JPWO2009044897A1 - 酸化インジウム系透明導電膜及びその製造方法 - Google Patents

酸化インジウム系透明導電膜及びその製造方法 Download PDF

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誠一郎 高橋
宮下 徳彦
徳彦 宮下
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真 池田
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C23COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C14/00Coating by vacuum evaporation, by sputtering or by ion implantation of the coating forming material
    • C23C14/06Coating by vacuum evaporation, by sputtering or by ion implantation of the coating forming material characterised by the coating material
    • C23C14/08Oxides
    • C23C14/086Oxides of zinc, germanium, cadmium, indium, tin, thallium or bismuth

Abstract

酸化インジウムと錫を含有すると共にバリウムをインジウム1モルに対して0.00001モル以上0.10モル未満含有されている酸化物焼結体を具備するスパッタリングターゲットを用いてアモルファスな膜として成膜された透明導電膜であり、酸化インジウムと錫とを含有すると共にバリウムを含有し且つ水の分圧が1.0×10-4Pa以上1.0×10-1Pa以下の条件下で成膜されたものであることを特徴とする透明導電膜にある。

Description

本発明は、アモルファス膜として成膜でき、そのアモルファス膜は弱酸エッチングにより容易にパターニングでき、さらに容易に結晶化でき、またさらに結晶化した膜は低抵抗で且つ透過率が高い透明導電膜及びその製造方法に関する。
酸化インジウム−酸化錫(In23−SnO2の複合酸化物、以下、「ITO」という)膜は、可視光透過性が高く、かつ導電性が高いので透明導電膜として液晶表示装置やガラスの結露防止用発熱膜、赤外線反射膜等に幅広く用いられているが、アモルファスな膜とするのが困難であるという問題がある。
一方、アモルファスな膜となるものとして、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO)透明導電膜が知られているが、かかる膜はITO膜より透明性に劣り、黄色みがかるという問題がある。
そこで、本出願人は、透明導電膜としてITO膜に珪素を添加して所定の条件で成膜したアモルファスな透明導電膜を先に提案した(特許文献1参照)が、珪素を添加すると高抵抗化の傾向があるという問題があった。
特開2005−135649号公報(特許請求の範囲)
本発明は、このような事情に鑑み、アモルファス膜として成膜でき、そのアモルファス膜は弱酸エッチングにより容易にパターニングでき、さらに容易に結晶化でき、またさらに結晶化した膜は低抵抗で且つ透過率が高い透明導電膜及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明は上述した課題を解決するために種々検討を重ねた結果、バリウムを添加した酸化インジウム系透明導電膜が、低抵抗で透明性に優れたアモルファスな膜で弱酸エッチングにより容易にパターニングでき、またさらに容易に結晶化できることを知見し、先に出願を行った(特願2007−095783)。
この場合においても、結晶化温度が100℃以下の組成範囲に関しては、アモルファスな膜として成膜するには条件が厳しいという課題があったが、本発明は、かかる課題をも解決するものである。
前記課題を解決する本発明の第1の態様は、酸化インジウムと錫を含有すると共にバリウムをインジウム1モルに対して0.00001モル以上0.10モル未満含有されている酸化物焼結体を具備するスパッタリングターゲットを用いてアモルファスな膜として成膜された透明導電膜であり、酸化インジウムと錫とを含有すると共にバリウムを含有し且つ水の分圧が1.0×10-4Pa以上1.0×10-1Pa以下の条件下で成膜されたものであることを特徴とする透明導電膜にある。
かかる第1の態様では、所定の水分圧下でバリウムを含有する酸化インジウム系透明導電膜とすることにより、比較的容易にアモルファスな膜として成膜されて弱酸性のエッチャントでのエッチングが可能なものとなる。
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載の透明導電膜において、前記アモルファスな膜が水素を含有することを特徴とする透明導電膜にある。
かかる第2の態様では、水分圧の高い成膜により、アモルファス膜中に水素が取り込まれた状態となる。
