記水銀放出材を覆う金属の焼結体から構成される焼結体部を備えることが好ましい。
また、本発明に係る水銀放出体は、前記焼結体部は、ポーラス状に形成されていることが好ましい。
さらに、本発明に係る水銀放出体は、前記焼結体部の気孔率が5[%]以上であることが好ましい。
本発明に係る低圧放電ランプの製造方法は、前記水銀放出体をガラス管の内部に挿入する工程と、前記水銀放出体を加熱する工程とを含むことを特徴とする。
本発明に係る低圧放電ランプは、ガラス管と、前記ガラス管の少なくとも一方の端部に封着されたリード線と、前記リード線におけるガラス管の内部に位置する端部に取着された電極とを備え、前記リード線の前記ガラス管内に位置する部分または前記電極に請求項1に記載の水銀放出体が固定されていることを特徴とする。
本発明に係る照明装置は、前記低圧放電ランプを備えることを特徴とする。
本発明に係る液晶表示装置は、前記照明装置を備えることを特徴とする。
本発明に係る水銀放出体は、水銀放出効率を向上させ、かつ低圧放電ランプの製造に用いた際、ガラス管の破損を防止することができる。また、本発明に係る低圧放電ランプの製造方法は、ガラス管の破損を防止し、水銀の使用量を低減することができる。さらに、本発明に係る低圧放電ランプ、照明装置および液晶表示装置は、水銀の使用量を低減することができる。
本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の斜視図 (a)同じく水銀放出体の粒子構造を示す正面写真、(b)同じく水銀放出体の粒子構造を示す平面写真、(c)同じく水銀放出体の粒子構造を示す長手方向の中心軸を含む断面写真 同じく水銀放出体の水銀放出の概念図 同じく水銀放出体の水銀放出部のX線解析による測定結果を示すグラフ (a)水銀と合金を形成しない金属の粒子形状が球形状である場合の水銀放出体の粒子構造を示す正面写真、(b)同じく水銀放出体の粒子構造を示す平面写真 反応時間と金属間化合物生成率の関係を示す図 加熱温度による水銀放出率の変化を示す図 本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の製造工程図 本発明の第2の実施形態に係る水銀放出体の斜視図 同じく水銀放出体の変形例1の斜視図 本発明の第3の実施形態に係る水銀放出体の斜視図 本発明の第4の実施形態に係る低圧放電ランプの製造方法の工程A〜Gまでの概念図 本発明の第4の実施形態に係る低圧放電ランプの製造方法の工程H〜Jまでの概念図 (a)本発明の第5の実施形態に係る低圧放電ランプの管軸を含む断面図、(b)A部の拡大断面図 (a)本発明の第6の実施形態に係る低圧放電ランプの管軸を含む断面図、(b)B部の拡大断面図 本発明の第7の実施形態に係る照明装置の斜視図 本発明の第8の実施形態に係る照明装置の斜視図 (a)本発明の第9の実施形態に係る照明装置の正面図、(b)図18(a)のA−A´線で切った断面図 本発明の第10の実施形態に係る液晶表示装置の斜視図 本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の変形例1の斜視図 (a)同じく水銀放出体の変形例1の正面図、(b)同じく水銀放出体の変形例1の平面図 本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の変形例2の斜視図 (a)同じく水銀放出体の変形例2の正面図、(b)同じく水銀放出体の変形例2の平面図 本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の変形例3の斜視図 本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の変形例3の斜視図 本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の変形例3の斜視図 本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の変形例4の斜視図 本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の変形例5の斜視図 本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の変形例6の一部切欠き斜視図
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体について、以下に説明する。
本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の斜視図を図1に、その粒子構造を示す正面写真を図2(a)に、同じく平面写真を図2(b)に、長手方向の中心軸を含む断面写真を図2(c)にそれぞれ示す。
本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体100(以下、「水銀放出体100」という)は、チタン(Ti)と水銀(Hg)との金属間化合物Ti1.73Hgを含む。
具体的には、水銀放出体100は、水銀放出部101と、水銀放出部101を覆う金属の焼結体から構成される焼結体部102とを備える。
この水銀放出体100では、水銀放出部101を焼結体部102が覆う構造を有しているので、図3に示すように、加熱時(特に、高周波加熱時)に、水銀放出部101が露呈している両端面からだけでなく、後述のポーラスの焼結体部102を通してほぼ全面から水銀を放出することができ(矢印103参照)、その結果、水銀放出部の表面が金属板等により覆われている場合に比べて水銀の放出効率を向上させることができ、一気に加熱された場合においても、蒸気化した水銀によって急激に水銀放出部101が膨張して破裂するのを防止することができる。また、水銀放出部101と焼結体部102とが界面で反応しているため、水銀放出部101と焼結体部102との密着強度が高く、水銀放出部101が水銀放出体100からこぼれ落ちるのを防止することができる。
水銀放出部101は、チタンと水銀との合金で形成され、チタンと水銀との金属間化合物を含み、かつ金属間化合物としてTi1.73Hgを含んでいる。ここで言う「合金」とは、「金属間化合物」を少なくとも含み、「混合物」、「固溶体」等が含まれたものも包含するものである。
金属間化合物Ti1.73Hgのチタンと水銀の組成比は、Binary Alloy Phase Diagram(First Printing, October 1986)によると、室温では1.73程度であるが、温度等の諸条件により、1.09以上1.73以下の範囲内の値をとり得るものである。
水銀放出体100の水銀放出部のX線解析による測定結果を示すグラフを図4に示す。水銀放出体100には、金属間化合物として、Ti1.73HgやTi3Hgが含まれていることがわかる。
なお、水銀放出体から本発明における金属間化合物の特定方法については、後述する。水銀放出部101は例えば、長さLが3[mm]、外径Diが1[mm]の円柱体の形状を有し、水銀の含有量は約6[mg]である。
また、水銀放出部101に、酸化チタン(TiO2)、酸化アルミニウム(Al23)および酸化珪素(SiO2)のうちいずれか1種以上の金属酸化物の焼結体であるセラミックスが含まれていてもよい。
これらの金属酸化物は、水銀と反応しないため、水銀放出部101の大きさは一定のままで、水銀の含有量を少なくしたい場合に、水銀の含有量が減少した分の密度を補充し、単に水銀の含有量を減らした場合に比べて水銀放出部101の熱伝導性を高めて、水銀放出部101の加熱効率を高めることができる。
なお、セラミックスは、水銀放出部の5[wt%]以上30[wt%]以下の範囲内で含まれていることがより好ましい。この場合、水銀の含有量を少なくしたい場合に、水銀の含有量が減少した分の密度を適度に補充し、単に水銀の含有量を減らした場合に比べて水銀放出部101の熱伝導性を高めて、水銀放出部101の加熱効率を高めることができる。
焼結体部102は、水銀と合金を形成しない金属の焼結体からなり、ポーラス状になっている。「水銀と合金を形成しない金属」とは、例えば鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)およびマンガン(Mn)のうちの少なくとも1種以上のように水銀と反応しにくく合金を形成しにくい金属のことをいう。それらの中でも、化学的性質や工業的な生産性(コスト等)を考慮すると、鉄(Fe)およびニッケル(Ni)うち少なくとも1種以上であることが好ましい。
