本発明は、圧電素子を有し、振動を行うアクチュエータ本体を備えた超音波アクチュエータ装置に関するものである。
従来より、圧電素子を有したアクチュエータ本体を備えた超音波アクチュエータ装置としては、特許文献1に開示されたものが知られている。
特許文献1に係る超音波アクチュエータ装置は、圧電素子で構成されたアクチュエータ本体と、該アクチュエータ本体に取り付けられた駆動子とを備えている。
このアクチュエータ本体は、長手方向を有する平板状の圧電素子で構成されており、対角位置にある2対の電極にそれぞれ位相の異なる交流電圧を印加することで、該圧電素子の長手方向への縦振動(所謂、伸縮振動)と該圧電素子の短手方向への屈曲振動とを調和的に発生させている。その結果、駆動子は、該圧電素子の長手方向と短手方向とを含む平面内で周回運動、詳しくは、楕円運動を行う。
また、特許文献2は、超音波モータ(超音波アクチュエータ装置)を開示している。特許文献2は、超音波モータにおいて、駆動周波数を超音波モータの共振周波数より高く設定し、起動時に高い周波数から低い周波数へ向けて周波数を変更する技術を開示している。
さらに、特許文献3は、超音波モータ(超音波アクチュエータ装置)の制御装置を開示している。特許文献3は、超音波モータの駆動電流が最も小さくなる駆動周波数をサーチして、その周波数に駆動周波数を固定して制御する技術を開示している。
特開2004−304963号公報
特開平7−264882号公報
特開2006−115583号公報
特許文献2に記載の超音波モータは、共振周波数のみを基準にしており、また共振周波数自体も、アクチュエータの製造ばらつきや、圧電素子の材料定数のばらつきなどを原因として、その絶対値に大きなばらつきがあるので、制御されるべき駆動周波数の選択範囲が非常に広いという問題があった。駆動周波数が低すぎると、電流が大きくなるので効率が悪くなるばかりではなく、発熱して素子が損傷する虞があるという問題がある。また、駆動周波数が高すぎても同様に発熱して素子が損傷する虞があるという問題がある。
また、特許文献3に記載の超音波モータは、駆動周波数を固定してしまうため、速度などの出力を変化させるには、駆動パルスのデューティ比を変化させるしかなかった。しかしながら、デューティ比の変化を用いると、その制御範囲が極めて小さくなってしまうという問題がある。
本発明は、上記課題に鑑み、駆動電力の適正化を図りつつ、出力の制御範囲が大きい超音波アクチュエータ装置を提供することを目的とする。
上記課題に鑑み、本発明の超音波アクチュエータ装置は、圧電素子を有し、振動を行うアクチュエータ本体と、前記アクチュエータ本体に印加すべき駆動電圧の駆動周波数を所定の制御範囲内から設定する制御部と、前記制御部からの制御信号を受けて、該制御部で設定された駆動周波数の駆動電圧を前記アクチュエータ本体に印加する電源部と、前記圧電素子の反共振周波数と共振周波数との差に関するデータを記憶しておく記憶部とを備え、前記制御部は、前記圧電素子を流れる電流値が極小値になる基準周波数と前記記憶部に記憶された前記圧電素子の反共振周波数と共振周波数との差に関するデータとに基づいて、前記駆動周波数の制御範囲をその下限値が該圧電素子を流れる電流値が極大値となる周波数以上となるように定めて、該制御範囲内で該駆動周波数を設定するものとする。
本発明によれば、駆動電力の適正化を図りつつ、出力の制御範囲が大きい超音波アクチュエータを提供することができる。
図1は、本発明の実施形態1に係る駆動装置の構成を示す分解斜視図である。
図2は、駆動装置の斜視図である。
図3は、超音波アクチュエータの斜視図である。
図4は、圧電素子の分解斜視図である。
図5は、アクチュエータ本体の構成を示す概略正面図である。
図6は、圧電素子の1次モードの伸縮振動による変位を示す概念図である。
図7は、圧電素子の2次モードの屈曲振動による変位を示す概念図である。
図8は、圧電素子の動作を示す概念図である。
図9は、超音波アクチュエータの配置を示す概略平面図である。
図10は、超音波アクチュエータ制御回路の構成図である。
図11は、駆動信号を示す波形図であって、(a)はステージを図10のA方向へ移動させるとき、(b)はステージを図10のB方向へ移動させるとき、(c)はステージを停止させるときの駆動信号を示す。
図12は、実施形態1のアクチュエータの速度、駆動電圧に対してアクチュエータを流れる電流、発熱のそれぞれの周波数特性を示す概念図である。
図13は、実施形態1の制御フローを示すフローチャートである。
図14は、実施形態1の制御周波数設定処理の内容を示すフローチャートである。
図15は、実施形態1の制御周波数設定処理の別の内容を示すフローチャートである。
図16は、実施形態1の制御周波数設定処理の別の内容を示すフローチャートである。
図17は、実施形態2に係る超音波アクチュエータの斜視図である。
図18は、実施形態3に係るアクチュエータ本体の斜視図である。
図19は、超音波アクチュエータの配置を示す概略平面図である。
符号の説明
3 ステージ(被駆動体)
4A,204A,304A 第1超音波アクチュエータ(第1アクチュエータ)
4B,204A,304A 第2超音波アクチュエータ(第2アクチュエータ)
5 アクチュエータ本体
59 駆動子
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1に係る駆動装置1は、図1,2に示すように、固定部材2と、該固定部材2に対して相対的に移動可能に支持されたステージ3と、該ステージ3を駆動する第1超音波アクチュエータ4A及び第2超音波アクチュエータ4Bと、該第1及び第2超音波アクチュエータ4A,4Bを駆動制御する制御装置(図示省略)とを備えている。
前記固定部材2は、平面視方形状の底壁部21と、底壁部21の四隅部からそれぞれ立設する4つの側壁部22,22,…と、該底壁部21と対向して該4つの側壁部22,22,…のうちの3つの側壁部22,22,22の先端部に取り付けられる第1天井壁部23と、該底壁部21と対向して該4つの側壁部22,22,…のうちの残りの1つの側壁部22の先端部に取り付けられる第2天井壁部24とを有している。前記側壁部22,22,…は、底壁部21の対向する一方の対の辺縁部にそれぞれ2つずつ設けられている。底壁部21の各辺縁部に設けられた2つの側壁部22,22は、該辺縁部の両端部に設けられている。前記第1天井壁部23は、平面視略L字形状をした平板部材であって、3つの側壁部22,22,22の先端部に跨って取り付けられている。また、前記第2天井壁部24は、平面視略方形状をした平板部材である。
前記ステージ3は、金属製の平面視正方形状の平板部材であって、前記4つの側壁部22,22,…との間に間隔を有する状態で前記固定部材2内に収容されている。尚、ステージ3は、ポリカーボネイト等の樹脂で形成されていてもよい。このステージ3が被駆動体を構成する。
また、ステージ3の下面における一の辺縁部及び該一の辺縁部と直交する2つの辺縁部のうちの一方には、ステージ3の下面及び側面に開口する凹部32,32が形成されている。この凹部32,32には、セラミック製の補強部材33,33が嵌め込まれて接着されている。この補強部材33,33は、ステージ3の下面と面一に配置されている。尚、補強部材33,33は、セラミック製に限られず、耐摩耗性を有する部材であれば、任意の部材を採用することができる。
このステージ3は、その四隅部が支持バネ25,25,…によって第1及び第2天井壁部23,24に対して支持されている。このとき、ステージ3と第1及び第2天井壁部23,24との間には、金属製の球状の転動体26,26,26(本実施形態では3つ)が設けられている。ステージ3の上面(第1及び第2天井壁部23,24と対向する面)には、転動体26,26,26のステージ3に対する相対移動を規制するための受け穴部31,31,31が形成されている。前記転動体26,26,26はこの受け穴部31,31,31内に配設される一方、第1及び第2天井壁部23,24の下面(ステージ3と対向する面)と当接している。さらに詳しくは、転動体26,26,26のうちの2つはステージ3と第1天井壁部23との間に介設され、残りの1つはステージ3と第2天井壁部24との間に介設されている。こうすることで、ステージ3は、第1及び第2天井壁部23,24に対して一定の間隔を有した状態で付勢支持されていると共に、転動体26,26,26を介して該ステージ3の上面及び下面と平行な方向に移動可能に構成されている。
前記第1及び第2超音波アクチュエータ4A,4Bは、同様の構成をしている。各超音波アクチュエータ4A(4B)は、図3に示すように、振動を発生させるアクチュエータ本体5と、該アクチュエータ本体5の駆動力をステージ3に伝達する駆動子59,59と、該アクチュエータ本体5を収容するケース6と、アクチュエータ本体5とケース6との間に介設されてアクチュエータ本体5を弾性的に支持する支持ゴム71,71と、アクチュエータ本体5を前記ステージ3に付勢するための付勢ゴム72とを備えている。
前記アクチュエータ本体5は、圧電素子50で構成されている。
前記圧電素子50は、略長方形状の互いに対向する一対の主面と、この主面と直交して該主面の長手方向に延びる、互いに対向する一対の長辺側面と、これら主面及び長辺側面の両方と直交して該主面の短手方向に延びる、互いに対向する一対の短辺側面とを有する略直方体状をしている。
この圧電素子50は、図4に示すように、5つの圧電体層51,51,…と4つの内部電極層52,54,53,54とを交互に積層して構成される。内部電極層52,54,53,54は、積層方向に圧電体層51を介して交互に配された、第1給電電極層52と共通電極層54と第2給電電極層53と共通電極層54とで構成される。これら第1給電電極層52、第2給電電極層53及び共通電極層54,54のそれぞれは、各圧電体層51の主面上に印刷されている。
前記各圧電体層51は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛などのセラミック材料からなる絶縁体層であって、前記圧電素子50と同様に、一対の主面と、一対の長辺側面と、一対の短辺側面とを有する略直方体状をしている。また、各圧電体層51には、その長辺側面のうち前記駆動子59,59が設けられていない側の長辺側面の長手方向中央部に外部電極55aが、一方の短辺側面の短手方向中央部に外部電極56aが、他方の短辺側面の短手方向中央部に外部電極57aがそれぞれ形成されている。
前記各共通電極層54は、圧電体層51の主面の略全面に亘って設けられた略長方形状をしている。また、各共通電極層54の一方の長辺部には、その長手方向中央部から圧電体層51の前記外部電極55aまで延びる引出電極54aが形成されている。
前記第1給電電極層52は、図5に示すように、圧電体層51の主面をその長手方向及び短手方向にそれぞれ2等分してなる4つの領域のうち該主面の対角線方向に位置する2対の領域のうち一方の対の領域にそれぞれ形成された一対の第1電極52a,52bと、これら第1電極52a,52bを連結して導通させる導通電極52cとを有する。各第1電極52a(52b)は略矩形状の電極であり、積層方向に見て共通電極層54と重なっている。つまり、各第1電極52a(52b)は、圧電体層51を挟んで共通電極層54と対向している。また、第1電極52a,52bのうちの一方の第1電極52aには、圧電体層51の前記外部電極56aまで延びる引出電極52dが設けられている。
前記第2給電電極層53は、圧電体層51の主面の対角線方向に位置する前記2対の領域のうち他方の対の領域にそれぞれ形成された一対の第2電極53a,53bと、これら第2電極53a,53bを連結して導通させる導通電極53cとを有する。前記他方の対の領域のうち積層方向に見て前記第1電極52aの前記短手方向且つ前記第1電極52bの前記長手方向に隣接する領域に設けられる電極が第2電極53aであり、第1電極52aの該長手方向且つ第1電極52bの該短手方向に隣接する領域に設けられる電極が第2電極53bである。各第2電極53a(53b)は略矩形状の電極であり、積層方向に見て共通電極層54と重なっている。つまり、各第2電極53a(53b)は、圧電体層51を挟んで共通電極層54と対向している。また、第2電極53a,53bのうちの一方の第2電極53bには、圧電体層51の前記外部電極57aまで延びる引出電極53dが設けられている。
これら圧電体層51,51,…と内部電極層52,54,53,54とを交互に積層することで構成された圧電素子50においては、その一方の長辺側面の前記長手方向中央部に、各圧電体層51の外部電極55aが積層方向に並んで一まとまりの外部電極55が形成されている。この外部電極55には、前記共通電極層54,54に形成された引出電極54a,54aが電気的に接続されている。同様に、圧電素子50の一方の短辺側面の前記短手方向中央部には、各圧電体層51の外部電極56aが積層方向に並んで一まとまりの外部電極56が形成されている。この外部電極56には、前記第1給電電極層52の引出電極52dが電気的に接続されている。また、圧電素子50の他方の短辺側面の前記短手方向中央部には、各圧電体層51の外部電極57aが積層方向に並んで一まとまりの外部電極57が形成されている。この外部電極57には、前記第2給電電極層53の引出電極53dが電気的に接続されている。
そして、圧電素子50の長辺側面のうち前記外部電極55aが設けられていない側の長辺側面には、前記駆動子59,59が前記長手方向に互いに間隔を空けて設けられている。駆動子59,59は、該長手方向において、該長辺側面の全長の30〜35%距離だけその長手方向両端部から内側に入った位置に配設されている。この位置は、屈曲振動の2次モードの腹の位置であって、振動が最も大きくなる位置である。これら駆動子59,59は、ほぼ球体状であって、セラミック等の硬質部材で形成されている。
前記外部電極55をグランドに接続し、前記外部電極56に所定周波数の交流電圧を、前記外部電極57に該交流電圧と位相が90°ずれた交流電圧を印加することによって、圧電体層51の主面の対角線方向に位置する一方の対の第1電極52a,52bと、他方の対の第2電極53a,53bとに互いに位相が90°ずれた交流電圧を印加され、圧電素子50には、図6に示す縦振動(いわゆる、伸縮振動)の1次モードと、図7に示す屈曲振動の2次モードとが誘起される。
縦振動の共振周波数及び屈曲振動の共振周波数はそれぞれ、圧電素子50の材料、形状等により決定される。さらに、両共振周波数は、圧電素子50を支持する力及び支持する部分によっても影響を受ける。これらを考慮して、両共振周波数を略一致させ、その近傍の周波数の交流電圧を位相を90°ずらした状態で外部電極56,57のそれぞれに印加することによって、圧電素子50には、縦振動の1次モードと屈曲振動の2次モードとが調和的に誘起され、図8(a)、(b)、(c)、(d)に示す形状の変化を順番に起こす。
その結果、圧電素子50に設けられた各駆動子59が該圧電素子50の主面と平行な平面(図8における紙面と平行な面)内で略楕円運動を起こす。
前記ケース6は、樹脂製であって、前記圧電素子50に対応した略直方体状の概略箱形状をしている。このケース6は、前記圧電素子50の主面と平行で且つ略長方形状の主壁部61と、該主壁部61の前記長手方向の一側(図3における左側)に位置する短辺部に設けられた第1短辺壁部62と、該主壁部61の該長手方向の他側(図3における右側)に位置する短辺部に設けられた第2短辺壁部63と、該主壁部61の前記短手方向の一側(図3における下側)に位置する長辺部に設けられた長辺壁部64とを有している。つまり、ケース6は、主壁部61に対向する側及び該主壁部61の該短手方向の他側(図3における上側)に位置する長辺部(圧電素子50の駆動子59,59が設けられた長辺側面に対応する部分)には壁部が設けられておらず、厚み方向(主壁部61の法線方向)の一側及び該短手方向の他側に開口した形状となっている。
このように構成されたケース6内に前記アクチュエータ本体5が収容されている。アクチュエータ本体5は、圧電素子50の一方の主面が主壁部61と当接し且つ圧電素子50の一方の長辺側面(前記外部電極55が設けられている側の長辺側面)が長辺壁部64と対向するようにしてケース6内に収容されている。このとき、駆動子59,59はケース6から前記短手方向の他側に突出している。また、圧電素子50の一方の短辺側面とケース6の第1短辺壁部62との間および圧電素子50の他方の短辺側面とケース6の第2短辺壁部63との間にはそれぞれ支持ゴム71,71が介設されている。この圧電素子50の両短辺側面は縦振動の腹の部分であるが、支持ゴム71,71は弾性体であるため、圧電素子50の縦振動を阻害することなく、該圧電素子50を支持することができる。これら支持ゴム71,71は、アクチュエータ本体5並びに第1及び第2短辺壁部62,63だけでなく、主壁部61の内側表面とも当接している。また、圧電素子50の一方の長辺側面とケース6の長辺壁部64との間には付勢ゴム72が介設されている。この付勢ゴム72は、アクチュエータ本体5及び長辺壁部64だけでなく、主壁部61の内側表面とも当接している。
