JP2008207425A - インクジェットインク吐出方法、活性光線硬化型インクジェットインク及びインクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電気伝導性部材が活性光線硬化型インクジェットインクと接液する構成のインクジェット記録装置を用いても、異物の生成を抑制し、吐出安定性に優れたインクジェットインク吐出方法、活性光線硬化型インクジェットインク及びインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】活性光線硬化型インクジェットインクと接する箇所に少なくとも1種の電気伝導性部材を有するインクジェット記録装置を用いて、活性光線硬化型インクジェットインクを吐出するインクジェットインク吐出方法において、該活性光線硬化型インクジェットインクが、25℃における溶存酸素飽和率が50%以下であることを特徴とするインクジェットインク吐出方法。
【選択図】なし
【解決手段】活性光線硬化型インクジェットインクと接する箇所に少なくとも1種の電気伝導性部材を有するインクジェット記録装置を用いて、活性光線硬化型インクジェットインクを吐出するインクジェットインク吐出方法において、該活性光線硬化型インクジェットインクが、25℃における溶存酸素飽和率が50%以下であることを特徴とするインクジェットインク吐出方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、新規のインクジェットインク吐出方法、活性光線硬化型インクジェットインク及びインクジェット記録装置に関するものである。
近年、インクジェット記録方式は簡便・安価に画像を作成出来るため、写真、各種印刷、マーキング、カラーフィルター等の特殊印刷など、様々な印刷分野に応用されてきている。特に微細なドットを出射、制御する記録装置や、色再現域、耐久性、出射適性等を改善したインク及びインクの吸収性、色材の発色性、表面光沢などを飛躍的に向上させた専用紙を用い、銀塩写真に匹敵する画質を得ることも可能となっている。今日のインクジェット記録方式の画質向上は、記録装置、インク、専用紙の全てが揃って初めて達成されている。
しかしながら、専用紙を必要とするインクジェットシステムは、記録材料が制限されること、記録材料のコストアップが問題となる。そこで、専用紙と異なる被転写媒体へインクジェット方式により記録する試みが多数なされている。具体的には、室温で固形のワックスインクを用いる相変化インクジェット方式、速乾性の有機溶剤を主体としたインクを用いるソルベント系インクジェット方式や、記録後紫外線(UV)光により架橋させるUVインクジェット方式などである。
中でも、UVインクジェット方式は、ソルベント系インクジェット方式に比べ比較的低臭気であり、速乾性、インク吸収性の無い記録材料への記録が出来る点で、近年注目されつつあり、例えば、特公平5−54667号公報、特開平6−200204号公報、特表2000−504778号公報等において、紫外線硬化型インクジェットインクが開示されている。
紫外線硬化型インクとしては、アクリル系組成物を中心としたラジカル重合型紫外線硬化型インクとカチオン重合型紫外線硬化型インクがある。ラジカル重合型紫外線硬化型インクは、その重合メカニズム上、酸素が介在した環境では酸素阻害作用を受けるため硬化性が落ちる問題がある。
一方、カチオン重合型紫外線硬化型インクは、酸素阻害作用を受けることはないが、重合反応の性質上、分子レベルの水分(湿度)の影響を受け易いといった問題があり、また暗反応が進み易く保存性に問題があった。
一方、カチオン重合型紫外線硬化型インクは、酸素阻害作用を受けることはないが、重合反応の性質上、分子レベルの水分(湿度)の影響を受け易いといった問題があり、また暗反応が進み易く保存性に問題があった。
一方、インクを吐出するインクジェット記録装置において、インク供給タンク(パック)からインクジェットヘッドに至るまでの経路、あるいはインクを吐出するインクジェットヘッドは、通常、様々な部材により構成されており、加工適性、インクに対する耐久性、寸法安定性、熱伝導性などの観点から、金属部材が使われることがある。これらの金属部材は電気伝導性の素材であることが多い。例えば、インクジェット記録装置のインク流路に導電性接液部材として、SUS、銅、アルミニウム等が適用した例が開示されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。また、インクジェット記録装置のインクジェットヘッドに導電性接液部材を適用した例が開示されている(例えば、特許文献4〜7参照。)。
これらの電気伝導性部材は、一般には、水系インクジェットインク、溶剤系インクジェットインク、オイル系インクジェットインク、紫外線硬化型インクジェットインク、ソリッド系インクジェットインクなど各種インクに対する耐久性が高く、また、インクに対しても悪影響を与えることが少ないと考えられている。
しかしながら、重合性の導電性インクに対しては、安定吐出性の観点で問題のあることが、我々の検討の結果明らかとなってきた。
すなわち、電気伝導性部材と、重合性の導電性インクとが接触すると、望ましくない電気化学反応が生じ、インク成分の分解物または重合物が、流路内やインクジェットヘッド内に生じることが判明した。流路中やインクジェットヘッド内に2種以上の電気伝導性部材が存在すると、インクと異種金属との接触により、異種金属間に起電力が生じる。または、金属の溶解が起こる。重合性化合物を含むインクを用いた場合、この起電力や金属溶解が引き金となって、長期にわたってインクを流路内やインクジェットヘッド内に接触させると、予期しないインクの重合が起こるのである。特に、オニウム塩など光酸発生剤を必須材料とするカチオン重合性の活性光線硬化型インクジェットインクは、インクの電気伝導性が比較的高くなるため、この問題を引き起こしやすい。金属接触による反応の種類によるが、インクの電気伝導性は高いほど、金属は1種より2種、2種以上の場合は2種間のイオン化傾向の差が大きいほど、問題が生じやすい。
なお、1種の金属であっても、表面状態が均一であるとは限らず、ミクロに表面状態が変化した状態となる場合が多い。その結果、1種の金属であっても異種金属接触と同様の反応が起こりうる。
これらの反応生成物はインクに再溶解せず、ヘッド内、特に、ノズル周辺部に堆積した場合、出射直進性の低下を引き起こし、最悪の場合、復帰不能なノズル詰まりを引き起こすことになる。
このように、重合性の導電性インクが、インク流路中の電気伝導性部材と接触することでインクの重合が起こるが、更に、インク中の溶存酸素が多いほどインクの重合を促進することが分かってきた。
特開2003−220702号公報
特開2003−220715号公報
特開2006−21343号公報
特開2003−63017号公報
特開2005−119319号公報
特開2005−324518号公報
特開2006−159619号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、電気伝導性部材が活性光線硬化型インクジェットインクと接液する構成のインクジェット記録装置を用いても、異物の生成を抑制し、吐出安定性に優れたインクジェットインク吐出方法、活性光線硬化型インクジェットインク及びインクジェット記録装置を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.活性光線硬化型インクジェットインクと接する箇所に少なくとも1種の電気伝導性部材を有するインクジェット記録装置を用いて、活性光線硬化型インクジェットインクを吐出するインクジェットインク吐出方法において、該活性光線硬化型インクジェットインクが、25℃における溶存酸素飽和率が50%以下であることを特徴とするインクジェットインク吐出方法。
2.前記電気伝導性部材が、オーステナイト系ステンレス、フェライト系ステンレス、鉄・ニッケル合金、鉄・コバルト・ニッケル合金、銅、アルミ、カーボン及び導電性プラスチックから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記1に記載のインクジェットインク吐出方法。
3.前記活性光線硬化型インクジェットインクが、少なくとも1種の光重合性化合物と光開始剤を含有し、カールフィッシャー法により測定した含水率が0.01〜0.5質量%で容器に密閉保存した状態で、インクジェット記録装置に供給することを特徴とする前記1または2に記載のインクジェットインク吐出方法。
4.活性光線硬化型インクジェットインクと接する箇所に少なくとも1種の電気伝導性部材を有するインクジェット記録装置を用いて、記録材料上に吐出して画像を形成する活性光線硬化型インクジェットインクにおいて、25℃における溶存酸素飽和率が50%以下であることを特徴とする活性光線硬化型インクジェットインク。
5.少なくとも1種の光重合性化合物と光開始剤を含有し、カールフィッシャー法により測定した含水率が0.01〜0.5質量%であることを特徴とする前記4に記載の活性光線硬化型インクジェットインク。
6.少なくとも1種の光重合性化合物と光開始剤を含有し、カールフィッシャー法により測定した含水率が0.01〜0.5質量%の条件で、密閉容器中に保存されることを特徴とする前記4に記載の活性光線硬化型インクジェットインク。
7.前記含水率が、0.01〜0.3質量%であることを特徴とする前記4〜6のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクジェットインク。
8.前記光重合性化合物がカチオン重合性化合物であり、かつ前記光開始剤が光酸発生剤であることを特徴とする前記5〜7のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクジェットインク。
9.前記光酸発生剤が、トリアリールスルホニウム塩を含有することを特徴とする前記8に記載の活性光線硬化型インクジェットインク。
10.電気伝導度が、10μS/cm以上、60μS/cm以下であることを特徴とする前記4〜9のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクジェットインク。
11.活性光線硬化型インクジェットインクと接する箇所に少なくとも1種の電気伝導性部材を有するインクジェット記録装置において、該活性光線硬化型インクジェットインクが、前記4〜10のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクジェットインクであることを特徴とするインクジェット記録装置。
12.前記電気伝導性部材が、オーステナイト系ステンレス、フェライト系ステンレス、鉄・ニッケル合金、鉄・コバルト・ニッケル合金、銅、アルミ、カーボン及び導電性プラスチックから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記11に記載のインクジェット記録装置。
13.前記活性光線硬化型インクジェットインク及びインクジェットヘッドを35℃以上、100℃以下に加熱した後、該インクジェットヘッドより該活性光線硬化型インクジェットインクを吐出することを特徴とする前記11または12に記載のインクジェット記録装置。
本発明により、電気伝導性部材が活性光線硬化型インクジェットインクと接液する構成のインクジェット記録装置を用いても、異物の生成を抑制し、吐出安定性に優れたインクジェットインク吐出方法、活性光線硬化型インクジェットインク及びインクジェット記録装置を提供することができた。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、