なお、焼結体部102を構成する金属は、鉄のみまたはニッケルのみの一種類の金属に限らず、例えば、鉄とニッケルの混合物を用いることも可能であるし、あるいは、ニッケルメッキされた鉄を用いることもできる。鉄にニッケルメッキを施した金属は、鉄の酸化防止(腐食防止)の効果を奏し得る。
また、焼結体部102を成形する際において鉄粉にニッケル粉を混合したものを使用すると、鉄粉だけの場合よりも耐食性を向上させることができるとともに、鉄粉とニッケル粉とのブレンドによって粒径のバリエーションを広げることができる。粒径のバリエーションを広げることができると、焼結体部102の気孔率(ひいては、熱伝導率)をコントロールすることが容易となる(気孔率の詳細については後述する)。
また、鉄粉とニッケル粉とのブレンド粉においてその流動性を改善することもでき、成形時の生産性を向上させることも可能となる。加えて、ニッケルは、鉄よりも比熱が小さく、しかも熱伝導率が大きいので、焼結体部102の加熱効率を向上させることもできる。焼結体部102は、例えば、長さLが3[mm]、外径Doが1.4[mm]である。
ポーラス状である焼結体部102の気孔率は、5[%]以上であることが好ましい。この場合、水銀が焼結体部102を通り抜けやすく、水銀の放出効率を高めることができる。
特に焼結体部102の気孔率は、25[%]以上であることがより好ましい。この場合、水銀放出部101から放出される水銀が焼結体部102をさらに通り抜けやすく、水銀放出効率をさらに高めることができる。
なお、焼結体部102の気孔率は、60[%]以下であることが好ましい。60[%]よりも大きいと焼結体部102が空孔だらけになってしまうため、例えば水銀放出体100を高周波加熱する際、水銀放出部101の加熱効率が低下する上に加熱むらが生じやすく、水銀放出量にばらつきが生じてしまうからである。
焼結体部102の気孔率は、以下の数式により算出される。
焼結体部102の密度は、水銀放出体100をフッ化水素酸と硝酸の混合溶液に溶かした後、株式会社島津製作所製のICP発光分析装置(ICPS−8000)により定量分析することで焼結体部102の重量を求め、焼結体部102の体積で割ることにより求めることができる。ここで、焼結体部102はポーラス状であり、その正確な体積を求めることは困難であるため、焼結体部102の体積は焼結体部102に空隙が全くないとした場合の体積を用いることとする。また、焼結体部102の理論密度とは、焼結体部102に空隙が全くないとして求めた架空の密度である。
なお、焼結体部102を構成する金属は、磁性体であることが好ましい。例えば、低圧放電ランプの製造時に密閉されたガラス管内に配置された水銀放出体100の位置決めを、磁石を用いて正確に、かつ容易に行うことができるからである。磁性体である金属としては、例えば鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)等を選択することができる。
また、焼結体部102には、ゲッター材が混合されていてもよい。ゲッター材が混合されていることにより、水素(H2)や酸素(O2)等の不純ガスを吸着させることができ、これによりガラス管内の封入ガスの純度等を向上させることできる。ゲッター材には、例えばタンタル(Ta)、ニオビウム(Nb)、ジルコニウム(Zr)、クロム(Cr)、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)など、あるいは、それらの合金等を適用することができる。
また、水銀放出部101の全表面積のうち焼結体部102に接触している部分の表面積の比率は30[%]以上であることが好ましい。この場合、水銀放出部101に対する熱伝導性を高めることによって加熱効率をより高めて非常に高い水銀放出効率を得ることができる。
特に、その加熱効率を一層高めるために、水銀放出部101の全表面積のうち焼結体部102に接触している部分の表面積の比率は50[%]以上であることがより好ましい。なお、「焼結体部102に接触している部分の表面積」とは、焼結体部102がポーラスであるため、そのポーラスな内部の空隙の表面積は含めず、最外表面の輪郭より算出した表面積である。
また、焼結体部102の水銀と合金を形成しない金属の粒径は、5[μm]以上40[μm]以下の範囲内であることが好ましい。この場合、水銀放出部101から放出される水銀を透過しやすく、水銀放出効率を向上させることができる。
なお、図2(a)〜(c)に示す焼結体部102の粒子形状は鱗片形状であるが、必ずしも鱗片形状である必要はなく多角形状等であってもよい。ただし、鱗片形状の場合は、焼結体部102の気孔率を大きくすることができ、水銀放出効率をより向上させることができる。
また、焼結体部102の水銀と合金を形成しない金属の粒子形状は、球形状であってもよい。焼結体部102の水銀と合金を形成しない金属の粒子形状が球形状である場合の水銀放出体100の粒子構造を示す正面写真を図5(a)に、同じく平面写真を図5(b)にそれぞれ示す。この場合、流動性が向上し、後述するように水銀放出体100の成形を行う押出し工程において、成形機から歩留まりよく押し出すことができ、生産性を向上させることができる。
また、焼結体部102の形状は、図5(a)および(b)に示すように、水銀放出部101の端面を除いた外周面を覆うような筒形状であることが好ましい。この場合、高周波加熱により生じる渦電流が筒状に閉じた内面に流れ、水銀放出部101の加熱効率を高めることができる。
(実験1)
発明者らは、Ti1.73HgはTi3HgとTiHgとの中間的組成であることから、Ti3HgとTiHgとの中間的性質を持つ可能性があると考えた。しかしながら、AMERICAN SOCIETY FOR METALS発行のBinary Alloy Phase Diagram(First Printing, October 1986)第1352頁に記載のチタンと水銀との相図からは、Ti1.73Hgの安定的な生成条件を伺い知ることはできなかった。
そこで、発明者らは、加熱容器に投入する焼結体数と水銀量を変えて反応させることで、図6に示す一定温度における反応時間(チタンと水銀とが反応している時間)と、水銀放出部の全水銀量に対する各金属間化合物の水銀量との関係を明らかにすることに成功した。
図6上、実線はTi1.73Hgを、破線はTiHgを、一点鎖線はTi3Hgをそれぞれ示す。なお、組成比率は後述する手法にて求めた。なお、実験では、Ti1.73Hg、TiHgおよびTi3Hgの生成(反応)開始時及び生成(反応)終了時を特定することはできなかったが、Ti1.73Hg、TiHgおよびTi3Hgの3者が生成はされる傾向は図6のようになる。
図6に示すように、反応時間が所定の時間に達するまで、反応時間が長くなるに従って、Ti1.73Hgの生成が増加する一方で、TiHgの生成が減少する。そして、反応時間が所定の時間を越えると、反応時間が長くなるに従って、Ti1.73Hgの生成が減少し、Ti3Hgの生成が増加する。
この傾向は、反応の進行を早めても、遅らせても、同様に見られる。つまり、反応開始時間から、例えば、Ti1.73Hgの生成を示す線分と、Ti3Hgの生成を示す線分とが交差する反応時間までの時間が、長くなったり、短くなったりするだけで、Ti1.73Hgの生成を示す線分は山形状となる。 焼結体内のチタンと水銀との反応は、反応温度、加熱容器に投入するチタンの量(チタンの表面積)、加熱容器に投入する水銀量により変化し、その反応の進行を遅らせることで、Ti1.73Hgの生成が確認できるようになる。例えば、反応温度を低くすると反応の進行は遅くなり(すなわち図6のグラフは横軸方向に拡張され)、Ti1.73Hgの生成が確認しやすくなる。また、これとは反対に、反応温度を高くすると、Ti3Hgの生成が加速されることからTi1.73Hgの生成を確認することが難しくなる。
すなわち、発明者らは、実験1の結果から、チタンと水銀との反応の進行を制御することにより水銀放出体100を作製することを見出した。
(実験2)
次に発明者らは、水銀放出体100が従来の水銀放出体よりも水銀放出効率が向上していることを確認するために、水銀放出量を測定する実験を行った。
