JPWO2009001565A1 - マウスガード及びマウスガードの製造方法 - Google Patents

マウスガード及びマウスガードの製造方法 Download PDF

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Abstract

一定形状で噛み合わせ形状に対応し、噛合部で歯に密着するマウスガード。マウスガード10は、顎歯列に装着される。このマウスガード10は、連続気孔高分子材料で形成されるために圧縮ひずみに対する応力のプラトー領域を有する特性を有し、同特性を利用して上下歯列の噛合部で歯列に密着し、かつ噛合部に接する歯列に均一な応力を与えて、良好なフィット感をもたらすとともに、高い衝撃吸収力によりマウスガードとしての高い安全性も兼ね備える。

Description

本発明は、少なくとも上顎歯列に装着する部分を有するマウスガードに関し、特に多孔質材料を用いて歯列への密着度を高めたマウスガードに関するものである。
従来より、ボクシング、アメリカンフットボールなど、各種のスポーツにおいて、マウスガードが利用されており、各種のものが知られている(特許文献1、2参照)。このマウスガードは、少なくとも、上顎歯列に装着して、外側から受ける衝撃を和らげ、歯やこれを支持する歯茎、さらには顎関節を保護する。なお、マウスガードの他、マウスピース、スプリント等とも呼ばれる。
また、マウスガードを装着したとき、噛み合わせ部分に位置して噛合安定部となり、これによって歯をくいしばりやすくなり、力を出す上での助けになることも知られている。
このような、マウスガードは、ユーザの口内の形状に合致していることが必要であり、加熱するなどして軟化させたマウスガードをユーザが噛み、成形するものや、歯科医などで型を取り、できた型から成形するものなどがある。
また、その材質としては、シリコンゴムや、酢酸エチルビニル(EVA)などが用いられ、衝撃に強く十分な強度を持ったものが利用されている。
しかし、これらの材料は、ひずみと応力との関係が線形であるため、安定した噛合安定部を形成するために弾性係数を高めると衝撃吸収性が犠牲になり、衝撃吸収性を高めようとすると弾性係数をある程度低く設定する必要から適正な噛合安定部を形成し難いという二律背反した問題があった。
特開平11-42311号公報 特開2003-102748号公報
解決しようとする問題点は、適正な噛合安定部を形成するために衝撃吸収性が犠牲になり、衝撃吸収性を高めようとすると適正な噛合安定部を形成し難いという二律背反した点である。
請求項1記載の本発明のマウスガードは、歯列の前側を覆う前壁部と、歯列の後側を覆う後壁部と、これら前壁部及び後壁部間を接続し上下顎歯列間の噛み合わせを行わせる噛合部とからなるマウスガードであって、前記前壁部、後壁部及び噛合部を可撓性且つ衝撃吸収性の多孔質材料で形成し、前記噛合部は上下顎歯列間の噛み合わせ力に応じて変形し前記前壁部及び前記後壁部に比較して噛み込み方向断面内の密度が高まり上下顎歯列に密着した噛合安定部を形成可能とすることを最も主要な特徴とする。
請求項2記載の本発明のマウスガードは、請求項1記載のマウスガードであって、前記多孔質材料は、連続気孔高分子材料からなることを主要な特徴とする。
請求項3記載の本発明のマウスガードは、請求項2記載のマウスガードであって、前記連続気孔高分子材料は、熱可塑性のスチレン系エラストマーを高分子骨格材とすることを主要な特徴とする。
請求項4記載の本発明のマウスガードは、請求項1から3のいずれかに記載のマウスガードであって、前記噛合部と前記前壁部及び後璧部とは、気孔率が異なる、ことを主要な特徴とする。
請求項5記載の本発明のマウスガードは、請求項4記載のマウスガードであって、前記噛合部の気孔率を前記前壁部及び後璧部の気孔率より低くし、又は前記噛合部と前記前壁部及び前記後壁部とを異なる多孔質材料で形成したことを主要な特徴とする。
請求項6記載の本発明のマウスガードは、請求項1から3のいずれかに記載のマウスガードであって、前記噛合部は、厚み方向の中間部の気孔率を他の部分よりも相対的に低くし、又は他の部分よりも相対的に硬い材料を厚み方向の中間部に埋め込んだことを主要な特徴とする。
請求項7記載の本発明のマウスガードは、請求項1から3のいずれかに記載のマウスガードであって、前記前壁部、後壁部及び噛合部の歯列に接する内面部側の気孔率を歯列に接しない外面部側の気孔率よりも高くし、又は前記前壁部、後壁部及び噛合部の歯列に接する内面部側を剛性の低い多孔質材料で形成し歯列に接しない外面部側を相対的に剛性の高い多孔質材料で形成したことを主要な特徴とする。
請求項8記載の本発明のマウスガードは、請求項1から7のいずれかに記載のマウスガードであって、前記噛合部は、均一な厚みを有することを主要な特徴とする。