1)活性光線硬化型インクジェットインクと接する箇所に少なくとも1種の電気伝導性部材を有するインクジェット記録装置を用いて、活性光線硬化型インクジェットインクを吐出するインクジェットインク吐出方法において、該活性光線硬化型インクジェットインクが、25℃における溶存酸素飽和率が50%以下であることを特徴とするインクジェットインク吐出方法により、電気伝導性部材が活性光線硬化型インクジェットインクと接液する構成のインクジェット記録装置を用いても、異物の生成を抑制し、吐出安定性に優れたインクジェットインク吐出方法を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
1)活性光線硬化型インクジェットインクと接する箇所に少なくとも1種の電気伝導性部材を有するインクジェット記録装置を用いて、活性光線硬化型インクジェットインクを吐出するインクジェットインク吐出方法において、該活性光線硬化型インクジェットインクが、25℃における溶存酸素飽和率が50%以下であることを特徴とするインクジェットインク吐出方法により、電気伝導性部材が活性光線硬化型インクジェットインクと接液する構成のインクジェット記録装置を用いても、異物の生成を抑制し、吐出安定性に優れたインクジェットインク吐出方法を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
また、2)活性光線硬化型インクジェットインクと接する箇所に少なくとも1種の電気伝導性部材を有するインクジェット記録装置を用いて、記録材料上に吐出して画像を形成する活性光線硬化型インクジェットインクにおいて、25℃における溶存酸素飽和率が50%以下であることを特徴とする活性光線硬化型インクジェットインクを用いることにより、電気伝導性部材が活性光線硬化型インクジェットインクと接液する構成のインクジェット記録装置を用いても、異物の生成を抑制し、吐出安定性に優れた活性光線硬化型インクジェットインクを実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
また、3)活性光線硬化型インクジェットインクと接する箇所に少なくとも1種の電気伝導性部材を有するインクジェット記録装置において、該活性光線硬化型インクジェットインクとして、本発明の活性光線硬化型インクジェットインクを用いることを特徴とするインクジェット記録装置により、電気伝導性部材が活性光線硬化型インクジェットインクと接液する構成のインクジェット記録装置を用いても、異物の生成を抑制し、吐出安定性に優れたインクジェットインク吐出装置を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
以下、本発明の詳細について説明する。
《インクジェット吐出方法及びインクジェット記録装置》
はじめに、本発明のインクジェット吐出方法で適用可能なインクジェット記録装置(以下、インクジェットプリンタとも称す)の概要について説明する。
はじめに、本発明のインクジェット吐出方法で適用可能なインクジェット記録装置(以下、インクジェットプリンタとも称す)の概要について説明する。
本発明のインクジェット記録装置は、本発明の25℃における溶存酸素飽和率が50%以下である活性光線硬化型インクジェットインク(以下、単にインクともいう)を貯留するインクタンク、該インクタンクからインクジェットヘッドにインクを送液するためのインク供給路、該インク供給路より供給されたインクを、記録材料上に出射するインクジェットヘッド、及び記録材料上に着弾したインク液滴を硬化させるための活性光線照射光源とそれぞれの構成部材を接続するためのジョイント等により構成され、また、インクタンクとインクジェットヘッドのインク供給路には、フィルタあるいは中間タンクが設けられている。
図1は、本発明に適用可能なフィルタ及び中間タンクを備えたインクジェットプリンタの全体構成を示す図である。
1は、25℃における溶存酸素飽和率が50%以下であるインクを貯留して供給するインクタンクであり、図1では、一例として、イエローインクタンク1Y、マゼンタインクタンク1M、シアンインクタンク1C及び黒インクタンク1Kからなる構成を示している。Jはインクタンク1とインク供給路とを接続するジョイントである。
2は、記録材料上にインク液滴を吐出して画像を形成するノズルを有するインクジェットヘッドであり、イエローインクジェットヘッド2Y、マゼンタインクジェットヘッド2M、シアンインクジェットヘッド2C及び黒インクジェットヘッド2Kで構成される。3は、活性エネルギー線である紫外線を記録材料上に着弾したインクに照射する活性エネルギー線源である。
4はキャリッジであり、キャリッジ4はインクジェットヘッド2及びエネルギー線源3を一体に搭載しており、キャリッジガイド5により案内されて矢印WX1、WX2で示すように往復移動して、記録材料Pを走査し、記録材料Pに画像を形成する。
6はフィルタボックスであり、イエロー用フィルタボックス6Y、マゼンタ用フィルタボックス6M、シアン用フィルタボックス6C及び黒用フィルタボックス6Kで構成される。7は中間タンクであり、イエロー用中間タンク7Y、マゼンタ用中間タンク7M、シアン用中間タンク7C及び黒用中間タンク7Kで構成される。
インクはインクタンク1から中間タンク7に送られ、中間タンク7からインク供給路8を経てインクジェットヘッド2に供給される。インク供給路8はイエローインク用、マゼンタインク用、シアンインク用及び黒インク用の供給路で構成されており、各単色インクはそれぞれ独立して、インクタンク1からインク供給路8を経てインクジェットヘッド2に供給される。
10はインクジェットヘッド2の回復処理を行うメンテナンスユニットであり、インクジェットヘッド2をキャッピングする吸引キャップ9を有する。12は廃インクを収容する廃インク容器であり、フラッシングにおいて、インクジェットヘッド2から強制吐出されたインクを受け、収容する。
図2は、本発明のインクジェット記録装置のインク供給路構成の一例を示す概略構成図である。
図2のa)においては、インクタンク101は、ジョイントJ1を介してインク供給路102に接続され、更にこのインク供給路102の端部は、ジョイントJ2を介してキャリッジ103に収納されているインクジェットヘッド104に接続されている。画像形成情報に従ってインクジェットヘッド104のノズルNより記録材料上に、インク液滴が吐出され、ついで、瞬時に活性エネルギー線源Lより、着弾したインクに活性エネルギー線を照射して、インクを硬化させる。
図2のb)は、インク供給路102の途中に、フィルターを内蔵した中間タンクユニット105を設けた一例である。インクタンク101の排出口とインク供給路102とをジョイントJ1で接続し、ジョイントJ3を介して中間ユニットタンク105に接続されている。インクはジョイントJ3部より中間タンク前室106に送液された後、フィルタ107により異物等を除いて中間タンク108に送液される。次いで、中間タンク108とインク供給路102がジョイントJ4を介して接続されており、中間タンク108に貯留された濾過済のインクをインクジェットヘッド104に供給するインク供給ラインである。なお、図2のb)に示す109は、フィルタ107に隣接するフィルタ隣接部である。
図2のc)は、図2のb)における中間タンクユニット105に代えて、フィルタボックス110を設けた例である。インクの入側をジョイントJ5を介し、またインクの出側をジョイントJ6を介して、それぞれインク供給路102と接続されているフィルタボックス110中には、フィルタ107が設けられており、インク中の異物等を除いた後、インクをインクジェットヘッド104に供給するインク供給ラインである。なお、図2のc)に示す111は、フィルタ107に隣接するフィルタ隣接部である。
上記説明した図2においては、便宜上、マゼンタ用のインクジェットヘッドへインクを供給するラインのみを示してあるが、図1に記載のように、同様の供給ラインが、イエロー用インクジェットヘッド、シアン用インクジェットヘッド、黒用インクジェットヘッドにも設けられている。また、図2には、説明に必要な構成のみを示しており、図2に記載はしていないが、例えば、インクの送液を制御する電磁弁、分岐ジョイント、送液ポンプの他、インクジェットヘッドの制御部等が設けられる。
本発明においては、インクジェット記録装置は、活性光線硬化型インクジェットインクと接する箇所に少なくとも1種の電気伝導性部材を有する。本発明でいうインクと接する箇所(以下、接インク部ともいう)とは、インクタンク、インク供給路、中間タンクユニット、フィルタボックス等と、それらを接続するジョイント群で、本発明の25℃における溶存酸素飽和率が50%以下であるインクと直接的に接する部分であり、例えば、図2のa)に示すインク供給ラインでは、インクタンク101の内部、インク供給路102の内部、ジョイントJ1、J2及びインクジェットヘッド内部104である。また、図2のb)に示すインク供給ラインでは、インクタンク101の内部、インク供給路102の内部、ジョイントJ1〜J4、中間タンクユニット105のフィルタ107とフィルタ隣接部109及びインクジェットヘッド内部104である。また、図2のc)に示すインク供給ラインでは、インクタンク101の内部、インク供給路102の内部、ジョイントJ1、J2、J5、J6、フィルタボックス110内のフィルタ107とフィルタ隣接部111及びインクジェットヘッド内部104である。
本発明においては、これらの接インク部を構成する少なくとも一部の部材が、電気伝導性部材から構成されていることを特徴とする。
これらの電気伝導性部材としては、オーステナイト系ステンレス、フェライト系ステンレス、鉄・ニッケル合金、鉄・コバルト・ニッケル合金、銅、アルミ、カーボン及び導電性プラスチックが挙げられる。
接インク部に上記のような電気伝導性部材を適用するインクジェットプリンタの構成部位としては、インクジェットヘッド、インクタンク、インク供給路、ジョイント部、インク供給路分岐部、インクポンプ、中間タンク、フィルタ、弁、その他の流路等があるが、その中でも、特に、インクとの接触面積が大きいインクジェットヘッド、フィルタ部、インク供給路や、インクの滞留時間が長いインクタンク内、インクタンク近傍において、従来の活性光線硬化型インクジェットインクが直接的に接した場合には、電気伝導性部材の電解腐食等により、重合反応を起こしやすいという問題を抱えていることが判明した。
本発明では、上記課題を解決すべく鋭意検討を進めた結果、活性光線硬化型インクジェットインクの25℃における溶存酸素飽和率を50%以下に制御することにより、上記課題を克服できることを見出したものである。更に好ましくは、インクタンクからインクジェットヘッドまでのインク供給路を密閉系とすることにより、外部環境からの酸素や水分の影響を遮断することができ、本発明の目的効果をより奏する観点から好ましい。更には、インクタンクからインクジェットヘッドの間に、脱気機構を設ける方法も好ましい。
《インクジェット記録方法》
本発明のインクジェット吐出方法あるいはインクジェット記録装置においては、前述のように、図1、図2に代表されるインクジェット記録装置を用いて、後述するインクジェットヘッドより本発明の活性光線硬化型インクジェットインクを記録材料上に吐出した後、活性光線を照射、硬化させて画像を形成するものであるが、インクジェットヘッドと活性光線照射装置び活性光線照射による硬化方法について、以下説明する。
