JPWO2008149971A1 - 脳動脈瘤の治療または予防薬 - Google Patents

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Abstract

【課題】脳動脈瘤の治療および予防に有効な医薬を提供する。【解決手段】システインプロテアーゼ阻害剤を有効成分として含む脳動脈瘤の治療薬または予防薬を提供する。システインプロテアーゼ阻害剤として、エポキシコハク酸アミド誘導体またはその塩が好ましい。【選択図】図4

Description

本発明は、脳動脈瘤の治療薬および予防薬にする。さらに詳しくは脳動脈瘤の増大または破裂を治療または予防するための医薬に関する。
致命的な疾患であるくも膜下出血は、脳動脈瘤の破裂が主な原因である。くも膜下出血の患者の多くは、病院に到着する前に死亡している。幸いにして命を取りとめたとしても、重大な後遺症に苦しむ場合も多い。
近年では外科治療が発達しているが、くも膜下出血の死亡率は依然として高率である。脳動脈瘤の治療として、開頭術(クリッピング術)と脳血管内手術が行われている。しかし、いずれの方法においても患者の身体的な負担が大きく、治療法として満足できるものではない。
脳動脈瘤の破裂を予防することは、公衆衛生の観点で極めて重要な課題である。脳動脈瘤の主要な病理学的変化は、内弾性板の断裂や中膜平滑筋層の変性のような細胞外基質の変性分解に基づいている。現在のところ、脳動脈瘤の増大の機構や関与する因子については、解明されていない。
本発明者は、細胞外基質の分解に関与するマトリックスメタロプロテアーゼについて、脳動脈瘤の増大との関係を検討した(非特許文献1参照)。しかし、選択的マトリックスメタロプロテアーゼ2および9の阻害剤を用いても、脳動脈瘤の増大を完全に抑制することはできなかった。結果として、マトリックスメタロプロテアーゼとは異なる因子の存在が示唆された。
カテプシンは、リソソーム酵素の一群である。カテプシンは、細胞内において不要な蛋白質を分解している。最近の分子生物学の研究により、カテプシンの数種は、リソソーム外でも、蛋白質分解酵素として機能していることが判明した。カテプシンは、骨疾患、炎症及び自己免疫疾患等の病態に重要な役割を果たしていることが知られている。しかし、脳動脈瘤において、カテプシンの発現および役割が検討されたことはない。
特許文献1は、カテプシンK阻害作用を有するニトリル誘導体が、骨粗鬆症、変形性関節症、関節リウマチ、腫瘍転移、糸球体腎炎その他の20種類前後の様々な疾患の処置または予防に有用である旨を述べている。それらの疾患の例に腹部大動脈瘤形成が含まれているが、脳動脈瘤については何ら言及していない。
特表2003−519125号公報 青木友浩ほか、マクロファージ由来のマトリックスメタロプロテアーゼ2および9によるラットの脳動脈瘤の増大促進、米国脳卒中学会誌(Stroke.)2007年、38、162−169
本発明の目的は、脳動脈瘤の治療および予防に有効な医薬を提供することである。
本発明者の研究により、実験的誘発脳動脈瘤において、カテプシンB、KおよびSの発現が認められた。カテプシンB、KおよびSは、いずれもシステインプロテアーゼである。そこで、本発明者は、システインプロテアーゼ阻害剤を用いて、脳動脈瘤を治療および予防することを検討した。
本発明は、[1]システインプロテアーゼ阻害剤を有効成分として含む脳動脈瘤の治療薬または予防薬を提供する。
[2]上記治療薬または予防薬は、脳動脈瘤の増大または破裂を治療または予防するために特に有効である。
[3]システインプロテアーゼ阻害剤としては、カテプシンB、カテプシンKまたはカテプシンSの中の一つ、複数またはこれらの全てを阻害しても良い。
[4]システインプロテアーゼ阻害剤として、N−[1−[(シアノメチル)カルバモイル]シクロヘキシル]−4−(4−プロピルピペラジン−1−イル)ベンズアミド、N−[(1S)−3−メチル−1−[[(4S,7R)−7−メチル−3−オキソ−1−(ピリジン−2−イルスルホニル)ヘキサヒドロ−1H−アゼピン−4−イル]カルバモイル]ブチル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド、(2R)−N−シアノメチル−4−メチル−2−(4’−ピペラジン−1−イル−1,1’−ビフェニル−3−イル)ペンタンアミド、N−[3−[(2Z)−2−(3−メチル−1,3−チアゾリジン−2−イリデン)ヒドラジノ]−2,3−ジオキソ−1−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルプロピル]シクロヘプタンカルボキサミド、N−シアノメチル−4−メチル−2−[2,2,2−トリフルオロ−1−(4’−メチルスルホニル−1,1’−ビフェニル−4−イル)エチルアミノ]ぺンタンアミドまたは(2S,3S)−3−[[(1S)−1−イソブトキシメチル−3−メチルブチル]カルバモイル]オキシラン−2−カルボン酸モノナトリウムを用いることができる。
また、本発明は、[5]下記式(1)で表わされるエポキシコハク酸アミド誘導体またはその生理学的に許容できる塩を有効成分として含む脳動脈瘤の治療薬または予防薬も提供する。
Figure 2008149971
上記の式において、Rは、水素原子、炭素原子数が1〜10のアルキル基、炭素原子数が2〜10のアルケニル基、炭素原子数が2〜10のアルキニル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなるアラルキル基、炭素原子数が3〜12の複素環基、または炭素原子数が3〜12の複素環基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなる複素環アルキル基である。
は、炭素原子数が1〜10のアルキル基、炭素原子数が2〜10のアルケニル基、炭素原子数が2〜10のアルキニル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなるアラルキル基、炭素原子数が3〜12の複素環基、または炭素原子数が3〜12の複素環基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなる複素環アルキル基である。
は、水素原子、炭素原子数が1〜10のアルキル基、炭素原子数が2〜10のアルケニル基、炭素原子数が2〜10のアルキニル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなるアラルキル基、炭素原子数が3〜12の複素環基、または炭素原子数が3〜12の複素環基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなる複素環アルキル基である。
Xは、−O−または−NR−(Rは、水素原子、炭素原子数が1〜10のアルキル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなるアラルキル基、炭素原子数が3〜12の複素環基、または炭素原子数が3〜12の複素環基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなる複素環アルキル基である)である。
は、OR(Rは、水素原子、炭素原子数が1〜10のアルキル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数1〜6のアルキル基とからなるアラルキル基、炭素原子数2〜20のアシル基、炭素原子数が3〜12の複素環基、または炭素原子数が3〜12の複素環基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなる複素環アルキル基である)、SR(Rは、水素原子、炭素原子数が1〜10のアルキル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなるアラルキル基、炭素原子数2〜20のアシル基、炭素原子数が3〜12の複素環基、または炭素原子数が3〜12の複素環基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなる複素環アルキル基である)、またはNR(Rは、水素原子、炭素原子数が1〜10のアルキル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなるアラルキル基、炭素原子数2〜20のアシル基、炭素原子数が3〜12の複素環基、または炭素原子数が3〜12の複素環基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなる複素環アルキル基であり、そしてRは、水素原子、炭素原子数が1〜10のアルキル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなるアラルキル基、炭素原子数が3〜12の複素環基、または炭素原子数が3〜12の複素環基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなる複素環アルキル基である)である。
は、水素原子または炭素原子数が1〜10のアルキル基である。あるいは、YとYとは一緒になって、=O、=S、=N−R(Rは、水素原子、炭素原子数が1〜10のアルキル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなるアラルキル基、炭素原子数が3〜12の複素環基、または炭素原子数が3〜12の複素環基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなる複素環アルキル基である)、あるいは=N−OR10(R10は、水素原子、炭素原子数が1〜10のアルキル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数1〜6のアルキル基とからなるアラルキル基、炭素原子数が3〜12の複素環基、または炭素原子数が3〜12の複素環基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなる複素環アルキル基である)を表わしてもよい。