実験には、実施例として、水銀放出部の径が1[mm]、焼結体部の外径が1.4[mm]、長さが3[mm]で、6[mg]の水銀を含んだ水銀放出体100を用いた。具体的には、金属間化合物が、水銀放出部の水銀量に対して20[wt%]の水銀量を有するTi1.73Hgを含むものを実施例1とし、同じく水銀放出部の水銀量に対して40[wt%]の水銀量を有するTi1.73Hgが含まれるものを実施例2とし、同じく水銀放出部の水銀量に対して60[wt%]の水銀量を有するTi1.73Hgが含まれるものを実施例3とし、同じく水銀放出部の水銀量に対して90[wt%]の水銀量を有するTi1.73Hgが含まれるものを実施例4とした。
また、比較例として、上記実施例1〜4と同じサイズで同量の水銀を含み、金属間化合物がTi3Hgで形成され、Ti1.73Hgが含まれていないものを用いた。なお、実施例および比較例は、水銀の反応時間が一定の状態で、温度を変化させることにより作製した。
水銀放出部に含まれる金属間化合物中のTi1.73Hgの割合は、以下の方法により特定した。
(1)水銀放出体を王水に浸漬させる。これにより、水銀放出体のうち金属間化合物であるTi1.73HgおよびTi3Hgが王水に溶け出す。この際、水銀放出体に単体のチタン(Ti)が残存した場合は残渣として残る。
(2)王水に溶け出したチタンおよび水銀の量を株式会社島津製作所製のICP発光分析装置(ICPS−8000)により定量することで金属間化合物中のチタンと水銀の比率を求め、Ti1.73HgおよびTi3Hgの比率計算から金属化合物中のTi1.73Hgの割合を特定した。
なお、水銀放出体に単体Hg、TiHgが含まれる可能性がある場合には、王水に浸漬させる前に硝酸に浸漬し、単体Hg、TiHgを溶解し定量を行う。このとき、Ti1.73HgおよびTi3Hgは硝酸には溶解しない。
実験では、それぞれ試料を10[個]ずつ作製した。実験は、各試料を一つずつ同じ加熱速度で加熱し、その水銀放出量(水銀放出体の重量の減少量)をリガク株式会社製の熱天秤分析装置(TG8101D)により無酸素雰囲気で測定し、水銀含有量(6[mg])に対する水銀放出効率を算出し、各試料において10[個]の平均値を求めた。各試料の加熱温度による水銀放出率の変化を図7にそれぞれ示す。
図7に示すように、いずれの水銀放出体も加熱温度が400[℃]を越え500[℃]付近で水銀が放出され始めているが、加熱温度が800[℃]における水銀放出率については大きく異なる結果となった。
すなわち、金属間化合物にTi1.73Hgが含まれている(図中の実施例1〜4である。)ことによって、加熱温度が800[℃]において、従来のTi3Hgで形成された水銀放出体(図中の比較例である。)よりも水銀放出効率が向上することが確認できる。また、金属間化合物におけるTi1.73Hgの割合が増加するに従い、水銀放出体の水銀放出効率が向上することが確認できる。つまり、水銀放出部に存在する金属間化合物にTi1.73Hgを含む場合、従来の水銀放出体よりも水銀放出効率を向上させることができる。
さらに、金属間化合物は、水銀放出部の水銀量に対して40[wt%]以上100[wt%]以下の範囲内の水銀量を有するTi1.73Hgを含むこと(図中の実施例2〜4である。)が好ましい。この場合、加熱温度800[℃]において、従来の水銀放出体に比べて約6[倍]の量の水銀を放出させることができる。
さらに、水銀放出部の水銀量に対して60[wt%]以上100[wt%]以下の範囲内の水銀量を有するTi1.73Hgを含むこと(図中の実施例3,4である。)がより好ましい。この場合、800[℃]で含有水銀量の50%以上の水銀を放出することができる。
なお、金属間化合物の全てをTi1.73Hgとするのは、製造上難しい。これは、図6に示すとおり、金属間化合物の製造過程で時間とともに減少するTiHgと増加するTi3Hgとの関係で、これらTiHg、Ti3Hgの生成を0[%]にすることは困難であるためである。よって、金属間化合物は、水銀放出部の水銀量に対して90[wt%]以下の範囲の水銀量を有するTi1.73Hgを含むことがより好ましいが、金属間化合物の全てをTi1.73Hgとすることができれば、水銀放出部の水銀量に対して100[wt%]以下の範囲の水銀量を有するTi1.73Hgを含むことが好ましいのは言うまでもない。
また、金属間化合物は、Ti1.73Hgを除く残部がTi3Hgであることが好ましい。
この場合、金属間化合物はTi3Hgを含むこととなり、室温で分解するTiHgが生成するのを実質的(実測できない程度)に抑制することができ、100[℃]等の低い温度で水銀が放出されるのを防止することができる(これは、図7の比較例の金属間化合物がTi3Hgでできていることからも推測できる。)。
次に、本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の製造方法について説明する。その製造工程の工程図を図8に示す。
図8に示すように、まず、原料粉末を準備する。具体的には、水銀放出部101の材料となる例えばチタンの粉や焼結体部102の材料となる例えば鉄の粉である。
(混合・混練工程)
次に、チタン粉および鉄粉をそれぞれ別々にバインダや種々の添加剤、水を加えて混合し、十分に混練する。バインダは、例えばメチルセルロースである。これにより、チタン坏土および鉄坏土を作製する。
(押出し成形工程)
次に、チタン坏土と鉄坏土とをそれぞれ第1、第2の押出し成形機(図示せず)に投入する。この第2の押出し成形機には同軸2層押出し用のダイスが設置されている。そして、第1の押出し成形機から棒状のチタン成形体を導出し、そのチタン成形体を第2の押出し成形機のダイス部分に導入して外側に鉄坏土が積層された同軸構造の円柱体状の成形体を連続的に形成する。その後、この成形体を所定の硬さになるまで乾燥させる。なお、成形方法は、押出し成形に限らず、プレス成形や、チタン坏土を棒状に成形した後にスラリー化した鉄中にディップさせる等の方法を用いることができる。
(カット工程)
次に、成形体を所定の長さでカットする。このカットする長さによって、水銀放出体100中の水銀含有量を所望の量に調節することができる。なお、水銀放出体100の水銀含有量は、これ以外にもチタン坏土のバインダ量、水銀放出部101の外径、焼成工程における焼成温度等を変化させることで調節することができる。
(焼結工程)
次に、成形体をアルゴン雰囲気中で、例えば500[℃]で加熱し、成形体内のバインダを取り除く。そして、真空雰囲気中で、例えば900[℃]で焼結し、焼結体を作製する。
(水銀反応工程)
その後、焼結体と水銀を加熱容器に投入し、加熱容器を真空ポンプを用いて真空状態として、500[℃]〜600[℃]程度の温度で長時間、例えば4[h]〜16[h]程度加熱して、焼結体を構成しているチタンと加熱容器内の水銀とを合金化させて水銀放出部101を形成する。この際、水銀放出部101には、Ti1.73Hgが生成される。
そして、鉄は水銀と合金を形成しないため、鉄の焼結体内には水銀は残らず、チタンの焼結体内でチタンと水銀との合金(本発明の「金属間化合物」である)が形成され、水銀放出体100が完成される。
上記のとおり、本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体100の構成によれば、水銀放出効率を向上させ、かつ水銀を十分に放出させるのに長時間でかつ高温で加熱し続ける必要がないので低圧放電ランプの製造に用いた際、ガラス管の破損を防止することができる。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る水銀放出体について、以下に説明する。本発明の第2の実施形態に係る水銀放出体の斜視図を図9に示す。
第1の実施形態に係る水銀放出体100では、その水銀放出部101が金属の焼結体部102により覆われていたが、本発明の第2の実施形態に係る水銀放出体200(以下、「水銀放出体200」という)は、水銀放出部が、少なくとも一部に開口部201を有する容器202の内部に格納されている点を除いて本発明の第1の実施形態と実質的に同じ構成を有する。
容器202は、例えば鉄製の円筒形状で、外径が1.4[mm]、内径が1[mm]、高さが3[mm]である。容器202は、円筒形状であるため、その両端部に開口部201を有する。水銀放出体200は、加熱されることにより、水銀放出部101から開口部201を介して水銀を放出することができる。
容器202の材料は、鉄に限らず、磁性体であることが好ましい。この場合、水銀放出体200を放電ランプの製造に使用する際、ガラス管内に水銀放出体を挿入した後に、水銀放出体200の配置位置を磁力により調節することができるという効果がある。
