JPWO2008126469A1 - インクジェットプリンタ及びインクジェット記録方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、少なくともカチオン重合型インクを、インクジェット記録ヘッドのノズルより噴射して記録媒体上に画像を形成するインクジェットプリンタあるいはインクジェット記録方法において、インク接液部での析出物の発生を抑制し、かつ吐出安定性に優れた画像記録を行うことができるインクジェットプリンタ及びインクジェット記録方法を提供する。このインクジェットプリンタは、少なくともカチオン重合性モノマーを含有するインクジェットインクを、インクジェット記録ヘッドのノズルより噴射して、記録媒体上に画像形成するのに用いるインクジェットプリンタにおいて、該インクジェットインクと接する接液部材の少なくとも一部が、アルマイト処理されたアルミニウム部材またはアルマイト処理されたシリコン含有アルミニウム部材で構成されていることを特徴とする。

Description

本発明は、カチオン重合性モノマーを含有するインクジェットインクを用いて画像形成を行うインクジェットプリンタと、それを用いたインクジェット記録方法に関するものである。
近年、インクジェット記録方式は、簡便で、かつ安価に画像を作成できるため、写真、各種印刷、マーキング、カラーフィルター等の特殊印刷等、様々な印刷分野に応用されてきている。一般に、水を主溶媒とした水系のインクジェットインクのインク吸収能を備えたインクジェット専用紙を用いて記録するが、室温で固型のワックスインクを用いる相変化インクジェット方式、速乾性の有機溶剤を主体としたインクジェットインクを用いるソルベント系インクジェット方式や、記録後に紫外線等の活性光線の照射により架橋させる活性光線硬化型インクジェット方式など、水系インクジェットインク以外の各種インクジェットインクも実用化されている。
中でも、活性光線硬化型インクジェットインクを用いたインクジェット記録方式は、ソルベント系インクジェットインクを用いたインクジェット記録方式に比べ、比較的低臭気、即乾性で、インク吸収能のない記録媒体への記録ができる点で、近年注目されつつあり、様々な構成からなる活性光線硬化型インクジェットインクの技術が開示されている。
活性光線硬化型インクジェットインクとしては、(メタ)アクリレートに代表されるラジカル系重合性化合物を用いるものが実用化されているが、最近では、記録媒体に対する密着性、低臭気性、酸素による重合阻害が少ない等の理由で、カチオン重合性化合物を用いた活性光線硬化型インクジェットインク及びそれを用いたインクジェットプリンタが提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
一方、インクジェットプリンタにおいては、インクジェットインクが接液するインク供給路などを構成する材料としては、経済性や加工の簡便性という観点からステンレス、アルミニウムなどの金属を用いることが多い。(例えば、特許文献3、4参照。)。
上記の様な金属材料から構成されるインクジェットプリンタにより、カチオン重合性モノマーを含有するインクジェットインクを、記録媒体上に吐出して画像記録を行う場合、使用される環境条件やインクジェット記録ヘッド内部のインク供給路の構成材料によっては、インクジェットインク中に析出物が発生し、この析出物がインク供給路を詰まらせ、ノズル部に到達することで、出射不良を引き起こすことが判明した。
一般に、活性光線硬化性インクジェットインクにおける析出は、活性光線の漏れ光や顔料の凝集が原因であることがあり、それに関する対策はこれまで様々な改善手段が講じられているが、カチオン重合型インクは、インクジェットプリンタの接液部材として金属材料を用いた場合、望ましくない電気化学反応が生じ、インク成分の分解物または重合物が生じることが判明した。このように、インクジェットプリンタの接液部材として金属材料を用いるとカチオン重合型インクを長期にわたって金属材料に接触させると、予期しないインクの重合反応が起こることがわかってきた。
例えば、これらの金属材料は電気伝導性の素材であることが多い。例えば、インクジェットプリンタのインク流路に導電性接液部材として、SUS、銅、アルミニウム等が適用しされている。また、インクジェットプリンタのインクジェットヘッドに導電性接液部材を適用した例が知られているが、これらの電気伝導性部材は、一般には、水系インクジェットインク、溶剤系インクジェットインク、オイル系インクジェットインク、紫外線硬化型インクジェットインク、ソリッド系インクジェットインクなど各種インクに対する耐久性が高く、また、インクに対しても悪影響を与えることが少ないと考えられている。
これら電気伝導性部材と、重合性の導電性インクとが接触すると、望ましくない電気化学反応が生じ、インク成分の分解物または重合物が、流路内やインクジェットヘッド内に生じることが判明した。また、腐食に伴い金属の溶解が起こるが、重合性化合物を含むインクを用いた場合、この起電力や金属溶解が引き金となって、長期にわたってインクを流路内やインクジェットヘッド内に接触させると、予期しないインクの重合反応が起こるのである。特に、オニウム塩など光酸発生剤を必須材料とするカチオン重合性の活性光線硬化型インクジェットインクは、インクの電気伝導性が比較的高くなるため、この問題を引き起こしやすい。これらの反応生成物はインクに再溶解せず、ヘッド内、特に、ノズル周辺部に堆積した場合、出射直進性の低下を引き起こし、最悪の場合、復帰不能なノズル詰まりを引き起こすことになる。
特開2005−290246号公報 特開2004−34543号公報 特開2005−238742号公報 特開2006−159619号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、少なくともカチオン重合型インクを、インクジェット記録ヘッドのノズルより噴射して記録媒体上に画像を形成するインクジェットプリンタあるいはインクジェット記録方法において、インク接液部での析出物の発生を抑制し、かつ吐出安定性に優れた画像記録を行うことができるインクジェットプリンタ及びインクジェット記録方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.少なくともカチオン重合性モノマーを含有するインクジェットインクを、インクジェット記録ヘッドのノズルより噴射して、記録媒体上に画像形成するのに用いるインクジェットプリンタにおいて、該インクジェットインクと接する接液部材の少なくとも一部が、アルマイト処理されたアルミニウム部材で構成されていることを特徴とするインクジェットプリンタ。
2.少なくともカチオン重合性モノマーを含有するインクジェットインクを、インクジェット記録ヘッドのノズルより噴射して、記録媒体上に画像形成するのに用いるインクジェットプリンタにおいて、該インクジェットインクと接する接液部材の少なくとも一部が、アルマイト処理されたシリコン含有アルミニウム部材で構成されていることを特徴とするインクジェットプリンタ。
3.前記アルマイト処理されたシリコン含有アルミニウム部材は、シリコン含有率が10%以上であることを特徴とする前記2に記載のインクジェットプリンタ。
4.前記アルマイト処理されたアルミニウム部材及びアルマイト処理されたシリコン含有アルミニウム部材は、下記の評価方法で評価したときに、それぞれ気泡の発生及び溶液の色変化が無い部材であることを特徴とする前記1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタ。
評価方法:NaClの0.2質量%溶液に、フェノールフタレインの1質量%溶液を数滴滴下して調製した25℃の試験溶液に、評価部材(アルマイト処理したアルミニウム部材)を浸漬する。次いで、該評価部材を陰極とし、陽極にステンレス板を設置し、電極間に2.0Vの電圧を90秒間印加し、該評価部材表面からの気泡の発生および試験溶液の色変化を目視評価する。
5.前記アルマイト処理されたアルミニウム部材及びアルマイト処理されたシリコン含有アルミニウム部材におけるアルマイト膜厚が、それぞれ9μm以上であることを特徴とする前記1乃至4のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタ。
6.前記インクジェットインクが、カチオン重合性モノマーとしてオキセタン環を有する化合物及びエポキシ化合物を含有することを特徴とする前記1乃至5のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタ。
7.前記インクジェットインクが、カチオン重合性モノマーとしてビニルエーテル化合物を含有することを特徴とする前記1乃至6のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタ。
8.前記1乃至7のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタを用いて、少なくともカチオン重合性モノマーを含有するインクジェットインクを、前記インクジェットプリンタのインクジェット記録ヘッドのノズルより噴射して、記録媒体上に画像を形成することを特徴とするインクジェット記録方法。
本発明により、少なくともカチオン重合型インクを、インクジェット記録ヘッドのノズルより噴射して記録媒体上に画像を形成するインクジェットプリンタあるいはインクジェット記録方法において、インク接液部での析出物の発生を抑制し、かつ吐出安定性に優れた画像記録を行うことができるインクジェットプリンタ及びインクジェット記録方法を提供することができた。
本発明の実施の形態に係るフィルタ及び中間タンクを備えたインクジェットプリンタの全体構成を示す図である。 本発明のインクジェットプリンタのインク供給路構成の一例を示す概略構成図である。 本発明のインクジェットプリンタに適用可能な記録ヘッドの分解斜視図である。 図3に記載のインクジェットプリンタを、図3に対してほぼ180度異なる方向から見たときの分解斜視図である。 図3に記載のインクジェットプリンタに備わるマニホールドを示す分解斜視図である。 図5に記載のマニホールドを結合した際の下面図である。 本発明のインクジェットプリンタのうち、インクジェット記録ヘッド及び活性光線を照射する照射手段について示した正面図である。 ラインヘッド方式のインクジェット記録装置の要部構成の一例を示す上面図である。
符号の説明
1、101 インクタンク
2、73、104 記録ヘッド
3 活性エネルギー線源
4、103 キャリッジ
6、110 フィルタボックス
7、108 中間タンク
8、102 インク供給路
14 筐体フレーム
14r インク流路
15 ヘッドチップ
16a、16b マニホールド
26 インク供給路
41 記録ヘッドチップ
48a、48b マニホールド
51a、51b フィルタ
59 供給用インク流路
61 第1連通用流路
63 第2連通用流路
71 記録装置
72 ヘッドキャリッジ
81 インク吐出口
74 照射手段
75 プラテン部
76 ガイド部材
77 蛇腹構造
78 照射光源
105 中間タンクユニット
106 中間タンク前室
107 フィルタ
109、111 フィルタ隣接部
J1〜J6 ジョイント
N ノズル
P 記録材料
