JPWO2008142966A1 - 有機el装置の製造装置 - Google Patents

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Abstract

寿命の長い有機EL装置を製造する。本発明の製造装置1〜3は、有機材料層の形成、封止材料層の形成、基板7a、7bの貼り合わせ等を行う作業室11a〜11cには加熱装置12a〜12bが取り付けられている。作業を行う前に、予め、加熱装置12a〜12cで作業室11a〜11cの壁を加熱し、内壁面に付着した水等の不純物ガスを取り除き、取り除いた不純物ガスを作業室11を排気して排出しておく。作業は不純物ガスが排出された雰囲気で行われるため、有機EL装置に不純物ガスが混入しない。

Description

本発明は有機ELディスプレイ等の有機EL装置の製造装置に関する。
有機EL材料は、水や酸素によって化学的に劣化しやすいため、インクジェットプリンタによる有機EL材料の塗布工程、吐出装置による封止材料の塗布工程、更には、基板の貼り合わせ工程等の各工程を、外部雰囲気から遮断した作業室内部で行う方法が提案されている。
各工程を行う前には、作業室の内部を排気する、及び/又は作業室の内部に乾燥ガスを導入して作業室の内部空間を乾燥ガスで置換して、水や酸素などの不純物ガスを除去する。
しかし、作業室内部や、乾燥ガスの導入を行っても、不純物ガスは作業室の内壁面に付着して残るため、完全に除去することはできない。
除去されずに残った不純物ガスは、作業中に蒸発して内部空間に放出され、有機材料層に混入する。
従って、従来の製造装置では、不純物ガスを混入させずに、有機EL装置を製造することが困難であった。
特開2004−174659号公報
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的は、不純物ガスを混入させずに、有機EL装置を製造可能な製造装置を提供することである。
有機EL装置の寿命を長くするためには、露点−76℃(水分濃度1ppm)以下の雰囲気で作業を行う必要がある。
室温の条件で、作業室内部に残留する水を、作業室内部の排気と乾燥窒素ガスの供給とを同時に行うことで、排出しようとしたところ(作業室内部は大気圧に維持)、60時間後に露点−75℃まで達したが、その後は露点が下がらず、300時間が経過しても露点−75℃のままであり、露点−76℃には達しなかった。
本発明者等が作業室の外壁にヒーターを巻きつけ、ヒーターで壁を加熱してから、作業室内部の排気と、乾燥窒素ガスの供給を行ったところ、昼8時間の加熱、夜間冷却(及び排気と乾燥ガスの供給)することで、48時間後に露点−76.6℃、72時間後には露点−77.5℃に到達した。
このように、作業室を加熱しない場合に比べ、作業室を加熱した場合には、短時間で露点を下げることができる。
係る知見に基づいて成された本発明は、作業室と、前記作業室の内部に配置された基板の表面に、液体を吐出するインクジェットプリンタとを有し、前記作業室の内部空間を外部雰囲気と遮断可能に構成された有機EL装置の製造装置であって、前記作業室を加熱する加熱装置を有する有機EL装置の製造装置である。
本発明は有機EL装置の製造装置であって、前記加熱装置は、前記作業室の壁に取り付けられた作業室加熱手段と、前記作業室内に加熱ガスを供給する加熱ガス供給装置のいずれか一方又は両方を有する有機EL装置の製造装置である。
本発明は有機EL装置の製造装置であって、前記加熱ガス供給装置は、前記供給室に接続されたガス供給系を有し、前記加熱ガスとして乾燥ガスを供給する有機EL装置の製造装置である。
本発明は有機EL装置の製造装置であって、搬送室と、前記搬送室内部に配置された搬送ロボットとを有し、前記搬送室は前記作業室に気密に接続された有機EL装置の製造装置である。
本発明は、作業室と、前記作業室内に配置された基板に封止材料を配置する封止材料供給装置とを有し、前記作業室の内部空間を外部雰囲気から遮断可能に構成された有機EL装置の製造装置であって、前記作業室を加熱する加熱装置を有する有機EL装置の製造装置である。
本発明は有機EL装置の製造装置であって、前記加熱装置は、前記作業室の壁に取り付けられた作業室加熱手段と、前記作業室内に加熱ガスを供給する加熱ガス供給装置のいずれか一方又は両方を有する有機EL装置の製造装置である。
本発明は有機EL装置の製造装置であって、前記加熱ガス供給装置は、前記供給室に接続されたガス供給系を有し、前記加熱ガスとして乾燥ガスを供給する有機EL装置の製造装置である。