そして、主壁部61の内側表面における、前記支持ゴム71,71及び付勢ゴム72が当接する部分には電極61a(付勢ゴム72と当接する電極のみ図示)が設けられているこれらの電極は、主壁部61の外側表面に設けられた端子電極(図示省略)にそれぞれ導通している。
前記各支持ゴム71は、シリコーンゴムに金属粒子を混入した導電性ゴムで構成され、略直方体状をしている。これら支持ゴム71,71は、アクチュエータ本体5をその長手方向に付勢した状態で弾性的に支持する。それと共に、支持ゴム71,71は、圧電素子50の外部電極56,57と主壁部61の内側表面の短辺部に設けられ且つ前記端子電極と導通する電極とを導通させている。
また、前記付勢ゴム72も、支持ゴム71と同様に、シリコーンゴムに金属粒子を混入した導電性ゴムで構成され、略直方体状をしている。この付勢ゴム72は、アクチュエータ本体5をその短手方向(即ち、短手方向が付勢方向に相当する)に付勢するためのものである。それと共に、付勢ゴム72は、圧電素子50の外部電極55と主壁部61の電極61aとを導通させている。
つまり、ケース6の外側表面に設けられた前記端子電極に給電することによって、圧電素子50に給電することができる。
このように構成された第1及び第2超音波アクチュエータ4A,4Bは、それぞれステージ3と固定部材2の底壁部21との間に介設される。第1及び第2超音波アクチュエータ4A,4Bは、ケース6の長辺壁部64が固定部材2の底壁部21に固定される一方、駆動子59,59がステージ3の下面と当接するように配置されている。すなわち、第1及び第2超音波アクチュエータ4A,4Bは、圧電素子50の短手方向がステージ3の下面に直交すると共に、圧電素子50の長手方向がステージ3の下面と平行な方向を向くように配置される。さらに換言すれば、第1及び第2超音波アクチュエータ4A,4Bは、圧電素子50の屈曲振動の方向がステージ3の下面と直交すると共に、圧電素子50の縦振動の方向がステージ3の下面と平行な方向を向くように配置される。
このとき、前記付勢ゴム72が圧縮変形しており、この付勢ゴム72の弾性力によって駆動子59,59が補強部材33に付勢されている。各超音波アクチュエータ4A(4B)のステージ3への付勢力は、付勢ゴム72の弾性力によって決まる。
尚、本実施形態では、駆動子59,59は、ステージ3の下面において補強部材33,33の下面と当接している。この補強部材33を設けることによって、ステージ3の下面の耐摩耗性を向上させている。
さらに詳しくは、第1超音波アクチュエータ4Aは、図9に示すように、圧電素子50の長手方向(即ち、縦振動の振動方向)がステージ3の下面の一の辺縁部近傍において該辺縁部と平行な方向(この方向をX方向とする。)を向くように配置される。一方、第2超音波アクチュエータ4Bは、圧電素子50の長手方向がステージ3の下面の前記一の辺縁部と直交する辺縁部近傍において該辺縁部と平行な方向(この方向をY方向とする。)を向くように配置される。こうして、第1及び第2超音波アクチュエータ4A,4Bは、それぞれの圧電素子50の長手方向が平面視で互いに直交するように配置されている。この第1超音波アクチュエータ4Aが第1アクチュエータを、第2超音波アクチュエータ4Bが第2アクチュエータを構成する。また、X方向が第1の駆動方向に、Y方向が第2の駆動方向に相当する。
以下に、駆動装置1の組み立て方法について説明する。
まず、前記固定部材2の第1及び第2天井壁部23,24を側壁部22,22,…の先端部に取り付ける。
次に、前記ステージ3の受け穴部31,31,31に転動体26,26,26を配設し、該ステージ3を支持バネ25,25,…によって固定部材2の第1及び第2天井壁部23,24に対して取り付ける。
続いて、第1及び第2超音波アクチュエータ4A,4Bを、固定部材2の底壁部21とステージ3との間に配置する。ここで、ステージ3が固定部材2に取り付けられた状態において、固定部材2の底壁部21の上面とステージ3の下面との距離は、第1及び第2超音波アクチュエータ4A,4Bの前記短手方向長さよりも短くなっている。そこで、アクチュエータ本体5をケース6の長辺壁部64に押し付けて付勢ゴム72を圧縮変形させた状態で、各超音波アクチュエータ4A(4B)を固定部材2の底壁部21とステージ3との間に配置する。そして、各超音波アクチュエータ4A(4B)を所望の位置に配置した後、ケース6を固定部材2の底壁部21に対して固定し、ケース6の外側表面に設けられた前記端子電極に制御装置(図示両略)からの信号線(図示両略)を接続する。このとき、各超音波アクチュエータ4A(4B)の駆動子59,59は、ステージ3の補強部材33と当接している。
−駆動装置の動作−
次に、このように構成された駆動装置1の動作について説明する。
第1及び第2超音波アクチュエータ4A,4Bはそれぞれ、前述の如く、前記ケース6の端子電極を介して、前記外部電極55をグランドに接続し、前記外部電極56に所定周波数の交流電圧を、前記外部電極57に該交流電圧と位相が90°ずれた交流電圧を印加することによって、圧電素子50に縦振動と屈曲振動との合成振動を発生させ、駆動子59,59に圧電素子50の主面と平行な平面内において略楕円運動を行わせる。こうすることで、駆動子59,59は、ステージ3との当接及び離間を周期的に繰り返しながら、摩擦力によってステージ3を圧電素子50の長手方向へ移動させる。つまり、第1及び第2超音波アクチュエータ4A,4Bは、ステージ3に対して、圧電素子50の長手方向へ駆動力を付与している。尚、2つの駆動子59,59は、図8に示すように、それぞれ位相が180°ずれた状態で略楕円運動をしているため、ステージ3は駆動子59,59のそれぞれによって交互に駆動される。本実施形態1では、第1超音波アクチュエータ4Aがステージ3をX方向へ移動させる一方、第2超音波アクチュエータ4Bがステージ3をY方向へ移動させる。
そして、ステージ3の、第1超音波アクチュエータ4Aによる移動量と、第2超音波アクチュエータ4Bによる移動量とを調整することによって、X方向への移動とY方向への移動とを合成させて、ステージ3をその下面(詳しくは、補強部材33の下面)に平行な平面内で任意の方向に移動させることができる。具体的には、各超音波アクチュエータ4A(4B)による移動量は、外部電極56,57に給電する交流電圧の電圧値、周波数及び給電時間の少なくとも1つを調整する、又は外部電極56と外部電極57とに給電する各交流電圧の位相のずれを90°以外の値に変更する等によって調整することができる。こうして、X方向への移動とY方向への移動とを合成してステージ3を移動させるときには、第1超音波アクチュエータ4Aと第2超音波アクチュエータ4Bとを同時に駆動して、ステージ3を所望の位置の方向へ移動させてもよいし、第1超音波アクチュエータ4Aと第2超音波アクチュエータ4Bとを交互に駆動して、ステージ3をX方向とY方向とに別々に移動させて所望の位置まで移動させるようにしてもよい。
次に、ステージ3をX方向及びY方向の何れか一方にのみ移動させる場合について説明する。例えば、ステージ3をX方向にのみ移動させるときは、第1超音波アクチュエータ4Aは、圧電素子50に縦振動と屈曲振動との合成振動を発生させてステージ3に駆動力を付与する一方、第2超音波アクチュエータ4Bは、圧電素子50に実質的にステージ3の下面(具体的には、補強部材33の下面)と平行な平面内での振動のみ、即ち、縦振動のみを発生させて駆動子59,59をステージ3に対して滑らせる。
具体的には、第2超音波アクチュエータ4Bの前記外部電極56と前記外部電極57とに同じ交流電圧を印加する。すなわち、圧電素子50の第1電極52a,52b及び第2電極53a,53b(図5参照)に同位相の交流電圧を印加する。これにより、該圧電素子50における各電極に対応する4つの領域が同時に伸縮するため、実質的に該圧電素子50には図5に示すような縦振動のみが誘起される。ここで、前記図5に示すような縦振動においては、圧電素子50は短手方向にも若干振動しているが、この短手方向への振動は長手方向の縦振動に比べて無視できる程に小さい。つまり、「実質的に」とは、それ以外の振動も存在するが、その大きさが無視できる程度に小さいことを意味する。
その結果、第2超音波アクチュエータ4Bとステージ3との間の摩擦力を低減して、ステージ3を第1超音波アクチュエータ4AによってX方向へ効率良く移動させることができる。
この点について以下に詳しく説明する。ステージ3をX方向にのみ移動させる際に第2超音波アクチュエータ4Bを停止させた状態で、第1超音波アクチュエータ4Aのみを駆動する場合、第2超音波アクチュエータ4Bのアクチュエータ本体5は停止状態であってもステージ3に対して付勢されているため、第2超音波アクチュエータ4Bの駆動子59,59とステージ3との間の摩擦力が第1超音波アクチュエータ4Aによるステージ3のX方向への駆動を阻害している。特に、ステージ3が始動するまでの間は、駆動子59,59とステージ3との間の摩擦力は静摩擦力であるため、ステージ3の始動時には大きな駆動力が必要となる。本実施形態のようにステージ3を2つの超音波アクチュエータで駆動させる構成においては、一方の超音波アクチュエータ4A(4B)による駆動力の方向は他方の超音波アクチュエータ4B(4A)の駆動子59,59を中心とするモーメントを生じさせる方向となるため、他方の超音波アクチュエータ4B(4A)の駆動子59,59とステージ3との間の摩擦力が大きいと、ステージ3が第2超音波アクチュエータ4Bの駆動子59,59を中心に回転しようとする場合もある。
それに対して、本実施形態1では、第1超音波アクチュエータ4Aを駆動するときに、該第1超音波アクチュエータ4Aの駆動と同時か又はその駆動よりも先に、第2超音波アクチュエータ4Bは、圧電素子50に実質的に縦振動のみ発生させている。その結果、駆動子59,59がステージ3の下面に対し滑って摺動するため、駆動子59,59とステージ3の下面との間の摩擦状態は、静摩擦から動摩擦に変わり、摩擦力が低減する。
また、駆動子59,59はステージ3の下面と平行な方向に振動しているため、駆動子59,59のステージ3の下面に対する摺動速度が速くなり、動摩擦係数が低減する。その結果、停止した駆動子59,59に対してステージ3のみが移動している動摩擦状態と比較して、動摩擦力を低減することができる。
さらに、駆動子59,59は、実質的にステージ3の下面と平行な平面内で振動しているため、駆動子59,59のステージ3への付勢力が増大することはなく、つまり、摩擦力が増大することがない。尚、圧電素子50は、その長手方向(ステージ3の下面と平行な方向)への伸縮に合わせて短手方向(ステージ3の下面に直交する方向)にも若干、伸縮する。しかし、短手方向への伸縮は長手方向への伸縮に比べて非常に小さいため、圧電素子50の短手方向への振動はステージ3へほとんど影響は与えない。
こうして、駆動子59,59とステージ3との間の摩擦力を低減することができるため、ステージ3を第1超音波アクチュエータ4AによってX方向にのみ移動させるときに、第2超音波アクチュエータ4Bの駆動子59,59を中心にステージ3が回転することを防止することができると共に、ステージ3と第2超音波アクチュエータ4Bの駆動子59,59との間の摩擦損失を低減することができる。
尚、第1及び第2超音波アクチュエータ4A,4Bのこのような駆動は、ステージ3をX方向の所望の位置へ向かって単純にX方向にのみ駆動する場合に限られず、前述の如く、ステージ3をX方向とY方向との間の任意の方向の所望の位置へ移動させるべく、X方向への移動とY方向への移動とを交互に行って移動させる際のX方向への移動時にも用いられる。
また、前述の説明では、ステージ3をX方向へのみ移動させる場合について説明したが、ステージ3をY方向へのみ移動させるときには、前述の説明における第1超音波アクチュエータ4Aと第2超音波アクチュエータ4Bとの役割を反対にすればよい。
したがって、実施形態1によれば、第1及び第2超音波アクチュエータ4A,4Bの何れか一方のみでステージ3をその一方の超音波アクチュエータに対応した移動方向へのみ移動させるときには、他方の超音波アクチュエータをステージ3の下面と平行な方向へのみ振動させることによって、他方の超音波アクチュエータの駆動子59,59とステージ3との間の摩擦状態を動摩擦状態とすると共に、該駆動子59,59のステージ3に対する摺動速度が速くなり動摩擦係数が低減するため、該駆動子59,59とステージ3との間の摩擦力を低減することができ、前記一方の超音波アクチュエータでステージ3を円滑に且つ効率良く移動させることができる。
また、第1及び第2超音波アクチュエータ4A,4Bを、圧電素子50の、ステージ3の下面と平行な方向への振動が縦振動となるように構成すると共に、駆動子59,59を圧電素子50の長辺側面においてその長手方向中央部に対して対称な位置に設けることによって、前述の如く、圧電素子50にステージ3の下面と平行な方向の振動のみ発生させて駆動子59,59をステージ3に対して滑らせるときに、振動する該駆動子59,59がステージ3に不要な駆動力を付与することを防止することができる。
詳しくは、圧電素子50の停止時であっても駆動子59,59は付勢ゴム72によってステージ3に対して付勢されており、圧電素子50がステージ3の下面と平行な方向へのみ振動する場合であっても、該駆動子59,59とステージ3との間には、若干ではあるが、摩擦力が生じる。ところで、前述の如く、長辺側面において長手方向中央部に対して対称な位置に2つの駆動子59,59が設けた圧電素子50を縦振動させると、該駆動子59,59は該長手方向中央部を中心に長手方向に互いに反対向きで且つ同じ振幅の振動を行う。つまり、該駆動子59,59がステージ3に対して摺動する際に生じる摩擦力は、圧電素子50の長手方向中央部を中心に長手方向に対称であるため、両駆動子59,59の摩擦力は互いに打ち消し合う。その結果、圧電素子50をステージ3の下面に平行な方向に振動させるときに該駆動子59,59からステージ3へ駆動力が付与されることを防止することができ、前記一方の超音波アクチュエータによるステージ3の移動を阻害することを防止することができる。
さらに、第1及び第2超音波アクチュエータ4A,4Bを、圧電素子50の、ステージ3の下面と平行な方向への振動が縦振動となるように構成することによって、固定部材2の底壁部21とステージ3との間において、圧電素子50の短手方向がステージ3の下面に対して直交し且つ圧電素子50の長手方向がステージ3の下面と平行な方向を向くように配置されるため、圧電素子50がその長手方向がステージ3の下面と直交するように配置される構成と比較して、該底壁部21とステージ3との間隔を短くすることができ、駆動装置1のコンパクト化を図ることができる。
次に、実施形態1における超音波アクチュエータの具体的な制御について図面を参照しながら説明する。以下の説明では、先述した構成要件のなかで同様に機能するものについて同じ番号を付与し、詳細な説明は省略する。
図10は超音波アクチュエータ制御回路の構成図である。超音波アクチュエータは先述したように圧電素子50、内部電極52と53、駆動子59,第1短辺壁部62,第2短辺壁部63,長辺壁部64,支持ゴム71,付勢ゴム72で構成されている。セラミック製の補強部材33を含むステージ3は可動部として、図に示す様にA方向およびB方向に移動する構成になっている。
また、支持部材(図示せず)と同様の固定部として当接部130と131(例えば、側壁部22,22)を有しており、ステージ3が当接部130あるいは131に当接した場合にステージ3は停止することになる。
101はステージ3に取り付けられたマグネットであり、ホール素子で構成される位置検出センサ100によって、ステージ3の位置を検出する構成になっている。
制御回路150には、この位置検出センサ100の出力が入力されており、制御回路150ではこの位置検出センサ100から出力されるステージ3の位置情報に基づいて圧電素子50に印加する電圧パルスあるいは電流パルスの周波数、位相の制御を行う。この周波数、位相の制御を行うための信号はAchおよびBchから出力される構成になっている。制御回路150には、圧電素子50に印加する信号のON/OFFの制御を行うことも可能である。
図11(A)に示す様に、ステージ3をA方向に移動させる場合にはAchとBchから矩形波のパルスを出力し、互いの位相差はAchに対してBchが90度位相を遅らせた状態になる。また、図11(B)に示す様に、ステージ3をB方向に移動させる場合にはAchとBchから矩形波のパルスを出力し、互いの位相差はAchに対してBchが90度位相を進めた状態になる。また、図11(C)に示す様に、ステージ3を停止させる場合にはAchとBchの信号をGNDレベルにする状態になる。
110a、110b、120a、120bはパワーFETなどのスイッチング素子を示す。
スイッチング素子110aに入力されるAchの信号が+5Vの場合にはスイッチング素子110aに接続されている+5V電源191からコイル141を通して圧電素子50の電極53a、53bに電力が供給される。一方、スイッチング素子110bにはインバーター111(+5Vが入力された場合には出力は−5V、−5Vが入力された場合には出力は+5Vとなる素子)を介してAchの信号が入力され、Achの信号が+5Vの場合には110bに入力される電圧は−5Vとなるため、このスイッチング素子はOFFとなる。
