本発明は、感熱記録材料にレーザ光を照射して画像等を感熱記録するための、光ディスク用レーベルプリンタ、感熱記録型プリンタ及びその感熱記録方法に関するものである。
感熱記録材料に対して熱エネルギを付与し、画像等の感熱記録を行うプリンタが開発されている。特に、熱源としてレーザ光を用いることで高速記録を可能としたプリンタが提案されている。また、このようなプリンタに適用され、良好な画像を高品位で記録することのできる感熱記録材料として、支持体上に発色剤、顕色剤及び光吸収色素を備え、付与される熱エネルギに応じた濃度で発色するものが開発されている。このような感熱記録材料に画像等を記録するプリンタは、画像信号に基づいて変調されたレーザ光を感熱記録材料に照射し、所定の画像が記録されるように構成されている。
例えば、従来のプリンタとして、特許文献1に示したようなものが知られている。特許文献1に示される従来の感熱記録型プリンタは、感熱記録材料にレーザ光を照射することにより、感熱記録材料に所定の熱エネルギを付与して画像等を記録する。
上記のプリンタには、制御部、光学部、及び電源が配設され、電源から制御部及び光学部に電力が供給される。光学部は、予め定められたプログラムに従って、制御部によって制御される。また、感熱記録材料は、支持体上に情報記録層が形成されており、この情報記録層は、発色剤、顕色剤及びレーザ光を吸収して熱エネルギに変換する光吸収色素を含有した材料で構成されている。
図15は、上記の従来のプリンタの光学部の概略構成を示す斜視図である。図15に示すように、光学部30は、半導体レーザ等の光源34と、この光源34から出力されるレーザ光Lをポリゴンミラー38へ入射させるための面倒れ補正レンズ36と、このポリゴンミラー38で反射されたレーザ光Lが面倒れ補正レンズ40を介して入射される長尺ミラー44と、長尺ミラー44で反射されたレーザ光Lを集光させるためのレンズ46とを備え、これらが筐体48内に配設されている。
ポリゴンミラー38は、モータ50により回転されるとともに、長尺ミラー44は、ガルバノメータ52により揺動され、これにより光源34から出力されたレーザ光Lは、ポリゴンミラー38の回転によって主走査方向MSに走査される一方、長尺ミラー44の揺動により副走査方向SSに走査される。
次に、上記のように構成されたプリンタの動作を説明する。光源34から出射されたレーザ光Lは、面倒れ補正レンズ36を透過し、ポリゴンミラー38へ入射する。レーザ光Lは、ポリゴンミラー38の回転によって主走査方向MSに走査され、面倒れ補正レンズ40を透過し、長尺ミラー44の揺動により副走査方向SSに走査される。長尺ミラー44で反射されたレーザ光Lは、レンズ46を介して感熱記録材料60上に円形状の集光スポットを形成する。レーザ光Lは、主走査及び副走査によって所定の階調画像が記録されるよう変調されており、レーザ光Lによって所定の熱エネルギが付与された感熱記録材料60の情報記録層には、所定の階調画像が記録される。
また、近年では、デジタルスチルカメラ等の急速な普及に伴い、個人が撮影したデジタル画像を自宅等で印刷することが一般的になってきている。その際、記録時間(印刷時間)を短縮して、より手軽に印刷することが求められている。
ここで、上述のように、ポリゴンミラー等を用いて感熱記録材料の主走査方向にレーザ光による円形状の集光スポットを走査し、熱エネルギによる記録を行う、従来の感熱記録型プリンタにおいては、主走査方向の速度は、例えばポリゴンミラーを回転させるモータの回転速度(例えば最大20,000rpm程度)によって制限される。一方、副走査方向の速度は、集光スポットの送りピッチによって制限される。
図16及び図17は、従来のプリンタにおける円形状の集光スポットの課題を説明するための模式図である。図16及び図17において、横軸は主走査方向MSを示し、縦軸は副走査方向SSを示している。図16及び図17に示すように、副走査方向SSの送りピッチP1を大きくして副走査方向SSの送りピッチP2(P1<P2)とするためには、感熱記録材料上に集光されるレーザ光の集光スポットS1を拡大して集光スポットS2(S1<S2)とし、送りによって記録されない領域(集光スポットが走査されない領域)が生じないようにしなければならない。
しかしながら、図17に示すように、集光スポットを拡大すると、感熱記録材料上に形成される集光スポットS2のパワー密度が小さくなるため、主走査方向MSの速度が一定且つ感熱記録材料の記録感度が一定であるとすると、感熱記録材料に付与する単位時間あたりの熱エネルギを一定とするためには、光源である半導体レーザ等の出力を大きくせざるを得ず、消費電力の増大やコストの増大等の課題がある。
また、集光スポットを拡大した場合でも、例えば、画素間でも集光スポットを重ねながら記録を行うことで、感熱記録材料上に形成される集光スポットのパワー密度の低下をカバーすることができる。図18は、従来のプリンタにおいて感熱記録時の集光スポットを重ねながら記録する場合の集光スポットの状態を示す模式図である。
図18の(A)に示すように、集光スポットCSを重ねながら記録しない場合に、集光スポットのパワー密度W1が十分でなくても、図18の(B)に示すように、集光スポットCSを重ねながら感熱記録材料上を走査することで、集光スポットのパワー密度W2が大きくなり、感熱記録材料に付与される単位時間あたりの熱エネルギは大きくなる。しかしながら、このように、集光スポットCSを画素間で重ねながら所定の画像信号に基づいた階調画像を記録するためには、画素前後の集光スポットの重なりを考慮してレーザ光を変調することが必要となり、制御が非常に複雑になってしまうという課題がある。
特開平6−106761号公報
本発明の目的は、集光スポットのパワー密度を低下させることなく、高速な感熱記録を実現し、且つパワー制御が複雑にならない記録方式を実現することにより、安価で高性能な光ディスク用レーベルプリンタ及び感熱記録型プリンタを提供することである。
本発明の一局面に従う光ディスク用レーベルプリンタは、レーザ光を用いて光ディスク上に複数の画素で構成される画像を形成する光ディスク用レーベルプリンタであって、レーザ光源と、前記レーザ光源から出射されたレーザ光を集光スポットとして前記光ディスクに集光させる対物レンズと、前記レーザ光の出力を制御する制御部とを備え、前記集光スポットの前記光ディスクの情報トラック方向のスポット径D1と、前記集光スポットの前記光ディスクの半径方向のスポット径D2とは、D1/D2≦1/2を満たす。
本発明の他の局面に従う感熱記録型プリンタは、レーザ光を用いて記録媒体上に複数の画素で構成される画像を形成する感熱記録型プリンタであって、レーザ光源と、前記レーザ光源から出射されたレーザ光を集光スポットとして前記記録媒体に集光させて主走査方向に走査する走査部と、前記レーザ光の出力を制御する制御部とを備え、前記集光スポットの主走査方向のスポット径D1と、前記集光スポットの副走査方向のスポット径D2とは、D1/D2≦1/2を満たす。
本発明のさらに他の局面に従う感熱記録方法は、レーザ光を用いて記録媒体上に複数の画素で構成される画像を形成する感熱記録方法であって、レーザ光源から出射されたレーザ光を集光スポットとして前記記録媒体に集光させて所定の走査方向に走査するステップと、前記記録媒体を前記走査方向に直交する送り方向に搬送するステップとを含み、前記集光スポットの前記走査方向のスポット径D1と、前記集光スポットの前記送り方向のスポット径D2とは、D1/D2≦1/2を満たす。
本発明によれば、集光スポットのパワー密度を低下させることなく、高速な感熱記録を実現し、且つパワー制御が複雑にならない記録方式を実現することができるので、安価で高性能な光ディスク用レーベルプリンタ及び感熱記録型プリンタを提供することが可能となる。
本発明の実施の形態1における感熱記録型プリンタの概略構成図である。
半導体レーザチップの放射角の状態を模式的に示す図である。
光ディスク用光学ヘッドに用いられるビーム整形レンズの斜視図である。
図3に示すビーム整形レンズの機能を説明するための模式図である。
図1に示す感熱記録型プリンタのビーム整形レンズの機能を説明するための模式図である。
図1に示す感熱記録型プリンタに用いられる楕円形状の集光スポットの効果を説明するための模式図である。
図1に示す感熱記録型プリンタに用いられる楕円形状の集光スポットの別の効果を説明するための模式図である。
図1に示す感熱記録型プリンタに用いられる楕円形状の集光スポットのさらに別の効果を説明するための模式図である。
図1に示す感熱記録型プリンタにおける試し書きによる出力調整方法を説明するための模式図である。
図1に示す感熱記録型プリンタにおけるパルス幅制御とレーザ出力制御との組み合わせによる階調表現を説明するための模式図である。
アナモフィックプリズムを用いた場合の光学系を説明するための概略構成図である。
本発明の実施の形態2における光ディスク用レーベルプリンタの概略構成図である。
図12に示す光ディスク用レーベルプリンタに用いられる楕円形状の集光スポットの状態を説明するための模式図である。
本発明の実施の形態2による他の光ディスク用レーベルプリンタの概略構成図である。
従来の感熱記録型プリンタの概略構成斜視図である。
従来の円形状の集光スポットの課題を説明するための模式図である。
従来の円形状の集光スポットの課題を説明するための模式図である。
従来の円形状の集光スポットの別の課題を説明するための模式図である。
以下、本発明の各実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における感熱記録型プリンタの光学部100の概略構成図である。図1に示す光学部100は、レーザ光源である3つの半導体レーザ1a〜1c、3つのビーム整形レンズ2a〜2c、2つのダイクロプリズム3a、3b、コリメートレンズ5、ポリゴンミラー7、fθレンズ8及び制御部9を備える。この光学部100によって、複数の画素で構成される画像に合わせて光源からの光を変調し、その変調した光を走査して記録媒体に照射して、その画像を記録媒体10に記録する。なお、本実施の形態の感熱記録型プリンタの光学部100以外の構成は、公知の感熱記録型プリンタの構成を用いることができるので、図示及びその説明を省略する。
半導体レーザ1a〜1cは、それぞれ波長の異なるレーザ光を出射し、例えば、半導体レーザ1aは波長860nmの赤外レーザ光、半導体レーザ1bは波長785nmの赤外レーザ光、半導体レーザ1cは波長650nmの赤色レーザ光を出射する。なお、半導体レーザ1a〜1cは、例えばフロントモニタ(図示せず)による前光検出を行い、オートパワーコントロール(APC)によって正確に出力を制御されることが望ましい。
半導体レーザ1a〜1cから出射されたそれぞれ波長の異なるレーザ光は、ビーム整形素子であるビーム整形レンズ2a〜2cでビーム整形され、レーザ光の波長に応じて選択的にレーザ光を透過又は反射させるダイクロプリズム3a、3bによって、それぞれのレーザ光の光軸が一致させられる。
また、ビーム整形レンズ2a〜2cは、後述するコリメートレンズ5及びfθレンズ8で発生する波長によって生じる収差(色収差)を相殺する効果を併せ持つ。なお、半導体レーザ1a〜1cの2つあるいは全部を一体化した、複数波長を備えた半導体レーザを用いる場合も、光路の途中で波長の違いによって発生する収差(色収差)を補正することが望ましい。
光軸が一致したレーザ光は、コリメートレンズ5に入射して略平行光に変換され、ポリゴンミラー7に入射する。ポリゴンミラー7は、図1に示す矢印方向に回転し、3本のレーザ光を主走査方向MSに走査する。例えば、実線で示したポリゴンミラー7の回転位置では、レーザ光は走査位置PAにあり、破線で示したポリゴンミラー7の回転位置では、走査位置PBとなる。
6面体のポリゴンミラー7は、その1回転につき6回、レーザ光を収束させた集光スポットを記録媒体10上で矢印方向(主走査方向)MSに繰り返し移動させ、走査線を形成する。記録媒体10は、公知の搬送機構(図示せず)によって、一定速度で副走査方向(紙面垂直方向)に連続的に搬送される。搬送速度は、1回のビーム走査ごとに走査線1本分の速度、すなわち、ポリゴンミラー7の1回転につき走査線6本分のピッチに相当する速度である。