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、1)少なくともカチオン重合性モノマーを含有するインクジェットインク(以下、カチオン重合硬化型インクジェットインクあるいは単にインクともいう)を、インクジェット記録ヘッドのノズルより噴射して、記録媒体上に画像形成するのに用いるインクジェットプリンタにおいて、該インクジェットインクと接する接液部材の少なくとも一部を、アルマイト処理されたアルミニウム部材で構成することを特徴とするインクジェットプリンタ、あるいは2)少なくともカチオン重合性モノマーを含有するインクジェットインクを、インクジェット記録ヘッドのノズルより噴射して、記録媒体上に画像形成するのに用いるインクジェットプリンタにおいて、該インクジェットインクと接する接液部材の少なくとも一部が、アルマイト処理されたシリコン含有アルミニウム部材で構成されていることを特徴とするインクジェットプリンタにより、カチオン重合硬化型インクジェットインクと接液する構成のインクジェットプリンタを用いても、異物の生成を抑制し、吐出安定性に優れたカチオン重合硬化型インクジェットインクを実現できるインクジェットプリンタを実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
通常、カチオン重合性モノマーを含有するインクジェットインクは、同時に存在する光酸発生剤が、活性光線の照射を受けることにより酸を発生し、その酸によりカチオン重合性モノマーの重合が開始される。しかし、このカチオン重合性組成物を含有するインクは、インクタンク、中間タンク、インク流路、インクジェット記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドともいう)で長期間にわたり停滞された際、接液部から電子の供給を受けると、活性光線の照射なしに、その電子の授受によってインク中に酸が発生し、それにより重合が開始するため、不正な重合組成物が発生する。
この様な不正な重合物の発生を防止する手段について鋭意検討を進めた結果、インクジェットプリンタの接インク部材の少なくとも一部に、アルマイト処理されたアルミニウム部材またはアルマイト処理されたシリコン含有アルミニウム部材で構成することにより、不正な重合反応による重合組成物の発生を防止できることを見出したものである。
以下、本発明の詳細について説明する。
《インクジェットプリンタ》
本発明のインクジェットプリンタは、主には、カチオン重合性モノマーを含有するインクを貯留するインクタンク、該インクタンクから記録ヘッドにインクを送液するためのインク供給路、該インク供給路より供給されたインクを、記録媒体上に出射する記録ヘッド、及び記録媒体上に着弾したインク液滴を硬化させるための活性光線照射光源より構成され、また、インクタンクと記録ヘッドのインク供給路には、フィルタあるいは中間タンク等が設けられている。
図1は、本発明の実施の形態に係るフィルタ及び中間タンクを備えたインクジェットプリンタの全体構成の一例を示す斜視図である。
1はカチオン重合性モノマーを含有するインクを貯留して供給するインクタンクであり、図1では、一例として、イエローインクタンク1Y、マゼンタインクタンク1M、シアンインクタンク1C及び黒インクタンク1Kからなる構成を示している。2は、記録媒体P上にインク液滴を吐出して画像を形成するノズルを有する記録ヘッドであり、イエロー記録ヘッド2Y、マゼンタ記録ヘッド2M、シアン記録ヘッド2C及び黒記録ヘッド2Kで構成される。3は、活性エネルギー線(例えば、紫外線)を記録媒体P上に着弾したインクに照射する活性エネルギー線源である。
4はキャリッジであり、キャリッジ4は記録ヘッド2及びエネルギー線源3を一体に搭載しており、キャリッジガイド5により案内されて矢印WX1、WX2で示すように往復移動して、記録媒体Pを走査し、記録媒体Pに画像を形成する。この様な記録方式のインクジェットプリンタは、シリアルヘッド方式と呼ばれている。
6はフィルタボックスであり、イエロー用フィルタボックス6Y、マゼンタ用フィルタボックス6M、シアン用フィルタボックス6C及び黒用フィルタボックス6Kで構成される。7は中間タンクであり、イエロー用中間タンク7Y、マゼンタ用中間タンク7M、シアン用中間タンク7C及び黒用中間タンク7Kで構成される。
インクはインクタンク1からフィルタボックス6を経て中間タンク7に送られ、中間タンク7からインク供給路8を経て記録ヘッド2に供給される。インク供給路8はイエローインク用、マゼンタインク用、シアンインク用及び黒インク用の供給路で構成されており、各単色インクはそれぞれ独立して、インクタンク1からインク供給路8を経て記録ヘッド2に供給される。
10は記録ヘッド2の回復処理を行うメンテナンスユニットであり、記録ヘッド2をキャッピングする吸引キャップ9を有する。12は廃インクを収容する廃インク容器であり、フラッシングにおいて、記録ヘッド2から強制吐出されたインクを受け、その廃インクを収容する。
図2は、本発明のインクジェットプリンタのインク供給路構成の一例を示す構成図である。
図2の(a)においては、インクタンク101は、ジョイントJ1を介してインク供給路102に接続され、更にこのインク供給路102の端部は、ジョイントJ2を介してキャリッジ103に収納されている記録ヘッド104に接続されている。画像形成情報に従って記録ヘッド104のノズルNより記録媒体上に、インク液滴が吐出され、ついで、瞬時に活性エネルギー線源Lより、着弾したインクに活性エネルギー線を照射して、インクを硬化させる。
図2の(b)は、インク供給路102の途中に、フィルタ107を内蔵した中間タンクユニット105を設けた一例である。インクタンク101の排出口とインク供給路102AとをジョイントJ1で接続し、ジョイントJ3を介して中間ユニットタンク105に接続されている。インクはジョイントJ3部より中間タンク前室106に送液された後、フィルタ107により異物等を除いた後、中間タンク108に送液される。次いで、中間タンク108とインク供給路102BがジョイントJ4を介して接続されている。このインク供給路102Bは、中間タンク108に貯留された濾過済のインクを記録ヘッド104に供給するためのインク供給ラインである。なお、図2の(b)に示す109は、フィルタ107に隣接するフィルタ隣接部である。
図2の(c)は、図2の(b)における中間タンクユニット105に代えて、フィルタ107を内蔵したフィルタボックス110を設けた例である。フィルタボックス110は、インクの入側をジョイントJ5を介し、またインクの出側をジョイントJ6を介して、それぞれインク供給路102A、102Bとで接続されている。フィルタボックス110中のフィルタ107でインク中の異物等を除いた後、インクは記録ヘッド104に供給される。なお、図2の(c)に示す111は、フィルタ107に隣接するフィルタ隣接部である。
上記説明した図2においては、便宜上、マゼンタ用の記録ヘッドへインクを供給するラインのみを示してあるが、図1に記載のように、同様の供給ラインが、イエロー用記録ヘッド、シアン用記録ヘッド、黒用記録ヘッドにも設けられている。また、図2には、説明に必要な構成のみを示しており、図2に記載はしていないが、例えば、インクの送液を制御する電磁弁、分岐ジョイント、送液ポンプの他、記録ヘッドの制御部等が設けられる。
本発明のインクジェットプリンタにおいては、例えば、図1あるいは図2に示すインクジェットプリンタあるいはインクインク供給ラインにおいて、1)インクを貯留するインクタンク部材、2)中間タンク、3)フィルタ、4)各ジョイント、5)インクタンクからインクを出射するインクジェット記録ヘッドまでのインク供給路を構成する接液部材、あるいは6)インクジェット記録ヘッド、7)インクジェット記録ヘッドへ供給するインクを一時貯留するインク保留部(マニホールドともいう)等を構成する接液部材の少なくとも一部が、アルマイト処理されたアルミニウム部材、またはアルマイト処理されたシリコン含有アルミニウム部材で構成されていることを特徴とし、更には、2)中間タンク、3)フィルタ、4)各ジョイント、5)インクタンクからインクを出射するインクジェット記録ヘッドまでのインク供給路、6)インクジェット記録ヘッド、7)インクジェット記録ヘッドへ供給するインクを一時貯留するインク保留部を構成する接液部材の少なくとも一部が、アルマイト処理されたアルミニウム部材、またはアルマイト処理されたシリコン含有アルミニウム部材で構成されていることが好ましく、特には、7)インクジェット記録ヘッドへ供給するインクを一時貯留するインク保留部が、アルマイト処理されたアルミニウム部材、またはアルマイト処理されたシリコン含有アルミニウム部材で構成されていることが好ましい。
本発明において、接液部とは、インクタンク、各インク供給路、中間タンクユニット、フィルタボックス、それらを接続するジョイント群、インクジェット記録ヘッド、マニホールド等であり、本発明に係るカチオン重合性モノマーを含有するインクと直接的に接する部分である。具体的には、図2の(a)に示すインク供給ラインでは、インクタンク101の内部、インク供給路102の内部、ジョイントJ1、J2及びマニホールドを含む記録ヘッド104の内部である。また、図2の(b)に示すインク供給ラインでは、インクタンク101の内部、インク供給路102A、102Bの内部、ジョイントJ1〜J4、中間タンクユニット105のフィルタ107とフィルタ隣接部109及びマニホールドを含む記録ヘッド内部104である。また、図2の(c)に示すインク供給ラインでは、インクタンク101の内部、インク供給路102A、102Bの内部、ジョイントJ1、J2、J5、J6、フィルタボックス110内のフィルタ107とフィルタ隣接部111及びマニホールドを含む記録ヘッド内部104である。
本発明のインクジェットプリンタにおいては、例えば、図1あるいは図2に示すインクジェットプリンタあるいはインクインク供給ラインにおいて、1)インクを貯留するインクタンク部材、2)中間タンク、3)フィルタ、4)各ジョイント、5)インクタンクからインクを出射するインクジェット記録ヘッドまでのインク供給路を構成する接液部材、あるいは6)インクジェット記録ヘッド、7)インクジェット記録ヘッドへ供給するインクを一時貯留するインク保留部(マニホールドともいう)等を構成する接液部材の少なくとも一部が、アルマイト処理されたアルミニウム部材、またはアルマイト処理されたシリコン含有アルミニウム部材で構成されている。
次いで、本発明のインクジェットプリンタにおいて、特に、本発明に係るアルマイト処理されたアルミニウム部材、またはアルマイト処理されたシリコン含有アルミニウム部材を適用することが好ましい記録ヘッドの詳細について説明する。
図3及び図4を参照して本発明に係る記録ヘッドについて説明する。
図3及び図4は、本発明のインクジェットプリンタに適用可能な記録ヘッド2の分解斜視図である。図3と図4は、互いに異なる方向(ほぼ180度異なる)から見たときのそれぞれの分解斜視図である。
記録ヘッド2は、筐体フレーム(枠状部材)14と、記録ヘッドチップ(以下単に「ヘッドチップ」という。)15と、2つのマニホールド16a、16bと、キャップ受け板(キャップ受け部)17と、2つのフレキシブル配線基板18a、18bと、2つの駆動回路基板19a、19bと、外部コネクタ21と、配線支持板22と、フレキシブル配線基板23と、カバー24とを備えて構成される。
ヘッドチップ15は矢印E方向に長尺な外形を有しており、ヘッドチップ15の端部15aには多数のノズルが矢印E方向に連続して設けられている。具体的には、ノズル形状の孔を加工した金属や樹脂等からなるプレート(ノズルプレート)を下端面に貼付することによりヘッドチップ15の所定位置にノズルを設ける。その結果、ノズル出口がヘッドチップ15の一端面(ノズル面15b)に配置される。この矢印E方向に連続して設けられたノズルの列をノズル列ということとする。記録ヘッド2はノズル列が2列構成されたものである。これらのノズルの出口がインク吐出口となる。記録ヘッド2は矢印E方向と主走査方向WX1,WX2とが直交するようにキャリッジに搭載される。