なお、上記R〜R10のアルキル基はいずれも、ヒドロキシル基、アミノ基、炭素原子数が1〜6のアルキルアミノ基、合計炭素原子数が2〜12のジアルキルアミノ基、炭素原子数が1〜6のアルコキシ基、カルボキシル基、炭素原子数が2〜7のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数が2〜7のアルキルアミノカルボニル基、合計炭素原子数が3〜13のジアルキルアミノカルボニル基、およびグアニジノ基からなる群より選ばれる一もしくは二以上の置換基を有していてもよく、また上記R〜R10の各アリール基および各複素環基は、炭素原子数が1〜6のアルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基、炭素原子数が1〜6のアルキルアミノ基、合計炭素原子数が2〜12のジアルキルアミノ基、炭素原子数が1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜6のハロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、炭素原子数が2〜7のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数が2〜7のアルキルアミノカルボニル基、合計炭素原子数が3〜13のジアルキルアミノカルボニル基、アミジノ基、およびグアニジノ基からなる群より選ばれる一もしくは二以上の置換基を有していてもよい。
さらに本発明は、[6]式(1)において、Rは、水素原子、炭素原子数が1〜10のアルキル基、炭素原子数が2〜10のアルケニル基、炭素原子数が2〜10のアルキニル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなるアラルキル基、炭素原子数が3〜12の複素環基、または炭素原子数が3〜12の複素環基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなる複素環アルキル基であり;Rは、炭素原子数が1〜10のアルキル基、炭素原子数が2〜10のアルケニル基、炭素原子数が2〜10のアルキニル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなるアラルキル基、炭素原子数が3〜12の複素環基、または炭素原子数が3〜12の複素環基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなる複素環アルキル基であり;Rは、水素原子、炭素原子数が1〜10のアルキル基、炭素原子数が2〜10のアルケニル基、炭素原子数が2〜10のアルキニル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなるアラルキル基、炭素原子数が3〜12の複素環基、または炭素原子数が3〜12の複素環基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなる複素環アルキル基であり;Xは、−O−または−NR−(Rは、水素原子、炭素原子数が1〜10のアルキル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなるアラルキル基、炭素原子数が3〜12の複素環基、または炭素原子数が3〜12の複素環基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなる複素環アルキル基である)であり;Yは、ヒドロキシル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、アセトキシ基、または炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数が1〜6のアルキル基からなるアラルキルオキシ基であり;そしてYは、水素原子または炭素原子数が1〜10のアルキル基である;なお、上記R〜Rの各アリール基および各複素環基は、炭素原子数が1〜6のアルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基、炭素原子数が1〜6のアルキルアミノ基、合計炭素原子数が2〜12のジアルキルアミノ基、炭素原子数が1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜6のハロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、炭素原子数が2〜7のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数が2〜7のアルキルアミノカルボニル基、合計炭素原子数が3〜13のジアルキルアミノカルボニル基、アミジノ基、およびグアニジノ基からなる群より選ばれる一もしくは二以上の置換基を有していてもよい、
治療薬または予防薬も提供する。
さらにまた、本発明は、[7]下記式(1)で表わされるエポキシコハク酸アミド誘導
体またはその生理学的に許容できる塩を有効成分として含む脳動脈瘤の治療薬または予防薬も提供する。
Figure 2008149971
[上記の式において、Rは、水素原子、炭素原子数が1〜10のアルキル基、炭素原子数が2〜10のアルケニル基、炭素原子数が2〜10のアルキニル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、または炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなるアラルキル基であり;Rは、イソブチル基またはイソプロピル基であり;Rは、水素原子または炭素原子数が6〜20のアリール基であり;Xは、−O−または−NR−(Rは、水素原子、炭素原子数が1〜10のアルキル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなるアラルキル基、炭素原子数が3〜12の複素環基、または炭素原子数が3〜12の複素環基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなる複素環アルキル基である)であり;Yは、OR(Rは、水素原子、炭素原子数が1〜10のアルキル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなるアラルキル基、アセチル基、ベンゾイル基、炭素原子数が3〜12の複素環基、または炭素原子数が3〜12の複素環基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなる複素環アルキル基である)であり;Yは、水素原子である;ただし、Rのアルキル基は、ヒドロキシル基、アミノ基、炭素原子数が1〜6のアルキルアミノ基、総炭素原子数が2〜12のジアルキルアミノ基、炭素原子数が1〜6のアルコキシ基、カルボキシル基、炭素原子数が2〜7のアルコキシカルボニル基、−CONH、炭素原子数が2〜7のアルキルアミノカルボニル基、総炭素原子数が3〜13のジアルキルアミノカルボニル基、およびグアニジノ基からなる群より選ばれる1以上の置換基を有していてもよく;R、RおよびRのアリール基は、炭素原子数が1〜6のアルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基、炭素原子数が1〜6のアルキルアミノ基、総炭素原子数が2〜12のジアルキルアミノ基、炭素原子数が1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜6のハロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、炭素原子数が2〜7のアルコキシカルボニル基、−CONH、炭素原子数が2〜7のアルキルアミノカルボニル基、総炭素原子数が3〜13のジアルキルアミノカルボニル基、アミジノ基およびグアニジノ基からなる群より選ばれる1以上の置換基を有していてもよく;Rのヘテロ環基は、炭素原子数が1〜6のアルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基、炭素原子数が1〜6のアルキルアミノ基、総炭素原子数が2〜12のジアルキルアミノ基、炭素原子数が1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜6のハロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、炭素原子数が2〜7のアルコキシカルボニル基、−CONH、炭素原子数が2〜7のアルキルアミノカルボニル基、総炭素原子数が3〜13のジアルキルアミノカルボニル基、アミジノ基およびグアニジノ基からなる群より選ばれる1以上の置換基を有していてもよく;そして、RおよびRのヘテロ環基は、ピリジル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、フリル基、チエニル基、ピペラジニル基、インドリル基およびベンゾイミダゾリル基からなる群より選ばれる]。
[8]式(1)のRが、水素原子または炭素原子数が1〜6のアルキル基である[5]乃至[7]のいずれか一つに記載の治療薬または予防薬。
[9]式(1)のRが、炭素原子数が1〜6のアルキル基、フェニル基、もしくはベンジル基である[5]または[6]に記載の治療薬または予防薬。