請求項9記載の本発明のマウスガードは、請求項1から8のいずれかに記載のマウスガードであって、前記噛合部を、スピー湾曲及びウィルソンカーブを含む球面に対応した球面形状としたことを主要な特徴とする。
請求項10記載の本発明のマウスガードは、請求項1から9のいずれかに記載のマウスガードであって、前記前壁部又は前記後壁部の少なくともいずれかは、断面の先端が膨らむとともに丸くなったコルベン状としたことを特徴とする。
請求項11記載の本発明のマウスガードの製造方法は、請求項1から10のいずれかに記載のマウスガードを成形するためのマウスガードの製造方法であって、溶融可能気孔形成材料及び成形材料の混合物を前記マウスガード用の成形型に充填する工程と、前記充填により成形された混合物を前記成形型から分離する工程と、前記分離された成形後の混合物を溶剤処理して前記溶融可能気孔形成材料を溶融除去して連続気孔材料とする工程と、を備えたことを特徴とする。
請求項1記載の本発明のマウスガードは、歯列の前側を覆う前壁部と、歯列の後側を覆う後壁部と、これら前壁部及び後壁部間を接続し上下顎歯列間の噛み合わせを行わせる噛合部とからなるマウスガードであって、前記前壁部、後壁部及び噛合部を可撓性且つ衝撃吸収性の多孔質材料で形成し、前記噛合部は上下顎歯列間の噛み合わせ力に応じて変形し前記前壁部及び前記後壁部に比較して噛み込み方向断面内の密度が高まり上下顎歯列に密着した噛合安定部を形成可能とすることを最も主要な特徴とする。
このため、多孔質材料の応力−ひずみ特性に現れるプラトー領域により、前記噛合部が歯列の形状に合わせて変形して隙間無く密着し、前記噛合部に前壁部及び後壁部に対し噛み込み方向断面内の密度が相対的に高まった噛合安定部を形成することができる。
従って、上下顎歯列間の噛み合わせによりマウスガードを確実に噛み込み保持させることができ、且つ前壁部により前面からの衝撃をプラトー領域の有効活用により確実に吸収することができる。
しかも、マウスガードを上下顎歯列間で強く噛み込み、或いは衝撃を受けて噛み込んだときは、噛合安定部の応力−ひずみ特性がプラトー領域を脱するように移行する傾向となり、衝撃吸収性を急激に高めて確実な衝撃吸収を行わせ、且つ噛合安定部の噛み込み方向断面内の密度も衝撃等に合わせて急激に高まり、衝撃に応じた適正で安定した噛合安定部を即座に形成させることができる。
すなわち、適正な噛合安定部の形成と衝撃吸収性確保との両立を確実に奏することができる。
請求項2記載の本発明のマウスガードは、請求項1記載のマウスガードであって、前記多孔質材料は、連続気孔高分子材料からなることを主要な特徴とする。
このため、前記気孔が連続している特性により、応力−ひずみ特性のプラトー領域を確実に得ることが可能となり、請求項1の効果をより確実に得ることができる。
請求項3記載の本発明のマウスガードは、請求項2記載のマウスガードであって、前記連続気孔高分子材料は、熱可塑性のスチレン系エラストマーを高分子骨格材とすることを主要な特徴とする。
このため、人体に適合したマウスガードを得ることができる。
請求項4記載の本発明のマウスガードは、請求項1から3のいずれかに記載のマウスガードであって、前記噛合部と前記前壁部及び後璧部とは、気孔率が異なる、ことを主要な特徴とする。
このため、前記噛合部と前記前壁部及び後璧部に働く応力に適した最適の気孔率を選択することが可能となり、噛合安定部の安定性と衝撃吸収性との両立をより確実に奏することができる。
請求項5記載の本発明のマウスガードは、請求項4記載のマウスガードであって、前記噛合部の気孔率を前記前壁部及び後璧部の気孔率より低くし、又は前記噛合部と前記前壁部及び前記後壁部とを異なる多孔質材料で形成したことを主要な特徴とする。
このため、前記噛合部での噛み合わせ力の高い応力に適応した応力−ひずみ特性を得て噛合安定部での安定性を高めながら、前壁部等での衝撃吸収性を高めることができる。
請求項6記載の本発明のマウスガードは、請求項1から3のいずれかに記載のマウスガードであって、前記噛合部は、厚み方向の中間部の気孔率を他の部分よりも相対的に低くし、又は他の部分よりも相対的に硬い材料を厚み方向の中間部に埋め込んだことを主要な特徴とする。
このため、前記噛合部での噛み合わせ力の高い応力に適応し、かつ、歯列の凸凹に応じて接触部分は応力−ひずみ特性のより長いプラトー領域を得ることが可能となった。
請求項7記載の本発明のマウスガードは、請求項1から3のいずれかに記載のマウスガードであって、前記前壁部、後壁部及び噛合部の歯列に接する内面部側の気孔率を歯列に接しない外面部側の気孔率よりも高くし、又は前記前壁部、後壁部及び噛合部の歯列に接する内面部側を剛性の低い多孔質材料で形成し歯列に接しない外面部側を相対的に剛性の高い多孔質材料で形成したことを主要な特徴とする。
このため、マウスガードの形状維持性が高まり、結果として歯列面と前壁部及び後壁部の密着性が高まった。
請求項8記載の本発明のマウスガードは、請求項1から7のいずれかに記載のマウスガードであって、前記噛合部は、均一な厚みを有することを主要な特徴とする。