fθレンズ8は、ポリゴンミラー7で反射された各走査位置におけるレーザ光を収束させて、記録媒体10に集光スポットを形成する。例えば、fθレンズ8は、焦点距離f=127.5mm、主走査方向の偏向角θ=±20度において、走査位置をhとしたときに、下記の関係式を成立させるfθ特性を良好に維持するとともに、ポリゴンミラー7の反射面の面倒れによるピッチむらを低減するための面倒れ補正機能を備えている。
h=fθ (1)
制御部9は、ポリゴンミラー7の回転速度に同期させて、半導体レーザ1a〜1cの出力を高速度に変化させる制御回路を備える。ポリゴンミラー7の1面に対応した1回の主走査において、制御部9により、半導体レーザ1a〜1cは、走査線上の画素数に相当する回数だけ同時にパルス発光される。各パルス発光における半導体レーザ1a〜1cの駆動電流値は、その瞬間に集光スポットが走査している位置の画素のCMYの各濃度値に対応し、例えば256段階で制御される。
記録媒体10は、積層された複数の感熱記録層10c、10m、10yを備えている。これら複数の感熱記録層10c、10m、10yには、それぞれ熱により発色する感熱発色性組成物と、異なる波長域の光を吸収して発熱する光−熱変換材料とが含有されており、それぞれ異なる波長域の光を照射することによって、第1の感熱記録層10cはシアン(C)、第2の感熱記録層10mはマゼンタ(M)、第3の感熱記録層10yはイエロー(Y)の階調表現が可能となっている。
ここで、記録媒体10に積層された複数の感熱記録層10c、10m、10yのうち、例えば、第1の感熱記録層10cは、波長860nmの赤外レーザ光によってシアンに発色する感熱記録層であり、第2の感熱記録層10mは、波長785nmの赤外レーザ光によってマゼンタに発色する感熱記録層であり、第3の感熱記録層10yは、波長650nmの赤色レーザ光によってイエローに発色する感熱記録層となっている。
上記のように、半導体レーザ1aを制御することにより、第1の感熱記録層10cのシアンが256階調で表現され、半導体レーザ1bを制御することにより、第2の感熱記録層10mのマゼンタが256階調で表現され、半導体レーザ1cを制御することにより、第3の感熱記録層10yのイエローが256階調で表現され、その結果、1677万色のフルカラーの表現が可能となる。
なお、光学部100は、ポリゴンミラー7を用いてレーザ光の走査を行う従来の感熱記録型プリンタに応用された種々の光学素子を追加及び置換してもよい。例えば、別の収束レンズによって、ポリゴンミラー7の表面位置で第1焦点を形成し、ポリゴンミラー7で反射されたレーザ光を別のレンズで平行光に変換し、さらに別のfθレンズによって記録媒体10上に集光スポットを形成してもよい。
また、ビームを主走査方向に偏向走査する手段は、ポリゴンミラー7に限られるものではない。例えば、ポリゴンミラー7の代わりにガルバノミラーを配置し、ポリゴンミラー7の回転による主走査の代わりに、ガルバノミラーの揺動による主走査を行う構成であってもよい。
次に、上記のようにされた感熱記録型プリンタの集光スポットの形状についてさらに詳細に説明する。一般的な半導体レーザチップは、楕円形状の強度分布を備えており、図2に示すように、強度分布の中心におけるピーク強度が1/2になる位置における放射角(半値全角)として、例えば、半導体レーザチップ11の接合面BSに対して水平方向の放射角θHは約10度、垂直方向の放射角θVは約20度であり、水平方向の放射角θHが垂直方向の放射角θVの約半分となっている。
ここで、光ディスク等の情報記録媒体の記録又は再生を行う光学ヘッドに用いられるビーム整形レンズ2xは、例えば、図3のような形状を有しており、直交する2軸の方向d1及び方向d2に対し、片側の軸の方向d2にだけレンズ作用を持たせることで方向d2の光束径のみを縮小する。したがって、半導体レーザ1xの接合面がビーム整形レンズ2xのレンズ作用の無い方向と平行になるように、半導体レーザ1xがビーム整形レンズ2xに対して配置され、半導体レーザ1xからビーム整形レンズ2xへレーザ光が入射されると、図4に示すように、ビーム整形レンズ2xは、透過するレーザ光の垂直方向の放射角を小さくすることによって、入射したレーザ光の楕円形状の強度分布を略円形状の強度分布に変換して出射する。この結果、ビーム整形レンズ2xにより、楕円形の入射光束IBが円形の出射光束EBに変換される。
一方、本実施の形態では、半導体レーザ1a〜1cは、上記の半導体レーザチップ11と同様の半導体レーザチップを備え、ビーム整形レンズ2a〜2cは、半導体レーザ1a〜1cから出射されたレーザ光の強度分布を下記の強度分布に変換する働きを備えている。例えば、図5に示すように、半導体レーザ1a〜1cの接合面がビーム整形レンズ2a〜2cのレンズ作用を有する方向と平行になるように、半導体レーザ1a〜1cがビーム整形レンズ2a〜2cに対して配置され、半導体レーザ1a〜1cからビーム整形レンズ2a〜2cへレーザ光が入射される。
このとき、ビーム整形レンズ2a〜2cは、透過するレーザ光の垂直方向の拡がり角はそのままに、水平方向の拡がり角をさらに小さくする。この結果、入射光束IBよりアスペクト比の大きい楕円形状の強度分布を有する出射光束EBが得られる。また、ビーム整形レンズ2a〜2cは、コリメートレンズ5の手前に配置され、発散光束に対して用いられる。これにより、出射光束EBにおいて、楕円の短軸方向の径に対する長軸方向の径の比が入射光束IBよりも拡大される。このように、発散光束中で使用することにより、光学系の小型化が可能となる。
上記のように、大きなアスペクト比、例えば、(水平方向:垂直方向)すなわち(出射光束EBの楕円の短軸方向の径:出射光束EBの楕円の長軸方向の径)が(1:4)のような強度分布を持つレーザ光を、fθレンズ8によって記録媒体10上に集光することで、楕円形状の強度分布を持った集光スポットが記録媒体10上に走査される。
上記のように、本実施の形態では、半導体レーザ1a〜1cの接合面に垂直な方向が副走査方向に、接合面に平行な方向が主走査方向に向くように、半導体レーザ1a〜1cが光学的に配置されており、ビーム整形レンズ2a〜2cを出射した光が上述のように1:4のアスペクト比を有する。このため、記録媒体10上の集光スポットの主走査方向のスポット径をD1、副走査方向のスポット径をD2とすると、D1/D2=1/4となる。
次に、楕円形状の強度分布の集光スポットの効果について詳細に説明する。図6の(A)に示すように、例えば、本実施の形態の楕円形状の集光スポットOSの、主走査方向MSのスポット径の半値幅(FWHM:Full Width Half Maximum)D1は、20μmであり、副走査方向SSの半値幅D2は、80μmである。この集光スポットOSのパワー密度(エネルギ密度)W4は、比較例として示す図6の(B)の円形状の集光スポットCS(直径の半値幅80μm)のパワー密度W1と比べて、約4倍となる。
これらの集光スポットを用いて記録媒体10に記録を行う場合、同じ感度の記録媒体10に対して、同程度の濃度の階調を得るためには、図6の(B)の円形状の集光スポットCSは、本実施の形態の図6の(A)の楕円形状の集光スポットOSに対して、4倍のレーザ出力が必要となる。換言すれば、本実施の形態の図6の(A)の楕円形状の集光スポットOSを用いることにより、半導体レーザ1a〜1cの出力を1/4とすることができ、消費電力の低減及びコスト削減の効果を得ることができる。
また、図7の(A)に示すように、本実施の形態の楕円形状の集光スポットOSと、図7の(B)に示す直径の半値幅40μmの円形状の集光スポットC1とでは、W4=W5となり、パワー密度は等しくなるが、本実施の形態の楕円形状の集光スポットOSを用いた場合には副走査方向SSの送りピッチP1が、円形状の集光スポットC1の送りピッチP2の2倍となるため、本実施の形態では、副走査の数は1/2となり、ポリゴンミラー7の回転速度によって制限される主走査方向の速度が一定とすると、印刷時間を半分にすることができる。
さらに、図8の(B)に示すように、直径の半値幅80μmの円形状の集光スポットCSを用いて、画素間でも集光スポットCSを重ねながら記録媒体10上に記録を行うことで、記録媒体10に照射される単位時間あたりのパワー密度W6は、図8の(A)に示す本実施の形態の楕円形状の集光スポットOSのパワー密度W4と等しくなる。
しかしながら、記録媒体10上で、例えば、図8の(B)の領域AXを所定の濃度とするためには、図上で前後4つの集光スポットC1〜C4相当の出力を適切に制御し、且つ、それら制御された出力値が、隣接する画素に属する領域AYを所定の濃度にするための最適値でなければならない。すなわち、図8の(B)に示すように、画素間でも集光スポットを重ねながら記録を行うためには、記録すべき画素の前後の画素に対する影響を考慮し、レーザ光源である半導体レーザの出力を制御しなければならず、非常に複雑な制御が必要となる。
一方、図8の(A)に示す、本実施の形態の楕円形状の集光スポットOSでは、レーザ光源である半導体レーザ1a〜1cの出力は、所定の画素におけるCMYの各濃度値に対応した制御値に設定すればよく、単純な制御で所望の濃度値を実現できる。
なお、図6の(A)、図7の(A)及び図8の(A)では、楕円形状の集光スポットの効果を説明するため、楕円形状の集光スポットをそのまま配列した状態で示している。もっともスポット位置が主走査方向に移動するため、半導体レーザ1a〜1cの発光時間によって主走査方向のスポット径は変更することができる。この場合でも、レーザ光の強度分布を静止状態で楕円形状とする構成によって、半導体レーザの出力を上げずに副走査方向の送りピッチを大きくすることができることに変わりない。
上記のような効果を得るためには、集光スポットの主走査方向のスポット径D1と、副走査方向のスポット径D2との比は、D1/D2≦1/2であることが好ましく、D1/D2≦1/3であることがより好ましく、D1/D2≦1/4であることがさらに好ましい。例えば、D1/D2=1/4とし、集光スポットOSの副走査方向SSの半値幅80μmとした場合、本実施の形態の感熱記録型プリンタの解像度は、300dpi相当であり、各画素におけるCMYの濃度値をそれぞれ256階調で表現することで、写真画質として必要十分なフルカラーの印刷結果を得ることができる。
また、本実施の形態の感熱記録型プリンタは、レーザ光源である半導体レーザ1a〜1cの出力を制御して記録媒体10のそれぞれの感熱記録層10c、10m、10yに階調表現を行うものである。ここで、例えば、周囲の温度が低く、記録媒体10自身の温度が低くなっている場合には、感熱記録層10c、10m、10yに与える熱エネルギ(すなわち半導体レーザ1a〜1cの出力)は、周囲の温度が高い場合よりも大きくする必要がある。
従って、所定の濃度値を得るために感熱記録層10c、10m、10yに与える熱エネルギは、周囲の温度や記録媒体10の温度によって必ずしも一定ではないため、濃度値が一定の値となるよう、例えば、制御部9は、温度センサにより、周辺温度及び/又は記録媒体10の温度を検出し、検出した温度に応じて半導体レーザ1a〜1cの出力を調整することが望ましい。
あるいは、記録媒体10の所定の領域にいわゆる「試し書き」を行い、「試し書き」の結果得られた濃度をCCD等で読みとることで、半導体レーザ1a〜1cの出力を調整することも可能であり、この「試し書き」を行う領域は、記録媒体10の印刷領域とは異なる周辺領域を用いることが可能である。
例えば、図9に示すような「試し書き」の手法を用いることも可能である。まず、図9の(A)に示すように、推定されるレーザ光の出力の約1/10〜1/2程度の出力で記録媒体10の印刷領域内の所定の領域に「試し書き」を行う。次に、図9の(B)に示すように、得られた濃度をCCD等で読み取る。次に、図9の(C)に示すように、CCD等で読み取った濃度に応じて半導体レーザ1a〜1cの出力を調整し、「試し書き」を行った同じ箇所に、本来の濃度となるよう「重ね書き」を行う。この場合、上述の周辺領域を必要とせず、いわゆる「フチなし印刷」にも適用可能な「試し書き」による出力調整を実現することができる。