本発明の第3の態様は、第1又は2の態様に記載の透明導電膜において、インジウム1モルに対しての錫のモル比yが、インジウム1モルに対するバリウムのモル比xで表される(−6.9×10-2Ln(x)−1.6×10-1)の値以下であり且つ(−8.1×10-3Ln(x)+1.8×10-1)の値以下の範囲にあることを特徴とする透明導電膜にある。
かかる第3の態様では、結晶化温度が比較的低いアモルファスな膜となる。
本発明の第4の態様は、第1又は2の態様に記載の透明導電膜において、インジウム1モルに対しての錫のモル比yが、インジウム1モルに対するバリウムのモル比xで表される(−8.1×10-2Ln(x)−2.6×10-1)の値以下であり且つ(−7.1×10-3Ln(x)+1.6×10-1)の値以下の範囲にあることを特徴とする透明導電膜にある。
かかる第4の態様では、比較的容易にアモルファスな膜として成膜されて弱酸性のエッチャントでのエッチングが可能なものとなる。
本発明の第5の態様は、第4の態様に記載の透明導電膜において、水の分圧が1.0×10-3Pa以上1.0×10-1Pa以下の条件下で成膜されたことを特徴とする透明導電膜にある。
かかる第5の態様では、所定の水分圧下の成膜により、所定範囲の組成のアモルファスで結晶化温度の比較的低い膜とすることができる。
本発明の第6の態様は、第1〜5の何れか1つの態様に記載の透明導電膜において、成膜後、アニールすることにより結晶化した膜とされたことを特徴とする透明導電膜にある。
かかる第6の態様では、アモルファスな膜として成膜された後、アニールにより容易に結晶化でき、耐弱酸性を付与することができる。
本発明の第7の態様は、第6の態様に記載の透明導電膜において、前記アニールが100〜300℃で行われたことを特徴とする透明導電膜にある。
かかる第7の態様では、比較的低温で結晶化された膜となる。
本発明の第8の態様は、第6又は7の態様に記載の透明導電膜において、アニール後の透明導電膜の抵抗率が5.0×10-4Ω・cm以下であることを特徴とする透明導電膜にある。
かかる第8の態様では、アニール後の抵抗率が非常に低く、抵抗率が5.0×10-4Ω・cm以下である低抵抗の膜とすることができる。
本発明の第9の態様は、酸化インジウムと錫を含有すると共にバリウムをインジウム1モルに対して0.00001モル以上0.10モル未満含有されている酸化物焼結体を具備するスパッタリングターゲットを用い、酸化インジウムと錫とを含有すると共にバリウムを含有し且つアモルファスな膜を成膜するに際し、成膜時の水の分圧を1.0×10-4Pa以上1.0×10-1Pa以下とすることを特徴とする透明導電膜の製造方法にある。
かかる第9の態様では、所定の水分圧下でバリウムを含有する酸化インジウム系透明導電膜を成膜することにより、比較的容易にアモルファスな膜として成膜されて弱酸性のエッチャントでのエッチングが可能な膜を得ることができる。
本発明の第10の態様は、第9の態様に記載の透明導電膜の製造方法において、インジウム1モルに対しての錫のモル比yが、インジウム1モルに対するバリウムのモル比xで表される(−6.9×10-2Ln(x)−1.6×10-1)の値以下であり且つ(−8.1×10-3Ln(x)+1.8×10-1)の値以下の範囲にあるスパッタリングターゲットを用いて成膜することを特徴とする透明導電膜の製造方法にある。
かかる第10の態様では、所定範囲の組成とすることにより、結晶化温度が比較的低い膜を得ることができる。
本発明の第11の態様は、第9の態様に記載の透明導電膜の製造方法において、インジウム1モルに対しての錫のモル比yが、インジウム1モルに対するバリウムのモル比xで表される(−8.1×10-2Ln(x)−2.6×10-1)の値以下であり且つ(−7.1×10-3Ln(x)+1.6×10-1)の値以下の範囲にあるスパッタリングターゲットを用い、成膜時の水の分圧を1.0×10-3以上1.0×10-1Pa以下として成膜することを特徴とする透明導電膜の製造方法にある。
かかる第11の態様では、所定の水分圧下で所定の組成の膜を成膜することにより、結晶化温度が比較的低い膜を得ることができる。
本発明の第12の態様は、第9〜11の何れか1つの態様に記載の透明導電膜の製造方法において、アモルファスな膜を成膜後、アニールすることにより結晶化した膜とすることを特徴とする透明導電膜の製造方法にある。
かかる第12の態様では、アモルファスな膜として成膜した後、アニールにより容易に結晶化でき、耐弱酸性を付与することができる。
本発明の第13の態様は、第12の態様に記載の透明導電膜の製造方法において、前記アニールによる結晶化を100〜300℃で行うことを特徴とする透明導電膜の製造方法にある。
かかる第13の態様では、100〜300℃と比較的低温で結晶化された膜を得ることができる。
本発明の第14の態様は、第13の態様に記載の透明導電膜の製造方法において、アニール後の透明導電膜の抵抗率が5.0×10-4Ω・cm以下であることを特徴とする透明導電膜の製造方法にある。
かかる第14の態様では、アニール後の抵抗率が非常に低く、抵抗率が5.0×10-4Ω・cm以下である低抵抗の膜とすることができる。
本発明によれば、酸化インジウムにバリウムを添加した膜で且つ所定の水分圧下で成膜したものとすることにより、アモルファス膜として成膜でき、そのアモルファス膜は弱酸エッチングにより容易にパターニングでき、さらに容易に結晶化でき、またさらに結晶化した膜は低抵抗で且つ透過率が高い透明導電膜とすることができるという効果を奏する。