本発明は、搬送室と、前記搬送室内部に配置された搬送ロボットとを有し、前記搬送室は前記作業室に気密に接続された有機EL装置の製造装置である。
本発明は、作業室と、貼り合わせ装置とを有し、前記貼り合わせ装置は、第一の基板を保持する第一の保持手段と、第二の基板を保持する第二の保持手段と、前記第一、第二の保持手段を相対的に移動させ、前記第一、第二の基板を貼り合わせる移動手段とを有し、前記作業室の内部空間を外部雰囲気から遮断可能に構成された有機EL装置の製造装置であって、前記作業室を加熱する加熱装置を有する有機EL装置の製造装置である。
本発明は有機EL装置の製造装置であって、前記第一、第二の基板の相対的な位置情報を検出する位置合わせ手段を有し、前記移動手段は前記位置合わせ手段が検出した位置情報に基づき、前記第一、第二の保持手段を水平面内で相対的に移動させる有機EL装置の製造装置である。
本発明は有機EL装置の製造装置であって、前記加熱装置は、前記作業室の壁に取り付けられた作業室加熱手段と、前記作業室内に加熱ガスを供給する加熱ガス供給装置のいずれか一方又は両方を有する有機EL装置の製造装置である。
本発明は有機EL装置の製造装置であって、前記加熱ガス供給装置は、前記供給室に接続されたガス供給系を有し、前記加熱ガスとして乾燥ガスを供給する有機EL装置の製造装置である。
本発明は有機EL装置の製造装置であって、搬送室と、前記搬送室内部に配置された搬送ロボットとを有し、前記搬送室は前記作業室に気密に接続された有機EL装置の製造装置である。
尚、本発明で、作業室加熱手段を設置する作業室の壁とは、作業室の天井、底面及び側壁を全て含む。作業室加熱手段は作業室の外壁面に設置してもよいし、内壁面に設置してもよい。
更に、作業室加熱手段を作業室の壁に埋設してもよいが、作業室加熱手段のメンテナンスの簡便性を考慮すると、内壁面又は外壁面に取り付けることが望ましい。また、不純物ガスの除去効率を考慮すると、作業室加熱手段を作業室の内壁面に取り付けることが望ましい。
本発明によれば、作業室の壁面に付着した不純物ガスは加熱によって除去されるため、作業室に不純物ガスが残留しない。製造工程で不純物ガスが混入しないので、有機EL装置の寿命が長くなる。
第一の製造装置を説明する模式的な断面図 第二の製造装置を説明する模式的な断面図 第三の製造装置を説明する模式的な断面図
符号の説明
1〜3……製造装置(第一〜第三の製造装置) 7a、7b……基板 加熱装置12a〜12c 15a〜15c……作業室加熱手段 16a〜16c……加熱ガス供給装置 17a〜17c……ガス供給系 20……インクジェットプリンタ 40……封止材料供給装置 50……貼り合わせ装置 51……第一の保持手段 52……第二の保持手段 55……移動手段 56……位置合わせ手段
図1〜3の符号1〜3は本発明第一〜第三の有機EL装置の製造装置をそれぞれ示している。第一〜第三の製造装置1〜3の同じ部材には、同じ符号に添え字a〜cを付して区別する。
第一〜第三の製造装置1〜3はそれぞれ搬送室31a〜31cと、作業室11a〜11cと、カセット室36a〜36cとを有している。
作業室11a〜11cとカセット室36a〜36cは扉8a〜8c、9a〜9cを介して搬送室31a〜31cに接続され、扉8a〜8c、9a〜9cを開けると、内部空間が搬送室31a〜31cの内部空間にそれぞれ接続される。
カセット室36a〜36cには不図示の搬出入口が設けられており、搬出入口を開けると、基板が収容されたカセットを搬出入可能になっており、搬出入口を閉めると、カセット室36a〜36cの内部空間が外部から遮断される。
搬送室31a〜31cの内部には基板を搬送する搬送ロボット35a〜35cが配置されており、扉8a〜8c、9a〜9cを開けると、搬送ロボット35a〜35cによって、作業室11a〜11cとカセット室36a〜36cとの間で基板を搬送可能に構成されている。従って、基板は外部雰囲気に曝されずに、搬送室31a〜31cを通って作業室11a〜11cとカセット室36a〜36cとの間で搬送される。
作業室11a〜11cには加熱装置12a〜12cが取り付けられ、作業室11a〜11cは加熱装置12a〜12cにより加熱される。
加熱装置12a〜12cは、作業室11a〜11cの壁を加熱する作業室加熱手段15a〜15cと、作業室11a〜11cの内部に加熱ガスを供給する加熱ガス供給装置16a〜16cのいずれか一方又は両方を有する。
作業室加熱手段15a〜15cは、作業室11a〜11c壁に密着して取り付けられている。