さらに、本実施の形態では、1ドットのピッチに相当する時間内で半導体レーザ1a〜1cの発光時間を調整することによって階調表現をすることも可能となる。すなわち、上述の実施の形態においては、各画素のシアン、マゼンタ、イエローの濃度値を256階調で表現するべく、各画素に対して感熱記録層10c、10m、10yに与える熱エネルギを256段階に制御するために、図10の(A)に示すように、各画素に対応したパルス発光における半導体レーザ1a〜1cの出力を256段階で制御するものとして説明を行った。図10の(A)に示す例では、画素1001では、隣接する画素1002より、半導体レーザ1a〜1cの出力が小さくなっている。
一方、例えば、図10の(B)に示すように、それぞれの画素に対して、各画素の通過時間よりも短い周期の16段階のパルス幅と、半導体レーザ1a〜1cの16段階の出力との組み合わせを用いて、各画素に対して感熱記録層10c、10m、10yに与える熱エネルギを256段階に制御することも可能である。図10の(B)に示す例では、隣接する画素1003、1004では、半導体レーザ1a〜1cの出力だけでなく、発光時間が異なっている。画素1003では、隣接する画素1004より、半導体レーザ1a〜1cの出力が小さく、さらに発光時間が短い。このように、時間軸方向に精度の高いパルス幅制御とレーザ出力制御とを組み合わせることにより、より精度の高い階調表現が可能になる。
なお、本実施の形態においては、記録媒体10上に楕円形状の集光スポットを形成するため、それぞれの半導体レーザ1a〜1cに対応したビーム整形レンズ2a〜2cを用いて、レーザ光の強度分布を楕円形状とする構成を示した。しかしながら、レーザ光の強度分布を楕円形状とするために、いわゆるアナモフィックプリズム等の他のビーム整形素子を用いても、同様に実施可能である。
例えば、図11に示すように、アナモフィックプリズム801を用いる場合、アナモフィックプリズム801と半導体レーザ1a〜1cとの間にコリメートレンズ5を配置する。コリメートレンズ5からの平行光は、アナモフィックプリズム801のプリズム面802に傾斜して入射させる。このように、アナモフィックプリズム801にて、平行光を屈折及び透過させることで、レーザ光の垂直方向のみの光束径を径R1から径R2に拡大することができ、上記と同様の楕円形状の集光スポットを作成することができる。ただし、アナモフィックプリズム801は、レンズに比べて作成が容易であるものの平行光中に配置する必要があり、光学系が大きくなってしまう。光学部の小型化のためには、本実施の形態に示したように、ビーム整形レンズを用いることが好ましい。
また、本実施の形態では、レーザ光の垂直方向(副走査方向)の径を拡大したが、この例に特に限定されず、ビーム整形素子によって、上述のようにレーザ光の垂直方向の径を拡大すると共に、又はその代わりに水平方向の径を縮小するようにしてもよい。また、ビーム整形素子によって、記録媒体10における集光スポットの主走査方向の径D1と副走査方向の径D2との比D1/D2が1/2以上となればよい。その場合、半導体レーザ1a〜1cは、その接合面に垂直な方向が副走査方向に、その接合面に平行な方向が主走査方向に向くように必ずしも配置する必要はない。例えば、レーザ光の垂直方向を縮小し、水平方向を拡大することによって、比D1/D2が1/2以上となるようにしてもよい。
また、レーザ光の光路の途中で非点収差を発生させて、記録媒体10上の集光スポットを楕円形状としてもよく、さらに記録媒体10上の集光スポットのアスペクト比も1:4に限られるものではない。例えばアスペクト比を1:2程度とする場合は、半導体レーザの垂直方向が記録媒体の副走査方向となるように半導体レーザを配置することで、上述のビーム整形素子が不要となり、光学部をさらに簡素化することができる。なお、上記の点は、後述する実施の形態2も同様である。
(実施の形態2)
図12は、本発明の実施の形態2における光ディスク用レーベルプリンタの概略構成図である。図12に示す光ディスク用レーベルプリンタは、光学ヘッド200、スピンドルモータ21及び制御部22を備え、光学ヘッド200は、レーザ光源である3つの半導体レーザ11a〜11c、3つのダイクロビームスプリッタ13a〜13c、コリメートレンズ15、立ち上げミラー17、対物レンズ18及び光検出器19を備える。なお、光学ヘッド200は、対物レンズを用いて情報の記録又は再生を行う従来の光学ヘッドに応用された種々の光学素子を追加及び置換してもよい。
本実施の形態の光ディスク用レーベルプリンタの光学ヘッド200は、通常の光ディスクドライブ装置の光学ヘッドと同様に、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、Blu−ray Disc等の光ディスク20に対して情報を記録及び/又は再生できるとともに、光ディスク20の情報記録面20aの反対側の面にレーザ光を照射することにより、任意の画像やタイトル等の文字を記録する光ディスク用レーベルプリンタとして用いることが可能である。
次に、図12を用いて、光ディスク用レーベルプリンタの動作について説明する。なお、光ディスクに対して情報の記録又は再生を行う、光学ヘッド200の本来の動作については、一般的な光ディスク用の光学ヘッドと同じであるため、その説明については省略する。
半導体レーザ11a〜11cは、それぞれ波長の異なるレーザ光を出射し、例えば、半導体レーザ11aは波長785nmの赤外レーザ光、半導体レーザ11bは波長650nmの赤色レーザ光、半導体レーザ11cは波長405nmの青紫レーザ光を出射し、それぞれの波長に対応した光ディスクに対して、情報の記録又は再生を行うことができる。
ここで、光ディスク20は、情報の記録又は再生を行う情報記録面20aの反対側の面に、積層された複数の感熱記録層20c、20m、20yを備えており、それぞれ異なる波長域の光を照射することによって、第1の感熱記録層20cはシアン(C)、第2の感熱記録層20mはマゼンタ(M)、第3の感熱記録層20yはイエロー(Y)の階調表現が可能となっている。
例えば、光ディスク20に積層された複数の感熱記録層20c、20m、20yのうち、第1の感熱記録層20cは、波長785nmの赤外レーザ光によってシアンに発色する感熱記録層であり、第2の感熱記録層20mは、波長650nmの赤色レーザ光によってマゼンタに発色する感熱記録層であり、第3の感熱記録層20yは、波長405nmの青紫レーザ光によってイエローに発色する感熱記録層となっている。
半導体レーザ11a〜11cから出射されたそれぞれ波長の異なるレーザ光は、レーザ光の波長に応じて選択的にレーザ光を透過又は反射させるダイクロビームスプリッタ13a〜13cによって、それぞれのレーザ光の光軸が一致させられる。光軸が一致したレーザ光は、コリメートレンズ15に入射して略平行光に変換され、立ち上げミラー17によって反射され、対物レンズ18によって光ディスク20の情報記録面20aの反対側の面に、積層された複数の感熱記録層20c、20m、20yに照射される。なお、感熱記録層20c、20m、20yに照射されるレーザ光は、情報の記録又は再生を行う際に情報記録面20aに回折限界まで収束される集光スポットとは異なり、大きく焦点ずれ(デフォーカス)している。
光検出器19は、情報記録面20aの記録又は再生を行う際に、情報記録面20aで反射したレーザ光を受光し、サーボ信号及び情報信号を検出するためのものであり、光学ヘッド200を光ディスク用レーベルプリンタとして用いる際には機能しない。
光ディスク20は、スピンドルモータ21によって回転しており、トラバースモータ(図示せず)によって光学ヘッド200全体を半径方向RDに走査することにより、光ディスク20の任意の位置(画素)にレーザ光による集光スポットを形成することが可能となる。
制御部22は、光ディスク20上の画素に対応して、半導体レーザ11a〜11cの出力を高速度に変化させ、パルス発光される。各パルス発光における半導体レーザ11a〜11cの駆動電流値は、集光スポットが形成される画素のCMYの各濃度値に対応し、例えば8段階で制御される。
上記のように、本実施の形態では、半導体レーザ11aを制御することにより、第1の感熱記録層20cのシアンが8階調で表現され、半導体レーザ11bを制御することにより、第2の感熱記録層20mのマゼンタが8階調で表現され、半導体レーザ11cを制御することにより、第3の感熱記録層20yのイエローが8階調で表現され、その結果、512色の表現が可能となる。
ここで、光学ヘッド200において、半導体レーザ11a〜11cの接合面に垂直な方向が光ディスクの半径方向RDとなるように配置されており、光ディスク20上の集光スポットOSaは、図13に示すようになり、光ディスク20の情報トラック方向TDの集光スポット径D1と光ディスク20の半径方向RDの集光スポット径D2との比を約1:2とすることができる。例えば、情報トラック方向TDのスポット径の半値幅D1が40μm、半径方向RDの半値幅D2が80μmとなっている。
上記のように、本実施の形態の光学ヘッド200は、図13に示すように、半径方向RDに大きい楕円形状の集光スポットOSaを形成しているため、実施の形態1と同様に、円形状の集光スポットと比べてパワー密度W7が大きくなり、半導体レーザ11a〜11cの出力を低減することができる。また、楕円形状の集光スポットを用いた場合には、半径方向RDの送りピッチRPが大きくなるため、スピンドルモータ21の回転速度によって制限される光ディスク回転速度が一定とすると、印刷時間を半分にすることができる。さらに、実施の形態1で示したように、レーザ光源である半導体レーザ11a〜11cの出力は、所定の画素におけるCMYの各濃度値に対応した制御値に設定すればよく、単純な制御で所望の濃度値を実現できる。
なお、本実施の形態においては、光ディスクの記録又は再生に用いる光学ヘッドを、光ディスク用レーベルプリンタに適用する場合について説明を行ったが、本発明はこのような実施の形態に限るものではなく、例えば、光ディスク用レーベルプリンタ専用の光学ヘッドとして構成することも可能である。この場合、光ディスク用レーベルプリンタ専用の光学ヘッドとすることで、光検出器が不要となり、構成がシンプルとなる。
また、図14に示すように、実施の形態1と同様に、ビーム整形レンズ14a〜14cを付加した光学ヘッド200aを用いて、情報トラック方向の集光スポット径と半径方向の集光スポット径の比を、例えば1:4程度としてもよい。
具体的には、ビーム整形レンズ14a〜14cは、駆動機構16a〜16cによりレーザ光の光軸を中心に回転可能に保持され、制御部22は、光学ヘッド200aを用いて光ディスク20に情報を記録又は再生するときは、駆動機構16a〜16cを制御してビーム整形レンズ14a〜14cを回転させ、図14に示す角度で、ビーム整形レンズ14a〜14cを半導体レーザ11a〜11cとダイクロビームスプリッタ13a〜13cとの間に配置させる。
この場合、ビーム整形レンズ14a〜14cは、図4と同様に、半導体レーザ11a〜11cから出射された楕円形状のレーザ光をより円形に近い楕円形状(好ましくは、円形形状)のレーザ光に変換し、レーザ光のアスペクト比を(1:2)から(1:1)に変換することができるので、光ディスク20に対する情報の記録又は再生に好適な、より円形に近い楕円形状のレーザ光を生成することができ、ビーム整形レンズ14a〜14cの不要な光学的影響を受けることなく、光学ヘッド200aを光ディスク20の記録又は再生に用いることができる。
また、制御部22は、光学ヘッド200aを、光ディスク20の感熱記録層20c、20m、20yに複数の画素で構成される画像を形成する用途、すなわち光ディスク用レーベルプリンタ用途に用いるときは、駆動機構16a〜16cを制御してビーム整形レンズ14a〜14cを図14に示す角度から90度回転させ、ビーム整形レンズ14a〜14cを半導体レーザ11a〜11cとダイクロビームスプリッタ13a〜13cとの間に配置させる。