[10]式(1)のRが、水素原子または炭素原子数が6〜20のアリール基である[5]または[6]に記載の治療薬または予防薬。
[11]式(1)のXが、−O−である[5]乃至[7]のいずれか一つに記載の治療薬または予防薬。
[12]式(1)のYが、ヒドロキシル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、アセトキシ基、または炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数が1〜6のアルキル基からなるアラルキルオキシ基である[5]に記載の治療薬または予防薬。
[13]式(1)のRがイソブチル基またはイソプロピル基であり、Rが水素原子であり、YがOR(Rは請求項5と同じ)であり、そしてYが水素原子である[5]に記載の治療薬または予防薬。
[14]式(1)のRがイソブチル基またはイソプロピル基であり、Rが炭素原子数が6〜20のアリール基であり、YがOR(Rは[5]と同じ)であり、そしてYが水素原子である[5]に記載の治療薬または予防薬。
[15]式(1)のYとYとが一緒になって、=Oを形成する[5]に記載の治療薬または予防薬。
[16]生理学的に許容できる塩がアルカリ金属塩である[5]乃至[15]のいずれか一つに記載の治療薬または予防薬。
さらに本発明は、[17]下記のエポキシコハク酸アミド誘導体またはその生理学的に許容できる塩を有効成分として含む脳動脈瘤の治療薬または予防薬も提供する。
Figure 2008149971
本発明の研究の結果、脳動脈瘤においてカテプシンB、KおよびSの発現が亢進し、カテプシンの内在性の阻害因子であるシスタチンCの発現が低下していることが判明した。
カテプシンB、KおよびSのmRNAは、脳動脈瘤発生増大の後期において増加していた。シスタチンCの発現は、正常の脳動脈には豊富に認められたが、脳動脈瘤では抑制されていた。
カテプシンB、KおよびSは、いずれもシステインプロテアーゼである。そこで、システインプロテアーゼ阻害剤を用いたところ、脳動脈瘤の増大を抑制することに成功した。以上の研究から、脳血管におけるカテプシン類とシスタチンCの均衡が崩れることにより、脳動脈瘤が増大し、それが脳動脈瘤破裂の原因となっていたことが明らかになった。
本発明に従い、システインプロテアーゼ阻害剤を有効成分として含む医薬を用いることにより、従来の技術では困難であった脳動脈瘤の治療および予防、特に脳動脈瘤の増大または破裂を治療または予防することが可能になった。
本願明細書において「システインプロテアーゼ」は、一般的な定義の通り、SH基が活性中心に存在するプロテアーゼを意味する。脳動脈瘤の形成への関与が認められたカテプシンB、KおよびSは、いずれもシステインプロテアーゼである。よって、広く様々な種類のシステインプロテアーゼ阻害剤が、脳動脈瘤の治療および予防に有効であると考えられる。
システインプロテアーゼの阻害剤、特にシステインプロテアーゼであるカテプシンB、KまたはSの阻害剤は、国際公開第97/21694号、同98/47887号、同01/049288号、同01/058886号、同01/070232号、同03/053331号、同03/075836号、同03/091202号、同2004/108661、同2005/000800号、同2005/066180、同2007/025774号、同2007/009715号の各パンフレットおよび特開平11−263783号公報に記載がある。カテプシンB、KまたはSの阻害剤については、各種の非特許文献(例、T. Yasuma et al., J. Med. Chem. 1998, 41, 4301-4308; N. Katumuma et al., FEBS Lett., 1999, 458, 6-10; T. Otsuka et al., J. Antibiot., 1999, 52, 536-541; R.W. Marquis et al., J. Med. Chem. 2001, 44, 1380-1395; P.D. Greenspan et al., Bioorg., Med. Chem. Lett., 2003, 13, 4121-4124; J. Robichaud et al., J. Med. Chem. 2003, 46, 3709-3727; C.S. Li et al., Bioorg., Med. Chem. Lett., 2006, 16, 1985-1989)にも記載がある。
システインプロテアーゼ阻害剤の例には、N−[1−[(シアノメチル)カルバモイル]シクロヘキシル]−4−(4−プロピルピペラジン−1−イル)ベンズアミド、N−[(1S)−3−メチル−1−[[(4S,7R)−7−メチル−3−オキソ−1−(ピリジン−2−イルスルホニル)ヘキサヒドロ−1H−アゼピン−4−イル]カルバモイル]ブチル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド、(2R)−N−シアノメチル−4−メチル−2−(4’−ピペラジン−1−イル−1,1’−ビフェニル−3−イル)ペンタンアミド、N−[3−[(2Z)−2−(3−メチル−1,3−チアゾリジン−2−イリデン)ヒドラジノ]−2,3−ジオキソ−1−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルプロピル]シクロヘプタンカルボキサミドおよびN−シアノメチル−4−メチル−2−[2,2,2−トリフルオロ−1−(4’−メチルスルホニル−1,1’−ビフェニル−4−イル)エチルアミノ]ぺンタンアミドが含まれる。
システインプロテアーゼ阻害剤は、前記式(1)で表わされるエポキシコハク酸アミド誘導体またはその生理学的に許容できる塩であることが好ましい。前記式(1)で表わされるエポキシコハク酸アミド誘導体およびその塩は、骨疾患の予防または治療を目的として発明されたカテプシンB及びLなどのシステインプロテアーゼの阻害剤である(国際公開第99/11640号パンフレット記載)。また、その後の研究によって、これらの化合物はカテプシンKも阻害することも明らかになっている。
式(1)で表わされるエポキシコハク酸アミド誘導体について更に詳しく説明する。
式(1)において、Rは、水素原子、炭素原子数が1〜10のアルキル基(好ましくは炭素原子数が1〜6のアルキル基であって、直鎖状であっても、分岐状であっても、また環状であってもよい。例、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル)、炭素原子数が2〜10のアルケニル基(好ましくは炭素原子数が2〜6のアルケニル基で、直鎖状であっても、分岐状であっても、また環状であってもよい。例、アリル、2−メチル−1−プロペニル 2−シクロヘキセニル)、炭素原子数が2〜10のアルキニル基(好ましくは炭素原子数が2〜6のアルキニル基であって、直鎖状であっても、分岐状であってもよい。例、2−プロピニル、3−ブチニル)、炭素原子数が6〜20のアリール基(例、フェニル、ナフチル)、炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなるアラルキル基(例、ベンジル、フェネチル、3−フェニルプロピル)、炭素原子数が3〜12の複素環基(例、ピリジル、ピロリジニル、ピペリジニル、フリル、チエニル)、又は炭素原子数が3〜12の複素環基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなる複素環アルキル基(例、フルフリル、2−テニル、2−(3−ピリジル)エチル)である。
は、炭素原子数が1〜10のアルキル基(好ましくは炭素原子数が1〜6のアルキル基であって、直鎖状であっても、分岐状であっても、また環状であってもよい。例、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル)、炭素原子数が2〜10のアルケニル基(好ましくは炭素原子数が2〜6のアルケニル基であり、直鎖状であっても、分岐状であってもよい。例、ビニル、2−メチル−1−プロペニル、2−シクロヘキセニル)、炭素原子数が2〜10のアルキニル基(好ましくは炭素原子数が2〜6のアルキニル基であって、直鎖状であっても、分岐状であってもよい。例、2−プロピニル、3−ブチニル)、炭素原子数が6〜20のアリール基(例、フェニル、ナフチル)、炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなるアラルキル基(例、ベンジル、フェネチル、3−フェニルプロピル)、炭素原子数が3〜12の複素環基(例、ピリジル、ピロリジニル、ピペリジニル、フリル、チエニル)、または炭素原子数が3〜12の複素環基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなる複素環アルキル基(例、3−インドリルメチル、2−ピリジルメチル)である。
は、水素原子、炭素原子数が1〜10のアルキル基(好ましくは炭素原子数が1〜6のアルキル基であって、直鎖状であっても、分岐状、また環状であってもよい。例、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル)、炭素原子数が2〜10のアルケニル基(好ましくは炭素原子数が2〜6のアルケニル基であり、直鎖状であっても、分岐状であっても、また環状であってもよい。例、ビニル、2−メチル−1−プロペニル、2−シクロヘキセニル)、炭素原子数が2〜10のアルキニル基(好ましくは炭素原子数が2〜6のアルキニル基であり、直鎖状であっても、分岐状であってもよい。例、2−プロピニル、3−ブチニル)、炭素原子数が6〜20のアリール基(例、フェニル、ナフチル)、炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなるアラルキル基(例、ベンジル、フェネチル、3−フェニルプロピル)、炭素原子数が3〜12の複素環基(例、ピリジル、ピロリジニル、ピペリジニル、フリル、チエニル)、または炭素原子数が3〜12の複素環基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなる複素環アルキル基(例、3−インドリルメチル、2−ピリジルメチル)である。