スイッチング素子110aに入力されるAchの信号が−5Vの場合には、このスイッチング素子はOFFとなる。一方、スイッチング素子110bにはインバーター111を介してAchの信号が入力され、Achの信号が−5Vの場合には110bに入力される電圧は+5Vとなるため、110bに接続されている−5V電源192からコイル141を通して圧電素子50の電極53a、53bに電力が供給される。
スイッチング素子120aに入力されるBchの信号が+5Vの場合にはスイッチング素子120aに接続されている+5V電源191からコイル142を通して圧電素子50の電極52a、52bに電力が供給される。一方、スイッチング素子120bにはインバーター121(+5Vが入力された場合には出力は−5V、−5Vが入力された場合には出力は+5Vとなる素子)を介してBchの信号が入力され、Bchの信号が+5Vの場合にはスイッチング素子120bに入力される電圧は−5Vとなるため、このスイッチング素子はOFFとなる。
スイッチング素子120aに入力されるBchの信号が−5Vの場合には、このスイッチング素子はOFFとなる。一方、スイッチング素子120bにはインバーター121を介してBchの信号が入力され、Bchの信号が−5Vの場合にはスイッチング素子120bに入力される電圧は+5Vとなるため、スイッチング素子120bに接続されている−5V電源192からコイル142を通して圧電素子50の電極52a、52bに電力が供給される。
ここで、各FETから出力される信号が本実施例のように矩形波の場合は、1次の周波数成分だけでなく、複数の高次の周波数成分が含まれる。圧電素子50に印加される信号の内、3次や5次などの高調波成分は駆動の効率を落としたり、圧電素子そのものを破損したりする場合がある。そこで、コイル141,142を設けることによって、この矩形波の周波数成分の内、1次の周波数成分が主に圧電素子50に印加されるようになる。なお、各FETから出力される信号が正弦波の場合には、本コイルは挿入してもよいし、挿入しなくてもよい。
また、制御回路150は、グランド電極GNDに設けられた電流検出抵抗の電圧値を読み取ることにより、圧電素子を流れる電流を検出する電流検出部160と、データを格納するメモリ170とに接続されている。これらの機能については、後述する。
以上で説明した構成によって、圧電素子50に電力を供給することで駆動子59をステージ3が進行する方向に振動させることによりステージ3の移動を行い、位置検出センサ100の出力に基づいて、制御回路150では圧電素子50に印加する電力波形を制御することによって、ステージ3の移動制御を行うことが可能となる。
図12は、アクチュエータの速度、駆動電圧に対してアクチュエータを流れる電流、発熱のそれぞれの周波数特性を示す概念図である。図中、横軸は周波数を示し、実線は速度特性、細かい点線は発熱特性を示している。なお、各特性曲線は、概念的な挙動を示しているので、縦軸の絶対値には特に意味を与えていない。
理論的には、一定電圧駆動を行う場合、電流値は、アクチュエータとして最もインピーダンスが低くなる共振周波数に対応する周波数で最大となり、アクチュエータとして最もインピーダンスが高くなる反共振周波数に対応する周波数でも最小となる。図12からわかるように、実際の電流周波数特性も、概ね共振周波数付近で最大となり、反共振周波数より低い周波数で最小となる。また、出力に相当する速度は、共振周波数で最大となり、周波数が高くなるにしたがって減少していく。以上より、駆動周波数として電力に対する出力の効率の最もよい範囲は、共振周波数と反共振周波数の範囲であることがわかる。
しかしながら、共振周波数の絶対値は、圧電素子の加工精度のばらつき、圧電素子自体の材料定数のばらつき、材料の収縮率のばらつき等に起因して最大で10kHz程度のばらつきを持つことが知られている。したがって、共振周波数(理論値)のみに基づいて駆動周波数を設定することは困難である。そこで、実装後のアクチュエータの共振周波数を実測することが考えられるが、実装後の共振周波数を測定することは、共振周波数付近で多大な電流が流れ、発熱量が大きくなるので難しい。このため、共振周波数自体を駆動周波数を設定する際の基準の周波数として取り扱うことは不可能である。
一方、共振周波数と反共振周波数との周波数帯域のばらつきは、材料定数のばらつき、製造ばらつきを含めてもほぼ1kHz程度になる。また、反共振周波数は、ほぼ電流値が最小となる周波数とみてよいから、電流値を測定することにより実装後に測定することが可能である。そこで、本実施形態では、実装後に電流値が最小となる周波数を基準周波数とし、この基準周波数に基づいて駆動周波数の設定範囲を定め、定められた設定範囲から駆動周波数を設定する制御を行っている。
図13は、実施形態1の制御フローを示すフローチャートである。図13において、アクチュエータが起動(S100)されると、制御周波数範囲設定処理(S200)に移行する。制御周波数範囲設定処理(S200)において、後述する方法で制御周波数範囲(制御範囲に相当する)が設定され、駆動制御(S300)へ処理が移行する。次に、制御周波数範囲の変更リクエスト(S400)を確認し、リクエストがあれば再びS200へ戻り(YES)、なければ(NO)、処理を駆動継続確認(S500)へ移行する。駆動継続確認で、駆動継続を行う場合(YES)、処理をS300へ戻し、なければ(NO)、終了する。
ここで、制御周波数範囲の変更リクエストとは、制御周波数範囲を設定し直す指令であって、制御回路150に外部から変更リクエストに相当する何らかの信号が入力されたか否かで判定される。この変更リクエストに相当する信号は、出荷時や環境温度が変わったときに制御周波数範囲を設定し直すべく、ユーザが操作スイッチ等の入力手段を介してマニュアル的に入力することができる。
図14は、制御周波数設定処理の内容を示すフローチャートである。図14において、はじめに、メモリから予め格納された第1の周波数の値を読み取る(S210)。第1の周波数は、反共振周波数より高い周波数値に設定される。
次に、駆動信号(駆動電圧)の周波数を第1の周波数に設定すると共に該駆動信号を圧電素子50に印加して、そのときに圧電素子50に流れる電流を電流検出部160を介して計測する。そして、駆動信号の周波数を第1の周波数から低周波数側へ変更させながら、圧電素子50に流れる電流の計測を行い、電流値が極小値となる周波数をサーチする(S220)。そして、極小電流値になる周波数を検出し(S230)、検出した周波数を第2の周波数(基準周波数に相当する)としてメモリに格納する(S240)。
ここで、電流の極小値、極大値を示す周波数は圧電素子に印加する電圧値に依存性があるため、電流の極小値をサーチする際の駆動信号の電圧値は、アクチュエータを実際に駆動する際に使用する電圧値に設定される。こうすることで、アクチュエータを実際に駆動する際の電圧値に則した、電流が極小値となる周波数を求めることができる。
このアクチュエータを実際に駆動する際の電圧値は、設定した周波数の制御範囲の下限値でアクチュエータが高速に駆動されるように高い値であることが好ましい。その一方で、このような電圧値で電流値が極大値となるような周波数の駆動信号を印加すると、圧電素子が破損してしまう虞がある。そのため、極小値の測定の際には、そのような高い電圧値を用いつつ、駆動信号の周波数を、電流が極大になる周波数とならないように変更しながら電流値を測定することが好ましい。そこで、前述の如く、駆動信号の周波数を、反共振周波数よりも高いと推測される第1の周波数から低周波数側にスキャンする。
次に、メモリに格納した第2の周波数から予め定められた所定値(所定の減算値に相当する)を減算した周波数を第3の周波数としてメモリに格納(S250)して、メインフローに戻る。
ここで、第3の周波数を算出する際に用いられる所定値は、予め測定又は算出した圧電素子の反共振周波数と共振周波数との差に基づいて、該差以下の値に設定されている。反共振周波数と共振周波数との差は、共振の帯域とよばれ、素子の材料定数及び電極の形状で決定される。共振の帯域は、圧電材料の電気機械結合係数K31及び電極の形状が大きいほど大きくなり、同一の材料、電極設計では共振周波数の数%(300kHzの共振周波数では、約10kHz)である。この共振の帯域のばらつきは約1kHz以下であり、共振周波数自体のばらつきに比べて非常に小さい。そのため、電流値が極小値となる第2の周波数から、反共振周波数と共振周波数との差に基づいて設定された所定値を減算して求めた第3の周波数は、個体差によるばらつきの影響を受け難く、大凡、共振周波数以上となる。ただし、第3の周波数を共振周波数よりも高い周波数に確実に設定する場合には、制御周波数範囲の下限値が電流値が極大値となる周波数よりも高くなるように、即ち、第3の周波数が電流値が極大値となる周波数よりも高くなるように、前記所定値を設定する。例えば、前記所定値を、反共振周波数と共振周波数との差よりも、個体差によるばらつきの影響等があっても第3の周波数が共振周波数以下とならない程度に小さい値にすればよい。なお、本実施形態では、第3の周波数を算出する際に用いられる所定値は、圧電材料の電気機械結合係数に由来するものなので、共振周波数のおおむね1〜5%程度としている。
以下の駆動処理では、メモリに格納された第3の周波数以上の範囲から駆動周波数が設定される。具体的には、位置検出部より得られた位置情報を元に、第3の周波数以上で、所望の特性になるよう周波数制御を行う。このように、第3の周波数以上の範囲から駆動周波数を設定することにより、駆動電力の適正化を図りつつ、出力の制御範囲を大きくとることが可能になる。また、第3の周波数の設定を起動のたびに行うことで、温度特性や環境による変化にも対応できる。尚、このアクチュエータは前記駆動装置1やカメラ等の他の装置に搭載されて使用され、そのような場合には、アクチュエータが搭載される装置(例えば、カメラ等)の起動時が、アクチュエータの起動時となるため、該装置の起動時に制御周波数範囲の設定が行われる。
非常に遅い速度で制御したい場合、周波数が高くなりすぎると、再度電流が流れて効率が悪くなり、素子が発熱するのでその場合は、第2の周波数以下で制御するとなおよい。第2の周波数で制御した場合もさらに速度を落としたい場合は、その周波数で、第1の電源と第2の電源の位相差を制御したり、パルスのOnDutyを制御することで速度を落としてもよい。ただし、第2の周波数のみで位相差やOnDutyを制御しても、制御可能な速度範囲はきわめて小さく実用的でない。
さらなる具体的な数値実施例を示す。超音波アクチュエータは、6mm×1.7mm×2.5mmのものを用いた、有効層厚みは100umを25層積層している。電源電圧Vddは5Vとした。出荷時の設定として、第1の周波数として、290kHz、所定値(減算値)として帯域4kHzをあらかじめ記憶部に入力した。この設定において、アクチュエータを起動し、駆動信号の周波数を第1の周波数から周波数が低いほうに、0.1kHz/1msのスピードでスキャンさせ、1msの間隔で周波数と電流検出部としてのG部の電圧値を測定していった。データは、5回平均されその平均値として記憶部に記憶され、現在の最小電流と比較され、最小電流より小さいと最小電流値と周波数が更新される。最小電流値が更新されなくなってから、所定値(減算値)の帯域分だけさらに周波数を低い側にスキャンし、その間最小電流値の更新がなければ、その記憶された周波数を第2の周波数、その周波数より帯域分だけ小さい周波数を第3の周波数にする。第3の周波数が規定の電流値より大きい場合は、再度第1の周波数からスキャンをやり直す。規定回数スキャンをやり直しても、第3の周波数の電流値が規定の電流値より大きい場合は、あらかじめ決めてある帯域、即ち、所定値(減算値)を減らすことで再度スキャンを行う。
このようにして決定された第2の周波数は280kHz、電流値は50mAで、可動物の速度50mm/s、第3の周波数は276kHzで、70mA、可動物の速度100m/sであった。この後、制御部(即ち、制御回路150)は100mm/sから50mm/sについては、周波数を276〜280kHzで掃引することで制御した。また、制御部は、50mm/s以下については、駆動周波数は280kHzでドライバー部のOndutyを、50%〜10%にすることで制御した。以上の数値例では、駆動電力の適正化を図りつつ、出力の制御範囲を大きくとることが可能になっていた。
図15は、制御周波数設定処理の別の内容を示すフローチャートである。図15において、S260に続いて、メモリに格納した第2の周波数から予め定められた所定値(所定の加算値に相当する)を加算(S260)した周波数を第4の周波数としてメモリに格納(S270)して、メインフローに戻る。なお、第4の周波数を算出する際に用いられる所定値は、圧電材料の電気機械結合係数に由来するものなので、共振周波数のおおむね1〜5%程度が望ましく、先に述べた第3の周波数を算出する際に用いられる所定値と同一でも異なっていてもいずれでもよい。
以下の駆動処理では、メモリに格納された第3の周波数以上で第4の周波数以下の範囲から駆動周波数が設定される。具体的には、位置検出部より得られた位置情報を元に、第3の周波数以上で、所望の特性になるよう周波数制御を行う。このように、第3の周波数以上で第4の周波数以下の範囲から駆動周波数を設定することにより、さらに電流値の過剰な上昇を抑えることができ、特に低速駆動の際の出力の制御範囲を大きくとることが可能になる。
図16は、制御周波数設定処理のさらに別の内容を示すフローチャートである。図16において、先に述べた第3の周波数を予めメモリに格納しておき、その値を読み込む(S215)。第3の周波数の測定は、先に述べた方法と同様に、第1の周波数からスキャンしながら検出した電流値に対応する周波数から求めればよい。この例では、予め第3の周波数が設定されているので、より簡易に制御を行うことができる。
尚、図16のフローチャートでは、第3の周波数を予めメモリに格納しておいたが、第2の周波数を予め実測して、該第2の周波数、又は、該第2の周波数から算出した第4の周波数を予めメモリに格納しておき、その値に基づいて制御周波数範囲を設定してもよい。すなわち、第2の周波数、第3の周波数及び第4の周波数の少なくとも1つをメモリに記憶しておき、該記憶しておいた周波数に基づいて制御周波数範囲を設定するようにしてもよい。
また、前記メインフローでは、起動時及び変更リクエストがあったときに、制御周波数範囲の設定を行っているが、これに限られず、他のタイミングで制御周波数範囲の設定を行ってもよい。例えば、制御回路150は、電流検出部160の検出結果に基づいて電流値を監視しておき、電流値が所定の閾値を超えたときに制御周波数範囲の設定を行うようにしてもよい。こうすることで、圧電素子50の発熱量が多くなることを防止することができる。また、図10に示すように、スイッチング素子110a,1110b,120a,120bに接続された電源191,192の電源電圧を検出する電源電圧検出部180を設け、該電源電圧検出部180の出力結果が制御回路150に入力されるように構成する。そして、制御回路150は、電源電圧検出部180の検出結果に基づいて前記電源電圧が変化した(即ち、低下した)か否かを判定し、変化したときに、制御周波数範囲の設定を行うようにしてもよい。
電流検出部は、圧電素子のグランド電局部に設けられた電流検出抵抗の電圧値を読み取ることで電流値としているので、電流検出抵抗を用いることで安価に電流を検出することができるが、他の部分を参照してもよい。例えば、電流を検出する位置としては、A部、B部でもよく、A部とB部の合計、A部とB部の合計よりG部の値を引いたもの、などでもよい。ここで、A部とはコイル141と直列に接続された抵抗であり、B部とはコイル142に直列に接続された抵抗である。また、電流検出部は、カレントトランスでもよく、この場合は抵抗による電圧降下がないので、効率の劣化を防ぐことができる。
また、起動とは、電源を入れた場合のみならず、電流値以上の保護回路が働いたときや、ACTの指令がONになったときなどもしめす。また、所定値に対応する周波数帯域は、出荷時にすでに設定してあるが、測定電流が基準値を超えた場合は、この周波数帯域を狭めることで、信頼性の高い駆動ができる。
このように、本発明によれば、駆動電力の適正化を図りつつ、出力の制御範囲が大きい超音波アクチュエータを提供することができる。
換言すれば、本発明に係る超音波アクチュエータ装置は、圧電素子を有し、屈曲振動及び縦振動を行うアクチュエータ本体と、前記アクチュエータ本体の前記屈曲振動の振動方向を向く側面に取り付けられて、該アクチュエータ本体の振動に従って前記屈曲振動の振動方向と前記縦振動の振動方向とを含む平面内で周回運動することで駆動力を出力する駆動子と、前記アクチュエータ本体に、駆動周波数が同一であり各々位相が異なる第1および第2駆動電圧をそれぞれ印加する電源部と、電源部に、印加すべき前記駆動周波数を設定する制御部と、前記圧電素子を流れる電流値が極小値になる基準周波数に関連するデータを格納する記憶部とを備え、前記制御部は、前記記憶部に格納された前記基準周波数に関連するデータに基づいて、前記駆動周波数の設定範囲を定め、定められた設定範囲から前記駆動周波数を設定するものとする。