この場合、ビーム整形レンズ14a〜14cは、図5と同様に、半導体レーザ11a〜11cから出射され出射された楕円形状のレーザ光をより扁平な楕円形状のレーザ光に変換し、レーザ光のアスペクト比を(1:2)から(1:4)に変換することができる。この結果、図14に示す光ディスク用レーベルプリンタでも、実施の形態1と同様に、情報トラック方向の集光スポット径と半径方向の集光スポット径との比を1/4にすることができるので、レーベルの印刷に要する時間をさらに短縮でき、レーザ光源である半導体レーザの出力をさらに低減することも可能となる。なお、駆動機構16a〜16cとしては、種々の駆動機構を用いることができ、DCモータ、超音波モータ等を用いることができる。
なお、実施の形態1と同様に、ビーム整形レンズ14a〜14cを付加した光学ヘッド200aを用いて、情報トラック方向の集光スポット径と半径方向の集光スポット径の比を1:4にする構成は、上記の例に特に限定されず、以下のような構成を用いてもよい。
例えば、ビーム整形レンズ14a〜14cは、駆動機構16a〜16cにより光路上において移動可能に保持され、制御部22は、光学ヘッド200aを、光ディスク20の感熱記録層20c、20m、20yに複数の画素で構成される画像を形成する用途、すなわち光ディスク用レーベルプリンタ用途に用いるときは、駆動機構16a〜16cを制御し、図14に示すように、半導体レーザ11aとダイクロビームスプリッタ13aとの間にビーム整形レンズ14aを配置させ、半導体レーザ11bとダイクロビームスプリッタ13bとの間にビーム整形レンズ14bを配置させ、半導体レーザ11cとダイクロビームスプリッタ13cとの間にビーム整形レンズ14cを配置させる。
この結果、本例の光ディスク用レーベルプリンタでも、実施の形態1と同様に、情報トラック方向の集光スポット径と半径方向の集光スポット径との比を1/4にすることができるので、レーベルの印刷に要する時間をさらに短縮でき、レーザ光源である半導体レーザの出力をさらに低減することも可能となる。なお、駆動機構16a〜16cとしては、種々の駆動機構を用いることができ、スイングアーム型アクチュエータ、ソレノイド型アクチュエータ等を用いることができる。
また、制御部22は、光学ヘッド200aを用いて光ディスク20に情報を記録又は再生するときは、駆動機構16a〜16cを制御し、ビーム整形レンズ14aを半導体レーザ11aとダイクロビームスプリッタ13aとの間から移動させて光路外に配置させ、ビーム整形レンズ14bを半導体レーザ11bとダイクロビームスプリッタ13bとの間から移動させて光路外に配置させ、ビーム整形レンズ14cを半導体レーザ11cとダイクロビームスプリッタ13cとの間から移動させて光路外に配置させる。この結果、光学ヘッド200aを光ディスク20の記録又は再生に用いることができる。なお、この例において、半導体レーザとコリメートレンズとの光学的な距離等が変化する場合は、光学的な距離を補償する手段を適宜設けるようにしてもよい。
なお、上記の各実施の形態において、記録媒体10及び光ディスク20は、複数の感熱記録層を備え、それぞれの感熱記録層は初期状態が透明であり、与えられた熱エネルギに応じて発色する感熱記録層として説明を行ったが、本発明はこのような感熱記録層に限らず、初期状態で発色しており、与えられた熱エネルギに応じて色素が分解されるような感熱記録層であっても適用可能である。
また、実施の形態2のような、光ディスク用レーベルプリンタの用途で用いる場合には、光ディスク20は単一の感熱記録層を備え、その単一の感熱記録層は、与えられた熱エネルギに応じて発色する感熱記録層又は色素が分解される感熱記録層であってもよいことは明らかである。
上記の各実施の形態から本発明について要約すると、以下のようになる。すなわち、本発明に係る光ディスク用レーベルプリンタは、レーザ光を用いて光ディスク上に複数の画素で構成される画像を形成する光ディスク用レーベルプリンタであって、レーザ光源と、前記レーザ光源から出射されたレーザ光を集光スポットとして前記光ディスクに集光させる対物レンズと、前記レーザ光の出力を制御する制御部とを備え、前記集光スポットの前記光ディスクの情報トラック方向のスポット径D1と、前記集光スポットの前記光ディスクの半径方向のスポット径D2とは、D1/D2≦1/2を満たす。
この光ディスク用レーベルプリンタにおいては、情報トラック方向の集光スポット径と半径方向の集光スポット径との比を1/2以下にしているので、円形状の集光スポットを用いた場合に比して、レーザ光源の出力を半分以下に低減したり、半径方向の送りピッチを2倍以上に大きくすることができる。この結果、集光スポットのパワー密度を低下させることなく、高速な感熱記録を実現し、且つパワー制御が複雑にならない記録方式を実現することができ、安価で高性能な光ディスク用レーベルプリンタを提供することが可能となる。
上記光ディスク用レーベルプリンタは、前記レーザ光源から出射された楕円形状のレーザ光の、前記レーザ光源の接合面に平行な方向の放射角の半値全角を縮小及び/又は前記接合面に垂直な方向の放射角の半値全角を拡大するビーム整形素子をさらに備えることが好ましい。
この場合、ビーム整形素子により情報トラック方向の集光スポット径と半径方向の集光スポット径との比をさらに小さくすることができるので、集光スポットのパワー密度をより低下させることなく、より高速な感熱記録を実現し、且つパワー制御が複雑にならない記録方式を実現することができる。
上記光ディスク用レーベルプリンタは、前記ビーム整形素子を回転可能に保持する駆動部をさらに備え、前記駆動部は、前記光ディスクに画像を形成するときは、前記レーザ光源から出射された楕円形状のレーザ光をより扁平な楕円形状のレーザ光に変換するように前記ビーム整形素子を回転させ、前記光ディスクに情報を記録又は再生するときは、前記レーザ光源から出射された楕円形状のレーザ光をより円形に近い楕円形状のレーザ光に変換するように前記ビーム整形素子を回転させることが好ましい。
この場合、ビーム整形素子の不要な光学的影響を受けることなく、光ディスク用レーベルプリンタを光ディスクドライブ装置としても使用して光ディスクに情報を安定的に記録及び再生することができる。
上記光ディスク用レーベルプリンタは、前記ビーム整形素子を移動可能に保持する駆動部をさらに備え、前記駆動部は、前記光ディスクに画像を形成するときは、前記レーザ光源からのレーザ光の光路上に前記ビーム整形素子を配置させ、前記光ディスクに情報を記録又は再生するときは、前記レーザ光源からのレーザ光の光路外に前記ビーム整形素子を配置させるようにしてもよい。
この場合、光ディスク用レーベルプリンタを光ディスクドライブ装置としても使用して光ディスクに情報を安定的に記録及び再生することができる。
前記制御部は、一つの画素に対するレーザ光の発光パワーと発光時間との両方を制御して、複数の画素で構成される画像を階調表示することが好ましい。
この場合、時間軸方向に精度の高いパルス幅制御を行うことができるとともに、精度の高いレーザ出力制御を行うことができるので、より精度の高い階調表現が可能になる。
前記光ディスクは、初期状態が透明であり、前記集光スポットにより与えられた熱エネルギに応じて発色する感熱記録層を備えることが好ましい。
この場合、楕円形状の集光スポットの出力に応じた熱エネルギを与えて感熱記録層を発色させることができるので、階調表示された良好な画像を光ディスクに形成することができる。
前記レーザ光源は、それぞれ異なる波長λ1のレーザ光、波長λ2のレーザ光、波長λ3のレーザ光(λ1<λ2<λ3、単位:nm)を出射し、前記光ディスクは、初期状態が透明であり、前記集光スポットにより与えられた熱エネルギに応じてそれぞれ異なる色に発色する3層の感熱記録層を備え、前記3層の感熱記録層は、前記異なる波長のレーザ光の集光スポットにより、それぞれ熱エネルギを与えられることが好ましい。
この場合、レーザ光の波長に応じて3層の感熱記録層をそれぞれ異なる色に発色させることができるとともに、レーザ光の波長毎に楕円形状の集光スポットの出力に応じた熱エネルギを与えて3層の感熱記録層を任意の階調で発色させることができるので、写真画質として必要十分なフルカラーの画像を光ディスクに形成することができる。
前記光ディスクは、初期状態が発色しており、前記集光スポットにより与えられた熱エネルギに応じて色素が分解される感熱記録層を備えるようにしてもよい。
この場合、楕円形状の集光スポットの出力に応じた熱エネルギを与えて感熱記録層の色素を分解することができるので、階調表示された良好な画像を光ディスクに形成することができる。
前記レーザ光源は、それぞれ異なる波長λ1のレーザ光、波長λ2のレーザ光、波長λ3のレーザ光(λ1<λ2<λ3、単位:nm)を出射し、前記光ディスクは、初期状態がそれぞれ異なる色に発色しており、前記集光スポットにより与えられた熱エネルギに応じて色素が分解される3層の感熱記録層を備え、前記3層の感熱記録層は、前記異なる波長のレーザ光の集光スポットにより、それぞれ熱エネルギを与えられるようにしてもよい。
この場合、レーザ光の波長に応じて3層の感熱記録層のそれぞれ異なる色素を分解させることができるとともに、レーザ光の波長毎に楕円形状の集光スポットの出力に応じた熱エネルギを与えて3層の感熱記録層のそれぞれ異なる色素を任意の階調で分解することができるので、写真画質として必要十分なフルカラーの画像を光ディスクに形成することができる。
前記波長λ1は、350nm<λ1<450nmを満たし、前記波長λ2は、600nm<λ2<700nmを満たし、前記波長λ3は、750nm<λ3<850nmを満たすことが好ましい。
この場合、光ディスクの情報の記録又は再生に適した、それぞれ波長の異なるレーザ光を出射することができるので、光学部品を共用して、それぞれの波長に対応した光ディスクに対して、良好な画像を形成することができるとともに、情報の記録及び再生を行うことができる。
本発明に係る感熱記録型プリンタは、レーザ光を用いて記録媒体上に複数の画素で構成される画像を形成する感熱記録型プリンタであって、レーザ光源と、前記レーザ光源から出射されたレーザ光を集光スポットとして前記記録媒体に集光させて主走査方向に走査する走査部と、前記レーザ光の出力を制御する制御部とを備え、前記集光スポットの主走査方向のスポット径D1と、前記集光スポットの副走査方向のスポット径D2とは、D1/D2≦1/2を満たす。
この感熱記録型プリンタにおいては、主走査方向の集光スポット径と副走査方向の集光スポット径との比を1/2以下にしているので、円形状の集光スポットを用いた場合に比して、レーザ光源の出力を半分以下に低減したり、副走査方向の送りピッチを2倍以上に大きくすることができる。この結果、集光スポットのパワー密度を低下させることなく、高速な感熱記録を実現し、且つパワー制御が複雑にならない記録方式を実現することができ、安価で高性能な感熱記録型プリンタを提供することが可能となる。
本発明に係る感熱記録方法は、レーザ光を用いて記録媒体上に複数の画素で構成される画像を形成する感熱記録方法であって、レーザ光源から出射されたレーザ光を集光スポットとして前記記録媒体に集光させて所定の走査方向に走査するステップと、前記記録媒体を前記走査方向に直交する送り方向に搬送するステップとを含み、前記集光スポットの前記走査方向のスポット径D1と、前記集光スポットの前記送り方向のスポット径D2とは、D1/D2≦1/2を満たす。
この感熱記録方法においては、主走査方向の集光スポット径と送り方向の集光スポット径との比を1/2以下にしているので、円形状の集光スポットを用いた場合に比して、レーザ光源の出力を半分以下に低減したり、記録媒体の送りピッチを2倍以上に大きくすることができる。この結果、集光スポットのパワー密度を低下させることなく、高速な感熱記録を実現し、且つパワー制御が複雑にならない記録方式を実現することができる。
本発明に係る光ディスク用レーベルプリンタ又は感熱記録型プリンタは、集光スポットのパワー密度を低下させることなく、高速な感熱記録を実現し、且つパワー制御が複雑にならない安価で高性能な記録方式を実現できるため、光ディスクドライブ装置としても機能する光ディスク用レーベルプリンタ、又は写真用感熱記録型プリンタ等に有用である。