ヘッドチップ15はその内部に形成されたインク流路(加圧室)に充填されたインクをノズルから吐出する装置である。ヘッドチップ15の端部15aのノズル入口前にはそのノズルからインクを吐出するための圧力(吐出力)を発生する圧電素子が付設されたインク流路(加圧室)が各ノズル毎に対応して形成されている。ヒータ素子等他の手段によって吐出力を発生させても良い。一方のノズル列の各ノズルへ吐出力を与える圧電素子を駆動回路基板19aに実装された駆動回路により駆動し、他方のノズル列の各ノズルへ吐出力を与える圧電素子を駆動回路基板19に実装された駆動回路により駆動する。そのために、駆動回路基板19a、19bはそれぞれフレキシブル配線基板18a、18bを介してヘッドチップ15の両側面に接続される。
駆動回路基板19a、19bと外部との電気的接続は外部コネクタ21、フレキシブル配線基板23、内部コネクタ20a、20bにより行われる。内部コネクタ20a、20bは駆動回路基板19a、19bにそれぞれ実装されている。
フレキシブル配線基板23の外部電極は外部コネクタ21に接続されており、この外部電極を含むフレキシブル配線基板23の一端部は配線支持板22上に貼付されて支持されている。フレキシブル配線基板23の他端部は二股に分かれるように配線支持板22から延設され、その先端にそれぞれ内部電極(図示省略)が形成されている。これらの内部電極が各内部コネクタ20a、20bに接続される。記録ヘッド2の実装時には、外部コネクタ21はキャリッジ3に設置されたコネクタ(図示省略)に接続される。
ヘッドチップ15の両側面にはそれぞれマニホールド16a、16bが取り付けられる。マニホールド16a、16bのヘッドチップ15の側面側にはフィルタ設置部a1、a2が設けられている。フィルタ設置部a1に対してフィルタa3が取り付けられ、フィルタ設置部a2に対してフィルタa4が取り付けられる。なお、各フィルタa3、a4は、各々対応するフィルタ設置部a1、a2に熱圧着若しくは接着により取り付けられるのが好ましい。また、フィルタ設置部a1を図4に示し、フィルタ設置部a2を図3に示している。
キャップ受け板17はマニホールド16a、16bに取り付けられる。このとき、キャップ受け板17に設けられた開口部17aを介してノズル面15bが露出する。
筐体フレーム14に形成された流路コネクタ14pに、インク供給路(図2におけるインク供給路102B)26からインクが供給される。流路コネクタ14pの外径は、インク供給路26の内径よりもわずかに小さく形成されており、流路コネクタ14pとインク供給路26とは、流路コネクタ14pをインク供給路26内に挿入するとともに、インク供給路26の内側に配置されたオーリングを介して接続されている。
なお、インク供給路26が伸縮性の樹脂等で形成される場合においては、インク供給路26の内径を、流路コネクタ14pの外径よりも小さくしておけば、流路コネクタ14pをインク供給路26内に挿入することにより、インク供給路26が伸縮して流路コネクタ14pの外周に密着する。このため、オーリングを用いなくとも、インク供給路26と流路コネクタ14pとの隙間を埋めることができる。また、インク供給路26の収縮力によって、流路コネクタ14pとインク供給路26との接続が固定される。
筐体フレーム14の流路コネクタ14p及び流路形成部14n内には、連続してインク流路14rが形成されており、このインク流路14rが各マニホールド16a、16bと接続する。マニホールド16a、16bに到達するインクはフィルタa3、a4を通過して、さらにヘッドチップ15に形成されたインク流路(加圧室)に導入される。
キャップ受け板17は吸引キャップ8や保湿キャップ6を受けて、これらと密着するものである。
筐体フレーム14は、ヘッドチップ15、マニホールド16a、16b及びキャップ受け板17を装着する基端フレーム部14aと、基端フレーム部14aの長手方向の両端からそれぞれ立設された側壁部14g、14hと、両側壁部14g、14hに架け渡すように形成された放熱板14k及びコネクタ支持部14mと、両側壁部14g、14hの内側にそれぞれ形成されたヘッドチップ保持部14i、14jとを備える。
ヘッドチップ15の両端部がヘッドチップ保持部14i、14jにそれぞれ保持される。ヘッドチップ15、2つのマニホールド16a、16b、キャップ受け板17及び基端フレーム部14aは互いに接着剤により固定される。
駆動回路基板19a、19bは放熱板14kに接合される。コネクタ支持部14mは外部コネクタ21を支持する。
筐体フレーム14にカバー24が取り付けられ、記録ヘッド2の4側面と上端面(=ノズル面15bと反対側の面)が構成される。記録ヘッド2の上端面を構成するカバー24の端面には、コネクタ保持開口24aが形成されている。筐体フレーム14にカバー24が取り付けられると、外部コネクタ21及び配線支持板22はコネクタ保持開口24aによって保持される。
また、基端フレーム部14aの外周には3つの支点当接部14b、14c、14dと、2つのボルト挿通部14e、14fとが付設されている。3つの支点当接部14b、14c、14dはキャリッジ3へ記録ヘッド2を位置決めする際に、キャリッジ3側の3支点に当接して支持される部分である。位置決め後、記録ヘッド2をキャリッジ3に固定するためのボルトがボルト挿通部14e、14fに穿設されたボルト挿通孔に挿通される。
次に、図5及び図6を参照にしてマニホールド16a、16bについて詳細に説明する。図5はマニホールド16a、16bの斜視図、図6は結合されたマニホールド16a、16bの下面図である。
マニホールド16a、16bのフィルタ設置部a1、a2の内側には、ヘッドチップ15へインクを供給する供給凹部16c(マニホールド16bの供給凹部は図示省略)が設けられており、マニホールド16a、16bがヘッドチップ15に取り付けられると、供給凹部16cとヘッドチップ15の加圧室入口とがフィルタa3、a4を介して連通し、ヘッドチップ15へのインク供給が可能となる。また、マニホールド16a、16bの一方の側端面(図5では左側)には、供給凹部16cの内部洗浄の際に洗浄液を排出するための排出管16e、16eが突出されているとともに、他方の側端面(図5では右側)には、供給凹部16c内部にインクを流入させるインク流入管16d、16dが突出されている。また、マニホールド16a、16bの中央部には、キャップ受け板17を固定するための被係合片16f、16fが設けられている。
マニホールド16aの両端部には、マニホールド16bの流入管16d及び排出管16eに係合する係合爪16g、16hが設けられており、マニホールド16a、16bが結合されるときにマニホールド16bの流入管16d及び排出管16eと係合し両者の結合を固定する。
マニホールド16bには、マニホールド16aと結合した際にマニホールド16aを支持する支持台16i、16jが、両端部の下部に設けられており、マニホールド16a、16bが結合された際には、支持台16i、16jの下面と被係合片16f、16fの下面とが面一となる。
一端側の支持台16jには、キャップ受け板17を固定するために被係合溝部16k、16kが、一端側が開口するように設けられている。
上記のような構成からなる記録ヘッドにおいて、インクと直接的に接する構成部材の少なくとも一部が、本発明に係るアルマイト処理されたアルミニウム部材、またはアルマイト処理されたシリコン含有アルミニウム部材により構成されていることを特徴とし、特には、マニホールド16a、16bのインク接液部が、本発明に係るアルマイト処理されたアルミニウム部材により構成されていることが好ましい。
《アルマイト処理されたアルミニウム》
次いで、本発明に係るアルマイト処理されたアルミニウム部材について説明する。
一般に、アルミニウムは、未処理状態の表面でも空気酸化を受けて薄い酸化皮膜を生成するので、鉄と比べると腐食に対しては強いが、耐擦過性や環境適合性が低い金属であり、これを改良する方法として、陽極酸化(アルマイト)が施されている。
本発明でいうアルミニウムの陽極酸化(アルマイト)とは、アルミニウムを陽極として電解を行い、アルミニウム表面に特異な形状をした酸化皮膜を形成する方法である。
陽極酸化によって得られたアルマイト皮膜は、密着性、均一性に優れており、膜厚も電解条件と時間によって決まるので、電気めっき法に比較し、所望の膜厚を得ることができる。
アルミニウム基材に施す陽極酸化(アルマイト)処理は、通常、例えば、クロム酸、硫酸、シュウ酸、ホウ酸、スルファミン酸などの酸性浴中で、アルミニウム又はアルミニウム合金で構成された支持体を陽極にして電解処理を行い、支持体表面に酸化皮膜を形成する。
陽極酸化に適用する処理条件は、用いる電解質によって最適条件が異なるため、一概に特定し得ないが、一般的には、電解質の濃度が1〜80質量%、液温が5〜70℃、電流密度が0.5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜10時間の範囲にあれば適当である。
陽極酸化処理する前に、アルミニウム支持体に対し、酸、アルカリ、有機溶剤、界面活性剤等の各種脱脂洗浄方法により脱脂処理を行うことが好ましい。更に、その後、アルカリ、酸、フッ化物等で表面をエッチング処理を行うことも好ましい。
支持体に使用するアルミニウム合金としては、種々のものが使用でき、例えば、珪素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケル、チタン、鉄等の金属とアルミニウムの合金が用いられる。本発明に使用されるアルミニウム支持体は、組成を特に限定するものではなく、公知、公用のものを適用することができる。
部材の加工精度の点より、シリコン含有量の多いアルミ合金がより好ましいが、上記の通常のアルマイト加工では処理時間が非常に長くなったり、表面が不均一になることがある。
本発明においては、アルミニウム部材が、アルマイト処理されたシリコン含有アルミニウム部材であることを特徴の1つとし、更にはシリコン含有量が10%以上であることが好ましく、特には20%以上含有しているものが好ましい。
このようなシリコン含有量が多いアルミ合金をアルマイト処理する場合には、特開2005−113262号に記載されているような特殊なアルマイト加工が必要となる。
本発明に係るアルマイト処理されたアルミニウム部材及びアルマイト処理されたシリコン含有アルミニウム部材においては、アルマイト処理されたアルミニウム部材及びアルマイト処理されたシリコン含有アルミニウム部材におけるアルマイト膜厚が9μm以上であることが好ましい。
本発明でいうアルマイト処理されたアルミニウム部材及びアルマイト処理されたシリコン含有アルミニウム部材におけるアルマイト膜厚が9μm以上であるとは、アルマイト処理されたアルミニウムにより構成された部材の全てのインク接液面に、厚さが少なくとも9μmのアルマイト膜が形成され、アルマイト膜が形成されていない領域がないことを意味しており、それぞれの領域におけるアルマイト膜が全ての領域で均一膜厚で形成されていることを意味するものではない。
本発明において、インク接液面が所定の膜厚でアルマイト膜が形成されているか否かについては、請求の範囲4に規定する方法に従って確認することとができる。