Xは、−O−または−NR−(Rは、水素原子、炭素原子数が1〜10のアルキル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数1〜6のアルキル基とからなるアラルキル基、炭素原子数が3〜12の複素環基、または炭素原子数が3〜12の複素環基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなる複素環アルキル基である)であり、これらのアルキル基、アリール基、アラルキル基、及び複素環アルキル基の炭素原子数の好ましい範囲および具体例は、上記のR、R及びRの場合と同様である。
は、OR(Rは、水素原子、炭素原子数が1〜10のアルキル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなるアラルキル基、炭素原子数が2〜20のアシル基、炭素原子数が3〜12の複素環基、または炭素原子数が3〜12の複素環基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなる複素環アルキル基である)、SR(Rは、水素原子、炭素原子数が1〜10のアルキル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなるアラルキル基、炭素原子数2〜20のアシル基、炭素原子数が3〜12の複素環基、または炭素原子数が3〜12の複素環基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなる複素環アルキル基である)、NR(Rは、水素原子、炭素原子数が1〜10のアルキル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなるアラルキル基、炭素原子数2〜20のアシル基、炭素原子数が3〜12の複素環基、または炭素原子数が3〜12の複素環基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなる複素環アルキル基であり、モしてRは、水素原子、炭素原子数が1〜10のアルキル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなるアラルキル基、炭素原子数が3〜12の複素環基、または炭素原子数が3〜12の複素環基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなる複素環アルキル基である)であって、これらのアルキル基、アリール基、アラルキル基、及び複素環アルキル基の炭素原子数の好ましい範囲および具体例は、上記のR、RおよびRの場合と同様である。
は、水素原子、または炭素原子数が1〜10のアルキル基(好ましくは炭素原子数が1〜6のアルキル基であって、直鎖状であっても、分岐状、また環状であってもよい。例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル n−ブチル、イソブチル、se
c−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル)である。
式(1)において、YとYとは一緒になって、=O、=S、=N−R(Rは、水素原子、炭素原子数が1〜10のアルキル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなるアラルキル基、炭素原子数が3〜12の複素環基、または炭素原子数が3〜12の複素環基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなる複素環アルキル基である)、あるいは=N−OR10(R10は、水素原子、炭素原子数が1〜10のアルキル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数1〜6のアルキル基とからなるアラルキル基、炭素原子数が3〜12の複素環基、または炭素原子数が3〜12の複素環基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなる複素環アルキル基である)を表わしてもよい。これらのアルキル基、アリール基、アラルキル基、及び複素環アルキル基の炭素原子数の好ましい範囲および具体例は、上記のR、R及びRの場合と同様である。
式(1)で表されるエポキシコハク酸アミド誘導体またその生理学的に許容できる塩の内で特に好ましいのは、以下の二例である。
1)Rがイソブチル基またはイソプロピル基であり、Rが水素原子であり、YがOR(Rは前記記載と同じ)であり、Yが水素原子であるエポキシコハク酸アミド誘導体またその生理学的に許容できる塩である。Rが表すアルキル基、アリール基、アラルキル基、及び複素環アルキル基の炭素原子数の好ましい範囲および具体例は、上記のR、R及びRの場合と同様である。
2)Rがイソブチル基またはイソプロピル基であり、Rが炭素原子数が6〜20のアリール基であり、YがOR(Rは前記記載と同じ)であり、Yが水素原子であるエポキシコハク酸アミド誘導体またその生理学的に許容できる塩である。Rの表すアルキル基、アリール基、アラルキル基、及び複素環アルキル基の炭素原子数の好ましい範囲および具体例は、上記のR、R及びRの場合と同様である。
前記の式(1)のYもしくはYにおいて、R〜R10のアルキル基はそれぞれ、ヒドロキシル基、アミノ基、炭素原子数が1〜6のアルキルアミノ基(例、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソブチルアミノ)、合計炭素原子数が2〜12のジアルキルアミノ基(例、ジメチルアミノ、メチルエチルアミノ、ジエチルアミノ)、炭素原子数が1〜6のアルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ)、カルボキシル基、炭素原子数が2〜7のアルコキシカルボニル基(例、エトキシカルボニル)、カルバモイル基、炭素原子数が2〜7のアルキルアミノカルボニル基(例、メチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル)、合計炭素原子数が3〜13のジアルキルアミノカルボニル基(ジメチルアミノカルボニル、ジエチルボミノカルボニル、メチルエチルアミノカルボニル、ピペラジノカルボニル)、およびグアニジノ基からなる群より選ばれる一もしくは二以上の置換基を有していてもよい。
また、R〜R10のアリール基及び複素環基はそれぞれ、炭素原子数が1〜6のアルキル基(例、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル)、ヒドロキシル基、アミノ基、炭素原子数が1〜6のアルキルアミノ基(例、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ)、合計炭素原子数が2〜12のジアルキルアミノ基(例、ジメチルアミノ、メチルエチルアミノ、ジエチルアミノ)、炭素原子数が1〜6のアルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ)、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素)、ハロアルキル基(例、トリフルオロメチル)、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、炭素原子数が2〜7のアルコキシカルボニル基(例、エトキシカルボニル)、カルバモイル基、炭素原子数が2〜7のアルキルアミノカルボニル基(例、メチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル)、合計炭素原子数が3〜13のジアルキルアミノカルボニル基(例、ジメチルアミノカルボニル、メチルエチルアミノカルボニル)、アミジノ基、およびグアニジノ基からなる群より選ばれる一もしくは二以上の置換基を有していてもよい。
前記式(1)に含まれるオキシラン環の二つの炭素は、共に不斉炭素原子である。そして、式(1)は、オキシラン環に結合した二つのカルボニル基がトランス型であることを示す。すなわち、エポキシコハク酸アミド誘導体は、下記の(T1)または(T2)に示される光学異性体のいずれかのもの、あるいはこれらの混合物である。
Figure 2008149971
エポキシコハク酸アミド誘導体の具体例を、下記の第1表(第1−1表、第1−2表、第1−3表、そして第1−4表)に示す。第1−1表、第1−2表、第1−3表、そして第1−4表におけるR、R、R、X、YおよびYは、それぞれ前記の式(1)に示した記号に相当する。また、下記の各表において、各記号はそれぞれ下記の基を表わす。
H:水素、Me:メチル、Et:エチル、Ph:フェニル、Bn:ベンジル、iPr:イソプロピル、iBu:イソブチル、sBu:sec−ブチル、tBu:tert−ブチル、cHex:シクロヘキシル、4−MePh:4−メチルフェニル、4−ClPh:4−クロロフェニル、4−tBuPh:4−tert−ブチルフェニル、4’−HOBn:4’−ヒドロキシベンジル
Figure 2008149971
Figure 2008149971
Figure 2008149971