本発明の試験実施例A1〜A74の結晶化温度を示す図である。 本発明の試験実施例B1〜B74の結晶化温度を示す図である。 本発明の参考試験例C1〜C74の最適酸素分圧の変化を示す図である。
本発明の酸化インジウム系透明導電膜を形成するために用いる透明導電膜用スパッタリングターゲットは、酸化インジウムを主体とし、錫を含有するもので、且つバリウムを含有する酸化物焼結体であり、バリウムは、その酸化物のまま、あるいは複合酸化物として、あるいは固溶体として存在していればよく、特に限定されない。
バリウムの含有量は、インジウム1モルに対して0.00001モル以上0.10モル未満含有されているスパッタリングターゲットを用いて形成した範囲とするのが望ましい。これより少ないと添加の効果は顕著ではなく、また、これより多くなると、形成される透明導電膜の抵抗が高くなる傾向と黄色味が悪化する傾向になるからである。なお、上述したスパッタリングターゲットにより形成された透明導電膜中のバリウム含有量は、使用したスパッタリングターゲット中の含有量と同一の含有量となる。
また、錫の含有量は、インジウム1モルに対して0.001〜0.3モル、好ましくは、0.005〜0.3モルの範囲で含有されるスパッタリングターゲットを用いて成膜されるのが望ましい。この範囲内であれば、スパッタリングターゲットのキャリヤ電子の密度並びに移動度を適切にコントロールして導電性を良好な範囲に保つことができる。また、この範囲を越えて添加すると、スパッタリングターゲットのキャリヤ電子の移動度を低下させると共に導電性を劣化させる方向に働くので好ましくない。なお、上述したスパッタリングターゲットにより形成された透明導電膜中の錫の含有量は、使用したスパッタリングターゲット中の含有量と同一の含有量となる。このような酸化インジウム系透明導電膜の組成分析は、単膜を全量溶解しICPで分析してもよい。また、膜自体が素子構成をなしている場合などは、必要に応じてFIB等により該当する部分の断面を切り出し、SEMやTEM等に付属している元素分析装置(EDSやWDS、オージェ分析など)を用いても特定することが可能である。
かかるスパッタリングターゲットは、DCマグネトロンスパッタリングでスパッタリング可能な程度の抵抗値を有しているので、比較的安価なDCマグネトロンスパッタリングでスパッタリング可能であるが、勿論、高周波マグネトロンスパッタリング装置を用いてもよい。
このような透明導電膜用スパッタリングターゲットを用い、水の分圧が1.0×10-4Pa以上1.0×10-1Pa以下の条件下で成膜したものとすることにより、同一組成でアモルファスな酸化インジウム系透明導電膜が形成できる。
ここで、水の分圧を上述した所定範囲とするためには、成膜チャンバに成膜時に導入する雰囲気ガス(一般的にはAr、必要に応じて酸素を含有したガスであり、例えば、10-4Pa台の圧力)と共に水蒸気をマスフローコントローラなどを介して導入すればよく、到達真空度が10-4Pa未満と高真空の場合には、雰囲気ガスの1/100〜1/10程度の圧力とするのが好ましい。なお、到達真空度が10-4〜10-3Pa程度と真空度が悪い条件下では、その残留ガスの主成分は、水である。つまり、その到達真空度がほぼ水の分圧に相当するので、水蒸気を特に導入することなく所望の水の分圧の状態を得ることができる。
このような本発明の酸化インジウム系透明導電膜は、バリウムが所定量含有されているので、バリウムの含有量によっても異なるが、成膜を室温以上で結晶化温度より低い温度条件、例えば、200℃より低い温度条件、好ましくは150℃より低い温度条件、さらに好ましくは100℃より低い温度条件で行うことにより、アモルファス状の状態で成膜される。また、このようなアモルファスな膜は、弱酸性のエッチャントでのエッチングを行うことができるという利点がある。ここで、本件明細書では、エッチングは、パターニング工程に含まれるもので、所定のパターンを得るためのものである。
また、得られる透明導電膜の抵抗率はバリウムの含有量によっても異なるが、抵抗率が1.0×10-4〜1.0×10-3Ω・cmである。
さらに、成膜した膜の結晶化温度は含有されるバリウムの含有量によって異なり、含有量が上昇するほど上昇するが、100℃〜300℃の温度条件でアニールすることにより、結晶化させることができる。このような温度領域は通常の半導体製造プロセスで使用されているので、このようなプロセスの中で結晶化させることもできる。なお、この温度範囲の中で、100℃〜300℃で結晶化するものが好ましく、150℃〜250℃で結晶化するのがさらに好ましく、200℃〜250℃で結晶化するものが最も好ましい。
ここで、アニールとは、大気中、雰囲気中、真空中などにおいて、所望の温度にて一定時間加熱することをさす。その一定時間とは、一般に数分から数時間程度であるが、工業的には効果が同じであれば短い時間が好まれる。
ここで、本発明の透明導電膜は、水の分圧を1.0×10-4Pa以上1.0×10-1Pa以下の条件下で成膜することにより、成膜温度を多少高く設定してもアモルファスな膜を得ることができる。