本発明のインクジェット吐出方法あるいはインクジェット記録装置においては、前述のように、図1、図2に代表されるインクジェット記録装置を用いて、後述するインクジェットヘッドより本発明の活性光線硬化型インクジェットインクを記録材料上に吐出した後、活性光線を照射、硬化させて画像を形成するものであるが、インクジェットヘッドと活性光線照射装置び活性光線照射による硬化方法について、以下説明する。
本発明の活性光線硬化型インクジェットインクを硬化するのに用いる活性光線としては、紫外線、X線、電子線等が挙げられる。紫外線により本発明のインクを硬化させる場合に使用できる光源としては、様々な光源を使用することができ、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、無電極ランプ、エキシマーレーザー、紫外線レーザー、冷陰極管、熱陰極管、ブラックライト、LED(light emitting diode)等が挙げられる。電子線により硬化させる場合には、種々の照射装置が使用でき、例えば、コックロフトワルトシン型、バンデグラフ型または共振変圧器型等が挙げられ、電子線としては50〜1000eVのエネルギーを持つものが好ましく、より好ましくは100〜300eVである。本発明では、安価な装置を使用できることから、活性エネルギー線硬化組成物の硬化に紫外線を使用することが好ましい。
次に、本発明に適用可能なインクジェット画像形成方法について説明する。
本発明に係るインクジェット画像形成方法は、本発明の活性光線硬化型インクジェットインクを、インクジェット記録方式により記録材料上に吐出、描画し、次いで紫外線などの活性光線を照射してインクを硬化させる方法である。
(インクの吐出条件)
本発明のインクを用いて画像形成する場合、インクの吐出条件としては、インクジェットヘッド及び本発明のインクを35〜100℃に加熱し、吐出することが吐出安定性の点で好ましい。活性光線硬化型インクジェットインクは、温度変動による粘度変動幅が大きく、粘度変動はそのまま液滴サイズ、液滴射出速度に大きく影響を与え、画質劣化を起こすため、インク温度を上げながらその温度を一定に保つことが必要である。インク温度の制御幅としては、設定温度±5℃、好ましくは設定温度±2℃、更に好ましくは設定温度±1℃である
(インク着弾後の光照射条件)
本発明に係るインクジェット画像形成方法においては、活性光線の照射条件として、記録材料上にインクが着弾した後、0.001秒〜1.0秒の間に活性光線が照射されることが好ましく、より好ましくは0.001秒〜0.5秒である。高精細な画像を形成するためには、照射タイミングが出来るだけ早いことが特に重要となる。
本発明のインクを用いて画像形成する場合、インクの吐出条件としては、インクジェットヘッド及び本発明のインクを35〜100℃に加熱し、吐出することが吐出安定性の点で好ましい。活性光線硬化型インクジェットインクは、温度変動による粘度変動幅が大きく、粘度変動はそのまま液滴サイズ、液滴射出速度に大きく影響を与え、画質劣化を起こすため、インク温度を上げながらその温度を一定に保つことが必要である。インク温度の制御幅としては、設定温度±5℃、好ましくは設定温度±2℃、更に好ましくは設定温度±1℃である
(インク着弾後の光照射条件)
本発明に係るインクジェット画像形成方法においては、活性光線の照射条件として、記録材料上にインクが着弾した後、0.001秒〜1.0秒の間に活性光線が照射されることが好ましく、より好ましくは0.001秒〜0.5秒である。高精細な画像を形成するためには、照射タイミングが出来るだけ早いことが特に重要となる。
活性光線の照射方法として、その基本的な方法が特開昭60−132767号に開示されている。これによると、ヘッドユニットの両側に光源を設け、シャトル方式でヘッドと光源を走査する。照射は、インク着弾後、一定時間を置いて行われることになる。更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させる。米国特許第6,145,979号では、照射方法として、光ファイバーを用いた方法や、コリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されている。本発明の画像形成方法においては、これらの何れの照射方法も用いることが出来る。
次いで、本発明のインクジェット記録装置を構成するインクジェットヘッド及び活性光線照射部について説明する。
以下、本発明のインクジェット記録装置について、図面を適宜参照しながら説明するが、図面の記録装置はあくまでも本発明の記録装置の一態様であり、本発明の記録装置はこの図面に限定されない。
図3は、本発明のインクジェット記録装置の要部(インクジェットヘッド、照射手段)の構成の一例を示す正面図である。
インクジェット記録装置201は、ヘッドキャリッジ202、インクジェットヘッド203、照射手段204、プラテン部205等を備えて構成される。この記録装置201は、記録材料Pの下にプラテン部205が設置されている。プラテン部205は、活性光線、例えば、紫外線を吸収する機能を有しており、記録材料Pを通過してきた余分な紫外線を吸収する。その結果、高精細な画像を非常に安定に再現できる。
記録材料Pは、ガイド部材206に案内され、搬送手段(図示せず)の作動により、図3における手前から奥の方向に移動する。ヘッド走査手段(図示せず)は、ヘッドキャリッジ202を、図3におけるY方向に往復移動させることにより、ヘッドキャリッジ202に保持されたインクジェットヘッド203の走査を行なう。
ヘッドキャリッジ202は記録材料Pの上側に設置され、記録材料P上の画像印刷に用いる色の数に応じて後述する記録ヘッド203を複数個、吐出口を下側に配置して収納する。ヘッドキャリッジ202は、図3におけるY方向に往復自在な形態でインクジェット記録装置201本体に対して設置されており、ヘッド走査手段の駆動により、図3におけるY方向に往復移動する。
尚、図3ではヘッドキャリッジ202が、ホワイト(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)、ライトイエロー(Ly)、ライトマゼンタ(Lm)、ライトシアン(Lc)、ライトブラック(Lk)、ホワイト(W)のインクジェットヘッド203を収納するものとして描図を行なっているが、実施の際にはヘッドキャリッジ202に収納されるインクジェットヘッド203の色数は適宜決められるものである。
インクジェットヘッド203は、インク供給手段(図示せず)により供給された本発明の活性光線硬化型インクジェットインクを、内部に複数個備えられた吐出手段(図示せず)の作動により、吐出口から記録材料Pに向けて吐出する。インクジェットヘッド203により吐出されるインクは色材、光重合性化合物、光開始剤等を含んで構成されており、紫外線の照射を受けることで、光開始剤が触媒として作用することに伴なうモノマーの架橋、重合反応によって硬化する性質を有する。
インクジェットヘッド203は、記録材料Pの一端からヘッド走査手段の駆動により、図3におけるY方向に記録材料Pの他端まで移動するという走査の間に、記録材料Pにおける一定の領域(着弾可能領域)に対して、インクをインク滴として吐出し、該着弾可能領域にインク滴を着弾させる。
上記走査を適宜回数行ない、1領域の着弾可能領域に向けてインクの吐出を行なった後、搬送手段で記録材料Pを図3における手前から奥方向に適宜移動させ、再びヘッド走査手段による走査を行ないながら、インクジェットヘッド203により上記着弾可能領域に対し、図3における奥方向に隣接した次の着弾可能領域に対して、インクの吐出を行なう。
上述の操作を繰り返し、ヘッド走査手段及び搬送手段と連動してインクジェットヘッド203からインクを吐出することにより、記録材料P上にインク滴の集合体からなる画像が形成される。
照射手段204は、特定の波長領域の活性光線、例えば、紫外線を安定した露光エネルギーで発光する紫外線ランプ及び特定の波長の紫外線を透過するフィルターを備えて構成される。ここで、紫外線ランプとしては、前述のような水銀ランプ、メタルハライドランプ、無電極ランプ、エキシマーレーザー、紫外線レーザー、冷陰極管、熱陰極管、ブラックライト、LED(light emitting diode)等が適用可能である。
照射手段204は、インクジェットヘッド203がヘッド走査手段の駆動による1回の走査によってインクを吐出する着弾可能領域のうち、インクジェット記録装置201で設定できる最大のものとほぼ同じ形状か、着弾可能領域よりも大きな形状を有する。
照射手段204は、ヘッドキャリッジ202の両脇に、記録材料Pに対してほぼ平行に、固定して設置される。
また、インク吐出部への活性光線の不正な照射を防止する手段としては、インクジェットヘッド203全体を遮光することはもちろんであるが、加えて照射手段204と記録材料Pの距離h1より、インクジェットヘッド203のインク吐出部231と記録材料Pとの距離h2を大きくしたり(h1<h2)、インクジェットヘッド203と照射手段204との距離dを離したり(dを大きく)することが有効である。また、インクジェットヘッド203と照射手段204の間を蛇腹構造207にすると更に有効である。
ここで、照射手段204で照射される紫外線の波長は、照射手段204に備えられた紫外線ランプ又はフィルターを交換することで適宜変更することができる。
本発明のインクは、非常に吐出安定性が優れており、ラインヘッドタイプのインクジェット記録装置を用いて画像形成する場合に、特に有効である。
図4は、インクジェット記録装置の要部の構成の他の一例を示す上面図である。
図4で示したインクジェット記録装置は、ラインヘッド方式と呼ばれており、ヘッドキャリッジ202に、各色のインクジェットヘッド203を、記録材料Pの全幅をカバーするようにして、複数個、固定配置されている。
一方、ヘッドキャリッジ202の下流側には、同じく記録材料Pの全幅をカバーするようにして、照射手段204が設けられている。
このラインヘッド方式では、ヘッドキャリッジ202及び照射手段204は固定され、記録材料Pのみが、搬送されて、インク出射及び硬化を行って画像形成を行う。
《活性光線硬化型インクジェットインク》
次いで、本発明の活性光線硬化型インクジェットインクについて説明する。
次いで、本発明の活性光線硬化型インクジェットインクについて説明する。
本発明の活性光線硬化型インクジェットインクにおいては、25℃における溶存酸素飽和率が50%以下であることを特徴とする。
本発明の活性光線硬化型インクジェットインクでは、ラジカル重合性、カチオン重合性あるいはラジカル・カチオンハイブリッド重合性の各種インクが適用可能であるが、これらの活性光線硬化型インクジェットインクは、比較的電気伝導性を有するインクであり、具体的には、電気伝導度が10μS/cm以上、60μS/cm以下であることが好ましく、より好ましくは、20μS/cm以上、50μS/cm以下である。なお、インクの電気伝導度は、電導度計(例えば、電導度計SC−51型:横河北辰電機社製)を用いて求めることができる。
後述する本発明の活性光線硬化型インクジェットインクにおいて好ましい構成である光重合性化合物としてカチオン重合性化合物を使用し、更に光酸発生剤としてスルホニウム塩、詳しくはトリアリールスルホニウム塩を使用した場合には、インクの電気伝導度がより高い値となる。