本発明は、感熱記録材料にレーザ光を照射して画像等を感熱記録するための、光ディスク用レーベルプリンタ、感熱記録型プリンタ及びその感熱記録方法に関するものである。
感熱記録材料に対して熱エネルギを付与し、画像等の感熱記録を行うプリンタが開発されている。特に、熱源としてレーザ光を用いることで高速記録を可能としたプリンタが提案されている。また、このようなプリンタに適用され、良好な画像を高品位で記録することのできる感熱記録材料として、支持体上に発色剤、顕色剤及び光吸収色素を備え、付与される熱エネルギに応じた濃度で発色するものが開発されている。このような感熱記録材料に画像等を記録するプリンタは、画像信号に基づいて変調されたレーザ光を感熱記録材料に照射し、所定の画像が記録されるように構成されている。
例えば、従来のプリンタとして、特許文献1に示したようなものが知られている。特許文献1に示される従来の感熱記録型プリンタは、感熱記録材料にレーザ光を照射することにより、感熱記録材料に所定の熱エネルギを付与して画像等を記録する。
上記のプリンタには、制御部、光学部、及び電源が配設され、電源から制御部及び光学部に電力が供給される。光学部は、予め定められたプログラムに従って、制御部によって制御される。また、感熱記録材料は、支持体上に情報記録層が形成されており、この情報記録層は、発色剤、顕色剤及びレーザ光を吸収して熱エネルギに変換する光吸収色素を含有した材料で構成されている。
図15は、上記の従来のプリンタの光学部の概略構成を示す斜視図である。図15に示すように、光学部30は、半導体レーザ等の光源34と、この光源34から出力されるレーザ光Lをポリゴンミラー38へ入射させるための面倒れ補正レンズ36と、このポリゴンミラー38で反射されたレーザ光Lが面倒れ補正レンズ40を介して入射される長尺ミラー44と、長尺ミラー44で反射されたレーザ光Lを集光させるためのレンズ46とを備え、これらが筐体48内に配設されている。
ポリゴンミラー38は、モータ50により回転されるとともに、長尺ミラー44は、ガルバノメータ52により揺動され、これにより光源34から出力されたレーザ光Lは、ポリゴンミラー38の回転によって主走査方向MSに走査される一方、長尺ミラー44の揺動により副走査方向SSに走査される。
次に、上記のように構成されたプリンタの動作を説明する。光源34から出射されたレーザ光Lは、面倒れ補正レンズ36を透過し、ポリゴンミラー38へ入射する。レーザ光Lは、ポリゴンミラー38の回転によって主走査方向MSに走査され、面倒れ補正レンズ40を透過し、長尺ミラー44の揺動により副走査方向SSに走査される。長尺ミラー44で反射されたレーザ光Lは、レンズ46を介して感熱記録材料60上に円形状の集光スポットを形成する。レーザ光Lは、主走査及び副走査によって所定の階調画像が記録されるよう変調されており、レーザ光Lによって所定の熱エネルギが付与された感熱記録材料60の情報記録層には、所定の階調画像が記録される。
また、近年では、デジタルスチルカメラ等の急速な普及に伴い、個人が撮影したデジタル画像を自宅等で印刷することが一般的になってきている。その際、記録時間(印刷時間)を短縮して、より手軽に印刷することが求められている。
ここで、上述のように、ポリゴンミラー等を用いて感熱記録材料の主走査方向にレーザ光による円形状の集光スポットを走査し、熱エネルギによる記録を行う、従来の感熱記録型プリンタにおいては、主走査方向の速度は、例えばポリゴンミラーを回転させるモータの回転速度(例えば最大20,000rpm程度)によって制限される。一方、副走査方向の速度は、集光スポットの送りピッチによって制限される。
図16及び図17は、従来のプリンタにおける円形状の集光スポットの課題を説明するための模式図である。図16及び図17において、横軸は主走査方向MSを示し、縦軸は副走査方向SSを示している。図16及び図17に示すように、副走査方向SSの送りピッチP1を大きくして副走査方向SSの送りピッチP2(P1<P2)とするためには、感熱記録材料上に集光されるレーザ光の集光スポットS1を拡大して集光スポットS2(S1<S2)とし、送りによって記録されない領域(集光スポットが走査されない領域)が生じないようにしなければならない。
しかしながら、図17に示すように、集光スポットを拡大すると、感熱記録材料上に形成される集光スポットS2のパワー密度が小さくなるため、主走査方向MSの速度が一定且つ感熱記録材料の記録感度が一定であるとすると、感熱記録材料に付与する単位時間あたりの熱エネルギを一定とするためには、光源である半導体レーザ等の出力を大きくせざるを得ず、消費電力の増大やコストの増大等の課題がある。
また、集光スポットを拡大した場合でも、例えば、画素間でも集光スポットを重ねながら記録を行うことで、感熱記録材料上に形成される集光スポットのパワー密度の低下をカバーすることができる。図18は、従来のプリンタにおいて感熱記録時の集光スポットを重ねながら記録する場合の集光スポットの状態を示す模式図である。
図18の(A)に示すように、集光スポットCSを重ねながら記録しない場合に、集光スポットのパワー密度W1が十分でなくても、図18の(B)に示すように、集光スポットCSを重ねながら感熱記録材料上を走査することで、集光スポットのパワー密度W2が大きくなり、感熱記録材料に付与される単位時間あたりの熱エネルギは大きくなる。しかしながら、このように、集光スポットCSを画素間で重ねながら所定の画像信号に基づいた階調画像を記録するためには、画素前後の集光スポットの重なりを考慮してレーザ光を変調することが必要となり、制御が非常に複雑になってしまうという課題がある。
本発明の目的は、集光スポットのパワー密度を低下させることなく、高速な感熱記録を実現し、且つパワー制御が複雑にならない記録方式を実現することにより、安価で高性能な光ディスク用レーベルプリンタ及び感熱記録型プリンタを提供することである。
本発明の一局面に従う光ディスク用レーベルプリンタは、レーザ光を用いて光ディスク上に複数の画素で構成される画像を形成する光ディスク用レーベルプリンタであって、レーザ光源と、前記レーザ光源から出射されたレーザ光を集光スポットとして前記光ディスクに集光させる対物レンズと、前記レーザ光の出力を制御する制御部とを備え、前記集光スポットの前記光ディスクの情報トラック方向のスポット径D1と、前記集光スポットの前記光ディスクの半径方向のスポット径D2とは、D1/D2≦1/2を満たす。
本発明の他の局面に従う感熱記録型プリンタは、レーザ光を用いて記録媒体上に複数の画素で構成される画像を形成する感熱記録型プリンタであって、レーザ光源と、前記レーザ光源から出射されたレーザ光を集光スポットとして前記記録媒体に集光させて主走査方向に走査する走査部と、前記レーザ光の出力を制御する制御部とを備え、前記集光スポットの主走査方向のスポット径D1と、前記集光スポットの副走査方向のスポット径D2とは、D1/D2≦1/2を満たす。
本発明のさらに他の局面に従う感熱記録方法は、レーザ光を用いて記録媒体上に複数の画素で構成される画像を形成する感熱記録方法であって、レーザ光源から出射されたレーザ光を集光スポットとして前記記録媒体に集光させて所定の走査方向に走査するステップと、前記記録媒体を前記走査方向に直交する送り方向に搬送するステップとを含み、前記集光スポットの前記走査方向のスポット径D1と、前記集光スポットの前記送り方向のスポット径D2とは、D1/D2≦1/2を満たす。
本発明によれば、集光スポットのパワー密度を低下させることなく、高速な感熱記録を実現し、且つパワー制御が複雑にならない記録方式を実現することができるので、安価で高性能な光ディスク用レーベルプリンタ及び感熱記録型プリンタを提供することが可能となる。
本発明の実施の形態1における感熱記録型プリンタの概略構成図である。
半導体レーザチップの放射角の状態を模式的に示す図である。
光ディスク用光学ヘッドに用いられるビーム整形レンズの斜視図である。
図3に示すビーム整形レンズの機能を説明するための模式図である。
図1に示す感熱記録型プリンタのビーム整形レンズの機能を説明するための模式図である。
図1に示す感熱記録型プリンタに用いられる楕円形状の集光スポットの効果を説明するための模式図である。
図1に示す感熱記録型プリンタに用いられる楕円形状の集光スポットの別の効果を説明するための模式図である。
図1に示す感熱記録型プリンタに用いられる楕円形状の集光スポットのさらに別の効果を説明するための模式図である。
図1に示す感熱記録型プリンタにおける試し書きによる出力調整方法を説明するための模式図である。
図1に示す感熱記録型プリンタにおけるパルス幅制御とレーザ出力制御との組み合わせによる階調表現を説明するための模式図である。
アナモフィックプリズムを用いた場合の光学系を説明するための概略構成図である。
本発明の実施の形態2における光ディスク用レーベルプリンタの概略構成図である。
図12に示す光ディスク用レーベルプリンタに用いられる楕円形状の集光スポットの状態を説明するための模式図である。
本発明の実施の形態2による他の光ディスク用レーベルプリンタの概略構成図である。
従来の感熱記録型プリンタの概略構成斜視図である。
従来の円形状の集光スポットの課題を説明するための模式図である。
従来の円形状の集光スポットの課題を説明するための模式図である。
従来の円形状の集光スポットの別の課題を説明するための模式図である。
以下、本発明の各実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における感熱記録型プリンタの光学部100の概略構成図である。図1に示す光学部100は、レーザ光源である3つの半導体レーザ1a〜1c、3つのビーム整形レンズ2a〜2c、2つのダイクロプリズム3a、3b、コリメートレンズ5、ポリゴンミラー7、fθレンズ8及び制御部9を備える。この光学部100によって、複数の画素で構成される画像に合わせて光源からの光を変調し、その変調した光を走査して記録媒体に照射して、その画像を記録媒体10に記録する。なお、本実施の形態の感熱記録型プリンタの光学部100以外の構成は、公知の感熱記録型プリンタの構成を用いることができるので、図示及びその説明を省略する。
半導体レーザ1a〜1cは、それぞれ波長の異なるレーザ光を出射し、例えば、半導体レーザ1aは波長860nmの赤外レーザ光、半導体レーザ1bは波長785nmの赤外レーザ光、半導体レーザ1cは波長650nmの赤色レーザ光を出射する。なお、半導体レーザ1a〜1cは、例えばフロントモニタ(図示せず)による前光検出を行い、オートパワーコントロール(APC)によって正確に出力を制御されることが望ましい。
半導体レーザ1a〜1cから出射されたそれぞれ波長の異なるレーザ光は、ビーム整形素子であるビーム整形レンズ2a〜2cでビーム整形され、レーザ光の波長に応じて選択的にレーザ光を透過又は反射させるダイクロプリズム3a、3bによって、それぞれのレーザ光の光軸が一致させられる。
また、ビーム整形レンズ2a〜2cは、後述するコリメートレンズ5及びfθレンズ8で発生する波長によって生じる収差(色収差)を相殺する効果を併せ持つ。なお、半導体レーザ1a〜1cの2つあるいは全部を一体化した、複数波長を備えた半導体レーザを用いる場合も、光路の途中で波長の違いによって発生する収差(色収差)を補正することが望ましい。
光軸が一致したレーザ光は、コリメートレンズ5に入射して略平行光に変換され、ポリゴンミラー7に入射する。ポリゴンミラー7は、図1に示す矢印方向に回転し、3本のレーザ光を主走査方向MSに走査する。例えば、実線で示したポリゴンミラー7の回転位置では、レーザ光は走査位置PAにあり、破線で示したポリゴンミラー7の回転位置では、走査位置PBとなる。
6面体のポリゴンミラー7は、その1回転につき6回、レーザ光を収束させた集光スポットを記録媒体10上で矢印方向(主走査方向)MSに繰り返し移動させ、走査線を形成する。記録媒体10は、公知の搬送機構(図示せず)によって、一定速度で副走査方向(紙面垂直方向)に連続的に搬送される。搬送速度は、1回のビーム走査ごとに走査線1本分の速度、すなわち、ポリゴンミラー7の1回転につき走査線6本分のピッチに相当する速度である。