ここで、アモルファスな膜として成膜できるかどうかは、上述したように成膜される膜の組成における結晶化温度より低い成膜温度で成膜する必要があり、錫やバリウムの含有量が少ない組成ほど結晶化温度が低くなり、錫やバリウムの含有量が多い組成ほど結晶化温度が高くなる傾向となるが、水の分圧を1.0×10-4Pa以上1.0×10-1Pa以下の条件下で成膜することにより、各組成の結晶化温度を水の分圧を1.0×10-4Pa未満で成膜したときと比較して50〜100℃程度高くすることができる。よって、水の分圧を1.0×10-4Pa未満で成膜したときの結晶化温度が100℃未満、特に室温に近い組成範囲の膜については、アモルファスな膜を得るための成膜条件がかなり厳しくなり、場合によっては成膜時に結晶化してしまう可能性もある。このような組成範囲においては、特に、水の分圧を1.0×10-4Pa以上1.0×10-1Pa以下の条件下とすることにより、結晶化温度を、例えば、150〜200℃程度に上昇させることができるので、例えば、100℃程度の成膜条件でもアモルファスな膜を得ることができる。
一方、水の分圧を1.0×10-4Pa未満で成膜したときの結晶化温度が、例えば、300℃〜400℃の組成範囲では、水の分圧を1.0×10-4Pa以上1.0×10-1Pa以下の条件下とすることにより、結晶化温度が、例えば、350〜500℃と高くなってしまい、アモルファス膜とすることができても、逆に結晶化する条件が厳しくなるので、この場合には、水の分圧を1.0×10-4Pa以上1.0×10-1Pa以下の条件下とするのは好ましくない。
よって、このような観点からは、水の分圧を1.0×10-4Pa以上1.0×10-1Pa以下の条件下で成膜する膜の組成としては、インジウム1モルに対しての錫のモル比yが、インジウム1モルに対するバリウムのモル比xで表される(−6.9×10-2Ln(x)−1.6×10-1)の値以下であり且つ(−8.1×10-3Ln(x)+1.8×10-1)の値以下の範囲とするのが好ましい。この範囲であれば、結晶化温度が100〜300℃となり、アモルファスな膜を成膜し、結晶化して用いることが比較的容易となる。
また、特に、水の分圧を1.0×10-3以上1.0×10-1Pa以下として成膜する場合には、インジウム1モルに対しての錫のモル比yが、インジウム1モルに対するバリウムのモル比xで表される(−8.1×10-2Ln(x)−2.6×10-1)の値以下であり且つ(−7.1×10-3Ln(x)+1.6×10-1)の値以下の範囲の組成とするのが好ましい。この範囲であれば、結晶化温度が100〜300℃となり、アモルファスな膜を成膜し、結晶化して用いることが比較的容易となるからである。
なお、水の分圧が1.0×10-4Paよりも低いと、上述したような結晶化温度を上昇させる効果が顕著ではなく、一方、水の分圧が上限(1.0×10-1Pa)よりも大きい場合には、得られる膜はアモルファスであるが、アニールして結晶化した際に膜の比抵抗が低減せず、5.0×10-4Ω・cm以下の結晶化膜が得られがたくなり、好ましくはない。
次に、本発明で用いるスパッタリングターゲットの製造方法について説明するが、これは単に例示したものであり、製造方法は特に限定されるものではない。
まず、本発明のスパッタリングターゲットを構成する出発原料としては、一般的にIn23、SnO2、BaCO3の粉末であるが、In23とBaCO3とを予め仮焼してBaIn24とし、これにIn23およびSnO2を混合して用いるのが好ましい。BaCO3の分解によるガス発生に起因した気孔の発生を防止するためである。なお、これらの単体、化合物、複合酸化物等を原料としてもよい。単体、化合物を使う場合はあらかじめ酸化物にするようなプロセスを通すようにする。
これらの原料粉を、所望の配合率で混合し、成形する方法は特に限定されず、従来から公知の各種湿式法又は乾式法を用いることができる。
乾式法としては、コールドプレス(Cold Press)法やホットプレス(Hot Press)法等を挙げることができる。コールドプレス法では、混合粉を成形型に充填して成形体を作製し、焼成させる。ホットプレス法では、混合粉を成形型内で焼成、焼結させる。
湿式法としては、例えば、濾過式成形法(特開平11−286002号公報参照)を用いるのが好ましい。この濾過式成形法は、セラミックス原料スラリーから水分を減圧排水して成形体を得るための非水溶性材料からなる濾過式成形型であって、1個以上の水抜き孔を有する成形用下型と、この成形用下型の上に載置した通水性を有するフィルターと、このフィルターをシールするためのシール材を介して上面側から挟持する成形用型枠からなり、前記成形用下型、成形用型枠、シール材、およびフィルターが各々分解できるように組立てられており、該フィルター面側からのみスラリー中の水分を減圧排水する濾過式成形型を用い、混合粉、イオン交換水と有機添加剤からなるスラリーを調製し、このスラリーを濾過式成形型に注入し、該フィルター面側からのみスラリー中の水分を減圧排水して成形体を製作し、得られたセラミックス成形体を乾燥脱脂後、焼成する。
コールドプレス法や湿式法で成形したものの焼成温度は、1300〜1650℃が好ましく、さらに好ましくは、1500〜1650℃であり、その雰囲気は大気雰囲気、酸素雰囲気、非酸化性雰囲気、または真空雰囲気などである。一方、ホットプレス法の場合は、1200℃付近で焼結させることが好ましく、その雰囲気は、非酸化性雰囲気や真空雰囲気などである。なお、各方法において焼成した後には、所定寸法に成形・加工のための機械加工を施しターゲットとする。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、これに限定されるものではない。
(スパッタリングターゲット製造例1〜67)