磁性体である金属としては、例えば鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)等を選択することができる。それらの中でも、化学的性質や工業的な生産性(コスト等)を考慮すると、鉄(Fe)およびニッケル(Ni)のうち少なくとも1種以上であることが好ましい。
なお、容器202を構成する金属は、鉄のみまたはニッケルのみの一種類の金属に限らず、例えば、鉄とニッケルの混合物を用いることも可能であるし、あるいは、ニッケルメッキされた鉄を用いることもできる。鉄にニッケルメッキを施した金属は、鉄の酸化防止(腐食防止)の効果を奏し得る。
容器202の形状は、円筒形状に限らず、例えば図10に示すような台形筒状のように多面体形状であってもよい。この場合、水銀放出体203を低圧放電ランプの製造に使用する場合、ガラス管に挿入された際、ガラス管との接触面積を小さくすることができるため、水銀放出体203の熱によって、ガラス管が破損することを防止することができる。
また、図10に示すように、容器204の側面にスリット205が設けられていてもよい。この場合、スリット205を介して容器内部の水銀放出部101から水銀を放出することができるため、水銀の放出効率を向上させることができる。この場合の容器の開口部とは、容器の両端部の開口部206だけでなくスリット205も含むものである。
次に、本発明の第2の実施形態に係る水銀放出体200の製造方法について説明する。
(水銀合金粉作製工程)
まず、原料粉末を準備する。具体的には、水銀放出部101の材料となる水銀合金粉(例えば、チタンと水銀との合金粉)を用意する。
(成形工程)
次に、その合金粉から水銀放出部101を圧縮成型などによって成形し、本実施形態では円柱形状の水銀放出部101を作製する。
(容器挿入工程)
その後、その水銀放出部101を容器202,204に配する。具体的には、鉄(Fe)またはニッケル(Ni)からなる板材を、円柱形状の水銀放出部101に巻き付けることによって容器202,204を形成すると共に、同時に水銀放出部101が容器内に配されたこととなり、水銀放出体200,203を作製することができる。
また、筒形状(例えば、円筒形状)に成形された容器202に、水銀放出部101を挿入して、水銀放出体200を作製することも可能である。
上記のとおり、本発明の第2の実施形態に係る水銀放出体200、203の構成によれば、アマルガム成分を変えることで,従来のものに対して水銀放出効率を向上させ、かつ水銀を十分に放出させるのに長時間でかつ高温で加熱し続ける必要がないので低圧放電ランプの製造に用いた際、ガラス管の破損を防止することができる。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る水銀放出体について、以下に説明する。本発明の第3の実施形態に係る水銀放出体の斜視図を図11に示す。
本発明の第3の実施形態に係る水銀放出体300(以下、「水銀放出体300」という)は、焼結体部102や容器202,204がなく、水銀放出部101のみから構成されている点を除いて、本発明の第1および第2の実施形態に係る水銀放出体と実質的に同じ構成を有する。
水銀放出体300は、円柱形状の水銀放出部で構成されている。水銀放出体300の大きさは、例えば径が1.4[mm]で、長さが3[mm]である。
なお、水銀放出体300の形状は、円柱形状に限られない。例えば、球形状、多面体形状等であってもよい。
また、水銀放出部101は、磁性体を含んでいてもよい。この場合、水銀放出体300を低圧放電ランプの製造に使用する際、ガラス管内に水銀放出体300を挿入した後に、水銀放出体300の配置位置を磁力により調節することができるという効果がある。磁性体である金属としては、例えば鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)等を選択することができる。それらの中でも、化学的性質や工業的な生産性(コスト等)を考慮すると、鉄(Fe)およびニッケル(Ni)のうち少なくとも1種以上であることが好ましい。
次に、本発明の第3の実施形態に係る水銀放出体300の製造方法について説明する。まず、原料粉末を準備する。具体的には、水銀放出部101の材料となる例えばチタンの粉である。
(混合・混練工程)
次に、チタン粉にバインダや種々の添加剤、水を加えて混合し、十分に混練する。バインダは、例えばメチルセルロースである。これにより、チタン坏土を作製する。
(成形工程)
次に、チタン坏土を押出し成形機(図示せず)に投入する。そして、押出し成形機から棒状のチタン成形体を導出し、その後、この成形体を所定の硬さになるまで乾燥させる。なお、成形方法は、押出し成形に限らず、プレス成形等の方法を用いることができる。
(カット工程)
次に、成形体を所定の長さでカットする。このカットする長さによって、水銀放出体300中の水銀含有量を所望の量に調節することができる。なお、水銀放出体300の水銀含有量は、これ以外にもチタン坏土のバインダ量、水銀放出部101の外径、焼成工程における焼成温度等を変化させることで調節することができる。
また、成形工程において、プレス成形等により、完成品1個分の大きさに成形されている場合は、カット工程を省略してもよい。
(焼結工程)
次に、成形体をアルゴン雰囲気中で、例えば500[℃]で加熱し、成形体内のバインダを取り除く。そして、真空雰囲気中で、例えば900[℃]で焼結し、焼結体を作製する。
(水銀反応工程)
その後、焼結体と水銀を加熱容器に投入し、加熱容器を真空ポンプを用いて真空状態として、500[℃]〜600[℃]程度の温度で長時間、例えば4[h]〜16[h]程度加熱して、チタンと水銀とを合金化させる。
この際、チタンの焼結体内でチタンと水銀との合金が形成され、水銀放出体300が完成される。
上記のとおり、本発明の第3の実施形態に係る水銀放出体300によれば、当該水銀放出体300にTi1.73Hgが含まれるので、水銀放出効率を向上させ、かつ水銀を十分に放出させるのに長時間でかつ高温で加熱し続ける必要がないので低圧放電ランプの製造に用いた際、ガラス管の破損を防止することができる。
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態に係る低圧放電ランプの製造方法は、製造工程の途中で水銀放出体が取り出され、完成ランプには水銀放出体が無い低圧放電ランプについての製造方法である。
本発明の第4の実施形態に係る低圧放電ランプの製造方法は、本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体をガラス管の内部に挿入する工程と、前記水銀放出体を加熱する工程とを含むものである。
以下、その製造工程の工程A〜工程Gまでの概略図を図12に、工程H〜工程Jまでの概略図を図13にそれぞれ示す。
(工程A)
まず、準備した直管状のガラス管400を垂下させてその下端部をタンク401内の蛍光体懸濁液402に浸す。この蛍光体懸濁液402には、例えば青色、赤色、緑色の蛍光体粒子が含まれている。ガラス管400内を負圧にすることで、タンク401内の蛍光体懸濁液402を吸い上げ、ガラス管400内面に蛍光体懸濁液を塗布する。
この吸い上げは光学的センサ403により液面を検出することで、液面がガラス管400の所定高さになるように設定される。このときの液面高さの誤差は、蛍光体懸濁液402の粘度や液面の表面張力等の影響を受けるため比較的大きく、±0.5[mm]程度の誤差が生じる。
(工程B)
次に、負圧状態から大気圧状態に開放し、その後ガラス管400の下端部を蛍光体懸濁液402から引き上げ、ガラス管400内部の余分な蛍光体懸濁液402を外部に排出する。これにより、ガラス管400の内周の所定領域に蛍光体懸濁液が膜状に塗布される。
続いて、ガラス管400内に塗布された蛍光体懸濁液402を乾燥させた後に、ガラス管400内面にブラシ等404を挿入して、ガラス管400端部の不要な蛍光体部分を除去する。
続いて、ガラス管400を不図示の加熱炉内に移送し、ガラス管400内面に付着する蛍光体粒子の焼成を行い、蛍光体層405を得る。
(工程C)
その後、蛍光体層405が形成されたガラス管400の一端部に、電極406、ビードガラス407およびリード線408を含む電極ユニット409を挿入した後、仮止めを行う。仮止めとは、ビードガラス407が位置するガラス管400の外周部分をバーナー410で加熱して、ビードガラス407の外周の一部をガラス管400内周面に固着することをいう。ビードガラス407の外周の一部しか固着しないので、ガラス管400の管軸方向の通気性は維持される。なお、電極40は所謂冷陰極型のものである。