このため、成形型を単純なものとすることが可能となり、成形コストが低下した。
請求項9記載の本発明のマウスガードは、請求項1から8のいずれかに記載のマウスガードであって、前記噛合部を、スピー湾曲及びウィルソンカーブを含む球面に対応した球面形状としたことを主要な特徴とする。
このため、スピー湾曲及びウィルソンカーブに応じた歯列の球面形状に合わせた噛合部の曲面を形成し、マウスガードのフィット感がより高まった。
請求項10記載の本発明のマウスガードは、請求項1から9のいずれかに記載のマウスガードであって、前記前壁部又は前記後壁部の少なくともいずれかは、断面の先端が膨らむとともに丸くなったコルベン状としたことを特徴とする。
このため、先端部でのふくらみが唇内面によっておさえられることにより、マウスガードが自然に外れてしまうことが抑制された。
請求項11記載の本発明のマウスガードの製造方法は、請求項1から10のいずれかに記載のマウスガードを成形するためのマウスガードの製造方法であって、溶融可能気孔形成材料及び成形材料の混合物を前記マウスガード用の成形型に充填する工程と、前記充填により成形された混合物を前記成形型から分離する工程と、前記分離された成形後の混合物を溶剤処理して前記溶融可能気孔形成材料を溶融除去して連続気孔材料とする工程と、を備えたことを特徴とする。
このため、噛合安定部の安定性と衝撃吸収性との両立をより確実に奏するマウスガードを製造することができる。
適正な噛合安定部を形成することができながら衝撃吸収性を高めることを可能にするという目的を、多孔質材料をマウスガードに利用することにより実現した。
[マウスガード形状・材料]
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態に係るマウスガード10の斜視図である。マウスガード10は、ユーザの上顎歯列に被せるようにして装着する。このマウスガード10は、歯列の前側を覆う前壁部10aと、後側を覆う後壁部10bと、上顎歯列と、下顎歯列の間の噛み合わせ部分に位置する噛合部10cからなっている。前壁部10aと後壁部10bとがマウスガード10の壁部を構成し、奥歯方向の端部で弧状に連続している。
本実施例では、前壁部10a、後壁部10b、噛合部10cを同一の一定した厚みで形成している。歯と歯の噛み合わせ部分は凸凹面であるが、本実施例のマウスガード10では、噛み締めることによって変形し、この凸凹に対応する。従って、マウスガード10自体は、噛合部10cを一定の厚みの平板状として問題がなく、これによって個々人によって異なる噛み合わせ部の形状に対応可能となる。
但し、前壁部10a、後壁部10b、噛合部10cを相互に異なる厚みに形成し、さらには、前壁部10a、後壁部10b、噛合部10cの各部内で長手方向幅方向に厚みを異ならせることも可能である。
また、実施例1では、前壁部10aの高さを後壁部10bの高さより若干高くしてある(図1及び図2参照)。この前壁部10aと後壁部10bの高さは実施例2以降で示すように同じ高さであっても良い。
マウスガード10は、弾性があるため、いろいろなユーザが装着することが可能である。しかし、大きさについては、S、M、Lの3サイズくらいは用意しておき、サイズに合わせて使用することが好ましい。
また、前壁部10a、後壁部10b、及び噛合部10cで囲まれる空間形状は、前壁部10a及び後壁部10bの圧縮性を考慮して一般的な歯列の大きさよりも小さく形成し、装着により歯列に密着させる形態にすることもできる。
さらに、前壁部10a、後壁部10b、及び噛合部10cで囲まれる空間形状を、一般的な歯列の形状に合わせ、且つ若干小さめに形成する形態とすることもできる。
マウスガード10の材料として、本実施例では、連続気孔高分子材料が用いられている。このような材料としては、例えば株式会社朝日ラバーによる「サポラス」(登録商標)等が知られており、例えば骨格高分子として熱可塑性のスチレン系エラストマーが用いられる。なお、比較的硬い材料とする場合には、骨格高分子として各種熱可塑性樹脂を用いることができる。
マウスガード10の連続気孔高分子材料の物性としては、例えば次のようなものが利用される。
(i)押し出し成形(厚さ3mm)、多孔質体の比重:0.2 6、空隙率[%]:73、硬さ(JIS K7312、 SRISOlOl、t12mm) (Asker C):2 5、 引張強さ(JIS K6253、ダンベル状3号形、引張速度500mm/min)[MPa]:押し出し方向0.560、幅方向0.460、伸び(JIS K6253、 ダンベル状3号形、引張速度500mm/min)[%]:押し出し方向100、幅方向200、引裂強さ(JIS6252、切り込みなしアングル形)[N/mm%]:3.0、衝撃吸収率((ブランクの場合の最大加速度−材料ありの最大加速度)/ブランクの場合の最大加速度、t3.6mm)[%]:54、反発弾性率(JIS K6400、直径5/8インチ鋼球を自然落下、t=12mm)[%]:15、通気度(JIS L1096 通気性A法、フラジール型試験器、t3mm)[cm3/cm2・s]:0.1、透湿度(JIS Z1504 を参考、40°C、t2mm)[g/cm2・24h]:4.120、圧縮残留ひずみ率(50°C×22h、50%圧縮、t20mm、30分後に測定)[%]:45。