すなわち、被検体である全面にアルマイト処理を施したアルミニウム部材を、NaClの0.2質量%溶液に、フェノールフタレインの1質量%溶液を数滴滴下して調製した25℃の試験溶液に浸漬する。次に、アルマイト処理を施したアルミニウム部材を陰極とし、陽極にステンレス板を設置し、電極間に2.0Vの電圧を90秒間印加し、その間に、アルマイト処理を施したアルミニウム部材表面からの気泡発生の有無、あるいは試験溶液の色変化の有無を目視観察し、気泡発生や試験溶液の色変化が認められなければ、このアルマイト処理を施したアルミニウム部材は、所定の膜厚以上のアルマイト膜が全面に形成されていると判定する。逆に、気泡発生や試験溶液の色変化(赤変)が認められた場合は、アルミニウム表面に形成したアルマイト膜厚が不均一であり、本発明で規定する膜厚以下の領域、あるいはアルマイト膜が形成されてなくアルミニウム支持体が露出している領域が存在し、電気分解を起こして電気分解ガスの発生や水酸化アルミニウムの生成により試験溶液がアルカリ側にシフトしていることを示している。
《インクジェットインク》
次いで、本発明のインクジェットプリンタ及びインクジェット記録方法で用いるインクジェットインクの各構成要素について、順次説明する。
〔カチオン重合性モノマー〕
本発明に係るインクは、少なくともカチオン重合性モノマーを含有するカチオン重合性硬化型インクジェットインクであることを特徴の1つとする。
本発明に係るインクおいては、カチオン重合性モノマーとしては、各種公知のカチオン重合性モノマーを用いることができ、その中でも、オキセタン環を有する化合物及びエポキシ化合物を用いることが好ましく、更にはそれらに加えてビニルエーテル化合物を含有することが好ましい。
(オキセタン環を有する化合物)
本発明に好適に用いることができるオキセタン環を有する化合物について説明する。
〈2位が置換されているオキセタン環を有するオキセタン化合物〉
本発明に係るインクでは、カチオン重合性モノマーとして、下記一般式(14)で表される2位が置換されているオキセタン環を分子中に少なくとも1つ有するオキセタン化合物を用いることが好ましい。
上記一般式(14)において、R1〜R6は各々水素原子または置換基を表す。但し、R3〜R6で表される基の少なくとも一つは置換基である。一般式(14)において、R1〜R6で表される置換基としては、例えば、フッ素原子、炭素数1〜6個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基等)、炭素数1〜6個のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、フリル基またはチエニル基を表す。また、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
〈分子中に1個のオキセタン環を有するオキセタン化合物〉
更に、上記一般式(14)の中でも、下記一般式(15)〜(18)で表されるオキセタン環を有する化合物が好ましく用いられる。
式中、R1〜R6は水素原子または置換基を表し、R7、R8は各々置換基を表し、Zは各々独立で酸素または硫黄原子、あるいは主鎖に酸素または硫黄原子を含有してもよい2価の炭化水素基を表す。一般式(15)〜(18)において、R1〜R6で表される置換基は前記一般式(14)のR1〜R6で表される置換基と同義である。
一般式(15)〜(18)において、R7、R8で表される置換基としては、炭素数1〜6個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基等)、炭素数1〜6個のアルケニル基(例えば、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基または3−ブテニル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、アラルキル基(例えば、ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基等)、炭素数1〜6個のアシル基(例えば、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基またはペンチルカルボニル基等)、炭素数1〜6個のアルコキシカルボニル基(例えば、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等)、炭素数1〜6個のアルキルカルバモイル基(例えば、プロピルカルバモイル基、ブチルペンチルカルバモイル基等)、アルコキシカルバモイル基(例えば、エトキシカルバモイル基等)を表す。
一般式(15)〜(18)において、Zで表される酸素または硫黄原子、あるいは主鎖に酸素または硫黄原子を含有してもよい2価の炭化水素基としては、アルキレン基(例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、プロピレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基等)、アルケニレン基(例えば、ビニレン基、プロペニレン基等)、アルキニレン基(例えば、エチニレン基、3−ペンチニレン基等)が挙げられ、また前記のアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基の炭素原子は酸素原子や硫黄原子に置き換わっていてもよい。
上記の置換基の中でも、R1が低級アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)が好ましく、特に好ましく用いられるのはエチル基である。また、R7及びR8としてはプロピル基、ブチル基、フェニル基またはベンジル基が好ましく、Zは酸素または硫黄原子を含まない炭化水素基(アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基等)が好ましい。
〈分子中に2個以上のオキセタン環を有する化合物〉
また、本発明では、下記一般式(19)、(20)で表されるような分子中に2個以上のオキセタン環を有する化合物を用いることができる。
式中、Zは前記一般式(15)〜(18)において用いられる基と同義であり、mは2、3または4を表す。R1〜R6は水素原子、フッ素原子、炭素数1〜6個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)、炭素数1〜6個のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)またはフリル基を表す。但し、一般式(19)においては、R3〜R6の少なくとも一つは置換基である。
式中、R9は炭素数1〜12の線形または分岐アルキレン基、線形または分岐ポリ(アルキレンオキシ)基、または下記一般式(22)、(23)及び(24)からなる群から選択される2価の基を表す。
上記の炭素数1〜12の分岐アルキレン基の一例としては、下記一般式(21)で表されるアルキレン基が好ましく用いられる。
式中、R10は低級アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)を表す。
式中、nは0または1〜2000の整数を表し、R12は炭素数1〜10個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基等)を表し、R11は炭素数1〜10個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基等)または下記一般式(25)で表される基を表す。
式中、jは0または1〜100の整数を表し、R13は炭素数1〜10個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基等)を表す。
式中、R14は水素原子、炭素数1〜10個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基等)、炭素数1〜10個のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等)、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、アルコキシカルボニル基((例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基等)またはカルボキシル基を表す。
式中、R15は酸素原子、硫黄原子、−NH−、−SO−、−SO2−、−CH2−、−C(CH32−、または、−C(CF32−を表す。
本発明で使用されるオキセタン環を有する化合物の好ましい部分構造の態様としては、例えば、上記一般式(19)、(20)において、R1が低級アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)であることが好ましく、特に好ましくはエチル基である。また、R9としてはヘキサメチレン基、または上記一般式(23)において、R14が水素原子であるものが好ましく用いられる。
上記一般式(21)において、R10がエチル基、R12及びR13がメチル基、Zが酸素または硫黄原子を含まない炭化水素基が好ましい。
更に、本発明に係るオキセタン環を有する化合物の好ましい態様の一例としては、下記一般式(26)で表される化合物が挙げられる。
式中、rは25〜200の整数であり、R16は炭素数1〜4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)またはトリアルキルシリル基を表す。R1、R3、R5、R6は、上記一般式(14)においてR1〜R6で表される置換基と同義である。但し、R3〜R6の少なくとも一つは置換基である。
以下、本発明に係る2位が置換されているオキセタン環を有する化合物の具体例を例示化合物1〜15として示すが、本発明はこれらに限定されない。
1:trans−3−tert−ブチル−2−フェニルオキセタン
2:3,3,4,4−テトラメチル−2,2−ジフェニルオキセタン
3:ジ[3−エチル(2−メトキシ−3−オキセタニル)]メチルエーテル
4:1,4−ビス(2,3,4,4−テトラメチル−3−エチル−オキセタニル)ブタン
5:1,4−ビス(3−メチル−3−エチルオキセタニル)ブタン
6:ジ(3,4,4−トリメチル−3−エチルオキセタニル)メチルエーテル
7:3−(2−エチル−ヘキシルオキシメチル)−2,2,3,4−テトラメチルオキセタン
8:2−(2−エチル−ヘキシルオキシ)−2,3,3,4,4−ペンタメチル−オキセタン
9:4,4′−ビス[(2,4−ジメチル−3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]ビフェニル
10:1,7−ビス(2,3,3,4,4−ペンタメチル−オキセタニル)ヘプタン)
11:オキセタニル・シルセスキオキサン
12:2−メトキシ−3,3−ジメチルオキセタン
13:2,2,3,3−テトラメチルオキセタン
14:2−(4−メトキシフェニル)−3,3−ジメチルオキセタン
15:ジ(2−(4−メトキシフェニル)−3−メチルオキセタン−3−イル)エーテル
上記少なくとも2位が置換されているオキセタン環を有する化合物の合成は、下記に記載の文献を参考に合成することができる。
(1)Hu Xianming,Richard M.Kellogg,Synthesis,533〜538,May(1995)
(2)A.O.Fitton,J.Hill,D.Ejane,R.Miller,Synth.,12,1140(1987)
(3)Toshiro Imai and Shinya Nishida,Can.