(工程D)
次に、ガラス管400の上下を逆さにして先ほどの電極ユニット409を挿入した側とは反対側からガラス管400に、電極ユニット409と実質的に同じ構成の電極411、ビードガラス412およびリード線413を含む電極ユニット414を挿入した後、ビードガラス412が位置するガラス管400の外周部分をバーナー415で加熱し、ガラス管400を封着して気密封止(第1封止)する。また、第1封止における封止位置の設定値から誤差は約0.5[mm]程度である。
なお、工程Cにおける電極ユニット409の挿入位置および工程Dにおける電極ユニット414の挿入は、ガラス管の両端部封止後のガラス管の両端部からそれぞれ延びる蛍光体層405の不存在領域の長さが異なるような位置になるようにその挿入量を調整されることが好ましい。
この場合、他端部側の電極ユニット414は、一端部側の電極ユニット409と比べて、蛍光体層405に重なる位置より奥にまで挿入されることとなる。このような構成を好適とする理由は次のとおりである。
すなわち、ランプの一端部と他端部とでは、蛍光体層405の厚みに差異が生じていることが多く、複数本のランプを同じ方向にしてバックライトユニット等の照明装置に組み込むと、照明装置全体として輝度むらが生じることとなる。これを防止するために、例えばランプの一端部と他端部とを交互になるように照明装置に組み込むことが考えられる。その際、ランプの一端部と他端部とをセンサ等を用いて自動的に容易に識別することができるからである。センサとして200万[画素]の画像センサを用いれば、1[画素]を0.1[mm]に設定することが可能であるため、0.1[mm]単位での測定精度を実現できる。
これらの事情を考慮すれば、ガラス管の一端部側と他端部側とで、蛍光体層405の不存在領域の長さの差が少なくとも2[mm]以上あれば、確実にセンサを用いて長手方向の向きを識別することができる。
なお、ガラス管の一端部側と他端部側とで、蛍光体層405の不存在領域の長さの差が少なくとも3[mm]以上であれば、より確実にセンサを用いて長手方向の向きを識別することができる。この場合、画像センサは、0.5[mm]単位での測定精度のもので構わない。また、長さの差の上限値は例えば8[mm]程度である。8[mm]より大きくすると、発光に寄与しない蛍光体層405の不存在領域が長くなり、有効発光長が確保しにくくなるからである。
(工程E)
続いて、ガラス管400のうち、電極ユニット409とこの電極ユニット409に近い方のガラス管400の端部との間の一部をバーナー416で加熱して縮径させ、くびれ部分400aを形成する。その後、本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体100をガラス管400内に当該端部から投入し、くびれ部分400aに引っかけておく(水銀放出体100をガラス管400の内部に挿入する工程)。
(工程F)
続いて、ガラス管400内の排気とガラス管400内への封入ガスの充填を順次行う。具体的には、給排気装置(図示せず)のヘッドをガラス管400の水銀放出体100側端部に装着し、先ず、ガラス管400内を排気して真空にすると共に、加熱装置(図示せず)によってガラス管400全体を外周から加熱する。これによって、ガラス管の温度が400[℃]程度となり、蛍光体膜405に潜入している不純ガスを含めガラス管400内の不純ガスが排出される。加熱を止めた後、所定量の封入ガス(例えばアルゴン:95[%]、ネオン:5[%]の分圧比の混合ガスのような混合希ガス等)が充填される。
(工程G)
封入ガスが充填されると、ガラス管400の水銀放出体100側端部をバーナー417で加熱して封止する。
(工程H)
続いて、図13に示す工程Hでは、水銀放出体100をガラス管400周囲に配された高周波発振コイル(図示せず)によって誘導加熱して水銀放出体100から水銀を放出させる(水銀放出体100を加熱する工程)。なお、水銀放出体100の加熱方法は、例えばガスバーナーでの加熱や光加熱のような種々の公知の方法を用いることができる。その後、ガラス管400を加熱炉418内で加熱して、放出させた水銀を電極ユニット414の電極411の方へ移動させる。
(工程I)
次に、ビードガラス407が位置するガラス管400外周部分をバーナー419で加熱して、ガラス管400を封着して気密封止する。この一端部の封止位置の設定値からの誤差は、他端部と同様に±0.5[mm]程度である。
(工程J)
続いて、ガラス管400のうち、前記一端部の封止部分よりも水銀放出体100側の端部部分を切り離す。
これで低圧放電ランプが完成する。
上記のとおり、本発明の第4の実施形態に係る低圧放電ランプの製造方法の構成によれば、第1の実施形態で説明した水銀放出体100を用いているため、水銀を十分に放出させるのに長時間でかつ高温で加熱し続ける必要がなく、低圧放電ランプの製造に用いた際、ガラス管の破損を防止することができる。
また、水銀の放出効率のよい水銀放出体100を用いているので、水銀放出体100に含有させる水銀量を削減することができ、言い換えればランプに対する水銀の使用量を削減することができ、環境への負荷を低減することができる。
なお、本実施形態においては、本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体100を用いる場合について説明したが、この他にも本発明の第2の実施形態に係る水銀放出体200、203、本発明の第3の実施形態に係る水銀放出体300および後述する変形例に係る他の水銀放出体も用いることができる。
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態に係る低圧放電ランプ500(以下、単に「ランプ500」という)の管軸を含む断面図を図14(a)に、A部の拡大断面図を図14(b)にそれぞれ示す。図14(a)に示すように、ランプ500は、冷陰極蛍光ランプであり、本発明の第4の実施形態に係る低圧放電ランプの製造方法により製造される低圧放電ランプとは異なり、ランプ500内部に水銀放出体501が残っているものである。
ランプ500は、ガラス管502、電極503およびリード線504で構成されている。ガラス管502は、直管状であり、その管軸に対して垂直に切った断面が略円形状である。このガラス管502は、例えば外径が3.0[mm]、内径が2.0[mm]、全長が750[mm]であって、その材料はホウ珪酸ガラスである。以下に示すランプ500の寸法は、外径が3.0[mm]、内径が2.0[mm]のガラス管502の寸法に対応する値である。
なお、冷陰極蛍光ランプである場合には、内径が1.4[mm]〜7.0[mm]、肉厚が0.2[mm]〜0.6[mm]の範囲であって、全長が1500[mm]以下であることが好ましい。これらの値は一例でありこれらに限定されるものではない。
ガラス管502の内部には、水銀がガラス管502の容積(端部を密閉した状態での容積である。)に対して所定の比率、例えば、0.6[mg/cc]で封入され、またアルゴンやネオン等の希ガスが所定の封入圧、例えば60[Torr]で封入されている。
なお、上記希ガスとしては、アルゴンとネオン(Ar=5[%]、Ne=95[%])の分圧比の混合ガスが用いられているが、本発明は、これらの混合ガスの種類および分圧比に限定されない。
また、ガラス管502の内面には蛍光体層505が形成されている。蛍光体層505に用いる蛍光体粒子は、例えば、赤色蛍光体粒子(Y23:Eu3+)、緑色蛍光体粒子(LaPO4:Ce3+,Tb3+)および青色蛍光体粒子(BaMg2Al1627:Eu2+)からなる蛍光体で形成されている。
また、ガラス管502の内面と蛍光体層505との間には例えば酸化イットリウム(Y23)等の金属酸化物の保護膜(図示せず)を設けてもよい。
さらに、ガラス管502の両端部からはリード線504が外部へ向けて導出されている。リード線504は、ビードガラス506を介してガラス管502の両端部に封着されたものである。
このリード線504は、例えば、タングステンからなる内部リード線504aと、ニッケルからなる外部リード線504bとからなる継線である。内部リード線504aの線径は1[mm]、全長は3[mm]で、外部リード線504bの線径は0.8[mm]、全長は5[mm]である。