純度>99.99%のIn23粉、SnO2粉、および純度>99.9%のBaCO3粉を用意した。
まず、BET=27m2/gのIn23粉58.6wt%及び、BET=1.3m2/gのBaCO3粉41.4wt%の比率で、全量200g用意し、乾燥状態でボールミルで混合し、大気中1100℃で3時間仮焼し、BaIn24粉を得た。
次いで上記BaIn24粉、BET=5m2/gのIn23粉およびBET=1.5m2/gのSnO2粉をIn1モルに対してBa及びSnが下記表1〜表6に占めるモルに相当するような比率で全量で約1.0kg用意し、これをボールミルで混合した。その後バインダーとしてPVA水溶液を添加して混合、乾燥し、コールドプレスして成形体を得た。この成形体を、大気中600℃で10時間、60℃/hの昇温で脱脂し、次いで、酸素雰囲気下で1600℃で8時間焼成して焼結体を得た。焼成条件は具体的には、室温から800℃まで100℃/hで昇温し、800℃から1600℃まで400℃/hで昇温し、8時間保持した後、1600℃から室温まで100℃/hの条件で冷却という条件である。その後、この焼結体を加工しターゲットを得た。このときの密度とバルク抵抗率は、例えば32の組成では、それぞれ6.88g/cm3、2.81×10-4Ω・cmであり、22の組成では、それぞれ6.96g/cm3、2.87×10-4Ω・cmであった。
(試験実施例A1〜A67)
4インチのDCマグネトロンスパッタ装置に各製造例1〜67のスパッタリングターゲットをそれぞれ装着し、基板温度を室温(約20℃)、水の分圧を1.0×10-4Paとし、酸素分圧を0〜3.0sccmの間で変化させながら(0〜1.1×10-2Paに相当)、試験実施例A1〜A67の透明導電膜を得た。
スパッタの条件は、以下の通りとし、厚さ1200Åの膜を得た。
ターゲット寸法 :φ=4in. t=6mm
スパッタ方式 :DCマグネトロンスパッタ
排気装置 :ロータリーポンプ+クライオポンプ
到達真空度 :5.3×10-6[Pa]
Ar圧力 :4.0×10-1[Pa]
酸素圧力:0〜1.1×10-2[Pa]
基板温度:室温
スパッタ電力 :130W (電力密度1.6W/cm2
使用基板 :コーニング#1737(液晶ディスプレイ用ガラス) t=0.8mm
試験実施例A1〜A67については、室温成膜における酸素分圧と抵抗率との関係及び250℃アニール後の酸素分圧と抵抗率との関係を求めた。
下記表1および表2には、各サンプルのIn1モルに対して、Ba及びSnのモル比、室温成膜での結晶状態(アモルファス膜をa、結晶化膜をcとして表記する)を示すと共に、アモルファス膜の結晶化温度を示した。
表1および表2において成膜時抵抗率とは、室温成膜時の最適酸素分圧における膜の抵抗率をさす。また、アニール後の抵抗率は、250℃アニール時の最適酸素分圧における抵抗率とした。
また、表1および表2に示した結晶化温度は、以下のように求めた。250℃アニールした後に最も低抵抗になる酸素分圧で室温成膜した膜を、100℃から300℃(必要であれば500℃)まで50℃刻みで大気中1時間アニールを行い、その膜を薄膜XRDで分析した。室温成膜したアモルファス膜を示すハローピークについてアニール温度が高くなることによって回折線が検出される。その初めての温度を結晶化温度と定めた。なお、結晶化温度のその他の求め方として、高温薄膜XRD法を使うこともできる。
また、試験実施例A1〜A67を図1にプロットし、結晶化温度が100〜300℃を●、結晶化温度が350℃以上を▲で示した。
この結果、結晶化温度が300℃以下の範囲は、インジウム1モルに対しての錫のモル比yが、インジウム1モルに対するバリウムのモル比xで表される(−6.9×10-2Ln(x)−1.6×10-1)の値以下であり且つ(−8.1×10-3Ln(x)+1.8×10-1)の値以下の範囲であることがわかった。
Figure 2009044897
Figure 2009044897
(試験実施例B1〜B67)
4インチのDCマグネトロンスパッタ装置に各製造例1〜67のスパッタリングターゲットをそれぞれ装着し、基板温度を室温(約20℃)、水の分圧を1.0×10-3Paとし、酸素分圧を0〜3.0sccmの間で変化させながら(0〜1.1×10-2Paに相当)、試験実施例B1〜B67の透明導電膜を得た。
スパッタの条件は、以下の通りとし、厚さ1200Åの膜を得た。
ターゲット寸法 :φ=4in. t=6mm
スパッタ方式 :DCマグネトロンスパッタ
排気装置 :ロータリーポンプ+クライオポンプ
到達真空度 :5.3×10-6[Pa]
Ar圧力 :4.0×10-1[Pa]
酸素圧力:0〜1.1×10-2[Pa]
基板温度:室温
スパッタ電力 :130W (電力密度1.6W/cm2
使用基板 :コーニング#1737(液晶ディスプレイ用ガラス) t=0.8mm
試験実施例B1〜B67については、室温成膜における酸素分圧と抵抗率との関係及び250℃アニール後の酸素分圧と抵抗率との関係を求めた。
下記表3および表4には、各サンプルのIn1モルに対して、Ba及びSnのモル比、室温成膜での結晶状態(アモルファス膜をa、結晶化膜をcとして表記する)を示すと共に、アモルファス膜の結晶化温度を示した。なお、結晶化温度、成膜時抵抗率、アニール後抵抗率は、上述したとおりである。
また、試験実施例B1〜B67を図2にプロットし、結晶化温度が100〜300℃を●、結晶化温度が350℃以上を▲で示した。