Figure 2008149971
Figure 2008149971
Figure 2008149971
エポキシコハク酸アミド誘導体は、生理学的に許容可能な塩として用いてもよい。例えば、Rが水素原子で、Xが−O−の場合における、アルカリ金属(例、ナトリウム、カリウム)との塩、アルカリ土類金属(例、カルシウム)との塩、有機アミン(例、リジン、メグルミン)との塩を挙げることができる。
次に本発明のエポキシコハク酸アミド誘導体の製造方法について説明する。本発明のエポキシコハク酸アミド誘導体は、公知の物質から、アミド結合の生成反応、エステル反応、あるいは加水分解反応を利用して製造することができる。下記に、それぞれの反応の反応式を示す。
1)アミド結合の生成
Figure 2008149971
2)アミド結合の生成(X=−NR−の場合)
Figure 2008149971
3)エステル反応(Rが、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アラルキルカルボニル基、複素環カルボニル基、もしくは複素環アルキルカルボニル基である場合)
Figure 2008149971
4)エステル反応(X=−O−で、かつRが水素原子以外の基の場合)
Figure 2008149971
(上記の反応式で、Rは、Rと同一である、但し、水素原子は含まず)
5)加水分解反応(X=−O−で、かつRが水素原子の場合)
Figure 2008149971
(上記の反応式で、Rは、Rと同一である、但し水素原子は含まない。)
なお、上記の各反応の実施に際しては、必要に応じて、例えば、R及び/又はYなどの基を公知の保護基で保護することもできる。
エポキシコハク酸アミド誘導体の製造に際しては、特公昭61−55509号公報、特開昭52−31024号公報、特開平8−41043号公報、特開平8−104684号公報、WO96/30354号公報に記載のエポキシコハク酸誘導体の合成方法を参考にすることができる。
エポキシコハク酸アミド誘導体の投与方法は、経口投与でも非経口投与でもよい。経口投与剤の剤型としては、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤およびシロップ剤が挙げられる。非経口投与の方法としては、粘膜投与、体表投与、血管投与および組織内投与がある。粘膜投与の場合は、点眼剤、吸入剤、噴霧剤あるいは座剤として使用する。体表投与の場合は、軟膏剤として使用する。血管投与および組織内投与の場合は、注射剤として使用する。
上記経口投与剤の製造は、通常の賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、色素や希釈剤を用いて行なうことができる。賦形剤としては、ブドウ糖や乳糖が一般に使用される。崩壊剤の例には、澱粉およびカルボキシメチルセルロースカルシウムが含まれる。滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクが挙げられる。結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチンおよびポリビニルアルコールが用いられる。非経口投与製剤も通常の方法で製造できる。例えば、注射剤の場合、通常の注射用蒸留水、生理食塩水あるいはリンゲル液を用いればよい。
エポキシコハク酸アミド誘導体の投与量は、通常成人において、注射剤で一日0.01乃至100mg、経口投与で一日0.1乃至1gである。もちろん、投与量は、年齢、人種、症状などに応じて増減する。
[実験的誘発脳動脈モデル]
長田外(Nagata I, Handa H, Hashimoto N, Hazama F. Experimentally induced cerebral aneurysms in rats: Part VI. Hypertension. Surg Neurol. 1980; 14;: 477-479)に記載の方法で、脳動脈瘤を誘発した。7週齢の雄のSD(Sprangue-Dawley)ラットにペントバルビタール麻酔剤(50mg/kg)を腹腔内投与後、左総頸動脈と両側腎動脈後枝とを同時に10−0ナイロン糸で結紮した。8%塩化ナトリウムおよび0.12%β−アミノプロピオニトリル(コラーゲンとエラスチンの架橋酵素であるリシルオキシダーゼの阻害剤)を添加した飼料で飼育した。血圧は、テイルカフ(teil-cuff)法で測定した。なお、動物の飼育と実験は、実験動物の飼育と使用に関する日本の規定に従い実施した。
[免疫染色]
脳動脈瘤手術の3ヶ月後、全てのラット(個体数:10)に深く麻酔をかけ、4%パラホルムアルデヒドで心臓経由の灌流を行った。対照として、同じ齢の雄のSDラットを同様に安楽死させた。前大脳動脈/嗅動脈分岐(ACA/OA分岐)を摘出し、包埋し、5μmの切片に切り出した。5%のロバの血清でブロッキング後、一次抗体を室温において1時間インキュベートし、蛍光標識した二次抗体で室温において1時間インキュベートした。二次抗体は、ヤギのIgGに対するFITCが結合したロバの抗体、ウサギのIgGに対するFITCが結合したロバの抗体、マウスのIgGに対するCy3が結合したロバの抗体、およびウサギのIgGに対するCy3が結合したロバの抗体であった。試料のスライドガラスは、蛍光注入剤(PermaFluor, Immunotec社)で覆い、蛍光顕微鏡システム(オリンパス社)の発光により蛍光を励起させた。使用した一次抗体は、カテプシンBに対するヤギのポリクローナル抗体、カテプシンKに対するヤギのポリクローナル抗体、カテプシンSに対するヤギのポリクローナル抗体、シスタチンCに対するウサギのポリクローナル抗体、CD68に対するマウスのモノクローナル抗体、平滑筋α−アクチンに対するマウスのモノクローナル抗体、および内皮酸化窒素シンターゼ(eNOS)に対するウサギのポリクローナル抗体であった。
[RT−PCR]
動脈瘤の誘発から一ヶ月後(個体数:6)または三ヶ月後(個体数:6)に、ラットを前記のように安楽死させた。キアーゲン(Qiagen)社のキット(RNeasy Fibrous Tissue Mini Kit)を用いて、全てのウイリス輪(Willis ring)からRNAの全量を単離した。抽出は、マニュアルに従って実施した。RNAの全量は、キアーゲン(Qiagen)社のキット転写酵素(Sensiscript)を用いてcDNAに転換した。cDNA合成の条件は、37℃で1時間、次に93℃に加熱して5分間であった。PCRは、キアーゲン(Qiagen)社のポリメラーゼ(HotSar Taq)とバイオ・ラッド(Bio-Rad)社のサーマルサイクラー(iCycler)を使用して実施した。最初の対照として、β−アクチンを使用した。使用したプライマーセットは、以下の通りである。
カテプシンB:(forward)5’-aaatcaggcgtatacaagcatga-3’
(reverse)5’-gcccagaatgcggatgg-3’
カテプシンK:(forward)5’-cccagactccatcgactatcg-3’
(reverse)5’-ctgtaccctctgcacttagctgcc-3’
カテプシンS:(forward)5’-acgagcatcgactcagaagc-3’
(reverse)5’-tagccaaccacgagaacacc-3’
シスタチンC:(forward)5’-ggattctcgactcagagtatcc-3’
(reverse)5’-gactgcacgtcttggacggacg-3’
β−アクチン:(forward)5’-aagcaatgctgtcaccttccc-3’
(reverse)5’-aagtccctcaccctcccaaaag-3’
PCR反応の条件は、変性のため95℃で30秒間、アニーリングのため53℃で30秒間、そして抽出のため72℃で30秒間を45サイクルであった。PCRの生成物は、2%アガロースゲルの電気泳動で分離した。デンシトメーターによる分析により、1グループ当たり6サンプルの結果が得られた。
[システインプロテアーゼ阻害剤]
システインプロテアーゼ阻害剤として、下記の(2S,3S)−3−[[(1S)−1−イソブトキシメチル−3−メチルブチル]カルバモイル]オキシラン−2−カルボン酸モノナトリウムを使用した。
Figure 2008149971
上記システインプロテアーゼ阻害剤は、カテプシンKに対して強い阻害作用を示し、カテプシンB及びSに対しても阻害作用を示す。IC50は、カテプシンKに対して34.5nmol/L、カテプシンBに対して284nmol/L、カテプシンSに対して186nmol/Lである。上記阻害剤は、例えば、マトリックスメタロプロテアーゼのような他の種類のプロテアーゼを阻害しない。
上記阻害剤は、全部で18匹のラットに対して、一日当たり上記の阻害剤を50mg/kg経口投与した。脳動脈瘤の誘発直後、一日当たり上記の阻害剤を50mg/kg添加した飼料で飼育する(個体数:18)か、添加しない飼料で飼育した(個体数:21)。3ヶ月後に安楽死させた。ACA/OA分岐を摘出し、染色(Elastica van Gieson染色
)後、光学顕微鏡で観察した。初期の動脈瘤による変化は、動脈内部の弾性板の断裂による損傷として認められ、動脈壁の外部への膨らみの兆候はなかった。進行した動脈瘤では、内部の弾性板の断裂または消失と共に、動脈壁の外部への明かな膨らみが認められた。CD68を用いる免疫染色の後、CD68に陽性の細胞の数をセクション毎に数えた。異なる3名の研究員が組織病理学的な変化を評価した。
[酵素活性の測定]
動脈瘤壁におけるカテプシンB活性を測定するため、アゾカップリング法(in situ)