J.Chem.Vol.59,2503〜2509(1981)
(4)Nobujiro Shimizu,Shintaro Yamaoka,and Yuho Tsuno,Bull.Chem.Soc.Jpn.,56,3853〜3854(1983)
(5)Walter Fisher and Cyril A.Grob,Helv.Chim.Acta.,61,2336(1978)
(6)Chem.Ber.101,1850(1968)
(7)“Heterocyclic Compounds with Three− and Four−membered Rings”,Part Two,Chapter IX,Interscience Publishers,John Wiley&Sons,New York(1964)
(8)Bull.Chem.Soc.Jpn.,61,1653(1988)
(9)Pure Appl.Chem.,A29(10),915(1992)
(10)Pure Appl.Chem.,A30(2&3),189(1993)
(11)特開平6−16804号公報
(12)ドイツ特許第1,021,858号明細書
上記少なくとも2位が置換されているオキセタン環を有する化合物の本発明に係るインク中における含有量は、1〜97質量%が好ましくは、より好ましくは30〜95質量%である。
〈オキセタン化合物とその他のモノマーとの併用〉
また、本発明に係る少なくとも2位が置換されているオキセタン環を有する化合物は、単独で用いてもよいが、構造の異なる2種を併用してもよく、また、後述する、光重合性モノマーや重合性モノマー等の光重合性化合物等を併用して使用することができる。併用する場合、混合比は少なくとも2位が置換されているオキセタン環を有する化合物が混合物中、10〜98質量%になるように調整することが好ましく、またその他の光重合性モノマーや重合性モノマー等の光重合性化合物が2〜90質量%になるように調整することが好ましい。
〈3位のみに置換基を有するオキセタン化合物〉
本発明に係るインクでは、上記の2位に置換基を有するオキセタン化合物と従来公知のオキセタン化合物とを併用することができるが、中でも3位のみに置換基を有するオキセタン化合物が好ましく併用できる。
ここで、3位のみに置換基を有するオキセタン化合物としては、例えば、特開2001−220526号公報、同2001−310937号公報に紹介されているような公知のものを使用することができる。
3位のみに置換基を有する化合物としては、下記一般式(27)で示される化合物が挙げられる。
一般式(27)において、R1は水素原子やメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基、フリル基またはチエニル基である。R2はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜6個のアルキル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等の炭素数2〜6個のアルケニル基、フェニル基、ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基、フェノキシエチル基等の芳香環を有する基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基等の炭素数2〜6個のアルキルカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等の炭素数2〜6個のアルコキシカルボニル基、またはエチルカルバモイル基、プロピルカルバモイル基、ブチルカルバモイル基、ペンチルカルバモイル基等の炭素数2〜6個のN−アルキルカルバモイル基等である。
本発明で使用可能なオキセタン化合物としては、1個のオキセタン環を有する化合物を使用することが記録媒体との密着性に優れ、低粘度で作業性に優れるため特に好ましい。
2個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、下記一般式(28)で示される化合物等が挙げられる。
一般式(28)において、R1は上記一般式(27)におけるそれと同様の基である。
3は、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等の線状または分枝状アルキレン基、ポリ(エチレンオキシ)基、ポリ(プロピレンオキシ)基等の線状または分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基、プロペニレン基、メチルプロペニレン基、ブテニレン基等の線状または分枝状不飽和炭化水素基、またはカルボニル基またはカルボニル基を含むアルキレン基、カルボキシル基を含むアルキレン基、カルバモイル基を含むアルキレン基等である。
また、R3としては下記一般式(29)、(30)及び(31)で示される基から選択される多価基も挙げることができる。
一般式(29)において、R4は水素原子やメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のアルコキシ基、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、低級アルコキシカルボニル基、カルボキシル基またはカルバモイル基である。
一般式(30)において、R5は酸素原子、硫黄原子、メチレン基、NH、SO、SO2、C(CF32またはC(CH32を表す。
一般式(31)において、R6はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基である。nは0〜2000の整数である。R7はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基の炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基である。R7としては、更に下記一般式(32)で示される基から選択される基も挙げることができる。
一般式(32)において、R8はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基である。mは0〜100の整数である。
2個のオキセタン環を有する化合物の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
例示化合物1は、前記一般式(28)においてR1がエチル基、R3がカルボキシル基である化合物である。また、例示化合物2は、前記一般式(28)においてR1がエチル基、R3が前記一般式(31)でR6及びR7がメチル基、nが1である化合物である。
2個のオキセタン環を有する化合物において、上記の化合物以外の好ましい例としては、下記一般式(33)で示される化合物がある。一般式(33)において、R1は前記一般式(27)のR1と同義である。
また、3〜4個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、下記一般式(34)で示される化合物が挙げられる。
一般式(34)において、R1は前記一般式(27)におけるR1と同義である。R9としては、例えば、下記A〜Cで示される基等の炭素数1〜12の分枝状アルキレン基、下記Dで示される基等の分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基または下記Eで示される基等の分枝状ポリシロキシ基等が挙げられる。jは3または4である。
上記Aにおいて、R10はメチル基、エチル基またはプロピル基等の低級アルキル基である。また、上記Dにおいて、pは1〜10の整数である。
3〜4個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、例示化合物3が挙げられる。
更に、上記説明した以外の1〜4個のオキセタン環を有する化合物の例としては、下記一般式(35)で示される化合物が挙げられる。
一般式(35)において、R8は前記一般式(32)のR8と同義である。R11はメチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基またはトリアルキルシリル基であり、rは1〜4である。
本発明において、オキセタン化合物の好ましい具体例としては、以下に示す例示化合物4、5、6がある。
上述したオキセタン環を有する各化合物の製造方法は、特に限定されず、従来知られた方法に従えばよく、例えば、パティソン(D.B.Pattison,J.Am.Chem.Soc.,3455,79(1957))が開示している、ジオールからのオキセタン環合成法等がある。また、これら以外にも、分子量1000〜5000程度の高分子量を有する1〜4個のオキセタン環を有する化合物も挙げられる。これらの具体的化合物例としては、以下の例示化合物7、8、9が挙げられる。
(エポキシ化合物)
本発明に係るインクに適用可能なエポキシ化合物としては、エポキシ基を有する化合物のモノマー及びそのオリゴマーのいずれも使用できる。具体的には、従来公知の芳香族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物及び脂肪族エポキシ化合物が挙げられる。なお、以下エポキシ化合物とは、モノマーまたはそのオリゴマーを意味する。本発明におけるオリゴマーとしては、低分子量の化合物が好ましく、分子量が1000未満のオリゴマーがより好ましい。
芳香族エポキシ化合物として好ましいものは、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジまたはポリグリシジルエーテルであり、例えば、ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、ならびにノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
脂環式エポキシ化合物としては、少なくとも1個のシクロヘキセンまたはシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することによって得られるシクロヘキセンオキサイドまたはシクロペンテンオキサイド含有化合物が好ましく、具体例としては、以下に示す化合物等が挙げられる。
脂肪族エポキシ化合物の好ましいものとしては、脂肪族多価アルコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル等があり、その代表例としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテルまたは1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリンあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
更に、これらの化合物の他に、分子内に1個のオキシラン環を有するモノマーである脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル及びフェノール、クレゾールのモノグリシジルエーテル等も用いることができる。これらのエポキシ化合物のうち、速硬化性を考慮すると、芳香族エポキシ化合物及び脂環式エポキシ化合物が好ましく、特に脂環式エポキシ化合物が好ましい。本発明では、上記エポキシ化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
本発明で好ましく用いることできるエポキシ化合物の具体例を以下に挙げる。
脂環式エポキシ化合物の添加量としては、インク全質量に対し、温度、湿度に対する硬化性の変動を少なくするという点から10質量%以上であることが好ましく、硬化後の膜物性の強度を維持するという点から80質量%以下で含有することが好ましい。本発明では、脂環式エポキシ化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
また、これらの脂環式エポキシ化合物は、その製法は問わないが、例えば、丸善KK出版、第四版実験化学講座20有機合成II、213〜、平成4年、Ed.by Alfred Hasfner,The chemistry of heterocyclic compounds−Small Ring Heterocycles part3 Oxiranes,John&Wiley and Sons,An Interscience Publication,New York,1985、吉村、接着、29巻12号、32、1985、吉村、接着、30巻5号、42、1986、吉村、接着、30巻7号、42、1986、特開平11−100378号、特許2906245号、特許2926262号の各公報等の文献を参考にして合成できる。
本発明に係る活性光線硬化型組成物においては、エポキシ化合物として、エポキシ化脂肪酸エステルまたはエポキシ化脂肪酸グリセライドを含有する。