この結果、結晶化温度が300℃以下の範囲は、インジウム1モルに対するバリウムのモル比xで表される(−8.1×10-2Ln(x)−2.6×10-1)の値以下であり且つ(−7.1×10-3Ln(x)+1.6×10-1)の値以下の範囲であることがわかった。
Figure 2009044897
Figure 2009044897
(参考試験例C1〜C67)
4インチのDCマグネトロンスパッタ装置に各製造例1〜67のスパッタリングターゲットをそれぞれ装着し、基板温度を室温(約20℃)、水の分圧を1.0×10-5Paとして水が実質的に存在しない雰囲気下で、酸素分圧を0〜3.0sccmの間で変化させながら(0〜1.1×10-2Paに相当)、参考試験例C1〜C67の透明導電膜を得た。
スパッタの条件は、以下の通りとし、厚さ1200Åの膜を得た。
ターゲット寸法 :φ=4in. t=6mm
スパッタ方式 :DCマグネトロンスパッタ
排気装置 :ロータリーポンプ+クライオポンプ
到達真空度 :5.3×10-6[Pa]
Ar圧力 :4.0×10-1[Pa]
酸素圧力:0〜1.1×10-2[Pa]
基板温度:室温
スパッタ電力 :130W (電力密度1.6W/cm2
使用基板 :コーニング#1737(液晶ディスプレイ用ガラス) t=0.8mm
参考試験例C1〜C67については、室温成膜における酸素分圧と抵抗率との関係及び250℃アニール後の酸素分圧と抵抗率との関係を求めた。
下記表5および表6には、各サンプルのIn1モルに対して、Ba及びSnのモル比、室温成膜での結晶状態(アモルファス膜をa、結晶化膜をcとして表記する)を示すと共に、アモルファス膜の結晶化温度を示した。なお、結晶化温度、成膜時抵抗率、アニール後抵抗率は、上述したとおりである。
各製造例1〜67のスパッタリングターゲットを用い、室温(約20℃)での酸素分圧とその分圧で成膜された膜の抵抗率との関係を求めて最適酸素分圧を求めると共に、各酸素分圧で成膜した膜を250℃でアニールした後の抵抗率と成膜酸素分圧との関係からアニール後の抵抗率が最も低抵抗となる酸素分圧を250℃での成膜をする際の最適酸素分圧とし、両者の最適酸素分圧が異なるか否かを判断し、異なるものを●、ほぼ同じものを▲とし、図3に表した。
この結果、インジウム1モルに対しての錫のモル比yが、インジウム1モルに対するバリウムのモル比xで表される(−2.9×10-2Ln(x)−6.7×10-2)の値以上であり、(−2.0×10-1Ln(x)−4.6×10-1)の値以下でy=0を除く範囲にある場合に、成膜後のアモルファス膜が低抵抗となる成膜酸素分圧と、アニール後の膜が低抵抗となる成膜酸素分圧とが異なる、又は250℃における最適酸素分圧が室温での最適酸素分圧と異なることがわかった。すなわち、これらの組成範囲では、成膜直後の抵抗率から求めた最適酸素分圧ではなく、アニール後の結晶化した膜が最も低抵抗となる酸素分圧で成膜した方が、アニール後の膜の抵抗率が低くなり、より好ましいことになる。
また、インジウム1モルに対しての錫のモル比yが、インジウム1モルに対するバリウムのモル比xで表される(−2.9×10-2Ln(x)−6.7×10-2)の値未満の範囲では、結晶化温度が100℃より小さい範囲であることがわかった。
一方、図1及び図2を参照すると、水の分圧を所定範囲として成膜した場合には、インジウム1モルに対しての錫のモル比yが、インジウム1モルに対するバリウムのモル比xで表される(−2.9×10-2Ln(x)−6.7×10-2)の値未満の範囲でも結晶化温度が150℃以上と高くなり、アモルファスな膜に成膜し易いことがわかった。
すなわち、図1及び図2に示すように、水の分圧が1.0×10-4Pa以上の条件で成膜すると、図3のように水が実質的に存在しない状態である1.0×10-4Pa未満、好ましくは、1.0×10-5Pa以下の水分圧で成膜するときと比較してアモルファス膜の結晶化温度が高くなることがわかった。また、特に、水が実質的に存在しない条件下では結晶化温度が100℃未満である、インジウム1モルに対しての錫のモル比yが、インジウム1モルに対するバリウムのモル比xで表される(−2.9×10-2Ln(x)−6.7×10-2)の値未満の範囲では、結晶化温度が100℃より小さい範囲においても、結晶化温度が100℃以上、好ましくは150℃以上となり、アモルファスな膜が成膜し易くなっていることがわかった。
Figure 2009044897
Figure 2009044897
(試験実施例A68〜A74)
スパッタリングターゲット製造例1〜67と同様にして、下記表7に示した組成の焼結体からなる製造例68〜74のターゲットを得た。
各ターゲットを、4インチのDCマグネトロンスパッタ装置にそれぞれ装着し、基板温度を室温(約20℃)、水の分圧を1.0×10-4Paとし、酸素分圧を0〜3.0sccmの間で変化させながら(0〜1.1×10-2Paに相当)、試験実施例A68〜A74の透明導電膜を得た。
スパッタの条件は、以下の通りとし、厚さ1200Åの膜を得た。
ターゲット寸法 :φ=4in. t=6mm
スパッタ方式 :DCマグネトロンスパッタ
排気装置 :ロータリーポンプ+クライオポンプ
到達真空度 :5.3×10-6[Pa]
Ar圧力 :4.0×10-1[Pa]
酸素圧力:0〜1.1×10-2[Pa]
基板温度:室温