を採用した。脳動脈瘤の誘発から3ヶ月後、ラット(各グループの個体数:6)を前記のように安楽死させた。10%のポリビニルアルコール、10mMのジチオスレイトール、2.7mMのL−システインおよび1.3mMのEDTAを含む100mMリン酸カリウム緩衝液中の3.2mMのZ−arg−arg−4−メトキシ−2−ナフチルアミン(コスモ・バイオ社)を用いて、5μmの凍結切片を37℃で1時間インキュベートした。その後、スライドガラスを125mg/mlのN−エチルマレイミドを含むリン酸緩衝液に入れ55℃で5分間放置した。その後、ファースト・ブルー(Fast Blue)を21mg/100ml含むリン酸カリウム溶液で30分間、次に室温において0.1Mの硫酸銅溶液で15分間インキュベートした。生理食塩水で洗浄後、スライドガラスを蛍光注入剤(PermaFluor, Immunotec社)で覆った。
[コラーゲン分解活性の測定]
対照グループおよびシステインプロテアーゼ阻害剤を与えたグループの全てのウイリス輪(Willis ring)から蛋白質の全量を単離した。蛋白質は、バイオ・ラッド(Bio-Rad)社のキット(Bio-Plex Cell Lysis Kit)を用いて、マニュアルに従い精製した。一回の実験(各グループの個体数:5)に使用した蛋白質は、150μgであった。コラーゲン分解活性は、有限会社ライフ研究所のコラーゲン活性測定キットを用いて測定した。蛍光で標識したI型またはIV型のコラーゲンを、37℃において全てのウイリス輪溶解産物で1時間インキュベートした。未分解の蛍光標識したコラーゲンをエタノール溶液で抽出し、496nmの励起波長と520nmの測定波長とを有する蛍光分光計で測定した。コラーゲン分解活性(U/ml)は、キットのマニュアルに記載の式に従い、蛍光強度から計算した。
[ヒトサンプルの免疫染色]
ヒトの脳動脈瘤のサンプルについては、クリッピング手術を受けた4名の患者の合意を得て、摘出された破裂しなかった動脈瘤を得た。対照として、STA−MCAバイパス手術により得られた中大脳動脈(MCA)2例を用いた。4μmのパラフィン切片を切り出し、スライドガラスに載せた。パラフィンを除去し、0.3%過酸化水素で内因性のペルオキシダーゼ活性をブロッキングした後、各種カテプシンとシスタチンC(ラットの研究の場合と同じ)の一次抗体を4℃で12時間インキュベートした。次に、室温において、ビオチンで標識した二次抗体で30分間インキュベートした。その後、ストレプトアビジンを結合したペルオキシダーゼでスライドガラスをインキュベートした。最後に、3,3’−ジアミノベンジジン・システムで、シグナルを検知した。ヘマトキシリン溶液を用いて核酸染色法を実施した。負の対照として、一次抗体なしで免疫染色を実施した。二重染色のため、スライドガラスは、室温において平滑筋α−アクチン、CD68またはヴォン・ヴィレブランド因子の一次抗体で30分間インキュベートし、次に、アルカリ性フォスファターゼで標識した二次抗体とファスト・レッド溶液でインキュベートした。
[統計分析]
値は、平均値±標準偏差で表示した。統計分析は、二グループの比較についてはt検定(Student’s t-test)を用い、多数の比較については一元配置分散分析の次にフィッシャー検定を用いた。動脈瘤による変化の発生率は、フィッシャー抽出検定により解析した。差は、P値が0.05未満である場合を統計的に有意であると定義した。
[ラットに誘発した脳動脈瘤における各種カテプシンとシスタチンCの発現]
動脈瘤誘発から三ヶ月で、19/21のラットに、ACA/OA分岐に動脈瘤の発生と進行が認められた。動脈瘤壁の内膜と中層では、カテプシンB、KおよびSが高度に発現していた(図1のD、FおよびH参照)。少量のカテプシンBおよびSの発現は、外膜に認められた(図1のDおよびH参照)。カテプシンの発現は、対照ラットの動脈壁では検出されなかった(図1のC、EおよびG)。対照的にシスタチンCは、対照ラットの動脈壁の主に内部で多量に発現していた(図1のI参照)。シスタチンCは、動脈瘤壁ではほとんど発現していない(図1のJ参照)。内皮細胞、平滑筋細胞およびマクロファージの三種類全ての構成細胞が、動脈瘤壁のカテプシンB、KおよびSを発現している(図2参照)。カテプシンBは主にマクロファージで(図2のD参照)、カテプシンKおよびSは主に平滑筋細胞で(図2のF〜L参照)発現している。
[ラットに誘発した脳動脈瘤におけるmRNAの発現(図3参照)]
対照の動脈壁では、少量のカテプシンB、KおよびSのmRNAのみが発現していた。これらの発現は、動脈瘤の1カ月でも増加しなかった。そして、三ヶ月後に顕著なアップレギュレーションが認められた。対照的にシスタチンCのmRNAは、対照の動脈壁で高度に発現していた。そして、その発現は動脈瘤の進行に伴い抑制された。
[脳動脈瘤の形成と増大に対するシステインプロテアーゼ阻害剤の効果]
前記のシステインプロテアーゼ阻害剤が、脳の動脈瘤の発生と進行を抑制するかを検討した。血清中のシステインプロテアーゼ阻害剤の濃度は、システインカテプシンの阻害に充分な値(628.5±22.3nmol/L)に到達した。対照グループでは、21匹のうち19匹のラットで動脈瘤が進行し、2匹では初期の動脈瘤形成の変化が認められた。システインプロテアーゼ阻害剤(1日:50mg/kg)を与えたラットでは、10匹のうち5匹だけ動脈瘤が進行し、4匹では初期の動脈瘤形成の変化が認められた。動脈瘤の形成については、両者に有意な差は認められなかった。しかし、動脈瘤の進行速度については、阻害剤投与グループにおいて、対照グループよりも有意(P=0.022)に抑制されていた(図4のA参照)。双方のグループにおいて、動脈瘤誘発から3ヶ月後に全身の血圧が上昇した。血圧について、対照グループ(160.7±21.1mmHg、個体数:20)と阻害剤投与グループ(164.6±20.7mmHg、個体数:10)との間に有意な差は認められなかった(図4のB参照)。動脈瘤の周囲の領域(50μm×50μm)へのマクロファージの浸透についても、対照グループ(5.3±1.5細胞/領域、個体数:14)と阻害剤投与グループ(4.9±1.7細胞/領域、個体数:10)との間に差はなかった(図4のC参照)。
[阻害剤投与グループのラットに誘発した脳動脈瘤におけるカテプシンBの活性]
動脈瘤の誘発後3ヶ月の時点で、動脈瘤壁におけるカテプシンBの活性が顕著であった(図5のB参照)。その活性は、システインプロテアーゼ阻害剤を投与したラットでは減少した(図5のC参照)。対照の動脈壁では、カテプシンBの活性は検出されなかった(図5のA参照)。
[阻害剤投与グループのラットに誘発した脳動脈瘤におけるコラーゲン分解酵素の活性]
システインプロテアーゼ阻害剤を投与したラット(個体数:5)では、対照グループ(個体数:5)と比較して、コラーゲン分解酵素IおよびIVの活性が顕著(I:P=0.014、IV:P=0.044)に低かった(図5のD、E参照)。
[ヒト脳動脈瘤における各種カテプシンとシスタチンCの発現]
カテプシンB、KおよびSは、動脈瘤壁の内皮細胞および中膜において高度に発現した(図6のB、DおよびF参照)。対照の動脈壁では、カテプシン類は、内皮細胞層において、わずかに発現する程度であった(図6のA、CおよびE参照)。シスタチンCは、脳動脈壁の中膜において高度に発現し(図6のG参照)、その発現は動脈瘤壁では抑制されていた(図6のH参照)。一次抗体でのインキュベーションを実施しなかった負の対照では、対照と動脈瘤の双方において明白な兆候を示さなかった(図6のIとJ参照)。二重染色法により、カテプシンSが、平滑筋細胞、マクロファージおよび内皮細胞のいずれにおいても発現していることが示された(図7参照)。カテプシンBおよびKも同様に、3種類の細胞全てにおいて発現していた。
脳動脈瘤壁において、細胞外基質の主要な蛋白質であるコラーゲンやエラスチンの過剰な変性分解が認められる。本発明は、この過剰な細胞外基質の分解の詳細を解明することにより、脳動脈瘤の新たな治療方法を提供する。
システインプロテアーゼ阻害剤の添加により、全身血圧やマクロファージの浸透に影響を与えることなく、劇的に進行した脳動脈瘤の発生が抑制される。これは、システインプロテアーゼであるカテプシンが脳動脈瘤の増大に関与しているためであると考えられる。
脳動脈瘤の増大および破裂に対する治療法では、システインプロテアーゼであるカテプシンを標的にすることができる。従って、脳動脈瘤の治療および予防に有効な医薬としてシステインプロテアーゼ阻害剤を使用することができる。
ラットに誘発した脳動脈瘤壁と正常な動脈壁における各種カテプシンとシスタチンCの発現を示す写真である。 ラットに誘発した脳動脈瘤の内皮細胞、マクロファージおよび平滑筋細胞における各種カテプシンの発現を示す写真である。 ラットに誘発した脳動脈瘤におけるmRNAの発現を示す図である。 脳動脈瘤の形成と増大に対するシステインプロテアーゼ阻害剤の効果を示すグラフである。 脳動脈瘤におけるカテプシンBおよびコラーゲン分解酵素の活性を示す図である。 ヒト脳動脈瘤壁と正常な動脈壁における各種カテプシンとシスタチンCの発現を示す写真である。 ヒト脳動脈瘤壁の平滑筋細胞、マクロファージおよび内皮細胞におけるカテプシンSの発現を示す写真である。
符号の説明
図1のA 正常な動脈壁
図1のB 動脈瘤壁
図1のC 正常な動脈壁におけるカテプシンBの発現
図1のD 動脈瘤壁におけるカテプシンBの発現
図1のE 正常な動脈壁におけるカテプシンKの発現
図1のF 動脈瘤壁におけるカテプシンKの発現
図1のG 正常な動脈壁におけるカテプシンSの発現
図1のH 動脈瘤壁におけるカテプシンSの発現
図1のI 正常な動脈壁におけるシスタチンCの発現
図1のJ 動脈瘤壁におけるシスタチンCの発現
図1の線の長さ 50μm
図2のA、E、I 動脈瘤壁
図2のB 内皮細胞におけるカテプシンBの発現
図2のC マクロファージにおけるカテプシンBの発現
図2のD 平滑筋細胞におけるカテプシンBの発現