(ii)押し出し成形(厚さ2mm)、多孔質体の比重:0.29、空隙率[%]:71、硬さ(JIS K7312、 SRIS0101、t12mm) (Asker C):48、引張強さ(JIS K6253,ダンベル状3号形、引張速度500mm/min)[MPa]:押し出し方向0.930、幅方向0、820、伸び(JIS K6253、ダンベル状3号形、引張速度500mm/min)[%]:押し出し方向200、幅方向250、引裂強さ(JIS 6252、切り込みなしアングル形)[N/mm%]:3.7、衝撃吸収率((ブランクの場合の最大加速度−材料ありの最大加速度)/ブランクの場合の最大加速度、t3.6mm)[%]:51、反発弾性率(JIS K6400、直径5/8インチ鋼球を自然落下、t=12mm)[%]:23、通気度(JIS L1096 通気性A法、フラジール型試験器、t3mm)[cm3/cm2・s]:0.1、透湿度(JIS Z1504 を参考、40°C、t2mm) [g/cm2・24h]:4.100、圧縮残留ひずみ率(50°C×22h、50%圧縮、t20mm、30分後に測定)[%]:25。
[マウスガードの装着と噛合安定部]
マウスガードは、ユーザの口内の形状に合致していることが必要であり、一般に、カスタム品として、歯科医などで、型を取り、できた型から成形するもの、汎用品として、加熱するなどして軟化させたマウスガードをユーザが噛み、成形するもの、などがある。
カスタム品では、フィット感は得られるものの高コストとなる。汎用品は、低コストであり、比較的多く使用されているものの、十分なフィット感が得られなかった。また、汎用品のマウスガードでは、歯列の凸凹にマウスガードの弾性変形による形状変形が追随せず、歯列とマウスガードとの間に隙間ができてしまう問題、歯列の先端部に特に大きな力が加わり衝撃吸収力を歯列全体に分散することができない問題、マウスガードのフィット感の悪さの問題等があった。
これに対し、本実施例のマウスガード10は弾性を有する連続気孔高分子材料を用いて形成されている。このため、マウスガード10は、弾性及び後述するプラトー領域があり、型取りをせずに、簡単な装着で、カスタム品のようなフィット感、或いはカスタム品を上回るフィット感を得ることができる。
マウスガード10をユーザの歯列に装着した状態の断面を図2に示す。このように、上顎歯茎14aには上顎歯12aがあり、下顎歯茎14bには下顎歯12bがある。上顎歯12aと下顎歯12bとの対応する面は、中央部が凹部となっており、両者が前後にずれることで両者の凹凸が噛み合うようになっている。
そして、ユーザが噛み締めることによって、マウスガード10の噛合部10cは、印加される圧力によって変形する。
噛合部10c(噛み合わせ部分)の厚みはほぼ一定の板状に形成してあるが、噛み合わせの力によって圧縮され、連続気孔高分子材料の密度が前壁部10a及び後壁部10bに対して相対的に高まり、上顎歯列および下顎歯列の噛み合わせ面に従って上下の歯の形に変形して噛合安定部10d(図2)が形成される。
しかも、歯列、すなわち上顎歯茎14a、上顎歯12a及び下顎歯茎14b、下顎歯12b前面及び後面に沿って全体にフィットすることになる。
図3にマウスガードの上方から観察した平面図を示す。この図3は、噛合安定部10dの形成の様子を示す。マウスガード10の噛合部10cのうち上下の歯列(下顎歯列を点線で記載、上顎歯列は省略)が噛み合う部分の連続気孔高分子材料が歯列の噛み合わせ力により圧縮されて、密度が高まり噛合安定部10dを形成する。この噛合安定部10dが形成されることにより、マウスガードのずれが無くなるか抑制される。噛合安定部10dのうち噛み合わせ力が強く密度の高い中心部分と、噛み合わせ力が弱く密度の低い周辺部をハッチングの濃さの違いで分けて表示してある。
この噛合安定部10では、マウスガードを単に装着して噛み込んだとき(強く噛み込む前、或いは衝撃を受けて噛み込む前)に、歯列の先端部(図6(B)のZ点;図4のZ点)により圧縮されて密度が高まる部分の応力が、連続気孔高分子材料の応力−ひずみ特性曲線のプラトー領域に位置するように材料の応力−ひずみ特性を設計するのが良い。
このような設計は、マウスガード10を単に装着して噛み込んだときの噛み込み力を、ユーザのサンプル調査により得ることで行わせることができる。
但し、要求により他の設計をすることも可能であり、例えば圧縮されたときのひずみ量が最も大きくなる部分の応力が、プラトー領域を外れる等、他の設計を採ることもできる。