好ましくは、さらに、前記第1または前記第2の駆動電圧により、前記圧電素子に流れる電流値を検出する電流検出部を備え、前記記憶部は、前記基準周波数に関連するデータとして、前記基準周波数より常に高い値となる第1の周波数を格納し、前記制御部は、前記駆動周波数の設定範囲を定める際に、前記第1の周波数から徐々に低くしていきながら前記電流検出部で検出される電流値が極小値になる第2の周波数を求めて基準周波数とし、当該第2の周波数よりも第1の所定量だけ低い第3の周波数を算出して、前記駆動周波数を前記第3の周波数以上となるように設定するものとする。
さらに好ましくは、さらに、前記第1または前記第2の駆動電圧により、前記圧電素子に流れる電流値を検出する電流検出部を備え、前記記憶部は、前記基準周波数に関連するデータとして、少なくとも前記基準周波数より常に高い値となる第1の周波数を格納し、前記制御部は、前記駆動周波数の設定範囲を定める際に、前記第1の周波数から徐々に低くしていきながら前記電流検出部で検出される電流値が極小値になる第2の周波数を求めて基準周波数とし、当該第2の周波数よりも第1の所定量だけ低い第3の周波数及び当該第2の周波数よりも第2の所定量だけ高い第4の周波数を算出して、前記駆動周波数を前記第3の周波数以上であって前記第4の周波数以下となるように設定するものとする。
また、前記制御部は、所定のタイミングごとに、前記駆動周波数の設定範囲を定める制御を行うものとする。
さらに、前記所定のタイミングは、起動時であるものとする。
さらにまた、前記所定のタイミングは、電流値が所定の閾値を越えたときであるものとする。
また、前記所定のタイミングは、前記制御部へ特定の信号が入力されたときであるものとする。
さらに、前記所定のタイミングは、前記電圧が変化したときであるものとする。
さらにまた、前記記憶部は、前記基準周波数に関連するデータとして、予め検出した前記基準周波数自身、前記基準周波数を含む領域の下限値となる周波数、前記基準周波数を含む領域の上限値となる周波数、のうちの少なくとも1つを格納し、前記制御部は、前記基準周波数に関連するデータに基づいて、前記駆動周波数の設定範囲を定める制御を行うものとする。
また、前記アクチュエータ本体は、1次の縦振動と2次の屈曲振動とを行うものとする。
《発明の実施形態2》
次に、本発明の実施形態2について説明する。本実施形態2に駆動装置201は、超音波アクチュエータの構成が実施形態1と異なる。以下、実施形態1と同様の構成については、同様の符号を付し、説明を省略する。
実施形態2に係るアクチュエータ本体205は、図17に示すように、圧電素子250の一方の短辺側面に1つの駆動子259が設けられている。このアクチュエータ本体205は、圧電素子250の他方の短辺側面に付勢ゴム272が当接するようにしてケース206内に収容されている。このとき、前記駆動子259はケース206から外部に突出している。そして、圧電素子250の両長辺側面とケース206との間には、各側に2つずつ支持ゴム271,271が介設されている。
この圧電素子250には、実施形態1の圧電素子50と同様に、圧電素子250の主面をその長手方向及び短手方向にそれぞれ2等分してなる4つの領域のそれぞれに第1電極252a,252b及び第2電極253a,253bが設けられている。尚、第1電極252a,252b及び第2電極253a,253bは、それぞれ別々に給電されるように構成してもよいし、実施形態1と同様に、対角線方向に位置する対ごとに給電するように構成してもよい。
そして、圧電素子250の対角線方向に位置する対ごとに、すなわち、第1電極252a,252bと第2電極253a,253bとにそれぞれ位相が90°ずれた交流電圧を印加することによって、圧電素子250には、図8に示すように、縦振動と屈曲振動とが調和的に誘起される。その結果、駆動子259は、圧電素子250の主面と平行な面内で略楕円運動を行う。
このように構成された第1及び第2超音波アクチュエータ204A,204Bは、駆動子259がステージ3の下面(詳しくは、補強部材33)に当接し且つ、圧電素子250の長手方向がステージ3の下面の法線方向を向くようにして、固定部材2の底壁部21とステージ3の下面との間に配置される。換言すれば、第1及び第2超音波アクチュエータ204A,204Bは、圧電素子250の縦振動の方向がステージ3の下面と直交すると共に、圧電素子250の屈曲振動の方向がステージ3の下面と平行な方向を向くように配置される。
このとき、第1超音波アクチュエータ204Aは、その圧電素子250の短手方向がX方向を向くように配置される一方、第2超音波アクチュエータ204Bは、その圧電素子250の短手方向がY方向を向くように配置される。
この状態で、各超音波アクチュエータ204A(204B)のアクチュエータ本体205に、前述の如く、縦振動と屈曲振動との合成振動を発生させることによって、ステージ3が駆動される。
このとき、実施形態1と同様に、ステージ3の、第1超音波アクチュエータ204Aによる移動量と、第2超音波アクチュエータ204Bによる移動量とを調整することによって、X方向への移動とY方向への移動とを合成させて、ステージ3をその下面に平行な平面内で任意の方向に移動させることができる。
また、ステージ3をX方向及びY方向の何れか一方、例えば、X方向だけに移動させるときは、第1超音波アクチュエータ204Aは、圧電素子250に縦振動と屈曲振動との合成振動を発生させてステージ3に駆動力を付与する一方、第2超音波アクチュエータ204Bは、圧電素子250に実質的にステージ3の下面と平行な平面内での振動のみを発生させて駆動子259をステージ3に対して滑らせる。具体的には、第2超音波アクチュエータ204Bは、圧電素子250に実質的に図7に示すような屈曲振動だけを発生させる。第1電極252a,252b及び第2電極253a,253bの何れか一方だけに交流電圧を印加する、または、第1電極252a,252bと第2電極253a,253bとに位相が180°ずれた交流電圧を印加することによって、圧電素子250に実質的に屈曲振動だけを発生させることができる。この場合、駆動子259は、ステージ3への付勢力が増加することなく、ステージ3の下面に平行な平面内で振動し、その結果、ステージ3に対して滑って摺動する。
したがって、実施形態2によれば、実施形態1と同様に、第1及び第2超音波アクチュエータ204A,204Bの何れか一方のみでステージ3をその一方の超音波アクチュエータに対応した移動方向へのみ移動させるときには、他方の超音波アクチュエータをステージ3の下面と平行な方向へのみ振動、即ち、屈曲振動のみさせることによって、他方の超音波アクチュエータの駆動子59とステージ3との摩擦状態を動摩擦状態とすると共に、該駆動子59のステージ3に対する摺動速度が速くなり動摩擦係数が低減するため、該駆動子59とステージ3との間の摩擦力を低減することができ、前記一方の超音波アクチュエータでステージ3を円滑に且つ効率良く移動させることができる。
《発明の実施形態3》
続いて、本発明の実施形態3について説明する。本実施形態2に駆動装置は、超音波アクチュエータの構成が実施形態1と異なる。以下、実施形態1と同様の構成については、同様の符号を付し、説明を省略する。
実施形態3に係る第1及び第2超音波アクチュエータ304A,304Bは、図18に示すアクチュエータ本体305と、該アクチュエータ本体305を収容するケース(図示省略)と、該アクチュエータ本体305をケース内で弾性的に支持する支持ゴム(図示省略)と、該アクチュエータ本体305をステージ3側へ付勢するための付勢ゴム(図示省略)とを備えている。
アクチュエータ本体305は、図18に示すように、金属製の本体部350と、該本体部350に設けられた複数の圧電素子351a,351b,…と、該本体部350に設けられた駆動子359,359とを有している。
本体部350は、略正方形の上面350a及び下面(図示省略)と、略長方形の4つの側面350b,350c(2つの側面のみ図示)とを有している。各側面はその両長辺部が上面350a及び下面の辺部と一致するように、すなわち、その短手方向が上下方向を向くように配置されている。
この本体部350の上面350aには、2つの駆動子359,359が設けられている。これら2つの駆動子359,359は、上面350aの重心を通り且つ対向する一対の辺部に平行な線上に並んで配置されている。
そして、本体部350の隣接する一対の側面350b,350cには、それぞれ4つの圧電素子351a,351b,351c,351dと圧電素子352a,352b,352c,352dとが貼り付けられている。圧電素子351a,351b,…は、側面350bをその長手方向及び短手方向にそれぞれ2等分してなる4つの領域にそれぞれ配置されている。圧電素子352a,352b,…も同様に、側面350cをその長手方向及び短手方向にそれぞれ2等分してなる4つの領域にそれぞれ配置されている。これら圧電素子351a,351b,…及び圧電素子352a,352b,…は、実施形態1,2と異なり、各圧電素子ごとに一様な電極が設けられており、各圧電素子ごとに一様に給電することによって各圧電素子が一様に伸縮する。
このように構成されたアクチュエータ本体305は、側面350bにおいて、対角線方向に位置する一方の対の圧電素子351a,351dと他方の対の圧電素子351b,351cとにそれぞれ位相が90°ずれた交流電圧を印加することによって、本体部350には側面350bの長手方向への縦振動と側面350bの短手方向への屈曲振動とが調和的に発生し、その結果、駆動子359,359が側面350bと平行な平面内で略楕円運動を行う。また、アクチュエータ本体305は、側面350cにおいて、対角線方向に位置する一方の対の圧電素子352a,352dと他方の対の圧電素子352b,352cとにそれぞれ位相が90°ずれた交流電圧を印加することによって、本体部350には側面350cの長手方向への縦振動と側面350cの短手方向への屈曲振動とが調和的に発生し、その結果、駆動子359,359が側面350cと平行な平面内で略楕円運動を行う。
かかるアクチュエータ本体305を備える第1及び第2超音波アクチュエータ304A,304Bは、図1,2に示す実施形態1に係る第1及び第2超音波アクチュエータ4A,4Bと同様に、固定部材2の底壁部21とステージ3の下面(詳しくは、補強部材33)との間に介設される。詳しくは、第1超音波アクチュエータ304Aは、ステージ3の下面の一の辺縁部の近傍において、駆動子359,359が並ぶ方向が該辺縁部と平行な方向(この方向をX方向とする。)を向くように、即ち、本体部350の側面350bの長手方向が該辺縁部と平行になるように配置されている。一方、第2超音波アクチュエータ304Bは、ステージ3の下面の前記位置の辺縁部と直交する辺縁部の近傍において、駆動子359,359が並ぶ方向が該辺縁部と平行な方向(この方向をY方向とする。)を向くように、即ち、本体部350の側面350bの長手方向が該辺縁部と平行になるように配置されている。
このように構成された駆動装置301において、第1超音波アクチュエータ304Aは、基本的には側面350bに設けられた圧電素子351a,351b,…を駆動することによって駆動子359,359を該側面350b(長手方向がX方向を向いている)に平行な平面内で略楕円運動させる。つまり、第1超音波アクチュエータ304Aは主としてステージ3をX方向へ移動させるために用いられる。一方、第2超音波アクチュエータ304Bは、基本的には側面350bに設けられた圧電素子351a,351b,…を駆動することによって駆動子359,359を該側面350b(長手方向がY方向を向いている)に平行な平面内で略楕円運動させる。つまり、第2超音波アクチュエータ304Bは主としてステージ3をY方向へ移動させるために用いられる。
ただし、ステージ3をX方向及びY方向のうちの一方向にのみ移動させるとき、例えば、ステージ3をY方向にのみ移動させるときには、第2超音波アクチュエータ304Bは、駆動子359,359を長手方向がY方向を向いた側面350bに平行な平面内で略楕円運動させてステージ3をY方向へ移動させる一方、第1超音波アクチュエータ304Aは、長手方向がY方向を向いた側面350cに設けられた圧電素子352a,352b,…を駆動することによって駆動子359,359を該側面350cに平行な平面内で振動させる。このとき、第1超音波アクチュエータ304Aにおいては、側面350cの4つの圧電素子352a,352b,…に同位相の交流電圧を印加することによって、アクチュエータ本体305に該側面350cの長手方向に縦振動のみ発生させる。こうすることで、第1超音波アクチュエータ304Aの駆動子359,359は、Y方向に縦振動のみを行う。
したがって、実施形態3によれば、ステージ3をX方向及びY方向の何れか一方のみに移動させるときに、駆動子359,359の並ぶ方向がステージ3の移動方向と一致する方の超音波アクチュエータには、縦振動と屈曲振動との合成振動を発生させる一方、駆動子359,359の並ぶ方向がステージ3の移動方向と一致しない、詳しくは、直交する方の超音波アクチュエータには、縦振動のみを発生させることによって、駆動子359,359の並ぶ方向がステージ3の移動方向と一致しない方の超音波アクチュエータの駆動子359,359とステージ3との摩擦状態を動摩擦状態とすると共に、該駆動子359,359のステージ3に対する摺動速度が速くなり動摩擦係数が低減するため、該駆動子359,359とステージ3との間の摩擦力を低減することができ、駆動子359,359の並ぶ向きがステージ3を移動させる方向と一致する方の超音波アクチュエータでステージ3を円滑に且つ効率良く移動させることができる。
このとき、駆動子359,359の並ぶ方向がステージ3の移動方向と一致しない方の超音波アクチュエータにおける駆動子359,359の縦振動の方向がステージ3の移動方向と一致するため、これら縦振動しながらステージ3に対して摺動する駆動子359,359がステージ3の移動に与える影響を低減することができる。
尚、前記実施形態3においては、本体部350は、各側面が短手方向が上下方向を向くように構成されて、上下に扁平な直方体となっているが、これに限られるものではない。すなわち、本体部350は、各側面が長手方向が上下方向を向くようにして、上下に長くなるように構成されていてもよい。この場合、ステージ3をX方向及びY方向の何れか一方へのみ移動させるときには、駆動子359,359の並ぶ向きがステージ3を移動させる方向と一致していない、詳しくは、直交している方の超音波アクチュエータは、本体部350に実施形態2と同様に屈曲振動だけ発生させることによって、駆動子359,359をステージ3に対して滑らせることができる。
また、駆動子359,359は、上面350aの重心を通り且つ一対の辺部に平行な直線上に配置されているが、これに限られるものではない。
《その他の実施形態》
本発明は、前記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
すなわち、前記実施形態では、ステージ3を固定部材2によって支持しているが、これに限られるものではない。すなわち、ステージ3を所定の平面内で移動させる構成であれば任意の支持構造を採用することができる。
また、前記ステージ3は、補強部材33,33が設けられているが、この補強部材33,33を設けない構成であってもよい。
さらに、前記駆動装置は、第1及び第2超音波アクチュエータの合計2つの超音波アクチュエータを備えているが、超音波アクチュエータの個数は2つに限定されるものではない。例えば、第1超音波アクチュエータと対向する別の超音波アクチュエータを設け、2つの超音波アクチュエータでステージ3をX方向に移動させるように構成してもよい。さらには、X方向及びY方向以外の方向にステージ3を移動させる別の超音波アクチュエータを設けてもよい。
さらにまた、前記超音波アクチュエータは、前記の構成に限られるものではない。例えば、前記支持ゴム及び付勢ゴムを介して圧電素子に給電する構成ではなく、リード線を圧電素子に接続して給電する構成でもよい。また、圧電素子の振動のノード部(節の部分)を非弾性部材で支持する構成であってもよい。さらには、アクチュエータ本体は圧電素子で構成されているが、金属などの基板に圧電素子を貼り付けた構成や、金属などで共振器を形成し、圧電素子を挟み込んだ構成であってもよい。この場合、圧電素子を含んで構成された共振器がアクチュエータ本体を構成する。すなわち、圧電素子を有して構成され異なる2つの振動方向へ振動を発生させる構成であれば、任意の構成を採用することができる。
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、2つのアクチュエータを備えた駆動装置について有用である。