ここでは、作業室加熱手段15a〜15cは作業室11a〜11cの内側で、作業室11a〜11cの側壁と天井に取り付けられているが、作業室加熱手段15a〜15cの取り付け場所は特に限定されない。
作業室加熱手段15a〜15cは作業室11a〜11cの天井、底壁、側壁のうち1箇所以上に設けられていればよい。また、作業室加熱手段15a〜15cは作業室11a〜11cの内側(内壁面)と外側(外壁面)のいずれか、又は両方に設けることもできる。
作業室加熱手段15a〜15cは、ヒーター(例えばシースヒーター)又は、温水循環パイプを有しており、ヒーターに通電するか、温水循環パイプ内に温水を通すと、作業室11a〜11cの壁の作業室加熱手段15a〜15cが取り付けられた部分が加熱される。
作業室11a〜11cの壁は金属のような熱伝導物質(例えばステンレス)で構成されている。作業室11a〜11cの作業室加熱手段15a〜15cが取り付けられた部分が加熱されると、作業室11a〜11cの壁全体が熱伝導で昇温する。
作業室11a〜11cの壁が昇温すると、作業室11a〜11cの内壁面に付着した水や酸素がガス(蒸気を含む)となって作業室11a〜11cの内部空間に放出される。作業室11a〜11cには排気系19a〜19cが接続されており、作業室11a〜11c内部空間からガスを排出可能になっている。
加熱ガス供給装置16a〜16cは、ガス供給系17a〜17cと、ガス加熱手段14a〜14cとを有している。
ガス供給系17a〜17cは、乾燥ガス(例えば乾燥窒素)が配置されたタンク41a〜41cと、一端がタンク41a〜41cに接続され、他端が作業室11a〜11c内に気密に挿通された配管42a〜42cとを有している。
ガス加熱手段14a〜14cは、タンク41a〜41cと配管42a〜42cのいずれか一方又は両方に取り付けられている。
ガス加熱手段14a〜14cは、例えばヒーターであって、ガス加熱手段14a〜14cに通電すると、タンク41a〜41cに配置された乾燥ガスは、タンク41a〜41cから作業室11a〜11c内へ移動する間に加熱される。従って、作業室11a〜11cの内部には加熱された乾燥ガス(加熱ガス)が供給される。
作業室11a〜11cの内壁面は、加熱された乾燥ガスに接触して加熱され、作業室11a〜11cの内壁面に付着した水や酸素がガスとなって放出される。 放出されたガスは、加熱された乾燥ガスによって押し流されるから、排気系19a〜19cにより作業室11a〜11cの外部に効率よく排出される。
作業室加熱手段15a〜15cと、加熱ガス供給装置16a〜16cはいずれか一方だけを用いてもよいが、作業室11a〜11cの内壁面に付着した水や酸素の排出効率が高い。
尚、ここでは、配管42a〜42cのうち、タンク41a〜41cと作業室11a〜11cとの間の部分にインラインフィルタ18a〜18cが設けられ、タンク41a〜41cに微粒子や不純物ガスが混入してたとしても、インラインフィルタ18a〜18cで除去される。
次に、第一例〜第三の製造装置1〜3を用いて有機EL装置を製造する工程について説明する。
有機EL装置の製造を開始する前に、第一例〜第三の製造装置1〜3の作業室11a〜11cを外部雰囲気から遮断し、作業室11a〜11cの壁を加熱して、水や酸素を放出させる。
作業室11a〜11cの壁を加熱しながら、加熱ガス供給装置16a〜16cから加熱された乾燥ガスを供給し、同時に、排気系19a〜19cによる排気を行い、作業室11a〜11cの内部のガスを置換する。
この時、作業室11a〜11cの内部圧力が、大気圧よりも僅かに陽圧になるよう、排気系19a〜19cの排気速度と、乾燥ガスの供給量を設定すれば、外部からの水分・酸素の混入が防止される。
しかし、作業室11a〜11c内で有毒物質を取り扱う場合は、作業室11a〜11cの内部圧力が、大気圧よりも僅かに負圧になるよう、排気系19a〜19cの排気速度と、乾燥ガスの供給量を設定すれば、作業室11a〜11cから外部への有毒物質の漏洩が防止される。
いずれにしても、作業室11a〜11c内部を大気圧付近の圧力に保っておく事で、作業室11a〜11c内のガス(加熱された乾燥ガス)による熱伝導で作業室11a〜11c内部の隅々まで暖めて、水分等の不純物の離脱を促進することができ、作業室11a〜11c内部の雰囲気を素早く枯らすことができる。
尚、作業室11a〜11c内部が真空になるよう排気すると、作業室加熱手段15a〜15cからの熱放射でしか暖まらないため、陰になる部分が暖まらず、それらの部分から不純物が離脱せず、作業室11a〜11cの内部を枯らすことができない。