このような比較的高い電気伝導度を有する活性光線硬化型インクジェットインクを、電気伝導性部材を有するインクジェット記録装置を用いて吐出する場合、インクの25℃における溶存酸素飽和率が50%以下、好ましくは0%を含む50%以下、更に好ましくは0%を含む25%以下、特に好ましくは0%を含む10%以下の溶存酸素飽和率とすることにより、インクジェット記録装置を構成する電気伝導性部材に接触しても、電気伝導性部材に起因する電解腐食や腐食に伴うインクの重合反応を抑制し、重合物等の異物の生成を防止することができ、その結果、生成した異物によるノズル詰まり等の故障を低減することができる。
本発明でいう溶存酸素飽和率は、下記の式(1)により求めることができる。
式(1)
溶存酸素飽和率=B/A×100(%)
式中、Aは25℃におけるインクの平衡溶存酸素濃度(ppm)であり、Bはインクジェット記録装置におけるインクの溶存酸素濃度(ppm)である。
溶存酸素飽和率=B/A×100(%)
式中、Aは25℃におけるインクの平衡溶存酸素濃度(ppm)であり、Bはインクジェット記録装置におけるインクの溶存酸素濃度(ppm)である。
本発明に係るインク中の溶存酸素飽和率あるいは溶存酸素濃度は、オストワルド法(実験化学講座1基本操作[I]、241頁、1975年、丸善)や、マススペクトル法で測定でき、ガルバニ電池型やポーラログラフ型等の簡便な酸素濃度計やガスクロマトグラフィー法で測定することができる。本発明においては、酸素濃度計として、Hach Ultra Analytics Japan Inc.製の02分析計 orbisphereを用いて測定した。
また、本発明の活性光線硬化型インクジェットインクにおいては、本発明の目的効果をより発揮できる観点から、更に、カールフィッシャー法により測定した含水率を、0.01〜0.5質量%の範囲、更に好ましくは0.01〜0.3質量%に規定することが好ましい。
カールフィッシャー法に従う含水率測定方法としては、例えば、測定機としてカールフィッシャー水分測定装置CA−05(三菱化学(株)製)、水分気化装置としてVA−05(同)、内部液:アクアミクロンCXμ、外部液:アクアミクロンAX、窒素気流量:200ml/分、加熱温度:150℃の条件で容易に測定することができる。
本発明において、インクの溶存酸素飽和率を本発明で規定する範囲に制御する方法及びインクの含水率を、本発明で好ましい範囲に制御する方法としては、特に制限はないが、インク構成物を混合、溶解してインクを調製した後、直ちに、中空糸膜を用いた脱気モジュール(例えば、三菱レイヨン(株)MHFシリーズ、大日本インキ化学工業(株)SEPARELシリーズ(例えば、SEPAREL PF−004D))を用いて脱気する方法、あるいは真空ポンプ等を用いて減圧脱気処理(例えば、13.3Pa〜5.0kPaの減圧度で、20〜70℃にて減圧脱気)により、インクの25℃における溶存酸素飽和率を50%以下、カールフィッシャー法により測定した含水率を0.01〜0.5質量%の範囲に制御することができる。
更に、上記方法に従って所望の溶存酸素飽和率、含水率に制御したインクは、インクジェット記録装置に装填するまでの間は、酸素濃度及び含水率を維持させるため、密閉容器中に保存することが好ましい。
一般に、インクの保存容器としては、酸素及び水分遮断性を備えたフィルムパック等が使用されているが、昨今の活性光線硬化型インクジェットインクに要求される酸素及び水分の遮断効果としては決して十分であるとは言えず、そのため、金属製部材から構成される容器が使用されている。この様な金属容器において、種類の異なる異種金属から構成される容器に、インクの25℃における溶存酸素飽和率が50%を超える活性光線硬化型インクジェットインクを保存した場合には、異種金属が接する箇所より、金属の溶出に伴い析出物がインク中に発生し、その析出物がインクジェットヘッドのノズルを詰まらせ、結果として、吐出安定性の低下を招くこととなる。特に、アルミとステンレスの2種が接するような部材有する容器や、合金であるステンレス単体からなる容器で保存した際に激しくインクの析出物を発生する。これに対し、本発明で規定する25℃における該活性光線硬化型インク中の溶存酸素飽和率を50%以下の範囲とすることにより、吐出安定性の低下させる上記現象を抑えることができる。更に、カールフィッシャー法により測定した含水率が0.5質量%以下とすることが析出物の抑制効果がより顕著に奏することができる。また、これらの状態を、インクジェット記録装置に装填した後でも維持させる観点から、前述のようにインクジェット記録装置としては、インクタンクからインクジェットヘッドまでのインク供給路を密閉系とすることがより好ましい。
〔光重合性化合物〕
本発明の活性光線硬化型インクジェットインクは、少なくとも1種の光重合性化合物と光開始剤を含有するラジカル重合性、カチオン重合性あるいはラジカル・カチオンハイブリッド重合性のいずれのインクでも、特に制限なく用いることができる。また、光重合性化合物として、少なくとも1種の単官能モノマーを10〜30質量%含有することが、十分な硬化性が得られ、色にじみの防止ができ好ましい。
本発明の活性光線硬化型インクジェットインクは、少なくとも1種の光重合性化合物と光開始剤を含有するラジカル重合性、カチオン重合性あるいはラジカル・カチオンハイブリッド重合性のいずれのインクでも、特に制限なく用いることができる。また、光重合性化合物として、少なくとも1種の単官能モノマーを10〜30質量%含有することが、十分な硬化性が得られ、色にじみの防止ができ好ましい。
ラジカル重合性単官能モノマーとしては、例えば、イソアミルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、イソミルスチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコールアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ブトキシエチルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルコハク酸、2−アクリロイロキシエチルフタル酸、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、ラクトン変性可とう性アクリレート、t−ブチルシクロヘキシルアクリレート、などが挙げられる。
本発明の活性光線硬化型インクジェットインクでは、本発明の目的効果をより発揮できる観点から、光重合性化合物がカチオン重合性化合物であることが好ましい。
本発明の活性光線硬化型インクジェットインクに適用可能なカチオン重合性化合物としては、特に制限はないが、少なくとも1種の単官能または2官能のエポキシモノマー、少なくとも1種の単官能または2官能のビニルエーテルモノマー、または少なくとも1種の単官能または2官能オキセタンモノマーを含有することが好ましい。
これらのカチオン重合性化合物としては、例えば、開平6−9714号、特開2001−31892号、特開2001−40068号、特開2001−55507号、特開2001−310938号、特開2001−310937号、特開2001−220526号の各公報等に例示されているエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
エポキシ化合物としては、以下に記載の芳香族エポキシド、脂環式エポキシド及び脂肪族エポキシド等が挙げられる。
芳香族エポキシドとして好ましいものは、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノール或いはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジ又はポリグリシジルエーテルであり、例えば、ビスフェノールA、あるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールA或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、並びにノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
脂環式エポキシドとしては、少なくとも1個のシクロへキセン又はシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することによって得られる、シクロヘキセンオキサイド又はシクロペンテンオキサイド含有化合物が好ましい。
脂肪族エポキシドの好ましいものとしては、脂肪族多価アルコール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル等があり、その代表例としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテル又は1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリン或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
これらのエポキシ化合物のうち、速硬化性を考慮すると、芳香族エポキシド及び脂環式エポキシドが好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。本発明では、上記エポキシドの1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
本発明においては、更なる硬化性及び吐出安定性向上の観点から、光重合性化合物として、オキセタン環を有する化合物を全光重合性化合物の30〜95質量%、オキシラン基を有する化合物を5〜70質量%、ビニルエーテル化合物を0〜40質量%含有することが好ましい。
本発明で用いることのできるオキセタン化合物としては、例えば、特開2001−220526号、同2001−310937号に記載されているような公知のあらゆるオキセタン化合物を使用できる。
本発明で用いることのできるビニルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−O−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
これらのビニルエーテル化合物のうち、硬化性、密着性、表面硬度を考慮すると、ジ又はトリビニルエーテル化合物が好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。本発明では、上記ビニルエーテル化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
〔光開始剤〕
本発明において、光開始剤としては、「UV・EB硬化技術の応用と市場」(シーエムシー出版、田畑米穂監修/ラドテック研究会編集)などに掲載されているあらゆる公知の光開始剤を用いることができる。
本発明において、光開始剤としては、「UV・EB硬化技術の応用と市場」(シーエムシー出版、田畑米穂監修/ラドテック研究会編集)などに掲載されているあらゆる公知の光開始剤を用いることができる。
光ラジカル発生剤としては、例えば、アリールアルキルケトン、オキシムケトン、チオ安息香酸S−フェニル、チタノセン、芳香族ケトン、チオキサントン、ベンジルとキノン誘導体、ケトクマリン類などの従来公知の開始剤が使用出来る。中でもアシルフォスフィンオキシドやアシルホスフォナートは、感度が高く、開始剤の光開裂により吸収が減少するため、厚みを持つ硬化組成物での内部硬化に特に有効である。具体的には、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイドなどが好ましい。