本発明は、圧電素子を有し、振動を行うアクチュエータ本体を備えた超音波アクチュエータ装置に関するものである。
従来より、圧電素子を有したアクチュエータ本体を備えた超音波アクチュエータ装置としては、特許文献1に開示されたものが知られている。
特許文献1に係る超音波アクチュエータ装置は、圧電素子で構成されたアクチュエータ本体と、該アクチュエータ本体に取り付けられた駆動子とを備えている。
このアクチュエータ本体は、長手方向を有する平板状の圧電素子で構成されており、対角位置にある2対の電極にそれぞれ位相の異なる交流電圧を印加することで、該圧電素子の長手方向への縦振動(所謂、伸縮振動)と該圧電素子の短手方向への屈曲振動とを調和的に発生させている。その結果、駆動子は、該圧電素子の長手方向と短手方向とを含む平面内で周回運動、詳しくは、楕円運動を行う。
また、特許文献2は、超音波モータ(超音波アクチュエータ装置)を開示している。特許文献2は、超音波モータにおいて、駆動周波数を超音波モータの共振周波数より高く設定し、起動時に高い周波数から低い周波数へ向けて周波数を変更する技術を開示している。
さらに、特許文献3は、超音波モータ(超音波アクチュエータ装置)の制御装置を開示している。特許文献3は、超音波モータの駆動電流が最も小さくなる駆動周波数をサーチして、その周波数に駆動周波数を固定して制御する技術を開示している。
特開2004−304963号公報
特開平7−264882号公報
特開2006−115583号公報
特許文献2に記載の超音波モータは、共振周波数のみを基準にしており、また共振周波数自体も、アクチュエータの製造ばらつきや、圧電素子の材料定数のばらつきなどを原因として、その絶対値に大きなばらつきがあるので、制御されるべき駆動周波数の選択範囲が非常に広いという問題があった。駆動周波数が低すぎると、電流が大きくなるので効率が悪くなるばかりではなく、発熱して素子が損傷する虞があるという問題がある。また、駆動周波数が高すぎても同様に発熱して素子が損傷する虞があるという問題がある。
また、特許文献3に記載の超音波モータは、駆動周波数を固定してしまうため、速度などの出力を変化させるには、駆動パルスのデューティ比を変化させるしかなかった。しかしながら、デューティ比の変化を用いると、その制御範囲が極めて小さくなってしまうという問題がある。
本発明は、上記課題に鑑み、駆動電力の適正化を図りつつ、出力の制御範囲が大きい超音波アクチュエータ装置を提供することを目的とする。
上記課題に鑑み、本発明の超音波アクチュエータ装置は、圧電素子を有し、振動を行うアクチュエータ本体と、前記アクチュエータ本体に印加すべき駆動電圧の駆動周波数を所定の制御範囲内から設定する制御部と、前記制御部からの制御信号を受けて、該制御部で設定された駆動周波数の駆動電圧を前記アクチュエータ本体に印加する電源部と、前記圧電素子の反共振周波数と共振周波数との差に関するデータを記憶しておく記憶部とを備え、前記制御部は、前記圧電素子を流れる電流値が極小値になる基準周波数と前記記憶部に記憶された前記圧電素子の反共振周波数と共振周波数との差に関するデータとに基づいて、前記駆動周波数の制御範囲をその下限値が該圧電素子を流れる電流値が極大値となる周波数以上となるように定めて、該制御範囲内で該駆動周波数を設定するものとする。
本発明によれば、駆動電力の適正化を図りつつ、出力の制御範囲が大きい超音波アクチュエータを提供することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1に係る駆動装置1は、図1,2に示すように、固定部材2と、該固定部材2に対して相対的に移動可能に支持されたステージ3と、該ステージ3を駆動する第1超音波アクチュエータ4A及び第2超音波アクチュエータ4Bと、該第1及び第2超音波アクチュエータ4A,4Bを駆動制御する制御装置(図示省略)とを備えている。
前記固定部材2は、平面視方形状の底壁部21と、底壁部21の四隅部からそれぞれ立設する4つの側壁部22,22,…と、該底壁部21と対向して該4つの側壁部22,22,…のうちの3つの側壁部22,22,22の先端部に取り付けられる第1天井壁部23と、該底壁部21と対向して該4つの側壁部22,22,…のうちの残りの1つの側壁部22の先端部に取り付けられる第2天井壁部24とを有している。前記側壁部22,22,…は、底壁部21の対向する一方の対の辺縁部にそれぞれ2つずつ設けられている。底壁部21の各辺縁部に設けられた2つの側壁部22,22は、該辺縁部の両端部に設けられている。前記第1天井壁部23は、平面視略L字形状をした平板部材であって、3つの側壁部22,22,22の先端部に跨って取り付けられている。また、前記第2天井壁部24は、平面視略方形状をした平板部材である。
前記ステージ3は、金属製の平面視正方形状の平板部材であって、前記4つの側壁部22,22,…との間に間隔を有する状態で前記固定部材2内に収容されている。尚、ステージ3は、ポリカーボネイト等の樹脂で形成されていてもよい。このステージ3が被駆動体を構成する。
また、ステージ3の下面における一の辺縁部及び該一の辺縁部と直交する2つの辺縁部のうちの一方には、ステージ3の下面及び側面に開口する凹部32,32が形成されている。この凹部32,32には、セラミック製の補強部材33,33が嵌め込まれて接着されている。この補強部材33,33は、ステージ3の下面と面一に配置されている。尚、補強部材33,33は、セラミック製に限られず、耐摩耗性を有する部材であれば、任意の部材を採用することができる。
このステージ3は、その四隅部が支持バネ25,25,…によって第1及び第2天井壁部23,24に対して支持されている。このとき、ステージ3と第1及び第2天井壁部23,24との間には、金属製の球状の転動体26,26,26(本実施形態では3つ)が設けられている。ステージ3の上面(第1及び第2天井壁部23,24と対向する面)には、転動体26,26,26のステージ3に対する相対移動を規制するための受け穴部31,31,31が形成されている。前記転動体26,26,26はこの受け穴部31,31,31内に配設される一方、第1及び第2天井壁部23,24の下面(ステージ3と対向する面)と当接している。さらに詳しくは、転動体26,26,26のうちの2つはステージ3と第1天井壁部23との間に介設され、残りの1つはステージ3と第2天井壁部24との間に介設されている。こうすることで、ステージ3は、第1及び第2天井壁部23,24に対して一定の間隔を有した状態で付勢支持されていると共に、転動体26,26,26を介して該ステージ3の上面及び下面と平行な方向に移動可能に構成されている。
前記第1及び第2超音波アクチュエータ4A,4Bは、同様の構成をしている。各超音波アクチュエータ4A(4B)は、図3に示すように、振動を発生させるアクチュエータ本体5と、該アクチュエータ本体5の駆動力をステージ3に伝達する駆動子59,59と、該アクチュエータ本体5を収容するケース6と、アクチュエータ本体5とケース6との間に介設されてアクチュエータ本体5を弾性的に支持する支持ゴム71,71と、アクチュエータ本体5を前記ステージ3に付勢するための付勢ゴム72とを備えている。
前記アクチュエータ本体5は、圧電素子50で構成されている。
前記圧電素子50は、略長方形状の互いに対向する一対の主面と、この主面と直交して該主面の長手方向に延びる、互いに対向する一対の長辺側面と、これら主面及び長辺側面の両方と直交して該主面の短手方向に延びる、互いに対向する一対の短辺側面とを有する略直方体状をしている。
この圧電素子50は、図4に示すように、5つの圧電体層51,51,…と4つの内部電極層52,54,53,54とを交互に積層して構成される。内部電極層52,54,53,54は、積層方向に圧電体層51を介して交互に配された、第1給電電極層52と共通電極層54と第2給電電極層53と共通電極層54とで構成される。これら第1給電電極層52、第2給電電極層53及び共通電極層54,54のそれぞれは、各圧電体層51の主面上に印刷されている。
前記各圧電体層51は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛などのセラミック材料からなる絶縁体層であって、前記圧電素子50と同様に、一対の主面と、一対の長辺側面と、一対の短辺側面とを有する略直方体状をしている。また、各圧電体層51には、その長辺側面のうち前記駆動子59,59が設けられていない側の長辺側面の長手方向中央部に外部電極55aが、一方の短辺側面の短手方向中央部に外部電極56aが、他方の短辺側面の短手方向中央部に外部電極57aがそれぞれ形成されている。
前記各共通電極層54は、圧電体層51の主面の略全面に亘って設けられた略長方形状をしている。また、各共通電極層54の一方の長辺部には、その長手方向中央部から圧電体層51の前記外部電極55aまで延びる引出電極54aが形成されている。
前記第1給電電極層52は、図5に示すように、圧電体層51の主面をその長手方向及び短手方向にそれぞれ2等分してなる4つの領域のうち該主面の対角線方向に位置する2対の領域のうち一方の対の領域にそれぞれ形成された一対の第1電極52a,52bと、これら第1電極52a,52bを連結して導通させる導通電極52cとを有する。各第1電極52a(52b)は略矩形状の電極であり、積層方向に見て共通電極層54と重なっている。つまり、各第1電極52a(52b)は、圧電体層51を挟んで共通電極層54と対向している。また、第1電極52a,52bのうちの一方の第1電極52aには、圧電体層51の前記外部電極56aまで延びる引出電極52dが設けられている。
前記第2給電電極層53は、圧電体層51の主面の対角線方向に位置する前記2対の領域のうち他方の対の領域にそれぞれ形成された一対の第2電極53a,53bと、これら第2電極53a,53bを連結して導通させる導通電極53cとを有する。前記他方の対の領域のうち積層方向に見て前記第1電極52aの前記短手方向且つ前記第1電極52bの前記長手方向に隣接する領域に設けられる電極が第2電極53aであり、第1電極52aの該長手方向且つ第1電極52bの該短手方向に隣接する領域に設けられる電極が第2電極53bである。各第2電極53a(53b)は略矩形状の電極であり、積層方向に見て共通電極層54と重なっている。つまり、各第2電極53a(53b)は、圧電体層51を挟んで共通電極層54と対向している。また、第2電極53a,53bのうちの一方の第2電極53bには、圧電体層51の前記外部電極57aまで延びる引出電極53dが設けられている。
これら圧電体層51,51,…と内部電極層52,54,53,54とを交互に積層することで構成された圧電素子50においては、その一方の長辺側面の前記長手方向中央部に、各圧電体層51の外部電極55aが積層方向に並んで一まとまりの外部電極55が形成されている。この外部電極55には、前記共通電極層54,54に形成された引出電極54a,54aが電気的に接続されている。同様に、圧電素子50の一方の短辺側面の前記短手方向中央部には、各圧電体層51の外部電極56aが積層方向に並んで一まとまりの外部電極56が形成されている。この外部電極56には、前記第1給電電極層52の引出電極52dが電気的に接続されている。また、圧電素子50の他方の短辺側面の前記短手方向中央部には、各圧電体層51の外部電極57aが積層方向に並んで一まとまりの外部電極57が形成されている。この外部電極57には、前記第2給電電極層53の引出電極53dが電気的に接続されている。
そして、圧電素子50の長辺側面のうち前記外部電極55aが設けられていない側の長辺側面には、前記駆動子59,59が前記長手方向に互いに間隔を空けて設けられている。駆動子59,59は、該長手方向において、該長辺側面の全長の30〜35%距離だけその長手方向両端部から内側に入った位置に配設されている。この位置は、屈曲振動の2次モードの腹の位置であって、振動が最も大きくなる位置である。これら駆動子59,59は、ほぼ球体状であって、セラミック等の硬質部材で形成されている。
前記外部電極55をグランドに接続し、前記外部電極56に所定周波数の交流電圧を、前記外部電極57に該交流電圧と位相が90°ずれた交流電圧を印加することによって、圧電体層51の主面の対角線方向に位置する一方の対の第1電極52a,52bと、他方の対の第2電極53a,53bとに互いに位相が90°ずれた交流電圧を印加され、圧電素子50には、図6に示す縦振動(いわゆる、伸縮振動)の1次モードと、図7に示す屈曲振動の2次モードとが誘起される。
縦振動の共振周波数及び屈曲振動の共振周波数はそれぞれ、圧電素子50の材料、形状等により決定される。さらに、両共振周波数は、圧電素子50を支持する力及び支持する部分によっても影響を受ける。これらを考慮して、両共振周波数を略一致させ、その近傍の周波数の交流電圧を位相を90°ずらした状態で外部電極56,57のそれぞれに印加することによって、圧電素子50には、縦振動の1次モードと屈曲振動の2次モードとが調和的に誘起され、図8(a)、(b)、(c)、(d)に示す形状の変化を順番に起こす。
その結果、圧電素子50に設けられた各駆動子59が該圧電素子50の主面と平行な平面(図8における紙面と平行な面)内で略楕円運動を起こす。
前記ケース6は、樹脂製であって、前記圧電素子50に対応した略直方体状の概略箱形状をしている。このケース6は、前記圧電素子50の主面と平行で且つ略長方形状の主壁部61と、該主壁部61の前記長手方向の一側(図3における左側)に位置する短辺部に設けられた第1短辺壁部62と、該主壁部61の該長手方向の他側(図3における右側)に位置する短辺部に設けられた第2短辺壁部63と、該主壁部61の前記短手方向の一側(図3における下側)に位置する長辺部に設けられた長辺壁部64とを有している。つまり、ケース6は、主壁部61に対向する側及び該主壁部61の該短手方向の他側(図3における上側)に位置する長辺部(圧電素子50の駆動子59,59が設けられた長辺側面に対応する部分)には壁部が設けられておらず、厚み方向(主壁部61の法線方向)の一側及び該短手方向の他側に開口した形状となっている。
このように構成されたケース6内に前記アクチュエータ本体5が収容されている。アクチュエータ本体5は、圧電素子50の一方の主面が主壁部61と当接し且つ圧電素子50の一方の長辺側面(前記外部電極55が設けられている側の長辺側面)が長辺壁部64と対向するようにしてケース6内に収容されている。このとき、駆動子59,59はケース6から前記短手方向の他側に突出している。また、圧電素子50の一方の短辺側面とケース6の第1短辺壁部62との間および圧電素子50の他方の短辺側面とケース6の第2短辺壁部63との間にはそれぞれ支持ゴム71,71が介設されている。この圧電素子50の両短辺側面は縦振動の腹の部分であるが、支持ゴム71,71は弾性体であるため、圧電素子50の縦振動を阻害することなく、該圧電素子50を支持することができる。これら支持ゴム71,71は、アクチュエータ本体5並びに第1及び第2短辺壁部62,63だけでなく、主壁部61の内側表面とも当接している。また、圧電素子50の一方の長辺側面とケース6の長辺壁部64との間には付勢ゴム72が介設されている。この付勢ゴム72は、アクチュエータ本体5及び長辺壁部64だけでなく、主壁部61の内側表面とも当接している。
そして、主壁部61の内側表面における、前記支持ゴム71,71及び付勢ゴム72が当接する部分には電極61a(付勢ゴム72と当接する電極のみ図示)が設けられているこれらの電極は、主壁部61の外側表面に設けられた端子電極(図示省略)にそれぞれ導通している。
前記各支持ゴム71は、シリコーンゴムに金属粒子を混入した導電性ゴムで構成され、略直方体状をしている。これら支持ゴム71,71は、アクチュエータ本体5をその長手方向に付勢した状態で弾性的に支持する。それと共に、支持ゴム71,71は、圧電素子50の外部電極56,57と主壁部61の内側表面の短辺部に設けられ且つ前記端子電極と導通する電極とを導通させている。
また、前記付勢ゴム72も、支持ゴム71と同様に、シリコーンゴムに金属粒子を混入した導電性ゴムで構成され、略直方体状をしている。この付勢ゴム72は、アクチュエータ本体5をその短手方向(即ち、短手方向が付勢方向に相当する)に付勢するためのものである。それと共に、付勢ゴム72は、圧電素子50の外部電極55と主壁部61の電極61aとを導通させている。
つまり、ケース6の外側表面に設けられた前記端子電極に給電することによって、圧電素子50に給電することができる。
このように構成された第1及び第2超音波アクチュエータ4A,4Bは、それぞれステージ3と固定部材2の底壁部21との間に介設される。第1及び第2超音波アクチュエータ4A,4Bは、ケース6の長辺壁部64が固定部材2の底壁部21に固定される一方、駆動子59,59がステージ3の下面と当接するように配置されている。すなわち、第1及び第2超音波アクチュエータ4A,4Bは、圧電素子50の短手方向がステージ3の下面に直交すると共に、圧電素子50の長手方向がステージ3の下面と平行な方向を向くように配置される。さらに換言すれば、第1及び第2超音波アクチュエータ4A,4Bは、圧電素子50の屈曲振動の方向がステージ3の下面と直交すると共に、圧電素子50の縦振動の方向がステージ3の下面と平行な方向を向くように配置される。