作業室11a〜11cの壁を加熱する加熱時間はどれだけでも良いが、1サイクルの加熱は8時間以上であることが望ましい。加熱時間が少ないと、作業室11a〜11c内の隅々まで暖めることができず、不純物を十分に離脱させることができない。
作業室11a〜11cを十分に加熱した後、作業室加熱手段15a〜15cと、ガス加熱手段14a〜14cを停止させ、作業室11a〜11cの壁の加熱と、乾燥ガスの加熱を終了する。
乾燥ガスを加熱せずに作業室11a〜11cに供給しながら、作業室11a〜11cの排気を続けて、作業室11a〜11cの壁の温度が下げることで、作業室11a〜11c内部の雰囲気を枯らすことができる(ガス置換工程)。
作業室11a〜11c内部の雰囲気が露点−76℃(水分濃度1ppm)、或いは作業者の望むレベルまで到達しない場合は、加熱工程とガス置換工程とを2回以上繰り返して雰囲気を枯らす。
表面に電極やトランジスタ等が形成された基板をカセットに収容し、該カセットを第一の製造装置1のカセット室36aの内部に配置する。
第一の製造装置1の作業室11a内部には、ステージ21と、インクジェットプリンタ20とが配置されている。
インクジェットプリンタ20は印刷ヘッド25を有しており、印刷ヘッド25は保持手段26によって、ステージ21の上方でステージ21から離間して配置されている。
作業室11a内を排気しながら、乾燥ガスを加熱せずに供給し、乾燥した作業雰囲気を維持する。該作業雰囲気を維持しながら、基板をカセット室36aから作業室11a内部に搬入し、該基板をステージ21上に配置し、扉9aを閉めて作業室11aの内部空間を搬送室31aから遮断する。
図1はステージ21上に基板7aが配置された状態を示している。
印刷ヘッド25は有機材料供給系28に接続されており、有機材料供給系28から、有機材料(発光材料、電荷輸送材料、電子輸送材料、色素等)を含む原料液を印刷ヘッド25に供給する。
印刷ヘッド25とステージ21のいずれか一方又は両方は不図示の移動手段に取り付けられている。
印刷ヘッド25とステージ21のいずれか一方又は両方を移動させ、ステージ21上の基板7aと、印刷ヘッド25とを相対的に移動させる。印刷ヘッド25のノズル孔が、基板7a表面の所定位置上に位置したところでノズル孔から原料液を吐出し、基板7a表面に着弾させて、有機材料層を形成する。
有機材料層が形成される間、作業室11a〜11cの内部に、上述した作業雰囲気を維持しておけば、有機材料層には、水分や酸素等が混入せず、膜室が劣化しない。
移動と吐出とを繰り返し、基板7aの所定位置に有機材料層を形成し終わってから、基板7aを作業室11aからカセット室36aに戻して、カセットに収容し、新たな基板7aをカセット室36aから作業室11aに搬入して基板7aを交換する。
有機材料層の形成と、基板7aの交換とを繰り返し、所定枚数の基板7aに有機材料層を形成した後、カセット室36aからカセットを取り出す。
そのカセットを、直接第一の製造装置1から第二の製造装置2のカセット室36bに搬入する。又は、第一の製造装置1から他の装置へ搬入して各基板7aに処理を行ってから、第二の製造装置2のカセット室36bへ搬入する。カセットをカセット室36bに搬入後は、該カセット室36bを外部雰囲気から遮断する。
第二の製造装置2の作業室11b内部には、ステージ38と、封止材料供給装置40とが配置されている。
作業室11bを排気しながら、乾燥ガスを加熱せずに供給し、乾燥した作業雰囲気を形成する。該作業雰囲気を維持したまま、有機材料層が形成された基板7aをカセット室36bから作業室11bに搬入し、ステージ38上に配置する。
封止材料は、ペースト状や固体状である。ここでは、封止材料はペースト状であって、封止材料供給装置40はディスペンサー45を有しており、ディスペンサー45は封止材料供給系41に接続され、ペースト状の封止材料が供給される。
ディスペンサー45と、ステージ38のいずれか一方又は両方は不図示の移動手段に接続されている。
ディスペンサー45とステージ38のいずれか一方又は両方を移動させ、ステージ38上の基板7aと、ディスペンサー45とを相対的に移動させながら、ディスペンサー45のノズル孔から封止材料を押し出して基板7a表面に塗布し、基板7a表面の各有機材料層が形成された領域(発光領域)を取り囲むように、リング状の封止材料層を形成する。
封止材料層を形成する間、上述した作業雰囲気を維持しておけば、基板7a表面に形成された有機材料層が劣化しない。
尚、封止材料が固体の場合(例えば棒状)、封止材料供給装置40は、発光領域よりも外側で、発光領域の縁に沿って基板7a表面に封止材料を配置し、発光領域を取り囲む封止材料層を形成する。