内部リード線504aの先端部にはホロー型、例えば有底筒状の電極503が固着されている。この固着は、例えばレーザ溶接を利用して行う。
電極503の各部の寸法は、例えば電極長が5[mm]、外径が1.70[mm]、内径が1.50[mm]、肉厚が0.10[mm]である。
図14(b)に示すように、少なくとも一方の内部リード線504aの電極503とビードガラス506との間には、水銀放出体501が固定されている。水銀放出体501は、本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体100に内部リード線を通すための貫通孔501aが形成されたものである。なお、水銀放出体501は、リード線504ではなく、電極503に固定されていてもよい。
上記のとおり、本発明の第5の実施形態に係る低圧放電ランプの構成によれば、水銀の放出効率がよい水銀放出体501を用いているので、水銀放出体501に含有させる水銀量を削減することができ、言い換えればランプ1本に対する水銀の使用量を削減することができ、環境への負荷を低減することができる。
(第6の実施形態)
本発明の第6の実施形態に係る低圧放電ランプ(以下、単に「ランプ600」という)の管軸を含む断面図を図15(a)に、B部の拡大断面図を図15(b)にそれぞれ示す。図14(a)に示すように、ランプ600は、熱陰極蛍光ランプであり、本発明の第4の実施形態に係る低圧放電ランプの製造方法により製造される低圧放電ランプとは異なり、ランプ600内部に水銀放出体501が残っているものである。
ランプ600は、熱陰極蛍光ランプであり、ガラス管601と電極マウント602とで構成されている。
ガラス管601は、例えば全長は1010[mm]、外径が18[mm]、肉厚が0.8[mm]であり、その両端には電極マウント602が封着されている。
ガラス管601の内面には、蛍光体層505が形成されおり、ガラス管601の内部には、水銀(例えば4[mg]〜10[mg])が封入されている他、緩衝ガスとしてアルゴン(Ar)およびクリプトン(Kr)の混合ガス(例えば、Arが50[%]、Krが50[%]の分圧比の混合ガス)が例えば600[Pa]の封入ガス圧で封入されている。
図15(a)に示すように、電極マウント602は所謂ビーズガラスマウントであり、タングステン製のフィラメント電極603と、このフィラメント電極603を架持する一対のリード線604と、この一対のリード線604を固定支持するビードガラス605とからなる。なお、フィラメント電極603は、所謂熱陰極型のものである。
図15(b)に示すように、少なくとも一方の電極マウント602のリード線604には、水銀放出体501が固定されている。ただし、ここで用いる水銀放出体501の貫通孔501aは、リード線604の線径に合わせたものである。
電極マウント602のうちのガラス管601の端部に封着されるのは、リード線604の一部分であり、具体的には、ビードガラス605からフィラメント電極603と反対側に延出している部分である。なお、電極マウント602のガラス管601への封着は、例えばピンチシール法により行われている。
なお、ガラス管601の少なくとも一方の端部には、排気管残部606が電極マウント602と共に取着されている。この排気管残部606は、電極マウント602を封着した後に、ガラス管601内を排気したり、上記封入ガス等を封入したりするときに使用され、ガラス管601の内部への封入ガス等の封入が完了すると、排気管残部606のうちガラス管601の外部に位置する部分で、例えばチップオフ封止される。
上記のとおり、本発明の第6の実施形態に係る低圧放電ランプ600の構成によれば、水銀の放出効率がよい水銀放出体501を用いているので、水銀放出体501に含有させる水銀量を削減することができ、言い換えればランプ1本に対する水銀の使用量を削減することができ、環境への負荷を低減することができる。
(第7の実施形態)
本発明の第7の実施形態に係る照明装置700の分解斜視図を図16に示す。本発明の第7の実施形態に係る照明装置700は直下方式のバックライトユニットであり、一つの面が開口した直方体状の筐体701と、この筐体701の内部に収納された複数のランプ500と、ランプ500を点灯回路(図示せず)に電気的に接続するための一対のソケット702と、筐体701の開口部を覆う光学シート類703とを備えている。なお、ランプ500は、本発明の第5の実施形態に係る低圧放電ランプ500である。
筐体701は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂製であって、その内面に銀などの金属が蒸着されて反射面704が形成されている。なお、筐体701の材料としては、樹脂以外の材料、例えば、アルミニウムや冷間圧延材(例えばSPCC)等の金属材料により構成してもよい。
また、内面の反射面704として、金属蒸着膜以外、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂に炭酸カルシウム、二酸化チタン等を添加することにより反射率を高めた反射シートを筐体701に貼付けてもよい。
筐体701の内部には、ソケット702以外に、例えば、絶縁体705およびカバー706が配置されている。具体的に、ソケット702は、ランプ500の配置に対応して筐体701の短手方向(縦方向)に各々所定間隔を空けて設けられている。ソケット702は、例えばステンレスやりん青銅からなる板材を加工したものであって、外部リード線504bが嵌め込まれる嵌込部702aを有している。そして、外部リード線504bを嵌込部702aを押し拡げるように弾性変形させて嵌め込む。その結果、嵌込部702aに嵌め込まれた外部リード線504bは、嵌込部702aの復元力によって押圧され、外れにくくなる。これにより、外部リード線504bを嵌込部702aへ容易に嵌め込むことができつつ、外れにくくすることができる。
ソケット702は、互いに隣り合うソケット702同士で短絡しないように絶縁体705で覆われている。絶縁体705は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂で構成されている。なお、絶縁体705は、上記の構成に限定されない。ソケット702はランプ500の動作中に比較的高温となる内部の電極503の近傍にあることから絶縁体705は耐熱性のある材料で構成することが好ましい。耐熱性のある絶縁体705の材料としては、例えば、ポリカーボネート(PC)樹脂やシリコンゴム等を適用することができる。
筐体701の内部には、必要に応じた場所にランプホルダ707を設けてもよい。筐体701内側でのランプ500の位置を固定するランプホルダ707は、例えば、ポリカーボネート(PC)樹脂であり、ランプ500の外面形状に沿うような形状を有している。「必要に応じた場所」とは、ランプ500の長手方向の中央部付近のように、ランプ500が例えば全長600[mm]を越えるような長尺のものである場合に、ランプ500のたわみを解消するために必要な場所である。
カバー706は、ソケット702と筐体701の内側の空間とを仕切るものであり、例えばポリカーボネート(PC)樹脂で構成し、ソケット702の周辺を保温するとともに、少なくとも筐体701側の表面を高反射性とすることにより、ランプ500の端部の輝度低下を軽減することができる。
筐体701の開口部は、透光性の光学シート類703で覆われており、内部にちりや埃などの異物が入り込まないように密閉されている。光学シート類703は、拡散板708、拡散シート709およびレンズシート710を積層してなる。
拡散板708は、例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂製の板状体であって、筐体701の開口部を塞ぐように配置されている。拡散シート709は、例えばポリエステル樹脂製である。レンズシート710は、例えばアクリル系樹脂とポリエステル樹脂の貼り合せである。これらの光学シート類703は、それぞれ拡散板708に順次重ね合わせるようにして配置されている。
上記のとおり、本発明の第7の実施形態に係る照明装置700の構成によれば、水銀使用量の少ないランプを用いているので、環境負荷の小さい照明装置を実現することができる。
(第8の実施形態)
本発明の第8の実施形態に係る照明装置の一部切欠斜視図を図17に示す。本発明の第8の実施形態に係る照明装置800(以下、「照明装置800」という)は、エッジライト方式のバックライトユニットで、反射板801、ランプ500、ソケット(図示せず)、導光板802、拡散シート803およびプリズムシート804から構成されている。