このとき、前記付勢ゴム72が圧縮変形しており、この付勢ゴム72の弾性力によって駆動子59,59が補強部材33に付勢されている。各超音波アクチュエータ4A(4B)のステージ3への付勢力は、付勢ゴム72の弾性力によって決まる。
尚、本実施形態では、駆動子59,59は、ステージ3の下面において補強部材33,33の下面と当接している。この補強部材33を設けることによって、ステージ3の下面の耐摩耗性を向上させている。
さらに詳しくは、第1超音波アクチュエータ4Aは、図9に示すように、圧電素子50の長手方向(即ち、縦振動の振動方向)がステージ3の下面の一の辺縁部近傍において該辺縁部と平行な方向(この方向をX方向とする。)を向くように配置される。一方、第2超音波アクチュエータ4Bは、圧電素子50の長手方向がステージ3の下面の前記一の辺縁部と直交する辺縁部近傍において該辺縁部と平行な方向(この方向をY方向とする。)を向くように配置される。こうして、第1及び第2超音波アクチュエータ4A,4Bは、それぞれの圧電素子50の長手方向が平面視で互いに直交するように配置されている。この第1超音波アクチュエータ4Aが第1アクチュエータを、第2超音波アクチュエータ4Bが第2アクチュエータを構成する。また、X方向が第1の駆動方向に、Y方向が第2の駆動方向に相当する。
以下に、駆動装置1の組み立て方法について説明する。
まず、前記固定部材2の第1及び第2天井壁部23,24を側壁部22,22,…の先端部に取り付ける。
次に、前記ステージ3の受け穴部31,31,31に転動体26,26,26を配設し、該ステージ3を支持バネ25,25,…によって固定部材2の第1及び第2天井壁部23,24に対して取り付ける。
続いて、第1及び第2超音波アクチュエータ4A,4Bを、固定部材2の底壁部21とステージ3との間に配置する。ここで、ステージ3が固定部材2に取り付けられた状態において、固定部材2の底壁部21の上面とステージ3の下面との距離は、第1及び第2超音波アクチュエータ4A,4Bの前記短手方向長さよりも短くなっている。そこで、アクチュエータ本体5をケース6の長辺壁部64に押し付けて付勢ゴム72を圧縮変形させた状態で、各超音波アクチュエータ4A(4B)を固定部材2の底壁部21とステージ3との間に配置する。そして、各超音波アクチュエータ4A(4B)を所望の位置に配置した後、ケース6を固定部材2の底壁部21に対して固定し、ケース6の外側表面に設けられた前記端子電極に制御装置(図示両略)からの信号線(図示両略)を接続する。このとき、各超音波アクチュエータ4A(4B)の駆動子59,59は、ステージ3の補強部材33と当接している。
−駆動装置の動作−
次に、このように構成された駆動装置1の動作について説明する。
第1及び第2超音波アクチュエータ4A,4Bはそれぞれ、前述の如く、前記ケース6の端子電極を介して、前記外部電極55をグランドに接続し、前記外部電極56に所定周波数の交流電圧を、前記外部電極57に該交流電圧と位相が90°ずれた交流電圧を印加することによって、圧電素子50に縦振動と屈曲振動との合成振動を発生させ、駆動子59,59に圧電素子50の主面と平行な平面内において略楕円運動を行わせる。こうすることで、駆動子59,59は、ステージ3との当接及び離間を周期的に繰り返しながら、摩擦力によってステージ3を圧電素子50の長手方向へ移動させる。つまり、第1及び第2超音波アクチュエータ4A,4Bは、ステージ3に対して、圧電素子50の長手方向へ駆動力を付与している。尚、2つの駆動子59,59は、図8に示すように、それぞれ位相が180°ずれた状態で略楕円運動をしているため、ステージ3は駆動子59,59のそれぞれによって交互に駆動される。本実施形態1では、第1超音波アクチュエータ4Aがステージ3をX方向へ移動させる一方、第2超音波アクチュエータ4Bがステージ3をY方向へ移動させる。
そして、ステージ3の、第1超音波アクチュエータ4Aによる移動量と、第2超音波アクチュエータ4Bによる移動量とを調整することによって、X方向への移動とY方向への移動とを合成させて、ステージ3をその下面(詳しくは、補強部材33の下面)に平行な平面内で任意の方向に移動させることができる。具体的には、各超音波アクチュエータ4A(4B)による移動量は、外部電極56,57に給電する交流電圧の電圧値、周波数及び給電時間の少なくとも1つを調整する、又は外部電極56と外部電極57とに給電する各交流電圧の位相のずれを90°以外の値に変更する等によって調整することができる。こうして、X方向への移動とY方向への移動とを合成してステージ3を移動させるときには、第1超音波アクチュエータ4Aと第2超音波アクチュエータ4Bとを同時に駆動して、ステージ3を所望の位置の方向へ移動させてもよいし、第1超音波アクチュエータ4Aと第2超音波アクチュエータ4Bとを交互に駆動して、ステージ3をX方向とY方向とに別々に移動させて所望の位置まで移動させるようにしてもよい。
次に、ステージ3をX方向及びY方向の何れか一方にのみ移動させる場合について説明する。例えば、ステージ3をX方向にのみ移動させるときは、第1超音波アクチュエータ4Aは、圧電素子50に縦振動と屈曲振動との合成振動を発生させてステージ3に駆動力を付与する一方、第2超音波アクチュエータ4Bは、圧電素子50に実質的にステージ3の下面(具体的には、補強部材33の下面)と平行な平面内での振動のみ、即ち、縦振動のみを発生させて駆動子59,59をステージ3に対して滑らせる。
具体的には、第2超音波アクチュエータ4Bの前記外部電極56と前記外部電極57とに同じ交流電圧を印加する。すなわち、圧電素子50の第1電極52a,52b及び第2電極53a,53b(図5参照)に同位相の交流電圧を印加する。これにより、該圧電素子50における各電極に対応する4つの領域が同時に伸縮するため、実質的に該圧電素子50には図5に示すような縦振動のみが誘起される。ここで、前記図5に示すような縦振動においては、圧電素子50は短手方向にも若干振動しているが、この短手方向への振動は長手方向の縦振動に比べて無視できる程に小さい。つまり、「実質的に」とは、それ以外の振動も存在するが、その大きさが無視できる程度に小さいことを意味する。
その結果、第2超音波アクチュエータ4Bとステージ3との間の摩擦力を低減して、ステージ3を第1超音波アクチュエータ4AによってX方向へ効率良く移動させることができる。
この点について以下に詳しく説明する。ステージ3をX方向にのみ移動させる際に第2超音波アクチュエータ4Bを停止させた状態で、第1超音波アクチュエータ4Aのみを駆動する場合、第2超音波アクチュエータ4Bのアクチュエータ本体5は停止状態であってもステージ3に対して付勢されているため、第2超音波アクチュエータ4Bの駆動子59,59とステージ3との間の摩擦力が第1超音波アクチュエータ4Aによるステージ3のX方向への駆動を阻害している。特に、ステージ3が始動するまでの間は、駆動子59,59とステージ3との間の摩擦力は静摩擦力であるため、ステージ3の始動時には大きな駆動力が必要となる。本実施形態のようにステージ3を2つの超音波アクチュエータで駆動させる構成においては、一方の超音波アクチュエータ4A(4B)による駆動力の方向は他方の超音波アクチュエータ4B(4A)の駆動子59,59を中心とするモーメントを生じさせる方向となるため、他方の超音波アクチュエータ4B(4A)の駆動子59,59とステージ3との間の摩擦力が大きいと、ステージ3が第2超音波アクチュエータ4Bの駆動子59,59を中心に回転しようとする場合もある。
それに対して、本実施形態1では、第1超音波アクチュエータ4Aを駆動するときに、該第1超音波アクチュエータ4Aの駆動と同時か又はその駆動よりも先に、第2超音波アクチュエータ4Bは、圧電素子50に実質的に縦振動のみ発生させている。その結果、駆動子59,59がステージ3の下面に対し滑って摺動するため、駆動子59,59とステージ3の下面との間の摩擦状態は、静摩擦から動摩擦に変わり、摩擦力が低減する。
また、駆動子59,59はステージ3の下面と平行な方向に振動しているため、駆動子59,59のステージ3の下面に対する摺動速度が速くなり、動摩擦係数が低減する。その結果、停止した駆動子59,59に対してステージ3のみが移動している動摩擦状態と比較して、動摩擦力を低減することができる。
さらに、駆動子59,59は、実質的にステージ3の下面と平行な平面内で振動しているため、駆動子59,59のステージ3への付勢力が増大することはなく、つまり、摩擦力が増大することがない。尚、圧電素子50は、その長手方向(ステージ3の下面と平行な方向)への伸縮に合わせて短手方向(ステージ3の下面に直交する方向)にも若干、伸縮する。しかし、短手方向への伸縮は長手方向への伸縮に比べて非常に小さいため、圧電素子50の短手方向への振動はステージ3へほとんど影響は与えない。
こうして、駆動子59,59とステージ3との間の摩擦力を低減することができるため、ステージ3を第1超音波アクチュエータ4AによってX方向にのみ移動させるときに、第2超音波アクチュエータ4Bの駆動子59,59を中心にステージ3が回転することを防止することができると共に、ステージ3と第2超音波アクチュエータ4Bの駆動子59,59との間の摩擦損失を低減することができる。
尚、第1及び第2超音波アクチュエータ4A,4Bのこのような駆動は、ステージ3をX方向の所望の位置へ向かって単純にX方向にのみ駆動する場合に限られず、前述の如く、ステージ3をX方向とY方向との間の任意の方向の所望の位置へ移動させるべく、X方向への移動とY方向への移動とを交互に行って移動させる際のX方向への移動時にも用いられる。
また、前述の説明では、ステージ3をX方向へのみ移動させる場合について説明したが、ステージ3をY方向へのみ移動させるときには、前述の説明における第1超音波アクチュエータ4Aと第2超音波アクチュエータ4Bとの役割を反対にすればよい。
したがって、実施形態1によれば、第1及び第2超音波アクチュエータ4A,4Bの何れか一方のみでステージ3をその一方の超音波アクチュエータに対応した移動方向へのみ移動させるときには、他方の超音波アクチュエータをステージ3の下面と平行な方向へのみ振動させることによって、他方の超音波アクチュエータの駆動子59,59とステージ3との間の摩擦状態を動摩擦状態とすると共に、該駆動子59,59のステージ3に対する摺動速度が速くなり動摩擦係数が低減するため、該駆動子59,59とステージ3との間の摩擦力を低減することができ、前記一方の超音波アクチュエータでステージ3を円滑に且つ効率良く移動させることができる。
また、第1及び第2超音波アクチュエータ4A,4Bを、圧電素子50の、ステージ3の下面と平行な方向への振動が縦振動となるように構成すると共に、駆動子59,59を圧電素子50の長辺側面においてその長手方向中央部に対して対称な位置に設けることによって、前述の如く、圧電素子50にステージ3の下面と平行な方向の振動のみ発生させて駆動子59,59をステージ3に対して滑らせるときに、振動する該駆動子59,59がステージ3に不要な駆動力を付与することを防止することができる。
詳しくは、圧電素子50の停止時であっても駆動子59,59は付勢ゴム72によってステージ3に対して付勢されており、圧電素子50がステージ3の下面と平行な方向へのみ振動する場合であっても、該駆動子59,59とステージ3との間には、若干ではあるが、摩擦力が生じる。ところで、前述の如く、長辺側面において長手方向中央部に対して対称な位置に2つの駆動子59,59が設けた圧電素子50を縦振動させると、該駆動子59,59は該長手方向中央部を中心に長手方向に互いに反対向きで且つ同じ振幅の振動を行う。つまり、該駆動子59,59がステージ3に対して摺動する際に生じる摩擦力は、圧電素子50の長手方向中央部を中心に長手方向に対称であるため、両駆動子59,59の摩擦力は互いに打ち消し合う。その結果、圧電素子50をステージ3の下面に平行な方向に振動させるときに該駆動子59,59からステージ3へ駆動力が付与されることを防止することができ、前記一方の超音波アクチュエータによるステージ3の移動を阻害することを防止することができる。
さらに、第1及び第2超音波アクチュエータ4A,4Bを、圧電素子50の、ステージ3の下面と平行な方向への振動が縦振動となるように構成することによって、固定部材2の底壁部21とステージ3との間において、圧電素子50の短手方向がステージ3の下面に対して直交し且つ圧電素子50の長手方向がステージ3の下面と平行な方向を向くように配置されるため、圧電素子50がその長手方向がステージ3の下面と直交するように配置される構成と比較して、該底壁部21とステージ3との間隔を短くすることができ、駆動装置1のコンパクト化を図ることができる。
次に、実施形態1における超音波アクチュエータの具体的な制御について図面を参照しながら説明する。以下の説明では、先述した構成要件のなかで同様に機能するものについて同じ番号を付与し、詳細な説明は省略する。
図10は超音波アクチュエータ制御回路の構成図である。超音波アクチュエータは先述したように圧電素子50、内部電極52と53、駆動子59,第1短辺壁部62,第2短辺壁部63,長辺壁部64,支持ゴム71,付勢ゴム72で構成されている。セラミック製の補強部材33を含むステージ3は可動部として、図に示す様にA方向およびB方向に移動する構成になっている。
また、支持部材(図示せず)と同様の固定部として当接部130と131(例えば、側壁部22,22)を有しており、ステージ3が当接部130あるいは131に当接した場合にステージ3は停止することになる。
101はステージ3に取り付けられたマグネットであり、ホール素子で構成される位置検出センサ100によって、ステージ3の位置を検出する構成になっている。
制御回路150には、この位置検出センサ100の出力が入力されており、制御回路150ではこの位置検出センサ100から出力されるステージ3の位置情報に基づいて圧電素子50に印加する電圧パルスあるいは電流パルスの周波数、位相の制御を行う。この周波数、位相の制御を行うための信号はAchおよびBchから出力される構成になっている。制御回路150には、圧電素子50に印加する信号のON/OFFの制御を行うことも可能である。
図11(A)に示す様に、ステージ3をA方向に移動させる場合にはAchとBchから矩形波のパルスを出力し、互いの位相差はAchに対してBchが90度位相を遅らせた状態になる。また、図11(B)に示す様に、ステージ3をB方向に移動させる場合にはAchとBchから矩形波のパルスを出力し、互いの位相差はAchに対してBchが90度位相を進めた状態になる。また、図11(C)に示す様に、ステージ3を停止させる場合にはAchとBchの信号をGNDレベルにする状態になる。
110a、110b、120a、120bはパワーFETなどのスイッチング素子を示す。
スイッチング素子110aに入力されるAchの信号が+5Vの場合にはスイッチング素子110aに接続されている+5V電源191からコイル141を通して圧電素子50の電極53a、53bに電力が供給される。一方、スイッチング素子110bにはインバーター111(+5Vが入力された場合には出力は−5V、−5Vが入力された場合には出力は+5Vとなる素子)を介してAchの信号が入力され、Achの信号が+5Vの場合には110bに入力される電圧は−5Vとなるため、このスイッチング素子はOFFとなる。
スイッチング素子110aに入力されるAchの信号が−5Vの場合には、このスイッチング素子はOFFとなる。一方、スイッチング素子110bにはインバーター111を介してAchの信号が入力され、Achの信号が−5Vの場合には110bに入力される電圧は+5Vとなるため、110bに接続されている−5V電源192からコイル141を通して圧電素子50の電極53a、53bに電力が供給される。
スイッチング素子120aに入力されるBchの信号が+5Vの場合にはスイッチング素子120aに接続されている+5V電源191からコイル142を通して圧電素子50の電極52a、52bに電力が供給される。一方、スイッチング素子120bにはインバーター121(+5Vが入力された場合には出力は−5V、−5Vが入力された場合には出力は+5Vとなる素子)を介してBchの信号が入力され、Bchの信号が+5Vの場合にはスイッチング素子120bに入力される電圧は−5Vとなるため、このスイッチング素子はOFFとなる。
スイッチング素子120aに入力されるBchの信号が−5Vの場合には、このスイッチング素子はOFFとなる。一方、スイッチング素子120bにはインバーター121を介してBchの信号が入力され、Bchの信号が−5Vの場合にはスイッチング素子120bに入力される電圧は+5Vとなるため、スイッチング素子120bに接続されている−5V電源192からコイル142を通して圧電素子50の電極52a、52bに電力が供給される。