封止材料層が形成された状態の基板7aを新たな基板7aと交換し、封止材料層の形成と、基板7aの交換とを繰り返し、所定枚数の基板7aに封止材料層が形成されたところでカセットを取り出す。
第三の製造装置3のカセット室36cの内部に、封止材料層が形成された基板7aが収容されたカセットと、貼り合わせ対象の基板が収容されたカセットとを配置してから、カセット室36cを外部雰囲気から遮断する。
作業室11c内を排気しながら、乾燥ガスを加熱せずに供給し、乾燥した作業雰囲気を形成する。該作業雰囲気を維持したまま、封止材料層が形成された基板7aと、貼り合わせ対象の基板とをカセット室36cから作業室11c内部に搬入する。
第三の製造装置3の作業室11c内部には貼り合わせ装置50が配置されており、貼り合わせ装置50は、第一、第二の保持手段51、52と、位置合わせ手段56と、移動手段55とを有している。
封止材料層が形成された基板7aと、貼り合わせ対象の基板とを、封止材料層が形成された側の面と、貼り合わせられる側の面が対向するように向けた状態で、第一、第二の保持手段51、52に保持させる。
図3は基板7a、7bが第一、第二の保持手段51、52に保持された状態を示している。
この状態の基板7a、7bの向きや配置は特に限定されないが、封止材料層と基板7aとの接着性が低い場合には、封止材料層が配置された側の面を上側に向けて基板7aを略水平配置し、その基板7a上に、貼り合わせ対象の基板7bを、貼り合わされる側の面を下側に向けて配置する。
位置あわせ手段56は、例えばCCDカメラ等であって、第一、第二の保持手段51、52に保持された基板7a、7bを観察し、その位置情報を検出する。
移動手段55と、位置合わせ手段56は制御装置59に接続されており、位置あわせ手段56が検出した位置情報は制御装置59に伝達される。
移動手段55は、第一、第二の保持手段51、52のいずれか一方又は両方を、水平面内で移動及び回転可能に構成されている。第一、第二の保持手段51、52に保持された基板7a、7bは第一、第二の保持手段51、52と一緒に移動するから、基板7a、7bは水平面内で相対的に移動又は回転する。
制御装置59は伝達された位置情報に基づき、移動手段55を動作させ、基板7a、7bを水平面内で回転及び/又は移動させ、基板7a、7bを位置合わせする。
移動手段55は、水平方向の移動と回転に加え、第一、第二の保持手段51、52のいずれか一方又は両方を上下方向にも相対的に移動可能に構成されている。
制御装置59は、基板7a、7bを位置合わせした状態で、第一、第二の保持手段51、52を上下に相対的に移動させて基板7a、7bを近づけ、封止材料層を貼り合わせ対象の基板7bに密着させ、基板7a、7bを封止材料層を挟んで貼り合わせる。
第三の製造装置3の作業室11c内部には、不図示の硬化手段が配置されている。
硬化手段は、封止材料層が紫外線硬化型樹脂を含有する場合は封止材料層に紫外線を照射し、熱硬化性樹脂を含有する場合は封止材料層を加熱し、封止材料層中の樹脂を重合させて硬化させる。
また、封止材料層がガラスや熱可塑性樹脂等の溶融材料を含有する場合、硬化手段は、封止材料層を加熱溶融させ、基板7a、7bとの密着性を高めた後、封止材料層を冷却(自然冷却を含む)して固化させる。
従って、基板7a、7bは硬化又は固化した封止材料層によって互いに固定される。
基板7a、7bが固定された状態の有機EL装置を、作業室11cからカセット室36cへ搬出し、新たな基板7a、7bを作業室11cに搬入する。
基板7a、7bを貼り合わせて固定する工程と、有機EL装置の搬出と、新たな基板7a、7bの搬入とを繰り返し、所定枚数の基板7a、7bを貼り合わせて有機EL装置を作成した後、カセット室36cからカセットを取り出せば、有機EL装置が外部に取り出される。
基板7a、7bを貼りあわせて固定する工程と、有機EL装置の搬出と、新たな基板7a、7bの搬入等の全ての工程で、上述した作業雰囲気を維持しておけば、基板7aに形成された有機材料層が劣化しない。
上述したように、封止材料層は有機材料層が形成された発光領域を取り囲むリング状に形成されているから、有機材料層は基板7a、7bと、硬化又は固化された封止材料層で取り囲まれている。従って、有機材料層は外部雰囲気から遮断され、水分や酸素が進入しない。
しかも、上述したように、有機材料層を形成する工程と、封止材料層を形成する工程と、基板7a、7bを貼り合せて固定する工程は、予め水等の不純物ガスが取り除かれた作業室11a〜11c内部で行われるため、製造工程で有機材料層に不純物ガスが混入しない。