[多孔質材料の応力−ひずみ特性]
図4に従来のマウスピースに使われていたシリコンゴムや酢酸エチルビニル(EVA)などの完全緻密弾性体と、本発明実施例に用いられる連続気孔高分子材料などの多孔質体との応力−ひずみ特性の違いを示す。
完全緻密弾性体では、応力とひずみの関係は直線的な一次の関係(P,Q,R)となっているが、多孔質体では、ある一定の応力に達すると、ほぼ一定の応力でひずみが増加するプラトー領域(W,X,Y,Z)を有する。
このプラトー領域は、多孔質体のミクロな構造的特性に起因するものである。
図5に連続気孔高分子材料の多孔質体の走査電子顕微鏡写真を示す。多孔質体ではこのように微小の気孔が存在しているスポンジ状の構造を有しており、前記プラトー領域は、これらの気孔の体積が減少してゆく領域に相当し(多孔質体の密度が増加する)、中空の気孔がつぶれるまで、或いはつぶれる途中までの間は必要な応力の増加は少なく、気孔がつぶされ、或いはつぶされる途中からはプラトー領域から外れ、ひずみ量の増加に応じて応力が急激に増加する。
この材料の特性の違いをマウスガードに応用した際の応力の係り具合の違いを図6に示す。この図6は、通常装着時、例えばマウスガードを単に装着して噛み込んだとき(強く噛み込む前、或いは衝撃を受けて噛み込む前)のものである。説明をわかりやすくするために、マウスガードの材料の形態を通常のU字形状ではなく平板形状として、該平板形状の完全緻密体51と多孔質体53にその上方から下ろされる(噛み締められる)歯によって、歯の各部に加わる応力の違い及び材料の変形について説明する。
図6(A)に示す完全緻密弾性体51では、前記した直線的な応力−ひずみ特性のため、ひずみの量が少ない順からP,Q,Rの各点で直線的に順次応力が高くなっている(P,Q,Rの各矢印の長さで応力を表現してある;この応力は図4に示したP,Q,R点に対応する)。
この場合、噛合安定部の安定性を高めるために完全緻密弾性体51の弾性係数を高く設定していると、歯列の先端部には大きな力(R)が加わる反面、通常装着時の噛み合わせ力にも限界があるので、これ以上完全緻密弾性体51が歯列に密着することなく、隙間ができ、不安定な噛合安定部となる。この完全緻密弾性体51においても、弾性係数を低く設定すれば歯列へ密着させることはできる。しかし、応力は、各点で異なることに相違は無く、この点で不安定な噛合安定部となり、且つ弾性係数を低くしたことによる衝撃吸収性の低下を招くことにもなる。
一方、図6(B)に示す多孔質体53では、同様にひずみの量の少ない順からW,X,Y,Z(同じく図4のW,X,Y,Z点に対応する)の各点において、前記したプラトー領域の存在のため、ひずみの大小(例えばZ(大)とW(小))に係わらずほぼ一定の応力が働く。このため、一定の噛み合わせ力でも多孔質体が歯の形状に合わせて適正にひずみ、歯列全体に隙間なく密着する適正な噛合安定部を形成させることができる。
ここで、両者に大きな衝撃が加わったときの衝撃吸収力について、再度図4を用いて説明する。噛み込み方向の衝撃力Kが加わったとき、或いは衝撃に係わらず強く噛み込んだとき、完全緻密弾性体51ではすでに噛み締め力により歯列先端部ではR点にあったものがR’点までひずみ、そのときの衝撃吸収力は、斜線領域31の面積である。
一方、多孔質体で同様に衝撃力Kが加わったとき等は、プラトー領域にあった歯列の先端部Zがプラトー領域を外れてZ’点まで移動し、そのときの衝撃吸収力は、斜線領域33の面積となる。
これらの斜線領域31,33の面積比較で明らかなように、本発明実施例のマウスガード10の衝撃吸収性の高さが分かる。また、衝撃吸収時も、噛合安定部10dの形成は維持されているのが分かる。
さらに、前面から衝撃力を受けるとき、前壁部10aは、プラトー領域のひずみの小さい点から開始して、発生したひずみの点まで衝撃吸収を行わせることができ、高い衝撃吸収性を持たせることができる。前壁部10aがこのような衝撃吸収を行うとき、噛み込みにより噛み込み方向断面内は、上記のように大きくひずんで斜線領域33の面積により衝撃吸収を行いつつ安定した適正な噛合安定部10dを形成する。
このように、プラトー領域の存在によって、通常時(衝撃を受けずに、マウスガードが適度な力で噛み込まれている状態)での隙間の無い均一な応力による安定した噛合安定部10dの形成及び歯列全体への密着と、衝撃を受けたときに大きな衝撃吸収力を得ることが可能であることとを達成させることができる。
また、人が歯を噛み締めた場合における、噛み切りの圧(噛み合いのための力)には個人差がある。しかし、本実施例によれば、その噛み合いのための力に応じて、マウスガードが変形する。特に、マウスガード10は弾力および衝撃吸収力があり、その変形の終点がその人の噛み合いのための力に応じて適正な厚みに設定させることができる。これは、図4に示したように歯列の各部の応力−ひずみ特性がW,X,Y,Zのプラトー領域に位置する点である。