また、前述のモノマー同様、安全性を考慮した選択では、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(ダロキュア−1173)が好適に用いられる。
また、前述のモノマー同様、安全性を考慮した選択では、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(ダロキュア−1173)が好適に用いられる。
また、本発明のインクにおいては、光重合性化合物として前述のカチオン重合性化合物を用い、かつ光開始剤として光酸発生剤を用いることが好ましい。
光酸発生剤としては、例えば、化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が用いられる(有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページ参照)。本発明に好適な化合物の例を以下に挙げる。
第1に、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウムなどの芳香族オニウム化合物のB(C6F5)4 -、PF6 -、AsF6 -、SbF6 -、CF3SO3 -塩を挙げることができる。
本発明で用いることのできるオニウム化合物の具体的な例を、以下に示す。
第2に、スルホン酸を発生するスルホン化物を挙げることができ、その具体的な化合物を、以下に例示する。
第3に、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物も用いることができ、以下にその具体的な化合物を例示する。
第4に、鉄アレン錯体を挙げることができる。
特に、本発明のインクにおいては、光酸発生剤としては、トリアリールスルホニウム塩を含有する化合物であることが好ましい。
光酸発生剤は、カチオン重合性化合物100質量部に対して、0.2〜20質量部の比率で含有させることが好ましい。光酸発生剤の含有量が0.2質量部未満では硬化物を得ることが困難であり、20質量部を越えて含有させてもさらなる硬化性向上効果はない。これら光酸発生剤は、1種または2種以上を選択して使用することができる。
〔色材〕
本発明の活性光線硬化型インクジェットインクにおいては、上記説明した光重合性化合物と共に、各種の公知の染料または顔料を含有することができるが、耐候性に優れる観点から色材として顔料を適用することが好ましい。
本発明の活性光線硬化型インクジェットインクにおいては、上記説明した光重合性化合物と共に、各種の公知の染料または顔料を含有することができるが、耐候性に優れる観点から色材として顔料を適用することが好ましい。
本発明に用いる顔料としては、カーボンブラック、カーボンリファインド、およびカーボンナノチューブのような炭素系顔料、鉄黒、コバルトブルー、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化クロム、および酸化鉄のような金属酸化物顔料、硫化亜鉛のような硫化物顔料、フタロシアニン系顔料、金属の硫酸塩、炭酸塩、ケイ酸塩、およびリン酸塩のような塩からなる顔料、並びにアルミ粉末、ブロンズ粉末、および亜鉛粉末のような金属粉末等の無機顔料、ニトロ顔料、アニリンブラック、ナフトールグリーンBのようなニトロソ顔料、ボルドー10B、レーキレッド4Rおよびクロモフタールレッドのようなアゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む。)、ピーコックブルーレーキおよびローダミンレーキのようなレーキ顔料、フタロシアニンブルーのようなフタロシアニン顔料、多環式顔料(ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラノン顔料など)、チオインジゴレッドおよびインダトロンブルーのようなスレン顔料、キナクリドン顔料、キナクリジン顔料、並びにイソインドリノン顔料のような有機系顔料を使用することもできる。
顔料の具体例としては、
C.I Pigment Yellow−1、2、3、12、13、14、16、17、42、73、74、75、81、83、87、93、95、97、98、109、114、120、128、129、138、150、151、154、180、185、
C.I Pigment Orange−16、36、38、
C.I Pigment Red−5、7、22、38、48:1、48:2、48:4、49:1、53:1、57:1、63:1、101、112、122、123、144、146、168、184、185、202、
C.I Pigment Violet−19、23、
C.I Pigment Blue−1、2、3、15:1、15:2、15:3、15:4、18、22、27、29、60、
C.I Pigment Green−7、36、
C.I Pigment White−6、18、21、
C.I Pigment Black−7、等を挙げることができる。
C.I Pigment Yellow−1、2、3、12、13、14、16、17、42、73、74、75、81、83、87、93、95、97、98、109、114、120、128、129、138、150、151、154、180、185、
C.I Pigment Orange−16、36、38、
C.I Pigment Red−5、7、22、38、48:1、48:2、48:4、49:1、53:1、57:1、63:1、101、112、122、123、144、146、168、184、185、202、
C.I Pigment Violet−19、23、
C.I Pigment Blue−1、2、3、15:1、15:2、15:3、15:4、18、22、27、29、60、
C.I Pigment Green−7、36、
C.I Pigment White−6、18、21、
C.I Pigment Black−7、等を挙げることができる。
顔料のアミン価は酸価よりも大きいことが好ましく、その差が1mg/gKOH以上、10mg/g未満であることが更に好ましい。1mg/gKOH未満であればその効果がなく、10mg/g以上の場合は塩基性処理を過度に行う必要があり、コストアップとなるばかりでなく、重合阻害の原因にもなり好ましくない。
上記顔料の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等の分散装置を用いることができる。また、顔料の分散を行う際に、分散剤を添加することもできる。分散剤としては、高分子分散剤を用いることが好ましく、高分子分散剤としては、例えば、Avecia社のSolsperseシリーズや、味の素ファインテクノ社のPBシリーズが挙げられる。また、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。これらの分散剤および分散助剤は、顔料100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。分散媒体は、溶剤または重合性化合物を用いて行うが、本発明のインクでは、印字後に反応・硬化させるため、無溶剤であることが好ましい。溶剤が硬化画像に残ってしまうと、耐溶剤性の劣化、残留する溶剤のVOCの問題が生じる。よって、分散媒体は溶剤では無く重合性化合物、その中でも最も粘度の低いモノマーを選択することが分散適性上好ましい。
顔料の分散は、顔料粒子の平均粒径を0.08〜0.5μmとすることが好ましく、最大粒径は0.3〜10μm、好ましくは0.3〜3μmとなるよう、顔料、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を適宜設定する。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性および硬化感度を維持することができる。本発明のインクにおいては、色材濃度としては、インク全体の1質量%乃至10質量%であることが好ましい。
〔添加剤〕
本発明のインクには、上記説明した以外に様々な添加剤を用いることができる。例えば、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類を添加することができる。また、保存安定性を改良する目的で、公知のあらゆる塩基性化合物を用いることができるが、代表的なものとして、塩基性アルカリ金属化合物、塩基性アルカリ土類金属化合物、アミン、脂肪酸アミン塩、各種防錆剤などの塩基性有機化合物などが挙げられる。
本発明のインクには、上記説明した以外に様々な添加剤を用いることができる。例えば、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類を添加することができる。また、保存安定性を改良する目的で、公知のあらゆる塩基性化合物を用いることができるが、代表的なものとして、塩基性アルカリ金属化合物、塩基性アルカリ土類金属化合物、アミン、脂肪酸アミン塩、各種防錆剤などの塩基性有機化合物などが挙げられる。
〔その他〕
本発明のインクにおいては、インクジェット画像形成に用いる場合は、25℃における粘度が7〜50mPa・sであることが好ましい。
本発明のインクにおいては、インクジェット画像形成に用いる場合は、25℃における粘度が7〜50mPa・sであることが好ましい。
《記録材料》
本発明で用いることのできる記録材料としては、通常の非コート紙、コート紙などの他、いわゆる軟包装に用いられる各種非吸収性のプラスチックおよびそのフィルムを用いることができ、各種プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、延伸ポリスチレン(OPS)フィルム、延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム、延伸ナイロン(ONy)フィルム、ポリ塩化ビニル(PVC)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム等を挙げることができる。その他のプラスチックとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、ポリビニルアルコール(PVA)、ゴム類などが使用できる。また、金属類やガラス類にも適用可能である。本発明の活性光線硬化型インクは、布地等の繊維質材料(媒体)上に画像を形成する場合のインクとして特に適していることを特徴とする。繊維質材料としては、特に限定されず、種々の材料を使用することができるが、合成繊維が好ましい。本発明に適用可能な合成繊維としては、例えば、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアラミド繊維等の一般に市販されている合成繊維が挙げられる。合成繊維よりなる布帛としては、前記合成繊維を用いた織物、編物、不織布等がある。また、ターポリンは、布帛の表面がポリ塩化ビニル樹脂で被覆されているものあり、ラミネート法、コーティング法、パッディッング法、トッピング法あるいはこれらを組み合わせた方法により加工されたいずれでもよい。塩化ビニル樹脂は、ペーストレジンタイプおよびストレートレジンタイプのいずれをも用いることができる。塩化ビニル樹脂には、一般に配合される可塑剤、充填剤、耐寒剤、防炎剤、紫外線吸収剤等の配合が可能である。