fθレンズ8は、ポリゴンミラー7で反射された各走査位置におけるレーザ光を収束させて、記録媒体10に集光スポットを形成する。例えば、fθレンズ8は、焦点距離f=127.5mm、主走査方向の偏向角θ=±20度において、走査位置をhとしたときに、下記の関係式を成立させるfθ特性を良好に維持するとともに、ポリゴンミラー7の反射面の面倒れによるピッチむらを低減するための面倒れ補正機能を備えている。
h=fθ (1)
制御部9は、ポリゴンミラー7の回転速度に同期させて、半導体レーザ1a〜1cの出力を高速度に変化させる制御回路を備える。ポリゴンミラー7の1面に対応した1回の主走査において、制御部9により、半導体レーザ1a〜1cは、走査線上の画素数に相当する回数だけ同時にパルス発光される。各パルス発光における半導体レーザ1a〜1cの駆動電流値は、その瞬間に集光スポットが走査している位置の画素のCMYの各濃度値に対応し、例えば256段階で制御される。
記録媒体10は、積層された複数の感熱記録層10c、10m、10yを備えている。これら複数の感熱記録層10c、10m、10yには、それぞれ熱により発色する感熱発色性組成物と、異なる波長域の光を吸収して発熱する光−熱変換材料とが含有されており、それぞれ異なる波長域の光を照射することによって、第1の感熱記録層10cはシアン(C)、第2の感熱記録層10mはマゼンタ(M)、第3の感熱記録層10yはイエロー(Y)の階調表現が可能となっている。
ここで、記録媒体10に積層された複数の感熱記録層10c、10m、10yのうち、例えば、第1の感熱記録層10cは、波長860nmの赤外レーザ光によってシアンに発色する感熱記録層であり、第2の感熱記録層10mは、波長785nmの赤外レーザ光によってマゼンタに発色する感熱記録層であり、第3の感熱記録層10yは、波長650nmの赤色レーザ光によってイエローに発色する感熱記録層となっている。
上記のように、半導体レーザ1aを制御することにより、第1の感熱記録層10cのシアンが256階調で表現され、半導体レーザ1bを制御することにより、第2の感熱記録層10mのマゼンタが256階調で表現され、半導体レーザ1cを制御することにより、第3の感熱記録層10yのイエローが256階調で表現され、その結果、1677万色のフルカラーの表現が可能となる。
なお、光学部100は、ポリゴンミラー7を用いてレーザ光の走査を行う従来の感熱記録型プリンタに応用された種々の光学素子を追加及び置換してもよい。例えば、別の収束レンズによって、ポリゴンミラー7の表面位置で第1焦点を形成し、ポリゴンミラー7で反射されたレーザ光を別のレンズで平行光に変換し、さらに別のfθレンズによって記録媒体10上に集光スポットを形成してもよい。
また、ビームを主走査方向に偏向走査する手段は、ポリゴンミラー7に限られるものではない。例えば、ポリゴンミラー7の代わりにガルバノミラーを配置し、ポリゴンミラー7の回転による主走査の代わりに、ガルバノミラーの揺動による主走査を行う構成であってもよい。
次に、上記のようにされた感熱記録型プリンタの集光スポットの形状についてさらに詳細に説明する。一般的な半導体レーザチップは、楕円形状の強度分布を備えており、図2に示すように、強度分布の中心におけるピーク強度が1/2になる位置における放射角(半値全角)として、例えば、半導体レーザチップ11の接合面BSに対して水平方向の放射角θHは約10度、垂直方向の放射角θVは約20度であり、水平方向の放射角θHが垂直方向の放射角θVの約半分となっている。
ここで、光ディスク等の情報記録媒体の記録又は再生を行う光学ヘッドに用いられるビーム整形レンズ2xは、例えば、図3のような形状を有しており、直交する2軸の方向d1及び方向d2に対し、片側の軸の方向d2にだけレンズ作用を持たせることで方向d2の光束径のみを縮小する。したがって、半導体レーザ1xの接合面がビーム整形レンズ2xのレンズ作用の無い方向と平行になるように、半導体レーザ1xがビーム整形レンズ2xに対して配置され、半導体レーザ1xからビーム整形レンズ2xへレーザ光が入射されると、図4に示すように、ビーム整形レンズ2xは、透過するレーザ光の垂直方向の放射角を小さくすることによって、入射したレーザ光の楕円形状の強度分布を略円形状の強度分布に変換して出射する。この結果、ビーム整形レンズ2xにより、楕円形の入射光束IBが円形の出射光束EBに変換される。
一方、本実施の形態では、半導体レーザ1a〜1cは、上記の半導体レーザチップ11と同様の半導体レーザチップを備え、ビーム整形レンズ2a〜2cは、半導体レーザ1a〜1cから出射されたレーザ光の強度分布を下記の強度分布に変換する働きを備えている。例えば、図5に示すように、半導体レーザ1a〜1cの接合面がビーム整形レンズ2a〜2cのレンズ作用を有する方向と平行になるように、半導体レーザ1a〜1cがビーム整形レンズ2a〜2cに対して配置され、半導体レーザ1a〜1cからビーム整形レンズ2a〜2cへレーザ光が入射される。
このとき、ビーム整形レンズ2a〜2cは、透過するレーザ光の垂直方向の拡がり角はそのままに、水平方向の拡がり角をさらに小さくする。この結果、入射光束IBよりアスペクト比の大きい楕円形状の強度分布を有する出射光束EBが得られる。また、ビーム整形レンズ2a〜2cは、コリメートレンズ5の手前に配置され、発散光束に対して用いられる。これにより、出射光束EBにおいて、楕円の短軸方向の径に対する長軸方向の径の比が入射光束IBよりも拡大される。このように、発散光束中で使用することにより、光学系の小型化が可能となる。
上記のように、大きなアスペクト比、例えば、(水平方向:垂直方向)すなわち(出射光束EBの楕円の短軸方向の径:出射光束EBの楕円の長軸方向の径)が(1:4)のような強度分布を持つレーザ光を、fθレンズ8によって記録媒体10上に集光することで、楕円形状の強度分布を持った集光スポットが記録媒体10上に走査される。
上記のように、本実施の形態では、半導体レーザ1a〜1cの接合面に垂直な方向が副走査方向に、接合面に平行な方向が主走査方向に向くように、半導体レーザ1a〜1cが光学的に配置されており、ビーム整形レンズ2a〜2cを出射した光が上述のように1:4のアスペクト比を有する。このため、記録媒体10上の集光スポットの主走査方向のスポット径をD1、副走査方向のスポット径をD2とすると、D1/D2=1/4となる。
次に、楕円形状の強度分布の集光スポットの効果について詳細に説明する。図6の(A)に示すように、例えば、本実施の形態の楕円形状の集光スポットOSの、主走査方向MSのスポット径の半値幅(FWHM:Full Width Half Maximum)D1は、20μmであり、副走査方向SSの半値幅D2は、80μmである。この集光スポットOSのパワー密度(エネルギ密度)W4は、比較例として示す図6の(B)の円形状の集光スポットCS(直径の半値幅80μm)のパワー密度W1と比べて、約4倍となる。
これらの集光スポットを用いて記録媒体10に記録を行う場合、同じ感度の記録媒体10に対して、同程度の濃度の階調を得るためには、図6の(B)の円形状の集光スポットCSは、本実施の形態の図6の(A)の楕円形状の集光スポットOSに対して、4倍のレーザ出力が必要となる。換言すれば、本実施の形態の図6の(A)の楕円形状の集光スポットOSを用いることにより、半導体レーザ1a〜1cの出力を1/4とすることができ、消費電力の低減及びコスト削減の効果を得ることができる。
また、図7の(A)に示すように、本実施の形態の楕円形状の集光スポットOSと、図7の(B)に示す直径の半値幅40μmの円形状の集光スポットC1とでは、W4=W5となり、パワー密度は等しくなるが、本実施の形態の楕円形状の集光スポットOSを用いた場合には副走査方向SSの送りピッチP1が、円形状の集光スポットC1の送りピッチP2の2倍となるため、本実施の形態では、副走査の数は1/2となり、ポリゴンミラー7の回転速度によって制限される主走査方向の速度が一定とすると、印刷時間を半分にすることができる。
さらに、図8の(B)に示すように、直径の半値幅80μmの円形状の集光スポットCSを用いて、画素間でも集光スポットCSを重ねながら記録媒体10上に記録を行うことで、記録媒体10に照射される単位時間あたりのパワー密度W6は、図8の(A)に示す本実施の形態の楕円形状の集光スポットOSのパワー密度W4と等しくなる。
しかしながら、記録媒体10上で、例えば、図8の(B)の領域AXを所定の濃度とするためには、図上で前後4つの集光スポットC1〜C4相当の出力を適切に制御し、且つ、それら制御された出力値が、隣接する画素に属する領域AYを所定の濃度にするための最適値でなければならない。すなわち、図8の(B)に示すように、画素間でも集光スポットを重ねながら記録を行うためには、記録すべき画素の前後の画素に対する影響を考慮し、レーザ光源である半導体レーザの出力を制御しなければならず、非常に複雑な制御が必要となる。
一方、図8の(A)に示す、本実施の形態の楕円形状の集光スポットOSでは、レーザ光源である半導体レーザ1a〜1cの出力は、所定の画素におけるCMYの各濃度値に対応した制御値に設定すればよく、単純な制御で所望の濃度値を実現できる。
なお、図6の(A)、図7の(A)及び図8の(A)では、楕円形状の集光スポットの効果を説明するため、楕円形状の集光スポットをそのまま配列した状態で示している。もっともスポット位置が主走査方向に移動するため、半導体レーザ1a〜1cの発光時間によって主走査方向のスポット径は変更することができる。この場合でも、レーザ光の強度分布を静止状態で楕円形状とする構成によって、半導体レーザの出力を上げずに副走査方向の送りピッチを大きくすることができることに変わりない。
上記のような効果を得るためには、集光スポットの主走査方向のスポット径D1と、副走査方向のスポット径D2との比は、D1/D2≦1/2であることが好ましく、D1/D2≦1/3であることがより好ましく、D1/D2≦1/4であることがさらに好ましい。例えば、D1/D2=1/4とし、集光スポットOSの副走査方向SSの半値幅80μmとした場合、本実施の形態の感熱記録型プリンタの解像度は、300dpi相当であり、各画素におけるCMYの濃度値をそれぞれ256階調で表現することで、写真画質として必要十分なフルカラーの印刷結果を得ることができる。
また、本実施の形態の感熱記録型プリンタは、レーザ光源である半導体レーザ1a〜1cの出力を制御して記録媒体10のそれぞれの感熱記録層10c、10m、10yに階調表現を行うものである。ここで、例えば、周囲の温度が低く、記録媒体10自身の温度が低くなっている場合には、感熱記録層10c、10m、10yに与える熱エネルギ(すなわち半導体レーザ1a〜1cの出力)は、周囲の温度が高い場合よりも大きくする必要がある。
従って、所定の濃度値を得るために感熱記録層10c、10m、10yに与える熱エネルギは、周囲の温度や記録媒体10の温度によって必ずしも一定ではないため、濃度値が一定の値となるよう、例えば、制御部9は、温度センサにより、周辺温度及び/又は記録媒体10の温度を検出し、検出した温度に応じて半導体レーザ1a〜1cの出力を調整することが望ましい。
あるいは、記録媒体10の所定の領域にいわゆる「試し書き」を行い、「試し書き」の結果得られた濃度をCCD等で読みとることで、半導体レーザ1a〜1cの出力を調整することも可能であり、この「試し書き」を行う領域は、記録媒体10の印刷領域とは異なる周辺領域を用いることが可能である。
例えば、図9に示すような「試し書き」の手法を用いることも可能である。まず、図9の(A)に示すように、推定されるレーザ光の出力の約1/10〜1/2程度の出力で記録媒体10の印刷領域内の所定の領域に「試し書き」を行う。次に、図9の(B)に示すように、得られた濃度をCCD等で読み取る。次に、図9の(C)に示すように、CCD等で読み取った濃度に応じて半導体レーザ1a〜1cの出力を調整し、「試し書き」を行った同じ箇所に、本来の濃度となるよう「重ね書き」を行う。この場合、上述の周辺領域を必要とせず、いわゆる「フチなし印刷」にも適用可能な「試し書き」による出力調整を実現することができる。