従来のマウスガード10では、前記プラトー領域の特性を持たない一般のプラスチック(シリコンゴムや酢酸エチルビニル等)が用いられており、硬くて柔軟性がないので厚みが一定しており、それを強く噛み締めると何度もするうちに奥歯が痛むという弊害が生じる可能性もあるが、本実施例のマウスガード10によれば、前記した低い応力のためにこれらの欠点を解消できる。
このように、本実施例のマウスガード10は、個人差のある噛み切り圧にもかかわらず、装着のために噛み込んだ終点が前記プラトー領域の終点(Z点)と合うことにより、その点がその人の最適噛み込み厚みとなり、使用する人に適切なマウスガード10を提供することができる。
また、瞬発力を競うようなスポーツで力を出すためには奥歯を強く噛み締めることが必要な場合が多い。この場合、歯同士が直接噛み締められると、大きな力がかかり、歯茎に力がかかり過ぎたり、強い力がかかった状態で摩擦され、奥歯が削れてしまうという自体が発生するといわれている。
本実施例のマウスガード10を装着していると、マウスガード10の衝撃吸収能力および弾力によって、歯および歯茎に与える衝撃力を小さくでき、かつ噛み締めた終点では、十分な噛み締め力を受けるため、十分な力が発揮できる。従って、発揮する力を十分なものとしながら、歯および歯茎への悪影響を少なくすることが可能となる。
また、本実施例のように、連続気孔高分子材料は、通気性および吸水性を有している。従って、口内に装着した場合において、違和感がない。すなわち、連続気孔を有しているため、唾液などが通過することも可能であり、一部内部に保持する。これによって、歯茎との間に唾液がたまったりせず、装着感がよく、さらに、舌との間でも唾液のやりとりもでき、装着感がよい。さらに、上述のように、衝撃吸収性も十分なものにできる。
さらに、多孔質材料の高分子骨格材としてのスチレン系エラストマーは、生体への毒性がなく、口内に入れる材料として非常に適している。
[スピー湾曲、ウィルソンカーブ]
さらに、マウスガード10の噛合部10cを、球面によって成形することが好適である。これは、図7に示すように人の歯の噛み合わせ部分を側方から見ると目の辺りを中心として円弧状になっている(スピー湾曲91と呼ばれる)。また、図8に示すように上、下顎の臼歯部の配列を前方または後方から見ると、上方に中心を持つ円弧状になっている(ウィルソンカーブ93と呼ばれる)。従って、噛み合わせ部分を全体としてみると、下側に向かって膨らむ球面の一部となる。
そこで、図9(A)(マウスガードの後方からの投影図)及び図9(B)(マウスガード側面からの投影図)に示すようにマウスガード10をあらかじめこれに対応するように、噛合部10cは、その底面10eを含めて全体としてみるとスピー湾曲91とウィルソンカーブ93とからなる球面に対応させて球面形状に形成している。この噛合部10cの球面形状により、装着性のよいマウスガード10を得ることができる。
本実施例のマウスガード10は、射出成形または押し出し成形によって製造する。図10は、本実施例のマウスガードの製造方法の工程を示すフローチャートである。
本実施例の製造方法は、混合工程(S1)において混合した溶融可能気孔形成材料及び成形材料の混合物を前記マウスガード用の成形型に充填する工程(S2)と、前記充填により成形された混合物を前記成形型から分離する工程(S3)と、前記分離された成形後の混合物を溶剤処理して前記溶融可能気孔形成材料を溶融除去して連続気孔材料とする工程(S4)とを備えている。
さらに説明すると、まず、溶融可能な気孔形成材料と骨格高分子材料(成形材料)を所定比率で混合する(S1)。
この気孔形成材料と骨格高分子材料とは、流動状態で混合され、射出成形機などに入れられる。なお、気孔形成材料と骨格高分子材料の配合割合は目標とする気孔率によって変更する。
気孔形成材料と骨格高分子材料との混合物は、マウスガード用成形型に充填され(S2)、その後離型して(S3)充実成形体が得られる。この充実成形体は、気孔形成材料をそのまま含んでおり多孔質ではない。そこで、離型して得た充実成形物を溶剤で処理して前記溶融可能な気孔形成材料を溶媒に溶解して除去し(S4)連続気孔を有するマウスガード10を得る。
なお、溶媒は、気孔形成材料、骨格高分子によって異なるが、例えば水、各種アルコールなどが用いられる。
このようにして、成形されたマウスガード10には、所定の通気性、および通水性が備えられる。上述したスチレン系の連続気孔高分子材料では、比較的小さな気孔を有しているため、吸水性も有している。
図11は、本発明の実施例2に係るマウスガードの断面図である。
図11のように、マウスガード10の前壁部10aおよび後壁部10bに比較的柔らかめの材質を用い、噛合部10cに比較的硬めの材質を用いる。この硬さの変更は、骨格高分子を変更することで行ってもよい。高分子材料は、特許文献3に記載されるように、多種類のものが利用可能であり、このような材料の変更は容易に行える。