従って、不純物ガスによる有機材料層の劣化が起こらず、有機EL装置の寿命が長くなる。
有機EL装置の製造を続けると、例えば、印刷ヘッド25やディスペンサー45の洗浄や交換、有機材料供給系28への原料液の充填等、作業室11a〜11c内部のメンテナンスが必要となる。作業室11a〜11c内部のメンテナンスを行う際には、基板7a、7bを搬出して、一旦有機EL装置の製造を停止する。
メンテナンス作業を行う際には、通常、作業室11a〜11cの内部空間を外部雰囲気に接続するため、作業室11a〜11cの内部に大気が入り込み、大気中の水や酸素等の不純物が作業室11a〜11cの内壁面に付着する。
メンテナンス終了後、少なくとも基板7a、7bを作業室11a〜11cに搬入する前に、上述したように、作業室11内部の雰囲気が露点−76℃(水分濃度1ppm)、或いは作業者の望むレベルまで到達するまで、作業室11a〜11cを加熱しながらガスを置換して、作業雰囲気を形成する。
尚、メンテナンス終了から、作業室11a〜11cの壁の加熱を開始するまでの間、或いは作業室11a〜11cの壁の加熱を開始してから所定時間、乾燥ガスを供給せずに作業室11a〜11c内部を排気してもよい。
この場合、最初の1回のガス置換で作業室11a〜11c内部に入り込んだ大気の大部分を置換することができ、効率が良い。しかし、その後は、上述したように、作業室11a〜11cの壁を加熱しながら、排気と、乾燥ガスの供給を行い、作業室11a〜11c内部のガスを乾燥ガスに置換することが望ましい。
作業室11a〜11cの壁を作業室加熱手段15a〜15cで加熱しながら、乾燥ガスを加熱せずに供給してもよい。更に、作業室加熱手段15a〜15cで加熱せずに、加熱した乾燥ガスを供給することで、作業室11を加熱してもよい。
いずれの場合も、作業室11a〜11c加熱終了後、作業室11a〜11cを排気しながら、乾燥ガスを加熱せずに供給し、作業雰囲気を形成する。
該作業雰囲気が形成されてから、基板7a、7bを搬入して、有機材料層の形成、封止材料層の形成、及び、基板7a、7bの貼り合わせを再開する。
尚、印刷ヘッド25と有機材料供給系28、及びディスペンサー45と封止材料供給系41の間にはバルブ29、49がそれぞれ設けられている。
作業室11a〜11cを大気圧よりも低い減圧雰囲気(真空雰囲気を含む)になるよう排気する場合は、バルブ29、49を閉じておき、乾燥ガスを供給して、作業室11a〜11cの内部空間が所定圧力以上に上昇してから、バルブ29、49を空け、印刷ヘッド25やディスペンサー45に、原料液や封止材料を供給すれば、排気中に原料液や封止材料が作業室11a〜11cの内部空間に噴出されない。
乾燥ガスは乾燥窒素ガスに限定されず、有機材料を化学的に劣化しないガスであればArガス等種々のガスを用いることができる。例えば、酸素の存在が問題にならない場合には、酸素を含む乾燥ガス(例えば乾燥空気)を用いることもできる。これらの乾燥ガスは1種だけを作業室11a〜11cに供給してもよいし、2種以上を作業室11a〜11cに供給してもよい。
また、作業室11a〜11cを加熱する際に供給する加熱ガスと、加熱終了後、作業雰囲気を形成する際に供給する作業用ガスとで、乾燥ガスの種類を変えてもよいし、同じにしてもよい。
作業室11a〜11cの壁は熱伝導性の高い物質で構成することが望ましいが、少なくとも一部に、ガラス等の透明板をはめ込んで、のぞき窓を作ってもよい。
作業室11a〜11cの加熱は、壁温度が60℃以上80℃以下になるよう加熱することが望ましい。60℃未満では水分除去が十分に行われず、80℃を超えると安全性に問題が生じる。
作業室11a〜11cの加熱は、基板7a、7bを作業室11a〜11cに搬入する前だけでなく、基板を作業室11a〜11cに配置した状態で行ってもよい。しかし、基板7a、7bに有機EL層等耐熱性の低い膜が形成されている場合には、基板7a、7bを搬入する前に加熱を終了させ、作業室11a〜11cの内部温度を所定温度(例えば有機EL層を構成する有機材料が分解されない温度)以下まで低下させておく必要がある。
更に、第一〜第三の製造装置1〜3を不図示の搬送室に接続して、該搬送室を介して、基板7a、7bを大気に曝さずに、第一〜第三の製造装置1〜3間で搬送可能にしてもよい。
以上は、有機材料層を形成してから、基板7aに封止材料層を形成する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第二の製造装置2で封止材料層を形成してから、第一の製造装置1で有機材料層を形成してもよい。