ここで、各FETから出力される信号が本実施例のように矩形波の場合は、1次の周波数成分だけでなく、複数の高次の周波数成分が含まれる。圧電素子50に印加される信号の内、3次や5次などの高調波成分は駆動の効率を落としたり、圧電素子そのものを破損したりする場合がある。そこで、コイル141,142を設けることによって、この矩形波の周波数成分の内、1次の周波数成分が主に圧電素子50に印加されるようになる。なお、各FETから出力される信号が正弦波の場合には、本コイルは挿入してもよいし、挿入しなくてもよい。
また、制御回路150は、グランド電極GNDに設けられた電流検出抵抗の電圧値を読み取ることにより、圧電素子を流れる電流を検出する電流検出部160と、データを格納するメモリ170とに接続されている。これらの機能については、後述する。
以上で説明した構成によって、圧電素子50に電力を供給することで駆動子59をステージ3が進行する方向に振動させることによりステージ3の移動を行い、位置検出センサ100の出力に基づいて、制御回路150では圧電素子50に印加する電力波形を制御することによって、ステージ3の移動制御を行うことが可能となる。
図12は、アクチュエータの速度、駆動電圧に対してアクチュエータを流れる電流、発熱のそれぞれの周波数特性を示す概念図である。図中、横軸は周波数を示し、実線は速度特性、細かい点線は発熱特性を示している。なお、各特性曲線は、概念的な挙動を示しているので、縦軸の絶対値には特に意味を与えていない。
理論的には、一定電圧駆動を行う場合、電流値は、アクチュエータとして最もインピーダンスが低くなる共振周波数に対応する周波数で最大となり、アクチュエータとして最もインピーダンスが高くなる反共振周波数に対応する周波数でも最小となる。図12からわかるように、実際の電流周波数特性も、概ね共振周波数付近で最大となり、反共振周波数より低い周波数で最小となる。また、出力に相当する速度は、共振周波数で最大となり、周波数が高くなるにしたがって減少していく。以上より、駆動周波数として電力に対する出力の効率の最もよい範囲は、共振周波数と反共振周波数の範囲であることがわかる。
しかしながら、共振周波数の絶対値は、圧電素子の加工精度のばらつき、圧電素子自体の材料定数のばらつき、材料の収縮率のばらつき等に起因して最大で10kHz程度のばらつきを持つことが知られている。したがって、共振周波数(理論値)のみに基づいて駆動周波数を設定することは困難である。そこで、実装後のアクチュエータの共振周波数を実測することが考えられるが、実装後の共振周波数を測定することは、共振周波数付近で多大な電流が流れ、発熱量が大きくなるので難しい。このため、共振周波数自体を駆動周波数を設定する際の基準の周波数として取り扱うことは不可能である。
一方、共振周波数と反共振周波数との周波数帯域のばらつきは、材料定数のばらつき、製造ばらつきを含めてもほぼ1kHz程度になる。また、反共振周波数は、ほぼ電流値が最小となる周波数とみてよいから、電流値を測定することにより実装後に測定することが可能である。そこで、本実施形態では、実装後に電流値が最小となる周波数を基準周波数とし、この基準周波数に基づいて駆動周波数の設定範囲を定め、定められた設定範囲から駆動周波数を設定する制御を行っている。
図13は、実施形態1の制御フローを示すフローチャートである。図13において、アクチュエータが起動(S100)されると、制御周波数範囲設定処理(S200)に移行する。制御周波数範囲設定処理(S200)において、後述する方法で制御周波数範囲(制御範囲に相当する)が設定され、駆動制御(S300)へ処理が移行する。次に、制御周波数範囲の変更リクエスト(S400)を確認し、リクエストがあれば再びS200へ戻り(YES)、なければ(NO)、処理を駆動継続確認(S500)へ移行する。駆動継続確認で、駆動継続を行う場合(YES)、処理をS300へ戻し、なければ(NO)、終了する。
ここで、制御周波数範囲の変更リクエストとは、制御周波数範囲を設定し直す指令であって、制御回路150に外部から変更リクエストに相当する何らかの信号が入力されたか否かで判定される。この変更リクエストに相当する信号は、出荷時や環境温度が変わったときに制御周波数範囲を設定し直すべく、ユーザが操作スイッチ等の入力手段を介してマニュアル的に入力することができる。
図14は、制御周波数設定処理の内容を示すフローチャートである。図14において、はじめに、メモリから予め格納された第1の周波数の値を読み取る(S210)。第1の周波数は、反共振周波数より高い周波数値に設定される。
次に、駆動信号(駆動電圧)の周波数を第1の周波数に設定すると共に該駆動信号を圧電素子50に印加して、そのときに圧電素子50に流れる電流を電流検出部160を介して計測する。そして、駆動信号の周波数を第1の周波数から低周波数側へ変更させながら、圧電素子50に流れる電流の計測を行い、電流値が極小値となる周波数をサーチする(S220)。そして、極小電流値になる周波数を検出し(S230)、検出した周波数を第2の周波数(基準周波数に相当する)としてメモリに格納する(S240)。
ここで、電流の極小値、極大値を示す周波数は圧電素子に印加する電圧値に依存性があるため、電流の極小値をサーチする際の駆動信号の電圧値は、アクチュエータを実際に駆動する際に使用する電圧値に設定される。こうすることで、アクチュエータを実際に駆動する際の電圧値に則した、電流が極小値となる周波数を求めることができる。
このアクチュエータを実際に駆動する際の電圧値は、設定した周波数の制御範囲の下限値でアクチュエータが高速に駆動されるように高い値であることが好ましい。その一方で、このような電圧値で電流値が極大値となるような周波数の駆動信号を印加すると、圧電素子が破損してしまう虞がある。そのため、極小値の測定の際には、そのような高い電圧値を用いつつ、駆動信号の周波数を、電流が極大になる周波数とならないように変更しながら電流値を測定することが好ましい。そこで、前述の如く、駆動信号の周波数を、反共振周波数よりも高いと推測される第1の周波数から低周波数側にスキャンする。
次に、メモリに格納した第2の周波数から予め定められた所定値(所定の減算値に相当する)を減算した周波数を第3の周波数としてメモリに格納(S250)して、メインフローに戻る。
ここで、第3の周波数を算出する際に用いられる所定値は、予め測定又は算出した圧電素子の反共振周波数と共振周波数との差に基づいて、該差以下の値に設定されている。反共振周波数と共振周波数との差は、共振の帯域とよばれ、素子の材料定数及び電極の形状で決定される。共振の帯域は、圧電材料の電気機械結合係数K31及び電極の形状が大きいほど大きくなり、同一の材料、電極設計では共振周波数の数%(300kHzの共振周波数では、約10kHz)である。この共振の帯域のばらつきは約1kHz以下であり、共振周波数自体のばらつきに比べて非常に小さい。そのため、電流値が極小値となる第2の周波数から、反共振周波数と共振周波数との差に基づいて設定された所定値を減算して求めた第3の周波数は、個体差によるばらつきの影響を受け難く、大凡、共振周波数以上となる。ただし、第3の周波数を共振周波数よりも高い周波数に確実に設定する場合には、制御周波数範囲の下限値が電流値が極大値となる周波数よりも高くなるように、即ち、第3の周波数が電流値が極大値となる周波数よりも高くなるように、前記所定値を設定する。例えば、前記所定値を、反共振周波数と共振周波数との差よりも、個体差によるばらつきの影響等があっても第3の周波数が共振周波数以下とならない程度に小さい値にすればよい。なお、本実施形態では、第3の周波数を算出する際に用いられる所定値は、圧電材料の電気機械結合係数に由来するものなので、共振周波数のおおむね1〜5%程度としている。
以下の駆動処理では、メモリに格納された第3の周波数以上の範囲から駆動周波数が設定される。具体的には、位置検出部より得られた位置情報を元に、第3の周波数以上で、所望の特性になるよう周波数制御を行う。このように、第3の周波数以上の範囲から駆動周波数を設定することにより、駆動電力の適正化を図りつつ、出力の制御範囲を大きくとることが可能になる。また、第3の周波数の設定を起動のたびに行うことで、温度特性や環境による変化にも対応できる。尚、このアクチュエータは前記駆動装置1やカメラ等の他の装置に搭載されて使用され、そのような場合には、アクチュエータが搭載される装置(例えば、カメラ等)の起動時が、アクチュエータの起動時となるため、該装置の起動時に制御周波数範囲の設定が行われる。
非常に遅い速度で制御したい場合、周波数が高くなりすぎると、再度電流が流れて効率が悪くなり、素子が発熱するのでその場合は、第2の周波数以下で制御するとなおよい。第2の周波数で制御した場合もさらに速度を落としたい場合は、その周波数で、第1の電源と第2の電源の位相差を制御したり、パルスのOnDutyを制御することで速度を落としてもよい。ただし、第2の周波数のみで位相差やOnDutyを制御しても、制御可能な速度範囲はきわめて小さく実用的でない。
さらなる具体的な数値実施例を示す。超音波アクチュエータは、6mm×1.7mm×2.5mmのものを用いた、有効層厚みは100umを25層積層している。電源電圧Vddは5Vとした。出荷時の設定として、第1の周波数として、290kHz、所定値(減算値)として帯域4kHzをあらかじめ記憶部に入力した。この設定において、アクチュエータを起動し、駆動信号の周波数を第1の周波数から周波数が低いほうに、0.1kHz/1msのスピードでスキャンさせ、1msの間隔で周波数と電流検出部としてのG部の電圧値を測定していった。データは、5回平均されその平均値として記憶部に記憶され、現在の最小電流と比較され、最小電流より小さいと最小電流値と周波数が更新される。最小電流値が更新されなくなってから、所定値(減算値)の帯域分だけさらに周波数を低い側にスキャンし、その間最小電流値の更新がなければ、その記憶された周波数を第2の周波数、その周波数より帯域分だけ小さい周波数を第3の周波数にする。第3の周波数が規定の電流値より大きい場合は、再度第1の周波数からスキャンをやり直す。規定回数スキャンをやり直しても、第3の周波数の電流値が規定の電流値より大きい場合は、あらかじめ決めてある帯域、即ち、所定値(減算値)を減らすことで再度スキャンを行う。
このようにして決定された第2の周波数は280kHz、電流値は50mAで、可動物の速度50mm/s、第3の周波数は276kHzで、70mA、可動物の速度100m/sであった。この後、制御部(即ち、制御回路150)は100mm/sから50mm/sについては、周波数を276〜280kHzで掃引することで制御した。また、制御部は、50mm/s以下については、駆動周波数は280kHzでドライバー部のOndutyを、50%〜10%にすることで制御した。以上の数値例では、駆動電力の適正化を図りつつ、出力の制御範囲を大きくとることが可能になっていた。
図15は、制御周波数設定処理の別の内容を示すフローチャートである。図15において、S260に続いて、メモリに格納した第2の周波数から予め定められた所定値(所定の加算値に相当する)を加算(S260)した周波数を第4の周波数としてメモリに格納(S270)して、メインフローに戻る。なお、第4の周波数を算出する際に用いられる所定値は、圧電材料の電気機械結合係数に由来するものなので、共振周波数のおおむね1〜5%程度が望ましく、先に述べた第3の周波数を算出する際に用いられる所定値と同一でも異なっていてもいずれでもよい。
以下の駆動処理では、メモリに格納された第3の周波数以上で第4の周波数以下の範囲から駆動周波数が設定される。具体的には、位置検出部より得られた位置情報を元に、第3の周波数以上で、所望の特性になるよう周波数制御を行う。このように、第3の周波数以上で第4の周波数以下の範囲から駆動周波数を設定することにより、さらに電流値の過剰な上昇を抑えることができ、特に低速駆動の際の出力の制御範囲を大きくとることが可能になる。
図16は、制御周波数設定処理のさらに別の内容を示すフローチャートである。図16において、先に述べた第3の周波数を予めメモリに格納しておき、その値を読み込む(S215)。第3の周波数の測定は、先に述べた方法と同様に、第1の周波数からスキャンしながら検出した電流値に対応する周波数から求めればよい。この例では、予め第3の周波数が設定されているので、より簡易に制御を行うことができる。
尚、図16のフローチャートでは、第3の周波数を予めメモリに格納しておいたが、第2の周波数を予め実測して、該第2の周波数、又は、該第2の周波数から算出した第4の周波数を予めメモリに格納しておき、その値に基づいて制御周波数範囲を設定してもよい。すなわち、第2の周波数、第3の周波数及び第4の周波数の少なくとも1つをメモリに記憶しておき、該記憶しておいた周波数に基づいて制御周波数範囲を設定するようにしてもよい。
また、前記メインフローでは、起動時及び変更リクエストがあったときに、制御周波数範囲の設定を行っているが、これに限られず、他のタイミングで制御周波数範囲の設定を行ってもよい。例えば、制御回路150は、電流検出部160の検出結果に基づいて電流値を監視しておき、電流値が所定の閾値を超えたときに制御周波数範囲の設定を行うようにしてもよい。こうすることで、圧電素子50の発熱量が多くなることを防止することができる。また、図10に示すように、スイッチング素子110a,1110b,120a,120bに接続された電源191,192の電源電圧を検出する電源電圧検出部180を設け、該電源電圧検出部180の出力結果が制御回路150に入力されるように構成する。そして、制御回路150は、電源電圧検出部180の検出結果に基づいて前記電源電圧が変化した(即ち、低下した)か否かを判定し、変化したときに、制御周波数範囲の設定を行うようにしてもよい。
電流検出部は、圧電素子のグランド電局部に設けられた電流検出抵抗の電圧値を読み取ることで電流値としているので、電流検出抵抗を用いることで安価に電流を検出することができるが、他の部分を参照してもよい。例えば、電流を検出する位置としては、A部、B部でもよく、A部とB部の合計、A部とB部の合計よりG部の値を引いたもの、などでもよい。ここで、A部とはコイル141と直列に接続された抵抗であり、B部とはコイル142に直列に接続された抵抗である。また、電流検出部は、カレントトランスでもよく、この場合は抵抗による電圧降下がないので、効率の劣化を防ぐことができる。
また、起動とは、電源を入れた場合のみならず、電流値以上の保護回路が働いたときや、ACTの指令がONになったときなどもしめす。また、所定値に対応する周波数帯域は、出荷時にすでに設定してあるが、測定電流が基準値を超えた場合は、この周波数帯域を狭めることで、信頼性の高い駆動ができる。
このように、本発明によれば、駆動電力の適正化を図りつつ、出力の制御範囲が大きい超音波アクチュエータを提供することができる。
換言すれば、本発明に係る超音波アクチュエータ装置は、圧電素子を有し、屈曲振動及び縦振動を行うアクチュエータ本体と、前記アクチュエータ本体の前記屈曲振動の振動方向を向く側面に取り付けられて、該アクチュエータ本体の振動に従って前記屈曲振動の振動方向と前記縦振動の振動方向とを含む平面内で周回運動することで駆動力を出力する駆動子と、前記アクチュエータ本体に、駆動周波数が同一であり各々位相が異なる第1および第2駆動電圧をそれぞれ印加する電源部と、電源部に、印加すべき前記駆動周波数を設定する制御部と、前記圧電素子を流れる電流値が極小値になる基準周波数に関連するデータを格納する記憶部とを備え、前記制御部は、前記記憶部に格納された前記基準周波数に関連するデータに基づいて、前記駆動周波数の設定範囲を定め、定められた設定範囲から前記駆動周波数を設定するものとする。
好ましくは、さらに、前記第1または前記第2の駆動電圧により、前記圧電素子に流れる電流値を検出する電流検出部を備え、前記記憶部は、前記基準周波数に関連するデータとして、前記基準周波数より常に高い値となる第1の周波数を格納し、前記制御部は、前記駆動周波数の設定範囲を定める際に、前記第1の周波数から徐々に低くしていきながら前記電流検出部で検出される電流値が極小値になる第2の周波数を求めて基準周波数とし、当該第2の周波数よりも第1の所定量だけ低い第3の周波数を算出して、前記駆動周波数を前記第3の周波数以上となるように設定するものとする。
さらに好ましくは、さらに、前記第1または前記第2の駆動電圧により、前記圧電素子に流れる電流値を検出する電流検出部を備え、前記記憶部は、前記基準周波数に関連するデータとして、少なくとも前記基準周波数より常に高い値となる第1の周波数を格納し、前記制御部は、前記駆動周波数の設定範囲を定める際に、前記第1の周波数から徐々に低くしていきながら前記電流検出部で検出される電流値が極小値になる第2の周波数を求めて基準周波数とし、当該第2の周波数よりも第1の所定量だけ低い第3の周波数及び当該第2の周波数よりも第2の所定量だけ高い第4の周波数を算出して、前記駆動周波数を前記第3の周波数以上であって前記第4の周波数以下となるように設定するものとする。
また、前記制御部は、所定のタイミングごとに、前記駆動周波数の設定範囲を定める制御を行うものとする。