反射板801は、液晶パネル側(矢印Q)を除く導光板802の周囲の面を囲むように配置されており、導光板802の底面を覆う底面部801bと、ランプ500の配置されている側を除く側面を覆う側面部801aと、ランプ500の周囲を覆う曲面状のランプ側面部801cとで構成されており、ランプから照射される光を導光板802から液晶パネル(図示せず)側(矢印Q)に反射させる。また、反射板801は、例えばフィルム状のPETに銀を蒸着したものやアルミ等の金属箔を積層したもの等からなる。
ソケットは、本発明の第7の実施形態に係る照明装置700に用いられるソケット702と実質的に同じ構成を有している。なお、図17において、図示の便宜上により、ランプ500の端部については省略している。
導光板802は、反射板801により反射された光を液晶パネル側に導くためのものであって、例えば透光性プラスチックからなり、照明装置800の底面に設けられた反射板801の底面部801bの上に積層されている。なお、材料としては、ポリカーボネート(PC)樹脂やシクロオレフィン系樹脂(COP)を適用することができる。
拡散シート803は、視野拡大のためのものであって、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂やポリエステル樹脂製の拡散透過機能を有するフィルムからなり、導光板802の上に積層されている。
プリズムシート804は、輝度を向上させるためのものであって、例えばアクリル系樹脂とポリエステル樹脂とを貼り合せたシートからなり、拡散シート803の上に積層されている。なお、プリズムシート804の上にさらに拡散板が積層されていてもよい。
なお、本実施形態の場合には、ランプ500の周方向における一部分(照明装置800に挿入した場合における導光板802側)を除き、ガラス管502の外面に反射シート(図示せず)を設けたアパーチャ型のランプであってもよい。
上記のとおり、本発明の第8の実施形態に係る照明装置800の構成によれば、水銀使用量の少ないランプを用いているので、環境負荷の小さい照明装置を実現することができる。
(第9の実施形態)
本発明の第9の実施形態に係る照明装置の正面図を図18(a)に、図18(a)のA−A´線で切った断面図を図18(b)にそれぞれ示す。本発明の第9の実施形態に係る照明装置900(以下、「照明装置900」という)は、一般照明用の環状蛍光ランプを使用した照明器具である。
照明装置900は、本体部901、盤状部902、ランプホルダ903、ソケット904、ランプ905で構成されている。
本体部901は、その内部に点灯回路(図示せず)等を収納し、例えばその上部から電気接続部(図示せず)が導出しており、例えばその側面部からランプ905の口金906と電気的に接続するためのソケット904が導出している。
盤状部902は、本体部901、ランプホルダ903を支持する部材であり、例えば円盤状の形状を有している。
ランプホルダ903は、盤状部902の下面に取付けられており、その下端に設けられた例えばC字状の挟持片によりランプ905を保持し、ランプ905の落下を防止することができる。
ランプ905は、環状の熱陰極蛍光ランプであり、形状が環状であることと口金906がランプ905の中間部に位置していることを除いては第6の実施形態に係る低圧放電ランプ600と実質的に同じ構成を有している。
上記のとおり、本発明の第9の実施形態に係る照明装置900の構成によれば、水銀使用量の少ないランプを用いているので、環境負荷の小さい照明装置を実現することができる。
(第10の実施形態)
本発明の第10の実施形態に係る液晶表示装置の概要を図19に示す。図19に示すように液晶表示装置1000は、例えば32[inch]テレビであり、液晶パネル等を含む液晶画面ユニット1001と本発明の第7の実施形態に係る照明装置700と点灯回路1002とを備える。
液晶画面ユニット1001は、公知のものであって、液晶パネル(カラーフィルター基板、液晶、TFT基板等)(図示せず)、駆動モジュール等(図示せず)を備え、外部からの画像信号に基づいてカラー画像を形成する。
点灯回路1002は、照明装置700内部のランプ500を点灯させる。そして、ランプ500は、点灯周波数40[kHz]〜100[kHz]、ランプ電流3.0[mA]〜25[mA]で動作される。
なお、図19では、液晶表示装置1000の光源装置として本発明の第7の実施形態に係る照明装置700に第5の実施形態に係る低圧放電ランプ500を挿入した場合について説明したが、これに限らず、本発明の第6の実施形態に係る低圧放電ランプ600を適用することもできる。また、照明装置についても、本発明の第8の実施形態に係る照明装置800も用いることができる。
上記のとおり、本発明の第10の実施形態に係る液晶表示装置の構成によれば、水銀使用量の少ないランプを用いているので、環境負荷の小さい液晶表示装置を実現することができる。
(変形例)
以上、本発明を上記した各実施形態に示した具体例に基づいて説明したが、本発明の内容が各実施形態に示した具体例に限定されないことは勿論であり、例えば、以下のような変形例を用いることができる。
1.水銀放出体の変形例
(1)変形例1
本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の変形例1の斜視図を図20、その正面図を図21(a)に、その平面図を図21(b)にそれぞれ示す。本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の変形例1(以下、単に「水銀放出体104」という)は、本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体100とは、その外形形状が異なる。よって、その形状について詳細に説明し、その他の点については省略する。
水銀放出体104は、端部がテーパー形状となっている。具体的には、水銀放出体104の焼結体部105の端部がテーパー形状105aとなっている。
水銀放出体104は、その端部がテーパー形状となっていることで、移送する際、他の水銀放出体と衝突して毀損するのを防止することができる。また、水銀放出体104の端部がテーパー形状となっていることで、細管の低圧放電ランプを作製する際、ガラス管への水銀放出体104の投入を容易に行うことができる。なお、水銀放出体104の一端部のみがテーパー形状となっていてもよい。
(2)変形例2
本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の変形例2の斜視図を図22に、その正面図を図23(a)に、その平面図を図23(b)にそれぞれ示す。本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の変形例2(以下、単に「水銀放出体106」という)は、本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体100とは、その水銀放出部107の形状が異なる。よって、その形状について詳細に説明し、その他の点については省略する。
水銀放出体106は、水銀放出部107の例えば中心軸を含むその軸方向に貫通孔107aが形成された筒状となっている。
水銀放出体106は、筒状となっていることで、水銀がその内面と焼結体部102側の両側から放出され、水銀の放出効率をより向上させることができる。なお、水銀放出体106の内面にさらに焼結体部が形成されていてもよい。この場合、高周波加熱する際、高周波加熱の渦電流が水銀放出体106の内面にも達し、水銀放出部107の加熱効率を高めて水銀の放出効率をより向上させることができる。
また、図22および図23に示す、水銀放出体は、円筒形状となっているが、これに限らず、多角形の筒形状等であってもよい。
ところで、貫通孔107aの直径Dhの、水銀放出部107の外径Diに対する比率は、5[%]以上60[%]以下の範囲内であることが好ましい。この場合、Dhが小さすぎると放出効率がさほど上がらず、また大きすぎると所定の水銀含有量が得られず、かつ加熱効率も低下するためである。
(3)変形例3