また、有機材料層を形成する基板7aに封止材料層を設けず、貼り合わせ対象の基板7bに封止材料層を配置して、基板7a、7b同士を貼り合わせてもよいし、有機材料層を形成する基板7aと、貼り合わせ対象の基板7bの両方に封止材料層を配置してから、基板7a、7b同士を貼り合わせてよい。
基板7a、7bの材質も特に限定されず、ガラス基板、プラスチック基板、セラミック基板等を用いることができる。
作業室11a〜11c内部で基板7a〜7cを処理するときの圧力は特に限定されないが、有機材料層を形成する際には、印刷ヘッド25のノズルのメニスカスが乱れないように、大気圧にすることが望ましく、基板7a、7cを貼り合わせる際には、大気圧よりも低い圧力の作業雰囲気で行うことが望ましい。
以上は、有機材料層の形成と、封止材料層の形成と、基板7a、7bの貼り合わせ及び固定を、別々の作業室11a〜11c内部で行う場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
インクジェットプリンタ20と、封止材料供給装置40と、貼り合わせ装置50のうち、少なくとも2つ以上の装置を同じ作業室内部に配置し、有機材料層の形成と、封止材料層の形成と、基板7a、7bの貼り合わせ及び固定のうち、2つ以上の工程を同じ作業室内部で行ってもよい。
特に、封止材料供給装置40と貼り合わせ装置50のように、連続して行う工程に用いる装置を同じ作業室内部に配置すれば、基板7a、7bの搬出入に要する時間が短縮されるだけでなく、基板7a、7bが外部雰囲気に曝される危険性が低くなるためより望ましい。
この場合、作業室内部に基板7a、7bを搬出する搬出ロボットを設け、作業室内部で基板を搬送するようにしてもよい。
更に、作業室11a〜11cの壁を加熱しながら、作業室11a〜11cの内部を連続排気し、乾燥ガスを供給せずに作業室11a〜11bを加熱してもよい。しかし、前述のように、この場合は不純物の除去効率は低下する。
また、乾燥ガスを供給するガス供給系と、排気系とを、搬送室31a〜31cと、カセット室36a〜36cのいずれか一方又は両方に接続してもよい。
基板7a、7bを作業室11a〜11cに搬入する前に、搬送室31a〜31cとカセット室36a〜36cの内部を排気しながら乾燥ガスを供給しておけば、基板7a、7bを作業室11に搬入する際に、搬送室31a〜31やカセット室36a〜36cから入り込む不純物ガスの量が少なくなる。
係る知見に基づいて成された本発明は、作業室と、前記作業室の内部に配置された基板の表面に、液体を吐出するインクジェットプリンタとを有し、前記作業室の内部空間を外部雰囲気と遮断可能に構成された有機EL装置の製造装置であって、前記作業室を使用する前に前記作業室を加熱する加熱装置を有する有機EL装置の製造装置である。
本発明は有機EL装置の製造装置であって、前記加熱装置は、前記作業室の壁に取り付けられた作業室加熱手段と、前記作業室内に加熱ガスを供給する加熱ガス供給装置のいずれか一方又は両方を有する有機EL装置の製造装置である。
本発明は有機EL装置の製造装置であって、前記加熱ガス供給装置は、前記供給室に接続されたガス供給系を有し、前記加熱ガスとして乾燥ガスを供給する有機EL装置の製造装置である。
本発明は有機EL装置の製造装置であって、搬送室と、前記搬送室内部に配置された搬送ロボットとを有し、前記搬送室は前記作業室に気密に接続された有機EL装置の製造装置である。
本発明は、作業室と、前記作業室内に配置された基板に封止材料を配置する封止材料供給装置とを有し、前記作業室の内部空間を外部雰囲気から遮断可能に構成された有機EL装置の製造装置であって、前記作業室を使用する前に前記作業室を加熱する加熱装置を有する有機EL装置の製造装置である。
本発明は有機EL装置の製造装置であって、前記加熱装置は、前記作業室の壁に取り付けられた作業室加熱手段と、前記作業室内に加熱ガスを供給する加熱ガス供給装置のいずれか一方又は両方を有する有機EL装置の製造装置である。
本発明は有機EL装置の製造装置であって、前記加熱ガス供給装置は、前記供給室に接続されたガス供給系を有し、前記加熱ガスとして乾燥ガスを供給する有機EL装置の製造装置である。
本発明は、搬送室と、前記搬送室内部に配置された搬送ロボットとを有し、前記搬送室は前記作業室に気密に接続された有機EL装置の製造装置である。