スパッタ電力 :130W (電力密度1.6W/cm2
使用基板 :コーニング#1737(液晶ディスプレイ用ガラス) t=0.8mm
試験実施例A68〜A74については、室温成膜における酸素分圧と抵抗率との関係及び250℃アニール後の酸素分圧と抵抗率との関係を求めた。
下記表7には、各サンプルのIn1モルに対して、Ba及びSnのモル比、室温成膜での結晶状態(アモルファス膜をa、結晶化膜をcとして表記する)を示すと共に、アモルファス膜の結晶化温度を示した。なお、結晶化温度、成膜時抵抗率、アニール後抵抗率は、上述したとおりである。
また、試験実施例A68〜A74を図1に試験実施例A1〜A18と共にプロットし、結晶化温度が100〜300℃を●、結晶化温度が350℃以上を▲で示した。
Figure 2009044897
(試験実施例B68〜B74)
製造例68〜74のターゲットを、4インチのDCマグネトロンスパッタ装置にそれぞれ装着し、基板温度を室温(約20℃)、水の分圧を1.0×10-3Paとし、酸素分圧を0〜3.0sccmの間で変化させながら(0〜1.1×10-2Paに相当)、試験実施例B68〜B74の透明導電膜を得た。
スパッタの条件は、試験実施例A68〜A74と同様であり、厚さ1200Åの膜を得た。
試験実施例B68〜B74については、室温成膜における酸素分圧と抵抗率との関係及び250℃アニール後の酸素分圧と抵抗率との関係を求めた。
下記表8には、各サンプルのIn1モルに対して、Ba及びSnのモル比、室温成膜での結晶状態(アモルファス膜をa、結晶化膜をcとして表記する)を示すと共に、アモルファス膜の結晶化温度を示した。なお、結晶化温度、成膜時抵抗率、アニール後抵抗率は、上述したとおりである。
また、試験実施例C68〜C74を図3に参考試験例C1〜C67と共にプロットし、結晶化温度が100〜300℃を●、結晶化温度が350℃以上を▲、100℃未満を■として示した。
Figure 2009044897
(参考試験例C68〜C74)
製造例68〜74のターゲットを、4インチのDCマグネトロンスパッタ装置にそれぞれ装着し、基板温度を室温(約20℃)、水の分圧を1.0×10-5Paとして水が実質的に存在しない雰囲気下で、酸素分圧を0〜3.0sccmの間で変化させながら(0〜1.1×10-2Paに相当)、参考試験例C68〜C74の透明導電膜を得た。
スパッタの条件は、試験実施例A68〜A74と同様であり、厚さ1200Åの膜を得た。
参考試験例C68〜C74については、室温成膜における酸素分圧と抵抗率との関係及び250℃アニール後の酸素分圧と抵抗率との関係を求めた。
下記表9には、各サンプルのIn1モルに対して、Ba及びSnのモル比、室温成膜での結晶状態(アモルファス膜をa、結晶化膜をcとして表記する)を示すと共に、アモルファス膜の結晶化温度を示した。なお、結晶化温度、成膜時抵抗率、アニール後抵抗率は、上述したとおりである。
また、試験実施例C68〜C74の結果を図3に参考試験例C1〜C67と共にプロットした。すなわち、製造例68〜74のターゲットについて、室温(約20℃)での酸素分圧とその分圧で成膜された膜の抵抗率との関係を求めて最適酸素分圧を求めると共に、各酸素分圧で成膜した膜を250℃でアニールした後の抵抗率と成膜酸素分圧との関係からアニール後の抵抗率が最も低抵抗となる酸素分圧を250℃での成膜をする際の最適酸素分圧とし、両者の最適酸素分圧が異なるか否かを判断し、異なるものを●、ほぼ同じものを▲とし、図3に表した。
Figure 2009044897
(水素の存在確認試験)
4インチのDCマグネトロンスパッタ装置に製造例13のスパッタリングターゲットをそれぞれ装着し、基板温度を室温(約20℃)、水の分圧を1.0×10−2Pa(実施例1とする)、5.0×10−3Pa(実施例2とする)及び5.0×10−5Pa(比較例1とする)の3条件で実施例1、実施例2及び比較例1の透明導電膜を得た。
スパッタの条件は、以下の通りとし、厚さ1200Åの膜を得た。
ターゲット寸法 :φ=4in. t=6mm
スパッタ方式 :DCマグネトロンスパッタ
排気装置 :ロータリーポンプ+クライオポンプ
到達真空度 :5.3×10−5[Pa]
Ar圧力 :4.0×10−1[Pa]
酸素圧力:0[Pa]
基板温度:室温
スパッタ電力 :130W (電力密度1.6W/cm
使用基板 :コーニング#1737(液晶ディスプレイ用ガラス) t=0.8mm
ここで、各条件において成膜した試料の結晶状態を薄膜XRDで分析したところ、実施例1及び実施例2ではアモルファス、比較例1では結晶化していることが確認された。
また、各膜内の水素の存在については、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS、ULVAC PHI社製 TRIFT IV)を用い、実施例1及び比較例1の試料について、以下に示す測定条件により、検出される(Hイオン数)/(全イオン数)を比較することで確認した。
[測定条件]
一次イオン: Au
加速電圧: 30kV
スキャン条件: ラスタースキャン(200×200μm)
表10には、成膜した試料のTOF−SIMS分析結果である、(Hイオンのカウント数)/(全イオンのカウント数)を示す。