さらに、硬さの変更は気孔率を変更することでも行える。これは、気孔率の異なる材料を接着する方法であっても良いし、気孔形成材料と骨格高分子材料の混合を均一に行わず、噛合部10cに対応する部分において気孔形成材料を少なめにする方法によってもよい。成形前の材料は流動性を有するが、水のように粘性の低いものではなく、ある程度材料を偏在させることは容易である。このようにして、噛合部10cにおいて、気孔率の少なく、比較的硬いマウスガード10を得ることができる。
また、成形時に二材料を混合しながら型に注入し、この際に混合率を変更することで行ってもよい。型の中への材料の入り方は、シミュレーションなどからも推定することができ、また試行錯誤で実験することもできる。そこで、型への注入の制御によって、場所によって、硬度の異なる高分子材料を用いたり、気孔率の異なる材料を用いたマウスガード10を形成することができる。
本実施例では、実施例1と同様な作用効果を奏し、且つ噛合安定部10dをより適切に形成することができる。
図12は、本発明の実施例3に係るマウスガードの断面図である。
図12のように、噛合部10cに他の部分よりも相対的に硬い材料からなる中間部20を埋め込んでいる。これも成形時に材料の注入の仕方を制御することで行える。中間部20は、噛合部10cの厚み方向(噛み込み方向)の中間に位置する。
中間部20は、その気孔率を低くすることにより実現する方法であっても良い。
本実施例では、マウスガード10の歯で噛み締められる噛合部10cの硬さを前壁部10a、後壁部10bに比べ、硬くする。そこで、歯茎等に対する当たりをソフトで装着感をよくしながら、大きな力で噛み締められる噛合部10cの強度を高めて、噛み締めた際に噛み締め感がよく、噛合安定部10dを材料の異なる中間部20又は気孔率の低い中間部20で支え、十分な力を発揮するのを助けることができる。
図13は、本発明の実施例4に係るマウスガードの断面図である。
図13のように、本実施例のマウスガードでは、歯列に接触する内面部10iの剛性(硬さ)を外面部10jより低くしてある。これは、剛性の異なる二つの多孔質材料を張り合わせることによって実現してもよい。又、気孔率の異なる(内面側の気孔率が高く、外面側の気孔率が低い)二つの材料を張り合わせることによって実現しても良い。さらに、実施例2で述べたような方法により気孔率の偏在化させた材料を用いて実現しても良い。
本実施例により、マウスガードの形状維持性を高めることができる。剛性の高い外面部10jによって形状が維持されることにより、内面部10iが歯列に対して適切な応力をもって接し、結果としてマウスガードと歯列との密着性を高めることが可能となった。
図14は、本発明の実施例5に係るマウスガードの断面図である。
図14のように、実施例4に加え、下顎歯列の接触部10kを、内面部10iと同様に剛性を相対的に低くし、密着性を高めている。
この接触部10kは、実施例4の内面部10iと同様に、異なる材料や、異なる気孔率の材料や、又は気孔率を厚み方向に連続に変化させた材料により実現する。
これにより、下顎歯列との接触面においても、高い密着性を得ることが可能となった。
図15は、本発明の実施例6のマウスガードに係り、前壁部の先端部の断面図である。
図15のように、前壁部10aの断面形状は、全体的に先端部10aaが膨らむとともに丸くなるコルベン状とした。これにより、先端部10aaの膨らみが唇と歯茎間に挟まれて、マウスガードが脱落しにくくなる効果を奏する。
上述のように、本実施例のマウスガード10は、型を用いて射出成形や押し出し成形することができ、ユーザの歯列の形状に適合するマウスガードを量産することができる。
このように、本実施例に係るマウスガード10は、ほぼ一定形状で多くの人に適合可能であり、従ってスポーツ用品店等での市販品として対応できる。従来材料のように、個人別に形状を確定する必要がなく、コストを大幅に下げることができる。従って、病院、医師のみならず、一般の市民側から見ても、きわめて魅力的な商品といえる。
「その他の構成」
(マウスピースの形状について)
(a)歯の表面側については、深く全面的に覆うが、歯の内側面側についてはかなり浅くし、裏側から見れば歯が見えているような形状とすることも好適である。これによって、外部からの衝撃吸収を十分にしつつ、歯の裏側での違和感を少なくすることができる。
(b)歯の表面側に位置する前壁部10aを、内側面側に位置する後壁部10bに比べ厚くすることも好適である。これによって、上述同様に、外部からの衝撃吸収を十分にしつつ、歯の裏側での違和感を少なくすることができる。
(c)上下の歯と歯の間の噛み締められる部分である噛合部10cの厚みを、奥歯で噛み締められる部分と前歯で噛み締められる部分とで変えることも好適である。奥歯側を薄くすることで、全体として、噛み締めやすくなる。