さらに、本実施の形態では、1ドットのピッチに相当する時間内で半導体レーザ1a〜1cの発光時間を調整することによって階調表現をすることも可能となる。すなわち、上述の実施の形態においては、各画素のシアン、マゼンタ、イエローの濃度値を256階調で表現するべく、各画素に対して感熱記録層10c、10m、10yに与える熱エネルギを256段階に制御するために、図10の(A)に示すように、各画素に対応したパルス発光における半導体レーザ1a〜1cの出力を256段階で制御するものとして説明を行った。図10の(A)に示す例では、画素1001では、隣接する画素1002より、半導体レーザ1a〜1cの出力が小さくなっている。
一方、例えば、図10の(B)に示すように、それぞれの画素に対して、各画素の通過時間よりも短い周期の16段階のパルス幅と、半導体レーザ1a〜1cの16段階の出力との組み合わせを用いて、各画素に対して感熱記録層10c、10m、10yに与える熱エネルギを256段階に制御することも可能である。図10の(B)に示す例では、隣接する画素1003、1004では、半導体レーザ1a〜1cの出力だけでなく、発光時間が異なっている。画素1003では、隣接する画素1004より、半導体レーザ1a〜1cの出力が小さく、さらに発光時間が短い。このように、時間軸方向に精度の高いパルス幅制御とレーザ出力制御とを組み合わせることにより、より精度の高い階調表現が可能になる。
なお、本実施の形態においては、記録媒体10上に楕円形状の集光スポットを形成するため、それぞれの半導体レーザ1a〜1cに対応したビーム整形レンズ2a〜2cを用いて、レーザ光の強度分布を楕円形状とする構成を示した。しかしながら、レーザ光の強度分布を楕円形状とするために、いわゆるアナモフィックプリズム等の他のビーム整形素子を用いても、同様に実施可能である。
例えば、図11に示すように、アナモフィックプリズム801を用いる場合、アナモフィックプリズム801と半導体レーザ1a〜1cとの間にコリメートレンズ5を配置する。コリメートレンズ5からの平行光は、アナモフィックプリズム801のプリズム面802に傾斜して入射させる。このように、アナモフィックプリズム801にて、平行光を屈折及び透過させることで、レーザ光の垂直方向のみの光束径を径R1から径R2に拡大することができ、上記と同様の楕円形状の集光スポットを作成することができる。ただし、アナモフィックプリズム801は、レンズに比べて作成が容易であるものの平行光中に配置する必要があり、光学系が大きくなってしまう。光学部の小型化のためには、本実施の形態に示したように、ビーム整形レンズを用いることが好ましい。
また、本実施の形態では、レーザ光の垂直方向(副走査方向)の径を拡大したが、この例に特に限定されず、ビーム整形素子によって、上述のようにレーザ光の垂直方向の径を拡大すると共に、又はその代わりに水平方向の径を縮小するようにしてもよい。また、ビーム整形素子によって、記録媒体10における集光スポットの主走査方向の径D1と副走査方向の径D2との比D1/D2が1/2以下となればよい。その場合、半導体レーザ1a〜1cは、その接合面に垂直な方向が副走査方向に、その接合面に平行な方向が主走査方向に向くように必ずしも配置する必要はない。例えば、レーザ光の垂直方向を縮小し、水平方向を拡大することによって、比D1/D2が1/2以下となるようにしてもよい。
また、レーザ光の光路の途中で非点収差を発生させて、記録媒体10上の集光スポットを楕円形状としてもよく、さらに記録媒体10上の集光スポットのアスペクト比も1:4に限られるものではない。例えばアスペクト比を1:2程度とする場合は、半導体レーザの垂直方向が記録媒体の副走査方向となるように半導体レーザを配置することで、上述のビーム整形素子が不要となり、光学部をさらに簡素化することができる。なお、上記の点は、後述する実施の形態2も同様である。
(実施の形態2)
図12は、本発明の実施の形態2における光ディスク用レーベルプリンタの概略構成図である。図12に示す光ディスク用レーベルプリンタは、光学ヘッド200、スピンドルモータ21及び制御部22を備え、光学ヘッド200は、レーザ光源である3つの半導体レーザ11a〜11c、3つのダイクロビームスプリッタ13a〜13c、コリメートレンズ15、立ち上げミラー17、対物レンズ18及び光検出器19を備える。なお、光学ヘッド200は、対物レンズを用いて情報の記録又は再生を行う従来の光学ヘッドに応用された種々の光学素子を追加及び置換してもよい。
本実施の形態の光ディスク用レーベルプリンタの光学ヘッド200は、通常の光ディスクドライブ装置の光学ヘッドと同様に、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、Blu−ray Disc等の光ディスク20に対して情報を記録及び/又は再生できるとともに、光ディスク20の情報記録面20aの反対側の面にレーザ光を照射することにより、任意の画像やタイトル等の文字を記録する光ディスク用レーベルプリンタとして用いることが可能である。
次に、図12を用いて、光ディスク用レーベルプリンタの動作について説明する。なお、光ディスクに対して情報の記録又は再生を行う、光学ヘッド200の本来の動作については、一般的な光ディスク用の光学ヘッドと同じであるため、その説明については省略する。
半導体レーザ11a〜11cは、それぞれ波長の異なるレーザ光を出射し、例えば、半導体レーザ11aは波長785nmの赤外レーザ光、半導体レーザ11bは波長650nmの赤色レーザ光、半導体レーザ11cは波長405nmの青紫レーザ光を出射し、それぞれの波長に対応した光ディスクに対して、情報の記録又は再生を行うことができる。
ここで、光ディスク20は、情報の記録又は再生を行う情報記録面20aの反対側の面に、積層された複数の感熱記録層20c、20m、20yを備えており、それぞれ異なる波長域の光を照射することによって、第1の感熱記録層20cはシアン(C)、第2の感熱記録層20mはマゼンタ(M)、第3の感熱記録層20yはイエロー(Y)の階調表現が可能となっている。
例えば、光ディスク20に積層された複数の感熱記録層20c、20m、20yのうち、第1の感熱記録層20cは、波長785nmの赤外レーザ光によってシアンに発色する感熱記録層であり、第2の感熱記録層20mは、波長650nmの赤色レーザ光によってマゼンタに発色する感熱記録層であり、第3の感熱記録層20yは、波長405nmの青紫レーザ光によってイエローに発色する感熱記録層となっている。
半導体レーザ11a〜11cから出射されたそれぞれ波長の異なるレーザ光は、レーザ光の波長に応じて選択的にレーザ光を透過又は反射させるダイクロビームスプリッタ13a〜13cによって、それぞれのレーザ光の光軸が一致させられる。光軸が一致したレーザ光は、コリメートレンズ15に入射して略平行光に変換され、立ち上げミラー17によって反射され、対物レンズ18によって光ディスク20の情報記録面20aの反対側の面に、積層された複数の感熱記録層20c、20m、20yに照射される。なお、感熱記録層20c、20m、20yに照射されるレーザ光は、情報の記録又は再生を行う際に情報記録面20aに回折限界まで収束される集光スポットとは異なり、大きく焦点ずれ(デフォーカス)している。
光検出器19は、情報記録面20aの記録又は再生を行う際に、情報記録面20aで反射したレーザ光を受光し、サーボ信号及び情報信号を検出するためのものであり、光学ヘッド200を光ディスク用レーベルプリンタとして用いる際には機能しない。
光ディスク20は、スピンドルモータ21によって回転しており、トラバースモータ(図示せず)によって光学ヘッド200全体を半径方向RDに走査することにより、光ディスク20の任意の位置(画素)にレーザ光による集光スポットを形成することが可能となる。
制御部22は、光ディスク20上の画素に対応して、半導体レーザ11a〜11cの出力を高速度に変化させ、パルス発光される。各パルス発光における半導体レーザ11a〜11cの駆動電流値は、集光スポットが形成される画素のCMYの各濃度値に対応し、例えば8段階で制御される。
上記のように、本実施の形態では、半導体レーザ11aを制御することにより、第1の感熱記録層20cのシアンが8階調で表現され、半導体レーザ11bを制御することにより、第2の感熱記録層20mのマゼンタが8階調で表現され、半導体レーザ11cを制御することにより、第3の感熱記録層20yのイエローが8階調で表現され、その結果、512色の表現が可能となる。
ここで、光学ヘッド200において、半導体レーザ11a〜11cの接合面に垂直な方向が光ディスクの半径方向RDとなるように配置されており、光ディスク20上の集光スポットOSaは、図13に示すようになり、光ディスク20の情報トラック方向TDの集光スポット径D1と光ディスク20の半径方向RDの集光スポット径D2との比を約1:2とすることができる。例えば、情報トラック方向TDのスポット径の半値幅D1が40μm、半径方向RDの半値幅D2が80μmとなっている。
上記のように、本実施の形態の光学ヘッド200は、図13に示すように、半径方向RDに大きい楕円形状の集光スポットOSaを形成しているため、実施の形態1と同様に、円形状の集光スポットと比べてパワー密度W7が大きくなり、半導体レーザ11a〜11cの出力を低減することができる。また、楕円形状の集光スポットを用いた場合には、半径方向RDの送りピッチRPが大きくなるため、スピンドルモータ21の回転速度によって制限される光ディスク回転速度が一定とすると、印刷時間を半分にすることができる。さらに、実施の形態1で示したように、レーザ光源である半導体レーザ11a〜11cの出力は、所定の画素におけるCMYの各濃度値に対応した制御値に設定すればよく、単純な制御で所望の濃度値を実現できる。
なお、本実施の形態においては、光ディスクの記録又は再生に用いる光学ヘッドを、光ディスク用レーベルプリンタに適用する場合について説明を行ったが、本発明はこのような実施の形態に限るものではなく、例えば、光ディスク用レーベルプリンタ専用の光学ヘッドとして構成することも可能である。この場合、光ディスク用レーベルプリンタ専用の光学ヘッドとすることで、光検出器が不要となり、構成がシンプルとなる。
また、図14に示すように、実施の形態1と同様に、ビーム整形レンズ14a〜14cを付加した光学ヘッド200aを用いて、情報トラック方向の集光スポット径と半径方向の集光スポット径の比を、例えば1:4程度としてもよい。
具体的には、ビーム整形レンズ14a〜14cは、駆動機構16a〜16cによりレーザ光の光軸を中心に回転可能に保持され、制御部22は、光学ヘッド200aを用いて光ディスク20に情報を記録又は再生するときは、駆動機構16a〜16cを制御してビーム整形レンズ14a〜14cを回転させ、図14に示す角度で、ビーム整形レンズ14a〜14cを半導体レーザ11a〜11cとダイクロビームスプリッタ13a〜13cとの間に配置させる。
この場合、ビーム整形レンズ14a〜14cは、図4と同様に、半導体レーザ11a〜11cから出射された楕円形状のレーザ光をより円形に近い楕円形状(好ましくは、円形形状)のレーザ光に変換し、レーザ光のアスペクト比を(1:2)から(1:1)に変換することができるので、光ディスク20に対する情報の記録又は再生に好適な、より円形に近い楕円形状のレーザ光を生成することができ、ビーム整形レンズ14a〜14cの不要な光学的影響を受けることなく、光学ヘッド200aを光ディスク20の記録又は再生に用いることができる。
また、制御部22は、光学ヘッド200aを、光ディスク20の感熱記録層20c、20m、20yに複数の画素で構成される画像を形成する用途、すなわち光ディスク用レーベルプリンタ用途に用いるときは、駆動機構16a〜16cを制御してビーム整形レンズ14a〜14cを図14に示す角度から90度回転させ、ビーム整形レンズ14a〜14cを半導体レーザ11a〜11cとダイクロビームスプリッタ13a〜13cとの間に配置させる。