ここで、成膜時の水分圧が5.0×10−5と実質的に水が存在しない雰囲気下で成膜した比較例1の試料においてもHイオンが検出されているが、これはバックラウンドとして判断することができる。すなわち、最近の研究において、比較例1の水分圧よりも低い分圧で成膜した酸化インジウム膜からH+イオンが検出されたことが報告されている(Jpn.J.Appl.Phys.,Vol.46,No.28,2007,pp.L685−L687)ことからすると、検出された水素イオンは成膜時に基板に付着した僅かな水分が膜内に取り込まれたものと推測できる。よって、本願発明では、実質的に水が存在しない雰囲気下である水分圧が5.0×10−5以下の雰囲気で成膜したサンプルの(Hイオン数)/(全イオン数)である7.75×10−4を基準値とし、これより増えた(Hイオン数)/(全イオン数)を膜に含有される水素イオンとする。
よって実施例1及び2と比較例2の(Hイオンのカウント数)/(全イオンのカウント数)を比較すると、成膜時の水分圧が大きくなるに従って大きくなっていることが分かる。従って、実施例1および2のように、成膜時の水分圧をコントロールすることで、膜内に水分が取り込まれることによる水素量を変化をさせることができることが確認できた。なお、膜内に取り込まれた水素は、膜内の原子のダングリングボンド(未結合手)と水素終端されることで、膜の結晶化を阻害する効果を有すると推測される。
Figure 2009044897

Claims (14)

  1. 酸化インジウムと錫を含有すると共にバリウムをインジウム1モルに対して0.00001モル以上0.10モル未満含有されている酸化物焼結体を具備するスパッタリングターゲットを用いてアモルファスな膜として成膜された透明導電膜であり、酸化インジウムと錫とを含有すると共にバリウムを含有し且つ水の分圧が1.0×10-4Pa以上1.0×10-1Pa以下の条件下で成膜されたものであることを特徴とする透明導電膜。
  2. 請求項1に記載の透明導電膜において、前記アモルファスな膜が水素を含有することを特徴とする透明導電膜。
  3. 請求項1又は2に記載の透明導電膜において、インジウム1モルに対しての錫のモル比yが、インジウム1モルに対するバリウムのモル比xで表される(−6.9×10-2Ln(x)−1.6×10-1)の値以下であり且つ(−8.1×10-3Ln(x)+1.8×10-1)の値以下の範囲にあることを特徴とする透明導電膜。
  4. 請求項1又は2に記載の透明導電膜において、インジウム1モルに対しての錫のモル比yが、インジウム1モルに対するバリウムのモル比xで表される(−8.1×10-2Ln(x)−2.6×10-1)の値以下であり且つ(−7.1×10-3Ln(x)+1.6×10-1)の値以下の範囲にあることを特徴とする透明導電膜。
  5. 請求項4に記載の透明導電膜において、水の分圧が1.0×10-3Pa以上1.0×10-1Pa以下の条件下で成膜されたことを特徴とする透明導電膜。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載の透明導電膜において、成膜後、アニールすることにより結晶化した膜とされたことを特徴とする透明導電膜。
  7. 請求項6に記載の透明導電膜において、前記アニールが100〜300℃で行われたことを特徴とする透明導電膜。
  8. 請求項6又は7に記載の透明導電膜において、アニール後の透明導電膜の抵抗率が5.0×10-4Ω・cm以下であることを特徴とする透明導電膜。
  9. 酸化インジウムと錫を含有すると共にバリウムをインジウム1モルに対して0.00001モル以上0.10モル未満含有されている酸化物焼結体を具備するスパッタリングターゲットを用い、酸化インジウムと錫とを含有すると共にバリウムを含有し且つアモルファスな膜を成膜するに際し、成膜時の水の分圧を1.0×10-4Pa以上1.0×10-1Pa以下とすることを特徴とする透明導電膜の製造方法。
  10. 請求項9に記載の透明導電膜の製造方法において、インジウム1モルに対しての錫のモル比yが、インジウム1モルに対するバリウムのモル比xで表される(−6.9×10-2Ln(x)−1.6×10-1)の値以下であり且つ(−8.1×10-3Ln(x)+1.8×10-1)の値以下の範囲にあるスパッタリングターゲットを用いて成膜することを特徴とする透明導電膜の製造方法。
  11. 請求項9に記載の透明導電膜の製造方法において、インジウム1モルに対しての錫のモル比yが、インジウム1モルに対するバリウムのモル比xで表される(−8.1×10-2Ln(x)−2.6×10-1)の値以下であり且つ(−7.1×10-3Ln(x)+1.6×10-1)の値以下の範囲にあるスパッタリングターゲットを用い、成膜時の水の分圧を1.0×10-3以上1.0×10-1Pa以下として成膜することを特徴とする透明導電膜の製造方法。
  12. 請求項9〜11の何れか1項に記載の透明導電膜の製造方法において、アモルファスな膜を成膜後、アニールすることにより結晶化した膜とすることを特徴とする透明導電膜の製造方法。
  13. 請求項12に記載の透明導電膜の製造方法において、前記アニールによる結晶化を100〜300℃で行うことを特徴とする透明導電膜の製造方法。
  14. 請求項13に記載の透明導電膜の製造方法において、アニール後の透明導電膜の抵抗率が5.0×10-4Ω・cm以下であることを特徴とする透明導電膜の製造方法。
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