本発明で用いることのできる記録材料としては、通常の非コート紙、コート紙などの他、いわゆる軟包装に用いられる各種非吸収性のプラスチックおよびそのフィルムを用いることができ、各種プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、延伸ポリスチレン(OPS)フィルム、延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム、延伸ナイロン(ONy)フィルム、ポリ塩化ビニル(PVC)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム等を挙げることができる。その他のプラスチックとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、ポリビニルアルコール(PVA)、ゴム類などが使用できる。また、金属類やガラス類にも適用可能である。本発明の活性光線硬化型インクは、布地等の繊維質材料(媒体)上に画像を形成する場合のインクとして特に適していることを特徴とする。繊維質材料としては、特に限定されず、種々の材料を使用することができるが、合成繊維が好ましい。本発明に適用可能な合成繊維としては、例えば、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアラミド繊維等の一般に市販されている合成繊維が挙げられる。合成繊維よりなる布帛としては、前記合成繊維を用いた織物、編物、不織布等がある。また、ターポリンは、布帛の表面がポリ塩化ビニル樹脂で被覆されているものあり、ラミネート法、コーティング法、パッディッング法、トッピング法あるいはこれらを組み合わせた方法により加工されたいずれでもよい。塩化ビニル樹脂は、ペーストレジンタイプおよびストレートレジンタイプのいずれをも用いることができる。塩化ビニル樹脂には、一般に配合される可塑剤、充填剤、耐寒剤、防炎剤、紫外線吸収剤等の配合が可能である。
なお、本発明の活性光線硬化型インクジェットインクは、上記の合成繊維のうち、特にポリエステル繊維材料上に画像形成する場合のインクとして適しており、記録材料の質感を損なうことなく硬化膜剥がれのない画像をポリエステル繊維材料上に形成できる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例1
《顔料分散液の調製》
〔イエロー顔料分散液の調製〕
下記に示す方法に従って、イエロー顔料分散液を調製した。
《顔料分散液の調製》
〔イエロー顔料分散液の調製〕
下記に示す方法に従って、イエロー顔料分散液を調製した。
下記の2種の化合物をステンレスビーカーに入れ、ホットプレート上で65℃で加熱、攪拌しながら溶解した。
アジスパーPB822(味の素ファインテクノ社製分散剤) 8質量部
アロンオキセタンOXT−221(東亞合成社製オキセタン化合物) 72質量部
次いで、室温まで冷却した後、この溶液に顔料としてC.I. Pigment Yellow 150を20質量部を加えて、直径0.3mmのジルコニアビーズ200部と共にガラス瓶に入れ密栓し、ペイントシェーカーにて4時間の分散処理を施した後、ジルコニアビーズを除去して、イエロー顔料分散液を調製した。
アロンオキセタンOXT−221(東亞合成社製オキセタン化合物) 72質量部
次いで、室温まで冷却した後、この溶液に顔料としてC.I. Pigment Yellow 150を20質量部を加えて、直径0.3mmのジルコニアビーズ200部と共にガラス瓶に入れ密栓し、ペイントシェーカーにて4時間の分散処理を施した後、ジルコニアビーズを除去して、イエロー顔料分散液を調製した。
〔マゼンタ顔料分散液の調製〕
上記イエロー顔料分散液の調製において、顔料をC.I. Pigment Yellow 150に代えて、C.I.Pigment Red 122に変更した以外は同様にして、マゼンタ顔料分散液を調製した。
上記イエロー顔料分散液の調製において、顔料をC.I. Pigment Yellow 150に代えて、C.I.Pigment Red 122に変更した以外は同様にして、マゼンタ顔料分散液を調製した。
〔シアン顔料分散液の調製〕
上記イエロー顔料分散液の調製において、顔料をC.I. Pigment Yellow 150に代えて、C.I.Pigment Blue 15:4に変更した以外は同様にして、シアン顔料分散液を調製した。
上記イエロー顔料分散液の調製において、顔料をC.I. Pigment Yellow 150に代えて、C.I.Pigment Blue 15:4に変更した以外は同様にして、シアン顔料分散液を調製した。
〔ブラック顔料分散液の調製〕
上記イエロー顔料分散液の調製において、顔料をC.I. Pigment Yellow 150に代えて、C.I.Pigment Black 7に変更した以外は同様にして、ブラック顔料分散液を調製した。
上記イエロー顔料分散液の調製において、顔料をC.I. Pigment Yellow 150に代えて、C.I.Pigment Black 7に変更した以外は同様にして、ブラック顔料分散液を調製した。
《インクの調製》
〔イエローインクの調製〕
(イエローインクY1の調製)
上記調製したイエロー顔料分散液(イエロー顔料:20質量%、分散剤PB822:8質量%、光重合性化合物OXT−221:72質量%含有)と下記の各添加剤とを用いて、イエローインクAを調製した。
〔イエローインクの調製〕
(イエローインクY1の調製)
上記調製したイエロー顔料分散液(イエロー顔料:20質量%、分散剤PB822:8質量%、光重合性化合物OXT−221:72質量%含有)と下記の各添加剤とを用いて、イエローインクAを調製した。
具体的には、イエロー顔料分散物以外の全ての下記添加剤を混合し、十分に溶解したことを確認した後、この混合溶液をイエロー顔料分散物中に攪拌しながら少しずつ添加し、15分間攪拌した後、ロキテクノ社製PP3μmディスクフィルターで濾過を行った。
イエロー顔料分散液 20.0質量部
アジスバーPB822(味の素ファインテクノ製) 2.0質量部
オキセタンOXT221(東亞合成製) 55.0質量部
オキセタンOXT212(東亞合成製) 5.0質量部
オキセタンOXT211(東亞合成製) 5.0質量部
脂環式エポキシ化合物1 18.0質量部
光酸発生剤1(分子量466、1分子量当たり3つのアリール基を持つ)
4.0質量部
重合禁止剤(トリイソプロパノールアミン) 0.1質量部
アジスバーPB822(味の素ファインテクノ製) 2.0質量部
オキセタンOXT221(東亞合成製) 55.0質量部
オキセタンOXT212(東亞合成製) 5.0質量部
オキセタンOXT211(東亞合成製) 5.0質量部
脂環式エポキシ化合物1 18.0質量部
光酸発生剤1(分子量466、1分子量当たり3つのアリール基を持つ)
4.0質量部
重合禁止剤(トリイソプロパノールアミン) 0.1質量部
次いで、このイエローインクAを、中空糸膜を用いた脱気モジュール(大日本インキ化学工業(株)製、SEPAREL PF−004D)を用いて、下記の方法で測定した溶存酸素飽和率が80%となる条件で脱気し、脱気後、容器及び蓋がいずれもステンレス製の容器に充填し、これをイエローインクY1とした。
〈溶存酸素飽和率の測定〉
溶存酸素飽和率の測定は、酸素濃度計として、Hach Ultra Analytics Japan Inc.製の02分析計 orbisphereを用いて測定した。なお、測定の際には、測定値がインクの影響を受けないよう、隔膜にはパーフルオロ素材を用い、測定前後で一定の酸素濃度が得られていることを確認しながら測定を行った。
溶存酸素飽和率の測定は、酸素濃度計として、Hach Ultra Analytics Japan Inc.製の02分析計 orbisphereを用いて測定した。なお、測定の際には、測定値がインクの影響を受けないよう、隔膜にはパーフルオロ素材を用い、測定前後で一定の酸素濃度が得られていることを確認しながら測定を行った。
また、イエローインク1の含水率を、カールフィッシャー水分測定装置CA−05(三菱化学(株)製)で測定した結果、0.5質量%であった。また、電導度計SC−51型(横河北辰電機社製)で測定した電気伝導度は、53μS/cmであった。
(イエローインクY2〜Y5の調製)
上記イエローインクY1の調製において、イエローインクAの中空糸膜を用いた脱気モジュールによる脱気条件を適宜調整して、それぞれ溶存酸素飽和率が60%、45%、20%、8%のイエローインクY2〜Y5を調製した。
上記イエローインクY1の調製において、イエローインクAの中空糸膜を用いた脱気モジュールによる脱気条件を適宜調整して、それぞれ溶存酸素飽和率が60%、45%、20%、8%のイエローインクY2〜Y5を調製した。
なお、いずれのイエローインクも含水率は0.5質量%、電気伝導度は53μS/cmであった。
〔マゼンタインクM1〜M5の調製〕
上記イエローインクY1〜Y5の調製において、イエロー顔料分散液に代えて、上記調製したマゼンタ顔料分散液を用いた以外は同様にしてマゼンタインクAを調製し、それを用いて同様の操作でそれぞれ溶存酸素飽和率が80%、60%、45%、20%、8%のマゼンタインクM1〜M5を調製した。なお、いずれのマゼンタインクとも、含水率が0.5質量%、電気伝導度が50μS/cmであった。
上記イエローインクY1〜Y5の調製において、イエロー顔料分散液に代えて、上記調製したマゼンタ顔料分散液を用いた以外は同様にしてマゼンタインクAを調製し、それを用いて同様の操作でそれぞれ溶存酸素飽和率が80%、60%、45%、20%、8%のマゼンタインクM1〜M5を調製した。なお、いずれのマゼンタインクとも、含水率が0.5質量%、電気伝導度が50μS/cmであった。
〔シアンインクC1〜C5の調製〕
上記イエローインクY1〜Y5の調製において、イエロー顔料分散液に代えて、上記調製したシアン顔料分散液を用いた以外は同様にしてシアンインクAを調製し、それを用いて同様の操作でそれぞれ溶存酸素飽和率が80%、60%、45%、20%、8%のシアンインクC1〜C5を調製した。なお、いずれのシアンインクとも、含水率が0.5質量%、電気伝導度が52μS/cmであった。
上記イエローインクY1〜Y5の調製において、イエロー顔料分散液に代えて、上記調製したシアン顔料分散液を用いた以外は同様にしてシアンインクAを調製し、それを用いて同様の操作でそれぞれ溶存酸素飽和率が80%、60%、45%、20%、8%のシアンインクC1〜C5を調製した。なお、いずれのシアンインクとも、含水率が0.5質量%、電気伝導度が52μS/cmであった。
〔ブラックインクK1〜K5の調製〕
上記イエローインクY1〜Y5の調製において、イエロー顔料分散液に代えて、上記調製したブラック顔料分散液を用いた以外は同様にしてブラックインクAを調製し、それを用いて同様の操作でそれぞれ溶存酸素飽和率が80%、60%、45%、20%、8%のブラックインクK1〜K5を調製した。なお、いずれのブラックインクとも、含水率が0.5質量%、電気伝導度が51μS/cmであった。
上記イエローインクY1〜Y5の調製において、イエロー顔料分散液に代えて、上記調製したブラック顔料分散液を用いた以外は同様にしてブラックインクAを調製し、それを用いて同様の操作でそれぞれ溶存酸素飽和率が80%、60%、45%、20%、8%のブラックインクK1〜K5を調製した。なお、いずれのブラックインクとも、含水率が0.5質量%、電気伝導度が51μS/cmであった。
《各インクの評価》
〔インクジェット記録装置1〕
図1及び図2の(b)に記載のインクジェット記録装置1を用いて、評価を行った。
〔インクジェット記録装置1〕
図1及び図2の(b)に記載のインクジェット記録装置1を用いて、評価を行った。