マウスガードの斜視図である。(実施例1) 装着状態のマウスガードの断面図である。(実施例1) 装着状態のマウスガードの平面図である。(実施例1) 完全緻密弾性体と多孔質体との応力−ひずみ線図である。(実施例1) 連続気孔高分子材料の走査電子顕微鏡写真である。(実施例1) (A)は、完全緻密弾性材料によるマウスガードの作用説明図、(B)は、多孔質材料によるマウスガードの作用説明図である。(実施例1) スピー曲線の説明図である。(実施例1) ウィルソン曲線の説明図である。(実施例1) スピー曲線とウィルソン曲線に合わせた球面により形成されているマウスガードの底面形状を示し、(A)は、マウスガードの後方からの投影図、(B)は、マウスガード側面からの投影図である。(実施例1) マウスガードの製造方法の工程を示すフローチャートである。 マウスガードの断面図である。(実施例2) マウスガードの断面図である。(実施例3) マウスガードの断面図である。(実施例4) マウスガードの断面図である。(実施例5) 前壁部の先端部の断面図である。(実施例6)
符号の説明
10 マウスガード
10a 前壁部
10aa コルベン状先端部
10b 後壁部
10c 噛合部
10d 噛合安定部
10e 底面部
10i 内面部
10j 外面部
10k 下顎歯列の接触面(噛合部の内面に対峙する底面部)
20 中間部
51 完全緻密弾性体
53 多孔質体
91 スピー湾曲
93 ウィルソンカーブ

Claims (11)

  1. 歯列の前側を覆う前壁部と、歯列の後側を覆う後壁部と、これら前壁部及び後壁部間を接続し上下顎歯列間の噛み合わせを行わせる噛合部とからなるマウスガードであって、
    前記前壁部、後壁部及び噛合部を可撓性且つ衝撃吸収性の多孔質材料で形成し、
    前記噛合部は上下顎歯列間の噛み合わせ力に応じて変形し前記前壁部及び前記後壁部に比較して噛み込み方向断面内の密度が高まり上下顎歯列に密着した噛合安定部を形成可能とする
    ことを特徴とするマウスガード。
  2. 請求項1記載のマウスガードであって、
    前記多孔質材料は、連続気孔高分子材料からなる
    ことを特徴とするマウスガード。
  3. 請求項2記載のマウスガードであって、
    前記連続気孔高分子材料は、熱可塑性のスチレン系エラストマーを高分子骨格材とする
    ことを特徴とするマウスガード。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のマウスガードであって、
    前記噛合部と前記前壁部及び後璧部とは、気孔率が異なる、
    ことを特徴とするマウスガード。
  5. 請求項4記載のマウスガードであって、
    前記噛合部の気孔率を前記前壁部及び後璧部の気孔率より低くし、又は前記噛合部と前記前壁部及び前記後壁部とを異なる多孔質材料で形成した
    ことを特徴とするマウスガード。
  6. 請求項1から3のいずれかに記載のマウスガードであって、
    前記噛合部は、厚み方向の中間部の気孔率を他の部分よりも相対的に低くし、又は他の部分よりも相対的に硬い材料を厚み方向の中間部に埋め込んだ
    ことを特徴とするマウスガード。
  7. 請求項1から3のいずれかに記載のマウスガードであって、
    前記前壁部、後壁部及び噛合部の歯列に接する内面部側の気孔率を歯列に接しない外面部側の気孔率よりも高くし、又は前記前壁部、後壁部及び噛合部の歯列に接する内面部側を剛性の低い多孔質材料で形成し歯列に接しない外面部側を相対的に剛性の高い多孔質材料で形成した
    ことを特徴とするマウスガード。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載のマウスガードであって、
    前記噛合部は、均一な厚みを有する
    ことを特徴とするマウスガード。
  9. 請求項1から8のいずれかに記載のマウスガードであって、
    前記噛合部を、スピー湾曲及びウィルソンカーブを含む球面に対応した球面形状とした
    ことを特徴とするマウスガード。
  10. 請求項1から9のいずれかに記載のマウスガードであって、
    前記前壁部又は前記後壁部の少なくともいずれかは、断面の先端が膨らむとともに丸くなったコルベン状とした
    ことを特徴とするマウスガード。
  11. 請求項1から10のいずれかに記載のマウスガードを成形するためのマウスガードの製造方法であって、
    溶融可能気孔形成材料及び成形材料の混合物を前記マウスガード用の成形型に充填する工程と、
    前記充填により成形された混合物を前記成形型から分離する工程と、
    前記分離された成形後の混合物を溶剤処理して前記溶融可能気孔形成材料を溶融除去して連続気孔材料とする工程と、
    を備えたことを特徴とするマウスガードの製造方法。
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