図2のF 内皮細胞におけるカテプシンKの発現
図2のG マクロファージにおけるカテプシンKの発現
図2のH 平滑筋細胞におけるカテプシンKの発現
図2のJ 内皮細胞におけるカテプシンSの発現
図2のK マクロファージにおけるカテプシンSの発現
図2のL 平滑筋細胞におけるカテプシンSの発現
図2の線の長さ 50μm
図3のA PCRの生成物を電気泳動で分離した結果
図3のB カテプシンBのmRNAの発現
図3のC カテプシンKのmRNAの発現
図3のD カテプシンSのmRNAの発現
図3のE シスタチンCのmRNAの発現
図4のA 動脈瘤の発生頻度
図4のB 血圧
図4のC マクロファージの浸潤
図5のA 対照のカテプシンBの活性
図5のB 動脈瘤誘発、システインプロテアーゼ阻害剤未投与のカテプシンBの活性
図5のC 動脈瘤誘発、システインプロテアーゼ阻害剤投与のカテプシンBの活性
図5のD コラーゲン分解酵素Iの活性
図5のE コラーゲン分解酵素IVの活性
図6のA 正常な動脈壁におけるカテプシンBの発現
図6のB 動脈瘤壁におけるカテプシンBの発現
図6のC 正常な動脈壁におけるカテプシンKの発現
図6のD 動脈瘤壁におけるカテプシンKの発現
図6のE 正常な動脈壁におけるカテプシンSの発現
図6のF 動脈瘤壁におけるカテプシンSの発現
図6のG 正常な動脈壁におけるシスタチンCの発現
図6のH 動脈瘤壁におけるシスタチンCの発現
図6のI 正常な動脈壁(負の対照)
図6のJ 動脈瘤壁(負の対照)
図6の線の長さ 50μm
図7のA 平滑筋細胞におけるカテプシンSの発現
図7のB マクロファージにおけるカテプシンSの発現
図7のC 内皮細胞におけるカテプシンSの発現

Claims (17)

  1. システインプロテアーゼ阻害剤を有効成分として含む脳動脈瘤の治療薬または予防薬。
  2. 脳動脈瘤の増大または破裂を治療または予防するための請求項1に記載の治療薬または予防薬。
  3. システインプロテアーゼ阻害剤がカテプシンB、カテプシンKまたはカテプシンSに対する阻害機能を有する請求項1に記載の治療薬または予防薬。
  4. システインプロテアーゼ阻害剤がN−[1−[(シアノメチル)カルバモイル]シクロヘキシル]−4−(4−プロピルピペラジン−1−イル)ベンズアミド、N−[(1S)−3−メチル−1−[[(4S,7R)−7−メチル−3−オキソ−1−(ピリジン−2−イルスルホニル)ヘキサヒドロ−1H−アゼピン−4−イル]カルバモイル]ブチル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド、(2R)−N−シアノメチル−4−メチル−2−(4’−ピペラジン−1−イル−1,1’−ビフェニル−3−イル)ペンタンアミド、N−[3−[(2Z)−2−(3−メチル−1,3−チアゾリジン−2−イリデン)ヒドラジノ]−2,3−ジオキソ−1−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルプロピル]シクロヘプタンカルボキサミド、N−シアノメチル−4−メチル−2−[2,2,2−トリフルオロ−1−(4’−メチルスルホニル−1,1’−ビフェニル−4−イル)エチルアミノ]ぺンタンアミドまたは(2S,3S)−3−[[(1S)−1−イソブトキシメチル−3−メチルブチル]カルバモイル]オキシラン−2−カルボン酸モノナトリウムである請求項1に記載の治療薬または予防薬。
  5. 下記式(1)で表わされるエポキシコハク酸アミド誘導体またはその生理学的に許容できる塩を有効成分として含む脳動脈瘤の治療薬または予防薬:
    Figure 2008149971
    [上記の式において、Rは、水素原子、炭素原子数が1〜10のアルキル基、炭素原子数が2〜10のアルケニル基、炭素原子数が2〜10のアルキニル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなるアラルキル基、炭素原子数が3〜12の複素環基、または炭素原子数が3〜12の複素環基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなる複素環アルキル基であり;Rは、炭素原子数が1〜10のアルキル基、炭素原子数が2〜10のアルケニル基、炭素原子数が2〜10のアルキニル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなるアラルキル基、炭素原子数が3〜12の複素環基、または炭素原子数が3〜12の複素環基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなる複素環アルキル基であり;Rは、水素原子、炭素原子数が1〜10のアルキル基、炭素原子数が2〜10のアルケニル基、炭素原子数が2〜10のアルキニル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなるアラルキル基、炭素原子数が3〜12の複素環基、または炭素原子数が3〜12の複素環基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなる複素環アルキル基であり;Xは、−O−または−NR−(Rは、水素原子、炭素原子数が1〜10のアルキル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなるアラルキル基、炭素原子数が3〜12の複素環基、または炭素原子数が3〜12の複素環基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなる複素環アルキル基である)であり;Yは、OR(Rは、水素原子、炭素原子数が1〜10のアルキル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数1〜6のアルキル基とからなるアラルキル基、炭素原子数2〜20のアシル基、炭素原子数が3〜12の複素環基、または炭素原子数が3〜12の複素環基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなる複素環アルキル基である)、SR(Rは、水素原子、炭素原子数が1〜10のアルキル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなるアラルキル基、炭素原子数2〜20のアシル基、炭素原子数が3〜12の複素環基、または炭素原子数が3〜12の複素環基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなる複素環アルキル基である)、またはNR(Rは、水素原子、炭素原子数が1〜10のアルキル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなるアラルキル基、炭素原子数2〜20のアシル基、炭素原子数が3〜12の複素環基、または炭素原子数が3〜12の複素環基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなる複素環アルキル基であり、そしてRは、水素原子、炭素原子数が1〜10のアルキル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなるアラルキル基、炭素原子数が3〜12の複素環基、または炭素原子数が3〜12の複素環基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなる複素環アルキル基である)であり;そしてYは、水素原子または炭素原子数が1〜10のアルキル基である;あるいは、YとYとは一緒になって、=O、=S、=N−R(Rは、水素原子、炭素原子数が1〜10のアルキル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなるアラルキル基、炭素原子数が3〜12の複素環基、または炭素原子数が3〜12の複素環基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなる複素環アルキル基である)、あるいは=N−OR10(R10は、水素原子、炭素原子数が1〜10のアルキル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数1〜6のアルキル基とからなるアラルキル基、炭素原子数が3〜12の複素環基、または炭素原子数が3〜12の複素環基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなる複素環アルキル基である)を表わしてもよい;なお、上記R〜R10のアルキル基はいずれも、ヒドロキシル基、アミノ基、炭素原子数が1〜6のアルキルアミノ基、合計炭素原子数が2〜12のジアルキルアミノ基、炭素原子数が1〜6のアルコキシ基、カルボキシル基、炭素原子数が2〜7のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数が2〜7のアルキルアミノカルボニル基、合計炭素原子数が3〜13のジアルキルアミノカルボニル基、およびグアニジノ基からなる群より選ばれる一もしくは二以上の置換基を有していてもよく、また上記R〜R10の各アリール基および各複素環基は、炭素原子数が1〜6のアルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基、炭素原子数が1〜6のアルキルアミノ基、合計炭素原子数が2〜12のジアルキルアミノ基、炭素原子数が1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜6のハロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、炭素原子数が2〜7のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数が2〜7のアルキルアミノカルボニル基、合計炭素原子数が3〜13のジアルキルアミノカルボニル基、アミジノ基、およびグアニジノ基からなる群より選ばれる一もしくは二以上の置換基を有していてもよい]。