さらに、前記所定のタイミングは、起動時であるものとする。
さらにまた、前記所定のタイミングは、電流値が所定の閾値を越えたときであるものとする。
また、前記所定のタイミングは、前記制御部へ特定の信号が入力されたときであるものとする。
さらに、前記所定のタイミングは、前記電圧が変化したときであるものとする。
さらにまた、前記記憶部は、前記基準周波数に関連するデータとして、予め検出した前記基準周波数自身、前記基準周波数を含む領域の下限値となる周波数、前記基準周波数を含む領域の上限値となる周波数、のうちの少なくとも1つを格納し、前記制御部は、前記基準周波数に関連するデータに基づいて、前記駆動周波数の設定範囲を定める制御を行うものとする。
また、前記アクチュエータ本体は、1次の縦振動と2次の屈曲振動とを行うものとする。
《発明の実施形態2》
次に、本発明の実施形態2について説明する。本実施形態2に駆動装置201は、超音波アクチュエータの構成が実施形態1と異なる。以下、実施形態1と同様の構成については、同様の符号を付し、説明を省略する。
実施形態2に係るアクチュエータ本体205は、図17に示すように、圧電素子250の一方の短辺側面に1つの駆動子259が設けられている。このアクチュエータ本体205は、圧電素子250の他方の短辺側面に付勢ゴム272が当接するようにしてケース206内に収容されている。このとき、前記駆動子259はケース206から外部に突出している。そして、圧電素子250の両長辺側面とケース206との間には、各側に2つずつ支持ゴム271,271が介設されている。
この圧電素子250には、実施形態1の圧電素子50と同様に、圧電素子250の主面をその長手方向及び短手方向にそれぞれ2等分してなる4つの領域のそれぞれに第1電極252a,252b及び第2電極253a,253bが設けられている。尚、第1電極252a,252b及び第2電極253a,253bは、それぞれ別々に給電されるように構成してもよいし、実施形態1と同様に、対角線方向に位置する対ごとに給電するように構成してもよい。
そして、圧電素子250の対角線方向に位置する対ごとに、すなわち、第1電極252a,252bと第2電極253a,253bとにそれぞれ位相が90°ずれた交流電圧を印加することによって、圧電素子250には、図8に示すように、縦振動と屈曲振動とが調和的に誘起される。その結果、駆動子259は、圧電素子250の主面と平行な面内で略楕円運動を行う。
このように構成された第1及び第2超音波アクチュエータ204A,204Bは、駆動子259がステージ3の下面(詳しくは、補強部材33)に当接し且つ、圧電素子250の長手方向がステージ3の下面の法線方向を向くようにして、固定部材2の底壁部21とステージ3の下面との間に配置される。換言すれば、第1及び第2超音波アクチュエータ204A,204Bは、圧電素子250の縦振動の方向がステージ3の下面と直交すると共に、圧電素子250の屈曲振動の方向がステージ3の下面と平行な方向を向くように配置される。
このとき、第1超音波アクチュエータ204Aは、その圧電素子250の短手方向がX方向を向くように配置される一方、第2超音波アクチュエータ204Bは、その圧電素子250の短手方向がY方向を向くように配置される。
この状態で、各超音波アクチュエータ204A(204B)のアクチュエータ本体205に、前述の如く、縦振動と屈曲振動との合成振動を発生させることによって、ステージ3が駆動される。
このとき、実施形態1と同様に、ステージ3の、第1超音波アクチュエータ204Aによる移動量と、第2超音波アクチュエータ204Bによる移動量とを調整することによって、X方向への移動とY方向への移動とを合成させて、ステージ3をその下面に平行な平面内で任意の方向に移動させることができる。
また、ステージ3をX方向及びY方向の何れか一方、例えば、X方向だけに移動させるときは、第1超音波アクチュエータ204Aは、圧電素子250に縦振動と屈曲振動との合成振動を発生させてステージ3に駆動力を付与する一方、第2超音波アクチュエータ204Bは、圧電素子250に実質的にステージ3の下面と平行な平面内での振動のみを発生させて駆動子259をステージ3に対して滑らせる。具体的には、第2超音波アクチュエータ204Bは、圧電素子250に実質的に図7に示すような屈曲振動だけを発生させる。第1電極252a,252b及び第2電極253a,253bの何れか一方だけに交流電圧を印加する、または、第1電極252a,252bと第2電極253a,253bとに位相が180°ずれた交流電圧を印加することによって、圧電素子250に実質的に屈曲振動だけを発生させることができる。この場合、駆動子259は、ステージ3への付勢力が増加することなく、ステージ3の下面に平行な平面内で振動し、その結果、ステージ3に対して滑って摺動する。
したがって、実施形態2によれば、実施形態1と同様に、第1及び第2超音波アクチュエータ204A,204Bの何れか一方のみでステージ3をその一方の超音波アクチュエータに対応した移動方向へのみ移動させるときには、他方の超音波アクチュエータをステージ3の下面と平行な方向へのみ振動、即ち、屈曲振動のみさせることによって、他方の超音波アクチュエータの駆動子59とステージ3との摩擦状態を動摩擦状態とすると共に、該駆動子59のステージ3に対する摺動速度が速くなり動摩擦係数が低減するため、該駆動子59とステージ3との間の摩擦力を低減することができ、前記一方の超音波アクチュエータでステージ3を円滑に且つ効率良く移動させることができる。
《発明の実施形態3》
続いて、本発明の実施形態3について説明する。本実施形態2に駆動装置は、超音波アクチュエータの構成が実施形態1と異なる。以下、実施形態1と同様の構成については、同様の符号を付し、説明を省略する。
実施形態3に係る第1及び第2超音波アクチュエータ304A,304Bは、図18に示すアクチュエータ本体305と、該アクチュエータ本体305を収容するケース(図示省略)と、該アクチュエータ本体305をケース内で弾性的に支持する支持ゴム(図示省略)と、該アクチュエータ本体305をステージ3側へ付勢するための付勢ゴム(図示省略)とを備えている。
アクチュエータ本体305は、図18に示すように、金属製の本体部350と、該本体部350に設けられた複数の圧電素子351a,351b,…と、該本体部350に設けられた駆動子359,359とを有している。
本体部350は、略正方形の上面350a及び下面(図示省略)と、略長方形の4つの側面350b,350c(2つの側面のみ図示)とを有している。各側面はその両長辺部が上面350a及び下面の辺部と一致するように、すなわち、その短手方向が上下方向を向くように配置されている。
この本体部350の上面350aには、2つの駆動子359,359が設けられている。これら2つの駆動子359,359は、上面350aの重心を通り且つ対向する一対の辺部に平行な線上に並んで配置されている。
そして、本体部350の隣接する一対の側面350b,350cには、それぞれ4つの圧電素子351a,351b,351c,351dと圧電素子352a,352b,352c,352dとが貼り付けられている。圧電素子351a,351b,…は、側面350bをその長手方向及び短手方向にそれぞれ2等分してなる4つの領域にそれぞれ配置されている。圧電素子352a,352b,…も同様に、側面350cをその長手方向及び短手方向にそれぞれ2等分してなる4つの領域にそれぞれ配置されている。これら圧電素子351a,351b,…及び圧電素子352a,352b,…は、実施形態1,2と異なり、各圧電素子ごとに一様な電極が設けられており、各圧電素子ごとに一様に給電することによって各圧電素子が一様に伸縮する。
このように構成されたアクチュエータ本体305は、側面350bにおいて、対角線方向に位置する一方の対の圧電素子351a,351dと他方の対の圧電素子351b,351cとにそれぞれ位相が90°ずれた交流電圧を印加することによって、本体部350には側面350bの長手方向への縦振動と側面350bの短手方向への屈曲振動とが調和的に発生し、その結果、駆動子359,359が側面350bと平行な平面内で略楕円運動を行う。また、アクチュエータ本体305は、側面350cにおいて、対角線方向に位置する一方の対の圧電素子352a,352dと他方の対の圧電素子352b,352cとにそれぞれ位相が90°ずれた交流電圧を印加することによって、本体部350には側面350cの長手方向への縦振動と側面350cの短手方向への屈曲振動とが調和的に発生し、その結果、駆動子359,359が側面350cと平行な平面内で略楕円運動を行う。
かかるアクチュエータ本体305を備える第1及び第2超音波アクチュエータ304A,304Bは、図1,2に示す実施形態1に係る第1及び第2超音波アクチュエータ4A,4Bと同様に、固定部材2の底壁部21とステージ3の下面(詳しくは、補強部材33)との間に介設される。詳しくは、第1超音波アクチュエータ304Aは、ステージ3の下面の一の辺縁部の近傍において、駆動子359,359が並ぶ方向が該辺縁部と平行な方向(この方向をX方向とする。)を向くように、即ち、本体部350の側面350bの長手方向が該辺縁部と平行になるように配置されている。一方、第2超音波アクチュエータ304Bは、ステージ3の下面の前記位置の辺縁部と直交する辺縁部の近傍において、駆動子359,359が並ぶ方向が該辺縁部と平行な方向(この方向をY方向とする。)を向くように、即ち、本体部350の側面350bの長手方向が該辺縁部と平行になるように配置されている。
このように構成された駆動装置301において、第1超音波アクチュエータ304Aは、基本的には側面350bに設けられた圧電素子351a,351b,…を駆動することによって駆動子359,359を該側面350b(長手方向がX方向を向いている)に平行な平面内で略楕円運動させる。つまり、第1超音波アクチュエータ304Aは主としてステージ3をX方向へ移動させるために用いられる。一方、第2超音波アクチュエータ304Bは、基本的には側面350bに設けられた圧電素子351a,351b,…を駆動することによって駆動子359,359を該側面350b(長手方向がY方向を向いている)に平行な平面内で略楕円運動させる。つまり、第2超音波アクチュエータ304Bは主としてステージ3をY方向へ移動させるために用いられる。
ただし、ステージ3をX方向及びY方向のうちの一方向にのみ移動させるとき、例えば、ステージ3をY方向にのみ移動させるときには、第2超音波アクチュエータ304Bは、駆動子359,359を長手方向がY方向を向いた側面350bに平行な平面内で略楕円運動させてステージ3をY方向へ移動させる一方、第1超音波アクチュエータ304Aは、長手方向がY方向を向いた側面350cに設けられた圧電素子352a,352b,…を駆動することによって駆動子359,359を該側面350cに平行な平面内で振動させる。このとき、第1超音波アクチュエータ304Aにおいては、側面350cの4つの圧電素子352a,352b,…に同位相の交流電圧を印加することによって、アクチュエータ本体305に該側面350cの長手方向に縦振動のみ発生させる。こうすることで、第1超音波アクチュエータ304Aの駆動子359,359は、Y方向に縦振動のみを行う。
したがって、実施形態3によれば、ステージ3をX方向及びY方向の何れか一方のみに移動させるときに、駆動子359,359の並ぶ方向がステージ3の移動方向と一致する方の超音波アクチュエータには、縦振動と屈曲振動との合成振動を発生させる一方、駆動子359,359の並ぶ方向がステージ3の移動方向と一致しない、詳しくは、直交する方の超音波アクチュエータには、縦振動のみを発生させることによって、駆動子359,359の並ぶ方向がステージ3の移動方向と一致しない方の超音波アクチュエータの駆動子359,359とステージ3との摩擦状態を動摩擦状態とすると共に、該駆動子359,359のステージ3に対する摺動速度が速くなり動摩擦係数が低減するため、該駆動子359,359とステージ3との間の摩擦力を低減することができ、駆動子359,359の並ぶ向きがステージ3を移動させる方向と一致する方の超音波アクチュエータでステージ3を円滑に且つ効率良く移動させることができる。
このとき、駆動子359,359の並ぶ方向がステージ3の移動方向と一致しない方の超音波アクチュエータにおける駆動子359,359の縦振動の方向がステージ3の移動方向と一致するため、これら縦振動しながらステージ3に対して摺動する駆動子359,359がステージ3の移動に与える影響を低減することができる。
尚、前記実施形態3においては、本体部350は、各側面が短手方向が上下方向を向くように構成されて、上下に扁平な直方体となっているが、これに限られるものではない。すなわち、本体部350は、各側面が長手方向が上下方向を向くようにして、上下に長くなるように構成されていてもよい。この場合、ステージ3をX方向及びY方向の何れか一方へのみ移動させるときには、駆動子359,359の並ぶ向きがステージ3を移動させる方向と一致していない、詳しくは、直交している方の超音波アクチュエータは、本体部350に実施形態2と同様に屈曲振動だけ発生させることによって、駆動子359,359をステージ3に対して滑らせることができる。
また、駆動子359,359は、上面350aの重心を通り且つ一対の辺部に平行な直線上に配置されているが、これに限られるものではない。
《その他の実施形態》
本発明は、前記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
すなわち、前記実施形態では、ステージ3を固定部材2によって支持しているが、これに限られるものではない。すなわち、ステージ3を所定の平面内で移動させる構成であれば任意の支持構造を採用することができる。
また、前記ステージ3は、補強部材33,33が設けられているが、この補強部材33,33を設けない構成であってもよい。
さらに、前記駆動装置は、第1及び第2超音波アクチュエータの合計2つの超音波アクチュエータを備えているが、超音波アクチュエータの個数は2つに限定されるものではない。例えば、第1超音波アクチュエータと対向する別の超音波アクチュエータを設け、2つの超音波アクチュエータでステージ3をX方向に移動させるように構成してもよい。さらには、X方向及びY方向以外の方向にステージ3を移動させる別の超音波アクチュエータを設けてもよい。
さらにまた、前記超音波アクチュエータは、前記の構成に限られるものではない。例えば、前記支持ゴム及び付勢ゴムを介して圧電素子に給電する構成ではなく、リード線を圧電素子に接続して給電する構成でもよい。また、圧電素子の振動のノード部(節の部分)を非弾性部材で支持する構成であってもよい。さらには、アクチュエータ本体は圧電素子で構成されているが、金属などの基板に圧電素子を貼り付けた構成や、金属などで共振器を形成し、圧電素子を挟み込んだ構成であってもよい。この場合、圧電素子を含んで構成された共振器がアクチュエータ本体を構成する。すなわち、圧電素子を有して構成され異なる2つの振動方向へ振動を発生させる構成であれば、任意の構成を採用することができる。
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、2つのアクチュエータを備えた駆動装置について有用である。
図1は、本発明の実施形態1に係る駆動装置の構成を示す分解斜視図である。
図2は、駆動装置の斜視図である。
図3は、超音波アクチュエータの斜視図である。
図4は、圧電素子の分解斜視図である。
図5は、アクチュエータ本体の構成を示す概略正面図である。
図6は、圧電素子の1次モードの伸縮振動による変位を示す概念図である。
図7は、圧電素子の2次モードの屈曲振動による変位を示す概念図である。
図8は、圧電素子の動作を示す概念図である。
図9は、超音波アクチュエータの配置を示す概略平面図である。
図10は、超音波アクチュエータ制御回路の構成図である。
図11は、駆動信号を示す波形図であって、(a)はステージを図10のA方向へ移動させるとき、(b)はステージを図10のB方向へ移動させるとき、(c)はステージを停止させるときの駆動信号を示す。
図12は、実施形態1のアクチュエータの速度、駆動電圧に対してアクチュエータを流れる電流、発熱のそれぞれの周波数特性を示す概念図である。
図13は、実施形態1の制御フローを示すフローチャートである。
図14は、実施形態1の制御周波数設定処理の内容を示すフローチャートである。
図15は、実施形態1の制御周波数設定処理の別の内容を示すフローチャートである。
図16は、実施形態1の制御周波数設定処理の別の内容を示すフローチャートである。
図17は、実施形態2に係る超音波アクチュエータの斜視図である。
図18は、実施形態3に係るアクチュエータ本体の斜視図である。
図19は、超音波アクチュエータの配置を示す概略平面図である。
符号の説明
3 ステージ(被駆動体)
4A,204A,304A 第1超音波アクチュエータ(第1アクチュエータ)
4B,204A,304A 第2超音波アクチュエータ(第2アクチュエータ)
5 アクチュエータ本体
59 駆動子