本発明は、作業室と、貼り合わせ装置とを有し、前記貼り合わせ装置は、第一の基板を保持する第一の保持手段と、第二の基板を保持する第二の保持手段と、前記第一、第二の保持手段を相対的に移動させ、前記第一、第二の基板を貼り合わせる移動手段とを有し、前記作業室の内部空間を外部雰囲気から遮断可能に構成された有機EL装置の製造装置であって、前記作業室を使用する前に前記作業室を加熱する加熱装置を有する有機EL装置の製造装置である。
本発明は有機EL装置の製造装置であって、前記第一、第二の基板の相対的な位置情報を検出する位置合わせ手段を有し、前記移動手段は前記位置合わせ手段が検出した位置情報に基づき、前記第一、第二の保持手段を水平面内で相対的に移動させる有機EL装置の製造装置である。
本発明は有機EL装置の製造装置であって、前記加熱装置は、前記作業室の壁に取り付けられた作業室加熱手段と、前記作業室内に加熱ガスを供給する加熱ガス供給装置のいずれか一方又は両方を有する有機EL装置の製造装置である。
本発明は有機EL装置の製造装置であって、前記加熱ガス供給装置は、前記供給室に接続されたガス供給系を有し、前記加熱ガスとして乾燥ガスを供給する有機EL装置の製造装置である。
本発明は有機EL装置の製造装置であって、搬送室と、前記搬送室内部に配置された搬送ロボットとを有し、前記搬送室は前記作業室に気密に接続された有機EL装置の製造装置である。

Claims (13)

  1. 作業室と、
    前記作業室の内部に配置された基板の表面に、液体を吐出するインクジェットプリンタとを有し、
    前記作業室の内部空間を外部雰囲気と遮断可能に構成された有機EL装置の製造装置であって、
    前記作業室を加熱する加熱装置を有する有機EL装置の製造装置。
  2. 前記加熱装置は、前記作業室の壁に取り付けられた作業室加熱手段と、
    前記作業室内に加熱ガスを供給する加熱ガス供給装置のいずれか一方又は両方を有する請求項1記載の有機EL装置の製造装置。
  3. 前記加熱ガス供給装置は、前記供給室に接続されたガス供給系を有し、
    前記加熱ガスとして乾燥ガスを供給する請求項2記載の有機EL装置の製造装置。
  4. 搬送室と、
    前記搬送室内部に配置された搬送ロボットとを有し、
    前記搬送室は前記作業室に気密に接続された請求項1記載の有機EL装置の製造装置。
  5. 作業室と、
    前記作業室内に配置された基板に封止材料を配置する封止材料供給装置とを有し、
    前記作業室の内部空間を外部雰囲気から遮断可能に構成された有機EL装置の製造装置であって、
    前記作業室を加熱する加熱装置を有する有機EL装置の製造装置。
  6. 前記加熱装置は、前記作業室の壁に取り付けられた作業室加熱手段と、
    前記作業室内に加熱ガスを供給する加熱ガス供給装置のいずれか一方又は両方を有する請求項5記載の有機EL装置の製造装置。
  7. 前記加熱ガス供給装置は、前記供給室に接続されたガス供給系を有し、
    前記加熱ガスとして乾燥ガスを供給する請求項6記載の有機EL装置の製造装置。
  8. 搬送室と、
    前記搬送室内部に配置された搬送ロボットとを有し、
    前記搬送室は前記作業室に気密に接続された請求項5記載の有機EL装置の製造装置。
  9. 作業室と、貼り合わせ装置とを有し、
    前記貼り合わせ装置は、第一の基板を保持する第一の保持手段と、
    第二の基板を保持する第二の保持手段と、
    前記第一、第二の保持手段を相対的に移動させ、前記第一、第二の基板を貼り合わせる移動手段とを有し、
    前記作業室の内部空間を外部雰囲気から遮断可能に構成された有機EL装置の製造装置であって、
    前記作業室を加熱する加熱装置を有する有機EL装置の製造装置。
  10. 前記第一、第二の基板の相対的な位置情報を検出する位置合わせ手段を有し、
    前記移動手段は前記位置合わせ手段が検出した位置情報に基づき、前記第一、第二の保持手段を水平面内で相対的に移動させる請求項9記載の有機EL装置の製造装置。
  11. 前記加熱装置は、前記作業室の壁に取り付けられた作業室加熱手段と、
    前記作業室内に加熱ガスを供給する加熱ガス供給装置のいずれか一方又は両方を有する請求項9記載の有機EL装置の製造装置。
  12. 前記加熱ガス供給装置は、前記供給室に接続されたガス供給系を有し、
    前記加熱ガスとして乾燥ガスを供給する請求項11記載の有機EL装置の製造装置。
  13. 搬送室と、
    前記搬送室内部に配置された搬送ロボットとを有し、
    前記搬送室は前記作業室に気密に接続された請求項9記載の有機EL装置の製造装置。
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