エポキシ化脂肪酸エステルまたはエポキシ化脂肪酸グリセライドをオキセタン化合物/脂環式エポキシ化合物の系に併用することにより、AMES及び感作性、皮膚刺激性、臭気等の安全・環境の観点で好ましいだけでなく、硬化環境(温度、湿度)により硬化収縮による皺の発生、硬化性・吐出性の不良等の従来からの問題点を解決することができる。
本発明で用いることのできるエポキシ化脂肪酸エステル、エポキシ化脂肪酸グリセライドとしては、脂肪酸エステル、脂肪酸グリセライドにエポキシ基を導入したものであれば、特に制限はなく用いられる。
エポキシ化脂肪酸エステルは、オレイン酸エステルをエポキシ化して製造されたもので、エポキシステアリン酸メチル、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸オクチル等が用いられる。また、エポキシ化脂肪酸グリセライドは、同様に大豆油、アマニ油、ヒマシ油等をエポキシ化して製造されたもので、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ヒマシ油等が用いられる。
(ビニルエーテル化合物)
本発明に係るインクで用いることのできるビニルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、i−プロペニルエーテル−O−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
これらのビニルエーテル化合物の内、硬化性、密着性、表面硬度を考慮すると、ジ又はトリビニルエーテル化合物が好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。本発明では、上記ビニルエーテル化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
〔カチオン重合開始剤〕
本発明において、カチオン重合開始剤(光重合開始剤)としてオニウム塩を用いることができる。オニウム塩としては、スルホニウム塩、オキソニウム塩、ヨードニウム塩等が挙げられる。
本発明でカチオン重合開始剤として用いられるスルホニウム塩としては、下記一般式〔1〕〜〔4〕で表されるスルホニウム塩化合物が好ましい。
上記一般式〔1〕〜〔4〕において、R31〜R47はそれぞれ水素原子、または置換基を表し、R31〜R33が同時に水素原子を表すことがなく、R34〜R37が同時に水素原子を表すことがなく、R38〜R41が同時に水素原子を表すことがなく、R42〜R47が同時に水素原子を表すことはない。
31〜R47で表される置換基としては、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロピル基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基等のアルコキシ基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、デシルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ベンゾイルオキシ基等のカルボニル基、フェニルチオ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基等を挙げることができる。
31は、非求核性のアニオン残基を表し、例えば、F、Cl、Br、I等のハロゲン原子、B(C654、R18COO、R19SO3、SbF6、AsF6、PF6、BF4等を挙げることができる。ただし、R18及びR19は、それぞれメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基等で置換されていてもよいアルキル基もしくはフェニル基を表す。この中でも、安全性の観点からB(C654、PF6が好ましい。
上記化合物は、THE CHEMICAL SOCIETY OF JAPAN Voi.71 No.11,1998年、有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、に記載の光酸発生剤と同様、公知の方法にて容易に合成することができる。
本発明においては、前記一般式〔1〕〜〔4〕で表されるスルホニウム塩が、下記一般式〔5〕〜〔13〕から選ばれるスルホニウム塩の少なくとも1種であることが、特に好ましい。X31は非求核性のアニオン残基を表し、前述と同様である。
本発明においては、一般式(1)〜(4)で表されるスルホニウム塩が、前記一般式(5)〜(13)から選ばれるスルホニウム塩の少なくとも1種であることが特に好ましい。Xは非求核性のアニオン残基を表し、前述と同様である。
ヨードニウム塩を含めた例示化合物としては、前記(5)〜(13)式のX=PF6
他に下記の化合物が挙げられる。
本発明に係る活性光線硬化型インクにおいて、光重合開始剤として、オニウム塩を1質量%以上〜5質量%未満含有することが好ましい。オニウム塩を1質量%未満では、硬化性が劣化する恐れがある。一方、5質量%以上含有させると硬化性は良化するが、保存性が劣化する懸念がある。
〔色材〕
本発明に係るインクでは、色材として顔料を含有することが好ましい。本発明で好ましく用いることのできる顔料を、以下に列挙する。
C.I Pigment Yellow−1、3、12、13、14、17、42、74、81、83、87、93、95、109、120、128、138、139、151、166、180、185
C.I Pigment Orange−16、36、38
C.I Pigment Red−5、22、38、48:1、48:2、48:4、49:1、53:1、57:1、63:1、101、122、144、146、177、185
C.I Pigment Violet−19、23
C.I Pigment Blue−15:1、15:3、15:4、18、60、27、29
C.I Pigment Green−7、36
C.I Pigment White−6、18、21
C.I Pigment Black−7
上記顔料の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等を用いることができる。分散媒体は光重合性化合物、その中でも最も粘度の低いモノマーを選択することが分散適性上好ましい。
顔料の分散は顔料粒子の平均粒径を0.08〜0.5μmとすることが好ましく、最大粒径は0.3〜10μm、好ましくは0.3〜3μmとなるよう、顔料、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を適宜設定する。この粒径管理によってヘッドノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性および硬化感度を維持することができる。
本発明に係るインクにおいては、色材濃度としてはインク全体の1質量%乃至10質量%であることが好ましい。
顔料分散剤としては、塩基性のアンカー部を有するものを用いることが好ましく、且つ櫛形構造を有する高分子分散剤を用いることが更に好ましい。
本発明で用いることのできる顔料分散剤の具体例としては、Avecia社製ソルスパース9000、同17000、同18000、同19000、同20000、同24000SC、同24000GR、同28000、同32000、味の素ファインテクノ社製アジスパーPB821、同PB822、楠本化成社製PLAAD ED214、同ED251、DISPARLON DA−325、同DA−234、EFKA社製EFKA−5207、同5244、同6220、同6225等が挙げられる。また、顔料分散剤と併せて顔料誘導体(シナジスト)を用いることができる、顔料誘導体の具体例としては、Avecia社製ソルスパース5000、同12000、同22000、EFKA社製EFKA−6746、同6750等が挙げられる。
本発明に係るインクでは、25℃における粘度が10mPa・s以上、50mPa・s未満であることが好ましい。
(添加剤)
本発明に係るインクには、上記説明した以外に様々な添加剤を用いることができる。例えば、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類を添加することができる。また、保存安定性を改良する目的で、公知のあらゆる塩基性化合物を用いることができるが、代表的なものとして、塩基性アルカリ金属化合物、塩基性アルカリ土類金属化合物、アミン、脂肪酸アミン塩、各種防錆剤などの塩基性有機化合物などが挙げられる。
《記録媒体》
本発明のインクジェットプリンタにより画像形成を行う際に用いる記録媒体としては、様々な記録媒体を用いることができるが、本発明に係る活性光線硬化型のインクの特性をいかんなく発揮できる観点から、インクの吸収能を実質的に持たない記録媒体であることが好ましく、通常の非コート紙、コート紙などの他、いわゆる軟包装に用いられる各種非吸収性のプラスチックおよびそのフィルムを用いることができ、各種プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、延伸ポリスチレン(OPS)フィルム、延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム、延伸ナイロン(ONy)フィルム、ポリ塩化ビニル(PVC)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム等を挙げることができる。その他のプラスチックとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、ポリビニルアルコール(PVA)、ゴム類などが使用できる。また、金属類や、ガラス類にも適用可能である。これらの記録媒体の中でも、特に熱でシュリンク可能な、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルムへ画像を形成する場合に本発明の構成は、有効となる。これらの基材は、インクの硬化収縮、硬化反応時の発熱などにより、フィルムのカール、変形が生じやすいばかりでなく、インク膜が基材の収縮に追従し難い。
これらの各種プラスチックフィルムの表面エネルギーは大きく異なり、記録媒体によっては、インク着弾後のドット径が変わってしまうことが、従来から問題となっていた。本発明に係るインクは、表面エネルギーの低いOPPフィルム、OPSフィルムや表面エネルギーの比較的大きいPETまでを含む、表面エネルギーが35〜60mN/mの広範囲な記録媒体に良好な高精細な画像を形成できる。
本発明において、包装の費用や生産コスト等の記録媒体のコスト、プリントの作製効率、各種のサイズのプリントに対応できる等の点で、長尺(ウェブ)な記録媒体を使用する方が有利である。
《インクジェット記録方法》
次に、本発明のインクジェットプリンタによるインクジェット記録方法について説明する。
本発明のインクジェット記録方法においては、本発明に係るインクをインクジェット記録方式により記録媒体上に吐出、描画し、次いで紫外線などの活性光線を照射してインクを硬化させる方法が好ましい。
(インク着弾後の総インク膜厚)
本発明では、記録媒体上にインクが着弾し、活性光線を照射して硬化した後の総インク膜厚が2〜25μmであることが好ましい。スクリーン印刷分野の活性光線硬化型インクジェット記録では、総インク膜厚が25μmを越えているのが現状であるが、記録媒体が薄いプラスチック材料であることが多い軟包装印刷分野では、前述した記録媒体のカール・皺の問題でだけでなく、印刷物全体のこし・質感が変わってしまうという問題が有るため、過剰な膜厚のインク吐出は好ましくない。
尚、ここで「総インク膜厚」とは記録媒体に描画されたインクの膜厚の最大値を意味し、単色でも、それ以外の2色重ね(2次色)、3色重ね、4色重ね(白インクベース)のインクジェット記録方式で記録を行った場合でも総インク膜厚の意味するところは同様である。
(インクの吐出条件)
インクの吐出条件としては、記録ヘッド及びインクを35〜100℃に加熱し、吐出することが吐出安定性の点で好ましい。活性光線硬化型インクは温度変動による粘度変動幅が大きく、粘度変動はそのまま液滴サイズ、液滴射出速度に大きく影響を与え、画質劣化を起こすため、インク温度を上げながらその温度を一定に保つことが必要である。インク温度の制御幅としては、設定温度±5℃、好ましくは設定温度±2℃、更に好ましくは設定温度±1℃である。また、本発明では、各ノズルより吐出する液滴量が2〜15plであることが好ましい。
(インク着弾後の光照射条件)
本発明の画像形成方法においては、活性光線の照射条件として、インク着弾後0.001秒〜1秒の間に活性光線が照射されることが好ましく、より好ましくは0.001秒〜0.5秒である。高精細な画像を形成するためには、照射タイミングが出来るだけ早いことが特に重要となる。