図2の(b)に記載の構成からなるインク供給ラインは、インクタンク101はアルミニウム製で、ジョイントJ1、J2及びフィルタ107はステンレス製、フィルタボックス109はアルミニウム製、インク供給路102は、絶縁部材である耐インク性のあるテフロン(登録商標)チューブを黒色のポリオレフィンチューブで被覆したもので構成した。また、インクジェットヘッド104は、インク流路をカーボングラファイトで構成し、ノズル数を256とし、2〜20plのマルチサイズドットを720×720dpi(dpiとは、2.54cmあたりのドット数を表す)の解像度で吐出できる構成とした。
この様な構成からなるインクジェット記録装置は、インクタンク101からインクジェットヘッド104のノズル部まで、外気と接しない密閉系である。
〔インクの保存処理〕
上記インクジェット記録装置1のインクタンクに上記調製し、ステンレス製容器に貯蔵した各インクをぞれぞれ迅速に装填し、インクヘッドのノズル部までインクを充填させた。
上記インクジェット記録装置1のインクタンクに上記調製し、ステンレス製容器に貯蔵した各インクをぞれぞれ迅速に装填し、インクヘッドのノズル部までインクを充填させた。
〔インクの連続吐出〕
上記インクジェット記録装置1にインクを充填し、インクジェットヘッドを50℃に加温しながら、1日当たり4時間の断続的な吐出を行い、これを1ヶ月間継続した。
上記インクジェット記録装置1にインクを充填し、インクジェットヘッドを50℃に加温しながら、1日当たり4時間の断続的な吐出を行い、これを1ヶ月間継続した。
〔各特性の評価〕
上記方法で1ヶ月間の断続的吐出を行った後、下記の各評価を行った。
上記方法で1ヶ月間の断続的吐出を行った後、下記の各評価を行った。
(吐出直進性の評価)
1ヶ月後にインクジェットヘッドの256個のノズルより各インクを吐出し、その飛翔性を目視観察し、出射曲がりのあるノズル数をカウントし、下記の基準に従って吐出直進性の評価を行った。1ヶ月の期間、電気伝導性部材を有するインクジェット記録装置1に接触した場合、耐性に乏しいインクは、電気伝導性部材との接触で重合反応を起こし、不溶物をインク中に生成するため、ノズル部での詰まりに伴う出射曲がりを発生する。
1ヶ月後にインクジェットヘッドの256個のノズルより各インクを吐出し、その飛翔性を目視観察し、出射曲がりのあるノズル数をカウントし、下記の基準に従って吐出直進性の評価を行った。1ヶ月の期間、電気伝導性部材を有するインクジェット記録装置1に接触した場合、耐性に乏しいインクは、電気伝導性部材との接触で重合反応を起こし、不溶物をインク中に生成するため、ノズル部での詰まりに伴う出射曲がりを発生する。
◎:全ノズルが正常に出射され、出射曲がりの発生するノズルは皆無である
○:1〜5個のノズルで、極弱い出射曲がりが認められるが、ほぼ良好な出射性である
△:6〜10個のノズルで、弱い出射曲がりが認められるが、その着弾ずれ幅は実用上許容される範囲内である
×:10〜25個のノズルで、強い出射曲がりの発生が認められ、形成画像に不具合が生じる
××:26個以上のノズルで、極めて強い出射曲がりの発生が認められ、実用に耐えない
(ノズル欠耐性の評価)
1ヶ月後にインクジェットヘッドの256個のノズルより各インクを吐出し、画のズルでの目詰まりに伴うノズル欠の発生状況を目視観察し、ノズル欠の発生したノズル数をカウントし、下記の基準に従ってノズル欠耐性の評価を行った。1ヶ月の期間、電気伝導性部材を有するインクジェット記録装置に接触した場合、耐性に乏しいインクは、電気伝導性部材との接触で重合反応を起こし、不溶物をインク中に生成し、ノズル部での目詰まりを発生する。
○:1〜5個のノズルで、極弱い出射曲がりが認められるが、ほぼ良好な出射性である
△:6〜10個のノズルで、弱い出射曲がりが認められるが、その着弾ずれ幅は実用上許容される範囲内である
×:10〜25個のノズルで、強い出射曲がりの発生が認められ、形成画像に不具合が生じる
××:26個以上のノズルで、極めて強い出射曲がりの発生が認められ、実用に耐えない
(ノズル欠耐性の評価)
1ヶ月後にインクジェットヘッドの256個のノズルより各インクを吐出し、画のズルでの目詰まりに伴うノズル欠の発生状況を目視観察し、ノズル欠の発生したノズル数をカウントし、下記の基準に従ってノズル欠耐性の評価を行った。1ヶ月の期間、電気伝導性部材を有するインクジェット記録装置に接触した場合、耐性に乏しいインクは、電気伝導性部材との接触で重合反応を起こし、不溶物をインク中に生成し、ノズル部での目詰まりを発生する。
◎:全ノズルが正常に出射され、ノズル欠数は皆無である
○:1〜2個のノズルで、ノズル欠が認められるが、形成画像への影響はない
△:2〜5個のノズルで、ノズル欠の発生が認められるが、形成される画像としては実用上許容限界内である
×:6〜15個のノズルで、ノズル欠の発生が認められ、形成画像に不具合が生じる
××:16個以上のノズルで、ノズル欠が発生し、所望の画像が得られない
(メンテナンス復帰性の評価)
1ヶ月の間欠吐出を行った後、メンテナンス作業を行った後の各ノズルの復帰性について確認を行い、下記の基準に従ってメンテナンス復帰性の評価を行った。
○:1〜2個のノズルで、ノズル欠が認められるが、形成画像への影響はない
△:2〜5個のノズルで、ノズル欠の発生が認められるが、形成される画像としては実用上許容限界内である
×:6〜15個のノズルで、ノズル欠の発生が認められ、形成画像に不具合が生じる
××:16個以上のノズルで、ノズル欠が発生し、所望の画像が得られない
(メンテナンス復帰性の評価)
1ヶ月の間欠吐出を行った後、メンテナンス作業を行った後の各ノズルの復帰性について確認を行い、下記の基準に従ってメンテナンス復帰性の評価を行った。
◎:メンテナンス作業を行わないでも、各ノズルより正常の出射される
○:1〜2個のノズルでノズル欠が認められるが、1回のメンテナンス作業で正常に復帰する
△:2〜5個のノズルでノズル欠の発生が認められるが、2回のメンテナンス作業で正常に復帰する
×:6〜15個のノズルでノズル欠の発生が認められ、全ノズルが正常に復帰するまで3〜5回のメンテナンス作業を要する
××:16個以上のノズルでノズル欠が発生し、5回のメンテナンス作業でも正常に復帰しない
(析出・腐食耐性の評価)
1ヶ月の間欠吐出を行った後、インクタンク内での析出物の発生及びタンクの腐食について目視観察し、下記の基準に従って析出・腐食耐性の評価を行った。
○:1〜2個のノズルでノズル欠が認められるが、1回のメンテナンス作業で正常に復帰する
△:2〜5個のノズルでノズル欠の発生が認められるが、2回のメンテナンス作業で正常に復帰する
×:6〜15個のノズルでノズル欠の発生が認められ、全ノズルが正常に復帰するまで3〜5回のメンテナンス作業を要する
××:16個以上のノズルでノズル欠が発生し、5回のメンテナンス作業でも正常に復帰しない
(析出・腐食耐性の評価)
1ヶ月の間欠吐出を行った後、インクタンク内での析出物の発生及びタンクの腐食について目視観察し、下記の基準に従って析出・腐食耐性の評価を行った。
◎:タンク壁での析出物の付着及び腐食は認められない
○:タンク壁での析出物の付着及び腐食はほぼ認められない
△:タンク壁で少量の析出物付着は認められるが、腐食の発生はない
×:タンク壁で明らかな析出物の付着が認めら、また弱い腐食が発生している
××:タンク壁に多量の析出物の付着が認めら、また腐食が発生している
以上により得られた結果を、表1に示す。
○:タンク壁での析出物の付着及び腐食はほぼ認められない
△:タンク壁で少量の析出物付着は認められるが、腐食の発生はない
×:タンク壁で明らかな析出物の付着が認めら、また弱い腐食が発生している
××:タンク壁に多量の析出物の付着が認めら、また腐食が発生している
以上により得られた結果を、表1に示す。
表1に記載の結果より明らかなように、25℃における溶存酸素飽和率が50%以下である本発明のインクは、比較例に対し、電気伝導性部材を有するインクジェット記録装置に長期間にわたり保存された際でも、生成する異物に起因する出射性(吐出直進性)、ノズル詰まり耐性(ノズル欠耐性)、メンテナンス復帰性に優れ、またインクジェット記録装置内部での析出・腐食耐性に優れていることが分かる。
実施例2
《インクの調製》
〔イエローインクの調製〕
(イエローインクY6〜Y10の調製)
実施例1に記載のイエローインクAを調製した後、真空ポンプを用いて脱気処理を行い、直ちに容器及び蓋がいずれもステンレス製の容器に充填して、下記の25℃における溶存酸素飽和率及び含水率のイエローインクY6〜Y10を調製した。なお、いずれのイエローインクも電気伝導度は、含水率に応じて表2に記載のように変化した。
《インクの調製》
〔イエローインクの調製〕
(イエローインクY6〜Y10の調製)
実施例1に記載のイエローインクAを調製した後、真空ポンプを用いて脱気処理を行い、直ちに容器及び蓋がいずれもステンレス製の容器に充填して、下記の25℃における溶存酸素飽和率及び含水率のイエローインクY6〜Y10を調製した。なお、いずれのイエローインクも電気伝導度は、含水率に応じて表2に記載のように変化した。
イエローインクY6:溶存酸素飽和率=80%、含水率=2.04%
イエローインクY7:溶存酸素飽和率=56%、含水率=0.85%
イエローインクY8:溶存酸素飽和率=40%、含水率=0.49%
イエローインクY9:溶存酸素飽和率=24%、含水率=0.28%
イエローインクY10:溶存酸素飽和率=8%、含水率=0.09%
(イエローインクY11〜Y13の調製)
上記イエローインクY9の調製において、脱気処理後に、水を添加し、溶存酸素飽和率が24%で、含水率がそれぞれ0.78%、0.55%、0.45%のイエローインクY11〜Y13を調製し、調製後直ちに容器及び蓋がいずれもステンレス製の容器に充填した。なお、いずれのイエローインクも電気伝導度は、含水率に応じて表2に記載のように変化した。
イエローインクY7:溶存酸素飽和率=56%、含水率=0.85%
イエローインクY8:溶存酸素飽和率=40%、含水率=0.49%
イエローインクY9:溶存酸素飽和率=24%、含水率=0.28%
イエローインクY10:溶存酸素飽和率=8%、含水率=0.09%
(イエローインクY11〜Y13の調製)
上記イエローインクY9の調製において、脱気処理後に、水を添加し、溶存酸素飽和率が24%で、含水率がそれぞれ0.78%、0.55%、0.45%のイエローインクY11〜Y13を調製し、調製後直ちに容器及び蓋がいずれもステンレス製の容器に充填した。なお、いずれのイエローインクも電気伝導度は、含水率に応じて表2に記載のように変化した。
(イエローインクY14〜Y21の調製)
上記イエローインクY7の調製において、光酸発生剤の種類及び添加量を適宜変更し、更に、表2に記載の電気伝導度としたイエローインクY14〜Y17を調製し、調製後直ちに容器及び蓋がいずれもステンレス製の容器に充填した。同様にして、イエローインクY9の調製において、光酸発生剤の種類及び添加量を適宜変更し、更に、表2に記載の電気伝導度としたイエローインクY18〜Y21を調製し、調製後直ちに容器及び蓋がいずれもステンレス製の容器に充填した。
上記イエローインクY7の調製において、光酸発生剤の種類及び添加量を適宜変更し、更に、表2に記載の電気伝導度としたイエローインクY14〜Y17を調製し、調製後直ちに容器及び蓋がいずれもステンレス製の容器に充填した。同様にして、イエローインクY9の調製において、光酸発生剤の種類及び添加量を適宜変更し、更に、表2に記載の電気伝導度としたイエローインクY18〜Y21を調製し、調製後直ちに容器及び蓋がいずれもステンレス製の容器に充填した。