本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の変形例3の斜視図を図24に示す。本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の変形例3(以下、「水銀放出体110」という)は、本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体100とは、その形状が異なる。よって、その形状について詳細に説明し、その他の点については省略する。
水銀放出体110は、平板状である。具体的には、水銀放出体110は、平板状の水銀放出部111が平板状の焼結体部112に挟み込まれている。この場合、水銀放出部111が二つの焼結体部112で両挟みされたものであるため、水銀放出部111の加熱効率が高まり、水銀放出効率をより向上させることができる。また、シート工法により、プレス成形加工で作製することができるため、製造工程をより簡易化することができる。ただし、図24に示した構成(平板状の構成)以外の他の構成を採用することも可能である。例えば、図25に示す水銀放出体113は、図24に示した平板状の構成を屈曲させて略円筒形状にしたものである。あるいは、図26に示した水銀放出体114のように、水銀放出部111の端面が焼結体部112で覆われた構成にすることも可能である。図26に示した構成の場合、水銀放出部111の端面が焼結体部112で覆われており、表面と裏面が連続していることから、渦電流の効率を向上させることができるという効果を奏し得る。
なお、水銀放出部111が焼結体部112によって覆われているのであれば、水銀放出体の一部(上記焼結体部の一部)にスリットを設けることも可能である。図25および図26に示した構成も、水銀放出体の一部にスリットが形成されている形態といえるが、例えば、図1に示した水銀放出体100の長手方向の中心軸X100に対してスリットを平行に設けたり、垂直に設けたり、斜めに設けたりすることも可能である。
水銀放出体は、焼結体部の一部にスリットを設けると、スリットの部分から水銀を放出させやすくして、水銀の放出効率をより高められる可能性がある一方で、スリットの存在による渦電流の効率の低下の問題も生じるので、スリットを形成する場合の設計には配慮が必要である。
(4)変形例4
本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の変形例4の斜視図を図27に示す。本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の変形例4(以下、「水銀放出体115」という)は、本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の変形例3の平板板状の水銀放出部111に片面のみ焼結体部112が積層されたものをスパイラル状に巻きつけたものである。具体的には、最終的に焼結体部112が外側となるように、焼結体部112と水銀放出部111が積層されたものをスパイラル状に巻きつけたものである。この場合、水銀放出部111の片面を焼結体部112で覆ったものでも、水銀放出部111の両面を焼結体部112で覆ったものであってもよい。
このような水銀放出体115は、その内部を含めて全体的に高周波加熱により加熱されるので、水銀の放出効率を一層向上させることができる。
(5)変形例5
本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の変形例5の斜視図を図28に示す。本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の変形例5(以下、単に「水銀放出体116」という)は、本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体100とは、その形状が異なる。よって、その形状について詳細に説明し、その他の点については省略する。
水銀放出体116は、棒状の水銀放出部101に帯状の焼結体部117が巻き付けられている。この構成により、水銀放出体116は、水銀放出部101と焼結体部117を同時に押出ししなくても、水銀放出部101となる棒状体の坏土を成形した後に焼結体部117となる坏土を巻き付けることで成形することができる。
(6)変形例6
本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の変形例6の一部切欠き斜視図を図29に示す。本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体の変形例6(以下、単に「水銀放出体118」という)は、本発明の第1の実施形態に係る水銀放出体100とは、その形状が異なる。よって、その形状について詳細に説明し、その他の点については省略する。
水銀放出体118は球状で、球形状の水銀放出部119の外側全体に焼結体部120が積層されている。
水銀放出体118は、その外側が全て焼結体部120で覆われていることで、水銀放出体118を移送する際、水銀が含有されている水銀放出部119に直接触れることなく作業できるため、作業の安全性を向上させることができる。なお、水銀放出部119が全て焼結体部120に覆われていれば、球形状に限らず、多面体形状等(例えば、断面矩形、断面六角形など)でもよい。球形状の場合、角がないため、移送の際に水銀放出体118同士が衝突することによって損傷するのを防止することができる。また、球形状の場合、輸送の際、他の形状よりも輸送容器に密に詰め込むことができるため、輸送の効率を高めることができる。
本発明は、水銀放出体、それを用いた低圧放電ランプの製造方法、低圧放電ランプ、照明装置および液晶表示装置に広く適用することができる。
100、104、106、110、113、114、115、116、118、200、203、300、501 水銀放出体
101、107、111、119 水銀放出部
102、105、112、117、120 焼結体部
201、206 開口部
202、204 容器
205 スリット
400 ガラス管
500、600 低圧放電ランプ
502、601 発光管
503、603 電極
504、604 リード線
700、800、900 照明装置
1000 液晶表示装置

Claims (14)

  1. チタン(Ti)と水銀(Hg)との金属間化合物を含む水銀放出部を有し、
    前記金属間化合物は、Ti1.73Hgを含むことを特徴とする水銀放出体。
  2. 前記金属間化合物は、前記水銀放出部の全水銀量に対して40[wt%]以上100[wt%]以下の範囲内の水銀量を有する前記Ti1.73Hgを含むことを特徴とする請求項1に記載の水銀放出体。
  3. 前記金属間化合物は、前記Ti1.73Hgを除く残部がTi3Hgであることを特徴とする請求項1に記載の水銀放出体。
  4. 前記金属間化合物は、前記Ti1.73Hgを除く残部がTi3Hgであることを特徴とする請求項2に記載の水銀放出体。
  5. 前記水銀放出部は、少なくとも一部に開口部を有する容器の内部に格納されていることを特徴とする請求項1に記載の水銀放出体。
  6. 前記容器は、鉄およびニッケルのうち少なくとも1種以上で形成されていることを特徴とする請求項5に記載の水銀放出体。
  7. 前記水銀放出部と、前記水銀放出部を覆う金属の焼結体から構成される焼結体部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の水銀放出体。
  8. 前記焼結体部は、ポーラス状に形成されていることを特徴とする請求項7に記載の水銀放出体。
  9. 前記焼結体部の気孔率が5[%]以上であることを特徴とする請求項6に記載の水銀放出体。
  10. 前記焼結体部の気孔率が5[%]以上であることを特徴とする請求項7に記載の水銀放出体。
  11. 請求項1に記載の水銀放出体をガラス管の内部に挿入する工程と、前記水銀放出体を加熱する工程とを含むことを特徴とする低圧放電ランプの製造方法。
  12. ガラス管と、前記ガラス管の少なくとも一方の端部に封着されたリード線と、前記リード線におけるガラス管の内部に位置する端部に取着された電極とを備え、前記リード線の前記ガラス管内に位置する部分または前記電極に請求項1に記載の水銀放出体が固定されていることを特徴とする低圧放電ランプ。
  13. 請求項12に記載の低圧放電ランプを備えることを特徴とする照明装置。
  14. 請求項13に記載の照明装置を備えることを特徴とする液晶表示装置。
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