本発明によるインクジェット記録方法にあっては、インク組成物を記録媒体に付着させた後に、光照射を行う。光照射は可視光照射、紫外線照射であってもよく、特に紫外線照射が好ましい。紫外線照射を行う場合、紫外線照射量は100mJ/cm2以上、好ましくは500mJ/cm2以上であり、また10,000mJ/cm2以下、好ましくは5,000mJ/cm2以下の範囲で行う。かかる程度の範囲内における紫外線照射量であれば、十分硬化反応を行うことができ、また紫外線照射によって着色剤が退色してしまうことも防止できるので有利である。紫外線照射はメタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアーク灯、ケミカルランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ等のランプが挙げられる。例えば、Fusion System社製のHランプ、Dランプ、Vランプ等の市販されているものを用いて行うことができる。
メタルハライドランプは高圧水銀ランプ(主波長は365nm)に比べてスペクトルが連続しており、200〜450nmの範囲で発光効率が高く、且つ長波長域が豊富である。従って、本発明に係る活性光線硬化型のインクジェットインクの様に、色材として顔料を使用している場合はメタルハライドランプが適している。
活性光線の照射方法として、その基本的な方法が特開昭60−132767号公報に開示されている。これによると、ヘッドユニットの両側に光源を設け、シャトル方式でヘッドと光源を走査する。照射はインク着弾後、一定時間を置いて行われることになる。更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させる。米国特許第6,145,979号明細書では、照射方法として光ファイバーを用いた方法や、コリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されている。本発明の画像形成方法においては、これらの何れの照射方法も用いることが出来る。
また、活性光線を照射を2段階に分け、まずインク着弾後0.001〜2秒の間に前述の方法で活性光線を照射し、且つ全印字終了後、更に活性光線を照射する方法も好ましい態様の1つである。活性光線の照射を2段階に分けることで、よりインク硬化の際に起こる記録媒体の収縮を抑えることが可能となる。
従来、UVインクジェット方式では、インク着弾後のドット広がり、滲みを抑制のために、光源の総消費電力が1kW・hrを超える高照度の光源が用いられるのが通常であった。しかしながら、これらの光源を用いると、特にシュリンクラベルなどへの印字では、記録媒体の収縮があまりにも大きく、実質上使用出来ないのが現状であった。
本発明では、254nmの波長領域に最高照度をもつ活性光線を用いることが好ましく、総消費電力が1kW・hr以上の光源を用いても、高精細な画像を形成出来、且つ記録媒体の収縮も実用上許容レベル内に収められる。
本発明においては、更に活性光線を照射する光源の総消費電力が1kW・hr未満であることが好ましい。総消費電力が1kW・hr未満の光源の例としては、蛍光管、冷陰極管、熱陰極管、LEDなどがあるが、これらに限定されない。
(インクジェットプリンタ)
次いで、その構成に関して詳述した本発明のインクジェットプリンタを用いた画像記録方法について、図を用いて説明する。
図7は、前記図1〜図6に記載のインクジェットプリンタのうち、インクジェット記録ヘッド及び活性光線を照射する照射手段について示した正面図である。
記録装置71はヘッドキャリッジ72、記録ヘッド73、照射手段74、プラテン部75等を備えて構成される。この記録装置71は、記録媒体Pの下にプラテン部75が設置されている。プラテン部75は、紫外線を吸収する機能を有しており、記録媒体Pを通過してきた余分な紫外線を吸収する。その結果、高精細な画像を非常に安定に再現できる。
記録媒体Pはガイド部材76に案内され、搬送手段(図示せず)の作動により、図7における手前から奥の方向に移動する。ヘッド走査手段(図示せず)は、ヘッドキャリッジ72を図7におけるY方向に往復移動させることにより、ヘッドキャリッジ72に保持された記録ヘッド73の走査を行う。
ヘッドキャリッジ72は記録媒体Pの上側に設置され、記録媒体P上の画像印刷に用いる色の数に応じて後述する記録ヘッド73を複数個、インク吐出口81を下側に配置して収納する。ヘッドキャリッジ72は、図7におけるY方向に往復自在な形態で記録装置71本体に対して設置されており、ヘッド走査手段の駆動により、図7におけるY方向に往復移動する。
尚、図7では、ヘッドキャリッジ72が、ホワイト(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)、ライトイエロー(Ly)、ライトマゼンタ(Lm)、ライトシアン(Lc)、ライトブラック(Lk)、ホワイト(W)の記録ヘッド73を収納するものとして描図を行っているが、実施の際にはヘッドキャリッジ72に収納される記録ヘッド73の色数は適宜決められるものである。
記録ヘッド73は、インク供給手段(図示せず)により供給された活性光線硬化型インク(例えば、UVインク)を、内部に複数個備えられた吐出手段(図示せず)の作動により、インク吐出口81から記録媒体Pに向けて吐出する。記録ヘッド73により吐出されるUVインクは色材、重合性モノマー、開始剤等を含んで組成されており、紫外線の照射を受けることで開始剤が触媒として作用することに伴なうモノマーの架橋、重合反応によって硬化する性質を有する。
記録ヘッド73は記録媒体Pの一端からヘッド走査手段の駆動により、図7におけるY方向に記録媒体Pの他端まで移動するという走査の間に、記録媒体Pにおける一定の領域(着弾可能領域)に対してUVインクをインク滴として吐出し、該着弾可能領域にインク滴を着弾させる。
上記走査を適宜回数行い、1領域の着弾可能領域に向けてUVインクの吐出を行った後、搬送手段で記録媒体Pを図7における手前から奥方向に適宜移動させ、再びヘッド走査手段による走査を行いながら、記録ヘッド73により上記着弾可能領域に対し、図7における奥方向に隣接した次の着弾可能領域に対してUVインクの吐出を行う。
上述の操作を繰り返し、ヘッド走査手段及び搬送手段と連動して記録ヘッド73からUVインクを吐出することにより、記録媒体P上に画像が形成される。
照射手段74は特定の波長領域の紫外線を安定した露光エネルギーで発光する紫外線ランプ及び特定の波長の紫外線を透過するフィルタを備えて構成される。ここで、紫外線ランプとしては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマーレーザー、紫外線レーザー、冷陰極管、熱陰極管、ブラックライト、LED(Light Emitting Diode)等が適用可能であり、帯状のメタルハライドランプ、冷陰極管、熱陰極管、水銀ランプもしくはブラックライトが好ましい。特に波長254nmの紫外線を発光する低圧水銀ランプ、熱陰極管、冷陰極管及び殺菌灯が滲み防止、ドット径制御を効率よく行え、好ましい。ブラックライトを照射手段74の放射線源に用いることで、UVインクを硬化するための照射手段74を安価に作製することができる。
照射手段74は、記録ヘッド73がヘッド走査手段の駆動による1回の走査によってUVインクを吐出する着弾可能領域のうち、記録装置(UVインクジェットプリンタ)71で設定できる最大のものとほぼ同じ形状か、着弾可能領域よりも大きな形状を有する。
照射手段74はヘッドキャリッジ72の両脇に、記録媒体Pに対してほぼ平行に、固定して設置される。
前述したようにインク吐出部の照度を調整する手段としては、記録ヘッド73全体を遮光することはもちろんであるが、加えて照射手段74と記録媒体Pの距離h1より、記録ヘッド73のインク吐出口81と記録媒体Pとの距離h2を大きくしたり(h1<h2)、記録ヘッド73と照射手段74との距離dを離したり(dを大きく)することが有効である。また、記録ヘッド73と照射手段4の間を蛇腹構造77にすると更に好ましい。
ここで、照射手段74で照射される紫外線の波長は、照射手段74に備えられた紫外線ランプ又はフィルターを交換することで適宜変更することができる。
本発明のインクジェットプリンタは、ラインヘッドタイプの記録装置を用いて画像形成することも可能である。
図8は、ラインヘッド方式のインクジェット記録装置における要部の構成の他の一例を示す上面図である。図8で示したインクジェット記録装置はラインヘッド方式と呼ばれており、ヘッドキャリッジ72に、各色のインクジェット記録ヘッド73を、記録媒体Pの全幅をカバーするようにして、複数個、固定配置されている。
一方、ヘッドキャリッジ72の下流側には、同じく記録媒体Pの全幅をカバーするようにして、インク印字面全域をカバーするように配置されている照射手段74が設けられている。照明手段74に用いられる紫外線ランプは、図7に記載したのと同様のものを用いることができる。
このラインヘッド方式では、ヘッドキャリッジ72及び照射手段74は固定され、記録媒体Pのみが、搬送されて、インク出射及び硬化を行って画像形成を行う。なお、本発明において、記録媒体Pは35〜60℃に加温することが望ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
《インクセットの調製》
〔顔料分散液の調製〕
(イエロー顔料分散液の調製)
下記に示す方法に従って、イエロー顔料分散液を調製した。
下記の2種の化合物をステンレスビーカーに入れ、ホットプレート上で、65℃で加熱、攪拌しながら溶解した。
アジスパーPB822(味の素ファインテクノ社製分散剤) 8質量部
アロンオキセタンOXT−221(東亞合成社製オキセタン化合物) 72質量部
次いで、室温まで冷却した後、この溶液に顔料としてC.I.Pigment Yellow 150(LANXESS社製、E4GN−GT CH20015)を20質量部加えて、直径0.3mmのジルコニアビーズ200部と共にガラス瓶に入れ密栓し、ペイントシェーカーにて4時間の分散処理を施した後、ジルコニアビーズを除去して、イエロー顔料分散液を調製した。
(マゼンタ顔料分散液の調製)
上記イエロー顔料分散液の調製において、顔料をC.I.Pigment Yellow 150に代えて、C.I.Pigment Red 122(大日精化社製、特注)に変更した以外は同様にして、マゼンタ顔料分散液を調製した。
〔シアン顔料分散液の調製〕
上記イエロー顔料分散液の調製において、顔料をC.I.Pigment Yellow 150に代えて、C.I.Pigment Blue 15:4(山陽色素株式会社製、シアニンブルー4044)に変更した以外は同様にして、シアン顔料分散液を調製した。
(ブラック顔料分散液の調製)
上記イエロー顔料分散液の調製において、顔料をC.I.Pigment Yellow 150に代えて、C.I.Pigment Black 7(三菱化学社製、#52)に変更した以外は同様にして、ブラック顔料分散液を調製した。
〔インクセット1の調製〕
下記の各イエローインクY1、マゼンタインクM1、シアンインクC1、ブラックインクK1、ライトイエローインクLy1、ライトマゼンタインクLm1、ライトシアンインクLc1、ライトブラックインクLk1から構成されるインクセット1を調製した。
(イエローインクY1の調製)
上記調製したイエロー顔料分散液(イエロー顔料:20質量%、分散剤PB822:8質量%、光重合性化合物OXT−221:72質量%含有)と下記の各添加剤とを用いて、イエローインクY1を調製した。
具体的には、イエロー顔料分散液以外の全ての下記添加剤を混合し、十分に溶解したことを確認した後、この混合溶液をイエロー顔料分散物中に攪拌しながら少しずつ添加し、15分間攪拌した後、ロキテクノ社製PP3μmディスクフィルターで濾過を行った。
イエロー顔料 3.0質量部
分散剤:PB822(味の素ファインテクノ製) 1.0質量部
ビニルエーテル化合物:DVE−3(トリエチレングリコールジビニルエーテル(ISP社製)) 86.4質量部
光重合開始剤:UVI6992(トリフェニルスルホニウム塩、ダウ・ケミカル社製)
5.0質量部
重合禁止剤(トリイソプロパノールアミン) 0.1質量部
プロピレンカーボネート 2.0質量部
シリコン系界面活性剤:KF−351(信越化学株式会社製) 0.1質量部
増感剤:DBA(9,10−ジブトキシアントラセン) 0.5質量部
水 1.0質量部
次いで、上記インク液を調製した後、25℃における表面張力値を27mN/mに調整し、次いで、中空糸膜を用いた脱気モジュール(大日本インキ化学工業(株)製、SEPAREL PF−004D)を用いて脱気して、顔料濃度が3.0質量%のイエローインクY1を調製した。
(マゼンタインクM1、シアンインクC1、ブラックインクK1の調製)