この場合、ビーム整形レンズ14a〜14cは、図5と同様に、半導体レーザ11a〜11cから出射された楕円形状のレーザ光をより扁平な楕円形状のレーザ光に変換し、レーザ光のアスペクト比を(1:2)から(1:4)に変換することができる。この結果、図14に示す光ディスク用レーベルプリンタでも、実施の形態1と同様に、情報トラック方向の集光スポット径と半径方向の集光スポット径との比を1/4にすることができるので、レーベルの印刷に要する時間をさらに短縮でき、レーザ光源である半導体レーザの出力をさらに低減することも可能となる。なお、駆動機構16a〜16cとしては、種々の駆動機構を用いることができ、DCモータ、超音波モータ等を用いることができる。
なお、実施の形態1と同様に、ビーム整形レンズ14a〜14cを付加した光学ヘッド200aを用いて、情報トラック方向の集光スポット径と半径方向の集光スポット径の比を1:4にする構成は、上記の例に特に限定されず、以下のような構成を用いてもよい。
例えば、ビーム整形レンズ14a〜14cは、駆動機構16a〜16cにより光路上において移動可能に保持され、制御部22は、光学ヘッド200aを、光ディスク20の感熱記録層20c、20m、20yに複数の画素で構成される画像を形成する用途、すなわち光ディスク用レーベルプリンタ用途に用いるときは、駆動機構16a〜16cを制御し、図14に示すように、半導体レーザ11aとダイクロビームスプリッタ13aとの間にビーム整形レンズ14aを配置させ、半導体レーザ11bとダイクロビームスプリッタ13bとの間にビーム整形レンズ14bを配置させ、半導体レーザ11cとダイクロビームスプリッタ13cとの間にビーム整形レンズ14cを配置させる。
この結果、本例の光ディスク用レーベルプリンタでも、実施の形態1と同様に、情報トラック方向の集光スポット径と半径方向の集光スポット径との比を1/4にすることができるので、レーベルの印刷に要する時間をさらに短縮でき、レーザ光源である半導体レーザの出力をさらに低減することも可能となる。なお、駆動機構16a〜16cとしては、種々の駆動機構を用いることができ、スイングアーム型アクチュエータ、ソレノイド型アクチュエータ等を用いることができる。
また、制御部22は、光学ヘッド200aを用いて光ディスク20に情報を記録又は再生するときは、駆動機構16a〜16cを制御し、ビーム整形レンズ14aを半導体レーザ11aとダイクロビームスプリッタ13aとの間から移動させて光路外に配置させ、ビーム整形レンズ14bを半導体レーザ11bとダイクロビームスプリッタ13bとの間から移動させて光路外に配置させ、ビーム整形レンズ14cを半導体レーザ11cとダイクロビームスプリッタ13cとの間から移動させて光路外に配置させる。この結果、光学ヘッド200aを光ディスク20の記録又は再生に用いることができる。なお、この例において、半導体レーザとコリメートレンズとの光学的な距離等が変化する場合は、光学的な距離を補償する手段を適宜設けるようにしてもよい。
なお、上記の各実施の形態において、記録媒体10及び光ディスク20は、複数の感熱記録層を備え、それぞれの感熱記録層は初期状態が透明であり、与えられた熱エネルギに応じて発色する感熱記録層として説明を行ったが、本発明はこのような感熱記録層に限らず、初期状態で発色しており、与えられた熱エネルギに応じて色素が分解されるような感熱記録層であっても適用可能である。
また、実施の形態2のような、光ディスク用レーベルプリンタの用途で用いる場合には、光ディスク20は単一の感熱記録層を備え、その単一の感熱記録層は、与えられた熱エネルギに応じて発色する感熱記録層又は色素が分解される感熱記録層であってもよいことは明らかである。
上記の各実施の形態から本発明について要約すると、以下のようになる。すなわち、本発明に係る光ディスク用レーベルプリンタは、レーザ光を用いて光ディスク上に複数の画素で構成される画像を形成する光ディスク用レーベルプリンタであって、レーザ光源と、前記レーザ光源から出射されたレーザ光を集光スポットとして前記光ディスクに集光させる対物レンズと、前記レーザ光の出力を制御する制御部とを備え、前記集光スポットの前記光ディスクの情報トラック方向のスポット径D1と、前記集光スポットの前記光ディスクの半径方向のスポット径D2とは、D1/D2≦1/2を満たす。
この光ディスク用レーベルプリンタにおいては、情報トラック方向の集光スポット径と半径方向の集光スポット径との比を1/2以下にしているので、円形状の集光スポットを用いた場合に比して、レーザ光源の出力を半分以下に低減したり、半径方向の送りピッチを2倍以上に大きくすることができる。この結果、集光スポットのパワー密度を低下させることなく、高速な感熱記録を実現し、且つパワー制御が複雑にならない記録方式を実現することができ、安価で高性能な光ディスク用レーベルプリンタを提供することが可能となる。
上記光ディスク用レーベルプリンタは、前記レーザ光源から出射された楕円形状のレーザ光の、前記レーザ光源の接合面に平行な方向の放射角の半値全角を縮小及び/又は前記接合面に垂直な方向の放射角の半値全角を拡大するビーム整形素子をさらに備えることが好ましい。
この場合、ビーム整形素子により情報トラック方向の集光スポット径と半径方向の集光スポット径との比をさらに小さくすることができるので、集光スポットのパワー密度をより低下させることなく、より高速な感熱記録を実現し、且つパワー制御が複雑にならない記録方式を実現することができる。
上記光ディスク用レーベルプリンタは、前記ビーム整形素子を回転可能に保持する駆動部をさらに備え、前記駆動部は、前記光ディスクに画像を形成するときは、前記レーザ光源から出射された楕円形状のレーザ光をより扁平な楕円形状のレーザ光に変換するように前記ビーム整形素子を回転させ、前記光ディスクに情報を記録又は再生するときは、前記レーザ光源から出射された楕円形状のレーザ光をより円形に近い楕円形状のレーザ光に変換するように前記ビーム整形素子を回転させることが好ましい。
この場合、ビーム整形素子の不要な光学的影響を受けることなく、光ディスク用レーベルプリンタを光ディスクドライブ装置としても使用して光ディスクに情報を安定的に記録及び再生することができる。
上記光ディスク用レーベルプリンタは、前記ビーム整形素子を移動可能に保持する駆動部をさらに備え、前記駆動部は、前記光ディスクに画像を形成するときは、前記レーザ光源からのレーザ光の光路上に前記ビーム整形素子を配置させ、前記光ディスクに情報を記録又は再生するときは、前記レーザ光源からのレーザ光の光路外に前記ビーム整形素子を配置させるようにしてもよい。
この場合、光ディスク用レーベルプリンタを光ディスクドライブ装置としても使用して光ディスクに情報を安定的に記録及び再生することができる。
前記制御部は、一つの画素に対するレーザ光の発光パワーと発光時間との両方を制御して、複数の画素で構成される画像を階調表示することが好ましい。
この場合、時間軸方向に精度の高いパルス幅制御を行うことができるとともに、精度の高いレーザ出力制御を行うことができるので、より精度の高い階調表現が可能になる。
前記光ディスクは、初期状態が透明であり、前記集光スポットにより与えられた熱エネルギに応じて発色する感熱記録層を備えることが好ましい。
この場合、楕円形状の集光スポットの出力に応じた熱エネルギを与えて感熱記録層を発色させることができるので、階調表示された良好な画像を光ディスクに形成することができる。
前記レーザ光源は、それぞれ異なる波長λ1のレーザ光、波長λ2のレーザ光、波長λ3のレーザ光(λ1<λ2<λ3、単位:nm)を出射し、前記光ディスクは、初期状態が透明であり、前記集光スポットにより与えられた熱エネルギに応じてそれぞれ異なる色に発色する3層の感熱記録層を備え、前記3層の感熱記録層は、前記異なる波長のレーザ光の集光スポットにより、それぞれ熱エネルギを与えられることが好ましい。
この場合、レーザ光の波長に応じて3層の感熱記録層をそれぞれ異なる色に発色させることができるとともに、レーザ光の波長毎に楕円形状の集光スポットの出力に応じた熱エネルギを与えて3層の感熱記録層を任意の階調で発色させることができるので、写真画質として必要十分なフルカラーの画像を光ディスクに形成することができる。
前記光ディスクは、初期状態が発色しており、前記集光スポットにより与えられた熱エネルギに応じて色素が分解される感熱記録層を備えるようにしてもよい。
この場合、楕円形状の集光スポットの出力に応じた熱エネルギを与えて感熱記録層の色素を分解することができるので、階調表示された良好な画像を光ディスクに形成することができる。
前記レーザ光源は、それぞれ異なる波長λ1のレーザ光、波長λ2のレーザ光、波長λ3のレーザ光(λ1<λ2<λ3、単位:nm)を出射し、前記光ディスクは、初期状態がそれぞれ異なる色に発色しており、前記集光スポットにより与えられた熱エネルギに応じて色素が分解される3層の感熱記録層を備え、前記3層の感熱記録層は、前記異なる波長のレーザ光の集光スポットにより、それぞれ熱エネルギを与えられるようにしてもよい。
この場合、レーザ光の波長に応じて3層の感熱記録層のそれぞれ異なる色素を分解させることができるとともに、レーザ光の波長毎に楕円形状の集光スポットの出力に応じた熱エネルギを与えて3層の感熱記録層のそれぞれ異なる色素を任意の階調で分解することができるので、写真画質として必要十分なフルカラーの画像を光ディスクに形成することができる。
前記波長λ1は、350nm<λ1<450nmを満たし、前記波長λ2は、600nm<λ2<700nmを満たし、前記波長λ3は、750nm<λ3<850nmを満たすことが好ましい。
この場合、光ディスクの情報の記録又は再生に適した、それぞれ波長の異なるレーザ光を出射することができるので、光学部品を共用して、それぞれの波長に対応した光ディスクに対して、良好な画像を形成することができるとともに、情報の記録及び再生を行うことができる。
本発明に係る感熱記録型プリンタは、レーザ光を用いて記録媒体上に複数の画素で構成される画像を形成する感熱記録型プリンタであって、レーザ光源と、前記レーザ光源から出射されたレーザ光を集光スポットとして前記記録媒体に集光させて主走査方向に走査する走査部と、前記レーザ光の出力を制御する制御部とを備え、前記集光スポットの主走査方向のスポット径D1と、前記集光スポットの副走査方向のスポット径D2とは、D1/D2≦1/2を満たす。
この感熱記録型プリンタにおいては、主走査方向の集光スポット径と副走査方向の集光スポット径との比を1/2以下にしているので、円形状の集光スポットを用いた場合に比して、レーザ光源の出力を半分以下に低減したり、副走査方向の送りピッチを2倍以上に大きくすることができる。この結果、集光スポットのパワー密度を低下させることなく、高速な感熱記録を実現し、且つパワー制御が複雑にならない記録方式を実現することができ、安価で高性能な感熱記録型プリンタを提供することが可能となる。
本発明に係る感熱記録方法は、レーザ光を用いて記録媒体上に複数の画素で構成される画像を形成する感熱記録方法であって、レーザ光源から出射されたレーザ光を集光スポットとして前記記録媒体に集光させて所定の走査方向に走査するステップと、前記記録媒体を前記走査方向に直交する送り方向に搬送するステップとを含み、前記集光スポットの前記走査方向のスポット径D1と、前記集光スポットの前記送り方向のスポット径D2とは、D1/D2≦1/2を満たす。
この感熱記録方法においては、主走査方向の集光スポット径と送り方向の集光スポット径との比を1/2以下にしているので、円形状の集光スポットを用いた場合に比して、レーザ光源の出力を半分以下に低減したり、記録媒体の送りピッチを2倍以上に大きくすることができる。この結果、集光スポットのパワー密度を低下させることなく、高速な感熱記録を実現し、且つパワー制御が複雑にならない記録方式を実現することができる。
本発明に係る光ディスク用レーベルプリンタ又は感熱記録型プリンタは、集光スポットのパワー密度を低下させることなく、高速な感熱記録を実現し、且つパワー制御が複雑にならない安価で高性能な記録方式を実現できるため、光ディスクドライブ装置としても機能する光ディスク用レーベルプリンタ、又は写真用感熱記録型プリンタ等に有用である。