  6. 式(1)において、Rは、水素原子、炭素原子数が1〜10のアルキル基、炭素原子数が2〜10のアルケニル基、炭素原子数が2〜10のアルキニル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなるアラルキル基、炭素原子数が3〜12の複素環基、または炭素原子数が3〜12の複素環基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなる複素環アルキル基であり;Rは、炭素原子数が1〜10のアルキル基、炭素原子数が2〜10のアルケニル基、炭素原子数が2〜10のアルキニル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなるアラルキル基、炭素原子数が3〜12の複素環基、または炭素原子数が3〜12の複素環基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなる複素環アルキル基であり;Rは、水素原子、炭素原子数が1〜10のアルキル基、炭素原子数が2〜10のアルケニル基、炭素原子数が2〜10のアルキニル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなるアラルキル基、炭素原子数が3〜12の複素環基、または炭素原子数が3〜12の複素環基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなる複素環アルキル基であり;Xは、−O−または−NR−(Rは、水素原子、炭素原子数が1〜10のアルキル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなるアラルキル基、炭素原子数が3〜12の複素環基、または炭素原子数が3〜12の複素環基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなる複素環アルキル基である)であり;Yは、ヒドロキシル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、アセトキシ基、または炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数が1〜6のアルキル基からなるアラルキルオキシ基であり;そしてYは、水素原子または炭素原子数が1〜10のアルキル基である;なお、上記R〜Rの各アリール基および各複素環基は、炭素原子数が1〜6のアルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基、炭素原子数が1〜6のアルキルアミノ基、合計炭素原子数が2〜12のジアルキルアミノ基、炭素原子数が1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜6のハロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、炭素原子数が2〜7のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数が2〜7のアルキルアミノカルボニル基、合計炭素原子数が3〜13のジアルキルアミノカルボニル基、アミジノ基、およびグアニジノ基からなる群より選ばれる一もしくは二以上の置換基を有していてもよい、
    請求項5に記載の治療薬または予防薬。
  7. 下記式(1)で表わされるエポキシコハク酸アミド誘導体またはその生理学的に許容できる塩を有効成分として含む脳動脈瘤の治療薬または予防薬:
    Figure 2008149971
    [上記の式において、Rは、水素原子、炭素原子数が1〜10のアルキル基、炭素原子数が2〜10のアルケニル基、炭素原子数が2〜10のアルキニル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、または炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなるアラルキル基であり;Rは、イソブチル基またはイソプロピル基であり;Rは、水素原子または炭素原子数が6〜20のアリール基であり;Xは、−O−または−NR−(Rは、水素原子、炭素原子数が1〜10のアルキル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなるアラルキル基、炭素原子数が3〜12の複素環基、または炭素原子数が3〜12の複素環基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなる複素環アルキル基である)であり;Yは、OR(Rは、水素原子、炭素原子数が1〜10のアルキル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなるアラルキル基、アセチル基、ベンゾイル基、炭素原子数が3〜12の複素環基、または炭素原子数が3〜12の複素環基と炭素原子数が1〜6のアルキル基とからなる複素環アルキル基である)であり;Yは、水素原子である;ただし、Rのアルキル基は、ヒドロキシル基、アミノ基、炭素原子数が1〜6のアルキルアミノ基、総炭素原子数が2〜12のジアルキルアミノ基、炭素原子数が1〜6のアルコキシ基、カルボキシル基、炭素原子数が2〜7のアルコキシカルボニル基、−CONH、炭素原子数が2〜7のアルキルアミノカルボニル基、総炭素原子数が3〜13のジアルキルアミノカルボニル基、およびグアニジノ基からなる群より選ばれる1以上の置換基を有していてもよく;R、RおよびRのアリール基は、炭素原子数が1〜6のアルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基、炭素原子数が1〜6のアルキルアミノ基、総炭素原子数が2〜12のジアルキルアミノ基、炭素原子数が1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜6のハロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、炭素原子数が2〜7のアルコキシカルボニル基、−CONH、炭素原子数が2〜7のアルキルアミノカルボニル基、総炭素原子数が3〜13のジアルキルアミノカルボニル基、アミジノ基およびグアニジノ基からなる群より選ばれる1以上の置換基を有していてもよく;Rのヘテロ環基は、炭素原子数が1〜6のアルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基、炭素原子数が1〜6のアルキルアミノ基、総炭素原子数が2〜12のジアルキルアミノ基、炭素原子数が1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜6のハロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、炭素原子数が2〜7のアルコキシカルボニル基、−CONH、炭素原子数が2〜7のアルキルアミノカルボニル基、総炭素原子数が3〜13のジアルキルアミノカルボニル基、アミジノ基およびグアニジノ基からなる群より選ばれる1以上の置換基を有していてもよく;そして、RおよびRのヘテロ環基は、ピリジル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、フリル基、チエニル基、ピペラジニル基、インドリル基およびベンゾイミダゾリル基からなる群より選ばれる]。
  8. 式(1)のRが、水素原子または炭素原子数が1〜6のアルキル基である請求項5乃至7のいずれか一項に記載の治療薬または予防薬。
  9. 式(1)のRが、炭素原子数が1〜6のアルキル基、フェニル基、もしくはベンジル基である請求項5または6に記載の治療薬または予防薬。
  10. 式(1)のRが、水素原子または炭素原子数が6〜20のアリール基である請求項5または6に記載の治療薬または予防薬。
  11. 式(1)のXが、−O−である請求項5乃至7のいずれか一項に記載の治療薬または予防薬。
  12. 式(1)のYが、ヒドロキシル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、アセトキシ基、または炭素原子数が6〜20のアリール基と炭素原子数が1〜6のアルキル基からなるアラルキルオキシ基である請求項5に記載の治療薬または予防薬。
  13. 式(1)のRがイソブチル基またはイソプロピル基であり、Rが水素原子であり、YがOR(Rは請求項5と同じ)であり、そしてYが水素原子である請求項5に記載の治療薬または予防薬。
  14. 式(1)のRがイソブチル基またはイソプロピル基であり、Rが炭素原子数が6〜20のアリール基であり、YがOR(Rは請求項5と同じ)であり、そしてYが水素原子である請求項5に記載の治療薬または予防薬。
  15. 式(1)のYとYとが一緒になって、=Oを形成する請求項5に記載の治療薬または予防薬。
  16. 生理学的に許容できる塩がアルカリ金属塩である請求項5乃至15のいずれか一項に記載の治療薬または予防薬。
  17. 下記のエポキシコハク酸アミド誘導体またはその生理学的に許容できる塩を有効成分として含む脳動脈瘤の治療薬または予防薬。
    Figure 2008149971
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