《イエローインクの評価》
上記調製したイエローインクY6〜Y21について、実施例1に記載の方法と同様にして、吐出直進性、ノズル欠耐性、メンテナンス復帰性及び析出・腐食耐性について評価を行い、得られた結果を表2に示す。
上記調製したイエローインクY6〜Y21について、実施例1に記載の方法と同様にして、吐出直進性、ノズル欠耐性、メンテナンス復帰性及び析出・腐食耐性について評価を行い、得られた結果を表2に示す。
表2に記載の結果より明らかなように、本発明で規定する溶存酸素飽和率が50%以下のイエローインクは、カールフィッシャー法により測定した含水率が0.01〜0.5質量%、あるいは電気伝導度が、10μS/cm以上、60μS/cm以下とすることにより、電気伝導性部材を有するインクジェット記録装置に長期間にわたり保存された際でも、生成する異物に起因する出射性(吐出直進性)、ノズル詰まり耐性(ノズル欠耐性)、メンテナンス復帰性により優れ、またインクジェット記録装置内部での析出・腐食耐性により優れていることが分かる。
また、イエローインクY6〜Y21の評価と同様にして、実施例1に記載のマゼンタインクA、シアンインクA、ブラックインクAを用いて、同様の評価を行った結果、いずれのインクにおいては、表2に記載のイエローインクと同様の効果を確認することができた。
実施例3
《インクジェット記録装置の作製》
実施例1、2で使用したインクジェット記録装置1(インクタンク、フィルタボックス:アルミニウム製、ジョイント、フィルタ:ステンレス製)において、各構成材料の材質を、表3に記載のように変更した以外は同様にして、インクジェット記録装置2〜8を作製した。
《インクジェット記録装置の作製》
実施例1、2で使用したインクジェット記録装置1(インクタンク、フィルタボックス:アルミニウム製、ジョイント、フィルタ:ステンレス製)において、各構成材料の材質を、表3に記載のように変更した以外は同様にして、インクジェット記録装置2〜8を作製した。
《インクの評価》
上記作製したインクジェット記録装置2〜8に、実施例2で調製したイエローインクY7(溶存酸素飽和率=56%、含水率=0.85%)とイエローインクY9(溶存酸素飽和率=24%、含水率=0.28%)をぞれぞれ装填し、実施例1に記載の方法と同様にして、吐出直進性、ノズル欠耐性、メンテナンス復帰性及び析出・腐食耐性について評価を行い、得られた結果を表2に示す。
上記作製したインクジェット記録装置2〜8に、実施例2で調製したイエローインクY7(溶存酸素飽和率=56%、含水率=0.85%)とイエローインクY9(溶存酸素飽和率=24%、含水率=0.28%)をぞれぞれ装填し、実施例1に記載の方法と同様にして、吐出直進性、ノズル欠耐性、メンテナンス復帰性及び析出・腐食耐性について評価を行い、得られた結果を表2に示す。
表3に記載の結果より明らかなように、各種電気伝導性部材から構成されるインクジェット記録装置においても、本発明で規定する溶存酸素飽和率が50%以下のイエローインクY9は、比較例に対し、インクジェット記録装置に長期間にわたり保存された際でも、生成する異物に起因する出射性(吐出直進性)、ノズル詰まり耐性(ノズル欠耐性)、メンテナンス復帰性により優れ、またインクジェット記録装置内部での析出・腐食耐性により優れていることが分かる。
また、イエローインクの評価と同様にして、マゼンタインク、シアンインク、ブラックインクを用いて、同様の評価を行った結果、いずれのインクにおいては、表3に記載のイエローインクと同様の効果を確認することができた。
実施例4
《インク保管容器の作製》
下記の構成からなるインク保管容器を準備した。
《インク保管容器の作製》
下記の構成からなるインク保管容器を準備した。
保管容器1(実施例1〜3使用):容器本体=ステンレス製、蓋部材:ステンレス製
保管容器2:容器本体=アルミニウム製、蓋部材:アルミニウム製
保管容器3:容器本体=アルミニウム製、蓋部材:ステンレス製
保管容器4:容器本体=鉄−ニッケル合金製、蓋部材:ステンレス製
保管容器5:容器本体=アルミニウム製、蓋部材:鉄−コバルト−ニッケル合金製
保管容器6:容器本体=銅製、蓋部材:アルミニウム製
保管容器7:容器本体=アルミニウム製、蓋部材:カーボングラファイト製
保管容器8:容器本体=アルミニウム製、蓋部材:導電性プラスチック製
《インクの保管》
実施例1で調製した中空糸膜を用いた脱気モジュールにより脱気処理を施したイエローインクY1〜Y5を、調製直後に上記保管容器1〜8にそれぞれ保管した。
保管容器2:容器本体=アルミニウム製、蓋部材:アルミニウム製
保管容器3:容器本体=アルミニウム製、蓋部材:ステンレス製
保管容器4:容器本体=鉄−ニッケル合金製、蓋部材:ステンレス製
保管容器5:容器本体=アルミニウム製、蓋部材:鉄−コバルト−ニッケル合金製
保管容器6:容器本体=銅製、蓋部材:アルミニウム製
保管容器7:容器本体=アルミニウム製、蓋部材:カーボングラファイト製
保管容器8:容器本体=アルミニウム製、蓋部材:導電性プラスチック製
《インクの保管》
実施例1で調製した中空糸膜を用いた脱気モジュールにより脱気処理を施したイエローインクY1〜Y5を、調製直後に上記保管容器1〜8にそれぞれ保管した。
ついで、各保管容器を70℃の環境下で3日間保管した後、実施例1に記載の析出・腐食耐性の評価と同様にして、保管容器内の析出物の発生及び保管容器内壁の腐食について目視観察し、同様の基準で析出・腐食耐性の評価を行った結果、本発明で規定する溶存酸素飽和率が50%以下のイエローインクは、比較例に対し、析出や容器腐食の発生がなく、良好な結果を示した。また、上記条件で保管を行った各インクを、インクジェット記録装置1にて吐出し、出射性(吐出直進性)、ノズル詰まり耐性(ノズル欠耐性)及びメンテナンス復帰性を評価した結果、本発明のイエローインクは、いずれの特性ともりゅこうな結果を示した。
また、イエローインクY1〜Y5の評価と同様にして、マゼンタインクM1〜M5、シアンインクC1〜C5及びブラックインクK1〜K5についても同様の評価を行った結果、いずれのインクにおいても、イエローインクと同様の効果を確認することができた。
1、101 インクタンク
2、104 記録ヘッド
3 活性エネルギー線源
4、103 キャリッジ
6、110 フィルタボックス
7、108 中間タンク
8、102 インク供給路
105 中間タンクユニット
106 中間タンク前室
107 フィルタ
109、111 フィルタ隣接部
J1〜J6 ジョイント
N ノズル
201 インクジェット記録装置
202 ヘッドキャリッジ
203 インクジェットヘッド
231 インク吐出口
204 照射手段
205 プラテン部
206 ガイド部材
207 蛇腹構造
208 照射光源
P 記録材料
2、104 記録ヘッド
3 活性エネルギー線源
4、103 キャリッジ
6、110 フィルタボックス
7、108 中間タンク
8、102 インク供給路
105 中間タンクユニット
106 中間タンク前室
107 フィルタ
109、111 フィルタ隣接部
J1〜J6 ジョイント
N ノズル
201 インクジェット記録装置
202 ヘッドキャリッジ
203 インクジェットヘッド
231 インク吐出口
204 照射手段
205 プラテン部
206 ガイド部材
207 蛇腹構造
208 照射光源
P 記録材料
Claims (13)
- 活性光線硬化型インクジェットインクと接する箇所に少なくとも1種の電気伝導性部材を有するインクジェット記録装置を用いて、活性光線硬化型インクジェットインクを吐出するインクジェットインク吐出方法において、該活性光線硬化型インクジェットインクが、25℃における溶存酸素飽和率が50%以下であることを特徴とするインクジェットインク吐出方法。
- 前記電気伝導性部材が、オーステナイト系ステンレス、フェライト系ステンレス、鉄・ニッケル合金、鉄・コバルト・ニッケル合金、銅、アルミ、カーボン及び導電性プラスチックから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットインク吐出方法。
- 前記活性光線硬化型インクジェットインクが、少なくとも1種の光重合性化合物と光開始剤を含有し、カールフィッシャー法により測定した含水率が0.01〜0.5質量%で容器に密閉保存した状態で、インクジェット記録装置に供給することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェットインク吐出方法。
- 活性光線硬化型インクジェットインクと接する箇所に少なくとも1種の電気伝導性部材を有するインクジェット記録装置を用いて、記録材料上に吐出して画像を形成する活性光線硬化型インクジェットインクにおいて、25℃における溶存酸素飽和率が50%以下であることを特徴とする活性光線硬化型インクジェットインク。
- 少なくとも1種の光重合性化合物と光開始剤を含有し、カールフィッシャー法により測定した含水率が0.01〜0.5質量%であることを特徴とする請求項4に記載の活性光線硬化型インクジェットインク。
- 少なくとも1種の光重合性化合物と光開始剤を含有し、カールフィッシャー法により測定した含水率が0.01〜0.5質量%の条件で、密閉容器中に保存されることを特徴とする請求項4に記載の活性光線硬化型インクジェットインク。
- 前記含水率が、0.01〜0.3質量%であることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクジェットインク。
- 前記光重合性化合物がカチオン重合性化合物であり、かつ前記光開始剤が光酸発生剤であることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクジェットインク。
- 前記光酸発生剤が、トリアリールスルホニウム塩を含有することを特徴とする請求項8に記載の活性光線硬化型インクジェットインク。
- 電気伝導度が、10μS/cm以上、60μS/cm以下であることを特徴とする請求項4〜9のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクジェットインク。
- 活性光線硬化型インクジェットインクと接する箇所に少なくとも1種の電気伝導性部材を有するインクジェット記録装置において、該活性光線硬化型インクジェットインクが、請求項4〜10のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクジェットインクであることを特徴とするインクジェット記録装置。
- 前記電気伝導性部材が、オーステナイト系ステンレス、フェライト系ステンレス、鉄・ニッケル合金、鉄・コバルト・ニッケル合金、銅、アルミ、カーボン及び導電性プラスチックから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項11に記載のインクジェット記録装置。
- 前記活性光線硬化型インクジェットインク及びインクジェットヘッドを35℃以上、100℃以下に加熱した後、該インクジェットヘッドより該活性光線硬化型インクジェットインクを吐出することを特徴とする請求項11または12に記載のインクジェット記録装置。
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- 2007-02-26 JP JP2007045358A patent/JP2008207425A/ja active Pending
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