上記イエローインクY1の調製において、イエロー顔料分散液に代えて、それぞれマゼンタ顔料分散液、シアン顔料分散液、ブラック顔料分散液に変更した以外は同様にして、顔料濃度が3.0質量%のマゼンタインクM1、シアンインクC1、ブラックインクK1を調製した。
(ライトイエローインクLy1、ライトマゼンタインクLm1、ライトシアンインクLc1、ライトブラックインクLk1の調製)
上記イエローインクY1、マゼンタインクM1、シアンインクC1、ブラックインクK1の調製において、それぞれの顔料濃度を0.6質量%に変更した以外は同様にして、ライトイエローインクLy1、ライトマゼンタインクLm1、ライトシアンインクLc1、ライトブラックインクLk1を調製した。
〔インクセット2の調製〕
下記の各イエローインクY2、マゼンタインクM2、シアンインクC2、ブラックインクK2、ライトイエローインクLy2、ライトマゼンタインクLm2、ライトシアンインクLc2、ライトブラックインクLk2から構成されるインクセット2を調製した。
(イエローインクY2の調製)
上記調製したイエロー顔料分散液(イエロー顔料:20質量%、分散剤PB822:8質量%、光重合性化合物OXT−221:72質量%含有)と下記の各添加剤とを用いて、イエローインクY2を調製した。
具体的には、イエロー顔料分散液以外の全ての下記添加剤を混合し、十分に溶解したことを確認した後、この混合溶液をイエロー顔料分散物中に攪拌しながら少しずつ添加し、15分間攪拌した後、ロキテクノ社製PP3μmディスクフィルターで濾過を行った。
イエロー顔料 3.0質量部
分散剤:PB822(味の素ファインテクノ製) 1.0質量部
オキセタン環を有する化合物:オキセタンOXT221(東亞合成製、2官能)
50.0質量部
オキセタン環を有する化合物:オキセタンOXT212(東亞合成製、単官能)
7.0質量部
オキセタン環を有する化合物:オキセタンOXT101(東亞合成製、単官能)
3.0質量部
脂環式エポキシ化合物:セロキサイド2021P(ダイセル化学工業社製、2官能)
26.4質量部
光重合開始剤:例示化合物S−2 5.0質量部
重合禁止剤(トリイソプロパノールアミン) 0.1質量部
プロピレンカーボネート 2.0質量部
シリコン系界面活性剤:KF−351(信越化学株式会社製) 0.1質量部
増感剤:DBA(9,10−ジブトキシアントラセン) 0.5質量部
水 0.6質量部
次いで、上記インク液を調製した後、25℃における表面張力値を27mN/mに調整し、次いで、中空糸膜を用いた脱気モジュール(大日本インキ化学工業(株)製、SEPAREL PF−004D)を用いて脱気して、顔料濃度が3.0質量%のイエローインクY2を調製した。
(マゼンタインクM2、シアンインクC2、ブラックインクK2の調製)
上記イエローインクY2の調製において、イエロー顔料分散液に代えて、それぞれマゼンタ顔料分散液、シアン顔料分散液、ブラック顔料分散液に変更した以外は同様にして、顔料濃度が3.0質量%のマゼンタインクM2、シアンインクC2、ブラックインクK2を調製した。
(ライトイエローインクLy2、ライトマゼンタインクLm2、ライトシアンインクLc2、ライトブラックインクLk2の調製)
上記イエローインクY2、マゼンタインクM2、シアンインクC2、ブラックインクK2の調製において、それぞれの顔料濃度を0.6質量%に変更した以外は同様にして、ライトイエローインクLy2、ライトマゼンタインクLm2、ライトシアンインクLc2、ライトブラックインクLk2を調製した。
(インクセット3の調製)
上記インクセット2の調製において、各添加剤の種類及び添加量を表1に記載のように変更した以外は同様にして、インクセット3、4を調製した。
なお、表1に略称で記載した各化合物の詳細は、以下の通りである。また、表1に記載の数値は、質量部を表す。
(カチオン重合性モノマー)
〈オキセタン環を有する化合物〉
OXT221:オキセタンOXT221(東亞合成製、2官能)
OXT101:オキセタンOXT101(東亞合成製、単官能)
OXT212:オキセタンOXT212(東亞合成製、単官能)
〈ビニルエーテル化合物〉
DVE−3:トリエチレングリコールジビニルエーテル(ISP社製)
〈脂環式エポキシ化合物〉
S2021P:セロキサイド2021P(ダイセル化学工業社製、2官能)
EP−1:例示化合物EP−1
(光重合開始剤)
UVI6992:トリフェニルスルホニウム塩、ダウ・ケミカル社製
S−2:例示化合物S−2
CI5102:ヨードニウム塩、日本曹達社製
(塩基性化合物)
TPA:トリイソプロパノールアミン
(界面活性剤)
KF−351:信越化学社製、シリコン系界面活性剤
(分散剤)
PB822:味の素ファインテクノ社製、高分子分散剤
(増感剤)
DBA:9,10−ジブトキシアントラセン
(その他)
PC:プロピレンカーボネート
《インクジェットプリンタ》
〔インクジェットプリンタ1〕
図2の(b)に記載のインク供給ラインを有するインクジェットプリンタを用い、インクタンク101、ジョイントJ1〜J4はSUS316(ステンレススチール:クロム18%、ニッケル12%、モリブデン2.5%)製で作製し、インク供給路102A、102Bは、絶縁部材で、熱伝導度が0.2W/m・kの耐インク性テフロン(登録商標)チューブを黒色のポリオレフィンチューブで被覆したものを用いた。また、記録ヘッドは、図3、図4に記載の構成からなる記録ヘッド2を用いた。
中間ユニットタンク105、マニホールド部(図3、図4に記載のマニホールド16a、16b)及び記録ヘッド104内部も、SUS316製とした。
中間ユニットタンク105、マニホールド部及び記録ヘッド104に加熱部材を装着し、外部より50℃の加熱を行った。
〔インクジェットプリンタ2〜30の作製〕
上記インクジェットプリンタ1の作製において、中間ユニットタンク105、マニホールド部(図3、図4に記載のマニホールド16a、16b)及び記録ヘッド104(図3、図4に記載の記録ヘッド2)のインク接液部を構成する部材を、表2に記載のように変更した以外は同様にして、インクジェットプリンタ2〜30を作製した。
なお、表2に略称で記載した各構成部材の詳細は、以下の通りである。
SUS316:ステンレススチール(クロム18%、ニッケル12%、モリブデン2.5%)
A310MX04:熱可塑性樹脂(東レ社製、熱伝導度0.2W/m・k、体積抵抗率1×1016Ω・cm)
AL2011:Aluminium Alloy 2011(Si含有量:〜0.4%、Cu含有率:5〜6%)
AL4032:Aluminium Alloy 4032(Si含有量:11〜13.5%)
DISPAL:Si含有量12〜40%のアルミニウム合金
アルマイト1:AL2011に5μmのアルマイト膜を全面に付与
アルマイト2:AL2011に10μmのアルマイト膜を全面に付与
アルマイト3:AL4032に10μmのアルマイト膜を全面に付与
アルマイト4:AL4032に50μmのアルマイト膜を全面に付与
アルマイト5:DISPALに80μmのアルマイト膜を全面に付与
《評価》
表3〜表5に記載の様に、インクジェットプリンタとインクセットとの組み合わせとした記録方法1〜90について、下記の各評価を行った。
〔析出耐性の評価〕
上記作製した各インクジェットプリンタに、表3〜表5に記載の組み合わせでインクセットをインクタンク101から記録ヘッド104まで充填した。この充填した状態で23℃の環境下で3日間放置した後、中間ユニットタンク105、マニホールド内、記録ヘッド104内での析出物の有無を目視観察し、下記の基準に従って析出耐性の評価を行った。
5:対象部材内壁に、析出物の発生が全く認められない
4:対象部材内壁に、微細な析出物の発生が、僅かに認められるが、全く問題がない
3:対象部材内壁に、析出物の発生が、やや認められるが、出射性への影響はないレベル
2:対象部材内壁の広い範囲に析出物の発生が認められるが、出射性への影響が懸念されるレベル
1:対象部材内壁の広い範囲に、粗大な析出物の発生が認められ、実用に耐えないレベル
〔吐出安定性の評価〕
上記作製した各インクジェットプリンタに、表3〜表5に記載の組み合わせでインクセットをインクタンク101から記録ヘッド104まで充填した。記録ヘッド104として、ノズル数256、2〜20plのマルチサイズドットを720×720dpi(dpiとは、2.54cmあたりのドット数を表す)の解像度で吐出可能な構成とし、中間ユニットタンク105と記録ヘッド104とに加熱部材を装着し、外部より50℃の加熱を行いながら、3時間の連続吐出を行った。次いで、各色インクの出射状態を目視観察し、各色インクの平均出射状態を求め、下記の基準に従って吐出安定性を評価した。
5:全てのノズルで、ノズル欠や出射曲がりの発生が認められない
4:全てのノズルでノズル欠の発生は認められないが、ごく一部のノズルで弱い出射曲がりの発生が認められる
3:全てのノズルでノズル欠の発生は認められないが、出射曲がりのあるノズルが1〜3カ所で認められる
2:一部のノズルでノズル欠の発生は認めら、明らかに出射曲がりのあるノズルが4カ所以上で認められる
1:明らかなノズル欠及び出射曲がりが多発しており、実用に耐えない
以上により得られた結果を、表3〜表5に示す。
表3〜表5に記載の結果より明らかなように、記録ヘッド、中間ユニットタンク、あるいはマニホールドを、アルマイト処理されたアルミニウム部材で構成した本発明のインクジェットプリンタを用いた記録方法は、比較例に対し、析出耐性が良好で、中間ユニットタンク、マニホールド及び記録ヘッドとを加熱しながら連続出射を行った際の吐出安定性に優れていることが分かる。

Claims (8)

  1. 少なくともカチオン重合性モノマーを含有するインクジェットインクを、インクジェット記録ヘッドのノズルより噴射して、記録媒体上に画像形成するのに用いるインクジェットプリンタにおいて、該インクジェットインクと接する接液部材の少なくとも一部が、アルマイト処理されたアルミニウム部材で構成されていることを特徴とするインクジェットプリンタ。
  2. 少なくともカチオン重合性モノマーを含有するインクジェットインクを、インクジェット記録ヘッドのノズルより噴射して、記録媒体上に画像形成するのに用いるインクジェットプリンタにおいて、該インクジェットインクと接する接液部材の少なくとも一部が、アルマイト処理されたシリコン含有アルミニウム部材で構成されていることを特徴とするインクジェットプリンタ。
  3. 前記アルマイト処理されたシリコン含有アルミニウム部材は、シリコン含有率が10%以上であることを特徴とする請求の範囲第2項に記載のインクジェットプリンタ。
  4. 前記アルマイト処理されたアルミニウム部材及びアルマイト処理されたシリコン含有アルミニウム部材は、下記の評価方法で評価したときに、それぞれ気泡の発生及び溶液の色変化が無い部材であることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第3項のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタ。
    評価方法:NaClの0.2質量%溶液に、フェノールフタレインの1質量%溶液を数滴滴下して調製した25℃の試験溶液に、評価部材(アルマイト処理したアルミニウム部材)を浸漬する。次いで、該評価部材を陰極とし、陽極にステンレス板を設置し、電極間に2.0Vの電圧を90秒間印加し、該評価部材表面からの気泡の発生および試験溶液の色変化を目視評価する。
  5. 前記アルマイト処理されたアルミニウム部材及びアルマイト処理されたシリコン含有アルミニウム部材におけるアルマイト膜厚が、それぞれ9μm以上であることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第4項のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタ。
  6. 前記インクジェットインクが、カチオン重合性モノマーとしてオキセタン環を有する化合物及びエポキシ化合物を含有することを特徴とする請求の範囲第1項乃至第5項のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタ。
  7. 前記インクジェットインクが、カチオン重合性モノマーとしてビニルエーテル化合物を含有することを特徴とする請求の範囲第1項乃至第6項のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタ。
  8. 請求の範囲第1項乃至第7項のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタを用いて、少なくともカチオン重合性モノマーを含有するインクジェットインクを、前記インクジェットプリンタのインクジェット記録ヘッドのノズルより噴射して、記録媒体上に画像を形成することを特徴とするインクジェット記録方法。
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